運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-13 第40回国会 参議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員異動 三月九日委員泉山三六君、吉武恵市君 及び吉田法晴辞任につき、その補欠 として山本杉君、竹中恒夫君及び小柳 勇君を議長において指名した。 三月十二日委員小酒井義男辞任につ き、その補欠として坂本昭君を議長に おいて指名した。 本日委員永岡光治辞任につき、その 補欠として光村甚助君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            阿具根 登君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            山本  杉君            横山 フク君            坂本  昭君            藤原 道子君            村尾 重雄君            石田 次男君   国務大臣    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    厚生省医務局長 川上 六馬君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省医務局次    長       鈴村 信吾君    労働省労働基準    局監督課長   小鴨 光男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○医療金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○社会保障制度に関する調査看護制  度の現状に関する件)   —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。  三月九日付をもって、泉山三六君、吉武恵市君、吉田法晴君が辞任され、山本杉君、竹中恒夫君、小柳勇君が選任されました。  三月十二日付をもって、小酒井義男君が辞任され、坂本昭君が選任。また、本日付をもって、永岡光治君が辞任され、光村甚助君が選任されました。   —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 医務局長に二、三点御質問申し上げます。  第一点は、今回、公庫資本金が五十五億円に増強されることになるわけでございます。この三十億円から五十五億円に資本金が増加されることになるわけですが、私は、この際、かねてから問題になっております医療金融公庫貸付利率の問題でありますが、設立当初の御説明から見ますと、今のところ相当利率が高い。年金福祉事業団等と比較いたしましても非常に高い。元来が、長期低利資金貸し付けるということが目的である。こういった面から見ますと、少なくとも今回の資本金増強機会利率引き下げをできるだけ行なうということが必要と思うのであります。この点まずお伺いいたします。
  5. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) ただいま御質問のございましたように、医療金融公庫は、国民保険下において、比較的安い診療報酬の各種の医療機関に同じ条件で協力していただいている関係で、従来、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫から、別に特に長期低利融資をはかるために医療金融公庫を設けた、その趣旨にかんがみまして、私どもは、やはり大体六分五厘という利で貸し付けたいということを考えておったわけでありますが、何分とも、最初原資が御承知ように非常に少なくて、設立いたしますときは、わずか三十億で設立されたわけでございます。そういうことで、そういう安い利ですべて貸し付けるということは、なかなか容易でないということで、御承知ように、医療機関増改築におきまして八分、機械設備などは九分でもって現在貸し付けておるわけであります。一方、年金福祉事業団は、御承知ように、これは六分五厘一本でやっておるわけでございますが、しかし、これは年金福祉事業団は、従来還元融資で、そういう条件ですべて貸し付けておったという関係、過去のそういういきさつがございます。あるいはこの原資ワク関係から、なかなか一ぺんに年金福祉事業団と同じよう条件というわけにも参らない点もありますけれども、なるべくそれより不つり合いにならないように私どもはいたしたい、こう考えまして、現在大蔵当局とそうした貸付条件について折衝中でございます。
  6. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 ただいま局長答弁で、大体その気持はわかりますが。しかしながら、何といいましても、今、局長の言われたとおり、公庫設立趣旨社会保険医療をまず中心考え医療施設整備ということが中心になっておる以上は、低医療報酬の中で、各私的医療機関が意欲的に誠意をもって施設設備改善を行なうということは、国民医療福祉に直結するまことに望ましいことであります。施設機械等改善については諸般の日進月歩の現状に追いつくよう政府は協力しなければならんはずであります。したがって、こういう見地から長期低利でやるということは原則であります。今のように八分あるいは九分なんということになりますと、一般金融機関とあまり違わないことになります。さよう考えるとき、この公庫設立趣旨というものが全く成り立たん、筋が通りません、かように思うのであります。この際強力に厚生当局は推進に努力をされるべきです。共管をする大蔵省銀行局等のこれに対する意見もあると思うのでありますが、この点について、きょうは御出席がないようですから、次回に御質問いたすことにいたします。原則として厚生省はその趣旨で、まず利率引き下げということを重点的に考えていただかなければ私は納得ができない、さよう考えます。  それから第二点は、この公庫運営の問題でありますが、業務方法書によって、発足当初は、資金量不足等の点から多少融資を抑制するというような形がありました。また、なおこの設立趣旨の中に、あたかもこの医療金融公庫設立が、無医村対策貸付対象とするかのような感じも与えておりました。したがって、一般診療所において緊急に資金を必要とするという方面がどうも二次的な形になったと思う。そのために、この設立によって融資を期待しておった向きも借り入れを遠慮するというようなことがあったと思うのであります。しかし、もちろん無医村等に対する施設にする融資もこれは無視できませんが。何といっても私設医療機関に対する一般貸付中心に置かなければ、公庫設立趣旨に反すると思うのであります。業務方法書の中で、それら矛盾する諸点をこの際急速に改善をしてもらうことが必要と思います。この際、局長として何か貸付準則等に関して、進んで是正をすると考えておられるよう諸点がございましたらお伺いしたいと思います。
  7. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) ただいま御指摘ように、確かに医療機関不足なところの医療機関整備するということが、医療保障の進みます上に、前提条件と申しましょうか、そういう点も医療公庫で手当をしたいと考えておるわけでありますけれども、一方、また医学進歩に従いまして、既設医療機関というものも改善していかなければならぬ。ことに機械設備などを近代化していかなければならぬという面もございますので、必ずしも医療機関不足していないというようなところにおきましても、既設医療機関に対する増改築でありますとか、あるいは機械設備などの改善などに融資をいたしておるわけでありますが、このほうは、今申しましたように、少し金利が高くなっておるわけであります。私どもは、やはり先ほど申しましたように、そういう点についてもできるだけ金利引き下げ方向で現在努力を払っておるような次第であります。ただいま折衝中であります。
  8. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 ただいま局長の御答弁で、大体趣旨は了承いたしますが、利率引き下げとともに次に貸付対象の問題があります。診療所等新設の場合貸付対象基準に、既設診療所居住人口との分布比率を取り上げております。一定の基準をもって貸付を行なうということは、優先度の面から一応納得できる点もございますが、これはある程度諸般実情考える必要がある。現在のところ、診療所分布比率分布状態調査というものは、必ずしも正確にいっておりません。したがって、こういった点も十分考えて、業務方法書等是正も行なわなければいけない。一例を申し上げますと、大都会のまん中に無医村に近いような地点も理論的にございます。したがって、ただ六大都市大都市等には医療機関の数が多いからその貸付を押えるというよう考え方は間違いだと思う。こういった点も十分御精査の上で、公庫指導運営監督をしていただきたい、かよう考えます。  次に私は、この機会関連事項として申し上げておきたいことは、もちろん無医村に対する施設強化拡充に対して資金貸し付けるということはいいのでありまするが、無医村対策というものは決して融資等のみによって解決はつかぬと思うのであります。少なくとも、その地区診療所経営が成り立たぬということが主たる原因である以上、それらには国は別段の相当強力な助補、助成中心考えなければならない。融資だけでは解決のつかぬ問題であります。この点十分な対策考える必要があると思います。無医村地区対策も重大であるが、本公庫設立の精神からいって、急速に多くの既設診療所施設改善をする方向にもっていくことが、また一般国民大衆医療福祉の増進に稗益するところが多いと思うのでありますから、重ねてこの点を強調するわけです。以上の事柄を簡単にひとつ……。
  9. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 最初お話がございました基準のとり方というものにつきましては、むろん御意見のあるところであることは、よく私どもも了承しておるわけでありますが、したがいまして、例外規定などを活用いたしましたり、あるいはまた基準現状に即さない点は昨年も改正をいたしておるわけであります。今後ともその点につきましては、十分考えて、実情に即するようにいたしたいと考えておる次第であります。  それから無医村対策は、御指摘のとおり、とても引き合わないところに医療機関というものを整備することはできません。ただ、無医村厚生省が申しておるものの中には、助成しなければならぬというところと、それからやれば何とか引き合うというようなところと実はございまして、そういうところは、何とか金融公庫でもって診療所を作って開業していただきたいという気持は持っておるわけでございますけれども、確かに無医村対策といたしましては、これは公的医療機関でありますとか、あるいは相当助成をして私的医療機関にやってもらうとかというようなことでなければ、実際は目的を達しにくいと私も考えております。したがいまして、大体は私的医療機関でやっていける、やれば収支も償う、こういうところで、この金融でもって医療近代化というところに進んでもらいたいと思います。
  10. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 ただいまの御答弁で大体了承いたしますが、極力そういう方向に持っていくように強力に指導していただきたい。  次にお伺いしたいことは貸付窓口事務取り扱いに関することですが、ただいまのところ、機構上、貸付受託金融機関にまかせてあるわけですが、これらの窓口地方金融機関等取り扱い方については相当問題があります。これらの金融機関の一部に自己資金貸し付けるという方向に力を注ぎまして、公庫融資というものが事務的に非常に煩雑だというような印象を与えて、あまり協力的でない機関があるように聞いております。その事例として、せっかく医療公庫があるにもかかわらず、一部都道府県単位医師歯科医師会地方銀行等の間に団体特別契約を結んで貸付が行なわれるというよう実情があるということであります。その担保には社会保険診療報酬が当てられるので、金融機関にはきわめて条件のよいお得意先だということになっておるわけです。かような形で特別契約を結ぶという状態が各地にございます。私はこれらの実情について関係者につき調べてみると率直にいって繁忙な開業医は現在のよう窓口取り扱い方によっては十分な借入金が得られない。しかも、事務的に煩雑で困る、したがって、やむを得ず少しくらい利率が高くても、簡単に貸してくれる地方銀行との団体特別契約による金融のほうがいいのだというようなことを言っております。このよう状態が一部にもせよ、あることはまことに遺憾しごくなことであります。せっかくこの公庫の設置により、私的医療機関整備上多少なりとも恩恵をこうむるということを途中でふさいでしまう結果となる。これらの原因は、少なくとも取り扱い窓口機関公庫貸付に関する取り扱い意欲等に欠けるところがあるのじゃないかと、かよう考えます。したがって、これらについては厳重に公庫を通じて監督し、適正ならざるものについてはその指定を取り消すべきであります。意欲的に扱うというところにのみこれを受託せしめたほうがいいんじゃないかと私は考えます。また、これに関連して、公庫発足当初でまだまだ無理だと思いますが、今後は公庫直接貸付を行なうという制度も並行的に考えることが必要であると思うのであります。できれば、公庫本部とともに、関西方面に支所の一ヵ所ぐらい設けて、ある程度直接貸しの道も開いていくということでありませんと、現状から見てせっかく設立いたしました公庫趣旨が生きてこないという気持がいたします。  なお、前段について補足いたしますが、何といっても一般金融機関でありまするから、回収安全度からどうしても担保力の強いところに貸そうとすることになる。従来から、窓口銀行に取り引きのあるような有力な医療機関に貸すという傾向はどうしても強くなると思う。元来、この受託機関に対しましては、多分に担保力の弱い相手に貸付を行なわしめるという見地からその受託機関回収責任負担額というものは二割程度の低額に押えてあるはずであります。立法当初、私ども回収責任については全額公庫で保証してもいいんではないかと主張いたしましたが、大蔵当局あたり意見で、それでは窓口機関貸付の際における責任が全然なくなり、悪い結果を生ずるという意見でやはり貸付に対する責任負担額というものは設けなければいかんということで、二割になったと私は記憶いたします。したがって、他の公庫よりかように非常に窓口機関の優遇をいたしておる現状であります。その趣旨は、力の弱い私的医療機関助成を主眼とする建前から、そこに極端な場合、多少の焦げつきができてもそれらがなるべく一般金融機関負担にならないように意図されておるわけであります。公庫の性格が窓口受託機関取り扱いによりゆがめられることは、まことに重大なことだと思う。ただいま申し述べたように、これらに対する指導監督等に関する格段の御努力が必要だと思うのであります。この点、御答弁願います。
  11. 鈴村信吾

    説明員鈴村信吾君) 私からお答え申し上げます。実は、この公庫ができますときにも、今お話しような懸念が生ずるのではないかということのいろいろお話がありまして、既存の公庫につきまして、とかく銀行が、金を借りるについて、預金を強制するというような好ましくないうわさが流れているので、十分注意しろというお話があったのでありますが、われわれも、医療金融公庫に関しては、少なくともそういうことがないようにということで、極力公庫を通じて、金融機関指導をして参っておるわけであります。今お話しのありましたように、金融公庫につきましては、金融機関保証責任は二割しかございません。他の公庫は、国民にしても中小にしても、五割とか八割とか、非常に保証責任の率が大きいのでありますが、医療金融公庫は、わずか二割の保証責任でありますので、制度面からもそういうことがないようにという配慮がなされておるわけであります。しかしながら、金融機関の中には、今おっしゃったような、預金を半ば強制的にさせるとか、好ましくないことをする例も絶無とはいえないかと思います。したがいまして、われわれは今後とも極力そういう点のないように、具体相な例につきまして金融機関指導していく。そういううわさを聞けば、すぐその銀行に電話する。そういうことをやっては困るではないかということで、個々に実は警告を発し、指導している次第であります。ただ、その指導と別に、たとえば今おっしゃいましたように、公庫で直接貸しをやるというようなことも検討していいのじゃないかということで検討しておりますので、もしそれが結論が出ますれば、また、たとえば昭和三十八年度においては直接貸しをやるというようなこともあり得るかと思います。十分今検討いたしております。いずれにいたしましても、そういうふうなことのないように、今後とも十分指導していきたいというふうに考えております。  それから貸付手続の問題でありますが、なるべく簡素化したいということで、極力その趣旨でやっておりますが、長期の金を貸す関係上、ある程度手続はやむを得ないというふうに考えております。しかしながら、極力簡素化の線で、今後も検討して参りたいというよう考えております。
  12. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 大体ただいまの御答弁で了解いたしますが、どうか極力その方向に向かって、御指導いただきたいと思います。次に、もう一つお尋ねいたしますが、先般の公庫法改正補足説明の中で、これは貸付基準の変更でありましょう、私立大学付属病院等に対する貸付ワクを設定するという御説明がございました。また、病院施設等に対する貸付限度額二千万円を二千五百万円に増額するという御説明がありました。まことに当を得たお考えであると思います。少なくとも現在の私立大学付属病院経営というものは、なかなか容易でございませんし、また、一般診療所同様、保険医療をほとんど中心的に取り扱っている関係上、当然かよう措置がとられなければならぬと私は思います。ただ、この場合考えてみなければならぬ点は、大学付属病院等においては、特に営利を対象にしておらない。その医療内容あるいは施設等から見ましても、非常に良心的な診療が行なわれておることは当然である。したがいまして、社保診療報酬の上で何か特別な措置考えられてもよいのではないかと思いますが、現行社会保険機構からしてなかなかそれらは簡単に参りません。したがって、医学医術進歩向上見地からしても、少なくともこの際特に長期低利資金貸し付けて、助成の一端とすること必要であり、また当然と思うのであります。そういう関係から、利率引き下げということも、他の一般とともに、この場合必要な条件であり、同時に、またその貸付期限もできるだけ長くすることが必要である。また、その貸付限度の問題でありますが、現在大多数の付属病院施設はもちろん、特に大学付属病院等施設年現状から見て、少額の貸付は結局焼石に水というようなものだと私は思います。したがって、できるだけ貸付限度額は引き上げることが必要であると私は思います。ただし、貸付基準をきめるという点で、ある制限はやむを得ぬと思いますが、特別の場合に、実情に応じ、その貸付限度をこえることができるというよう弾力を持った線で、特に大学付属病院また、一般病院施設等に対しても、貸付に関する配慮が必要であろうと私は思うのです。こういったことについてお伺いいたしたいと思います。
  13. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 私的医療機関の中にも、相当大きな規模のものもかなり多数ございます。従来ともこの二千五百万円、これは付帯施設を入れまして二千五百万円でありますが、この程度では困るというような御意見が少なくなかったわけであります。そういう際に、一方、大学学校法人医療施設というものを、今度医療金融公庫貸付対象にしようということでございますので、そうした大きな規模病院、特に必要だと思われますものにつきましては、かなり貸付限度を大幅に引き上げたいという方針で、現在大蔵省折衝中でございます。
  14. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 ただいま局長の御説明によりますと、貸付限度相当引き上げるため折衝中とのことでありますので、この点格段の御努力を願います。ここで重ねて要望いたしますことは、貸付限度については状況に応じまして、その額をこえることができるという弾力を与えておきませんと、大きな診療施設等に関しては、その現状に即さないものが出てくるのではないか。言いかえると、医療金融公庫から貸し出しを受けると同時に、一般金融機関からも貸し出しを受けなければならぬ。ところが、一般金融機関の最も悪い貸付対象が、こういった大学等施設機関である、あまり貸したがらないということが現実だと思います。したがって、勢い寄付金等に頼るというよう事柄が、現在大学経営の上で問題になっておるわけでもあります。したがって、なるべくそういうことのないように、そのためには、やはり状況に応じて貸付限度額の引き上げを認めるということは、私は絶対必要だと思います。委員長にお願いをいたしますが、次回に大蔵省関係当局出席を願い、重ねて私は質疑を行ないたいと考えますので、さようお取り計らいを願います。  なお、終わりに一言申し上げたいことは、公庫運営が、明年度においてもわずかに五十五億円の出資金に限られるので、ここであまり大きく御要求申し上げても、事実上動けないことはよくわかります。しかしながら、やはり今からそういったよう公庫本来の趣旨に即するよう方向を打ち出していきませんと、今後この資金量資本金増強という問題はあまり期待ができないと思います。したがって、今からこれらの公庫改善し、真の公庫設立趣旨に即するよう方向に実態をただして、資金量増強を要求するという方向にいくべきものと私は思います。いろいろこまかいこともございまするが、とにかくこの公庫設立というものが、社会保険医療中心とする考えに立ち、少なくとも医療機関整備改善と直結するという、事実上その結果において直ちに医療内容改善につながるという面から見まして、私は、強力にこの公庫が推進され、適正に運営されなければならぬと考えます。この点については、特に大臣に御意見承りたいと考えます。
  15. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御質疑の御趣旨につきましては、ごもっともだと私ども思っております。で、今日国民保険の段階に入りまして、医療施設整備といったことは、特に重要になってきたと思います。したがいまして、地域的にも整備をはかって参らなければなりませんし、また、病院診療所等内容につきましても、具体的に進めて参らなければなるまいかと思いますので、その意味におきまして、医療金融重要性はますます増してきていると、かように私考えます。資金量につきましても努力いたしまして、さらに増額をはかりましょうし、また、貸付条件等につきましても漸次改善して参りたい。現に、先ほど局長もお答え申しておりましたが、できるだけ、貸付条件を今日よりも有利にいたしたい、かよう考え方のもとに、大蔵省との間にいろいろ折衝をいたしておるところでございます。何とかうまい結論を得たいものと存じておる次第でございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  16. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑はありませんか。——本日別に御質疑もなければ、次回は大蔵省から関係政府委員出席を求めまして質疑を続行することにして、本日はこの程度にしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  18. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 社会保障制度に関する調査の一環として、看護制度現状に関する件を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  19. 藤原道子

    藤原道子君 ただいま鹿島委員からも御指摘のございましたように、医療の問題は国民の命を預かるものでございまして、非常に重大だと思います。結局一人の人の命は地球よりも重たい、こういう言葉もございます。ところが、今の医療現状を見ますとき、まことに暗い気持になるといいますか、それを乗りこえて怒りを持ちたいという状態にあると思うのです。私は、最近各地の病院を視察いたしまして、一体これでいいのか、こういう気持にかり立てられます。きょうは大臣にその御所見を伺いたいと思うのであります。  一昨年の秋以来、国立医療機関を初めとして、全国にいわゆる病院ストというものが展開されました。それは単に医療労働者の問題のみならず、国の医療を憂えて、そうして立ち上がって闘ったと私は思っております。結局今の医療の実態で、大臣は責任大臣として、事足れりとお考えになっていらっしゃるかどうか、それをまずお伺いしてみたいと思います。
  20. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在の医療につきまして、内容的には私だんだんと進歩して参っておると思うのでございますけれども、ただ、医療を担当する人々、医師の面につきましても看護婦の面につきましても、そういうふうな医療に従事する人たちの問題を考えますときに、私ども率直に申し上げまして、決してこれで事足れりというふうに申し上げることができないことを非常に残念に思っておるわけでございます。特に本日の問題となっております看護婦につきましても、待遇上の問題もいろいろあろうかと存じますが、ことにその数が第一足りない。数が足りないために、患者さんに対しまして御不便をかけている向きも少なくない、かようにも考えまして、この看護婦の充足という問題に実は苦慮いたしておる次第でございます。これは私率直に申し上げる。何とかこの看護婦の充足問題について、皆さんの御満足のいくようにしたいものと念願をいたしておりますけれども、なかなか思うように参らない。とりあえずの措置としていろいろやっておりますけれども、さらにこの充足対策について、もっとしっかりした考え方を確立したいということで、事務当局にもいろいろ検討をしてもらっているところでございます。今申し上げましたようなことで、いかにもそういう面から患者の方々に御不便を与えている点があるのではなかろうかということをほんとうに心配しておる次第でございます。来年度の予算につきましても、多少のことは考えておりますけれども、これでもって抜本的な解決にはならないというふうにも思いますので、この対策の確立ということを鋭意努力いたしまして、何とか御期待に沿うようにやって参りたい、かよう考えておる次第でございます。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 大臣が率直にお認めになった点はわかりますが、事は、もう差し迫っていると思うのです。私は、本委員会においても、あるいは予算委員会においても、しばしばこの問題はお伺いをしているわけです。そのつど何とか検討いたします、何とか考慮いたしますで延び延びになって参りました結果が、最近御案内のように、ここにあげてあるだけでも、三楽病院では赤ちゃんが盗まれる、国立療養所の屋形原病院、あるいは大日向荘あたりでは、喀血患者がブザーを押しても看護婦が来てくれない、医者も来てくれない、入院しておりながら、医者も看護婦も来てもらえないで死んでおります。あるいはまた朝、看護婦さんが、患者がいない、探しに行ったら便所で患者さんが死んでいた、こういう例もある。あるいはまた神奈川療養所のように、医者や看護婦があまり忙し過ぎるものだから、あまり患者がブザーを鳴らすので非常にじゃまになる、うるさい、インターフォンを取り上げてしまう、患者が苦しくなっても、命の綱のインターフォンさえ置かれていない、その結果、患者はとうとう死んだじゃありませんか。こういう事件が起きております。あるいは火事で逃げおくれたとか、あるいは保育器の中で赤ちゃんが焼け死んだとか、もう取り返しがつかないのです。ここまで放置したということは当局の重大なる怠慢だと言わなければならないと思います。これは大臣もお認めになったように、一日二十四時間患者に接していなければならないはずの看護婦が足りないというところに原因があると思うのです。で、若干のことはすると言われたのでありますけれども、四四制にするときに、当然厚生省ですら千数百名の増員を求めたのに、大蔵省で結局現在の三百七人ですか、これで押えられた。これでやれるのかと言ったら、何とかやるより仕方がない、機械化してやる、機械化といっても何が機械化できるか、結局インターフォンをつけたりというようなことはしたけれども、そのインターフォンさえこの屋形原病院では、いや故障があった、あるいは、いや、うるさいからと、人が足りないからそうなるのですけれども、インターフォンを取り上げる、入院していながら、看護婦が間に合わないで死んだということは、私はほんとうに重大問題だと思うのですが、こういうことに対して、何とか努力いたします、検討いたしますというだけでは相済まぬと思うのでございますが、大臣はどう責任を感じ、どう対策をお取りになろうとしておられるか、重ねてお伺いしたい。
  22. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お述べになりました事例につきましては、私は具体的なことはよく承知いたしておりません。それが看護婦の不足によるものであるかどうかということについては、何とも言いかねるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、看護婦が不足しておることは、これは事実であります。その不足をいかにして充足するかというところが私ども考えなければならない問題点ではないかと思うのであります。同時に、また病院の中の管理等につきましても、われわれも気をつけなければなりませんけれども、同時に、また、病院として内部の管理につきましても、十分にひとつ気をつけてもらいたい、かように思う次第でございます。質の向上はもちろんのことでございますが、量の不足につきまして、厚生省としましては、看護婦の養成施設をふやしますとか、あるいはまた修学の便宜をはかって参りますとか、あるいは欠員の補充を極力努力をするとか、まずもってそういうところを一生懸命やって参らくちゃならぬと思うのでございますけれども、根本的にいえば、看護婦制度そのものにつきましても、さらに検討を要する点もあるのではなかろうか、かよう考えておる次第でございます。厚生省としましても、この看護婦の充足ということにつきましては、極力努力をしていかなければなりませんけれども、同時に、病院経営しておる面、病院の管理をいたしておる皆さん方においても、この問題については、積極的に、熱心にひとつ努力をして充足に努めてもらいたい、かよう考えておるような次第でございます。
  23. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 政府委員から具体的に補足説明願います。
  24. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) ただいま大臣からお話がございましたが、先ほど藤原先生が申されましたように、いろいろな事故が起きたということでございますが、調査してみますと、これは必ずしも私は看護婦が不足をしているから事故が起きたというようなことばかりではないと思います。国立の療養所は、御承知ように、定員と現員とがずいぶん開いているわけでございます。そういうことで、われわれとしては、ことに最近の療養所の患者数などの実情に応じまして、定員の配置がえをやる計画をいたしておりまして、それがまだ実は半分ほどしか実行しておりません。また、欠員があっても、ことに立地条件の悪いような地方におきましては、なかなか補充が困難であるというような事情がございまして、施設によりましては看護の行き届かない面があるわけでございます。こういう点をまず急いでわれわれは是正をしていかなければならぬと考えているわけでございます。全医労などから大幡増員というような要望もございまますけれども、順序といたしましては、今言ったような職員の配置がえや欠員の補充というものをまずやっていきたい。そうして職員のほうもそれに協力してもらえば、さらにいい看護ができるというように実は期待いたしているわけでございます。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 私はもっとまじめに答弁してもらいたい。それなら伺います。各療養所で、はっきり名前をあげてもいいですけれども病院が迷惑するといけないから、名前は控えますけれども、空床がある、一番空床が多い療養所です。ところが、空床の多い療養所で、命令入所による入院患者を、看護婦が足りないからといって入院を拒否しております。あるいは重症患者はこのごろ入れない方針をとっております。国立療養所が手のかかる病人、重症患者、命令入所、これらを引き受けなくてどこが引き受けるんですか。しかも空床がある。先ほど必ずしも看護婦が足りないから事故死があったとは思えない云々と言われましたが、こんな無責任なことはありますか。私は取り消してもらいたい。大臣は御承知でしょうか。ひどいところだと、三百人くらい夜中に看護婦一人で看病さしているんですよ。夜中に看護婦一人ですよ。インターフォーンが鳴ったとしても、巡視しているときに鳴ったときには一体どうなるんです。屋形原病院のごときは、幾ら押したって来てくれない。同室の患者が探しに行って、巡視中の看護婦さんを大急ぎで連れ帰ったという、そういうことは一体どうなんですか。あまりとぼけた答弁をされたのじゃ、私は何も委員会で大きな声はしたくないけれども、あまりひどいじゃないですか。ことに局長は、衆議院の委員会で、看護婦の定員は、ほんとうは二・五人に一人くらいが妥当だと言っているじゃありませんか。速記録に残っております。それともう一つは、私は看護制度の問題のときに、厚生省に、療養所の四対一あるいは六対一、これらが妥当かどうかと聞いたときに、これは看護婦が足りませんので、暫定的にというので最初出発したのですよ。あなたのときじゃないけれども、そのときでも厚生省のある技官は、ほんとうに二・八人に一人が妥当だと思いますが、看護婦が足りませんので、仕方がないのでがまんしていただいて、そのうちに充足いたします、あのときは二交代制だった、今は三交代制です。あのときは資格者が四対一だった。ところが、今日は五・三・二だとか、あるいは四・四・二だとか、看護婦にあらざる者に看護業務をさせているじゃありませんか。看護婦にあらざる者が看護業務に携わっていれば、深夜勤務はできないのです。だから看護婦がよけい過労になるじゃありませんか。一体こういうことを、看護婦が足りないから起きた事故死ではないとはっきり言えるのですか。良心ある御答弁を聞きたいと思います。しかも、厚生当局は姑息な手段ばかりやっている。どうです、神奈川療養所は看護婦が四十六名も一ぺんにやめる、病院運営は成り立たなくなっているじゃありませんか。ほかの病院から一時臨時にお手伝いをいただかなければ病院運営ができない、そもそもこれの出発点はどこから始まっているか。あなた方が看護婦が足りない、不平を押えるために勤務評定をやる、あるいは特別昇給をやる、こういう制度を設けて、看護婦同士が相反目して、おもしろくないから四十六人も一ぺんにやめるような結果になったのじゃありませんか。それでも看護婦が足りない、空床があるからどうとか、そんな逃げ口上でいいのでしょうか。この点をしっかり腹をきめて御答弁を願いたいと思います。
  26. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 国立療養所の中で、命令入所あるいは重症患者の入院を拒むところがあるということでありますが、私としましては、そういう点は努めて国立病院が引き受けなければならないという考えを持っております。したがって、今そういうところがございますれば、特別の事情のない限り、なるべく早くこれを引き受けられるようにしたいと思っております。過日も日患同盟や全医労の方々とお会いいたしまして、いろいろな御要望も聞いたわけでありますが、私のほうに無理のあるというように思われるところもございますので、そういう点はさっそく調査をして善処をしましょうということを申したわけであります。現在の国立の医療施設においてこれで十分だというようなことは決して考えておりません。改善するところが多いと思いますので、その点は率直に認めまして、できるところから改善して参りたいと思います。それから先ほど看護婦不足のため事故死を起こしたように言われたと思いましたので、私はそのために死んだということでは必ずしもないのではあるまいかというふうに考えております。(「もう一度そこのところを……」「はっきりしなさい」と呼ぶ者あり)看護婦不足のために死んだ、死因が看護婦不足にあるというようには考えておりません、こういうことを申し上げたのであります。それから、神奈川療養所につきましては、藤原先生自分で出向いていただきまして、いろいろと御指導、御援助をいただいたそうでありまして、この点非常に感謝をいたしておりますが、私のほうもそういう事態にすぐ対処しまして、今お話ございましたように、他の療養所のほうから応援を出しておるわけであります。最近では、現在は看護婦定員百十四名のところに欠員が二十一名ございます。応援を今十名出しておりまして、看護婦一人当たりの患者数というものが四・六人くらいに現在になっております。それから現在退職希望者を極力慰留をいたしております。また、新採用に今努力いたしております。それから少し管理の悪い面がございましたので、最近では私のほうからも指導いたしまして、同療養所の職員も大体協力一致の態勢が整って参っております。
  27. 坂本昭

    坂本昭君 関連。私は局長の言葉じりをつかまえて云々しようと思わないけれども、事故あるいは事故死が看護婦の数の不足にのみはよらない、これは警察官か何かが言うことなら私は了承しますよ。これは事故の原因を究明して、最終的に検事か、あるいは警察官が言うことなら一応私は認めるけれども、あなたは何ですか。あなたは日本の厚生行政の、看護行政の一番の責任者じゃないですか。それも患者の側からいうならば、サービスがよくあるか、看護婦の側からいうならば、労働条件がどうあるか、そういうことをいつも考えておらなければいかぬ人が、そういうものの言い方をするのは、私は許すことはできない。ことに看護婦の問題は、きょう今ここに始まったことじゃありませんよ。私は先ほどの大臣の言葉をきょう聞いたなら一応了承するけれども、もうこの委員会の与党も野党も、全部がこの看護婦の問題、医療の問題、患者に対するサービスの問題については、一応真剣に党派をこえて議論してきた。これは一昨年以来ずっとそういう立場をとってきている。にもかかわらず、局長は今でも、たとえば国立病院や療養所の職員の協力一致の態勢がどうだとか、配置転換がどうだとか、そらぞらしいことばかり言っている。私は大臣によく聞いていただきたいのは、この委員会がこういう問題に真剣になってきたことは、それは第一の点は、国民医療制度が樹立されてきたからであります。そうして全国に皆保険制度ができて、医療問題がもう非常に大きな日本の社会保障の重大な目標になってきた、こういう点から、患者の側からいうならば、サービスをさらによくし、また、看護する側からいうならば、医療技術を高め、また、看護婦さんの労働条件をよくしていこう、そういう点で問題が提起されてきたにかかわらず、一昨年以来何をされてきたか、そういう点で先ほど藤原委員からも質問が行なわれ、もちろんその中に、たとえば看護婦の養成についての補助金が若干ふえたとか、そういうこともあります。しかし、そういうことは微々たることであって、もっと根本的なことが一つもできていない。しかも、責任者の医務局長は言を左右にして、一番本質的な問題について触れようとしていない。私は、そういう点では医務局長を不信任する。三年かかっている。三年かかって、しかも、まだこういう答弁しかできないというのでは、私はやめてもらいたい。大臣のひとつ率直な意見を聞かしていただきたい。
  28. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、現在の看護婦の充足状況が満足すべき状態でないということは、私も率直に認めておるところでございます。これをいかにして充足するかというところが問題となってくるわけであります。現に先ほど来医務局長が申しておりますことは、当面不足しているところは、ああやりくり、こうやりくりするということを申し上げているので、これでは御不満だろうと思いますけれども、これは当面やむを得ないという措置をとっているわけであります。根本的には看護婦の量が少ないという問題があるわけでありまして、これをいかにして看護婦の養成所をふやし、看護婦の数をふやしていくかというところをしっかり考えなければならんと私は思うのであります。
  29. 坂本昭

    坂本昭君 それは大臣、今のよう答弁をしているが、前からわかっている。
  30. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 答弁中です。
  31. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) それで、まだしっかりした対策が確立しておらないというところも、私は先ほど率直に申し上げたつもりでございます。したがって、いかにして確立するかという問題について、真剣にひとつ検討してほしいということを事務当局にも話しておりまして、いろいろ今検討してもらっておる最中でございます。なかなかこういう時世でもございますし、思うように参らないところもございますけれども、極力努力しまして、看護婦の数をふやしていくという方向において私ども努力して参りたい、かよう考えておる次第でございます。すぐに右から左になかなか片づけるような名案はないわけでございます。その点で非常に苦慮しておるということを私は申し上げておるわけであります。
  32. 坂本昭

    坂本昭君 それは苦慮される大臣の気持はわかるけれども、この問題は、灘尾大臣が就任して突発した問題ではありません。少なくともこれはその前からずっとあって、たえかねて、おととし、ああいう病院ストという形で、看護婦さんたちが社会問題として訴えてきた。それ以来、ほとんど私は手当はされていないと思う。だから私はこの責任を追及したい。これはだれの責任ですか。
  33. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 看護婦が最近非常に不足を叫ばれるようになったのでありますが、御承知ように、一般の産業の景気がなかなかよくなってきたため、診療所などの看護助手などがなかなか得がたい、また離職するというような事情が多くなって参りました。それから、看護の勤務体制がだんだんよくなってきた。これは当然のことでありますが、国といたしましても、四十四時間等を実施いたしまして、労働条件改善いたしております。また、看護の内容がだんだん向上して参っております。基準看護をとる施設が次第にふえて参っておりますから、そういう面で看護の需要が非常にふえてきた。また私は、最近都市のほうにだんだん看護婦が流れてくるような傾向が強くなっているように思います。あるいはよい施設へよい施設へと看護婦さんが移っていくというようなこと、それから毎年相当病床がふえていくというようなことで、最近は以前に増し需要がふえ、看護婦の不足を訴える声が大きくなったといっております。看護婦さんについてばかりでなしに、一般中小企業でもやはり手不足をやかましくいっております。あるいは最近、外国に行って来た人も、欧米における看護婦さんの不足を告げております。また、ヨーロッパあたりでは、三交替制というものはあまりしてない、やはり二交替制をとっている病院が多いといっております。しかし私どもは、そういうよう状況でありますけれども、何とかして、緊急にそうした不足に対する手当をしなければならぬということで、学識経験者の意見も聞いて現在対策を検討いたしておる次第でありますが、何といいましても、急に看護婦を作るということは困難でございますので、やはりパートタイム制などを採用するよう指導したいと思います。現在御承知ように、看護婦の資格を持って就業していないような人が、二十三万もあることにもなっておりますので、病院の外来などにおきましては、パートタイムでこれを採用するようにしたいと思います。また、現在看護婦さんがやっております仕事の中にも、必ずしも看護婦さんがやらなくてもいいような仕事も相当含んでいるわけであります。それから、医者がやらなければならぬというものを、相当看護婦さんがやっているというような事情もございますので、そういう点をよく検討いたしまして、その業務の整理をすべきだと思います。それから看護婦さんの処遇をやはりよくするということが基本問題になるわけであります。看護婦さんの給与その他の労働条件をよくする、これをいたしませんと、他に女子の有利な仕事がふえているわけでございますので、相当そういう方面に進出または転職する人がふえる。看護婦さんになり手が少なくなるとことにもなりますので、どうしても処遇をよくしなければならないというよう考えておりますが、御承知ように、国立は現在比較的よくて、むしろ民間がそういう点ではだいぶ劣っていますので、医師会にも働きかけてその改善をはかっているわけでございます。  それから、何といいましても、養成を促進しなければならないことでございますので、看護婦の学校や養成所がなるべく定員一ぱいに養成するよう指導しています。国立などにおきましても、努めてこれからはたくさん看護婦を養成しようということで努力をいたしております。それから、先ほど大臣がちょっとお触れになりました修学資金の貸費制度に対して、国が助成をやるということにいたしたわけであります。これは最近も府県の様子を聞きますと、相当皆期待しておってくれまして、府県ではもうすでにこの制度を設けているところも少なくないようであります。これを進めて参りますと、教育費の負担に苦しむような人たちも、この制度によって、相当助かるのではないか。私のほうでは、三ヵ年間その県の施設に働けば、この資金は返還をしなくてもよいということで助成して参る予定にいたしておりますので、他の県の施設に流れることが相当防げるのじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。  なお、地域的に見まして、養成所の足らないところにつきましては、やはり国が補助金を出しますとか、あるいは融資をはかりまして、そういうその施設を増設して参りたいと考えております。  なお、その看護婦制度の基本的な問題につきましては、たとえば現在の看護婦や准看の教育制度や、看護婦さん等の業務内容の待遇等の諸問題につきましては、現在医療制度調査会が開かれておりますし、ちょうどこの問題を取り上げて、今検討を願っているわけなんでありますので、その答申を待ちまして今後善処して参りたいと存じます。  なお、先ほど坂本先生からやかましいお言葉をいただいておりますけれども、私は、現在国立の施設にも、たとえば今申されましたように、看護婦不足でもって連絡がうまくいかないとか、あるいはブザーが鳴らなかったということによって看護なり医療の手当てがおくれるというようなことがございますことに対しては、衷心よりこれは相済まぬことだというふうに考えておるわけでございます。この点はひとつ誤解をしていただかないようにお願い申し上げたいと思います。
  34. 藤原道子

    藤原道子君 もう少し言葉もはっきり御答弁願いたいと思います。  ただいま医療内容もよくなった、看護の内容もよくなった、こうおっしゃいましたね。看護内容もよくなってきている、そうおっしゃいましたね。あなたほんとうにそう思っていらっしゃいますか。看護というのはどういうものでしょう。お手元にぜひ見ていただきたいと思って写真を差し上げましたけれども、こういうことが現に国立で行なわれている。点滴注射が、顔色にも気をつけたり、あるいは脈搏も絶えずはかりながらやるべきものと私は承知しております。ところが、人手がないから、ごらんのように注射の準備をして、注射の開始をしたら看護婦さんは次の仕事に追われております。患者さんに、ここまできたらインターフォンを押して下さい。家族が見舞いに来ておれば、なくなったら危険だから、すぐ呼びに来て下さいよ。こういうことを言って看護婦さんは次の仕事に行かなければ看護の手が回らないのです。あるいは赤ちゃんのこの写真にしても、保育箱の中に二人入れるなんというのは、これ犬ころじゃない、大事な人間の命です。こういうことは現に行なわれているわけです。もっとひどいのがあります。神奈川療養所で、あなたはいらっしゃいましたか、私は行って現に見てきた。命綱と患者は呼んでいる。起こしてもらうことができないのです。手が足りない。重症患者です。息も絶え絶えになってこの綱にすがってからだを起こしている。これ国立の療養所なんです。これで看護の内容が充実しているのですか。見て下さい。こんなひどいことをしていて、今急には看護婦は充足できませんなどと、あんまりそらとぼけちゃ困ると思うのです。現状をごらんになっておりますか。あるいは脈搏をとるときに、大部屋あたりでは、タイム・ウォッチで、ただいまから脈搏をとります、用意して下さい、用意ドンでとらしておる。脈搏というのは数だけ見ればいいものじゃない。脈質が大事じゃないでしょうか。そういうことを看護学院じゃ教えておりますか。あるいはインターフォンで脈搏を知らして下さい。患者さんが脈をとって、幾つございましたかなんて、そういうことをやっておるところが現にあるじゃございませんか。これで医療行政の責任者としてのらりくらりしていられますか。こういうことに対してどうお考えになりますか。あるいはまた、看護婦さんが看護学院で習ったことが実地でやれない。看護学院で習ったことをそのままやろうとすれば、それはもう幾人手があってもやりきれない。どこを手を抜くか、どう対処していくかということだけで頭が痛いと言っております。それじゃ看護婦になり手がなくなるのはあたりまえだと思う。しかも、そのしわ寄せは患者の命にかかる。こういうことをあなたは監督者としてどうお考えですか。命綱にすがって起き上がっておる、あるいは点滴注射をながめながらじっとしておる、あるいは産婦人科なんかへ行ってごらんなさい、赤ちゃんに三人も四人も泣かれて看護婦さんがおろおろしているじゃありませんか。これでも看護内容が充実しているのですか。私は、これじゃあなたの責任は済まないと思う。先ほどの答弁坂本委員が追及されましたけれども、検事や警察が言うならそれで了承する、そのとおりでしょう。あなたは、喀血死は、何もそばにいたって死ぬことがあるといわれる、それは死ぬことがあります。けれども、入院していながら、医者にも看護婦にもみてもらえないで死んでいったその家族の気持はどうなんですか。もっとしっかりした御答弁を聞かなければ私承知できません。灘尾さんにはお気の毒です。あなたが大臣になられるずっと前からこの問題は繰り返しているのです。私は泣きたいくらいな思いで質問しているのですから……。  それから、今、外国は二交替制だとか何だかんだ、外国へ行って見たのですか。ボタン一つ押せばカーテンがあくのですよ。ボタン一つ押せば、命綱なんかに頼らなくても起きることができるのです、外国の設備は。そういうところで働いている看護婦と日本の看護婦と一律にできますか。何でも都合のいいことは外国にすりかえる。私たち日本の医療の現実をどうするかということを質問している。用意ドンで脈をとったり命綱にすがったり、こういうことで看護婦の定員がそれで事足りるとお考えですか。くどいようですけれども、この点はっきりしてもらいたい。
  35. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) ただいま御指摘ようなそういう状態は、やっぱり改善をしていかなければならぬというよう考えております。先ほども申し上げましたように、今の看護で十分だというよう考えているわけではありません。したがいまして、いろいろと御指摘がございますようなことにつきましては、十分現状調査もいたしまして善処をして参りたいと思います。ただ、先ほど申しましたのは、順序として、やはり一般の療養所に比べまして、国立療養の看護婦の定員は比較的多いわけでございますし、それが先ほど申し上げたように、配置が適正に行なわれていない面がございますので、そういう点を私はまず順序として改善していかなければならぬ。その上でどうしても看護婦が足らないということになれば、これは増員をむろん考えていかなければならぬわけでございます。
  36. 藤原道子

    藤原道子君 灘尾大臣に申し上げておきます。医療を見てほしいのです、事実はどういうことか。命綱も、私はここではったりを言っているのじゃない。現に見て来た、写真にもとってある、あるいは脈搏を患者自身にとらして、それを看護婦に申告なという看護行政、看護態勢を外国でやっているでしょうか。事はそこまできておるということをお考えになって、大英断をもって改善してほしい。したがって、今の定員ではこれだけの看護しかできないのですよ。看護婦はサボっているのじゃない、看護婦さんくたくたになっている。しかも、事故があれば看護婦は——いつか小児麻痺の赤ちゃんにお湯をつかわしていたら蒸気が出なくなった、バルブを締めておいて、そしてお湯をくみに行っている留守に、子供がバルブの口をあけたために、いきなり熱湯が出て赤ちゃんがやけ死んだ、その看護婦さんは刑事責任を問われたじゃありませんか、こういう例もあるのです。人手不足で起きた問題が、その人個人の刑事責任を問われる、こういうところに放置しているということは、私は人道上許せないと思う。ぜひその点は早急に灘尾厚生大臣に私は期待します。  それでは、看護問題の充足ですけれども、口では充足々々と言われますけれども、一体どうして充足するか、今あなたがおっしゃった、何といいますか、今度は奨学金制度を出して、県によってはそうやっている。なるほど予算も通りましたけれども、それはどういうふうな、保健婦、助産婦、看護婦で六百七十名、准看護婦で六百六十人、で、保健婦、看護婦のほうは年間三万六千円、准看護婦は一万八千円ですね。ところが、これも県で二割以上不足の場合で、三年内勤務で返済しなくてもいいと、こういうことがついているのですね。そうすると、両方合わせたってこれはわずかですね、全員というわけにはいきませんね。今現在の准看護婦さんには奨学金が打ち切られているのですね。そういうことも減ってきている原因だけれども、今度これをつけたといたしましても、この奨学金によって卒業してくる人はわずかですね。これの基準はどういうふうにしておきめになるのですか。県はみんな二割不足していますよ、これで足りるのですか。
  37. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 県にそうした貸費制度を作ってもらって、そうして県の申請に基づいて、こちらは今おっしゃいましたような単価で適当な人数分を補助していきたいと考えております。それで二割以上不足しておるところにつきましては優先的にやっていきたいということで、予算が許せば、必ずしも二割以上の不足でなければ出さないというふうにも考えておりません。数で申しますというと、確かに御指摘ようにわずかでございまして、私は、これを将来要望に従ってふやしていかなければならないと考えております。
  38. 藤原道子

    藤原道子君 私は、せんだって看護婦さんの欠員その他の医療従事者の三十六年度の充足状況の資料がほしい、こう思って厚生省にお願いしたのです。ただ私が忙しかったので使いをやったのですが、どこへいくかわからないような資料は出せないと断わられた、藤原道子と言ったかどうか確認しておりませんが、私はそういう理由で、きょう三十六年度の資料がないので、三十五年度の資料でお伺いしたい。今三十六年十月の厚生省調査では、一万四千人看護婦が足りないということになっております。そこで、三十五年度の状況から見ますと、ずっとございますが、結局国立だけで、これは医療従事者全体からということで、相当数足りなくなっているのですが、それよりももっとふえていると思うのです、三十六年度はあらゆる職場で。こういうことに対して、厚生省はそれでも相当努力はされておるというけれども、看護婦を幾ら充足していっても、やめていく人が非常に多いのですね。お医者さんの、何といいますか、養成率から見れば、看護婦さんは四倍も五倍も養成しているのですね、お医者さんになる人と看護婦さんになる人とを比較してみますと。それでいて看護婦が非常に足りなくなっている。有資格者は四十万あって、実働が十六万ですか、十七万と言われている。やめていく原因ですね、こういうところをどういうふうに把握しておいでになりますか、看護婦さんがやめていく原因
  39. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) それは先ほど申しましたように、一般の他の産業なんかにおいては、女子が相当よい条件で採用されるようになってきております。看護婦さんは夜間勤務がございまして、相当心身を労する仕事でございますので、それに対してそれ相当の待遇をしなくてはならないと存じます。そういうところにやはり看護婦不足の大きな原因があると思います。
  40. 藤原道子

    藤原道子君 それなら、医者が四人に一人欠員していますね、これはどういう原因だとお考えですか。国立関係でお医者さんも非常にほうぼうで欠員している。医者のいられない理由はどこにありますか。
  41. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 国立の医療施設の場合、医者のほうも、民間のほうの給与から見ますとだいぶ悪いのでございます。看護婦さんは、先ほど申しましたように、民間給与よりかえっていいわけですけれども、医者のほうは昨年と、最近のベース・アップなどを入れましても、やはり民間から比べますと、かれこれ三割近くも悪いことになっております。そういう医者の処遇の悪いことが欠員のおもな原因になっていると思います。
  42. 藤原道子

    藤原道子君 医者が給与が悪いから来ない。国立病院では看護婦の給与は民間よりいい、そのいいといわれる国立病院でこの状態なんですね。非常に看護婦の問題に対しては重大だと思う。これはあとでおいおい御質問申し上げますけれども、養成所への入学ですね、これは看護婦養成所へは三千九百六十四名ですか、准のほうは一万二千四百十七人、こうなっている。厚生省では何といいますか、准看コースを入れていらっしゃいますが、それは同じことですから、私はそれを省いている。これで充足していけるんでしょうか。去年よりもむしろ減っているんですね。さらにまたことしの志願者はずっと減っているんですね、減っていることに対して、今のような六百七十人、六百六十人には奨学金を出しますからと言われますけれども、全体がずっと減って、看護婦の志望者が減っているということに対して、今の現状を打破するためには何年かかる。私はだんだん減っていくような気がして心配でならない。
  43. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 私も、看護婦さんになる希望者が減る傾向にあることを非常に心配いたしておるわけです。これは何といいましても、先ほどもたびたび申しますように、やはり看護婦さんになりたいという魅力と申しますか、そういうものをやっぱり増していかなければならぬというふうに考えておるわけですが、先ほど申し上げましたように、奨学金の制度というものも相当役に立つよう考えておりますが、何と申しましても、希望者が少なくて、定員一ぱいに養成することができません。他方、公的な養成所におきましても、半数以上が自分の病院にとどまらないで、ほかの病院に行ってしまうというようなことがございますので、施設の設置者のほうでも定員を減らして養成するような傾向もあるわけです。したがって、看護婦になるため負担を軽くすると同時に、養成所の運営に対しても、国や県が補助をして、定員一ぱいに養成するようにする必要があると考えまして、ことしはそういう予算も要求いたしたわけですけれども運営費の補助予算はとれなかったわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、奨学制度助成金だけをとったわけでありますが、今後養成所の運営に対する助成についても、私としては努力を続けます。しかし、何と申しましても、看護婦さんの業務にふさわしい処遇がなされて、若い女子の方が看護婦になりたいということでなければ、根本的には看護婦不足を解消できませんので、特に処遇の悪い民間施設に対し、この点の認識を改めるよう指導しております。
  44. 藤原道子

    藤原道子君 民間の給与がなぜ悪いのか、それをなぜ放置しておられるのか、この点一点伺いたいと思います。  それから、看護婦の希望者がなくなる原因ですね、これは私の知っておる人も、看護婦になろうと思って、国立病院に様子を見に行って、いろいろ聞いてみたら、夜中に一人で勤務しなければならぬ。看護婦がバケツを持ってその辺を掃除をして回っておる。忙しそうに飛んで回っておる。そういうようなことから失望しちゃって、看護婦になるのをやめたというのを聞きました。私は、若い婦人ですから、夜中の一人勤務はいけない。特に医療機関においては、あらゆる場所で深夜二人勤務を励行すべきだ。患者がブザーを鳴らしてもいないというようなことが出るのも、一人で勤務しておるからです。夜中に巡回しておって、どこやらでは、深夜ですから、何者かに襲われて問題を起こしたこともある。こういうこともありますから、夜間の一人勤務は絶対なくしていくとか、あるいは重症患者に対しては、一人が一人の看護をしていく。絶えず重症患者にはそばにつききりにいる。死んだのも病院にいて知らなかったということがないように私は考えていくべきだと思う。あるいは何と申しましょうか、重症——危険なところとか、あるいは急に患者がこのごろ来るんですってね、交通事故なんかで、そういうときに待機姿勢を正式に設けて、それを今までやっている人にやらせるのではなくて、待機する時間はちゃんと勤務時間としておいていくというようにして、看護婦の労働力、あるいは精神的な負担というものを軽めでいくというよう配慮がなされなければ、患者も不幸、看護婦になり手もなくなってくるだろうと思うのですが、その点が一点です。  それから、今度は準看がだんだんふえてくる。ところが、準看は給与がだんだん上がっていっても、十年たつとそれが非常にスローになってくるのですね、停止状態になってくる。ほとんど頭打ちになっております。こういうことは十年たったらやめていけというよう趣旨にもとられる。もっと希望を持たせなければならぬ。こういうところにも大きな問題がある。それから準看の進学コースの問題。準看の進学コースの問題で、今のよう状態では希望がないでしょう。看護婦さんはなかなか行きません。行きにくい状態です。進学コースには制限があるでしょう、人数に。それから勉強して資格をとって帰っても、勉強しない人よりも低い給与になる、そうでしょう。苦労して金を使って、そして勉強して資格をとる、そして帰ってくれば、勉強しないでそこに働いていた人よりも給与が低くなるでしょう。それを取り返すには、若干今度は改めたようですが、前には八年くらいかかったと思う。今でも四、五年はかかる。こういうばかな制度はないと思う。こういうことが結局看護婦不足の一つの要因をなしておると私は考えますけれども、そちらではどうお考えになっているでしょうか。もっと希望を持たせるにはどういう点で希望を持たせるのですか。
  45. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) ただいまの御意見は、私も大体同感でございまして、ことに準看に希望を持たすことが必要だと考えます。私も、準看から看護婦になれる道を広くしたいということを考えております。そのために今年から夜間進学を認めることにしています。これは先ほどお話ように、勤めながら看護婦になれる道を開く必要があると考えてるからであります。民間の給与その他の労働条件をよくするということについては、現在機会あるごとに私たちも出て指導しています。昨年の病院ストから、だいぶん民間のほうの待遇も改善されていますけれども、なお十分でありませんから、この点を今後とも一そう指導して参りたいと思います。  それから、深夜の一人勤務は前々から問題があるわけでありまして、私どもも心配いたしておるわけであります。こちらの建前といたしましては、軽症患者をそういう体制でいって、特に夜間でも看護の手が必要なようなところには、それにふさわしい看護婦の配置をするように指示をいたしておるわけであります。そういう点でまだ不十分な点があると思いますから、十分検討いたします。
  46. 藤原道子

    藤原道子君 準看の進学の問題については、私は、希望を持たせるという意味と、看護婦を充足するという意味とかね合わせまして、通信教育というようなことも考えられるのじゃないか。あるいはまた四年なり五年なりの通信教育で勉強して、実務で四年か五年たったら国家試験を受けて、そうして資格を取得するというようなことも考えられるのじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか、この点について。
  47. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) その点、今そういう点もあわせて検討いたしておるわけでありますが、まあしかし準看と、それからいわゆる正看と、相当教育期間は御承知ように開いておるわけでございます。ことに一般教養などがだいぶ足らない面があるわけでございます。片方は高等学校を出ております、片方は出ておりません。そういう点で、他に通信教育でいくか、あるいは実習が非常に問題になると思いますから、そういう点などをどうするかというような問題で、十分今お話ような点も含めて検討いたしておるところでございます。
  48. 藤原道子

    藤原道子君 私は、看護業務に準看と正看とには区別があったと思うのですが、あれは撤廃になったのですか、どうですか。
  49. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 業務内容はほとんど同じでございますけれども、御承知ように、医師や看護婦の指示のもとでやるということになっておるわけでございます。
  50. 藤原道子

    藤原道子君 それが励行されておるとお考えですか。
  51. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) まあそれが法律の建前ですから、そういうことで指導いたしておるわけでございます。
  52. 藤原道子

    藤原道子君 何だか、質問するのがばかくさくなってしまう。ここをのがれればいいのじゃないのですよ。ほとんど準看が深夜勤を一人でやったりしておるじゃありませんか。深夜勤一人でだれが監督してやるのですか。とんでもないことですよ。あるいはまた努めて修学させるというようなことを言われたけれども、ある病院では準看が高等学校に、これは定時制ですか、通っていた。あまり数が多いから、通学禁止している病院がある。ある出張所長は、夜間の高校へ通う数が多過ぎるから看婦業務に支障がくるのだ、だから高校へ通学する者は制限するようにと指導しているじゃないですか。こういうことを御存じですか。準看では深夜はできないはずなんです。高校へ行きたい者は、当然学問の自由ですよ、これを制限するよう指導がなされておるというのは、あなたがそういう指導をしていらっしゃるかどうか。これは重大問題だと思いますので、お伺いしておきます。
  53. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 夜間も、御承知ように、婦長がおりまして、そして婦長の指示を受けるという体制にあるわけでございます。それから、その場に医師なり看護婦が常におって、その指導のもとに看護をするというような解釈をいたしておりません。特に看護上指示をしなければならぬようなことがありましたら、あらかじめその指示をしておけばよいという解釈もいたしております。
  54. 藤原道子

    藤原道子君 ごまかしはやめて下さい。婦長が深夜勤務しておりますか。婦長も主任も深夜勤務しないのですよ。そこに問題があるのですよ。婦長が深夜勤務しているところがあったら教えて下さい。
  55. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 国立では深夜勤の一人は看護婦をして当たらせております。また夜間、婦長も置いておるわけであります。
  56. 藤原道子

    藤原道子君 法律ではそうなっておっても、実際にはなっていないから問題にしているのです。全く局長自身わかっているのかしら。こういう実情なんですよ、病院は。一度大臣見て下さい。局長もちょっと足を運んでごらんなさい。とんでもないことです。  それともう一つは、国立では看護婦の待遇がいいいいとおっしゃるけれども、ことしは中学を卒業した一般労働者でも一万円です。高校を卒業すれば一万二、三千円です。看護婦は高校を出て三年勉強して、しかも国家試験を受けて、それで非常に過労な業務に従事しておるのですよ。それで、今も言うように、看護婦は良心的にやりたくないのですよ、タイム・ウォッチでもって脈をとったり、命綱にすがっているのを見ていたくないのです。けれども、人手がないから、やむを得ずそういうふうにしているということは、非常に良心的にいやなんだそうです。学院で習ったような仕事もできないようならと言って、失望してやめていく人がある。学校で教えたことが実地に役立つよう措置されたらどうか、これが看護婦充足の第一要件だと私は思う。私も看護婦をしておりました。けれども、その当時は精神看護というか、心理看護というか、そういう面もやれたのです。このころの看護婦さんは雑務——そのときそのときの用件に追われてしまって、患者にやさしい言葉一つかけることができないのです。それのみならず、点滴注射もやりっぱなし、検脈も患者に依頼する、こういうことに放置しておいて看護婦は充足できるなんということは夢でございます。その点から徹底的に検討し直してもらわなければならないと思います。したがって、どうです、国立あたりでは、率先して看護婦さんたち、医療従業員と申しましょうか、こういう人の最低賃金というようなものはお考えになっていないでしょうか、業種による最低賃金制。
  57. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 今のところ、最低賃金を設けるということは考えておりませんけれども、やっぱり医療従業員の処遇を一そうよくしようという考えは持っております。
  58. 坂本昭

    坂本昭君 ちょっと関連して。国立病院の看護婦の給与はいいいいということを言っておられますが、局長は絶対的な意味でいいというふうに確信を持っておられるんですか。つまり数が少なくて、非常な過重労働、犠牲の中で——それは若干いいかもしれない。しかし、局長が、その国立療養所の看護婦の給与はいいいいということを、非常な確信を持って、何か非常な満足感を持って宣伝しておられるような印象を受ける。そこの辺の真意をひとつこの際はっきりとおっしゃって下さい。
  59. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 私は、国立病院の処遇が比較的いいということを先ほどから申しておるわけでございます。それは民間の給与に比べていいという意味で、今のような看護婦さんの業態から見て、他の職業婦人に比べていいかということになりますと、これは私は先ほど申したように、必ずしもよくないと思っております。
  60. 坂本昭

    坂本昭君 その民間がどんな条件であるか、そうしてそれをよくするために医務局として何をやってきたか。点数改正をしたっていろいろなことをしたって、全部保険局なんですよ。だから私は、もう三年来、医務局としてすることじゃないか。医療金融公庫を作って、設備投資に対して若干有利な条件——これも私はあまり有利だと思わないんですが、もっと基本的な考え方があるじゃないか、そういうことをあなた何もやっておらぬので、もう私は医務局不要論であります。厚生大臣、医務局を存置するんだったら、今度は私は設置反対ですよ、つぶしたほうがいい。  もう一つ。これは議論しているときじゃないので、もう一つ伺っておきたいのは、さっき、衆議院では医療法の基準の四対一を二・五対一にしてよろしいというふうなことを局長が言ったということを藤原委員が触れられまして、それについて答弁説明も何もなかったんですが、一体それはほんとうですか、ちょっと聞いておきたい。
  61. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) その藤原さんの先ほどの御発言は、私もちょっと心当たりがないのでございますけれども、そういうことを言いましたかどうか、よく速記録を調べてみたいと思います。  それから医務局は何もしていないじゃないかということでございますが、医療法の施行などを医務局は所管しておるわけでございますが、医療法では、御承知ように、病院にはこれだけの医師なり看護婦を置くべきだという標準をきめたりいたしておりますので、昨年の医療費の改定などの際は、私のほうから、病院に置く定員に対して相当な待遇ができるような工合に医療費をはじくべきだという主張もいたしており、それが一部いれられておるということもあるわけでございます。
  62. 坂本昭

    坂本昭君 ちょっと。今の二・五対一は、これはうそですね。それから四対一はいいんですか。それとも今後はどうするんですか。ちょっと数の原則ぐらいはこの際ひとつ明らかにして下さい。
  63. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 御承知ように、現在医療法の標準が、一般病院では四対一とこうなっておる。結核療養所、精神病院では御承知ように六対一になっておる。したがって、先ほど藤原先生からいわれました二・八であるべきだといった記憶はございません。しかし、将来それでいいかと申されますと、問題がございます。医療法ではそれは標準でございますから、国立病院でもそれ以上置いておるわけでございます。重症患者、手術患者が多いところはそれ以上置いているわけであります。基準もだいぶ古いので、それについても私は検討を要するものがあると思います。
  64. 藤原道子

    藤原道子君 私は先ほど、あなたの前の局長だけれども、衆議院の速記録を調べていただけば、局長は変わっても、厚生当局としては二・五が妥当と思うという線は出ている。そこに問題がある。それから最近聞くところによると、看護業務の中にほかの業務が食い入っている。だから三〇%ぐらいは他の者でも間に合わせるというようなことが討議されているらしいということを漏れ承っている。ところが、私たちは、今だって足りないのですよ。看護婦さんの完全なる看護をさせるには三〇%、もしも三〇%くらいが食い込んでいるならば、これは除外して、ほかの人にやらせる。そうして看護婦の数は、さらにその上で妥当な線でやっていくべきであって、看護業務の中に三〇%もほかの職種が入っているから、これは今の看護要員ですか、これに三〇%は看護婦以外の者で間に合うのだというよう結論を出されたら、これはえらいことになりますから、その点はひとつ申し上げておきたい。  それからもう一つ、この際、パート・タイムということをさっきおっしゃった。看護婦の、何といいますか、有資格者をパート・タイムで使うことは、これも一つの方法だと思う。ところが、これが制度化されない前に、すでに日赤あたりでは、結婚したらもうパート・タイム以外には使えないのだ、だから結婚をするならパート・タイムになる覚悟でおやりなさい、こういうことで強迫されている。そういうふうになったら、ますますこれは看護婦さんはパート・タイムだけで病院運営できないのですからね。そういう点は間違いなく指導してもらわなければ、あなたが、かりに親心でやったとしても、これが逆の結果になり、かえって看護婦減員の動機にならないとも限りませんよ。そういうことも十分配慮の上でやってもらわなければ困る。ですから私は、きょうはもうそろそろということでございますからあれですけれども医療内容の問題をもう少し検討してもらいたい。今は患者さんが寝汗をびっしょりかいても寝巻をかえられない。二日に一ぺんしかかえてもらえない、頼んでも。寝汗患者がひどい。あるいは命綱に頼るようなことはやめてもらいたい。あるいは夜勤は一人でしない、必ず二人にしてもらいたい。それからイヤフォーンをつけているからといって、インターフォーンをつけているからといって安心してもらっては困る。それが確実に用の立つよう状態にしてもらいたい。まあいろいろ問題はあるのです。重症患者には、やはり必ず一人置いてほしい。医務局長は外国の例を言われましたが、外国では重症患者のところには、いつ目がさめてもそばにつき添っている、一人に一人でございます。そういう点もまねしてもらいたい。それから、何といいますか、体温をはかるとか、あるいは脈搏を見るとかいうことは、患者一人々々に看護婦がやるというのが私は常識だと思いますので、こういうことで変なことをやっているところは、十分御調査の上、そういうことのございませんように、まず看護婦、医療従事者の確保は、患者というか、国民の福祉に通ずる、命を預かっている行政であるという点から十分お考えを願いまして、ひとつ医療内容の検討を十分していただきたい。  これで私はきょうは質問を終わりたいと思います。この返事をもらって、それをひとつ大臣から……。
  65. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど来、藤原委員お話を伺っておりまして、私も非常に得るところがあるような気がしております。現在の医療内容、ことに看護婦を中心としての実情につきまして、われわれといたしましても足らざるところがまことに多いという感じを受けたのでございます。私としましても、さらによく実情等につきまして見聞を広めて参りたい、かよう考えております。  なお、改善を要する問題につきましていろいろ御指摘になりましたが、すみやかに改善し得るものは、私は直ちにこれを実行しなければならぬと思います。先ほど申しましたように、この看護婦対策につきまして、現に医務局を中心としていろいろ検討させております。その有効適切な対策が確立いたしましたならば、できるものから逐次私は実行して参りたい、かようなつもりでやっておるわけでございます。この上ながらのまた御指導もいただきたいと存じますが、われわれといたしましても、せいぜいこの問題には真剣に取り組んで参りたいと存じます。
  66. 坂本昭

    坂本昭君 今大臣は、藤原委員説明を聞いて学ぶところ多かったなんて、そんなところで感謝されたのでは私たち納得できませんよ。それは補佐をするところの局長以下、医務局の人たちがみんながサボタージュしているからですよ。われわれから説明を聞いてから学んだなんて言って、そんなこと言っている時期では私はないと思います。先ほど来も医療法の一対四の問題についても、あの答弁だって、局長答弁は、一体自分が発言したのかだれが発言したのか、自分でしっかり確信さえあったら、そんなこと私は言いませんと言い得るはずです。藤原委員から、あれは前の局長発言でしたなどと言われて、そうでしたかなんて、そんなばかなことを言っていたのでは間に合わないと思う。ことに、さっき局長は、一類看護、二類看護、三類看護というものがあって、結核や精神はそれぞれ違う。これをきめたのは医務局できめたんじゃないんですよ、保険局できめたんです、医務局は何にもしてない。してないどころじゃない、サボタージュしてるんです。私は、そういう点では非常に問題があると思う。ことに看護婦不足の三十六年十月の一万四千人、この数も私はうそだと思うのです。私は、具体的にある県へ行ってその件数の取り方を調べてみますと、県から報告したものを、また上を切っちゃって、少なめに少なめに報告しているんです。そうして事態を、つまり大臣の御認識をなるべく深刻にさせぬように私はごまかしてきたと思う。そうしてこれはもう三年かかって、今日に至ってこういうことなんです。しかも、今できておる看護婦の養成の計画、これでは絶対に間に合いません。私は、だから責任をとってもらいたいんです。三年かかってもやられないようなこういうことをやってきた。こういう組織の責任者、行政の責任者では、いさぎよく責任とってもらいたい。そうしてほんとうに今国民としては、医療については焦眉の急ですよ。ほかのことと違う。医務局は法制局じゃありません。毎日々々みんなが苦しんでいる。これは大臣も私も、だんだん年をとってきまして、病気になる機会も多くなります。今も私は薬を飲み始めて、いよいよこれはこういう日本の医療では大へんだということを真剣に考えざるを得なくなってきた。これは私だけじゃない。国民全体が非常に強い要望を持っているにもかかわらず、看護婦さん一つとってみても解決できない、しかも、今の皆さんの答弁を聞いていると、これは安閑としておれない。私は、だから医務局の人たちはサボタージュしておる、医務局は不要だ、そこまで極言せざるを得ないのです。今、だから大臣があらたまって、これから一生懸命やるといったって、これからじゃおそいのです。私はその点大臣の気持はわかりますけれども、それだけでは、おそらく私個人ではありますまい、これはもうここにすわっておられる高野委員長も非常に強硬な意見を述べておられ、私は、おととし、去年以来——去年ころはむしろ私のほうが与党である方を説得するのに困ったことがあるんです。もうしかし私は、今は説得しません。これは当委員会は、おそらくあげて医務局の不信を強く叫びまして、少なくとも私個人はきょうのよう答弁では絶対に満足できない、それだけをはっきり申し上げておいて、一応関連でございますから、私の意見は終わります。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 基準監督局来ていますか。ちょっと伺いますが、労働省から来ていますか。
  68. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 監督課長が見えております。
  69. 藤原道子

    藤原道子君 今お聞きのよう状態病院運営がなされておるのでございますが、私は、看護婦には夜間勤務はむろん認められておりますが、それは非常に過酷な夜間勤務がなされておる。それから、超過勤務をしても、超過勤務料がそれだけに払われていない。それから、ひどいところになると、三日も四日も深夜が、当直制といって、ずっとやるのが続いているところがある。こうした病院運営について、基準監督局ではどういうふうに監督してこられているか。私は女子の深夜業の禁止というのは、母体保護の立場から規定されておると思うのです。特殊業務にはこれは認められておるけれども、それは特殊な業務だから認められておるのであって、その人たちの母体はどうなってもいいのだという考えで認めておるのじゃない。こういうことに対して、監督局としてはどういうふうなお考えを持っておられるか、どういうふうな監督指導がなされておるのか、この一点をお伺いをしたい。
  70. 小鴨光男

    説明員(小鴨光男君) 基準法のうちでも、非工業的のものにつきましては、保健衛生及び商店、サービス、これらについて従来から監督を重点的に実施しておるのでございますが、一昨年の三十五年に起こりました病院ストを契機といたしまして、いろいろの労務管理上の問題がある、こういうことでございますので、この点を重点として、現在昨年の上半期でいわゆる二千二百五十四ばかりの監督を実施しております。その中で共通的に見出せます違反につきましては、女子の労働時間の時間外、それから休日の問題及びそれらの時間外に伴いますところの割り増し賃金の問題、こういうものが共通して見受けられるのであります。ただいま藤原委員指摘の深夜業の問題につきましても、看護婦さんにも深夜業は認められておりますが、何分にもこれを継続的に行ないますと、やはり母体の障害がございます。労務管理上、あるいは人員の不足という点からくるいろいろの問題もございます。必ずしも基準法違反になるかどうかは別といたしまして、いわゆる労務管理の改善という点につきまして、重点的にやっていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。来年度の予算につきましても、そういう面の労務管理指導改善費も入っておりますので、この面についても重点的に実施していきたいと思います。
  71. 藤原道子

    藤原道子君 今まで指導監督されてきた中で、あなた方がこれではひどい、これはこうすべきだということで指導された例がございますか、病院関係で。
  72. 小鴨光男

    説明員(小鴨光男君) 病院ストを契機といたしまして、たとえば厚生省でやっておりましたいわゆる病院経営管理の懇談会というふうなものの意見もいろいろ拝聴いたしまして、たとえばいわゆる人間関係といいますか、労務管理の基礎となっておる就業規則というようなものの整っていないというようなところもございますので、その辺から労務管理というものをやらなければならないのじゃないかというよう考えまして、その辺を重点的に実施したわけでございます。
  73. 藤原道子

    藤原道子君 きょうはあまり満足なお答えはいただけませんでしたけれども、これは当委員会でもしばしば繰り返して取り上げてきた問題でございますから、もうここまできて、この間も日赤病院が浜松の駅前へ移転して、非常にデラックスな病院ができているのでございますけれども、看護婦が足りなくて開院ができ得ない。だから新館を使って、また旧館のほうは全部あけてある、こういうことが随所に見られる。病院を建てれば看護婦が要るということはわかりながら、こういう対策が立てられていないというところにこういう問題がひとつあるように思うのでございます。局長は国立だけをおっしゃいますけれども医療の担当は全部あなたのほうでございましょう、これが私は問題だと思うのでございます。ひどいところになると、看護婦さんが五千円なんというところもあるのでございます。こういうことを放置されてきたということも、私は非常に残念なんです。そういう点も今後の問題として残りますが、取りあえず先ほど申し上げましたようなことと、さらに産院ですね、赤ちゃんが一人に認められていないのです。これも産婦一人が人間であって、赤ちゃんは人間として認められていない。手のかかるのは赤ちゃんで、産後の産婦さんも大事ですよ。だけれども、赤ちゃんは生きているのです。ところが、これに一人の人間として認められていないようなところで、非常に苦労はそこにもあるわけです。産科などへ行って一度見ていただけばわかることなんでございますけれども、こういう点はやはり根本的に改めるべき問題ではないか。  それから四四制にしたしたとおっしゃるけれども、四四制はその施設々々で便宜的にやっているのですよ。一日七時間にして、そうして四時間を生み出すとか何とかやっていますので、ごまかしておる。ところが、これでは半ドンという意味はないですね。あなた方だって土曜日をあれして、きょうは七時間くらい働いたから、だから半ドンなしだといったらがまんできないだろうと思います。したがって、私としては、休日の前の日か、あるいはあとの日でもようございますから、やはりこの半ドンということのけじめをはっきりつけてもらいたい、そういう点もひとつ十分実行してほしいということ。  それから、先ほど申し上げましたパート・タイムの問題についても、ひとつしっかりした指導をしてもらわなければ、パート・タイム制をとるということに私たちは反対しなければならぬ、こういう点も十分御検討願いたいと思います。
  74. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 川上局長、何か一言。
  75. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 先ほどからお話がございました看護助手をふやして看護婦を減すというようなことについての御意見があったわけでありますが、私は、最近いろいろ看護婦の問題がやかましくなって、いろいろ検討いたしておるわけでありますが、どうも私は、日本の病院というのは基準看護とか、あるいは医療法の四対一というようなことが非常に早くから取り上げられておった関係上、少なくとも国立や公的医療機関などにおきましては、その面はだいぶ整ってきましたが、雑役とかあるいは看護助手のような人が比較的少ないように思います。
  76. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 局長藤原委員の御発言は、当局に対する希望の御意見ですから、それに対する答弁だけに願います。
  77. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) そういうことで、案外病院の人員構成で底辺になるような人が少なくて、看護婦さんに無資格でやれる仕事をやらしておるという向きがありますので、そういう点を考え直さなければいかぬ。むろん看護婦業務から無資格でできるようなものをとったあとは、看護婦をすぐ減らしてよいというふうに簡単には考えていません。看護婦さんから無資格でできる仕事、それを除いたあとどういう看護基準が適当かということをあらためて検討すべきだと思います。  それから、いろいろ御意見、御要望を聞きましたわけでありますが、できるだけ私ども医療内容をよくしたいということを考えておるわけでありますので、必要なものにつきましては、なるべくすみやかに改善をいたしたいと存じます。
  78. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御発言ありませんか。
  79. 横山フク

    ○横山フク君 ちょっと今のことで、局長高野委員長に注意されたので、要望だけにお答えになれば私も質問しないで済んだのですけれども、よけいなことをおっしゃったので、そこで問題が出たのですが、たとえば雑役なども入っておる、そういうのをとるのだ。そうして看護だけを看護婦にさせるということで整理するというお話です。ところが、四ベッドに一人で、四十ベッドで十人になりますね。その十人の割り振りを四・四・二としたので、その二にすでに雑役婦が入っておるわけですね。だからそこで整理がされているのですよ。あとの問題は、四・四の看護婦、看護助手がどうであるか、確保ができているかできていないか、その問題なんで、雑役婦をとるとかとらないとかいう問題は、もう解決が済んでいるのです、四・四・二のときに。それで、さらに今度は保健局のほうから圧がきたから二を入れた。あのとき入れてはいけなかった。五・五にしておいて雑役をとって、それを五・五にすればよかったのを、二を入れて四・四・二にしたわけです。それを保健局から、点数や何かがからんできて、その四・四・二の割合をまた変えようとするところに問題が出てきているから、そこを藤原さんがおつきになったのだろうと思うのです。今私の聞いた範囲では、要望だけをおっしゃったのだから、要望だけにお答えになれば、私はこういうことを言う必要はないので、あなたがよけいなことを言うから……。それはおかしいと思うのですよ。あなたは御了解になっていらっしゃらないらしいけれども、ほかの人は御了解になっているので、この点は、実際四ベッドに一人が妥当かどうかという問題になってくるのです。ことに、藤原さんのおっしゃるように、産婦人科や何かは、あの四ベッドに一人が妥当かどうかという、この問題が出てくるわけです。そういうことをからめて研究してほしいということは、毎委員会で言っているわけです。毎国会でやっている。そこへ相変らず同じようなことをおっしゃっているということは、少し何というのか、言いたいことはお言いなさい、その場所だけ答弁していいかげんにしておいて、こっちはこっちだというような、なめ切ったような感じが出てくる。誠実そうな顔をしながら、反面ではこれを言うのは、何というのか、いんぎん無礼というのか、おとなしいようで、案外なめたような感じが出てくるという感じなんですね。これはほんとうに考えていただかぬと、給料の問題ともからんでいる問題だけれども、もう少し考えて、考えました結果こうなりました、こういうふうにいたそうと思いますけれどもと、案ぐらい持ち寄るべきなのですよ。ところが、そういうことになると医療制度のほうで研究します、研究したものはどこにあるかといえば、さっぱり研究していない。助産婦、看護婦の現業の人を一ぺんお呼びになっただけですよ、医療制度調査会の専門部会のほうで研究すると……。私の聞いている範囲内では一ぺんだけですよ。聞き放しでいたのでは、これは私たちはのれんに腕押し以上の、何に腕押しになるのかわからぬような、空気に腕押しだ、私そう思います。局長の善意は認めるのだけれども、さっぱりいつまでたったって善意だけでは解決ができないと思うのです。
  80. 藤原道子

    藤原道子君 資料を要求したいと思います。三十六年の現在の主要な職種の定員と現在員、国立病院、療養所、国立では幾ら、それから療養所では幾らというふうに資料をいただきたい。
  81. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 医務局長、私は委員長として、あなたに、本日はこういう問題について審議をするから、あらゆる資料の提出を願いたいと前もって予告しておいたはずですが、きょう資料をお持ちになっておりますか。お持ちになっておれば出して下さい——それじゃ資料が間に合わないようでありますから、強く要請しておきます。次回までに御提出を願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  本件に関する本日の審議はこれで終了したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。本日の審議はこれをもって終了いたします。次回は明後日午前十時から開会いたします。  なお、この際、皆さんに申し上げておきますが、明後日労働関係委員会におきましては、一昨日ジュネーブから帰られました加藤労働政務次官からILO条約に関する調査の報告を求めます。そして、それに対する質疑を行ないたいと思います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十五分散会