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1962-03-16 第40回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十六日(金曜日)    午後二時七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 三月五日  委員山田節男辞任につき、その補  欠として赤松常子君を議長において  指名した。 三月六日  委員赤松常子辞任につき、その補  欠として山田節男君を議長において  指名した。 三月九日  委員上林忠次君及び奥むめお辞任  につき、その補欠として塩見俊二君  及び森八三一君を議長において指名  した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     相澤 重明君    理事            岡村文四郎君            鳥畠徳次郎君            佐藤 芳男君            林田 正治君            大森 創造君    委員            木内 四郎君            岸田 幸雄君            小林 武治君            田中 清一君            温水 三郎君            谷村 貞治君            北村  暢君            木下 友敬君            小柳  勇君            山田 節男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    農 林 大 臣 河野 一郎君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    郵 政 大 臣 迫水 久常君    労 働 大 臣 福永 健司君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    法制局第一部長 山内 一夫君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    調達庁長官   林  一夫君    調達庁総務部会    計課長     大浜 用正君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君    法務省訟務局長 浜本 一夫君    大蔵大臣官房    会計課長    磯江 重泰君    日本専売公社    管理官     谷川  宏君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省主計局司    計課長     佐々木達夫君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省理財局長 宮川新一郎君    大蔵省管財局長 山下 武利君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 庄野五一郎君    林野庁長官   吉村 清英君    通商産業省石炭    局長       今井  博君    運輸大臣官房会    計課長     黒住 忠行君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    郵政省監察局長 田中 鎮雄君    郵政省簡易保険    局長      板野  学君    郵政省経理局長 佐方 信博君    労働大臣官房会    計課長     住  栄作君    労働省職業安定    局長      三治 重信君   ―――――――――――――    会計検査院長  芥川  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    日本専売公社総    裁       阪田 泰二君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○小委員長報告昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出) ○昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいまより決算委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  三月九日上林忠次君、奥むめお君が辞任され、その補欠として塩見俊二君、森八三一君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、虎の門公園地に関する小委員長から、小委員会における調査の結果について報告の申し出がございます。小委員長から報告を聴取することにいたします。
  4. 木内四郎

    木内四郎君 虎の門公園地の問題につきまして、小委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げたいと思います。  虎の門公園地の問題が当委員会におきまして取り上げられましたのは、昭和二十五年度の決算報告一四二によりまして、関東財務局で、普通財産である東京都千代田区霞ケ関三丁目所在土地、すなわち虎の門公園地でありますが、これは公園地といっても、すでに公園としての用途に使用されていないものであるにもかかわらず、二年余にわたってこれを大蔵省に引き継がないのは適当でない、その処置は適当ではないということを指摘されたことに端を発しまして、当委員会におきましても、当時問題になりましたために、いろいろ調査をされ、また審議されました結果、昭和二十八年七月二十九日に、参議院の本会議におきまして、東京所在国有財産虎門公園地は、その一時使用許可条件のとおり、これを原形、すなわち公園に復旧せしめるために、政府は適当なる措置を講ずべきであるという決議をされるに至ったのでございます。それに基づきまして、政府は、二十九年の四月二日に、ニューエンパイヤ・モーター株式会社を相手どりまして、本件敷地関係建物収去土地明渡等請求事件といたしまして、東京地方裁判所訴訟を提起されたのであります。その後、裁判所におきましては、準備手続に相当の期間を経まして、さらに、昭和三十年十二月二十日より三十五年五月一日までの間におきまして、口頭弁論三十回に及びました。今申しました三十五年五月一日に、口頭弁論を終局いたしまして、判決の言い渡し期日は追って指定するということになっておったのでありますけれども、裁判所のほうにおきましては、その間に和解勧告をしました。ことに、三十六年の四月十五日に至って、職権をもって和解勧告をされるに至ったのでございます。そこで、当委員会におきましても、この虎の門小委員会を設けられまして、虎の門小委員会は、不肖私が小委員長といたしまして、昨年の五月二十九日以降一昨日まで、前後十回にわたりまして、訴訟担当者であるところの法務省訟務局長国有財産管理者であるところの大蔵省管財局長等説明を徴し、さらに被告のニューエンパイヤ・モーター株式会社の社長あるいは弁護人等を招致いたしまして事情を徴し、さらに詳細に検討いたしました結果、一つ結論を得るに至ったのでございます。  委員会結論を一応朗読いたしたいと存じます。   国有財産虎門公園地については、昭和二十ハ年七月二十九日、参議院会議において、「東京所在国有財産虎円公園地は、その一時使用許可条件通り、これを原形公園)に復旧せしめるため、政府は、速やかに適切なる処置を講ずべきである」との決議がなされ、その後昭和二十九年四月二日、政府は、ニューエンパイヤ・モーター株式会社を相手どり、本件敷地関係建物収去土地明渡等請求事件として東京地方裁判所訴訟を提起した。   右本院決議は当時の情勢下において適切であったが、昭和三十六年四月二十二日に至り、右裁判所より職権による和解勧告が行なわれた。   ついては、その後の情勢の変化にかんかみ、国損最小限度にとどめるため、政府右和解勧告に応じて本件の解決をはかることはやむを得ないものと認められる。  かような決定でございまして、小委員会におきましては、全会一致をもって一昨日このとおり決議をいたした次第でございます。  右御報告申し上げます。
  5. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいま木内委員長の小委員会における報告がなされたのでありますが、御質疑のある方は御発言を願いたいと思います。御質疑ございませんか。別に御発言もないようですから、ただいまの小委員長報告にありました小委員会調査結果を本件に関する委員会決定とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  7. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に、昭和三十五年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は総括質疑でございます。すでに理事会におきまして、総括質疑等に対する運営決定をいたしておりますので、御報告をいたしたいと思います。  総括質疑通告者は、佐藤岡村大森小柳鳥畠木下、各六人の方からそれぞれ通告がありますが、順序といたしまして、大蔵大臣に対する質疑を先に一行なう。大蔵大臣に対しましては、大森鳥畠木下、三君であります。続きまして、農林大臣衆議院の本会議が終わりますと出席をするということでありますから、農林関係質疑を続けて行なう。これに対しては、岡村委員であります。その後、運輸郵政、防衛、労働等の各大臣出席いたしますので、それぞれ順次質疑を行なっていきたいと考えております。  本日質疑が終了しない場合には、明日は十時から総括懐疑を続行いたします。本日できるだけ、各委員の御要求が多いので、若干の時間おそくなっても質疑を続行する、こういうふうに理事会では確認をしております。  そこで、最初委員長から官房長官お尋ねをしておきたいと思うのですが、参議院決算委員会におきましては、総理大臣を初め関係大臣出席方要請をしておったのでありますが、池田総理大臣出席できないということはどういう理由なのか、この際明らかにしてもらいたいと思うのです。
  8. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 政府といたしましては、国会に対して行政の責任を持っておりますので、予算案提出法律案提出等極力早くいたしまして、御審議支障にならないように心がけて参りましたし、また、御審議にあたりましても、極力総理以下閣僚が参上いたしまして、新審議支障がないようにいたしたいと心がけて参った次第でございまするし、今度もそういう気持に毛頭変わりはございません。今委員長からお尋ねの、総理大臣出席問題でございまするが、御要請に沿いまして出席いたすのが本旨でございますが、ただいま、御案内のように、外交二案件等重要な審議に精魂を傾けさしていただいておりますので、こいねがわくはこの審議始末がつきまして以後にしていただければ非常に仕合わせだ、そう考えておるわけであります。
  9. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは、委員長から再度聞いておきたいと思うのですが、今の官房長官の御説明ですと、本日、明日の総括質疑には出られない、しか衆議院外務委員会の問題がある程度進めば出席ができる、こういうお考えですね。その時期はいつごろと判断をされておりますか。
  10. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 国会の御審議のことでございまするから、私がこれこれと申し上げる自信がございませんけれども、四月の上旬を見当にいたしまして始末がいずれにせよつくのではないか。それがつきました暁におきましては、委員会の御要求に応じまして御出席いたさせるというようにいたしたいと思います。
  11. 相澤重明

    委員長相澤重明君) これはまあ委員長から特に官房長官注意しておきたいと思うのですが、ともすると、予算委員会は非常にはでで、報道関係が取り上げるということで、そのほうには出席がよいけれども、決算ということになると、もう使ってしまったの、だから、もうとにかくあまり影響がないのだという考え方が一般的と思われるような点が、どうもいつも委員会の中で各委員から不満が出るわけです。そうしてまた、同時に、衆議院参議院との立場で、本院としては、とにかく良識ある参議院として、少なくとも決算については重大な関心を持って、そうして決算審査を行なりておるのでありますが、参議院軽視ではないか。総理大臣を初め各大臣出席方がにぶるというのは、参議院軽視ということがあるのじゃないか、こういう点が理事会でも議論をされております。この点については、官房長官委員長のほうから厳重に注意をしてほしいということでありますので、今の総理大臣出席について、四月上旬というようなことを言われておりますが、それでは、参議院決算委員会は、四月の上旬までは実際は開会できない、しか総理大臣に聞くことができない、こういうことになってしまって、全くもって衆議院優先で、参議院はそれに従うようなものである。こういうことであっては、両院あり方としても問題になると私は思う。したがって、官房長官は、説明説明としても、やはり趣旨総理大臣初め関係大序決算委員会には出席をするという趣旨であるならば、できるだけ、本委員会出席要求した場合には、それにこたえて、総理大臣出席するように、官房長官のほうから連絡をとってほしいと思います。  以上、これは、本委員会として、理事会で、委員長から官房長官に伝えるようにということでありますから、注意をしておきたいと思います。官房長官、何かございますか。
  12. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 決算重要性につきましては、私ども十分認識いたしておるつもりでございますので、ただいま委員長から御注意のございました趣旨に沿いまして、最善を尽くしたいと思います。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 私は、委員長理事打合会に対して意見を聞いておきたいと思うのですが、一年間決算委員会を私はずしましたが、私が前に理事をいたしておりました時代決算委員会総括質問は、総理以下各大臣が並びまして、そして総括質問を二日間にわたってやったわけです。そうしませんと、総括質問というものは、一省にわたった質問だけではないわけです。関連して、たとえば大蔵大臣答弁いたしましたものに対して、通産大臣意見を聞いたり、各省大臣が関連して答えるのが総括質問でありまして、今、委員長答弁によりままと、大臣が来た順に、各委員のほうが大臣出席に従って質問をするような決算委員会では、私は総括質問はやる必要がないと思う。それならば、各あとの決算委員会で逐次大臣を呼んでやればいいんであって、そういうようなやり方についていっどこできめられたか。もしきょうの理事会できまったならば、私はそのやり方を変えてもらいたいと思う。総括質問を三月八日からやるというので、われわれは各スケジュールをきめて待機しておった。ところが、きょうに延期された。きょうは総理以下各大臣出席されると思っていたわけなんです。ところが、今聞くところによると、総理大臣出席できないと、大蔵大臣が来て、官房長官がすわっておるだけである。こういうことでは、総括質問とは言えぬのじゃないかと思うのですが、そういうことを委員長理事打合会できめられたのかどうか、聞いておきたいと思います。
  14. 相澤重明

    委員長相澤重明君) お答えいたしますが、理事会としては、総理大臣初め各大臣出席方を厳重に申し入れました。それで、本日も一時から開会する予定でございましたが、衆議院あるいは他の常任委員会との関係もございましたので、その辺は若干の調整をいたしまして、二時からということにいたしました。二時には関係大臣は全部出席をすると、ただし農林大臣だけが、衆議院会議関係で、衆議院会議が終わったならば直ちに出席をしたい、こういう申し入れがありましたので、理事会としては、一応それを了承をいたしました。そこで、何と申しましても、決算委員会においては、他の省の関係であっても、大蔵省は全般に関係することでありますから、総理並びに大蔵出席をする、総理大臣が出られない場合には、官房長官が当然出席しなければならないという従来の慣例がありますので、特に総括質問でありますから、大蔵大臣関係が各委員からたくさん出ているから、それをまず先にやって、その次に御要求のある各大臣に対して質疑を行なう。もちろん、通告されておらない方でも、関係質疑が行なわれるわけでありますから、そういう点について、理事会としての一応の意思統一をはかったのでありまして、御質問の点については全く理事会としても異議はないわけです。ただ、そういうきょうの運営についての御相談の結果、冒頭に申し上げたようにいたしましたので、御了承願っておきたいと思うのです。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 今の理事会やり方については、私はもう一ぺん再考してもらいたいと思うのです。きょう大臣は、今大蔵大臣だけ見えているけれども、私の要求大臣だけでも、運輸通産、それから国鉄総裁――国鉄総裁は所用があって三時に来られると言っておりますが、しか労働大臣にも要請している。話によっては、まだほかに要求する大臣もあるわけなんです。これは、内閣全体が責任を持ってもらって、決算はわれわれ審議するのですから、初めからこういうことでは、私はこれは決算委員会もう一ぺんやり直さなければいかぬと思う。しかも、私はここに「参議院決算委員会決算提出手続及び審査方針に関する小委員会発言録」というものを持っておりますが、これは決算委員会がどうしたら国の決算を十分に審議できるか、しか予算執行状況をどういうふうにしたらただせるかということを、るるとして専門家が述べている。この方法を私も全部読みながら、今度の決算委員会ではこうしなければならぬと思っておった。ところが、初めからこういう調子だ。こういう調子では、決算委員会をいくらやりましても、大臣は来て、ここで何か頭を下げて答弁して、それで終わりなんです。そういうものなら、これはもう時間のむだです。しかも、衆参両院とも、決算委員会は一体何のためにやっているかということになるわけです。だから、まず、決算委員会あり方について、委員長理事打合会でどういう話し合いがなされたか、委員長から聞いておきたいと思います。
  16. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいまの小柳君の御発言につきましては、十分今後の運営について次回の理事会でひとつ御相談をしたいと思います。本日は、先ほど申し上げましたように、時間も大へんおくれておりますし、またすでに要求された大臣も次から次へと出席をしておりますので、できるだけひとつこの総括質疑に入らせていただきたい、こう考えておりますが、ひとつ御了解願いたいと思います。いかがでしょうか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  17. 山田節男

    山田節男君 小柳委員の御発言、私はもっともだと思いますが、今委員長から委員長理事打合会報告がありました。少なくとも、昭和三十五年度の決算報告に対する総括質問だということになっているのですから、総理が四月にならなければ出られない――しかしきょうがいわゆる総括質問の第一日に来たるわけですね。ですから、総理がきょう出られないということは、これはやむを得ません。しかしながら、ことに参議院決算委員会の従来の伝統として、少なくとも、総括質問と、それから締めくくりの場合は、これは総理出席すべし。吉田内閣時代でも、鳩山内閣時代でも、ちゃんと総理大臣以下現われてやっているわけです。ことに、第二院の参議院決算委員会としては、もっと権威を持つべきだということは、先ほどの小委員会等の論議によりましてもはっきりしているわけですから、きょう総理がお見えにならなければ、そのかわりに副総理もあるし、副総理もいけないというならば、大平官房長官が、いわゆる総括質問に答えるという、そういう一つの権限を与えられているなら、官房長官はこれは書記長ですから副総理じゃないわけですが、一応その体裁は整えられる。今後の運営について、総括質問各省別質問をやるということは、これは異例でしてね。順序として、やはり総括質問らしく、少なくとも答弁のできる者を置いてお始めになったほうがいいと思うのです。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、もう少し私は言いたい。もうきょうは総括質問をやめて、またやり直すべきだと考えますけれども、ほかならぬ委員長発言でありますから、委員長発言を了として、きょうは進めますが、しかし、今あいている大臣は全部ここに出席して、そうして関連質問にも十分答える態勢をとってもらいたい――早急にとってもらうということを委員長にお願いして、委員長発言了承しましょう。
  19. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは、これはもう委員長のほうの微力でたいへん恐縮でありますが、各委員の御質問については、いずれ、決算提出手続に関する小委員会も現在持っておりますし、結論も出して、そういう方向で今後は進めて参りたいと思いますので、本日は、以上の点で御了承いただきまして、総括質疑に入らしていただきたいと思います。  それでは、通告がございますので、順次発言を許したいと思います。大森創造君。
  20. 大森創造

    大森創造君 きょうは決算委員会総括質問の第一日でございますが、委員長初め、政府側を代表して大平官房長官、その他、小栃委員などの問答で明らかなように、決算委員会あり方が近日中にすっきりいたしますから、これはいやおうなしに、こちらが催促するとしないにかかわらず、総理大臣以下がずらっと顔をそろえるということになるだろうと思います。私も、きょうの質問の最後に、決算審査あり方について小委員会の進んでいる方向しかも数日中に結論が出ます内容を御披露申し上げて、委員長関係方々の御答弁を得たいと思っております。  今までの問答によってそのことは了承いたしまして、今から総括質問に入りますが、まず最初に、調達庁関係と、それから会計検査院関係、それから防衛庁関係大蔵大臣が中に入ってていただきます。その次に郵政大臣郵政省関係総理大臣と、こういうことになっているのでありますが、総理のほうはあした実は二時間ばかり御質問申し上げようと思ったのでありますが、四月のころというので、これは留保いたします。ですから、ひとつそういう順序で進みますが、第一日でございまするし、それから同僚委員方々も、今まで大臣出席がないために日程がおくれております関係上、ひとつ早めて質問をしたいという御要望もございますので、その関係同僚委員の方と委員長のお話し合いで、私の質問の途中で、議事進行について、私は次第によってはストップをいたしますから、そういうことを御了承の上、ひとつ質問に入りたいと思います。  まず第一点は、山梨県の米軍北富士演習場にからむ「特別損失防止対策工事補助金の交付にあたり処置当を得ないもの」として会計検査院から調達庁所管事項が批難をされた事項についてお尋ねをしたいと思います。  本件は、米軍北富士演習場の荒廃によって、山梨富士吉田市内福地用水に土砂が流入することを防止するために、調達庁山梨県に委託して行なわせた防災工事に対し補助金一千三百四十一万何がしかの金額を交付したものでございます。そこで、この問題について、調達庁のほうは、その仕事を地元の要望に応じて施行した。ために、富士吉田当局並びに山梨当局、それから関係農民が非常に喜んでおりました、事業効果が上がっていると。調達庁調達庁たるゆえんのものは、こういう仕事をやって国民に喜ばれること。調達庁というのは、米軍やそれにからむところのいろいろな問題について、迷惑をかけられたとか、そういう被害について、日本国家として補償する、救済をするということでございますので、そういった似たような仕事が相当多いのでございます。しかるにもかかわらず、会計検査院から、半を得ないものであるから、一千三百四十一万何がしか補助金は交付する要がなかったものであるというふうに批難されております。まあ会計検査院検査報告が各省庁に対してどの程度の影響を及ぼすものか私はわかりませんが、国会に掲出された検査報告の中に、明らかにこれは不当な支出である、こういう補助金をやる必要がなかったというふうにはっきりきめつけられたにおいては、調達庁としても一言なかるべからずと私は思っている。こういうケースが、ずいぶん各省庁にわたる問題がございます。会計検査院あり方については、せっかく御努力中でございますが、私は後段ひとつ申し上げようと思うのでございまするが、参議院の本決算委員会のあり力とも関連して、この際は、検査報告について、従来の惰性、マンネリズムを一擲して、新しい方向に向かう、そういう必要があると私は考えている。  そこで会計検査院長にお伺いしますが、この問題について、いかなる立場で検査され、そしてどういうことなのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  21. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 検査報告第六項につきまして、決算検査報告に掲記いたしましたことにつきましては、横浜調達局で山梨県に対しまして福地用水の改修工事の補助金として約千三百万円を交付しているのであります、が、検査院として十分実地検査をいたしました結果、現地で調査を十分に行なったならばこの金額の交付の必要がなかったのである、こういうふうな見解で、慎重審議の結果、検査報告報告をいたしましたわけであります。
  22. 大森創造

    大森創造君 会計検査院のお答えはあとからさらに求めたいと思いますが、それでは調達庁の方おいでですか。不動産部長がおいでですか。
  23. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 大森君、御発言中ですが、調達庁長官がまだ見えておらぬようです。
  24. 大森創造

    大森創造君 調達庁長官がまだお見えにならないそうでありますから、会計検査院のほうに……。  これはどうですか。結論を申し上げますと、こういう問題について批難をされ、補助金交付は不当であるという結論を出されましたけれども、これは私は、会計検査院の検査というものは、国会決算委員会なんかと違いまするから、経理上の違法なもの、不当なものについて、そういう問題にしぼって検査をされるべきが至当ではないかと思うのですが、いかがですか。
  25. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 院法にも明らかにありますように、法律に違反しているもの、あるいは予算の目的に違反しているもの、その他不経済にわたりまする不当事項を全面的に検査をするのが法律の建前になっております。  私どもの見解といたしましては、ここに御報告申し上げたとおりでありまして、当決算委員会におきまして別な立場から御審議をいただくことについては、私どもは特に意見を申し上げる筋合いでもないと思います。私どもの見解は、ここに明らかにいたしましたとおりであります。非常に広い範囲においてわれわれが検査をできるのが、現在の法の建前になっております。非常に制限して検査をするのでは、当決算委員会の御審議の参考にもならないのではないか、そういうふうに考えております。
  26. 大森創造

    大森創造君 今のお答えは、その限りではそのとおりだと私は思いまするけれども、会計検査院の方がこの工事をお調べになって、調達庁が自信を持っておやりになったはずなんだから、その仕事について、どこが悪いとか、あすこが悪いとか、設計が不備であったなどという程度の批難ならともかく、全面的にこの工事を、千三百四十一万何がしか補助金を支出したのは当を得ないものである、こういうきめつけ方は、行き過ぎとはお考えになりませんか。
  27. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 検査院といたしましては、行き過ぎとは考えておりません。
  28. 大森創造

    大森創造君 あなたの言うことがそのとおりであるとすれば、まあ富士吉田市のほうは財政が土台が小さいから貧弱でございましょうが、山梨県としては、千三百四十一万円をそのまま国庫に返還することをあなたは期待しておりますか。
  29. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) それから先のことになりますと、これは行政の問題になりますので、私どものほうといたしましては、そこまでは意見を申し上げるのを差し控えたいと思います。
  30. 大森創造

    大森創造君 私は、権威のある会計検査院の人が、ここのところが行き過ぎであったとか、この設計は不備であるとか、あるいは工事のおぜん立ての準備が不足であるとかいう程度のことならば、それをもって、調達庁なり、当該の省庁において善処もできると思うのでございますが、全面的にこの補助金を交付した行為そのものが当を得ないものであるということになると、私は問題だと思います。当を得ないということになれば、税金を納める私の立場からするというと、全部返せと、返さなければまかりならぬという論理になると思いますが、どうですか。
  31. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 補助金笹につきましても、私どもとしては、本問題と、大体その検査報告に掲語いたしました分につきまして、まだ主管庁のほうからどういうふうにいたすという回答は得ておりませんが、その問題になりますと、検査報告というものがかりに不当と断じましても、行政行為そのものはすでに成立しておりまして、それを検査院でとやかく言うべきことではない、ただ将来に対してこういうものが非常に戒めになるという意味から、やはりこれは不当事項として掲記することによって決算委員会の御審議の参考になるのではないか、こういうふうに考えております。
  32. 大森創造

    大森創造君 そういう内容の検査報告を本決算委員会に御提出になって、それを審議して最高の立場で決定をする国会決算委員会がそのとおり認めたということならば、これは会計検査の報告が相当権威を持つことに相なります。これは法制局の方がおいでになれば……、おいでにならなければ、あとでお伺いいたしますが、私は、ずっと検査報告の中に各種の不当事項なり、批難事項がございますが、中には行き過ぎもあったであろうと――これは会計検査院の方に女の問題で汚職などが出た昨今でございまするから、決して、おかたいところの典型が会計検査院であると、だからやることに間違いないんだというふうには考えない。だから、後段同僚木下委員も、そういう各省庁と検査報告とのズレの問題についてきっと御指摘になろうと思いますが、どうですか、行き過ぎがあったと――これは、調達庁仕事がほんとうであるけれども、検査報告で出してきちゃった、印刷をしちゃった、国会提出しちゃったから、まあ会計検査院の権威のためにもあと戻りはできない、きょうは委員会でその質問があるが、あくまでできたことは仕方がないからこれを通してもらおうというお考えと違いますか。腹の中では、ひとつこいつは撤回してもいいなどというふうにお考えになっているのと違いますか。
  33. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 何か大森委員は、だいぶいろんな例をあげられて、非常にむずかしい答弁になるわけでありますが、私は、この検査報告というものは、決算委員会の御審議になる一つの中心でおやりになるのでもありましょうし、また参考としてお取り上げになる場合もあろうと思います。決算委員会に、院法に基づいて、決算の検査の確定はこの決算検査報告によって確定いたしたものを報告いたしておりまして、これは実地検査に行きましたものも慎重に審議をいたしまして、さらに主管庁にも十分照会をいたしまして、その上に局において局会議を開き、さらに調整委員会を開き、総長審議をいたしまして、その案件が検査官会議に出て参りまして、われわれも十分慎重に検討の上、検査報告に掲記いたしましておりますので、まずまず行き過ぎということはないというふうに考えております。
  34. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 大森君に申し上げますが、藤枝防衛庁長官は今そこに出席いたしました。内閣法制局は、荒井参事官がおりますから、どうぞ。
  35. 大森創造

    大森創造君 調達庁おみえのようでございますから、お伺いいたしますが、そういういきさつで、あなたの所管事項の問題が、これは不当であるということで会計検査院から指摘をされて、昔に比べてずいぶん事件が少ない、近ごろは批難事項が少ない――困ってやしませんけれども、とにかく批難事項が少なくなっている、その中で、これは全面的にこの補助金の交付というものが妥当ではなかったというふうに指摘されたのですが、あなたはどうお考えになりますか。
  36. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 北富士演習場福地用水のことを御指摘かと思います。これにつきましては、会計検査院から指摘があったわけでございますが、私の方といたしましては、当時のいろいろな事情、演習場内が非常に荒廃をいたし、そのために土砂が非常に流れ出すというようなことで、会計検査院から御指摘のような、洪水時に樋門を締めればそれでよいではないかという状態ではないという判断と、もう少しやはりああいう工事をしてあげなければあの地帯の水田が非常な被害を受けるという観点に立って、工事の補助金を交付したような次第でございます。私どもとしては、その判断はあの現地の事情からいたしまして妥当ではなかったかと現在は考えておる次第でございます。
  37. 大森創造

    大森創造君 調達庁のお立場がさようであるとすれば、会計検査院長のお答えになったこととは、はっきり食い違っております。いずれをとるべきかということは、本決算委員会結論を出すだろうと思いますが、その前にお伺いしますが、まず会計検査院のほうで指摘されたことがそのとおりであるということになりますというと、これは仮定の問題でございますが、あなたの調達庁のほうではどういう御処置を内部でおとりになることに相なりますか。
  38. 林一夫

    政府委員(林一夫君) この工事を施行するに至りました経過については、御承知のことと存じますが、私のほうの立場から申しますと、やはり富士演習場におきますところの米軍の激しい演習によりまして、この桂川水系一帯に対して相当の被害を与えておる、そういうことでございまして、この一帯について過去数年にわたりまして防災工事を施してきておるのでございまするが、三十四年度におきまして、この福地用水防災工事をしたのでございます。それは、当時の事情としましては、こういう事情があったのであります。桂川一帯に富士演習場の土砂が流れ込む、そのために、この福地用水のほうに入るところの樋門というものを締めれば、桂川のほうへ土砂が流れる、これをあけておきますと、今度は平常水――通常の状態における水が桂川のほうに行くのが少なくなるというような、いろいろと事情がありまして、過去におきましてこの分水のことについて相当の紛争があったわけです。そのために、この水利の管理者でありますところの富士吉田市長が中に入りまして、そこで協定をいたしまして、桂川の下流のほう、具体的に申しますと、これは明見地区でございますが、この方面に行く水量と、そしてもう一つ福地用水のほうに行く水量と、大体の水量を協定しましてきめまして、何%は桂川の下流のほう、福地用水のほうは何%ということで、水量の協定をいたしまして、それに基づいて樋門の開閉の状態も、その水量を基準として常時開閉しておったわけであります。でございますので、豪雨の際に、その福地用水のほうの樋門を締めれば、その土砂をまじえた水量は明亮地区のほうへ行くというようなことで、トラブルがあったのでございますが、そういうようなことで、富士吉田市長が中に入りまして、福地用水のほうの樋門はあけたままにする、そうして桂川の下流のほうに行く樋門は一部締めるというようなことで、平常水の状態においてそういうような開閉をいたしておったのであります。そういうようなことで現在まできておるわけです。何と申しましょうか、地元の町村長の協定と、また富士吉田市長が中に入った利水慣行と申しますか、そういうようなことをもととして現在の樋門の開閉状態をいたしておるわけであります。そういたしますと、豪雨の際は福地用水のほうへどんどん土砂まじりの水が入る、通常の降雨の際でも土砂がどんどん流れ込むというようなことでございますので、地元の強い要望もあり、福地用水をコンクリートでもつては、地元の強い要望もあるし、現場を十分調査した結果、これより方法はないということで、この工事をいたしたのでございます。もちろん、こういう工事については、いろいろの御批判かあろうかと思いまするが、私どもはこれが適当であると考えてこのような工事をしたわけであります。今後、もちろん、こういうような工事については、考え方としてはいろいろあると思います。まあそういう点につきましては、今後十分注意いたしたいと思っております。
  39. 大森創造

    大森創造君 調達庁長官がお答えになったように、この工事の施行については、考え方はいろいろあるだろう。会計検査院の検査をされた人の考え方の一つがこれは出ているに違いない。そいつを文章にして、きょうは会計検査院長会計検査院検査報告というものをその立場から御答弁になっているが、これは一つの見方に違いない。いかに会計検査院が御調査になって、批難されようと、見方はいろいろで、数年前から施行している、富士古田市の当局や、地元の村民や、山梨県や、そういう方々意見を十分に調査の上仕事を施行した、そのために地元の人に喜ばれた、こういうのも有力な一つの考え方、見方だから、調達庁は自信を持ってこの仕事を施行されたに違いない。今、林長官からお答えのように、見方はいろいろあるでしょう。百パーセントいいことはございません。だけれども、こいつが全面的に不当であるから交付の要がなかったものであるという、そういう作文は、私は行き過ぎだと思うんですが、重ねてひとつお答えを願いたいと思います。簡単でけっこうです。
  40. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 関連質問がありますから。北村君。
  41. 北村暢

    ○北村暢君 この問題について、私も関連してお伺いいたしますけれども、今の事情を聞きまして、また特に調査された部面その他の説明を聞きましても、私はやはり、この問題は慣行水利権の問題に関係をしてきている、このように思うんです。したがって、演習をやるために土砂が流れて従来の慣行水利権というものが維持できない、そういうことから、この工事をやれ、こういうことになって、地元からの、要請が出てきて、特撮法を適用して工事を実施した、このように理解するのでありますが、会計検査院の指摘からいたしまするというと、この工事をする必要がなかったということは、一体それじゃ、この工事をしないでおったならば、土砂が流れて従来の慣行の水利というものが保持できない、用水を利用することができないという結果になっておったかもしれない、そういう問題であろうと思うんです。したがって、そういうような状態の中においてこの工事がなされたというふうに思います。で、会計検査院のほうの見方からすれば、そういうものにかこつけてこの用水路をコンクリート張りにしたのだと、こういうふうな見解をとっているのではないか、まあこういうふうに察せられるのでありますけれども、私はやはり、そういうことではなしに、農民の切なる要求として、アメリカの演習場の被害のために、それを防止する意味からいって、慣行水利権というものを守る意味からいって、この工事というものがなされた。しかも、地元では、慎重に市長その他が入って協議をし、対策として出てきた結果として行なわれている。決して、ただ単なる地元民の要求で簡単に実施したものではないようでございます。そういうような点からいって、根本的に、会計検査院というものは、この慣行水利権というものを認めるのか、認めないのか、こういう点について、おそらくこの結論が出されているところから見るというと、認めないのじゃないかというような私は感じがいたしまするので、一体慣行水利権というものは認めるのか、認めないのか、また慣行水利権というものがあるのか、ないのか、隣に農林大臣もおられるようですから、お答えをしていただきたいと思います。
  42. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 当決算委員会において、種々御審議を願い、いろいろな意見が出ますことは、これはまた私どもの将来大いに参考にいたしたいと思っておるわけでございますが、検査院として、これは決算検査の確定として報告を出しております。これは十分慎重に審議いたしまして、たとえば過去における補助金の状態がこの地方においてどらであったのか等の、われわれのほうで調べられる範囲のあらゆる状態は十分だめを押しました上で掲記いたしておる次第でございます。なお、現地の調査が十分であったならば、こういう工事はしなくてもいいのではないかということは、言えると思うのであります。
  43. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは、関係して河野農林大臣答弁を願います。
  44. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今のお話でございますが、その水利権は私のほうにちょっと関係がございませんので、これはむしろ建設大臣かどなたかからお答えになったほうがよろしいと思います。
  45. 大森創造

    大森創造君 これは、そういうふうだというと、両者の主張が全く対立することに相なります。どちらも自信を持っておやりになった。それで、さっき調達庁のほうにお伺いしたのですが、これはごく簡単にひとつお答え願います、能率的にやりますから。このことをこのまま認められるということになると、あんたのほうでは部内においてどういう御処置をおとりになりますか。
  46. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 私どもの考え方は、先ほど申し上げたように、まあ地元の利水慣行というものを尊重しましてこのような工事をいたしたのでございます。十分調査してやったつもりでございまするが、なおまあこのような工事に対していろいろの考え方があると存じますので、そういう点につきましては今後十分に注意をいたしたいというようなことでございます。
  47. 大森創造

    大森創造君 これは堂々めぐりになりますから、私は結論的に要約して申し上げますと、会計検査院の指摘をされた、その地元の各種の条件ですね――会計検査院のほうでそういう結論を導き出されたその条件、これがほんとうであるか、あるいは調達庁のほうで自信を持って仕事をおやりになって、現在でも喜ばれているという、そういう判断をされ、事業が施行されて今日に至ったその要因の、いずれが妥当かということに相なると思います。あなたのほうでは自信ございますか、会計検査院のほうは。
  48. 北村暢

    ○北村暢君 関連。どうも先ほどの答弁で、農林大臣が慣行水利権はわしの所管じゃないなんていう答弁ですが、この富士地区の演習場に関連をして農民が被害をこうむる、そういうようなことで、これは当然農民側からの要求というものが出て、そうして農地局の中にも、こういう演習地の問題についての調査をしたり何なりする機関というものがあるのです。そういうところで、調査をして工事を実施するのは、調達庁のこの関係で特撮法によって工事を実施する。あくまでも、農民に被害のある問題については、農林大臣がやはり意見を出し、調達庁と十分連絡をとってやる問題なんです。したがって、この工事がよかったか悪かったかというような点については、農林省が全然関係ないわけでもないし、大いにあるのです。これは農林行政に大いに関係がある。したがって、全国各地に起こっておるこの基地問題あるいは演習地の問題について、当然農林省としては、非常に多くの陳情も受けておるし、そういう問題なのでありまして、この慣行水利権が私のほうの所管でないなんていうような答弁は、これは不謹慎もはなはだしい。こういうことは許されませんよ。また、そういうことは、農林省も当然知っているべきなんです。そういうような点からいって、農民を保護する立場からいけば、農林大臣調達庁長官を助けてやるのがあたりまえだ。また、調達庁長官も、会計検査院に遠慮をして、今後注意をいたします1何を注意するのか。これは何も注意することないです。会計検査院は検査院としてそういう結論を出したかもしれませんけれども、しかしながら、これは、先ほど来言っている調達庁説明が悪かったか何か知らないけれども、会計検査院の理解が得られないだけの問題であって、この種の問題が将来起こった場合に、調達庁はおっかなびっくり、今後の補償問題等々もできないような状態になる。そういうことでは、私は、今後の演習地の問題に重大な支障を来たす、こういうふうに考えまするので、この問題はそう軽々にやられるべき問題ではないし、また、会計検査院はこういう指摘をいたしましたけれども、実際にそういうことがよかったか悪かったかというのは、行政監察のほうにも関連をしてくる問題だと、私どもはそう考えております。したがって、そういう点からいって、この点はやはりはっきり主張を調達庁として、これはあとは行政の問題だから、この指摘は指摘として認めて、工事をやったものはもうひっくり返すわけにもいかないし、まあやったままに終わるのだということになりますけれども、私どもは、これがほんとうに不当だったとするならば、地元の補償か何かでとるべきだと思うのですよ。地元は損害賠償として調達庁に、やったことが間違いだったならば、地元はまた払わなきゃならないのだ。そこまで私どもは追及いたします。決算委員会としては追及しなければならない立場決算に追い込まれる。不当であったものを黙って認めて、それはやったから仕方がないということでは放置できない。地元民なり地元なりが損害を払わなければならない、そういうことを要求いたしますよ。むだな仕事をやったんですから、損害賠償――国に対して損害を与えたわけでありますから、これを払えというのは当然のことです。したがって、悪かったということを認めて、今後は注意いたしますでは、済まない問題になってくる。調達庁としては、あなたは何か指摘されたことが当然であるかのごとく認めるようなことでは、今後の演習場の問題についても重大な関係がありますから、この点は、農林省もおるのだし、技術的な面については、農林省のほうが調達庁より以上にそういう面についての技術というものを持っているのだから、どっちが正しいのかということは会計検査院よりも農林省が判断しなければならない問題だと思います。したがって、そういう点からいくというと、無責任もはなはだしいのであって、調達庁が下手にそういうところに下がってくるというと、私どもは工合が悪い、こう思っているのです。もっと腰を据えてやりなさいよ。
  49. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) だんだんおしかりを受けましたが、御承知のとおり、富士の演習地の地元民とのいろいろ問題を解決いたします場合に、これらの地元の農民諸君が十分営農のできる施設をする、そういうことでいろいろ話し合ってできたことだと私は思います。そういう意味で、調達庁においてもいろいろ話し合われ、また農林省も技術的にこれに御協力を申し上げてできた仕事だろうと思うのでございます。会計検査院のほうのいろいろの御指摘もあるわけでございますが、問題が、ほかの用水の問題、水利の問題と違いまして、そういう演習場の演習によって妨害され、営農に支障を来たす分に対して、これを補償する意味において工事をし、他の角度から営農を助けるということでやった仕事と思いますので、それらの点を十分勘案していたしたこと思いますので、そういう点を会計検査院のほうでも十分御配慮いただきましたならば、私は、調達庁から御答弁がありましたとおり、われわれ協力いたしましたほうといたしましても、この道を選ぶより地元民との折衝において方法がなかった、こう思っております。
  50. 小柳勇

    小柳勇君 関連して。  官房長官質問しておきますが、この種の問題は、予算委員会でも、決算でも、二、三回問題になったのですが、たとえば川の改修にいたしましても、砂防工事は農林省がやる、それから改修工事は建設省、港のほうに参りますと運輸省、一本の川を扱うのに、予算を使うのに、そういうことで各省がばらばらで仕事をやらなければならぬ。今の問題も、調達庁と農林省との連絡が全然やられておらぬようであるが、そういうような各省の連絡協議については、一体どういうふうにされておるのか、またされようとするのか。その問題を解決しておかないと、会計検査院調達庁との見解が違う場合には、ここで委員会は現地にまた調査に参って、どちらが正しいのかという結論を出さなければならぬことであるが、その前に、各省の連絡協議については一体どのようにされておるのか、これからしようとするのか、官房長官に聞いておきたいと思います。
  51. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 基地関係のことにつきましては、本来調達庁が主管官庁として当たってこられました。しかし、今御指摘のように、単なる補償的な仕事の限界を越えまして、民生の維持向上というような行政の広い領域にわたりましていろいろな問題が出て参りますので、調達庁は最善を尽くされておりますが、それだけでは足りませんので、各省庁にお集まりいただきまして、協議会を設けて、その上に基地対策関係の閣僚会議を去年の夏設置いたしたわけでございます。そういう連絡機構に通じまして、今御指摘のような問題に間然するところないようにやって参りたいというふうに心得ております。
  52. 大森創造

    大森創造君 大体問題の所在は、同僚議員からの関連質問でほぼ明らかになったと思いますが、どちらが正しいか。会計検査院のおっしゃるとおりだとするというと――おっしゃるとおりというよりも、会計検査報告に出ておりますから、お答えはございませんが、調達庁のほうでも、部内においてこれに応ずる反省の実績を示さなければならぬと思います、いずれにせよ。で、私が問題にしたいのは、これが千三百四十一万、それにとどまる問題ではないのであって、今小柳委員も指摘されたように、北村委員からも指摘されたように、これは一つのモデル・ケースだろうと思います。会計検査院が指摘をされ、当該の省庁が了承しないというケースは、このほかにたくさんあるだろうと思う。この補助金の交付は不適当であったという検査報告をわれわれ決算委員がちょうだいした場合には、これは一言ないわけには参りません。そこで、これは常々めぐりになりますから、結論を申し上げますと、一体どちらがいいのか。もちろん、調達庁のほうでお答えになりましたように、見方はいろいろありましょうけれども、今政府のやっている仕事は、国鉄の問題でも、農林省の問題でも、一〇〇%いいわけではないが、八〇%までいいならば、これは農民のためになる、国民のためになるということなら、それを通しておる。われわれはけちなことは言わない。社会党であってもけちなことは言いませんから、そいつは推進するという立場をとりますが、私の申し上げるのは、その三〇%ぐらい、会計検査院の角度から見ますというと、当を得ない点があったろうが、この事業そのものは妥当であったという結論に持っていくのが私はいいのではないか。また、今となってはのっぴきならない。農林大臣がお答えになったように、これは調達庁と連絡して、地元農民のためにこの仕事を仕上げる。今後も継続工事をやるかもしれない。ところが、会計検査院のほうは、そうでなく、印刷物を出しちゃった、引っ込みがつかない――これはひとつ引っ込んで下さい。しかし、きょう引っ込むのも、あなたの顔もございましょうから、これはひとつ委員長に提案をいたしますが、この問題はいくら申し上げても切りがない。これは、私は何回も申し上げるようですが、モデル・ケースですから、そこで、さっき芥川検査院長がお答えになったようでありますが、経理の不出、違法を追及するだけでなくて、総合的に見ると、こういうことをお述べになりましたが、まさしくその通りで、決算委員会なんぞは、あと一週間したらがらりと生まれ変わって、今度は自民党のほうでも、官房長官と連絡をとって、決算委員会は、先ほど小柳さんが言われましたように、議案にしようという意見が台頭しておりますから――これは超党派です。ことに自民党の方の御意見が強い。社会党は引きずられておりますから、議案にしよう、これは承認しない、責任解除しないという立場を今後はとろうということでございますから、そういう際でございますので、この問題を問題にしたい。会計検査院のほうは、これはこういう方向でく、後もやっていく。調達庁のほうは、調達庁の名の示すごとく、これに似たような問題を今までもやってきたし、今後も継続しようとするに違いない。そうでしょう。ひとつ一言お答え願います。
  53. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 従来どおりの方針で今後ともやっていきたいと思っております。ただ、本件につきましては、やはりその設計上いろいろの考え方があると思うのでございますが、そういう点につきましては、今後このような工事を施行する場合においても、十分注意したいと思っております。
  54. 大森創造

    大森創造君 今、私が申し上げたように、設計上若干問題がある。で、この仕事を全面的に取りやめますか。
  55. 林一夫

    政府委員(林一夫君) この工事によって十分所期の目的を達し、効果をあげておりますので、これを取り消すとか、あるいは設計がえをするというようなことは、毛頭考えておりません。
  56. 大森創造

    大森創造君 北村委員が言われましたように、そうならにゃならぬと思うのです。これは、あなたのほうの会計検査院に対する回答書を見るというと、何だかきょうの長官の答弁と違って、幾らか悪いところがあるように書いてある。会計検査院の御指摘のとおりであるとは言っていないけれども、いろいろ言われたけれども、これは知らない。しかし、私が漏れ承るところによるというと、会計検査院にけちをつけられると今後運営上困るという心配があるから、そういう文章を書いているに違いない。これは行政にとってゆゆしき問題です。これはきぜんとして、さっき北村委員が言われたように、問題がややこしくなってしょうがない、そういうことをやられたならば。河野農林大臣――実力者が、調達庁と連絡してこういうことを農民のためにやるということをおっしゃっているのだから、言葉どおりに聞いて、がっちり、検査院が何と言おうと、もう今までの反省でたくさんなんだ。そこで結論は、ひとつ委員長に提案いたしますが、これは超党的に、日をあらためて、これはモデル・ケースですから、こういう問題が今後頻発してきたならば一体どうなるかという、これはテストケースだと思いますから、これがまずいならまずいで、山梨県の者に返させなさいよ、さっきお話のとおり。そうしないと勘定が合わない。しかし、こいつは、それは会計検査院三〇%の申請はあると私は言うのだけれども、それだからして全面的にやめるわけにいかないのだから、そのことを計算の上においてこの仕事を施行したのだ。八十対二十なんということじゃない。やるならやるですよ。男ならやってみろと言うのだ。やらないならやらないですよ。そのことを確認するために、超党的に、本委員会として、日をあらためて、ひとつ関係方面に出向いて、そうして取り扱いについて本委員会の態度を明らかにしたいと思いますが、いかがでしょうか。委員長答弁を求めて、この問題については私は終わります。
  57. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 委員長としては、理事会でよく御相談をいたします。できるだけ委員の皆さんの御意思を尊重することにいたします。  そこで、なお、関係要求した大臣運輸大臣郵政大臣、行政管理庁長官等みな出席でありますから、なるべく要領よく質問をされるようにお願いをいたします。
  58. 大森創造

    大森創造君 相澤委員長の言うことをよく聞いて、要領よくやりたいと思いますが、答辞のほうもひとつ要領よくお願いします。  その次に、防衛庁お尋ねいたします。  昭和三十五年度の一般会計決算において、総理府所管の潜水艦建造費として四億八千三百余万円を支出いたしております。これは当初、昭和三十一年度一般会計予算において、潜水艦一隻を建治するために、総額を二十七億一千八百万円とする、三ヵ年――昭和三十一年度から三十三年度までの継続費として組まれたものでございます。その後、昭和三十二年度に年割額の改正があって、完成年度が一年延びて三十四年度となって、さらに昭和三十四年度に年割額の改定を重ねて、完成年度がもう一年延びております。そして昭和三十五年度となったのでございますが、昭和三十玉年度の決算書に明らかなように、木工事は三十五年度においても完成せず、三十六年度四千六百万数字上は繰り越しております。この当該の艦艇は完成したかどうか、これは一言お答え願います。
  59. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) この潜水艦は、船体その他完成いたしておりますが、ただ高速魚雷が開発に多少の手間をとりましたため、契約は了しておりますが、ただいま御指摘がございましたように、四千六百万円市政繰り越しで三十六年度に繰り越しをいたしております。
  60. 大森創造

    大森創造君 まず、昭和三十一年度以来三回にわたって年割額の改定を行なって、それでもさらに三十五年度に工事が完成しないで繰り越し等を行なった理由は、いかなる理由でございますか。それから、工事の見通し、何か立っておりませんか。
  61. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) ただいま御指摘がございましたように、昭和三十一年度の予算の際に、昭和三十三年度までの継続費として要求をいたしておりましたが、三十二年度におきまして、当該潜水艦は設計その他の関係で相当難航いたしまして、どうしても工事が延びるという見通しがございましたので、三十四年度まで年割額の改定をお願いいたしたのでございます。ところが、三十四年度に至りまして、依然としてこの残りの部分の建造が完成をいたさないという見通しが立ちましたので、再び三十四年度の予算の際に、三十五年度にまたがるように年割額の改定の承認をいただいたわけでございます。
  62. 大森創造

    大森創造君 あなたは経理の関係だそうでありますが、よく半値をおわかりになっていないのと違いますか。そういう理由でおくれたのじゃないでしょう。これは防衛庁のほうから昭和三十四年度のこの年割額改定の説明としてちゃんと出ている。こういう理由でおくれましたという説明がなされている。今言われるような説明と全然違いますよ。これは防衛庁長官答えて下さい。全然理由が違う。決算委員会は、あんた、形式と思っちゃいけませんよ。ほんとうのことを言いなさい。全然そういう理由と違う。
  63. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 三十四年度に一年年割額の改定をお願いいたしましたのは、MSAによる供与品の引き渡しがおくれましたために、したがって建造工程を一年繰り延べなければならぬという事情によるものでございます。
  64. 大森創造

    大森創造君 大体私は非常に卒直で皮肉ができない男でございますから、防衛庁の方には、私はこういう趣旨で御質問申し上げるからということを申し上げてあるのです。人がいいから。これは一番の問題なんです。これがなぜおくれたかという理由について、MSA協定云々ということ、これがほんとうでしょう。これがびんと頭へくるべきです。そのことを用意されてきたんでしょうから。僕は爆弾質問なんて変なことはやらないのですから。爆弾が好きなのは防衛庁だが、私はきらいだから。だから、ちゃんと順序よくこういう問題についてお答えを願いたいと言っているにもかかわらず、まるきり的はずれの答弁をすることは、私は心得ない。だんだん聞いてくるというと、おかしなことになるのじゃないかと私は思っているんですけれども、まあそれはともかく、MSAの協定によって、建造工程の変更に伴っておくれた。アメリカから部分品をもらうのですね。これはアメリカからの供与品なんでしょう。どういうものをもらうのですか。
  65. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 無償供与でもらうわけでございます。
  66. 大森創造

    大森創造君 品物は何ですか。
  67. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 魚雷発射管でございます。
  68. 大森創造

    大森創造君 その潜水艦というのは、日本でできますか、できないのですか。
  69. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) できます。
  70. 大森創造

    大森創造君 できるものを、なぜアメリカからもらう必要がありますか。
  71. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 今の御質問は、三十一年度間のことでございますか。
  72. 大森創造

    大森創造君 全部についてです。潜水艦が日本でできるのに、アメリカとのMSA協定によって向こうからの供与品が来ないからおくれにおくれたというのでしょう。潜水艦は日本の力でできる。なぜアメリカからの供与品を待たないというとこの潜水艦できないのですか。特殊潜航艇か。
  73. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 三十一年度当時はできなかったわけであります。現在は国産でやっております。
  74. 大森創造

    大森創造君 これも違う、違ってくる。三十一年当時できないということは、政府は言っていませんよ。三十四年度において、年割り額改定の説明として、そのときにMSA協定ということを言っている。だから、できるわけだったが、アメリカから到着しないところを見ると、秘密兵器か何か――それだから三十四年度にまた延長する、こういうことになるのです。アメリカからの現在供与品は入手しておりますかどうか。
  75. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 三十一年度間につきましては、すでにできているわけでございますから、すでに入っております。
  76. 大森創造

    大森創造君 その潜水艦は何という潜水艦ですか、名前は。
  77. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 「おやしお」でございます。
  78. 大森創造

    大森創造君 これは完成しておりますか。
  79. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 三十五年の六月三十日に完成しております。
  80. 大森創造

    大森創造君 それから、参考までにお聞きしますが、潜水艦は日本の自力でできる。しかも、これは改定に改定をして、三年計画が四年、五年に延びたということは、特殊な潜水艦ですね。これはわれわれが見たことのないような、そういうおもしろい、珍しい潜水艦と違いますか。
  81. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) この三十一年の「おやしお」は、日本で初めての国産でございましたので、戦後ブランクがございましたので、こういうふうにがかったわけでございます。
  82. 大森創造

    大森創造君 日本では潜水艦ができるが、この潜水艦についてのみはMSA協定によって部分品を持ってきた潜水艦である、それが「おやしお」だという。だから本艦の工事遅延の理由としては、先ほどあなたが前段お答えになったお答えとは全然違って、国産の部品を使わずにアメリカの供与品を使おうとするためと思われるのでございますが、そうですか。そうだとすれば、おっしゃって下さい。
  83. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 三十一年度間については、そうでございます。
  84. 大森創造

    大森創造君 三十一年度ではないでしょう。さっきから申したように、三十四年度です。
  85. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 潜水艦は、御承知のとおり、それぞれの年度によりまして計画をしておりまして、ただいまの「おやしお」は三十一年度に計画した潜水艦でございます。これは日本で初めてのものでございますので、期間が相当かかったのでございます。
  86. 大森創造

    大森創造君 おそろしく物わかりの悪い人ですね。私の申し上げるのは、「おやしお」という潜水艦を計画したのは三十一年度ですよ。三ヵ年計画でやろうというのだから。目頭に申し上げたとおり、三十三年度にできることになっていた。ところが、年度割りを改定に改定をして、二回にわたって改定を、して、まだでき上がっておらない。「おやしお」というのが数年間かかったということは、それは供与品を待たなければならなかったからでしょう。
  87. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 久保装備局長注意しますが、よく質問者の要旨を聞いて三十一年度に計画して、三カ年計画なら三カ年計画、それが改定をしたならば、何年に完成した、そういうふうにお答えになれば、一番よくわかる。
  88. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 先ほど申し上げましたように、三十一年度に計画いたしまして、三十五年の六月三十日に完成したわけでございますが、その間、MAPの部品の到着がおくれまして、先ほど申し上げましたような魚雷発射管等の部品の到着がおくれまして、建造計画がおくれたというわけでございます。
  89. 大森創造

    大森創造君 この潜水艦は、MSA行政協定に基づくから、まあアメリカから部分品をもらうからおくれてしまったのだということなんでございますが、どうなんですか、途中でおくれるならば、国産品に切りかえることができなかったのですか、その部分品を。
  90. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 当時は、先ほども申し上げましたように、初めてのものでございますので、設計が非常におくれたという点があるわけでございます。
  91. 大森創造

    大森創造君 設計などは、初めから立てるわけでしょう。三十一年度、三十二年度、三十三年度の三ヵ年計画で、この間に二十七億何千万円でできる。それが設計でおくれたという理由にはなりません。さっきおくれた理由は、あなた自身が言ったでしょう。アメリカとMSAの協定で、向こうから部分品がくることになっている。設計は初めからそのうちに入っている。その供与品が到着しないからおくれたということになる。そうでしょう。一言お答えいただきたい。そうですと言って下さい。
  92. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 装備局長注意しますが、他に大臣もお待ちになっております。あなたの答弁の仕方が悪いから時間がかかる。いま少しきりっと精気を出して答弁して下さい。
  93. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 先ほどの材料、部品その他は国産のものを使っているわけでございますが、魚雷発射管などがMAPでございます。MAPの入手がおくれましたために、完成がおくれたということでございます。
  94. 大森創造

    大森創造君 魚雷発射管のMAPというのが問題なんだ。日本にないのだね。MAPというのは、見たことも聞いたこともないような新製品なんですね。アメリカが日本に約束したのに、どうして引き渡しが遅延したのですか。催促したでしょう。どういう理由でおくれましたか。
  95. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 今おくれた理由を私ははっきりここで記憶しておりませんか……。
  96. 大森創造

    大森創造君 それはちょっと無責任だと思う。年次計画で、三年たったらできるのだ。設計も立てる。国産品で使えないものなら、アメリカからくるのだ。日本とアメリカは仲がよいのだから。これがいつくるか。三十三年度、三十四年度になってもこない、なぜおくれたかわからないというようなことを、あなたはよくここへ来て由々と答弁ができますね。それじゃ政府委員として勉強不足ですよ。そうでしょう。なぜおくれたか。大体こっちは買うんですよ、向こうから。おそらく協定がある。その協定の実施を迫るのはだれですか。あなたのほうでしょう。そのおくれた理由ですね。防衛庁長官おいでになりますか。これはあなた知っておりますか。何でもいいからアメリカさんの言うことならおくれてもかまわないというのですか。
  97. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) アメリカのMAP供与は、単に日本ばかりでなくて、各国それを受けておる――援助を受けているところもあるのでございますか、そういう点で、アメリカにおける生産がおくれて、初めに御解義をいただいた年度の中ではとうてい供与品の魚雷発射管等が参らないこと、わかりまして、三十四年で改定をお願いしたわけであります。アメリカにおける生産の遅延でございます。
  98. 大森創造

    大森創造君 それでわかったようなものでございますか、ひとつがっちりと、国会の承認を得て、費、こういうことで承認を受けたのだから、この仕事の履行のためには、ちゃんとした見通しを立てなければいかんと思う。催促をしなければいけませんよ。それをやっておったら時間、かないから、その次に移りますが、まさか船の中にナイキとかミサイルを積んでいるのとは違いませんか。
  99. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 絶対にそういうことはございません。普通の潜水艦でございます。
  100. 大森創造

    大森創造君 それはなかなか信用できませんからね。まあお言葉どおりに信用しておきますが、あとで防衛庁長官、「おやしお」ですか、私はこういう潜水艦を見たことがないので、一回機会を得て見せていただきたいと思いますが、いかがですか。
  101. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ぜひ御見学をいただきたいと思います。
  102. 大森創造

    大森創造君 アメリカの国防総省の下請ではないでしょうから、自主性を持ってこういう船を造ったのだろうと思いますが、そういうことは防衛計画上必要だったのですか一言。
  103. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) やはり、わが国の海上警備のために必要を痛感いたしまして、同席をたいした次第でございます。
  104. 大森創造

    大森創造君 その問題については、あとで私が見せてもらうことにして、またわからないところはお尋ねいたしますから、その次に移ります。  潜水艦は、これは攻撃兵器ですか、防御兵器ですか。
  105. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 概括に申し上げまして、兵器を攻撃用とかあるいは防御用というようにきっぱり分けるということは、非常に困難であると思います。ただ、わが国の自衛隊というものの性格上、これは常に防衛的なものでございまして、自衛に必要な最小限度の兵器を備えているという考え方でございます。潜水艦を直ちに攻撃用とか防御用とか割り切ってしまうということは、非常に困難ではないかと思います。
  106. 大森創造

    大森創造君 そういうお話は、防衛庁長官専門家ではありませんから、後日、池田総理大臣と、あなたと、それから兵器の専門家などを前にして、がっちりひとつ潜水艦と軍艦の問題についてお答えを願うことにします。あなた自身が、きっと潜水艦とか駆逐艦とか航空母艦とかいうことをよくおわかりにならないと思う。そのうちにぐんぐんぐんぐんいろいろな船ができてくるということでございますから。これは後日あらためてどっしり軍艦問答をやって参りたい。私の考えは、潜水艦というのは確かに防御的な性格もございますけれども、潜水艦というものは、私の友人が、大東亜戦争始まったら、すぐアメリカの西海岸に現われて、単独でばばんとやってきた。私の友人です。非常に勇ましい男です。アメリカに単独で潜水艦をばっと浮上させて、ばばんと攻撃した。新聞には大きく出ました。戦意の高揚に役立った。これは潜水艦です。それから、大東亜戦争の終末に近いころ、アメリカの潜水艦は艦艇攻撃のために大活躍をした。潜水艦というものは、航空母艦とともに、艦隊の主力でございます。これに違いないんですよ。だけれども、あなたのほうは、戦車を特車と言うたり、警察予備隊が保安隊になってみたり、何かわからない。甲型何というんですか――警備艇、乙型警備艦、こういうのだから、わからない。  そこで、私はお尋ねいたしますが、甲型警備艦というのは、あるいは乙型警備艦というのは、旧日本の海軍でどういう名称で呼ばれるものですか。
  107. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 旧海軍においては、駆逐艦といわれたものが該当するかと思います。もちろんその性能その他いろいろ非常な変化がございますけれども、概括して申し上げますれば、駆逐艦といわれたものと心得ていいんじゃないかと考えております。
  108. 大森創造

    大森創造君 そうすると、乙のほうはなんですか、甲乙とあるでしょう。
  109. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 甲乙というのは、排水トン数で千五百トンを境にして、大きいものを甲、小さいものを乙といっておるんでございまして、両方とも戦前の海軍でいう駆逐艦に該当すると思います。
  110. 大森創造

    大森創造君 くどいようですが、私はしろうとだから、ただ決算の面から問題にするんですが、そういう甲型警備艦と乙型警備縁、三年たったらこれは駆逐艦と名前を変えますか。
  111. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊におけるいろいろな名称については、できるだけ国民の皆さん方におわかりやすいものにするということが一つの考え方でございますが、また二面この任務の違いからおのずから名称が変わってくると思います。したがいまして、ただいまの警備艦を駆逐艦にするというようなことにつきましても、もちろんそれを含めて研究はいたしておりますが、まだ結論を出しておりません。
  112. 大森創造

    大森創造君 そこがくせ者なんですな。だんだんに名称が変わってくる。師団司令部なんて現われる。いつの間にか名称からして変わってくるんですね。そうすると、これはひとつお答え願いたいと思うのですが、このような潜水艦、甲型、乙型の警備艦、これは憲法違反と違いますか。九条違反と違いますか。
  113. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) わが国の自衛隊というものは、固有に持っておりまする自衛権を有効に行使し得る最小限度の実力と心得ております。そうして、現在自衛隊が装備をいたしておりまする各種兵器、あるいは艦艇、飛行機というものは、その自衛のための最小限度の実力を行使するだけのものであるというふうに考えておりますので、憲法違反とは心得ておりません。
  114. 大森創造

    大森創造君 茨城県土浦にナイキを持ち込むというのは、ほんとうですか。
  115. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ナイキの部隊が一個大隊、本年の暮れに装備されるわけでございます。これは関東地区の既存の自衛隊の基地の適当なところに置くつもりでございますが、今御指摘の土浦等も、一つの候補地ではございますが、最終的な決定をみたわけではございません。
  116. 大森創造

    大森創造君 最終的な決定をみておられない現在に、ひとつ私のほうから要望申し上げますが、茨城県はこのことは反対です。那珂湊の射爆場もあるし、百里原の問題もあるし、ナイキなんというえたいの知れないものを持ち込むようなことは。まだ最終的の決定がなされておらないようですから、あなたのほうに要望いたしますが、どうですか。
  117. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御要望承っておきますが、ナイキを置くということにつきましては、なおいろいろ国民の皆様方に十分お知りをいただかなければならない点があろうかと、そういう点は十分御納得をいただいて、そうして装備をいたしたいと考えております。ただいま土浦に置くか置かんかということをお答えする段階ではないと考えております。
  118. 大森創造

    大森創造君 それではあと一言で終わりますから、この問題については、潜水艦、甲型警備艦、乙型警備艦というものは、軍艦ですか。
  119. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 現在軍艦という観念はございませんので、軍艦ですかというお問いにはお答えできかねるわけでございます。ただ性格として、戦前軍艦といわれておったものに該当するものが相当あると考えます。
  120. 大森創造

    大森創造君 戦前軍艦といわれるものに相当するものが相当あるということは、潜水艦や――今の「おやしお」とかいうりっぱな潜水艦、アメリカから発射管を持ってきた「おやしお」という優秀な潜水艦、それとか、中型、乙型の警備艦というものは、昔でいう軍艦の範疇に入りますね。もちろん入らないはしたの艦艇もございますが、今申し上げたようなものは、旧海軍の軍艦に入りますね。
  121. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 構造上は、今おあげになりましたような甲、乙の警備艦、あるいは潜水艦等は、戦前いわれました軍艦の範疇に入ると思います。
  122. 大森創造

    大森創造君 わかりました。それでは、決算的に見まするというと、「おやしお」というものは、これは大蔵大臣にひとつお伺いしますが、継続費の問題について、この船が竣工したならば、国会のほうに継続費の決算として提出しなければならないと書いてございます。ところが、いくらひっくり返してみても、これがないのです。これは防衛庁でもけっこうですが、大蔵省でもけっこうですが、印刷物の間違いですかな。それともぶっそうな船だから、国会審議の目をおおうとして故意に隠匿したのですか。
  123. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたように、この船は、本体その他大部分が竣工いたしておりますけれども、高速魚雷につきましては、三十五年度に契約は了しておりますけれども、四千六百万円、開発に多少手間どりましたために、事故繰り越しをいたしております。その関係で、三十六年度決算で御審査をいただくという予定でおります。
  124. 大森創造

    大森創造君 これは大蔵大臣に申し上げますが、財政法の第四章決算というところにこう番いてあります。すなわち、「各省各庁の長は、その所掌の継続費に係る事業が――」さっき問答した三十一年からかかって三十三年に完成するやつ、それができた。「おやしお」といって就航しておる。「完成した場合においては、大蔵大臣の定めるところにより継続費決算報告書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」と書いてございます。これを送付してないのだ。これいくらひっくり返してみても、書いてない。これはまずいと思うのです。いかがですか。
  125. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) この三十一年度の潜水艦は、三十五年度に完成しませんで、事故繰り越しをして三十六年度にかかっておりますので、三十六年度の決算で御審議願うことになろうと思います。
  126. 大森創造

    大森創造君 これは完成しているのと違いますか。
  127. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 水田大蔵大臣、先ほどの防衛庁説明では、三十五年六月三十日に完成している、その一答弁されたのですが。
  128. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) それは潜水艦の本体のことを言ったのじゃないかと思いますが、その経費の支払いは三十五年度には完了しておりません。
  129. 大森創造

    大森創造君 だから、財政法に定めるところの仕事が完成したにかかわらず、各省庁の長というのは、この場合には防衛庁ですが、防衛庁のほうが当然大蔵省のほうに継続費決算報告書を作製して提出すべきはずのところ、軍艦は完成したが決算報告書を作製していないという事情と違いますか、防衛庁
  130. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これは、先ほども申し上げましたように、本体部分は完成をいたしまして竣工が終わっておりますが、その中の一部でございます高速魚雷、これは新しく開発されたものでございまして、その開発に手間どりましたために、その四億八千三十万円のうち四千六百万円というのが事故繰り越しとして三十六年度に繰り越しされております。したがいまして、この結末がつきます三十六年度決算で御審議いただく、こういう段取りにいたしております。
  131. 相澤重明

    委員長相澤重明君) そうすると、先ほどの大蔵大臣答弁のようになるのですが。
  132. 大森創造

    大森創造君 これは「おやしお」という船です。私も防衛庁の御案内によって後ほど見ることになっておりますが、これはすっかりでき上がっているのに、まだでき上がっておりません、まだ本体は完成していないと言われても因るから、その道の専門家と一緒に後日見学に参りますから、そこでこの問題はあらためて御質問申し上げます。  これをそろえてもらいます。一つは、昭和三十一年度契約の本件「おやしお」ですね、アメリカからの与供品をもらったその船、その供与品について、米国政府と日本政府との間でかわされた文書があるでしょう。きょうじゃなくてもいいが、文書を本委員会提出していただきたい。よろしゅうございますか。それからもう一つ、工事契約書、途中で変更契約があれば、それを含めてお出し願いたい。両方の文書について提出していただけますか、それを見ないとわからないから。
  133. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 藤枝防衛庁長官、ただいまの大森君の両件に対する文書の提出要求がありましたが、委員長の手元に提出して下さい。よろしゅうございますか。
  134. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 工事契約書のほうはもちろんお出しできますが、この供与分について、三十一年度の計画の潜水艦に積む魚雷発射管等を特に取り出して文書を交換してはおらない――私の記憶に誤まりがなければ、おらないと思います。しかし、御審議にお役に立つような何かできるものはお出ししたいと思います。
  135. 大森創造

    大森創造君 そこで、了承いたしますが、委員長のほうに責任を持ってお出しいただいて、さしつかえないような文書であっても握りつぶしにしないように、ひとつ委員長のほうでしっかりとその文書を御把握いただきたいということを申し上げまして、その問題については打ち切りたいと思います。  そこで、簡易保険の問題について郵政大臣にお伺いするわけでありますが、今委員長から私のほうに伝言がございまして、農林大臣非常にお忙しいところをお待ちでございますから、同僚議員の岡村さんの質問をということでございますから、そのあとで簡易保険のほうに移ります。郵政大臣、御了承願いたいと思います。
  136. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 大森委員要求の点につきましては、防衛庁のほうで委員長のほうに提出を願います。  次に、農林大臣質疑に入ります。岡村君。
  137. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私の質問は、本来なら会計検査院及び行政管理庁からお聞きしたいのでありますが、そうでなくても、農林大臣の御返事一つで解決つくと思いますので、結末から申し上げます。  わが国の政府は、保険事業を十三持っております。ところが、私のほんとうに関係のございます-百姓でございまするから、農業災害補償法につきましては、年々歳々、毎年のごとく、実に膨大な指摘を受けております。そこで、百姓でなければ、それでもがまんができましょうが、国の大事な国費をほんとうに使途の不明なところに使われておったんでは、われわれ承知できません。これは周東農林大臣時代にやるべきことであったのですが、任期も短かかったし、素通りをしております。そこで、やむを得ずして、今度法律案が出ておりますが、あの法律じゃだめでございまして、農家の喜ぶような、決してごまかしのきかぬようなものでないと、また同じでございまするから、非常に困っております。そこで、大臣御迷惑でもございましょうが、ひとつあの法律を、農家の喜ぶような、政府もお困りにならぬような法律にしていただきますことをお考え願ってはどうか。この御返事によって終わります。
  138. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 農業共済の問題につきましては、長年にわたりまして、各方面の御意見を十分承って、りっぱな改正案を作って提案をいたすような経過になっておったのでございますが、いろいろの都合がございまして、承れば、現に国会に提案いたしており、継続審議になっておりまする法案に落ちついたようでございます。私といたしましても、就任以来、この法案についていかがいたすべきやいろいろ検討いたしたんでございますが、せっかく提案もいたしてございますし、また国会のいろいろ御意見も承りまして、政府国会一体となって、修正すべき点は修正し、正すべき点は正して、りっぱなものにまとめていったら、それでいいんじゃないか。あらためて出し直すという処置をとるよりも。ただいま御指摘のとおり、全国の農村の事情がいろいろ違いますので、なかなかむずかしいようでございます。でございますから、むしろ、政府一存でやりますよりも、委員の皆さんの御協力を得てりっぱなものを作るほうがよかろうということで、引き続き継続審議になっておるわけでございます。幸い、今国会におきましては、農林省関係の法案もほぼ審議が終わろうとしておりますので、なるべく早目に、この法案について、ただいま申し上げましたような意味合いにおきまして、党派をこえて十分御論議いただき、りっぱな結論が生まれるように、私ども期待をいたしておるのでございます。岡村さんのお話も十分承りまして、私といたしましても、なるべく御期待に沿うように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、北村さんにちょっと申し上げますが、先ほどだいぶお小言をちょうだいいたしました問題は、河川法でございまして、これは地方長官が管掌いたしておりますそうでございます。調査いたしましたならば、そういうことでございますから、私の管掌にないからといってほうっておくという考えはございませんけれども、おしかりを受けましたから、一言釈明をいたす次第でございます。
  139. 大森創造

    大森創造君 委員長同僚議員も時間の関係がありますから、もし緊急を要するなら、私は短時間で終わりますから、もう少し続けたいと思います。
  140. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  141. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記起こして。
  142. 大森創造

    大森創造君 これは私のきょうの質問の一番最後に申し上げようと思ったんですが、同僚議員のほうの時間の都合もございますから、一番重要な問題を今から時間を拝借して申し上げたいと思います。  きょうのこの決算委員会冒頭から、決算委員会あり方が問題になりました。小柳委員から、決算委員会は今までどおりではまずいと、非常に沈滞してしまうという御発言がございましたが、これは総理大臣がおいでになったときに、自民党の佐藤芳男議員もその趣旨発言をされるように聞いております。私も、その決算審査あり方参議院決算委員会が、あるいは国会決算委員会が、これでよろしいかどうかということについて、常々考えておりましたところ、自民党の佐藤委員長が先頭に立って、昨年の二月にそのことを審議する小委員会を作って、私も委員の一人でございますが、近く結論が出て参ります。全員の一致した意見は、現在の決算の審査方法では満足できない、何のために審査を行なっているかわからないという点でございます。何か改革が必要であるということは、少なくとも小委員会全体の総意であると思っております。ところが、今までの決算委員会あり方というものは、政府から決算を出して、その決算審議して承認を与える、そこで初めて政府責任を解除するという形になっておりません。ただ報告です。しかも、衆議院決算委員会も、参議院決算委員会のほうも、ばらばらにやっておりますので、政府のほうは、痛くもないし、かゆくもない。威力がないんです。だから自然に、決算委員会は大事だ、大事だと言ったって、決算のほうには足が向かない。こういう必然的な事情がございますので、そこに意をいたして、今度は大改革をしようということで、超党内にやっております。これは、単なる報告だということで決算委員会が行なわれてきたために、政府でも、国会でも、あまり重要視されていないということも、一つの原因であります。したがって、決算を正式の議案として取り扱う問題がまず節一に考えられるのでございますが、これは佐藤芳男委員法制局長官と総理大臣に見解をただすことになっております。  もう一つは、従来の決算委員会が、会計検査院報告、先ほど問題のありました報告書というものをまる写しにして、そのとおりにやっているというところに、決算委員会の低調の一原因があると思います。この検査院の報告を、もう一回繰り返して形式的に報告している、こういうものに過ぎないからだと思います。そこで、国会決算審査は、会計経理の不法、不当を指摘する会計検査とはおのずから範疇が違うものでございますから、予算に対する決算、予算の執行、財政の処理について審議検討を加えて政府責任を追及するという本来の立場に決算委員会があるべきだというふうに私は考えております。ところが、本来明治憲法の起草者は、そういう決算委員会というものを予想して作ったのでございますか、それが立法府と行政府関係で、行政府のほうに非常に力を置いてしまって、立法府の力をだんだんそいでしまった関係上、これは本来の決算委員会あり方というものを逸脱して、だんだん細くなってしまって、現在に至ったものと私は考えております。  それから、終戦直後ずいぶんその経理のでたらめがございましたから、会計検査院が本来の任務の上でそれを会計検査する、これと国会決算委員会か同じような立場にあった。しかし、それは戦後の過渡的な現象であって、本来的にこれは一致すべきでない、そういういうふうに考えております。それは、本来本質的に、決算委員会は従来の会計検査院報告というものをテキストにしてやるのではなくして、決算委員会としては本来の立場に返る、議案という形にしたらどうだ、議案を承認して初めて政府責任が解除されるという形にしたらどうだという意見が、自民党、社会党含めて超党的に出ております。近くその結論になります。  そこで、私は委員長にひとつお願いをいたしますが、そういう立場から考えて、今までの決算委員会あり方は今申し上げましたとおりでございますが、一体調査室というのはどうか。調査室は、これは会計検査院とは別個のものだ、独立したものであります。これは、憲法の趣旨からいっても、金森徳次郎氏の発言からしても、そうです。しかし、これは個人的に言うわけではございませんが、現在の池田室長は会計検査院から来ております。それから主任調査員も、会計検査院から来ております。もっとすっきりさせなければいかぬと思います。だから、新発足するこの決算委員会あり方としては、調査室のあり方というものをもう少し検討する必要があると私は思う。どうしても、好むと好まざるとにかかわらず、そこにぶつからざるを得ないと思います。衆議院においては、すでに三年前に、決算委員会調査室には会計検査院から来ることはまかりならぬというふうに決定いたしております。これは、ごらんになればわかります。衆議院の議運のほうでも確認いたしまして、そのとおりにやっておりますが、現在参議院決算委員会のほうではそうではない。だから、各省庁が、先ほど調達庁のほうで問題になりましたように、参議院決算委員会調査室のほうは会計検査院の出先であるかのようなお答えがあった。本来この会計検査院というものは、行政府一つであって、それが、それを監督すべき立場にある決算委員会調査室に会計検査院から来るということは、私は不適当だと思う。これは、金森徳次郎氏は、会計検査院に国会議員がなったらどうだという意見がございましたところ、それはだめだ、明鏡止水の関係に置かなければならない、会計検査院内閣、これはそれぞれ独立性がある、したがって会計検査院決算委員会というものも独立性があらなければならないという発言がございました。逆の場合、今はそうなんでございまするが、監督さるべき立場にある会計検査院のほうから国会のほうの調査室に来るということは、不適当だと思います。これはひとつ委員長に、この際でございますから善処をお願いしたいと思いますが、委員長のお答えを一言求めまして、その次簡単に郵政省のほうに移ります。
  143. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいまの大森君の御発言につきましては、委員長としては、十分三月全ても御相談をいたしたいと存じます。  なお、大森君にお願いをいたしますが、先ほど申し上げましたように、各大臣もだいぶお待ちかねでありますから、すみやかに各大臣のほうの質問に入っていただきたいと存じます。
  144. 大森創造

    大森創造君 それでは、郵政省のことについてお尋ねいたします。茨城県の石岡市並びに結城郡の八千代村、郵便局は八千代の郵便局と石岡の郵便局の管内で起こった事件でございますが、簡易保険の不正事件、現在該当の職員は休職中でございますが、裁判において公訴中でございます。まあ簡易保険というものは、生命保険と違って、無審査でございまして、その法の盲点を突いて契約をされた。わかりやすく言えば、高血圧の人とかあるいは体が弱いような人を被保険者に仕立てて、そうして公文書偽造、私文書偽造申告をして、そして問題になった与件がございますが、この事件を、アウトラインをちょっと簡単に、どういう経緯でございますかお聞かせいただくと同時に、同様のケースが、私は茨城県ばかりではないと思う、全国的に相当あるであろうと思いますが、その点はいかがでございましょう。
  145. 田中鎮雄

    政府委員田中鎮雄君) 石岡郵便局における犯罪事件概要について御説明申し上げます。  これは、病弱で簡易保険に加入できない第三者を被保険者とする保険契約を成立させまして、被保険者の死亡を待って保険金を詐取したと、こういう事件であります。簡易保険におきましては、第三者を被保険者として契約する場合には、その者の同窓を必要とし、または病弱者は加入できないのでありますが、職員と部外者、つまり契約者が共謀して、申込書には、被保険者か健康であり、しかも同窓をしたように、虚偽の記載をして契約を成立させていたのであります。病弱と申しますのは、たとえば中風とか、高血圧、あるいは胃かいよう、そういったたぐいのものであります。被疑者は、局員が五名、局員でない者は十四名であります。で、契約は、ただいま判明しておる分について申し上げますと、百四十二件、表定保険金額は合計二千三十五万円、このうち保険金支払い済みのものが七十七件、支払い金額は六百三十万円であります。  この刑事処分でございまするが、局員五名のうち四名は起訴され、目下公判審理中であります。局員でない者十四名のうち三名は起訴され、同様に公判審理中でございます。その他の十二名につきましては、まだ検察官の処分が未定であります。  以上が事件の概要でございます。
  146. 大森創造

    大森創造君 この問題は、公訴中でございますから、事件の進展によって、逓信委員会などに出て、そのつどお答え願いたいと思いますので、きょうは時間もないことですから、ひとつ要約して、この問題については第一回の質問ということで御了承いただきたいと思います。私の問題にしたいのは、この種の問題が全国的にあるのではありませんか。
  147. 田中鎮雄

    政府委員田中鎮雄君) この種の事件は、保険犯罪の中ではきわめてまれな事件でございまして、ただいまの茨城県二件のほかに発覚いたしましたものといたしましては、群馬県の松井田局、それから福井県の鯖江局、それから福岡県の久留米局、この三局であります。それからもう一件、目下捜査を開始した局が一件以上でございます。
  148. 大森創造

    大森創造君 私は、これは監察官の人がちょっと目を向けるというと、相当出てくる問題ではないかと思うのです。私も、この事件の概要を聞いたときに、なるほどそういうことがあり得る、これが法の盲点であるというふうに考えました。そこで、この問題は郵政省としてもひとつお考え願いたいと思うのでございますが、この種の問題はきっとありますよ。ただ問題にならないだけなんですよ。これが一つ。  それで、私が御質問申し上げたいことば、局員が、まあ村のことでございますから、公務員でございますから、非常に信用のある人がしょっちゅう村を歩いておられる。そこで、ある農家に寄ると、その農家の人が、貯蓄をしょう、郵政省に協力するんだという気持で、しかも信用のある局員だ。石岡の場合は、三回にわたって郵政省から表彰されている模範職員ですよ。模範職員がみんなひっかかっている。そこで今度は、その模範職員が割当を消化するために、農民のところに行って、これはこういうことをやればいいんです、判こを押しなさい、御信用下さいと。そうすると、ついつい農民のほうは貯蓄をする。そして、これは国に協力するんだという立場で判こを押した。ところが、これがばさっと、監察官ですか、それに呼ばれて、そして過酷な、取り調べを受けている。そして裁判だ。私が知っている範囲では、八千代村一村で、一千万円からの今までの掛金と、それから三年前か二年前に隠していた保険金というものを、全部没収されているのです。これは、法律的に見ると、裁判ざたになりますというと、そういうことになるでありましょうが、私は実質を考えるというと、非常に農民に対して気の毒でならない。新聞にはでかでか出ています。局員と、それからその契約をした村民が悪いんだと、まるで破廉恥なことでも犯したように出ている。そこで、私はここで問題にしたいのは、一つはこれなんです。一体、局員は公務員だし、たとえば農民の契約者が、金が今あるから、こういう方法もあるんじゃないかと、局員に勧誘をして、あなたも成績が上がるんだからこれでいこうじゃないかということに迫られた場合でも、ほんとうの公務員というものは、いやそういうことはいけませんというふうに指導してくれるのがほんとうだと思うのです。ことに簡易保険の場合に、一番詳しいのは郵便局員だ。それに郵政省から三回も表彰されたその人が、いやおれにまかしておけ、全部向こうのほうの了解を得てきたのだから、これに判こを押しなさいと言って、その押した人が罪人扱いされて、冬新聞に大きく出ている裁判になれば、法律的な観点からいうと、これは確かにまずいところもあるでしょうが、ここのところを郵政省としてはひとつ考えなければいかぬと思う。いかがですか、これはもう同情の余地はございませんか。
  149. 田中鎮雄

    政府委員田中鎮雄君) 個々の局員が具体的にどういう勧誘の仕方をしたかという点につきましては、非常に詳しいことはここで申し上げられませんが、表面に出てきた問題といたしましては、局員と部外者との共謀ということで私どものほうは処置をいたしておる次第でございます。
  150. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 議事進行。  本日は総括質問ということに相なっておるのでございまして、個々の問題につきましては次回に譲っていただいて、せっかく各省大臣出席されておりますし、最近国会のほうへ、あっちの委員会、こっちの委員会に、大臣は一人残らず引っぱりだこだ、それがために行政事務すべてが渋滞しているというような国民の大きな声がある際でございますから、そういう意味から、できるだけこの委員会運営につきましても、合理的に、しかも簡素化して、そうして一人でも多くの人が中身のある質問をやるというこがいいのじゃないかと思います。どうかひとつ、この辺で総括質問に切りかえてもらいたいと思います。
  151. 木下友敬

    木下友敬君 ただいまの発言に関連してですが、私どもも大蔵大臣その他に質問をしたいと思いますが、話によると、大蔵大臣はあしたのこの会議にはお出にならぬということでございます。それでは、あした総括質問をやる決算委員会を開くということに意義がないわけなんです。だから、あした決算委員会を開くならば、総括質問じゃなくて、個々の質問に切りかえるか、あるいはあしたの決算委員会はやめて、大蔵大臣なりその他の大臣各位が出られるような日に――まだ日にちがありますから、決算委員会としては、あしたの委員会を取りやめて、そういう方々の出られる日に切りかえてもらうというようなことを、委員長あるいは理事会において協議してもらいたい。初日から深夜に及んで決算委員会を開くという必要もないと思うのです。この点、ひとつさっそくに協議してもらいたい。
  152. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ただいま議事進行について両委員からの御発言もございますので、若干休憩をとって、本委員会運営について理事会で御相談をいたしたいと思いますから、まことに恐縮ですが、暫時休憩をいたします。    午後四時二十三分休憩    ――――・――――    午後四時二十七分開会
  153. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは、休憩前に引き続きまして開会いたします。  ただいま理事会を開きまして、本委員会運営について御相談をいたしましたが、明日政府関係の各大臣出席もなかなか全部そろわぬと、こういうことでありますので、明日の総括質疑を一応延期といたします。したがって、本日出席の各大臣については、できるだけひとつ要領よく御質問をいただいて、終わるようにしたいと思います。それで、まずと最初小柳さんに関係者にしていただくと同時に、そのあと鳥畠委員から大蔵大臣関係者に対する質問をする、こういうことで、本日の終了瞬間を大体六時を目標にいたしたいと存じます。関係者の方々のひとつ御協力をいただきたいと思います。  それでは、総括質疑を続行いたします。
  154. 小柳勇

    小柳勇君 私は昨年のさきの国会決定いたしました産炭地振興計画のその後の経緯並びに九州、特に北九州における産炭地振興計画に伴う輸送力の問題について質問いたします。大蔵大臣要請いたしておりませんでしたが、冒頭に質問いたしますから、しばらくおいで願いたいと思います。  まず、通産大臣は見えませんが、通産局に質問いたします。
  155. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 小柳委員に申し上げますが、今井博石炭局長出席をいたしております。なお、運輸大臣国鉄総裁等の関係者全部出席しておりますから、そういうことでひとつ御質疑を続けていただきます。
  156. 小柳勇

    小柳勇君 まず第一は、昨年のさきの国会できまりました産炭地域振興臨時措置法によって、政府は基本計画を作るように義務づけられておりまするが、基本計画について、できておるのかどうか、この点から御質問いたします。
  157. 今井博

    政府委員(今井博君) ただいまの御質問にお答えいたします。昨年の十月に産炭地振興法が通過いたしまして、現在はその法律に基づいて各地方に産炭地域振興審議会の部会というものがございますので、その各部会におきましてそれぞれの地域における振興計画を今検討中でございまして、今小柳先生御質問の基本計画は、それを待ちまして、できるだけ早くこれを作りたいと思っておりますが、現在の予定は、この夏ごろ大体でき上がる予定になっております。
  158. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官質問いたしますが、昨年の暮れから各大臣が現地に行かれまして、あの悲惨な閉山後の労働者の生活なり、あるいは小山の石炭企業家が非常に困っている、実際石炭の事業ができないほど困っている実情を見られて、そのあと現地に対してほんとど施策がないということで、不満かごうごうとしているのであります大臣がたくさん見えたけれども、住宅一軒建たないではないか、一体これだけ騒がれておる石炭政策に対して政府はどうしておるかという非難があるのでありますが、一体今聞きますというと、基本計画もほとんどできていない、予算も若干ついておるけれども、それがほとんどまだ施行されていない、こういうことに対して、政府としてどのように積極的な施策をやっておるか、官房長官から聞きたいと思います。
  159. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 三十七年度の予算編成前に、御案内のように、石炭対策を政府で取り上げまして、生産対策、輸送対策、離職者対策等吟味いたしまして、三十七年度予算といたしましては、例年になく前進さしていただいたと私どもは思っております。ただ、これでわれわれは足れりとは思っていないわけでございまして、予算案提出後といえども、また財政投融資計画もきまりましたあとでございますけれども、当面の問題につきまして、今通産省を中心にいろいろ具体的に問題の検討を遂げておるわけでございます。  また、今御指摘の産炭地の振興対策にいたしましても、一応今国会に事業団設立の用意をお願いいたしておるわけでございますが、これとても一応のそういうかまえを用意しつつあるわけでございまして、これにどういう機能をどの地域にどうやるかということにつきましては、これから鋭意実現して参らなければならぬと思っております。  それから、年末にあたりまして、日雇い関係の予算につきましても、財政当局の特段の御配慮をいただきまして、特に北九州を中心に措置いたしたわけでございます。住宅等につきましても、労働大臣からお話があろうかと思いますけれども、克明に可能な限りの措置をとっておるわけでございます。決して十分ではございませんけれども、この姿勢でなお一段と推進して参りたいと存じております。
  160. 小柳勇

    小柳勇君 官房長官には要望いたしておきます。  ただいま答弁がございましたけれども、そのような答弁では満足できません。昨年の暮れから、通産大臣なり、大蔵大臣なり、あるいは労働大臣なり、責任ある大臣が行って現地を見て、これはひどいと言って帰って、その後半年、一年たちますけれども、ほとんど見るべき施策がなされていない。一したがって、炭鉱地帯の人たちは、業者も含めて、もう国会に押しかけなければいかんともしがたいような状態であると言っておる。その先に延ばされない実情を十分に把握されて、緊急に措置をしていただきたい。これが内閣に対するまず大きな要請であります。  次に、大蔵大臣質問いたしす。官房長官は、お忙しければ、御退席下さってけっこうです。大蔵大臣、昨年あなたは現地を見られたのでありますが、三十六年度の予算並びに三十七年度は、この産炭地振興臨時措置法に基づいて、あるいは関連して、予算をどのぐらいにおつけになったか、お聞きしておきたいと思います。
  161. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 石炭対策は、御承知のように、エネルギーについての総合政策を立てるということと関連して、特に石炭対策の強化をすることが妥当であるというような考え方から、御承知のように、私どもは、石油についての関税を引き上げるという措置をとりましたが、この引き上げ分に見合った金額は、これを石炭対策に使用するというような考えから、昨年の暮れ以来、石炭対策を政府部内でやっておりますが、それに基づきまして、やはり何といっても、石炭の離職者に対する対策が急を要する問題である。それから将来の石炭の合理化についての問題、それから産炭地の振興問題、大体この三つを中心の対策を立てまして、今年度の予算に、たとえば産炭地振興事業団というようなものを実現することにしまして、所要の予算を盛りましたほか、財政投融資の補完においても、石炭の合理化資金の確保ということをやったつもりでございます。しかし、新年度の発足を待つことは、これは間に合わないと考えまして、特に離職者対策については、この一月から実施しようということで、法案の審議もお願いしましたし、それから経費も、予備費の支出をもってこれに対処するという方針で、予備費の支出もただいまいたしております。離職者対策につきましては、やはり住宅の問題がございますし、いろいろ問題がございますが、これをきめて実施しても、すぐに一ヵ月、二ヵ月の間になかなか効果を発揮しないものでございますが、四月からではいずれにしろおそくなると考えて、三十六年度中にこの対策に入りましたので、これは、これからこの施策も動き出して、私は相当効果を発揮する、だろうと思っております。予算につきましては、数字の御説明をしてもよろしゅうございますが、私の記憶では、大体昨年度に比べて七割以上の予算強化を今度はやっているというふうに考えております。
  162. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣も現地を見ておられるのですから、あのような緊迫した情勢については、閣僚の一人としては、早急に基本計画を立てて、具体的に予算が実施できるように、早急に対策を立てていただきたいと、要請いたします。  石炭局長質問いたしますが、関係各省で今日まで産炭地振興計画について何回くらい討議しておられるか。基本計画については、早急に出すというようなことでありますが、いつごろ基本計画については出るか、見通しについて御答弁願います。
  163. 今井博

    政府委員(今井博君) 産炭地振興につきましては、御承知のように、産炭地域振興審議会というものが設置されておりまして、これは昨年から現在までに三回開いております。これは各地に各部会を持っておりますので、この部会は相当数開催しておりますが、中央にございます先ほど申しました本会議は、もう三回開催いたしまして、これには各省全部入っていただいております。そこで、さしあたり非常に急を要する緊急問題というものを先に取り上げまして、基本計画の作成は、やはり各地方の部会から全部出そろったものを取りまとめないとできませんので、先ほど申し上げましたように、おそくともこの夏にはまとめたい、あるいはそれよりもさらに繰り上げてまとめ得るように、目下努力中でございます。
  164. 小柳勇

    小柳勇君 石炭局長も現地は十分わかっておるはずですが、おそくとも夏ごろとは、一体どういうゆうちょうな考え方であるか。たとえば、今当面しているのは、大正炭鉱とか、あるいは三井田川とか、あの大手筋の山すらもう追い詰められておる。そういうときに、夏までに基本計画を立てて、それから対策を立てますと言われるのは、まことにお粗末で、ほんとうに答弁になりません。昨年から何であれだけ、この炭鉱の政策の転換が国会で取り上げられておるか。まことにその答弁については不満です。大蔵大臣質問いたしますが、私は、ほかの予算を少しは削ってでも、今の切迫したこの産炭地振興計画については金を出すべきである、こう考えますが、計画がきまりましたらすぐ実施するだけの決意がございますか。
  165. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 今申しましたように、そういう対策費を三十七年度の予算には計上してございますので、予算が通過いたしましたら、すぐに諸施策を発足させることができると思います。
  166. 小柳勇

    小柳勇君 石炭局長質問いたしまます。その産炭地振興計画の基本計画がまだできていないようでありますが、県議会なり各関係市町村からの陳情は、もう二、三年いつも出ておりますから、おわかりと思いまするが、この産炭地振興計画の中において、石炭輸送とか、あるいは労働者の移動などに伴う輸送力の増強などについて、検討されておりますか。
  167. 今井博

    政府委員(今井博君) 現在各地方から出ておりまする要望を受けまして、一われわれが検討いたしまする中には、やはり土地の造成の問題、工業用水の問題、これが一番重点でございますが、輸送力の問題につきましては、かねてから計画されておりまする篠栗線あるいは油須原線について各地方の要望がございまして、これはわれわれも、産炭地振興には非常に関連がございますので、この点については鋭意検討を進めておる次第であります。
  168. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま石炭局長発言された油須原線並びに篠栗線の問題で、県議会から、三月八日に、これは「地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書の提出をいたします。」という形で出ております。この中心を読みますと、「然しながら筑豊地域の振興は最早筑豊という一地点としての振興では不可能であり、既開発工業地帯としての北九州、それから「福岡市及び新らしい西瀬戸内臨海工業地帯との関連において振興するより方途はなく」と、まあ切々と新しい産炭地の振興計画の訴えを県議会は訴てえおりますが、今言われた油須原線並びに篠栗線の問題について、具体的に取り上げて振興計画の一端として計画の中に入っておるのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  169. 今井博

    政府委員(今井博君) 産炭地振興の計画の中に、鉄道の新線建設の問題をわれわれのほうで取り上げるということは、これはまあ非常にいろいろな問題がございますので、これはもう国鉄のほうで十分取り上げて御検討になっておりますので、むしろ国鉄にいろいろ御意見を拝聴するということを今考えておるわけでございます。われわれのほうで基本計画をきめまして、その中にそういうものを入れるということは、ほかの土地造成とか、そういう問題は別でございますが、新線建設の問題は、それぞれ分野がございますので、やはりそういう審議する分野でやっていただくのが適当だと考えまして、われわれ十分関心は持っておりますが、それを基本計画の中に正式に入れるということは、ちょっとわれわれとしても出過ぎると、こう考えまして、その辺はやはり御遠慮申し上げたほうがいいと思います。
  170. 小柳勇

    小柳勇君 少し石炭局長質問するのが無理であるかもしれません。通産大臣おられぬので、そのかわりに聞いておるので、そのような答弁をされるとは思いまするが、油須原線並びに篠栗線は新線建設ではございません。もう御存じのように、昭和三十年の八月一日に鉄道建設審議会の建議は通っておる、これは油須原線。それから篠栗線のほうは、昭和三十四年の十一月九日に鉄道建設審議会の建議は通って、すでに着工しておる線であります。昭和三十一年から昭和三十六年まで八億七千万円の投資がなされておる線であります。今ここに各委員にも略図を配付してございまするが、山田市などの奥のほうの産炭地から、最近発電所ができておりまする苅田地区に最短の線を結ぶということで、しかも発足は、炭鉱離職者など、一時発生いたしました失業者救済を主眠にして油須原線のほうは発足しておる。篠栗線のほうは、飯塚など筑豊地帯の人が福岡市に最も近い道を通って出るということで、いわば山手線と中央線の関係で、建設がもうすでに建設審議会を通りまして、予算がそれぞれもう使われておるのであります。そこで、決算委員会で、ここで取り上げて今質問しているのでありますが、今石炭局長の策弁では、この油須原線と篠栗線の問題は新線建設として国鉄から事情を聞きたいとかというような情勢でありますが、今始まった陳情ではないわけです。もうこの産炭地振興の基本計画の中に当然県議会などは入れている問題でありまして、石炭局長のさっきの答弁では私不満でありますから、もう一回御意見をお聞きしたいと思います。
  171. 今井博

    政府委員(今井博君) 私が新線建設と申し上げたのは、ちょっと妥当を欠いたかと思いますが、油須原線の問題は、むしろ石炭輸送の問題でかねがね国鉄にお願いをいたしておる線でございまして、それが最近におきましては産炭地振興という見地からこれを早く促進してくれという事情にいろいろと移り変わりがあった、変化してきた、こういうふうに考えます。この問題はすでに運輸省、国鉄のほうといろいろこの促進力につきましては御相談申し上げておる段階でございますので、新しくこれを産炭地振興の基本計画の基本計画の中に入れてどうのということをする必要もないのじゃないか。むしろ既定の線で十分この促進方について関係当局と御折衝申し上げるというふうに考えております。ただ地方から産炭地振興上早くやってくれという要望が非常に強うございますので、その点はその間の事情をも十分にこちらから御説明いたしまして、この促進方について鋭意努力するつもりでおります。
  172. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣質問いたしますが、今と同じような質問でございますが、産炭振興計画の中に占める油須原線並びに篠栗線の位置は非常に大きいと思いますが、運輸大臣は今日までどのような見解を持っておられるか。しかもすでに資金も投下されて、行き悩みになって今壁にぶち当たっている問題でありますが、この打開のためにどのような努力をされているか、お聞きをいたします。
  173. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 篠栗線及び油須原線の早期貫通の問題は、やはり産炭地振興の問題として相当寄与するであろうと私も考えております。ただ今通産省からお話しがありましたように、産炭地振興方策の一環としてその中へ入れて考えてみたらということについては、私たちもまだ聞いておりません。聞いてはおりませんが、しかしながら当面の産炭地振興には非常に寄与する線であるから、なるべく早く、これは開通させたい、かように考えております。篠栗線の問題は、御承知のトンネルを私鉄と共用をするということを考えて着工するようにという、これは鉄道建設審議会の建議がございまして、そこで地方鉄道とのトンネル共用の問題で、技術的にあるいはまた予算的に国鉄局と地方鉄道当局とが話し合っていたようでありますが、このために若干時間を要したようでありますが、しかしながら地方鉄道がいろいろの関係でおくれるということのために、国鉄のトンネル計画がおくれるということはこれは困るということで、これは一応自後の問題として、将来地方鉄道がそこを通る場合に、通り得るような設計といいますか、考え方でまず国鉄が先に着工するということで、大体下話を先日私の部屋でもしたわけであります。これはその手順が進んで参りますれば、早急に進行し得ると考えております。  それから油須原線の問題は、御承知のように、ほとんど大部分路盤ができたわけでありますが、しかしながら、今残っておりまする若干のところにつきましては、これも石炭局長からお話しがありましたように、石炭事情の変更によって、今まで掘っていた山が掘らなくなる。その輸送計画がどうなるかという問題もありまするが、同時に路盤を作ればそこの採掘制限をしなければならない、その補償問題、おそらくこの補償問題で今残っておる部分が行き当たっているのじゃないだろうか。こういった補償問題については、やはり産炭地振興という見地から私は保証を要求される方々の御理解も産炭地振興という意味から考えていただくようにできれば仕合せだと、かように考えております。県議会からの御意見の開陳なり、知事からの意見書も数日前に私は拝見をいたしておるわけであります。
  174. 小柳勇

    小柳勇君 言葉じりをとるのではありませんが、運輸大臣の前段のほうの答弁については少し、最近おかわりになったからではありましょうが、不満であります。もう昭和三十三年の八月港湾整備五ヵ年計画にも入っているわけです。苅田港の整備につきまして説明がなされておりまして「その中に苅田港が移出する能力が最高百三十万トンである。これが油須原線の開通によって三百万トンになるから、その残余の能力を移出できるようにこの港湾整備五ヵ年計画で十九億の予算が計上されている。そういうことでありまして、運輸大臣は、何か今この産炭地振興計画に入るとか人らぬとかというように考えておられるようでありますが、港湾整備五カ年計画を作りましたときに油須原線の開通というものが前提であって、そうして苅田港はもう整備されつつあるわけです。もう進行されつつあるわけです。そういうことでありますから、しかも、筑豊炭田の炭を、低品位炭を苅田港のほうに輸送してきまして、あそこに西日本共同火力発電所が来年竣工いたします。そうしますとこれだけでも百十万トンの石炭を輸送しなければならない。そういうのが前提になりまして油須原線の難役というのが急がれておるというのが現状です。運輸大臣の考えも少し改めてもらって、そういうような現状であるが、この油須原の建設については国鉄としてはいろいろ問題もあるようですが、運輸大臣もう一回これに対する今後の決意といいますか、御見解を聞いておきたいと思います。
  175. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 油須原線について私の申しようが足りなかったかと思いますが、当初今おっしゃるような考え方で計画されたことは私も承知をいたしておるわけであります。ところが、その後産炭の状況の変化等によって若干停滞をしたということを申し上げたわけでありますが、昨年の暮れあたり、いわゆる産炭地の失業対策といいますか、対策をどうするかという、あの最近の問題の中にこれを取り上げていくということは聞いていないと私は申し上げただけで、この福岡の産炭地の発展、石灰の輸送というような点からこれができてきたことは私も承知をいたしておりますし、そうしてこれはできるだけ早く開通させますことが、石炭の輸送だけでなしに、先ほど言われまする、昨今起こっておりまする産炭地振興という広い意味から必要であろうと痛感をいたしておると申し上げているわけでありまして、ただ補償問題停若干解決を要する問題があるようでありますが、これらもできるだけ早く解決のつくように促進方を努力をいたしたいと思っております。
  176. 小柳勇

    小柳勇君 国鉄総裁質問をいたしますが、この油須原線が開通するために今後どのように措置してもらえるか、これが開通いたしました場合に、国鉄の経常の見通し及び同時に篠栗線についてどのような御見解であるか、今後の経常の見通し、これをお聞きしておきたいと思います。
  177. 十河信二

    説明員(十河信二君) ただいま運輸大臣からお答えいたしましたような事情でここはおくれておるのでございます。それでその補償問題を今政府とも相談して、早く解決したいと努力いたしております。なお、この石炭の出炭状況も多少変わって参ります。それらの点につきましても、政府のほうに御相談して検討してもらっておるところであります。この線が、先ほど運輸大臣からお話しのありましたように、路盤工来は大体七側以上できております。そこでこれが早期に開通した場合に、一番輸送の混雑するのは田川線のほうなんです。油須原線から川線を通って苅田へ出るのであります。その田川線のほうは、輸送量がふえても差しつかえないように輸送力の増強をただいまいたしておるところであります。  それから篠栗線のほうは、当初建設鮮議会におきましても、西鉄のほうで、筑豊電鉄のほうで、あそこに四キロの御承知のような長いトンネルがあります、このトンネルを二重に作ることは不経済であるから共用さしてもらいたいという申し出がありました。建設審議会においても、その点について筑豊電鉄と十分協議を遂げるようにということで協議いたしておりました。筑豊のほうはゲージも標準ゲージで広いのであります。国鉄のほうは狭いのであります。筑豊のほうは直流でやっております。国鉄のほうは交流でやっております。そういうことで、どういうふうにやったらいいかということは、技術上の点でいろいろな困難がありまして、相談をしておりまするうちに、本年二月二十三日になって筑豊電鉄のほうから、自分のほうの線路の建設が相当おくれるから、自分のほうの建設がこういうふうに進むという計画が立ったならば、あらためて御相談をするから、それまでしばらく待ってほしいという申し出がありましたので、それで、それでは国鉄のほうでひとつ待っておられないから建設を進めようということで、ただいま人工地震をやるとか、あるいはボーリングするとかいうことで新年度から建設を進めていくように準備をいたしておるところであります。
  178. 小柳勇

    小柳勇君 聞くところによりますと、油須原線については、建設をしても赤字経営であると言われておる。篠栗線については、これは中心であるから黒字であろうと言われておるが、国鉄として、将来の見通しなどが赤字であるから建設をサボっておるという点はありませんか。
  179. 十河信二

    説明員(十河信二君) 毛頭そういう点はありません。
  180. 小柳勇

    小柳勇君 積極的にやって、いつ完成の見込ですか。
  181. 十河信二

    説明員(十河信二君) 先刻来お話しのありますように、補償の問題等が解決いたしませんと、これはちょっと進みかねるので、いつということは申し上げかねるかと思います。
  182. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣質問いたしますが、この篠栗線は別でありますが、油須原線のほうは、初め失業対策事業として発足したことは御存じのとおりです。今失業者が来年だけでも二万八千名の失業者が出る見込みでありますが、こういう失業対策事業として、あるいは現地で職業訓練をするなど、緊急就労対策的考えを持って突貫工事でもやって産炭地振興計画の輸送の動脈を作るというような意気込みはございませんか。
  183. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 油須原線につきましては、三十一年の十月十九日の閣議了解によりまして、失業者を多数これに吸収するという方針をきめまして、仕事が始まっておるのでございますが、過去の実績を見ますと、一時景気回復等の事情等もあって、あまり多く吸収されていない事情等がございましたが、三十六年の四月以降は非常に吸収実績が上がっております。したがって、ただいまお話しのように、今日以後の問題といたしまして吸収もできるような状況にもありますので、御説のような考え方で、労働省といたしましては、できるだけすみやかにこの路線が完成するようなことに運ぶということは、私どもとしてこれはたいへん歓迎するところでございまして、運輸当局と協議をしまして、今いろいろ伺っておりますと、若干問題の点もあるようで、ございますが、こういうことをすみやかに解決していただいて、大いに労働者-――失業者を吸収して工事を進捗せしめるというようなことにしてもらうことには大賛成です。そういう考え方で運輸省ともこの上とも協議をいたしまして今後に処したいと考えております。
  184. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣は御存じと思いまするが、今、西松建設でやっておるようであります。専門家が鉄道を作るということは、これは当然でございましょうが、こういう時期でありますから、そういう専門家ももちろん必要でありますが、周辺にある町村の失業者なり炭鉱離職者を急速にそういうところで雇って、突貫工事をやることも私は国の政策としては最も緊急を要することではないかと思うのですから、そういう方向で閣内でひとつ善処してもらいたいと思います。  官房長官質問いたしますが、お聞きのとおり、産炭地域振興臨時措置法というものが、昨年法律はできましたけれども、まだ基本計画もない。しかも、その一つ一その中のたった一つである輸送力の増強にいたしましても、てんでんばらばらです。見込みはございません。国鉄総裁意見においても、完成の見込みについてはまだほとんど明らかでない。そういうようなことで、あの緊迫した、石炭産業の転換が一体できるのかどうか。私ども毎日あの産業を見ておりますから、何とも言えない憤りを感ずるのでありますが、この点、政府として責任を持ってこのような事態をどうして処理していくか、しかも早急に産炭地振興計画を爼上に載せようとされるか、決意を聞いておきたいと思います。
  185. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 御指摘のような問題であるし、深刻な問題であればあるだけに、十分自信の持てる調査をして、実行性を持った計画を立てて、これを実施に移して参らなければいかぬと思います。そういう意味合いでせっかく努力いたしておりますが、今御指摘のとおり、これのタイミングがありますし、すべての計画をできるだけ早くという御要請でございますが、そういうことを頭に置きまして鋭意努力をいたすつもりでございます。
  186. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣に最後にもう一つ決意を聞いておきたいと思うのですが、今、官房長官からのお話がございましたが、一切の仕事が金にかかってくるわけです。鉄道の建設にいたしましても、国鉄のほうでは作れば赤であると言っておる。そういうような情勢でありますから、もちろん賠償の問題についても、補償の問題にいたしましても、政府が積極的に仲介の労をとったり、折衝に当たるということをいたしませんと、一つの路線の建設すらなかなかできないと思うのですが、何か大蔵省として産炭地域振興臨時措置法に基づく金の工面をして、それは早急に実施に移すという注意はございませんか。
  187. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) 産炭地振興につきましては、さっき申しましたように、事業団を発足させて、これに振興のいろいろな仕事をさせるということと、それからもう一つは、地方財政計画の中におきましても産炭地に対してどういう援助をするかというようなことについて、相当この問題が考慮されておりますので、そういう策とあわせてこの産炭地の振興は進めたいと思います。  今の鉄道の問題は、これは国鉄の問題でございますので何とも言えませんが、新線建設についても、昨年から国として利子の援助というような制度も開いておりますので、そういう点において十分今のような問題も進め得るのじゃないかと思っております。
  188. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっと最後に国鉄の総裁にただしておきますが、油須原線の問題は補償の問題だけが壁であるし、篠栗線の問題は筑豊電鉄との共用の問題が壁であって、その他の問題はこれが解決すればスムースに完工できる、こういうことでございますか。
  189. 十河信二

    説明員(十河信二君) 補償の問題も、先ほど来お話しのありましたように、石炭の事情がだいぶ変わって参りましたので、それらの点補償の問題とあわせて努力をいたしております。それが解決いたしますと直ちに着手いたします。その準備として、先ほど申し上げましたように、田川線の一部分を増強するということまでやっておるのであります。
  190. 小柳勇

    小柳勇君 石炭の事情の変更ということはどういうことでしょう。
  191. 十河信二

    説明員(十河信二君) この鉄道を作りますと採掘を制限しなければならぬという問題が起こってくるのであります。採掘を制限するがいいか、あるいは鉄道を作るほうかいいか、こういう両方にかかっておる問題、その点を考慮いたしまして、政府と御相談してできるだけ早く解決いたしたいと努力中であります。
  192. 小柳勇

    小柳勇君 採掘の制限というのはどういうことでしょうか。線路が通りますと、その下の鉱業権が実施できない、その線路の下が掘れない、そういう制限でございますか。
  193. 十河信二

    説明員(十河信二君) さように存じております。
  194. 小柳勇

    小柳勇君 篠栗線のほうは筑豊電鉄の共用の問題だけでございますか。
  195. 十河信二

    説明員(十河信二君) そのとおりであります。
  196. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。以上で質問を終わりますが、産炭地振興計画は必至の問題でありまして、県全体としても、あるいはほかの県でもそうでありますが、必至の問題でありますから、私は一つの問題だけを取り上げましたけれども、政府は計画だけでなくして、予算を取って早急に実施していただきたい。でありませんと、現地ではもう政府頼むに足らずということで、労働者全員東京に押しかけなければならぬような緊迫した状勢にある。このことを各大臣にも要請し、具体的にこれが早急に完成するように希望いたしまして私の質問を終わります。
  197. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 次に鳥畠委員質問に入ります。
  198. 鳥畠徳次郎

    鳥畠徳次郎君 たいへん時間も長くなりましたので、私の質問は最も簡単に、簡潔に御質問を申し上げたいと思います。またお答え下さるのも簡単でけっこうでございます。  まず第一番目に大蔵大臣会計検査院長お尋ねをいたしたいと思います。毎年決算委員会へ出てくる不当不正の支出の問題でございますが、毎年ここ三年あるいは四年ということの比較から考えて参りますると、漸減と申しますか、毎年件数においても、また金高においても相当少なくなって減ってきておるということは非常にいい傾向であると思いますが、三十五年度のこれを見ましても、まだ相当、金高にいたしましても八億七千万円という数字に上っており、また、書類の調査の上から見ますと、五千件をこえておるというような件数になっておる。それが実際に八億七千万円の中身から見ると、三百三十八件という、それぞれ相当膨大な金高であり、また、件数であるわけであります。予算の執行にあたっては、おそらく各省とも相当厳密な調査なり執行をやっておられるということだけは、われわれうかがえ得るのでありますが、国民の声から言いますと、なるほど一兆五千億あるいは本年のように二兆四千五百億というような相当膨大な数字から比較いたしますと、比較的小さいように見えるのであります。これは非常に国民の、何といいますか、血税といいますか、これらの執行にあたってはもっともっと厳格にやってもらいたいという声は、もうここかしこにほうはいとして上がっておることは言うまでもないことでありますが、これらに対しまして大蔵大臣並びに建設省は、今後これらを何とかして絶滅してしまうというようなことについて抜本的な何か執行にあたってはお考えがないかどうか、ありましたらお答えを願いたい、かように第一にお尋ねを申し上げておきます。  次に、財政投融資計画の問題につきまして、三十五年度で八千六百億の財政投融資になっておるようでありますが、うち千五百億というものは、すなわち、輸出を盛んにする、あるいはまた中小企業金融の円滑化をはかる、あるいはまた道路、住宅というような相当重点的な仕事に千五百億が回されておるようでありますが、このうちで公債等が、あるいはまた借入金が、民間が融資を必要とする以上にこの公債公募あるいはまた民間の借入金というようなものが、この千五百億の中に相当含まれておるということは、今日の金融難の最もひどいときに、民間の金融を圧迫しないかというような懸念が多分にあるわけでありますが、それらに対する大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。  次に、燃料の問題について、これまた大蔵大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、ガソリン税あるいは軽油の引取税が毎年々々大幅に引き上げられておる。そうして日本の道路行政というものの改修あるいは建設については、全くこの目的税のガソリン税によって道路の建設なり改修がまかなわれておるということは、はなはだ遺憾なことでありまして、これは全く国家財政の大きな一つの協力なくしては、この道路の建設、改修は百年河清であろうと思います。ことに最近のように交通の問題が盛んに取り上げられ、そうしてわが国の経済成長に対して多大の関係を持っておる点から考えたときには、ひとりガソリン税の引き上げによってのみこれらの完成をはかるということは、これは決して、わが国の経済の将来から考えても、いいことじゃないと思う。あくまでも国民全体の責任において、またこれを利用する人たちの協力によって、初めてこれは完成するというようなふうに切りかえてもらいたいと思いますが、大蔵大臣はこれに対してどういうようなお考えを持っておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。  次に、税制の問題でお尋ねを申し上げたいと思いますが、わが国の経済は戦後、戦前と比較いたしますと、非常に経済の底が浅いということを常に言われておりますが、全く底が浅いとわれわれも思うのであります。たとえば、戦前はわが国の各会社の自己資金というものは、大体六〇%ないし七〇%までが自己資金であった。ようやく三分の一ぐらいが借入金によってまかなわれておったというような状態でありましたが、戦後十七年を経過する今日に及びましても、必ずしもさような順調な、円滑な運びになっておりません。現状から見ますと、自己資金がようやく一二、二%しかない。七割八分、八割近いものが借入金でまかなわれておるということは、これは日本の将来の国際的なこの激甚な競争に耐えていく上におきましても、何とかこいつは戦前と見合うように自己資金をもっともっと増額するというようなことを考えなかったならば、 いつまでたっても日本の経済は底が浅いという結論になるのじゃないかと思います。こういう点を考えましたときに、この法人税なんかの中で積立金の問題が大きな問題になってくるのではないかと思います。現在ではあらゆる積立金に対して、すべてが相当高度な課税の対象になっておる。したがって、会社を経営する者、また、ことに百万や二百万の小さい一つの法人会社といいますか、これらがわずかの積立金でも作って、いわゆる自己資金を高める、そうして経営を安定させるというようなことを考えましても、わずかな積立金をするというと、とたんにそれが税の対象になってくるということで、積立金よりかもっと税金の額が高くなってくるというような結果になっておるのでありまして、そういう点から考えますと、今後日本のこの法人会社に対しては、もっと積立金また社内留保、これらに対してはもっともっと真剣に取っ組んでもらって、もう少し負担を軽減させ、そうして自己資金を多くするというような、戦前の日本の会社形態に引き戻すというか、急速にその策を講じなければならぬと思いますが、これにつきまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。  次にお尋ねいたしますが、最近の日本の経済の成長から考えまして、しかも所得倍増、また経済の成長というような点からいろいろ考慮するときに、何と申しますか、運輸省所管のいわゆる運輸関係に対する大蔵省の見解が、戦前と今日とあまり変わらない。と申し上げるのは、輸送は何といってもすべての産業や経済の原動力である、モーターの役をやっているにもかかわらず、常にこの輸送行政は軽んじられておるということがいろいろの場面に出てきておるのであります。ことに最近の、この東京都は言うまでもありませんが、全国的に交通規制という問題や、あるいはまた運輸関係は特別、許可、認可というようなことでまああまり機械化するということのできない役所であろうと思います。全部が原始的な、人が仕事をするというようなことになっておるようでありますが、この人の問題、また予算の問題、それらから考えましたときに、大体たとえて申し上げるならば、昭和三十五年度に運輸省の、ことに陸運行政の中で四百人ほどの人員の要求をしたときに、ようやく百十一名しか大蔵省は認めてない。ほとんど四分の一で、四分の三までカットされておる。昭和三十六年度になりますというと、五百十何名からの要求をしておるのに、ようやく九十二名しか増員をしておらない。三十七年度に至っては、二百五十五名のうち、ようやく七十二名しか増員を認められていないというようなことは、私はいたずらに人を多くするということが必ずしも能率が向上するということは言い得ないと思います。しかしながら、何といっても仕事によっては簡素化する、合理化する、機械化するということができ得る仕事もありますが、役所によっては、どうしたって人間が仕事をしなかったならば能率が上がらないというようなことから、それがひいては民間との関係上、運輸省におきましては、御承知のとおり、全部許可、免許の仕事であります。したがいまして、人員が不足のために、一カ年もあるいは二年も経過しても、まだ書類の調査にもかからないというような、非常に怠慢といいますか、よく調べてみると、結局人の問題がいつも不足する、少ないということで非常に処理がおくれておるというようなことは、日本の現在の交通、また陸運行政、また激甚な国際海運というような、いろいろな方面から総合的に考えたときに、やはりこれに対して相当大きなウエートをかけて、そうして予算もできるだけ大幅に増額する。また人も、いたずらに増員することは私は決してお勧めいたしません。場合によっては配置転換をやるとか、いろいろの方法があろうと思いますが、これはここ何年かの足跡を見ますと、全然今日の陸運行政の発展というような方面から考えたら、この点についてはほとんど特別の考慮が払われていないということは、これまたはなはだ遺憾なことであります。こういう点につきまして、大蔵大臣はどういうようなお考えを持っておられますか、これは大きな一つの社会問題であり、日本の経済成長発展という点から、ぜひこれら抜本的な施策をやるべきものである、かように考えております。  それからもう一つ、さっきガソリン税また軽油引取税の問題に言及いたしましたが、今後もこのガソリン税をどんどん高く引き上げるということは、それだけコストが高くなるということで、一面には物価をどんどん抑制しながらも、こういうふうに経費がいたずらに高くなるということは、やがては運賃なり、あるいは料金なり、そういうものにどんどんと転嫁しなかったならば事業の経営は成り立たないということでありますから、私はこのガソリン税の引き下げを考えておられるかどうかをこの際承りたい、かように考えております。  もう一つ政府の中小企業金融、商工中金また国民金融公庫という、この政府の三金庫が、昨年の十一月ごろから年末資金あるいはまた三月の危機突破というようなことで相当心配はしていただいておることはよくわかっておるのでありますが、われわれの民間から見ると、大体昨年の十一月あるいは十二月に振り出した手形が、ことしの五月あるいは六月ごろがちょうどそのサイトが近づいておるのでありますが、十二月の年末資金というか、ちょうど今度の手形が期日になるという四月あるいは六月という、この辺において相当金融危機が来るのではないかというように中小企業者は非常に心配しておりますが、この三金庫に対して、これから第四・四半期の金融についてはどういうふうに考えておられますか。この点を率直にひとつお聞かせを願いたいと思います。  一応以上、御質問申し上げるわけであります。官房長官お帰りになるようでありましたら、運輸行政に対して、きょう総理がお出ましでありましたら、この見解をお尋ねしたい、かように考えておりましたが、官房長官からこの点だけ、運輸行政に対していかなる今後お考えを持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  199. 相澤重明

    委員長相澤重明君) それでは七点ほどにわたって要旨が述べられましたので、最初大蔵大臣、そのあとで会計検査院長並びに大平官房長官、こういうふうに順次ひとつ発言をしていただきたいと思います。
  200. 水田三喜男

    ○国務大臣水田三喜男君) まず最初の御質問でございますが、決算に関しましては、会計検査院から指摘されました事項、また国会で指摘を受けました事項、警告を発せられた事項等については、私どもは特に予算編成の際には留意していることでございまして、まず予算編成事務に入る前には、批難指摘事項趣旨の徹底をはかるために、会計検査院の検査事務の担当者との連絡も十分にとりまして、そして個々の具体的事項の査定事務に十分反映するように努力いたしております。本年の予算編成におきましては、ここに資料がございますが、従来指摘された問題についての改善のために、予算措置を講じたものもございますし、特別の機構の改善をしたものもございますし、特に問題の毎年多いものにつきましては、この是正をはかるためにいろいろの措置を滝じますし、基本的調査がどうしても必要であるというものにつきましては、調査費も計上してありますし、旅費の足らぬために十分監督が行なえないというような問題についての旅費の改善もいたしまして、相当たくさんの項目にわたって、今まで指摘された事項について、再びこういう種類のことがないように十分気をつけて参っておりますが、まだなかなかこの問題は跡を断ちませんし、職員の質の問題ともからんでおりますので、会計職員の教習というようなことにも、最近一段と力を注いでおるような次第でございます。  それから今年度の財政投融資の中で、公庫債の借入金が千四百八十二億円ございますが、これは民間の資金を相当圧迫しないかということでございまして、私どももこれがこういう経済情勢のときでございますので、これが民間の圧迫になっては困ると考えまして、金融関係機関の審議会にもこの問題を諮って御相談申し上げましたが、昨年の千二百三十七億に比べてことしは千四百八十三億、ふえたようでございますが、この増加の大部分は借りかえでございまして、新規の増加分というものはごくわずかになっております。したがって、この程度の公庫債の借入金は市中で消化できるだろう、そう支障のないものだろうという審議会の御了承を得て、今年度の計画をきめた次第でございまして、去年からこういう経済情勢に及んで特にこの金額をふやしたという性質のものではございません。  その次はガソリン税の問題でございますが、道路の整備が急務でございます。しかし一般会計からこれを全部支弁するということになりますというと、国のいろいろな施策との均衡から、なかなか十分に道路費の配分ができないというようなことから、御承知のように、道路の整備費についてはガソリン税を目的として、これを中心に道路計画を立てて遂行することがいい、こういうことになってガソリン税か目的税となったわけでございますが、このガソリン税の伸び方に応じて従来道路の長期計画を立てたのでございますが、これではとても追いつけないという事態になりましたために、道路計画も変えまして、五カ年計画を変えて、そうして、その所要財源を出すためにガソリン税の引き上げもやったわけでございますが、しかし、それだけでは今立てているこの五カ年計画は遂行できませんので、この中には一般会計からく百何十億、九百億円近いものを入れるということを予定した計画になっておりますので、これはガソリン税だけでやるわけじゃございませんで、一般会計からもこの道路計画の中には入れるという予定になっております。  で、ガソリン税を引き下げたらどうかというお話でございましたが、各国のガソリン価格は、日本が今までは一番安い国でございましたので、したがって、各国並みぐらいのところまで税を強化してもいい、だろうということで逐次ガソリン税は引き上げて参りましたが、しかし今のガソリン税を見ますと、もう日本が特に外国から安いという位置でもございません。各国よりも、まだイタリアその他の国よりも安いのでございますが、この辺が私は限度ではないかと思いますので、今後、ガソリン税を値上げするというようなことは考えておりませんし、今の五カ年計画でも、ガソリン税はこの程度でいけば五ヵ年計画の遂行はできるだろうと考えております。  それから税制の問題で、御指摘のとおり、自己資金を充実するという必要がございますので、社内留保部分に関する課税の問題も、今御指摘ございましたが、まあ元来法人税は、所得が内部に留保されるか外部に流出するかということには関係なく、所得それ自身に対して課税すべきものでございます。現在認められておる配当軽課方式というものは、結局、企業の自己資本充実のために、配当に充てられた所得についての、企業に対する法人税を軽減するというものでございまして、結局、この措置は、企業が外部借入金のみにたよることのないようそれを押えて、増資等の方法によって自己資本の充実に資するように考えてとった措置でございますが、今後も、この法人の自己資本を充実させるというためには、税の問題からも考えたいと存じますし、金融市場の金の流れ方の規制というようなものにもからみまして、この方法を推進したいと考えております。  それから運輸行政についてのお話がございましたか、陸運事務所の定員につきましては、毎年少しずつは上がっておりますが、最近各省の定員が、人員がふえていく勢いは相当多うございまして、年に四万人、五万人というようなふえ方をしておりますので、ただ漫然とそういう方向だけ進めていくことは、これは妥当でない。ここで今度政府に行政調査会ができることになりましたが、そこら辺で一ぺん事務の査察を十分にやって、ここで行政機構のあり方について根本的な調査をしたい、その調査を待ってから、合理的な調査をしたい、その調査を待ってから、合理的な定員の配付ということも考えたいので、本年度はとりあえず各省庁とも人員をふやすということを待ってもらいたいということに閣議でなりまして、特にこの仕事を行政管理庁が主管いたしまして、行政管理庁が許可しなかった定員は、一切各省勝手にふやしてはいけないという方針のもとに予算が編成されておりますので、今年度の定員はそういうことによって拘束されております。  それから中小企業金融についての問題でございますが、今私どものとっております処置は、何といっても中小企業の金融は大部分市中の金融機関がこれをまかなっておるのが現状でございますので、この貸出比率を落とすということが中小企業にとっては一番痛いことでございます。で、設備投資についての意欲が非常に強いときでございますから、そのままで金融引き締めという政策をやりますというと、大企業の設備投資部面に資金が使われてしまう、そして中小企業へしわ寄せが寄ってくるということははっきりしておりますので、私どもはそういうことのないように、事前に設備投資に対する繰り延べの指導をいたしましたし、それから銀行を通じても、引き締め政策に入ったあとで大企業にだけこれを使われないように、各金融機関を通じてこの設備投資計画をそこで一ぺん吟味して抑えてもらうように、というような行政指導を先に行なって、根回しをしておいてから昨年米の金融引き締め政策に入りましたために、幸いに各銀行も金融機関も協力してくれておりまして、あれだけの引き締めをやっても、大企業への貸出分と中小企業への貸出分の比率が落ちておりません。三〇%以上を維持しておるという情勢でございますし、また一方、中小企業専門の金融機関の信用金庫、相互銀行の貸し出しは、昨年の同期に比べて三、四割方伸びているという状態でございますので、この点は割合今私どもは円滑にいっているのではないかと思います。倒産が非常に多くなって、不渡り手形が非常に多くなったという声も聞きますので、私どもこの点は十分気をつけてやっているつもりでございますが、最近の統計を見ますると手形の発行総数に比べて不渡り手形というものは、昨年の好景気のときに比べて率が、この三十六年度の年度間を通じて今のほうが過去のどの年よりも一番低い率になっている。三十二年当時の不渡り手形の出力などに比べたら格段の相違で、昨年度よりも出方の比率が少なくなっているということにもなっておりますし、倒産件数も三十二年度の非常にあの引き締めのときに多かったのでございますが、後以逐年件数としては毎年ふえておりますが、やはり昨年、一昨年の好景気のときがむしろ一番倒産件数が多くて、三十六年度の件数はむしろ下がっているということは、これだけの引き締め政策をやりながら、まあいろいろ前の経験から見て、先にいろいろ打つ手を打ったことがある程度効果があったのではないかと考えているという情勢でございまして、政府機関関係の国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫というほうへの財政資金の追加融資は、御承知のように、昨年から相当強化しておりますし、また中小企業のためのオペレーションも相当やっておりますし、三十七年度の計画におきましては、この三-機関に対して相当大幅な金融資金の準備をいたしておりますので、今のように市中のほうの行政指導をうまくやりながら政府関係機関の資金の強化ということとあわせていくのでございましたら、中小企業の金融問題は、私はまあまあということで乗り切れるのではないかと考えております。
  201. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) ただいまお話しのとおり、三十五年度の決算検査報告におきましては、金額においては減少いたしましたが、その減少は災害が少なかったために早期検査の結果によって不当金額が減ったのでありまして、災害が多い年になりますと、この金額も増加することが予想されるわけです。また件数におきましては、三十四年度よりもかえって三十五年度のほうが増加いたしておりまして、全般的に見まして必ずしも十分に改善の目的が達成されておるとば言えないというのが現状でございますので、検査院といたしましては、今後とも十分能力を発揮いたしまして、これか改善に努力を続けていきたい、かように考える次第でございます。
  202. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) 私に対するたと思います。この問題につきましては、その前提といたしまして、輸送事情そのものの改善ということが大事だと思うのでございますが、御案内のように、戦後の公共事業というものは、戦災の復旧とか、災害の復旧に追われまして、改良的な前進が十分でなかったと思うのでございます。幸いにいたしまして、今大蔵大臣が言及されましたように、道路につきましてはガソリン税を新設いたしまして特別会計を作り五ヵ年計画が発足する、港湾もこれにつきまして五カ年計画が進むという形になって、ようやく軌道に乗りかけたやさき、生産力自体が急速に膨張して参りまして、輸送力とのアンバランスが生まれて、今全く戸惑っているというのが偽らぬ実情だと思うのでございます。そこで先般陸上につきましては、御承知のように交通閣僚懇談会を開きまして今各省庁に分かれておりまする輸送行政で隘路になっているものは何かということにつきまして実態に即した検討、指示を始めたわけでございます。御承知のように、取り締まり的な観点からやっておりまする警察当局もございまするし、助長的な観点からの交通行政もございまして、こういった点を実態に合わせてどうやるか、またそれに対してどういう措置をとればいいかということにつきましてひんぱんに会合を開きまして、打開の方途、措置をとりつつあるわけでございます。今われわれのほうでとっている措置では十分ではございませんけれども、これを重ねて参りまして、御心配の運輸行政の隘路の打開になお一そう努力したいと思っております。  それから海上、海湾につきましては、御承知のように戦時中、戦後を通じまして、港湾関係の会社の権限の調整という古くて新しい問題が依然としてあるわけでございます。また労働力の関係から、港湾労働者の確保、雇用の安定という問題にも直面しまして、現在法律を出しまして審議会を御設置いただくべく御審議を願っておるのでございまして、この行政機構全体につきましては、したがって、こういう角度から、今度できました臨時行政調査会の権威ある診断を願い、権威ある御答半をいただいていく、それまで不用意に機構の改正はやるまいと、こういう考え方でいっておるのでございます。運輸行政は、申すまでもなく、今政府が当面しておる行政のうちの最重点でございまして、私どもはそのように感覚を統一いたしまして、鋭意この打開に取りかかっておるわけでございます。御協力と御鞭撻をお願いしたいと思います。
  203. 木下友敬

    木下友敬君 ちょっと体の調子で、すわったままを許していただきますが、委員長最初お尋ねすることでございますが、これは決算委員会委員の数は幾らですか。
  204. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 三十名です。
  205. 木下友敬

    木下友敬君 現在今ここに残っておるのは何名ですか。
  206. 相澤重明

    委員長相澤重明君) だいぶ生理的な現象もあって出ておる方もあると思います。
  207. 木下友敬

    木下友敬君 委員長理事をはずしまして、おそらくここの委員は三人か四人と思いますが、こういう少数で委員会運営していかれるという委員長の感覚に少し私は疑いがあります。先ほど大森君からの発言の中に、本委員会では決算委員会運営の仕方において、また決算委員会の審査のあり方について小委員会を開いて、近い将来には決算というものを議案にもしたいというようなことを言っておられる。そうしてこれは、とりもなおさず決算委員会というものに相当の権威を持たしていこうというようなお考えだと、こう思ったのです。たったこれだけの委員出席して議事を進めていくということは、みずから私決算委員会の権威を落とすものであり、ひいては私は決算委員長並びに理事、ひいて私ども自体、決算委員として自分で顔に土を塗っておるようなもの、私はこれを改めてもらわなければ、こういう少数で、忙がしい大臣以下の当局の方に出てもらって続行していくということには私は賛成できない。なお、われわれが発言して当局意見を聞くというのは、自分の聞きたいことだけ聞くのではないですよ。当局発言委員が聞いてもらいたい。われわれの質問当局が聞くだけでなくて、委員各位に聞いてもらって、お互いに検討していくというのが委員会あり方だと思う。私は、委員長は非常にすぐれた委員長だと聞いておったけれども、このような運営の仕方であれば、私は以下かなり広範な材料を持って質問をいたしたいと思って来ましたけれども、本日、私は質問いたしたくない。日を改めて、全員とまでいかぬでしょう、各種委員会が開かれておるから、おそらくそこに行っておられるから留守になっておると私は考えるけれども、あまりにも少ない数で委員会を続行されることには、私は絶対反対をいたすつもりでございます。どうぞ善処を願います。
  208. 相澤重明

    委員長相澤重明君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  209. 相澤重明

    委員長相澤重明君) 速記を起こして。  今、木下委員委員会運営についての御質問委員長にありましたが、委員長といたしましては、やはり定数を確保して本委員会運営を行なうということは、従来どおり変わりはございません。ただ先ほど申し上げましたように、質問された方や、あるいはやむを得ないで他の委員会に御出席委員もございましたので、その点は深くおわびを申し上げたいと思います。したがって、本日せっかく政府委員にも御出席をいただきましたが、ただいまの御意見もありますし、理事の打ち合わせをいたしまして、なお残っている点もたくさんありますから、理事会相談をいたしまして、次回ただいまの御指摘のようなことのないように、委員並びに政府側関係者の出席をいただきまして、その際十分ひとつ総括質疑を行なっていただく、こういうことに話し合いがきまりましたので、御了承をいただきたいと思います。  政府委員の方、特に大平官房長官にお願いしておきたいと思うのでありますが、議会側のほうも若干の足りない点もあったようでありますが、政府側のほうもぜひ先ほど冒頭からお話しのありましたように、委員会の開催の際には、ひとつ御協力をいただきたいと思います。  以上によりまして、残っているのは次回、理事会で日時をきめまして御連絡を申し上げます。  本日は、これにて散会をいたしたいと思います。    午後五時五十六分散会