運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-26 第40回国会 参議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————   委員の異動 四月二十五日委員村山道雄君、田上松 衞君、赤松常子君及び中尾辰義君辞任 につき、その補欠として天坊裕彦君、 松浦清一君、中村正雄君及び白木義一 郎君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村松 久義君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            大倉 精一君    委員           大野木秀次郎君            重宗 雄三君            平島 敏夫君            白木義一郎君            加賀山之雄君   国務大臣      運輸大臣  齋藤  昇君   政府委員    運輸大臣官房長 廣瀬 眞一君    運輸省海運局長 辻  章男君    運輸省船員局長 若狭 得治君      運輸省鉄道       監督局長 岡本  悟君   事務局側       常任委員       会専門員 古谷 善亮君     ————————————— 本日の会議に付した案件木船運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○鉄道敷設法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○船員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 村松久義

    委員長村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。昨二十五日、村山道雄君、田上松衞君、赤松常子君、中尾辰義君が辞任され、天坊裕彦君、松浦清一君、中村正雄君、白木義一郎君が選任せられました。     —————————————
  3. 村松久義

    委員長村松久義君) それでは木船運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。順次御発言を願います。
  4. 大倉精一

    大倉精一君 木船運送法について一点だけ質問をしておきますが、この改正案によって小型海運業に対して登録資格要件がつけられましたが、その資格要件の中で「必要な能力及び資力信用に関する規定を整備した」こうなっておりまするが、「必要な能力及び資力信用」というのは、どういう基準を考えておられるのか、その考え方について一点だけお伺いいたしたいと思います。
  5. 辻章男

    政府委員辻章男君) お答え申し上げます。能力につきましては、大体小型船海運業を営んでおった者、またはその使用人として二年以上の経験を有する者であること、というのが一つ基準でございます。  それからまた小型船海運業者取引関係のありました、たとえば石炭でございますとか、その他の出荷機関海上輸送に関する業務に三年以上経験した者であることというのを一つ能力基準にいたしております。  それから第三点といたしまして、今述べましたような、経験のない運航業者につきましては、その輸送物資について荷主との関係が明確であることというのが、運航業者についての経験のない者についての能力基準でございます。  それから貸渡業者につきましては、船を貸し渡します先の運航業者との関係が明確であるというのが要件でございます。  それから取扱業につきましては、事業計画において集荷能力が確実にあると認められるという点を要件にいたしたいと考えております。  それから資力信用でございますが、資力信用につきましては、船舶の建造費その他小型船海運業を営むに必要な資金手当めどが確実であること、それから過去の経歴から見まして、小型船海運業を誠実に遂行することが期待し得るものであること、というのが運航業、貸渡業についての資力信用の判定の基準でございます。  それから取扱業につきましては、明確な店舗をかまえまして、確実に取扱業の遂行が見込まれる者であること、それから過去の経歴等から見まして、取扱業事業を誠実に遂行することが期待し得る者、そういうふうな基準を考えております。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、たとえば新たにこの業務をやろうという者は、これはどうなりますか。たとえば今の経験のない者、そういうような者の取り扱いはどうしますか。
  7. 辻章男

    政府委員辻章男君) 例をあげて申しますると、今まで経験のない方が小型船建造をして、これから運航業者として発足しようというふうな場合におきましては、一体新しい船でもって、荷主との関係においてどういう荷物を運ぶかということが明確であること。それからその船を作りますについての資金めどが、たとえば中小企業金融公庫から借りるようなめどがはっきりしているとか、その他の金融機関から借りるということがはっきりしております者、そういうふうなこと。それから今までの経歴から見まして、非常に誠実にその事業を遂行することが期待し得られる者、こういうような基準を考えております。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、大体そういうような資格要件の合致する者は無条件に認められるのですか。
  9. 辻章男

    政府委員辻章男君) さようでございます。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 もう一点だけお尋ねしますが、この法律によって新たにそういう資格判断して登録しなければならぬ方はどのくらいありますか。
  11. 辻章男

    政府委員辻章男君) 現在小型船海運業を営んでおられる方々は、すべてこの法律の適用になるわけでございまして、それに付け加えまして、新たに始めようとされる方がこの対象になる。こういうことでございまして、現存のすでに海運業に従事しておられる方々につきましては、経過期間を置きまして、その期間内にこの登録要件に合致した者を登録していく、こういうような考え方であります。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、そういう案件が非常に多くて事務が渋滞するというようなおそれはないのですか。
  13. 辻章男

    政府委員辻章男君) 大体、小型船と申しますと、いわゆる機帆船といわれております木船関係と、それから新しく加えられまする小型鋼船になります。小型鋼船隻数は大体千隻程度でございます。それから木船のほうはトン数で百万トンをこえておりまして、隻数としては約二万隻程度でございます。御指摘のように経過期間中にそれらのものを処理いたしますので、その期間非常に事務のしわ寄せがくるわけでございますが、すでに木船につきましては、こういう能力信用等資格要件は新しく追加されておりますが、従来から登録制度になっておりますので、大体実態も明らかになっておりますので、多少事務は繁忙すると思いますが、何とかやっていける見込みでございます。
  14. 村松久義

    委員長村松久義君) ほかに御質疑もないようですから、これをもって質疑を終局いたします。  これより討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。  別に御発言もなければ、直ちに採決を行ないます。  本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  15. 村松久義

    委員長村松久義君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  16. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、鉄道敷設法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案に対する質疑に入ります。順次御発言願います。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 新線建設の手続について、どうも私は少し釈然としないものがあるのです。というのは、これはあれですか、鉄道建設審議会決定があれば、自動的に取り運んでいかれるというものであるのか、あるいは国会審議を経てやっていかれるというものであるか。当然国会審議を経て進められていくと思うのですが、たとえば、こういう膨大な新線建設提案理由説明を見ましても、はたして各線が必要であるのかないのかということが一つも書いてないのですね。これは国会審議の上において非常に困ると思うのです。鉄道建設審議会は、これこれの線を着工すべきだ、そういうことをきめて、鉄道敷設法改正ということでもって本委員会提案されるのですけれども、その各線がはたして必要なものであるかどうか。必要なものであるならば、その理由というのが提案説明の中に、それが入ってこなければならぬと思うのですが、こういう点がどうも私はふに落ちないところがあるのですが、いかがでしょうか。
  18. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 提案理由の中には「政府といたしましては、日本国有鉄道鉄道網整備することによって、産業資源開発並びに経済交流を促進し、もってわが国の経済発展に貢献いたしたい所存でございますので、ここに改正法律案として、御審議を願うことにいたした次第でございます。」こう申し上げております。同時に、各線につきましては、その必要性につきまして別途補足といたしまして、過般の委員会で御説明申し上げております。もちろんこの鉄道建設審議会で十分御審議になりまして、その必要度を十分勘案して御建議に相なったわけでございますが、別表の改正ということはなりますと、当然法律改正になりますので、国会であらためて御審議願うということは当然のことであろうかと存じます。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 これは口頭でもって説明されるのもけっこうだと思うのですけれども、やはりそれに必要な資料というものを、別冊につけてこれからいただきたいと思うのです。それは、そのときに出席されておらない委員の方もおいでになるだろうと思いますので、これはぜひともそうしていただかないと困ると思うのです。今度はそこまで要求しませんけれども、本来ならば、各線について、はたして今言われたようなそういう必要性があるのかないのかということは、これはやはり線によっては延長ということが要ると思うのですが、私はどうも新線建設について、従来は鉄道建設審議会の運営の内容はよく知りませんけれども、そこできまってきたものが国会法律改正案となって出てきて、何となく通ってしまう。そういうような習慣になっておるようですけれども、どうもそのことが私はふに落ちない点なんです。国会としてもはたして建議された線が、ここに言われておるような、何といいますか、「産業資源開発並びに経済交流を促進する」そういう線であるのかどうかということは、これはやはり慎重審議しなければならぬと思うのです、委員会において。今度はそこまで要求しませんけれども、今後の審議の態度としても、国会鉄道敷設については慎重に審議することが必要である。特に鉄道に対する価値判断というものが、時代の変化に従ってずっと変わってきておりますので、そういう点についても、やはりだんだん考えていかなければならぬと思うのですね。  そこで、それはそれとしまして、今度の十二線の建設線になったことについて、いろいろ新聞等にも書いてありますけれども、現在の建設線が三十八線あって、予算が年間七十五億、こういう現状なんですけれども、建設線予算関係というのは、こういうことでいいんですか。これはほんとう建設に必要なものならば、もっとスピードを早くされて建設しなければ、この提案理由趣旨と違うのじゃないかと思う。現在三十何線あるものが、わずか七十五億の予算でもって、一年に一キロ足らずもできないという線がたくさんあると思うのです。そういうことでは、これはもう経済開発なり、あるいは文化交流なんということには役に立たぬと思うのですが……。ですから予算建設費とは違うのじゃありませんか。
  20. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 御意見のように、建設を早急に進めて参りたいと考えておる線と、今日の予算状況から勘案をいたしますると、なかなか年数がかかるというのは、おっしゃるとおりであります。しかしながら、今日の日本経済成長度合いと、ことに今後都市と農山村との格差の是正、あるいは農村における文化交流ということが、今、日本に与えられている一つの大きな使命でございまするので、そういう意味から、新線をもっともっと建設をしていく必要があるわけでございます。すでに御決定になっていただいておりまする予定線を、全部建設をしようということになると、膨大な資金が要るわけであります。もちろん予定線の中には、さらに調査を進めまして、そして建設の段階に至るまで、年数は若干かかるものもありますけれども、しかし新線建設予算の裏づけができれば、少なくとも五年、十年のうちには、今までの建設予定線を全部完了するというくらいの財政措置をとらなければおかしいのであります。そこで鉄道建設審議会におきましても、そういった新線建設を促進するために財源をどうして見出していくかということについて、小委員会を設けて今御検討をいただいておりますが、政府といたしましても、真剣にこの問題と取り組みましてそして新線建設計画的な推進というものをやって参りたい、かように考えております。次の通常国会までにはそのめどを立てたい。かように考えておるわけでございます。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 まあ今度の十二線もさることながら、現在持っている三十八の建設線推進はどうやっていくつもりなんですか、わずか七十五億で、しかも順位があるのですね。ぜひやらなければならぬものと、そうでないものとある。特にこの前日鉄法改正審議したような、千葉の臨海鉄道というのはすぐやらなければならぬ。こういうような金もわずか二億ばかり回して、そして民間資金を利用すると言っている。しかし、ゆっくりしていいところのものは、国の金をちょっぴり出すことによって、一年に一キロくらいしかやれない。十年、十数年たたなければこれができない。十年、十数年たった後におけるこの地方状況というものは、いわゆる新線建設を必要とした今日の状況とは違ってくる。そのときは要らぬということになるかもしれない。あるいはどんどん道路が発達して、そっちのほうでいいかもしれません。そうすると、中途半端に建設したら宙に浮いてしまって、むだ金を使ってしまうということになる。そういう点は、実は何も計画もなしに、ただ行き当りばったりのことを、よくいわれるように選挙用か何かにしているということがあるのではないかと思うのです。そういう点の調整を一体どうするのか。
  22. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) ただいまおっしゃる点を調整するため、ひとつ財源措置を画期的に講じまして、そうしてやって参りたい。今日たとえば道路整備計画におきましては二兆億円の計画を持っております。鉄道の新線につきましては、そういう計画を持っておりませんので、したがって総合的な見地から十カ年で二兆億にしますか三兆億にしますか、そういうような構想のもとに、大規模新線建設の方途を考えて参りたいというので、今真剣に取り組んでおるところでございます。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 まあ先ほどもお話があったように、今度の十二線については資金捻出をどうするかということを審議会検討しておるというお話でありましたが、そういうことをやっておられることは新聞承知をしております。おりますけれども、そんな資金捻出方法をどうするかというようなことを建設審議会なんかでやらぬでもいいと思うのです。建設審議会というのは、この線が必要なのだと、必要な事情をよく調査して、そして、この線は敷くべきである、これを決定すればいい。だから国鉄というものは、赤字だから敷いてはいかぬなどということはない。赤字でも必要であれば敷かなければならない。であるから鉄道建設審議会というものは、いわゆる建設順序あるいは資金等の考慮をする必要もありましょうが、当面これだけが必要だ、こうやればいいのであって、資金政府がこれはひとつ考えるべきものですよ。資金のことまで鉄道建設審議会が、ボスどもが集まって、ああせいこうせいなどというのはよけいなことだ。その点、どうですか。
  24. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) おっしゃるとおりでございます。政府といたしまして、その計画を今考えているところでございます。建設審議会におかれまして、建設審議会の必要と考える線の建設があまりに遅々としておる。だから、政府をしかっておるだけではいけないから、いろいろな資金方面等検討して、ひとつ建議をしてみよう、こういうお考えになっておられますので、政府建設審議会のその答申については、じんぜんお待ちをしておるというのではなくて、政府も真剣に考えまして、そして幸い建設審議会でそういう御意見がございますから、建設審議会等の御意見も伺いながら進めて参りたい、こう考えておる次第であります。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 まあ資金の調達は、これはもう建設審議会意見を伺う必要はないと思うのです。これは政府みずからおやりになってけっこうなことであって、建設審議会意見を伺うということになると、いよいよもって建設審議会というのはボス化してしまって、にっちもさっちも行かなくなる。特に建設審議会答申した路線について、政府無条件にそれをのんで、鉄道建設させるというのか。あるいはさらにこの中で調査を進めて、政府みずからが、これは必要だという工合に、自主的な判断をして取捨選択をするのか、どっちなのですか。
  26. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 建設予定線実施につきましては、答申の御趣旨を尊重をいたしまして今まで進めて参っておるわけでありますが、政府といたしましても、これはぜひ新線建設の要ありと、かように認めて御提案申し上げたのでございます。そこで、建設予定線のうちから、早急を要するものを政府がきめまして、そしてそれに予算をつけていくというのが政府責任でございます。ところが、予算つけ方が今まであまりに少ない。これは一つは新幹線とそれから既設の路線整備に急を要しておったゆえもありますけれども、先ほど申しまする今日の日本経済成長に伴いまして、今までのような速度ではとうてい刻下の要請にこたえられない、かように考えまして、来年度予算を契機に今後新線建設のもう少し計画的な拡充計画を考えて御提案を申し上げたい、かように考えております。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 従来着工線として答申されたもののうちから、政府間引きをして決定をしたのか。あるいはそのとおりに決定されたのでありますか。間引きというのは、着工線答申になった中で、これとこれはまだその必要がないという工合に、政府着工線からはずしたという例はありますか。
  28. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 建設着工建議されました線につきましては、大体特別の事情のない限りは、平均をして予算をつけているというのが現状であります。したがって、その線が完成をするのには、どの線もおくれておるというのが大体の現状でございます。ただ、実際建設の測量その他にあたって非常に難航している線があるとか、あるいはまた地元の利害関係でなかなか話がうまく進まないというような点でおくれておるというところもございますが、大部分は予算が少ないために平均しておくれておる、こういう実情でございます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、今までは着工線として建議されたものは例外なく全部取り上げてやっておる、こういうことですね。
  30. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 大体原則としてはそういう状況でございます。例外といたしまして、私が先ほど申し上げたような事柄で、予算がまだついていないというのも若干ございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 これは何といっても政府の非常に大きな責任だと思いますね。これは責任です。だから政府が、建議したものを検討を加えて、妥当であると、全部取り上げる以上は、政府責任において建設しなければならない。これは鉄道建設目的じゃないのですよ。鉄道建設はその手段ですね。地方格差をなくする手段ですね。でありますから、その目的を達成するためには、その手段を早く作らなければならない。にもかかわらず、政府建議を取り上げておきながら、ほとんど進捗はしていない、これは重大な責任だと思いますね。ますます格差が大きくなってくるではありませんか。その点はいかがです。これは政府が取り上げた以上は、責任をもってもっと早く進捗しなければならぬと思いますが、いかがですか。
  32. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) おっしゃるとおり私は政府の重大な責任だと、かように考えております。そうでありまするから、その責任を果たすべく来年度予算にはひとつ御審議を願えるようなものを御提案申し上げたいと、かように考えております。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 これは幾ら言っても仕方がありませんがね、そういうようなことを政府がおやりになっているから、臨海鉄道のような、すぐやらなければならぬというようなことでも、国鉄がやらなければならぬようなことでも、民間資本と共同でやろうというような妙な形になってしまう。これは審議会の議を経る必要も何もありませんからね。ですからこれはひとつ政府が画期的にやってもらいたい。この資金捻出についても、来年度予算で画期的なものをおやりになるというような答弁でありますから、私はその画期的なものを期待しようと思っています。  それから私はこの点について若干検討もしてみたいと思うのですけれども、今まで着工線になっているものの建設順序あるいは予定年月日、これをひとつ資料として出してもらいたい。この次の四日の委員会のときに出していただきたい。三十八線ありますね。今度十二線加わりましたね。で、大体いつごろまでに竣工するのかということを、やはりめどをつけなければならないと思うのですね。こういう順序、こういう点について、この次の委員会にお知らせ願いたい。
  34. 村松久義

    委員長村松久義君) ほかに御質疑ございませんか。
  35. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 ちょっとお伺いしますが、日豊線の下曽根と門司ですか、門司を結ぶ二十六キロの予定線ですね、あれは結局短路線という意味ではなくて、臨海工業地帯に対する鉄道ということになるわけですね。
  36. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 仰せのとおりでございまして、御承知のように北九州工業地帯は、すでに開発の余地は非常に少なくなって参りまして、ただ一つ裏門司付近が残された地帯でございますので、目下この地帯工業地の造成が大規模に行なわれつつございますので、それに対応する臨海鉄道でございます。
  37. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 この日豊線本土連絡の問題は、やはり今の関門トンネルが、結局門司——昔の大里に出ておりますので、結局このほうの運行を二つに分けて、こちらは通すというようなことは事実上ちょっとこの地形からいけばできないと思うのですが、やはりそれは今のとおりであって、ほんとうに単なる臨港鉄道ということになってしまうのでしょうか。その日豊線の本線の短絡ということは考えておらないというわけですね、それはどうですか。
  38. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。やはり本土連絡は従来のルートによって行なうということに相なろうかと存じます。
  39. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それから北海道の新得付近予定線ですね、あれはごく短い線で、こんな短く鉄道をここへ何せねばならぬというのは、どういうわけですか。しかも山の中ですね。
  40. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 石狩と十勝を連絡する線路といたしまして、狩勝線というのは新得とずっと西のほうの占冠という所の間でございますが、この狩勝線着工線に相なっておりまして、目下やっておりますが、これは相当長大な路線でございますので、相当完成には時日を要します。ところが当面急を要しますのは、新得からちょっと北に参りました所に狩勝峠というのがございまして、これは千分の二十五という急勾配でございます。そこで根室本線改良はまずこの勾配を除くことが最も急務でございまして、そういう意味から、将来は狩勝線というものを作りまして、現在の根室本線にかわるもっと輸送力のある線路を作るということでございますけれども、そこまで完成するには相当時間がかかりますので、とりあえず、この現在線の落合付近とそれから狩勝線の沿線になる新内付近とわずか四キロ余りでございますが、これを結びますと、狩勝峠の急勾配を下げることができる効果があるわけでございます。つまり根室本線の速効的な改良という意味合いでございます。
  41. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 本来改良でやってもよろしいというような線なんですが、そうすると、これができ上がりますと、あの今の狩勝峠のほうは廃線するわけですか、どうですか、その点は。
  42. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございまして、当然廃線にいたすわけでございます。つまり従来の観念から申しますと、まさに仰せのように改良工事的なものでございます。
  43. 村松久義

    委員長村松久義君) 鉄道敷設法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  44. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、船員法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。順次御発言を願います。
  45. 大倉精一

    大倉精一君 私は漁船に従事する船員についての船内労働条件等にあまり詳しくないのですけれども、どういう実情になっているのか、概要をひとつお知らせを願いたいと思います。
  46. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 漁船の労働につきましては、現行法におきまして総トン数三十トン以上の漁船につきましては船員法を適用いたしておりまして、その労働条件につきましては船員法によって規律をいたしておるわけでございます。三十トン以下につきましては、現在は労働基準法によって規律されておるわけであります。具体的に申し上げますれば、三十トン以上の漁船の船員につきましては、たとえば労働時間等につきましても、国際条約におきましても漁船の労働の実態からいたしまして、それが自然的な条件に左右される場合が多いわけでございますので、労働時間の規定の適用はないわけでございます。また、有給休暇につきましても、これが季節的な労働であるという面からいたしまして、船員法におきましてもその規定の適用をいたしておらないという実情でございます。ただ、漁船の船舶としてのいろいろな規律につきましては、船員法の規定の適用を受けておるわけでありますし、また、たとえば雇い入れ公認の場合におきまして、その賃金の一定額を届け出るというような現在規制をいたしておるような状況でございます。
  47. 大倉精一

    大倉精一君 労働時間とか、有給休暇というようなものですね、これは何か政府でもってやはり一つ基準を設けて、指導基準といいますか、そういう指導をする必要があると思いますが、そういう御意思はございませんか。
  48. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 漁船の船員につきましての労働時間あるいは有給休暇等の問題につきましては、われわれのところでも現在検討いたしておりますけれども、漁船の船員の労働条件の向上につきまして、まず第一に考えらるべき問題は給料問題であるというふうに考えております。現在の漁船の船員の給料につきましては、総トン数三十トン以上の船員法の適用されている比較的大きいものを対象に見ましても、その約七〇%が歩合給、全部歩合給によって支給されているというような実情でございます。したがいまして、最低の生活保障というものについても、確たるものがまあないというような実情にございますので、われわれといたしましては、この全部歩合給制度というものを改めまして、できるだけ最低生活の信障に必要な一定額というものを、雇い入れ公認の際に関係官庁におきまして確認をいたしまして、それを確保させるというようなことを現在考えておるわけでございます。その大体の考え方といたしましては、報酬の六割程度を一定額として固定させる、これは絶対に確保するというような方針で、本年度においてこれを実施していきたいと考えております。また雇い入れ契約の問題につきましても、漁船は先ほど申しましたように非常に季節的な労働でございますので、漁期だけ雇い入れを行ないまして、出漁をして帰ってくるとすぐ雇い入れ契約を解除する。そうして解除した上で、しかもその漁船の整備、あるいはその他の漁具の整備等に当たらせておるというような事情でございます。そうしてそういうようなものが終わるとまた出漁する、その際にまた雇い入れ契約を行なうというような、非常に身分が不安定でございますので、そういうものについては雇い入れ契約を継続させていくような行政指導をやっていきたいというようなことを考えておるのであります。また、現在漁船の海難事故が非常に多いわけでございます。多いわけでございますが、その原因につきましては、船長と漁撈長というものが一つの船に乗っておりまして、その漁業の漁獲の指揮につきましては漁掛長がこれを持つ、それから船長は船舶の運航についての指揮を持つというようなことで、その間の連絡が不十分なために事故になる場合も非常に多いというような関係もございますので、船舶の安全運航という面につきましては、船長に全責任を持たせるような行政指導もやっていきたいというようなことを考えております。  労働時間、有給休暇等につきましては、たとえば、終年漁業に従事する漁船船員につきましては、できるだけ有給休暇を取らせるような方法で指導して参りたいと思います。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 給料は大体六〇%ぐらいの固定給というお話でございますけれども、これは全固定にしては都合が悪いことがありますのか。たとえば、全固定にして収穫なり何なりの事情によってそこにプラス・アルファというもの、楽しみなものをつける、褒賞的なものをつける、こういうようなことは漁船には都合が悪いのですか。ですから、たとえば雇い入れるときに、一漁期について幾らと固定してしまう、そうして収穫なり何なりによってそれにプラス・アルファをつける、あるいはつけないときもある。あるいは固定というものは最低生活でなくて、労働一般の賃金と合うようにする。漁期なり何なりによって違ってくると思うのですけれども、大体固定給というものをそういう観念でもって指導するということが都合が悪いのですか。
  50. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 先ほど申し上げましたように、現在の実情は、全部固定給制度になっているものは約三%程度であります。したがいまして、全部歩合制が約七〇%、その残りのものが一部歩合制であるわけであります。こういうような実情でございますので、今、大倉委員のおっしゃいましたような方向にわれわれとしては進む考えでございますけれども、さしあたりの指導の行き方といたしましては、一応その歩合制の中での一定額というものを固定していくというような方向で漸進的に進んで参りたいというように考えておる次第でございます。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 これはひとつ大いに検討してもらいたいと思うのです。  次に、総トン数七百トン以下の漁船の乗組員についての条件ですね。これについても何か基準を設けられるという考え方はありませんか。
  52. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) このたびの法律改正におきまして、総トン数七百トン以上の船舶については、労働時間の規定を全面的に適用することになるわけでございます。したがいまして、七百トン以下のものについては、労働時間の規定は適用にならぬわけでございますが、これにつきましては、現在実態の調査を進めておりまして、必要に応じて労働委員会の決議によって運輸大臣が労働時間を決定するというような規定になっておりますので、今後、調査の結果によりまして、また業界の実情と船員労働の実態というものも調査いたしました上で、労働時間制というものを逐次適用していくというようなことを考えておる次第でございます。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 この法案については、さらに検討を要する点があると思いますので、保留をして次の委員会質疑をいたします。
  54. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 お伺いいたします一点は、今度の改正案で、従来漁船について総トン数三十トン未満の漁船というものは、これは従来船員として取り扱わないことに第一条でなっておるようですが、それが今度は「政令の定める総トン数二十トン以上の漁船及び政令の定めるまき網漁業に従事する漁船の附属船を除く。」と、こういうことが書いてあるのですが、結局三十トン未満の分でも政令で定める——。どういう種類のものをこれは対象としておるのですか、お伺いしたい。
  55. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 現行法では三十トン以上の漁船について全部これを適用いたしておるわけでございますが、最近沿岸漁業が非常に不振になって参りました。比較的小型船でも遠洋まで出かけるというものが相当多くなって参ったわけでございます。また、船舶の性能も向上して参りましたので、三十トン以下でも遠洋航海に十分たえるというものもできて参ったわけでございます。こういうような実態の変遷に対応いたしまして、二十トン以上の船舶で近海及び遠洋に出漁するものについて船員法をさしあたり適用していこうというのがわれわれの考えでございます。具体的に申しますと、船舶安全法の施行規則に漁船特殊規則という規則がございまして、それによりまして、漁船の種類を第一種、第二種及び第三種に分けておるわけでございます。第一種は沿岸漁業でございます。それから第二種は近海及び遠洋の漁業でございます。第三種は母船その他官庁船というようなものでございますので、このうち第二種及び第三種の漁船に船員法を適用していきたいということを考えておるわけでございます。なお、まき網漁業につきましては、母船と付属船が同一の漁場において同一の漁業をやっておるわけでございます。そうしてまた母船と付属船との間の船員の相互間の交代というような問題もございますので、これは同じように船員法を適用いたしまして、また船員保険法も適用するということをさせたいと考えておるわけでございます。
  56. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そこで、この漁業者の保険に関して、私、最近こういうことを聞かれている、この二十トン未満であっても保険関係が結局陸上と同じになって、そういうことになっては困るから、やはりそういう保険関係については適用を受けるようにしてもらいたいというようなちょっと請願を私聞いたのですが、この点、保険はどういうことになるのですか。上と下、どういう差がありますか。
  57. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 船員法の適用を受ける船員につきましては、船員保険の対象になるわけでございます。これは船員保険法におきまして、船員法の適用を受ける者は強制的に船員保険の対象になるわけでございます。したがいまして、このたびの法律改正によりまして、総トン数二十トンまで適用対象を下げるということは、その船に乗り込んでいる船員については当然船員保険法の適用を受けるというわけでございます。船員保険法の適用を受けない者は、当然陸上の労働基準法の適用を受けまして、保険関係につきましても労災保険その他の一般陸上の保険の適用対象になるわけでございます。船員保険は総合保険でございまして、疾病、災害あるいは養老、そういうような一切の保険を含んでおるわけでございます。それから具体的に申しますと、たとえば私傷病については陸上の労災保険では保険の対象になっておりませんけれども、船員保険ではこれも保険の対象になるというような利点もあるわけでございまして、われわれといたしましては、海上の特殊な労働に従事している者につきましては、できるだけこの船員保険適用対象を広げていきたいというふうに考えておるわけであります。
  58. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そこで、結局この業者あるいは労働者が希望するところは、海上労働の本質とそれから陸上労働というものはおのずから相当に違いがあるというようなことを考えますときに、いろいろのほかの大きい船舶同様のものはやり得ないものもあるかもしれないが、保険等の場合においては、やはり海上労働という意味からして、保護すべき性質は、むしろこういう小型船舶について多いのじゃないかと思うのですね。たとえば大きい船舶、なるほど大きい船舶はすぐにその近所に特別の医者がないとかいう一つの不便というか、そういうこともあるかもしれませんけれども、大体相当に行き渡っておる。しかし小型船舶のごとき、ことに漁船というようなものは、やはり陸上関係のいろんな施設を使うとか、そういうこともありましょうし、ただ内容については、危険度とかあるいは災害率というようなことは、ものによって陸上等と同様だということには、やはりいかないのじゃないかと思うのですが、そういうことで二十トン未満というようなものにもそういうものを適用せられるような措置は、これはできないものですか。
  59. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 船員法の適用範囲につきましては、二十トン未満の船舶も当然これは海上労働でございまして、海上で働くという意味におきましては、二十トン以上の船舶と二十トン以下の船舶との間に差異があるわけではございません。ただ、現在の船員法は海上労働としての非常な特殊性を有するものであるというものを取り出しまして、これを陸上の労働基準法の特別法としてこの船員法を規定しておる建前からいたしまして、こういう特殊性を持つものに限定していこうというのが現在の建前であります。しかし、時代の進展によりまして、だんだん小型船でもそういう特殊性を持つものが出てきているということは事実でございますし、そういう意味から今度の改正も行なうわけでございますが、大体におきまして二十トン以下の船舶につきましては、日帰りの労働に従事しているので、したがって生活の根拠は陸上にあるというふうにわれわれは考えているわけでございます。船員法の特殊性と申しますのは、家庭を離れて洋上で孤立した生活を相当期間続けるというところに一番大きな特色があるわけでございますので、二十トン未満の船舶については、もちろん例外もあると思いますが、大多数の者は日帰りの労働に従事しているという状況でございますので、現在のところは、船員法の適用対象といたしましては、もちろん労働法の面もございますし、労働基準法の特別法というような関係から、二十トンに限界を置いて参りたいと考えているわけであります。
  60. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 これについては、むしろほんとうは労働者のほうのことを言うほうから聞くべきで、われわれが聞くのはおかしいのですけれども、実際、労働者の保護という意味において、家庭を離れるという一つの特色と、それから海上労働というか、危険度というか、そういうものが非常に多いという二つがあるわけですから、今あとのほうの点から考えていけば、やはりこういう零細企業のものについては、やはりこういう特別の保護というものを、特に保険関係等については、あってしかるべきだと思うのですが、これはやりたいと思うのだが、なかなか組合関係特に掛金というようなことから、なかなか困難だというような特殊の事情があるのか、それとも、もうこれで十分だ、こういう工合にお考えになっているのか、この点をもう一つお伺いしておきたい。
  61. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 適用範囲の拡張につきましては、まず事業主の負担の問題がございます。これは当然船員法の適用対象になるならば、船員保険に強制的に加入させられるわけでございますので、それに伴う事業主の負担の問題があるわけでございます。同時に、船員保険の特別会計というものがございますので、この財政の面の問題がございます。二十トン以下の船舶につきましては、非常に零細な企業家が多いわけでございますので、したがって、保険の収納率等がなかなか所期の成果を期せられないというようなことも想定されますので、保険の財政の問題もあるわけでございます。しかし、そういうような困難はございますけれども、むしろ本質的に、日帰りの労働については陸上の労働基準法の適用を受けさせるということが、現在の事情から見て適当ではないかというような考え方で、海上労働の特殊性というものからいたしまして、二十トンに限界を置いているわけでございます。
  62. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 今のことで、ある程度どこかに筋を引かなければならぬということはわかりますが、でき得るならば、やはりこういうものについては、全般の船員法の適用ということは必要でないにいたしましても、そういうような者についての海上労働というような点から、できるだけこれに対するせめて保険関係等については、二十トン未満といえども、この観念で保護するというようなことのできるように、ほんとうにしてもらいたいと思うわけですが、聞くところによると、なかなか掛金が少なくて厚生省方面がそっぽを向いておるというようなこともちょっと聞いたわけですが、これはまあ程度問題で、私は数字を持っておりませんから、どういう体制になっておるかよく存じませんが、将来、労務者方面のそういう保険関係というようなものについては、できるだけひとつあたたかい目を持って進むのが国として適当ではないか、かように考えるわけであります。——よろしゅうございます。
  63. 村松久義

    委員長村松久義君) 船員法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度にいたしまして散会いたします。    午後零時三十一分散会      —————・—————