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1962-04-30 第40回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月三十日(月曜日)    午前十一時三十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     相澤 重明君    理事            鳥畠徳次郎君            林田 正治君            大森 創造君            北條 雋八君    委員            上林 忠次君            木内 四郎君            小林 武治君            高野 一夫君            温水 三郎君            増原 恵吉君            谷村 貞治君            木下 友敬君            大和 与一君            奥 むめお君   国務大臣    運 輸 大 臣 齋藤  昇君   政府委員    運輸大臣官房会    計課長     黒住 忠行君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 高橋 末吉君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    運輸省観光局業    務課長     富田 竜彦君    会計検査院事務    総局第三局長  中島 尚文君    会計検査院事務    総局第五局長  白木 康進君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     兼松  学君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十四年度一般会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度特別会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十八回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和三十四年度政府関係機関決算書  (第三十八回国会内閣提出)(継続  案件)   —————————————
  2. 相澤重明

    委員長相澤重明君) これより決算委員会を開会いたします。  昭和三十四年度決算を議題といたします。  本日は運輸省日本国有鉄道関係質疑を行ないます。なお、昭和三十四年度決算において会計検査院より指摘された事項は、運輸省関係検査報告七十三ページ以下の工事一件、補助金三件、日本国有鉄道は百十七ページ以下の工事一件、物件一作でございます。  まず、運輸大臣より昭和三十四年度運輸省関係決算について説明を求めます。齋藤運輸大臣
  3. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 昭和三十四年度の運輸省における決算大要について御説明申し上げます。  まず一般会計支出済歳出額は三百六十億九千三百七十二万一千円、木船再保険特別会計支出済歳出額は一億二千六十二万一千円、自動車損害賠償責任保険特別会計支出済歳出額は二十五億九千六百五十九万五千円、特定港湾施設工事特別会計支出済歳出額は六十億五千四百六十九万円であります。以下重要施策について御説明申し上げます。  まず貿易外輸出振興といたしましては、第一に、三国間における日本海運外貨獲得と三国間輸送の地盤を強化して日本海運の発展をはかるために、三国間輸送助成金として船舶運航事業者二十一社に対し四億五千九百六十一万二千円を交付いたしました。  第二に、国際空港整備をはかるため東京国際空港における埋立護岸工事及び誘導路エプロンの舗装、現滑走路延長工事として九億七千九百二十五万三千円を支出いたしました。また、大阪国際空港については、二千四百十六万一千円をもって既設滑走路に付随する誘導路舗装工事を実施いたしました。  第三に、観光事業振興をはかるため、特殊法人日本観光協会の行なった対外観光宣伝事業の実施に要した経費の一部に対する事業補助として二億円を支出いたしました。これにより、対外宣伝強化がはかられ、わが国に来訪した外客数は、前年に比較して約二十%増の約十八万二千人となり、その消費額も前年に比較して二十三%増の約三百三十八億円に達し、わが国国際収支改善に大いに貢献いたしました。また、国内の外客受け入れ態勢整備一環としてユースホステル整備を促進するため、ユースホステル整備補助金として三千九百四十万円を支出いたしました。これによりユースホステル全国に八ヵ所地方公共団体により建設されました。  次に、経済基盤拡充強化一環として交通基礎施設整備をはかりましたが、このうちのおもな事項は次のとおりであります。  第一に、一般会計による海湾の整備といたしましては百十億四千七百二万三千円を支出いたしました。これにより直轄港溝改修事業として特定要港海の京浜港ほか四十四港、港湾改修補助事業として東京港ほか三百九十六港、港湾施設災害復旧事業費として過年災分三百十五ヵ所、当年災分四百八十三ヵ所を実施したほか、局部改良事業海洋保全整備事業特別失業対策事業離島振興事業国土総合開発事業奄美群島復興事業港湾施設災害関連事業伊勢湾高潮対策事業及び作業船整備事業施行しまして、国土海岸保全強化失業対策による労働力の吸収、災害復旧災害再発防止並びに輸出振興工業原材料輸送及び沿岸輸送のための輸送力強化をはかったのであります。  第二に、特定港湾施設工事特別会計を設置し、特定港湾施設整備をはかるため六十億五千四百六十九万円を支出いたしました。これにより特定港湾施設工事として、輸出港湾においては横浜港ほか六港、石油港湾においては横浜港ほか三港、鉄鋼港湾においては室蘭港ほか六港、石炭港湾においては苫小牧港ほか八港等の整備施行し、輸出貿易の伸長及び工業生産の拡大に対応する港湾施設整備をはかったのであります。  第三に、ローカル空港整備につきましては、四億四千六百六十一万八千円を支出し、高松は初め十三空港整備促進をはかり、昭和三十四年度において新たに整備に着手した新潟空港及び小倉空港と合わせ七空港完成を見、各地方開発に寄与いたしました。また、新たに離島関係として福江島、大島及び佐波島三空港整備に着手し、土地造成工事の一部を実施いたしました。  第四に、地方鉄道軌道整備といたしましては、地方鉄道軌道整備法に基づき地方鉄道軌道事業者に対して重要な新線鉄道に対する補助として一千百六十九万六千円、赤字鉄道に対する欠損補助として三百八十九万九千円を支出いたしました。  第五に、民生の安定と向上をはかるため離島航路整備法に基づき、離島航路整備補助といたしまして二十六航路事業者に対して三千百三十五万円を交付いたしました。また、離島航路用船舶の建造及び改造資金貸付に対する利子補給として既契約七隻分に対し四百九十一万六千円を支出いたしました。  次に、交通安全確保災害防止のための施策を行なったのでありますが、このうちの主な事項は次のとおりであります。  第一に、海上警備救難体制整備強化につきましては、巡視船艇及び通信施設等整備として三億四百五十九万六千円を支出いたしました。これにより老朽巡視船艇の代替として三百五十トン型巡視船一隻、二十三メートル型巡視艇一隻、十五メートル型巡視艇三隻を建造し、救命滑走艇一隻の整備及び老朽通信施設改良改修等を行ない海難の救助、海上犯罪捜査体制強化をはかるとともに航空機事故救難体制整備をはかりました。昭和三十四年度において、海上保安庁が行なった海難救助は千六百四十八隻、一万一千七十二人であり、また海上犯罪事件は三万二百十七件を処理いたしました。  第二に、海上航行安全能率化のため、灯台等航路標識整備として五億七百二十二万一千円を支出し、灯台五十五基、霧信号所一ヵ所、浮標八基、電波標識七ヵ所、浮標基地一ヵ所の新営等を行ないました。  第三に、自動車車両検査登録機能の充実に関する措置といたしましては、最近における自動車数の増加は著しいものがあり、これに伴う自動車事故防止対策一環として一億九千百八十三万二千円を支出いたしました。これにより大阪地区等車検場二ヵ所を新設したのを初め、既設車検場五ヵ所の増強整備を行なう等、自動車検査登録機能合理化及び能率化を推進いたしました。  第四に、航空事業基盤強化としましては五千万円を支出して、全日本空輸株式会社に対し、航空機安全性確保のため使用航空機装備統一のための経費補助いたしました。  第五に、航空路組織及び施設整備強化のため一億四千四百七十四万四千円を支出して、箱根位置通報局大阪VOR施設等を設置して、航空機の航行の安全を確保し、航空路組織並びに施設整備強化をはかりました。  第六に、基礎的気象業務整備をはかるため一億七百十五万九千円を支出いたしました。これにより地震及び火山の観測施設整備、東シナ海の気象及び海洋観測を行なうための観測船一隻の代替建造の着工、レーダー観測網維持運営気象庁職員の研修及び気象官署庁舎等整備改善を行ないました。  第七に、防災気象業務整備をはかるため三億九百六十八万五千円を支出いたしました。これにより農業気象観測施設水理気象業務施設及び水害気象施設整備し、また航空気象業務につき松山、高知、新潟及び宮崎の四空港気象分室を新設いたしました。  最後に、科学技術振興といたしましては、運輸技術研究所及び気象研究所研究費として三億八千七百四十四万一千円を支出し、また気象庁においては国際地球観測協力年事業における上高層、オゾン、輻射、空中電気、海洋、地震及び夜光の観測を実施し、これに要する経費として五千八百八十二万二千円を支出いたしました。  また原子力関係としては六千四百五十八万六千円を支出し、原子力船開発に関する研究放射線利用による港湾漂砂対策工法研究、その他原子力に関連する各種試験研究を実施しました。  なお民間の科学技術試験研究に、要する費用の一部補助として三千九百三十三万八千円を支出し、これにより超大型船共同研究等二十九件の試験研究を終了し、運輸関係科学技術の推進に貢献いたしました。  次に、昭和三十四年度決算不当事項について御説明申し上げます。当運輸省不当事項につきましては、査定適正化及び中間検査励行等によりその発生防止努力しておりますが、なお事案の絶えませんことはまことに遺憾に存じます。  御指摘のありました否定の適正を欠くものにつきましては減額是正をなし、出来高不足のものにつきましては手直し工事を完了しております。今後は検査官制度の活用により監督の徹底をはかり、かかる事項の生じないよう努力いたす所存であります。  以上が、昭和三十四年度運輸省関係決算大要でございます。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、日本国有鉄道関係決算については、昭和三十六年五月十五日の委員会において、すでに説明を聴取しておりますので、総裁より補足説明を求めます。
  5. 十河信二

    説明員十河信二君) 昭和三十四年度日本国有鉄道決算につきましては、さきに運輸大臣からも御説明がありましたし、ただいま委員長お話のとおりでありますが、経営合理化職員の綱紀の粛正、企業経営訓練というような点につきましては、かねて私ども最も力を入れて努力して参ったところでございます。会計検査院の御指摘の件数もだんだん減っては参りましたが、私ども努力の足りないために絶無にすることができなかったということは、まことに遺憾にたえないところであります。今後も工事施行資材調達管理等につきましても、御指摘を受けております趣旨に沿い、また、かねて当委員会における委員の方方の御意見を体しまして、こういう御指摘を受けることのないように、さらに一段の努力をいたして参りたいと思います。御指摘を受けたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。  昭和三十二年度から実施して参りました第一次五ヵ年計画は、その後の経済発展等によりまして、三十六年度を初年度といたしまして、改定をし拡大いたしまして第二次五ヵ年計画を策定いたしました。これによって輸送力増強設備近代化等を強力に推進いたしまして、わが国経済の進展に寄与いたしたいと存じている次第であります。現在はその第二年度にあたりまして、工事量が増大いたして参りまして、工事計画施行及び資材調達管理等につきましては、いろいろと複雑いたして参りますので、さらに一段と努力をして改善をはかって、適正かつ効率的に施行いたしたいということを覚悟して、懸命の努力をいたして、皆さんの御期待にこたえたいと覚悟いたしている次第であります。
  6. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、会計検査院より検査報告について説明を求めます。最初に運輸省関係中島会計検査院第三局長
  7. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 昭和三十四年度の検査報告の、運輸省につきまして不当事項として掲語いたしました事項について概要を御説明申し上げます。  第一に直営工事といたしまして、第四港湾建設局で、博多港改修工事のうち太浜埠頭護岸工事費七百四十八万余円で施行しておりますが、護岸延長百五メートルにつきまして、L型ブロック基礎部分の前面に法覆石張り根固め工として施行するにあたりまして、被覆法長は十・二メートルが正当な設計でありますのを、十五・二メートルとして誤認をして施行されましたために、被覆石量にして四百九十立米が上回っておりまして、主事費約五十六万円相当額が不経済となっておるものでございます。これは設計及び施行にあたって十分に注意されたならば、避け得られた問題であると存じます。  次に、補助工事に移りますが、全国工事現場千七百十九ヵ所のうち、秋田県外六府県につきまして、その九%に相当する百五十七ヵ所の工事現場を実地に検査いたしました結果、秋田県、兵庫県両県におきまして、いずれも法覆い被覆捨石並びに被覆ならしにおいて出来高不足関係がございまして、二県で五十万余円のものが国庫補助金から除外すべきものと思量されました。  次に、災害復旧事業費査定額を減額させたものについて御説明申し上げます。三十四年発生災害復旧工率につきまして、査定額の非常に多かった愛知県ほか五府県を選びまして、三十五年の二月から六月までの間に九百三十五ヵ所の総工事ヵ所について三行八十六工事ヵ所、工事金額について二十八億二千三百五十三万余円について検査を実施いたしました。その結果は、同一個所を運輸省建設省双方で重復して査定をしているものが静岡県において一件ございました。なお査定工事費積算が過大となっていたり、あるいは改良工事等施行して、査定額を減額すべき必要があると認められたものが十八工事について工事費において三千九万余円、国庫負担金相当額減額是正されたものが二千三百五十九万円余ございます。詳細は七十六ページに掲げました表のとおりでございます。  以上をもちまして説明を終わります。
  8. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、国鉄関係について白木会計検査院第五局長
  9. 白木康進

    説明員白木康進君) 日本国有鉄道決算につきましては、百十五ページ以下に事業損益その他について概要を記述してございますが、不当事項として掲げておりますのは、百十七ページ以降の工事一件、物件一件、合計二件でございます。  まず工事でございますが、これは東京給電管理事務所で、発電用ボイラー定期検査工事、同じくボイラー修繕工事等随意契約施行したものでございますが、その際に労務費積算において、前年度にこの給電管理事務所がみずから施行した同じボイラー定期検査工事の際に、労務費積算であるとか、あるいは東京電気工事局が本件と同時期に施行しております同種工事における工員の派遣費、こういったものの検討が十分でなかったために、同じ工事の内容でありながら、労務費を必要以上に高価に積算したり、派遣費を高価に積算しているものがございます。なお、そのほかに定期検査工事修繕工事双方に重複して労務費積算しているものもあったようなわけでございまして、結局契約工事費千五百万円のうち約二百四十万円が高価となっていると考えられる事案でございます。  次に物件につきましては、資材局車両用電線管継手約四万四千個を六百六十余万円で購入しているものでございますが、本院で調査いたしましたところ、この継手はいずれも国鉄が定めた特別の規格のものでございまして、この関係から一般に市販しております日本工業規格製品に比べまして、平均して二倍以上高価に当たっているものでございます。この種の継手外形等が多少違っておりますけれども、その性能にはほとんど差異がないようでございまして、別に本院で調査しました二、三の私鉄等におきましても、いずれもこのJIS規格を採用している状況でありまして、国鉄におきましてもこの低価な市販の規格品を購入することができたはずであるというふうに考えている事案でございます。  簡単でございますが、以上で説明を終わります。
  10. 相澤重明

    委員長相澤重明君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 木下友敬

    木下友敬君 これはもうこちらからお尋ねしたり、あるいは激励したりしないでも相当力を入れておられることと思いますが、ことに、東京都内あるいは東京周辺通勤時の交通の輻湊している状態は、これは非常に困ったものだと思いますし、私どもも少し遠くから通ってくる場合は、もみくちゃになるという状態でまあもみくちゃになってもまだ乗り得るほうがしあわせだというふうな状態ですが、このままでいったら一体どうなるかと心配しているのです。国鉄ないし運輸省としては、一体通勤通学時の混雑をどのようにして解決していこうというお考えがあるかどうかですね、あるいは時差出勤というようなこともやっておられましたが、そういうような会社、学校等協力を得てやることも必要だけれども運輸省なりあるいは国鉄自体として何か明るい方法はないものか。御心痛になっていると思うのですが、ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  12. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 木下さんの御指摘のように、通勤時の混雑はまことに申しわけないほどの状態でございます。これは何と申しましても、根本的には年々通勤する者、通学の学生が非常にふえて参ってきておりまして、大体毎年二十万から三十万というふえ方をいたしているわけでございます。これは都市集中をどうしてためて行くかという根本問題にさかのぼるべき問題でありますが、それはそれといたしまして、さらにいま一つは、東京は勤務している近辺に住宅がない、いわゆるベッド・タウンが相当長い路離を隔てたところにどんどんふえて行くということにも影響をいたしているわけであります。したがいまして、こういう点を是正して参りますることは、一つ都市対策であり、あるいは都市構造改革の問題もあるわけでありまして、これについては建設省においてもそれぞれ考えを持って進めているわけでありますが、なかなか急激に効果を見るまでには参っていないという現状でございます。輸送当局といたしましては、とにかく現に輻湊して参りまする通勤時の混雑を少しでも緩和をさせなければならぬ、かような考え方に立ちまして、毎年輸送力増強のために複線化するとか、あるいは車両を増発する、そのためにホームを長くするというように、設備増強を急いでおるわけでございます。時差出勤等はこそくな手段でございますが、やむを得ない手段として時差出勤を奨励をして御協力をいただいておるわけでありますが、施設の面におきましては、昭和三十六年度、七年度、八年度、どうしてもやらなければならぬ今の対策といたしまして、大体年間四百億、三年間に千三百億の増強工事及び施設をやりまして、そうしてこの混雑緩和に資したいと、かように考えておるわけであります。また東京都内地下鉄線もただいま鋭意新線建設をいたしておりまするので、これらが完成をいたして参れば、今後ふえてくる通勤客に対しましても、需要を満たすだけでなしに、今日の交通難相当緩和し得ると、こういう計画のもとにただいまやっておるわけであります。国鉄中央線複線化とか、あるいは常磐線総武線等増強をやってもらっております。詳細な数字は必要があれば国鉄当局から国鉄の分は説明をいたしたいと存じます。
  13. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいま運輸大臣からお話のありましたとおり、国鉄といたしましては、最も混雑をいたします中央線であるとか常磐線とかいうふうなところを線増をいたしたり、あるいは地下鉄と連絡するようなことを検討いたしまして、他の都あるいは私鉄都市交通の線路と相待って、でき得る限りの緩和をいたしたいと、ただいまいろいろと工夫をして努力をいたしておるところであります。
  14. 木下友敬

    木下友敬君 事務当局のほうから答弁していただいたほうがいいと思うのてすが、今両方からのお答えの中に、地下鉄などによって相当という言葉を使って、緩和することができるというように言っておりますが、地下鉄の構想が主としてどういうふうになっているか。それからいつごろそういうことができる見込みであるか。相当というようなぼうっとしたことを言ってもらっても当てがつきませんが、どういう線を作り、どういうふうに複線化し、あるいは車両をどういうふうに増すような予定があって、そうすれば何年度にはどれくらいな割合に緩和ができるというような、何か成算があるはずだと思うのですから、その一端を口頭で述べてもらって、もし口頭で述べにくいようだったら、ひとつあとで書いてもらってもいいんですが、一応口頭で述べてもらいたい。
  15. 兼松学

    説明員兼松学君) 地下鉄一般につきましては、これは運輸省のほうで御所管のことでございますが、国鉄の担当いたしております範囲につきまして申し上げますと、国鉄といたしまして、先ほど総裁が申しましたとおり、中央線につきましては現在二分十秒ということで、その時間帯におきましては、もう精一ぱい運転でございますが、現在緩行線のほうはまだそこまでいっておりませんので、工事をいたしまして二分十秒間隔の運転にいたしまして、中央、総武通じて十両運転にするということを考えておりますが、一方、中央線中野−三鷹にかけまして、現在複線であるのを複々線にいたしまして、地下鉄の五号線が、これは高田馬場から大手町を通りまして深川の東陽町に行く線でございますが、それを中野まで延ばしまして、これは運輸省のほうの御承認もございまして、共同の企画によりまして、中央線電車が、急行電車の一部及び複々線の新たにできる線の部分相当数地下鉄直通運転をするということが、ただいま総裁が申し上げました、国鉄といたしまして地下鉄と連絡することを具体的に計画をしている部分でございます。なお、そのほかに、今後それから先の総武線との連絡その他につきましては、目下都市計画全体として御審議を願っているような次第でございます。  なお、現在国鉄通勤輸送の五ヵ年計画として、新五ヵ年計画の中にお願いしておりますものは、直接通勤輸送と銘を打ったものだけで六百四十億円の規模でございまして、三十七年度は予算では百二十七億と出ておりますが、最近の模様にかんがみまして、できるだけそれに若干、もし私どものほうが多少でも都合がつくならば、ほかのほうを回しても、三億でも四億でも足して、できるだけ早く解決への一歩をいたしたいと努力いたしておるわけでございます。  なお、御案内のとおり、このように努力をいたしましても、なおなかなか御期待に沿うようには追いついて参りませんので、これは国家全体の御施策と相待ちまして、できるだけの努力をいたしたいというのが、実情でございます。
  16. 木下友敬

    木下友敬君 これは国鉄とかあるいは運輸省だけではどうにもならない、国全体のものである、そう言っていけば、もう国民全体の責任だということはよくわかっております。だけれども、直接その衝に当たっておられる方の特段の御努力が願いたいと思うのですが、今お話しになったようなことの結果、中央線だとか常磐線だとかで、明年、再来年などは一体どうなってくるだろうかということを私は心配しているんですが、現在、中央線あるいは常磐線でのオーバーのパーセンテージ、乗客の定員ということは、もう定員などということを基礎にして考えることがもうだめだというようなああいう通勤列車を考えて、一体どのくらいなオーバーをしているか、そして明年度、明後年度くらいには、そのオーバーのパーセンテージは少しでも下がるかどうか。一方のほうでは通勤者も増加してきますし、学生も増加する、学校の疎開などの問題も起こってはおりますけれども、そういう学校の建物とか、あるいは官庁の疎開とかいうようなことをしても、なおかつ通勤者がはたして減るかというようなことに私どもは自信を持っていない。しかし、まああなた方衝に当たっておられる方は、大体どのくらいな人員になり、そして二分十秒に持ってくるとか、十両編成にするとか、あるいは複々線にするとかというようなことで、何パーセントくらいの緩和ができるというような具体的な輸送の数字が出てやしないかと思いますが、その点もしありましたらお答え願います。
  17. 兼松学

    説明員兼松学君) 御指摘の点について若干お答えいたします。中央線の場合に、現在代々木−千駄ヶ谷間がラッシュ時に一番込んでおります場合は、昨年の十一月の調査で二八八%ということになっておりまして、定員にいたしまして三倍に近い乗り方でございます。また緩行線のほうは、現在一番多いところが一九八%、二倍に近い数字になっております。ところで御案内のように、ラッシュ・アワーの一番込みますときのこの輸送力をふやしていくということは、二分十秒のぎりぎりのところでございますので、その時期ではできませんので、ただいまでは時差通勤の御協力を願うとともに、車両を増備いたしまして、ラッシュ帯に動かす電車の総数をふやしまして、そうして御協力願いました結果、この冬は一番——これは平均でございまして、毎日の完全な調査ではございませんけれども、二月の末のおくれのない時期をいろいろとりまして調査いたしましたところでは、最高が二八〇%程度で約八%、一番の山は減っておりますけれども、これは前後の時間帯に電車を入れまして御協力をいただいたという結果でございまして、一番込む時間における電車数は、もうこれ以上現在では入らぬという、実情でございます。ところで、この地下鉄五号線との連絡運転ができました場合の旅客の推移にどの程度転移するかということにつきまして、いろいろ数字を研究いたしておりますけれども、なお具体的にはまだ完全なところまで検討されておりませんが、大体二百三、四〇%までは下げられるのではないかということでございます。  なお、現存の地下鉄の四号線、たとえば中央線を例に申しますと、荻窪まで開通いたしましたが、まだ連絡設備の不完全等のために十分なまだ転移がございません。これも連絡設備改善いたしますれば若干増すと思いますが、根本問題といたしましては、現在の定期運賃というものが、一番国鉄線に乗ることが、同じ線の場合に有利なようにきめられておるような事情でもございまして、こういう点は何か都市交通全体について、運賃問題についてもプール計算なり何なり、決して国鉄の運賃を値上げするとかいう話じゃなくて、都民の方に公平にいろんな便宜な交通機関を利用していただくようにというようなことも政治的に御配慮願って、できるだけ総合輸送力が発揮できるようにしていただきたいということを、私どもとしては政府にもお願いいたしておるような次第でございます。これはわれわれといたしましても、なお今、ごく近い将来におきましては、必ずしも御期待に沿うような緩和ということはなかなかむずかしいのではないかと思います。  常磐線総武線の例につきましては、今地下鉄完成期とともに連絡設備を徐々によくして、東武から来るものをいろいろ考えておりますけれども、これの転移によっての緩和ということはまだそう大きな期待はできませんで、むしろ増加する輸送量をさばいていくのが精一ぱい考えております。国鉄といたしましても、現在の設備の許す限りにおきまして、常磐線で申しますと、北千住、南千住の最高が二四〇%でございますが、二号線ができましたときには、大体昭和四十年度には、前のほうは移りまして一六二%程度、一番多いところでも二三〇%以下に下げたいというようなことで現在努力いたしておるような次第でございます。
  18. 木下友敬

    木下友敬君 予想ですから、かっちりした何年には何%減るというようなこともなかなか困難でありましょう、よくわかります。国全体の施策なりが、全部が責任を持ってこの問題の解決に協力しなければいかぬということもよくわかっております。  それでこれを緩和していくのに、あなた方のお考えの中に金さえあればできる、金さえあればこういう緩和の方法があるのだ、金がないからできないのだというのと、どんなに金をかけても、こういうところに隘路があるという二つの考え方があると思うのですが、どうですか、そういうことはありませんか。金さえあればみんな片づいていくということでしょうか、金をどんなにかけてもできないことがある、もっとほかの方法を講じなければならぬということも。考えがあるならばそういう点の見解をひとつ述べてもらいたい。
  19. 兼松学

    説明員兼松学君) まことに潜越でございますが、まだ私どもが伺っておりますところでは、現在の都市地下鉄だけで計画されておるものだけでも、完成するのに約五千億と伺っております。このお金が、金さえかければできるという金額なのかどうかということにつきまして、私どもはまだ、私どもの立場から確定的なことは申し上げかねるのでございますが、少なくとも現在の国鉄線の輸送力を、現在のままで若干お金をかけるという程度では、とうてい解決しないというのが現在線でございまして、結局新線をどういうふうに作るかという問題が根本でございまして、さっき申しましたように、中央線複々線化自体に、中野−三鷹間にかけますだけでも二百五十億かける予定で、今着々工事をいたしております。しかしこれでも、地下鉄のこちら側のほうの、やはり二百数十億のお金と相まって初めて五号線に一応移るというわけでございまして、それを合計いたしましても五百億円、これで移る旅客の数というものは、ごく全体の増勢から見れば限られたものでございまして、私どもとして、今御指摘のございましたのに直接お答えするのには、必ずしも当を得てないかもしれませんが、少なくとも、現在の国鉄のお金で、今自分たちの能力だけではとてもめどがつかないということだけは、私どもの立場から申し上げられると思います。
  20. 木下友敬

    木下友敬君 努力していただいておることはよくわかりますが、そうでないところもあるのではないかと思うのは、この東京の周辺はまあ一生懸命二分十秒ということをやっておられますが、むしろ地方に行きましても混雑しておるところがあるのです。そこらでは、たとえばディーゼル車などが通勤時に走っておるが、毎日々々相当の積み残しをしているところが現在あるのです。そういう実情があるにもかかわらず、もう一両くらい連結すれば積み残しはないと、こう思われるのが、これが日曜であるとか、あるいは観光シーズンであるなら別ですけれども、そうじゃなくて、毎日の通勤を積み残しておるというようなところで改善されないという個所が、私はわざと個所をあげませんけれども、そういう個所があるのです。そういう実情は国鉄中央ではよくわかるようになっておりますか、あるいは地方局でそういうことは処理していくので、そこまでは国鉄本社としてはあまり意を用いておられないかどうか、もし本社でそういうことまで関係していないということであれば、将来はひとつそういう方面にも意を用いてもらいたいと思うのです。今、東京周辺のことはわかりましたが、地方改善のできそうなことで、わずかに車両を増せばいいとかいうようなところで、できてないところがありますので、そういうことについてのひとつ御見解を伺いたい。
  21. 兼松学

    説明員兼松学君) ただいまの御質問の点でございますが、国鉄といたしまして、ただいまここにはどこどこでどうという資料を持ち合わせておりませんが、中央には全部地方から参るようなシステムにはなっております。それで今各支社から御指摘のような点で非常に強い要求が本社にきておりまして、一刻も早く解決してほしいという、ディーゼルカーの問題、電車の問題でも、現にすでに議論しておりますものだけでも、ことしの新線計画の半数近くになっております。もちろん、そのほかに都市間の連絡というような、いろんな地方一般増強のこともございますが、焦眉の急だから、ここへは一両、ここへは二両というようなのが、現在中央で議論いたしておりますだけで二百四十両ほどございます。それらは今後の車両の配付ということで、各支社のほうに逐次回すような準備はいたしておりますが、部分的に申しますと、北は札幌付近でも小樽の通勤問題、あるいは千歳線の問題、あるいは仙台でも仙台付近の岩沼−仙台間の問題とかいうふうに例はたくさんございます。新潟付近にも、あるいはずっと博多の付近、あるいは長崎の付近の通勤というようなことで、いろいろ全国的に支社から上がっておりますので、これは近く新製車両ができますとともに、事情と数量とを勘案して緊急順になるたけ回すようにいたしたいということで、できるだけ努力しております。
  22. 木下友敬

    木下友敬君 今の問題はひとつ適切な方法を講じてもらいたいと思うのです。ほんとうにちょっと努力すれば積み残しというようなことは改善されると、もうだれでも思えるような所でやっていない実情で、一向に改善されないという事実がございますから、どうか、その点を御努力を願いたいと思います。  次には、東京周辺通勤電車等が非常に混雑しておるということには、こういうことも私は原因の一つだと思うのですが、そういうことで、これは陸運局、自動車局というようなところの御見解を承りたいのだが、自家用車というのが非常にふえてきておりますね。都内における自家用車の数がふえるのにはもう目に余るものがあるようでありますが、陸運局などは一方ではタクシーを、個人タクシーを許可するときには非常にむずかしい条件でないと許可がないけれども、自家用車の許可の場合には、これは何ら特別な拘束がなく、やれることになっております。その自家用車のふえるということが都内の一般交通の、自動車交通の困難を来たしておる大きな原因の一つではないかと思うのですが、自動車関係の方が来ておられたならば、ひとつそれらの点についての考えをお述べいただきたい。
  23. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 御指摘のように東京−大阪等もそうでありますが、自動車車両が急速にふえて参って自動車交通が非常に混雑しておりますのは、今日の一つの大きな問題として政府も取り上げておるわけでありまして、御承知のように、交通閣僚懇談会等におきましても、こういう問題を特に中心にしてやっておるわけでございます。そこで、自家用車の問題でございますが、タクシー等は個人でありましても、これはやはり公共のための機関でございまするので、なんと言いますか、自由営業というようなわけには参らないので、適当な基準を設けて制限をいたしておるわけでありますが、自家用車につきましては、今までなんの制限もなかったわけでございます。しかしながら、今日のこういった状況にかんがみまして、少なくとも自家用車を持つ者は単を保管する場所を持たなければならないということを中心にいたしまして、そうして路上に自家用車を置く、車庫がわりに路上を使うというようなことのないようにやって参りたいというので、ただいまこれを中心といたしました法案を提出いたしまして、国会において御審議を願っているわけでございます。かようになりますれば、都市交通混雑緩和に幾らかは役立つであろう、かように考えて今御審議を願っておるわけであります。
  24. 木下友敬

    木下友敬君 たしかそうでしたね。自家用車、自動車の置き場——車庫を持たない者は自家用車を持つことができないような法規になるようでございますが、あれは多分二ヵ年でしたかね。経過措置があったように思うのです。現在自家用車を持っていて、そして車庫が現在ない者でも、間違っておるかわかりませんが、二ヵ年内には車庫を作らなければならないというようなことだったと思うのですが、二ヵ年たてば現在自家用車を持っていて、そして車庫のない者は全部許可を取り消すというような強い方針でいくことになっておるかどうか、御答弁願います。
  25. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) これは、こういうことになっております。これから新しく車を持とうとする者は登録をする際に、車庫あるいは保管場所、これは車庫がなくても空き地その他の保管場所があればいいということで、保管場所を証明する書類をつけてこなければ登録をしないということになっております。この施行は三ヵ月後、——法案通過後三ヵ月して実施をすることになっております。それから現在持っております者につきましては、これは登録を変更する場合、車を変える場合、あるいは主たる使用地を変更するという場合に、この手続を取らなければならないということになっておりまして、一面、道路を車庫がわりに使っているというものを禁止をする、道路交通取締法のような考え方でこれを禁止する、道路上を車庫がわりに使っておるという場合には処罰をするという規定を一面設けまして、そうして、これは一年後にまたその施行地を政令できめるということにいたしまして、特に都心その他で非常にどうしても実施しなければならないという所を取り締まりの面から規制をしていくという規定の発動は一年後に相なっております。都心その他で交通の疎通上非常に困るという所に自動車をとめている。とめているというか、道路上を車庫がわりにしているという車両数が非常に多いわけです。一年以内にそういう所をきれいにするということは、ただ、じんぜん手をこまぬいておったのではなかなかできませんので、中小企業団体等において共同の保管場所を作るというような場合には補助金を出すとか、その他の奨励方策を同時に至急進めて参りまして、そうして一年後にはそういう特定の地域においてはできるように一方助成措置を講じて参りたい、こういう考え方で臨んでおるわけであります。
  26. 木下友敬

    木下友敬君 その点で、今の商業関係などでどうしても車両がなければ営業がやっていけないというようなのがたくさんあることもよく知っておりますが、そうでなくて、何かひとつのブームのような形で、あるいはムードのような形で、必ずしも自家用車を持たなくてもいいというような人が持っておる場合がかなりあるように思うのです。これも当局として、君は要らないとかいうようなことは、当然そういうことはできないと思いますが、こういう規制ができて、一年以内にどうにかせにゃならぬということになってくれば、これは厳格な意味で私は施行してもらいたいと思う。ほんとうに要らないと思われるような人が、金があるからただやっているというようなことを、たくさん私はそういう例を知っておりますので言うのですが、そういうのが存外多いために今日の交通の輻湊を来たしていると私考えますので、そういう法律が通過しましたなら、どうかひとつ手心なく、ほかの場所がないようなものはどんどん取り消していくというような方向に持っていきたいということを希望を添えておきます。  なお一つ付け加えてお聞きしておきたいのは、交通の罰則の問題ですが、どうですか、このごろ自動車のひき逃げというのが非常に多いのですね。それをよく聞いてみますと、罰則が非常にひどい、ひき逃げしたとか、あるいはひき逃げしないでも人間に危害を及ぼしたというような場合の罰則がひどいから、とても運転手自体がこれを払うことは生活にも直ちに困ってくる。ですから、一方から言えばそういうことだから、注意をして、あやまちのないようにすればいいじゃないかということも言えるけれども、あやまってひいた場合に、そこでまごまごしてつかまったり、自首したりしていたのでは、もう早速に生活に困ってくるので、とっさの考えでこの場合逃げてやろうというようなことがたくさんあるように聞いておるのです。また、それも事実だろうと思うのですが、どうですか、今の罰則について、当局はこれは軽いとか重いとかいう点で、適正だと考えてやっておられましょうか。罰則でももっとひどくしたらばひき逃げということがなくなるのじゃないかというお考えであるか。そうではなくて罰則はむしろ軽くしておいて、あやまちがあった場合には、ほんとうの人間性を発揮して届け出るように、適宜の策をとるような方向に行政指導を持っていくというような、どっちのお考えでありますか。
  27. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) これは私の主管ではござませんが、交通閣僚懇談会で問題といたしておりますのは、やはり今日の現状から見ますると、罰則は強化をしなければいけない方向になっております。ことにひき逃げ等につきましては、これは罰則が軽い重いでなしに、実際の適用が軽過ぎるというのが今日の現状でございまして、警察、検察等のいわゆる立件の仕方も最近相当重く取り扱って参りました。ひき逃げ等の場合には、これは殺人罪をもって擬するというような方向にただいま行っておるようであります。
  28. 木下友敬

    木下友敬君 罰則の問題は、直接あなたの範囲でないから、これ以上お尋ねをしませんが、大臣はそもそもがその方面の権威者であるからと思って特にお聞きしたわけです。  次には、観光事業について少し伺いたいと思いますが、関係の方おられましょうか。——観光、特に外国の観光客を国内に観光に来てもらうということのための外貨の獲得というのは、これは大きな役割を果たしておるのでございますし、逐年それが増強しておるということは非常に喜ばしいことでございますが、ほかの外国の例を見ますと、必ずしもまだまだ日本の観光による外貨獲得というものは、喜ぶには早過ぎる、まだ少ないと思うのです。もっとも地理的関係で欧州のように、すぐ隣から隣に列車ででも、自動車ででも行かれるというような状況になくて、船で来るか、あるいは飛行機に乗ってくるかというようなことで、非常に離れた土地でございますから、欧州並みにはいかないとは思いますけれども、いま少し発達してもいいと思うのでございます。そこで、国が観光事業、特に国際観光事業助成に関する法律ということで助成もして、そうして観光事業を推進していくというようなことになっている。国際観光事業の助成に関する法律に該当する観光事業をやっている団体というものには、どんなものがあるか。日本観光協会などもその一つであろうと思いますが、ほかにもそういうものがあるかどうか。
  29. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 助成によって観光事業をやっておりますものといたしましては、ただいまおっしゃいました日本観光協会というものがございまして、今までは補助金を出しておったのでありますが、本年は一億円の出資をいたすことにいたしました。そうして一般の観光案内所というようなものを作って参りたい。そうして海外に本年度はさらに二ヵ所その出張所を設けまして、現在九ヵ所である出張所をさらに二ヵ所ふやす予定をいたしております。補助金といたしましては本年は三億六千万、本年は増加をいたしております。そのほかに国際観光を進める上で直接必要なのは旅館、ホテルの点でございまするが、ホテルに対しましては、これは開銀の長期の融資をいたすことにいたしているわけでございます。また一般の旅館等に対しましても、今後外人客が泊まるように客室をかえるとかいうような場合には、開銀あるいは中小企業金融公庫等の融資をあっせんいたすことにいたしているわけであります。直接財政面で援助をしておりますのは、そんなものであろうと考えます。
  30. 木下友敬

    木下友敬君 今あげましたのは日本観光協会ですが、そのほかには団体はございませんか。
  31. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 国が直接財政的援助を与えている団体は他にはございません。
  32. 木下友敬

    木下友敬君 ユース・ホステルですが、この報告書を見ましても、外客を受け入れる態勢の整備一環として、ユース・ホステルに金を出したというようなことにもなっておりますが、これは今のユース・ホステルの利用者というものは、主として国内の人が多いと思うのですが、現在ユース・ホステルを外人が使っているというようなことは、たくさんないのじゃないかと思うのですが、ございますか、たくさん。
  33. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 若干は使っているそうでございます。外国からも、何と言いますか、青年が日本との親善というような意味で来るのもありまするし、その他にも、利用率は少ないけれども、ユース・ホステルを利用している面がございます。それにオリンピックの際には、相当このほうを利用してもらうようにしむけて参らなければならないかと、こう考えている次第でございます。
  34. 木下友敬

    木下友敬君 今お尋ねしました趣意は、こういうわけなんです。先般、これは私も確実には把握しておりませんが、日本のホテルの料金が高過ぎる、何とか安くしてもらいたいというような申し入れがどこからかあったというようなことを、私は新聞で見たのです。確かに安くない。諸外国と比べても安くないと、こう思うのでございますが、その意味でこのユース・ホステルなどが、外国から来た人でも愉快に使い得るようなところまでもっていったならば、自然やはり一般のホテルの料金も下ってくるというようなことになるのじゃないか。ただ安くせい、安くせいというような指導をしても、なかなか今のあのりっぱな設備を、金を借りてやっていけば困難だろうと思うのです。私どもも旅館に参った場合に、これはたいていこれくらいならば何億かの金がかかっているが、これを借りてやっておれば、利子を払って、そうして経営していくということは、とてもこれは並み大ていではないということを感ずるのでございますから、ただ料金を安くせいというようなことだけでは、できないと思うので、一方のほうでユース・ホステルというものがかなりの設備をして、そうして外人も泊まり得るというようなところまでもっていく、こういうことになればいいと思うのです。今度からそういうところに金を出してやるということには大賛成ですが、ただなまはんかなものに出ている金なども三千九百四十万円とか、非常にわずかな金ですが、こういうものを足がかりにして、ひとつ相当こういうところには金を出して、りっぱなものを作ってもらうということであればですが、ごく若い無銭旅行というような格好の外人ならば泊まるかもわからないけれども、今のユース・ホステルの設備——設備よりももっと中の組織といいますか、サービスといいますか、ユース・ホステルの性質上、旅館のようなサービスは要らないにしても、もう少し気持よく泊まれるというようなところまでもっていったならば、私は外人の客を誘致することが非常に楽になりやしないか。もっともそういうような方法で誘致した場合に、ほかの意味では非常に有効であるにしても、外貨の獲得という点では、普通の旅館の場合よりも劣ることは、これは言を待たないところですけれども、とにかくたくさん来て日本内地を見てもらうという意味だけでも、相当意義があると思うのですから、こういうところにはもう少し予算をふやしていくというような一この決算は三十四年度ですが、その後の推移からいって幾らか増していくような方針をとっておりますか。また、そういう希望を持っておられるかどうか。ことしの予算の要求額などの点から、ここに予算書に出ている分はわかりますけれども、要求額などを知らせてもらうと、当局の意欲がうかがわれると思いますから示してもらいたい。
  35. 黒住忠行

    政府委員(黒住忠行君) 公営ユース・ホステルに対します補助は、昭和三十四年度から実施いたしておりますが、三十四年度で五千万円、三十五年度が四千七百五十万円、三十六年度が四千七百五十万円、三十七年度も三十六年度と同額の四千七百五十万円でございます。で、従来から整備をいたしておりますが、今後とも現在公営ユース・ホステルがないような県から重点的に今後継続いたしまして整備いたす予定になっております。
  36. 木下友敬

    木下友敬君 三十四年度からみると、四千七百五十万円と幾らか少なくなった傾向ですが、以後は同じ額で進んできているようです。おそらくこれは私は、予算の要求はもっとされたのが、こういうふうに査定されたものと思いますが、どうかこういう方面にはぐんぐん要求して、拡大していってもらいたいと思うのです。  なおひとつ、日本観光協会というようなものですが、えてして国の補助などを、あるいは出資を受けているような団体の場合には、その仕事がお役所向きになりまして、十分その目的を達し得ていないというようなことが、ほかの場合には実際に見受けられるところでございます。日本観光協会ではそういうことはないと思いますが、そういうことの一つの原因に、幹部の構成メンバーがどうであるかというようなことが注意されると思うのです。一体日本観光協会の首脳幹部というようなものの構成、履歴というようなものを一応知りたいと思いますが、もし、きょうそこでわかっているものがありましたら、一体観光協会の会長さんはだれであるか、あるいは首脳幹部はどういう経歴の人であるかというようなことをお示しが願いたい。それを見ますと、一体せっかく投資もし、また補助もして育てているこの協会が、ほんとうに民主的にやられておるか、あるいはむしろ官僚的というような言葉を使わなければならないような運営などをしておるために、実際効果が少ないのではないかというような判断等の資料にもほぼなろうかと思うので、実際わかっておったらお示しが願いたい。
  37. 富田竜彦

    説明員(富田竜彦君) 会長は足立正さんで、日本商工会議所の会頭でございます。副会長は平山さん、もとの運輸次官でございます。その下に理事が四名おられまして、間島さん、この方は、三代前の運輸省の観光局長でございます。それから市川さん、これは横浜の税関長を最後に退官されました大蔵省出身の方でございます。小金井さんという方は、これは旧内務省系で、東京都の御出身の方でございます。千家さん、これは厚生省出身で、国立公園協会の幹部の方でございます。そのほかに監事といたしまして、横田さん、これはやはり元の鉄道省出身の方でございます。それから佐藤さんという方は、建設省出身の方でございます。以上が役員でございます。
  38. 木下友敬

    木下友敬君 わかりました。それで観光協会を運営していくのにふさわしい関係のあるところがら出ておられるということがわかったわけであります。ただ官僚である、役所出身であるということは、これは私想像したとおりでございますけれども、ただでたらめに、元のお役人でさえあればいいというのでなくて、観光局長であるとかあるいは大蔵省の関係とか、鉄道省の関係だとか、観光協会を運営していくのには関係がある人であるということは、これは意味のあることだと思うのですが、しかしそれにしても、こういうふうにほとんどが役所出の、役所をおやめになった方の安住の場所というような印象がないでもないのは、幾らか私満足し得ないところでございますが、そういう考えを持つ者は、決して私だけではないと思うから、そういうことにこたえるためにも、一そうこの観光協会の運営の仕方などにつきましては、大臣は特に気を使って、そういう点にひとつ意を用いてよく指導してもらいたいと思います。
  39. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) ただいまの協会の運営にあたりましては、木下さんのおっしゃるように十分気をつけて参りたいと存じております。  なお、観光協会の運営につきましては、運営委員会というのが、そのほかにございます。そうして、運営委員は二十名で、これは現実に観光事業をやっておられる方々の中から選んで、そうしてそれらの方のはつらつたる御意見によって運営をしていくという形になっておるわけでございます。おっしゃいますように民間の方々にできるだけ幹部になって——役員といいますか、今の副会長以下理事とか理事長とかいうものにお願いをしたいと思うのでありますけれども、なかなか限られたサラリーで、そうしてりっぱな手腕のある方というのは得がたいわけでございます。しかしながら木下さんのおっしゃるような点は十分留意をいたしまして、運営をさせるように指導いたしたいと存じております。
  40. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 他に御質疑もないようでございますから、昭和二十四年度決算中、運輸省日本国有鉄道関係質疑は、これをもって終了いたします。  なお、明後日五月二日は、午後一時より通産省、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、開発銀行、輸出入銀行、労働省の質疑を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会