運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-01 第40回国会 参議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員藤田進君辞任につき、その補 欠として田中一君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大河原一次君    理事            田中 清一君            徳永 正利君            村上 春藏君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            三木與吉郎君            米田 正文君            内村 清次君            木下 友敬君            田中  一君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    建設省都市局長 前田 光嘉君    建設省道路局長 河北 正治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○駐車場法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○阪神高速道路公団法案内閣送付、  予備審査)   —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。三月一日付、藤田進君が辞任いたしまして田中一君を選任いたします。  以上であります。   —————————————
  3. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 駐車場法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を願います。中村建設大臣
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま議題となりました駐車場法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、最近における自動車交通量の増加とこれに伴う道路交通の渋滞はまことに著るしいものがあり、このため都市機能のはなはだしい低下を招いている実情にあります。  このような実情にかんがみ、政府におきましては、街路その他交通施設整備促進交通秩序確立等各般の施策を鋭意進めて参っておるのでありますが、都市道路交通の混雑を招来している大きな原因の一つとしての駐車問題について、路上における駐車規制強化路外における駐車施設のすみやかな整備を行なうことにより、現存道路の完全な利用を可能にすることが特に緊要と考えております。現行駐車場法は、都市における自動車駐車のための施設整備に関し、駐車場整備地区指定とこれに伴う路上駐車場設置路外駐車場整備並びに大規模建築物に対し駐車施設附置義務づけることなどを内容としているのでありますが、制定以来の運用の経験に照らし、このような緊迫した交通情勢に対処するためには、駐車場整備地区拡大路外駐車場整備促進駐車施設附置義務強化等なお一段とその規制内容等強化整備する必要があると考えられるのであります。以上がこの法律案を提出することとした理由であります。  次にこの法律案要旨を申し上げます。  第一に、駐車場整備地区として指定することのできる範囲拡大したことであります。現行法においては駐車場整備地区は、商業地域内において、その自動車交通輻湊の著しい地区について指定することができることとなっておりますが、これを当該地区周辺地区自動車交通の著しく輻湊するものについては、商業地域以外の地域についても指定することができるようにいたしました。  第二に、建築物に対して条例駐車施設設置義務づけることのできる場合を広くしたことであります。  まず、附置義務を課することのできる区域を、本法案による改正後の駐車場整備地区はもちろん、商業地域全般に広げるとともに、さらに劇場百貨店その他特に駐車需要を発生させる程度の高い特定用途に供する建築物については、都市計画区域内で条例で定める地区においても附置義務を課することができることといたしました。  次に、駐車場整備地区商業地域においては、延べ面積三千平方メートル以下の建築物であっても、特定用途に供する延べ面積条例で定める一定規模以上あるものについては、附置義務を課することができることといたしました。  また、一般に、建築物増築の場合につきまして、増築によって建築物全体の延べ面積条例で定める規模以上となるもの等についても、附置義務を課することができるよう改めました。  なお、建築物特定用途以外の用途から特定用途用途がえする目的で大規模修繕または模様がえする場合についても、附置義務を課することができるようにいたしました。  第三に、都市計画として決定した路外駐車場設置について、国が資金融通及びあっせんに努めることを定めたことであります。従来とも、路外駐車場建設のための資金の確保に努めて参ったのでありますが、路外駐車場建設を一そう推進するため、この際法律上これを明文化したものであります。  第四に、路上駐車場整備促進し、管理合理化をはかるため、その設置について、一級国道指定区間については都道府県または指定市が、市の区域内の国道及び都道府県道については当該市が、特別区道については都が、それぞれこれを行なうことができるよう改めました。  その他本法における自動車範囲拡大駐車施設有効保持規定整備等について所要の改正をいたすこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に逐条的に補足説明を願います。前田都市局長
  6. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 駐車場法の一部を改正する法律案につきまして順を追って御説明申し上げます。  まず、第二条第四号の改正でありますが、これは、駐車場法自動車の定義に軽自動車の三輪以上のものを加えるものであります。従来軽自動車は三輪以上のものがきわめて少なく、かつ、その駐車の際の路面の占用面積も小さいものであったので本法自動車から除外されていたのでありますが、最近外見上普通自動車の小型とほとんど変わらないものが急速に増加してきたので、これらについては本法自動車として取り扱うことが適当であると考えられるに至ったのであります。  次に第三条第一項の改正について申し上げます。駐車場整備地区は、従来商業地域内の交通が著しく輻湊する地区についてのみ指定できることとなっていたのでありますが、都市交通の実態を見ますと、商業地域内における交通輻湊の影響が商業地域内にとどまらず、周辺住居地域、準工業地域等にも及んでいるため、これらの地区についても駐車場整備地区指定できるよう改正するものであります。  次に第四条第二項の改正について申し上げます。都道府県知事路上駐車場設置計画を定めようとするときは、関係のある道路管理者に協議することとなっていますが、北海道内の一級国道及び二級国道等道路法第八十八条第二項の規定により、建設大臣が維持を行なう道路については、建設大臣がこの協議をうける道路管理者であるととを明らかにしたものであります。  次に第五条の改正でございますが、まず、一級国道指定区間については、路上駐車場設置できないことになっておりますが、市街地におけるこれらの道路幅員も広く、緩速車道などにおいて余裕があるものについては、駐車場整備地区内の他の道路と同様に取り扱って路上駐車規制することが適当と考えられますので、都道府県または指定都市路上駐車場設置できるよう改めました。  次に、路上駐車場は、国道都道府県道等道路種数に応じて、それぞれ都道府県または、市町村が各別に設置管理を行なうことになっておりますが、一つ駐車場整備地区内において統一的に路上駐車場設置及び管理を行なうことが適当である場合もありますので、このような場合には、市が都道府県と協議して都道府県道国道についても路上駐車場設置できるものといたしました。また、東京都につきましても、同様の趣旨により特別区と協議して都が特別区道に路上駐車場設置できるものといたしました。  次に第十七条第二項の改正について申し上げます。都市計画として決定された路外駐車場については、その建設促進するため、この際、国が資金融通及びあっせんに努めるべきことを規定し、一そう路外駐車場整備の推進を期することといたしました。  次に、第二十条の改正について申し上げます。本条は、建築物新築または増築を行なう者に対し、その建築物内またはその建築物の敷地内に駐車施設附置することを義務づける条例制定根拠となるものでありまして、現行本条に比し、次のような点について改めております。  第一に、附置義務を課することのできる地区は、従来は、駐車場整備地区とその周辺地区に限られておりましたが、これを本改正後の駐車場整備地区はもちろん商業地域の全部に広げることといたしました。また、劇場百貨店事務所その他駐車需要を生じさせる程度の大きい、政令で定める特定用途に供する建築物については、駐車場整備地区または商業地域周辺地域その他自動車輻湊し、または輻湊することが予想される条例で定める地区内にあるものについて、附置義務を課することができるものといたしました。  第二に規制対象とする建築物規模についでございます。従来は、延べ面積三千平方メートル以上で条例で定める規模以上の新築または増築をする場合に附置義務を課することができることとしておりましたが、これを、駐車場整備地区商業地域については、延べ面積三千平方メートル以下の建築物であっても、特定用途に供する部分延べ面積条例で定める規模以上あるものについては、附置義務を課することができるよう改めました。  第三に、従来増築については、増築部分延べ面積が三千平方メートル以上において、条例で定める規模をこえるものだけについて、附置義務を課することができることとしておりましたが、増築によって建築物全体の延べ面積が三千平方メートル以上となる場合、特定用途に供する建築物増築で、特定用途に供する部分延べ面積が三千平方メートル未満で、条例で定める規模をこえることとなる場合、及びすでにこれらの規模以上の延べ面積を有する建築物について、増築をする場合についても附置義務を課することができるように改めました。  次に第二十条の二について申し上げます。本条におきましては、新築増築の場合だけでなく、既存の建築物について大規模修繕または大規模模様がえをして劇場百貨店事務所その他政令で定める特定用途用途がえする場合も、条例で、駐車施設附置義務を課することができることといたしました。本条に基づく附置義務を課することのできる地区は、第二十条に基づく附置義務を課することのできる地区と同じとし、規制対象とする建築物規模も、同条に基づいて特定用途に供する建築物について条例で定めた規模と一致させることといたしました。  次に第二十条の三について申し上げます。駐車施設附置義務は、施設設置することによって一応その履行がなされたことになりますが、附置義務を課した目的を達するためには、設置後に他の用途に転用されるようなととがないように、その保持管理について義務づけをする必要がありますので、駐車施設所有者または管理者に対し、条例有効保持義務を課することができることといたしました。  最後に、附則第二項の建築基準法改正について申し上げます。従来、建築基準法上、住居地域内においては、床面積合計が五十平方メートルをこえる自動車車庫原則として設置を禁じられていたのでありますが、自動車交通輻湊の現状から、駐車場整備地区または附置義務を課する地区住居地域をも含める必要がある場合もありますので、建築物に附属する自動車車庫政令で定めるもの及び都市計画として決定された路外駐車場につきましては、住居地域内にあっても、五十平方メートルをこえる規模のものが設置できるよう改め、駐車場法との調整をはかることといたしました。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上、簡単でございますが、この法律案概略説明を終わります。  なお、以上のほか、説明は省略いたしましたが、第六条、七条、八条、十二条、十三条、十五条、十八条、十九条の各条におきまして、今回の改正に伴い字句の整理等を行なっております。
  7. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 本案についての本日の審査は、この程度にいたしたいと存じます。
  8. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に阪神高速道路公団法議題といたします。  提出参考資料について説明を願います。前田都市局長
  9. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) お手元に配付してございます、阪神高速道路公団法案参考資料に基づきまして、阪神高速道路計画の概要、及び阪神地区における道路交通状況概略を御説明申し上げます。  まず第一ページに「阪神高速道路計画の基本的な方針」と書いてございます。まずこの性格でございますが、これは阪神地区を一体として考えまして、特にその阪神地区において必要な都市高速道路というものを考える、その場合に考えられますのは、まずこの都心部を中心とする交通と、それから都心部に対して周辺部から入ってくる交通というものを処理するという考えで、これを専用自動車道路として設置しよう、という基本的な性格を持たせる考えでございます。こういう考えから路線といたしましては、まずこの大阪とその周辺地区におきましては、大阪都心部における環状線と、それから周辺部都心部連絡する放射線と、こういう考え方で、大阪及びその周辺地区路線を形成しようと思っております。  それから、神戸地区におきましては神戸の特殊の地形上から、臨海部東西に貫通する路線計画しておりまして、将来明石方面港湾方面大阪方面との連絡を勘案して路線の選定を行なうことにしております。その中間尼崎、西宮、芦屋地区につきましては、これは大阪神戸中間でございますが、現在そこには名神高速道路と第二阪神国道との工事が進捗しておりまして、すでに一部は近く開通できる予定となっておりますが、その間にどういう都市高速道路にするかにつきましては、今後十分検討した上で計画をきめたいと思っております。全体におきましてこの路線計画いたしますにつきましては、主要な国鉄あるいは私鉄等の駅とか、あるいは駐車場、バス・ターミナルの建設計画というようなものを十分考えまして、そういうものとの連絡も十分考慮したいと思っております。また、都市内でございますので建設をする場合には、なるべく一般の民家の密集地を避けまして、できるだけ治水、利水に支障ないという点を考えながらも、河川または運河を利用しよう、やむを得ない場合には四十メートル程度広幅員道路の上に設置をしようと思っております。その構造につきましては、大体首都高速道路と同様の考え方でございまして、すべての交通路とは平面交差をしない、立体交差をする高架の道路場所によっては堀割式構造とするつもりでございます。設計速度は、都市内では原則として一時間六十キロメートルというものを考えております。車線数は目下のところ一応四車線——片側車線、片側二車線というふうに考えております。まあ場所によって一方通行とする場合もありますが、そういう場合におきましても、二車線以上はぜひとりたいと思っております。  そこで現在考えております路線でございますが、次の次のページに大阪地区神戸地区の簡単な図面がございます。非常に小さい図面ごらんになりにくいと思いますが、この路線の赤いところに、斜線のある部分と赤く塗った線とございますが、この斜線を引いてある区間は、一応われわれが考えておりますところの大阪阪神高速道路予定計画でございます。線の塗ってない筋だけ入っておりますのは、将来の延長計画でございます。そのうちまた赤く塗りつぶしてあります部分は、この五カ年計画におきまして完成のできる見込みのつきました分の路線でございます。この図面ごらんになりながら、その前に書きました計画路線の表をごらん願います。  まず環状線の起点は北区梅田町でございますが、大阪梅田駅の付近でございますが、この辺を出ましてそれから堂島堀川を通り、西横堀川を下りまして、この辺は川の上を通りまして難波を通り、恵美須町を通りまして、それから右のほうに曲がりまして、東横堀川を今度北に上がりまして、堂島川を下って中之島に戻ってくる。これで環状線になるわけでございます。  それからその次は新駅線、これは環状線の右の肩のほうから出まして、少しぐるっと回りますが、国鉄の新幹線の新駅の方に向かっていく予定路線でございます。  それからもう一本、守口線、これは新駅線から分かれまして守口のほうに行く路線でございます。  それからもう一本、八尾線でございますが、八尾線は浪速区南日東町から出まして、動物園前、阿部野橋を通りまして、八尾のほうに行く路線でございます。  それから堺線は、南区高津町から堺のほうに向かっていく路線でございます。  尼崎伊丹線は、梅田駅のところから尼崎及び伊丹のほうに向かっていく路線でございます。  東西線は、環状線まん中東西に走る路線でございます。  それからもう一本、神戸臨港線、これは将来は阪神大阪地区路線連絡いたしますが、とりあえずは神戸地区臨港における路線でございます。  現在のところ、こういう八本の路線考えております。全体の長さはこの表にございますように、五十八キロを予定しております。このうちこの路線が経過する土地状況は、表−I−2に書いてございますように、全体で申し上げますと、この下の計にございますように、五十八キロのうち河川の上を通りますものが二六・五キロメートル、大体全体の四五・七%に当たります。それから街路の上、これは新しく街路を広げる場合、及び既設の街路と両方合わせまして一七・四二キロメートル、全体の三〇%強になります。  それから一般宅地でございますが、民有地の上を通りますのが六キロ、公有地が八キロ、合計一四キロ、宅地の上を通るのが二四・三%、こういう工合にできるだけ民有地の上を通ることを避けまして、街路なり河川ということに重点を置いて計画を進めておるわけでございます。  その次の図表、黒い斜線と黒に塗りつぶした線は、今申し上げました下の土地利用状況を書いてあるわけでございます。黒く塗りましたのが河川の上でございます。それから斜線道路の上という関係でございます。こういう程度公共施設の上を利用しょうという意味でございます。その次は神戸地区における同様の河川あるいは街路宅地利用の概況を図示いたしました。  それから、その次に十ページに基準断面といたしまして、最もティピカルな断面の図を書いてございますが、大体首都高速と同じでございます。一応目下考えておりますのは、総幅員を一六・四〇メーターといたしまして、中央に分離帯一・一〇メーターをおきまして、左右に三・二五メーター車線を二つずつ、それから路肩をとりましてこれを〇・四〇にしております。十ページの上の図面はよくある型でございますが、道路の上に作ります場合にはその下の図−I−5にありますように、道路幅員を広げまして、道路を一一・一〇メーターほど、歩道及び車道をとりましたそのまん中に今申し上げました一六・四〇メートルの高速道路をのせるつもりでございます。それから一般民地を通過する場合には道路とする必要はございませんので、この高速道路の下の土地はこれはあき地になります。道路ではなくて側道でございますか、七・五〇メーター程度で通路的なものでございますが、こういうふうに、全体としてはそれほど広くなくても、この程度のあき地をとって、一六・四〇メーター高速道路をのせることに考えております。それから川の上を通ります場合に、この次の図−I−7に書いてございますように、狭い河川を通ります場合に川の両岸に柱を立てましてその上に高速道路をのせる、川はふだんの流れそのままにしておこうという考えでございます。橋はこの図面では二本足を立ててございますが、場所によりましては一本足の場合も目下検討いたしております。  そこで、こういうふうな計画を立案するに至りました基礎資料といたしまして、大阪及び神戸地区における自動車交通状況を調査したのが十二ページ以下の交通量推定図表でございます。この十三ページのまるい図でごらん願いますように、昭和三十五年の大阪都心部に対する流出入交通量をこの図で表示いたしますと、たとえば左のほうをごらん願いまして、阪神山陽方面尼崎というところに四八・五三八とございますが、昭和三十五年の調査した日におきまして、この円の入口の程度のところまでは四八・五三八台の交通量がある、さらに円内に入ってきますと五七・三〇四台になった、その全体の数字というのはここにありますように二二%に相当するということでございまして、この方面からも相当入ってくる、それからもう一つ大きいのは、大阪の東部のほうから東成区のほうに入ってきます七八・一一二台、こういうふうに入ってくる、それから和歌山のほうから入ってくるのがさらに大きく、阿部野のほうには二一%入ってくるというふうに、台数交通量の概況の調査をした結果でございます。  それで十四ページには、こういうふうに入ってくる多数の自動車が、高速道路ができた場合に、どういうふうに高速道路に転換をするだろうか、という見当をつけたのがこの高速道路利用台数の予想というものでございます。この予想は、いろいろ検討して首都公団の場合、あるいは諸外国の例によりまして研究したのでございますが、やはり経済的に見まして、そこに書いてございますように、高速道路利用したほうが距離と時間が、平面道路利用した場合よりも得をする場合、あるいはどちらかの一方が得をする場合とか、いろいろな場合を考えまして想定いたします。その場合の条件を従来の経験から考えまして、交差点にぶつかって、ガソリンの消費あるいは車両の損耗する場合につきまして、損失をする場合と、それから時間の短縮することによっての利益、こういうものとの両者のバランスをとりまして、そのお互いの損得を差引きして高速道路に乗っける台数計算するわけでございますが、その計算の結果、十五ページの表に書いてございますように、環状線考えますと、環状線のうちで大阪駅前から出入橋というところにつきましては、一応これは昭和四十五年に完成した形における想定でございますが、一万七千台くらい通る。これはだんだん場所によりましてふえてきまして、特にこの環状線の中で濃人橋から中ノ島というところは九万六千台の多数の車が乗るようになります。一番大きいのは新駅線、この新駅線守口線とダブるところもございますが、その関係で、新駅線の中で樋ノ口から長柄浜通りまでにつきましては十一万一千台という多量の車を乗っける予定になっております。同様の計算を各路線につきまして計算をいたしまして、十六ページに至る数字を書いたわけでございます。これを高速道路全体について計算いたしてみますと、十七ページの表にございますが、この昭和四十年、これはまだ一部しかできておりませんので、この高速道路が、先ほど申し上げました五十八キロ全体の道路の中のごく一部しかできませんので、四十年にはわずか十万台しか利用できませんけれども、結局四十五年に完成いたしますれば、四十六年には一応五十八キロ全体が使える、そういたしますと、四十六年にはここにありますように大阪で三十四万六千台、神戸の最高時におきましては六万六千台、こういうふうに多量の高速道路利用が出てくるだろうという想定でございます。それで、ただいま申し上げました八路線を一体どういう順序で作るのがよかろうかというようなことを、いろいろな角度から、あるいはその必要性から作ったというのが建設の順位というところでございます。  十八ページの表をごらん願いますと、まずこの環状線以下八路線につきまして、昭和三十五年の交通調査による交通量からみた順位と、それから同じように、その付近における道路の飽和度と申しますか、これは交通容量、一応道路構造令できめられておりますところの交通容量に対しまして、現在どの程度交通が多いか、一〇〇であればそれは交通容量と同じ交通量でございますから、最も典型的と申しますか、理想的な道路状態、四二八と申しますと、交通容量の四倍以上に交通が多いということでございますが、その交通容量の多い順位から申しますと、こういうBのような順位になる。その次は同じ区間につきまして現在平面街路がどの程度できているか、平面街路が相当築造が進んでおれば、その区間における高速道路建設はおくらしていいという計算をした順位がそのCになります。それから先ほど申し上げましたように、昭和四十五年の高速道路に転換する交通需要量を計算いたしました順序がD、いろいろ申し上げましたAとBとCとDと、この四つを総合いたしまして計算をした順位が右から二番目に書いた順位でございます。そうなりますと環状線が一番になる、それから新駅線守口線が二番の順位になる、八尾線が一応おくれるという順序でございますが、それを総合いたしまして、三つに分類して考えたのが一番右の着工順位でございまして、一が環状線、それから二が尼崎伊丹線、それから神戸臨港線が二、それ以外は三、大体この三段階くらいに分けましてわれわれは考えまして、この五カ年計画におきましては、この一の環状線の一部とそれから尼崎伊丹線、それから神戸臨港線というものに着工したいと思っております。  それから五十八キロの高速道路建設する場合の費用の概算を計算いたしましたのが、その次の十九ページの表でございます。いろいろまだ綿密な計算がございませんので、若干の異同はあると思いますけれども、一応全路線につきまして計算いたしますと、高速道路だけの建設費が七百七十一億五千二百万円で、一番下の欄でございます。それに関連街路費の分担金を入れまして予備費を入れますと、一番右にございます九百十二億四千万円という費用で、一応五十八キロの先ほどの図面路線を完成できるということでございます。その内訳がその二十ページ以下に書いてございますが、これは省略さしていただきます。  その間にはさんでありますところの図表は、今計算いたしました工区をわかりやすいために書いた図でございます。  そのうち、二十八ページには、全体事業九百十二億あまりのうちで、との五カ年計画でどれだけやるかということでございますが、財政五カ年計画では実は四千五百億円の有料道路のうちで、二百億円を阪神高速道路に向けるようにきめておりますので、そのうち建設費に相当する分は、そこにありますように全体で百八十八億でございます。できます分量は、先ほど申しました赤く塗りつぶしたところでございまして、一二・八四キロメートルというふうになっております。これはまだきまっておりませんけれども、一応工程から考えましてどの程度の事業でいけばいいかということは、その次の二十九ページに書きましたように、相当尻上がりに事業費を出しまして、昭和四十二年、四十三年度にピークに達しまして、四十四年、四十五年で完成しよう、こういうふうに出すことによって完成しよう、という一応のこれは考えでございます。  三十ページには、このできます高速道路によってどの程度の経済効果があるかということを、時間の短縮及び金額の面から計算してみた例がございます。三十ページの一表は、一応高速道路の完成した場合の予想でございますが、たとえば一番上にありますように、堺港を出発いたしまして大阪駅前に来る場合には、高速道路は時速六十キロで一応行ける予定でございますので、一六・二六分で行ける。ところが一般道路はそのときには大体交通が相当多いので、一時間当たりのキロが二十五キロないし十八キロ程度に落ちておりますので、それで計算いたしますと、三二・四六分かかる。そういたしますと、差引一六・二〇分の節約ができるという意味でございます。昭和五十五年になりますと、高速道路も相当混んできますので、高速道路の時速が四十キロ程度になりますが、そのために二四・四二分かかりますが、その反面一般道路がさらに混んできまして、一般道路は一時間当り十二キロから十七キロしかスピードが出ませんので、一般道路はそのときには四八・七二分かかる、二四・三〇分の節約ができるというふうになります。こういうふうに各おもなる区間につきまして節約できる時間を計算したのがこの表でございます。  今度はそれを高速道路全体につきまして、昭和三十五年における一応規定をいたしました。環状線を通って、環状線のうちで梅田の駅から恵美須町まで環状線の西側の線を下ってくる想定でございますが、高速道路では、その区間は五・五五キロメートルでありまするが、下を同じく通っておる一般道路は五キロであります。それを高速道路で行けば一時間六十キロで行きますと五・六分で行ける。ところが一般道路では、距離は少し短かいのでありますが、一時間二十キロしか走れませんので、これは十五分かかる、約九分あまりの節約ができるという意味でございます。これを各路線の主要な区間につきまして同様な比較をしたのがこの表でございます。  これを金銭に一応評価してみますと、その次の三十二ページの表にございますように相当の経済効果であります。との経済の効果は、実は日本ではまだ例がございませんので、アメリカの学問の成果を借りて来まして、一応計算いたしました。この一番上の表にございますが、二つの計算方法がございまして、一応念のために二つの計算方法をしてみましたが、(1)の計算方法、これはやはり大体よく似ておりますけれども、走行経費と、あるいは時間の節約による利益とそういうものを計算したものでございますが、ここに書いた意味は、大阪におきまして、上の表はこの高速道路を全面的に利用して、われわれが想定した当時の数字の車が通る、その通った車の平均した利用状況から、今申し上げました節約の金を計算いたしますと、昭和四十年においては、(1)の計算でいけば九億九千二百万円の得がある。(2)の計算でいけば七億九千三百万の得がある。それが全部利用することは考えられませんので、八〇%程度車が乗るというふうにしますと、その下にあります七億九千三百万円と六億三千五百万円の得がある。神戸につきましても同じような計算で、そこにあげたような数字の計算ができます。このうち低いほうをとりまして、大阪につきましては、(2)の欄のところの下のほうの八割程度利用した額を考えますと、大億三千五百万円、神戸ついても同じように一番少ないのが一億五千万円でございます。この両者を合わせましても、昭和四十年につきましては八億程度の得があるという意味でございます。昭和五十五年にはその一番下の欄にございますように、大阪地区においては八十一億、神戸地区においては三十一億、合計をいたしまして百十億程度の便益があるという計算でございます。高速道路は、このように非常に金銭に換算いたしましても便宜が多いということを示したものでございます。  それからその次の(3)は高速道路利用の一応の推定の数でございますが、現在の大阪における自動車状況、あるいは交通状況から考えまして、三十三ページに書いてございますように、バスと自動車と両方を使ってラッシュのときの計算をいたしますと、バスで六十人乗りのバスが三千台通れるということを計算いたしまして、それで乗用者につきましては四人乗りの車が三千台通れるという計算です。合計ラッシュ一時間につきましては三万七千人というものが運べるというようなことで、相当な輸送量があるというようなことが考えられます。  三十三ページの下の表は、これは阪神地区における輸送の状況でありまして、この表で示しておりますのは、それぞれ昭和二十八年以降三十三年までにおきまして、いずれの交通機関とも量がふえておりますが、特にこのバスの利用がほかのものの増加に比べて大きい、それだけ最近の交通はバス利用自動車利用の方向に向いておるということの証明であります。  それから高速道路につきましてはいろいろ心配があるかもしれませんけれども、アメリカの経験その他によりまして、非常に安全であるということをここに書いてございます。死者の発生事故におきましても、高速道路は、発生では一般道路に比して二分の一、事故の総数では五分の一という安全度だという数字が出ております。  それからその次に書きましたのは、阪神地区における高速道路の必要性ということにつきまして表をあげたのであります。  まず人口であります。人口につきましては、阪神地区は東京と同様に毎年どんどんふえてきております。しかもそれがその下のほうに書いてございますように、約一年間二十万人程度、あの付近で言いますと豊中市程度のものが毎年ふえてきておる。しかもそのうち社会増十七万人ですね、こういうふうに交通需要を直接必要とする人口がふえてきておるのが三十五ページ及び三十六ページの表でございます。この表は多少古いのでございますが、東京などにつきましては、もうすでに一千万人をこしておりますが、日本におきましては、東京地区と並んで阪神地区の人口の急激な増加があるということでございます。これに伴いまして、自動車の登録台数が非常にふえて参ります。そのふえた台数の表が三十七ページから三十八ページの表でございまして、三十八ページの表でごらん願いますように、阪神地区の登録台数、三十八ページの表の上のほうの三十六年三月末現在の表をごらん願いますと、全国で三百五十四万三千台という数字でございまして、阪神地区におきましては四十一万三千台というふうに大きく自動車がふえております。これが将来相当急激にふえるという想定ができます。  それから次の三十九ページ以降には、これらの自動車、人口の増加によりまして、交通事故の相当ふえてきておるということを書いた表でございます。外国におきましては、ニューヨークのように非常に自動車が多い町におきましても、千台あたりの死者がわずか〇.四七人でございますが、残念ながら日本では、大阪におきましてはそれが三・四六人というふうに非常に多いという状況でございます。  四十ページの表は事故の表でございます。それから四十ページのその下のほうからは道路状況でございまして、四十一ページの右の丸図表にございますように、市街地の面積に対する道路の面積というものが非常に日本では少ない。最も世界で道路の面積が多い、道路率が一番多いのはワシントンでございますが、ワシントンでは四三%が道路面積率でございます。ニューヨークで三五%、残念ながら日本ではまだぐっと下でございまして、ここに書きました東京都心部、あるいは大阪都心部と申しますのは、大阪及び東京の一定の区域でございまして、東京で申しますと千代田区、中央区、台東区、こういう程度のところを都心部と称しております。こういうところは割合道路がよくできております。しかしその付近の郊外を入れますと非常に道路率が悪くなりまして、東京では一〇%、大阪につきましても大阪都心部は東区、西区、南区、北区という程度の統計を取っておりますが、こういうところは街路が割合整備されておりますが、その図表にございますように一九%でございますが、大阪全体を入れますとぐっと下がりまして、一〇%未満ということになるのでございます。いずれにいたしましても、比較的整備されておる都心部におきましても、こういうふうに低い道路率でございますので、今後は平面街路及び高速道路がふえまして、道路面積をうんとふやす必要があるということの図表でございます。  四十二ページはその各区ごとの詳細な道路率の表でございます。神戸も大体同様の表でございます。  それから四十四ページの資料は、交差点における交通の混雑状況でございます。御承知のとおり道路交通は交差点におきまして渋滞が生ずる、道路交通がうまくいかなくなる一つのポイントでございますので、大阪における主要交差点の渋滞状況を示したのがその四十四ページの表でございます。四十四ページにおきましては、交差点の中でどれだけの交通容量が通っておるかという調査でございます。昭和二十四年におきましては、交差点総数四十七のうちで、一番多い一万台から二万台通る程度の交差点が一カ所しかなかったのが、それがだんだんふえてきまして、一番最後の昭和三十六年になりますと三十九交差点、もちろんこれはおもな交差点でございますが、ほとんど大部分が左のほうの台数の多いほうにいきまして、九万台以上の交差点二、九万から八万の交差点が一というふうに、もう相当台数の多い交差点になってきております。現在の交通状況あるいは大阪道路状況から見まして、三万台以上通る交差点はちょっともう交通上支障があるわけでございますが、そういうふうなものは相当ふえておるわけでございます。  四十五ページには大阪における最も混雑の多い交差点をあげてみたわけでございます。本町四丁目というのが一番大阪におきまして交差点の交通量が多い。これが昭和三十五年には、九万九千台という多量の自動車を通過させております。同じような交差点の調査をいたしましたのが四十六ページ、四十七ページの表でございます。  四十九ページには、今申し上げましたようなことで、現在ある道路構造令によりまして認められた交差点の交通容量を越えて限界にくる年度を、一応計算をいたしました。これによりましてごらん願えますように、もう交差点によりましてはすでに昭和三十五年にも限度を越しているのがありますし、あるいは昭和四十二、三年というころには、相当各種の交差点が限界に達するという状況が出ております。四十二年ころが一番交差点の交通限界にきますので、そのころが大阪における交通麻痺の最も危険な時期じゃないかという見当をつけたわけでございます。  五十一ページ以下には、こういうふうな道路状況に対しまして、大阪関係者及びわれわれのほうで、高速道路を立案しようという考えを持ちまして、検討してきた経過の概況が書いてございます。まず昭和三十四年に阪神地区高速道路協議会というものを設けまして、都市高速道路計画を検討してきました。その際には大阪の府、市、兵庫県、それに神戸市、近畿建設局あるいは日本道路公団大阪支社、第二阪神国道事務所というものの関係者が集まりまして、一応協議会案というものを作ってみました。その協議会案というのが表に書いてございますように、1から9までの路線でございまして、作られましたときには百四十二キロという相当大規模な案を一応立案したわけでございます。その当時の案の表が五十二ページに掲げた一応の案でございます。現在われわれが考えております案は、この協議会で考えた案をその後さらに検討いたしまして、多少縮小した案でございます。  五十三ページには、そういうふうな調査に関連して交通関係の調査をした概況でございます。  五十四ページには現在の段階でございますが、結局こういうふうに調査の結果、高速道路の必要予算及び五カ年計画……今回の阪神高速道路公団法を提案するに至りましたが、これを都市計画として計画する必要がございますので、現在大阪府におきまして、都市計画地方審議会におきまして、大阪都市計画高速道路技術委員会というものを設けまして、先ほど説明いたしましたような案を中心にいたしまして、具体的にどういうふうにすべきかということについて、目下慎重に検討いたしております。この道路技術委員会の検討の結果を待ちまして、都市計画を決定いたしまして、その案に従って工事を進めたいと思っておる次第でございます。  以上簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労さまでした。ただいまの参考資料の説明に対しまして御質疑の方は順次御発言を願いたいと思います。
  11. 田中一

    田中一君 結局これ有料道路ですね、大臣。
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そうです。
  13. 田中一

    田中一君 そこで一応の完成をみたときに、管理機構をやっぱり永久に残すという考えですか。まあ今までの有料道路は、建設省がペイすれば無料公開に持っていくんだということの原則が立っておるのですけれども、   〔委員長退席、理事村上春藏君着席〕 何年になるかわからぬけれども、こういう機構をやはりあっちこっちたくさん残しておくことがいいかどうかということです。建設の面には建設の能力というものを考えながら部分的にやったらいい場合もありますけれども、完成して管理する場合ですね、これはやはり一元的にすべきじゃないかと思うのですが、その点はどういうお考えを持っていますか。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 償却が済みましたら、大阪府なりあるいは市なり、公共団体の管理に移して無料の道路にしたいというのが今の考え方でありますが、なおこの点につきましては、先のことでありますから、ひとつもっと広く御意見を拝聴しまして、外国の例でも交通量の多い所は早く償却が済む。あとの一定年間は利潤を上げて、その利潤を、さらに新しく高速道路建設の必要性がまた迫ってきまずから、その新線建設をやると、こういう行き方もあるように聞いておりますから、一応今のところでは、そういう従来のほかの高速道路と同じように、一定の時期が来ましたら無料の道路にして、管理も国または公共団体に移すと、こういう考え方でおりますが、この点につきましては、今後の大きな問題として、ひとつわれわれ研究をして参りたいと思っております。
  15. 田中一

    田中一君 結局、当初いいですよ、千年計画でも。これは一応小規模計画を立てますと、おのずから次の新しい第二の計画を立てる場合には大きな障害が出てくるんです。計画としてはもう長期の計画を立てなければならぬと思うんですよ。で、今説明になった地元の協議会ですか、この案が縮小されたということは、この辺でいいんだということで縮小されたのか。結局その計画によって都市というものは発展していくんです。計画がどうにもならなくなれば、それこそふん詰まりになってとまってくるんですから、計画そのものは、もっと大きな長期展望の上に立って計画というものを出していくべきだと思うんですがね。おそらく大阪などは、この計画でもって全体の路線が——一つ路線でペイするのでなくて、全体をプールして無料公開に持っていくんだということになると思うんですがね。これは早いほどいいんですね、実際のところ。しかし、そのためにそれにないところの地点というものは、社会増というものがありますから膨張していくんです。こんなことを言っちゃ悪いですけれども、今の資本主義社会では、そういうことは強制をしていくことはできませんから、自由経済の上に立ってどんどんばい菌が弱いところへ侵食していくように、弱いところ弱いところに入っていくわけですよ、社会増というものは。だから、私はもう少し大きな計画を一応持たなければならぬと思うんですよ。ことに協議会の計画を縮小したという、その意図はどこにあるのかですね。
  16. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 協議会の案を検討して、ある程度実現の可能性ということを考えまして一応五十八キロにきめましたので、引き続きまして五十八キロ完成したあとの延伸計画というのを別途検討しておる段階であります。
  17. 田中一

    田中一君 それが変更されても一応の計画があるんだということを打ち出しておいたほうがいいんじゃないかと思うんですよ。この協議会の考え方は、実現の可能性が薄いから縮小したということなんですか。その計画が不利だからとう直したということなんですか。
  18. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 両方ございます。計画についてさらに検討した結果、今私が申し上げました計画のほうがベターであるという点で変更したものと、それと、あと資金関係から考えまして、将来あまり長きにわたる計画につきましては、この際きめておくことよりも、さらにあとで検討したらいい点がございますので、一応一定のところで切ったというわけであります。
  19. 田中一

    田中一君 たとえば横浜バイパス、それとワンマン道路……ほんとうの名前は何といったかな、それから新しくバイパスができたと、そうすると今までもうペイしかかっている戸塚を逃げる線と一緒にしてもっと延長する。有料道路にするのだという考え方は、やはり不自然ですね。路線本位でやるならば、もう当然ここ一、二年でもって戸塚を逃げる線は無料になっていいはずなんです、おそらく一番収入が多かったでしょうから。けれども、今度はバイパスを作ったから、これと一緒になって戸塚を逃げる線、何という線か知らぬけれども、あの線からも、バイパスと同じように有料にしていくのだという変更は、やはり奇異な目をもって見られるわけなんですよ。それは道路公団が全部新線々々と進んでいくという一面、やはり料金は公団そのもののプール計算で取るんだということに持っていこうとするのか、一路線ごとにペイすればそれはいいんだということになるのか。そいつは、今の規模の小さい計画と、大きな規模計画とで違いがあるわけなんですよ。横浜バイパスのことなんか、どういうことでああいうふうに一つにプールしちゃったんですか。
  20. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 横浜のバイパスにつきましては、私の知っている範囲におきましては、交通の実態がその後急激に変わってきましたので、横浜新道を追加して一緒にしたというふうに聞いておりますが、この阪神高速道路につきましては、全体としての都市計画をきめまして、それをプールして考えておりますので、ああいう道路のバイパスを交通量に応じて次々出していくということとは多少趣を異にすると思っております。
  21. 田中一

    田中一君 そうすると、今度の阪神高速道路大阪市の都心だけを考えてみます、前五カ年計画でね。これはペイすればその部分だけ無料になるんですか。そうじゃないでしょう。
  22. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 今の考えでは、先ほど申し上げました五十八キロの一応の計画全体についてプールをしたいと思っておりますが、さらに延伸計画を進めます場合には、それとの関係をどうするかはそのときに考えたいと思っております。
  23. 田中一

    田中一君 そのときに考えるたって、わかっていることじゃないですか、そういうことは。だから、僕は長期計画を発表しなさいと言うんですよ。わかっているこっちゃないですか。どっちみち延長されることになるんでしょう、プールすれば。そうでしょう。だますことになるんですよ。たとえば横浜バイパスがそのとおりなんですよ。戸塚を逃げる路線だけは、もうあのくらい収入の多い道路はないですよ。もうあれは二十年だったかな、おそらく十年以内でもって返しちゃうんです。そうすると、初めの約束どおり無料にしなさいよ、全然線が違うから。ところがあれを延長しているということは、だましたことになるんですね、気持の上からいくと。それならば長期の計画をお立てなさいと言うんですよ。全然線が違うのです。戸塚の有料道路の途中か横浜新道ができているのです。その部分だけにすればいいじゃないですか。だからですね、途中で修正される、変更があってもいいから——長期計画の立たぬ都心、市街地の場合にはなおさらそうなんですよ、仕事をしようと思ってもにっちもさっちもいかなくなってくるのです。建設費が上がってくるのです、補償費が上がってくるのです。だから、今のような計画でですよ、事足れりというのじゃないと思いますから、それならば、これはこれとして長期の計画を立てるのだということにならなきゃ、都市というものはやっぱりどこかでふん詰まりができてくるのですよ。これは生きものですからね。人間も、人間が運転する自動車も生きものなんですから。  もう一つね。やはりその地域々々でやっぱりこういう行き方の公団を作っていきますか、今後。どこかで、一応の完成を見たあとは、管理面だけは公団なんといわないで、一つでいいですよ。街路にしたって道路にしたって、一元的にやったらどうなんです。完成した暁にはですよ一応の。建設だけはいいかしらぬけれどもね、やっぱりこういう公団的なものを、それも永久のものじゃないですよ、今までどおり、五十何キロですか、五十何キロというものを一応きめているのですからね。それならば、でき上がったら、管理道路公団なり何なりにやらしてもいいし、公団というものは解消しちゃって大阪市がやったって一向差しつかえないのですよ、管理面は。そういう点はどういう考えを持っているか。あっちもこっちも作るんですか。この前首都高速道路公団作るときも、大阪やるのじゃないか、いやそういう考えはございませんというような答弁。やはりこういうものができてくるのですね。私ども方々旅行して歩くと、ここにこういうものが必要だなと思う地点がたくさんあるのですよ、どこへ行ってもね。  答弁をしないからもう一つ聞きますがね。これは国道の上を入っていますか。都心あるいは阪神間の国道を逃げていますかみんな、二号線は。全部逃げているようですね、図面見ると。逃げているのですか。
  24. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 今の計画では、国道の上は通っておりません。
  25. 田中一

    田中一君 おらないね。阪神間なんかね、あの電車はずしちゃえばいいのですよ。もう少し有効に使えるのです。国道に、一級国道に市街電車が走っているなんという国道はありませんよ。現にもう三島沼津間だったかな、あっちにあったやつはもうとうにはずしていますわね。やっぱりね、これは何というか阪神間は、例の阪神の有料道路かな、あれは道路公団がやっているね。あれにくっつくのでしょうけれどもね、管理がそうばらばらでもって——それどこでしたかな、乗るのは。ある地点までは、西宮か、西宮までは阪神道路公団が金を取る。西宮から先は道路公団が金を取るということなんですね。むろんこれは両方とも管理権は違うでしょうけれども、料金は一元的な料金制をきめてやっておるのだと思いますけれども、おかしなものなんですよ実際に。その点はどうなんですか。
  26. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 一番初めに、こういうふうな公団をほかの地区でもやるかという御趣旨の御質問でありましたが、今のところは、交通の実態から見まして、京浜地区大阪地がずば抜けて全国的に見て特別の措置をする必要があるというふうに考えておりまして、まあ首都公団と同様の措置は阪神地区においてはこれはやっていいかというふうに考えておりますが、その次に考えられた地区と申しましては、一応名古屋地区につきまして相当あるいは将来交通混雑があるのじゃないか、あるいは場合によっては同様な高速道路が必要じゃないかというふうなことも考えられますけれども、目下交通状況を調査中でございまして、まだ何ともそれにつきましては申し上げられないわけでございます。阪神地区におきましては地区の態勢及び交通状況から見まして、まとまった都市高速道路を作る必要があると思いましてこういう公団を提案したわけでございます。この公団が建設を終わったあとにおきましても、やはりその管理につきましては借入金の償還が終わるまではその責任者が責任をもって償還に当たるというのが最も適当であり、しかもその他の一般高速道路と料金の計算あるいは管理の方法につきましても若干の差があるようにも思われますので、今のところはこの建設を終わったあとで管理面だけを一緒にするというふうには考えておりません。  また、先ほどお話ございましたように、との公団の建設につきましても一応この五カ年で終わってしまうわけでもないようにも考えられますし、将来の延伸計画もございますので、まだ全部終わったあとの管理の統一などにつきましては、今のところは考えていないわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 完成してしまうと、あとは管理の人件費なんですよ。こんな二十何万も取るような総裁も理事長も副理事長も要らぬですよ、そんなものは。それより早く無料公開にすべきですよ。これは管理が——これ結局ね、道路公団などは永久ですからね、これは。新線を計画していけばどんどん進んでくるのですよ。しかし首都高速道路公団と阪神高速道路公団は、これはある時限が目に見えておりますね。その際にやっぱりそういう機構でもって、無料で通れるやつが、いつまでもいつまでも高給を取る人たちがいたんではどうにもならぬわけですよ。それより縮めたっていいじゃないですか。
  28. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 建設が全部終わりまして管理だけになった段階におけるその機構として、現在のような理事及び理事長その他必要な部局が要るかどうかにつきましては、もちろん縮小してその管理に適切な程度になることが当然であろうと考えております。
  29. 田中一

    田中一君 大臣、約束できますね、そういう点は。
  30. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただ、この東京及び阪神について考えますと、今の時点において交通量等から必要欠くべからざる路線というものをきめて実施いたしますが、時代の趨勢によって、趨勢から見ればまだまだ自動車がふえ、需要がふえてさらに延伸計画というものは起こらなければならない運命に私はあると思うのです。そこで、まあそれとの関係を見合って、やはり今後の運営並びに進め方をしていくべきで、今これだけの計画を完成してしまったらもうそれで縮小一点張りでいいのかどうかについては疑義があるわけです。これ以上延伸の必要がないということになれば、もう今都市局長がお答え申し上げたとおり、管理に必要な所要の人員及び機構だけでけっこうだと思うのですが、そういう点もありますから、今後の道路事業の状況ともにらみ合わせて、将来のこととして賢明な研究をする必要があるのじゃないか、こういうふうに私自分としては考えております。
  31. 田中一

    田中一君 問題は道路計画なんですよ。今政府では、市街地は街路と称している。市街地を除くものは道路と言っているが、結局道路計画なんですよ。そうでしょう。そうすると、それこそ抜本的な道路計画を立てなければならぬことなんです。応急手当なんですよ、これは。それからこういう形でもって全部どれでもこれでも有料道路でいくのだという考え方は、これはおかしな話なんです。民間なり私企業がこういう計画を立ててやる場合にはいいかもしれないけれども、少なくとも国全体の道路計画なんです。料金を取るか取らぬかの問題は、もう長い間われわれは論議をしてきておりますし、ことにもうそれは済んでおるのだからいいけれども、全体の道路計画をどうするかということは、新しく考えなければならぬと思うのです。これは応急措置なんです。市街地はそれで済むかもわからない。今の国道にしたってどこかでふん結まりがあるのです。だから自動車が、将来とも経済成長が高まってふえるということになれば、これは全体の道路計画をどうするかということです。それを考えないで、ただこの部分的な現象だけでもって応急措置をするだけではいかぬと言うのです、僕の言っているのは。また経済機構その他がいろいろ変わってくると、あるいはそんなものの必要がなくなってくるかわからない。根本的な道路の問題を解決すれば、国全体の道路の問題を解決すれば、よくなるかわからない。何といっても現在の自由経済の中では、これはもう何も押えもできなければ、力のある者と金のある者が大手を振って歩くということになるのです。そうならざるを得ないわけです。それは変わるかもわからない。それには一日も早く無料公開ということに近寄ることが好ましいわけです。これと並行して全体の縦貫自動車道、中央道なんていうものは、これは開発道路ということにわれわれはきめているわけです。東海道線もできます。また都心をそうしないで、都心を通過するところの車両というものは全部迂回さして都市に入れないという考え方一つの方法なんです。第三国道の案も出ておりますし、これは全然関東地方、東北地方、あるいは信越地方に行くものは東京を通らないで脇から逃がしていくということも一つ必要なんです。そういうものが全体に研究されて一つ計画を立てられることが望ましいのであって、ただ一つの現象、応急措置に莫大もない金を注ぎ込むなんていうことになっては困ると思うのです。その点はどういうことを考えているのか。やはりこういう問題を審議する場合にはそれが一番大事なんです。たとえば縦貫道、中国道ですか、ああいうものが並行してどうなるかということによって道路も車両も変わってくるのです。ふん詰まりの統計でもってこれの必要性云々と言われるけれども、十年たつとそうしたものが並行して建設されなければ、作るうちにもうふん詰まりです。これじゃいけないということになると思いますね。逃げ道がない。こういう計画と並行して国全体の道路計画というものを考えなければならぬと思う。考えながら、これが今の——まだ今都市局長から聞いた説明というのは、現状の阪神地区の困難性だけを強調しているのです。この高速道路を作ったことによって解決されるものではないのです。建設大臣が言っているように、ますます車両もふえるだろうし、いろいろな種類の車もふえるだろう。これを逃がすには、これは都市以外の全体の道路計画というもの、近代化された道路計画というものがなければ同じことなんです。この参考資料は、ことごとくこれを作らんがために作った資料なんです。中国縦貫道が、あれが一本通れば必要なくなってくるのです。減ってくるかもわからないのです。通過するものもあるいは物資の動きも変わってくるかもわからないのです。だからそれをひとつ考えてほしい。また考えているのだと思う。考えているのだと思うけれど、こっちは都市局だ、向こうは道路局だ、こうなるから問題なんです。これは建設大臣、うまく両方、街路だ、道路だじゃない、道路に違いないのですから、主管が違うと、どうもそこに、おれのほうに事業を余分に持ってこようという気持が、前田局長にはないかもしれないですが、多くの人たちはそういう気持を持つ。それで全体計画というのは見失ってしまうのです。これはひとつ大臣も十分考えてもらわなければならぬ。私はたくさんそういう事例を知っているのです、今までに。あやまちを犯しちゃならないのです。あとの質疑はあとに譲りますが、これはひとつ十分に考えてもらわぬと……。
  32. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 田中さんのお説のとおりで、理想としては将来の交通量なり国の発展状況なり、長い見通しをして、公共事業で全部道路整備するのが理想だと思うのです。ただ、現在ある五カ年計画を見、あるいはさらに長期の後期五カ年というようなことを見通しても、とてもその見通しで、今の経済力では、この行き詰まった状態を解決できるだけの公共事業はできそうもない。そういう上に立って、まず応急措置であることは間違いないわけです。将来、先ほど申し上げたように、この計画のほかに、さらに協議会でやったように、もっと延伸計画をやるかどうかということも、今後の周辺における道路整備の公共事業との関係を見合って、それが十分整いさえすれば必要ないことになるわけですが、それもやはり国の経済力だけで整わないで、有料でしばらくごしんぼう願うということにならざるを得ないとすれば、そういうことも起こって参りましょうし、国の今後の発展あるいは財源等の関係とにらみ合って進める以外にない現段階でありますから、そういう意味においてひとつ御理解を願いたいと思います。
  33. 田中一

    田中一君 私はそう思っていないのです。たとえばタイの特別円にしても、これは貸すのだということを条約に約束していながら、池田首相が何の権限をもってお前にやるのだといって貸したか。むだ使いにしているのだということです。新安保条約に基づく軍備の問題にしても、むだ使いの問題なんです。やはり戦争というやつは一番むだな金を使いますからね。したがって、戦争準備も金使うのです。これはもう論外ですよ。私は、金がないというのじゃなくして、むだ使いが多いということです。これは建設大臣に言うべきことじゃないけれども、それは不可思議なことをやっていますよ。
  34. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 道路に集中できるようにお願いします。
  35. 田中一

    田中一君 きょうはこの辺で……。
  36. 村上春藏

    ○理事(村上春藏君) それでは本日はこの程度にいたしたいと存じます。  これにて散会いたします。   午後零時十分散会      —————・—————