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1962-03-13 第40回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            谷村 貞治君            横山 フク君            牛田  寛君    委員            岩沢 忠恭君            江藤  智君            古池 信三君            村山 道雄君            近藤 信一君            田畑 金光君   国務大臣    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    科学技術政務次    官       山本 利壽君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    科学技術庁長官    官房会計課長  松田 壽郎君    科学技術庁計画    局長      杉本 正雄君    科学技術庁振興    局長      前田 陽吉君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    科学技術庁資源    局長      黒沢 俊一君   参考人    日本原子力研究    所理事長    菊池 正士君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (科学技術庁所管事項に関する  件) ○参考人出席要求に関する件 ○日本原子力研究所法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) ただいまより委員会を開会いたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、科学技術庁の特別の所掌事務説明を聴取することといたします。最初に長官官房関係について説明を聴取することにいたします。
  3. 島村武久

    政府委員島村武久君) 官房長でございます。  官房関係の御説明を申し上げますが、科学技術庁官房は、他省庁官房と変わることもございませんので、私からは、お手元にお配り申し上げております「科学技術庁の概要」と申す資料に基づきまして、機構予算のことについててだけ簡単に御説明申し上げたいと思います。  この資料の四ページに機構図がございます。科学技術庁は、ちょうど六年前の昭和三十一年の通常国会におきまして設置法が成立いたしまして、同じ年の五月十九日に発足いたしました新しい官庁でございます。当時から大体、局の名称等変わったものもございますが、四ページにございますような機構で出発いたしております。御手元に、同じように科学技術庁設置法をお配り申し上げておきましたが、後ほど御説明を申し上げますが、科学技術庁の本来の目的といたしますところは、わが国におきますところの科学技術行政総合調整、そういった面にあるわけでございまして、まず全般的な計画を立て、その計画に基づきまして各省庁が行ないます科学技術行政というものを調整して参るということが主眼になっておりますけれども、なおそれ以外に、いろいろと現業的な仕事もございますので、現在のところは、長官のもとに長官官房以下、計画局振興局原子力局資源局という、一官房と四局で編成せられております。なお、長官を補佐いたしますために、他の官庁に見られます政務次官、事務次官のほかに、一番上にございます科学審議官と申す者が五名おります。なお、機構のところに書いてございますが、科学調査官というような職名の者がおりまして、それぞれ局の業務に参画しておるというような点がやや他省庁よりも変わった点かと思います。なお、左上のほうに内閣総理大臣という点線のワクで囲みましたところに原子力委員会以下四つ審議会、あるいは類似の機関名前が掲げられておりますが、これは科学技術庁に付属する審議会ではございませんけれども、そのそれぞれの審議会庶務科学技術庁において行なっておるということを現わすものでございます。なお右まん中の一番下のほうに航空技術研究所金属材料技術研究所一放射線医学総合研究所という三つ機関が並べてございすが、これは先ほども申し上げましたように、科学技術庁が本来は科学技術行政計画的な遂行計画を立て、各省の行ないます科学技術行政調整をいたしますという、いわば総合官庁としての構想と若干異なる点でございまして、現業業務であるところの研究機関付属機関として持っておるということになるわけでございます。これらはいずれも単独に別の省庁設置することは必ずしも適当でない。いわば幾つかの省庁に非常に関連性を持った研究機関でありますために、科学技術庁所管することが望ましいとされたために、このような三つ機関が付属しているわけでございます。なおその下に六つばかりの審議会の名称、一つ技術士試験委員ということになっておりますけれども、このようなものが科学技術庁に付属せられた審議会等として存在するわけでございます。なお、この機構につきましては、今国会改正法案をお出しいたしまして、御審議願うことにいたしておりますが、その要旨は二ページに文句で書いてあります。一々読上げますのは煩瑣でございますので、一口に申しますと、計画局振興局業務中心といたしまして、まあいわばこれを足して三で割るような形におきまして、従来ややウイークでございました科学技術庁本命仕事でございます研究調整を、もっと徹底してやりたいという希望のもとに研究調整局というものを新設いたそうとするものでございます。  なお、ここに書きませんでしたけれども、御参考のために申し上げますと、科学技術庁が六年前に発足いたしましたときは、この研究所も含めまして人員は二百五十三名でございましたが、現在は千三百十四名になっております。さらに、今国会において予算及び設置法改正案が通過いたしますれば、これに二百五十七名ふえまして、総合計は千五百七十一名となる予定でございます。急激なふえ方でございますけれども、実は大部分は、先ほども申し述べました、研究所がいずれも新設のものでございまして、完成に従いまして人員増加が見られることが主原因でございまして、本庁関係で申しますと、当初二百四名でございましたものが現在はちょうど倍の四百八名、さらに本年度予算及び改正法案が通りました場合には二十九名増加するというような状況でございます。  次に、予算について申しますと、次のページ以下三枚にわたって書かれておりますが、一番最後の三枚目の横長の表をごらんいただきますと、発足いたしました昭和三十一年度におきましては、総合計で十九億程度でございましたが、その後逐年増加いたしまして、三十七年度、ただいま御審議を願っております予算要求額におきましては百二十七億二千九百万円ということになっております。それぞれの内訳につきましては煩瑣でございますので省略いたしますが、もちろん昭和三十二年度、三十三年度あたりはやや増加率が高かったわけでございますけれども、それ以降は増加はいたしておりますけれども、必ずしもその伸びは目立ったものではございません。  以上、簡単でございますけれども官房関係説明を終わります。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、計画局関係について説明を聴取いたします。
  5. 杉本正雄

    政府委員杉本正雄君) 計画局で現在やっております業務に関しまして申し上げたいと思います。  ただいま官房長が申し上げました資料の十一ページから書いてございます。  まず第一に、科学技術会議のことでございます。これは計画局庶務を担当しておりまして、先般「十年後を目標とする科学技術振興総合的基本方策について」という答申を行ないまして、引き続きまして、科学技術に関します基本法につきましては、同答申追加答申といたしまして、ただいま審議中でございます。さらに、昨年九月に新しい諮問第三号が出されまして、これは「国立試験研究機関を刷新充実するための方策について」という諮問でございまして、各省庁にございます試験研究機関のあり方について検討をすることになっております。このための研究機関部会というものが設置されまして、その部会並びにその中に設けられました分科会におきまして審議中でございます。大体五月に中間答申というような形になるかも存じませんが、一応の答申をまとめまして、今年の十一月ごろまでに本答申を完了する予定でございます。  それから、第二番目の事項といたしまして、宇宙開発関係でございますが、これは総理府にございます宇宙開発審議会庶務計画局でやっております。その第一号諮問わが国におきます「宇宙開発推進基本方策」というものに関しまして、すでに総会を十数回、分科会は三十数回開催いたしまして、宇宙開発推進基本方策について答申をまとめております。ただいまのところでは、四月末ごろまでに答申が出る予定でございます。さらに宇宙開発に関しましては、技術研究予算がついておりまして、総額で約一億二千二百万円程度でございますが、これによりまして、宇宙開発審議会の運営のほかに、気象観測ロケット、高さが大体百五十キロから二百五十キロくらいの間のところに打ち上げまして、台風を遠いところから観測して、台風予知に寄与しようというような特別の観測ロケット開発、並びに人工衛星と申しますか、気象衛星通信衛星測地衛星というようなものを考えまして、そういうものに使います計測器類、これは主として電気機器類でございますが、そういうものの研究をやる。これを委託研究と申します形で、民間の会社に委託いたしまして実行しております。  三番目は、科学技術庁の中にございます電子技術審議会に関する事項でございまして、これは、三十七年度におきましての重要な研究項目というものにつきまして答申を完了いたしまして、ただいまアジアの話地域等におきます電子技術振興に対します協力方策というものにつきまして審議を継続しております。  四番目は、科学技術に関しますいろいろの調査でございますが、これは科学技術行政一般並びに計画局でもって分掌しております宇宙科学電子科学技術というようなものに関しまして調査をいたしております。科学技術調査という名前定期刊行物、それから種々の特別な資料、これは海外情報または研究管理に関します資料というようなものを発表しております。最近のおもなるものを申し上げますと、国全体の科学技術研究がどう行なわれているかという調査、これは総理府統計等を利用さしていただきまして、それを解析いたしまして出しております。それから科学技術に関します統計図表中小企業技術活動に関します実態調査の解析、さらに宇宙科学技術に関します調査、そんなものを随時出しているわけでございます。なお、調査に関しましては、部外機関も利用いたしまして、研究投資というものの効果の測定に関します方法の確立ということに関しまして、これは部外に委託して行ない、さらに、三十七年度におきましては、実際の民間で働いておられます高級な科学技術者構成配置が一体どうなっておるかというようなことを調査する予定でございます。  それから第五番目は、十七ページでございますが、やはり計画局でもって担当しております情報センター業務でございます。情報センターは、ただいまのところ、理工学関係——理学工学関係を充実するということでもっぱら努力しておるわけでございます。三十七年度におきましては、約三千五百種の雑誌から十八万五千件の論文をアブストラクトいたしまして、一般に配布する。そのほか、外国特許等の速報を送っております。それに関しましては、政府出資金及び補助金合計で三十七年度には一億五千百万円というものが計上されております。これに情報センター事業収入を含めまして、全事業費は大体三億九千六百万円という予定仕事を進めたいと思います。  そのほかの業務は、十八ページ、十九ページにございますが、科学技術者の養成問題、それからさらに昨年の十二月に開設されました日米科学委員会というようなものの庶務、さらに日米科学委員会の第二回の会合に対しますいろいろの準備というようなものに関します業務がございます。  非常に簡単でございますが、計画局関係業務につきまして御説明を終わります。
  6. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、振興局関係について説明を聴取いたします。
  7. 前田陽吉

    政府委員前田陽吉君) 振興局関係業務を御説明申し上げます。  振興局関係業務は、たいへん多数ございますが、大ざっぱに分類いたしますと三つになるかと思います。一つは、関係各省科学技術活動調整と申しますか、そういう業務、それから第二は、当庁で所管いたしておりまする研究機関あるいは新技術開発事業団といったようなものの管理業務、それから第三は、科学技術に関しまする助成振興、あるいはPR、こういったふうな業務でございます。いずれもただいま申し上げましたものの中から、原子力関係のものは除かれておりまして、原子力局のほうで所管いたします。  まず、このプリントによりますと二十一ページでございますが、科学技術振興予算見積もり方針調整当局の最も大きな仕事一つでございますが、毎年科学技術に関する各省庁の試験研究機関経費及び補助金委託費等概算要求につきまして総合調整を行ないまして、大蔵省に提出いたします予算編成資料といたしますと同時に、当庁の方針大蔵省のほうに反映させる、こういう業務でございます。  それからその次に書いてございますが、特別研究促進調整費でございます。これは予見しがたいような緊急の事態に備えまして、急速なる研究を展開しなければならないという場合に備えるために、三十五年度から計上されたものでございまして、この経費を配分いたしまして、関係各省に移しかえまして、緊急な研究に備えております。三十五年度、三十六年度は二十二ページ、二十三ページにあげてございますが、二十四ページに三十六年度予算の一部までしか書いてございませんが、なおこのほかに四つ課題の移しかえが決定されております。  それから次は、所管研究機関につきましての管理でございますが、二十五ページにございます航空技術研究所でございます。これは昭和三十年度に総理府に設立された研究機関でございまして、航空関係は、御承知のとおり、通産省、運輸省、防衛庁、文部省というふうに、広く所管が分かれておりまするが、研究は大体共通な点が多うございまして、しかも航空研究多額経費を要するということから、総理府に一カ所だけ航空研究所を設けまして、多額経費を要する設備を利用いたしました研究は、ここを中心にしてやろうというねらいでできたものでございます。順調に発展いたしまして、昭和三十六年度で第一期の計画を終わりまして、昭和三十七年度からは第二期の計画に入るという段階でございます。二十六ページにございますのは、中ごろから下でございますが、金属材料技術研究所でございます。これは昭和三十一年に科学技術庁発足のときに設定された機関でございます。わが国金属材料は、欧米先進諸国のそれに比べまして非常に質が悪いというふうなことから、金属材料は、すべてこの産業の基幹になるものでございますので、これの品質を向上させるための研究をやるために投げられた機関でございます。昭和三十七年度で第一期の計画を終わる予定でございます。これは中目黒にございます。先ほど航空技術研究所は、三鷹にございます。それから二十七ページの下にございます理化学研究所、これは昭和三十三年に当時ございました株式会社科学研究所理化学研究所法によって改組されたことによって生れたのでございます。終戦前には財団法人理化学研究所という名前のもとで、たいへん独創的な研究を続けてきました研究機関でございますが、幸いに特殊法人に改組以来、非常に研究者の気分も明朗になりまして、活発なる研究が展開されつつございます。ここで一番問題なのは、駒込の上富士前にございますが、場所が非常に狭隘でございまして、埼玉県の大和町、俗に朝霞といわれておりますが、そこに移転をする計画でございまして、目下関係方面と折衝しておりますが、大体明るい見通しを得つつある状況でございます。  次に二十九ページにございます新技術開発事業団、これは新技術開発事業団法によりまして生まれました機関でございます。この機関は、研究機関ではございませんが、研究成果でございまして、企業化が著しく困難なものにつきまして、これを企業等に委託いたしまして、その企業化をはかるというための機関でございます。国の研究機関あるいは大学研究機関等で生まれました公共的な研究成果開発するのが主目的でございます。三十ページ、三十一ページに現在まで取り上げました課題が出ておりますが、この機関の生まれましたのは三十六年度でございますけれども、それ以前は理化学研究所特殊法人として生まれましたときに、その事務をあらかじめ行なうことに理化学研究所法で定められておりまして、それが三十六年度に独立することになった、こういうわけでございます。三十五年度までに七課題、ここにございますような開発を今やっております。一部はもう終わったものもございます。  それから次は三十三ページにございますように、多数部門にわたる科学技術試験研究助成でございます。研究助成につきましては、関係各省がそれぞれ専管の事項につきましては実施いたしておりますが、各省に広くまたがるようなもの、あるいは各省に広く共通しますような基礎的諸問題等は、科学技術庁のほうで研究助成を行なうことになっております。現在三十三ページにございまするような水質汚濁防止に関する研究大気汚染でございますが、大気汚濁に関する研究人工降雨に関する研究、こういうふうな研究を委託し、あるいは補助によりまして研究推進をはかっております。  それから三十四ページにございますが、発明実施化試験補助金でございます。発明奨励関係業務は私どものところで分担しております。一つ発明実施化試験補助金という制度でございまして、二千五百万円あまりの予算でございますが、これを全国の発明者の中で適当な方にこれを配分いたしまして、独創的な発明をさらに助長するということでございます。  それからもう一つは、三十五ページにございまする発明センター及び開放研究室等援助助成でございます。発明センターと申しますのは、地方発明家のために開放研究設備を備え、あるいは特許公報を備える等によりまして、発明者便宜をはかり、また地方学識経験者指導を受け得るようにした機関でございまして、三十六ページにございますように、京都、広島、新潟、姫路と、こういうところにすでに設置を見、また現在設置中でございます。  次に三十七ページの開放研究室、これはたいへん古いものまで載っておりますが、都道府県の研究機関設備を増強いたしまして、発明者方々便宜に供する開放研究機関設備でございます。  三十八ページ、九ページにございまするのは、科学技術関係功労者につきましての褒章あるいは表彰等の授与でございます。  時間もたいへんございませんので簡単にいたしますが、三十九ページの中ごろから下に技術士制度というのがございます。これは欧米先進諸国ではコンサルティング・エンジニアと称せられておるものでございます。この制度日本もならいまして、科学技術に関する高度の専門的応用能力を必要とする事項につきまして、計画あるいは設計、分析、試験、こういう業務を行ないましたり、あるいはこれらにつきまして指導を行なうというものがこの技術士でございまして、三十二年に公布されました技術士法によりまして定められております。この技術士となるためには国家試験が必要でございまして、科学技術庁におきましてこの国家試験を毎年一回行ないまして、その国家試験に合格した者が科学技術庁に登録いたしますと、初めて技術士という称号が与えられるというような制度になっております。  四十一ページにございまするのは、ちょっと今までのものと変わりまして、これはやはり関係各省科学技術に関する事務統合調整の一環でございまするが、各関係各省政府研究機関研究者海外研究のために留学させるというための予算がございまして、ここにございますような長期、中短期あるいはギャランティ留学、国連というような分類によりまして、各省研究員派遣しております。文部省ではこれとにらみ合わせて国立大学方々派遣をやっておるのでございます。  四十二ページには、同じく派遣でございまするけれども、オーストラリアと日本との間に国際交流をいたしております。こういう方々が交流されております。  それから最後PR関係でございますが、当庁自体にも当局普及室を設けましてPR関係に努めておりますが、そのほかに四十四ページにございます日本科学技術振興財団というものを補助いたしております。この機関は、一昨三十五年に生まれました機関でございまして、民間機関と呼応いたしまして、科学技術に関する振興活動を強力に行ない、また科学技術に関する諸団体の連携をはかりまして、なお産学協同センターあるいは科学技術館設置等PR関係に努める機関でございますが、この機関に対しまして、財団法人でございまするが、これに対しまして援助を行なっております。  大へん長時間かかりましが、以上でございます。
  8. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に原子力関係について説明を聴取いたします。
  9. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 私、原子力局長でございます。  お手元にお配りしております資料によって御説明申し上げたいと思います。  まず、私ども関係のほうといたしましては、何といっても一番大きいのは原子力研究所関係でございますが、これは五十二ページに日本原子力研究所というのがございます。この日本原子力研究所におきましては、現在は、すなわち三十七年の二月現在で、資本金が約二百二十一億入っておるわけでございます。人につきましても千三百四十七名というふうになっております。そこでは御存じのとおりにJRR−1からJRR−4というような炉が設置されるということになっております。その一つ一つの炉につきましては、四十七ページのほうの折り込みのほうをごらんいただきますと、上のほうから原子力研究所JRR−1というのが日本で一番初めに臨界に達しまして、一番右のほうに三十二年八月と書いてございますが、臨界に達したところの現在から申しますと、五十キロワット出すというような基礎訓練用の炉でございます。非常に小型の炉ということが言えると思います。  その次はJRR−2、なわち日本原子力研究所炉の二号という意味でございますが、これは皆さんもすでに御承知でございましょうが、CP−5型というものでございまして、一万キロワットの定格の出力を持っている炉でございますが、現在は三千キロワットでもって運転いたしております。近く燃料の装荷をいたしますと、一万キロワットまでの運転はできるという見込みを持っております。  その次がJRR−3、すなわちこれは国産号炉と書いてありますように日本の純然たる国産品ということになっておりまして、これが一万キロワットの出力の炉でございまして、ここに予定は本年の六月と善いてありますが、六月から七月の間に、おそらく七月のころにわたって臨界に達するものだと考えられております。現在炉そものはでき上がっております。  それから次に日本原子力研究所炉の四号、すなわちスイミング・プール型でございまして、これは三千キロワットの最大出力を出す原子力線研究等を行なおうと、その遮蔽等を行なうというための炉でございまして、目下基礎工事と申しますか、そういう基礎的な工事を取りかかろうとしておるのであります。  その次のJPDR、これも同じく原子力研究所に現在建設中のものでございまして、これは電気を出す炉でございます。電気出力は二万二千五百キロワットでございまして、これがおそらくは日本において初めて原子力によるところの発電をすることに相なるだろうと思います。と申しますのは、臨界が本年の十一月になっておりますが、十一月から十二月のころに臨界に達するものと思いますので、これは発電いたしますから、初めての発電炉になろうかと思います。これは日本原子力研究所の炉でございますが、ここの炉の一覧表のついでをもちまして、あと原電の発電炉、すなわち原子力発電株式会社の発覚炉が現在東海村に建設中のものでございます。それに立教の研究炉、これは臨界に昨年達しました。近畿大学研究炉、これも臨界に昨年達しました。それから五島育英会の研究炉、日立の研究炉、日立の研究炉も昨年臨界に達しました。それから東芝の研究炉は今月中に、臨界に間もなく達する見込みでございます。そういうふうなことになっておりまして、この東大研究炉と書いてございますが、これはミスプリントで恐縮でございますが、京都大学でございます。関西の研究炉と言われております京都大学研究炉でございます。これは現在原子力委員会において安全審査中でございます。  以上が、大体日本における炉の設置状況でございまして、日本原子力研究所は、そのうちJRR−4四基とそれに発電炉一基、五基を持っているということになります。したがいまして、炉を使うところのいろいろの原子力関係試験研究をしているというのが日本原子力研究所の事業内容でございます。  その次には、五十四ページ、原子燃料公社でございます。原子燃料公社は御承知のとおりに、人形峠を中心といたしましてウラン鉱の探鉱に当たっておる、ウラン鉱を探しておるわけでございますが、ここの三十六年度末の資本金は五十三億六千万円と、中ほどに書いてございますが、なるはずでございます。人員は五百二十六名ということでございます。そのほか、山形県あるいは岡山県——これは人形峠は岡山県と鳥取県の境目でございますが、岡山県等におきましてそれぞれ探鉱をやっております。それからまた東海研究所の隣に、すなわち東海村の原子力研究所の隣に製練所を持っておりまして、原子燃料公社が製練所を持っておりまして、そこで本年は金属ウラン約十五トンを製錬する予定でおります。これは人形峠の鉱石も、もちろんその一部になりますが、これはほんのわずかでございまして、ただいまのところは、大部分は外国からのイエロー・ケーキという形のものを持ってきまして、それから製練をしていくという仕事をやっております。もっぱらもう原子燃料の研究、あるいは今の探鉱、あるいはイエロー・ケーキを輸入して製練をやっておるというようなところでございます。  それから次には、五十五ページに、放射線医学総合研究所、これは御案内のとおりに千葉県にございますが、放射線医学関係のいろいろな研究をやっておりまして、日本でここにしかないというような、いろいろな施設等をやっております。ここの人間は二百九十五名、中どほに書いてございますが、二百九十五名。そして三十二年の七月発足しまして、三十六年度までに約二十五億円を支出してあるという、これは国立の試験研究機関、すなわち私のほうの試験研究機関でございます。  それからそのほかには、五十七ページに放射能対策というのがございますが、これは御存じのとおりに、昨年の九月ソ連が核爆発の実験を再開いたしまして、その十月三十一日には放射能対策本部というものを内閣に設けられまして、その庶務関係はすべて原子力局が取り行なって、今日に至っているわけでございます。この関係で大部分の府県に対しまして、すなわち二十四都道府県に対しまして調査網を張っておりまして、そこでいろいろなデーター、すなわち野菜、水等を取りまして、その中に放射能がどのように入ってきているのか、放射能降下物がどう入ってきているかというようなことを検査いたしております。そして、その分折の結果を過去五回にわたりまして—原則としては毎月一回の割りで発表しております。現在のところは、さほど心配する状況にはないということは申し上げることができようかと思います。そのほか民間あるいは国立の研究機関等に対しましていろいろ研究の委託、あるいは補助等をいたしておりまして、原子力の研究にあるいは調査等につきましては、すべて原子力局が一括して予算を取って、これをそれぞれ必要な個所に配分しておるというのが現状でございます。  非常に簡単で恐縮でございましたけれども、以上でもって原子力局の所掌の概要について御説明申し上げました。
  10. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最後に、資源局関係について説明を聴取いたします。
  11. 黒沢俊一

    説明員(黒沢俊一君) 資源局長でございます。  お手元の六十ページから御説明申し上げます。資源局におきまして所管しております事項は、第一が資源の総合的利用方策調査でございます。第二に海洋科学技術審議会というものをやっております。最初の資源の総合的利用方策調査一般に関しましては、付設されております資源調査会と共同いたしまして調査業務を進めております。この資源調査会と申しますのは昭和二十二年に当時の経済安定本部に設置されたものでございまして、それが経済安定本部の廃止に伴いまして総理府資源調査会となり、さらに昭和三十一年に科学技術庁が発足いたしましたときに、事務局が内局に繰り込まれまして、資源調査会はその付属機関となったわけでございます。  ここにございますように、資源と申しましても相当広い範囲を取り扱っております。土地、水、森林、鉱物、海洋、あとずっとここに善いてございますような、全部で十三種の部門にわたりましてその総合的利用方策調査をやっております。それからもう一つ、別に資源統計課というのがございまして、この資源統計課におきましては基礎統計並びに資料の作成確保等をやっているわけでございます。昨年度いたしましたおもな業務といたしましては、六十ページの下にございます資源調査会勧告第十号、液化石油ガス利用合理化に関する勧告、それから六十一ページにございます報告第二十号といたしまして、農村における保健福祉の向上と生活環境の改善に関する基礎的報告、こういうようなものを出しております。それから資源局資料といたしましては、ここに書いてございますが、都市の発展と資源問題、以下ずっとここにございますような、主として土壊調査並びに今後の発展の方向というようなものについての調査をいたしております。それから六十二ページに参りまして、資源統計課の統計資料でございますが、「流域別一次利水の概況」以下、ここにございますような統計資料を出しております。昭和三十七年度の事業計画は、前年度に引き続きまして、資源の総合的利用方策についての調査を次のような区分けに従いまして進めていくことにしております。  なお、六十三ページに「今後の問題点」と書いてございますが、資源調査会が昭和二十二年にできましたときには、日本は敗戦直後でございまして、人口が七千八百万、これをどうして復興させていくかということが大きな命題でございましたが、今日ではすでに九千五百万の人口に近づいておりまして、やがて一億をこえることは当然であります。科学技術の進歩も非常に著しいものがございますし、全体の資源の利用の方法もだいぶん変わって参りましたので、そういう技術の革新並びに貿易の自由化というようなことに対処した国内資源の有効な上手な利用方策というようなことにつきまして相当大きな変化が予想されますので、そういう系統のことを調査して参ろうと思っております。  最後に、六十四ページに、「海洋科学技術審議会」というのが書いてございますが、これは昨年、昭和三十六年の十月二十五日に諮問第二号の「海洋科学技術推進するため緊急に行なうべき重要な研究及び調査について」という諮問につきまして答申を行ないまして、その趣旨に従いまして、三十七年度予算要求の中に、この答申に従って重点的な項目が盛られております。なお、この諮問第二号と同時に出されました第一号「海洋科学技術推進基本方策について」ということに関する調査を現在進められておりまして、大体本年度中に答申が行なわれる予定でございます。  なお、この海洋科学技術審議会事務は、ここにございますように、予算としてはごくわずかでございますが、関係の方面は水産庁、気象庁、海上保安庁あるいは通産省の地質調査所、防衛庁、文部省、それと科学技術庁というような多方面にわたっているわけでございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  12. 森八三一

    委員長(森八三一君) 以上で科学技術庁各局別の所掌事務説明は終わりました。  御質疑のあります方は、順次御発言を願います。
  13. 近藤信一

    ○近藤信一君 今いろいろと各局部にわたる御説明をお聞きしましたが、その中で二、三点ちょっとお尋ねしたいと思います。  計画局関係でまずお尋ねしますが、非常に今国際的に科学技術の問題は重要な点になってきておりまして、特に今宇宙科学の問題が国際競争みたいな形で各国でなされておる。この中にも今御説明がございましたように、宇宙科学研究費による気象観測だとか、または人工衛星の計装に関する委託研究、こういうようなことがございますが、一体わが国においてこの点、どの程度まで今日研究が進んでおるか、この点についてお尋ねいたします。
  14. 杉本正雄

    政府委員杉本正雄君) 現在わが国が、今後宇宙開発推進をどういうような方策でやっていくかということに関しましては、宇宙開発審議会でもって審議中で、近く答申が出る予定でございますが、現在のわが国におきます宇宙科学技術に関します研究状況を申し上げますと、まず普通宇宙空間科学と呼ばれる分野でございますが、宇宙空間におきます物理的な現象、たとえば電子の密度と申しますか、電子温度という言葉を使います。そういうような天文学的な物理現象に関します観測が東大の生産技術研究所の糸川教授が開発されましたロケットを使いまして、また同時に天文台から従来の天文学的な方法を使いまして共同して進められております。さらに外国の人工衛星、たたとえば通信衛星というものに関しまして、電波をとらえるというような試験設備につきまして、目下準備をしておりまして、これは郵政省の電波研究所中心でございまして、ただいま直径三十メーターのおわん型のパラボラ・アンテナを建設中でございます。ロケット自体に関しましては、糸川教授のロケットがカッパー9型と申しまして、まだ実験の数は少ないのでございますが、最高に飛びました場合に高度三百五十キロ程度を記録しておるわけでございます。これに関します技術は相当進んでいるというふうに考えられております。そのほか外国でやられております宇宙生物学また宇宙医学という面に関しましては、まだ日本では調査の段階でございまして、実際に研究されていないと申し上げてもいいのでございます。非常に雑駁でございますが、大体の概要はその辺でございます。
  15. 近藤信一

    ○近藤信一君 御承知のように、やはり今ソ連、アメリカでは人間衛星が打ち上げられて、盛んに研究しておるわけですが、これは予算面にも相当大きな影響があるわけなんですけれども日本の今日の現状で、まあアメリカやソ連がやっておるような財源的な問題もありまするけれども、やはり大じかけな研究といいますか、そういうことはなかなか困難であろうと私思うのですが、その点いかがですか。
  16. 杉本正雄

    政府委員杉本正雄君) そのことに関しましては、宇宙開発審議会審議中でございますが、純粋な科学的な研究につきましては、ロケット並びに気球を使いまして、さらに外国で打ち上げました人工衛星からのデータを地上でキャッチするというような方法、それから人工衛星それ自体、これは応用面では気象衛星通信衛星というようなものがおもなるものでございますが、それに関しましては、打ち上げますロケットを考えますと、非常に多額経費を要します。ただし、その人工衛星の中に積み込みます計器類、これは高度の電子技術を利用したものでございますが、そういうものに関しましては、相当日本でも人的にも財政的にも開発の可能性があるのではないか。そういうふうな分野の開発を当分——数年間続けると考えますと、これが大ざっぱな概算でございますが、年に数十億という程度予算でもできるのではないかというふうに考えております。
  17. 近藤信一

    ○近藤信一君 原子力燃料公社関係でちょっとお尋ねするのですが、先ほどの御説明で、今わが国のウラン鉱は人形峠、それからもう一カ所ございましたが、二、三カ所でウラン鉱が今日まで試掘をやられたわけなんですが、一体どれくらい日本にこの資源としてウラン鉱があるのですか。
  18. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) お答え申し上げます。現在までのところ、つかまえておりますと申しましょうか、まだこれからもいろいろ発見するわけでございますが、現在までに確定しているところの鉱量というものは、大約二百万トン近くあるんじゃなかろうかということでございますが、その中に今度それを粗製練して、物になるというふうなものになりますと、ずっと少なくなりまして、三十万トンぐらいのものではなかろうかということになっておりまして、それはどういうことかと申しますと、要するにウランが、ウラン鉱の中に何パーセント入っているかということによって、粗製練にかかるか、かからないかということがきまってくるわけでございまして、日本の場合におきましては、残念ながら外国に比較しまして品位が低い。国際的な状況からいきましたら一応〇・一%ぐらいのものがなければならぬのでございますが、日本におきましては、それよりも多少低くなっているというようなことでございますので、今申し上げたような大体どれくらいはあるかということをつかみましても、それを確実に粗製練に持っていくこというとになってきますと、非常に少なくなってくるというようなわけでございます。
  19. 近藤信一

    ○近藤信一君 今の御説明でいきますると、ウラン鉱は、あることはあるけれども、その含有量が非常に少ない。研究期間中はそれでもよろしいが、実際これが原子力発電云々ということになって参りますると、どうしてもこれは外国から輸入しなければならぬと、私は思うのです。そうした場合、はたして電力関係等において商業ベースにのり得るかどうか、この点、私非常にむずかしいのじゃないかと思うのですがこの点いかがですか。
  20. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 御指摘のとおりに、外国におきましてウランは多少生産過剰ぎみにあると申しますのは、今まではおそらくは大国といわれておるところのアメリカ、英国ないしはフランス、ソ連等におきましては、原爆の材料として相当消化していただろうと考えられるわけです。それが一応一巡した形におきまして、もっぱら平和利用としての発電のほうに向けられるウランということになってきますと、ただいま申し上げますように、生産過剰ぎみにある。したがいまして、値下がりの傾向にございます。そこで燃料公社の現在人形峠から掘り出している、これはわずかの試験的な採掘でございますが、その鉱石によりますものは、世界の相場との比較においては、やはり高くなっておるということはいなめない状況でございます。しかしながら、この考え方でございますけれども、世界のウランの値段が安いから、どんどん入れたらいいじゃないかという考え方も、もちろんあろうかと思います。自由化の時代になってきておるからであろうかと思いますけれども、一方ではやはり国産化ということを考えていきますならば、現在やっている製練の方法等を、もっとコスト・ダウンできないかどうかというようなことの研究を絶えず続けていくべきでありまして、この燃料公社におきましては、人形峠においてまず採掘の方法を水力等によってやる、あるいは二段に分けて、いわゆる二段採掘というものによるということにして、採掘費をまず下げていく。それから次には、やはり東海研究所におきまして、製練の技術をもっと高度化していくというような努力を絶えず続けておりますので、先行き非常に憂慮すべき状況にあるとは考えておりません。
  21. 近藤信一

    ○近藤信一君 その次に、技術関係についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、科学技術の問題については、いろいろと多方面にわたって研究されることは当然でございます。非常に困難な点がございまするが、特に今この御説明の中にもございますように、7、科学技術試験研究(多数部門)のうちの三十六年度、予算云々と書いてある、その中に水質汚濁、大気汚濁人工降雨、これらたくさんあるわけなんです。そこでやっぱり、こういう大気汚染問題等が、今後非常に大きな問題になってくるんじゃないかというふうに私は思うんですが、ここに人工降雨なんてありますけれども人工降雨の問題については、これは数年来いろいろ新聞にも出ておりますが、一向に早天に雨が降ったというようなことも、あまりその後実験されていないので聞かないわけなんですが、特に大気汚染の問題では、やはりこれは人体に及ぼす影響も大きい問題があろうかと思うので、こういう点一体今日までどのような研究がなされておるのか、またどの辺まで進んでおるのか、この点、一点お尋ねいたします。
  22. 前田陽吉

    政府委員前田陽吉君) お答えいたします。お尋ねの人体に及ぼす影響と申しますのは、原子力関係の意味でございましょうか。
  23. 近藤信一

    ○近藤信一君 そうでございます。
  24. 前田陽吉

    政府委員前田陽吉君) 原子力関係のものは、原子力局のほうでいたしておりますが、ここは煤煙の問題でございますとか、あるいは亜硫酸ガスその他の有害ガス等の問題を対象にいたしておるわけでございまして、関係各省でもこういう研究をいたしておりまするけれども、当庁で所管いたしております問題は、基礎的、共通的問題といたしまして、煤塵その他の捕集方法でございますとか、あるいは有害ガスの測定方法という基礎的、共通的な問題に限っていたしておるわけでございます。
  25. 近藤信一

    ○近藤信一君 参考人が今来ておられますので、あと法案審議の問題があるから、あと一点お尋ねしますが、今非常に産業の発展と同時に地下水問題が非常に問題になってきていると思う、各地において。工業地帯においては地盤沈下の問題が方々で問題になっているのですが、この地下水の問題について、今いろいろと研究もしておられるでしょうが、この点はいかがですか。
  26. 黒沢俊一

    説明員(黒沢俊一君) 地下水の件につきましては、資源調査会の中に防災部会の地盤沈下小委員会というのがございます。それから水部会の中に水文資料委員会というのがございまして、地下水の行動並びに地盤沈下の問題という関係をいろいろ資料を集めまして現在攻究中でございます。まあ多少応用部門になりますと、この知識を使ってもらいまして、経済企画庁の中に地盤沈下審議会というのがございまして、そちらのほうにも参加いたしております。科学技術庁の次官がその審議会委員になっておりますが、科学的データは資源局で集めましたものを持っていっております。
  27. 牛田寛

    ○牛田寛君 先ほど概略御説明のございました二、三の点について、詳細はまた別の機会にいろいろとお伺いする機会があろうと思いますので、概略の点を二、三伺っておきたいと思うのですが、原子力関係について御説明のありましたように、だいぶ原子力建設も進んで、運転も始まってきているわけでございます。それから原子力平和利用の関係については、放射性同位元素、それからアイソトープの利用が非常に進んできているようでございます。それに関連しまして、先ほどの御説明の中には具体的にその計画が見えてなかったのでありますが、放射性廃棄物の処理の問題、これは将来非常に重要な問題になってくると私は考えておるのでございますが、この点について具体的な御計画があれば承っておきたいと思います。
  28. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) お答えを申し上げます。従来は炉の稼働によるところの廃棄物というよりも、アイソトープの利用によるところの廃棄物というのが主でございましたが、東京地区と申しましょうか、関東地区一円におきましては東海研究所の中に廃棄物の処理施設を持って、そこへ集めております。また関西地区におきましては大阪のほうにそのような施設を持ちまして、そこで廃棄物の処理をしております。本年度御審議を願っておりますところの予算におきましては、九州地区におきまして九州大学の構内を予定しておりますが、そこに同様の廃棄物の処理施設を置く予定になっております。しかし、これは主としてアイソトープ関係のものでございますから、炉から直接出るところの廃棄物の処理につきましては、もっぱら原子力研究所の中に大きな廃棄物の処理施設を拡張いたしておりまして、そこで処理をするというふうに考えております。その工事は進捗しつつありますが、将来にわたりまして、これを永久にいかに廃棄するかというようなことが次には問題になろうかと思いますが、それにつきましては、目下原子力委員会の中に廃棄物の処理専門の委員会を持っておりまして、そこで研究いたしておるという状況でございます。将来と申しますのは永久廃棄でございます。永久廃棄につきましては、その方法等についてはただいまのところは専門委員会において審議している。ここさしあたりは、今申し上げました三カ所のアイソトープ関係の施設と、原子炉による廃棄物の処理施設でもって間に合うという計画になっております。
  29. 牛田寛

    ○牛田寛君 今のお話は、アイソトープの利用による廃棄物が大部分ということを承ったのですが、アイソトープを利用する利用者ですね、利用者というものは、全国に分散していると思うのです。廃棄物を東京に一カ所あるいは関西に一カ所、九州に一カ所、そこにまとめるという話ですが、広く分散している利用者からそういうところへまとめるということ、これは一つの大きな仕事になるんじゃないか。現在はどういうふうにこれをおやりになっておりますか。
  30. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 現在は放射性同位原素協会というものがございまして、その放射性同位原素協会に国といたしましては補助金を出しております。そうして全国およそ九百カ所以上にわたりますが、現在アイソトープを使用しているところ、そこのところから集めるには、ドラムカンを渡しておきまして、その利用者のところからそのドラムカンに詰め込みまして送ってもらう。先ほど申し上げました関東地区一円におきましては東海研究所の構内、関西一帯にわたりましては大阪のほうに送ってもらう。これはドラムカンによって送ってもらうというふうな処理になっております。
  31. 牛田寛

    ○牛田寛君 時間もございませんようですから、また次の機会に詳細伺いたいと思いますが、今の話ですと、廃棄物処理の集める機関としてはアイソトープ協会、私の承知しているところではアイソトープ協会は東京にあるのです。九百カ所もあるような利用者、しかも全国に分散している。それをどのくらいの間隔でお集めになるのかしりませんが、全国で三カ所しかない、そこにドラムカンで集めると言われているが、原子力研究所の内部あたりの廃棄物処理の処理方法、あるいは会のシステム、そういうものは非常に完備されておって、模範的であるからということで、私も拝見するわけですが、各大学研究室であるとか、あるいは病院であるとか、その他の研究室の研究者も、そういう研究室においてはそういう管理あるいは廃棄の技術的な問題については非常に問題があると思う。それで私もあるいは年に何回集めるかわかりませんが、そういう同位原素協会というものがただ補助金をもらってやっているということでは、これはどんどんアイソトープの利用が加速度的に伸びていく現状においては、もう実情を私も詳細調べておりませんから、申し上げられませんが、かなり危険な状態になるんじゃないかと思うのです。ただいまのお話ではその点について非常に心もとない感じを持っているのです。もちろん原子炉の設置もけっこうです、アイソトープの利用も非常にけっこうであるけれども、一番被害を公衆に及ぼすのは廃棄物処理ですから、その点について今年度の予算面にもそういうふうな具体的な計画が現われていないということは、非常に原子力の政策として欠陥の一つであろうと思いますので、この点についてもう少し御研究なり推進なりを希望しておきたいと思います。これで終わります。
  32. 森八三一

    委員長(森八三一君) 所掌事務説明に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  前回の委員長及び理事打合会の協議に基づきまして、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に関して、日本原子力研究所理事長菊池正士君を参考人として本委員会に出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお手続等につきましては委員長に御一任を願います。   —————————————
  35. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案(閣法第五九号)(衆議院送付)を議題といたします。  本案については先月二十日提案理由の説明を聴取しておりますが、本日は菊池日本原子力研究所理事長より日本原子力研究所の概要について説明を聴取いたした後、質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。  では説明を願います。日本原子力研究所理事長菊池正士君。
  37. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) 原子力研究所一般的な状況につきましては、ただいま杠局長からかなり詳細にわたりまして説明がございましたので、重複のないようにしたいと存じますので、その点は省かせていただきます。  今要点々々を申しますと、現在三十六年度末における人員が千三百三十七名、そのうちの約九十名が東京におりまして、あとの千二百四十五名が東海研究所におります。その内訳は大体研究部門が四七%、研究サービス部門が二三%、研修所部門が二%、事務部門が二三・五%、建設部門が四%というような割合になっております。  で、その事業内容を簡単に申し上げますと、先ほど話がありましたように、炉の建設ということが一つの重要な仕事になっております。これはできました炉をいろいろな研究に使うのがもちろん主要な目的でございますが、実は炉の建設そのものが日本ではまだ建設経験が少ないので、その一つ一つの炉の建設が、これまた一つの大きな研究対象ともなるわけでありまして、そういう意味で、先ほど説明のありましたJRR−1から4までの建設、あるいはJPDRの建設は、われわれの新しい研究にとっても非常に重要なものとなっております。それからそのほかの、さらに原子炉の問題といたしましては、今日の発電コストはまだ必ずしも十分に低くなってない。したがって、今後さらに原子炉を改良していきまして、原子力の利用をもっと経済的に安いものにしていくというために、原子炉についての研究が行なわれております。で、これは将来、現在あるのとは別な新しい型の原子炉をだんだんと考えて作っていこうという意味で、原子炉開発の問題、これがわれわれの東海研究所における主要な研究テーマをなしております。それから今の原子炉の開発をめぐりまして、いろいろ工学部門、物理部門、化学部門、その他広範な基礎研究部門を擁しておる次第でございます。  それからそのほかに、研究所仕事としましては、ラジオアイソトープの利用が最近非常に盛んになっておりますが、これは現在まではほとんど全部が外国からの輸入に待っておりました。したがって、非常に周期の短いものとか、そういうものの利用に不便を感じておりましたが、三十六年度に原研の二号炉も完成いたしまして、相当強いアイソトープが作れるようになりまして、三十六年度から試験製造を開始しております。そうして三十七年度の予算ではさらに大きなアイソトープの製造工場をお願いしておる次第であります。それができますと、ラジオアイソトープの国内生産が可能になるわけであります。  それからそのほかに、技術者の養成、つまり研修所が二つございます。ラジオアイソトープ研修所及び原子炉研修所の二つでございますが、ラジオアイソトープ研修所、これは東京にございますが、これはもうすでに八百人近く研修生を出しておりますが、うち百名は東南アジアから来ました学生でございます。これは国際原子力機関のスポンサーによって、こちらでもって引き受けてそれをやっております。原子炉研修所のほうはまだ比較的新しいので研修生は百名に達しておりません。  それからそのほか、放射線の一般の活動を安全に行なうための放射線管理の問題、これは管理すること自体非常に一つのむずかしい問題でありまして、いろいろな技術を開発する必要もございます。そういう意味で相当大きな放射線管理の部門及びそれに伴う放射線管理研究部門が設置されております。現在東海研究所における研究の状態はそういう状態でございます。  それで、このたび放射線化学研究所の問題が出てきております。この問題は東海研究所は主として原子炉を中心とした研究に使っておりますが、もう数年前から、この原子炉ができて参りましたころから、この原子炉によってできた非常に強いラジオアイソトープを利用したり、あるいは原子炉内部におきまして強い放射線を使いますと、これが一つの触媒作用をいたしまして非常におもしろい化学反応を起こす。化学反応は普通薬品を混ぜること、それから温度を上げたり下げたり、温度による調節、それからもう一つは圧力による調節、この三つのものによっていろいろな種類のものを作ったり、分解したりするわけでございますが、そのほかにもう一つ、放射線の触媒作用を使うという方法がここに新しく開けてきたわけでございます。それでこれをやりますといろいろ新しい物質ができます。ことに高分子のいろいろな物質につきましてそれを当てますと——高温度に上げますと、すぐぐにゃぐにゃになるようなある種の合成樹脂に放射線を当てますと、温度を幾ら上げても形がくずれないというようなこと、あるいは表面の印刷を幾らしても、すぐはげてとれるというような物質に、表面の処理を放射線でいたしますと非常に印刷がよくなる。その他合成樹脂関係ではこの放射線によって非常に性質の変わったものができるという理屈がわかって参りまして、各国とも非常に強力な研究体制をとって進めております。日本におきましてもこの種の基礎研究は各所で行なわれておりますが、そう大規模な研究所はできておりませんので、このたび、この放射線化学中央研究所によってこの研究を進めていきたいというのが、われわれの希望するところでございます。  大体以上が概略でございます。
  38. 森八三一

    委員長(森八三一君) 以上で説明は終わりました。これより日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  39. 近藤信一

    ○近藤信一君 今回の改正は、原子力研究所内に新しく放射線化学中央研究所を設けるために、その所長に充てる理事を一名増員するということになっているようであります。わが国における放射線化学の開発については、その研究の進んでいる割に実用化の点で諸外国におくれていることは当然だと思うのです。原子力開発の長期計画においてもその開発を強力に推進する必要性のあることが述べられております。そこで原子力年報によりますると、わが国における放射線化学の研究は三十一年頃から始められて、現在日本放射線高分子研究協会、それから名古屋工業試験所、理化学研究所、その他民間企業等でそれぞれ調査研究が行なわれていることでございます。今回原研内に設立しようとしている放射線化学中央研究所でやろうとしておることは、既存の研究所でやっていることとどのような相違点があるのか、特にこの研究所を設立せなければならない理由というものが何であるか、この点についてまずお尋ねいたします。    〔委員長退席、理事横山フク君    着席〕
  40. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今、御指摘のように、各研究所で活発にやっておるのですけれども、まだ工業化というものを目標にした開発研究ということはほとんど緒についてない。それから大きな線源、コバルトでありますとか、こういうものも設置されていない。今菊池さんのところにあるのは一万五千くらいのものである。そういうものでありますために、放射線工学あるいは線源の開発研究、こういうものがもう少し大じかけにしないと、今のままではいけない。工業化を目標にした中間規模の試験、こういうことで、こういう研究所が必要であるということで、今回放射線化学中央研究所を作ろうということになったわけでございます。
  41. 近藤信一

    ○近藤信一君 今度特にこの研究所が必要になった理由はどこにありますか。
  42. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今申したように、いろいろ民間研究あるいは大学などでやっておるのですけれども、規模が小さい。だから今の研究をもってしては工業化という段階まではなかなかいかない。各国に見ましても、相当アメリカでも、イギリスでも国立研究機関で大じかけにやっておるのですから、どうしてもここで国の機関としてこういうものを作って、強力に推進することが必要であろうという判断に基づいたものでございます。
  43. 近藤信一

    ○近藤信一君 長官も、昨年は科学技術の国際会議に出席されて、いろいろと各国の情勢もよくお調べになったことと思いますが、放射線化学といいましても非常に範囲が広いわけなんです。その広い範囲の中で、特にこの研究所で重点を置いて研究をしようとする内容というものは一体どこにございますか。
  44. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 当面の重要研究としましては、ポリエチレンの合成、それから人造繊維の改良、プラスチック合成の研究、こういうものを主たる研究の題目にしたいと考えております。
  45. 近藤信一

    ○近藤信一君 放射線化学中央研究所人員予定を見ますると、三十七年度に二十一名、計画の最終年度たる四十年度には二百四十名ということになっております。最近の技術者の求人難の際にあたって、優秀な研究者を充足することは非常に困難だと思います。特にここ数年前に、原研でも非常に給与が低いということで問題になったこともあるのですが、この研究者を今後こういうふうに集めようとするときに、非常に困難が私は生ずると思うのですが、どういうふうな方法でこの研究者を集められる御予定でございまするか、その点をお尋ねいたします。
  46. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) この研究所は基礎研究を終えた者が工業化の研究をやろうというので、非常に興味のある研究所であることは事実でございます。そこで積極的に新規卒業生も採用いたしますが、民間あるいは既設の研究所、あるいは大学、こういうものの協力というものが得られるのじゃないか。また、そういう団体の強い要望からもこの研究所が生まれたのでございます。だから、できるだけ新規の採用を積極的にして技術者を養成したいとは思っておりますが、今言った民間からも積極的な協力を得たい、得られるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  47. 近藤信一

    ○近藤信一君 この前もちょっと新聞にも出ておりましたが、原研で一人行方不明になったというような問題もあるわけであります。環境的にはいいかもしれませんが、非常に何といいますか、さびしいような、また施設の面、そういう面なんかを、これはもっと考えなければ——施設を十分に考慮しなければなかなか研究者というものも集まって来ないというふうに私は思うのであります。特に向こうでずっと居住する施設というふうなものも考えなければならない。聞くところによれば何か東京に住宅があって、週に一回、また二週に一回ぐらい帰って来るというふうなことも聞いているのですが、この点はいかがですか。
  48. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 大部分は、今菊池理事長の御説明の中にもありましたが、東海村に住んでいるわけであります。一部の者が東京に居住して通っている者もあるわけでございますが、お話のようにやはり研究者のために環境的な条件をよくして、とにかく環境もいいし、施設もいいということで、研究者の意欲を満足させるようにしていかなければならない。そのためにはいろいろ改良する余地があるのであります。それで都市計画といいますか、そういうものにもひとつ取り組んでみたいというので、茨城県庁にそういうものを置いたらどうか、政府も協力しよう。そうしてあそこの環境的な条件を整備していこうということを強く考えているわけでございまして、いろいろ改良を加えていきたいと思っております。
  49. 近藤信一

    ○近藤信一君 外国では、私も外国に行っていろいろと調査しました点で思いつくわけでありますが、研究者、特に科学者は相当まあ給与なんかでも、いい給与をもらって生活しているわけであります。ところが日本研究機関というものはその点、予算の面もございましょうが、非常に給与面なんかにおいても低いのじゃないかというようにまあ私思うのです。この点、研究者研究に専心するという点からいけば十分にそういう何といいますか、生活に心配のない、これがあって初めて、その研究に取っ組んでいくことができると私は思うのです。その点私、日本の科学研究者については、非常に諸外国から比較すると安いようにも思うのですが、将来この点何か長官のほうで考慮しておられるような向きがあるかどうか、この点お尋ねいたします。
  50. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) まあお話のように、日本が科学とか文化だとかいうものに対してペイする仕方が少い、全般的に。そういう点で科学者などに対してもかけ声はあっても、実際はそれに沿うてない。しかし、まあ国立研究機関とか、まあ民間のほうは別として、国が関与しているものは、今日の給与体系という壁があるわけです。何とかしてこれを改善したいというので人事院なども人事官に今度技術者から一人入ってもらって、そしてこの給与体系の中から、そういう科学者を優遇したりするようなことを人事院としても検討してもらう。こちらのほうとしても人事院に対しても強く、給与の勧告を出す場合に、そういう研究者優遇ということを強く言っているわけで、多少はよくはなったのでありますけれども、しかし、まだまだ民間あるいは大きく言って諸外国のそういう研究者の待遇に比べると、非常に日本は貧弱であります。これはやはり研究者などに対しては、能力給的な考えが打ち立てられないと、なかなかだれでもというようなことになってくると、一般のバランスもありますし、事務的な人も一緒に研究の面についても協力しているのですから、少し能力給的な考え方を打ち立てたいということで検討を加えております。まあそういうことで、今後研究者というものを優遇する処置を講じていきたいと考えております。    〔理事横山フク君退席、委員長    着席〕
  51. 近藤信一

    ○近藤信一君 この前、原研法の改正によりまして、理事数を五名から六名に増員したのは、たしか三十四国会であったと私思うのです。そのときの会議録によりますと、将来原研の機能が大きくなっても、理事数は増員した六名で十分である、こういったような御答弁がなされたわけなんです。そのとき以来、そう年月も過ぎていないのでございますが、今回またここに理事一名を増加するというのは、放射線化学中央研究所を設立するからということが一つの理由になっておるわけでございます。しかし原研全体の運営が行き当たりばったり的な、計画性に欠けている結果、こういうことになったのではないかというふうに私思うのですが、今度増員する理事の一名はどのような人を持ってくるつもりか、大体の予想がおありだろうと思うのですが、いかがですか。
  52. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) まあ三十四国会でしょう、この一名の増員をしたときに、速記録などもちょっと読んでみました。管理部門が弱体であったので一名ふやしてもらいたい、今お話のようにこれで大体いけるだろうという答弁もしておるようです。しかし、その当時としては、こういう研究所まで設置するという考え方がなかったのです。放射線化学の重要性を認識して、この問題に対して研究もしておったものですけれども、独立した中央研究所を作ろうというところまでいっていなかった。今度そういうものを作りますについては、それに専心できるような理事の一人も置くことがよかろうということで、しかも、その専心できる理事は、今予定しておりますものは、民間から採りたい。民間の産業界におって、しかも、こういう点に知識経験を持つ者を採って、そうしてこれは工業化ということを目標にしておるので、基礎研究ではないのですから、そういう意味で人選を進めて——まだ、この法案ども審議願っておるから、正式というわけには参りませんけれども今内定している人間は適当だ、皆さん方からも適当だということになるであろうという人間を予定しておるわけでございます。
  53. 近藤信一

    ○近藤信一君 政府出資でなされるいろいろな部門があるわけなんですが、往々にして兼務されるような人が、そういう重要な役員に就かれる場合がままあるわけなんです。そういたしますると、やはりその事業に専念してやるということが、役員の職責を果たすということが非常に私は困難であろう、過去にもそういう例がたくさんあるわけなんです。東北開発の問題でもそうでございますが、私はそういうことが心配になる。今、長官からの御説明によりますと、民間からそういう専門的な人を予定しておられるようでございまするが、その民間の事業と兼務というのじゃなくて、専任としてやられる人であるかどうか、こういう点いかがですか。
  54. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今、予定しておる人間は、形式的には多少兼任みたいな形をとるのですけれども、しかし実質的にはこれに専念する、この研究所に。今までのいきさつからも、すぐにそこから手が抜けないので、形式としては残るけれども、実質的にはこれに専念できるということで、こういう人ならよかろうということで、ねらいを定めておるわけでございます。
  55. 近藤信一

    ○近藤信一君 時間もありませんから、あと一点お尋ねいたしますが、放射線化学の研究開発につきましては諸外国において活発に行なわれているようでございます。国立の研究機関で放射線化学の研究開発を行なっている例は、どこかにございますか。
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) アメリカもイギリスも国立の研究機関でやっていると承知しております。
  57. 近藤信一

    ○近藤信一君 それはアメリカ、イギリスの二カ国ですか。
  58. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 私も実は西洋の各国にまだ参っておりませんので、直接に存じませんから、担当の者から今聞いたところによりますというと、大線源ということになりますと、やはり十万キュリーぐらい以上のものということでございまして、この大線源につきましては、アメリカとイギリスの例しか知らない。アメリカにおきましてはプルックヘブンの国立研究所におきまして二百万キュリーのコバルト60の施設を持っておる、それからまたイギリスにおきましてはウオンテージという放射線研究所がやはり国立であります。ところがやはり小線源、それより以下の小さなものにつきましては、それぞれやはりフランス、イタリーその他におきましても国立管理は持っておるというような状況であると思います。
  59. 近藤信一

    ○近藤信一君 その反対に民間でやっているところはどれぐらいありますか。
  60. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 私が承知しておるところにおきましては、民間ではやはりまだ大線源といわれるものは各国とも十分に施設していないというふうに承知しております。やはり新しい科学でございますから、やはり大線源を要するものは国費をもってやっていく、そうして各国ともそれによるところの特許をなるべくよその国よりも先にとろうというような努力をしておるという実情でございます。
  61. 近藤信一

    ○近藤信一君 きょうはこれぐらいでやめます。
  62. 牛田寛

    ○牛田寛君 先ほど長官のお話を伺いまして、今度できる放射線化中央研究所の任務の中心が中間規模試験にあるということであったのですが、現在の原子力研究所の中にアイソトープを研究する部門、放射線応用部というのがあると思うのですが、それとの関係は今後どういうふうになるか、その点をひとつ。
  63. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) 現在東海村でやっております、放射線応用部でやっておる仕事は、これは非常に密接な関係にございます。しかし現在やっておりますのはどちらかといいますと、原子炉に直接関係ある放射線損傷、放射線が当たったためにいろいろな物質が受ける変化——原子炉内でのいろんな変化が起こって参ります。その問題を中心研究をやっております。こういった合成の問題、これから何かそういった生産をやろうといった、そういった方向に向けての研究は東海村としては比較的薄いわけでございます。今回のは、特に放射線化学を応用した工業製品を作っていくというような方向に向かっていくのがこれの目的でございます。しかしその基礎となると、同じ放射線化学的な変化が起こるから基礎的な面では非常に共通な面があります。密接な協力のもとにやっていくつもりでおります。
  64. 牛田寛

    ○牛田寛君 そうしますと、基礎的な面は今までどおり原子力研究所で行なって、応用、特に中間試験研究のような大規模な、いわゆる具体的な応用面を中央研究所でやると、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  65. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) さようでございます。
  66. 牛田寛

    ○牛田寛君 提案理由の説明の中には、そのほかに「放射線源の開発研究、大施設の使用を必要とする基礎研究」というふうに述べられてあるのですが、この点について大規模の施設の使用を必要とする基礎研究、この点については。
  67. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) 大施設を使いますと、非常に放射線の強いものを使いますから、したがって、そこへ近づくわけにいかない、すべてリモート・コントロールでやらなければならない。そうしますと、そのリモート・コントロールのシステムとか、そういったことについての開発が必要になってくる、そういう意味のことでございます。大線源を使うための、いろいろな技術的な線源を使うための技術的な研究が必要になって参る、それも含むということでございます。主としてリモート・コントロールで相当こまかい仕事をやるということの研究になるわけでございます。
  68. 牛田寛

    ○牛田寛君 せっかく長官おいでになっておりますから、大体その機構については了解いたしましたが、大規模な線源を将来取り扱うわけでありますが、現在のところ線源ですね、線源についてはほとんど輸入されているというお話でありますが、このような大規模な施設を持って研究なさるとすれば、当然国内における生産というものも考えていかなきゃならないのじゃないかと思います。その点についての見通しなり、御計画なりについて承っておきたい。
  69. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) 三十万キュリーの線源を予定しておりますが、さしあたりといたしましては、十万キュリー程度のものを輸入する。ところが、このコバルト60のそのようなアイソトープを作ることは、よほど大きな炉を持ちまして、しかもそれを長いこと使う、すなわち普通のコバルトをその中に長いこと照射させておく、要するに専属で使い切るというようなことになりませんと、大線源の国産化はできない。したがいまして現在あるような、備えられているような炉の出力におきましては、ただいま放射線化学中央研究所において施設し、その線源について輸入しようとするようなものの国産化ができる見通しは当分ない。大きな炉が今後作られていきまして、その炉に長く置けるようなコバルトが置けて、そうしてそれが放射性同位元素となるような事情が許されますならば、輸入しなくても国産化は可能であるということでございます。
  70. 横山フク

    ○横山フク君 今の関連で……。今の牛田さんの御質問ですね、せっかく原子力研究所長がおられるのだし、所長が総括されておる放射線化学研究所なんです。ですから、所長から答弁してもらうのがいいと思いますが、同じ答弁になるだろうと思うけれども、やっぱり責任者なんですから、所長から御答弁願いたいと思います。
  71. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) コバルトの、現在この研究所で新しく入れますのは、コバルト60の三十万キュリーですが、コバルト60の生産につきましては、今局長から言いましたように、ちょっと時間がかかるという関係で今生産する目標はございません。しかし、これは別にそうむずかしいものではございませんので、原子炉がそろってきて稼勧始めれば、作ることはそのつもりになればそうむずかしいことではございません。それともう一つは、線源といたしましてコバルト60を使うということは、これは非常な線源の研究でございます。実は線源を安くする研究が必要になりますので、その面からいきますと、コバルト60というものをいつまでも使っていくということは必ずしも有利でございません。で、先ほど話にちょっと出ましたように、二百万キュリーというのは、非常に高線源を外国で使っておりますが、これはコバルト60でなしに、原子炉で燃やした燃料の、使い古した燃料でスペント・フュエル、これを再処理までの期間、寝かしておく期間にこれを使いますと、非常に強いものになります。非常に安くなります。おそらく将来のほんとうの工業化というものはそういう線源で行なわれるのだろうと思います。しかし、線源としては同じガンマー線でございまして、コバルト60と全く同じでございます。ですから、中間試験としてはこのコバルト60を使って、この可能性なり何なり十分検討しておきますれば、あとはスペント・フュエルでやることは比較的容易でございます。将来はその方向に向かうものと私らは想像しております。
  72. 牛田寛

    ○牛田寛君 今の話で大体了解いたしましたが、そうしますと、さしあたって中央研究所で扱われる放射線の強さですね。大体どれくらいのものをお使いになるのでしょうか。
  73. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) 三十万キュリーというのを——それからそのほかに加速器を使いますが、照射する加速器と両方を使っております。
  74. 牛田寛

    ○牛田寛君 その三十万キュリーというのは当分は輸入されると思うのですが、その強さは中間試験とすればやはり次第に大規模になってくると思うわけです。その点についてのお見通しはどうなんですか。
  75. 菊池正士

    参考人(菊池正士君) 中間規模としては三十万キュリーで十分だと思っておりますが、三十万キュリーでなくても、十万キュリーでも中間試験では十分やれると思っております。
  76. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会    ————・————