○
中村国務大臣 これは、条文にはどういうふうに表現されているかわかりませんが、首都圏
整備の衛星
都市は、
住宅都市を作るということは全然考えておりません。やはり工業
都市を作りまして、その工場に働く人員をそこに定着させよう——定着をさせる
住宅は工場団地とあわせて作らなければなりませんが、工場団地を作りましてそこに働く人間を定着させよう、こういうのが構想と私は心得ております。今までやっておりまする作業はすべてその方法で進んでおります。
そこで実は問題点があるわけで、工場団地を作り、そこに人間を定着させようという構想でございますが、団地を
住宅公団等に委託しまして作って売ります場合に、最初のうちは公募をいたしまして、申し込みをした人の中から選別をいたしまして、分譲をし、工場を誘致しておったわけでございますが、私がこの地位に就任をいたしまして以来、そういう行き方では、本来の目的を達成できないじゃないか、従って、順位の基準を定めるべきである、
東京の既成
市街地から越してくる工場であるが第一、それと同時に、その既成
市街地の方も、その跡をできるだけ公共の用途、たとえば
道路の換地なり公園の用地なり、あるいは
住宅公団の都心部の高層建築をする用地なり、そういうものに供出をしてくれるというものが第一順位、それから第二順位はどういうふうにするというような工合に、順位を定めまして、
住宅地及び商業
地域の中に日本は工場が割り込んで分散をしているものでありますから、
都市が混乱をいたしますので、それらを抜きとっていくためには、そういった基準を作る必要があるということで、やかましく申しまして、最近ではそういう基準を設けました。その基準に基づいて衛星
都市への工場の誘致をいたしておるわけでございます。
実際にやっておる現状を申しますと、工場団地を作り、それからそういったような基準に基づいて工場を誘致いたしますが、いずれの個所も押すな押すなの状態でございまして、工場は来るのであります。また、工場に働く人たちの
住宅地は、
住宅公団あるいは所在の市町村にやっていただいてできておるのでありますが、問題点は、せっかく工場がそろいうふうに来、人が来始めましても、それに伴うところの
道路及び用水、排水の施設というものが整わない。一例をあげますと、私がある衛星
都市を視察に行って、そこの所在市長と一緒に見学をいたしますと、鉄骨で相当の
規模の工場ができております。その工場のできておる周辺の
道路を見ますると、たんぼのような状態です。そこで私は、この
道路を何とかしてあげられないかということを市長に言いましたら、実はしたいのです。この工場一つができ上がりますと、固定資産税が年に七千万円ずつ上がります。それだけの将来の
収入を考えれば、
道路の
整備をしていきたいけれども、市が貧弱でできません、こう言っておるわけです。こういうことは、ロンドンでやっておるニュー・タウンのように、ニュー・タウンを育成いたしまするところの特殊の機関ができて、そういうことを先行投資によって片づけてあげれば、衛星
都市というものは非常に育成ができると思うのですが、こういう点がはなはだしく欠けておるというのが現状でございます。
もう一つ、反省をする必要があるではないかという先ほど強い御指摘をいただきまして、気がつきましたことは、確かに反省をしておるのでありますが、今のような
首都圏整備委員会という行政委員会組織では、そういったような
実施面のことができませんから、行政委員会でなしに、一種の内閣付属でもよろしいし、あるいは
建設省付属機関でもよろしいし、独立したきちんとした行政機関にいたしまして、
実施面も担当できるようにし、あるいは
公団なり公社なりができました場合には、それらの監督もきちんとできるような機構に機構改革をする必要があるのじゃないかということを考えまして、三十七年度の
予算編成の際も、そういう案を一応作りまして折衝をいたしましたが、まだ機が熟しませんで——今年度はある程度の
調査費等をいただきました。従って、三十七年度中に所要の
調査をできるだけすみやかに完了いたしまして、三十八年度には、今申し上げたような、そのほかにもネックがございますが、そういったネックを解決する道を講じて参りたい、こう実は熱意を傾けて考えているようなわけでございます。