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1962-02-15 第40回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十五日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大河原一次君    理事            田中 清一君            徳永 正利君            村上 春藏君            武内 五郎君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            三木與吉郎君            内村 清次君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君   衆議院議員    発  議  者 井手 以誠君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曾田  忠君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房会    計課長     三橋 信一君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省都市局長 前田 光嘉君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 河北 正治君    建設省住宅局長 斎藤 常勝君    建設省営繕局長 川合 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件有明海開発促進法案衆議院送付、  予備審査) ○水資源開発公団法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査昭和三十七年度建設省関係予  算並びに建設行政基本方針に関す  る件)   —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日は初めに付託案件二件の提案理由説明を聴取いたしました後、前回に引き続き三十七年度予算並びに建設行政基本方針に関する質疑を行ないたいと存じます。  まず有明海開発促進法案議題といたします。提案理由説明をお伺いいたします。衆議院議員井手以誠君
  3. 井手以誠

    衆議院議員井手以誠君) 提案者井手以誠でございます。  有明海開発促進法案について提案理由を御説明申し上げますが、お手元に配付いたしております有明海開発公団法要綱案と地図を御参照いただきたいと思っております。  九州中央部に深く湾入している有明海は、最大干潮時には海岸から遠く六、七キロまで干潟地となる広大な浅海でありますので、その湾口部締め切り水位を下げ、第二線の干拓堤防を築きますと、一挙に五万三千ヘクタールの新しい国土造成されるのであります。ここに三万八千ヘクタールの干拓農業を展開し、埋蔵量四十億トンと推定される海底炭田開発するとともに、この石炭背後地資源を組み合せて臨海工業地帯を形成振興すれば、九州地域経済停滞性後進性を打開して、有業人口三十五万、年間四千二百億円の総生産を上げ、百万人をこえる人口を収容し得ることになるのでありまして、この有明海地域総合開発は、狭い国土に、四十七番目の有明県を作り出そうとする世紀の大開発事業であります。すなわちこの総合開発によって、  一、肥沃な干拓地三万八千ヘクタールに農家の二、三男、漁場を失う漁業者等二万戸を入植させ、水田酪農をとり入れた高度の農業経営によって年間二百億円の農業生産所得の増大が期待されます。これによって九州農業の低い就業構造を引き上げ、過剰農村人口を緩和することができるのであります。  二、推定埋蔵炭量四十億トン、通産省調査による有明海東部の可採炭量は十六億トン、うち七〇%は粘結炭という豊富貴重な地下資源開発すれば、従業員数三万九千、年間出炭一千二十万トン、生産額五百数十億円にのぼり、これによって老衰化した筑豊・唐津・北松炭田の将来に備え、またほとんど輸入に依存する原料炭五百万トンをおおむね自給して巨額外貨節約となります。  最近鉱害をめぐって干拓計画石炭開発利害対立が伝えられております。もちろん個々の築堤干拓地には当然予想されるところでありますが、一時に行なう大干拓には鉱業用地を保留し、充填技術の採用、鉱害予防措置を講ずれば、その多くは克服され、進んで干拓地の随所に縦坑を容易に開さくすることができ、坑道延長宿命的難問題は同時に解決するという一大利便を得ることになります。もとより企業家利潤評価よりも雇用所得等広く国民経済的立場に立って判断すべきであり、地下資源国民のものであります。したがって、未開発炭田開発電源開発株式会社のごとき公の機関によるべきでありましょう。  三、相当面積の臨海工業地帯造成、淡水化する干潮河川内水湖の豊富な用水と、石炭を初め背後地資源を活用して重化学工業、肥料、窯業、火力発電食料品加工臨海関連工業等を振興すれば、就業人員十一万六千、その年の生産三千五百億円の巨額を見込まれるのであります。従来九州経済原料工業に偏在している上、その設備は老朽化し、生産成長は鈍化するとともに、狭隘な産業構造外郭性辺境性後進性から社会的人口滞留圧迫が加重されておりますので、地域経済を若返らし、厚みをつけ、地域格差を是正して均衡ある成長雇用改善をはからねばなりません。  四、いわゆる台風常襲地帯にある有明海地域は、洪水と満潮が重複して年平均七十二億円の大被害を受け、現在防災改修改良工事は五百億円を計画されておりますが、大締め切りによって水位を二・五メートル低下すれば、海岸堤防二百十五キロメートル、十河川を含む干潮地域十二万ヘクタールの保全効果は実に六百億円、既耕地排水改良は八十億円の効果を見込まれます。  五、流域三千ヘクタールに及ぶ九州第一の大河、筑後川年平均流量二十七億トンに上っておりますが、その利用度はわずか九億トンにすぎず、貴重な水資源は、大半未利用のまま放流され、一方北九州福岡地方における工業用水都市用水需要は最近急増し、中下流の農業用水はますます不足をきたしているので、これら用水確保は切実な問題となっております。したがって筑後川治水、利水を調整開発することは当面の急務であり、その利便経済効果は莫大なものがありましょう。  六、一面締め切り築堤によって直接に漁場を失う人々には真に気の毒にたえません。この沿岸漁業はきわめて集約的、停滞的で所得が低いため、局面打開を迫られている窮境にあり、また半農半漁の立場もありますので、干拓への優先入植、第二次、第三次産業への吸収または淡水漁業外海漁業拡大等によって解決をはかることが必要でありましょう。  以上のごとく優に一県に相当する事業効果が見込まれるとともに、財政面からの経済効果は少なくとも堤防保全排水改良に六百八十億円、土地造成に二千億円その他二十億円を加え二千七百億円を期待され、一方これに要する経費は締め切り堤防八百四十億円、干拓堤防八百五十億円、地区内工事百三十億円、補償費三百五十億円、計二千百七十億円の見込みで、直接の経済効果よりも五百三十億円下廻るのでありますから、この大事業十分採算ベースに乗るものと推定されるのであります。この国土を守り、この国土を開く大事業に自衛隊を活用すれば工事費は大幅の節減を見るでありましょう。  すでに九州地方開発促進法による審議会有明部会が設けられたほか、各方面で調査研究を進められておりますが、調査だけで十数億円を要する世紀の大事業を行なうのに、今日の調査年間三千数百万円の小規模にすぎず統一性を欠いております。すなわち有明海開発の緊急かつ重要性にかんがみ、有明海開発促進法を制定し総合的大がかりな調査を進め、早急に開発基本計画を決定、引き続き開発公団を設立して事業実施推進しようとするものであります。  次に法案の概要を申上げますと、一、内閣総理大臣有明海及びその周辺の地域開発に関する調査について、その地域行政機関内容基本計画を立案し、九州地方開発審議会の議を経て決定すること。  二、内閣総理大臣は毎年調査の結果をまとめて調査を推進するが、この法律施行後五年以内(調査期間は三年)に開発基本計画を立案決定するよう努めねばならないこと。  三、開発基本計画内閣総理大臣が指定する区域における締め切り堤防土地造成土地及び水面の利用用水利用、これらに関連する諸施設整備その他総合的な計画基本を定めること。  四、政府開発基本計画実施するために必要な資金の確保をはかること。  五、政府事業実施により失業した者の就業生活再建または環境整備のため特別の措置を講ずるとともに、失業した漁民を造成された土地優先入植させるよう努めること。  六、開発基本計画に基づく事業実施するため別の法案によって有海開発公団を設置すること。  以上がおもなる内容であります。ここに有明海開発公団法案要綱を添え御提案申し上げますので、何とぞ著しい効果が約束されるわが国随一の、この国土開発計画に格別の御理解を賜わり、本法律案をすみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  4. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労様でした。本案についての本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。   —————————————
  5. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に、水資源開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。まず提案理由説明を聴取いたします。菅経済企画庁政務次官
  6. 菅太郎

    政府委員菅太郎君) 大臣が御病気でありますので、政務次官かわりまして説明申し上げます。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  水資源開発公団法が昨年十一月に公布されまして以来、政府におきましてはその施行の準備を進めているのでありますが、水資源開発公団の業務の円滑な実施確保するためには、公団に対する政府の出資、国や都道府県によって施行されている事業公団への承継等につきまして、必要な規定の整備をはかる必要が認められるのであります。  これがこの法律案を提出する理由でありますが、次に改正案内容概略を御説明申し上げます。  第一点は、水資源開発公団資本金を三億円とし、政府がその全額を出資するものとしたことであります。なお、将来公団に増資の必要が生じましたときは、政府は、予算範囲内で追加出資することができることとしたのであります。  第二点は、河川法及び特定多目的ダム法に基づきまして建設大臣直轄工事施行しております事業、あるいは土地改良法に基づく国営または都道府県営土地改良事業のうち特定のものは、公団がこれを承継して工事を行なうこととし、この場合におきましては、国または都道府県が有する一定の権利及び義務は公団承継するものとしたことであります。なお、昭和三十七年度における建設大臣直轄ダム建設工事に関する事業承継を円滑にするため、治水特別会計法の特例を設けたのであります。  第三点は、公団が発行する水資源開発債券のほか、公団長期借入金につきましても、政府がその債務保証をすることができるものとしたことであります。  第四点は、公団が直接その本来の事業の用に供する一定資産につきましては、不動産取得税及び固定資産税を課税することができないものとしたことであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概略であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  7. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御苦労様でした。本案についての本日の審査は、この程度にとどめたいと存じます。   —————————————
  8. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 次に、前回に引き続き、昭和三十七年度建設省関係予算並びに建設行政基本方針に関する調査を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  9. 内村清次

    内村清次君 私は一昨日のこの委員会で、中村建設大臣宅地の問題につきまして質問をしたわけです。大臣の総括的な御答弁結論としては、建設省の方ではこの国会組織法としての宅地制度審議会法律を出しているのだから、あげてここでひとつ宅地の問題を解決したい、そうして検討した上において法律案として国会に出すというような御答弁であったわけです。私たちの考えといたしましては、当時申しましたように、宅地の問題というものは従来この委員会でも相当やかましく政府のほうに早く法案を作って、そうして抜本的な解決をして、住宅建設に対して支障のないようにしてもらいたい。しかもまた宅地の高騰に対してその抑制策を根本的に検討してもらいたい、そういうことを言っておったにもかかわらず、今日ようやく審議会を作るというような結論で、その緊迫した事態を乗り切ろうとするようなことは、おそきに失するではないかということを申し上げたわけでございます。そこで私はこの問題につきましては、相当大臣がもうすでに結論的なお話をやっておられますので、私たち意見もあるわけですけれども、ただ大臣にいまひとつ念を押しておきたいということは、当時も私が申しましたように、この問題の解決はひとつ大臣就任中にやっていただきたい。もちろんこれはたとえどの大臣がおかわりになりましても、基本的な問題ですから、解決を急いでもらわなくちゃならないと考えまするけれども、特に信頼しておるところの中村建設大臣に期待しておるわけですから、ぜひやってもらいたい。  そこで経済白書を私、見てみますると、これは今回の池田内閣所得倍増計画で、今後十年間新規需要土地に対する見通しを大体こういうふうに判断しておられる。それは住宅用地が五・八万ヘクタール、工業用地が五・五万ヘクタール、公共用地が三・六万ヘクタールその他一・九万ヘクタール、合計十七万ヘクタールと推定しておる。こういうふうに今後十年間所得倍増に伴うところの用地の区分というものを見通しておられるとしたならば、政府のほうで現実に、たとえば新産業工場地帯建設していくのだ、しかも地方格差を直していくのだというような法案も出しておられる現今においても、それは相当地方的にも用地については大きな問題となってくることは当然のことですから、大都市におきましても、あるいは田舎の農地関係に伴いまする土地にいたしましても、相当この問題は大きくなってくるにかかわらず、その基本となるべきこういった土地制度的な審議会というものを、なぜ今日まで引き延ばされたかということは、どうも私たちは不思議にたえません。そこで私も当時申しましたように、審議会ができたなら、一体どれくらいの期間で、そういった審議委員の該博な知識を結集して、どういう法律が出て参りまするか。最初の建設省計画では土地開発法というような法律構想であったようでございますが、そういった法律をお出しになるまでにどのくらいの期間を要するのか、大臣見通しとしてはどういう計画をしておられるのか、ひとつこの点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  10. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まことにむずかしい問題でございますが、実は建設省としましては、もう今日に至るまでにいろいろな構想は練ってみたのでありますが、先日も申し上げましたように、いろいろ法律上むずかしい問題に遭遇いたしますものですから、まあ考えられる限りの問題点を提供いたしまして、そうして法律家や税制に精通した人や、その他こういう問題に関心の深い学識経験者方々に御集会を願って、そうしてあらゆる角度から検討してさばいていきたい、こう思っておりますわけで、問題のむずかしさからいいまして、学識経験者方々議論がどこまで発展するか、またその発展された議論がどう集約されて意見一致をみてしぼれるか。この点につきましては、目下のところ実を申しますと、いつまでにそういうしぼりができるかということについての見通しが立ちかねているわけでございます。審議会が発足いたしまして、二、三回問題点について議論を戦わしていただきますれば、この問題は割合にさばけていけるだろうとか、この問題は非常に難航して、なかなか意見一致をみることがむずかしかろうというめどが一そうはっきりしてくると思うのでありますが、そのころになりましておよそこの範囲のことはいつごろまでにできる、あとのこういう問題点については、どうもしばらく時間がかかりそうであるという仕分けがつくと思うのでありますが、まだ実は今のところではそういう次第でありますから、いつまでにという実は見通しが立ちかねるわけでございます。ただわれわれとしましては現在の土地問題が緊迫している現状にかんがみまして、できるだけすみやかに結論を生み出すように、われわれとしましては資料の整備なり問題点の提供なりにつきまして、せいぜい勉強いたしまして迅速を期したい、こう思っておりますような段階でございます。
  11. 内村清次

    内村清次君 まだ法案が今国会に提出されたばかりだし、審議会委員の構成もあるいはまたその人選もできておらん範囲内において、一応そういった御答弁は慣例といたしましてわかるのですけれども、しかしやはり当該所管大臣といたしましてその見通しをはっきりしてやっていかないと、ただ大臣がこの前御答弁なさいましたように、今土地暴騰というものもいささか弱含み状態になったのだというような簡単なお考え方では、私はこの土地問題は解決しないと思うのです。これは経済の動きからいたしまして、確かに金融引き締めその他で換金売りというようなこともあって弱含みになったかもしれぬけれども、今ではやはり需要と供給の問題から考えてみますと、これがまたいつ暴騰を始めるか、もうこれは目の先のわかった問題です、今の政府の施策の状態では。だからして、そうやって常に土地は改造していこうじゃないか、あるいは住宅は建てていこうじゃないか、あるいはまた民間住宅建設に依存していこうじゃないかというようなことの意欲が、すべてにおいて支障を来たしていきはしないかと思うのです。だからやはり見通しを短期間にお立てになって、鋭意そこに全審議委員を集中して、そうして抜本的な法律をお作りになるというような身がまえを、政府みずからすべきではないだろうか。特に所管大臣計画的に、もう何年度にはりっぱなひとつ抜本的な案を作って、そしてこれによって土地問題の解決政府熱意をもってやるのだという気がまえをお立てになること自体が、やはり土地取得というものをたやすくするような、土地の価格というものを抑制するような一つの方策ではないだろうか、こう思うわけです。ただのんべんだらりとさあ問題になってくれば審議会を作るのだ、法案を出すのだというようなことでは、建設意欲の強い国民性から非常に遊離した対策になりはせんかと思うのですが、どうです大臣、そういうまだ構想もお立てになっておりませんか。
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は考え方としましては、現在こういう金融引き締め状態から、実態が投資対象からはずれかかっておる、いやはずれておると申し上げられるのかもしれません。そういう情勢下にありますから、国際収支改善がうまくできて、そしてまた投資対象にされるような時期がくるおそれがございますので、そこでそういう時期の変化を来たすまでの間に、少なくとも現状横ばいなり弱含み状態のうちに、できるだけ所要の結論を得るように急いで参りたい。  もう一つは、この審議会ができましても、数々あります問題点のうちで非常に緊急を要すること、あるいは比較的まとまりやすいと見られるような、万全とはいかないかもしれませんが、部分的にまとめられるものからすみやかにまとめていただきたい。こういうものにつきましては少なくとも審議会が発足しましたら、半年くらいのうちに何とかそういう結論を得て、全面的にいかないまでも、その結論を得たものから法制化して参りたい、こういうように実は考えております次第で、したがっておそくも来通常国会には、全般的にはいきかねる問題点が残るかもしれませんが、ある程度範囲につきましては法制化するようにいたしたい、こう考え方としましては思っておる次第でございますが、さてこれがそれではどの問題とどの問題がしぼれるかということにつきましては、やはり審議会委員になった方々知識を交換していただいて一致点の方向をみませんと、われわれとしても見当をつけかねておるような状態でございます。
  13. 内村清次

    内村清次君 大体熱意のあるところは今御答弁の中に含まれておるようですけれども、期待いたしておりますがゆえに、この問題は基本的な問題ですから、大臣就任中にぜひひとつ骨格ができ上がりますように、早急にひとつ熱意を持って検討していただきたいと思うのです。  そこでこれは委員長にもちょっと私要求いたしておきますが、昭和三十七年の一月に行政管理庁行政監察局から宅地に関する行政監察結果報告書というのが出ているはずです。これはいずれかの機会に行政監察局をお呼びいただきまして、これに対する報告書説明をひとつ聞かせていただきたい、この点をひとつ要求いたしておきます。
  14. 大河原一次

    委員長大河原一次君) わかりました。
  15. 内村清次

    内村清次君 さらにこの点は建設省、また各省にまたがった報告書のようでございまするからして、当然各省もこの監察局報告に対しましてはいろいろ答弁材料研究材料等をまとめておられると存じまするが、建設省といたしましても相当所管事項行政事項といたしまして重要な問題が含まれていると私は考えております。当面、これに対してどういうふうな答えを出していかれるか、この点も聞きたいわけです。ここでどういうように消化しておられるのか、その点だけ一言触れさせていただきたいと思います。
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はこの監察結果に対しまして、われわれとしましては目下事務当局に熱心に各項目別検討させているわけでございます。
  17. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまお尋ね宅地に関する行政監察の結果の報告書につきましては、行政管理庁のほうからもその報告書をいただいておりまして、建設省関係といたしましては、関係の局は私のほうの計画局都市局住宅局、この三局が一番関係の多い局になっております。特にその報告書の中に盛られておりますことのうち、すでにその対策の講ぜられているようなものもございます。さらに今お尋ねにございました、これから制度検討すべきものとして示唆を受けているもののうち、三十七年度以降取り上げることに予算でなっているものもございます。したがって、第一の宅地問題の抜本的対策検討についてのうちでは、たとえば宅地需要集中防止及び分散並びに宅地の大規模開発というところで示されております、いわゆる地方産業都市建設、あるいは官庁文教施設等大都市から他の地域に移転するような措置を講ずるというような、こういう根本対策につきましては、前段は本国会におきまして新産業都市建設促進法という形で目下審議をお願いいたしておりますし、官庁文教施設等につきましては、首都圏がこの問題につきまして三十六年以来検討を進められておりまして、首都圏区域についての対策については調査費について、明年から実施の第一段階に入り調査に移りたいというふうなこと等があるわけでございます。それから宅地開発手続強化等につきましては、これは先買い権制度でありますとか、あるいは宅地工場用地収用対象という問題が含まれておりますので、これはやはりひとつ制度論といたしまして、土地特定性を与えるための法律的な検討が必要である根本問題もございますので、そういう制度論につきましては、必要性にかんがみ、前向きに向かってこの宅地制度調査会等において検討を進めていきたい、というような事項になっておるわけでございます。  第二の宅地に関する現行対策改善等につきましては、それぞれ現行法の運用についてのサジェストでございまして、これらにつきましては、地方の府県の態勢でありますとか、あるいは計画の面についての問題でありますとか、関係各省協力態勢ということについての指摘がございます。  それから用途地域の指定等につきましては、これはやはり現行法のもとにおける地域性の指定のまだ不十分な点の問題でございまして、これらはいずれも新たなる制度よりはむしろ現行法の運用についての指摘でございますから、各地方の実態に即する判断を関係の局において検討されておるというのが今の段階でございます。  それから宅地の高度利用につきましても、制度と運用面についてのまだ不十分な点等がありますが、こういうことについての問題はこれから検討をいたしまして、いずれ行管にも報告を出すべき事項になっておりますので、目下省内で取りまとめ中でございます。  それから農地の転用等につきましては、これらはいずれも個々の例につきまして、関係の都市計画事業でありましたり、あるいは土地造成事業等につきましては、それぞれ協議を行なっておるわけでございますが、この報告書ではさらに一そうの円滑な運営が必要であるということを指摘されておられます。  なお、この宅地建物取引業者の規制の強化等につきましては、目下公正取引委員会におきまして、誇大広告に関する問題の規制に関する法律を準備いたしておりますので、おそらくこれは今国会に上程される運びになろうと思います。したがって、こういったような点で今後検討されるべきものと、それからすでに着手についておるものと、運用上において配慮すべきものと、こういうように分かれますので、目下省内でこれを取りまとめ中でございますので、その取りまとめました結果を行管にも報告をいたしまして、できるだけこの線に沿うように善処をいたしていきたいというふうに考えております。
  18. 内村清次

    内村清次君 これは先ほど委員長にも申し上げましたように、また後刻行政監察局のこの審議調査の状況あたりと検討しまして、またただいまの局長の御答弁と引き合わせてひとつ検討していきたいと思うのです。  そこで大臣お尋ねをいたしますことは、終戦後の日本の混乱の時期から衣食住、国民生活の一番大事な三つの柱のうち、今までやはりおくれておるのは住の問題だ、一番住宅という問題に国民が非常に悩んでおる、これは現実の様相です。そこで鳩山内閣のときに四十二万戸の建設計画を出されて非常なアッピールがなされた。その後代々の保守党内閣で三十六年には建設戸数一千万戸、一世帯一住宅の施策をやる、これは三十六年に総理が十カ年計画をお立てになった。前期五カ年計画で四百万戸をひとつ完遂するんだというような御計画が示されておるわけです。そこで大臣といたしまして、今不足住宅を一体どれくらいに推定せられるのですか。そして今日まで三十六年からことし二年目ですけれども、その推移が期待に沿うた建設の状況であるという自信を持っておられるかどうか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 現在建設省におきまして住宅の不足戸数の見込みを立てております数字を申し上げますと、三十六年末におきまして約三百万戸の不足をしておる。さらに今後は世帯の分離等の傾向から需要はふえてくると思いますが、現状におきまして約三百万戸の不足を見込んでおるわけでございます。
  20. 内村清次

    内村清次君 これは推定ですが、所管省として責任ある御答弁だとこう私たちは見ざるを得ないわけです。もちろんこれに対しましては分離戸数という問題は含まれておりませんですね。新婚の夫婦は分離したいという関係もあるでしょうし、現在までも一つ住宅にやはり何組かの世帯数がまだあるところはまだ残っておるわけです。まあ分離戸数もありましようし、あるいはまた新しい土地を買って住居を作るための必要数が生じてくるという戸数もありましようし、そうやったものを含めて一体どれくらいの所要数を国民は待望しておるものだと御推定ですか。これは住宅局長でもけっこうです。
  21. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) ただいま大臣から三十六年度末で約三百万戸というふうに申し上げましたのは、実は三十三年の十月に住宅調査をいたしましたその年の数字を基礎にいたしまして、その後住居水準の引き上げということも勘案して推定したものが大体三百万戸ということでございます。一般の需要というふうな点から申しますると、先ほど大臣のお話もございましたように、個々の住居水準の問題では、なるほど水準を上げまして、従来の過密よりもさらにもう少しゆったりしたものというふうに、狭小過密というような定義を引き上げたわけでございますけれども、それでもなお三百万戸、あるいはそのほかに先ほどの大臣のお話のように、世帯の細分化の問題がございまして、そういうものを勘案していき、かつまた一般の老朽といいますか、だんだん滅失していくというようなものも推定いたしまして、全体で十年間に一千万戸ということを出したわけでございます。そういうようなことから出ておりまして、現実にどの程度需要があるかということになりますると、今申し上げました三百万戸に世帯細分化の傾向を加えたものでございまして、これが大体先ほど申し上げましたように全体として一千万戸、前期で約四百万戸ということになる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、まあ、かりに三十六年度末において三百万戸とか、そうしてそれには今後の家庭の細分化というものはどれくらいあるか、推定はわからないけれどもあるものだと仮定して、現在不足数三百万戸それを政府のほうで、あるいはまた民間の建設のほうで、年度間にすなわちどれくらいふやしていけば住宅難というものは解消するか。で、政府のほうでは一応十年間に一千万戸建てるのだ、こうやって十年間の平均数値が出てきますね、その平均数というものが三十六年からのこれは公約ですから、その公約の二年度として、今どれくらい三十六年度には建てるか、三十七年度には今回の政府が出しておるところの予算でどのくらい建てるのだ、あと八年問ではこれだけの住宅というものは十分建てていきますというような見通しが、住宅局のほうにありますか、どうですか。
  23. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 私どもで考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、一千万戸が前提でございますが、一千万戸を推定いたしましたときの最終的な考え方と申しますのは、十年後にどれだけの人口になる、その人口がどれだけの世帯のものになる、そういうことを基準にいたしまして、その十年間のまた滅失あるいは朽廃というものを考慮に入れて、そうして一千万戸というものを出したわけでございます。したがいまして一千万戸が達成されれば、十年後においては一世帯一住宅ということの理想が実現できるであろうということで、倍増計画にのっとって計画したわけでございますが、現在の住宅建設の推移を見て参りますると、われわれが年度別に計画しております建設計画戸数というものに対しまして、現実の建設戸数というものは、大体その計画の数字に合って、あるいは場合によりまして上回って建設されていくというような傾向が見られます。現在計画しております年度別戸数、特に前期においてまず四百万戸程度作る、ということについての大体の年度別の戸数というものは、実現されていくのではないかというふうに考えております。
  24. 内村清次

    内村清次君 これは大臣も列席されておったと思いますが、参議院の予算委員会で池田総理が住宅問題についてこんな答弁をしておられますね、「終戦直後は住宅不足は四、五百万戸だったが、毎年政府が二十万戸、民間が四十万戸程度建てているので、現在は百八十万戸程度になった。だが人口増加や世帯の分離などがあるので、不足数は二、三百万戸と思う。」こういうような発言をしておる。「今後政府が二十数万戸、民間がその倍を建てていけば、十年間で不足は解消できると思う。」ほんとうに自信たっぷりです。不足数が二、三百万戸と、こういった御答弁の要旨が載っておりますね。国民は全部この新聞を読むでしょう。政府がこれは案外楽観的にお考えになっておると、こんな甘い考えを起こしはしないかと、私たちは心配する。ところが現実は違う。これは断片的な質問ですけれども、今、公団住宅建設戸数に対して申し込み数は何倍ですか。
  25. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 住宅公団に対する申し込み数は、物によりまして、場所によりまして違って参りますけれども、まあ大体十倍程度でございます。
  26. 内村清次

    内村清次君 十倍程度だとあなたはおっしゃっておるのですけれども、これもまた私たちは詳しくひとつデータもとりたいのですけれども、個所によるという表現も使っておられますけれども、百倍も二百倍もあるところもある、こんなことも新聞に載っておるのです。確かに今住宅公団の前に行ってみると、毎日何万人という人たちがどうも来ておるような姿が見えておりますね。そういった非常に住宅にあえいでおる現実の様相ですね。国民の目から見ると、あまりに政府が無関心過ぎはしないかという感じが総理大臣の言葉を聞いてもするし、明確でないですね。こういった新聞を見てみますると、私たちは当建設委員会といたしまして、どちらかとしますと、まあ腹が立つよりも悲しみを感ずるのですよ、一面。  そこで大臣お尋ねいたしますが、今回の政府施策住宅のうちに、公団住宅の問題があるわけですが、この公団住宅に入ります前に、私、一番低所得者層として要望いたしております公営住宅の問題ですが、これを大臣お尋ねしたいと思うのです。確かに政府のほうでは、本年度計画は五万四千戸で、三十六年度に比べまして二千戸の増加が認められておるようでございます。が、しかしこれは私たち、公営住宅の三カ年計画を昨年でしたか、この委員会審議をいたしました関係で、政府が今公営住宅にぜひひとつ熱意を持っていただきたいというようなことは、当時もしばしば私たちは申し上げておる。ところが今回二千戸の増加ですけれども、一体建設省は、本年度公営住宅の三カ年計画に基づいて、どれぐらい予算要求をやられたのか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  27. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 公営住宅の三カ年計画は、御承知のように十七万一千戸というものが、三十六年度を初年度といたしました三カ年計画計画戸数でございます。したがいまして三十六年度に五万二千戸建てておりますので、三十七年度におきましては、実は五万七千戸程度建てるということになりますると、五万七千戸を三倍いたしますと大体十七万一千戸になりますから、ちょうど順調な伸びということで適当な計画戸数ではないかと考えておったのでございますけれども、まあ単価の問題とかあるいは質の問題というようなものと、いろいろからみ合わせて考えて参りますると、やはり単に量だけの問題でなし、質の向上ということもあわせて考えなければならぬというような観点から、三十七年度は二千戸増の五万四千戸ということに計画戸数が落ち着いた次第でございます。
  28. 内村清次

    内村清次君 もちろんこれは昨年の末でしたか、用材の高騰からいたしまして、公営住宅建設が請負の辞退その他で非常に建設困難になったということは私は聞きました。で、昨年でしたか、四十億円ぐらいでしたかの補正増しをやって、ようやく危機は切り抜けたというような事態もあったことはよく存じておりますが、しかしただいまの御答弁の中で、確かに間取りを大きくするとか、坪数を増加するというようなことはされているようです。されております。これは、やはり住宅環境の必然的な国民の要望にこたえ得るための問題でありまして、これは考えてやらなくちゃならぬ。しかしながら、一たん約束をされた戸数というものは、これはどうしても大臣、やはり三年で完遂をするという決意のもとに順調な足取りをしていかないと、これはもう公約はできませんよ。で、地方の公共団体からは、一体どのくらいの戸数の要望が集計されてあったか、その点は明らかになっていると思いますが、どうです。
  29. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 地方公共団体からの要望の戸数というものは、手元に現在資料を持っておりませんので、正確な数字は申し上げられませんけれども、来年度の計画戸数と申しますか、そういうものについての全体的な公共団体の要望というものは、戸数としては、まあ大体この程度の戸数に落ちつけてもらってけっこうであるというような、公共団体のおおむねの希望でございます。むしろそれよりは質を向上し、かつ単価の是正というような点に重点を置いてもらわなければ、事業を執行する主体としての公共団体としては、公営住宅建設というものは推進することができない、というような訴えが非常に強かったということは事実でございまして、そういう点いろいろ勘案いたしまして、おっしゃるように、来年度に相当の戸数が残るということについては、私ども非常に頭を痛めている問題でございまするけれども、公共団体と相協力して実行していくのがこの公営住宅制度でございますから、公共団体の希望等も十分勘案いたしまして、このような計画戸数にいたした次第でございます。
  30. 内村清次

    内村清次君 それで私が質問いたしましたのは、公共団体からどのくらいの戸数の要求があったか。もちろん、これは公共団体の能力に従って、用材の値上がりその他のことも勘案して、地方財政制度と考え合わせて要求したと思うのですが、それは資料があるとおっしゃったが、どこにあるのですか。こっちにはまだ配ってないでしょう。
  31. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 公共団体からの希望戸数というものは、今、集計したものは手元にございませんので、はなはだ申しわけございませんが、重ねて申し上げますように、何と申しましても公営住宅というものの建設の推進ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、量と質とのかね合いが非常に問題なのでございます。単に戸数主義だけを推進していいものであるかどうかということは、私ども住宅政策を担当している者といたしても非常に頭を痛めているところでございまして、両々相待って順調な建設をするのが最もよろしいということはわかっておりまするけれども、いろいろな制約がございますので、むしろ三十七年度におきましては、ある程度の規模の増大、あるいは質の向上、たとえば不燃率の向上というようなことを考え合わせまして、むしろ三十七年度においてはある程度安定した状況に置いて、そうして三十八年度に相当の戸数の飛躍を望みたいというようなことを考えて、このような計画をした次第でございます。
  32. 内村清次

    内村清次君 大臣、これは私が申しておりますことは、先ほど宅地の問題でも申しましたように、またこの前の委員会で申しましたように、低所得者層というものは、なかなか個人で自己建設というものはできないのだ、できるようなひとつ政治をして下さいというのが大前提でございますけれども、しかもまた官庁に勤めた者でもサラリーマンの方々でも、低所得者の人たちはなかなか貯蓄という問題でぶつかって、用地が高い、用材が高いというようなことで、自分の安定した老後の住宅を作をこともできない。だからしてやはり所得に従ってなるべく低家賃の住宅に入って、幾らかでもひとつ病気その他のときの不時の災害に備えていく貯蓄をしたいというのが人間の心理です。また同時に、やはりよりよい生活をしたいというのもこれまた人間の心理ですね。そうなってきますと、公団住宅にしましても、あるいはまた公庫住宅にいたしましても、これは住宅局長から説明していただきたいのですがね。またいろいろな内容の点につきましては大臣にあとでお尋ねいたしますけれども、みな家賃は高いでしょう。だんだん高くなるばかりじゃないですか。一体公団住宅ではどのくらいの家賃ですか。公庫住宅の家賃はどのくらいの家賃ですか。そういう点を御勘案になっておられるか。そういう人たちはこうやった公営住宅のほうに依存したいということになる。これは当然の心理です。そうしますと、今、中村大臣に一番力を入れていただきたいのは、この公営住宅をぜひとも今局長が言われるような、質とそれから量の点につきましても、私たちはやはり一たんここで公約した数字に見合うような、順調な成長を要求していくことは、当然のことではないかと私は思うのです。ただ二年度で、まあ質も量も合わして考える場合、質の点の問題でも結局は予算のワクに縛られてしまう。しかも、予算のワクというものは、あと三千戸建てたかったけれども、それもできずに、今回の二千戸の増加にしかならなかった、こういうような御答弁の筋でございますね。これでは私はいかぬじゃないか、こう言っているわけです。大臣どうお考えですか。
  33. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は私どもの立場としましては、住宅の戸数をできるだけふやしていきたい、計画戸数を下回るどころじゃなくて、上回るくらいにいたしたいくらいの情熱は持っているわけでございますが、いろいろ事情もございまして、三十七年度はこの程度でがまんせざるを得ないことに相なっているわけでございます。率直に実は経過を申し上げますと、昨年木材の価格が非常に騰貴いたしまして、物価指数の上がりの一番大きなものは木材値上がりからきているという数字が経済企画庁等から出まして、木材の価格をどうするかということと、それから国際収支改善対策の一環として、設備投資の抑制をどうするかというような議論政府部内でも出ました。この際、一部の人たちからは民間の設備投資も押さえるが、政府もある程度協力をした形でなければいかぬ。それの一環としまして住宅のほうもある程度の繰り延べをすべきである。そうしないと、木材の価格の安定というものはできない、あるいは引き下げができない。政府はどんどん建てる、それでは木材の価格安定ないし引き下げができないではないか、というふうな議論も出まして、当時私は住宅戸数の確保をすることの重要性にかんがみまして、それは絶対困る、あくまで住宅に関しては別扱いであって、一部の繰り延べというようなことはできないということを強硬に言いまして、むしろ木材価格の安定なり引き下げをはかるのには他の手段をとるべきである、それには国際収支や外貨事情もあるにいたしましても、外材の輸入等も強化して、そして物価指数の是正をはかる意味からも木材の価格の引き下げに資すべきではないかという主張をいたしまして、結果的には私の主張どおりになりまして、ようやく住宅の繰り延べというものはいわばおつき合いしないで済んだわけでございます。自来木材のほうもやや弱含み状態にございますが、実は一部にそういう見方もあること等が三十七年度予算編成にも大きく影響がございますわけで、その中を縫ってできるだけ確保をいたしたいという考え方で努力いたしました結果、御承知のような数字になったわけでございます。一方、先ほど住宅局長からもお話し申し上げましたように、各地方公共団体の希望戸数というものは、戸数については大体の五万四千戸としての割り当ての内容で話をしてみますると、戸数はいたし方ない、しかし何とか地方の持ち出し分についての協力を政府がしてもらいたいということが非常に強い要望でございました。そこで、建築単価につきましては、補正予算の際に是正したものですが、なかなかこれはむずかしくて、いかにして地方公共団体の持ち出し分を軽くするかという、地方の強烈な要望にこたえる努力はそのまた半面、いたしたわけであります。その結果、とにかく公営住宅を建てるにしても敷地を地方公共団体は入手しなければならない。この入手をいたしまする敷地の用地費というものが相当に上っておる。これの是正ということならばどうも話がつきそうであるということで、結局用地費について一九%の引き上げということでまあ結論づけざるを得ないことになりました。さようなわけでいろいろな事情がからみ合いまして、今年度は五万四千戸というところに落ちついたわけでございますが、この公営住宅建設は国の財政経済情勢と大いに関係ありますし、地方公共団体の税収入、経済状態というものも大いに関係がございますので、われわれとしましては、来年度にどうもしわ寄せがいっておるようでございますが、地方公共団体の財政事情、あるいは国の経済状態というものと、にらみ合わせまして、来年度はひとつ大いに伸ばしたいと思っておるのでありますが、三十七年度としましてはこの程度でやむを得ないところであるという実は観点に立っておりますようなわけでございます。
  34. 内村清次

    内村清次君 来年度の問題に大臣は少し触れられたようですが、私は確認しておきたいと思うのです。というのは、これはもう数字で明らかでありまするが、三十六年度と三十七年度分の合計で十万六千戸、そこで三カ年計画の戸数が十七万一千戸ですから、結局三十七年度では六二%の進捗です。そうすると、三年度の三十八年度にはこれは六万五千戸建てなくちゃならない数字になってくる。三十七年度よりも約一万一千戸だけをよけいに建てなくちゃならない、三十七年度よりもですよ。そうすると、三十六年度から三十七年度では二千戸ですねところが一万一千戸の増加をして、ようやくこの委員会、本会議でも可決された三カ年計画というものが完遂できるということになってくるんですね。これは大臣といたしまして、当時私たちは、ぜひ先ほど言ったように、低所得者層が一番要望しておるところの問題であるし、地方もやはり地方政策を実行する上についての大きな魅力ある住民に対するところの公約でもあろうから、ぜひこの点には重点を置いて、公営住宅だけは完全な数字を、ひとつ内容を充実して住宅を提供してもらいたいということを私は言った。そのときに大臣も確かに、これは速記録の中にもありますが、「公営住宅が、過去の実績におきましては計画よりも下回ってきておりますので、まことにこの点私、遺憾に存ずる次第で、今回の三カ年計画にあたりましては、私どもの立場といたしましては、従来のようなことでなしに完遂いたしまするように、予算措置あるいは行政指導等の面におきまして、万全を期して完遂をするようにいたしたいと思います。」こういった速記録を残していらっしゃる。この決意だと私は思うのです。が、私たちが今回三十七年度の予算を見て、大臣のお気持はこれはどうも変わったんじゃないかといって、そういう心配をして確かめておるわけですけれどもね。一万一千戸増加した三カ年目の建設計画というもの必ずなしとげていかれますかどうか、この点を明らかにしておいていただきたいと思う。
  35. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 当初の計画としましては三カ年計画の際に、初年度五万二千戸、次年度五万七千戸、三年度六万二千戸、こういう計画でございますので、来年度にしわ寄せが三千戸ほどになる、こういう状態でございます。そこで私ども苦慮いたしておるのでございますが、ただ過去三回における、四年目ごとに周期的に参ります国際収支の赤字改善の際には、幸い乗り切れて参りまして、乗り切るためにはかなりの無理があらゆる方面にいったわけでございます。今回の場合におきましてもこの国際収支を乗り切るということは、これは至上命令的な課題でございますので、これらとのかね合いを私ども非常に、住宅局長も申し上げたように頭を痛めておる最大の問題でございます。まあ頭を痛めておりますが、そういったような国全体の事情、あるいは過去三回の場合には、今度の国際収支改善対策よりももっと強化されたぐらいの措置をとって参っておりますので、これを乗り切るためにはわれわれも自重せざるを得ないという事情等もございまして、若干来年度に重い負担が当初の計画よりもかかっておりますが、何とか三カ年計画策定の当時、今お読み上げいただきましたような私どもの心がまえは堅持して参りたいと、こう思っておるわけでございます。
  36. 内村清次

    内村清次君 これは重ねて、ひとつこの点は十分完遂をしていただきたいということを私は要望いたしておきますが、先ほど住宅局長から公営住宅の問題は戸数ばかりにはよらずに、質の問題も、また内容の問題についても向上させていくのだということを言っておられる、で、その見通しというのは確かに公営住宅の不燃率の問題は六四%になって、昨年の五五・三%よりも向上いたしておるようです。またその実際の第一種、第二種に対しましての木造の建設戸数あたりも確かに昨年に比べると幾らか減っておる、まあ幾らか減っておるようですね。が、私は大臣にもう一つこれは抜本的にお考えいただきたいことは、住宅局長も含めて、これは局長といたしましては地方公共団体から切実なやはりいろいろな要求がきておるだろうと思うのです。特にやはり都会地の県市町村から相当な要求がきておるだろう、というのは、その前提となるのは宅地の問題です。それから不燃率を高めていこうという住民、国民の要求ですね、それからまた都会地のやはり都市関係としての、都市美もありましょうし、いろいろな環境からくるところの要求が強まっておることはこれは必然の問題だと思うのですが、ちょうどこれは県は言いませんけれどもね、県の名前を言うと語弊がありますから言いませんが、私がこの間視察に参りました県のうちから、木造建築はやめてもらいたい、そうしてやはり耐火の鉄筋の高層建ての公営住宅にかえてもらいたい、こういう要求が出ておるはずです。で、私たちはたとえば都会地でない、まだいなかの県よりも、まあそういった環境から土地取得も容易であるから、木造はぜひひとつ残してもらいたいという県もあるかもしれませんけれども、やはり政府の一貫した、今のこの地域差の解消の問題からくる都市建設ですか、そういった一貫の構想からいたしましても、やはり私は先手を打って木造はもう極力減らしてしまう、そうして耐火の不燃率の高い建築構造にしてしまうというようなお考えを持たれることが必要ではないか、と思うが一体どういうお考えですか。
  37. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点は確かに戸数の重要性と同時に重要な問題で、したがいまして三十六年度の不燃率は御承知のとおり五五%でございましたが、三十七年度は苦しい中におきまして不燃率を六十四%というところまで実は引き上げたわけでございます。これはもう恒久性の上からいいましても戸数も非常にわれわれは重視して達成していかなければなりませんが、できるだけ年次ごとに不燃率を高めまして、やはりできることなら百パーセント不燃率に近い将来なるように努力をしていくのがわれわれの使命である、こう心得まして、そのほうも力を入れて、まあ両方一挙に並行して目的を達するということは非常にむずかしい問題でございますが、それをかね合いながらその辺に留意をして努力をいたしているようなわけでございます。
  38. 内村清次

    内村清次君 少しまだ熱がこもっておりませんが、住宅局長、今のそういった考え方に対する地方の要求度合いというものをいま少し具体的に説明していただきたい。
  39. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 住宅の不燃化の問題につきましてはこれは質の向上というだけでなしに、防災上の観点からいっても当然推進していくべき大きな目標であるということで、われわれは常に努力を続けているわけでございますが、特に公営住宅につきましては、今大臣からもお話がございましたように、来年度において約一〇%の不燃率を上げるということで特に重点を置いたわけでございます。その実施の仕方といたしましては、いろいろ各地からの要望もございますけれども、何といたしましても、大都市から始まっていかなければなりませんので、主として五大都市を不燃化する、それからさらに災害の常襲地帯というようなところに重点を置きまして、こういうようなところから漸次不燃化を推進していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。特に木造がまだ相当残っておるという点につきましては、これは計画をする中で、残りは木造ということになるのでございまして、まだ相当戸数ございますけれども、地方の実情をわれわれがキャッチしておる段階におきましては、やはり小さな町村に至りますと、まだまだ木造でなければ困るというような町村もございますので、それらの点もあれこれ勘案しながらできるだけ不燃化にもっていく、また実行上もできるだけこの率をさらに上げていきたいということでいろいろ工夫をこらしておる次第でございます。
  40. 内村清次

    内村清次君 まあ、少なくとも私が最初見通しで言いましたように、まだいなかの土地取得のしやすいような県はまだ木造でなければ困る、困るというような表現は、どうも私は通じませんけれども、これはやはり行政指導の任にある住宅局長のほうに、やはり少し先を見通して指導してもらわないと、困るというような言葉で報告されてもらうと、どうもちょっと私はふに落ちぬ、と申しまするのは、確かに大都市においてはもう不燃化建築をおそらくまあどういう内容で何%、たとえば八〇%、七〇%の戸数は全部不燃化でやるんだ、鉄筋でやるんだというような御構想か何か、これはあとでお話を願いたいのですけれども、私が資料をとりましたところによりますると、三十六年度のある県の建設の実績を見てみると、二戸当たり木造建築には約五十万円、鉄筋は約九十万円、ところが用地の使用面積が一戸当たり木造で約五十坪、鉄筋では約十八坪です。そうすると建築費の差額が四十万円であるけれども、用地費が三十二坪だけ得をするから、四十万円割る三十二、つまり一万三千円の用地費以上のところではどうしてもやはり鉄筋のほうが得をするんだ、こういうやはり計算を出し、そうして家賃の上がりの理由といたしましても、公営住宅の家賃計算は、国庫補助金を除いた建築費の償却費と若干の管理、補修費を加えたものであるから、償却年限は木造で二十年でしょう、鉄筋は七十年、こうやった計数から考えてみると、やはり家賃は安くしてでも鉄筋のほうが耐久力もあるしいいのだ、また土地取得も容易である、こういうような計算になっているんですね。そうしてみると、やはり土地取得しやすい県においてもそうやった指導を早めに打って、そうしてこれだけ約束された三カ年計画の戸数だけは、より以上建てるようなやはりここに決意を示していただかないと、もうすべての公営住宅そのものが政府施策住宅といたしましても、建設戸数の総数、それにプラスの民間自己建設の、池田さんが言う二倍建つというような簡単な言い表わし方、そういったことで十カ年に一千万戸建つというようなことは、私はこの一事を政府が忠実に熱意を持って実行するかいなかによって、私は一千万戸、一世帯一住宅の政策というものが信用できるかどうか、こういうようなことに私たちが考え、国民が考えていくべき筋合いのものであると、こう思うんですが、これができないようなことでは、政府の看板は全く私は看板倒れだ、国民を欺瞞するものであると、こう断定をしなけれならないと思うのですがどうですか。
  41. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 不燃化の問題については大へん熱意がないようにお取り下さったことは、私の言葉の少なかったせいかと存じますが、まことに遺憾に思う次第でございます。実は不燃化の問題につきましては、単に公営住宅のみならず政府施策住宅についてはできるだけこれを上げていくという、これは従来からの強い方針を強力に前進させたいということで、われわれは非常に熱意を持って進めているつもりでございます。  特に公営住宅について六四%という数字になっておりますけれども、こういうものも先ほど申し上げましたように、また工夫によってさらにこれを実行上は上げていきたいということで、公共団体に対しましても強く働きかけて、できるだけ不燃化にしてくれということで、強力に指導をやっているわけであります。  単に公営住宅のみならず公団住宅については、もとよりこれは全面的に不燃化でございますが、公庫住宅につきましてもこの不燃化の率を少しでも上げていこうということを考えまして、特にこの前の災害の際におきましては、単に木造の復旧だけでなしに簡易耐火、不燃化の建物が建てられるような道を講じますし、それに応じて各種の金額等もふやしておった。償還期限もこのたび御審議をいただく法律の改正によって、償還期間を長くしてバランスをとっているというような、いろいろの措置におきまして不燃化を推進していきたいと考えたわけであります。また防災街区造成事業等の執行によりまして、さらに一そう不燃化を進めていきたいということを考えておるわけでありまして、われわれは、不燃化に対する熱意というものは決して少ないものとは言えないと思っている次第でございます。
  42. 内村清次

    内村清次君 私があまり質問の時間をとると、ほかの方が質問できないようですから、まだたくさんありますけれども……。きょうは大臣予算委員会もちょっとお休みだから、腰を据えて冷静な頭でしっかり決意を述べていただくのにいい機会だと私は思っております。時間を取るとほかの委員の方に御迷惑をかけますから。  ただ公団住宅が先ほども言いましたように非常に家賃が高い。これはたとえば諸材料の値上がりという問題もありましよう。それから用地費その他が幾らか値上がったということもありましよう。が、まだほかに何か原因があるはずですが、大臣はお気づきでありますかどうですか、どうしでこんなに家賃が高いのか。   〔委員長退席、理事村上春藏君着   席〕
  43. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 結局建築費の単価でそうならざるを得ないほかに、何か欠点がございましたら、私ども、もしそういう努力の足らざるために家賃が安くできないという事情がありますれば、気のつく限りは努力をして参りたいと思っておるわけでございます。
  44. 内村清次

    内村清次君 いや、気のついてもらわないと困る問題ですがね。それは資金の問題ですよ。これは一番大事なのはコストじゃないですか。その点で何とか御研究なさったことを一つ御発表なさって下さい。どうも投入されるところの資金というものが、政府施策住宅の中でも資金関係の構成というものがどうも高くなっておる。
  45. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かにこの住宅公団の資金コストの問題というのは、これは基本的な問題で、大いに関心を払わなければならない大事な点であることはお説のとおりでございます。現在四分一厘でございますが、実はこれを下げる方法があれば下げてもらうようにいたしたいということで、いろいろな検討を実はしているわけでございますが、農村とかあるいは農村のほかの住宅の問題とかの関係もございまして、他の資金コストとの比較上、なかなかどうもこれ以下にということには成果をあげにくい事情にありまして、現在四分一厘ということで落ちついておるわけでございます。何か国の財政事情その他、他の資金コストとの関連上、やれるきっかけがあれば、一つコストの問題はわれわれ努力をしていきたい熱意は持っておるわけでございますが、そういう事情にあるわけでございます。
  46. 内村清次

    内村清次君 この点はいま少し、住宅局長でもよろしいですが、政府投資の資金の割合ですね、これの分析を一つ説明してもらいたい。私は利子の問題は、それはもちろん大臣が今言われたように、各般に、たとえば産投資金の利子の問題にいたしましても、利子というものをこれだけにうんと安くせいというようなことは、これはこの委員会でも無理でございましようから、その点はあまり、これは全体的な問題といたしましては申し上げますけれども、公団の利子だけは安くせいと、そういうことはあまり大きく声をあげられない問題です。が、しかし、資金の構成という問題は、大臣はやはりお考えになっていただかないといけないと思うのですね。その点を一つ局長からお話願いたい。   〔理事村上春藏君退席、委員長着   席〕
  47. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 公団の資金の関係につきましては、たとえて言いますると、賃貸住宅に例をとって御説明申し上げますと、たとえば三十七年度の予算におきましては、この中の資金に入って参りますものが、出資金と低利資金でございます。出資金は約九十五億円、それから低利資金が百八十二億円、出資金はもっともこれは利子はつきませんが、低利資金は六分五厘で借りてくるわけでございます。このような比率によりまして、先ほど申し上げました四分一厘ないし二厘程度の資金コストというものでやっているわけでございまして、要するに出資金がさらにふえるということになりますれば、資金コストは下がってきてもよろしいということになるわけでございますが、これは大体出発の当時からこの程度の資金コストでとにかく実行していこうということで参っておりますし、さらに出資金を飛躍的に増加するということも、いろいろ国の財政上からもなかなかむずかしい問題がございますので、従来はこのような比率で一応資金構成というものを考えておる次第でございます。
  48. 内村清次

    内村清次君 今回の政府の財政投融資の状況を見てみますると、住宅問題に対しましては一千二百二十億円、それが中小企業一千百四十一億円、運輸通信が一千三十三億円、生活環境整備が九百八十四億円、それから基幹産業で八百十四億円、もちろんその住宅の財政投融資が一番額が多いのです。多いがその反面、一般会計から出したところの予算というものは、もうこれは少ない。そうするとだんだん住宅対策というものは、財政投融資関係で、もうまかなってしまうのだ。たとえ家賃が高くなってもするのだという、もう政府住宅対策に対する資金の問題に、一つの限界を示したのじやないかと私たちは心配しておるから、こういう質問をしておるのです。そういう点も詳しく一つ大臣御研究になっておられるかどうか。  とにかくまあ公団は、先ほど言ったように窓口に十倍も二十倍も、どうかすると百倍も希望者が殺到するというような状態であるから、たとえ家賃は高くても、そういった状態だからとにかく建てなさい、建てなさいということだけで済むのかどうか。で、まだ私は具体的に申し上げますならば、一体今の公団住宅で、大体七千円見当です。そうすると電気、ガスを入れますと一万円です。それに応募資格というものは一体幾らの限界にしておるか、こういう点から考えてみますると、これはなかなか、低所得階層の人たち公団住宅を望もうとしても望めないという状態が、ここにもうはっきり出てきているわけですね。希望者は多いし家賃は高いし、自分の収入は低い。しかも応募資格にも抵触するというような階層の人たちは、私たち相当大きいと思う。だからして、結局公営住宅を望んでいかなくちゃならぬという現況でしょう。作ることはできない、こうなってくると、住宅問題は、やはりそこに低家賃のところに集中せざるを得ぬという状況です。それに政府のほうでは、やはり高い利息の投融資をやって、とにかく政府が出した施策住宅等の一環としての公団、建てなさい、こういったことでは、私は国民に忠実なサービスのあるところの政府住宅対策ではないと思うのです。  この点は、よくひとつ大臣検討していただきたいと思うのです。もう私は検討されておると思うのですがね。
  49. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはもう検討どころでなしに、三十六年度予算編成の際にも、だいぶ大蔵省とやりとりいたしまして、結局他の資金コストとの関連上うまく参りませんので、実は私どもとしましては、これが家賃を下げる道がほかに何かあるかということをせんさくをしてみますと、まだ工夫の余地があるかと思いますが、まあ工法の改善ということに目をつけておるわけでございます。  御承知のとおり公団住宅一定の規格住宅でございます。コンクリートを打ちますのに板で作ったワクでやっておるわけでございます。これは三回使いますと、そりがきたりなんかして使えなくなります。そこで、そういった板を使用している従来のやり方でなしに、鉄板で、一ぺん作ったら何十ぺんでも何百ぺんでも使えるような道を講ずると、コストが非常に下げられるのじゃないかというようなことで、今、それはためしに、八幡製鉄と連絡をいたしまして、試みを始めておるわけでございます。その他工法の研究、合理化等まだあるかもしれませんが、そういったこと、あらゆることで、とにかく現在入居される人たちが、家賃には相当重圧を感ずるわけであるということはよくわかりますので、何とかコストの引き下げができる道はないものかということは、実は怠らずわれわれも注意を払っておるわけでございますが、なおひとつお知恵を、できれば今後も拝借しながら、最善を尽して参りたいと思っております。
  50. 内村清次

    内村清次君 時間をとりますから、ほかの委員の方がお気の毒になってきたから、あとの機会に譲ります。  ただ一つ、私は道路関係に聞いておきたいのです。これは資料を取りました関係から、資料をずっと見てみますると、武内委員が大体総括的に質問されておりまするから、私は具体的に、何回も聞きたいと思うのですけれども、ただ一点にしぼってお尋ねしたいことは、この道路整備五カ年計画で、今の資金構成では、大体やっていけそうだと私も考えております。がしかし、大臣、その資金の問題については異論がありますよ。それは九千六百億も、みなガソリン税に依存しておる。今回でも百五十億だけ、それは予備分を含ませて百五十億ですが、それだけの一般会計の予算では、私たちは不満な点があります。ただ自動車が増加してくれば、それに従って揮発油税が上ってくるのだから、それに依存していこうじゃないかというやり方というものは、私はこの産業の基盤の道路を先行投資でやるというような気がまえじゃないですね。そういったことでなくして、やはりがっちりした一般会計を大半ひとつ入れていただいて、そうしてじっくりした道路計画というものを、五カ年計画というものを遂行してもらいたいというのが私たちの希望です。  ただ、この地図を見てみますると、大体一級、二級、それから地方関係の三十七年度の伸び率を含めまして、確かに四十年までには、何とかいきそうだという感じはします。感じはしますけれども、その間に局のほうの、何といいますか、舗装の査定といたしまして、裏日本の道路が非常にあいておる、同じ一級国道でも二級国道でも。そうやってくると、私たちはやっぱり日本国民として、非常に地方産業開発から、住民生活の問題からいたしまして、これは国土総合開発なんという言葉に沿わない問題がありはしないかと思うのです。で、一つの舗装計画をなさるについて、一体どういうような基準をもって計画をしておられるのか。その基準をここにひとつ明確に、どういうふうな基準で順序立てて、舗装をやっていくんだ、改良をやっていくんだという御計画立てておられるかどうか、この点をひとつ、明確に御答弁をしていただいて、質問を終わります。
  51. 河北正治

    政府委員(河北正治君) ただいまの御指摘の点でございますが、なるほど三十六年度末現在、それから三十七年度の裏日本と申しますか、そちらのほうの方面の舗装事業費は伸びておりません。実は、これはまだ改良が進んでいないからでございます。今、目下四十年までに、一級国道はほとんど舗装までさしていただくという予定にしておりまして、それに合わせるべく、裏日本のほうは改良に重点を置いておりまして、改良が進み次第、逐次舗装をしていきたい、そういう工合に考えております。それから二級国道につきましても、これは十カ年でおおむね舗装まで完了するという計画のもとにやっておりまして、これもやはり、表日本の特に交通量の多い地帯は早期に改良もし、舗装もできておりますが、同様に裏日本のほうにいきましても、改良に目下重点を置いて工事を進めておるという関係で、舗装の伸び率が比較的裏のほうでは薄いというような現象が三十七年度に表われている、こういうことに考えております。
  52. 内村清次

    内村清次君 今、改良に重点を置いておるとおっしゃるんですが、その改良費の使い方は、ほとんど裏日本のほうすか、どうですか。
  53. 河北正治

    政府委員(河北正治君) ほとんどという……数字の率の問題でございますが、私どもといたしましては表日本、それから交通の特に多いところには、重点的にもやっておりますが、四十年までに一級国道の整備をおおむね終わらせるためには、改良費もやはり裏日本の改良度のおくれている一級国道のほうに重点的に振り向けていかなければ間に合わない、という工合に考えております。
  54. 内村清次

    内村清次君 まあ、その答弁ではそういう理屈の答弁しかできないはずです。ところが、このいただいた資料を見てみましても、相当一級国道、二級国道におきましての改良、舗装と、そのおくれがあまりに明確になっている。それは現実の問題で、ただ地図で見るばかりでなくして、私たちが各地方に行きまして調査をいたしまして、これは現実の問題です。それからくるところのそこの開発、そこの文化程度というものが、大よそもう、たいへんなおくれで私はおくれておるんじゃないかと思うんですが、それを四十年までに全部やるというんですから、あと二、三年お待ちなさい、そうなったならばひとつやりますよ、というような言い方ですから、住民の方々もそれを期待して、一日千秋の思いで期待しておられると思うんです。しかし、やはりその進行度というものは、今言ったように文化の大きな発展の立場からいたしましても、予算の使い方というものの重点が、私はやっぱり均霑してお使いになっていかないと、また、それだけの御答弁では、どうもまだこの御答弁を通じて、裏日本の住民の方々が納得できないと思うんですがね。どういう基準で道路局というものはやっておるんだというような……。まあ、改良を今までしてなかったんだから、この改良を今やってるんだから、といっても、この地図を見てみましても、一体それでは、どこどこにどれくらいの予算をやっておるか、まあ資料を下さいと、こうならざるを得ぬような御答弁ですよ。何か基準があるはずですね、道路局では。
  55. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 御指摘の点に反するかとも思いますが、しかしたとえば、例をあげさしていただきますと、富山県、石川県といったようなところの一級国道の改良率は、全国平均に比べまして、そう大差がないように考えております。  したがいまして、たとえば北陸三県について申し上げますと、今後の一級国道の改良費というものは、舗装費というものは、新潟等に大幅に入れていって、四十年度末完成に問に合わしたいという工合に考えております。
  56. 内村清次

    内村清次君 この七号道路の一級国道をひとつ見てごらんなさいよ。秋田県のもあいておりますよ。山形県でもうんとあいておりますよ。先ほど言われました富山県、石川県、確かにそのとおりです。これはあなたの言われたとおり、ここは相当詰まっておりますけれども、しかし新潟県、それからずっときまして鳥取、島根あたりは、ずらっとですよ。で、この間私は、これは国民も見られたと思いますが、テレビではっきりと山陽とそれから山陰の暗いところ明るい面、これははっきりと道路の面から産業開発の面のテレビが出たことは、局長も見られたと思うんです。国民も見てわかっている。そうやって七号国道ずっと見てみましても、相当あいています。だからそれがただ、今改良中であるから、四十年には必ず全部舗装やりますというような答弁だけでは済まないのじゃないのですか。まだほかに基準がありはしませんか。
  57. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 一級国道の改良につきましては、四十年度末を目標にいたしておりますので、今御指摘の秋田とか山形、おくれているところは、それだけに今後四年間に大幅に予算を投入いたしまして、そのペースに合わしていきたいという工合に考えております。  なお、個所ごとのこまかい問題になりますと、具体的にA市からB市を四十年までに間に合わすには、毎年度の計画はどのくらいの目標にしていけばいいのかというような、こまかい個所ごとの積算からいたします。
  58. 田中清一

    ○田中清一君 関連でございますが、先ほど建設大臣が、鉄筋コンクリートの住宅を建ててやりたいという熱意はあってもコストが高くなるというようなお話がありましたので、もちろん今までの、その木造でこしらえるパネルでやりますれば、なるほど三回ぐらいで悪くなってしまって、ほとんどあと修理しても、なかなか使いにくい。私も鉄筋コンクリートの相当坪数をやっておりますから知っております。それで鉄板で今後おやりになるということ、これはけっこうなことで、非常にいいことだと思います。それでコストは、なるほど長年使えますから下がります。それよりも、これは村上さん御存じでしょうけれども、この骨材の砂利がほとんどないのでございまして、この付近でも、どこを見ましても、鬼怒川を見ましても、利根川を見ましても、多摩川を見ましても、ほとんど砂利などない。砂利を取り過ぎて堤防も橋の詰めもくずれるというような始末であります。その他静岡県へ行きましても、もう狩野川は全然取れません、黄瀬川も取れません。わずかに富士川で取れますけれども、これもだんだん取りにくくなる。その他安倍川でも取っておりますけれども、これももうほとんど取れないようになります。大井川は大井川で、上流にどんどんダムができていきましたら砂利はこなくなる。天龍川はなおさらもう取れない。  こういうふうに考えてみますと、この付近では取れなくなるのですが、これがわずかに、将来半永久的に取れようと思うのが、富士川の身延から奥でございます。それで私は、中央道のことを言っているから言うのじゃありませんけれども、中央道を作れば、一時間範囲で富士川の身延から奥のほうの川原で、あれは本流と早川との合流で、これはおそらく何千万立米でもとれるところがあるわけです。ですから、ただ道を作れば、道をとるということじゃなしに、そういったような便利がどんどんできてくる。それからして天龍川においても、もう秋葉ダムなどでは、これはとれることは皆さん御承知のとおりですが、どれだけとれるかということは、そこから出てくる砂利はしれたものであります。今後道路を作ったり、建物を建てたりするというようなことに対しては、非常な無尽蔵の骨材が要る、砂利が要るわけでございます。それで現にたとえば天龍川に去年押し出した泰阜ダムの上流、ダムを切ってとってしまわなければならぬと思うほどに砂利がたまっちゃって一千万立米とかいうのでございまするが、もし中央道ができておりましたならば東京へ  一時間半、名古屋へは四十分くらいなところで、それが行けるわけであります。  御承知のように、今はもうコンクリートは途中で練って、そうしていって、建築場へ行ったらあけて、そのままさっと使うというのです。それからまた、そういうような一千万立米も今たまって、それをどうしよう、こうしようというのです。おそらく日本の政治家も、学者も、みな実業家も、その付近の町村はなおさらのことですが、頭痛の種です。それは大きな国家の大資源で、ちょうど宝の山がそこへ来たようなものです。だから道を作りさえすれば、そういうものが利用できるのですから、そこで道を作るのだ、人を乗せて、車を走らせて、その車が一キロ五円とか、十円とかいうような、そういうけちなことを考えないで、国家の大資源を生かして使うようなことを、この際、ちょうどお話のついでですから御進言申し上げておきます。
  59. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は骨材の問題は、われわれも現状にかんがみまして憂慮をいたしておりますので、実は計画局が中心になりまして、この問題の根本的な調査研究をやることにいたしております。少し手おくれの感はございますが、今年度から活発にその調査、研究をいたし、かたがた需給調整の問題、それからこうなって参りますると、ある程度砕石の検討等もいたしまして、これのコスト・ダウン、こういうようなこともありまするし、全部あわせてひとつ具体的な検討をいたしたい、こう思っております次第で、できるだけ御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  60. 小平芳平

    ○小平芳平君 住宅問題について非常な関心をみんな持っているのですが、先ほど来の内村委員の御質問に対する御答弁でわかりました点が多くありますから、ダブってお答えしていただかなくてけっこうですが、若干御質問いたしたいわけであります。  先国会宅地造成等規制法というものを審議しましたときに、そのときにやはり宅地の問題は、ただ規制するだけで解決できるものではない、むしろ政府の総合政策、総合対策というものが立てられないことには解決できないではないかというような意見が述べられまして、その際、建設大臣からは、今日の段階においては宅地造成法というようなものを、この次の国会に出そうというように、検討中であるというような御答弁があったように記憶しておるわけですが、今度の場合は、宅地制度審議会というこのほうをお出しになって、宅地造成法というようなものはお出しにならないのですか。
  61. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は宅地造成等規制法のほうは造成を押えるのじゃありませんで、御承知のとおりがけ地あるいは切戸等によって宅地造成します場合に、安全度を高めていくということが目的でございまして、安全度を高めることによりまして需要もふえ、あるいはまたさらに開発地域もふえていく可能性もあるわけであります。そういう方向に向かっておるわけでございます。公団宅地造成法のような考え方、これは私、就任以来事務当局と相談をいたしまして、いろいろな議を練って参ったのでありますが、現在われわれの所管に与えられておりまする住宅金融公庫の資金によって、地方公共団体に合理的な宅地をできるだけ多く作ってもらい、そうして安く供給を、利潤なしの宅地供給をしていただく、あるいはあわせて住宅公団にも同じようなことをやっていただくということが、当面宅地造成としては手っとり早いことで、これに重点をおきまして三十七年度、規模も相当に広がったわけでございますが、一般民間の宅地造成ということになりますと、これは先ほど内村さんの御質問にも、初めのころにお答え申し上げたように、各種の法律問題に遭遇し、あるいは税制上の問題に遭遇し、税制にしましても、税について特別な措置を講ずれば、均一課税というような税理論の根本にもさわってくる問題がありますので、とてもこれはやろうといたしまして、いろいろな案を考えてみましたが、いずれも理論上衝突をする点が多々ございますので、なかなか建設省だけの能力では、おさまりきれない点が多くなったわけでございます。  そこで建設省で今までの検討の結果持っておりまする問題点法律学者あるいは税制の学者、学識経験者方々にお集まりいただいて、急速に御討議いただいて、そうしてできることからしぼって、宅地造成法という形でいきますか、どういう名称でいきますか、考え方としましては、そういった構造の立法措置を講じたい、こう思っておるわけで、考え方は捨てたわけではございませんが、手順として、実はそういうようなことに相なった次第でございます。
  62. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、その点についてはわかりました。先ほど来の御答弁宅地問題を早急に解決しようという御熱意でありましたから、ひとつ非常なこれは重大問題でもありますから、御熱意をもって、さらに推し進めていただきたいと思うわけなんです。さしあたりの問題としては、宅地造成の規制をする、それとあまり直接に関係ない、むしろそれと直接関係なしに、公庫の融資、それから公団宅地造成でありますか、そういう点が、直接さしあたって三十七年においても有効になるわけですから、そういう点について、やはり規制法を審議したときに、住宅局長から、三十七年度においては相当宅地造成についての予算要求もするし、またその公庫の融資のほうも考えておるというようなお話でありましたが、結果としてどうでしょう。
  63. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 結果といたしましては、私ども大いに努力をいたしました結果、三十五年から三十六年度には約二倍ないし三倍に飛躍的に増加した。その増加いたしましたものに対しまして、三十七年度にさらに五割程度増加している。こういうことでございまして、相当程度宅地造成面積の増加ということがあるというふうにわれわれは考えている次第でございます。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのときの住宅局長の御答弁では、要求としては二倍、三倍の要求をするつもりでいるというふうなお話であったように記憶しておるのですが、そういう点から考えると、まだまだ足りないということですか。
  65. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) おっしゃるとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、三十六年が飛躍的に上がっておりますので、絶対値としてはある程度増加されたというように了承しておるわけでございますが、まだ決して十二分とは申し切れないと思っております。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 同じく住宅問題で、改良住宅でありますが、これは最初の年が四千戸で、今年度が四千五百戸。今年度は二年目に当たるのでしょうか。そうですね。改良住宅に対する考え方として、当時の住宅局長は、非常に期待をしておる。ぜひこれは実現していきたい。ただ四千戸という数が、初年度としてあまりにも少ないことは残念なんだが、考え方またやり方は非常にいいことなんだというふうなお話をしていたわけなんです。初年度は四千戸で、第二年度としての三十七年度が四千五百戸と、五百戸ふえているわけですが、それで、もっとこの改良住宅をふやす必要があるか、それとも今日の段階としては、改良住宅は五百戸増くらいでよろしいか、そういう点はどうですか。
  67. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) お話のとおり改良住宅事業と申しますものは、できるだけ多くやりまして、そしてすみやかにスラム街を解消していくということを原則としておるわけでございます。しかしこの事業の非常に困難な点は、今のお話でも御指摘がございましたように、まず清掃から始めますために、いろいろの地元との関係とか、権利関係とか、いろいろ紛争がございまして、なかなか進捗しないのでございます。そこでこれを推進していくためには、やはり何といたしましても予算上の措置が十分であって、それによって地元がやりやすくなるということがまず第一歩である。もとより戸数をふやすということも大事でございまするけれども、進捗しないことにはどうにもならぬ問題でございます。そういうことで、三十七年度におきましては、一般の公営住宅考え方よりもさらに一歩進めまして、非常に困難性があるということからも考えまして、特に戸数は五百戸程度でございますけれども、用地費等におきましては、場所柄等も考えまして、五五%の増加をいたしまして、そういうような予算単価の引き上げによりまして、できるだけしやすいようにというような方向に重点を置いているわけでございます。そういうような状況でございますので、五百戸で私どもとして決して十分とは申せませんけれども、事業の進捗とにらみ合わせて考えますると、まずこの程度が適当ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 もっと希望としては相当数に上っているのじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  69. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 私どもは、希望といたしましては、さらにもっと大きい戸数の建設をやりたいと考えているのでございますが、先ほど申しましたように、何分にも現在あるスラム街を清掃いたして、そこに建設するという二段がまえの事業でございますので、実際問題としてなかなか進捗しないという実情がございます。そういう点で、やむを得ない戸数であるというふうに考えている次第でございます。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 直接スラム街と関係するわけではないのですが、伊勢湾台風の被災者が、すでに三年になりますが、いまだに仮設バラックのようなところに相当住んでいるのです。そのバラックの周辺は、このように何十日もかんかん日照り続きが続いているのですが、しかもそのバラックの庭続きには水がたまっている。それで非常にくさい。そういうような悪い環境の中に、相かわらずバラックの中に住んでいる。近いうちにそれは取りこわしになって、全員どこかに行かれるらしいというようなことは言っておりましたが、そういうような災害のあとが、まだ何だかそのときの水が残っていはしないかと思われるような、それほどの感じを受けるところに、そういう人たちが住んでいる。そうしてその辺の住宅は、どんな住宅が建てられているかといえば、先ほどの御質問のような不燃率に関係するわけですが、公営住宅らしい建物は耐火建築で建てられてありますけれども、そのほかの民間住宅は、もう相かわらず伊勢湾台風の水につかったものをちょっと補強した程度で住んでいる。また新しく建築している人たちも、特別耐水耐火建築をしているようにも見えない。こういうような点が非常にまだ立ちおくれているじゃないか、心配になるじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  71. 斎藤常勝

    政府委員(斎藤常勝君) 今のお話の、伊勢湾台風の跡始末の具体的な個所につきましては、私も承知しておりませんのでございますが、災害がありまして、その跡にただちに建つものは大体応急復旧住宅でございまして、これは厚生省所管で建てられる、まあバラックのようなものでございます。そういうものに入っております者を次に吸収していくために、われわれは災害公営住宅を建てて、逐次それに吸収していくということをやっているわけでございます。それからまた一方におきましては、公庫におきまして融資をいたしまして、個人に対する融資によって建設または補修ということをやっていただきまして、そうして災害の復旧に努力していただく。こういう制度をやっているわけでございますが、ただお話のような、水がたまっておって、環境の整備が十分でないという問題につきましては、いろいろの排水の問題もございましょうし、そういう点につきましては、建築上の関係では、そういうことのないように建築指導はやっているつもりでございますけれども、何分にも資金を要するというような点につきましては、今申しましたような措置によって補完していくということでやっている次第でございます。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 実際、現地は非常にお話にならない環境なんですが、この点については、住宅局としては、用地の問題として手を打っていかなければならないと思いますし、それからなお建設省の各局に関係することと思いますが、できるだけ住みいい環境を作っていくように、まだまだ工夫のしようがあるのじゃないかと思います。そういう点で、ひとつ大いに関心を持って早急にそういう点を総合計画してやっていただきたいと思う次第なんです。  それから、たいへん時間がありませんもので、河川局の関係でありますが、昨年十月でありますか、大分県下の災害視察に私ども参りまして、そうして帰ってきてから当委員会報告いたしました中に、地元の要望として、設計単価が低過ぎて困る。実際労務費が値上がりする、また木材等の資材も値上がりする、そういうような建設省のほうで認めるワクでは、とても低過ぎて復旧が困難であるというような要望があったわけでありますが、そういう点について、まあ復旧に限らず予算を組む場合の単価について建設大臣から、これは河川に限らず、道路も住宅も問題になるわけでありますが、どのような方式でお立てになるか、また将来改善していかなければならない点がありはしないか、そういう点をお伺いしたい。
  73. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は建設省の所管いたしております諸般の工事につきましては、近来労務費その他の関係もございまして、建設を請負われる業者の方々もたいへん苦しんでおる面がありますことをわれわれ承知いたしておりますので、設計、工法その他あらゆる角度から、無理な苦しみのないように実施をいたしたいということで、省内におきましても、この問題については、しばしば会合をして検討をいたし、また現地の建設局等に対しましても、現在適切な施工をやるように指導いたしておるのであります。今後とも一そう、この点に留意いたしまして、最善を期して参りたいと思ってやっておるわけであります。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少し具体的に事務当局から。
  75. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 災害が発生いたしますと、その復旧につきましては、査定の設計書を作りまして、それをこちらから査定官が参って事業費の決定をやるわけでありますが、その場合に、これは何に使うかといいますと、事業費の決定は、主として国庫負担率の算定基準とする、こういう考え方で査定をやっておりますので、その基準はPWによっております。しかし、その決定いたしました事業実施いたします場合には、その工法はもちろん、査定官の決定いたしました工法によりますけれども、実施の単価につきましては、適正な実施可能の単価を適用いたしまして、それで仕事をやらしておる、こういう現状でございます。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 その問題はPWなんですが、今の説明ですと、PWによって予算を組んで、実際やる場合はどういうふうにやるとおっしゃったんですか。
  77. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) PWによりまして査定をいたしまして、それによって国庫負担率は計算をいたします。しかし、実際に仕事をやります場合には適正な値段でやるわけでありますから、予算は適正な値段で組んでおる、そして最終の年度までに、もし予算が足りない場合には再調査をやりまして、その分は補足をしていく、こういうやり方をしております。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 国庫負担率をきめる場合はPWで計算して、そうしてその国庫負担率がきまるから予算がきまるんじゃないですか。何か今の御説明だと、PWできめておいて、予算は別に組むから、予算は十分だというふうに聞えるのですが。
  79. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 国庫負担率がきまりまして、国の負担分とそれから地方の負担分がきまるわけでございます。それを現在のところは四年でやって参るわけでございますが、その各年度に計上いたします予算というものは、実施可能の予算を計上していきます。そうすると、最終年度に、あるいは足りない場合も生ずるかもしれませんが、その場合には再調査をやりまして、もう一度残った事業について可能になるようにいたす、こういうやり方をいたしております。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 災害復旧の場合は、そういうふうに御説明されれば、なるほどそうかとしろうとですから思うだけなんですが、実際、今年度予算は昨年度に比べて相当増加しているようなんです。それで事業費は一・二九となっております。国費も一・二九となっております。この中で、そうした人件費あるいは資材費の値上がりは、どのくらいみておられますか。
  81. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) これは事業によって違うと思いますが、河川事業を総合して考えれば一五・六%くらいになっている、こういうふうに考えています。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしてその一五・六%を出すもととして、どんな資料をお使いになるわけでございますか。
  83. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) これは主として各県の事情を聴取をいたしますが、そのほか、いろんな物価につきまして調査しておる資料がございます。そういうたくさんの資料をもとにいたしましてやっております。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 もろもろの資料を参考にしてとおっしゃれば、あまりはっきりしてないという意味じゃないかと思うのですが、私が申し上げたいことは、このPWというものの性格と、それからこれを廃止したら、どうかという人もあるし、これを廃止したのじゃ、まるっきりよりどころがなくなって困るのじゃないかという意見もあるし、そうして廃止できない、どうしも残しておかなければならないというような、もう少し合理的な方法を労働省のほうでやってくれるように建設省として何か申し入れるなり要望するなり、そういうふうなことをおやりになっているか、あるいは今後やる必要があるか、ないか、そういうことを伺いたい。
  85. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 屋外労働者の職種別賃金につきましては、労働省が調査をする権限がございまして、こによって、毎月勤労統計を出し、またその新しい年度におきましては、新しい年度の当初に労働省におきまして、関係方面と相談して決定するわけでございますが、公共事業実施いたしております建設省といたしましては、現実の工事実施の適正化をはかる上からみましても、また建設業を所管をいたしております立場から見ましても、各種のこの賃金の実勢というものが、予算の積算並びに予算の執行にも内面的には非常に重要な役割を果たしますので、予算の要求当時、あるいは査定当時の段階におきましても、できるだけ早くその資料が得られるように要望いたしますと同時に、また三十六年度につきましは、大臣からも特に労働大臣にお話がございまして、かなり参考にはなったわけでございます。したがって、そういうふうなやり方をとりまして、建設行政の公共事業の執行と建設業の団体の面についての関係の件について、労働省と十分連絡をいたしておるつもりでございます。  ただ、この制度を廃止するかどうかということにつきましては、これはまだ正式な意思表示はいたしておりませんが、法律上これが適用きれておる限度というものは、国の直営の労務ということだけの制限がございますので、要はまあ大蔵省予算の積算の参考になっておる、こういう形でございますので、実情に合うように是正をしてもらうということについては、十分連絡をとり、また意見を述べておる次第でございます。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点あまり私は、十分連絡をとっておられるかどうか疑問に思うわけですが、その点はその点として、今後必要なものならば、そういう悪評を招かないように検討していかなければならないと思うわけなんです。  それからもう一つ、道路局の関係ですが、高速道路の建設というところです。この名神高速道路、それから中央道、東海道、この三本をまとめて前年度幾ら、今年度幾らという予算が、予算表がそういうふうに書いてあります。この内訳をお聞きしたいと思います。
  87. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 今御指摘の数字は、前年度二百三十九億、三十七年度三百六十二億というものの内訳を示せということだと思います。前年度の二百三十九億は中央道、東海道が着工いたしておりませんので、全部名神高速道路分でございます。それから三十七年度につきましては、大体名神高速に三百十億、中央道に十八億、東海道に三十四億という程度のものを考えております。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで東海道と中央道と比べた場合に、中央道が約半額ですが、これはそれだけ事業がおくれるわけですか。
  89. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 中央道につきましては、五カ年計画で約四百億予定していたかと思います。それから東海道におきましては八百四十億だったと思いけすが、予定しておりますので、三十七年度も大体そんな割合で考えていきたいと、こういう工合に思っております。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 その五カ年計画は、東海道八百四十億、中央道四百億というこの五カ年計画は、今後とも動かないわけですか。
  91. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 現在のところは、ただいま申し上げた数字を目標としております。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 かえってこの中央道のほうが、山岳地帯に建設しようということになれば、早目早目に手をつけていかなければ間に合わないんじゃないかと思うんですが、五カ年計画としては、東海道のほうへ重点がおいてあるから、中央道のほうは少ないのだ、こういうわけですね。
  93. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 五カ年計画で一応予定しております分は、東海道は東京−名古屋間でございますが、中央道につきましては、目下のところ、東京−富士吉田間を考えております。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほどの内村委員の御質問にもありましたように、そういうような後進地域、山岳地帯あるいは裏日本、そういうほうの道路建設がやはりおくれるわけです。先ほどの御説明だと、あまりおくれないような御説明でもあったように聞えましたけれども、また、そのほか、高速道路も、東北あるいは九州、北海道、それぞれの高速道路の調査もおやりになっているわけですから、至急におくれないように進めていかなければならないと思うんです。
  95. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 先ほど一級国道、二級国道について申し上げましたが、一級国道は四十年を目標にいたしております。それから二級国道は十カ年の完成を目途としております。その他の地方道におきましては、経済企画庁で目下検討されております全国総合開発計画地域配分計画というものに、道路整備五カ年計画も、これにのっとってきめていきたい、そういう工合に考えております。
  96. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。  他に御質疑もないようでございますから、予算関係並びに建設行政基本方針に関する調査は、一応この程度にして終了することにいたしたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時九分散会    ————・————