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説明員(関四郎君) ただいまの三十一年十二月十七日の
労働組合からの
申し入れというのは、手元にございませんので、それについては、正確にお答えすることがちょっとできませんですが、実は、そういうお
申し入れも参考にしまして、そのときに、
参宮線の
事故当時に、
実施項目をきめまして、これは第一番が車内警報装置の設置。それから二番目が自動信号化。それから三番目がその他改良といたしまして、その他改良の中には、これが安全側線の改良、それから脱線転轍器の改良及び脱線器の撤去、それから信号機その他施設の改良。それから四番目といたしまして信号警標の採用。こういう
ような四項目になります。全体で大きな三項目で、その他改良というので四項目です。これらについて、なるべく早急に
実施し
よう。
それから研究
事項といたしまして、その後研究していこうということについての一番が自動
列車制御装置、それから二番目が安全側線の設備基準を作る、第三番目が自記速度計をつける、四番目が
列車に無線をつけることにする、五番目が
列車線別信号方式、それから六番目が発条転轍器の解錠を確認する方法、こういうふうに六項目については、これについて、それぞれ今後研究していこう、こういうふうなことになっていたわけでございます。
それで、この
実施事項の第一番目の車内警報装置の設置ということにつきましては、これは戦前から研究しておりました自動信号区間の軌道回路に電流を流す、いわゆる自動信号区間に採用し
ようということで、いわゆる自動
列車制御までいける
ようなものにするための、いわゆる連続コード方式車内警報装置、これを主要幹線について考える、それから通勤電車運転区間については点制御式の警報機をつける、それから電車運転区間は、御承知の
ように自動信号で軌道回路を使っておりますが、その他の区間では、軌道回路のない区間がございますので、この区間には点制御式の、地上の赤信号を車内に警報を発する
ような車内警報装置をつける、との三種類に分けまして、これを一番最初の連続コード方式をA型といい、それから電車運転区間によります点制御式のものをB型とし、最後の軌道回路を使わない分をC型ということにいたしまして、これについて早急に整備するということで着工したわけでございます。これにつきましては、最初のA型については、現在東海道と山陽線の一部、東京−姫路間に設備いたしております。それからB型につきましては、これは当初計画では、東京、大阪付近の通勤電車区間約二百キロつけることにいたしておりましたのですが、これについては、その後この結果がいいために、現在約倍の四百キロぐらいを、B型の車内警報機をつけております。このB型につきましては、一応完了ということになっておりますが、三番目のC型でありますが、これにつきましては、自動信号区間でも、それからまた非自動信号区間でも、どっちにでも入っていって、それで十分に機能を発揮するという
ようなつもりで研究いたしましたが、このB型につきましては、すでに戦後二十五、六年ごろから研究いたしておりましたし、A型については、戦前から研究いたしておりましたので、別に、あまり大して問題はなかったわけでありますが、C型につきましては、この
参宮線の
事故のときから、全国的に支線にもつけ
ようということになりましたために、非常に急いだたために、まことにこれは申しわけないことでございますが、現在米原から青森間の裏縦貫にこれがついておりますが、とにかく警報を鳴らしておりまして、現在使っておりますが、非常に不安定であるということで、もちろんこの警報の百パーセント完全というものは、人間の作るものですからできないわけですが、しかし不安定であるということから、
乗務員関係から、もう少し安定したものにならないかという
意見が出まして、たまたま一昨年の一月一日に有楽町−ただいま申しましたA型車内警報という連続コード方式の一番高級な設備のついている区間でございますが、ここでもって追突
事故がございました。この
原因を調べましたところが、この車内警報装置を、
乗務員が二人乗っておりまして、あまりひんぱんに鳴るので、これをとめてしまった。とめて話に夢中になっているうちに追突した。これは、あまり大きな
事故になりませんでしたが、非常にお恥ずかしい
事故ができましたために、A型についても、C型についても、もう一度、
列車停止装置というものを、あわせて考える必要があるのじゃないかということで、どうしても、ただ警報を鳴らすだけでは、ただこれを、そういう
ような確認のボタンを押しただけで、これは警報装置でもストップ装置でもそうですが、この回路を切ってしまっては、どうにもならないのですが、とにかく警報だけではだめだから、ストップをつける
ようなものにしてほしいという、これは使用者側から非常に強い要求がございまして、このために、たまたまC型の不安定さも手伝いまして、そこでもう一度、非自動区間も自動区間も、共通に走れる
ような車についての警報装置については、根本的にやり直そうということでございまして、一昨年の、この正月の
事故が起きました直後から、別途にもう一度根本的にやり直そうということでございました。先ほどから
お話のありました運転
事故防止対策委員会の中に、車内警報専門部会というものを設けまして、そこで、あらゆる世界各国の採用しております車内警報装置、自動
列車停止装置、
列車制御装置、こういう
ようなものの方式の中から、非自動区間にも使える
ようなものを、あらゆるものを選びあげまして、これは最初に候補に上したものは、十八種類あったわけでございますが、これを、そのいろいろな装置の性能、プリンシプル、そういう
ようなものを全部あげて、点数をつけまして、その結果日本として、これが採用可能であろうというものを四種類選びまして、これを
鉄道技術研究所で種々試験の結果、これを試作いたしまして、この試作したものを、四種類を昨年の七月から約二カ月にわたりまして実地に試験いたしました試験の結果、大体二種類が候補に上りました。この二種類について、昨年の九月からことしの三月まで約半年以上にわたりまして、長期試験の結果、大体これなら大丈夫だというものが、現在、大体見込みがついているという
ような状態でございまして、たいへんこのC型につきましては、そういう
ようなことで、現在千キロ程度しかついておりませんが、今後この研究の結果をもとにしまして、これをどういうふうに、今後現在線の主要幹線とか亜幹線その他に、どういうふうに設置していくかということを早急にきめて
実施したい、こういうふうに考えております。
それから、先ほど申しました二番目の自動信号化ということにつきましては、実は、複線区間は原則として自動信号にするということになっていたわけでございますが、これが複線になっていながら、まだ自動信号化していないところがございましたので、これは約八線区、百十五キロばかりを取り上げたわけでございますが、これは現在のところ、約百キロが完成いたしまして、残りのところは、非常に特殊な一区間だ
けが複線になっているという
ような特殊のところだけは、これはたとえば伊田線とか香月線とかいうところでございますが、これは大体三キロとか四キロという区間のところが二、三カ所残っているという程度でございまして、それからそのほかに、非常に輸送量の多いところの単線を四線区約五百キロ以内を単線自動化をするということでございます。これは予定どおり済ましております。
それから三番目のその他改良でございますが、安全側線については、これは今後の三
河島に関連した
対策のところで、また申し上げるべきかとも思いますが、この安全側線の改良については、もともと御承知の
ように、安全側線というものは非常に高速度で突破していく、これを防ぎとめるという
ような目的のものではございませんで、これを特に危険なところについては、いろいろの
対策をもって臨もう、構造的に直すとか、あるいは周囲の信号機について直すとかいう、いろいろのことで安全側線の使い方を今後
検討していこうということにいたしておりますが、このときの、これはその他改良と申しますのは、大体小さな工事が多いので、現地の実際の実情に即して、管理
局長なり支社長のほうできめてやるということでございますが、この安全側線の点についても、ある程度いたしております。それから脱線転轍器とか脱線器の撤去ということも、これは一番問題になる
ようなところはいたしております。これからそのほかに、信号機その他の増設によって非常に
事故が防げるという
ようなところについての信号機その他改良というものでございますが、これも非常にこまごましたいろいろのものがありますが、これは特別にその当時工事費を別途配賦いたしましていたしております。
それから四番目の信号警標でございますが、これは全国で例の信号機の手前に二百メートルないし三百メートルのところに警標をつけて、この先に信号機があるぞということを指示するための信号警標というものを全国に八千本つけることになっておりまして、これはすでに完了いたしております。
それから研究
事項といたしまして、先ほど申し上げました自動
列車制御装置ということは、現在のところ先ほど申しましたC型車内警報にストップ装置をつける
——自動
列車停止装置をつけるという方法でいこうということにいたしまして、この方針で現在進もうという
ような
結論になっております。
それから安全側線の設備基準でございますが、これは
検討した結果、信号設備心得というところに取り入れまして、これは改正のときに、その案でやっていこうということにいたします。
それから自記速度計については、特急電車と特急気動車に現在取りつけておりまして、試験中でございまして、この結果によって、よければ全体的に及ぼしていきたい。
それから
列車無線でございますが、これは、その後東海道の「こだま」その他につけておりますが、あの
ような高級なものではなくて、もっと指令の一斉呼び出しという
ようなことをし
ようということで、これは、ことに東京付近の通勤電車区間には、これを取りつけたいということで
検討いたしておりますが、実は普通の町のタクシーは、どれでもタクシー無線をつけているじゃないか、それに対して、
国鉄の
列車にどうして無線が簡単につかないのかということをよく言われまして、まことにそのとおりだと思います。私
どもも鋭意、もっと簡単につける方法ということを考えておりますのですが、実はタクシーは、大体半径四キロか五キロという
範囲の自動車に無線がかかるという
ようなことになっておりますが、東京付近で通勤電車にこの無線がかかる
ようにするというと、やはり半径五十キロくらいの
範囲が必要だということになります。そうしますと、その
範囲で走っております電車の編成が大体四、五百本の電車が走っているということになりますと、これに一斉に電話がかかりますと、かえって非常に混乱してしまう。そのために、それでは地区別に、たとえば線別という
ようなふうに常磐線とか中央線とかいう
ようなふうに、別々にかかる方法といいますと、これが現在、そういう
ような線で誘導無線方式という
ようなことで
検討いたしておりますが、これも、
方々の線をたくさん区別してやりますと、周波数の割当、電波の割当の問題がかかりまして、こういうふうな点の調整がなかなかつかないために、現在まだ、これも
検討をいたしておるわけでございます。
それから
列車線別信号方式と申しますのは、例のたとえば貨物
列車と旅客
列車の非常に速度が違う。速度が違うのに早くから、踏み切りなんかで踏み切りの警報が鳴りますと、貨物
列車なんかは非常に速度がおそいために、普通一分か一分半の余裕をもつところが、三分も五分もかかるという
ようなことでもって、かえって踏み切り警報を軽視するという
ようなことになっては困るというので、
列車の速度に応じて、この警報の鳴る時間を増減するという
ような方法でございます。これはすでに中央線の飯田町から高尾までの間、それから総武線ではお茶の水−千葉間に、これは設備いたしております。それから発条転轍器の解錠を確認する。これは照査型の連動機の仕様をきめまして、これを全国において
実施いたしております。
大体、
参宮線の
事故のときに取り上げました各項目につきましては、以上の
ようなことをいたしております。