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1962-07-13 第40回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月十三日(金曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動 六月五日委員野田俊作君及び藤野繁雄辞任につき、その補欠として竹中恒 夫君及び紅露みつ君を議長において指 名した。 六月九日委員横山フク君及び永岡光治辞任につき、その補欠として郡祐一 君及び光村甚助君を議長において指名 した。 六月十一日委員郡祐一辞任につき、 その補欠として横山フク君を議長にお いて指名した。 六月二十五日委員松本治一郎君及び木 村禧八郎辞任につき、その補欠とし て藤田藤太郎君及び藤原道子君を議長 において指名した。 七月五日委員久保等辞任につき、そ の補欠として坂本昭君を議長において 指名した。 七月七日委員勝俣稔君、紅露みつ君、 竹中恒夫君、谷口弥三郎君、山本利壽 君、小柳勇君、坂本昭君、藤田藤太郎 君、藤原道子君、光村甚助君及び相馬 助治君議員の任期を終了した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            阿具根 登君    委員            山本  杉君            横山 フク君            村尾 重雄君   委員以外の議員    議     員 紅露 みつ君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省薬務局長 牛丸 義留君    厚生省薬務局麻    薬課長     久万 楽也君    厚生省社会局長 大山  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (七月梅雨前線豪雨による災害に関  する件)  (最近の麻薬患者実情並びにその  対策に関する件)   —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査一環として、七月の梅雨前線豪雨による被害状況を議題として、厚生省当局からその説明を求めます。
  3. 大山正

    説明員大山正君) お手元に差し上げてございます資料に基づきまして、七月の梅雨前線豪雨災害状況について御報告申し上げます。  第一に、災害の概況でございますが、七月初旬の梅雨前線による集中豪雨は、佐賀県の南部を中心といたしまして、北西九州相当被害を与えておりまして、特に被害の著しかったのは佐賀県の太良町の山津波、それから長崎県の江迎町のボタ山のくずれによるものでございます。  次に、災害救助法を適用いたしました市町村でございますが、福岡県は、大牟田市、山田市、高田町、瀬高町の二市二町になっております。佐賀県は、鹿島市、武雄市、塩田町、太良町、嬉野町、北方町の二市四カ町でございます。長崎県は、諌早市、佐世保市、大村市、東彼杵町、江迎町、高来町、小長井村、有明町、吾妻村、瑞穂村、国見町の三市五カ町三カ村でございます。熊本県では、山鹿市、玉名市、荒尾市、菊水町、南関町の三市二町、以上四県で十市十三町三村ということになっております。  なお、「注」に書いてありますように、これより少し前に、愛知県田原町及び和歌山県田辺市、印南町におきまして、七月二日に災害救助法の適用をいたしておりますが、現在ほとんど救助は完了しているというような状況でございます。  次に、被害状況でございますが、四県を通じまして、人的被害は、死者が六十五名、行方不明が七名、負傷が三百六十名、合計四百三十二名。それから住家被害につきましては、全壊が四百戸流失が二十九戸半壊が四百八戸床上浸水が一万一千七百八十一戸、床下浸水が三万三千三百八十二戸、合わせまして四万六千戸というような状況でございます。  次に、応急救助実施状況でございますが、各県におきましても、直ちに対策本部を設けますとともに、職員を現地に派遣いたしまして、避難所の開設でありますとか、応急仮設住宅の設置、たき出し、飲料水の供給、被服、寝具及び学用品の給与、死体捜索及び埋葬、医療班の派遣というような救助活動を行なっております。各県とも、それぞれ必要な物資等現地調達で間に合っている状況でございますので、大体支障なく行なわれているような状況でございます。  次に、中央としてとりました措置でございますが、厚生省では、直ちに災害救助費に対する国庫負担金概算交付を行なうということで、目下手続中でございます。その見込み額は、佐賀県で五百六十万円、長崎県で二百六十万円、福岡県で三百十万円、熊本県で二百三十万円、合計一千四百六十万円になっております。この国庫負担の問題でございますが、従来の法律によりますと、この程度の額でありますと国庫補助がないというようなことでございますが、幸い先般の通常国会におきまして災害救助法改正していただきまして、従来のその県の普通税収入見込み額の千分の二以下は補助をしないという規定改正いたしまして、災害救助費が百万円をこえた場合にはすべて補助をするというように改正していただきまして、その改正の結果、この千四百六十万円というものが今度補助の対象として支出される、そういうようなことに相なるわけでありまして、その点非常に先般の法律改正によりまして緩和されるというような形に相なっております。  二番目の伝染病予防対策としましては、防疫活動指導のために、七月十一日に現地に係官を本省から派遣いたしました。それから罹災四県に対しましては、伝染病予防法施行令第八条第四号による地域指定を行ないまして、防疫活動に万全を尽くしております。現在までのところ、赤痢の発生状況といたしましては、熊本愛知佐賀合計三十二名程度でございまして、例年に比べまして比較的少ないほうであるということであります。  三番目といたしまして、日赤本社は、福岡佐賀長崎、熊木の各県に対しまして、救済物資として衣料等約五千点を急送いたしております。それから米国の宗教関係の三団体、いわゆるCACから、佐賀長崎熊本の各県に対しまして、やはり救済物資三千点を送っていただいております。  簡単でありますが、以上で御報告といたします。
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件について御質疑ありませんか。
  5. 阿具根登

    ○阿具根登君 速記をとめて下さい。
  6. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  別に御質疑もなければ、本件に関する問題はこれをもって終わりといたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  8. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 同じく、社会保障制度に関する調査一環といたしまして、最近の麻薬患者状態がきわめて社会不安を来たしておりまする実情につきまして、その経過並びに今後どうしたらばこれを防ぎ得る対策を考えておられるか、あらましの構想について御説明を求めます。
  10. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) 全般的な麻薬の問題を御説明いたします前に、特に最近横浜地区におきまして、新聞紙上等において麻薬患者がちまたにあふれたというような記事がございましたので、その状況をまず最初に申し上げたいと思います。  横浜の数日前の状況は、ちょうど期せずして近畿神戸地区横浜地区両方にそういう同じような現象が起こったわけでございますが、私ども麻薬取締官近畿事務所からの連絡によりますと、七月の二日から三日にわたりまして、麻薬中毒患者の間に、何か不穏な形勢があるというような情報が入ったわけでございます。それから二、三日たちまして、五日から六日にかけまして、横浜におきまして、麻薬の入手が困難なために麻薬中毒患者横浜市内において禁断症状を起こして、そのために不穏な形勢がまた見られるというようなことが担当麻薬取締官事務所からの連絡があり、それで七月の七日の朝、それから八日ごろにかけてそういうふうな現象が起こったわけでございますが、これはどういうことでこういうふうになったかということを、私どもいろいろと情報なり推定が入るわけでございますが、ちょうど今時期的に申しまして、麻薬、特にケシから採取されますアヘンを中心にしました麻薬が、現在麻薬中毒患者等が常用している主体でございますけれども、それのいわば出回りがちょうど端境期になって、一時中断をしている。それから麻薬といっても、ほとんど現在日本で不正に使用されておりますのはヘロイン中心でございますが、ヘロインの粉が非常に湿度に弱いということで、雨期のこういう時期におきましては、一度に多数の小分けができない、そういうために個々の麻薬中毒患者は、一回の使用というものはごく微量でございまして、小分けをして密売をしているような状態でございますが、そういう小分けが一度にできないというようなことも一つ原因であるんじゃないかというふうに推定されます。そういう全体として東南アジア地区から不法密入国者なり、あるいは船舶によって密売されておるヘロインというものが、端境期において一時的にそういう中断現象を来たす、それから時期的にちょうど湿気を持っている雨期の時期でございますので、小分けの問題について困難がある、そういうふうなことが、一時的な麻薬密売における不足を生じたのじゃないか、そういうものにたよっております神戸地区なり横浜地区麻薬中毒患者が入取困難になって、結局今まで隠れてこっそりとやっていた者が禁断症状になって大っぴらになってきたというようなことが原因だろうというふうに考えられるわけでございます。それで、これに対しましては、これはそのもの自体法律違反でございますし、これは私どもとして従来も取り締まりなり、そのはっきりとした証拠に基づきまして検挙なりを実施してきたわけでございますが、禁断症状を来たしている者自体については、これを放置するということは社会の問題でもございますので、とりあえず横浜地区におきましては、現地に臨時の相談所を作りまして、そうして症状の重い者を横浜中心といたしました神奈川県下の精神病院に、精神衛生法に基づく一時入院措置を講じたわけでございます。現在は、もうすでにそれは解除したわけでございますが、七月十日までに横浜地区におきまして入院をいたしました数は三十三名に上っているわけでございます。同様に、近畿地区におきましても、これは自費で入った者も含めまして、三十六名の人間が最近入院措置をとったわけでございます。現在は、数日前のようなそういう大量の現象はないわけでございます。これはどうもはっきりとしたことは私どももよくわかりかねますが、横浜地区においても、不正麻薬が一部入手できたのじゃないか、したがって、ひところのような現象がまたなくなったのじゃないかというように考えられているわけでございます。最近起こりました新聞紙上等によって報道されました横浜地区並びに近畿地区状況は、非常に簡単でございますが、以上のようなことでございます。  それで、こういう麻薬患者というものは、それじゃあ現在日本全国としてどのくらいおるか、また、それに対しどういうふうになっているかということを御説明申し上げたいと思うわけでございます。麻薬取り締まりにつきましては、これは日本では、麻薬は、大体原料といたしましては約五トン国産で和歌山地区中心に農民が栽培しておりますのを国が買い上げをしております。そのほかに約二十トン近くのものを、主としてインド、トルコの中近東、アジア地区から国が購入しておるわけでございまして、それを原料として医療用に使います麻薬製造を、麻薬製造業者として指定しております製薬会社に払い下げをいたしまして、医療用麻薬製造をやっているわけでございます。そういうふうな正当に医療用に使われる麻薬以外に、東南アジア地域、主として直接的に参りますのは香港でございますが、さらにバンコック、それからシンガポール、ラングーンというような東南アジア地域との船舶あるいは航空機等によりまして、日本の港なりあるいは空港にいろいろと頻繁な交通があるわけでございますが、そういうものによって麻薬不法に搬入されて、それが日本国内麻薬密売者組織の中に販売される、それを通しまして麻薬中毒患者不法密売されているというような状況でございます。それを私どものほうで百五十人の麻薬取締官という専任の取締官がおりまして、全国を八地域に分けてそういう事務所を設定をして、そういう不正な麻薬取り締まりに当たっているわけでございます。しかし、私どもの所管をしております麻薬取締官だけじゃなくして、港におきましては、税関あるいは入国管理事務所、それから海上保安庁、そういうそれぞれの警察、空港警察なり、あるいは港湾の警察、そういう警察権を持っているところで麻薬不法所持、あるいは密輸というものに対して取り締まりを関連して実施をしているわけでございますが、これが最近の年間の大体件数を申し上げますと、まあ少しずつ年間上がっておりますが、最近の検挙件数というものが年面大体二千件ぐらいの検挙件数でございます。それによって検挙された人員が、人員も大体同じぐらいの人員でございますが、それだけの事犯が毎年われわれの取り締まりの網にかかっているわけでございます。しかし、この行為は非常に隠密のうちに行なわれ、巧妙な手段によって、それから非常に国際的な組織によって巧妙に実施されておりますので、私どもの、警察その他のすべての取締機関でございますが、そういうもののすべてにかかってくるものは、実際に行なわれているもののおそらく何分の一か、何十分の一かにすぎないだろうというふうに考えられます。それほどなかなか巧妙な組織方法によって行なわれているわけでございまして、これに対する取り締まりの強化ということが非常に必要になってくるわけでございます。  一方、国内麻薬濃厚地域というものは大体大都市でございまして、関東におきましては、東京神奈川県の横浜、それから愛知県におきましては名古屋地域、それから近畿におきましては大阪、兵庫神戸地域でございます。それから九州におきましては北九州、小倉を中心とする北九州、そういうようなところが麻薬の私ども濃厚地区というふうに呼んでいるわけでございます。そういうふうなところには麻薬密売が行なわれ、それを購入することによって中毒患者相当存在するわけでございますが、私どものそういう麻薬取締法違反としての不正事犯としてあげられる、そこに乗っかかってくる麻薬中毒患者というものが、大体年間二千五百人なり三千人程度のものは中毒患者としておるわけでございます。そして、これはそのうちで再犯といいますか、要するに初犯よりも再犯の数が圧倒的に多いわけでございまして、七〇%程度だったかと思いますが、そういう高い割合の七、八〇%というものが再犯でございます。常習だから繰り返しておる、こういうものは私どもとしては麻薬常習者、そういう常用者、つまり麻薬中毒患者というふうに考えていいわけです。そういうふうに中毒患者濃厚地域においては相当数ある。しかし、そういう捜査の網にかかってくる者は二千人ないし三千人ということでございまして、これも先ほど申し上げました麻薬不正事犯の実際の数が、私ども推定によって、相当現在違反の事例としてあがっているもの以上にある、同じ意味におきまして中毒患者の数も、私どもの行政のそういう組織の中にひっかかってくる、活動の中にひっかかってくるもの以外に相当の数があるのではないか。また、それは最近相当増加しているのではないかということは、検挙事犯なり、あるいは検挙者も年々増加しておりますので、そういうものから推定ができるわけです。これは大体私どもとしては、それの十倍ないし二十倍くらいの麻薬常用者がいるのではないかというように推定をしているわけでございます。確実な資料はございませんので、どの程度かということは言えませんけれども警察なり私どものほうで推定いたしておりますのは、年間のそういう私どものいろいろな取り締まり活動の線に乗っかってくるものの数の大体十倍ないし二十倍のものが存在するというふうに考えられているわけでございます。先ほどの横浜なり神戸地域というものは、それの一つ現象として現われてきているわけです。  こういうものに対して、それじゃどういうことをやっているかということでございます。それで、中毒患者につきましては、現在精神衛生法におきまして、ほかに麻薬取締法によってまだそこまでの法規整備はできておりませんので、現在の法規としては、精神衛生法による措置入院規定を援用いたしましてこれを収容しております。それは結局一般の精神病者が、自己または他人に危害を及ぼすおそれのある場合は強制入院させることができるという規定精神衛生法にございますので、麻薬禁断症状を起こしている場合は、それと同じ症状なり一つの行動が出て参りますので、それを援用いたしまして入院をさしている、そういう状態でございます。これは最近相当のものが入院をしておるわけでございますが、何しろ精神病院そのもの自体が非常にベッド不足しておりますので、入院をさせようにも、なかなかその本来の精神病者入院にも十分ではないという現状で、そこに、それよりももっと入院患者としてはたちの悪い、病院の言うことを聞かない、その病院の規則に従いにくい患者を引き受けるということは、非常に歓迎されない現状でございます。残念ながら、実際はそういう状態でありますので、なかなかその辺の結びつきがうまくいっていない。そういうことで、昨年度からどうしても麻薬患者専用に収容できるベッドがほしいということで、私どものほうで予算を要求いたしまして、国立で作るのが一番いいわけでございますが、なかなかそういうことが一気にできませんので、現在、昨年と今年の二年間にわたりまして、大体二百ベッド近くのものを財団法人なり県なりに国が補助をいたしまして、そして麻薬中毒患者専用ベッドを県なりそういう法人が作る、それに対して国が補助するという方法で現在出発しておるわけでございます。現在は福光会という財団法人の、これは精神病院経営等をやっておって、船橋にそういうものの総武病院というものがございます。そう福光会なり、それが千葉県の船橋と、それから兵庫県の垂水——有馬温泉の奥でございますが、垂水に現在百床でございますか、船橋のほうが五十床、それから垂水のほうは百床の麻薬患者専用ベッドを今作っております。現在計画なり工事中のものといたしまして、東京の桜ケ丘の病院に五十床、それから神奈川県は、先ほども申し上げましたように、非常に濃厚地区として、県自体横浜地区で困っておられる問題でございますので、今年県費を計上いたしまして、県立で県営の麻薬中毒者専用病院を作るという計画ができております。現在敷地はもう確定いたしまして、設計をされ、近く着工の計画になっているかと思います。これに対しては、もちろん国がそれに対して補助をするというように、現在まあそういうことでございますが、しかし、これにいたしましても、常習者麻薬中毒患者  われわれが取り締まり活動上把握できております麻薬中毒患者も、先ほど申し上げましたように、二千名ないし三千名の者がおる。そういう者は、これは禁断症状が起きたら必ず危険な状態になるわけでございますが、そういう顕在している者の数を見ましても、現在のベッド不足でございます。で、来年の予算におきましては、これに対してベッドを拡充するということが第一の問題であると考えまして、これに対する大幅の予算要求をいたしたいと私どもは考えておる次第でございます。で、これは単に現在中毒症状を持っておる患者の収容というだけではなくして、取り締まり活動と実は密接な関係があるわけでございます。それで、横浜日出町なり黄金町周辺に、そういういわば麻薬の最終的な中毒患者注射をしますようにできている一包の包みがございますが、これが大体六百円ないし千円ぐらいの相場で売られておるのでございますが、そういうものを日出町なり黄金町なりに、大体夕方くらいに——私も一、二回ぐらいそこに見に行ったことがございますが、密売をしているようでございます。なかなか現認できませんが、見に行きますと、あれがそうだというようなのが右往左往しておるわけでございます。これは今に始まったわけではなくて、ここ両三年来、もっと前からそういうような者が集まり、だんだんそういうような地区がいわば一種のやみのマーケットのようになっているわけでございます。それに対して神奈川県の警察なり、私ども担当でも横浜に分室を置いてそういう者の取り締まりをやっておるわけでございます。そういう者を、協力し、あるいは単独で何回かそれの手入れを計画したのでございます。しかし、これは第一に困るのは、それをつかまえても収容するところがないわけでございますので、専用ベッドを作るということは、結局中毒患者の更生ということと、それから麻薬取り締まり実施する上においても、どうしても必要になってくる。両方意味を持っているわけでございまして、現在まではどうしてもその辺がうまくいきませんで、強力にそういうものの排除をする。それだからできないというのもちょっとおかしな理屈ではございますけれども、現実問題として、さて全部つかまえて、それをどこに一体収容するかというような問題が一つございます。それから、そういう者の中には、必ずしも全部がそれほど強い中毒患者でもない。ただ中間に立って、最終的な中程患者はどこかにひそんでいて、そこに売りつける中間者もいる。そういうふうなものの取り締まりに関して、なかなか現在の法規というものがうまくマッチしていない点もございます。たとえば麻薬取締官は、警察官と同じ一つ権限麻薬取り締まりについては付与されておるわけでございますが、しかし、職務尋問権限がないわけでございますので、なかなかそういうところに入って行っても、警察権の執行について十分な活動ができないというような面もございます。それから、中毒症状が明らかに起こっている者は、これは中毒患者として認定もできるわけでございますが、手を見たりなんかしますと、明らかにたくさんの注射のあとがあって、これは麻薬常用者だということがしろうと目にはわかっても、それを医学的に証明するというようなことがなかなかむずかしい問題でございます。また、そういうものが証明されて、それをもとにしてそういうものを強制入院なり検挙なりするというような点についての法律的な規定も現在十分ではないわけでございまして、そういう点も、現在、次の国会等におきまして麻薬取締法法律改正として私どもが考えておるわけでございます。  大体中毒なり取り締まり状況は以上のようでございますが、たまたま今日は、昨年の一月から三月までニューヨークで麻薬に関する国際条約は、現在九つ国際条約があるわけでございます。日本もこれに対して加盟をしておるわけでございますが、そういう条約が必要によって今までだんだんとできたという意味もありますが、九つ麻薬に関する条約があるのでは非常に複雑でございますから、これを単一化するという動きが数年前からあって、昨年ようやくそれの条約の案が一応でき上がりまして、そして日本もそれに対して、その当時私どものほうから代表が、その麻薬単一条約制定のための委員会にも出席したわけでありますが、一応条約の案文ができまして、現在五カ国ぐらいのものが批准をしております。日本は、ことしの四月ごろその英文の成文が外務省に届きまして、現在日本文に正式に翻訳する準備を進めておるわけでございますが、それができましたら、おそらく次の通常国会において条約案批准がなされると思います。そういう国際的に見まして麻薬に関する条約整備を今なされているときでございますので、私どもも、そういうことで、国会等においても、この次の国会等においては条約批准の審議がなされると思いますが、そういう国際条約整備と関連いたしまして、それとの関係においても現行の国内法規改正が必要でございますので、そういうものとあわせまして、ただいま申し上げました麻薬取り締まりなり、中毒患者対策でいろろいと私どもが困っております点と両方合わせまして、麻薬取締法なり、その他の麻薬関係法律改正を、この次の通常国会、つまり条約案批准されますと同じ国会において御審議をお願いしたいと思いまして、ただいま事務的に検討をしている段階であります。  大体そういうような状況になっておりますので、一応御報告申し上げます。
  11. 高野一夫

    委員長高野一夫君) どなたか御質疑ありますか。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 次の通常国会法律改正を出すとおっしゃるから、それはそれで了解いたしますが、今の御説明を聞いてみても、実際今の法律で取り締まられるのは十分の一か二十分の一ぐらいしか今判明しない。これが新聞等で見てみましても、日本麻薬の天国だといわれておる。で、社会主義の国には麻薬とか何とかいうものはないと思うのだが、もしもあったらどういう罰則があるのか、資本主義の国ではどういう罰則があるのか。特に日本は島国でもあるし、今おっしゃったように、外国から入ってくるのが多いと思う。第三国人の手によってこういう麻薬が入ってきて、日本厚生省がお手あげしなければいかんぐらい患者がおる。しかも、端境期になったから患者がごろごろ出てきて、それでわかったというような醜態を演じておるのだが、一体どういうふうに考えておるのか。非常な厳罰で臨むのか、それとも消極的に病院をうんと作って患者病院に入れるとか、その患者を覚醒させて麻薬など打たんようにするとか、そういう消極的なのか。あるいはそういう禁止された麻薬を持ってきて健康な人のからだを損壊させるというようなものは、これは厳重なひとつ刑罰でやってもらうのだというような厚生省の考え方か、それをひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  13. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) これは犯罪と、実際にあげられた犯罪数との比でございますから、推定で、私、確実に十倍、二十倍あるかということはわかりませんが、一応そういう推定を行なってるわけでございまして、その点については、私どもはもっと取り締まりを強化すべきだと思います。  それで、外国のそういうものに対する一つの処罰例という点でございますが、麻薬の国際委員会の加盟国は、これはソ連を初めといたしまして、東ヨーロッパ、その他共産圏の諸国も相当加入いたしております。そこにもやはり同じように麻薬中毒の問題が存在しているわけでございまして、これに対してどういう対策をするかということは、国によって多少違うわけでございますが、まあ一番これに対して強い刑をとっているのは中華民国で、死刑という制度があるわけであります。しかし、これはまだ実刑を行なったことはないらしいのでございますが、刑罰の規定としては、中華民国においては死刑、あるいはアメリカ等におきましても、ものによって無期懲役がたしかあったと思います。その他相当の罰が行なわれておりますし、国際会議におきましては、麻薬の不正違反については厳罰をもって臨むべきだという意見が毎回の会議に提案されております。しかし、実際の問題といたしましては、東南アジア地域は、これは中華民国は別といたしまして、少し情勢が違っておりまして、これは大体今の中共、中国地域といたしましては、そこでアヘン戦争その他があって、そういうものから麻薬国際条約というものが締結される一つの機運が醸成された、そういう一つの歴史的な経過からいいましても、アジア地域には麻薬常用の習慣が古い昔からあったわけで、これに対して新しい法律を適用することが最近になって行なわれたわけでございますので、過去の常用者はみな登録をいたしまして、そうしてこれに対しては政府でそういう者を治療をしてやるというような方策を東南アジア等、たとえばインドネシアなりタイ国なんかではそういうことをやっておるわけでございまして、罰はそういう意味では非常にこれは緩慢でございます。で、新しくそういうものに入っていく者に対しては相当の罰があるわけでございますが、したがって、一般的に申しますと、西欧諸国においては相当の罰、東南アジアにおいては、そういう昔からの一つの沿革的なものがあって、そう強い罰則をこれに対して課すわけにはいかないというふうな事情があるかと思いますが、多少そういうことで世界の諸国を見てもニュアンスがあるわけでございます。それにしても、日本は、現在は確かに端的に見て罰則が少し軽過ぎはしないかということは私どもも考えておるわけでございまして、これに対しては、今度の改正におきましては、罰則については法務省の権限の問題でありますが、私ども事前にお話を申し上げて、可能の限り、最大の厳罰主義でいくようにしたいという方針で現在話し合いをしているわけでございます。
  14. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに何か御質問ありますか。
  15. 山本杉

    山本杉君 局長に伺いますが、今度法律改正して、とにかく徹底的におやりになることはわかるのですが、すっかりなくすことはできますか。見通しはおありですか。
  16. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) これは取り締まりと、それから一般的な社会の協力ということがやはり必要だと思います。たとえばヒロポンにつきましては、あれだけのPRも兼ねた大がかりな運動をやって、大体もうこれを絶滅するということはできたわけでございます。だから、過去のそういうことを見ましても、本気になってやれば、私は、ゼロにはなかなかならないと思いますが、社会的に見て、絶滅ということに近い程度までにできる可能性はあると思います。ただ、いきなり一年か二年でできるか、これは麻薬そのものの性格からいってむずかしいと思いますが、私どもは、ぜひ近い将来においてそれをやらなければならぬと思います。やらないということは非常に日本社会に対して害毒を流しますので、できるできぬということも大事でございますが、私どもとしては、ぜひやりたい、やるようにすべきじゃないかという決心でやっていきたいと考えております。
  17. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 紅露みつ君から委員議員として発言を求められましたが、これを許可することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。
  19. 紅露みつ

    委員以外の議員紅露みつ君) 局長に伺いますが、今のヒロポンはだいぶ絶滅に近いようになったのですけれども、それにかわるヘロイン、これはどう違うのですか。同じような効果があるのですか。
  20. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) これは私、そういうことになるとちょっと専門でございませんので、ちょうど麻薬課長が来ておりますから、課長からその辺の症状なり薬理的な説明をいたします。
  21. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) ヒロポンのほうは覚醒剤でございますから、覚醒作用といって、興奮作用があるわけです。それから、ヘロインのほらは麻酔作用とか鎮痛作用があって、全然作用は逆なわけでございます。ですけれども、ヒロポンの患者等が、やはり同じようにいろいろなことをやったというのは、結局眠れないために強い睡眠剤なり麻酔剤なりを注射しまして、それで精神的にも神経が麻痺してしまっているので、どちらを使っても同じような効果があるわけでございます。  それから、ヘロインのほらは麻酔作用ですけれども、それがなくなったときに、ヘロインのひどい患者には、ある意味では水を注射しても一時的にはおさまる、そういうふうに神経が麻痺してしまう。そういうことでございます。
  22. 紅露みつ

    委員以外の議員紅露みつ君) どうもはっきりしろうとにはわからない。ヒロポンの中毒患者ヘロインを使うでしょう。そういう場合に、やはりヒロポンを使ったときと同じような結果が生まれるのですか。やはりそれは禁断症状というものでなくなるのですか、ヒロポンの患者は。
  23. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) ヒロポンの患者にも禁断症状というのがございます。それは禁断症状というのは、その薬のきれたときに苦しむので、麻薬禁断症状の場合とは違うのです。ヒロポンの禁断症状のときは、ヒロポンだけの患者ですと、非常にあばれるわけです。それから人に襲われているよらな幻覚が起きたり、あるいはだれかにつけてこられるとか、そういうことであばれたり、脅迫観念や何かで、それで人を傷つけたりなんかする。ところが、ヘロイン患者禁断症状というのは、そういうようなあばれるとか何とかいうのはあまり少ない。それで全然逆で、ある意味ではじっとうずくまって、非常にじわじわと苦しんでいる。胃けいれんや何かで苦しむように、自分で抑えている、じっとしているというほうが多い。それですから、あばれるようなことはあまりないので、それで今の精神衛生法も、実は自傷他害があって、慢性中毒ということになっているので、なかなか適用できないということになっている。それほどひどく苦しむ、のたうち回ることはないけれども、それが非常にゆるいのでございます。
  24. 紅露みつ

    委員以外の議員紅露みつ君) 苦しむというのですけれども、どんな工合にお苦しみになるのですか。全身的に苦しいのでしょうか。
  25. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 全身的にも苦しみますし、冷汗やなんか出したり、ほんとうにその苦痛は、薬がなければいられないような精神的な苦しみがあるのです。それですから、たとえば麻薬のひどい中毒患者がここら辺におりまして、それがいつの間にか知らないうちに夢中になって電車に乗っておって横浜に買いに行っておったり、そのときにどうしても横浜でその薬を手に入れる、人陰に入って打つ時間がないので、駅の公衆便所やなんかに入りまして、そこでそのまま打ってしまう。そうすると、もうすっかり落ちついてしまう。そういうように、非常にもう無我夢中になってしまうわけです。
  26. 紅露みつ

    委員以外の議員紅露みつ君) あばれないかわりに苦しみが多いわけですね。
  27. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 苦しみは、じわじわとくる苦しみが非常に多いらしい。
  28. 紅露みつ

    委員以外の議員紅露みつ君) 大体わかりました。
  29. 高野一夫

    委員長高野一夫君) この次の適当な機会でよろしいのですが、私のほらから一つ問題を提起しておきますから、厚生省のほらでお調べ願って、なるべく早い適当な機会に説明を願いたいと思います。きょうはもう時間もありませんから。  それは、いろいろな取り締まりに当たる人は、警察、出入国管理、税関、いろいろあるけれども、専門の麻薬取締官百五十名、これをどの程度増員すれば取り締まり相当——相当といってもこれも程度がありましょうけれども、効果が上がることになるかどらか。そうして、その増員によってどれくらいの人件費、予算、いろいろな金が増額されるものかどらか、それが一つ。それからもう一つは、覚醒剤関係法の改正は、当参議院の委員会において議員立法で改正した、司法当局と連絡をとりまして、各党共同でやったわけなんですけれども、最高の罰則強化をやった。それが検察庁関係に言わせますと、非常に根絶するのに役立った、こう言っておるわけです。ですから、麻薬の場合には、さらにより以上の罰則強化をする必要があるのじゃないか。そうすると、日本の法体系によってどの程度まで最高罰則、たとえば懲役なら懲役七年というのがどの程度まで上げられるかどうか、強化できるかどうかという問題が一つ。それからもう一つ、ヒロポンの場合は、多くは国内における密造であるが、だからこれを押えることによって根絶に役立たせたのだが、麻薬の場合はほとんど密輸、その密輸をいかにして押えるかといろととの研究をもら少しできないものかどうか。それで、国際条約が従来どの程度役に立ったか。近くいずれ批准案が出るならばなおさらのことでありますから、国際条約に基づく国際的の警察取り締まりがどの程度従来効果があったかなかったかといろ点の説明。それからもう一つは、明確にこれは麻薬取締法違反なんだから、先ほどの薬務局長の話では、たとえば外見的に見れば、常識的に中毒患者だということがわかるけれども、医学的の証明がむずかしいとかいうような話もあるが、私はそういうことはないはずだと思うのです。そうすると、ベッドがなくてそれを強制収容することができなければ、これは刑務所に収容することもできるのじゃないか。特に刑務所の診療病院がある、その病院ベッドにでも収容するということもできるのじゃないか。また、若い者は鑑別所に収容することもできるのじゃないか、こう思うのですが、かつて刑務所に収容して徹底的に禁断症状を直してやるというようなことを講じられた例をわれわれは不幸にして知っておらない。そういう点において、まだ取り締まり対策上やればできるのに、やらないためにそのまま野放し状態におのずからなってしまっている状態相当あるのじゃないかということですが、刑務所、鑑別所あたりの活用ということも徹底的にひとつ検討してみていただきたい。それから、年間二千五百人ぐらいの禁断症状を呈する中毒患者、それの十倍ないし二十倍、かりに二十倍としてようやく五万人です。しかし、常識的には実際全国で五万や六万の中毒患者きかないのじゃないか、みんなそう思っているのであって、これはもう少し調査ができないものだろうかというわけなんです。ヒロポンなんか、それが警察そのほか麻薬取締官相当連携をとることによって、もう少し近い数字がつかめるのじゃないか。どうしてもつかめぬかどらかということ、これもひとつ調べておいてもらいたい。  それに関連したようなことで、したがって、麻薬取締法改正をやられるならば、どこに重点を置いてやられるのか、ヘッドの強制収容あるいは罰則強化、その辺に限られるのかどうか。今度の国際条約批准問題とからみまして、その辺をもう少し正確な調べをなさって、適当な次の機会に当委員会において詳しく説明を願いたいと思います。それを要求をいたしておきます。  そのほか、別に御質疑ございませんか。
  30. 山本杉

    山本杉君 ちょっと一つだけ。さっきの御説明の中で、取締官には尋問権がないとおっしゃったのですが、そうなんですか。
  31. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) 麻薬取締官には今それは付与されておりません。警察官にはございます。
  32. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それから、今のにつけ加えて、いま一つ申し忘れたのは、売春対策上、この麻薬あるいは麻薬患者のひもつきということで、売春対策をもっと乱しておるのが麻薬の乱用であるといわれておる。これは内閣の売春対策審議会においても、非常に今問題にされておるわけです。その点をどの程度厚生省がつかんでおられるかどうか、それもひとつ調べて次の委員会において説明を願いたいと思います。  ほかに御質疑もなければ、本件に関する本日の審議はこれをもって終了いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午前十一時三十九分散会