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1961-12-12 第40回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月十二日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    理事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            坂本  昭君            藤田藤太郎君    委員            勝俣  稔君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            高野 一夫君            徳永 正利君            山本  杉君            横山 フク君            吉武 恵市君            小柳  勇君   政府委員    厚生大臣官房長 山本 正淑君    労働政務次官  加藤 武徳君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省公衆衛生    局予防課長   若松 栄一君    厚生省公衆衛生    局防疫課課長補    佐       湯沢 信治君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省薬務局長 牛丸 義留君    厚生省薬務局細    菌製剤課長   中原竜之助君    厚生省社会局長 大山  正君    厚生省児童局長 黒木 利克君    厚生省保険局長 高田 浩運君    労働大臣官房国    際労働課長   石黒 拓爾君    労働大臣官房労    働統計調査部長 大宮 五郎君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    労働省婦人少年    局長      谷野 せつ君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君    労働省職業訓練    局長      三治 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告労働情勢に関する調査  (一般労働行政に関する件) ○社会保障制度に関する調査  (一般厚生行政に関する件)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、先刻理事及び委員長の打合会をいたしました結果を御報告しておきます。本日の日程は、社会保障制度に関する調査、このうちで労働情勢に関する調査を午前にまずいたしまして、続いて厚生行政に関する調査を御審議いただく。まずその前に、きょうは派遣委員のほうからの御報告を願うことにしております。   —————————————
  3. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、まずこの際、さっそく派遣委員の御報告を願いたいと思います。
  4. 村山道雄

    村山道雄君 当委員会の決定に基づきまして、小柳、村尾、石田の各委員と私は、去る十二月三日から七日までの五日間、福岡大分の両県を視察いたしました。  調査項目は、第一に、豪雨等による災害状況とその対策、第二に、炭鉱離職者状況とその対策、第三に、駐留軍労務者離職等状況とその対策、第四に、その他厚生労働行政について各地当面の諸問題であります。  われわれは十二月四日、福岡県庁におきまして、県知事初め、県当局並びに福岡労働基準局長及び婦人少年室長から各所管事項について説明を聞きました後、直方市に参りまして、市役所において市当局から炭鉱離職者状況とその対策を聞き、野上本洞と原口本洞の廃止鉱山における旧炭鉱住宅街を視察いたしたのであります。翌十二月五日には大分県に参りまして、国東半島にありまする杵築市、安岐町及び武蔵町の災害状況を視察いたしまして、各当局からその対策について説明を聴取いたしたのであります。十二月六日には大分県庁に参りまして、副知事初め、県当局並びに大分労働基準局長及び婦人少年室長から各所管事項について説明を聞きました後、大田川上流三重町に参りまして、同町の災害状況を視察いたし、県及び町当局からその対策につきまして説明を聴取いたしました上、帰途についたのであります。  なお、各地において調査項目その他に関しまして、いろいろの要望陳情を受けたのでありますが、多岐にわたりまするので、印刷の上お手元に配付いたしました要望事項によりまして御承知を願いたいと存じます。特に福岡大分労働基準局長並びに婦人少年室長から、広範な職務範囲や多量の処理件数に比較いたしまして、あまりに少ない職員数予算増加方につきまして要望を受けたのでありまするが、考慮すべき事項であると存じたのであります。  そこで、まず炭鉱離職者状況とその対策について申し上げたいと存じます。石炭鉱業の不振によります閉山合理化による買い上げ減員などによりまして、炭鉱離職者は今なお増加しつつありますが、昭和三十年の三月以降三十六年の九月までの福岡県における炭鉱労働者減少は四万六千二百四十七名、同期間における全国減少数の五三・八%を占めておるのであります。さらに当面、県下におきまして閉山合理化のために約四千五百名が整理を予想されておるのでありまして、失業対策はいよいよ緊要と認められるのであります。昭和三十六年八月現在、炭鉱離職者一般求職者数は約二万名、日雇求職者数は約六千名、計二万六千名でありまして、そのうち失業保険受給者は約六千名でありますので、残余の約二万名が至急就職の必要に迫られておるのであります。県は、これらの離職者に対しまして、緊急就労対策事業特別職業訓練広域職業紹介等を中心に再就職の道を開き、あるいは公共事業鉱害復旧事業への吸収等によりまして雇用状態の改善をはかっておるのであります。広域職業紹介は、本年度上半期におきましては、月平均二百名程度、臨時措置法施行以来の二年間に一万一千名を紹介しまして、目標をはるかに上回っているのであります。就職先といたしましては、大阪、兵庫の阪神地区、東京、神奈川の京浜地区が圧倒的に多くありまして、愛知県がこれに次ぎ、産業別では製造業が多く、運輸、通信業建設業の順となっておるのであります。特別職業訓練は、本年十一月までに約二百数十名の修了者を出し、これらの就職率は百パーセントの趣きであります。しかしながら、炭鉱離職者受講希望者は意外に少ないのでありまして、収容定員にも達せず、夜間訓練におきまして特に著しいのであります。その理由は、訓練手当の額が少なく、訓練期間中の家族の生活保障が与えられないことによるものが多い模様であります。この辺に中高年令層訓練受講を妨げる事情があるようであります。  以上のほか、県が最も力を注いでおりまするのは、炭鉱離職者緊急就労対策事業であります。今年度の上半期、四月から九月までの間におきましては、一日当たり約六千名を吸収いたしております。しかしながら、このほかに緊急就労適格者約三千名を、予算ワクのために、本事業に吸収し得ないとのことであります。緊急就労対策事業に関する国庫補助につきまして、特段の考慮を要請せられたのであります。なお、県当局は、炭鉱事業にかわって労働力を消化せしめますために、産炭地域振興計画の一環といたしまして、産炭地と積み出し港等を連絡いたしまするところの道路建設工場地域造成等各種長期計画を立てておりましたが、この計画のために、当面の離職者二万数千名の緊急就労をゆるがせにせられないことを力説いたしておったのであります。  炭鉱離職者の多数発生に伴いまして、福岡県における生活保護世帯増加の一途をたどっておりまして、本年九月現在、福岡県における要保護世帯五万一千百七十世帯のうち、産炭地域である筑豊地区が三分の一を占めまして、一万八千六十二世帯保護人員六万二千六百三十二名、保護率八・四八%に達しておるのであります。全国平均の一・七ないし一・八%に比較いたしまして、はるかに高い率を示しておるのであります。現在毎月相当数保護受給新規申請がなされているのでありまするが、その中には稼働能力を持ちながら、県内就職事情の困難のために、または住宅事情不便等のために、被保護世帯に陥るものがありまして、この方面からも抜本的な離職者対策が緊要であることを痛感されるとのことでありました。  直方市におきまして視察しました廃止鉱山の旧炭鉱住宅は、現在石炭鉱業合理化事業団所有に帰しまして、その敷地は、最初の鉱山経営者でありました三井鉱山会社所有である等の関係上、事業団に対する居住者の誓約に従って立ちのくか、しからざれば居住者にかわって市が買い取るにつきましても、財政上の限度がありまして、財源としての地方債の発行や補修改築に関連しまして、不良住宅、低家賃住宅等制度適用申請等につきまして苦慮しておる模様でございます。また、閉山によりまする給水廃止対策といたしまして、公営水道の拡張、国庫補助によりまする簡易水道敷設等が行なわれたのでありますが、地元炭鉱の廃山によりまする収入減離職者救済等のための経費増によりまして、水道施設の維持に苦しんでおりまする地方団体も少なからず考慮を要する事項でございます。  次に、福岡県における駐留軍労務者離職等状況とその対策について申し上げます。同県下駐留軍労務者は昨年四月一日現在四千八百七十一名のところ、本年四月一日現在三千四百二十三名でありまして、一年間に一千四百四十八名減少いたしました。そのうち一千四百二名は、芦屋基地自衛隊に移管いたしましたのに伴う整理によるものであります。駐留軍関係離職者の本年十月まで過去一年間における新規求職者数は一千百二名、就職者数は四百九十名でありまして、そのうち広域職業紹介によるものが二十五名であります。職業訓練は、福岡及び直方公共職業訓練所並び八幡総合職業訓練所のほか、板付、ブレディ、以上は福岡であります。山田、これは小倉でありますが、その各軍施設内におきまして行なわれておるのであります。本年度内の公共職業訓練所入所者は百七十三名、総合職業訓練所入所者は百二十名、駐留軍施設内訓練受講者は延べ四百七十名でございます。県は、離職者並びにこれらのものが組織いたします企業組合に対する事業資金融資あっせんを行ない、また、年五分以内半額までの利子補給制度を設けまして、企業組合設備資金につきましては、中小企業振興資金共同施設貸付金を活用しているとのことでございます。離職者の組織する企業組合は、本年十一月末におきまして三十一組合となっております。なお、旧小倉陸軍造兵廠跡地の転用にあたりまして、離職者企業組合への一部払い下げにつきまして関係方面折衝中であり、福岡駐留軍関係労務者福祉更生協会を設けまして、県費三百万円を貸し付けまして、離職者に対する生業資金等の貸し付けに当たらしめておる由であります。また、福岡県庁におきまして各当局説明を聞きました後、全駐留軍労働組合福岡本部代表者から、労働管理政策及び離職者対策につきまして陳情を受けたのでございまするが、先に申し上げました要望書によりまして御承知を願いたいと存じます。  次に、大分県における豪雨等によりまする災害状況とその対策について申し上げます。本邦南東洋上の台風第二十六号から西日本に達しました湿舌は、十月二十五日夜から翌二十六日にわたりまして西日本各地集中豪雨をもたらしたのでありますが、特に大分国東半島及び同県南部に甚大な損害を与えたのであります。すなわち、両日の雨量は、大分市におきまして三百五十三ミリ、県の南部三重町におきまして五百十一ミリ、国東半島安岐町、武蔵町では六百ミリ以上と推定されまして、先年の九州諌早水害雨量に匹敵するものであります。これがために、県の南部の大野川、大分川、国東半島安岐川、荒木川、武蔵川を初めといたしまして、両地方の各河川が二十六日正午ごろから急激に増水をいたし、破堤、溢流いたし、また、各地に山くずれが続出いたしまして、被害を増大いたしたのであります。被害甚大地域といたしまして災害救助法適用されましたのは、県の南部では大分市、臼杵市、大南町、三重町、国東島では杵築市、安岐町、武蔵町、国東町であります。  被害状況は、死者六十三名、行方不明五名、重軽傷者七十六名、死者のうち、三十一名は別府大分間の国道における土砂くずれによる電車埋没事故被害者であります。また、家屋の・全壊、流失は二百六戸、家屋の半壊は五百九十二戸、床上浸水は四千五百五十三戸、床下浸水は一万三千八百二十一戸でありまして、公共施設、農地、商工、農林、水産、土木、文教、衛生関係等被害を合わせますと、被害総額は七十九億円に達する見込みの由であります。右のうち、災害救助法適用の三市五町及び同法の適用は受けませんが、被害の多かった三市町被害は、お手元に配付いたしました「法適用市町被害状況」のとおりであります。  今次災害の特徴は、第一には、同地方未曾有豪雨にもかかわらず、すでに改修せられました大河川に比較的被害が少なく、平素流量の少ない中小河川沿岸に大被害を発生したことであります。  第二点は、同地方におきましては、刈り取った稲を地ぼしにする慣習のところ、あたかも刈り取りの時期に予期しない出水にあいまして、全収穫を流失したのみならず、流失した稲束が下流の橋梁に引っかかりまして、破堤、溢流、橋梁流失の原因を助長したことであります。  第三点は、年間雨量の半分が一昼夜に降ったという豪雨のために、各地に山くずれが続出いたしまして被害を増大いたしたことであります。国東半島安岐川上流に、山頂からものすごい山くずれの跡が数カ所望見されたのでありまするが、別府大分間国道上の山くずれによる電車埋没事故もあり、早急に山くずれ対策を確立実施する必要があると存じます。  第四点は、出水河川水勢が特に猛烈であった模様でありまして、稲束流失関係もあり、コンクリート橋梁鉄橋流失が至るところに見られ、大分交通会社国東半島における電車線路鉄橋数カ所流失のため、安岐町以遠は今なお不通であります。また、遭難者の死体が、潮流の激しい豊豫海峡を横断いたしまして愛媛県の海岸に漂着したとのことでありまするが、当時の激しい水勢を如実に示すものと存ずるのであります。  県その他地方当局災害対策につきましては、県は、直ちに県災害対策本部を置き、被害の判明に従いまして、十月二十六日及び二十七日にわたりまして、逐次災害救助法適用を決定いたしたのであります。陸路はいずれも寸断されておりますので、国東半島方面に対しましては、海上保安部海上自衛隊船艇県水産練習船等によりまして、翌二十七日、生活必需物資県厚生部長らが海路輸送するとともに、陸上自衛隊協力を得まして陸路の啓開に努め、また、現地地区災害対策本部を置きまして、責任者を派遣して被害者救助並びに物資の配給に当たらしめた由であります。県の南部、ことに大田川上流三重方面交通通信が全く途絶いたしましたので、同地に地区対策本部を置きまして、関係機関協力して対策を立て、県庁職員等が率先して地方民とともに迂回連絡路啓開し、陸上自衛隊の出動を得まして交通回復をはかった由であります。同方面交通回復がおくれ、輸送が困難でありましたので、救護に必要な物資は、連絡可能な周辺地区から現地調達の上配給したとのことであります。災害後一カ月余にいたしまして現地に立ったわれわれの目に悲惨な天災の跡は至るところ今なおなまなましく見受けられましたが、仮設住宅その他の援護業務は着々と進められ、また、被害者の復興の努力も力強く感じられたのであります。  特に各地において、自衛隊海上保安部等協力に対する感謝の声を聞いたことを申し添えます。  以上をもって報告を終わります。(拍手)
  5. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ただいまの報告に対しまして、御質疑のおありの方はお述べ願います。
  6. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの報告に対し、一つ要望意見でありますが、第一の要望意見は、労働基準局長が申しておりますように、今の定員が非常に少ないために、監督をするにしても、あるいは指導をするにしても、動きがとれないというのが福岡県における監督行政のようであります。で、先般千人労働省関係増員があったけれども、その中で五名くらい福岡県の基準監督関係にいく予定であったので、それを喜んでいるような情勢であったので、私は声を大にして、今福岡県の実情を見ると、たとえば中小企業炭鉱などは賃金不払いも相当ある、不当労働行為も相当ある、あるいは基準法違反も相当あるにかかわらず、監督行政指導行政がお粗末ではないか。そういうときに、千人の中で五人くらい増員があって喜ぶようでは、基準局長どうかしてはおらぬかと言っておきましたが、それほど私どもが現実に基準局監督署定員の不足を痛感している次第であります。したがって、労働省は、今ちょうど予算の作成の時期でございますので、福岡県などのような特殊な事情、あるいは炭鉱地帯のような特殊な条件については格段の配慮をされて、定員なり予算の増額についてひとつ御考慮願いたい、これが第一の要望であります。  それから第二は、これに関連に質問でありますが、去年婦人少年室長が、るるとして陳情いたしました中に、定員五名で年間三十五万円の予算で動いている。定員も少ないが、予算が少ないために、仕事をやりたいけれども、ほとんど仕事ができないというのが婦人少年関係行政実態のようであります。今少年問題にいたしましても、婦人問題にいたしましても、緊急を要する時期でありますが、このような実態に対して労働省当局はいかような見解を持っているか、ひとつ大臣がいらっしゃらないので、次官からお聞きしておきたいと思います。
  7. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) ただいま小柳委員指摘基準監督行政に当たります者の定員の増と同時に、婦人少年室人員並びに予算の点でございますが、実はただいま御指摘の両機関は、いずれも労働省の直接の出先機関なのでありまして、労働省としては、そのほかに、御承知のように、職業安定行政、あるいは労政行政訓練行政かようなものは知事にその権限を委譲いたすといいますか、知事監督下労働行政を行なって参っておるのでありまして、私たちが常日ごろ非常に気を使っておりまするものは、労働省全般としての人員の問題並びに予算の問題と同時に、出先機関相互間の均衡の問題、かようなものにも非常に気を使っておるのであります。最近幾つかの県を取り上げまして、その県内における直接の出先機関である基準監督行政担当者人員並びに経費、あるいは婦人少年関係労政関係安定関係訓練関係、かようなものを比較をいたしてみますと、知事の傘下にありまする行政部門予算は比較的潤沢であるにかかわらず、労働省の直接の出先機関予算は、ただいま小柳委員指摘のように、予算の面でも非常に少ない。また、人員の面でも非常に窮屈で、大へんな苦労もしておるということが実はわかっておるのでございます。具体的におあげになった千人の増員に対して福岡基準監督局の五名の増という具体的な数字は、私にはよくわからないのでございますが、とにかく労働省といたしましては、比較的恵まれておらない少ない予算で、少ない人の数でずいぶん苦労をしております直接の出先機関に対しまして、今後できるだけの配意をいたして参る、かような基本の方針予算要求等をいたし、努力をいたしておる最中でございます。
  8. 小柳勇

    小柳勇君 今抽象的に答弁がございましたが、基準局長が見えておりますので、基準局に具体的に質問いたしておきます。  その一つは、基準局賃金未払いなどについてどのような積極的な行政をしておられるか、これが第一の問題。  それから第二の問題は、基準法違反及び先般来実施されております最低賃金実態の掌握及び業者間協定指導、こういう問題を、福岡県に限って、どのような指導をしておられるか、この二点を質問しておきたいと思います。
  9. 大島靖

    説明員大島靖君) ただいま御質問のございました賃金遅払いの問題につきまして、全般的に経済の好況を反映いたしまして、賃金遅払い件数並びに金額は逐年ないし逐月減少いたしております。現在把握しております賃金遅払い総額は、大体四億円から五億円の間と存じますが、ただ問題は、全般といたしましては減少いたしておりますが、その中で炭鉱関係賃金遅払いが圧倒的に金額が多いということであります。現在の石炭業界の不況を反映してか、全般といたしましては減少いたしておりますが、石炭業における賃金遅払いは、やはり相当な金額に達しておるわけであります。したがって、この賃金遅払いに対する対策といたしまして、私どもはもちろん、現地基準局におきましても、できるだけ円満裏の話し合いのうちに賃金遅払いを逐次解消していくという方針指導いたしております。まあ御承知のとおり、賃金遅払いというのは、非常に経営と関連いたしまして、困難な問題を持っております。しかしながら、何と申しましても労働者生活原資であります賃金でありますから、これをなるべく優先して支払ってもらうということで努力をいたしております。なお、今後もその方針で極力努力をいたしていきたいと存じております。  次に、現在の最賃の状況でありますが、全般といたしましては、業者間協定に基づく最賃並びに労使協約に基づく最賃、現地十一月の現況は、総計で百十万人の適用労働者になっております。ただ、その百十万人の適用労働者の最賃の状況を見てみますと、各種アンバランスと申しますか、産業的にも地域的にもかなりのアンバランスがございます。今後の最低賃金制の運用をいかにすべきかということで、現在、中央最低賃金審議会で今後の方針検討願っているわけであります。その中で、特に福岡県についての最賃について、特殊の問題としては御説明申し上げるほどのこともございませんが、現在私どものほうで一番大きな問題になっておりますのは、石炭における最低賃金の問題であります。これについては、御案内のとおり、先般来、中央最低賃金審議会に御検討をお願いしまして、石炭産業の最賃の小委員会を設置いたしまして、現在審議中であります。ことに現地実態を詳細に調査する必要、あるいは関係者の御意向をよく承る必要上、今月の初めに福岡のほうへ現地視察に参りまして、昨日も小委員の方々がお帰りになりまして初めての会合があったわけであります。さらに昨日、関係業界及び関係労働組合の本件についての御意向を聴取いたしております。さらに引き続き小委員会を開催いたしまして、この石炭業における最賃のあり方について御検討を願うことにいたしております。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な数字が出ましたから、具体的に質問しておきます。今、賃金遅払いの額四億円ぐらいだというような推定でありますが、これは取り方によって相当違いますけれども、私ども推定では、とても四億円ぐらいではないように感ずる。それは小山だけではなくして、貝島、大之浦のような山すら、賃金遅払いのためにストライキをやろうというような情勢です。  そこで、具体的に質問するのは、この前の国会で、十五億円の石炭産業に対する補助金というものがワクが一応きまりました。その金を、山の経営者は、自分たちの山に対する補助金であるように考えている。これは倒れいく小山に対する倒産を阻止するための補助金である、そういうように理解されている向きがあるのであります。私は、労働者賃金遅配なり賃金未払いを払うことこそ、今最も大事な産炭地施策ではないかと思う。労働省として、この賃金遅払い、あるいは未払いに対して、前にきまったそういう予算ワクなどで、通産省やその他大蔵省などに、払うようにという折衝をされたことがあるのかないのか、お聞きしておきたい。
  11. 大島靖

    説明員大島靖君) 私どもといたしましては、およそ労働者を雇用して事業を営んでいる以上、労働者生活原資となるべき賃金については、最も優先して確保すべきであることば、もう当然のことだろうと思います。もちろんお金を借りるにいたしましても補助金をいただくにいたしましても、各種の条件はついておろうと思います。ただ、経営に入って参りまして、お金全体のやり繰りといたしましては、何と申しましても賃金遅欠配の解消でありますとか、賃金原資の確保、これは最優先に行なうべきこと当然であります。したがって、もしそういった点についての必要がございましたら、今後とも関係方面とも折衝しますし、また、現実に山元において遅払いが起こらないように、厳重に監督指導いたさす所存であります。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 監督指導くらいでは解決しないのです。で、今の話では、まだ折衝されたというようなはっきりした回答がないようでありますが、今まで折衝されたことがあるのかないのか、そのことをお聞きしているわけです。
  13. 大島靖

    説明員大島靖君) その十五億円の問題については、まだ折衝いたしておりません。ただ、全般的に補助金にいたしましても金融の問題にいたしましても、今申すような見地から当然のことでありまして、私ども今後とも各方面折衝を持って、遅欠配の解消に努力いたす考えであります。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 今の答弁ですが、遅欠配を解消するために、その産炭地域振興の金のワクがきまりました場合、これを給料に回すことに労働省として積極的に、徹底的に交渉されるという答弁がございましたが、大臣の答弁ととってよろしゅうございますか。
  15. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) ただいま基準局長の答弁をいたしましたことは、労働省として基本的に考えておりますことと同様と御理解願ってよろしいかと考えるのでございまして、ただいまの十五億円の融資につきまして、具体的に積極的な指導は、まだしてはおらないのでございますが、先ほど基準局長の答弁のように、遅欠配の解消なり、あるいは賃金原資の確保ということは当然のことでありまして、今後そういう方向で努力をして参りたいと、かように思うわけでございますし、なお、まだ最終的に事務的に固まっておりますかどうかを、十分私は理解しておらないのでございますが、労働省出先機関におきましても、また大蔵省の出先機関におきましても、経済の調整策と関連をいたしまして、相当の賃金の遅欠配が予想されるわけでございまして、それに対応いたしまする財政的な措置を検討いたしておりまして、もうおそらく最終的な結論が出ているか、出る直前になっていると、かように理解をいたしているわけでありますが、賃金の遅欠配の解消並びに原資の確保につきましては、今後も最大の努力をいたして参りたい、かように思うわけであります。
  16. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、同時に必要なのは監督官の増強です。組合があるところは組合のほうで賃金未払いなどを大きく取り上げますから、これが各方面から援助の手が差しのべられますが、組合のないようなところ、小山ではほとんど泣き寝入りです。それを救うのは労働基準監督局以外にはないわけです。ここ一年なり二年の間、他の府県、他の地方監督官などを特にそういう地域に重点的に配置して、監督行政指導行政を強化するという立場をおとりになるかどうか、お聞きしておきたい。
  17. 大島靖

    説明員大島靖君) 先般も御案内のとおり、産炭地基準局に、若干ではございますが、産炭地のみに監督官の増員を実施したわけであります。今後においても、石炭業における基準監督、たとえば石炭とか港湾とか、こういった問題についての基準法の実施に、非常に従来から困難かつ重要な、そういった点から、私どもといたしましては、産炭地でありますとか港湾、こういうむずかしい、かつ、重要な地域につきましては、基準行政を今後ともに極力強化して参りたいと、かように考えます。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 次は、駐留軍離職者の離職対策協議会、地方離対協の問題です。地方離対協は、この前の法律改正によりまして、町村段階まで設置することが法律で改正されたと思いまするが、その点についての見解をまず第一にお聞きいたします。
  19. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 先般の法律改正によりまして、従来は県段階の協議会にとどまっておりましたのが、市町村にも設置することができるという方針に改められました。したがいまして、私どもといたしましては、必要な市町村につきまして、県その他の関係者とお話し合いをいたしまして、必要な市町村にはこれをなるべく設置するような考えで、目下いろいろお話し合いをしておる段階でございます。
  20. 小柳勇

    小柳勇君 その地方離対協の中で特に要請がありまして、さきの三市町村の地方協議会を設置することを義務条項としてくれないかという要請があります。義務条項については法律の見解もまちまちでございましょうが、行政指導などによって、ここに書かれておりまする小倉市、八幡市、福岡市、遠賀郡の芦屋町、粕屋郡の志賀町、筑紫郡の春日町及び大野町、これだけが今重点的に駐留軍離職者が集中しておるところです。この市町村に地方離対協を設置することを労働省として要請、指導していただきたいが、いかがでございましょう。
  21. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) この三市と四つの町ということについて、具体的に今ちょっとお答え申す資料がございませんから、お答えにくい点がございますが、たとえば拝見いたしました感じでは、当然設置すべきものであるというふうに考えられる市もございまするし、その他の町につきましても、その必要性はわかるような気がいたします。これは関係者と十分御相談の上、善処いたしたい考えでございます。
  22. 小柳勇

    小柳勇君 同時に、補助金が、先般の社労でも問題になりましたように、非常に少額であります。来年の予算についてはどのような見解を持っておられるか。なお、わかれば具体的な金額をお教え願いたい。
  23. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 法律の改正によりまして市町村の協議会に対する補助金が本年度も認められましたが、きわめて少額でございます。四十万円程度でございます。私どもは、来年度の予算におきましては、少なくとも必要なる市町村は三十くらいは最少限あるであろうというような考えで大蔵省と折衝いたしておるところでございます。なお、最近の情勢にかんがみまして、関係者の御要望をさらに聞きました上で、適当な措置を考えたいと思っております。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 これは次官に質問いたしますが、この最後に十番として陳情書にあります離職者企業団体の育成をはかるため、融資対策を確立すべきでありまして、離職者が今企業組合などを作って生業を営んでおりまするが、その資金がなかなか今の金詰まりで借りられない。そのためにせっかく企業組合を作りましても生活ができないという情勢にあるようでありますが、融資対策について格別な措置をしていただきたいが、いかがでございますか。
  25. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) ただいま御指摘の駐留軍労働者に対しまする「離職者企業団体の育成を図る為、融資対策を確立すること。」この点での御質問でございますが、ただいまの金融体系上、労働省みずからかような企業体に対して優先的に融資を行なっていくという実は仕組になっておらないために、非常に苦労いたしておるのでございますが、中小企業金融公庫であるとか、あるいは国民金融公庫等の窓口を通じまして、できるだけ融資の措置をはかっていく、かような考えで参っておらざるを得なかったのでございます。ところが、三十七年度の予算におきましては、労働省が十分かような企業団体へ融資できますような措置を講じて参りたい、かような考え方のもとに大蔵省と折衝をいたしておる最中でございまして、たとえば失業保険の積立金をファンドといたしまして、これを必要な面に融資をし得ると、かような道が開かれるといたしますならば、労働省の独自の立場におきまする十分な配意ができるわけでありまして、さような方策をただいま検討いたし、大蔵省と折衝をいたしておりまする最中でございます。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 次は、返還基地の平和利用の問題、基地が返還された場合に、まず駐留軍の離職者などを優先的に考えていただいて、これを開放するとか、あるいは離職セーターを作るとかいうような要請があります。それから同様な措置ですが、不用になりました国有財産の払い下げについて、民間の産業、あるいは商社に払い下げる前に、離職者を優先的に考えてくれないかという要請があります。これは毎度問題になることでございますが、大臣もおわかりになったことであるし、しかも、予算編成の時期でありますから、ほうぼうから陳情もありましょうが、その節に離退協の中の労働大臣として、強力に大蔵省などに要請していただきたいのでございます。で、返還基地の平和利用、それから国有財産の土地建物などの払い下げについては、離職者を優先的に考慮する、こういう点について次官の見解をお聞きしておきたいと思います。
  27. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) 離職者対策につきましては、御承知のように、かつても閣議等で具体的に決定いたした事項等もあるわけでありまして、たとえば政府の認可、免許等のものに対しましては優先的な措置をとるんだと、かようなことで、たとえば陸上運送事業等の免許を得ました団体等もあるわけでありますし、駐留軍の離職者対策といたしましては、いろいろのものを総合的に推し進める必要があるわけでございますから、先ほど来御質問のような企業団体に対します融資の措置をとりますようなことのほかに、今御指摘の政府の所有財産の払い下げ等につきましても、十分な考慮を払って参るということが至当である、かように考えておるわけであります。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この前の臨時国会で労働行政のことが十分に論議をする時間がなかったといいますか、法案もありませんでしたから、労働行政の問題についてわれわれ把握することができてたいのでありまして、きょうはひとつ今労働行政がどう動いているかということについて、全般的に問題を出しますから、順番にひとつ今年の状況と来年予算をどう取って、どういう工合にやるのだということについてお答えを願って、そしてそれを中心にわからない点だけをひとつ質疑をしたい、こういう工合に思うわけであります。  そこで、今、小柳委員からお話のありました石炭の問題でございます。これは何といっても石炭の総合対策、エネルギーの総合対策をどう立てるかというところに問題点があろうかと……。
  29. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではただいまの派遣委員の御報告に対する質疑はないようでありますから、これをもって終了いたしたいと思いますが……。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 婦人少年局長が来てから特に質問したい点があるのですが、見えないですからそれを保留いたしまして……。
  31. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を始めて。  ただいまの派遣報告に対する質疑は若干残っておりますが、これにあわせて、労働情勢に関する調査の一環としての一般労働行政に関する件を議題とし、質疑を行ないます。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 続けますが、エネルギーの総合対策というものが問題になってこなければ、それに関連して石炭の離職対策も生まれてこないと私は思うのです。ですから、たとえば今の石炭エネルギーは日本の産業の中で三一・九%、四十五年には一八%という、五千五百万トンの石炭を横すべりにしてそういう倍増計画の中に入れておる。昭和四十五年には国内エネルギーとして重油が五〇%、その他重油関係合わせて五九%になっておる。石炭は一八%、こういう計画であれば、今の現状を見ても、油が八千四百円に対して千二百円のコスト・ダウンをすると、そのために十三万人の首を切る。これがコスト・ダウンが七百円くらい今しているのですが、この八千四百円そのものが六千八百円に下がっておるという状況でありますから、これはもう何としても手がつかないというのが現状であります。だから、たとえば外国の例をとってみても、イギリスは今日エネルギーとして石炭は八一%も使っている。ドイツも大体同じであります。それからまた重油との関係については、関税を高めて重油と石炭の調整をやっていく、こういうやはり問題が具体的に、労働行政の直接の問題じゃありませんけれども、やはり炭鉱離職者をどうするかという問題のときには、少なくとも現状維持の中で関税を上げて調整をするとか、何かそういうことを労働省でもお考えになって、強く政府、通産省に要求をして押し進めない限り、この石炭の問題は解決しないのじゃないか、私はそう思うのです。だから、そこらあたりの見解を小柳委員質問にあわせてひとつ承りたいと思うのです。  それから次の問題は、三十四年から岩戸景気といわれて、雇用の問題もだいぶ進んで参りました。しかし、今日から来年にかけて経済の見通しはどうなるのか、その中で雇用就労の問題がどういう工合に動いていくのかというような問題も、私は、職安局でお考えになっておると思いますから、それもひとつお伺いいたしたい。  それから三番目の問題は、日、雇い労働者の問題であります。日雇い労働者賃金は頭から緊急失対法の八条、十条ですか、施行令の十条で八〇%、九〇%押えている。こういうことでいいのかどうかという問題が一つあると思うのですだから、この失対労務者の賃金を将来どうしていくのか、来年度はどうするのかということなんかについてお聞きいたしたいと思うのです。  それから雇用の問題のもう一つの問題は、何といっても定年制の問題でございます。政府は、完全雇用というものを非常に強く打ち出しておられるけれども、しかし、この資料を見たって、失業保険の対象者が三十一万もおるわけです。中高年の就職状況は、このあなたの労働省がお出しになっているのを見ても、二〇%ぐらいしか就労は解決されていない。八〇%の人は、働く意思があってもこの就職の問題は解決できていないという現状が一つあります。だから、そこらの関係から見ても、これは労働科学研究の昭和の初めの当時の、握力とか牽引力とか背力というものを基準として定年制をきめようといったって、私は、外国で定年制というのがあるのはあまり知らない。だから、体力に応じて労働力を社会に提供していく、貢献していく、社会生活を高めていくというところに問題の主点がむしろあってしかるべきではないか。そういう意味から、定年制の問題は、所得倍増論の雇用小委員会で、定年制の延長という問題がうたわれておりますが、これに対する見解をお聞きしたい。  それからもう一つは、これに関連して職業訓練の問題であります。職業訓練は、今年民間合わせて十三万といわれております。しかし、私は、やはり責任体制を持たない限り、中高年の失業者は、職業訓練をしても雇い手がないという状況では、入り手がないという結果に答えが出てくると思う。そういうことを私はやはり解決しなければならぬと思う。だから、職業訓練をもっと大幅にやって、新しい機械化産業の発展状況の中では、訓練所を政府が責任を持って増設していく、そして、そこの訓練を終えた者は、必ず政府が責任を持って就職の場を作る、こういうことでなければ私は問題の解決はないんじゃないか、こういう工合に思いますから、この前も非常に議論のあったところでございますけれども、失業保険の積立金で何もかもまかなっていこうというような考えでなしに、私は、国の政策としてこういう問題を一般に取り上げていかなければならぬじゃないかと思う。来年度どういう構想をお持ちになっているか、訓練所をどうふやすとか、訓練所の人員をどういう工合にふやしていくとか、指導員をどう養成するとか、その訓練所の、要するに訓練をする機械の設備内容をどうするとか、こういう問題についての、今年の状況と来年の状態をお聞きしたいと思うんです。  それから、その次の問題は、労働基準法の問題でございます。先ほども小柳委員から福岡の問題として出ておりました。出ておりましたけれども、実際問題として、労働基準法がどういう工合に運営され、適用されているのか、違反がどういう状況にあるのか、その違反の中心はどこなのか、そういう点をつぶさに報告していただいて、監督行政が足りないなら、来年度は監督官をどういう工合に増員してやっていくのかどうか、こういうこともお聞かせ願いたい。  それから、あわせて労働災害の問題でございます。労働災害が今どういう状況にあるのか、実際に安全衛生の立場から、事業元の努力事業主の努力によって救われる方法がとられているのか、政府はどういう指導をしているのか、こういう点もあわせてお聞かせ願いたいと思います。  それから賃金の問題でございます。賃金の推移がどうかということです。私も、この労働行政指標の中で、たとえば労働時間の問題を取り上げたときにやかましく言っておいたのですが、六十時間以上の就労者、それから三十五時間と五十九時間というようなところのワクをきめるのには、何でこんなことをしなければならぬのか、基準法で四十八時間をきめているのだから、三十五時間から四十八時間、四十八時間から五十九時間ということをおやりにならないのか、これも強く言っておいたんですが、最近もらっているこの資料では、そういうことがまだ改められていないわけでございます。こういう問題も、やっぱり過剰労働、それから労働災害の問題に関係をしてくると私は思うのでありますから、そういう点のお考え方や現状をお聞かせ願いたい。  ちょっと戻りますが、賃金の条項については、今お話がありましたから、くどく言いませんけれども、何といっても、私は、やはり最低賃金の問題や、それから今のような業者間協定というものが個々にできるのはいいけれども、もっとやっぱり働く者と使う者と、労働基準法の大原則として、労働条件は対等の立場できめるということに改善していかなければならぬのじゃないかということは、ここで議論するまでもなく、法律に書いてあるわけですから、そこらあたりをどう今後進めていくかということもつけ加えて聞いておきたい。  それから、最後の問題として、婦人少年労働の問題なんであります。この前にお聞かせいただいたのは相当古い資料であったのですが、最近の婦人少年労働の保護はどういう工合に進んでいるか、特に保母さんなんかの状況なんかも、調査がありましたら婦人少年局長からお聞かせを願いたいと思う。まだ抜けているところがあると思いますけれども、大ざっぱなところで、各局からおいでになっていますから、私は、具体的な情勢の推移、来年をどうやっていくかということをひとつ詳しくお聞かせを願いたい。そこでわれわれ社会労働委員会は、労働行政がどう動いていく、来年はどうしなければならぬかという問題をここで議論すべきである、こう思う。
  34. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 職安関係についてまずお答えを申し上げます。  第一番目に、石炭を中心とするエネルギー対策の問題それに伴う労働行政として離職者をどうするかというような問題でございますが、御承知のように、最近の情勢、あるいは石炭の常用労務者数は、ことしの九月末現在で二十一万九千人という状況でございました。昭和三十二年度末から比べますると、約九万人近い減少を示しておるわけであります。さらに最近の物価、資材等の値上がりの状況にかんがみまして、合理化計画を繰り上げるという必要に迫られておりまして、通産省の推算によれば、来年度末までには、これを十七万五千人に減らすような計画を進めざるを得ない、こういう状況でございます。  そこで、このような情勢に対応いたしまして、もとよりお話のごとく、根本的にはこのエネルギー対策をどうするかという問題でございます。そこで、政府におきましては、石炭関係の閣僚会議を置き、それから、その下に次官レベルの連絡会議を設けまして、いろいろそういう問題を各省連絡をとって担当する態勢で進んでおるのでございますが、その根本問題につきまして、やはり基幹産業としての石炭の需要をいかに確保していくかという問題、それから、あるいは関税をどうするかというような根本問題についてのめどが立たなければならないというふうに考えております。私ども労働行政を預かる者といたしましては、やはりその面からも、通産省、企画庁、大蔵省方面にもこういうような確固たる対策をすみやかに立ててもらいたいという話を、この連絡会議等においてしておるわけでございます。通産省におきましては、この問題について鋭意検討を進めております。そのため、民間の権威者を集めましたエネルギー懇談会等にも意見を聞いております。また、エネルギー懇談会の主要な委員に対しましては、各国の実情を調査してもらいたいという要請をいたしまして、有沢先生以下の委員が各国の情勢を見て最近帰って来られたわけでございます。そうして、それに基づきまして、目下いろいろな御意見をまとめられておるのでありまして、関税等の問題につきましても、ある方向についての結論は大体固まりつつあるような状況であります。私どもといたしましては、これらエネルギー懇談会等の結論を見まして、その御意見を尊重しながらこの問題についての結論を出していきたいと存じておるわけでございます。と同時に、現在の緊要問題として、石炭離職者に対する対策をさらに拡充強化しなければならないということは、これはきわめて必要な問題であります。本年度の臨時措置といたしましては、現在非常にネックになっておりますところの住宅等につきまして、雇用促進事業団の住宅のワクをふやす、あるいは移住資金のワクをふやすというような問題につきまして、とりあえず閣議決定によりまして、雇用促進事業団予算を三億九千万円ばかり先食いするという措置を講じたわけでございます。必要な予算措置はまた来年早々に講じなければならないと思っておるわけでございます。それと同時に、最近までの実情を見ますると、おかげをもちまして炭鉱離職者に対する広域職業紹介その他は相当円滑には進んでおるわけでございます。たとえば昭和三十五年度におきまして四千八百人、三十六年四月から九月に三千七百七十三人というような広域職業紹介状況でございます。また、県内の職業紹介による配置転換につきましては、三十五年度に一万四千人、三十六年四月から九月にかけましては七千八百人程度が配置転換しておるわけでございます。しかし、やはり最近の発生します離職者に対しまして、なかなかこれだけの施策だけでは十分でないということが考えられるわけでございます。特に問題になりますのは、ただいまも御指摘がありましたように、若年層の離職者については、比較的容易に配置転換が行なわれるのでありますが、中高年層の離職者につきましては、その配置転換というものは、言うべくしてなかなか行なわれにくい問題でございます。そのネックになっておりますのは、新しく雇用される場合の収入が、家族をかかえての中高年層にとっては、なかなか現在の求人条件ではやっていけないというような問題と、それから住宅の問題があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後におきましては、従来の広域職業紹介、それから県内の職業紹介の訓練体制をさらに拡充強化いたしますと同時に、従来の既成の観念にとらわれずに、新しい方法も考えて参りたい。すなわち、中高年層の再就職にあたりましては、雇用奨励を行ないますための新しい制度を考えて参りたい。それから住宅のワクはさらに大幅にふやして参りたい。それと同時に、職業訓練を受けますところの離職者に対するいろいろな待遇の問題につきましても、従来の観念にとらわれずに、さらに新しい考え方でこれを改善して参りたい。大体以上のような考え方で新しい対策を織り込みまして、来年度は離職者の円滑な配置転換につきまして十二分の努力をいたしたいと思いまして、目下大蔵省と折衝中でございます。  それから第二番目に、最近の雇用の推移と今後の見通しの問題でございますが、最近におきますところの雇用状況は、これは昭和三十六年は、九月までの数字が今はっきり出ておりますが、今年度の四月から九月を前年度と比べますると、十五才以上の生産年令人口は六千五百四十万から六千六百十五万、約七十五万人の増でございます。それから就業者は四千五百五十三万から四千五百八十八万人と、三十五万人の増でございます。その就業者の内訳を見てみますると、総数といたしましては三十五万の伸びでございますが、これを雇用の形態別に見まするときには、雇用者が七十五万人の増ということになっておるのに対しまして、自営業者は二十二万人の減、家族就業者は二十二万人の減、差引総数は三十五万の増ということでございまして、雇用者の伸びが著しいということが指摘されるわけでございます。それから、これを農林、非農林別に見まするときに、農林業では二十七万人の減少になっているのに対しまして、非農林業では五十七万人の増加ということになっているわけでございます。非農林業の中でも、雇用者の伸びが特に著しくて、八十三万人の増というような状況であります。雇用者の伸びの著しいということと、それから非農林業方面におけるところの雇用の増加が大きかったというのが実情でございます。来年度の見通しにつきましては、目下経済の見通しにつきまして、各省集まって作業をしておりますが、来年度におきましては雇用の伸びは約八十四万人という見通しを立てております。これは非農林業において伸びるという見通しでございます。最近問題になっておりまする問題点といたしましては、一面において新規学校卒業者等の若年労働力に対する求人が非常に多いわけでございます。求人は、たとえばことしの三月の卒業生について見まするときに、中学卒業者につきましては約三倍、それから高校卒業生については約二倍というような状況でございます。来年度の卒業の見込みにつきましては、中学卒等は今年に比べて相当増加が予想される、したがって、就職希望者も相当ふえることが予想されます。大体におきまして、来年度におきましては、中学、高校、大学等を合わせまして約百四十万人ぐらいの求職者があると考えておりますが、今まで求人側を集めていろいろ相談をしておりますが、大体中学卒についてはやはり三倍に近い求人があります。それから高校卒につきましては、これも二倍に近いような求人があるという状況でございます。最近の景気の動き等にも関連いたしまして、一部において若干求人の手控え等も見受けられますが、大勢は、やはり新規学卒者に対するところの求人は求職をはるかに上回る、こういう情勢でございます。それと同時に、もう一つの問題点は中高年層の問題でございます。新規学卒者に対するところの求人が非常に多いというのにもかかわらず、中高年層に対する求人というのは、求職と比べて少ないわけでございます。中高年層の就職状況の悪いというのは先ほど御指摘のとおりであります。したがいまして、中高年層に対するところの対策というものを、私どもといたしましては、今後十分に強化して参らなければならないと考えているわけであります。これにつきましては、たとえばまず民間に対して中高年層を新規労働力のかわりに適職に採用してもらいたいということを呼びかける努力を目下いたしておりますが、それと並んで、まず政府関係機関におきましてもそういう努力を率先してすべきであるという考え方で、政府関係のいろいろな公団、公社等の理事者の人たちと目下相談をいたしているわけであります。それと同時に、やはり中高年層の雇用を促進するための必要な資金の融資であるとか、そういう問題についても今後は考えていくことが必要な段階になっているのじゃないかと考えまして、目下検討折衝しているところであります。  さらに、それに関連いたしまして、定年制の問題というものがやはり今後大きく問題になるだろうと思うのであります。医学的に見ましても、従来の観念からするところの定年の時期と、最近の状況におきまするところの定年の時期というものはもう少し再検討を加えてもいいのじゃないかということをわれわれは感じております。最近この労働力不足というような面等がからみまして、民間の各企業等におきましては、定年制を若干延長するというような措置をとっておる会社が最近ぽつぽつ見受けられて参りました。私どもといたしましては、この問題は中年層の就職問題を解決する一つの大きな問題であろうと思います。したがいまして、目下、労働省に設置されております職安審議会等におきましても、このような問題についてひとつ検討を願いたいということで、目下検討をお願いしておるところでございます。  それから最後に、職安関係では失対の賃金の問題がございます。失対の労務者の賃金の問題につきましては、御承知のように、緊急失対法に基づきまして、同種労働者に対して支払われておるところの賃金よりも若干下回る額で定めるということになっております。この問題についてもいろいろな問題がございます。失対事業全般についての再検討が必要であるというような声も最近出ております。私どもはそのような線に沿って、失対事業そのものについても再検討をいたしたいと思っておるわけでございますが、この失対労務者の賃金については、現在の段階ではやはり民間への雇用を促進するという観点からも、現在の建前はさしあたりのところは変えないと、こういう考えでございます。ただ、民間におきまするところのいわゆるプリヴェーリング・ウェージが上昇をしつつある傾向でございます。来年度におきましても、この民間における同種労働者賃金、プリヴェーリング・ウェージの上昇に即応いたしまして、失対労働者の処遇につきましても引き上げを行なう、こういう観点で、今大蔵省と折衝をしておるところでございます。  以上、御指摘のありました問題点の中で職安の関係につきましての大要を御答弁申し上げる次第であります。
  35. 大島靖

    説明員大島靖君) 労働基準局関係の御質問の第一は、現在までの監督の実施状況、昨年度一年間監督の実施状況の概況を御説明申し上げますと、監督を実施いたしました総数は、二十六万八千事業所の監督を実施いたしております。その中で、定期監督は十三万五千事業所、申告によります監督が一万八千事業所、それから再監督が約三万事業所、それから安全監督が約四万事業所、その他の監督が約四万事業所、こういうふうな監督の実施状況でございます。全般的に見まして、違反の多い事項は、被害の防止、安全関係が非常に多い。それからさらに、労働時間関係の違反が、さらに健康診断の違反が多い、こういった状況でございます。それから、産業別には、たとえば製造業で申しますと、金属工業、機械的工業、印刷、製本、こういった業種に違反が多いと思われます。そこで、私どもの基準行政の基本的な目標といたしましては、私はここ数年のうちに日本の中小企業の労務管理の近代化を大幅に推進していきたいと思っております。何と申しましても、賃金、あるいは労働時間、あるいは後に申し上げます災害率、こういった労働条件の向上を中心として、しかも、それを個々的にやるのではなしに、総合的に労務管理の近代化という観点から進めていきたいと思います。さらに、こういった労務管理の近代化は、どうしても競争関係にある業界が全体として一斉に行なうということが非常に大事だと思うので、私どもといたしましては、大体全国的に押えまして約二千ぐらいの企業集団と申しますか、私どもの方では産地と申しておりますが、グループに仕分けいたしまして、これにやはり労務管理近代化の一定の年次計画をもって強力に進めて参るという形をとっていきたいと、かように考えております。そういった関係で、来年度相当な予算の要求もいたしておりますし、私ども行政としましても強く進めて参りたいと考えております。  第二の御質問は、災害関係でありますが、本年に入りまして一月から八月までの結果を集計いたしてみますと、死亡者は、昨年の一月から八月までの死亡者は三千五百六十一人でありまして、本年一月−八月までには三千九百二十一人で、三百六十人の増加になっています。それから、休業八日以上の災害は、昨年が二十七万八千人に対しまして二十八万五千人、約七千人の増加になっております。こういうふうに災害件数といたしましては、本年に入りましてなお増勢をたたないのであります。なお、労働者が御承知のとおり非常に増加いたしておりますので、災害率で見てみますと、私どものほうでは災害の千人率という言葉で申しておりますが、千人の中で何人の事故があるか、これは三十四年が四五・六、三十五年が四二・四、さらにことしの一月から八月までで年間を推算いたしてみますと、三九・二というふうに、災害率といたしましては逐年低下して参っております。しかし、なお絶対数が増加しておりますことははなはだ遺憾なんであります。この点で、今後とも災害防止の努力を続けたいと思います。  その中で特に重要だと思われる点は、一つは大企業に比べまして中小企業災害率が異常に高いということであります。やはり災害率にいたしますと、大企業の倍程度になる。この中小企業災害防止を私ども行政の最も重点といたしたいと考えております。先般来当委員会の非常なお骨折りによりまして、中小企業の安全施設整備のための特別融資の制度が九月から発足いたしたのであります。十月の状況を見てみますと、発足早々にかかわらず、比較的順調に申し込みもあり、すでに大体融資の決定いたしましたのが三千万円程度であると思います。その後も非常に伸びておりますので、この制度が活用されて、ことにこの制度ができますと同時に、私どものほうとしては中小企業の安全パトロール制を実施いたしまして、昨年の安全監督の約倍数の監督を実施する計画で、すでに着手いたしております。この安全パトロール監督とこの融資制度と相並んで、中小企業災害防止に努力いたしたいと思います。  それから、第二の問題点は、重大災害の問題なんでありますが、重大災害は、一昨年が最高でございまして、年間三百三十八件の重大災害がございまして、三十五年は三百二件と若干減少いたしております。それから、本年は、先ほど申しましたような形で年間推算してみますと、二百六十五件程度になるんじゃないかと思われますが、三十四年を頂点といたしまして年々減少はいたしておりますが、ただ、何と申しましても、約三百件の重大災害がありますと非常に問題でございます。この重大災害の防止にもさらに力を入れたい。  それから、最後に、私ども一番心配いたしておりますのは、先般も金属工業、機械器具工業の災害情勢をつぶさに調べてみますと、災害の約四六、七%というのが新しく職場へ入りまして一年未満の方々でございます。これは必ずしも新規学卒者にとどまらないわけでありますが、新規学卒者が大半でございます。こういった新しい職場へ入りました未経験工、この災害防止が特に重大だと思いますので、私ども来年度はこの点に極力力を入れていきたい。すでに、来年の春卒業いたします学卒者に対しましても、卒業の前後を通じまして安全教育を強く進めたいと、かように考えております。  以上、基準局関係の御質問二点のお答えでございます。
  36. 谷野せつ

    説明員(谷野せつ君) 谷野でございます。ただいまお尋ねのございました婦人や年少労働者の保護につきましてのお答えを申し上げたいと存じます。  婦人少年局におきましては、年少者や婦人労働者の保護の労働基準法の施行の部分につきましては基準局にお願いいたしておりますので、私どもはそれから離れまして、調査と啓蒙と、それから申告、相談の過程を通して労働保護をはかるように努力をいたしております。たとえて申し上げてみますと、調査の過程におきまして、従来から年少労働者につきましては特に産業別に年少労働者の労働条件の現状を調査いたしまして、たとえば印刷あるいは漁業に働いている労働者とか、各種の産業を選びまして調査を実施いたしまして、調査の過程におきまして、労働基準法との関連におきまして、あるいはその他の保護の面におきまして問題がございますようなときには、基準局と話し合いまして、あるいはまた使用者とお話し合いの機会を設けまして、さらにまた、年少労働者の保護運動を一年に一回実施いたしておりますので、このような機会を通しまして、広く社会の理解を得ることに努めることによって労働条件が上がり、保護がされていくように努力をいたしているわけでございます。また、婦人労働者におきましても、特に最近は進出の著しい業種もございますので、たとえば事務の部面でございますとか、そのほかの産業につきまして調査を実施いたしまして、年少労働者の保護と同じような過程を通しまして使用者の理解を深め、また社会の理解を深めるように努力をいたしているわけでございます。また、啓蒙につきましては、特に労働組合の皆様の御意見を一年に少なくも二回ぐらいは伺うことによって、現在労働保護の問題、その他婦人労働者の地位につきまして問題がある実情を伺いながら、その点を考慮に入れまして啓蒙の企画なども立てるようにいたしているのでございます。  また、私のほうには地方婦人少年室を通しましていろいろ申告をされることもございますし、また労働者の方が御相談においでになることもございます。そこで、その申告を受けましたような場合には、室長が独自に調査に参ることもございますが、基準局に連絡をとりまして協力をいたしまして、その事業場に起こっている労働保護の問題について解決をするように努力をいたしているわけでございます。特に年少労働者の問題につきまして、比較的保護のおくれております、また企業の形からたいへん気の毒な状態にあります中小企業につきまして、婦人少年局では、特にこの労働の実情を、具体的に労働条件を上げて福祉をはかって参りますために、商店等が大体主体になるのでございますが、年少労働者福祉員を中小企業企業組合にお願いいたしまして、自主的な考え方におきまして、積極的に年少労働者の状態の改善をするために努力をお願いいたしているわけでございます。たとえば、私どもといたしまして、この年少労働者福祉員に年少労働者の保護のための法律の理解のないところから、理解が行き渡っておらないところにも問題がございますので、十分この理解を深めるために法律の知識をお話しいたしましたり、あるいはまた健康診断のための積極的の手だてに対しての考え方を御相談申し上げましたり、そのほか福祉の問題につきまして自主的に考えていっていただくようなことのために、年少労働者福祉員をお願いをいたしまして、現在全国に約八千人くらいの方がそれぞれ活躍をいたしているわけでございます。このような方法を通しまして、婦人や年少労働者の保護につきまして、婦人少年局におきましては労働基準局協力をいたしながら仕事を進めさしていただいております。  その次に、お尋ねのございました保母さんの労働条件の問題でございますが、婦人少年局といたしまして、この保母さんは専門的な知識や技能が必要である専門的な職業であります。にもかかわらず、割合にそのような立場からいたしますと賃金も低い者もございます。これはやはり保母さんという職業がどうしても婦人ばかりの職業でございますし、仕事の性格がサービス的な仕事でございますから、やはり仕事の性格からいたしまして、どうしても条件を上げることがおくれている職業でございます。このような立場にございますので、私どもといたしましては、この保母さんの職業ができるだけ専門的に、そうして保母としての職業の地位を高めるために、どのようなお手伝いができるかということを婦人の職業対策とし考えて参ったのでございます。そういう点から、かねがね保母さんの職業上の地位を高めますために、現在働いておられます保母さんの御意見も伺いましたり、また使っていらっしゃる施設の使用者の御意見も伺いまして、現在保母さんの条件といたしましては給料の問題もございますが、また仕事の区分の問題についてもはっきりしていないような問題もあるというようなことがわかったのでございます。そこで、私どもといたしましては、この問題をできるだけわかっていただくために、小さな資料にまとめて、施設の皆様にわかっていただくように報告をまとめたのでございましたが、私どもといたしましては、このような調査並びに資料を皆様に差し上げながら、かつ、社会福祉審議会と協議会の皆様と連絡をとって保母さんの職業上の地位を上げますために努力をいたしているような情勢でございます。できるだけ婦人の職業として保母さんが安定して、そして専門的な能力を傾けることのできるような職業にしたいと努力をいたしております。
  37. 三治重信

    説明員(三治重信君) 訓練、養成の関係につきまして御説明申し上げます。訓練予算関係でやっております一般職業訓練、それから身体障害者の総合職業訓練、合わせて年間約今年度六万人の訓練定員、来年度はそれを約五千人ほどふやした定員で六万五千ですね、現在三十六年度で六万人の定員を五千人ほどふやしまして、六万五千人の訓練定員でやっていきたい。それから、事業内訓練につきましては、現在定員が約三万八千人でございますが、来年度四万二千人程度でやりたいということでございます。  それで、まず第一に取り上げますのは、やはり一般の総合におきましてもまだまだ施設が不十分でございますので、その施設を改善したいということでございますが、来年度の予算要求といたしましては、一応そういうものを含めて新設、拡充ということで予算要求をいたしまして、現実の実行の場合において、現在の施設の悪いところをスクラップしてやる。そして建設し直していくという考えを持っております。それから、事業内訓練につきましては、現在、今まで労働省といたしまして施設関係経費をほしいわけであったのですが、入りませんでした。それはやはり共同養成体の基礎が財産的な管理として非常に不十分というような大体の結論でありますので、来年度以降は県並びに市町村が共同養成体、数個の養成体が共同して利用できる共同養成のための訓練施設というものを、県並びに市町村立ということで、それを共同養成体が使用する、そういう施設の補助を一つ新規に考えております。  それから、現在の教材、指導員が非常に不足しておりますので、この指導員の質の改善のための訓練もさることながら、やはり普通の人でも、普通の指導員がもう少し訓練方法を向上するために、やはり指導要領、また教科書の改善、それから視聴覚教材の整備をして、指導しやすいように訓練方法の改善のための、これは予算的にはそれほどたいしたことはございませんが、各種の専門家を集めて委員会を作りまして、そうして教材、資材を整備して訓練水準の向上をはかりたいと考えております。  それから、検定の関係につきましては、現在三十六年度で、一級、二級で約六万人の受験者がございました。ことし十二職種でありますが、来年六職種新たに加えますとともに、また二年、三年置きにやる職種もございます。来年十八職種の検定をやる。その受験人員は大体約八万人程度になるんじゃないかというふうに考えております。この検定につきましては、いろいろその検定の試験場の問題につきまして、いろいろそういう検定センターなり、検定の専門の試験場を作ってほしいという要望もありましたけれども、これには非常な金がかかるし、実際問題として、年一回の試験で、施設ということになりますというと、十八職種やってもなかなかそれが利用できない。また、現在の試験場の関係を見ましても、訓練場の施設あるいは事業所の施設なりいろいろのところを使っておりますが、そういう部面を考慮いたしまして、訓練所の施設も試験施設として十分利用できるように、施設の関係を主として、訓練センターを作るかわりに、そういう特別試験場に使う訓練所につきまして、機械、設備を充実するという方策でやっていきたいと思います。それからさらに、新規の項目といたしましては、国際交流の関係——東南アジアやアフリカ関係の経済発展途上にある諸国の技能訓練につきまして、国際交流を果たすために国際訓練センターを作りたいという予算要求をしております。  それから、現在の訓練の内容でございますが、先日も各ブロック別に訓練所長会議を開きましていろいろやりましたが、ある職種については定員が非常にオーバーする、ある職種については非常に不足しているところがあります。したがって、われわれのほうとしては、さらに、先ほど職安局長が御説明しましたように、新規学卒は非常に引っぱりだこでございますので、また、そういう新規学卒が望ましい職種、これはおもに非工業的な職種——建設関係とか一般の手工業的な職種についての訓練希望が非常に少ないわけでございますが、そういう企業につきましては、やはり実際の就職条件から、あるいは将来の独立生計ということから考えても、転職者に、中高年令者に非常に適当な職種がありますので、そういう面につきましては転職訓練を中心に進めていきたい。この転職訓練につきましては、失業保険の受給者につきましては、一年間の失業保険の受給があって生活の手段が一応解決しておりますので、訓練手当関係につきまして、もう少し手当を増額するような方策で交渉してみたいというふうに考えております。  非常に簡単に御説明いたしましたのですが、以上のような構想を持っております。
  38. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 最近の賃金の推移と労働時間の組み方について、賃金は昨年に引き続きまして、ことしに入りましてもかなり順調に伸びてきております。特に五月以降におきましては、上昇率が急になってきているように見られます。昨年は毎月、勤労統計の結果によりますと、調査産業総数で六・九%の上昇でございましたが、ことしの五月以降は対前年同月比が一割ないしそれを上回るくらいの上昇になってきておりまして、最も最近の月であります九月の対前年同月比を見ますと、一三・三%の上昇になっております。なお、製造業を取り出しましても、ほぼ同じような動きをしておりまして、製造業の九月における賃金の対前年同月比は一三・六%になっております。このような賃金上昇の主たる原因といたしましては、初任給の上昇、定期昇給、ベース・アップの実施、さらに夏における賞与の増、こういうものがおもな原因のように見受けられます。特に初任給の上昇は、中小規模のところほど大きくなっておりまして、その結果、規模別の賃金上昇率について見ましても、ことしの一月から九月までの平均をとりまして前年の同期と比べてみますと、五百人以上の規模の賃金上昇率は七・四%でありますが、百人から四百九十九人の規模では一一・五%、三十人から九十九人の規模では一二・八%、五人から二十九人の規模では一二・七%という状況になっております。したがいまして、昨年起こって参りました規模別の賃金格差の縮小傾向はことしに入りましても続いておるというふうに見られます。なお、消費者物価が上がっておりますので、今申し上げました名目賃金の上昇率は、実質賃金に直しますと若干割り引きされます。ことしの九月における消費者物価指数の対前年同月比は五・一%の上昇でございますので、実質賃金の上昇率は約八%と相なります。大体賃金のおもなる動きはそのような状況でございます。  次に、私どもが出しております労働経済指標に掲載しております労働力状態の中の週間合計就業時間別就業者数の就業時間の区切り方の問題でございますが、前の臨時国会におきまして藤田先生から御指摘いただきました点はまことにごもっともな御意見でございましたので、われわれその後も何とかしてこれを盛り込みたいと検討しておるわけでございますが、全体としてスペースの問題もございますので、この三十五時間から五十九時間という区切り方を、三十五時間から四十八時間、それと四十九時間から五十九時間、こういうふうに二つに分けてみたいと思って検討いたしておりますが、そういたしますと、そのままですと二欄にふえるということになりますので、どこかの欄を落とさなければならなくなってくるわけでございます。そこで、週六十時間以上というのを落とすことも考えてみましたが、このように過重な就業時間のものも掲載しておくことも意義があるのではないかと思いまして、ほかの省略できる項目等もただいま検討しております。できるだけ早い機会に改正いたしたいと思っておりますので、御承知のほどをお願いいたしたい。以上でございます。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと今の、今年の九月の現状で資料があったら言って下さい。今の三十五時間から四十八時間、四十九時間から五十九時間、わかりますか。
  40. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) わかります。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとそれだけをお願いいたします。
  42. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 九月の数字で申し上げますと、農林業から申し上げます。三十五時間から四十八時間までの就業者数は三百十三万人でございます。それから、四十九時間から五十九時間までが三百三十万でございます。それから、非農林業の方に参りまして、三十五時間から四十八時間までが千百十四万、四十九時間から五十九時間までが八百六十七万でございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 婦人局長質問をいたします。先般福岡調査に参りましたときに、少年婦人室長からの報告を聞きますと、福岡県の場合に定員五名で、年間予算三十五万円くらいで行動しておるということで、今炭鉱不況によって少年問題並びに婦人問題が山積しており、非常に重要な段階で、定員の問題も予算の問題もまことに少ないというように受け取りました。全国的な少年婦人室の動きについて、まずひとつ御答弁願って、特殊な県について今後どのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
  44. 谷野せつ

    説明員(谷野せつ君) ただいま福岡の室の定員並びに予算につきまして御心配いただきましたのでございますが、私、総括的なところから御説明申し上げたいと存じます。婦人少年室定員につきましては現在百八十八名でございます。昭和二十二年の九月一日に婦人少年室が設けられましたときには三百十三名でございましたが、その後三回にわたる行政整理で、一時は百六十四名になったのでございます。その後、昭和三十三年の四月と三十五年の三月に、皆様の御心配によりまして室に臨時の職員が入りまして、今年の四月一日にこの八十四名の臨時の職員が定員化になりまして、おかげさまで百八十八名の定員回復いたしたのでございます。全国の室の人員の配置の状況を申し上げてみますと、五人の定員が四室ございまして、東京、愛知、大阪、福岡でございますが、その他の室は四人という状態でございます。おかげさまで、非常に少なくて困っておりましたところを、二回にわたる増員によりまして幾分もとに回復することに近づきまして、私どもとしては勇気百倍して一生懸命努力をいたしたいと思っているのでございますが、この室の定員のたいへんな不備なところを補います意味におきまして、地域で室の事務を受けていただく協助員制度を設けたのでございます。この協助員が、全国に二千五百人配置されておりまして、室の意を受けまして、それぞれ地域におきまして、室の末端の機関として助けていただいているわけでございます。  こういう人員の配置でございますが、次に室の予算でございますが、実は室の予算昭和三十五年と三十六年を比較いたしてみますと、一府県当たり、一室平均年額、たいへんわずかでございますが、三十五年度より三十六年度は五千二百十八円だけふやしていただいたわけでございます。つまり、三十五年度は五十三万二千二百八十二円でございましたが、三十六年度は五十三万七千五百円で、都合五千二百十八円一室当たり増加ということになりました。幾分ずつは、室の予算をふやしていただいているのでございますが、なお協助員の経費におきましては、一人手当年間一千円であったのでございますが、五%の削減がございましたので、現在年間九百五十円のお礼をいたしておりまして、この金額も含めまして、八百七十六万九千円の予算で活躍していただいております。  大体、現状は以上のような情勢でございます。
  45. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連。局長さんから、さっき保母の問題についての御説明がありましたが、どうも少し御理解の不十分のような印象を、私は受けております。たとえば低いものもあるというような表現をされておりましたが、みんな低いのですよ。それで、実は地方婦人少年室が、保母のいろいろな会に出られて、いろいろと啓蒙しておられる努力については、私も敬意を表します。ただ、基準局にも関係してきますが、労働基準法の八条の十二号の職にするか、十三号の職にするか、これは保母さんに全体の意見としては、十二号の教育職を望んでおる。ところが、労働省から厚生省と連絡のもとにきめられたのは、十三号の、つまり医療職、看護婦職、それと同じような扱いをしている。そこで、私はこの点について、あなたは保母さんに、あるいは労働組合意見も聞いておられるということですが、これに関連して、実はあの十二号と十三号とは、労働時間の制約といいますか、最大の時間の制約が示されておって、十三号の場合には、九時間までの労働を認めるということになっております。ところが、一般の保母さんたちは、これは九時間までの労働を認めることであるにかかわらず、保母は九時間働かなければならぬ、八時間労働でなくて九時間労働であるというふうに誤解している向きが多いのです。こういう点は、今までの、実際は保母さんの平均労働時間というのは九時間どころじゃないのですよ。朝は、母親たちが職場に出かける前から子供を預かり、職場から帰ってくるまで子供を引き受ける。そういう点で非常に長い労働時間です。したがって、非常にこの十三号にきめられたことについて、九時間労働を耐えなければならないというふうな誤解が非常に強い。私は、せっかく婦人少年室でこの問題を取り上げておられる以上は、そういう点も正しい啓蒙をひとつしていただきたいと思う。このことは去年以来、基準局長にも十二号の扱いにするか、十三号の扱いにするかについて、たびたび私も質問してきましたが、その結果十二号になったことに関連して婦人少年局長並びに労働基準局長両方からこれについての今後の啓蒙並びに今後の取り扱いについて、この際伺っておきたいと思います。
  46. 大島靖

    説明員大島靖君) 保母さんの問題あるいはこれを含めまして社会福祉関係施設全般の労働条件ないし労務管理の問題につきましては、かねてから坂本先生に非常な御尽力なり御配慮をいただいているわけでございます。私どもも、保母さんの関係を含めまして、社会福祉事業施設全般につきまして、全国的にただいま調査を中心といたしました監督を実施いたしております。今までのこういった施設の労働条件、労務管理の問題では、何と申しましても賃金の問題であり、時間の問題であると思います。で、今、御指摘のとおり、保母さんにつきましては、事業の種類としましては、事業実態からいたしまして十三号と決定いたしたわけなんでありますが、ただ、全般の労働時間がやはり非常に長いということはいなめないと思うわけなんであります。したがって、これをいかにして逐次短縮していくか、また賃金の問題にいたしましても、いかにしてこれを上昇していくかということが問題だろうと思うのであります。結局いろいろ突き詰めていきますと、社会福祉事業経営と申しますか、それに対する補助金の問題、あるいは社会福祉の施設の基準の問題に突き当たるわけなんであります。そこで、私どもも、厚生省並びに社会福祉協議会、この方面と先般来もしばしば会合を持ちましていろいろ検討をいたしております。ただ、何分予算のことであり、定員のことであるので、なかなか一挙に実現は困難とは思いますけれども、社会福祉事業関係補助金あるいは福祉施設の基準、こういった定員関係、こういうものを解決していきつつ、同時に現在私どものほうでも、婦人少年室協力いたしまして集団指導を実施いたしておりますが、労務管理の近代化、特に今申しましたような賃金とか労働時間についての労働条件の向上をさらに進めていかねばならぬと思います。非常に困難ではありますけれども、ぜひともなるべく早い機会にこれを逐次向上していくという努力を懸命にいたすつもりでおります。
  47. 谷野せつ

    説明員(谷野せつ君) 私どもも、基準局長がおっしゃられましたことと同様に、この保母さんの待遇の状態を改善いたしますにつきまして突き当たります壁は、やはり補助その他とも関連いたしますので、なかなかこれを進めますのに困難だと思っております。ただ、私どもは、この婦人の労働の問題といたしまして、ただいまの時間の問題につきましては、一つの考え方として、作業の内容が、はたして保母さんとしての専門職がおやりになる仕事以外のものも、保母さんがやっていらっしゃるのではないかというような気持もございますので、作業をよく分割いたしまして、可能なところはほかの方とシフトしていって、労働時間を短かくすることができるのではないかというようなことも今研究しながら、社会福祉問題対策協議会などとも今後お話し合いを進めて、実際に保母さんの労働時間の考え方に対する使用者の考え方と同時に、このような方法を通しまして、労働時間を短縮するようなことに努力さしていただきたいと思っております。
  48. 小柳勇

    小柳勇君 私は質問は終わるんですが、要望です。さっきの御説明によりましても、予算でも定員でも、あまりにもお粗末で、それで年少労働者の福祉あるいは婦人労働者の保護相談などというものについて、おそらく局長も十分でないと思っていられるでしょう。現地にある室の皆さんも、相当最善を尽くそうとしてもなかなかできない情勢。したがって、ちょうど予算編成期でもありますし、もっと徹底的にひとつ労働省のほうで、定員の問題なり、予算の問題について、大蔵省に極力主張されて、もう少し、ある以上は、実質上動けるようにしなければならぬと思うのです。ただ名目上、定員が二百四十九名ございます。八十四名ふえましただけでは、もう有名無実になりまして、こんなものは要らぬということになってしまいます。ひとつもっとがんばってもらう。  それから協助員九百五十円の手当ですか、これはほかのたとえば司法保護の問題など民生委員の問題などとも関連ございましょうか、あまりにお粗末で、電車賃にも足らない、こういうことで、お願いいたしておりますから、二千五百人配置いたしておりますからということでは、ほとんど有名無実ではないかと思います。それからさっきの年少労働者の福祉委員にいたしましても、八千人におられましても電車賃もやらなければ動けない。ただ手当も支給しないでお役所の仕事をさせようとすると、結局それが遊び半分と言っちゃ失礼でありますけれども、ひまのある御婦人方が、労働行政におせっかいするような結果になってしまってかえって困る。だからもっと十分の措置をしていただいて、十分な行政指導なり、あるいはその他の対策を立ててもらいたいと思います。福岡県におきまして、御存じでありますように、山元に行きますと、子供の教育にいたしましても、あるいは年少労働者生活についても、まことにみじめであります。特に婦人労働者もみじめでありまして、御存じでありますから、うんと今度の予算編成の時期にひとつ局長戦っていただきたい。次官もいらっしゃいますし、ひとつ十分お願いして、戦っていただきたい、要望いたしておきます。
  49. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 時間をせかれているようですから、今までのお話しについて少しお聞きしたいのですが、その前に日米合同会議が先月初めに、二、三、四ですか開かれたわけでありますけれども、私はどういう点労働省としては考えてこれに出られたか。大臣がお見えになっておりませんから非常に残念でありますけれども、どうも経済の面からいって、労働行政には直接関係ないと思いますけれども、アメリカ側はやはり大成功だったといって帰ったわけです。本来の目的からいえば、貿易のアンバランスをどう是正するかということが、第一の大きな目的だったと私はそう思っております。この問題は議論いたしませんが、何かうやむやのうちに終わったような感じを国民は持っている。特にあすこに労働省が日本の賃金は安くないという資料をお出しになった。で、そういう資料は私たちいただいていないわけですから、これはもっと委員会が開かれた冒頭にお出しになってしかるべきものだと、私は思っておったのですけれども、出ていない。そこで安くないというこの感じ、そこで言われた、どういうところに問題の主点を置いてお話しになったか、ちょっと日米合同委員会のいきさつ、動き、その他について関係者からお話を承りたいと思っております。
  50. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 日米合同委員会に出した賃金関係につきまして、詳細は担当の部局から御説明申し上げますが、いきさつにつきましてごく簡単に申し上げます。  御承知のとおり、池田総理が渡米されました際に、この話の端緒ができまして、その後事務当局間でいろいろ打ち合わせをいたしまして、両国のトップレベルの大臣が、年一回ずつ顔を合わせて意見を交換することは、非常に有意義ではなかろうかということで、この十一月に第一回が開かれることになったわけでございます。先例は、アメリカが数年前からカナダとの間にやっておりまして、意思疎通という点で非常な実績を上げておる由でございます。そういったようないきさつでございますので、当初からこの委員会は必ずしも具体的な結論を出す、当面の具体的問題について一々取り上げて結論を出すというよりは、そういった懸案事項を今後両国間で処理するについて、両国の政治家が、相互の理解、お互いに知り合って、またお互いにその国を見て、よくその事情をのみ込んでおくということが必要であり、役に立つ、望ましいというような趣旨で開かれたものと承っております。  で、会議は十一月二日から四日まででございまして、大体内容は御承知のとおりでございます。労働関係では、先方から労働長官並びにウィーバー次官補が参りました。こちらは労働大臣以下労働省の者が出ました。労働関係事項といたしましては、御指摘のありました日本の労働生産性及び賃金についてという事項のほか、後進国経済協力の大きな部分としての技術援助並びに両国の労働関係者の人事交流という点が、労働に関しましては主要な討議内容となったわけでございます。私ども会議の席上には入れなかったのでございますが、いろいろな点で稗益するところの多かった会議であるというふうに承知いたしております。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今石黒さんが言われたアウトラインは、われわれもわかっておるわけなんです。だから私の今言っておるのは、前段の議論はやめましょうと言っているのだから、日本の賃金は安くないということを出されたその根拠は那辺にあるか、労働生産性云々ということを言われました。それならそれを一つあげて、私は質問してみたいと思う。ただ、どういうことで日本の賃金は安くないというのを出されたか、私たちに見せていただきたい、内容を説明していただきたいというのです。
  52. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 具体的な点につきましては、担当部局から御説明申し上げますが、日本の賃金がたいへんに高いのだということを主張したという趣旨ではございません。しかし、アメリカの労働組合あるいは業者団体が、日本の低賃金を理由として輸入排斥運動をやっておる。しかもその言うところは、非常に誤解に満ちたものである。したがって、彼らの言うがごとき低賃金では絶対にございません、こういう趣旨の説明をいたしたわけでございます。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも、あなたのお話を聞いているとよくわからない。何が何やらよくわからぬ。だからそれには具体的な資料がなければ説明できないわけでしょう。そうでしょう。ただ抽象論で、日本の賃金はそうあなたが言われるほど安くありませんという、その表現の仕方にもいろいろある。あえてアメリカが、日本はアメリカの賃金の十五分の一だと、いやそうではありません、そんなに安くはありませんといって十分の一でありますという言い方もあるわけなんだから、安くないというのは、一般的な日本の産業のレベル、たとえば欧州と比べてみて、機械産業、製造業労働者賃金というものが、同じような労働内容をもって、この労働賃金が那辺にあるということの説明があってこそ、初めて具体的に安くないという立証ができるわけです。十五分の一か、十分の一かなんていうのは議論には、話にはならぬわけです。そうでしょう。だから、どういうことなんですか。
  54. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 数字の点につきましては、私も一応資料をもらって勉強しておりますが、不正確にわたりますといけませんので、統計調査部長から……。
  55. 大宮五郎

    説明員(大宮五郎君) 私は箱根にはついて参りましたけれども、会議の席上には入れない方の下っ端でございますので、十分詳細ないきさつはわからないのでございますが、ただ資料の作成につきましては、事務的に協力いたしました者の一人でございますので、私のお答えできる範囲で御説明申し上げたいと思います。  先ほど国際労働課長から話がありましたように、アメリカとしましては、日本の賃金の資料はILOの統計年報その他アメリカ自身もすでにデータを持っておりますし、賃金が幾らぐらいになっておるとか、あるいは為替換算でアメリカの賃金と比較すれば、どのくらいかとかいうのは、すでに知っておるわけです。そこで、そういう知識の上に立って日本の賃金事情をもっと知りたいと、こういう要望のようでありましたので、私どもといたしましては、日本の賃金事情というものは、欧米の事情とだいぶ違う特徴点をたくさん持っておる。その点を十分のみ込んでもらうことが、日本の賃金に対する各種の判断を加える場合に役に立つのではないか、こういう趣旨で資料を作ってみたわけです。  資料の内容につきまして大体の要点を申し上げますと、第一点は、日本の労働事情は、戦前とかなり変わってきておる。依然として戦前におけるような状態を頭に置いて考えたのでは、先入観としての誤解がどうしても残る。そこで戦後いろいろな立法や、あるいは労働組合の組織の発展等、事情の変更のあった点をまずのみ込んでいただくこと、これを第一点としたわけでございます。  それから第二点といたしましては、これはわれわれが申し上げるまでもないことなんでありますが、賃金の国際比較というのは、非常に技術的にむずかしい問題をたくさんはらんでおります。そこで、為替換算でいろいろ比較するというようなことは、これはもうわれわれが資料を出さなくてもわかっておることでございますから、そういう日本の賃金の水準等を考える場合には、国民所得の水準との関連、つまり日本の国の経済力がどこまできておるか、生産性がどこまできておるか、それに見合って賃金がどのような状態になっておるか、そういう角度からもう少し資料を提供しておく必要があるのではないかという点が、第二点でございます。  それから第三点は、賃金と申しましても、所と時が違いますと、ずいぶん範囲が違って参ります。そこで、外国で賃金といえば、ウェージ・レートといったものが確立しておりますが、そういう考え方で日本の資料を見ていただくと、いろいろ誤解が起こる。そこで、日本にはいろいろの特殊な慣行がございますから、そういうものも含めて全体の賃金の範囲をどういうふうに合わせて比較すれば、範囲としてほぼ近いものにいけるか、その際の日本の特殊な慣行がいろいろあるということを説明したのが第三点でございます。  それから第四点といたしましては、日本の賃金の決定の仕方というものは、欧米諸国とかなり違うものがある。したがいまして、またその結果として、いわゆる賃金構造というものもずいぶん違っておる。で、個々の産業の賃金などを比較する場合には、そういった日本特有の賃金の決定の事情とか、その結果としての賃金構造の特殊性などを十分考慮に入れた上で考えてもらう必要があるという点を説明したのが第四点でございます。  で、最後に、日本のそのような各種の特殊事情も、最近、経済の発展、あるいはまあ、労働力需給関係の変化等の過程で、だいぶ変わってきつつある傾向も見えておるという点もつけ加えました。そうして、こういう賃金問題の点から、輸出について各種の制限を設けるようなことは、日本の経済の発展上困る。日本の賃金をさらに今後よくしていくためには、輸出について十分協力してもらいたい、こういう趣旨でございまして、もっぱら日本の特殊事情ということについて、十分理解のない外国人にそれらを説明する、こういうのが趣旨になっておるものでございまして、わが国の国内自体の賃金問題を云々するという趣旨は、したがって入っておらないわけでございます。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その、あなたの今おっしゃったこと自身は、日本の賃金というものが、いかなる状態にあるかという説明をされたのだと私は思うのです。一つは貿易に関して、この問題がどう日本の立場を説明するかというところに、むしろ主点があったと思うのですけれども、しかし、新聞で発表されておる限りにおいては、日本の賃金は安くないのだ、こういう印象をPRした結果にもなっておるわけです、国民の前にはね。で、私はいかに日本がうまく説明しようと、日本の賃金というものが労務対策を主にしていろいろの要素、雑多な手当その他をもって構成したり、福祉行政という格好の問題が加わわったりしていることは、これは事実でございます。しかし、それはやっぱり近代化していくというところに、労働行政としての指導がむしろあるべきであると思うんです。もう一つは、ああいう印象を国民に振りまかれたというのでありますから、労働省の考え方自身、お書きになったその作文はいただきたいと私は思います。それで、大いにひとつ労働省の御意見を理解したいと思います。これはひとつお願いしておきますけれども、しかし決定的な問題は、何といっても、今日ここで今議論して参りましたけれども、やっぱし政府じゃなしに、日本の使用者のとっている、経営者のとっているものの考え方自体に、決定的な問題が私はあると思う。またそれを政府が直そうとしていないところに、問題の主点があると私は思う。たとえば労働生産性に対して、賃金の上昇率を同じにして物価横ばいというこの大原則で景気変動を防いでいくというのが、今日の外国、特にヨーロッパの各国の姿ではないかと私は思う。それから見てみて、日本の生産性と賃金の上昇というものが、名目は上がりましたけれども、実質は困難だというような説明をせざるを得ないというような格好ですね、こういうところに私はもう根本の原因があって、労働行政としては、今後そういう大筋を直していくべき問題では私はなかろうかと、こういう工合に考えておるわけでございます。ですから、何と説明しようと、私はその説明をしたということにおいて、日本の賃金は安くないという格好で国内にPRしようと、それは本筋を突いていないのではないかと私は思うのです。たとえばアメリカと日本との貿易帳じりを見てごらんになっても、すぐわかると思うのです。昨年は輸出が十一億ドル台で輸入が十六億ドル台、ことしの一月から七月までの日本の輸出は五億四千万ドルでアメリカは十一億九千万ドルという、倍以上の片貿易になっている。これが何ら是正される姿で結論をつけたのでなしに終わっているということは、単にその場だけで説明をするというような態度でなしに、やはり賃金が安くないということを公言をするなら、公言するようなかまえを、私はやはり労働行政の中で指導していく、こういうことでなければいけないのではないか、私はそう感じておりますから、説明されたことは、私はまあそれはそれなりに労働省の作成されたことですから、ここで少し私の意見を言わしてもらったわけですけれども、その作成された作文をひとつ見せていただきたい。大いに研究をさしていただきたい、こう思うわけです。よろしゅうございますね。出していただけますね。
  57. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  58. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を起こして。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 先ほどからお話がありましたけれども、たとえば職安局長は日雇いの問題について研究をする、しかし賃上げは交渉しているのだと、こうおっしゃった。けれども、どれだけどういう工合に検討をしようとしているのか。たとえば緊急失対法の八条、十条のあの問題をどうさわっていくのか、PWの問題をどういう工合にさわっていくのか、それとの関係と、もう一つ失対労務者の問題にまで私は入っていかざるを得ないと思うのです、検討ということになれば。ある程度の腰だめをもって検討されていることだと思いますが、そういう点が一つも明らかにならない、そうして賃上げを交渉しているというのは、どういうかまえで予算を組んでやっているか、それもひとりお聞きしておきたいと思う。  それから職業訓練ですけれども、この労働指標、これを見てみても一般常傭工は一七%ですね、就職になったのが求職と求人との関係で。だから私はやっぱり職業訓練というものがいかに必要かというのは、これはあなた方も私たちも今の企業、生産しているところにおいてはみな共通した願いじゃないかと思っているのです。生産に対して労働力をつけてより生産を高める、それに六万人を六万五千にするのだということでは、あまりにも私は少し努力が足らぬのじゃないかと私は思っておる。これが一つですよ。それから、移住資金や失対手当、要するに訓練手当の問題やその他のたとえば住宅の問題、あわせて失業保険の積立金は本年千百億くらいだと思いますが、この金を使っていくということでいいのかどうか。私は訓練やその他に使うのなら、百歩譲ってよろしい、しかし家を建てるのははなはだもってけしからぬ話じゃないかという議論をしたことを覚えている。それは住宅計画で国がやるべきではないか、こういう議論をしたことを覚えておりますが、この点なんかもここで明らかにされていないわけですね。だから、そういう点ももう少し明らかにしてもらいたいと私は思う。  それからもう一つの問題は、これは加藤次官や職安局長、どなたか担当者に伺いたいのですが、日本の経済の見通しなんですね。これが中卒とか高卒は二〇〇%、三〇〇%であるというお話は出ますけれども、しかし、十二月九日以来、秩父の繊維が二〇%操短やるということを言っていますね。この間、京都で西陣織物を中心にしたあれはたしか八日間ほど操短をやりました。まだ操短やらなければいかぬ状態です。こういう工合にして、生産と消費のバランスがとれていない現実において、設備投資だけがどんどん伸びていきますね。しかし、せっかくこしらえた生産設備がとまっていくという傾向、これはもう私は今日常識だと思うのです。そういうのを経済の見通しがどうだからという格好でそれをここでぴちっと返事せいと言っても、それは私は無理だと思う。しかし、おおよその先行不安という問題は雇用関係の問題の中に、やっぱり労働省としては頭の中に入れておかなければいけない問題ではなかろうか、こう思う。これに対する意見一つも先ほどからない。まだありますけれども、時間が過ぎていますから、三つの問題だけは、ぜひ聞かしておいてもらいたい。
  60. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 失対事業の根本的検討の問題につきましては、現在の失対事業就労者が当初の失業者を過渡的に失対事業に就労して、民間の雇用を促進するという建前の上から見まして、最近の事情は固定化、停滞化傾向が大きい。したがいまして、その点をどういうふうに考え直していくか、あるいは国、都道府県、市町村、あるいは事業主体との関係をどのように考え直していくか、また、労務費のあり方はどうあるべきか、あるいは資材費、事務費等のあり方はどうあるべきかというような問題につきまして、根本的に検討を加えるべき時期ではないかというふうに考えました。しかし、これは実際問題といたしまして、多数の失対労務者の諸君がおられる実情でもございまするし、各方面の御意見を十分伺いまして、慎重に検討していかなければならない問題であると考えております。  そこで、当面の問題につきましては、賃金の問題につきましては、民間の賃金の傾向によりまして適正な賃金を決定していく、こういう方法で考えていきたいと思っております。その意味で、労働省で最近実施しております屋外労務者の賃金調査、これはまだ結果が出ておりませんけれども、近くその大づかみの速報的なものは把握できると思いますので、それによって最終的にはきめて参りたいと思っておりますが、とりあえずのところ、推定によりまして一八%、昨年に比べまして一八%のアップというものを大蔵省に要求しておる段階でございます。ただ、これはただいま申し上げましたように、その後の事情によりまして、最終的に直して参りたい、このように思っております。  それから次に、失業保険の問題でございますが、これにつきまして住宅問題につきましては、雇用促進事業団法の御審議を願いました際に、藤田先生からもいろいろ御指摘がありまして、私も十分記憶しております。そこで仰せのごとく、住宅問題は、これは本格的な住宅対策を筋として一般会計から支出しているので、この建前は当然であろうと思います。ただまあ、あの法案審議の際に率直に申し上げましたように、われわれが公営職業紹介、炭鉱離職者その他の離職者について行なっておりまする際に、どうしても当面その住宅、落ちつく先がないために、公営職業紹介が円滑にいかないという現状があるわけでございます。したがいまして、臨時的に収容して参りたいという考え方で、あの失業保険の運用の収入を使わしてもらっているという状況でございます。しかし、これはあくまでも臨時的な措置でございまして、建設省その他と十分ただいま相談しておりますが、こちらの住宅に収容されました者が一時おるといたしましても、本筋の産労住宅、あるいは公営住宅、あるいはその他の住宅等に収容していかなければならない。そのつなぎをどういうふうに円滑にやっていくか、円滑にやって参りませんと、離職者の諸君の一番の生活の安定のもとであるところの住宅について支障が起きることになりますので、目下建設省と十分相談をいたしておりまして、向こうのほうの住宅対策も大いに拡充してもらえまするように折衝しております。また、その移り変わりの際の円滑化も十分に相談して参りたいと考えております。  それから次に、雇用の問題でございますが、お話しのように、景気調整的な面が最近だいぶ出て参りました。一面において学卒に対するところの需要というものは非常にあるわけでございます。最近の、われわれがただいま来年度の学卒の需給調整について、関係者を集めましていろいろ調整しておりますけれども、これにつきましては、求人が求職をはるかに上回るということでございます。ただその反面、御指摘のありましたように、景気調節その他の傾向に伴いまして離職という問題も出て参ります。そこで来年雇用が八十四万人ぐらいふえると申し上げましたけれども、その内容を質的に見ますると、新規学卒のほうは需要が多くて全部収容されている。しかし一面において離職する者、中年層以上の雇用問題は、圧力を受けて深刻になるということはわれわれも予想しております。そこで、これをうまくやりますためには、どうしてもこの労働力の流動化対策というものを本格的にやっていく必要があるのではないか。それがないと、今御指摘のような点についての摩擦と矛盾が大きくなってくるのではないか、このように考えておる次第でありまして、来年度は今のように質的な面からいたしましても、労働力の流動化対策というものをさらに充実強化していく必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  61. 三治重信

    説明員(三治重信君) 来年度の要求が非常に少ないのじゃないかというお話しですが、やはりだんだん近代化して、設備なんかに非常に金がかかりますので、予算要求のワクとして御承知のように前年度の五割増しというワクがはめられております。そういうことでわれわれのほうとしてはもっとやりたいのですが、一応そういう全体の予算の要求のワクや、それからわれわれのほうとしては量を、幾ら訓練所をふやすよりか、やはりいい訓練をやって、もう少し訓練に対する信用を高めたいということで設備の方を重点にやっていくために、訓練経費がそうふえていないという関係でございます。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 政府の職業訓練を受けた者は、政府が責任を持って就職させるというのはどうですか。
  63. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在におきまして、一般訓練所や新規学卒の関係の訓練では大体九五%、あとはほとんど家庭の事情とか病気とかという関係の人がほとんど、大体一〇〇%、転職訓練なんかの関係につきましても、大体九二、三%、あとは本人が非常に出席率が悪かったり、それから現地就職を希望して、ほかのほうからのいわゆる他地域へ出られないというために、就職が若干できないという程度であります。特別にそう就職を保障しなければならないというふうなことはないと思います。
  64. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  65. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それじゃ速記をつけて下さい。  派遣委員報告は、これをもって終了することとし、また一般労働情勢に関する件については、本日はこの程度にて終了することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。それでは、午後は二時半から再開することにいたします。    午後一時二十四分休憩    ————・————    午後二時三十八分開会
  67. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、午前に引き続きましてただいまから開会いたします。  今回は、社会保障制度に関する調査の一環として、一般厚生行政に関する件を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  68. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を始めて。
  69. 坂本昭

    ○坂本昭君 きょうは、全般的なことについて最初にお尋ねをして、それから各局の所管事項について、それぞれ逐次お尋ねいたします。質問を先に全部言ってしまいますから、それぞれ御準備をしておいていただきたいと思います。  まず、今ちょうど来年度の予算編成で非常に苦心をしておられると思いますが、御承知のとおり、所得倍増計画の実施の中で、国民生活の格差はだんだんと拡大しつつある。このことば、先般出された厚生白書にも指摘されておるところでありますが、しからば、こういう国民の生活格差の拡大の中で、厚生省としては、来年度の昭和三十七年度予算編成に、どういう方針をもって臨んでおられるか、一番大きな方針について御説明いただきたい。特に、従来、私どもは、「保」の字のつくものは、どれもこれも非常に問題点が多くて、厚生省の三保、保育の保、国保の保、保健所の保、それにもう一つ加えて、安保の保と、四つの保が、これは一番実は問題点でありますが、その三つの「保」をかかえている厚生省として、特に、地方自治の財政に及ぼす大きな影響の中で、どういう来年度予算編成の柱を立てておられるか。そのことについて、これは、きょうは後ほど次官もお見えになるそうでありますから、事務当局説明、さらにまた次官の説明を求めたいと思います。特に、われわれが、この通常国会さらに臨時国会を通して、特に臨時国会で問題にしました二次補正の問題、これは一体いつごろ出してくるのか。この中には、当然医療費問題にからまって組まなければならないものが入っております。これについても、概括的な、いつごろ出てくるか、その説明をいただきたい。  それからまた、例の医療費のことに関連しましては、中央医療協議会が新しく臨時国会で、法律改正されて、日程に上ってきておりますが、その後、どういうふうな進捗状態を呈しておるか。またこれに関連をして、臨時国会では附帯決議にも出されましたが、臨時医療報酬調査会法案の提出、これについては、もう四十回国会になりましたが、どういう準備をしておられるかについても、関連して御説明をいただきたい。  あと、各局に通じて、ひとつ逐次伺っていきます。  第一は、看護婦の問題であります。特に看護婦の数の不足の問題、これは臨時国会でも質問いたしました。そのときに、いろいろと養成の具体的な計画説明がありましたにもかかわらず、相当の欠員が現在の医療法の基準においても生じておる。こういうことを来年度の予算の中ではどういうふうに具体化しておられるか。現在看護婦の不足の問題は、各地域の重大な問題になりつつあります。そういう点で、あらためて来年度予算、来年度の方針と関連して、看護婦不足の問題についての厚生省のお考えを承りたい。  それからなお、国立病院、療養所における患者給食、この給食費が現在百六円であります。しかし、一般の健康保険の場合は百五十円以上であります。いやしくも国立病院、養療所において、こういうアンバランスのもとに患者給食をしているということは、はなはだ不当であります。これをどういうふうに是正していくおつもりであるか。  また、国立病院、療養所の問題について、これはかねがね臨時国会でもお尋ねしましたが、こういう国立医療機関の目的に対して、来年度は新しい方針をもって臨んでおられるのかどうか。私は特に、無医地区が全国にまだ数百カ所ある。したがって、そこの無医地区を解消するためにも、国立病院というものの本来のあり方を、ひとつ検討すべきではないか。少なくとも今のような特別会計、独立採算制を廃止して、国立病院の本来の目的に合致するような国立病院の運営をすべきではないかということを、前からお尋ねしてあります。これについての御説明方針を伺いたい。特に結核の問題は、今回結核予防法の改正によって、結核対策は一段と前進しつつあります。その中で国立療養所の統廃合の問題が起こってくる。この統廃合の目的とするところは、那辺にあるのか。われわれとしては、確かに結核対策は、もう医学的に科学的なめどはついた。しかし入院患者はまだ八十五万を数えているし、ベッドを縮小する時期ではない。したがって、この国立療養所の統廃合、これがどういう目的をもって、少なくとも病床の縮小とはわれわれは考えていないが、その来年度の計画の中で、どういうふうにこの国立療養所の統廃合について見解を持っておられるか、御説明をいただきたい。  次に、日赤病院の問題であります。これは去年以来繰り返して、当委員会でも議題として審議して参りました。この日赤の運営の中で問題になったのは、病院の設備投資に対して、特に赤十字病院については、法律によって国がこれを補助をしてもよろしいという規定がある。しかし、実際の問題としては、いまだ予算的な措置をされたことは一度もない。この日赤病院の運営について、特に独立採算制とプール制の問題、こういうことについて、厚生省としてはこの一年間にどういう検討をしておられるか。たとえば、昨年の看護婦の養成に、日赤として二億円かかった。その二億円の養成費というものは、全部病院収入、診療収入を通じてこれをまかなっているということであります。これなどは、救急のための必要なる要員が法律によってきめられてある以上は、要員を養成するその費用は、日赤の診療報酬によるのではなくて、当然国の負担をもってこれは養成をすべきものではないか。そういう点がどういうふうに処理されているかということであります。  なお、特に日赤の病院の問題については、緊急の問題として山形県の東根の廃止の問題が出ているんです。この東根の病院は人口十五、六万の都市にある病院であって、こういうものがみだりに廃止されるということは、非常にわれわれとしては不審にたえない。特に先般は、該地区で赤痢の流行などがあったと伝えられておる際に、なぜこういう重要な病院を廃止するのであるか。それについても日赤病院の問題と関連して具体的な計画をひとつ承りたいのであります。  次は、結核予防法の一部改正がこの十月から実施されていますが、実施後の状況について御説明いただきたい。五万四千の予算で実施をされることになっておったと前承りましたが、その後各都道府県における国保の患者の切りかえの状況、それらがどうなっているか。また厚生省としてはどういう方針でこの新しい予防法の一部改正を利用して結核対策をお進めになるおつもりであるか、承りたいのであります。  その次は、上下水道の対策、その促進について予算的な措置の方針を承りたい。特に補助率の問題、起債の問題、こういった問題は、もう昨年来たびたび問題になってきたところでありますが、来年度についてはどういう方針を持っておられるか、ひとつ御説明いただきたい。  次の問題は、例のポリオの生ワクチンの問題であります。これについては二点伺いたい。一つは、この夏の生ワクの使用は、ソ連のボンボンを国民に投与いたしました。今度はソ連のものではなくて、カナダのものを利用するというふうに聞いている。その理由、根拠、それを承りたい。なお、ことしの流行を見ましても、十三才以上のポリオの症例というのがぼつぼつある。十三才以上に対しては、どういう方針をとっておられるか。これは十三才以上について、少なくとも二十才以下までは国として計画的に投与していただきたいと思う。それがなぜ実施されないかという点。さらに、どうしても何らかの正当な理由があって実施されないとする場合に、もし国がやらないならば、われわれは国民でひとつ十三才以上に飲ましたいと思うのです。場合によれば、ソ連なりあるいはカナダなりからボンボンを取り寄せて使いたいと思う。そうした場合に、厚生省としては、これにいかなる理由に基づいて異議を差しはさむ、そういう余地があるかどうか。われわれとしては心配でありますし、ルーズベルトのようにわれわれもポリオにかかるかもしれないので、厚生省が見てくれなければわれわれ自身で購入をして、われわれ自身で使おう。そうした場合に何かあなたのほうで、それはけっこうだからどうぞひとつ使ってくれと言われるのか、それとも何らかの理由に基づいて、それはいかぬという、そういう筋合いのものかどうか、この御説明をいただきたい。  それからなお、この夏、当委員会では大阪方面委員を派遣しまして、薬局の問題についていろいろと調査いたしました。そのときに薬局の開設について違反的な事実を指摘したのであります。そのわれわれが直接指摘したものにつきましては、改められたと承っておりますが、その後同じような違反行為が次々と出て、大阪に同じような、株式会社ヒグチ薬局、株式会社コクミン薬局というのがこの前この委員会指摘されました。株式会社コクミン薬局という名前は、コクミン薬局というそれだけを書くことで、株式会社名をはずして、違法な一つの看板を掲げておる。これはすみやかに撤回せよということで撤回したはずでありますが、その後さらに、ここに私たちも現物を持っていますが、同じような株式会社ヒグチ薬局というものが現われて、しかも、この一軒はおそらく薬剤師がいるのでしょうが、これは二十三カ所のチェーンの店を開いています。したがって二十三カ所には一つも、おそらくそれぞれについて薬剤師はおらないだろうと思う。こういう問題がまた再び大阪に現われている。これについて一体厚生省の取り締まりは、こちらが一々指摘すれば、そのつど直すのだけれども、根本的にこういうものについてどういう方針を持っておられるかを承っておきたい。  それから次の問題は、国保の問題であります。国保の問題については、衆参両院で附帯決議をしておるから、われわれは、当然政府はこの附帯決議を尊重するものと信じておりますが、それをよもや破るようなことはないと思うのですが、この際ひとつ念を押してお尋ねをしておきたい。国保の国庫負担については、どういう予算編成の方針であられるかという点であります。  それからもう一点は、年金福祉事業団がいよいよ発足いたしました。われわれとしては、まだまた不十分な点が多いので、これをもってこの新しい法律では意に満たないという意思表示をしております。しかし、従来よりもこの年金の積立金が、中小企業の人たち、零細な国民の一人々々、あるいは労働者に還元されて融資されていくという、この方針については何とかして推進をしていきたいと考えています。その中で、やはり問題になるのは、従来までの還元融資は、大企業の会社等の社宅には回されておったが、一人々々の労働者、あるいは零細な人たち、こういう人たちの特に住宅問題、こういうことについては、われわれは今回のこの年金の積立金をフルに利用して、零細な人たちの住宅問題をこの際何とか解決をしていきたい、そういう面にこの事業団が役立っているかどうかという点が一点であります。  さらにまた、保育所の問題は、これは先ほども申し上げましたが、私立の保育所が特に運営上非常に困っている。この私立の保育所の運営についてどういう新しい考えを持っておられるか。後ほどまたお尋ねしますけれども、少なくともこの事業団の融資の対象としてある程度の考慮が払われているかどうかということであります。さらにまた、この事業団の運営については、われわれも附帯決議で、十分民主化してもらいたいということを要望いたしました。この事業団の運営の民主化について、具体的にどういう措置がとられているかということを承りたい。  最後に、今申し上げた保育所の問題をもう一ぺん取り上げますが、保母の給与の引き上げについて、これは厚生省としてどの程度の意欲をもって、また責任をもって交渉しておられるのか。また特にこれに関連してきますが、措置費の内容については、来年度予算の中でどういうふうな具体的な計画をもって進んでおられるか。また、今までも問題になってきましたが、リンク制を断ち切っていくということは、各施設からの強い要望であります。これらについて何か新しいお考えを持っておられるかということであります。  以上、逐次御質問を申し上げましたので、ひとつ順序に従って御答弁をいただきたい。また、御答弁の模様によっては、またこちらからお尋ねをしたいと思いますが、なるべく簡単にして要を得た答弁をお願いしたいと思います。
  70. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 今度官房長になりました山本でございます。よろしくお願いいたします。  ただいま各般の事項につきましてお話がございまして、この中で厚生省としての基本的な方針は何に置いているのかというのを冒頭に御指摘になったわけでございますが、申し上げるまでもなく、厚生省の行政が非常に広範にわたっておりますので、これが一つの柱であるというふうなまとめ方にはなかなかなりにくい行政でございまして、なおただいま御指摘のように、経済の成長に伴いまして格差の是正ということが非常に大きな項目になっておりまして、特にその面におきましては、社会保障の諸サービスにおきまして、これの格差の縮小をはかっていくという方向をとらなければならないという、御指摘のとおりでございます。したがいまして、来年度予算編成に際しましては、厚生省といたしましては、新しいいろいろな項目を前面に立てていくということじゃなしに、従来からやっております行政面におきまして、特に近年、あるいは国民年金なり、あるいは国民皆保険の実施によりまして、相当そっちのほうにいわば経費が食われて、その他の非常に広範な面におきまして、まだ十分伸びておらないという面が多々あるわけでございまして、来年度は地道に従来の施策の内容を充実していく。そうしておくれている面を伸ばしていき、かつまた不十分な面の充実をはかっていく。どちらかといいますと、じみな格好に相なっております。そこで全般的には、地域間の格差、あるいは階層間の格差というものを縮小していくということに重点を置きまして、おおよそ七、八項目にまとめまして、それぞれの部門におきまして幾つかの項目を含んでおります。一つは、低水準地域の保健施設の整備、第二には、生活保護制度その他低所得者層に対する施策を充実する。それから第三には、青少年及び児童福祉対策を強化する。そして第四には、社会福祉関係職員の給与その他処遇を充実いたしまして、十分にその事業に専念できる態勢にしよう。それから第五には、発足いたしました国民年金につきまして、なお内容充実を要する面が幾つかございますので、それをひとつ取り上げていく。かつ、国民健康保険につきましては、特に今日財政状況が苦しいという現状もございますので、内容充実もさることながら、財政の強化、そうして基盤を固めるという方向をとっております。そうしてなお生活環境の施設、清掃、下水、上水道、そういったような生活環境の改善ということにつきましては、新たに今後の計画を樹立いたしまして、それを急速に整備していこう、こういったような柱にまとめまして、来年の予算を要求いたしている次第でございます。  各項目につきましては、それぞれ所管局長から御説明申し上げます。
  71. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 最初に、地域格差の問題では、医務局としましては、御承知のように国民皆保険になりましたので、無医地区、無病院地区、あるいは病床が非常に不足しているようなところには、医療施設を整備していかなければならぬ。国民がひとしく医療に恵まれるようにしなければならぬと考えております。僻地医療対策は、御承知のとおり、年次計画でやっておりますが、医務局で取り上げました二百三十七の無医地の全部を明年度で一応解消したいと考えております。そのためには、従来の補助率ではなかなか促進いたしませんので、補助率を上げていこう、それから運営費の赤字に対する補助も増していこう、それから診療所を建てるまでもない地区に対しましては、巡回車や船を補助をして、府県に整備をしてもらって、そうしてその運営費に対する赤字に対しても補助をしていくという考えで来年は予算を要求してあります。それから病院の不足した地区、あるいは診療所の不足した地区には、必要により補助金を出したり、あるいは融資を増加して、従来よりも整備を促進していこうと考えている次第であります。  次に、看護婦の問題でございますが、これはこの間の当委員会でもいろいろとお話申し上げたわけでありますが、確かに最近看護婦が足りないという声がだいぶほうぼうに上がっておりまして、これが対策には、いろいろと苦心をいたしておるわけでございますけれども、この前も申しましたように、養成所が定員だけ養成していないというようなことで、その補充が十分つかないということが事実でありますので、少なくとも公的の看護婦養成所に対しては、定員一ぱいに養成ができるように、国や県でもってその運営費の補助をしていく、そうしてそこで養成された者が自分の病院のほかに、一般にその看護婦を供給し得るようにしよう。それからもう一つは、貸費制度を府県で設けてもらいまして、これに対して国が補助していこうという考えを持っています。急に看護婦が不足だといわれましても、資格者を急に作るわけに参りませんので、これは医師会などにおきまして、看護助手などの養成をやられておりますが、そういうことで間に合わす以外にはないと思うわけであります。ただ、この間申しましたように、一応看護婦の必要数と現在就業いたしております看護婦を比較いたしてみますというと、一万四千ほど足らないわけでございますが、実際は基準看護をやらないような病院も多うございますので、事実は全部としてそれほど不足していないのではないかと思うわけでございます。明年の三月の終わりになりますと、看護婦さんと准看護婦を含めまして一万五千ほど卒業しますので、それが出てくると、当面の看護婦不足というものが相当緩和するのではないかと思います。
  72. 坂本昭

    ○坂本昭君 ふえる者もあるけれども、やめる者もある。
  73. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) そういうものを差し引きまして相当プラスになっておるわけでございます。いずれにいたしましても、看護婦の養成を、ただやりたい者がやっておるということではなくて、医療保障をこれから充実するために、国も府県も責任をもって計画的にこれをやるようにしなければならないと考え、最近府県に対してもさような指導をいたしておるわけでございます。  それから看護婦問題では、やはり何といいましても地域的な差、つまり、いなかで養成いたしましても、都会に流れていくとか、あるいは施設や条件のよいところに看護婦さんが流れますから、施設ごとのアンバランスがかなりひどいわけでありまして、こういう点は、待遇等の改善をその施設でやって看護婦を確保するよう指導をいたしておるわけであります。  それから給食費の問題でありますが、確かに、国立は今御指摘のように、一般の病院などに比べまして材料費の安い面がございますけれども、しかし、相当いろいろな手を使いまして努力いたしまして、必要な栄養量を確保するようにしておる次第であります。ただ御承知のように、ものが上がって参りますので、質が落ちたりするというような面も、ある程度出てきております。そういうことではならないというので、明年度は相当大幅な給食費の値上げの要求をいたしておるような次第であります。  それから国立病院や療養所の整備の問題でございますが、これは、御承知のように、国立病院、療養所とも老朽な施設が多いので、整備を促進しなければならぬ事情に迫られておりますので、明年度はかなり大幅な整備費を要求いたしておるわけであります。国立病院につきましては、一応ブロックごとに作りました基幹病院が本年度でもって一応完了いたしますので、明年度からはそれに準ずるような病院の整備を特に行ないたいと考えております。そうしてその国立病院が、その地区の医療事情に合うように、いろいろと工夫をいたしておるわけでありまして、ことに療養所におきましては、その地区では、たとえば小児の病棟がないとか、あるいはカリエスの病棟が足らないというような場合におきましては、国立療養所がそれを用意いたしまして、その地区の結核のそういうような特殊な需要に応ずるようにいたしたいということでやっております。それから、その地区の診療所などの便宜をはかりたい思いまして、検査施設等を充実して、その付近の診療所の依頼検査に応ずる、あるいは近くは医師会が医師の研修を始めたいという計画を持っておりますので、その地区における国立病院が、そういう医師の研修の場になり、そしてその地方における医療が向上するように協力をしたいと考えておるわけであります。先ほどの、僻地の問題にしましても、国立病院が無医地区の解消などに努力しなきゃならぬというようなお話しでございますが、私もそれば当然だと思うわけであります。現在、十ほどの僻地医療を受持ってやっております。今後とも医療機関の自立自営のできないような地区の医療につきましては、極力国立の施設でこれを補っていくようにいたしたいと思います。ときどき、国立も非常に採算主義でやっておるというような御批判も受けるわけでありますけれども、現在国立病院で採算のとれておるというのは、おそらく半数ぐらいしかないだろうと思います。相当一般会計から金を入れてもらっておりまして経営いたしておるわけでありますから、決して採算のとれないところには、力を入れないということはありません。国立の使命を考えまして、特に医療保障の進展のために国立が大きな役目を果たすことができますように、今後とも努力いたす考えでおります。
  74. 坂本昭

    ○坂本昭君 結核療養所の統廃合は。
  75. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 結核療養所の統廃合でございますが、これは、御承知のように、国立の療養所は、非常に老朽化しております。私は医療内容としては、まじめなよい医療を行なっていると思っておりますけれども、何しろ、その建物とか、あるいは設備などに、まだ整備しなきゃならぬものが非常に多いわけでございますが、どれもこれもこれを同じように整備するというようなわけにもなかなか参りません。将来とも結核の治療、研究、あるいは結核医の養成等に関して権威のある基幹的な療養所を少なくともブロックに一つや二つは設ける必要があると考えております。東京では東京と清瀬の二つの療養所が相隣ってありますが、この二つを同じように整備するということは困難であります。これはやはり一つにしまして、そうしてりっぱなものにしたいという考え方で、これを相当大きな規模の恒久施設に変えていきたいという考えを持っておるわけであります。もちろん、そのためにベッドを縮小しようというような考えはございません。結核対策もさらに強化されていくことでありますから、入院患者もかえってふえていく。国立療養所のベッドの利用率も高くなるということをわれわれは予期いたしておるわけでありますので、ベッドの縮小や人員整理をするということは、現在のところ毛頭考えていないわけであります。今申しましたようなりっぱな基幹的な療養所にしていくという考えで進んでおる次第であります。
  76. 坂本昭

    ○坂本昭君 病床は減らないんですね。
  77. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 減らしません。
  78. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) では、結核予防法改正後の実施状況を御説明申し上げます。  十月一日から、濃厚感染源、これがいちばん結核予防上のガンになっておりますので、これでしかも、これを隔離、収容、適切な治療をするために医療費負担に耐えないという経済的条件と、これの両者を解決するということで発足いたしまして、この積算といたしましては五万四千ベッド、御指摘のとおりでございます。その内訳といたしましては、十月一日に生活保護の一部負担のある者、これの見込みを三万二千名、こういうふうに見込みまして、それからすでに上半期から命令入所を受けてはいっておる。むろん生保以外の者が大部分でございますが、これを一万五千名、それから新たに十月以降年間入れるものといたしまして生保の新患者四千名、それから一般の命令入所三千名、こういうことでございまして、合計五万四千、こういうことで出発いたしたわけでございます。これを積算いたしましたのは、もちろん三十五年度中の実績に基づいて予算編成したわけでございますので、若干狂うと思われましたが、ほかに資料もないものでございますからそれで出発した。そこで十月一日に各府県がとりあえず出発いたしましたものを、十月、一カ月間の資料をまとめまして、十一月十日に全国の会議を催しまして、実際比べてみましたところ、生保の一部負担のもの三万二千人の在院切りかえの予定に対しまして二万二千人が切りかえられたということでございます。ここに一万人の、予定がむしろ減になったということが一つございます。それから一万五千名が上半期の三分の二の国庫補助による、旧制度による命令入所患者が現におるという見込みでございましたが、これが約三千名ほど減少いたしておりまして、これはもちろんいろいろの形で皆保険のために国保の普通で入れるようになったために、予定ほど命令を下さずに済んだという諸種の事情もございまして、これも上半期の分の予算が完全に移行してくる、こういうようなことでございまして、新たな四千名と三千名の新入所患者の場合につきましては実行中でございますので、これは減らす必要もございませんで、むしろふやすべきであって、濃厚感染患者を一番中心に考えるのはもとよりでございますので、これは動かぬ、むしろふえる予定でございます。さような形でございますので、在院患者につきましては、生保の一部負担患者はさようなわけで切りかえましたけれども、余裕をもってこれに次ぐ低所得の在院患者、これに拡大し得る見込みがつきましたので、その会議の資料に基づきまして、十二月一日からいわゆる住民税の均等割以下の者、これは大体入院の国保並びに健保の被扶養者、入院患者の三分の一になるわけでございます。三五%、これを切りかえると、ちょうどこの余った予算で大体間に合う。しかも一番趣旨に合う。低いほうから拡大するということで、これはさような最初の積算とは違いますが、大蔵当局等とも話し合いができまして、これで成立した予算をフルに使うということでやっておるわけでございます。これはすでに通牒を出しまして、十二月一日から極力事務的に進めて、各府県で予算も追加いたしまして切りかえて現在実行中のはずでございます。これはさらに一月ごろ中身をもう一ぺん精査いたしまして、さらに上に上げられればこれにこしたことはないということで、しかしこれはあくまでそういうような実績に基づいてやりたいというようなことで用意をいたしております。したがいまして、来年度もこれはできるだけ拡大したい。要するに感染源になっておって、経済的な困難性から入院治療できないというものには極力拡大していく。すなわちその度の強いもの、すなわち下から上へ上へと拡大するわけでございますが、さような意味で来年は著しくこれを拡大したいということを、今大蔵省と折衝中でございますので、まだこれは政府案としては決定版を申し上げるわけにはいきませんが、さような方針でおります。  それからポリオの問題でございますが、生ワクチンの購入の問題と一般流通、民間の自由流通の問題は、これは薬務局の所管でございますので、薬務局長からお答え願うといたしまして、十三才以上になぜやらぬかという問題を説明いたしたいと思います。本年の七月の投与は、六才未満にいたしました。これが千万人。それから約三百万人分は、非常に濃厚な集団発生をしているというような特殊条件を選びまして、いわゆる諸種の流行地の条件を備えているところは、小学校の三年生ぐらいまでのところ、あるいは四年生のところもございます。これの調整分としてやりまして、現在十一月末をもちまして、新感染の発生は全国的に皆無、こういう状況で終わりましたので、これを夏やったことと三者を同時に併用してやったということで、これだけの実績から見ますと、これは非常に完全に有効だったわけでございますが、若干、理論的には少し干渉現象等も起こるのではないかということ等もございますので、この冬の間に、もう一度あと埋めとしてやるということで予備費を獲得いたしまして、この三月並びに四月、五月のころに今回は一型とそれから二、三型混合ということで二回に分離いたしましてやる。この対象が現在十三才未満、こういうふうに予定しておるわけでございます。これは今の実績からいいますと、六才未満を中心にいたしましても、ゼロ発生になるような効果は、十分日本の場合には上がったわけでございますが、当時の考え方としては、麻痺型の発生患者の三十五年以前のデータに基づきまして、その九〇%は含んでおる年令というのに、全部投与したわけでございます。ただ、安全性を見まして、今度は十三才まで拡大する、こういうことでございまして、このやり方につきましては、この間発明者のセイビン博士も三週間おりましたし、それからWHOの投与方式に関する勧告を見ましても、大体その国の麻痺型患者の九〇%をおおえば、それは個人々々の免疫を期待するのではなくて、その集団全部に伝播いたしまして間接免疫が必ずできる、こういう理論に基づきまして計算をいたしておりますが、そのときの発明者の意見によりますと、日本のように津々浦々全国一ぺんにやれたということになると、日本全域が集団免疫の対象になったということが初めて言える。したがって、日本のような場合には十才ぐらいでも同じような効果が上がるかもわからぬというような意見もありまして、それから夏以来やっております三千名並びに三十五万人のファイザー一型による家族並びに近隣の免疫成立を追求いたしておりますが、このデータから見ましても、非常に急速に伝播免疫が成立いたしておりますので、現在のところはとりあえず十三才で十分と、こういう形でやるわけでございます。なお、詳細なデータ等でまた変更すべき要因が出て参りますれば、それに基づいて考える、こういう理由でございます。
  79. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、次に大山社会局長
  80. 大山正

    説明員(大山正君) 日赤病院の運営についての御質問にお答え申し上げます。日赤の設備投資に対する補助の問題でございますが、病院の設備投資につきましては、御指摘のように従来国庫補助が現になされておりませんで、融資のあっぜんを行なっておるわけでございまして、今後ともこの融資のあっぜんに努力いたして参りたいと思います。なお、病院以外の設備の問題といたしましては、社会局の関係では災害装備につきまして、来年度予算におきましても五百万円ほど要求いたしておるのでございますが、そのほかに薬務局関係で、採血自動車あるいは血液銀行等につきまして装備についての若干の要求をいたしておるような次第であります。  それから、独立採算制とプール制の問題でございますが、この問題につきましては、日赤に医療問題の審議会を現在作っておりまして、すでに四回ほど会合を行なっておるのでございますが、何分にも非常にむつかしい問題でございまして、現在のところまだ結論が出ておらない状態でございまして、近くまた次の会合を開いて検討する、こういうことになっておりますので、日赤側における結論を見ました上で、さらに相談をいたしたい、かように考えております。  それから、看護婦の養成の問題につきましての御質問でございますが、その金額あるいは支出します先等につきまして、私まだつまびらかにいたしておりませんので、御指摘の点を十分考えまして、これらの点につきましてさらに検討を加えたい、かように考えております。  それから東根病院の廃止の問題でございますが、その後の経過につきまして御報告申し上げます。御承知のように、昨年の十一月から本年の五月まで行なわれました全日赤の統一闘争におきまして、東根日赤病院が東北地区の拠点として、特に争議行為が強く行なわれたのであります。本年の二月になりまして、ストが原因となって、東北大学から来ておりました医師が全員引き揚げることになりまして、三月三十一日付でこれらの医師の方々が病院を辞職されたのであります。で、八名おりました医師が、ただいま申しました事情で七名辞職いたしまして、一人だけが残っておったのでございます。それから、ストの影響によりまして、外来患者が激減いたしました。特に四月以降には、医師が一人しかおりませんので、入院患者も次第に減少したのであります。八月の十九日に、病院は、職員の八十六名に対しまして、全員解雇の予告を行ないまして、九月の十八日付をもって病院の廃止を明らかにいたしたのであります。  で、職員が、解雇予告が出されましてから、相次いで組合を脱退しまして、九月十八日現在には、組合に加入している者が、委員長外二十二名ということになり、現在では、十三名というような状況でございます。それから、患者につきましては、病院を移転するようにあっせんをいたしまして、移転費につきましては、全額日赤支部の負担として、患者に一人三千円の移転手当を支給することにいたしたのでありますが、九月十八日に最後の一人が退院しまして、患者移転についてのトラブルはなかったのであります。  その廃止になりました以後の状況でございますが、九月十九日の午前に、日赤の山形支部が建物管理のために病院に参りましたが、組合がピケを張って、病院に入ることを阻止いたしまして、話し合いを現在行なっているという状態であります。それから組合は、委員長外二十二名の地位の保全と解雇無効の申請を山形地裁に行なっておりまして、十二月四日に第二回の審理が行なわれたのでありますが、次回第三回は、来年二月の予定であるということに相なっております。  以上のような事情で、この東根病院を廃止するのやむなきに至ったのでございますが、今後の処置といたしましては、山形県当局としては、この施設を買収いたしまして、その後は、地元であります東根市、村山市、尾花沢市及び大石田町、三市一町による病院施設の運営を行なうという予定になっておるのでございまして、現在村山市は、まだ態度が確定しておらないようでございますが、その他の市町におきましては、その方針に一致いたしておるのであります。  それから、この措置をとるために、県当局は一連の事後措置につきまして、今月の県会に関係予算等を上程するということに相なっております。それから病院廃止に伴います職員の大部分につきましては、新しく開設されるその病院に、できるだけ吸収するという見込みに相なっております。  以上のような経過でございまして、まことに遺憾なことでございますが、廃止はやむを得なかった事情でございますが、今後新しい病院という形で、またこの地方の保健衛生のために尽くすことができると、かように考えておる次第でございます。
  81. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 奈良はどうですか。
  82. 大山正

    説明員(大山正君) 奈良の日赤の病院につきましては、昨年の県議会におきまして、奈良の日赤病院の所在地に、県庁の庁舎を建設するということが決定いたしたのでございます。ところが、昨年末日赤の労働争議以来、組合側が硬化いたしまして、移転統合に反対という立場をとるに至ったのでございまして、その後、この争議によりまして、医師が相次いで辞職し、また三月ごろからは、患者も激減するというような状況でございます。十月十三日現在の状況といたしまして、入院患者は、本院において十一名、分院において四十二名という数字になっております。このように患者が激減しましたために、病院におきましては、薬品でありますとか、あるいは食料品の販売業者に対する未払金が約四百六十万円というような額になりまして、業者は納品をストップするというような事態にまで発展いたしたのであります。十月十三日になりまして、知事から日赤の支部に対しまして、五百万円を融資しまして、とりあえずこの未払い金の問題は解決したのでございます。今後の問題といたしましては、県知事と、それから日赤支部の間において、この善後処理をなお検討しておる段階でございまして、現在では、奈良医大の嘱託医をお願いいたしまして、患者の診療に当たっているという状況でございます。
  83. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、次に、五十嵐環境衛生局長
  84. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) ただいま御質問の中の、上下水道の対策に関する予算編成等の方針につきまして御答え申し上げたいと思います。  最初に、上水道の問題を申し上げます。上水道の普及状況は、簡易水道等を合わせまして、前年度末で、ほぼ四九%、これに対しまして、本年度を第一年度とする整備十カ年計画を樹立いたしまして、昭和四十五年度末までにこれをほぼ八一%に上げたいということで、この十カ年計画を、今年度から実施に移したわけでございます。その中身を見て参りますと、上水道につきましては、かなり整備が行き渡っております。十カ年計画の達成までには現在の二割を増強するという程度でございます。簡易水道につきましては、ごく立ちおくれておりまして、現在のほぼ四倍の普及をいたさなければ、目標の達成に至らないというような状況でございます。こういうような状況でございますので、これを十年間にほぼ均等に分けまして、それに対する予算の要求並びに起債の裏づけをいたしておるようなわけでございまして、特に来年度からは、保健福祉水準の向上を企画いたしております特別対策地区につきましては、補助率を上げまして、高率の補助をいたしたいというようなことで、予算の要求をいたしておるような次第でございます。  それから下水道関係でございますが、私どもが所管いたしておりますのは、下水道の中の終末処理施設でございます。これは屎尿処理施設の一環として考えられておりますので、あわせて屎尿消化槽と一緒にお答えを申し上げます。この屎尿処理につきましても非常に立ちおくれておりまして、特別清掃地区全体を見渡してみますと、現在、大づかみで三割程度がいわゆる下水道終末処理あるいは屎尿消化槽等、理想的な衛生的な処理という形になっておりまして、残りの三分の二を十カ年計画で整備して参るという考えでございます。特にこの点につきましては、最近、非常に各方面とも要望が強うございまして、また、立ちおくれが非常に強く、特にオリンピックの問題等もございますので、下水道終末処理施設につきましては、十カ年計画の中でも特に前半の五年に重点を置きまして、今後、要処理量の六五%は前半の五年で済ませたい、こういう考えでありますし、また、屎尿消化槽につきましても、これは特に前半に重点を置きまして、八〇%を前半に処理したいという考え方でおります。その、それぞれ四分の一及び屎尿消化槽につきましては四分の一・五の量を来年度で処理いたしたいということで予算の要求をいたしておるようなわけでございます。従来、補助率につきましては、五分の一、四分の一、あるいは四分の一、三分の一というふうに、それぞれ大都市とその他の都市につきまして補助率の差がございましたが、これを、補助率を上げて参りたいという考え方を織り込みまして、その国庫補助以外の点につきましては起債のワクでこれを処理いたしたいという考え方でおる次第でございます。
  85. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは、次に牛丸薬務局長
  86. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 御質問の第一点の、生ワクの次回投与の問題でございますが、ことしの夏、千三百万人分の生ワクを購入しましたのは、ソ連のボンボン型のものを一千万人分、それからカナダのシロップ状のもの三百万人分の、合計千三百万人分として購入したわけでございますが、今回、来年の三月ないし五月にかけて投与します分につきましては、その所要量が、十三才未満として一千七百万人分の所要量という計算でございまして、それに消耗率を勘案いたしまして、約二千万人分以上のものを保有する一カ所の製造所から購入するということを、第一の選定の基準にしたわけでございます。つまり、量から見ましたら、ワン・ロットで二千万人分以上の量を保有するものを購入しようというのが、選別にあたっての第一の点でございます。  それから第二の点は、これは質の問題でございますが、力価は、十の五乗以上の力価を持っていて、しかもシミアン・バイラスを除去されたものがいいんじゃないか。と申しますのは、ことしの八月発表いたしましたWHOの製造基準等におきましても、シミアン・バイラスは除去されたほうがいいということを言っておりますし、それから、いずれにしましてもこれからは日本において国産をするわけでございますので、その国産する場合の製造基準並びに国家検定基準というものとの関連において選定をしたほうが適当ではないかということで、さような方針をとったわけでございます。そういう大よその基準で諸外国の現在保有する生ワクの照会をしましたところ、ソ連のボンボン型、これはまあソ連政府が直接製造しているわけでございます。それからイギリスのファイザー社、それにカナダのコンノート研究所、それからベルギーのリッツという、これも大学の付属の研究所でございます。この四社がただいま言いましたように、一応、量の面で該当するということで、この四社のプロトコールをとりまして、そうしてその質の内容について私どものほうで検討したわけでございますが、シミアン・バイラスをプロトコールの製造過程において除去されているというものが明らかなものが、その四社のうちで、カナダのコンノート社、それからイギリスのファイザー社の一社でございましたので、この二社につきまして量質ともにわれわれの選定基準に合致するということで、二社の競争入札によってカナダのコンノートが最低価格で落札したといういきさつでございます。  それから第二の点は、十三才以上の問題に関連いたしまして、まあ政府が十三才未満だけにしかやらぬならば、民間の手で輸入をするなりして投与することは、一体政府はどう思うかという御質問の趣旨だと思います。これは現在の段階ではまだ薬事法上の医薬品にはなっておりません。まあそういう、いわば実体的に医薬品であることはこれは疑いのないことでございますが、薬事法上は医薬品ではございませんので、医薬品に準じて私どもが責任を持って輸入をし、都道府県、市町村という行政系統を通じて配付しているというのが現在の状況でございます。しかし、これはいずれにしても、薬事法で許可をする段階がくると思います。現在そういう手続をとっているわけでございますが、しかし、そのためには、国内の製造の基準と、それからワクチンでございますので国家検定を必要としますので、国家検定基準というものが許可の前提として制定されなければならぬわけでございますので、そういう手続を踏みまして、薬事審議会の答申を得て正規の医薬品として採用されることになれば、これは薬事法からでは別にどれがどうという使用上の点について制約はないと私は思います。しかし、これから先は私のまあいわば意見みたいになりますけれども、生ワクチンはソーク・ワクチンと違いまして、集団投与においてその効果が最大限に発揚されるということでございますので、その使用上については相当の問題があるのじゃないかということも考えられますので、その点は製造を許可をいたします場合には、公衆衛生局なり、あるいは予研なり、あるいは生ワク関係の、現在で言えば研究協議会の先生方なりそういう先生方の御意見もよく聞きまして、その辺の取り扱いを最も妥当にするということが適当じゃないかと思っております。ただいま現在のところ先生の先ほどの御質問に対してイエスかノーかということはちょっと私どもは言えないのじゃないか、その点も十分検討していく必要があるのじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。  それから第二の、大阪の参議院の調査の結果におきまして政府当局に対して決議がございました。その決議の各項目につきましては、これは私どもから大阪府当局に対しまして、参議院の院議の趣旨を尊重してすみやかに措置をするようにということで、そういう通達も出し、その結果は、大体先生方の院議の趣旨並びに私どもが申し上げた趣旨に沿って措置をやったわけでございますが、今回たまたまヒグチの薬局の問題が十二月一日に起こったということでございます。それでこれはどういうことでそういうことが起こったのかということで、さっそく大阪府の薬務当局のほうに照会をしたわけでございますが、まあ株式会社ヒグチ薬局支店というような形で、一体薬事法の第七条の薬局にまぎらわしい名称に該当するかどうかということについて、これは課長は十分その点を承知していると私どもは思いますが、その辺がヒグチ薬局にどういうふうに伝わったかどうか、その辺がまだはっきりしませんけれども、したがって今十二日の今日までそういう状態がやはり二週間近く続いていると思いますが、きのう月曜日私ども直接大阪府の薬務課長に電話しまして、株式会社ヒグチ薬局支店という名称は第七条に違反するとわれわれは考えるということをはっきり申しておきましたので、大阪府においては私どものそういう趣旨に沿って早急に措置をするものと私は考えております。またするようにさらに私ども督励したいと思います。この点に関しましては、私ども今日聞いておりますのは、ヒグチ薬局だけの問題というふうに思っておりますが、もしこういうことがこの前の夏の当院の決議の線並びに新薬事法第七条の趣旨がさらに徹底を欠くおそれがあるとするならば、もう一度この機会に全国にその点の法解釈を明示いたしまして、再びこういうことがないように、全国的に私の名前でも通達をしたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  87. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 第一に、医療協議会の改組に関する法律は十一月中旬に公布になりまして、これが具体的な発足に着手いたしました。保険者、事業主、被保険者、いわゆる支払い側のほうは委員の推薦を拒否する態度をとっております。私ども努力いたしましたけれども、現在までその態度が変わりませんので、まだ発足の状況に至っていないのでございますが、今後とも努力をいたしたいと存じております。  第二に、臨時診療報酬調査会の件でありますが、これは前国会において坂本委員から非常に強い御質問がございました。厚生大臣としましては成案を得ればもちろん次の国会に出したいと存じておりますという答弁をいたしております。現在提出、不提出についての最終的な結論は出ておりませんけれども、私どもとしては大臣の言明の趣旨に沿って努力いたしたいと思っております。  それから次に、国民健康保険の問題でございますが、そのうちの一つの国庫負担の引き上げ、これにつきましては厚生省としては二割の国庫負担率を二割五分に引き上げたいということで予算要求をいたしておりまして、その線に沿ってその実現をはかりたい、かように考えております。  それから第二の、本年度におきまする医療費の引き上げに伴う保険者負担増に対応する国庫補助の問題でございますが、これは三十六年度内の問題でございますので、いずれ今年度予算の補正等の機会があろうかと存じますので、その場合に善処をしたいと、かように考えております。  それから次に、年金福祉事業団の問題でございますが、その第一点の住宅の問題については、これは御承知のような事情で現在事業団の貸付の対象にはなっていないわけでございますが、お話のようにその必要性、特に中小企業関係者に対するこの住宅の問題の必要性については、これは世間みんなが認めるところでございますので、来年度の予算編成に際しまして、私どもはその実現をはかりたいと、目下鋭意努力をいたしておるところでございます。  それから第二の、私立の保育所につきましては、一応これは社会福祉事業振興会の対象となっておりますので、原則的にはそちらのほうでまかなっていただくというような考え方をとりつつ検討いたしておる次第でございます。  それから第三点の、運営の民主化という言葉を使われました。十分関係者意見を聞き、あるいは反映されるような仕組みとして、たとえば参与というような制度、やり方について目下これは事業団のほうでその線に沿って研究いたしておりますので、いずれそういった仕組みで事業団の運営が円滑にいくように努力をいたしたいと考えております。
  88. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 児童局長を命ぜられました。よろしくお願いいたします。  御質問の保育所の職員の給与の引き上げの問題でございますが、昨年以来三回にわたって給与の引き上げがなされまして、従来から見ると二六・六二%のアップになっておりますけれども、なお、同じ地域の公務員のベースに比較しまして二三%も低いのでございます。そこで二年計画をもってこれを引き上げたいというので、来年度は約半分の一五・四%を上げたいということで予算折衝中でございます。その他保育所の職員の処遇の改善につきましては、超過勤務の手当の増額の問題、これも従来の倍額にしたい。それから人が足りないという問題がございますから、三才児未満の児童に対する保母の定数を改善をしたい。従来十人に一人でございますか、八人に一人の定数に改善をしたい。それから産休の代替保母の制度がございませんので、これを新設をしたいというようなことで保母の給与の引き上げを考えておるのでございます。  それから保育所の措置費の問題でございますが、これは保護基準にならいまして、給食費及び日常諸費の引き上げをすることが当然でございますが、間食費につきましては従来の三円を五円にいたしたい。その他徴収金の引き下げをはかる工夫をいたしたい。なお、予防接種費の新規の増をいたしたいというようなことを予算要求として考えて折衝いたしておる最中でございます。
  89. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は薬務行政と環境衛生の問題について、一点ずつただしておきたいのです。今、坂本委員から、大阪のヒグチ薬局打ち合いの問題について話が出ましたが、それについてもう少し私は確かめておきたい。これは、私は現在の厚生省の薬務行政当局者が、新しい、われわれが審議してでき上った薬事法に対するものの考え方と、行政の措置というものについては、非常に私は適正な考え方なりやり方をお持ちになっていると信頼しておる。ところが、それが都道府県の末端の薬務行政、衛生行政当事者にはちっとも伝わらない。非常によく努力されていることは私も承知しているけれども、よくその意思が体得されている都道府県はきわめて少ない。東京都においてしかり、大阪府においてしかりだと私は思う。そこで、この八月、われわれ、私もお供いたしましたが、社会労働委員会調査したときに、株式会社コクミン薬局の問題はすでに出ておって、しかも厚生省から連絡あっているはずです、今の説明によると。それが今日なおうやむやで、協会が陳情しても何のことやら一向わからぬような返事を大阪府庁がしている、この事実があるのであります。そこで、私はこういう点を厚生省に、一つ法務関係と都道府県の衛生行政当局者に連絡をさるべきだ。株式会社をやる場合に、私が申し上げるまでもなく、商法に従って公証人の認証が要る定款がある。そのときに公証人が、ただ、たとえば電気器具の製造株式会社とかあるいは文房具の製造株式会社というようなものと別に法律があって、その法律によって規定されている事業をなすべき株式会社である場合と、ちっともその区別をしないで認証をするわけだ。だからもしも、この際株式会社ヒグチ薬局とすれば、事業目的はあくまでも薬局開設に限らなければならない。限ってなければならない。それならば、株式会社ヒグチ薬局でけっこう。名前は称号そのままでけっこう。それが株式会社ヒグチ薬局であって、事業目的が薬局開設あるいはその他薬局にあらざる一般薬品の販売業とか何とかいうことになるならば、この事業目的は薬事法の精神にそむく、違反である。そうすると、公証人はこの府県の認証を断わるべきだ。もしも事業目的が変わることができないと発起人側が言うならば、それならば株式会社ヒグチ薬局の称号の変更を定款の中でしなければならない。これをやるべきだ。これをようやらない。一緒くたに薬事法そのほか特別な法規その他によって制約を受けている業態と、そうでない業態とをごっちゃにして、そうして商法の百六十六条の定款の書式にかなっていさえすればすぐ認証する、こういうやり方が非常に問題を起こすわけです。この点について、私は厚生省は厚生大臣の名をもって法務関係に十分厳重なる連絡をとって、別な法の制約を受けている事業に関する目的を持った株式会社である場合に、定款のその事業の目的の内容を十分吟味の上で認証するかいなかをきめるべきである。これをまず私は公証人に十分認識さす、教え込むことが必要だ。次に、もしもそれがむずかしいというならば、薬務行政当局地方の都道府県の、そんなことは承知の上だから、もしも薬局以外の薬品販売業を営む、たとえば株式会社ヒグチ薬局であるならば、それならばヒグチ薬局の称号変更をやる、定款変更を臨時総会でも開いてやってこい、そうしてどうしても株式会社ヒグチ薬局という名前が必要だというならば、それならば事業目的の内容を変えてこい、薬局開設に限定してこい、こういう注意を知事の名前において、あるいは衛生部長、薬務課長の名前において当然注意する。それをほったらかしておいて、そして業者のほうからいろいろな文句があって、いろいろな的確な回答もようやらぬということでは私は安心して都道府県の衛生部長や薬務課長に大事な医療関係の薬務行政を責任を持たせてやらせるわけにいかぬのじゃないかと思っている。しかもこのヒグチ薬局、これは今坂本委員のほうから写真とビラの資料が回って参りましたが、この二十三軒のうちで、私の聞くところによると、たった二軒だけが薬局、ここに坂本委員がチェックされている文句がちゃんと書いてある。二十三店の薬局を直営していると文句が書いてある。二十三店の薬局を直営していると。はたして二十三店全部が薬局であるならば、株式会社ヒグチ薬局支店でごうも差しつかえないと思う。ところが、これは大阪府の薬剤師協会あたりで調べた話を私も聞きますというと、大体二店ぐらい、二軒ぐらいがやっている。あとは全部一般販売業か何か知らぬけれども、薬事業か知らぬけれども、薬局にあらざる販売業者、しかもそれを大阪府庁が明確にようしない。ようしておらない。そして社会労働委員会がこの件についてやかましく言うというと、社会労働委員会社会労働委員会でしょうと、こういう答弁をしている。これは私は薬務局長が大阪府の知事を通して十分調べてもらいたいと思う。社会労働委員会が法律を吟味して、そして法律の解釈をして、それでそれが成立するかしないかきめる。それでその社会労働委員会がこういう解釈を持って、この法律を、新薬事法の制定をしたというならば、社会労働委員会意見なり決議は尊重すべきだと思う。厚生省はそうされている。ところが、大阪府の薬務課長か衛生部長か知らぬけれども社会労働委員会社会労働委員会、こういうような国会を侮辱した発言を、私は聞いたのじゃないからわからないけれども、事実であるかいなかを厚生省から左藤府知事を通して厳重に調査してもらいたい。もしもそれが事実であれば、まさか薬務課長を呼ぶわけにはいかぬから、大阪府知事をここに参考人として御出席願って釈明を求めなければならぬ。私はそう思っておる。こういうことが至るところにあるのですよ。ですから、厚生省が非常に適正な考え方と措置をとっておいでになるにかかわらず、それがどうも各都道府県に徹底しない。それならばわれわれがひとつ厚生省にお力添えをして、そういう徹底しない府県の知事なり衛生部長なり薬務課長なり何なり、関係知事、部課長をここに呼んで、われわれが一々そういう地方の、めんどうだけれども、参考人としてここに召喚をいたしまして、どういう考えを持っているか、われわれの考えは違うかどうかということで議論をして確かめなければならぬ。そうまで私どもは考えております。したがって、私どもが聞いているそういうような社会労働委員会社会労働委員会というような、各地で言われる都道府県の薬務行政担当者の発言は間違いであることを私は信じたい。しかし、一応これが世間に流布されている以上は厚生省から確かめてもらいたい。もしもそれが事実であるならば、ここで大阪府庁の関係者をここに召喚して、そしてここに二十三店の薬局を直営する、こういうようなビラが配られている。二十三店が薬局であるかどうかはこれは厚生省の薬務局長から直ちに調査してもらいたい。これがあるならば、われわれは、坂本委員にしても私にしてもそれは株式会社ヒグチ薬局本店、支店でけっこうだと思う。しかも定款の中には本店、支店を書かなければ、それならば、株式会社ヒグチ薬局であるならば、先ほど申し上げたとおりに事業目的は明確に薬局開設に限るべきである、定款で。そして本店、支店はどこどこにあって、当然これは薬局であることを明示しなければ定款にならない。そういうことを吟味しないで公証人が認証することがいかぬのだけれども、それはそれとして今後の改善を法務大臣と連絡をとってお願いすることにして、とりあえずは薬務行政担当者、衛生行政担当者が都道府県において定款変更を直ちに命ずべきである。その措置を強くとるべきである。これを、私は十分、厚生省の当局はわれわれの意見と同一であると私は考えておる。お考えが非常に適正で、処置が適正であると私は信ずるから、そのお考えをもってわれわれの意見をしんしゃくして、都道府県に厳重なる戒告と通牒あるいは法務省との連絡、これを私はひとつお願いをしたいと思う。これに対する薬務局長に一応簡単でけっこうですから決意を伺いたい。  それからもうひとつ伺いたいのは、これは環境衛生局長かあるいは公衆衛生局長かしりませんが、私はこの間実に嘆かわしいことを飛行機から見た。鹿児島の空港から飛行機で宮崎へ出る。鹿児島湾はこれは国定公園なんです。そうして鹿児島市の北側、この北の端と桜島の間はきわめて短い。そのまん中に屎尿処理の船が二隻屎尿を流しておる、黄色い帯を作って。それでその後東京へ帰りましてから鹿児島から出てきた人に、あれでいいかどうか、ひとつ市の問題か県の問題かしらんが注意しておいてくれ、こう言っておいた。これは東京湾でもしばしば問題になる。問題になるが、鹿児島湾の場合は、あれは国定公園で、今国立公園になろうとしておる。その湾の中で汚穢船か屎尿船を二隻並べてどんどん黄色い帯を作って流しておる。しかも狭いところですよ。いいかどうかという二とですね。これは私は今後の観光行政の立場からいっても大きな問題だと思うので、この点についてこれを取り締まる法律が何かあるかどうか。私は条文を忘れたから見解を伺って、もしもそういうことを取り締まる道があるなら厳重にひとつ鹿児島県庁として戒告をして注意していただきたい。もしも取り締まる法がなければ、別個の日本の観光行政のやり方として適当でないという厳重なる注意を与えてもらいたい。それができるかどうか、それをひとつ環境衛生の担当者の方から伺いたいと思います。  以上でもって私の関連質問は終わりまして、あとはお譲りします。
  90. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 御質問の第一点のヒグチ薬局の問題でございますが、薬局ということが株式会社の名称になって、それが実際の事業を、一般販売業なり、あるいは薬種商のことをやっておりますが、これは私ども非常にそういうふうなやり方に対しては疑問を持っているわけでございますので、ただいまお言葉がありましたように法務省等と十分その点を連絡いたしますし、十分そういう事業外にわたるようなことがないようにやっていきたいと思います。  それから大阪府の薬務課長なり衛生部長の言動につきましては、これは私はそういう失礼なことを言ったはずはないと思いますけれども、よく事情調査いたしまして善処したいと思います。
  91. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) ただいまの鹿児島、桜島間の屎尿の海域への投棄の問題でありますが、これは全体としまして屎尿の衛生的処理の施設がおくれておる結果がここに現われておるわけでございます。まことに申しわけないのでございますが、屎尿の処理につきましては清掃法施行令の中に、「内海、湾内等の海域への投棄処分を行う場合には、海岸の利用度、漁ろうの状況、海流及び潮流等当該海域の状況考慮し、且つ、適当な深さに投入する等の措置により海水の汚染を少くすること。」とこういうような注意事項を守らせて、衛生上その他の被害を防止して処置するように指示し、また規定をいたしておるわけでございますが、諸般の関係でこういう事が十分守られておりませんことはまことに遺憾だと存じます。今後十分施設を整備すると同時に、こういった規定を守らせまして、衛生的な措置をさせるように努力して参りたいと思いますが、ただいまのところは今のような規定があるだけでございます。
  92. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は大阪のヒグチ薬局のことについてお聞きしたい。私は素朴な大阪の人から聞いたわけです。今、高野さんがうまく言ったのですが、社会労働委員会が何だ、国会が何だ、そんなことは問題にならぬじゃないか、そういうような言い方を課長がしている。この社会労働委員会で法律をきめるわけでしょう。そういうことをあなたのところの部下、関係者がそういう言い方をするのはけしからぬことだと思う。素朴な意見として非常に怒っておりますから、それはひとつ明確に調べてもらいたい。  それからもう一つは、直営二十三店というのは市内だけでなく大阪府下全域になっている。大阪府下全域に薬局がある。それで、薬剤師がおらなくても薬局ということでやれるのですか。
  93. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) やれないのです。
  94. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 やれないということは、物理的にどうして——たとえば二つの店と言われましたけれども、薬剤師が一人か二人しかおらないということを言われたのだと思いますけれども、大阪府下の、ずっと書いてありますが、全域です。それが直営ということで、これは一ぺんごらんになったらいいでしょうが実際けしからぬ話だと思うのですがね。実際私のお聞きしたいのは、あなたが今返事をなさったように、薬剤師がおらない薬局というのはやれないというわけでしょうね。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 薬務局長は、そうでなければ答弁ができないかもしれないけれども、たとえば県で担当の部長や課長は取り締まる法律がないのではないか。この間ちょっとここで僕も質問を保留したけれども、取り締まり法がないから、社会労働委員会が何を言ってもしようがございません、そう言ったのではないかと思う。前にここで政府が答弁した。それならば、薬務局長がそういうような、調べまして厳重な処置をしますと言ったところでこれは単なる議会答弁にしかならない。そういうものでなく、今後、そういう法律がないとするならば作らなければならないのか、法律が不備であるならば法律を改正しなければならないのか、そういうことでないと答弁にならないと思うので、今の藤田君の質問と一緒に……。
  96. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 藤田委員の御質問にお答えいたしまするが、二十三店のうちに薬局が一軒か二軒しかない、あとは一般販売業の許可を得ているのでございます。これも薬剤師はいるわけでございます。ただ薬局の許可を受けておりません。その点でございますが、医薬品の販売をするところは薬剤師がそこにいるわけでございますから、二十三店もできるにはできます。しかし、薬局という名称は薬局以外にはつけてはいけないというのが今度の第七条の規定にございますし、これに対しては罰則もついておりますので、この点の違反として私どもは処置したい、そういう趣旨でございます。  それから、私ども行政方針なり法律の施行に対して、都道府県知事が聞かない場合には、これは地方自治法にそういう行政の規定がございますので、その点は正規の法律の条文の適用によって指導をすることはできるわけでございますが、ただいまのような言動につきましては、これはむしろ私は常識の問題だと思いますし、そういうふうなことがもしございましたら、私ども指導として十分注意すべきだと思いますので、十分調べまして善処していきたいと思います。
  97. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今のお話ですけれども、二十三店、薬剤師がおれば薬局という名称で営業ができる、認可、許可の薬事法であるわけです。そうでしょう。薬業種という格好ですね、限られた薬局じゃなしに、薬剤師がおらないで、薬業種とかそういう形のものなら、おのずから販売する品物が規制されるわけでしょう。そういうことで、薬剤師がおって、薬局という営業許可をもらって、一切の薬品が販売できるという格好のものでしょうね、薬局という用のは。調剤もできるわけですれ、薬剤師は。ところが、その二十三というのは、薬局という名称で薬剤師があなたはおると言ったけれども、おるなら、二十三の場所に薬剤師が全部おるなら、違った格好で出てくるのじゃないか。何も二十三の直営支店とか何とかいう必要はないのじゃないか。むしろチェーン販売店とかいう、そういう格好の協力店という格好になる。なっておらぬからこそ二十三店、直営本店、支店という格好になってくる。あなたの答弁は少し違うのじゃないですか。
  98. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) これは藤田先生御存じのように、薬局は調剤室を置かなければいかぬし、それで必ず調剤は薬局でしかできないわけでございます。しかし、薬種商のほかに一般販売業というのがございまして、これは調剤室を持たない一般の医薬品の販売業でございます。これはそこには管理薬剤師という者がいなければならぬわけです。そこで、薬局ではないのに薬局の名称をしてはいけないというのは、薬種商はもちろんのこと、一般販売業も薬局という名称はつけられない。それでそのヒグチ薬局は、私が大阪で聞いたのは、過去においては薬局をやっていたけれども、それを一般販売業に切りかえているというようなことでございます。そして薬局は現在一店か二店しかない、その二十三店のうちで。そうすると、調剤もできるいわゆる正規の薬局は一店か二店しかございませんから、それ以外のものはこれは薬店とか、こういう名称しかできないわけでございます。これを今のようにヒグチ薬局のチェーンみたいな格好にしていかにもそれか薬局にまぎらわしいようにやっておる。それは七条違反である。そういう趣旨でございます。
  99. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは次に医務局長さんに伺いたいのですが、看護婦の不足の問題についての御説明を承っていると、実際の実情を知っているのかどうか非常に疑わしい感じがせざるを得ないのであります。特にあなたの所管の中には国立病院、国立療養所があります。そういうところでどういうふうな看護の実態が行なわれておるかということをほんとうに知っているのか、まずそのことを一つ承っておきたいのです。  それからもう一つは、御承知のとおり、ことしの八月からですか、四四制が実施されておる。これによって看護婦の労働時間というものが短縮された。しかし、このしわ寄せが今度は患者さんのほうに、つまり看護の面で非常に手落ちがふえてきておる。当然厚生省として看護婦の不足ということに気がついているならば、四四制を実施すると一緒に、よほど大幅な増員をもって患者に対するサービスを手落ちのないようにする義務があったと思う。もちろんこれは厚生大臣も答弁して、約三百名ぐらいですか、人員はふやしました。なお、これでも足りない場合にはさらにふやすということを国会答弁で、たしかお約束されたはずでありますが、あなたは一体、国立病院、療養所の看護の実態を知っておられるのか。さらに一般の病院の看護の実態を知っておられるのか。これは私は非常に疑わしいので、きょうはこのことばかり聞いているわけには参りませんが、一応局長の反省を求めて、あなた方はどの程度知って看護婦対策をやっておられるかを承っておきたい。  もう一つは、給食費について引き上げたいということを言っておられましたが、実際の実情は、今まで百五十円であったのが、医療費の値上げに伴って、七月九日から百七十円あるいは百八十二円、また基準給食の甲表では二百円が二百二十円、乙の二表では二百一円が二百二十五円、乙の一表では二百十七円が二百四十三円に値上げされている。そうすると、二百四十三円と国立病院、療養所の百六円、しかもその百六円についても、七月一日から国立療養所ではA地区、B地区、C地区と分けられて、A地区では百六円十一銭、B地区では百五円十一銭、C地区では百四円十六銭、かえって下がってきている。一方では二百四十三円という給食費があるかと思うと、国立の療養所では百四円十六銭という単価がある。あなたのほうで引き上げるというけれども、一体どの程度の引き上げの計算をしておられるのか。また引き上げられる場合の根拠は一体どういう根拠でもって大蔵省と折衝しているのか。どうも今の御説明では、これは大蔵省に一ぺんに押し切られてしまって、とうてい成果を上げるようには思われない。ですから、この給食費引き上げについて、どの程度の決意と根拠を持って折衝しておられるか、その辺のことについて御説明いただきたい。
  100. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 看護婦の従業の状態でございますが、これは御承知のように一応看護基準がございますが、それを標準にしてやっております。これは国立病院のほうも療養所のほうも、看護基準を確保するということでやっているのでございます。国立の場合では重症患者の多いところとか、手術の多いところには看護要員を増しておりますので、一般の病院と、平均して考えますというと、私は国立の病院の看護が一般より劣っているというようには思わないわけであります。療養所におきましては、御承知のように六対一というような基準でございますけれども、国立におきましては、それよりもずっとよくなっております。ただ、全体としてはそういうようになっているわけでありますけれども、施設によりますというと、患者が非常にふえた、あるいは反対に患者が非常に減ったところ、そういうような事情がございまして、その間の調整がなかなか思うようにいかない。看護婦の転勤なども右から左には参りませんので、そういう点でもって御不自由をかけているところもあるわけであります。また定員がありましても採用が間に合わぬ事情もございます。なるべく早くその調整や採用をいたしたい。その間におきましては超過勤務でもってしばらくしんぼうしてもらうほかありません。それからこの前も申しましたように、いろいろ看護婦の看護に要するところの器械器具なども整備いたしまして、能率を上げるようなことも考えているわけでございます。四四制に切りかえたわけでございますけれども、看護婦の定員は、相当患者の多かったときと比較的減っている現在と比べて減っておりませんし、今度の四四制で三百七名ばかり増員をいたしております。そういうことで、一応ほかの施設などと比べまして、平均してまさるとも劣らない要員を持っていると考えています。従って一応これでやっていきたいと存じます。そして将来どうしてこれでは不足だというようなことがありますれば、大臣が答弁されましたように増員を考えていかなければならぬと思っているわけです。  それから食費問題でありますけれども、これは国立の食費というものは必ずしも入院費とパラレルに考えていないのでありまして、入院費が安くてもやはり必要な栄養はとれるように、従来とも考えて食糧費に対する手当をしてきたわけであります。だから入院料が上がればすぐその食費を上げるというような、考え方に必ずしも立っていないわけであります。国立のほうの先ほど御指摘の百六円というのは、ただその材料費でございまして、人件費やあるいは光熱水費等は含まれていないのでありまして、その点先ほどの数字の比較がそのままには当てはまらないと思います。  それから食費の材料をA地区、B地区、C地区と分けてやったということでありますが、これはその地方地方におきまして、主食の米の価格が違いますので、それによって一応三つのグループに分けているのでございまして、別に副食をそのために変えているということではありません。そういう点ではかえって合理的になったのではないかと思います。しかし、全般といたしましては、先ほど申し上げましたように、物価が値上がっておりますし、質もよくしたい。それから特別食には、相当材料費、その他の費用がかかるわけでありますが、そういうものを考えまして、来年は相当の大幅な値上げの要求をいたしているような実情でございます。
  101. 坂本昭

    ○坂本昭君 医務局長説明を聞いておったら晩まで、あしたの朝までかかるかもしれないから、ただ、一つだけ指摘しておきますが、今のような局長説明を聞いていると、国立病院、療養所は天下で一番いいモデル・ホスピタルであるというようなお考えでおりますが、そんなお考えであったら来年の春ごろになったらただではおさまらんと思います。これは確かにこの間のあなた方の説明によると、国立病院の看護婦の給与がほかよりいいかもしれない、いいかもしれないが、だからこの四四制になった場合、人をそんなにふやさなくても、もっと働いていいんだということにはならないと思う。現に去年の暮れから今年にかけて、病院ストが起こって、その病院ストがどういう理由であったかということについては、これは労働省もまた厚生省もおおかた一致した意見を持っていたはずで、そのときに医務局長の責任が一番僕は追及せられたはずだと思う。そのためにいろいろな新しい審議会といいますか。委員会ができたことも局長知っておられるはずなんですね。だから今のような御答弁では、われわれとしては、これはもちろん納得できない。これは、この問題だけまた日を改めてひとついたすことにいたします。きょうはまだとにかく新進気鋭の各局長さんがおられますから、もう少しほかの問題をお尋ねいたします。
  102. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連して、僕は今川上さんがおっしゃったけれども、たとえば国立療養所普通給食甲表が百七十円、百八十二円。それから基準給食甲表ではこれは二百二十円、二百二十五円とっている。そこで実際は百六円、百五円、百四円しか出してないでしょう、これは保険からこれだけの金をとっているわけです。この差額をどこへ使うのです。款項目としては予算の中に人件費だとか燃料費というものをみなとっている、この差額をどこに使うのですか。  それからもう一つ、今の関連ですから私は簡単に言いますけれども、あなたは看護婦が云々と言われたけれども、ここに私集めた資料でも百五十人から二百人のところで夜看護婦が一人か二人しかおらぬ、療養所で。こんな状態を厚生省は認めているわけですかね。一番ひどいところは東海の梅林光風園、病棟が九つ、三百四十人、それで二・五人ですよ、看護婦が夜。これはどんなにして看護するんです。一番ひどいところ。その次にひどいのが八事寮、十二病棟で二百五十二人で二人。高知寮、四国の、百二十名で看護婦一人。福寿園、九州、百人に一人、どないして看護する。こういう現実があるということをよく私は知っていただきたいと思うのです。だからひとつ局長の御意見を二つだけ端的に聞かしてもらいたい。
  103. 川上六馬

    説明員(川上六馬君) 先ほども食料費の問題を述べましたように、国立のは材料費だけなものでございます。この給食に要します人件費、光熱水費その他の費用は、これは別に使っておるわけであります。したがって、給食に要する人件費も他の人件費と一緒になっておるわけであります。国立療養所はそういうものを計算いたしますと、従来患者さんが一人ふえるとそれだけ給食費に赤字がふえるという事情にあります。これは一つは二割引でいたしておりますから、そういうこともありますけれども、決してそれによって国がもうけておるというようなことはございません。(「その差額をどこに使っておるかということだ」と呼ぶ者あり)それは全体の経費に入っておるわけでございます。百六円と申しますのは、これはもうその給食の材料だけに使っておるわけであります。それを御理解願いたいと思います。  それから看護婦の数が非常に足りないというようなお話でありますけれども、これは大体先ほども申し上げましたように、国立療養所で申しますと、看護婦一人当たりの患者数というものは、国立は五・三人になっておる。民間は六・七になっておりまして、全体として私は先ほど申しましたように、悪くないと考えておるわけでありますが、この看護要員は皆さん御承知のように三交代になっており、普通日勤と準夜勤と深夜勤と分けております。日勤に一番たくさん看護婦が使われておるわけであります。夜は大体患者さんも寝ていますから、看護婦さんも少ないわけであります。重症の患者や術後の患者には一人に一人ずつ必要がある場合もありまして、これは全体の操作においてさようにやっておるわけであります。しかし、軽症の患者であって、夜は眠っていて手があまりかからない場合は、大きな病棟に深夜には一人というところもあるわけであります。しかし、必要に応じましてすぐ隣の病棟の看護婦が呼べるとかパトロールをするとかして、看護に欠くるところのないような努力をいたしておる次第であります。
  104. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 よく見て下さい、実態を。
  105. 坂本昭

    ○坂本昭君 それじゃ社会局長さんに、先ほど日赤病院の問題で御答弁がありましたから、簡単にまたお伺いしたいのですが、なぜ設備投資の計画を来年度考えておられないか、日赤病院が救急病院であるから、これに対して設備投資の予算を組んだってかまわないはずです。去年からことしの暮れにかけてこの委員会で議論したときには、与党の方、たとえば高野委員もたしか設備投資について出したらいいじゃないか、そしてほんとうに救急病院として赤十字病院が本来の使命を果たすことができるように、国がちゃんと法律で定められておるから、予算的に補助金を出したらいいじゃないかと、こういうことも話に出たのです。そういうことが全然一考もされていない。それから看護婦養成の費用についても今度全然考えられていない、私はこういう点に対して、せっかく委員会で与野党一致して日赤病院の運営について積極的な意見を出しているのに、全然当局がこれを取り上げようとしていない。それどころか、いろいろお話を伺うと、東根の場合、奈良の場合、だんだん廃止して、そうして日赤病院というものの運営から赤十字そのものが遠ざかるような形さえ見られる。私たちはあのときに日赤の組織についてもいろいろな議論をしましたよ。いろいろ社員としての費用の負担のことも議論しましたが、そのときに、病院の運営について今のままじゃいかぬ、だから、これをもっと法律に従った、日本赤十字社法に従った運営に持っていこう、そのためには設備投資の補助金も出していいじゃないか、また看護婦養成の費用も出していいじゃないか、こういうことがここで論議された。それが取り上げられていないというこの説明をひとつして下さい。
  106. 大山正

    説明員(大山正君) 看護婦の養成につきましては、医務局の予算といたしまして、二分の一の国庫補助を要求しておるということでございまして、先ほど答弁申し上げました際に、私十分その間の事情承知しておりませんでしたので、答弁が漏れたのでございまして、その点訂正いたします。なお、日赤病院のあり方につきましては、日赤本来の今後の進み方に関連しまして、非常に大きな問題であるというように考えるわけでございますが、これにつきまして先ほども触れましたが、医療問題の審議会をせっかく作りまして、根本的な問題についていろいろ検討いたしておる最中でございますので、私どもといたしましても、日赤側におけるこの問題についての一応の結論を承知しました上で十分ひとつ相談して参りたい、かように考えておるのであります。設備投資等の問題につきましてまだ従来の還元融資その他の方法による以外今回特に考えなかったのでございますが、今後これらの問題ににつきまして、さらに検討して参りたい、かように考えます。
  107. 坂本昭

    ○坂本昭君 問題は、そんなことを考えたり何かしておる間に病院が二つも、つまり、いわば廃止されつつある。さらに今後どういうことになるかわかりませんがね。だから、少なくともこの委員会である程度与野党一致した意見が出てきておるのだから、看護婦養成についても二分の一だけ医務局から出していると言うけれども、これは今の社会局の所管の日赤病院であります。私はもっとこれに対して責任をもって、日本の赤十字病院というものをどうするかということについて積極的に考えていただきたい。もう一ぺんストライキをやらせますよ、そして責任をとらせますよ。実際何も考えていないじゃないですか、去年から。今度は赤十字病院だけじゃない、国立病院も。今のような、医務局長のようなお考えだったらおさまりつかぬですよ。こんなことだったら働いておる人たちはみんな納得しませんよ。きょうは忙しいので聞くのはやめます。  あと生ワクの問題についてお尋ねします。先ほど薬務局長説明では、シミアン・バイラスの除去のことに関連して、今度はカナダの生ワクを入れるということになったということですね。WHOもそういうことを指摘しているというのですが、私は寡聞にしてWHOが特にシミアン・バイラスについて非常に厳格な態度をとっておったようには私存じておらない。それからそういうことを言われるならば、現在あなた方、これは厚生省にお尋ねしますが、ソーク・ワクチンを使っています、今でも。このソーク・ワクチンにはシミアン・バイラスはどう扱われているのですか。私は今度のこの生ワクのカナダのに切りかえるについては、特にこのシミアン・バイラスだけを問題にされたその理由が私ははっきりしない。もう少し、専門的になりますけれども、カナダの場合は、シミアン・バイラスの除去についてどういう方法を書いてありましたか、これを御説明願いたい。それから入札の価格は幾らでしたか。それからわれわれとしては、十三才以下だけでは非常な不安を持っている。ことしのあれは緊急輸入として、これはいろいろな国家検定とか何とかいうようなことはある程度省略もしたのですが、十三才以上の人に対して国民が心配でしょうがない。だから、入れてくれと言って、また特に患者さんが一人も出ないというならともかく、出た場合に、これは一人でもとにかく小児麻痺にかかれば苦しいわけですから、そういう場合に、十三才以上の人に使ってくれと言った場合、ことしと同じ緊急輸入の状態が生まれてくる。その場合に、あなたは先ほどイエスともノーとも答えられないと言うけれども、どういう責任をとってくれるのか。私は、イエスともノーとも答えられないと言うけれども、もう一般の国民からは一月に飲めたら一月中旬に飲みたい。十三才以上のわれわれとしては何とかしたい、そういう希望が現に私のところにも出てきているのですよ。だから、今あなたがイエスともノーとも答えられないということでは国民が納得できない。だから、これについて緊急輸入ということしの例にかんがみて、そういう場合にはやむを得ない、そのかわりその費用はこれは厚生省が、われわれとしてはできたら十三才以上もやってもらいたいのですけれども、あなたのほうでどうしてもいかぬと言うならば、国民が自分で金を出して買う。買う場合にはそのくらいは認めていただいてもいいんじゃないかと思う。以上三点について。
  108. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 第一点のシミアン・バイラスの問題でございますが、これはWHOの製造基準には、そういうものが望ましいということが書いてあります。したがって、現在そういうものを除去されているものと、それから除去がはっきりとプロトコールでは不明なものと両方があるわけでありますから、せっかく購入するならばいいほうを買ったほうがいいという意味でそれを選定したわけであります。それからそのプロトコールの問題につきましては、細菌製剤課長がおりますから、細菌製剤課長に答弁させたいと思います。  それから次は、今度買いました価格でございますが、これは総額で三億五千五百二十六万円、大体I型が一人分一・七二セント、II型、III型の混合型が一人分三・二五セント、大体日本円に直して六円二十二銭、十一円七十銭、これはCIFの価格でございます。そういうふうになっておるわけでございます。  それから次の、先ほど私が申し上げましたのは、薬事法との関係においては、薬事法で正式な医薬品として許可されたあとの取り扱いを集団投与というような形でしかやらぬようにするのか、あるいは一般の医薬品として個々の需要者の必要に応じて病院なり薬局から買うようにするかという、そういう問題に対してはまだはっきりとしていないということを申し上げたわけでありまして、来年の夏——もし春の投与以後、来年の夏場において緊急投与をする必要があるならば、それは別問題でございまして、そういう必要に対しては、公衆衛生局長が、予防の観点から、もう一ぺんそういう緊急投与の必要があるということならば、薬務局として輸入することはひとつも差しつかえないわけでございます。必要に応じてそういう措置をとることは、そのときの外国のあるなしにかかわるわけでございますが、私としては差しつかえないと思います。
  109. 坂本昭

    ○坂本昭君 ちょっと、今のに引き続いてですけれども、そうしますと、二月、三月に、十三才以下は飲むことができるけれども、それ以上の人が非常に飲みたいという強い要望があった場合に、あなたのほうは、飲む必要はない、全然ない、とは言い切れないのじゃないか。そうした場合に、たとえば、私が百万円の金を出して、かりに五十万人分購入する、そして、もちろんそれはちゃんとした保存のもとに、十三才以下が使うときに、並行して十三才以上の人にも飲ませる。その場合に、あなたがそれはいかぬと言って私を阻止することができるかどうか、ということをお伺いいたしたい。
  110. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) これは、今度の三月、五月の投与につきましては、安全試験並びに力価試験を予研でやるつもりでございますし、これは去る夏、研究団体、調査団体が、生ワクの実際の外国の投与の実態をお調べになった結果、日本が八月にとったような、ああいう検査の仕方ではやはりいかぬ、どうしても国家検査で、安全試験なり、あるいは力価試験はやった上で使用するようにしなければいけないという結論のようでございますから、どうしてもそういう国家検定はやらなければならぬ。したがって、坂本先生が百万円投ぜられて外国から買ってこられましても、直ちに使用するかどうかということは、私はできないというふうにお答えしなければならぬと思います。
  111. 中原竜之助

    説明員中原竜之助君) 私からシミアン・バイラスの問題につきまして、このワクチンを選定した経過について申し上げます。  シミアン・バイラス、ことにSV40の問題でございますが、これはないほうが望ましいということは、WHOのスタンダードの説明書にも書いてあります。局長が申しましたとおり、ないものとあるものがあるならば、ないほうにしようというような方針になっております。それではないものを一体どうして選定するかというような問題に移ってくるわけです。そういたしますと、製造の経過ということを調べることが必要になってくる。これはカナダ、イギリス、ソ連、それからベルギーが大体対象になっておりますが、製造の経過を調べてみると、イギリスとカナダは、最初の製造のとき、サル一匹々々につきまして、あるものとないものを選別していきます。そしてないものだけを残して、それから製造していくという格好をとっておる。ほかのほうはそうではなくて、何でもかんでも最初に作ってしまうという方法をとっておる。そのほかに、使用のサルにつきましても、イギリスとカナダはSV40を発見するために、検査するために、使うところの……。大体これはベルベット・モンキーとか、グリーン・モンキーが主として使われますが、これを製造にすぐに使っております。ほかのほうは大体リイサス・モンキーを使っております。そういう観点から、ないということの保証という問題、そうして日本で作ったとしても、こういう一匹々々最初からないもので作っていって、そうして集めていって、また最後に検査するという方法のほうが確実であろう、したがって、この方法でやったほうがいいのじゃないだろうかということで、イギリスとカナダが選考されたわけでございます。  以上でございます。
  112. 坂本昭

    ○坂本昭君 それでは時間の関係で次にお尋ねします。  先ほど私立の保育所の場合には、原則として振興会から貸し付けるという話が出ておりましたが、私立の保育所をささえている地域の大衆、特に農山村の人たちが、これは国民年金の拠出制にずいぶん入っています。こういう人たち要望した場合に、むしろ、事業団のほうが振興会よりも筋が通っているのではないか、もちろん利子は振興会のほうが安いけれども事業団のほうの利子を下げることによって、本来の年金の積立金を大衆にもう一ぺん使わせるという点では、むしろ事業団の貸付の対象として私立の保育所を見るほうが将来にわたって筋が通っていると私は思うのですが、その点いかがですか。
  113. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) ただいまお話の問題につきましては、今御質問にありましたようなことも一つの考え方として省内においていろいろ検討いたしました結果、やはりこれは原則的には振興会のほうでいくことが適当であろうという考え方に一応落ちついたような次第でございます。その方向でこの問題を取り運びたい、かような考え方をいたしておる次第でございます。
  114. 坂本昭

    ○坂本昭君 その問題は、それじゃ将来にわたってわれわれの審議あるいは議論の対象としておきたいと思います。  きょうはこれは省きまして、それでは公衆衛生局長は帰らないですね。それでは予防法の問題で一言お聞きしておきたいのは、五万四千のワクをどの程度まで拡大するつもりか。現段階でですね。これはそれでは結核予防課長さんですね。どのくらいまで拡大されるおつもりか。ということをお尋ねするのは、この前の通常国会のときでもそうですが、県が承認したものについては国は必ず負担をしていく。したがって、県が予算を組んでおった場合には、国はあとどんどん拡大するということを厚生大臣もはっきり言明しておられた。ところが、その後、十月以降の厚生当局の扱い方を見ていると、非常にぐらぐらしている。うんと締めてみたり、またゆるめてみたり、ひどくぐらぐらしている。私は、こういうことは、大臣の言明を事務当局が、何といいますか、支持しなかったふうな印象さえ受けたのであって、これは最初から通常国会のときに議論され、また大臣も言明されたとおり、五万四千というワクにはとらわれないで、実際に結核対策を強硬に推進するという立場に立ってやっていただきたい。そういう点では、これは来年度の予算にも関連してくるので、五万四千というようなことではなくて、もっと結核対策の必要な上に立って十分なワクをひとつ取ってもらいたい。少なくとも現時点においてどの程度の腹づもりでおられるか、その点だけひとつ一点伺っておきたい。
  115. 若松栄一

    説明員(若松栄一君) 五万四千人のワクにこだわらない云々という問題でございますが、これは、一応予算の積算をいたしましたときの方針にのっとりまして実施をいたしまして、それでなおかつ超過いたしました場合には、これはやむを得ない、私どもの見込み違いとしてワクにこだわらない、そういうような考え方で申し上げてあったはずだと存じます。たとえば生活保護法の切りかえが三万二千を予想しておりましたのに、これが三万五千となったということでありますれば、その差額の三千につきましては、これは私どもの当然の見込み違いとして考えなければならない。ところが、先ほどの局長の答弁にありましたように、そういう意味で見込み違いは、むしろ少なくなっております。三万二千を切りかえるつもりでおりましたのが、約二万二千程度というふうに現実には見込みが非常に少なくなった。そういう意味で逆な調整をむしろしなければならないという立場に立っておるわけでありまして、これは事務当局の見込みというものと、それから不幸に、命令入所の事務を遂行いたします八、九月の時期に、ポリオ騒ぎ等で、保健所等の手薄も若干影響があったろうということは想像されるころでございます。
  116. 坂本昭

    ○坂本昭君 せっかくこれは予防法を改正したのですから、ひとつこれを機会に、日本の結核対策をさらに織り込んでいただきたい。いろいろ十月以降の各病院や療養所の状態を見てみると、比較的厚生省の指示がおそきに失し過ぎた印象がある。だいぶ事務当局としては数の把握に苦しまれたようですけれども、まあ最初にあなた方が考えておられた結核対策の推進の上の熱意を失なわないように邁進していただきたいということを繰り返して申し上げておきたいと思います。  最後に私の一つ質問として、実はさっきちょっと申し上げたのですけれども、ソーク・ワクチンが依然として使われている。セービングの生ワクがあれほど実施されて、もちろんあれだけでは百パーセント完全とはいわれないが、各地域に行くと、今でも相当な高い値段でソーク・ワクチンを使用している。これは非常に私は合点がいかない。これは厚生省の方針としてやっておられるのか。これを断わった場合に、厚生省としては断わってもらっては困る、必ずこれを使ってもらってほしい、そういうふうな指導をしておられるのか。もう今日、生ワクチンがいいということが明確になってきて、しかもそれだけの成果を上げた以上は、ソーク・ワクチンの使用ははっきりと中止されたらどうか。また製造についてはどういう指示をしておられるのか。これは公衆衛生局と薬務局と両方にわたりますので、このソーク・ワクチンを使用している現在の事実に基づいて、将来一体どうされるのか、この際伺っておきたい。あわせて国内におけるセービングの生ワクチンの使用並びに生産についての御見解をこの際お聞かせいただきたい。
  117. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 私からソーク・ワクチンの製造関係について御説明申し上げます。八月の第一回の一斉投与後におきまして、国内の生産業者六社に対しまして、現在仕込み中のものを廃棄−製品にまでしないで済むものが相当ある、六千リッターぐらいある。これは全部製造を中止するように勧告をいたしまして、現に作ってしまったものだけは、これはせっかくのそういう工程を経て、経費をかけて作っておりますから、これは国家で買い上げる。しかし仕込み中のものはこれを製造中止するように勧告しましたし、また各メーカーもその趣旨に沿って、現在製造は中止しておるような段階でございます。この使用につきましては、私のほうから別に、どうしても使ってくれということは言ってはおりませんけれども、府県によっては、現在の予防接種法の法律の趣旨に沿って、第三回目を実施されているところもあります。これは私はまた府県それぞれの見解によってなされることでございますので、それはそれとして別に私どものほうとして、特に薬務局として、それに対して指示をしたり、勧奨したりした事実はございません。  それから生ワクの国内生産につきましては、これはまだその前に国家検定の基準なり製造基準というものができておりませんので、これを早急に制定するということが第一の作業でございます。これは現在学者の先生方に御依頼申し上げてその準備にかかっているわけでございますが、しかし、それは別といたしまして国内生産をしたいという動きはございます。それでそういうことで生ワクについての製造基準なり検定基準が明確になると同時に生産のメーカーが限定していくのじゃないか。これは現在ソークが六社できておりますけれども、その中から生ワクに切りかえて引き続いてポリオ・ワクチンを製造したいという希望の社もあるだろうし、あるいは別に転換をしたいというようなこともございましょうけれども、大体将来の生ワクの需要から考えましてそう六社全部が転換をするということもないのじゃないか、こういうように考えておりますが、まだその辺具体的にどこがそれではどうするというところまではさまっていない状態でございます。
  118. 坂本昭

    ○坂本昭君 公衆衛生局のほうは……。
  119. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 公衆衛生局防疫課湯沢厚生技官の発言を許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。それでは湯沢厚生技官から説明して下さい。
  121. 湯沢信治

    説明員(湯沢信治君) それではソーク・ワクチンが現在使われていることと、それから将来もそれは使われるであろうか、こういう点について簡単に申し上げたいと思います。現在用いておりますのは、これは予防接種法という制度に乗ったものといたしまして、いわゆる流行を阻止する特別の緊急対策という意味じゃなくて、平素一定年令に達した人に免疫をつける方法として従来より使っているわけであります。ただ仰せのようにいろいろ緊急対策その他の関係で生ワクというものを、ことに地域をカバーして使っていこう、こういう形に相なって参りますと、確かにこれはソーク・ワクチンに対する使用というものが減るであろうということは考えられます。したがって将来においてはそういう流行阻止とか、あるいは全体をカバーするような投与方法に進んで参りますと、そういうものが法制の制度にしっかり乗って参りますと使用が減少してきまして、ことに緊急対策、こういった面で使われるということはだんだんなくなるだろうということを申し上げたいと思います。ただソーク・ワクチン自身は、ワクチンとして十分効果のあるものというふうに一応認められているものでありまして、そういう関係上、それはもう小児が一定年令に達して、要するに危険度のあるときに個々の人がお打ちになるであろうという方法のものとして、これは捨てるべきである、あるいは禁止すべきであるという趣旨のものではないと思います。したがいまして、諸外国におきましても、いわゆる個人予防という点では、生ワクチンの使用を現在行ない出しているところでも、なおソークを個人予防という意味では残して並行して使っているわけでありまして、したがいまして、そういう点で今後も、ソークの免疫が有効であるということはわかっているので、これを続けていくことは何ら悪いことじゃないし、それ自身は続けていくことはけっこうなことであるというふうに考えております。ただ、日本の予防接種法はそういう制度に比較して、市町村の集団的な集合注射という形を持っておりますから、そういう点においてそれ自身も若干議論のあるところもございますが、そういう市町事業としての取り上げ方としてはかなり複雑になるかと思いますが、こういう点は将来とも検討して参りたいと思いますが、現在使われておるのは、そういうことでございます。
  122. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私が聞きたい人は皆帰ってしまって、おらぬわけですが、そういうことを言わにゃいかぬことになるのですけれども、これは今から言うと時間がかかるから、一、二だけ聞いておきたいと思うのです。  国保の問題を——保険局長がおられますが、国保の問題の低額の分の国庫負担については要求をしていると、しかし事務費はどうなるか、事務費の国庫負担はどうなるか。これは今の実績でいくと非常に低いんですね。二百五十円もかかっているのに百十円かそこらあたりで、非常に高いところでは半額ぐらいしかいっていないという状態なんで、この問題をどう考えているのか、これが一つです。それから、本来医療費値上げに伴う保険者負担増額分の国庫負担という問題が出ておりますが、これに対する見解を承っておきたいと思うんです。それから将来この国保が皆保険といって宣伝されてきたわけですから、名実ともに今の健康保険の組合管掌以上の分を見れば、家族も九〇%ぐらい付加給付がされているわけですから、それとのアンバランスが非常にはなはだしいので、それから考えてみても、五分だけ引き上げたぐらいではとても今の各市町村の要求にこたえられないと思います。これは年次計画としてどういう工合にやって考えていかれるか、お考えを聞いておきたい。ことしまあ五分上げると、来年は幾ら上げるんだというようなことを、去年たしか七割九分で一応案を立てられて、何かいつやらしらぬ間に消えてしまったということがあるんですけれども一つの踏み台としてそういうことを考えられながら、ことし五分だけ要求されたということにも関係してくるわけですけれども、そこらあたりの考え方をひとつ聞いておきたい。  それから厚生年金ですね。厚生年金の問題も保険局でしょう。
  123. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) そうです。
  124. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生年金の構想はこの前お聞きしたんですけれども厚生年金の問題がきょう出なかったんですが、今の二千円のフラットじゃあどうにもならぬ。それでもうことし一ぱいすると払い出し時期が一般のほうもきているわけです。このままほっておくつもりなのか。これはぜひひとつ確固たるお考えを聞かしていただきたい。皆さん方はちゃんと共済年金で二十年たったら四割、そのあとは一・五ずつ毎年ふえていくということで公務員の方はいいわけですけれども、一般の労働者は同じに働いておって二千円じゃちょっとひど過ぎる。これを今のようなままじゃ困るので、年金局長ですか、これのひとつお考えを伺いたいと思うのだが、どうです、それぐらい聞かしていただきたい。
  125. 高田浩運

    説明員(高田浩運君) 第一の国民健康保険の事務費の問題でございます。これは本年度の当初予算百十円というのが、先般の補正予算で百十四円になりました。これは私どもは百五十円にいたしたいということで予算要求いたしております。予算折衝も間近になっておりますので、その線で努力をいたします。  それから次に医療費の値上げに伴います国庫負担の点でございますが、医療費の値上げに伴いまして保険者の負担増となる分につきましては、全額ひとつ国庫負担で見るようにというこれは衆参両院の社会労働委員会の非常に強力な御決議の次第もありますので、先ほども申し上げましたように補正予算が組まれる機会には、その線で善処いたしたいと考えております。それから国民健康保険の将来の問題でございますが、私どもとしてはやはり給付率を引き上げるということが一つの大きな課題と考えておるわけでございまして、その意味においてまず三十七年度の予算編成にあたりましては給付率を世帯主については結核、精神のみならず、そのほかの疾病についても七割にいたしたい。それに伴いまして国庫負担も二割ないし二割五分、三割五分にいたしたい。そういうような要求をいたしておるわけでございます。ことしはその線に沿って努力をいたしたいと考えております。逐次全般的に給付率の引き上げを考えていく、これに伴って国庫負担率も引き上げたい、かような考え方でございます。  それから厚生年金の問題については、これは給付の状況が今日の状態でいいとは私も考えていないところでございます。給付の引き上げにつきましては、私どもも真剣に考えるところがございまして、ただ厚生年金は、御承知のように長期の保険でございまして、計算その他の準備に相当な時日を要しますので一さしむき来年度、三十七年度からそれらの準備に着手いたしまして、なるべく早い機会に改正案を御審議いただく段取りにいたしたいと考えております。
  126. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  127. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記起こして下さい。  本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 御異議ないと認めます。  以上をもって本日の審議は終了しました。次回の委員会は、追って公報をもってお知らせさせていただきます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時十七分散会