運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-20 第40回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大河原一次君    理事            田中 清一君            徳永 正利君            村上 春藏君            武内 五郎君    委員            稲浦 鹿藏君            小沢久太郎君            太田 正孝君            三木與吉郎君            内村 清次君            田中  一君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曽田  忠君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局参    事官      富谷 彰介君    建設省計画局建    設振興課長   原口  隆君    日本国有鉄道経    理局長     豊原廉次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公共工事前払金保証事業に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○水資源開発公団法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、逐条的に補足説明を願います。
  3. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  第二条第一項の改正は、前払金保証事業対象となる公共工事に、新たに国、地方公共団体等発注する測量、並びに土木建築に関する工事設計、及び土木建築に関する工事に関する調査を加えることといたしたものであります。この場合、測量とは、土地測量地図調製及び測量用写真撮影であって、政令で定めるもの以外のものをいうことといたしました。なお、公共工事範囲の拡大に伴いまして、同条第二項、第十三条第二項、第十三条の二第一項、第十九条第一号及び第二十七条の「その工事」または「当該工事」を「その公共工事」または「当該公共工事」と改めることといたしました。  第十二条第二項の改正は、第十七条の改正に伴いまして、保証基金に関する規定を削除いたしたものであります。  第十七条の改正は、保証基金制度を廃止することといたしたものであります。  第二十五条の改正は、測量請負を業とする者に対しましても、審査の請求に関する権利を与えることといたしたものであります。  第三十一条及び第三十二条の改正は、保証基金に関する行為に対する罰則規定を削除いたしたものであります。  附則第一項の規定は、この法律施行にあたり、保証事業会社定款等改正措置等に日時を要しますため、この法律施行の日を、公布の日から起算して六十日をこえない範囲内において、政令で定める日といたしたものであります。  附則第二項の規定は、保証基金の廃止に伴い必要な経過措置としまして、本法施行の際、現に積み立てられている保証基金につきましては、なお従前の例により、保証契約締結の際の保証約款に定められている保証基金の払い戻しの方法によって払い戻すことといたしたものであります。  附則第三項の規定は、この法律施行前にした保証基金に関する行為に対する罰則適用につきまして、なお従前の例によることといたしたものであります。
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) それではこれより質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 測量事業はどのくらい今まで出ておりますか。その測量事業というのは、この法律適用している公共団体全部でどのくらいになっておりますか。測量並びに調査、新しく加える業態の仕事というものは。
  6. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 今回の改正法律におきましては、測量を新たに前払金保証対象となる事業に追加することといたしておりますが、現在の見積もりにおきましては、この法律保証する測量対象は約三十億円程度というように見積もられております。
  7. 田中一

    田中一君 自衛隊等から出る仕事もこれに含まれますか。
  8. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この測量といいますのは、先ほど申し上げましたように工事関係する測量を中心にいたしておりますので、そのような関係測量でありますれば、国、公共団体等発注に該当するものは、この対象ということになるわけでございます。
  9. 田中一

    田中一君 今説明された逐条説明の中には、この資料の中には、「新たに国、地方公共団体等発注する測量並びに土木建築に関する工事設計」云々とあります。したがって、測量というものは工事に何にも関係がないじゃないですか。自衛隊測量するという場合には、測量そのもの対象になっておる。工事を行なう対象とか、何が対象とか、何も測量というような言葉は明文にないでしょう。そういう理解の仕方をしていいですか。
  10. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねの点でございますが、この測量と申しますのは、測量法に定めておりまする基本測量、それと測量法の第五条の公共測量、及び基本測量、及び公共測量以外の第六条に定める測量、これだけをこの対象測量事業として実施すると、こういう考え方でございます。
  11. 田中一

    田中一君 そうすると、この第二条のこの改正案というものは今のような読み方ができるんですか。ここに測量ということが、土地測量地図調製及び測量用写真撮影ということになっていますが。
  12. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまの御説明をちょっと補足いたしまして申し上げますが、測量法測量でございますので、直接工事関係がなくても、基本測量なり、公共測量なり、基本測量及び公共測量以外の測量でも、測量法の定める条項の測量につきましては対象にする、こういうことでございます。
  13. 田中一

    田中一君 それならけっこうです。そこで、自衛隊はこの前払保証制度を認めて前払いを出しておりますか、現在。
  14. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 現在はこの測量につきましては、前払保証に関する法律対象になっておりませんが……。
  15. 田中一

    田中一君 いや測量じゃないです。自衛隊の今まで工事等契約に対して前払保証制度というものを採用しているかということです。測量をしていないのはわかっています、法律を変えてからやるんだから。
  16. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまの一般自衛隊等の実施いたしております国の工事につきましては、前払いを実施いたしておりまして、この法律適用保証も受けて建設業者前払金を受けておる、こういう実情でございます。
  17. 田中一

    田中一君 そうすると、いまだにこの前払保証事業を採用していない公共団体があるはずですが、それはどことどこです。
  18. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ね公共団体は、東京都及び徳島県が、地方公共団体の都道府県の中においては、まだ採用をいたしておらないのでごいます。
  19. 田中一

    田中一君 そのほかに国鉄はどうなっていますか。
  20. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 日本国有鉄道工事は、前払いを行なう旨の契約規定を持っておりますが、現実にも主として前払金を一部実施しております。ただ保証会社保証を前提としてということには、必ずしもこだわっておらないというのが実情でございます。
  21. 田中一

    田中一君 国鉄などはこういう制度自分のほうに金があるからできるのだということなんですが、おそらく去年の後半期ぐらいにようやく前払金支払いを実施したように聞いておるのですが、その点はこういう制度がありながらこれを採用しない、そうして現在自分のほうは金が潤沢だから保証を受けないでも出せるんだということになると、この法律の否定になるわけなんですね。おそらく利子を取っているか取っていないか存じませんが、国鉄前払い利子を取っていますか。
  22. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 国鉄当局に対しましては、われわれもいろいろ相談をいたしてきたのでございまして、ただいまお尋ねのように、国鉄は昨年の十月から完成保証人を立てることを条件といたしまして、幹線の工事につきましては、工事金額の五〇%程度範囲内におきまして前払いを実施いたしておりますが、日歩二銭の利息を徴収するということで現在行なっております。われわれのほうといたしましては、国鉄にこの制度の正確な適用勧告いたしておりますが、国鉄のほうといたしましては、一方において一般会計なり特別会計なりと、若干その国鉄会計経理の様子が違っておるというようなこととか、あるいは国鉄工事特殊性から完成保証という形で、工事完成金銭保証よりも強く要求せられておるのが今の状況でございますが、そういうふうな状況になっております。
  23. 田中一

    田中一君 この法律適用するものはたしか日歩一銭でしたね。
  24. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この法律によりまして、現行法におきましては日歩一銭、それとこの法律適用を受けまして、日歩五銭五厘の保証基金を納めるということになっておるのでございます。その五厘を今度廃止しようというわけでございます。
  25. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、この法律ができてからもう約十年で——七、八年になるわけです。東京都、徳島県並びに国鉄だけはこれは採用しておらなかったが、とうとう国鉄も東海道の新幹線の建設にあたって用地の売収が不十分なために、手待ちをしておる業者に相当大きな損害を与えておるのです。私が知っておる範囲でも、それこそ四、五億の請負額でありながら、もう一億以上の手待ち損害をしておる業者もあるのです。そういう者も陳情運動が効を奏して、ようやく昨年十月から今計画局長説明のように、前払金支払いを五〇%程度というものは認めておるそうでありますが、これは日歩二銭のわけです。したがって、やはり私はいつも言うのですが、一つ法律で定める一つ規定というものは、そういうばらばらじゃ困るということなんです。前払金を支払うならば、それが一銭というものが妥当ならば国鉄でも一銭ですべきです。これはきょう採決するのですか。
  26. 大河原一次

    委員長大河原一次君) はい。
  27. 田中一

    田中一君 それじゃ運輸大臣呼んでいただきたい。運輸大臣並びにその他の、審議するために必要な関係者全部呼んでいただきたいのです。  そういう点は、国鉄公共企業体だから勝手なんだということにならないと思うんですよ。これは何かこういうことに対する了解はあったのですか。この法律は全部できるのだ、しなくちゃならないということはきめてないのだから自由でありましょうけれども、同じようにある時期の業者の育成と申しますか、金融措置に対する、公共事業の完全な遂行を期するための施策であるはずなんです。それに加えて東京都、徳島県はどうしてこれを適用しないかという理由も、東京都、徳島県の関係者出席を願って伺いたいから委員長呼んでいただきたい。運輸大臣並びに東京都と徳島県の経理局長か、その辺でいいから。
  28. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今御指摘のような実情に実はあるわけでございますが、私どもも極力勧奨をいたしまして、この法律がありまする以上は、事業遂行をなめらかにするために、こういったレールに乗るように努力をいたしておる次第でございますが、今局長から申し上げました国鉄あるいは東京都、徳島県とそれぞれ内部事情がございまして、まだそういう態勢になってきておりませんが、今後ともわれわれとしましては極力勧奨しまして、できるだけ統一のつくようにして参りたい、こう思っておるような次第でございます。
  29. 田中一

    田中一君 これはまあそういう点は建設大臣に質問するのは間違いでありますから、東京都並びに運輸大臣徳島県の出先の機関があるはずですから、呼んでいただきたい。
  30. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 東京都、徳島県などについてもやはり私どもも気にしておったんでありますが、徳島県は再建団体であって前払いが非常に県の財政事情が困難のために参加できなかった。それから東京都は場所柄非常にこの工事希望者が多いものですから、そうするとますます競争が激しくなるのじゃないか。むしろ出来高払い現実にできた分からきちんと払っていく仕組みのほうが、そういう点からいいのじゃないかというようないきさつもありまして、延び延びになってきておるわけでざざいますが、これらの事情につきましては所管の局長が詳しく知っておりますから、一応ひとつ、私の取り継ぎ話よりも局長から御説明を申し上げさしたいと思うのですが。
  31. 田中一

    田中一君 局長の取り継ぎ話よりも当該当局の話のほうが正しいと思いますので、呼んでいただきたい。
  32. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまの点でございますが、われわれのほうにおきましてもいろいろ関係当局に対しまして、前払い保証法律の実施について勧告をしてきておるのが今日までの状況でございます。東京都につきましてもその例外になっておりますので、昨年来も引き続きまして話を進めておるわけでございますが、東京都が前金払いを実施していないという理由といたしましては、大部分工事について都は材料現物支給を行なっているということ、それから第二は、出来高払いにつきましては相当こまかく完全に行なえる措置を講じておると、それから業者材料の持ち込みをする場合におきましても、その価格の八割を即時支給するというようなこと等によって、工事の進捗をはかる手段を講じておるから、したがって今将来について引き続きこの前金払い制度の利用を検討しよう、ということを申しておるのが現状の姿でございます。  徳島県につきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、この県は相当に、赤字財政再建の指定を受けまして、なお再建期間団体でありますので財政的な余裕がないというのが一つの県の立場の申し開きになっております。で、このために地元建設業界では、中小企業協同組合法によりまして協同組合を設立いたしておりますが、この県の発注工事を請け負った会社は、この協同組合に対しましてその工事代金債権譲渡をいたしまして、組合保証を受けまして金融機関から金融を受けておる、というのがこれに対応する代替の措置として行なっております。しかしだんだんと財政事情も好転をしてくる状況でありますので、われわれのほうといたしましては正規の制度の運用ができるように県当局に対しても十分勧告をいたしておるという状況でございます。
  33. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  34. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。質疑を続けます。
  35. 内村清次

    内村清次君 現在前払い保証事業を行なっている北海道東日本西日本の三保証会社の最近の保証状況、それから保証基金積み立て計画、こうやった点をひとつ具体的に説明してもらいたいと思うのです。
  36. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 現在の三保証事業会社状況でございますが、三十六年度におきましては昨年の十二月末現在の保証高九百六十七億九千余万円ということになっております。保証件数といたしましては約二万八千六百件、したがってこれに伴います保証収入は十二億八千八百余万円、これが各保証会社の十二月末現在における保証状況でございます。なお、この三事業会社が兼業いたしておりまする金融保証事業につきましては、昨年の十二月末現在で保証高が一億八千二百余万円、保証件数が五十九件の保証を行なっております。  それから第二のお尋ねのございました保証基金でございまますが、保証事業会社が現在持っております保証基金は、昨年十二月三十一日現在で約十六億円ということになっておりまして、うち北海道保証会社が約一億八千万円、東日本が約八億九千七百万、西日本が五億四千八百万、こういうのが現在の保証基金の額の状況でございます。
  37. 内村清次

    内村清次君 それから最近の工事保証金弁済状況、これをひとつ。それと工事完成保証人に対する支払状況
  38. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 前払金保証保証事故の発生の状況でございますが、昭和三十五年度におきましては、件数にいたしまして三十一件、保証金弁済高は七千二百万円程度になっております。それから三十六年の状況は十二月までしかわかりませんので、まだ年度の終局ではございませんが、十二月までの状況では保証事故件数が十六件、保証金弁済高が三千八百余万円ということになっております。それから工事完成保証人に対する支払いは、まだ創設後間もないのでございますので、三十六年度現在の状況では三件、百八十万円というのが最近の状況でございます。
  39. 内村清次

    内村清次君 この改正案保証基金を廃止するということになっておりますが、その理由はどういうわけですか。
  40. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この保証基金につきましては、前払金保証に関する法律ができました当初から、この保証基金という制度が設けられたわけでございますが、何分にもこの保証会社は、当初の保証を実施いたしまする上から見ましての見通しをどのくらいにしたらいいか、という点についていろいろまあ初めての経験でございますので、設立の当初から保証債務弁済能力を充実するということのために、保証基金という制度が設けられたのでございます。最初に設けられました当初は保証料日歩一銭と同額のものを徴収いたしておったのでございますが、昭和二十八年の六月にはこれを保証料の二分の一に相当する金額ということに改めたのでございます。その後における最近の保証事業会社の業績もかなり順調に進んで参りましたことと、一般前払保証制度が大部分の地域につきましてはとっていただくようにということ、それに特に公共工事の増大ということに伴いまして、保証会社の経営の基礎が若干確立するような方向に向かってきておるというわけでございます。しかし形態的にはまあその段階といたしまして、保証基金を早く廃止いたしまして、保証契約の相手方である請負者の負担を軽くするということの実際的な要請を満たすために、この基金を廃止するということがこの法律案を提案いたしました理由と現在までの情勢でございます。
  41. 村上春藏

    村上春藏君 関連して。この保証基金を廃止することはけっこうなんですが、実際にその保証会社保証基金がなくてもよいというようなことをおっしゃっておるが、それは第三者に保証責任を転嫁することになりませんか。ということは、いわゆる保証会社があるので、起業者のほうはさらに工事完成保証人という、その請負工事会社と同格以上の会社保証をとっている。万一その金を借りた業者工事完成能力がない、支払いをしない場合にはその工事完成保証人がこれにかわって工事を進めるわけですね。そうすると、それから起こるところの差額の損失というものは保証会社支払いをしなければならぬわけですね。ところが事実上はどうかというと、その工事完成保証をした建設業者がこの責任を全部負担しておる。したがって、保証会社は何ら保証責任を果たしていないという事実があるのですが、この点はどうですか。
  42. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねでございますが、そういうことが起こらないように先般この法律改正せられまして、工事完成保証人に対する支払いという制度を設けられたのでございます。したがって、保証会社がそのような場合におきましては工事完成保証人に対して支払うという形によりまして、ただいま御指摘のようなことが起こらないような制度になっております。したがって、今後そういうようなことがないように、法律上の制度が完璧になされているというのが現状でございます。
  43. 村上春藏

    村上春藏君 それでは、かりに工事を請け負った会社が仕上げる能力がなくして、そうして工事完成保証人がこの工事を仕上げた、そのやりかけの仕事をやり上げるという責任ある判こを押したわけですね。その際に、どうせ工事費が足りないのだが、その場合に、保証会社がそう差額の欠損を、工事完成保証をしている業者支払いますか。
  44. 原口隆

    説明員原口隆君) 今の御質問でございますが、極端な例を申し上げますと、Aという業者が百万円の工事を請け負いまして、まあ四十万円の前払いをもらったと、そのまま全然仕事をしないでその四十万円をAという業者が持ち逃げをしちゃったという場合に、まあBという完成保証人が附いている場合には、発注者としましてはBという完成保証人工事完成を要求するわけでございます。そうして結局Bという完成保証人は、六十万円の資金で百万円の仕事をやらなければならない、四十万円は持ち逃げされておりますから。そうするとBという完成保証人に対して保証事業会社が四十万円を支払ってやるということで、Bといたしましてはその四十万円プラス六十万円、計百万円の仕事完成できるという仕組みに三十五年の改正でいたしたのでございます。
  45. 村上春藏

    村上春藏君 それでは現実の問題として、実際いうと工事起業者工事発注する際に、指名をするからには、その業者工事完成する能力とか、資格すべてを調査して指名をするんですね。それに今度はまあ工事完成保証人が必要であるというと、非常におかしいんですね、問題としては。そういうまたさらに工事完成保証人をつけるような業者指名するということがおかしいんです。実際いうと、それはどういう意味でするかというと、むしろ保証会社のさらに保証をしてやるようなものなんです。それで現実の問題としては、過去においては、そういう場合に、してないんです。そのいわゆる工事完成保証をした会社が全部の損害をかぶって工事完成さしておるんですね。それで三十五年からそういうようになってますか。その差額を払うように、足らないところを。これは間違いありませんね。説明員原口隆君) 三十五年の七月の法律改正になりまして、第十三条の二という規定工事完成保証人に対して支払うという規定が新しく設けられまして、そういう不都合のないような措置法律的には講じてございます。
  46. 村上春藏

    村上春藏君 もう一つお尋ねしておきますが、そうすると今後は工事完成保証人工事完成するだけの責任であって、そうしてその工事完成のために前の請負金で足らない分の損害保証会社が全部払うということですね。そういうことですか。
  47. 原口隆

    説明員原口隆君) つまり百万円の工事を請け負いまして、実際上は工事完成保証人がかわってやった場合に、百十万円になるかもしれませんが、その百十万円につきましては、この十三条の二は問題にいたしておりません。前払いをしました金額と、途中で投げました業者出来高との差額についてだけ保証いたしております、ということの建前になっております。
  48. 村上春藏

    村上春藏君 それは何ですか、百万の工事をかりに請け負ったと、そうしてあと正当な契約の内容における出来高がかりに三十万円残っておると仮定しますと、その前に支出は百万円かかると、仕上げるまでには。そうすると七十万というものを保証会社が出すんですか。
  49. 原口隆

    説明員原口隆君) 十万円でございます。百万円の工事を請け負いまして、四十万円の前払いをもらった、もらった業者が途中で三十万円の出来高ができて投げた場合に、完成保証人が引き継いで工事完成いたしますが、その場合には四十万円の前払い出来高の三十万円の差額の十万円だけを、会社完成保証人に払うという仕組みございます。
  50. 村上春藏

    村上春藏君 そうすると、そのあとは全部工事完成保証人が払うということになりますね。
  51. 田中一

    田中一君 そこでその出来高三十万円の十万円、その十万円の請求権というものはいつまで残しておくというのですか、その場合には会社がつぶれて、破産して、すっかり清算して、配当があれば配当、十万円のうち一万円取って九万円の請求権というものは、そのときに初めてなくなってくるのですか。そのまま要するに十万円というものは完成保証人に対する債権として残っていくのですか。
  52. 原口隆

    説明員原口隆君) 求償権としましては投げたほうの者に十万円の求償権が残るわけでございます。田中一君 残ってそれがその会社の清算、すっかり破産して清算された場合には、取れないものは債権と計上していくというわけなんですね、この十六億の保証基金、これはむろん何にも流用しないで預金してやるのでしょうね。これは預金の方法はどういう形で三つの会社が行なっていますか。長期の預金でやっていくのか、金利が余分に取れるような方法でやっていくのか、あるいは現金を持っていますというのか、この点は実態はどうなんですか。
  53. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この保証基金は、その性格上預かり金でございまして、したがってその管理の方法につきましては、業務方法書に記載いたしておりますような、財産の管理をいたしておりますが、それは預金でありますとか、あるいは地方債なり国債なりというような債券、あるいはその他の信託方式による株式等の形で保管をいたしておるというのが各会社実情でございます。
  54. 田中一

    田中一君 そしてこの十年間十六億になったというこれに対しては、その基金による利益というものはどれくらいになっています、基金による利益というものは。その利益の使途というものは、預金ならば金利ですわね。そういうものは業務方法書では何に使っていいようになっていますか、そのまま加算されて十六億にということなんですか。原資合わせて十六億という数字なんですか。それとも証券取引して利益が上がった、その場合に損失がある場合もあるだろうし、利益がある場合もあるという場合には、業務方法書ではどういう処分の仕方を認めているのですか。
  55. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この保証基金法律の十七条にありますように、一応定款の定めるところによって積み立てることになっておりますが、その徴収されました保証基金、これは責任準備金をもって保証債務を支払うことができない場合におきましては、保証債務弁済に充てるということができる性質のものでもあります。そこで今日まではこの保証基金に手をつけなければならないというような段階には全然到達いたしておりません。先ほど申しました金額はその原資に相当する金額が十六億ぐらいということでございまして、その発生いたしましたところの果実等につきましては、これは一定の法律によって責任準備金、あるいは会社の定めるところの支払い基金の積み立て、その他必要とするところの事業費に充てることもできるわけでございます。
  56. 田中一

    田中一君 実態はどうなっているのですか、その果実は。それは適当に自分会社の運営の経費に充当して使っておるのですか。この十六億が原資であるならば、それはどうなっているのですか。
  57. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは会社の経理の状況でございますが、これは法律等によっても規定されておりますが、損益の計算の方式によりますると、この保証基金の果実は営業外収益として計上されておる。したがってその支出の場合におきましては、先ほど申しましたように、その収益として上げたものの果実は、あるいは責任準備金に繰り入れられ、その他の収入と合わせまして、あるいは異常基金準備金に充てられる、あるいは当該保証債務弁済額にも充てられ得るものも、理論としてはあり得るわけでございます。しかし、そういう形には今まで使っておらないと、保証債務のほうには。それで一般の管理費等につきましても一部その中に使われておるということになる、使い得るということでございます。したがってそれらを控除いたしましたものが、いわゆる純益として出てくるというのが経理の実際でございます。
  58. 田中一

    田中一君 そうすると、今度払い戻しをしようというこの十六億は原資ですね。
  59. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) お尋ねのとおりでございます。
  60. 田中一

    田中一君 これは従来業務方法書では、配当はどれくらい認めていましたか。
  61. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 各会社配当金でございますが、これは一割ないし一割二分でございます。
  62. 田中一

    田中一君 実際の運営にあたっては、まあ今は主として建設業者は談合でやっていますから、予定価格を相当下回るようなダンピングはないと思うのです。三つの会社とも予定価格はおそらく承知しないでしょうが、そうすると、これは安い、安いから保証はできないのだというようなものも今までは往々にあったわけです。その限度は何か業務方法書か、あるいは指導で限度をきめておったのですか。それとも一々予定価格というものを保証会社に見せて、一億のものは七千万円でとっているからというようなことを言って、初めてその場合には会社は自主的に保証しないということになるのですか。今は割合に仕事が多いから逃げ札を入れる人が多い。あえて談合という言葉が刺激が強いならば、逃げ札を入れている人が多いから、割合に適当な価格で落ちているから保証するけれども
  63. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 保証の拒否の問題でございますが、非常に極端な場合は拒否されております、そのうち、これはほんとうにまれな場合でございますが、保証会社はそれぞれ保証審査基準というものを持っております。ただいまのお尋ねの、請負金額が客観的な予定価格に比しまして不当に低いというような場合におきましても、そういう一つのケースとして考えられるわけでございますが、各社ともぴたりと同じ基準ではございませんけれども、そのダンピングに対する保証の拒否基準といたしましては、北海道東日本西日本等、それぞれ若干の比率の違いはありますけれども発注者の予定価格または会社の積算価格に対しまして、八〇%とかあるいは九〇%未満である、こういうような特殊なものは、拒否するという規定を持っております。したがって請負金額が不当に低いというようなことのために拒否されておる、という例は非常に少ないというふうに統計の上では出ております。
  64. 田中一

    田中一君 拒否されたものは表面に出てこないから統計にならないわけです、そのまま書類を取り下げるのですから。だから統計上じゃ低いというが、実際はあるのです。最近の二、三年の傾向というものは違いますけれども、不況になると相当あるのです。それは自転車操業をやっておるのが今の建設業者の実態ですよ。やはり前払いを取って前の仕事完成し、また次のものに持っていくということなんですよ。金融上、銀行等が建築抑制をやって銀行では貸してくれないから、どうしても前払保証会社に頼る以外にない。だから拒否をしたという統計が少ないということは全然乗ってこないからなんです。がんばっておる人もおるかもしれませんけれども、相当多いと思うのです。また今後も相当ふえるのじゃないかと思うのです。それは八〇%、九〇%限度内ならばいいということですね、現在やっておるのは。その辺の監督はやっておるのですか、建設省としては。
  65. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 保証の拒否件数について御参考に申し上げますが、三十四年度は二十一件、三十五年度が三十三件、三十六年度は二十三件、こういうようになっております。それは今の保証会社の持っております保証審査基準に照らしまして、その審査の結果をとることにいたしておりますので申し上げられるわけでございます。実際はこの拒否した事例といたしましては、保証申込者の財政状態が非常に悪い、たとえば手形が不払いになったというような、そういうふうに明らかなことでも悪いということがわかる、こういうふうな例が多いのでございまして、ただいまの請負金額との関係におきましては、先ほど申しましたようなのを一つの基準にいたしております。
  66. 田中一

    田中一君 八〇%なり九〇%という認定をするのは、必ず発注者前払保証金に対して予定価格表というものをよこすのですか。
  67. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これはその請負の価格が会社のほうがわかっておるというものではなしに、会社のほうでやはり積算価格をいたします。したがって、その積算価格に対しまして八〇%未満であるというような極端なダンピングになるようなことになると、これは問題であるというので、この基準を作っておるというわけでございます。
  68. 田中一

    田中一君 それはいいです。これ以上あなたと押し問答していってもあなたは知らぬよ、実態を。だからしようがない。  そうすると、この十六億は原資だけ返して、それの証券投資なり、あるいは国債買ったり、公債買ったりしたものの利子というものは全然返されないということですね。
  69. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは保証金法律で定めております性質上、果実は返さなくてもよろしいというようなことになっております。また保証契約の約款において原資を返すということになっておりますので、その規定に従いまして、今後、法律公布後において弁済をすると、こういう建前でございます。
  70. 田中一

    田中一君 最近は、まあきのう、きょうは株も相当上がっているから、今放すならば損はなさそうに思うけれども、損した場合にどうするの。全然その基金には手をつけないで、事故が少ないから手をつけないでおった。しかし、証券投資なり何なりで赤字になった場合は、その基金が十六億が十五億になった場合には、一億の保証金というものは、当然会社自分の利益から生み出して、原資だけ返すということになっておるのですか。
  71. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これはまあ仮定の話でございますが、現在の法律では、十七条の第三項で、保証債務弁済に充てるために責任準備金をもってしても支払いがきないと場合に、初めてこの保証基金に手をつけ得られるという段取りになっております。幸いにいたしまして、今日、どの会社保証基金を大事に、その預かりました関係者に、権利者にお返しできるという状態でございますから、そのような懸念はないと、こう申し上げられると思います。
  72. 田中一

    田中一君 それは証券投資や国債投資をやって利ざやをかせごうと、利ざやというか利益をあげようと思った。ところがそれが株の暴落等によって原資へ食い込んできた、損失が食い込んだ場合ですよ、本来の保証事業をやる場合なら、これはもうあり得ることです。しかし、そうじゃなくて、会社自体が証券投資等をやって損失を見た場合には、その損失は当然会社が負担して、十六億に補てんしてこれをその場合には払い戻しするのか、あるいは一億の損失があった場合には、一億引いた十五億を払い戻しするのか、どっちなんです。その業務方法書なり何なりはどうなっておりますか。
  73. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 先ほど財産の管理につきましての保管の対象の債券の種類を申し上げましたが、なお、この業務方法書におきましては、運用財産といたしまして、確実な方法を考慮いたしまして、現金とか、あるいはそういったような運用資金として管理すべきものが、全体の十分の八、その他の株式投資につきましては十分の二というように、この財産の利用方法を定めております。したがって、保証基金を含めましたこの財産の管理につきましての安全性を確保するということが、現在の規定上講ぜられております。  それからなお、今日まで保証基金につきましては、いずれもその契約の定める時期に、確実に関係の被保証者に支払っておりますので、公平の原則から見ましても、そのようなことの支払いはできないような措置を講じられない、そういうようなことのないようにすべきものであるというふうに考えております。
  74. 内村清次

    内村清次君 附則第二、「この法律施行の際現に積み立てられている保証基金については、なお従前の例による。」とありますが、この「従前の例による。」ということはどういうことですか。
  75. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この保証基金支払いでございますが、これは各保証会社が、業務方法書及び約款に保証基金の払い戻しについての原則を規定いたしております。これが保証契約を締結する際に結んでおるわけでございます。で、その方式は、保証基金の預託を受けた日から起算をいたしまして三年を経過したものであって、しかも、保証基金にかかる保証契約保証期間が満了したものにつきまして、建設大臣の承認を得まして保証契約者に支払っておる、こういうことでございます。したがって、この保証基金につきましても、今後三年間に保証契約保証期間が満了したものから、順次、保証契約者に支払いをしていく、これがただいまお尋ねのございました附則の条項の効力ということになるわけでございます。そのようにいたしまして、保証基金は今後新たな契約を締結するについては必要ではない、しかし、従前、締結されておりまする保証契約に基づく保証基金の処理につきましては、従前の例によるということにいたしたことによって、ただいまのお答えを申し上げましたような処理をして参る、こういうことでございます。
  76. 内村清次

    内村清次君 そうすると、三年を経過すると、一時に十六億を直ちに支払うということではなくして、三年間でやる、原則的にはですね。事業方法書の第十六条ですかな、この例によるわけですね。
  77. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまお尋ねの条項は、東日本建設保証株式会社事業方法書によりますると第十六条、それから同じく同会社前払金保証約款によりますると第十四条の規定でございます。
  78. 内村清次

    内村清次君 それから保証基金の最高限度といいますか、大手請負業者が最高限度の保証金を出す、やった例ですね、何億ぐらい出すのが一番大きい額か。
  79. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは、一保証契約者に対する保証総額は、十億円を限度として運用されておりますが、特別の事由によって大臣の承認を得た場合におきましては、その限度をこえることも可能であります。大体この十億円程度が最高でございますが、ごく最近の例といたしましては、一件だけ二十五億程度の承認を与えた例がございます。
  80. 内村清次

    内村清次君 そうすると、もちろん最低という問題が、発生してきますが、保証基金の最低というのは大体幾らぐらいになっておりますか。それはもちろん工事の内容によっていろいろ違うと思うのですがね、これは限度ないわけですか。
  81. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) これは五十万以上の請負工事につきましては、前払保証対象にいたしております。
  82. 内村清次

    内村清次君 すると、この三つの保証会社が自己資金としては十八億九千九百八十万円の自己資金があるわけですね。すると、これは自己資金を拡大するというような方法としてはどういうことをするわけですか。
  83. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この方式といたしましては現在とられておりますように、いわゆる保証契約の準備金を充実していくというようにいたしまして、この保証能力を拡大していくという方法が内部保留の格好ではまず一つの方法でございます。それから第二の方法といたしましては株式の、資本の額をふやす、こういうこともその方式でございます。それから消極的な方法といたしましては、いわゆる事務費なり、あるいは公益性等を考えまして、配当等につきましても公益事業の例に従って適正なものに限っていくというような事柄も、その資本の充実という方法かと考えます。
  84. 内村清次

    内村清次君 すると現在のこの三つの保証会社が資本金の合計としては四億一千万でしょう。それから自己資金としては十八億九千九百八十万、株の構成としては四億一千万と、こういったこの三つを合わせて会社の内容的な資金形態だと、こういうことになるわけですね。それに対して今局長が言われたように、たとえば株主の出資金を多くするのだとかいうようなことになるのでしょうが、そのほかに何か自己資金を大きくするという方法はございませんか。
  85. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいま申し上げましたように、積極的な方法によつて保証事業会社の流動資本なり固定資本なりを増加していくという方法といそれから消極的に資産の減少を防止するというこの二つが、保証会社の一番の自己資本を充実する方法だと、こういうふうに考えます。
  86. 内村清次

    内村清次君 それは、私が今質問しておりますのは、特にこの法案に対して衆議院のほうで付帯決議をつけているのですが、その内容の中に「自己資本の充実による経営基盤の安定をはかり、特に保証料の引下げ等中小業者の負拠を軽減せしむるよう指導すべきである。」こういった点がありますが、その「保証料の引下げ」というやつはどういった形によって引き下げ可能ということになってきますか。
  87. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 現在の保証会社の経営の基盤につきましては、いろいろ十年の今日まで期間をたどりまして、保証金を廃止してもよろしいという段階になったわけでございます。しかし、各会社によりましても若干の基盤の安定の度合いが違っておりまして、この保証基金を、約款に定められましたやはり年限に従って従前の例によって返還をしないと、現在の保証の見込額を算定いたしましても窮屈のようなところもございます。したがって、従前の例によってこの保証基金を返還をするというのがこの保証基金を廃止する法律でございますが、引き続きまして今後の公共投資の増大なり、あるいはいろいろな方法によりまして、関係建設業の建設力というものの支援をするという形で、適正な工事が行なわれるということになりまするには、やはり何といっても保証会社保証能力というものがふえいくということが必要でございます。資本はこの株主の方々のまあ増資にたよらなければなりませんので、現在の株式の所有者は六割を建設業者の方々、四割を関係金融機関の方々が持っておられるわけでございます。その方々によって援助をしてもらうか、あるいはそれも問題でありますときには、保証会社独自といたしましては、先ほど申し上げました純利益を出すように努力をするということに、今後一そう気をつけなければならぬところだと思います。  そこで、現在の保証会社前払金保証をいたします際には、日歩一銭の保証料とそのほかに五厘の保証基金を納めておったわけでございます。これがまあ今日のかなりの基盤を強化する一つの元になったわけでございます。これをはずすということと同時に、今のようなことをやっていかなければならぬ。保証料の減額の方式につきましては、現在は九十日までは一銭、それから逓減をいたしております。そういうやり方がいいのかあるいはまた当初の一銭をどのように定めるのが適正なのかというようなことにつきまして、もしその会社財政力とにらみ合わせて検討する事項であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 内村清次

    内村清次君 付則第一項に、この法律施行の日を公布の日から起算して六十日をこえない範囲において政令で定める日とした、こういう理由は何か定款その他による問題がありますか。
  89. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) この法律施行につきましては一定の政令で定める期間を置いておりますが、これは定款の変更でありますとかあるいは業務方法書の変更等の手続が要りますので、若干の政令で定める準備期間をとったわけでございます。しかしながら、なるべく早くこの法律の実施ができるような態勢で進みたい、こういうつもりで目下いろいろ指導をいたしております。
  90. 田中一

    田中一君 国鉄にちょっと聞きますが、どうも今まで二十七年にできたこの法律、御承知ですね、そのたびに国鉄を呼ばなければならない。聞くところによると、去年の十月からどうやら部内で前払金支払いというものは五〇%程度まで認めるということになったそうですが、この法律の成立の当初、国鉄仕事というものは非常に重点的に考えると思ったわけであります。ところが十年たってもいまだにこの法律適用をしようという気持にならない。どこに原因があるのか。ことに最近の東海道の新幹線等の工事は、用地の買収ができないために多くの建設業者手待ちをして大へんな損害を受けているのです。これは少なくとも局長は御存じだと思うのです。今までなぜこの制度を活用しなかったかということが一つ。  それから昨年の十月から前払制度を実施しているということ、踏み切った理由は何であるか。  それからこの法律でもこの場合には金利は日歩一銭です。ところが国鉄は二銭である。今提案されている一部改正のこの法律によって、基金五厘も、この条文が削除されて、積み立てられた十六億という金が払い房しされるという非常に前進してきたこの法律による事業現状から見て、国鉄は十年おくれているという印象を受けるわけです。こういう制度によって他の事業の受け入れ工事がスムーズに進んでいっている。しかしどうも国鉄の不当な契約によって圧迫をされる損失を、この法律によって行なった事業がカバーしているということに今までなってきたのではないかと思うのです。その金利の点等についてひとつ説明して下さい。
  91. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいまお話の国鉄の前金でございますが、今までは工事の前金を払います際に、単なる前金の保証だけでなく、工事の履行保証というものを同時にやっておりましたので、前金払いを受けた業者が途中で何らかの事情によって工事を完工できないというような場合には、その工事を引き継いで履行するという保証者と、前金の保証というものを同時にやっておったのでございます。私どもとしましては工事ができ上がるということと、前金が回収できるというこの二つを同時にやる保証が望ましいということで、国鉄独自と申しますか、そういう前金の保証の方法をとってきた、こういうことでございます。
  92. 田中一

    田中一君 そういう制度はいつからやっているのですか。
  93. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) これは私記憶が少し確かでございませんかもわかりませんが、二十五年ごろからのものでございます。二十五、六年ごろだったと記憶します。  それから金利の点につきましては、私どもの資金というものは、なるべくと申しますか、二銭という金利は市中から見て高いものではない、むしろ今となっては安い金利であるのでありますし、まあ保証料というものがそれに今のお話で一銭五厘から一銭プラスされるということになりましても、業者にとりましては国鉄からとられる、とられるといいますか、国鉄に払う利子の二銭と保証料としての一銭ないし一銭五厘というものでは相当高いものになるかもわかりませんけれども、まあそれは別といたしまして、今までの方法で私どもそう大きな支障を生じていないと考えておりますものですから、現行の方法すなわち同業者の履行保証か、または銀行保証というものをとっておるわけでございまして、もちろん中には国債その他金融債をもって担保さしておるものもございます。
  94. 田中一

    田中一君 この制度前払いする方法が不安心なんですか、国鉄は。市中銀行または同業者の履行保証なり完成保証なんというもののほうが安全だというのですか。金利が二銭とか一銭とか高いのは別としてと言っているけれども、別じゃないのです。それを問題にしている。  それから今まで前払い制度というものは二十五年から国鉄はやっておったというのはどういう形のものをやっておりましたか。
  95. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 工事並びにその他物品の購入等につきまして前金払い制度をとっておりましたが、そう大きな前金を払っておったわけではございません。で保証の方法といたしましては今申し上げましたように、国債その他の政府保証債並びに金融債というものと銀行の連帯保証、その他、これは数は非常に少ないんでございますが、保険会社の保険というものを担保として前金を払っておったわけでございます。
  96. 田中一

    田中一君 ほんとうに前金払っておったんですか。昨年十月から、東海道新幹線かもしらぬけれども、初めて五〇%程度前払い支払いを行なうようになったといって政府は答弁しているんです。あなたの言っていることと違うじゃないですか。
  97. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 工事につきましては制度はございましたけれども、ほとんど実績はございませんでした。
  98. 田中一

    田中一君 どうしてしなかったんですかと聞いているんです。こういう法律によるところの制度というものが不十分であり、かつ危険だからこれを利用しなかったんだというんですか、どこにあるんです。これを採用しなかった理由は。
  99. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 今までは前金を払いました際に、契約金額をそれだけまあ利子相当部分を減額するという国鉄の内部手続をやっておりましたので、その手続がやや煩瑣であるということもございまして、請負業者のほうから要求がございませんでしたので、非常に少ない実績しかございませんでした。それが昨年の十一月に請負金額の改定という方法をやめまして、前金に対する利子利子として計算して、これを収入にとるという方法にいたしましたので、それから実績は上がってきたというのが実情でございます。
  100. 田中一

    田中一君 そうすると、国鉄契約の中には、相手方の請負金が必ず銀行なり、高利貸しなり、低利資金なり借りるという前提でもって契約締結をされておったんですか。金を借りる金利部分だけは軽減するという方式をとっておったんですか、そういうことがあり得るんでしょうかね。
  101. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 従来の方法はそういう契約金額の前金を払うものと払わないものとの公平を期するために、前金を払った場合には、契約金額から利子相当額を減額するという方法をとって参りました。
  102. 田中一

    田中一君 前金を払う場合には利子相当額を請負金額から一定の率で軽減するということなんですか、前金を払わない場合には、銀行から借りるであろう金利というものは、請負金額にプラスされなければなりませんね、どっちみち。そういうことなんですか。
  103. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 一般には工事の積算の中に金利部分というものも考えられるんではないかと思います。
  104. 田中一

    田中一君 これは会計検査院を呼んで下さい。こんなことは僕は契約行為にあり得ないと思うんですよ。相手が山ほど現金を持っておる人もいれば金がない人もいるんですよ。しかしそんなことは金を借りるであろうということを予想して、請負金額にその金利部分だけ足してやるということは、会計法上許されるものかどうかということは、僕は非常に疑問です。これは会計検査院をひとつ呼んで下さい。
  105. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私の申し上げましたのは、前金を払う行為と払わない行為とでは業者の負担が違うのではないか。それで前金を払う者につきましては、金利相当部分を引くというのを昨年の十一月までそういう方式によってやったわけでございます。ただいまではそういうことはやっておりません。
  106. 田中一

    田中一君 どうも僕にはこれは納得できない。会計法上、契約上そういうことが許されるかどうかということは疑問です。それはもうどこに聞かれても恥かしくない契約行為なんですか。
  107. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいま申し上げておりますように、契約額の改定ということはやっておりませんで、前金を払いました場合には、その金額に対しまして前金の回収されるまで日歩二銭という金利を国鉄でとっておるわけでございます。
  108. 田中一

    田中一君 世界銀行で借りた金利は幾らですか。
  109. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 年利五分七厘五毛でございます。
  110. 田中一

    田中一君 国鉄は何ですか、世銀から年五分七厘五毛で借りて、これは一銭七、八厘になるそうですね、日歩にすると。それを二銭でまた貸して、利ざやをかせぐという高利貸しですか。
  111. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 決して高利貸しということはございません。この五分七厘五毛が利率でございまして、貸付金の未引出額につきまして年利七厘五毛という手数料を別に払っておりますので、両者を加えますと約二銭にはなろうかと思いますが、考え方としましては、私どもは別に世銀だけでございませんで、ほかいろいろ鉄道債券その他もあるわけでありますが、これと市中の金利というようなものを考えあわせまして二銭ということを考えておるわけでございます。
  112. 田中一

    田中一君 どうも僕は国鉄のやり口が納得できないのですが、そうすると昨年の十月から日歩二銭で五〇%程度前払いを支払うという制度を始めた。それはいつからの契約に対して始めたのですか。これは昨年の十月以降の契約に対して始めたのですか。いつからの分に対してそれはやっておるのですか。
  113. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) そういう方式でやりましたのは、昨年のはっきりした日にちは今覚えておりませんが、たしか十一月だったと思いますが、十一月からです。
  114. 田中一

    田中一君 十一月分からの新しい契約に対して始めたのですか。それとも三十六年四月からの分に対して始めたのですか。
  115. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 十一月分からの新しい契約について始めたわけでございます。
  116. 田中一

    田中一君 そいつもちょっと僕の調べたところでは違う。そうするといま上程されている公共工事前払保証に関する法律というものを使っては国鉄は損であるから、だから金利二銭とってじかに貸しておるほうが得だということでやっておるわけですね、どっちみち。
  117. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私どもはそういう考えがあるわけではございませんが、今の同業者保証——銀行保証なり国債その他の担保なり、または特に認める場合には同業者保証というようなもので工事が円滑に行なわれておるということに理解しておりますので、担保の種類としてはそれくらいで十分じゃないかという考えのもとにやっておるわけでございます。
  118. 田中一

    田中一君 建設大臣に。今国鉄の豊原経理局長は僕の質問に対してあのような答弁をしたのですが、建設大臣、この法律を主管されておる立場から、国鉄も、この法律によって少なくとも完全な工事施行し得る状態に金利をもっていったほうがよいと思うか、あるいは国鉄が今のように二銭の日歩を取って——この法律による金利よりも倍額になるわけですが、取ってやったほうが妥当かあるいは好ましいと思うか、どちらにお考えになりますか。
  119. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この前払保証に関する法律がございますので、できるだけ公共性を帯びた工事としては統一して適用していただくことがいいと私どもは思っております。国鉄のほうにもこれは今後お願いいたしたいと思いますが、ただ国鉄には国鉄のいろいろの事情、歴史があると思います。私ども詳しいことは存じませんが、国鉄では請負に付する業者などの選択に非常に古い歴史がありまして、厳密でありまたおそらくこの前払保証適用を受けなくてもいいような有力な事業体もきっと多いのじゃないかと思いますが、しかしながら時代はだんだん変遷して参りますから、この法律があります以上は、できるだけひとつ早期にこのレールに乗っていただけるようにお願いいたしたいものだと、こう思っております。
  120. 田中一

    田中一君 少し建設大臣遠慮されて答弁しておるように思うのですが、そんなに金が遊んでおるような状態じゃございませんよ。たかだか二十億か三十億をもってそれこそ年間一千億に近いような仕事をする業者もおるのですから、これはひとつ建設大臣運輸大臣と話し合って下さい。まるで高い金利は建設大臣のほうで出る仕事でカバーしておるようなものです、国鉄仕事というものは……。  もう一つ局長に聞いておきますが、十一月一日から今のような制度に変えたと言うけれども、その前の仕事で——ことに東海道新幹線などはあなたのほうで一気呵成にやってしまおうと思うものだから、全部に割当発注をして仕事を進めておるけれども、用地買収ができないためにみんな手待ちしておる、こういうような手待ち損害というものは契約上だれが負担するようになっておるのですか。
  121. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) これはいろいろな事情によって異なるわけでございますが、今の用地買収のおくれというものから手待ちしておる場合というものは、まだ国鉄の責めに帰すべき原因とは私ども今の状態では考えておりませんので、国鉄で負担するということは現段階においては考えておりません。
  122. 田中一

    田中一君 そうすると、請負人に土地の買収を担当さしているのですか。国鉄土地の買収を行なっているのではないのですか。
  123. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 国鉄土地の買収をやっておるわけでございます。
  124. 田中一

    田中一君 国鉄土地の買収をやって、それでその工区の契約というものは、土地が買収になったならばそこから始めると、こういう契約になっているのですか。土地の買収が完了したらそのときから起算して何カ月間、あるいは何年何カ月間で行なえというような契約になっているのですか。あるいはいつごろ土地の買収が済む、したがって、そこから出発をしたら工期はいついつかまで、こういう契約になっているのですか、どっちなんですか、そこのところは国鉄責任じゃないということを言っておるところを見ると、そういう工期の問題は全然契約に触れていないのですか、それとも……。
  125. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 工期の問題は原則といたしまして、用地買収が終わりまして工期を出すというのが原則であると思います。ただ小さな部分だけが未買収というような場合には一部を残して工期を出すという場合もございます。
  126. 田中一

    田中一君 あなたのほうに私が今疑問に思っているような点の陳情が相当きているでしょう。用地の買収ができないために請負人が手待ちして、それこそ四、五億の仕事に何千万という損をしている業者がおるということは、あなたのほうに陳情が来ているでしょう、経理局長ならば。
  127. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 私のところへ直接来られたことはございませんけれども、新幹線総局なりまたは総裁、副総裁等のところへ陳情があったということは聞いております。
  128. 田中一

    田中一君 聞いているけれども、それは国鉄責任ではない、一応どういう段取りをしたか知らぬけれども、それらのものは全部業者責任であるということなんですね、見解は。
  129. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいままでの段階ではそういう見解になっております。
  130. 田中一

    田中一君 国鉄に対しては、いずれまた十分にそうした問題についての調査をいたしたいと思います。どうも納得のできない、理解のできない点がたくさんあります。今度は会計検査院なり、大蔵省なりを呼んで、あなたのほうもきてもらって十分に対決をしてみたいと思います。
  131. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  132. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。他に御質義はございませんか。他に御質疑もないようですから、質疑は終了したものと認め、これより本案についての討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論は終局したもの認め、これより本案についての採決を行ないます。  公共工事前払保証事業に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  133. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては委員長に御一任願います。   —————————————
  134. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に、水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします、逐条的の補足説明を願います。経済企画庁曽田総合開発局長
  135. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) ただいま議題となりました、水資源開発公団法の一部を改正する法律案条文の説明を簡単に申し上げます。  第三条の二は水資源開発公団の資本金に関す規定であります。この公団の資本金を、三億円とし、政府がその全額を出資することといたしました。この金額はすでにこの国会に提出いたしました昭和三十七年度の一般会計予算に計上いたしております。なお、さらにその資本金を増額する必要が生じたときは、予算で定める金額範囲内で、政府が追加して出資することができることとしたのであります。第二十条の二は、国や都道府県が、すでに着工している水資源開発事業の一部を、公団が承継して行なう場合の規定であります。  この規定により公団が承継することとなる事業は、建設大臣が直轄で工事施行している多目的ダム建設事業、または国営もしくは都道府県営の土地改良事業のうち、主務大臣事業実施方針で公団の業務と定めたものに相当する部分であります。ただし、都道府県営土地改良事業につきまして、当該都道府県から主務大臣に対し、公団において実施すべき旨の申し出があったもので、かつ、事業実施方針で定められたものに限ることとしたのであります。  次に、事業の承継の時期は、当該事業にかかります公団の業務について、主務大臣事業実施計画の認可の公示をした日の翌日と規定したのであります。事業の承継の効果は、第一に、事業の実施主体が国または都道府県から公団に変更されることであり、第二、当該承継にかかる事業及びこれと一体となって実施されていた一定の事業に関し、国または都道府県が有する権利及び義務が、事業の承継に伴い公団に承継されることであります。ここで公団が国から承継する権利及び義務の範囲を具体的に申し上げますと、工事中の未完成の施設のほか、当該事業に使用され、または使用されるものと決定されるものと決定されている事務所、倉庫、車両、機械、器具、工事材料等の所有権、その他工事請負契約工事材料の購入契約等の法律関係がそのおもなものであります。ただし、治水特別会計に属する地方債証券のように公団に引き継ぐことを適当としないものは、政令で除かれる予定であります。  なお、都道府県営土地改良事業の承継の場合におきましても、おおむね以上に準じて権利及び義務の承継が行なわれることになるのでありますが、当該都道府県の立場を尊重いたしまして、この場合に公団が承継する権利及び義務の範囲等は、当該都道府県と公団との協議によって定めることとしたのであります。  第二十条の二第七項は、公団が国営土地改良事業を承継した場合におきまして、その承継前に国が土地改良法に基づく都道府県、農業者等の負担金を立てかえて工事を行なっていたときは、公団が、水資源開発公団法規定により徴収した負担金のうち、その国の立てかえ分に相当する金額を国庫に返還しなければならないこととしたのであります。  第二十三条の改正規定は、河川法の法令番号が第二十条の二に挿入されたことに伴い、現在第二十三条第一項におかれている同法の法令番号を削っているのであります。  次に、第三十条は、本来、公団の行なう潅漑排水事業についての受益都道府県の費用負担に関する規定でありますが、ここで同条を改正しようとする趣旨は、当該公団の行なう事業が国営土地改良事業を承継したものである場合には、その承継に国が要した費用についても、当該都道府県がその一部を負担すべきものとするのであります。  第四十一条の改正規定は、公団が発行する水資源開発債券のほか、公団の長期借入金についても、政府が債務保証をすることができる旨を定めているのであります。  附則第一項ではこの法律施行期日を公布の日といたしております。  附則第二項は、公団が直接その本来の事業の供する一定の不動産または固定資産について、不動産取得税及び固定資産税を非課税とする旨の地方税法の改正規定であります。  附則第三項は治水特別会計法の一部改正規定でありますが、これは、昭和三十七年度に公団が建設大臣直轄の多目的ダム建設事業を承継する場合における治水特別会計の経理の特例等を定めるものであります。  治水特別会計は、現在、治水勘定と特定多目的ダム建設工事勘定の二勘定に区分して経理されておりまして、公団事業関係はその前者に、直轄多目的ダム建設事業関係は後者に属しておりますので、昭和三十七年度の中途に行なわれる事業の承継を円滑にするため、同年度内に限り、その承継にかかる公団事業の経理を特定多目的ダム建設工事勘定で行なうこととしたのであります。  以上をもちまして、水資源開発公団法の一部を改正する法律内の逐条説明を終わります。
  136. 大河原一次

    委員長大河原一次君) それではこれより質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。内村君。
  137. 内村清次

    内村清次君 公団総裁及び副総裁の人事が、内閣総理大臣の承認を得まして閣議で決定をし、水資源開発審議会の委員も一応決定をした。そこで現在まで水資源の開発促進法を含めて、公団法に対してどういう事務処理がなされているのか、この点をひとつ藤山企画庁長官からお聞きしておきたいと思います。
  138. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のとおり促進法によりまして審議会ができました。そうして審議会の第一回の会合におきまして、水系の指定をいたしました。それから今お話のように、公団の総裁、副総裁について内定を確定いたしました。そうしてただいま理事その他の選任を進めておるところでございます。
  139. 内村清次

    内村清次君 この公団の設立に関しまして、事務を処理するために設立委員というのが任命せられなくちゃなりませんが、そういった設立の準備を行なうようなことにつきましては、どういうようなことになっておりますか。
  140. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 先ほど大臣も御答弁になりましたが、今の御質問を受けまして補足的に私からお答えさせていただきます。  水資源開発公団法と水資源開発促進法、昨年の十一月に法律が公布されたわけでございますが、今年の二月十五日に公団法の施行期日を定める政令を公布いたしまして、公団法を二月十六日から施行することといたしております。二月十九日に公団登記令を公布しております。二月十九日に水資源開発審会の委員の任命、二月二十三日に総裁となるべきものの指名というものを行なっております。二月二十八日に利根川、淀川水系の指定につきまして、関係行政機関の長、関係都道府県知事並びに水資源開発審議会に協議あるいは意見を求めておりまして、三月一日に第一回の審議会を開きまして、今の水系につきまして意見を求めるため審議をお願いしたわけでございます。三月十六日に設立委員の任命がございまして、関係庁の次官をもちまして設立委員を構成しておるわけでございます。それ以外に具体的に水資源公団の発足の準備のための若干の人員を予定しておりまして、目下準備をしておるわけであります。
  141. 内村清次

    内村清次君 そうしますと人事の問題は、あさっての委員会までに一応出していただきたいと思っております、設立委員を含めまして。  先ほど大臣からもあるいは局長からも補足説明があったようですが、水資源の開発水系の指定、それから基本計画と審議会、基本計画を土台としたところの関係各省大臣事業実施の方針の趣旨、こういった一連の事務の処理というものをやっぱり経てこなければなりませんが、関係各省間の事業の実施その他につきましての方針は決定いたしておりますか。
  142. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 先ほど申し上げましたように、二月の二十八日に水系の確定につきまして、関係行政庁のこれに対する協議あるいは審議会、関係都道府県に対する意見の調整という手続を行なっておるわけでございまして、審議会といたしましては利根川及び淀川水系の確定について異存がないという答申がすでに入っております。なお、関係行政機関の長のうち、一部につきましては、すでに水系指定につきまして異存がないというお返事もいただいておりますが、関係都道府県におきましては、いろいろ法案の審議の過程におきまして議論がありましたように、都道府県につきましては議会の議決を経るというような手続を経なければならないところもあるようでございまして、大体水系の指定ができますのは三月末かあるいは四月の上旬じゃないかと思っております。そういう水系の指定がありまして、大体四月の初旬ごろに基本計画につきまして審議会の御審議をいただきたいというふうに考えております。それから、そういう手続を終わりまして、大体四月中に基本計画の決定をいたしたいと思っております。それに基づきまする関係行政機関の長の実施方針の趣旨というものを、大体五月中というふうに考えております。それによりまして公団は実施計画を作るわけでございますが、この実施計画の策定といいますのが大体六月中というふうに予定しておりまして、公団の事業開始は七月中に行なわれる予定というふうにわれわれは考えておりまして、目下諸般の手続を急いでおるわけでございます。  なお、基本計画でございますが、法案の審議過程で申し上げましたように、一つの水系の全体の基本計画の策定といいますのは、調査等の関係で早急には参りません。特に公団の事業として行なわれます矢木沢とか下久保、高山、そういうところにつきましてとりあえず早急に基本計画を進めたい、というふう考えておるわけでございます。
  143. 内村清次

    内村清次君 ただいまの説明の中にもありましたが、三十七年度予算においては利根川、淀川両水系が公団の行なう指定水系となるようでありますが、その事業計画及び資金計画についてどうなっておりますか。
  144. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 三十七年度の公団の資金計画と申しますか、この点につきましてお答えいたします。  三十七年度におきます公団の事業予算といたしましては、総額約四十一億四千五百万というふうに考えております。で、その内訳は政府の出資金が三億円、治水部分に相当いたします交付金が十二億七千万円工業用水の補助金が六千六十万円、借入金といたしまして十一億五千万円、その中に資金運用部資金から借りるものと公募債によりますものが含まれておりますが、借入金といたしまして十一億五千万円、負担金といたしまして十億五千八百万何がし、これは矢木沢ダムにおきまして現在東京都で上水道用水の負担金を払っておりますが、その部分でございます。それから受託金、これは電気事業者の受託金でございますが三億百九十万円になります。事業外収入といたしまして五百万円、これは利息収入と雑収入でございます。それで事業の内容といたしましては、矢木沢ダムと下久保ダムから水をとりまして東京都に持って参ります幹線水路、それが利根川水系関係でございます。淀川水系におきましては高山ダム、淀川の可動堰その他の調査費、一般管理費等であります。
  145. 内村清次

    内村清次君 そうすると、大体ただいまの数字を合算いたしますると、政府出資金では四十一億余、建設省直轄工事で着手のものを含めて、三十七年度は公団の実施所要事業費というものは、約五十億程度になりますかどうですか。
  146. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 先ほど申しあげましたように、公団関係といたしましては四十一億四千五百万円でございます。そのうち政府の出資金が三億円でございます。
  147. 内村清次

    内村清次君 それはわかっているのだ、それは四十一億……それはわかっています。三十七年度の公団の実施所要事業費というものはおおむね五十億程度になるかどうかということをお聞きしておる。
  148. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 今のお尋ねは、公団事業以外に三十七年度中に継承の行なわれる事業も含めました計画ですか。
  149. 内村清次

    内村清次君 公団のやる事業の総量ですね、工事計画としての総量は約五十億程度になりますかと、こう言っておる。
  150. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 公団の事業予算といたしましては、先ほど申し上げましたように四十一億四千五百万円ということでございますが……。
  151. 内村清次

    内村清次君 それじゃあ……この建設省で直轄工事をやっておる事業がございますね、それを公団に継承するというような費用も含めまして、約五十億程度を三十七年度にやりますかどうですかと聞いておる、そうでしょう。  それでこの次の委員会までに資料を出していただきたいことは、両水系の事業実施計画及び実施調査、その他公団の行なう開発水系調査について明確な資料を出していただきたい。  それから資金計画について交付金、補助金、出資金、借入金、その他負担金等事業に関する所要資金構成の配分計画についてひとつ出していただきたい。よろしゅうございますね。
  152. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) 提出いたします。
  153. 内村清次

    内村清次君 公団法は、これは当時委員会の審議でもいわれておりましたが、非常に政令にゆだぬる事項というものが多いわけですが、政令案はどの程度まとまっておるか、政令案の内容をひとつ明確にしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  154. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) お答えいたします。今お尋ねのように公団法には相当多数のものが政令にゆだねられておりますが、御承知のようにいろいろ複雑な問題がございましたので、相当部分の事項につきまして政令に譲ったわけでございます。現在の段階におきましては、大体三月一ぱいまでに主要な内容の政令につきまして公布をいたしたいというふうに考えておりますが、まだなかなか各省間で基本計画等の未決定の問題もございまして、すべての事項につきまして完全にこの機会に政令施行するということも、実は問題な事項もございますので、最小限度この公団の設立に不可欠な事項につきましては、今月中に政令の公布をお願いしたいというふうに考えております。
  155. 内村清次

    内村清次君 それでは、これもやっぱりこの次の委員会までに、まとまったものだけでもいいから、この点を一括して御説明のできるようにしといていただきたい。  それから藤山長官にちょっとお尋ねいたしたいんですが、現在、建設省の直轄工事の利根川水系の下久保ダムは、公団に今後移される思いますが、幹線導水路は建設省と農林省との計画がまだ異なっておるようなことを聞いておりますが、公団が発足しまして実際の事業を行なっていきます場合において、また各省の所管事項というのでセクト主義が台頭してくる、そうして事業の実施が相当おくれてくる、というようなことを来たさないようにしなくてはならぬと思うのですが、この点は具体的にどういうふうに長官なっておりまますか。
  156. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 各省がいろいろ意見が異なりますことによりまして、仕事の推進がおくれて参りますことは避けて参らなければなりませんので、企画庁といたしましては、十分その間の調整をはかりまして、円満に、しかも迅速にそういう話し合いがまとまるように努力をして参りたいと、こう考えております。
  157. 内村清次

    内村清次君 きょうは農林省の農地局から来ておられますね。このあとのほうの幹線導水路の建設計画というものは今どうなっておるか、この点ちょっと説明していただきたい。
  158. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 私どもの考えておりますのは、埼玉県に見沼代用水という現在用水がございます、その既存の水路を利用して東京都に引っぱってくることができるのではないかという考え方でございまして、すでに三十六年度から調査費をちょうだいいたしましてこの調査を行なっております。なお、三十七年度におきましても引き続きこの調査を行なうことになりまして、その事業調査事業でございますが、この水資源公団が発足いたしますと、そちらのほうに引き継がれるわけでございます。
  159. 内村清次

    内村清次君 そうすると、あなたのほうでは今調査段階であるから調査を完了して、水資源公団に引き継いでいくと、こういう考えですね。しかし水路の計画そのものというのが建設省のほうと食い違いがありゃしないか。どうもその点はどうですか、ひとつまず農林省のほうから。
  160. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) これは農業用水の現在ございます水路の改修を兼ねまして、導水路に使ったらいいんじゃないかという計画でございますので、建設省の計画と特に相違というのはございません、農林省で考えておる計画でございます。
  161. 内村清次

    内村清次君 この利根川水系の問題はあとで資料も出していただきますけれども、前のときにも申し上げましたように、この水系の工事計画、基本計画というものは出してもらいますが、建設省では、農林省のほうはただ農村の潅漑用水だけだから、利水のほうとは一つ関係ないのだというような考え方ですか。
  162. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 建設省でやはり利根川水系の関係で幹線水路の調査をやっております。その目的は、上流のダム群、下久保あるいは矢木沢のダムで作りました水を必要な個所に運ぶという水路でございまして、まあ今後いろいろ基本計画等で検討されるべき問題でごいますが、その水をどこの地点に持っていくか。建設省としては東京都の水道とかその他工業用水、農業用水というように考えておりますが、その運ぶ場所によりまして、大きさとか経路というものは違ってくるのじゃないかというふうに考えております。したがって、ただいまのところ農林省の計画と競合するかどうかという点は、まだ今後に残された問題であると、こういうふうに考えております。
  163. 内村清次

    内村清次君 これは建設大臣に特に私は前国会の委員会で申し上げました。また現地にも行って調査もして参りました懸案の問題ですが、三十七年度に淀川水系の高山ダムと長柄可動堰を公団事業に移していくと、こうやった予定をされておるようでございますけれども、琵琶湖開発に対する調査が一体どうなっておるのかという点がまあ第一点。それから現在、建設省の直轄工事で実施しておりますところの天ケ瀬ダムの問題——これは現地にも行きましたが、もちろん琵琶湖との洪水調節の問題も重要な問題でありましょうし、あるいはまた直轄砂防の問題とも重要な関係もありましょうし、電気事業も附帯しておるようでございますけれども、しかし一番重要な問題は、補償の点が解決しないために、まあ今後公団に移された琵琶湖の利水の問題にいたしましても、非常な、滋賀県関係は極度に神経をとがらしておるというのが現状ですが、こうやった現状におきまして、この補償問題というものがどういうふうに解決がなされつつあるか、この点につきましてひとつ大臣から御説明願っておきたいと思います。
  164. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだ琵琶湖につきましては基礎的な調査も完了しておりませんので、琵琶湖の水をどういうように、地元も迷惑しないように、しかも水資源開発の目的に沿うように利用し得るか、こういう点につきましては基礎的な調査を十分やる必要があると思っております。まあこれらに着手したばかりの段階でございますから、補償等のこともまだ触れるわけに参りませんが、われわれとしましては、この前のこの法案の審議のときに申し上げましたように、水源地帯の措置につきましては、考え方としましては万全を期していきたい、こう思っておるわけでございます。
  165. 内村清次

    内村清次君 補償の問題の具体的な方法を提示されておりますか、どうですか。
  166. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) まあ琵琶湖の開発で一番問題は、やはりただいま御指摘の補償の問題だと思います。現在の段階はただいま大臣からお話がございましたとおりでございまして、まだ構想程度のまあ北と南と分けまして中間に締め切り堤を作ったらどうか、こういうような段階でございまして、補償の点はほとんどまだ入っておりません、補償調査の点は。したがって補償の問題について県にこういうことであるということをお話ししたことは、まだございません段階でございます。
  167. 内村清次

    内村清次君 私の聞こうとする重点は、天ケ瀬ダムです。この問題が解決をしないと自分たちは琶琵湖にも一指も触れさせぬぞというのが現地の県民の声です。この問題は私も報告書を出して政府に善処を要望いたしましたし、これはもうほとんど八割ぐらいで完成しているでしょう、あそこの天ケ瀬ダムというのは。だからあと二割ぐらいの完成をしなくちゃならぬが、補償の問題が解決しておらない。これは災害県であるところの滋賀県が納得できない、だからこの問題をひとつ具体的に早く解決をして下さい、そうして今後の公団譲り渡しをされた後におけるところの利水の問題も、琶琵湖の問題も、やはりもろ手を上げて賛成するような空気を作って下さい、というのが私たちの報告書の第一要点だったと思うのです。で、これがどうなっておるかということを聞いておるわけですね。
  168. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 天ケ瀬ダムの水没地の補償の問題につきまして、いろいろ県当局、地元と話し合いを進めて参りまして、移転家屋につきましてはほとんど解決に近づいております。今盛んに検討されておる問題は、つけかえ道路をどういうふうにするか、どういう場所に持っていくかとか、あるいは幅員をどうするか、こういう点に焦点が今しぼられておる段階でございまして、これは間もなく解決する見通しを持っております。
  169. 内村清次

    内村清次君 今この点の具体的な問題は次の委員会に譲りますが、それで時間の関係もございますから、第三条の二の資本金は三億円として政府がその全額を出資するとしておる公団法の改正案、これは当初公団法を審議する際に、この出資金の問題は必要ないかと、これはもう法律関係からも、その性格の問題からも、政府の出資金というものは必要ないかということを私は再三質問したわけですけれども、当時の大臣の御答弁では、事業内容が具体的でないから明確化してからやりましょう、こうやった答弁だったのですね。ところが先ほどから聞いてみましても、まだ公団の発足を見ない間に資本金の条項というものが入ってきたわけですけれども、  〔委員長退席、理事村上春藏委員長席に着く〕 こうやったことは何か議会の関係だとか、あるいは今後公団が発足してから仕事をやる関係かどうか、何か特別な理由があって、この前は出さずに今回出されたという理由は、何か特別ありますかどうですか。
  170. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一般的な問題として、将来の水の問題につきましては、政府の出資を計画に伴いまして要求したいと思っておりましたけれども、公団発足にあたりましてさらに一般管理費等もございます関係上、予算編成にあたりまして私どもとしてはこれが要求をいたしまして、大蔵においてもそれを認めていただいたわけでございます。今後ともそういうようなことで努力して参りたい、こう考えております。
  171. 内村清次

    内村清次君 そうすると、予算編成上で、特に三十七年度に当然公団が発足するんだから、国会もあるから、その予算の承認を得るとともに、公団の形態をひとつはっきりさせておこう、こういうようなことで出されたわけですね。
  172. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今申し上げたようなことでございまして、予算の際に、出発にあたりまして一般管理費等も相当必要とするわけでございますから、予算要求をいたしてできたわけでございます。したがって、今後とも将来の公団運営にあたって、必要とあれば政府から出資してもらうということを私ども考えていきたいということでございます。
  173. 内村清次

    内村清次君 それから三十七年度に債券を四億円見込んでおられるようですが、この引受手は大丈夫ですか。それから一般公募に付するのか、あるいは特定の受益者に引き渡すのか、こうやった考え方をちょっと承りたい。
  174. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) お答えいたします。  お尋ねのように、三十七年度の公団の予算の中に公募債といたしまして四億円を考えているわけでございますが、これは率直に申し上げますと、公募債といたしましては非常に少額な金でございまして、今回の法律改正で第四十一条を改正してございますが、公募債にかわりまして、公募債と同じ条件の借り入れをする場合も考えられるというようなわけで、政府保証の場合に、債券に限りませず、長期借入金につきましても政府が保証ができるというような規定を設けたのでございまして、先ほど申し上げましたように、公募債といたしましては四億円というのは非常に少額な金でございますが、公募債を発行いたしまして、あるいはこれと同じ条件におきます借入金は別といたしまして、消化につきましては問題はないというふうに考えております。
  175. 内村清次

    内村清次君 私は、ちょっと時間の関係もございますので、藤山経済企画庁長官と建設大臣に対する質問は次回に保留いたします。
  176. 田上松衞

    ○田上松衞君 時間の関係がございますから、きわめて予備的な範囲と申しますか、簡単にお伺いしたいと思います。  経済企画庁長官にお伺いいたしまするが、この法律案提出する理由の一番大きいというか、一つの柱になっております資本金の問題ですが、建前としては、いかようにこれが発展いたしましようとも、常にこの公団の資本金はその全額を政府が出資するという建前になるわけなんですか。
  177. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろんさようでございます。
  178. 田上松衞

    ○田上松衞君 当面、まず三億円を出すということなんですが、経済企画庁衞とすれば、いろいろ長期の見通しというものが立たれなければならぬわけで、わが国のこの水を必要とする最終、と言い切っちゃあれでしょうけれども、大体この程度までいけばよろしい、と考えられる時期における政府の出資金というものは、総額どのくらいお見込みになっていますか。
  179. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基本計画がきまっておりませんので、最終的にどういうような政府が出資金をするか、あるいは水のあれによってどの程度まかなうかというような点については、まだ確定的に申し上げる段階ではないと思っております。
  180. 田上松衞

    ○田上松衞君 もちろんこれは今までにこまかいあれはできていないでしょうけれども、大よその見込みというのは、一体数十億円ということでまず資本金額はいいということなのか、あるいは資本金数百億円か数千億円か、何かそれくらいの見当はなければならぬはずだと思うのですがね、常識上。全然それはないということなんですか。
  181. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) お答えいたします。御承知のように当初の公団法におきまして、資本金の規定がなかったわけでありますが、これは大体、たとえば類似の事業をやっておりまする愛知用水公団にも現在資本金はないわけでございます。われわれといたしましても当初いろいろ考えたわけでございますが、一つの考え方といたしましては、要するに愛知用水公団法もそうでございますけれど、水資源開発公団法におきましても補助金の実は制度があるわけでございます。そういう問題もございますし、今後の事業の伸展、事業計画の決定等を見ませんとわかりませんが、まあ大部分におきましては、補助金の制度を活用するということも実は考えられるわけでございまして、先ほど大臣が申し上げましたように、具体的な計画というものがきまりませんと、たとえばどの程度の先行投資をやるか、その場合にどの程度の資金が要るか、あるいはそういう場合におきまして、補助金の制度をどう活用するか、という問題ともからみ合わせまして、いろいろ今後検討される問題が多いと思います。現在の段階におきましてはまことに申しわけございませんが、最終的な計画というものはお答えできないというふうに思っております。
  182. 田上松衞

    ○田上松衞君 いろいろこれには意見があるわけですけれども、これは時間的な関係で省略することにいたしまして、たまたま今愛知用水公団の問題が出ましたが、私ども水資源開発公団法の一部を改正する法律案を出される場合、少なくとも今の時点で、愛知用水公団と統合していくということが望ましかったと思うのですけれども、これは全然出ていないのですが、どういうような理由によるのでしょうか。全然これの考慮がなかったのかどうか。もし、考慮したけれども、まだ時期が早いとかなんとかいうようなことだとすれば、ただそれだけでは納得ができないのですが、あえてこれを取り上げなかった根拠ないし理由、そんなものを大まかにひとつお教えいただきたいと思います。
  183. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御存じのとおり公団をできるだけ早く発足させて参らなければならぬ。それに対する補足的な問題、予算措置などの関連いたします問題をまず取り上げて、今度の改正をいたしたわけです。愛知用水公団の場合におきましては、公団ができました後、世界銀行との関係もございますし、それらの問題の調整をした上で、本来の趣旨に沿っていこう、こう考えているわけでございます。
  184. 田上松衞

    ○田上松衞君 これはまあ次に進みますが、いろいろの意見がありますが、留保しておきます。  次にお伺いしておきたいことは、都道府県が行なう土地改良事業の承継の場合ですが、これを大体国がやっているものを今度公団が承継していくという場合における権利義務等の範囲というものは、これにお示しになっておるとおりなんですね。工事中の未完成の施設のほか、当該事業に使用され、または使用されるものと決定されている事務所であるとか、倉庫であるとか、車両であるとか、機械器具、工事材料等の所有権その他工事請負契約工事材料購入契約等の法律関係がそのおもなものだと。そうすると、今度は都道府県がやっておるものでも、おおむね今の国から承継するものと同じようなことになっていくのであるけれども、ただし、あとの場合においては、当該都道府県の立場を尊重して、この場合には都道府県と公団との協議によってきめるということに、まあしてあるわけなんですね。私が一番心配なのは、国と公団との関係においては、いろいろ出資金等の関係があったりして、これは当然きわめてスムーズにやるでしょうが、都道府県との場合においては、はたして円滑にこれらの協議がととのうだろうかということが心配されるわけですね。なぜなれば、今示されたこのほかにいろいろな問題が残るわけなんですね。たとえば、前の案の中でも断わってありまするように、治水特別会計に属する地方債証券のように、公団に引き継ぐことを適当としないものは政令で除いてしまうと、こういうのですが、どうもこれがわからないのですよ。なぜこういうものが公団に引き継ぐことを適当としないものであろうかどうか。そうした大きな部分が残って、予定されておりますものは、これは当然のことなんです、こんなことは。これを引き継がなければ、公団みずからの仕事はできない、極言すれば。だから必要な、勝手なところは切って取ってしまって、やっかいな問題は都道府県に残してしまうぞというような形が、何だか見えすいておるような気がする。地方民としての感情的なあれからいっても、一番この点が気にかかる。しかし、繰り返して申し上げますと、この場合には、都道府県と公団が協議でひとつきめようじゃないかということになるけれども、さっき申し上げたように、こんな大きな残された問題について、円滑な協議というものができようはずがないと思うのですが、これに対してどういう手を打とうとするおつもりがあるかということ。さらにはつけ加えまして、協議がととのわない場合において、何か政府はお考えであるか。藤山長官の御答弁を願います。
  185. 曽田忠

    政府委員(曽田忠君) お答えいたします。特に都道府県営の土地改良事業の承継の場合につきまして、当該都道府県の立場を十分尊重しなければいけないということは、われわれといたしましては当然なことであります。というわけで、特にこういう規定を入れたわけでございます。で、もちろん都道府県営の土地改良事業を引き継ぐ場合におきましては、やはり国といたしましても、主務大臣におきまして、事業実施方針で、この都道府県営の土地改良事業を引き継ぐという基本的な態度を示したわけでございます。それに基づきまして、都道府県からこの事業を公団に引き継いでも差しつかえない、こういう申し入れがあったものに限りますことでございますから、そういう前提におきまして具体的な引き継ぎにつきまして協議するというわけでございますから、われわれとしては円滑にやれるというふうに考えております。  もう一つ、治水特別会計に属しまする地方債証券を公団に引き継がないといいますのは、御承知かと思いますけれども、過去におきまして、直轄の工事を行ないます場合に、一応都道府県の負担部分に相当する金額は、資金運用部の借入金によりまして立てかえて施行いたしまして、そのかわりに都道府県の負担分は地方債証券という名前で国に納付するわけであります。したがいまして、そういう過去のものは公団に引き継がずに、治水特別会計におきまして、地方債証券に関しまする都道府県の負担金の納付を受ける、ということになったというような次第でございます。これは当然公団に引き継ぐべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  186. 田上松衞

    ○田上松衞君 前段の問題ですが、若干意見にわたるきらいがあるわけですけれども、私は、水資源公団を作らなければならぬという必要性、特に緊急性、そういうものから根本的には要望しておるのですよ。だけれども、どうもこのあれを見ると、その精神と、この今述べられたような、建設大臣がこれこれという条件をつけたものだけを拾い上げていくのだ、承継していくのだというような行き方では、ぴんと来ないのですね。あらゆる問題について、水資源の必要というものは、土地の改良がどうであるとか、こうであるとか、電源開発がどうであるとか、用水がどうであるとか、そんなものだけでなくて、これは大きな問題であるだけに、あらゆる水というものを一応考えなければならぬ。私ども、ずっと以前から申し上げておったように、まだこのほかに水の再生をはかって活用していく、すなかち廃水を復活さして利用するというようなことを考えたり、また海水まで利用してはどうかという意見をさっき申し上げておったわけですけれども、事ほど水の重要性ないしは緊急性というものを感じておるわけです。どうも、このきめ方で見ると、何かしらん、公団がまあ、うるさくなくして、都道府県との関係等においても都合のいいようなものだけ拾い上げていってしまう、というようなことですね。これは段階的にやっていくということになれば、やむを得ないが、いやしくも一つ法律として公布する場合に、これこれのものに限るのだぞ、こんなものは除くのだぞということをきめつけてかかる、ということはどうかと実は思うのですよ。だからこんなことを申し上げておるわけなんだすがね。やがてどんどん必要によってそのつど何べんでもやっていけばいいじゃないか、とお考えになっておるかもしれぬけれども、それであっては今後地方がいろいろなす場合において、いろいろそごを来たしはしないか。みな手かげんしていくということになりますと、百の水を取るところが五十しか取れないということ等を考えてくると、まことに残念だと考えますので、そういうきめつけ方はどうかと思うのですが、もう少し納得できるように長官お答えいただけませんか。
  187. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 水資源の重要性と、その総外的な活用のために、開発計画が十分な見地に立って取り行なわれなければならぬことはそのとおりでございまして、私どももそのつもりでこれを運用していくわけでございます。したがって公団が地方との関係におきましての基本計画が立ちますし、また公団自体に対して政府の監督権もございます。したがって公団がただいやだからというようなことだけで、都道府県との間に何かいざこざが起こるといようなことについては、基本計画の上あるいはその間に立って、政府自身が調整をして運営の万全を期していく、ということに考えておるのでございまして、御心配のような点のないように進めて参りたいと思っています。
  188. 田上松衞

    ○田上松衞君 いろいろ審議の過程において意見を申し上げたいと思う節々がたくさんあるんですけれども、きょうは時間の関係がございますから次回に譲っておきます。
  189. 村上春藏

    ○理事(村上春藏君) それでは本案についての本日の審査はこの程度にとどめ、次回に譲ることにいたします。  これにて散会いたします。   午後一時二十一分散会    ————・————