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1961-12-12 第40回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月十二日(火曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    理 事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            大倉 精一君    委 員            井野 碩哉君            鳥畠徳次郎君            野上  進君            平島 敏夫君            中村 順造君            大和 与一君            松浦 清一君            加賀山之雄君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    大蔵省主計局主    計官      海堀 洋平君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    日本国有鉄道常    務理事     関  四郎君    日本国有鉄道工    作局長     宮地健次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営等に関する件)     —————————————
  2. 天埜良吉

    ○理事(天埜良吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。質疑の通告がございますので、この際、御発言を願います。
  3. 中村順造

    中村順造君 国鉄検修問題ですが、これはこの春でしたか、本委員会で、私は国鉄滝山理事出席をされた際に、あらかじめ今日の事態が想定をされるので、そういうことのないようにということで、一応注意を喚起する意味から、お願いをしておったわけですが、遺憾ながら私がこの春当時心配をしておったようなことが、国鉄の部内で起きておる、こういうことで、きょうはその点についてひとつ若干の質問国鉄にしてみたいと思うのですが、まず、国鉄動力近代化中心にして、国鉄が今計画をされておる昭和五十年を見通してのいわゆる検修方式ですね、こういうもので中間的な結論到達をし、さらにそのことが一部では実施をされておる段階のようですが、一体そういうことについての、一応どこからそういう考え方が出たのか、それから中間的ないわゆる結論到達をしたというが、その大まかでいいですから、そういう点の概略を、ます報告をしていただいて、それから質問をしたいと思います。御報告をお願いしたいと思います。
  4. 関四郎

    説明員関四郎君) お答え申し上げます。動力近代化委員会というものから、国鉄に三十四年の六月にそういうような委員会答申をいただきまして、この答申によって国鉄蒸気機関車を順次電気またはディーゼル運転というように、蒸気運転を電化またはディーゼル化していくということをきめたわけでございます。それは、動力近代化委員会がどうして起こったかという、もとにさかのぼるわけでございますが、欧米鉄道の例を見ましても、鉄道が従来何ら企業努力をしなくても非常に需要があった場合と比べまして、自動車とか航空機輸送が非常に激しくなってくるということになりますと、これをある程度輸送方式を変えるとか、または煙をなくするとか、能率を上げるとかいうことをいたしませんと、鉄道というものが、なかなか存在し得なくなるというのが、アメリカの実情または欧州の国々の実情から見ましても、これはまだ前例が目に見えているというようなことでございまして、これには何らかの対策をとっていかなきゃならない、それから一方において所得倍増計画というようなことが三年くらい前からいわれておりまして、その場合に、やはり国民所得というものは産業の伸びにつれて次第に増加してくる、この場合に、国鉄鉄道というものはどうなるか、この鉄道事業というものが将来伸び得ない事業である場合には、その職員給与というものをどうやって上げていくかということは非常に問題でございまして、現に欧米では鉄道従業員の人数を減らすとか、機械化とか合理化とかということを非常にやっているのを見ているわけでございます。幸いにして日本鉄道ではまだ人口の密度、その他の点でもって貨物需要及び旅客需要というものはかなり伸びております。しかし、実際に自動車とか航空機とかの関係または船の関係から申しまして、鉄道における何と申しますか、負担の度合いは次第に少なくなっている。しかし絶対の輸送量だけはふえてきている。こういうような状態でございます。こういう機会動力近代化、その他の輸送方式近代化、いろいろの施策を講じて、職員一人々々の生産性といいますか、一人当たり輸送量というものを上げていくということが、どうしても必要だ。そういうことなしでは、どうしても職員給与を上げていく、ベース・アップということは不可能であるというとは、これは申すまでもないことでありまして、そういう見地から、どうやったら一人当たり輸送量を上げていけるか、また一方には勤務時間の短縮というような問題も、これは将来を見通しますと必至に出てくるというようなことも考えますと、どうしても一人当たり生産性を上げ、勤務時間が短くなってもなおかつ一人当たりの一日の生産量というものを上げていくということは、これはどうしても努力していかなければならないことだと、こういうことになるわけでございます。その一番の、鉄道経営改善といいますか、近代化の最も背骨になるのは動力近代化でございます。動力近代化をいたしますと、蒸気機関車は今申しましたように電気機関車電車またはディーゼル機関車ディーゼル動車、こういうようなものに変わっていくわけでありまして、こうなりますと、御承知のように構造的に全く違うわけでございます。蒸気機関車ボイラー火床がございまして、火床に石炭をほおり込んでボイラー蒸気を出して動かす。ところが、ディーゼル動車は、これは内燃機関になっておって、燃料を直接シリンダーで燃焼してその力で走る。また電気機関車ですと、外から電気をとって走るというようなことで、構造的に全然違いますので、これを検査する技術または製造する技術、こういうものも全く変わってしまいますし、また、これを修繕するというようなことももちろん非常に変わってくる。そういたしますと、こういうものが大体動力近代化調査委員会では、昭和五十年度には蒸気機関車が全くなくなって電気またはディーゼル機関動力車だけになるということになりますというと、これに対して直接運転します機関区とか客貨車区、電車区、こういうようなものの体制またはこれを修繕する工場体制というものが内容がすっかり変わってしまうわけでございます。これが変わる機会に、これを新しい体制にどうやって切りかえるか、しかも、この機関区とか工場なんかの修繕設備というものは、これは従来のようなたとえばボイラー修繕する設備のかわりに電気機械またはディーゼル・エンジンを修繕するような機械を据え置かなければならないとなりますと、これに対してやはり新しい投資が要る。この新しい投資をどのように少ない投資でもって一番効果を現わすようにするか。またそれと同時に、車を一番能率よく運用するにはどうしたらいいか。これの両方の見地から比べまして、一番国鉄の費用が少なくて車もたくさん走るし、それから一人当たり輸送量というものを増すというにはどうしたらいいかということを種々検討したわけでございます。それで、昨年の五月にこの国鉄の中に車両検修委員会というものを作りまして、これによってこの体制を約一年半にわたって協議しました結果、決定を見たものでございます。それの内容概要を申し上げますと、現在車両としましては蒸気機関車が約四千両、それから電気機関車が八百両、それからディーゼル機関車が二百両、合計約五千両の機関車がございますが、これが昭和五十年度には電気機関車が二千三百五十両、それからディーゼル機関車が二千三百六十八両ということで、合計で四千七百両余り機関車になる。だから機関車の絶対数は減るということになるわけです。それにかわりまして、現在約四千四百両余り電車がございますが、これが一万二千六百六十六両というような電車になる。それからディーゼル動車は二千五百両ばかりございますが、これが五千七百両ぐらいのディーゼル動車になる。それから客車は逆に今一万一千両余りありますが、これが五千両足らずに減ってしまうというようなことで、結局旅客車といいますか、今の電車ディーゼル動車客車を合わせますと、旅客車というものが現在で一万八千両ございますが、これが二万三千両ぐらいにふえるというようなことでございまして、これによって、ふえます輸送量に対応していこうと、こういうような計画でございます。これによって、先ほどこれの報告概要というお話がございましたが、これについては工場が現在二十七工場ございますが、これを十六工場に減らす。それから工場の一部はこれはもっと規模を小さくいたしまして、整備所という名前でこれは八カ所になる。それから機関区、電車区、機動車区、客貨車区、これを今合わせますと二百三十の区がございますが、これを統合いたしまして検修用——検修というのは検査修繕ですが、検査修繕をやる区といたしましては、約半数の百十六カ所にする。もちろんこれは修繕をしたり検査したりする場所でございまして、このほかに乗務員が詰める区というのは別でございますが、とにかく現場検査をする区というのは約半数の百十六に減らす。こういうような構想で進めるということで、それの具体的な場所車両検修委員会でもってきめたわけでございます。
  5. 中村順造

    中村順造君 逐次具体的なものを聞きますが、今お話の中で、国鉄近代化合理化というのは、その背骨になるのは、やはり動力近代化である。こういうまあ説明だったですが、その点は私もうなずけるのですが、背骨動力近代化なら、背骨でないいわゆるほかの近代化というものはどういうものを考えているんですか。
  6. 関四郎

    説明員関四郎君) たとえば輸送方式近代化というような名前をつけておりますが、そういう名前が当てはまるかどうかわかりませんが、たとえば旅客輸送というものは、大体これは動力近代化に伴うわけでございますが、ほとんど大部分電車またはディーゼル動車によって旅客輸送をやろう、そして旅客密度に応じまして、これをたくさんつないだり、分割して少ない編成で走ったりというようなことを自由自在にやれるようなふうにして、輸送量に応じた弾力性のある輸送方式をやろう、また貨物輸送については、従来の駅は大体四キロから五キロくらいの間隔で駅があるわけでございますが、これは荷馬車または荷車を小運送として使った時代のままでございますから、これが今トラック輸送になるようになりました場合には、これを十倍の四十キロないし五十キロくらいに貨物取り扱いを集約するようなふうにできますならば、これは貨物列車のスピード・アップになりまするし、また全体的に荷役機械を整備いたしますとか、コンティナーを使うとかいうことで荷作り費も非常な節約になる。また荷役費節約になるというようなことから、こういうような貨物輸送近代化、または旅客輸送の今申しましたような近代化、または事務近代化というようなふうに、事務のいろいろな統計類とか、または在庫管理といいますか、資材の管理のようなことを、これを電子計算機を使って、単に人手を省くというばかりでなく、能率化して適時適確なデータを使っていろいな経営がやれるようになるとか、それからまた組織で申しますと、いわゆるトップ・マネージメントといいますか、そういうようなことで政策をきめまして、あと支社長以下の現場機関にそれぞれ権限を大幅に委譲して、現場で自主的にいろいろなことを——経営上有利だ、または地方的に見て適切な処置であるというようなことを——機動性を持ってやらせるようにする。こういうような組織上の近代化とか、そのほか運転近代化といたしましては、たとえば信号機自動信号機にするとか、また、いなかの線区であまり列車回数の多くないところではタブレット方式をやめまして、トークンレス方式というような閉塞方式をとりまして列車通過速度を上げるとか、乗務員タブレットを受けたりなんかする、そういうような労力を省くとか、こういうような、その他こまごましたものがございます。まあ二、三の例をあげますと、そんなようなことがあるわけでございます。
  7. 中村順造

    中村順造君 まあ国鉄近代化というのは、それは非常に多方面にわたっておると思うのです。また、あなたのところで今背骨だという表現をしておられるが、動力近代化に非常に力点を置いておられるようだが、それは一つあると思うのですが、一番動力近代化というものが中心になっておるということで、先ほど私が言ったようにその点は理解ができるわけですが、その点をほんとうに突き詰めていくとするならば、やはり非常にむだな面がある。たとえば一人当たり生産性を非常に上げる、こういうことで衆議院の議論なんかを、議事録なんか読んでみると、三万何千人かの人減らしをやって、それを輸送力の増強のほうに回すというようなことを言っている。あなたのほうの考え方はそういうことをしているのだが、やはりこういう一人当たり生産性ということなら、まず第一に目につくのは、公安官なんか何ら国鉄生産性を上げてない、国鉄職員としての生産部門じゃない、管理部門である、いわゆる間接的にはいろいろ生産の向上については関連があるかもしらぬけれども、管理部門のむだといってもあるけれども、まず目につくのは公安官なんか全然これは輸送については全く生産には関係のない人なんです。こういう人を何千人もかかえておって、あなたのほうがいや背骨だとかいって、こういうところに力点を置くといっても、私のほうでは理解に苦しむ。これは私の意見だから、今私がこれを質問をするのはちょっと本旨からはずれているから、これは他日議論するときがあると思います。今のお話しのあった、なるほど動力近代化をされた、それについてやはり検修方式が変わった、これはわかるのですよ、車両検修委員会というものを設けて、あなたのほうの結論に達したというようなお話しがあるのですが、私は、これは中間的な結論だと理解をしておるのですが、最終的なものですか、この点は。
  8. 関四郎

    説明員関四郎君) これは大きな意味でいいますと中間的でありますし、これを車両検修委員会の当面の設備計画をどうするかということの点では、これは最終的なものでございます。ただこれを済ましますと、あとはこれに対する組織の問題、または要員の問題、それから経理の区分の問題、こういうような問題がございますが、設備という点から申しますと、これは最終的なものだと申し上げてよいかと思います。
  9. 中村順造

    中村順造君 私がこの前の委員会国鉄当局に要求した資料で、私の手元に届けられたのを見ますと、この検修委員会の一番骨子、あなたの今までの説明骨子になるのは、何といいますか、管理部門所管のいわゆる検修に対する取りきめなので、これはここに一応書いてあるのです。あなたも御存じだと思うのだが、そういう点について、やはりこれはもう両州的なものだと私は思うのですよ。今までの国鉄の何十年の組織からいいますと、この車両検修委員会結論、この部門については最終的な結論だと言われるが、これは画期的なものだと思うのだが、こういういわゆる一つ検修に対する革命的な問題を取りきめるときには、やはりそれぞれの部門別に見た意見があったはずだと思うのですよ、僕は。その点は、ここにちょうど運転局長工作局長ですか、来ておられるから、これの一つ経過的なものの考え方を、関理事は最終的にまとめられた立場の人でしょうから、その間におけるいわゆる工作側考え方、こういう革命的ないわゆる検修方式をとるというその根拠について、工作局長どうですか、その点は。御意見があれば……。
  10. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) この資料では、運転部門車両運用及び保安。工作部門車両財産保全管理とございますが、それで受け持ちます作業が、資料にございますが、運転部門車両運用仕業検査交番検査でございまして、工作部門は、中間検修甲修繕及び部品加修とございます。このけじめにつきましていろいろと議論があるわけでございますが、   〔理事天埜良吉君退席、理事金丸冨夫君着席〕結局、この動力近代化されました将来の車両につきましては、この中間検修というものが非常に簡素になるであろう、車両近代化されますほどに、この中間検修という仕事は減らしていくべきものである、理想といたしましては、ゼロにまで持っていきたいものであろう、そういたしまして交番検査以下の日常検査と、それからときどき工場に入って行ないます大修繕甲修繕というもので、この検修体制というものが成り立つべきものであろうという一つ考え方がございます。  もう一つは、この交番検査までの部分が、日常のダイヤに組み込まれたものになっております。中間検修以上は、予備車を用いまして修繕を行なうというものでございまして、個々に運用をつかさどります運転部門検査までを持つ。それから保全管理を受け持ちます工作部門が、予備車を用いて検修以上を受け持つということで、お互いに了解点に達しまして、このような形が生まれたのでございます。
  11. 中村順造

    中村順造君 工作局長が出られたから、ついでに聞きますが、私が冒頭申し上げたのは、いわゆるこういう検修関係の画期的な一つやり方について、やはりこの前の春の委員会で申し上げたのは、外部から見ると、これはやはり仕事の取り合いっこだと、これは国鉄ですから輸送する、輸送するためには動力運転をやる、その運転に付随する検査修繕というものは当然出てくる。これは今に始まったことではないです。そういうものを何らかの事情によって取り合いっこする、そういうことがあってはならぬということを私はこの前申し上げたのです。結果的に見ると、やはりそういうことが行なわれておるわけです。従来、いわゆる列車運転あるいは車両運転ということから、これは密接不可分のものだというお考え方に立たれたものが、今の説明を聞きますと、何か中間検査というわけのわからぬものを作って、これを工場に持っていってやると、予備車を必要とするものは工場で全部やる、こういうことになると、従来は——私はあながち従来の形態を固執するわけではないけれども、外から見ると仕事の取り合いっこである。もう少し端的に表現をすると、あなたは工作局長だが、工作局長所管事項にある機関区の設備なんかは、仕事の取り合いっこが影響して、それが当然されるべき設備機関区にされておらない、例をあげろということならあげますれけども、そういうことがあって、一体国鉄事業運営というものは、国民の側から見て納得できるかどうかということです。これは特に、あなたはいつ工作局長になられたかしらぬけれども、最近においてそういう傾向が非常に強いわけです。そういう気持が生まれるところに私は最もけしからぬ、そういうことがあり得てならぬ、職員も、国鉄経営者も、それから直接部門別に担当しておられる局長であるあなた方が一体になって、初めてここに輸送の完遂ということができるのです。そういう仕事の取り合いっこということは、もってのほかだと思うのです。これは私は今までのやり方について見るならば、そういうことになってくるのです。そういう気持についてはどうなんですか、工作局長に聞きますが……。
  12. 関四郎

    説明員関四郎君) 僕から責任者としてお答え申し上げます。何か車両検修委員会運転部門工作部門がけんかして取り合いをしてやっておるというようなことを言われますと、私は委員長として責任を持っておる者として言いましたならば、非常に残念なことだと感じておるわけです。これは運転部門工作部門と分けましたときの作業というのは、中間検修から甲修までの作業というものは、これは工作部門でもって担当して、一貫して車両管理保全という意味から見ようということでございまして、これでもって中間検修をやったから全部というわけではなく、いくらも例外はあるのでございます。たとえばこの報告で申しますと、吹田の機関区は中間検修をやっておるわけであります。それから中間検修の中には乙修とか局検とかそういうようなものもございますが、これはおいおい車両近代化というものが落ちつきまして、先ほど工作局長が言いましたように、これが次第に中間検修というのがなくなってくる。そういうようなものですから、なくなっていくようなふうに車両管理保全または設計という面において、そういうものがなくてもいいようなものに作っていくということは、工作部門が推進していかなければならないものですから、これは中間検修を入れたのでございまして、これは特にここにおります工作局長にしても運転局長にしましても、非常に高い見地から考えてやっていただかないと……。これを仕事取り合いをやっているということに考えられることは、私としては非常に残念でございます。それからもう一つは、何かその機械、庫に修繕機械をつけるとかつけないとかいう議論をしたと申しますが、これは車両検修委員会でもそうでございますし、お手元に差し上げた審議事項におきましても、前後これは五十二回にわたって審議をしておるわけでございます。それで、この間に相当に深刻な議論をしたことも事実でございます。これは、しかし年来の懸案でございますから、こういうような議論は当然おのおのの立場でもってどんどん議論されることは当然でございまして、これは大いに議論があってもいい。また、今の基準によってどこの庫にどういう検修機械をつけるかということについても、これは運転工作とでいろいろと議論していることも事実でございます。これは、しかし、できれば支社長経営的に判断してどっちにするかということできめてもらいたいということが、たまたま二、三の例で本社まで上がってこなければならない点もございますが、これはしかし当然各部門によって自分の立場から議論するのが当然でございまして、これを何といいますか、遠慮するというか、ということでは、議論なしでもってものがきまるということであれば、これははなはだ私としては残念なことに思っております。外からごらんになるということでございますが、私は、これは全くうちの中の結論が出るまでの審議過程におきまして、これは当然国鉄運営をみんながよくしていこうという場合には、そういう議論があるのは何ら差しつかえないと私は思っているわけでございます。
  13. 中村順造

    中村順造君 工作局長、どうなんでんすか、私が今申し上げたことは。
  14. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) ただいま関常務からお話がございましたことで尽きておると申し上げます。
  15. 中村順造

    中村順造君 十五年先の、結局部分的に取り上げた十五年先の構想だから、私は必ずしも適切だとは考えていないけれども、たとえば十五年先の構想をまとめようとするならば、その当時の輸送力から列車回数から、それから動力車の配置から全部考えなければならない。また、それになるまでの過度的な措置も考えなければならない。だから、十五年先、私は今度中間報告で出されたものが必ずしもそのままで実施されるとも考えていないし、また、あなた方自身としても、このいわゆる立てられた今の検修委員会結論というものが、十五年先に通用する、いわゆる昭和五十年において通用するものかどうかということについては、それほど自信がおありだとも私は考えていないわけです。ただ問題になっているのは、この議論過程で問題にされたとあなた自身が言われる中間検修の問題、中間検修というのは一体どういうものですか。今ばく然として中間検修というものは簡素になって、最終的にはゼロになるという性格のものだとも言われたが、工作局長中間検修というのは何ですか。
  16. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) 中間検修と申しますのは、現実の姿では乙修繕丙修繕あるいは局部検査というふうにいろいろの名前で呼ばれておる一連のものでございますが、要するに、車のいろいろな部分品の中に、次の大修繕の時期でございます甲修繕までもたないものがございます。そういうものは、ある時期に、その寿命が参りましたときに局部的に手当をしなければいけない。そういうことのために設けられておる検査修繕の形でございます。したがいまして、これは車輌の進歩に伴ないまして設計その他の改良がございますと、逐次減っていく性格のものでございます。その意味で、将来これはゼロにしたいものだというふうに申し上げたのでございます。
  17. 中村順造

    中村順造君 国鉄にはやっぱり検査規程というのがあるはずだと思うのですがね。いわゆる車両動力車、すべての車両にあるわけですが、そういうものの定義づけは、中間検修というものはどうなっているのですか。甲修繕したとか、乙修繕丙修繕というのがあると思うのですよ。それから局部検査とか中間検修というのは、字句は使ってあるのですか。
  18. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) 中間検修という言葉は、規程上の言葉としては使ってございません。ただいま申し上げました乙修繕丙修繕あるいは局部検査というふうなことは、規程上にはございますが、これらを総括いたしまして、われわれふだん用いております一つの、何と申しますか、便宜的な言葉でございます。
  19. 中村順造

    中村順造君 その便宜的な言葉と言われるが、そういうばく然としたものを将来はゼロになるということになるのなら、これはたとえば具体的に言えば、今の電気機関車なら電気機関車電車なら電車に例をとるとどういうことになるのか、いつごろどういう設計でどういうことになって、どういう方向でゼロの方向をたどることが可能かどうか。これは昭和五十年の話をされるなら、およその計画は立っていると思うのですが、それは中間検修に対してどういうふうになっていますか。
  20. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) お答えいたします。一例を申し上げますと、電気機関車でございますが、現在甲修繕の間に、甲修繕は四十万キロの走行キロで行なっておるわけでございますが、これを八万キロできざみまして、間に四回いわゆる丙修繕という名で呼ばれております中間検修がございます。ここでは局部的ないろいろな機器類を取りかえましたり、手当いたします。そういうことで、次の大修繕までこれをつつがなく使っていくというふうな形で行なわれているわけでございます。これが一応われわれの現在の計画でございますから、このとおりに必ずなるとは申せませんが、昭和五十年度におきましては、大体倍近くまで伸ばせるであろう、すなわち十五万キロ程度の走行キロまでこの修繕の回帰を伸ばせるであろうというふうに考えておるのでございます。
  21. 中村順造

    中村順造君 そうすると、この甲修繕の四十万キロと、今の八万キロきざみで五回やるというこの修繕ですが、これは丙修繕でしよう。
  22. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) そうでございます。
  23. 中村順造

    中村順造君 そうすると、その丙修繕というものをなくする。たとえば四十万キロまでに八万キロきざみを十六万キロきざみにするということは、そういうことは可能だということは何を意味するのですか。それは結局車両の性能だとか、あるいはそれの使用の状態だとかいうものに基因するのでしょう。その具体的なものはどういうものですか。観念的なものでなしに、少なくとも昭和五十年はこうなる、こういう設備までするというものを、あらかじめ設備計画をここに出されているから、ちゃんとこういうものはこういう設備だというふうに出されているから、観念的でなしに、具体的にここはどういうふうな機械を使う、どういうふうな科学的な進歩がなされるか、これが十六万キロになり、さらに三十二万キロになるということが言えるわけですか。
  24. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) たとえて申せば、モーターを一つ例にとりましても、現在のモーターの絶縁度が現在段階でのかなりな絶縁度を示しております。しかし、われわれ先を見通しました場合に、さらにもっといい絶縁度を示す絶縁物がございます。こういったものを技術的に予想をいたしまして、まあ昭和五十年度辺では十五万キロくらいまで延ばせられる程度の絶縁物が世の中に現われるのじゃないかというふうなことでございまして、設備とおっしゃいました点にうきまして、ちょっと具体的にお話し願えませんとお答えいたしかねますが、以上でございます。
  25. 中村順造

    中村順造君 まあ世の中に現われるであろうという想定のもとに昭和五十年度の計画を立てて、そうしてそれの立てられることはけっこうなんです、あなたのほうは管理者なんだから。ところが、これにはやはり冒頭関理事説明されたように、やれ人員の配置の問題だとか、職場の統合廃止の問題だとか、具体的な問題がつきまとうわけです。しかし昭和三十六年ですから、もう十四、五年先の話であって、先にいわゆるここにプランを示されることによって、いわゆる工場従業員なり、従来あった機関区の従業員というものは、非常に大きな不安を感じるわけです。一体、今働いている職場はどうなるのか、われわれはここに職を奉じておるけれども、この工場がなくなるのじゃないか、これはすなわち今日の国鉄職員の勤労意欲に関係しておるわけです。ところが私が今質問をすると、十四、五年先に現われるであろうという、それでは私は……。あなたのほうとしてもちょっと国会の答弁として、世の中にこういう絶縁物が現われるであろうから今八万キロの修繕が十六万キロになり三十二万キロになるという、そういうことじゃなしに、もう少し具体的に科学的な話ができませんか。今少なくとも何万という職員が今日勤労意欲を欠いており、また欠かざるを得ないようなものを出しておる。しかも何年か先には三万人が減らされるのだというふうにお互いの職場がなくなろうとするような考え方を持たせることには、それに対する科学的な裏付けというものが説明されなければならぬ。その点はどうなんですか。関理事、特に電気についてはあなた詳しいようですから……。
  26. 関四郎

    説明員関四郎君) お答え申し上げます。  ただいまお話にございましたが、実は検修の回帰キロをもっと延ばせないかということで、これは大いに督励した当人として私がお答えしたほうがよいのじゃないかと思います。これはやはり現実に扱っておる工作局、運転局では、なかなか回帰キロの延長にはなかなか決心の要ることでございます。しかし私はこれはどうしてもこれくらいまで延ばさなければ国鉄として鉄道が成り立っていくだけの資格がないのじゃないかと思いまして、こういうふうにきめたわけでございますが、私先月台湾に行って参りまして、台湾というのは、これは日本鉄道を作り、非常に日本の真似をしておるところです。だから日本で教えてやりさえずればいいのだと思いましたが、あそこに行きましたが、あそこではすでに昭和五十年の回帰キロのようなものをすでに実施しております。これは機関車が割に、何といいますか、日本のような複雑な使い方をしないとうこともあると思いますが、非常に能率よく使っておりますので……。私この検修回帰というものは相当に意欲的にやったけれども、まだこれでも足りないのじゃないかと思われるくらいでございます。それで、ただいまお話のありました中で、人員を三万人捻出する、これはあの議事録の中で御承知と思いますが、私ちょっと今ここに詳しい資料を持っておりませんが、検修関係で一万二千人ということになっております。これは検修関係で三万人ではございませんので、これは訂正させていただきたいと、こう考えております。それで、職員が大へんにどうなるかということについて不安を持つ。しかしこの近代化というものは進めていかなければならない。その場合に、そのまぎわになってからお前の職はなくなるというようなことを言ったのでは、かえって非常な混乱を起こすと思いまして、これは昭和五十年までにこういうふうに順次機会のあるごとに整理されていくから、そのつもりでいてくれ。なくなるようなところでは、すでにどこか配転のできやすいようなふうに心の準備をするとか、これはそういうところに際会した工場なり区の職員の方々には大へんお気の毒でありますが、しかし機関区または客貨車区というようなところでは検査係が乗務員に昇格していく、そこの検査係に工場からいくというような配置転換をやれば、あまりに専門職を変えずにスムーズにいけるのではないか。それには少し長い目で見た先の見通しを示したほうが一般の職員が準備するのにむしろ適当じゃないかということで出したわけでございまして、どうしてもこれくらいの近代化はやらなくては、国鉄職員給与を増していくことはできませんし、また、一般の荷主または旅客輸送要請に対して応じていくこともできないというふうに考えまして、それにはどうしたらいいかというと、こういうふうな検修委員会できめたものを発表しまして、これは内部に置きませんで、これがきまりますと、早急に組合のほうにも提示いたしまして、了解を求めている、こういうような次第でございます。
  27. 中村順造

    中村順造君 あなたの後段の心の準備だとか、お気の毒だとかということは、これは労働組合が団体交渉でやることだから、配置転換とか、転勤だとかということは、これは本委員会で私はとやかく言いません。事前に発表して組合と協議をすることはあたりまえのことであって、何も別に取り立てて言うこともないし、これは一歩突き進んで言えば、あなたのほうの近代化合理化のために転勤をしなければならぬ、配転をしなければならぬというようなことは、それは心の準備とか、お気の毒だということだけじゃなしに、具体的にちゃんと住居も、工場もこしらえて、そうしてここへ変わってくれというのがあたりまえで、それをやらないから、事前にやって、お気の毒だとか何とかいうことになる。これは労働組合のやることになるから、ここじゃ言いません。  回帰キロの問題は、台湾の例を引かれたけれども、回帰キロは延ばせば延ばせますよ。事実三十万でも四十万でもいい。いいが、無制限に回帰キロを延ばしたらどうなるか、重大な事故につながる問題です。少なくとも電気機関車の例をとると、列車の先頭に立って列車を先導していく動力車が、原始的な表現をするなら回帰キロを延ばしたために車がはずれてひっくり返るということにもつながる。そこに安全率を見て現在は八万キロだというなら八万キロ——ここが科学的にこうだから、ここはこういう面が改善され、こういうものが近代化されたからと、科学的に証明して、それが十六万キロなり三十二万キロになる、こういうことでなければ、ただ台湾が延ばしたから、あるいは朝鮮が延ばしたからということであなたが言われるということは、私も若干そういう面についての経験があるので、それは回帰キロを延ばせば延ばすだけ国鉄能率は上がるでしょう。上がるけれども、それは重大事故の一つの因子がつちかわれるということを、あなた方はもちろん理解されていると思うけれども、その点はどうなんですか。
  28. 関四郎

    説明員関四郎君) どうもこういうことを申し上げて大へん恐縮でございますが、技術屋はそういう点についての安全率を見るということは前回のときも申し上げたと思いますが、とにかく技術的にまあ大丈夫だろう、まあ大丈夫というと、万一もないかということ——これはこの前も申し上げましたとおり確率の問題でございまして、何千万回、何億回やっても絶対事故が起こらないということは考えません。これはやはり経済問題ともつながると思いますが、そう申しますとまた誤解を招くかと思いますが、できるだけまずこれなら安全だということを、いろいろな観点から技術的に考えまして、そうしてまたそれに対していろいろ使用実績その他それの経過というものを見、そのほかに技術の進歩というものを考えているわけでありまして、ただ意欲的という言葉を使うと非常に何か観念的に申し上げたようでございますが、とにかくこの安全率と申しますのは、この前も申し上げましたが、たとえば構造物の安全度で申しますと、鋼材は、今、平方ミリメートル当たり約四十一キロの強度に耐えるものを大体一三・五キログラムの荷がかかる所にしか使わないというふうに、三倍の安全率をとっておるわけでございます。その上に、それに対して、何と言いますか、ファクター・オブ・マージンとして、これを一・幾らにするかということが、われわれが技術的に考えるときのあれでございまして、安全を無視して、ただ観念的に非常に合理化を進めるというようなことは、私どもとしては絶対にやらないというように考えております。しかしそのために、それじゃ絶対に事故が起こらぬかと申しますと、こは先ほど申しましたように、経済問題と確率の問題、こういうことになると思いますが、とにかくできるだけ事故を局限して、できるだけ安くするというのが、私どもの務めだと思います。
  29. 中村順造

    中村順造君 だいぶ長くなりましたが、あなたは安全率だということでこの前の委員会でも言われておるけれども、私はこの前申し上げたように、やはり重大な事故にはならぬけれども、やはり重大な事故になるような因子に基づく事故があるわけだ。あなたが言われる絶対大丈夫だというのは、失礼かもしれませんが、私は信用してないのです。というのは、この前の「はつかり」の問題にしても、よくなりましたとこういうことでも、やはり依然として事故があるし、それは、技術者としてかなりな安全率をもって仕事をされておるということはわかるけれども、相手が機械であるという以上は、やはりどういう不測な事態が起こるかわからない。特に最近の列車のスピード・アップだとか、あるいは輸送密度の向上だとかいうことから、非常に事故の危険性はあるわけです。むしろ念には念を入れて、許されるならば、この回帰キロというものは、少なくとも現状より縮めるということは不可能かもしれないけれども、やはり少なくとも現状以上の精密な、むしろ念には念を入れてやるという考え方が、今の輸送状況と並行した考え方であろうと思うのです。それを、ただ国鉄能率が上がりさえすればいいということで、工場を減らし、機関車を減らし、事業場を減らして、しかも検査修繕の回帰キロを倍にも延ばすと、倍に延ばすというなら、私は、国鉄能率向上ということから延ばすなら延ばしていいが、そこにどれだけ科学的な根拠があるか、ただ世の中にこういうものが現われるであろうからというだけじゃ納得ができない。
  30. 関四郎

    説明員関四郎君) ただいまのお話がございまして、回帰キロを現在よりも縮めることはむずかしくとも、回帰キロを延ばすことはやめたらどうだというお話でございますが、車両検修近代化合理化の最も目的とするところは、この回帰キロ延長で検修費を減らすことでございます。ただいま車両検修に使われている金が、全体で、これは正確な数字はわかりませんが、大体四百億から五百億程度、区と工場と両方でわかっているわけでございます。これが昭和五十年度には、大体輸送量が六、七割ふえまして、列車キロといいますか、車両の走る距離が大体二倍ぐらいになるとしますと、現在のまま回帰キロを延ばさずにおりますと、この修繕費だけでもって八百億から一千億というようなことになるわけでございまして、これを回帰キロの延長と、それから作業合理化——手のかからないような構造にするというようなことでもって、これを現状程度にとどめたいというのが私どもの念願でございまして、その約四百ないし五百といううちのおよそ百五十億ないし二百億は人件費でございますから、これが約倍になったとして、その分がふえるだけであって、あとの材料費というものはふやさないようにしたい。こういうのが私どもの念願でございまして、この回帰キロの延長をしない限り、車両検修合理化というのは骨抜きになるわけでございまして、これは私どもとしては、現在の技術でできなくても、将来あらゆる技術的な努力を払って、この回帰キロを延ばしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  31. 中村順造

    中村順造君 この回帰キロの話は、これは中間検修のことから出た話で、その回帰キロを延ばすということは、それは経営者の側としては、そろばん勘定としては、あなたはそうしたいと思われるのだ。ところが一面に、関さんは技術屋だから、工作局長にしても運転局長にしても同じことだが、技術者としては、そろばんの玉だけ見たのじゃいかないのです。一たん誤ればこれはたいへんなことになるわけです、今の国鉄の、特に動力車という限りにおいてはね。これは電気機関車にしても、あるいは電車にしても、ディーゼル・カーにしても同じことなんです。だから、ただそろばんの玉だけ見て、これが五十年に六、七割ふえるから、人件費がこれだけ要るから、これだけ押えなければいかぬ、こういうことを兼松理事が言われるなら多少これはわかるわけです。だがあなたは技術者として、私が繰り返して言うように、修繕の回帰キロの延長というのは、重大な事故につながる性格を持つものだ、その理解の上に立って、一体回帰キロを延長するというならば、どれだけ科学的に延長できるだけの——八万キロが少なくとも十六万キロにできるだけの科学的な根拠がどこにあるかということを聞いているわけですが、工作局長も答えないし、あなたも答えない。  もう一つは、中間検修なんというような国鉄修繕規程にも検修規程にもない言葉を、概念的な言葉を使って、これで今まで議論を繰り返す。だれが聞いたってばかな話だ、そういうことをすると、仕事取り合いというように見られても仕方がない、これはどうなんです。
  32. 関四郎

    説明員関四郎君) 中間検修の延長について、具体的な説明がないということでございましたが、これは非常に細部にわたりますので、省略したわけでございますが、これは具体的に申しますと、中間検修というのは不明瞭だということでございますが、例を丙修繕ということにとりますと丙修繕でも一々モーターをはずし配線をはずしてやるというような、蒸気機関車のときに、丙修繕でもって洗カンからパイプの取りかえからやっておると同じような考えでもって電気機関車修繕をやっておりましたのですが、これは電気機械はむしろ配線などはいじらない方がいいということで、これをなるだけいじらないようにするというふうに、むしろ合理的な作業になった面もございます。それから先ほど工作局長が申し上げたわけでございますが、モーターの寿命にいたしましても、従来はB種絶縁と申しまして温度が百二十度以上になりますと、絶縁が劣化するために非常に寿命が短くなってしまって、こういうのをH種絶縁というような二百度近くもつようなものにかえたために、寿命がずっと延長している。それから、モーターのコイルの端の方を縛っておりますバインド線というのがございますが、バインド線の取りつけにいたしましても、これをつけますハンダの溶融点が低い、そのために少しモーターが過熱しますと、すぐこれが弱くなってがたがたになるというようなこととか、それからモーターの絶縁物のたとえばシーズニングというようなことをどうやったら完全にできるかというようなことを、従来もいろいろ研究しておりまして、これがかなり適確なものができてきて、このために延ばせるとか、いろいろな技術が総合されて、たとえば今までモーターが、従来は五万キロくらいのものが、今は八万キロになっている。これを不十分ながら十五万キロくらいまで延ばそうかというふうに考えております。これは理想といたしましては、甲修繕のオーバー・ホールまでに全体の部分品がみな同じように行けばいい、ことに消耗するようなブレーキ・ブロックなんかは、これは交番検査などで取りかえるわけでございますが、その他の小さな部分品に至るまで全部この甲修繕まで寿命が一緒でないと、この中間検修がなくならないわけでございまして、そのように、一番寿命の短い部分品をどれまで延ばしていくか、それによって、この甲修繕または中間検修というものの回帰キロがきまってくるわけでございますが、一方、この中間検修というものが、先ほど申しましたように、御承知のように、蒸気機関車の丙修というものはかなり根本的な取りかえをいたしますが、こういうようなことがむしろもっと簡単に、非常に寿命の短い部分品であれば、それを機関区でもって簡単に取りかえればいいというようなことになっていくのが理想でございまして、こういうふうになりますと、この中間検修というものがだんだんなくなっていって、そして将来、この部品取りかえということでもって、あとオーバー・ホールは四年か五年に一ぺん工場に入ればいい、こういうふうになるのが将来の理想であって、これに幾らかでも近づけるように努力いたしますのが、車両を作るほう、お守りをするほうの両方の努力の目標と、こういうふうに考えております。
  33. 中村順造

    中村順造君 大体結論に近づいたようですが、あなたの今の説明を聞いておると、本来——私は表現が適切であったかどうかわかりませんけれども——仕事の取り合いっこをしたという議論の一番中心になったのは中間検修の問題で、これはあなた、委員長だからおわかりだと思うが、その中間検修に対する定義づけその他の点について私が聞きますと、りっぱな定義も、まだ明確にこうだということが、少なくとも——乙だ、丙だと、こういうようなことを言われておるが、この中間検修に対する考え方としては、やはりこれは非常に簡素になる、しかもこれは本来ゼロであるべきものだ、こういうことになれば、あなたのほうの出された資料とあなたの今言われた説明とは違うんじゃないですか。たとえば、この資料を見ますと、松任工場なら松任工場を見ると、甲修繕中間検修及び臨時の大修繕。臨時の大修繕甲修繕はわかるけれども、仕事取り合いという表現のよしあしは別にして、一番議論にされた、本来簡素になり、ゼロになるべきような性格のこの中間検修というものが、なぜ全国でたった二十六カ所、今度ずっと減らされるわけですが、二十六カ所、二十七カ所しかない工場でやらなきゃならぬか。こういうものは、やはりこれは運転密接不可分だという考え方に立つならば、これはもちろん簡素であり、ゼロになるべき性格の中間検修なら、むしろ車両運用をつかさどっておる機関区で——機関区という表現はなくなるかもしれないけれども、運用をつかさどっておるところでやるべきじゃないですか。議論の余地はないじゃないですか。
  34. 関四郎

    説明員関四郎君) 中間検修が、将来はこれは部品取りかえというものは非常に細くなるということは事実でございます。それでは昭和五十年に中間検修を全部ないものにできるかというと、そこまで急速にはいきにくいんじゃないかというのがこれでございます。それで、現に中間検修を、仕事取り合いといいますが、私どもはそうじゃなくて、いかにしたら車両運用検修というものを相対的に見て経済的にできるかという観点でございます。一番冒頭に申し上げましたように、現在の蒸気機関車修繕設備でもって、将来の機関車修繕に使えるものは、ほとんどないわけであります。たとえて申しますと、蒸気機関車の場合に、丙修繕でもビーム・ジャッキを使っております。しかし、これは電気機関車とかディーゼル機関車で使うのは不適当でございまして、これはビーム・ジャッキのかわりにリフティング・ジャッキまたはクレーンを使う必要があるわけでございます。それですから、そのためには実際に検修設備をやるといたしましても、たとえば今蒸気の庫が、これが電気の庫になった、だからその設備は今ラウンド・ハウスから、検修設備としてみな使えるんじゃないかといっても、これはほとんど全部新たに作ると同じことであります。それですから、検修設備というのは、従来の設備というものに対して新しい設備になってくる、庫については。工場については、ある程度工場にありました機械設備というものが新しい車両にも使える。そういうところを勘案いたしましてきめたわけでございます。それじゃ、庫におけるそういうようなものは絶対つけさせないかというと、そうじゃございませんで、御承知のように、吹田の機関区とか、または今度作ります尾久向日町のディーゼル庫というのが中心になって、配属両数の非常に多いところは、これは機械の使用効率もいいから、そういうところへつけるわけでございます。これはあくまで領分の取り合いとか何とか、そういうことでございませんで、あくまで経済問題でございます。そう申しますと、この経済問題は兼松理事の言うことで、私ども技術屋の言うことではないというようにお考えのようでございますが、経済を抜いた技術というものはあり得ないわけでございまして、私どもは、いかにしたら最も国鉄経営がよくなって、職員の方々にいい給与ベースで差し上げることができるかということ、皆がよくなるようにしようじゃないかということを考えているのが、この近代化の目的でございまして、現に蒸気から電気になりまして、むしろスピードが早くなるというようなことでいろいろ言われますが、しかし、蒸気の煙の中で、あのかまをたいてやるということから見ましたら、あれ一つとりましても、作業環境としては非常によくなっている。しかも、それで牽引力が増して、結局において生産性が上がっているというようなことを考えますと、こういうような——ただそれだけに満足しているのじゃなくて、これをよりいいものにしていこう、より手のかからないものにしていこうというのが、私ども不断の努力でございまして、そういう目標を掲げながら、しかもこの修繕体制を最も経済的に整備していこうというのが、私どもの目標とするところでございまして、中間検修昭和五十年になくなる、そうは今考えておりませんが、これが昭和六十年なり、六十五年というときには、とにかくほとんど全部循環修繕というような態勢になるというふうに考えているわけでございます。
  35. 中村順造

    中村順造君 その昭和五十年になくなるとか何とかということは、今さっき私が工作局長質問したけれども、工作局長は答弁ないのだけれども、少なくともこれは急速に、きのうまであってきょうなくなるという性格のものじゃないのですよ。だから、どういうふうな科学的な技術の進歩が伴って、それが必然的にどうなっていくかということを示せと言ったけれども、あなたのほうで示さない。まあいずれにしても、あなたが説明したように、中間検修とは、簡素になり、将来ゼロになる性格のものだとするならば、そのとおり受けとるなら、それは逐年これが減っていくという趨勢をたどるということは、これは明らかです、あなたの説明では。そうすれば、この程度の——非常に議論をされたという、議論中心点だと言うから私は申し上げているけれども、これはそういう性格のものである限りにおいては、これはやはり車両運用を要するところにいくべきだと。これはそうすると、あなたはこういう答えをされておるわけだ。今の蒸気機関車機関区というものはビーム・ジャッキで、リフティング・ジャッキと違うのだ。それはもう私どももよくわかっているわけだ。ところが、そういうことで、新しく設備をすると同じことだと言われるけれども、実際に車両運用とそれからまあ事故をなくするという、いわゆるささいな故障個所でも早期に発見をするという建前をとるならば、車両運用をするところに、そういういわゆる簡素になり、将来ゼロになるような検査設備ができるような設備をするのが——これは従来そういう考え方でやっておった。それを画期的にあなたが改めると言うから、そこで疑問点が出てきておる。ところが、それはそういう今までのビーム・ジャッキがだめだとするなら、新しいジャッキをつけるだけの費用がそこに要るでしょう。要るでしょうけれども、反面では、そろばん玉の計算をあなたは言われるけれども、それでは一車両当たり、製作工費が何倍とかかる車両を、今全国で二十七個所か二十六個所しかない工場修繕をするという、いわゆる回送して、修繕を終わって、また回送して運用の面に戻すと、そういう車両運用の面まで含めて計算がどうなっているかということを明確に示されますか。それはいろいろ問題がありまして、画一的に言えないでしょう。それが言えるなら、それはごまかしです。——ちょっと待ちなさい。だから、そういう点で、ただ次点だけをあなたがあげて、ここでこうだというきめつけ方をせずに、やはり優劣どちらかという議論が残っているはずで、私が今ずっと聞いておると、中間検修というものはそういう性格のものだとするなら、私は多分に——これはどうしなさいとか、どうしてもらいたいということを私は言っておるわけじゃない。少なくとも回帰キロにつながる、重大事故につながる、あるいは日常業務の運営あるいはそろばん玉から計算して、いわゆるどちらのほうがいいかという問題点は残っている。これは、非常に議論して、これをあっちにつけた、こっちにつけたというところで、しかもここに出されたものは、そういう内容も十分検討して、そろばん玉をはじかれたかもしらぬけれども、そういうものを含めてここに示されたから職員の大きな勤労意欲の低下を来たし、非常に必要でないいわゆる不安感を与えている。こういうことから私はこういう問題を追及しているわけです。  まあ時間がないようですから、適当に打ち切りまして、これは、まだ問題のあるところは逐次委員会でやっていきたいと思うのですけれども、私はそういうことを言っているわけです。問題になったこの上の三つは、あなたのほうで出された資料で上の三つは当然のことだが、下の、いわゆるこの中間検修議論のあるところは、もちろんこれは中間検修については最終的に必ず工場でやるということではないとあなたも言われる。修繕の効率のいいところは機関区でもやるのだという説明があったけれども、最終的なものじゃないと思いますけれども、やはりこれは画一的にやられる、こういうふうに、私はかような趣旨でやったほうが車両運用上非常に効果的だとか、あるいはこういうふうにやれば効果的だというその幅は十分あると思うのですが、その点はどうなんですか。
  36. 関四郎

    説明員関四郎君) 今の問題でございますが、これは設備内容、たとえばどこの庫にリフティング・ジャッキをつけるとかつけないということはきめておりませんで、大体将来ここは修繕の中、心になるだろう、ここは動力車の基地になるだろうということの目安をきめましたので、これに対してどういう設備をするかということは、これは支社長が全部きめるべきであって、その地方の事情なりまたは経済的な観点から、回送距離がどうだとかあるいは設備費がどうだとか、そういうことを総合的に考えまして、一番経済だと支社長が信ずるところをやるわけでございまして、これについて別にこれは制肘しているわけではございません。それをはっきりきめてやりますと、今のような議論は出ないわけでございますが、それはひとつ現場実情に応じてやってくれということでございますからそういう議論が出てくるわけでごいまして、これは現場で十分に議論して、一番経済的な場所にきめていただけばけっこうだと、こう考えております。  ただ、職員が非常に不安感にかられているということにつきましては、これは大へん私どもの現場に対する説明とかPRということがまずかったと思いますので、この点については意のあるところをさらによく徹底して、不安のないように、将来庫の人はどんどん乗務員にかえていくとか、工場の人もとにかく庫でどんどん働けるようにしていくというふうにして、みんなスムーズに新しい職場にできるようにしていきたい、こう考えております。  実は、蛇足でございますが、七、八年前までは蒸気機関区の方々が電化して電気機関車が来るということを非常にいやがっておりましたが、最近ではこれをむしろ待ち望んで、再教育の場合でも先を争って、先に教育を受けたいというようなことをするような雰囲気でございまして、これは確かに職場環境その他もよくなるので、そういうことも理解されてきた結果ではないかと思っておりますが、将来の姿について、できるだけ現場の第一線の方々に理解のいくようにPRはしていきたいと、こう考えております。
  37. 中村順造

    中村順造君 最後ですから、私は要望も含めて申し上げておきますが、この出されたいわゆるプリントの内容に基づいて言いますと、あなたの言われるように、やはり支社長がそういうような理解をとればいいのだけれども、とらないのです。ややもすればこれは車両検修委員会結論だ、だからこうなるのだという押しつけ方をするから、広島でも鹿児島でも問題は起きてくるのです。その点はあなた方のほうで十分……。要はこの国鉄の、たとえばこれは小さい部門であるけれども、動力車検修部門というものを含めて、やはり円滑な運営ができるということが、これが画一的でなしに、こうせいということでなしに、大まかな方針はきめられるけれども、それには幅があって、とにかく効率的な、効果の上がるような方法をとりなさいというのがあなたの趣旨だと思うから、そういう点の下部機関に対するあなた方のほうの指導というものを、やはり検修委員会がこうきめたのだからこうやるのだということでは非常な問題が出てくるから、その点の指導を十分やってもらいたい。  それから工作局長にひとつ具体的な問題で聞くんだが、私この間岡山に行きましたら、りっぱな倉庫ができておる。あの倉庫の形から見て、やはり中にいろいろな検査修繕をする、クレーンだとかそういうものが必要です。また、つけられると思うのです。新前橋あたりから見ても、ちゃんとりっぱなものがついていますし、つけられると思うが、それが今もって建物はできているが、何らかの事情によってつけられない、こういうことを私は現地で聞いてきた。それから長岡の機関区でもやはりそういうことがあるんだが、長岡の機関区の場合は特に支社長がそれに決済を与えておるのですけれども、あなたのほうの管轄の、何ですか、いわゆる機械区ですか、どこかつけるでしょう、工作局の、そういうあなたのほうの管轄のほうでこれはやらない。だから現場の人は、これを非常にうがった見方をして、それ見ろ、やはり機関区に設備をしない限りにおいては、いやおうなしに工場車両を持ってくるじゃないか、そういう意図でこれをやっておらないというような考え方職員の中にある。そういうことを、決してあなたの真意だとは考えておらないけれども、そういううがったものの考え方現場職員にさせるということは、きわめてまずいと思う。そういう意図があるならあるで、はっきりあなたは、ここでは、この機関区にはこういう設備はしない、したがって、ここの車両工場修繕を持ってくるんだ、こういうことにするし、それから、実はそうだけれども、これこれの事情によって、その設備をすることになっておるけれども、まだできないんだと、その点を明確にできますか。
  38. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) ただいまお尋ねの岡山と長岡の件でございますが、実はこの長岡につきましてはまだ話を承知しておりませんのでお答え申しかねるのでございますが、岡山につきましては、将来あの地区に電気機関車並びに電車の配属がふえて参ります。広島それから関西地区の間に、一つ長い距離の間にやはり何らかの臨時修繕設備が要るんではなかろうかというふうな話が、検修委員会でも議論されたのでございまして、この庫に実情に合った必要な検修設備は設ける予定でおるのでございます。
  39. 中村順造

    中村順造君 今の問題ですがね、それは建家はりっぱなものを建てているんですがね、その設備というのは何年度の予算になっておるのですか、昭和三十六年度になっているんじゃないですか。
  40. 宮地健次郎

    説明員宮地健次郎君) 両数がまだ非常に少のうございまして、今年度では電気機関車が十二両、電車が十二両という程度でございます。いずれ両数がふえまして臨時修繕をやるに足りるだけの頻度が十分にございまして、これらの機械設備が有効に稼働できるという状態になりましたら、これは設備をする予定にいたしております。その年度につきましては、ちょっとただいま申し上げる資料を持ち合わせておりません。
  41. 中村順造

    中村順造君 やめますが、とにかくそういうふうな、結局現場職員にあなたの考えておられるような以外の感じを与えるようなことは、極力この際、それは国鉄当局としても、近代化合理化については画期的なことをこれから先もどんどん進めていくと思う。しかし、これはやはりいつも私が言うように、それに携わる職員が、あなたの意図しておるものを理解をする、そうして進んで協力をする、そこに初めて勤労意欲が出るわけで、少なくともあなた方のものの考え方が徹底しない、あるいは間違った方向にそれが感じられるということで、必要以上の不安感を与え、また勤労意欲を低下させるということは、これは全く国鉄経営上から見て私は大きな損失だと思う。その点を、あなた方の、一方では物事を合理化し、近代化をするという、こういう面に進めていくかたわら、やはり職員に対するそういうものの考え方、それからややもすると間違った印象を与えるようなものの取り運び方にも、そういうことをやらなきゃならぬ場合には、十分その趣旨を説明をしてやっていかなければあなた方も損ですし、国鉄全体として、ひいては国全体としてやはり輸送力に影響すると思う。  きょう、私は、私の質問中心として、私まだ十分理解できないと思う個所はあるけれども、今後あなた方の言われておる真意の進行の状況の推移を見て、逐次また問題があればこれからまたごめんどうでも来ていただいて、私御質問するということで、私の質問は、きょうは終わります。
  42. 関四郎

    説明員関四郎君) 先ほど具体的問題、支社長にまかせると言いましたが、さっきちょっとお話が出ました広島と鹿児島の工場機関庫の検修設備を一緒のところに置くというのは、これは検修委員会の方針としてきめましたのでございますから、これは変える意思はないということだけをちょっと念のために申し上げておきます。
  43. 中村順造

    中村順造君 ちょっと今話をしていたのでもう一度……。
  44. 関四郎

    説明員関四郎君) 広島と鹿児島の工場機関庫の検修設備とを同じ場所にするということは、これは車両検修委員会で、将来の中間検修と庫との関係、これから申しまして、これを一緒の場所でやるということについては、これは将来を考えた方針としてきめておりますので、これは変える意思がないということだけは申し添えておきます。誤解があるので……。
  45. 中村順造

    中村順造君 誤解じゃない。その点はあなたも詳しいけれども、私も現地にこの間行って見てきたのです。ところが、私は今総体的な要望として申し上げたけれども、あなた方の考えておることがやはり説明不十分なんだ、実際は。現地における、特に広島の問題等は、だから当局の説明、あなた方の出先で説明していることは、これこれ電化になりますと、修繕方式も変えなければならぬ、だから土地を探しました、ところがその探した土地は売れました、工場の中に遊んだ土地がございました、ここに線路を新しくいわゆる交番検査の線を敷きます、こういうことを言っているわけです。それで交番検査を敷いて広島第一機関区、第二機関区の仕事をそこでやらせる、こういう説明をしているわけなんです。そうすると、具体的な事象の現われ方は別にして、ものの考え方は、国鉄輸送ということから考えますと、土地を先に探して、そしてどこでどういう修繕をするということをきめて、そこで、できた機関車運転をさせると、こういうことじゃないかということ、で、現地は、非常に将来の問題としても、交番検査のそのものを工場が持っていくんじゃないか、こういう非常に疑心暗鬼な、必要以上の心配をしているわけです。そうじゃなく、実際に列車運転をし、どれだけの車両が要ると、これだけの車両を配置するから、ここにこれだけの検査修繕の必要が出てくる、そのためにどこでやるか、どこに土地を求めるか、こうならなければ……。まるで土地があるから汽車が運転するというようなもので……。そうでなくて、汽車が運転するから土地を探さなければならないということです。あなたがあえてつけ加えて説明したから、私は具体的な問題を取り上げて言うのだけれども、それはなるほど職員の側としても頭がかたいかもわからぬけれども、そのかたい頭をほぐすのが立案をされたあなた方の努力でなければならぬはずです。それがやられておらぬから必要以上の摩擦を起こし、必要以上の不安感を与える、そういう私は表現をしているわけです。具体的な問題だから私はここで大事な時間をとって議論しませんけれども、要は、あなた方のものの考え方を十分職員理解をさして、それに協力をさせるということを考えていなかったんじゃないか、今まで。たまたま最後に、もう終わりますと言ったら、車両検修委員会の決定でございますから、変える意思はございませんと、そういうことでなしに、それは変えなければ変えなくてもいいから、こういう考え方でございます、これはあくまで進めていきたい、だけれども、現地においてせっかく要望しておるから、それをあなた方もその希望、要望をいれて、そうして現地で努力しますということを言えば済むのです。それを車両検修委員会の決定でございますから、変える意思はございませんということで、開き直ったものの言い方をするから私は言うのです。私は内容がわかっているからいいけれども、働く職員にはそれはわからない。それでそういうことを申し上げているのです。それは逐次今度から聞きます、私は。
  46. 関四郎

    説明員関四郎君) たいへんどうも言葉がまずくて誤解を受けましたことは申しわけないのでありますが、先ほどから申し上げましたように、このPRの点についての不足は十分認めておりますので、今後とも現場職員にPRを十分いたしまして、なるだけみんなの納得の上でやるよう今後とも努力していきたいと思います。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 予算の関係で主計官には時間がないそうですから、端的に主計官にお尋ねをいたします。  新潟選挙の際、池田総理は記者会見でもって、走り過ぎた馬の手網を締めるという表現をしておられたけれども、いわゆる公共投資五%繰り延べという、こういう方針が決定されて、それでこの五%繰り延べという方針が交通運輸関係にも及ぶ、こういうことを聞いているが、その内容について御説明願いたいと思います。
  48. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 政府の予算編成方針はまだ決定しておりませんので、もちろん全体の経済の運行に即した予算の編成方針あるいは執行の方針をとらなければならないと思いますけれども、そういった具体的な内容については何ら決定を見ておりません。
  49. 大倉精一

    ○大倉精一君 大臣がおられないから鉄道監督局長でもいいが、国鉄に対する投融資の繰り延べという方針が大体決定されたように陳情等で承っているが、その内容について局長御存じの点を御報告願いたい。
  50. 岡本悟

    説明員(岡本悟君) 仰せの投融資の繰り延べにつきましては、先般、大蔵省のほうで景気行き過ぎの調整という一つの方策として提案されまして関係各省ともこの方針に従いまして現在実施しておるのであります。国有鉄道につきましては大体五%、工事費の約五%でございまして、額にしまして九十億円でございます。もちろん御承知のように工事所要資金の原資は、損益勘定からの繰り入れ並びに財政投融資による政府資金等の借り入れもございますから、それによって投融資のほうの繰り延べの関係は約四十億になっております。  そこで問題は、国有鉄道輸送力増強、特に新五カ年計画の遂行につきまして、はたして支障があるかどうかということを非常に御心配になっている御質問だと思うのでありますが、これにつきましては、当面政府のそういう景気調整の政策に従うことも、非常に大きな要請でございますので、これに従いつつ、なお新五カ年計画の全体の遂行につきましては、できるだけ早い機会をとらえまして、多少かりに実際上おくれるといたしましても、これを将来カバーしていく、こういう決心でおるわけでございます。
  51. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、場合によっては私は池田総理にもお尋ねをしたいと思います。新潟等における総理の発言とだいぶ食い違っておる。総理は、大体投融資の引き締めといっても国際収支に関係のない港湾、道路あるいは社会保障等については、うんと金を使うからと、こういう発言があるわけなんです。ですから、そういう発言からいきますと、全然今の御答弁と食い違っておるわけなんです。しかもですよ、国鉄に関しまして、ついこの前運賃値上げのどきに五カ年計画国民に約束しておる。しかも私はあのとき言ったことがあるのですけれども、国鉄五カ年計画というのは、今まで一ぺんも完成したことがない。今度こそはというわけでやるのですが、必ず何かとちってしまう。それは財政投融資の引き締めもまあいいのですけれども、これが各部門に平均に、みそもくそも一緒くたにしてやられるということではたいへんなことになる。特に今輸送面の隘路ということがこの産業経済の中の一番大きなものになっておる。にもかかわらず、これに五%のしわ寄せがやってくるということは、これは私は多少繰り延べとか何とかいうことでなくして、非常に大きな影響が出てくるんじゃないかと思う。主計官どうですか。これはやはり今度の予算編成に、国鉄に対する、あるいはまた港湾、道路も同じなんですけれども、こういう方面に対しても公共投融資の繰り延べということは、やっぱり実施をされるということになるんですか。
  52. 海堀洋平

    説明員海堀洋平君) 先ほど鉄監局長お話は、去年の秋、去年の暮れでございますか、とられました緊急施策の一環の話でございまして、将来、来年度の予算を編成するときに関連いたしまして、公共投資その他をどういうふうに取り扱うかという問題は、全体の経済見通し、経済運営の態度というものに関連しておりまして、現在のところ、政府としてはまずその面から固めていかなければ何とも申し上げられませんので、予算編成方針ができるまでは、私たちが何とも申し上げられる段階ではございません。
  53. 大倉精一

    ○大倉精一君 結局何とも申し上げらぬということを聞いてもしようがないのですが、来年度の景気の見通しについては、いろいろ政府部内にも意見があり新聞等にも出ておりますが、名前はどうにしろ、とにかく行き過ぎを是正するという方針には変わりはない、その是正するというしわ寄せが、交通運輸部門に及ぶということになりますと、これは一貫した政策が政府にはないのじゃないか、そういう私は非難さえも受けなければならぬと思うのですね。鉄監局長どうですか、国鉄に対する、あるいは港湾、道路に対する投融資ですよ。これは私はやはり減らされて、若干工事がおくれても、いずれ取り返すというようなお話があったのですが、運輸省としてはどういうふうに考えているのですか、減らしてもやむを得ないというお考えですか。
  54. 岡本悟

    説明員(岡本悟君) もともと運輸省といたしましては、港湾あるいは鉄道、こういうのは、いわゆる公共投資が非常におくれている。それが日本のすばらしい経済成長の一つの大きな隘路になっているということを主張いたしまして、ぜひともその先行き投資と申しますか、これについて非常に強い希望を持っているわけでございます。また、事実御承知のように、港湾におきましても、あるいは鉄道におきましても、随所に隘路が出ているわけでございまして、さらに既定の計画を再検討して、あらためて最重点的な投資をやらなければいけないというふうなことも痛感いたしているのでございまして、何とかしてその主張を具現していきたいという熱意には燃えております。しかし、いわゆる国鉄輸送力増強五カ年計画にいたしましても、あるいは港湾の五カ年計画にいたしましても、五カ年という、いわば相当長期間にわたる計画でございますので、その間におきまして、別の角度からの国の政策の必要から、投資の調整をするというふうなことが出て参りまするというと、ある程度それと調和を保ちつつ、われわれは本来の公共事業の能力を育成していく、整備していく、こういう方向をとるよりほかに方法はない、かように考えておるのでございまいまして、その点、まことに苦しい点でございますが、御了承をいただきたいと存じます。
  55. 大倉精一

    ○大倉精一君 きょうは大臣がお見えにならぬので、これ以上申し上げませんが、私は輸送力の増強ということに対して、ここに使う金をけちるということは、私は経済のひずみをますます大きくするのはないかという気がするのですがね。むしろ輸送力にいたしましても、伸び過ぎることは決してないと思う。むしろ四十年におけるところの輸送力の増強等を勘案すると、五カ年計画を繰り上げてくれという陳情さえある、これは私はもっともだと思う。そういう矢先に、輸送面においても、ほかのものと一緒くたに五%しわ寄せをする、これでは、私は全く政府に一体経済政策があるのかないのか疑問に思うのですね。これは委員長、この前の委員会委員長から善処してもらいたい、やりましょう、こういうお約束があるのですけれども、私は皆さんの御同意を得るならば、この問題に対して、政府に対してこの委員会として申し入れをしたいと思いますが、お諮り願いたい。
  56. 金丸冨夫

    ○理事(金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  57. 金丸冨夫

    ○理事(金丸冨夫君) 速記をつけて。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただいまの私の提案は、どうも実現しないようですけれども、各委員の皆さん方、大体同じ意見と思いますので、委員長において、この委員会の皆さんの御意見を、しかるべき方法において政府に伝えてもらいたい。よろしゅうございますか。
  59. 金丸冨夫

    ○理事(金丸冨夫君) 今の大倉委員の、意見を私から政府に伝えろということでございますので、これはお伝えすることをお約束いたします。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 厳重に申し伝えてもらいたい。
  61. 金丸冨夫

    ○理事(金丸冨夫君) 承知しました。  では本日はこれをもって散会いたします。    午後三時二十五分散会