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1962-03-29 第40回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)   午前十時四十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村松 久義君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            大倉 精一君    委員            江藤  智君            重宗 雄三君            天坊 裕彦君            平島 敏夫君            前田佳都男君            相澤 重明君            小酒井義男君            中村 順造君            中村 正雄君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 斎藤  昇君   政府委員    運輸大臣官房長 広瀬 真一君      運輸省鉄道      監督局長  岡本  悟君   事務局側       常任委員       会専門員 古谷 善亮君   説明員       日本国有       鉄道総裁 十河 信二君      日本国有鉄      道常務理事 中村  卓君      日本国有鉄      道常務理事 磯崎  叡君      日本国有鉄      道運転局長 音田 和夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道の運営に関する件) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村松久義

    委員長村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず運輸事情等に関する調査を議題といたします。質疑の通告がございます。この際御発言を願います。中村君。
  3. 中村順造

    中村順造君 国鉄運輸事情の中で特に運転保安ですが、最近踏切事故が非常に多い、それからこの踏切だけに限らず、やはり総体的に昨年の十月一日のダイヤ改正以来列車密度が非常に高くなっておるのと、一般の鉄道運転に対する理解が非常に薄いために、やはり線路の上における事故、特に傷害事故が非常に多いのですが、そういう面について一体どういうふうな考え方国鉄は持っておられるのか、たとえば踏切については、国鉄の場合はいろいろ昨年の例の踏切法案の通過で多少改善される方向にあることはわかっているのですが、そういうふうな線路上における傷害事故それから死亡事故、そういうような面について、どういうふうな考え方を持っておられるか、特に業務過失刑事事件というようなことになると、当人は非常に長い間苦しまなければならぬし、裁判をやるということになって、しかもその結論的にその裁判事故の真相ということから判断をされずして、ただ人命尊重という見地からややもすれば最終的にそれは過当だということになる、それに対してやはり列車運転するという立場からどうしても納得できない、そうすればどうしてもみずからの防衛的な考え方、すなわち自分自身を守らなければいけないと同時に、列車自体を守らなければいけないということで、当然ここには列車事故につながって安全運転ということをやはり考えなければならない。ところがそういうことを考えて運転をすると、列車定便運転をさせなければならぬという原則にあまりこだわり過ぎて、そういうものをすぐ今度は行政処分をする、当局のほうでそういう現実が今あるのですが、一体どういうことに考えておられるのか、運転局長、きょう職員局長も来ておるが、処分したほうの側では職員局長運転局長はその事故に対する考え方、最近の動向について、どういう判断を持っておられるかお答え願いたい。
  4. 十河信二

    説明員十河信二君) 正確にする、運転を安全にするということは、われわれ輸送を預かっておる者の第一の責務であります。その点に対しては十分に力を入れて、ただいまお話のありましたように新五カ年計画においても、物的設備もいろいろと改善をいたしつつある次第であります。また訴訟等になりますと今お話のあったように、不利な、われわれがこれはどうも承諾しかねると思われるような事態もときどき起こって参りまして、そういう際にはわれわれは被害者とともに、力を合わせて正当な判決を得るように努力をいたして参っておる次第であります。なお今後ともそういう点については十分に力を入れたいと存じております。
  5. 中村順造

    中村順造君 今、総裁お答えは当然常識の範囲を出ないのですが、現実の問題としてやはり線路上、軌道上における傷害事故、最近の今係争中のもの、三公社が係争中でありますが、ああいうふうな重大事故以外にやはり小さい、通ってならない線路の上を通って不幸にしてそういう人が列車に触れて死んだとか、けがしたとか、最近の判決例を見ますと、従来は警察調書程度で済んだのが最近は全部有罪になっております。これは大体人命尊重という見地からそういう判断がいつも下されるわけですが、そうすると、そういう事故を起こさないためには、やはりたとえば線路上に異物を発見した場合には列車をとめる、一番そういうことが望ましいことですけれども線路上に何か異物を認めた、あるいは向こうから踏切に向かって自動車が進んで来るという場合、そのつど列車をとめることができるか、徐行ができるかということは現実離れの話です。だけれども、もし一たん事故になればやはり下る判決としては、その列車運転した者自体が処断をされる。そうすれば列車を守り、また自分立場を守るためにやはり徐行する、あるいは列車をとめる、だから裁判判決が下ったという現地でいろいろ実例があるわけですけれども、そういうことで、それじゃわれわれはみずからを守ろうじゃないかということで、その措置をとれば、そういう列車ハンドルを握っておる者は、もう国鉄安全綱領の中で、ちゃんと危険と認めたときはこうせいということがきめてあるから、その範囲措置したのに対して、今度国鉄がそのやった職員自体処分をする、全く矛盾して両々相いれないものがある。こういう点については運転局長が専門的によく実情を知っておられると思うから、総裁お答えをわずらわさないでも運転局長で十分そういうところの実例とか、最近の運転事故死傷事故実例とか——線路の上は通ってはならないという考え方で、何年か前はそういう考え方がきつくとられておって、私ども子供のときでも線路の上を通れば罰金を取られるという考え方でおったが、最近は線路が通路になっているところがある、こういう点について運転局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  6. 音田和夫

    説明員音田和夫君) 最近の事故がふえましたことにつきましては、先ほど国鉄総裁からお話がありましたとおりでありまして、それに対しましては、部内的な機構といたしましても踏切番を設置いたしましたり、鋭意関係方面と折衝をいたしましてその防止努力をいたしております。  それからただいまお話しになりました線路内の通行につきましては、以前からも非常に努力をいたしまして、いろいろ学校とかそういった団体を対象といたしましたり、場合によりましては……。
  7. 村松久義

    委員長村松久義君) こちらへ出てきて、もっと大きい声でお願いします。
  8. 音田和夫

    説明員音田和夫君) 極力そんなことがございませんように努力いたしておる現状でございますが、遺憾ながら現在地域的に見まして必ずしも十分にいっておるとは申し上げられないような状態でございますので、今後一そうそういった点について努力をいたしまして、事故の起きませんように努力をいたすように考えております。
  9. 中村順造

    中村順造君 この四国の例をとりますと——たとえは労働組合賃金を要求するとか、あるいは定員をよこせというようなことで、列車が遅延したとかというような場合には総裁がびしびし処分をされる。ところが四国の場合はどういうことかというと、その判決に対して過当だ、そうすると、われわれはみずからを防衛するという見地から、やはり安全運転というか、徐行運転をするとか、危険と認めたときにはすみやかに列車をとめる、あたりまえのことをやるのに、それに対して何か組合計画をした、申し合わせをしたという名目をつけてこれを処分する。停職は六カ月とか三カ月とかね。そういうことはどういうことなんですか。中村理事がおられますが、そういうことはどうですか。
  10. 中村卓

    説明員中村卓君) 今私、伺ったので、実は詳しいことは伺っていないので恐縮ですが、法規あるいは業務命令に違反してそういうことが行なわれた場合は、やはり処分するのはやむを得ないと考えております。
  11. 中村順造

    中村順造君 あなた方の机の上だけで列車運転というものはできない。列車を操縦するものは——あなたはおそく来られたからわからないことをいっているかもしれないが、私が言っているのは踏切のほうに向かってダンプカーが走ってくる。これがとまるか、とまらないか自動車のことだからわからない。その場合列車をいつでもとめられるような速度に落すとか、またはとめるとかいう方法をとるのは、国鉄総裁運転局長でもなければ、理事でもない。列車ハンドルを握っておる機関士なり運転者がその方法をとる。そのハンドルを持っておる人の判断にゆだねなければならない。もしその判断を誤って事故になれば今度は刑事事件として裁判になる。そうすると、そのハンドルをとった人が刑事上の罰を受けることになる。だから運転者はみずから列車を守ると同時にみずからをも守らなければならない。そのためにそれを操縦している運転者なり、機関士にその判断をゆだねざるを得ない。その判断に基づいてこれを徐行したりとめたりしたら、あなたのほうでは処分をするじゃないですか。これはどういうことですか。
  12. 音田和夫

    説明員音田和夫君) お答え申し上げます。ただいま中村先生がおっしゃいましたのは昨年の暮の事件でございますか、そのときの事柄をお話になっておるというふうに思うのでありますが、個々運転をいたします場合に、列車運転速度の節制につきましてはただいま先生からお話がありましたとおりでございますが、当時の状況を思い起こしてみますと、列車が非常におくれました前後の状態と比較いたしまして、具体的な数字をただいま記憶いたしておりませんが、かなりおくれておりましたので、そういったものを個々列車について検討いたしました結果、必ずしも正常でないというふうな判断をいたしました結果、当局措置をとったものと考えております。
  13. 相澤重明

  14. 村松久義

    委員長村松久義君) あなたはあとからいらっしゃったから——きょうの議事の進行はこういうふうなことになっております。あなたの緊急質問があるというので、それであなたのいらっしゃるまで中村さんがやるということになっております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 今のは重大な問題だから……。
  16. 村松久義

    委員長村松久義君) それを御承知の上で、きわめて簡単にお願いします。あなたは出席されておりますから発言権がある。——それじゃ、中村さん。
  17. 中村順造

    中村順造君 私はちょうどその当時その四国におったのです。おって列車がたまたまおくれた。おくれたからどういうわけでおくれたかということを、やはりまあ運輸委員という考え方もあるし、聞いてみますと、どういう原因で列車がおくれておるのか、そうしたら高知のヤードの中で何か車両故障があった。そういう関係で三十分ほどおくれています——ところが、それは単線だから、当然その列車がおくれれば、行き違いの列車もおくれるし、また次の列車もおくれる、そういう状態になっている。それを集計して何百分おくれたから、お前のほうはけしからぬということで処分をしておる。これは決して安全運転だけでおくれたのでも何でもない。こういうことを現地におって私は現地の人から聞いておる。それで、あなたのほうで、ああでもない、こうでもないと理屈をつけて大量の、何十名という処分をする。一昨日も、処分処分というお話が出たけれども処分をすれば事足りるという問題じゃない。これは賃金を要求しているわけじゃない。要員をよこせと要求しているのでもない。列車運転を安全で迅速にやるというために、今総裁が言われたように、この国鉄原則に立って安全運転をしようという心がけで、そこからスタートしたいろいろ検討した結果でありながら、業務命令に違反したから処分する——それはどこまでその限界がありますか。たとえば向こうから自動車が来た、その自動車は忠実に法規を守ってとまった、とまったけれども、とまるかとまらないかわからないから、徐行した、そういうことをみんな処分しますか。そういうことを、やはりあなた方の論法でいけば処分する。しかも非常に過当判決が出るから、自己防衛立場から、こういうことでその運転をする労働者はやっておるわけです。それをえらい処分をするなんというのはけしからぬ話です。どういうわけですか。これは今後もそういう問題はしばしば繰り返されると思う。列車の安全を守るといえば、総裁の趣旨に沿った運転をするなら、しばしば徐行し、とめなければならぬ。それを処分するということはどういうことですか。
  18. 中村卓

    説明員中村卓君) 問題はやっぱり具体的なその場その場の判断の問題でございます。われわれといたしましては、そういう場合には、やはりごく抽象的に申しますが、ダイヤの上で幾らおくれたかということだけでその処罰をきめるということはいたしていないと思います。それは具体的にそういう安全運転の必要上最小限度徐行する必要があったかどうか、ということを具体的に調べた上で、そこまではやらなくてもよかったのではないかという認定のもとに、そういう場合はやはり処分をやっているのだというふうに考えております。もしその認定当局において誤まりがあるということがはっきりいたしますれば、これは考え直さなければいけないというふうに考えます。
  19. 中村順造

    中村順造君 あと相澤君が質問があるそうですからやめますが、最後に私は申し上げますが、これはあなた方の判断認定認定だといわれるけれども運転手なり機関士というものは、監督者立場を離れて仕事をしておるわけです。今向こう線路子供が立っております、汽車をとめましょうか、それとも徐行しましょうかと聞くわけにいかないから、単独で自分判断認定をして仕事をしておる。そうしてある基地からある基地へ行くまで、監督者のもとを離れて自分判断によって列車なり電車を運転しているわけです。それをあなた方が認定をするのに途中の踏切子供がどうだった、子供がおった、あるいは年寄りが入ってきたけれども逃げた、そういう一々認定ができますか。あなた方は認定々々と言うけれども認定ができない。ただ何か申し合わせをして、やったからと言うのでしょう。それも事実に反している。職員に三カ月だ、六カ月だ、お前職場に出ちゃいかんという処分をする。賃金を要求したのと問題が違うのです。そのことは一つも考えられておらない。しかも線路上の傷害事故列車安全運転ということについては従来よりはずっと後退している、あなた方の考え方は。これは運転している者の立場から見ると大へんなことになる。具体的に言ってどうですか、線路通行者自動車の取り締まりについて。これは今日国鉄の力だけではいかんともしがたい点があるのです。そうすればやはり運転する機関士なり運転士に最終的な正確な判断協力を求める、というのはあたりまえなんで、逆にあなた方は協力じゃなくて処分をする。列車運転を守り、自己防衛をすれば処分をする、とにかく列車定時運転すればいい、どうです、その考え方は。
  20. 中村卓

    説明員中村卓君) 私の方ではもちろん列車安全運転ということを第一に考えておりますので、それが中心になってすべての仕事をやっていることは先生承知のとおりと思います。ただ安全運転をしたから処分したというふうにおっしゃられるのは、非常にわれわれの気持とは違っているんではないかというふうに私としては考えさせていただきたいわけでございまして、やはりそこに若干の行き過ぎがあったんではないかというふうに認定いたしまして、おそらく処分がなされたのだろうと思います。具体的にそれは監督者が乗っておりませんので、個々の具体的なケースにつきましては一つ一つそれはいわゆる第三者的なものはないわけでございますけれども、おそらく具体的な弁明弁護措置もございますので、そういった場合に、一応こういう踏切でこういう人が入ってきたとか、こういう踏切でこういう自動車が来たとか、それぞれ当該乗務員陳述——陳述と申しますか、弁明と申しますか、実情調査した上で、それが常識的に考えまして妥当な範囲であるかどうかというようなことが一つの基準になって、処分をするかしないかという問題になると思います。
  21. 中村順造

    中村順造君 それじゃ弁明弁護だとか、行き過ぎがあったんじゃないかとか、そういうようなことを言われるけれども、一々列車をとめたつどそれを処分をして、しかも弁明弁護といったら何万件ですよ。できますか、そんなことを、現実の問題として。そういうことをするよりは手っとり早く、とにかく列車安全運転をやりなさいと、そういうことで処分をするよりは、むしろ協力を求めたほうが早いんじゃないですか。弁明弁護とか行き過ぎとか、そういうことを言わずに、処分をせずに、一体どうしたら軌道上の傷害というものがなくなるかということを一つも考えずに、それで労働者のほうでわれわれは自己防衛しようじゃないかと言ったら、あなた方のほうで処分をする、そんなばかげた矛盾したことはない。処分をするというか、むしろどういう実情だったか、これから先はこういうふうにやりなさいという適切なる指導をすると同時に、線路上に人が入らないようにするとか、巡回をするとか、あるいは事故の多い踏切については特別の配慮をするとか、具体的なものが整わなければならぬわけです。それをやらずして働く者にとにかく定時運転をやりなさい、定時運転をやりなさいと言うから定時運転をすれば事故になる、事故になれば裁判にかかる、だからこれをわれわれ何とか守ろうとすれば、今度はあなた方のほうで処分をする。何度繰り返しても同じことだが、とにかく私が今申し上げているように、処分をして行き過ぎとかという認定をする前に、どうしたら鉄道軌道上におけるそういう事故がなくなるかということを真剣に考えるべきです。そしてそれがやはり職員協力によってそのことが防げるとするならば、それからもう一つは、総裁も言われたように過当判決が出るというおそれのある場合には、十分あなた方もその裁判進行協力してもらいたい、通ってはならないところを通ったのでたまたま列車に触れた、そうすると、列車運転をする人は懲役何カ月、こういうことでしょう。今はみなそういう判決です。国鉄にも迷惑の話ですよ。だから、抜本的にどういう考え方をしているか。私は初めから聞いているのです。あなたの答弁は、ともかく現実の問題として行き過ぎがあったから処分したという、職員処分すれば国鉄の経営がうまくいくという考え方は根本から間違っている。その点どうなのです。
  22. 中村卓

    説明員中村卓君) 先生から処分中心に御質問になりましたので、私も処分のことを中心お答えした結果になったのでありまして、その点は申しわけありません。もちろん私どもといたしましては、事故防止の最善の方法として職員協力あるいはそれに対する指導というようなことも一生懸命やっております。また部外に対しましても相当PRを各支社管理局を通じましてやっているつもりでございます。特に自動車運転手踏切における一たん停止というようなことにつきましては、警察なり何なりの協力も得まして、いろいろと自動車運転手に対するPR協力というようなことを求めてやっているつもりでございますが、まだなかなかそれが十分徹底していい態勢まで持ってきてないということにつきましては、われわれも反省をし、さらに一段と努力しなければいけないと存じております。決して安全運転職員処分だけでやっていこうというような気持は毛頭ございません。
  23. 中村順造

    中村順造君 それならば結論的に。たとえば四国の例をとったが、ともかくそういうふうに四国だけで特定の処分者が出るというのはおかしい、その全体の気持が、あなた方が正確な理解を持っておらなかったと思う。一体に何かやれば、これは全部賃金をよこせ、要員をよこせという、いわゆる組合のいう言葉でいうと闘争、そういうものと同一視して全部あなた方は処分する。きょうこの委員会で私はそれはそうじゃないのだということを言ったので、おわかりになったと思います。そうすると、四国支社長はきわめて行き過ぎたことをしている。よそと同じようなことをやっているならよろしいが、よそにないようなことをやっている。四国については、再検討する用意があるのですか。
  24. 中村卓

    説明員中村卓君) 四国実情は非常にほかに比べておくれがひどかったようです。その辺の実情を本社といたしまして、もう一回再検討したいと思います。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 運輸事情の中で、特に国鉄関係について緊急質問をしたいと思うのですが、運輸大臣は出席できませんか。
  26. 村松久義

    委員長村松久義君) まだ呼んでおりません。これから呼びます。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 私のこれから質問することは、国鉄関係ではあるけれども、やはり監督官庁としての運輸大臣をひとつ至急に呼んでほしい。
  28. 村松久義

    委員長村松久義君) 国鉄当局も来ておりますので、緊急の問題は国鉄に直接の関係があるようですから、まず国鉄当局に質疑して下さい。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 十河総裁にお尋ねをしたいのですが、国鉄従業員に対する年度手当の問題で、現在国鉄当局従業員の作られている組合との間で、まだ問題が消化をされておらないと聞いておるのでありますが、実情はどうなっているか、御報告いただきたい。
  30. 十河信二

    説明員十河信二君) 年度手当は御承知のように年度末までに決定をいたしませんと、支給できないことに会計法上なっております。それ故に年度末までに誠意を披瀝して各組合団体交渉を継続いたして参ります。国鉄としては組合員の熱心な協力努力によって収入もある程度ふえましたし、合理化も進んで参りました。これに報ゆるために、財政上許す限りの最後案を各組合に一様に提示いたしました。ところが三つ組合同意の解答がありましたが、一つ組合だけその回答をまだ得られていないという状態で、われわれは非常に困っておる。したがって今後も誠意を尽くして、どこまでも話し合いをして了解を得るように努力したいと考えております。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 その今の総裁報告だと、四つの組合があって、そのうち三つ組合同意をして、一つ組合同意をまだ得られていない。したがって誠意をもって解決するようにするのだが、まだきまっておらないで困っておると、こういう答弁だと思うのです。そこで一つ組合というのは国鉄労働組合ということなのかどうか、いかがですか。
  32. 十河信二

    説明員十河信二君) そのとおりでございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 その国鉄労働組合というのはどれくらいの従業員が参加しておるのですか。
  34. 中村卓

    説明員中村卓君) 組合員数は昨年の十二月で、正確に申し上、げますと三十万九千ぐらいでございます。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 その他の三つ組合一つ一つあげて下さい。
  36. 中村卓

    説明員中村卓君) 国鉄動力車組合が五万四千二百余り国鉄職能別労働組合連合が一万三千五百余り、それから国鉄地方労働組合連合が二万三千六百余りでございます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、これで、幾らになりますか、総合計は。全体の今のこの組合員はどれくらいになりますか。
  38. 中村卓

    説明員中村卓君) そのほかに小さな独立の組合もございますが、総計大体四十万一千三百です。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄従業員は何人ですか。
  40. 中村卓

    説明員中村卓君) 四十五万ちょっとでございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 ここは運輸委員会ですからね、四十五万ちょっとという報告があるか。従業員が何人だと聞かれて、四十万ちょっとというのはどういうことなんですか。そういうふざけた答弁があるか。国会に対して何と心得ているのだ。いま一度ちゃんと言い直せ。
  42. 中村卓

    説明員中村卓君) まことに申しわけございません。資料がちょっと古いのでございますが、三十六年の年度末の三月の資料でございます。前年度末の資料でございます。四十四万八千三百九十でございます。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 三十六年の三月末の数字で報告になったのですが、それから退職した人は幾人ですか。自来今日まで退職した人は幾人ですか。
  44. 中村卓

    説明員中村卓君) その後、これは三十六年三月末の特別退職者を含んだ数字でございますので、このうちから約八千くらい特別退職者がございましたし、それから毎月百人前後の自然減もございますので、それと一方それを埋めまして、新規採用者がございますので、大体の規模といたしましては間違いないと思います。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 少なくとも常務理事ともある者が国会の答弁で、退職者が何人あると言われたら何人ある、毎月と言われたら毎月何人ある、そのくらいの報告ができないか。新規採用はこの間に幾人いたしました、もしそれはできないならできないでよろしい。もうそれは私は場を変えて十分に調べる権限は持っているのだから。だけれども、そういう国会の答弁があるか。国鉄の最高の首脳部が自分関係しておるところの従業員が何人おるということを把握できないで、何を一体管理運営に携わっておる。しかも今発表しておるのは三十六年三月だ。去年の三月の数字を述べて、それが現状でありますということが言えるか。  委員長に私はお尋ねいたしますが、国会の運営というものについて、委員長から、ひとつ国鉄の今の常務理事答弁を妥当と思われるかどうか、私はあなたに今度逆にお尋ねしたいわけなんです。  こういう答弁では、町での話ですよ。町で、お宅は幾人おりますか、お宅の家はどうですかと言われたときの答弁にしかこれはならぬ。国会の答弁にならぬ。こういうような考え方を持ったいわゆる責任者が管理運営に当たっておるなんていうのは、まことに心もとない。十河総裁、一体どう考えるか。
  46. 村松久義

    委員長村松久義君) 委員長に対するお尋ねはどういう点です。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 委員長は、今のようなあいまいもことした抽象論で、国会というのは、やはり予算にしても決算にしても、数字をあげて審議をしておる。したがって運輸委員会といえどもこれは専門の委員会として、そしてその委員会の所管事項については数字をあげて説明がなければならぬ。今のは抽象論、概略ですよ、今の報告は。委員長そうでしょう。
  48. 村松久義

    委員長村松久義君) そのとおりです。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 こういうことになれば国会の権威というものはないですよ。町の路上で話しをするのと同じだ。だから委員長はそういうことで、もし審議がこういう形で進められるなら、これはもう審議できないですよ。そうでしょう。国会議員が、少なくとも専門的な立場でものをお尋ねするのに、国鉄関係者が抽象論きり答弁できないということでは、これは国会の審議にならぬ、国会軽視もはなはだしい。したがって、委員長として、もし数字をそういうふうに担当者から説明させなければいけないとお考えになれば、そういうふうに私は準備をさせてほしい、準備ができなければ、これは審議にならぬ。こういう点を……。
  50. 村松久義

    委員長村松久義君) そこでお尋ねをいたしますが、委員長としては、議事の運営に関しては責任を持ちますが、内容に関しては委員諸君が責任を持たれるべきで、委員長委員会の決定に従います。そこで問題は、審議できないとおっしゃいますけれども緊急質問を放棄なさるという御意思なんですか。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 委員長は何か変な発言をされておるが、委員長の御意見は重要な問題ですよ。放棄なさるなさらないじゃない。私の言っているのは、国会で、少なくとも常任委員会で委員質問のあるときに、抽象論の答弁で、それは国会に対する答弁にならぬだろうというのです。したがって、そういう答弁をされるようなことであっては、これは国会の権威の問題になるから、そこで委員長は国会の各委員から質問があった場合には、明確な答弁ができるように準備をさせるお考えはございませんか。今お聞きになっておってどうでしょうか。私は緊急質問をするというのは、これらの数字を出さなければ、実際に私の目的の質問にならぬわけなんです。そういう点を私は申し上げているんですよ。
  52. 村松久義

    委員長村松久義君) 委員長としては、答弁は以上のとおりですから……。議事進行発言があります。これを許します。
  53. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 相澤委員の言うことはもっともなんですが、質問の要旨が、目的というものがあると思うので、その目的にかなう答弁であるべきだと思います。そこで正確にということであるならば、本来、これは資料要求してやるべき性質のものであって、口頭の答弁で、ここで一人狂ったらということなのかどうか。これはまあそういう正確を期するものであれば、資料要求でやるべきものであると、こういうふうに考えますが、委員長にお取り計らいを願いたい。
  54. 村松久義

    委員長村松久義君) 加賀山氏の発言がありますが、相澤氏、資料要求にせられてはいかがですか。そして同時に緊急質問は継続せられてはいかがです。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 私は、緊急質問をするのですよ。するのだが、質問をするのに、今加賀山さんの言うことも、加賀山さんの立場でそれはお考えになるでしょう、私の言うのは年度手当についてまだ解決がしておらないというようだけれども、一体どうなっておるのか。こういう質問をしておるわけです。だからその私が質問をしておる中に、今一体従業員は幾人おるのか、従業員が幾人おるのかわからないようでは困る、私としては。やはり四つの組合があってそのうち三つ組合は妥結したが、一つ組合は妥結しておらないと総裁は言われておる。その一つ組合というのは国鉄労働組合だと聞いておる。だから、それならば、その四つの組合の人数が幾人かということを聞いておる。それから国鉄全体の職員は幾人かと、こういうことを聞いているのです。加賀山さん、そうでしょう、私の聞いているのは。そこで、そういうことが実際に緊急質問をされるという専門委員会で、担当の常務理事ともある者が抽象論では困る。だから加賀山さんのおっしゃるのは、それは資料要求でと、こういうお話だけれども、私の言うのは、もう年度手当を支払う段階に来ているわけでしょう。総裁のおっしゃるとおりに、三月末までに決定をしなければ支払いができない、こうおっしゃっておられるが、これはもっともな話だ。もっともな話だから、一体従業員幾人に対して幾ら払うのかということを私は聞いておきたいのです。そういう点からそれが幾人おるかわからないということでは、あなた、つかみになってしまう。そういうことを私は申し上げたので、加賀山さんのお考えについては、それはそれでいいと思うのです。加賀山さんのお尋ねはそれはそれでいいと思うのです。しかし私としては正確を期する意味でそういう退職された人が幾人、それから新規採用された人が幾人、現在は幾人と、それに対して国会としての御答弁を願えれば私はもう数字は出てくると思うのです。ところがただ、つかみでお話をされたのでは数字にならないわけで、あくまでも概算になってしまう。こういうことを私はやはり専門的にお尋ねしておきたい。
  56. 村松久義

    委員長村松久義君) 相澤君、資料要求をされますか。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 いや、答弁ができるかできないか、それからですよ。
  58. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄の管轄は全国にわたっております。全国に四十五万の人がばらまかれておるのでありまして、日々出入りがありますから、先ほど中村理事から三十六年末の数字を申し上げた次第でありますが、なお御質問があれば、今月今日現在の数字をあとで詳細にお答えいたしたいと存じます。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 それでは十河総裁にお尋ねいたしますが、この三月いっぱいに決定をしてしなければ支払いができないと、こういうのですが、そうすると、その支払い基準にする人は、いつをもってあなたのほうではお考えになっているのか。三十六年三月の現在員で支払うのですか。
  60. 中村卓

    説明員中村卓君) ただいま本年二月末の数字が参りましたので御報告いたしたいと思います。本年の二月末で国鉄の総人員は四十五万八百九十七人でございます。年度手当は三月末の大体在籍人員に対して払うことになっております。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 今の三十七年二月末の四十五万八百九十七人で、三月末の在籍人員で支払う、そういうことですね。
  62. 中村卓

    説明員中村卓君) はい。
  63. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、これは結局二月末から三月末までの一カ月間というものは出入りについては、これは時限でわかるということになるわけですね。つまり三月一日から三月末までに退職される人もあるでしょし、それから新しく入る人もあるでしょうし、そういうことは三月末の在籍人員で支払いをするというのだから、そのことは四月以降でなければならない、こういうことになりますね。その間の事情はどういうふうにお考えでしょう。三月一杯というものの出る人と入る人を、これはとんとんに考えているのか。それは二月末の人員だけでお考えになっているのか、在籍人員の考え方ですよ。
  64. 中村卓

    説明員中村卓君) これは一つの予算と決算の関係になると思うのでございますけれども、決算は、先ほど申し上げましたように、三月末の人に払うのでそれが決算になります。御承知のように全体的規模といたしましては数千億の予算でございまして、その中で若干のでこぼこは、これはもう特に安全サイドにおけるでこぼこといいますか、それはちょっと言葉が足りないかもしれませんが、若干の予算の使い残しと申しますか、そういうことはいついかなる非常事態が起こるかもしれないというので、経理当局としては常にそういうことを考えて予算の運用をやっているわけでありまして、三月末の人員は、それは正確にはつかめませんけれども、各現場々々で予算をおろして、それを決算いたします場合には、その程度のでこぼこは十分消化できるような程度の余裕は見て予算の運営をやっているわけであります。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 けっこうです。これはいずれ決算上の問題は決算委員会あとでお尋ねいたしますが、そこで総裁に聞いておきたいのは、先ほどの冒頭の御報告の中で誠意をもって解決をしたいというお話があったと思うのですが、それはきょうは二十九日ですから三十一日までというと、きわめて日がないわけですね。総裁はこの期間のうちに解決をする見通しがあるのですか。
  66. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄職員に対しては、多少わずかの手当でも私はできるだけ早くやりたい。職員に幾らかでも潤いをつけてやりたい。それができなくなるとまことに困る。気の毒で私としてはたえられないと思いますから、私は誠意を披瀝して各組合最後案を提出して御相談をいたしたのであります。幸いに三つ組合同意してくれましたけれども一つ組合だけ残っておりますから、さらに話し合いを続けてすみやかに解決にもっていって、一刻も早く従業員手当を渡したいと私は熱望いたしております。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、十河総裁の老いの一徹で、非常な誠意をもって話をきめたいという話ですが、団体交渉というものは開いているのですか。
  68. 中村卓

    説明員中村卓君) 団体交渉は、その後も二十六日の晩からずっと引き続いて二十七日、二十八日——昨日まで国鉄労働組合とは年度手当の問題についてやっております。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 今の常務理事お話で昨日までやっているということは、昨日で終わったのですか。それともこれからの期間やるのですか。どうなんですか。
  70. 中村卓

    説明員中村卓君) もちろん今後も全力をあけて団体交渉をやっていきたいと考えております。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 そこで団体交渉をやるということは公労法上に考えられておるいわゆる労使の関係というものを、現実に則して、いわゆる話し合いできめる、こういうことになるのか。団体交渉というものは、ただやるといっても、実際に話し合いが進められることをあなた方は期待しているのかどうか、その点をいま少し常務理事から聞いておきたいと思うのですが。
  72. 中村卓

    説明員中村卓君) もちろん団体交渉というものは、労使の意思が一致いたしませんと妥結いたしませんので、そういう方向に向かって少なくとも当局側は誠意をもって団体交渉を続けていきたいというふうに考えております。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 そこで十河総裁にお尋ねをするのでありますが、あなたの誠意をもって解決をしたいということで、しかも団体交渉というものは労使の話し合いできまる。こういうことであるならば、今まできめられなかったことがさらに話し合いの上、一つの方向が出てきまると、こういうことになれば、それにあなたは誠意をもって決定をしたものについては支払いをする。こういうお考えであることに間違いないわけですね。
  74. 十河信二

    説明員十河信二君) 話がきまればそのとおり一刻も早く払ってやりたいと思っております。
  75. 相澤重明

    相澤重明君 そこでこの支払能力の問題になろうと私は思う。やはり私どもとしては、労使の関係が話がなかなかつかないというのは、支払能力とか運営資金の問題についてなると思うのですが、国鉄はこの三十六年度のいわゆる決算見込みとしてこまかい点は、それこそさっきの加賀山さんの話ではないけれども、いずれ決算委員会としても御報告を願うときがありますから、そのときでけっこうですが概略として益金というものはどのくらいに見込まれておるのか御答弁をいただきたい。
  76. 中村卓

    説明員中村卓君) 予算に対しまする増収額は一応一部推定がございますけれども、大体二百三十億円ぐらい増収になるというふうに考えております。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 この予算額に対して推定二百三十億ぐらいの増収ということですね。で、この増収に対してはどういうふうにこの益金を配分をするお考えですか。
  78. 中村卓

    説明員中村卓君) これに対しまして大体十二月までに、予算以上に払いました期末手当が〇・三五カ月分で約四十二億でございます。それから二百三十億と申しましても、これはやはり輸送量の増加がございましたので、それに対する必要経費、運転費、修繕費その他の経費が約三分の一で七十七億でございます。それから災害が二十九億。これは災害全体といたしましては約七十四億あったわけでございますけれども、そのうちに予備費から流用いたしまして、残り四十九億はこの増収分からまかなわなければいけないということでございます。それから寒冷地手当の仲裁裁定の実施、これが約六億。それからこの前ベースアップの関係の補正予算の債券関係で、縁故債と利用債がそれぞれ十億ずつふえたわけでありますけれども、これの消化が不可能になりましたので合計二十億、この中から見なければいけない。それから当時経費節約で予算のつじつまを合わせる、ちょっと私の口から申し上げるのもどうかと思いますが、相当無理な経費節約をして百九十二億円程度の人件費を生み出したわけでありますが、その節約が実際問題として物価の値上がりがありましてなかなかやりにくいというものが五十六億、合計今まで申し上げました分で約二百五十億の金が要るわけでございます。したがいまして増収が二百三十億ございましたけれども、この勘定面からだけ申し上げますと、約二十億の赤になるという格好でございますけれども、これは先ほど申し上げました五十六億の経費節約なんかも、まるまる経費節約ができないという点ではまことに申しわけないことでございますが、われわれも非常に努力をしたということでございまして、この中から、組合の提示いたしておりますもの〇・四カ月プラス千円で大体五十四億になると思いますがそのぐらいのものを出して年度手当として支給したいというふうに考えるわけでございます。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 今の中で、これはあとで、他の委員もお聞きになっておって、おそらく国鉄の経常の中で重要な問題がありますから、質問の点がたくさんあろうと思うのですが、今のような鉄道債券等の問題について、これは別の角度でいずれ時日を別にしてお尋ねしたいと思うのですが、とにかくこの二百五十億ぐらいの出費が現実に必要である。したがってこの益金というものは、実際は益金でなくて赤字である。こういう説明に受け取っていいわけですね。
  80. 中村卓

    説明員中村卓君) 益金と申しますのは、普通に収支の差額をいうのでございますけれども、この場合は、収入予算に対する増収が二百三十億あった。ところが支出予算のほうに対する増額が、一応紙の上で勘定いたしますと二百五十億くらいになるのでございますが、この上に先ほど申し上げた期末手当などは、これは十二月までに現に支払っておりますので、これははっきりいたしております。  それから災害の関係も、大体これも支払っておりますし、必要経費も七十七億、これだけの増収をあげるためにすでに使ってしまっている金でございますので、あとはさっき申し上げた五十六億の経費節減、これも相当、当初無理があったけれども、先ほど申し上げましたように、われわれとしても、予算のきめられた趣旨に従いまして相当努力しなくちゃいけないというので、これをいろいろとこの辺で努力をいたしまして、何とか五十四億の年度手当を生み出せるだろうというふうに考えておるわけであります。
  81. 相澤重明

    相澤重明君 ですから今私のお聞きしておる、ことによると予定収入より益金は二百二十億くらい増収の見込みである。しかしすでに国鉄経営全般からいけば、二百五十億くらいの経費を必要とするから、二十億くらいは赤字なんだ、赤字であるから、実際に十河総裁のいわゆる子供に対する親心として、一銭でもよけい払ってやりたいのだけれども払えない、こういう理解でいいわけですね。
  82. 中村卓

    説明員中村卓君) いや一応は、そういうふうに赤字の計算も出ますけれども、その苦しい中からなお利益のあったということに対して、五十四億の分をまた別に出そうというふうに考えておるわけでございます。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 そうしすまと、五十四億か六十億になるかもしらぬが——団体交渉の結果だから、それは当局組合の話なんだから。いずれにしましても、今のところで何とか生み出そうとするのは、人件費等の節約の五十六億というその中から、幾らか出そう、こういうことなんですか。どのくらい出すつもりなんですか。
  84. 中村卓

    説明員中村卓君) これはこの中と、それから債券のほうの身がわりという問題も、これも最終的にどういう処理になりますか。実は経理当局がおりませんので、はっきり申し上げかねるのでございますけれども、五十六億が主体となって、それで五十四億の金が出てくるというように考えております。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 これは経営の中での、あとで款項目をどう調整するかということは、総裁にまかされていることですから、あとで御説明があると思うのですが、当面としてはとにかく予定よりは収入があったのだから、その努力に対して、従業員にやはり何らかのできるだけの処置をしてやりたい、こういう考えに変わりがないようでありますから、私はまことにけっこうなことだと思うのです。  そこで国鉄が、今、〇・四プラス千円というものを支給するという腹をきめたようでありますが、昨年は月数に直すと幾らだったのですか。
  86. 中村卓

    説明員中村卓君) 昨年度年度手当は〇・五カ月分でございます。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 昨年が〇・五というのに対して本年は〇・四、これは昨年のほうが収入が予定よりも多くてことしのほうが少ない、したがって支払いがそれだけ減る、出したくも出せない、こういうふうに理解をしていいですか。
  88. 中村卓

    説明員中村卓君) 全体としてはそう御理解願ってもけっこうだと思うのでございますけれども、ただ率が違うということは、絶対額がやはりベースアップがありましたので、これだけでも昨年の〇・五、五十三億と大体推定されておりますが、それよりも一億ばかり上回った数字を、当局最終提案としては出しているわけであります。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 私のお尋ねしているのは、昨年の〇・五を出されたというのは、昨年はやはり予定よりも収入があった、したがって業績等も含んで、十河総裁お話のように一銭でもよけいやりたい、こういう気持で〇・五を出したし、本年も予定よりは収入は二百三十億ぐらいふえたのだから、そこでやはり一銭も多く出してやりたい、こういう総裁の言葉だ。今あなたの説明を聞いておると、額が去年とことしとそう違わないのだから、むしろ一億ぐらいふえておるのだから、これでいいんだという考えだと思うのです、あなたの今の説明を私が端的に聞いておりますと。そうすると、中村常務としては、昨年と今年と物価の上昇だとか、国鉄職員の生活実態というものは変わらないのだから、額が同じならば率はどうなろうとそれは変わりがないのだ、それでいいのだ、こういう考え方に立った判断をされて、今の〇・四というものを出そうという腹がまえになった、こういうふうに受け取れるのですね、これは私が受け取ると。つまり総額が昨年と大差がない、むしろ昨年より一億ぐらい多いのだ、それから昨年は〇・五だけれども今年にすれば〇・四なのだ。あなたは国鉄職員の生活状態というものや国民全体の生活の状態というものが、物価が昨年よりは私は上がっておると思うのだけれども、あなたの考えでは上がっておらなくて、絶対の額は去年と同じぐらいやれば、それは国鉄当局としてはいいのだ、こういう考え方に立っておるのです。  そこで、あなたにお尋ねしたいのですが、昨年と物価が上がってないのですか、昨年と今年とを比較してみて。今あなたが、国鉄職員の実態というものが去年の額と同じでいいのだ、という判断に立たれておるというその根拠というものは、収入というものは同じように増収されているのだから、今度は生活のことを言うのだから、生活という面からいうと物価は上がっていない、こういうことに帰結すると思うのですが、あなたはどういうお考えですか、その点は。
  90. 中村卓

    説明員中村卓君) 年度末の業績手当と申しますものは私の口から申し上げるまでもなく、予算総則にも書いてございますように、収入が予定の予算収入よりも上がったとき、あるいはまた経費の節約ができて、予定の経費が予算以上に節約できたときに、その一部を業績賞与として主務大臣の認可を受けて職員に支給することができる、こういう規定になっております。これはもちろん職員協力努力があったわけでございますが、それだけの増収があったということに対する一つ職員に対する還元方法と申しますか、そういう性格のものでございまして、生活の保障とか何とかいう面の要素はほとんど入ってないのじゃないか、というふうに私は考えております。  なお御指摘もございました物価につきましては、若干上がっているということも承知いたしておりますが、われわれといたしましては、いろいろと国鉄の財政全体の状況、それから年度手当というものの性格、そういうものを考えて、今年度はこの程度で職員にがまんしていただきたいというふうに考えたわけでございます。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 今の常務理事の説明を聞いておりますと、何か恩恵的な、業績賞与というものは、職員が一生懸命働いて、予定よりも収入がふえたから恩恵的にお前たちにやるぞよという、こういう印象を受けるわけだ。私の言っているのはそういうことじゃないのだな。私のお尋ねしておるのは、職員が一生懸命働いて、とにかくあなたのほうの経営合理化もあったろう、あるいは経営のうまさもあったろう、いろいろあったろうけれども、とにかく先ほどのお話の四十五万の国鉄に従事しておる職員が一生懸命に働いたからこそ予定よりも収入がふえた、このことは否定をすることのできない事実だと思う。そこで国鉄従業員はそれぞれの生活条件なり労働条件を向上させるために労働組合というものを作って、そしてみずからが一生懸命に働いたのだから、その働いた上に出てきた予定よりの増収については、これはひとつわれわれにも適正な方法で対価を支払ってもらいたい、これが私は年度手当の要求というものだと思うのです。あなたのほうで恩恵的に払うという考え方であれば、これは根本的に議論が分かれてくる問題なのですがね。  そこで、私はなるほど平常の生活、賃金の問題ということになれば、これは賃金体系を初めとしていろいろ労使の間に話があるでしょう。それはそれとしても、しかし年度手当を要求しなければならないというのは、やはり生活が楽になればだれも要求しないと思うのです。生活が苦しい、昨年の当時よりは、物価高に、あなたも若干物価高であると言う。物価高であることはだれも認めて、政府自身が認めて手直しをしているのだから、そういうことからいけば物価高によるところの生活の圧迫を受けている。だからこそこの際働いた対価というものをひとつ年度手当としてもらおうじゃないかということで、そこはなにも組合が言うとおりに全部は出さなくても、労使の話で、それでは国鉄の経営の中からどのくらい支払いができるのだ、こういう問題で話が進められてきたと思う。だから、あなたの話を聞くと、何か私の受ける印象は恩恵的な業績賞与だから、したがって、おれのほうで従業員に恩恵的に支払ってやるのだよ、こういうような印象があるのだが、そういう印象をわれわれが受けるような話をされているのですが、どうなんですか。
  92. 中村卓

    説明員中村卓君) 私の表現の仕方が悪くて、そういう印象をもし先生がお持ちになったのは申しわけございませんが、私は業績賞与というものは予算総則にそういう格好に書いてあるのだということを申し上げておるのであって、われわれとしましては、そこに法律的なあるいは会計法的な根拠を求めて団体交渉にも応じているのだということを申し上げただけでございます。したがいまして、もし国鉄の経営が、もちろんこれはいろいろ理由もあるかもしれませんが、非常に苦しくなりまして、ほんとうに赤字経営というような問題になりますれば、たとえ組合のほうから要求がございましても、これは財政上、予算総則からいって出せないということにもなりますので、そういう点はわれわれといたしましては十分考えた上で、先ほど総裁お答え申し上げましたように、できるだけのことはこの際出したいというようなことで最高幹部もいろいろと協議いただきまして、先ほどの数字を最終的な考え方としてきめていただいて提案したわけでございます。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 私はやはり今中村常務の言うように、赤字ならばこれは全く出せないと思う。赤字になれば、そういう経営をやった経営者というものが無能だということなんだから、それは経営者が責任を取るべきなんだ。赤字になるような経営者にのこのこまかせるということは国民自体が許しませんよ。だからそれは当然なことであって、私ども赤字になったのになぜ支払いをしないのだ、こういうことは言っておりません。それは今の会計法上の問題をわれわれは考えて、とにかく一生懸命働いて、当局の経営もよかったろう、合理化もよかったろう。とにかく国鉄職員が一生懸命働いて予定より収入を上げたという現実なんだから、その上に立って少しでも多くという考えであれは、この先ほどの総額は二百五十億ぐらい必要とする、これを全部益金の中にあなたは先ほどは振り込んでいけば、結果は全体として二十億ぐらい赤字になるが、特に人件費等の節約の中で運営をしたい、こういうふうにおっしゃっているが、この中で一般の予備費等から、先ほどもお話がありましたように七十四億のうちに災害費については二十九億だけ残して、あとは予備費で落としているでしょう。そういう点で予備費というものは現実にもう使用のできない状態なんですか。現在は予備費というものは全くなくなった、補正で組んだけれども、これもどうしようもないのだ、こういうことなんですか。
  94. 中村卓

    説明員中村卓君) 私は御承知のように経理担当ではございませんので、はっきりは聞いておりませんけれども、大体予備費はすべて使い切ったと聞いております。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 予備費を使い切って補正をいたしたのでしょう。補正をするときに、そういう予定をしなかった災害等に対する問題は、当然これは昨年臨時国会まで開いたのですから、そのときに私は補正をいたすべきであったし、またそういう措置をされたと思うのです。そういう点についてはどうなんですか。これは臨時国会まで開いて災害対策というものは行なったのですから。そういうものは一般の益金から出さなければならぬということになりますか。
  96. 中村卓

    説明員中村卓君) 私もはっきりと覚えておりませんが、災害のための補正予算は国鉄ではお願いしてなくて、したがってやってなかったわけでございます。当時の補正は例の一〇%のベースアップの仲裁裁定が出たための補正予算を組んでいただいたわけでございます。たしかそのときに財源が足りませんので予備費からかなりの額を一般支出のほうに回しまして、最初はたしか八十億かそこらあった予備費が、補正予算では二十五億というふうに減らされたと記憶しております。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 私は国鉄の運営についてのやはり根本的な問題に、そういうところから触れてくるのじゃないかと思うのですが、きょうは緊急質問立場から根本的な問題は議論をする必要もないと思うのですよ。いずれは、今のような考え方であれば、国鉄運営そのものについても基本的な問題を討論をしてもらわぬと非常に私は問題が残ると思うのです。なぜかといえば、国会において臨時国会まで開いて災害対策を持たなければならぬ、こういうようなときに、災害対策に必要な経費というものを、国鉄はとにかくもうかっているのだからその中からすべて出せ、こういうようなことでもし首脳部の諸君が国鉄経営というものをお考えになっておったら、これは私は誤りだと思う。災害の額が少なかったからいいかもしれぬけれども、もし多かったらどうします。それは国鉄の平常の経営の中で指摘をされる問題じゃないでしょう、災害対策というものは。それは十年間とか五年間とかいう経常的な過去の例というものを引きながら、しかも予想される災害対策というものは予算を組み、あるいは予備費の中から流用するということもあり得るでしょう。しかし、それはあくまでも予想であって、現実の災害、昨年のような大きな災害のときには、国会でも臨時国会を召集しなければならぬ、こういうことで予算を補正したわけでありますから、国鉄が災害については補正も組まなかった、こういうことになれは、それだけ施設にしろあるいは営業にせよ、運転にせよ、人件費にせよ、しわ寄せがくるのは明らかだと思う。災害費というものは補正を組まなかったのだから、そういうことからくれば、既定の経費にそれだけしわ寄せをされて窮屈になった、こういうふうにわれわれ鉄道のことを幾らかでも知っておる者の立場からいえば、ずいぶん無理をするじゃないか、いま少し首脳部というのはそういう面でやはり根本的に考えてもらえないのかということを思われませんかね。あなた方は、そういうことを考えてもなおかつ、いやこれは増収を予定されるからその中からやりくりすればいいのだ、大蔵大臣もそれじゃなければ困る、そういうことで、大蔵大臣の強い意向によって補正を組むことができなかった、こういうふうに私は理解をしたくなるわけです。そういうことなんですか。実際はどうなんですか。
  98. 中村卓

    説明員中村卓君) 先ほど申し上げましたように、私は経営担当でございませんのであまりはっきりしたお答えできかねるのを残念に存じますが、御承知のように、国鉄の予算、特に予備費のような損益勘定の予算というものは、一般会計からの借り入れとかそういう問題では処理しないのが通例の形でございまして、やはり片一方で支出に立てるものがありますと、どうしてもそこに自己資金からの財源というものをそれに見合って探してきて、両方をかみ合わして予算を作るというのが、特に国鉄の損益勘定の予算の従来の作り方でございます。したがいまして片一方において災害が起きまして予備費をたくさんに使わなくちゃいけないというようなことになりますと、やはりそれに見合った相当増収があるのじゃないか、その増収を使ったらいいじゃないかというような話になるのが通例の事態でございまして、おそらく昨年の場合も経営当局はある程度大蔵省へは打診をしたのだと思いますけれども、その際は、やはりそうなりますとかえって増収自体が正規な予算に組み入れられまして、先ほどお話したような予定以上の増収というものの額がその分だけ減ってくるというようなことも考えられますので、そういう点を総合的に考えまして補正予算のお願いをしないことにしたのじゃないかと考えております。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 根本的な問題は先ほど申し上げたように、これは対大蔵省とどういうふうに国鉄が折衝したかという問題と、災害国会といわれる臨時会まで国会は招集したけれども国鉄がその補正をしなくてもよかったのだ、こういう問題についてはやはり相当将来の問題としても私は問題が残ると思うのですよ。ですからこれはそれぞれ専門家が運輸委員会には出ていると思うのですが、そういうことでいくと、いくら増収があったところで、一生懸命に職員が働いて、十河総裁以下国鉄従業員が一生懸命働いて益金を出しても、一ぺんの大災害に会えば働いたことは全く何にも役に立たぬ。一生懸命骨を折って働いて、それでしかも災害によってみんななくなってしまった。それでそれが結果論としては赤字になるかもしれぬ。こういう働く者がばかをみる世の中というものが現実に生まれてくる。しかしそれではいけないというので、国家全般に災害があったようなときには、特別にこれは予定をしなかったことだからこれは別だということで、補正をしなければならないということで、国会が臨時会まで持ったゆえんだと思う。そういうところからいえば、議論はこれをやっていったら相当長い時間費やしますから私はそれは触れません、深くは突っ込みませんが、私はしかし委員長、こういう問題については一度大蔵大臣を運輸委員会に呼んで聞く必要があると思うのです。私は聞いてみたい。これは予算の立て方、経費の立て方ですから、こういう問題について聞きたいと思いますから、時期を一度諮っていただきたい。これは委員長にお願いをいたします。
  100. 村松久義

    委員長村松久義君) はい承知しました。それで、緊急問題をひとつやって下さい。
  101. 相澤重明

    相澤重明君 そこで今の御説明によると、私は一般経費の中で出し得べきものが、実は増収があったからということで、安易な形でその増収の配分をされておるように思う。その中で特に一点は、先ほどもお話鉄道財源の問題なんです。二十億が消化できなかった、とにかくこれは一つこういうことがある。これも私はきょうは深く申しません。申しませんか、これやっぱり問題があると思う。こういうことからいって二百三十億のうち、もっと働いた人にも支払うという考え方があなた方のほうであるなら、私は、五十四億、昨年は〇・五出した、今年〇・五出せば幾らになるのか、こういう点をちょっと聞きたいわけです。今年〇・五出したら幾らになるか。
  102. 中村卓

    説明員中村卓君) 約六十二、三億になると思います。
  103. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと実際はあれですね、もっと益金、いわゆる予定収入よりは増収はもっとあると私は思うのです。決算をやってみればあると思いますが、きょうはあくまでも理事者の概算を聞いておるのでありますから。そこでたとえば、二百三十億にしても六十億そこそこならばまあ四分の一ということになるわけですね。なぜ四分の一くらいに少なくしなければならないのか。私は国鉄十河総裁を初め首脳部の皆さんが、政府なり池田総理を初め、大蔵大臣に話をされても、担当の運輸大臣から、誠意を持って国鉄がこんなに一生懸命やって、全従業員が一丸となって予定収入よりこれだけ上げたんだから、このうちの少なくとも三分の一くらいやってくれと、このくらいになぜ言えないのか、おそらく言ったんじゃないかと思うが、言わなかったんですかどうなんですか。
  104. 中村卓

    説明員中村卓君) これはもちろん年度手当の支出そのものが、主務大臣の認可を必要とする問題なんでございますので、そういう点につきましては、少なくとも私は、あるいは兼松常務が運輸省あるいは大蔵省の幹部には、いろいろとお願をし御相談をし御了解を得ていると思います。
  105. 相澤重明

    相澤重明君 十河総裁、あなたにいろいろ聞くのも気の毒のように思うほど、あなた誠意を持って当たられていると思うのだが、今の担当中村常務理事の話では、運輸大臣に折衝されたと思うというお話なんだが、総裁職員が一生懸命働いてこれだけの予定より収入を上げたんだから、ひとつ一銭でも多くやるという、あなたの熱意で運輸大臣に話されたと思うのです。そこでそのときにひとつ働いただけの半分とはなかなかいかぬだろうと思うけれども、せめて三分の一くらいはやりたい、こういうようなお話をされて、運輸大臣はそれはちょっと多過ぎるというようなことをお話になったんですかどうですか。
  106. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻来中村理事から詳細に御答弁いたしましたように、われわれとしてはできる限りの財源をしぼり出して、そうして今度の何を受けまして、それを運輸大臣のところへ行って運輸大臣に御了承を得て、そうして最後的に組合団体交渉に提案をいたした次第であります。
  107. 相澤重明

    相澤重明君 ですからざっくばらんに総裁ひとつ話を聞かしてもらいたいんだが、あなたの言うとにかくできるだけ最大限のものを出すと、こういうことが〇・四の千円という話をされているわけです。そこで〇・四を出すのに、今言った予定収入より増収された内訳をこういうふうに使うから、どうしてもこれが最大限のものだという説明だったんですよ、だからその説明を聞いて、私はこれだけ予定よりも増収があったんだから、せめてそのうちの半分とは言わぬが、三分の一くらいはひとつ出してやってくれぬかと、こういう運輸大臣とあなたとお話をされたかどうか、こういうことを端的に聞いているんですよ、その点どうですか。
  108. 十河信二

    説明員十河信二君) 私といたしましては、大体〇・四しか出せないといわれるところを無理してプラス・アルファをつけ加えてもらったということでございます。
  109. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると総裁、ばかに力を入れて力んで話されておりますが、〇・四で、千円を出せないところを無理をしたというんですけれども、二百三十億の使い方に実は私は問題があるとこう言っている。あなたも先ほどから中村常務が説明している中を、費目を見てみると、これは経営上必要なものをむしろ取れれば取れるんじゃないか、しかしもうけがあったからその中からこの際かぶしていくということで実は出そう、こういうふうに私は受け取れる。だから一般的に国鉄経営として出し得るものは出して、そのほかにこの増収部分についてはできるだけ働く者にいわゆる対価を支払ってやると、こういうことでお話をされたんだろうというふうに私は理解したかったわけです。ところがあなたの力んだところのお話を聞いておると、いやもうとにかく〇・四で、あと千円というのは大へんな努力だった、そうするとほかのところに、こっちのほうの予定をしなかった災害対策費を初めとして、そうして当然消化をしなければならぬ鉄道債券あたりの消化ができなかった、こういうような一体運営をやっておって、それで最大限の努力をいたしましたということになりますか。いま少し総裁にその点はあなたの考え方を聞いておきたいのですが、どうでしょうね、これは。
  110. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄は法律によって独立採算を要求せられておりまして、われわれは独立採算を得られるように努力する必要があります。したがって災害等に対して年々の情勢を予想いたしまして、ある程度の災害の費用を持って、そのほかに先ほど来お話のように予備費というものも設けてあるのであります。そういうふうな増収がありましても、債券の募集ができなかったということは、これはわれわれは懸命の努力をいたしましても、市場の状況によってはそういうこともあり得るのであります。したがってそういういろいろな収入減、いろいろな支出、それを差引しているのです。そうしてでき得る限り従業員に報いたいということで出た案が先ほど来問題になっている年度末の案なのであります。
  111. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣はどうしたんです。
  112. 村松久義

    委員長村松久義君) 呼んでおりますが、ただいま建設審議会に出席中でありますから、やがて参ります。
  113. 相澤重明

    相澤重明君 これは今のお話を聞いていると、国鉄総裁としてはずいぶん苦しんでいるところがあるわけですね。ところが運輸大臣監督官庁ですから、運輸大臣のものの見方というものですね、それからこういう予算の使い方あるいは収入益金の使い方、配分、こういうものについて、やはりこれは運輸大臣にこの法律に基づいて総裁は相談をされているわけですよ。そうすると、やはり運輸大臣に聞かなければならぬ今のような問題があるわけですね、これは。ですから総裁が幾ら国鉄総裁としてよくやってやろうと思っても、運輸大臣がこれは君ちょっと待てよ、こういうことになるとこれは全く出せない。だからそういうところは、国鉄の担当者に対する運輸大臣の監督上の問題として、あるいは法律上の規制、その問題として最大限の努力をしてもらわなければならぬところがあると思う。そこで時間はもう十二時過ぎたのだけれども委員長運輸大臣が間もなく出られるというけれども、何時ごろまでには出られるのか。このまま大臣が出席するまで私続けていっていっていいですか。
  114. 村松久義

    委員長村松久義君) けっこうです。お続け下さい。
  115. 相澤重明

    相澤重明君 それではすみやかに呼んでもらうように委員長から督促されて、それで今の国鉄総裁に再度また説明していただくのですが、あなたがた運輸大臣に、こういう鉄道債券だとか、あるいは災害の経費というものが非常に支出が多かった。どうしても益金の中から出さなければならぬと、こういうふうに考えて運輸大臣報告され承認を得たのかその点はどうなんですか。
  116. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄の中でも相談いたしますし、運輸省とも相談はいたしまして、相談の結果そういうことになった次第であります。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 もちろんその相談の結果であるでしょう。それは国会においてそういうふうに答弁されるのだから。そこで相談をされるのに、あなたは昨年とことしと額が同じであるからそれでよろしいと、こういう判断ですか。
  118. 十河信二

    説明員十河信二君) たびたび申し上げまするように、私はできる限りよけいやりたい、できる限り早くやりたいということで努力いたしました結果、そういうことになったのであります。
  119. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、それではこれは総裁よりはむしろ担当の中村常務理事のほうがいいと思うのですが、国鉄と同じように、独立採算制をとられておる他の公共企業体はどうなんですか、例をあげて説明をして下さい。どのくらいやっておりますか。
  120. 中村卓

    説明員中村卓君) 正式に何ら私のほうは連絡を受ける筋合いもございませんし、あれなんで、はっきりしたことは何にもわかっておりません。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 これは非常に問題なのであって、今の中村常務理事の言葉をそのままもし私が理解をするとすれば、国鉄はきわめて独善的である。他の官公庁なり、公共企業体なり、一般の世論なり、こういうものを全然知ろうとしない、耳を傾けようとしない、そういう答弁です。委員長、今の聞いていてわかるでしょう。そういうことでいいのかどうか、そういうことでものをやろうとするのかどうか。少なくとも公共企業体関係というものは政府において特別機関として設置をされておる。連絡会議もあるだろうし、あるいは政府においても大体どのくらいがいいだろうという相談はあるだろうし、また世間でもそういう点を常にいわれておるわけです。そういうことに耳をかさないで、私は聞く必要もなければものを言う必要もないと、こういうような言い方が今の中村常務理事の言葉です。中村常務理事はよそのことを全然考えないで、とにかくおれは国鉄の常務理事たから国鉄のことだけだ、よそが何を言おうと、どんな異議があろうと、極端な例を言えば、隣が火事だっておれのところは焼けないのだからかまわない、こういうことなんですよ。こういう考え方国鉄職員に対する立場をあなたはとられておるのすでか、いま一度返事をしなさい。
  122. 中村卓

    説明員中村卓君) 業績手当と申しますのは、先ほどから申し上げますように、ああいう性格のものでございまして、各企業体、企業体によってその経営の実績によって支払われるという性格のものでございます。したがいまして、われわれといたしましては、もちろん関心はある程度持っておりますし、あれはございますけれども、その企業の実情と、それから団体交渉の内容によってきまるもんでございますので、中身を深く突っ込んでお互いに聞き合うという性格のものではないのではないか、というふうに考えております。大体の傾向、そういうものは非公式にはわれわれのほうでもちろんキャッチはしておりますけれども、これはこういう席上で責任をもって私の口から申し上げる筋でないのではないかと思いますので、先ほどああいうことを答弁申し上げたわけであります。
  123. 村松久義

    委員長村松久義君) 運輸大臣が参りましたから、運輸大臣質問をして下さい。
  124. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、忙しいところ出席願ったけれども、きょうの私の緊急質問は、いわゆる国鉄労使の中におきまして年度手当の要求、配分についてどうなっておるか、どう解決をする意思があるのか、こういう点の質問を続けておったのです。その中で、隣に総裁がおるからお聞きになればわかることですが、国鉄は予定収入よりは、推定ですが、二百三十億くらいの増収が見込まれる、そこで今次年度手当については、法律上の措置としてでき得る範囲内で、団体交渉で一銭でも多くあげたい、こういうのが十河総裁答弁なんです。  そこで、私が運輸大臣に聞きたいのは、国鉄十河総裁が、四十五万の職員努力によって益金を生じたんだから、その益金の中から幾らかでも、一銭でも多く出してあげたいという気持運輸大臣に相談をされたと思うのです。報告をされ、あなたも承認をする方法をとると思うのです。そこで益金のうちで、今までの中村担当常務理事から、それは一体二百三十億をどのように使う見込みなのか、それをまず聞かしてもらいたい、こう言ったところが、経費の増加七十七億とか、あるいは昨年の十二月の期末手当の〇・三の増加分とか、そういうようなものをあげて、そして大体二百五十億くらいになる、そうすると片方二百三十億の増収見込みだけれども、今必要とするものは二百五十億くらいだ、算術計算でいけば二十億の赤字になる、これではたいへんだから何とか人件費等の節約をして、そしてせっかく働いてくれた益金だから、その中から〇・四プラス千円、こういうことで出してやりたいと思う、こういう話なんです。  そこで、私はその説明を受けた中で、昨年の災害国会を召集をして補正を組んだのに、国鉄は災害費というものを補正を組まなかった、予備費の中から一部流用をし、そしてそれでなおかつ残ったものについては今次の益金の中から出していく、それから、このくらいは消化ができるであろうという鉄道債券について、約二十億も実際できない、これはいわゆる経済情勢なり、あるいはそのときの市場の関係でできなかったから、それをやはり益金の中から出そう、実際に益金の配分についてそういうように考えておるという話です。そこで私は、なぜ国鉄は昨年国会が臨時会まで開いて災害対策補正を組んだのに、国鉄がそういうことをしなければならなかったのか、こういう点は大臣のやはり問題でもあるわけです。あなたは国務大臣として運輸省の責任者として国鉄を監督しているわけでありますから、そういう災害を他の官公庁が、いわゆる災害対策として補正を臨時会を持ってもしたのに、国鉄はそうしなくてもよかったんだと、こういう理由はどこにあるのか、あらかじめ収入はうんとあるだろう、だから収入の中から出せるのだと、こういう見込みで補正をあなたは国会に提案をする意思がなかったのか、これが一つです。今の説明を聞いておって。  それから二つ目は、鉄道債券が市場で消化ができなかった、これも多くを組んだからいけなかったとか、あるいは少なかったからいけなかったということではない、そういう点で、益金の中からそういうふうに処分をしなければならぬ、こういうふうにあなたはお考えになっているのかどうか、予算編成の問題ともからみ合いますが、特に補正国会を持ったんだから、そのことに対して国務大臣たる運輸大臣としてどういうふうにお考えになるか、私の説明を。今聞いたことを申し上げたんですが、あなたお考えになっておりますか。
  125. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 昨年の災害につきましては、国鉄も相当の損害は出ましたけれども、しかしながら補正予算を要求をしないでやっていけるということでございましたから、補正の要求はいたさなかったわけであります。
  126. 中村卓

    説明員中村卓君) ちょっと債券の消化の問題で補足的に説明さしていただきます。実は債券の中身を先ほどちょっと申し上げましたように、利用債、縁故債がそれぞれ十億ずつということでございまして、利用債は先生御存じのように、引き受けの相手方がございませんとどうしても発行できない、すっかり、こういう工事をやるが、地元で、利用債を幾ら発行するが、引き受けるかという話がつきませんとこれは発行できないわけでございまして、そういう関係の工事がおそらくそれだけ出てこなかったというので、やむを得ずこれは延期になるわけでございます。  それからもう一つ、縁故債のほうでございます。これはまあ、共済組合が引き受けるという建前でできておるわけでございますが、それも共済組合の財政的な理由から、ちょうど三十五年度から三十六年度への十億ばかり持ち越しがあった、それを消化いたしましたので本年度ふえた分が消化できないということで、やむを得ない事情があったのじゃないかと考えております。補足させていただきます。
  127. 相澤重明

    相澤重明君 今の常務理事の補足は、補足の話をしたということで、それはそれで別の問題なんですが、今の運輸大臣答弁ちょっと私聞き取りにくかったのだけれども、今お答えを聞いおると、国鉄はやっていけるというから補正を組まなかったというような答弁だったと思うのですが、いま一度ひとつ……。
  128. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) そのとおりでございます。補正を組む必要がないということでございましたので、補正の要求はしなかったわけでございます。
  129. 相澤重明

    相澤重明君 今の運輸大臣の御答弁で、補正を組む必要がないと考えるというのは、一体、総裁自身が運輸大臣に臨時会まで持って、各官公庁がそれぞれ補正予算を提出したのだから、そういうときに国鉄が、補正を運輸大臣に提案をしてもらわなくてもいいのだという考えは、国鉄総裁としてはきわめて私は重要だと思うのですよ。災害費等を初めとして……。幾らか利益金があったからいいけれども、利益金がなかったらどうしますか。これは当然補正を組まなければならない。ところが災害は現実に起きた問題で、災害国会まで持った、その時点におけるこれは、一体どうなるか。運輸大臣答弁からいくと、これは国鉄総裁が、災害があってもそのことは補正を組まなくてもいいということなんですね。これは率直に言って、よかったということなんですよ。ところが現実に益金があったからこそ出せるのでしょう。今度益金がなかったらどうしますか。補正を組まなければやっていけないじゃありませんか。しかも今二百三十億でも——運輸大臣あとから聞いたけれども、先ほどの答弁では、二百三十億の益金があっても、実際に今までのずっと並べたことからいけば、二百五十億くらい、赤字が二十億くらいになるというのです。僕は、赤字になるような経営なら、国鉄の経営はまかせられないということだ。また、赤字になるようなら、国鉄職員に、確かに、期末手当もあるいは昇給もさせられないだろう。けれどもそんなことをやる経営者自体が僕は問題だ、こう言った。だからそういうことじゃなくて、十河総裁のおっしゃるのは、益金が予定よりも二百三十億あったから、一銭でも多くやりたい。この親心はいいと思う。私はそうあってほしいと思う。しかし災害国会が開かれたのに、災害費を、今、補正を組まなくてもいいと運輸大臣答弁されたということは——運輸大臣国鉄か言った時点における——これは一体どうなるのか、できないんじゃないんですか、益金がないのだからできないんじゃないですか、その時は……。そうでしょう。この二百三十億、私は実際はもっと多いと思うのです。決算はいずれ伺えますが、決算でやれば、三月一ぱいで締めくくってもらって、報告していただけば、これは二百三十億よりもっと多いと思うのです。益金は予定収入より多いと思うから、私はまあ安心だという感じを持っている。持っているけれども、もしこれが少なかったらどうします。補正を組まずに、予定よりかなりいいだろうと思ってたけれども、実際は収入はかなり少なかった。こうなった場合、今のようなお話でいけば、既定経費をうんと節減すると、しかし施設にしても、あるいは運転にしても、営業にしても、そういうところをみんな削減をしなければ国鉄はやっていけない。東海道新幹線工事をやるとか、第二次五カ年計画をやるといったところで、から念仏になると思う、こういうことになると思うが、これは一体どうなのか。
  130. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄が補正予算を組むといたしましても、その財源は、国鉄の自己資金か、あるいは借入金をするかということになるのであります。今日借入金はすでに四千数百億円に相なっております。その利子だけでも二百数十億払わなければならぬ。またその償還も、来年度のごときは三百億をこすというふうな状態になっております。収支の状況を見まして、借金をしても利息がだんだんふえていくと、経営は困難になってくる。経費がどんどん増してきまずから、これから経営を堅実にして、せっかく従業員が働いたときに、ある程度の期末手当従業員に支給したい、そういうふうなことを考えまして、収支の見通し、それから財産の処分も励行いたしまして、なるべく財源を作って、できるだけそういう将来に重荷のかかるようなことを避けていきたい。そういう収支の見通しの上と、財産を処分するとかなんとかということで財源を作って、それで埋め合わせをしていこうということを運輸省とよく相談をいたしまして、そういうことにいたした次第であります。
  131. 相澤重明

    相澤重明君 今の総裁答弁では、あくまでも一つのからの中に、今までの国鉄というからの中においての考え方を説明されている。したがって、独立採算制を何とかよくしていくためには努力をするのだけれども、この企業努力の中で、できるだけ借金は減らしていきたい。これは普通のからの話では、それはそのとおりだと思う。ところが、それならば新線建設に対する利子補給の問題だとか、あるいは固定資産税に対する減免の措置だとか、こういうものはあなたのからの中では考えられない、今の総裁答弁からいけば。ところが現実には、世論なり、池田内閣としても、今までの二十五路線のものは別としても、とにかく東海道新幹線建設については、利子補給をやろうというところまで、これは世論もそうだし、それから国鉄もそうだし、国会もそういうふうに動いてきた。運輸大臣がそう努力をしてきた。あるいは固定資産税についても、今年度は特にいわゆる私鉄をも含んで、いわゆる世論が交通事故対策ということで、国鉄踏切関係を立体交差にしなければいかぬと、こういう、いわばそのものについて苛酷な、いわゆる収入増によってのみそれをまかなうということに伴って、その上にさらに固定資産税を取られてはたいへんだということで、運輸省は固定資産税の減免、融資、こういうことまで国会に提案をされているのですよ。そういうことからいえば、いわゆる予定しなかった災害について、十年なり五年なり過去の経験の上から、実績の上から、そういう統計的に一応考えられている対策費というものはあるでしょう。しかしそれよりは、昨年の災害なんていうものは、いまだかつて予想しなかったからこそ、国会も臨時国会まで持たなければならぬし、政府もそれで補正予算を組まなければならぬ、こういうものであったのにかかわらず、補正は組まなくてもよろしいという答弁をされた。それでその補正を組まなくてもよろしいというのは、今までの国鉄の経営のからをあなたは守っている。それだけの努力、それ以上の努力をしようとしない、こういうところが今私はあなたの答弁の中から伺えるわけです。それでは幾らあったってたまりませんよ。それでは今、三十七年度の運輸省の予算を参議院において審議をしているのだが、その審議している中で、新しい政策というものは何にも出てこない、こういうことからいけば……。私はやはり総裁がもっと世論に耳を傾けて、国鉄経営について運輸大臣報告をして努力をすべきだ、こう思うのでありますが、そういう点については、これは運輸大臣の補正を組まなかったということについて、まことに私はけしからぬと思う、運輸大臣にそういうことをしてもらわなかったということは。だからこそ今日一生懸命けつをひっぱたいて、もう悪い言葉でいえば働け働けと働かしておいて、その上で、とにかく予定よりも収入増になったのに、その増収分を、当然補正で組むべき性格のものに補正を組まなかったから、それに使ってしまう、こういう結果に私はなってきたと思う。だからこういう点については、私は十河さんに、あなたも少なくとも東海道新幹線で夢の再現をしようとまで努力をされておるのですが、職員のそういう実態ということを考えていけば、もっとやはり新しい時代に備えた国鉄というものはこうあるべきだという意見を出されて、政策として国会に提案をされるように、運輸大臣努力をしていただけばよかったと思う。これはしかし過去のことになりますが、責任上の問題として、補正を組まなかったという問題は私は残ると思うのですよ、だから、きょうはそれ以上のことを運輸大臣に言うつもりはありません、今はもう補正国会は終わっちゃったから、それ以上言いませんが、運輸大臣に次に聞いておきたいのは、今労使が団体交渉に入る、しかも国鉄では大体大まかにいって四つの大きい組合がある、それでその四つの組合、約十万人ぐらいの組合員の参加されている三つですね、この三つ組合は一応話がきまった、一番大きい三十万からの——これはさっきのお話ですよ、三十万からの大きい国鉄労働組合というのは、まだ話がきまらない、だから総裁も胸を痛めておる、声涙下るお話をされておるわけだ、そこで、そのきまらないというのは何かといえば、額が少ない、その額が少ないということで、一体、組合が額が少ないというのはどういう理由なんだろうということを聞くために、私が昨年は幾ら出したのだと、こう言うと、昨年は〇・五、出した、そうすると昨年〇・五出したのをことし〇・四というのは、昨年より物価が安定しているという考え方に立つのが一つと、そうすると物価は上がっておらないのだ、こういうことになりはしないか。いま一つは、収入が昨年よりは少ない、こういうことが、かの当局者の説明によれば私は受け取れる、そこで、そういうことだ、一体当局はどう考えているのだと言ったら、物価は若干上がっております。しかし法律上の手続として、その規定内における利益の処分としてこの三月末までに何とか話をきめて支払ってやりたい、こう言ってるのだが、他と比較した場合どうなんだ、つまり他というのは、同じ公共企業体関係、こういうところの話をあなたは知っておりますか。他の話をひとつ聞かして下さい、こう言ったところが、中村常務理事は、そういうことを聞こうとしない、私はまあ国鉄関係のことを話せばいいんだから、だからそういうことは知りません、こういう答弁なんです。そこで私が張り上げて怒ったのは、国鉄は独善的じゃないか、俗な言葉でいえば、隣に火事があったけれども、おれの家は燃えないから、隣の火事だからおれは知らぬよ、こういうことと同じだ、政府はいわゆる公労協という公共企業体関係等の組合対策についてもずいぶん頭を痛めているわけです。それで年度手当についても期末手当にしても、そういうものはどのくらい出し得るだろうかということも、これも政府に相談されておるわけです。しかし法律上の手続としては、それぞれで労働委員会なりあるいは調停仲裁委員会なり、そういう機関において審議をしてもらって、そうして、できるならば団体交渉でまとめていこう、こういうのが今までの慣行なんですね、そうでしょう、だから当然政府部内でも話はあってしかるべきだし、国鉄でも他の公共企業体関係者とそれは連絡をとってやっていくというのも、これはちっとも行き過ぎじゃない、あたりまえの話なんだ。労働問題というものはそんな簡単なものではない、人の問題です。これを解決できないような、労働問題を解決できないようなものは今日の社会ではないはずです。そういうことからいけば、中村常務理事なんかの答弁というものは、全く独善きわまるものです。おれはよそのことは知らぬ、一言で言えばそういうことです。速記録を調べればわかるのです。これは。これでは運輸大臣、私はやっぱり話はまとまらぬはずだと思うのですよ。大体大臣になれば幾ら、次官になれば幾ら、国会議員なら歳費は幾らということは一応きまるのだ。うちが幾ら、隣が幾らということは……。これは相場としてどのくらい出そうかということは、政府部内では頭を痛めているところなんです。そういうことをやろうとしないような国鉄の経営の理事者側であっては、これは私は労働問題を解決するなんということはおこがましい、解決する能力がないんじゃないか。よそのことは知らぬ、おれはおれのことを言えばいい、こういう話であってはもってのほかだと僕は思うのだ。そこで、運輸大臣にお尋ねしたいのは、政府は今度の年度手当についても、関係の公共企業体関係があるのですが、あらゆるところの関係者は全然相談をしないのですか、それとも話は一ぺんも出たことがない、おれも知らぬと、運輸大臣はこういうふうにお考えですか、運輸大臣のひとつ御意見を聞かしてもらいたい。
  132. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄中村理事が他の公共企業体がどういうことか知らぬとお答えしたということでありますが、おそらくこれは正式の委員会で申し上げるような確実な開き方ということはしていないんじゃなかろうか。しかしながら、おそらく実際はどんな様子だろうかということは、私は薄々知っておられたと思います。しかし今日の段階になって、国鉄は〇・四カ月、これは最後だといって交渉しております段階に、よそがよけい出すようになったからそれじゃ上げようかということにもなりますまいし、よそが少ないということでおれも下げるということにもなりますまいから、この段階としては自分のほうできめた腹で交渉を続けていくという考え方から答弁しているのだろうと思います。三公社五現業の問にどういう連絡をしておるか私も知りませんが、関係各省の集まりました際に〇・五カ月程度をめどにして交渉をしているというような話はございます。他の官庁も大体そんなところで話し合いをしておるというような話はあります。
  133. 相澤重明

    相澤重明君 そこは……。
  134. 村松久義

    委員長村松久義君) ちょっと相澤君、ひとつ運輸大臣に対する質疑を先にしていただきますか。先ほどの経営の根本のなには、あれは別にやりますから触れないで、率直にひとつやって下さい。
  135. 相澤重明

    相澤重明君 そこは運輸大臣、僕はあなたのような答弁でいいと思うのだ。大体どのくらいという……。そこで、大体どのくらいというのはこれはもうあなたの今度認識の問題になってくる、薄いか、厚いか知らぬけれども。認識の問題で、昨年は公共企業体関係は、国鉄と見合う三公社はどれくらい出した、これはおそらく知っていると思う。そういうことからいけば、ことしもどのくらい出すだろうということは、これはうすうすわかるだろう、話ができるのだから。そうすると私もこれは聞いているところで、私も何も専売でもなければ電電公社でもないのだから、私もうすうす聞いた、うすうす聞いたところによれば〇・五以下なんということはありませんよ。おそらく今の形でいけば〇・六なり、あるいはそれ以上になると思う、昨年の実績の上にプラス・アルファなんですから、今全部やっているのは。きょうはもう二十九日ですから、もうきまりますよ。おそらく運輸大臣が私とここでもってこういう話をしているときに、もう電電公社なり、あるいは専売はきまります。実績において昨年よりはプラス・アルファをしていこう、こういうのが各企業体の考えです。労働組合の話もそこにいっているのですよ。それを今私が聞いたならば、昨年が〇・五でありますが、ことしは〇・四です、昨年より下げて話をしているのは、国鉄以外にはない。寡聞にして私はそういうふうにうすうす聞いていない。昨年より少なくしていくというところは聞いていない。昨年よりはプラス・アルファということで、とにかく営業収入、収入増に対して何とかひとつ努力に報いようじゃないか、それでひとつ話し合いできめようじゃないか、そういうことで……。運輸大臣、これはどうですか。あなたは今政治的な発言をされておるのだね、国鉄をかばっておる。それは担当者だからしようがないけれども、かばっておる気持であなたは言っておるのだが、どうですか、よその公共企業体関係が昨年よりはプラス・アルファでいこうというのに、国鉄がひとり他の公社よりは悪くしなければならない。これじゃ担当大臣として何とかしてやりたいという気持になりませんか。どうでしょう、ざっくばらんな話を聞かせて下さい。とにかくここは専門委員会です。あなたの所管ですから、あなたがざっくばらんに言うことは幾ら言っても差しつかえない。応援することは応援するからね。(「団体交渉じゃない」と呼ぶ者あり)団体交渉じゃないですよ、運輸大臣に聞いておる。
  136. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は他の公社、現業が〇・五まで出すようになったということはまだ聞いておりません。そういうことは聞いておりません。国鉄総裁も同じでありましょう。おそらく出せれば出せるだけよけい出してやりたいというのは、従業員を使っていく人の気持であろうと思います。しかしながら、国鉄の財政ということもありますし、事柄はまあ業績手当でありますから、去年は五出したけれども、ことしは四でがまんしてほしいということも私はあると思います。したがって国鉄は今日見たところで、〇・四でがまんしてくれと言っておられるのは私は当然だ、まあこう思っているわけなんです。私は直接団体交渉には介入をする意図は持っておりませんが、国鉄総裁考え方は、これはいけないというようには思っておりません。国鉄総裁従業員もよくしていきながら国鉄全体をよくしていきたいという気持でやっておるということを私は確信を持っておるし、また、そういうふうにやっておられるのを信頼をもって見ておるわけであります。
  137. 村松久義

    委員長村松久義君) この程度で、ほかに特殊な質疑がなければ……。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 この問題は、私がとにかく専門委員として一番心配していることは、国鉄の労使関係というものがよくなくちゃいけない。よくいってもらわなくちゃいけない。もし労使関係がうまくいかないようでは、せっかくいろいろ心配をされておることも実は努力が実を結ばないのじゃないか、そういう時点がくるのじゃないか、こういうことを私は言外に言っているのですよ。だから、団体交渉誠意をもってまとめなさい。だから、まとめるについては、今言ったある程度の内容を聞いておかなければまとまらないのですから、われわれ専門委員として……。
  139. 村松久義

    委員長村松久義君) ですから、お聞きになる点を率直にお聞き下さって……。今までの意見を聞いていますと、非常に該博なる知識を……
  140. 相澤重明

    相澤重明君 専門委員だから仕方がない。
  141. 村松久義

    委員長村松久義君) しかし、国鉄の経営の根本方針等については、他の機会にやるということにお話していますから、どうかそれだけ率直にひとつお聞きになって、そうしてあと判断はおまかせいたします。
  142. 相澤重明

    相澤重明君 これは今言った根本問題なんかをこんな簡単にできやしませんよ。いわゆる年度手当にしぼっておるのだから……。  そこで、参議院の運輸委員会だから、運輸大臣総裁努力をされておるということは、それは言わざるを得ない。また、そのとおり私も聞いているわけだ。けれども、今言った他の公共企業体が昨年の実績の上にプラス・アルファでまとめようとしておるのに、運輸大臣がいわゆる監督しておる国鉄だけが他よりも低くていいという考え方は、私はやっぱり直してもらわなければいけないと思う、率直に言って。だから、そういうところは、なぜそういうふうなことができないかといえば、やっぱりあなたの頭にあるのは、この二百三十億の予定収入をどう使うかという内容を聞いたからこそそうなるわけです。これじゃどうもしようがないじゃないか、これっきり出しようがないじゃないか、こういう頭になったのだろう。だから、国鉄総裁の言うのはもっともだと、こうあなたは答弁をされておるわけです。そういうことになれば、これは別の機会になるけれども、この言われた内容から見れば、当然補正国会で補正をしなければならなかったこともあるのじゃないか。しかしあなたには、国鉄当局者は補正を組まなくともいいというお考えであったということを今言われておる。そうすると、それは国鉄経営者としての立場で、これはやはり将来に問題は残りますよ。そのことはいずれ僕は決算上お尋ねしよう、こういうことで、それはもう別の席に譲っておるわけです。わしも決算委員長ですから、それは決算委員会で十分やります。とことんまでやります。どうであったかということはきっとやってみせます。それは毎日でも来てもらってやりますから、あらゆる問題を。それで、それは席は別にする。別にするが、少なくともほかの公共企業体より悪くていいということにはならないだろうから、そこできょうの締めくくりとして、私は運輸大臣にも最後に聞いておきたいのは、労使の団体交渉できまったことについては、これはあなたもそれを認める、こういう立場にあることは間違いないわね、運輸大臣、ひとつお答えをいただきたい。
  143. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 労使の団体交渉できまった事柄は、よほどのことがなければ私は認めて参るのが当然だと思います、きまった事柄につきましては。
  144. 相澤重明

    相澤重明君 その運輸大臣の言うよほどのこととはどういうことなんです。
  145. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は原則を申し上げておるわけです。
  146. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、十河総裁にひとつ答弁をしてもらいたいのだが、今、運輸大臣原則論を言ったのであって、労使の団体交渉できまったことはそのまま認めていく、こういう答弁でありますが、あなたも先ほどはそういうふうに答弁をされたと思うが、その点に変わりはございませんね、十河総裁
  147. 十河信二

    説明員十河信二君) 変わりありません。
  148. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、あと大体二、三点で終わりますが、十河総裁団体交渉できまったことは守るということに変わりはないのでありますが、すみやかにこの年度手当が支払われるように誠意をもって団体交渉を続けてほしい。その団体交渉というものは、今言った少なくとも国鉄三十万のものがまだきまらないということであっては、私は、これはやはり単に話がどうもなかなか中身まで入れぬとか、あるいはそれが薄いとか厚いというものではないと思う。やはり労働問題として解決をするあなたの最高責任者としての一番大きな問題だと、こう思うのです。そういうことで、ひとつきょうから積極的に団体交渉を持って、そうして運輸大臣もそれを了承されているのですから、中村常務理事の話を聞けば、まだ操作のできるところはあるのだから、その調整を私ははかるべきだと思うのです。その調整をとる考えなのか、それとももう団体交渉誠意をもってやると言いながらも、実際そういうことについてはおれは考えは変わらないのだ、こうおっしゃるのか、調整をとってまとめていこうとするのか、まとめていかないとするのか、その点をいま一度ひとつ御答弁をいただきたい。
  149. 十河信二

    説明員十河信二君) それは団体交渉のことですから、私がさっきからお答えしているところでどうぞ御了承を願いたいと思います。
  150. 相澤重明

    相澤重明君 何回聞いてもいいんですよ。何回答弁されてもいいんです、お互いの話なんだから。さっきからお答えをされているとおり、あなたは誠意をもって団体交渉をやると言うんだから……。団体交渉でまとまるようにやるのが団体交渉でしょう。だからそういうことで、先ほどからの話を聞けば、調整がとれればまとまるでしょう。だからまとめるようにあなたに努力をしてもらいたいと言っているのだが、あなたはどうですかと聞いているのです。
  151. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は先刻から申し上げておりますように、誠意をもって努力する、しかし、われわれのなし得る最後の案を提案してやっているんですということを申し上げております。
  152. 相澤重明

    相澤重明君 私は、今団体交渉をやっているわけじゃないんだよ。あんたとなんか団体交渉なんかする必要がるか、国会議員だもの。そこで、少なくとも団体交渉をやるというのに、あらかじめものをきめちゃって、これから一歩も引きませんなんていうのは団体交渉にならない。そんなものは団体交渉と言えるか。そこで、誠意をもってやるということは、お互いに話し合ってきまったことをまとめていくというのが団体交渉というものであるから、そのとおり私は理解をしている。だからそういうふうに努力をするということで私は了解をしていきたいと思うのです。そこで、いま一つ次の問題としては、きまったところについてはいつ払うのです。
  153. 中村卓

    説明員中村卓君) これはなるたけ早く払いたいとは思っておりますけれども、やはり国鉄労働組合との話がきまらないと払うわけにはいかないと思いまして、支払いの準備はしておりません。
  154. 相澤重明

    相澤重明君 支払い準備をしておらないと言ったところで、まとまったんでしょう、まとまったものならば、いわゆる会計法上の手続として年度末、いわゆる月をこさないで手続をとりたいというのは当然でしょう。準備をするのはあたりまえじゃないんですか。
  155. 中村卓

    説明員中村卓君) 協定の支払い期日の内容におきましては、三月三十一日以降準備でき次第至急に、すみやかに払うという趣旨で、若干文字は違うかもしれませんけれども、そういう趣旨のことでございまして、準備でき次第という意味の中には、国鉄労働組合と妥結ができたらということも含めて内容として妥結しているわけでございますので、ただいま申し上げたようなことになっております。
  156. 相澤重明

    相澤重明君 それでは最後に、そういうとにかく全体の調整もとり、しかもまとまったものは支払う準備もする、しかも誠意をもってやる、団体交渉を進めるという私は確認の上に、この質問を終わりたいと思うのです。  そこで、再度そのことについて、終わりになるわけですから申し上げておきたいと思うのですが、国鉄労使の問題はきわめて世論にも重大な影響を及ぼされます。一つ間違うというと大へんなことなんです。いかにわれわれが国会で新線建設の問題だとかあるいは五カ年計画だとかということの答弁を聞いても、国民に対する期待を裏切るような行為があっては私はならないと思う。そういう問題で、年度末のそういう剰余金をいかに配分をするかというような問題で、出し得るものは私は十分誠意をもって最大限の努力をして出すべきだ、そういうことを今までの質問の中でわかって参りましたから、そのことを実行してもらうということで私の質問を終わります。いずれ先ほど委員長にも言ったように、政策の問題とか、経営の根本的の問題については、これは後日大蔵大臣との関係もありますから、その時期も一度考えていただきたい。それから決算上の問題については、これは決算委員会で取り上げますから、そういう問題で十分また聞きますから、そういう点を一応私は付言をしておいて私の質問を終わります。
  157. 大倉精一

    ○大倉精一君 いろいろ相澤委員質問並びに答弁を聞いておりますと、非常に遺憾だと思う。国鉄当局者は労働問題の取り扱いについては、しろうとではないと思う。この問題をめぐって事前に調整をつけないで今日の混乱を招いていることは、非常に遺憾だと思う。先ほど総裁は、きまったものはすぐ払うというような御答弁がありましたが、聞いておりますと、きめることはきめたが、調印はしてないらしい。そこで、先ほど中村常務理事が言われましたが、なるべく早くきまったものは払うように努力してもらいたい。これがためには、調整をすみやかにやる。部内の調整をすみやかにやって、その上においてきまったものは払う、こういう努力総裁みずからもおやり願いたい。こういうことを私は最後に要望しておきます。
  158. 中村順造

    中村順造君 ちょっと関連して。私は先ほど来の相澤委員緊急質問に対する答弁の中に、いろいろ問題があると思うのです。時間もないので、一言だけ申し上げて、おきますが、一体最近の国鉄については、監査委員会が指摘しておりますが、いろいろ問題があるのです。しかしことごとく労使の問題だ、しかも労使の関係というのは、年々悪くなっている。そういう点は一体どこに問題があるかということになると、きょうだけの答弁でなしに、やはりあなた方が国鉄の経営、運営については、ほんとうに謙虚な気持があるかどうか、私はこの委員会で昨年来そのことを主張しているが、一向に——きょうは大臣も、総裁もおられるから申し上げておきますが——われわれが言うことが配慮されない、たとえば労働問題と取り組んでいるのは、常務理事としては中村理事、それから窓口は職員局長、こういうことでやっている。それから前のことは無理に申し上げる必要もないかもしれないが、ここにも前の総裁がおられるけれども、何代か前から総裁自身が団体交渉に出て、最終場面を集約するということがなされている。十河総裁になってから、総裁みずから団体交渉に出て最終的の集約をするということを、私は聞いておらない。そういうことで熱意のほどが疑われる。それから私が指摘しているのは、やはり相手に正しい姿を求めるなら、国鉄の経営者自身もやはり正しい姿でなければならぬ。特に私はこの前、副総裁が出られたときも申し上げたのですが、少なくともこの労働問題を処理する窓口は、もう少し、四十数万という大世帯ですから、それら職員理解を求め、協力を求めるという気持がなければならぬ。ところが、どういう人が職員局長になっているか、かつて組合員の家族が何かベース・アップの陳情で行ったところ、その家族に対してどういうことを言っているかというと、お前のところには電気洗濯機があるだろう、あるいはテレビがあるだろう、お前たちの生活は十分豊かだ、こういう不見識な発言をしている。しかも団体交渉に臨んでどういうことを言っているかというと、ちょうど一昨日の本委員会で酒を飲んだ機関士処分が問題になったが、機関士ハンドルをとったときは酒を飲んではいかぬという、しかし労働問題の窓口に当たって四十数万人の労働条件を処理する人間は、深酒飲んでろれつが回らぬで相手方に臨む、こういうことは、私は今初めて言うわけでありません。副総裁が来られたときも申し上げて、何とか善処をすると。それは、人間として非常に高潔な人格者かもしらぬけれども、適材適所じゃないということを私は指摘しておる。何とか善処しますと副総裁はこの委員会で約束をしておられるが、全然そのことは実現されておらない。今のような相澤君の質問に対しましても、よそのことは知らぬ、そういうまことに国会の答弁としては適切でない答弁が出るわけなんです。それは不用意に出たわけではない。あなた方にやはりそういう気があるから、そういう発言になって出るわけだ。これは総裁は若干年を取られてお疲れだと思いますが、十分全体的な問題として、やはり年々国鉄の労使の関係が悪化していくのはどこに原因があるか。相手側ばかりに責任を押しつけることじゃなくて、みずからがやはり反省をして、謙虚な気持にならなければならぬ。これは運賃値上げのときにおいてもちょうどそういう問題が出て、総裁みずから非常に熱意のある答弁をされたと思うのですが、その問題は、答弁はされているけれども、実際は一つも実行されていない。そのことだけ私申し上げて、これは要望ですが、やはりあなた方にほんとうに四十数万という従業員理解協力を求めて、謙虚な気持になって国鉄の経営をする、そういう気持がなければ、国鉄の経営、運営はうまくいかない、そういうことを私は申し上げておきます。
  159. 村松久義

    委員長村松久義君) 質疑はこれで終了いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  160. 村松久義

    委員長村松久義君) では速記を始めて。     —————————————
  161. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたしましす。  前回に引き続き質疑を行ないます。
  162. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 この国有鉄道法の一部を改正する法律の条項につきまして、若干運輸大臣の御所見等を確かめておきたいと思います。  それは本法案は、御承知のように運輸事業について相当広範囲の権限を立法府から行政府に委譲するというような形式に相なっております。そして現実に考えましても、国鉄関係する事業、またこれに密接なる関連事業ということになりますというと、非常に範囲が広いわけでありまして、ただいま国鉄が提案理由の中にあって考えておられるものは、ごく一部のものでありますから、この点についてはわれわれもそう異論を差しはさむ余地は私はないのでありまするが、しかし、「その他これに準ずる運送事業と密接に関連する運輸」というものについて、すべて投資条項を適用するということになれば、相当この方面における改正としては画期的な改正と言わざるを得ないと思うのです。ことにそのおのおのの業種及びその範囲をきめるのは政令できめるというようなことに相なっております。もちろん政令できめるということについて、軽微なもの等につきまして、あるいはまた産業経済界における影響の僅少なものにつきましては、これは私はこういう措置もいいかと思いますが、何分にも業種が非常に広い範囲において起こり得ることを想起いたしますというと、ただいま世間が非常に将来に向かって不安を感じておるというのがもっともだろうと思います。ことに関係業界としても非常に広いし、また国鉄自身が産業経済界への大動脈といわれるくらいに、およそ産業経済の基盤、いわゆる流通経済の総本山である。しかもその影響区域というものが全国的に、津々浦々までもわたっておるというような点から、また、国鉄といたしましても、なるほど公共企業体ということにはなりましたけれども、いわゆる国家の巨大なる資本力を背景としておるこの国鉄でございますので、自然民間企業との間における調整というものが、はたしてうまくいくか、もしいかざるとした場合におきましては、これは運輸経済界における非常な混乱を持ち来たすことになりはしないか、かように考えまして、この点について率直に言えば、民業圧迫になるということについて、運輸大臣はどういう御所見を持ち、また、この法案通過後において、現大臣、あるいは現国鉄総裁の方々がどういう考えをお持ちになっているかということだけではなしに、将来にわたってこういうふうにやるのだという、国民の安心のできるような明確なる御答弁をいただきたい。そうでなければ安心できないのではないかというのが私の見解であります。大体、民間企業の経営と関連いたしまして、今の国鉄を考えますときに、国鉄が戦後公共企業体に改変せられ、そして従来の公共事業としての経営の面と、それから民間企業としての経営の思想をとり入れて、たとえば独立採算制であるとか、かようなものをやって、この経営の成績の向上をはかるというようなことから考えますときに、従来の国鉄自身の経営については、非常にこの企画、あるいはまたかようないろいろの経済活動の面におきまして権限を大幅に拡張するということは、これまた当然だと思うのであります。もし民間企業であったならば、その企業がよく生い立っていくためには、あらゆる努力を払うのは当然であります。したがいまして、その意味から、もし公共企業体のうちの運営についてのコンバインされた、いわゆる民間企業の経営の長所をとり入れるという意味からいたしましては大賛成であります。また、それをもって国鉄経営の刷新をはかっていくならば、これから享受せられる国民の利益というものは、たいへん大きいものが期待せられるということになるのであります。ただし、やはり国の分身の経営体系の一つであるということ、及び国家を背景としての大きい資本力というようなことになりますというと、どうしてもおのずからそこに制約が生まれるということは当然だと思います。国鉄運営のいろいろの経営面の施策について、かようなことをとり上げるのはよろしいが、それはどこまでもいわゆる公共の福祉に寄与すること、その目的のための国鉄経営にプラスするということでなければならないと思うわけであります。これが制約については運輸大臣は一体どういうお考えを持っておりますか。その御所見をお伺いしたいと思います。
  163. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 金丸さんの御意見、まことにごもっともに存じます。私といたしましては、平たく申し上げますなら、だれが見ても国鉄が投資をしてやってもらったほうがいいのではないかというようなものでなければ投資はさせない、かように考えているわけでございます。国鉄に投資をしてもらってやってもらったほうがいい、やらしたほうがいい、しかしながら、法律上それができないというような場合に道を開く、かような考えでいるわけでございます。おっしゃいました民業圧迫その他の点は、これは国鉄仕事をやります上に最も関心を払わなければならぬ事柄でありまして、今日の法律の範囲内におきましても民業を圧迫しないように、今日の自由主義経済の実情を乱さないようにやっていくということが私は必要な要件だと、かように考えております。したがいまして、御心配になりますような民業圧迫の声があるというような場合には、これはたとえ法律あるいは政令等にそのようなことになっていても事業としては認可をいたさない方針でございます。
  164. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 本件に関して昭和三十六年二月九日経済団体連合会から「国鉄経営上の基本的問題点にかんする意見」というものが運輸省並びに国鉄に進達せられておると思います。その第二の諸制度の合理化という項の(ホ)におきまして、「投資制限の再検討」ということがございます。「国鉄は本来の業務以外の部門への投資を厳重に制限されており、積極的な合理化努力が妨げられている面も少くないので、国鉄合理化のために行なう事業で民営と競合しないものは積極的にこれを認めるべきである、」とこういうことが述べられております。おそらくこの問題等を取り上げて、国鉄内部においては開発部等の特別の部局を設けていろいろとお考えになるようになったのも、大体こういうところからではないかと私は想像いたしておりまするが、この面におきましても、明らかにわが国の経済連合会として経済団体のすべてのものの希望が、民間と競合する面においては、これは期待するところではないということを、これにはっきり要請をいたしておるようでありまするが、かような思想について、ただいまお話のような点、こういうものであると、かように解してよろしいでしょうか。その点を明確にしてお答え願いたいと思います。
  165. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私の考えを申し上げますと、民営と競合しないという場合でも、そう積極的に投資を奨励すべきでないと私は考えております。
  166. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 しからば、今回この問題が衆議院に法案として提出せられるにあたりまして、同じ経済界からの東商会議所会頭からすでに大臣にも進達せられたと思いまするが、「国鉄法の一部改正に関する法律案についての要望」こういうことを書きまして、私どものところにも参ったのでありまするが、この修正の要点は「国鉄が投資できる事業の範囲は政令で定めるとあるのを改め、法律の条文において、その事業の種類をできるだけ明確に列記せられるよう願いたいこと。なお、これらの事業に国鉄が投資を行なうにあたっては、当該業界とあらかしめ十分な協議を行なうべきことを条件とせられたきこと。」こういう工合にありまするが、これに対して本法案を提出せられました提出者として、これに対してはどういう御所見でございましょうか。この点をお答え願いたいと思います。
  167. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどからも申し上げておりまするように、国鉄一つの公社でございまして、普通の私企業とは違った組織になっております。したがって、国鉄が経営を楽にするとかいうような経営上の理由から、いたずらに他に投資をして、そうして投資の利益を得て、国鉄の経営を有利にやっていこうというような考え方は、私はとるべきでないと、かように考えております。国鉄本来の仕事をやる上において、どうしてもやらなければならぬ事柄、それについてまた一般の関係業者の人たちも喜んで、こういうことには国鉄がひとつ投資をしてやってほしいという場合に、私は国鉄がやるべきだと、かように考えております。したがって、ただいま読み上げられました点におきましても全くそのとおりに考えておるのであります。他にいろいろな反対のある民間の事業に国鉄が踏み出していくということはよろしくないと、かように考えます。
  168. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいまの商工会議所の要望の前段におきましては、結局法律の条文で明らかに列記式をとれ、政令によるのでは困るのだ、よくないという意味のようであります。後段においては、実際実行する場合には業界と十分な協議をしろという二つであります。ただいまの御答弁もありましたが、初めの問題につきましては、同じ関連の事業でありましても、それが軽微なものもあるでありましょう。そういう場合に、さほどのいわゆる諸種の業界に影響を及ぼすに至らないであろうというものもあるわけであります。したがって、そういうものについて政令できめるというようなことにつきましては、国民としても納得がいくと思うのでありまするが、この法案自体というものは、かような経済界の要求にもかかわらず、政令主義をとって、詳細にわたっては政令でやるのだということで立案せられておりまするのがこの法案であります。私は、かりにこれでいくといたしまして、少なくとも政府としてこの法案を作るにあたって、将来を含めての民業圧迫にならないということを深く確信し、またそういうことはさせないのだという、先ほどの大臣の御答弁があれば、私自身としては了解したいと思うのでありまするが、ただ、第二の協議を行なうということについては、かりに政令で定めても、業界自体の了解を得ることを条件とする——法律を修正するかどうかは別といたしまして——この思想について、監督官庁といたしまして大臣の御所見はどうでございましょうか。
  169. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) まず、法律で列記式にいたしますことは、立法技術上非常に困難でございます。政令で書けることなら法律で書けるじゃないかという御議論もあろうと存じます。法律でどう書きましても、非常にゆるくこれを運営いたしますなら、やはり民業圧迫ということになるわけでございまして、たとえば種類を限定いたしましても、その種類においてやはり民業圧迫ということになっていくわけでございます。したがいまして、このたびの法律におきましては、私がただいま申し上げましたような方針によって運営をしていくということがまず第一の根幹であろうと存じます。ただいま御心配になりますような事柄につきましては、御心配のある間はそういうものを政令にあげるというようなことは絶対にいたしません。
  170. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 今のお言葉で、結局=政府といたしましては、今後政令の改正ということについていろいろの措置がせられても、民業圧迫ということはさせない。それについては、その前提として、その業界との十分なる協議を行なった上でその政令の改正等をやるのだ、かように承知をして差しつかえないでございましょうか。
  171. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) さようでございます。
  172. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 わかりました。  なお、私どもがさようなことをここに強く確認をお願いしたいと思うことは、結局この条文自体の、その他の関連事業ということは、これは会社の定款におきましても、こういうことは大体やらないのです。必ず具体的なものをあげてそうしてやるのが普通なんであります。こういうことをやりますというと、どうしても、これに籍口してあらゆるものを、いわゆる法律をくぐって——悪い言葉でいえばそうなります——そういうことをやるので、これは非常に定款改正等においてもやかましいのです。そういうものをこの法律で認めようというのでありまするから、これを行なうについての国鉄も、あるいはまたこれを行なわしめんとする運輸大臣も、政府として十分に運輸行政全般にわたって考えられて、秩序を保ち、経営のよくなることを見通してやらなければいけないと思うのであります。簡単に言えば、立法府としてこれにタッチするのはこれだけしかない。これはもうわれわれの見解では明らかに白紙委任状です。白紙委任状でもって、どうなと使ってもよろしいと。民間でも白紙委任状を出す場合もあります。しかしながら、それは非常に限られたときであり、すでに相当の協議が行なわれた後でなければ白紙委任状なんか、判を押すものは一人もおらぬのでありまするから、これはその点において、くどいようでありまするけれども、大臣のこの点の御所見とお覚悟を十分に伺ったわけでありまして、あるいは巷間には、よく、予算というものが出るじゃないか、予算チェックでいくんだということを言います。しかしながら、政令が定められて、現実に予算が組まれる場合に、国鉄予算自身が、かように細目にわたってまでも国会の実際協賛を経なければならぬということ自体も私はおかしいと思うのです。おかしいと思うが、かりに現在のやり方として、もう少し、公共企業体となっているなら、大きいところはつかんでも、小さいところはもうすべて国鉄経営にまかせるということでなければ、企業体にした価値はない。そういう意味では非常にいいと思いますが、予算自身は、現在予算に上がっているからそれでもう安心だ、予算でチェックできるじゃないか、したがって法律じゃなくても、お前たちは立法府として関与できるんだ、こういう説が非常に言われますが、これは言うだけの話で、現在の状況で予算に盛ったもので、いかなる内閣が政権を取りましても、予算を修正して出すようなことは一ぺんもない。こういう点もありますので、その点については、やはりどうしても今の運輸大臣の、運営についての信念、あるいはまた方針というものが非常に大きいものになるかと考えます。この点については、ただいまお話もございましたので、ぜひそれを実行していただくことに、この政令で定めたものでそれを実行するというものについては、その政令のほうを、あるいはまた実行にあたってはその業界と十分協議を行なった上で、政令を立案されるよう、こういう点をぜひひとつお願い申し上げたいと思います。かように考えます。  それからこの問題につきまして、第一条項、従来はターミナルに対するものが三十四年でしたか、認可せられた。その前には営団の投資以外には認められていなかった。今回はこれを非常に強める。特に車両の直通運送をする事業が計画されて、次にある問題の、その他これに関連する事業というようなものが取り上げられておるわけでありますが、この車両の直通運輸というようなことになりますと、こういう事業についての投資ということはたとえば今回企図せられておりまする臨海鉄道というようなものとか、あるいはまた私設鉄道法、軌道法によって出ておりまするこういうものまでもやはりできないことはないというお考えでありましょうか。この点を明確にしていただきたいと思います。
  173. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 仰せのように、車両の頂通運輸、この運送事業ということになりますと、地方鉄道全般を含むことに相なりますが、今回政令として取り上げます場合には、これを限定いたしまして臨海工業地帯における臨港鉄道というように明確にいたしたいと思っております。
  174. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 しかし、それはただいまさしあたりの問題であるわけですね。そうするというと、今後、これはあるいは愚問になるかと存じまするが、私設鉄道その他についても、いろいろと今日相当に経営上困難を感じておるところがたくさんできてきておりますね。そういうものに投資をするというようなことに、これは国鉄とかなんとかいう問題でなくて、むしろ非常な要請が出てきやせぬかと思うのですが、その場合には、やはりこの政令で定めればできるというのですか。そのほかの法律を私ごとごとくは存じておりませんが、その点はどうですか。
  175. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 今例示されました、たとえば地方鉄道が非常に経営上詰まってきて、これを救済するために国有鉄道の投資が、かりに第三者によって要請されたような場合に、この政令を改正すればできるのかと、こういうことでございますが、観念的にはできるわけでございますが、しかしながら、地方鉄道に対する運輸行政といたしまして、そういうふうな場合を考えますときには、現在、地方鉄道軌道整備法というものがございまして、国民生活上どうしても地方鉄道の経営というものが存続していかなければならないという場合には、欠損につきまして国家において補助することができる道が開かれておりまして、現在でも二、三その例があるわけでございますから、おそらくそういった場合に、投資によって救済するということはほとんど考えられない。かように存ずる次第でございます。
  176. 村松久義

    委員長村松久義君) 金丸君に申し上げますが、運輸大臣に対する質問を先に願いたいと思います。
  177. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 もう一つ大きい問題でございますから、今回の投資でこの車両直通に関連して想起せられるのは、あるいはこれは妥当でないかもしれませんが、私早急の場合でありましたから、全部法律を調べておりませんので、あるいは御明響いただけぬかと存じますが、投資は、民間では必ずしも資金だけではないわけですね。したがって、この場合も現物出資というようなことも起こり得る。そこで、現物出資を含むとするような場合に、国鉄の線で経営係数が三百だ、四百だというようなものがたくさんあるわけですね。こういう不採算線を現物出資して別の会社にするというようなことが、この法令では可能なように思うのだが、他の法律でそういうことはできないのだというようなことがあれば、それも指摘して御指示願いたいのだが、この点に対する御見解はどうですか。
  178. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) そういうことは全く考えておりませんし、また、そういう路線に対して投資をする民間のものもないだろうと、かように考えて、国鉄自身が赤字で経営のできないものを、民間が投資をするということはまず考えられないと思うわけであります。
  179. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 大事なところをちょっと伺いたいのです。これは運輸大臣にお伺いしたいのですが、本法律案で、国鉄に対して投資を広く求めるということ。これについては、国鉄の経営上に一体何を与えようということなのでございましょうか。公共企業体としてのこれの活動は、私が当初申し上げましたように非常に望むところであり、また、そういうことでなければならぬ。そのためには非常に法律及び予算上の覊絆というようなものがちょっと大き過ぎるということは、私先ほど述べたとおりでありますが、これでは投資をするだけでしょう。だから投資をするということによって、一体国鉄本体の経営について、何を目的としてやるのかという問題、いわゆるシェアの問題ですね。言いかえれば、民間会社でいえば、民間会社が他の会社に投資をしてやるということだと思う。これをやったからといって、国鉄の赤字解消の線にはもちろんならない。投資自体の問題ですが、これは何を一体なされるのか。また、そのやり方について、経営権を掌握しょうというのか、あるいは企業参加によってある程度の指導権を掌握して、そうしてそれによって国鉄の運営に寄与させようとするのか。これはどういうことなんですか。
  180. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 大体本来ならば国鉄自身の事業としてやってもいいものを、しかしそれを利用をする者が特定の者であるとか、あるいは民間が投資してもよろしいというような場合に、別の会社を設けて、そうして国鉄自身でやるならば、国鉄の資金がよけい要るわけでありますが、民間資金を導入をするというような考え方一つ考え方であります。同時に、国鉄自身の経営といいますか、国鉄自身が企業の指導権も持って、そうして国鉄と事実上一体的運営のできるということを主眼といたしておるわけであります。
  181. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 大臣はよろしゅうございます。  国鉄にお伺いしたいのでありまするが、実はもう時間がありませんので、大体総括的にちょっと御意見を承りたいと思うのですが、衆議院の運輸委員会の速記録をいろいろ拝見いたしますというと、これに対して、運輸省並びに国鉄よりいろいろと答弁がございましたが、これには間違いないのでございましょうか。この点、運輸省及び国鉄に確認をしたいと思います。
  182. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) そのとおりでございます。
  183. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 そこで、いろいろな業種をあげていろいろと質問をせられておりまするが、これはあえて私は反復いたしません、いたしませんが、これに対する国鉄答弁は、考えていないというのと、それから今考えていないというような言葉が非常に多いわけでございますが、この今考えていないということだけでは、いわゆるこういう広範囲に対する白紙委任状でありますから、非常に国民としてもやはり心配が残こると思うのでありまするが、現実には、ただいまあげておりまするこの臨海鉄道というものが、差しあたりの問題であろうと思いまするが、そのことについて、おもに、まあ将来——といって将来みな言えというのも無理な話ですが——たとえば新幹線等ができるというこの四十年、これはもう目前ともいえる、こういう場合において国鉄がおやりになろうとお考えになっておりまする業種はどういうものでありましょうか。あわせて二つ、お伺いしたい。
  184. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 衆議院で私が申し上げましたのは、御質問が十数業種にわたって御質問がございましたので、一々お答えしたわけでございます。私のほうといたしまして、ただいまの、たとえば東海道の新幹線ができた場合にはという場合を仮定いたしますれば、新しい貨物輸送が行なわれますので、通運業者その他と一緒になりまして、コンテナあるいは新しい輸送方式のピギーバックと申しますか、ああいう輸送方式を考えるというようなことが必要になりました場合には、そういうことも必要かと思いますし、また、今のところというふうに、若干ニュアンスをつけて申し上げました、速記録の中には、私が断り書きを申し上げまして、申しておりますのは、たとえば交通公社のように非常に経理上国会にもしはしば御迷惑をかけておるようなところについて、将来考えなければいけないが、今のところ、今回の予算では考えていないというふうに申し上げたのでありまして、御質問の、仕事の内容が非常に現実的なものから、非常に架空的なもの多数にわたっておりましたので、いろいろ答弁の内容が違っておるわけでございます。
  185. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ところで一つお伺いしておきたいと思いますることは、たとえばただいまの東海道新幹線完成後におけるピギーバックあるいはコンテナ・システムによる輸送一本にやりたいというようなことで、これをいろいろ業者とともに新会社を作って、これに国鉄が投資をしてやっていきたい、こういうようなお考えのように速記録等で拝見をいたしておりますが、これはもちろん参加者もあるでありましょうが、コンテナ輸送あるいはピギーバックにいたしましても、こういう輸送というものは、国鉄が投資をした会社自体のみで新幹線の輸送を行なうのだ、言いかえれば、他の会社が自分のほうでもこういうものを持っておる、あるいはまたこれから作りたいというようなことで、さようなことにいたしたときには、もちろんこれは託送として拒否することにはならないと思いまするが、コンテナ輸送一つということに制限せられますというと、いろいろと設備の都合上、そういうものは国鉄のコンテナ車両には乗らないというようなことにもなるおそれがあるし、そこにおいて、結局その会社が事実上独占になるというようなことがないとも限らぬわけでありますが、国鉄としてはさような輸送自体というものについては、かりに国鉄投資のコンテナ会社ができても、他のものもやはりこれを所有しておるという場合においては、輸送上その他の委託関係、すべてにおいては同様に公平に扱うということには間違いないと思いますが、これはどうでございましょうか。この点をお答えいただきたいと思います。
  186. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今度東海道の新幹線の貨物輸送は、今のところ電車貨車と申します新しい形式による電車による貨車を考えております。したがいまして、当然コンテナ輸送になるのでございますが、今御質問の内容にございました、たとえば物理的に積載のできるコンテナを持っている会社があれば一般荷主でございましょうと、だれでございましょうと、これは鉄道営業法の建前から申しまして、私どもとしてはこれを拒絶する根拠は何もないと考えております。
  187. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 もう一点だけ伺います。いわゆる臨海鉄道に対して具体的に京葉地区をお考えになっているそうでございまして、やはり候補地としても四、五カ所をお考えになっているということでございますが、これは臨海鉄道事業自体を投資会社にするという考えですか、あるいはまたその運営問題になるわけでしょうか、どちらでしょうか。新しい新線建設の関係で品川−木更津線というのができておる、こういうものをお作りになる、これは国鉄の財産になっておりますが、今度行なおうとする臨海鉄道というものは、鉄道自体が、すべての財産がこれに帰属し、運営も財産自体全部帰属するというお考えでおやりになるのか、あるいはまた鉄道だけは国鉄がこれを敷設して、その運営については予算に認められた二億円に、さらに民間の協力を得て会社をこしらえて、その運営に当たるということなんでしょうか。どちらになるお見込みでしょうか、その点をお伺いしたい。
  188. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいま考えております京葉の場合につきましては、ただいまのお話の前のほうの、すなわちこの鉄道会社が全部敷設を保有する会社、すなわち施設も持つし、運営もする会社を考えております。ただ、貨車につきましては、京葉地帯は将来約三百車ぐらい使う予定でございますので、貨車としては国鉄と普通の会社の貨車を使う、会社線の貨車は今のところ数車両というふうに計画しております。それ以外は一般の私鉄——地方鉄道と同じように全体の鉄道事業をやるわけであります。
  189. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 時間もございませんので、私はこの程度で質問を打ち切ります。時間が参りましたから、ちょっと予算委員会のほうに出席しなければなりませんので、お暇を頂戴いたします。
  190. 村松久義

    委員長村松久義君) 午後は三時再開のことにして、暫時休憩いたします。    午後一時五十分休憩      —————・—————    午後四時五十三分開会
  191. 村松久義

    委員長村松久義君) 委員会を再開いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  192. 大倉精一

    ○大倉精一君 きょうは時間もありませんので、総括的な質問を一、二したいと思います。今度の法律案の中身は、今まで衆議院における質疑応答、参議院における質疑応答等から見まして、国鉄というものの性格に非常に大きな問題があるのじゃないか、まあ性格変更とまではいきませんけれども、そういうにおいもするように感じられるのです。  そこで大臣にお伺いしますけれども日本国有鉄道というものは、このままでいいのか、あるいは日本国有鉄道の性格というものを再検討しなければならないのか。と申しますのは、前から問題になっているのですけれども日本国有鉄道は、公共性とそれから営利性とどちらが優先するのか、この点がたびたび問題になるのですけれども、これはもうきまった答弁でありまして、公共性が優先だけれども営利ですか利益という面についてもこれは等閑にできないのだ、こういう答弁になっていた、今までですね。しかし実際問題としまして、独立採算制ということになれば、これはもうやはり営利ということが先に立ってくる。したがって、だんだんこれは変貌して参りますというと、日本国有鉄道というものは赤字にしちゃいかぬ、赤字にしないように努力せなければならぬが、しかし、赤字にしないように努力するということと利潤の追求ということは、これは違うと思いますね。ですからどうもその辺が日本国有鉄道は一体このままでいいのかという疑問が、こういう問題のたびに沸くのですけれども、これは大臣どうでしょう。
  193. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、日本国有鉄道は今は独立採算の形態をとっております。しかし営利を追求するという意味ではないと思います。経営を合理的にやって、そして企業としてやるべき、何といいますか、企業の合理化あるいは企業精神によって運営しなければならないということでありまして、利益を上げるということは、私は国有鉄道の目的ではないと、かように考えております。ことに公共性の点から見まして、今後国有鉄道の果たします役割を考えますると、相当政府において財政的なめんどうを見ていかなければならない、かように考えております。
  194. 大倉精一

    ○大倉精一君 財政的な援助を考えていかなければならぬとおっしゃいますけれども、そういう点が非常に問題であって、たとえば今度の法律案にいたしましても、赤字になるようなところは投資しないという、そういう答弁があったように記憶いたしておるのですが、これはしかし赤字、黒字ということが優先に考えられるのじゃなくて、公共性というものが優先であれば、そこへ鉄道なり何なりというものが必要だという必要性が優先になってくるのでありまするから、必要であるから国鉄が何らかの方法によってこの事業を経営するのだ。こうなって参りますと、当然そこに政府の補助ないしは援助ということになってくる。しかし、それが十分でないものだから、結局民間の企業が手を出して、そして民間のお金を利用しようというような考えになってくると思うのです。たとえば今度の臨海鉄道についても、あそこは必要だということになれば、国鉄が経営すればいいと思う。理由はお金がないということでしょう。それから鉄道審議会のときになかなかはかどらない、こういう理由だと思う。あそこは必要だとするならば、赤字、黒字の前に、やはり日本国有鉄道としてこれを建設して運営をするという、こういうことが必要じゃないかと思うのですが、根本的な考え方どうですか。
  195. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) お答えいたします前に、赤字のところには投資をしないといったようにお聞き取りになったと思いますが、先ほど金丸さんの御質問お答えをいたしましたのは、私鉄が投資をして、そして赤字になるようなところ、そして民間資金をそれに投資させるといっても民間は投資をしないであろう、したがってそういうところは国鉄だけでやらなければなるまいということを言ったのであります。したがいまして、私は国有鉄道は経営が赤字であると思うても、公共性の面から考えて、日本の開発、産業の開発、文化の開発という点から考えまして、必要なところはやはり投資をしなければなりません。しかし、このために国有鉄道の資金でまかなえない、あるいは赤字が重なるというような場合には、現に新線にも利子補給をやっているようなわけでありまして、これを今後もっと高めて、あるいは分量を増していかなければならないということも考えております。  京葉臨海鉄道の点は、これは国鉄がやっても私はいいところだと考えますが、しかしながら一面考えますると、あの鉄道を利用するものは、特定の会社が非常に多いわけでございます。それらの特定の会社が自分たちの生産を高める面から投資をしても鉄道を作りたい、作ってもらいたいという要望でもあれば、そうすれば国鉄も投資してここに一つの会社を作って、国鉄と、何といいますか、連絡運輸といいますか、統一運輸のできるようにすることも一つ方法であると、かように考えております。
  196. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の臨海鉄道の中身については、あらためて質問しようと思っておりますけれども、私が今聞いておるのは、そういう根本的な考え方を聞いておるのです。たとえば千葉の鉄道が、これは産業開発のために必要であるということになれば、あすこに十一社か十二社かわかりませんが、とにかく必要であるというなら、国鉄みずからが建設をしていく、足らぬところは政府がめんどうを見る、そうして国鉄が敷いたものを民間がこれを利用して、産業開発なり、地方文化のために貢献ができる、こうならなければいかぬと思うんですね。あれを延長していきますというと、地方鉄道といいますか——あれが地方鉄道かどうかというと、疑問ですけれども——そういうものは全部そうなってしまうということも言えますね。これはそういう考えがないという工合におっしゃるかもしれませんが、法律ができればそれができるんです。そういう考えがないということは法律には書いてないわけですね。そういう先例を作るということになる見通しがないんですか、いかがですか。
  197. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 不特定多数の人たちから資金を募って、そうして国鉄の資金をそれに投入して私鉄会社を作っていこうというような考え方は、これは持っておりませんし、そういう考え方は適当ではないと思っております。
  198. 大倉精一

    ○大倉精一君 ついでですからお尋ねしますけれども、臨海鉄道は会社の貨物ばかりじゃなしに、その地方の個人の貨物も扱うんですか。
  199. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 個人の貨物もおそらく扱うことになるだろうと思います。特定の会社だけの貨物ということではないと思いますが、しかし大部分は、私は特定会社の貨物になると思います。
  200. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はあの法案を読んで、千葉臨海鉄道に関する限りにおいて、二つの疑問を持つわけです。  一つは強制投資になりやしないかと思うんですね。あすこに十一か十二あるんですけれども、この中で二社か三社かのその当事者はいやだといっても、そういうわけにはいかない。そうなっているんですね。ですから、これはある意味においては強制投資になるんです。  もう一つは、今度は、衆議院での答弁を見たわけでありますけれども、さらにあすこへ工場がふえた場合どう扱うか、これもやはり強制投資になるでしょう、そういう点はどうなりますか。
  201. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 強制投資になりやしないかというお話でございますが、大体工場を建設いたします場合には、やはり原料の搬入をどういうふうにするか、あるいは製品の輸送をどうするかということは、当然工業立地する場合考えなければならぬところであろうかと存じます。つまり輸送をどうするかということは、当然考慮のうちに入っていると考えております。そこで、その場合に、たとえば製品輸送、つまり陸上輸送の場合について考えますというと、あるいはトラックが有利であるとか、あるいは鉄道が有利であるとか、いろいろ問題はあると思いますが、しかし京葉工業地帯に関する限りは、現在すでに御承知のように、あすこに操業開始しております富士電機のごときは、臨港鉄道がございませんので、やむを得ずして、トラックによっておりますけれども、これはトン当たり鉄道輸送の場合と比較いたしまして、四倍近くはかかっておるとわれわれ計算しております。したがいまして、やはり臨港鉄道を敷設して、そうしてこれによる輸送のほうが経済的であるということは当然予想されますし、そう断定して間違いないと思います。したがいまして、決してこれは強制投資にならないというふうに考えております。  それからこの地方鉄道というものは、でき上がった後にさらに埋立地の造成が進みまして、そこへまた工場がふえた場合にどうかという点がございますが、やはり当然臨港鉄道というものは、そういった方面へ延ばしていく必要があると思いますが、その場合に、またあらためて新しくできた工場群から追加投資を仰ぐということは、これは合理的であろう、かように考えております。
  202. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御説明は、一方的な断定というように解せると私は思う。採算々々とおっしゃるけれども、これはもう国鉄で敷いてもらえば、それを利用するのであって国鉄に敷いてもらうにこしたことはない、それからその事業を、まあ赤字のところは、やるはずはないのだという運輸大臣のお言葉でございましたけれども、赤字になるか黒字になるかわからぬところもあるのだ、そういう危険負担を共同でやるのはいやだと、こういうこともあるかもしれない。それでも共同で使わしてもらうとなると、これはやはり投資せざるを得ないでしょう。ですから、そういう採算関係は別にして、形として投資を強要されるということは事実なんです。そういう点について、きょうは時間がありませんから、次回に続けてお伺いしますけれども、きょうはその点時間がなくて、もっと本質的なものを次にお伺いしてみたいと思います。この機会に、やはりわれわれお互に政府におきましても、日本国有鉄道のあり方にやはりメスを加える、何といいますか、チャンスじゃないかという工合に考えますが、これはこの次の委員会でいろいろお伺いしたいと思います。
  203. 相澤重明

    相澤重明君 今回の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の質疑に入るわけなんですが、そこで運輸大臣の提案理由の説明は、まことにもっともな説明だと思いますね、文章からいけば。そこでこれだけでは、やはり国鉄の実態というものが率直にいってなかなかよくわからぬ、そこで私は今回の法律改正にあたって、先ほども午前中に金丸委員から質疑がなされたように、日本国有鉄道が公共企業体として発足して以来、帝都高速度交通営団法あるいは投資条項の追加について、幾つかの問題を提起しておると思うのですよ。  そこで法律に基いて、私のちょっと聞いておきたいことは、第五条ですね、第五条の、「日本国有鉄道の資本金は、別に法律で定めるところにより、昭和二十四年五月三十一日における国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額とし、政府が、全額出資するものとする。」2として、「政府は、必要があると認めるときは、予算に定める金額の範囲内において、日本国有鉄道に追加して出資することができる。この場合において、日本国有鉄道は、その出資額により資本金を増加するものとする。」こういうまあ法律になっておる。したがって、大倉委員も指摘をされておりましたが、運輸大臣として公共企業体になったこの昭和二十四年のときの資産の価額、これをいま一度ひとつ御説明いただきたい。
  204. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 公共企業体移行の際に決定されました資本金額は、八十九億円となっております。
  205. 相澤重明

    相澤重明君 そこでその後第五条二項にいう政府が必要と認めるときは追加して出資することができる、こうなっておる。このことはあったのか、あったとすれば、幾らになっておるのか、年次別に……。
  206. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) その後は、ただ一度あっただけでございまして、昭和二十五年の五月に、四十億円政府出資が加わっております。で、現在は合算額でございます。
  207. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、二十四年の公共企業体移行当時が八十九億、それに二十五年の五月が四十億、現在が百二十九億、政府出資が。そう理解をしてよろしいですな。
  208. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) そうでございます。
  209. 相澤重明

    相澤重明君 次に、いわゆるこの資産の価額に対する評価の問題でありますが、国有鉄道事業特別会計の資産の価額に対して、いわゆる再評価をされておると思う。その再評価された額は幾らか。
  210. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) たしかはっきりした数字を記憶しておりませんが、二兆四千億であったのではないかと思っておりますが、もう一回調べて、後刻御返事申し上げます。
  211. 相澤重明

    相澤重明君 今の監督局長あと報告するということだが、再評価の年次ね、これは二回ですか、していると思うので、それを明らかにできるようにして報告してもらいたい。  その次に、昭和二十四年に、いわゆる帝都高速度交通営団法、部外に投資をするということになったわけでありますが、この帝都高速度交通営団の投資は幾らか。
  212. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 昭和三十六年末で八十億円でございます。これは再評価も済んでおります。
  213. 相澤重明

    相澤重明君 昭和三十六年末再評価価額八十億、これに対して全体の高速度交通営団の資金は幾らになっておるか。
  214. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 百二十一億円でございます。
  215. 相澤重明

    相澤重明君 次に、昭和三十四年の法律改正に伴うもの、輸送施設、こういうことで広島バス・センターに対する出資、幾ら。
  216. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 最近の期末におきます出資額は二千五百万円でございます。会社の資本金全体は一億円でございます。
  217. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、現在まで投資を部外に行なったのが、以上の二つだけということになると思うのですが、そのとおりですか。
  218. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) そのとおりでございます。
  219. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、この投資をした以上は、その事業が円滑に運用されなければならないことは当然でありますが、現在のこの帝都高速度交通営団、あるいは広島のバス・センター、これに出資をしているわけですが、このほうから国鉄に入る金は幾らになりますか。
  220. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 帝都高速度交通営団は、出資証券に対して配当することのできる建前になっておりますけれども、最近数年にわたりまして、配当はいたしておりません。したがって、国有鉄道には、その配当による収入は、ここしばらくないわけであります。なお、広島のバス、センター株式会社は配当はございませんが、しかしこれはこの出資しております各バス会社が、当然みずから持つべき営業施設の一部と考え得るものでございまして、大体利益が上がれば、その使用料を安くするという建前になっておりますので、配当するよりか、むしろその方面で出資者にサービスするという建前になっておりますので、そういう方面からの利益は享受し得るところでありますけれども、出資に対する配当を直接得ているというわけではございません。
  221. 相澤重明

    相澤重明君 委員長もお聞きのとおり、帝都高速度交通営団なり、広島バス・センターに国鉄が出資をしている。しかし出資はしているけれども、配当は一銭もないということですな。ですから、今のところ、今の帝都高速度交通営団が八十億ですね、それと広島のバス・センターの二千五百万、八十億二千五百万円国鉄が投資をしているけれども、これが配当金は一銭もない、こういうことになるわけですが、そのとおりでよろしいのでございますか。
  222. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) さようでございます。ただ、このバス・ターミナルつきましては、先ほど申し上げましたように、要するに本来個々のバス事業者は、つまり日本国有鉄道であれば国有鉄道として、当然営業施設の重要なる部分として、つまり鉄道運送で申せば、駅のような施設は当然持つべきでございまして、その個々の事業者が持つべきターミナル施設というものを、たまたま共同で一つの会社にまとめて作っている。これを個々のバス事業者である出資者が共同して利用している、こういうことでございますから、これは、はなから出資に対する配当を期待すべきものではない、かように考えております。  それから帝都高速度交通営団に対する出資でございますが、これはすでに昭和十六年に、当時の東京市内の地下鉄の建設、経営を一元的にやるということで、これもしばしば申し上げておりますように、日本国有鉄道、それから東京市、それから関係の私鉄が共同出資しまして、それぞれが担当すべきである帝都の交通につきまして、地下鉄に関する限りは、この営団が一元的にやるということで、いわばそれぞれの個々の事業者の身がわりで、こういう地下鉄の整備を託するのであるから、お互いが出資して作るのだという建前であったわけでありますが、戦後、占領軍の指導行政によりまして、関係私鉄の出資は打ち切られているような次第でございます。
  223. 相澤重明

    相澤重明君 いろいろ理屈はつけられるし、言うこともできると思うが、とにかく国鉄で使えば、八十億二千五百万円というものは国鉄独自の事業に使える。しかし、現実には部外投資をしておる。その金でいわゆる外部の、帝都高速度交通営団なり株式会社広島バス・センターの仕事をしておる、こういうことであるから、現実には八十億二千五百万円というものについては、配当がないということは明らかになったわけです。  そこで、今度この法律改正を行なって、提案の趣旨にあるように、経済成長に対応して輸送力を増強する、こういうことが冒頭に運輸大臣の説明にあるわけなんですが、国鉄自体が公共企業体として、いわゆる公共性を持つということで、今の仕事をしておるわけなんですが、今度この法律改正をしようという意思からいけば、そういう共同出資、端的に言えば共同出資、そういうようなところで仕事ができるということになれば、これからもどんどんそういう仕事をやる、こういう考え方になったと、こう理解をしてよろしいかどうか。
  224. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) これは、けさ金丸先生の御質問に対しまして、私のほうの大臣がお答えいたしましたように、極力限定的に考えておるのでございます。
  225. 相澤重明

    相澤重明君 いや、限定的に考えるというのは、もちろん全部を国鉄が共同出資でやるなんといったら、これは民間は大へんなことになります。また逆に、国鉄の性格というものは、まるっきり私は変わってくると思う。そういう意味で、限定をするというその考え方は、何を基準にその限定をするということをいうのか、考え方を、限定の基準の考え方一つ示して下さい。何を基準にするか。
  226. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) やはりそれは、日本国有鉄道法の第一条にきめております、国有鉄道の設立の目的、使命こういったものの制約があるかと存じますし、また第三条の国有鉄道の具体的な業務が列記してございますが、そういった業務の基本的な使命からも制約が参ると思います。要するに、法律では、改正法律案では、現在やっております「ともに使用する輸送施設の運営を行なう事業」と、それからあるいは「直通運輸を行なう運送事業」そういったような国有鉄道の運送事業と密接な関連を持つ運輸関連事業ということで限定的な表現をいたしておるわけでございますが、なお、個々に具体的にはそれぞれ政令を定めます場合に、あらゆる場合に、予算を審議いたします場合、あるいはさらにそれに基づいて個々に投資します場合に、大臣としては慎重に、その必要の有無につきまして検討すべきであると考えます。
  227. 相澤重明

    相澤重明君 今の説明にもあるように、「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関する運輸に関する事業」、これ全部含まれるんじゃないですか、これでいえば。これでいえば、この国鉄と、国鉄を取り巻く、あるいは連絡をするそのものは、全部関係の事業と考えて差しつかえがないのです。こう思われるが、そういうことはないですか。
  228. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) これは衆議院の運輸委員会でも質疑のあった点でございますが、全般的に申しますと、相当広範囲に、いろいろなものが考えられます。しかし運輸省の方針といたしましては、かねてから申し上げておりますように、出資でございますから限定的に考えたい。しかもこの限定の趣旨は、先ほど申し上げましたような趣旨から出発いたしまして、極力制約して考えたい。  で、特に質疑でも明らかなように、民業圧迫ということが非常に心配されておりますので、その点は十分運輸省としても気をつけまして、そういう心配のないように、たとえば倉庫業にいたしましても、相当民間との意見の食い違いがございますので、そういう意見の食い違いがある間は取り上げない、客観的に、かりに必要性がありましても取り上げない、意見調整を待って取り上げるべきものは取り上げる、こういうように申し上げておるのでございまして、目下のところでは、現在やっております自動車ターミナル事業と、今回新たにお願いしようとする臨海鉄道を政令の対象事業として考えよう、こういうわけでございます。
  229. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今局長の答弁にあることが、提案の中の第二項の、「前項の規定により日本国有鉄道が投資することができる事業の範囲は、政令で定める。」こういうあなたの説明だと思うのです。この政令で定めるということは、私はきわめて不明確だと思う。時のいわゆる権力者というか、時のいわゆる鉄道の首脳部の考え方によって、これは政令できめることができる。これは今あなたは、限定をして、しかも衆議院の質疑の中で言われたように民業を圧迫しない、こういう前提に立つと言って、あなたが言われても、法律条項に何もなければ、これは政令で、いつでもそれはやることができる、こういうように私は理解するのはしごく当然だと思う。なぜ政令でやられるのか、法律で条項を明らかにすることを何でしなかったのか、法律ではいけないのですか。
  230. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 仰せのように法律で書くことも、あるいは可能かと存じます。ただ日本国有鉄道法は、御承知のように国有鉄道に関する組織運営についての基本法でございます。したがいまして、どういうものに投資できるかということについては、やはり理念的にはっきりうたうことが必要でございまして、その法律で基本的な理念を宣明した範囲内において、具体的に投資し得る事業を政令できめるということが、立法技術的にもきわめて自然である、かように考えるわけでございます。つまりたとえば唐突としまして、第六条で、日本国有鉄道は、業務上の必要により、運輸大臣の認可を受けて、予算の定めるところにより、バス・ターミナル事業、臨海鉄道に投資することができる、こうなりますと、一体、それはどういう思想から、そういう投資対象を具体的にきめる意味合いが出てきたのか、はっきりしない、こういうこともございますので、普通の立法例に従いまして、基本理念をまず明らかにして、その範囲内で具体的には政令できめるというのが、ごく自然であろう、こういうことから、かようなきめ方をいたしたわけでございます。
  231. 相澤重明

    相澤重明君 これは私は、今のこの日本国有鉄道法の各条章を見ればわかるとおりに、やはり国の出資のものでありますから、したがって、これの業務については、きわめて明確に法文上は規定されていると思う。したがって、それを改正をしなければならないという提案が今行なわれている、現在までのこの日本国有鉄道法では足りないから、こういうふうに改正をしたいというのがあなたの説明である。だから、それを法律条項に入れないで、政令で範囲をきめるなんというようなあいまいもこたるものは、これはこの法律の精神から言ってもよくない。あなたは理念的だというが、私はきわめて現実的にこの法体系から言っても、たとえば第一条の性格、目的ですね、第二条のいわゆる法人格、第三条の業務、こういうふうに各条文を取り上げていっても、たとえば第九条の、日本国有鉄道理事会を置くが、その理事会はどういう仕事をするのだ、こういう具体的なものまであげられておる。この条文にあげられておるのに、今度の法律改正で、このやろうとする事業については政令できめるなんということは、これは本末転倒だと思う。法体系にならぬ。  こう理解をするものでありますが、今のような私は説明だけでは、これはちょっと法律になぜできなかったのか、政令でなければ絶対にいけないという理由がどこにあるのか、これは、この法律の作り方について、私はやはり疑問を持つわけです。だから局長が、理念的に私はこのほうがいいと思いますと言ったところで、現実的に日本国有鉄道法というその条文を読めば、そこに具体的に、こういうことをやりなさい、こういうことについては、ここがやるのですという条文がきめられておるのに、今度の投資条項だけは一応きめても、その事業の範囲というものは政令できめると言ったら、まさに私は立法府に対して逆立ちをしていると思う。こういう点で局長は、そう思うというのだから、思うなら仕様がないから。しかし思うだけでは、私は立法府としては、それではいいというわけにいかないと思う。そこで、その立法府のそういう考え方が、一体どのように反映をされるかということを、やはり法制上聞く必要があると思う。そこで室長は、すみやかに次回までに法制上どうなるかという点を法制局とよく相談をして、委員長のところまで答弁のできるようにしておいてもらいたい、私はこのことがないと、これはこういう抽象的なものでは、かえって誤解を生むし、法律の条文に私はふさわしくない、法律に条文を作らないで、政令で単にきめるというようなことは、私は法律改正の趣旨に即応しないというふうに思うので、私はやはり法律として明らかにすべきだ、こう思う。しかしこれは論争点が違うわけだね。私は立法府として法律に入れるべきだという、しかし局長は理念的に政令でいいのだという、ここに立法府の議員の考えと、いわゆる監督官庁の局長の考えとが出ているわけだ、だから政府の考えはわかった、わかったけれども、私ども立法府としては、やはりこの法律というものは明らかにしておかなければならない、さもなければ、私は商工会議所ですか、東京の商工会議所の皆さんが、いつですか、昭和三十七年の二月九日に決議をされた、その意味合いというものも理解をされないと私は思う。ですから、一つ局長と議論したって仕方がないので、運輸大臣にひとつ聞いておきたいのだが、この昭和三十七年二月九日に、東京の商工会議所が国鉄法の一部改正に関する法律案についての要望と、こういうことがあなたのところへもいっておると思うのです。  そのことについてあなたはどういうふうに一体説明をして、それで業界の要望というものを、心配ないよと、私どもは、国会において、政府としては責任をもって、そういう将来にわたって心配をすることはありません、こういう保証を与えることができますか。そのことをひとつ、あなたに聞いておきたいと思う。
  232. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 東京商工会議所の要望も、もっともだと存じますが、実際問題といたしまして、法律自身相当しぼっておりまして、その中からさらに政令でしぼろうというわけでございまするから、私は、精神におきましては、商工会議所の考えておりまする点と相違はないと思っております。  で、今後実際の運営にあたりましては、必ず私はその趣旨に沿うような運営をいたして参りたい。まして関係業界と十分な連絡なしに、あるいは関係業界が希望しないのにやるというようなことは絶対ないということを明言をいたしておきたいと私はかように思います。
  233. 相澤重明

    相澤重明君 私は、斎藤運輸大臣の在任中は、あなたのその誠実なことは通ると思います。しかし、あなたも政治家ですからね、運輸大臣をかわることがあると思うのですね。したがって、時の大臣によっては、政令できめるのですから——ね、そうでしょう、今提案されていることは、事業の範囲は政令できめる、こうなっておる。そうすると、運輸大臣が、今のお考えで立法府において御説明になる、なるほどそのとおりであろう、私もそう思います、私もそう思うが、法律というものは、これは文章に残らなければ法律は効力がない。したがって、その政令というものは変えることができる。したがって業界の人たちの心配をされるというのも、私はそこにあると思う。そのことを午前中、金丸委員質問をされたと私は思うのです。  そこで、やはり立法府の立場からいけば、そういう国の繁栄に伴う問題、特に運送事業の問題について議論をするのでありますから、将来にわたって、やっぱり心配のないことを立法府としてはきめてやる、これが私は当然なケースだと思うのですよ。そういう意味からいくと、先ほどのあなたの、私はそれが心配のないようにするし、また業界がいやだというものをやるようなことはしないとおっしゃっても、政令できめるという場合には、私はそれは可能である。いやだと言ったところで、国の国策上、あるいは鉄道を運輸省が考えた場合に、これをやりなさいと、こういうふうに考えた場合には、これは政令できめることは可能である。政令を出すのは、別にほかの人が出すわけじゃない。運輸大臣である。こういうことになってくると、私はやはり、業界の人たちが将来にわたっての保証というのは、やっぱり何といっても基本は法律だと思う。こう思うのはしごく当然であるし、私どもも、心配のないように、そういうふうにしておいてやったほうがいいのじゃないか。こういう点について、いま少し再検討をされるということは時間的に許されないでしょうが、次回の少なくともこの法律改正の際には、そういう基本的な構想というものを持つべきだと私考えるのですが、運輸大臣は、そういうお考えはないですか。
  234. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御心配のないように法律を作りたいと私たちも念願いたしたのでございますが、なかなか立法技術上むずかしい点もございまするので、まあこんな法律になったわけでございますが、しかしながら、法律にしましても政令にしましても、一度できてしまえば、自動的に働いていくとおっしゃることは、そのとおりだと存じますけれども、しかし、あのよく問題になります取り締まり法とか何とかいうのとは違いまして、これは、たとえば政令で範囲をきめて運輸大臣が認可をいたしました場合に事業として発足をしていくわけでありまして、少なくとも国会、また少なくとも当委員会で問題になるような事業を認可をするということは、私は実際問題としてできないだろうと、かように考えます。もし御満足のいかないような政令が出ましたら、法律の御改正も皆さんでやっていただけるわけでもございまが、取り締まり法のごときは、それは取り締まりの任に当たる者が、どう乱用するかもわからぬという御心配はございましょうが、私は、こういった法律については少なくとも、この委員会あるいは国会において問題になるようなそういう例は、これは運輸大臣がどうかわりましても、政府がどうかわりましても、私はできないのじゃないだろうか、かようにまあ考えているわけでございます。
  235. 相澤重明

    相澤重明君 まあ運輸大臣のお考えなり、お答えはしごく当然なお話だと思うのです。私も今のあなたの立場では、これはそういうふうに受け取れると思うのです。しかし、まあここに経過の中にあるように、たとえば昭和二十八年の日本国有鉄道法の改正のときに、鉄道会館の問題がやはり出されたとぎに、これは衆議院の審議の段階で削除されたということになっておりますね。だから、あなたのおっしゃるように、なるほどそういうふうに期待をするわけだと、——期待を。期待をするというのは、法律条項でないですから、それは政令できめる。政令できめるのは、時の運輸省、運輸省がそういうふうにやる。国鉄もそういうふうに考えるということであって、やはり世論そのものから考えた場合にですよ、このいわゆる昭和二十八年に日本国有鉄道法の改正をする、この業務の運営に必要な事業に投資することができるというときの鉄道会館の問題があったわけですね。そういうことからいうと、私は必ずしも政令できめるということになると、そういうやはり心配をされはしないか。こういう点が実はあるから、運輸大臣にお尋ねしたわけです。しかしあなたの言う、あなたの在任中は、もちろん私はないと思う。ないと思うし、そう信じたい。  そこで、この法律というものは基本であるだけに、できるだけそういう誤解を招いたり、あるいは心配をさせたりということのないようにしておくというのが、私ども立法府の仕事だと、こう思うわけです。そういう点で先ほど立法技術上の問題が出たから、私はいま一度法制局の意見を聞かしてもらいたいと、こういうことを室長に言い、また委員長にも、それをひとつ聞いておいてもらいたい、こういうふうに申し上げたのでありますが、これはまあ今の場合、そんなことを長く議論しても仕方ないと思いますから次に進みたいと思いますが、私はこれは、やはり相当立法府における問題としては残るのではないかというふうに思うわけです。  そこで、次にお尋ねをしておきたいのは、この国鉄がみずから営む事業、これは実は一方においては、こういう部外に投資をするということを限定とは言いながらも、現在までの二ヵ所をさらに三ヵ所なり四ヵ所に、あるいは将来は、政令でもっとふえるかもしれぬ、こういう中に、国鉄の自己経営というものは、法律ではたくさん書いてあるけれども、実際には、それがだんだんだんだん、経営合理化という名による実は作業が狭められていると、こういうことに対してですね、私はたとえばですよ、たとえば工場閉鎖等を国鉄が行なっておるということからいくと、一体、この日本国有鉄道法は、やはり第三条の業務の内容なり、あるいは第九条の理事会のいわゆる管理運営についてのこの問題なりというものをきちっときめられておりながら、実は、それがだんだんなくなっていく、こういうことは、一体どういうことなのか。ですから、もっと、これをざっくばらんに言えば、法律では、こういうふうに先ほども局長が読んだように、第三条に、一は「鉄道事業及びその附帯事業の経営」、二は「鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の経営」、三が「鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業の経営」、四が「前三号に提げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信」、五が「前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務」で、2が「日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。」こう、非常に、決して抽象論でなくて、具体的にその事業の内容が明示されていますね。その明示されておる事業を、一方においては国鉄自身が狭めていっておる。しかも今日はこの投資条項を、日本国有鉄道法の改正を行なって、さらに範囲を広げていこうと、こういうところの考え方というものはどこから出るのか、これは私ども幾分でもこの道で飯を食った者としては、やはり相当問題点だと思うんです。  こういう点について運輸大臣は、どのようにお考えになっているのか。
  236. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、ここの第三条では、国鉄は相当広い事業をやることが——読みようによりましては、相当広く事業をやることができるようにもなっております。しかしながら、これを実際に運営して参りまする精神は、やはりできるだけ民間の事業は圧迫をしないように、そうしてまた、国鉄自身が合理的に経営のできるように、今まで国鉄が経営しておりました仕事も、これは民間でやったほうが合理的だというようになって参れば、それは民間事業へ移していくということもあり得るわけでございます。いろいろ経済の変遷等に伴って、この事業の内容というものは、これは国鉄の健全な事業の経営、また、民業を圧迫しないという考え方等に立って参りますると、今までやっておった仕事の中でそれを減らしていくというものもあると存じます。同時に、国鉄本来の使命を全うするために、他に投資をやったほうがいいというものも、今御審議をいただいておりまするように、臨海鉄道のごときもので、民間資金も導入できる、そういうものには国鉄の投資をして、国鉄と一体運営をやっていくということも一つ方法であり、これはやはり私は経済の変遷その他に伴って事業の内容、投資の範囲というものが変わっていくと考えます。しかし、貫いておりますのは、やはり国鉄は公共事業であって、そうして民業を圧迫してはならぬということ、また、経営はできるだけ合理的でなけりゃならぬという、この二つで私は貫いておると思いますし、また、貫いていかなきゃならぬと、こう考えているわけであります。
  237. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ちょっと関連。私は、こういうふうにこの改正案を理解するんですが、大臣の教えを受けたいと思うんだが、まあ、国鉄については公共性も言われておりますが、一方において企業性というものが非常に強くこのごろ要求されておる。これが先ほど大倉委員なんかが、これは公共企業体の性格論まで出てましたが、たとえばこれが民間企業というようなものに振りかえられて、株式会社というようなことになった場合は、企業性を増大するために、あるいはこのごろのいわゆる資本の合併あるいはコンビナート、あるいは系列会社を作り、あるいは有利なところへ投資ということは、これは当然起きてくるんで、大会社は、これはいい悪いは別として、そういったことに非常に多角的は運営に進んでいるのが、現在の経済の実情であると思うんです。  そこで国鉄としても、企業性を強く出すためには、そういったことを考えなければならぬし、資金の運用あるいは持っている不動産その他資産の活用ということを極力努めることが、国鉄経営合理化の私は非常に大きな命題であると思う。公共性を貫くことと並んで、この点も国鉄としては強く要請されている問題であると思うんです、一方において。  ところが、先ほどのお話の出ている公共性、そのために、まあ国鉄の本来の運送業務ということよりも、そっちのほうへ血道を上げるということは、当然やってはならないし、また、それが民間企業に対して非常な圧迫になる。むしろ国鉄でやらなくても、民間企業にやらしたほうがいいというようなものであるならば、そこへ何も国鉄が手を出したり、投資をする必要はない。だから、その面の制約をこの法律ではっきりうたっておればいいということに私は思うのです。さっきも相澤委員から、いわゆる具体的に並べたらどうか、政令はいかぬ、こういうお話が出た。私は、そういう見地からも、この公共企業体の性格からしても、先ほどから大臣の御言明があるように、政府としても国鉄としても、おのずからこれは自律作用として、みずから律する作用として、これは当然今日まで考えてきているし、今後においても変わらない。自律的にそういった民間企業の圧迫ということはしないということは、これはもう過去においてもそうであったし、また自律作用に属する、一つは。それからもう一つは、いやしくもこれは民業圧迫ということになると、民主主義の時代に民間が黙っているはずはない。むしろ国鉄は権力のない機関であって、国鉄がやろうと思っても、民間がこれをさせないという例は、これは幾つもあり得るわけであります。そういったつまり他からの制約ということが一つある。さらにもう一つは、国鉄の資金力というもの自体にも、これはべらぼうにどんなところへでも手を出していいというほどの資金があるはずはない。これはいわゆる輸送力改善の本来のためにつぎ込むお金すら、実は不自由しているのが国鉄の現状です。そういったいろいろの制約を考えた場合に、私は相澤委員の、この何というか、心配ももっともな点があるけれども国鉄の性格から見て、現状から見て、私はこの改正によって、さような非常な心配はない。その上に運輸大臣が、これはもう、おそらくあなたばかりじゃなくて、今後の運輸大臣におかれても、私は考えが変わるわけはないと思うので、さような心配は私はない、こういうように考えるのですが、大臣の御所見をもう一ぺん承りたい。
  238. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 加賀山さんのおっしゃいますとおり、かっては国鉄総裁として運営してこられたわけでございますが、私も全くそのとおりだと考えております。今後国鉄当局も、今おっしゃいましたような範囲を離脱することはなかろうと存じますが、監督の責任にある運輸省といたしましても、全くそのとおりに考えているわけであります。第三条に書いてありまする事柄も、これを相当広げてやっていけば、この条文の中に該当するけれども、今おっしゃった精神からいうと、逸脱するというような運営の仕方ができるわけであります。したがって、この一部改正におきましても、政令に書かないで、法律に列挙をいたしましても、その列挙の範囲内において、今の精神を失えば、やはり同じことが起こるわけでございまするので、私はこれは、国鉄全体に通じまする精神といたしまして、今加賀山さのおっしゃいますとおり、企業性と公共性の両方持っておりますが、しかしその企業性というのも、これは企業の合理性ということであって、営利追求のために金をもうけるためには、どんなことでもやっていいという性質のものではない。その点は、強く制約されるべきものだ、こう考えます。
  239. 相澤重明

    相澤重明君 加賀山さんの意見は、それはそれとしていいと思う。今、大臣が答弁されたそれは、今のあなたの説明は、それでいいと思います。  ところが、法律にするか政令にするかということについては、今言った、私は立法府としての立場から、やはり将来にわたって誤解を招いたり、あるいはそういうことによって民間業務というものを圧迫する、そういうような心配をされない、こういう立法府としての立場を明らかにするという説をとっておるのですが、しかしこれは両者の意見は違いますから、それはそれでいいと思います。あとでまたお互いに研究してみたいと思います。  それはそれとして、先ほど金丸委員からお話のあったように、民間としては、商工会議所の要望については、いろいろな点を心配して述べているわけでありますから、政府としては、そういう民業を圧迫をしない、こういうことは、これははっきりしていると思います。それでなかったら政治はできないんですね。政治だから。それははっきりしているものだが、その圧迫をするとかしないとかいう認定の仕方は、時の情勢であります。そういうことで、その時が来なければわからない。圧迫したとかしないとか、そういうことで、そういう心配をなくするために、この要望書にもあるような民間のいわゆる業者のほうの諸君と話し合いをする場を作る。たとえば運輸省に運輸審議会があるように、あるいは交通問題に交通審議会があるように、そういうような協議とか審議とかする、とにかく運輸大臣が、なるほどこれはいいことだ、あなたもひとりでやるよりは大勢の知恵を借りてやる、と言っちゃ語弊があるけれども、あなたは知恵があるから、と言っちゃ語弊があるけれども、とにかくなるべく多くの意見をいれることによって政治を円満に行なう、こういう政府の立場になろうと思います。そういうことを協議会なり、あるいは審議会というようなものを設けるという、そういう考え方はあるのですかないのですか。
  240. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は政令を作って、そうしてその政令の中で運輸大臣が認可をする際には、特定の審議会を設けてそれに諮問をするという考え方は今いたしておりません。それほどたくさんある問題ではございませんし、実際問題として問題がありそうな場合には、それは場合によれば、商工会議所の意見を聞くこともありましょうし、事実上あるいはこの委員会の皆さんの意見を伺うこともありましょうが、今申しますような考えで参りますなら、あるいはそんなことをしなくても、御心配をかけることはなかろう、こう考えております。
  241. 相澤重明

    相澤重明君 人は信頼をすれば、別に何ら危惧はいらないんですよ。しかし人というものは、あくまでもそのときの立場々々によって、やはり感情も動くし、あるいは経済の情勢の推移によっては、これはまた考えが変わってくることはいなめない事実ですね。  そこでそういうことを国営、国が行ない、あるいは公共企業体と言う、いわゆる公共性を持った立場でいく場合と、民間の場合には、とにかく激しい競争の社会の中にあるのですから、その民業が圧迫されるということについては、やはりどんな立場にあろうとも、みんな心配だろうと私は思います。それでなければ、今の資本主義の中では生きて行かれない。競争の社会でありますから、やはりだれでも、そういう心配を取り除いてもらわないことには、これは私はできないと思う。それで、あなたは今、まあきわめて限定をされる範囲で行なうのだし、また政令でそれをきめるときにも、そういう心配のないようなことでやると、こうおっしゃるが、私はまあそういうところの人間を信頼するという立場においては変わりはありません、これは。あなたを、斎藤運輸大臣を信頼するということにおいては変わりはない。変わりはないが、法律なり政令できめるという問題については、これはやっぱりそういうお互いの意見のあるところだと私は思う。  そこで、今、これからこの法律改正をしてやろうとするというのは、具体的にお考えになっているのは、どういうことなんですか。どれとどれ……。
  242. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどからも申しておりますように、京葉の臨海工業鉄道、それを考えておるだけでございます。
  243. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、京葉工業地帯の臨海交通についての当初——今差しあたり考えておるということになると、先ほどの加賀山さんのお話ではないけれども国鉄自体が、これに関連をする事業として自分でもやりたいんだけれども自分だけではできない、しかし地元の要求がたくさんある、ぜひやってほしい、国鉄にやってほしい、しかし、国鉄だけではできない、そういう場合には、今の条項が生きるわけですね。  だから、たとえばこの調査をしてもらった資料にもあるとおりに、たとえば四日市の工業地帯とか、あるいは堺、あるいは名古屋とか、もっと東京に近い品川とか大井、川崎——私の神奈川では川崎あたりですね。こういうような所では、きわめてもうその要望はたくさんあるわけです。だから、もしその要望を、今言うように、当面はこの法律改正のときには、京葉工業地帯だけを考えておりますと、こうおっしゃられても、強い要望があれば、それは政令なんだから、出せるのでしょう。追加をするということができる、こういうふうに理解をしてよろしいですね、いかがでしょう。
  244. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 同様な事柄があるいは四日市、あるいは大阪、今おっしゃいました横浜近辺というところにあって、地方からの要望であれば、私はやはり考えてみていい問題だと考えております。
  245. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますというと、たとえばそこに作る——地元の要望、それから国鉄も今の輸送力増強からいって、どうしてもほしいと、こういうことになれば、これはまあできるわけでしょう。  そこで、できるが、それはいわゆる今度は逆を言えば、先ほども大倉委員が言ったように、政府としては、ここにどうしても必要なんだ、こうお考えになって、そうして業界の人たちに、どうだろうと相談される、業界も賛成をする人もあるでしょう、中には。しかし中には、どうもうちでやりたいのだがなと、うちでこれはいま少し資金面も考えて、政府にむしろ金融の措置の応援を願って、そうして独自の立場でやりたい、こういうふうに思っておっても、政府がそういうように計画をされ、そういう話をされる、こうなると泣き泣き、まあ仕方がない、こういう私は形になることはないのか。私はないとは断言できないと思うのですね。公共性、企業性——企業性ということを強く持ってくれば、私は、そういうことはあり得ると思う。そういう点はどうなんですか、大臣。
  246. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ちょっとただいまのおっしゃること、私、のみ込めないのですが、もう一度。
  247. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、私の申し上げておるのは、政令できめるのだから、地元の要望があればできる。地元の要望といっても政府、国鉄がやろうとしなければ、これはもちろんできないけれども、地元の要望があって国鉄もやりたい、こういうことであれば、これはできる。これは今までの答口弁なり考え方で明らかになったですね。ところが、今度は逆に業界の中でもやりたいという人も中にはある。一緒にやりたいという人も中にはおる。しかし中には、いやおれたらだけでやりたいという者もある。資本主義の社会ですから、できるだけ自分でやはり事業をやりたいというのは、私は民間の人たちの当然の考えだと思う。ところが国鉄なら国鉄の公共性をうたうか、企業性をうたうかは別として、とにかく企業の発展のために、これはひとつ国鉄でやりたいのだけれども国鉄でできないから、ひとつ民間の者もはいれよと、こういう話かけをしたときに、おれは自分たちだけでやりたいのだけれども、中に国鉄と賛成する者もあるから、いやなんだが仕方がない、こういうときには、これは泣く泣く、それじゃ仕方がない、それじゃひとつやろうか、こういうこともあり得るのではないか。それがないとは私は断定できないだろうと思う。これは実は反論なんですがね。そういうことをひとつお尋ねしておるのです。どうですか。
  248. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄も当然やるべきところでもあり、やりたい。しかしごく関係者の中で、一部の人は、おれだけにやらしてくれぬかというふうな場合、これはやはり政治問題でありますから、私は大多数の人たちの希望するところをくみとってやるのが政治じゃないかと思います。
  249. 相澤重明

    相澤重明君 まあ仮定の話になってしまえば、その程度のことだろうね、それは。
  250. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 今の例で、非常に今、現に問題になっておる倉庫の問題が——今の、倉庫を予想してお話になっておるかもしらぬのですが、それはわかりませんが、倉庫の問題等において、私どもだいぶ倉庫業界等が反対をしておるということを新聞でも聞いておるし、あの問題のごときの措置が非常にむつかしい問題じゃないかと思うんですね。  結局、本来国鉄が今御計画になっておる、たとえば大阪構内における倉庫というような問題になりましたときには、大阪の鉄道用地内に作るというようなことになれば、これはなかなか鉄道が投資をするか何かしなければできない、おそらくうんと言わないというようなことになるでしょう。したがって国鉄とその他の投資家を探してやるというようなことになり、これは私は、たとえばホームの上を倉庫にして二階三階を使うというようなことになる場合には、これはほんとうにやむを得ぬかと思いますけれども、一般の倉庫においては、おそらく各地民間、これは横浜でもどこでも同じこと、鉄道用地なんかを貸す、あるいは譲渡するというようなことになるならば、そういう国の投資を待たずして、だれでもやるということになるだろうと思います。おそらくその点が、今倉庫との関連の問題についての当投資条項を適用する点において非常な問題になっておる原因じゃないかと思うんです。私は鉄道自体が、構内において倉庫が近接しておるということは、非常に大事なことだと思う。だが、それはむしろ国鉄自身がやることにおいたならば、非常に私は効果の多いことがある。  現に最近の輸送関係で、非常に作業上も困り、また非常に数量の増加によって駅構内の施設が非常に狭隘になりつつあるというような際に、これを日に五万トンなら五万トンを扱うというような駅であって、これをふやそうというような場合には、引き取りを早くしなければならぬという問題だろうと思う。その引き取りを早くするということについて、引き取りをしないために駅構内が非常に困っておるという状況は、国鉄においても十分におわかりだと思うのですね。  そういうものを、すぐに約款を改正して、輸送約款を改正して、何時間以内に引き取らない場合には、倉庫に、これを倉庫取りをするというようなことを約款にして、そうして、輸送自体というものを広げる、そうして駅の到着に対する引き取りを促進するというようなことになれば、これは非常に今の施設が、少なくとも倍に使えるという、そのための倉庫であるならば、これはまあ非常に私はけっこうな事態、作業能力、扱い能力というものが拡充でき、国鉄の輸送全体について非常な影響があると思うのです。  そういうことでは今度はないのかもしれません。こういうものは、たとえば東京、大阪、大都市における軽量品であるとか、特にまあ薪炭、こういうようなものは、もう駅構内に着いたら、その置き場を、実は倉庫がわりにしておる。したがって、引き取れといっても、なかなか引き取らぬ。そうして売買契約がきまってから引き取るというのが、ほとんど慣習のようになっている。こういうものが倉庫に入るかどうかという問題は、採算の面において、これは非常に困るでありましょうし、結局、そういうことであればいいと思うのですけれども、そうでなければ、そういうもの以外のもので倉庫が足らないという場合にはおそらく現在の国鉄の用地を、一歩譲って民間に開放するというようなことがあれば、たいへんな金を投資せぬでも、りっぱに民間はやっていける、また共同でもいいし、個人でもいいし、何ぼでも実はできるのではないかというような感じがいたすわけで、今の御質問が、ちょうどそういうところに適切に当たっているような気がするのですが、こういう点について、しからばこの問題を解決すというような場合には、やはりこれは業界とよく打ち合わせをし、また協議をするという段階を、これは必ず運輸省としてはとっていただいて、ある投資家と、国鉄の投資された新公社だけに許されるというようなことになると、結局それが一般業界の、個々の業者に対しての非常な不安になるということじゃないかと思うのです。  で、先ほど私が質問申し上げたときに、大臣から明らかに御返答がありましたように、やはりこの仕事は、政令自体というものを法律にするか、これは法律にすれば、これにこしたことはないと思いまするけれども、簡単なものであれば、政令ということも、決して考えられないことではないので、それは私としてはいいと思いまするが、さらにその実際の問題として、業界などと協議して、そうしてやっていくという措置は、ぜひとっていただきたいと思うのですが、これは国鉄の御意見はどうでしょう。
  251. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 倉庫問題は、正規な運輸省とのお話になっておりませんので、私から、ただいまの御意見に対して御返事申し上げますが、現在まあ東京、大阪等で非常に都市交通の問題が問題になっております。例を東京都にとりますと、東京に発着いたします貨物の中で、全然物理的に倉庫に適当しない貨物が約四〇%。それから物理的に倉庫に入り得る貨物が約六〇%、その六〇%の中の三〇%のものは実際倉庫を必要としない。すなわち問屋の店にすぐいくとか、そういう性格のものでございますが、残りの三〇%は何らかの形で一時——数日間、あるいは数ヵ月間屋根の下へ留置しなければならない貨物がその残りの三〇%です。  ところが、残りの三〇%に対しまして、現在東京都内におきます倉庫の収容能力と申しますのは約一二、三%しかございません。しかもその中に約二%のものは荷主に配達されないで、東京へ着きまして倉庫へ入って、また倉庫からそのまま転送されるという貨物が約二%ございます。これらは、全く都市交通を阻害しているというだけのものございまして、私どもといたしましては、先ほど金丸先生もおっしゃいましたとおり、ぜひ駅頭に倉庫が必要であるということを力説して参ったわけでございますが、倉庫業界とされましても、駅頭に倉庫が必要であるということは認めるにやぶさかでないという。しからばということで、実は金丸先生のおっしゃったとおり、もし国鉄で直営したらということを申しましたが、これはとんでもない、直営なんかもってのほかだという強い業界の御意見、すなわち国鉄が直営することはもちろんいかぬ、これは民業圧迫だ、さらに国鉄と共同でやることもおれのほうはいやだ、とにかく国鉄の土地を倉庫業者に貸してくれれば、おれたちがそこへ行ってやる、こういうふうな話であって、ついに今日まで話がまとまっておらないわけでございますが、われわれといたしましては、あらゆる努力をいたしまして、駅頭倉庫の必要性並びに駅頭倉庫がもしできた場合には、それはあくまでも、鉄道輸送と一貫して運営されなければ困る。ちょうど昨年来非常に船込みの問題が問題になりましたときに、結局、港湾における港湾荷役能力、あるいは埠頭倉庫の能力が、結局外国船の輸送力まで制限したあの事態を思い起こしますときに、われわれといたしましては、必ずや都市交通の問題が、鉄道貨物輸送力を左右する事態が必ずくるというふうに考えておりますので、どうしてもその際には、駅頭倉庫を作りまして、しかも駅頭倉庫と貨物輸送と一貫して運営すべきだと、こういうふうに考えております。  したがいまして、先生方の御注意も十分業界とお話し合いいたしますが、あくまでも鉄道といたしましては、鉄道輸送力を中心とした倉庫運営ということをやっていかないと、結局、国内の幹線の輸送力が都市交通なり何なり末端の輸送のために麻痺してしまうという事態を非常に憂慮しておるわけでございます。  今後とも倉庫問題につきましては十分業界と話し合いを尽くしまして、駅頭倉庫の必要性と、それから合弁倉庫の具体化を一刻も早く実現いたしたいと、こういうふうに思っております。
  252. 相澤重明

    相澤重明君 金丸先生いいかな。——今の金丸委員の倉庫の質問の点ですが、私、そこへ入ろうと思ったのですがね。現実の問題として鉄道構内における荷物の問題は、これはだれが見ても、これじゃ困るということは、これは当然だと思う。また同時に、荷主の人たちの立場からいえば、やはり雨ざらしにされるなんということは、これはよくないことですよ。実際、もっと鉄道が損害補償を出さなければならぬ。ところが現実には、それはなかなかできない。今磯崎常務が言うように、三〇%の必要性があっても、実際には非常に少ない。私はむしろ鉄道の用地というのは、これは国有の土地だ、国家のもので、これはもう全体の人に奉仕をするためにできるだけ安くしてやる、できるだけ安全の立場で荷物を預かる、こういうことになれば、これはまあこの投資条項とは逆に、私は国鉄自身がやるべきじゃないか。公共企業体という性格からくれば、むしろ民間に貸すとか貸さぬとかいう議論をするよりは、国鉄の公共企業というのは一体何か、こういうことになれば、国鉄は国民のために、輸送力増強のためにこれはサービスをするのだということになっておるのだから、その業務をやるのですから、この運送の事業に必要な直通をする事業ですから、倉庫業というものは国鉄がやって差しつかえがない、こういう理解を私は持つわけなんです。  で、もしこれを、国鉄の用地を特定の人に貸すということになれば、貸してもらった人はいいかもしれないけれども、使えない者は、これは文句を言うと思うのです。その点は、私はやっぱり企業性を伸ばすということからいけば、むしろ単にレールだけというのでなくて、やはり関係をしたこの企業については、私はやはり国鉄仕事をしてもよろしいと、こういうふうに思うのだが、国鉄当局は、自分自身でやる考えがないのかどうか。さっきから話を聞いていると、業界との話の点で非常にむずかしい話があるけれども自分自身で、将来やろうとする考えがないのか。  それから運輸省は、現在までの荷さばきの状況を見て、なるほどこの国鉄の駅頭における倉庫というものがあったら、こういうような点について研究をされて、国鉄に、そういうことは自身でやるべきではないか、こういうような意見を出されたことがあるのかないのか。この点ひとつ、両者から御返答いただきたい。
  253. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は国鉄の荷さばき場いわゆる上屋、これはやはりもっと広める必要があろうと思っております。そして引き取り期日が済めば、上屋の使用料を私はとっていい。ただ、倉庫業をやるかどうかということになると、これは相当問題がある。もう少し検討して参らなければならぬと考えております。駅の近くに、駅頭に倉庫を持っておれば便利だという結論に達したならば、そこに倉庫を設けるし、倉庫業をやらせる。これは民間でやるか、あるいは国鉄と投資をしたあれでやるか、これは将来の研究問題にいたしたい。かように考えておりますが、今直ちに駅頭に倉庫があったほうが便利だから、国鉄がやったほうがいいんだということであれば、たとえば旅館は駅にあったほうがいい、ステーション旅館は、これは国鉄で直営したほうがよろしい、あるいは国鉄が投資したほうがよろしいという議論になって参るので、私は、そう簡単にはいかぬ。しかしながら駅頭に倉庫を持つことは、これは必要だという結論に達し、そして民間がやるといえば、民間にやらしてもよろしい、国鉄と一緒にやってもいいということになれは、国鉄と一緒にやってもよろしい。私は民間の反対を押し切ってまで、国鉄が倉庫業をやらなければならぬとまでは考えておりません。
  254. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 関連して大臣に。今の問題ですが、私は、大臣とちょっと所見が違うのですが、まあ鉄道輸送と、それからそれが着いていわゆる小運送に移るまでの間に、つまりポケットがどうしても必要なわけですね。ことに大都市の交通が、こういう状態になってくると鉄道自体が、あるいはその通運事業としても、そこにポケットを持たないと、どうにもならなくなる。もうすでに東京、大阪は、そういう実情が現われている。ところで、それは何も国鉄がやる必要はないじゃないか、民間でいいじゃないかと言われるが、結局倉庫営業、いわゆるこれは民間の企業としていく場合は、どうしても有利な荷物、これは営利に主眼をおかなければならぬことは当然なんで、つまり荷物を選択する、つまり、ほんとうに必要なものはそこに置かれる、たとえ倉敷が安くても、置かれるのならば、民営なりでかまわない、どの会社にやってもらってもかまわないが、しかし必要ということは、そういう荷物を、有利な荷物を選択して入れるというような一般の倉庫業とは違った性質を持っておるわけです。  それから、上屋を広げればいいじゃないかと言われるが、上屋を広げるには、やはりスペースを利用するということになれば、倉庫みたいな立体的なことを考えることが当然必要になってくると思うので、私は必ずしも、国鉄がこれを直営するということは、一口にこれは民間の企業を圧迫していけないことだという、大臣の御見解には、私はちょっと疑念があるのですが、いかがなものでございましょうか。
  255. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 今おっしゃる鉄道輸送と小運送との間のポケットというのは、私は倉庫業じゃないと思う。倉庫業という名においてやる必要はない。それは小運送に移るまでの間のいわゆる建物を、これを倉庫と称するかもしれませんが、これはいわゆる倉庫業でなくて、やはり上屋あるいは荷さばき所、一時保管所、これは私はどんなに大きくしても、保管料を何ぼ取ってもよろしいと思うわけです。荷主の要求に従って、一定の倉庫料を払って、そして適当なときにそこから運び出すという、倉庫業と今おっしゃったポケットの地帯の間における処理というものは、おのずから違うだろうと考えております。
  256. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 どうもお言葉を返すようですけれども、荷物を保管するという、倉庫業という定義にもよることだけれども、やはり一定期間荷物を保管し、そこへ置いておくということは、すなわち倉庫業と同じ性質の仕事になるわけですね。そういうことでしょう。だから倉庫営業をやるのだ、こう開き直ると、大臣の言われるようなことになるのかもしれないが、私の見解では、それはやはり一つの倉庫というのは、そういうものなんですから、いつまでも荷物を置いておくところじゃなくて、それがどこかへ動くまで置いておくのが倉庫である。それでそれを事業としてやれば、倉庫業となるわけですから、倉敷料を幾らにきめるかということは問題はありましょうが、やはり今大臣が言われたようなお考えであれば、これはやはり倉庫業ということに考えられるのじゃないですか。
  257. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) その貨物が、一定の場所から一定のところまで行く間に、途中で停滞をしている。途中で保管をしておかなければならん。これは私は何も倉庫業としてやる必要はない、保管業としてやっていけば私はいいと思います。
  258. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほどの相澤先生の御質問に対して、国鉄としてお答え申し上げますが、実は御承知のとおり、国鉄は昭和六年から倉庫事業を直営しておりました。すなわち東京では秋葉原、名古屋では笹島、大阪では梅田、こういう相当大きなスペースの倉庫事業を直営して参っておりまして、昔の鉄道省の官制におきましても、倉庫事業を直営することは認められておったわけでございます。それをそのまま受け継いでおります現在の国鉄法におきましても、倉庫事業は、法律上でき得るものと私どもは考えております。  しかしながら、倉庫事業につきましては、かなり専門的な知識も必要といたしますので、私ども考え方としては、倉庫業界のお知恵を拝借いたしまして、また、そういう倉庫を作るのには莫大な資金も要しますので、倉庫業界の資金もお借りして、双方で合弁の倉庫を作りたい、こういうふうに考えるわけでございます。  倉庫の性質でございますが、いわゆる一時的な一時置屋というのは、現在でもたとえば三時間たつと幾ら、五時間たつと幾らというふうに、留置料を取っております。これは一種の罰金でございまして、これは罰金を取っている間は営業事業でございませんが、それが二日なり三日なり、有償でもって保管を受けるということになりますと、これはもう商法上倉庫業とならざるを得ない。無償でもって上屋の下に置く場合は、倉庫業ではございません。かつまた、有償であっても、罰金的な意味の、ペナルティの意味の留置料ならは、これは倉庫業ではございませんが、いわゆる保管の対象として料金を受け取りますと、これは商法上倉庫業となるわけでございまして、倉庫業と一般の上屋とのけじめというものは、きわめて密接なものでございまして、現在国鉄におきましても、すでに前の上屋の整備につきましては、相当大きな金を使っております。たとえば大阪に作りました、約五億かけました膨大な上屋などの整備は、積極的な五ヵ年計画の一環としてやっておるわけであります。
  259. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄が、今、私、資料を手元に持ってないから、はっきり言うことができないのですが、どうですか、常務理事、現在、貨車の滞留時間というものは、どのくらいになっていますか。
  260. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは季節と場所によって相当違いますが、多少極端な例で恐縮でございます。昨年の暮、汐留の駅を例にとりますと、極端なものは、貨車の留置時間が三日あるいは四日というような例もございます。平均いたしますと、大体二日半ぐらいでございます。現在では少し輸送がすいておりますので、やはり一日半ぐらいでございます。しかし、とにかく、東京、大阪と申しますところは、貨車の乗り入れ、到着いたしますと、また、その貨車をからでばらまくところでございますので、その半日、一日の違いが、非常に全体の貨車輸送の能率に影響するわけであります。全国的に申しますと、大体現在、一日の約十万両の貨車の留置時間が、大体八時間くらいが平均でございましょう。しかし、これはいなかの駅も全部まぜました数字でございまして、東京、大阪になりますと、年末のひどいときになりますと、三日ないし四日でございます。現在は、この数日間は、たしか一日半くらいだと考えております。
  261. 相澤重明

    相澤重明君 ひとつ、これは各支社調査をすれば時間が出るわけですから、あとで資料で、この三十六年度の特徴的な大都市のものと、それから全般の今の平均のやつ、これをひとつ出してもらいたい。私は、やはり国鉄の貨車不足ということを一般に言われて、それで、しかも荷物が外へ出るまでに、実際に構内から持ち運び去られるまでに、相当の期間、構内に滞留しておる、こういうことは、まことにもったいないと思う。もっと効率運用というものを考えれば、私は、もっと輸送力増強になるのじゃないか。ところが、倉庫のかわりに二日も三日も使っておくようなことでは、これは決して貨車を新しく作ったからといって追いつかぬ。だから、もっとそういう、これはもちろん、荷さばきの関係もあるでしょう。あるいは機械設備の関係もあるでしょう。いろいろな関係はあっても、とにかく、貨車を効率的運用するということからいけば、滞留時間を少なくする。これは私は、最も国鉄の運営に携わる者としては必要なことじゃないかと思う。滞留時間で一時間幾ら取るか。私は、少しぐらいの料金を取ったところで、貨車の運用がそれだけ狭められたら、私は、少しも国のためにならぬと、こう思うのですが、参考に聞いておきましょう。一時間幾らですか。
  262. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在の貨物運送規則では、到着いたしましてから、ある一定時間は、取りおろしのために、ある時間認めております。これは無料でございます。これは八時間まで、現在無料でございます。八時間をこしますと、一日によって、貨車の大きさによって違いますけれども、これはたいへんこまかくなりますが、一トン当たり、有蓋車と無蓋車と、いろいろ区別がございまして、トン当たり平均いたしますと、大体一日二百円から五百円、非常に貨車の種類がございますが、二百円ないし五百円になっておると思っております。
  263. 相澤重明

    相澤重明君 この一日、到着後八時間後というのだけれども、トン当たり二百円なり五百円、それぞれの種別によってあると思うのですね。あると思うのですが、私は、払うほうはたいへんだと思う。払うほう、だって、ばかにできない。ところが、今度は、国鉄側からいけば、効率的運用からいえば、これは全くもったいない話だ、こういう点を考えれば、倉庫がわりに使う必要はない。貨車を倉庫がわりに使って、そんなことをしたら、幾ら作ったってたまらない。ここでやはり私は、できるだけ空車にして、そして迎車として回すのが私は一番いいと思う。ねえ大臣、迎車が少ないから地元はみんな困る。そこで、いわゆる倉庫にするか上屋にするかという私は議論ではなくて、実際論だと思うのです。その場所によっては、上屋の下でもいいし、場所によっては、あるいは品物によっては倉庫をぜひ必要とする、これは実際論でありますから、そういうことは、それぞれのこの鉄道構内によっても違うし、地域によっても違うでしょう。そういうことで私はいいと思うのですが、資料として、どのくらいさっきの滞留時間があり、何車ぐらいあるか、こういうことを出すと同時に、どのくらいの費用が出ておるか、それもあわせて報告してもらいたい。  そこで、そういう点を、少しこまかくなってしまったが、先ほどのように専門委員だから、これはやむを得ないと思うのです。  そこで大臣に、倉庫の何というか、定義、こういうことにはならぬと思うが、やはりさっきの大臣の答弁では、ちょっと私やはりあとに問題が残るといかぬので、お話ししておいたほうがいいんではないかと思う。現在まで倉庫業というものは、国鉄が倉庫をやるということはできるということは、先ほど常務が言ったけれども、たとえば現在までは、そういうものを扱うのに倉庫であるかないかという点を、もし先ほどのお言葉を聞いておると逆を言えば、もぐり営業じゃないか、こういうことまで出る可能性はなきにしもあらず。だから、これはまあ、そういうことで、私は大臣がお話になったのじゃなくて、大臣は、すなおにおっしゃられたから、私もそのとおりに聞いておるのですが、こういう点、きわめて倉庫というものの考え方は、加賀山委員の言うとおり、私は国鉄としては考えなければいけないのじゃないかと思うのです。だから、この点は私も、まあ加賀山委員と同じように考えておったのですが、これはひとつ、あとで検討をお互いにしましよう。これを長くやると、こんなことで議論をしても仕様がないから、そこで本論に戻るわけなんです。  それでは、そこでひとつお尋ねをしたいと思うのですが、この今度の法律を提案をする趣旨というものは、だんだんわかってきました。そこで私は国鉄と、いわゆる民間業者との提携合資といいますか、国鉄が投資をして民間もそれに一緒になっていくという合資、こういうものは限定をして政令できめるということでありますが、そこで、必要なものは、やはりできるだけ国鉄という立場で推進をする、こういうふうに理解していいのかどうか、必要なものは国鉄として推進をするということを、すなおにいえば、どうしても国鉄は、こうやってほしいのだ、これが一番輸送力増強のために、直通業務のために必要なんだ、こういうことでやるということでありますから、そこで国鉄がそれを推進するのだ、こういうことでいいのか。それとも民間から特にやってほしいと、それだから、国鉄は仕方がない参加をする。こういうことなのか、それとも、それはもうあなたが、意見が一致しなければいけないということは、さっきからお話聞いておりますが、だから意見が一致するというのには、どちらが一体話を持ってくるかということが、私はやはり分岐点だと思う。その点を、どちらを運輸大臣は主体にお考えになっておるのか、これをひとつお聞かせ下さい。
  264. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) どちらもあるだろうと思います。国鉄が先に言い出さなければならぬとか、民間が先に言い出さなければならぬということはないと思います。ちょうど手の鳴るのは、どっちの手が先にあれしたかというようなもので、その点は、そう重きを置く必要はなかろうかと考えます。しかしいずれにいたしましても、両方意見が円満に一致をしなければいけないのだと思います。
  265. 相澤重明

    相澤重明君 両方が円満に話がきまらなければいけない、そのとおりであって、それでないと、やはり一般から批判が出ると思うのです。それはもうそのとおりだろうと思います。  しかし、私は公共企業体という、やはり本論に入るのですがね、公共企業体という国鉄立場を考えた場合に、やはりこの国鉄というものが運送事業として、どうしても必要なんだと、こういうことがやはりこの日本国有鉄道法というものを制定をした趣旨にならないかと、あなたが今いった手が両方叩いたときに一致すると、これはもうそのとおりだと思う。それでなければいけない。それでなければいけないが、日本国有鉄道法の精神からいけば、やはり国鉄という立場が私はものをいう、あるいは発言をする場がやはりあるのではないか、それが先になるのじゃないか。公共企業性というものが、やはり私は優先をするのではないか、こういうふうに思うのだが、それはあくまでも手の鳴ることという表現で、これはきわめて芸術的な表現なんだがね、あなたの言うのは。そういうことで、私の申し上げていることがおわかりになるでしょうか、運輸大臣、どうです。あまりあなたの手の鳴ることは、芸術的過ぎて、そのとおりだと思うのだが、私は日本国有鉄道の公共企業性ということからいえは、国鉄が国民の鉄道としてどうしても必要なんだと、こういう主張というものが、私はやはりなされなければいけないのじゃないかと、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  266. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 国鉄自分の事業として、どこにたとえば鉄道を敷くかということを絶えず考える必要があると思います。同時に、地方民あるいは産業界から、ここに鉄道を敷いてほしいという声が先に出る場合もあるだろうと思います。そういう声を聞いて、国鉄も、なるほどこれは必要だと、あとで考える場合もあると思いますので、したがって、今おっしゃいますように、公共企業性があるから、先に、どうしても乗り出さなければならぬとおっしゃいましても、日本は狭いといっても広いし、経済は複雑でありますから、やはりその地方の経済的な要望というものは聞いてやっていくということでありますから、どちらが先ということは、ちょっと言いかねると思います。
  267. 相澤重明

    相澤重明君 次に、今度の法律改正によって、当面対象として考えている京葉工業地帯、これに対しては、一体どのくらいの予算なり投資をお考えになっているのですか。
  268. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国鉄の投資といたしましては、今度の予算に計上いたしておりますのは二億でございます。しかし全体の工事費はまだ正確に出ておりませんが、大体七、八億程度というふうに考えております。
  269. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、国鉄が二億を投資しても、これはやはり投資をしたときから、すぐ配当があるということにはならぬ。前二社の場合でも、いまだに配当はない。したがって投資のしっ放し、こういうことになると思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
  270. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 現在の計算では、昭和四十二年度ないし、大体百万トン以上の出荷になりました場合には、この会社といたしましては黒字経営になるというふうに計算いたしております。と申しますことは、この鉄道に乗ります貨物は、大体製品でございますので、割合に貨物としては平均より運賃が高い貨物で、数量さえふえれは、貨物輸送としては十分ペイする仕事になると思います。ただ、それには、大体百万トンというような目標を持っております。それから間接にでございますが、この百万トンの貨物が、トラックやその他船などに回らないで、国鉄で輸送されるということになりますれば、国鉄としての収入増加というものもございます。これは一応現在の輸送規模の中に吸収されるというふうに考えておりますが、こういう鉄道がなければ、トラックあるいは船でもって、相当いい製品が運ばれる、それがこちらに流れてくるという間接的なプラスは考えられるというふうに思っております。
  271. 相澤重明

    相澤重明君 そこで国鉄当局に、いま一度聞いておきたいのだが、帝都高速度交通営団が八十億、広島バスセンターが二千五百万、今度の予定されるものが約二億、八十二億二千五百万円というものが現実にはある。新しく予想されるものは五年ぐらいは全然ペイはない。今まで作ったものがすでに数年経ているけれども、これもない。これは一般に国鉄自体が投資をしたとするならばどのくらいのいい利益になるか、こういうことを計算したことはありますか。
  272. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その問題は、三つおのおの少しケースが違いますので、分けて御説明申し上げますと、第一の帝都高速度交通営団、これは現在八十億になっておりますが、現在再評価いたしておりますので、投資した実額は約三十億でございます。そのうちで、地下鉄が、最近のように建設を始めます前、すなわち昭和三十年以前は配当を受けておりました。たしか五分だと記憶いたしておりますが、配当がなくなりましたのは、地下鉄の建設が非常に急テンポに進みまして、ことに丸ノ内線の建設が始まってから、一挙に無配になったということでございます。この問題は、もし地下鉄建設されなければ、国鉄といたしましては、もっと通勤輸送に相当膨大な投資をしなければならなかったというふうに考えられるわけでございまして、現在地下鉄で運んでおりますお客さんを、例を渋谷近辺にとりますと、もし渋谷から銀座線を通って丸の内付近に来ておりますお客さんを国鉄の輸送機関で運ぶというふうにいたしますと、現在では、とても山手線は列車が入らないということで、線路をふやすなり何なり、相当大きな改良工事をしなくちゃなりませんので、地下鉄に投資しました金額でもって、国鉄で直営いたしたといたしますと、とても現在それだけの輸送はできないというふうに考えられます。ちょっと今数字を持っておりませんので申しわけございません。  二番目の広島のバス・ターミナルでございますが、これは先ほど岡本局長が御説明申し上げましたとおり、直接配当は受けておりませんが、実は、まだ三十六年度決算は参っておりませんが、恐縮でございますが、三十五年度決算で、自動車の私ども乗り入れ料と言っておりますそのバスセンターに自動車を乗り入れる乗り入れ料金でございます。これを三十四年度までは一台十五円でございまして、それが三十五年度から十五円を五円、三分の一の五円に値下げいたしまして、一台十円ずつ下げたわけでございます。その十円の積算が、年間にいたまして国鉄の分が約二百万円でございます。すなわち、二千五百万円の投資に対しまして、直接配当という形ではございませんが、国鉄自動車経営から出ます経費が約二百万円浮いてくるということで、もしこれを配当として換算いたしますならば、二千五百万円に対する二百万円というふうに考えても一応差しつかえないと考えられます。  それから、さらに今回の問題でございますが、もし国鉄自体が建設いたしますといたしますと、約七、八億の自己資金で建設しなければならないということが一つと、すなわち、この会社経営なりでやりますれば、資本金は四億ないし五億程度のものがあれば、あとは借入金でできるということになりますので、利子がかからないということになりますが、もし国鉄でやれば、八億なら八億のものが全部利子をつける金になります。そういうことと、もう一つは、運賃収入上この距離が非常に短いために、実はもしこれを国鉄で直営いたしますと、この分だけとしましては、ほとんど運賃収入がないという、非常に妙な運賃制度でございますが、遠距離逓減の関係上、どうしてもそういうことになりまして、ほとんど収入なしで、これだけの建設をしなければならないということになりますので、たいへんこの部分だけをとってみますと、ほとんどまるまる赤字ということになるわけでございます。そういうことで、会社といたしますれば借入金が少なくて済むので、利子が少ないということと、運賃が別計算になりますので、その分だけ収入が上がるということの違いがあるわけでございます。
  273. 相澤重明

    相澤重明君 今の常務理事の話を聞いていると、まことにけっこうだらけ、これはみんなそうしたらいいということになるのですな。今のお話を聞いていると、国鉄は多額の資金を投資する必要はない。ごく一部を出して、それでしかも輸送力増強のためになるのだったら、これはもうあらゆるところで、それをやったらいいという、まことにけっこうだらけな私は話だと思う。  そうすると、いよいよ問題になってくるのですが、産業会議が国鉄の分割論、民営論、これを出してきているわけです。そういう方向のほうがいいですな、これは、あなたのお話を聞いていると。どうですか。
  274. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は、まあ一がいには申されないと存じます。しかしながら、国鉄の一番の使命は、やはり幹線輸送力にあるというふうに考えます。したがいまして、幹線輸送力の増強に国鉄自身の金、あるいは国鉄の力で借りた金を使うということは、これは当然なことでございまして、これが現在の運賃におきましては、全体から見ますれば、大体収支が相償っていくということになりますが、こういうローカルな、ある地区々々だけの問題を考えますと、先生のおっしゃったように、国鉄が一部金を出して、そしてそれを呼び水として民間の資金を導入するということによって、国鉄が直接経営するよりも計算上有利である場合が相当出て参ります。しかしながら逆に今度は、山の中の新線のようなことになりますと、もし万が一民間のほうで出資するといたしましても、非常に経営状態の悪いことになりますので、これはその場合、その場合で違ってくるというふうに考えられます。
  275. 相澤重明

    相澤重明君 だから私の聞いておるのは、あなたの言うようなけっこうだらけの話ならば、これは国鉄は、まあ幹線輸送はともかくとして、ローカル線だとか、あるいはこれからやろうとすることは、やはり投資条項を発動して、できるだけ国鉄は出資額を少なくして、多くの利益を国全体では得ると、こういうことになると、やや産業会議の松永大先生が言うところの民営論ということに私は移行しつつある、こういうふうに思われる。  そこで、そういうことにもし国鉄の首脳部がお考えなれば、日鉄法を、いま一度私は検討しなきゃいかぬと思うのですよ。それで日本国有鉄道法なんていうのは、これは間違い、そういうことになると。これは日本国有鉄道法でなくて、何と申し上げますか、民間とやはり協力する、やはり出資会社、会社にしなければいけない。そういうことになっていくと私は思うのだが、そういうことは議論はなかったのですか。
  276. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 今回の問題は、きわめて輸送力から申しましても、それからキロ程から申しましても、ごく小さい部分でございまして、国鉄全体の二万キロの営業距離に対しまして十数キロのものでございますし、収入から申しましても、きわめて微弱なものでございます。  しかし考え方といたしましては、地方々々のローカルの問題につきましては、国鉄は全部自分でやるというようなことよりも、こういう方法がいい場合もあるということは、考え方一つとしては成り立ち得ると思います。しかしあくまでも全国的な幹線輸送あるいは全然。ペイしない通勤輸送等につきましては、国鉄が大きな国鉄全体としての総合原価でもってやっていくのが  一番いい方法じゃないかというふうに考えられるわけでございます。
  277. 相澤重明

    相澤重明君 これは私は、今の常務の答弁は、いかにもこの委員会での答弁としてはいいと思うが、私は国鉄という問題になると、やや少し的はずれの点に私の質問がいっているわけです。実は、その的はずれに喜んで乗っかっておる。これは私は、たいへんなことだと思う。日本の国有鉄道のあり方が、そういうことであるならば、私はこれは、もう根本的に見解を異にするわけです。やはり国鉄は、あくまでもいわゆる国民の重要な輸送を担当しているから、民間で損をするとか利益かあるからということではなくて、国策的に検討しなければならない問題である。もうかるから、もうからぬからということにならない、こういう面からいくと。本社の首脳部がそういうことでは……。私は実は、先ほど来何回も言ったように専門委員立場で、日本国有鉄道を、むしろ私は強化をしていきたい、私はこういう立場なんです。そうすると、あなたとは少し見解を異にする。  そこできょうは、総裁が帰ってしまったので、まことに年寄りに、気の毒であるけれども、いま一度相談してきて、答弁してもらいたい。日本国有鉄道を強化するという建前に立つか、それとも産業会議の分割論、民営論にいく前提とも理解されるような投資条項を多くして、国鉄がそのために利益が多いと、こういうことで、いわゆる投資条項の発動を将来考えるということになるか、この点は私どもとしては、きわめて重要な問題だと思うから、きょうの今の答弁では、私は納得しがたい。  そこで運輸大臣にも、この点はもっと例をあげて私はやっぱり質疑を重ねなければならぬと思うのですがね、日鉄法、日本国有鉄道というものに対して、運輸大臣に基本をひとつ聞いておきたいと思う。これだけは簡単ですから、答弁願いたい。つまり、先ほどから何回も繰り返すように、民営論、分割論というものが世論としてではなく、いわゆる産業構造の中で、いわゆる国鉄というものがどうあるべきか、こういう点を議論をされた、民営論、分割論というものが出たけれども、当時この運輸委員会の中では、それはとるものではない、やはり日本国有鉄道として公共企業性を持たしたもので当面はいくべきだ、こういうふうに実は結論が出ておったのだけれども運輸大臣は、今の質疑を通じて、お聞きになっておるのだから、どうお考えになりますか、これだけは簡単ですから、ひとつお答えいただきましょう。
  278. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は日本の国有鉄道は、やはり公共性を多分に持たしたものとして扱っていくべきであって、直ちに民営に移行すべきものではない、かように考えております。先ほどの御質問のこの投資条項は、国鉄の民営論に移行するものではないかという御議論もございましたが、これはごく一部の例外的な問題でありますと同時に、このことによって国鉄の運営をさらに強化していきたい、いわゆる国鉄強化の立場に立っての投資でございますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  279. 相澤重明

    相澤重明君 そこでお約束の時間がきてしまって、まだ今の運輸大臣のきわめて簡単な御意見だけを私は拝聴しておるわけです。やはり基本の問題とも関連をしますから、先ほどの投資条項を生かしてやった場合の利益と、私は常務からまことにけっこうだらけの説明をいただいていたけれども、今日まで国鉄が新線建設等で常に悩んでおるものは何かといえば、国鉄は資金がない。政府の努力によって借入金を得る、あるいは債券を発行をして資金を調達をするか、さもなければ、今度の東海道新幹線については世界銀行からの借入をしなければならない。こういうような問題まで起きているわけですね、現実には。そこでせめて赤字の最も大きいものとして、先ほどもお話のあった四千億になる借入金をどうするのだということになる。それで、昨年から御承知のように東海道新建設については、ようやく利子補給を昨年から実施をするようになったけれども、実は、前のこの新線建設については、それは適用していないのですか。私は運輸委員会で言ったのは、何も東海道新幹線だけでなくて、それで、前の、当然、新線建設をすれば、当分の間、十年なり、あるいはこの、短縮することがあっても、十年、十五年なりというものが赤字になるのだ。いかに国鉄職員が、十河総裁以下が一生懸命に仕事をしたって、それは新線建設で、直ちにもうかるなんてありゃしない。こういうことからいって、これは国家的な、いわゆる今大臣答弁をしたように公共性のものであるから、これは国が一般財源から私は利子補給をすべきものである。こういう主張を、われわれはずっとしておるわけだ。  そういうことに対して運輸大臣は、これを外部のこういう投資によって、今の輸送難を緩和する、輸送力増強をはかるという提案をされておるのですから、今の赤字をやはり少なくしていくという努力については変わりがないわけですね、あなたのその趣旨を亜かすについては。そこで、今までの借入金に対する利子補給を当然政府は考えるべきだと、こう思うのですが、この点は、そうむずかしい話じゃないのだから、もうすでに一つはやっているのだから、そこでお答えをいただきたい。どうしますか。
  280. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 今までの借入金に対する利子補給もさることながら、むしろ今後必要とする投資に対して、利子補給を大幅に考えていかなければならないかと、差し向きそのほうで考えて参りたいと、かように考えております。
  281. 相澤重明

    相澤重明君 とにかく将来、それから作るものについて、新線建設について利子補給をする。これはもうすでに前にできたのですから、当然私はやってもらわなければいけない、これは当然だと思う。  そこで今度の場合に、三十七年度の中で固定資産についても、施設をも含んで、運輸省としては減免のことやあるいは融資の体制をお考えになっているわけですね。ところが依然として、私はその収入増が、きょう午前中も年度手当の中で、私はお尋ねをして出されたことは、二百三十億の今年は収入増があるけれども、実際には、それは経済の伸びがよかったということなんですよ、それだけなんですよ。職員が一生懸命働いて、とにかく定員の少ない中で一生懸命働いて、それで経済の伸びがあったから、二百三十億浮いたということだけであって、何も新線建設に対する赤字というものは、依然としてこれは変わっていないのですよ。  そこでそれの、当面これからやるものについてだけ考えるというのは、依然として、そのものについてだけは、やはり労働で出すということなのか、それとも、国鉄の経営者がもっと企業合理化をやって出すということなのか。そういうことをあなたは期待をしているのだということになるのか、その点をあなたは、どうお考えになりますか、運輸大臣
  282. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 今日の経営をそのまま続けていく、新しく新線も作らない、このまま続けていくという場合においては、私はそう赤字なしに全体としてはやっていけると、こう考えます。  ただ、今後新しく新線を建設していかなければならぬということになりますると、融資の問題、利子補給の問題等も、相当大幅に考えてみませんと、日本の経済の成長にマッチした国鉄の使命は果たせないだろうと、かように考えております。
  283. 村松久義

    委員長村松久義君) 相澤君、重複を避けてひとつ願いますよ。
  284. 相澤重明

    相澤重明君 そこで大臣に、今説明を聞いたことでは、これから新線建設をする場合には、利子補給をやりたい、その点賛成です。ぜひそうほしい。それから今までのことについて、現状で進むとなれば、赤字にはならない、こう言うのだが、この点は、相当問題もあると思う、私は、相当問題のあることだと思う。そこで現在まで、この利益があるからということを、平面解釈されては私はたいへんだと思う。  そこで国鉄の常務に一つ、現在までの借入金、先ほど御説明された借入金と、それに対する利子というものが、もしこの利子を受けるということになったならば、利子補給をされるということになったならば、あなたの、その今の輸送力増強に対する車両増であるとか、施設の増であるとか、この中に、いろいろ運輸大臣の説明されていることについて、私は例を一つ出してもらいたいと思うのです。どれくらいになるのか、そういうことを、次の機会でけっこうです。私はきょう別にこまかい、今言ったように予定の時間がきておりますから言いませんが、そういうことをひとつ、あげてもらいたいと思う。たとえばですよ、山手線の電車に乗ってごらんになると、どれくらい違いますか、オーバーを着るだけで、どれくらいの車両が必要となりますか、これは私は計算はしてみているんです。それほどこの交通運輸問題というものは、実は小さな問題だといいながらも、全体としてはたいへんな問題なんですね。そういうことから言えば、私は運輸委員会としては、国鉄の問題に理解のある運輸大臣が幸い来たから、もっとそういう点で突っ込んでひとつお話を聞かしてもらいたいし、国鉄に対する理解をまあ一般の者にも求める、大臣もこう思っているのだというふうにしてもらいたいために、私は利子というものが、今までの利子というものは、やはり政府が負担をしてもらいたい、こういうことについては意見が変わらないので、そういう点を常務はあわせて一つ例示をしてもらいたい、こういうことを要望をして、私の質問は、まことに舌足らずで恐縮でありましたが、後日ゆっくりさしていただくことにしまして、本日は、この程度で終わります。
  285. 村松久義

    委員長村松久義君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたしまして、散会いたします。    午後七時十七分散会