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政府委員(
中川融君) ただいまのお尋ねの点でございますが、
日比通商航海条約を
国会で御
承認を得ます際に、
政府当局として、
フィリピン政情について、ことにそのときに差し迫っておりました
大統領選挙の
見通しについて、
ガルシア前
大統領が再選される公算のほうがどちらかといえば大きいのじゃないかということを申し上げたことがあると私も記憶しておるのでございますが、これははなはだ申しわけない
見込み違いになったわけでございます。
ガルシアが負けたわけでございますが、この点弁護するわけじゃございませんが、大体そのときの
一般の
観測は、
日本ばかりではなくて、各国の
観測として、もちろん
選挙のことですから、はっきりしたことはわからないのだけれ
ども、しいてどちらかといえば、やはり現職の
大統領に強味があるのじゃないかという
観測が実は
一般的であったのでございまして、現地からの報告も大体そういうことでございましたので、
政府側としてそういう
見通しを申し上げたのでございます。その結果が間違っておりましたことにつきましてはまことに申しわけなく思うわけでございます。なおそれによりまして、今度
政府がかわったわけでございます。かわりました
政府が従来の
政策をどう踏襲していくか、あるいは変えるかという点が、今の
通商航海条約あるいは
日比民間航空協定というようなものに
影響が出てくるかどうかという点でございます。これはすでに新聞でも伝えられておりましたが、たしか一月の十五日ごろだったかと思います。新
大統領が
委員会を組織いたしまして、その
委員会にあらゆる
政策、ことに
経済政策ですが、
経済政策全般について
検討を命じたということでございます。いろいろの
経済問題の中で、
日本との
通商航海条約という問題もその一つになっておるのでございます。しかしこれはその後確かめましたところによりますと、要するに
検討を命じた
段階でありまして、
検討の結果はもちろんまだ出てきていないのでございます。またこれははっきり
ペラエス副
大統領が言明しておりますが、要するに
政府としては
検討を命じただけであって、
日本に再
交渉を訓令したというような事実は全然ない。再
交渉するかどうかということは、もっぱら今後の
検討の結果による問題であって、そういう事実はない。一部
日本からの
報道で、
日本側で、
フィリピンが再
交渉を命じたというようなことから、
日本側としてはこれに応じられないというような決定をしたというような
報道が伝えられておるけれ
ども、その
報道の根拠は全然ない、そういうことを
ペラエス副
大統領は言っておりますが、
日本としては依然として、あの
通商航海条約は
日比双方の
代表団がよく慎重に
検討した結果、
相互互譲によって、あれ以外に妥結の産物はないということでまとめ上げたものでございますから、
日本側としてもいろいろ譲っているわけであります。したがって、
フィリピン側としても必ずやあの
協定が、結局今の
段階で考えられる最もいい形のものであるということの結論になりまして、
フィリピン議会で
承認の手続をとる運びになるであろうということを信じているわけであります。したがって、多少時期はかかりますが、
政府がかわりましたのですから、その点今までやったものを
検討し直すということは、これは新
政府としてしなければならないことだと思いますが、その
検討の結果は、あの
協定に基づいて
日比関係を改善していくということになることを期待し、またそうなるものと信じているわけであります。また
日比航空協定を作るにつきましては、あのときの
通商航海条約を調印いたしました際のいわば付属の了解といたしまして、
日比民間航空協定についても
交渉を近く行なうということになっているのであります。これは必ずしも
通商航海条約の
発効待ちをしているのじゃなしに、別に
日比航空の問題は話し合いを始めてもいいわけでございまして、これもおそらく新
政府になりまして、
一般の
政策の要するに再
検討と申しますか、もう一ぺん調べ直すということの一環になっているのじゃないかと思います。
フィリピン側といたしましても相当
日本に
航空機を
乗り入れるという
希望もあるようでございますから、この問題は遠からず出てくるのじゃないか。そういう場合には
日本としてもできるだけこれにミートする格好で、
友好関係、
親善関係、
経済提携の
関係を促進していくという方針には変わりないのでありますから、これも遠からずまた話が再開されるというふうに大体考えているところでございます。