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参考人(落合健二君) 私
日本トラック協会の専務理事落合でございます。
ただいま
中村参考人から詳細にわたりまして、数字をあげられて、同じ
貨物輸送の分野において御説明がございましたので、私は
日本トラック協会の−−
日本トラック協会と申しますと、
トラック業界の全国の中央団体でございますが−−その
立場から、要点をかいつまんで、
トラック協会といたしましての主張を申し上げたいと思います
私どもの
協会が去る二月七日総会を開きまして、本問題、
都市交通規制に関する問題に対しまして、この
規制に関する反対の決議をいたしまして、情勢に従いましてなお反対の運動を強化していくという重大なる決意をもってこの問題に対処するという決心を固めた次第でございます。
その
理由とするところは、まず第一に、先ほど
中村参考人も申されましたが、
トラック運送
事業というものは
産業経済に密着している。この
産業経済に密着している重要なる
事業に対して、まず最初に
トラック運送
事業を重点とするか、あるいは
トラック運送
事業に偏向した
規制をするということに相なりますると、国民生活と申しますか、
東京から申しますと都民の生活に重大なる
影響があるということが一点でございます。
次は、これも先ほど申されましたが、
トラック運送
事業というものは非常に
輸送の効率の高い
輸送機関である。いわゆる大型化しておりますが、それによって
輸送の効率を上げておる。そういう効率の上がる
輸送機関を排除して効率の低い
輸送機関にかえるということは、これまた絶対に反対であるということが第二点でございます。
第三点といたしましては、警察庁、警視庁の申される
夜間運行に切りかえることができるのが営業用の
トラックであるという
考え方に関しては、まっこう的に反対いたしまするのでございまして、これは
中村参考人が申されましたように、現実の問題といたしまして不可能な問題でございまして、これまた
夜間運行に切りかえるということに対します反対、おもな点はその三点でございます。
第一の、
産業経済に密着しているということ、これは数字的にも
中村参考人から申されましたが、大体
トラック事業というものは、
東京都を例にとりますと、営業用において四〇%
東京の月間の
輸送量を運んでおります。これは非常に次の
輸送の効率にかかわる問題でございますが、わずかの
車両、いうならば全
車両の約二二%といわれておりますが、それだけの
車両で約半分に近い
東京都民の
物資を運んでおる、こういう非常に
産業に密接しておる
輸送機関である。大体
産業経済と申しますものは、いろいろの歯車でうまく回っているのでございまして、この
輸送の動脈である
輸送機関に
規制を加える、歯車をとめるということになりますると、
交通麻痺という問題ばかりじゃなくて、
産業麻痺と申しますか、
産業経済の麻痺状態、大きくいえばそういう問題に逢着するのではないか、そういう点でこの問題を取り上げておる次第でございます。
輸送の効率という問題も、先ほど申されました点に尽きるのでございますが、大体世界各国の
輸送状況を見ましても、いわゆる大量
輸送機関というものの発達ということがアメリカなどにおきましても非常にいわれておるのでございまして、アメリカの
トラック事業というものも御承知のとおり非常に大型化しております。これがつまり狭い所で非常に有効に車を動かすという問題にぶつかっておるのでありまして、これは
産業経済上自然に起こってくる問題でございまして、こういう現実の事実を無視するということは、非常に時代的の錯誤ではないか、そういうことを考えておりまして、特に池田内閣というものが非常に
経済成長の政策といいますか、生産の成長というものを取り上げられておられるにかかわらず、こういう効率のある運送機関というものを
規制するということは、池田政策自体の矛盾ではないかという点をわれわれとしては取り上げておる次第でございます。
第三の、
夜間に転換ができる
輸送機関であるということは、だれがお考えになったのかわかりませんが、これは警察当局などがお考えになったとするならば、これは非常なる大きな間違いでございまして、大体われわれといたしましては、大体の
輸送というものは、普通の状態でございますと、われわれは昼間約六、七割の
輸送をやっておったのでございます。それをいろいろの運輸省の行政指導と申しますか、そういう行政指導によりまして、私どもは
夜間に
輸送を切りかえていくという
努力をいたしまして、現在においては、
夜間が約六割の
輸送をやっております。これは私ども
業界の自主的な何と申しますか、
努力によりまして、そういう転換をして参ったのでございまして、これ以上の
努力ということになりますると、先ほど申されましたように、
荷主との問題あるいは
労働の問題、その他大きな問題の壁にぶつかってくるということは、すでに皆様先刻御承知のことだろうと思うのでございます。
こういうような三つの問題を私どもは掲げまして、反対の大きな柱としておるのでございます。
大体におきまして、警察庁と申しますか、警視庁がわれわれのほうの
規制ということをお考えになったことと思いますので、運輸省御当局に関しましては、いろいろの御
意見もあると思いますが、こういうことを大体警察自体で行なうということが、われわれにとっては非常に疑問なんでございます。と申しますのは、警察というものは、大体におきましてこういう
経済上の権益といいますか、そういうものを大幅に
規制するという権限はないのではないか、そういう面に関しまして非常に私どもは疑問を持っておるのでございます。これを広く大きく申しますと、
経済上において擁護されておる権益、たとえば営業の自由とか、職業の選択の自由と申しますか、あるいは財産権の侵害を排除するという問題、あるいは法律の上で平等であるという観念、そういった問題はまずさておきまして、いわゆる警察が準拠法律と考えておられます
道路交通法の問題を取り上げてみましても、これは第七条でございますか、に、
交通の円滑のために
自動車の
運行規制ができるという条文があるようでございますが、この立法の趣旨というものは、こういうような大きな営業権の
制限ということを含んでおるものではないと私どもは解釈しております。警察法上のいわゆる不作為の義務と申しますか、そういう最小の
規制をするということがあの条文にあるのでございまして、広く昼間を
規制するというような大きな運用上の権利、たとえて申しますならば、私どものほうは、運輸省から路線
事業にいたしましても免許
事業としてこれを免許されておる。これはある意味の職業選択の自由に関しまして
制限を受けておるのでございますが、そういった営業権をもらっておる
事業に関しまして、単なる警察だけの見解によりましてこれを
規制するということは、やはり大きな法律上の問題ではないか、私法律の専門家でございませんので、これは議員の皆様などに十分御検討をお願いいたしたいと、こう考えておる次第でございます。しかしながら、私どもといたしましても、
交通規制という問題が現在の段階において全然要らないということを考えておるのではございません。
交通規制というものはもちろん必要でございますが、ものには順序と申しますか、一つのプログラムがあってしかるべきものではないかと思う。順次手のつくところからこれを
規制を広げていくというのが大きな問題として取り上げられなければならない。それで、私どもとして考えております
交通混雑に関する対策として、私どもは私どもなりに一つの
意見を持っておるのでございます。
まず第一に考えますのは、行政指導というものをもう少し強化していただきたい。何ごとにも権力によってこれを
規制しようという観念は、戦後の日本の国においてはないはずなのでございまして、特に警察力を使ってこれを強力に
規制するというような
考え方をまず排除してもらいたい。行政指導の強化と申しますのは、まだ行政上にいろいろの処置ができるのではないかという観念でございます。まず言うならば、自家
用車を例にとりますると、法律上の
規制でなくても、自家用のいわゆる使用の調整と申しますか、たとえて言うならば、現在では学生が自家
用車に乗って学校に通学する、あるいは変な話でございますが、銀座辺の女給さんたちまで自家
用車を持っている。こういった問題は、何らかの指導によってこれを
規制していただくということもできるのではないか。あるいは、その他行政上におきましても、自家
用車などに対しまして、不急不要の
輸送機関というものを、現在の段階においてはその使用というものに対して配慮を払うという勧告あるいは指導ということが、もう少し熱意を持って行政管理庁において行なわれてしかるべきものではないかということをまず考えております。ともかく、何でもかんでも一つの権力と申しますか、警察権力においてこれを押えていくということは、何でもできる−−、営業権もある程度大きく剥奪をすることができるということは、現在の民主国家におきまして、はなはだ不合理な面を露呈しているのではないかというような観念がいたします。
それから路上駐車というもの、これは現在の法規上においても不法なる路上駐車というものは十分に取り締まっていただくということができるのではないか。これは御存じのとおり、銀座その他裏町に参りますると、ものすごい路上の不法駐車がございます。これを警察に申しますと、非常に警察官が足りないということを御説明になりますけれども、大体、
東京の
交通に関する警察官は二千二百名と聞いておりますが、この二千二百名で足りないとするならば、こういう非常事態でございますので、国家の金と申しますか、国家が援助してこういう
交通関係の要員をふやすとか、あるいは非常に機動力をつける機械を買うというようなことは、世界各国の例から申しましても十分考えられることなのでございまして、いたずらに営業権を
制限するというような前に、もう少し国家といたしましてそういう方面に
資金を投入するといいますか、
努力を惜しまない、こういう不法的なものを排除するということに十分御配慮を願いたい。そういうことを考えております。
それから、現在無免許の運転というものが非常に多いといわれております。これは人によりましては一割以上ということもいわれておりますが、これら無免許の運転手を判別できないという
関係において、手をつけておられないようでございますが、これも何らかの形において正当なる免許を持っている人を表示するということができないはずではないということを私どもは考えております。
次に、車庫の
規制という問題がございます。この車庫の
規制という問題は、
交通緩和に全面的にどれだけ役に立つかということ、いろいろ論議をされているようでございますが、少なくとも
自動車を持っている人が車庫を持つということは通常の観念でございます。したがって車庫というものを
一般的に持たせるということは、これまた不可能な問題ではないのではないか、特に私どもの
業界といたしましては、このもぐりのつまり不法営業をやっておる
トラックというものはほとんど車庫を持っておりません。そういう
関係から申しましても、私どもの
業界といたしましては車庫の
規制ということを強く主張いたしておる次第でございます。とかく私どもといたしましては今回の問題に関しまして、警察御当局というものは、自分だけで責任を持って、自分だけでやるというか、功をあせると申しますか、自分の責任でやるというような観念をある程度お捨て願いたい。と申しますのは現在の
交通の混雑というものは単に警察の責任ではございません。警察は非常に御苦労なさっておられることはよくわかるのでございますが、これはもちろん通産省の問題、
車両の生産の問題ということもありましょうし、あるいは運輸省の免許行政という問題もございます。そういったものを総合いたしまして内閣の責任においてこういうことは行なわなきゃならない、単に警察にまかせて警察は車の流れということだけから御判断になる、
規制行政というものがはなはだ変な形になっておるということを私ども痛感いたしております。どうか本運輸
委員会その他御協力願いまして、こういったようなわれわれにとって、われわれにとってと申しますか、われわれの考えるところの不法なる
規制ということは排除されまして、合理的な
規制ということで
都市の
交通緩和ということをお進め願いたいとお願い申し上げ、口述を終わりたいと思います。