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1962-02-20 第40回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席分科員    主査 羽田武嗣郎君       青木  正君    今松 治郎君       上林山榮吉君    藤本 捨助君       山本 猛夫君    安宅 常彦君       西村 力弥君    二宮 武夫君       山口丈太郎君    山口 鶴男君       井堀 繁男君    兼務 川俣 清音君 兼務 門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (大臣官房長) 柴田  護君         自治事務官         (大臣官房会計         課長)     今枝 信雄君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君         消防庁長官   藤井 貞夫君         消防庁次長   川合  武君  分科員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局財務課長)  岩間英太郎君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      大村 襄治君     ————————————— 二月二十日  分科員木原津與志永井勝次郎君及び井堀繁男  君委員辞任につき、その補欠として安宅常彦君  西村力弥君及び受田新吉君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員安宅常彦君及び西村力弥委員辞任につ  き、その補欠として山口鶴男君及び二宮武夫君  が委員長指名分科委員に選任された。 同日  分科員二宮武夫君及び山口鶴男委員辞任につ  き、その補欠として永井勝次郎君及び木原津與  志君が委員長指名分科委員に選任された。 同日  第三分科員川俣清音君が本分科兼務となった。 同日  第二分科員門司亮君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算自治省所管  昭和三十七年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田主査 これより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算及び同特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。  前日に引き続き質疑を行ないます。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣分科員 この際、自治大臣に三点ほどお尋ねいたしたいと思いますが、一点は、地方公務員、特に県庁職員上司ということになると、知事上司だと思うのですが、この点どうでしょうか。地方公務員、特に県庁職員の場合は知事上司だと私は理解するけれども、この理解は誤りでございましょうか、どうでしょうか。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 その通りであろうと存じます。
  5. 川俣清音

    川俣分科員 そこでお伺いいたしますが、陸運局運輸省所管であることは、これは明らかなことです。地方陸運事務所は、これは県庁に所属しておると思うのです。そうでございませんか。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 これは事務委任ということになりましょうか、事務だけが知事に委任された。身分等につきましては運輸省のままでおるという形になっております。
  7. 川俣清音

    川俣分科員 そうすると、事務主管知事にあり、そこの職員運輸省だ、そうすると、これは国家公務員でしょう。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 さようでございます。
  9. 川俣清音

    川俣分科員 それではこの場合の事務経費人件費とは、事務費県負担あるいは身分運輸省、こういう形をとるわけですか。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 これは事務費人件費もともに国の負担ということになっております。
  11. 川俣清音

    川俣分科員 ところによって違うかと思いますが、事務費を県が負担をしておる、あるしは事務所を県が提供しておるという事実があるのですが、これは当然運輸省負担すべきものを県が負担をしておるということになりましょうか。
  12. 安井謙

    安井国務大臣 これは自治体である県の仕事にいろいろ関連があるという趣旨で、事務についての責任を一応知事が持つというような形をとっておる、一種の変則的といいますか、制度でありまして、原則は人件費事務費普通国負担しておりますが、若干その事と事情によって便宜上の措置がとられておる場合があるかもしれないと思います。
  13. 川俣清音

    川俣分科員 それでは事務を県が負担をするというのはどの範囲なんでしょう。事務というとやはり行政でございましょうね。地方行政の領域に入るのじゃないかと思うのですが、事務権限知事にあって、身分は別だ、こう言われるかもしれませんが、それでは事務の総括をする責任知事にある、こういう意味ですか。事務というのはどういうものですか、行政じゃないのですか。陸運事務所仕事というのは行政でしょう。そうすると、陸運事務所行政知事がつかさどる、身分だけが違う、大臣が言われまする事務というのは、やはり行政事務のことだろうと思いますが、行政事務主管知事が持つ、こういうことになるのじゃないでしょうか。
  14. 安井謙

    安井国務大臣 行政事務指揮監督知事が持っておる、しかし実際の運営をするのは、人が運輸省の役人であり、そうして事務費も原則的にはそれから出るという形になっておりますが、詳しい関係につきましては局長からでももう少し……。
  15. 佐久間彊

    佐久間政府委員 陸運事務所事務そのものは国の事務運輸省事務でございます。ただその仕事をやるについて、知事指揮監督をする権限が認められておるわけであります。
  16. 川俣清音

    川俣分科員 行政指揮監督だということになりましょうね。行政指揮監督だといいますると、行政全般にわたって知事決裁権を持つ、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  17. 佐久間彊

    佐久間政府委員 運輸大臣指揮監督をさらに知事が受けますので、事によりましては運輸大臣の指示を仰いでいたすわけでございます。
  18. 川俣清音

    川俣分科員 実は私こういう質問大臣にするのは、問題はこれは整理する必要があるんじゃないかと思うのです。私はある陸運事務所に行きまして、バス路線の問題で交渉したことがある。かつて林道であったところを県道に編入いたしまして、森林軌道を廃止して県道に編入したい、これは観光道路です。ところが、森林軌道でありますために、営林署職員が無料で事業現場まで行っておった。今度非常に不便になるからして、営林署バスをもって運搬しよう、こういう計画があるわけなんです。バス路線の認可が運輸事務所のために申請をいたしましたところ、なかなか渋っておる。ところが知事県道に編入する、建設省との話し合いでその点は了解しておるんだからというわけですけれども、なかなか渋っておるわけです。上司に相談しなければならない、こういうことなんです。上司とは何かと言ったら陸運局だ。君らの所管は県の行政所管であるのじゃないかと言ったら、いや陸運局であります。上司とは陸運局をさすので、県はささないのだ、こういう答えです。全く形式的な知事所管になっている。ですから、すべての運用陸運局運用だ、運輸省運用だ、こういう結果になるのじゃないか。そうすると、ただ名義だけを貸しておって、実際内容にタッチできないという状態でありまするので、すみやかにこれは運輸省に移すか、あるいは権限をはっきりいたしまして知事権限下に置くか、どちらかにしなければならないだろうと思うのです。これは私は一つの例を出したのですよ。いずれにしてもこれははっきりすべきじゃないか。何か知事権限の中にあるようにも説明されたり、実際はなかったりするならば、やはりこの点は明瞭にしておく必要がある。この点いかがです。大臣
  19. 安井謙

    安井国務大臣 路線の免許につきましては運輸局なり運輸大臣ということに最終的にはなっておりますので、そういう意味上司といいますか、その指揮を受けなければならぬ、こういうことを言ったのだと思いますが、今のような仕事のものにつきましては、知事限りでできるはずのものもある、こういうようなことだと思いますが、確かにこの制度は、非常にはんぱであることは指摘通りだと思います。今後十分検討をいたしてみたいと思っております。
  20. 川俣清音

    川俣分科員 この道路も、一般道路であれば別にして、森林軌道を廃して無償で県へ提供したわけなんです。そのかわり特別なバスを許可してやるという条件無償提供したわけです。ところが、県道になるということでバス会社路線申請をした、その路線申請があるために許可ができないという問題が起きたわけです。バス会社反対があるために……。しかし、それでありますならば、初めから無償提供なんかするわけがない。それが条件になっている。無償提供条件になっている。従って、知事責任を持つからには、これは私の管轄だから路線責任を持つということで県へ無償提供したわけなんです。私はこれは一つの例を出したにすぎないのですよ。いずれにいたしましても、この点は明確にして行政の混雑、繁雑を避くべきであろう。これが自治省としての責任じゃないか、こういう意味でお尋ねしたのでございます。今後行政簡素化の問題も起こって参りましょうから、いずれかにやはりはっきり責任の点を明らかにしなければならない、こういう意味質問申し上げたのであります。  次に移りますが、これは小さな問題でありますけれども、私にとっては重要な問題だと思うのは、今運輸省地方自治体が持っておる自家用車調査を依頼しておるが、まだこないのですが、県庁並びに市等自家用車を持っておる。特に県庁の場合は、まだ県道どもいい県道でもない、名義だけ県道にしたような、大型乗用車が通れないような県道もまだまだ存しておる。そういうところへリンカーンとかキャデラックとかいうようなものを買っておるという事態があるわけです。国産車がどのくらい、外車がどのくらいかということは、今資料を出させておりまして、まだ出て参っておりませんが、大半は外車のようでございます。その大型外車を県が持たなければならないという理由はどこにもないのじゃないかと思うのです。むしろ道路が悪くて、舗装も十分行き届いていないようなところへ、あの大型乗用車を持っていかなければならないなんというのは、これは昔の官僚意識、りっぱなものに乗らなければ権威を示されないというわけではおそらくないだろうと思いますが、説明によると、長距離を乗るには大型乗用車でなければならない、こういう説明のようであります。しかし、長距離を乗るならば、道路の悪いところへ行かなければならないということだろうと思うのです。そこへなぜキャデラックのような大型のものを使わなければならないのか。そんなに地方官庁余裕のあるわけがないじゃないかと思うのです。国産車で十分じゃないかと思う。どうしてこういう余裕を与えるような結果になっておるのか、この点大臣から一つお聞きしたいと思うのです。金額にして大したことない、こう言われるかもしれないけれども、それは一台や二台じゃございませんから、県負担としても相当大きい負担だろうと思います。ときによりますと、部分品がない、急に入手できないということで、かなり休車になっておる場合もあるようです。この点をいかにお考えになりますか、お尋ねいたしたい。
  21. 安井謙

    安井国務大臣 お説の通りに、地方団体責任者外車を乗り回しているといったようなことは、今日の情勢からはなはだ好ましくないと私ども思っておりまして、これに対しましても、できるだけ国産車を愛用するようにという通達も再三出しているわけであります。ただ、従来何とはなしに、性能がいい、あるいは耐久期間が長いといったようなことから割り出して、結局はその方が得だといったような計算を出してやっている向きもありますし、もう相当古く使っているという場合、今買いかえれば新しい予算が要る、このまま使っておればまだ持つということで使っている向きもあろうと思いますが、今後の購入といったようなことにつきましては、私ども趣旨通りだと思いますので、今後もそういった方へ通牒も出して、十分指導していきたいと思っております。
  22. 川俣清音

    川俣分科員 前から持っておるのなら仕方ありませんが、最近買い入れたところがあるわけです。とにかく部分品がなくて休車しなければならないような外車を、わざわざ買う必要がないのじゃないか。必ずしも国産奨励という意味ばかりではないんですよ。まず道路をよくして、その上でその道路に適合するような車を使うというなら別ですが、道路も直さないでおいて、車だけいいものを使うというような考え方はやめさせなければならぬのではないかと思うのです。そういう意味で、通達ども出されまして、少し引き締められる必要があるのではないか、こう思うのですが、この点について御答弁願います。
  23. 安井謙

    安井国務大臣 これは全くお説の通りだろうと思います。今後も十分注意し、通達を出して、そういった方面を取り締まるといいますか、指導するようにいたしたいと思っております。
  24. 羽田武嗣郎

    羽田主査 ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止
  25. 羽田武嗣郎

    羽田主査 それでは速記を始めて。安宅常彦君。
  26. 安宅常彦

    安宅分科員 行政局長にちょっとお伺いしたいのですが、このごろ盛んに神社関係寄付、それが奉賛会という名前で各県知事市町村長というのが支部長だとか、あるいはその次の役員になって、その名義で各地域にたくさん寄付要請がきておるわけです。これはあなたの方の所管外だと言われればそれまでの話でありますが、しかし、行政局長として非常に重大に考えてもらわなければならぬのじゃないかと思うのであります。こういうことが行政指導面で行なわれており、そのために地方住民に非常な迷惑をかけておるのではないか、こういうことについて何か気がついたり、これに対して神社庁というのですか、そういうところに話を持ち込まれたりしたことがありますかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  27. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方自治法には、憲法規定を受けまして、地方公共団体宗教上の関係寄付をいたすことは禁止をされておるわけでございますが、今お話のような地方団体別個団体がいたしますことにつきましては、直接禁止をする規定はございません。しかし、地方公共団体がいたせば脱法的な実態を、他の別個団体がするということになりますと、これは望ましいことではないと考えておりますが、そういう問題につきまして、自治省といたしまして、これまで調査をいたしましたり、あるいは注意を唆起いたしましたりしたことはないようでございます。
  28. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは、全然知らないのかもしれませんが、山形県なら山形県で、たとえば靖国神社奉賛会明治神宮建設奉賛会というものがある。初め明治神宮の方が二、三年前大へん問題になってきたのです。そうして明治神宮関係ないじゃないかということで、非常に大きな反撃を受けたわけです。知事支部長になったり、市町村長が何か役員になったりして、それでもって町内会あたりに割り当てる、これはおかしいじゃないかということになって、初めのうちは金の集まり工合がよろしくなかったようです。ところが、新手を考えまして、このごろは靖国神社を正面に出してきたのです。山形県の例で言いますと、靖国神社経費がいろいろかかる、それで遺族の方を中心に、靖国神社がすたれていくのは、国民として英霊に対してはなはだ申しわけない、こういう文章になっておりまして、そういう中に、おかげさまで明治神宮の方も大がい集まりましたからお礼を申しますと書いて、今度は明治神宮靖国神社の方を一緒にもらっておるのです。そういうやり方を今山形あたりではしておるのですが、こういう奉賛会やなんかの定款や予算などについて、何か情報を収集したり、どういうふうになっておるかということをお調べになったことがありますか、ちょっとお伺いしたい。
  29. 佐久間彊

    佐久間政府委員 特に調べたことはございません。
  30. 安宅常彦

    安宅分科員 それで非常に問題がある。というのは、私ずっと調べてみたのですが、なるほど山形県知事だとかいう名前封筒を使ったり何かはしておりません。すべて市役所なり役場なりから町内会長などを通じてそういう要請がくるのでありますが、その予算を見ますと——初めからないのですから、借入金か何かでやっていそとか逃げられるといけないので調べてみたのですが、ほとんど県の用紙を使い、市町村用紙を使っております。封筒もなるほど印刷はされていないけれども、ガリ版で町の市の職員が作業をしております。そういうことは、奉賛会という名前であって、これは自治省の関知するところではない、こういうふうにおっしゃるかもしれませんが、町内会長市役所から流してよこす、やり方も指示してよこすということになりますと、町内会長やそういう人はその市によってはいろいろな報酬を若干ずつ出しながら委託仕事をさしておるところもあるわけであります。こういう諸君が表裏一体になって寄付要請される。こういうことになりますと、地方住民は、私のところだけは反対だなんと言ったって、隣近所もあるものだから、どうも出さざるを得ないような格好になってしまう。靖国神社だから遺族の人は倍くらい出してくれということになるわけであります。そういうことになりますと、憲法違反もいいところ、脱法行為もいいところ、変な工合になっておるんじゃなかろうかと思うのであります。もしそういうことを市役所なり県が、名前だけ知事名前名前だけ市長の名前を貸しておる格好はとっておりますが、実態職員がそういう仕事をし、県の用紙を使っておる、市の用紙を使っておるということになりますと、これは行政上ゆゆしい問題じゃないかと思うのでありますが、この点はどうお考えになりますか。
  31. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のような内容の事実でございますれば、これは大へん問題があろうかと思っております。それと、特に宗教上の問題という関係なしに、一般的に部落民に強制的な寄付をやるということについては、またその点についても遺憾な問題だと思います。
  32. 安宅常彦

    安宅分科員 そういうことがありますならばということなんですが、ぜひそういうことについてあなたの方で一つ調べてみて下さい。それでどういうふうになっておるのか、一つ資料を出してもらいたいと思うのであります。どういう形式をとっておるか、これは非常に重要な問題なんです。これは金額も少なくないのであります。靖国神社のあれを見ますと、山形県の場合は、百円納める者が普通会員、百円以上納める者が正会員、三百円以上納める者が特別会員と、何かずっと階級があるわけであります。ところが、町内会ごと市役所の方から割当が来るのです。だから割当を消化するために、規約にも何にもないことを頭で考えて、遺族の人は三百円ずつとか、遺族でない人は百円ずつとかいうふうに、でたらめにやっておることが非常に多いのであります。実態を、単なる用紙を使ったか使わないかという調査のみならず、どれくらいの税外負担といいますか、そういうことが実際行なわれておるのかという資料をできればやってもらいたいと思います。  さらに、これは宗教上の問題だけではありません。こういう非常におもしろからざる現象というのがあまりに多過ぎるんじゃないかと私は思います。たとえば消防協力会の費用であります。これは市役所から納税告知書と同じような紙で、そして税金の集め方も、大体町内会あたりにまとめてよこしておるのでありますが、それと一緒に来るのですね。そうするとこれは納めざるを得ない。こういう形式は正しいのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  33. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいまの消防関係寄付金の問題でありますが、安宅先生お話しになっておる件につきましては、私の方も承知をいたしておるのであります。そういう意味内容も相当程度調べてみておるわけでございますが、大体今お話しになりましたような形式でやっておるようであります。こういうやり方は、私の考えといたしましても、これは著しく不当であるというふうに考えます。なるほど消防関係の熱意のほとばしりというような点がございまして、その点に対しては敬意を表しますけれども、何か納税告知書みたいな格好でこれを集めていくというやり方につきましては、やはり反省をしてもらい、改めてもらわなければならぬというふうに考えておりまして、その角度から強く指導をいたしたいと思っております。
  34. 安宅常彦

    安宅分科員 私どもがこういうことを言うと、陰で変なことを言う人がいるんですよ。私は去年の三月の地方行政委員会に、今度文部省の次官になった内藤初中局長を呼んで、あなたもおったから知っておると思うのですが、学校先生宿日直手当を、大へんだから、なぜ国家公務員並みに上げないんだと言ったら、だんだん上げます。だんだん上げますなんてばかな話はないと言ったら、国会議員も質が落ちた、何も知らぬから、学校先生宿日直手当について一日じゅう食い下がっているのがあるよということを、ある会合の席上で言ったのを聞いているんです。そんなことを言っても、あなたの方の消防関係予算なんというものをごらんなさい。そんなことは不当でありますなんと言ったって、不当であることをやらなければ、金は集まらなくて、消防は動かなくなるんじゃないか。そういうことをたなに上げておいて、うるさい野郎だというふうな意味で陰でやられたんじゃたまったもんじゃない。内藤だんなを呼びつけて、気合いをかけてやろうと思ったら、事務次官になったからどうもいかぬのでありますが、実際に市町村でとっている消防協力会費というものは、納税告知書と同じような形式でやってはいかぬということをはっきりとあなたが通達を出せば、金が集まるか集まらぬかは、手のひらを返すように明らかであります。そんなものは集まらないです。そうしますと、今の財政計画なりそういうものを見ましてもそうでありますが、ことしはあまりふえてないような気がするんですが、どうなんですか。そういうことで消防運用はできるんですか。
  35. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私は今御指摘のありましたふうには今のお話を受け取っておりません。まじめにお聞きいたしております。まじめにそういう方向で指導するというふうに考えておるのであります。  消防関係につきましては、そういうことをやらなければ金が出ないじゃないかという点もございます。なるほど消防費全体から見ると十分でないということはその通りでございます。しかしながら、消防関係は、あくまで正規のルートを通じて、予算を通じてこれをやっていくということが当然の方法でありますることは、申すまでもないわけであります。税外負担というものはできるだけなくしていくということで、これは財政当局の方も毎年努力をしてきております。消防費自体について見ましても、最近の調査では、一ころ十二億円ばかりありましたのが六億八千万円に減ってきております。それでもなお絶無になっておるわけではございませんけれども、だんだん減ってきていることは事実でございます。これに対しまして、財政計画土も、交付税上も、漸次引き上げの方途を講じておるのでありまして、むしろわれわれといたしましては、交付税上の所要の措置に対しまして、市町村当局の実際の消防費の支出というものが、平均して見ますると下回っておるということを心配いたしておるのでありまして、そういう面につきましての指導というものについて、私どもといたしましてもなおせっかく今後努力いたしたい、かように考えているわけであります。
  36. 羽田武嗣郎

    羽田主査 大臣が帰られましたので、川俣君に質疑を継続していただきます。
  37. 川俣清音

    川俣分科員 大臣がお帰りになりましたので、質問を続行いたしたいと存じます。  農業基本法でも明らかにしておるように、今日の食生活の動向から見まして、畜産物重要度が高まって参ったわけでございます。一方、畜産物重要性と申しますか、必要性が高まると同時に、いかにして安く畜産物国民生活の上に供給するかという問題が起きてくるわけであります。何といいましても、畜産物の増産の上から、また安価に提供する上からいたしまして、今日のような飼料不足の時代におきましては、日本にまだ存在いたしまする牧野の高度利用というものが重要になってきていると思うわけでございます。一方、そういうふうに、畜産政策がかなり脚光を浴びてくると同時に、また、一方におきましては、町村合併が行なわれまして、牧野の利用をめぐりまして紛争が絶えないわけでございます。御承知のように、昔から放牧採草権は、もともと民法上の入会権に属する権利であるといわれておるわけでございます。ところが、この入会権の整理の問題、統合の問題等が起こって参りまして、非常な紛糾を呼んでおるわけでございまして、そのために、一方、畜産基盤でありまする牧野の利用が、いたずらに紛争の中に巻き込まれておりまして、解決を見ない点が非常に多いのでございます。元来、この入会権の問題につきましては、いろいろ学説もありまして、自治省といたしましても、これはなかなか御苦心のあることだと存じます。日本の入会権につきましての判例も非常にまちまちでございます。大勢はございまするけれども、なかなか意見の非常に多いところでございます。  そこで、大まかに言いますると、入会権につきましては、いわゆる公権論と私権論があるわけです。自治省は、地方自治法の二百九条にいういわゆる旧慣使用権というふうに見ておられるようでございますが、一方、しかし民法の第二百六十三条または二百九十四条でいう入会権と解すべきものだという私権論者もなかなかあるのでございます。新しい憲法のもとにおきまして、私権の確立が基礎づけられたからには、ますますこの民法の条章に従ういわゆる私権論が相当旺盛になってきておると思うのであります。裁判所の判例も、割合に私権論に味方をした、これはまあ土台は慣行になっておりましょうけれども、私権論的な判例が多いのであります。ただ、御承知のように、自治省であるとか、あるいは林野庁であるとか、公法学者等が、やはり公権論をいまだに主張いたしておるようでございまして、いわゆる自治法の二百九条は違憲ではないのだという建前をとっておられるようであります。しかし、長い国家権力の中におきまして、自治法が制定されたわけでございまして、この点について違憲論が今なお存在するのでございますが、しかし、その根本は別にいたしまして、何とかこれは一定の方向を打ち出して解決しなければならないんではないか、こう思うのですが、自治省の見解をこの際一つ伺っておきたい。
  38. 安井謙

    安井国務大臣 御説のように、公権論、私権論といったような二つの使い分けをしなければならぬという場合がどうもあるようであります。これはその実態によって、多少状況が違うというようなことも出てくるのじゃないかと思っておりますが、できるだけこれは一本化するという方向で今後も検討していきたいと思っております。
  39. 川俣清音

    川俣分科員 大臣、これは一本化するというのはむずかしいのです。民法と自治法を一本化するというのはむずかしいのです。最近いわゆる学説といいますか、折哀説も出て参りまして、実態に沿うような学説も出てきたわけでございます。しかし、これは行政運用でございますから、全く公権論の前に立ちまするというと、従来の慣行をあまりに無視し過ぎるという結果も生まれてくるわけであります。特に町村合併になりますると、この条項だけをとりまして強行をして参りますから、えらい部落の反撃を買うような事態も出てくる。決してこれは円満な解決ではないのです。これをもって、自治法の二百九条をもって強行して参りますと、合併町村はそれに利害があまりないものですから、公権論をとりまして、町村に併合しよう。入っておる者も、前からの慣習を持って参りまして、これを固守しようとする、部落集団が固守しようとする。それで、結局は、また分村をしようというような問題が確かに起きているはずでございます。こういうことは好ましくないので、やはり指導の場合は、これは何といいましても町村内の問題ですから、円満に解決つけることが一番望ましいことだと思うのです。これは自治法がありますることはありましょうけれども、これをたてに振り回すと必ず紛糾をますます拡大することになるのだと思う。そこで、行政運用をどうされるかということだと思うのでございまして、この点について、自治省におきましてもときどき研究はされるようですけれども、中断されまして、十分継続されていないのです。そう申し上げてははなはだ失礼かもしれぬけれども、問題が起きますと急に取りつけて研究されますけれども、いつでも中断されまして、またあとの人が別な研究をされる。これではいつまでたってもなかなか結論が得られないということになりまして、その間運用が途絶する、中断するという結果になるのじゃないか。この点について大臣、特に御考慮をわずらわしたいと思うのですが、もう一度御答弁願いたい。
  40. 安井謙

    安井国務大臣 お話のように、実態に沿いましてこれはそれぞれの解決方法を求めていくのでなければなるまいと思います。ただ、方向といたしましては、合併というような場合に、これは建前は村有というふうに持っていけばいった方がいいと思いますが、しかし、そのために従来のいろいろな慣習あるいはいきさつから、これをただしゃにむに強行して、摩擦を起こすということも、これも決していい行政じゃないと思いますので、そこは実態に即して十分今後も考えていきたいと思います。
  41. 川俣清音

    川俣分科員 もう一点だけです。  しかし、町村合併をいたしますると、地方自治法に基づいてということで、第二百九条を乱用——乱用じゃないでしょうけれども、そのまま使用されるという結果になる、決議されるという結果になる。従って、この問題につきましては、町村合併に伴うこの矛盾の深化について、福島君だの渡邊君が調査研究をした論文もあるわけです。この点につきましても、かつて自治省が相当この研究にも協力されたはずでありまして、今後牧野の問題が重要になって参りますというと、ぜひとも円満な解決をするように、指導されることが必要だろうと思う。二百九条がこのまま唯一絶対のものだということで強行されるところに問題があるわけですから、この運用の妙味を発揮させるように、やはり円満な解決を求めるということに重点を置かれた指導が必要なんではないか。確かに学説が二つに分かれているのですから、これは裁判になったりしますと、部落の貧弱な財産と、それから町村の財産をもって、何年もかけて裁判をするなんて、非常にむだな経費をかけていると思うのです。これは学説が分かれていなければ、判例が分かれていなければ、そういうことはやらぬでしょうけれども、判例自体が二つに分かれた判例がある。主として私権論の判例の方が多いのですけれども、従って、一方、部落の方では、面子にかけても、なに財産をほうってもこれで勝とうという気がまえが出てくる。町村は、一ぺん決議した以上、これでやらなければならないということで、これは裁判になっている件数も非常に多いと思うのです。従って、そういう同じ町村の中のものが裁判争いをしなければならない。これが非常にあとあとまで問題を残す問題で、感情的にいろいろな問題を残す問題であるだけに、これにとらわれて訴訟を起こすようなことを避けさせる必要があるのではないか。私は、別にどっちにつけとはこの際申しませんけれども、とにかく紛争があることは事実なんです。しかも裁判に費用をかける、部落も裁判に費用をかけて、同じその上の町村も裁判に費用をかけていく、村自体が裁判の費用を受け持たなければならないというような事態は、これは何といっても好ましくない事態だと私は思う。そこでやはりこういう紛争が起きないように、裁判ざたの起きないような指導の方法が必要だ、こういう点でございまするから、特に御指導を賜わりたい、こう思うわけです。
  42. 安井謙

    安井国務大臣 御説の通りだと思います。十分これは今後も検討をいたし、それからまた無理な運営にならないように指導いたしたいと考えております。
  43. 羽田武嗣郎

  44. 西村力弥

    西村(力)分科員 私は、この住民が税金の非常に重いのに苦しみながら、そのほかに法令や何かによらざる税外負担、その非常に重い、しかもその重さは普通の税とも違いまして、所得、資産そういうものの比よりも戸数割的な割り方によってかけられている、そういう不均衡の重さ、そういうものを強く感じておるわけなんでありまして、この税外負担の実情はどういう工合になっておるか、また、それに対してこれを減少し解消していくというのが、自治省側の一つの方針であるだろうと思うのですが、それを今後どのように進めて参られるつもりか、こういう点についてお尋ねをして参りたいと思うのです。昨年十二月に自治省で出されました「住民の税外負担及び市町村の府県に対する法令外負担の現況」を見ますると、やはりあなたの方の調査でも、調査やり方はいろいろあるでしょうが、その結果として出たのによりますと、都道府県に対する負担、そういうものと市町村に対する負担、これは市町村自体の府県に対する負担も入るでしょうが、そういうものを入れますと、三百五十三億九千九百万円、こういう工合に出ておるわけなんであります。その数字は一世帯当たり大体どのくらいになりますか。それの調査方法はどういう工合になさっていらっしゃるのか、こういう点について一つお尋ねをしたい。
  45. 安井謙

    安井国務大臣 税外負担につきましては、今御指摘のような負担がかかっておる、数字から申しましてもあるわけであります。これは非常に地方財政あるいは地方行政を運営していく上から好ましくないという考えで、私ども極力これをなくする方向で努力してきております。昭和三十五年の予算でも交付税の計算の際に九十億でございましたか、これを見込みまして、この負担の解消を進めていく。さらに三十七年度の予算につきましても百億を見込んでおりまして、これを計算して徐々に解決していくというふうにやっておるわけでございますが、さらに個々の扱い方につきましては局長からも御説明申し上げさせます。
  46. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今大臣からお話しになった通りでございますけれども地方財政計画に計上いたしますことが、地方団体に対しまして国の考えている方向を明らかにすることである、こう考えておるわけであります。さらに基準財政需要額に算入するということにいたしておるわけであります。一昨年はさらに法律改正も行ないまして、特定のものにつきましては税外負担禁止するというような措置をとったのであります。今後におきましても、そういうような方向で努力していきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、先ほどおあげになりました数字の中には、都道府県が市町村から徴収しておりますものは含まれていないわけでございます。  なお三十二年度にも同じような調査をいたしまして、さらに三十五年度において調査をしたわけでございます。その結果に徴しますと、府県が市町村に転嫁しておったもの、これは先ほどおあげになりました数字には上っておりませんで、その数字は大体二十四億円ぐらいになっているようであります。予算に計上されたものが十六億二千六百万円、計上されないものが七億七千三百万円、こういうことになっておるわけでございまして、この市町村に転嫁しておりました部分が四十億円減少いたしております。財政規模がかなり大きくなってきたことから考えますと、顕著にこの部分は国の指導が徹底してきたということがいえるのじゃないかと思います。住民から徴収しておりますものは、実額では六億円の減少ということになっております。数字的にはあまりかんばしい結果は示しておりませんけれども、財政規模がその間四一%伸びておりますので、やはり相当効果は見せているということがいえるのじゃなかろうかと思っております。一世帯当たりの額になりますと、これはもとより地域によりまして相当大きな額に上っておるところと、ほとんどないところというようなことになってくるのじゃないかと思います。国民所得に対しましては、ちょうど〇・二九%ということになっているわけでございまして、地方団体の税収入に対しましては、都道府県では二・七%、市町村で七・〇七%という額に上っておるわけでございます。
  47. 西村力弥

    西村(力)分科員 三十二年度の調査から見ますと、税外負担の減少の努力が効を奏して、額は少ないけれども予算規模の拡大から見ると比率としては相当だ、こういうお考えですが、それはそれとして肯定してもいいと思うのですけれども、現実としては、まだまだすばらしい税外負担に苦しんでいる、こういうのが実情なんです。しかも、私から申し上げるまでもなく、この税外負担というものは、先ほど申したようにどうも均衡を欠いているという問題ばかりじゃなく、税外負担からくるいろいろな弊害というものは、たとえば警察なんかにおいて税外負担をやれば、そこに何らかの関連性が生まれてくる。あるいは消防にしてもその通りじゃないかと思うのです。消防費用を税外負担におんぶすると、たとえば先ほど安宅君から話があったように、私の方では、労働組合の諸君が、これは税外負担であって法律違反であるから納めない、消防協会費の負担をやめた。そうすると消防協会あるいは消防団の幹部がそれに説得に参りましたが、説得してもどうしても聞かないという者に対する感情はどう動いていくか。それは表わしてはいませんでしたけれども、相当動く。昔は、火事なんかのときに、消防ポンプを持っていっても、あのうちでは酒一升出さぬから、今度はあのうちには水をかけないというようなことがあったのですが、そういうようなつまらぬ逆作用というか、そういうものが生まれる。教育なんかにおいてもそうだと思うのです。金がよけい出されない人とそういう差が出るということは、どうしてもいい結果は生まれないという工合に思われる。そういう趣旨からいいましても、税外負担の解消のために一段の努力の結果、成果は上げましたけれども、今後も本気になって一つやってもらわなければならぬ。今年またこの税外負担調査自治省でやられるということを聞いておりまするが、その計画予算面はどうなっておりますか。
  48. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 税外負担調査を三十七年度において行ないたいという考え方を持っておるわけでありまして、数十万円の予算が国の予算に計上されておるわけであります。七十万円でございます。
  49. 西村力弥

    西村(力)分科員 七十万、それで問に合うだろうとお考えになっているのでしょうが、どうも少し少ないような気もするのです。それでもやはり国の事務市町村負担で行なわれる結果になりますね。七十万で全部やらせるというのは、やはり市町村、府県が全部負担している、こういうやり方そもそもが税外負担を解消する方式と反しているのじゃないですか。これで全部市町村負担をかけないで事務費をとってやれるという自信はありますか、どうですか。
  50. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 やはり府県にいたしましても市町村にいたしましても、国民負担実態を明らかにしていくということを、その行政の一部として行なっていくことが必要なことだと考えるわけでございます。府県なり市町村なりに与えられておりまする財源は、そういう意味のものも含まれている、こう私たちは解釈しておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、調査用紙でありますとかあるいは集計の費用でありますとか、そういうものから見ていかなければなりませんので、今申し上げましたような予算措置をとっているわけでございます。こういう調査につきまして、府県なり市町村なりが協力していくということは、私たちは税外負担ではない、府県、市町村が積極的に調査すべき項目の中に入っているのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  51. 安宅常彦

    安宅分科員 関連して。財政局長なかなかきょうはうまいことを言っているのですが、どうも七十万円というのは、どうしても納得いかないわけです。ゼロが四つ五つ違うような気がするのですがね。いつかの地方行政委員会であなたは、たとえば道路の問題が出たときに、道路というのは道路を舗装するとその住民というのは若干の利益があるんだから、道路を作るときに若干分地元で、間口が三間だったら三間に相当した負担金などを出すのは、これは国で道路は作らなければならない、あるいは県で作らなければならないのだが、一部の限られた地域の諸君が利益を受けるのだから、税の公平という原則からいって、それは少し出すのがあたりまえという意味の答弁をあなたはしているのですよ。そういう頭があるから七十万円しかつかないのじゃないですか、どうですか。
  52. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 できるだけ手厚い財源措置をした方が調査の徹底を期しやすいということはあり得るかと思うのでございますけれども、こういうような性格の調査になって参りますと、必ずしも国だけが単独で全部やるべき性格のものだ、こういうようにも思われないわけでございまして、今お話しになりましたような道路関係経費負担の問題とは必ずしも同一ではない、こういうように思っておるわけでございます。今おあげになりましたようなものにつきましても、あとう限りむしろ府県道については府県が負担する、市町村道については市町村負担するというような方向に持っていきたい、そういう方向に私たちは努力をしているわけでございまして、当然受益者負担の形において、一部を地元が負担すればよろしいのだという考え方にはなっていないわけでございます。方向としては今申し上げましたような方向で努力いたして参るつもりでおります。
  53. 西村力弥

    西村(力)分科員 税外負担の解消をねらう自治省は、まず隗より始めて、そういう地方負担をさせて仕事をやるというようなことの考え方を改めらるべきではないか。それでこの調査をせっかくなさいましたが、これからどこをどうしようという結論は少しも出ないのか、これではだめだから、もう一段と基準を明確にして七十万円の費用をもって全国的調査をやって、それから税外負担の解消の具体的措置に出よう、こういう趣旨なのか、どうなんですか。これだけ調査をやったらそこから何か出そうなものだと思うのですがね。
  54. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 三十五年度の税外負担調査の結果に基づきまして、今回地方財政計画上百億円の経費をそのために計上いたしたわけでございます。同時にまたどういう方向に財源を付与すれば税外負担の解消に役立っていくかということをある程度そこから得られましたので、基準財政需要額に算入いたします百億円の額につきましても、そういう方向に基づいて算入したつもりでございます。税外負担の状況は、今後もさらに変わっていくだろうと思いますので、その辺の状況を調査した上でさらに第三の手を打っていきたい、こういうような気持でおるわけでございます。先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、三十五年の措置の結果、われわれが顕著に変わってきたという姿を見出し得ましたのは、府県が市町村に転嫁しておったのが大幅に軽減されて参った。これが一つの新しい発見した事実でございます。もう一つは、依然として残っている税外負担は教育費中心になっている、これが今回さらに発見した事実でございます。そういうようなことに基づきまして今回の措置をとっているわけでございます。しかし、今後さらにその模様も変わってくるでございましょうから、どういうような措置をとっていくことがより以上にこの方向に向かって前進していけるかという方向を見出したい、かように考えておるわけでございます。
  55. 西村力弥

    西村(力)分科員 大へんけっこうですが、一点、交付税の基準の中に税外負担解消の意味の百億を盛った、こう言いますが、交付税というのはきまりきった中からの内部配分のことなのでありまして、それを百億税外負担の分として見た、こういっても、これは内部操作であって、くるべき金がそっちの方の基準にただ算定されたということにすぎないことになるので、そういうことでは根本的に税外負担の解消にならぬじゃないか、こういう疑いを私は持つのですが、たとえば教材費の単価をぐんと上げてPTAの負担を縮小する、あるいは学校建築単価を実情に合うようにうんと上げていく、あるいは消防費でしたから消防の費用というものを全部市町村で見られるような方法をとっていく、こういう形をとればそれでよろしいのですが、交付税の内部操作であっちに少しよけいにやった、こっちにやったというような工合にやっても、市町村全体あるいは府県全体の財政面においては大した変わりはない、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、自治省の専門家のあなたは、私のこの素朴な疑問に対してはどう答えられるか。
  56. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 基準財政需要額というものが、府県なり市町村なりが財政運営をしていきます場合に、一つのめどになっていくわけでございます。西村さんよく御存じのように、地方交付税法は、特に地方行政計画的な運営を保障するためにこの制度を設けているのだということをうたっているわけでございます。従いまして、また地方団体におきましても、基準財政需要額がどういう姿において算定されているかということを一つのめどとして自分の財政運営の計画を作っているわけでございまして、そういたしますと、たとえば消防費なり教育費なりの財源が十分でない、その結果その部分が住民に負担が転嫁されていく、こういうことになって参りますと、そういう部分の財源を手厚く算定をしていくということになりますと、ある程度そういう面の負担転嫁が整理されていくのじゃないか、こういうように考えるわけでございます。ただ単に百億円解消するのだということを地方財政計画に計上しているだけでは、私は今指摘になった通りの結果に終わると思うのであります。やはり、どういうような部分について府県なり市町村なりが予算上の措置を手厚くできるか、そのめどを示していく、それに対応する基準財政需要額の増額を行なうということが、整理の方向に一歩前進させることが可能になる原因じゃなかろうか、こう思っているわけでございます。消防につきましては出動手当を増額いたしますとか、あるいは小中学校経費につきましては物件費を増額いたしますとかいうような趣旨措置をとることがいいわけでございまして、こういうような点につきましても、単価をどうはじいておったのを今回はどうはじくのだということを、法案が成立しますと、地方団体に徹底するように持っていきたい、かように存じておるわけであります。
  57. 西村力弥

    西村(力)分科員 それは一つのめどを立てるというか、またはっきりそういう算定基準の基礎が出て参りますと、それだけのものを市町村予算、府県の予算に盛るにもスムーズにいく、こういうようなことになりますから、それでいいのですけれども、それだけではやっぱり十分じゃないのであって、どうしても住民負担に転嫁される部分の基準単価、先ほど申した教材費とか学校建築の単価とか、そういうものを上げる、手当するということでないと、本格的な解決にはならぬじゃないか、こういう工合に私は考えるのです。その点は各省にまたがる問題であると思うのですが、各省にまたがるにしましても、自治省は、自治体のあり方あるいは住民に対する行政水準の確保とか住民負担の軽減とか、そういうことは自治省所管事項であるはずでございますので、他の各省の問題でも十分なる関心を持ち、また積極的な努力は当然なされなければならないと思う。  それで、自治省調査ではこうでありますが、私の方——御承知の山形ですが、全電通組合の山形県支部が中心になりまして、あそこの県の職員組合、市の職員組合その他県教組、農林とか自治労、自由労務者の組合、そういう諸君が一緒になって調査した税外負担調査表があるのです。これを見ますると、三十五年で一世帯当たり平均四千百七十円、こう出たんです。これの内容はどうかといいますると、小中学校関係税外負担消防費税外負担、街灯費、敬老費、それからポリオ接種費、衛生費、防犯費、共同募金、公民館費、婦人会補助、青年団補助、子供会、視聴覚教育費、福祉協議会費、こういう項目をあげてそれを算術的に集計しておる、こういうことです。これに対しましては、私も意見がありますし、自治省でもこれを税外負担として見るのはおかしいと思われる項目もあるであろうと思うのです。しかし住民のふところから出ているんですよ。しかもその出方はどうかというと、相当これが義務負担であるがごとく、徴税と変わらない方式でくる。だからこれは自由なんだといいながら、各部落会、町内会を通してくるんです。そうすると、その係が来てこういうのを出して下さいと言う。そして出さないと自分の分がまとまらぬもんですから、この次に来るときにはあんたの分は立てかえておきましたからどうか出して下さい、こう言う。隣近所のつき合いで、立てかえてもらってそれを出さぬというわけにはいかぬ。これは自由なはずだ、何も義務でも何でもない、自由なんだ、こういう原則をとりながらも部落会、町内会の生活環境の中において、そういうものを否定できなくなっちゃう、拒否できなくなっちゃう、こういう形で全部ふところから取られている。そういうことで四千百七十円というものが集計に出て参りましたがあなたの方の考え方によりますると、今あげました項目の中で不適当だと思われる、逆にいえば適当だ、それはやはり税外負担の中に入ると思われるもの、そういう項目は何々がありますか。
  58. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私たちが調べております税外負担は、本来都道府県費なり市町村費なりで負担すべきものであるにもかかわらず、これを住民に転嫁している、そういう性格のものを調べておるわけでございます。従いまして、本来住民が自発的な意思で拠出していくべき性格のものだとされております共同募金のような性格の経費につきましては、私たちはこれを税外負担という形では扱っていないわけでございます。  なお数字的に申し上げますと、三百五十三億円という税外負担の数字、これを荒っぽく二千万世帯で割ってみますと、千七、八百円という数字になるわけでございます。従いまして、ここで指摘されております数字が、特に法外に税外負担実態から離れた大きな数字だ、こう私は考えておりません。それに近い数字がやはり税外負担として私たちの調査にも出てくるだろうと思います。
  59. 西村力弥

    西村(力)分科員 こういう工合に出て参りまして、やはり住民のふところから出るのですから、これは税外負担のワクに入る入らないのは論議ということもあるでしょうけれども、受ける感じは全部強制的に取られる、こういう気持であるわけなんでありまして、こういう一切のものがやはり解消せられるべきであると思うのです。今項目のそれぞれの内容にわたってみますと、学校関係では、これはやはり一番税外負担として多いのでありますが、この中でこういうものはぜひ解消しなければならぬというのは、どういう工合にお考えになりますか。一つは保健費、これは学校保健法第七条にいう予防処置に必要なものとして、予防接種や何かやる、あるいはポリオの接種をやる、そういう場合の負担金がここでは八十五万二千二百九十三円、こういう工合にある学校の分が出ておるわけなんですが、これは一体税外負担になりますかどうか。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 予防接種につきましては、全額公費で負担すべきものとそうでなしに一部受益者負担、手数料を徴収してよろしいものと両方あるわけでありまして、公費で負担するものにつきまして、今お話しになりましたPTAその他に転稼しているということは、これは明らかに禁止していくべきものでありまして、私たちの言う税外負担に入るものだと思います。中身をよく調べてみませんと、全部そうであるかどうであるか、必ずしも的確にお答えすることは困難であると思います。方向としては、私たちはできる限りそういう方向の負担に持っていくべきものであるというふうな気持でおります。
  61. 西村力弥

    西村(力)分科員 文部省の財務課長来てませんか。——文部省はどうです。学校保健法第七条にいう予防措置に必要なものとして父兄の負担によって予防措置をとっている、そういうものは当然市町村において負担すべきである、こういう結論をあなたの方では持ちませんか。
  62. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 父兄負担内容につきましては、父兄が本来持つべきものであるか、あるいは公費で持つべきものであるか、境目のはっきりしないものがございまして、それはそのときそのときの関係で非常に判定のむずかしいものがございます。たとえば教科書の問題でも、以前は父兄が当然負担すべきものであるというふうな考え方でございましたが、最近ではこれが公費で負担すべきであるという考えに変わって参りましたように、中身が非常に判定がむずかしいのでございますが、ただいまの西村先生お話のようなものは、これは順次公費で負担していくべきものであるというように考えております。
  63. 西村力弥

    西村(力)分科員 それから図書費が百四十二万七千二百七十七円、こういう工合に出ておりますが、これは図書館法という法律がありますので、それの基準に従って設備を整え、図書、資料を整えていく、こういうことになるための費用ですが、そういう費用はどうでしょう。これはやはり本来的には市町村負担とすべきかどうか、これはどうです。
  64. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 図書の基準につきまして、文部省が一定の基準を定めまして、そこまで支出すべきであるというような図書につきましては、これは本来市町村にお持ちいただくのが筋じゃないかと思います。しかしながら、父兄とか児童の要望によりましてその基準以上にものを考えます場合には、これはある程度父兄の負担であるということもやむを得ないような場合があると思います。そのほかの問題でも同じでございますけれども、たとえばピアノにいたしましても、普通の竪型ピアノが必要であるということは常識でございますが、これをグランド・ピアノにするというような場合には、著しく市町村負担になるということであります場合には、父兄負担もある程度やむを得ないということもあり得ると考えております。
  65. 西村力弥

    西村(力)分科員 そのけじめは私自身もわかりませんが、その次に、それじゃ修学旅行のつき添い旅費、これがやはり税外負担の父兄負担になっているのです。この問題は私の方の松田という教員が、去年市町村一般旅費からつき添い費を出さなければ、私はつき添いに行かない、こういうことをはっきり言明して、そういう態度をとった教員がおります。これは正しいことであると思います。修学旅行というのは、一つ学校行事であるわけですからね。しかも大げさに言えば児童の生命を預かりながらやる大事な行事です。そういうようなことが父兄の負担によって行なわれることは好ましくないことである。そういう態度をとったことに対しまして、それは行かないでいいのか悪いのかを、この前文部大臣質問したら、筋はそうだけれども、行かないでは困るというようなあやふやなことを言ったのですが、そういういいかげんな言葉で言っているからうまくいかないのであります。これが五十万八千円、こうなっておるのですが、これなんかはもう全部全然父兄負担にしない、これを学校経費の中に盛る、市町村負担の中に盛る、こういうことにしなければならぬと思いますが、これはどうですか。これに対しては今度の予算で指置しておりますか。
  66. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 お説の通りでございまして、修学旅行のつき添い旅費の場合には、これは当然公費から負担すべきものであるという考えを私ども持っておりまして、このたび予算の要求をいたしました場合にも、そういう父兄の負担の解消ということを考えまして、約七千円という旅費を要求いたしております。しかしながら、これは義務教育国庫負担金が実績負担の立場でございまして、来年度予算といたしましては、その実績を加味して考えておりますけれども、私どもといたしましては、府県を指導いたしまして、そういう旅費につきましては、これは正規の旅費として支出するように指導いたしたいと思っております。
  67. 西村力弥

    西村(力)分科員 今のお話、ちょっと聞き漏らしたのですが、七千円つけたのですか、要求しただけなんですか。
  68. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 義務教育費国庫負担金は、これは実績負担でございますので、父兄の方でそれ以上に旅費を支出いたしました場合には、当然国の方で精算負担をいたす、そういう建前になっております。従いまして、来年度予算といたしましては、一応実績をもって考えておる次第であります。本年度は四千四百円のものを四千八百円と四百円ばかり増額いたしております。
  69. 西村力弥

    西村(力)分科員 四千四百円を四千八百円にしたと言いますけれども、それは旅費その他宿泊費すべて高騰しておる現時点においては、この上げ方だって、これは焼け石に水のようなものじゃないかと思うし、またこのごろ文部省としては、校長会とか教頭会とか、そういうものの招集、しかもそういう場合には正当旅費を支払えというような通牒を出したりして、そして、旅費の大半をそれで食う。そういう会合をひんぱんに持って集めて、そこに正当旅費を出すようなことをやる。だから、一般教員が研修のために、ことに大事な修学旅行のつき添いなんかの場合に、父兄負担によって行かなければならぬ、こういう矛盾が起きてくるのでありまして、これは一つ実績負担と言いますが、この点は行政指導としても当然強くなさるべきであると思う。  それから、その次に産代人件費が四万二千九百円と、それから事務補助人件費、これが八十八万円、司書補助人件費が七十四万、給仕その他の人件費が三十五万、こうなりますから、これを集計しますと、大体二百万という金が人件費のために税外負担としてかぶせられておる。これは明らかに地財法から見ましてどうです。地財法二十七条の三、そういうところに照らしまして、これは明らかに不当であるといわざるを得ない。これは奥野局長、どうです。文部省の方もどうです。
  70. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 市町村職員の費用として支払われるものにつきまして、PTAその他の方から市町村に金を出しておるということは、これは三十五年に法律改正をいたしました際に禁止をいたしたわけでございます。今の数字は何年の数字か存じませんが、三十六年度以降でありますと違法であります。三十五年に法律改正の措置をとりまして、三十六年度から適用する、こういうことにいたしたわけであります。
  71. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 人件費及び学校の維持修繕費、これは父兄負担ではなくて、公費で負担すべき性質のものである、言ってみれば、たちの悪い経費ではないかというように考えまして、私どもの方も自治省の御好意によりまして、地方財政法の改正並びにそれに対する地方交付税による財源措置ということをやっていただいたわけでございます。私ども調査によりますと、そういう経費は急激に減少いたしておりまして、三十六年度の当初におきましては、半分以上の経費がなくなっておる。それ以後も国の方では努めてその財源措置につきましては、努力しておるというような予算の立て方でございまして、これは急速になくなるものというふうに考えておる次第でございます。
  72. 西村力弥

    西村(力)分科員 これは三十五年で、法改正の前ですから違法だとはいえないことになるわけですが、しかし、こういうことは一日も早く解消されるように期待していきたいと思うのですが、この自治省の三十六年の調査、これの中にも教育関係として行政目的別あるいはそのほかの分類をされておりまするが、性質別に見ますると人件費負担というものが相当あるのです。行政目的別に見ますと教育関係費というのが一番首位を占めておりまして、性質別に見ると人件費というものは六千六百二十三万円、これだけありますが、この中には今言った職員の給与、人件費、そういうものは含まれていないのですか、まだ相当残っておりますか。
  73. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 三十五年度の数字でございまして、御指摘のようなものがかなり入っておると思います。
  74. 西村力弥

    西村(力)分科員 それでは今度の新しい七十万円で行なわれる税外負担の全国調査に期待しなければならないことに相なるわけですが、その次に校舎校具等の設備補助、こういうものも相当出ておるのです。これは三百十二万八千七百七十九円、児童一人当たり九十七円ということになっていますが、これはどうです。文部省としてはこれは当然市町村負担となるべきものと考えるか、あるいはある程度の限界があるのか、その点一つお尋ねしたいと思うのです。先ほど申したグランド・ピアノがほしいというのは、それは竪ピアノのほかに余分の欲望であるから、その部分だけは税外負担もやむを得ない、こちらの方は最低基準だけは税外負担は負わしてはいけない、こういうような考え方であるようですが、いずれにしましても校舎、校具費等あるいは修繕費等、そういうものの住民負担については、いかなる見解を持っておられるか、それをもう一つ文部省側からお答え願いたい。
  75. 岩間英太郎

    ○岩間説明員 校舎、校具につきましては、先ほど西村先生から御指摘がありましたように、これは一つには国庫負担金あるいは補助金の積算が十分でないために私ども来年度は教材費を二割ばかり増額いたしましたほか、理科教育、産業教育の補助金の増額をいたしております。また校舎につきましては、単価の改定、構造比率の改定等を行なっておる次第でございます。しかしながら、その点につきましてはまだ十分といえない点があるので、この点につきましては、今後とも私どもも改善の努力をいたしたいというふうに考えております。  先ほどお話のございましたように、校舎校具等につきましては、これは一般的な常識から申しまして、その学校としてはぜいたくであるというふうなところが見られるものにつきましては、父兄負担でやむを得ないと考えていますが、基本的なものにつきましては当然公費で負担すべきものというふうに考えるわけでございます。
  76. 西村力弥

    西村(力)分科員 そういういろいろな不備の点がたくさんありますので、それを早急に解決する努力を自治省側にも文部省側にもお願いしなければならないわけですが、これはやっぱり父兄側にすれば、悪い言葉で言うと、子供を質に取られているようなものですから、なかなかもってそういう企画に対してノーとは言いかねる場合が多い。そういうことをいいことにして、のんべんだらりと父兄負担でそれをおんぶさせておるということは、これは自治省考えられなければならぬ。またこういうふうに金ばかりかかるということになるとどういうことになるか。前に山びこ学校という映画にも出て参りましたように、朝お母さん金と言うとまた金か、学校にいくのがいやになったというのがあの映画にありましたが、そういうふうに子供たちが非常に打撃を受ける場合が多いのです。ですからその努力というものは政治を行なう者お互いが、現在の政治ばかりではなしに将来の政治をやる場合においては、そういういやな気持を子供に起こさせるということを一日も早く解消させるのが、私は当然だと思うのです。  そういう工合にして教育費関係を見てみると、これは自治省しっかり聞いてもらわなければならぬ。ここに市費と税外負担比較表というものが出ておるのですが、職員費においては、市負担が五千百七十九万九千七百円、税外負担が二百二万と出ております。それから旅費はどう出ておるかというと四十五万八千円と出ておるのですが、税外負担が五十八万八千円と出ているんですよ。旅費は市負担額よりも税外負担がよけいになっているんですよ。それから需要費が四千百七十九万五千円、それに対して税外負担が一千八百三十二万。それから維持修繕費が九百十九万円という市の予算額に対しまして、これが百六万九千円、これだけ出ておる。それから研究費というものが七十二万円の市の予算に対して税外負担が百四十六万円。それから負担金分担金なんというものが二百四十五万円に対しまして十四万四千円、これはまあ少ないですが、公民館運営費なんかはどうかというと、二百九十万の予算に対しまして三百七十二万の税外負担。それから視聴覚ライブラリー、そういう教育費、これは市の予算の百万に対しまして税外負担が二百一万。こういう形になっているのです。こういう自治体行政のあり方というものは、まことにひずみが大き過ぎる。こういうことであったらちょっと奇異に感ずるくらいに思われるのじゃなかろうかと思うのですが、それでなければ行政水準が維持できないという現状にあるというようなことは、一つ真剣に検討されるべきことじゃないかと思うのです。それに対しましては意欲は相当おありのようです。その意欲を現実化する努力を強く要請しなければならないと思うわけです。  次に、税外負担の中身の消防費関係、これはちょうど安宅君から先ほどありましたのでやめておきますが、やはり警察費の次は消防費、そういうものはやはり税外負担にしないということが、いろいろな地域環境からいいまして、考えていかなければならないことである。こう思うのです。しかも法律的には消防法第八条に市町村負担という工合規定されております。これが消防協会費は納めないということになりまして、私もそれに乗ってやりましたが、いつの間にか私の妻が納めちゃっておるわけですが、やはり部落にしても消防の団長なり支部長なりが来ると納めないわけにいかぬですよ。一つの地域社会の生活というものはそんなものですからね。ですからそこのところはしっかりと法律で規制されておるならば、これはやはりきちんとした対策を立ててもらわなければならぬじゃないか、こう思うのです。  その次、土木費関係もやはり相当ありますが、これは建設省の人がいないとちょっと何だかもしれませんけれども、これだって区画整理をやるにしても減歩率を相当高くつけてくるとか、負担が相当ありますし、あるいは舗装するにしても五%の住民負担をかけるとか、さまざまあります。こういう点も、これは道路舗装なり拡幅なり改修なり、そういうものが行なわれると、そこにおる住民はそれだけ利益を受ける、あるいはそのために土地の単価が上がるから、そういう意味において負担すべきだという考え方、そういうこともあるでしょうけれども、これは当然国あるいは市町村、そういうものがやるものですから、これは解消する方向にいくべきが当然じゃないかと思うのですが、これに対する自治省の見解は一体どうですか。やはり利益を受ける者は利益分だけの応能する負担というか応益負担というか、そういうものはやはり考えざるを得ないということになるのですか。
  77. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御指摘いただきました点につきましては、私たち将来とも改善に向かいまして一そう努力をしていきたい、こう考えております。基本的には地方財政がよくないということなのではないかと思っておりますが、あわせまして考えて参りたい、こう思います。  今お話になりました受益者負担の問題でございますけれども、たとえば区画整理事業を行なおう、そういう場合には区画整理の結果、公共用地も相当多くとらなければなりませんし、それらの費用を必要とする反面、残された土地については大幅に受益も考えられるわけでございますので、そういう費用を捻出するために減歩を行なうというやり方をしておるわけでございます。私は、一つの行き方だ、決してこれでやらなければならぬと思ってはいないのであります。しかしながら公共用の道路の改修を行ないます場合に、地元に一々金を出させているといよううなことにつきましては、納得しがたいものが一般的にはあるわけでございます。原則としてこういうものにつきましては、道路費の負担区分に従って、それぞれの団体負担していくべき性格のものだろう、受益者負担的なものは例外的にはあるわけでございましょうけれども、原則的にそういうことを考えるべきではない、そういう方向の努力をしていきたい、かように考えております。
  78. 西村力弥

    西村(力)分科員 そういう方向で、一つ住民の立場に立って建設省当局と交渉、折衝をしていただきたいと思います。  それから赤い羽根募金とかあるいは福祉協議会の負担金とか、そういうものは税外負担に入らぬ、こういう工合に仰せられたのですが、これは任意的なものである。これを原則としているはずでありますから、そう仰せられるのもそうかもしれません。しかし他県ではないかもしれませんけれども、私の地域では、これは税金と同じように印刷されて、そうして山形市収入役何のたれそれに納めるべし、こういう徴税令書に類するものがやってくるのですよ。そうして言うことは任意だということになりますが、先ほど申しましたように任意といったって、集金人が来て立てかえておきましたからと言われれば、出さざるを得ないということになると思います。そのことは、これは前にどこでしたか、社会労働委員会でもいろいろ問題にしておりましたが、将来は大口募金を中心として、小口の一般募金はほとんどゼロに近いようにしていきたいということを仰せられておりましたが、少なくとも任意である。こういう一つの慈善的な仕事というか、そういうものは、強制的な色彩を加えたものでは、一つのモラルである慈善とかなんとかいうモラルそのものがおかしくなってしまうのじゃないか。ですから、これはあくまでも任意的なものにすべきであって、そういう徴税令書的な方法でやられておるようなことは解消する、これは好ましくないという見解を立てられて、一つ指導なり交渉なりをせらるべきじゃないか。所管は厚生省かもしれませんけれども、そういういやな気持でこの募金に応じているなんということは、決して趣旨にも合わないと思います。そういう点については自治省も当然努力せられておると思いますが、いかなる方法をとられておるのですか。
  79. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 共同募金などの問題につきましては、西村さんと考え方は全く同一でございます。基本的にはやはり運用の問題だと思います。運用を改善したくても、それでは実効が上がらないというものであれば、私はやめるべき性格のものである、こう思うわけでございます。財政全体がある程度向上して参ります場合には、そういうことも可能になっていく性格のものではないか、こう存ずるわけでございまして、運用の改善というような問題につきましては、税外負担調査等にあたりましても、そういう点については触れて参りたい、こういうふうに考えております。
  80. 西村力弥

    西村(力)分科員 時間も参りましたのでこれで打ち切りますが、いずれにしましても税外負担というものは、せっかくの御努力でいささか減少はしておりますが、まだ過重だ。しかも、その税外負担のあれは、均等割的な性格があってこの圧迫は強い。しかもたとい任意といいましても、任意でない形でやはり負担せざるを得ないという工合にきているんだ。こういう点、十分実情を把握せられまして、早急に打開策を立てられて、今度の調査なんかもいい結果を生んでくれるようにお願いしまして、終わります。
  81. 羽田武嗣郎

    羽田主査 安宅君。
  82. 安宅常彦

    安宅分科員 先ほどの続きをやるわけでありますが、藤井さんにちょっとお伺いしたいのです。  消防協力会費が、西村さんが言ったように、福祉協議会費と同じように、納税告知書と同じようにくるのですね。これは不当である、こういうことで通達を出すつもりだとあなたはさっきおっしゃいましたが、こういうことをやったならば消防が動けないじゃないか、こういうところまで私は先ほど申し上げたわけであります。私が非常に心配なのは、そのことによって消防職員が——実は私のうちというのは消防だの安全協会などみんなやっておるのですが、何だ消防は要らないのか、おれたちはどうするのだ、おかしいじゃないか、こういうふうに誤解を受けるような社会の仕組みになっておるのです。消防職員の定員なども、今度の交付税の中に基礎数字か何かが出ておりますが、こういう現在あなた方が考えておるような機構の中で消防を運営するということをまず一つ主体にして、現在そのような協力会費を取りながら現在の機構の消防を運営するとするならば、取らない場合と取った場合とどのくらいの差があるかという資料は出ませんか。
  83. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御満足のいくような資料が出せるかどうか、その点はなお研究してみたいと思いますが、全般的に申しますと、手元にございます三十五年度の決算によって見ますと、市町村消防費は二百七十五億ということに相なっておるわけでございます。これに対しまして、先刻申し上げましたように、三十五年度の税外負担消防関係が六億八千万ということでありますので、その点税外負担の解消ということを相当強硬に申し上げましても、全国的に見た場合はそう無理がくるものではないのではないか。むろん個々の市町村についてこれを見ますと、税外負担というものが非常に大きいパーセンテージを占めておるというようなところもあり得ると思います。従って、その点一律には申し上げられませんが、また先刻も申し上げましたが、実は今お話が出ております点については、私といたしましてももう少し詳細に内容を検討してみたいと思っております。ただそれを一律にこういう格好には実際いかぬぞというようなことを言いまして、そのために消防の運営自体がストップしてしまうというようなことにならぬと思いますが、そういうことになりますと、また行き過ぎでありますので、その点は十分しんしゃくをしながら指導の万全を期して参りたい、かように考えておるのであります。
  84. 安宅常彦

    安宅分科員 あなたはさっき通達を出すとあっさり言ったのですが、今度は少し実情を調べてと言って、運営ができなくなるということにはならないと思うが、なったらこれもまた行き過ぎでありますからと言う。そういうのは消防の大将としておかしいじゃないですか。ほんとうは全部公費でまかなわなければならないのだから、もし何だったら、私が最も近い将来においてその告知書なるものの見本を持ってきて、あなたに見せましょう。こういうものは不当だというものを具体的に見せましょう。そうしたら、私が出したようなものはいかぬというような通達を即座に出す勇気がありますか。
  85. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 それを一般的に通達として流すかどうかは別問題といたしまして、個々具体的には、私の方で判断をいたしますならば、具体的に当該市について指導をいたしたいと思っております。
  86. 安宅常彦

    安宅分科員 時間がございませんので、私も簡単に言いますから、答える方も簡単明瞭にお願いしたいのであります。  これは先ほど行政局長お話をしたのですが、例の靖国神社とか明治神宮のそういう例の場合におきまして、こういうような行政機構を通じて職員を使い、その消耗品を使い、町内会などの組織を動員して、このような寄付行為をやるという現実が具体的にあった場合には、それはいかぬということを行政面とした指導するということがあなたできますかどうか、それを聞きたいのです。
  87. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お話のように、行政機構を使い、役所の用紙を使い、徴税令書を使ってやる、そういうようなことはいかぬと思いますから、指導をいたします。
  88. 安宅常彦

    安宅分科員 先ほど文部省の課長さんから、そういう交付税なりの配分の仕方やそういうものが実績主義になっておるので、旅費が四千四百円から四千八百円にふえただけで、私の方としては必要な額としてあと七千円要求したんだ、こういうふうに言っておりました。いつも地方行政委員でも実績主義によらざるを得ない、こう言っているのですが、ことしは学校先生の旅費はこれだけだ、お前の方はこれだけしか使ってないじゃないか、修学旅行のときも足りないと言ったって使っていないじゃないか、だからこれだけしかやっていないという実績主義をとった。実は地方行政の態勢というものがくずれてしまう一つの原因は、その実績主義というもので、西村先生から話があったように、税外負担の方が市が持っている経費よりも多いという項目があまりにも多過ぎるような現状ですから、そういう実績主義は何とか変えなければならぬ段階に来ておるんじゃないかと思うのですが、あなたはどう思いますか。
  89. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 小中学校先生の旅費につきましては、府県が出資した額の二分の一を国が負担することになっていることは御承知の通りでございます。三十七年度につきましても、府県が支出すれば、その二分の一を国が負担する。府県が支出するであろう額がこれだけという予測のもとに、二分の一の額を計上しているわけでございます。その際に、修学旅行のつき添い旅費などについては全額公費で負担すべきだ——府県が支出するであろう、また支出させたいという考え方の上に予測を立てますと、さらに大きな額になるだろうと思いますが、その予測を立てて、その二分の一を私は計上すべきだと思います。実支出額の二分の一を出すという建前がありますので、出せば必ず二分の一は国が持ってくれるということになりますだけに、府県としては旅費の計上額を引き上げやすい、こう私たちは考えているわけでございます。実績の二分の一を持つということは、国が考えている方向に持っていく場合に持っていきやすい負担の仕方で、私はこれは非常にいい方法だ、こう考えております。なかなかそこまでいきませんのは、いろいろな考え方もございますので、文部省はこう持っていきたいと考えましても、財政当局がある程度査定を示して、その結果が思い切って府県にここまで出しなさいよということを言いにくいというような問題が若干ネックになっているんじゃないだろうか、こう私は判断いたしておるわけであります。
  90. 安宅常彦

    安宅分科員 大へんこまかいようですが、旅費だけが問題の中心じゃありません。たとえばPTAの会費、これは山形市の第八小学校のPTAの決算書なんですが、これを見ますと、消粍品費というのがありまして、用紙、原紙、カーボン紙、謄写用インキ、封筒までPTAが負担している。それからまた、学校の教育資料、雑誌、新聞代までPTAが負担しているんですよ。これは文部省がいないので、あなたに幾ら文句言ったってしょうがないと思うのですが、学校先生が見なければならない教育資料、雑誌、新聞代まで文部省は予算をつけないのです。それをわかって、あなたの方は半分さえ払えばいいと思って、簡単に考えられては困るのです。そういうことがあっては困るから、実績主義というものはやりやすいとあなたはおっしゃるけれども、これしか金がないのだとはったりをかけておいて、これ以上要求したってだめですよと言わんばかりの体制がしかれておる中で実績主義が組まれておるということは、どうしてもいかぬと思うのでありまして、これはまたあとでやりますから答弁の必要はありませんが、最後に一つお願いしたい、ぜひ聞きたいことがあるのです……。
  91. 西村力弥

    西村(力)分科員 ちょっと聞き漏らしたのは、警察関係税外負担関係もありますが、これが自治省調査によって出ておりますけれども人件費も二十五万なんて出ておりますが、これは早急に解消せらるべきじゃないかと思うのです。まだ残っておることで私は不思議に思って警察当局に来てもらおうと思ったのですが、おいでになりませんから、これは内容調査して早急に解決していただきたいと安井大臣にお願いいたします。  それから、もう一つ申し忘れたのは、地方市町村の法律外の負担があります。山形県の市町村政連絡協議会で申し合わせしたのを見ますと、驚いた項目あるいは金額、そういうものが出ておるのです。こういうものはやはり解消する方向にいかなければならぬと思いますが、特徴的なところを申し上げますと、山形消防協会、山形県観光協会、山形県鉄道建設整備促進同盟会、山形県統計協会、山形県東北開発推進協議会、全国治水砂防協会県支部、これが三百万の要求です。これが一番大きい。山形道路振興協会、山形県治水協会、山形県港湾協会、山形県都市計画協会、山形県農業改良普及事業協議会、海外協会、結核予防会、青年学級振興協議会、連合小学校長会、定時制高校協力費、そのほか東北自動車道建設促進協議会、そういう工合にたくさんありますが、この負担も相当膨大な地方財政の圧迫になっております。こういう点も十分検討願いたいと思うのですが、それで申し合わせをしてなるべく削減しようと努力しておるけれども、現実にはなかなか削減ができないという現状にある、こういうことでありますので、こういう点も税外負担解消の一つの中身の中に入れて御検討を賜わりたい、これだけを一つ申し上げておきます。
  92. 安宅常彦

    安宅分科員 話が飛び飛びになるかもしれませんが、警察関係の人がいないので、大臣に聞きたいのです。実は交通関係のことですが、交通安全都市宣言というのをこのごろたくさんの都市でやりつつあるのでありますが、これはあなたの方の指導でやっておるのでありますか。
  93. 安井謙

    安井国務大臣 直接に私の方でこうしろ、ああしろといったような指導はいたしておりませんが、こういう機運が起こって、交通安全のためにそういった宣言が行なわれることは、われわれにとっては非常に好もしいものだというふうに考えております。
  94. 安宅常彦

    安宅分科員 その宣言ばかりしたって、宣言しただけではうまくないから、何か道路に横断幕を張るとか、いろいろ協力してもらうために交通整理の実務教育をやるとか、いろいろなことをやっておるようです。地方自治体なりあるいは民間の団体がそういうふうに自主的に一生懸命やっておるのに、あなたの方では、好ましい程度で金も一つもやらないでおいたら何にもならない。実のみのらないものになるような気がしてならないのですが、何か一つ援助するとか、そういう好ましい傾向に対して、そういうことは考えておりませんか。
  95. 安井謙

    安井国務大臣 ごもっともでありまして、これはぜひできるだけのことを考えたいと思っておりますし、民間の交通安全協会といったようなものに対しましても費用の分担をしておるわけでありまして、そういうものと相待って、できるだけ必要なものについての財政措置考えたいと思います。
  96. 安宅常彦

    安宅分科員 大へんやっておるような話ですが、これは道路交通小委員会のときにもちょっと言ったのですが、私のおじが会長なんです。いろいろ表彰なんか受けたものですが、表彰なんかを受けておるから一生懸命やっておるわけではない。ところが仕事を投げてやらなければこの安全協会の仕事なんかやれないのです。もうほとんどうちの仕事はできない、こういう状態まで涙ぐましい努力をしておるのだが、事故は相変わらず起こる、非常に困ったと言っておるのです。こういうときにいろいろと国の方で施策をこのごろやりつつあるわけでありますが、たとえば協会長をしておるおじからいろいろ聞いたのでは、道路の標識なんというものは、規定通りどころか、その半分も山形県なんかは標識がないそうです。たとえば曲がり道だからあれを鳴らせとか、いろんな標識があるでしょう。そういうものが規定のところにない。あっても、もう腐りかけて、投げつばなしになっているところもある。非常に困ったと言っているのですが、これはいろいろ聞いてみますと、やはり問題は予算なんです。こういうことを全国的に、とにかくびっしり半年なら半年の間に全部整備をする、これくらいのことを考えたことはありませんか。
  97. 安井謙

    安井国務大臣 道路標識は非常に大事なものだと思いまして、極力促進をするようにいたしたいと思っております。またあの様式につきましても、はたしてあのままでいいかどうか、もっと改善されるところがあるかどうかといった点も目下検討いたしております。
  98. 安宅常彦

    安宅分科員 今度は少しこまかくなりますが、この間路線トラックの乗り入れ禁止をやりましたが、意外に反響が多いのであります。意外と言うと私の不明のいたすところとなるかもわかりませんが、大体ああいうことをやるときに、これは地方行政でも問題になったんですから、基本的なことは私はここでは言いませんが、いろんな業者やそれで生活をしておる諸君のことなどを考えて、ああいうことを立案したのか。たとえば具体的に言うならば、たった何千台かのトラックだ。七万何千台かの東京都内の車の数から見れば、ごく少しのものを乗り入れ禁止しただけで、実際うまくなるだろうかという問題と、この人たちが夜間に入ってこなければならないということになりますと、従業員に対して超過勤務手当を払わなければならない。深夜作業もやらせなければならない。そうすれば労働基準法違反になるので、運転手の定員もふやさなければならない。莫大な経費負担をしなければならない。大きい会社はそれでも何とかいくかもしれませんが、中小業者はことに大きな損害をこうむる。こういうことについて考えた上であの案を発表したのかどうか、これを聞きたいと思います。
  99. 安井謙

    安井国務大臣 これは前の地方行政でも御説明申し上げたかと思いますが、まだこれは確定したものでも何でもございません。一応車種規制というものは最後の手だと思いますので、できるだけ慎重に扱いたい。しかし、あらゆる手を尽くしてみても、これが四月なり何なりの趨勢で、どうもこのままでは全体が麻痺するとか、部分的な麻痺が強くなるという危険性があるとすれば、まず第一に手をつけるのは、ああいうふうなものじゃなかろうかということの試案として、これを今関係方面と協議、検討いたしておるというのが実態でございます。しかも、その試案の中には、これは今言われますような影響をできるだけ少なくしなければいかぬというので、この路線トラックというのが一番定期的に、これは長距離を走っているものでございますから、幸いこの東京というようなところを走る時間をはずすのに比較的やりやすい種類じゃないか。事実上、路線トラックは全体で千二、三百台といわれておりまして、半分は現在夜間に回っておるというような格好から、一番夜間になじみやすいものがあれではあるまいかという見当をつけて、今いろいろ検討をいたしておるという段階でございます。
  100. 安宅常彦

    安宅分科員 路線トラックだけじゃなくて、長物をつけたものとか、観光バスとか、いろいろあるのですが、私の調査によりますと、そういうところの労働者というのは、ほとんど労働基準法ぎりぎりのところと、それから労働基準法をもう踏みはずしてしまってやっておるところ、違反ばかりでやっておるところが大部分なんですよ。この問緑のおばさんが来ましたね、あの地方行政に。ところがあの人の給料は九千円です。五人家族で、今生活保護費は一万をこすでしょう。そのとき九千円の月給をくれておいて、そうして制服の上だけくれて、ズボンもくれないでおいてやっておる。こういうものをそのままにしておく。ダンプカーの運転手が来て、一万七千円もらっていると言いました。初任給はあなたの会社は幾らですかと言ったら、やはり九千円であります。それで結局一回東京から千葉まで往復すれば三百円。だから何回も往復したい、基本給が安いから。それがなければめしが食えない。やむを得ずもう深夜作業もどんどんやって、会社は会社でそれを黙っておる。労働組合のないところなんか、もうそんなことはへいちゃらです。やれということで、本所だかで一つこの間あがりましたのですが、この間予算委員会で、労働省の労働基準局長が、一年間に約二十四万の事業所について労働基準の監督をしておるというのです。そうしますと、大体十年に一ぺんくらいしか、その事業所に、あなたのところは労働基準法を守っているかどうかという調査に行けないという仕組みなんですよ。そんな機構の中でやったんでは、またさらにこれをなるべく影響のないようにと大臣は言いますけれども、影響があるならば、全部が全部労働基準法違反、こういうことになって、交通法規で取り締まるよりも、労働基準法でぶち当たってしまう、こういう結果になる。これはだれが見ても明らかであります。そうして、調査は、労働省の方では予算がないから基準監督官が行けないでしょう。それをいいことにして、全部夜勤化そうとする。そうしたら、せっかくあなたの方で今考え中の案などというものは、かえって事故を増すだけになる、こういうことになりかねないと思うのであります。こういうことについて、大臣、そこまで考えたことがありますか。
  101. 安井謙

    安井国務大臣 今御指摘のようなことは十分考えなければなるまいと思っております。従いまして、事故を起こした原因についても、これはただ口先だけじゃなくて、今の雇い主の状況といったようなものについても、できるだけ追及をいたしまして、今御指摘のような例がせんだっても出ておりますが、経営者には相当厳重な指導をいたし、あるいは警告をするだけじゃなくて、そういった違反をやっておる経営者に対しては処罰もする、摘発もするという方針で臨みたいと思っております。
  102. 安宅常彦

    安宅分科員 それは交通法規でやるのはあなたの方でやれるかもしれないが、一番問題は労働条件が問題なんですよ。だからみんな赤信号が出かかっても突っ走るのですよ。ダンプカーの運転手がはっきりそう言っていました。黄色だな、今なら大丈夫だなどというのは、やはりそういうことがあるからです。それでバスの運転手さんに、処罰ばかりして、新道交法で罰金ばかり上げちゃって、何だこんな道路作りやがって、という気持になりませんかと言ったら、国会議員先生方の中にもそういうことを言う方がおられるということを知りまして、胸がすっとしましたなんて言っているのですよ。そういう状態の中で、深夜だけしか入ってきていかぬとか、そういうことをやるのは本末転倒であって、その前に——これは労働省の方はいないと思いますから、ここで言ってもしょうがありませんが、よく労働省と相談をして、基準行政をもっと厳格にして、予算をもっと盛ってもらう、それから、あなたの方は交通の関係でそれを取り締まる、こういう二つの方針を一緒にやらなければ事故はなぐならない、私はそう思っておるわけです。ぜひそういうことで、あなたの方で基準監督は労働省だと、あっさり言わないで、ぜひ協議をしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  103. 羽田武嗣郎

  104. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 私はごく簡単に二、三お伺いをいたしたいと思います。  先ほどからの質問にも消防の問題が非常に重く取り上げられ、昨日の上林山委員の質問でも農村の実情が訴えられたのですが、私は少し答弁に十分でない点があると思いますので、お伺いをしておきたいと思います。  この市町村消防施設の整備費並びに同様消防ポンプの購入に対する補助として、七億円が計上されております。その次に、第三に消防職員の公務災害補償責任共済基金の補助に必要な経費、これが五千六百万円組まれております。このようにして消防職員に対するいろいろな施設の費用が組まれておるわけですが、専従の消防職員が置けるような自治団体、これはいいといたしまして、最も憂慮すべきは、上林山委員のおっしゃったように、今日の農村はほとんど若い者はおりません。といいますのは、私が予算委員会で質問をいたしましたように、今日の農村は昔の非貨幣経済から貨幣経済にだんだん変わっておるのです。そうしなければ、都市と農村の生活の格差を縮めることはできない。かてて加えて、そういう要請もありますが、同時に、今日の農村におきましては、ほとんどが貨幣を得る手段としての農業でないことも御承知の通りなんです。従って、若い者はすべて、都市へ行くなり、それぞれ月給もしくは日給的な性格で、貨幣を得るための近代的施設へ働きにいくということになります。でありますから、昔ならば田畑で働いていて、それ火事といえばすぐそのままでかけつけることができましたけれども、今日ではほとんどそれはないのであります。こういうときに一番憂慮されるのは、消防機能の低下というよりも、ほとんど皆無といっていい状態であります。これをそのままにしておきますと、一つは単なる消防という役目だけではなくて、農村では防犯的な機能をも警察に協力しておるのですから、これを何とか今のうちに解決しないと、非常に重大なことになると私は思うのです。本年の予算にはそういったものの経費については一向見当たらないのですが、今後どういうふうになさるつもりか、一つ大臣から聞いておきたいと思うのです。
  105. 安井謙

    安井国務大臣 御承知のように、市町村単位の消防団というものが、施設あるいは人員関係、能力も非常にまちまちになっておるという点は、今お話し通りだろうと思いますし、またこれらの機能発揮についても相当これは不足してくるということも考えられますので、やはり今後あり方を根本的に考えていく必要があると思っております。さしあたりましては、災害対策基本法等でも今度規定いたしまして、都道府県、市町村を中心の防災会議というのをやりまして、できる限り隣村やあるいは有力な市町村消防と、いざ事があるときには有機的に活動できるような態勢を常に整えておきたいということを、今考えておるわけでありますが、基本的な問題は、おっしゃるようにもっと根本的に今後検討いたしたいと思っております。
  106. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 ぜひこの農村関係消防機能の充実のためには画期的な抜本策をお考え願いたいと思います。  それから、もう一つは、道路譲与税等を計上されまして、逐年道路の整備に力を入れられておりますことは私も認めます。しかし、今日のように御承知の通り急速な自動車の増加に対しての対応策は講ぜられていないのです。追いつかないという方が私は当たっていると思うのです。特に、これも予算委員会で質問をいたしましたが、明治以来一度も手を加えられていない三メートル九十ないし四メートル五十の幅員のところに大型バスが走っている。しかもそれは五分ごとに走っているというような、ひんぱんなところもあります。これでは、今申しましたように、農村から子弟がどんどんと近代経営の経済圏へ働きに出ていくのですけれども、大へんな時間がかかるわけです。これら地方道路の改良については、自治省でその改良について譲与税を交付する場合に、もう少し調査をして指導する建前をとるべきではないかと思うのですけれども、これについてはどうですか。
  107. 安井謙

    安井国務大臣 お話通りで、車が大きくなったが道が狭いというところもあろうと思います。これは道路計画で御存じだと思いますが、三十六年度から二兆一千億という、従来の計画の二倍以上のものになっております。しかし、それだけでも足りませんので、地方財政の面からも、交付税計画等でできる限り気をつけた配分計画を立てたいと思ってやっております。
  108. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 それから、都市の道路につきましては、主要交差点においては右折左折など禁止しておるところもありますけれども、今日信号で交通を規制する、管制するということは時代おくれだと思います。ですから、主要道路については、都市の交通機関であっても、道路を整備して立体交差にして、一秒間でも自動車をとめないように、スムーズにいけるように一つ配慮を願いたいと思います。  もう一点お尋ねしたいのは、市町村の合併問題でありまして、きのう楯委員からいろいろ質問がありましたが、今日まだ合併問題で完成されておらないところはどのくらいですか。
  109. 佐久間彊

    佐久間政府委員 県境にわたります合併の問題で今日未解決で残っておりますものは、一つは兵庫県と岡山県の境にある福浦地区でございます。いま一つは栃木県と茨城県の境の桑絹村の問題でございます。
  110. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 その県境にまたがらない町村合併でまだ紛争しておるところもあると思いますが、これはどのくらいありますか。また合併の予定される町村はどのくらいありますか。
  111. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは、全国では、その後状況もいろいろ変わっておりますので、はっきりした数字は申しかねますが、一応県の方で合併をした方がよかろうということで引き続き合併の勧奨をいたしておりますところが、大体二百件前後あると思います。
  112. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 そこで、町村合併促進法に基づいて町村合併をしたわけでありますけれども、なるほどその法律ができたら、その法律に根拠を置かなければならないのは当然でありますが、その法律を施行するにあたっては、その地方住民の意思の尊重ということがなければ、この法律は守れないじゃないか。幾ら法律でこうあるから君のところは合併しろと言っても、無理に言っても、あとで必ず紛争を起こすという結果になり、また県境などをまたがって合併する場合には、そう減る方の側の県としては、もちろんこれは反対をするかもしれませんけれども、しかし、その住民の大多数が——今も申されましたが、兵庫県にも赤穂市の問題があるようですが、私ははっきり知らないのですけれども、聞くところによりますと、その住民は全部、もう八、九〇%が赤穂に合併していいのだ、こう言っておる。ところが、片方の方では、それに対していろいろ反対条件をつけておる。私は気持はわかるとしましても、これはやはり町村合併促進法の精神によれば、その地方の発展と福祉のために、今までのような小規模ではならないというので、私はやることだと思うのです。この精神からいくと、私は、その住民の意思に従って、もっと事務的にも早くそれを促進して解決をしてやることが、行政的にも親切心のあることではないかと思うのですけれども、現在どういう工合になっておるのですか。
  113. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘の赤穂と日生でございますが、その合併はなかなか厄介な政治問題になっておりまして、いわゆる合併促進法というものはもう期限が切れて、この効力は一般にはなくなったわけでございますが、今残っております兵庫県と岡山県の境、それから茨城県と栃木県の境、この問題だけは非常に複雑になっておりますので、この実施については延期をいたしまして、まだこれから措置をとり得る余地を残しておるわけであります。  そこで、特に岡山と赤穂の場合につきましては、今お話しのように、地区の住民は希望いたしておりますが、岡山側の日生町というものを二分することになりますので——二分といいますか、三分の一くらいだと思いますが、分村することになりますので、日生町自体及びその行く以外の住民が激烈な反対をしておる、従って県でもこれは絶対反対をしておるというような状況で、これは機械的にやれば住民投票という手がありますが、うっかりこれをやりますと、非常な不祥事が起こるという危険があるものでありますから、この合併の期間をちょうど五年間ばかり延長いたしまして、少し冷却期間を置いた上で善処をしたいということで、今その時期を見ておるというのが実情でございます。
  114. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 約束の時間が参りましたから、私はここでおきますが、今大臣の言われた答弁はちょっと違うのじゃないかと思うのです。合併促進法は、まだ県内の合併も二百件から未処理がある、そこで合併促進法を、五年間その期限を延長するということをたしかきめたのじゃないですか。
  115. 佐久間彊

    佐久間政府委員 町村合併促進法は一応期限が切れておるわけでございます。先ほど、二百町村くらいまだあるというふうに申しましたが、これらにつきましてはすでに適用はございませんので、地方自治法の原則に従って、関係団体が話し合って合併を進める、それを県が勧奨をする、こういう形で考えておるわけでございます。先ほど大臣が申されました、県境にわたる二つの県につきましては、その部分の規定を昨年延長いたしましたので、その件についてはなお生きておるわけでございます。
  116. 山口丈太郎

    山口(丈)分科員 わかりました。なるほど、これについてはいろいろ政治的な問題もあるとおっしゃいましたが、私は、いわゆる政治的な動き、あるいは政治的なそういうものでその地方の住民の意思が曲げられるということは、政治ではないと思うのです。ですから、政治的にいろいろ障害があるということならば、政治災ということで災害になります。ですから、そういうことではなくて——だといって、急速にはできないといたしましても、これだけではなしに、まだ二百件からあるというのですから、早急に、やはりその住民の意思を尊重して、そして合併を促進してこれを解決してもらうように、ぜひとも一つ望んでおきたいと思います。  どうも失礼しました。
  117. 羽田武嗣郎

    羽田主査 大臣がちょっと所用のために退席されますので、ごく簡潔にお願いいたします。  二宮君。
  118. 二宮武夫

    二宮科員 大臣一つだけお聞きしておきたいのは、公安委員長として、警察官の給与ベースというようなもの、いわゆる待遇の問題について、全国的にどのように把握をしておるか、この問題でございます。実は別府で、制服警官が、ピストルを持ったまま、暴力団か何かわかりませんれけども、拉致をされたという問題が現在発生をしておるわけです。しかもそれが死体となって発見をされて、警察手帳も、ピストルも、制服も、全部奪い去られておるという問題が実は今起こって、九州全体を恐怖のどん底に追い込んでおるという実態があるわけです。これらの問題を私ども考えてみますと、非常事態における自衛隊と警察官との関係、あるいは警察官に対する処遇の問題、こういう問題が、人材を集める上において非常に影響があると思うのです。どのような者がこういう犯行を犯したかということは、これから捜査される問題でございますけれども、暴力団というのは、関西においては博多を乗っ取れというのが合言葉です。従って、別府やその他はこれらと十分関係がある地域でございまして、相当に優秀な警察官を集めなければならない地域にあると思うのです。そこで、国家公安委員長として、情報なりあるいはこれに対する態度なり、あるいは警察官の給与に対して、具体的に一体どのように把握をし、どのようにこれを推進をし、都道府県と連携をとりながら財政措置をやっておられるかという問題を、行かれる前にお聞きしておきたいと思います。
  119. 安井謙

    安井国務大臣 御説のように、警官は人民の安全を保護するために非常に大事な身分でございますので、私どももその待遇には十分気をつけておりますが、これをやはり公務員とあまりはずれたベースで考えるということもなかなか困難でございます。大体この給与の基準は、それぞれの都道府県の条例できまっておりますが、おおむね平均いたしますと、基本給は一般公務員よりちと上回るという程度のものであろうと思っております。ただ超過勤務等が実際多い関係から、そういった付帯給与につきましては、若干普通の公務員よりはよろしいということになっております。これも県によってある程度の差もございます。そこで、私の方ではよく気をつけまして、県の方へできるだけ注意をしまして、そういった面についてはできるだけそういった待遇をいたすようにというふうな指導はいたしておるわけでありますが、県によって相当違いがあることも事実でございます。
  120. 羽田武嗣郎

    羽田主査 大臣に申し上げておきますが、ちょうど二時から本会議があって、二時半まで三十分の本会議の時間です。だから、二時四十分か五十分くらいに再開いたしますから、そのときはぜひ御出席願います。
  121. 安井謙

    安井国務大臣 間違いなく参ります。
  122. 二宮武夫

    二宮科員 国家公安委員長としてのこの問題に対する今後の所信そのほかにつきましては、大臣所用のようでございますので、地方行政委員会で、警察庁長官あるいは公安委員長に対して私の方から質問いたしたいと思います。  そこで、地方財政の確立をしたい、行政水準を上げたいということの問題につきましては、これは同様に考えておる問題でございますけれども、私は、基本的に、中央行政官庁と地方団体との間に相互不信の感があるのではないかということが、いつも懸念されるんです。と申しますのは、中央行政官庁では地方の財政状況は非常に好転をしたのだということを、 いつでもPRをやられる。ところが、地方の六団体の代表の人々の意見を聞いてみますと、必ずしもそうでないのだ、そして今後なお出費はふえていくのだ一こういう間に、中央行政官庁がとらえなければならない地方自治体の財政状況の把握の仕方の中に非常に食い違いがあるのではないか、私はこのように考えるわけでございます。  そこで、自治省の方では、三十五年度の決算をもとにして、三十七年度の予算を計上するところの資料にしておるようでございます。これは奥野財政局長にお聞きいたしたいのですが、これを見ますと、なるほど決算の面では、金額の面で相当黒字が出ておる、財政状態が好転をしておる、このような把握をしておられるようでありますけれども、起債の問題、いわゆる地方民の一人頭に割り当てられたところの借入金というものについて、一体どのように把握をしておるか。起債というものは、これは返さなければならない。利子を払わなければならない。これらの問題が、把握の仕方がどうも十分でないように、私は三十五年度決算の報告を見ますると感ずるわけでございますけれども、この決算の報告にプラスするところの起債に対する自治省の把握の仕方というものを、一体どのようにお考えになっておるか。一番返還を迫られるところの、返済しなければならないピークになる時期というのは、私は非常に危機があるのではないかという心配を実はしておるわけでございますけれども、これらの問題を除外して地方自治団体の財政状態が好転しておるのだという考え方は、少し甘い見方ではないかというように考えるわけでございますが、その辺について財政局長の御答弁を願いたい。
  123. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御指摘になりましたように、決算を見ておりますと、帳面づらの上ではかなり財政状態はよくなって参ってきておるわけでございます。それでは、先ほどもお話が出て参りましたように、自動車の増加状況に比べて道路の改善率がどうであるか、あるいは国民生活水準の向上に対比して下水道の整備状況はどうであるか、というようなことになって参りますと、やはり依然として公共施設の立ちおくれが目につくようでございます。そういうようなところを中心に考えて参りますと、なかなか地方財政は十分ではないのだ、こういう議論になってくるわけでございます。従いまして、帳面づらでものを考えていくか、あるいは施設の実態でものを考えていくかというようなことで、ある程度の食い違いがあろうかと思うのでございます。何といいましても、国民経済なり生活水準なりの上昇がきわだっておりますので、それに対比して整えていくべき公共施設、これが従来から立ちおくれておる、なかなかその差を回復できないというような姿になっておるのが現実の姿だ、私はこう考えております。  地方債の面につきましては、地方財政が非常な混乱状態になりましてから、あとう限り地方債の発行額を押えまして、反面一般財源を充実していかなければならぬ、こういう態度をとって参りましたので、御承知のように歳入構成におきましても地方債のウエートがだんだん減って参りまして、一般財源のウエートがだんだん高まってきているという姿でございますので、将来にわたりまして公債費が地方財政を圧迫していくことは、それほどおそれる必要はないのじゃないか、こう思っておるのであります。むしろ、弱小の町村などにつきましては、ある程度地方債政策を緩和した方がよろしいんじゃないかというようなことも考えられないわけでもなかろう、こういう気持を持って見ておるわけでございます。
  124. 二宮武夫

    二宮科員 前質問者と重複を避けまして簡明に質問をいたしますので、そのつもりで御答弁をいただきたいと思います。  先ほどから税外負担の問題が非常に問題になっておるのでございますけれども、これは昨年も地方財政計画の中で質問をして参りました。ただ私は、法的に、これは行政局長にお尋ねしたいのですが、地方財政法の二十七条の三で、はっきり、市町村は特定の法令の定めに従って市町村が見るべきもので、それを地方地域住民の負担にしてはならないということの法律があるわけなんでございます。しかも、これは三十六年四月一日から効力を発しておるわけでございますが、その中で、政令で定めるという問題は、これを除外するということになっておるわけでございますが、この政令で定めるもの——かくかくのものはやむを得ないという政令の制定が、非常に私は怠慢ではないかと思うのです。この政令を、羅列式でもいいですが、こういうものはやってはならない、こういうものはやってもよろしいという条例の具体的な制定というものができておらないのじゃないか。整備ができておらないのじゃないか。従って、地方では、適当にその辺を解釈して、これはいいだろう、これは頼んでもいいだろう、こういうような寄付行為、税外負担の増大というものが私は進んで参っておるのではないかと思うのです。  そこで、行政局長にお尋ねしたいのは、この地方財政法第二十七条の三によって禁止をされた税外負担の部分で、これこれのものはよろしいという政令で制定したものは一体何なのか、どのようにいつ定めておるのか、こういうことを明確にしてもらいたい。そうすれば、これは明らかに地方においては法律違反であり、政令違反であるという立場において、先ほどから問題になっておりましたような税外負担の問題は私は除去されるのであろうと考える。こういう趣旨徹底というものが十分でないのではないかという心配をするわけでございますが、その点について行政局長の見解を尋ねてみたいと思うのです。
  125. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私の所管ではございませんが、私に対するお尋ねでございますので、お答えいたしますと、二十七条の三の「政令で定めるもの」という内容でございますが、地方財政法施行令の十六条の三で、市町村職員の給与に要する経費市町村立の小学校及び中学校の建物の維持及び修繕に要する経費ということで、政令で明確に規定がなされております。
  126. 二宮武夫

    二宮科員 この法令を第三に追加をいたします際に、附帯決議として、そのような学校建築であるとか、今あなたが申されましたような問題についても、当然早期にこういうものは排除しなければならないという附帯決議を、この問題を決定をする際につけております。それをいかにもこれはいつまでもやってもよろしいというような解釈をすること自体は、私は拡大解釈ではないかと思うのです。というのは、そのような議会でつけました附帯決議であるとか、あるいは要望であるとかいうようなものを、やはり十分に法の精神に照らして生かしていく方向にやっていかないと、こういう問題は具体的には私は解決しないのじゃないか、このように思っておりまするから、お尋ねをしたのでございまして、そのようなものがあるからいいのだというような行き方ではなくて、この法令制定の経過から考えて、やはりそのような措置を私はとるべきだと思うのですが、その点です。
  127. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまの先生のあれはお勘違いかと思いまするが、先ほど申し上げましたものは、負担を住民に転嫁をしてはいけないものとして規定がなされておるわけでございます。
  128. 二宮武夫

    二宮科員 それは除外規定として政令で出ておるというわけですね。
  129. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この二十七条の三で、「経費で政令で定めるものについて、住民に対し」「その負担を転嫁してはならない。」こうなっておりますが、そのならないものが先ほど申し上げましたような市町村職員の給与に要する経費、あるいは学校の建物の維持及び修繕に要する経費、これは住民に税外負担をかけてはならない、こういう趣旨規定をされております。
  130. 二宮武夫

    二宮科員 行政局長として地方自治体の行政指導をやって参ります際に、やはり行政実態というものを十分把握しておらなければならぬと思うのです。そうしますと、今申しましたような政令が、はたして事実として行なわれているかどうかという問題については、非常に私どもは心配をするわけでございます。もちろんまた、そういうものを二つ、三つ並べて、他のものはいいのだという印象を与えること自体もおかしい。これも附帯決議の中に、やはりその項目だけでなくて、たくさんの項目が掲げてあるはずです。これはお読みになったらわかるはずです。この点についてもう少し明確にしなければ、税外負担の問題はいろいろ論議いたしましても、地方自治体の中では、苦しい余りにやはりイージー・ゴーイングの姿をとる格好になって、財源をどこかに求めようとする方向に行きたげな姿があるわけです。従って、今言ったことでこれで万全だというように考えておるのではなくて、法制定のときの経過措置あるいは趣旨等から今少し明確に決定をして、そうして決定をしたならば、それは行政指導としてそれを十分に地方自治団体指導をしていく。その反面、それによって起こるところの財源的なマイナスというものは、一つ財政局長とも十分協議して、そういう面は一つカバーしてやる、こういう両面の方向にいかなければ、一番困るのは住民です。税金は取り立てられるわ、ほかの面では寄付は取られるわということになるのが地方実態でございます。そういう点については、今後行政指導の面で十分に注意をしていただきたい。そういうような法的根拠を持ったもので行政指導をやらなければ、この問題は解決をしないというように私は考えておるわけでございます。  消防庁にお尋ねいたします。これは先ほどから何回も出て参りましたので、重複することを避けますが、私が心配をしておる問題は、近ごろ火災による人的な損害といいますか、焼死する人の数が非常にふえてきておるという実態を、あなたのところからお出しになっておる消防白書みたいなものでも報告しておるわけなのであります。私はこれは都市に過度に人口が集中したというような原因もあろうかと思いますけれども経費が少なくて、従って前もって火災の心配のある対象物に対する注意が足りないというような問題とか、あるいはこれは建設省と関係がございますけれども、不法建築と申しますか、退避をするような場所を与えずに、無理に不許可のまま作った建物が非常に多いということから、このような欠陥が出てきておるのじゃなかろうかと考えるわけなんです。交通禍に続いて火事による死亡というものが非常に多いと私は思うのです。これはかなりの台風やそのほかの比ではない。あなたの方でお出しになっておる数で申しましても、昭和三十五年か六年の計数だと思いますけれども、約八百名、千名近くの人が火事のために焼け死んだという事態が出ておるように思うのです。しかも、国の予算は二四%ふえたというのに、消防費というのは、わずかに本年度は一二%しか増になっておらないのです。こういう施設、こういう経費でもっては、とてもこのような惨害を防いだり、あるいはこういう火災によるところの被害を除去するというような方向には、私は、幾らあなたが検討されても、幾ら万能な知恵を出されても、無理だと思うのです。そういうことに対しては、これは前の長官にお尋ねしましたら、大臣がおったから遠慮したのかもしれませんけれども予算が足らぬでしょうと言っても、足らないということをどうしても言わないのです。ほかの場所で聞いたら、ほんとうは足らぬのですということを個人的には言います。こういうような予算の要求態度では、こうした人民の要望にこたえ、生命、財産を守ってもらう消防だというように好印象を与える形というものはできないのではないかと、私は心配をするわけなんでありますが、これは一つ調査とか決意ということではなくて、具体的に消防庁の長官に新任をされた新任ほやほやの新しい感覚でお答えをいただきたいと思います。
  131. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お話に出ておりますように、いろいろ努力はしておりますが、毎年々々火災の件数というものはふえ、またそれに伴って死傷者の数というものも増加の一途をたどっておるのであります。これに対して何とかしなければならぬという情勢に、ぎりぎり差し迫ったところにまできているように私自身も感じております。率直に申して、現在国、県あるいは市町村を通ずる消防活動に要する経費というものが十分だとは私は考えません。非常に不足しているのではないかというふうに考えているのであります。市町村の段階におきましても、消防庁自体が立てている基準というものに照らし合わせてみますと、まだまだ人的にも物的にも十分ではございません。これに対しましては、やはり何と申しましても総合的な消防力というものを強化することが、火災その他の災害の未然防止、あるいは災害が発生した場合、それによる被害を最小限度に食いとめるということの中心のかなめであるというふうに考えておりますので、今後とも私としましてはほんとうに決意を新たにしまして、消防力の飛躍的な拡充強化ということに一段の努力を払って参りたいと考えている次第でございます。
  132. 二宮武夫

    二宮科員 自治省予算を分科会にかけるという際には、大臣がいなければ、やはり政務次官は政務次官で出席をすべきだと思うのです。これでは政治的な責任がない。熱意もなければ、質問する方としても非常にさびしい気持がする。私は、近ごろの地方自治体における公社、公団の組織とか、また高校急増対策の地方財政に対するしわ寄せ等の問題については、いま少しいろいろな資料から質問したいのでございますが、大臣がいなくなったら政務次官もいない、そしていろいろ関係のある問題を尋ねると、これは私の所管ではございませんということでは、分科会としての値打はない。従って、私は、今後の問題については質問を保留して、別の機会に質問したいと思います。これでは質問したって関係のある人はいいのですが、特に地方税法は質問が済んだのですから、幾ら奥野さんがおられても、やる問題はない。官房長がかわってやるというのなら、官房長とやってもかまいませんが、(笑声)もう少し分科会らしい陣容を整えて、討議を進めていくという姿でなければならぬ。従って、問題はまだありますが、この辺で一応終わります。
  133. 羽田武嗣郎

    羽田主査 ただいまの二宮君の仰せはごもっともだと思いますから、政務次官も御出席下さるよう要望しておきます。  午前中の委員会はこの程度にとどめ、本会議散会後まで休憩いたします。    午後一時二十六分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開議
  134. 羽田武嗣郎

    羽田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。門司亮君。
  135. 門司亮

    門司科員 ごく簡単に、最初に消防庁にちょっと聞いておきたいと思いますが、これはごく具体的な問題で、別に大きな問題ではないのでありますが、消防費の中で、人件費の割合と、それから施設費の割合はどのくらいになっているか、もし統計があったら教えていただきたいと思います。
  136. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 詳細な数字の関係は後ほど申し上げますが、大体申し上げますと、常設消防関係では、人件費が約八〇%以上、それから常設でないところは、人件費の方がむろん少のうございます。そういう大体の構成に相なっておると考えております。
  137. 門司亮

    門司科員 今の答弁は、少し私の調査よりは数字が違うように見受けられるのですが、東京都の例でいくと、東京都の消防関係予算は、七〇%くらいが人件費で、三〇%くらいが設備器材費に回っているようにわれわれも大体見ているのです。ところが、問題になりますのは、これだけ人件費にたくさん食われて、そうして施設あるいは器材費が非常に少ないということです。これで大体よろしいというお考えですか。
  138. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 十分だとは思っておりません。人的の消防力についてもなお不足でございますけれども、それ以上に物的の施設等については、さらにわれわれ考えております消防力の基準等からいたしまして、非常に低位にございます。大まかに申して、理想的なものから見れば、約半分程度にしか至っておらないという状況でございます。
  139. 門司亮

    門司科員 消防車の寿命はどのくらいと見ておいでになりますか。
  140. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 大体六年半ということで見ておるわけでございます。
  141. 門司亮

    門司科員 今の答弁で大体はっきりしてきましたが、施設費、器材費が二〇%からせいぜい見て三〇%程度、そうして車の寿命が六年半といわれておりますが、大体妥当のように見受けられます。大体六年はほとんど持たないといっていいくらいです。ところが、こういう状態の中で、今全国の消防実態を見て参りますと、六年以上使われた車が非常にたくさんあります。大体二割から三割くらいあると私は考えております。これについて財政措置としてはどうするつもりか。地方の自治体に全部まかせるつもりですか、それとも国が何とか考えよう、こういうお考えがございますか。
  142. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように、現地施設自体が不足をいたしております市町村が、実は全国的に見て多いわけでございます。こういうところは、老朽とかなんとか申します以前に、絶体的にポンプその他が足りないという状況でございますので、これに対しましては、先般来から国会審議を経て通過いたしました消防施設の強化促進のための法律に基づきまして、毎年度補助金を交付して施設の整備をはかって参っておる次第でございます。来年度は、予算案といたしましては七億ということに相なっておりますけれども、私たちあるべき姿として考えておりますものと比べますと、まだとても十分ではございません。従って、配分をいたします際におきましても、消防力自体が全体的に貧弱な度合いに応じましてこれを重点的に配分をして参る。いわゆる新規購入ということを重点的に選びまして、これに対して充当をいたしておりますので、まだ老朽のものを新しいものにかえていくというところまでは手が回っておらないわけであります。それらにつきましては、一面において地方財政計画なり、あるいは地方交付税上の措置をもちまして、市町村自体の消防費というものを強化していくという方向とあわせ考えていっておる次第であります。
  143. 門司亮

    門司科員 それから、あとは事務的のことですが、今の常設消防と私設の消防団との現地における競合関係ですが、これは何か法律で規制する必要はないか。たとえば消火せんなどの取り合いというようなことが、現地では往々にして見受けられる。ときどき常設消防の諸君と消防団との間に争いがある。これはやむを得ぬ一つの事態であると思いますけれども、実際面としてやはり受け持ちの区分というものをある程度はっきりしたらどうか。都会における消防団というのは出動はどうしてもおそくなる。消防の方が早い〇それから、同時にわれわれから考えると、この辺で何か線を引いて、消防団の任務というものはこうだ、むろんそれは火災に関係したものであることは間違いないのだが、そういう線が引けないかという気がするのです。実際は、今見て参りますと、たとえば消火せんが非常に少ない場合に、水の口をたくさんつければ、水の出が悪くなるにきまっておる。ところが、消防団の方も出てくると、やはり水を出さないわけにいかないからということで、争ってでも水を出す。そうすると、せっかくの消防車のポンプの水の出が非常に悪くなる。こういう形が出てくるのが一つ。それからもう一つは、消防団の仕事は、大体残火の始末のようなことに主力を注いでいただければいいのであるが、しかし、実際はなかなかそうはいかないので、そういう取り合いがときどき現場では起こっておる。ときどき現場に行って、何とかこの辺の折り合いがつかないものかなという感じがする。そういう点について何かお考えになったことがありますか。
  144. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように、消防団と常設の消防署員というものが競合しておりますところにおきましては、大体第一の原則といたしましては、受け持ちの区分、区域的な分担というものを、消防計画その他におきまして、協定をしてきめておるというところが多かろうと思います。その点は、従来から指導をやってきておりますし、今後も競合した場合、いざという場合に、非常な紛争が起こるというようなことのないようにいたして参る所存でありますが、ただ消防署と消防団というものが完全に競合しておる地区もございます。こういうところは、従来の方針といたしましては、今お話がございましたように、消防団は警戒線の設定、飛び火の処理、さらに残火の跡始末ということを重点的にやるように、現地関係においても指導をいたしておる次第でございます。
  145. 門司亮

    門司科員 それはそれだけにしておいて、さらに具体的の問題で、消防活動に関する問題ですが、現地の消防活動を非常にじゃましておる一つの問題は電柱です。ことに道の狭い四つかどに、一方には電灯の柱が立っており、片一方には電話線の柱が立っておるというようなことで、普通の乗用車なら一回で回れるが、消防車は大きい関係から、二回、三回切りかえをしなければ、どうしても入れないというところがたくさんある。これらの整備が必要だと思う。このごろのように火事が多いと、そういうものが非常に目立ってくる。だから、こういうものについては、一方は電灯会社、一方は会社になろうかと思いますが、こういうものについてやはり何か消防庁として配慮される必要があると思います。そうして四つかどにあるものは一つわきに寄せてもらうということが考えられないか。その場合に、通信関係の分については、私の知っておる範囲では、案外スムーズにいっておるようで、どこかにやってくれるようだが、電灯会社の面になると、なかなかそう簡単にいっていない。これは費用がかかるから、ただ一片の協力要請通知くらいだけでは、なかなか実現が困難だと思います。従って、これは補助をするわけにはいかないかもしれませんが、何らかの処置をとらないと、話し合いだけではうまくいかないと考えておりますが、これについて何かお考えがあったら一つ
  146. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御指摘の点につきましては、私たちも最近の道路交通の事情、道路の使用状況、電柱の設置の状況等を見て参りますと、消防活動の面から申しまして非常に支障が起きてきております部面が多いわけであります。これに対しまして、最近も、道路交通の問題と消防活動との関係ということから、一連の通牒を発しまして、その中で電柱等につきましても関係当局とよく打ち合わせをして、撤去とまではいかないまでも、移転その他の措置を講じて、いざという場合に、消防活動に支障のないように常々配慮するように努力してもらいたいという旨を申しておるのであります。しかしながら、この点は、今門司委員もお話しになりましたように、一片の通牒ではなかなかうまくいかない面もあろうかと思うのであります。さしあたり措置としてそういうことを申し上げておりますけれども、この点はやはり中央の段階におきまして、関係各省並びに関係会社、団体等とも打ち合わせを、ひざつき合わせてやりまして、もう少し有効適切な、現地においても、それがはっきりとやろうと思えばやれるような態勢を中央から作っていくという方向の努力を、私どもといたしましても今後続けて参りたい、かように考えております。
  147. 門司亮

    門司科員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、消防関係で出て参ります例の機械化に伴う処置ですが、これは実は非常にたくさん金がかかっております。御承知のように、みんな高層の建築物が非常にふえてきておって、そして従来の、たとえばポンプを六年か六年半で更新するといっても、それは別にして、どうしても新しい施設が必要になってくることが非常に多いのですが、これについては、特別の補助金なりあるいは特別の起債なりを許される御意思がございますか。
  148. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 特別の補助金というところは、今のところそこまで手が及びませんですが、起債等につきましては、できる限りの配慮をして参りたいと考えております。
  149. 門司亮

    門司科員 これは、さっきから話があった税外負担一つ関係になってくると思いますが、消防団の費用についてかなり町村が大きな負担をしているようですが、これはどうなっておりますか。この消防団の費用というのは、実際は常設でありませんから、市町村の財政の中に入れるわけにはいかぬので、ポンプを買ってあげるとかなんとかいうことはやっているようですけれども、それの維持その他の問題額は、大体寄付金によってまかなわれているのですが、これはどうなんですか。一体どの程度までよろしいのかということ、これは私のここにあります統計表を見てみますと、実は消防団割というのが、どこの府県を調べてみても平均するとかなり大きな数字になって出てきておりますが、こういうものについては、一体どういうふうにお考えになっていますか。
  150. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 常設の関係はもとよりのこと、非常勤の消防団の関係につきましても、十分とは申せませんが、地方交付税上のそれぞれ措置をいたしております。団員の報酬の関係並びに出動手当の関係等につきまして措置をいたしておる次第でございます。
  151. 門司亮

    門司科員 その処置はしていますが、その処置も、ここに書いてあるように、かなり大きな税外負担一つになっているのです。そうして御承知のように消防団の出動手当はごくわずかなものであって、これらはここでお話しない方がよかろうと思うくらい少ないのですが、もう少しふやしてあげるとかなんとかいう考え方はございませんか。出動手当が一回二百円か二百五十円くらいでは、実際どうにもならぬのです。そしてみんなおのおのほかに業務を持った人が出かけていくのですから、税外負担税外負担として、手当その他は何とかもう少しめんどうを見てやるという手はないのですか。
  152. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この点は、毎年度財政当局ともお話をいたしまして、漸次改善の方途を講じて参っておるのでございます。しかしながら、今お話もございましたように、報酬自体にいたしましても、出動手当の面にいたしましても、これはわれわれ消防の立場から申しますれば十分とは言えないという面はあると思います。それらの点につきましては、税外負担の解消等ともにらみ合わせまして、また、消防団員の処遇をもう少し改善するという方向をもちまして、なお検討を加え、改善のために努力をいたしていくつもりでございます。
  153. 門司亮

    門司科員 消防関係の費用については、特に出動手当その他の問題については、当局は非常に甘えているのじゃないかと思うのです。警察関係は、割合に人がいやがるのです。警察に協力することについては、従来の関係からいえば、さわらぬものにたたりなしということで、あまり協力をしないのですが、消防関係に関する限りにおいては、これは協力するなと言ったってするのです。目の前で家の燃えているのを見ておれと言ったって見ているわけにいかない。それだけやはり国民感情としては違うのだから、それについては今のような答弁ではしようがない。  もう一つ消防活動を妨げているのにヤジウマの問題があります。二日ほど前新橋のどこかで火事があったら、ヤジウマがどれだけいたという新聞記事がありましたが、事実少し狭いところにいくと、ホースを積んだ車が走ろうと思ったって走れない。仕方がないから、途中で車をとめて、ホースをおろして筒先を持って人間がかけていかなければならぬ。ところが、それさえ道が人間で一ぱいになっていて困難である。これについて何かヤジウマを取り締まる方法をお考えになっておりませんか。法律で何とかするとか、そういう点はどうですか。今そういう事態については、これを整理する人を警察に頼むなりして、何か警戒線を張っていろいろやっているようでありますが、警戒線を張っても、それより前に実はヤジウマがきておりますから、どうにもなりません。消防活動のこういう面について何かお考えですか。
  154. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点につきましては、現在法律的に言いますれば、警戒区域設定とかいうような権限がございまして、それに、基づいてやってはいるわけであります。しかしながら、大都会、特に東京、大阪等におきまして、密集地帯に火事が起こったという場合には、消防がかけつける前に、すでにヤジウマがたかっていて、それが消防活動に非常に支障を与えるという事例も少なからず起こっているようでございます。これに対しましては、消防活動自体としてそれを有効適切にやるということになると、直ちに消防職員の人数の関係その他の要員関係に関連をして参りますので、とうていうまく参りません。そういう意味で、消防団との提携の問題、もっと根本的には、やはり警察と強力に提携して、あらかじめいろいろ打ち合わせをしておきまして、その線に沿ってやはり警察が主体となって警戒区域の設定あるいはその取り締まりをやっていただく。その方向の施策は、やはりもう少しはっきりと打ち出すべきではないかと考えております。
  155. 門司亮

    門司科員 消防関係は、これだけしか聞きませんが、これを総体的に見ましても、さっきのお話のように、施設あるいは器材費が非常に少ない。外国の場合は逆で、非常に人件費が少なく、器材、設備費にかなりの金を使っているが、こういう姿でなければならぬと思う。だんだん消防が機械化されてきて、それから消防の施設というものが充実してくるという形をとらなければならぬと思うが、遺憾ながら、日本の場合は逆であって、施設費が非常に少ない。こういうことをぜひ思い切って改めてもらいたいと思う。そしてそういう問題が、地方財政を策定する場合の一つの大きな変わり方というようなことに使われなければ、いつまでたっても日本の消防というものは昔の火消しの範囲を出ないと思う。今日こういう点で、案外当局もゆっくりしているし、また世論も割にやかましく言わないで、火事があったことだけを新聞もいろいろ書き立てている。しかし、実際には昔の火消しのようなものの考え方が非常に多いのではないか。これを改めようとするのには、やはり消防庁の方で、火消しというような根性でなくて、機械化していくということに重点を置いて、そして消防というものは、あくまでも機械的に、科学的に操作をし、行動するんだというようにしむけてもらいたいと思う。消防団員だけを幾らふやしてみたところで、これはどうにもならないと私は思うのです。だから、いいかげんな——いいかげんという言葉を速記録に書かれるとどうかと思うが、昔の火消しの考え方を改めて、そして消防はあくまでも科学的に機械的に消防施設というものを行なわれるべきだということに、一つ切りかえてもらいたいと思う。そうするには、やはり消防庁自身がそういう立場に立って、財政措置その他について思い切って一つやってもらわぬと、いつまでたったって消防の発展というものは私どもは望み得ないのではないかということが考えられる。悪口を言うわけではありませんけれども、たとえば、まだ残っておるものの中に、消防の大会など東京で開かれると、依然としてしるしばんてんを着てくる人がかなりたくさんあると思うのです。どうもしるしばんてんでわらじをはいてねじりはち巻をしていなければ火消しでないような気分が横溢している間は、なかなか近代的な消防施設にならぬと思うのです。この辺で一つ消防当局で考えてもらいたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、これは大臣一つお聞きをしておきたいと思うのです。これは消防関係ではありませんが、しばしば問題になるのでありますけれども、国と地方との会計年度を変えるということは一体できないものかということです。これは大蔵省にも関係があろうかと思いますが、私は、自治省としては、やはり会計年度を変えた方がよろしいという態度をおとりになることの方がいいんじゃないかと考える。それは御承知のように、会計年度が同じですから、今国会で予算を審議する。地方の自治体も大体今月の末から三月にかけて開かれる。しかし、国からくる補助金あるいは交付金というものはほとんどまだきまっておらない。従って、地方予算というものは、大体骨格予算が組まれておる。そしてすべてが追加予算で事業予算というものが組まれる。だから地方予算の都道府県や市町村予算を見て参りましても、実態は明らかにならない。同時に、一番大事な事業予算というものが当初予算に出てきませんから、結局そのつど補助金がきまったとか、あるいは交付金がこのぐらいくるようになったとかいうようなことで、追加更正予算できておるから、結局地方の自治体の予算の性格というものが無性格になってしまう。急いでやるべきもの、あるいは重要なものがあと回しになって、予算のついたようなもの、あるいは補助金のついたようなものが、結局先回りをするという地方行政の混乱を導いておるのは、私はここにあると思う。同時に、もう一つの問題は、地方には予算執行の面で非常に大きな無理がある。同じように十二カ月の一年を勘定いたしておりまするが、同じ時期にきまってきたものが、四月に国の予算が確定しても、それが地方に配分されてほんとうに使えるようになるのは大体八月か、おそければ九月になる。そうすると、地方の自治体がそれを受けて立って仕事をするということになると、地方の自治体の実際の仕事というものは、九カ月かあるいは八カ月にしかならない。その間でとにかく予算をこなさなければならない。特に十二月から二月一ぱいぐらいはほとんど仕事のできない東北、北海道のようなところは、もっと縮めなければならない。これでは予算にかなり大きなむだがありはしないか。地方行政の混乱と同時に、予算の執行に対するむだというものはかなり大きなものがあろうかと私は思う。特に地方の自治体というものが場当たりの、さっき混乱と言いましたが、場当たりの予算が組まれて、はっきりした性格が失われておる、これを改めようとするには、どんなにやかましいことを言いましても、私は会計年度を改める以外に手はないと思う。そうして国の予算を暦年にするか、あるいは地方を暦年にするか、手っとり早く言えば、国の予算が暦年になって、地方が四月からという方が、会計の始末としては私はやりいいと思う。その点の考え方は、自治省としての御答弁でけっこうですが、これは閣議にかけてなどと言っていると、大蔵省なんかはかなり反対をしますから、自治省大臣としての立場から、どうすればよろしいかということをこの機会に聞かしていただきたいと思います。
  156. 安井謙

    安井国務大臣 会計年度が同一であり、国の計画がきまらなければ地方がきめられないといった実情から、非常に不都合が生じておることは事実でございます。そのために、地方ではどちらかというと、年度の当初は骨格予算に近いもの——最近ではしかしこれは漸次変えられまして、相当総体的なものを見通して組んでおるようでありますが、そういった年度途中で変えなければいかぬという不便もあることは事実でございます。いろいろ私どもの方の検討もいたしておりますが、現在地方財務会計制度調査会の方へ答申を求めておりまして、その答申によってもさらに自治省としては考えたいと思っておりまして、現在のところどちらにすべきであるという結論は出しておらぬわけであります。
  157. 門司亮

    門司科員 これは一つ内閣で思い切って変えてもらうようにすることが、今日の自治体では非常によろしいと思うのです。  それから、もう一つこのことで地方財政に関係してお聞きをしておきたいと思いますことは、ことしの地方財政計画を見てみますと、かなり大幅に積極性を持っているようでありますが、自治省地方の自治体にことしはどういう指導をされるつもりかということを、この機会に私は聞いておきたいと思うのです。私が聞きますのは、経済成長の伸びがどういうふうな形になるかということは、もうだれも知っているように、ある程度の不景気がくるだろうということが一応考えられるのであります。そうすると、地方財政もこれの影響を受けて、むやみに膨張したような形で積極性をとっていくと、来年度の予算から非常に大き財政的の蹉跌を来たすようなことがありはしないかということが考えられます。この面について一体自治省は、今地方自治体の予算考えておる時期でありますが、どういう指導をされておるかということが一つであります。  それからもう一つの問題は、そういう事態でありますから、来年度の予算については、大臣はどうお考えになっているかわかりませんが、われわれとしては、かなり気をつけた予算を組んでいないと、この次の年度に非常に大きな問題を引き起こすであろうということが考えられる。ところが、幸か不幸か、来年度は地方自治体は全体の長と議員の改選期なんですね。そこで、どうしても心理的に放漫とまでは私は言いませんが、ある程度の人気取り予算が組まれるであろうことは、私はいなめない事実だろうと思う。議員の方も長の方もそうですから、何とか住民にアピールするような予算を組みたがると思う。そういう場合において、一方においては、経済自体は下り坂にあるということを政府も盛んに宣伝しております。そうだとすれば、地方財政はこの際非常にむずかしい段階にきておる。ここで指導を誤りますと、財政的に取り返しがつかぬとは申し上げませんが、かなり苦しい年を次に迎えなければならないようなことになりはしないかということが考えられるのでありますが、これに対して大臣はどういう処置をおとりになるつもりか、一つお聞かせ願っておきたいと思うのです。
  158. 安井謙

    安井国務大臣 来年度の経済状況の動きでございますが、たとえば三十六年度と同じようなテンポで参るというふうには考えられません。従いまして、税収の見込み等につきましては、相当堅実な見込みを立てておるつもりでございます。さらに基準財政需要あるいは基準財政収入の見方につきましては、従来の財政需要額を基礎に、そうして税源、収入を考慮しながらこれを配分しておるというつもりでございます。
  159. 門司亮

    門司科員 私の聞いているのは、そういうことじゃありませんで、地方の自治体にどういう指示をされるかということであります。今の大臣の答弁のようなことを伺っておりますと、これから先またさらに議論をしなければならぬような問題が出てくるから、それはこの機会には私は差し控えたいと思っておった。しかし、大臣が今のような御意見なら、まずそれから先に議論しなければならぬようになる。それはなぜかといいますと、本年度の地方財政計画は、大臣の方がよく御存じだと思いますが、ほとんど全部と言っていいほど、国が非常に大きな公共投資をいたしております関係から、ひもつきなんですね。実際地方の自治体が自分の力でやり得る財源というのは六百億ぐらいしかないですよ。計算してごらんなさい。ほとんど全部と言っていいほど、公共投資が災いして、ひもつきの事業にならざるを得ないのである。ところが、一方においては、高等学校の建設等について、知事会などでは大体千五百億ぐらいの金が要る、こう言っているのに、ことしの財政の割当はわずかに百三十何億か、こういうことでは地方財政は非常に危険がある。国はたくさんの仕事地方に押しつけて、地方はそれを受けて立ってやる。そうして単独事業というのは六百億くらいしか持っておらない。ところが、来年はさっき申し上げましたように、改選期だというような心理が作用して、どうしても地方では仕事をふやしてきはしないか。そうすると、その次の段階にいって、地方財政はまた赤字の原因をこしらえることがここから私は出てきはしないか。せっかく赤字が、無理に無理をして何とか減りかけているときに、ことしの地方財政を見てみますると、また、その点が出てきやしないか。この点についての大臣のお考えはどうかということです。同時に、地方の自治体にどういう指示をされているか。
  160. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘のように、来年度の選挙を控えて、地方自治体が多少いろいろな要求を満たしたいという気分にあおられる傾向は、否定できまいかと思います。この点は十分に考慮いたしまして、その基準財政需要額に見合う収入以上のものが出るような場合には、これは積み立てをやるとか、あるいはその他の方法によって、その年度内に何でもかんでも使ってしまえというふうなことをしないように、十分警戒をするような措置をとっていきたいと思っております。
  161. 門司亮

    門司科員 どうもその点が私にははっきりわからぬのですが、それじゃ数字を少し申し上げますが、ことしの公共投資の問題として、昨年よりも地方財政に関する限りは公共投資が千七百億ふえているでしょう。そういたしますと、この中のふえた分のかりに三分の二というものは国の仕事なんです。公共投資がふえて、その中で補助金などがふえていると言うが、しかし、補助金のふえているのは、地方自治体の単独でやり得る事業に対するものよりも、国のひもつきの方が多いのです。公共投資のふえた千七百億の三分の二というものは国のひもつきなんです。これは地方の自治体がいやがおうにもやらなければ国の施策が実行できない。そういうものをずっと差し引いて参りますると、結局さっき申し上げましたように、数字からいえば地方自治体が六百億くらいしか持っていない。そこで無理をすれば赤字の原因をこしらえる。だから赤字をこしらえないようにするには、ここで一つ大臣から、地方自治体がそういう無理をしないようにという財政処置をすることを地方自治体にそういう命令——というわけには参らぬかと思いますが、そういう指示がされておるかどうか。
  162. 安井謙

    安井国務大臣 御注意の点はごもっともだと思いまして、私どももぜひそういった指導は十分にいたしていきたいと思っております。現在、ただ、三十七年度の地方財政の収支を組んでおります建前からいいますと、これは税の見込み等もいろいろ問題になるわけでありましょうが、千七百億の税収の増というものを見込んでおります。これはことしの実績に比べますと、非常に内輪なものになろうが、ことしの見込みから比べれば一千億以内の増ということに相なろうかと思っております。そういう問題から見て、今の財政収入の見方は、それほど甘くもなっておらぬと思っておりますので、計画自体を遂行するのにそう支障はなかろうと考えております。しかし、今の御注意のありましたような点につきましては、今後十分指導して参りたいと思っております。
  163. 門司亮

    門司科員 どうも、私はもう少しはっきりしたものでなければならぬと思います。ことしの地方財政計画は、去年より一九・五%ふえておる。三千七百億余りですね。そしてその中で、さっき申し上げましたように、ひもつきの公共投資というものがふえている。従って、地方財政はいやが上にもふくらんでくる。一九・五%ふえたということ自体も、やはりそういう関係だったと思う。そこで、これ以上私は押し問答はいたしませんが、私の考え方からすれば、ことしの地方財政というのは、非常に重大な曲がり角に——とは私は申し上げませんが、経済の後退というものを警戒した財政処置が含まれて予算が組まれていないと、思わざる赤字をこしらえる原因を包蔵することになりはしないかというように一応考えられるわけであります。  それで、時間もございませんから、それ以上お話しは申し上げませんが、従って、これに関連して申し上げておきたいと思いますことは、起債の問題であります。本年度の起債もかなりふえておるようではございますが、しかし、総体からいえば、去年より六百億余り減っておるような感じになります。  それで、問題になりますのは、その起債の問題は別にして、地方財政法に書いてある起債については、なお当分の問自治省大臣の許可を得ること、これはぼつぼつ除いた方がいいのではないですか。まだ地方起債に対して規制をしなければならないほど地方自治体の状態が貧弱であるかどうかということです。これは前段で申し上げましたこととやや矛盾するようですが、ことしの年度に関してはそういう危険性を持っているが、しかし、地方財政自体については、いつまでも政府の許可を得なければならないというような措置はとらないでよろしいのではないか。この地方財政法のできたときは、地方財政に関してむやみなことをやらせられないというので、大臣の許可を受けることになっておりますが、もうその点は大体はずしてもいいじゃないですか。これは財政法に書いてある部分だけです。全部はずせと言うわけじゃないのです。
  164. 安井謙

    安井国務大臣 ことしの起債額は、五百億減じゃなくて五百億増になっておるのでございますが、それは別としまして、今起債のワクをはずしてはどうか。お話は、私どもも非常にごもっともと思いまして、そういった点でも相当検討もし、主張もいたしておる面もございます。ただ全体の金融政策、金融をまとめるという建前から、まだ財政当局としてはなかなかこれを踏み切れないという状況にありまして、今後もわれわれはそういった方向でものをできるだけ進めていきたいというふうに考えております。
  165. 門司亮

    門司科員 起債についてもう一つ聞いておきたいと思いますことは、償還の年限でありますが、今度の国会に配布された地方交付税法の一部改正の基準財政需要額の算定の基礎と考えられるものの中に、鉄筋コンクリートは七十五年が考えられる、また鉄骨の建物については二十五年ないし三十五年という耐用年数のことがずっと書いてある。ところが、起債は地方財政法によりましても、大体耐用年数は償還年限と一致するようにしなければならないということが書いてあると思うのです。そうすると、現在の日本の起債については非常に短いのです。全体を平均して十八年くらいにしかならないのです。短いのも長いのもありますが、一番長いので二十五年から三十五年です。そうすると耐用年数を七十五年と見ておいて、そして地方交付税の算定の基礎になる数字をそこからはじき出して、起債の方は三十五年で返せ、あるいは二十五年で返しなさいということには矛盾があるのではないか。従って、地方起債に対しても、耐用年数と一致した償還期限というものを付することがどう考えても正しいように考えられるが、この辺を直す御意思はございませんか。
  166. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話はごもっともでございます。そういう努力をいたしておるわけでございます。幸いにして大蔵省の方でもその気持になりましたから、話が急速に具体化して参っております。政府資金につきましても、さらに公営企業金融公庫につきましても、ある程度償還期限を延ばすことになっておるわけでありまして、国会中には御報告できるだろうと考えております。
  167. 門司亮

    門司科員 今の、ある程度延ばすといいますけれども、このもらっております。さっき言いました耐用年数を書いたものと大体一致するようになるかどうか。私はぜひそれを一致させていただきたい。そうして今借りているものもそれに準じて延ばしていくという方針をとることが、今後の地方財政についてはかなり大きな影響を持つと思うのです。御承知のようにこんなに短いのは日本だけでしょう。何も大蔵省に気がねしてこんな変な年数をきめなくてもいいと思う。イギリスの例など見てごらんなさい。利息もうんと安いし、年限も長い。まごまごしていると無期限なんというのがある。繰り上げ償還なんというのは許さぬというのも中にはある。六十年とか八十年とか、かなり地方債については国がめんどうを見ている。ところが日本の場合には、地方債については残酷といっていいほどめちゃくちゃです。耐用年数について今のような答弁でなくて、あなたの方で出した資料に耐用年数が七十五年とか四十何年とか書いてあるでしょう。あなたの方で耐用年数を認めている以上、法律の通りにしたらどうかと言っているのです。法律の通りに直してもらいたいと言っているんです。だから、そのうちに何とか返事をするというようなことでなくて、自治省考え方だけでもいい。自治省考え方がわかれば、また大蔵省に向かってわれわれも話をするすべもあるかと思いますので、遠慮なく一つ話をしてもらいたい。
  168. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 耐用年数を延ばしますことは、それだけ資金を特定のところに固定することになりますので、潤沢の場合はそれほど心配ないわけでありますけれども、資金が十分でありません際には、なかなか理想のように償還期限を延ばしていくことは困難であります。そういう事情で、御指摘のような問題がありながら、解決を見ないままに今日まできておるわけであります。今回ある程度償還期限を広い幅にわたりまして改定しよう、こう考えておるわけであります。しかしながら、今申し上げますような資金の問題もございますので、三十年になっているものをさらに延ばす、これはこの際としては取り上げないでおきたいと思います。それ以下のものにつきましてある程度延ばしていきたい、こう考えているわけであります。資金が潤沢になって参りました場合には、そういうものにつきましても、さらに延長していくということが適当かと考えられるわけでありますけれども、現在の段階では、まだそこまではいきかねるというような状態でございます。
  169. 門司亮

    門司科員 まるで大蔵省の答弁みたいですね。自治省の答弁とは受け取りにくいのです。大蔵省はときどきそういうことを言うんです。高利貸しみたいなことをときどき言うのですが、地方の自治体に金の出ておりますのは税金です。やはり地方の住民の税金で仕事をしておるんですから、何も高利貸しみたいなことでものを考えなくてもよさそうなものだと私は思う。資金があるとかないとか言っておりますけれども、ことしの公共投資を見てごらんなさい。かなり大幅に投資が広げられておる。それだけ地方の自治体についても延ばしていただければ仕事もできてくるということであって、こういう現象は長くは続かぬのであります。仕事はするだけすればあとはなくなるわけでありますから、むやみやたらに金を借りて遊んでいるわけではないのです。理屈の合わないのは、さっきから何度も申し上げておりますように、基準財政をきめるときは七十年も持つんだということ、あるいは一番長いのは七十五年と書いてある。そして金を貸す方が三十年しか持たないんだと勘定されることは、地方としてはかなり迷惑だ。ですから、今の答弁は、大蔵省の答弁ならややうなづけるけれども自治省の答弁としては受け取りにくい。決して私は無理を言っているわけではない。自治省としては、法律に書いてあるから法律の通りに直しなさい、耐用年数にぜひ合わせるようにしていただきたい。  それからもう一つの問題は、起債に対する利息の問題です。これはこういう高い利息でなければいけないということですか。これも諸外国の例から見れば、日本の利息は高いということです。それからもう一つは、財政的のいろいろな操作の関係から、われわれも必ずしも全部それがいけないということを言い切ることはどうかと思いますが、地方銀行から借りているものが八分五厘ということで、国から借りているものよりも非常に高いのですね。これはやめられませんか。国は大体全部背負ってもいいんじゃないか。高い利息を払って、償還期限が短いような高利の金を地方に借らせるということも私はいかがかと思うのですが、これは国だけでやれるということになりませんか。
  170. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 原則としては、私どもとしてはそういう方向に向かって努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。ただ低利の安定した政府資金が必ずしも十分にございません。また、国としていろいろな政策をやっていきたいというような関係から、全額地方債については政府資金をもってまかなうという理想が達成せられないでおるわけであります。ただ地方団体側といたしましても、ある程度弾力性のある施策をとっていきたいという希望もございまして、自分の団体が市場において債券を発行していく、そういう建前は残していきたいという希望もあったりいたしますので、そういうものも考慮しながら地方債資金の中に一部公募資金が入っておるわけであります。私は、もちろん門司さんの御指摘になりましたように、もっと政府資金で埋められるように努力していかなければならない、そういう考えではおるわけであります。将来もそういう方向で努力をしていきたいと思います。
  171. 門司亮

    門司科員 時間も過ぎておりますので、これ一つだけでやめますが、ごく概括的に聞いておきたいと思いますことは、税外負担の問題で、午前中の委員会でかなり問題になっておるようでありますが、税外負担に対してどういう処置がとられているかといいますと、地方交付税の中にわずかにそういうことを織り込んで考えているというようなことで、それ以外にほとんどとられているところはないと思う。財政措置としてはまたとる筋合いもないと思う。そこで問題となりますのは、たとえば財政処置を去年九十億とった、ことし百億なら百億とる、従ってPTAの費用等についてはこういう処置がとらるべきだ、あるいは消防の問題、特にこれは農林省の書いたものですよ。市町村税外負担について書いてあるんですが、市町村割当寄付学校関係寄付消防団割、公民館割、道路修繕費、農業委員会費、民生事業寄付、その他市町村寄付というように、ちゃんと寄付を分けてあるんです。こういうものがすべて税外負担になって、はなはだしいのは、これの総計が、ごく小さな農家においては、すべての税金よりも多いというような例まで示されているんです。こういうふうに税外負担が大きいのでありますので、従って財政処置をしたいというなら、都道府県や市町村にこういう財政処置をしたから、君のところは、これこれこういうものについては寄付金をやめなさい、とってはいけないというような通達が出せませんか。財政処置をしているというなら、これを受けて立つ市町村についてはそういうことができはしないかと考えておりますが、そういうことはできませんか。ここで財政処置、財政処置といっても、下の方でとっておれば同じです。私たちは毎年ごまかされているような気がするんですが、ごまかされないようにしていただくわけにはいきませんか。
  172. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 全くお話通りでございまして、ここで御説明するだけが能ではなく、国会で御審議いただいた結果は、必ず地方団体の方へ連絡いたすわけでございます。三十五年にとりました措置につきましても、国会終了後地方団体にその連絡をいたしたわけでございます。その関係から、たとえば教育関係について税外負担がかなり多い。PTA会費が、教育費が増額された結果、軽減されたというような例も出て参っておるわけでございまして、東京の区分においても、あの際PTAの会費が若干軽減されたということを私は聞いておるわけでございます。どういうような内容に向かって財源措置をしてもらったかということを地方団体に的確に連絡して、税外負担が現実に解消されて参りまするように努力いたすつもりであります。
  173. 門司亮

    門司科員 その次の問題として出てくるのは、どうしてそういうものが非常に出てくるかということは、政府がいう建築単価その他に非常に大きな誤りがあるのではないか。この点自治省は直す気はありませんか。ことしのものを見ましても、御承知の通り、中小学校の木造については、大体三万五千円から三万二千円という数字が出ておるのです。それから屋内体操場が三万六千円から三万四千円。しかし、これは東京その他関東一帯であって、新潟を中心として長野その他の北陸へ参りますと、この単価が少し安くなって、小中学校が三万二千円、屋内体操場が三万三千五百円、鉄筋でも、これは大体一律に六万一千四百円、こういう数字が出ているんです。私の持っている数字は、あなた方の方で二、三日前に出してきた例の交付金の算定の基礎になっている数字とは多少違うようです。大体これと似たような数字が出ておるわけでございます。ここに無理があるのではないか。大体自治省が、地方の自治体が行なうべきこういう建築単価について非常に安い単価を見積っておるということは、一体どういうわけなんですか。これはやはり自治省自治省としてはっきりした態度をとってもらいたいと思う。これは文部省にも関係がございますが、一体今東京地方で木造の学校を建てるのに、三万五千円でできますか。できたら一つ建ててもらいたいというのが、地方自治体の要求だろうと思うのであります。地方自治体で三万五千円で建ててもらいたいと要求されて、あなたたち受け合って建てますか。これはできないと思うのです。どうしてこういうばかばかしい単価を予算規模の中に入れておくのか。だから、地方の自治体のほんとうの実行予算と、政府の計画した財政との間に、非常に大きな開きがある。それがやはり地方財政を苦しめている一つの大きな問題だと思う。こういうものを是正する考えはございませんか。
  174. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 今お話になりました点が、最近において地方団体を一番困らせている問題だ、私もこう判断をいたしておるわけでございます。昨年、建築単価がかなり高騰して参りまして、補正予算をどうするかという問題がありました際にも、自治大臣にかなりお骨折りをいただきまして、補正予算で建築単価の増額が行なわれたわけでございます。さらに、三十七年度の予算におきましても、若干増額が行なわれたわけでございます。この予算を作る側といたしましては、なかなかデータをそろえまして、これでできるという建前になっているのだろうと思うのであります。地方財政の計画を作ります場合に、やはり一応国の予算の基礎と数を合わせて作らざるを得ませんので、同じような数字を出しておるわけでございます。はたしてこれでできるかどうかということになって参りますると、地域によりまして相当の問題がございます。私は、単価にも一つの問題がある。もう一つは、基準のとり方に、たとえば生徒一人当たり〇・八坪というような性格のものが妥当であるかどうかということも問題があろうかと思います。もう一つは、木造よりも鉄骨、鉄骨よりも鉄筋、これがかなり急速度に進んでおるようでありまして、国の予算が必ずしもそこまではいっていないというようなこともございまして、三つ重なり合いまして、かなり地方団体を困らせているということは重々承知しながら、必ずしも十分の成果を上げていないことはまことに残念でございますが、今後さらに、なお一そうこういう問題が前進を見まするように努力をやっていきたいと考えております。
  175. 門司亮

    門司科員 この機会に大臣に聞いておきますが、大臣が折衝される場合に、お骨折りなさったということを今奥野局長が言っておりますけれども、だれが考えてもこれではできない。しかも、この単価で建築されるものは、教室の数字だけじゃありません。昇降口であるとか、廊下であるとかいうところは見積もられていない。そうなって参りますると、地方の自治体は、まごまごしていると、国の単価は、学校を建てるのに半分くらいしか使わない。だから、二分の一補助をするなんていっても、実際は四分の一の補助か三分の一の補助にしか当たらないのです。これを補っていこうとするには、どうしても無理ができてくる。無理ができてくるから、結局しわ寄せがPTAその他へいって、外郭だけはこっちで持ち出してもどうにか建てるから、中はそっちの方で頼むということにならざるを得ない。悪循環があるのです。これは思い切って——どうなんです。かかるだけのものはかかるということで予算が組めませんか。私もさっきほんとうにいやみを言いましたけれども地方の自治体が国に持ってきて、みんな国で建てて下さいと言ったらどうします。国は受け合って建てますか。これはどんなことをしたって建てられない。こういう地方財政全体について、もう少しまじめにしてもらいたいと言うと、あなた方の方はかなり大まじめですから怒られるかもしれませんけれども、しかし、やはり実態に沿う財政計画を立てるという一つの方針を打ち立ててもらいたいのですが、この点について、ことしはここで押し問答をしてもなかなか直らぬかと思いますが、補正予算かあるいは来年度の予算からこれを改めていくというお話ができませんでしょうか。
  176. 安井謙

    安井国務大臣 財政局長もお答え申し上げましたように、この単価が必ずしも実際に合っていないという点につきましては、われわれも遺憾ながら認めざるを得ないという点があります。極力補正予算の際あるいは年度予算の際に主張はいたしまして、そうしてできるだけ実地に合うようにということでございますが、いろいろな従来の関係から、まだ十分な結論になっておりません。これはしかし決していいことじゃございませんので、今後ともできるだけの努力をしてそういったものに近づけていきたいと考えております。
  177. 羽田武嗣郎

  178. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 地方税の関係について一、二お尋ねしたいと思いますが、まず最初に、最近各自治体におきまして、第一次産業から第二次産業に発展をしたい、自治体の税収をふやしたい、こういうようなことから、工場の誘致ということに非常に努力をいたしておるようでございます。その結果、自治体におきましては、工場誘致条例——名前はいろいろありますが、そういった形の条例を作りまして、たとえば都道府県においては、事業税を減免するとか、あるいは不動産取得税を減免するとか、市町村においては、固定資産税を減免する、あるいは住民税を軽減する、こういうことをやっておるようでございます。大体こういう形で、工場誘致のために、いわば大きな企業に自治体がまけておりまする税金が、およそ都道府県でなんぼ、市町村でなんぼ、こういうふうなものはわかりますか。
  179. 大村襄治

    ○大村説明員 三十五年度の実績によりますると、産業振興施策に基づく減免額が、市町村分で約十一億円、ほとんど全部固定資産税で占めております。ほかに県分として、事業税関係が約三億円、三十五年度の実績としてあったことがわかっております。
  180. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 どうもその数字は実情に合わぬような気がするのですがね。たとえば東京の近くを例にあげましょう。千葉市ですね、あの川鉄を誘致している千葉市、あすこで一体一年にどのくらい税金をまけているか知りませんか。調べたことはありませんか。
  181. 大村襄治

    ○大村説明員 千葉市を具体的に調べたことはございません。
  182. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 三十一年から三十五年まで十七億五千万円税金をまけているのですよ。昭和三十六年でほんとうは打ち切るわけだったのが、固定資産税において三億二千万円、住民税において二億、これだけまけている、こういう数字が出ております。千葉市の一年間の財政規模は十数億であります。こういうところから、こういう三分の一あるいは二分の一にも近い大幅な減免が平気で行なわれている、こういうことについて大臣は、それが適当な施策だと思いますか。
  183. 安井謙

    安井国務大臣 工場誘致は、地方の発展のために非常に大事なことじゃございますが、そのために自治体が非常な無理をして、しかも不当な固定資産税等の割引をすることにも、これは逆に弊害があると思います。この点はよく気をつけて、今までは、自治体が勝手にやったものに対しては何らかの補てんもいたしてなかったわけでありますが、今後、工場誘致の必要というような観点から、一定の限度については、これは国もめんどうを見ていくということにいたしたいと思っておるわけであります。
  184. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これからたとえば新産業都市法案なんかでそういうことをお考えになっているようですが、しかし、現実に昭和三十六年度でも、大幅な減免が行なわれている。それからまた、あの新産業都市法ができたからといって、すぐ将来そういうものが全部撤廃になるか。そうではないでしょう。そこで、お尋ねをいたしたいのでありますが、とにかく自治体の財政を著しく圧迫するような不当な税の減免というものが一方で行なわれている。しかも、先ほど門司さんからいろいろお話があったように、そういうことをすれば、住民に対するサービスはおのずから悪くなる、住民負担は非常に増額される、税金以外の税外負担がたくさんに徴収される、こういう事実が当然起こるわけですね。こういうものに対して、具体的に自治省としては、明確な方針を持って今まで対処してきたのですか。具体的にどういう形で対処してきたのか、今までのやって参りました経過を一つお聞かせをいただきたいと思います。
  185. 大村襄治

    ○大村説明員 お尋ねの点につきましては、たしか昭和二十九年だったと記憶しておりますが、通達を出しまして、産業の誘致のために条例で税の減免を行なうという場合にあたって留意すべき事項を明らかにしております。条例で減免の措置をいたします場合には、公益等の理由に基づくことが必要でありますので、真に当該産業を誘致することが地方の全般の公益の伸長に寄与するということが必要であるという点を特に注意を喚起すると同時に、産業の誘致のためには、道路港湾等の基盤の育成について、公共団体としてなすべき仕事も多々見受けられる、いたずらに税の減免の点に依存し過ぎないように、そういった産業基盤に関係経費について積極的に議会の審議を経て地方団体としてなすべき仕事をする、そういった面にも十分注意を払う必要がある、こういう趣旨通達を二十九年に出し、その後もできる限り地方団体のこの関係の事柄がその趣旨に沿って行なえるように指導してきておるわけであります。
  186. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そういう通達を二十九年にお出しになったということですが、千葉の例ばかり引いて恐縮ですけれども、千葉では昭和三十五年でもって一応工場誘致条例で規定をした川鉄に対する税の減免というものは期間が切れたんですね。ところが、当該千葉市の市長が、議会に諮ることなく、川鉄と話し合いをいたしまして、勝手に一年さらに税の減免を延長したんですね。現に二十九年に通達も出ておる。出ていながら、しかも、条例でその規定をいたしました期限は切れておる。そういう中で平然と固定資産において三億以上に上るような膨大な税の減免が行なわれている。こういう事態があるということでは、これは自治省としてそういうことについて熱意をもって対処しているとは言えぬと私は思うんですよ。特に、事実かどうか知りませんけれども、この川鉄が世界銀行から借款をいたしておる。そのときにも、信用状態からいっても、いやうちの方は、千葉県からは税は減免されておるのだから、絶対そういう意味では信用状態はりっぱでございます。極端にいえば、その税の減免が一つ条件みたいな形で世界銀行の借款が行なわれたというようなことすら地元では言われているそうです。こういうような非常にみにくい形で税の減免が行なわれているということについては、二十九年に一片の通達を出した、それでけっこうでございますというようなことでは、私はいけないと思うんです。自治体の財政に大きな影響を与えている。しかも全国的な問題でしょう。この問題については、もっと断固とした態度を自治省としてはおとりにならなければいかぬだろうと思うんですが、大臣の御決意を一つお聞かせいただきたいと思うのです。
  187. 安井謙

    安井国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたように、地方で工場誘致をやるという必要から、そういった措置をやむを得ずとるという場合も、これはあり得ると思います。また、そういう措置をとらないために来なければ、元も子もないのだから、当初二、三年ないし三、四年、多少減免をしても、あとで全体の収入が上がるとか、あるいは住民全体の社会水準の向上のためにもよろしいというものの見方もあろうかと思います。あろうかと思いますが、それが度はずれに町の財政を圧迫するようなことになる、あるいは非常に不穏当な減税をやっておるというようなことにつきまして、その事実がわかれば、これは自治省としても十分な注意戒告をいたすつもりであります。でありますが、ここはかね合いで、どこまでならよろしいということはなかなかむずかしかろうと思いますが、その状況に応じて判断をいたして、今後もあやまちのないようにしたいと思っております。
  188. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それに関連してお尋ねしますが、先ほど大村さんの方から、税の減免ということではなくて、産業基盤の確保、あるいは最近言われておる社会資本の整備といいますか、そういう方面に力をそそぐことがいいのじゃないか、こういうようなお話がございました。ことしの地方財政計画を拝見いたしますと、いわゆる公共投資が非常にふえているわけでございまして、これに伴うところの地方負担も急激に伸びているようでございます。特に港湾等の整備におきましては、三割五分も全体の予算が伸びておりますね。それからまた、工業用水の場合におきましても、起債の割当を見ますと、他の一般会計債がほとんど伸びておらぬのに、公営企業債である工業用水の起債は五割も伸びておる。現在の政府かやっております経済の高度成長政策に歩調をそろえて、しかも、そのしわ寄せが自治体に集中をしているという感じも、私ども今年の地方財政計画を見ていたすのであります。そこへもってきて、ただいまのお話では、またまた工場誘致にからんでそういった産業基盤の確保に自治体が努める方がいいというようなお話をされる。現に、京葉工業地帯でも、印旛沼の水か何かを引いて、大規模な工業用水を計画いたしておるそうです。その中の一割近く公共団体が持つという計画計画ができておる。そうなりますと、何か自治体が一般財源をもって独占のいわば開発というものに無理やりに右へならえをさせられておる、こういう感じがわれわれとしてはいたさざるを得ない。こういう事柄について、一方では税金をまける、また税金をまけなくても、独占の大きなコンビナートの開発のために自治体がみずからの財源をしぼり出してこういうものの開発に協力をする、こういった形が——しかも、港湾の施設のためには予算も非常に伸びておる、補助金も伸びておるけれども、自治体の持ち分もふえておる、公営企業債の工業用水の起債のワクも非常にふえておる、こればかりじゃなくて、地方公共団体もこれにおつき合いをさせられる、こういった財政計画がはたして適切なものだと思いますか。それほど大企業の開発に自治体が協力しなければならぬのですか。一つ大臣の財政面に対するお考えを伺っておきたい。
  189. 安井謙

    安井国務大臣 地方をできるだけ開発いたしまして、過度の大企業集中を排除していきたい、これは一つの政策としてやっておるわけでございました、そういうような面から、地方における工業の需要に対応する工業用水に対する費用であるとか、あるいはその施設に対する優遇策といったものができ得る限りとられることは、反面非常にけっこうなことだと私ども思っております。しかし、それが逆にその町村の財政を圧迫するとか、不当な奉仕になるとかいったことは、これはまたないように、そういう例が見つかれば、相当厳重な警告もし、交付税等の際にも十分な注意を与えておるというふうにしておりますが、私は、全体としてそういった費用がふえることは好ましいし、またできる限り有効にそれを生かしていきたいと思っております。
  190. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 印旛沼の場合における千葉県の開発部の計画というものを私拝見をいたしたのですが、次のようなんですよ。国庫補助金が六億二千万、政府の長期起債が九億九千万、国民金融公庫から三億三千万、会社の寄付金六億円、受益者負担金四億二千万円、それに地方公共団体分として二億六千万円が見込まれているようです。合計で三十二億円という膨大な計画です。私どもとしては、公益企業ばかりがふくらんで、一方で、市民に直接関係の深い屎尿処理なんかの予算が一向ふえないということについては、非常に不満を持っておりますけれども、まあその点は百歩譲って、完全に会社の負担金、それから起債、こういうものでもってまかなわれておれば、私はまだまだ文句はないと思うのですけれども、こういうものに地方公共団体が持つというような計画がはたして適切だと思いますか。また、そういうような計画に対して、自治省としては何らかの指導をいたすつもりはございますか。
  191. 安井謙

    安井国務大臣 技術的な面については財政局長から御答弁させたいと思いますが、これはやはり土地改良か何かの関係地方負担すべき区分というものがあって、これはやっておるのだというふうに心得ております。
  192. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御承知のように、総合開発の場合には、ねらいが土地の改良を含んでおったり、あるいは上水道の水の供給を含んでおったり、あるいは御指摘のような工業用水道の水の供給を含んでおったりしておるわけでございまして、その際に、工業用水道の関係については独立採算の建前でいく、従って、地方債でありますとか、会社負担でまかなっていく、土地改良に属するものにつきましては、農林省から出ます土地改良の国庫負担金でありますとか、あるいは地方団体負担分でありますとかいうようなものでまかなうということで、財源構成を満たしておるわけであります。特定の会社の受益のみに属しますものにつきましては、やはり独立採算なりあるいは会社負担なり、これを原則にしているのでございまして、私どもといたしましては、今後もそういう方向で指導して参りたい、かように考えております。
  193. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 こういう総合開発ですから、いろいろな費目が出てくる。そうすると、工業用水関係は切り離して、一切そういうところには公共団体負担がないようになるのだというお話でありますが、私のおりました群馬県でも、実際にそういう総合開発計画仕事を始めた。ところが、漏るはずのないダムが漏ったりいたしまして、工事費が膨大にかさんだというような実例がございますが、結局そういう関係で、本来的な意味における農業用水道のアロケーション分の公共負担分を超過して、さらに公共団体が持たなければならぬという事態が起こり得るし、また総合開発だから、工業用水分といいましても、大企業その他が資金的に全く公共団体から恩恵をこうむることがないというふうに現実の事態がきちっと割り切れるものではないと思うのです。この点は、いろいろ議論もいたしたいのでありますが、時間の関係もありますのであれですが、とにかく、ややもしますと、最近の自治体の行政というものは、工業用水あるいはコンビナートの設立にからんで何か独占に非常に奏仕しなければいかぬ、こういう事態が現われているということだけは自治省として十分注目をしていただいて、この事態に対する対処を明確にしていただきたいことを特に要請しておきたいと思うのです。  では、次の問題でお尋ねをいたしたいのですが、先ほど門司さんから、公共事業の単価がきわめて実情にそぐわないという御指摘があったのでありますが、私は住宅の面からこの問題を一つ取り上げまして、御見解をお伺いしたいと思うのです。  現在、都道府県、市町村で実施をいたしております公営住宅のことしの予算を見ますと、五万八千五百戸建設をするという予定のようであります。私は、その単価を拝見いたしたのですけれども、東京都で簡易耐火構造の平屋建て、いわゆる第一種の公営住宅、これが全部で六十二万円でもってできるというような計算になっているようです。はたにだしいのに、土地を東京都内において四十二坪、十六万二千円で買えというような計画になっておるようです。あるいはこれは若干計数が変わったかどうか知りませんが、とにかく私の調べた範囲では、そういう形になっております。大臣も東京都内にお住まいですから、よく御承知だと思いますが、四十二坪、十六万二千円で買えということになると、坪当たりの単価は三千円くらいにしかならないでしょう。こんなもので土地が買えますか。そういうことになれば、どうしても実情に即さない。私の住んでいる前橋、高崎あたりは坪当たり千円で土地を買えということになっているようですが、私の住んでいるいなかでもそんなことは全く無理です。そうなってくると、先ほどの門司さんのお話ではないが、市長の改選期も近いし、割り当てられた公営住宅はしゃにむに作らなければならぬということになれば、どうしても自治体が自己財源をつぎ足して、足らざるものを埋めなければいかぬでしょう。こういう非常識きわまる単価に対して、自治省は大蔵省にどう対処されたのですか。その三分の二を国庫負担で、三分の一を自治体が持つから、いわゆる国庫補助金の半分だけ自動的に財政計画に食い込めばいいというような安易な考え方で自治省が財政計画を作るということになれば、これは問題だと思う。そういった地元つぎ足し分についてどうお考えですか。
  194. 安井謙

    安井国務大臣 土地についてちょっと私は事実をはっきりつかんでおりませんが、そういう傾向のものがあろうかと思います。これは従来土地は相当弾力があったり、普通住宅と別扱いにして扱っておりますから、そういう傾向はあるかと思いますが、これは今後よく検討しまして、そういった点をできるだけ是正していきたいと思っております。
  195. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 財政局長の方に土地の購入単価はあるでしょう。大体都内が幾らで、千葉とか前橋とか浦和とか高崎、そういった地域は一体幾らくらいかわかりませんか。
  196. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 ここに数字を持ってこなかったのですが、土地につきましては、実態その他からいいましても、何分の一にしか当たっていないという非難を伺っているわけでございます。急激に上昇してきたのにしては、計算単価が変わってきていないというようなことのようでございますが、経済が安定する前の過程においては、なかなか困難な問題があろうかと思っているわけでございます。しかし、われわれとしては、一そうその是正に努力をしていかなければならぬと考えているわけでございますし、またその点が、御指摘のような地方財政にしわが寄ってくるというような問題になっているようでございます。
  197. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 建築費は三十九臨時国会でたしか一〇%くらい上がったと承知しておりますが、今年度予算では何パーセント上がっておりますか。
  198. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 公営住宅の木造の一戸当たりで申し上げますと、昨年の当初予算に比べると二割七分二厘の増、補正予算に比べて一割四分七厘の増になっているわけでございます。
  199. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 かりに坪当たり三千円というようなきわめて空想的な単価が二割上がったところが、問題にならぬことは明らかだと思う。そういう不当な公共事業費の補助金のいわゆる単価、それによって生ずるところの地方自治体の財源負担が非常にふえていく、こういう問題については自治省が本気になって心配しなきゃ心配するところがないでしょう。ことしの予算は当初はもうきまったといいましても、昨年補正でもってこれを改善した実例もございますので、明らかに地方自治体の財政を圧迫することが明瞭であるこの問題に対して、ほかに心配する人はないのですから、一つ大臣としてやはりはっきりとした決意を述べておいていただきたいと思うのです。
  200. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘通り単価が実態に合わないという点につきましては、極力努力をいたしております。直接には建設省あるいは文部省がそれぞれ折衝の任に当たるわけでありますが、われわれとしましては、地方財政の見地からこれの適正化を強く要望して参ります。今後もそういう団体を少しでも矛盾の少ないように努力をしたいと思っております。
  201. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 交付税の問題についてお尋ねをいたしたいのですが、ことしの交付税率は二八・九%ということになったようであります。その経過をいろいろ拝見をいたしますと、従来の二八・五に対して〇・三上がった二八・八であった、その〇・三が一応切られるということになって、その後いろいろな事柄があって二八・九ということになったというふうに聞いておるのでありますが、その中に高校の急増対策のための九十一億円というものを交付税で見るのだという形で含まれておる。それからまた、聞くところによりますと他方公務員の共済制度の実施のために、当初自治省としては百億円の予算要求をせられた、一割は当然国庫補助でもって見るべきだという形で交渉をせられた。しかもこの問題については地方議員の例の統合する問題があって、これまた考えなければならぬことになったわけだろうと思いますが、しかし、それが全面的に切られて、そうしてこれは交付税でもって見るのだという形に落ち着いたというお話であります。そのために〇・四交付税でふえたというふうに言われておりますが、交付税の〇・四では六十億程度にしかならぬでしょう。百億要求して交付税でもって六十億ぐらいしか取れなかったということでは、全く差引そろばんに合わないと私は思うのです。しかも九十一億円が高等学校の急増対策だといってなお食い込まれておる。そういうことになれば、ことしの交付税というものは実質的にはほとんど伸びないという結果になろうと私は思うのです。こういうものを交付税で見るということが正しいと一体大臣思いますか、この共済制度の実施に伴う経費について。不交付団体はどうなりますか。それにまた高校急増対策九十一億というようなものを突っ込む。いわゆる自治体の自主的な財源である交付税を、補助金が取れなかったといってこれは交付税でまかなうといったやり方は、いわゆる地方自治の本旨にのっとる施策だとは絶対に私は思えない。この問題について大臣のお考え方を一つお聞きしたいと思います。
  202. 安井謙

    安井国務大臣 この共済制度における交付税と補助金の問題につきましては、これは率直に申し上げまして、われわれの部内にも両論あったわけであります。当然補助をさせるべきだという考え方と、しかし、これは交付税等によって自然増収のある一般財源をつぎ込むことでいくべきだ、あるいはいっていいんだという考え方と、二つあったわけであります。われわれは、まあ露骨な話が、大蔵省へは補助金をよこすようにという交渉は一応しましたが、見解も非常に違っておりますし、二年越しの問題でありまして、これは結論が出ない。そこで交付税に振りかえて、そういった〇・四の増というものでまかなうことに正式に決定をいたしたわけでございます。  なお高校の分につきましては、なるほどきまりきった交付税の中からやりくりするのではやったことにならぬじゃないかという御議論もあろうかと思いますが、これはいつかも御答弁したかと思いますが、同じ交付税の扱いにいたしましても、たとえば三十六年度は、例の起債の繰り上げ償還というものにつきまして百六十億の財源を見ておったわけであります。そういったようなものを、今度は高校のこういつた費用が要るからということで大蔵省とも折衝をいたしまして、その財源を見るということは取りやめた。そうすると三十六年度と同じであればそういった財源がまるまる浮いたという勘定もできるわけでありまして、そういうものが高校の対策へ回ったというふうに考えれば、これは一般のほかの財源を圧迫しないで高校財源に回し得ておるということも考えられると思うのであります。それこれ全体を勘案しまして、ことしの交付税で今の財政需要額は大体やっていけるという計算が成り立っておるわけであります。
  203. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大体やっていけるといいますけれども、とにかく百億補助金を要求して六十億程度のもので地方共済についてはやられるということになるわけでしょう。しかも不交付団体についてはいかないという格好になるのですからね。そうしますと今の地方共済制度について資金の運用その他について自治省が非常な権限を持たれたような形の制度をお考えになっておる。しかるに国の方では全然金も出さないで、資金の運用なり管理運営なりそういう問題ばかりを自治省で強く権限を握るということは、全く本末転倒ではないですか。私は筋が通らぬと思うのですがこの点はどうですか。
  204. 安井謙

    安井国務大臣 〇・四の普通交付税率がふえたということは、しかもこれはこれから恒常的な伸びのある財源でありますから、私はある意味では非常な成功だと思う。でありますからこれは補助要求をそちらへ振りかえて貫徹をいたして、しかもその実際に交付する今の共済組合関係のことしじゅうの所要額というものは、交付団体を精密に計算してみますと、はるかに少ないものであります。これはことしの財源処置としては非常に不当なものではなかろうと思っております。ただ交付税でやるか補助金にするかという議論は残っておったわけであります。これは私はいずれとも絶対の議論ではあり得なかったと考えております。
  205. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大蔵省が交付税で見ろ、あるいは補助金を出すのはおかしいということは前々から言っておったのですからね。地方公務員にそういうものを出さなければならぬということになれば、これは社会保険の意味であらゆる会社にも出さなければならぬ、こういうことを大蔵省が言っておったのですから、大蔵省とすればそういうお話をされるのは私は当然だと思うのです。しかし、少なくとも国が二兆四千億の予算を組む、しかし、現実にその金が仕事になっていくのは自治体の任務だと思うのです。だから、国の仕事の大部分は自治体が背負っておるという観点からすれば、地方公務員の共済制度に対して補助金を出すことが筋が通らぬということは、少なくとも自治省としてはそういうお考え方は絶対に持たなかったと私は思うのです。そうでしょう。そういう形で自治省はがんばってこられたわけでしょう。そういう今までの立場からすると、まあいろいろ議論はあったけれどもというような大臣のお答えは、非常に後退したし、私は筋が通っていないと思うのです。しかも管理運営について自治省が補助金も出していないものについて大きな権限だけを握っておるというのは、絶対に筋が通りません。  そこで高校の急増対策ですけれども、九十一億というのですけれども、先ほど門司さんからのお話で、高等学校の建築に対して、起債で見る場合、起債がそのほかに五十億あるようですが十分ではないし、それからまた高等学校の建築にからむ税外負担というものが非常に多いということも、自治省はよく御存じのはずです。大体高校急増対策で何億くらい国全体でお金が要るんですか。少なくとも一千億以上の資金が必要なんじゃないですか、各都道府県が要望しておる額は……。これに対して交付税で九十一億、それから起債でもって五十億、たった百四十億ぐらいの経費をことし見て、二年間に一千億以上の経費を必要とする高校急増対策、少なくとも五百億くらいの金をことし組む必要があるわけでしょう。それを百三十億くらいの予算でもって、これで高校急増対策ができるなどということは、私は全くおかしいと思う。そういうことでやれば、これはもうPTA負担はかさむ、税外負担を解消すなんといったって、どんどん税外負担がふえるじゃないですか。これでもって高校急増対策ができるとお思いですか。
  206. 安井謙

    安井国務大臣 最初、原局といいますか、現地として要望された額は、一千億といったような金額も呼び声としてはあったかと思いますが、これにはさらに土地とかそういったものも入った数字であろうと思います。これは、文部省と各都道府県とが十分に打ち合わせをいたしました結果、土地分を除いては、四十年までに五百五十三億という計画を立てたわけであります。これの初年度分として百五十四億というものが現在計上されておるわけであります。私どもも、文部省の計画としてこれはいけるという計画が完全にできたものでありまするから、それに従っての財源配分の割り振りをいたしておるようなわけであります。
  207. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 五百数十億といいますが、初年度分は百四十一億ですか。それは百三十三億に五十億足せば百八十三億ですが、交付税でいけば九十一億でしょう、起債でいけば五十億でしょう。合計して百四十一億になりますか、それでは五百何億で二年でもってやらなければならぬでしょう。初年度分がこれでもって足りるということにはならぬでしょう。
  208. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 高校急増対策といたしましては、三十六年度にすでに高等学校地方債を三十億計上いたして参っておるわけでありまして、地方団体も若干いたしておるわけでありますが、計画といたしましては、三十八年度からこの問題が始まるわけでございます。三十七年度、八年度が対策としては山場だろうと思います。さらにいえば三十七、八、九、この三年間が一番中心であろうと思います。計画といたしましては、三十六年度から四十年度まで合わせて五百五十三億円になります。そのうち国費でまかないます分が七十五億円、地方費でまかないます分が四百七十八億円、こう考えているわけであります。その四百七十八億円の三十七年度分が百四十一億円でございまして、この部分につきましては五十億円の地方債を別途予定いたしておりますから、基準財政需要額に算入いたしましたのが九十一億円、こういうことになっております。そのほかに土地については別途地方債を許可いたしたい、かように考えておるわけであります。
  209. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それは、文部省が五百五十三億というようなことでいいなどと思っているところに大体問題があるんでして、こういう形でもって現在の高等学校の急増対策がまかなえるはずは私は絶対にないと思う。  そこで、この計画自体を云々するのはやめまして、お尋ねをしたいのですが、少なくとも私の考えでは、この高校急増対策のために自治省が百億の予算を組んで、税外負担の解消をやるといっておっても、現実にはこの高校急増対策が自治体では重荷になって、税外負担というのは、私は国全体としては非常にふえる、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。ですから今回の百億程度の税外負担の解消ということは、この高校急増対策を考えてみても、私は非常に実情に合わない額ではないかと思うわけでありますが、少なくとも今年度、今までより税外負担がほんとうに軽減できると責任を持って大臣考えですか。
  210. 安井謙

    安井国務大臣 高校急増対策の見方につきましてはいろいろあろうと思いますし、そういった御批判も出てくるかと思います。ただ現在のところ、都道府県と文部省とで計画を立てて合意に達しました計画が、そういうふうになっております。それに対しての財源措置は、今のようなことで国の補助、起債、そうして交付税、この三本建で見るようにいたしております。しかし、これが実際にあって非常に困難だという場合、これはいろいろな状況の変化等でないという保証もなかろうと思いますので、そういう場合につきましては、これはまた特別の事情があれば別途考慮しなければならぬと思いますが、今一応でき上がっております計画による限りは、この計画でやっていけるものと心得ております。従いまして、別途にいわゆる税外負担の解消のための費用というものは、有効に使われるであろうということを確信しております。
  211. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ただいまのお話ですけれども、現に都道府県ではこの急増対策の予算では全くもって不満だといって、そういう形で私どもの方にも意思表示か亙りますし、そういう意思表示があらゆるところになされているということは、大臣も御存じだと思うのです。そういう状態の中でこれだけの予算措置でもって、しかも税外負担をふやすことなくてできるなどというお考え方は、実情に合わぬ、私はこういうことだけは十分お考えをいただきたいと思うのです。  最後に、時間もぼつぼつ参りましたのでお尋ねしてやめたいと思いますけれども、起債の割当の問題です。現在起債の割当については、法律を見ると、自治省がやることになっておるでしょう。現実にはそうなっておりませんですね。どういうわけで法律通りの実行がなされておらないのですか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  212. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御指摘のように地方債の許可は、都道府県、五大市については自治大臣市町村分につきましては都道府県知事ということになっているわけでございます。なお、金額の大きいものなどにつきましては、自治大臣が許可をいたします際に大蔵大臣と協議する、こういうことになっているわけでございます。その範囲だけの協議でございますれば、ごくわずかな部分でございまして、現在におきましては全般的に協議をいたしております。また協議をすることによって、いろいろなところから資金が出ていくわけでありますが、こまかい資金の貸付をきめてしまう。起債の許可と資金の貸付と二重の審査にならないようにしたい、こういう配慮もございまして、そういう意味で全般的に協議をする、こういうことにいたしておるわけであります。しかしながら、現実の問題といたしましては都道府県が調査をする、さらに大蔵省の地方財務部が調査をする、完全な二重調査のような姿になっておるわけでございまして、私たちも現在の姿については非常な不満を持っておるわけであります。ときどきこのことが中心になりまして、相当な論議になるわけでございますけれども、またそれが過ぎますと、しばらくするともとの状態になってしまうというような姿を毎年繰り返しているようであります。最近の状態は、私もまことに遺憾に考えておるわけでありまして、何とかして今の状態を改善するような話をもう一ぺん持ち出してみたい、こういう気持を持っておるわけであります。
  213. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 市町村の起債の認可権は、都道府県にあると法律に書いてあります。しかし、どこの県へ行ったって、都道府県が起債の認可をやるなんて考えている人はほとんどないですよ。もちろん手続上こうなっていることは承知しておっても、やれ、大蔵省へ行かなければいかぬ、財務部へ行かなければいかぬから、一つの通過事務として都道府県もあるのだというような認識は、私は地域の認識だろうと思うのです。都道府県の起債についても同様で、何か自治省よりも大蔵省の方に大きな権限があるように思っている人が現実にありますよ。奥野さんは頭をかしげているかどうかわからぬが、一般の人はそう思っておる。そこまで法律に書かれておる自治省権限を大蔵省に蚕食されておって、自治省がそれでいいと思っているのはほんとうにおかしいと思う。確かにお金を貸すのは資金運用部から貸すのだから、いわば銀行が個人に貸すようなもので、金を貸すからには信用状態とかあるいは償還能力とか、そういうものを調査しなければならぬということは私もわかります。わかるけれども、それじゃ自治体がどのくらいの財政状況なのかということは、大蔵省よりは自治省が一番知っているはずじゃないですか。市町村については都道府県が一番知っているはずじゃないですか。ですから奥野さんも言われましたけれども、現在の姿は確かに間違っていると私は思う。これについてはいろいろ業務をするのだ、こうだというふうに言われましたが、大臣在任中に、この起債の問題について法律を守って、自治省権限をきちっと確保するくらいのおつもりがございますか。一つ大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  214. 安井謙

    安井国務大臣 これは従来の長い習慣もございますし、それから大蔵省側が実質上の金融問題に対するいろいろな全体の措置考える必要から、ある程度タッチするということも、どうもやむを得ない面もあろうかと思いますが、基本的には今お話し通り自治省限りで処理し得るように今後も進めていきたいと思っております。
  215. 羽田武嗣郎

    羽田主査 ほかに御質疑はありませんか——御質疑がないようでありますから、自治省所管に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  216. 羽田武嗣郎

    羽田主査 明二十一日午前十時より開会いたし、運輸省所管の審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会