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1962-04-05 第40回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月五日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員の異動 四月四日委員佐野廣君辞任につき、そ の補欠として岩沢忠恭君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大河原一次君    理事            徳永 正利君            村上 春藏君            武内 五郎君    委員            稲浦 鹿藏君            小沢久太郎君            太田 正孝君            三木與吉郎君            米田 正文君            内村 清次君            木下 友敬君            田中  一君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 齋藤 常勝君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    通商産業省企業    局工業用水課長 藤岡 大信君    建設省住宅局建    築指導課長   前岡 幹夫君     —————————————   本日の会議に付した案件首都圏市街地開発区域整備法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○首都圏既成市街地における工業等  の制限に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○建築物用地下水採取規制に関す  る法律案内閣提出)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日はまず先議案件としての首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案、次に建築物用地下水採取規制に関する法律案に対する質疑を行ないます。  まず初めに、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案議題といたします。まず提案理由説明を願います。中村首都圏整備委員長
  3. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま議題と相なりました首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその趣旨を御説明申し上げます。  首都への産業人口過度集中を防止し、首都の機能を十分に発揮せしめるよう諸般の施策を強力に講じますことは、現下喫緊の要務であることは申すまでもないところであります。このため、人口増加原因となる施設の新増設制限措置をさらに強化することとし、さきに御説明申し上げましたように、本国会に、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律改正案提出いたしたのであります。  首都過大都市化を防止し、首都圏の秩序ある発展をはかりますためには、一方ではとのような制限措置を強化する反面におきまして、他方、これを受け入れる市街地開発区域、すなわち工業衛星都市育成発展につきましても、積極的な施策を講ずる必要があるのであります。  このため、首都圏市街地開発区域整備法に基づきまして、現在まで、すでに十六地区において工業衛星都市建設に着手し、これらの地区においては、都県の加入する一部事務組合または日本住宅公団等において、工業団地造成実施いたしている現状であります。  この市街地開発区域育成発展は、工業団地造成が適正に、かつ円滑に進むかいなかにかかっているのでありますが、現行の市街地開発区域整備法におきましては、工業団地造成に関する規定が不十分でありますので、これが団地造成につきまして、適正かつ円滑な実施を確保いたしますための規定を設け、市街地開発区域育成発展を強力に推進する必要があるのであります。これがこの法律案提案する理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  まず第一は、この工業団地造成事業実施方法についてであります。すなわち工業団地造成事業は、市街地開発区域に関する整備計画に基づいて行なわれるのでありますが、これを実施するにあたりましては、一定の条件に該当する土地区域について、工業団地造成事業施行すべきことを、都市計画法の定める手続によって、都市計画として決定することができることといたしたのであります。  第二に、工業団地造成事業都市計画事業として施行することとし、その施行者都県もしくは都県の加入する一部事務組合または日本住宅公団といたしております。  第三は、工業団地造成事業の円滑な施行を確保するため、測量及び調森のための土地の立ち入り、障害物の伐除等権限賦与並びに建築行為等制限措置を講ずることといたしております。  第四は、工業団地造成事業のための土地等収用でありますが、施行者工業団地造成事業施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業施行すべき区域内の土地等につき、これを収用することができることといたしたのであります。この収用につきましては、特別の規定を除き、土地収用法規定を適用することといたしております。  第五は、造成敷地等処分管理計画でありますが、施行者は、工業団地造成事業による造成敷地等処分及び管理に関する計画を定めて、首都圏整備委員会提出しなければならないことといたしております。  なお、首都圏整備委員会は、この処分管理計画提出を受けた場合におきまして、関係行政機関の長の意見を聞いて必要な変更を求めることができることといたしております。  第六は、製造工場等敷地譲受人の公募及び選考方法についてであります。施行者工業団地造成事業により造成された製造工場等敷地につきまして、その譲受人を公募することとし、また施行者譲受人を決定する場合におきましては、工業等制限に関する法律による工業制限区域から工場を分散するものを優先して選考する等、選考にあたっての優先順位規定を設けたのであります。  第七は、譲受人の義務に関する規定であります。施行者から造成工場敷地を譲り受けた者は、製造工場等建設計画を定めて施行者承認を受け、この計画に従って建設すべきこととしております。  また、一定期間は譲り受けた造成工場敷地譲渡または賃貸等につきましては、施行者等承認を受けしめることとし、造成工場敷地の適正な使用を確保することといたしたのであります。  最後に、租税特別措置法の一部を改正して、土地提供者等譲渡所得等に対する所得税または法人税軽減措置を、工業団地造成事業のための収用の場合にも認めることの規定を設けたのであります。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいまするようお願い申し上げます。
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労さまでした。次に、首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。同じく提案理由説明を願います。中村建設大臣
  5. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律は、首都における産業及び人口過度集中を防止するために、東京都区部及び武蔵野、三鷹両市工業等制限区域とし、この区域内においては製造業の営む工場作業場並びに大学高等専門学校及び各種学校教室一定規模以上のものについては、制限施設として許可を受けなければ新設できないこととしているのでありまして、昭和三十四年四月施行以来約三年を経過したものであります。  この法律施行その他人口過度集中防止の諸対策実施して参ったのでありますが、首都現状を見ますと、依然として人口集中はやまない状況であり、交通難の異常な深刻化を初めとして、生活環境の悪化、公共施設不備等都市過大化による弊害はとみに深刻の度を加えている状況にあります。  これが対策といたしましては、市街地開発区域整備によって首都に対する産業人口の流入を防止するとともに、首都人口の分散をはかる一方、工場学校等の新増設に対する制限を強化して、首都に対する産業及び人口集中を抑制することがきわめて緊要と考えられるのであります。  この観点から、改正案におきましては、第一に、制限施設規模につきまして、工場作業場については、従来千六百平方メートル以上であったものを千平方メートル以上に、大学及び高等専門学校教室については、従来二千平方メートル以上であったものを千五百平方メートル以上に、各種学校については、従来千平方メートル以上であったものを八百平方メートル以上に、それぞれ引き下げるとともに、以前に制限施設であってその後に制限施設でなくなっていたものを再び制限施設にしようとする場合、及び許可を受けて制限施設を設けた者がその団地内で拡張をしようとする場合には、従来は許可を受ける必要がなかったのでありますが、これをいずれも許可を受けなければならないことにしようとするものであります。  第二に、工業等制限区域になったときに、すでに存していた施設については、従来は、届出をした場合には、その団地内では、無制限拡張することができ、また届出をしない場合でも拡張分基準面積に達するまでは許可を必要としなかったのでありますが、これを新設の場合と同じように許可を受けなければならないことにしようとするものであります。ただし、学校については、教育公共性等を勘案いたしまして、改正法施行の日から三年間、また理工科系大学及び高等専門学校については科学技術教育の振興の観点から当分の閥、改正法施行の日における団地区域内で施設拡張しようとする場合においては、許可を必要としないこととしようとするものであります。  第三に、国に対しては、従来は「許可」を「承認」と読みかえて適用されていたのでありますが、施設管理する行政機関の長と東京都知事の協議にこれを改めようとするものであります。  以上がこの改正案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいまするようお願い申し上げます。
  6. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労様でした。両案についての本日の審議は、この程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  7. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に、建築物用地下水採取規制に関する法律案議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  8. 武内五郎

    武内五郎君 建築物用地下水採取の法案につきまして二、三質問を申し上げたいのでありますが、その前に、この法律案提出されました政府当局が、今日深刻な状態になっておりまする地盤沈下の実情を認識されて、その最大原因でありまする地下水採取に対する強力な規制を内容とした、本案提出されましたことは、私ども心から実は喜んでおるのであります。それで本案に対する概略としては私は異議がないのでありまするけれども、二、三質問を申し上げたいと存ずるのであります。  それは第一は、地盤沈下最大原因でありまする地下水のくみ上げ、その揚水設備の吐き出し口が断面積平方センチメートル以下のものは規制から除外される。六平方センチメートルの井戸でも、今日実は動力付揚水機等を使用いたしますると、一日五百トンのくみ上げが可能だと聞いております。そうなって参りますると、動力を用いるすべての揚水施設に対して規制する必要があるのではないか。六平方センチメートル以下の断面積を持つ揚水機であっても、規制を要するのではないかと、こう考えるのでありまするが、ただ規制対象になりまするその許可の認定の場合、これは私ども技術の面は存じませんが、かなり技術的な関係があろうと存じまするが、いずれにしましてもはっきりした方針を持っていかなければ、かなり乱雑な状態になるのではないかと考えるのですが、その点について最も妥当な方法をどういうふうに考えられるか、まず第一にそれをお聞きしたいと思います。  〔委員長退席理事村上春藏君着   席〕
  9. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) ただいま御質問のございました、吐出口断面積を六平方センチにいたしまして、それ以下のものについては、法律規制対象の外に置くいうことについて、どうであるかという御質問でございますが、私どもが、六平方センチというものを基準にいたしまして、それ以下のものについては法律対象から、はずすということを考えましたその趣旨は、簡単に申し上げますると、これは非常に小規模なものでございまして、主として家庭用ポンプであるとか、そういうようなもの、したがって、日常生活の飲料でありまするとか、そういうようなものに使うポンプということでございますので、こういうものは一応対象の外にして、一般日常生活支障のないようにしようではないかということでこうしたわけでございます。実際に六平方センチと申しますのは、一インチの管でございまして、これでくみ上げする場合の対象になる地下水というのは、いわゆる浸潤水と申しまして、浅いところで、水がポンプで掘ることによって浸透してたまって参ります、その水を取るような、その程度の水しか取れないわけでございます。したがいまして、一般地盤沈下にはほとんど影響がないという関係に立って、このようにきめたわけでございまして、これによってどれだけの水が取れるかということを考えて参りましても、一日中フルに回転しましてもせいぜい二十トン前後しか取れないわけでございます。そういう点から、断面積平方センチということをきめたわけでございます。
  10. 武内五郎

    武内五郎君 六平方センチメーター以下のものは大勢に影響ないというのでありまするが、かなりそういうのがたくさん掘られる場合に、たとえば一つビルの中で、六平方センチメーター以下のものを数個または十数個掘った場合には、もちろんこの第何条ですか、二条ですか、四条ですか、これが適用されて合計されてくる、こう考えられるけれども、そういうのがたくさん出てくる可能性があると思うのですが、私は、かなり強い規制をこれに加える必要があるのじゃないかと思うのですが、もう少し明確にしていただきたい。
  11. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 何本も井戸を掘りまして、それでやるということは、非常に合計が多くなるから困るのではないかというお話でございますが、第二条の二項で書いてあります、吐出口が二以上ある場合は、その断面積合計、と書いてございますのは、これは一つのホンプから二つの吐出口を持っておるというような場合において、合計するということでございます。同一敷地内に何本も掘れば、非常に多くの揚水量になって、そのために支障を来たすのではないかという御意見でございますが、これはまことにごもっともな点でございますけれども、実際問題といたしましては、隣接してポンプを作りまして井戸を掘りますると、近接した場合におきましては揚水量が非常に減って参ります。したがいまして実際問題としましては、そういうことはあまりやらないわけでございまして、それから経済的にも、そういうことになりますると、一トン当たりの水のコストというものが非常に高くなります。揚水量が十分とれませんから、そのために高くなるということで、経済的には引き合わないということであります。これに加えましてこの揚水の場合におきましては、建物がある程度規模を持っておる場合でございまして、これによって大体一建物について何本掘るというようなことはあまり考えられませんので、そういう点では支障がないというふうに考えて、規定した次第でございます。
  12. 武内五郎

    武内五郎君 そこで次にお伺いをしたいのは、既存施設についての猶予期間の問題であります。第六条の経過措置によりますれば、地域指定された際に、建設省令で定める許可基準に適合しない揚水施設によって地下水採取をする場合には、地域指定の日から二年を下らない範囲で、政令で定める期間についてこれを認める、こういうことになって参っております。  さらに、附則の第二項でありまするが、地盤沈下に伴って高潮出水等による災害発生のおそれのある地域については、既存設備の使用できる猶予期間は、これを一年または六カ月に短縮することになっている、こうなって参りますると、これはできるだけこの猶予期間というものは、実は短縮していただきたいのでありますが、特に私は先年大阪尼崎等沈下地域を視察して痛切に感じて、その激烈な状態を見て参ったのでありまするが、これはもう少したとえばできるだけこの期間を、施設転換するためには一年以内、もう六カ月くらいに私は短縮していかなければ、かなり大きな影響が今後出てくるのじゃないかと考えられまする点と、それからこういう規定は、私が先年見て参りました大阪尼崎等の激烈な沈下状態地域に特に適用されていくものであるか、その点をお伺いいたしたいのであります。  なお、東京等においても江東区等はこれは工業用水の汲み上げの影響が大きいと思うのでありまするが、すでにもう丸ノ内、新宿区、渋谷区等に沈下現象が強く出ております。赤坂付近沈下現象かなり私は強いものがあるのじゃないかと思うのであります。私が毎日出入りしております清水谷の参議院宿舎等においても、あの付近で私は沈下現象を見ておるのでありまするが、まだ東京のそういう地域では、大阪等における激烈な状態にはなっていないというので放置されておるとすれば、これはたいへんだと思うのでありますけれども、そういう地域についても早急にこれを適用する考えでおられるのか、お伺いしたい。
  13. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) ただいま御質問のございました猶予期間の問題でございますが、地域指定の日から起算いたしまして二年を下らざる期間で、省令で定める期間ということにいたしました理由の存するところは、原則としてこのような転換をいたします場合に、二年はどうしてもかかるではないか。これは技術的に考えましても、御承知のように主としてこれは冷房用水規制でございますので、冷房と申しますのは夏期において使用するということは当然のことであります。そうしますると、やはり転換をいたしますのに一年に一度しか夏はございませんので、その間のところで転換工事をしなければならぬ、そういうようなことがございましていろいろ検討いたしました結果、原則として二年が適当であろう、こういうふうに考えたわけでございます。しかしながら、地域によりましてその沈下状況でございますとかあるいは地下水状況等から考えまして、それよりもさらに一年延ばしても差しつかえないというようなところもあるであろうということで、「省令で定める期間」ということで弾力性を持たしてあるわけでございます。しかしながら、一方大阪市のごとくに現在非常に地盤沈下がはなはだしく、しかも急速にこれを転換する必要があるという地域考えられますので、先ほどお話がございましたように、附則の第二項で特例を設けまして、そういう地域につきましては、六カ月または一年ということで、猶予期間を短縮して早急に地盤沈下防止の目的を達したいと、こういうように考えたわけでございます。  ところで大阪市につきましては、現在考えておりますのは、市の条例によりまして浪速区、東区、西区、南区、北区、合計五区におきましては、現在市条例によって規制をやっておるわけでございます。その地域につきましては、この特例の六カ月を適用してはいかがであろうか、というような考えを現在持っておるわけでございます。そのほかの工業用水規制地域として指定しております東淀川であるとか、西淀川等地域につきましては、これは一年程度というようにしてはどうであろうかということで、十分地元の御意見等もお聞きいたしまして、また通産省の工業用地域工業用水関係等も十分調整いたしまして、そのような指定の仕方をしておるというふうに考えておる次第でございます。  さらにお話のございました東京の場合におきましては、江東地区が相当地盤沈下がはなはだしいわけでございます。この地域につきましては現在工業用水関係指定地域になっております。工業用水関係とも十分にらみ合わせまして早急に指定をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが御説明申し上げます。
  14. 武内五郎

    武内五郎君 東京丸ノ内を初め、ビル街規制については。
  15. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 東京丸ノ内につきましても若干の地盤沈下があるようでございますが、この点につきましては十分調査をいたしまして、また地元意見等も十分聴取いたしましてやって参りたい、こういうふうに考えます。
  16. 武内五郎

    武内五郎君 一体用水施設転換に技術的にどれくらいの期間を要するものですか、大体において。これは水道等関係もありましょうが、たとえばクーリング・タワーを設置するとかというような関係から一年もかかるものですか。三、四カ月でできないものでしょうか。
  17. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) お答え申し上げます。既存地下水を使用いたします冷房設備を、地下水を使用しない冷房設備つまり普通クーリング・タワー方式冷房設備に切りかえますために、これはかなり工事を要するわけでございます。現在までの概況を申し上げますと、このクーリング・タワー設備につきましては、これは今まで需要が比較的散発的に出ておりました関係上、この設備もどちらかと申しますとそのつどつど発注される、とこういうことになっておりました。したがいまして個々の設計で行ないます関係上、若干の日数を要する、こういう結果になっております。最近の傾向といたしましては地下水に頼れないというようなことで、非常にクーリング・タワー・システムは普及して参りまして、だんだんこれが規格型と申しますか、規格的に作られる傾向にだんだんなってきつつあるわけでございます。そういうことで機械そのもの転換にはそう大した時間を要しないかと、こう考えられるわけでございます。ただしこのクーリング・タワー・システムでは御承知のように屋上水槽を載せるわけであります。屋上水槽を載せ、そこで噴霧状にして、まあ気化熱で水を冷やす、こういうシステムでございますので、勢い屋上かなりの水量、つまり重量物を載せる、こういうことになるわけでございます。したがってこのクーリング・タワー冷却塔を作ることと、それからそれに伴いまして、若干建築物自身に対しましても補強工事をしなければならない場合があるわけでございます。そういうようなことを勘案いたしますと、ものによりましてはかなり日数がかかる、こういうことが一般的にいえるんじゃないか、こう考えます。
  18. 武内五郎

    武内五郎君 なぜそういうことを私はお伺いしたかと申しますと、大阪市の例で三十四年度に制定しました市条例がございます。この条例によって規制をして参って、もう真剣な努力をしておるようでありますが、なかなか転換の速度、それから沈下の鈍化ということが容易に見られないのでありますので、特に私はそういうことをお伺いしたのであります。  それでさらにお伺いしたいのは、それほどとにかく大阪尼崎等激甚地ではこういう特に強い規制を期待しておることはもう大へんなものであります。そこで先ほどお伺いした政令によってこれの許可基準等を定めることになって参りますが、特にその基準のきめ方に、せっかくのこういう法律もその効果を減殺されるのではないかと考えられますので、私は特に希望しておきたいことは、こういう法律効果を最もよく上げられるように政令をきめていただきたいのであります。特に大阪等においてはもうすでに海面下に沈んできておる、一たび台風、高潮出水等災害が発生するようなことがあるとするならば、尼崎は私はほぼ九割ぐらい、大阪は五割をこえる地域が泥海となるのではないかと考えられますが、特に規制上の政令については最も明確な、厳格な規定を作っていただきたいと希望しておきます。  それから次に私はお伺いしたいのは、そういうふうな状態でありまするので、大阪府並びに大阪市、尼崎等地盤沈下に対する防止策のために非常な努力をしておる。これは昨年度の施設転換のために大阪府と大阪市がおのおの一億五千万円、合計三億円の資金を設定して、さらに金融機関の協力を得まして十億円の転換融資のワクを設定して、その上にそれに対する半額にわたる利子の補給をやって、転換助成の施策をとっておるようであります。しかも、今年度になりまするとこれを二倍に増加して、融資ワクを二十億円に増額している。特に今日の大量地下水採取をしておりまする工場並びにビル等に対しては、大幅な融資のワクを設定して非常な努力をしている。で、特に尼崎におきましても、尼崎市が一般財源が二十六、七億、しかもそういう財源の中から地盤沈下対策として約八億円に近い金が出ておる、こういうふうな状態であります。私は、大きな地方財政の負担でせっかくのこういう法律も、その効を減殺されるおそれがあるのではないかと考えられますので、特に私は、その地域における国民の生命財産の保護と国土保全という立場から、国が積極的な財政措置を講じなければならないのではないかと考えざるを得ないのでありまして、そういう積極的な財政措置についてどういうふうな方針を持っておるか、はっきりお伺いしたいと思います。
  19. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 転換のために要する費用と申しますか、その資金の確保という問題につきましては、本法におきましても第十六条で、国は「資金のあっせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。」という規定がございまして、国も公共団体もこういうふうな点で協力して援助に努めるということになっておるわけでございます。そこで、国といたしましては何らかの融資の道を開きたいということで、実は私どもも三十七年度の予算要求におきまして、転換資金に対する融資ということで、別のワクを設けるということで努力したわけでございますけれども、微力のいたすところで、その点は十分な成果を上げるに至らなかったわけでございます。今後とも努力をいたしたいと考えておる次第でございますが、ただ、開発銀行あるいは中小企業金融公庫等におきましては、若干でございまするけれども、特定の業種に対しましてはこの転換のための設備資金を貸し付ける、という道が開かれてございますので、その点においてできるだけ十分に融資がいくように現在話も進めてございますが、さらに十分なものになるように努力いたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  20. 木下友敬

    ○木下友敬君 ちょっと関連。その転換のために必要な金融措置というので要求された額はどれくらいですか。そして同時に、一体どれくらいあればここ二年間に転換ができるかということの積算等について詳しいものを知りたい。
  21. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 私どもが要求いたしましたときは、大阪市につきまして問題を特にあげまして、それで資金を考えましたが、その場合に二年間に約四十四億くらいの所要資金が要る。そこでこの半分ほどぐらいを少なくとも融資しようということで、二年間にわたって二十億程度、初年度は十億程度の金を使って参りたいというような考えで要求したわけでございます。その後折衝の段階においては若干またそれよりも下がった場合がございますけれども、大体そのような考え方で進んでおります。
  22. 木下友敬

    ○木下友敬君 その積算の基礎は、たとえば建築物の単位面積について、どれくらいの金があればタワーができるかというようなことですね。それと大阪現状大阪はこの間陳情にも見えましたように、非常に必死になっておられるから、私はそのあなた方の要求が通らなかったということは、非常に残念と思うから聞くのですが。
  23. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 転換に要する設備資金は、大体におきまして、一坪につきまして六千円ないし一万円というような程度考えておったわけでございます。したがいまして、二千坪のビルディングでございますと、約二千万円かかるというようなことでございます。
  24. 木下友敬

    ○木下友敬君 ついでに聞いておきますが、まあ一応大阪にしておきますが、東京にもたくさんございましょうが、必要坪数というのはどれくらいですか、転換しなければならない。今坪あたり六千円ぐらいだと言われましたが、どれくらい大阪では転換しなければならない坪数があるのですか。東京にもまたそれがあるならどれくらい。
  25. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 大阪の場合につきまして申しますと、既存設備で言うと、われわれが転換しなければならないだろうという設備を調査いたしました結果、約二百件ぐらいのものがございます、既存設備で。それにつきまして全部ここにクーリング・タワーをつける。どういうものをつけるか、あるいはそれに対してどういう補強が要るものがあるか、というようなことを全部積算いたしました結果が、先ほど申しましたように四十四億ぐらい、これは昨年の調査でございますので、その後若干のいわゆるクーリング・タワー・システムの規格化ということで、値下がりということが考えられますけれども、一応昨年の調査はそういう結果が出ているわけでございます。したがいまして、その結果から坪あたり大体五千円ないし一万円、そういうような結果が出てきているわけでございます。したがって逆算すれば大体坪数が出てくる、そういうことでございます。
  26. 木下友敬

    ○木下友敬君 幾らですか、坪数。
  27. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 約四十万坪でございます。
  28. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の坪当たり六千円というのは、家の補強とかそういうものを言ってのことと思いますが、そうでしょうね。
  29. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) はい。
  30. 木下友敬

    ○木下友敬君 それから口径が六センチ平方メートル以下のものは今度の法律には入ってこないわけですが、それで済む冷房装置というのは、窓のところに置いてあるあの小さいあんなようなものか、あるいは畳一枚ぐらいな大きさの冷房がよく方々に置いてある。あんなものが六センチ以下で済むのか。そういうものが今、大阪あるいは東京でどれぐらい使われておるか。六センチ以下のものでもよけい使えば、さっき武内君のお話のように有害でありはしないかと思いますが、そういうものの合計というのを大体つかんでおりますか。
  31. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) お答え申し上げます。六平方センチというのは先ほど御説明ありましたように、家庭用井戸で一日にせいぜい二十トンとか三十トン、こういう程度であります。実際の建物冷房に要します水の量、これは地下水等の温度差によって大体もうきまってくるわけでございまして、普通のビルにおきましては一平方メートル当たり一日の地下水の使用量が〇・一トン要るわけであります。したがいまして大きなビルになりますと一日に四千トンあるいは五千トンというような大量の水をくみ上げるわけでございます。したがいまして六平方センチ一日パイプでとります井戸の水と全然オーダーが違うわけであります。そういう意味で、まあ六平方センチ以下のものは法律対象外にしてもいいんじゃないか。それから先ほどこれも御説明ありましたが、六平方センチメートル以下のものでとるものは、いわゆる地層にしみ込んでおる水が穴を掘るとしみ出してくる、それをくみ上げるわけでございますので、大体の場合、いわゆる地盤沈下関係のある地下水ではない、こういうことがいえるのじゃないか、こう考えております。
  32. 木下友敬

    ○木下友敬君 ちょっともう一つ。それで六平方センチですか、それ以下のものなら幾ら使ってもいいということなんですね。それは問題にならない。どんなにふえてもいいということですね。
  33. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) そういうことでございますので、地盤沈下にはほとんど関係がない、そして幾ら使ってもいいかと、こういう御質問のようでございますが、これは今申し上げましたように、地層へしみ込んでおる水でございますので、これは限度があるわけでございます。先ほどもちょっと御質問がありましたように、たくさん井戸を掘ったらどうかという御質問がございましたが、たくさん掘ると勢い水がなくなってくる、こういうことになってくるわけであります。
  34. 田中一

    ○田中一君 ちょっと要綱で質問しますが、この地域指定地盤が沈下している現象というものは、まあ大阪東京等は大体において建築確認申請を許可した場合には、これには当然そうしたボーリングをやりますからわかりますが、そうでない場合にはだれがそれを認定する、科学的な調査をだれがするのかですね。
  35. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 地域指定建設大臣が責任大臣となりまして政令指定するわけであります。したがいまして建設省が責任を持って調査をいたすわけでございますが、当然この法律に書いてございます地元意見を聞いてやるという建前でございます。
  36. 田中一

    ○田中一君 建設省が直接に科学的調査をするというならば、その予算の裏づけはどれぐらいになりますか。
  37. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) この調査につきましてはもとより建設大臣が責任を持ってやるわけでございますが、いろいろなデータと申しますのは、各公共団体で観測所を設けて水位の観測もやっております。それから地質調査などの調査をやっております。それからまた建設省の国土地理院でも地盤の高さについての調査をしておる。そういうような調査を集大成いたしまして、そのデータに基づいて検討をするというわけでございまして、さらに建設省自体といたしましては三十七年度の予算におきましても、三十六万円ばかりを計上しておりまして、これによって水位の観測をいたす予算が計上されております。
  38. 田中一

    ○田中一君 一体どの地域指定しようとするのか。三十六万程度のものでボーリングできやしませんよ。法律で、少なくとも今までの国民の既得権というものが、制限を受けるということになるならば、納得する形の科学的調査というものによってそれを立証しなければならないのです。三十六万円程度の金でできると思うのですか。やはり地方負担というものにならざるを得ないのじゃないですか。
  39. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) この調査につきましては、一応建設省が責任を持って調査するということになるわけでございます。それで建設省国土地理院の調査ももちろんございますが、さらにこれはまあ既存の資料が一番必要なわけでございまして、この点につきまして地元その他で多年にわたって調査——特に大阪の場合にはかなり古い時代から精密な調査ができております。そういう調査資料を集めましてそうしてこの地域指定に資しようと、こういう工合に考えております。  なお、先ほど申し上げました三十何万円というのは、これは地域指定のための調査の費用ではございませんで、現在たくさんございます地下水状況を調べます観測井の調査に要する費用でございます。観測に必要なお金でございます。
  40. 田中一

    ○田中一君 新潟市の地盤沈下問題でも非常に今まで論議されておったんですけれども、日本瓦斯工業では、あれはガスの採取によるところの地盤沈下ではないといっておる。これが相当大きな力となってわれわれの耳に入っておるわけです。ところが結局地下水のくみ上げによって地盤沈下というものは促進されるのだという判定が出て、この新潟市におけるところの地盤沈下というものは、一応終始符を打った形になっておるんです。この地下水のくみ上げをするのは私企業が多いわけです。したがってもしもそれを規制しようとするならば、国が責任を持つなり、国自身が、民間あるいは建築をしようとする人たちが、ボーリング調査をするというその以外に、国がしなければならぬと思うのです。データがあるといったところが、そのデータというものは、これは間違いないと思います。思いますけれども、これは実際間違いないのだということを政府は国民に向かって納得させるということはできないわけです、自分でやってみなければ。そういう点が非常にあいまいであるということですね。かりに、国が責任を持つけれども、地方公共団体の責任において調査をさせるのだというならそれでもいいのです。むろん同じような調査の方法で、国が示す方法で行なわしめるのでしょうからいいと思います。しかしやっぱりその次に、要綱の第三にあるように、政令でもって揚水設備の技術的水準というものがあるならば、調査をする技準的水準というものがなければならない。そういうものがあると思いますからそれを出していただきたい。そうして、いつも地方公共団体等にやらせるならば、地方公共団体は、おそらく建築をしようとする人たちに、ボーリングさせると思います。その信憑性というものをどこで証明するかということ。これは地方公共団体が自分の力でそれをやった場合に、金が相当かかります、そんななまやさしいものじゃないんですよ。かりに三百メーターのところに一本ボーリングすれば、どんなに安くたって五、六百万円はかかるのですよ。そういう費用をどうするかということですね。人にやらしておいてそのいい悪いを判断するのはおかしい。国が責任を持つならばその点を明確にしてもらいたい。民間がやっても、その調査は正しくないと私は言うのじゃない正しいんだということを証明する方法を示していただきたい、国が責任を持つならば。地方公共団体にやらせるならば、地方交付税等でその費用を見るのか見ないのかですね。そういう点も、今後扇状地というもの、あるいは沖積層というものは必ず地盤沈下をするものなんですから、ことに臨海工業都市というものを国は助成して促進さしています。したがって、そういう現象は至るところにあり、起こりつつある。起こるはずなんです。そういうものがあっちにもこっちにも出た場合、おそらく全部建設大臣は指定するでしょう。その場合の費用の負担というものを考えなければならぬと思うのです。これはただ単にボーリングするための費用ですよ。クーリング・タワー式のもの、そんなものは直接関係ないです。経過措置としてクーリング・タワーの問題も考えるんであって、技術的な調査をするということはやはり国の責任なんです。その点は特に明確にしていただきたい。  それから深度は、御承知のようにパイプの口径によってその深度というものはおのずから制約されるという話ですから、これはいいと思います。やってごらんなさい。それでもって悪かったらまた直せばいいんです。いいでしょうと思います、そういうことで制限しようというのは。  それから今の第三の、建設省令で定める技術的基準というものの政令をひとつ出していただきたいということです。そこで総じて、先ほど言っているように、臨海工業都市というものに対する促進方を政府としては考えておるらしい。そこで必ずその現象が起こるわけですよ。今地盤沈下していない、そこで三つも四つもどんどんボーリングして地下水をくみ上げるということ。それは少数の場合にはその現象はないですよ。現象がないからくみ上げ得るんですよ。いよいよ急速に地盤沈下が行なわれるときに、やっちゃいけませんよということでは二重投資になるわけですよ。迷惑な話なんです、私企業としては。だからそういう点は、臨海工業都市として考えているところでは国がボーリングして、ここはいけない、あそこはいけないということをしなければならない。最初に、まず先にしなければならないのですよ。現象が起きてから初めて規制するということであってはいけない、そういうことじゃいけない。法律とする以上これは必ず起こり得るという技術的な判断がなし得るんです。不可能じゃないんです。だから、だれかの責任においてその点をはっきりと——今後の問題です。経過措置としては今のような行き方でやむを得ないと思いますけれども、今後の臨海工業都市に対する対策というものは重要になるわけです。その点建設大臣どうお考えになりますか。
  41. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、今当面非常に問題になっておりますのは大阪でございますが、大阪につきましてはすでに大阪府、市等において相当綿密な調査ができておりますので、これに基づいて大体指定する区域あるいはその制限程度、こういうことを予定いたしておるわけでございますが、その他今田中さんから御指摘のございましたように、もっと視野を広く、これから開発される臨海地域とか、大阪のように緊迫した問題になっていない区域もたくさんございます。これらにつきましては私どもとしては、現在地盤沈下対策審議会もございますから、こういうところの審議会等にも願いまして、根本的な方策は、法律が制定されましてから実施の面で、ひとつできるだけ早期に基本的な調査審議を進めまして、そうして逐次できるだけ早期に進めていきたい、こう思っておるわけであります。
  42. 田中一

    ○田中一君 当面大阪の問題だ、東京の問題だとおっしゃるけれども、その問題は現に起きているのは当然なことなんですよ。しかし、今後埋め立てをやっていきます、それはむろん水も相当使う、臨海工業都市として埋め立てをしておるのです。これを今から手を打たなければならぬ。今大臣の答弁のように打つと言っていますが、予算の裏づけは何もないじゃありませんか。現在、そういうことを言っているうちにどんどん建っていくんですよ、工場が。地盤沈下の現象が著しいから転換させようといったところが費用が余分にかかるんですよ。そういうものの二重投資はおやめなさいということです。計画性ある政治を行なっていただきたいということなんです。裏づけがないじゃありませんか。現にやっておりますよ。大阪は大事だというけれども、どんどんやっているんですよ。東京の周辺だってそうです。地下水のくみ上げによっては著しい地盤沈下の現象が起こってくることは明らかなんですよ。そういうものに対する責任というものは政府が負うのか、東京都が負うのか、あるいは千葉県が負うのか、負うなら負うでよろしい。それにはそうした技術的調査をするという裏づけがなくちゃならぬということです。  私はちょっと時間の関係があるからこれで失礼しますけれども、その点は十分にほかの委員の答弁のときには答弁して下さい。それがなくちゃ何にもなりませんということです。あとからあとから追っかけていくんじゃいけません。先に手を打ちなさいということです。
  43. 田上松衞

    ○田上松衞君 田中委員がせっかく質問されたので、関連して申し上げていこうと考えておったのですけれども、退席されちゃったから仕方がない。建設大臣にあらためて繰り返すことになりまするけれども、この際お聞きしておきたいと思うわけなんです。  今田中委員が触れておった問題のことですが、地盤沈下の主たる原因地下水採取によるものかどうかということの技術的な調査、これが一番大事なことであることは言うまでもない。規制地域指定建設大臣が政令に基づいてやるんだという関係から、これらの調査は当然建設省に責任があるんだという御説明、もちろんそのとおりでなければならぬ。ところがさっきお聞きしてあぜんとせざるを得なかったことは、これらに要する費用がわずか三十六万円しかないのだ。一体こんなもので何ができるのかということなんです。主たる要因は、当面必要なとっかかりになるものは、大阪市の問題だと。ところが大阪市では、すでに長年まず完全だと見られる調査がなされておるだろうから、そこに資料を求めるのだ、したがってこれについて要るのは、裏から聞きまするならばそう大した調査費も要らぬのじゃないか、というような工合な印象を受けたわけです。大阪に関する限りはそれだとしても、大阪だけでないわけなんですね。すぐ隣の尼崎がある。あるいは最近非常に日に日に心配している四日市等がある。その他も数限りなくそういう場所もあるわけなんですが、それらに対する調査を三十六万くらいでやったって、私どもしろうとから考えれば、一つの近代的な機械を持つだけでも二百万や三百万かかるのじゃないかと思うんですよ、一個の機械ですらも。そうすると、実際は調査なしに、結論言うならば、その地域で騒いで心配しておったものを、しろうと向きに手当していくということにしかならぬのじゃないのか。こういうことをもとにしての地域指定というものは、これは非常に国民から疑惑を受けるのじゃないかということを感じるわけなんですが、その点についてもっと明確に、いわゆる調査についての裏づけを、こうこうこういうことをするんだから、まあ今後は十分ひとつこうした不安のないようにしようぞという、国民へ向けて安心できる説明をひとつお願い申し上げます。まあそこからお聞きいたします。
  44. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) ただいまお話のございましたたとえば四日市でございますとか、あるいは尼崎であるとか、そういうような大阪以外の問題になるような地域は、主としてすでに工業用水規制地域として指定されておるわけでございます。したがいまして、そういうところについては十分な今までの調査もございます。それから今後出てくるであろうというようなところにつきましては、やはり先ほど申し上げました三十七万円程度の予算というものを、これは京浜でございますとか、中京地区でございますとかあるいは阪神地区と、そういうようなところで調査をしていこうというわけでございます。さらにまたこのようないろいろのデータというものは、地質調査所で調査するものとか、あるいは国土地理院で調査するものとかいろいろなものがございまして、そういうものを先ほど申し上げましたように集大成しまして、そして検討するわけでございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、さらにまた地盤沈下対策審議会等にも十分に諮問いたしまして、ここでも検討していただく。また関係省の通産省とも十分連絡をとってやっていくということで、支障がないようにいたしていきたいとこう考えておる次第でございます。
  45. 田上松衞

    ○田上松衞君 そうあるべきだと考えておるわけなんですけれども、ただ心配する点は、いつでも逃げ口上に言われる、不十分であるけれども何しても予算の範囲がどうだこうだということを言われるので、これら裏づけになります問題は、今お聞きすればするほど金が必要になってくると思うんですが、これらに対しては心配しなくてもしかるべき方法を講ずる、という御自信をお持ちになっているかどうか。
  46. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) ただいまも申し上げましたように、各方面での調査資料というものを十分に検討してやっていくわけでございますので、それぞれのところにそれぞれの予算が計上されておるわけでございます。確信を持って指定の際検討するというわけでございます。
  47. 田上松衞

    ○田上松衞君 私が一番不安に考えておることは、今それぞれの地域でそれぞれの機関が十分心配してやっておるだろうからと、そういうことであるならば今のような現象は出てこないんです。みんなうっかりしているから、だからやりたいんですね。いかにも天罰を加えられたような格好になってしまって、全国至るところでおそれおののいてしまっているというのが実態じゃございませんか。だから、そういうもののところにいいかげんな資料を求めるということは、これは私は木によって魚を求めるよりも困難なことだと思うんです。この際はむしろ国がひとつ腹をきめて、そういう各地域等の問題のデータいかんにかかわらずやり直しをする、百年の大計を立てての実施でなければならぬと、私どもこう念願するんですが、それでこういうことをしつこくしておるわけです。建設大臣どうですか。必要によってのそういう予算等はがんばるという御決意をお持ちですか。
  48. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その点お説のとおり、今回は新しく法律を制定し、当面問題になっておるところの解決を急ぐ必要からこういうスタートになったのでありますが、もっと視野を広く、全国的に所要の地域について十分の調査をし、将来に備える努力をすべきことは当然でございますので、まあ初めての試みとして、実は今御指摘になりましたように、まことに不十分ながらのスタートでございますが、法律制定後の実施にあたりましては、われわれそういう方向に全力を尽くしていきたい、こう思っております。
  49. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 関連。今までの地盤沈下というのは、主として工業用水のくみ揚げが大きな地盤沈下原因になっておった。ところが最近非常な都市の発展によりまして冷房用水が発達してきた。それに対する規制がこの法律であって、地盤沈下の全体を考えるには、やはり工業用水建築物用地下水との両方考えてやるべきだと、かように思っております。その関係はどういうふうになっておりますか。
  50. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お説のとおりで、私どもとしては、われわれのほうの担当のビル関係についてはこの法律で進めておるわけでございますが、あわせて工業用水規制というものが伴わなければ十分の効を奏することができませんので、この法律をわれわれ推進して参りましたのも、その方面のこともひとつあわせて、実現に政府部内全体として向けていきたいという考え方もあったわけでございます。通産省とも十分に協議いたしまして、工業用水関係につきましても、さらに従来の工業用水法のほかにつけ加えて強化をしていこうということに、この法律の進行と並行しまして相なって参ったわけで、工業用水と相待ってこれは地盤沈下防止にひとつ対処をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  51. 田上松衞

    ○田上松衞君 提案理由の逐条説明の際に第二条第二項にうたっておる問題、これに関することですが、いろいろさっきから私ども不安に思った点の質疑等があったわけですが、「揚水機吐出口断面積が六平方センチメートルをこえるもの」についてやっておる。そこでこの場合に、「技術的な基準」というものを省令でやっていくということですね。省令の案というものを今資料を出していただくという手数はあまり繁雑ですからこれを省略いたします。ただこの場合、その中心的なものを一、二ひとつ御説明されたい。
  52. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 許可をいたします場合に、よりどころとなりますのは省令で定めます技術的基準でございます。技術的基準の内容は、吐出口断面積とストレーナーの位置というものと二つを押さえて規制していきたいと、かように考えます。したがいまして、吐出口の大きさが何平方センチメートルであるならば、その場合に深さにおいては、ストレーナーの位置でございますから、水を取り入れる位置でございます。その深さが何メートルよりも深いところというような、そういうような規定の仕方を、具体的に地域ごとにきめていく、こういうことが省令の内容でございます。
  53. 田上松衞

    ○田上松衞君 それから六平方センチメートル以下についての問題は、これはたくさんの人々からすでに質疑されたわけですが、この前に当局の説明は、これら微量のものについては、地盤沈下原因になり得ないからという趣旨説明しかなかったわけです。ところが逐条説明の中の第二項でうたってある、河川の区域内のものは、河川法によってその採取規制が行なわれているのでこれを除外した、このことは書いてあったからわかったじゃないかと言われるでしょうが、このことについての一向御答弁がなかったのですが、ここで河川法で規制してあるものが、直接大阪あるいは尼崎、四日市等に直ちにこれだからいいのだというものを、具体的にひとつ説明されたい。河川法に関する規制の中の。
  54. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 河川の区域内につきまして、いろいろ行為の制限を設けておるわけでございますが、一番重要なのは堤防——土で作りました堤防を保護するために、いろいろな規制をしておるわけであります。そういう点を考えますと、わずかな穴でもやはり堤防を破壊する原因になりますので、そういう地下水を汲むというような行為は一切制限をしておるわけでございます。したがってこの法律よりは強い制限をしておると、こういうように考えております。
  55. 田上松衞

    ○田上松衞君 先刻の質疑者もいろいろ触れておられたのですが、四月二日すでに大阪市会は代表を上京さして、このことについてわれわれのほうにもいろいろな要請をしておるわけです。御承知だと思います。結論的にいうと、大阪市が要望しておる、要望というよりか条件的に頼んできた問題は大体三つになっておるわけです。一つ既存設備を使用する猶予期間、これは大阪に関する限りは附則第二項によって六カ月、長くとも一年と定めてもらいたい。これはさっき住宅局長から、大体大阪についてはそういうような工合にしたいと考えておるということを説明されたのですが、これはそういうただ齋藤局長の個人の意見であっては困ると思いますので、この際この点については大臣から、ほとんどこれを約束だとして差しつかえない程度にお考えになっているかどうかということを、念のためにお伺いしておきたい。
  56. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今の御指摘の大阪につきましては、すでに現地の地方公共団体が調査しました詳細な資料等もありまして、この法律を立案しようと考えまして以来、十分それらの資料等も検討し、事前に連絡し協議も進めて参りまして、大体何区とか区あるいは地域別にもう見当をつけまして、この区域については六カ月、この区域については一年というふうな工合に、激甚の度合等も見まして予定を考えておる次第でございます。大体大阪市から中央に陳情に参られた考え方と、こちらの今まで検討をしまして考えておる線とは同一だと思います。この線に沿って法律ができましたら指定をして進めて参りたいと、こう思っております。
  57. 田上松衞

    ○田上松衞君 大阪の要望の第二点の問題は、大阪ではOPマイナス二百メートル以下の深層部における沈下現象が非常に顕著になっておる、そこで、吐出口平方センチメートルをこえる揚水施設の使用は、これを禁止するという厳格な許可基準を定めてもらいたい、こう言っておるのでありますが、これはさっき省令でやっていこうとするところのこの基準の中に、この意向を取り入れられる御意思があるかどうか、これは大臣から。
  58. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大阪の、今お読み上げいただきました要望の趣旨の線でいく考えでおります。
  59. 田上松衞

    ○田上松衞君 念を押しておきますが、これをこえる場合には条件をつけて許可するというのですが、大阪の場合はもう使用を禁止するということなんです。その点御認識の上のお言葉と聞いてよろしいですね。
  60. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 今のお話の点は、先ほど申しました省令の中で、ストレーナーの位置、いわゆる深さをどの程度にするかという問題であると了承しておるわけであります。
  61. 田上松衞

    ○田上松衞君 そうです。
  62. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) この深さの問題につきましては、最近の調査によりまして、相当深いところ、今お話のような二百メートル以下のようなところで地盤沈下が顕著であるというような調査が出て参っておりますので、そういう点で今お話のような御要望を十分取り入れて省令をきめていきたいと、かように考えておる次第であります。
  63. 田上松衞

    ○田上松衞君 その点よく納得できましたが、残る大阪の最後の問題は、設備転換に対しての強力な経済上の助成措置の問題です。このことについては、さっき住宅局長の御答弁では、まことに頼りないものを感じてしまったわけなんです。そこで法の第十六条できめられている問題、「当該改造につき必要な資金のあっせん、技術的な助言」これはしましょうということだった。そのけつへもってきまして「その他の援助に努めるものとする。」と規定してあるわけなんですが、一体経済上の助成措置というものでないとするならば、具体的に「その他の援助」というのは何をさしておられるのか、具体的に御説明を願います。
  64. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 本法案の十六条の(国等の援助)の中で「その他の援助」とあります「その他」と申しますのは、私ども考えておりますのは、資金的に申しますと、国の金融機関からの融資の道を開くというようなことでございます。  それから技術的な点から申し上げますと、たとえば技術的な助言とありますけれども、……、
  65. 田上松衞

    ○田上松衞君 それはいいです。私が求めているのは、それはわかりますから、その他の援助、資金のあっせんあるいは技術的な助言、これはわかるのです。「その他の援助」というのは具体的にどういうことをいうのかということをひとつ。
  66. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 今申し上げましたように、資金的と申しますれば融資の道を開くということでございます。たとえて申しますれば。
  67. 田上松衞

    ○田上松衞君 くどいようですが、大阪が要望している問題、さっきお聞きいたしますると、大体総面積で四十万坪あり、これに要する費用が四十億円もかかるだろう、もしこういうことが的確な資料だというならば、大阪が悩んでおる問題はまさにこれについてただ技術的な面とかあっせんであるとか、いわゆる融資というだけじゃなしに、大きな国土問題にさかのぼってそこに何か期待しておるのだと想像できるわけなんですけれども、もっと強力な援助の方法というものはお考えになりませんか。大臣にお聞きいたします。
  68. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) さしあたりは中小企業金融公庫、日本開発銀行等を通して融資の方法を講ずるということと、そういう基本的な公共的な融資に関連をして、市中銀行等の融資等も、政府でできるだけあっせんをして参る必要が当然伴ってくると思います。これらにつきましても政府としても極力努力をして、円滑な揚水施設転換をなめらかに進めていくようにいたしたいと、こう考えておるのでございます。もっと実はわれわれの今の立場からいえば、具体的に援助を明記していくべきでありますが、御承知のとおり近来この種の立法が非常にふえてきておりますので、やはり財政当局としては動きのつかない表現の仕方というものは、なかなか折衝上他の法令との関連もございましてうまく参りませんので、現在のところとしてはこういう表現になっておりますが、これには先ほどもお話が出ましたように、どういうふうな技術方法によってやるかということもまた大きな問題があります。あるいはまたそれが非常に今までのような経費のかかり方では困るわけで、もっと技術的な進歩をさせるのには、建設省のほうで持っております建築研究所あたりで技術的にも研究し、そして機械の設備もできるだけ大量生産で規格的なものができて、そして効果も大きいが値段も安くできるというような方向に研究をし、これらを指導して、実施をされる各対象の人たちに、できるだけ技術的なそういう指導援助等もするというような、あらゆることを考えてできるだけなめらかに転換の道が行なわれ、あるいはこれからやるものが全面禁止を受けますから、禁止されたものの施設等の支障のないように、建設省としては最善を尽くしていきたいと、こう思っておるような次第でございます。
  69. 田上松衞

    ○田上松衞君 そのお気持は善意に解してよく了解できるわけです。ただこの問題については特に要望申し上げておきたいと思います。日本人の一番悪い点ですが、昔から、のどもと過ぎれば熱さを忘れるという言葉があるわけですね。台風が襲ってくる、高潮がやってくる、津波がどうだ、ぐっとやられた場合にはもう先のことなんかは言っておれない、何とかしなければ、もう命の次のようにこの問題を重視して、国はどういう犠牲を払ってもこれはしなければならぬということを、国民と一緒に考えていくわけですけれども、今のようなややそういう事態が目に見えて、ぐっと大きな被害が出てこないとすぐ忘れてしまって、大阪にすれば四十億という金は大へんな金額ですけれども、国の立場から考えれば、ちょっとした高潮が出てしまっても四十億円や百億円くらいのものはすぐ吹っ飛んでしまうのですから、ひとつこのことは、あのひどかった前のことを思い出していただいて、建設大臣も十分ひとつ災害に直面するような場合には後悔されないような、十分な財政的な措置について一段の御努力をお願いしたいのです。この問題は要望しておきます。  もう一点だけ、逐条説明の第四項に説明されておりまする、今度は地盤沈下の防止の点ですが、都道府県知事が建築物用地下水採取許可する場合に、国民の権利を不当に制限しないことを条件として地盤沈下防止のために必要な条件をつけることができると、こう説明されておるわけですね。この場合に想定されるところの必要な条件とはおよそどういうものですか。
  70. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) この場合の条件と申しますのは、今お話のございましたように、不当に義務を課するということのないような限度においての条件でございまして、たとえて申しまするならば、工事をやっておる際にストレーナーの位置を確認しなければならない、そのために立ち会いに参りますというようなことを条件をつけるとか、あるいはまた特例許可をやります場合にも、渇水期だけ使用する、水がかれたときだけ使用するというような条件をつける、こういうような程度のものでございます。
  71. 田上松衞

    ○田上松衞君 非常に小さなことになりますけれども、条件の一つの中にこんなことはないのかという意見ですが、国民の権利を不当に制限することのないようにということですから、一応のいろいろな条件はそろっているけれども、これはあくまで人間がやることですから、神様がやることではないのですから、そこからきて大きな一つ災害のもとを作ってしまうというようなことになった場合に、施設者に対して何といいますか、損害賠償する責任を負わすというようなことは条件になりますか、なりませんか。
  72. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 今のお話よくわかりませんけれどもそのような場合においては、ここで考えておる条件ではないと考えております。
  73. 田上松衞

    ○田上松衞君 念を押しておくことは、一番初めに申し上げた、この調査は国の責任でやるのだけれども、これが完全無欠のものと保証できない、これは実際上の問題として。だがそれにもかかわらずこれによって許可をしてしまう。だが、そこから一つの大きな失敗を来たした場合、何かしら国が責任をもって調査して国が指定したのだからということで、その責任を国へ持ってこられることをうまく避けることのために、この条項でもって、第四のここでもってきて、施設者に対してそれを転嫁してしまえというような、そういう見にくい、今これは私は言うほどやぼだと思うのですけれども、世間というものはいろいろの、一つの法文に対しても疑義を持ちたがるものですから、ここで確認しておきたい。この意味で申し上げておる。そういうような損害賠償に関する責任転嫁の意図なんというものは含まれていないと理解していいかどうか、これははっきりしておいて下さい。
  74. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) ただいまのお話の御心配の点はまことにごもっともでございまして、私どもおっしゃるとおりそのような条件をつけるという意図は毛頭ございません。
  75. 田上松衞

    ○田上松衞君 大体理解しました。
  76. 内村清次

    ○内村清次君 これは立案をせられました建設省が、この法律を作るにあたりまして、まずその基本的な考え方、いわゆる地下水の法的地位、位置というもの、これをどういうふうにお考えになっておるか。私が、この地下水の問題については、既往において工業用水法、それから温泉法、この二つの法律がむしろその地下水を擁護し、保全する立場において立案されておる。たまたま新潟の問題が起き、それから最近大阪附近の地下水の問題が起きている。そしてこの地下水というものをむしろ保護すると同時に、いわゆる公共の福祉に害を及ぼすという問題になってきたわけですね。だからしてこの地下水を基本的には保護をしていくのだけれども、その害の部分をひとつ取り除こうではないかというような形に変わってきておりますけれども、一体その地下水というものについてどういうような法的地位というものがあるか、この点の立案のひとつ考え方を聞いておきたい。
  77. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 地下水法律上の性格というものにつきましては、いろいろ意見のある点もございます。学者の中にもいろいろ意見を申し上げる方もございますけれども、わが国の現行の体系の中におきましては、地下水はやはり所有権の対象であるということに考えられておるわけでございまして、この法案を作ります際におきましても、土地の所有権の対象であるという前提に立ちまして、規制をしていくということに相なったわけでございます。
  78. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、この法案の中にも散見しておりまするが、私権の保護というものには最も重点を置いていくんだという基本観念は、これは変わっておりませんね。どうですか。
  79. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) そもそも地下水につきましては、地下水というものを資源として最も有効に活用するということが第一の目標だろうと思うわけです。しかしながらこれを最も有効に活用するということは、同時に地下水をくみ上げることによってほかに影響を与えることなしに、したがって規制の面も十分に処置を講じつつ、これを最も有効に活用するというのが本来の目的であろうと思うわけであります。そういうような観点から、地下水については活用と規制と両方の面を十分に考えなければならぬことは当然でございまするけれども、この法案において考えましたことは、地下水が不当にくみ上げられるために、国土保全の実があがらないということであっては本来の地下水の活用もできないことになるということで、まず規制の面をここで規定したのがこの法律趣旨でございます。
  80. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると地下水というものは公水だという観念とは、どういうふうにお考えになりますか。これは河川局長のほうでも関係のある問題だと思うんだが、天から降ってくる水のようなものだというようなお考え方ですか。
  81. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 公水の定義にもかかると思うのですが、先ほど住宅局長が、地下水土地の所有者のものであると、そういうふうにいたしますと、その土地の下の地下水は、やはりその土地の所有者のものであるというふうにも考えられると思います。ただ土地の所有者のものであるかどうかという点について、いろいろまだ学説はあるようでございますので、現在でははっきりした統一した解釈はないんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  82. 内村清次

    ○内村清次君 この点はやはり今回私たちも地下水の問題で大阪にも調査に参りました。幸いにして大阪のほうでは相当長い間その調査をされて、そのよってくる影響の度合いの非常に綿密な御研究、それから実績を調べて、そして使い過ぎだという断定が下っておるわけですね。ここにおいて熾烈な要望があっておるんですけれども、その断定を下しつつも、やはり今言われたような問題で、なかなか地方の条例だけではどうにもならない。ならないから何とかこの規制法をひとつ立案してもらいたいという要望があっておることは、私たちも聞いておるわけです。が、しかし条例のみの制限ではどうしてもいけないというところに、やっぱり私権という問題がはさまっておると私たちは思っておるわけです。だからこれを法律化して施行する上においても、やはりこの問題が残ってきやしないか。この問題については、十分やっぱり当局のほうも綿密な調査の上に、この法の施行をやはり適用されるのと同時に、やはり裏づけを考えてやらなくてはいけないという問題が、これは国家の義務として出てきやしないかと私たちは思っておるわけですね。その点はよくひとつ大臣にも考えていただきたい。  さらに先ほど稲浦委員からも言われましたように、やはりこの法律というものは、第二条に書いてありまする温泉法、それから工業用水法に適用されたものはみんな除いて、そして第二章の「建築物用地下水採取規制」で建築物用地下水の問題を定義としてきめていくんだということに、はっきり区別されておりますね。どうですか、その点は。
  83. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) この法律は、「建築物用地下水採取規制」ということで、建築物用地下水とはかくかくのものである、そういうものを採取するについては許可が必要である、こういうような建前になっておるわけでございまして、現在のところでは地盤沈下に大きく影響を与えておりますのが工業用に採取する地下水、それからさらにそれよりもパーセントは下がりますけれども冷房等の用に供する地下水が相当量くみ上げられておるということで、現段階におきましては工業用の地下水建築物用地下水、両方の面から地下水採取というものを規制していこうというわけでございまして、用途によって地下水を一応区別して考えていくわけでございます。
  84. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、この第二条第一項にありまする「(昭和三十一年法律第百四十六号)第二条第二項に規定する工業の用に供するものを除く。」ということは、工業用水法の第二条の条項ですね、これは全部除くわけでしょう。そうすると、今局長が言われたようなことになって参りますると、第二項によって、「動力を用いて地下水採取するための設備で、揚水機吐出口断面積吐出口が二以上あるときは、その断面積合計。以下同じ。)が六平方センチメートルをこえるもの」、これが工業用水法では、「二十一平方センチメートルをこえるもの」、こういうこととの違いはどうなってきますか。
  85. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 先ほども申し上げましたように、工業の用に供するものというものは、たとえば大阪でいいますると七五%が工業用水、あとの二五%がここでいういわゆる建築物用の地下水だと、こういうようになっておるわけでございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、工業の用に供する地下水採取というものを規制をしなければ、十全の目的を達するわけにはいかないわけでございまして、そういう点から工業用の地下水につきましても、建築物用地下水規制と同様に、バランスを合わせましてそして規制をするということで、今回法律の改正も行なっておるという次第でございます。
  86. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、この点は私もあとで聞こうと思っておったのですが、大臣の言葉からいってみますと、もちろん、その工業用の水のくみ上げの問題も、こういった冷房設備、水洗便所というような水のくみ上げも一緒になって規制していくんだというのが、今回の法律の目的であるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  87. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) お話のとおりでございまして、規制につきましては、工業用水建築物用地下水と両々相まって地盤沈下防止に役立てようというわけで、内容につきましても、先ほど申し上げましたように、工業用水法の改正でもこの法案に合わせまして改正を行なっておる次第でございます。
  88. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、この定義の第二条のカッコ内の問題はどうなってきますか。
  89. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 工業用水法の改正も、今回のこの建築物用地下水の法案の改正と並行して改正をされる予定で進んでおるわけでございます。したがいまして、この法案で六平方センチという数字が出ておりますが、工業用水法におきましても従前二十一平方センチでありましたものを、こちらと合わせまして六平方センチに下げております。したがいまして、規制の内容もこの両者が同じ程度規制をしていく、こういうことになると思います。
  90. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、このカッコ内の字句は抹消してもよくはないのですか。
  91. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 先ほど局長から申し上げましたように、地下水の用途によりまして個々別々に規制を行なっていく、こういう方針でございますので、工業用水法においては、これと同様の規制をやりますので、こちらのほうに入れなくても、向こうでこれと同様の規制が行なおれるので必要がない、こういうことではずしておるわけでございます。温泉法につきましても同様でございます。
  92. 内村清次

    ○内村清次君 そうすると、今回の目的で、工業用水法等、相当深刻になったことは、「国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉」と、こういった字句が出ておる。工業用水法においては地下水の水源の保全をはかり、もってその地域における工業の健全な発達をはかる、こういったことになっておりますね。そこでお尋ねしますが、この規制を行なう地域指定というものは、この条項で見ますると特定の地域、いわゆる限られたごく狭い範囲内の地域と、こういった基礎的な考え方でいくべきものかどうかですね。この点はどういうふうな御判断ですか。
  93. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 法律上は特定のということをかぶせまして、この指定の要件に合致しておりますところを指定していく、まあこういうことになるわけでございます。まあ日本全国土を指定するという意味でなくて、この要件にありますような、地盤が沈下高潮出水等災害のおそれある区域、こういう区域指定していこう、こういうことでございます。  なお、工業用水法の区域との関連でございますが、これは先ほど御発言のように目的が若干違っておりますので、地域が必ずしもダブるということは考えられないわけでございます。しかしながら両々相待って地盤の沈下を防止するということでございます。まあ普通の場合、重なるというのは大体建前じゃなかろうか、こう考えております。
  94. 内村清次

    ○内村清次君 地下水採取によって地盤が沈下し、これによって高潮出水等による災害発生のおそれがあるという判断をされるのはどういう基準でされますか。たとえばこれはそういうおそれがあるからという予測のもとにされるのか。あるいはその実害があったことの結果によって判断せられるか。これは大阪とか東京江東地区とか確かにそういった実害があり高潮のおそれがある。が、しかし先ほどから質疑の中にありましたように、相当やはり広範囲な臨海工業地帯という問題が出てくる。特にまた瀬戸内海の都市あたりで地盤沈下があったという場合に、特にそれが地下水くみ上げのために地盤沈下があったかどうかという判定というものは、一体だれが下しますか。
  95. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 第三条に書いてございます地域指定の要件をもう少し具体的に申し上げますと、まず第一には、地盤沈下していくという現実の事実がなければならないわけでございます。しかしながら、その地盤の沈下が、今お話にもございましたように、一体何に起因するのであるかということが問題になるわけでございますが、その場合にそれは地下水採取が主たる原因であるということが見きわめられませんと、この要件を全うすることにはならないわけでございます。したがいまして、新潟の例のごときは地下水採取ということであるかどうか、ということでだいぶ議論があったわけでございますが、それと同じように、この場合におきましては、地盤の沈下そのものは現実に測量をやっておりますから明確にございます。そうすると、その原因につきましては地質関係の調査をやる、今科学技術庁が中心になりまして、そういう点を十分に調査をしております。そこで結論が出ますると、これが原因がそこにあるということが明確になってくるわけであります。その沈下に伴いまして災害が生ずるおそれがあるということの条件が満たされますと、これで地域指定の要件が全部全うされるということに相なるわけでございます。
  96. 内村清次

    ○内村清次君 これは非常にむずかしい点ですよ。これはやはりもちろん局長が最初に言ったように、実際の実績を見て、そして実際の地盤沈下がこの現象を起こしておるんだというようなことを重点的に考えていかざるを得ない状態になるだろうと思うんですね、この判定は。この点はひとつ十分綿密な調査の上にやってもらわないと、やはり国民の主権を制限するということになって参りますから、その点は十分注意してもらいたいと思います。  尼崎の周辺はこれも私たちも現地に行って代表者の方々から話を聞きましたのですが、工業用水採取による影響が非常に多いのだと、これはもうはっきりしておりますね。だからしてあそこを工業用水法の指定区域指定をしておるけれども、最近の状況とそれを指定をしてきたときの状況とにおいて、その沈下の度合いというものが相当違ってきておりはしないかと思うのですが、そういう点の御調査はなさっておりますか。これは地下水のくみ上げだというような調査の結果が出ておるかどうか。
  97. 藤岡大信

    説明員(藤岡大信君) お答えいたします。工業用水のための地盤沈下だということで、尼崎では工業用水道を敷設いたしまして、工業用の地下水と取りかえることを勧めて参ったわけでございますが、三十四年度の沈下量におきましては非常に少なくなりまして、大体まあその前年度単位でいきますと、半分くらいの沈下量になったということが報告されて参ったわけでございます。その後三十五年度の沈下量が最近国土地埋院と気象台等から発表をされたようでございますが、これによりますと、必ずしもその半分というほど減ってはいないという状態でございまして、われわれはまあ一年間の実績だけで、尼崎は非常に地盤沈下状態が、軽減されたということを言って参ったわけでございますが、必ずしもそういうことで楽観ばかりはできないという実績が出たわけでございますが、これも一年だけの数字でわれわれが即断して話をしておったということに誤りがあるので、この点は長い目で見ていただかないと、はっきりした傾向というものは確実にはつかみにくいのではないか、こういうふうに思っております。  沈下速度が全体的に弱まってきておるということは、大阪の南部のほうの工業地帯におきましても、地下水のくみ上げを相当量規制して参っておりますので、現状ではその辺の影響らしく思われるような現象が出て参っております。まだしかしまあ一、二年の実績でございまして、影響らしいというだけでございますので、確実にこの地下水くみ上げの制限をしたために沈下がこれだけ減ったのだ、というような量的な数字を申し上げるまでには至っていないということは遺憾に思いますが、まあわれわれといたしましては、当然この沈下は相当量減るであろうと思いますし、実際傾向的にはそういうことが現われて参っております。
  98. 内村清次

    ○内村清次君 まあその程度のことは私たちも実際行って聞いてきました、その程度はね。しかしこれはやはり、はたして地盤の沈下原因というものが地下水の……、あそこは工業地帯としては相当発展をいたしておりますけれども大阪のようにホテルの設備だとかこういった冷房関係の家屋の点については、相当まだ大阪に匹敵はできないものもあると思うのです。そのためにやはり工業関係影響するようなことに、今後規制を強化したためになってくると、せっかく発展しつつあるところの地帯がどうなっていくかという問題も、あわせてこれは考えていかなくっちゃならぬと、こう思いますから、この点はひとつ厳密な調査を今後政府のほうに要請いたしておきます。  それから条文の中ですが、第四条の第三項に、水洗便所の用水のための採取について、「他の水源をもつてその地下水に替えることが著しく困難である」という、この著しい困難ということはどういうことですか。
  99. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) これはどういう場合がこのような特例許可になるかということを御説明申し上げますとおわかりになるかと存じますが、このような規定をつけました理由は、水洗便所の用に供する地下水採取というものは、これは保健衛生上きわめて重大な影響がある。しかしながらどういう場合かと申しますると、全然代替する水がないような、あるいは代替用水はございましてもきわめて不十分でありまして、これを水洗便所用に使用するには不足しておるというような場合、あるいはまた通常の場合はよろしいのでございますけれども、渇水期などになりますと、どうしても地下水を使わなければならないというような建物があります場合におきましては、第三項によりましてきわめて場合を限定いたしまして例外的に許可することができる、こういうようにした次第でございます。
  100. 内村清次

    ○内村清次君 第四項の点につきましては先ほど田上委員から質問がありましたから、これの点は大体了承をいたしまして、第十条の三項の許可の取り消し処分は、これはわかりますけれども、前二項の規定による処分にはどのような処分がいいかどうか、その点がひとつ。それからその聴聞についての日限、その他の規定がないのですが、その運営はどういうふうになされていくのか。また建設関係法律において、聴聞による規定の実際の効果は一体どうなっているか。この三点について一括して答弁していただきたい。
  101. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) どういう処分があるかということでございますが、それは第二項に書いてございますように、採取を禁止または制限する、それから相当の猶予期限もつけまして違反是正の措置を講じさせる、こういうことでございまして、かなり重要な事項でございますので、したがいましてこれは設置者のほうからすればかなり制限でございますので、十分にこれに対する意見を聞きたい、そしてその処分に慎重な態度で臨もう、こういうようなことで聴聞の機会を設けたわけでございます。聴聞につきましては一般的な規定で、特にここに期間をうたってはおりませんけれども、これは当然すみやかにできるだけ早い機会に時期を失しないようにするということが当然の任務かと考えるわけでございます。  それから聴聞の効果につきましてでございますが、これは私らのほうで建築基準関係で聴聞の規定がございますが、かなり活発な、特に第三者の方から活発な御意見がある場合もございまして、当局もかなり耳を傾けなければならない御発言がたくさん出ておるように聞いております。
  102. 内村清次

    ○内村清次君 十六条については先ほどから各委員の方々から、言われましたが、改造促進についての資金あっせんが非常に少ない、三十六万円というふうなお話ですが、これはどうですか、大臣からひとつ御答弁願いたいのですけれども、こうやった規制法をやはり出す以上は、相当な資金援助をやらなくちゃいかない。特に一番困っておるのは、やはり該当の県とか市というようなところが非常にこの問題で困る。こう思うのですけれどもただ「資金のあっせん、技術的な助言」でしょう、その他の援助についても資金のあっせんや融資の方法考えるのだというお話ですけれども、この点は各委員の方々も附帯条件でもつけたいような感じがするのです。大臣としてひとつこの点に対して十分誠意ある御答弁をお願いしておきたいと思うのです。
  103. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私どもとしましては、金融公庫及び開発銀行を通じてできるだけこの転換施設等についての資金的な援助の努力をしてあっせんをして参るつもりでございますが、今後これらにつきましては、法律施行をし、実際に実績と申しますか苦労を積み上げて、明年度の予算編成にはひとついろいろ御指摘をいただいておりまするような点に十分努力をしまして、法律の成果のあがるように実らしていきたいと、こう思っておるわけでございます。  なお、一般的に国の責任において、地盤沈下に関連する地下水規制地域指定の基礎的な研究調査、こういうこともごらんのとおりまことに初めてのことでありますので、手持ちの資金を持たないで進めることになっておりますが、これらも確かに今当面問題になっておるところはもうわかっておるのでありますが、やがて災害というものはどこへ来るかわかりませんし、現状に照らして非常に災害防止上重要であるという点の把握というものは、これは建設省が担当官庁でありまする以上は、責任を持ってやらなければならぬことでございますから、これらの経費につきましても、ひとつ明年度は十分措置のできるように対処いたしたい、私どもとしましてはそういう考えで熱意をこめて進めていきたいと、こう思っておるわけでございます。
  104. 木下友敬

    ○木下友敬君 だいぶ空腹を感じてきたからやめようかと思いましたけれども、さっきの話の続きをちょっとやっておかぬと工合が悪い。四十億というのがありましたね、四十億要求したけれども認められなかった。それは大阪の四十万坪で坪当たり六千円くらいかかる、どうも私計算してみたけれども合わぬのですよ。どういうことになるのかひとつ説明して下さい。
  105. 前岡幹夫

    説明員(前岡幹夫君) 約一万円という計算をすると、大体数字が合います。
  106. 木下友敬

    ○木下友敬君 そうすると、その四十億という要求をされたのはどんな性格の金ですか。補則金ですか、まるまるやってしまうというのですか、どういう性格の四十億ですか。
  107. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 私ども先ほど申し上げました、要求をしましたのは四十億全部について融資しろということではございません。せめてその半分程度を二年間にわたって融資してはどうか、というようなところでやったわけでございます。まあそういうことで、われわれの要求というものは一応積み上げて参りました費用というものを基礎にいたしまして、それでこの中でこの程度は融資してはどうだろうということで要求したわけでございます。
  108. 木下友敬

    ○木下友敬君 融資なんですね。そうすると、そのお話の中で、あとではこれから中小企業金融公庫や開発銀行、市中銀行などに手を打つというお話でしたが、この四十億が認められなかったについてはいろいろ銀行に手を打つんだ、こう言っておられますが、実際にはどういう手を打たれるのです。金を出してやれということについて、あなたたちの力で銀行にこの問題で金を出してもらう、というがなかなか出さぬですよ、実際。だからこの出せということについては、あるいは日銀の了解を得るとか、大蔵省の了解を得るとかということはありますが、実際にそれのあらゆる有効な手段というものをどういうふうに考えて、どうしようと思っておられるのかということですね。
  109. 齋藤常勝

    政府委員齋藤常勝君) 私どもで三十七年度予算として要求いたしましたのは、住宅金融公庫で融資をするということで、政府の低利資金を住宅金融公庫に受け入れまして、その中からこういうような転換資金を公庫から融資をするという構想で出発したわけでございます。しかしながら、いろいろ事情がございまして、ついにさようにはまあ認められなかったというような事情でございまして、一番国として直接やるのに適していると考えられますのは、国の金融機関と申しますか、政府機関としての何らかの、公庫におきまして、国の低利資金を活用して融資するというのがよいのではないか、と私ども考えております。
  110. 木下友敬

    ○木下友敬君 私の知っておる範囲では、こういうような住宅金融公庫から出るというのは、われわれが住宅金融公庫から金を借りる場合にも、非常にこれは制限があるわけで、今のような目的に住宅金融公庫から出すということは、実際問題としてはむずかしいと思うのですが、あなた方の解釈では、住宅金融公庫でこういうところに金を出すということが筋の通ったことであるかどうか、私は疑問を持つわけです。ところが、そのほかの、市中銀行などではない、政府の機関である金融機関から金を出すようにしたいというお話ですが、もうこの法案が通ればさっそくこれはもう発効しますから、今ごろは、金融面についてはもう少し、したいということではなしに、実際にはこういう有効な手を考えているのだというところまでいってもらわぬと、せっかくお経は読んだけれども仏様には通じなかったというようなことではどうも工合いが悪いので、実際その土地の人はそこまで希望しておるだろうと思うのです。何かもう少し焦点の合った御答弁を得ておきたいと思うのですがね。あなたの希望的な答弁ではなくて、こういうことなら可能だというところを一発やっておいてもらうといいと思うのですがね。これは大臣からでもけっこうです。
  111. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは予算編成段階でも一番苦労した問題の一つなんですが、一体どこへ資金をつけて、どこで担当するのが一番筋道としていいだろうか。まあ住宅金融公庫の現在の法律の建前と使命ではちょっとワク外でございます。しかしまあ建設省の立場としては、建設省の直接監督をする住宅金融公庫であることが、運ぶ上からも非常に都合がいいと思いましたので、できれば財政投融資の面で大蔵省に予算編成の際につけてもらって、それが成功すればもちろん住宅金融公庫法の一部改正で参ります、先般の住宅造成規制の資金も住宅金融公庫法を改正して、そうしてその資金は住宅金融公庫が融資できるという道を開いたわけであります。これは資金がつきましたから法律改正いたしたわけでありますが、原資がつきますれば、法律改正を合わして、していくことが実施上非常になめらかにいくのじゃないか、こう思っていたわけでございますが、初めての試みで、われわれとしては非常にせっぱ詰まったつもりで努力をいたしましたが、なかなか関係方面同じ気持には一斉になり切れませんので、解決がわれわれの当初考えたようにはつかなかったわけでございます。そこでその他考えれば中小企業公庫及び開発銀行でございまして、開発銀行には建設関係としては、建設機械の奨励のための融資、これもはっきりワクはないのですが、大蔵省とも話し開発銀行とも話して、従来相当程度建設の機械化促進についての融資をしていただいております。それからまあ地下駐車場建設の資金につきましてもそういった道を開いてきておるのでありますが、さしあたりとしましては、住宅金融公庫ということをわれわれ考えましたのが、成功いたしませんでした現段階におきましては、そういった意味において法律施行をできるだけなめらかにしていく努力をいたしまして、進めていく以外にはないというのが現状でございます。しかしこれではまことにわれわれとしても十分でないことを痛感いたしておりますので、法律制定をしてこれから制定ができて施行するということになりますれば、やがて間もなく来年度の編成期が参りますので、その際にはひとつ具体的に関係方面と折衝をし方法も編み出しまして、前以上切り開いていきたい、こう思っているわけなんであります。
  112. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の御答弁でわかりましたように、実際は資金面ではほんとうはまだ何もないことなんですね。そういうお気持は持っておられるし、努力はすると言われますけれども法律が通っても、たとえばこの二年間に、あるいは六カ月の間にどうするというようなめどがまだついていないように、私は今の答弁で思ったのです。単にあなた方があなた方のお名前で、この銀行はと思うのに対して、特段のひとつ御心配を願いたいというような通牒を出されたって、なかなかそんなことで片づくものではないから、根本的に私はあなた方の御努力が必要だろうと思うのです。しかし、これはもう今ここに法案が出ておって、そこまできちんとした解決をしなければ、どうもこの法案はおもしろくないというような、そんなやぼなことを言ったってどうにもしようがないから、特に今の御発言は約束だというお気持で、ぜひ善処していただきたいことを切に要望いたします。
  113. 武内五郎

    武内五郎君 先ほど住宅局長が地盤沈下の用水汲み上げの問題について、地域指定に関して、第一は地盤沈下の変動がある。それから第二は沈下原因沈下水の汲み上げにある。それから第三はこれに伴って、高潮出水等による災害が生じまたは生ずるおそれのあるところを、こう指定するのだ。そういうお話でそのとおりだと思うのですが、そうなって参りますると、この地下水の汲み上げに関連して、私は最後にお尋ねしたいことは、新潟の地盤沈下原因についてであります。三十四年に出されました科学技術庁の資源調査会の報告によりますると、新潟の地盤沈下最大原因地下水の急激にして大量のくみ上げにあるのだ、こういうようなことが出ております。そうなって参りますると、さらに第二条の定義でありまするが、この第二条の定義にもはまりません。あるいは水溶性ガスを今日取っておりますが、大量の水がくみ上げられてそれが流し放しになる。そこに大きな沈下原因があると思います。一体、そうなって参りますると、これは住宅局長の担当ではないので大臣のほうでけっこうですが、新潟における地盤沈下地下水のくみ上げについては第二条にも当てはまらぬ、それをどういうふうにお考えになって今後処理されるかをお伺いしておきたいと思います。
  114. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今の御指摘のございました新潟の地盤沈下問題は、大体ガスのくみ上げが基本的な問題でございますので、この法律の適用対象になりませんで工業用水法の適用対象になるわけだと思います。したがって、地盤沈下防止のための工業用水法上の許可、不許可制限等の規定の適用でこの防止をしていくのが筋道ではないかと、私ども所管でございませんが考えております。直接この法律には関係してこないと思います。
  115. 村上春藏

    理事村上春藏君) 他に御質疑はございませんか。他に御質疑もないようでございますから、質疑は終了したものと認め、これより本案について討論を行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  116. 武内五郎

    武内五郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を述べたいと思うわけであります。  今まで審議過程において明らかになりましたように、私どもの最も心配する点を二点指摘いたしまして、特にこれを強い希望として賛成をするわけであります。  その第一は規制を厳正にしてもらわなければならない。往々にしてこの規制は単にばく然とした省令等で組み上げられますので、多くの混乱を生じてかえってこの法律の実効を減殺するおそれがある。  第二は、この法律施行するにあたりまして、かなりその地域における財政的な負担が大きくかかります。特にさらに個人業者等においても多くの資金を要することと考えられますので、まず第一に財政的な裏づけを確立すること、第二は融資の確立が必要であると考えます。  以上二点を特に強く指摘いたしまして、本案に賛成するものであります。
  117. 田上松衞

    ○田上松衞君 特定の地域内における建築物用の地下水のくみ上げを規制して、地盤沈下を防止し、もって国民の生命と財産を保護し、公共の福祉に寄与しようとする本法の制定は、今日国民のすべてが待望しているものだと申し上げたい。むしろおそきに失したうらみさえ感ずるところであります。わが党としてはもちろん賛成するものでありますが、ただ法案の内容については各委員がいろいろ指摘し、あるいは質疑されたごとく、必ずしも国民の要望ないし期待に完全にマッチし得ない幾多の弱点あるいは不備等、不完全な点が看取されるわけであります。しかしながら、さっき申し上げまするように、本法こそは一刻も早く実施する必要性を痛感する立場から、とりあえず原案の通過を希望するわけでありますが、したがって本法の運営については特段のひとつ知能と誠意をしぼり出して、本法案本来の趣旨と目的の達成に精魂を傾けていただきたい。  このことを要請すると同時に、さらに来年度予算編成に際しては、先刻大臣の決意表明がございましたが、どうかひとつ本法が内包しているところのもろもろの弱点、あるいは不備等を補強できるように、最善の努力を期待いたしまして、国民に安心さしてもらいたいということを、特にこの際申し添えておきたいと思います。  以上をもちまして私、民主社会党を代表しての賛成の言葉にいたします。
  118. 村上春藏

    理事村上春藏君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認め、これより本案について採決を行ないます。  建築物用地下水採取規制に関する法律案全部を問題に供します。本案を原案のとおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  119. 村上春藏

    理事村上春藏君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時十分散会      —————・—————