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1962-04-23 第40回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十三日(月曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————    委員の異動 四月二十一日委員永野護君及び単葉隆 圓君辞任につき、その補欠として岸田 幸雄君及び仲原善一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            岡村文四郎君            佐藤 芳男君            鳥畠徳次郎君            大森 創造君            北条 雋八君    委員            木内 四郎君            岸田 幸雄君            小林 武治君            谷口 慶吉君            仲原 善一君            下村  定君            木下 友敬君            大和 与一君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   政府委員    大蔵政務次官  天野 公義君    大蔵大臣官房会    計課長     磯江 重泰君    日本専売公社監    理官      谷川  宏君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省主計局司    計課長     佐々木達夫君    大蔵省管財局長 山下 武利君    国税庁長官   原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生省公衆衛生    局企画課    山形 操六君    会計検査院事務    総局第一局長  秋山 昌平君    会計検査院事務    総局第五局長  白木 康進君    日本専売公社総    裁       阪田 泰二君    日本専売公社企    画管理部技術調    査室長     杉  二郎君   参考人    国民金融公庫総    裁       石田  正君    北海道東北開発    公庫総裁    松田 令輔君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和三十四年度一般会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度特別会計歳入歳出決  算(第三十八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和三十四年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十八回国会内閣提  出) (継続案件) ○昭和三十四年度政府関係機関決算書  (第三十八回国会内閣提出)(継続  案件) ○昭和三十四年度国有財産増減及び現  在額総計第書(第三十八回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和三十四年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第三十八回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和三十四年度物品増減及び現在額  総計算書(第三十八回国会内閣提  出)(継続案件)   —————————————   〔理事佐藤芳男委員長席に着く〕
  2. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  委員長の委嘱により、本日の委員会は私が委員長の職務を行ないます。  委員変更について報告いたします。四月二十一日永野護君、草葉隆圓君が辞任され、その補欠として岸田幸雄君、仲原善一君が選任されました。   —————————————
  3. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 次に、審査日程の一部変更について報告申し上げます。  三十五日審査予定の農林省、農林漁業金融公庫を二十七日の郵政省、電電公社と入れかえることにいたしたいと存じます。御了承をお願いいたします。   —————————————
  4. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。昭和三十四年度決算審査のため、政府関係機関役職員参考人として随時出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人出席の日時、人選その他手続等委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  7. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 昭和三十四年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省日本専売公社国民金融公庫北海道東北開発公庫関係審査を行ないます。  なお、念のため申し上げますが、大蔵省関係検査院より指摘を受けた事項は、検査報告三十六ページ以下の、不当事項四件、是正事項として租税関係の百二十一件であり、日本専売公社関係においては、百十五ページに記載されておる一件であります。国民金融公庫及び北海道東北開発公庫関係にはございません。  それでは、これより昭和三十四年度決算中、大蔵省日本専売公社国民金融公庫北海道東北開発公庫関係について順次説明を聴取いたします。  まず大蔵省関係説明を求めます。
  8. 天野公義

    政府委員天野公義君) 昭和三十四年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計歳入決算について申し述べます。  三十四年度歳入決算額は一兆五千百九十億九千七百万円余でありまして、歳入予算額に比較いたしますと八百九億三百万円余の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し上げますと、  第一に、租税及印紙収入決算額は一兆一千七百六十八億四千八百万日余で、予算額に比し三百二十九億三千万円余の増加となっております。収入増加のおもなる理由は、経済界の好況を反映し法人税及び申告所得税において企業所得増加したほか、申告所得税における配当、不動産等資産所得予定より増加したこと、酒税、砂糖消費税揮発油税及び物品税においては堅調な消費需要を反映し課税数量及び価額が予定より増加したこと、並びに関税において機械類金属等有税品目の輸入が予定より増加したこと等によるものであります。  第二に、専売納付金について申し上げますと、日本専売公社納付金決算額は、千二百五十一億四千百万円余で、予算額に比し二十八億八千九百万円余の増加となっております。これは、たばこ販売促進の結果証売数量増加したほか、上級品への消費移行があったため、たばこ事業の純利益増加したことによるものであります。  第三に、官業益金及官業収入でありますが、印刷局特別会計受入金決算額は八億八千六百万円余で、予算額に比し三億三百万円余の増加となっております。これは、損益計算上の利益予定より多かったためであります。  第四に、政府資産整理収入決算額は百五十二億三千七百万円余で、予算額に比し十六億八千八百万円余の増加となっております。これは、土地、建物、機械等国有財産売払収入予定より増加したほか、道路整備特別会計に引き継いだ地方債証券一般会計に移管されたこと等により、その収入予定より多かったためであります。  第五に、雑収入でありますが、その決算額は五百五十七億六千六百万円余で、予算額に比し十三億九千三百万円余の増加となっております。雑収入増加のおもなものは、国有財産貸付収入共有船舶利用収入利子収入等増加であります。  第六に、経済基盤強化資金受入決算額は二百三十億三千三百万円余で、予算どおりであります。この収入は、三十三年度に設けられた経済基盤強化資金を全額使用するための一般会計財源受け入れたのであります。  第七に、前年度剰余金受入決算額は千二百二十一億八千四百万円余で、予算額に比し四百十七億七百万円余の増加となっております。この理由は、前年度剰余金受入予算計上の際は、例年の方式として、前々年度決算によって生じた純剰余金のうち前年度歳入予算に未計上金額相当額を一応計上するにとどめているのに対して、決算上においては、前年度に生じた剰余金が全額含まれてくることとなるためであります。  次に、一般会計歳出決算について御説明いたします。  本年度歳出予算現額は千六百八十八億四百万円余でありまして、支出済歳出額は千六百五十三億三千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は二十六億二千六百万円余でありまして、差引不用額は八億三千八百万円余となっております。  以下、大蔵省所管経費のうち、国債費政府出資金その他おもなものにつきまして、支出概要を申し述べます。  まず第一に国債費につきましては、国債整理基金特別会計繰り入れるため五百四十二億四千六百万円余を支出いたしましたが、これは一般会計負担に属する国債償還及び利払い財源並びにそれらの事務取扱費に充てるためのものであります。このうち、国債償還財源につきましては、昭和二十八年度から昭和三十四年度まで各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律に基づきまして、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定を適用せず、財政法第六条の規定による前々年度計算上の剰余金の二分の一相当額繰り入れたものでありまして、その金額は三百三十億一千七百万円余となっており、また国債利子支払い財源として繰り入れ金額は二百十億五千八百万円余となっております。  次に、以上の国債費に関連して、一般会計負担に属する国債状況について申し上げます。  本年度初めの未償還現在額は、内国債約三千九百四十八億円、外貨債邦貨換算額にして約七百六十一億円でありましたが、内国債につきましては、本年度において、国際通貨基金及び国際復興開発銀行に対する通貨代用国庫債券による出資により約七百九億円、遺族及び引揚者に対する国庫債券交付並び満期到来国債の借りかえ発行等により約百八十七億円、計約八百九十六億円が増加した一方、遺族及び引揚者国庫債券年賦償還並び満期到来国債償還等により約二百九十九億円が減少いたしましたので、年度末現在額は約四千五百四十五億円となっております。外貨債につきましては、本年度に約五十二億円を償還いたしましたので、年度末現在額は約七百九億円となっております。  なお、国債利子につきましては、内国債利子約百二十億円、外貨債利子約九十億円、計約二百十億円となっております。  以上の結果、この経費において、国債利子支払い予定に達しなかったこと等により六億四千六百万円余が不用となりました。この不用額が、当初申し述べました大蔵省所管一般会計歳出不用額のおもなものとなっております。  第二に、政府出資金につきましては、理化学研究所に対する出資金として五億円、農林漁業金融公庫に対する造林事業融資資金に充てるための出資金として七億円を、それぞれ支出いたしました。  この両機関がこの出資によって行なった事業につきまして、その概要を申し述べますと、  理化学研究所におきましては、科学技術振興に関する基礎及び応用研究並びに新技術開発事業を実施するほか、研究設備近代化研究成果の普及及び製品の試作等を行なっております。  農林漁業金融公庫におきましては、この出資金により造林事業に対する長期低利融資を行なっておりますが、本年度中に、小規模造林に三百五十五件、三億五千三百万円余、公有林造林に四百十八件、六億二千二百万円余の貸付決定が行なわれました。  第三に、防衛支出金につきましては、大蔵省所管経費といたしまして、日米安全保障条約に基づく行政協定第二十五条第二項(b)による在日合衆国軍交付金及び日米相互防衛援助協定第七条に基づく合衆国軍事援助顧問団経費として百十五億七千二百万円余を支出いたしました。その内訳は、在日合衆国軍交付金として百十一億円、合衆国軍事援助顧問団経費として四億七千二百万円余であります。  なお、在日合衆国軍交付金使途につきましては、日米間に合意された資金経理手続に従いまして、アメリカ合衆国政府から報告されておりまして、労務費輸送通信費用役作業費等に支払われており、その大部分労務費であります。  また、軍事援助顧問団経費につきまして、軍事援助顧問団交付金のほか、日本住宅公団交付する顧問団員住宅管理費でありまして、軍事援助顧問団交付金使途につきましては、日米間に合意された経理手続に従いまして、軍事援助顧問団から報告されており、事務費労務費住宅費及び移動訓練費等に支払われております。  以上の支出額のほか、防衛支出金につきましては、アメリカ合衆国軍との交渉に不測の日数を要したこと等により、二十四億六千六百万円余が年度内に支出未済となっておりますが、この金額は、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会の議決を経、これに基づいて翌年度へ繰り越しいたしました。この繰越金額が当初申し述べました大蔵省所管一般会計歳出繰越額の大部分を占めております。第四に、賠償等特殊債務処理費につきましては、賠償特殊債務処理特別会計法に基づく旧連合国に対する賠償支払いその他外国に対する特殊債務処理に充てるための財源をこの会計繰り入れるため、三百二十三億四千万円を支出いたしております。同会計においては、この繰入財源をもって、ビルマ、フィリピン及びインドネシアの三カ国に対する賠償費二百十億四百万円余のほか、ラオス及びカンボジアの両国に対する経済協力費五億六百万円余及びその他の特殊債務処理費二十四億二百万円余の支払いが行なわれました。  第五に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行出資諸費につきましては、本年度わが国国際通貨基金に対する出資額二億五千万ドルが五億ドルに、国際復興開発銀行に対する出資額二億五千万ドルが六億六千六百万ドルに、それぞれ増額されましたので、これに伴う出資払い込みに必要な経費として、国際通貨基金に対する出資二百三十四億五千七百万円余、国際復興開発銀行に対する出資十六億一千六百万円余を支出いたしました。  なお、これら両機関に対しましては、以上の現金出資のほかに、通貨代用国庫債券をもって、国際通貨基金へ六百六十五億九千九百万円余、国際復興開発銀行へ四十三億五千九百万円余を出資いたしましたが、以上の追加出資によりまして、わが国は、他の加盟国とともに、両機関世界経済の発展のためにますます適切な役割を演ずることができるよう、その資金的基礎の充実に貢献いたした次第であります。  第六に、産業投資特別会計への繰り入れとして五十億円を支出いたしましたが、この金額は、本年度の同特別会計産業投資支出財源の一部に充てるためのものでありますが、同会計におきましては、その経常的財源等と合わせまして、電源開発株式会社外十三機関に対し総領三百八十七億円を出資いたしまして、これら機関事業の進展に寄与した次第であります。  第七に、公務員宿舎施設費につきましては、国家公務員のための国設宿舎を設置する経費として、十六億八千万円余を支出いたしました。  公務員宿舎につきましては、その不足状況にかんがみ、逐年その増設をはかっているのでありますが、以上の支出によりまして本年度三千八十七戸を新たに設置いたしました。この結果、本年度末における公務員宿舎施設費による設置戸数累計は二万八千六百六十二戸となりましたが、これによりましても、なお、公務員の必要とする戸数に対しまして、その充足率は約五二・三%にとどまっている状況であります。  なお、公務員宿舎施設費につきましては、敷地の選定その他主事の関係から支出が翌年度に繰り越されるものがありましたので、以上の支出のほか、四百七十五戸分一億四千万円余が支出未済で繰り越しとなっております。  以上申し述べましたおもな経費のほか、法令等規定により義務的に支出を必要とする経費といたしまして、旧令共済組合等年金交付経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及び交付金の項から十七億八千八百万円余、日本国有鉄道日本電信電話公社及び資金運用部特別会計国庫預託金に対する利子として、国庫受入預託金利子の項から十二億八千五百万円余、内国税過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基づく還付金に対する加算金として、租税還付加算金の項から十二億三千百万円を支出いたしました。  その他、大蔵省所管一般行政処理する等のための経費といたしまして、大蔵本省において十五億円余、財務局において二十七億八千八百万円余、税関において二十三億八千百万円余、国税庁においていわゆる徴税費として二百二十八億四千二百万円余、計二百九十五億一千百万円余を支出いたしましたが、この経費のおもなものは、人件費及び事務費でありまして、人件費の占める割合は約七四%であります。  なお、徴税費について、その支出額国税庁において取り扱った租税及印紙収入収納済額と比較いたしますと、徴税費コストは二・〇七%となっております。  次に、各特別会計決算につきまして、それぞれの会計事業実績等を主として、簡単に御説明いたします。  まず第一に、造幣局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である補助貨幣製造について申し述べますと、百円銀貨幣外、四種の補助貨幣を四億九千八百十万枚、額面金額にして百五億百万円を製造し、その全額を補助貨幣として発行いたしました。この結果、同年度末における補助貨幣発行高は五百八十五億五千五百万円余となっております。  第二に、印刷局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である日本銀行券製造について申し述べますと、一万円券外四種の日本銀行券を七億七千万枚、額面金額にして五千九百五十億円を製造いたしまして、その全量を日本銀行に引き渡しております。  なお、経済の成長及び経済活動の拡大に伴いまして、通貨流通高が逐年著しく増加しておりますので、日本銀行券補助貨幣製造につきましては、相互に調整をはかりながら、これに対処いたして参りました。  第三に、資金運用部特別会計につきましては、その資金運用及び資金調達実績について申し述べます。  新規運用額は約三千百八十五億円でありまして、当初の計画に対しまして約二百五十七億円の増加となっております。その運用内訳は、特別会計への貸付約百六十九億円、政府関係機関貸付千七百四十七億円、その他への貸付及び地方債引受等に約千二百六十九億円となっており、この原資は、郵便貯金厚生保険その他預托金増加額約二千二百四十四億円及び既運用資金回収等約九百四十一億円であります。  なお、運用出初計画より増加いたしましたが、この追加運用の内容につきましては、特に中小企業への年末金融対策及び災害旧対策等につきまして意を用いた次第であります。  第四に、国債整理基金特別会計につきましては、収納済歳入額は四千四百四十億六百万円余、支出済歳出額は三千九百十八億四千三百万円余でもります。  収納済歳入額のおもなものは、一般会計及び特別会計からの国債借入金及び短期証券償還並び利子等支払基金受け入れとして三千九百三十五億三千万円余、満期到来内国債のうち一部を借りかえ償還するための公債発行収入として、九十八億七千五百万円余、前年度以前における国債既償還未払い及び利払期到来分の利子未払い等による前年度剰余金受け入れとして三百七十七億七千三百万円余であります。  支出済歳出額のおもなものは、国債借入金及び短期証券償還として三千三百四十二億五千三百万円余、国債借入金利子及び短期証券割引差額として五百七十三億八千八百万円余となっております。  なお、以上の支出済歳出額収納済歳入額から差し引いた残額は、国債既償還未払い及び利払期到来分の利子未払い等によるものでありまして、それぞれ翌年度へ繰り越しております。  第五に、貴金属特別会計につきましては、金管理法に基づきまして、新産金の百分の五を政府が買い上げることになっておりますので、金地金を四百二十三キログラム余、金額にして一億七千百万円余をこの会計において買い上げており、これに要する資金はこの会計保有銀地金を売却して調達いたしております。  このほか、銀地金売却による収入の大部分は、当年度一般会計繰り入れられています。  なお、この会計が保有している金地金は、三十四年度末現在二十一トン七百六十二キログラム余となっております。  第六に、外国為替資金特別会計につきましては、収納済歳入額百十七億七千四百万円余、支出済歳出額百二十億九百万円余であります。  収納済歳入額のおもなものは、保有外貨資産運用収入として百十二億三千百万円余であります。  支出済歳出額のおもなものは、外国為替資金補足のため発行した融通証券割引料国債整理基金特別会計繰り入れたものであって、百十九億二千二百万円余となっております。  なお、収納済歳入額から支出済歳出額を差し引きますと、二億三千四百万円余の不足を生じました。  この不足金は、外国為替資金特別会計法第十四条の規定により、積立金から補足することにいたしました。  なお、この年度国際収支状況は好調に推移し、三億四千八百万ドルの受け取り超過となっております。  第七に、産業投資特別会計につきましては、電源開発株式会社外五社、日本輸出入銀行外政府関係機関及び日本住宅公団等の三機関に対し三百八十七億円を出資いたしましたが、これは計画に対して五億円の減少となっております。  減少いたしました理由は、日本海外移住振興株式会社に対する出資が、同社の資金繰り上、五億円を翌年度へ繰り越したためであります。  以上の結果、この会計における三十四年度末現在の出資額は四千三百十三億円余、優先株式引受額は九億円余、貸付額は七百四十五億日余となっております。  第八に、経済援助資金特別会計につきましては、わが国工業力強化のための資金として、航空機関係へ四億円、電子機器関係へ三億四千万円を融資するため、これを日本開発銀行へ貸し付けたほか、日本航空機製造株式会社へ三億円を出資いたしました。  その結果、三十四年度末現在におけるこの会計からの投資残高は、日本開発銀行への貸付額約二十九億七千万円、日本航空機製造株式会社への出資金三億円となっております。  なお、これらの投融資のためのこの会計原資は、農産物の購入に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づき日本国に贈与された資金をこの会計受け入れたもので、その贈与受入額は約三十三億九千万円であります。  第九に、余剰農産物資金融通特別会計につきましては、電源、農地の開発森林漁港等振興及び生産性の向上のため、地方公共団体へ二億四千百万円余を貸し付けました。  その結果、三十四年度末現在におけるこの会計貸付残高は約三百八十五億円となっております。  なお、この会計原資として農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた資金は約三百七十八億円であります。  第十に、賠償等特殊債務処理行別会計につきましては、一般会計歳出の部において概要を申し述べましたので、説明を省略させていただきます。  第十一に、国有財産特殊整理資金特別会計につきましては、北海道財務局分室外四官署の庁舎等の売り払い及び前年度剰余金等により三億二千八百万円余の収入がありましたが、同年度において、予算に定めるところにより、二億五千百万円余を一般会計繰り入れを行ないましたので、差引き七千六百万円余の資金残額を三十五年度に繰り越すことといたしました。  以上が、各特別会計事業実績等概要でございます。各会計決算上の計数につきましては、さきに提出いたしました三十四年度決算書及び決算説明によって御承知いただきたいと存じます。  最後に、大蔵省関係の名政府関係機関決算につきまして、それぞれの機関事業実績等を主として、簡単に御説明申し上げます。  まず第一に、国民金融公庫につきまして、資金運用部特別会計からの借入金二百四十二億円及び簡易化命保険及郵便年金特別会計からの借入金九十億円並び貸付回収金等により、件数にして約五十八万三千件、金額にして約千三十九億円の貸付を行ないました。  この貸付金額を当初の予定に比較いたしますと、約百二十九億円の増加となっております。増加いたしましたおもな理由は、中小企業者に対する年末金融及び伊勢湾台風災害復旧融資のため年度中に政府資金の追加があったこと並び貸付回収金等が予定より増加したことによるものであります。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約百二十一万七千件、金額にして約千六十八億円となっております。  第二に、住宅金融公庫につきましては、産業投資特別会計からの出資金四十五億円、資金運用部特別会計からの借入金百七十一億円及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百三十四億円並び貸付回収金等の自己資金をもって、住宅建設及び宅地造成のための貸付を行ないましたが、当年度中の貸付契約の実績は、住宅約九万二千尺、金額にして約四百三十一億円及び宅地約四十三万坪、金額にして約十一億円となっております。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、口数にして約四十八万八千口、金額にして約千八百十億円でありまして、この公庫創設以来の住宅貸付の総契約戸数は約七十万四千戸となっております。  第三に、農林漁業金融公庫につきましては、一般会計からの出資金七億円及び産業投資特別会計からの出資金七十億円、資金運用部特別会計からの借入金百十五億円及び簡易生命保険及郵便年令特別会計からの借入金百四十億円並び貸付回収金等の自己資金をもって農林漁業者に対する貸付を行ないましたが、当年度貸付決定実績は、件数にして約十二万六千件、金額にして約四百六十四億円となっております。この貸付決定額を当初の予定に比較いたしますと、約二十二億円を増加しております。これは、伊勢湾台風災害対策として融資資金増加が行なわれたことによるものであります。  なお、この年度一般会計よりの出資金七億円は、造林事業融資資金に充てるために出資されたものであります。  これらの結果、この公序における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約三十五万九千件、金額にして約千七百四十七億円となっております。  第四に、中小企業金融公庫につきましては、資金運用部特別会計からの借入金二百五十八億円及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百億円並び貸付回収金等の自己資金をもって中小企業者に対する貸付を行ないましたが、当年度中の貸付実績は、件数にして約三万件、金額にして約七百二十二億円となっております。  この貸付額は、当初の予定に比較しまして約七十七億円の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、中小企業者に対する年末金融及び災害復旧融資のため、年度中に政府資金の追加が行なわれたためであります。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約八万二千件、金額にして約千三百二十億円となっております。  第五に、北海道東北開発公庫につきましては、資金運用部特別会計からの借入金六十億円及び北海道東北開発債券の発行による収入金五十九億円のほか、貸付回収金等の自己資金をもって、北海道及び東北地方の産業の振興開発に寄与する事業に対し、百四十三億円の投融資を行ないました。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして四百十六件、金額にして約四百十八億円、出資残高は、件数にして八件、金額にして三億円となっております。  第六に、公営企業金融公庫につきましては、産業投資特別会計からの出資金五億円、公営企業債券の発行による収入金約九十九億円及び貸付回収金等により、地方公共団体の公営企業に対し、件数にして五百三十四件、金額にして約百七億円の貸付を行ないました。  なお、この年度には、貸付回収金の増加資金をもって地方公共団体の既発行債の借りかえを予定外に行なったこと等のため、貸付実績は当初の予定に比較いたしますと約三億円の増加となっております。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして千三百三十六件、金額にして約二百六十二億円となっております。  第七に、中小企業信用保険公庫につきましては、産業投資特別会計から四十億円の出資を受けましたが、この年度における業務実績は、保険業務におきましては、件数にして約二十九万四千件、金額にして約九百十四億円の保険の引き受けを行ない、また貸付業務におきましては、信用保証協会に対し約三十一億円の貸付を行ないました。  なお、保険引受実績は、当初の予定に比較いたしますと、かなり下回っておりますが、これは主として包括保証保険におきまして保険の利用が見込みより少なかったためであります。  これらの結果、この公庫の三十四年度末の付保残高は、件数にして約二十一万七千件、金額にして約七百八十億円となっており、また貸付残高は、件数にして二百五十三件、金額にして約五十億円となっております。  第八に、日本開発銀行につきましては、資金運用部特別会計からの借入金四百五十億円及び貸付回収金等の自己資金により、約六百八十億円の貸付を行ないました。その内訳は、電力約二百五十億円、海運約百七十九億円、その他一般産業約三百五十一億円となっております。  このほか、この銀行がいわゆる世銀借款の窓口として受け入れた外貨を貸し付けたものは、約二百七十四億円となっております。  これらの結果、この銀行の三十四年度末の貸付残高は、件数にして二千百二十九件、金額にして約五千五十六億円となっており、その内訳は、電力約二千六百五十四億円、海運約千六百二十九億円、その他約七百七十三億円となっております。このほか、外貨貸付金は、件数にして十九件、金額にして約七百七十一億円となっております。  なお、この銀行がその利益を国庫に納付した金額は約百二十五億円に上り、産業投資特別会計の主要な財源となっております。  第九に、日本輸出入銀行につきましては、産業投資特別会計からの出資金六十億円、資金運用部特別会計からの借入金二百二十億円及び貸付回収金等の自己資金により、約六百四十八億円の貸付を行ないました。その内訳は、輸出金融約五百七十億円、輸入金融約十三億円、投資金融約六十五億円となっております。  この貸付額を当初の予定に比較いたしますと、約百五十二億円の減少となっております。そのおもな理由は、船舶輸出が不振であったこと及びインドに対する円借款等のいわゆる大口案件の実行のズレがかなりあったこと等によるものであります。  この結果、この銀行の三十四年度末の貸付残高は、件数にして四百十件、金額にして約九百四十三億円となっております。その内訳は、輸出金融約七百五十八億円、輸入金融約十八億円、投資金融約百六十七億円となっております。  以上が、各政府関係機関事業実績等概要でございます。各機関決算上の計数につきましては、さきに提出いたしました昭和三十四年度決算書及び決算説明によって御承知いただきたいと存じます。  これをもちまして、昭和三十四年度における大蔵省所管決算概要説明を終わります。  なお、会計検査院から、不当事項四件、是正事項百二十一件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これらにつきましては、それぞれ適切なる是正措置を講じますとともに、今後一そう事務の合理化をはかり、改善に努力を傾注いたしたい所存でございます。  何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  9. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 日本専売公社の三十四年度決算については、すでに昭和三十六年五月十五日の委員会において説明を聴取しておりますので、引き続き国民金融公庫関係説明を求めます。石田国民金融公庫総裁。
  10. 石田正

    参考人(石田正君) 国民金融公庫昭和三十四年度決算概要について御説明申し上げます。  昭和三十四年度においては、収入利益総額は八十五億一千万円、支出損費総額は七十二億七千万円、差引十二億四千万円の償却前利益を生じたのでございます。固定資産の減価償却引当金に三千万円、滞貸償却引当金に十二億一千万円、合計十二億四千万円の繰り入れを行ないました結果、三十四年度利益金はゼロとなって、国庫納付は生じなかったものでございます。なお、収入総額八十五億一千万円のうち、貸付金利息が八十一億九千万円でございまして、その大部分を占めております。支出は七十二億七千万円でありまして、そのおもな内訳は、借入金の利息が四十六億八千万円、代理店の手数料九億六千万円、事務経費十五億八千万円等でございます。  次に、貸付業務について申し上げます。  三十四年度中の貸付額は千三十九億円でありまして、前年に比しまして百四十六億円、昨年比にいたしまして一六・三%の増加となっております。このうちおもな貸付について見ますと、普通貸付は九百十九億円、前年に比して百四十七億円、一九%、それから恩給担保貸付は、九十八億円、前年に比し十九億円、二四%と、いずれも増加いたしております。この結果、期末貸付金残高は千六十八億円になりまして、前年に比し百六十四億円、一八・一%の増加でございまして、おもなる内訳は、普通貸付が八百九十五億円で、前年に比し百三十九億円、一八・四%、恩給担保貸付が九十八億円で、前年に比し十八億円、二三・二%の増加となっております。これら貸付に要しました財源につきましては、まず政府からの借入金が当初、二百五十億円、伊勢湾台風等のための借入資金が四十二億円、年末資金三いたしまして四十億円、このうち十億円は短期資金でございますが、追加されまして、合計三百三十二億円でございまして、これは前年に比べまして七十七億円の増加でございます。反面、政府への返済金が百七十六億円でありまして、前年に比べまして五十一億円増しておりまするので、差引ネットの増加、額といたしましては百五十六億円でございまして、このネット増加分は、前年のネット増加分に比べますと二十六億円の増加となっておるのでございます。それから、期中の貸付回収金は八百七十五億円でございまして、これは前年に比べますると百三十九億円の増加でございます。  以上申し上げました政府借入金貸付回収金の両者が貸付財源となっておる次第でございます。  次に会計検査院検査報告には延滞額について触れておられますので、一応この点を御説明申し上げます。三千四年度末において最終期限経過後六カ月を経過いたしました延滞額は、十七万件、二十九億八千八百万円でありまして、貸付総残高に対しまする件数では一三・八%、金額では二・七%になっております。これは、前年に比しまして、件数では三・二%、金額では〇・九%の減少を示しているのでございます。このうち更生資金貸付の延滞額は、件数で十三万七千件、金額で十七億三千二百万円でございまして、更生資金貸付残高のうち、件数で申しまするならば七二・七%、金額で申しますれば六九・八%の比率を占めているのでございます。この比率を前年に比べてみますると、件数では五・三%、金額では一%、いずれも減少しているのでございます。  次に、公庫のおもなる貸付である普通貸付について見ますると、件数は一万六千件、金額で九億八千五百万円となっております。件数で申しますると二・四%、金額で申しますと一・一%に相当いたします。これを前年度と比べてみますと、件数では〇一四%、金額では〇・二%の減少となっているのでございます。  以上、概略でございまするが、公庫の昭和三十四年度決算説明を終わらせていただきます。
  11. 佐藤芳男

  12. 松田令輔

    参考人(松田令輔君) 昭和三十四年度北海道東北開発公庫の決算及び最近の業務状況について御説明申し上げます。  昭和三十四年度予算における出公庫資金運用計画は、出資三億円、融資百四十億円、総額百四十三億円で、その原資調達は、資金運用部からの借入金六十億円、債券発行六十億円及び自己資金二十三億円を予定したのであります。  これに対し、融出資実績は、北海道七十八億円、東北六十五億円、総額百四十三億円で、予算に対し百%の実行をみたわけであります。  三十四年度の損益決算は、貸付金利息収入等の総益金が三十二億八千六百万円となり、これに対し、支払い利息、事務費等の総損金二十六億三百万円でありまして、六億八千三百万円の差益金を生じました。  当公庫といたしましては、公庫の国庫納付金に関する政令により年度貸付残高の千分の十五以内の滞貸償却引当金への繰り入れが認められておりますので、右差益金の大部分六億三千万円はこれを滞貸償却引当金及び固定費産減価償却引当金に繰り入れ残額五億三百万円は決算上の純利益金として国庫へ納付いたしました。  かくいたしまして、昭和三十四年度末の資産負債の状況は、融出資残高四百二十一億六百万円となり、これに対応し、政府出資金二十五億円のほか、政府借入金残高二百二十一億六千八百万円、債券発行残高百六十八億六千六百万円、滞貸償却引当金十一億五千百万円となりました。  なお、融出資残高の地域別の内訳は、北海道二百六十六億七千二百万円、東北百五十四億三千四百万円であります。  次に当公庫の現況をつけ加え御説明申し上げます。  三十六年度末の融出資残高は六百五十一億七百万円となり、この地域別内訳は、北海道三百七十億一千七百万円、東北二百八十億九千万円であります。  これに見合う原資としては、政府出資金二十五億円は前年度と変わらず、政府借入金残高は二百四十一億円、債券発行残高は三百六十億円となりました。  なお、三十六年一月一日より貸出金利を年九分より八分七厘に引き下げましたが、収支の状況は良好であり、七億一千九百万円の差益金を生じ、所定の滞貸償却引当金の繰り入れを行ない、なお余剰を生ずる見込みであります。  以上をもちまして、半公庫の昭和三十四年度決算及び現況の御説明を終わります。
  13. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 会計検査院より検査報告についての説明を求めます。  大蔵省関係を秋山第一局長、それから日本専売公社国民金融公庫北海道東北開発公庫関係を白木第五局長より、それぞれ説明を求めます。
  14. 秋山昌平

    説明員(秋山昌平君) 昭和三十四年度大蔵省関係会計検査の結果を申し上げます。  最初に国有財産関係でございますが、検査報告の三十六ページ以下に掲記してございます。その第一の九号でございますが、これは保管中の物件を契約も締結せずに部外者がほしいままに搬出し、それを関係の職員が承知し、容認しておったというものでございます。  次の第十号は、地下ケーブルを低価に売り渡したというものでございますが、これが埋設されておるものでありましたならば、はっきりその数量が算定困難かと思いますけれども、本件は、契約締結前にすでに会社に発掘させ、その数量が確認し得たものでありまして、これを立ち合い確認していない、実測して、いないということのために、実際に会社が転売した数量と比較してみますと、その数量を当局では過小に算定しておったというものであります。  次の第十一号は、市川市内の土地を低価に売り渡したというものでございますが、これは従来農地でありましたので、農地として評価して売っておるわけでありますが、周囲の状況から見ましても当然宅地に転用でき、現に所有権移転の際には宅地として登記しておるものでございますから、当然宅地として評価すべきものであったと認められるものであります。  次の第十二号は、加熱炉を売り払うにあたりまして、煙突が五個ありまして、そのうち一個の評価を漏らしたというものでございます。ケアレス・ミスとも考えられますけれども、評価にあたって慎重でありたい、こういう意味で検査報告に掲記した次第であります。  次に、租税関係でございます。租税は、その徴収が非常によくなっておりまして、収納未済は徴収決定済額の一・七%前年度よりもよくなっております。ただ、賦課におきまして、三億一千六百万円ほどの徴収不足がある。これも前年度の四億五千三百万円に比べますれば減少はいたしておりますものの、なお税務署の係、あるいは税務署相互間の連絡、資料の連絡というものが十分でない、あるいは法令の適用上、税務計算上、そういった過誤のためにこうした徴収不足を生じておるのでありまして、毎年申し上げておるところでありますけれども、なお十分の御配慮をいただきたい、かように考えて掲記した次第でございます。  その他については、申し上げることがございません。
  15. 白木康進

    説明員(白木康進君) 三十四年度日本専売公社の内容を申し上げます。  当年度につきまして、不当事項として掲げてありますのは、百十五ページの不正行為一件だけでございます。本件は、日本専売公社米子支局管内で、境の塩倉庫におきまして、倉庫手が部外の者と共謀いたしまして、保管中の白塩をほしいままに領得したものでございまして、領得したもののうち、発覚当時に押収しました際の白塩を除いて、現在まだ補てんに至っておりません。なお、本件に関しましては、塩の保管の強化につきまして、専売公社において倉庫の施錠の封緘等につきまして措置を講ぜられた旨の報告を受けております。  なお、このほかの事業概要及び事業損益について、百十三ページから百十四ページにわたりまして掲記してありますから、説明は省略いたします。  次に、国民金融公庫関係につきましては、決算の概況を百二十八ページ以下に記述しておりますが、検査の結果不当と認めて検査報告に掲載した事項はございません。決算概要説明を省略いたします。  次に、北海道東北開発公庫につきましても、その概要を百三十二ページに記述しておりますが、検査の結果、不当と認めてこの報告書に掲記した事項はございません。  簡単でございますが、以上をもって説明を終わります。
  16. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 以上で説明聴取は終わりましたので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  17. 木下友敬

    ○木下友敬君 専売関係で質問したいと思いますが、まず最初に、近年の専売利益の問題から入ってみたいと思います。たばこの利益金は、たとえば昭和三十年には千二百十六億円、昭和三十三年には千二百七十七億円、順調に伸びてきておりますが、今度その利益金を政府に納付するというときになりますと、昭和三十年には千百八十億、三十三年には千二百六十億というように、せっかく利益を上げたものが、今度は専売事業全体としては少なくなってきておる。それはなぜ、だろうと思って調べてみますと、ショウノウのほうがマイナスになっておるし、近年は塩専売のほうもマイナスになっているというのが理由のようでございます。で、ショウノウの専売については、ことしの国会でショウノウの専売はやめるということになりましたので、問題はございませんが、塩につきましては、依然として専売制度は続けられていく情勢にあると思うのでございます。しかし、塩自体につきましても、塩の製造業が近年不振であるというので、三十三年でしたか、三十四年でしたか、塩の製造業者に対する特別の措置をするという法律案が作られたということもございますが、こういうように塩が不振になってきたというのにはいろいろ理由がございましょうが、その一つは、私はやはり塩の製造の方法の見通しを政府が誤ったというふうに考えておる。樹枝架式の製造法で製造量の見通しを過小に見積っていたということが原因で塩がだぶついてきた、こういうようなことが考えられると思うのでございます。したがって、政府も、そういう塩の製造方法に進歩をさせて、改善をして、そして塩の製造業を助けていこうというような状態に持ってきておると思うのでございます。ところが、一方から言えば、そうやって作っても、塩は内地産は非常に高くついておるようであります。輸入品だとトン当たり五千円とかあるいは三千五百円であるのが、専売局が買い上げている内地産の塩の値段は、高いときは、一万三千円、いろいろ操作をしてこれを安くするにしましても、現在でも一万円以上で、三十八年かには一万円に打っていこうというような状態で、なかなか外国品には太刀打ちはできないということになって、こういうことがやはり塩の専売を困難に今日持ってきておるように思うのですが、こういう点について政府はどういうように考えておるか。専売というのは、おそらく国の財政を助ける意味の財政専売と考えるのが専売の一番意義だろうと思うのですが、今日ではどうかすると業者を保護していくというような傾向に主要な点が向けられておるのではないかと思うような気がするのです。そういう意味で、この専売の将来というものについての大蔵大臣の考え方、そしてこれをどういうふうに持っていって、塩専売というものを相変わらず続けていく根拠となるような政策を持ち合わせておるかどうか、なおそれに加えて、なぜ日本の製塩の価格が高くつくかというようなことについて御説明を願いたい。
  18. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 阪田専売公社総裁。
  19. 木下友敬

    ○木下友敬君 これは専売の制度というもののこれからの方針を私聞くつもりですから、大蔵大臣の答えが聞きたい。
  20. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) とりあえず総裁からお答えを願って、それから大臣からどうでしょう。
  21. 木下友敬

    ○木下友敬君 こだわるわけではありませんが、専売公社の総裁というものは、専売制度があって、それをどう運営していくかということが総裁の仕事であります。専売制度をどうしていくかというのは、国の方針で、大蔵大臣が考えなければならぬことでありますから、ひとつやって下さい。
  22. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) たばこの専売制度についての考え方、これは、審議会の答申もありますことでございますし、私どもそのように考えております。塩の問題でございますが、塩は、御承知のとおり、国内塩は非常に高くて、国外塩が非常に安いという状態になっておりますので、今では、塩を専売制度にするということは、おっしゃられるように、国内業者の保護というような機能を果たすところにいろいろの現実の意味を持っておると私も考えておりますが、これはできるだけ塩価を下げていくという努力をすべきでございますので、計画的にこの合理化を進めて、将来どの辺まで塩の値段を下げていくかという一つの目標をきめて、今指導しているところでございますが、そういう外国塩が特に安く、値開きの多いというときでございますので、いろいろ考えましても、やはり専売制度ということによって国内塩を保護しながらこの合理化をやっていくよりほかにこの国内塩を育成していく方法はないのじゃないかと私どもは考えておりますので、塩必ずしも専売にしなければならぬという理由以外に、専売制度を通じてこれを行なうことが今の場合は適切だと、そういうふうに考えておりますので、この制度は維持していきたいと考えております。
  23. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の答弁には、まだ足りないところがたくさんあるわけです。なぜ国内生産が高くつくかということ、それから大臣は今の情勢下では専売制度を続けていくのが適切だと思うという結論的な答弁ですけれども、なぜという、なぜ続けていくのが適切だというお考えが述べられていないのでございます。お答えがむずかしいようであれば、総裁からひとつ補足していただいてもけっこうだと思います。
  24. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 日本の塩のコストが高い、おっしゃるとおりでございます。これは、先ほど御指摘がございました枝条架法というものを使う、あるいは流下式の塩田というものに改造していくということ、その他いろいろ技術的に改善いたしまして原価を下げて参ってきておるわけでございますが、それでもまだ十分でないわけであります。基本的にどうして塩価が高いのかと申しますと、これはむろん、日本の自然の条件か悪い——雨量が多い、日照時間が少ない、あるいは湿度か非常に高い、あるいは塩を作るのに適した土地が狭いのであまりありません、そういったような自然の条件が根本問題であろうと思います。ただ、自然の条件が違うからと言っておったのでは、いつまでたっても日本では、安い、海外と競争できるような塩ができないというようなことでありますので、技術的の研究が必要となってくるわけであります。現状におきましては、御承知のように、イオン交換樹脂膜、そういったような、一例をあげますればそういう方法、そのほか新しい技術をあらゆる面で取り入れていきましてコストを下げていこう。昨年度塩業審議会から、将来の塩業政策につきまして答申がございました。その答申におきましても、こういったような新技術を取り入れまして、先になりますれば、少なくとも、海外から輸入されまする塩にまず妥当と思われるだけの関税をかけた額、まあその他のコストを加算しました額、その程度までにはぜひ新技術の採用によって塩のコストを下げていきたい、こういうことで、いろいろ各方面——これは公社におきましても研究いたしておりますし、またそれそれぞれ民間の塩業者におきましても研究いたしておりますが、そういう方向で努力いたしておるという考えでございます。
  25. 木下友敬

    ○木下友敬君 イオン交換樹脂膜法などでコストを安くしていくお考えは、それはけっこうだと思うのでございますが、そうすると生産はふえてきますね。主席はふえてくる。ところが、現在でも塩は野ざらしにするように余っている。現在も生産過剰の状態にあるのを、改良された新しい方法で塩を作っていって、それでもまだ、外国から入るような、塩の種類にもよりますけれども、五千円程度にまで下げていくということは、私は不可能だろうと思う。そうすると、塩専売の将来、あるいは専売でなくても塩を作る人たちの将来というものが考えられるわけですが、現在の見通しからいきますと、先年整理しました残りの業者がたくさんおりますが、こういう業者の整理をさらにせねばならないという状態が当然起こってくる心配があるかないか、そうして同時に、塩の値段を下げていくといえば、どの程度まで下げられる見込みが今立っているか、そういう点ひとつ重ねてお伺いします。
  26. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 最初に、イオン交換樹脂膜法、こういった新技術の採用によりまして生産がふえまして、また生産過剰を来たすのではないか、こういうお話でございますが、これは御承知のように、先般塩業の整理を行ないまして、整理前に百三十三万トンぐらいの能力のありました業者を整理して、現在は九十三万四千トン、この程度のものを残してあるわけであります。これに対しまして、大体この九十三万四千トンのワク内で生産をさせておる、ワクをきめまして現在やっておる、こういう段階でございまして、イオン交換樹脂順法というものができましても、現在のワク内で新しい技術を取り入れてやっていくということでありまして、新しい技術によりましてそれだけふえるというふうには私ども考えていないわけでございます。それで、現状におきましては生産過剰があるかないかという問題でございますが、大体三十六年度実績を見ましても、生産、それから国内で生産されたものが食糧とか一般用に使われております消費は、大体九十万程度のベースになっておりまして、現状ではまず生産、消費とんとんぐらいの状態になっています。三十七年度も大体そういう見込みで参るつもりでおりますが、整理直後におきましては、多少まだ生産能力が多過ぎるのではないかといったような感じもあったわけでありますが、いろいろと消費の増進等に努めまして、現状ではそういう状態になっておるわけであります。それで、さっきの問題としましては、もちろん、先ほども申し上げましたように、コストを下げていかなきゃならないわけでありますが、これは、これから新しい技術がいろいろと出てくると思いますが、そういうものを取り入れて下げていくということでありますので、新技術の導入あるいは経営、設備等の合理化、  いろいろ問題があると思いますが、そういうことと並行していくわけでありますので、こういうことで幾らになるといったようなはっきりしたことを申し上げるわけにも参らないわけでありますが、先ほど申しました塩業審議会等の答申に示されました、一応の目安といったような価格、これはトン当たり六千六百円というようなことになっております。この程度に下げて参りますれば、大体輸入塩に適正な関税がかかるものとして仮定しました場合、ほぼ競争のできる程度の価格と言えるのであります。こういったような面から、そういうような目標を一応塩業審議会としては掲げておるわけであります。私どもも、できればこういうところまで持っていきたいということで、いろいろ努力をいたしておるというところでございます。
  27. 木下友敬

    ○木下友敬君 イオン交換樹脂膜法というのは、よく存じませんけれども、かなりな設備の要るやり方のようですが、ところが国内の製塩の浜を数カ所見てみますと、どうも製塩の組合なども非常に微力である。とても大きな施設などできそうな組合はりょうりょうたるものだと思う。そうすると、そういう人には、あるいは特別の金融などをやって、そして新しい設備をさすということも必要になってくるだろうが、たとえば、香川県の下香西地区の人がこの間上京して参りまして、塩害対策特別委員会というものを作って、製塩業者に向かって塩害の補償を要求している。というのは、台風などの来た場合、枝条架式の塩が飛んで、その前の果樹園を枯渇さしてしまって、その補償をくれということでここ数年やっているけれども、ほんのスズメの涙ほどの補償しかもらえないという、実情なのです。もらえないほうも非常に困っているけれども、その補償金を出す資力を持たない、そういう現状なのです。そうすると、塩を作っている人もあえぎながら仕事をし、しかもマイナスだ、その周囲の部瀞の人たちも、そういう不景気な塩業があるために、自分たちの果樹園が荒されるというような、非常に両方とも損しているというような状態のところが、ここ以外にもあるわけです。そういうことを救うために、もちろん、今お話しのイオン交換樹脂膜法など、そういう災害などを除却していく方法として役立つと思うのでございますが、それにしても外国塩のような安い値段になるとは思わないし、決算面を見ますと、たばこで利益を上げておっても、やはり塩のほうでマイナスになるから、政府に対する納付金は減ってくるというようなことは、これは当分続くわけです。そこで、かりに続くというふうにきめました場合に、塩の事業のほうはずっと赤字が何年か続くという見通しがあっても、塩の専売ということはやはり政府はやっていく——これは公益的な意味があるからやるというようなお答えがあるかもわからないけれども、財政面ではマイナスになる仕事も政府は続けていくのだという考えであるかどうか、大臣からもう一ぺんはっきりお聞きしておきたいと思うのです。
  28. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この塩の事業は、かりに完全な自由化が行なわれる場合、当然日本の塩業というものはもう壊滅すべき運命にある事業でございまして、したがって、これを専売制度という制度の中で今日まで育成してきている関係から見まして、ここでこれを自由にするということはできませんので、今申しましたように、コストを下げるという計画の線でこれを指導しながら、外国塩と太刀打ちのできるところまで持っていくということをすることがやはり妥当だと思いますので、その間において非常な赤字が出るというようなことも、これはやむを得ないというふうに考えていく以外に方法はないだろうと思います。
  29. 木下友敬

    ○木下友敬君 塩については大体その程度ですが、たばこのほうは相当な利益を上げている。利益を上げているけれども、毎年百億くらいの葉タバコの貯蔵が行なわれているというふうに、私の調べではなっております。この原因は、輸出が非常に一不振である。以前は国内生産の一〇%ぐらいは外国に出していたけれども、現在では一%くらいしか出ていない。輸出の不振ということは、単に葉タバコだけでなくして、一般のほかの日本の鉱工業の生一産物でもそうでございますから、葉タバコだけを責めるわけにはいきませんが、輸出不振ということで在庫品が非常に多くなっているという状態のようでございます。それで、一方から考えれば、葉タバコというのは全部できたものを政府が買い上げるんですから、これも葉タバコ主席農業者ですね、葉タバコを耕作しておる人を保護しているんだと、この場合も、利益は上げておるけれども、たばこ専売事業というのは、タバコ耕作者を保護しておる政策面が非常に多いということが考えられるように思うのです。これもまあいいと思うのです。しかし、いろいろ、財界の審議会、協議会というようなものを見ますと、たばこの専売などはもう政府の専売事業にしないで、一般民間の事業にしたらいいのではないかというような声が非常に多いように思われるのです。一番初めこれを考えたのは、吉田首相の時分でございまして、その後公共企業体全体のあり方については、岸さんがこの問題を取り上げて、審議会に諮問しておられる。そのとき、公共企業体の中でも、鉄道だとか、あるいは電電関係などは、これは別として、専売事業はもう民間の事業に移してもいいし時期に来ておるし、むしろそのほうがいいかもわからぬ、いろいろ対策を考えてその方向に持っていったらどうかというような答申が出たように思うのですが、その後はそういう特別の国が持つ審議会の答申としてはそういうものは出てきていないが、専売関係で、経済団体なんかがいろいろ研究した結果からいけば、たばこの専売ももう民間に移したらどうかというようなことが強く打ち出されておるのでございます。大蔵大臣は今、赤字である塩専売についても、赤字ながらもこれは専売を続けていくというお考えであるわけですが、いわんやたばこのように大きな納付金を納めておるこういう専売事業は、これは民間に下げるということはお考えにならないかもわからぬけれども、たばこの専売による納付金とほぼ同等あるいはそれに増す消費税などがほかの方法で納入できるということをもし考えたならば、あるいはたばこの専売もやめ、そうして民間でやったほうがお役人仕事よりももっとりっばな成績をあげるのではないかというような説をなす者もかなりあるように思うんですが、そういうような考えについては、政府としては、全然取り上げて、そういう問題についてお考えになるようなことはない、依然としてたばこの専売というものは続けていくんだというようなお考えであるかどうか、これも大蔵大臣のお答えを願っておきます。
  30. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、そのたばこの民営制度の可否という問題は、諸方面から出て参りまして、私どもも一ぺんこの問題を検討するため、審議会にこの問題をかけて検討しましたが、その結果は、この専売事業は、収入が財政に占める重要性、これは、今おっしゃられましたように、別の民営の形ででもこれが確保されればいいんじゃないかという考えを私どもも持っておりまして、いろいろ御審議を願ったわけでございますが、結局その問題については、これは別にむずかしい問題はないと思いますが、民営移行の実現上の困難性というようなものは現状からいいまして非常に多いということになりましたので、これを今のような経営じゃなくて、運営にもう少し民営的な運営のできるように改善を加えてやはり存続させることが適当である、この際すぐに民営に移すことは適当ではないというのが審議会の意見となりまして、こういう答申が出ましたので、私どももその答申に基づいてやっている、こういうことでございます。
  31. 木下友敬

    ○木下友敬君 塩及びたばこの専売はずっと続けて行く、いろいろ困難があっても創意をめぐらして専売を続けていくのだという御答弁だったと解釈します。そのよしあしは別として、その即売をどうやっていく、専売の将来がどうなるかということについては、財界の人、専売公社関係の従業員等は想像以上に頭を使っている、心配しているところがあると思うので私は質問をしたわけで、政府の方針がはっきりとなったことを私は喜ぶ者の一人です。  なお次に、私はたばこの人体に及ぼす害について少し質問をしておきたい。たばこは、今調べてみますると、未成年者はたばこを吸ってはいけないという法律は、明治三十三年に未成年者喫煙禁止法という法律で、未成年者はたばこを吸ってはいけないという法律が出ているのですが、これは明治三十三年のころですから、どういう根拠で未成年者にたばこを吸わせないか、害があるのだという大まかな考えがあったのかどうか、私は調べておりませんが、専売公社あるいは大蔵省のそのほうの関係の力で、この法律は昭和二十二年に多少改正されているようでございますが、依然として未成年者はたばこを吸っちゃいけないという法律が現存している、その根拠について御説明願いたい。
  32. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) お答え申し上げます。仰せのとおり、未成年者喫煙禁止法によりますと、「満二十二年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス」と、こうなっておりますが、この趣旨は、たばこをのむという習慣をつける場合におきましては、人体に若干の影響があるわけでございますが、成年者でございますると、その喫煙をする場合に、いろいろ配慮を加えまして、人体に害がない程度に喫煙をすることができるわけでございますが、未成年者の場合は、往々にいたしましてその度を過ごすというようなこともあろうかと考えまして、こういう法律ができていると考える次第でございます。たばこの害につきましては、長期間わずかな喫煙であればそれほど人体に害はないというのが学説でございますが、二度に多量の喫煙をするという場合におきましては、きわめて有害な作用を及ぼす、こういうような考え方がこの基礎になっていると考えます。
  33. 木下友敬

    ○木下友敬君 これは明治三十三年に作られて、昭和二十二年に改正はされておりますけれども、主要な点はたいした改正がなかったように思うのですが、おそらく今専売公社におられる方は、この法律はあまり読んでおらないのだろうと思う。大まかに未成年者は吸っちゃいけないというようなことは、私らもそう思っていて、なぜだろうというように思うし、なぜ未成年者というようなところで——まあどこかで区切りをつけなければいかぬから区切りをつけたというようなことで、根拠はあまり確かなものはないだろうと思うのです。今の御答弁でも、どうも条文を見てたどたどと言っておられるようですが、ついでにもう少し先のほうを読んでもらいますと、もし未成年者がたばこを自分が吸うために持っておったらそれを取り上げるという罰則とか、あるいはたばこを吸う器具を取り上げるという、その条項のもう一つ先には、そういうことをした人には「一円以下ノ科料ニ処ス」とあります。一円。私はたばこを吸わないからたばこの他殺はさっぱりわかりませんが、一円以下の科料というようなものが今現存しておるこの法律なんですが、どうですか、この法律は。まあ日本は法律が多過ぎると言われるのに、まだ科料一円以下というような法律の残っているのは、専売公社が少し考えて改正してもらうとか、やめてもらうとかいうようなことをしなきゃおかしいんじゃないかと思うのですが、あるいはそんなことをわざわざ質問しないでいいじゃないかと思われるかもわからないけれども、私らから見ると、まことにおかしい法律が残っておると、こう思うのです。ひとつ御所信を伺いたい。
  34. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 罰則の点でございますが、罰金等臨時措置法によりまして、この法律の一円は千円に読みかえるし、また第四条の十円につきましては二千円に読みかえるということになっておりますが、千円にいたしましても、二千円にいたしましても、まだ低いのではないかという疑問も生じますが、この点につきましては、さらに法務省とも相談いたしまして、検討を加えたいと思います。
  35. 木下友敬

    ○木下友敬君 こういう問題で長く質問する気はありませんが、私は、この未成年者ということについても、専売公社としてはあまり問題にしておられないと思うのは、いつだったか、私の見たポスターで、お嬢さんがたばこを吸っているのがあったと思う。これは多分専売公社のポスター、たばこの宣伝ですからそうだったと思うのですが、若いお嬢さんで——私の目で見れば年寄りだから若く見えるかもわからぬけれども、未成年者がたばこを吸っておると思うようなポスターを見てびっくりしたことがありますが、ああいうことから見ますと、おそらくこの法律などは、専売公社はこういう法律があることはあまり問題にしておられない。とにかくよけい吸ってもらいさえすればいいという考えのほうが先に行っているのではないかと思うのです。事のついでですから、その例のポスターの問題が事実無根であるかどうか、私は記憶にあるようですから、この際ひとつ話しておいて下さい。
  36. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 確かに、専売公社につきましては、女性が喫煙しているようなポスターを二、三出したようなことはございます。これは大体、こういうポスターを作るときには、たいていそういう写真のモデルになる者は、それぞれ女優とかモデルとかいったようなきまった職業の者が大体なっております。未成年者の者はないと思っておりますので、御了承願いたいと思います。  なお、ついでに申し上げますが、専売公社といたしましては、全然無関心ではございませんので、未成年者は喫煙してはなりませんといったようなポスターを出したこともございます。
  37. 木下友敬

    ○木下友敬君 専売公社のさっきのお話で、たばこは若干の害がある、少しならばよいけれども、長く続けておれば害になるというようなお話がございましたが、私は肺臓ガンのことでちょっと聞きたいのですが、専売公社の、肺臓ガンまではいかなくても、たばこの害について考えておられるのはどういう程度であるか、専売公社としてたばこの害についてどのような考えを持っておられるか。
  38. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) たばこの衛生上に及ぼす問題につきましては先ほど監理官からも少しお話がございましたが、たばこはニコチンとかその他の成分があるわけでありますが、衛生上よいと、積極的に健康を増進するといったような面がないことは、はっきりしております。ただ、どういうふうな条件のもとに、どういう吸い方をするといいますか、いろいろ多量にとるとか、そういったような場合にどの程度の害があるか、それに比べて、たばこを吸う——これは趣味、嗜好品でありますから、そういったような面の利害がどの程度あるか、こういったような考え方でこれはきめるべき問題じゃないかと私どもは考えておるわけでありますが、ただいま御指摘になりました肺ガンの問題につきましても、近年、ことに欧米諸国におきましては、肺ガンの増加ということから、いろいろその業者の間で注目されているわけであります。私どものほうでもこの点無視はしておりませんので、いろいろと公社自体としても研究いたしますし、また、東京大学、あるいは癌研とか、そういったような面にも依頼しまして、連絡をとりつつ研究をしておるという段階でございます。まだ十分な結論は得ておらない。
  39. 木下友敬

    ○木下友敬君 肺臓ガンは、国際的といいますか、世界的にも相当問題になっております。昭和二十二年には、厚生省の統計によりますと、人口十万について七百人、それが三十二年には三千三百七十四人というので、十年間に四・八倍になっております。国立公衆衛生院の平山博士は、現在では結核のほうがはるかに多いけれども、昭和三十八年には肺ガンのほうが結核のほうを上回っていくだろう、数字をあげて平山さんはそういうことを述べております。米国では年に二万人が肺臓ガンで倒れている、これは五、六十年前の二十倍である。こういうふうに言われているようでございます。昭和二十六年には、アメリカでは、肺ガン八十二人、咽喉ガン七十二人、その他五百二十二人について臨床調査をしました結果、これは昭和二十六年ですが、肺臓ガンというものはどうも喫煙者に多いようだというようなことを言っている。また、肺ガンの千四十五人と健康者の六百五入について比較した研究の結果、肺臓ガンの八五%までがたばこを吸う人である。しかも二五%は紙巻たばこを吸うのが肺臓ガンに関係がある、こういうふうな結果を出しておられます。現在ではいろいろたばこの種類があるけれども、紙を巻いた、あの紙がよけい、たばこ自体よりも、あの紙の中にガンを発生する要素がよけい含まれているようだと、こう言う学者もあるようでございまして、紙巻たばこというものに対する注意が集められてきたように思うのです。世界で一番多いのは、スコットランドの十万についての五十六・三人、イギリスの五十四・八人、フィンランドの四十七・四人というように、肺臓ガンの数が昔に比べて非常に多くなっておるようでございますが、アメリカのガン協会のC・ハモンド、D・ホーンという二人の学者は、たばこを吸う人は短命であるというようなこともはっきり言っている。これは、ニューヨークの——私はその当時株式相場を見たわけではないけれども、アメリカのたばこの製造販売会社の株が下がったというほどの迷惑な発言であったそうでございますけれども、やはりたばこをよけい吸う者にはガンが多いというようなことで、動かすべからざる定説だとまでは言えないにしても、だんだんそういう関係が明らかにされつつあるように思うのでございます。  ところで、今も総裁から、ガンについての関係も関心がないわけではなくて、自分のところでも、そういう心配があるから、大学などにその研究を依頼しておるというようなお話がございました。アメリカなどでは、当のたばこを作っておる、あのチェスター・フィルドという会社などが、多額の金を出して、肺臓ガンなどの研究に費用を出しております。関係があるのだということになれば、自分の会社の売れ行きが悪くなるということが、わかっておるけれども、良心的に多額の金を出して、肺臓ガンとたばこの関係を研究さしておるというような事実がございますが、これは、私は、専売公社としては、本気で、これが間違っておる説であるか、あるいはどうすれば、その肺臓ガンの原因となること々少しでも小さくすることができるかということについては、積極的な研究をなさってやってもらいたいと思うのです。今御答弁の中にも、癌研とかあるいは大学などに依頼しておるというお話で、私が想像していたように無関心でなかったということは喜ぶのですが、そこで、はっきり、何年にはどういう資料を出して、大学には幾ら金を出して研究を依頼しておるとか、あるいは癌研には、どういうことを条件としてたばことガンの関係の研究を依頼しておるということを、ただ頼んでおるのだということじゃなくして、国会委員会で、そういうことを依頼しておると言われるからには、きちんとしたものがあるはずなんだから、どういう依頼の仕方をしておられるか。  また、政府は他の衛生研究所などを持っておりますが、そういうところでも研究は可能でございますが、今お頼みになっておるということで、だいぶ安心はしたけれども、その頼み方いかんで、まだ安心のいかない点があるから、その点をはっきりしてもらいたい。いついつ、どういう頼み方をしておるか。
  40. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいまお尋ねの点でありますが、肺ガンにつきましては、御指摘のように、欧米諸国でいろいろ研究がなされておりまして、報告も出ております。最近におきまして、英国におきましても、王立医学会といいますか、報告が出ておりますことは、御承知のとおりであります。公社におきましても、先ほど申し上げましたようなところでいろいろ研究さしておるわけでありますが、日本の事情といたしまして、ただいまのお話のうちにもありましたが、外国、ことに欧米等に比較しますと、非常に肺ガンの発生率が少ないわけであります。ところが、大体この肺ガンの関係は、いろいろ従来、両者の関係の研究されておりますものは、準ガンとたばこの喫煙という直接的な因果関係についての研究はあまりないのでありまして、もっぱら統計的観察が多いようであります。先ほど来、いろいろ数字をあげてお話がございました、そういうような関係から、日本におきましても、肺ガンの研究は、実際問題として、事例が、現状では数字がまだ少ない。また、その数字の調査の仕方、とり方という、いろいろ問題があると思います。そういったような意味で、十分な研究ができないということであろうと思いますが、そういったような意味で、やり得まする研究の範囲に限界があるわけであります。先ほど来申し上げましたように、公社自身、あるいは大学、癌研等にお願いしてやっておるわけでありまして、具体的に公社でお願いしている先、あるいは拠出しております金額その他につきましては、関係技術者が参っておりますので、そのほうから説明させていただきたいと思います。
  41. 杉二郎

    説明員(杉二郎君) 今のお話でありますが、私たちは、そういう研究なり調査なりいたしますのに、調べておりますが、御承知のように、学会の中で——国際学会にしましても、日本の学会にいたしましても、賛否両論ありまして、二つの派に分かれてやっておられる。それで、私たちが公社として研究費なり調査費を出してお願いいたしますのに、いろいろお尋ねしておりますが、今の日本の癌学会、たとえば吉田富三先生あたりの御意見を聞いても、実際たくさんお金をいただいてもすぐどうするという段階までなかなかたばことの問題は至りませんので、調査費ぐらい出すと、そうしてただいま百三十万ぐらい毎年出しております。そうして、調査をやっていただいております。その調査のデータをいただきまして、私たちは、だんだん進むにしたがって、どういうふうに御協力をし、お願いしたらいいかという御相談をしてやっております。
  42. 木下友敬

    ○木下友敬君 吉田さんのところに百三十万出ているというのですが、そこだけですか。ほかにも、東大だけじゃなくて、癌研その他研究機関がたくさんございますが、今のところその吉田さんのところに頼んであるだけですが。
  43. 杉二郎

    説明員(杉二郎君) 今のは、吉田先生に差し上げているのではなくて、御相談などをいたしまして、出しておりますのは、東北大学の瀬木先生とか、癌研とか、伝染病研究所とか、そういうところであります。
  44. 木下友敬

    ○木下友敬君 そうすると、今の専売公社の考えとしては、たばこと肺ガンとの間に関係があるかないかということについて、学説として二つあるからどっちであるかということについて調査をしてもらうために幾らかの金を出しているというだけであって、たばこの吸いようによってはガンになるおそれがあるかもわからない。アメリカなどでは、もうこれは確実に、発ガン物質の名前まであげて、三−四ベンツピレンというのがたばこを吸った場合の発ガン物質だというようなこともあげているのです。先ほどお話しのように、統計的な面からだけでなくして、そういう物質の名前もあげて、こういう成績をあげておりますが、そういうことは一応は目を通しているけれども、まだガンとたばことの関係については定説がないのだから、専売公社として、たばこを国民に勤めていく上については、あるいは今まで以上に宣伝をして、よけいたばこを吸ってもらう、そうして国の収入を上げていくというふうに考えておられるように思うのでございますが、私は、たとえばアメリカで、そういう話が出てから、にわかにたばこの吸い口の中に何かフィルターをつけている。そうして少しでもそういう成分があそこでこされるような方法を講じ、今日ではそういうたばこが一番はやっているのだというようなことを聞いたのですが、日本にもむろんフィルターをつけたたばこが幾らかあるようでありますが、そういうフィルターをつけられたのはどういう関係なのか、やはり肺臓ガンなどの問題が起こってきたから、それに順応する意味であれをつけられたのか、一つのムードとしてつけられたのか、またフィルターをつければ幾らか効果があるというような確信のもとにつけられたのか、そういうことをひとつ御説明を願いたいと思います。
  45. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいまの点、先ほど技術調査室長から申し上げましたように、公社といたしましては、喫煙と肺ガンの関係につきまして、現在いろいろ説がありますので、研究していく、こういう気持でありまして、どちらとも結論が下されない段階であると考えております。それで、アメリカから始めまして、現在フィルターをつけたたばこが相当出ておりまして、アメリカあたりの例によりますと、まあ半分以上はフィルター付になっている現状でございます。日本におきましても、御承知のように、最近フィルターたばこの売れ行きが相当ふえておりまして、全体の消費量の一割近くになっていると思います。そこで、フィルターをつけました理由といいますか、考え方につきましては、お説のように、最初にアメリカでフィルターたばこというものが発売されまして、当時におきましては、おそらく肺ガン問題といったような問題が出ましたので、それに対処する対策といたしましてフィルターをつけました。御承知のように、フィルターをつけますれば、ニコチン、タール、あるいは先ほど御指示がありましたベンツピレンとか、そういったようないろいろなたばこの煙の中に含まれる成分が何割かでもフィルターに吸着されますので、もしそういうものが害があるとしますれば、それだけ害の率も減るわけであります。そういったような意味で出てきたものと思います。しかし、現状におきましては、フィルターをつけるということは、必ずしもガン対策、ガン自体の問題が徹底していないわけでありますので、そういう一本にしばられているわけではありませんので、むしろ最近の消費者の嗜好の傾向、こういうものに合わせて、ああいうものがだんだんと流行してきたと申しますか、割合がふえてきたということに観察することができるだろうと思います。最近の消費者の喫煙に対する嗜好が、だんだんと味の軽い、やわらかいたばこを好むという方向に向かっているように大体観察されるわけでありますが、フィルターを用いましてたばこの煙の成分の一部を吸着いたしますと味が軽くなる、癖がなくなるといったようなことは、これははっきりした事実であります。そういうような方面も、非常に最近におきましては重要な、むしろ本質的に重要な面にフィルター使用につきましてはなってきているのではないかと考えております。
  46. 木下友敬

    ○木下友敬君 厚生省の山形厚生技官がお見えになっているそうでございますが、あなたの方面で、このたばこの害、特に最近の学会における肺ガンとの関係、それに対する対策についてのお考えなりあるいはやっておられることがあると思いますから、その現状を御説明願いたい。
  47. 山形操六

    説明員(山形操六君) 私どものほうでは、肺ガンだけでなく悪性新生物全体に関しての実態調査を過去二回やりました。現在臓器別の検討を続けております。ただいまの肺ガンだけの問題に焦点を合わせますと、おっしゃるとおりに、死亡も昭和三十六年では五千七百名以上になろうかという推定がされますし、過去の実態調査からいたしましても、患者そのものは少なくても、死亡率のカーブは諸外国よりも非常に高い面も出ております。そこで、肺ガンだけについて、その要因調査とのかね合いの疫学的な統計になりますと、これは現在の断面調査でやりました調査では、なかなか結論が出ないのではなかろうか。できれば、これは健康人を含めた大量のサンプル調査をやり、それを三年、五年と続けた上でないとほんとうの結論が出ないのではなかろうかということに関して、肺ガンの実態をつかむには、喫煙の問題と、それから都市分布、住む環境の問題と、なお職業との問題をあわせて検討していこう、こういうことを目下検討、研究しておる最中でございます。したがって、私どものほうでは、喫煙の問題に関しては、学会の先生方の業績、あるいは国立機関である平山先生等にお願いして御意見を伺っておる、こういう現状でございます。
  48. 木下友敬

    ○木下友敬君 一九六〇年ですから、二年前ですか、アメリカで開かれた国際ガン学会の準備会で、アメリカのガン協会のリードという先生は、もう現在では肺ガンとたばこの関係には疑う余地がない、肺臓ガンにかかりたくない人はきょうからたばこをやめなさい、たばこを吸う人が肺ガンにかかりやすいということは太陽が東から出ると同じことだというような表現をしているんです。これは専売公社にとってはまことにおもしろくない学者の発言だと思うのですが、たとえ、この言葉がオーバーであるとしても、今日の学者の中には、肺ガンとたばこの関係について非常に関心が深くなっておるということは事実だと思う。そうすると、そのたばこを人に勧めておる公社としては、もう少し積極的に——これはこれ以上勧めていいか。私は、酒についてはたいして言えませんけれども、たばこは少なくとも益より害のほうが多いんじゃないかというように大まかな考えを持っておる。何かいいこともありましょうけれども、大体としてはたばこはいいもののように思わないけれども、一つの大きな国策としてやっておる仕事なんです。しかし、国策としてやっておる仕事だから、もう今日の科学の世の中になってくれば、ほんとうにこれを勧めていいものかどうかということを、もう少し私は研究すべき時期に到達しておるんだろうと思う。もっと言えば、反対に害がないということを言いたいならば、たばこの利用の嗜好の歴史はもう非常に古い。どれくらいになりますか存じませんけれども、非常に古い。その長い間に、今日ほど肺ガンということが言われたことはないのだから、たばこを吸うことが非常に多くなったのか、あるいは排気ガスであるとか、あるいは煤煙であるとか、ほかの要素がおもに肺ガンの原因になっておって、たばこの害じゃないんだと言い切れるような何か科学的な根拠が得られないものか。私は、公社としては、防御の意味からでも、この研究等をもう少しやる必要があるわずか百三十万という金は、これは公社としてはわずかな金ですよ。こんなものでこの大きな問題を解決する糸口を作ろうとすることは、これはほんのお茶を濁すだけで、誠意ある態度とは思われない。私は、大蔵大臣がここへお見えになって、その管轄内ですから、相当な金を出してもらって、たばこの専売事業が栄えるためにも、害はないんだ、今の肺ガンの多いのは、これは排気ガスのためだとかいう議論が成り立つなら、それを成り立たせるとか、あるいは今のフィルターではいけないが、いろいろなものができているんだから、こういうふうにすればたばこは害なく吸えるんだというようなことを打ち立てるためにも、あるいはもっと正直な意味から、ほんとうに国民に対して、あるいは人類に対して有害なものを勧めてはいけないという良心的な立場から、ひとつ研究をもっと進めてもらいたい。厚生省としても、同じく統計的な問題とかでなく、五年などというのは、これは短いですよ、たばこの今日まで吸われてきた年月の歴史から比べますと。五年や十年でこの問題を解決しようと思うのが間違いであります。二十年かかっても、三十年かかっても、この問題については、もっと厚生省としても真剣に、有害、無害関係について、私は調査なり研究を進めてもらいたいと思うのです。  最後にお願いしておきたいのは、今の研究費をもっと使ってこの問題を明らかにしてもらいたいということ、これは大蔵大臣の考えである程度までは実現可能なことですから、研究費を出すということについて努力してもらいたいということと、これは少し私が年寄りだからこういうことを言うかもわからぬけれども、これは良俗でないと言うとおこられるかどうかわからぬけれども、若い御婦人方が非常にいい形でたばこを吸っておられるのは、これはいいでしょうけれども、自分のうちの娘がああいう格好でたばこを吸っておるということだと、私は、専売公社関係の方、あるいは大臣の関係の方でも、自分のうちのお嬢さんがあのポスターと同じような格好でぷかぷかたばこを吸っておるというようなことは、お喜びにならぬのじゃないか、こう思う。私は喜ばない。むしろ御婦人方にはあまりああいう格好はしてもらいたくないが、男女同権の時ですから、男ならいい、女ならいかぬと言うとおかしいかもしれぬけれども、こういう問題は、私は、もう少し、金もうけだけのことでなくて、あまり若い女性には勧めない方向をとってもらいたいと思うのですが、君の考えはどうも古いんだというお考えなら、それでもいい。それでもいいならそれでもいいから、はっきりそう言ってもらいたい。ですから、私は最後に、大蔵大臣及び総裁から、この研究費について相当の覚悟がある、来年度からでも出すという御見解があるか、また出さない、そういう研究は外国にまかしておいて、こっちのほうはそれを漁夫の利を占めるというお考えであるか。それから御婦人に対してのお考え方、これはあまり軽くお考えの問題であるかもわからぬけれども、私は家庭人としてこのことをひとつお聞きして私の質問を終わりたいと思いますから、どうか最後にひとつ締めくくりの意味で御答弁を願っておきたい。
  49. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この研究は、ひとり外国にだけまかしておいていいという問題ではないので、専売公社、それから政府の厚生省等においても、独自にこれは研究すべき問題だと思いますので、研究費等については十分考えたいと思います。  さっきからいろいろお話を聞いておりますが、私がちょうど喫煙百万本を究破したところで、近く専売局から表彰を受けるかもしれないというような非常な喫煙家でございますので、どうも肺ガンとか、あるいはたばこを吸うと寿命が短いということを言われるとあまり気持がよくなくて、(笑声)私自身も、これは十分研究をして自信をつけてもらいたいと思っているときでございますので、今の問題については、私ども十分専売当局とも相談して善処したいと思います。
  50. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) ただいま大臣から御答弁がございましたが、私どもといたしましても、肺ガンの問題は、御指摘のように非常にたばこの専売当局にとって重大な問題でありますので、もちろん十分な研究費を出して研究をいたしたいと思います。ただ、先ほど技術調査室のほうから御説明申し上げましたように、金を出したら研究ができると、幾らでも金を出せば出すほどいい研究ができるんだ、こういったようなところまで行っていないといいますか、そういったような事情もありまして、出した金は有効に研究費に使われる、こういったような手がかりがございませんと、すぐにただ金さえ出せばいいというのではないのではないかというふうにも考えております。しかし、お説のとおり、研究に大いに努力すると、経費の要るものは十分出していきたいというふうに考えております。  それから、婦人の喫煙の問題についてお尋ねがございましたが、婦人の喫煙につきましては、御指摘がございましたような、何といいますか、社会的に婦人の喫煙ということに対してどういう気持で見るかといったような問題があるわけでございますが、私どもも、いろいろとたばこの消費あるいは喫煙という問題につきまして、これは公社の事業に重大な関係がございますので、いろいろの世論調査といいますか、そういったような調査等もいたしまして、世間一般の婦人の喫煙に対する考え方といったようなものも調査をときどきいたしておるわけでございます。やはり、日本の現状におきましては、男女同権ということもございますが、婦人の喫煙に対する反感といいますか、反発するような気分がかなり根強く、かなりに大きいようであります。そういったような動向等も十分に私ども考えまして、現状のような社会的なそういった気運といいますか、婦人の喫煙に対する世間の世論といったような段階のもとにおきまして、婦人の方に特に喫煙をお勧めするとか、これが開拓されてない消費層だから、これから大いに婦人層に対する売れ行きを広めるとか、そういったようなことは、脱状におきましては全く考えておりませんので、御了承願いたいと思います。
  51. 木下友敬

    ○木下友敬君 私やめるつもりだったけれども——今の大臣のお答えはいいのです、だけれども、総裁のお答えの中で、金を出せば研究ができるというような状況になっていないから、たくさん出すことばあまり好まないというように私受け取ったのですが、金を出せばできるのですよ、現在は、金がないし、そういう準備もできていないから、大学などでも、あるいは癌研でも、この研究にすぐ取っ組む状況にないというのですから、相当の金を出せば、たとえば専売公社が毎年納入しておるのは、千五百億とか、千四百億とか、莫大な金を出しておるのです。その中から一億でも二億でも研究費として出して、研究の施設と人員というようなことにやれば、それはもうあすからでもこの研究に取り組まれる。だから、遠慮することはない。大蔵大臣は金を出すことにはにっこりしておられるのですから、だから、それくらいな研究費を出して、金をもうけておるのだから、それから出して研究をさせていけば私はいいのだと、そういうことをして、もし有害なことがはっきりしてくれば、公社は非常に将来立ち行かなくなるから困るのだというようなお考えなら、それはまあ話はもとに戻るわけで、そういうお考えはおありになるとは思わないのですから。金を出しても使い切らないからという状態はございません。研究室はどこも今枯渇して手一ぱいだから、金も出さないでこの問題をやってくれというからできないので、その設備も、すぐ、金さえ出してもらえれば、どこだって、私だって引き受けてやれる。そういう意味で、どうかもう一ぺん答弁して下さい、相当の金は出す覚悟はあると、ないならないと。でないと、これだけ世界で問題になっているたばこと肺ガンとの関係について、あまりにも無関心だということのそしりを免れないということになってくる。だから、どうしても総裁としては、この研究の意思のあることを示す意味においても、相当の研究をすると、先ほども言ったように、チェスター・フィールドの私企業の営利会社そのものが、これが莫大な金を出して肺ガンの研究をやっておるのですよ。だから、国としての機関ならば、それくらいのことは私遠慮なく出すべきであると思うが、もう一ぺんひとつお考え直して、この方面の研究を進めるという御発言が望ましい。お願いします。
  52. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほどちょっと答弁の言葉が足りなかったように思うのですが、公社といたしましても、公社にとりましてたいへん重大な問題でありますので、十分に研究は進めることといたしたいと思っております。また、その研究を進めるために必要な予算的な支出が必要でありますれば、これは大蔵省のほうの御承認を得まして、できるだけ必要なものは支出するようにいたして参りたいと考えておるわけであります。
  53. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 専売公社にもありますけれども、大蔵大臣に長くいてもらうのも気の毒ですから、大蔵大臣から先にお尋ねいたします。  大臣は、国民金融公印、それから中小企業金融公庫にもつと政府出資をよけいしたいという気持はありますか。——もう一度申し上げましょうか。国民金融公庫中小企業金融公庫に政府出資をもっとしなければならないというお考えがありますかと、それをまずお尋ねします。
  54. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) この融資の需要状況を見ますと、需要は非常に多くて、この全部の希望に応じられないという実情になっておりますから、この公庫の資金がもっと必要であると考えています。そこで、資金量をふやすということは、これは政府の財政投融資計画等いろいろ工夫することによってできますが、その場合に、中小企業の現状から見まして、やはり利子をもう少し下げてほしいという要望も今非常に強いときでございますので、金利につきましては、いろいろ均衡をとった金利をきめておりますが、しかし、まだ、御承知のように、日本は高金利の国でございますし、中小企業に対してはもう少し金利というものも考えなければならないというふうに私は考えておりますので、この金利を下げるということをやろうとしますというと、この政府出資というものをもう少し多くしなければ現状においてできないという状態でございますので、この範囲における出資の増大ということは考えたいと思っております。
  55. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 大臣はよくわかっておられるのに、私みたいなしろうとが質問して恐縮なんですけれども、今おっしゃるように、政府出資借入金との資金量とそのコストを調べてみたんですよ。経営費を入れないで、国民金融公庫が四分五厘、農林漁業金融公庫が三分二厘、中小企業金融公庫が四分六厘、北海道東北開発金融公庫が四分一厘、安いのを申し上げますと、日本輸出入銀行が二分三厘、こういうふうにずっと隔たりがあるのですよね。もっと悪いのを申し上げますと、公営企業金融公庫が五分、これは始まったばかりだし、地方公共団体がやっておる何ですから、あるいは一歩譲るにしましても、こういうふうな状態であって、しかも、今度平均の貸出残高と利子収入とをずっと見て、今大臣のおっしゃるような金利がどういうふうに出てくるかということを調べてみたんですが、国民金融公庫が——全部昭和三十四年ですが——八分三厘、こういうふうに相なっておる。そこで私、大臣御承知のとおり、自由民主党に籍を置きながらかようなことを申し上げてどうかと思うのですけれども、中小企業者に対する党の態度、対策というものが、もっとこういう面を真剣に論じかつ考えられる道はないものだろうかと、かように実は私考えておる。と申しますのは、政府は、財政資金でも出してじゃんじゃん資金さえよけいやっておればいいのだという考え方の、その以前に、まだ今大臣がおっしゃるような低金利の金をばよけい出してやるのだという私は基本的な考え方があるべきだと思うのですが、大臣どうでしょう。こういう席ではなはだ恐縮ですけれども、私の調べでは、何だか割り切れぬものを実は感じるのですが、どうなんでしょう。
  56. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私どもも、そういうふうな考え方で毎年々々政府機関の金利の引き下げということについては考えておりまして、現に実施しておりますが、そのつどそれが必要な政府出資をいろいろ計算の上で出して、必要と思われる出資を追加してきているという形で今日までやって参りまして、一歩々々とこの金利を下げることにはきょうまで努力しておりました。
  57. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは大臣でない方でけっこうと思いますが、先ほど滞り貸しと言ったけれども、滞貸と言っていいと思うのです。滞貸償却引当金の繰り入れが一律じゃないけれども、大体千分の十五でずっといっていて、日本開発銀行、日本輸出入銀行を除けば、あとはおおむね十五でいっている。これは何か一つの基準と根拠があってのことですか、どなたか大蔵省で——これは大蔵省の所官と権限になっていますから。剰余金に対する滞貸引当金の許容限度を私は申し上げておるのです。
  58. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) こまかい問題について、事務当局は、きょう関係銀行局方面を全然呼んでないそうでございます。
  59. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それでは、国民金融公庫の総裁にお伺いいたします。  あなたのところの三十四年度滞貸償却引当金六十五億八千九百万円、ところが、いただいた資料によりますと、六カ月以上の期限経過のものの総計が二十九億八千八百万円、これは、私は、許容量の関係等で、しかも六十五億八千九百万円も滞貸の引当金を持つとそれはどこに責任があるかということについては、いろいろ問題があろうと思いますけれども、千分の十五どうしても積み立てなければならないものであるかどうか、そうして六十五億という金を持たなければならないものであるかどうか、それよりも、かりに八分三厘の金利ならば、せめて八分なり七分五厘に下げる努力はできないか、実はこういう疑問があって質問いたしているのです。それについて見解があったら教えていただきたい。
  60. 石田正

    参考人(石田正君) 今お話がございますような工合にわれわれのほうは、大蔵省のほうで御指示をいただきまして、千分の十五——これは普通貸付てございますが、千分の十五までの滞り貸しの積み立てばやってよろしいということになっておりまして、その範囲までに得ましたところの利益というものは、これは滞貸準備金に引き当てているわけでございます。そこで、それではやらなかった場合はどうか、そういうことになりますと、その金額というものは、何というのですか、利益になりまして、国庫に納付するという問題が起こるかもしれません。  そこで、先生のお話は、国庫に納付するかわりに、それだけのものを金利を下げて、そうして安い金利でいったらどうか、こういうお話であろうと思うのであります。まことに、そういう面から申しますと、ごもっともな意見だと思うのでありますが、実はわれわれのほうといたしまして、今この委員会において御説明申し上げました金額は、これはその最終期限が参りましてから六カ月たちましてなお滞っておるという数字だけを実はあげているわけでございます。このほかに、もうすでに、期限が到来したばかりではありますけれども、滞り貸しになっているものもあるわけでございます。  それから、われわれのほうは、大体二十カ月とか三十カ月というふうな——年賦の関係から申しますと、月賦なら月賦というものが返ってこないという、期限は最終期限が来ていないけれども、しかし月賦は滞っているというふうな数字のものもあるわけでございます。それらの数字が、先ほどの最終期限の六カ月過ぎたものの倍以上と申しますか、その数字を合わせますと倍以上になる、こういうような感じになっているわけでございます。  そこで、必ずしも私どもは、滞貸準備金が数字だけを見て過大であるというふうな考えは実は持っておりません。  また、これは幸いにして今までわれわれのほうの延滞額あるいは取り立て不納額というものが少なくて済んで参っているのでありますが、相当大きな残高を持っているのでございまして、景気の変動等の場合に非常に好ましくないものでございますけれども、そういう場合に今までどおりの延滞関係で済むかどうかということについては、多少心配はいたしております。なお他面におきまして、そういうふうなことで、その滞貸準備金をどんどんふやしておけばよろしいとばかりは思っておりませんけれども、そういう点を考えますと、まだこれで十分であるというふうには実は思っておらないわけでございます。  なお、先ほど大臣に対する御質問の中で、出資をふやす意思はないかというお話がございましたが、実は私のほうは、だんだん出資とそれから借入金の率のほうが多くなっております。先ほど先生から、出資とそれから借入金と両方合わせたところの資金コストは幾らかというお話がございました。この資金コストは、ずっと過去を見て参りますと、年表率が高くなっておるという傾向をたどっております。他面におきまして、貸し出しのほうの率と申しますか、そういうものの平均というのは、だんだんこれは下がっていくという傾向、かわれわれのほうはあるわけでございます。普通貸付は、かりに六分五厘で借りましたものを九分で貸すのでございますけれども、恩給担保の貸付になりますと六分で貸すということになっております。そういうことになりますと、六分五厘で侮りましても、六分で貸すのでございますから、利率だけでも逆ざやだという問題がございます。恩給担保の貸付はこのごろだんだん年々ふえて参りまして、もうすでに百億をこすという状況になっております。そういう状況等を考えてみますと、当国民金融公庫の場合から申しますと、出資が非常に大幅にふえるというならば別でございますけれども、なかなか金利を下げていく、あるいは滞り貸しを削って金利を下げていくという状況になっていないのではないか、こういうような心配をいたしておる次第でございます。
  61. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 大臣がおられるから遠慮してお話しになっておられるのか、あるいはそういう信念でおっしゃっているのか、私にはよくわかりません。わかりませんが、一応農林漁業金融公庫の例を申し上げてみますと、政府出資が八百億と言っていいでしょう、七百九十九億九千万円、これに対する借入金の残高が百十八億四千二百万円、こうしますと、さっきも申しましたように、資金だけのコストは三分二厘になっておる。これ以外に——私は農業団体の会長をしておりますから、農林大臣に非常に感謝して申し上げておるわけですが、これ以外に、農業近代化資金として五百億の融資をすることによって、四十五億たしか大蔵省に応援してもらっておる。こういう例は、これはお前農業的だと言われるかもしれませんが、同じ一億の国民の中にこういう不平等があっていいだろうかということを私は大蔵大臣にさっきから申し上げておる。それを、国民金融公庫という最も弱い国民を対象にする金融機関をあずかっておるあなたが、一五%の許容量でいいとお考えになるのは、私はこれは問題だと思うのですが、どうですか。
  62. 石田正

    参考人(石田正君) 私は出資金借入金の問題につきましてはこういう考えを持っておるということを申し上げたのではないのでございまして、御質問の点は、主として滞貸償却引当金をうんと取りましてそれを積み立てないでもっと金利を下げたらどうかというお話に関連いたしまして、先ほども御答弁申し上げたつもりでございます。
  63. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 中小企業金融公庫並び国民金融公庫にもっと政府資金的に愛情を示してほしいということで私は質問しておる。誤解なさらないで下さい、攻撃しているのではありませんから。大蔵大臣、こういう資料をもっていろいろ研究してみますと、私たちは反省したいものが相当あるようなんですよ、正直言って。私はもうこの問題についてはこれで発言を終わりますが、「鳴くセミよりも鳴かぬホタルが身を焦がす」という言葉がある。私は鳴かぬホタルの人たちのために考えるのが政治の要諦だと思うのです。そのために、特にきょうは大蔵大臣がおられますから、来年度あたり、どうかひとつこういう弱い国民の立場に立って、もっとひとつ出資を考えて下さいませんか、どうですか、約束できましょうか、大臣。
  64. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これは、昨年度においても、同様でございましたが、十分そういう点を考えて、必要な出資というもの、この最低限でございますが、最低限必要な出資ということは、前二回ともやっておるのでございますので、今後も必要に応じた出資政府でしていくという方針でおりますので、来年度においても当然この問題は起こってくると思いますので、私ども必要な出資はいたしたいと思っております。
  65. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 専売公社総裁にお伺いいたします。最近外国のたばこを相当輸入しておられるようですが、これを最近の、もしわかりますならば、五年ぐらいの年次の輸入量がわかっておりますならば、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  66. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 阪田総裁にちょっと申し上げますが、大蔵大臣他の会議に出席の都合がございまするので、ただいまの総裁の御答弁はちょっと後刻に回しますから、御了承願いたいのであります。なお、谷口委員におかれましては、大蔵大臣に対する御質疑がございませんでしたらば、一応中断さしていただいて、大蔵大臣に対してきわめて簡潔な質疑が鳥晶君においてあるそうでございますから。
  67. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 けっこうです。
  68. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 たいへん大臣もお忙しいようでございますから、できるだけ簡潔に質問をいたしたいと思います。  第一番目にお尋ねいたしたいのは、予算編成の問題で御質問をいたしたいと思います。しかし、その前に、さいぜんのこの決算報倍を見て参りますると、毎年不当不正の支出金額が減じておる、減ってきておるということは、はなはだいいことでありまして、今後とも一段とこれらの不正不当その他の事故に対して絶滅を期してもらいたい、これが大きな国民の一つの期待であろうと思います。ことに、大蔵省となりますると、何といっても国のお台所をあずかっておるというような関係から、大蔵省に不正不当の支出があるということば、これはどうもはなはだ困る問題であろうと思います。どうかこれに対して、今後絶滅するということについてはどういうようなお考えを持って臨まれるか、その御心境をひとつお尋ねしたいと思うのであります。  次に、予算編成の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、例年予算の編成時期があまりにも、何といいますか、道中が長いので、ほんとうに決定するというのは、最も長短の瞬間で、わずか一週間や十日ぐらいで実際の最後の結論に入るというのが毎年の予算の編成の形でないかと、こういうふうにわれわれには考えられるのでありまして、そういうような関係から、勢い、何といいますか、最後には、重点的な編成というか、みんなの一応顔立てをするというような総花的な予算が編成されておるやにわれわれは横から見られるのであります。もちろん、その中には、重点的にも相当計画をしておられ、予算にも計上されておるものもあるようでありますけれども、まあ総花的にという言葉だけは免れることのできないというような問題がたくさんあるようであります。そういうような関係から、いよいよ執行に当たった場合でも、どうもそういうように、何といいますか、短時間にきわもの式に決定されるというような、まあ選挙の追い込み戦のような格好になる。もしさようなことであるとすれば、使用する場合におきましても、何かそこに不合理な、しかも、執行の場合、乱費とまでもいかなくても、そこに非常な効率が低下するというようなこともしばしばこれまで見られておるのでありますが、今後これらの重要事項予算が、もっと慎重に、相当の時間をかけ、また執行でき得る、ほんとうにエキスを漏れなく計上するというような予算の編成をひとつやってもらいたい。いわゆる予算の編成の合理化というものを、私はとくと大蔵大臣にお願いをしたいと思いますが、来年度からこれらに対する何か改善の——もっとこういうふうにやったらこうだというようないいお考えが、構想がありましたら、お示しを願いたい。これが一つです。  次に、最近、御承知のように、国庫補助及び負担金というものが年々非常に大幅に増加しております。私は決して国庫補助あるいはまた負担金が増額することにおいて異議はないのでありまして。もちろん、そういう地方自治体に対しましても、できるだけ重点的に国庫補助をする、あるいはまた負担をしてやって事業を推進する、促進するということは、非常にいい傾向であります。しかしながら、これらが年々歳々非常に、予算の膨張するよりかはるかにその度合いがこえて多くなっておるようにわれわれは考えるのであります。これらに対しまして、最近何か、聞くところによりますと、審議会を作って、ひとつ国庫補助あるいはまた負担金というものをもっと整理する、選別する、検討するというような、何か審議会を作ろうというような声を、実は一年ほど前から聞いておるのでありますが、一体この審議会というものは、その後どういうふうになっておるか、こういう点について率直にお答えを願いたいと思います。  次に、先ほど予算のことを申し上げましたが、決算の問題について言御意見を拝聴したいと思います。ことしの予算は、御承知のとおり、すでに二兆四千五百億、終末予算は二兆六千億を出るのじゃないか、かように考えます。非常にすばらしい、膨大な数字を毎年示しておりますが、やはり国民の関心は、われわれもまた一つの常識といたしまして、衆議院は予算が伝統だ、また参議院は、決算の締めくくりを国民に公開して、そしてはっきりと国民に安心してもらうということで、決算というものを議案化しなければならないという委員会まで、この委員会は作っておるのでありますが、きょうお尋ねしたいのは、そういう問題は、今度の決算委員会の締めくくりのときに総理に御出席を願ってお答えを願いたいということに委員会ではなっておるようでありますが、私のきょうお尋ねしたいのは、さような決算というものは非常に重大な議題である、議案である、こういう意味から、毎年々々の決算のお役所の締めくくりが非常におそい。そこへもってきてまた、国会で名大臣の御出席が非常に悪いから、これまたいやが上にも、決算の承認といいますか、経過の段階において非常におくれてやっております。現在ようやく三十四年で、この国会で最後の締めくくりができるかできないかという問題に、ぶつかっておるようでありまして、国民から見ると、すでに三十七年度予算ももう国会を通過しておるのに、まだ三十四年の決算すらほんとうに承認の運びに至っていないということは、これは国民から見ると、一体国会は何をやっておるのか、政府は何をしているのかという批判も出ておるようであります。相当強い批判が出ておるようであります。そういう意味から、今後来年度、この次から、今三十五年度は出ておりますが、三十六年度決算なんかはもっともっと早く各省からこの委員会へ提案する、いわゆる会計検査院を通って、本委員会を通るように、ひとつ御提出を願いたいという希望を持っております。これに対しては、事務的にもいろいろな関係がありましょうから、どこまでがどうということは私は申し上げることはできませんが、大臣としてこの面についてはどういうお考えをお持ちであるか、一応ここでお尋ねをいたしておきたいと思います。  次に、本年度の大蔵大臣の金融の見通しについて、簡単にこれも御質問申し上げて、率直なお答えを願いたいと思うのであります。御承知のとおり、昨年の十二月は相当金融難で、中小企業の倒産者も相当あるであろう、また悪く言えば首つりも出てくるのじゃないかというような非常に険悪な、財界、あるいはまた、特に中小企業が八五%も九〇%も占めておるわが国経済界、産業界におきましては、戦々きょうきょうとしておったと思います。われわれも多少仕事をやっておりますが、その一人であったわけでありますが、幸いにしまして、大蔵省では、和光にいろいろの年末資金、あるいはまた財界に対する投融資ということに、矢つぎばやに次から次と応援をされた、増加をされたいわゆるピンチ・ヒッターを出されたというようなことで、幸い十二月はどうにか予想以上に、割合に金融界は平和であったようにわれわれは考えておりますが、その当時の年末資金というものは、それでも金融は逼迫しておったことは事実でありますような意味で、大体十二月に、手形は、普通二カ月というものが、やはりこのころは四ヵ月からの再割り、長いものは六ヵ月からの再割りの手形発行をしておるという多数の事業会社が見受けられるのでありますが、そういうような時期から考えますと、大体四月、五月が相当金融のピークではないかというふうにわれわれ財界人は考えておったのでありますが、幸いにしまして、オペレーションの買い入れとか、いろいろな臨機の処置を積極的に大蔵大臣はやられておるようでありまして、まあきょうまではどうにか、何というか、杞憂であったかもしれないというような結果になっておるのであります。非常に喜ばしいことでありますが、今日の物価なり、あるいはまた今度の官公労のベースアップ、民間のベースアップ、いろいろの賃金の向上から、またしたがって物価の騰貴というふうな面からにらみ合わせて、そうして一方では設備の投資を徹底的に抑制する、これも当然けっこうなことであります、われわれ決してこれには異議のない一人でありますけれども、さような非常に、何といいますか、コンクリートだけでものを固めるような格好の、弾力というものはほとんどつけていかぬというような不自由な事態に対しては、私は金融なりいろいろな面から考えると、ことしの九月、十月、第三四半期ぐらいが、それこそほんとうの、非常に危険な、いわゆるピークが来るのじゃないか、かように考える者の一人でありますが、幸いきょうは大蔵大臣の御出席がありましたので、ぜひことしの金融の下半期に対する見通し、またどういうふうに対処されるかというような根本の問題について、ひとつ一応御意見をお聞かせ願いたいと思うのです。  最後にもう一つお尋ねしたいのは、最近設備投資が非常に抑制される、これは非常にけっこうであります。しかしながら、われわれの見たところでは、おおむね中小企業というものは、一億か三億くらいまでの中小企業に対しては、設備投資はもう極端にセーブされる。しかし、最近依然として、大企業の部面に対しては、相当工場の拡張をやり、設備の投資をやる。一体あの金はどこから出てくるのかというような声も、中小企業の中では大きな一つの世論となって現われてきておりますが、こういう点については、およそわれわれは、御当局を御信頼申し上げて、それは何かの間違いであろうというように考えておりますけれども、実際に東京、あるいは大阪、神戸、横浜、名古屋というふうな全国の大都市を回って参りますと、盛んに新しい建築がされておる。その設備の金融は一体どういうふうにやっておるかということについて、はなはだ疑問が持たれるのでありまして、こういう点につきまして、大蔵大臣は一体、そういうことはない、われわれはどこまでもこういうふうにやっておるから、国民は安心してついてきてほしいというような、一つの決意をお示しを願いたいと思うのであります。あと少しこまかい公庫のことについてお尋ねしたいと思いますが、それは同僚の谷口議員からも御質問がありましたし、後刻に譲りまして、これだけ大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。  そこでもう一つ、これはちょっとダブるかもしれませんが、中小企業金融公庫、国民金融公庫、それから商工中金、この三公庫に対して、もっともっとともかく金融の量をふやしてもらいたいということが、われわれ国民ひとしく念願であります。年末には相当大幅に融資をしていただきまして、まあ首つりも出なかったというような、一応いい足取りで遊んできておるようでありますが、決して前途楽観はわれわれ許さないと思います。何といっても、この三公庫だけは、国民のほんとうの零細企業に通じておりますので、どうかひとつ思い切り大蔵省ではこれらに原資を心配してやってもらいたい。こういう点についてのお考えを伺います。再度質問いたしませんから、どうかできるだけ丁重な、われわれにわかりやすいお答えを願いたいと思います。
  69. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 順々に御答弁申し上げます。  まず、決算国会からいろいろ御批判を受けたあとの取り扱いでございますが、これは、この御批判の結果を十分に今後の予算の執行に反映させるようにということについては、年々努力しておりまして、最近では、予算の編成事務に入る前には、指摘事項の趣旨の徹底をはかるために、会計検査院からも具体的な注意をお聞きするし、各官庁にもこの旨を通達するというようなことで、事前の打ち合わせから始めまして、編成過程の中でも二度そういう問題を繰り返さないようにという配慮は十分払っておりまして、そして職員の不正行為等についての綱紀の粛正とか、あるいは研修の充実というようなための予算も、この決算で指摘された結果を参考にしてきめているというのが実情であります。  補助金の問題につきましても、これは始終問題を起こしておりますので、御指摘にあった事項の点は、特に注意して予算編成のときも私どもやっておりますし、編成後の執行についても十分に監督をしているつもりでございます。特に、農業共済保険事業というようなものにつきましても、過去においていろんな御指摘がございましたので、今回は法案自身も私どもは変えまして、根本的にこの問題の改正を加えたいという趣旨からこの問題の改革にも入っておるということは、御指摘のとおりでございますし、租税徴収の適正の問題につきましても、私どもは徴税事務の適正化をはかるために予算措置も今回は講じておりますし、特に国有財産の管理につきましては、過去いろいろ御指摘を受けておりましたので、この下部機構の監督強化についての予算も五割程度本年は特に強化して、この問題の適正を期したいというような配慮をやっておりまして、大体、年々御指摘を受けている問題については、これをそのままに聞きのがしてしまうということはやりませんで、編成中心に特に気をつけてやっているのが現状でございます。そこで、予算編成について、さらに予算執行の適正化を確保するために考える必要がありはしないか、早急の間に大きい問題をきめるというようなことはとかく予算の執行をルーズにする一番大きい原因になるというような趣旨のお話がございましたが、これはまことにごもっともでございまして、重要事項予算で特に新規に計上されるというようなものにつきましては、十分の具体案ができないうちに予算だけとりあえずきめておくというようなやり方が実は問題でございまして、今おっしゃられるような問題は、そういうきめ方がいつも原因になるということを私どもは考えておりますので、今年度予算編成におきましては、各省がこういう政策的な新しい経費計上というような問題をまぎわに持ち込まれても、これは考えない。概算要求のときまでに具体案を作って、立法措置が必要である場合は法律案も伴うこと、案が間に合わない場合には法律の要綱を付して出すことと、そこまで行っている問題でなけいば新規予算としての計上はやらないと、こういう取りきめをして、今度の予算の査定に臨んだわけでございましたが、一、二おくれて新政策的なものでそういうものが持ち込まれた例はございます。これは、たとえば教科書の無償配付というような問題でございますが、これは政策として当然政府も考えてもいいということで、 この問題は、政府としては、予算計上するということはいたしましたが、後年度の財政負担というものを考えなければなりませんし、予算の効果とか、そういうようなものの将来を考えなければならぬという、こういう大きい問題につきましては、調査会というものを作って、そこでほんとうの案を作ってもらう、具体案を作ってもらう、それまでは三十八年度の一年生の教科書についてだけこの予算計上するというふうに最小限度にしばって、具体案は追って調査会において慎重に審議するというようなことで対処した例はございますが、今後は十分そういう方針で、早急の間に大きい重要事項予算をきめるというようなことは避けるという方針でやっていきたいと思っております。  それから、国庫補助金の問題は、御承知のとおり、これは国民生活が複雑になっていくに従いまして、行政も複雑になっていきますし、地方財源だけでは行政目的を遂行できないということから、国の補助を要するという事項が非常に多くなって参りまして、特に今年度ではもう負担金、補助金が六千二百億円をこすということになって、地方交付金の額よりも補助金のほうかはるかに多くなる。こういうことになってきますというと、今後地方行政の行政水準の均衡とか向上ということを合理的にやっていこうとしますというと、どうしても地方固有の財源と、それから国から交付される交付税と、それから補助金、負担金というものの三つの組み合わせをどういうふうに合理化していくことが地方行政推進のために一番合理的であるから、こういう問題にぶつからざるを得なくなって参りましたので、税制調査会部門において、まず地方税制というものの検討をいたしますし、今度新たに補助金の制度を取り扱う審議会を作るということにいたして、法案も通過いたしましたので、ただいま人選にかかっておりますが、この審議会にこの問題を取り上げてもらいますし、それから同時に、補助金といい、地方税といい、交付税といい、これをどう合理的に総合調整していくかという問題の前に、それを解決するためには、結局、国と地方の事務分担というような大きい問題がございまして、この分担のいかんによってはこの制度の運用もまた大きく変わってきますので、内閣にできたこの行政制度の調査会というところにも、この問題を扱ってもらうというふうにいたしたい。各委員会の結論を最後に総合して、地方財政の問題も私は合理的に解決できるんじゃないかと考えておりますので、そういう方針から、ここまで膨大になった補助金、負担金の問題ですから、この合理化の審議会はどうしても設けて、審議を願いたいというふうに考えております。  決算の時期等については、おっしゃられるように、十分にここで改善したいと考えております。  それから、金融の問題でございましたが、まず政府機関資金量をもう少しふやしてほしいということでございますが、これはただいま、大体中小企業の使っておる金融的な資金というものは、分量は六兆円をちょっとこす金額となっておりますが、この六兆円の中小企業の金融資金を分量的に見ますと、商工中金とか、中小企業金融公庫、国民金融公庫、この政府の三機関資金は一割はございませんで、全中小企業の金融のうちの八、九%という比重でございますので、むろん資金を多くすることは必要でございますが、これを多くすることによって——少しくらい多くすることによって、中小企業の金融問題というものは片づかない。大部分が、九〇%以上というものが市中の金融機関を通ずる資金と、こういうことになっておりますので、私どもは、中小企業金融については、今度引き締め政策をとる前に一番重視しましたことは、この五兆何千億という一般の市中の金融機関資金壁を一割落とされるというと、もう五千億円も中小企業には響くんですから、この貸出比率を落とさせない指導というものが、どうしても必要だと、こういうふうに考えまして、引き締め政策に入る前に、名銀行に対して、引き締め政策をやったあとも中小企業への貸付比率を三〇%——従来の率の三〇%を落とさないようにという指導を先立ってずいぶんしてございました。それからもう一つは、たびたび申しますが、三十二年のときの経験によりますと、突然金融引き締め政策というものをとると、大企業が資金の大部分を使ってしまう。これは無理ないことでございまして、設備投資計画をやり出している大企業が、途中で簡単にやめるというわけにはいきませんので、引き締めをされても、もうすでに着手した設備投資というものは、腕ずくでもやるという態勢になりますし、銀行もまた自分の系列下の企業に対しては、無理してもこれはやらせるという態度をとりがちでございますので、突然引き締め政策をやりますというと、勢い大企業に資金を使われてしまって、中小企業に全部しわ寄せがくるということが考えられますので、私は、引き締め政策をとる前に、六月から二、三カ月かかって、そういう事態が起こっても、大企業の設備投資に全部金がそのまま行かぬようにという指導をずいぶんいたしました。そうして、日銀と大蔵省で、各銀行を通じ、今銀行にできている融資計画のうちの計画を一割ぐらいずらせる、これを繰り延べるという方針で、銀行の協力を願うというような、いろいろな準備をして、引き締め政策に入りましたので、この点は、政府の手の打ち方がおそかったという非難がいろいろございますが、この準備があったから、私は案外うまくいったのじゃないかと思っております。特に暮におきましては、引き締め政策をとる以上、中小企業の問題等は一番心配しておりましたが、政府機関の年末資金手当を初めとして、一−三月の苦しいと言われている期間への融資が、千億以上の資金増加ということをやりましたし、また、信用金庫とか相互銀行というようなものの非常な協力をいたしまして、前年同期に対して三、三割方貸出量を多くしたというようなこともありますし、市中銀行も引き締め前とほとんど同じで、むしろ引き締め後のほうが貸出比率が少し多くなっているというくらいで、この比率をささえたというのはまあよかったと思いますが、そういうようないろいろなことでここを——困難と言われる時期は踏み切って参りましたが、しかし金融は締めておりますので、むしろこのしわが今大企業のほうへ私は寄っているのじゃないかと思っております。  で、中小企業の倒産件——よく非常に倒産が多いと言われますが、統計で見ますというと、昭和三十四年、三十五年のほうが多くて、三十六年の件数は明らかに減っております。  それから不渡り手形の発生率も、三十四年、三十五年のほうが発生率は多くて、この三十六年度中の不渡り手形の発生率は、過去のどの年度よりも減っているということを見ましても、まあ何とかある程度円滑に推移してきているのではないかと思いますが、今申しましたように、大企業は相当の金融の詰め力でございますので、その部門から支払いの遅延とか、あるいは手形の期限を延長するとかというような形で、中小企業への新しい別のしわ寄せが今起こりつつあるというように考えますので、この点についての配慮は、今後私どもは十分必要だと思っております。で、いろいろこの金融の逼迫しているときに、一度に増資を集中させるというようなことも問題で、ございますので、昨年来増資の調整も私どもはやりましたので、一−三月は何とかいきましたが、増資調整そのほかによって四月から六月へ金融の困難さを少しずらしているという形になっておりますので、今後の対策は、この点を中心とする対策をうまくやればいいのじゃないかと思っております。四月は、御承知のように、まだ散超期でもございますので、日銀の売り戻しも今のところ円滑にいくという見通しでございますが、五月、六月のまた揚超期に入りますと、相生金融の問題が出てきますと思いますので、今政府もその期間に対するやり方を慎重に私どもは検討し準備しておりますので、この点は、十分善処できるのじゃないかと考えています。  それから、設備投資についてのお尋ねがございましたが、大企業の設備投資が行政指導によってうまく押えられるということでしたら、金融の引き締めという一般的な方法で——無理な方法でこれをやらなくてもいいわけでございますが、これができなかったために、昨年から金融の引き締めという方法をとってきたのでございますが、それによって私どもは相当設備投資の抑制もできたと思っておりますが、どの程度これができたかどうか、まだ三月の末までのほんとうの統計が出ませんのでわかりませんが、昨年の設備投資は相当やはり多かったと考えています。そこでことしは、昨年の経験から見まして、設備投資の吟味は早くやったほうがいいという考えから、四月中にもうすでに通産省は合理化審議会でこの吟味は始めておりますし、私どものほうも日本銀行と一緒になって銀行の調査をやって実態の把握を今やっておりますので、去年よりは私どもの行政指導力というものは強化していると思います。できるだけ不要なものは押えて必要なものにとめるという行政指導を私どもはことしは十分するつもりでおりますが、押えるといっても、経済は伸ばさなければなりませんので、政府の今の見方は、昨年は三兆七千億をこした設備投資であったと思いますが、ことしは三兆七千億円をちょっと切った程度、三兆六千九百億円程度にこれをとめることができたらいいという一応の目標を持っておりますので、行政指導を通じて大企業のほうも押え、中小企業そのほかも合わせて、三十七年度は三兆七千億円以内の設備投資に押えたいという考えを持っておりますが、したがって、そのためには、金融の引き締め政策というものはまだここですぐにゆるめられない、国際収支の見通しがほんとうにつくというときまではそう安易にこれをゆるめるわけにはいかないと思いますが、しかし、三兆七千億円以内ぐらいの設備投資でとまるということでしたら、輸出入のあの見方が見方どおりにいきませば、昨年どおりの生産がまだふやせる、そして不景気にはしない、不況にはしないという見通しが立ちますので、一応政府は三十七年度経済運営の見通しという見通しの線に沿って今後運営していきたいと思っております。したがって、まだ、設備投資を押えるといっても、ことしは三兆七千億円ぐらいの設備投資は予定していることでございますから、相当各所の企業が設備投資をやっている姿は目に触れることと思います。目に触れるのが実際でございまして、従来から考えますと、一年に三兆以上の投資でたいへんですが、ことし一応押えるといっても、その程度までは私どもは覚悟しておりますから、まだ各地に設備投資はある程度あるわけでございまして、その程度の予想の金融ということでしたら、別に心配なくいける。これをこしてさらに去年やりましたように四兆や四兆何千億という設備投資が出るということでしたら、これはもう金融の問題でも相当の問題を起こしてくる、今の程度の政府施策ではどうにもならぬという事態になると思いますが、今のところでは、機械受注の現状を見ましても、先行き設備投資がそう大きくふえとるいうような先行きの指標も出ておりませんので政府の今の行政指導と引き締め政策を依然としてある程度持続するというこの二つによって、ことしはほどほどに設備投資は押えられる。したがって、その程度でいくなら、金融問題もそういろいろな混乱を起けさずに済むというのが今の見通しでございます。
  70. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 ただいま大蔵大臣からたいへん懇切にお答えがありまして、ありがとうございました。まあ今後金融引き締めその他の経済問題に対しましても、どうか最善の努力をもって善処されんことを心からお願いをいたしておきます。  最後に一つ残っておりますので、これは簡単にちょっとお答えだけを願えればいいんですが、先月末の外貨の手持ちというものは一体どのくらいありますか、率直に数字だけをお知らせを願いたい。いろいろ経済団体その他に発表いたしておりますけれども、区々まちまちであって、しかも大蔵省では、何か多少一億ドルや一億五千万ドルは、そのときの毎月の貿易受取勘定、国際収支の中で、国民が、あまりに外貨が不足のために経済界に悪い影響を与えるから、大蔵大臣は比較的内輪に内輪にということで、一億や一億五千万ぐらいはよけい目に発表しているんじゃないかというような疑惑を持っておるところがあるようであります。数字だけお示しを願えればけっこうであります。
  71. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 十五億六千百万ドルという数字でございます。
  72. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 外貨の借入金は幾らありますか。
  73. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 借入金は、米国の市銀三行から二億ドルの借り入れがございますし、それから輸銀保証の借り入れが一億二千五百万ドルございますが、これはまだ三千何百万ドル程度しか使っておりませんので、まだ全部残っております。
  74. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) 大蔵大臣、御退席されてけっこうです。ありがとうございました。
  75. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それでは、先ほどの答弁を願います。
  76. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほどお尋ねの外国たばこの輸入に関する数量でございますが、これは大体、簡単に申し上げますと、主としてアメリカ、イギリス等から製造たばこの輸入をいたしておりまして、その数量——これは葉巻、紙巻たばこ、あるいはパイプたばこ等を輸入しておりますが、紙巻たばこに換算して、大体三十四年度以前は年に二千万本程度でございます。三十五年度からふやしまして、三十五年度、三十六年度とも七億本以上になっております。金額で申しますと、三十三年度三千七百万円、三十四年度四千六百万円、それが三十五年度には十二億四千九百万円、三十六年度には約十一億円、こういったような状況になっております。
  77. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 国内で生産するタバコですね、これがだんだん耕作者が減ってくるとか、あるいは反別が減ってくるとかいうようなことを聞くんですが、そういうことがあるんですか。
  78. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) タバコの耕作面積あるいは耕作者数等につきましては、数年前はたばこの消費が割合に伸びません割にタバコの生産がふえまして、多少葉タバコが余りになるようなことがございまして、その結果反別等も減らして参った時期がございます。しかし最近は、製造たばこの売れ行きも伸びておりまして、むしろ国内の葉タバコは増産をはからなければならない、こういう状態になって参っておりますので、実は昭和三十七年度——今年度からは、引き続き葉タバコの耕作面積を相当増加する、生産もふやしていくといった方針で進んでおりまして、三十七年度も前年度に比べまして一割以上の耕作面積の増加になる予定でございます。
  79. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 賠償金ですね、賠償金が——どこを基準にすればいいのかな大体昭和三十年を基準にしましてね、三十六年度の収納が終わったのですが、その年産に賠償金大作幾らくらい上がったものですか。三十年度を基準にしてちょっとお答えを——それができなかったら、基準年次はそっちでけっこうだと思います。
  80. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 数字的な御質問でございますから、お答え申し上げます。  葉タバコの収納価格でございますが、三十一年産を一〇〇といたしますると、三十六年産は一一二でございます。それから三十七年産の価格がすでにきまっておりまするので、これは、三十一年産を一〇〇といたしますと、三十七年産席は一二六になっております。
  81. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 変な質問のようですが、たとえば、この賠償金の値上げの問題をいろいろと御審議になるでしょうが、その際に、他の農産物との価格なんかを対比して、何かそれに合わしてやっておられますかどうか、その辺はどうですか。
  82. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) 葉タバコの収納価格につきましては、たばこ専売法の規定によりまして、生産費 物価その他の経済事情を参酌して生残者に適正な収益を得せしめるような要領できめる必要があることになっておりますが、その場合に、公社あるいは大蔵省におきましては、その他の事情という中に、ほかの主要農産物の価格の動向等を十分に織り込みまして検討を加えて決定しております。
  83. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 三十六年度よりも、三十七年度は、すでに決定していて、一割程度の増反をはかるのだという総裁の御答弁ですけれども、それは確保された反別ですか、それとも希望反別ですか。
  84. 谷川宏

    政府委員(谷川宏君) すでに大体において確保された反別でございます。と申しますのは、専売公社におきまして耕作者の申請に対しましてすでに許可を与えた反別が六万三千町歩があるわけでございますが、これが三十六年産の面積五万六千町歩に対しまして大体一割強ふえておる。許可をした面積でございますが、その後、現在苗を植えておる時期でございますので、そのとおりタバコの植付が完了する見込みでございます。
  85. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これはあるいは要望になるかもしれませんけれども、総裁や監理官にお願い申し上げておきますが、三十六年から三十七年、この一年の賠償金の値上がりの幅を見ますと、一四%上がっておるということになるわけなんですが、実際に賠償金を上げた上げたとおっしゃっても、あれは収納の場合の標本によってどうにでもなるものなんですよ。その辺何かの思いやりというものをば——これは要望におそらくなろうと思うのですがね。総裁、あなたの御指導がよくないと、私自身タバコ耕作者であった時代もあるし、タバコの耕作をやったので、これはよく知っているけれども、賠償金の値上がりは、これは非常に耕作農民が喜ぶところなんだけれども、この調子で賠償金が——反別が大体五万六千町歩が六万三千町歩になって、しかも三十一年を一〇〇にした場合に、三十六年は一一二であり、三十七年は一二六なんだ、この調子で賠償金が三十七年度に出るか出ないか。私は非常に期待を持ってこの数字を覚えておりますからね、ようござんすか。というのは、なかなか、その賠償金を上げてやったとおっしゃっても、あの標本で収納のちょっといじり方によってあれた肉眼鑑定ですからね。機械でないところに問題があるのですよ。ですから、私がこれをきょう聞いたのは、幾らか知っておって聞いて失礼でしたけれども、三十七年度賠償金が、三十六年度に比較して、反別はこれだけふえた。この中にはなるほど、黄色種と在来種の比もあるでしょう。そればまあすぐわかることですから、その辺で愛情を持ってひとつお考えいただかないと、たばこ耕作ほどの市労働はありませんよ。たいてい難儀したくないやつは養蚕に入っていく。養蚕農家とたばこ農家と比べてみますと、まさに農村におけるいいコントラストなんだ。上品な農家は養蚕をやる。私は鹿児島県だから申し上げているのですけれども、非常に貧乏な人たちだけがたばこをば作っているようにどうも私には思われる。非常にきつい、労働に耐えられないような非常なむずかしい難儀な仕事があるのですから、これを他の農産物の価格と対比して考慮に入れるのだということでなくて、他のいずれの農産物よりも事たばこに関する限りは非常に優遇するのだという考えにお立ちにならないと、これはあるいは大蔵省には悪いかもしれぬけれども、かりに千二百五十億の一般会計繰り入れが五十億減ったって、私は耕作農民の立場からいえばそれでけっこうだと言いたくなる。その辺をよくお考えいただいて、ひとつ総裁、これはまあ要望を申し上げておきます。お答えは要りませんけれども、よくこの数字を来年の決算まで私覚えておりますから、どうかひと  つよろしくがんばっていただきたいと思います。要望だけ申し上げておきます。
  86. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) ほかに御質疑ございませんか。
  87. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 一点だけ簡単にちょっとお尋ねいたしておきたいと思います。局長お出ましだろうと思います。  北陸開発に関しまして、昨年北陸開発審議会が作られたのであります。私も審議委員の一人でありますが、その後この北陸開発というものは法によって決定されましたが、一体どういうような仕事をしておられるか、どのくらいの予算で三十七年度をやられるかというようなことについて、少し事業の内容を……、どなたかきょうはお出ましでないのですか、もしお出ましでないようでしたら……。
  88. 天野公義

    政府委員天野公義君) 今関係の事務当局が来ておりませんので、後刻報告申し上げます。
  89. 佐藤芳男

    理事佐藤芳男君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もございません。  昭和三十四年度決算外三件中、大蔵省日本専売公社国民金融公庫北海道東北開発公庫関係の質疑はこれをもって終了いたします。なお、次回二十五日は、郵政省、電電公社関係審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会