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1962-02-23 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年二月二十三日(金曜日) 午前十時三十四分
開議
出席分科員
主査
羽田武嗣郎
君 愛知 揆一君 今松 治郎君 上林山榮吉君
田村
元君 藤本 捨助君
山本
猛夫
君
岡本
隆一
君
勝澤
芳雄
君
兒玉
末男
君 小松 幹君
島本
虎三
君
山口丈太郎
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
中村
梅吉君
出席政府委員
首都圏整備委員
会事務局長
樺山 俊夫君
農林事務官
(
農地局長
) 庄野五
一郎
君
林野庁長官
吉村 清英君
水産庁長官
伊東 正義君 運 輸 技 官 (
港湾局長
) 坂本 信雄君
建設政務次官
木村 守江君
建設事務官
(
大臣官房長
) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(
大臣官房会計
課長) 三橋 信一君
建設事務官
(
計画局長
) 關盛 吉雄君
建設事務官
(
都市局長
) 前田
光嘉
君 建 設 技 官 (
河川局長
) 山内
一郎
君 建 設 技 官 (
道路局長
) 河北 正治君
建設事務官
(
住宅局長
) 齋藤 常勝君 建 設 技 官 (
営繕局長
) 川合 貞夫君
分科員外
の
出席者
警 視 監 (
警察庁保安局
参事官) 富永
誠美
君
大蔵事務官
(
主計官
) 宮崎 仁君
—————————————
二月二十三日
分科員山本猛夫
君及び
木原津與志君委員辞任
に つき、その
補欠
として
田村元
君及び
兒玉末男
君 が
委員長
の
指名
で
分科員
に
選任
された。 同日
分科員兒玉末男
君
委員辞任
につき、その
補欠
と して
島本虎三
君が
委員長
の
指名
で
分科員
に
選任
された。 同日
分科員島本虎三
君
委員辞任
につき、その
補欠
と して
岡本隆一
君が
委員長
の
指名
で
分科員
に
選任
された。 同日
分科員岡本隆一
君
委員辞任
につき、その
補欠
と して
勝澤芳雄
君が
委員長
の
指名
で
分科員
に
選任
された。 同日
分科員田村元
君及び
勝澤芳雄
君
委員辞任
につき、 その
補欠
として
山本猛夫
君及び
木原津與志
君が
委員長
の
指名
で
分科員
に
選任
された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
三十七年度
一般会計予算
中
建設省所管
昭和
三十七年度
特別会計予算
中
建設省所管
————◇—————
羽田武嗣郎
1
○羽田
主査
これより
会議
を開きます。
昭和
三十七年度
一般会計予算
及び同
特別会計予算
中
建設省所管
を議題といたします。
建設省所管
について説明を求めます。
中村建設大臣
。
中村梅吉
2
○
中村国務大臣
建設省関係
の
昭和
三十七年度
歳入歳出予算
につきまして、その概略を御説明申し上げます。 まず、
総額
について申しますと、
建設省所管
の
一般会計歳入歳出予算
といたしましては、歳入は十五億四千七百余万円、
歳出
は三千十九億二千四百余万円であります。
歳出
におきましては、このほかに、総理府及び労働省の
所管予算
として計上されますが、実質上
建設省所管
の
事業
として
実施
される予定の経費がありますので、これらを合わせますと、
昭和
三十七年度の
建設省関係予算
は三千四百十二億七千百余万円となり、前年度の当初
予算
に比べ七百五十八億五千余万円、また、前年度の補正後の
予算
に比べ四百十二億六千四百余万円の増加となっております。 次に、
特別会計予算
の概要を御説明いたします。
治水特別会計
の
予算総額
は、
歳入歳出
とも七百六十八億六千四百余万円で、前年度の当初
予算
に比べ百七億八千六百余万円、また、前年度の補正後の
予算
に比べ八十五億七千八百余万円の増となっております。 これを
勘定別
にいたしますと、まず、
治水勘定
につきましては、
総額
六百九億二千三百余万円で、前年度の当初
予算
に比べ百三億六千余万円、また、前年度の補正後の
予算
に比べ八十一億八千余万円の増でありまして、
うち一般会計
より
受け入れ
として四百七十六億八千余万円、
地方公共団体工事費負担金収入
として八十三億九千四百余万円を予定いたしております。 また、
特定多目的ダム建設工事勘定
につきましては、
総額
百五十九億四千百余万円で、前年度の当初
予算
に比べ四億二千六百余万円、また、前年度の補正後の
予算
に比べ三億九千八百余万円の増でありまして、
うち一般会計
よりの
受け入れ
として七十九億三千百余万円、
地方公共団体工事費負担金収入
として二十五億六千四百余万円、
電気事業者等工事費負担金収入
として三十三億九千二百余万円を予定いたしております。 なお、このほかに
財政法
第十五条の
国庫債務負担行為
として、
直轄河川改修事業
に十六億円、
多目的ダム建設事業
に三十八億一千万円を予定しております。 次に、
道路整備特別会計
でありますが、本
特別会計
の
昭和
三十七年度
予算総額
は、
歳入歳出
とも二千七十一億四千九百余万円で、前年度の当初
予算
に比べ四百十八億七千五百余万円、また、前年度の補正後の
予算
に比べ四百十六億八千四百余万円の増でありまして、うち、
一般会計
よりの
受け入れ
として一千八百五十六億九百万円のほか、
直轄道路事業
の
地方負担金収入
として百五十五億四千七百万円、前年度
剰余金
の
受け入れ
として十億円を予定いたしております。 このほか、
財政法
第十五条の規定に基づく
国庫債務負担行為
として、
直轄道路事業
に七十五億円、
首都圏街路事業費補助
に四十億円を予定いたしております。 次に、個々の
事業予算
の
重点
について御説明いたします。 第一に、
治水事業
につきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、その
促進
に努めてきたところでありますが、
昭和
三十七年度におきましては、近年の
災害発生
の状況にかんがみ、緊急を要する
事業
に
重点
を置いて、
治水事業
十カ年
計画
の一段の推進を期することとしております。
昭和
三十七年度の
治水事業関係予算
のおもなものといたしましては、
治水特別会計
において、
河川事業
に三百二十五億九千四百万円、
多目的ダム建設事業
に百四十三億四千五百余万円、
砂防事業
に百十八億五千七百余万円、
伊勢湾高潮対策事業直轄事業分
に十八億四千六百万円、
水資源開発公団交付金
に十二億七千余万円、
一般会計
において、
海岸事業
に十七億八千八百余万円、
チリ地震津波災害地域津波対策事業
に二億七千六百万円、
伊勢湾高潮対策事業補助事業分
に三十四億二千二百万円を予定しております。 次に、そのおもな内容について申し上げます。 まず、
河川事業
につきましては、
直轄河川
において、
継続施行
中の
利根川等
九十九
河川
のほか、
新規
に櫛田川及び緑川の二
河川
を加え、合計百一
河川
、及び
北海道
の
特殊河川
において十六
河川
の
事業
を
実施
する予定であります。 これらの
事業
の
実施
にあたりましては、
経済効果
の大きい重要な
河川
、近年
災害発生
の著しい
河川
及び
放水路
、
捷水路工事
、
引堤工事
及び
低地地域
に対する
治水対策
の強化のため、
排水ポンプ
の
整備等
に
重点
を置いて
事業
の
促進
をはかる方針であります。
補助事業
におきましては、
中小河川改修事業
として
継続施行
中の三百五十五
河川
のほか、緊急に改修を要する二十九
河川
を
新規
に採択するとともに、
小規模河川改修事業
として
継続施行
中の百八十六
河川
のほか、
新規
に七十一
河川
の着工を予定し、
事業
の
促進
をはかることとしております。
高潮対策事業
につきましては、その
緊要性
にかんがみ、
大阪地区
について
緊急整備
三カ年
計画
を立てて、
事業
の推進をはかるとともに、
東京地区
についてもその
促進
をはかることといたしております。
多目的ダム建設事業
につきましては、
治水効果
及び
用水需要
の増大を考慮して
事業
の
促進
をはかることといたしております。 すなわち、
直轄事業
では十二の
ダム
を継続して施行するほか、
新規
に北上川の四十四
田ダム
、淀川の
高山ダム
に着工することとし、また、
実施計画調査
としては、天竜川の小
渋ダム
の
調査
を継続するほか、
新規
に矢作川の
矢作ダム
、紀ノ川の
大滝ダム
及び日野川の
印賀川ダム
の
調査
に着手することとしております。
補助事業
としては、十六の
ダム
を継続して施行するほか、
新規
に小阿仁川の
萩形ダム等
五
ダム
を着工することとし、また、
実施計画調査
としては、三つの
ダム
の
調査
を継続するほか、
新規
に大沢川の
高坂ダム等
六
ダム
の
調査
を
実施
する予定にいたしております。 次に、
砂防事業
につきましては、
直轄事業
として、
継続施行
中の二十六水系のほか、
新規
に
姫川水系
について
実施
するとともに、
地すべり対策事業
として、
継続施行
中の
手取川水系
のほか、
新規
に大和川、胆沢川、銅山川の三水系について
実施
することとしております。
補助事業
としては、特に
重要河川水系
及び最近
災害発生
の著しい
河川
の
工事
に
重点
を置いて施行するとともに、最近の
災害発生
の状況にかんがみ、豪雨の際に土砂の流出により被害を受けるおそれのある渓流について、特に
予防砂防
を
実施
することとしております。 次に、
海岸事業
につきましては、近年頻発する
海岸災害
の
被害状況
及び
海岸事業
の進捗の状況にかんがみ、防災上緊要な
地域
における
海岸保全施設
の
整備
に
重点
を置き、
直轄事業
としては、
継続施行
中の五
海岸
のほか、
新規
に
青森津軽
、遠州及び由比の三
海岸
について
事業
の
促進
をはかることといたしております。
補助事業
についても同様の方針に基づいて
実施
することとし、
高潮対策事業
、
海岸侵食対策事業
として継続六十四
海岸
のほか、
新規
に二十九
海岸
を予定し、
重点
的に
事業
を
促進
する方針であります。 また、
チリ地震津波災害地域津波対策事業
につきましては、
昭和
三十七年度以降おおむね五カ年で完成することを目途に、
事業
の
促進
をはかることといたしております。
伊勢湾高潮対策事業
につきましては、
昭和
三十六年度に引き続き
事業
を
実施
し、
直轄事業
においては、
昭和
三十七年
出水期
までに完成し、
補助事業
については、
昭和
三十八年度中に完成することを目途にその
促進
をはかることとしております。 なお、
水需要
の急増に対処して、
水資源開発
を
促進
するため、新たに設置されます
水資源開発公団
において、
昭和
三十七年度は
事業費
四十一億四千万円により、
利根川水系
及び
淀川水系
における
多目的ダム
、
可動堰
、
幹線水路等
の
建設
及び
水資源開発
に関する
調査
を
実施
することとしております。 このため、
建設省
において予定していた
利根川水系
の
矢木沢ダム
、
下久保ダム
及び
淀川水系
の
高山ダム
の
事業
の
実施
を
公団
に引き継ぐこととしており、その
建設費
の
治水負担分
として
昭和
三十七年度においては十二億七千万円の
交付金
を
公団
に交付することとしております。 第二に、
災害復旧対策関係予算
について御説明いたします。
災害復旧対策関係
の
予算総額
は、
一般会計
よりの
歳出
として五百二億八千四百余万円でありまして、内訳は
災害復旧事業費
四百五十五億四百余万円、
災害関連事業費
四十六億六千四百余万円、
鉱害復旧事業費
一億一千五百余万円であります。 そのおもな内容を申し上げますと、まず、
災害復旧事業費
につきましては、
直轄災害
は、内地二カ年、
北海道
三カ年の
復旧方針
に基づき、三十五年災は完了し、三十六年災については
内地分
は完了し、
北海道分
は八〇%の進渉をはかることといたしております。
補助災害
につきましては、
緊要事業
は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに、三十四年災は完了し、三十五年災は八六%、三十六年災は六七%を復旧し、従来よりもその
促進
をはかることとしております。 また、
災害関連事業
につきましては、
災害復旧事業
とあわせて適切な
実施
をはかり、再度
災害
を防止する効果を上げることといたしております。 第三に、
道路整備事業
について御説明いたします。
政府
におきましては、経済の
高度成長
に伴う
自動車輸送
の
需要増大
の趨勢に即応して、
道路
の
改良
、
舗装等
の
整備
を緊急に行なうため、昨年
総額
二兆一千億円の新
道路整備
五カ年
計画
を決定いたしましたが、
昭和
三十七年度におきましては、その第二年度として、特に
一級国道
の一次改築、並びに
オリンピック関連道路
、
大都市地域
の
道路
及び
産業開発
及び観光上重要な
地方道路
の
整備
に
重点
を置いて、積極的に
事業
の推進をはかることとしております。
昭和
三十七年度における
一般道路事業予算
といたしましては、
一級国道
に八百三十六億一千四百万円、二級
国道
に三百三十一億六千八百余万円、
主要地方道
に二百六十三億六千七百余万円、
一般地方道
に二百三十六億三千四百余万円、
市町村道
に百四十七億四千四百万円、その他
調査費
、
積雪寒冷特別地域道路事業費
、
機械費等
に百十八億九千三百万円を予定し、これにより、
国道
及び
地方道
を含めて約二千六百八十八キロメートルの
改良
及び橋梁の
工事
と、約二千二百二十八キロメートルの
舗装工事
を
実施
し、五カ年
計画
のおおむね三二・九%を達成することといたしておりますが、特に昨年度から施行されました
踏切道改良促進法
に基づく
踏切道
の
立体交差化等
の改善につきましては、積極的に推進をはかる考えであります。 なお、従来に引き続き、内地の
一級国道
のうち、
交通量
の特に多い区間を国が直轄で
維持修繕
を行なうこととし、
昭和
三十七年度におきましては、さらにこの区間を約七百キロメートル追加して、合計約四千三百キロメートルとする予定にいたしおります。 なお、前述の
道路関係予算
には、
国土開発縦貫自動車道
の路線について
調査
を
促進
するための
調査費
として九千万円を計上しておりますが、これにより東北、中国、九州、中央、
北陸四国
の各
自動車道
について
調査
を
実施
することとしており、また、
積雪寒冷特別地域
における
道路交通
の確保に必要な
道路事業費
及び
機械費等
三十二億七千八百万円を計上しておりますが、
昭和
三十七年度より新たに
除雪事業
に対しても
国庫補助
を行なうこととしております。 また、
街路事業
の
予算
につきましては、三百八十億七千四百万円が含まれておりますが、これによりまして、
立体交差
を含む
改良
、橋梁及び
舗装等
の
街路事業
を
実施
して、
都市内交通
の
円滑化
をはかるほか、人家が密集した
地区
で、街路の
整備
とともに
市街地
の
合理的利用
をも必要とする
地区
について、
土地区画整理
による
都市改造事業
及び
公共施設
の
整備
に関連する
市街地
の改造に関する法律による
市街地改造事業
の
実施
を推進いたしたいと考えております。 次に、
有料道路
について御説明いたします。 まず、
日本道路公団
につきましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
九十億円、
資金運用部資金
の
借り入れ
百四十億円、
民間資金
の
借り入れ
百九十億円、
国際開発銀行
からの
借り入れ
八十六億円のほか、
業務外収入等
を合わせて五百七十六億一千三百万円の
資金
により
事業
を
実施
することといたしておりまして、
高速道路
については、
名神高速道路
(小牧−西宮間)の尼崎−栗東間約七十二キロメートルを概成するとともに、その他の区間について
毛工事
の
促進
をはかり、また新たに
国土開発縦貫自動車道中央自動車道
(
東京
−富士吉田間)及び
東海道幹線自動車国道
の
建設
に着手することとし、
一般有料道路
については、第三
京浜道路
、
船橋千葉道路
、若
戸橋等
の
工事
を前年度に引き続き
促進
するとともに、
新規
の
事業
にも着手する予定であります。 次に、
首都高速道路公団
の
事業
につきましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
十五億円、
東京
都
出資金
十五億円、
東京
都
交付金
二十八億九千八百万円、
政府資金
の
借り入れ
七十億円、
民間資金
の
借り入れ
八十億円とその他の収入を合わせて二百二十七億八千六百万円の
資金
によりまして
事業
を行なうこととしておりまして、一号線及び二号線の一部並びに八号線の完成をはかるほか、前年度に引き続き、一号線、二号線、三号線、四号線、四
号分岐線
、五号線及び六号線の
建設
を継続
実施
するとともに、
新規
に二
号分岐線
の
建設
に着手することとし、また、
駐車場
については、
江戸橋駐車場
の完成をはかるほか、
本町駐車場
の
建設
を継続
実施
し、新たに
白魚橋駐車場
の
建設
に着手することとしております。 次に、大阪、
神戸地域
における
交通麻痺状況
に対応して、
自動車専用道路
の
建設
を推進するため、新たに
阪神高速道路公団
を設立することといたしました。同
公団
におきましては、全体
計画
として八路線、延長おおむね五十八キロメートルの
自動車専用道路
を
建設
する予定で、このうち
昭和
三十七年度以降四カ年間に三路線、延長おおむね十三キロメートルを
事業費
約二百億円をもって
建設
しようとするものであります。
昭和
三十七年度における同
公団
の
資金
としましては、
道路整備特別会計
からの
出資金
二億円、
地方公共団体出資金
二億円、
地方公共団体交付金
一億円、
政府資金
の
借り入れ
五億円、
民間資金
の
借り入れ
五億円、合計十五億円を予定し、これにより
環状線
の一部の
建設
に着手することとしております。 第四に、
都市計画事業
について御説明いたします。
昭和
三十七年度における
都市計画事業関係予算
は、四百四十七億六千五百余万円であります。このうち、まず、
街路関係事業
の
予算額
は、
首都高速道路公団
及び
阪神高速道路公団
に対する
出資金
を含め、三百九十七億七千四百万円でありまして、これにつきましてはすでに申し述べました
道路整備特別会計
に計上されております。 次に、
一般会計
に計上されております
都市計画事業
の
予算額
は四十九億九千百余万円でありまして、これにより
下水道
、
公園等
の
整備
をはかることとしております。
下水道関係
の
予算額
は四十七億四百万円で、前年度に比し十五億五千七百万円の増でありますが、なお、
地方債
の増額をもはかることとし、
都市施設
中最もおくれている
下水道
の
整備
の
促進
に努める所存であります。
公園関係
の
予算額
は二億八千七百余万円でありまして、
国営公園
、
都市公園
及び墓園の
整備
をはかることとしております。 第五に、
住宅対策
について御説明いたします。
政府
は、
国民生活
の向上と
社会福祉
の充実を期するため、十カ年に約一千万戸の
住宅
を
建設
する目標のもとに、
昭和
三十六年度を初年度とする五カ年間に約四百万戸の
住宅
の
建設
を見込み、特に低
家賃住宅
の
大量供給
と、不良、老朽、
過密居住住宅
の一掃をはかるため、
政府施策住宅
に百六十万戸を充てることとし、前年度に引き続き
昭和
三十七年度におきましては、二十六万五千戸の
建設
を
計画
しております。 この戸数は、前年度に比較いたしますと、一万九千戸の増となっておりますが、特に
昭和
三十七年度におきましては、
住宅
の質の向上をはかるため、一戸
当たり
の規模の
引き上げ
と、
災害防止
の見地より
不燃堅牢構造
の
住宅
の増加に
重点
を置くとともに、
建設単価
の是正及び現下の
宅地取得難
に対処するための
宅地供給量
の大幅な増加をはかることとしております。 また、
民間自力
によって
建設
される
住宅
は、最近の実績より見て約四十七万戸程度と推定されますので、これを合わせて
昭和
三十七年度におきましては約七七二万五千戸の
住宅
の
建設
を見込んでおります。 なお、
政府施策住宅
二十六万五千戸の内訳は、
公営住宅
五万四千戸、
改良住宅
四千五百戸、
公庫融資住宅
十二万五千戸、
公団住宅
三万三千戸及び
災害復旧公営住宅
九百六十六戸を含み、
厚生年金融資住宅等
四万八千五百戸でありまして、これに対する
予算措置
として、
公営住宅
に対しましては
一般会計予算
において百八十三億一千九百余万円を予定し、第一種
住宅
二万一千五百戸、第二種
住宅
三万二千五百戸及び
災害復旧
のための第二種
住宅
九百六十六戸の
建設
に対し補助することといたしております。
住宅地区改良事業
といたしましては、
一般会計予算
において二十二億八千八百余万円を予定し、劣悪な
居住環境
を改善し、あわせて
市街地
の
合理的利用
をはかるため、
不良住宅
の
除却及び改良住宅
四千五百戸の
建設
に対し補助することとしております。 次に、
住宅
金融公庫におきましては、
産業投資特別会計
よりの
出資金
九十五億円、
政府低利資金
三百九十五億円、
自己資金
九十七億余円、合計五百八十七億余円の
資金
により、十二万五千戸の
住宅建設
及び宅地の取得、造成、
災害
による
被災住宅
の
復興等
に要する
資金
の貸付を行なうとともに、新たに、特に危険な宅地の
防災融資
の道を開くことといたしました。 なお、
賃貸住宅
につきましては、一戸
当たり
の規模の
引き上げ
を行ない、質の向上をはかることといたしております。 また、
日本住宅公団
におきましては、
産業投資特別会計
からの
出資金
七十五億円、
政府低利資金
二百十四億円、
民間資金
二百五十億円
自己資金
五十四億円、合計五百九十三億円の
資金
により、
賃貸住宅
二万二千戸、
分譲住宅
一万一千戸の
建設
、
市街地施設
の
建設
及び宅地の
取得造成事業
を行なうこととしております。 以上のほか、都市における火災その他の
災害
を防止し、あわせて土地の
合理的利用
の
促進
及び環境の
整備
をはかるため、
防災街
区造成に対する
補助金
として、
一般会計予算
において二億七千万円を予定しております。 第六に、
官庁営繕
について御説明いたします。
建設省
で
実施
いたします
官庁営繕
のうち、
建設省所管予算
として計上されておりますのは五十七億三千百余万円でありまして、前年度
予算
に比し五億四千二百余万円の増額となっております。
実施
にあたりましては、特に
中央官衙地域
の
早期整備
と、
中央地方
の合同庁舎の
建設
、その他
一般官署
の建てかえの
促進等
に
重点
を置くこととしております。 次に、
オリンピック東京大会実施準備費
について御説明いたします。この経費は、
オリンピック選手
村等をワシントン・
ハイツ地区
に
建設
するため、同
地区
及びリンカーン・センターに現存する
米軍施設
の
代替施設
を
調布水耕農園跡
その他の
地区
に
建設
するためのものでありまして、このため六十七億四百余万円を計上するとともに、このほかに
財政法
第十五条の
国庫債務負担行為
として七十九億二千九百万円を予定いたしております。 以上のほか、
昭和
三十七年度
予算
中のおもなものについて申し上げますと、
産業開発青年隊
につきましては、五千六百余万円を計上し、幹部及び
海外移住隊
の訓練を行ならとともに、
新規
の
北海道
を含め、道府県の
青年隊
の
運営費等
を補助することとし、また、新たに
中央訓練所
を設置して、
技能訓練
の徹底を期することとしております。
水防対策
につきましては、八千八百余万円を計上し、
無線局
の増設、
水防施設
の
整備
に対する
補助等
を行なうほか、新たに永年勤続の
水防団員
に対し、
退職報償
を行なうこととし、
水防態勢
の
強化充実
をはかることとしております。
広域都市建設計画調査
につきましては、千六百余万円を計上しておりますが、これは近年の著しい
産業構造
の変化と
工業化
の趨勢に対応して、
大都市地域
においては、
過大都市
の弊害を是正し、
地方
においては、
地方開発
の
中心地域
として、
地方中核都市
の育成、発展をはかる必要がありますので、前年度に引き続き、広域的な
都市建設計画
を樹立するため必要な
調査
を
実施
する経費であります。 以上が
昭和
三十七年度の
予算
の概要でありますが、なお、
組織関係
のおもなものといたしましては、本省においては、
砂防部
及び
宅地制度審議会
を新設し、
地方建設局
においては、
東北地方建設局
及び
九州地方建設局
に
用地部
を新設する等所要の
整備
を行なうことといたしております。 定員につきましては、
昭和
三十七年度においては、
伊勢湾高潮対策
の
直轄事業
が完成するとともに、
建設省
において施工する
多目的ダム
の一部が
水資源開発公団
へ移管されること等のため、全体としては、二百一人を減員することといたしておりますが、
常勤職員
及び
常勤的非常勤職員
の
定員化
により、四千七百九十一人の
常勤職員
及び
常勤的非常勤職員
を定員に繰り入れることといたしておりますので、
昭和
三十六年度の定員に比べて四千五百九十人の増加となり、
昭和
三十七年度における
建設省
の定員は、三万五千七百二十人となります。 以上をもちまして、
昭和
三十七年度の
建設省関係
の
一般会計予算
及び
特別会計予算
の説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第であります。
—————————————
羽田武嗣郎
3
○羽田
主査
これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。 念のため申し上げます。質問希望者の方が非常に多数おられますので、
山口丈太郎
分科員
と協議いたしました結果、一応お一人の持ち時間は四十分以内と
予定
いたしましたので、各
分科員
の御協力をお願いいたします。
田村元
君。
田村元
4
○
田村
分科員
ただいま
建設
大臣から
昭和
三十七年度
建設省関係予算
の
概要
の御説明があったわけでございますが、
河川局長
にお尋ねいたしますが、
昭和
三十五年度並びに三十六年度の治水関係の
災害復旧
費を、総計でよろしいからお示しを願いたい。
山内一郎
5
○山内(
一郎
)
政府
委員 三十五年と三十六年の
災害復旧
の
合計
でございますが、三十五年度は七百六億、三十六年度は八百九十三億、これは
事業費
でございます。
田村元
6
○
田村
分科員
そういたしますと、単年度の、当該年度の治水
予算
と
災害復旧
費ではむしろ
災害復旧
費の方が上回るような感じを私は受けるのでありますが、実際にどういうふうに考えておられますか。
山内一郎
7
○山内(
一郎
)
政府
委員
治水事業
の方は、
災害復旧事業
に比べまして、三十五年度は五百八十六億、三十六年度は六百八十八億でございますので、先ほどの
災害復旧事業費
よりもだいぶん下回っております。われわれといたしましては、こういうことがないように、
災害復旧
ももちろん必要でございますが、根本的に
災害
を防止いたすためには、どうしても
治水事業
を
促進
しなければいけないというので極力やっておる段階でございます。現状はこういう
状況
でございます。
田村元
8
○
田村
分科員
先ほど
委員長
から時間の御制約を受けましたので御質問申し上げる点が相当ございますから、私も簡単にお尋ねをしますから、役所側もなるべく
重点
的に御説明を願いたいと思います。 現在の
治水対策
事業
は、治水十カ年
計画
という長期
計画
のもとに遂行しておられるわけでありますが、私は、この治水
計画
というものが、今日の日本の実際の姿に照らして、どうも合理性に乏しいように思う。このような治水
計画
で今後十年近くおやりになられて、実際に
住宅
とかあるいは
道路
なんかと違って、これは生命に関する問題でありますから、私は寒心にたえぬのでありますが、きょうは治水十カ年
計画
に関して相当御質問をしたい。
治水事業
十カ年
計画
の全容と現在までの進捗
状況
を、概略でけっこうでございますからお答えを願いたい。
山内一郎
9
○山内(
一郎
)
政府
委員 治水十カ年
計画
は、前期五カ年と後期五カ年に分かれておりますが、前期五カ年
計画
は、金額で申し上げますと、
事業費
で三千六百五十億円、後期五カ年
計画
は、金額で四千八百五十億円、
合計
いたしまして八千五百億円、この目標で
昭和
三十五年度から
実施
をして参っているわけでございます。実績を申し上げますと、
昭和
三十五年度が先ほど申し上げました五百八十七億、三十六年度が六百八十八億、三十七年度は、これは
予定
でございますが、現在の
予算
案に盛られておりますのは八百十七億でございまして、これを
合計
いたしますと、三十七年度末では約五七、八%、こういうような進捗になるかと思われます。
田村元
10
○
田村
分科員
それでは、前期、後期の両
計画
の
河川
とか、いろいろ項目別に数字をお示し願いたい。
山内一郎
11
○山内(
一郎
)
政府
委員
治水事業
の中には、大きく分けまして、
河川
、
ダム
、砂防、
建設
機械、この四つに分けられます。そのうち
河川
につきましては、前期五カ年
計画
で二千四十億円、後期が二千七百六十億円、計いたしまして四千八百億円、
ダム
は前期八百十億、後期九百六十億、
合計
千七百七十億、砂防が前期七百三十億、後期千四十億、計が千七百七十億、
建設
機械が前期七十億、後期九十億、
合計
百六十億、これらを
合計
いたしまして八千五百億円、これが十カ年の目標でございます。
田村元
12
○
田村
分科員
「
河川
改修
事業
については、
河川
の氾濫を防止し、流域の
災害
に対する安全度を高めるため、その
促進
を図るものとする。」と十カ年
計画
にうたわれております。そうしますと、
直轄河川
の
改修
を実際に
建設省
がお考えのように十五カ年でやり遂げ得るのですか。おおむね十五カ年という言葉は私も聞いておるけれども、実際にそれだけの御自信がございますか。
山内一郎
13
○山内(
一郎
)
政府
委員
直轄河川
につきましては、現在約十五年でやり得る見通しがある、こういうふうに考えております。
田村元
14
○
田村
分科員
それは現行の治水
計画
に準じてといいますか、これに従って十五カ年間で、まああとの五年はとにかくとして、そのスピードでやり得るというわけですか。
山内一郎
15
○山内(
一郎
)
政府
委員 現在のスピードは先ほど申し上げた通りでございますが、治水十カ年
計画
の線に大体沿ってやっておりますので、一五年で終わる見込みでございます。
田村元
16
○
田村
分科員
しからば、利根川、
淀川
、木曾三川、
東京
、
大阪
、名古屋
地区
を中心としたこういう
河川
は非常に主要な
河川
でありますが、これらの
河川
改修
事業
に関する今後の対策はどういうふうにお考えでございますか。
山内一郎
17
○山内(
一郎
)
政府
委員
直轄河川
のうち重要でございますのは、先ほど言われましたような利根川、木曾川、
淀川
、そのほかにもございますが、各
水系
とも基本的に考えておりますととは、水源から河口まで一貫した
計画
でやる、こういうふうに
河川事業
、
砂防事業
、
ダム
事業
、こういうものを考えておるわけでございます。
利根川水系
につきまして、基本的な考え方の根本になりますのは、やはり
計画
流量といいますか、これを
昭和
二十二年の出水を基本的に考えまして、基本洪水流量を一万七千立方メートル毎秒、これを
ダム
で三千立方メートル調整をいたしまして、一万四千を河道で安全に流し得るようにする、こういうことが基本的な考え方になっているわけでございます。この線に沿いまして、利根川とか、江戸川、鬼怒川、小貝、渡良瀬上流、烏川、神流川、こういうものが
利根川水系
の中に入っているわけでございまして、そのほか霞ケ浦
放水路
も入っているわけでございます。先ほどの洪水調節の
ダム
関係におきましては、現在も薗原、矢木沢、下久保、こういう
ダム
を
実施
いたしておりますし、なおそれ以外にも
計画
がございますが、そういうものを着々やって参りたい。なお
砂防事業
につきましては、非常に荒廃したところから逐次
完成
をはかっていく、こういうような考え方でやっているわけでございます。 なお、木曾川につきましても同様な考え方でございまして、
直轄河川
の木曾川につきましては、基本洪水流量を一万四千立方メートル毎秒と考えているわけでございます。こういうものを、現在もすでにできております既設の丸山
ダム
で千五百調整いたしまして、河道
改修
の基本になる数字が一万二千五百立方メートル、こういうもので現在木曾川について考えているわけでございます。そのほか長良川、揖斐川についても同様な考え方でございますし、なお洪水調節の
ダム
関係は現在横山
ダム
を施工中であります。なお、砂防につきましても、ちょうど利根川と同様に
重点
個所についてやる、こういうことを考えております。なお、
淀川
につきましても、大体同様な考え方でございまして、
淀川
、宇治川、木津川三川合流の個所におきまして
計画
洪水流量六千九百五十立方メートル毎秒、こういうものを基本にいたしまして、
淀川
、宇治川、木津川、なお、瀬田川、それから
ダム
関係につきましても、
高山ダム
、それから逐次、宇陀川、青蓮寺、こういうものをやる
予定
にしておるわけでございます。
砂防事業
についても先ほどと同様な考え方でもってやっておる。大体のところを申し上げますと、以上でございます。
田村元
18
○
田村
分科員
非常にりっぱな御
計画
と言葉を聞いたわけでございますが、現実に
河川局長
として、今申し上げた主要
河川
の
改修
事業
について現在のところ満足すべき
改修
が行なわれておると、あなた自身のお考えで思っておられますか。
山内一郎
19
○山内(
一郎
)
政府
委員 現在のところ、先ほど申し上げましたが、治水十カ年
計画
の線に沿っては非常にうまくいっていると思います。しかし、なお今後
災害
を未然にできるだけ早く防止をするという観点に立ちますと、なおこの三十七年度
予算
におきましても今の案は繰り上げ
促進
されることになっておりますが、こういう点をさらに考慮していかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
田村元
20
○
田村
分科員
私は治水十カ年
計画
で、このような重要
河川
の
改修
が人心を安定せしめるほどの
効果
を持っているとは思っておりません。しかし、これはまた後ほど申し上げるとして、しからば前期五カ年
計画
の
直轄
、特殊両
河川
ですね、これは総体
計画
の何%に
当たり
ますか。
山内一郎
21
○山内(
一郎
)
政府
委員
完成
いたします全体
事業
から考えますと、前期五カ年
計画
が終わりまして大体二四、五%じゃないか、こういうように考えております。
田村元
22
○
田村
分科員
十カ年
計画
の数字は、中小
河川
が約一千本、小
規模
河川
が約八百本、局部
改良
が約二千八百
河川
、こういう総体
計画
があるわけでありますが、現在どのくらい手をつけておられますか。
山内一郎
23
○山内(
一郎
)
政府
委員
直轄河川
は百一
河川
やっております。
特殊河川
が十六でございますので、
直轄
関係では百十七本、中小
河川
は三百八十四
河川
、小
規模
は二百五十七
河川
、こういう川を着工いたしております。
田村元
24
○
田村
分科員
中小
河川
、小
規模
河川
、局部
改良
の前期五カ年
計画
は、総体
計画
に対して大体何%になりますか。
山内一郎
25
○山内(
一郎
)
政府
委員 これも十カ年
計画
の線に沿ってやっておりますが、前期五カ年
計画
が完了した場合に、やはり二三、四%、こういうくらいの数字になると思います。
田村元
26
○
田村
分科員
十カ年
計画
の文章はなかなかよくできておるわけなんですが、できておるということは私は賛成するという趣旨ではなく、文章はなかなかよくできておるという意味なんですけれども、「
高潮対策事業
及び汚濁対策
事業
については、
東京
、
大阪
等の
地域
について
重点
的に
実施
するものとする。」とうたわれておりますけれども、しからば
河川
高潮の
計画
は一体どういうふうになっておるんですか。
山内一郎
27
○山内(
一郎
)
政府
委員
河川
高潮につきましては、
重点
的に、ただいま言われましたように、
大阪
、
東京
に
重点
を置いてやっております。治水十カ年
計画
の線に沿ってやっているわけでございますが、
大阪
につきましては、昨年第二室戸台風によりまして非常な大
災害
をこうむりまして、その他の
河川
よりも
重点
的に繰り上げをやって現在やっているわけでございます。緊急三カ年
計画
も作りましてやっているのでございますが、
東京
高潮につきましても、
重点
的に江東、墨田
地区
を来年度には
完成
をしたい、こういうような
計画
でいるわけでございます。なお、その他重要な
河川
につきましても、治水十カ年
計画
の線に沿いまして極力繰り上げてやっていく、こういうふうに考えております。
田村元
28
○
田村
分科員
大阪
、
東京
等の
地域
について
重点
的に
高潮対策事業
を
実施
するということは、これはもちろん
河川
高潮のことを言っておるわけでありますけれども、一般の国民は、これは
海岸
高潮も含んでおると考えておるのです。これが大体私は常識だと思うのです。
海岸
高潮を含んでいない、
河川
高潮だけというような専門的な知識は国民は持っていないと思うんです。でありますから、
海岸
高潮というものが治水
計画
からはずされておるということ自体が、国民がその
内容
を知ったら、私は非常に憤激するんではなかろうか、かように考えるわけです。 そこで、私がお尋ねしたいのは、
大阪
はこの間室戸台風が来ましたが、
大阪
湾や
東京
湾に伊勢湾高潮の
規模
の高潮がやってきた場合に、一体どの程度の
被害
が起こるであろうか、簡単でよろしいから、推測でけっこうですかう、ちょっとお答えを願いたい。
山内一郎
29
○山内(
一郎
)
政府
委員 非常にむずかしい御質問で、答えもなかなかむずかしいのでございますが、現在やっております
計画
は、やはり伊勢湾台風のよなうものが来てもいいような
計画
でやっております。従って、
完成
すればそう大した
被害
はないと思いますが、現在
工事
中の段階でございますので、ある程度の
被害
は受けるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
田村元
30
○
田村
分科員
河川局長
、これはある程度の
被害
どころじゃないと私は思う。
海岸
高潮ですよ。ある程度の
被害
どころじゃないと私は思うのです。大へんな問題が起こるだろうと思う。たとえば
東京
湾に伊勢湾台風と同程度のものがもしやってきたとしたら、だいぶ前に新聞に出ておりましたが、大へんなことになると思うんです。しかし、ある程度
工事
を進めておるんだとおっしゃるのならば、一つ
河川局長
と
港湾局長
、それから
水産庁長官
、三人から
大阪
湾、
東京
湾の
海岸
高潮の全体
計画
と
実施
の見込みを一つここで御説明願いたいと思う。
坂本信雄
31
○坂本
政府
委員
大阪
につきましては、
大阪
湾全体でございますが、
大阪
港につきまして申し上げますと、ジェーン台風がございまして、それに対して
災害
対策
事業
というものをさっそく行なったわけでございます。これは
昭和
三十七年度で完了いたしますが、昨年第二室戸台風により大
被害
を受けまして、もう少し大きな
規模
でもって対策をやらなければいけないということで、来年度から緊急三カ年
計画
というものを
実施
することにいたしております。これにつきましてその三カ年
計画
の全体の
事業
量をどうするか、どのくらいに見込むかという点につきましては、まだ
建設省
並びに大蔵省、関係各省の間で多少意見の違うところがございまして、最終的の数字はまだ決定いたしておらないのでございますが、
大阪
につきましては、われわれとしては百二十億程度が必要ではないかと考えております。 それから
東京
でございますが、
東京
につきましても伊勢湾台風クラスの台風が
東京
湾を襲来した場合を想定いたしましていろいろ計算をいたしたわけでございますが、それに対しまして、われわれといたしましては約八十五億円くらいの
事業費
が必要ではないかというふうに考えて、その
計画
の一端としまして来年度
予算
も要求している次第でございます。
伊東正義
32
○伊東
政府
委員 私の方の
東京
湾でございますが、
東京
湾の奥にありますのは葛西漁港であります。葛西とか、神奈川の川崎でございますとかは、前面に今埋め立てが行なわれております。そういうような関係で、
東京
湾につきまして特に漁業の区域内で高潮対策というものは実は立てておりません。 伊勢湾につきましては、先般の第二室戸台風等で相当
被害
がありましたので、これもいろいろ
災害復旧
そのものについては各省と打ち合わせてやっておりますが、そのほかに従来のものでももう少しこれを直す必要があるのではないかということで、まだこれも最終決定はいたしておりませんが、
事業費
二十億くらいのものでそういうことをやったらどうかということで、来年度に若干、一億七千万くらいの
災害
助成というような名前で高潮対策を実はやっております。
田村元
33
○
田村
分科員
今
港湾局長
の御説明ではなるほどそういう数字はお持ちであるが、実際にいつまでにどういうふうにやるのかということが特に明確にされていないのです。時間も相当たってきましたから、私はこれ以上追及できないことを残念に思いますが、いずれ日を改めていろいろとお尋ねをしたいと思いますけれども、こんなばかな、数字だけ持っておって、
東京
のような大都会を持っておる
東京
湾高潮
事業
が実際にいつまでにどういうふうになるのか、それは明示できないというようなことで一体どうなるか。これは
東京
都民にこういうことを聞かせたら、それこそ運輸省はむしろ旗で囲まれますよ。ばかなことは実際なさらないで、もう少し具体的に
計画
をお立てになってそれを
実施
されるべきだと私は思うのです。 そこで、
建設
大臣にお尋ねするわけでございますが、将来
海岸
高潮を治水
計画
の中に含める御意思はございますか。
中村梅吉
34
○
中村国務大臣
これは御承知の通り、現在所管が分かれておりますので、私ども治水
計画
を立てます場合には、もちろん関係省で協議をいたしまして、できるだけ連絡のある、統一的な
方針
のもとに治水
計画
を進めて参りたいと思います。現在これを一本にするかどうかということにつきましては、大きな政治問題でございますから、今後の検討に待ちたいと思っております。
田村元
35
○
田村
分科員
これは別に港湾局の所管事項、あるいは水産庁の所管事項を取り上げようというのじゃなくて、長期
計画
の中に入れるべきであると私は思う。そうしてやらせばいいと思うのです。これを治水
計画
に入れないということは、画龍点睛を欠くうらみがあるわけでありまして、運輸省も農林省もこの点は十分お考えいただいて、本来いえば、ここでイエスかノーかで詰め寄りたいところでありますけれども、(「詰め寄れ、詰め寄れ」と呼ぶ者あり)それじゃ詰め寄りましょうか。治水
計画
にこれを含めるということに対するあなた方の所見はいかがですか、御説明は要りません。イエスかノーかだけ言ってもらえばいい。どういうようにお考えですか。
坂本信雄
36
○坂本
政府
委員 治水
計画
は、私は所管でございませんが、大体
河川
を対象としてやっておられるものだと考えます。高潮の方は
海岸
のおもに波浪、高潮というものを対象としてやっておるものだと思います。
海岸
法におきまして、御承知のように所管が分かれておりますが、港湾区域につきまして、これが運輸大臣の所管になっておりますのは、やはり防波堤だとか防潮堤だとか、護岸というような、いわゆる港湾の機能、施設そのものが防潮
計画
の一環をになうものでございまして、この両者の
計画
が、いわゆる港湾を生きて使うという機能を働かせるという
計画
と、この港湾の背後地帯を
保全
するという趣旨の
保全
の
計画
というものがお互いに阻害をしないで、その目的を達していかなければならない、こういう趣旨から運輸大臣の所管になっておるものと考えるわけでございます。そういう点でわれわれはやはりこれは運輸大臣が所管してやる方が、両方の面から申しまして、非常にうまく
事業
が遂行できると考えております。しかし、一方におきまして、そういうふうに所管が違いますために、あるいは一つの
計画
が各省にまたがって
事業
が円滑にいかないのではないかというような御指摘もあるわけでございますが、その点につきましては、
海岸
法の中にも一連の施設としてやった方がいいという点については、関係各省がこれを協議するということもございますし、実際各
地区
につきまして、
建設省
とは常に密接な御連絡をとってやっておるわけでございます。また、そういう
地区
でなくとも、現在も非常にしょっちゆう御連絡をしてやっておりますし、この連絡を緊密にしてやっていくということで、そういう御批判を避けるべく最善の努力をいたしておるわけでございまして、そういう方法によって私どもはやっていくことが最もよいのではないかというふうに考えております。
田村元
37
○
田村
分科員
それは局長、しろうとと違って、そういうごまかしを言ってはいけません。それは言葉のマジックというもので、大体治水
計画
は
河川
を中心にして行なうべきものであるとあなたは定義づけされているのですが、それはどういうわけで定義をされておるのですか。そんなばかなことはない。現在ある長期
計画
は
河川
を中心にしておるからいけないのだから、
海岸
を含めなさいと言っておるのに、それに対して
河川
を中心にすべきものであるから、それは困るという言い方は、いかにも言葉のマジックだと私は思う。 それからもう一つ、各省が十分協議をしておられるような今のお答えでございますが、一般
海岸
保全
事業
を治水
計画
に入れなかったという理由は、まず第一に指摘できることは、各省の調整がつかなかったから入れなかったのじゃないか。違いますか。各省の調整がつかなかったから入れなかった。ですから、結局われわれが今一番官庁に対していやな思いをしておるのは、いわゆる権限争いなんです。セクト主義なんです。だからこれを何とかしようというのが、今度の行政
調査
会の発足でしょう。ですから、新しい観点からこういうものをもっと総合的に、もちろん港湾の施設を長期
計画
、治水
計画
に入れろと言うのではないのです。港湾の施設の
計画
と相待って、そういうものを治水
計画
にお入れになったらどうか、こういう意味なんです。だから、これはもう一回答弁をし直していただきたいと思うのです。時間がないから、簡単に御答弁願いたい。 それから
水産庁長官
、あなたの方は漁港
整備
計画
とにらみ合わせて、これを治水
計画
に入れるということは、これはだれが見たって当然のことで、別に所管を奪われるわけでもなければ、それは当然のことでしょう。それを一つ御両人からお答えを願いたい。
伊東正義
38
○伊東
政府
委員 治水
計画
に
海岸
整備
計画
を入れるかどうかの問題でございますが、先生がおっしゃいましたように、
海岸
整備
計画
なるものができておりませんのは、はなはだ遺憾でございます。私はそれを治水
計画
の中に入れるのがいいかどうかは別問題といたしまして、
海岸
整備
計画
というものは、やはり作ったらいいのじゃないかというふうに思います。その場合には、治水
計画
と一本にするのか、あるいは治水
計画
と調整をとってやるのかは、どちらでも私はいいと思いますが、
海岸
整備
計画
につきまして、関係各省の間で話し合いをよくして、そういう
計画
を作るということは、私は必要だと思っております。
坂本信雄
39
○坂本
政府
委員 港湾
計画
につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、やはり港湾の施設というものには非常に複雑な関係がございますので、私は、そういう観点から、
海岸
法におきまして運輸大臣の所管というものもきまっておるのではないかというふうに考えております。 それから
海岸
保全
事業
の長期
計画
というものを運輸省では持っておりますが、それがまだオーソライズされていないという点につきましては、私どもも目下基本的な
調査
を各省と共同してやっておりまして、なるべく早い機会にこれが決定を見ることが望ましいと考えております。
田村元
40
○
田村
分科員
なかなか微妙なお答えをされて、うんと言われない。これは両省の大臣に聞けば相当責任あるお答えが出るのかもしれないですが、あなた方としてはその程度しか言えないでしょう。よくわかります。それ以上はいじめません。 そこで、要望しておきますが、
海岸
高潮は水産庁、港湾局、
河川
局と三者がこれからもっと緊密な連絡をしてもらって、十分総合対策が講ぜられるように御努力を願いたい。それだけとにかく注文をつけておきます。 次に、
河川局長
にお尋ねしますが、
直轄
砂防の進捗
状況
はどうですか。
山内一郎
41
○山内(
一郎
)
政府
委員
直轄
砂防の進捗
状況
でございますが、大体これも
直轄河川
と同じような進捗
状況
でございまして、十五年
計画
、十五年完了の目標でやっております。前期五カ年の終わりました場合には大体二五、六%、こういう目標でございます。
田村元
42
○
田村
分科員
先ほどの
海岸
保全
と関連もするわけですが、
海岸
保全
と砂防に関しては、どういうわけで
直轄
と補助の国庫負担が同率になっておるのか、これは一つ主計局長からお答えを願いたいと思う。
宮崎仁
43
○宮崎説明員 お答え申し上げます。御承知のように、
海岸
法成立の際に、こういった負担について、いろいろ議論があったわけでございますが、当時の議論として問題になりましたのは、
海岸
の
直轄事業
というものは現実には当時なかったわけですが、
海岸
という
事業
のそのころまでの実績を見て参りますと、むしろ地先主義といいますか、その
効果
の及ぶ範囲が比較的局限されておるというような点もございました。それから
海岸事業
というものの性格から見まして、それぞれの
地域
ごとに適応した施設を作っていくという関係から見まして、
直轄事業
にするという場合の事例と申しますか、そういうのは比較的技術的に困難なものである。そういうものが対象になる場合が多いであろう、こういうような考え方のもとに、
直轄
の場合には二分の一負担、補助の場合には五割ないし四割の補助というような制度が作られたわけでございます。最近に至りまして、相当
直轄
の
事業
も出て参りまして、これについて負担率の
引き上げ
問題がここ二、三年問題になっておるわけでございますが、私どもの方といたしましては、当面の公共
事業
の負担調整の問題としては、昨年から
実施
しました未開発
地域
の特例というような差等補助率制度の方に
重点
を置いて今後考えていくべきであるということでやっておりまして、こういった各地
事業
の横のバランスということになりますと、いろいろの観点が出て参ります。かなりむずかしい問題でございますので、そういったものは当分おきにいたしまして、今の方向としては差等補助率の問題をやっていく。こういうことによりまして、同じ
事業
をいたしましても、財政力の貧困な団体については補助率が上がっていく。こういうことでやっていく方が当面重要である、こういう考え方で対処しておるわけでございます。
田村元
44
○
田村
分科員
今の宮崎君の御説明を聞いておると、県の土木部では
工事
が下手だから、簡単なところは
補助事業
でやれ、国は上手なんだから、むずかしいところは国がやろう、それは技術の問題であって補助率にはあまり関係ないのだというような印象を受けたわけですが、これはどうかと思うんで、私は、
直轄
と名を打った以上は、当然補助と違うものが出てこなければならぬと思うのですよ。たとえば
道路
は、
一級国道
は四分の三、しかもあとの四分の一の県負担分は起債でまかなわれるでしょう。二級
国道
も、四分の三が国庫負担、四分の一は県が持つ。それから
地方道
は三分の二の補助がつくんだ。——どうですか、公共
事業
全体に関して、治水のみならず、何でもけっこうですが、すべて
道路
並みに
引き上げ
る、
直轄
と補助のけじめをはっきりつけるという考えはお持ちではありませんか。これは宮崎君に聞いても実はお答えしにくかろうと思うので、気の毒かもしれぬけれども、いわゆる言いのがれ答弁でなしに、
建設
的な答弁で一つお答えを願いたいと思います。
宮崎仁
45
○宮崎説明員 若干説明が長くなるかもしれませんが、少し体系的な点を申し上げてみますと、現在の公共
事業
の負担の制度といたしましては、
直轄
、補助によって負担率を分けておるような、
河川
のような
事業
もございます。それから、そういう体系ではなくて、
直轄
であっても補助であっても同率で
実施
するというような、港湾とかあるいは
海岸
のような
事業
もございます。これはそれぞれ沿革も歴史もあると思うのでございますが、一つ特徴としていえますことは、たとえば
道路
について見ますると、
道路
の
直轄事業
といいますのは、
直轄事業
を
実施
する要件の前に、
路線
区というような形で、
一級国道
であるとかあるいは二級
国道
であるとかいうように、その
道路
の国としての重要性の分類ができております。
河川
についても同様でございまして、適用
河川
について
直轄
工事
が行なわれるわけでございます。砂防につきましては、その点は御承知のようなことで、そういった分類がないわけでございますので、
直轄
であっても補助であっても同率で
実施
しておる。治山
事業
も同様でございます。この辺は二つの体系があっていいと私は思うのでございまして、
直轄
と補助で区別するという必要は必ずしもない。そういった区別によって負担率を分ける方が合理的あるいは実情に合うというようなものについては、これは
実施
したらいいかと思いまするが、必ずしも全
事業
について
直轄
と補助が差別がなければならぬというふうには考えておりません。
田村元
46
○
田村
分科員
どうも宮崎君はそういうお答えしかできないでしょう。それはよくお立場がわかります。けれども、今の御意見は大蔵省なりの御意見であって、全般の意見ではないと私は思うのですよ。やはり
直轄
と名を打った以上は、あくまでも
直轄
は
直轄
なんだ。それから補助は補助なんですよ。ですから、そういう点で当然おやりにならなければならぬ。たとえばいわゆる国庫負担率が同じであれば、
直轄
工事
を国が一方的にやろうとしても、県の負担能力に関係してくるのですね。すると一々県に相談して、そして県の負担能力を考えて、結局アブハチとらずになって、
直轄
だか補助だかわからない結果になってしまう。ただ
工事
の名前だけが
直轄
であるというようなことになって、何にもならない。私はそういうことはよくないと思う。やはり
直轄
は
直轄
だ。これは国庫負担率をうんと
引き上げ
るべきだ。本来いえば全額持つべきなのです。
道路
でも何でも本来いえば
直轄
は全部持つべきだ。そうして補助は補助を渡すのだというふうにあるのが私はほんとうの姿だと思う。今の日本の国の財政上それが許されないだけのことであって、今の宮崎君のも一学説だと思うけれども、私は承服いたしがたい。これは宮崎君一つお帰りになられて、こういう質問が出たというととを、大臣や主計局長に十分御説明願いたいと思う。大体きょう主計局長を呼び出してあるのに来ないということ自体おかしいので、できれば明日にでも大臣呼びましょうか——お困りでしょう。だから、あまりいじめはしないけれども、要するに、こういう特に分科会のような専門的なことを聞くところでごまかしを言ってはいけません。私は、それだけはっきりけじめをつけておいてもらいたいと思う。それから、今度は砂防の問題でございますが、
建設省所管
と林野庁所管の砂防、すなわち
砂防事業
と治山
事業
の区分について、どういうふうに相なっておるのか、これを一つ
河川局長
から御説明を願いたい。
山内一郎
47
○山内(
一郎
)
政府
委員
建設省
の
砂防事業
と農林省の治山
事業
でございますが、どういう個所をおのおのの省がやるかという点につきましては、非常にむずかしい点がございまして、
昭和
三年に閣議決定で一応線が出ております。 その
内容
は、
建設省
としてやるものといたしましては、渓流
工事
は原則として
建設省
でやる、なお山腹の傾斜が非常に急で造林の見込みのないような場合の
工事
は、山腹
工事
ですが、これは
建設省
がやる、こういうふうになっております。なお、農林省につきましては、森林
造成
を必要とする
工事
につきましては農林省でやる、なお渓流
工事
であるといっても、その
工事
と同時に施行する必要があるところは農林省でやる、こういうことに相なっておるわけでございます。
田村元
48
○
田村
分科員
それならば、
昭和
三年十月十日発土第二六号、土木局長から各
地方
長官あての通牒の閣議決定要旨、それから、
昭和
四年十二月六日発土第八五号、内務、農林両省の協議決定事項というものは、これは両省ともに厳格に今まで守ってこられたとおっしゃるわけですか。
山内一郎
49
○山内(
一郎
)
政府
委員
建設省
といたしましては、長期
計画
を作る場合、なお毎年度の
事業
につきまして、こういう線に沿いまして林野庁と個所の打ち合わせをして
実施
をして参っておるわけでございます。
田村元
50
○
田村
分科員
私は、その打ち合わせは事務的であるにすぎないと思っておるのです。血は通っていないと私は思っておる。とにかく両省の権限争いというものが、そこに相当根強くあると思っておるのです。 そこで今日、ようやく行政
調査
会の発足も見たわけであります。行政合理化が叫ばれている一番大切な時期が今日もうきている。でありますから、
建設
、農林両省の砂防を統一するという必要が、もうここに差し迫った問題として出てきておると思うのです。現に
建設省
においては、
砂防部
まで作られた。砂防の重要性にかんがみて、砂防課が
砂防部
になったのです。これは当然両省が一体化して、いわゆる渓流砂防と山腹砂防がもう全く同じ観点から合理的に総合的に
実施
されなければならない時代がきておると思うのです。砂防所管の分轄は、今まで何十年来の日本の一つの悲劇であるともいえるのです。 そういうわけでありますので、この際
建設
大臣にお尋ねしたいのでありますが、
建設
大臣としては、この渓流、山腹砂防の統一をした方が好ましいとお考えになるでしょうか。いかがでございましょうか。
中村梅吉
51
○
中村国務大臣
植林あるいは林野の
保全
という直接の関係のことは別としまして、できることならば両省の砂防がもっと統一的に行なわれることが好ましいことだと思います。しかし従来所管が違いますことと、もう一つは所管の違うのにはいろいろ歴史もあり、また山林の
保全
という点と区別は一体どこでつけるかということは、なかなか簡単でない問題であると思うのであります。従来両省間におきまして申し合わせ事項も行ない、逐年連絡協調いたしまして、割合に円滑に話し合いはつけてきておるようでありますが、大局論としては、もっと統一的に行なわれることが好ましいことである、私はさように考えております。 きて、これを実際の上にどうするかということはまた別個の問題として十分研究をしなければならないことではないか、こう思っております。
田村元
52
○
田村
分科員
林野庁長官
おられますか。どういうふうにお考えになりますか、この問題に関して……。
吉村清英
53
○吉村
政府
委員 先ほど来
建設省
の側の方で御説明がございましたように、私どもの方の治山
事業
は山地の荒廃の復旧、防止、その上に立ちまして森林の
造成
、ひいては
経済
林の
造成
にまで持っていくということが目的でございまして、その
砂防事業
とは若干そこに目的とするところが違いがあるのではないかと思うのでございます。で、私どもといたしましては、この治山
事業
は少なくとも林業を離れて
実施
をするということは、適当でないというふうに考えておる次第でございます。
田村元
54
○
田村
分科員
林野庁長官
、それは私はおかしいと思うのですよ。
昭和
三年の閣議決定によっても、森林
造成
を主とする
工事
は農林省の主管とし、なお渓流
工事
といえども右
工事
と同時に施行する必要ある場合においては農林省の所管とするという文句がうたわれておる以上、全然別個にするのはおかしいという考え方ではなくて、たまたま同時に行なうということが、ここにうたわれておるわけなんですね。それから山腹
工事
の保護または維持を必要とする個所における渓流
工事
は、農林省において施行することということがうたわれておるわけですね。ですからそういうふうに考えますと、当時の、これは官庁争いの、両省の争いの上においてもここまで妥協しておるのだから、当然統一して総合的にやるべき点はやるんだということは、可能の範囲内において私はそれは好ましいことだと思うのですよ。 そこで、私は大臣に特にこの際勧告をいたしたいことは、農林大臣の河野さんと
中村
大臣はともに人も知る非常な親友の間柄でもあり、また両大臣ともに現在の政界では最長老に属する方方でございまするので、いわゆる実力大臣なのであります。でありますから、一つ河野農林大臣、
中村建設大臣
のその在任中に、この話を、結論を得ることができるかどうかはとにかくとして、話の糸口を見出しておいていただきたいということをお願いいたしたいと思います。 それから次は当初十カ年
計画
が策定せられたときと今日では、相当な物価の開きがあると思う。値上がりしております。 そこでいろいろこの物価問題について伺いたいのですが、もう時間もございませんので、あとの方がお待ちと思いますから私は簡単に申し上げますが、十カ年
計画
策定時において
事業費
を決定した際に、
事業
量の思惑というものは当然あったと思いますが、どうでございますか。数字をお示しいただかなくてもけっこうでございます。
河川局長
からお答えを願います。
山内一郎
55
○山内(
一郎
)
政府
委員 この十カ年
計画
の正式な文書にはございませんが、中に
事業
量はやはりあるものと見ております。
田村元
56
○
田村
分科員
しからば、物価値上がりでその思惑が狂ったと思いますが、どうですか。
山内一郎
57
○山内(
一郎
)
政府
委員 十カ年
計画
は三十五年度からスタートしたものでございますが、三十五年度と三十六年度の物価を見て参りますと、三十六年度が上がっております。しかし十カ年完了するまでにどういうふうになるかという検討は将来の問題でございまして、その辺はどうなるかわかりませんが、現在は上がっている、こういうことでございます。
田村元
58
○
田村
分科員
将来値下がりでもすれば話は別で、バランスもとれるでしょうけれども、少なくとも現在の状態では思惑が狂っておりますね、
事業
量は……。少なくともそういうことは言えると思うのです。それならば策定当時に物価の値上がりを予見しましたか。
山内一郎
59
○山内(
一郎
)
政府
委員 策定当時もやはり今後物価の変動はあるというふうには考えていたわけでございます。従って、この十カ年
計画
の閣議決定の文書の中にも、
治水事業
前期五カ年
計画
として
総額
三千六百五十億円に相当ずる
事業
を
実施
する、こういうような
内容
になっているわけでございます。
田村元
60
○
田村
分科員
最後に、私は今までの質疑応答で感じたことを申し上げたい。それは長期十カ年
計画
をお立てになった当時には、相当な抱負を持ってお立てになったと思う。また私ははっきり申すならば、もっと膨大な
計画
を立てておって、それを大蔵省で削られたと私は思っておるのです。そこで自分たちの、つまり
河川局長
なら
河川局長
の思惑を相当下回った長期
計画
に、いわば大蔵省で値切られたわけですね。これは当然値切られたと思うのです。私は政務次官をしているときに、
道路整備
計画
でずいずん値切られたのだから。そこでこれは一体、今聞いてみると、もうすでにわずか三十五、六の二年でもうこれだけ物価の値上がりで単価も相当狂ってきておる。
事業費
のみは変わらないかもしれぬが、事実これによって
事業
量は相当大幅に減ってきておる。しかも私が三十五年度、六年度、七年度の
予算
書を拝見してみても、あなた方は五カ年
計画
のワク内で何とかしなければならぬものだから、繰り上げ施行と称してごまかしばかりやっておるのですよ。私は自分でそういうことを言うと無責任かもしらぬが、私は政務次官のときに繰り上げ施行でごまかしをやった一人だから一番詳しい。よろしいか。そこで繰り上げ施行ばかりでごまかしてきておるのが今日までの
状況
なんだから、この際五カ年
計画
を改善したらどうです。大臣、私はこの治水十カ年
計画
というものを今再改善する時期がもう来ておると思うのですよ。残
事業
というものをあと二年で終わって、三十七年度だけの
予算
に達しますか。残
事業
は三十七年度の倍額ないのですよ。そうしますと、三十八年度、九年度はけっこう三十七年度より治水
予算
が下回るのですよ。こういうことで、一体長期
計画
のオーソリティはどこにあるかと私は言いたいわけなんです。でありますから、それは当然是正を、是正というよりも根本的に変えて、しかも
海岸
保全
も入れて、
海岸
高潮も入れて、もっと合理的な総合的な治水
計画
を打ち立てて、国民の生命の安全と民生の安定をはからなければ、人心の安定をはからなければいけないと私は思う。でありますから、私はここに来年度
予算
審議にあたりまして、近い将来において、少なくとも三十八年度
予算
要求は新しい治水
計画
で
予算
を要求されることを望みたいと思いますが、これに対して
建設
大臣、しかして宮崎
主計官
、一つ御両人の御見解を承りたいと思います。
中村梅吉
61
○
中村国務大臣
御承知の通り年々巨額の
災害
をこうむりますわが国の現状にかんがみまして、この
災害
を防止する基本である
治水事業
に先行投資をするということは、財政の事情の許す限りにおいては少しも惜しくない投資であると私は思うのであります。かような意味におきまして、
治水事業
には国全体として大いに力を注ぐべきである、この観点に立ちまして、現在の五カ年
計画
を普通の年度の割で進行いたしましたのでは、まことに
災害防止
の上から十分と考えられませんので、三十七年度
予算
編成にあたりましても、財政当局と協議をいたしまして、御承知の通りいゆわる繰り上げ施行と申しますか、先食いといいますかに努めまして、結局落ち着きましたところは、三十七年度の
事業費
は八百十七億ということになりました。従いまして、残る二年間を残
事業
量を均分いたしますと、七百七十何億かになるようなわけでございますから、残る二年の数字だけを数字的に金額を消化したのでは、三十七年度
事業
よりも下回るということになります。従いまして、国の財政事情、
経済
情勢というものが許す限りにおいては、来年度からの
治水事業
というものはもう立てかえをすべき時期に来ておると私は思うのです。ただし国の財政事情、
経済
事情等によりましては、もう一年先食いをするということもあるかもしれませんが、とにかく数字的に考えてみまして、三十七年度の
事業
量よりも
計画
通りにいけば減っていくという姿はあり得ないことでございますから、本質的にも改定の必要に迫られておる段階に来ておる、私はかように考えておりますので、この方向に向かいまして今後微力を尽くしてみたい、こう思っております。
田村元
62
○
田村
分科員
今私は宮崎君に御答弁を求めたのでありますが、今よく考えてみると、宮崎君は大蔵省で責任のある立場にあるわけじゃないので、宮崎君から事務的に結論じみた答えを今しゃべってもらっちゃ私も困るし、あなたもお困りだろうと思う。事は重大な問題なんだ。宮崎君は
主計官
の中では大
主計官
で私は非常に尊敬しておりますが、宮崎君にきょう来てもらったので幾らか私はよかったと思うんですけれども、私がきょう御質問申し上げたのは、いわゆる個所づけとか小さな問題じゃなく、いわば大きな国の問題なんです。いわゆるオーソドックスといいますか、大きな問題なんです。こういう問題を質問するときに、大蔵省が宮崎君にすべてを一任してだれも来ないということはいささか
予算
委員会をばかにするものではなかろうかと私は思うんです。よろしいか。そこで宮崎君を苦しめる結果になっちゃまことにお気の毒でありますので、きょうは答弁を求めませんから、どうか一つお帰りになられてきょうの模様を十分御報告願いたい。それから大臣並びに宮崎君に申し上げておきますが、大臣のお気持も大体わかりましたし、また私たちの考え方もございますから、
政府
与党として私ども自由民主党の
建設
部会において、長期
計画
の治水十カ年
計画
の改正案というものをあるいは作るかもしれませんから、場合によったら
建設省
に押しつけるかもしれませんから、その点はお含みおきを願いたいし、大蔵省、今から十分ふんどしを締めてわれわれに対処する方法を研究しておきなさい。何としてもこれは押しつけてしまうから……。もうこれは妥協の余地はないと私は心得ておるから、その点十分心得ておきなさい。 以上をもって私は質問を終わります。
羽田武嗣郎
63
○羽田
主査
兒玉末男
君。
兒玉末男
64
○
兒玉
分科員
私は、主として現在非常に問題となっております
東京
、
大阪
を中心とする大
都市
の交通緩和対策について、特に
建設省
の所管する事項が大へん多いようでございます。実は昨日、社会党の交通緩和対策の特別委員会の一人として、第一、第二京浜
国道
、最も交通の多いといわれております蒲田駅の踏み切り、それから甲州街道等の特に白ナンバーの砂利トラが非常に交通難に拍手をかけている、こういう地点をつぶさに視察をいたしました。そういう結果も含めて御質問をいたしたいと思います。特に最近の
交通量
の
増加
は、現在のバスあるいはトラック、一般自動車等の生産量にもそれが明らかに示されておりますけれども、
昭和
三十四年に二十九万台あったのが、
昭和
三十六年の一月から十二月までのこれらの車両の生産量は、実に三倍に近い八十一万四千台という驚異的な数字を示しておるわけでありまして、こういうふうなことが明らかに今日の驚異的な交通の
増加
の大きな原因となっておるわけであります。そこで、一月十二日の閣議におきまして問題となりました交通緩和についての閣僚懇談会においても、指摘をされたそうでありますが、特に首都圏
整備
に伴うところの官公庁の郊外移転の問題を含めて、官庁建物の高層化あるいは
駐車場
の設置など、この
都市
の立体化ということについて、特に
計画
局並びに
都市
局としてはどういうふうな具体的な構想を持っておられるのか、この点についてお伺いしたいと存じます。
前田光嘉
65
○前田(光)
政府
委員 最近自動車が非常にふえてきまして、
都市
内の交通が各所におきまして麻痺寸前の状態にあることはお説の通りでございます。これに対しまして、われわれは、まず
道路
の拡幅
整備
ということに
重点
を置きまして、現在必要な
都市計画事業
の
推進
をはかっておりますが、特にただいま御指摘のございましたように、
都市
のあり方、これを立体化いたしまして、最も合理的にあらゆる施設が
整備
されまして交通も円滑に処理できるということが一つ考えられますので、特定の都心部あるいは特に交通の混雑する場所につきましては、その場所を再開発するという考え方をもちまして、民間の権威者を集めまして、将来の人口の密集する大
都市
のあり方をどうするかということを検討いたしたいと思いまして、近くそういった方々の御参集を願いまして根本的な
都市
開発構想を練りたいと思います。
兒玉末男
66
○
兒玉
分科員
都市局長
もよく御存じだと思うのですが、最近の都内における交通事故のひんぱんな
状況
から判断しても、今局長の考えているようなやり方はきわめて消極的ではないか、もう少し積極的な、そして強力な立場で指導性を持ってこのような
都市
計画
に当たるべきではないか、このように考えるわけですが、この点については一つ最高の責任者である大臣の御見解を伺いたいと思います。
中村梅吉
67
○
中村国務大臣
急激に自動車が
増加
の一途をたどりまして、各
都市
ともと申し上げてよろしいかと思うのでありますが、特に
東京
、
大阪
等の大
都市
においては非常に輻湊を来たして、この解決策を講じなければならない急に迫られておるわけでございます。これにつきましては、われわれの考えとしては、応急的な対策と恒久的な対策と、両面進めていくべきである。応急的な方法としまして、まず
道路
の高度利用を考えるとか、あるいは
駐車場
の
整備等
をいたしまして、路上駐車をできるだけ排除して
道路
を十分に
道路
として利用できるように解決をしていくとか、その他事故防止のためにはガードレールの問題もございますし、立体化の問題もございまして、これらにつきましては着々と具体的に個所ごとの研究をいたしまして進めておるような次第でございます。しかし、こういう応急対策だけでは何といいましても
道路
面積の少ない日本の現状を解決することはできませんので、もつと根本的な方策を講ずる必要があることは当然でございます。従いまして、根本的な方法としましては、
道路
の
整備
も必要でございますし、また同時に、平面
道路
をたくさん作ればよろしいのでありますが、それにつきましては立ち退き、買収等を受けて非常に困難をする方々も伴うわけでございますから、これのみに頼ることもできません。従って、これを排除する根本策の一つとしては、
高速道路
を発達させる、そうしてできるだけ長距離の運行をするものは
高速道路
によって消化し、できるだけ平面
道路
は地回りの自動車の用に供する、こういう仕分けをすることも必要であろうと思います。 なお、さらに根本的なことを考えますと、今
都市局長
から申し上げましたように、われわれとしましては、既成
市街地
の再開発ということに力を注ぐべきである。しかし、これはわれわれ役所のものが検討しただけでなしに、近来
都市
問題について非常に見識の高い学者の方々もたくさん出ておりますし、権威者もおりますので、この方々に御集合願いまして、そして制度的と申しますよりは、こちらの
建設省
にいろいろお知恵を拝借し、御協力いただく、あるいは御批判をいただく機関として、既成
市街地
の再開発に関する懇談会のようなものを設けまして、ここで十分に濾過して、根本的な既成
市街地
における再開発をはかる必要がある。これは建物との関係もあり、
道路
の関係もありますし、あるいは
土地
利用との関係もありますし、いろいろ関連するところがたくさんございますので、そういったような方法を講じまし工、根本策についても怠りなくやっていきたい、こう思っておるようなわけでございます。
兒玉末男
68
○
兒玉
分科員
今大臣の答弁の中で、
高速道路
の
整備
ということを言われておりますが、現在
首都高速道路公団
の下で作業を進めております
高速道路
の進捗
状況
、また特に
交通量
の多い羽田から都心への第二京浜
国道
を経由しての
交通量
というものは、相当の数に上がっていることが昨日の
調査
でわかっておりますが、この羽田と都心の間の
高速道路
を含めて現在の進捗
状況
と今後の
完成
見通し、この二点について詳細なる御報告を願いたいと思います。
前田光嘉
69
○前田(光)
政府
委員 現在
高速道路
は、
高速道路
公団
において
事業
を
実施
しておりますが、全体
計画
につきましては、
昭和
四十年までに
完成
する
計画
で現在仕事を進めております。そのうち特に都内の交通にも貢献し、かつ
昭和
三十九年に開始される
予定
のオリンピックに関連して
緊急整備
するいわゆる首都
高速道路
一号線及び四号線については、特に
重点
を置いて、その時期までにはぜひとも
完成
したいと思って
工事
の進捗をはかっております。現在までのところ、用地問題に相当難儀を来たしましたので、外見上は少しおくれているように見えますけれども、おかげさまでだいぶ話が進捗して参りまして、
予定
通りに仕事が進められるものと考えております。 数字で申し上げますと、一番
重点
を置く一号線、羽田の飛行場から都心部に入る
予定
でございますが、
昭和
三十九年までに
完成
を
予定
しまして、約三四%程度の進捗を期待しております。また四号線については、二六・四%ということで、ぜひとも
予定
通りの
完成
をしたいと思いまして、現在
公団
及び
東京
都にもお願いしまして、補償問題の解決に努力しているわけでございます。
兒玉末男
70
○
兒玉
分科員
大体主要な
高速道路
である一号線、四号線が
完成
を見れば、現在都内を走っている自動車の
交通量
に対して何割程度の吸収ができるのか、これによってどの程度の緩和ができるのか、もしわかっていたら、その大体のパーセンテージをお聞かせ願いたい。
前田光嘉
71
○前田(光)
政府
委員 都内の自動車が相当多うございますし、ことに横浜方面から
東京
に入る車が相当数がございますので、その何割がこちらにくるかはちょっと申し上げられません。
高速道路
の能力としましては、現在の四車線の
計画
でございますので、普通に走って一日六万台、特に自動車の相当多い場合には、個所によっては十万台前後の消化能力があるかと考えております。
兒玉末男
72
○
兒玉
分科員
先ほど
都市局長
の説明の中にもありましたが、特にこの
高速道路
の進捗の最大の隘路は、何といっても用地問題ではないかと思います。これは資料によると、行政管理庁の監査結果によって、
東京
都内に二十三区の国有の未利用地があるということが指摘されているようです。その面積は五十八万平方メートル、坪数で大体十七万五千坪という広大な
地域
でありますが、これはやはりそれぞれ大蔵省を中心とする所管が違う関係で、
建設省
としてもこれを画一的に処理することは困難であるとしても、今日この重大な
交通量
の激増に対しては、やはり強力な行政的措置が必要ではないかと考えるわけであります。そういう点から考えますれば、特にこの五十八万平方メートル、そのうちまだ全然その利用
計画
が立っていないのが、北区にある元の陸軍補給廠を初めとする四十三万平方メートル、こういうような点から考えますれば、今
都市局長
が説明しましたように、特に
道路
拡張なり、
高速道路
の早期
完成
または
駐車場
なり、またこの
高速道路
を通すことによっての民有地の換地の問題、こういうこと等は十分考えてしかるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、このような四十三平方メートルという広大な国有地の未利用地について、いま少しく私は具体的な
計画
が早急に立てられるべきじゃなかったかと思うのでありますが、この天利用地に対する
都市
局、
計画
局等の今後の
計画
、また大臣のこの未利用地に対する——これは各省の所管が違いますけれども、そういうきわめて緊急度の高い交通緩和策について、どういうような見解をお持ちかお伺いしたいと思います。
中村梅吉
73
○
中村国務大臣
国有地の問題につきましては、行政管理庁に一応の
調査
をしていただき、各省庁にも利用
状況
の照会等を発しまして、具体的に最近
調査
をいたしておるわけでございますが、御指摘の通りわれわれとしましては、公共
事業
の換地に利用できるものについては努めて利用さしていただきたいという観点に立ちまして、大蔵省とも話し合いを始めております。大蔵省も、本質的には、観念的には協力的なお気持で接していただいておりますが、具体的にどの場所をどう使うか、どうするかということになりますと、なかなかむずかしい問題がありますのと、目下われわれ事務当局におきまして、そういう換地に利用できる国有地が一体どのくらいあるかということをしぼってみますと、場所が離れていたり、あるいは換地に適さなかったりいたしまして、完全に換地に利用できるというようなところは四十数万平米ありましても、よほど少ないように承知をいたしております。しかし、こういうことは非常に公共
事業
を
推進
する上において
効果
的なことでございますから、急速にしぼりをかけまして
効果
のあるような活用の道を講じていく考えで、目下せっかくいろいろな作業を進めておるような段階でございます。
兒玉末男
74
○
兒玉
分科員
都市局長
としてはどういう見解ですか。
前田光嘉
75
○前田(光)
政府
委員 大臣の御答弁と同じでございますが、われわれも行政管理庁から連絡ございました十七万四千坪余りの国有地につきまして、直ちに必要な
駐車場
予定
地としてどの程度利用できるかということを具体的個所について目下当たっております。ただいま大臣からお話がございましたように、国有地がありましても、特に緊急を要する
道路
にすぐ使うとか、あるいは
駐車場
として適当な場所があるかという点について当たってみますと、なかなかちょうどいい国有地もございませんし、あるいはそういうところはまた別の方面からも利用したいという強い要望がありますので、目下関係方面とも具体的な場所について、その利用の仕方、時期等につきまして折衝している段階でございます。
兒玉末男
76
○
兒玉
分科員
これは昨日の
調査
の結果わかったのですが、大森署の署長の見解をただしたわけでございますけれども、現在第二京浜
国道
の一日の通過両数が十六万七千両だそうでございます。そこで特に大森の六丁目を中心とする
地域
が幅員が十四・六メートルで最もこの第一京浜
国道
では狭いところになっているそうです。そこで非常に事故も多いし、ここがネックとなって、横浜方面への流れが非常に詰まっているということで、ここの幅員を拡張しない限りは、この状態は絶対に緩和できないということを説明されたわけであります。そこで、私がそれでは
道路
拡張の
計画
はないのかということを聞きましたところが、すでに
都市
計画
としてこの
国道
は五十メートルの幅員にする、それから羽田方面は四十メートルに拡張するという
計画
はすでになされておるけれども、いつこれが拡張されるか、これは全然見通しが立たない、こういうような説明がなされたわけでありますけれども、この幅員を拡張することが最も手っ取り早い交通緩和の手段ではないかと思うわけですが、このことはいつ
計画
をされ、また
建設省
の関係当局としては、大体いつまでにこれを拡張しようとするのか、その具体的な
内容
について一つ御答弁願いたいと思います。
河北正治
77
○河北
政府
委員 第一京浜は
一級国道
十五号線でございますが、今御指摘のように
計画
決定としては五十メートルないし四十メートルと出されております。今御指摘のように具体的にこの五カ年
計画
でどうしようというものを、まだそこまで
計画
は進んでおりません。しかし、
東京
都内の交通麻痺状態は御承知の通りでありますので、これに対処するために五カ年
計画
である程度の準備をいたしておりますが、今直ちにどこをどのくらいやるというだけのコンパクトな
計画
になっておりません。
兒玉末男
78
○
兒玉
分科員
どうも
道路局長
の説明を聞いておりますと、このような重大な、しかも一番ネックとなっておる第一京浜
国道
の大森付近のこういうところこそ最も
重点
的に着手すべきじゃないか。これは特に
道路整備
五カ年
計画
においては、国、
地方
を通じて二兆一千億という膨大な投資をやって、五カ年間で
一級国道
は全部ほとんど舗装
改良
を終わるということが、昨年の五カ年
計画
説明の際にも明らかにされておるわけであります。にもかかわらず、最も重要なこの
区間
についていまだ具体的な見通しすら立ってないということは、きわめて無責任な答弁ではないか、こういうように考えるわけでありますが、担当の局長と特に大臣からもう少し誠意ある御答弁を願いたいと思うわけであります。
中村梅吉
79
○
中村国務大臣
御指摘の通り第二京浜につきましても
都市
計画
決定はされておるのでございますが、御承知の通り
東京
都内には
都市
計画
決定をされた
路線
及び拡幅すべく決定のされたところはたくさんありますが、この
道路
の拡幅ということは、すでに密集した
地域
におきましては、その沿道の住民に及ぼす影響も甚大でございます。同時に非常な犠牲を払うことになりますので、私どもとしましては、まず第一に
海岸
を通ります
高速道路
一号線の
完成
を急ぎまして、これにできるだけの
交通量
を吸収いたしたい。この
高速道路
一号線は、御承知の通り現在のところは下谷方面から羽田に通ずる一貫した
路線
でございますが、羽田までの分が漁業補償の関係が大体大詰めにきて今片づきかかっておるところでございますが、まだ解決を終わっていないわけであります。解決をして羽田まで通じましたら、さらに羽田から
延長
させまして川崎市を通りまして横浜に通ずる
高速道路
にいたしたいということで、五カ年
計画
ではこの分も五十億円でありましたか保留分を見込んでおるのでございます。これらの
完成
をいたしまして、第二京浜の通行量をできるだけ大量に
高速道路
に吸収するということの方がまず急ぐべき案件であろう。かように考えまして、この方の作業を急いでおるようなわけでございます。これと並行して第一京浜の拡幅をすることは、今申し上げますように沿道住民に及ぼす影響も非常に甚大でございますので、十分考慮していかなければならない。こういうように考えておるわけで、さらに外側には第三京浜の
計画
がありまして、すでに
日本道路公団
で着手をいたしておりますから、西の方にさらに第三京浜ができる、こういうふうに何本かにいたしまして
交通量
を消化するという
計画
があります以上は、犠牲の大きい拡幅を先にするよりは、そういった
整備
をまず先に急いで消化の道を考えることが先決問題であるというように実は考えまして、五カ年
計画
には第一京浜の拡幅
計画
というものは織り込まれていない。二兆一千億と申しましても全国的に張りめぐらされております
一級国道
の第一次
改良
を
完成
して、そして舗装を終わる。また全国の
地域
格差の是正との関係もございますから、一カ所に大金を投入するということも二兆一千億ではなかなかまかないかねますので、さような結果現在のような
状況
に相なっておるわけでございます。
兒玉末男
80
○
兒玉
分科員
羽田から都心を結ぶこの
高速道路
が漁業関係の補償で行き詰まっておるということを今大臣が言われましたが、それでは、この問題については大体いつごろをめどに解決できるのか、この点について一つお聞かせ願いたいと思います。
中村梅吉
81
○
中村国務大臣
これは漁業補償がだんだんと話が進んで参りまして、すでに補償額等は——協定はまだ終わりませんが、基礎的なボーリング等をいたして地質
調査
をすることは組合の了解を得まして、この作業を行なって最近完了いたしました。漁業補償のことは、
道路
を作るだけの埋め立てでありませんで、
東京
都の港湾
整備
の埋立地もあわせてやる関係上、もっぱら
東京
都が漁業補償の取りまとめ役を担当しましてやっております。目標としましては、近いうちにこの漁業補償を解決いたしまして、オリンピック開催までには
高速道路
一号線の
工事
を完了するという
予定
にいたしております。従いまして、漁業補償の関係のないところはもう八、九分通りでき上がりまして、近く供用のできるまでに実は運んでおるようなわけでございます。
兒玉末男
82
○
兒玉
分科員
重ねてお聞きしたいのですが、この一番ネックとなっている大森六丁目付近の第一京浜
国道
の幅員の拡張が、当初からこの
計画
に入れてなかったという答弁を今なされたわけでありますが、大森署の署長の説明によりますと、これは拡張する
計画
があった、ただその見通しについていつのことかわからないということでありまして、そこに若干の食い違いがあるように私は思いますが、その点はどうでございますか。
前田光嘉
83
○前田(光)
政府
委員 現在、
東京
都におきましては、
道路
の
計画
といたしまして特に戦後大改定をいたしましたが、相当大
規模
に上る
計画
がございます。しかし、これを具体的に
工事
をして
道路
に作っていきますのには、最も緊要を要するところから逐次
実施
をしていっておりますので、ただいまのところにつきましても、五十メートルあるいは四十メートルの
計画
はございますけれども、
工事
の
実施
につきましては、
緊要性
あるいはその他の問題とも関連いたしまして、具体的にきまってないという段階かと思います。
東京
都には、その他単にこの
国道
だけではなくて、都内全般におきましても相当大幅な
計画
がございますが、残念ながら現在の国の
予算
あるいは都の
予算
におきましても、ざっと申しまして約半分ぐらいの
計画
しか進んでおりませんので、今後相当大幅に
資金
を投入しまして、
計画
通りの
工事
を
実施
したいと考えておるわけでございます。
兒玉末男
84
○
兒玉
分科員
予算
の関係ということを盛んに言われますが、それではこの
地区
を五十メートル並びに四十メートルに拡張することによって、立ちのきその他の補償費を含めて一体どの程度の
予算
を必要とするのか、今まで
調査
なり検討したことがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
前田光嘉
85
○前田(光)
政府
委員 ただいま御指摘の具体的な個所につきましては申し上げられませんけれども、都の現在考えております
都市
計画
として、全体の
事業
を
実施
いたしますためには、約一兆数千億の
予算
が要ることになっております。これに対しまして、年間の
事業費
が最近相当上がりましたが、二百億あるいは三百億程度でございますので、全体を
事業
を
実施
します場合には、ある程度
重点
的にならざるを得ないというのが現状でございます。
兒玉末男
86
○
兒玉
分科員
私は、全体のワクということでなくて、今言った大森
地区
のこれにどの程度かかるかということをお聞きしておるわけです。わからないなら、わからないでいいです。
河北正治
87
○河北
政府
委員 八ツ山から、あるいは羽田産業
道路
の分岐点から、
延長
は私ちょっと見当がつきませんが、大体あの辺へ参りますと、キロ
当たり
十億から十五億くらいの
予算
がかかるんじゃないかと思います。
兒玉末男
88
○
兒玉
分科員
どうも誠意ある答弁が承れないで非常に遺憾でありますが、この点もう少し再検討してもらいたいと思うのです。 次に、
立体交差
の関係でございますが、私たちは具体的に
状況
を見て実は驚いたわけでございますけれども、蒲田駅の大踏切というのは、実情を申し上げますと、一日の通行両数が大体七千八百両、そして午前七時から一番ラッシュの午前九時までは、二時間の間に踏切の遮断機が開いている時間はわずかに八分三十秒しかない。だから一回の開く時間は、最低の場合は十五秒しか開くことができない。昨年の十月一日のダイヤ改正から、この東海道、特に蒲田付近を通っておる電車、汽車等の回数は、一日に一千二十一回だそうであります。こういうように自動車、鉄道ともに最高度の密度で運転がなされておるわけでありますが、こういう点から考えますならば、今日非常にスピードアップを必要とする時代において、このようなネックがあることが
都市
の交通難により一そう拍車を加えておるということを、きのう現地
調査
をしてこの点をつぶさに見て、私は感じたわけでありますけれども、この蒲田
地区
の踏切対策について、あるいはまた全体的な
立体交差
の政策については、昨年の第三十八通常国会におきまして
踏切道
の
改良
促進
法というのが出されまして、
建設省
と運輸省の両方の関係におきまして、最も今札つきといわれておる全国千二百カ所の
立体交差
を、向こう五カ年間で早急に
整備
するということも決定されておるわけでありますけれども、さしあたりとの
東京
都内の重要な個所における
立体交差
の作業
状況
、それからすぐ隣の六郷土手の踏切もきのう見に行ったのでありますが、
地区
の国鉄の方の説明あるいはまた警察の担当者の説明によりますと、地下道を通すか、あるいは跨線橋をかけて自動車以外のものは全部こういうふうに緩和するという
方針
がきまっておるそうでありますけれども、これもいつできるのかさっぱり見通しが立たない
状況
ですと、こういうような説明を受けておるわけでありますが、全国的な
踏切道
の改善策を含めて、特に緊急を要する都内のこのような
重点
地区
における
踏切道
の対策についてどういうふうな
計画
を持っているのか、お答え願いたいと思います。
中村梅吉
89
○
中村国務大臣
踏切の除却につきましては、先年法律ができまして、目下運輸省との間に鉄道の輸送力あるいは
踏切道
の状態等勘案いたしまして、重要個所の指定場所を検討して、大体しぼりつつある段階でございます。 なお、あの周辺につきましては、先ほど京浜第一
国道
のお話もございましたが、御承知の通り、環状七号及びその外に環状八号の
計画
がございまして、環状八号も相当
規模
の
予算
を投入しまして、現在羽田空港においでいただきますと、空港入口の点はもうやや
完成
をして参りました。その外側に向かいまして環状八号を
整備
する
予定
で、これらはいずれも京浜の国鉄との
立体交差
をいたしておりますから、これらによっても第一京浜の
交通量
というものを横にさばく工夫をして、その
実施
を実は急いでおるわけでございます。 第一京浜につきまして具体的な検討が進められていないということのおしかりをいただきまして、この点はまことに遺憾に存じますが、先ほども申し上げましたように、第一京浜の拡幅の
都市
計画
はございますが、決定通りもし
実施
いたすといたしますと、沿道の櫛比した商店街の住民に及ぼす影響が甚大であると思いますので、先ほど申し上げた
高速道路
一号線とあわせて、また別に京浜間の自動車を、他の方面に向かう自動車はそこを通らぬで済むように、環状七号、環状八号の
整備
を急いでおる、こういう状態でございます。これらの新設をいたしまする
道路
と重要個所は全部
立体交差
に初めからいたしまして、現在
東京
都周辺におきましては、非常に麻痺しておりまする踏切が各所にたくさんございますが、そういうことの起こらないようにやって参りたい。また現在既設の踏切で麻痺状態にありまするところは、
踏切道
の除却の指定の中に入れまして、この解決をはかっていく手順を今進めておる次第でございます。
兒玉末男
90
○
兒玉
分科員
あと二、三点お聞きしたいと存じます。 これは、この前運輸委員会において、参議院であったかと存じますが、そういう意見が一部出されておったようでありますけれども、特に
東京
都内の交通緩和対策として、今の都電ですね、路面電車を一部撤去して、地下鉄の方にそういう客を吸収していく、こういうふうな構想が交通対策として発表されたことを記憶いたしております。もちろん私は現在都電が果たしている役割はきわめて重要な地位にあると思いますし、これを軽々に論ずべきではないにいたしましても、少なくとも路面電車が一般の交通に非常に支障を来たしているということは否定できないと思うわけでありますが、この路面電車の一部撤去の関係と地下鉄網の
整備
、こういう関連について大臣の見解を承りたいと思います。
中村梅吉
91
○
中村国務大臣
確かに路面電車が交通の阻害をしておりますることはお見受けの通りでございますが、ただこれを撤去いたしますのには、代替する交通機関として地下鉄が発達をするということが前提条件であると思います。さような角度から、近く地下鉄網をさらに
整備
する案を目下検討いたしておりまして、交通審議会に運輸省の方でおかけをいただいて御決定をいただき、かたがた従来からきまっておりまする
予定
の
路線
につきましては、三十八年度も、営団の分にしても、
東京
都の
実施
する分にいたしましても、大幅に
予算
を増強いたしまして、その
建設
を急いでおるような次第でございます。 かたがた都電の撤去ということは、地下鉄がかなり
整備
をされましても、
建設費
の高い地下鉄とすでに償却の終わっているような姿にある都電とは、交通料金において非常な開きがございます。従いまして、現在としては都電は非常にじゃまにはなりますが、一面において安いサラリーで働いておられる大衆の一番安い乗物として、そういう意味からは非常に貴重な存在でございます。従って、地下鉄の発達とともに並行して都電の撤去をいたしまするのには、やはり国の
経済
力が上昇いたしまして、国民所得がふえて、その程度の地下鉄の料金を通勤用に支払うということはさしたる気にならないという、国民の所得増強というものと相並行しませんと、都電の撤去ということは全面的には踏み切れない事情にあるかと私は思うのであります。さしあたり都といたしましては、新宿−荻窪間に地下鉄ができましたので、またあそこは
中央
線の国電もございますので、あの線を優先的に撤去をしようという
計画
を持っておるようでございます。どこからか、とにかく早くサンプル的に都電の撤去を進めてもらいたいというのが、私どもの熱意でございますが、今申し上げたように、通勤用その他の安い足としての都電のあり方、それから現在の国の
経済
の情勢というもの、国民所得の現状というものから見ますと、じゃまになるからといってすぐに撤去するというわけにもいきかねる事情にございますので、これらを勘案して、できるだけ早く都電を交通の障害になる場所から撤去するように
推進
して参りたい、こう思っておる段階であります。
兒玉末男
92
○
兒玉
分科員
最後に、二点だけ要望して私の質問を終わりたいと存じますが、第一は、これもやはり昨日の
調査
の結果判明したのでありますけれども、特に白ナンバーの——砂利トラとよく言うそうですが、これが実に横暴をきわめているということで、これは陸運行政を担当する運輸省が直接の管轄にあるわけでありますけれども、陸運局の管轄というのは営業用の黄色いナンバーだけであって、白のナンバーに対してはそういうふうな監督権がないということで、これは多分に
建設
業者の関係のトラックが多いのではないか。この点について、特に交通道徳といいますか、交通モラルというものをほとんど無視した無謀な運転をやっているということが報告されているわけでありますので、特に
建設
関係の所管大臣である
建設
大臣からも、十分関係業者に自粛を要望して、交通緩和対策に協力を願うように格段の御配慮をしていただきたい。 第二の問題は、先ほど触れましたように、特に
踏切道
の
立体交差
というのが、昨年できました
改良
促進
法によっては多少
工事
の進行が緩慢ではないかと考えますので、特に
建設省
側の積極的な協力を最後に要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
羽田武嗣郎
93
○羽田
主査
島本虎三
君。
島本虎三
94
○
島本
分科員
時間が四十分でございますので、私の方でも質問の要点をできるだけまとめましたから、大臣の方でもその趣旨で御答弁願いたいと思います。 ただいま私の前に質問した
兒玉
委員も、きのうの夕方から、
都市
交通の状態、ことに麻痺しているようなあの
状況
を心配されて、夜おそくまでいろいろと
調査
されてきたわけでございまして、その結果によりますと、意外にこの状態がひどいということでございます。それはるる今まで言われたことですから、おわかりの通りなんです。ことに同乗したわが党の河上
委員長
も、つぶさにその状態を調べた結果、これは根本的対策を樹立する時期が今なんだ、そうでないと、これはとんでもないことになってしまうのじゃないか、
道路
とあわせて
都市
計画
の
実施
は焦眉の急である、こういうようなことをはっきり言っておるわけです。私もそれを聞いて、ただいまの
兒玉
委員の質問と関連して、これだけは大臣に私が質問する前提条件としても、この問題は
計画
と金といろいろな権力もありましょう、困難な問題もあろうと思いますが、今がっしりやってもらわなければならないし、こういうようなことの困難をおそれて時期をそらしては、怠慢のそしりは当然免れない、私どもはそういうふうに思っているわけでございますが、ことにオリンピックを控えまして、この
道路
等の
整備
とともに、
都市
計画
という点の
整備
は重大な問題だと思います。今の
兒玉
委員の質問に関連して、それにピリオドを打つ意味で、私はここで一つ聞いておきたいのですが、オリンピックに際しても、交通の点では万全でございますかどうか。
東京
のみではございませんが、
東京
その他のオリンピック開催地のこの
道路
並びに
都市
計画
の状態は、それまでに完全にいく見込みでございますかどうか。あらかじめこの基本的な考え方からお伺いいたしたいと思います。
中村梅吉
95
○
中村国務大臣
日本の
道路
事情が全く行き詰まった状態で、これと申しますのも、戦前戦後を通じまして、相当長期にわたって
道路
に対する投資が見送られて参りましたことが大きな原因となり、今日しわ寄せがきておることと思うのでありますが、はたしてオリンピック開催に万全であるかと、こうお尋ねをいただきますと、私どもも一まつの不安なきにあらずでございますが、オリンピック開催をめぐりまして、それに中心を置いた
道路整備
計画
は御承知の通り先年立てまして、二十三
路線
について目下
整備
を進めておるわけでございます。これにつきましては、実は私就任以来、
東京
都がほとんど全部
事業
の
実施
体でございます。あとは
首都高速道路公団
でございますが、一般
道路
につきましては
東京
都が
道路
の
実施
主体でございまするので、何か
東京
都とわれわれの方との間に十分連絡を密にして、遺憾のないような進展をはかる必要がある。かような角度から、
建設省
及び関係機関、それと
東京
都との間に協議会を設けまして、しばしば協議を行ない——ただこれも協議だけでなしに、二十三
路線
についての
実施
上のスケジュールを立ててもらいまして、このスケジュール通りにやろうではないか。このスケジュールで参りますと、二十三
路線
完全に
完成
することになっております。そこでスケジュール通りはたして進行しておるやいなやということも、この協議会で検討しておるわけでございますが、最近は非常にピッチが上がりまして、御承知の通り三十六年度におきましては、
事業費
にいたしまして
予定
の
計画
よりも約六十億円近く
事業
が進行いたしました。かような関係で、先般の
予算
補正
の際にも、国の方の負担分を、約四十億前後になるのでありますが、こまかく大蔵省と協議して手を入れました結果、三十八億円を債務負担行為として追加をしていただいたようなわけでございます。三十七年度もおそらく
予定
よりもよけいに
工事
が進行すると思います。スタートしたころは用地買収で非常に行き悩みを来たしまして、さっぱり進行いたしませんでしたが、関係機関の間に協議会を設けまして、スケジュールを立てて、スケジュール通り何としても用地買収を進行きせるようにということで督励いたしました結果、最近ではこのスケジュールに大体一致した進行を見、ととろによりましてはスケジュール以上に進みまして、用地買収も近来は非常に円滑に進みつつありますので、二十三
路線
は
完成
できると思います。 そこで、オリンピックの主競技場あるいはホテル等と関連をいたしましたこれらの重要
路線
はできるにいたしましても、その他の部分の
道路
が一体どうなるかということが非常に心配でございます。オリンピックに参りました方々が、ホテルから競技場、あるいは競技場と競技場との間だけを通行していただくならばいいのでありますが、
東京
へ来た以上は、ついでにあちらこちらにも出入りをいたすと思うのであります。かような関係を考えますと、その他の面が非常に心配になります。実は国としましても力を注いでおりますが、これは国が三分の二の補助費を負担して、三分の一を
東京
都が担当するわけでございます。その肝心の
東京
都も、この二十三
路線
の
整備
に実は目下のところ追われておりまして、他の
事業
が非常に出おくれて、私ども、もっと
東京
都が他の
事業
についても、緊要な部分について活発に
事業
計画
をしてもらわなければならないということで、
東京
都にも注文をつげておるようなわけでございますが、意のごとくに進まないというのが現状でございます。従いまして、何とかオリンピックの開催時におきましては、
道路
の
整備
、一方交通あるいは右折禁止あるいは交通の流れの調整等、交通対策を十分に講じまして、オリンピック大会だけは円滑に
実施
のできるようにいたしたい、こう考えておるようなわけでございます。
島本虎三
96
○
島本
分科員
やはりこれはスケジュール通りにいくというのが第一だと思います。それを追って一生懸命努力されておるという点は、私どもとしてはそれを了承いたします。ただ
建設省
だけではなく、都道府県のいろいろな協力も必要であり、そういうような方面で特別自分らでやる仕事もあるはずですから、その方面の協調も必要だと思います。
東京
の状態はそれによってわかりました。これはスケジュールを追って完全に国をあげて協力しなければならない行事ですから、それは一生懸命やってもらわなければいけないと思います。しかし
東京
都では冬季オリンピックはできません。これは
北海道
の札幌でやるようになりますが、この方面の旅客並びに
道路
、
都市
計画
等のいろいろな
計画
はスケジュール通りに進んでおりますか。
中村梅吉
97
○
中村国務大臣
実は寡聞でございますが、冬季オリンピック大会は時期も違いますし、日本で開催するかどうか、私どもまだ承知いたしておらないのであります。前にローマで大会のありましたときは、冬季オリンピック大会はアメリカのスコーバレーで
実施
をされましたので、あるいは冬季オリンピック大会はまだ開催地及び時期等が確定していないのではないかと思うのでありますが、もし御指摘のように札幌周辺で行なわれるということになりますれば、
北海道
の
都市
整備
にも力を入れておりますが、それに見合った
道路整備
をしなければならない。ことに千歳空港から札幌に通ずる
道路
等は、まだ幅員も狭うございますので、十分手当をしなければならぬと思いますが、ただ
北海道
の場合は用地が非常に楽でございますから、問題は凍上を防ぐだけの舗装をやればよろしいわけで、もしそういうことになるとすれば、われわれとしては遺憾のないように進めていきたいと思います。
島本虎三
98
○
島本
分科員
これは当然日本でやる準備を札幌でもしておるようであります。その点、やるようになったならば、十分遺憾ないようにするという言葉で、一つ安心なんです。それにしても、大臣に一つこれだけはっきり言っておかなければならいのは、やるといたしましても、ここで
昭和
二十四年二月二十四日だと思いますが、告示第百四十号で、札幌市の
国道
二十七号線の拡幅三十六メーターときめて
計画
決定をしたまま、ずっと何もやらないでおる。それがこういうような状態の中で、もうすでに何をしておるんだという声が高いのです。もう向こうの
交通量
のひどいことは皆さんも御存じの通りなんです。おそらくは、オリンピックに関連して、当然こういうような問題については考えておかなければならないはずだと思っておるのですが、
計画
決定のままで
事業
決定にいかずに、十数年もこのままほうっておいて、しかも市の目抜きの通りで、交通のはなはだしい
国道
である。これはどういうわけですか。
前田光嘉
99
○前田(光)
政府
委員 ただいま御指摘の
道路
につきましては、お話の通り
計画
といたしましては三十六メートルになっておりますが、これにつきまして地元の方にこれを狭くしてもらいたいという意見もございまして、目下地元の市におきまして調整をいたしておる段階でございます。しかし一部用地につきましては市の方で買収に着手いたしておりますので、なるべく近い機会に話をつけまして、できれば
計画
通り
実施
をいたしたいと考えております。
島本虎三
100
○
島本
分科員
建設
大臣からただいま提案理由の説明をいただいた国の
道路整備
五カ年
計画
の全容を見ましても、
昭和
三十六年以降五カ年の間に、
地方
公共団体の行なら単独
事業
を含めて、
総額
二兆一千億を
道路整備
に投資することになっておる。国だけでも直接やる仕事が一兆七千五百億という格好になっておる。こういうことを
実施
していき、
一級国道
では、この
計画
としては四十年までに完全にやってしまうという
計画
なんです。そういうような状態の中で
道路
の方をやっていながら、それに付随して当然行なわなければならない
都市
計画
の部門をそれと並行してやっていかれなければ、これは仏作って魂入れずの結果になり、画龍点睛を欠く結果になるのです。
昭和
二十四年二月二十四日に三十六メートルの
都市
計画
の
計画
決定をして、そのままにしておいて、
昭和
三十二年の十一月四日でございましょう、あまり長くしておるものだから、あまりそうだったら利用さしてくれと、それを二十三・五メートルの拡幅で出されているでしょう。これから
道路
を広くしてどうにかしなければならないのに、国がこういうような政策を怠るから、怠慢であるからこそ、その間にいろいろな要求を出てくるのは当然だと思います。これは大臣はよほどがりっとやらないと、
道路
の方だけやりますよと言ったって、一緒にやる方の補償の面を考えて——おそらくその方面じゃないかと思うのですが、それが十分でないから、十二年も怠けておる間に次々へといろいろな
計画
変更が出されてくるということなんです。これはよほどこれを
実施
する前には肝っ玉を据えてやらないと、悔いを千載に残す。おそらくは今日の交通麻痺の状態なんかも、そのときに独断を欠いた何かの結果によるんじゃないかと思うのです。今の札幌の駅前の三十六メートルの拡幅は、これでも広いとは申されません。
大阪
の御堂筋を見ましても、名古屋の百メートル
道路
の幅員を見ましても、これでもなお足りないという状態で、千歳と約一時間ほどの距離のところにありながら、これは広げなければならない状態であるにもかかわらず、黙っておって狭めるような状態に置くということは、当局の怠慢じゃないかと思うのです。その間何をしてこういうような結果になったのか。どういう陳情が来てどういう結果になったのか。将来これはどうするのですか。はっきりしないと、大臣とんでもないことになりますよ。
前田光嘉
101
○前田(光)
政府
委員 ただいまの
道路
につきましては、札幌市におきましても何とか解決をしたいと考えまして、かねてから市の議会に特別委員会を設けられまして、鋭意その
計画
につきまして検討中でございますが、遺憾ながらまだ結論に達しておりません。われわれは、なるべく追い機会にこれらが解決いたしまして、御指摘のように
都市
計画
に即した広い
道路
ができますことを念願しておりますが、地元の利害関係もありますので、目下市の議会におきまして、早く結論を出すようにただいまやっております。
島本虎三
102
○
島本
分科員
地元に利害関係の生ずるのは当然なんです。三十六メートルにしても、すでに半分は整理されて、
土地
はちゃんと確保されている。まだ残っておるところは、へりを削られるのはいやだから、三十六メートルにするよりも二十三メートル半にして、その間商売のために使えばそれだけもうかるし、所得倍増
計画
によっても当然だろうし、いろいろなことを考えて反対の声が起こるのは当然であるが、
計画
決定から
実施
決定までの間にいろいろとこれを踏み切って指導されないから、こういうような結果になるのではないか。早くやらぬと、再びこういう取り返しのつかぬことになるのが一番おそろしい。こういうことです。完全にやるならやる、やらないならやらないということでないと困る。なぜかというと、期間的にいっても、
昭和
二十四年二月二十四日から、このアーケード式の陳情が出たのは三十二年の十一月四日でございますから、この間は何をしていたか、こういうことになる。今いろいろなことがいわれておる。
建設
大臣としてはこういうような場合に権限があると私は思うのです。これを
実施
する場合には、
計画
決定から
事業
決定、毎年度執行の年度決定、こういうようなものも大臣がきめて、内閣の認可を得てやれるでしょう。当然やれるのです。主務大臣が決定することになっておりますから、これはやれる。やらないこともできるのです。それを何かに動かされ、何かに惑わされているから、こういうような疑いを受けるような結果になるのじゃないかと思う。どっちにでもできる権限があなたにあるのでありますから、
昭和
二十四年二月二十四日に出されたものを現在までに半分やってほったらかして、まだはっきりしないままにほうっておくから、こういうふうになる。こういう場合も、権限は大臣にあるんだから、しっかりとやらないと、とんでもないことになる。大臣、どういうふうに考えますか。
中村梅吉
103
○
中村国務大臣
確かにわれわれに責任のあることでございますが、
北海道
につきましては、
北海道
開発庁があり、その下部組織として開発局がございまして、開発局を通してわれわれ国の
予算
を組み、
事業
計画
を立てるわけでございます。札幌の場合につきましては、札幌市が本来
都市
計画
としてやり、
計画
を立てて国の補助を要請されるのが本筋だと思いますが、今聞きますと、市がやる場合もあり、あるいは市と開発庁が協議いたしまして、開発庁が引き受けてやる場合もある、また可能である、こういう話でございます。いずれにいたしましても、非常に重要な問題でございますから、われわれ現地とも十分連絡をとりまして、
促進
するように全力を尽したいと思います。
島本虎三
104
○
島本
分科員
促進
するということでございますから、これで私はこの問題に対する追及はやめます。ただ私として遺憾に思いますのは、法律上いろいろな費用の関係や何かで、やってもいいように、もうすでになっているはずです。いわゆる何というか、
実施
面の困難な点は、いろいろ区画整理に伴う苦情が解決困難であるとか、
土地
の買収に多額の費用を要するとか、いろいろあることだと思うわけです。しかし現在はもうすでに
市街地
改造
法が
実施
中でございましょう。これによってやると、この問題等も、やる意思さえあればどうでもできるのですから、これはやはりやらないといけないと思う。これによって住民に不利を与えますか。与えないですよ。これはもう余分な部屋を作ったり、
土地
をやったりして、そのままやってもなおかつ採算が合うように、なかなかいい法律です。この運用もできるようですから、これでできるのです。それをそのままにしておくということは、これは全く怠慢だと思います。これは、大臣も今やると言いますから、このやるという言葉を信用して、私は、この程度でこの問題だけはやめておきたいと思います。ことに住民は、この問題はいろいろ関心の的でございます。水は低きに流れるように、黙っておりますと、狭めるようにだんだんと運動をしがちでございます。国家百年の大計をこの際誤っては大へんである、こういうふろに思いますかう、この点腰を据えてやっていただきたい、私はそういうように思うわけであります。 それと同時に、もう一つ私の方であわせて質問したいと思うのです。これも同じ
都市
計画
の問題なんです。今のは、札幌市が、おそらく冬季オリンピックのいろいろな関係等で、急いで
予定
して、もう準備されておるのですが、その前の口はそれでいいのです。しかしながら、札幌市のあの現在のような状態のもとで、停車場の裏口——裏口と申しますか、昇降口です。この昇降口を確保するために、当然
都市
計画
法によるところの
計画
決定を、もうすでに市が行なっているわけです。そして、この
計画
は、もう当然これも
実施
するのでなければ、その面とあわせてちぐはぐになる。国鉄の方では、もう当然
都市
計画
は進まないからやれない。市の方では、特別委員会を作って、もうすでに
実施
するようにこれは運動中だ。しかしながら、国鉄の方では、
都市
計画
が進まないからやれない。お互いにこういうような状態では困ると思います。しかしながら、七割ほどがこれは見通しがついているというお話です。こういうようなこととあわせまして、この札幌市はもう北に伸びているような状態でございますので、北口の駅の施設にこれも強力に協力しなければ、あの市の体面がなさないような結果になり、
道路
ができても
都市
計画
が進行しない以上、これはもうとんでもないところに欠陥を招来いたしますから、こういうような点を十分気をつけてやる必要があると思います。これはもう当然裏口の
都市
計画
は、おそらくは
道路
計画
の変更なりいろいろな面もからんでいるわけですから、これは
計画
決定がすでになされているはずなので、この面についての
実施
の決意の方はどういうふうになっておりますか、これを伺います。
前田光嘉
105
○前田(光)
政府
委員 札幌駅の駅前の
計画
につきましては、ただいまお話がございましたように、
計画
決定はすでにされておりまして……。
島本虎三
106
○
島本
分科員
駅前ではなくて、駅のうしろです。
前田光嘉
107
○前田(光)
政府
委員 ええ、駅裏でございます。その広場の
造成
につきましては、国鉄側と、原則として費用を折半することになっております。目下その協議をいたしておりまして、今年度中にはととのいまして、
事業
決定ができる
予定
でございます。
事業
決定がありますれば、三十八年度からは
事業
を
実施
したいと考えております。
島本虎三
108
○
島本
分科員
事業
決定をすぐするということであれば、これは安心してもいいと思います。これはスケジュール通りに大臣は進めるということでありますから、皆さんの方でもスケジュール通りにやって、再びこの場所で来年同じような質問をし、あるいは
道路
や
都市
計画
の
促進
をされないように、皆さんに心から決意をお願いして、私はこの問題はこれで打ち切ります。
計画
決定をしていると、議事録にはっきりとどめていまずし、また
実施
決定もするということでありますから、これをもしはっきりしていない場合は、これはとんでもないことになりますので、この点についてもあらかじめ忠告を申し上げておきたいと思います。 それで、時間もだんだん迫って参りまして申しわけありませんが、私の方でお伺いしたいという第三点は、今度はいろいろ大臣も
道路
の交通の面の確保で悩んでおられたようでございます。オリンピックを控えてのいろいろな対策は、それによって私どもある程度了解できる点でございます。しかしながら、ここで
積雪寒冷特別地域
におする
道路交通
の確保に必要な
道路事業費
及び
機械費等
が三十二億七千八百万円計上されておるわけでございます。この問題は、私は、大臣も御存じであろうと思うのですが、現在の内閣が高度
経済
成長政策に即応をした所得倍増
計画
を進める上においていろいろ困難な問題は、物価であり格差の是正であるとかいろいろ言われておりますが、この格差の是正の中で、どうしても現在困難に逢着しておるのは、積雪寒冷地帯等の
国道
その他いろいろ含めての交通の問題であるわけです。この交通の問題を完全に解決するのでなければ、百年たっても格差の是正はでき得ないのじゃないか。幸いにして
積雪寒冷特別地域
における
道路交通
の確保に必要な
道路事業費
及び
機械費等
は組みました。しかしながら、現在組んで、これはどのように行なっているのか。どういうようなことに
重点
を置いてやるのか。現在なお
国道
で、第
一級国道
でも雪が降って通れない
国道
があるような現状ですが、せっかくこれを組んでも、そういうような方面に対して意を用いてやるのでなければ、これはとんでもないことになるのじゃないかと思うのです。この三十二億七千八百万円の
重点
施策はどこですか。
河北正治
109
○河北
政府
委員 積雪寒冷地帯五カ年
計画
の
重点
でございますが、三十七年度におきましては、防雪
工事
、それから凍雪害防止
工事
、それから除雪機械の補助といったものは、三十六年度から引き続いて
促進
していきたいと思います。そのほかに、三十七年度では、特に除雪費用に対する補助を計上いたしまして、その対象としますのは、積雪寒冷地帯五カ年
計画
に定められた分でございますが、
交通量
につきましてはおおむね三百台以上の
区間
で
道路
の確保が特に必要であるか、またはこの
交通量
三百台未満の
区間
でありましても、百台以上で、それが
一級国道
その他重要な
区間
である場合、または代替
道路
がない
道路
、またはバス
路線
で民生の安定上特に必要なもの、そういった
区間
についての除雪費用に対する補助を計上しております。
島本虎三
110
○
島本
分科員
そうすると、
一級国道
にかかる
事業
、二級
国道
にかかる
事業
、
主要地方道
、それから
一級国道
、二級
国道
、
主要地方道
以外の
道路
にかかる
事業
、こういうふうに区分されて、こういろいろあげられておるように承っておるのですが、そのうちで、三十七年度除雪機械の補助その他若干今説明があったようでございますが、私が心配するのは、このような状態でやっても、おそらくは
一級国道
で冬季交通のできないような、そういう
国道
はもうないというふうに了解してもいいかどうか。二級
国道
においても、これは除雪や防雪、それから凍雪害の防止、こういうようなところに
重点
を置いてやられておるようですけれども、郵便が届かない、こういうような一級、二級
国道
がないように、完全にできるということなのか、この点だけはっきり言ってみて下さい。
河北正治
111
○河北
政府
委員 先ほど
除雪事業
の補助の対象を申し上げましたが、三百台以上その他重要な
区間
という工合に限られておりまして、三十七年度から一挙に
一級国道
、二級
国道
その他
主要地方道
におきまして、冬季積雪のための交通不可能
区間
がないということには相ならないかと考えております。
島本虎三
112
○
島本
分科員
これはもうちょっと具体的にいって、はなはだ失礼なんですが、私知っているんです。そういうふうにしてやっておっても、二級
国道
であっても、バスがいつとまるかもわからぬから、これは当然、郵便の行のうを郵便局まで持っていくその
事業
を拒否しているバス会社もあるわけです。これはいつとまるかわからぬから、そこにブルドーザーや何かを二級
国道
にやるということになれば、そういうような弊害がなくなるのですから、せめて郵便は完全に届くようにしますからというくらいは、はっきり言ってもいいでしょう。郵便が届かないような二級
国道
にブルドーザーを入れても何にもなりません。せっかくここまで
計画
的にやって、
積雪寒冷特別地域
道路交通
確保五カ年
計画
までやって進行中なんですから、もうすでに第一年目としても、これは皆さんの方で郵便だけは届きますということをはっきり言うべきじゃないですか。まだこれは
計画
中で、
実施
しなければ、五年たたなければ、依然として二級
国道
に郵便は通じないということでは、ほんとうに交通行政もきびしいということになるのじゃないかと思うのです。そういうことで郵便が届かないようなところはないですか。
河北正治
113
○河北
政府
委員 直接のお答えにならないかと思いますが、今申し上げたような基準で
除雪事業
を補助対象にしていきたい、そういう工合に考えます。
島本虎三
114
○
島本
分科員
そういうような問題でやっていただくならば、それでいいでしょう。 私は具体的な問題で
道路
白書によっていろいろ勉強もさせてもらっておりますが、しかしながら、やはり
予算
を組んでも、それを一つ一つ成果を上げ——さっき大臣はいみじくもいいことを言ったのです。交通緩和のためにはどうしてもこれはスケジュールを作って、そのスケジュール通りに
実施
しているかどうかよく点検しておる間は、うまくいっておる、ただやれと言った場合はうまくいかなかった、こういうことです。せっかくこの積雪寒冷地帯においてこれだけやって、
計画
もできておるのですから、皆さんの方でそういうスケジュールを全部立てるべきじゃないですか。スケジュールを立ててやるのは労働組合だけじゃないのです。これは皆さんの方でも十分に考えて、こういうことのないようにすべきであろうと思うのです。大臣の方では、オリンピックまでにはスケジュールを立ててやるというのですが、今度は積雪寒冷地帯の方はスケジュールを立てていない、こういうようなことではほんとうに困ると思うのです。私はあえて名前をあげて言うならば、
北海道
の積丹半島あたりに行っている
道路
は、バスが全部通っていても郵便行のうの受付はしてくれない。いつとまるかわからない。ブルドーザーでちゃんとやっているかのように思っているのですが、まだ依然として二級
国道
であればそういうところがある。
一級国道
でも、支庁のあるところまでの
一級国道
が依然として積雪のため通れない個所が倶知安の付近にある。こういうような状態では、やはりスケジュールを作ってやらない以上、いつまでやっても白書ばかり出すようでは困るのです。白書はもういいかげんに出さなくてもいいように、スケジュール闘争を皆さんの方で展開してもらわないといけないと思うのです。こういうようなことは当然やるべきだと思いますが、いかがですか。
中村梅吉
115
○
中村国務大臣
実は除雪の基本になりますのは、御承知のように
道路
が舗装されるということであります。
道路
が舗装されますと、ブルドーザーで一挙に、交通を途絶させないように、またバスの運行等に支障がないように除雪ができますわけで、私ども
北海道
の事情は十分つまびらかではありませんが、旅行等をいたして考えますことは、冬季に全く交通が途絶して産業がとまってしまうというような事態にかんがみまして、できるだけ早く主要幹線
道路
を舗装
整備
して、冬季に除雪が簡単にできるような
道路整備
をすることが根本である。
一級国道
を初め二級
国道
あるいは産業
道路
等につきましても、行ってみますと、
北海道
などかなり
道路
の
改修
は進んでおるようでありますが、
改修
はできても舗装のできていない
区間
が非常にたくさんあるように思います。かような結果、実は三十七年度の
予算
編成にあたりましても、
北海道
のこれらの舗装の
促進
について、十分留意するように考えながら、
予算
配分等をいたしましたようなわけで、
道路
の
整備
と
除雪事業
とがからみ合っておる問題であると思いますので、われわれといたしましては、そういうような
道路
の舗装
整備
ということと、
除雪事業
の
推進
、これによる
道路交通
の確保、こういうことで今の積雪寒冷地帯特別措置法の五カ年
計画
で、五カ年間には重要
路線
はすべて交通の確保ができるようにいたしたい、こういう考え方で極力進めておるような次第でございます。
島本虎三
116
○
島本
分科員
最後に、
道路
というものは、大臣にこんなことを言うのはなんですが、普通
道路
がついておれば、これをもって
道路
なんだ、そうわれわれの概念では思っておりましたが、ある人いわく、ここは地球の表面にすぎない、
道路
である以上舗装されておらなければならない、舗装されない
道路
は
道路
予定
地なんだ、何にもならないところを歩いていてもしようがない、こういうように言われたのですが、やはり
道路
というものは舗装されたものをいうのであって、舗装されないような、砂利が敷いてあるくらいなものは
道路
予定
地にすぎないものである、この
道路
予定
地をもって
道路
々々と
完成
したような気分を持たれては大へんである、私はそういうふうに思います。
道路
とは、あくまでも舗装されたものをもって
道路
という、こういう考えですから、
道路
予定
地または地球の表面は
道路
に含まないものである、こういうふうに考えておりますが、大臣そうでございますか。
中村梅吉
117
○
中村国務大臣
確かにアメリカ人など外国人が日本に来て、砂利の敷いてある
道路
を見て、これは
道路
予定
地だと言うそうですが、その通りであろうと思います。完全な
道路交通
を確保するのには、少なくとも幹線
道路
、主要
道路
は舗装を完了することが非常な急務であると思いますので、そういう考え方に立ちまして現在の五カ年
計画
を進め、さらに将来は五カ年
計画
を国の財政事情に応じてさらに
強化
していくべき時期もくる、かように考えております。
島本虎三
118
○
島本
分科員
以上で終わります。
羽田武嗣郎
119
○羽田
主査
午前の
会議
はこの程度にとどめ、本
会議
散会後まで休憩いたします。 午後一時二十八分休憩 ————◇————— 午後四時十五分
開議
羽田武嗣郎
120
○羽田
主査
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。
岡本隆一
君。
岡本隆一
121
○
岡本
(隆)
分科員
一昨年、昨年と
災害
のたびごとに
災害
対策委員会から派遣されまして、各地の視察に参りましたが、いろいろ問題は各地でたくさんございましたけれども、非常に多くの共通した問題は、内水排除の問題でございました。だんだん河床が上がりまして、自然排水が困難になりますので、勢いどうしても人工排水にたよらなければならない。だから、その排水設備を何とか早く作ってもらいたいという要望が各地でございました。その後、委員会でも、
河川局長
から、内水排除の問題は
河川
の
改良
事業
として今後大きく取り上げていきたい、こういうふうなお話がございましたが、今度
予算
をちょうだいいたしましても、その何があちこちに分散しているのか、一括してどの程度の内水排除のための
計画
を立てておられるのか、
予算
書だけではわかりにくうございますので、内水排除の問題とどのように取り組んでおられるか。そしてまた、たとえば従来は標準的な排水施設で何トンぐらいの排水能力のあるものをどのくらい年々設置しておったか、本年度はそれがどういうふうに増強されておるかというふうなことを一つわかりやすく御説明願いたい。
山内一郎
122
○山内(
一郎
)
政府
委員 ただいまお活がございましたように、昨年の
災害
で特に排水問題が起こって参りまして、三十七年度の
予算
にはぜひそれを織り込むようにやって参りまして、
予算
も大体きまっているわけでございますが、特に別に項目はあげてないのでありまして、
直轄河川
改良
事業
あるいは中小
河川
、小
規模
河川
改良
事業
の中から内水排除の個所をやる、こういうことになっております。それではどういう地点をやるかといいますと、まず昨年
災害
のあと、さっそく重要な個所は県あるいは国で
調査
をやっておりますが、大体
調査
がまとまりまして、しかも重要な個所という点について、ただいま来年度の
予算
の執行についていろいろ県と打ち合わせをしておりますが、その打ち合わせの重要な個所から取り上げてやって参りたい。従って、来年度
総額
で幾らになるかということはまだ出ておりませんが、そういう気持でただいま折衝している段階でございます。
岡本隆一
123
○
岡本
(隆)
分科員
非常に抽象的で、御意向がはっきりしないのでありますけれども、たとえば、従来は
都市
排水として年々どの程度の排水設備を
新規
に増設していられたか。今までは、内水排水は、
都市
排水と同時に、一方では農業用排水にたよっていたわけです。ところが、農業用排水にたよっているだけではなかなか排水が不十分であるし、同時にまた農民側からは、今日ではもう農民の負担に耐え切れない。だから、これはやはり
公共施設
としてやってもらわないと困るという要望も非常に強かったものでございますから、従って、今度は新たに
建設省
の
方針
として大きく内水排除の問題を打ち出す、こういうふうな御言明がすでに再三の
災害
対策委員会の論議の中で出ておったと思うのでございます。従って、そういうふうな意欲をどの程度持っていただけておるのか、それをわかりやすく御説明を願わないと、われわれとしましては、各地の
災害
状況
を見て参りまして、御期待に沿うようにわれわれも努力をしたいという、各地至るところで約束をしてきておるのに、その約束が全く果たされておらないということでは、これは責任を果たされたということはできないと思います。従って、このように実質的に施策の中に生きておるということを、私どもといたしましては、はっきり認識しておきたい。そしてまた、かりに本年度
災害
が起こりまして、各地を見に行くようなことが、願うことではございませんが、そういうことも考えておかなければなりませんので、そういう場合には、昨年まではこの程度のことよりできていなかったが、しかしながら、今年からはこういうふうな意欲的な施策が行なわれておるし、また今後これを増強していくつもりだというふうなことが言えるように、わかりやすく御説明願いたいと思います。
山内一郎
124
○山内(
一郎
)
政府
委員 従来は内水排除の問題はあまり取り上げてございませんで、筑後川の支川の排水問題については、数年前からやっておりますが、来年度は一つ、ただいまも御指摘がございましたように、大いにやるべき個所を選定中でございまして、ここでその個所を明示できれば一番いいのでございますが、ともかく従来よりも大いにやるというつもりでやっておるわけでございます。 〔
主査
退席、山口(丈)
主査
代理着席〕 今までのやり方といたしましては、大きな川に支川が入り込む場合には、その合流点に樋門を作りまして、大
河川
の出水の場合には、その中小
河川
に入り込まないようにという措置だけでございましたが、今度からは中小
河川
の水を大
河川
にも排水をする、そういうつもりで、まことにまだ個所を明示できないのは残念でございますが、個所を選定中でございますので、御了承願いたいと思います。
岡本隆一
125
○
岡本
(隆)
分科員
私はどこへ作るかということをお尋ねしておるのでなしに、全体的な
規模
としてどの程度のものを作りたいというふうな御答弁をいただきたいと思っておったのですが、御答弁いただけませんが、時間をとりますから、これはまたあらためて委員会ででもお尋ねさせていただくことにいたしまして、次へ進んで参りたいと思います。
災害
基本法が制定されまして、この問題は委員会でも大臣にお尋ねをしたのでございますが、私の納得いくような御返事がいただけませんでしたので、重ねてお伺いすることになると思いますが、
災害
基本法は、まず第一には
防災
の
計画
を立て、
防災
の措置を講ずるということ、その次には
災害
が起こった場合の応急対策であります。さらにまた
災害
が起こったあと復旧対策をどうするか、
災害
対策としてはこの三つの部門があると思うのでございますが、基本法に詳しく規定されておるのは、この応急対策の面が主になっておりまして、復旧の面についてはきわめてすらりと触れておる、こういうふうな印象が深いのでございます。そしてその九十七条をもちまして、「
政府
は、著しく激甚である
災害
が発生したときは、別に法律で定めるところにより、応急措置及び
災害復旧
が迅速かつ適切に行なわれるよう措置するとともに、」というふうに、「別に法律で定めるところにより」ということでもって、
経費
の負担の問題であるとか、あるいはまた応急措置についての
政府
の負担の問題であるとかいうふうな点を立法化するように書いてございます。ところが、そういうふうな立法がこの前の臨時国会のときには行なわれませんでした。 そこで、お尋ねするのですが、ここに言うところの「別に法律で定めるところにより」というのは、
災害
のたびごとに特例法を作る、こういう意味なのでありますか、それとも恒久立法を作る、こういうふうな意味に理解すべきでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
中村梅吉
126
○
中村国務大臣
九十七条それ自体一は、考えようによってはどちらにも読めるような表現になっておりますが、当時の考え方といたしましては、恒久的な立法措置を検討して、できればそういたしたいということをわれわれとしては強く考えておったわけでございます。ただ、
予算
委員会でもお答え申し上げましたように、
災害
にはいろいろな様相がありまして、また
災害
の来る場所によりましては、農林関係、その農林関係のうちでも畑作、水田あるいは果樹等いろいろな変化もございますし、比較的公共土木関係は固定した法律を作りやすいのですが、他の関係におきましてはむしろそういった
災害
の様相に応じて、どうせ
災害
が起こればそれを復旧するため、あるいは救済するための
予算措置
を講じなければならないわけで、この
予算措置
のためには臨時国会を開かなければならないということになりますから、激甚
災害
が起これば、
予算措置
の際に、その
災害
の様相に適する立法措置を考えた方がいいという説も一部にございまして、
政府
部内といたしましても、恒久的な基準をきめる段階まで統一がついておらないわけであります。私どもが担当いたしまする公共土木関係は、しばしばの激甚
災害
の際にすでに経験を積んでおりますから割合にやりやすいわけでございますが、そういったような関連で、まだ
方針
としてはさまっておりません。私どもとしては、この九十七条に明記いたしました趣旨は、なるべく恒久立法にしたいというはらがまえでおったわけでございますが、まあ、条文それ自体が見ようによってはどちらにもとれるというような格好にもなっておりますし、それからもう一つは、他の農林水産等の
災害
の関係等もございまして、統一的な見解に達するまでに至っておらないわけであります。
岡本隆一
127
○
岡本
(隆)
分科員
基本法が強く国民から要望されたゆえんのものは、
災害
が起こるたびごとに、各
地方
公共団体の首脳部のものがすぐに、何をおいても陳情に出て来なければならない。だから
災害
の応急対策あるいは復旧対策というものを放置して、まず陳情運動に走り回らなければならない。こんなばかなことがあるかということから、基本法を作れという声が出たのでありまして、従って、その声をすなおに受け取って、九十八条には「前条に規定する法律は、できる限り激甚
災害
の発生のつどこれを制定することを避け、」こういうようにはっきり
災害発生
のつど法律を作るというようなことをやめて、国の負担というものを合理的に持っていくためには法律を別に作らなくてはならないというふうなことをはっきり規定しておって、しかもその九十九条では、九十七条に規定する法律というものは、激甚地の指定の基準であるとか、あるいは国庫の負担の基準であるとか、あるいは被災者の援護に対する
方針
というふうなものも明確に出さなければならないということを規定しておるわけです。前国会は応急の臨時国会のことでもございましたし、そこまでこまかい立法の作業というふうなものは、あるいは時期的に困難であったかもしれませんが、いよいよ通常国会となれば、
災害
基本法でこういう規定があれば、この規定に伴って、この法律の通りにやっぱりはっきりとしたところの恒久立法を出していただく。そしてまたその恒久立法によって足りない分だけは臨時立法によってやっていく、特例法でやっていく。こういうふうに、もう大体、今までさまざまなケースがございましたが、一応伊勢湾台風によってやっていくというふうなレーゲルと申しますか、いわゆる基本的な
方針
もきまっておる。そしてまた、この前の臨時国会におけるところの大臣の御答弁でも、すでに伊勢湾台風によってやっていくという道が開けているんだから、それでいいじゃないかというふうなことでございますけれども、しかしながら、さて実際的に
災害
が起こりますと、やはり特例法が設けられないことには、高率の国の負担というものが行なわれない。だからこの前の臨時国会なんかでも、何べんもめんどうなことをやったわけですね。最初に、「六月及び八月の
災害
」という名前で立法をやったのを、今度はまた「十月上旬」をくっつけた。これで終わりかと思っておったら、下旬にあったために、この通常国会になってからまた「下旬」までひっつけるとか、「十月」というふうに訂正するというふうな煩瑣なことをやらなければならない。そしてまた、そのような法律的な手続が済むまでは、実質的には、
災害
地の方にとっては、はたして適用されるかされないかわからないから、何べんも国会へ陳情にやってくる、また
政府
の方へも何べんも陳情に出てくるというふうなことでありまして、はたから見ておりますと、お互いに非常にむだなことをしておる。こんなむだなことを何べんもやるくらいなら、これはもうやっぱりはっきりと——すでにもう伊勢湾台風というものが基準になり、大体今後ともあの程度の
規模
までのものについては一応はレーゲルが敷かれておる、
路線
が敷かれておるのでありますから、敷かれた範囲のことは立法化して、それを恒久立法にしておくということが当然行なわれなければならないと私は思うのでございますが、
政府
の方では今国会にそういうふうな立法措置をお講じになる御
予定
が全然ないのでありますか、あるいはまた、考えておるのだが、何か険路があるのだということなら、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
中村梅吉
128
○
中村国務大臣
実は、私どもとしましては、この基本法制定の際から、激甚
災害
に対する基本的な基準を定める法律を制定いたしまして、それに該当するような
災害
が起こりましたならば自動的に
政府
は
予算措置
を講じなければならぬ、また
予算措置
のできるまでの間は自動的につなぎ
資金
等の融資をいたしまして、
災害
の復旧作業ができるようにいたしたいという考え方でスタートをしたわけでございますが、先刻も触れましたように、
政府
部内のそれぞれの機関におきまして検討を進めておるのでございますが、まだ一致を見ない状態でございます。従いまして、私どもとしましては、今国会に間に合うことは非常に困難かと思いますが、何とか、できればさばきのやすい公共土木関係を中心に、その他、今御指摘のありましたように、これはどうも予想しかねるとか、きばき切れないというものは残しましても、あらゆる場合を想定して、全部を法定化するということが困難である場合には、さばき得る範囲内だけでも固定した恒久立法を制定する運びにいたしたい、こういう考え方で目下進めておるような次第でございます。
岡本隆一
129
○
岡本
(隆)
分科員
恒久立法を作っていただきませんことには、せっかく作っていただいたところの
災害
対策基本法というものが宣言法のようなものになってしまって、魂なき仏ということになるのではないかと思いますので、ただいまの大臣のお言葉、非常に頼もしく思いますから、ぜひそういう作業を急いでいただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。 それからその次の百一条に、
地方
公共団体の
災害
対策基金という制度を作るということになっておりますが、これはどういうことを考えておられるのか、その構想。 その次に、これは、出発は、別に法令で定めるところにより、とございますが、すでにその法令の準備をしておられますか、承りたいと思います。
宮崎仁
130
○宮崎説明員 この法規の主管は自治省でありまして、直接私の担当でございませんが、立案の際に一緒に検討いたしましたので、そういう意味でお答え申し上げます。
災害
対策基金の規定は、実は従来
地方
公共団体としましては、
災害
救助法に基づく
災害
救助の基金という規定がございまして、そういったものが設けられておったわけでございます。そのこまかい規定は省略いたしますが、かなりの公共団体について設けられております。今回のこの基本法の策定にあたりまして、やはりこういった臨時莫大な
経費
を要する
災害
に対しましては、日ごろからある程度の備えをしておくことがけっこうであるというような考えに基づきまして、
地方
公共団体についてこういった
災害
対策基金というものを作ろう、こういう考え方が出たわけでございます。具体的にこの基金をどの程度の基金として作るかという問題は自治省の方で御検討になっておられると思いますが、その関係の法律も必要かという点も現在検討中であろうと考えます。
岡本隆一
131
○
岡本
(隆)
分科員
そうしますと、大体この趣旨は、
地方
公共団体の
災害
に対する社会保険というふうな形の構想のもののように思われますが、その大体の骨子というふうなものがございましたら、一つ資料としてちょうだいいたしたいと思うのでございます。それ以上詳しくお尋ねしていると時間をとりますので、次に進みます。 その次に私がお尋ねしたいことは、
災害
常襲
地域
、それは単によく風が吹く
地方
だとか、よく台風が来襲する
地域
、こういうふうな意味でなしに、すでにもういろいろな地理的な条件によって
災害
の発生を宿命づけられてし在った
地域
というものがございます。それは、昨年
災害
の
調査
に参りましたときに、三重県の伊賀上野の盆地、あるいはまた京都府の亀岡の盆地、こういうところは、それぞれ岩倉峡あるいは保津狭というような狭窄部に締められております。下流の方は狭窄部で、それはもうどうにもならない、これは開くことはできないという条件がある。しかもその上流では、この
災害
を防ぐためにどんどん
改修
が行なわれる。
改修
が上流で行なわれれば行なわれるほど、結洞上流にはんらんし得ない水、しかも速度が早く流れてくる水は、どんどん狭窄部のすぐ上の部分になるところで、大きくはんらんして、従来はなかったような
災害
が、もう連年、しかも年に一度ならず二度、三度まで起こるというような地理的条件に、何と言いますか、そのまま作り上げられてしまった、こういうふうな
地方
があるわけでございます。そういうところにとりましては、これはもうすでに天災とは言えない、これは人災であり、しかもこれは政治災である、こういうふうな考え方が出て参っておるわけでございます。そこで、その当時視察に参りましたときに、伊賀上野市からもらいましたこの要望書を見ましても、この湛水
地域
の作物の
被害
、あるいはまた
住宅
の
被害
については、国家補償をやってもらいたい、こういう要望が出ておりますし、また亀岡でも同じように、こうなればもう政治災だから、これは国で補償してもらわなければ、自分たちだけが困る。上流の方は
災害
がなくなって助かっておる。しかし自分たちの方へそのしわ寄せが全部きているのだ。だから、しわ寄せを一身に受けとめなければならないわれわれにとっては、これは補償してもらうか、補償ができないというのならば、われわれの方の災難もなくなるように、下の狭窄部の開さくをやってくれ、こういう強い要求が出ておるわけでございます。そういう立場に立っておるこの
災害
地に対しては、やはり何らかの補償的な措置というものを講じていく必要があるのではないか。単にそれは、あんたのところは気の毒ですと言われるだけでは、もう承知できない、こういうふうな空気になってきておるのでございます。幸い、
災害
対策基本法の中にも、九十九条の第三号に、「激甚(じん)
災害
の発生に伴う被災者に対する特別の助成」という項目がございます。すべての
災害
の被災者に対し特別の配慮をせよというのではございませんが、やはり全国的にそういうところはそう数あるとも思われません。岐阜県にも長良川の上流にございますが、全国的にやはりある程度そういうふうに宿命づけられた
地域
があると思いますが、そういう
地域
に対しては、国家補償というところまでのことは、かりに今直ちに困難であろうとも、そういう住民がある程度納得するような援護の
方針
というものを、何か打ち出していただかなければならないのではないかと私は思うのでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
中村梅吉
132
○
中村国務大臣
お話しのような狭窄部を下流に持ちました個所が、重要地点で数カ所ございまして、われわれも頭を痛めておるところでございますが、この解決は、どうしても下流の
整備
をまずやりまして、狭窄部の開さくをする。狭窄部の開さくを先にやりますと、またその下流にいわゆる人災とも言われるような
災害
を伴いますので、そういった順序でやる以外に今の段階ではございませんので、考え方としましては、さような考え方で極力進めておるような次第でございます。ただ、上流の
河川
にいたしましても、支流等はそのまま放置するわけにいかないものですから、若干それを手直しいたしますると、狭窄部を持ったその上流地帯の低地帯が冠水を起こし、水害をこうむるという状態でございます。これはどうも天然の地勢からも来る原因がありますので、直ちにこれは国家補償の対象にということは踏み切れませんし、考え切れない状態でございますが、いずれにしても、これを早く解決する努力だけは、これは国家の力で、いろいろ全体としての
資金
の関係もございますけれども、
資金
の都合のつく限り極力進めて、早く解決をして、そういった天然の地勢というものを克服をしてあげることが、これは国の責任でありますから、私どもとしましては、そういう角度に向かいまして、できるだけ早く作業を進めるように極力努力をして参りたいと思っております。
岡本隆一
133
○
岡本
(隆)
分科員
そういう地勢的に宿命づけられた
地域
の人たちは、今の大臣のお言葉を聞けば、非常に喜ぶだろうと思います。しかしながら、それがお言葉だけであっては、これはなにでございまして、ぜひ今後その
方針
を強く貫いていただくことを特にお願いしておきたいと思うのでございます。 そこで、それではそういう
地域
に現実的に宿命づけられておる伊賀上野に対するところの
災害防止
の対策は、本年度は、あるいはまた年次的な
計画
と申しますか、プログラムとしては、どういうふうな
方針
が立っておるのか。さらにまた、亀岡を中心とした上桂川の流域に対してはどういうふうな対策が考えられておるのか、その辺のところを
河川局長
から御説明を願いたいと思います。
山内一郎
134
○山内(
一郎
)
政府
委員 まず最初に伊賀上野の対策でございますが、あの
地域
のおもな川といたしまして、長田川、拓植川、服部川、この三
河川
がございますが、このうち服部川と拓植川につきましては、二十八年
災害
で非常に激甚な
災害
を受けまして、
河川
助成
事業
として大体できております。この
河川
につきましては、先般の
災害
で救われたのでございます。長田川の沿線が非常な大
災害
をこうむった、こういう
状況
でございますが、現在まだ中小
河川
が始まったばかりでございまして、今後は中小
河川
を大いに進めて参りたいと思います。ただ、宿命的に、先ほど申されましたような岩倉狭でございますか、この狭窄部がある関係上、やはり徹底的にやるには、上流に
ダム
を作るとか
砂防事業
を徹底的にやるとか、こういう対策が必要かと思われますが、なお流水
計画
も作らざるを得ないのじゃなかろうかというふうにも考えている次第でございます。そういう点はただいま極力
調査
をやっておりますが、
調査
ができ、
計画
ができれば、それを実行に移したいと思っております。 次は、上桂川の問題でございますが、考え方は同様でございます。ただ
災害
の直後、ほうっておくわけにも当然いけませんので、ただいま
河川
助成
事業
とか
災害関連事業
を極力やっております。なお徹底的にやるための
ダム
の
調査
をやっております。これは三十五年から
調査
を開始いたしておりますが、その
調査
ができれば、なお徹底した対策がとれるのじゃないかというので、急いでその
ダム
の
調査
をやっている段階でございます。
岡本隆一
135
○
岡本
(隆)
分科員
これは私のひがめかもしれませんが、
治水対策
のうち、
改修
の部分は別といたしまして、流量調整用の
ダム
でございますけれども、これはやはり水資源の開発というものと結びつけて、従って、どうも水利用ということの方に
重点
を置いて、治水部面というものが少し軽んぜられておるんじゃないか。従って、治水オンリーといった
ダム
というものはあまり考えられない、あるいは等閑視される。そういうふうな意味においては、こういう宿命づけられたように年々やってくる、しかも年に再三水害がやってくるというふうな地点については、水利用ということよりも、治水のためだけでも、早急に
ダム
を作ってやる、こういうふうな
方針
を打ち出していただかないと——
経済効果
がどうだとか、あるいは水利用とちょっと縁が遠いとかいうふうなことであっては、これは住民の満足は得られないと思うのでございますが、大臣はその点いかがお考えでございましょうか。
中村梅吉
136
○
中村国務大臣
ごもっともな次第でございます。私どもとしましては、治水のための
ダム
、ことに上流の
ダム
におきましては、治水を
重点
に置いて万事考慮すべきものだ、こう考えております。もちろん水資源の開発利用も重要でございますが、これらは、もしあるとすれば、副産物的な考え方で臨むべきである、かような観点に立っております。
岡本隆一
137
○
岡本
(隆)
分科員
特に今のような連年
災害
地に対する
方針
というものを、
建設省
の方でも今後強く打ち出していただくことをお願いいたしておきたいと思います。もう時間がないそうでございますから、それではもう一つだけ承っておきます。 今度、
宅地
対策の審議会をお作りになるということでございますが、きょう本
会議
の質問を聞いておりますと、教科書無償配布のための審議会を作るというふうなことで、そのことが結局何か隠れみののようになって、無償配布を引き延ばすとか、あるいはまた、配布をしても、それに対する責任を審議会に負わせてしまうというふうな感じがあるのではないか、こういうふうな野党からの質問でございましたが、ちょうど同じようなことを、私たちはやはりこの
宅地
対策審議会というものの構想の中に感じておるのです。従来から、たしか
住宅
問題
調査
会というふうな——名称はあるいは当たっておらないかもしれませんが、
建設
大臣の諮問機関としてあるはずでございます。もし
宅地
問題というものに
政府
の方で真剣に取り組んでいただいておるとするなれば、この審議会にもっと早く要望をしていただいて、この審議会から結論を早く出させる。それに、
政府
の方には優秀なお役人がたくさんおられますから、そういう人たちの衆知を集めて、
宅地
問題の解決に当たっていただかなければならない。 今日のようにウナギ登りに地価が上がったことについて、
政府
の無為無策というものに対して、非常に国民の不満が起こってきておる。そういう段階になって、今から審議会というようなことでは、われわれにとっては非常にまだるっこしく思うのでございますが、もっと端的に、思い切ったことを、大臣として私はやっていただきたいと思います。
宅地
暴騰の一番大きな原因というものは、
宅地
が投機の対象になっておるということです。だから、今すぐに必要なくても、とにかく買っておこういうのでもって、金のある連中が買いあさっている。また、大企業の将来工場を拡張したいというようなところも、工場用地をうんと確保するということが一つ。もう一つは、やはり公共
事業
の伸びのために、
道路
その他の公共用地の問題があると思うのでございますが、これはストップというわけにはいかない。もっと
促進
していただかなければなりませんが、
宅地
が投機の対象にされるということだけは、早急にストップさせるというふうな
方針
を打ち出していただかなければ、
宅地
の高騰というものは防げないと思うのです。だから、従来とも新聞にもたびたび投書が出ており、また多くの人からもそういう意見が出ておりますが、休閑地税というものを課すべきであるというふうな説もなされておるのでございます。今までの分はやむを得ないといたしましても、経過措置を何か考えるということにいたしまして、今後は新たに
宅地
を購入した者は、一年か二年の一定期間以内に
住宅
を建てなければ、それから後は相当高率な休閑地税を課するということは当然やらなければならないことじゃないか。また、従来とも長く
宅地
を遊ばせておる人については、やはり二、三年の猶予期間を置いて、それから後には休閑地税を高率にかけていくというような思い切った措置を、この際
政府
はやらなければ、この
宅地
の暴騰というものは、今後ますますひどくなっていく、こういうふうに思うのでありますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
中村梅吉
138
○
中村国務大臣
私どもといたしましては、現状にかんがみまして、
宅地
対策については真剣に取り組んで参りたいと思うのであります。すでに
建設省
側の考え方といたしましては、いろいろな角度から検討が進められておるわけでございますが、今御指摘がございましたように、
土地
が投資の対象になる、株式のように投機的——と言い切れるかどうかはわかりませんが、とにかく投資の対象になっておる、そのために地価がつり上げられるということは間違いない事実でございます。昨年来、国際収支改善対策のようなことが行なわれますと、そういう行為が減りますので、最近では、地価が安定したというか、弱含みになっておるということから見ましても、確かに御指摘のような原因が非常に幅を占めておると考えられます。 そこで、
土地
がこういう投資対象にされないように、あるいは遊休
土地
に対して税制上どういう措置を講ずるかというようなことを具体的に進めて参りますと、たとえて申しますと、
土地
に対する一種の不均一課税というものが起こって参ります。不均一課税に対する税制上の理論は一体どうなるかとか、いろいろな問題が起きて参りますので、やはり審議会を設けまして、これらの問題点を学識経験者の方々に、あらゆる角度から論議していただいて、議を尽くしてやるということでありませんと、憲法上の私有財産に対する保障の問題もあろうと思いますから、世間が納得しかねるのじゃないだろうか。かような角度から、実は今回
宅地
制度の審議会をお願いすることにいたしまして、出発をいたしましたら、今までにしぼってあります問題点を付議いたしまして、あらゆる御討議を願って、その討議を通して濾過したものを制度化していきたい、こう実は考えて、熱意は傾けておるわけでありますが、一応の手順を踏みませんと、いろいろな問題点がございますので、解決が困難な状態であります。 従いまして、現状としては、
政府
の現制度下に認められております
住宅
金融公庫の
資金
を、
地方
公共団体等にできるだけ確保しまして、そうして利潤を伴わない合理的な
宅地
造成
をして一般の地価を牽制する、あるいは
住宅
公団
に同じような
事業
をやってもらいまして、利潤の伴わない
宅地
を
造成
してこれを分譲することによりまして、一般のつり上げを牽制する、こういうようなことしかありませんので、今のところは、
政府
としてはそういうことをやっておりますが、御指摘のような方向にわれわれとしては大いに力を注いで熱意を傾けてやっていきたい、こう思っておるようなわけでございます。
岡本隆一
139
○
岡本
(隆)
分科員
狭い日本のことでありますから……。
山口丈太郎
140
○山口(丈)
主査
代理
岡本
君、時間が過ぎておりますから、簡単に願います。
岡本隆一
141
○
岡本
(隆)
分科員
お互いに譲り合って住まなければならないのです。従って、いかに自分の
土地
だから、あるいはまた、いかに金を持っておるからといって、遊ばしておく
土地
を方々に占めて地価をつり上げている、こういうふうなことは、私は許さるべきでないと思うのです。だから、そういう面において、今後あまり長く議を経ていただいておりますと、その間にも何ぼでもウナギ登りに上がっていきますので、一つ早急な解決を御努力願いたいと思うのです。 もう一点だけ……。今度の
予算
を見ておりますと、
市街地
改造
の
予算
といたしまして四億二千五百万、それからまた
防災街
区の
予算
として二億七千万というのが出ておりまして、両方合わせて七億くらいでございます。ところが、
都市
改造
の
土地区画整理
の
予算
として、本年度は三十二億六千万という膨大なものが出ておる。しかし、これが膨大というのではございません。当然こういう費用もなければならぬと思う。しかしながら、今後の住民の意識あるいはいろいろな問題を考えていきますと、少なくとも
都市
を再開発するのには、もう平面的な区画整理だけでは私はだめだと思うのです。これはどうしても立体的な開発をやっていかなければならない。また、立体的に
都市
を上へ上げて
都市
改造
をやっていくためには、これはやはり建築費などのバランスの問題もございますから、地価が相当高いところでないと、本来なればそれほど上へ伸びられないのですね。しかしながら、地価がそう高くなくても、国民が不燃性の、しかも地震にも耐え得るような
住宅
に住めるように、国としては指導していかなければならないし、また公共用地を
取得
したり
市街地
改造
をやっていく場合には、今後はどうしても立体的な形に伸びていく。従って、
市街地
の
改造
法であるとか、あるいは
防災街
区の法律であるとか、こういうふうな法律によって
都市
改造
をやっていくことを考えていただかなければならないと思うのでございますが、
予算
のバランスが、平面的な面にばかり三十二億五千万つけて、それで立体的にやっていこうということは、これだけ
都市
の立体化ということがいわれている時勢に少し逆行したものではないか。今後は
都市
の立体化と同時に、それは
道路
の
防災
化にもなるわけでございますから、
防災
的な立体化ということにもっと意欲を燃やしていかなければならないのではないかと思うのでございますが、大臣の御見解を承っておきたいと思います。
中村梅吉
142
○
中村国務大臣
この点は、実際お説の通りに私ども考えますが、両案件とも、実は制度ができたばかりでございますので、
予算
化につきましては、私どもの理想通りに達成できませんでしたことは、まことに遺憾に存じますが、今後、せっかくこういうような制度ができて、
都市
の近代化についての基本的な立法ができたわけでございますから、この法律を生かしていくことについて十分努力をいたしたいと思っております。
岡本隆一
143
○
岡本
(隆)
分科員
これで質問を終わります。
山口丈太郎
144
○山口(丈)
主査
代理 上林山榮吉君。
上林山榮吉
145
○上林山
分科員
政府
の一部あるいは国会の一部には、公共
事業
に対して消極的な考え方を持った人もなきにしもあらずでありますが、今回
建設省
が昨年度に比べて七百五十八億、
特別会計
で百七億という大幅の
予算
を編成されたことは、私は大臣初め事務当局諸君の御苦労を多としているものの一人でありますが、しかし、これでもまだあれもやらなければならぬし、これもやらなければならぬしという問題は相当多いのでございまして、やがて七、八月になりますと、三十八年度の
予算
の内輪の大綱というものもきめなければならぬ段階であるかと思いますから、さらに遠慮せずにこういう方面の最善の努力をまず期待しておきたいと思います。 そういう前提に立ちながら、私は二、三の問題についてお尋ねしておきたいのでありますが、まず第一点は、首都圏
整備
の問題についてでございます。首都圏
整備
の問題は、
昭和
三十一年にやっとこの法律がおそまきながらできて、第一条に目的を示してあることは、もう
建設省
の諸君は、大臣以下全部暗記しているだろうと思います。だが、もう六年たつのでありますが、首都圏
整備
法による仕事はある程度緒にはついたけれども、すでに数年たってみて、その方向ではたして進んでいった方がいいのか。あるいは首都圏
整備
法という名でなくても、あるいは別の適当な名前をつけてもけっこうだが、根本的に
方針
を変えなければならぬ段階にきているかのごとく考えられる点がございます。後刻具体的に申し上げますが、この私の総括的な考え方、首都圏
整備
法は立法当時の目的に従ってすべての仕事をやっていけば、現在から将来を考えてみても、急カーブを切る必要はない、いわゆるその性格を変える必要はない、こういうふうにごらんになっているのか。私はもち変えるべき段階にきているのだ、こういう考え方を持っておりますが、まずその出発点のお考えを聞かせていただきたいと思います。
中村梅吉
146
○
中村国務大臣
実は、首都圏
整備
事業
が始まりましてからいろいろな作業を進あて参りまして、まだ十分に効を奏しない段階でございますが、私どもの見方を率直に申しますと、ようやく軌道に乗って、レールだけは敷かれた。そこで、これから先はどういう補完的なやり方を付加していくかということにかかっているのではないかと思っております。一例をあげますと、衛星
都市
の指定及び
建設
も相当に活発に進んでおります。ただ、これが
首都圏整備委員
会としましては、プランを立てる機関で、
実施
ができませんので、その
実施
は、
住宅
公団
でありますとか、指定をしました
地区
の市町村、
地方
公共団体にプランを移しまして、実行しているようなわけでございますので、率直に私の感じを申しますと、せっかく
首都圏整備委員
会は、首都圏
整備
に適するようなプランを立てて、そしてかわいい子供を生み落としましても、生んだ子供にミルクもやれなければ、おかゆもやれないという姿に置かれているような気がするのです。そこで、この指定
地域
に対して、これを育成して参りますための措置を何とか
強化
してやる必要がある。イギリスのニュー・タウンなどのでき方を見ておりますと、あれだけ数多くできましたニュー・タウン、これをここに作ろうということになりますれば、一ニュー・タウン一特殊会社を作りまして、そして
政府
が低利
資金
をその特殊会社に貸し付けて、
都市
計画
を行ない、区画整理を行ない、
道路
を
整備
し、下水、排水等の
整備
をして、
住宅
地区
、商業
地区
、工場
地区
というような工合に育成をしていっておりますが、日本のはまだそういう補完的な制度ができておりませんので、せっかく作りました衛星
都市
も、すくすくと育たないという姿にあるのが現状ではないかと私思いますので、これらの補充的な措置を今後われわれとしては全力を尽くして進めていきたい。こうすることによって、首都圏
整備
の構想は具体化に入れるんだ、こう思っておるわけでございます。
上林山榮吉
147
○上林山
分科員
建設
大臣は、
東京
都の御出身で、この問題については、一議員としても真剣に取り組んできた人でありますから、最初の立法当時の観念というものが多分に頭の中に入っている。そういう
見地
から、素直な気持で首都圏の
整備
というものを反省をしていない。結局
計画
は立てたものの、
計画
がいろいろな事情で進まないんだ、こういうところに結論を持っていかれるようでございます。私はそれもスピード・アップであり、それ相当の
効果
をもっとおさめていれば、それも一つの見方である、こういうように考えるのですが、すでに
昭和
三十一年に立法されて、足かけ七年、まる六年でございますか、これだけの日月をけみしながら、なおかつ今日は
都市
交通の麻痺という、これは私が鳩山内閣のときにやかましくこの委員会で申し上げまして、総理府に交通対策本部ができたほどであったわけでありますが、それ以来何らの進展を見ていないのは、この首都圏
整備
の
事業
の進捗率にも非常に関連があるんだ、こういう考え方を持っておりますので、私は首都圏
整備
を反省して、もっと抜本的な、性格を変えたものにしていったらどうだ、こういう見解を持っておるわけであります。今大臣がロンドンのニュー・タウンをごらんに——直接なったのかどうかしりませんが、私もロンドンのニュー・タウンをこの八月に見て帰ってきたのでございます。それによりますと、日本の衛星
都市
の性格とロンドンのニュー・タウンの性格とは性格が違うんじゃないか。たとえば、首都圏
整備
法の二十四条によりますと、工業
都市
または
住宅
都市
を作る、こう書いてありますが、
住宅
がないから
住宅
を作るというのは意味があります。意味がありますけれども、首都圏
整備
としての
住宅
都市
をただ作るということは、必ずしも十分の
効果
は上げられない。というのは——大臣六法全書はあとで見て下さい。少なくともそういうふうに意味をなさないのですね。
住宅
を作ると、
道路
あるいは高速電車、地下鉄、みんなとの
中央
の
都市
に、いわゆる
東京
都の中心部にみんな出てくるんですね。ただ住まうところの解決ができるだけなんだ。
住宅
の解決ができるだけで、交通の
整備
、いわゆる
都市
の人口の集中化を防ぐことは、大臣、できないのですよ。そこに日本の首都圏
整備
の性格と、ロンドンのいわゆるニュー・タウンの性格と違う点がある。だから、ロンドンのやつは、これは
東京
と同じに困っておるわけですが、これはもう二十万なり三十万なりの六つなりあるいは十なりやがて作るということで、今六つだけがきまっておったようでありますが、これはそれ自体が独立市になるのですよ。それ自体が一つの生産
都市
であり、消費
都市
でありというような意味で、独立した
都市
になる。それ自体が力を持っておるわけなんです。だから、ロンドンの中心部に勤め人あるいは工員が来て仕事をしないでもいいような
計画
、これがやっぱり考えていかなければならぬ
東京
都の衛星
都市
の性格である。いわゆる首都圏
整備
の性格というものは、そういうものを多分に取り入れていかなければ、ただ役所をちょっと移すとか、工場をちょっと移すとか、
住宅
がないから
住宅
都市
をそこへ作ればいいとか、そういう考え方では、これからの
都市
交通の麻痺というようなもの——その他の付属した問題もたくさんありますけれども、時間の関係で省略いたしますが、そういう問題の解決ができないのではないか、こういうように考えるのであります。ことに二十七条などにも、新設の場合、増設の場合は別に法律で定めるとなっておりますが、これは何を意味しているのか、具体的にはよくわかりませんが、いずれにいたしましても、首都圏
整備
法のやり方、スピードがおそいから私のような批判が出るのかもわかりませんが、しかしながら、私は
東京
都出身の国
会議
員ではありませんけれども、私が調べたところでは、性格が違っておる。だから、ここに立案の性格というものを変えていく時代にきたのではございませんか。こういう点を申し上げたわけでありますが、これに対して何か御意見があれば伺いたいと思います。
中村梅吉
148
○
中村国務大臣
これは、条文にはどういうふうに表現されているかわかりませんが、首都圏
整備
の衛星
都市
は、
住宅
都市
を作るということは全然考えておりません。やはり工業
都市
を作りまして、その工場に働く人員をそこに定着させよう——定着をさせる
住宅
は工場団地とあわせて作らなければなりませんが、工場団地を作りましてそこに働く人間を定着させよう、こういうのが構想と私は心得ております。今までやっておりまする作業はすべてその方法で進んでおります。 そこで実は問題点があるわけで、工場団地を作り、そこに人間を定着させようという構想でございますが、団地を
住宅
公団
等に委託しまして作って売ります場合に、最初のうちは公募をいたしまして、申し込みをした人の中から選別をいたしまして、分譲をし、工場を誘致しておったわけでございますが、私がこの地位に就任をいたしまして以来、そういう行き方では、本来の目的を達成できないじゃないか、従って、順位の基準を定めるべきである、
東京
の既成
市街地
から越してくる工場であるが第一、それと同時に、その既成
市街地
の方も、その跡をできるだけ公共の用途、たとえば
道路
の換地なり公園の用地なり、あるいは
住宅
公団
の都心部の高層建築をする用地なり、そういうものに供出をしてくれるというものが第一順位、それから第二順位はどういうふうにするというような工合に、順位を定めまして、
住宅
地及び商業
地域
の中に日本は工場が割り込んで分散をしているものでありますから、
都市
が混乱をいたしますので、それらを抜きとっていくためには、そういった基準を作る必要があるということで、やかましく申しまして、最近ではそういう基準を設けました。その基準に基づいて衛星
都市
への工場の誘致をいたしておるわけでございます。 実際にやっておる現状を申しますと、工場団地を作り、それからそういったような基準に基づいて工場を誘致いたしますが、いずれの個所も押すな押すなの状態でございまして、工場は来るのであります。また、工場に働く人たちの
住宅
地は、
住宅
公団
あるいは所在の市町村にやっていただいてできておるのでありますが、問題点は、せっかく工場がそろいうふうに来、人が来始めましても、それに伴うところの
道路
及び用水、排水の施設というものが整わない。一例をあげますと、私がある衛星
都市
を視察に行って、そこの所在市長と一緒に見学をいたしますと、鉄骨で相当の
規模
の工場ができております。その工場のできておる周辺の
道路
を見ますると、たんぼのような状態です。そこで私は、この
道路
を何とかしてあげられないかということを市長に言いましたら、実はしたいのです。この工場一つができ上がりますと、固定資産税が年に七千万円ずつ上がります。それだけの将来の
収入
を考えれば、
道路
の
整備
をしていきたいけれども、市が貧弱でできません、こう言っておるわけです。こういうことは、ロンドンでやっておるニュー・タウンのように、ニュー・タウンを育成いたしまするところの特殊の機関ができて、そういうことを先行投資によって片づけてあげれば、衛星
都市
というものは非常に育成ができると思うのですが、こういう点がはなはだしく欠けておるというのが現状でございます。 もう一つ、反省をする必要があるではないかという先ほど強い御指摘をいただきまして、気がつきましたことは、確かに反省をしておるのでありますが、今のような
首都圏整備委員
会という行政委員会組織では、そういったような
実施
面のことができませんから、行政委員会でなしに、一種の内閣付属でもよろしいし、あるいは
建設省
付属機関でもよろしいし、独立したきちんとした行政機関にいたしまして、
実施
面も担当できるようにし、あるいは
公団
なり公社なりができました場合には、それらの監督もきちんとできるような機構に機構改革をする必要があるのじゃないかということを考えまして、三十七年度の
予算
編成の際も、そういう案を一応作りまして折衝をいたしましたが、まだ機が熟しませんで——今年度はある程度の
調査費
等をいただきました。従って、三十七年度中に所要の
調査
をできるだけすみやかに完了いたしまして、三十八年度には、今申し上げたような、そのほかにもネックがございますが、そういったネックを解決する道を講じて参りたい、こう実は熱意を傾けて考えているようなわけでございます。
上林山榮吉
149
○上林山
分科員
首都圏
整備
法の二十四条がどうあろうとも、自分は具体的にこういう
方針
で進めておる、こういうことでありますから、私もこれ以上この問題についてはお尋ねいたしませんが、先ほど私が申し上げたように、
住宅
問題の解決が直ちに交通麻痺を緩和できるとか、あるいは首都圏
整備
がうまくいったのであるとかいうことにはならないのであって、少なくとも一番
重点
を置かなければならぬところは、衛星
都市
の性格をいかにするかということにあるんだ。この衛星
都市
というものに
重点
を置かなければ、ほんとうの解決というものはできないと思う。だから、首都圏
整備
法を根本的に改めて、その目的ないし性格を改める段階にきているんじゃないかと私は思ったわけです。だから、この首都圏
整備
のうちの衛星
都市
は、今申し上げたように、単に抽象的な衛星
都市
ではいけないと思うのです。やはり
東京
都に出てこないでも済むようにしなければならぬ、都心に出てこないでも、そこの
地域
の市民の大部分は、そこで自活ができるようにしてやるという組織でなければ意味をなさぬということに、私は
重点
を置かるべきではないか、こういうように考えるのです。
住宅
都市
を——住居
都市
と書いてあります。住居
都市
をただ作ったところで、それはまた都心に出てくるのですよ。そして夜はまた帰っていくのです。それだけ大きな産業上のマイナスも出てくるのだ、交通上の麻痺の緩和にもならぬ、こういうところに、私はやはりこの新しい方向というものを勇敢に取り入れていく、こういうお考えがほしい、こう思うわけです。大臣も、非常にスピードのおそいこと、あるいは性格の多少違ったことに対して反省をしておる。その一つの理由は、
首都圏整備委員
会というような組織であるから、これを行政組織にして、もっと
計画
もあるいは監督もあるいは
資金
の融通も——この言葉は言われなかったけれども、
資金
の融通等についても考えて、そしてそれぞれ独立した衛星
都市
というものを作っていこう、こういうお考えのようでありますので、私はこれは一進歩だと考えます。 そこで、私も二、三衛星
都市
を作るというところを見てきましたが、あなたが言われるように、それこそまばらなもので、何ら、統一ある、しっかりした、サンプルになるような、それが七分通り
完成
したようなものは見られない。まことに遺憾でありますが、今あなたは、衛星
都市
は、どこもあまりよくないが、一番よくいっているのはどこだと思いますか。これを見てくれれば、首都圏
整備
がこういうふうに進んでおるから参考に見てほしいというところがあるとすれば、どこだと思われますか。
中村梅吉
150
○
中村国務大臣
一番先に衛星
都市
として指定をいたしました相模原が一番進んでおるのじゃないかと思うのです。これでさえ、行ってみますると、先ほども申し上げたことほうふつたるありさまでありまして、工場こそはたくさんできておりますが、まだ
道路
、用排水等が全く不十分で、せっかく来ていただいた工場の方々に、これじゃ相済まぬという気持で、われわれ現地を見ましても一ぱいでございます。何とか熱意を傾けて、工場が疎開をして集まってきた以上は、その人たちが十分満足できるような、ほんとうにニュー・タウンらしい工場
都市
にしてやらなければならぬじゃないか、こう思いまして、われわれとしては非常に心配しておるわけです。その後、指定
地域
はだんだんとふえて参りましたが、どこも進行過程にあるという姿が偽らざる現状であると思います。
上林山榮吉
151
○上林山
分科員
大臣は率直で非常に感じがいいのでありますが、その通りです。相模原、私も見に行きました。これはもうまことに、山間僻地ではないけれども、山間みたいなところに工場があちこちできておる。一番よくできているところが、大臣も告白されたように、そういう状態だから、これはもっと力を入れてやらなければならぬ点であります。 そこで相模原の問題ですが、ああいうような既設のいろいろな基礎条件がありますから、その条件がある程度満たされておれば、
東京
に割合に近いから、あそこに持っていこう、こういうお考えではなかったかと私は思うのです。あまり
東京
から離れておれば、衛星
都市
という意味をなさぬというお考えのもとに、そういう御
計画
かもしれませんが、あそこを拡張してあそこの人口を幾らくらいに持っていけると思いますか。それも一つではありますが、それよりももっと広々とした、五里や十里、二十里、
計画
の場所から離れていても、思い切って広いところに衛星
都市
を作って、
道路
さえよければ、交通機関さえよければいいのでありますから、そういうような構想のもとでなければ、谷間といっては失礼かもしれませんが、そういう感じのするところに押し込めてみたところでだめです。私はロンドンのニュー・タウンを見ましてそういう気がするのでありますが、
土地
が全然ないのならあれですけれども、私の見たところ
土地
はあります。そういうような意味から、そういう考えを改めていく、今やっているのは、やりかけたのですから、これは十万の
都市
を作るのか、二十万の
都市
を作られるのか知りませんが、それが済んだならば、やはり別途に二十万なりせいぜい三十万程度の衛星
都市
というものを作るべきだ、こう考えますがいかがでしょう。
中村梅吉
152
○
中村国務大臣
非常に御熱心な御注意をたくさんいただきまして、心から感謝いたします。実は相模原は、考えようによりましては、京浜に近いところでございまして、衛星
都市
としては確かに近過ぎる感がいたします。ただ、これは戦争中の軍の用地でありました関係で、用地の
取得
が比較的たやすかった関係上、まっ先にこの
地区
を指定いたしましたわけで、その後の指定
地域
は太田・大泉でありますとか、水戸・勝田でありますとか、前橋・高崎でありますとか、相当距離の離れた、いわば伸び伸びしたところに衛星
都市
の
建設
作業を始めておるわけでございます。 われわれの考え方といたしましては、大体一衞星
都市
、工業、商業人口全部合わせまして約十万くらいの
都市
を作りたいという考え方で進んでおるわけでございます。衛星
都市
を育成して参りますのには、
道路交通
関係あるいは鉄道の輸送関係、それともう一つは、用水、排水の関係等がございます。それぞれ立地条件が必要なわけで、それらも十分検討の上に
地区
の指定をいたしまして開発に進んでおるわけでございますが、何といいましても、育成機関がないということが今日の最大の欠陥だと思うのであります。 私もロンドン周辺のニュー・タウンを数カ所見学したことがあるのでありますが、行ってみますると、工場
地域
は工場だけ固まっておりまして、
住宅
地域
はその周辺にあって、通勤の労務者は全部自転者で、山のように自転車が置いてある。こういうことで、聞けばわずか人口五、六万の
都市
でありますが、非常に
計画
的にうまくできております。 〔山口(丈)
主査
代理退席、
主査
着席〕 イギリスの方式を聞きますると、要するにまるっきり畑の中、山の中へ特殊会社ができまして、特殊会社が
政府
から六十年の年賦償還の
資金
を借りて、一挙に
道路
から下水からやるべき理想的なことを全部やってしまって、さあいらっしゃい、こういうことになるわけでございますから、日本の衛星
都市
建設
とはよほど行き方が違っておるわけでございます。何とか私どももこれに近い方式を生み出しまして、指定をした以上は、活発な育成のできるような機構にいたしたいということを考えておるわけでございますが、いろいろな事情がございまして、理想の通りに一足飛びで進まないで非常な悩みをわれわれも感じておるわけでございます。今後とも、御注意をいただきまして、われわれとしてはできるだけ成果の上がるようにやって参りたいと思っております。
上林山榮吉
153
○上林山
分科員
大臣が非常に熱心に、今後の
方針
を御披瀝になりますので、私も期待を申し上げておきますが、衛星
都市
を十万にした方が適切であるか、二十万にした方が適切であるかは、その
地方
の事情にもよることで、これはにわかに断定できない点でありますから、御研究を願いたいと思います。 次にお尋ねをいたしたいのは、
道路
の問題については、
政府
が自分が
直轄
でやるものと、
道路
公団
を通じてやるものと、二本立でやっていると思いますが、今後も二本立で
道路
の
建設
を積極的にやろう、こういうお考えでございますか。
中村梅吉
154
○
中村国務大臣
やはり
道路整備
は、公共
事業
としての
事業
と、一方採算をとりつつやります
有料道路
の
日本道路公団
あるいは
首都高速道路公団
等の
道路
公団
事業
と並行していく方で、
道路交通
事情を解決していくのに早道ではないだろうか。日本のように非常におくれておる今日の場合におきましては、やはりいろいろな手を用いて、一本でもよけいに、たとい有料であろうとも、
道路
のできるように進めていくことが必要であると思っておりますので、これに対し御批判もあるかもしれませんが、われわれとしては、この方式で今後も極力進めて参りたい、こう思っております。
上林山榮吉
155
○上林山
分科員
これは固まった話でもないと思いますが、
建設省
の
方針
は、公共
事業
の
道路
計画
に
重点
を置いて、漸次
道路
公団
の
事業
を縮小するのではないか、それにはいろいろと批判のあることであるから、そういう方向に持っていくんではなかろうか、こういうような憶測もないではないので、大臣の基本
方針
をまず伺ったわけでありますが、私も大臣と同じように——かつて私は
公営住宅
に対して、
住宅
金融公庫のあるいは
住宅
公団
、こういうものに対して、火災保険会社が融資すべきである——
建設省
は最初いやがっておったのですが、私の意見をいれていただきまして、そして火災保険会社から
住宅
資金
に一部回しているはずです。今十億円くらいになっておるか、もっとになっておるのか知りませんが、そういうように何かの形で融資をしておるようであります。それと同じに、
道路
の問題も、これはやっぱり税金だけで
道路
を作らないで、税金以外の金で
道路
を作っていくという、この
道路
公団
の方式は、今後ももっと積極的にやるべきではなかろうか。積極的にやるにはどうすればいいかということになりますと、
資金
の問題でしょう。この
資金
の問題を
民間資金
あるいはそれ以外の
資金
をもっと十分に持ってこれないのか、この点でございますが、これも見てみますと、
民間資金
の
借り入れ
が相当出ておるようであります。
民間資金
を百九十億円ですか、持ってきております。こういう金をもっと持ってこれないかという点であります。まずこれを聞いてからもう少しこまかく聞いてみたいのです。
中村梅吉
156
○
中村国務大臣
日本のように
道路
がはなはだしく不足しております国柄としましては、有料であっても、
道路
が
整備
されるということは、自動車交通の
経済
の上からいえば、料金を払っても
経済
がとれるわけでありますから、私は活発に進めるべきである、こう思います。かような角度から考えますときに、御指摘のように
民間資金
を
公団
債等によってできるだけ活用したらいいではないか、まことにごもっともで、私も同感でございますが、ただ、まだ日本の
経済
の状態がしっかり固まっていない状態で、
民間資金
といえども、吸い上げて
道路
事業
等に投資をいたしますと、それによって
経済
に変動を来たすという国情下にありますので、財政当局である大蔵省としましては、たとい
民間資金
を使うにいたしましても、それには適度の
規模
というものを常に考えて参りませんと、財政金融政策全体の上から適当でないということで、相当にたがをはめられておるというのが現状でございます。もっと日本の産業
経済
の状態が基礎固めができて参りましたら、活発に
民間資金
を活用して
道路
を
整備
する道に進んでいくことが適当ではないだろうか、私はこう思っております。
上林山榮吉
157
○上林山
分科員
民間資金
の百九十億の
借り入れ
先はどこどこですか。なおこれの金利はどのくらいですか。
宮崎仁
158
○宮崎説明員
道路
公団
の発行いたします公募債につきましては、御承知の通り金融機関が第一義的に引き受けるわけでございます。現在のところでは大体銀行がそのまま持っておるということが多いようであります。もちろん一般の個人なり法人でも、それはこの債券を持つことができるわけでありますが、利回り等の関係もございまして、大体銀行が持っておる。現在発行いたしております公募債は七分三厘ちょっとでございます。
上林山榮吉
159
○上林山
分科員
銀行は主としてどこどこですか。
宮崎仁
160
○宮崎説明員 これは非常に多数でございまして、主要な銀行がほとんどこれに参加いたしております。
上林山榮吉
161
○上林山
分科員
次に、
国際開発銀行
からの
借り入れ
が八十六億円、これの
借り入れ
の条件、それから、さらに来年度はこれを拡大できるかどうかという見通しの問題を聞いておきたいと思います。
中村梅吉
162
○
中村国務大臣
先般四千万ドルの
借り入れ
が完了いたしたわけでございますが、この際の開発銀行の言い分としましては、もうこれ以上は貸せないのだ、これは鉄道との比較等もございまして、これ以上は貸すわけにはいかないということを聞いておりますので、非常にこれから先の分は困難であるように承知いたしております。
上林山榮吉
163
○上林山
分科員
民間資金
の
借り入れ
、あるいは
国際開発銀行
の
借り入れ
ばこれ以上はむずかしい、民間もむずかしいですが、あるいはこれがむずかしいとすれば、それ以外の
資金
の作り方というものをお考えになっておるかどうか、その点を伺いたい。
中村梅吉
164
○
中村国務大臣
ただいま申し上げましたのは、
国際開発銀行
の方のことでございまして、
民間資金
につきましては、国の
経済
状態の進展に伴いまして、われわれは大いに期待をし、力を注いでいきたい。ことに今国会にお願いをいたしておりまする
阪神高速道路公団
のごときは、幸いできました暁におきましては、近畿
地区
が非常に熱意を傾けておりますから、活発に地元の
公団
債引き受けを期待をいたしておるような次第であります。
上林山榮吉
165
○上林山
分科員
私はさっき申し上げたように二本立で、ことに
高速道路
公団
の仕事をもっと積極的にやるべきであるという立場に立つわけでありますが、現在まで
公団
の
有料道路
ができ上がって経営をやっておる線は何線あって、どれくらいの収益を上げておるか。ことに私が聞きたいのは、償還
計画
よりも上回った償還ができておるところがあるかどうか、
計画
を上回って償還がうまくいっているところ、そういう点をちょっと参考までに聞かしていただきたいのであります。
河北正治
166
○河北
政府
委員 現在手元にある資料で申しますと、三十五年度は営業しております
路線
が四十五本でございます。これの
収入
が二十二億八千万円、費用が二十三億三千万円で、差引四千七百万円ほどの赤字でございます。それから三十六年度は、最終的な集計ができておりませんが、現在の見込みでは、営業本数が四十七本、それに対しまして
収入
は三十一億六千万円、費用は二十五億四千万円、差引六億一千万円の黒字となっております。先ほど三十五年度、三十六年度につきまして費用と申しましたのは、営業
路線
の維持管理費と金利でございます。 それから第二の点は、特別に赤字のものが数本あるほかは、大体三十年くらいの償還
計画
でいきますと、当初の十年くらいの傾向としましては、この程度で特に憂うべきものではないふというように考えております。
上林山榮吉
167
○上林山
分科員
私の言うのは、もちろん経営が
計画
通り成り立つことが第一の条件。第二は、
計画
を上回って償還がされておるもの、いわゆる予想以上の成績を上げておるものが幾らくらいあるか。赤字の線は六線だけあるということを聞いたのですが、上回っておるものはないかというのです。
河北正治
168
○河北
政府
委員
計画
を上回っておりますのは京葉
道路
、戸塚
道路
、横浜新道、日光
道路
、それから阪奈
道路
、おもなものはそんなものでございます。
上林山榮吉
169
○上林山
分科員
赤字になっておる六線はどういう事情なんでしょう。償還が
計画
を下回ったのはどういう事情なんですか。
河北正治
170
○河北
政府
委員 私の承知しておる範囲では、館山
道路
、掛塚橋、住ノ江橋等が御指摘の分だと思いますが、これは
計画
当初に比べまして
交通量
が思うように伸びなかったというのが原因ではないかと思います。
上林山榮吉
171
○上林山
分科員
概して成績がよく上がっておるようでありますので、この赤字の線は今後の検討を願うことにいたしまして、そういう事情でありますから、私は先ほどから申し上げるように、この
計画
が適正であれば、もっとふやして、仕事がやれるような態勢を作るべきだ、こういうように考えます。 そこで、ここに
名神高速道路
あるいは
国土開発縦貫自動車道
、
中央
自動車道
、
東海道幹線自動車国道
の
建設
に着手することとしていろいろ
有料道路
をやっておる。これは大きな仕事でありますから、これはやらねばいかぬ。
一般有料道路
の第三
京浜道路
、
船橋千葉道路
、若
戸橋等
の
工事
を引き続いてやる、これもやらなければならぬと思いますが、最後にちょっぴりと、「
新規
の
事業
にも着手する
予定
であります。」と書いてあるが、これは一体どこどこを
予定
していますか。
河北正治
172
○河北
政府
委員 日光の第二いろは坂
道路
、長崎県の福島橋等、六カ所ほどでございます。
上林山榮吉
173
○上林山
分科員
私は、
有料道路
は経営が成り立たなければならぬということが第一の条件だと思いますので、交通のひんぱんなところにこれを作っていくということも、これもまた適切なやり方だとは思います。しかし、ここだけに
重点
を置かれて、
北海道
はどうするのだ、あるいは
東北
や
九州
、四国はどうするのだ、こういうことになりますと、これをほっておくわけにいかぬだろうと思う。今長崎の問題が一つ出てきたから、私の声も小さくなりますけれども、いずれにいたしましても、私が
道路
公団
の幹部諸君に
九州
の
有料道路
の話をすると、それは陳情を始めてから五年くらいはかかると思わなければいけません、あるいは十年かかるかもわかりませんよ、こういうような話をする幹部がおります。これは
資金
その他の条件の関係でそう言うのだろうと思いますけれども、これは私、七分通りは、今の御
計画
は優先的にやらなければならぬ場所だとは思うけれども、あとの三分は、
九州
なり、あるいは中国なり、四国なり、こういったところも、やっぱり適切なところは取り入れていく、こういうふうに考えていかぬと、これはやっぱり
一級国道
と二級
国道
との話と同じで、その比率をどこに持っていくかは別として、これを無視しないような
計画
というものをやっぱり進めていかれなければならぬのではないか、こういうように私は考えますが、これは大臣から一言御答弁を願っておきたいと思います。
中村梅吉
174
○
中村国務大臣
原則としてはペイするということが原則でございますが、やはりその
地方
の
状況
も勘案いたしまして、あるいはその
道路
を作り、あるいは橋をかげることによりまして、将来の
交通量
の
増大
あるいは観光客の
増大
、こういうことも考えられまするし、諸般の情勢を判断いたしまして、あんばいよろしきを得ていかなければならない、こういうようには考えております。
上林山榮吉
175
○上林山
分科員
通り一ぺんの御答弁じゃないと思いますから、そういうふうに御善処願いたいと思います。 そこで、
都市
交通に関連し、あるいは
道路
に関連いたしまして、警察庁の御意見を伺いたいことが一点ございます。 警察庁に、今度国会を通過すれば交通局ができるはずですが、交通局ができれば、交通行政にさらにいろいろと積極的な手が打たれると思いますが、この前出されました これはまだ最後的には法律になっていないわけですけれども、大型のトラックあるいは長物を積んだ自動車の規制をされる、これは私はけっこうだと思うのであります。それと同じ趣旨で、最近一番交通事故を起こしているダンプカーあるいは砂利トラック、これは何だか除かれておるようでありますが、どういう理由によって除かれたのか。やがて第二段としてこれもやろうとしておられるのか、どうなんですか、この点をまず伺っておきたい。
富永誠美
176
○富永説明員
都市
交通が、御存じのような
状況
でございますので、今までは、たとえば一方交通とか右折禁止とか、主として車の流れを規制するというふうな方向でいったわけであります。それだけじゃどうにもいかないというので、車の量を若干規制しなければならぬだろうというわけでいろいろ作業して参ったのでございますが、主として大型トラックということにしぼられていったわけでございます。これは、
東京
都にありまする首都交通対策審議会におきましても、大型トラックを時間別規制をやるべきである、あるいは行政管理庁の勧告にもそういうふうにあるわけでございまして、大型といいますのが車の交通に対して非常に支障を与えるという意味から出たわけでございます。そこでいろいろの作業をやっていったわけでございますが、大型トラックと申しましても、いろいろ
内容
が複雑なのでございます。それで、とにかく第一次としましては、夜間にかえ得るものというのが選ばれて、第一次の規制の案として出たような形になっておるわけでございます。従って、今お尋ねの砂利トラック、ダンプカーにつきましては、一つは、これは
道路
工事
とかあるいは
建設
工事
とかいうふうなものに直結するものでございますので、これを全部夜間にかえ得るかどうかという点に多少問題もあることと、それから、かりに夜間に転じた場合におきましての事故の関係でございます。トラを野に放つような形にもなりはしないかという点でございます。 以上のような点、どちらかと申しますと、第一の点が多いわけでございますが、そういう面から、この際は一応第一次の規制としては除かれておるわけでございます。しかしながら、除かれたものにつきましても、たとえば、タンク・ローリーとかいろいろなものがございます。日通のトラックとか、あるいは新聞輸送車とか、なまコンとか、砂利ダンプカーとか、いろいろあるわけでございます。それぞれ業種別にお集まりいただきまして、何とか昼の十二時間を、車がすきます夜の十二時間に、時間をずらして動いてもらえぬか、あるいは場合によりましては、この車は少しこうだというふうな方法でできないかというわけで、一応自主調整という形を期待いたしておるような
状況
でございます。
上林山榮吉
177
○上林山
分科員
この問題は、関係方面と密接な連絡をとられて規制をされるという態度は、私は賢明な御態度だと思いますけれども、事は人命に関係のある問題でありますから、選別して、できるものから逐次入れる。あるいは全面的に入れられなければ、時間を短縮して入れる、こういうような方向で規制をされていくのが適当じゃないんだろうか、こういうふうに考えますから、できるだけ選別して、この中に加えていく、こういう漸進の
方針
でお進みを願いたいと思います。 そこで、交通事故を防ぐにはいろいろな方法があるわけですが、昨日は、私は運転手の問題を申し上げましたが、きょうさらに申し上げたいことは、自動車にラジオを規則によって全部つけさせる。そしてNHKならNHKから、今交通情報を送っておりますが、ああいう交通情報を、もっと相談されて、もっと的確なものを、もっと広範にやれるようにして、そうして今
一級国道
のどこどこは
工事
をやっておる、これは何日から何日間の間だ、あるいは今ここは非常に——たとえば国体があって、この付近はとうてい車が通れない、だから、比較的あいているところはどの方面だ、こういうようなふうに自動車に一日何回か、スイッチをひねっておききえすれば絶えずその情報というものがもっとひんぱんに入ってくるようにする。あなたの言う車の流れというものをスムーズに持っていく一つの方法として、これはやはり御採用になる方がいいんじゃないか。これは私の提案ですけれども、一つの研究テーマとして御研究になったらいかがか。あるいはそういう話があるのかないのか、こういうことを申し上げておきたいと思います。
富永誠美
178
○富永説明員 ただいま御質問の趣旨に沿いますような方法で、
東京
の場合、警視庁に交通情報センターを設けまして、ラジオで刻々込んでおる
状況
を流しておるわけでございますが、残念ながら、現在のところは非常に原始的な方法でやっておりますので、定期的には二時間置きの
調査
をやっておるわけでございます。ここが特別込む、込み方が異常であるという場合は、どんどん情報を入れておりますが、大体におきましては、主要点を選びまして、そこの二時間ごとの
状況
をとっておるわけでありますので、実際とややそぐわない点もあるわけであります。この点につきましては、交通関係閣僚懇談会におきましても、あれは非常に運転手にとって好評だから、もっと機能を
強化
しろというわけで、いろいろ押しボタン式な方法なり、あるいはまたテレビを採用するなどの方法を今盛んに練っておるわけであります。そうしますと、刻々と現状が流されるのじゃないかと思うわけでございます。従って、そういうふうになりますと、当然車では、いやが応でもラジオをつけておくような形になってくると思うのでございます。ただ、ラジオを全部の車に義務づけさすということになりますと、これはちょっと問題があります。たとえば交通事故の面から見ますと、はたしてラジオをつげて聞きっぱなしにする方が、それを積極的に進めるのがよいかどうかという点も問題がないわけでもありませんし、そういうふうに私の方の情報がどんどんうまくなりますると、おのずからみなラジオをつけて聞かれるようになるのではないかと思うわけであります。
上林山榮吉
179
○上林山
分科員
新しい方式を採用する場合、これはやはりおっしゃる通り危険が伴うのです。だけれども、これはプラスの面が大きいはずです。だから、そういう面を、あとは
訓練
という方面に持っていって、やはりこういう新しい方式というものは、多少の危険があっても、あとは
訓練
にものをいわす、こういうことで思い切って採用していく、こういう
方針
でなければ、ただ
道路
だけを
建設省
が一生懸命にやっただけでは、これはうまくいかないわけなんですね。だから、そういう点は、さらに検討の余地があると思いますけれども、私は、それこそここだけのお互いの話でなく、これが具体化されるように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
羽田武嗣郎
180
○羽田
主査
勝澤芳雄
君。
勝澤芳雄
181
○
勝澤
分科員
だいぶ時間も、六時を過ぎておるようでありますし、朝十時から大臣以下関係の皆さんお疲れでございますので、前段は私は抜きにいたしまして、なるべく簡単に質問をさせていただきたいと存じます。 昨年、私、決算委員会の国政
調査
で名神の
高速道路
を見せていただきました。日本にも
道路
らしい
道路
ができたと思って大へん感心をしたわけですが、現場の局長以下この
道路
を作りながら、自分の庭を作るような形で、観光とか、野立ち広告とか、いろいろそういうところまで総合的に考えながら、植木屋のようなこともやりながらやられておりまして、大へん新しい立場からいい日本の
道路
行政ができると実は喜んでおるわけでございます。そこで、この
名神高速道路
の
工事
の進捗状態は最近どういうふうになっておるか。三十九年三月の
完成
の
予定
だといわれておりますが、その見通しはどうなっておるか。なお、この尼ケ崎−栗東間が今着手しておるようでありますが、部分的な開業というものはされる考え方があるのかないのか、こういう点についてお尋ねをいたします。
河北正治
182
○河北
政府
委員
名神高速道路
の進捗については、全面的な供用開始は
昭和
三十九年度中を
目途
にいたしておりますことは、ただいま仰せの通りでございます。それで、三十七年度におきましては、このうち尼ケ崎−栗東間につきまして、三十七年度中には供用が開始ができるようにと
重点
的に
工事
を施行いたしております。その他の
区間
につきましては、ちょっと資料が古いのでございますが、大体昨年の十一月末現在では、西宮−尼ケ崎間が、進捗率にいたしまして九%、それから栗東−一宮間につきまして一三%、一宮−小牧間についてはまだ夫着工という状態でございます。
勝澤芳雄
183
○
勝澤
分科員
そこで、現地で言われたのは、用地買収というのがなかなか大へんだということを言われました。しかし、相当困難にもかかわらずやられているようでありまして、たしか山科付近だと思いましたけれども、一軒借地借家で約一億とか二億くらい補償金を出さなければ移転せぬなんていうことを言っておりました。
公団
の計算ですと、いや七十万円くらいだ、こう言われておりましたが、こういう点から考えてみますと、なかなか大へんだと思いますけれども、今日、公共用地の
取得
に関する特別措置法というものは、この
高速道路
の用地買収については適用されておるのでしょうか、あるいは今後その問題についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
河北正治
184
○河北
政府
委員 ただいまお話に出ました山科の問題にいたしましても、特別措置法の特例で解決したという工合に聞いております。
勝澤芳雄
185
○
勝澤
分科員
そこで、あの構造は四車線なんですね。今
建設
をしておる現地の人、あるいはその
道路
を作っている人たちに聞くと、もう四車線では古いじゃないか、やりながらも、これは六車線の
計画
の方がよかったのじゃないか、
資金
的な面もあるようですが、こういう点を言われておりました。こういう問題についてはどうお考えでございましょうか。
河北正治
186
○河北
政府
委員 ただいまのところでは、四車線で供用開始をするという
計画
で進んでおります。
勝澤芳雄
187
○
勝澤
分科員
将来六車線にする場合の
計画
は入っておるのですか、どうなんでしょう。
河北正治
188
○河北
政府
委員 現在のところは、六車線必要ではなかろうかという見方もあるようでございますが、現在の
計画
では四車線でやっておるという工合でございます。
勝澤芳雄
189
○
勝澤
分科員
料金はどれくらいなんですか。従来の
有料道路
と比較をしてどのような数字になりますか。
河北正治
190
○河北
政府
委員 これまた運輸省との問題もございますが、現在のところ私どもだけで考えておりますのは、キロ
当たり
普通乗用車につきまして九円、トラックで十円ないし二十円、その程度になるのではないかと思います。
勝澤芳雄
191
○
勝澤
分科員
名神高速道路
が
完成
すると同時に、次に緊急を要する問題は、私は東海道の
整備
の問題だと思います。むしろ
名神高速道路
が開通しても、この
道路
が
東京
まで通じて初めてこの機能が十分発揮されるものだと思いますし、そのために三十四国会におきまして、超党派で満場一致議員提案で、御承知のような東海道高速自動車
国道
の
建設
がきめられたわけであります。従いまして、東海道の交通事情からいいまして、あるいは名神
道路
の投資
効果
からいって、それをより高めるためにも、一刻も早く東海道の
建設
計画
を進めなければならないと思うのですが、その東海道の
建設
計画
はどういうふうになっておりますか。
河北正治
192
○河北
政府
委員 名神に続きまして東海道が必要であるということは、御説の通りであります。それで先ほど大臣の
予算
説明にもございましたように、三十七年度には東海道にも着工いたしたいという工合に考えております。それで二兆一千億のただいまきまっております
道路整備
五カ年
計画
におきましては、約八百億というものを
予定
させていただいております。
勝澤芳雄
193
○
勝澤
分科員
その五カ年
計画
の中の八百億というのは、大体全体の
計画
の中でどこまで完遂できるという
予算
的な裏づけがされておるのでしょうか。
河北正治
194
○河北
政府
委員 具体的に、どこからどこまでを供用開始するという工合には、まだ
計画
が固まっておりません。
勝澤芳雄
195
○
勝澤
分科員
全体の
事業
量の中のどれくらいの割合になるのでしょうか。
河北正治
196
○河北
政府
委員 全体が約二千四百億程度になるかと考えられますので、八百億でありますと、その三分の一程度に当たるわけであります。
勝澤芳雄
197
○
勝澤
分科員
そこで、私は申し上げなければならないと思いますが、最近
都市
交通が行き詰まっておる。最近では、ただ単なる交通調整というより、交通戦争であると世間ではいわれております。これが一つの問題として叫ばれており、これは次にどこに行くかといえば、やはり主要幹線の問題になると思います。結局このことは、
道路
行政の投資のやり方がどうしても総花的であるというところから、こういう結果になってきたのじゃないかと思います。それは政治家がみんな選挙の関係で一つずつ
道路
を作らなければ次の選挙に出てこれないということから、そういう分配をするということにも問題があると思います。一千万の人口を持っておる
東京
に入れる
道路
費の比率というものは、ほんのわずかのものでありますから、そういう点からも
重点
施策というものがどうしても必要になってくる。その点については、いろいろとお立場上やりにくい点があると思います。特に東海道の最近の交通事情というものは、私はますます悪化しておると思います。古い資料ですけれども、私が見せていただきました資料によりましても、
昭和
三十三年で
東京
−名古屋間の一日平均の自動車の
交通量
は八千二百四十台で、全国の
一級国道
の平均自動車
交通量
に比較して約三倍だといわれております。
昭和
三十三年で全国平均の三倍だといわれておるのですから、最近の交通事情というものはもっと激しいものがあると思います。ですから、この交通事情にマッチした
建設
計画
でなければいけないと思います。しかし、私の質問に対して、五カ年間で三分の一しか
完成
できない、こういうことでは、京浜から中京をつなぐ
道路
、あるいは名神、阪神をつなぐ国としての一番の大動脈の
道路
というものがおくれ、その採算から考えても、私は大へんな問題だと思います。そのために、いろいろと先ほどからも言われておりますが、これはもう一回再検討をして、もっと
計画
を前に進める必要があるのじゃないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
中村梅吉
198
○
中村国務大臣
実は
交通量
調査
は、私の方でもいたしておるわけでありますが、東海道といたしましては、現在採算ベースに乗ります
地区
は、大体
東京
−静岡辺であるという計数が出ておるわけであります。従いまして、こういう輻湊する
地区
から先に
有料道路
の開設を進めて参りまして、その他の
地区
は、まだ東海道の
一級国道
も完全に
整備
されておらない区域がございますので、ここの
整備
をまず急いでやって、
国道
の交通によって一応はまかないつつ
有料道路
を並行して進めていく、こういうように実は私ども考えておるわけで、できますことならば、
資金
事情が許せば、一挙に国鉄の東海道新幹線のように、
東京
から阪神まで一貫できるような
道路
にいたしたいことは、やまやまなのでありますが、目下の五カ年
計画
におきましては、先ほど申し上げたように八百億ほどの
資金
量でございますので、遺憾ながら全線を開通させることができない事情にございますが、われわれといたしましては、将来また国の財政事情なり
経済
事情が変わって参りますのを楽しみに、できるだけ
促進
をして参りたい、かように考えております。
勝澤芳雄
199
○
勝澤
分科員
たしか三十三年ごろの資料によりますと、
区間
別にいって
東京
−静岡というのが一番高い通過数を示しておるようであります。しかし、静岡−名古屋間におきましても、全国平均からいうならば相当高い数字であります。これは三十三年の資料でありますから、三十七年の今日になりますれば、当時と比べて相当交通の伸びが激しいわけでありますから、今大臣が言われたように、これはわれわれとしても、特別な措置を講ずるような努力をしなければならぬと思っておりますので、一つ大いにがんばっていただきたいと存じます。 そこで次に、今大へん問題になっております
路線
の決定ということは、大体いつごろになるか、そうして
工事
の着工はどんな工合に行なわれるのですか、その点についてお答え願いたいと思います。
河北正治
200
○河北
政府
委員 私どもといたしましては、先般来
路線
につきまして地元の御意見も伺い、固めて参りました。しかし、御承知のように、焼津−豊川間の問題は、まだ最終的にどういう工合にきめるというところまで私どもとして自信がございません。しかし、由比の地すべりに対しても、早急に処置をしなければならないという現段階におきましては、少なくとも三月中には
路線
の指定をいたしたいという工合に考えております。 それから着工の
予定
でございますが、三十七年度といたしましては、用地買収の補償の関係では松田付近、それから清水、由比の地すべり
地区
、それから名古屋に一部インターチェンジの関係で、これは
都市
計画
とも関連しますので、この点についての用地買収の補償を進めていきたい。その他
工事
につきましては、由比の地すべり対策に間に合うような
海岸
構造物の着工を
予定
いたしたいと思っておるわけであります。
勝澤芳雄
201
○
勝澤
分科員
今の御答弁の中で、
路線
の決定については、特に地元の意見を十分聞きながらきめられるということで、大へんけっこうなことだと思います。何にいたしましても、
建設省
としての技術的な、あるいは国の総合的、
経済
的な
見地
からもきめるということも大へん重要でありますけれども、
地方
的に見ますと、
地方
自治体自体の
都市
計画
なり、いろいろの
計画
があるわけであります。
地方
産業発展の点も十分に考慮に入れるべきだと思います。また、特に私がこの点申し上げますのは、先ほどの答弁にもありましたように、今焼津−浜松間の問題につきましては、
路線
をめぐりましていろいろと私たちに陳情が出ておるわけでございまして、焼津の市長、榛原の町長、浜岡の町長、大井川の町長、吉田の町長、相良の町長、御前崎の町長、大浜の町長、大須賀の町長、浅羽の町長、福田の町長、龍洋の町長、それから浜松の市長、こういう人々から、
海岸
線に作るべきだという意見が出されておりまして、また、この点につきましては、静岡県の総合開発
計画
の中で、やはり南部の開発をしょう、そしてそこにもう少し工場を建て、県全体の、あるいは
東京
と名古屋を結ぶ衛星
都市
というか、そういう立場から出ているわけであります。また、北部の方からも、これは北を見直してもらいたいという意見が出ておるわけでありまして、この点はいずれがいいかという点については、いろいろと技術的にも、
経済
的にも、地元のいろいろな意見を参考にしてきめなければならぬと思いますし、われわれここの出身者といたしましても、できるだけ調整をしながら、県の全体的な
計画
、国全体の
計画
の中で、よりいいものを作ろうということで、いろいろと協議をしておるわけであります。従いまして、
建設省
におきましても、この点を十分考慮していただきまして、そうしてあらゆる角度から適正な
路線
決定をぜひお願いしたいと思う次第でございます。その点につきまして最後に大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
中村梅吉
202
○
中村国務大臣
実は、私どももいろいろな陳情を受けたり、要望を承っておりますので、できますことならば、静岡県全体としての思想統一をしていただければ非常に仕合せだと思うのでありますが、なかなかこれも地元事情がむずかしいようでございますから、もう少し議を尽くして参りました段階で、場合によりましては、思想統一が困難な場合には、
建設省
におまかせをいただいて、最良の案をきめるようにいたしたいとも考えておりますが、第一段階としては、やはり今後
事業
を推し進める上に、用地買収とかいろいろな関係もございますから、地元の意向というものを十分承りながら、できれば思想統一をしていただければ非常に仕合わせである、こういうように考えて、目下どうきめるべきか、いろいろ苦慮しておるような段階でございます。
勝澤芳雄
203
○
勝澤
分科員
工事
をやるときに、その円滑な進捗をはかるためには、何といってもその通過地点の
地方
自治体の協力というものが一番必要なことだと存じます。特に南部
地区
におきましては、御承知のように用地買収についても、積極的に協力しようというような議会の決議あるいはそういう誓約書まで持って陳情をされておるようでありますので、一つ十分な御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
羽田武嗣郎
204
○羽田
主査
次会は、明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。 午後六時二十六分散会