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村山分科員 私は三点について
質問をいたして参りたいと思います。
第一は、今も
上林山議員から取り上げられましたが、私立
学校の授業料、入学金の値上げの問題についてであります。荒木
文部大臣は、私学に対してどういうような
教育観をお持ちになっていらっしゃるかわからないのですが、
大学時報という雑誌を見てみますと、荒木
文部大臣の
教育観として、
大学というものは国家がやるべきもので、私学は国家がやれない、手の届かないところをやっているのだから、その
部分について助成をすればよいのだ、
教育は根本的には国家がなすべきものである、こういうような表現の文章を拝見いたしたわけであります。荒木
文部大臣は、私学のあり力について、こういうような根本的な認識というものをお
考えになっていらっしゃるのかどうかという点を
お尋ねいたしたいと思うわけであります。ことしの
文部省の
予算の要求は総花的な
予算要求という方式でなくて、五つの
重点項目を定めて
予算要求をされたようであります。内容は
国立学校の
拡充整備、あるいは
義務教育、特に教科書の無償配付の問題、三番目に準要保護世帯の児童生徒の
対策の問題、四番目に
科学技術教育の振興の問題、そして五番目に私学振興という問題を取り上げて、
大臣を中心として
大蔵省に相当強力な
予算折衝をされたようであります。その
努力の結果、
国立学校の
施設設備費の倍増近いところの成果も得られておりまするし、
科学技術教育の振興費も確実にふえていることは
予算を拝見いたしましてわかるわけでありますが、中でも最もみじめなものは
高校生急増
対策の問題であり、そうして
学校給食、教科書さらに私学の問題がみじめな点であることは今も話があった
通りであります。こういうような
状態で、
総額三十二億のうちから大体二十億足らずの金が私立
大学に対するところの助成費でございます。従いまして、
国立学校の学生一人当たりの補助額を調べてみると三十六万円である。ところが私立
学校の理科系の学生は一万一千円、文化糸の学生は千三百円の補助金しかないという結果になっておる。そういうような
状態でありまするがゆえに、私立
大学の授業料、入学金さらに設備費等の学生納付金は軒並みに上がって参りました。昨年二〇%上がったが、ことしはさらに一二、三%上があるであろうと伝えられているわけであります。こういうようなふうになって参りますと、もう私学には裕福な家庭の子供しか入学ができないという現象が現われて参りまして、いわゆる憲法に定められました
教育の機会均等の精神は失なわれていくという、まことに憂うべき
傾向が出ているわけであります。こういうような私学の
状態、私立
関係の各
大学で約四十万の学生を擁しているわけでありますが、この私立
大学の授業料、入学金の値上げを、
文部省としてどういうふうにして防止をしていくのか、その
対策があるならば
対策を承りたいのであります。
次に今回消防法の改正が行なわれまして、ことしの四月一日から
学校にも営造物の管理をする防火上の
責任者として防火管理者、こういうものを設置しなければならないということになっておるわけであります。この防火管理者の
責任の内容をいろいろ調べてみますると、その施行規則の三条に、自衛消防の確保に関すること、消防用設備の点検及び
整備に関すること、定員の順守、その他収容人員の適正化に関すること、こういうような内容が規定づけられているわけであります。しかも消防庁の通達によりますると、防火管理者というのは、労働基準法に基づくところの安全衛生規則による、安全管理者または衛生管理者に類するものである、こういうふうに
説明をいたしているわけであります。しかも防火管理者は、これを任命しない場合においては第八条によりまして三カ月以下の懲役あるいは五千円以下の罰金に処する、こういうことは、消防の規定といたしまして当然のことながら、きわめて重要な内容が入っていることは御承知の
通りであります。ところがこれに対しますところの消防庁長官の三十六年五月十日の通達を見てみますと、管理についての権原を有する者は、
学校の設置に基づくところの管理者であり地教委であることは当局も認めているところでありますが、その管理について権原を有する者が、適法なる行為に基づいて委任をする、こういうふうに書いてあるわけです。「管理について権原を有する者」とは私法上防火対象物の管理を正当ならしめる
原因を有する者はもちろん、公法上防火対象物の管理の権原を有する者は、その
範囲において管理の権原を有する者と解されること、たとえば
小学校については「管理について権原を有する者」は当該市町村
教育委員会であるが、
教育財産の管理を校長に委任したときは校長であること、こういうような通達が流されているわけであります。これは
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第二十六条によるところの、いわゆる
教育委員会が規則を制定して
教育長に委任をする、そして
教育長がその委任を受けた行為をさらに校長に再委任をする、こういうような形において防火管理者を
指名をしなさい、こういう通達であります。ところが片一方東京都の
教育長においては、第三十三条に掲げてあります
学校の管理規則に基づいて校長に管理権があるのだから、その校長が業務命令を教頭あるいは教諭に発してそして防火管理者を
指名をしなさい、こういうふうになっているわけであります。
文部省も東京都の
教育長がやっているような
指導方式をとられているのだろうと思うのでありますが、明らかにそうなって参りますと、消防庁の長官が出しました通達と、現に東京都やそのほかの
府県でやっておりまする、いわゆる防火管理者の
指名の根拠法がはっきりといたさないのであります。そういう点から問題が
一つあるのと、しかもこの防火管理者の職能というものを調べてみますと、先ほども言いましたように、専門的な職能が要求されている。しかもその
責任性から論じて参りましても、あるいは権限、能力から論じて参りましても、これを法の改正の趣旨というものは実効性を上げていくことを期待いたしているわけですが、その期待の上から
考えて参りましても、条理論の上から
考えて参りましても、また教職員の
学校教育法によるところの
教育をつかさどる職能の上から論じて参りましても、この防火管理者に指定をして、この防火管理者がきわめて多岐にわたる職務内容を有し、しかも建物の
整備までも、防火管理者が点検をし
整備をしなければならないという義務づけが、施行規則において行なわれているというような内容から
考えましても、このことはきわめて違法な措置ではないか、法律の立法論の上から見ましても明らかに違法な措置であり、そしてそういうような
責任を期待するということは、間違っているのではないかとさえ思われるのであります。これはやはり国なりあるいは
地方の行政当局の
責任におきまして、総合的な消防体制というものを作るところの財政的な措置を、あなた方の方において講じていただくということが第一の問題であり、そしてこういうような施行規則に掲げられておる内容を見て参りますと、労働法上あるいは立法の上から言いまして、いろいろの問題点が伏在をいたしております。その防火管理の
責任に当たる者が、いろいろ施行規則に定めてありますことをやって参りますると、当然教職員の勤務時間に影響があるわけでありまして、そういうようなたとえば自衛消防の組織に関することあるいは自主的に検査もやらなければならない、消防用
施設の点検、
整備もやらなければならぬ、あるいは避難通路であるとか、あるいはその避難
施設の維持管理に関するようなものもやらなければならない。
学校の定員の順守もやらなければならない。ところがこの定員の順守とかあるいは収容人員の適正化に関すること、こういうものはこの防火管理者が
責任として持っているものではない。そういうようなことはやろうと思ってもできないことを規定づけられているわけなんです。しかも消防用の設備の
整備というようなものを
考えてみますると、これは
教育委員会の当然の権限でありますが、そういうような、この消防管理者に
責任としておいかぶせているところの施行規則というものは、明らかに過当な要求である、こういうふうに論ぜざるを得ないと思うのであります。そういうような点から
考えまして、当然校長が管理権に基づいて業務命令を発したといたしましても、それは教諭の職務上の当然の義務
範囲から逸脱をいたしまするし、内容的にはできないことを義務づけている、あるいは事実上も法律上もそういうような違法性のあるところの業務命令は拒むことができると私たちは解釈をいたすのでありますが、そういうような消防法改正に関連をいたしまして、
学校の営造物の管理方式を、あなた方の方では消防庁の方と打ち合わせをされた上で、この防火管理者の
指名という問題を
指導されておいでになるのかどうかという点を、お伺いをいたしたいのであります。
それと同時に
大臣に
お尋ねをいたしたいのは、今御承知のように教職員には日直宿直が課せられております。これは
学校業務の中に営造物管理というような問題もありましょう。そういうことから宿直等が課せられて、これに対しては教職員には半額の国庫負担をいたしておるわけであります。教職員以外がこれをやった場合には国庫負担の対象になりません。そこで私は、当然こういうような消防法の改正とからみ合いまして、
学校の営造物に対するところの管理の方式をめぐって今後法律の実効性を期待する上から
考えていくならば、当然の姿としてその解決の具体的な方策を何らかの形において求めなければならない。そうした場合においては、今行なわれておるところの日直宿直という、そういうような業務形態というものは、
学校教育法から当然の姿として打ち出されてくる職務内容ではなくて、付随したものとして受け取っているわけでありますが、そういう
考え方の上に立ちまして、この防火管理者の専任をめぐって私たちが
考えていかなければならないのは、日直宿直の義務免除を教職員に行なって、そのかわり、現在警備員制度等が相当各
府県において取り組まれているわけであります。そういうような警備員の中から、こういうような防火管理者の
責任というようなものを全うしてもらうために任命をし、その人たちに
学校の営造物の管理をさせていく、こういうような方式をとることが必要な段階にきているのではないか。この
学校の教職員の日直宿直は、ある点においては、超勤もない教職員に生活上のゆとりを与えるものとして、小さな
学校等においては認められておるかもしれません。しかしながら、ここらあたりでもっと根本的にこの問題を
考えて、そして具体的な方策としては、今申しましたように国庫半額負担の道も開いて、そこに月に一万円近くの金がそれらの金としてあるのですから、それを合理的に解決をして、
学校長のもとに専任の防火管理者の職員を置いて、そして教職員の日直宿直を排除して、そういう警備員制度というものをこの際創設をすべき段階にきているのではないかと思うのでありますが、これに対するところの
文部大臣並びに消防庁の見解を承りたいと思うのであります。
以上とりあえず二点について
質問を申し上げまして、三点は後ほど
質問を申し上げて参りたいと思います。