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1962-03-27 第40回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)    午後一時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村松 久義君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            大倉 精一君    委員            江藤  智君            天坊 裕彦君            鳥畠徳次郎君            平島 敏夫君            前田佳都男君            相澤 重明君            中村 順造君            松浦 清一君            白木義一郎君            加賀山之雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君   国務大臣     藤山愛一郎君   政府委員     運輸政務次官 有馬 英治君    運輸大臣官房長 広瀬 真一君    運輸省海運局長 辻  章男君    運輸省船員局長 若狭 得治君    運輸省港湾局長 坂本 信雄君      運輸省鉄道      監督局長  岡本  悟君       運輸省自       動車局長 木村 睦男君    労働大臣官房長 松永 正男君      労働省職業      安定局長  三治 重信君   事務局側       常任委員       会専門員 古谷 善亮君   説明員       日本国有       鉄道総裁 十河 信二君      日本国有鉄      道常務理事 関  四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件船舶職員法の一部を改正する法律案  (第三十九回国会内閣提出)(継続  案件) ○運輸事情等に関する調査港湾に関  する件) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村松久義

    委員長村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。  船舶職員法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。
  3. 松浦清一

    松浦清一君 きょうたいへん御多忙中の大蔵大臣経済企画庁長官の御出席を得まして、時間がないようでありますから端的に御質問申し上げますが、大蔵大臣経済企画庁長官もお聞きを願いたいと思います。  この委員会船舶職員法の一部を改正する法律案というのが提案されております。それから逓信委員会電波法の一部を改正する法律案というのが出ております。その提案の趣旨は、現在の外航船舶船舶通信士三名乗船しているのを一名に両法案の改正を行なうことによって減員をしよう、こういうことですが、その趣旨として述べられているところは、わが国の海運企業が今非常に困難な事態に直面しておるので、これに対して国際競争力にたえ得るように経営基盤強化していきたい、こういうことであります。このことは、船舶職員法の一部を改正する法案のそれ自体の中心的な理由ではないとの説もあるのですけれども、とにかく今の政府の立てておる所得倍増計画を達成するためには、日本海運基盤強化して国際競争力にたえていかなければならぬということは、これは両大臣ともよくお認めのとおりであります。そこで、先般来、いわゆる国際競争力にたえ得る海運基盤強化とは一体具体的にどういうことであるか、こういうことをお伺いを申し上げ、また両大臣現状の把握と将来に対する見通しをひとつお伺いしたい。この趣旨で御多忙中御出席をわずらわしたのですが、まず第一にお伺い申し上げたいのは、一昨年立てられた政府所得倍増計画によりますと、昭和四十五年までに日本外航船腹を千三百三十五万トンにする必要がある、そうして邦船の積み取り比率輸出六三・六%、輸入一般貨物六〇%、石油類六五%に高めることを目途として、外航船腹を以上のように千三百三十五万トンに増強する必要がある、そうして貿易外収入としての海運収入の増加によって国際収支均衡をとっていきたい、これが一昨年立てられた所得倍増計画海運貿易に関する政府方針であったのであります。それが昨年の暮れの予算編成期から、いわゆる千三百三十五万トンにする具体的な実行が少し違ってきたような気がするわけですが、依然として所得倍増計画中の船腹増強積み取り比率改善に対する考え方について、大蔵大臣経済企画庁長官のお考えが変わっていないかどうか、変わっているならば変わっている点をひとつ御指摘いただいてお伺いしたいと思うのです。
  4. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 所得倍増計画においては、海運企業に対してお話のあったとおりでありまして、特に所得倍増計画の中で本質は変わっておりません。前半五カ年間に四百万総トン確保していこうという計画変更をしているわけではございません。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 この計画に対して御変更がないとおっしゃるのですが、来年度の予算の中に見積もられておる財政資金利子補給それから海運経営基盤強化するための措置、それに対してどういう具体的な方針をとられたか、これは大蔵大臣経済企画庁長官大臣からお答え願いたいと思います。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 来年度は造船量を五十万トン、資金としては二百億円を準備して所要利子補給をするよう計上している、こういうことであります。
  7. 松浦清一

    松浦清一君 所要利子補給とは具体的に言ったらどういう補給をなさるのですか。
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 市中銀行に対しては一分九厘九毛の利子補給をする。開発銀行に対しては一分五厘の利子補給をするという計算に基づいて、利子補給金を計上してございます。
  9. 松浦清一

    松浦清一君 それは間違いありませんか。
  10. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 間違いございません。
  11. 松浦清一

    松浦清一君 それだけの助成策で五十万トンの建造が達成されるというお見込みでございますか。
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今のところは達成される見込みでございます。
  13. 松浦清一

    松浦清一君 船主関係のほうでは、財政資金比率が少ないので、市中銀行側のほうから協力ができぬという、そういう態度をとっておるために、このままの状態では五十万トンの建造はお断わりするという態度をきめておるわけですが、それは御承知ですか。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一応そういう話も聞いておりますが……。
  15. 松浦清一

    松浦清一君 もし船主側建造に応じないということになると、所得倍増計画はくずれていくと思うのですが、それに対する方針はどういうことにおとりになるのですか。
  16. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 所得倍増計画は長期の計画でございますので、これの年次的な計画ということはまた別個で、設備投資が行き過ぎていると、これを押えるというときには、この計画は押えられるでしょうし、いろいろな事態が平常化した場合に、これをさらに推進するということも、経済情勢によって年次計画というものが別に立てられるということになっておりますから、長期的にはこの計画はほとんど実現するという方針でいきたいと思っております。
  17. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、このままの状態では作れないということになって、作らなくても、それでもよろしいというわけですか。
  18. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 造船について問題は、過去の債務をどうするかというような問題利子補給というような前向きな策でございますが、うしろ向き施策としていろいろな問題を持っているときでございますので、こういう問題とからんで、造船資金というものも、これは事情が変わってきますので、そのために今のままでは困る。金融機関側協力も期待できないというような問題があることは事実でございますが、そのためにこそ今私ども海運振興対策として、関係省海運についての対策協議中でございますので、これができ次第、海運助成については法律を出すという方針でやっておるところでございます。また一方、調査会ができまして、合理化についての具体案をいろいろ検討するということになっておりますから、こういう問題の解決によって、造船に対する問題はおのずから私は解決していくだろうと考えております。
  19. 松浦清一

    松浦清一君 昨年来海運状態というものがだんだんと悪くなって参りましたので、三十七年度の予算編成を目ざして、各方面からその面における、はやりの言葉で言えば、うしろ向きと前向きとの方策を具体的に講ぜぬ限りは、所得倍増計画に対応する船腹増強はやりにくい、こういう意見が出ておりますことは、大蔵大臣経済企画庁長官も御了承だと思います。これはおそらくごらんになったと思いますけれども、この日本海運強化に関する各界意見は、運輸大臣諮問機関である海運造船合理化審議会経済団体連合会経済同友会、さらにまた重ねて、経済団体連合会経済同友会神戸商工会議所、自民党さんの運輸交通特別委員会、民社党、日本船主協会日本鉄鋼連盟、そういうところから、これから先の所得倍増計画に見合う海運増強の策としては、今までの、つまり旧債に対する特別の措置を講じて海運基盤強化して、その上にこれからの計画造船を推進していかなければだめだ、こういう意見に一致しているのです。ほとんどの各界から述べられている意見の内容は、二つに分けまして、その理由としては、現在の利子補給対象会社だけでも償却不足が五百億円に達している。それから借金の元本の未償還額が七百億円をこえている。こういう現状です。それから大まかにいって、たびたび私はここで申し上げてきたのですが、これらの海運会社だけで三千億円の借金を現在しょっている。二百五十億円の金利を毎年払わなければならなぬ、そういう状態を何とかして打開をしなければ、これから先の船を増強していくことはできない。こういう見解に達しているのは、各界の一致した見解なんです。そこで、この各界意見を体して、運輸省側から開銀利子支払猶予の要求が予算編成期に出たはずです。それから、これから先の財政資金比率をもう少し高めて、そうして利子補給強化しなければ今後の計画造船はなかなか困難である。このうしろ向きと前向きの二つの要請というものが強く出されたはずです。あなた身をもってお聞きになったと思うのですが、それに対する大蔵大臣のほうの答えというものが、私はゼロ回答といっているのだけれども、何も与えてくれなかった。こういう実情であります。今大臣のおっしゃることを聞いておりますと、何か法律を作るということ、それは海運企業基盤強化のための臨時措置法というものを出そうということで、しかも、この法律を出して海運会社から合理化計画といいますか、基盤強化に対する計画書を出させて、審議会を設けて、審議の結果、適格船主に対しては利子支払い猶予をしてやろう、こういうことが昨年暮れの二十五日の経済閣僚懇談会ではそういうことが運輸大臣のほうから持ち出されたけれども、反対する大臣があったりして、まとまりがつかなかった。自後年未に至るまでの間に、運輸大臣大蔵大臣等の間に折衝が行なわれて、大体この法律を出して、そして開銀利子支払いを猶予しよう、こういう方向にきまったとわれわれは受け取ったわけです。ところが、年が明けて、だんだん具体的な折衝に入ってくるというと、だいぶあなた御自身か、大蔵省内の意見か知りませんけれども、違った意見が出てきて、そういうことは困ると言い出した。それが実情のように私は聞いておるのです。これはほんとうでございますか。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうじゃございません。この審議会答申も出ておりますし、それに基づいた運輸省の案というものも大体出ております。しかし、これはそう簡単な問題じゃなくて、相当大きい問題でございますので、両省間でもう少し協議をしよう、関係省内協議をしよう。そしてもしそういうことが、政府助成策がきまったといたしましても、これをどういうふうにやっていくかと申しますと、どうしてもやはり調査会、今御審議を願っているような会によって審議されることが好ましいことでございますので、そこの決定を待って政府方策を適用するというような形にすれば、十二月の早々にこれをきめるのは実際問題として間に合いませんでしたので、この国会中にも具体案をきめて、法律として提出するような運びに持っていこうという相談できまったわけでございまして、審議会はいずれにせよ、国会が終わってから設立されることですから、それに間に合うように両方で相談しようということになって、今やっておる最中でございますので、反対があってこれをやめにするとかなんとかいういきさつではございません。
  21. 松浦清一

    松浦清一君 六十二万円かの予算委員会費用として、審議会費用として組まれて、その審議会ができましても、一体審議会が何をするのかということをきめるのには、この法律が必要なんです。その法律がこれが運輸大臣の御答弁によりまするというと、まだ非常にむずかしいところがあって協議中だ。あなたも今そういうことをおっしゃる。どういうところにむずかしい原因があるのでしょうか、根拠が。具体的にひとつ御説明を願いたいですね。
  22. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはいろいろむずかしい問題があると思います。ああいう答申方向でいくことは、海運振興にとって非常に有効だという、方向では大体意見がきまっておりますが、そこでこれを法律で政策を書くということになりますと、なかなか問題が出てきまして、たとえばこの調査会においていろいろな審議がなされたときに、そこから大体出てくるだろうというような、いろいろな見通しとも関連することでございますが、かりにたな上げをやってやるにしても、一律のものでいいのか、その合理化案に沿ってそれぞれたな上げの仕方においても違いがあっていいのかというようなことを考えますというと、法律書き方においてもいろいろそういうことも予想した書き方をする、こういうことも必要でございますし、実際には、この審議会でいろいろのことが行なわれると思いますが、それに対応した合理的な助成策がとられることが一番望ましいと思いますので、そういう点についても、まだ関係省内で十分相談する余地というものはございますし、また、今度は計画造船において、政府のそういう財政資金によって作られた船と、そうじゃなくて全く自力で作っている船もございますので、それらとの関係をどういうふうに見るのかという問題もまだ残っておる問題でございますし、それから普通の経営でいったらこれだけ償却が済んでいるはずだというのに、そこで非常に合理化をやって償却の済んでいるところと、そうじゃなくて、ほかの事情によって償却がおくれておるというようなものも、一律にやはり取り扱うかどうか。その以前のときには、こういうものを相当吟味して区別して対処しているわけでございますが、そういう点もどう扱うかというようなこまかいところまでの検討を経て、そうして法律案にすることがいいというふうなことを私ども考えておりまして、今その線に沿ったいろいろな相談をしているということでございます。
  23. 松浦清一

    松浦清一君 どういうところで何回くらいそういう折衝をなさったのでしょうか。
  24. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 具体的に何回しているかよく存じませんけれども、私と運輸大臣の間では、とにかく事務局同士にやっておってもらって、最後にいろいろな話をするときには企画庁長官、私、運輸大臣、ここらで最後の案をきめようと思うが、何しろ朝から晩まで、国会に夜十二時まで引っぱられておるようなことでは困るから、この予算を過ごしてすぐこの問題に取りかかろうじゃないかというような話し合いにはなっております。
  25. 松浦清一

    松浦清一君 大臣がたいへんこの予算委員会で年明けの再開以来御多忙であることはよくわかりますから、その辺のところはいいとしても、事務当局折衝を続けていけば、こんなに長引くほどむずかしいことはないと思うのですけれども、そのむずかしい理由として、大蔵省側の官僚の考え方にちょっと間違っているところがあるのですね。これは新聞等の報ぜられるところで、その部内のほんとう意見というものは知りませんけれども、あなたのほうの中で、そう無理をして計画造船の推進をせぬでもいいじゃないかという意見がかなり強くあるように聞いておるのですが、それはどういう状態でしょうか。
  26. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう問題じゃないと思います。と申しますのは、やはり各産業間、各産業に対する施策均衡性ということも考えなければなりません。たとえば肥料問題がございましたが、今までの輸出した赤字をどうするかという場合も、うしろ向きな問題でございますが、それについて財政的な援助をするかどうかという問題も長い間の懸案でございましたが、一応これは税によって解決するというような方針がきまりまして、この輸出赤字に対しては税の特別措置によって解決していくというような方向もきまりますし、石炭産業に対してはどうか、各産業に対していろいろそういう今問題が出てきているときでございますから、各産業に対する対策均衡性というようなことも考えなければなりませんし、一つ産業一つの手を打つことは、他の関係産業にもすぐに響くことでございますので、海運なら海運特殊性というものを十分握って、その特殊的な対策をとることが、他産業に対する対策との均衡は失していないというような問題まで綿密に相当検討しないというと、これはいろいろなところへ波及する問題ですから、大蔵省としましては、そういう全般のものを持っておりますので、財政措置とり方金融措置とり方については、どの産業に対してもその対策に相当そういう点を考慮して慎重にやっているということから、海運に対してどういう措置をとるべきかの論議が相当なされておったということは事実でございますが、問題はそれだけだと思います。
  27. 松浦清一

    松浦清一君 大蔵大臣は、一般生産施設に対する設備拡大と、それから船腹増強という問題と同じように考えていられるような今の御答弁ですけれども、これは全然違うのですからね。生産施設拡大強化して物をよけい作ろうということと、それから船のほうは積み取り比率を変えていって、つまり日本船でよけい輸出入貨物を積み取るようにしようということとは、一般設備拡大とは全然根本的に違うのですからね。その点はあなたごっちゃにしておられるんじゃないかな。
  28. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはごっちゃにしていません。
  29. 松浦清一

    松浦清一君 全然別だとお考えになっていらっしゃるんでしょうな。
  30. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 海運は、今後の国際収支のあり方というものと関係しての恒久対策として、この事業の必要性考えておることでございまして、もしそうでなくて、短期的に今年度だけのことを考えましたら、今年度は今からこういう設備投資をやりましても、これは収入になりませんし、それだけ外貨を出すことですから、ことしだけのことを考えましたら、船を多く作るということは国際収支を悪化する原因であって…。問題はそうじゃなくて、恒久対策であるから、現実の国際収支のある程度の犠牲があっても船は作るべきだということでございまして、その点の区切りははっきりつけているつもりでございます。
  31. 村松久義

    委員長村松久義君) 松浦君にちょっと申し上げますが、衆議院の本鈴が鳴りましたので、できるだけ簡単に願っておきたいと思います。
  32. 松浦清一

    松浦清一君 簡単といってもやりかけたところじゃないか。今やりかけたところです。
  33. 村松久義

    委員長村松久義君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  34. 村松久義

    委員長村松久義君) 速記を始めて下さい。  衆議院の本鈴が鳴りましたから、どうぞひとつ……。
  35. 松浦清一

    松浦清一君 それじゃ行って下さい。そのかわりこの次の委員会に御出席を願いますよ。これだけ言ったんじゃ何にもならないですからね。
  36. 村松久義

    委員長村松久義君) 承知しました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  37. 村松久義

    委員長村松久義君) 速記を始めて下さい。
  38. 大倉精一

  39. 村松久義

    委員長村松久義君) 大倉委員議事進行許します。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 松浦君が大臣出席状態について不満を述べておられるから、それを一ぺん聞いてやって下さい。
  41. 松浦清一

    松浦清一君 委員長に要求しておきますけれども、こんな中途半端なことでは、何が何だかさっぱりわからなぬでしょう。これから海運増強必要性と、増強するのにはどうしたらいいのかと、こういう具体的な問題についての討議をしませんといかぬわけなんでね。この次の委員会に私また出てきますから、二十九日ですね、両大臣出席を要求しておきます。
  42. 村松久義

    委員長村松久義君) どうです、理事さんのお考えは。
  43. 天埜良吉

    天埜良吉君 その希望に沿いたいと思うのですけれども、なかなか次の予定はむずかしそうには思いますね。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 松浦君がぜひ次回の委員会出席を要求しているのですから、理事意見聞く必要ないと思います。出るように委員長のひとつ御努力を願いたい。  それからさらにこういうような大臣出席状態にもかかわらず、冒頭に理事会も開かずに委員会を開かれて非常に残念だと思う。そういう緊急の措置をしなければならぬなら、もうちょっと十分に両大臣に対し質議をする態勢ができていなければならぬと思う。あらためて遺憾の意を表しておきます。
  45. 村松久義

    委員長村松久義君) 松浦君の質問は留保のまま、本日の船舶職員法の一部を改正する法律案審議は次回に譲りたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔午後二時七分速記中止〕   〔午後二時五十分速記開始
  46. 村松久義

    委員長村松久義君) では速記を始めて。     —————————————
  47. 村松久義

    委員長村松久義君) 運輸事情等に関する調査議題といたします。質疑の通告がございますので、この際御発言願います。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 この前の委員会においても質問したのですけれども、きょうは日本港湾労働組合並びにこれを指令する十三カ国の港湾労働者統一行動に入っているんですが、事態は非常に緊迫しておる。さらに内容的にも非常に重大だと思うので、この問題について質問したいと思うんですけれども、きょうは労働大臣も御出席願ったのだが、おいでにならぬというので、たいへん残念だけれども大臣に対する質問は後日に譲って、とりあえず、きょうのこの事態に対する状況報告、これは運輸省からやってもらいますか、労働省からやってもらいますか。担当はどっちになるんですか。
  49. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) 私のほうで現在までに入手しております情報について御報告申し上げます。  ストを行なっておりますのは、全港湾並びにその他の単独組合でも港湾共闘会議に入っております人でありまして、検数関係、それから検量関係が入っております。ただ、そのほかに港湾に関する労働組合といたしましては、日港労連だとか、あるいはその他の組合もございますが、それはやっておらないようでございます。  そういう状況でぐ各地区におきまして今まで入手しました情報では、東北地区におきましては、塩釜八戸、酒田、秋田という港で全港湾が二十四時間ストをやっております。塩釜につきましては、国鉄炭電力炭を除いた在港十三隻が不荷役船になっております。秋田港には現在在港船舶はございません。八戸、酒田港につきましてはまだ詳しいことはわかりません。  関東地区につきましては、東京港でございますが、全港湾はしけ関係、それから日検協和検数会社という検数関係海事検定協会検定日本社という検量関係が二十四時間ストを行なっておりまして、十一時現在で在港船が四十七隻のうち七隻が、これは全部鋼材の船でございますが、不荷役船になっております。横浜川崎につきましては、全港湾はしけ関係日検、全検の検数関係海事検定、新日本社検量関係が二十四時間スト実施中で、十一時現在で横浜港が四十九隻、川崎港が十三隻、合計六十二隻の在港船が全部不荷役船になっております。  北海道地区につきましては、小樽、室蘭、函館、釧路の各港で、全港湾船内関係沿岸関係が二十四時間スト実施中でありまして、十一時現在の状況は、小樽港が在港船二十六隻に対して不荷役船が十一隻、室蘭港が在港船三十一隻に対して不荷役船が六隻、函館港が在港船二隻に対して不荷役船がなし、釧路港が十隻に対して二隻という報告になっております。  東海地区につきましては、まず名古屋港でございますが、全港湾関係検数関係と、それから先ほど申し上げました海事検定、新日本社検量関係が二十四時間スト実施しておりまして、八時ないし九時過ぎまで職場大会をやって、そのあとデモをやっております。十時現在でございますが、在港船十隻中四隻が不荷役船になっております。四日市港では全港湾関係が二十四時間ストをやっておりまして、十時現在で在港船がほとんどこれはありませんで、一隻だけ不荷役船になっておるようであります。まだはっきりいたしておりません。清水港につきましては、日検検数関係がやっておりますが、これは指名船スト、特別の船を指名としてストライキをやっておるようでございますが、業務は平常どうりにやっておるようであります。  阪神地区につきましては、大阪港でございますが、これは検数関係が二十四時間スト実施中でありますが、詳しい状況はまだつかんでおりません。神戸港につきましては、検数関係が八時から十二時までの時限ストを行なっております。午後は平常どおりに戻るという情報であります。  日本地区につきましては、境港が全港湾関係で二十四時間ストをやっておるということであります。  九州地区におきましては、関門港が全港湾、検数、検量関係すべて二十四時間ストをやっておりまして、十一時現在で十六隻が不荷役船になっておるということであります。そのほか宇部港では全港湾が二十四時間スト、若松港では全港湾が十二時ないし十三時一時間の職場大会をやる、博多港では十六時ないし十七時の一時間の職場大会をやる、こういうニュースを現在受け取っております。
  50. 大倉精一

    大倉精一君 労働省のほうで、何かつけ加えることがあったら補足してもらいます。
  51. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 別にございません。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 さらに外国の港における状況はどうですか。
  53. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 海運界からきょう入手しました情報について申し上げますが、インドにおきまして、二はいの船が荷役拒否にあっている模様でございます。その他の地方におきましては何ら情報が入っておりません。ただ、豪州におきましては二十七日、八日の二日間にかけまして職場放棄が行なわれる模様である、ただしこれは日本船だけを対象にしているのではないという情報を受けております。以上でございます。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 この前も運輸大臣にお伺いし、要望したんですけれども、こういう事態に対して、運輸省としては何ら打つ手はないという状態であるのか、あるいは何らかの対策なりあるいは方針なりを持っておられるのか、運輸大臣、その点をお伺いいたしたい。
  55. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 運輸省といたしましては、労働争議でございますから、労使にただいままかしているわけでありまして、今直ちに介入をする考えは持っておりません。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 たぶんそういう答弁だろうと思っておりましたが、しかし労働争議であるから所管は運輸省でないことは間違いありませんが、これによって生ずる現象については運輸省の所管だと思うのです。ですから、今度の場合、これが一波じゃありませんけれども、さらに通じて行動が行なわれるということも聞いておりますし、さらにこれが国際連帯行動として初めての国際的な行動なんですね。争議行為自体は、あるいはまた内容自体は労働省関係かしれませんけれども、よって生ずるところの現象については運輸省として大きな関心を抱かなければならぬと思うのですね。したがって運輸大臣としては、労働省なりその他の関係省との連絡なり協議なり何なりという、そういうことを考えなければならぬと思うのですけれども、それに一切お触れになっておられませんか。
  57. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 合法的な労働争議、これは合法的に行なわれるわけでございますから、もちろん世間に及ぼす影響というものに関心は持っておりますが、あまり不当に干渉するということも差し控えるべきであると、かように考えております。少し成り行きを見た上で、また考慮すべき点があれば考慮いたしたいと思っておりますが、ただいまそういう段階でございます。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 これは労働大臣にお尋ねしなければならぬのですけれども、当然関連する運輸大臣として無関心ではおられないと思いますので、お尋ねしますけれども、現在の港湾労働者状態について、大臣の御認識はどの程度か、お伺いしたいと思います。
  59. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 前にも申し上げておりますように、港湾労務者の労働条件は、必ずしも近代的で満足すべきものであるとは考えておりません。ただ同時に、港運業者のあり方も今後改善していかなければならない点があるということも前に申し上げたとおりであります。それらも相関連いたしまして、今後逐次改善を行なっていく必要がある、かように考えております。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 まあ港湾労働者状態は満足すべきものではないという、そういう程度のものではないと思うのですね。日本港湾労働者状態について、外国の人々までが、あまりにひどいと、こういうことはこの前の港湾労働者のアジアの国際会議でもっていろいろ発言をされております。でありまするから、今度の争議の原因とするものが非常に根が深いと思うのですね。しかも港湾労働法もわが党から提出しておりますが、日本港湾労働者の問題について政府もようやく無関心ではあり得ない状態になってきたと思うのです。したがって運輸省所管としても、この問題については重大な関心を持って港湾労働者の向上のために、あるいはまた雇用の恒常化のために、あるいは福祉その他の万般の諸問題のために、運輸省としても関心を持ち、かつ総合対策をもってせなければならぬと思うのですが、大臣の今の御答弁では、これはとおり一片の御答弁としか受け取れぬですけれども、どうでしょう、この港湾労働者対策について、もう少し堀り下げて検討をしてみるお考えはありませんか。
  61. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 私もふだんからそういう考えを持っておりまして、先般も申し上げましたように、今まで労働省にありました港湾労働問題調査会ですか、というものも、今度は内閣に、法律をもってもっと強力なものにしてもらい、そして運輸省運輸省の所管の見地から、この審議会においていい結論の出て参りますように努力をいたしたいと、かように考えているのであります。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 労働省にお尋ねしますけれども港湾労働者の雇用恒常に関するILOの内陸運輸委員会の決議というのがあるはずですが、この決議について労働省としての今までとってこられた対策について、あるいはこの措置についてどういう工合に進められてきたか、お伺いしたいと思います。
  63. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 登録制までには至っておりませんけれども労働省として港湾労働の協議会を作りまして、労使、公益に入っていただいて、過去数年間いろいろのやり方を検討しております。その中で手帳の交付制度をやったらどうかということで、昨年来常用、日雇い両方を対象にして港湾労働者の手帳制度を普及して今現在いるところでございます。それからあぶれの問題につきましては、まだこの対策協議会のところではなかなか結論が得られなくて、われわれのほうとしてもまだそれについて、はっきりした具体策がないわけでございますが、今までの問題になっておりましたのは、むしろそれより手配師の問題が中心になる雇用の近代化という問題でいろいろ話があったわけでございます。したがって、そういう問題を大体やりまして、しかしこういう港湾労働の近代化のためには、やはり労働省だけでなかなか解決できない問題が多いから、ここ二、三年来、内閣に、強力な、法律によって審議会を作っていただいて、それでひとつ総合的な見地から検討してもらうようにという強い要望が出されておりまして、本年度やっと認めていただいて、そういう設置法の中に改正として入りまして、港湾労働等対策審議会として正式に発足いたしますことになりましたので、これによって今後一そう労働省といたしましても、審議会の御審議を願い、その中で逐次できるものから実行に移していきたいというふうに考えております。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 このILOの内陸運輸委員会においては、今申しましたような港湾労働者の雇用恒常化に関する決議、これは一九四九年に決議をされたのですけれども、その後一九五四年に至って内陸運輸委員会日本を非難をしておる。特に日本という国名をあげることは工合が悪いということで、アジアにおいて実行しない国があるからという、そういう表現でもって非難をしております。これは事実ですか。
  65. 三治重信

    政府委員(三治重信君) そういう表現がとられたことはあります。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 こういうようなILOに対しまして、労働省としてもいろいろ対策をお考えになっておったということも聞いております。が、しかしながら、頑強に港湾労働者の問題に対して、たとえば法制的に雇用の恒常化をはかろうという問題について抵抗しておったのは、これは荷主なりあるいはその他の資本家の陣営であるということを聞いておったのですね。しかも招集してもなかなか集まってこない、とうとうさじを投げた、こういうように聞いておるのですが、そういう事実についてはどうですか。
  67. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 労働省のほうで対策協議会をやっておりました場合には、公益と労使ということで、使用者側のほうは運送業者の代表ということで入っていただいておった。その途中で、そういうふうないろいろ問題を分析していきますというと、やはり港湾運送業者だけの責任で解決できない問題が相当あるということから、やはりおもに荷主の関係という者も船主の関係の者にも、そういうことで入っていただかなければという議論は確かにあった。しかし、それは労働省のそういう一種の協議会ではなかなか無理で、したがってそのために早くそういう方々も含める港湾労働の対策協議会を法律でもって規定しないと、そういう方がなかなか入らない。また、事実具体的にそういう問題で今日どの程度までそういう話があったかどうか、私今つまびらかにいたしませんけれども、確かに労働省のそういう協議会では、そういう船主や荷主まで入って対策をやるというまでには至っていないことは事実でございます。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 まあ労働省のほうではそういうような状態を作って前進をしたい、こういう努力をされておったが、荷主とか、そういう方面の協力が得られなかった。ついにさじを投げたということを聞いているのですけれども運輸省においてそういう労働省の企てに対しまして協力態勢をとったかどうか。これをひとつお聞きしたい。運輸省としての協力態勢というものは、そういう荷主に対して、業者に対して、そういうような問題について積極的に参加をして努力をするように、そういう側面的な協力態勢がなければならないと思うのですが、これはいかがですか。
  69. 坂本信雄

    政府委員坂本信雄君) 今お話しになりました労働協議会においては、今労働省のほうから御答弁ありましたように、業者としては港湾運送事業関係が入っております。私、局長になってから、去年から出たわけでございますが、いろいろ意見が出まして、それが答申にまとめられて私のほうに参っておりますけれども、特に今御指摘のような荷主、船主、業者関係が反対しているというようなことは、私は聞いておりません。ただ、この労働条件の向上あるいは港湾労働者の常用化の問題が、当然港湾作業料金に影響を——作業料金の影響が出てくると思いますが、その点については昨年九月に港運料金の値上げがございまして、そのときに公聴会でもって船主だとか、あるいは荷主関係の方々からも活発な御意見の発表がありまして、そのときに、そういう関係の方々のほうも非常に苦しいので、できるだけ料金の値上げはしてもらいたくないという御意見の発表はごいました。しかし運輸省としましては、現在の港運料金が現状に照らして低いと思われましたので、値上げをすることに決定をしたわけであります。こういう次第でございます。
  70. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いているのはですよ、この問題についていろいろ調査をし、各方面から聴取をしたところによると、ILOのこの内陸委員会の決議に基づいてですよ、業者側、あるいは関係方面と話し合いをしようという努力がされて、失敗に終わった、労働省側も、そういう訴えが失敗に終わって、昨年の四月のこの話し合いでは解決がつかない、話し合いの場を放棄して、もうあきらめた、こういうことを聞いているわけです。ですから、今日の状態にしたということは、きょうは労働省大臣おいでにならぬから残念ですが、これまた運輸省はこういう問題は労働省の所管だ、あるいは労働省は、ふなれとかなんとか、これは運輸省の所管だということでもって、何かそこにやはりなわが一本引いてあるのじゃないか、引かれておるのじゃないか。そういうことが港湾労働者の非常にひどい現状というものを認識しながら、今日まで放置せざるを得ない状態になり、今日の国際的な事件にまで発展した、こう私は思うのですがね。そういう点について、どうもきょうは労働大臣おいでになれば都合がいいんですけれども、おいでになりませんが、運輸省労働省も、お互いにこういうことについては自分の所管の中に閉じ込もっておらずに、総体的な判断のもとに、あるいは認識のもとに、相携えて対策を練るということにならなければいかぬと思うのですが、大臣どうですか、これは。
  71. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 港湾労働者の問題は、もちろん労働省の問題でありますと同時に、港湾機能の発揮という面から運輸省の問題でもあるわけであります。ただいまおっしゃいました荷主あるいは船主等がそういう会合に何ぼ呼びかけても出てこないというお話がありましたが、私は、それを今伺うのが初めてでありまして、そういうことで労働省がやりたいと思ってもなかなかできないで困るということも実は今まで聞かなかったわけでございます。おそらく労働省とせられては、労働省の見地からそういうものを入れてやるのには、やはり内閣にでも委員会あるいは審議会等を設置してやらないと呼びかけにくい、こういうお考えもあったのであると思いますが、あるいは依然両省の連絡が必ずしも十分でなかったかもしれぬという気がいたしますけれども、しかし、運輸省といたしましては、たえず船主あるいは荷主等に対しましても、こういう労働問題を考えの外においておってはいけないので、やはり港湾の機能発揮という点については、物的施設だけでなしに、その人的の力をどう生かすかということを荷主も船主も考えなければならないということは、私絶えず機会のあるたびに言っておるわけであります。労働省に設けられておりました港湾労働問題調査会ですか、協議会ですか、そのまま存続をいたしておるといたしましても、できるならば、今度内閣に設置せられるというようなものと同じような運営をいたして、そうして労使のみならず、関係業者も入って十分検討するように進めて参りたいと、実は私は思っておったんでありますが、今度内閣に設けられるようになりましたので、まことに好都合だと、かように考えておるわけでございます。
  72. 大倉精一

    大倉精一君 審議会ができるというのは、私も歓迎するのですけれども、かといって、審議会ができたから万全とは言えないと思う。現在聞くところによりますと、審議会と名のつくものは二百何十あるということですけれども、これが政府の隠れみのになっちゃいかぬと私は思う。そこで、運輸大臣労働大臣も積極的にこの問題に取り組んでいくという、そういうかまえがないと、審議会を作ってもこれはあまり期待が持てないのじゃないか。そこで、きょうは労働省の御出席の方に、労働省を代表した答弁が聞かれるかどうかわかりませんが、いわゆるILOの内陸運輸委員会において一九五四年に遺憾の意を表明されて勧告されておる、こういう点について労働省としては、この委員会の決議をどういう工合にしようとしておるんですか。これはもう労働者の雇用恒常化なりあるいは労働問題については、やはり制度化しなければならぬと思うんですね。ただ単に賃金を上げたり、家を作ったりあるいはその場の施設をしたりするだけでは、日本港湾労働者は浮かばれないと思う。これは制度化しなければならぬ、これはやはり法律化しなければならぬと思う。こういう点について労働省はどういうお考えを持っておられるのですか。
  73. 三治重信

    政府委員(三治重信君) やはりその港湾労働の実態が、なかなか近代化が急速にはむずかしい。それはやはり法律を作りましても、実際問題として、その労使双方並びに関係者がそういうある程度姿勢に入ってきませんと、実際法律を施行してもなかなか有名無実になる一そういう意味において、やはりそういう近代化の糸口、それからそういうムードなり関係者の認識を深めるように現在まで努力をしてきたわけなんで、したがって、この点につきまして、われわれのほうとしてもまだ十分な努力が足らないと思いますけれども、ここ両三年来、やはりそういう労働省協議会方式では、やはり、先ほどから先生がおっしゃるように、荷主なりそういう方々がなかなか入りにくい。また、事実そういういわば労働省だけの機関——もちろん先ほどちょっと御説明を省きましたが、運輸省港湾局は初めからずっと協力していただいて、委員のメンバーに入っていただいて、常時今まで会議には出ていただいておりました。しかし、なかなかこの問題が、単にわれわれのほうの関係でいきますというと、近代的な労使だけの話し合いなり、あるいはまたそこの話である程度済む問題ならば事は割合に簡単でございますけれども、単に労使関係だけでなくて、やはり船の出入りの状態、それから荷の毎月の動き工合、こういうものについて実際の人の働く量が非常に増減をする、そういうふうな実態で、業者のほうといたしましても、自分たちだけ縛られても、荷主関係や船が言うことを聞かなければ、そういうある一定の条件を設けてそういうことをやるようにしてみても、絶対そういうことはむずかしい、自分たち業者だけではできないというふうに、また、荷主は荷主のほうで、またその製造業者のほうがやはり船積みの前にしかなかなか荷を出してくれぬから波止場に持っていくのはどうしても月末月始に集中してしまうのだというようなまあいろいろな議論で、そういうふうな、ある程度一つの雇用労働というものが、近代工場やサービス業みたいに一定の規模で一定の目的をもってやった場合にそこで労使関係だけで話がつき、そこの労働条件もある程度きめられるならばいいけれども、それをたとえきめたにしても、営業の関係がほかのほうの動きで、輸出入の荷主の関係、輸入品の到着の工合ということで、なかなか波動がつかみにくい。それも波動がきちんとつかまれればその間の対策もきちんとできるわけなんですけれども、そういうふうなことで、今までやってきましたことは、先ほど申し上げたように、そういうようにきちんとほかの諸外国みたいにはなかなかいかぬ。逐次そういうふうな労働の量、またその労務供給というようなものの制度ということについて、また労働福祉の面について、逐次できるものからやろうじゃないかということで今日まできたわけでございまして、その根本的ないわゆる港湾労働者をきちんと人数を規定してその適宜の生活の保障をしていくとかという部面までは、今までにおいても、その協議会でなかなか結論を得られなかったところでございます。
  74. 大倉精一

    大倉精一君 あなたのおっしゃることを聞いておるというと、むずかしくて手が出ぬという一語に尽きるのですね。それでは私はどうにもならぬじゃないかと思うのですね。たとえば港湾における人数を規定してですね、それに対して所要の保障をする。これがむずかしければそれにかわるべきものをやっぱり考えなければならぬと思うのですね。このままの状態で置くと、日本港湾労働者というものは、これは未来永劫に悲惨な搾取対象になる。こういうことから日本港湾における機能も完全に発揮ができない。もうすでにアメリカにおいてもフィリピンにおいてもあるいはオーストラリアにおいても港湾労働法はできておりますね。これはうまくやっておると思うのですね。日本がやれないというところに、この制度的な、あるいは社会的な欠陥があるかもしれません。そういう港湾労働対策等を、今度は審議会ができましておやりになると思うのですけれども、しかし、おのおの担当者が熱意を持たなかったならば、審議会でやってくれるわいでは、私はこれはできないと思うのですね。そういうものの軸になるのはやっぱり労働省であり運輸省であると私は思いますね。今あなたがおっしゃっておることを聞くと、まあむずかしくて手が出ぬ、こういう一語に尽きると思うのですけれども、これはもっと積極的にやる必要があると思う。しかも今の港湾労働者ストライキというもの、国際的な連帯行動というもの、これをやはり何とか当面対策を立てなきゃなりませんが、それについてはやはり港湾労働者は将来こうなるかと、あるいは政府はこういうことをしてくれるのかというような、そういう抽象的でもいいんですけれども、希望を与えないというと、今度はなかなか解決つかぬじゃないかと思うのですけれども、そういう点についてはどうですか。
  75. 三治重信

    政府委員(三治重信君) その点につきましては、結局今われわれのほうとして、審議会法律が通りましたら至急審議に入っていただくように準備を進めて、そうしてこういう問題につきまして審議をしていただく、諮問をするという態勢を目下準備中でございます。そうしてほかの従来の慣例よりか、この法案が通ったあとすみやかに実質審議に入れるように準備をしていく、そうしてそのうちでも、最終結論が得られなくても、途中で一つの進歩なり行政の措置なり、予算措置でできることが出たならば、それを逐次やっていくというふうな態勢で進みたいと思います。われわれのほうとして今まで何もやっていないと言われると、やっていないのかもわかりませんけれども労働省としては、まあ協議会で言われたことの二、三は予算措置を行なっております。昨年の秋には寄場の増設なり、港湾労働者の絶対的不足のために、炭鉱労働者の離職者なり、ほかのところから相当移動してもらうための宿泊施設の設置を、予備費を支出してやりまして、目下建設中で、逐次入っていただいて補充しておるわけでございます。そういうことで、ことに雇用関係のほうは、やはりある程度常用化の促進をやって——常用化が今のところまだまだ少ないわけでございます。だからその常用化が相当程度になるのが解決の第一条件。それから日雇い労働者が手配師からのがれて、労使協力の場として安定所を利用する態勢をもっとやっていくこと、これが第二の条件。これがもう最近神戸におきましては相当軌道に乗ってきました。そういう近代化の下地をしっかり作っていく、これはもう行政措置としてもできますので、その点はわれわれのほうとしては、まあ進歩は少なくないかもしれませんが、毎年できる限りの努力をやって参っておるわけでございます。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 私は何もやっていないというふうに申し上げたのではなくて、港湾労働者の近代化のために制度化しなければならぬということ、制度化について手が出ぬというような御答弁じゃないかというふうに申し上げたんですけれども審議会ができればさっそく諮問をしたいというのは非常にけっこうだと思うのですけれども、結局何らかの法律によって港湾労働者の近代化ということをやっていこうと、こういうことなんですか。
  77. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 法律にすぐしたらどうかという御意見になるか、あるいは今まで協議会が出してきた逐次の改善策について、そういうものを一段と強化して、さらにそういう法的な準備の問題を検討するようにというふうになっていくか、今のところまあ審議会の発足状況を見なければ、まあ労働省としては何とも言えませんが、われわれの見方とすれば、こういうふうな急速な経済の成長過程においては、港湾労働という職種の労働者というものは絶対的に不足するという立場でやっていけば、相当近代化の改善の手段がとれるという見通しでございます。この協議会が発足したときには、むしろ労働力過剰の時代で、常に港湾労働者は仕事のあるときだけ使われて、なければほっぽり出される。言うことを聞かなけりゃほかから労務者を持ってこられる。非常に不安定だということから出発してきたわけなんです。ところが、だんだんたとえ手配師を使ってみても、こういう労働者の数が、また絶対量が不足してくるという見通しに立てば、われわれのほうとしては必ずしもすぐ法律を作らなければ近代化できないという問題じゃなくて、やはり労働情勢が相当変わってくる過程において、近代化の措置は一歩々々でも相当進められる。この法律を作る作らぬの問題につきましては、まだわれわれ労働省としても、内部的には別にその相談には、はっきり申し上げまして、作る作らぬということについての意見というものの討議はまだしておりません。われわれのほうの従来の態度で、業界と連絡をとってやってきた、いわゆる一歩々々の近代化の改善、もう少し法律を作る前に素地を作っていくということで今進んでいるところでございます。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 内閣委員会の決議というものについては尊重されると思うのですけれども、この委員会の期待にこたえるようになるには、どのくらいかかりますか、こたえ得る状態にするためには大体どのくらいの年月が必要なんですか。
  79. 三治重信

    政府委員(三治重信君) われわれのほうとしては、できるだけ早くしたいと思いますが、この審議会のほうも行政管理庁のほうの指示で二年という制約をつけられておりますので、できる限りその範囲内で最終的な結論を早く得るやり方をやっていきたい。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 この問題については、この次の委員会に、必要によって労働大臣出席を要求しなければならぬかもしれませんから、そのようにお取り計らいを願いたいと思います。  それから運輸大臣にお伺いしますけれども労働者の問題は、今のようにいろんな考えを持っておられますけれども、やっぱり港湾労働者の近代化については、先ほど御答弁のように、労働省だけではどうにもならぬというような面がたくさんあると思うのですね。特に運輸省として業界の近代化をまず考えなければならぬと思うのです。業界の近代化を一体どういう工合に考えておられますか、将来の方針として。
  81. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 全般的なことは非常にむずかしいと思いますが、まず港運業者の経営の近代化、先般も申し上げましたように、今までの届出制であったものを登録制に直して、そうしてできるだけ経営規模の大きい、そして健全な経営のできるような企業体に育成して参りたい、かように考えております。船主やあるいは荷主、これらとの関係というものも非常にむずかしい問題があると思いますので、これをどういうようにやっていくのが望ましいか、まだ具体的の案を私は持っておりませんが、今後各方面の御意見を伺って、そしていい結論を得たいと、かように考えております。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 きょうはこの程度にして、この次に労働大臣においでを願って質問いたしますが、私はこの港湾問題は非常に窓口の広い、奥の深い問題だと思うのです。ですから、これは一省庁だけではできない問題である。そこで審議会がどういう工合に運営されるか知りませんが、やはり各省庁間の連絡といいますか、統一的な機関が一つ必要じゃないかと思うのですね。特に私は、審議会ということからさらに進んで、一元化したところの行政機構というものがなければ、これはなかなかできないのじゃないかと思うのですね。それには、たとえば月末配船集中という問題につきましても、取引習慣の問題もありましょうが、さらにはまた中小企業の体質的な問題もあると思うのです。月末になって金がほしいという問題があると思うのですね。こういうようなむずかしい問題がある。こういう問題について各省庁が協力して労働問題に取っ組んでいかなければ、これはなかなか簡単には解決できないと思います。が、何分にもILOの決議もあるのですからして、やはり政府が一体となってそのILOの期待に沿うようにしないというと、八十七号条約と同時に、やはり国際的な信用という面もあると思うのですね。これはひとつ大臣として、特に現在起こっておる事態ですね、これに対する対策についてお伺いして、きょうは質問を終わりたいと思います。
  83. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから御質問にもお答えをいたしておりましたように、港湾労働問題は今後日本港湾行政上からも非常に大事な問題だと私は考えております。私、大臣拝命以来この考えを持っておりまして、私は労働大臣にまかせるわけではございませんが、私個人としてもこの問題に掘り下げて取り組んでみたいと考えておったのであります。ただ、今日まで当面の用に追われておりまして、ほんとうに掘り下げて検討している時間を持たなかったのは非常に申しわけないのでありますが、国会が終わりましたら、ひとつもう少しこの問題と十分取り組んでいきたいと、かように考えております。ただいま起こっておりまする当面の問題につきましては、もうしばらく情勢を見て参りまして、そうして労働大臣協議の上善処して参りたいと、こう考えております。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 まあきょうはひとつ要望しておきますけれども、現実に事態が起こっておるのですから、今度の機会を単に政治とか何だかんだとかいうそういう見方ばかりでなくて、やはりこれを機会に港湾労働者の置かれている現状というもの、現実というもの、さらにまた港湾における万般の現象というものをこの際正確につかまえる必要があると思うのですね。そして港湾労働者に対して希望を与える、これ以外に私は対処する道はないと思います。非常にむずかしい問題かもしれませんが、それをやってもらうのが政府の役目ですから、これはぜひとも政府のほうにおいて特に関心を持って努力していただきたいと思います。  きょうはこれで一応終わります。
  85. 村松久義

    委員長村松久義君) 本日のこの問題に対する質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  86. 村松久義

    委員長村松久義君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより本案に対する質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 中村順造

    ○中村順造君 私はこの日本国有鉄道法の改正の趣旨については大体了承できるのですが、一応内容をこの機会に少し掘り下げてお尋ねをしたいと思うのですが、まず日鉄法の改正の歴史と申しますか、そういう面から見まして、かつて昭和二十八年にやはりこういう同じような趣旨の改正案が出された。しかし、当時不幸にして鉄道会館の汚職の問題が発展をいたしまして、当時の政府提案はつぶれたわけです。その後いろいろ経過をたどりましたが、ここにあらためてまた同じような提案がされておるわけですが、そういう歴史的な事実に立って見たときに、まずここに国鉄総裁お見えになっておりますが、最近新聞がやはりこの汚職ということを非常にやかましく書き立てておるのですが、特に東洋電機の汚職の問題。新聞の報ずるところによりますと、何か国鉄の本社も当局の捜査を受けたというようなことを書いております。また現職のある課長が容疑者として逮捕された、こういうことが新聞に報じられておるわけですが、何か国鉄が外に非常に事業を発展させようとするときに限ってこういう問題が出るのかどうかわかりませんが、かって東海道新幹線の汚職の問題もありましたが、そういう問題から、一体この東洋電機の汚職というのは事実かどうか、汚職の容疑のことがあったのかどうか、この点をひとつお尋ねをしたいと思う。
  88. 十河信二

    説明員(十河信二君) 東洋電機のああいう問題を起こしましたことは、まことに遺憾千万で申しわけないと思います。ただいま司直のほうで取り調べ中でありまして、私どもとしては、どういう事実があったのかよく知ることができない状態であるのであります。はなはだ遺憾でありますが、そういう次第でどういう事実があったかということは、ちょっと申し上げかねると思います。
  89. 中村順造

    ○中村順造君 私はこの汚職の内容をお尋ねしているわけじゃないのですが、これはいずれ司直の手によって決定的な瞬間が来ると思います、白か黒かということが。しかし国鉄の職員の、しかも現職の課長の中でそういう容疑者を出したという事実があるのかどうか。それから今もう本社が検察当局の捜査を受けたというのが新聞に書かれておりますから、これは新聞でありますからあまり私は信頼していないのですが、直接総裁のほうからそういう事実について、あったかどうかということをお聞きしたい。
  90. 十河信二

    説明員(十河信二君) 遺憾ながらそういう事実がありました。
  91. 中村順造

    ○中村順造君 そういたしますと、職員の綱紀の粛正ということは、かって東海道新幹線の汚職の当時からも本委員会で問題になったのですが、さかのぼってお尋ねしますが、東海道の新幹線の汚職のその後の処置というのはどういうものですか、職員の身分については。
  92. 十河信二

    説明員(十河信二君) 起訴された者は法律の規定に従って休職になっております。それから疑惑を受けた相手方の会社を取引停止ということにいたしております。その他一般職員に対してはかねてから綱紀粛正のことは厳重に通達いたしておりますが、この際さらに世間から疑惑を受けるような、またそういうあやまちを犯しやすいような機会を作らぬようにしろという意味において、金品の贈与を受けるとか、個人的に供応を受けるとか、あるいは招待ゴルフ、マージャンをやるようなことは慎しまなければならぬというふうに戒めておりますし、またいろいろな委員会を作りまして、一人で勝手なことのできないように権威者もお願いいたしますし、また部内においても事前には契約審査役というようなものを置きます、事後には監察役を動員いたしまして、事前事後ともに厳重に取り締まりをするというふうなことにいたしております。  また部外の業者に対しましては、私みずからおもなる業者の幹部の方にお集まりを願いまして、特にそういう疑惑を受けるようなことのないようにということを厳重にお話をいたしております。また万一そういうことがあれば、取引を停止するというようなことも申し伝えております。こういう事態をなくするように懸命の努力をいたしております。
  93. 中村順造

    ○中村順造君 綱紀の粛正について通達を出されるとか注意をされるのは当然のことでありますが、もう少し具体的にお尋ねしますが、容疑者を出したということ自体はどういうふうに判断されるのですか。たとえばこの前は、何か中村理事ですか、非常に不見識な答弁をされたのですが、一般どもの社会的な通念からいえば、国鉄からそういう汚職の容疑者を出した、しかも現職の職員であるし、課長だということになれば、やはり著しく国鉄の体面を汚すものである、こういうふうな理解に立たなければならぬと思うのですが、総裁はその点はどうなんですか。
  94. 十河信二

    説明員(十河信二君) その点は私も御同様に感じて、監督者に対してもそれぞれ手続をいたしました。私自身も深く身の不徳、統率力の足りないことを恥じて反省をいたしております。
  95. 中村順造

    ○中村順造君 これは当事者は当然司直の手によって黒なら黒ということになればさばかれるわけですから、私はその段階はまだ若干先だと思いますが、そういうふうに容疑者を出したこと自体、国鉄の体面を汚すということになれば、やはりその職員の監督の不行き届きだとか、あるいは総裁にもまた私はそういう意味の責任はあると思います。この前の東海道新幹線の問題は休職だと言われるなら、休職は処分じゃないのでしょう。私ども日本国有鉄道法の職員の処罰については明確なものがあると思うのです。著しく国鉄の体面を汚した職員については免職されるとか、あるいはそれぞれの処罰規定が適用されると思うのです。ただ起訴された、結論が出ないからこれを結論待ちだということで休職だというなら、これは休職というこは私らの常識では処分じゃないのですから。その点はどうなんですか、もうちっと明確になりませんか。
  96. 十河信二

    説明員(十河信二君) お話のとおり、起訴された者は休職にするという規定になっておりますので、それで休職にいたしておるのであります。その後の処分は事態が明瞭になってからいたしたいと、こう思っております。なお特にそういう汚職の事件が起こりましたので綱紀を大いに粛正しなければならぬ、事態どうすればいいか、どういう事実があったか、どういうふうにすればそういう疑惑を受けるような事態の起こらないようになるかということを特に厳重に取り調べ、また将来の処置を講じたい、こう考えまして、副総裁を委員長とする査問委員会を設けまして、ただいまその監督者の処置とか全体の事態につきまして目下検討中であります。
  97. 中村順造

    ○中村順造君 どうも私の資問が悪いのかわからないのですがね。結局それじゃもう少し具体的に聞きますが東海道新幹線の場合は課長補佐ですかが起訴されたのですか。そうしてそれが休職になったのですか。それはどうなんですか。これは無理に総裁じゃなくてもいいのですが。
  98. 関四郎

    説明員(関四郎君) 東海道新幹線の場合には起訴されまして、起訴されたと同時に休職にいたしておるわけです。というのは判決がきまる前に処分はできないわけでありまして、起訴された場合には、きめられたとおり休職にするということでございまして、それ以上の処分は判決ができてからでなければできないことになっております。
  99. 中村順造

    ○中村順造君 そうすると、その新幹線の汚職のときには、この前本委員会で話が出たのですが、その結論が出るまでは処分ができないという私は理解に立っていないのです。先ほど総裁がおっしゃったように、これは国鉄の職員から容疑者として出たこと自体が国鉄の体面を汚したという理解に立つなら、直ちに処分すべきだと思うのです、本人には気の毒だけれども。もし今、関理事さんの言われたようなことで現実の問題として済まされておるならば、すでに当時五十何才ですから、結論が出るまでに国鉄から退職金をもらって円満退職するのじゃないか、そういう国鉄から退職金をもらって。そんな矛盾が出ておるということは、この前の委員会で言った。そういうことはあり得ないということを副総裁は言われている。そういう手ぬるいことで綱紀粛正の対策を出されたって、この国鉄から汚職の容疑者の絶えることはないと思う。すなわちまあ私は総裁がいわれるように、間違ったことを間違ったとして指弾をされるなら、ここに引き合いに出せば例もあるのですけれども、容疑者としてあげられれば、直ちにそれに対して国鉄としての休職というような、処分じゃなくて結論持ちということですから、いわば五十何才といえば、五十五才が定年なら、少なくとも二年や三年の間に最終審の結論が出ない以上は、これは出る可能性がない。そうすればその当事者は国鉄から退職金をもらって円満退職するという結論が出てくるがどうか、ということがこの前もいわれている。何かその際はそういうことはあり得ないということを副総裁は言われておる。それは総裁どうですか。
  100. 関四郎

    説明員(関四郎君) この判決がきまりますまでは、罪状も罪名も最終的に決定したわけではございませんので休職という処分も仕方がないと思う。しかし判決がきまりまして有罪がはっきりきまりますれば、それに応じて処分もさかのぼってするわけであります。その判決がきまるまでは定年がきたから円満退職ということはあり得ない。
  101. 中村順造

    ○中村順造君 話が小さくなって恐縮なんですが、あなたの言われるようなことはあり得るのですか。たとえばこれがまあ三年して退職金をもらって円満退職をした、それから二年後に最終確定した場合には、その人の退職金を差し押さえて取るとかそういうことができますか。
  102. 関四郎

    説明員(関四郎君) お答え申し上げます。休職の場合には依願退職ということができないわけでございます。
  103. 中村順造

    ○中村順造君 まあ話が小さくなったから、依願退職だとか、定年退職だとか、それはこまかいことを言いませんが、結局何ですか、そうすると、容疑者が出た場合には、これは将来とも出ないという保証はだれもできないと思うのですが、だれも責任をとらないのですか、本人はそういうことで休職というので何ら国鉄から処分受けない。それからその監督者である人も何らこれに対して関連をする責任をとっておらないとするならば、だれがその責任をとるのですか。
  104. 関四郎

    説明員(関四郎君) 監督責任者の処置につきましては、八月三日付で、当時の大阪幹線工事局長の五味信、及び東京幹線工事局長の上田健太郎に対して戒告、それからこれは転勤させました。同、大阪工事局次長の高橋好郎には訓告の処分を行ないました。それから担当理事の大石重成に対しては厳重注意を行なっております。
  105. 中村順造

    ○中村順造君 あなたは訓告だとか厳重注意だとか言われるが、総裁あるいは国鉄の幹部は労働組合に対しては訓告や戒告というものは処分じゃないといつも言われている。少なくとも減給以上、戒告以上が処分で、訓告だとか厳重注意だとかそんなものは処分でも何でもない。国鉄の内部の規定に照らしてもそれは昇給の欠格条項にもなってない、そういう者を処分をしたなんて天下に公表されること自体がおかしい。今度のこの東洋電機のこの課長さんというのはだれの監督下にある人ですか。
  106. 関四郎

    説明員(関四郎君) 私の監督下にございます。
  107. 中村順造

    ○中村順造君 あなたはこれに対する責任をどう感じられたのですか。
  108. 関四郎

    説明員(関四郎君) 世間の疑惑を招くようなことをさせたということはたいへん申しわけなく思っておりますが、しかしまだこれは司直の手で取り調べを受けているわけでございまして、内容については私ども全然存じておりませんが、そういうような疑いを受けるようなことはたいへんに申しわけないけれども、多分あれはそういう事実がないだろう、こういうふうにわれわれ信じているわけでございます。
  109. 中村順造

    ○中村順造君 総裁は先ほど容疑者を出したこと自体に、やはりこの国鉄としては体面を汚したという責任があると言われておるわけです。あなたの感覚はまるでずれているわけです。それは容疑者を出したことは間違いはない、しかし多分これは最後まで調べたらそういう事実はないであろうということを信じておる。責任者として私の部下から容疑者を出したから私は責任をとりますということをなぜ言わないか。そういうことじゃないですか。申しわけないけれどもおそらく最終的にはこれは白だろう、そんなことで国民が納得しますか。これだけ毎日、新聞に書かれて、しかも私が言いたいのはたとえば、これは非常に国鉄職員としては面目ないことだけれども、わずかな酒を飲んで機関車に乗っておった、そういう人は間髪を入れず免職ですよ、関係者一同全部降職あるいは減給、停職、間髪を入れず厳重な処断を労働者に対してはしておいて、課長だとか課長補佐だとかいう、しかも部下を監督しなければならぬ、その課長の下には課長の部下がおるはずです、監督をしなければならぬような立場の人がそういうことをした場合に、あなたはそれをかばっておられる。そういうことで今度いろいろありましたけれども、それはあまり片手落ちじゃないですか。ものの考え方がずれておるのじゃないですか。あなたのそういう感覚は、ずれておる。少なくとも国鉄の理事という立場でそういう感覚のずれがある限りにおいては、末来永久に国鉄から汚職というものは絶えません。どうですこの点は。
  110. 関四郎

    説明員(関四郎君) 大へん疑惑を招いたことは申しわけないと思っておりますが、しかし、いまだどういう罪状であるのか、どういう事情にあるのか、これが司直の手で取調べ中でありまして内容が全然わかりませんので、これが内容がはっきりいたしませんと何ともお答えの申しようがないというふうにお答えするよりほかないと思います。
  111. 中村順造

    ○中村順造君 それじゃ内容がわからぬというのだが、起訴されれば起訴状にちゃんと内容が書いてあるから、そのときには責任は取られますか。
  112. 関四郎

    説明員(関四郎君) 起訴の内容によりますけれども、最終的には判決がきまらなければ実際のところはわかりませんが、しかし起訴状の内容によって判断したい、こう考えております。  で、先ほど機関士の問題がございましたが、あれは内容が非常にはっきりいたしておるということで、即刻処置がとられたわけでございまして、このほうも判決が即刻出ますと、それによって責任の所在その他もはっきりすると思います。今のところ起訴状または判決の内容を見ないうちは何ともお答えの申しようがないと思います。
  113. 中村順造

    ○中村順造君 この汚職と処分の問題はこれ以上やめますが、私は言いますから聞いて下さいよ。国鉄の機関士がたとえば酒を飲んで、交代の機関士とかわるまでに時間がかかって汽車が一時間十六分おくれた、貨物列車が……。このことは国の法律には抵触していないのですよ。国鉄としてはなるほど不都合な行為だった、こういうことですよ。しかし、国鉄として不都合な行為だという判定を下されて、あなた方はこの機関士にはいきなり職場からこれを免職した、監督の立場にある人全部これは降職、減給、全部そんな訓告だとか厳重注意だとかいうなまぬるいものじゃないのです。そういう処断をされた。長岡にも最近ありました。これは列車がおくれても何ともしてない。ただ監督でそういうおそれがあるという点で、監督すべき機関士を乗せたために飲酒したという、顔が赤かったか酒くさかったかしりませんけれども、その人すら停職三カ月というふうに厳重に処分されておる。しかし、これを掘り下げてみれば、なるほど汽車は一方は少しもおくれていない。一方は確かに一時間十六分おくれたという、こういうことは関髪を入れず処分される。あなた方の考え方が、一方では国の刑事事件としてこれに抵触するかどうか、しかも検察当局は東海道新幹線においては抵触する犯罪だという認定を下した。これは起訴しておるわけです。それを一方の東洋電機については、それは起訴されるかどうか私は知りませんよ。知りませんが、少なくとも、いわゆる国の機関の検察当局が、犯罪を構成するとして起訴する、少なくともその確信をもってこれは逮捕した。そういう者に対しては何ら国鉄としてこれを白か黒か結着がつくまでは私どもは責任を感じません、申しわけありません、しかし、最終的には白と信じております。そういうことで国鉄がいかに副総裁を長にして査問委員会を設けられても、副総裁を長にした査問委員会より、あなた方幹部の考え方が変わらなければどうも仕方がない問題じゃないですか、どうです、その点は。総裁どうです、その点。
  114. 十河信二

    説明員(十河信二君) 機関士の問題は、多数の人命を預かっておる人命に関する非常に重大な問題でありますから、ほんとうにその事実が、先刻もお答えいたしましたように、明瞭になっております、それでああいう措置をとったような次第であります。今の東洋電機の事件はまだ事態がどういう事実があったのかということはわれわれにさっぱりわからないので、今のところいかんともしようがない。ただ監督者に対してそれぞれの処分をしたというだけにとどまっておる次第であります。
  115. 中村順造

    ○中村順造君 その人命、貨物の大事なものを預かっているということはこれはわかります、私は。わかりますが、その事態が多数の人命を失った、財産を損傷したという事態ではないわけですね。私は決して酒を飲んで運転していいとは言っていないわけですよ。あなた方のものの考え方のズレを言っているのです。たとえば参宮線の事故、これは総裁が就任されてからでありますが、百名をこえる高校生が一瞬にして命を失うという大惨事でした。しかしその機関士にしてもやはり裁判の係争中でしょう。いかんともしがたいです。首を切るわけにもいかない。業務上の過失事件として。ところがあなた方の判断として、何ら損傷事故がない、それは掘り下げていけば重大事故だとあなた方判断されるかもしれないけれども、長岡の問題にしても、新潟の問題にしても、そういうおそれがあったから現場としてそれだけの処置をしているわけです。それをいきなり免職にしてみる、あるいは停職にしてみるとか、大事な仕事をしているからそれはいかんということなら、むしろそれならそれで通達で済むことじゃないですか。一方、人を監督する立場の人が刑事事件を起こしたときには、それに何ら処置をしておらない考え方に、私は大いにズレがあると思うのです。こういう問題はここでいくらやっても仕方がないのですが、たとえば安全運転にしても、それは非常に貴重な財産や人命を預かっているから、もし一たん業務上の事故を起こせば非常に重大ないわゆる重い罰を受けるということで、ハンドルを持っておる運転士が安全運転をすればこれまた停職三カ月とか六カ月だ。何でもかんでも労働者を厳重に処分をして、今度の春闘でも総裁は通達を出されておられるということは新聞に出ておりますが、通達を出しただけでは物事は済むわけではないと思うのです。しかもこの東洋電機の汚職事件というものは、現実の問題としてここに何らかの問題があるわけですから、これに対して容疑を受けたことは申しわけなかった、容疑を受けたこと自体が国鉄の体面を汚したということであるなら、これは処断をすべきですよ。処断をしないならせいぜい五十才までに何ら処断を受けないということに結果的にはなるじゃありませんか。この点はどうなんですか。
  116. 関四郎

    説明員(関四郎君) 繰り返して大へん申しわけないのですが、世間から疑惑の目を向けられるようになったことは、大へん申しわけないことだと深く反省しておるわけですが、まだ内容が全然わかっておりません。それからまた先ほど申し上げましたように、起訴されまして判決があるまでは休職処分にしておくということの規程になっておりますために、そうせざるを得ないわけでありまして、またその間は何といいますか、依願退職ということもできないために、結局円満退職して退職金をもらってゆくというようなこともできないということは、繰り返し申し上げているとおりであります。
  117. 中村順造

    ○中村順造君 この問題は私はやめますが、規程になっている、規程になっていると言われるが、日本国有鉄道法に職員の懲戒の個所があるのですね、これは御存じですか。それではこの規定は適用されないんですか。日本国有鉄道法の職員の懲戒に関する規定は、これはどうです、国鉄職員として国鉄の体面を著しく汚した場合にはこうだと書いてあるが、総裁はそのとおりだと言っておられるが、この容疑者を出したことが国鉄の体面を著しく汚したということ、これは社会通念ですよ。あるいは幹線汚職にしたって、東洋電機の汚職にしたって、汚職をやっておいて体面が上がったわけではない。毎日々々営々として国鉄の輸送業務に携わっておる、何ら物事を知らない、まじめに働いておる四十数万の職員の立場からいえば、私いろいろ各地で聞きますと、ほんとうにばか正直に働く者ほど、こんなばかげたことはない、こういう風潮があるわけです。そうすれば四十数万の国鉄職員に対する影響あるいはまた社会に対する影響、そういう容疑者こそ責任を負うべきだし、その容疑者を出した責任者は責任を負うべきですよ。これは私はたしか工作局の車両課長だと思いますが、全然自分たちは悪いことをしたんじゃないという認識に立つならばとんでもない話です。大臣、どうです、今先ほどからいろいろ申し上げておること。
  118. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 刑事事件で捜査をされた、あるいはそしてそれが起訴になったというような場合に、まずその起訴になる前において捜査をされる、強制逮捕されるということもあるわけでありますが、これが起訴にならないという場合もあるわけであります。不起訴になった場合も、犯罪の事実はありますけれども軽微だから起訴をしないというのと、事実全くなしというので起訴をしない場合もあるわけです。今東洋電機の問題はまだ起訴にまでなっておりません。しかしながら職員が調べられた、あるいは職場が捜査をされたということになりますると、新聞等に出て、そうしてまことに体面を汚したような感じを与えるわけでありますが、総裁も、また関理事も国鉄の体面を汚した、こういうことのないようにしたいと言っておられますけれども、実際はあるいは、もし事実なしというんで不起訴ということになれば、これは体面を汚したことでも何でもないわけです、実際は。したがってその段階まで待たないと、今のまま現在ではどうもできない、こう私は東洋電機の問題は考えておられるんだろうと思います。  それから起訴になりました場合には、これは本人の意に反して休職をする、これはやはり一つの処分であります、減給もされるわけでありまするから。そこで起訴になりました場合はおそらく大体事実があるだろうと、しかしそれが法律に抵触するかしないか、最後の裁判まで持っていかなければわからぬということになって、本人の懲戒処分をするかどうか、これはやはり有罪の判決を受けるまでは無罪だ、というのが今日の近代刑法の考え方でありますので、まあ道徳的あるいは政治的にまことに申しわけない、こういうことになっておりますが、これを犯罪人扱いするのは私は果たしてどうであろうかという一面も考えなければならぬ点があると思います。そうでありますから、刑事事件のために起訴をされたという場合には、これを休職にしておいて、そうしてまだ有罪か無罪かわからないうちに起訴をされたという事実だけで懲戒免職するということは、これは少し行き過ぎではないかということで、これは各官庁どこでもそういうようにいたしておるはずであります。本人が法に触れる、触れぬは別として、この事実がございます、こうでありますということがはっきりすれば、これはあるいは有罪判決にならなくても、法律上は有罪判決にならないかもしれないけれども、その事実自身が国鉄あるいは官庁の名を汚すということでありますれば、これは懲戒の対象にもなり得ると思いますが、こういう事件はまれでありますから、したがってほとんど有罪判決決定後懲戒処分をするという例になっておりますのは、私はそういう理由からであろうと、こう考えております。  そこで有罪判決になったと、それじゃその当時の監督責任者をどうするかということになれば、もう監督責任者もかわっているというので、当時の監督責任者の行政的な懲戒処分というものは意味をなさなくなる。そこで、まあ大体起訴になれば事実があるということで、容疑者に対して監督をしている監督者において、非常に欠くるところがあったかなかったかという点を判断して、監督上の責任を追及いたしております。たとえば本人は常時料理飯食店等に出入りしている、身分不相応な生活をしている、あるいは普通職員としてあるまじき行動をしておったと、そういうことについて事前に十分察知をしておれば、事前に今いったような汚職が防げたであろうというような場合には、私は相当重い監督責任の処罰をすべきである、こう思います。しかしその点非常に監督者として十分な監督をしておったにもかかわらず、不幸にしてそれが事前に発見できなかったという場合には、その監督責任に対する処分はある程度軽減をせられた処分、あるいは戒告とか訓告とかいうことになり得る場合もありましょう。場合によったら、減俸減給等の監督責任も課せられるべきものだと思います。事柄によって判断をすべきものだと思います。東洋電機の問題は今そういう事態と聞いておりまするので、今後その事件の成り行きによって、当局が監督上の責任も追及せられる限りにおいては、私は十分完全な監督責任の処罰をやってもらいたいと、こう考えておるわけであります。
  119. 中村順造

    ○中村順造君 大臣はまあ経歴から見まして刑法に非常に明かるいと思いますが、鉄道関係の内規だとかいろいろ規則だとかいうものは全くおわかりにならぬと思う。これはやむを得ぬと思いますが、鉄道監督局長はたいへんに明かるいと思いますが、これは私が先ほどから総裁なり関理事に話をしておることは、やはり刑法だけの問題でなしに社会的な問題で、あるいは国鉄の部内の規定で、日本国有鉄道法自体に……私はやはり著しく国鉄の体面を汚した場合と再三言っておるが、あなたの考えはどうなんです。
  120. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) ちょっとその前に私、先ほど飲酒をして云々というお話もございましたが、これは国鉄総裁も言っておられますように、やはり機関士というような人命を預かる大事な職に従事しておる者が、配を飲んで運転をするということは厳重に禁止をされなければならぬと思います。そのために事故が起これば刑事事件になりますが、しかし事故が起こらなくても飲酒の状態で運転をするということは、厳に禁止せらるべき事柄だと国鉄総裁の言われるのは、私はそのとおりだと思います。そこで不用意に酒を飲むということもほとんどないわけで、おそらく先般の事件は、ただ何らかのあれでというのでなしに、そういった習慣のあった人であろうかと思いますが、同時に監督責任者も、交代時間直前に飲酒をしているというような事柄を、見のがしておったというようなことであれば、やはりその責任を私は相当強く追及をいたしませんと、やはり国鉄の安全に人命を輸送するという責務に欠けるところがあると思いますから、私はそれは当然であろうと考えております。
  121. 中村順造

    ○中村順造君 それはあとでいいです。監督局長どうです。
  122. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) お尋ねの点は、国有鉄道法の第三十一条に「職員が左の各号の一に該当する場合においては、総裁は、これに対し懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分を」行なうことができるとございますが、その第一項の「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規定に違反した場合」、これに該当するということを申されておるのであろうと存じますが、これはその国有鉄道の体面を著しく汚した場合ということに該当するではないか、お前はどう考えるかというお尋ねであろうと存じます。やはり先ほど来大臣、総裁からお答え申し上げましたように、この刑法に関する近代的な観念といたしまして、有罪か無罪かということは、判決の確定を待ってはっきりするという考え方になっておりますことは申すまでもありません。したがって、それが体面を汚したかどうかということは、やはり有罪か無罪かということがはっきりきまらなければ、それに結びつける断定はできないのじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  123. 中村順造

    ○中村順造君 今の大臣答弁監督局長答弁で私はちょっと。  私は何も大臣答弁に反論するわけじゃないのですがね。酒を飲んで運転することが正しいと私は言っているのじゃない。これは百万人に一人か、十万人に一人か、たまたまそういう不心得な人があったから処分をされた。その処分をしたことが悪いというのじゃない。ただしそれは片手落ちじゃないか。私の言っているのは、大臣、これは何も酒を飲んで運転することは正しいなどと言っていない。一方では何ら事故にもならない。一分も汽車はおくれておらない。しかも監督者がこれに対してちゃんと別な措置をしている。これですら三カ月という重い処分を受けている。一方は一時間十六分汽車がおくれたために首を切られている。こういう厳重な処分をしておいて、片一方の鉄道監督局長は新しい刑法学はこうだ、ああだと言われるけれども、少なくとも私どもの社会通念としては、何かあれは悪いことをした、刑事上のいわゆる刑法に触れるような悪いことをした。これは破廉恥罪ですよ、破廉恥の罪を犯して、その容疑を受けて、その家宅を検察当局に捜査をされるというようなことは、これは名誉ですか。名誉でなしとすれば不名誉ですよ。そうすれば、まじめに働いている、日夜輸送の業務に専念している職員の気持というものは、割り切れないものがそこに残るでしょう。それをどう考えているのか、それに対する責任というものは。あるいは鉄道というようなのは去年運賃を上げた。今度の営業法の改正案も、日本国有鉄道も何らかの他の事業、関連産業に投資をして、そうして国鉄のいわゆる経営をうまくやっていこうという、こういう趣旨の提案をしている。提案の趣旨は私はわかります。わかりますが、一方、外に投資をするということよりも、部内の綱紀というものは一体どうなっているのか。冒頭私が申し上げたように、昭和二十八年にたまたまこの法律と同じ趣旨法律案が出されたときに、やはり鉄道会館問題の汚職が出て、その出資というものはだめだということになった。ところが今度まあこういういわゆる外部に投資をして、いわゆる経営をうまくやろうという考え方に立って提案をされたとき、たまたまそういう汚職があるじゃないか。しかも汚職は東洋電機に終わったわけではない。たったこの間新幹線の汚職の問題をこの委員会でやったばかりであります。そういうことを私は話しているわけであります。この第六条の改正案については、あと二、三私は質問しますけれども、ものの考え方を私はお尋ねしているわけです。あまりに片一方は——破廉恥でないという考え方なら、これは汚職は永久に続きますよ。関連質問もあるようですが、まあ、あと関連質問と一緒に答弁願ってもいいのですがね。
  124. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 先ほどの飲酒禁止の規定に違反して酒を飲んだという事実があれば、私はやはりこれは厳重にやられなければ国鉄の安全な運行というものは期せられないのじゃないか、かように思います。当然であろうと私は思います。これは国鉄の名誉を汚したとかなんとかいうことでなしに、事、人命に関係する問題でありますから、それくらいの細心の注意と厳重な私は規則のもとにやってもらいたいと、かように考えます。  それから汚職事件によって捜査をされた、まだ起訴の段階になっていないという場合に、それがもし事実が全然ないということであれば、私は処分をすることが、これは何といいますか軽率に失したと、こういわれるであろうと思います。したがってその処分を見守ってやるというのが私は至当だと、かように考えます。捜索をされましても全く事実無根ということがあり得るわけです。さようなことでございますと、やはり少なくとも起訴の段階までは待つというのが至当であろうと思います。
  125. 大倉精一

    大倉精一君 関連して伺いますけれども、先ほどから伺っておりますると、起訴中の者はその結論を待って云々というお話があるんですけれども、かりに結果において不起訴になって白になった場合に、この容疑者はどうなりますか。
  126. 関四郎

    説明員(関四郎君) 不起訴になった場合には、その不起訴になった理由によって処分を行なうことになっております。
  127. 大倉精一

    大倉精一君 たとえばどんな理由があると処分をされますか。
  128. 関四郎

    説明員(関四郎君) その辺的確には存じませんが、この不起訴の理由、罪状というか、その内容が軽微であるから起訴猶予にしたとかいう場合に、その罪状によって、それが刑事事件としては起訴猶予になるような軽いものであっても、たとえば非常に国鉄の名誉を著しく傷つけたいというようなことであれば、この場合は起訴猶予になってもやめてもらうというようなこともあり得ると、こう考えます。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 不起訴になって全く白になった場合はどうなりますか。
  130. 関四郎

    説明員(関四郎君) 不起訴になって全く白になった場合には、これは当然復職、普通の勤務に帰すということになると思います。
  131. 大倉精一

    大倉精一君 今から八年か九年前に、地方の一係長だったか課長だったかおぼえませんが、これがやはり物を取り扱っておる役目で収賄の容疑を受けて検察庁の事件になったんですね。幸いにして不起訴になったわけなんです。で、その場合にこの職員は慣例として進退伺いを出させられた。その結果国鉄を退職した。こういう事実があるんですけれども、これとの関連はどうなんですか。
  132. 関四郎

    説明員(関四郎君) その事実はどういう事実に基づいたかは私よく存じませんが、しかしその起訴猶予というか不起訴になった場合に、完全に何もなかったのか、それとも多少何かあったのか、というその事実によって判断されたものと思うわけであります。
  133. 大倉精一

    大倉精一君 これはおかしいじゃないですか。当局の調査、取り調べ中に処分するのは変だと、これはおかしいが、不起訴になればもう何ら国鉄の体面を汚しておるわけじゃないんですから差しつかえないと、こういう答弁がずっとあったんですね。あったんだが、不起訴になって白になっても内容によっちゃあいかんぞと、これはどうもちょっとけじめがつかぬじゃありませんか。
  134. 関四郎

    説明員(関四郎君) そういうふうには申し上げなかったつもりでありますが、私の言葉が足りなかったところだと思います。不起訴になりましてもこれが完全に全然事実無根という場合と、軽微であるから不起訴にする場合とあると思います。この不起訴の中にも内容について非常に種類があると思いますので、この場合の事実がどういうふうになっているか私にはわかりませんですが、不起訴であっても内容によっては、刑事事件として取り上げられなくても道徳的に責任をとってもらうということもあり得る、こう考えております。
  135. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると処分というのでなくて進退伺いを出すと、それによって退職をすると、こういう措置はあるいは慣習があるのですか。
  136. 関四郎

    説明員(関四郎君) その事実は私よくわかりませんですが、しかし処分は進退伺いを出した有無には関せず行なうべきものと、こう考えております。
  137. 大倉精一

    大倉精一君 これは中村君の片手落ちということに関連してお尋ねするのですけれども、どこのだれだということはこの委員会では申しませんけれども、八、九年前にそういう事実があったのです。私はそういうばかなことはないじゃないかといったところが、そういう習慣になっておる、こういうことで進退伺いを出させられて退職させられた、こういう事実があるのですよ。これは軽微なものであっても事実社会的にも道義的にも悪いものだということであれば処罰すればいい。そうでなくて進退伺いを出させるというようなそういう措置がどうも私は不明朗だと思うのですね。そういう措置があるとするならば、単に現場長の裁量によってやられるのか、国鉄においてそういう方針があるのですか、進退伺いを出させるというそういう事実があるのですか。
  138. 関四郎

    説明員(関四郎君) 処罰する場合には、進退伺いを出した有無に関せず罪状によって処罰する、こう考えております。
  139. 大倉精一

    大倉精一君 進退伺いを出させる、そういう慣習があるのですか。
  140. 関四郎

    説明員(関四郎君) 進退伺いを出すとか出さないとかこういうような規定は何もございません。
  141. 大倉精一

    大倉精一君 まあそういう事実があったことも私は知っておるのです。したがって中村君の言うように身分とか何とかによって片手落ちがあるということになれば、これは部内としても相当大きな問題になると思うのですね。ですから汚職についてはもう峻厳な態度で臨んでもらう、特に汚職の問題をこの委員会質問しますと、総裁の答弁はきまっております、文章で書いたようにきまっておる。それ以外に答弁の仕方もないと思うが、やはり問題は当事者の何というか認識の状態です。先ほど運輸大臣が監督者の責任といっても、たとえば料理屋に行って飲んでおるとか、何とかいう事実があればいかぬが、ちゃんと監督しておっても、できたものならしようがないというような意味の発言があったのですけれども、監督者の責任というものは、こういうような汚職犯罪が発生したという結果については一つの責任があるわけですよ。いかに客観的に十分に監督しておるように見えておっても、事実この中から容疑者が出た、この結果的な現象に対して私は監督責任があると思うのです。その点について総裁いかがでしょうかね。私は監督をうまくやったらいいとかいうことじゃないと思う。
  142. 十河信二

    説明員(十河信二君) 多くの場合において、今お話のようなことがあるいは事実であったということになるかもしれませんが、全然事実のない、間違って疑惑を受けたというふうなこともあり得ると思います。そこで私は疑惑を受けるような機会をできるだけ作るなということを戒めておるのであります。疑惑を受けるような機会を作るなと、何ら事実がなくても疑惑を受ける場合もあるから、そうすれば国鉄の仕事をする上において非常な不都合が生ずるから、そういうことをしてくれるなということを戒めておるような次第であります。これはまあ人間のやることですからいろいろな場合がありまして、全くきれいな清い心で清い行ないをしておって疑惑を受けるということも、必ずしもなきにしもあらずだと思います。そういうふうな疑いを受けるような機会を作るなということを戒めて、われわれは反省をしております。
  143. 大倉精一

    大倉精一君 私のお尋ねしていることと少し答弁が違うのですけれども、私はこの際監督者の責任というものも合わせて峻厳に行なってもらいたいと思うのです。それは一般下僚の人々はいろいろな間違いも起こすでしょう。起こすでしょうが、要は監督者の責任です。これを客観的に見てうまいことやっておったから責任はないのだ、あるいはどうもあれはたびたび料理屋に行ったらしいから責任があるのだ、こういうことで私は監督者の責任は差別すべきものではないと思う。そういう容疑者、犯罪者を出したという事実それ自体に、監督者の責任というものは私はあると思うのですね。そういう厳格な態度をとっていないと、私はやはり逃げ道があるのじゃないかと思います。運輸大臣どうでしょうか、先ほどのあなたのお話によると、料理屋に行ったりなんかしたという事実があれば仕方がないが、まじめにやっておったからいいとか、監督者としては客観的にはそうであったかもしれませんけれども、この中から重大な事故が発生して、あるいは容疑者、犯罪者を出したそのこと自体にやはり監督者の責任があると思うのですがね。
  144. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) これは非常にむずかしい問題でして、まあ以前は監督者は無過失の責任を負うというくらいに考えていたわけです。最近は監督者といえども一体無過失責任を負わせることはどうであろうか、という議論さえも一部に出ておるわけであります。しかし、はたして無過失であるかどうかという点は、厳密に検討をされなければなりませんが、実際問題として無過失の場合にはどうかという問題が現にあるわけであります。そういった議論とやはり綱紀を保つという面と両々相待ちまして、まあ厳密な意味の無過失責任でなくても、通常監督者としては、その程度の責任を負わなければなるまいというような場合に、責任をとるために懲戒処分をいたしておるというのが現実の例であります。
  145. 大倉精一

    大倉精一君 大臣は無過失責任を問うという専門語を使いましたけれども、私はそういう法律を作れと言っているわけじゃないのですよ。監督者を処罰する法律を作れと言っておるわけじゃない。これはあくまで国鉄の内部の人事運営の面ですね、問題は。ですから法律上それは監督者の責任云々ということとは意味が違うのであって、内部の人事運営、人事措置の面において監督者の責任というものは厳に追及すべきだ、こういうことを申し上げておる。汚職が絶えないという点については、これは原因があるでしょうが、そういう点も十分これは厳格にやる必要があると思うので言っておるのですが、総裁いかがでしょうね。先ほどこの御答弁はなかったのですが、監督者の責任について、これはもう客観的に監督者の態度云々よりも、どの程度の段階の監督者か、これは問題があるとは思うのですけれども、直接監督の責任のある者、その監督者の中から重大事故が起こる、あるいは汚職が出る、あるいは容疑者が出る、あるいは国鉄の体面を傷つけるような問題を起こしたときに、その結果について私は監督者が責任を負うべきものだと、こう考えるが、いかがですか。
  146. 十河信二

    説明員(十河信二君) そういうことも考えまして、東海道新幹線の汚職の場合に、先ほど申しましたような監督者に対する処置をとったような次第でございます。
  147. 大倉精一

    大倉精一君 特にその点について、厳格に国鉄内部において人事措置として汚職に対処される、あるいは事故に対処される、こういう工合にひとつやってもらいたいことを要望しておきます。
  148. 中村順造

    ○中村順造君 まあこの汚職等の処分の問題については非常に感覚がずれておるから、幾ら言ったってむだだと思いますがね。一言だけ私、言っておきますが、たとえば中学校で百円の金がなくなった、しかしなくなったために、それをとったという容疑をかけられて、まだいたいけない少女が自殺したというようなことも新聞記事に出ておるわけですよ。どろぼうの容疑をかけられたから私は恥かしくて生きていけないというので、まだ十才余りの子供が自殺をする。それだけ人間の良心というものは私は純なものだと思うのです。ところが今いろいろ国鉄当局のお話を聞いておると、容疑者だからそんなものは何でもないのだ、申しわけないことは申しわけないけれども最後は白だ、監督者については厳重処分をした、処分をしたって、懲戒というのは処分じゃないのです。戒告以上が処分ですよ。訓告をしたとか懲戒をしたとか厳重処分をしたというが、こういうことは処分じゃない。休職ももちろん処分じゃないのです。そんなからくりで、しかも容疑者であるから白か黒かわからない、起訴されるかどうかわからないと、いろいろな言い回しをしておるけれども、東海道の新幹線は現実に起訴されておる。私はこれ以上こんな議論はしませんけれども、もう少し物事を良心的に、やはり清純な気持で受け取らなければ、百回通達を出したって同じことですよ。生じめに黙々と働いておる人がばかをみるだけで、その点をもう少しあなた方の時代感覚というか、良心的な感覚を持っていただきたいと思うのです。これは私の要望です。  それから国有鉄道法の本論に入りますが、「密接に関連する運輸に関する事業」とこう書いてあるのですが、これを政令で定めるとあるのですが、これはどういうものですか。これは総裁でなくてもいいのですが。
  149. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 目下のところでは臨海工業地帯における臨海鉄道事業というものを考えております。世上あるいは倉庫業等に投資するのじゃないかというようなこともいわれておりますが、運輸省といたしましては、この対象事業は改正法案で明らかなように政令できめますので、目下のところでは、政令で定める対象事業としては臨海鉄道だけを考えておる次第でございます。
  150. 中村順造

    ○中村順造君 これは簡単な法律ですから、ただ精神条項だけわかればいいようなものですから、質問も簡単にいたしますが、この投資額は予算で定めるというのですが、これはどういう規模ですか。大体何パーセントぐらいになるのですか、投資額を予算で定める規模というものは。
  151. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 三十七度予算案には七億円計上してございますが、そのうち五億は帝都高速度交通営団に対する出資金でございます。あとの二億をこの改正法案の成立を予定いたしまして臨海鉄道に出資したい、かように考えておる次第でございます。
  152. 中村順造

    ○中村順造君 私はもう少し大きな予算かと思いましたが、二億だといえば、なんですが、大体問題は、いろいろ民営の圧迫だとか、倉庫業にしても、臨海鉄道にしても、そういうことをいわれると思いますが、国鉄の経理内容が乏しい、乏しいということをいつも主張しながら、あえて他に投資をするだけの余力があるというふうな見方をされるおそれがあるのじゃないかと思うのですね。これは私どもの手元に入っておる資料にもそういう陳情書がきておるのですが、その点に対する啓蒙だとか、あるいは十分理解をしてもらって、また将来協力してもらわなければならない面も出てくると思うのですが、そういうものの考え方についてどうお考えでしょうか。
  153. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 御承知のように日本国有鉄道そして目下のところ最大の仕事は、新五カ年計画の完全な遂行にあるわけでございまして、そのためには九千七百五十億円という膨大な資金計画を持ちまして懸命にやっておるわけでございます。しかしながらこの新五カ年計画のスケールにいたしましても、もう出発当初から相当批判がございまして、今の経済の成長の伸びに対しては小さ過ぎる、こういうふうな非難もございましたように、われわれといたしましては何とか、これも大臣がしばしば国会で言明しておりますように、繰り上げ投資して、なるべく経済成長の阻害にならないように日夜苦心をいたしておりますが、そういったところへもってきて、また臨海工業地帯の大規模な造成というものが急激に起こって参ったわけでございます。概算、全国各地で予定しております臨海工業地帯における臨港鉄道の整備に要する経費は、二千億あるいは三千億とも推算されております。もちろんそれに関連しまして、既存の鉄道施設にも大きく影響を持つものでございまして、たとえば既設の幹線の複線化を、今の五カ年計画以上にもっと大幅に取り上げなければならないという事態も起きて参りましょうし、あるいは操車場につきましても、新五カ年計画以上の考え方をもって対処しなければどうにもならないというこにもなりますし、要するに新五ケ年計画で手いっぱいのところへもってきて、それ以上の大きな資金的に負担のかかる仕事が目の前に迫ってきて、日本経済の健全な発展のためには、これを何とか国有鉄道としてはさばかなければならない、こういう事態に直面しておるわけでございまして、そこで今お願いしておりますような方法をもって民間資金の動員と相待ちまして、若干の国有鉄道からの出資をすれば、それだけ実資的な資金源のワクを拡大することができまして、そうして当面の大きな要請にこたえ得る方法が出てきた、こういうふうにお考えいただければ、新五カ年計画遂行に非常に資金的に困っておって、一億、二億の金でも惜しいところであるにもかかわらず、さらにこれに出資するのはどういうわけであるかという疑問に対しては、そういうふうに若干の出資によって、実質的に事実上相当大きな仕事ができるような資金ワクの拡大ができるんだ、そうして当面の重要なる政策の要請に応ずることができるというふうに御解釈いただければいいのではないかと考えております。  また従来しばしば指摘されておりましたように、国有鉄道の遊休施設の活用についてはいろいろ御批判がございまして、もっと国鉄の財政に寄与できるような有効な方法を考えるべきだというふうなこともいわれておりますので、そういった観点からいたしますと、最も的確なる活用方法というものは、やはり若干の出資をいたしまして、資本的なコントロールをある程度用いてこそ、初めてそういう御要望にもこたえ得るという判断に立ちまして、今回運輸省といたしましては、そういう国鉄の経営政策から出てくるものが、同時に運輸行政から見ましても妥当であろう、こういう判断に立ちましてこの法案をお願いしているわけでございます。
  154. 中村順造

    ○中村順造君 それは今説明と実際の金額とはあまりかけ離れているから、それだけ雄大な構想に立っておるのだが、それは将来のある問題だからそれは将来の問題としていいのですが、もう一つお尋ねしますが、高速度営団に五億出資する、高速度営団というのはたしか私は赤字だと思いますが、それはどういうことになるのか。赤字のものに対してもやはり出資をしなければならぬ根拠があるのか。  それからもう一つ、去年の三十九国会で、国庫預託制度のあの不合理な点が若干前進の形で解決を見たと思いますが、その後の経過はどうなっておりますか。
  155. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 帝都高速度交通営団は、昭和十六年にできました帝都高速度交通営団法に基づいて設立されました、特殊法人であります。その法律の中に、たしか第五条であったと思いますが、出資者がきめられておりまして、東京都及び国有鉄道に相なっております。で、国有鉄道は毎年出資を重ねまして、再評価を含めまして現在来年度の出資金を含めますと、約八十億円に相なるかと存じます。これはこの改正法案でお願いしておりますように「他の法律に定めるものを除くの外」とありますが、この他の法律で定められた場合の唯一の例でございます。で、これは設立当時は、日本国有鉄道、東京都、それから関係地方鉄道、私鉄でございますが、その三者が出資者を構成いたしておりまして、その三者の果たすべき都市交通機関としての使命から申しまして、その三者にかわって統一的な一体的な機関として地下鉄の建設運営にあたるということでございましたので、そういう出資の構成がよかろうと判断されてそうなったのでございますが、終戦後は占領軍の指導によりまして民間の出資は削られております。それは特に政府資金を受けるという関係から、民間の出資のある法人では困るという理論から出たように私は記憶いたしておりますが、現在は日本国有鉄道と東京都だけに相なっておるわけでございます。毎年その程度出資いたしております。  それからあとのお尋ねの日本国有鉄道法の一部改正をいたしまして、国鉄の預託金をもっと合理的に運用するということにつきましては、おかげで直ちにこの債券を買い入れまして有利な運用をいたしております。具体的には大蔵省の非常に好意的な協力もございまして、短期国債すなわち食糧証券、外為証券といったものを買い入れておりまして、大体その当時申し上げたような利益を上げておるようでございます。
  156. 中村順造

    ○中村順造君 大体その趣旨はわかっておりますから、日鉄法についての私の質問はこれでやめますがね。ただいろいろ今お話のあった高速度営団なんかの出資なんかも、国鉄経営の健全性からいえばやはり問題があるんじゃないか。出資をしてどういう運用をされておるかということまで詳しく承っておりませんが、私は承る気持もないのですがね。やはりあくまで経営の健全性からいえば、不合理なものはどんどん切っていくということで、そして、もし、かりに改正案が非常に合理的なものだということなら、合理的なものを伸ばしていくということでなければ、やはり従来の惰性があるから不合理なものでもそれは存続してやっていく、法律で縛られておれば法律を改正して、やはりどうしてもどこかの機関が出資をしなければならぬとすれば、これは国がやればいいのであって、国鉄のいわゆる公共企業体独立採算という形で、そういう不合理なものを存続する必要がないので、こういう点は運輸省としては非常に将来検討されると思いますから、この点要望して私の質問を終わります。
  157. 天埜良吉

    天埜良吉君 お尋ねしますが、この日本国有鉄道法の改正によって、今回投資条項を三点に拡大されるということのようです。で、第一番が「日本国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行なう事業」二番目が「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業」ということになっております。三番目「その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」と分かれておるようですが、各三つのそれぞれについてどういうようなふうに考え計画をしておられるか、政令できめられるとなっておりますが、その辺をお伺いしたいと思います。
  158. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 「日本国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行なう事業」、これは現在すでに広島のバスセンター株式会社に二千五百万円投資いたしております。これは当然今度の改正案の成立を見ました場合には、対象事業として政令にはっきり書きたいと存じております。それからその前に「輸送施設の運営を行なう事業」でございますから、バスターミナルだけでなくて、トラックターミナル事業とも考えられるわけでございますけれども、これは対象事業としてあげるという考えは目下持っておりません。すなわちその必要も目下起こってないわけでございます。  それから「日本国有鉄道の運送事業と直通運輸を行なう運送事業」でございますが、これはつまり車両の直通運転を行なっておりますところの地方鉄道事業でございまして、先ほど来申し上げております臨海鉄道はこの条文に該当する地方鉄道事業でございまして、これを政令の対象事業としてあげたいと、かように考えておるのであります。  「その他これらに準ずる日本国有鉄道の運送事業と密接に関連する運輸に関する事業」と申しますと、観念的にはいろいろ考えられるわけでございますが、目下のところでは先ほど申し上げ二つ以外に政令としてきめる考えは持っておりません。
  159. 天埜良吉

    天埜良吉君 それで今のこれらに準ずる日本国有鉄道の運送事業の件については、一般運送事業については政令に載せないというようなお考えだということを聞きましたが、相当一般運送事業に国鉄が大きな投資をするということになりますと、非常に走行関係のことにも関連をいたしますが、この点は特に慎重に調整をやられるように希望いたします。
  160. 大倉精一

    大倉精一君 一言だけお伺いしておきたいのですけれども、いっか国鉄の要員対策委員会でありましたか、あすこからちょうちん型の人員構成を改めろというような趣旨の勧告があったと思うのですけれども、これに対する当局の考え方というものはどうなんですか。
  161. 十河信二

    説明員(十河信二君) ちょうちん型の人員構成はちょっと異常な形でないということで、要員対策委員会からいろいろ意見が出ておりますが、今日のところこうしたらいいという、その対策に対する意見が出ておりません。われわれといたしましては、今のところこれをどうしたらいいかということの考えはきまっていない次第でございます。今後さらに研究はいたして参りますが、ただいまのところはどういうふうにしたらいいという対策はきまっておりません。
  162. 大倉精一

    大倉精一君 私はあまり勧告を見まして驚くべき勧告が出たと思っておるのですよ。これでは長年の間国鉄職員として誇りを持って国鉄のために働いてきた職員が、経営合理化とかなんとかいうために犠牲にならなきゃならぬということだけで、ちょうちん型だろうが三角だろうが、そういうむちゃなことは総裁はおやりにならぬと私は信じるのですが、意見が出ていないというお話でございましたけれども、私は総裁の人格からして、そういう国鉄のために尽くしてきたところの職員をちょうちん型ということでもって整理するような、そういう無軌道はおやりにならぬと思うのですがいかがですか。
  163. 十河信二

    説明員(十河信二君) お話のとおり国鉄に尽くしたベテランでありますから、これを整理してやめさせるというようなことを考えておりません。
  164. 大倉精一

    大倉精一君 じゃあきょうはこの程度にしておきます。
  165. 村松久義

    委員長村松久義君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時五十六分散会      —————・—————   三月二十二日本委員会に左の案件   を付託された。一、日本国有鉄道法の一部を改正する  法律案(予備審査のための付託は二  月三日)