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1962-02-23 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十三日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       愛知 揆一君    今松 治郎君       上林山榮吉君    田村  元君       藤本 捨助君    山本 猛夫君       岡本 隆一君    勝澤 芳雄君       兒玉 末男君    小松  幹君       島本 虎三君    山口丈太郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   樺山 俊夫君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁長官   伊東 正義君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君         建 設 技 官         (営繕局長)  川合 貞夫君  分科員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         参事官)    富永 誠美君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君     ————————————— 二月二十三日  分科員山本猛夫君及び木原津與志君委員辞任に  つき、その補欠として田村元君及び兒玉末男君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員兒玉末男委員辞任につき、その補欠と  して島本虎三君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員島本虎三委員辞任につき、その補欠と  して岡本隆一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員岡本隆一委員辞任につき、その補欠と  して勝澤芳雄君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員田村元君及び勝澤芳雄委員辞任につき、  その補欠として山本猛夫君及び木原津與志君が  委員長指名分科員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算建設省所管  昭和三十七年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算及び同特別会計予算建設省所管を議題といたします。  建設省所管について説明を求めます。中村建設大臣
  3. 中村梅吉

    中村国務大臣 建設省関係昭和三十七年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は十五億四千七百余万円、歳出は三千十九億二千四百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省の所管予算として計上されますが、実質上建設省所管事業として実施される予定の経費がありますので、これらを合わせますと、昭和三十七年度の建設省関係予算は三千四百十二億七千百余万円となり、前年度の当初予算に比べ七百五十八億五千余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ四百十二億六千四百余万円の増加となっております。  次に、特別会計予算の概要を御説明いたします。  治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも七百六十八億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ百七億八千六百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ八十五億七千八百余万円の増となっております。  これを勘定別にいたしますと、まず、治水勘定につきましては、総額六百九億二千三百余万円で、前年度の当初予算に比べ百三億六千余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ八十一億八千余万円の増でありまして、うち一般会計より受け入れとして四百七十六億八千余万円、地方公共団体工事費負担金収入として八十三億九千四百余万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百五十九億四千百余万円で、前年度の当初予算に比べ四億二千六百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三億九千八百余万円の増でありまして、うち一般会計よりの受け入れとして七十九億三千百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として二十五億六千四百余万円、電気事業者等工事費負担金収入として三十三億九千二百余万円を予定いたしております。  なお、このほかに財政法第十五条の国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に十六億円、多目的ダム建設事業に三十八億一千万円を予定しております。  次に、道路整備特別会計でありますが、本特別会計昭和三十七年度予算総額は、歳入歳出とも二千七十一億四千九百余万円で、前年度の当初予算に比べ四百十八億七千五百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ四百十六億八千四百余万円の増でありまして、うち、一般会計よりの受け入れとして一千八百五十六億九百万円のほか、直轄道路事業地方負担金収入として百五十五億四千七百万円、前年度剰余金受け入れとして十億円を予定いたしております。  このほか、財政法第十五条の規定に基づく国庫債務負担行為として、直轄道路事業に七十五億円、首都圏街路事業費補助に四十億円を予定いたしております。  次に、個々の事業予算重点について御説明いたします。  第一に、治水事業につきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、その促進に努めてきたところでありますが、昭和三十七年度におきましては、近年の災害発生の状況にかんがみ、緊急を要する事業重点を置いて、治水事業十カ年計画の一段の推進を期することとしております。  昭和三十七年度の治水事業関係予算のおもなものといたしましては、治水特別会計において、河川事業に三百二十五億九千四百万円、多目的ダム建設事業に百四十三億四千五百余万円、砂防事業に百十八億五千七百余万円、伊勢湾高潮対策事業直轄事業分に十八億四千六百万円、水資源開発公団交付金に十二億七千余万円、一般会計において、海岸事業に十七億八千八百余万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億七千六百万円、伊勢湾高潮対策事業補助事業分に三十四億二千二百万円を予定しております。  次に、そのおもな内容について申し上げます。  まず、河川事業につきましては、直轄河川において、継続施行中の利根川等九十九河川のほか、新規に櫛田川及び緑川の二河川を加え、合計百一河川、及び北海道特殊河川において十六河川事業実施する予定であります。  これらの事業実施にあたりましては、経済効果の大きい重要な河川、近年災害発生の著しい河川及び放水路捷水路工事引堤工事及び低地地域に対する治水対策の強化のため、排水ポンプ整備等重点を置いて事業促進をはかる方針であります。  補助事業におきましては、中小河川改修事業として継続施行中の三百五十五河川のほか、緊急に改修を要する二十九河川新規に採択するとともに、小規模河川改修事業として継続施行中の百八十六河川のほか、新規に七十一河川の着工を予定し、事業促進をはかることとしております。  高潮対策事業につきましては、その緊要性にかんがみ、大阪地区について緊急整備三カ年計画を立てて、事業の推進をはかるとともに、東京地区についてもその促進をはかることといたしております。  多目的ダム建設事業につきましては、治水効果及び用水需要の増大を考慮して事業促進をはかることといたしております。  すなわち、直轄事業では十二のダムを継続して施行するほか、新規に北上川の四十四田ダム、淀川の高山ダムに着工することとし、また、実施計画調査としては、天竜川の小渋ダム調査を継続するほか、新規に矢作川の矢作ダム、紀ノ川の大滝ダム及び日野川の印賀川ダム調査に着手することとしております。  補助事業としては、十六のダムを継続して施行するほか、新規に小阿仁川の萩形ダム等ダムを着工することとし、また、実施計画調査としては、三つのダム調査を継続するほか、新規に大沢川の高坂ダム等ダム調査実施する予定にいたしております。  次に、砂防事業につきましては、直轄事業として、継続施行中の二十六水系のほか、新規姫川水系について実施するとともに、地すべり対策事業として、継続施行中の手取川水系のほか、新規に大和川、胆沢川、銅山川の三水系について実施することとしております。  補助事業としては、特に重要河川水系及び最近災害発生の著しい河川工事重点を置いて施行するとともに、最近の災害発生の状況にかんがみ、豪雨の際に土砂の流出により被害を受けるおそれのある渓流について、特に予防砂防実施することとしております。  次に、海岸事業につきましては、近年頻発する海岸災害被害状況及び海岸事業の進捗の状況にかんがみ、防災上緊要な地域における海岸保全施設整備重点を置き、直轄事業としては、継続施行中の五海岸のほか、新規青森津軽、遠州及び由比の三海岸について事業促進をはかることといたしております。  補助事業についても同様の方針に基づいて実施することとし、高潮対策事業海岸侵食対策事業として継続六十四海岸のほか、新規に二十九海岸を予定し、重点的に事業促進する方針であります。  また、チリ地震津波災害地域津波対策事業につきましては、昭和三十七年度以降おおむね五カ年で完成することを目途に、事業促進をはかることといたしております。  伊勢湾高潮対策事業につきましては、昭和三十六年度に引き続き事業実施し、直轄事業においては、昭和三十七年出水期までに完成し、補助事業については、昭和三十八年度中に完成することを目途にその促進をはかることとしております。  なお、水需要の急増に対処して、水資源開発促進するため、新たに設置されます水資源開発公団において、昭和三十七年度は事業費四十一億四千万円により、利根川水系及び淀川水系における多目的ダム可動堰幹線水路等建設及び水資源開発に関する調査実施することとしております。  このため、建設省において予定していた利根川水系矢木沢ダム下久保ダム及び淀川水系高山ダム事業実施公団に引き継ぐこととしており、その建設費治水負担分として昭和三十七年度においては十二億七千万円の交付金公団に交付することとしております。  第二に、災害復旧対策関係予算について御説明いたします。  災害復旧対策関係予算総額は、一般会計よりの歳出として五百二億八千四百余万円でありまして、内訳は災害復旧事業費四百五十五億四百余万円、災害関連事業費四十六億六千四百余万円、鉱害復旧事業費一億一千五百余万円であります。  そのおもな内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業費につきましては、直轄災害は、内地二カ年、北海道三カ年の復旧方針に基づき、三十五年災は完了し、三十六年災については内地分は完了し、北海道分は八〇%の進渉をはかることといたしております。  補助災害につきましては、緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに、三十四年災は完了し、三十五年災は八六%、三十六年災は六七%を復旧し、従来よりもその促進をはかることとしております。  また、災害関連事業につきましては、災害復旧事業とあわせて適切な実施をはかり、再度災害を防止する効果を上げることといたしております。  第三に、道路整備事業について御説明いたします。  政府におきましては、経済の高度成長に伴う自動車輸送需要増大の趨勢に即応して、道路改良舗装等整備を緊急に行なうため、昨年総額二兆一千億円の新道路整備五カ年計画を決定いたしましたが、昭和三十七年度におきましては、その第二年度として、特に一級国道の一次改築、並びにオリンピック関連道路大都市地域道路及び産業開発及び観光上重要な地方道路整備重点を置いて、積極的に事業の推進をはかることとしております。  昭和三十七年度における一般道路事業予算といたしましては、一級国道に八百三十六億一千四百万円、二級国道に三百三十一億六千八百余万円、主要地方道に二百六十三億六千七百余万円、一般地方道に二百三十六億三千四百余万円、市町村道に百四十七億四千四百万円、その他調査費積雪寒冷特別地域道路事業費機械費等に百十八億九千三百万円を予定し、これにより、国道及び地方道を含めて約二千六百八十八キロメートルの改良及び橋梁の工事と、約二千二百二十八キロメートルの舗装工事実施し、五カ年計画のおおむね三二・九%を達成することといたしておりますが、特に昨年度から施行されました踏切道改良促進法に基づく踏切道立体交差化等の改善につきましては、積極的に推進をはかる考えであります。  なお、従来に引き続き、内地の一級国道のうち、交通量の特に多い区間を国が直轄で維持修繕を行なうこととし、昭和三十七年度におきましては、さらにこの区間を約七百キロメートル追加して、合計約四千三百キロメートルとする予定にいたしおります。  なお、前述の道路関係予算には、国土開発縦貫自動車道の路線について調査促進するための調査費として九千万円を計上しておりますが、これにより東北、中国、九州、中央、北陸四国の各自動車道について調査実施することとしており、また、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に必要な道路事業費及び機械費等三十二億七千八百万円を計上しておりますが、昭和三十七年度より新たに除雪事業に対しても国庫補助を行なうこととしております。  また、街路事業予算につきましては、三百八十億七千四百万円が含まれておりますが、これによりまして、立体交差を含む改良、橋梁及び舗装等街路事業実施して、都市内交通円滑化をはかるほか、人家が密集した地区で、街路の整備とともに市街地合理的利用をも必要とする地区について、土地区画整理による都市改造事業及び公共施設整備に関連する市街地の改造に関する法律による市街地改造事業実施を推進いたしたいと考えております。  次に、有料道路について御説明いたします。  まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金九十億円、資金運用部資金借り入れ百四十億円、民間資金借り入れ百九十億円、国際開発銀行からの借り入れ八十六億円のほか、業務外収入等を合わせて五百七十六億一千三百万円の資金により事業実施することといたしておりまして、高速道路については、名神高速道路(小牧−西宮間)の尼崎−栗東間約七十二キロメートルを概成するとともに、その他の区間について毛工事促進をはかり、また新たに国土開発縦貫自動車道中央自動車道東京−富士吉田間)及び東海道幹線自動車国道建設に着手することとし、一般有料道路については、第三京浜道路船橋千葉道路、若戸橋等工事を前年度に引き続き促進するとともに、新規事業にも着手する予定であります。  次に、首都高速道路公団事業につきましては、道路整備特別会計からの出資金十五億円、東京出資金十五億円、東京交付金二十八億九千八百万円、政府資金借り入れ七十億円、民間資金借り入れ八十億円とその他の収入を合わせて二百二十七億八千六百万円の資金によりまして事業を行なうこととしておりまして、一号線及び二号線の一部並びに八号線の完成をはかるほか、前年度に引き続き、一号線、二号線、三号線、四号線、四号分岐線、五号線及び六号線の建設を継続実施するとともに、新規に二号分岐線建設に着手することとし、また、駐車場については、江戸橋駐車場の完成をはかるほか、本町駐車場建設を継続実施し、新たに白魚橋駐車場建設に着手することとしております。  次に、大阪、神戸地域における交通麻痺状況に対応して、自動車専用道路建設を推進するため、新たに阪神高速道路公団を設立することといたしました。同公団におきましては、全体計画として八路線、延長おおむね五十八キロメートルの自動車専用道路建設する予定で、このうち昭和三十七年度以降四カ年間に三路線、延長おおむね十三キロメートルを事業費約二百億円をもって建設しようとするものであります。  昭和三十七年度における同公団資金としましては、道路整備特別会計からの出資金二億円、地方公共団体出資金二億円、地方公共団体交付金一億円、政府資金借り入れ五億円、民間資金借り入れ五億円、合計十五億円を予定し、これにより環状線の一部の建設に着手することとしております。  第四に、都市計画事業について御説明いたします。  昭和三十七年度における都市計画事業関係予算は、四百四十七億六千五百余万円であります。このうち、まず、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対する出資金を含め、三百九十七億七千四百万円でありまして、これにつきましてはすでに申し述べました道路整備特別会計に計上されております。  次に、一般会計に計上されております都市計画事業予算額は四十九億九千百余万円でありまして、これにより下水道公園等整備をはかることとしております。  下水道関係予算額は四十七億四百万円で、前年度に比し十五億五千七百万円の増でありますが、なお、地方債の増額をもはかることとし、都市施設中最もおくれている下水道整備促進に努める所存であります。  公園関係予算額は二億八千七百余万円でありまして、国営公園都市公園及び墓園の整備をはかることとしております。  第五に、住宅対策について御説明いたします。  政府は、国民生活の向上と社会福祉の充実を期するため、十カ年に約一千万戸の住宅建設する目標のもとに、昭和三十六年度を初年度とする五カ年間に約四百万戸の住宅建設を見込み、特に低家賃住宅大量供給と、不良、老朽、過密居住住宅の一掃をはかるため、政府施策住宅に百六十万戸を充てることとし、前年度に引き続き昭和三十七年度におきましては、二十六万五千戸の建設計画しております。  この戸数は、前年度に比較いたしますと、一万九千戸の増となっておりますが、特に昭和三十七年度におきましては、住宅の質の向上をはかるため、一戸当たりの規模の引き上げと、災害防止の見地より不燃堅牢構造住宅の増加に重点を置くとともに、建設単価の是正及び現下の宅地取得難に対処するための宅地供給量の大幅な増加をはかることとしております。  また、民間自力によって建設される住宅は、最近の実績より見て約四十七万戸程度と推定されますので、これを合わせて昭和三十七年度におきましては約七七二万五千戸の住宅建設を見込んでおります。  なお、政府施策住宅二十六万五千戸の内訳は、公営住宅五万四千戸、改良住宅四千五百戸、公庫融資住宅十二万五千戸、公団住宅三万三千戸及び災害復旧公営住宅九百六十六戸を含み、厚生年金融資住宅等四万八千五百戸でありまして、これに対する予算措置として、公営住宅に対しましては一般会計予算において百八十三億一千九百余万円を予定し、第一種住宅二万一千五百戸、第二種住宅三万二千五百戸及び災害復旧のための第二種住宅九百六十六戸の建設に対し補助することといたしております。  住宅地区改良事業といたしましては、一般会計予算において二十二億八千八百余万円を予定し、劣悪な居住環境を改善し、あわせて市街地合理的利用をはかるため、不良住宅除却及び改良住宅四千五百戸の建設に対し補助することとしております。  次に、住宅金融公庫におきましては、産業投資特別会計よりの出資金九十五億円、政府低利資金三百九十五億円、自己資金九十七億余円、合計五百八十七億余円の資金により、十二万五千戸の住宅建設及び宅地の取得、造成、災害による被災住宅復興等に要する資金の貸付を行なうとともに、新たに、特に危険な宅地の防災融資の道を開くことといたしました。  なお、賃貸住宅につきましては、一戸当たりの規模の引き上げを行ない、質の向上をはかることといたしております。  また、日本住宅公団におきましては、産業投資特別会計からの出資金七十五億円、政府低利資金二百十四億円、民間資金二百五十億円自己資金五十四億円、合計五百九十三億円の資金により、賃貸住宅二万二千戸、分譲住宅一万一千戸の建設市街地施設建設及び宅地の取得造成事業を行なうこととしております。  以上のほか、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の合理的利用促進及び環境の整備をはかるため、防災街区造成に対する補助金として、一般会計予算において二億七千万円を予定しております。  第六に、官庁営繕について御説明いたします。  建設省実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは五十七億三千百余万円でありまして、前年度予算に比し五億四千二百余万円の増額となっております。実施にあたりましては、特に中央官衙地域早期整備と、中央地方の合同庁舎の建設、その他一般官署の建てかえの促進等重点を置くこととしております。  次に、オリンピック東京大会実施準備費について御説明いたします。この経費は、オリンピック選手村等をワシントン・ハイツ地区建設するため、同地区及びリンカーン・センターに現存する米軍施設代替施設調布水耕農園跡その他の地区建設するためのものでありまして、このため六十七億四百余万円を計上するとともに、このほかに財政法第十五条の国庫債務負担行為として七十九億二千九百万円を予定いたしております。  以上のほか、昭和三十七年度予算中のおもなものについて申し上げますと、産業開発青年隊につきましては、五千六百余万円を計上し、幹部及び海外移住隊の訓練を行ならとともに、新規北海道を含め、道府県の青年隊運営費等を補助することとし、また、新たに中央訓練所を設置して、技能訓練の徹底を期することとしております。  水防対策につきましては、八千八百余万円を計上し、無線局の増設、水防施設整備に対する補助等を行なうほか、新たに永年勤続の水防団員に対し、退職報償を行なうこととし、水防態勢強化充実をはかることとしております。  広域都市建設計画調査につきましては、千六百余万円を計上しておりますが、これは近年の著しい産業構造の変化と工業化の趨勢に対応して、大都市地域においては、過大都市の弊害を是正し、地方においては、地方開発中心地域として、地方中核都市の育成、発展をはかる必要がありますので、前年度に引き続き、広域的な都市建設計画を樹立するため必要な調査実施する経費であります。  以上が昭和三十七年度の予算の概要でありますが、なお、組織関係のおもなものといたしましては、本省においては、砂防部及び宅地制度審議会を新設し、地方建設局においては、東北地方建設局及び九州地方建設局用地部を新設する等所要の整備を行なうことといたしております。  定員につきましては、昭和三十七年度においては、伊勢湾高潮対策直轄事業が完成するとともに、建設省において施工する多目的ダムの一部が水資源開発公団へ移管されること等のため、全体としては、二百一人を減員することといたしておりますが、常勤職員及び常勤的非常勤職員定員化により、四千七百九十一人の常勤職員及び常勤的非常勤職員を定員に繰り入れることといたしておりますので、昭和三十六年度の定員に比べて四千五百九十人の増加となり、昭和三十七年度における建設省の定員は、三万五千七百二十人となります。  以上をもちまして、昭和三十七年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算の説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  4. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  念のため申し上げます。質問希望者の方が非常に多数おられますので、山口丈太郎分科員と協議いたしました結果、一応お一人の持ち時間は四十分以内と予定いたしましたので、各分科員の御協力をお願いいたします。田村元君。
  5. 田村元

    田村分科員 ただいま建設大臣から昭和三十七年度建設省関係予算概要の御説明があったわけでございますが、河川局長にお尋ねいたしますが、昭和三十五年度並びに三十六年度の治水関係の災害復旧費を、総計でよろしいからお示しを願いたい。
  6. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 三十五年と三十六年の災害復旧合計でございますが、三十五年度は七百六億、三十六年度は八百九十三億、これは事業費でございます。
  7. 田村元

    田村分科員 そういたしますと、単年度の、当該年度の治水予算災害復旧費ではむしろ災害復旧費の方が上回るような感じを私は受けるのでありますが、実際にどういうふうに考えておられますか。
  8. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 治水事業の方は、災害復旧事業に比べまして、三十五年度は五百八十六億、三十六年度は六百八十八億でございますので、先ほどの災害復旧事業費よりもだいぶん下回っております。われわれといたしましては、こういうことがないように、災害復旧ももちろん必要でございますが、根本的に災害を防止いたすためには、どうしても治水事業促進しなければいけないというので極力やっておる段階でございます。現状はこういう状況でございます。
  9. 田村元

    田村分科員 先ほど委員長から時間の御制約を受けましたので御質問申し上げる点が相当ございますから、私も簡単にお尋ねをしますから、役所側もなるべく重点的に御説明を願いたいと思います。  現在の治水対策事業は、治水十カ年計画という長期計画のもとに遂行しておられるわけでありますが、私は、この治水計画というものが、今日の日本の実際の姿に照らして、どうも合理性に乏しいように思う。このような治水計画で今後十年近くおやりになられて、実際に住宅とかあるいは道路なんかと違って、これは生命に関する問題でありますから、私は寒心にたえぬのでありますが、きょうは治水十カ年計画に関して相当御質問をしたい。治水事業十カ年計画の全容と現在までの進捗状況を、概略でけっこうでございますからお答えを願いたい。
  10. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 治水十カ年計画は、前期五カ年と後期五カ年に分かれておりますが、前期五カ年計画は、金額で申し上げますと、事業費で三千六百五十億円、後期五カ年計画は、金額で四千八百五十億円、合計いたしまして八千五百億円、この目標で昭和三十五年度から実施をして参っているわけでございます。実績を申し上げますと、昭和三十五年度が先ほど申し上げました五百八十七億、三十六年度が六百八十八億、三十七年度は、これは予定でございますが、現在の予算案に盛られておりますのは八百十七億でございまして、これを合計いたしますと、三十七年度末では約五七、八%、こういうような進捗になるかと思われます。
  11. 田村元

    田村分科員 それでは、前期、後期の両計画河川とか、いろいろ項目別に数字をお示し願いたい。
  12. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 治水事業の中には、大きく分けまして、河川ダム、砂防、建設機械、この四つに分けられます。そのうち河川につきましては、前期五カ年計画で二千四十億円、後期が二千七百六十億円、計いたしまして四千八百億円、ダムは前期八百十億、後期九百六十億、合計千七百七十億、砂防が前期七百三十億、後期千四十億、計が千七百七十億、建設機械が前期七十億、後期九十億、合計百六十億、これらを合計いたしまして八千五百億円、これが十カ年の目標でございます。
  13. 田村元

    田村分科員 「河川改修事業については、河川の氾濫を防止し、流域の災害に対する安全度を高めるため、その促進を図るものとする。」と十カ年計画にうたわれております。そうしますと、直轄河川改修を実際に建設省がお考えのように十五カ年でやり遂げ得るのですか。おおむね十五カ年という言葉は私も聞いておるけれども、実際にそれだけの御自信がございますか。
  14. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 直轄河川につきましては、現在約十五年でやり得る見通しがある、こういうふうに考えております。
  15. 田村元

    田村分科員 それは現行の治水計画に準じてといいますか、これに従って十五カ年間で、まああとの五年はとにかくとして、そのスピードでやり得るというわけですか。
  16. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 現在のスピードは先ほど申し上げた通りでございますが、治水十カ年計画の線に大体沿ってやっておりますので、一五年で終わる見込みでございます。
  17. 田村元

    田村分科員 しからば、利根川、淀川、木曾三川、東京大阪、名古屋地区を中心としたこういう河川は非常に主要な河川でありますが、これらの河川改修事業に関する今後の対策はどういうふうにお考えでございますか。
  18. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 直轄河川のうち重要でございますのは、先ほど言われましたような利根川、木曾川、淀川、そのほかにもございますが、各水系とも基本的に考えておりますととは、水源から河口まで一貫した計画でやる、こういうふうに河川事業砂防事業ダム事業、こういうものを考えておるわけでございます。  利根川水系につきまして、基本的な考え方の根本になりますのは、やはり計画流量といいますか、これを昭和二十二年の出水を基本的に考えまして、基本洪水流量を一万七千立方メートル毎秒、これをダムで三千立方メートル調整をいたしまして、一万四千を河道で安全に流し得るようにする、こういうことが基本的な考え方になっているわけでございます。この線に沿いまして、利根川とか、江戸川、鬼怒川、小貝、渡良瀬上流、烏川、神流川、こういうものが利根川水系の中に入っているわけでございまして、そのほか霞ケ浦放水路も入っているわけでございます。先ほどの洪水調節のダム関係におきましては、現在も薗原、矢木沢、下久保、こういうダム実施いたしておりますし、なおそれ以外にも計画がございますが、そういうものを着々やって参りたい。なお砂防事業につきましては、非常に荒廃したところから逐次完成をはかっていく、こういうような考え方でやっているわけでございます。  なお、木曾川につきましても同様な考え方でございまして、直轄河川の木曾川につきましては、基本洪水流量を一万四千立方メートル毎秒と考えているわけでございます。こういうものを、現在もすでにできております既設の丸山ダムで千五百調整いたしまして、河道改修の基本になる数字が一万二千五百立方メートル、こういうもので現在木曾川について考えているわけでございます。そのほか長良川、揖斐川についても同様な考え方でございますし、なお洪水調節のダム関係は現在横山ダムを施工中であります。なお、砂防につきましても、ちょうど利根川と同様に重点個所についてやる、こういうことを考えております。なお、淀川につきましても、大体同様な考え方でございまして、淀川、宇治川、木津川三川合流の個所におきまして計画洪水流量六千九百五十立方メートル毎秒、こういうものを基本にいたしまして、淀川、宇治川、木津川、なお、瀬田川、それからダム関係につきましても、高山ダム、それから逐次、宇陀川、青蓮寺、こういうものをやる予定にしておるわけでございます。砂防事業についても先ほどと同様な考え方でもってやっておる。大体のところを申し上げますと、以上でございます。
  19. 田村元

    田村分科員 非常にりっぱな御計画と言葉を聞いたわけでございますが、現実に河川局長として、今申し上げた主要河川改修事業について現在のところ満足すべき改修が行なわれておると、あなた自身のお考えで思っておられますか。
  20. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 現在のところ、先ほど申し上げましたが、治水十カ年計画の線に沿っては非常にうまくいっていると思います。しかし、なお今後災害を未然にできるだけ早く防止をするという観点に立ちますと、なおこの三十七年度予算におきましても今の案は繰り上げ促進されることになっておりますが、こういう点をさらに考慮していかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  21. 田村元

    田村分科員 私は治水十カ年計画で、このような重要河川改修が人心を安定せしめるほどの効果を持っているとは思っておりません。しかし、これはまた後ほど申し上げるとして、しからば前期五カ年計画直轄、特殊両河川ですね、これは総体計画の何%に当たりますか。
  22. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 完成いたします全体事業から考えますと、前期五カ年計画が終わりまして大体二四、五%じゃないか、こういうように考えております。
  23. 田村元

    田村分科員 十カ年計画の数字は、中小河川が約一千本、小規模河川が約八百本、局部改良が約二千八百河川、こういう総体計画があるわけでありますが、現在どのくらい手をつけておられますか。
  24. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 直轄河川は百一河川やっております。特殊河川が十六でございますので、直轄関係では百十七本、中小河川は三百八十四河川、小規模は二百五十七河川、こういう川を着工いたしております。
  25. 田村元

    田村分科員 中小河川、小規模河川、局部改良の前期五カ年計画は、総体計画に対して大体何%になりますか。
  26. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 これも十カ年計画の線に沿ってやっておりますが、前期五カ年計画が完了した場合に、やはり二三、四%、こういうくらいの数字になると思います。
  27. 田村元

    田村分科員 十カ年計画の文章はなかなかよくできておるわけなんですが、できておるということは私は賛成するという趣旨ではなく、文章はなかなかよくできておるという意味なんですけれども、「高潮対策事業及び汚濁対策事業については、東京大阪等の地域について重点的に実施するものとする。」とうたわれておりますけれども、しからば河川高潮の計画は一体どういうふうになっておるんですか。
  28. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 河川高潮につきましては、重点的に、ただいま言われましたように、大阪東京重点を置いてやっております。治水十カ年計画の線に沿ってやっているわけでございますが、大阪につきましては、昨年第二室戸台風によりまして非常な大災害をこうむりまして、その他の河川よりも重点的に繰り上げをやって現在やっているわけでございます。緊急三カ年計画も作りましてやっているのでございますが、東京高潮につきましても、重点的に江東、墨田地区を来年度には完成をしたい、こういうような計画でいるわけでございます。なお、その他重要な河川につきましても、治水十カ年計画の線に沿いまして極力繰り上げてやっていく、こういうふうに考えております。
  29. 田村元

    田村分科員 大阪東京等の地域について重点的に高潮対策事業実施するということは、これはもちろん河川高潮のことを言っておるわけでありますけれども、一般の国民は、これは海岸高潮も含んでおると考えておるのです。これが大体私は常識だと思うのです。海岸高潮を含んでいない、河川高潮だけというような専門的な知識は国民は持っていないと思うんです。でありますから、海岸高潮というものが治水計画からはずされておるということ自体が、国民がその内容を知ったら、私は非常に憤激するんではなかろうか、かように考えるわけです。  そこで、私がお尋ねしたいのは、大阪はこの間室戸台風が来ましたが、大阪湾や東京湾に伊勢湾高潮の規模の高潮がやってきた場合に、一体どの程度の被害が起こるであろうか、簡単でよろしいから、推測でけっこうですかう、ちょっとお答えを願いたい。
  30. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 非常にむずかしい御質問で、答えもなかなかむずかしいのでございますが、現在やっております計画は、やはり伊勢湾台風のよなうものが来てもいいような計画でやっております。従って、完成すればそう大した被害はないと思いますが、現在工事中の段階でございますので、ある程度の被害は受けるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  31. 田村元

    田村分科員 河川局長、これはある程度の被害どころじゃないと私は思う。海岸高潮ですよ。ある程度の被害どころじゃないと私は思うのです。大へんな問題が起こるだろうと思う。たとえば東京湾に伊勢湾台風と同程度のものがもしやってきたとしたら、だいぶ前に新聞に出ておりましたが、大へんなことになると思うんです。しかし、ある程度工事を進めておるんだとおっしゃるのならば、一つ河川局長港湾局長、それから水産庁長官、三人から大阪湾、東京湾の海岸高潮の全体計画実施の見込みを一つここで御説明願いたいと思う。
  32. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 大阪につきましては、大阪湾全体でございますが、大阪港につきまして申し上げますと、ジェーン台風がございまして、それに対して災害対策事業というものをさっそく行なったわけでございます。これは昭和三十七年度で完了いたしますが、昨年第二室戸台風により大被害を受けまして、もう少し大きな規模でもって対策をやらなければいけないということで、来年度から緊急三カ年計画というものを実施することにいたしております。これにつきましてその三カ年計画の全体の事業量をどうするか、どのくらいに見込むかという点につきましては、まだ建設省並びに大蔵省、関係各省の間で多少意見の違うところがございまして、最終的の数字はまだ決定いたしておらないのでございますが、大阪につきましては、われわれとしては百二十億程度が必要ではないかと考えております。  それから東京でございますが、東京につきましても伊勢湾台風クラスの台風が東京湾を襲来した場合を想定いたしましていろいろ計算をいたしたわけでございますが、それに対しまして、われわれといたしましては約八十五億円くらいの事業費が必要ではないかというふうに考えて、その計画の一端としまして来年度予算も要求している次第でございます。
  33. 伊東正義

    ○伊東政府委員 私の方の東京湾でございますが、東京湾の奥にありますのは葛西漁港であります。葛西とか、神奈川の川崎でございますとかは、前面に今埋め立てが行なわれております。そういうような関係で、東京湾につきまして特に漁業の区域内で高潮対策というものは実は立てておりません。  伊勢湾につきましては、先般の第二室戸台風等で相当被害がありましたので、これもいろいろ災害復旧そのものについては各省と打ち合わせてやっておりますが、そのほかに従来のものでももう少しこれを直す必要があるのではないかということで、まだこれも最終決定はいたしておりませんが、事業費二十億くらいのものでそういうことをやったらどうかということで、来年度に若干、一億七千万くらいの災害助成というような名前で高潮対策を実はやっております。
  34. 田村元

    田村分科員 今港湾局長の御説明ではなるほどそういう数字はお持ちであるが、実際にいつまでにどういうふうにやるのかということが特に明確にされていないのです。時間も相当たってきましたから、私はこれ以上追及できないことを残念に思いますが、いずれ日を改めていろいろとお尋ねをしたいと思いますけれども、こんなばかな、数字だけ持っておって、東京のような大都会を持っておる東京湾高潮事業が実際にいつまでにどういうふうになるのか、それは明示できないというようなことで一体どうなるか。これは東京都民にこういうことを聞かせたら、それこそ運輸省はむしろ旗で囲まれますよ。ばかなことは実際なさらないで、もう少し具体的に計画をお立てになってそれを実施されるべきだと私は思うのです。  そこで、建設大臣にお尋ねするわけでございますが、将来海岸高潮を治水計画の中に含める御意思はございますか。
  35. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは御承知の通り、現在所管が分かれておりますので、私ども治水計画を立てます場合には、もちろん関係省で協議をいたしまして、できるだけ連絡のある、統一的な方針のもとに治水計画を進めて参りたいと思います。現在これを一本にするかどうかということにつきましては、大きな政治問題でございますから、今後の検討に待ちたいと思っております。
  36. 田村元

    田村分科員 これは別に港湾局の所管事項、あるいは水産庁の所管事項を取り上げようというのじゃなくて、長期計画の中に入れるべきであると私は思う。そうしてやらせばいいと思うのです。これを治水計画に入れないということは、画龍点睛を欠くうらみがあるわけでありまして、運輸省も農林省もこの点は十分お考えいただいて、本来いえば、ここでイエスかノーかで詰め寄りたいところでありますけれども、(「詰め寄れ、詰め寄れ」と呼ぶ者あり)それじゃ詰め寄りましょうか。治水計画にこれを含めるということに対するあなた方の所見はいかがですか、御説明は要りません。イエスかノーかだけ言ってもらえばいい。どういうようにお考えですか。
  37. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 治水計画は、私は所管でございませんが、大体河川を対象としてやっておられるものだと考えます。高潮の方は海岸のおもに波浪、高潮というものを対象としてやっておるものだと思います。海岸法におきまして、御承知のように所管が分かれておりますが、港湾区域につきまして、これが運輸大臣の所管になっておりますのは、やはり防波堤だとか防潮堤だとか、護岸というような、いわゆる港湾の機能、施設そのものが防潮計画の一環をになうものでございまして、この両者の計画が、いわゆる港湾を生きて使うという機能を働かせるという計画と、この港湾の背後地帯を保全するという趣旨の保全計画というものがお互いに阻害をしないで、その目的を達していかなければならない、こういう趣旨から運輸大臣の所管になっておるものと考えるわけでございます。そういう点でわれわれはやはりこれは運輸大臣が所管してやる方が、両方の面から申しまして、非常にうまく事業が遂行できると考えております。しかし、一方におきまして、そういうふうに所管が違いますために、あるいは一つの計画が各省にまたがって事業が円滑にいかないのではないかというような御指摘もあるわけでございますが、その点につきましては、海岸法の中にも一連の施設としてやった方がいいという点については、関係各省がこれを協議するということもございますし、実際各地区につきまして、建設省とは常に密接な御連絡をとってやっておるわけでございます。また、そういう地区でなくとも、現在も非常にしょっちゆう御連絡をしてやっておりますし、この連絡を緊密にしてやっていくということで、そういう御批判を避けるべく最善の努力をいたしておるわけでございまして、そういう方法によって私どもはやっていくことが最もよいのではないかというふうに考えております。
  38. 田村元

    田村分科員 それは局長、しろうとと違って、そういうごまかしを言ってはいけません。それは言葉のマジックというもので、大体治水計画河川を中心にして行なうべきものであるとあなたは定義づけされているのですが、それはどういうわけで定義をされておるのですか。そんなばかなことはない。現在ある長期計画河川を中心にしておるからいけないのだから、海岸を含めなさいと言っておるのに、それに対して河川を中心にすべきものであるから、それは困るという言い方は、いかにも言葉のマジックだと私は思う。  それからもう一つ、各省が十分協議をしておられるような今のお答えでございますが、一般海岸保全事業を治水計画に入れなかったという理由は、まず第一に指摘できることは、各省の調整がつかなかったから入れなかったのじゃないか。違いますか。各省の調整がつかなかったから入れなかった。ですから、結局われわれが今一番官庁に対していやな思いをしておるのは、いわゆる権限争いなんです。セクト主義なんです。だからこれを何とかしようというのが、今度の行政調査会の発足でしょう。ですから、新しい観点からこういうものをもっと総合的に、もちろん港湾の施設を長期計画、治水計画に入れろと言うのではないのです。港湾の施設の計画と相待って、そういうものを治水計画にお入れになったらどうか、こういう意味なんです。だから、これはもう一回答弁をし直していただきたいと思うのです。時間がないから、簡単に御答弁願いたい。  それから水産庁長官、あなたの方は漁港整備計画とにらみ合わせて、これを治水計画に入れるということは、これはだれが見たって当然のことで、別に所管を奪われるわけでもなければ、それは当然のことでしょう。それを一つ御両人からお答えを願いたい。
  39. 伊東正義

    ○伊東政府委員 治水計画海岸整備計画を入れるかどうかの問題でございますが、先生がおっしゃいましたように、海岸整備計画なるものができておりませんのは、はなはだ遺憾でございます。私はそれを治水計画の中に入れるのがいいかどうかは別問題といたしまして、海岸整備計画というものは、やはり作ったらいいのじゃないかというふうに思います。その場合には、治水計画と一本にするのか、あるいは治水計画と調整をとってやるのかは、どちらでも私はいいと思いますが、海岸整備計画につきまして、関係各省の間で話し合いをよくして、そういう計画を作るということは、私は必要だと思っております。
  40. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 港湾計画につきましては、先ほども申し上げたのでありますが、やはり港湾の施設というものには非常に複雑な関係がございますので、私は、そういう観点から、海岸法におきまして運輸大臣の所管というものもきまっておるのではないかというふうに考えております。  それから海岸保全事業の長期計画というものを運輸省では持っておりますが、それがまだオーソライズされていないという点につきましては、私どもも目下基本的な調査を各省と共同してやっておりまして、なるべく早い機会にこれが決定を見ることが望ましいと考えております。
  41. 田村元

    田村分科員 なかなか微妙なお答えをされて、うんと言われない。これは両省の大臣に聞けば相当責任あるお答えが出るのかもしれないですが、あなた方としてはその程度しか言えないでしょう。よくわかります。それ以上はいじめません。  そこで、要望しておきますが、海岸高潮は水産庁、港湾局、河川局と三者がこれからもっと緊密な連絡をしてもらって、十分総合対策が講ぜられるように御努力を願いたい。それだけとにかく注文をつけておきます。  次に、河川局長にお尋ねしますが、直轄砂防の進捗状況はどうですか。
  42. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 直轄砂防の進捗状況でございますが、大体これも直轄河川と同じような進捗状況でございまして、十五年計画、十五年完了の目標でやっております。前期五カ年の終わりました場合には大体二五、六%、こういう目標でございます。
  43. 田村元

    田村分科員 先ほどの海岸保全と関連もするわけですが、海岸保全と砂防に関しては、どういうわけで直轄と補助の国庫負担が同率になっておるのか、これは一つ主計局長からお答えを願いたいと思う。
  44. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。御承知のように、海岸法成立の際に、こういった負担について、いろいろ議論があったわけでございますが、当時の議論として問題になりましたのは、海岸直轄事業というものは現実には当時なかったわけですが、海岸という事業のそのころまでの実績を見て参りますと、むしろ地先主義といいますか、その効果の及ぶ範囲が比較的局限されておるというような点もございました。それから海岸事業というものの性格から見まして、それぞれの地域ごとに適応した施設を作っていくという関係から見まして、直轄事業にするという場合の事例と申しますか、そういうのは比較的技術的に困難なものである。そういうものが対象になる場合が多いであろう、こういうような考え方のもとに、直轄の場合には二分の一負担、補助の場合には五割ないし四割の補助というような制度が作られたわけでございます。最近に至りまして、相当直轄事業も出て参りまして、これについて負担率の引き上げ問題がここ二、三年問題になっておるわけでございますが、私どもの方といたしましては、当面の公共事業の負担調整の問題としては、昨年から実施しました未開発地域の特例というような差等補助率制度の方に重点を置いて今後考えていくべきであるということでやっておりまして、こういった各地事業の横のバランスということになりますと、いろいろの観点が出て参ります。かなりむずかしい問題でございますので、そういったものは当分おきにいたしまして、今の方向としては差等補助率の問題をやっていく。こういうことによりまして、同じ事業をいたしましても、財政力の貧困な団体については補助率が上がっていく。こういうことでやっていく方が当面重要である、こういう考え方で対処しておるわけでございます。
  45. 田村元

    田村分科員 今の宮崎君の御説明を聞いておると、県の土木部では工事が下手だから、簡単なところは補助事業でやれ、国は上手なんだから、むずかしいところは国がやろう、それは技術の問題であって補助率にはあまり関係ないのだというような印象を受けたわけですが、これはどうかと思うんで、私は、直轄と名を打った以上は、当然補助と違うものが出てこなければならぬと思うのですよ。たとえば道路は、一級国道は四分の三、しかもあとの四分の一の県負担分は起債でまかなわれるでしょう。二級国道も、四分の三が国庫負担、四分の一は県が持つ。それから地方道は三分の二の補助がつくんだ。——どうですか、公共事業全体に関して、治水のみならず、何でもけっこうですが、すべて道路並みに引き上げる、直轄と補助のけじめをはっきりつけるという考えはお持ちではありませんか。これは宮崎君に聞いても実はお答えしにくかろうと思うので、気の毒かもしれぬけれども、いわゆる言いのがれ答弁でなしに、建設的な答弁で一つお答えを願いたいと思います。
  46. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 若干説明が長くなるかもしれませんが、少し体系的な点を申し上げてみますと、現在の公共事業の負担の制度といたしましては、直轄、補助によって負担率を分けておるような、河川のような事業もございます。それから、そういう体系ではなくて、直轄であっても補助であっても同率で実施するというような、港湾とかあるいは海岸のような事業もございます。これはそれぞれ沿革も歴史もあると思うのでございますが、一つ特徴としていえますことは、たとえば道路について見ますると、道路直轄事業といいますのは、直轄事業実施する要件の前に、路線区というような形で、一級国道であるとかあるいは二級国道であるとかいうように、その道路の国としての重要性の分類ができております。河川についても同様でございまして、適用河川について直轄工事が行なわれるわけでございます。砂防につきましては、その点は御承知のようなことで、そういった分類がないわけでございますので、直轄であっても補助であっても同率で実施しておる。治山事業も同様でございます。この辺は二つの体系があっていいと私は思うのでございまして、直轄と補助で区別するという必要は必ずしもない。そういった区別によって負担率を分ける方が合理的あるいは実情に合うというようなものについては、これは実施したらいいかと思いまするが、必ずしも全事業について直轄と補助が差別がなければならぬというふうには考えておりません。
  47. 田村元

    田村分科員 どうも宮崎君はそういうお答えしかできないでしょう。それはよくお立場がわかります。けれども、今の御意見は大蔵省なりの御意見であって、全般の意見ではないと私は思うのですよ。やはり直轄と名を打った以上は、あくまでも直轄直轄なんだ。それから補助は補助なんですよ。ですから、そういう点で当然おやりにならなければならぬ。たとえばいわゆる国庫負担率が同じであれば、直轄工事を国が一方的にやろうとしても、県の負担能力に関係してくるのですね。すると一々県に相談して、そして県の負担能力を考えて、結局アブハチとらずになって、直轄だか補助だかわからない結果になってしまう。ただ工事の名前だけが直轄であるというようなことになって、何にもならない。私はそういうことはよくないと思う。やはり直轄直轄だ。これは国庫負担率をうんと引き上げるべきだ。本来いえば全額持つべきなのです。道路でも何でも本来いえば直轄は全部持つべきだ。そうして補助は補助を渡すのだというふうにあるのが私はほんとうの姿だと思う。今の日本の国の財政上それが許されないだけのことであって、今の宮崎君のも一学説だと思うけれども、私は承服いたしがたい。これは宮崎君一つお帰りになられて、こういう質問が出たというととを、大臣や主計局長に十分御説明願いたいと思う。大体きょう主計局長を呼び出してあるのに来ないということ自体おかしいので、できれば明日にでも大臣呼びましょうか——お困りでしょう。だから、あまりいじめはしないけれども、要するに、こういう特に分科会のような専門的なことを聞くところでごまかしを言ってはいけません。私は、それだけはっきりけじめをつけておいてもらいたいと思う。それから、今度は砂防の問題でございますが、建設省所管と林野庁所管の砂防、すなわち砂防事業と治山事業の区分について、どういうふうに相なっておるのか、これを一つ河川局長から御説明を願いたい。
  48. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 建設省砂防事業と農林省の治山事業でございますが、どういう個所をおのおのの省がやるかという点につきましては、非常にむずかしい点がございまして、昭和三年に閣議決定で一応線が出ております。  その内容は、建設省としてやるものといたしましては、渓流工事は原則として建設省でやる、なお山腹の傾斜が非常に急で造林の見込みのないような場合の工事は、山腹工事ですが、これは建設省がやる、こういうふうになっております。なお、農林省につきましては、森林造成を必要とする工事につきましては農林省でやる、なお渓流工事であるといっても、その工事と同時に施行する必要があるところは農林省でやる、こういうことに相なっておるわけでございます。
  49. 田村元

    田村分科員 それならば、昭和三年十月十日発土第二六号、土木局長から各地方長官あての通牒の閣議決定要旨、それから、昭和四年十二月六日発土第八五号、内務、農林両省の協議決定事項というものは、これは両省ともに厳格に今まで守ってこられたとおっしゃるわけですか。
  50. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 建設省といたしましては、長期計画を作る場合、なお毎年度の事業につきまして、こういう線に沿いまして林野庁と個所の打ち合わせをして実施をして参っておるわけでございます。
  51. 田村元

    田村分科員 私は、その打ち合わせは事務的であるにすぎないと思っておるのです。血は通っていないと私は思っておる。とにかく両省の権限争いというものが、そこに相当根強くあると思っておるのです。  そこで今日、ようやく行政調査会の発足も見たわけであります。行政合理化が叫ばれている一番大切な時期が今日もうきている。でありますから、建設、農林両省の砂防を統一するという必要が、もうここに差し迫った問題として出てきておると思うのです。現に建設省においては、砂防部まで作られた。砂防の重要性にかんがみて、砂防課が砂防部になったのです。これは当然両省が一体化して、いわゆる渓流砂防と山腹砂防がもう全く同じ観点から合理的に総合的に実施されなければならない時代がきておると思うのです。砂防所管の分轄は、今まで何十年来の日本の一つの悲劇であるともいえるのです。  そういうわけでありますので、この際建設大臣にお尋ねしたいのでありますが、建設大臣としては、この渓流、山腹砂防の統一をした方が好ましいとお考えになるでしょうか。いかがでございましょうか。
  52. 中村梅吉

    中村国務大臣 植林あるいは林野の保全という直接の関係のことは別としまして、できることならば両省の砂防がもっと統一的に行なわれることが好ましいことだと思います。しかし従来所管が違いますことと、もう一つは所管の違うのにはいろいろ歴史もあり、また山林の保全という点と区別は一体どこでつけるかということは、なかなか簡単でない問題であると思うのであります。従来両省間におきまして申し合わせ事項も行ない、逐年連絡協調いたしまして、割合に円滑に話し合いはつけてきておるようでありますが、大局論としては、もっと統一的に行なわれることが好ましいことである、私はさように考えております。  きて、これを実際の上にどうするかということはまた別個の問題として十分研究をしなければならないことではないか、こう思っております。
  53. 田村元

    田村分科員 林野庁長官おられますか。どういうふうにお考えになりますか、この問題に関して……。
  54. 吉村清英

    ○吉村政府委員 先ほど来建設省の側の方で御説明がございましたように、私どもの方の治山事業は山地の荒廃の復旧、防止、その上に立ちまして森林の造成、ひいては経済林の造成にまで持っていくということが目的でございまして、その砂防事業とは若干そこに目的とするところが違いがあるのではないかと思うのでございます。で、私どもといたしましては、この治山事業は少なくとも林業を離れて実施をするということは、適当でないというふうに考えておる次第でございます。
  55. 田村元

    田村分科員 林野庁長官、それは私はおかしいと思うのですよ。昭和三年の閣議決定によっても、森林造成を主とする工事は農林省の主管とし、なお渓流工事といえども右工事と同時に施行する必要ある場合においては農林省の所管とするという文句がうたわれておる以上、全然別個にするのはおかしいという考え方ではなくて、たまたま同時に行なうということが、ここにうたわれておるわけなんですね。それから山腹工事の保護または維持を必要とする個所における渓流工事は、農林省において施行することということがうたわれておるわけですね。ですからそういうふうに考えますと、当時の、これは官庁争いの、両省の争いの上においてもここまで妥協しておるのだから、当然統一して総合的にやるべき点はやるんだということは、可能の範囲内において私はそれは好ましいことだと思うのですよ。  そこで、私は大臣に特にこの際勧告をいたしたいことは、農林大臣の河野さんと中村大臣はともに人も知る非常な親友の間柄でもあり、また両大臣ともに現在の政界では最長老に属する方方でございまするので、いわゆる実力大臣なのであります。でありますから、一つ河野農林大臣、中村建設大臣のその在任中に、この話を、結論を得ることができるかどうかはとにかくとして、話の糸口を見出しておいていただきたいということをお願いいたしたいと思います。  それから次は当初十カ年計画が策定せられたときと今日では、相当な物価の開きがあると思う。値上がりしております。  そこでいろいろこの物価問題について伺いたいのですが、もう時間もございませんので、あとの方がお待ちと思いますから私は簡単に申し上げますが、十カ年計画策定時において事業費を決定した際に、事業量の思惑というものは当然あったと思いますが、どうでございますか。数字をお示しいただかなくてもけっこうでございます。河川局長からお答えを願います。
  56. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 この十カ年計画の正式な文書にはございませんが、中に事業量はやはりあるものと見ております。
  57. 田村元

    田村分科員 しからば、物価値上がりでその思惑が狂ったと思いますが、どうですか。
  58. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 十カ年計画は三十五年度からスタートしたものでございますが、三十五年度と三十六年度の物価を見て参りますと、三十六年度が上がっております。しかし十カ年完了するまでにどういうふうになるかという検討は将来の問題でございまして、その辺はどうなるかわかりませんが、現在は上がっている、こういうことでございます。
  59. 田村元

    田村分科員 将来値下がりでもすれば話は別で、バランスもとれるでしょうけれども、少なくとも現在の状態では思惑が狂っておりますね、事業量は……。少なくともそういうことは言えると思うのです。それならば策定当時に物価の値上がりを予見しましたか。
  60. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 策定当時もやはり今後物価の変動はあるというふうには考えていたわけでございます。従って、この十カ年計画の閣議決定の文書の中にも、治水事業前期五カ年計画として総額三千六百五十億円に相当ずる事業実施する、こういうような内容になっているわけでございます。
  61. 田村元

    田村分科員 最後に、私は今までの質疑応答で感じたことを申し上げたい。それは長期十カ年計画をお立てになった当時には、相当な抱負を持ってお立てになったと思う。また私ははっきり申すならば、もっと膨大な計画を立てておって、それを大蔵省で削られたと私は思っておるのです。そこで自分たちの、つまり河川局長なら河川局長の思惑を相当下回った長期計画に、いわば大蔵省で値切られたわけですね。これは当然値切られたと思うのです。私は政務次官をしているときに、道路整備計画でずいずん値切られたのだから。そこでこれは一体、今聞いてみると、もうすでにわずか三十五、六の二年でもうこれだけ物価の値上がりで単価も相当狂ってきておる。事業費のみは変わらないかもしれぬが、事実これによって事業量は相当大幅に減ってきておる。しかも私が三十五年度、六年度、七年度の予算書を拝見してみても、あなた方は五カ年計画のワク内で何とかしなければならぬものだから、繰り上げ施行と称してごまかしばかりやっておるのですよ。私は自分でそういうことを言うと無責任かもしらぬが、私は政務次官のときに繰り上げ施行でごまかしをやった一人だから一番詳しい。よろしいか。そこで繰り上げ施行ばかりでごまかしてきておるのが今日までの状況なんだから、この際五カ年計画を改善したらどうです。大臣、私はこの治水十カ年計画というものを今再改善する時期がもう来ておると思うのですよ。残事業というものをあと二年で終わって、三十七年度だけの予算に達しますか。残事業は三十七年度の倍額ないのですよ。そうしますと、三十八年度、九年度はけっこう三十七年度より治水予算が下回るのですよ。こういうことで、一体長期計画のオーソリティはどこにあるかと私は言いたいわけなんです。でありますから、それは当然是正を、是正というよりも根本的に変えて、しかも海岸保全も入れて、海岸高潮も入れて、もっと合理的な総合的な治水計画を打ち立てて、国民の生命の安全と民生の安定をはからなければ、人心の安定をはからなければいけないと私は思う。でありますから、私はここに来年度予算審議にあたりまして、近い将来において、少なくとも三十八年度予算要求は新しい治水計画予算を要求されることを望みたいと思いますが、これに対して建設大臣、しかして宮崎主計官、一つ御両人の御見解を承りたいと思います。
  62. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知の通り年々巨額の災害をこうむりますわが国の現状にかんがみまして、この災害を防止する基本である治水事業に先行投資をするということは、財政の事情の許す限りにおいては少しも惜しくない投資であると私は思うのであります。かような意味におきまして、治水事業には国全体として大いに力を注ぐべきである、この観点に立ちまして、現在の五カ年計画を普通の年度の割で進行いたしましたのでは、まことに災害防止の上から十分と考えられませんので、三十七年度予算編成にあたりましても、財政当局と協議をいたしまして、御承知の通りいゆわる繰り上げ施行と申しますか、先食いといいますかに努めまして、結局落ち着きましたところは、三十七年度の事業費は八百十七億ということになりました。従いまして、残る二年間を残事業量を均分いたしますと、七百七十何億かになるようなわけでございますから、残る二年の数字だけを数字的に金額を消化したのでは、三十七年度事業よりも下回るということになります。従いまして、国の財政事情、経済情勢というものが許す限りにおいては、来年度からの治水事業というものはもう立てかえをすべき時期に来ておると私は思うのです。ただし国の財政事情、経済事情等によりましては、もう一年先食いをするということもあるかもしれませんが、とにかく数字的に考えてみまして、三十七年度の事業量よりも計画通りにいけば減っていくという姿はあり得ないことでございますから、本質的にも改定の必要に迫られておる段階に来ておる、私はかように考えておりますので、この方向に向かいまして今後微力を尽くしてみたい、こう思っております。
  63. 田村元

    田村分科員 今私は宮崎君に御答弁を求めたのでありますが、今よく考えてみると、宮崎君は大蔵省で責任のある立場にあるわけじゃないので、宮崎君から事務的に結論じみた答えを今しゃべってもらっちゃ私も困るし、あなたもお困りだろうと思う。事は重大な問題なんだ。宮崎君は主計官の中では大主計官で私は非常に尊敬しておりますが、宮崎君にきょう来てもらったので幾らか私はよかったと思うんですけれども、私がきょう御質問申し上げたのは、いわゆる個所づけとか小さな問題じゃなく、いわば大きな国の問題なんです。いわゆるオーソドックスといいますか、大きな問題なんです。こういう問題を質問するときに、大蔵省が宮崎君にすべてを一任してだれも来ないということはいささか予算委員会をばかにするものではなかろうかと私は思うんです。よろしいか。そこで宮崎君を苦しめる結果になっちゃまことにお気の毒でありますので、きょうは答弁を求めませんから、どうか一つお帰りになられてきょうの模様を十分御報告願いたい。それから大臣並びに宮崎君に申し上げておきますが、大臣のお気持も大体わかりましたし、また私たちの考え方もございますから、政府与党として私ども自由民主党の建設部会において、長期計画の治水十カ年計画の改正案というものをあるいは作るかもしれませんから、場合によったら建設省に押しつけるかもしれませんから、その点はお含みおきを願いたいし、大蔵省、今から十分ふんどしを締めてわれわれに対処する方法を研究しておきなさい。何としてもこれは押しつけてしまうから……。もうこれは妥協の余地はないと私は心得ておるから、その点十分心得ておきなさい。  以上をもって私は質問を終わります。
  64. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 兒玉末男君。
  65. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は、主として現在非常に問題となっております東京大阪を中心とする大都市の交通緩和対策について、特に建設省の所管する事項が大へん多いようでございます。実は昨日、社会党の交通緩和対策の特別委員会の一人として、第一、第二京浜国道、最も交通の多いといわれております蒲田駅の踏み切り、それから甲州街道等の特に白ナンバーの砂利トラが非常に交通難に拍手をかけている、こういう地点をつぶさに視察をいたしました。そういう結果も含めて御質問をいたしたいと思います。特に最近の交通量増加は、現在のバスあるいはトラック、一般自動車等の生産量にもそれが明らかに示されておりますけれども、昭和三十四年に二十九万台あったのが、昭和三十六年の一月から十二月までのこれらの車両の生産量は、実に三倍に近い八十一万四千台という驚異的な数字を示しておるわけでありまして、こういうふうなことが明らかに今日の驚異的な交通の増加の大きな原因となっておるわけであります。そこで、一月十二日の閣議におきまして問題となりました交通緩和についての閣僚懇談会においても、指摘をされたそうでありますが、特に首都圏整備に伴うところの官公庁の郊外移転の問題を含めて、官庁建物の高層化あるいは駐車場の設置など、この都市の立体化ということについて、特に計画局並びに都市局としてはどういうふうな具体的な構想を持っておられるのか、この点についてお伺いしたいと存じます。
  66. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 最近自動車が非常にふえてきまして、都市内の交通が各所におきまして麻痺寸前の状態にあることはお説の通りでございます。これに対しまして、われわれは、まず道路の拡幅整備ということに重点を置きまして、現在必要な都市計画事業推進をはかっておりますが、特にただいま御指摘のございましたように、都市のあり方、これを立体化いたしまして、最も合理的にあらゆる施設が整備されまして交通も円滑に処理できるということが一つ考えられますので、特定の都心部あるいは特に交通の混雑する場所につきましては、その場所を再開発するという考え方をもちまして、民間の権威者を集めまして、将来の人口の密集する大都市のあり方をどうするかということを検討いたしたいと思いまして、近くそういった方々の御参集を願いまして根本的な都市開発構想を練りたいと思います。
  67. 兒玉末男

    兒玉分科員 都市局長もよく御存じだと思うのですが、最近の都内における交通事故のひんぱんな状況から判断しても、今局長の考えているようなやり方はきわめて消極的ではないか、もう少し積極的な、そして強力な立場で指導性を持ってこのような都市計画に当たるべきではないか、このように考えるわけですが、この点については一つ最高の責任者である大臣の御見解を伺いたいと思います。
  68. 中村梅吉

    中村国務大臣 急激に自動車が増加の一途をたどりまして、各都市ともと申し上げてよろしいかと思うのでありますが、特に東京大阪等の大都市においては非常に輻湊を来たして、この解決策を講じなければならない急に迫られておるわけでございます。これにつきましては、われわれの考えとしては、応急的な対策と恒久的な対策と、両面進めていくべきである。応急的な方法としまして、まず道路の高度利用を考えるとか、あるいは駐車場整備等をいたしまして、路上駐車をできるだけ排除して道路を十分に道路として利用できるように解決をしていくとか、その他事故防止のためにはガードレールの問題もございますし、立体化の問題もございまして、これらにつきましては着々と具体的に個所ごとの研究をいたしまして進めておるような次第でございます。しかし、こういう応急対策だけでは何といいましても道路面積の少ない日本の現状を解決することはできませんので、もつと根本的な方策を講ずる必要があることは当然でございます。従いまして、根本的な方法としましては、道路整備も必要でございますし、また同時に、平面道路をたくさん作ればよろしいのでありますが、それにつきましては立ち退き、買収等を受けて非常に困難をする方々も伴うわけでございますから、これのみに頼ることもできません。従って、これを排除する根本策の一つとしては、高速道路を発達させる、そうしてできるだけ長距離の運行をするものは高速道路によって消化し、できるだけ平面道路は地回りの自動車の用に供する、こういう仕分けをすることも必要であろうと思います。  なお、さらに根本的なことを考えますと、今都市局長から申し上げましたように、われわれとしましては、既成市街地の再開発ということに力を注ぐべきである。しかし、これはわれわれ役所のものが検討しただけでなしに、近来都市問題について非常に見識の高い学者の方々もたくさん出ておりますし、権威者もおりますので、この方々に御集合願いまして、そして制度的と申しますよりは、こちらの建設省にいろいろお知恵を拝借し、御協力いただく、あるいは御批判をいただく機関として、既成市街地の再開発に関する懇談会のようなものを設けまして、ここで十分に濾過して、根本的な既成市街地における再開発をはかる必要がある。これは建物との関係もあり、道路の関係もありますし、あるいは土地利用との関係もありますし、いろいろ関連するところがたくさんございますので、そういったような方法を講じまし工、根本策についても怠りなくやっていきたい、こう思っておるようなわけでございます。
  69. 兒玉末男

    兒玉分科員 今大臣の答弁の中で、高速道路整備ということを言われておりますが、現在首都高速道路公団の下で作業を進めております高速道路の進捗状況、また特に交通量の多い羽田から都心への第二京浜国道を経由しての交通量というものは、相当の数に上がっていることが昨日の調査でわかっておりますが、この羽田と都心の間の高速道路を含めて現在の進捗状況と今後の完成見通し、この二点について詳細なる御報告を願いたいと思います。
  70. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在高速道路は、高速道路公団において事業実施しておりますが、全体計画につきましては、昭和四十年までに完成する計画で現在仕事を進めております。そのうち特に都内の交通にも貢献し、かつ昭和三十九年に開始される予定のオリンピックに関連して緊急整備するいわゆる首都高速道路一号線及び四号線については、特に重点を置いて、その時期までにはぜひとも完成したいと思って工事の進捗をはかっております。現在までのところ、用地問題に相当難儀を来たしましたので、外見上は少しおくれているように見えますけれども、おかげさまでだいぶ話が進捗して参りまして、予定通りに仕事が進められるものと考えております。  数字で申し上げますと、一番重点を置く一号線、羽田の飛行場から都心部に入る予定でございますが、昭和三十九年までに完成予定しまして、約三四%程度の進捗を期待しております。また四号線については、二六・四%ということで、ぜひとも予定通りの完成をしたいと思いまして、現在公団及び東京都にもお願いしまして、補償問題の解決に努力しているわけでございます。
  71. 兒玉末男

    兒玉分科員 大体主要な高速道路である一号線、四号線が完成を見れば、現在都内を走っている自動車の交通量に対して何割程度の吸収ができるのか、これによってどの程度の緩和ができるのか、もしわかっていたら、その大体のパーセンテージをお聞かせ願いたい。
  72. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 都内の自動車が相当多うございますし、ことに横浜方面から東京に入る車が相当数がございますので、その何割がこちらにくるかはちょっと申し上げられません。高速道路の能力としましては、現在の四車線の計画でございますので、普通に走って一日六万台、特に自動車の相当多い場合には、個所によっては十万台前後の消化能力があるかと考えております。
  73. 兒玉末男

    兒玉分科員 先ほど都市局長の説明の中にもありましたが、特にこの高速道路の進捗の最大の隘路は、何といっても用地問題ではないかと思います。これは資料によると、行政管理庁の監査結果によって、東京都内に二十三区の国有の未利用地があるということが指摘されているようです。その面積は五十八万平方メートル、坪数で大体十七万五千坪という広大な地域でありますが、これはやはりそれぞれ大蔵省を中心とする所管が違う関係で、建設省としてもこれを画一的に処理することは困難であるとしても、今日この重大な交通量の激増に対しては、やはり強力な行政的措置が必要ではないかと考えるわけであります。そういう点から考えますれば、特にこの五十八万平方メートル、そのうちまだ全然その利用計画が立っていないのが、北区にある元の陸軍補給廠を初めとする四十三万平方メートル、こういうような点から考えますれば、今都市局長が説明しましたように、特に道路拡張なり、高速道路の早期完成または駐車場なり、またこの高速道路を通すことによっての民有地の換地の問題、こういうこと等は十分考えてしかるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、このような四十三平方メートルという広大な国有地の未利用地について、いま少しく私は具体的な計画が早急に立てられるべきじゃなかったかと思うのでありますが、この天利用地に対する都市局、計画局等の今後の計画、また大臣のこの未利用地に対する——これは各省の所管が違いますけれども、そういうきわめて緊急度の高い交通緩和策について、どういうような見解をお持ちかお伺いしたいと思います。
  74. 中村梅吉

    中村国務大臣 国有地の問題につきましては、行政管理庁に一応の調査をしていただき、各省庁にも利用状況の照会等を発しまして、具体的に最近調査をいたしておるわけでございますが、御指摘の通りわれわれとしましては、公共事業の換地に利用できるものについては努めて利用さしていただきたいという観点に立ちまして、大蔵省とも話し合いを始めております。大蔵省も、本質的には、観念的には協力的なお気持で接していただいておりますが、具体的にどの場所をどう使うか、どうするかということになりますと、なかなかむずかしい問題がありますのと、目下われわれ事務当局におきまして、そういう換地に利用できる国有地が一体どのくらいあるかということをしぼってみますと、場所が離れていたり、あるいは換地に適さなかったりいたしまして、完全に換地に利用できるというようなところは四十数万平米ありましても、よほど少ないように承知をいたしております。しかし、こういうことは非常に公共事業推進する上において効果的なことでございますから、急速にしぼりをかけまして効果のあるような活用の道を講じていく考えで、目下せっかくいろいろな作業を進めておるような段階でございます。
  75. 兒玉末男

    兒玉分科員 都市局長としてはどういう見解ですか。
  76. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 大臣の御答弁と同じでございますが、われわれも行政管理庁から連絡ございました十七万四千坪余りの国有地につきまして、直ちに必要な駐車場予定地としてどの程度利用できるかということを具体的個所について目下当たっております。ただいま大臣からお話がございましたように、国有地がありましても、特に緊急を要する道路にすぐ使うとか、あるいは駐車場として適当な場所があるかという点について当たってみますと、なかなかちょうどいい国有地もございませんし、あるいはそういうところはまた別の方面からも利用したいという強い要望がありますので、目下関係方面とも具体的な場所について、その利用の仕方、時期等につきまして折衝している段階でございます。
  77. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは昨日の調査の結果わかったのですが、大森署の署長の見解をただしたわけでございますけれども、現在第二京浜国道の一日の通過両数が十六万七千両だそうでございます。そこで特に大森の六丁目を中心とする地域が幅員が十四・六メートルで最もこの第一京浜国道では狭いところになっているそうです。そこで非常に事故も多いし、ここがネックとなって、横浜方面への流れが非常に詰まっているということで、ここの幅員を拡張しない限りは、この状態は絶対に緩和できないということを説明されたわけであります。そこで、私がそれでは道路拡張の計画はないのかということを聞きましたところが、すでに都市計画としてこの国道は五十メートルの幅員にする、それから羽田方面は四十メートルに拡張するという計画はすでになされておるけれども、いつこれが拡張されるか、これは全然見通しが立たない、こういうような説明がなされたわけでありますけれども、この幅員を拡張することが最も手っ取り早い交通緩和の手段ではないかと思うわけですが、このことはいつ計画をされ、また建設省の関係当局としては、大体いつまでにこれを拡張しようとするのか、その具体的な内容について一つ御答弁願いたいと思います。
  78. 河北正治

    ○河北政府委員 第一京浜は一級国道十五号線でございますが、今御指摘のように計画決定としては五十メートルないし四十メートルと出されております。今御指摘のように具体的にこの五カ年計画でどうしようというものを、まだそこまで計画は進んでおりません。しかし、東京都内の交通麻痺状態は御承知の通りでありますので、これに対処するために五カ年計画である程度の準備をいたしておりますが、今直ちにどこをどのくらいやるというだけのコンパクトな計画になっておりません。
  79. 兒玉末男

    兒玉分科員 どうも道路局長の説明を聞いておりますと、このような重大な、しかも一番ネックとなっておる第一京浜国道の大森付近のこういうところこそ最も重点的に着手すべきじゃないか。これは特に道路整備五カ年計画においては、国、地方を通じて二兆一千億という膨大な投資をやって、五カ年間で一級国道は全部ほとんど舗装改良を終わるということが、昨年の五カ年計画説明の際にも明らかにされておるわけであります。にもかかわらず、最も重要なこの区間についていまだ具体的な見通しすら立ってないということは、きわめて無責任な答弁ではないか、こういうように考えるわけでありますが、担当の局長と特に大臣からもう少し誠意ある御答弁を願いたいと思うわけであります。
  80. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘の通り第二京浜につきましても都市計画決定はされておるのでございますが、御承知の通り東京都内には都市計画決定をされた路線及び拡幅すべく決定のされたところはたくさんありますが、この道路の拡幅ということは、すでに密集した地域におきましては、その沿道の住民に及ぼす影響も甚大でございます。同時に非常な犠牲を払うことになりますので、私どもとしましては、まず第一に海岸を通ります高速道路一号線の完成を急ぎまして、これにできるだけの交通量を吸収いたしたい。この高速道路一号線は、御承知の通り現在のところは下谷方面から羽田に通ずる一貫した路線でございますが、羽田までの分が漁業補償の関係が大体大詰めにきて今片づきかかっておるところでございますが、まだ解決を終わっていないわけであります。解決をして羽田まで通じましたら、さらに羽田から延長させまして川崎市を通りまして横浜に通ずる高速道路にいたしたいということで、五カ年計画ではこの分も五十億円でありましたか保留分を見込んでおるのでございます。これらの完成をいたしまして、第二京浜の通行量をできるだけ大量に高速道路に吸収するということの方がまず急ぐべき案件であろう。かように考えまして、この方の作業を急いでおるようなわけでございます。これと並行して第一京浜の拡幅をすることは、今申し上げますように沿道住民に及ぼす影響も非常に甚大でございますので、十分考慮していかなければならない。こういうように考えておるわけで、さらに外側には第三京浜の計画がありまして、すでに日本道路公団で着手をいたしておりますから、西の方にさらに第三京浜ができる、こういうふうに何本かにいたしまして交通量を消化するという計画があります以上は、犠牲の大きい拡幅を先にするよりは、そういった整備をまず先に急いで消化の道を考えることが先決問題であるというように実は考えまして、五カ年計画には第一京浜の拡幅計画というものは織り込まれていない。二兆一千億と申しましても全国的に張りめぐらされております一級国道の第一次改良完成して、そして舗装を終わる。また全国の地域格差の是正との関係もございますから、一カ所に大金を投入するということも二兆一千億ではなかなかまかないかねますので、さような結果現在のような状況に相なっておるわけでございます。
  81. 兒玉末男

    兒玉分科員 羽田から都心を結ぶこの高速道路が漁業関係の補償で行き詰まっておるということを今大臣が言われましたが、それでは、この問題については大体いつごろをめどに解決できるのか、この点について一つお聞かせ願いたいと思います。
  82. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは漁業補償がだんだんと話が進んで参りまして、すでに補償額等は——協定はまだ終わりませんが、基礎的なボーリング等をいたして地質調査をすることは組合の了解を得まして、この作業を行なって最近完了いたしました。漁業補償のことは、道路を作るだけの埋め立てでありませんで、東京都の港湾整備の埋立地もあわせてやる関係上、もっぱら東京都が漁業補償の取りまとめ役を担当しましてやっております。目標としましては、近いうちにこの漁業補償を解決いたしまして、オリンピック開催までには高速道路一号線の工事を完了するという予定にいたしております。従いまして、漁業補償の関係のないところはもう八、九分通りでき上がりまして、近く供用のできるまでに実は運んでおるようなわけでございます。
  83. 兒玉末男

    兒玉分科員 重ねてお聞きしたいのですが、この一番ネックとなっている大森六丁目付近の第一京浜国道の幅員の拡張が、当初からこの計画に入れてなかったという答弁を今なされたわけでありますが、大森署の署長の説明によりますと、これは拡張する計画があった、ただその見通しについていつのことかわからないということでありまして、そこに若干の食い違いがあるように私は思いますが、その点はどうでございますか。
  84. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在、東京都におきましては、道路計画といたしまして特に戦後大改定をいたしましたが、相当大規模に上る計画がございます。しかし、これを具体的に工事をして道路に作っていきますのには、最も緊要を要するところから逐次実施をしていっておりますので、ただいまのところにつきましても、五十メートルあるいは四十メートルの計画はございますけれども、工事実施につきましては、緊要性あるいはその他の問題とも関連いたしまして、具体的にきまってないという段階かと思います。東京都には、その他単にこの国道だけではなくて、都内全般におきましても相当大幅な計画がございますが、残念ながら現在の国の予算あるいは都の予算におきましても、ざっと申しまして約半分ぐらいの計画しか進んでおりませんので、今後相当大幅に資金を投入しまして、計画通りの工事実施したいと考えておるわけでございます。
  85. 兒玉末男

    兒玉分科員 予算の関係ということを盛んに言われますが、それではこの地区を五十メートル並びに四十メートルに拡張することによって、立ちのきその他の補償費を含めて一体どの程度の予算を必要とするのか、今まで調査なり検討したことがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  86. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま御指摘の具体的な個所につきましては申し上げられませんけれども、都の現在考えております都市計画として、全体の事業実施いたしますためには、約一兆数千億の予算が要ることになっております。これに対しまして、年間の事業費が最近相当上がりましたが、二百億あるいは三百億程度でございますので、全体を事業実施します場合には、ある程度重点的にならざるを得ないというのが現状でございます。
  87. 兒玉末男

    兒玉分科員 私は、全体のワクということでなくて、今言った大森地区のこれにどの程度かかるかということをお聞きしておるわけです。わからないなら、わからないでいいです。
  88. 河北正治

    ○河北政府委員 八ツ山から、あるいは羽田産業道路の分岐点から、延長は私ちょっと見当がつきませんが、大体あの辺へ参りますと、キロ当たり十億から十五億くらいの予算がかかるんじゃないかと思います。
  89. 兒玉末男

    兒玉分科員 どうも誠意ある答弁が承れないで非常に遺憾でありますが、この点もう少し再検討してもらいたいと思うのです。  次に、立体交差の関係でございますが、私たちは具体的に状況を見て実は驚いたわけでございますけれども、蒲田駅の大踏切というのは、実情を申し上げますと、一日の通行両数が大体七千八百両、そして午前七時から一番ラッシュの午前九時までは、二時間の間に踏切の遮断機が開いている時間はわずかに八分三十秒しかない。だから一回の開く時間は、最低の場合は十五秒しか開くことができない。昨年の十月一日のダイヤ改正から、この東海道、特に蒲田付近を通っておる電車、汽車等の回数は、一日に一千二十一回だそうであります。こういうように自動車、鉄道ともに最高度の密度で運転がなされておるわけでありますが、こういう点から考えますならば、今日非常にスピードアップを必要とする時代において、このようなネックがあることが都市の交通難により一そう拍車を加えておるということを、きのう現地調査をしてこの点をつぶさに見て、私は感じたわけでありますけれども、この蒲田地区の踏切対策について、あるいはまた全体的な立体交差の政策については、昨年の第三十八通常国会におきまして踏切道改良促進法というのが出されまして、建設省と運輸省の両方の関係におきまして、最も今札つきといわれておる全国千二百カ所の立体交差を、向こう五カ年間で早急に整備するということも決定されておるわけでありますけれども、さしあたりとの東京都内の重要な個所における立体交差の作業状況、それからすぐ隣の六郷土手の踏切もきのう見に行ったのでありますが、地区の国鉄の方の説明あるいはまた警察の担当者の説明によりますと、地下道を通すか、あるいは跨線橋をかけて自動車以外のものは全部こういうふうに緩和するという方針がきまっておるそうでありますけれども、これもいつできるのかさっぱり見通しが立たない状況ですと、こういうような説明を受けておるわけでありますが、全国的な踏切道の改善策を含めて、特に緊急を要する都内のこのような重点地区における踏切道の対策についてどういうふうな計画を持っているのか、お答え願いたいと思います。
  90. 中村梅吉

    中村国務大臣 踏切の除却につきましては、先年法律ができまして、目下運輸省との間に鉄道の輸送力あるいは踏切道の状態等勘案いたしまして、重要個所の指定場所を検討して、大体しぼりつつある段階でございます。  なお、あの周辺につきましては、先ほど京浜第一国道のお話もございましたが、御承知の通り、環状七号及びその外に環状八号の計画がございまして、環状八号も相当規模予算を投入しまして、現在羽田空港においでいただきますと、空港入口の点はもうやや完成をして参りました。その外側に向かいまして環状八号を整備する予定で、これらはいずれも京浜の国鉄との立体交差をいたしておりますから、これらによっても第一京浜の交通量というものを横にさばく工夫をして、その実施を実は急いでおるわけでございます。  第一京浜につきまして具体的な検討が進められていないということのおしかりをいただきまして、この点はまことに遺憾に存じますが、先ほども申し上げましたように、第一京浜の拡幅の都市計画はございますが、決定通りもし実施いたすといたしますと、沿道の櫛比した商店街の住民に及ぼす影響が甚大であると思いますので、先ほど申し上げた高速道路一号線とあわせて、また別に京浜間の自動車を、他の方面に向かう自動車はそこを通らぬで済むように、環状七号、環状八号の整備を急いでおる、こういう状態でございます。これらの新設をいたしまする道路と重要個所は全部立体交差に初めからいたしまして、現在東京都周辺におきましては、非常に麻痺しておりまする踏切が各所にたくさんございますが、そういうことの起こらないようにやって参りたい。また現在既設の踏切で麻痺状態にありまするところは、踏切道の除却の指定の中に入れまして、この解決をはかっていく手順を今進めておる次第でございます。
  91. 兒玉末男

    兒玉分科員 あと二、三点お聞きしたいと存じます。  これは、この前運輸委員会において、参議院であったかと存じますが、そういう意見が一部出されておったようでありますけれども、特に東京都内の交通緩和対策として、今の都電ですね、路面電車を一部撤去して、地下鉄の方にそういう客を吸収していく、こういうふうな構想が交通対策として発表されたことを記憶いたしております。もちろん私は現在都電が果たしている役割はきわめて重要な地位にあると思いますし、これを軽々に論ずべきではないにいたしましても、少なくとも路面電車が一般の交通に非常に支障を来たしているということは否定できないと思うわけでありますが、この路面電車の一部撤去の関係と地下鉄網の整備、こういう関連について大臣の見解を承りたいと思います。
  92. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに路面電車が交通の阻害をしておりますることはお見受けの通りでございますが、ただこれを撤去いたしますのには、代替する交通機関として地下鉄が発達をするということが前提条件であると思います。さような角度から、近く地下鉄網をさらに整備する案を目下検討いたしておりまして、交通審議会に運輸省の方でおかけをいただいて御決定をいただき、かたがた従来からきまっておりまする予定路線につきましては、三十八年度も、営団の分にしても、東京都の実施する分にいたしましても、大幅に予算を増強いたしまして、その建設を急いでおるような次第でございます。  かたがた都電の撤去ということは、地下鉄がかなり整備をされましても、建設費の高い地下鉄とすでに償却の終わっているような姿にある都電とは、交通料金において非常な開きがございます。従いまして、現在としては都電は非常にじゃまにはなりますが、一面において安いサラリーで働いておられる大衆の一番安い乗物として、そういう意味からは非常に貴重な存在でございます。従って、地下鉄の発達とともに並行して都電の撤去をいたしまするのには、やはり国の経済力が上昇いたしまして、国民所得がふえて、その程度の地下鉄の料金を通勤用に支払うということはさしたる気にならないという、国民の所得増強というものと相並行しませんと、都電の撤去ということは全面的には踏み切れない事情にあるかと私は思うのであります。さしあたり都といたしましては、新宿−荻窪間に地下鉄ができましたので、またあそこは中央線の国電もございますので、あの線を優先的に撤去をしようという計画を持っておるようでございます。どこからか、とにかく早くサンプル的に都電の撤去を進めてもらいたいというのが、私どもの熱意でございますが、今申し上げたように、通勤用その他の安い足としての都電のあり方、それから現在の国の経済の情勢というもの、国民所得の現状というものから見ますと、じゃまになるからといってすぐに撤去するというわけにもいきかねる事情にございますので、これらを勘案して、できるだけ早く都電を交通の障害になる場所から撤去するように推進して参りたい、こう思っておる段階であります。
  93. 兒玉末男

    兒玉分科員 最後に、二点だけ要望して私の質問を終わりたいと存じますが、第一は、これもやはり昨日の調査の結果判明したのでありますけれども、特に白ナンバーの——砂利トラとよく言うそうですが、これが実に横暴をきわめているということで、これは陸運行政を担当する運輸省が直接の管轄にあるわけでありますけれども、陸運局の管轄というのは営業用の黄色いナンバーだけであって、白のナンバーに対してはそういうふうな監督権がないということで、これは多分に建設業者の関係のトラックが多いのではないか。この点について、特に交通道徳といいますか、交通モラルというものをほとんど無視した無謀な運転をやっているということが報告されているわけでありますので、特に建設関係の所管大臣である建設大臣からも、十分関係業者に自粛を要望して、交通緩和対策に協力を願うように格段の御配慮をしていただきたい。  第二の問題は、先ほど触れましたように、特に踏切道立体交差というのが、昨年できました改良促進法によっては多少工事の進行が緩慢ではないかと考えますので、特に建設省側の積極的な協力を最後に要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  94. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 島本虎三君。
  95. 島本虎三

    島本分科員 時間が四十分でございますので、私の方でも質問の要点をできるだけまとめましたから、大臣の方でもその趣旨で御答弁願いたいと思います。  ただいま私の前に質問した兒玉委員も、きのうの夕方から、都市交通の状態、ことに麻痺しているようなあの状況を心配されて、夜おそくまでいろいろと調査されてきたわけでございまして、その結果によりますと、意外にこの状態がひどいということでございます。それはるる今まで言われたことですから、おわかりの通りなんです。ことに同乗したわが党の河上委員長も、つぶさにその状態を調べた結果、これは根本的対策を樹立する時期が今なんだ、そうでないと、これはとんでもないことになってしまうのじゃないか、道路とあわせて都市計画実施は焦眉の急である、こういうようなことをはっきり言っておるわけです。私もそれを聞いて、ただいまの兒玉委員の質問と関連して、これだけは大臣に私が質問する前提条件としても、この問題は計画と金といろいろな権力もありましょう、困難な問題もあろうと思いますが、今がっしりやってもらわなければならないし、こういうようなことの困難をおそれて時期をそらしては、怠慢のそしりは当然免れない、私どもはそういうふうに思っているわけでございますが、ことにオリンピックを控えまして、この道路等の整備とともに、都市計画という点の整備は重大な問題だと思います。今の兒玉委員の質問に関連して、それにピリオドを打つ意味で、私はここで一つ聞いておきたいのですが、オリンピックに際しても、交通の点では万全でございますかどうか。東京のみではございませんが、東京その他のオリンピック開催地のこの道路並びに都市計画の状態は、それまでに完全にいく見込みでございますかどうか。あらかじめこの基本的な考え方からお伺いいたしたいと思います。
  96. 中村梅吉

    中村国務大臣 日本の道路事情が全く行き詰まった状態で、これと申しますのも、戦前戦後を通じまして、相当長期にわたって道路に対する投資が見送られて参りましたことが大きな原因となり、今日しわ寄せがきておることと思うのでありますが、はたしてオリンピック開催に万全であるかと、こうお尋ねをいただきますと、私どもも一まつの不安なきにあらずでございますが、オリンピック開催をめぐりまして、それに中心を置いた道路整備計画は御承知の通り先年立てまして、二十三路線について目下整備を進めておるわけでございます。これにつきましては、実は私就任以来、東京都がほとんど全部事業実施体でございます。あとは首都高速道路公団でございますが、一般道路につきましては東京都が道路実施主体でございまするので、何か東京都とわれわれの方との間に十分連絡を密にして、遺憾のないような進展をはかる必要がある。かような角度から、建設省及び関係機関、それと東京都との間に協議会を設けまして、しばしば協議を行ない——ただこれも協議だけでなしに、二十三路線についての実施上のスケジュールを立ててもらいまして、このスケジュール通りにやろうではないか。このスケジュールで参りますと、二十三路線完全に完成することになっております。そこでスケジュール通りはたして進行しておるやいなやということも、この協議会で検討しておるわけでございますが、最近は非常にピッチが上がりまして、御承知の通り三十六年度におきましては、事業費にいたしまして予定計画よりも約六十億円近く事業が進行いたしました。かような関係で、先般の予算補正の際にも、国の方の負担分を、約四十億前後になるのでありますが、こまかく大蔵省と協議して手を入れました結果、三十八億円を債務負担行為として追加をしていただいたようなわけでございます。三十七年度もおそらく予定よりもよけいに工事が進行すると思います。スタートしたころは用地買収で非常に行き悩みを来たしまして、さっぱり進行いたしませんでしたが、関係機関の間に協議会を設けまして、スケジュールを立てて、スケジュール通り何としても用地買収を進行きせるようにということで督励いたしました結果、最近ではこのスケジュールに大体一致した進行を見、ととろによりましてはスケジュール以上に進みまして、用地買収も近来は非常に円滑に進みつつありますので、二十三路線完成できると思います。  そこで、オリンピックの主競技場あるいはホテル等と関連をいたしましたこれらの重要路線はできるにいたしましても、その他の部分の道路が一体どうなるかということが非常に心配でございます。オリンピックに参りました方々が、ホテルから競技場、あるいは競技場と競技場との間だけを通行していただくならばいいのでありますが、東京へ来た以上は、ついでにあちらこちらにも出入りをいたすと思うのであります。かような関係を考えますと、その他の面が非常に心配になります。実は国としましても力を注いでおりますが、これは国が三分の二の補助費を負担して、三分の一を東京都が担当するわけでございます。その肝心の東京都も、この二十三路線整備に実は目下のところ追われておりまして、他の事業が非常に出おくれて、私ども、もっと東京都が他の事業についても、緊要な部分について活発に事業計画をしてもらわなければならないということで、東京都にも注文をつげておるようなわけでございますが、意のごとくに進まないというのが現状でございます。従いまして、何とかオリンピックの開催時におきましては、道路整備、一方交通あるいは右折禁止あるいは交通の流れの調整等、交通対策を十分に講じまして、オリンピック大会だけは円滑に実施のできるようにいたしたい、こう考えておるようなわけでございます。
  97. 島本虎三

    島本分科員 やはりこれはスケジュール通りにいくというのが第一だと思います。それを追って一生懸命努力されておるという点は、私どもとしてはそれを了承いたします。ただ建設省だけではなく、都道府県のいろいろな協力も必要であり、そういうような方面で特別自分らでやる仕事もあるはずですから、その方面の協調も必要だと思います。東京の状態はそれによってわかりました。これはスケジュールを追って完全に国をあげて協力しなければならない行事ですから、それは一生懸命やってもらわなければいけないと思います。しかし東京都では冬季オリンピックはできません。これは北海道の札幌でやるようになりますが、この方面の旅客並びに道路都市計画等のいろいろな計画はスケジュール通りに進んでおりますか。
  98. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は寡聞でございますが、冬季オリンピック大会は時期も違いますし、日本で開催するかどうか、私どもまだ承知いたしておらないのであります。前にローマで大会のありましたときは、冬季オリンピック大会はアメリカのスコーバレーで実施をされましたので、あるいは冬季オリンピック大会はまだ開催地及び時期等が確定していないのではないかと思うのでありますが、もし御指摘のように札幌周辺で行なわれるということになりますれば、北海道都市整備にも力を入れておりますが、それに見合った道路整備をしなければならない。ことに千歳空港から札幌に通ずる道路等は、まだ幅員も狭うございますので、十分手当をしなければならぬと思いますが、ただ北海道の場合は用地が非常に楽でございますから、問題は凍上を防ぐだけの舗装をやればよろしいわけで、もしそういうことになるとすれば、われわれとしては遺憾のないように進めていきたいと思います。
  99. 島本虎三

    島本分科員 これは当然日本でやる準備を札幌でもしておるようであります。その点、やるようになったならば、十分遺憾ないようにするという言葉で、一つ安心なんです。それにしても、大臣に一つこれだけはっきり言っておかなければならいのは、やるといたしましても、ここで昭和二十四年二月二十四日だと思いますが、告示第百四十号で、札幌市の国道二十七号線の拡幅三十六メーターときめて計画決定をしたまま、ずっと何もやらないでおる。それがこういうような状態の中で、もうすでに何をしておるんだという声が高いのです。もう向こうの交通量のひどいことは皆さんも御存じの通りなんです。おそらくは、オリンピックに関連して、当然こういうような問題については考えておかなければならないはずだと思っておるのですが、計画決定のままで事業決定にいかずに、十数年もこのままほうっておいて、しかも市の目抜きの通りで、交通のはなはだしい国道である。これはどういうわけですか。
  100. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいま御指摘の道路につきましては、お話の通り計画といたしましては三十六メートルになっておりますが、これにつきまして地元の方にこれを狭くしてもらいたいという意見もございまして、目下地元の市におきまして調整をいたしておる段階でございます。しかし一部用地につきましては市の方で買収に着手いたしておりますので、なるべく近い機会に話をつけまして、できれば計画通り実施をいたしたいと考えております。
  101. 島本虎三

    島本分科員 建設大臣からただいま提案理由の説明をいただいた国の道路整備五カ年計画の全容を見ましても、昭和三十六年以降五カ年の間に、地方公共団体の行なら単独事業を含めて、総額二兆一千億を道路整備に投資することになっておる。国だけでも直接やる仕事が一兆七千五百億という格好になっておる。こういうことを実施していき、一級国道では、この計画としては四十年までに完全にやってしまうという計画なんです。そういうような状態の中で道路の方をやっていながら、それに付随して当然行なわなければならない都市計画の部門をそれと並行してやっていかれなければ、これは仏作って魂入れずの結果になり、画龍点睛を欠く結果になるのです。昭和二十四年二月二十四日に三十六メートルの都市計画計画決定をして、そのままにしておいて、昭和三十二年の十一月四日でございましょう、あまり長くしておるものだから、あまりそうだったら利用さしてくれと、それを二十三・五メートルの拡幅で出されているでしょう。これから道路を広くしてどうにかしなければならないのに、国がこういうような政策を怠るから、怠慢であるからこそ、その間にいろいろな要求を出てくるのは当然だと思います。これは大臣はよほどがりっとやらないと、道路の方だけやりますよと言ったって、一緒にやる方の補償の面を考えて——おそらくその方面じゃないかと思うのですが、それが十分でないから、十二年も怠けておる間に次々へといろいろな計画変更が出されてくるということなんです。これはよほどこれを実施する前には肝っ玉を据えてやらないと、悔いを千載に残す。おそらくは今日の交通麻痺の状態なんかも、そのときに独断を欠いた何かの結果によるんじゃないかと思うのです。今の札幌の駅前の三十六メートルの拡幅は、これでも広いとは申されません。大阪の御堂筋を見ましても、名古屋の百メートル道路の幅員を見ましても、これでもなお足りないという状態で、千歳と約一時間ほどの距離のところにありながら、これは広げなければならない状態であるにもかかわらず、黙っておって狭めるような状態に置くということは、当局の怠慢じゃないかと思うのです。その間何をしてこういうような結果になったのか。どういう陳情が来てどういう結果になったのか。将来これはどうするのですか。はっきりしないと、大臣とんでもないことになりますよ。
  102. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいまの道路につきましては、札幌市におきましても何とか解決をしたいと考えまして、かねてから市の議会に特別委員会を設けられまして、鋭意その計画につきまして検討中でございますが、遺憾ながらまだ結論に達しておりません。われわれは、なるべく追い機会にこれらが解決いたしまして、御指摘のように都市計画に即した広い道路ができますことを念願しておりますが、地元の利害関係もありますので、目下市の議会におきまして、早く結論を出すようにただいまやっております。
  103. 島本虎三

    島本分科員 地元に利害関係の生ずるのは当然なんです。三十六メートルにしても、すでに半分は整理されて、土地はちゃんと確保されている。まだ残っておるところは、へりを削られるのはいやだから、三十六メートルにするよりも二十三メートル半にして、その間商売のために使えばそれだけもうかるし、所得倍増計画によっても当然だろうし、いろいろなことを考えて反対の声が起こるのは当然であるが、計画決定から実施決定までの間にいろいろとこれを踏み切って指導されないから、こういうような結果になるのではないか。早くやらぬと、再びこういう取り返しのつかぬことになるのが一番おそろしい。こういうことです。完全にやるならやる、やらないならやらないということでないと困る。なぜかというと、期間的にいっても、昭和二十四年二月二十四日から、このアーケード式の陳情が出たのは三十二年の十一月四日でございますから、この間は何をしていたか、こういうことになる。今いろいろなことがいわれておる。建設大臣としてはこういうような場合に権限があると私は思うのです。これを実施する場合には、計画決定から事業決定、毎年度執行の年度決定、こういうようなものも大臣がきめて、内閣の認可を得てやれるでしょう。当然やれるのです。主務大臣が決定することになっておりますから、これはやれる。やらないこともできるのです。それを何かに動かされ、何かに惑わされているから、こういうような疑いを受けるような結果になるのじゃないかと思う。どっちにでもできる権限があなたにあるのでありますから、昭和二十四年二月二十四日に出されたものを現在までに半分やってほったらかして、まだはっきりしないままにほうっておくから、こういうふうになる。こういう場合も、権限は大臣にあるんだから、しっかりとやらないと、とんでもないことになる。大臣、どういうふうに考えますか。
  104. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かにわれわれに責任のあることでございますが、北海道につきましては、北海道開発庁があり、その下部組織として開発局がございまして、開発局を通してわれわれ国の予算を組み、事業計画を立てるわけでございます。札幌の場合につきましては、札幌市が本来都市計画としてやり、計画を立てて国の補助を要請されるのが本筋だと思いますが、今聞きますと、市がやる場合もあり、あるいは市と開発庁が協議いたしまして、開発庁が引き受けてやる場合もある、また可能である、こういう話でございます。いずれにいたしましても、非常に重要な問題でございますから、われわれ現地とも十分連絡をとりまして、促進するように全力を尽したいと思います。
  105. 島本虎三

    島本分科員 促進するということでございますから、これで私はこの問題に対する追及はやめます。ただ私として遺憾に思いますのは、法律上いろいろな費用の関係や何かで、やってもいいように、もうすでになっているはずです。いわゆる何というか、実施面の困難な点は、いろいろ区画整理に伴う苦情が解決困難であるとか、土地の買収に多額の費用を要するとか、いろいろあることだと思うわけです。しかし現在はもうすでに市街地改造法が実施中でございましょう。これによってやると、この問題等も、やる意思さえあればどうでもできるのですから、これはやはりやらないといけないと思う。これによって住民に不利を与えますか。与えないですよ。これはもう余分な部屋を作ったり、土地をやったりして、そのままやってもなおかつ採算が合うように、なかなかいい法律です。この運用もできるようですから、これでできるのです。それをそのままにしておくということは、これは全く怠慢だと思います。これは、大臣も今やると言いますから、このやるという言葉を信用して、私は、この程度でこの問題だけはやめておきたいと思います。ことに住民は、この問題はいろいろ関心の的でございます。水は低きに流れるように、黙っておりますと、狭めるようにだんだんと運動をしがちでございます。国家百年の大計をこの際誤っては大へんである、こういうふろに思いますかう、この点腰を据えてやっていただきたい、私はそういうように思うわけであります。  それと同時に、もう一つ私の方であわせて質問したいと思うのです。これも同じ都市計画の問題なんです。今のは、札幌市が、おそらく冬季オリンピックのいろいろな関係等で、急いで予定して、もう準備されておるのですが、その前の口はそれでいいのです。しかしながら、札幌市のあの現在のような状態のもとで、停車場の裏口——裏口と申しますか、昇降口です。この昇降口を確保するために、当然都市計画法によるところの計画決定を、もうすでに市が行なっているわけです。そして、この計画は、もう当然これも実施するのでなければ、その面とあわせてちぐはぐになる。国鉄の方では、もう当然都市計画は進まないからやれない。市の方では、特別委員会を作って、もうすでに実施するようにこれは運動中だ。しかしながら、国鉄の方では、都市計画が進まないからやれない。お互いにこういうような状態では困ると思います。しかしながら、七割ほどがこれは見通しがついているというお話です。こういうようなこととあわせまして、この札幌市はもう北に伸びているような状態でございますので、北口の駅の施設にこれも強力に協力しなければ、あの市の体面がなさないような結果になり、道路ができても都市計画が進行しない以上、これはもうとんでもないところに欠陥を招来いたしますから、こういうような点を十分気をつけてやる必要があると思います。これはもう当然裏口の都市計画は、おそらくは道路計画の変更なりいろいろな面もからんでいるわけですから、これは計画決定がすでになされているはずなので、この面についての実施の決意の方はどういうふうになっておりますか、これを伺います。
  106. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 札幌駅の駅前の計画につきましては、ただいまお話がございましたように、計画決定はすでにされておりまして……。
  107. 島本虎三

    島本分科員 駅前ではなくて、駅のうしろです。
  108. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ええ、駅裏でございます。その広場の造成につきましては、国鉄側と、原則として費用を折半することになっております。目下その協議をいたしておりまして、今年度中にはととのいまして、事業決定ができる予定でございます。事業決定がありますれば、三十八年度からは事業実施したいと考えております。
  109. 島本虎三

    島本分科員 事業決定をすぐするということであれば、これは安心してもいいと思います。これはスケジュール通りに大臣は進めるということでありますから、皆さんの方でもスケジュール通りにやって、再びこの場所で来年同じような質問をし、あるいは道路都市計画促進をされないように、皆さんに心から決意をお願いして、私はこの問題はこれで打ち切ります。計画決定をしていると、議事録にはっきりとどめていまずし、また実施決定もするということでありますから、これをもしはっきりしていない場合は、これはとんでもないことになりますので、この点についてもあらかじめ忠告を申し上げておきたいと思います。  それで、時間もだんだん迫って参りまして申しわけありませんが、私の方でお伺いしたいという第三点は、今度はいろいろ大臣も道路の交通の面の確保で悩んでおられたようでございます。オリンピックを控えてのいろいろな対策は、それによって私どもある程度了解できる点でございます。しかしながら、ここで積雪寒冷特別地域におする道路交通の確保に必要な道路事業費及び機械費等が三十二億七千八百万円計上されておるわけでございます。この問題は、私は、大臣も御存じであろうと思うのですが、現在の内閣が高度経済成長政策に即応をした所得倍増計画を進める上においていろいろ困難な問題は、物価であり格差の是正であるとかいろいろ言われておりますが、この格差の是正の中で、どうしても現在困難に逢着しておるのは、積雪寒冷地帯等の国道その他いろいろ含めての交通の問題であるわけです。この交通の問題を完全に解決するのでなければ、百年たっても格差の是正はでき得ないのじゃないか。幸いにして積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に必要な道路事業費及び機械費等は組みました。しかしながら、現在組んで、これはどのように行なっているのか。どういうようなことに重点を置いてやるのか。現在なお国道で、第一級国道でも雪が降って通れない国道があるような現状ですが、せっかくこれを組んでも、そういうような方面に対して意を用いてやるのでなければ、これはとんでもないことになるのじゃないかと思うのです。この三十二億七千八百万円の重点施策はどこですか。
  110. 河北正治

    ○河北政府委員 積雪寒冷地帯五カ年計画重点でございますが、三十七年度におきましては、防雪工事、それから凍雪害防止工事、それから除雪機械の補助といったものは、三十六年度から引き続いて促進していきたいと思います。そのほかに、三十七年度では、特に除雪費用に対する補助を計上いたしまして、その対象としますのは、積雪寒冷地帯五カ年計画に定められた分でございますが、交通量につきましてはおおむね三百台以上の区間道路の確保が特に必要であるか、またはこの交通量三百台未満の区間でありましても、百台以上で、それが一級国道その他重要な区間である場合、または代替道路がない道路、またはバス路線で民生の安定上特に必要なもの、そういった区間についての除雪費用に対する補助を計上しております。
  111. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、一級国道にかかる事業、二級国道にかかる事業主要地方道、それから一級国道、二級国道主要地方道以外の道路にかかる事業、こういうふうに区分されて、こういろいろあげられておるように承っておるのですが、そのうちで、三十七年度除雪機械の補助その他若干今説明があったようでございますが、私が心配するのは、このような状態でやっても、おそらくは一級国道で冬季交通のできないような、そういう国道はもうないというふうに了解してもいいかどうか。二級国道においても、これは除雪や防雪、それから凍雪害の防止、こういうようなところに重点を置いてやられておるようですけれども、郵便が届かない、こういうような一級、二級国道がないように、完全にできるということなのか、この点だけはっきり言ってみて下さい。
  112. 河北正治

    ○河北政府委員 先ほど除雪事業の補助の対象を申し上げましたが、三百台以上その他重要な区間という工合に限られておりまして、三十七年度から一挙に一級国道、二級国道その他主要地方道におきまして、冬季積雪のための交通不可能区間がないということには相ならないかと考えております。
  113. 島本虎三

    島本分科員 これはもうちょっと具体的にいって、はなはだ失礼なんですが、私知っているんです。そういうふうにしてやっておっても、二級国道であっても、バスがいつとまるかもわからぬから、これは当然、郵便の行のうを郵便局まで持っていくその事業を拒否しているバス会社もあるわけです。これはいつとまるかわからぬから、そこにブルドーザーや何かを二級国道にやるということになれば、そういうような弊害がなくなるのですから、せめて郵便は完全に届くようにしますからというくらいは、はっきり言ってもいいでしょう。郵便が届かないような二級国道にブルドーザーを入れても何にもなりません。せっかくここまで計画的にやって、積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画までやって進行中なんですから、もうすでに第一年目としても、これは皆さんの方で郵便だけは届きますということをはっきり言うべきじゃないですか。まだこれは計画中で、実施しなければ、五年たたなければ、依然として二級国道に郵便は通じないということでは、ほんとうに交通行政もきびしいということになるのじゃないかと思うのです。そういうことで郵便が届かないようなところはないですか。
  114. 河北正治

    ○河北政府委員 直接のお答えにならないかと思いますが、今申し上げたような基準で除雪事業を補助対象にしていきたい、そういう工合に考えます。
  115. 島本虎三

    島本分科員 そういうような問題でやっていただくならば、それでいいでしょう。  私は具体的な問題で道路白書によっていろいろ勉強もさせてもらっておりますが、しかしながら、やはり予算を組んでも、それを一つ一つ成果を上げ——さっき大臣はいみじくもいいことを言ったのです。交通緩和のためにはどうしてもこれはスケジュールを作って、そのスケジュール通りに実施しているかどうかよく点検しておる間は、うまくいっておる、ただやれと言った場合はうまくいかなかった、こういうことです。せっかくこの積雪寒冷地帯においてこれだけやって、計画もできておるのですから、皆さんの方でそういうスケジュールを全部立てるべきじゃないですか。スケジュールを立ててやるのは労働組合だけじゃないのです。これは皆さんの方でも十分に考えて、こういうことのないようにすべきであろうと思うのです。大臣の方では、オリンピックまでにはスケジュールを立ててやるというのですが、今度は積雪寒冷地帯の方はスケジュールを立てていない、こういうようなことではほんとうに困ると思うのです。私はあえて名前をあげて言うならば、北海道の積丹半島あたりに行っている道路は、バスが全部通っていても郵便行のうの受付はしてくれない。いつとまるかわからない。ブルドーザーでちゃんとやっているかのように思っているのですが、まだ依然として二級国道であればそういうところがある。一級国道でも、支庁のあるところまでの一級国道が依然として積雪のため通れない個所が倶知安の付近にある。こういうような状態では、やはりスケジュールを作ってやらない以上、いつまでやっても白書ばかり出すようでは困るのです。白書はもういいかげんに出さなくてもいいように、スケジュール闘争を皆さんの方で展開してもらわないといけないと思うのです。こういうようなことは当然やるべきだと思いますが、いかがですか。
  116. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は除雪の基本になりますのは、御承知のように道路が舗装されるということであります。道路が舗装されますと、ブルドーザーで一挙に、交通を途絶させないように、またバスの運行等に支障がないように除雪ができますわけで、私ども北海道の事情は十分つまびらかではありませんが、旅行等をいたして考えますことは、冬季に全く交通が途絶して産業がとまってしまうというような事態にかんがみまして、できるだけ早く主要幹線道路を舗装整備して、冬季に除雪が簡単にできるような道路整備をすることが根本である。一級国道を初め二級国道あるいは産業道路等につきましても、行ってみますと、北海道などかなり道路改修は進んでおるようでありますが、改修はできても舗装のできていない区間が非常にたくさんあるように思います。かような結果、実は三十七年度の予算編成にあたりましても、北海道のこれらの舗装の促進について、十分留意するように考えながら、予算配分等をいたしましたようなわけで、道路整備除雪事業とがからみ合っておる問題であると思いますので、われわれといたしましては、そういうような道路の舗装整備ということと、除雪事業推進、これによる道路交通の確保、こういうことで今の積雪寒冷地帯特別措置法の五カ年計画で、五カ年間には重要路線はすべて交通の確保ができるようにいたしたい、こういう考え方で極力進めておるような次第でございます。
  117. 島本虎三

    島本分科員 最後に、道路というものは、大臣にこんなことを言うのはなんですが、普通道路がついておれば、これをもって道路なんだ、そうわれわれの概念では思っておりましたが、ある人いわく、ここは地球の表面にすぎない、道路である以上舗装されておらなければならない、舗装されない道路道路予定地なんだ、何にもならないところを歩いていてもしようがない、こういうように言われたのですが、やはり道路というものは舗装されたものをいうのであって、舗装されないような、砂利が敷いてあるくらいなものは道路予定地にすぎないものである、この道路予定地をもって道路々々と完成したような気分を持たれては大へんである、私はそういうふうに思います。道路とは、あくまでも舗装されたものをもって道路という、こういう考えですから、道路予定地または地球の表面は道路に含まないものである、こういうふうに考えておりますが、大臣そうでございますか。
  118. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かにアメリカ人など外国人が日本に来て、砂利の敷いてある道路を見て、これは道路予定地だと言うそうですが、その通りであろうと思います。完全な道路交通を確保するのには、少なくとも幹線道路、主要道路は舗装を完了することが非常な急務であると思いますので、そういう考え方に立ちまして現在の五カ年計画を進め、さらに将来は五カ年計画を国の財政事情に応じてさらに強化していくべき時期もくる、かように考えております。
  119. 島本虎三

    島本分科員 以上で終わります。
  120. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 午前の会議はこの程度にとどめ、本会議散会後まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後四時十五分開議
  121. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  122. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 一昨年、昨年と災害のたびごとに災害対策委員会から派遣されまして、各地の視察に参りましたが、いろいろ問題は各地でたくさんございましたけれども、非常に多くの共通した問題は、内水排除の問題でございました。だんだん河床が上がりまして、自然排水が困難になりますので、勢いどうしても人工排水にたよらなければならない。だから、その排水設備を何とか早く作ってもらいたいという要望が各地でございました。その後、委員会でも、河川局長から、内水排除の問題は河川改良事業として今後大きく取り上げていきたい、こういうふうなお話がございましたが、今度予算をちょうだいいたしましても、その何があちこちに分散しているのか、一括してどの程度の内水排除のための計画を立てておられるのか、予算書だけではわかりにくうございますので、内水排除の問題とどのように取り組んでおられるか。そしてまた、たとえば従来は標準的な排水施設で何トンぐらいの排水能力のあるものをどのくらい年々設置しておったか、本年度はそれがどういうふうに増強されておるかというふうなことを一つわかりやすく御説明願いたい。
  123. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 ただいまお活がございましたように、昨年の災害で特に排水問題が起こって参りまして、三十七年度の予算にはぜひそれを織り込むようにやって参りまして、予算も大体きまっているわけでございますが、特に別に項目はあげてないのでありまして、直轄河川改良事業あるいは中小河川、小規模河川改良事業の中から内水排除の個所をやる、こういうことになっております。それではどういう地点をやるかといいますと、まず昨年災害のあと、さっそく重要な個所は県あるいは国で調査をやっておりますが、大体調査がまとまりまして、しかも重要な個所という点について、ただいま来年度の予算の執行についていろいろ県と打ち合わせをしておりますが、その打ち合わせの重要な個所から取り上げてやって参りたい。従って、来年度総額で幾らになるかということはまだ出ておりませんが、そういう気持でただいま折衝している段階でございます。
  124. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 非常に抽象的で、御意向がはっきりしないのでありますけれども、たとえば、従来は都市排水として年々どの程度の排水設備を新規に増設していられたか。今までは、内水排水は、都市排水と同時に、一方では農業用排水にたよっていたわけです。ところが、農業用排水にたよっているだけではなかなか排水が不十分であるし、同時にまた農民側からは、今日ではもう農民の負担に耐え切れない。だから、これはやはり公共施設としてやってもらわないと困るという要望も非常に強かったものでございますから、従って、今度は新たに建設省方針として大きく内水排除の問題を打ち出す、こういうふうな御言明がすでに再三の災害対策委員会の論議の中で出ておったと思うのでございます。従って、そういうふうな意欲をどの程度持っていただけておるのか、それをわかりやすく御説明を願わないと、われわれとしましては、各地の災害状況を見て参りまして、御期待に沿うようにわれわれも努力をしたいという、各地至るところで約束をしてきておるのに、その約束が全く果たされておらないということでは、これは責任を果たされたということはできないと思います。従って、このように実質的に施策の中に生きておるということを、私どもといたしましては、はっきり認識しておきたい。そしてまた、かりに本年度災害が起こりまして、各地を見に行くようなことが、願うことではございませんが、そういうことも考えておかなければなりませんので、そういう場合には、昨年まではこの程度のことよりできていなかったが、しかしながら、今年からはこういうふうな意欲的な施策が行なわれておるし、また今後これを増強していくつもりだというふうなことが言えるように、わかりやすく御説明願いたいと思います。
  125. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 従来は内水排除の問題はあまり取り上げてございませんで、筑後川の支川の排水問題については、数年前からやっておりますが、来年度は一つ、ただいまも御指摘がございましたように、大いにやるべき個所を選定中でございまして、ここでその個所を明示できれば一番いいのでございますが、ともかく従来よりも大いにやるというつもりでやっておるわけでございます。   〔主査退席、山口(丈)主査代理着席〕 今までのやり方といたしましては、大きな川に支川が入り込む場合には、その合流点に樋門を作りまして、大河川の出水の場合には、その中小河川に入り込まないようにという措置だけでございましたが、今度からは中小河川の水を大河川にも排水をする、そういうつもりで、まことにまだ個所を明示できないのは残念でございますが、個所を選定中でございますので、御了承願いたいと思います。
  126. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 私はどこへ作るかということをお尋ねしておるのでなしに、全体的な規模としてどの程度のものを作りたいというふうな御答弁をいただきたいと思っておったのですが、御答弁いただけませんが、時間をとりますから、これはまたあらためて委員会ででもお尋ねさせていただくことにいたしまして、次へ進んで参りたいと思います。  災害基本法が制定されまして、この問題は委員会でも大臣にお尋ねをしたのでございますが、私の納得いくような御返事がいただけませんでしたので、重ねてお伺いすることになると思いますが、災害基本法は、まず第一には防災計画を立て、防災の措置を講ずるということ、その次には災害が起こった場合の応急対策であります。さらにまた災害が起こったあと復旧対策をどうするか、災害対策としてはこの三つの部門があると思うのでございますが、基本法に詳しく規定されておるのは、この応急対策の面が主になっておりまして、復旧の面についてはきわめてすらりと触れておる、こういうふうな印象が深いのでございます。そしてその九十七条をもちまして、「政府は、著しく激甚である災害が発生したときは、別に法律で定めるところにより、応急措置及び災害復旧が迅速かつ適切に行なわれるよう措置するとともに、」というふうに、「別に法律で定めるところにより」ということでもって、経費の負担の問題であるとか、あるいはまた応急措置についての政府の負担の問題であるとかいうふうな点を立法化するように書いてございます。ところが、そういうふうな立法がこの前の臨時国会のときには行なわれませんでした。  そこで、お尋ねするのですが、ここに言うところの「別に法律で定めるところにより」というのは、災害のたびごとに特例法を作る、こういう意味なのでありますか、それとも恒久立法を作る、こういうふうな意味に理解すべきでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  127. 中村梅吉

    中村国務大臣 九十七条それ自体一は、考えようによってはどちらにも読めるような表現になっておりますが、当時の考え方といたしましては、恒久的な立法措置を検討して、できればそういたしたいということをわれわれとしては強く考えておったわけでございます。ただ、予算委員会でもお答え申し上げましたように、災害にはいろいろな様相がありまして、また災害の来る場所によりましては、農林関係、その農林関係のうちでも畑作、水田あるいは果樹等いろいろな変化もございますし、比較的公共土木関係は固定した法律を作りやすいのですが、他の関係におきましてはむしろそういった災害の様相に応じて、どうせ災害が起こればそれを復旧するため、あるいは救済するための予算措置を講じなければならないわけで、この予算措置のためには臨時国会を開かなければならないということになりますから、激甚災害が起これば、予算措置の際に、その災害の様相に適する立法措置を考えた方がいいという説も一部にございまして、政府部内といたしましても、恒久的な基準をきめる段階まで統一がついておらないわけであります。私どもが担当いたしまする公共土木関係は、しばしばの激甚災害の際にすでに経験を積んでおりますから割合にやりやすいわけでございますが、そういったような関連で、まだ方針としてはさまっておりません。私どもとしては、この九十七条に明記いたしました趣旨は、なるべく恒久立法にしたいというはらがまえでおったわけでございますが、まあ、条文それ自体が見ようによってはどちらにもとれるというような格好にもなっておりますし、それからもう一つは、他の農林水産等の災害の関係等もございまして、統一的な見解に達するまでに至っておらないわけであります。
  128. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 基本法が強く国民から要望されたゆえんのものは、災害が起こるたびごとに、各地方公共団体の首脳部のものがすぐに、何をおいても陳情に出て来なければならない。だから災害の応急対策あるいは復旧対策というものを放置して、まず陳情運動に走り回らなければならない。こんなばかなことがあるかということから、基本法を作れという声が出たのでありまして、従って、その声をすなおに受け取って、九十八条には「前条に規定する法律は、できる限り激甚災害の発生のつどこれを制定することを避け、」こういうようにはっきり災害発生のつど法律を作るというようなことをやめて、国の負担というものを合理的に持っていくためには法律を別に作らなくてはならないというふうなことをはっきり規定しておって、しかもその九十九条では、九十七条に規定する法律というものは、激甚地の指定の基準であるとか、あるいは国庫の負担の基準であるとか、あるいは被災者の援護に対する方針というふうなものも明確に出さなければならないということを規定しておるわけです。前国会は応急の臨時国会のことでもございましたし、そこまでこまかい立法の作業というふうなものは、あるいは時期的に困難であったかもしれませんが、いよいよ通常国会となれば、災害基本法でこういう規定があれば、この規定に伴って、この法律の通りにやっぱりはっきりとしたところの恒久立法を出していただく。そしてまたその恒久立法によって足りない分だけは臨時立法によってやっていく、特例法でやっていく。こういうふうに、もう大体、今までさまざまなケースがございましたが、一応伊勢湾台風によってやっていくというふうなレーゲルと申しますか、いわゆる基本的な方針もきまっておる。そしてまた、この前の臨時国会におけるところの大臣の御答弁でも、すでに伊勢湾台風によってやっていくという道が開けているんだから、それでいいじゃないかというふうなことでございますけれども、しかしながら、さて実際的に災害が起こりますと、やはり特例法が設けられないことには、高率の国の負担というものが行なわれない。だからこの前の臨時国会なんかでも、何べんもめんどうなことをやったわけですね。最初に、「六月及び八月の災害」という名前で立法をやったのを、今度はまた「十月上旬」をくっつけた。これで終わりかと思っておったら、下旬にあったために、この通常国会になってからまた「下旬」までひっつけるとか、「十月」というふうに訂正するというふうな煩瑣なことをやらなければならない。そしてまた、そのような法律的な手続が済むまでは、実質的には、災害地の方にとっては、はたして適用されるかされないかわからないから、何べんも国会へ陳情にやってくる、また政府の方へも何べんも陳情に出てくるというふうなことでありまして、はたから見ておりますと、お互いに非常にむだなことをしておる。こんなむだなことを何べんもやるくらいなら、これはもうやっぱりはっきりと——すでにもう伊勢湾台風というものが基準になり、大体今後ともあの程度の規模までのものについては一応はレーゲルが敷かれておる、路線が敷かれておるのでありますから、敷かれた範囲のことは立法化して、それを恒久立法にしておくということが当然行なわれなければならないと私は思うのでございますが、政府の方では今国会にそういうふうな立法措置をお講じになる御予定が全然ないのでありますか、あるいはまた、考えておるのだが、何か険路があるのだということなら、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
  129. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、私どもとしましては、この基本法制定の際から、激甚災害に対する基本的な基準を定める法律を制定いたしまして、それに該当するような災害が起こりましたならば自動的に政府予算措置を講じなければならぬ、また予算措置のできるまでの間は自動的につなぎ資金等の融資をいたしまして、災害の復旧作業ができるようにいたしたいという考え方でスタートをしたわけでございますが、先刻も触れましたように、政府部内のそれぞれの機関におきまして検討を進めておるのでございますが、まだ一致を見ない状態でございます。従いまして、私どもとしましては、今国会に間に合うことは非常に困難かと思いますが、何とか、できればさばきのやすい公共土木関係を中心に、その他、今御指摘のありましたように、これはどうも予想しかねるとか、きばき切れないというものは残しましても、あらゆる場合を想定して、全部を法定化するということが困難である場合には、さばき得る範囲内だけでも固定した恒久立法を制定する運びにいたしたい、こういう考え方で目下進めておるような次第でございます。
  130. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 恒久立法を作っていただきませんことには、せっかく作っていただいたところの災害対策基本法というものが宣言法のようなものになってしまって、魂なき仏ということになるのではないかと思いますので、ただいまの大臣のお言葉、非常に頼もしく思いますから、ぜひそういう作業を急いでいただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。  それからその次の百一条に、地方公共団体の災害対策基金という制度を作るということになっておりますが、これはどういうことを考えておられるのか、その構想。  その次に、これは、出発は、別に法令で定めるところにより、とございますが、すでにその法令の準備をしておられますか、承りたいと思います。
  131. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 この法規の主管は自治省でありまして、直接私の担当でございませんが、立案の際に一緒に検討いたしましたので、そういう意味でお答え申し上げます。  災害対策基金の規定は、実は従来地方公共団体としましては、災害救助法に基づく災害救助の基金という規定がございまして、そういったものが設けられておったわけでございます。そのこまかい規定は省略いたしますが、かなりの公共団体について設けられております。今回のこの基本法の策定にあたりまして、やはりこういった臨時莫大な経費を要する災害に対しましては、日ごろからある程度の備えをしておくことがけっこうであるというような考えに基づきまして、地方公共団体についてこういった災害対策基金というものを作ろう、こういう考え方が出たわけでございます。具体的にこの基金をどの程度の基金として作るかという問題は自治省の方で御検討になっておられると思いますが、その関係の法律も必要かという点も現在検討中であろうと考えます。
  132. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 そうしますと、大体この趣旨は、地方公共団体の災害に対する社会保険というふうな形の構想のもののように思われますが、その大体の骨子というふうなものがございましたら、一つ資料としてちょうだいいたしたいと思うのでございます。それ以上詳しくお尋ねしていると時間をとりますので、次に進みます。  その次に私がお尋ねしたいことは、災害常襲地域、それは単によく風が吹く地方だとか、よく台風が来襲する地域、こういうふうな意味でなしに、すでにもういろいろな地理的な条件によって災害の発生を宿命づけられてし在った地域というものがございます。それは、昨年災害調査に参りましたときに、三重県の伊賀上野の盆地、あるいはまた京都府の亀岡の盆地、こういうところは、それぞれ岩倉峡あるいは保津狭というような狭窄部に締められております。下流の方は狭窄部で、それはもうどうにもならない、これは開くことはできないという条件がある。しかもその上流では、この災害を防ぐためにどんどん改修が行なわれる。改修が上流で行なわれれば行なわれるほど、結洞上流にはんらんし得ない水、しかも速度が早く流れてくる水は、どんどん狭窄部のすぐ上の部分になるところで、大きくはんらんして、従来はなかったような災害が、もう連年、しかも年に一度ならず二度、三度まで起こるというような地理的条件に、何と言いますか、そのまま作り上げられてしまった、こういうふうな地方があるわけでございます。そういうところにとりましては、これはもうすでに天災とは言えない、これは人災であり、しかもこれは政治災である、こういうふうな考え方が出て参っておるわけでございます。そこで、その当時視察に参りましたときに、伊賀上野市からもらいましたこの要望書を見ましても、この湛水地域の作物の被害、あるいはまた住宅被害については、国家補償をやってもらいたい、こういう要望が出ておりますし、また亀岡でも同じように、こうなればもう政治災だから、これは国で補償してもらわなければ、自分たちだけが困る。上流の方は災害がなくなって助かっておる。しかし自分たちの方へそのしわ寄せが全部きているのだ。だから、しわ寄せを一身に受けとめなければならないわれわれにとっては、これは補償してもらうか、補償ができないというのならば、われわれの方の災難もなくなるように、下の狭窄部の開さくをやってくれ、こういう強い要求が出ておるわけでございます。そういう立場に立っておるこの災害地に対しては、やはり何らかの補償的な措置というものを講じていく必要があるのではないか。単にそれは、あんたのところは気の毒ですと言われるだけでは、もう承知できない、こういうふうな空気になってきておるのでございます。幸い、災害対策基本法の中にも、九十九条の第三号に、「激甚(じん)災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」という項目がございます。すべての災害の被災者に対し特別の配慮をせよというのではございませんが、やはり全国的にそういうところはそう数あるとも思われません。岐阜県にも長良川の上流にございますが、全国的にやはりある程度そういうふうに宿命づけられた地域があると思いますが、そういう地域に対しては、国家補償というところまでのことは、かりに今直ちに困難であろうとも、そういう住民がある程度納得するような援護の方針というものを、何か打ち出していただかなければならないのではないかと私は思うのでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  133. 中村梅吉

    中村国務大臣 お話しのような狭窄部を下流に持ちました個所が、重要地点で数カ所ございまして、われわれも頭を痛めておるところでございますが、この解決は、どうしても下流の整備をまずやりまして、狭窄部の開さくをする。狭窄部の開さくを先にやりますと、またその下流にいわゆる人災とも言われるような災害を伴いますので、そういった順序でやる以外に今の段階ではございませんので、考え方としましては、さような考え方で極力進めておるような次第でございます。ただ、上流の河川にいたしましても、支流等はそのまま放置するわけにいかないものですから、若干それを手直しいたしますると、狭窄部を持ったその上流地帯の低地帯が冠水を起こし、水害をこうむるという状態でございます。これはどうも天然の地勢からも来る原因がありますので、直ちにこれは国家補償の対象にということは踏み切れませんし、考え切れない状態でございますが、いずれにしても、これを早く解決する努力だけは、これは国家の力で、いろいろ全体としての資金の関係もございますけれども、資金の都合のつく限り極力進めて、早く解決をして、そういった天然の地勢というものを克服をしてあげることが、これは国の責任でありますから、私どもとしましては、そういう角度に向かいまして、できるだけ早く作業を進めるように極力努力をして参りたいと思っております。
  134. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 そういう地勢的に宿命づけられた地域の人たちは、今の大臣のお言葉を聞けば、非常に喜ぶだろうと思います。しかしながら、それがお言葉だけであっては、これはなにでございまして、ぜひ今後その方針を強く貫いていただくことを特にお願いしておきたいと思うのでございます。  そこで、それではそういう地域に現実的に宿命づけられておる伊賀上野に対するところの災害防止の対策は、本年度は、あるいはまた年次的な計画と申しますか、プログラムとしては、どういうふうな方針が立っておるのか。さらにまた、亀岡を中心とした上桂川の流域に対してはどういうふうな対策が考えられておるのか、その辺のところを河川局長から御説明を願いたいと思います。
  135. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 まず最初に伊賀上野の対策でございますが、あの地域のおもな川といたしまして、長田川、拓植川、服部川、この三河川がございますが、このうち服部川と拓植川につきましては、二十八年災害で非常に激甚な災害を受けまして、河川助成事業として大体できております。この河川につきましては、先般の災害で救われたのでございます。長田川の沿線が非常な大災害をこうむった、こういう状況でございますが、現在まだ中小河川が始まったばかりでございまして、今後は中小河川を大いに進めて参りたいと思います。ただ、宿命的に、先ほど申されましたような岩倉狭でございますか、この狭窄部がある関係上、やはり徹底的にやるには、上流にダムを作るとか砂防事業を徹底的にやるとか、こういう対策が必要かと思われますが、なお流水計画も作らざるを得ないのじゃなかろうかというふうにも考えている次第でございます。そういう点はただいま極力調査をやっておりますが、調査ができ、計画ができれば、それを実行に移したいと思っております。  次は、上桂川の問題でございますが、考え方は同様でございます。ただ災害の直後、ほうっておくわけにも当然いけませんので、ただいま河川助成事業とか災害関連事業を極力やっております。なお徹底的にやるためのダム調査をやっております。これは三十五年から調査を開始いたしておりますが、その調査ができれば、なお徹底した対策がとれるのじゃないかというので、急いでそのダム調査をやっている段階でございます。
  136. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 これは私のひがめかもしれませんが、治水対策のうち、改修の部分は別といたしまして、流量調整用のダムでございますけれども、これはやはり水資源の開発というものと結びつけて、従って、どうも水利用ということの方に重点を置いて、治水部面というものが少し軽んぜられておるんじゃないか。従って、治水オンリーといったダムというものはあまり考えられない、あるいは等閑視される。そういうふうな意味においては、こういう宿命づけられたように年々やってくる、しかも年に再三水害がやってくるというふうな地点については、水利用ということよりも、治水のためだけでも、早急にダムを作ってやる、こういうふうな方針を打ち出していただかないと——経済効果がどうだとか、あるいは水利用とちょっと縁が遠いとかいうふうなことであっては、これは住民の満足は得られないと思うのでございますが、大臣はその点いかがお考えでございましょうか。
  137. 中村梅吉

    中村国務大臣 ごもっともな次第でございます。私どもとしましては、治水のためのダム、ことに上流のダムにおきましては、治水を重点に置いて万事考慮すべきものだ、こう考えております。もちろん水資源の開発利用も重要でございますが、これらは、もしあるとすれば、副産物的な考え方で臨むべきである、かような観点に立っております。
  138. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 特に今のような連年災害地に対する方針というものを、建設省の方でも今後強く打ち出していただくことをお願いいたしておきたいと思います。もう時間がないそうでございますから、それではもう一つだけ承っておきます。  今度、宅地対策の審議会をお作りになるということでございますが、きょう本会議の質問を聞いておりますと、教科書無償配布のための審議会を作るというふうなことで、そのことが結局何か隠れみののようになって、無償配布を引き延ばすとか、あるいはまた、配布をしても、それに対する責任を審議会に負わせてしまうというふうな感じがあるのではないか、こういうふうな野党からの質問でございましたが、ちょうど同じようなことを、私たちはやはりこの宅地対策審議会というものの構想の中に感じておるのです。従来から、たしか住宅問題調査会というふうな——名称はあるいは当たっておらないかもしれませんが、建設大臣の諮問機関としてあるはずでございます。もし宅地問題というものに政府の方で真剣に取り組んでいただいておるとするなれば、この審議会にもっと早く要望をしていただいて、この審議会から結論を早く出させる。それに、政府の方には優秀なお役人がたくさんおられますから、そういう人たちの衆知を集めて、宅地問題の解決に当たっていただかなければならない。  今日のようにウナギ登りに地価が上がったことについて、政府の無為無策というものに対して、非常に国民の不満が起こってきておる。そういう段階になって、今から審議会というようなことでは、われわれにとっては非常にまだるっこしく思うのでございますが、もっと端的に、思い切ったことを、大臣として私はやっていただきたいと思います。  宅地暴騰の一番大きな原因というものは、宅地が投機の対象になっておるということです。だから、今すぐに必要なくても、とにかく買っておこういうのでもって、金のある連中が買いあさっている。また、大企業の将来工場を拡張したいというようなところも、工場用地をうんと確保するということが一つ。もう一つは、やはり公共事業の伸びのために、道路その他の公共用地の問題があると思うのでございますが、これはストップというわけにはいかない。もっと促進していただかなければなりませんが、宅地が投機の対象にされるということだけは、早急にストップさせるというふうな方針を打ち出していただかなければ、宅地の高騰というものは防げないと思うのです。だから、従来とも新聞にもたびたび投書が出ており、また多くの人からもそういう意見が出ておりますが、休閑地税というものを課すべきであるというふうな説もなされておるのでございます。今までの分はやむを得ないといたしましても、経過措置を何か考えるということにいたしまして、今後は新たに宅地を購入した者は、一年か二年の一定期間以内に住宅を建てなければ、それから後は相当高率な休閑地税を課するということは当然やらなければならないことじゃないか。また、従来とも長く宅地を遊ばせておる人については、やはり二、三年の猶予期間を置いて、それから後には休閑地税を高率にかけていくというような思い切った措置を、この際政府はやらなければ、この宅地の暴騰というものは、今後ますますひどくなっていく、こういうふうに思うのでありますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  139. 中村梅吉

    中村国務大臣 私どもといたしましては、現状にかんがみまして、宅地対策については真剣に取り組んで参りたいと思うのであります。すでに建設省側の考え方といたしましては、いろいろな角度から検討が進められておるわけでございますが、今御指摘がございましたように、土地が投資の対象になる、株式のように投機的——と言い切れるかどうかはわかりませんが、とにかく投資の対象になっておる、そのために地価がつり上げられるということは間違いない事実でございます。昨年来、国際収支改善対策のようなことが行なわれますと、そういう行為が減りますので、最近では、地価が安定したというか、弱含みになっておるということから見ましても、確かに御指摘のような原因が非常に幅を占めておると考えられます。  そこで、土地がこういう投資対象にされないように、あるいは遊休土地に対して税制上どういう措置を講ずるかというようなことを具体的に進めて参りますと、たとえて申しますと、土地に対する一種の不均一課税というものが起こって参ります。不均一課税に対する税制上の理論は一体どうなるかとか、いろいろな問題が起きて参りますので、やはり審議会を設けまして、これらの問題点を学識経験者の方々に、あらゆる角度から論議していただいて、議を尽くしてやるということでありませんと、憲法上の私有財産に対する保障の問題もあろうと思いますから、世間が納得しかねるのじゃないだろうか。かような角度から、実は今回宅地制度の審議会をお願いすることにいたしまして、出発をいたしましたら、今までにしぼってあります問題点を付議いたしまして、あらゆる御討議を願って、その討議を通して濾過したものを制度化していきたい、こう実は考えて、熱意は傾けておるわけでありますが、一応の手順を踏みませんと、いろいろな問題点がございますので、解決が困難な状態であります。  従いまして、現状としては、政府の現制度下に認められております住宅金融公庫の資金を、地方公共団体等にできるだけ確保しまして、そうして利潤を伴わない合理的な宅地造成をして一般の地価を牽制する、あるいは住宅公団に同じような事業をやってもらいまして、利潤の伴わない宅地造成してこれを分譲することによりまして、一般のつり上げを牽制する、こういうようなことしかありませんので、今のところは、政府としてはそういうことをやっておりますが、御指摘のような方向にわれわれとしては大いに力を注いで熱意を傾けてやっていきたい、こう思っておるようなわけでございます。
  140. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 狭い日本のことでありますから……。
  141. 山口丈太郎

    ○山口(丈)主査代理 岡本君、時間が過ぎておりますから、簡単に願います。
  142. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 お互いに譲り合って住まなければならないのです。従って、いかに自分の土地だから、あるいはまた、いかに金を持っておるからといって、遊ばしておく土地を方々に占めて地価をつり上げている、こういうふうなことは、私は許さるべきでないと思うのです。だから、そういう面において、今後あまり長く議を経ていただいておりますと、その間にも何ぼでもウナギ登りに上がっていきますので、一つ早急な解決を御努力願いたいと思うのです。  もう一点だけ……。今度の予算を見ておりますと、市街地改造予算といたしまして四億二千五百万、それからまた防災街区の予算として二億七千万というのが出ておりまして、両方合わせて七億くらいでございます。ところが、都市改造土地区画整理予算として、本年度は三十二億六千万という膨大なものが出ておる。しかし、これが膨大というのではございません。当然こういう費用もなければならぬと思う。しかしながら、今後の住民の意識あるいはいろいろな問題を考えていきますと、少なくとも都市を再開発するのには、もう平面的な区画整理だけでは私はだめだと思うのです。これはどうしても立体的な開発をやっていかなければならない。また、立体的に都市を上へ上げて都市改造をやっていくためには、これはやはり建築費などのバランスの問題もございますから、地価が相当高いところでないと、本来なればそれほど上へ伸びられないのですね。しかしながら、地価がそう高くなくても、国民が不燃性の、しかも地震にも耐え得るような住宅に住めるように、国としては指導していかなければならないし、また公共用地を取得したり市街地改造をやっていく場合には、今後はどうしても立体的な形に伸びていく。従って、市街地改造法であるとか、あるいは防災街区の法律であるとか、こういうふうな法律によって都市改造をやっていくことを考えていただかなければならないと思うのでございますが、予算のバランスが、平面的な面にばかり三十二億五千万つけて、それで立体的にやっていこうということは、これだけ都市の立体化ということがいわれている時勢に少し逆行したものではないか。今後は都市の立体化と同時に、それは道路防災化にもなるわけでございますから、防災的な立体化ということにもっと意欲を燃やしていかなければならないのではないかと思うのでございますが、大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  143. 中村梅吉

    中村国務大臣 この点は、実際お説の通りに私ども考えますが、両案件とも、実は制度ができたばかりでございますので、予算化につきましては、私どもの理想通りに達成できませんでしたことは、まことに遺憾に存じますが、今後、せっかくこういうような制度ができて、都市の近代化についての基本的な立法ができたわけでございますから、この法律を生かしていくことについて十分努力をいたしたいと思っております。
  144. 岡本隆一

    岡本(隆)分科員 これで質問を終わります。
  145. 山口丈太郎

    ○山口(丈)主査代理 上林山榮吉君。
  146. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 政府の一部あるいは国会の一部には、公共事業に対して消極的な考え方を持った人もなきにしもあらずでありますが、今回建設省が昨年度に比べて七百五十八億、特別会計で百七億という大幅の予算を編成されたことは、私は大臣初め事務当局諸君の御苦労を多としているものの一人でありますが、しかし、これでもまだあれもやらなければならぬし、これもやらなければならぬしという問題は相当多いのでございまして、やがて七、八月になりますと、三十八年度の予算の内輪の大綱というものもきめなければならぬ段階であるかと思いますから、さらに遠慮せずにこういう方面の最善の努力をまず期待しておきたいと思います。  そういう前提に立ちながら、私は二、三の問題についてお尋ねしておきたいのでありますが、まず第一点は、首都圏整備の問題についてでございます。首都圏整備の問題は、昭和三十一年にやっとこの法律がおそまきながらできて、第一条に目的を示してあることは、もう建設省の諸君は、大臣以下全部暗記しているだろうと思います。だが、もう六年たつのでありますが、首都圏整備法による仕事はある程度緒にはついたけれども、すでに数年たってみて、その方向ではたして進んでいった方がいいのか。あるいは首都圏整備法という名でなくても、あるいは別の適当な名前をつけてもけっこうだが、根本的に方針を変えなければならぬ段階にきているかのごとく考えられる点がございます。後刻具体的に申し上げますが、この私の総括的な考え方、首都圏整備法は立法当時の目的に従ってすべての仕事をやっていけば、現在から将来を考えてみても、急カーブを切る必要はない、いわゆるその性格を変える必要はない、こういうふうにごらんになっているのか。私はもち変えるべき段階にきているのだ、こういう考え方を持っておりますが、まずその出発点のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  147. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、首都圏整備事業が始まりましてからいろいろな作業を進あて参りまして、まだ十分に効を奏しない段階でございますが、私どもの見方を率直に申しますと、ようやく軌道に乗って、レールだけは敷かれた。そこで、これから先はどういう補完的なやり方を付加していくかということにかかっているのではないかと思っております。一例をあげますと、衛星都市の指定及び建設も相当に活発に進んでおります。ただ、これが首都圏整備委員会としましては、プランを立てる機関で、実施ができませんので、その実施は、住宅公団でありますとか、指定をしました地区の市町村、地方公共団体にプランを移しまして、実行しているようなわけでございますので、率直に私の感じを申しますと、せっかく首都圏整備委員会は、首都圏整備に適するようなプランを立てて、そしてかわいい子供を生み落としましても、生んだ子供にミルクもやれなければ、おかゆもやれないという姿に置かれているような気がするのです。そこで、この指定地域に対して、これを育成して参りますための措置を何とか強化してやる必要がある。イギリスのニュー・タウンなどのでき方を見ておりますと、あれだけ数多くできましたニュー・タウン、これをここに作ろうということになりますれば、一ニュー・タウン一特殊会社を作りまして、そして政府が低利資金をその特殊会社に貸し付けて、都市計画を行ない、区画整理を行ない、道路整備し、下水、排水等の整備をして、住宅地区、商業地区、工場地区というような工合に育成をしていっておりますが、日本のはまだそういう補完的な制度ができておりませんので、せっかく作りました衛星都市も、すくすくと育たないという姿にあるのが現状ではないかと私思いますので、これらの補充的な措置を今後われわれとしては全力を尽くして進めていきたい。こうすることによって、首都圏整備の構想は具体化に入れるんだ、こう思っておるわけでございます。
  148. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 建設大臣は、東京都の御出身で、この問題については、一議員としても真剣に取り組んできた人でありますから、最初の立法当時の観念というものが多分に頭の中に入っている。そういう見地から、素直な気持で首都圏の整備というものを反省をしていない。結局計画は立てたものの、計画がいろいろな事情で進まないんだ、こういうところに結論を持っていかれるようでございます。私はそれもスピード・アップであり、それ相当の効果をもっとおさめていれば、それも一つの見方である、こういうように考えるのですが、すでに昭和三十一年に立法されて、足かけ七年、まる六年でございますか、これだけの日月をけみしながら、なおかつ今日は都市交通の麻痺という、これは私が鳩山内閣のときにやかましくこの委員会で申し上げまして、総理府に交通対策本部ができたほどであったわけでありますが、それ以来何らの進展を見ていないのは、この首都圏整備事業の進捗率にも非常に関連があるんだ、こういう考え方を持っておりますので、私は首都圏整備を反省して、もっと抜本的な、性格を変えたものにしていったらどうだ、こういう見解を持っておるわけであります。今大臣がロンドンのニュー・タウンをごらんに——直接なったのかどうかしりませんが、私もロンドンのニュー・タウンをこの八月に見て帰ってきたのでございます。それによりますと、日本の衛星都市の性格とロンドンのニュー・タウンの性格とは性格が違うんじゃないか。たとえば、首都圏整備法の二十四条によりますと、工業都市または住宅都市を作る、こう書いてありますが、住宅がないから住宅を作るというのは意味があります。意味がありますけれども、首都圏整備としての住宅都市をただ作るということは、必ずしも十分の効果は上げられない。というのは——大臣六法全書はあとで見て下さい。少なくともそういうふうに意味をなさないのですね。住宅を作ると、道路あるいは高速電車、地下鉄、みんなとの中央都市に、いわゆる東京都の中心部にみんな出てくるんですね。ただ住まうところの解決ができるだけなんだ。住宅の解決ができるだけで、交通の整備、いわゆる都市の人口の集中化を防ぐことは、大臣、できないのですよ。そこに日本の首都圏整備の性格と、ロンドンのいわゆるニュー・タウンの性格と違う点がある。だから、ロンドンのやつは、これは東京と同じに困っておるわけですが、これはもう二十万なり三十万なりの六つなりあるいは十なりやがて作るということで、今六つだけがきまっておったようでありますが、これはそれ自体が独立市になるのですよ。それ自体が一つの生産都市であり、消費都市でありというような意味で、独立した都市になる。それ自体が力を持っておるわけなんです。だから、ロンドンの中心部に勤め人あるいは工員が来て仕事をしないでもいいような計画、これがやっぱり考えていかなければならぬ東京都の衛星都市の性格である。いわゆる首都圏整備の性格というものは、そういうものを多分に取り入れていかなければ、ただ役所をちょっと移すとか、工場をちょっと移すとか、住宅がないから住宅都市をそこへ作ればいいとか、そういう考え方では、これからの都市交通の麻痺というようなもの——その他の付属した問題もたくさんありますけれども、時間の関係で省略いたしますが、そういう問題の解決ができないのではないか、こういうように考えるのであります。ことに二十七条などにも、新設の場合、増設の場合は別に法律で定めるとなっておりますが、これは何を意味しているのか、具体的にはよくわかりませんが、いずれにいたしましても、首都圏整備法のやり方、スピードがおそいから私のような批判が出るのかもわかりませんが、しかしながら、私は東京都出身の国会議員ではありませんけれども、私が調べたところでは、性格が違っておる。だから、ここに立案の性格というものを変えていく時代にきたのではございませんか。こういう点を申し上げたわけでありますが、これに対して何か御意見があれば伺いたいと思います。
  149. 中村梅吉

    中村国務大臣 これは、条文にはどういうふうに表現されているかわかりませんが、首都圏整備の衛星都市は、住宅都市を作るということは全然考えておりません。やはり工業都市を作りまして、その工場に働く人員をそこに定着させよう——定着をさせる住宅は工場団地とあわせて作らなければなりませんが、工場団地を作りましてそこに働く人間を定着させよう、こういうのが構想と私は心得ております。今までやっておりまする作業はすべてその方法で進んでおります。  そこで実は問題点があるわけで、工場団地を作り、そこに人間を定着させようという構想でございますが、団地を住宅公団等に委託しまして作って売ります場合に、最初のうちは公募をいたしまして、申し込みをした人の中から選別をいたしまして、分譲をし、工場を誘致しておったわけでございますが、私がこの地位に就任をいたしまして以来、そういう行き方では、本来の目的を達成できないじゃないか、従って、順位の基準を定めるべきである、東京の既成市街地から越してくる工場であるが第一、それと同時に、その既成市街地の方も、その跡をできるだけ公共の用途、たとえば道路の換地なり公園の用地なり、あるいは住宅公団の都心部の高層建築をする用地なり、そういうものに供出をしてくれるというものが第一順位、それから第二順位はどういうふうにするというような工合に、順位を定めまして、住宅地及び商業地域の中に日本は工場が割り込んで分散をしているものでありますから、都市が混乱をいたしますので、それらを抜きとっていくためには、そういった基準を作る必要があるということで、やかましく申しまして、最近ではそういう基準を設けました。その基準に基づいて衛星都市への工場の誘致をいたしておるわけでございます。  実際にやっておる現状を申しますと、工場団地を作り、それからそういったような基準に基づいて工場を誘致いたしますが、いずれの個所も押すな押すなの状態でございまして、工場は来るのであります。また、工場に働く人たちの住宅地は、住宅公団あるいは所在の市町村にやっていただいてできておるのでありますが、問題点は、せっかく工場がそろいうふうに来、人が来始めましても、それに伴うところの道路及び用水、排水の施設というものが整わない。一例をあげますと、私がある衛星都市を視察に行って、そこの所在市長と一緒に見学をいたしますと、鉄骨で相当の規模の工場ができております。その工場のできておる周辺の道路を見ますると、たんぼのような状態です。そこで私は、この道路を何とかしてあげられないかということを市長に言いましたら、実はしたいのです。この工場一つができ上がりますと、固定資産税が年に七千万円ずつ上がります。それだけの将来の収入を考えれば、道路整備をしていきたいけれども、市が貧弱でできません、こう言っておるわけです。こういうことは、ロンドンでやっておるニュー・タウンのように、ニュー・タウンを育成いたしまするところの特殊の機関ができて、そういうことを先行投資によって片づけてあげれば、衛星都市というものは非常に育成ができると思うのですが、こういう点がはなはだしく欠けておるというのが現状でございます。  もう一つ、反省をする必要があるではないかという先ほど強い御指摘をいただきまして、気がつきましたことは、確かに反省をしておるのでありますが、今のような首都圏整備委員会という行政委員会組織では、そういったような実施面のことができませんから、行政委員会でなしに、一種の内閣付属でもよろしいし、あるいは建設省付属機関でもよろしいし、独立したきちんとした行政機関にいたしまして、実施面も担当できるようにし、あるいは公団なり公社なりができました場合には、それらの監督もきちんとできるような機構に機構改革をする必要があるのじゃないかということを考えまして、三十七年度の予算編成の際も、そういう案を一応作りまして折衝をいたしましたが、まだ機が熟しませんで——今年度はある程度の調査費等をいただきました。従って、三十七年度中に所要の調査をできるだけすみやかに完了いたしまして、三十八年度には、今申し上げたような、そのほかにもネックがございますが、そういったネックを解決する道を講じて参りたい、こう実は熱意を傾けて考えているようなわけでございます。
  150. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 首都圏整備法の二十四条がどうあろうとも、自分は具体的にこういう方針で進めておる、こういうことでありますから、私もこれ以上この問題についてはお尋ねいたしませんが、先ほど私が申し上げたように、住宅問題の解決が直ちに交通麻痺を緩和できるとか、あるいは首都圏整備がうまくいったのであるとかいうことにはならないのであって、少なくとも一番重点を置かなければならぬところは、衛星都市の性格をいかにするかということにあるんだ。この衛星都市というものに重点を置かなければ、ほんとうの解決というものはできないと思う。だから、首都圏整備法を根本的に改めて、その目的ないし性格を改める段階にきているんじゃないかと私は思ったわけです。だから、この首都圏整備のうちの衛星都市は、今申し上げたように、単に抽象的な衛星都市ではいけないと思うのです。やはり東京都に出てこないでも済むようにしなければならぬ、都心に出てこないでも、そこの地域の市民の大部分は、そこで自活ができるようにしてやるという組織でなければ意味をなさぬということに、私は重点を置かるべきではないか、こういうように考えるのです。住宅都市を——住居都市と書いてあります。住居都市をただ作ったところで、それはまた都心に出てくるのですよ。そして夜はまた帰っていくのです。それだけ大きな産業上のマイナスも出てくるのだ、交通上の麻痺の緩和にもならぬ、こういうところに、私はやはりこの新しい方向というものを勇敢に取り入れていく、こういうお考えがほしい、こう思うわけです。大臣も、非常にスピードのおそいこと、あるいは性格の多少違ったことに対して反省をしておる。その一つの理由は、首都圏整備委員会というような組織であるから、これを行政組織にして、もっと計画もあるいは監督もあるいは資金の融通も——この言葉は言われなかったけれども、資金の融通等についても考えて、そしてそれぞれ独立した衛星都市というものを作っていこう、こういうお考えのようでありますので、私はこれは一進歩だと考えます。  そこで、私も二、三衛星都市を作るというところを見てきましたが、あなたが言われるように、それこそまばらなもので、何ら、統一ある、しっかりした、サンプルになるような、それが七分通り完成したようなものは見られない。まことに遺憾でありますが、今あなたは、衛星都市は、どこもあまりよくないが、一番よくいっているのはどこだと思いますか。これを見てくれれば、首都圏整備がこういうふうに進んでおるから参考に見てほしいというところがあるとすれば、どこだと思われますか。
  151. 中村梅吉

    中村国務大臣 一番先に衛星都市として指定をいたしました相模原が一番進んでおるのじゃないかと思うのです。これでさえ、行ってみますると、先ほども申し上げたことほうふつたるありさまでありまして、工場こそはたくさんできておりますが、まだ道路、用排水等が全く不十分で、せっかく来ていただいた工場の方々に、これじゃ相済まぬという気持で、われわれ現地を見ましても一ぱいでございます。何とか熱意を傾けて、工場が疎開をして集まってきた以上は、その人たちが十分満足できるような、ほんとうにニュー・タウンらしい工場都市にしてやらなければならぬじゃないか、こう思いまして、われわれとしては非常に心配しておるわけです。その後、指定地域はだんだんとふえて参りましたが、どこも進行過程にあるという姿が偽らざる現状であると思います。
  152. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 大臣は率直で非常に感じがいいのでありますが、その通りです。相模原、私も見に行きました。これはもうまことに、山間僻地ではないけれども、山間みたいなところに工場があちこちできておる。一番よくできているところが、大臣も告白されたように、そういう状態だから、これはもっと力を入れてやらなければならぬ点であります。  そこで相模原の問題ですが、ああいうような既設のいろいろな基礎条件がありますから、その条件がある程度満たされておれば、東京に割合に近いから、あそこに持っていこう、こういうお考えではなかったかと私は思うのです。あまり東京から離れておれば、衛星都市という意味をなさぬというお考えのもとに、そういう御計画かもしれませんが、あそこを拡張してあそこの人口を幾らくらいに持っていけると思いますか。それも一つではありますが、それよりももっと広々とした、五里や十里、二十里、計画の場所から離れていても、思い切って広いところに衛星都市を作って、道路さえよければ、交通機関さえよければいいのでありますから、そういうような構想のもとでなければ、谷間といっては失礼かもしれませんが、そういう感じのするところに押し込めてみたところでだめです。私はロンドンのニュー・タウンを見ましてそういう気がするのでありますが、土地が全然ないのならあれですけれども、私の見たところ土地はあります。そういうような意味から、そういう考えを改めていく、今やっているのは、やりかけたのですから、これは十万の都市を作るのか、二十万の都市を作られるのか知りませんが、それが済んだならば、やはり別途に二十万なりせいぜい三十万程度の衛星都市というものを作るべきだ、こう考えますがいかがでしょう。
  153. 中村梅吉

    中村国務大臣 非常に御熱心な御注意をたくさんいただきまして、心から感謝いたします。実は相模原は、考えようによりましては、京浜に近いところでございまして、衛星都市としては確かに近過ぎる感がいたします。ただ、これは戦争中の軍の用地でありました関係で、用地の取得が比較的たやすかった関係上、まっ先にこの地区を指定いたしましたわけで、その後の指定地域は太田・大泉でありますとか、水戸・勝田でありますとか、前橋・高崎でありますとか、相当距離の離れた、いわば伸び伸びしたところに衛星都市建設作業を始めておるわけでございます。  われわれの考え方といたしましては、大体一衞星都市、工業、商業人口全部合わせまして約十万くらいの都市を作りたいという考え方で進んでおるわけでございます。衛星都市を育成して参りますのには、道路交通関係あるいは鉄道の輸送関係、それともう一つは、用水、排水の関係等がございます。それぞれ立地条件が必要なわけで、それらも十分検討の上に地区の指定をいたしまして開発に進んでおるわけでございますが、何といいましても、育成機関がないということが今日の最大の欠陥だと思うのであります。  私もロンドン周辺のニュー・タウンを数カ所見学したことがあるのでありますが、行ってみますると、工場地域は工場だけ固まっておりまして、住宅地域はその周辺にあって、通勤の労務者は全部自転者で、山のように自転車が置いてある。こういうことで、聞けばわずか人口五、六万の都市でありますが、非常に計画的にうまくできております。   〔山口(丈)主査代理退席、主査着席〕 イギリスの方式を聞きますると、要するにまるっきり畑の中、山の中へ特殊会社ができまして、特殊会社が政府から六十年の年賦償還の資金を借りて、一挙に道路から下水からやるべき理想的なことを全部やってしまって、さあいらっしゃい、こういうことになるわけでございますから、日本の衛星都市建設とはよほど行き方が違っておるわけでございます。何とか私どももこれに近い方式を生み出しまして、指定をした以上は、活発な育成のできるような機構にいたしたいということを考えておるわけでございますが、いろいろな事情がございまして、理想の通りに一足飛びで進まないで非常な悩みをわれわれも感じておるわけでございます。今後とも、御注意をいただきまして、われわれとしてはできるだけ成果の上がるようにやって参りたいと思っております。
  154. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 大臣が非常に熱心に、今後の方針を御披瀝になりますので、私も期待を申し上げておきますが、衛星都市を十万にした方が適切であるか、二十万にした方が適切であるかは、その地方の事情にもよることで、これはにわかに断定できない点でありますから、御研究を願いたいと思います。  次にお尋ねをいたしたいのは、道路の問題については、政府が自分が直轄でやるものと、道路公団を通じてやるものと、二本立でやっていると思いますが、今後も二本立で道路建設を積極的にやろう、こういうお考えでございますか。
  155. 中村梅吉

    中村国務大臣 やはり道路整備は、公共事業としての事業と、一方採算をとりつつやります有料道路日本道路公団あるいは首都高速道路公団等の道路公団事業と並行していく方で、道路交通事情を解決していくのに早道ではないだろうか。日本のように非常におくれておる今日の場合におきましては、やはりいろいろな手を用いて、一本でもよけいに、たとい有料であろうとも、道路のできるように進めていくことが必要であると思っておりますので、これに対し御批判もあるかもしれませんが、われわれとしては、この方式で今後も極力進めて参りたい、こう思っております。
  156. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 これは固まった話でもないと思いますが、建設省方針は、公共事業道路計画重点を置いて、漸次道路公団事業を縮小するのではないか、それにはいろいろと批判のあることであるから、そういう方向に持っていくんではなかろうか、こういうような憶測もないではないので、大臣の基本方針をまず伺ったわけでありますが、私も大臣と同じように——かつて私は公営住宅に対して、住宅金融公庫のあるいは住宅公団、こういうものに対して、火災保険会社が融資すべきである——建設省は最初いやがっておったのですが、私の意見をいれていただきまして、そして火災保険会社から住宅資金に一部回しているはずです。今十億円くらいになっておるか、もっとになっておるのか知りませんが、そういうように何かの形で融資をしておるようであります。それと同じに、道路の問題も、これはやっぱり税金だけで道路を作らないで、税金以外の金で道路を作っていくという、この道路公団の方式は、今後ももっと積極的にやるべきではなかろうか。積極的にやるにはどうすればいいかということになりますと、資金の問題でしょう。この資金の問題を民間資金あるいはそれ以外の資金をもっと十分に持ってこれないのか、この点でございますが、これも見てみますと、民間資金借り入れが相当出ておるようであります。民間資金を百九十億円ですか、持ってきております。こういう金をもっと持ってこれないかという点であります。まずこれを聞いてからもう少しこまかく聞いてみたいのです。
  157. 中村梅吉

    中村国務大臣 日本のように道路がはなはだしく不足しております国柄としましては、有料であっても、道路整備されるということは、自動車交通の経済の上からいえば、料金を払っても経済がとれるわけでありますから、私は活発に進めるべきである、こう思います。かような角度から考えますときに、御指摘のように民間資金公団債等によってできるだけ活用したらいいではないか、まことにごもっともで、私も同感でございますが、ただ、まだ日本の経済の状態がしっかり固まっていない状態で、民間資金といえども、吸い上げて道路事業等に投資をいたしますと、それによって経済に変動を来たすという国情下にありますので、財政当局である大蔵省としましては、たとい民間資金を使うにいたしましても、それには適度の規模というものを常に考えて参りませんと、財政金融政策全体の上から適当でないということで、相当にたがをはめられておるというのが現状でございます。もっと日本の産業経済の状態が基礎固めができて参りましたら、活発に民間資金を活用して道路整備する道に進んでいくことが適当ではないだろうか、私はこう思っております。
  158. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 民間資金の百九十億の借り入れ先はどこどこですか。なおこれの金利はどのくらいですか。
  159. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 道路公団の発行いたします公募債につきましては、御承知の通り金融機関が第一義的に引き受けるわけでございます。現在のところでは大体銀行がそのまま持っておるということが多いようであります。もちろん一般の個人なり法人でも、それはこの債券を持つことができるわけでありますが、利回り等の関係もございまして、大体銀行が持っておる。現在発行いたしております公募債は七分三厘ちょっとでございます。
  160. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 銀行は主としてどこどこですか。
  161. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 これは非常に多数でございまして、主要な銀行がほとんどこれに参加いたしております。
  162. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 次に、国際開発銀行からの借り入れが八十六億円、これの借り入れの条件、それから、さらに来年度はこれを拡大できるかどうかという見通しの問題を聞いておきたいと思います。
  163. 中村梅吉

    中村国務大臣 先般四千万ドルの借り入れが完了いたしたわけでございますが、この際の開発銀行の言い分としましては、もうこれ以上は貸せないのだ、これは鉄道との比較等もございまして、これ以上は貸すわけにはいかないということを聞いておりますので、非常にこれから先の分は困難であるように承知いたしております。
  164. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 民間資金借り入れ、あるいは国際開発銀行借り入ればこれ以上はむずかしい、民間もむずかしいですが、あるいはこれがむずかしいとすれば、それ以外の資金の作り方というものをお考えになっておるかどうか、その点を伺いたい。
  165. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま申し上げましたのは、国際開発銀行の方のことでございまして、民間資金につきましては、国の経済状態の進展に伴いまして、われわれは大いに期待をし、力を注いでいきたい。ことに今国会にお願いをいたしておりまする阪神高速道路公団のごときは、幸いできました暁におきましては、近畿地区が非常に熱意を傾けておりますから、活発に地元の公団債引き受けを期待をいたしておるような次第であります。
  166. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私はさっき申し上げたように二本立で、ことに高速道路公団の仕事をもっと積極的にやるべきであるという立場に立つわけでありますが、現在まで公団有料道路ができ上がって経営をやっておる線は何線あって、どれくらいの収益を上げておるか。ことに私が聞きたいのは、償還計画よりも上回った償還ができておるところがあるかどうか、計画を上回って償還がうまくいっているところ、そういう点をちょっと参考までに聞かしていただきたいのであります。
  167. 河北正治

    ○河北政府委員 現在手元にある資料で申しますと、三十五年度は営業しております路線が四十五本でございます。これの収入が二十二億八千万円、費用が二十三億三千万円で、差引四千七百万円ほどの赤字でございます。それから三十六年度は、最終的な集計ができておりませんが、現在の見込みでは、営業本数が四十七本、それに対しまして収入は三十一億六千万円、費用は二十五億四千万円、差引六億一千万円の黒字となっております。先ほど三十五年度、三十六年度につきまして費用と申しましたのは、営業路線の維持管理費と金利でございます。  それから第二の点は、特別に赤字のものが数本あるほかは、大体三十年くらいの償還計画でいきますと、当初の十年くらいの傾向としましては、この程度で特に憂うべきものではないふというように考えております。
  168. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私の言うのは、もちろん経営が計画通り成り立つことが第一の条件。第二は、計画を上回って償還がされておるもの、いわゆる予想以上の成績を上げておるものが幾らくらいあるか。赤字の線は六線だけあるということを聞いたのですが、上回っておるものはないかというのです。
  169. 河北正治

    ○河北政府委員 計画を上回っておりますのは京葉道路、戸塚道路、横浜新道、日光道路、それから阪奈道路、おもなものはそんなものでございます。
  170. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 赤字になっておる六線はどういう事情なんでしょう。償還が計画を下回ったのはどういう事情なんですか。
  171. 河北正治

    ○河北政府委員 私の承知しておる範囲では、館山道路、掛塚橋、住ノ江橋等が御指摘の分だと思いますが、これは計画当初に比べまして交通量が思うように伸びなかったというのが原因ではないかと思います。
  172. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 概して成績がよく上がっておるようでありますので、この赤字の線は今後の検討を願うことにいたしまして、そういう事情でありますから、私は先ほどから申し上げるように、この計画が適正であれば、もっとふやして、仕事がやれるような態勢を作るべきだ、こういうように考えます。  そこで、ここに名神高速道路あるいは国土開発縦貫自動車道中央自動車道東海道幹線自動車国道建設に着手することとしていろいろ有料道路をやっておる。これは大きな仕事でありますから、これはやらねばいかぬ。一般有料道路の第三京浜道路船橋千葉道路、若戸橋等工事を引き続いてやる、これもやらなければならぬと思いますが、最後にちょっぴりと、「新規事業にも着手する予定であります。」と書いてあるが、これは一体どこどこを予定していますか。
  173. 河北正治

    ○河北政府委員 日光の第二いろは坂道路、長崎県の福島橋等、六カ所ほどでございます。
  174. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私は、有料道路は経営が成り立たなければならぬということが第一の条件だと思いますので、交通のひんぱんなところにこれを作っていくということも、これもまた適切なやり方だとは思います。しかし、ここだけに重点を置かれて、北海道はどうするのだ、あるいは東北九州、四国はどうするのだ、こういうことになりますと、これをほっておくわけにいかぬだろうと思う。今長崎の問題が一つ出てきたから、私の声も小さくなりますけれども、いずれにいたしましても、私が道路公団の幹部諸君に九州有料道路の話をすると、それは陳情を始めてから五年くらいはかかると思わなければいけません、あるいは十年かかるかもわかりませんよ、こういうような話をする幹部がおります。これは資金その他の条件の関係でそう言うのだろうと思いますけれども、これは私、七分通りは、今の御計画は優先的にやらなければならぬ場所だとは思うけれども、あとの三分は、九州なり、あるいは中国なり、四国なり、こういったところも、やっぱり適切なところは取り入れていく、こういうふうに考えていかぬと、これはやっぱり一級国道と二級国道との話と同じで、その比率をどこに持っていくかは別として、これを無視しないような計画というものをやっぱり進めていかれなければならぬのではないか、こういうように私は考えますが、これは大臣から一言御答弁を願っておきたいと思います。
  175. 中村梅吉

    中村国務大臣 原則としてはペイするということが原則でございますが、やはりその地方状況も勘案いたしまして、あるいはその道路を作り、あるいは橋をかげることによりまして、将来の交通量増大あるいは観光客の増大、こういうことも考えられまするし、諸般の情勢を判断いたしまして、あんばいよろしきを得ていかなければならない、こういうようには考えております。
  176. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 通り一ぺんの御答弁じゃないと思いますから、そういうふうに御善処願いたいと思います。  そこで、都市交通に関連し、あるいは道路に関連いたしまして、警察庁の御意見を伺いたいことが一点ございます。  警察庁に、今度国会を通過すれば交通局ができるはずですが、交通局ができれば、交通行政にさらにいろいろと積極的な手が打たれると思いますが、この前出されました  これはまだ最後的には法律になっていないわけですけれども、大型のトラックあるいは長物を積んだ自動車の規制をされる、これは私はけっこうだと思うのであります。それと同じ趣旨で、最近一番交通事故を起こしているダンプカーあるいは砂利トラック、これは何だか除かれておるようでありますが、どういう理由によって除かれたのか。やがて第二段としてこれもやろうとしておられるのか、どうなんですか、この点をまず伺っておきたい。
  177. 富永誠美

    ○富永説明員 都市交通が、御存じのような状況でございますので、今までは、たとえば一方交通とか右折禁止とか、主として車の流れを規制するというふうな方向でいったわけであります。それだけじゃどうにもいかないというので、車の量を若干規制しなければならぬだろうというわけでいろいろ作業して参ったのでございますが、主として大型トラックということにしぼられていったわけでございます。これは、東京都にありまする首都交通対策審議会におきましても、大型トラックを時間別規制をやるべきである、あるいは行政管理庁の勧告にもそういうふうにあるわけでございまして、大型といいますのが車の交通に対して非常に支障を与えるという意味から出たわけでございます。そこでいろいろの作業をやっていったわけでございますが、大型トラックと申しましても、いろいろ内容が複雑なのでございます。それで、とにかく第一次としましては、夜間にかえ得るものというのが選ばれて、第一次の規制の案として出たような形になっておるわけでございます。従って、今お尋ねの砂利トラック、ダンプカーにつきましては、一つは、これは道路工事とかあるいは建設工事とかいうふうなものに直結するものでございますので、これを全部夜間にかえ得るかどうかという点に多少問題もあることと、それから、かりに夜間に転じた場合におきましての事故の関係でございます。トラを野に放つような形にもなりはしないかという点でございます。  以上のような点、どちらかと申しますと、第一の点が多いわけでございますが、そういう面から、この際は一応第一次の規制としては除かれておるわけでございます。しかしながら、除かれたものにつきましても、たとえば、タンク・ローリーとかいろいろなものがございます。日通のトラックとか、あるいは新聞輸送車とか、なまコンとか、砂利ダンプカーとか、いろいろあるわけでございます。それぞれ業種別にお集まりいただきまして、何とか昼の十二時間を、車がすきます夜の十二時間に、時間をずらして動いてもらえぬか、あるいは場合によりましては、この車は少しこうだというふうな方法でできないかというわけで、一応自主調整という形を期待いたしておるような状況でございます。
  178. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 この問題は、関係方面と密接な連絡をとられて規制をされるという態度は、私は賢明な御態度だと思いますけれども、事は人命に関係のある問題でありますから、選別して、できるものから逐次入れる。あるいは全面的に入れられなければ、時間を短縮して入れる、こういうような方向で規制をされていくのが適当じゃないんだろうか、こういうふうに考えますから、できるだけ選別して、この中に加えていく、こういう漸進の方針でお進みを願いたいと思います。  そこで、交通事故を防ぐにはいろいろな方法があるわけですが、昨日は、私は運転手の問題を申し上げましたが、きょうさらに申し上げたいことは、自動車にラジオを規則によって全部つけさせる。そしてNHKならNHKから、今交通情報を送っておりますが、ああいう交通情報を、もっと相談されて、もっと的確なものを、もっと広範にやれるようにして、そうして今一級国道のどこどこは工事をやっておる、これは何日から何日間の間だ、あるいは今ここは非常に——たとえば国体があって、この付近はとうてい車が通れない、だから、比較的あいているところはどの方面だ、こういうようなふうに自動車に一日何回か、スイッチをひねっておききえすれば絶えずその情報というものがもっとひんぱんに入ってくるようにする。あなたの言う車の流れというものをスムーズに持っていく一つの方法として、これはやはり御採用になる方がいいんじゃないか。これは私の提案ですけれども、一つの研究テーマとして御研究になったらいかがか。あるいはそういう話があるのかないのか、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  179. 富永誠美

    ○富永説明員 ただいま御質問の趣旨に沿いますような方法で、東京の場合、警視庁に交通情報センターを設けまして、ラジオで刻々込んでおる状況を流しておるわけでございますが、残念ながら、現在のところは非常に原始的な方法でやっておりますので、定期的には二時間置きの調査をやっておるわけでございます。ここが特別込む、込み方が異常であるという場合は、どんどん情報を入れておりますが、大体におきましては、主要点を選びまして、そこの二時間ごとの状況をとっておるわけでありますので、実際とややそぐわない点もあるわけであります。この点につきましては、交通関係閣僚懇談会におきましても、あれは非常に運転手にとって好評だから、もっと機能を強化しろというわけで、いろいろ押しボタン式な方法なり、あるいはまたテレビを採用するなどの方法を今盛んに練っておるわけであります。そうしますと、刻々と現状が流されるのじゃないかと思うわけでございます。従って、そういうふうになりますと、当然車では、いやが応でもラジオをつけておくような形になってくると思うのでございます。ただ、ラジオを全部の車に義務づけさすということになりますと、これはちょっと問題があります。たとえば交通事故の面から見ますと、はたしてラジオをつげて聞きっぱなしにする方が、それを積極的に進めるのがよいかどうかという点も問題がないわけでもありませんし、そういうふうに私の方の情報がどんどんうまくなりますると、おのずからみなラジオをつけて聞かれるようになるのではないかと思うわけであります。
  180. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 新しい方式を採用する場合、これはやはりおっしゃる通り危険が伴うのです。だけれども、これはプラスの面が大きいはずです。だから、そういう面を、あとは訓練という方面に持っていって、やはりこういう新しい方式というものは、多少の危険があっても、あとは訓練にものをいわす、こういうことで思い切って採用していく、こういう方針でなければ、ただ道路だけを建設省が一生懸命にやっただけでは、これはうまくいかないわけなんですね。だから、そういう点は、さらに検討の余地があると思いますけれども、私は、それこそここだけのお互いの話でなく、これが具体化されるように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  181. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 勝澤芳雄君。
  182. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 だいぶ時間も、六時を過ぎておるようでありますし、朝十時から大臣以下関係の皆さんお疲れでございますので、前段は私は抜きにいたしまして、なるべく簡単に質問をさせていただきたいと存じます。  昨年、私、決算委員会の国政調査で名神の高速道路を見せていただきました。日本にも道路らしい道路ができたと思って大へん感心をしたわけですが、現場の局長以下この道路を作りながら、自分の庭を作るような形で、観光とか、野立ち広告とか、いろいろそういうところまで総合的に考えながら、植木屋のようなこともやりながらやられておりまして、大へん新しい立場からいい日本の道路行政ができると実は喜んでおるわけでございます。そこで、この名神高速道路工事の進捗状態は最近どういうふうになっておるか。三十九年三月の完成予定だといわれておりますが、その見通しはどうなっておるか。なお、この尼ケ崎−栗東間が今着手しておるようでありますが、部分的な開業というものはされる考え方があるのかないのか、こういう点についてお尋ねをいたします。
  183. 河北正治

    ○河北政府委員 名神高速道路の進捗については、全面的な供用開始は昭和三十九年度中を目途にいたしておりますことは、ただいま仰せの通りでございます。それで、三十七年度におきましては、このうち尼ケ崎−栗東間につきまして、三十七年度中には供用が開始ができるようにと重点的に工事を施行いたしております。その他の区間につきましては、ちょっと資料が古いのでございますが、大体昨年の十一月末現在では、西宮−尼ケ崎間が、進捗率にいたしまして九%、それから栗東−一宮間につきまして一三%、一宮−小牧間についてはまだ夫着工という状態でございます。
  184. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、現地で言われたのは、用地買収というのがなかなか大へんだということを言われました。しかし、相当困難にもかかわらずやられているようでありまして、たしか山科付近だと思いましたけれども、一軒借地借家で約一億とか二億くらい補償金を出さなければ移転せぬなんていうことを言っておりました。公団の計算ですと、いや七十万円くらいだ、こう言われておりましたが、こういう点から考えてみますと、なかなか大へんだと思いますけれども、今日、公共用地の取得に関する特別措置法というものは、この高速道路の用地買収については適用されておるのでしょうか、あるいは今後その問題についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  185. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいまお話に出ました山科の問題にいたしましても、特別措置法の特例で解決したという工合に聞いております。
  186. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、あの構造は四車線なんですね。今建設をしておる現地の人、あるいはその道路を作っている人たちに聞くと、もう四車線では古いじゃないか、やりながらも、これは六車線の計画の方がよかったのじゃないか、資金的な面もあるようですが、こういう点を言われておりました。こういう問題についてはどうお考えでございましょうか。
  187. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいまのところでは、四車線で供用開始をするという計画で進んでおります。
  188. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 将来六車線にする場合の計画は入っておるのですか、どうなんでしょう。
  189. 河北正治

    ○河北政府委員 現在のところは、六車線必要ではなかろうかという見方もあるようでございますが、現在の計画では四車線でやっておるという工合でございます。
  190. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 料金はどれくらいなんですか。従来の有料道路と比較をしてどのような数字になりますか。
  191. 河北正治

    ○河北政府委員 これまた運輸省との問題もございますが、現在のところ私どもだけで考えておりますのは、キロ当たり普通乗用車につきまして九円、トラックで十円ないし二十円、その程度になるのではないかと思います。
  192. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 名神高速道路完成すると同時に、次に緊急を要する問題は、私は東海道の整備の問題だと思います。むしろ名神高速道路が開通しても、この道路東京まで通じて初めてこの機能が十分発揮されるものだと思いますし、そのために三十四国会におきまして、超党派で満場一致議員提案で、御承知のような東海道高速自動車国道建設がきめられたわけであります。従いまして、東海道の交通事情からいいまして、あるいは名神道路の投資効果からいって、それをより高めるためにも、一刻も早く東海道の建設計画を進めなければならないと思うのですが、その東海道の建設計画はどういうふうになっておりますか。
  193. 河北正治

    ○河北政府委員 名神に続きまして東海道が必要であるということは、御説の通りであります。それで先ほど大臣の予算説明にもございましたように、三十七年度には東海道にも着工いたしたいという工合に考えております。それで二兆一千億のただいまきまっております道路整備五カ年計画におきましては、約八百億というものを予定させていただいております。
  194. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 その五カ年計画の中の八百億というのは、大体全体の計画の中でどこまで完遂できるという予算的な裏づけがされておるのでしょうか。
  195. 河北正治

    ○河北政府委員 具体的に、どこからどこまでを供用開始するという工合には、まだ計画が固まっておりません。
  196. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 全体の事業量の中のどれくらいの割合になるのでしょうか。
  197. 河北正治

    ○河北政府委員 全体が約二千四百億程度になるかと考えられますので、八百億でありますと、その三分の一程度に当たるわけであります。
  198. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そこで、私は申し上げなければならないと思いますが、最近都市交通が行き詰まっておる。最近では、ただ単なる交通調整というより、交通戦争であると世間ではいわれております。これが一つの問題として叫ばれており、これは次にどこに行くかといえば、やはり主要幹線の問題になると思います。結局このことは、道路行政の投資のやり方がどうしても総花的であるというところから、こういう結果になってきたのじゃないかと思います。それは政治家がみんな選挙の関係で一つずつ道路を作らなければ次の選挙に出てこれないということから、そういう分配をするということにも問題があると思います。一千万の人口を持っておる東京に入れる道路費の比率というものは、ほんのわずかのものでありますから、そういう点からも重点施策というものがどうしても必要になってくる。その点については、いろいろとお立場上やりにくい点があると思います。特に東海道の最近の交通事情というものは、私はますます悪化しておると思います。古い資料ですけれども、私が見せていただきました資料によりましても、昭和三十三年で東京−名古屋間の一日平均の自動車の交通量は八千二百四十台で、全国の一級国道の平均自動車交通量に比較して約三倍だといわれております。昭和三十三年で全国平均の三倍だといわれておるのですから、最近の交通事情というものはもっと激しいものがあると思います。ですから、この交通事情にマッチした建設計画でなければいけないと思います。しかし、私の質問に対して、五カ年間で三分の一しか完成できない、こういうことでは、京浜から中京をつなぐ道路、あるいは名神、阪神をつなぐ国としての一番の大動脈の道路というものがおくれ、その採算から考えても、私は大へんな問題だと思います。そのために、いろいろと先ほどからも言われておりますが、これはもう一回再検討をして、もっと計画を前に進める必要があるのじゃないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  199. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は交通量調査は、私の方でもいたしておるわけでありますが、東海道といたしましては、現在採算ベースに乗ります地区は、大体東京−静岡辺であるという計数が出ておるわけであります。従いまして、こういう輻湊する地区から先に有料道路の開設を進めて参りまして、その他の地区は、まだ東海道の一級国道も完全に整備されておらない区域がございますので、ここの整備をまず急いでやって、国道の交通によって一応はまかないつつ有料道路を並行して進めていく、こういうように実は私ども考えておるわけで、できますことならば、資金事情が許せば、一挙に国鉄の東海道新幹線のように、東京から阪神まで一貫できるような道路にいたしたいことは、やまやまなのでありますが、目下の五カ年計画におきましては、先ほど申し上げたように八百億ほどの資金量でございますので、遺憾ながら全線を開通させることができない事情にございますが、われわれといたしましては、将来また国の財政事情なり経済事情が変わって参りますのを楽しみに、できるだけ促進をして参りたい、かように考えております。
  200. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 たしか三十三年ごろの資料によりますと、区間別にいって東京−静岡というのが一番高い通過数を示しておるようであります。しかし、静岡−名古屋間におきましても、全国平均からいうならば相当高い数字であります。これは三十三年の資料でありますから、三十七年の今日になりますれば、当時と比べて相当交通の伸びが激しいわけでありますから、今大臣が言われたように、これはわれわれとしても、特別な措置を講ずるような努力をしなければならぬと思っておりますので、一つ大いにがんばっていただきたいと存じます。  そこで次に、今大へん問題になっております路線の決定ということは、大体いつごろになるか、そうして工事の着工はどんな工合に行なわれるのですか、その点についてお答え願いたいと思います。
  201. 河北正治

    ○河北政府委員 私どもといたしましては、先般来路線につきまして地元の御意見も伺い、固めて参りました。しかし、御承知のように、焼津−豊川間の問題は、まだ最終的にどういう工合にきめるというところまで私どもとして自信がございません。しかし、由比の地すべりに対しても、早急に処置をしなければならないという現段階におきましては、少なくとも三月中には路線の指定をいたしたいという工合に考えております。  それから着工の予定でございますが、三十七年度といたしましては、用地買収の補償の関係では松田付近、それから清水、由比の地すべり地区、それから名古屋に一部インターチェンジの関係で、これは都市計画とも関連しますので、この点についての用地買収の補償を進めていきたい。その他工事につきましては、由比の地すべり対策に間に合うような海岸構造物の着工を予定いたしたいと思っておるわけであります。
  202. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 今の御答弁の中で、路線の決定については、特に地元の意見を十分聞きながらきめられるということで、大へんけっこうなことだと思います。何にいたしましても、建設省としての技術的な、あるいは国の総合的、経済的な見地からもきめるということも大へん重要でありますけれども、地方的に見ますと、地方自治体自体の都市計画なり、いろいろの計画があるわけであります。地方産業発展の点も十分に考慮に入れるべきだと思います。また、特に私がこの点申し上げますのは、先ほどの答弁にもありましたように、今焼津−浜松間の問題につきましては、路線をめぐりましていろいろと私たちに陳情が出ておるわけでございまして、焼津の市長、榛原の町長、浜岡の町長、大井川の町長、吉田の町長、相良の町長、御前崎の町長、大浜の町長、大須賀の町長、浅羽の町長、福田の町長、龍洋の町長、それから浜松の市長、こういう人々から、海岸線に作るべきだという意見が出されておりまして、また、この点につきましては、静岡県の総合開発計画の中で、やはり南部の開発をしょう、そしてそこにもう少し工場を建て、県全体の、あるいは東京と名古屋を結ぶ衛星都市というか、そういう立場から出ているわけであります。また、北部の方からも、これは北を見直してもらいたいという意見が出ておるわけでありまして、この点はいずれがいいかという点については、いろいろと技術的にも、経済的にも、地元のいろいろな意見を参考にしてきめなければならぬと思いますし、われわれここの出身者といたしましても、できるだけ調整をしながら、県の全体的な計画、国全体の計画の中で、よりいいものを作ろうということで、いろいろと協議をしておるわけであります。従いまして、建設省におきましても、この点を十分考慮していただきまして、そうしてあらゆる角度から適正な路線決定をぜひお願いしたいと思う次第でございます。その点につきまして最後に大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  203. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、私どももいろいろな陳情を受けたり、要望を承っておりますので、できますことならば、静岡県全体としての思想統一をしていただければ非常に仕合せだと思うのでありますが、なかなかこれも地元事情がむずかしいようでございますから、もう少し議を尽くして参りました段階で、場合によりましては、思想統一が困難な場合には、建設省におまかせをいただいて、最良の案をきめるようにいたしたいとも考えておりますが、第一段階としては、やはり今後事業を推し進める上に、用地買収とかいろいろな関係もございますから、地元の意向というものを十分承りながら、できれば思想統一をしていただければ非常に仕合わせである、こういうように考えて、目下どうきめるべきか、いろいろ苦慮しておるような段階でございます。
  204. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 工事をやるときに、その円滑な進捗をはかるためには、何といってもその通過地点の地方自治体の協力というものが一番必要なことだと存じます。特に南部地区におきましては、御承知のように用地買収についても、積極的に協力しようというような議会の決議あるいはそういう誓約書まで持って陳情をされておるようでありますので、一つ十分な御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  205. 羽田武嗣郎

    ○羽田主査 次会は、明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。    午後六時二十六分散会