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鳥畠徳次郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、
昭和三十四年度
一般会計歳入歳出決算外三件につきまして、
審査報告書のとおり
議決することに賛成するものであります。
ただ、私はこの際特に次の諸点について
政府及び
政府関係機関の当局並びに
関係者の注意を喚起し、あわせて希望いたします。
決算を
審査して毎年
政府に警告を発しておりますが、これがどのくらい
政府によって尊重され、かつまた改善されまして、それが行政運営の施策の面あるいはまた財務処理の面に具体的にどういうふうに現われたか、また行政や
財政がほんとうによくなっていくのでなければ、われわれ
決算委員会の
審査や
政府に対する警告も徒労に帰するのであります。
総理大臣初め各省大臣は、
決算については特に留意されておるやに承りますが、ただいまの
審査報告書にもありましたとおり、まだまだわれわれは不満を禁じ得ない点が多々あることはまことに遺憾とするところであります。
国民の
血税の結晶であります
公金が適正にかつ効率的に使用されますためには、まず
予算編成の段階におきまして最も合理的でなければならぬことは言うまでもないことであります。特に最近の実際を見ますと、
予算編成が最後の追い込みと申しますか、わずか一週間かあるいは十日間というような徹夜作業によって最も短時間の間にこれが
結論に入るというようなことで、そしてみんな顔立てを少しずつやる、いわゆる総花的な
結論に入るというようなことが多々あるように伺えるのであります。これらの慣例からこれを
執行するにあたりましても、おのずからそこにまあ乱費とは申しませんが、乱費に近いというような非常に効率が下がってくることもしばしば見られるのであります。少なくとも重要事項の
予算については、もっと真剣に慎重にほんとうのにじみ出たエキスのようなものを十分に計上するように
予算の
編成の合理化を要請するものであります。
次には
綱紀粛正の問題であります。ものには物心両面があることは言うまでもありませんが、財務の
執行におきましても、
制度や運営の仕方を組織化し合理化することの肝要なことはもちろんでありまして、今さら言うまでもないことであります。しかしながら、これを運営するものは結局人であります。その公務員がほんとうに
国民に奉仕するの
精神に徹し、
公金を尊重するの観念に徹しなければ、完璧な
制度も絵にかいたぼたもち同様であります。公務員のこの
精神こそが高揚さるべきであって、いやしくも弛緩することがあってはなりません。
近年
会計検査院の指摘事項が表面は幾分か減りつつあるようでありますが、それも単に氷山の一角にすぎぬのであります。不正不当が根底から減っているとは思われません。
政府の首脳部におかれては常に
綱紀の粛正を怠らないことが最も肝要であろうとかように考えるのであります。その支えとしては、
公金に関する刑罰やあるいは行政罰、あるいは懲戒処分を重くすることもまたやむを得ないことと思うのであります。刑法の
改正草案もこの線に沿っていると聞いておりますが、ぜひとも来たるべき新しい刑法に対してはこの実現を期したいものであると考えるのであります。このようにいたしまして、
決算の面から不正不当を一掃することは、それだけ
国民の福祉が増進されることはもちろん、一面
政府が
国民の信頼を高めることであって、当路者の深く反省すべきことと思います。以上が
決算に関して特に注意を喚起したい点であります。
最後に、近年
財政投融資等の問題がいよいよ重要性を加えて参りましたおりから、
政府におかれましてもこの問題がほんとうにわが国の経済その他諸般の
事情に合致するよう、最も合理的な点に御留意あって、資金の効率的使用を行なわれんことを強く要望いたしまして、私の希望といたします。