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小林(進)
分科員 大臣もお急ぎのようでございますから、
大臣の御答弁に私は決して賛成をするわけにいきませんけれ
ども、問題を次に延ばしていきたいと思うのでありまするが、いま一問は、日経連の白書なのでありますが、その白書の中に、自由貿易、輸出の赤字を克服するために、
日本はやはりコストを下げていかなければならない、これは至上原則だ。そのコストを下げるためにやはり賃金のベース・アップは困る。だから賃金を押えていかなければならぬというのが終始一貫した
考え方です。
経済企画庁長官として、こういう日経連の賃金白書をごらんになりまして、一体
大臣はどうお
考えになりますかということなんです。私は実にこの中に矛盾を感ずるのです。なぜかならば、彼らはこう言っております。いわく第一番目に、今まで消費ブームということで物が非常に売れているときば、
事業家は内需に
重点を置いて、そうして輸出というものを軽視をした、それがこのたび赤字になって、壁にぶつかった
一つの原因である。これは労働者の賃金のためでないことは明らかですね。これはいわゆる日経連の白書の中でみずから自白していることなんです。みずからの誤れることを自白をしておる、間違いありませんな。
自分たちの経営の悪さを労働者の低賃金に押しつけてくるということは間違いなんです。お思いになりませんか。いま
一つ、日経連の白書の中に、
日本はどうですか、
日本くらい
近代産業の盛んな国において、こんなに高利子の国はありません。これくらい高い利息で銀行なんかから金を借りて、しかも利潤をあれくらい上げ得る
産業が
日本にあるということ、これは
日本の経済
自体がまだ正常な姿じゃないと私は
考えますが、
大臣いかがでございましょうか。そういう矛盾を彼らは克服しようとはしない。そうして高い利子を払い、利潤を上げている。過去二年、三年間の高利息と高率の利潤の上げ方という点で、世界に
日本の
産業に匹敵するものはございません。その利潤を上げるときの労働者の苦労なんというものは並み大ていのものではございませんけれ
ども、それを彼らは
一つも言わないで、今
自分たちの
事業が輸出の面において壁にぶつかってきたときにも、その利息を直そうとしない、利潤を節約しようとはしない。しかも今申し上げたような、
自分たちが内需にのみ力を入れたという経営の仕方の反省をしようとしないで、賃金一方で押えようとする。こういうものの言い方は、いかに経営者横暴なりといえ
ども私はけしからぬじゃないかと思う。
特に私は、この際、時間がありませんから、つけ加えて
大臣にお尋ねしたいと思いますのは、
日本の生産と消費の水準でございます。生産のこまかい数字は大体わかりましたけれ
ども、六〇%くらいまで消費の水準が
近代産業では高まっている。ところが欧米先進国では、生産と消費水準の比較は七〇%少しで、数字は少しは狂っているかもしれませんが、
日本よりは消費水準が高まっている。しかし、
日本の消費水準を厳格に
内容を見ると、昨年度で投資の総額は三兆七千億ですか、ことしも大体三兆七千億という投資をする。その投資の
内容です。その投資の
内容をこまかに見ますと、私は
大臣のように生まれがよくない、貧乏人ですから、非常に貧乏なところに根性がいくのでありますけれ
ども、その中には、いわゆる接待とか招待とかいって、外国のお客さんが来た、役所にお客さんが来た。
経済企画庁はお客さんを接待することはないでしょうけれ
ども、接待をするということで、やれ新橋だ、赤坂だ、ミカドだ、幌馬車だ、赤馬車だということで、こういういんしんのちまたが、夜ともなれば世界第一等の歓楽と消費のちまたを発現するわけです。これが
会社にいけば、その費用は消費じゃない。実際は、これは
事業の勘定にはみな投資として勘定されているはずです。けれ
どもその
内容は、決して材料費でもなければ設備費でもなくて、いわゆる接待に浪費されている。
一つの例ですけれ
ども、
大臣聞いて下さい。私の選挙区ではありませんけれ
ども、燕という洋食器の町がありまして、アメリカに行かない、みんな斜陽
産業で倒れかかっている。倒れかかって労働者を首にしながら、燕の町から三里離れた三条という町に、御殿のようなりっぱな家を作っている。だれがあそこに御殿のような家を作ったのかと思って、私はわからなかった。そうしたら、これは洋食器を買いにくるアメリカのバイヤーを接待するためには、三万や五万くらいの都市では料理屋も宿泊所も満足なものがないからというので、特にアメリカのハイヤー接待用に設けたのだというのです。あすあさってにぶつ倒れるような、労働者に労働賃金も払えないような諸君が、そういう接待供応用の御殿のような高楼を作って、なおかつ歓楽のちまたを発現している。
日本においては、労働者の賃金よりも、設備費よりも、材料費よりも、そういう接待や供応や買収が
事業経営に一番重要な要素に勘定されている風習がある。それがみんな設備投資の中に計上せられている。だから三兆七千億の投資をしたといっても、その投資の中には、そういう全くむだな消費がおそらく三割ぐらい含まれているのではないか、こういう経営の不合理さです。こういう経営の不合理さを
大臣は
企画庁長官として追及されたことがございますか。これを勘定したことがございますか。そうしてその中には汚職あり、堕落あり、犯罪あり、あらゆる
資本主義の悪が渦を巻いている。そういうことを経営者
自体が反省もしないで、
自分たちの
事業が盛んなときには、試用工だ、臨時工だといって夜を日についで一生懸命働かして、一たん不況になれば、大根を切るようにすぽっと首を切っている。そうして労働者にしわ寄せをして、労働者の賃金は上げられない、輸出コストが大事だ、こういうことが通りましょうか。あなたは生まれながらにして経営者の血しかない。労働者の血はあなたの中には入っていないけれ
ども、
大臣の良識をもってすれば、私の申し上げていることに御共鳴願えると思うのでございますが、
大臣いかがでしょう。