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政府委員(
平井廸郎君) ただいま御
質問の点は、旧
陸軍共済組合所属の
組合員並びに旧
海軍共済組合所属の
職員の処遇について差があるという点と理解して
お答えをいたしたいと存じます。御
承知のとおり、戦前、旧
陸軍共済組合、旧
海軍共済組合がございまして、それぞれ
公傷等の
職員の
福利厚生並びに
退職給付の実施に当たっておったわけでございますが、手元に詳しい資料がございませんので、やや正確を欠くかもしれませんが、
昭和二十年の三月末に、まず
海軍の
共済組合のほうで
規則改正を行ないまして、それまで
公務傷病に対する
退職者については一時
金手当で処理いたしておりましたものを、二十年四月一日以降の
退職者、つまりそれ以後における
退職者については、
年金制度に切りかえるという
措置をとったわけでございます。これにならいまして、
陸軍の
共済組合におきましても、二十五年の五月に
規則改正を行なったわけでございますが、その際には、必ずしも
海軍の
共済組合と同一の方式をとらず、大
東亜戦争開始前にさかのぼって
年金支給する道を開いたわけでございます。ただし、その場合におきましては、
年金支給の
対象といたしましたのは、
戦災による
傷病者ということに限られておったようでございまして、
期間の点におきましては、
海軍の
共済組合のほうが、
遡及法がないという
意味におきまして、劣っておったわけでございますが、同時に、また、
陸軍のほうにおきましては、その
適用範囲が
戦災による
傷病者に限られておるという点でございまして、必ずしもどちらが有利であり不利であるかということは、にわかに即断しがたいところであったわけでございます。その後、主として旧
海軍関係の
共済組合員であった
方々から、
陸軍の場合は、遡及して
退職年金制度を採用したのであるから、われわれについても
年金制度に切りかえてほしいという御
要望等がありました。先ほど申し上げたような
事情もございますし、また、
一般的に
共済組合の
制度の建前といたしまして、本来、
掛金を基礎として、
保険数理に基づいて運営されておる
関係上、一応一時金で処理されたものを、さらにこれを改めてやり直すという
考え方はとらないということで、お
断わりをいたしておった次第でございます。ところが、さらに
昭和三十六年に至りまして、この
戦傷病者遺家族年金法の
改正によりまして、
一般に徴用された
方々が
戦災にかかられた場合、このような場合におきましては、一応五年間の
有期年金をつけるということになったわけでございます。その場合に、旧
海軍の
組合員の中で、この条項に該当する者につきましては、いわば追加的な
年金給付が行なわれることになりまして、その限りにおきまして、その
適用を受けられない
方々、つまり
戦災でなくて、
一般の
公務傷病による
方々については、依然としてこのグループからはずれておるという御
議論が出て参ったわけでございます。しかしながら、先ほど私が申し上げましたように、
陸軍の
年金の
考え方というのは、
戦災による
年金という
考え方をとっておりますし、その点からいたしますと、今直ちにこれを広げることが妥当であるかどうかということも、かなり問題があるわけでございます。言いかえますならば、先ほどの沿革でも指摘申し上げましたように、
陸軍の場合の
年金受給者というのは、
戦災を受けた
方々に限られるわけでございまして、その限りにおいては、
海軍関係の今論議されている
方々、つまり
戦傷病者戦没者遺族等援護法の
適用を受けない
方々までは考慮していないという
事情もございます。こういった点から、直ちに
陸軍並みにすることがいいかどうかという点については、
陸軍並みと申しますか、無
期限の、あるいは
有期の
年金にすることがいいかどうかということは、今後さらに検討しなければならぬところであろうと思います。
それから、第二点といたしまして、
戦災によって死亡したというような場合でございますと、先ほどの
遺家族援護法の、
戦没者等の
援護法の
改正によりまして、五年の
有期年金がついておるわけでございます。しかし、これはまた
陸軍の
戦災年金制度よりは、
期限が限られておる点において不利である、この点は御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほ
ども申し上げましたように、一方では、
海軍の側については、その
支給範囲が広がったという点もございましたので、そこらのところも総合勘案して、今後さらに慎重検討していかなければならない。いろいろ
制度が、今私の非常にまずい
説明でおわかりにくかったかと思いますが、錯綜いたしておりますので、その間の
総合調整をどのようにはかっていくかということは非常にむずかしかった。それがまだ今日までなかなか手がつけられなかった
理由でございますが、今後においても、さらに慎重に検討していきたいと考える次第でございます。