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説明員(
関四郎君) お答え申し上げます。
動力近代化委員会というものから、
国鉄に三十四年の六月にそういうような
委員会の
答申をいただきまして、この
答申によって
国鉄の
蒸気機関車を順次
電気または
ディーゼル運転というように、
蒸気運転を電化または
ディーゼル化していくということをきめたわけでございます。それは、
動力近代化委員会がどうして起こったかという、もとにさかのぼるわけでございますが、
欧米の
鉄道の例を見ましても、
鉄道が従来何ら
企業努力をしなくても非常に
需要があった場合と比べまして、
自動車とか
航空機の
輸送が非常に激しくなってくるということになりますと、これをある程度
輸送方式を変えるとか、または煙をなくするとか、
能率を上げるとかいうことをいたしませんと、
鉄道というものが、なかなか存在し得なくなるというのが、アメリカの
実情または欧州の国々の
実情から見ましても、これはまだ前例が目に見えているというようなことでございまして、これには何らかの対策をとっていかなきゃならない、それから一方において
所得倍増計画というようなことが三年くらい前からいわれておりまして、その場合に、やはり
国民所得というものは産業の伸びにつれて次第に増加してくる、この場合に、
国鉄、
鉄道というものはどうなるか、この
鉄道事業というものが将来伸び得ない
事業である場合には、その
職員の
給与というものをどうやって上げていくかということは非常に問題でございまして、現に
欧米では
鉄道の
従業員の人数を減らすとか、
機械化とか
合理化とかということを非常にやっているのを見ているわけでございます。幸いにして
日本の
鉄道ではまだ人口の
密度、その他の点でもって
貨物需要及び
旅客需要というものはかなり伸びております。しかし、実際に
自動車とか
航空機とかの
関係または船の
関係から申しまして、
鉄道における何と申しますか、負担の度合いは次第に少なくなっている。しかし絶対の
輸送量だけはふえてきている。こういうような状態でございます。こういう
機会に
動力近代化、その他の
輸送方式の
近代化、いろいろの施策を講じて、
職員一人々々の
生産性といいますか、一人
当たりの
輸送量というものを上げていくということが、どうしても必要だ。そういうことなしでは、どうしても
職員の
給与を上げていく、ベース・
アップということは不可能であるというとは、これは申すまでもないことでありまして、そういう
見地から、どうやったら一人
当たりの
輸送量を上げていけるか、また一方には
勤務時間の短縮というような問題も、これは将来を見通しますと必至に出てくるというようなことも考えますと、どうしても一人
当たりの
生産性を上げ、
勤務時間が短くなってもなおかつ一人
当たりの一日の
生産量というものを上げていくということは、これはどうしても努力していかなければならないことだと、こういうことになるわけでございます。その一番の、
鉄道の
経営改善といいますか、
近代化の最も
背骨になるのは
動力近代化でございます。
動力近代化をいたしますと、
蒸気機関車は今申しましたように
電気機関車、
電車または
ディーゼル機関車、
ディーゼル動車、こういうようなものに変わっていくわけでありまして、こうなりますと、御承知のように構造的に全く違うわけでございます。
蒸気機関車は
ボイラーと
火床がございまして、
火床に石炭をほおり込んで
ボイラーで
蒸気を出して動かす。ところが、
ディーゼル動車は、これは
内燃機関になっておって、燃料を直接シリンダーで燃焼してその力で走る。また
電気機関車ですと、外から
電気をとって走るというようなことで、構造的に全然違いますので、これを
検査する
技術または製造する
技術、こういうものも全く変わってしまいますし、また、これを
修繕するというようなことももちろん非常に変わってくる。そういたしますと、こういうものが大体
動力近代化調査委員会では、
昭和五十年度には
蒸気機関車が全くなくなって
電気または
ディーゼルの
機関、
動力車だけになるということになりますというと、これに対して直接
運転します
機関区とか
客貨車区、
電車区、こういうようなものの
体制またはこれを
修繕する
工場の
体制というものが
内容がすっかり変わってしまうわけでございます。これが変わる
機会に、これを新しい
体制にどうやって切りかえるか、しかも、この
機関区とか
工場なんかの
修繕設備というものは、これは従来のようなたとえば
ボイラーを
修繕する
設備のかわりに
電気機械または
ディーゼル・エンジンを
修繕するような
機械を据え置かなければならないとなりますと、これに対してやはり新しい
投資が要る。この新しい
投資をどのように少ない
投資でもって一番効果を現わすようにするか。またそれと同時に、車を一番
能率よく
運用するにはどうしたらいいか。これの両方の
見地から比べまして、一番
国鉄の費用が少なくて車もたくさん走るし、それから一人
当たりの
輸送量というものを増すというにはどうしたらいいかということを種々検討したわけでございます。それで、昨年の五月にこの
国鉄の中に
車両検修委員会というものを作りまして、これによってこの
体制を約一年半にわたって協議しました結果、決定を見たものでございます。それの
内容の
概要を申し上げますと、現在
車両としましては
蒸気機関車が約四千両、それから
電気機関車が八百両、それから
ディーゼル機関車が二百両、
合計約五千両の
機関車がございますが、これが
昭和五十年度には
電気機関車が二千三百五十両、それから
ディーゼル機関車が二千三百六十八両ということで、
合計で四千七百両
余りの
機関車になる。だから
機関車の絶対数は減るということになるわけです。それにかわりまして、現在約四千四百両
余りの
電車がございますが、これが一万二千六百六十六両というような
電車になる。それから
ディーゼル動車は二千五百両ばかりございますが、これが五千七百両ぐらいの
ディーゼル動車になる。それから
客車は逆に今一万一千両
余りありますが、これが五千両足らずに減ってしまうというようなことで、結局
旅客車といいますか、今の
電車と
ディーゼル動車と
客車を合わせますと、
旅客車というものが現在で一万八千両ございますが、これが二万三千両ぐらいにふえるというようなことでございまして、これによって、ふえます
輸送量に対応していこうと、こういうような
計画でございます。これによって、先ほどこれの
報告の
概要という
お話がございましたが、これについては
工場が現在二十七
工場ございますが、これを十六
工場に減らす。それから
工場の一部はこれはもっと規模を小さくいたしまして、
整備所という
名前でこれは八カ所になる。それから
機関区、
電車区、
機動車区、
客貨車区、これを今合わせますと二百三十の区がございますが、これを統合いたしまして
検修用の
——検修というのは
検査、
修繕ですが、
検査、
修繕をやる区といたしましては、約
半数の百十六カ所にする。もちろんこれは
修繕をしたり
検査したりする
場所でございまして、このほかに
乗務員が詰める区というのは別でございますが、とにかく
現場の
検査をする区というのは約
半数の百十六に減らす。こういうような
構想で進めるということで、それの具体的な
場所も
車両検修委員会でもってきめたわけでございます。