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河野国務大臣 私は、先ほども申し上げました
通りに、客観性が伴わなければ、
政府だけが予算を取って進むということは効果をあげない。今近代化資金の
金利の話が出ましたが、私は、
金利は五分がいいとは決して思いません。もっと安くしなければいかぬだろうと思います。しかし、客観性がこれを許すか。今の農村金融をつかさどっておりますところの単協から信連、中金、行きと帰りの
金利を考えてみますれば、どうあってもこの客観性が六分五厘以下の
金利で農村に融資をするということを許さぬだろうと私は思います。もし五分で融資をするとする。これを単協の信用組合へ持って参りますれば六分で預かる。五分で借りたものをそのまま六分で預かるような機関が農村の中にあるというような、から回り、悪循環というようなことがあり得るような、——現にまさかないでありましょうけれども、そういう機関になっておる。そういう客観性があるということである以上は、私は、これの改善がまず第一の先決問題じゃないかと考えます。それが改善せられて、しかる後に農村金融についてもほんとうに正しい姿が生まれてくるべきものである。数十年前からあるところの今の
産業組合、協同組合、その組織がそのまま今日ある。そこに新しい農村というような
考え方が
一体成り立つだろうかというふうに考えますと、客観性の整備というものがまず先立つものだ、農民諸君も私はそう思うと思います。今のように、そこまで言うとまたお小言を受けるかもしれませんが、協同組合によって指導されておる農民、そうじゃない、農民によって指導される協同組合ということに変わっていかなければ、ほんとうのものにならぬだろう。さらに申し上げますならば、米麦を主体にした阪連、購連、資材その他利用するものにいたしましても、そういう面に重点が置かれております農業組織、
団体組織というものは、はたして成長農産物のどんどん行こうとしておるときに、この農業
団体の組織でいいか悪いか。たとえば、豚の問題が起こってきた、豚肉が暴落した。これに対して、
一体、あれほどの豚肉を扱っておられる全敗連が、——先日芝浦に行って驚いた。全販連ともあろうものが何だこのざまはという気持がした。ここらにも私は農業
団体自身の反省がなければいかぬと思います。私は、そういう客観性が伴いまして、そうして
政府、
団体、個々の農民諸君というものが
一体になって、ここに新しい農村というものを作り上げられるべきものである。それを、いたずらに古い型の中に入って、そしてそこには少しの前進もなければ改革のきざしも見えない。ただその間に立って
政府並びに予算というものだけが前進をしようといっても、せっかく稻富さんから大いに激励されましたけれども、私だけやったところで、はしご段を上がってみたら、はしごがなくなって、二階で一人裸踊りをしておるような格好じゃなかろうかと私は思うのであります。どうか
一つ、その点につきましては、客観性を整備するということについても、私を督励されると同時に、各方面に向かって今のように督励をしていただきたい、そして、全体のそういうムードの中に、私はりっぱなものが出てくると思うのでございます。
言葉が過ぎるかもしれませんが、一応、私は、今年の予算の編成にあたりましても、
農林大臣として省内の予算は目を通しまして、これだけのものは来
年度の予算としてどうしても要るもの、だといって大蔵省に書いて出しましたものは、大体十何項目が全部その
通り大蔵省が認めているわけであります。私としては、一応まあこの予算でことしはある
程度やっていけるのではない、だろうか。むろん金額の点については遺憾のない点はございません。ございませんが、まあいけるのではないかという気持で実は御審議を願っておるわけでございます。