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1962-04-19 第40回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十九日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大河原一次君    理事            田中 清一君            徳永 正利君            村上 春藏君            木下 友敬君    委員            稲浦 鹿藏君            小沢久太郎君            三木與吉郎君            田中  一君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    首都圏整備委員    会事務局長   水野  岑君    経済企画庁総合    開発局長    曽田  忠君    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君    運輸省港湾局長 坂本 信雄君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省都市局長 前田 光嘉君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 河北 正治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    通商産業省企業    局立地政策課長 馬場 一也君    運輸省港湾局管    理課長     岡田京四郎君   参考人    日本住宅公団理    事       滝野 好暁君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○首都圏既成市街地における工業等  の制限に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○首都圏市街地開発区域整備法の一部  を改正する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから建設委員会開会いたします。  首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。  両案につきまして質疑を行ないます。政府から首都圏整備委員会のほか各政府委員が出席しております。   —————————————
  3. 大河原一次

    委員長大河原一次君) この際、参考人出席要求についてお諮りいたします。  両法案の審査のため、日本住宅公団理事滝野好暁君を参考人として出席要求することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 異議ないと認めます。   —————————————
  5. 大河原一次

    委員長大河原一次君) それでは初めに前回の要求資料が提出されておりますので、まずこれらについて説明を聴取いたします。
  6. 水野岑

    政府委員水野岑君) お手元に十一項目資料を提出申し上げておりますが、このまず第一の工業用地造成を主目的とする宅地造成事業につきましては、建設省都市局から資料を出していただいております。それから2、3が東京湾相模湾公有水面埋立免許資料埋立に関する資料、これにつきましては建設省運輸省から資料を出していただきました。それから4の工業適正配置構想について、五番目の工場適地調査対象地区図、これは通産省から資料を出していただいております。それから6の地方公共団体工場誘致に関する税法上の特別措置例、これにつきましては首都圏資料を調製いたしたものでございます。それから七番目の全国計画首都圏、これは経済企画庁から資料を出していただいております。八番目の「工場用地」の用語を用いた関係法律、これにつきましては首都圏のほうで調製いたしたものでございます。それから九番目の道路整備五ケ年計画首都圏道路整備計画(五ケ年分)との関係について、これにつきましては首都圏のほうで資料をととのえ、建設省道路局とお打ち合わせをいたしまして作ったものでございます。十番目の首都圏市街地開発区域における本法を適用する予定の工業団地造成事業関係附図、これにつきましては首都圏のほうで作成したものでございます。それから十一番目の資料につきましては、首都圏で用意いたしたものでございます。以上でございます。  この順番に、各資料を作成していただきました関係省から御説明をさしていただくという段取りにいたしたいと思います。
  7. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労さまでした。それでは最初に資料第一につきまして前田都市局長から。
  8. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 資料第一につきまして、御説明申し上げます。  工業用地目的といたしました都市計画事業は現在、主として土地区画整理法に基づくところの土地区画整理によりまして、用地工業目的に沿うように区画整理を実施しております。その全国における概況はこの一枚刷りの表でございまして、このあげました中には区画整理という方式によらないで、用地事業主体全面的に買収いたしまして、それを適当に区画割りをして工業の用に供するものもございます。また一部は埋立をいたしまして、その埋立された土地工業用地に供するような事業もいたしておるのでありますが、現在、私どものほうの手元法律上あるいは実際上指導監督しておるもので、特に主として工業用地、もちろん、この中には一部工業用地に使い、他の部分はその工業に従事する従業員のための住宅地に提供するものもございますが、主として工業用地目的としておるところの宅地造成事業として、土地区画整理仕事が行なわれておるわけでありまして、北海道の苫小牧を初め現在各県で実施しております面積は、一番下に書いてございますように四千九百八十四ヘクタールでございます。それぞれ事業主体は市あるいは町村、場合によっては公共団体出資する公社、あるいは県、組合、それから住宅公団も一部首都圏地域その他におきまして、区画整理その他を実施をしておる状況でございます。表でごらんになりますように大部分区画整理で実施しておりまして、現在一部は事業の完成したものもございますが、最近の需要にこたえて目下事業を促進しておる状況でございます。  簡単でございますが、御説明申し上げます。
  9. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労さまでした。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  10. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。  ただいまの説明に対しまして、これから順次質疑を行ないます。
  11. 田中一

    田中一君 今、前田君の説明のうち群馬県の高崎群馬八幡というのですか、全面買収としてやっているこの公社、この場合の公社事業費の内容というものはどうなっておるのですか、大体。この割合ですね。まあ公社だから、大部分のものは、これは群馬県ですか、市ですか、高崎市になるのか。群馬県か、高崎市になるのか、あるいは町村か。そして、その資本構成ですね、どうなっておるのか。これを伺うのは、単なる公共団体のみならず、事業団体にもこれを適用しようということなんですから、現在やっておるものはどうなっておるかということを知りたいわけです。
  12. 水野岑

    政府委員水野岑君) 私この実態を承知いたしておりますので、便宜私からお答えさしていただきます。  群馬八幡における公社と申しますのは高崎市の公社でございまして、市が出資をいたしまして、大部分資金につきましては一般金融機関から融資を受けまして、この事業を実施しておる状況でございます。
  13. 田中一

    田中一君 たくさん公社がありますけれども、地方公社が。公社認可する場合の資本構成基準というものはどうなっておるのでしょうか。これでは、公社設立認可というものは、この事業の場合には建設大臣ですか、それとも知事認可できるのでしたかな。
  14. 水野岑

    政府委員水野岑君) これは高崎市のいわば外郭団体である財団法人でございますので、県がこの認可権を持っておりまして、県当局とされましては、このような工業用地造成事業をやるのに適当な資金を確保できるかどうか、そういうような観点から審査をいたしまして設立認可しておりまして、詳細なはっきりした出資金が幾ら以上でなければいかぬとか、そういうような特別の基準というものはないようでございますが、個々のケースに照らしまして、はたして十分な能力があるかどうかというようなことを審査、検討して認可する。こういうような状況になっております。
  15. 田中一

    田中一君 たとい、その公社市中銀行等から融資を受けた場合、主として融資する銀行支配というものが非常に大きなものであることは、民間企業ではたくさん明らかになっておるわけでありますが、今の水野局長の答弁では、ちょっと僕は満足しないのですが、これらのものは金融界からどういうような無形の支配というものを受けておるかということと、それからそれらの公社事業担当役員というものはどういう形で選任されておるか。県が監督するといっても、市が大体において出資しておるならば、市が動こうとすると圧力は県並びに金融機関からかかるわけです。問題は、それら金融資本による圧力で、提案理由並びに逐条説明説明があったような、公共的な、あるいは、ほんとうにその地域に必要なものというような形で分譲するという順番がきまっておりますね、大体において。しかしそんなものは簡単に金融資本並びに権力によってこわされていくのです。だから、市、県でもそれは同じことが言えますけれども、これは公共団体として一応認めております。そんなことがないというような見方をしてもよろしいと思うのですが、地方公共団体が若干、ごく少ない資金を出して、あとは市中銀行——市中銀行とはいいながら、個人の資本もあるかもわかりません、その資金構成の中には。その場合、その事業というものがどうなっていくかということを考えると心配なわけですね。だから、これはひとつ、都市局長のほうじゃ、そこまでわからないと思うけれども、公社認可する基準というものは、県の場合にはこれは建設大臣ですか。
  16. 水野岑

    政府委員水野岑君) さようでございます。
  17. 田中一

    田中一君 それではひとつ、県に公社認可するという場合に、どういう基準建設大臣は行なっているか。資本構成に対する一つ基準があるか、役員任命に対してはどういうことになっているかというような問題は、これは文書課ですか、所管するのは。出していただきたいと思う。これは私は午後もずっと、質問するつもりでおりますから出していただきたい。えてして、中央の問題よりも地方の場合には、ことに、非常な利益を得る事業になりますから、本筋の方向に向かわないと困るので伺っているわけです。でありますから、ここにある群馬県の群馬八幡地区の場合と、神奈川県の相模原の場合、これは公団ですね、公団はこれは要らないですね、近い所でどこかないかな……前橋に一部事務組合というものがある、これは栃木にもありますね。こうした事務組合資金構成というものと、それから人間の問題、それから、それに対する認可基準等があるはずですから、これを午後に示していただきたい。今わかっていればけっこうですよ。
  18. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 建設省の所管しておりまする法人認可につきましては、ただいま水野さんから御説明がありましたように、事業が県内で行なわれるものにつきましては、知事認可権を委譲しております。事業が県をまたがる全国的なものは、建設大臣認可するというふうに処理しております。しかし、その事業の種類は、県の事業関係するものは住宅あるいは宅地その他たくさんございますので、個々の、今先生の御指摘のような場合における資本金あるいは役員その他についての基準というものは、ないかと思っておりますが、そこまで詳細な基準を設けないで、民法によるところの一定基準に合致すれば認可しておりますので、その際において、役員の数なりあるいは構成なりというものにつきましての詳細な基準は、今までないものと私は承知いたしておりますが、調べまして、また後刻申し上げます。  一部事務組合と申しますのは、これは民間ではございませんので、公共団体、市あるいは県がその一定事業を行なう範囲において連合してやっておる組合でございますので、先生お話のような民間におけるものと違いまして、公共団体の一種でございます。
  19. 田中一

    田中一君 そうすると、今の説明は、事務組合は、その県なら県が事務組合の名において、その地域事業を直接行なっているということなんですね。
  20. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 数個の公共団体が集まってこういうような宅地開発仕事をやっているということであります。
  21. 田中一

    田中一君 公社の場合は別に基準がないということになりますと、ちょっと心配なんですが、公社の場合は何もないのですか。
  22. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 公社につきましては、多分財団法人でございますが、財団法人に関する民法の規定と、それと出資をし、あるいは県が行なっておりますので、出資者という立場から事業監督に当たっているということと思います。
  23. 田中一

    田中一君 この今度の法律は、地方公共団体または事務組合だけが事業主体として認められることになるのですか。それとも、公団はいいとして公社はどうなんですか。
  24. 水野岑

    政府委員水野岑君) この今回の改正案によりまして、団地造成事業主体といたしましては、今お話のございましたように、都県あるいは都県の加入する地方自治法に基づく一部事務組合、それと住宅公団、この三者に限定いたしております。したがいまして、公社は考えておりません。
  25. 田中一

    田中一君 そうすると、ここにある群馬県の高崎市のこの公社は、十一年九月十五日というのは、これは過去のものですか、どういうことですか、十一年というと昭和十一年ですか。
  26. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) この十一年九月十五日と申しますのは、用途地域指定の日でございますので、この地域における工業地域あるいは住居地域という地域指定されたときでございます。高崎市につきましては相当前に用途地域ができて、都市計画が始まっているということでございます。
  27. 田中一

    田中一君 そうして設計認可の日はブランクになっているし、いつごろできた——今やっているのですか、それともどうなんですか。
  28. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 群馬八幡につきましては全面買収でございますので、区画整理法に基づくところの設計認可というものではございませんで、公社自体出資あるいは融資によって資金を得まして、それで農地あるいは宅地全面任意買収で買収いたしまして、それを自分の考えで、法律上の手段によらないで適当に宅地区画割りをいたしまして、工業用地に提供しているというのでございます。
  29. 大河原一次

    委員長大河原一次君) それでは引き続いて資料第二について御説明願います。
  30. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 資料の第二は、公有水面埋立法によりまして免許いたしました建設省関係資料でございますが、昭和三十二年から三十六年の間におきまして、東京湾相模湾に関する許可いたしました具体的な地先名免許年月日面積工事竣工状況ということになっております。千葉県に四件ございまして、神奈川県はここに書いてございますように十件ございます。  簡単でございますが、御説明を終わります。
  31. 田中一

    田中一君 この事業主体はどこですか。
  32. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 事業主体はいろいろございまして、県、市、漁業協同組合、それから鉄道株式会社等になっております。
  33. 田中一

    田中一君 ちょっと、たいした数ではないから一々言って下さい。
  34. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 一番上は千葉県でございます。二番、三番、四番は坂田漁業協同組合でございます。神奈川県の一番上の金沢町地先柴漁業協同組合、次は鎌倉市でございます。次の城ヶ島地先神奈川県、横須賀市の関係横須賀市でございます。藤沢市は神奈川県、横須賀市はやはり横須賀市でございます。次の横須賀市の秋谷という地区有限会社城山という会社でございます。次の三浦市は西武鉄道株式会社、その次にやはり三浦市の関係でございますが、城ケ島の関係神奈川県、一番下のやつは株式会社白雲閣、こういうふうになっております。
  35. 田中一

    田中一君 水面埋立法では千坪でしたか。千坪未満県知事認可でしたか。三千坪でしたかな。
  36. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 五十町歩が限界になっております。坪数でいいますと十五万坪になります。
  37. 田中一

    田中一君 そうすると、五十町歩未満県知事認可……。
  38. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) はあ。
  39. 田中一

    田中一君 これは全部どうなっておりますか。
  40. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) これは全部十五万坪以下でございますので、知事免許になっております。
  41. 田中一

    田中一君 その際国のほうは何か連絡があるのですか。
  42. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 報告がございます。
  43. 田中一

    田中一君 報告だけでいいわけですか。法律上は報告だけでいいということになっておるのかもしらぬけれども、何か法律でもって合議をしなければならぬことになっていないですか、十五万坪以下の場合は。まあ法律がそうなっているならそうなっているとしますが、今まで差しつかえありませんか、そういう点は。その指定が、海面の漁港区域ならば農林省に相談しなければならぬことになりますし、その十五万坪以下なら相談しないでもいいんですか。やはり漁業権等は、漁業協同組合なりあるいは漁民と話し合って、埋め立ててもいいということになるのですか。港湾地区ならどうなるか、それは。
  44. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 現在の公有水面埋立法では免許します条件といいますか、それには権利を有する者が同意したるとき、したがって、まあ漁業権がおもになると思いますが、それが同意した場合には免許できる、こういうことになっております。
  45. 田中一

    田中一君 内陸関係にこれだけの今度立法化をするということになっているにかかわらず、水面のほうはお互いに話し合えばいいじゃないかということだけなら内陸だって同じことなんです。話し合ってやればいいじゃないか、別に法律を作って、そこにはっきりしたものを作る必要はないじゃないかということになるわけです。——運輸省のほう来ておりますか。
  46. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 来ております。
  47. 田中一

    田中一君 ちょっと一緒に説明して下さい、あなたのほうの分も。
  48. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) 資料としてお配りしてある中に、運輸大臣認可にかかる埋立調というのがございます。これは公有水面埋立法によりまして運輸大臣認可いたしました県につきまして、昭和三十四年度、昭和三十五年度、昭和三十六年度の三カ年にわたりまして、各府県ごとの件数と金額、坪数をあげたものでございます。公有水面埋立免許は、法律によりまして港湾管理者がやるのでございますが、ある一定基準以上のものにつきましては運輸大臣認可を与える、こういうことになっております。数字はそこに書いてございますとおりでございますが、ちょっと計だけ申し上げますと、認可いたしました坪数昭和三十四年度で三百四十万坪ばかり、三十五年度で五百七十万六坪ばかり、三十六年度で九百八十三万坪ばかり、こういうことになっております。
  49. 田中一

    田中一君 これはやはり埋立法で許可しているわけですね。根拠法はやっぱり公有水面埋立法ですね。
  50. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) 公有水面埋立法によってやっております。
  51. 田中一

    田中一君 そこで、建設省のほうでは十五万坪以下は知事免許になっておりますが、あなたのほうはどうなっていますか。
  52. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) これは同じ法規によってやっておりますので、港湾のほうも五十町歩、十五万坪ということにいたしております。
  53. 田中一

    田中一君 十五万坪といっても十五万坪が十あれば百五十万坪になるわけですね。埋立なんというものは一つだけやって済むものじゃない、計画というものは。その部分だけでいいというものじゃないんです。したがって今のような、全然建設大臣運輸大臣も関知しない形のものができ上がってくるなんということは、全体の国土計画から見た場合、これはおかしなものなんです。私、常、日ごろ心配しておったんです。先年新しい埋立法が提案されましたけれども、これなんかに対しても非常な疑義を持って賛成しなかった理由はここにあるわけです。港湾施設というものは、一応一つの形ででき上がっておる港を考えての港湾施設になっておるはずのものが、運輸大臣の知らないうちに部分的に埋め立てられておるということになると、これはまたおかしなものなんです。実際この法律によって十五万坪以下というものは野放しになっておるということはないんじゃないですか、何かやはりあるんじゃないですか。そういう監督権というか、水面でもこれは国土のうちなんですから、それがその場になって勝手にやられているということはちょっと想像できないのですが、何かないですか。今河川局長は全然こっちは関係ないと言っておるけれども、どうなんです、実際は。
  54. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) 先ほどお答えいたしましたのは、一部分だけ申し上げましたので説明が足りなかったと思いますが、運輸大臣認可を与えますにはいろいろなものがございまして、そのうちの一つが、埋立面積が十五万坪以上という事項がございますが、そのほかに「運輸大臣甲号港湾トシテ指定スル港湾埋立免許及乙号港湾トシテ指定スル港湾埋立ニシテ其港湾ノ利用二著シク影響及ボス虞アルモノノ免許」という項目も、まだほかにもございますが、ありまして、甲号港湾として港湾がたくさん指定してあるわけでございますが、これの埋立につきましては運輸大臣認可を受けることになっております。乙号港湾につきましても重要と認められるものは運輸大臣認可を受けるということになっております。そのほかにまた別の項目といたしまして、「海峡、堀割基ノ他ノ狭水道二於ヶル埋立ニシテ航路、潮流、水流若ハ水深ハ艦船航行碇泊影響及ホスノ虞アルモノノ免許」という項目もございます。港湾開発上われわれとして関知しなければならないと思いますような埋立につきましては、この各項目を考えて参りますと、大体われわれも運輸省認可を必要とするというふうに考えております。
  55. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  56. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記を始めて。  それでは午前の審査はこの程度にいたしまして、午後は一時から再開いたしたいと思います。    午前十一時四分休憩    ————————    午後二時二十六分開会   〔理事村上春藏委員長席に着く〕
  57. 村上春藏

    理事村上春藏君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  初めに理事補欠互選についてお諮りいたします。  去る、四月十七日の委員の異動に伴いまして、理事に欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、手続を省略いたしまして、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 村上春藏

    理事村上春藏君) 御異議ないと認めます。それでは木下友敬君を理事に指名いたします。   —————————————    〔理事村上春藏君退席、理事木下友敬君着席〕
  59. 木下友敬

    理事木下友敬君) 休憩前に引き続き、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。両案につきまして、午前に引き続き資料説明聴取並びに質疑を行ないます。御質疑の方は御発言願います。
  60. 田中一

    田中一君 今回の法律改正内陸方面に一応局限されているとは言うけれども、公有水面埋立のほうが、内陸方面に移すよりよい条件のものもあると思うのです。工場用地というものが、主として臨海地帯に求められるということは、むろんそれぞれ内陸方面よりも臨海地区のほうが利益が多い、というところから求められると思うのですが、今回のこの法律では、なぜ内陸だけにそれを求めようとするのか、そして今ここにあるように建設省運輸省に来ている申請、おそらくもっとたくさんこうしたような申請があって、これだけのものが免許になったというように私は想像しているのですが、実際の姿はどうなんですか、河川局長。それから運輸省のほうでももっともっと申請が多いのですか。
  61. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) その点はこれらの地点につきまして詳細に調べなければわかりませんが、最近の傾向としては非常に免許をとりたい人が競争しているとこういう状況でございます。
  62. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 港湾地帯においては一般的に申しますと、最近のような比較的大きな規模の工場用地の造成ということになりますと、多くの場合に港湾管理がみずから行なうというふうなのが最近の通例になっておるわけであります。したがいまして免許申請も、まあ私企業のものがかわりにそういうことを一応考えましても、最近の通例はそうであるということで、免許権者であるところの港湾管理者の長のところに参りますときに、大体そういうふうなことで納得して申請を出さないで済むというふうなことがむしろ多いのではないかと思います。しかし申請の出ている場合ももちろんあると思います。そこらの個々のことになりますと先ほどの河川局長の話と同じように、第一免許権者は地方のほうの港湾の場合でございますと、港湾管理者の長になっておりますので、私のほうでつまびらかにいたしておらないわけであります。
  63. 田中一

    田中一君 この資料4の工業適正配置構想についてというのを説明して下さい。
  64. 馬場一也

    説明員(馬場一也君) それでは資料4の工業適正配置構想について説明いたします。  これは昨年の六月、通産省で作りまして公表した資料でございます。作りました目的でございますが、一ページから二ページにかけて書いてございますように、最近非常に工業生産が伸びておりますが、主として今まで日本で工業が発展して参りましたいわゆる四大工業地帯、特に京浜、阪神の既成の大工業地帯では、いろいろ用地用水等立地条件が次第に枯渇して参っております。にもかかわりませず各企業はやはり既成工業地帯にできるだけ立地したいという希望が、この一ページに書いてございますように、主要な事業所にアンケート調査をいたしましても、個々の企業としてはそういう意欲が強いという状況でございますので、そういう全体の目から今後十年くらいの間にどの程度の立地要素が必要であるか、それを全国的に見てどういうバランスになるかというのを概括的に見ますために配置構想を作ったわけであります。  それで配置構想の手続と申しますか、どういう工合に作業をやりましたかというのが四ページ以下に配置構想の概要というところに手順が書いてございますが、個々の企業の二千三百くらいの事業所にアンケート調査を一昨年行ないました結果、ただいま申し上げましたように個々の企業の立地動向を把握した一方、もしその動向どおりに立地したという工合に仮定してみますと、それぞれ地区ごとに用地水面でいろいろアンバランスが生じてくるわけです。用地用水につきましては、通産省が昭和三十四年度以来行なっております全国の工場適地調査、これもこの地区をやっておりますというのは資料の五にございます。こういう資料で一応どの地区にどういう工場用地が得られるか、あるいは水がどの程度あるかというのがこの資料で明らかになっております。こういうものと突き合わせいたしまして、その結果非常に企業としては行きたいという意欲が強うございましても、その地区全体の供給量からすれば非常に窮屈であるというような地区につきましては、ここに入り切れないものを他の地区に分散をはかる、他のもっと適したところにそれぞれの業種に応じまして分散をさせる、というような構想を描いてみたわけでございます。そういうような手順で全国を七ページにございますように十七の地域に区分いたしまして、各地域ごとにそういう突き合わせを行ないました結果、結論的に申しますと、その中ごろに第一図として表が載っておりますように、昭和三十三年におきましてはその白い棒で示されるような工業の配置になっているわけであります。これがただいまのような作業を行ないました結果、昭和四十五年度という時点におきましては、その横に書いてございますように、斜線のような配置になるのが適当ではなかろうか、というのがこの配置構想の結論でございます。  全国いろいろ地区がございますが、これをきわめて大づかみに申し上げますならば、現在最も工業が密集しておりますのは関東の臨海部、それから近畿の臨海部でございます。これはその白い棒をごらんいただきますと、昭和三十三年度におきましては関東の臨海部は二八・九%、近畿臨海部は二二・一%、合計約五割強の工業が、全国構成比から申しますと密集しているということになっております。この配置構想で作業をいたしました結論といたしましては、四十五年度におきましてこの両地区のウエートは二三と一五・三、約四割弱に比重が低下するというぐらいのことを考えるわけでございます。そこで五一%強のものから約四〇%弱に比重が低下いたしますが、その分はそれではどこの地区で肩がわりしたらばよろしいかというふうに考えてみますと、きわめて大ざっぱに申しまして、その比重の減りました約十何パーセントぐらいのものを肩がわりする地域といたしましては、それぞれの関東臨海部ないし近畿臨海部のいわゆる後背地でございます。関東で申しますれば関東内陸部、ちょうど首都圏地域に相当するわけでありますがそれらの地域、近畿臨海部でいいますならば、近畿の内陸及び北部というような地域にごらんのように若干ウエートがかかるという状況になっておりまして、それらの両地区を合計いたしますと、大体において減る分の約三分の一ぐらいのものをこれらの後背地で肩がわりする。それから残りの三分の一をごらんのように、東海あるいは山陽のいわゆる太平洋ベルト地帯といわれている地域でございまして、現在御承知のように大型の工業が立地を活発に行なっております。それらの地域がごらんのように比重がふえております。これらの地域のふえる分が大体三分の一強に相当する。残りの三分の一ぐらいのものがいわゆる北海道、東北あるいは北陸、山陰地方、九州というような他の地域にそれぞれ少しずつ分散をして行く、という工合な格好になるのが、いわゆる適正配置構想の結論と申し上げてよろしいかと思います。  以下地区ごとにどの地区がどのくらい伸び、そうして大体そこに伸びるであろうような業種は、おもにどういうものだろうかというのを十四ページ以下に地域別に略説をいたしておりますが、これは説明を省略さしていただきまして、もし御質問がございますればのちほどお答えしたいと思います。
  65. 田中一

    田中一君 これは国土総合開発のための資料として見たことがありますね、最近。そこでこの考え方は池田内閣の所得倍増計画をもとにした構想であるのですが、それはこの際取りのけて、しかし大体に臨海工業地帯に要求が多いということは、これはわかっている。それを内陸に持って行くという配置転換の問題も、首都圏だけを取り上げてその中で工場、学校等のそうしたものを現行法よりももっと強く締めつけるということになる以上、その近郊に持っていかなければならないのだという考え方と、それから、では現在まだ東京湾というものは港湾としての用途が不十分な地点がたくさんあります。たいへんな数量に上るものがある。したがって、そこへ新しく工場用地宅地を造成したならば、こんな要求が非常に強いと言っているんですから、それを充足することができるのじゃないか。むろんこれには産業別に重点的に適否というものがありますから、それはそこに配置していけばいいのだ。  また一方、これから質問というか資料説明を受けるのですが、では運搬、輸送とか用水はどうかというと、用水も臨海工業地帯を中心とした構想は一応あるわけです。利根川を中心とするものがあるわけです。それから輸送の面は、これはもう明らかに首都高速道路公団が行なっているところの高速道路もあれば、また京葉地帯というか、千葉、上総、安房のほうを考えてみても、ハイウエーの計画があるということになると、内陸に求めないでも首都圏としてはもっと適地があるのじゃないか、ということも一応いえるわけですね。で、通産省のこの構想というものは——まあいいです、これは一応の構想としてまあ理屈は言いません。しかし、その考え方が内陸に配置転換して、まあ水は確かに内陸のほうが近くにありますから、豊富にあるだろうと思います。利用慶が高まってくるだろうと考える場合には、考え方としては今度の首都圏の考え方とちっとも変わっていないと思っているのですか、通産省としては、あなたのこの構想は。
  66. 馬場一也

    説明員(馬場一也君) この資料の十三ページを見ていただきますと、ただいまはちょっと概括的に御説明申し上げましたが、いわゆる首都圏地域に相当いたします関東内陸でございます。県の部分で申し上げますれば、茨城、栃木、群馬、埼玉、山梨というような地区でございますが、これはこの構想でもごらんのように、各地区ごとに、いわゆる所得が、四十五年までに相当工業生産が伸びることと見ておりますが、ごらんのように関東内陸は……
  67. 田中一

    田中一君 所得倍増計画を中心に説明されると困るんだよ、またこっちも理屈を言わなければならぬことになってきますから。それはいいんだ。考え方をひとつ聞かせて下さい。
  68. 馬場一也

    説明員(馬場一也君) 関東内陸は今後十年に相当工業生産が伸びると見ております。全国的に見ても伸び率が高いというように、ごらんのようにわれわれのほうでは見ておる。それで関東内陸は、むろん茨城県等も含めますので、臨海部の用地もあることはあると思いますけれども、主としてこの地区に工場が建ちます場合には、工場は内陸型の工業が主として立地をする、業種的に申しますれば、機械工業とか、あるいは特に臨海部でなくてもいいような型、化学工業というようなものが非常にたくさん行くであろう、現実の姿もそういう工合になっておりますし、今後そういう工合になるだろうというふうに通産省としては見ているわけであります。  それで今度首都圏開発地域とちょうどこれが合致をいたしますので、結果的に申しますと、この地域にいろいろな施策を固めて行なうということは、この工業生産の伸びを考えますと非常にぴったりとしておる、ということになろうかと存ずる次第であります。
  69. 田中一

    田中一君 水野局長に聞きますが、大体せんだっての説明にあったように、どういう産業をそこに当てはめるかということでありまして、その産業別にいってどういうものを当てはめていこうという考えですか。
  70. 水野岑

    政府委員水野岑君) 各地域によって多少ニュアンスの差はございますけれども、内陸地帯の市街地開発区域につきましては、ただいま通産省からお話のありましたように、機械工業が何といっても中心になる、それから精密工業、あるいは軽化学工業、それから自動車製造、そういうような内陸地帯型の業種をわれわれとしては予定いたしておるわけでございます。
  71. 田中一

    田中一君 そうすると、通産省の考えている工場の適正配置構想等と大体合わせているということが言えるわけですね。
  72. 水野岑

    政府委員水野岑君) さようでございます。
  73. 田中一

    田中一君 そこで、建設省河川局長にもう一ぺん聞きますが、三十四年から免許した埋立地には、どういう職種によるどういう用途のものが多いですか、産業別に見てどの業種のものがこれに求められておりますか、これは両方から聞きたいのです。
  74. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 工業用地関係はこの中で一つだけでございまして、千葉千葉市幕張町、千葉県の一番上の地先、これだけでございます。
  75. 田中一

    田中一君 これはどんなものですか。
  76. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) どういう工場の関係か調査してみないとわからないと思います。
  77. 田中一

    田中一君 運輸省のほう、……大体比率でもいいですよ。
  78. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 港湾地帯におきまして、ことに工業用地という形で出ております埋立の場合は、大体大規模なものでございまして、鉄鋼関係、あるいは石油関係、それらとの関連における電力等ということになっております。いわゆる重化学工業を中心にしたものでございます。
  79. 田中一

    田中一君 それ今まで認可したもののうちどういう比率になります……、今通産省が説明した工業適正配置構想に基づいてやられておるかどうかということを聞きたいのです。比率はどうなっております……今わからなければわからないでいいですよ。
  80. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 運輸大臣認可しておりますところの港湾地帯における埋立でございますが、これは全体的に申しますと非常な件数があるわけでございます。先ほど申し上げましたような非常に大規模な埋立の場合もございますれば、港湾の中において非常に小さい、かりに個人の宅地というものも全然ないわけではありません。そういったものの場合でも、港湾局との関係運輸大臣認可の対象になっておりますので、そういったものもございます。したがって、件数の中で比較するということは仕事の性質からいって必ずしも適当ではないと思います。そういうことではございませんで、港湾地帯の中において大きな規模として埋立をするという場合におきましては、それは大体重化学工業を中心にしたものが主になる、それとの関連産業が出てきます。こういうことでございます。
  81. 田中一

    田中一君 臨海工業地帯造成のための埋立というものは、通産省の構想では、これを減らしていこうということになっておるわけですね、所得倍増計画に基づく今後の産業の推移を見て、それがこの構想の趣旨ですね、大体内陸に持っていこうということに見かけますが。
  82. 馬場一也

    説明員(馬場一也君) 先ほどいわゆる関東臨海なり近畿臨海部のウエートが減るという工合に申し上げましたが、十三ページの表をごらんいただいてもおわかりになりますように、今後十年の間にこれらの地区でも何倍かの工業生産、絶対額が増加するということは当然でございます。ただ全国的に見ましてこれらの地区用地なり用水、特に用水面が非常に窮屈になっております。で、ただいま御説明がございましたように、これらの地区に誘致する企業のおもなものは、大規模な水をたくさん使いますような型の業種が多いのでございますので、これらのものはそうたくさん望むところには行けない。ですから比率がほかの地区よりも相対的に伸び方が少なうございますので、ウエートが減るわけでございますが、絶対的に減るとかよそに持っていくということではございませんので、伸び方が非常に少ないという工合にわれわれのほうでは見ております。
  83. 田中一

    田中一君 水野局長、そうすると首都圏の中の工業用地というものを造成する場合に、なぜ公有水面埋立地を考慮しなかったという点です。
  84. 水野岑

    政府委員水野岑君) 私どもの市街地開発区域といたしましては、臨海地帯を考慮しておるのでございまして、千葉、五井地区というものをすでに市街地開発区域として指定をいたしておるのでございます。今後木更津地区等につきましても、指定すべく目下諸般の調査を進めているというような状況でございます。ただ工業団地造成事業ということを明確にいたしまして、土地収用権なりいろいろな権限を付与していくそういう問題につきましては、この臨海工業地帯における埋立の問題につきましては、御承知のように、公有水面埋立法との関係もございまして、この公有水面埋立法によりますと、一応地力長官が裁決するというような規定も現にございまして、そういうような関係におきまして今後慎重な検討を要する問題があるということで、今回の改正案には内陸地帯だけを取り上げて規定をしていくという考え方になっておるわけでございます。
  85. 田中一

    田中一君 かつて前々国会、この前のもう一つ前の国会だったか与党の議員立法で、主として東京湾埋立を促進させるような法律案が提案されたことがございます、これは不幸にして審議未了になりましたけれども、これはまあ衆議院の提案ですから提案者に質問をすることが今できませんけれども、国が実際に工業適正配置構想というものに基づいて工業用地というものを考えておるならば、全国的に見てやはり国が提案者となるひとつの方法がとられなければならぬと思うのですが、私どもは議員立法でああいう法律が提案されることに対してははなはだ遺憾だと思います。現在のままで所得倍増計画というものを推し進めていくならば、やはり臨海工業地帯も当然伸びなければならない、こういう説明があったわけです。これは現行法のこのままで、地方長官に五十町歩以下のものはまかすということでいいと思っておるのでしょうか。これはだれに聞いたらいいのだろうか。——大臣見えましたから、大臣にちょっとお伺いしますが、前々国会だかに衆議院から提案された東京湾を中心とする埋立の法案が出ましたね。これも審議未了になりましたけれども、今通産省が説明している工業適正配置構想によると、所得培増計画に基づく計画ですからそれはそれでいいですが、臨海工業地帯も相当伸びるんだということなんです。そうすると、それに対して政府はどういう感覚をもっているかということです。今回の提案というのは木更津でそれを考えていると言っておりますけれども、全部内陸方面に対する工場用地の造成なわけです。何か政府として基本的な構想はあるのですか。
  86. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) お答えします。実は目下政府としては具体的な構想まではございませんが、私どもの考え方としましては、先ほど来田中先生がいろいろ公有水面埋立この問題で御質疑もされ、御意見のほどを拝聴しておったわけですが、十五万坪以下でありますと都道府県限りの許可で埋立が進むわけで、これが継ぎはぎに参りますことは国全体としてあまり好ましくないのじゃないか、できることならばもっと総合性を付加する必要があるというように、かねがね私個人としては実は考えております。私が党の政調会長をしておりましたときに、何どかそういう総合性のある臨海工業地帯の開発の基本法を作りたいということで、いろいろ政府関係とも検討いたしましたが、政府はごらんのとおりいろいろな関係にまたがっておりまして、政府で一本にまとめるということが非常に手間どる困難な様相がわかりましたので、むしろこれは党が議員立法として決定したほうがいいということで、議員立法として決定をして提案の運びにしたわけですが、そのうち私ども政調会長も交替になりましたが、議員立法の提案者として、私趣旨説明その他考え方の御説明を一国会申し上げたことがありましたが、議員立法の関係で流産をいたしました。その後実は個人としてはいろいろ考えておりますが、まだこうすればよろしいという具体策が出てきておらないという段階でございます。
  87. 田中一

    田中一君 今、大臣が言うように、全く今では埋立というものが一つの利権なんです。これはかっても確かに利権でした。利権的な性格を帯びている現在の公有水面埋立法、これはやはり改正しなければならぬと思うのです、実際言うと。と言うのは、国がほんとうに海面の埋立をやって宅地を造成しようというならば、法律があるわけです、これは手続法に過ぎませんけれども。しかしもっと大きな国土計画の面から考えていいと思うのです。それで、なぜ政府としては出せないのですか。各省おのおのやはり水資源公団のようになわ張りがあって、だれか抵抗するのですか。ここにいらっしゃる局長とか部長とか課長とかというものが抵抗するのでしょうか。なぜほんとうにしなければならぬ問題を政府提案で出せないのですか、これは中村建設大臣が政調会長時代だというから、おそらく身をもってそれらの抵抗を受けたのだろうと思うのです。どういうことなんですか。それで今度のこの法律の場合、埋立の問題はそらして内陸をやっているが、その点ひとつ説明しておいていただきたいと思う。
  88. 中村梅吉

    ○国務大臣(中村梅吉君) 実はかねがね私どもとして臨海地帯開発公有水面埋立、こういうことが現状の行き方で従来は支障なかったのでありましょうが、最近の経済情勢あるいは産業の発展の情勢、それから臨海地帯開発が非常に活発になりつつある現状から見ますと、公有水面埋立法改正だけでもこれは足らぬと思うのですが、それとあわせてもっと総合的な立法措置を講ずる必要があるということを、私ども実は痛感しておるわけです。前に私どもが議員立法で扱いましたころの最初の考え方は、東京湾千葉県、川崎市、横浜市、東京都、それぞれめぐっておる各都県市が思い思いにやっておる現状を何とか規制をして総合性を持たせてやるならやるように、国家目的に合致するようにやらせる必要があるのじゃないかということで手をつけたわけですが、始めてみますと東京湾だけじゃ済まない問題で、全国的な問題に話が広がってきまして一そうむずかしくなったわけです。当時の関係省は、そう抵抗があったというわけではありませんが、これはまあほかの立法をしたわれわれの経験からみましてこれだけ関係方面が多いと、なかなか関係方面の意見を統一して私、政調会長在任中の国会に提案するということは、とても一国会くらいで運びがつかぬだろうということで実は議員立法にまとめていったわけです。その後も私は今の考え方には変わりはありませんが、偶然入閣をしましてこういう方面を担当する責任になりましたので、就任以来、適当の機会に関係各省にも呼びかけて、ひとつ運びたいという気持は今日も持っておるわけです。いろいろごらんのとおり、時代に即応した責任上処理すべき問題に次々遭遇しておるものですから、かねてからの自分の希望をまだ具体的に進め得ない、進めるいとまなしに今日になってしまったというのが偽らざる現状であります。できるならば、機会があれば、私としてはそういったことを政府部内で話をして、そして各省協力をしてそういう方向に持っていくべきではないかというように今日も考えております。
  89. 田中一

    田中一君 私どもはどこまでもそうした問題は国がすべきであると思います。議員立法なんということはたとえ拙速でもいけないです。現在の公有水面埋立法全面的に改正する、そうしてこれに政策を加味した、先ほど来言っているように、ひとつの方針を打ち立てるようなものにしなけれ、ばならぬと思います。これは手続法ですから。これはこれとして内容もやはり総合性を持たせなければならぬのに、地方庁なんかだけにあるものをまかすなんということは、これはいかぬと思います。これは国土の問題は国が最高の責任があるのですから、これを単に利用するとかなんとかいうならかまいませんが、地形を変更するということになると、どんな小さなものでも国が直接それをみるということが正しいと思います。管理の問題じゃなくて一種の新しく土地を生産する問題ですから、そういう方向をひとつ持っていただきたいと思います。そこで今度の法律との関連は今建設大臣からの答弁にあったように、そこまで手を伸ばすとこれは大へんだ。木更津はとにかく多少ともやっておるからやるなら市街地としては載っけてもよろしいけれどもということですが、その程度だと木更津も、あるいは幕張というかあの辺も同じですが、東京湾として木更津はやっておりますね、今ずっと。だから首都圏としての臨海地帯地区として指定しょうというのですか。
  90. 水野岑

    政府委員水野岑君) 私どもが市街地開発区域として、すでに千葉五井地区については市街地開発地域として指定しまして、市街地開発地域としての立地条件の整備を現に実施中でございますが、木更津地区につきましては、私どもは臨海地帯工業衛星都市といたしまして、今後将来性があるというふうに考えておるのでございます。そこで目下調査を私のところでいろいろ実施をいたしておりまして、調査ができ次第、木更津地区臨海地帯工業衛星都市として非常に発展することが予想される地域でございますので、これを取り上げていきたいというふうに考えておるのでございますが、この木更津地区も御承知のとおり臨海地帯でございますので、工業団地造成事業——今回の市街地開発区域整備法の一部改正法案に指定されている工業団地造成事業の適用を受けないわけであります。
  91. 田中一

    田中一君 それじゃ、通産省河川局、この辺でいいです。
  92. 木下友敬

    理事木下友敬君) では資料7の説明を願います。
  93. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) それでは資料の7につきまして御説明申し上げます。簡単な資料でございますので、一応読みながら御説明いたします。  全国計画首都圏との関連でありますが、昨年七月に閣議了解を得ました全国総合開発計画草案は、各地域の発展段階と地域間の相互関連に着目いたしまして、それぞれの地域に応じた開発あるいは再開発を拠点開発構想に従って進めることとしているわけであります。  首都圏整備法で定める「首都圏」とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域でありまして、東京都の都心部を中心として半径約百キロメートルをもってえがかれた範囲であります。したがいまして、首都圏の圏域は、全国計画草案の地域区分によります関東内陸及び関東臨海地域のうちに含まれているわけでございますが、なお目下立案中の全国総合開発計画におきましては、関東内陸と関東臨海とを一本といたしまして関東地方とするということにいたしております。首都圏の御希望に沿いたいと思います。  それから全国計画の立場からのこの地域に対しまする開発の方向といたしましては、大都市再開発の観点から、工場の新増設を原則として抑制するとともに、都心部の再開発をはかり、周辺都市あるいは周辺工業地帯を開発整備することによりまして、その機能を合理的に分散させるとともに、都心部から遠距離にあります地域につきましては、東京の大集積を利用することによりまして、中小拠点の育成をはかるということにしておるわけであります。  以上の施策の結果、関東地方の所得はおおむね七兆円、人口はおおむね二千九百万人に達すると見込まれておりますが、この目標数字と首都圏整備計画に基づきます数字とは、範囲あるいは年次の相違がございますので、当然食い違いがあるわけでございますけれども、現在年次、範囲等をほぼ合致させました数字につきましては調整をいたしておるわけでございます。基本的な考え方におきましては相違はほとんどないという現状でございます。たとえば工業開発の構想といいますものも、先ほど通産省からの御発表の線に従いまして、われわれも試案を持っておるわけであります。この全国計画は昨年の七月に草案として発表されたわけでありますが、その後各方面の意見をお聞きいたしまして、ことしの三月から現在までに約三回にわたりまして、国土総合開発審議会の全国部会の御審議をお願いして参ったわけでありますが、大体きたる二十六日に全国部会を開きまして、一応全国部会といたしましての最終の御審議をお願いしたいというふうに考えております。それがまとまりますれば、五月の上旬に国土総合開発審議会の総会を御開催をお願いいたしまして御決定をいただきたい、というふうに考えておる次第でございます。
  94. 田中一

    田中一君 私たちは——私たちというか私は、全国計画がまあ池田内閣の経済政策ということを中心に——むろん人口政策その他いろいろなものがありますけれども、考えたものに対する批判はここではしませんけれども、この全国計画というものが地方計画の積み上げによってなされた考え方と、それから新しいあるべき姿、あるいは百年後、あるいは五百年の後のあるべき姿を想定しながら考えられたものとの差は非常に大きいと思うのです。大体この計画の立案の基本となる数字というものはどこからお出しになりましたか。
  95. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 全国的な視野といたしましては、いわゆる所得倍増計画の目標数字というものを参考としております。御承知のように、所得倍増計画におきましても、地域間の格差が強いということも相当うたわれておるわけでありますが、特に所得倍増計画の構想というものもあわせて考えた次第でありまして、その構想におきましても特にこの所得倍増計画を進めますにあたりまして、地域間の格差の是正あるいは工業の分散というものを強く打ち出し、そのために早急に全国計画を作るべきであるというような決定もされておりまして、われわれといたしましてはそういう方向に従いましてこの案を作っておる次第でございます。
  96. 田中一

    田中一君 この全国計画の所得倍増計画を含まない原案があったはずですね。新しい池田内閣の所得倍増計画というものじゃなく、実際のまあ実態といおうか、地方開発計画というものが積み上げられたものがあったはずですね、ありますか、それ。
  97. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) まあ全国計画も、基本法であります国土総合開発法ができまして十年余になっておるわけでございますが、その間におきましてあるいは中間報告というものも作成したわけでございまして、そういう場合におきましても、やはり全国的な長期経済計画といいますものが基礎になりませんと、この全国の各地域別のいろいろな施策、方向というものが打ち出せないわけでございまして、過去におきまして、たとえば昭和三十三年に全国計画のいわゆる中間報告というものを作ったわけでございます。これも実は三十三年度でしたかにできました長期経済計画というものを一応基礎として作られておるというふうに考えております。もちろんいろいろ具体的に各地方のそれぞれの施策をします場合におきましては、一応いろいろ各都道府県等の指導を参考としておりますので、そういう意味におきましては、そういういろいろ各方面からの資料の集計もある程度参考にいたしておるということは申し上げられると思っております。
  98. 田中一

    田中一君 五月初旬に、この国会の会期中には決定される見込みですか。
  99. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) まあ現在、二十六日にわれわれといたしましては最終の全国部会の御審議をお願いいたしまして、五月の初旬に総会の御審議をお願いしたいというように考えております。
  100. 田中一

    田中一君 けっこうです。
  101. 木下友敬

    理事木下友敬君) では次には資料の6、8、9、10、11、これを一括いたしまして水野事務局長から説明を求めます。
  102. 水野岑

    政府委員水野岑君) まず資料の6から御説明申し上げたいと存じます。  地方公共団体工場誘致に関する税法上の特別措置の事例はどうかという資料でございますが、この資料といたしまして、茨城県の工場誘致条例、それから熊谷市の工業振興条例というのを抜粋いたしたものでございますが、まず茨城県の工場誘致条例におきましては、第二条で奨励措置をきめておりまして、この奨励措置によりますと、税金を減免するという措置をとりませんで、税金免除のかわりといたしまして、「工場に関連のある県又は市町村等の行う道路、その他の施設整備事業の実行を促進し確保するための経費」これを調整費といっておりますが、この調整費を支出する、こういうようなやり方をいたしておるのでございます。そうしてこれはこの調整費の支出を適当と認める工場を知事指定をするわけでございますが、投下固定資産の総額が二億円以上とか、常時使用する従業員が三百人以上、こういう条件を充足いたしました工場を指定いたしまして、今申しました調整費を支出する、こういうやり方をとっておる例がございます。  それから熊谷市のほうへ参りますと、第二条でこれも奨励措置が規定されておりますが、「操業開始の日の属する年の翌年度から三年間各年度の固定産資税に相当する額の範囲内で奨励金を交付することができる。」で固定資産税の税金そのものを免除いたしませんで、固定資産税相当額を奨励金として交付する、こういうやり方をしております。大体、ほかで工場誘致を非常に一生懸命やっております地方公共団体におきましては、税金その他を免除いたしませんで逆に奨励金を交付している、こういうやり方をとっている例が大部分でございます。茨城県の例と熊谷市の例をここに抜粋いたしまして、御説明申し上げた次第でございます。
  103. 田中一

    田中一君 これは二つの事例でありますけれども、他の公共団体においては三カ年なら三カ年というもの固定資産税を免除するという例もあるわですね。
  104. 水野岑

    政府委員水野岑君) 自治省当局と私いろいろその点で打ち合わせてみたのでございますが、地方税を減免するということをはっきり書きますと、なかなか問題があるようでございまして、逆にそういう地方税相当額を奨励金として交付する、こういうやり方をとっているのが大部分で、税金そのものを免除するというのはほとんど例が少ないというように聞いております。
  105. 田中一

    田中一君 やはり取るものは取って、やるものはやろうということが、徴税の正しい原則ということはわかるけれども、租税特別措置法もあるわけなんです。減があって免もあるはずなんです。これはないと言えないのです。この資料を出してもらった理由は、先だって別の法律で申し上げたように、私、予算委員会で申し上げたと思うのですが、当然収用する、いわゆる公共事業のために土地を収用するんだ、という物権に対する所得税のあらゆるものを全免しろというのです。何といっても国民感情というものは、これは一つの企業が金もうけしに行くのですから、それでもこういう措置をとっている。今度の租税特別措置法でもって多少変わりました。変わったというか、軽減された。また今日のこの法律の制定にあたって、それを適用するから、それで地方公共団体は、これに対してぜひとも首都圏関係公共団体がやってくれという要求をしているのですが、大ぜいのために、民族のために奉仕するという気持ならば、そのことだけはどういう形の税金にしても取るものじゃないということを言いたいのですよ。ここに今水野局長から説明されたもの以外にまだまだいろんなケースがある。いや現に私知っています。一番当たりさわりのない原則論を中心に、おそらく税金は払うものでございますよということを言いたいために、水野君はこの茨城県とそれから熊谷市を持ってきたのかもしらぬけれども……。いやこの問題はいいです。質問する相手がいないからけっこうです。
  106. 水野岑

    政府委員水野岑君) 資料の8につきまして御説明を申し上げたいと思います。「工場用地」の用語を用いた関係法律でございますが、これが二件ございまして、一つて低開発地域工業開発促進法という法律で、その第十条で工場用地という言葉を使っておるのでございます。従来の立法例でございますと、宅地という言葉に大体この工場用地も含めて規定している例が多いのでございますが、この低開発地域工業開発促進法におきましては、第十条で工場用地ということを規定いたしておるわけでございます。  それから二番目が、新産業都市建設促進法案でございます。これは目下御承知のように国会で審議中でございますが、その第五条、第十一条、第十七条、第十八条におきまして工場用地という用語が用いられているわけでございす。
  107. 田中一

    田中一君 そうすると、従来工場用地宅地という言葉で表現されておった法律は相当あるわけですが、それを全部直しますか。建設省のほうどうですか。
  108. 水野岑

    政府委員水野岑君) 参考資料の11で御説明しようと思っておりましたたとえば日本住宅公団法第三十一条四号におきまして「工場等の用に供する宅地の造成を行うことが適当である場合において、」こういうようになっておりまして、やはり宅地の中に含まれてございますが、これでこの工場用地の意味が出ておりますので、別段工場用地というものに改める必要はないのではないか、こういうふうに考えております。
  109. 田中一

    田中一君 ほかの法律には、工場用地住宅用地も、それから学校用地も全部含めて宅地という言葉で表現しているわけですよ。
  110. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねのとおりでございまして、農地、宅地という場合における宅地、したがって宅地の中におきまして工場用地住宅用地も含めて法律用語として用いております。今回の設置法の改正によります宅地制度審議会の範囲につきましても、ただいまのお尋ねのとおりでございます。
  111. 田中一

    田中一君 大臣に伺いますが、新しく工場用地というものが出てくることを、私は非常に気にしておった。一体現行法の各法律にあるところの宅地の内容とは何かという疑問がわくわけです。学校用地も、将来道路になる土地宅地なのですよ。そういう表現の仕方をしている。どの法律も全部そうなのです。ここではっきりと。ことにこの工場用地というものが、ただ単にその事業主体なり何なりが、自分の所有している土地を自分で勝手にするならこれはかまいません。少なくともこの目的のためにあなたの土地をもらいますよ、という対象になっているとするならば、工場用地というものと、それから他の法令にあるところの宅地というものとを明らかにしなければならぬと思う。それでこの土地収用に対する適用事業にならせようとなるのでしょう。どっちみっち収用法の改正をやるのでしょう。そうなると、なおさらそうなのです。
  112. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) やりません。
  113. 田中一

    田中一君 わかった。どうしますか、これは。ということは、ただ単にこの工業用地というものが、私企業なりなんなりでもいいですよ、自分の土地を自分で自由にするというのならいいけれども、工業用地にするためにその土地を収用するのですよ。あるいは都市計画でいうならば都市計画という総称の中にも入り込んでくるのですよ。宅地になるか何になるかわからぬ。今度の場合ははっきりと工業用地ということをうたってあるのでしょう。他の法との誤解を生むおそれが多分にあります。住宅公団法の三十一条のように、明らかに宅地というのは住宅を建てる土地なんだということを言っているのです。それでそのほかに学校、病院、商店等の用に供する宅地、こういう表現にこれは明らかになっている。今度の場合にははっきりと工業用地というものが出ているわけです。しかし他の法律では全部それが宅地という表現で、工場も入るのだ、学校も入るのだということになっているのですからね。くどく言いますけれども、単にそういう工業用地という名称がそのまま自由に使えるならいいけれども、善良な国民が持っている物を召し上げるのですよということになると、やはりそこになぜだ、だれの工業用地なんだ、これは公共事業かということになると問題があるから、明らかにそこのところを他の法律も分類していただきたいと思うのです。そんな必要はないといえばないかもしらぬけれども、ほんとうに親切にやるならば、やはり法律にはどの場合でも用語の定義というものは明らかにしているのです。どの法律でもそうしているのです。ところが、ここにぽつっとこういう工業用地という法律上の言葉が出て参りますと、これは何々にある宅地という表現の中の特定の工業用地を指しているのだ、ということを明らかにしなければいけないと思うのです。
  114. 水野岑

    政府委員水野岑君) 工業団地造成事業という表現を今回の改正法案におきまして使っておるのでございますが、この工業団地造成事業は、都市計画決定をいたしまして都市計画事業決定をする。そうして都市計画法自体におきましても改正をいたしまして、工業団地造成事業都市計画として決定するのだというようなことを、都市計画法自体にも挿入をいたしたのでございます。したがいまして、この都市計画事業決定をいたしまして、そうしてそれに土地収用権が与えられ、その他いろいろな権限が付与される。都市計画事業決定をいたしませんと、土地収用権なりいろいろな権限というものは与えられないということになっておりますので、この都市計画決定がなされ事業決定がなされておるかどうかということで、一般の国民の方には明確にその点がなるというふうに考えております。  ただ従来ほかの立法例におきまして使っております宅地という概念でございますが、この宅地の中には住宅用地工場用地ももちろん両方含まれておる事例が非常に多いのでございますが、その一般の宅地という中に工場用地がたとい含まれておりましても、これが土地収用権が与えられ、その他いろいろな権限が与えられるという工業団地造成事業宅地がなりますためには、都市計画決定、都市計画事業決定というものをいたしませんと与えられないわけでございまして、この法律におきまして、そういう都市計画事業決定をやって明確化するのだということを一面規定いたしますと同時に、この法律案の中におきまして譲受人の義務となるものをいろいろ規定いたしておりますので、この工業団地造成事業として取り上げる工業団地、これが一般国民の方にできるだけ明確にする必要があるということで、この条文の中におきましても第二十六条という規定を設けまして、工業団地造成事業を実施いたしまして造成工場敷地ができた、こういう場合におきましては、その当該造成工場敷地の存する市町村の長に対しまして、当該造成工場敷地を表示した図書を施行者は送り、そしてこの市町村長は。市町村の役場にその図書を備えつけまして、関係人の請求があった場合にはこれを閲覧させる、あるいはこの事業施行者は、当分の間、これは十年間といたしております、工業団地造成事業を施行した区域内で、見やすい場所に、工業団地造成事業を施行した土地である旨を表示した標識を設置させる。こういうような義務を課しまして、工業団地造成事業を実施し、それによって造成された工場敷地であるということを一般の方にわかりやすいようにする、こういうことを考慮いたしまして、今申しましたような条文を、実はこの改正の中に設けておるような次第でございます。
  115. 田中一

    田中一君 土地収用法の三条の三十は目的を明らかにしておるんです。たとえば「国、地方公共団体又は日本住地公団が建築基準法第四十八条第一項の規定による住居地域内において、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し賃貸し、又は譲渡する目的で行う五十戸以上の一団地の住宅経営」と、明らかにはっきりしているんです。それから三十一には「国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、所」となっている。いいですか、今回の改正の場合はこれに該当しないのです。都市計画法というオブラートに包んで実体をぼやかしているということなんです。だから今度の法律で明らかになっているということはけっこうですよ。しかしながら、他の法律で、そういう誤解を生む書き方なんですが、工場だけを作るために都市計画をやるのじゃないのです。もちろん工場用地の造成のためには都市計画という法律をもって行なう場合もあります。しかしながら、国民の通念というものはそういうものじゃない。その中には公園も含まれ、商店やあるいは住宅も含まれる、いろいろな意味のものをわれわれは考えますので、この面は明らかに国または公共団体が用いるものではない、五十戸以上の住宅を作ってそれを分譲する、貸与するということはあり得る、しかしながらこれの場合には、土地そのものを分譲しようという考え方なんですから、それは明らかにそうすればいい。それを抜き出してはっきりと土地収用法の一項に入れてもいいんじゃないか。それを都市計画法というオブラートに包んでいることはおかしい、こう思うのです。明らかにすればいいんです。都市計画法の内容というものはここに含まれておるものも、その国または公共団体が作る学校もあれば何もあるのです。その宅地といった面から見た場合に五十戸以上の団地もあるのです。そうしたならば、土地収用法ではこういうものをはっきり明記する必要がなくてもいいわけですね。それが今度の場合明らかになるとするならば、それは用語というものは、ほかの立法でもあるように法律の用語というものは、これはやはり明らかにしてほしいと思います。それは建設大臣どうでしょう。まあ相当事務当局で研究してやったんだから、これでもいいんだということでしょうけれども……。いいんですよ、私もいいと思いますよ。しかし、ちょっとこういうもので、これは収用の場合には都市計画法で施行するんだというが、施行しない場合だってあるんですよ、都市計画法で全部買い上げてやる場合もあるでしょうし、ね、そうでしょう、買い上げてやる場合もあるでしょう、買い上げ、都市計画法上に乗りかえて事業するんだということになっているから、こういう表現の仕方をしておりますけれども、同じ者が事業を行なって、さっき資料の1にあったように、買い取ってやる場合もあるんです。実体は同じなんです。法律の用語というものはやはり国民が一目見てその実体が明らかになるというような用語を使ってほしいと思うのです。同じ内容のもの、同じ一つのものをさしているのに用語が違うなんということは、これは私はとるべきじゃないと思う。それも事業を行なうために、ことに土地収用法を適用するということになりますと、やはり国民の抵抗が強いのですよ。僕もあまりそういう方面に詳しくないけれども、一体関盛君どう考えるか。
  116. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいま田中先生から土地収用法の関係につきまして、本法案と事業との関係の御質問でございましたが、実は土地収用法の体系につきましては、公共の利益となる事業用地として買われるという場合につきまして限定いたしまして、その事業主体と、その公共の利益となる事業というものを列挙しておるわけでございます。憲法におきましては、いわゆる私有財産は、正当な補償のもとに、これを公共の利益のために用いることができる、こういうふうになっておりまして、その公共の利益のためというのは、土地収用法に掲げる事業が非常に重要な公共の利益となる事業でございますが、そのほかに実定法上もまた学説上もこれのみに限ることなく、直接に社会目的のために収用を認めるということも正当であるということになっておりまして、この工業団地造成に関する法律は、まさに先例から申しますれば公共施設の整備に関する市街地改造法のように、地帯を収用、整備してこの法律の社会目的に直接役立つというところに、公益をまあ認めるかどうかという問題でございます。首都圏の区域におきましては、既成の市街地についての工場の制限をするという一つの大きな緊急性のある公共の利益と、それとその制限目的を達成するために必要な市街地開発区域の決定をいたしまして、それにその土地柄を工業団地として整備すること、そのことが一つの公益的な事業である、こういう判断のもとに今回の工業団地造成事業という仕事が出てきたわけでございまして、しかし、それはあくまでも都市の建設でございますから、この法律案にもございますように、単に工業団地のみの計画ではなしに、第五条にありますような道路、下水道その他の都市計画に根づいて行なわれることであるとか、あるいは排水、道路、公園、緑地等の施設を十分備えた工業団地でなければならぬということで、総合的な都市計画に基づいた工業団地の部分であることがあって、初めて公益的な事業であるということから、土地収用法の土台に乗るという考え方で、その意味において土地収用法の体系ではなしに、都市計画法の体系でこの法律事項を律することになったというのが、政府の中における今までの経過でございます。
  117. 田中一

    田中一君 先手をとってきたね、問題はそこにあるのです。少なくともそういう目的が公共性あるものというならば、はっきり明記しなさいと言うのです。何も都市計画法によらないでもいいのです。収用せんがために都市計画法に乗っけてこれをやろうとする、学者間のいろんな論議の問題はあなた方ずいぶん研究したろうから、これでもいけるのだというところで、来ただろうけれども、事業そのものはどういうものを持ってこようとするか、どういうものがくるか知らぬけれども、公共性あるものとか、あるいはこれに準ずる、学者の学説によってその範疇に入るものだというようなものか、それはわかりませんよ、なるほど都市計画事業というものはいいです。事業の造成を行なう主体がそれを売らないで、一切の使用する場合の公共性という認定ができるような、あるいは土地を売らないで、事業主体が持っておって、これなら貸してやろうというならいざ知らず売ってしまうのです。そこまで自信があるなら、この住宅団地の五十戸以上の団地というように明らかに乗っけてこなければならぬ、都市計画法でなくてもかまいません。当然五十戸以上の団地だって、下水も道路もなければ団地にならないですから、これこれの工場、何がくるか知りませんよ、それはどうもその辺に非常に上手な逃げ方をしているのではないかと思うのです。多少見方を変えれば無理があるのではないか、自信があるならば今の五十戸以上の住宅団地というように明らかにしなさい。
  118. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは都市計画法の個々都市計画の適用市町村についての、永久の都市建設を整備するための単なる手続法ではなしに、従来から土地の利用計画を定めまして、新たに国が直接事業をやるという都市計画事業なり興しまして、新しい都市計画法の事業体系を特別法にだんだんと作っていっております。したがって、土地の取得制度に関する法律の体系といたしましては、土地収用法という法律もありますし、また都市計画法という総合的な土地利用計画に根づいた施設整備という法律もありますし、またその他の特別法もございますが、大部分は、今回の御論議に着目いたしまして問題になりますのは、土地収用法と都市計画法の関係でございます。市街地の首都圏における開発区域というものは、まさにニュータウンを建設する事業でありまして、それが過大都市の弊害を除去するための一つの建設区域でございますので、都市計画法によるのが適当である。また手続関係におきましても慎重にする必要がありますので、都市計画法に定める手続によりまして、関係地方公共団体都市計画審議会等の審議にたえ得るものでなければ、手続上も十分な措置ではないということで、全く都市計画法の土台において処理すべき性格のものでありますので、先ほどのような御説明を申し上げたのでございます。
  119. 田中一

    田中一君 それはわかる、わかりますよ。しかしね、どうもこの事業を行なうためには、都市計画法で無理にオブラートで包まなくてもいいのです。ずばりとそのものをお出しなさい。都市計画法というオブラートに包まなければ、やはり部内でも論議があったのでしょう。そうなんでしょう。
  120. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいま田中先生からお話がございましたように土地収用法の中で、土地収用法それ自体を改正いたしましてその法文の中に入れる、こういう方法論も確かにございました。実はそういうような方法論も私ども研究途上におきましては考えた時期もあったのでございますが、ただよく考えて参りますと、市街地開発区域という制度がございますが、これ御承知のように首都圏整備法に基づきはまして国がこの計画を作っていく、こういう建前になっておりまして、そうしてこの首都圏整備計画首都圏整備委員会が作成いたしまして、これを都市計画決定をしていくという、いわば首都圏整備計画というのは一つ地方計画である。この地力計画を受けまして、具体的な都市計画決定をしていく、こういう建て方に、首都圏整備法並びに首都圏整備法に基づく市街地開発区域整備法という法律によりまして、なっておるのであります。したがって現在の建前をやはり尊重するということにいたしますと、今回の工業団地造成事業の場合におきましても、これは首都圏整備計画でもちろんきめます。これを受けて都市計画決定をして、事業決定をしていく、こういうふうにやりますのが、従来の首都圏整備計画都市計画との関係におきまして、非常に円滑にいく措置でございます。で、そういうような点を考え、それからまた御承知のように、この工業団地を造成いたします場合にも、これは総合的な町作りの一環であるところの工業団地造成事業を中心として総合的な町作りが行なわれる。こういうことにこの公共性なり、重要性を考えるべきである。そういたしますと、現在の都市計画法というものはいわば町作りの基礎法でもございます。で、先ほど御説明いたしましたように、従来の首都圏整備計画都市計画との関連性、それから都市計画法が町作りのいわば基礎法である、こういう点を考慮いたしまして、都市計画事業決定、——段階を踏んでこの工業団地の造成事業の明確化、適正化をはかっていく。ただしこの都市計画決定をする場合におきまして、この一団地の住宅経営事業に見られますように、これを相当条件をつけることが必要である、こういうことで本改正案におきましても、第四条におきましていろいろな条件がございます。たとえばこの「市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画が整備されていること。」この整備されていると申しますのは、工業団地造成事業の整備計画のみならず、住宅地、道路、街路、そういうような町作りの重要施設についての整備計画それ自体が整備されていること、あるいは建築基準法による工業用地区内に限るのだというような限定をこの四条でいたしておるのでございます。そういう条件を充足して、そうして都市計画法の定めるところの手続をとりまして都市計画決定をしていく、こういう考え方でいたしたのでございます。
  121. 田中一

    田中一君 今の日本の産業界では、何も都道府県や国がやってくれないでも自分の力でやりますよというのが実態なんです。私が考えるのは、ほんとうにある地区をきめてこれはこうするのだと指示すれば、産業人は買収というような方法をとってどんどん進めていきますよ。何も都市計画法というオブラートをかけるから、そういう組合なり事業組合がするようになるのであって、計画そのものを指定して独自にやらせればそれに従ってやるものですよ。問題は土地収用法の適用ということが、この法律で明らかなように、財産権の問題と公共性の問題と非常に微妙な関係があるわけです。あなた方はこれで可能だという前提に立ってこの法律を提案したと思いますけれども、まあ社会党が政権でもとって生産工場の国営、公営をやればもっともだということになるかもしれぬが、何といっても私企業なんですよ、その事業の経営をするのがね。これは抵抗があるからこういう方法で事業をして開発をしようということになったんでしょうけれども、どうもそこにあなた方いくら説明しても、あなた方の説明というのはもうこれでいいのだという前提の説明だから、僕にはまだ釈然としないものがあるのです。しかしあなた方はこれを提案するまでにはいろいろと検討をしたでしょうから、これで合法的なものであろうと思うけれども問題が残りますよ。特定公共事業という形でもってやらないでも、これはいろいろ論議があるのですが、地価が上がります。そうすると、そのものの地価は買収なり土地収用法を適用して買収しても一向差しつかえないのですから、買収したって収用したって実態は同じことです。しかしそれに近接する地価というものはこれは上がりますよ。上がるはずですよ。まてしや公共団体事業を行なっていくということになれば、一応民間が自分だけの工場建設という面でその関係を整備するといっても、全体の関係は整備されないわけですから、自分の必要なものだけ作るでしょうし、地価はうんと上がりますよ。その場合その区域に隣接する地価はいくら上がっても差しつかえありませんということになると、またこれは問題がある。だからどうも一つの政策として見る場合に、全体的に矛盾をどうも含んでいるのではないかと思うのです。ほんとうに勇気があるならその問題、対象を明らかにして下さい。まあ時間がかかるばかりだからもうやめますけれども、しかしこの問題はおそらくあなた方衆議院へ行って衆議院の代議士から痛めつけられますから、そのつもりでいて下さい。
  122. 木下友敬

    理事木下友敬君) 田中委員にちょっと申し上げますが、大臣帰ってもいいですか、道路局長と一緒ですが。
  123. 田中一

    田中一君 じゃ、ちょっと一口だけ。道路整備五カ年計画は、今回のこの首都圏市街地開発区域整備法を完全に生かすような道路計画になっておりますか。道路整備五カ年計画では、あるいは考えられている地点に、今まできまっておりますところの道路整備五カ年計画は、伸びておらないというような点もありますか。というのは今度の整備法による地点に、道路整備五カ年計画の道路は全部関連して、完全にこれを生かすような計画に乗っておるかどうかということを聞いておるのです。まだ検討していなければ検討していないでいいですよ。
  124. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 市街地開発区域の道路開発につきましては、既指定の四地区につきまして街路計画が定められておりますので、その線に沿って二十七路線の整備計画を見込んでございます。
  125. 田中一

    田中一君 これは全部、府県道もこの計画に乗って考えられておりますか。計画がありますか。それでなければ困るでしょうが、現在の道路整備五カ年計画では。
  126. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 先ほど申し上げました四地区の街路計画の立てられておるもので、二十七路線ございますが、その分は見込んでございます。
  127. 田中一

    田中一君 ほかは。
  128. 水野岑

    政府委員水野岑君) この四地区につきましては、ただいま道路局長から答弁申し上げましたように、建設省と相談をいたしまして、これを今お尋ねがございましたような府県道ももちろん入れまして、それから市町村道も重要なものは入れております。そうして首都圏政備計画を私ども樹立いたしまして、それを道路五カ年計画で考慮していただくというふうになっておるのでございますが、それ以外の地区につきましては、目下道路計画を作成中でございまして、建設省と寄り寄り相談中でございまして、近いうちにまとまることになっております。
  129. 田中一

    田中一君 私はこの指定される区域というものに対しては、地方公共団体は飛びつくと思うのですよ。ずいぶん電報も送ってきて困るのですよ、早く通してくれと言ってきて。だから私たちは相当進むのじゃないかと思うのですが、逆に、これだけが独走してしまうのじゃないかという気がするのです。今他の地区ではまだ検討中だと、相談中だということでありますから、もう一ぺん建設大臣に伺いますが、どうも来年はこの道路整備五カ年計画を新道路整備五カ年計画と改定されますね、当然。ずいぶんいろんな方面から見ても……。これはひとつはっきりとおっしゃい。
  130. 中村梅吉

    ○国大務臣(中村梅吉君) 現在の五カ年計画は御承知のとおり昨年を初年度して策定をいたしたわけで、その当時といたしましては、特定財源及び一般財政等の実情を勘案いたしまして、適正な規模と考えまして策定をいたしたわけでございます。しかしいろいろ産業発展の状態、あるいは自動車増勢の現状、陸上輸送の活発化等から考えてみますると、もっと規模を増大できる時期がくればしたい、しなければならないという必要件は多分にあるように私ども考えております。ただ問題は自動車がふえますと自然ガソリン需要もふえ、特定財源も伸びて参りますことは当然でございますが、これらの特定財源及び国全体としての財政状態等にらみ合いませんと、現行の五カ年計画をさらに拡大改定するという決心がつきませんわけで、私どもとしましてはそれらの財政事情、特定財源等の事情が許す限り、できるだけ早期に拡大改定をなされることを期待いたし、またそういう期待するような時期がきましたらわれわれとしては極力推進をして参りたいと、こう考えておりまするような段階で、今のところまだいつどうするかということは、実は申し上げかねるような状態でございます。ただ、今回のこの法案に関連をいたしまして、四地区につきましては先ほど申し上げましたように、相当地方道等まで含めまして具体的な計画を持っておりますが、その他の部分につきましては、建設省で施行いたしまする開発地域指定し、あるいは指定を準備しつつある地域等に関連をいたしまする幹線道路は、建設省として十分そこは考えて現在の計画に盛り込んであるところでございます。県道、市町村道等にわたりますと建設省独自の考えでも参りませんし、首都圏の構想を基本にしまして、国と地方公共団体と十分打ち合わせをいたしまして、遺憾のないように運んでいきたいへこう思っているのであります。
  131. 田中一

    田中一君 自治省から出ている新産業都市建設促進法とは十分に、今回の計画というものと、競合とか矛盾のないように措置されておりますか。
  132. 水野岑

    政府委員水野岑君) 新産業都市建設促進法との関連でございますが、御指摘がございましたように、私どもの市街地開発区域整備法と新産業都市とが、矛盾なく行なわれまするように調整する必要があるということで、新産業都市建設促進法の中にも、首都圏の区域につきましては首都圏整備委員会を経由して、それから首都圏整備委員会におきまして意見を付したものを新産業都市として指定する、あるいは新産業都市建設計画なり建設の基本方針は、国から指示する建設計画を承認する、こういう場合におきまして首都圏整備委員会が、首都圏の区域につきましてはいわば窓口になりまして十分調整する、こういうような建前にいたしております。
  133. 田中一

    田中一君 住宅公団事業区域は、おおむね今回の法律の制定によって、相当工場建設がふえて参りますと、関連する住宅計画というものは当然起こってくるわけです。その場合に住宅公団も行なう、都道府県、市町村あるいはいろんなものが、事業組合等も行なうというような場合に、一つの区域をおれがおれがと競争して、いつも宅地を上げているのです。これは不当に上げているのです。こういう問題はどういう工合に直していくか、調整していくか、それが一つ。  もう一つ。この工場団地の中には、むろん従業員住宅並びにその生活に関連する建築物、建造物というものは許可する方針でしょうね。この二つについて聞いておきます。これはこの工場団地を作ると、すぐその区域内、区域外に住宅団地というものを持たなければならなくなってくるでしょう。これはむろんその工場団地内に、住宅の建設並びに生活に必要な諸施設というもの、たとえば商店にしてもマーケットにしても、そういうものはむろん併設することができるのでしょうね。それが一つ
  134. 水野岑

    政府委員水野岑君) 工業団地に予定しております地域内におきましては、これは工業用地区の網をかぶせる予定にしておりますので、これは工場だけを建設しまして、工業団地以外のそれに隣接した環境の良好な地区住宅団地を作っていく。この住宅団地の中には御指摘がございましたように商店街等も作る。そういうことで工業団地の造成のみならず、住宅団地あるいは学校施設、そういうものも総合的に整備する。こういう考え方で総合的な首都圏整備計画を各市街地開発区域ごとに作っていく、その首都圏整備計画を受けまして、都市計画決定をまたしていく。こういうことにいたしておるわけでございます。
  135. 田中一

    田中一君 そうすると、都市計画法による事業というものの中には住宅団地も含まれる、商店街も含まれる、工場団地も含まれるというような理解でいいんですか。
  136. 水野岑

    政府委員水野岑君) さようでございますが、正確に申し上げますと、工業団地造成事業は、もちろん都市計画決定を今度の改正案で実施をいたしますが、住宅地の問題につきましては、一団地の住宅経営事業として都市計画決定をする。こういうことになっております。
  137. 田中一

    田中一君 そうすると、別にまた住宅団地としての事業決定をしてそれはそれで行なうのだ、こういうのですか。
  138. 水野岑

    政府委員水野岑君) この工業団地造成事業と関連を持たせて、この団地の住宅経営事業都市計画として指定していく。それからその前の段階といたしまして、首都圏整備計画におきましてはまた、総合的な施設の整備を計画していくというふうに考えております。
  139. 田中一

    田中一君 この事業主体が異なっていると常に不当に地価を上げていくのです。そうして各地主の、あるいは利用して地上権者等の欲望を強く刺激していくのです。だから政府宅地の施策というものは、常に宅地を上げるという施策にすぎないじゃないかということを言いたいくらいなんですよ。大きな網をかぶせてその中にニュータウンという言葉をさっき関盛君も使っておったようだが、ニュータウンならニュータウンらしく総合計画というものがなくちゃならないと思うのです。そうでないと地価はどんどん上がっていくのです。抵抗が強いのです。そうして事業主体事業組合等は区域によって幾つもできるのでしょう。それらのものは自然に、そういう一つのニュータウンができると、この隣接するところに計画街というもの、これは無制限に伸びていく傾向にある。またその土地が買い占めによって投機的な対象になるというおそれもあるのです。これをあおるものはだれかというとやはり事業主体なんです、住宅公団なり県なり事業組合なりが……。適地というものはそうたくさんないのです。そうして国民の欲望を強く刺激している、人間の欲望を刺激している。そうしてあまり頑強に言うとゴネ得だとこういって国民を非難する。こういう施策は実施にあたってとらないようにしていただきたい、どこまでも。住宅公団が今計画しておる団地——今度ここに考えられている地区というのは、あなたのほうの住宅公団が行なうという地区も相当あるのでしょう。宅地造成あるいは工業用地の造成とか住宅団地とか……。
  140. 滝野好暁

    参考人滝野好暁君) 住宅用地とあわせて工業用地開発をやっておりますけれども、首都圏の市街地開発区域として選ばれている中に、やりまたはやらんとしておるものが十一ばかりありますが、今後この法律の適用によって、事業主体として、施行者として住宅公団が一人立ちの役割を果たしますか、それは今後の首都圏委員会なりあるいは建設省自体の施策とあわせて、また公団自体の施行能力の限界もありましょうが、その辺は調整しながらやりたいと考えております。  それからついでに申し上げますが、先ほどおっしゃったいろいろの地区の場合ですね。そういうことは、現在のところでは、首都圏の整備計画に基づく、われわれがやっている地区開発につきましては、県とか公団とかあるいは一部事務組合というようなものが、競合して不当に地価をせり上げるというようなことはございません。
  141. 田中一

    田中一君 今度、都市計画法で指定する事業区域と隣接の土地ですね、これはもう全然この適用外になりますから、それらが相当値上がりをするという場合には、何も打つ手はないわけでしょう。だからどういう規模で行なおうとするかしらぬけれども、国としてはどこまでも相当規模の大きい計画を立ててほしいということなんです。それも総合計画ですね、事業の進行はどうなろうとも、これはだいぶ時間がかかろうともかまいませんが、そうしないとこれはとんでもないことになりますよ。で、住宅公団は、それらの事業組合、都道府県とまた事業主体と一緒になって優先して住宅供給をするということにならなければ、これはまた問題です。
  142. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいまの田中先生の御意見はまことにごもっともでございまして、私ども首都圏整備委員会におきまして総合的な計画を作っていく、そうしてまた御指摘のございましたように、工場団地のみならず住宅団地も相当大部分これを整備していく、こういうことは絶対に必要でございまして、そういうような方向で私ども計画をし、実施に移していきたい、そうして遺憾のないようにしていきたいと考えております。
  143. 木下友敬

    理事木下友敬君) 速記をとめて。   〔速記中止
  144. 木下友敬

    理事木下友敬君) それでは速記を入れて。両法律案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。  別に御発言もなければ、これにて散会いたします。   午後四時二十六分散会