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1962-06-01 第40回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   委員異動 五月七日委員金丸冨夫君及び田上松衞辞任につき、その補欠として手島栄 君及び松浦清一君を議長において指名 した。 五月十四日委員手島栄辞任につき、 その補欠として野上進君を議長におい て指名した。 五月三十一日委員江藤智辞任につ き、その補欠として中野文門君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     村松 久義君    理事            谷口 慶吉君            野上  進君            大倉 精一君    委員            重宗 雄三君            平島 敏夫君            中野 文門君            相澤 重明君            重盛 壽治君            中村 順造君            加賀山之雄君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     関  四郎君    日本国有鉄道運    転局長     音田 和夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○運輸事情等に関する調査  (常磐線三河島構内における列車  衝突事故に関する件)   —————————————
  2. 村松久義

    委員長村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。  まず、理事補欠互選についてお諮りいたします。  委員異動により、二名の理事が欠員となっております。この際、理事補欠互選を行なうこととし、委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村松久義

    委員長村松久義君) 御異議ないと認めます。  それでは、谷口慶吉君及び野上進君を理事に指名いたします。
  4. 村松久義

    委員長村松久義君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  昨日、協議決定いたしましたとおり、都市交通に関する件及び三河島構内における列車衝突事故に関する件について、質疑の通告がございますので、順次御発言を願います。  まず、三河島構内における列車衝突事故に関する件について、質疑をいたします。
  5. 中村順造

    中村順造君 国鉄当局お尋ねしますが、三河島事故のその後の経過について、まず説明を願いたいと思います。
  6. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) このたび、三河島事故皆様方にたいへんな御心配をおかけいたしましたことを重ねて厚くおわび申し上げるものでございますが、事故発生後のその後の経過概要について、御報告を申し上げたいと思います。  まず、この事故犠牲となられた方々に対する処置でございまするが、結局、おなくなりになられた方が、事故の際並びにその後におなくなりになられた方の数全部合わせますと、百六十名の方がおなくなりになられております。それから、おけがをなさった方々の数は、これはこまかい、ごく軽い方々まで入れますというと、正確な数は必ずしもはっきりいたしておりませんけれども、二百数十名のお方がおけがをなさいまして、現在、なお百四十名前後の方が病院入院をしておられます。それらの入院中の方々の中にも、いわゆる重態というよう方々が、まだ一両名ほどおいでになりまするけれども、今入院なさっておられる方々の大部分は、多少、中には、おなおりになるまで長引かれる方もあるかと思いまするけれども、一、二の方を除けば、生命の危険というようなことは、もはやないものと私ども伺っております。  それで、おなくなりになられた方々に対しましては、国鉄といたしまして、従来の例にとらわれず、とりあえずの御弔問等につきましては、十分礼を尽くしたつもりでおります。また、病院に御入院中の方々に対しても、御丁重にそれぞれお見舞を申し上げたわけでございまするが、ただいま、おなくなりになられた方々に対するとりあえずの御法要合同慰霊祭というものは、ふた七日に当たります五月の十六日の日に御法要を営みました。これらのおなくなりになられた方々の御遺族等に対する、いわゆる慰謝金と申しますか、損害賠償の御相談等につきましては、これはまあ従来の慣例等もございますので、大体五七——三十五日というのが、ちょうど六月の六日の日に当たりますので、五七日を済ませましてから、それぞれ御相談を申し上げるようにいたしたいと思っております。  それから御入院中の方々に対しましては、順次お見舞を申し上げ、また病院等で、その病院では手が足りないというようなところもだいぶございましたので、そういろ個所に対しましては、鉄道直営医療機関の医者を回しましたし、あるいは看護婦を手伝いに派遣いたします等、手落ちのないよう、できるだけの措置は講じてきておるつもりでございます。大体、今度の事故のために犠牲になられた方々に対します当面の措置は、そのように取り扱っております。  一方、事故原因の探求並びに今後の事故対策の樹立というようなことにつきましては、これは従来から国鉄部内事故防止対策委員会という組織を持っております。私がまあその委員長を命ぜられているわけでございますが、この事故防止対策委員会におきまして、特に今回の事故重大性にかんがみまして、今までよりも参加いたします者の範囲を広げまして、技師長でありますとか、関係常務理事等も全員を加えるというような姿にいたしまして、との事故防止対策委員会を今日まで、五月の九日に第一回の委員会を開きましてから、委員会並びに分科会等を合わせまして八回ほど開催をいたしております。で、そこで、まだ実は事故防止対策委員会として終局的な結論を出したわけではございませんが、一応当面の事故防止対策というものだけは取りきめいたしまして、去る五月の二十九日の日に、部内の、これは理事会に対しまして、中間報告というような形でございまするが、この対策委員会検討いたしました一応の結論について報告をいたし、その了承を得ましたので、そのうちで直ちに実行すべきものについては、直ちにそれぞれ実行に移すようにいたし、また今後検討を要するよう事項につきましては、事柄によりましてあるいは専門委員会を設置いたしますとか、あるいはまたこの実行についての予算措置を講じますとか、逐次実施に移すようにはかっておる次第でございます。  部内事故防止対策というようなことにつきましては、当面の対策は、ただいま申し上げましたよう委員会を中心に対策を樹立いたしておるわけでございますが、一方、将来にわたっての安全の確保、事故防止ということのためには、これは当然のことでございまするが、国鉄部内職員全部が協力一致して当たるのでなければ、その成果は期待できませんので、そういう意味におきまして、実は国鉄当局側からも申し入れをいたしましたし、また、国鉄部内労働組合のほうからも同じよう趣旨申し入れもありましたので、双方寄り合いまして事故防止、とのほうは運転事故防止委員会というものを当局側代表職員——役職員とそれから国鉄労働組合動力車労働組合職能別労働組合並びに国鉄地方労働組合連合という四つの組合から、それぞれ代表者を出してもらいまして、当局組合合同事故防止委員会というものを、これは五月二十三日の日に第一回の委員会を開きまして、そこで、とにかく三河島駅における事故重要性にかんがみまして、事故防止の総合的な対策を立てるために、事故防止委員会を設置する。委員会構成としては、日本国有鉄道側委員国鉄労働組合国鉄動力車労働組合国鉄職能別労働組合連合及び国鉄地方労働組合連合代表の各委員構成をする。そうして、今後この委員会は、毎月少なくとも一回は定例的に開催をすることにきめましたが、双方において必要と認めるときは随時開催するということで、当面は相当ひんぱんに開催をいたすことにいたしておりまして、実は昨日——五月三十一日、第二回の会合を開いております。そうしてこの委員会意見の一致を見た事項については、すみやかに実施に移すよう双方で努力する、こういう申し合わせをいたしております。こういうようなことによりまして、国鉄部内関係職員上下一体と申しまするか、労使一体となりまして、事故防止ということに邁進いたそうという体制は、部内としては一応整った形になっております。  それから今度関係職員責任の問題がございまするが、これにつきましては、過般運輸大臣から国鉄監査委員会委員長に対して御命令がございまして、監査委員長に、今回の事故原因並びに今後の対策、さらに国鉄管理体制のあり方の問題をも含めて検討をするようにという御命令監査委員長に出されまして、それに基いて目下監査委員会は私ども初め、関係役職員について、いろいろ事情を聴取されあるいは、現場を視察などなさいまして、今調査をされております。それで、この監査委員会としての御意見が、近く、おそらく今月の中旬までには御発表になられると思うのでございますが、それの御結論を伺いました上で、部内関係役職員等についての責任問題と申しますか、行政処分というようなことは、そのあとで、これはかつての参宮線事故等あとにおいても、そういう処置を講じたことがございますのですが、特別の懲戒委員会というものを設けまして、そこで、それらの責任追及の道は明らかにいたしたい、さように考えております。ただしかし、事故の直接の関係者、すなわち、衝突あるいは転覆いたしました列車、電車の乗務員、あるいは三河島駅の当務の助役、信号手等は御承知のごとく刑事処分の訴追を受けまして、先般起訴されておりますので、これらの関係者につきましては、やはり刑事処分の確定を待たなければ、行政処分ということも最終的にきめるわけに参りませんので、起訴されました当日付をもちまして、これらの職員はとりあえず従来の例にならって、休職処分の発令をいたしてございます。それで、ただいま申し上げました監査委員会結論が出ますというと、そのあとを受けて開かれます特別懲戒委員会におきましては、それらの直接の現場関係職員を除きました上部の職員等のいわゆる監督責任に対する行政処分ということになると思いますが、それを監査委員会の御報告を待ちまして、その直後に決定をいたすようにいたしたい、大体そのような段取りで考えております。  今後の事故防止対策等につきまして具体的に申し上げますと、いろいろ広範な問題が含まれておるのでございますが、それらのものにつきましては、なおお尋ねによりまして、逐一御説明を申し上げたい、かように存じております。  大体概要は、以上でございます。
  7. 中村順造

    中村順造君 一応、概略説明がありましたが、それの説明の順序に応じて質問をいたしますが、まず犠牲者対策ですが、従来の例にとらわれずに礼を十二分に尽くしたと。しかし、私どもの聞いておる範囲では、従来の例にとらわれておるようですが、もう少し具体的に申しますと、こういう点はどうですか。二十万円の内金渡した。その内金を渡す際に、何か印刷物で、自後——今後こういう補償の問題については異議申し立てないというような印刷した文書が一緒に配付されて、それに判こをとった、こういうことがあります。  それからもう一つ合同慰霊祭、これは別に精神的な面ですから、ただ社会的な問題として、きのうあたりいろいろ問題になっておりますが、慰謝料の問題、それから重傷者に対する見舞金、これを、少し具体的になりますが、三万円渡しっぱなしで、その後あなた方の説明では、随時入院中のものについては相談をすると、こういう話でしたけれども、そういう面は、どうなっておりますか。入院患者並びに死者に対するいわゆる見舞金ですか、その渡し方、取り扱い方、金額
  8. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまのお尋ねにつきましてでございまするが、従来、残念ながら国鉄には、しばしば事故がございますので、そういう際におなくなりになった方々に対しましては、金額にいたしまして六万円、事故の直後にはお届けするようにしておるわけです。それから、おけがなすった方々は、大体一万五千円を限度として見舞金をそれぞれ差し上げるということになっておったのでありまするが、今回はその六万円というのを十万円にいたしました。それから、今までけがをなさった場合のお見舞金のほうは一万五千円であったものを、今度は三万円ということにいたしまして、どちらもほぼ倍にいたしまして、とりあえずのごあいさつをいたしたわけでございます。  そのほかに、さらにこれはごく少数の方でございますけれども、まあとりあえず十万円というのは、これは、俗に言うお香典でございますけれども、そのお香典だけでは、とても葬儀費用等が出ない、それはどうしてくれるのだ。こういうお話があった方がごく少数でありましたがございましたので、今までは、そういう葬儀の御費用というようなものは広い意味損害賠償額の中に、慰謝金の中に含めて差し上げるというのが今までの例でございましたのですが、いろいろお話し伺いまして、御家庭の御事情等もおありの方があるということがわかりましたので、それらの方々に対しましては、とりあえず二十万円、それでは葬儀費用としてお渡し申し上げよう。ただし、この二十万円というのは、これは理屈の問題になりますけれども、十万円のほうは、これはいわゆる純粋のお香典でありますけれども、二十万円のほうは、将来損害賠償金の中に計算上含まれる性格のものでございます。そういう趣旨を明らかにした上で賠償金の一部先渡しということでお受け取りを願いたいのでございます。こういうことで、そういう趣旨念書をいただいたということなのでございます。それで、その念書につきまして誤解をなさったような向きもあったように伺いましたので、私どものほうといたしますれば、こういう念書というようなものは、何もよく関係の方が御了解さえして下されば問題ないことでございますので、それについて御異議のあったよう方々もあったようでございますので、その念書はお返しをするということにいたしております。そういうことがあったわけでございます。  それから人院をなさっておる方々に対するお見舞は、先ほど申し上げましたように、入院しなければならないような程度の方々には、例外なしに皆さん三万円差し上げてございます。そのほかに、そのつど果物を持って伺うとか、そういうようお見舞をいたしておりまするし、それからまた、つき添いを必要とする方々等に対しましては、こちら側で、先ほども申し上げましたように、鉄道病院看護婦を派遣しておるところもありましたし、あるいはこちら側で雇ったつき添いの人をつけて差し上げておる、それは現在も続けてつけて差し上げておるわけでございます。あとは、当然のことでございまするけれども入院中の必要な経費その他は、もちろん全部こちらでお世話をいたしておるわけでございまするし、係員も、それぞれの大勢入院しておられる病院に対しては、専任に当直人のような姿で、二人ないし三人のものを絶えず連絡をさせるようにいたしておりまするし、また随時責任者がお伺いをするというようなことをいたしておるわけであります。大体それで……。
  9. 中村順造

    中村順造君 私は本会議でも申し上げたのですが、今度の場合は、やはりいろんなケースが違うわけだと思うのです。その犠牲者でも、子供さんが死んだとか、あるいはその逆に、今度は一家のいわゆる柱になっているものが倒れたとか、いろいろと——しかも、日曜に働きにいっておった人がたくさんおる。日曜に働かなければならぬということは、おのずからその生活状態というものはわかるのですがね、そういうふうにそれほど、非常な困窮者もかなりあるということで、まあそういう面で、それぞれそれは手配はしてあると思いますが、今の二十万円というもの、別に葬儀料をみたというような、特別にそういう相談があったというのは、そういう階層の人だと思いますが、しかしその取り扱いの問題になって盛んに言っておるのは、国鉄を攻撃しておるのは、ああいう非業な死をとげた、そこで見舞金を持ってきた、ところが、これについて今後異議申し立てませんというような、誓約書じみたものを、あなたのほらで、たとえば二十万円というあるいは十万円という金を渡せば、それは、だれにいつ渡したかという領収書的なものは、それは将来に問題が起こったときに、何月何日あなたのほうには、これだけのものが渡してあるという、そういうときにはいいのだが、誓約書的なものを、将来この問題については異議申し立てませんなんというようなのは、それはどうなんですか、そういうことがはっきり書いてあったのですか、どうですか。
  10. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほど申し上げましたように、二十万円のことにつきましては、これは将来の損害賠償金内金になりますということを了承いたしますというか、そういうことを承認するという意味であって、これでもって将来異議を言わないとか、損害賠償請求権を放棄するとか、そういうよう意味のことをお書き願ったというのではございません。ですが、ただいまも申し上げましたように、そういう性格のものであるということについて、いわゆる念書というものをいただいておりましたので、それはいろいろ、お考えようによっては、気持の悪い方もおありのようなことを伺いましたので、それはお返しいたしましょうということにしたわけでございます。
  11. 中村順造

    中村順造君 それは、いろいろ言い方はあると思うのですが、その念書的なものを取らなくても、そういうような問題が、どうせ慰謝料を、あなたの説明でも、三十五日の後において具体的なものを相談すると、こう言っておられるから、渡したという、だれに幾ら金渡したということさえ確実につかんでおれば、あえて、悲しみどん底のそのときに、私の聞いた範囲では、異議申し立てはいたしませんという誓約書を取られておる。それはあなたは、誓約書じゃない、念書的なもので、そういう金でございますぞということを言ったということを言われるけれども、そういうだめ押し的な念書を取るということを、非常に今、世間ではやかましく言っておるわけです、国鉄一体、何を考えておるか。われわれはこうして一家の柱を失って、どん底に突き落とされたときに、金は、十万円か二十万円か持ってきて、しかもそれを、私の聞いた範囲では、異議申し立てはしないという誓約書を取った。誓約書でなかったにしても、それをその場で取る必要ないじゃないですか。あとで交渉するときに、あなたのところでは何月何日に二十万円だれに渡しましたと、三十五日が過ぎて、三十五日ということは、お互いにやはり幾らか悲しみも薄らいで、そういうことを時期的にも配慮し三十五日以降ということになれば、そういうときに、十分な話がつくのに、あまりにもお役所的で画一的ではないか、国鉄は非情だ、情も、血も涙もないではないかという言い方を盛んにしているわけです。これは過ぎたことだから仕方がないけれども、それは副総裁ご存じなかったかもしれない、だれが担当したか、局長がやったか、だれがやったかしらぬけれども、やはり今までも、私はそういうことを聞きましたし、それはいろいろ問題はあります。ありますけれども慰謝料が少ないとか多いとか、それはまた、裁判で争わなければならぬ場合もあるだろうが、ですけれども、この場合は、明らかに洞爺丸なんかと違って、人災ですからね。だから、その面を十分考えるなら、あえてその場で、ため押し的な念書みたいなものを取る必要はないと私は思う。これは意見だからやめますけれども、それから重傷者のあれにしても、一万五千円を三万円に引き上げて、大体一カ月たっておりますね、一カ月で、入っておる者は、それでいいでしょう、それは治療代も出すし、果物かごを届けておると言われる、それからつき添いもついておる。しかし、かりにその人が働かなければ、その家が食っていけない立場だったらどうなりますか、三万円じゃ工合が悪い、そういう点は考えておられるのですか。
  12. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまのお話の、念書関係のことについて、もう一言申し上げておきたいのですが、実はそういうことは、あんまり申し上げるのはいかがかと思いますけれども、やっぱりああいう事故の際に、いろいろなことが起こりますので、たとえばお香典にいたしましても、同じ方が二度受け取りにおいでになり、それで前の日にお目にかかって差し上げた係員の者が来て、昨日あなた様にお差し上げいたしましたが、と申し上げたら、その方はお引き取りになったというようなこともございましたし、それからまあ葬儀費用というようなことになりますと、性格としては、先ほど申し上げましたように、損害賠償の一部に将来は充てられるべき性格のものでございますので、そういう際に、よくあることなんでございますが、そういう請求権のないお方お受け取りになって、後ほど、まあその御一家の中で、いや、あの人に渡してくれたのじゃ困ったのだ、私がほんとうの兄弟であるとか、あるいは内妻であるとかというようなことで、あの人に渡して下さったのでは困るので、私がもらうべきだったのだというようないざこざが起こる例もしばしばありますので、そういう意味で、やはりお受け取りいただく方のお立場なり御関係なりをはっきり承って、この方にお渡しを申し上げたということではないと困る場合がありますために、念書というようなものをいただいたわけでございます。ただ、大勢の人がああいうときに手分けをして、それぞれお伺いしてやっておりますので、若い人も行きますし、年をとった者が行った場合には、割合にそういうなにはなしに、多くの場合済んでおるわけでございますけれども、若い人なんかが行ったような場合に、いろいろ、多少の言葉づかいとか態度の問題とかというようなことでトラブルが起こることもございますので、十分注意は与えておったつもりでございますけれども、いろいろな、とにかくあれだけのことがあった直後でもございまするし、御批判を受けるようなことがあったことは申しわけないと思っております。  それから、病院入院しておられる方々に対して、ただお見舞金を差し上げて、そのまま、あとはほったらかしになっておるのではないかというお尋ねであったと思いますけれども、そういう点につきましては、それはやはり個々方々事情によって、いろいろ扱いは違えておりまするけれども一家支柱であられた方で、その方の収入が途絶しておる、そのために今お困りだというよう方々に対しましては、とりあえず一カ月分の生活費を差し上げるというよう処置もとっております。とっておりますが、これは個々の、それぞれの方々事情によりますことなので、一律にというわけにも参りません。したがって、あんまりそういうことを広く申してはおりません、申しますと、やっぱりあそこももらうならば、おれもというようお話になりがちでございますので、個々の御事情については、十分承りまして御相談にのるよう処置をいたしております。
  13. 中村順造

    中村順造君 それは、そういう副総裁お話なら、そういう一家支柱になっておる人のめんどうは見ておるということなら、それはそれでいいです。  それからこれは、補償のことばかり言ったって仕方がないのですが、もう一つだけ、この問題に関連して……。  この事故で、地元の人がたいへん協力しておるという話を聞いておるのです、とっさの場合でね、ところが国鉄は、これは非常に感情的な話になってあれだが、総裁が現地にお見えになって、側近の人々が、地元にもたいへんお世話になったので、ぜひお礼をということを総裁お話をしたところが、全然地元に対して総裁意思表示も何もせずに、さっと引き上げたということで、これもまた、国鉄に対する大きな批判の的になっておるが、地元に対してそういう、地元が非常に協力してやってくれたという、まあ、たとえばけが人を病院に運ぶとか何とかいうことは、一々国鉄でやったわけじゃない。警察署や消防署で一々やったわけじゃない。地元の人が近くの運送屋さんをかり出して協力をした、とっさの場合に。そういう面については、国鉄はどういう意思表示をされたのですか、全然されていないのですか。
  14. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 地元方々には、たいへんお世話になりましたし、また今度おなくなりになられた方の中には、全然乗客でも何でもなくて、あすこへ救援の多分お手伝いに来て下すったと思われる方の中にもおなくなりになったよう方々もいらっしゃいます。そういう方々に対しては、また特段の考慮も払わなければならぬと、こう思っております。  それから、ただいま総裁お話が出ましたけれども総裁は、もう事故発生の直後から、ほとんど連日にわたりまして寧日なしに弔問に歩いておられました。八十数軒、都内の遺族のお方だけでも回っておられます。ただ、これは合同慰霊祭までに、全部ぜひ自分で回りたいということで非常な無理をして回っておられました。そういうようなことで全部のところに伺うのは、時間的にも無理がございます。全部のところに、総裁がお伺いするということは、これはもうできません。どうしても総裁おいでになれないところは、私ども以下理事の者が手分けをいたしまして、全部のお宅にお伺いをいたしております。地元の今お話のございましたいろいろ御尽力をいただいた方々に対しては、総裁あるいは私等がお伺いをいたす余裕がございませんで、伺っておりませんでしたが、かわりに担当の局長あるいは課長等の者が、それぞれごあいさつに出ております。しかしお世話になった方々に対しましては、なお今後も、十分礼を失わないよう処置はいたしたいと思っております。そういう事情でございますから、御了承をいただきたいと思います。
  15. 中村順造

    中村順造君 これは一軒々々歩かないでも、地元の町内会という組織もありますし、伺うにしても、時間にして五分か六分なんです。ほんとうの地元なんです。こういう場合ですから、何か非難の材料ということにでもなれば、いろいろ非難される面もあると思います。しかしそういう誠意があるならば、とにかく犠牲者に次ぐいわゆる地元の協力者ということで、やはり打つ手はあったと思います。しかし一方的な話を聞いただけだからわからないけれども地元は全然国鉄から、そういう礼を尽くされたという感じを持っていない。だから、それについては今後副総裁なり、それぞれ理事がおられれば、地元に対しては、やはりあれだけの協力をして、しかも犠牲者まで出して協力をしておるということなら、もう少し打つ手があったと思います。これは少し、ひとつ考えてもらいたい。  それで、犠牲者に対する問題は幾らでもありますけれども、これは、それぞれやられておると思いますから、お互いに常識があると思いますから、やられておると思いますので、この点は、私は触れません。この程度でやめます。  事故の問題ですが、いろいろ副総裁お話では、事故防止原因の探究、対策の樹立ということがやられておる、こう言われているんですが、これは一体、私は部内を見ておりますと、部内に対して、しばしば警告が従来の事故と同じことで、再三再四にわたって総裁の名前で出されておる。私は警告が悪いとは言わない。警告けっこうです。お互いに士気がゆるんでいると思われるが、だけれども、私は、そういうことだけを言っていたのでは事故がなくならぬから、何か私どもの受ける感じでは、とにかく職員の士気を引き締めるということだけで事故がなくなるような、あなた方は錯覚をしておるような気がしてならぬ、今打っておられる手を見ると……。それは技術的に、ほんとうに原因の探究というのは、かなり時間もかかるでしょう。それからスタッフについても、いろいろ考慮しなければならぬ面もあると思いますけれども、しかし、さしあたって私は、特に総裁の警告なんか見まして——これは総裁がお出しになったのでしょう、総裁の名前ですから……人命軽視なんという言葉を盛んに使っておられるが、何か国鉄の首脳部は間違った考え方を持っておられるのじゃないかという気がする。これは基本的な問題だから私は申し上げる。一体国鉄職員は、特に信号係にしても、機関士にしても、運転士にしても、人命軽視なんというような、ちまたのチンピラが考えておるような考え方で仕事をしておると思われるところに私は問題があると思う。特に機関車の乗務員は、列車の先頭に立って運転しておるのだから人の人命を軽視すれば、自分の命が先になくなる。今度の場合だって、運転士が死んでいる。そういう面だけで人命軽視——国鉄職員が人命軽視をして仕事をしておるのじゃないかと判断されるから、ああいう警告になる。そういう点どうなんですか。現実に、そういう文書がたくさん出ておるが、現場職員は笑っておる。だれが人の命を軽視して仕事ができるか、人の命を軽視するなら、自分の命が先になくなる。そういうふうな無意味なものを出されておる、再三再四にわたって……そこがちょっとピントがぼけておるのじゃないか。そこはどうなんですか、その点は。
  16. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ちょっと言葉をお返しするようになるかもしれませんが、人命の軽視という言葉は、一ぺんも私どもは使っておりません。人命の尊重ということが、これはもう何ものにも優先することだから、その精神を全組織の末端まで徹底させるということが、これはもう何度繰り返しても足らないことで、そういう面の自覚と申しますか、安全確保ということが輸送業務の最大の使命だということは、およそ国鉄職員である限り、だれしもが何度繰り返してもよけいだということはありませんので、そういう意味で、人命尊重の精神ということをお互いに——これだけの事故を起こしておるのだから、お互いにさらに確認し、相戒める必要があるのじゃないかということで、そういうことをまず申しておるわけであります。しかしもちろん、ただ人命尊重の精神さえ徹底しておれば、それで事故防止ができるかといえば、もちろんそうではございませんので、やはり日常の作業の面につきましても、あるいは物的な設備の面につきましても、必要な措置というものは講じておかなければなりませんので、そういう意味で、何か事故が起こった場合に、異常な事態が起こった場合に、まず安全確保の処置をとり得るように、それができれば、もう反射的な動作ででも、すぐにそういう処置がとり得るように平素からお互いに修練を積んでいかなければいけない。今まで、かつて——こういうことを先生に申し上げるのは釈迦に説法みたいなことになるかと思いますけれども、かつては、ずいぶん国鉄部内では、いろいろな方法で異常事態に対する処置というようなことについて、絶えず修練を積んでおったのでございまするが、昔に比べまするというと、率直に申し上げて、そういう面の指導なり、訓練なりということが精度が落ちておるということは、遺憾ながらこれは認めざるを得ないように思われます。そういう意味で指導、訓練というようなことをお互いに十分強化していこうじゃないかということを、その次に私どもは強調いたしておる次第でございます。しかし、それだけでももちろん足りませんから、さらに広い意味における運転保安設備の整備ということについても、なお一そう力を入れていこう、そういうようなことで、当面の事故防止対策を樹立いたしておるようなわけでございます。
  17. 中村順造

    中村順造君 私は軽視という言葉を使うし、あなたは尊重ですが、文書には尊重と書いてありますよ。人命を尊重せよ、尊重せよということを強調するということは、軽視してはならぬということでしょう。だから、ややもすれば人命軽視の風潮があるから、そこで尊重せよということになってくる。これは日本語の使い方だから、その点は、私はとやかく言いませんけれども、あなたもせっかくそれだけが、結局事故対策ではないと言われるから、こまかい話がありますが、それはやめますけれども、そういうものだということを一応申し上げておく。  それから修練、訓練の問題ですがね、これは最近は非常に修練、訓練が足らないという言い方をされておりますけれども一体、ごく最近私が例を一つ聞いておるのですがね、機関車乗務員、特に機関車乗務員国鉄で教育をしておる教習所の教育期間、これは私どもは前にも本委員会で言ったことがありますけれども、とにかく教育はよくしておるのか、いい卵を採用して、そうしてりっぱな、結局監督を離れて仕事をする人であるから、そのりっぱな人格に基づいた、さらに徹底した教育をしなければならぬということを私はしばしば言っておるのだが、特に最近の一つの例があるわけですが、この訓練、あるいは修練だとかいうことの根本は、教育しなければならぬ特殊な技能を有するものであるから、その教育の期間についても、労働組合意見が対立して、あなたのほうは一方的に実施をされておるのだが、今言われておることと矛盾するのじゃないですか。副総裁、おわかりにならなければ、三月の幾日でしたか、三月に国鉄当局のほうで教習所の機関士、機関助士の教習期間を、機関士については一カ月短縮する、助士については半カ月短縮する、これはもう全く見通しのない場当たり的な人間の採用をしておるから、そこに原因があるのだが、人間が回ってこない。列車はふやしたけれども乗務員がおらない、そういうことで大事な教育期間を短縮するという提案を当局のほうが労働組合にしておられる、労働組合は、それは困ると、むしろわれわれは、いろんな面で教育期間を延ばしてもらわなければいかぬ、こういう意見を言っておったところ、四月の十八日になって、あなたのほうが一方的に、そういうことは労働組合にただ諮問しただけで、その最終的には、これは管理運営の事項だという口実を設けて、機関士については一カ月、機関助士については半カ月の教育期間の短縮をやっておられるのですが、これはあなたの言われる、訓練、修練の徹底ということを言われるのですが、四月十八日にやったことは、全く逆行じゃないですか、それはどういうことですか。
  18. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 四月の十八日がどうであるとか、三月の幾日がどうであるとかいうことは、後ほど運転局長からお答えをさせたいと思いますが、組合のほうからも、いろいろお話があったかに伺っておりますけれども、そのときどきの従業員の教育の期間の徹底というようなことは、やはり人員の要員の需給状態、その他事業計画等を勘案して当局側できめておりますので、これは別に、管理運営事項であるということを口実にしてどうとかいうことじゃなしに、これはいわゆる管理運営事項そのものであると、私ども考えております。ただ、それでこまかい具体的なことにつきましては、運転局長からお答えをさせていただきたいと思います。
  19. 音田和夫

    説明員(音田和夫君) 教習期間の短縮につきましては、ただいま御指摘がありました状態になっております。短縮いたしました理由といたしましては、短縮いたしました期間を考えますと、一般教養といいますか、そういった面の期間を、最近の高校を出て入りました者の状態から判断いたしまして、短縮して差しつかえないという状態に考えられますのと、それから教習所の設備、教育方法などにつきましても、従来と比較いたしまして、あの規程が制定されました当時と比較いたしまして改善されておりますので、そういった面で短縮を考えたわけでありまして、これが技術的な面とかにおきまして、保安の面で支障があるというふうには私ども考えていないわけでございます。
  20. 中村順造

    中村順造君 この教習期間の短縮というのは、運転局長が計画されたが、だれが計画されたか知りませんけれどもね、あなたのお話は、ちょっと矛盾しておると思うのですね。高校生が一般科目については高校を出ておるから、かなり学校でやっておるから、国鉄でことさらにやる必要はない、だから短くしたのだと。副総裁は、この教習期間の短縮は管理運営だけで、それは一般の需給と見合って、そういうことが考えられるもんだと、こう言っておられる。それからさっきの人命尊重だがね、そういう人命尊重の物の考え方なんというのは、一般教養が高ければ高いだけいいんですよ。高校出ておったら、それではたとえば機関士なら機関士、運転士なら運転士に例をとると、高校程度の一般教養でいいという断定を下すのと、さらにやはり人間性を高めるのだから、特に国鉄国鉄のいわゆる考え方があると思う。人間性があるわけだ。その国鉄の人間性を高めるために、国鉄の教習所で一般をやるわけなんです。これは今に始まったことではない。もう三十年も四十年も前からやられておる。国鉄人としての教養を高める、そういう面からいえば、一つの教習期間を短縮する理由というものは見当たらないのです。それを、あえて短縮をしたということは、一つは、私はさっきから言っておるように、この修練とか訓練とか基本的な教育を二義的に置いて、一義的に考えたことは何かというと、人員の需給でしょう。運転局長一番よく知っておるわけですが、列車をふやしたけれど竜、乗務員がおらない。機関車を修繕したいけれども熟練工がおらぬというのが現状でしょう。それはあなた方、そんなことを言われても、私はしろうとでないから、現場事情わかっておりますから、そういうことでなしに、率直に、こういう事情だからということで、この際、大きな事故があったあとだから、悪かった点は改めるべきだと思うのですよ。答弁としての答弁なら、それでいいけれども、そういう考え方を持っておられるところに、やはり事故が起きる大きな原因があると思うのです。だから、その教習期間などというものは、大事な国鉄人として、特に監督を離れて独立して仕事をしていくための教育だから、これはできることなら半年でも一年でもやりたいのですよ、やりたい気持です。それを一方的に、管理運営の事項だから——四カ月半が三カ月半でしょう、一カ月短縮すれば。そういうことで、今度事故があったら、訓練の不足とか、士気の弛緩といわれたら、一体どうなりますか。そういうことを何回も繰り返して、参宮線あり、三河島事件があり、何回も繰り返しているのですけれども、問題は、そういうところにあるのじゃないですか。そういうことはないという御判断ですか、副総裁、どうですか、それは。
  21. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 教習所等に集めて教育いたします期間は、もちろんこれは長いほうが、短いより十分な教育ができるということは、もうお言葉のとおりだと思います。したがいまして、でき得れば、できるだけ教習所においても充実した教育をいたさなければならないと考えておりまするけれども、そういう教習所におけるような教育よりも、当面一番、私どもが最近欠陥があるように考えておりますのは、現場の業務機関に配属されて、日々業務に当たっておりますその間における訓練というようなものが、既往に——昔に比べて相当精度が落ちておるように思われます。これはまあ、時間の面から申しましても、あるいは指導、訓練、修練の方法につきましても、昔やっておったようなことがやらなくなっておるというものが相当ございますので、そういうような、やはり平素の修練というものを十分やっておきませんと、事故が起こった場合に、とっさの間に一番いい方法をとるということが、やはりどこかに、そういう修練の不足というようなことが現われてくるように考えられる点が多々ございますので、そういう点の充実ということを今後一そう力を入れてやらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  22. 中村順造

    中村順造君 私はまあこの点についての質問は、それはやめますがね、副総裁と私の考え、全然違うのですね。あなたのはね、参宮線なり三河島、あるいは昨年の暮れの山陽本線の追突など見ても、あなたの考え方は、あまりにも場当たり的なんです。事故があってから、あのとき発炎筒をたけば事故にならなかった。あのとき機関士が信号を見てくれれば事故にならなかった。そういう結論から言えば、現場の訓練ということが主張される。私も、かつて国鉄の教習所の教官などしましたけれども、私の考え方は、基本的にやっぱり国鉄人なら国鉄人、運転人としての基礎的なものを、うんと身につけないから問題になっておるのです。基礎的なものを骨の髄まで、そういう場合にはどうなるのだ、どういう結果になるかということを、とっさに原因が読み取れるだけの、そういう人間を作って機関車の上に乗せることが先決なんです。四カ月半の教育をしておったものを、一カ月短かくして、あとはとにかく、現場の訓練でいくということは、これは戦時中で人の足らないときにやることです。今の場合は、やはりある程度の待遇をして、それぞれの条件を整えれば、かなり人は集まってくる。そうすれば、基本的に、やはり徹底的に運転人に適正であるかどうかという教育をして、場当たり的なものじゃなしに、こうすればああなる、こうなればああなる、こういう、いつでも機に臨み変に応じて処置できる人間を作ることが先なんです。それを今、あなたのお話を聞いていると、もとやりおったことを最近やらないからだ。そうじゃないと思うんです。そういう考え方を前提として持たれれば、やはりこういう事故の徹底的な人的な欠陥というものは、私は解消しないと思う。問題は明確です。運転局長、一番よく知っておられるでしょう。汽車をふやしたくても乗務員がおらない。機関車の修繕をしたくても、熟練工がおらないというのが、現場の実態です。こういう実態に追い込んだのはだれか。これは、国鉄の要員を取り扱っておる人が——私は前から、そういうことを主張しておった。全然それを聞かない。仕方がないから、場当たり的な、基本的な教育訓練をしていないものを現場に配置すれば、副総裁の言われるように、それは臨機応変の、その場で場当たり的な処置をとれる人間であればいい。これじゃ危険で仕方がない、国民の側から見れば。むしろ基礎的なものを、うんとたたき込んで、そこで、こうすればああなるという原則があるんです。たとえば昨年の山陽本線の追突にしても、だれかが一人基本的なものを、十人の関係者のうち一人だけ知っておれば、あの事故がないのです、私が現地に行ってみれば。それが、国鉄の現状なんです。とにかく採算をとらなきゃいけんから、人員を減らさなければならない。要員が不足しておる。したがって、集める集め方にも問題があるし、集まってきた人にも、基本的なものをやる間がないから、場当たり的でやむを得ず済まさなければならぬ。私はどうもその点は、副総裁意見が違うんですが、どうですか。
  23. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいま中村先生から御指摘のあったような諸点につきましては、私どもも十分考えなきゃならない点が多々あると思っております。ただ、しかし、今度の三河島事故——これは例として申し上げるのですけれども、現在司直の調べを受けておる際でありますから、あまり具体的なことを申し上げることは差しさわりがあるかと思いますけれども、あの一番最初の事故原因関係した機関車の乗務員というのは、十数年のベテランであります。にもかかわらず、機関助士と一緒におりまして、昔なら、もう当然やっているはずの信号の喚呼ということをやっておらないわけでございます。途中で信号が赤であることを認めたといいながら、そのことを黙っておったというようなことでございまして、もし、そこで信号が赤だということを一言、機関助士が喚呼してくれたら、まさかああいうことにならなかったのじゃなかろうかと、最初の聞き取り書では、そういうふうに言われておりますので、そういうようなことも、たとえばベテランでありましても、平素の基本動作等についての修練ということを、やっぱり十分にやっておきませんと間違いが起こる原因になりますので、そういう点を——やはりそういう点が、どうしても私は昔に比べて足りなくなっておるという点は見落とすことができないように考えます。これは私一人の考えではございませんが、そういうふうに思われますので、そういう点をやはり特に力を入れていく必要があるのじゃないか。また、先生が御指摘になったような諸点につきましても、これは当然、私どもとしても反省もし、またそれぞれ手を打っていかなければならぬと思いますが、ただいま申し上げましたような点につきましても、欠陥があったということは認めないわけにはいかぬのじゃなかろうかというふうに考えております。
  24. 中村順造

    中村順造君 これは非常に重要なことなんですが、喚呼をやったとかやらないとか、何か調書を読まれたような印象を受けるんですが、警察の調書をお読みになったかしらんけれども、その喚呼をやったら事故がなかったとか、信号機が赤だったから、ブレーキを使ってとめれば事故がなかった、それはわかり切ったことで、それはやったとかやらないということでなしに、やはりそういうことは、どこから起こるかということなんですよ。赤の信号を見て、いきなり制動手配ができなかった、あるいは時機を失したとか、信号を誤認したとか、原因はいろいろあるでしょう。それはあれだけの複雑した仕事をしておるんですから、国鉄職員は、職種にしてもいろいろあるんです。それぞれの職場で、いろいろ複雑な仕事をしておるんだから、それが結局喚呼をしたとか、制動の時機がどうだとかいうより先に、やはり基本的なものを、人間を作らなければだめなんです、私の言うのは。これは罪とすれば、過失でしょう、結局。人間だから過失が全然ないと、一生涯を通じて過失がない。何万回かハンドルを取っておる間に、信号を見る間に、一回の過失が、これだけ重大な事故になるということも考えられるし、また自分の注意力によって何百回、何千回の事故を未然に防ぐということは、仕事から、そういうことがあるんだから、過失を起こしたとか、きめたことをしなかったということを責めるよりも、そういう過失を起こさない人間を作ることが先です。だから私は、そういうことを言っておるんです。これは将来の問題として、依然として今のとにかく国鉄職員、運転関係の要員の需給ということも、私も国鉄におったんですが、私ども国鉄におった戦時中を除いては、こんな状態はないですよ、常識で考えても。この点にお気づきにならずに、依然としてそういうことは方針として間違いないんだ、ただお前たち悪いんだと、そういう考え方をされたんでは、この事故はなくならないと私は言っておるんです。その点をおわかりいただければ、この議論はいたしません。この前、本会議で申し上げましたけれども、私たちの建設的な意見を、すなおに受け入れられる気持がなかった。今度重大な事故が不幸にしてあったから、われわれの意見が、全部が全部必ずしもあなた方が受け入れる気持になるか別として、そういう明らかに人的に、こういう欠陥があったということから、私どもそれを指摘して、あなた方が検討して、そうだったかというなら、これは改めてもらわなければ困ると思うのです。これだけの大きな事故のあったあとですから。  それから、もう少し具体的な問題になりますが、これに関係して設備、それは今日の列車密度あるいは列車速度、こういうものに対する設備というものが、どの程度にあなた方お考えになっておったか知らぬけれども参宮線事故をやったときに、事故の直後労働組合のほうから、あなた方に申し入れをしておるわけです。昭和三十一年十二月十七日です。これは十五日が事故の日ですから、直後です。特に定時運転主義を是正する。それから保安設備についてというので、イロハニホヘ、いろいろ安全側線のあり方、車内警報機、車内信号機、車内電話、こういうものの、これだけ速度が高くなり、列車密度が高くなれば、当然それだけの設備をしなければいかぬということを、やはりハンドルを取る立場から、あなた方に申し入れをしておるが、それは、どういうことになったんですか、その申し入れについては。
  25. 関四郎

    説明員(関四郎君) ただいまの三十一年十二月十七日の労働組合からの申し入れというのは、手元にございませんので、それについては、正確にお答えすることがちょっとできませんですが、実は、そういうお申し入れも参考にしまして、そのときに、参宮線事故当時に、実施項目をきめまして、これは第一番が車内警報装置の設置。それから二番目が自動信号化。それから三番目がその他改良といたしまして、その他改良の中には、これが安全側線の改良、それから脱線転轍器の改良及び脱線器の撤去、それから信号機その他施設の改良。それから四番目といたしまして信号警標の採用。こういうような四項目になります。全体で大きな三項目で、その他改良というので四項目です。これらについて、なるべく早急に実施よう。  それから研究事項といたしまして、その後研究していこうということについての一番が自動列車制御装置、それから二番目が安全側線の設備基準を作る、第三番目が自記速度計をつける、四番目が列車に無線をつけることにする、五番目が列車線別信号方式、それから六番目が発条転轍器の解錠を確認する方法、こういうふうに六項目については、これについて、それぞれ今後研究していこう、こういうふうなことになっていたわけでございます。  それで、この実施事項の第一番目の車内警報装置の設置ということにつきましては、これは戦前から研究しておりました自動信号区間の軌道回路に電流を流す、いわゆる自動信号区間に採用しようということで、いわゆる自動列車制御までいけるようなものにするための、いわゆる連続コード方式車内警報装置、これを主要幹線について考える、それから通勤電車運転区間については点制御式の警報機をつける、それから電車運転区間は、御承知のように自動信号で軌道回路を使っておりますが、その他の区間では、軌道回路のない区間がございますので、この区間には点制御式の、地上の赤信号を車内に警報を発するような車内警報装置をつける、との三種類に分けまして、これを一番最初の連続コード方式をA型といい、それから電車運転区間によります点制御式のものをB型とし、最後の軌道回路を使わない分をC型ということにいたしまして、これについて早急に整備するということで着工したわけでございます。これにつきましては、最初のA型については、現在東海道と山陽線の一部、東京−姫路間に設備いたしております。それからB型につきましては、これは当初計画では、東京、大阪付近の通勤電車区間約二百キロつけることにいたしておりましたのですが、これについては、その後この結果がいいために、現在約倍の四百キロぐらいを、B型の車内警報機をつけております。このB型につきましては、一応完了ということになっておりますが、三番目のC型でありますが、これにつきましては、自動信号区間でも、それからまた非自動信号区間でも、どっちにでも入っていって、それで十分に機能を発揮するというようなつもりで研究いたしましたが、このB型につきましては、すでに戦後二十五、六年ごろから研究いたしておりましたし、A型については、戦前から研究いたしておりましたので、別に、あまり大して問題はなかったわけでありますが、C型につきましては、この参宮線事故のときから、全国的に支線にもつけようということになりましたために、非常に急いだたために、まことにこれは申しわけないことでございますが、現在米原から青森間の裏縦貫にこれがついておりますが、とにかく警報を鳴らしておりまして、現在使っておりますが、非常に不安定であるということで、もちろんこの警報の百パーセント完全というものは、人間の作るものですからできないわけですが、しかし不安定であるということから、乗務員関係から、もう少し安定したものにならないかという意見が出まして、たまたま一昨年の一月一日に有楽町−ただいま申しましたA型車内警報という連続コード方式の一番高級な設備のついている区間でございますが、ここでもって追突事故がございました。この原因を調べましたところが、この車内警報装置を、乗務員が二人乗っておりまして、あまりひんぱんに鳴るので、これをとめてしまった。とめて話に夢中になっているうちに追突した。これは、あまり大きな事故になりませんでしたが、非常にお恥ずかしい事故ができましたために、A型についても、C型についても、もう一度、列車停止装置というものを、あわせて考える必要があるのじゃないかということで、どうしても、ただ警報を鳴らすだけでは、ただこれを、そういうような確認のボタンを押しただけで、これは警報装置でもストップ装置でもそうですが、この回路を切ってしまっては、どうにもならないのですが、とにかく警報だけではだめだから、ストップをつけるようなものにしてほしいという、これは使用者側から非常に強い要求がございまして、このために、たまたまC型の不安定さも手伝いまして、そこでもう一度、非自動区間も自動区間も、共通に走れるような車についての警報装置については、根本的にやり直そうということでございまして、一昨年の、この正月の事故が起きました直後から、別途にもう一度根本的にやり直そうということでございました。先ほどからお話のありました運転事故防止対策委員会の中に、車内警報専門部会というものを設けまして、そこで、あらゆる世界各国の採用しております車内警報装置、自動列車停止装置、列車制御装置、こういうようなものの方式の中から、非自動区間にも使えるようなものを、あらゆるものを選びあげまして、これは最初に候補に上したものは、十八種類あったわけでございますが、これを、そのいろいろな装置の性能、プリンシプル、そういうようなものを全部あげて、点数をつけまして、その結果日本として、これが採用可能であろうというものを四種類選びまして、これを鉄道技術研究所で種々試験の結果、これを試作いたしまして、この試作したものを、四種類を昨年の七月から約二カ月にわたりまして実地に試験いたしました試験の結果、大体二種類が候補に上りました。この二種類について、昨年の九月からことしの三月まで約半年以上にわたりまして、長期試験の結果、大体これなら大丈夫だというものが、現在、大体見込みがついているというような状態でございまして、たいへんこのC型につきましては、そういうようなことで、現在千キロ程度しかついておりませんが、今後この研究の結果をもとにしまして、これをどういうふうに、今後現在線の主要幹線とか亜幹線その他に、どういうふうに設置していくかということを早急にきめて実施したい、こういうふうに考えております。  それから、先ほど申しました二番目の自動信号化ということにつきましては、実は、複線区間は原則として自動信号にするということになっていたわけでございますが、これが複線になっていながら、まだ自動信号化していないところがございましたので、これは約八線区、百十五キロばかりを取り上げたわけでございますが、これは現在のところ、約百キロが完成いたしまして、残りのところは、非常に特殊な一区間だけが複線になっているというような特殊のところだけは、これはたとえば伊田線とか香月線とかいうところでございますが、これは大体三キロとか四キロという区間のところが二、三カ所残っているという程度でございまして、それからそのほかに、非常に輸送量の多いところの単線を四線区約五百キロ以内を単線自動化をするということでございます。これは予定どおり済ましております。  それから三番目のその他改良でございますが、安全側線については、これは今後の三河島に関連した対策のところで、また申し上げるべきかとも思いますが、この安全側線の改良については、もともと御承知のように、安全側線というものは非常に高速度で突破していく、これを防ぎとめるというような目的のものではございませんで、これを特に危険なところについては、いろいろの対策をもって臨もう、構造的に直すとか、あるいは周囲の信号機について直すとかいう、いろいろのことで安全側線の使い方を今後検討していこうということにいたしておりますが、このときの、これはその他改良と申しますのは、大体小さな工事が多いので、現地の実際の実情に即して、管理局長なり支社長のほうできめてやるということでございますが、この安全側線の点についても、ある程度いたしております。それから脱線転轍器とか脱線器の撤去ということも、これは一番問題になるようなところはいたしております。これからそのほかに、信号機その他の増設によって非常に事故が防げるというようなところについての信号機その他改良というものでございますが、これも非常にこまごましたいろいろのものがありますが、これは特別にその当時工事費を別途配賦いたしましていたしております。  それから四番目の信号警標でございますが、これは全国で例の信号機の手前に二百メートルないし三百メートルのところに警標をつけて、この先に信号機があるぞということを指示するための信号警標というものを全国に八千本つけることになっておりまして、これはすでに完了いたしております。  それから研究事項といたしまして、先ほど申し上げました自動列車制御装置ということは、現在のところ先ほど申しましたC型車内警報にストップ装置をつける——自動列車停止装置をつけるという方法でいこうということにいたしまして、この方針で現在進もうというよう結論になっております。  それから安全側線の設備基準でございますが、これは検討した結果、信号設備心得というところに取り入れまして、これは改正のときに、その案でやっていこうということにいたします。  それから自記速度計については、特急電車と特急気動車に現在取りつけておりまして、試験中でございまして、この結果によって、よければ全体的に及ぼしていきたい。  それから列車無線でございますが、これは、その後東海道の「こだま」その他につけておりますが、あのような高級なものではなくて、もっと指令の一斉呼び出しというようなことをしようということで、これは、ことに東京付近の通勤電車区間には、これを取りつけたいということで検討いたしておりますが、実は普通の町のタクシーは、どれでもタクシー無線をつけているじゃないか、それに対して、国鉄列車にどうして無線が簡単につかないのかということをよく言われまして、まことにそのとおりだと思います。私どもも鋭意、もっと簡単につける方法ということを考えておりますのですが、実はタクシーは、大体半径四キロか五キロという範囲の自動車に無線がかかるというようなことになっておりますが、東京付近で通勤電車にこの無線がかかるようにするというと、やはり半径五十キロくらいの範囲が必要だということになります。そうしますと、その範囲で走っております電車の編成が大体四、五百本の電車が走っているということになりますと、これに一斉に電話がかかりますと、かえって非常に混乱してしまう。そのために、それでは地区別に、たとえば線別というようなふうに常磐線とか中央線とかいうようなふうに、別々にかかる方法といいますと、これが現在、そういうような線で誘導無線方式というようなことで検討いたしておりますが、これも、方々の線をたくさん区別してやりますと、周波数の割当、電波の割当の問題がかかりまして、こういうふうな点の調整がなかなかつかないために、現在まだ、これも検討をいたしておるわけでございます。  それから列車線別信号方式と申しますのは、例のたとえば貨物列車と旅客列車の非常に速度が違う。速度が違うのに早くから、踏み切りなんかで踏み切りの警報が鳴りますと、貨物列車なんかは非常に速度がおそいために、普通一分か一分半の余裕をもつところが、三分も五分もかかるというようなことでもって、かえって踏み切り警報を軽視するというようなことになっては困るというので、列車の速度に応じて、この警報の鳴る時間を増減するというような方法でございます。これはすでに中央線の飯田町から高尾までの間、それから総武線ではお茶の水−千葉間に、これは設備いたしております。それから発条転轍器の解錠を確認する。これは照査型の連動機の仕様をきめまして、これを全国において実施いたしております。  大体、参宮線事故のときに取り上げました各項目につきましては、以上のようなことをいたしております。
  26. 中村順造

    中村順造君 だいぶ詳しい説明があったのですが、肝心なところが、まあこまかい信号設備だとか車内警報だとか、自動ストップだとかいうことは別にして、これは、研究完成のものがないと言われれば、研究しなければならぬし、またつけるについても、かなりの予算も必要だと思いますが、私は少なくとも参宮線事故のときに、あの三河島事故原因とを比べた場合に、私は五つの条件が一致しておるということを言っているのだが、この安全側線に乗り上げて本線のほうに転倒するとか脱線をするとか、それから対向列車の手配だとか、いろいろありますが、何といっても、参宮線事故を真剣に考えた場合に、安全側線というものが、一体どうなっておるのか、この点が、あなたのほうは今いろいろ信号の面については詳しい説明があったが、安全側線のことに触れては、言葉じりではないのですが、信号設備心得の改正のときに実施をする。それからこの使い方については今後検討をする、こういうふうなことで言われておるのだが、三河島でも参宮線でも、これはもう私が言うまでもなく、安全側線というのは、機関士が信号を誤認した、あるいは制動の時期を失した、あるいは信号係が誤った信号の取り扱いをした。参宮線なんか非常にその疑いがあるというので、信号係も起訴されておるのだが、そういう場合にどうしたらいいのかというのが安全側線の価値でしょう。ところが参宮線の場合には、不幸にしてその安全側線に上がったのが、本線に転倒した。今度の三河島の場合にも、本線に傾いて出てきて、それに電車が接触した。同じ原因で、こんなにわかり切ったことが二度も繰り返されておるというところに、それは金もかかるし時間もかけて研究しなければいかぬ面もあるけれども、これは、一番手っとり早い考え方じゃないですか、少なくともあれだけの事故をやった経緯から見ても、一体、安全側線というものは、ちょっと触れられたけれども、高い速度で乗り入れるという性格のものではないと言われるけれども、実際、今の列車の速度というものは、そういうふうな速度になっている。一番改良しなければならぬ、しかも手っとり早く改良できるもの、研究の余地があるということを言わなくても、すぐ右から左へ改良し、装置のできるものが、していないところに、また同じことが起きたのです。それから信号警標といわれるけれども、八千本作ったと言われるけれども、これは信号機がどこにあるかというのは、それは、列車に乗っている人はよく知っておるわけです。木の札、棒の先に小さいこんな板きれをつけて、これを八千本作って、それで事故がなくなるんだという考え方、これは、きわめて幼稚ですよ。そんなことを考えるよりか、現実に事故の大きな原因であった安全側線というものを、なぜ参宮線のときに考えられなかったか。これはいつでも、三河島事故が大きく出て、いろいろなことを言われるけれども、私はきのう現地へ行って、安全側線の設備というものは、最近変わったという話だがどうかということを、現場の保安の責任者に聞いたところが、特に変わっておりません、十年も二十年も依然として同じです、それを変えなければならぬという点は、私は一つも指示されておりませんというんです。そういうことを言っておるんだが、参宮線のときに安全側線というものが、ほんとうに検討されれば、これは当然——今でも、ただ信号設備心得の改正を契機にと、こう言っておられるが、どうですか、その点は。これを具体的に、参宮線で、これだけの大きな問題を提起し、また三河島で提起した。大体、安全側線というものは、本線に並行しているが、これに対して、直ちに改良の手配をするという考え方ないですか。
  27. 関四郎

    説明員(関四郎君) この安全側線、ただいま申し上げましたのは、参宮線事故当時に出した対策に対して、どういうことをしていたかという御質問でございましたので申し上げたわけでございますが、この安全側線につきましては、非常に名前から生ずる誤解もございますが、目的は、もともと釈迦に説法でございますが、大体、現在信号方式といいましても、ブレーキがききが悪かったとか、ブレーキをかける時間、制動の時間を誤ったとかいうようなことで、行き過ぎた場合に、本線に突き出ないようにするというような目的でございまして、そういうよう意味から作っているわけでございますが、これが場所によりまして、非常に作りにくいところ、設計のしにくいところがございまして、こういう点で、やはり問題になる安全側線がかなりあることは事実でございます。それで参宮線当時、これの基準を作って、それで励行しようとしていた、それにもかかわらず、こういうようなことが起きたということは、まことにこれは申しわけのないことでございますが、また、安全側線に対する考え方そのものについても、少し安全側線の構造そのものにたより過ぎていたんじゃないかということでございまして、これについては、今度の三河島事故にかんがみまして、三河島の安全側線も、何とかこれを改良したいと思いましても、御承知のように、ああいうような場所でございますために、根本的にいかなる場合でも防げるというようにするためには、非常に構造上もむずかしい問題がございます。  それで今度の事故を契機といたしまして、安全側線について考えておりまして、早急に実施ようとしておりますことは、もちろん簡単に改良すれば、非常に安全性を増すというようなところについては、これは早急に改良いたしますが、なかなか現在残っているところの安全側線の改良というものは、そう設備的に簡単にいくところは、あまり残っていないというのが実情でございますので、これについてはやはり併発事故を防ぐという見地から申し、安全側線に乗り上げるということは、非常によくないことでございますが、しかし、ままあることでございますから、これが安全側線に乗り上げた場合には、これに関係したその周囲にある信号機を赤にしまして、自動的に赤になるような装置をする、これは機械信号で申しますと、ワイヤーを切る、そうして連動をといて赤信号を出す。また、自動信号でございますと、周囲の関係のレールを短絡いたしまして、関係の信号機を赤にするというような装置を講じて防ごうというようなことを考えておりまして、これは参宮線事故のときに、とにかくできるだけ安全側線というものを、根本的に改良しようということを言いましたけれども、このときの考えでは、ぜひともやりたいと思いましたが、構造上、また場所的に非常に困難なところがやはり残っておるために、今回は——今後の問題としては、もちろん直せるところは徹底的に直しますが、できれば、併発事故を防ぐ方向でいきたいと、こういうふうに考えております。
  28. 中村順造

    中村順造君 長くなりましたから、これはやれば、あれだけの大きな事故だから、幾らでもそれは長くなりますが、あなた方役所で、机の前に座っておられるから、ちまたの声は、町の声は聞こえないと思うのですね。私どもは安全側線の問題でも、きのう聞いて驚いたんです。町では、どういうことを言っているかというと、事故のときに安全側線を掘ってみたら、機関車が本線にひっかかるようにこしらえてあった、こういうことを——これは非常に、しろうとの無責任な言葉だと思いますけれども、現実に、いつもいつも安全側線に乗り上げれば、そういう状態になるということは、三河島の立地条件からすれば、反対側でひっくり返ったら、下に落ちるわけです。向こうに乗りつけていけば向こうに落ちると思う。もっともらしい意見として、町の人はそういうことを言っている。しかもそれを、もっともらしく宣伝しておる人もおる。私どもは技術的に考えて、そういうばかげたことはあり得ないのだが、機関車をわざわざ横に転倒させるようなことはしていないと思うが、これは町の、ちまたの声が、そういうことを言うということで、参宮線のあれだけの安全側線の問題を起こして、あなたの説明を聞いておっても、何にもしていないわけだ、安全側線については。だから、必然そういう、もっともらしいしろうと考えのようなことを言っているけれども、これはやはり安全側線というものは、一番問題になっておるというなら、これだけでも、せめて改造する。それは金もかかるでしょう、けれども、そこには列車の行き違いをさせないとか、いろいろな方法があると思うのですからね。これはいろいろな長々しい説明を聞きましたが、実質的には、研究の段階を越えておらないものもあるし、また予算の面でやれないような問題もあるし、そういう面が、それはわかります——わかりますけれども、とにかく大きな事故の、皆さんの顔色が変わるほどの重大事故が起きたというよう参宮線事故、三河島事故を聞いたら、だれが考えても、少し鉄道の常識がある人ならわかるのです。それが、全然やられておらない。ややもすれば、それが大きな人為的な問題であるにもかかわらず、現場職員——私は国会でありますから、現場職員責任があるかないか、そんなことは言いませんが、それは人間だから過失はあるという前提のもとに、設備も作られておると思う。けれども、それが今日の実際の列車の運行なり、その実情なりに合っていないということを考えついたら、それはすぐに変えるべきだと思う。ただ、それが国鉄職員の士気のゆるみだとか、お前がやることをやらなかったから悪いのだと、そういうことを言っておったのでは、事故はなくならぬということを一貫して言っておる。この点は、副総裁もおられるから、ひとつ十分——それから、さっき言われた当局で持っておられる事故防止委員会、それから運輸大臣監査委員長に対して、いわゆる監査の命令がされて、いろいろ査問委員会だとか、あるいは個人の責任については特別懲戒委員会だとか言われるけれども、やはりこれも、私どもから考えると、参宮線の例の事故の探究の、いわゆる原因というか、そういうものも、五年後たってみて、これがどこにあったか、これは裁判官は刑事上の責任だけを追及するだけで、することをしなかったとかしたとかいうだけの問題、これはささいな問題ですよ。だから、ほんとうにどこに問題があるかということを、もう少し私は大所、高所からやられて、即、それも実行が伴わなければだめだと思う。そういう点で、今度はひとつ、まあここにこうした社会的に重大な、大きな事故があって、非常にきのうも、何か国民大会なんというのがやられているけれども、それは、あなた方の個々職員責任を追及するということも、当然それはなされなければならぬと思うのですけれども、もう少し、国鉄としてやらなければならぬ問題がたくさんあるのじゃないかと私は思うのです。そういう点をひとつ留意していただいてやってもらいたいと、このことを希望をつけて、きょうは、この質問を打ち切ります。
  29. 関四郎

    説明員(関四郎君) 実は、これは中村先生は十分こちらのほうのことをご存じのようであれですが、ただいまお話が出ましたので、三河島の安全側線が、本線のほうを向いていたのじゃないかというちまたのうわさということについては、私、あの事故あとで現地に行って見ておりましたので、その点は、そういうことがないということを一応、ここでお話ししておいたほうがいいのじゃないかと思いまして、貴重な時間を拝借したわけですが、あれは、実は砂利盛りの中には、六メートルくらいレールが入っておりまして、その先はレールがないのでございますが、あのときは、機関車が本線のほうに向かっちゃったというのは、その先台車が砂利に当たって、ちょっと少し方向が向きますと、そのほうに向かうわけです。そうすると貨車のほうからテンダーを押し出しまして、本線のほうに動いたという格好になって、機関車が水平のまま行っているという状態で、これを引き上げるという、復線するために、あすこの砂利を取って、そこにレールを乗っけて後に引き出したわけです。機関車の引き上げ作業に使ったレールをご覧になったのじゃないかと思いますが、その点、中村先生はそんなばかなことはないということはご存じのようですから、それを御参考までに申し上げます。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 三百だけお伺いしておきたいことは、本来ならば、きょうは今度のようなことは、運輸省に対して私はお尋ねしたいと思っておったのですが、ということは、まあこういう事故があれば、事故のあるたびに、同じようなことが繰り返される、国民の、世論としてもあるいは議論としても。が、なおよく考えてみると、経済の異常な発展に伴って国鉄の輸送力が急テンポの増強を要請される。こういう必然的な国鉄の宿命があると思うのですけれども、これに対して、資金のワクというものがきまっている、お金がきまっている。ですから、そういう点について政府がもっと積極的に、国鉄の輸送力に対して私は関心を持ってめんどうを見なければならぬと思うのですが、その点は、きょうはおりませんからやめますが、この際、私は三河島級の事故が起こる可能性が、今後幾たびかあるのじゃないかという気がするのですが、私は、この施設はしろうとでわかりませんけれども、たとえば東京周辺、大阪あたりの通勤列車の非常に短かいところでもって、スピード・アップして走る。あの列車事故が起こったら、どうするかという気がする。あるいはまた、方々旅行してみましても、非常に危険な作業や何かやっています。たとえば焼津の駅に参りますと、非常に本線の列車事故が多い。あのレールを横切って人が動いて、そうして急行便に乗るという、それは非常に危険だと思う。もしも、どっちかの注意力が失われても、たいへんだと思う。この際、やはり全国的なそういうような個所をお調べになって、そうして早急に、可能な範囲の改良を加えていくというような、そういう手をお打ちになる御方針はございませんか。全国的にすぐやれといっても、それは資金繰りとかいろいろ事情がありましょうが、十分お調べになって、危険な個所があれば早急に手を打つ。たとえば、最近東海道線の特急へ乗っても、藤沢辺だと思うのですけれども、異様な音がしますよ。どど、どどという音が、相当に起こります。あるいは刈谷付近でも、ローリングが非常にひどくて、洗面所へ行ったって顔が洗えない。これは何かの欠陥があるだろうと思うのですが、そういう、いろいろな点を専門的にお調べになって、この際、やはり手をつける、そういうことをおやりになるお考えがあるかどうか、これだけちょっとお伺いしたい。
  31. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 御指摘のように、単に今回事故が起こりました常磐線だけでなしに、この付近で申せば総武線、東海道線あるいは関西のほうの山陽線、その他相当な列車回数も多くロードもかかっておるようなところもございます。  それで、今御指摘のございましたような諸点につきまして、特に、ただいま実施いたしております五カ年計画の進め方につきましても、やはり特に運転保安というようなことに関連のある事柄につきましては、時間的にこれを繰り上げてやるとか、いろいろそういう根本的な問題についても、あわせ検討をすべきものと考えておりまして、それらの点については、御指摘のような方向に沿うて、十分検討を重ね、また実行すべきものは、すみやかに取り上げるということでやって参りたいというふうに考えております。
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は、将来のことを言うのじゃなくて、今回、直ちにそういう点を調査されて、そうして手を打つならば手を打つ。たとえば、中村君が今指摘したように、人員の不足があるとすれば、人員、要員を確保する、こういう点を具体的に手を打っていかないというと、調査委員会を作ってみても、何を作ってみても、実際問題としての探求にはならぬのじゃないかと思うのです。たとえば、この間新聞で見たのですけれども、東海道新幹線ができて、二百キロも百五十キロもで走るというと、急ブレーキをかけても二千五百メーター行かなければとまらない。二千五百メーターだから、向こうの障害物を見る手段がないのです。何か機械をつければ、汽車は向こうにおるやつはわかるけれども、土砂くずれや石っころなんというのは、その機械では反応はない。レーダーをつければ、スズメがおりても汽車がとまってしまうということになってだめだということになるだろうと思うのです。そういうことについても、たいへんなことだと思うのです。私は、東海道線に乗ってみても、新幹線の工事を見ましても、たとえば、コンクリートで直角に立っておるところは、だれも上へ上がってこない。しかし、土手になっているところがあります。これは子供が上がってきます。子供が上がって、石っころや何か置いちゃう。石っころや何か置き得ないようにするという点で問題があるのですね。この点については、将来のことですから、検討しなければならぬのですが、いわゆる現在そういう危険な場所や、あるいはまた事故の起こる要因というものをよく検討されて、手のつけられるものから、すぐ手をつける、こういう誠意がなければいかぬと思うのですが、もう一回。
  33. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 応急に措置し得る事項につきましては、もちろん御指摘のようにやらなければならないと考えておりまして、本社の事故防止対策委員会でも、いろいろ検討いたしておりますけれども、今やっておりますことを、下部の管理機関にもよく通達をいたしまして、十分、今御指摘のありましたような点については手落ちのないようにして参りたいと思います。
  34. 大倉精一

    ○大倉精一君 通達だけじゃなくて、私は要望しておきますけれども、きょうの新聞を見ますというと、鉄道建設審議会が新線建設に対する新しい構想を発表しておるわけですけれども、今私が申し上げたようなことは、お金さえあればできる場合がたくさんあると思う。お金さえあれば、要するに資金ですよ、金の面ですよ。ああいうような構想があるとすれば、今早急に手を打つ必要があるものは政府がめんどうを見なければならぬし、そういう努力をしなければならぬと思う。きょうは運輸省いないから、運輸省に質問する手だてはありませんけれども国鉄側としても、それに必要な資金の調達ということについても、政府とひとつ十分連絡をとって、早急にやってもらいたい、要望だけしておきます。
  35. 村松久義

    委員長村松久義君) 都市交通に関する件の調査は次回に譲ることにいたしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十分散会