○
政府委員(曽田忠君) ただいま議題となりました、
水資源開発公団法の一部を
改正する
法律案条文の
説明を簡単に申し上げます。
第三条の二は水資源開発公団の資本金に関す
規定であります。この公団の資本金を、三億円とし、政府がその全額を出資することといたしました。この
金額はすでにこの国会に
提出いたしました
昭和三十七年度の
一般会計予算に計上いたしております。なお、さらにその資本金を増額する必要が生じたときは、予算で定める
金額の
範囲内で、政府が追加して出資することができることとしたのであります。第二十条の二は、国や都道府県が、すでに着工している水資源開発
事業の一部を、公団が承継して行なう場合の
規定であります。
この
規定により公団が承継することとなる
事業は、
建設大臣が直轄で
工事を
施行している多目的ダム
建設事業、または国営もしくは都道府県営の
土地改良
事業のうち、主務
大臣が
事業実施方針で公団の業務と定めたものに相当する
部分であります。ただし、都道府県営
土地改良
事業につきまして、当該都道府県から主務
大臣に対し、公団において実施すべき旨の申し出があったもので、かつ、
事業実施方針で定められたものに限ることとしたのであります。
次に、
事業の承継の時期は、当該
事業にかかります公団の業務について、主務
大臣が
事業実施計画の認可の公示をした日の翌日と
規定したのであります。
事業の承継の効果は、第一に、
事業の実施主体が国または都道府県から公団に変更されることであり、第二、当該承継にかかる
事業及びこれと一体となって実施されていた一定の
事業に関し、国または都道府県が有する権利及び義務が、
事業の承継に伴い公団に承継されることであります。ここで公団が国から承継する権利及び義務の
範囲を具体的に申し上げますと、
工事中の未
完成の施設のほか、当該
事業に使用され、または使用されるものと決定されるものと決定されている事務所、倉庫、車両、機械、器具、
工事材料等の所有権、その他
工事の
請負契約、
工事材料の購入
契約等の
法律関係がそのおもなものであります。ただし、治水
特別会計に属する地方債証券のように公団に引き継ぐことを適当としないものは、
政令で除かれる予定であります。
なお、都道府県営
土地改良
事業の承継の場合におきましても、おおむね以上に準じて権利及び義務の承継が行なわれることになるのでありますが、当該都道府県の立場を尊重いたしまして、この場合に公団が承継する権利及び義務の
範囲等は、当該都道府県と公団との協議によって定めることとしたのであります。
第二十条の二第七項は、公団が国営
土地改良
事業を承継した場合におきまして、その承継前に国が
土地改良法に基づく都道府県、農
業者等の負担金を立てかえて
工事を行なっていたときは、公団が、
水資源開発公団法の
規定により徴収した負担金のうち、その国の立てかえ分に相当する
金額を国庫に返還しなければならないこととしたのであります。
第二十三条の
改正規定は、河川法の法令番号が第二十条の二に挿入されたことに伴い、現在第二十三条第一項におかれている同法の法令番号を削っているのであります。
次に、第三十条は、本来、公団の行なう潅漑排水
事業についての受益都道府県の費用負担に関する
規定でありますが、ここで同条を
改正しようとする趣旨は、当該公団の行なう
事業が国営
土地改良
事業を承継したものである場合には、その承継に国が要した費用についても、当該都道府県がその一部を負担すべきものとするのであります。
第四十一条の
改正規定は、公団が発行する水資源開発債券のほか、公団の長期借入金についても、政府が債務
保証をすることができる旨を定めているのであります。
附則第一項ではこの
法律の
施行期日を公布の日といたしております。
附則第二項は、公団が直接その本来の
事業の供する一定の不動産または固定資産について、不動産取得税及び固定資産税を非課税とする旨の地方税法の
改正規定であります。
附則第三項は治水
特別会計法の一部
改正の
規定でありますが、これは、
昭和三十七年度に公団が
建設大臣直轄の多目的ダム
建設事業を承継する場合における治水
特別会計の経理の特例等を定めるものであります。
治水
特別会計は、現在、治水勘定と特定多目的ダム
建設工事勘定の二勘定に区分して経理されておりまして、公団
事業関係はその前者に、直轄多目的ダム
建設事業関係は後者に属しておりますので、
昭和三十七年度の中途に行なわれる
事業の承継を円滑にするため、同年度内に限り、その承継にかかる公団
事業の経理を特定多目的ダム
建設工事勘定で行なうこととしたのであります。
以上をもちまして、
水資源開発公団法の一部を
改正する
法律内の
逐条説明を終わります。