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1962-04-10 第40回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十日(火曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————   委員の異動 本日委員田中茂穂君、平島敏夫君、鳥 畠徳次郎君、江藤智君、大和与一君、 相澤重明君、赤松常子君及び中村正雄 君辞任につき、その補欠として田中啓 一君、徳永正利君、横山フク野本品 吉君、小酒井義男君、米田勲君、松浦 清一君及び田上松衞君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村松 久義君    理 事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            大倉 精一君    委 員            田中 啓一君            徳永 正利君            野本 品吉君            横山 フク君            米田  勲君            田上 松衞君   国務大臣    運 輸 大 臣 斎藤  昇君   政府委員    運輸省船舶局長 藤野  淳君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省船舶局監    理課長     吉田 俊朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○モーターボート競走法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○連合審査会開会に関する件     —————————————
  2. 村松久義

    委員長村松久義君) ただいまより委員会開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  本日、大和与一君、赤松常子君及び中村正雄君が辞任され、小酒井義男君、松浦清一君及び田上松衞君が選任されました。     —————————————
  3. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、モーターボート競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案に対する質疑に入ります。順次御質疑願います。
  4. 大倉精一

    大倉精一君 まず最初に、新しいモーターボート法案趣旨並びに改正動機について御説明いただきたいと思います。
  5. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) モーターボート競走法の一部改正動機あるいは方針等について御説明申し上げます。  モーターボート競走法が制定されましたのは昭和二十六年六月施行でございますが、その後二十九年に事務的な改正が行なわれ、さらに三十二年にまた改正が行なわれております。その問いろいろ自転車あるいは小型自動車競走というような類似の公営競技とともに、いろいろ競走の実施にあたりまして世論批判がございましたわけですが、モーターボート競走もその中にあったわけでございますが、政府におきましては内閣公営競技調査会を設置いたしまして、公営競技全般のあり方につきまして根本的な検討を加えて参ったわけでございますが、昨年の七月に公営競技調査会答申が出まして、結論は、公営競技の疑点、欠点を指摘いたしまして、現状以上にこの競技を奨励しないということを条件に存続というふうに答申は相なっております。そういたしましてその答申には、十三項目にわたる公営競技改善を要する点につきましていろいろ指摘をしているわけでございます。運輸省といたしましては、モーターボート競走法の一部改正方針は、この公営競技調査会答申をできるだけ改正案に織り込むということを基本的な態度といたしまして改正案を作成いたしたわけでございます。これは、私どもの根本的な基本的な態度でございます。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 この公営競技調査会に対して政府諮問をしたのか、あるいは自主的に調査をして答申をしたのか、どういう形式をとられたのでしょうか。
  7. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 政府公営競技調査会諮問をしたわけであります。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 その諮問内容について御説明を願いたい。
  9. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) お答えいたします。内閣総理大臣から公営競技調査会に対しまして諮問が行なわれておりますが、この諮問は、昭和三十六年三月十五日の第一回会合において次のような諮問をされております。「競馬競輪小型自動車競走及びモーターボート競走に関する現行制度とこれら公営競技全般に対する今後の基本的方策について貴会意見を求める。」というのが諮問でございます。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 この諮問は、ここに答申のプリントがありますけれども、各項目にわたっては、政府としては意見なりあるいは諮問内容なりには含んでいなかったのかどうか。これは自主的にこの調査会が出したのですか。
  11. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 諮問を受けまして、調査会公営競技全般につきまして答申案を作成いたします過程におきましては、政府意見を述べませんで、間接的に参考的な意見を求められるという程度でございまして、自主的に公営競技調査会答申を作成したというわけでございます。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 大体答申内容としましては一から十三まで各項目にわたって具体的な答申が行なわれておりますけれども、この内容について、政府のほうとしてこういう内容意見調査会にあらかじめ言ってあるかどうか、あるいは調査会政府として考え方なり参考意見なりというものをお述べになったとするならば、それとこの答申と違った点はどういう点かということですね。大体政府意見どおりになっておるのか、あるいはそれを否定された部分があるのか、そういう点はいかがですか。
  13. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 答申内容が、政府意見をどのように反映しているか、あるいは政府意見と食い違った点があるかないかというような御趣旨の御質問だと思います。ただいま申し上げますように、政府公営競技調査会の幹事といたしまして参画いたしておりまして、あらかじめ政府意見はこのようなものである、このような方向改正することが望ましいといったような意見は何ら申し述べておりませんので、答申の結果が、政府意見と照らしてどうこうということはないというふうに承知をいたしております。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、これは調査会自身が自主的にこういう答申を作られたという工合に受け取って差しつかえないと思うのですけれども、根本的に政府がこの調査会に対しまして諮問をした理由というのは、このモーターボートなり競輪なり、そういうものの弊害というものを政府みずからが認識をされ、確認をされておったがゆえに、どう直したらいいか、こういうことから諮問をされておると思うのです。ですから、この政府が認められておる弊害というのは、どういう弊害があるか、どういう問題が起こっておるか、こういう政府認識についてひとつお答えを願いたいと思います。
  15. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 公営競技を実施いたしまして、モーターボート競技はすでに十年の歴史を持っておりますが、公営競技欠点ばかりではございませんで、利点も幾らかあるわけでございます。したがいまして世論が、非難あるいはそれに基づく廃止論一方ではないのでございまして、一方には存続論相当強いものがあったことは、これは否定できなかったわけでございます。したがいまして、政府諮問をいたしまして、答申をいただいたわけであります。この公営競技、私どもの所管いたしておりますモーターボート競走の悪い点と申しますか、批判を受けております面は、やはり射幸的な一つ娯楽でございますので、この行き過ぎのためにいろいろ社会問題を惹起するとか、場合によっては家庭悲劇といったようなこともないわけではないのでございまして、これらの点が非難に値する大きな欠点ではないか、かように思っております。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 これは今お答えになったように、競輪競馬モーターボートモーターボートは比較的その率は少ないかもしれないけれども相当社会的な問題を引き起こしておる、あるいは家庭争議なり、あるいは場合によっては親子心中ということもあるのです。あるいは刃傷事件まである、この答申にもあるように、第八項ですか、「騒乱等の発生を防止する」と、こういう文言が出ておるのです。こういう幾多の社会的な深刻な欠点がある。反面において存続するという意見があるということなんですが、どういう理由存続するという意見があるのですか。
  17. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 存続理由は、このように私ども承知いたしております。公営競技射幸性に基づきました一つ大衆娯楽でございまして、これが公開の場所で行なわれておりますという点が非常に大きな特徴でございまして、これを抑圧、あるいは禁止いたしますと、別の非公開の賭博的な娯楽に追い込む、あるいはそういう方面に、大衆の別な面でそういう社会悪が広がっていくといったような心配が一つあげられることができると思うのです。もう一つモーターボート競走法によりますと、売上金の一部が、きわめてわずかでございますけれども交付金として関連産業振興事業財源になっておるわけでありまして、わずかではございますけれども、これが非常に大きな効果を今まで現わしておるわけでして、この点は無視できない点でございます。もう一つは、モーターボート競技を例にとりますと、競走の行なわれております環境が、海面であるとか、あるいは川であるとか、池であるとかいったような、非常に海事思想普及とか、場合によっては観光ということにもプラスになっている点もございまして、こういう点では確かにいい点を持っておるというふうに考えます。またスポーツ振興といったような面も見ますことができる。さらに大きな点は、売上金の一部が施行者である地方公共団体財源となりまして、地方財政改善に寄与しているということは、これは無視できない一つ利点である、かように考えます。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 今述べられた理由の第一は、これはまた問題があるのですけれども関連産業にわずかな金であるけれども、この売上金によって相当大きな貢献をし、効果があるということ。それから地方財政に対して相当助けになっておるということです。これは具体的にどのくらい、どうなっておるかということがわかりますか。
  19. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) お答えいたします。二十七年度から三十五年度まで、九年度にわたります集計結果から申し上げますと、舟券売上金額は、千六百三十七億ございまして、地方公共団体施行者の純収入と相なっておりますのが九十二億一千七百万円に上っております。これが地方財政改善に寄与している金額でございます。それから関連産業振興に充てられております十九条交付金と申しますのがございますが、これが十一億九千二百万円に相なっておる次第でございます。以上が二十七年度から三十五年度にわたります合計でございます。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 まあそうしますと、大体施行者に渡る金額が九十二億円、これが九カ年ですから、大体十億円ですね、一年間に。それから関連産業は大体一億何千万円ということになりますね。これは日本の施行者の全体の教字ですから、この金額をもって非常に大きな貢献を持っておるとは、私はどうも考えられない。幾分かの助けにはなるだろう。幾分かの助けになるけれども、そのほかの弊害というものが非常に多い。たとえば今理由一つとして取り上げられたところの、これを廃止するというと賭博行為というものがやみになって悪質になるということ。これはちょうど売春禁止法と同じ論法です。売春禁止すればやみ人身売買がはやるといけないという、そういう論法があると同じように。私は、賭博行為に類するようなものを公営にするということ自体が、どうも好ましくないと思うのです。それから海事思想普及あるいは観光に役立つということですが、私はモーターボートを見て海事思想普及なんというのはナンセンスだと思うのです。あるいはスポーツ・の振興、これはモーターボートをやらないとスポーツ振興しないというのは理由にならないと思うのです。ですから、もっとやってくれということは、やはり業者からの意見もあるだろうし、あるいはこれをやるについて多少でも関連産業なり何なりにお金が回る、地方公共団体に回っていくということですから、これは根本的に、いろいろな理屈は抜きにしまして、競輪なりあるいはモーターボート競走なりというものはいいものか悪いものか。これをやることがいいものか悪いものか、これはどうなのですか。確かに一長一短はあるでしょうが、国家事業として、あるいは公営事業としてやることがいいのか悪いのかというところが問題になるかと思うのですが、どうなのですか。
  21. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 公営競技には四種類ございますが、モーターボート競走法はその中でも最もあとに制定せられまして実施されるようになりました公営競技でございまして、競走法が十分まあ整備されておりまして、従来他の公営競技に比較しますと、比較的まあ社会的な弊害も、比較論で恐縮でございますが、少ないというふうに私ども考えております。公営競技調査会答申存続というふうに決定いたしまして、その線で一部改正案を作成いたしたわけでございますが、調査会答申にございますように、競技環境改善いたしまして、その改善のための財源法律的に確保するような措置をいたしまして、施行者競走会競技のレベルを高めるという面でなお一そう健全化に努力いたしますならば、今後弊害はだんだんなくなって参りまして、プラスの面が非常に多くなってくると、かように考えておる次第でございます。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 参考のために聞きますけれども調査会メンバーはどういう方ですか。書いたものはございませんか。
  23. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) お答えいたします。  公営競技調査会委員は二十人になっておりまして、委員の御職業なり御専門なりを申し上げますと、陸上競技連盟の副会長あるいはプロ野球のコミッショナー、体育関係の方、それから銀行の副頭取あるいは経団連の副会長、それから政治経済評論家、日本赤十字社の副社長、それから作家も数名おられます。それから東大の教授の方、それから国際ラジオセンター会長、それから経済研究所長、それから私立大学教授もおられます。それから証券会社社長、それから公営企業金融公庫総裁評論家といったような方からなっております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 まあたいへんりっぱな方々メンバーになっておいでになりますけれども競輪なり競馬なりあるいはまたモーターボート競技等において被害を受ける家庭は、そういうりっぱな方々ではないはずですよ。一般庶民階級の、どっちかといえば非常に低い生活をやっている方々射幸的に競輪場に出入りをして、そして金をつかもう、ここに悲劇が起こるのです。そういう庶民階級の人はだれも入っていないわけですね。スポーツ関係とか、あるいは銀行の副頭取とか、そういう人が集まっているところに問題があると思うのですが、そこに私はやはり庶民的なこの問題に対する感覚と少しズレがあると思うのです。ですから、これは先ほどいいのか悪いのかということをお尋ねしたのですけれども、これはいいものだという断言ができないところに問題があると思うのですが、いかがですか。これはモーターボート競技というのはいいものだ、こういうことが断言できますか。
  25. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) お答えいたします。公営競技調査会の構成につきましては、これは内閣人選によりますもので、運輸省といたしましては人選には参画いたしておらないのでございます。ただいま先生おっしゃいましたような、競技観客層相当するような代表者が一人も出ていないという御意見、まあよくわかるのでございますけれども、私ども人選ではございませんので……。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 私はむずかしいことを聞いているのではなくて、モーターボート競技というものはいいものだ、公営に値する非常にいいものかということを聞いている。これは船舶局長にお尋ねするよりも、むしろ政治的な問題でありますので、これはひとつ大臣お答えをいただきたいと思うのですが、モーターボート競技もこれは軽重はあると思うのですが、競輪と同じようなもの、あるいはまた競馬とも同じようなものであって、これは関連したものでありますけれども、こういう種類のものは、一体いいものか悪いものかということですね。ひとつ端的にお考えをお聞かせ願いたいと思う。
  27. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) こういった射幸をある程度内容とする競走がいいか悪いか、これは一言にいい悪いと割り切ってしまうことは、なかなか私はむずかしいと思います。当初、この法律が提案されましたのは、各党共同提案で、ほとんど各党か異議なくこの法律が必要だ、よろしい必要だということで、これは議員提案になったことは御承知のとおりであります。その後施行をいたしてみますると、いろいろ弊害も出てくる、今おっしゃいますように、あまりに射幸にはやって、そのために家庭の不和あるいは悲惨事が起こるとかあるいは競技施行の段階において、相当な、何といいますか、秩序を乱すような事柄が起こったり、いろいろ非難があったりいたして参ったわけでありますが、そこで、そういった声に応じまして、政府はこれをどうしたらいいかという諮問をいたしたわけであります。私は、とにかくこういった競技は、やはりできるだけ弊害が少ないならば、そして健全娯楽として生かしていけるものならば、やはりあっていいものだと、かように考えます。ただ財政的な理由というだけでなしに、やはり人間には射幸心というものがありまして、いかに禁止をしても射幸行為というものはやまないわけであります。したがって、そういう意味から公の場において、ある程度のそういった射幸的な意欲を満足させる、しかしそれが弊害にわたってはいけないという意味である程度の規制を加えまして、そしてできるだけ健全娯楽として生かしていく、やはり人間生活はいろいろと複雑多岐であって、あまり単純であるよりも、いろいろな健全娯楽というものも一つ人間生活を豊富にするわけでありますから、そういう意味からいいまして、むげにこういうものはいけないのだ、少しでも射幸がかったものはいけないのだとして、単純に割り切ってしまうわけにはいかぬだろう、かように考えております。御承知のようにパチンコ等についても、一時非常に弊害が多い、あれを廃止をしたらという声も非常に強かったのでありますが、これは法律ができておるものでもありませんし、また、政府あるいは公共団体公営しているものでもございません、全く民営のものでありますが、しかし、これもできるだけその弊害を少なくするような競技方法に変えるように指導をいたしたい。今日でもなお弊害の声もあろうかと思いますが、今日ではやはりある一種の健全娯楽になっておる、かように思いますので、したがって、そういう意味から、モータ・ボート競走あるいは自転車競技等弊害の点をできるだけ少なくして、健全娯楽として育てていきたい、かように政府は考えて改正案を提出した次第であります。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 どうも私は、モーターボート競技なりあるいは競輪というものはいいものか悪いものかと、こういうことに対しまして、端的にこれはいいものだと言い切れぬところに問題がある。いろいろ前置きをつけぬというと答弁ができぬ、これは今大臣がおっしゃるように、射幸心というのはだれにでもある人間本能です。今の論法でいけば、人間本能射幸心国家においてこれを規制しょうという、あるいは指導しようとするということであると思うのですが、そうすれば、パチンコも花札もマージャンも、これはみなしなければならぬということになるが、それはさておいて、私はこの競輪なりモーターボートなりの弊害というものは、私がちょうちょうと言うまでもなく、これに対する社会的な弊害というものは非常なものだと思う。社会問題になっておると思います。問題は、これを公営でするというところに問題があると思う。民間でやるなら別問題ですよ。これを公営にするということについて、問題があると思うのですよ。ですから売春禁止法と同じ論法です。先ほどの局長答弁でいくならば、これを禁止するというと、射幸心賭博心というのは潜行して悪質になるから、かえってこれは公開の席上で云々という話がありましたけれども、これはできぬと私は思う。それなら今まで競輪競馬あるいはそういうものがもっと健全になっていなければならないけれども、これはもう百年河清を持つようなもので、できない、これは国家として公営廃止すべきである、こういう方向に向かうべきだと思います。そこで、この答申を見ましても、こういうことが書いてある。昨年七月二十五日内閣総理大臣あて答申を提出し、各種公営競技について少なくとも現状維持以上にこれを奨励しないことを基本的態度とする。こういう妙な言い方なんですよ、これは公営として国家のやることはいいことであるとするならば、現在以上に奨励しないという、こういう書き方は私はおかしいと思います。国家がやっていいことならば、改善をしてより強化して健全化する、こういう書き方でなければならないところを、これ以上奨励しないこと、これは、もうとりあえず政府みずからがこれはいけないものだということを、あるいは少なくとも危険なものだということを認められておる証拠だと思うのです。これはなおかつ公営として存続するという、そこに私は何か割り切れないものがあると思います。これは将来大事な点ですが、こういうものは政府がやるというようなことを廃止する御意向はありませんか。
  29. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 利は、ただいま申し上げましたように、まあ一言でいいとか悪いとかなかなか割り切れないのは、世の中の常でありまして、それは売春とはだいぶ性質が違うと思います。何といいますか、人道の本旨に反する売春と同じように取り扱うわけには参らない、これ以上にだんだん広げていくということは弊害を大きくするおそれがありますから、弊害はできるだけないように努めてやって参る、そうして今のうちにこういうものはないほうがいいから、近い将来に廃止したほうがよかろうということを私は言い切るのは早計だと考えております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 私は競輪あるいはモーターボート競馬そのものを悪いとは言っていないのです、その運営が悪いと思うのですね。ですから国家がおやりになる、射幸的な馬券を買ったり、あるいは競輪の何か札を買うとか連勝とかなんとかいって、そういう賭博的な行為をやることを禁止したらどうですか。  競輪はけっこうです、モーターボート競走もけっこうです。けっこうですが、このモーターボートのところへ行って公に公営として賭博的なかけごとをするという行為を認めておるということ自体に、私は問題があると思うのです。そういう点はいかがですか。
  31. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) これは御承知のように、国がやっているわけでございませんが法律施行者は県または公共団体ということになっておりますから、おっしゃいますように、こういう公共団体施行者としないで、競走をやっております競走会ですか、そういうようなものを、これはやはり野放しにするわけにはいきますまいから、認可か何かの形にして、そうしてその売上金の幾らかを出させるというような考え方も成り立つだろうと思います。それらの点は、御意見の次第もありますし、将来とも考慮の価値があるだろうと、かように考えております。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 私は非常に矛盾があると思うのです。たとえばマージャンならマージャン民間の経営で自由にやっておりますね、ところが、これはかけマージャンをやれば警察に引っぱられる。ところが競輪なり、競馬なりというものは、かけてもいい、これは公に国家が認めてやらせているのですから。かけてかせぐ。それでもって業界なり、あるいは地方団体なりが潤うというような制度があること自体が、私はどうも納得できないですね。ですから、近い将来でなくて、もう競輪競馬というものは、あるいはモーターボート競走というものは、これは奨励してもけっこうですが、ただ賭博行為は厳禁する、こういう態度でもって臨まなければ私は筋が通らないと思う。でありますから、私はこれは根本的に賛成できない。弊害があり、あるいは利益もあるだろうというようなことでありましたけれども、私はもう弊害のほうがうんとウエートが大きくて、利益のほうは若干、その関連産業なり、あるいは地方団体なりが潤うという程度にすぎない。海事思想普及とか観光に役立つとかスポーツ振興とかということは観念的な理由であって、私は全然そんなことは問題にしていない。ですから、将来というよりはむしろこれは廃止すべきだと思う、公営というものは。むしろ公営にするならば、賭博行為を一切禁止するのだという工合に政府が踏み切ってもらわなければならぬと思います。  それから答申の第十項についてお伺いしたいのですけれども、選手その他の雇用関係はどうなっておるのですか、どういう状況ですか、それを一ぺん説明してもらいたい。
  33. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 競走関係従業員の雇用関係あるいは労働条件等についてお答えいたします。競走関係の従業員を大別いたしますと、雇用関係では施行者関係の従業員と、それからモーターボート競走関係の職員というふうに分かれるわけであります。また、施行者関係の従業員についてみますと、常勤職員と非常勤職員というふうに分かれるわけであります。常勤職員は地方公務員としての身分関係に立っておりますので問題はないように思いますが、投票券の発売をいたしましたり、あるいは払い戻しとか、場内掲示、雑役等に従事しておりますのは非常勤の従業員が大部分でありまして、これは次のような状況に相なっております。まず雇用の形態でございますが、これは非常勤でございまして、大部分の施行者は一カ月単位で雇用契約を締結いたしております。また雇用につきまして特に条件をつけない場合が多いのでございますが、若干の施行者は最高年令を制限しておるのがございます。  それから賃金でございますが、これは各施行者によりまして若干の差はございますが、平均いたしますと実働六時間で大体五百円というのが基本給に相なっております。五百円のほかに交通費であるとか精勤費であるとか、あるいは期末手当などを支給しておる施行者相当ございます。また大部分の施行者は、年に一回二十円見当の昇給を行なっております。また福利厚生というものにつきましては、若干の施行者がこれらの従業員につきまして、日雇い健康保険、それから労働者災害保険、失業保険への加入を行なっております。なお、これらの従業員は家計を補ないますアルバイトといったような者が相当多いのでございますが、また、ほかの類似競技とかけ持ちをいたしまして、その収入で生計を維持しておるという者も相当数多くございます。  それから二番目のモーターボート競走関係の職員につきましては、臨時は少ないのでありまして、基本給が大体七千円ぐらいでございまして、大部分の競走会がこれらのほかに開催手当あるいは時間外手当などを支給をいたしております。それからすべての競走会が社会保険と失業保険への加入を行なっておる次第でございます。以上でございます。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 べらぼうに安いですね、これは。たとえば日雇い五百円といいますけれどもモーターボート競技は始終あるわけじゃない。月におそらくどのくらいですか、十五日もやっていますか。そうしますと、一体、五百円で十五日、わずかなものですね、七千五百円。それからモーターボート関係の基本給が七千円、こういう低い給料でどうやって生活していきますか。
  35. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど申し上げましたように、競走会は一県に一つございまして、競技場が幾つか県内にございますと、その競技場の開催日数が少しずつずらしてございますので、これらのものをかけ持ちをする、あるいは競輪とか、あるいはオートレースとかいったようなものにも顔を出して働くといったようなかけ持ちも相当ございます。それでこの五百円と申しますのは、いろいろ研究いたしましたが、不当に安い賃金ではないというふうに考えております。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 こういうことが、ますますもってこの種の競技の不健全性を助長しておるのじゃないかと思うのですね。これじゃ生活できませんよ。ですから、答申の第八項に書いておるように、ノミ屋とか予想屋に対する取り締まりを厳重にするというようなことを言ってみたところで、こういう法律を作っておけば、この人たちはノミ屋なり、あるいは予想屋なり、そういうギャンブル専門の仕事をしてかせぐといっちゃなんですが、こういうものでもって生活の補助をする、これ以外にないでしょう。そういうことをしておいて健全にするといったって、これはナンセンスだと思う。こういう答申を出してみても、こういう労働条件なり雇用条件なりを変えなければ、私は競技上の健全化ということはあり得ないと思いますが、運輸大臣いかがですか。こういうような前時代的な給料で雇っておって、こういう足らないもので何とかやってくれということでは、自然に賭博行為でもやる以外にない。これはいかがですか、この条件をまず変えなければならぬと思いますが、いかがですか。
  37. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいま局長お答え申し上げましたように、施行者の雇っております事務員——臨時職員が大部分でございますが、五百円の日給がまあ基本給で、それに若干付加給付を加えてどのくらいになりますか、それにしてもたいしたものでないと思いますが、しかし、大体方々かけ持ちをして、それで大体生計を立てる、あるいは何といいますか。余暇の手間かせぎをしておるというのが現状のようですが、先ほどおっしゃいましたノミ屋だとか何とかいう者と、こういう者は関係ないと思います。ただ、競輪施行に当たる人たちが、十分競技を全うするについて働けるだけの給料は、これはあげなければならぬと思います。これらに労働組合があるかどうかわかりませんが、まああってもなくても、それらの人たちが喜んで競技施行を完全に行なえるだけの待遇は、これはなければならぬと思います。実情に応じまして、私のほうからもさらに指導を加えて参りたいと、かように考えます。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 これはもう私はこの法案に反対しますけれども、あるいは多数決で通っていくだろうと思うが、特に要望するのですけれども、この人々の勤務する職場というものは、普通の健全な職場じゃないのですよ、何と言われても。賭博場とまではいかなくても、やはりかけごとを主体とする職場に勤務しているのですね。ですからこういう人々の勤務状態が健全になるような指導をしないというと、この競輪なり競馬なりあるいはモーターボートというのは健全なものになってきませんよ、これは。ですからこれは政府において公営をする以上、ぜひ責任をもってそれにひとつ指導をしてもらいたいと思う。  それから選手に対する報酬はどうなっているのですか。
  39. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 選手の報酬等でございますが、ことしの三月一日現在で、選手は千三十二名おるわけでございますが、平均年齢が二十九才でございまして、選手の所得の状況は、平均所得額——日当、宿泊費を含みましたものを申し上げますと、男子の選手は年間九十四万四千九百五十六円、月平均七万八千七百四十六円でございます。女子選手は年間七十五万七百七十円、月平均にいたしまして六万二千五百六十四円という平均所得額に相なっております。なお、選手の月平均の稼働日数でございますが、これはいろいろクラスが分かれておりまして、A級、B1級、B2級、C級と四種類に分かれておりますが、月平均でA級は十四日B1級は十二日、B2級は九日、C級選手は七日、かように相なっております。以上でございます。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 この宿泊、日当を含んで月平均七万というのですか。——それから七万の中には、平均ですから最高、最低があるだろうと思うのです。で少ないほうの部分はどのくらいにあるのですか。
  41. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 最高、最低はどのようになっているかという御質問でございますが、最高は日当、宿泊を含めましたものが、男子が年間二百八十万五千六十円、月平均二十三万三千七百五十五円、女子は年間百三十六万八千七百五十円、月平均十一万四千六十二円に相なっておりますが、最低のほうは出場日数が少なかったりいろいろな個人的な事情がございますために、最低という数字はただいまございませんが、千三十二名の選手のうちで十万円以下の年間所得が七人ございます。それは三十四年です。三十五年では十万以下が二十五人という比率に相なっております。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 あとからでいいですから、大体選手の収入の分布状態、そういうものを出してもらいたい。それからもう一つは、これは勝ったときと負けたときと収入は違うのですか。
  43. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 収入は競技の成績によりまして、一等、二等、三等といった成績によって賞金の額が違うわけでございます。したがいまして、成績のいい選手は収入が多く、また月平均の稼働日数も多い、成績の悪い選手は収入も少なく、月平均の出場回数も少ないということになっております。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 私は競輪あるいはモーターボート競走には行ったことがないから、よくわからないから、参考に聞くのですけれども、一競技について、その売り上げの何パーセントというものが選手に渡る、そういう制度になっているのですか、売り上げにはかかわらず一競技について一等は幾ら、二等は幾らというふうになっているのですか、それはどうなっているのですか。
  45. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 選手に対する賞金は、売上額によって等差を設けております。売上額によりまして四段階に分かれておりまして、また競技の種類は一般の競走、選抜の競走、さらに優勝レースといった競技の種類によりまして、賞金の額に等差を設けてあります。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 私は質問はいいかげんでやめますけれども、選手の報酬の状態を見ても正常なものではないと思う。また公営でやるならば、やはり選手に一定の額を保障しなければならぬ。ほとんどすべて賞金でもって選手の生活をまかなっているという状態でしょう。あるいはほとんどの収入ということでなくても、売り上げによって云々ということになっているのでしょう。こういうことで公営にするということ自体、私はどうも納得ができない。ですから、結論的に言うならば、この答申モーターボート競走はこれ以上奨励しないというような妙なことがついているような答申ですね。これ自体正常ではないと思う。こういうものに賛成して、国会がこの法案を上げていくということ自体、私はおかしいと思う。ですから、これは先ほど申しましたように、将来はモーターボート競走あるいは競輪あるいは競馬というもの自体は、何も悪いことはありませんが、やり方がいけないと思う。公営的にふさわしいフェアプレーでやっていく、そういうフェアな運営をしなければ、私は公営にふさわしくないと思う。私はこれにはそういう意味で賛成できません。質問は終わります。     —————————————
  47. 村松久義

    委員長村松久義君) この際、委員の変更について御報告いたします。  本日、田中茂穂君、平島敏夫君、江藤智君、鳥畠徳次郎君及び相澤重明君が辞任され、田中啓一君、徳永正利君、野本品吉君、横山フク君及び米田勲君が選任されました。     —————————————
  48. 村松久義

    委員長村松久義君) 御質問願います。
  49. 田上松衞

    田上松衞君 あらかじめお断わりしておきますが、初めて運輸委員会に他の委員と交代してきている立場から、特に今提案されている法案の内容については十分調査をしておらないわけです。したがって、以下質問申し上げることは、むしろわかり切ったことじゃないかという点が運輸委員専門方々にはおありだろうと思いますが、その点ひとつお許しを願っておきたい。  法案の内容すら十分に読みこなすための余裕を持たずしてやっておるわけなんです。まあそういう立場に立ってお伺いするわけなんですが、この法案の理由として掲げておるところを見ると、政府みずからがこうだというのじゃなくして、自立的な立場で考えたのじゃなくして、公営競技調査会答申に基づいて、かくかくしたいのだと、こううたってあるわけなんですね。まず、この点については、そのとおりだということなんですか。それともこれはただ答申参考までのものであって、政府はみずから自主的な一つの見解あるいは識見というものを持って改正しようとする法案であるかどうか、これについての御見解を求めます。
  50. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) この法案は、政府の提案でございまするので、答申趣旨を尊重をいたしたことはもちろんでありますが、しかし、政府の見解としてこうすることがよいと、かように考えて提案を申し上げた次第であります。
  51. 田上松衞

    田上松衞君 公営競技調査会答申を見ますると、これはモーターボート競技法についてこうこうだということではないわけなんですね。これは一切の公営競技に関する現行制度と今後の基本的方策について答申をしたと、こういうことになっており、その範囲は競馬競輪小型自動車競走及びモーターボート競走、こういう広範なものにわたっているわけなんです。ところが、これについておるのですけれども調査会は、まあ悪口になりますけれども、慎重にこれを審議をしたという形を示す表現として、総理大臣からこのような諮問を受けたが、「その後十回におよぶ会合と三回にわたる現地調査を実施し、かつ公営競技施行者、実施者及び警察消防関係等の参考人の意見をも聴取して、調査審議を行った結果」と、こう言っておるわけなんです。私がこの場合に申し上げたいことは、今申し上げたような競馬である、競輪である、小型自動車競走である、モーターボートであるというような、しかもさっきから大倉委員がこもごも話をされたように、今一番問題になり、運輸大臣は、まあ健全娯楽一つだと考えておらるるかのようなことを言われたけれども、それとは逆に、大部分の国民感情というものは、何といったってばくちなんだと、これは。これがあっては困るのだという気持を明らかに持っておるのですよ。ところが、こういう会合をこれだけやったからということで、万全を尽くした上の答申だということは、私はむしろこっけい千万だと思うのです。いやしくもこの調査会がこういうことをするならば、こんなことは一々消防や警察やあるいは競技の今の施行者公営競技の実施者や、そんな者の意見を聞いて変えるということがおかしいのであって、そんなことはわかり切っておる問題だからやめてくれというようなことは、一向ありませんよ。それよりか、考えることは、たとえば最近非常に尊重されるところの公聴会等を開いて、むしろ公述してもらう方々は、まじめに日本の姿をどうするかということを、あるいは今日の社会のもろもろの弊害を、どういう工合にして除けばいいかというところに頭を悩ましておられる人、教育者、こういうような人々の意見を求めるような公聴会等を開いてやらなければうそだと思いますよ心諮問される方面が、運輸大臣が考えておられるような、まあ弊害もあるだろうけれども、それはためていけさえすればたいしたことはないのだ、一面射幸心を必ずしもこれをつんでしまうわけにもいかぬのだ、だから健全な姿にいけばいいだろうと思っておるというようなあの考え方であれば、特に諮問をするときの心がまえとして、ほんとうの線を引いてくれということでなければならないはずだと思うのです。それがこういう形でなされているところにただ、まあさっきのお答えは、必ずしも答申だけにたよったのではない、運輸省が自主的な考えをもちろん中心としてやっていくのだというような趣旨答弁ではありましたけれども、その諮問を発すること自体がこれはおかしいのだ、まずこういう点を私は指摘しておきたいと考えるわけです。これに対しての答弁はあえて求めません。  そこで、ぜひお聞きしなければならぬ問題は、この答申のあとに、一番最後についておりますモーターボート競走法、このモーターボート競走法は、今ごらんのとおり、これが昭和二十六年の六月十八日に法律化された。そして今日までの間にすでに九回にわたって改正が行なわれておるわけなんですね。私はこのモーターボート競走法の立法の趣旨というものが、ほんとうに趣旨のとおり、目的のとおり行なわれておるというものであるならば、こんな十年の間に九回も、今度は十回目になるわけです。こう変えなければならぬということがあり得るはずはないと思うのですよ。これは立法の趣旨はりっぱです。認識を新たにするためにと読んでみますると、「この法律は、モーターボートその他の船舶。船舶用機関及び船舶用品の改良及び輸出の振興並びにこれらの製造に関する事業及び海難防止に関する事業振興に寄与し、あわせて海事思想普及宣伝と観光事業に資するとともに、地方財政改善を図るために行うモーターボート競走に関し規定するものとする。」こうあるから、実にこれはりっぱです。りっぱだったにもかかわらず、今申し上げたように、十カ年の間に九回も改正しなければならぬということはこの趣旨のとおりに行なわれなかったもろもろの弊害が伴ったからであろうとも思うわけです。今この場合、改正の年度を追ってどうこうという繁雑は避けますけれども、大まかにお聞きしておきたいことは、九回にわたる改正の要点はどういうことだったのか、御記憶の程度でもいいんですから、お答えをいたださたい。
  52. 吉田俊朗

    説明員(吉田俊朗君) それではモーターボート競争法、昭和二十六年六月に公布施行されまして以来の改正の経過を、あらまし御説明申し上げます。  九回と申しますけれども、設置法の改正、その他ほかの法律改正に伴って字句修正等の影響を受けて改正せざるを得なかった改正もございますので内容的におもな改正が行なわれました経過だけについて御説明いたします。昭和二十九年に補助金等の臨時特例等に関する法律の成立に伴ないまして、納付金の国庫納付制度及び国家予算計上制度廃止されたために、自動車競技法等の臨時特例に関する法律が制定されまして、モーターボート競走からの収益の一部を機械工業の振興に充てる制度に改められたわけであります。ところが、この臨時特例法は昭和三十二年に三月三十一日限りで失効することになっておりましたので、この臨時特例法によります振興費の取り扱い方法を改めまして、造船関係事業等の振興に充てることにいたすとともに、モーターボート競走健全化をはかるために、昭和三十二年に大幅な法改正を行なった次第でございます。この改正におきましては、造船関係事業等の振興に関する規定は三カ年の限時法となっておりましたために、昭和三十五年に至って再びその取り扱い方法を再検討する必要が生じたのでありますが、たまたまそのころ公営競技全般に対します世論批判が高まりまして、制度全般にわたって再検討を加える必要が生じましたので、政府におきましても、先ほど来御説明のとおり、公営競技調査会設置の動きが現実化いたして参りまして、実質的な法改正はその答申に待つことにいたしまして、昭和三十五年及び三十六年に振興費に関する暫定的な、小きざみな一年延長を行なったために、そのたびごとに法改正が行なわれたわけでございます。したがいまして、今回の改正はその趣旨に基づきまして、調査会答申も出ましたので、本格的に制度全般についての全般的な慎重な再検討の結果生まれた改正案でございまして、まあいわば締めくくりと申すべきものであると考えるわけでございます。
  53. 田上松衞

    田上松衞君 大倉委員もるる指摘されましたように、モーターボート競走自体について必ずしも反対するというわけではないのです。その点に関する限りは運輸大臣とまるまる一緒では決してありませんけれども、やはりこれを健全なものにしていく。少なくともこの立法の趣旨以外でありましても、これが健全な国民を仕上げていくことに用立つことであるならば、これはまた考えようもある、とるところもあるだろうという考えを持っていることは事実です。しかしながら、今までの行き方はこの競走法の、あるいはこの競技自体の運営、この点について答申の中にもはっきり書かれてあるように「社会的に好ましくない現象を惹起することが少なくない」、だから「多くの批判を受けている」のだということを前もって言っている。このとおりなわけなのです。私はそういう見地に立って、これをもっとこうした賭博行為に陥らないことにすることが健全化することの内容だろう、こう考えているわけです。これをすることのためには、多くの入場料を取らないで、できることならばこれは健全な一つ競技ということでいくならば、これはある程度まで国の費用をもってやっていけるようなことにすることも考えられていいことだと思うのです。にもかかわらず、今度のあれでいくならば、入場料をきめる等において運輸省令で定める額以上の入場料を取らなければならないという、私いろいろなものを見ますけれども、こうした最低をきめておいて、これ以上のものを取らなければいかぬぞというような式の料金というものは、これは珍無類だと思うのです。たいがいの場合には最高を押えておいて、そしてこの範囲内でしなければならぬぞというのが、これが普通の人々の考えるあれだと思うのです。最低をきめておいて、それでそれ以上ならば幾らあってもいいというような式の行き方というものは、これは実際理解に苦しむわけなんです。この趣旨はどこからきているのか、お聞きしたい。
  54. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) ただいま入場料を値上げするのはおかしいじゃないかというお話がございましたが、入場料は現在各施行者によりまして差がございますが、平均いたしまして十三円見当ではないかと思います。この入場料はいろいろな娯楽その他の入場料と比較いたしますと非常に不当に安い入場料でございますので、これを若干値上げすることを省令に委任することにいたしまして、この値上げしました入場料は競技環境競技施設の改善に充てるというふうにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  55. 田上松衞

    田上松衞君 競技施設を改善させようという面からいうと、今のその面からだけいうならば今の御答弁もうなずかれるのですけれども大衆娯楽健全娯楽にする、一般的なものにする、賭博行為でないのだと、そうさせてはいかぬのだという大きな建前からいけば、おそらくこれは逆じゃないかな。そのために、私さっきくどいようだったけれども前提を置いて、ほんとうの健全娯楽、健全競技大衆娯楽というものであって、立法の趣旨以外にわれわれが望むところの効果を求めようといたしますならば、国の費用を使ってもいいのではないかとまで考えるわけだが、そうすると、そうするのにはむしろこれを、しまいには無料にしていくというところまで進んでしかるべきだろう、その面からいけばですね。ところがこれ以上取らなければいかぬ。そこがなかなか理解できない。今の説明ではとうてい理解できない。だがそれはそれとして、最高どのくらいまでですか。
  56. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 最高は規定いたさないことになっております。
  57. 田上松衞

    田上松衞君 全くこれはばくちそのものなんだ、何だかんだと言っても、ばくち奨励でしょう、端的に言って。こんなばかげたことが実際考えられるのですかね。これはいよいよあれですね。それならばこれは施設の改善もしてみたいと、それから目的に書かれておるこれもしてみたいと。それからさらに、今まで全国モーターボート競走会連合会ですか、これに対して交付したところの、いわゆる「造船関係事業等の振興のため」という意味でやっておったこの交付金を、今度は新たに日本船舶振興会というものを作り上げて、そうしてそっちのほうへこれを交付し、さらにそのほかに、新たに一定の金額を今度は「体育事業等の振興費」という名目でもって、これを日本船舶振興会のほうへ交付しなければならぬと規定しておるわけですね、内容的には。こうしますと、およそこういうことを規定する限りは、ばかでない限り、これこれのものが大よそ入ってくるだろうから、これこれを交付しなければならぬという一つの計画がなければならぬはずだと思うのですが、この料金の改定によりまして、どのくらいの収益が増してくるということになりますか。
  58. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 入場料の最低額をきめるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、平均十二、三円が現在の入場料でございますが、一これを三十円ないし五十円というふうに最低額を考えております。現在入場料の上がりがどのくらいに相なっておるかと申しますと、昭和三十五年度の実績についてみますると、売上総額、これは勝舟投票券の売上総額が二百九十五億円ばかりになっておりますが……
  59. 田上松衞

    田上松衞君 途中ですが、三十五年度だけですか。
  60. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) さようでございます。約二百九十五億円でございます。それに対しましては、入場料が六千百九十九万円、約六千二百万円に相なっております。したがいまして入場料の最低を上げますと、その割合でふえるわけでございます。  なお、先ほど入場料の最高をきめないのは不都合であるという御意見がございましたが、入場料は施行者はなるべく低く、なるべく入場料を安く押えたいという希望のようでございますので、最低額をきめますと、その最低額に従うということに相なるものと考えております。
  61. 田上松衞

    田上松衞君 最低額をきめれば施行者は最低額に従っていくだろうという、そういう甘い考えはナンセンスですよ。このごろいろいろやっても、たとえば、小さな問題、パーマネントにしたって散髪代にしたって、その他もろもろのもの、一切の物価を考えるときに、最高をきめると、最高即最低、全部最高を取るのですよ、頭半分刈っても最高を取ってしまう。事ほどさようにこれは欲を持っておるところの人間の普通のことでありまして、この場合には、法文にうたってありますが、「運輸省令で定める額以上の入場料を徴収しなければならない。」、こう書かれてしまうと、この最低の料金にならってなんていう考えは甘いものだと思う。しかしこれは意見ですから、いろいろのものの見方が違うのでしょうし、御答弁を求めるのもばかくさいことですから、その答弁は必要としません。さらには、今度は「施行者は、その行なう競走の収益をもって、社会福祉の増進、」その他の「施策を行なうのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」という文句がある。こうなってきますると、今私が述べたような最低のものをきめたら、それに従って大体それを基準としてやっていくなんということは考えられるので、幾らでも次から次へとふえてしまうことが考えられるのであるから、つい料金も高くし、一面には根本の問題であるところの、何だかんだといったところでひとつ大ばくちにしないと立っていかないことになりますから、いわゆる賭博行為というものが、一番心配される弊害というものが、除去されるどころでなくして、いよいよこれをあおり立ててしまうということにしかならぬだろう、こう見すかされるわけなんです。それについての運輸大臣の御見解をお聞きしたい。  ついでですからもう一点。今のように最低をきめるにしても、今までよりか相当、何層倍かにこれはならざるを得ないという結果になるわけですが、今日物価の抑制をしなければならぬ、好む、好まぬにかかわらず。これは国のために大きな問題だと考えるわけなんです。こういう時期においてこういうことをすることは、そこに大きな矛盾が来はしないかと心配するわけですが、それに関してのお考え、この二点を運輸大臣から承りたい。
  62. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) この勝舟投票券をある程度枚数を制限したほうが、大ばくちを奨励しないことになっていいのじゃないかという御意見は、全く同感でございます。先ほどからの入場料の点は、これは大体勝舟投票券を買いにくるというのが、ここへ入ってくる人たちの大部分でありますが、しかしながら勝舟投票券を買うにしても、また買わないにしても、そこへ入場して観覧をするという者から取るものでありまして、この入場料がないと、あるいは非常に安いということになりますると、よけい射倖心をそそりまして(笑声)そうしてもう入場料なしに勝舟投票券だけを買いにくるということになりますると、今おっしゃるような趣旨からよけい遠ざかっていく、かように考えるわけであります。したがって、子供でありますとか浮浪者でありますとかいうような者を防ぐことはもちろんでございますが、ただ勝舟投票券だけを買いにくるというよりは、やはり一定の入場料を払った者でなければ勝舟投票券が買えないというようにしたほうが、私は健全娯楽趣旨に沿うものだと、かように考えております。これはあるいは御意見の相違になるかもしれませんが、改正考え方はそういう考え方でございますから、御了承いただきたいと思います。
  63. 田上松衞

    田上松衞君 およそ世の中のこと何でもですが、特にこうした娯楽等に関する場合、それが不健全でもあるのだけれどもなんというような趣旨をうたって事業を始めるものはないわけです。あるいは弊害があるかもしれぬけれどもというようなことを言いっこないんですよ。どろぼうにも三分の理屈があるのですから、いい面だけをこうだと言って、そうしなければ、次第ができ上がらぬのですね。これはこれらと関係のない、競技類のものでなくても、何の仕事をするにしても、世の中に害毒を流すかもしれませんけれどもひとつかんべんしてくれ、生きるためだからというようなばかげたのはないのであって、かくかくと全く薬商売みたいなことを言っているわけです、実際問題としては。しかしそれにしても、文字に表わした美しい面を追って、そうしてこれをこうつんでしまったら、ここがきれいになるだろうか。これなら顔を少し他の人並みにできやせぬかと考えるのは、甘い考えでありまして、事柄は、こういうことについては、私は、国民のためにひとつ目をかけて、政権を取り、担当していかれる大臣としては、もっときちんと国民向けの考えをもっていただかなきゃ困ると実は思っておるわけなのです。これは業者のためにやっていくというやり方では困る。だから、見解の相違があるだろうと大臣は言われたけれども、私はそういう立場からくるところの見解の相違が大いにあると思う。だから、この件に関しては場所が場所ですから、くどいことを言うのは避ますけれども、どうかひとつ認識をさらに改められて、お前たちが言うこともまたこれは耳を傾けるべき点もあるだろうというような感覚で、頭を冷やして一ぺんこういう問題、ものの見方については考え直してもらいたい。特にこのことは要望しておきます。  それからもう一つ。今までに全国のモーターボート連合会に交付していたやつを、さっき申し上げたように日本船舶振興会へこれを移していく。そこで、この交付金を受け入れて、もって造船関係事業等及び体育事業等の振興事業を行なうための団体として新たに財団法人日本船舶振興会というものを作る。こういうことになっておるわけなのですが、その規模はどんなものなのですか。
  64. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 日本船舶振興会が新しい法律改正によりまして設立されるわけでありますが、この規模は、現在、日本船舶工業振興会という財団法人が三十四年度に設立されておりまして、これが事実上全国モーターボート競走連合会の振興事業の一部を助けておるような格好に相なっておる次第でございます。この規模は、役員は会長、理事長それかな常任理事というほかに、学識経験者の理事が十名以内おりまして、事務局は約十七名をもって構成されておりまして、この法律改正によりまして新設されます日本船舶振興会はこの業務を事実上継承するという格好に相なるわけでございまして、同規模の事務局及び同程度の有給の役員をもって運営されるものと聞いております。
  65. 田上松衞

    田上松衞君 私、歯に衣を着せないでもの申し上げますけれども、日本船舶振興会を設立する目的というものは、さっき読み上げましたように、国からの交付金を受けて造船関係事業あるいは体育事業等の振興業務を行なうのだということになるわけですけれども、きわめて小規模なものだとおっしゃったが、会長あり理事長あり、常任理事あり、別に理事が十二名もいる、事務局員が十七名もいるということなのですね。これが決して無償であるはずがないのだ。言いにくいだろうけれども、すでにこういう限りにおいては一つの計画をお持ちでしょうが、役員が受けるだろうところのいわゆる給料等、事務局員が受けるだろうところの給料一切、年間どのくらいお見込みになっていますか。
  66. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 先ほど御説明申し上げたのは少し不明瞭でございましたが、今度できます日本船舶振興会の前身と申してもろしい日本船舶工業振興会の有給の理事は理事長一名、常任理事一名でございまして、そのほかの理事約十名ばかりは、いずれも振興関係の学識経験者よりなっておりまして、これは全部無給の理事でございます。それで今度の日本船舶振……
  67. 田上松衞

    田上松衞君 いや、事務局員十七名の……。
  68. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 十七名の事務局員は、常任理事が事務局長を兼ねております。その下に総務部長、業務部長、経理部長がおりまして、総務部長の下には総務課長一名、それから庶務係長それから係員二名、総務係長、係員二名業務部長の下には業務課長、課長代理及び係長が二名おります。それから係長の一名も欠員になっております。経理部部長の下には経理係長、会計係長がおりまして、係員がそれぞれ一名いる。それから給与ベースでございますが、給与ベースは政府機関にありますいわゆる公団の給与とほぼ同等の給与に相なっております。
  69. 田上松衞

    田上松衞君 悪口になるようですけれども、まったく盲腸みたいにどうでもいいような長をお並べになったわけですが、ただ聞きたかった点は、これら有給のものの年間の給料総額をお聞きしているわけなんですよ。公団と同様だというのですが、公団はいうまでもなく一般国家公務員よりかはるかに多いのです。総額でしろうとわかりするように年間どのくらいかかるか。
  70. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) 三十七年度予算でございますが、給与総額が千九百十万円になっております。
  71. 田上松衞

    田上松衞君 三十七年度というのはこれから発足するわけですね。今後の的確な年間幾らという……。
  72. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは年間の予算でございます。新しい団体が設立されますと、これが切りかわるということになるわけでございます。
  73. 田上松衞

    田上松衞君 今のお言葉の中では給与総額と言われたが、それは期末手当その他等を含む一切の金額のことであるのかどうであるか。
  74. 藤野淳

    政府委員藤野淳君) これは期末手当全部含んだ給与でございます。
  75. 田上松衞

    田上松衞君 ここから生まれたものをやって、これだけの人間の機関を作る。それでも千九百万以上というものが年間かかっていくということになるわけです。おそらく、ああだこうだベース・アップが行なわれるとか何のかんのということになるに従って、他の大きな、みずからものを作り出していくところの道路公団であるとか住宅公団であるとかいうような性質のものと、あるいは水資源公団であるとかいうようなもの等の、そこのことを頭に浮かべて考えるならば、やはり公団並みということになるならば、この数字は近く二千万円に達する、近くじゃない、もう三十七年度年末においてやるだろうということは、三つ子でもわかる理屈です。私は、こういうことが何か新しい日本の健全な体育を奨励していくためのものであるというようなことであるならば、それはくどくさっき繰り返したように、国が一つの費用を投じてやってもいい、国民の血税をもってやってもいいと考えるものであるけれども、何と申し上げましても賭博行為であるものを今ぶった切ることは困難であるから存続させようというのが、大臣がどう説明されようとも、腹の中はそうであるに違いない。切られるのが困難であるというところからきておる。将来こういうものは——将来どころではない、たった今すぐからでもわれわれはこれを廃止してもらいたいという気持は持っておるのですけれども、そういうことであるとすれば、たとえばそれが国民の血税をもってまかなうものでないにいたしましても、その費用は、外国人でなくて、みな日本の勤労者たちがぶち込むのだということを考えた場合に、いよいよますます罪作りになるだけのことだと考えざるを得ない。そういうようなことをすると、別の裏の面から言うならば、国民がせちがらくなるに従って、いろいろ考えたり、言葉の中にありまするように、各種のものを役人のうば捨て山に作り上げようとしておるのだという疑惑を持っていくわけですが、このたぐいはこれが最も的確に表われる性格のものだと杞憂せざるを得ないわけなんです。こういうあれについては、ほんとうに今までの何か弊害があることをためつつ、しかもそのぶった切ってしまうということにはできないというような困難な事情がありますならば、それはそれなりのことでやって、国民がまあその程度ならばやむを得ないだろうというような程度に、了解してくれる範囲内におけるところの存続にしてみたらどうか、こう考えるのですが、いろいろ内容を検討すれば検討するほど、うば捨て山を大きくするようなことにとられがちな内容を持っておると懸念するわけですが、大臣、もう一ぺんくどいようですけれども、再検討してみようというお考えはありませんか。
  76. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) モーターボートその他これに類似する競技法の施行に関しまして、いろいろ弊害の起きて参りましたことにかんがみて、政府としましては、この公営競技調査会諮問をいたし、この調査会は、先ほども局長から御答弁申し上げましたように、評論家そのほか、こういった事柄について相当深い考えを持っておられるであろう人たちを委員にお願いをして検討を願ったわけでありますが、その結果、先ほど田上さんからもおっしゃったように、答申が出て参りました。そうして、やはりこういったものは弊害をためて、そうして健全娯楽としてできるだけ公開の場で、こういった射倖的なことを弊害を少なくしてやらせたほうがよかろう、それには弊害をためるいろいろな方途を講じるようにという各項目答申があったわけであります。政府はこの答申を尊重いたしまして、とにかくよいように指導して参りたいというのがこの改正法案の趣旨でございます。御意見の点もございまするが、とにかくこの改正をやりまして、そうして今後の指導をやって参りたい、かように考えております。
  77. 村松久義

    委員長村松久義君) ほかに御質疑はございませんか。
  78. 田上松衞

    田上松衞君 さっき冒頭にお断わりしたように、いかにしても、この法案をきょう、私に関する限りはこの席上において初めて読んだだけのことでございまして、内容全般にわたってまじめな気持でもっと検討してみたいと考えるので、質疑は終了でなく、残余のものを留保することを申しておきたい。
  79. 村松久義

    委員長村松久義君) ほかに御質疑ございませんか。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 村松久義

    委員長村松久義君) 速記を始めて。  他に御質疑はございませんか。——ないようですから、これをもって質疑を終局し、討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。
  81. 大倉精一

    大倉精一君 誤解があるといけませんので、簡単に反対の理由を申し述べで反対をしたいと思います。  まず第一番に、すでにもう質疑の中でもって申し上げたように、競輪なり、あるいはモーターボート競走なり競馬なりという競技そのものには反対するのじゃないのです。が、しかしながら、現在の制度は、時間もありませんから重複を避けますけれども、すでに質問の中で明らかにしたように、この理由をもって私は反対をいたします。ただ、答申にもあるように、われわれの立場としては、かわりに財源なりその他の方策を講じて、すみやかにこの制度廃止すべきである、こういう立場に立っております。したがって、この法律案は、この制度存続するという前提に立つ限りにおいては若干改善されるものでありますから、これはけっこうかと思うのですけれども、私は根本的にこの制度廃止すべきである、こういう考えのもとに立ちますから、この法律案では、なおこの制度存続される、こういう結果に相なりますので、私は日本社会党を代表して反対するものであります。  以上、簡単ながら反対の理由を申し上げます。
  82. 田上松衞

    田上松衞君 質問を通じて若干の意見を申し上げましたとうりに、大体この種の問題は、一刻も早くこれを廃止して、なるべく国民がまじめな気持でもって今日の時勢に対応できるような、ほんとうの生業のほうにいそしんでいく道をわれわれは常に念願しておるわけなんです。したがって、一刻も早くこれが廃止されることを望んでおる。大倉委員が言われたように、今度の一部改正案に反対するということであれば、結果的にはもっと改正しない前の弊害の多いものが残ってしまうという結果になることでございまして、非常にこの点から見ると立場は苦しいわけですけれども、根本的な考えが廃止へ持っていくべきである、しかしこういうことをやって存続させることになっていくのだ、こういう点から反対をせざるを得ない立場に立っておるわけであります。したがって、反対を申し上げる真意はそこにあるということを十分御了承願いたいということ、及び私どもが反対するといたしましても、結果的には、これは言わずして本法案が原案通りに通過されることはわかりきっておることでございますので、どうかひとつ、通過後においても、質疑の中に申し述べたいろいろな私どもの不安、不満あるいは要望、そういうものに大臣初め当局の方が十分心して下さって、運営の面でこれらの点についてはひとつ補っていただきたいということをお願い申し上げて、反対の理由にかえさせてもらいたいと思います。
  83. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を表明いたします。  このモーターボートあるいは競輪その他のことが射倖心を非常にそそる。その結果、非常に社会悪の温床となるというような御議論、またその善悪、これがいいものか悪いものか、その道徳的というか、そういうものの判定につきましては、私ども今反対された委員方々のお言葉にもなるほどと思うことがないではないのであります。しかしながら、この世の中、社会というものは、やはり生きておるのでありまして、生きておるものが生活しておる社会というものの間には、何も聖人君子だけが社会を形作っておるのではないのであって、勢い悪と見なすべき、あるいはまたそういう好ましからざる状況も現われてくると思います。しかし、これを除々に善導して、そうしてりっぱな社会にするというのが私は政治だろうと思う。ところで、この問題について、ただいま大臣お答えになりました趣旨から考え、また、公営競技調査会答申を見ましても、あるいは競技自身がかわり財源がない限りとか、あるいはまた、やるについては政府の監督を非常に厳にしろとか、いろいろの制限というものをつけておるということは、結局、一面においてそういう意味も含まれておるけれども、直ちにもってこれを最大の罪悪だという工合に見てもいないということに私はうなづかれるわけであります。ところで、実際の問題として、これをただいま廃止するかしないかという問題になって、何年間も時限立法でもって長引いて参りましたが、この長引いたという理由をわれわれよく考えなくちゃならない。なるほど一思いに殺してしまうのも行き方でございましょう。しかし、これが長く何回も一年々々移ってきたというところに存続の若干のやはり意味があったと思う。これは健全娯楽に切りかえていくようにわれわれが非常に努力をするならば、やはりそこにいくことは望みがないではないということが一つと、それからもう一つは大きい財源の問題だろうと思う。およそ三つありましたが、第一はそれ、第二は私は財源の問題だろうと思う。三十五年の二百九十四億というものの内訳を見ましても、その約七割五分の二百二十一億というものが払い戻しになっておりまして、それから十二億というものが交付金、それから二億七千万円、これがやはり交付金でありまして、そのほかに施行者、すなわち一応自治団体の収入が十六億になっておりますし、そのほかに入場税その他雑収を加えますというと、地方団体財源というものが二十四億というようなことに相なるでありましょう。そうするというと、そういうものは、これはわれわれの税金ですべて片づけろといえばそれまででありますけれども、現実に予算を組みますときに、なかなかこの使途のような項目にこれを取るということは非常に困難性が事実伴っておるということも考えなくちゃならぬ。  またもう一つは、約二万名の者がおる。これを全部やめてしまうということになりますれば、今は非常に産業界は生産向上のときでありますから心配は要らないというものの、この路頭に迷う従業員関係約二万名の処置をしなければならぬという問題がある。炭鉱関係において五万名を処置するについて、非常にわれわれの血の出るようなやはり財源を使ってやっておる。こういうようなものでも、性質のいかんにかかわらず、現実に失職するということはこれは明らかであります。こういうところから考え思い合わせますというと、やはりこの財源を国として十分にできて、そういう方面には税金をもって手当ができるというときになるまでは、これはやはり存続して、一方、やり方をよく指導し、監督して、弊害のできるだけ少ない方向に持っていくということが最も妥当なものだろうと私は考えます。したがって、本案に賛成するゆえんであります。
  84. 村松久義

    委員長村松久義君) 他に御発言もなければ、討論を終局し、採決を行ないます。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  85. 村松久義

    委員長村松久義君) 多数と認め、本案は可決すべきものと決定いたしました。  報告書の作成については、委員長に御一任を願います。     —————————————
  86. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、連合審査会の開会についてお諮りいたします。  逓信委員長より、船舶職員法の一部を改正する法律案について、連合審査会の開会要求の申し出がございました、逓信委員長要求のとおり連合審査会を開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 村松久義

    委員長村松久義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、開会の日時等につきましては、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 村松久義

    委員長村松久義君) さように決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。  午後三時三十八分散会      —————・—————