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1962-02-27 第40回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十七日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席分科員    主査 西村 直己君       井村 重雄君    船田  中君       野田 卯一君    保科善四郎君       山口 好一君    井手 以誠君       楯 兼次郎君    堂森 芳夫君       武藤 山治君    横路 節雄君    兼務 淡谷 悠藏君 兼務 木原津與志君    兼務 永井勝次郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     磯江 重泰君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上林 英男君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         大蔵事務官         (為替局長)  福田 久男君  分科員外出席者         外務事務官         (アメリカ局外         務参事官)   竹内 春海君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         大蔵事務官         (主計官)   新保 実生君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    細見  卓君         大蔵事務官         (理財局次長) 吉岡 英一君         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      桜井 芳雄君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    喜田村健三君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         会計検査院事務         総長      大沢  実君     ————————————— 二月二十七日  分科員堂森芳夫委員辞任につき、その補欠と  して武藤山治君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員武藤山治委員辞任につき、その補欠と  して堂森芳夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第三分科員淡谷悠藏君、第四分科員木原津與志  君及び永井勝次郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)、法務省及び大蔵省所管  昭和三十七年度特別会計予算大蔵省所管  昭和三十七年度政府関係機関予算大蔵省所管     ────◇─────
  2. 西村直己

    西村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十七年度一般会計予算皇室費国会裁判所会計検査院内閣経済企画庁を除く総理府法務省所管昭和三十七年度特別会計予算大蔵省所管及び昭和三十七年度政府関係機関予算大蔵省所管を議題とし、質疑を続行いたします。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤分科員 少しうかつでおりまして、まだ資料等を取り寄せないうちにトップ・バッターで質問せよということでございますから、資料が届くまで簡単な問題から大臣見解をただしたいと存じます。  最初に、首都圏整備委員会に所属する法律問題かと存じますが、市街地開発整備法というのがございますが、この中で特に市街地開発組合というのが各地区にできております。特に関東周辺の中都市におきましてはこの市街地開発に非常に力を入れておりまして、自治体出資をいたしまして、かなり大々的な工場適地住宅適地、そういうようなものを造成しておるわけであります。それに対して、農地山林等を買い上げる場合に譲渡所得が大へんかかるので、なかなか農民が手放さない、こういうような問題についてかなり強く自治体から陳情、請願が行なわれておると思うのです。この点についての改正、改善について、大蔵省としてどのような見解をとっておるか。その点をまず先に聞かしていただきたいと存じます。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう要望は今非常に多く私ども陳情も聞いておりますが、これについて税の方の立場から、これは要望に沿えるかどうかの検討を私の方から事務当局にさせておりますが、まだその結論を聞いておりませんので、今課長を呼びますからちょっとお待ち下さい。
  5. 武藤山治

    武藤分科員 それでは総務長官の方からかあるいはその他の取り扱い機関から、市街地開発整備法の一部は改正しなければならぬというような意見については、まだ閣議等その他では全然聞いておらぬわけですか。その点はいかがでしょうか。内容じゃなくて、改正しようという要望や何か折衝が行なわれておるかどうかという点、それはいかがでしょうか。大臣の方へ折衝がなければないでよろしいです。あと総務長官に聞きますから。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どもの方へはそういう折衝は受けておりません。
  7. 武藤山治

    武藤分科員 それではこの問題は、総務長官がお見えになってから具体的にお尋ねいたしたいと思います。ただ、要望として、各都市において市街地を造成する場合にかなり障害になっておるという問題を単なる徴税という立場からだけ考えないで、もっと東京人口を分散する、非常に過度集中されておる東京関東地区に分散するという立場から、こういう市街地開発組合などに対しては対処しなければならぬと思うのであります。それについては、特に整備法の中に収用法の適用が受けられるように改正をいたしますと税金の方も大へん特別措置をされるので、市街地開発が促進される。こういう点を十分一つ東京人口を分散するという立場からの検討大蔵省としてもしていただきたい。そういう点を一つ要望しておきまして、この質問あとに残したいと思います。  第二番目は、今大へん農民が不安に思っておる農地買収者の同盟が長い間運動を続けておりますが、河野農相は昨年十月でしたか、京都談話をもって、来年の予算には旧地主に何らかの補償予算の上で実現をしたいということを談話発表いたしました。その後急速に旧地主に対する補償という考え方がクローズ・アップされてきたことは御承知通りであります。来年度の予算を見ますと、国民金融公庫出資金を二十億円増額をいたして、これらの旧地主に対する融資をしたい、こういうことが予算措置されております。この二十億円の旧地主に対する融資をするというのは、どういう目的でどういう性格と理解しているのか。また国民金融公庫がこれを取り扱うということが、どういう観点から国民金融公庫にこういう融資の方策をとらせようとしたのか。これらの三点について、一つ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 旧地主については何らかの措置考えたいという政治的配慮から、金融の道を開いてやることは妥当であろうということにきまりまして、そういう措置を現在考えております。旧地主の中には、ただいま生業資金を借りようとしても一般金融機閥から借りられないという不便を感じておる人も多うごさいますので、それらの旧地主救済意味をもちまして、国民金融公庫が小口の営農資金いわゆる生業資金を貸しつける。国民金融公庫の全体の貸付計画の中に一定のワクを設けて、その中でそういう金融の道を開こうということにした次第でございます。
  9. 武藤山治

    武藤分科員 何らかの補償をするということの考慮は妥当であると大臣おっしゃいますが、どういう根拠で旧地主にそういう補償をすることが妥当なんですか。その法的な根拠なり、経済的な根拠なり、何かそういう公の資金補償するという性格融資するということの妥当性というものはどういうところにあるのか、私はよくわからないのですが、お教え願いたい。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 旧地主要望は、御承知通りいろいろのものがございます。しかし、その要望が、妥当であるかどうかということも現在では結論がついておりません。従って、政府の中にそういうものを検討し、かつ農地の被買収者現状調査もしようという調査会ができておることは御承知通りでございます。調査会ができておるということは、やはり旧地主問題というものが問題になっておるから、政府にもこの調査会ができておるということでございます。しかも、この旧地主のいろいろな要望というものは最近政治問題化しておるという実情から見ましても、私どももこの調査会結論とかいうようなものとは無関係に、旧地主の中でとにかく生業資金にも困っておるというものがあります以上は、この金融の道くらい開くのが妥当ではないか。海外から引き揚げてきた人にはやはりこの更生のためのいろいろな生業資金を貸したり、そのつど特別の措置は今まで国民公庫でとっておる実例もございますので、旧地主に対しても金融の道を開くという措置はこの際妥当であろうという判断に基づいたものでございます。
  11. 武藤山治

    武藤分科員 もし旧地主の方で生活に困っておる、生業につこうとしても融通がつかぬ、そういう人だけを対象にするのだということになりますならば、今の国民金融公庫法の中にもはっきり更生資金貸付に関する業務方法書もあるわけです。その中を読んでみますと、当然引揚者戦災者その他の生活困窮者、そういうもので独立して事業を行なおうとする場合には、はっきり法律の規定でも融資ができるわけで、それ以外にさらに国から県を通じて貸し付ける世帯更生資金やその他の金融措置というものはあるわけなんです。そういうものがあるにもかかわらず、旧地主だけ別ワク融資をするということが私はこういう規定を混乱せしめ、公庫そのもの業務運営というものに一つの悪例を残す突破口になるような気がするのです。そういう点を大臣は全く心配ないとお考えになってこういう処置をおとりですか。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 問題は、私はたびたび申しますように、政治的配慮から出た問題でございます。従って、旧地主に対して別ワクを作って、その中で生業資金を貸し付けるというくらいの措置がやはり政治的配慮として妥当であろうという判断に基づいたものでございます。
  13. 武藤山治

    武藤分科員 全く納得のいかぬ答弁です。政治的配慮で妥当と思う。これは答弁にならぬですね。私が先ほど聞いておるのは、法的なそういうものにそういう別ワク融資考えるというようなことが、政治公平化国民への正義の実現という立場からものを考えた場合、政治的な行動を起こし、長い間圧力を加えた地主団体だから、政治的な配慮をしてこういう融資をするのは妥当だという御見解のようですが、そういう見解でもし国の予算というものが編成されたら、これはほんとうに政治というものを国民は信頼しなくなると思う。旧地主なるがゆえに、なぜ別な方法融資をしなければならぬのですか。たとえば徴用にひっ張られたり強制疎開をされたり、そういうために土地を失ったり、あるいは自分が従来の職を失い、正装を失って、非常に苦しい生活をしておる人もおるわけです。そういう人には国民金融公庫法業務方法書による融資で、旧地主だけは金額も二十万円までという形でふやしてやっていろいろな取扱いをするというのは、何か旧地主だけ特にそうしなければならぬ理由があるのでしょう。それを大臣はどういう点にその理由を求めますか。そこらを一つお聞かせ願いたいと思います。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 何らかの理由がなければ、いわゆるそのときどきの政治問題ということは起こってこないだろうと思います。特に今旧地主がいろいろの要望をするということが、この内容が妥当であるか妥当でないかともかくとしまして、問題が起こっておることは事実でございます。地主側感情からしましたら、これはいろいろ感情的にもあると思います。たとえば戦争犠牲者というものは相当広範にわたっておりますが、その一部の犠牲者についてははっきりその犠牲の度を国が認めて、いろいろ救済措置を現在とってきております。たとえば恩給を打ち切られたという階層でも、あのときの戦後の処理が少し酷であった、そこまでの犠牲をその人に負わせることは不当だと考えたものは復活しておるとか、あるいはそのときの金額は今の貨幣価値から見まして、額が変わっておりますので、そういうものも現価値に直すというような措置をやって、それぞれの犠牲者に対するいろんな政策政府は今日までとってきておるのであります。  戦後の日本占領政策と申しますか、この一つ成功土地改革土地革命をやったことが私は大きい成功だったと思います。今あの土地制度維持しておるということを考えたら、日本の農村というものは相当様相の違ったものになりますし、旧地主土地を全部ああいうふうな形で強制買収してしまったというこのやり方は、私は非常な成功であったと考えております。ですから、土地買収したということは合法的な措置であったかもしれません。しかし、あのときの農地証券というものは一反歩六百円、七百円の評価をされて、その証券地主はもらっておる。もらっておってまだ金にかえられないうちに貸幣価値は変わってしまいますし、そのときの値段で全部日本じゅう処理が一律にいっているかと申しますと、その後貨幣価値に応じていろいろの変化を見て直された階層というようなものもたくさんありますが、やみ米二、三升の値によって一反歩をとられているという感情は旧地主にもあるでございましょうし、一反歩二円か二円五十銭で農地証券という紙きれをもらってとられた地主がそのまま今その紙きれを持っているときに、一方それをとった買収した方の人たちは、土地の値上がりによって一坪何万円という土地にもなっている。それを見ているというようなことから見ますと、感情的にも割り切れぬものがあるだろうと思います。従って、旧地主運動というものがいろいろ政治運動化してきているのが現状だと思います。この要望が妥当であるか妥当でないかというようなものを、別に私ども結論を出しているわけではございませんが、しかし、そういう実情にあって、土地革命の戦後の政策の確かに一つ犠牲者であるとも思われますので、その人たちに対して、困っている場合に生業資金を特別に貸し出す道を講じてやるというくらいのことは、私は政治的配慮としてそう、不適当なものではないというふうに考えております。  一般会計から云々と申しますが、これは国民金融公庫に対する国の出資金でございまして、その金を直接地主に貸すというのではなくて、全体の資金計画のうちから旧地主生業資金を二十億円の限度内において貸付の道を開こうということでございまして、これはそう政府措置として不当なものでもないというふうに私は考えております。
  15. 武藤山治

    武藤分科員 ただいまの御答弁の中に、非常に重要な時代錯誤的な感覚がひそんでおりますので、少し私もしつこいようですが、質問を続けたいと思います。  一体、大臣はあの農地改革のときの買収価格が正当なものであったか、それとも非常に酷な安い値であったか、さらに昭和二十四年十月十四日に、地主が訴訟を起こしまして敗訴になったという事実、さらに昭和二十八年に上告をしたけれども、最高裁はやはり棄却をした事実、その判決の中に含まれておる正当な価格買収であるという裁判の判決というものは、うその情勢判断をしておるのか、あなたは妥当でないと考えれるのか。もし妥当だと考えるならば、過酷であったとか安過ぎるということは私は出ないと思う。あの当時の封鎖預金前の日本の物価がどういう状況にあったか、また貨幣価値がどうであったかということは、もう論を待つまでもないと思うのです。一体あの農地改革によって買い上げになった地価というものは、不当に安過ぎたとお考えであるかどうかという点を最初にお尋ねしておきます。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、安過ぎたとか高過ぎたということを言っておるのじゃございませんで、今申しましたのは、旧地主感情としてそういう問題がある。そういうようなことから旧地主がいろいろな運動を起こしておるということは現実の事実であるということを申したのでございます。従って、その要求の内容が正しいか正しくないかということは別問題としましても、現にそういう要望があって、一つ政治問題になっておる以上は、政治的な配慮をすることもやはり正しいことであるし、その配慮としてほかの問題には触れない。一般に困った各層に対して、引揚者なら引揚者にはこういう道を開くとか、いろいろやってきておるわけで、この際旧地主に対しても金融の道を開くという措置くらいは妥当じゃなかろうかという私の感じを述べたまでであります。
  17. 武藤山治

    武藤分科員 旧地主がそういう感情を持っておるから、何らかの融資考えなければならぬ、そういう感情で国がそういう措置考えるというような政治は、私は正しくないと思います。そのことはいずれとしても、今大臣答弁の中で、当時一反歩七百円や八百円の安い価格買収されて、しかも二十年償還証券を持っておる地主がおる。それが今の貨幣価値が非常に変わったときに、証券を持っておる人に対して気の毒だ、こういうような意味見解を述べられましたが、現在その証券を持っておる地主は一体おるのですか。あの当時の全国の統計を調べてみると、ほとんど現金を出して買っておる。もし支払いが遅延しても、二年、三年くらいの間にほとんど完済しておる。それを大臣はあえて証券を今日持っておる地主がおると申しますが、その二十年償還証券を持っておる地主の数はどのくらいおるのですか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうこれは持っておる人はほとんどなくなっておると私は思います。しかし、それをまだ持っておる当時から地価は変わってしまって、大きいインフレーションを起こしてきました以上、そういう感情が当時からうっせきしておりましたために、現在に至るまでこれがいろいろな要望となって現われておるのでございまして、今まだ全部持っておるというような者はほとんどないんじゃないかと思います。
  19. 武藤山治

    武藤分科員 現在その証券を持っている人がほとんどないのに、その人に対する思いやりのような融資ということでは、先ほどの答弁とつじつまが合いませんね。もしそういう安い、長い証券で手放されたんだからかわいそうだという感情論処理しようとするんだったら、私は大臣に、きょうじゅうにここにあの農地改革以後の証券で受け取った地主の数、金額、それが年々手放されていった経過、それを具体的に出してもらいたい。感情論で二十億の金の問題を論議しちゃいかぬです。そういう証拠の上に立って、やはり慎重な対策というものを立てなければならぬと思うのです。そういう点は出していただけますか。その点いかがですか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきから言いましたように、これをかわいそうだとかなんとかじゃなくて、そういうのが旧地主感情として従来うっせきしておったという事実を言っているわけでございまして、これがいい悪いという価値判断の問題じゃなくて、現にそういう問題から運動が起こっており、内閣においても一応その問題を取り上げて調査会というものを作るということになっておるわけでございますから、私ども調査会結論とか、そういう処置がよかったとか悪かったとか、そういうようなものとは別個に、いずれにしろここで融資の道を開くぐらいの政治的配慮をしたい、こう考えたということを申しているわけでございます。   〔「戦前の郵便貯金を返してやってくれ」と呼ぶ者あり〕
  21. 武藤山治

    武藤分科員 そうなった場合、いま井出先生も言われたように、戦争中の郵便貯金なり、あるいは国に協力して、ああ、あれは協力しない方がよかった。小作人だってそうですよ。明治時代から高い小作料で搾取されて、これはもう高いときには六割も地主に搾取されておったですよ。戦争に協力して、自分は小米、割れ米を食って大いに国策に協力したわけですよ。今考えてみれば、ずいぶんばかなことだ、損をした、そういう感情を持っています、みな。そういう感情に立って組織が作られ、団結をして政府に押しかければ政治的考慮をするというようなことになったら、大へんなことになると思うのです。収拾つかぬですよ、それは。地主だけは各地方における勢力を持っており、選挙のときに役に立つからというような政治的配慮でもされて二十億円をぽんと出そうというような考え方というものは、僕は正しい政治のあり方じゃないと思うのです。政治の姿勢が曲がっているような気がするのですが、あなた、曲がっておりませんか。こういうやり方で正しい政治だと思いますか。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 その政治的配慮の問題ですが、政治的配慮が正しくない方向へ向いたり、どう考えても妥当でないという措置政治的配慮でとったとすれば、それは問題だと思います。また、私どももそう不当な配慮をするつもりはございません。今回の場合は、要するに生業資金金融の道を開いてやろうという、純金融ベースでこの問題に対処しようという措置でございますので、私は政治的配慮としてもそう不当な方向へ行っているものではないのじゃないかと思います。
  23. 武藤山治

    武藤分科員 それでは、それは理論的な問題は並行線になると思いますから、それの貸し付けようとする内容性格一切、金利期限方法、そういうようなものを、わかっている範囲内で具体的に御説明願いたいと思います。
  24. 大月高

    大月政府委員 お答え申し上げます。旧地主の被買収者に対する国民金融公庫からの金融条件につきましては、まず考え方といたしましては、現在の国民金融公庫法で定められております融資条件、つまり一般金融機関から借り入れをするのにむずかしいという人に対しまして生業資金を貸すという条件にいたしたいと思っております。具体的に、期限につきましても、現在一般ベースが三年を原則といたしまして、五年まで貸せるということでございますので、この融資につきましても同じ原則によりたい。それから金額につきましても、現在個人は百万円まで、法人は二百万円までということになっておりますので、それも一般原則によりたい。金利につきましては、こういう特殊な事情がございますので、まだ最終的にはきまっておりませんが、大体六分五厘程度にしたらどうかというように考えております。
  25. 武藤山治

    武藤分科員 今の銀行局の説明は、国民金融公庫業務方法書の第一前提は、個人の場合は二十万円以内、法人の場合は五十万円以内、別表に掲げる事業であって国民経済維持発展に必要なもの、この場合には百万円、法人は二百万円、こうなっていますな。あなたはそのあとの分だけを言って、前の方の個人に対する二十万という限度を言わずに百万円の方を言ったのは、何か国民経済維持発展に特に旧地主の方は関連が深いのですか。そういう関係で今の答弁をしたのですか。
  26. 大月高

    大月政府委員 ただいまお話がございましたように、一般原則によりたいわけでございまして、業種によってそれぞれ限度がきまっておりますから、最高百万円及び二百万円でございまして、業種によっては二十万円あるいは五十万円という数字もあるわけでございます。必ずしも旧地主であるから特例を設けるというわけではございませんので、その業種は、これから金を借りまして仕事をしようとする業種による分類でありますから、それは一般原則によりたいということでございます。
  27. 武藤山治

    武藤分科員 さらに金利の点で、一般原則は普通貸付は年九分、それを地主貸付だけは六分五厘という、そういう優遇措置をする理由はどういう点ですか。
  28. 大月高

    大月政府委員 先ほど大臣からお答えがございましたような、政治理由からでございます。
  29. 武藤山治

    武藤分科員 大臣は先ほど普通貸付は九分で地主貸付だけは六分五厘だという問題について、何も答弁しておらぬのです。ただ、こういう融資制度を作ったのは政治的配慮だという答弁をしているだけなんです。こういう優遇措置をする理由はどういう根拠があるのですか。何か積極的なそういう理由がなくて、地主補償だけ安い金利で貸すという、その理由一つ聞かせてもらいたい。二十億のワクを設定するだけでも優遇なんですから、さらに利息の点で優遇するという理由は私はないと思う。どういう理由ですか。
  30. 大月高

    大月政府委員 現在国民金融公庫一般金利は九分ということになっておりますが、たとえば災害の場合には三年間六分五厘まで免除ができる。それから災害防除の関係におきましても六分五厘という金利を適用いたしております。そういうような特別な理由があります場合には六分五厘という金利がございますので、そういう金利に準じて六分五厘ということを考えておるわけでございます。
  31. 武藤山治

    武藤分科員 私はおかしいと思うのですね、どうも。もう農地改革が行なわれてすでに十三、四年もたつのに、今それを災害とか引揚者並みの特別な金利にするという積極的な理由があるのですか。十四年間も期限が経過している今日、これをほんとうに生活困窮者並み、引揚者並みに利息をしなければならない、そういう理由があるなら、もっと早く国民金融公庫を通じて一般貸付で貸したらいいじゃないですか。おそらくもう旧地主事業をやりたいと思う人は、十年春十三年も前に借り入れをやってどんどんやっていますよ。また日本ではやれる条件があるのですよ。今まで金融でそういう方法は幾らでも、信用保証協会の保証をつないでも、どういう方法をとったってやれるはずなんで、それを今どきになってこういう災害並み、引揚者並みの金利にしなければならぬという積極的理由はないんじゃないですか。  もう委員長から時間も非常に迫っておるということですから、次の問題がまだ幾つかありますので、そういう問題については大蔵委員会においてもっと徹底的に究明をしたいと思います。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 今銀行局長から金利の問題を述べましたが、それからもう一つは農林金融との均衡問題も考慮されております。御承知のように、今度近代化資金でも個人は六分五厘までです。これは国と地方が利子補給をするわけですが、そういうものとの均衡とかいろいろ考えて六分五厘ぐらいが至当だろうという結論になったわけでございます。
  33. 武藤山治

    武藤分科員 いろいろ考えて六分五厘が至当だという根拠がおかしいのですよ。普通の業者が、とうふ屋さんにしたって子供商いのあめ屋のおばさんにしたって、未亡人にしたって、普通の国民金融公庫から十万なり十五万なり借りるときにはみな年九分とられておるのですよ。ボーダー・ラインかすかすの零細業者だってみなそれで使っておるのです。旧地主だけが六分五厘にしなければならぬという積極的な理由が今どきあるのかということなんです。もし大臣のお考えのように、被害を受けた、犠牲を受けたというのだったら、十五年も昔の話なんですから、それを今になって相変わらず戦災者並み、引揚者並み、そういう考慮をする必要があるのかということです。あなたの答弁ではどうも納得いかぬです。積極的な根拠が薄弱ですね。そう思いませんか。もう一ぺんはっきり一つ答弁してもらおう。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきから申しましたように、そういうような一つ配慮で行なった措置でございますので、金利も旧地主でありますから農林金融の現在の実情から見まして六分五厘くらいが至当ではないか。いろいろこれには問題がございまして、要望としましてはもっと安い金利ということを農村である限りは望むと思いますが、やはり六分五厘くらいが至当だろうというふうに私ども考えております。
  35. 武藤山治

    武藤分科員 大臣のただいまの答弁では全く不満でございますから、それらの問題については後日大蔵委員会で徹底的にお尋ねいたします。  ただ一つ考えられることは、全国の地主連盟が二十九年の十二月に下條康麿を会長にして誕生し、これがかなり金銭の問題で世間からとかくの指弾を受けて、参議院選挙もやって、その後会長がかわって、三十三年三月に田中万逸さんが会長になって、歴代自民党の、大臣に実力者として入るほどの人ではないにしても、自民党内でかなりの発言力のある人がこの連盟の会長になって戦ってきておる。しかも、その間にかなり地主から金を徴収して運動資金を取り上げておる。これが、いよいよ参議院選挙がもう目の前に近づいてきた。ここで何か選挙対策をやっておかぬと、政治的な配慮をしておかぬと、どうもうまくないという考慮から——あなたの言う政治的考慮というのは、結局参議院選挙に対する政治的な考慮なんですね。こう解釈されても弁解の余地がなかろうと私は思うのですが、その点、大臣いかがですか。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どもは別に参議院選挙対策として考えたわけではございません。これはもう今始まったことではございませんで、長い間の問題でございます。ただ何らの配慮もしなくて置く場合には、この運動はますますいろんな方面へ行くという可能性も見られますので、ほかの問題とは一切離れて、純金融ベース考慮ぐらいがこの辺で至当ではないかという判断に基づいたものであります。
  37. 武藤山治

    武藤分科員 あなたのそういう逃げ口上では国民は納得いたしません。池田首相も去年の十月二十五日にすでに、調査会結論が出るまで態度はきめないということをはっきり国会において答弁をしておるのですよ。そういうやさきに、まだ結論も出ないのに、金融の方は補償じゃないから出してもよかろう、こういうことで、国費を使って調査をしておる調査会結論も出ないのに大蔵大臣がそういうことをやるということは、私は少し越権だと思うのですね。これは一つ撤回をしてもらいたい。私はそう思う。その次の問題に少し触れて、大臣見解を聞いておきたいのです。あなたは自民党の所属の大臣でございますから、自民党の正式な決定というものに対してはどういう態度をおとりになりますか。その点を一つお尋ねをしておきます。
  38. 水田三喜男

    水田国務大臣 自民党が決定しましても、これは自民党の政府でありましても、政府政府としての行政のいろいろな基準、方向、従来のものをはっきり持っておりますので、決議があったからといって、そのまま政府としてこれをどうこうするというわけにも参らないと思います。
  39. 武藤山治

    武藤分科員 そういう点は、あなたは農林大臣より少し良心的なようです。農林大臣はこの間農林委員会で東海林代議士の質問に対して、私は自民党が決定をすればそれに従う、そういう答弁をしておるので、一つ金を扱う方の大蔵大臣の確固たるこれからの信念を堅持してもらいたいと思うのです。  そういう前提に立って、次の質問をしてみたいと思うのです。一月二十六日に自民党の農地問題調査会では旧地主補償試案というものを作りました。これは御承知ですね。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 私その点あまりよく知りません。
  41. 武藤山治

    武藤分科員 自民党でそういう案を作ったということをまだ知らぬというのでありますが、この案によりますと、今国会中に提出をしたいということをほのめかしながら、しかも旧地主に対して一反歩十五万円程度の国債を交付する、そういう案を骨子にして作られております。二百万円以下売り渡した地主に対しては百分の百、二百万円から五百万円の者には百分の三十、五百万円をこえる者には百分の十、三千万円以上の価額に達する者は自分の二という比率によって国債を交付するという具体的な案を自民党は発表いたしました。こういう案に対して、地主補償ということをすることが今日の政治的な、あなたの先ほどの言葉の、配慮に立って考えた場合に、妥当ですか。どうでしょう。
  42. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう案はまだ政府側では一ぺんも見たことがございませんし、また政府部内でもそういう問題中心の協議をしたこともございません。まだ全然問題にはなっておりません。
  43. 武藤山治

    武藤分科員 政府部内で問題になっておらないという点は私も率直に了解しますが、自民党でそういう案ができておることについて、あなたは自民党出身の国会議員であり、さらに大臣でございますから、政府見解と自民党の見解がもし対立をした場合、最後までこういうことは政治的配慮に値しない、地主補償金を出すということはけしからぬという態度をとれるかどうか。そういう点いかがですか。あなたの決意のほどを聞かしてもらいたい。
  44. 水田三喜男

    水田国務大臣 おそらくまだ党の中におきましてもこういう問題が党議としてきまっておるわけではございませんでしょうし、そういう問題が出てさましたら当然政府側との連絡もなければやれないことだと思いますし、そういう問題が出てきたら私どもは私ども立場で十分これは検討をしたいと思います。まだ全然党のそういう方針も聞いておりませんし、今から意見を言うのは少し早いのじゃないかと思います。
  45. 武藤山治

    武藤分科員 どうもたよりない大臣の決意で、あまり信頼をするわけにいきませんが、政府政府としてやはり政治の姿勢を正して、公平な政治実現するような国の政治をしなければならぬと思う。特に大蔵省の場合はそのふところを預かっておるのでありますから、あなたの方の腹がまえいかんによってこういう問題の処理というものも大へん形が変わると思うのです。最高裁ですでに農地開放は違憲でない、価格は正当であるときまっておるのですから、いやしくも補償という性格のものに対しては断固一つはねのけてもらいたい。そういう強い要望をいたしておきますから、今後国会内外におけるあなたの態度を十分注視をしながら、この問題の質問を一応終わっておきたいと思います。詳細は大蔵委員会において十分討議をいたしたいと思います。  第二に、こまかい問題でございますが、今自治省を中心に地方財務会計制度調査会というものができております。この調査会が小委員会において答申をされた内容に、信用金庫は地方自治体の本金庫になれないような答申がなされております。普通銀行に限るというようなことになっておりますが、そういう委員会の動きに対して、大臣今まで何か話を承ったことがございますか。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 すでに信用金庫は二十何町村九市ですかで現在指定を受けておるというのが実情でございますし、また、最近の信用金庫の金融機関としてのあり方等から見まして、これを除外するのは適当な措置でないというのが、大蔵省側の考え方で、これは銀行局長の方からその旨は自治省の方にも伝えてあるという話を聞いておりますが、詳しいことは銀行局長からお答えいたさせます。
  47. 武藤山治

    武藤分科員 そこで銀行局長にお答えをいただきますが、信用金庫が本金庫をしておるという場合を考えてみますと、非常にへんぴな山の中の町村あるいは農村地帯で、普通銀行が全くないという村がかなりまだあるわけです。私どもの郷里におきましても、全く普通銀行のない町村というのがございます。そういうところは信用金庫を本金庫として一切取り扱いをいたしておって何ら今までに間違いなどを犯したことはない。信用金庫も今日ではかなり内容が充実しており、普通銀行に劣らないような、経理面をきちっといたしておる信用金庫もかなりあるわけでございますから、この調査会で答申をされるような趣旨は、そういう地方の実情を全く無視しておるといううらみがありますから、そういう点について銀行局としても十分一つ自治省の方に申し入れをしていただき、金庫は必ず信用金庫も指定されるように現状の法的規定を守っていただくようにがんばっていただきたい。同時に、それの見通しあるいは確約、そういうものがしてあるかどうか、その点も一つお聞かせ願いたいと思います。
  48. 大月高

    大月政府委員 ただいまの問題につきましては、お話がございましたように、信用金庫の現在の社会的地位というものは、普通銀行、相互銀行等と並びまして何ら遜色がないものだというのがわれわれの見解でございます。そういう意味で、現在本金庫に指定し得る制度を改正いたしましてこれを除外することはまことに適当でない、特に今お話がございましたような地方の不便な地域におきましては、この信用金庫を除外することが、地元の方にもいろいろ不便を与えるということもあるわけであります。そういう意味で、先般来この小委員会の結論として信用金庫を除外するという話がございましたので、文書をもって自治省に反対の旨を申し入れてございます。現在の信用金庫を除外しようとする案は、まだ小委員会の段階でございまして、これから本委員会がございますが、自治省当局におきましても、現在の小委員会の案は必ずしも適当でないというような見解も持っておられるようでございます。もちろん本委員会でどういうようにきまるかわかりませんけれども、われわれといたしましては、制度の趣旨からいたしまして、これを除外することは適当でないという強い意見を持っておりますので、そういう委員会等におきましても、意見を求められますれば、それを明確にするつもりでございます。
  49. 武藤山治

    武藤分科員 委員会にかかってからあなたの方で意見を述べる程度では、もうきまってしまったのだからということで、除外される危険がかなりまだ濃厚だと思うのです。今あなたの発言の中で、ちらっと何か法改正をして信用金庫も指定できるようにという意味のことがありましたが、そういうことをしなくても、地方自治法施行令の百六十六条第一項によって、信用金庫はそういう取り扱いができる権限があるわけです。だから現状の法規定で十分取り扱いができるわけなんでありますから、これを普通銀行のみに取り扱わせるということは法にも反するし、あるいは信用金庫の育成強化というような、中小零細企業向けの金融機関を充実してやるという面から見ても、これを取りはずすことは全く不穏当でありますから、これは事前に大臣同志の話し合いなども早いうちにつけたり、あるいは局長クラスの会談を至急持って、答申などは絶対出ないような、十分水の漏れないような対策を立てていただいて、今後善処していただきたい。そういうお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  50. 大月高

    大月政府委員 現在の制度におきましては信用金庫が包含されておるわけでございまして、小委員会の答申案によりますと、現在包含されております信用金庫を除外しようという積極的な意向でございます。そういう意味で法制上の改正を要する問題でございまして、われわれといたしましても、十分この問題についてははっきりした態度で善処いたしたいと思います。
  51. 武藤山治

    武藤分科員 約束の時間が経過いたしましたので、簡単にいま一つだけ大臣に聞いておきたいと思います。  大蔵大臣は、昨年経済の調整期に入ったにもかかわらず、低金利政策維持する、こういうことを言明をなさってきました。しかし、今日の国際収支の危機、あるいは今日の各階層間の格差の拡大、中小企業と大企業の格差あるいは都市と農村の格差、あらゆる面に格差が拡大されておる傾向、第三には、今日の生産設備過剰が必ず生産過剰を内在して顕在化される傾向、日本の資本主義経済が非常に困難な局面に立っておるということは、大臣よく御承知通りです。ところが最近、大蔵大臣もお困りのようでございますが、含み貸し出しなども非常に多い、一月末の残高を見ると、大体二千二百億円くらいの含み貸し出しがある。政府が真剣に経済調整をやろうといたしましても、どうも金融機関の裏口から含み貸し出しがどんどんふえておる、こういうことでは効果が半減してしまうと思うのです。そこで、こういうものに対してもっと金融正常化的な方向で、ノーマルな金融状態に近づけるような金融効果、そういうものを考えなければならぬ段階じゃなかろうかと私は思うのであります。昨年日銀総裁に参考人として大蔵委員会に出席を求めた際に、日銀総裁も、預金金利の引き上げ問題については、長期的な景気調整を必要とするような場合には、預金金利は当然上げなければならないという意味答弁をいたしておるのであります。そうすると、短期か、長期かというのはなかなか論争の中心になろうかと思いますが、少なくとも今日の景気調整というものは、かなり長期化するという観点に私どもは立っておるわけであります。しかも、物価は非常に大幅な騰貴をいたしておる、こういう条件のもとでは、預金者保護の立場から、さらに内需を抑制するという立場から、預金金利を私は思い切ってこの際上げるべきだと思うのであります。そういう態度をとって、金融の正常化という形でもっとオーソドックスな経済的な動き、流れというものを考えなければならない事態にきておるのではなかろうか、かように考えるのでありますが、預金金利の引き上げについて、現時点で大臣はどういうお考えでいらっしゃいますか、そこらを一つお聞かせ願いたいと思います。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 金融引き締めの政策はある程度長期にわたらざるを得ないのではないかと私も考えております。それと同時に、金融の正常化への努力はしなければなりませんし、資本の蓄積の問題、株式、自己資本充実の問題を中心として、いろいろなことを今私ども考えております。また、金融機関のあり方につきましても、長期資金供給の銀行と、小企業銀行、短期資金の銀行のあり方というような、いろいろな調整問題もこれからわれわれは考えたいと思っております。そういう一連の金融正常化への措置はこれから考えるつもりでございますが、その間、金利の問題について今いろいろ要望もあり、いわれておりますが、これは簡単な問題ではございませんで、基本的には、日本金利水準を下げて、国際水準にさや寄せするということは必要でございますので、長い間かかってできなかった水準を一段下げるという仕事をちょうどやりましたときに、こういう調整にぶつかりましたので、問題が起こっておるのであります。しかし、そうかといって、ここで金利をすぐに上げるということの影響もまたいろいろございます。上げる以上は、やはり体系をくずさないで、長期資金から全部の金利の均衡をとった上げ方をしなければならぬということにもなるので、これはなかなか簡単ではございません。今銀行が特に預金をほしいという問題で、銀行側の要望がございましても、こういう引き締めのときでございますから、営業性の貯蓄、貯金というものが減ってくるのは当然でございまして、金利を上げることによってこの問題が解決するかどうかは、私は非常に問題だと思っています。従って、貯蓄増強策というものは、金利水準を一段上げるというような仕事によらなくて、そのほかの形で、たとえば税制の優遇の問題とか、国民全体に対して、これから相当広範な国民運動的な貯蓄増強運動を私どもはするつもりで今準備しておりますが、そういういろいろな形で貯蓄の増強策というものは別個にとる、そうしてもう少し推移を見ることがいいのではないかと思っております。EECやあるいはアメリカの動向そのほかを見ましても、将来日本が関税を上げることによって国内産業を保護するという政策限度というものは、もう国際経済的に見えておるときでございまして、関税引き上げによって貿易の自由化をはかって、国内産業の体質を改善して競争力をつけなければならぬという大筋の方向というものが、日本経済に今迫っておる現状から見ましたら、私はここで一ぺん下げた金利水準を、水準として体系的に上げるということをやったあと日本経済というものを考えると、これはなかなか問題であって、一ぺん上げたものは下げることはできないのは二十何年の経験でもわかりますから、いろいろ非難があるようですが、私自身といたしましては、ほかの形で貯蓄増強、自己資本充実へのいろいろな促進というような策をとっても、金利の問題だけは、そう軽々しくやらないことの方がいいのじゃないかという考えで、今のところは上げるという考えは持っておりません。
  53. 武藤山治

    武藤分科員 金利を下げるということがいろいろな影響があることは、私も承知しております。ただし、この前大蔵大臣は、金利をここで上げるということは、証券に対して影響が大きいというような意味のことを、大蔵委員会で述べておったのです。私は、証券に対してそれほど影響がなければ、もう預金金利を上げてもいいんだという大蔵大臣見解に変わっておるように思って、実は質問をしてみたわけです。全然そういう拠金金利を上げずに、税制面と国民運動で貯蓄を増強しようとおっしゃっておりますが、今の実際の物価の変動を見ておりますと、昨年十二月と前年と比較すると、一〇・二%も物価は高くなっておる。預金は相変わらず同じ金利だ。預金者は、冷静に考えてみたら、ずいぶんばかを見ている計算になるわけです。そういう公平化という立場から見ても——銀行は相変わらず膨大な利潤を得ておる、こういう不公平ができるだけなくなるようにしなければいかぬし、さらに国際収支の改善の一番大きなねらいが内需の抑制だと、政府はたまたま言っておる。内需を押えるというためにも、やはり金利を上げて、そこで借り入れをある程度押えていく、そういうオーソドックスな経済政策にここらで転換しないと、大臣の見通しがまた間違うのではないか。政府の見通しは、去年初めに、二億ドル国際収支において黒字になると言っておいて、三月には郵便貯金の預金利子を一厘下げてみた。公定歩合なども、国際収支がだいぶ悪くなってから、あわてて公定歩合の引き上げをやっておるというように、結果を追いかけているのですね。それではいつになっても、政府の約束するような所得倍増なんということは、この摩擦とゆがみでほんとうに幻想になってしまう、こう考えるのです。ですから、ここらで、相当の困難と障害が出てきても、今当面われわれが一番大きな課題にしておるものは何かということをつかんだら、国際収支の改善あるいは物価の安定という、この二つを政府が解決しようとするならば、私はやはり貯蓄増強ということを、もっと具体的な、預金利子の引き下げということでこれに呼応すべきだ、こう思うのです。貸出金利の方は上げないでもやっていける状態が、この一年くらいは、各銀行の純利益を見た場合に、私は可能だと思う。この辺で、まず預金金利だけ上げてやる程度の大転換をしないと、大蔵大臣の見通しや経済政策というものは、財政面では成功しても、この金融の面で総くずれにくずれる、私はそういう心配を持つから言っておるのであります。全然検討に値しないという答弁になりますか、それとも、金利引き上げの問題についても検討して、何とか考えなければならぬ情勢だとお考えですか、そこらのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 水田三喜男

    水田国務大臣 検討に値しないという問題ではございません。これは常に十分検討しなければならぬ問題で、現に検証はしておりますが、その結論として私ども考えを述べたまででございます。その金利の操作によることは割合に安易な道で、簡単でございますが、しかし、さっきおっしゃられましたように、貯蓄を増進させるというのは、根本的には価幣価値を安定させるということが土台でなければなりませんので、従って、物価対策そのほか困難な問題と取り組むことの方がより基本的だと考えますので、私どもは、そういう問題に力を入れることによってこの貯蓄の増強をはかるということが、やはり政府としてやるべき基本的な方向だろうと考えております。日本は資本蓄積がおくれております関係で、従来資本の蓄積を、預金金利を上げてやるという、金利でつってきたという傾向が多分にございますし、そのためにこそ、結局金利水準が国際的に割高になっておるということでもございますので、そういう点から、私ども金利水準を下げるという仕事を現にやったときにおいて、こういう状態だからといって、ここでまた資本蓄積の刺激方法として、安易に頭金金利を上げるという方向をとるべきかどうかということについては、やはりいろいろ大きい問題がございますので、そういう点を勘案考慮した結果、これはもう少し推移を見るべきであるというのが、ただいまのところの私ども結論でございます。
  55. 武藤山治

    武藤分科員 日本のノーマルな経済の運営という点から見た場合に、やはり何といっても金融正常化ということが大きな問題になるわけですが、その金融、正常化を阻害しておる要因がいろいろある。それは、政府がちぐはぐな政策や声明をしたり、総理の恣意によって動かされたりしておるところにも、私は歯車が回転しない大きな障害があると思うのですが、そういうためにやはり弾力的な金利政策が行なわれない状態が作られておる。そういうものを取り除かなければならぬという努力を政府が積極的にもっとやるべきだ。特に金融引き締めが二年間も続くであろうという予想になりました場合には、低金利政策だ、低金利政策だという宣伝が企業家にどういう姿勢を与えるかということは非常に重大であります。実際は低金利政策が行なわれていないにもかかわらず、低金利政策だということをあおれば、どの企業家だってどんどん設備をして、お互い自分の企業は負けまいとして争いますから、なかなか政府の意図するような景気調整が効果を現わさない。もうすでに中だるみだといって、大蔵省もあわてて今含み貸し出しなどの調査をやったり規制をいたし始めておりますが、こういう企業家心理を動かす大きな政治の姿勢というものが、やはり私は問題にならなければならぬと思うのであります。そういう点であまり低金利政策、低金利政策ということを言うことが、一体景気調整の上から好ましいのかどうか、こういう点も十分大臣として私は反省しなければならぬと思うのであります。  それはそれといたしまして、時間の関係で最後に一つ中小企業金融の問題について政府要望をいたしておきたいと思います。  再三政府は、金融引き締めをやっても中小企業にはそう引き締めの痛手を受けないような配慮をする、政府金融機関を通じてかなり流しておるから心配ない、こういうことを言われておりますが、昨年の中小企業の貸出金額の比率を検討してみますと、その推移がどうも非常に危険な方向に動いております。すでに銀行局ではその数字を把握しておると思いますが、三十六年の四月から六月までの中小企業の設備資金の動向、さらに回転資金の動向を調べてみますと、設備資金は、四月から六月は四〇・五%を占めておった。それが七月−九月は三九・四%、十月は三九%、十一月は二八・六%に落ちておるようであります。回転資金もややこれに同じような比率で下がりつつあります。おそらくそれを言うと銀行局は、いや昭和三十二年、三年ころは一〇何%まで中小企業の率は落ちたのだから、それから見ればいいだろう、こうお答えになるかもしれませんが、あの当時の状況は、御承知のように、中小企業の五軒や六軒倒産しても心配ないのだというような考え方の経済でありますから、あの当時のことと今を比較することは、私はこういう点においては比較にならぬと思いますが、この傾向は、やはり金融引き締めの効果がどんどん現われてくると、中小企業に貸し出す率が減っていくという傾向を端的に現わしておると思うのです。こういう点について、今後中小企業に対する金融引き締めが、中小企業を倒産や破産の方向に追い込まないように、十分な措置をしないと、幾ら中小企業金融は心配ありませんと言葉で言っても、数字の上でこの一年間にこんなにも落ちてきているのです。この辺は銀行局としても政府としても検討に値しますから、十分なる配慮をすべきだと私は思いますが、大臣どう考えますか。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 総貸し出しに占める中小企業向け貸し出しの割合の推移は、私どもの統計では、昭和三十五年は四一%台をずっと維持して、三十六年も九月までは同じでございますが、引き締めをやった後において四二%台にいって、十二月は四二・五九%。今までの中小企業の貸出比率では、むしろ十二月が最高の数字になっておりますので、これが落ちているということは全然ないと思います。これは全部の金融機関の問題ですが、一般銀行の方は今三一%ぐらいのところで、引き締め以前の率はりっぱに維持して、中小企業への貸出率を落としていないという統計にはなっております。
  57. 武藤山治

    武藤分科員 私の調べた統計は、通産省の中小企業中心の調査によってのデータであります。さらに設備資金の動向について通産省から取り寄せた資料によっても、そういう答えが出ておるわけです。しかし、それは資料のとり方にいろいろ問題があると思いますから、そういう傾向がどちらが真実であるかは、もっと資料を手に入れて詳しく調べてみなければわかりませんが、とにかく中小企業に対する圧迫が加わっておることは、通産省でもかなり心配をいたしておるようでありますから、そういう点は十分今後御検討を願いたい、さような要望をいたしておきまして、大へん時間が超過いたしましたので、この辺で質問を一応終わりたいと思います。
  58. 西村直己

  59. 永井勝次郎

    ○永井分科員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、問題は輸入砂糖の超過利潤といいますか、価格差益金といいますか、そういうものの徴収を中心とする問題点について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  輸入砂糖の問題につきましては、予算委員会における総括査問において若干触れておきましたので、大臣お聞き及びの通りであると存じます。さらに予算分科会におきまして、この問題を河野農林大臣にお尋ねをいたしました。価格差益金は三十四年度に約五億、三十五年度に約十三億、両年度合わせまして十八億、これが価格差益金であるという査定に立ちまして、これを納入させるというのが今の問題であります。その受け入れば何か社団法人を作って運営をするということでありますが、これらの問題は法律的な根拠によらないで行政指導の範囲においてやるということでありますので、これらの問題が閣議でどのように論議され、どのようにきまりましたのか、その内容について伺いたいと思うわけであります。
  60. 水田三喜男

    水田国務大臣 私の記憶に間違いがあるかもしれませんが、事務当局を通じて、農林省の今考えておる行き方その他のことは承知しておりますが、まだ閣議ではこの問題は一ぺんも出ていないと思います。農林大臣からも私は直接この問題で聞いたことはまだございません。
  61. 永井勝次郎

    ○永井分科員 そういたしますと、まだ農林大臣の手元における構想の範囲であって、閣議決定には至っておらない、このように承知してよろしいのでございますか。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうでございます。
  63. 永井勝次郎

    ○永井分科員 大蔵大臣昭和三十五年十二月の予算委員会において、この超過利潤の問題について川俣委員の質問に答えて、三十四年は三十六億、三十五年は七十八億ある、こういう答弁をなすっておるのでありますが、これは今もその通り考えでありますか。それが変わったとすれば、その変わった経過について大蔵大臣からお答えを願いたい。
  64. 水田三喜男

    水田国務大臣 あの当時砂糖の超過利潤というものはどういうふうに見ているかということにつきまして、農林省からあの数字が農林省の見方として示されましたので、大蔵省としてはその数字を答弁したわけでございましたが、その後農林省——通産省も加わったのじゃないかと思いますが、大蔵省三者でもう一ぺんこの数字の検討をしたいということで、事務当局同士集まってこの検討をやりましたところが、実際は、あの数字ではなくて、大体三十六億程度の超過利潤であるということに数字が直ったというふうに聞いております。
  65. 永井勝次郎

    ○永井分科員 まあ二億や三億ないしは五億という数字の違いですと、これはいろいろな関係で、あり得ると思うのですが、百十四億——前にお話しになったのは両年度合わせて百十四億、あとの場合は三十六億、こういうふうに三分の一ぐらいに減っている。数字の動きは大へん大幅なわけでありますが、金額全体がいろいろな中で動くというものではなくて、もう総ワクはわかっておる。その中における利益がどれだけあるかというのでこんなに大きく動くということについて、大蔵大臣は何にも不思議にお考えにならないのですか、そういうとき不審をお感じにならないのかどうか。数字を扱っておられる大臣としては、いろいろな予算の査定やそれらの問題について相当数字に鋭い感覚を持っておられると思うのですが、百十何億のワクの中で、三分の一にも動くという、それも利益の領域においてそう動くということについて、何も不思議に感じないのでありますか。それらについて、どうしてそういうふうに変わったかということについて吟味なさいましたかどうか、伺いたいと思います。
  66. 水田三喜男

    水田国務大臣 当時その計算を大蔵省がしたわけではございませんし、農林省からといった数字をお答えしたのですが、その後検討しましたら、農林省の数字は全く狂っておって、たとえば金利とか、そういうような重要な要素の計算もしてないし、いろいろなところで当然計算に入れるべき要素がみんな違っておったというようなことで、計算し直しをやって訂正された数字だというふうに聞いております。最初の数字は、全くこれは農林省がそういうこまかい計算を何もしない数字だったというふうに聞いております。
  67. 永井勝次郎

    ○永井分科員 まあ大臣の主管でありませんから、大ざっぱにお聞きでしょうけれども、前回の試算においても、これは利子も利潤も計算してないのではありません。ちゃんと全部しているわけです。また、標準糖価というものをきめているわけですが、それが一キロ百二十一円六十七銭ときめているわけですが、これに加工賃も運賃も利子も利潤も、こういうものがすべて内容になっておるわけであります。でありますからここに書いてあるように、利子、利潤というものは、前は計算してないんじゃなくて、低く見ていた、通常な形で見ていた。それが二回目の試算をしましたら、利子が前回はトンについて二千二百六十七円を見ていたのが、新しくやり直して四千九百二円に見た、こういうふうに倍以上に高く見たところに大へんな違いが出てきた。それからそのほかの分にもずいぶん数字の動きがあるわけですが、いかにして生産費を高くして利益部分を少なくしようかという苦心の跡は十分わかるわけでありますけれども、その数字の信憑性というものについては私は非常に疑義を持つわけです。たとえば、この差益金が出た原因は、建値が八十九ドル幾ら、大体九十ドル建値でこれで標準糖価をきめているのですが、これが国際価格がずっと下がった。八十ドルに下がり七十ドル台に下がったというところから差益金が出てきた。原料の点で原価において下がってきた。さらにそれだけ原価が下がったにもかかわらず、国内価格は標準糖価よりも高く売っている。原料が下がった、原価が下がった、売り値が上がった、両方でこれは利益が出てきているわけですから、そういうところから見ても、もし利子を計算するならば、一トン当たり九十ドルの建値が七十ドル台になれば、それだけ資金量が少なくて済むわけですから、金利は減らさなければいけない、これはもう常識だと思うのですが、今大臣は、利子、利潤も前には見なかったんだがあとでは見たんだというようなこと、少し大ざっぱな答弁過ぎるのです。これはちゃんと計算している。つまり利子、利潤の点で前回より倍以上になっている。こういうところに私は数字の信憑性がないと思うのですが、大臣は、まだ閣議が決定しておらないとするならば、これはもうやはり単に農林大臣の問題だけでなくて内閣全体の行政指導の信頼性というか、それの清潔な方法というか、政治の姿勢と申しますか、そういうような点でもう少しぴりっとしたものを出さなければならぬと思うのです。そのためには、閣議にいずれこれはかかると思うのですが、そういうときに再吟味されるお考えはありますか。
  68. 水田三喜男

    水田国務大臣 私の方の立場はもっぱら税金についてでございまして、超過利潤が幾らあろうと何しようと、精糖業者の利益全体に対して税金をかけますので、全体の利益は私の方で十分把握しております。しかし、その中で超過利潤が幾らであるか、それを農林行政上いろいろそこに特定の措置をするかしないかということは、これは農林省が行政官庁としていろいろ考えてしかるべきだろうという立場をとっておりますので、そしてその金が国へ入るべき金ということでございましたら、これは私どももこの計算については大蔵省立場としてのいろいろな検討の仕方があるのじゃないかと思いますが、一ぺん税を払った後のものを業界が寄付金として処理するという問題でございますので、この点はほとんど計算やそのほかは農林省にまかせて、農林省の計算によっている。それを前提としていろいろ相談にあずかっているというのが今までの立場でございますので、この計算についてはここに農林省も来ておられるそうですから詳しい説明はしてもらいたいと思いますが、大蔵省はそういう立場で、これを寄付金として扱うということですから、ほんとうの超過利潤がどのくらいであったかということは、大体今まで農林省の計算に従ってそれを土台に相談にあずかっている、こういうようないきさつに今まではなっております。
  69. 永井勝次郎

    ○永井分科員 総括質問のおりの論議の過程から見ましても、大蔵大臣御存じのように、最近は、国際価格は五十ドルを割るほど四十年来の暴落だといわれている。そして建値は九十ドル。そうしますと、もうそこに原価において——一キロの建値が大体記憶ですと四セント幾ら、三セント幾らですか、現在は二セント〇五というふうに暴落しているわけです。しかし、それだけ国際価格が、原価が下がっても、国内価格は下げないのだ、現在は標準糖価よりも高くなっているわけですが、農林大臣も下げないのだ、こういう答弁であったわけですから、そうしますと、輸入砂糖に対する超過利益、価格差益金というものは恒常的に毎年できてくると思う。恒常的なものだと思うのです。こういうものに対して野放しでただ寄付でとるのだというようなことでほったらかしておくということは、財政法の上から見ていかがでありましょうか。国会の議決を経ないで、どんぶり勘定で、話し合いで、そこで幾ら出せという話し合いをして、別な国の決議を通さない受け入れ場所を作ってそこで運用をするというようなことは、財政法の上から見ていかがでありますか。これが一点。  それから国内砂糖の関係については、臨時てん菜糖製造業者納付金法というのを法的根拠でちゃんと作って——これは単に一社だけですよ。一社だけを対象にして、一キロ六円ずつ毎年三億四千何口万というのを納付さしている。そうしてこちらの輸入糖の方は対象が一社だけじゃなくて普遍性がある。原料が下がって国内価格が上がる、価格差益金はここに恒常的にできてくる。それが一社だけじゃなくて普遍的にその業者の中にある。従って今度の納付金も溶糖の数量に応じてやっている。そしてこの納付金にいたしましても、割り当ては溶糖糖に比例して出せ、出さなかったら次の割当に手かげんするぞ、こういうふうなどうかつ的な方法でやっているわけですが、こういうことは、財政法の上から見て、あるいは政治の姿勢の妥当性といいますか——一つの部分についてはこれだけ法律できちっと一社だけ対象にしてやる、こっちの方は何十社というものが対象になるのを、恒常的にあるのをそれはほったらかしている。砂糖の分野だけで見ても、こういう不均衡なやり方というものは妥当であると考えるかどうか、これが第二点。  さらに特定物資輸入臨時措置法というのがありまして、これではバナナ、パインのカン詰、腕時計、スジコ、コンニャクイモ、こういう小さな部分についても価格差益金があればそれをとるぞ、こういう法律を作ってちゃんとやっておきながら、何十億という膨大な利益がある輸入糖の関係をほったらかしておる。これはどこから見てもわれわれの常識で考えられないような措置がなされておる。この不均衡なやり力、それから妥当性のないやり方、こういうことに対して大蔵大臣は税を担当する一つ立場から、そうして税というのは広益原則あるいは納付能力のあるところから取るという一つ原則から考えて、財政法上も疑義のあるこれらの問題を放置しておかれる考えかどうか。私は大蔵大臣としての立場、国務大臣としての立場一つこれらの問題を総合的に判断していただきたい。所見を伺いたいと思います。
  70. 水田三喜男

    水田国務大臣 バナナ等の問題は、輸入によって明らかにこれは輸入利益の出るものでございますから、そこを計算して、これだけの金を寄付するならこれだけ割り当てるという割当とからんだ寄付で輸入利益を吸収するという措置がとれるのですが、砂糖も同じようにやれるかと申しますと、これは国内糖の御承知のような問題と関連して簡単にやれないということから、このやり方は区別されておるわけでございます。問題はやはり割当制から出てくる問題でございますので、これが自由化したら問題はない。こういう超過利潤というものはなくなることになりますので、そうすれば問題は解決するのですが、国内産業との関係でこれがなかなかやれないというところに、砂糖問題が出てきておるのだろうと思います。その場合に、税の問題としては利益があれば利益に対して税を取るということですからこれは問題はございませんが、あとはそういう超過利得が出るのだから、これをどう農業政策に使うかということで、寄付金として処理するということでございましたら、私どもの税制とは一応無関係な問題になりますので、民間との話し合いでいろいろのことをされるのもやむを得ないと思います。問題は、そういう所得がない方が好ましいということでございまして、これは好ましいに違いありませんので、これをなくすることがいいと思います。なくするためにはどうするかと申しますと、結局輸入の割当の量いかんによってはこの問題に影響しますし、もう一つは時期の問題で、時期的な調整、量の調整ということが適正に行なわれれば、ある程度この超過利潤というものはなくすることができますので、農林省の考え方によりますと、そういう配慮によって三十六年度は超過利得というものはあまりないという見込みと聞いております。従って、この超過利得が恒常的に発生するということはないじゃないか。そうしますと過去の二年の問題がさしあたりの問題ということになろうと思いますが、恒常的にこれが必ず発生するということでしたら、これについての考え方をまたいろいろしなければならぬと思いますが、今まで私どもが聞いております農林省の説明によりますと、恒常的ではない、三十六年はほとんどそういうものは見込めないという現状だというふうに聞いております。
  71. 永井勝次郎

    ○永井分科員 大蔵大臣、こういう糖業の政策面の問題をお尋ねするのは無理かと思うのですが、今大蔵大臣の言ったように、砂糖は自由化されていない、外貨割当で、価格も標準糖価をきめて管理されているから——価格を管理する以上は、そういう管理価格の中における一つのおきてというものがあるはずです。ルールというものがある。これがそういう関係で、企業努力ではなしに、相場の動きや何かで不当に利益が多くなれば、それをチェックするようなそういう法的措置を講ずることは、これは普通のおきてだと思う。でありますから、そういう立場に立って、こういうビートについては、一社だけに対しても臨時のこういう法律を作る。特定物資については、コンニャクイモ、スジコとか、こういうものまでもこういうふうななにを取る。これは必ずこう取るというのでなくて、その価格差益金が出た場合には取るという方法なのです。だから、砂糖の場合には、これは閣議決定において行政措置で前に三十億を取っております。それから今のような政策で恒常的にあるのです。それから三十六年度がないとかなんとか、これはもう業者と話し合いして——どこでどうごまかすのか、これはごまかせば、出ないんだといえば、今のところ、それっきりの話であります。しかも価格関係からいえば、ここに膨大な不当利潤が出るはずです。それを裏口で、砂糖の方にやった、何にやった。そういうものは何も表面に出ないことですよ。そういう関係で、どんぶり勘定でものをするから、そこに疑獄なり汚職の温床というものが出てくる。わけのわからないところで何十億、百数十億というような金が動くというところに、私は疑獄、汚職の温床が胚胎すると思う。これは明らかにしなければならぬ。砂糖の行政の中で今までずっといろいろな問題があって、ある課長のごときは自殺などもしておるというような事態も過去にはあったし、いろいろな問題があるわけです。そういう問題を明らかにしなければ、私は常にそういう問題が疑いの目で見られると思うのです。ですから、ルールをはっきりしたらいい。管理価格なんです。超過利潤があった場合は、これはこういうふうにして取るんだと、法的裏づけによってやればよい。それから国内価格維持するのにどうといいますけれども、それならそのように表へちゃんと問題を出して、表でこれをやればよい。自由化しなければ一切の問題が解決できないというような、大蔵大臣のような考えはないと思う。自由化しなくたって、管理価格の中で、外貨割当の中で、コンニャク玉まで、こうやって特定物資についてはちゃんときちっとしておるのです。こういう法律を作れば、行儀がよくなる、姿勢がまっすぐになると思うのです。こういう問題を大蔵大臣と議論しても何ですが、ただ、大蔵大臣は、三十六年度のこんなに膨大な、われわれからいえば超過利潤が出ると思われる年に、そういうものはないんだと、もう頭からきめてかかっておる。そういうところが私はくさいと思うのです。もし私が犬のような嗅覚を持っているならば、ある大臣の足跡をかいだら、これは汚職の足跡だ、これは何の足跡だ、足跡のにおいでかぎ分けることができると思うのです。そういう犬のような鼻を私は持っていないので区別できないだけであって、これはいろいろな問題があると思います。  そこで、私は税の関係でお尋ねするわけですが、先日分科会で、この十八億という価格差益金をどこから出すのか、こう言いましたら、事務当局は、三十六年度以降三年間にわたってこれは出してもらうのだという。そうしたら、三十六年度から三等分しますと六億、その三十六年度の収益の中からその六億を出せば、それを損金に落とすのか、こういうふうに私は尋ねていったわけです。これは三十四年度の価格差益金、三十五年度の価格差益金であって、将来にわたる差益金ではないのですから、その年度にそれだけの差益金があったらその年度から出せ、こういう意味であると思うし河野農林大臣は、それは三十六年度以降の負担ではなく、三十四年、三十五年度の何で出す、こういう言明があったわけです。そこで、三十四年、三十五年一度の決算の中から出すといったところで、会社の決算はしているのですし、あるいは社内留保の積立金を取りくずしてこれを出すとするなら、そういう方法もありましょうが、大蔵大臣、担当の農林大臣は、三十六年度以降の利益からこれは出させないのだ、こういうことを、言明したのです。それならば、以前の中からこれをどういうふうにして出すのか、その場その場当たりの答弁をされたらわれわれは承服できないので、明確にどこからどういうふうにして出すのかということをはっきりと示していただきたい。その出す方は大体大蔵大臣の所管だろう、こう思うのです。
  72. 水田三喜男

    水田国務大臣 その問題はまだ私どもの方では結論がついておりませんが、この拠出金額の算定の方法とか、拠出の方法、拠出金とその使途との関連というようなものが現存まだ明確になっておりませんので、この段階で税法上の損金扱いが認められるかということは、判断が非常にむずかしい問題でございます。二十四年、五年の超過利得がたとえば三十六億円あったとしますと、もうその中で税として取られているものが約半分だろうと思います。そうすれば、十八億円税を引いたあとの所持があるわけですが、これを寄付するというようなことでありましたら、問題はまだ簡単であろうかと思いますが、将来の中からこれを三年に分割していって損金扱いにするというようなことは、税法上としてはこれは私は非常にむずかしいのではないかと思います。これは今申しましたように、もう少しいろいろな方法が明確にならぬと判定はできませんが、方向としては、私はそう簡単に扱えない問題だろうと思います。
  73. 永井勝次郎

    ○永井分科員 中西第二部長にお尋ねいたします。これは大臣が先日、三十六年度以降からは取るのではないということを言明されたのですから、あなたはその担当として、この金十八億をどこからどのような手品を使って、ハンカチを出して、ばっととれば出た、こういうような手品があるなら、一つそういう手を示していただきたい。
  74. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。せんだっての第三分科会で農林大臣がいろいろお話なさっておりましたが、事務的にはまだ大蔵省と十分煮詰まっていない点がございます。その点は私からもあらかじめそういう趣旨のことを御答弁申し上げたつもりでございます。  なお、過去の利益という場合に、先生のお話もございましたように、積立金等に入っておると言えるような会社もございましょうし、そうでない会社もございましょうし、将来の利益から出すようなところもあり得るのではないかとも思います。その辺、一種の寄付として扱うつもりでおりますので、いわば半強制的寄付というような建前での処理と思います。なお、税務の技術的な面その他については、大蔵省とよく相談いたしまして善処いたしたいと思っております。
  75. 永井勝次郎

    ○永井分科員 三十四年度に約五億、三十五年度に約十三億の価格差益金が現実にある、こういうことをはじき出したわけです。そのはじき出した根拠においては、今言ったように、利子、利潤は倍にもして、そうして削る方を削って、あらゆる恥も外聞もなく、これ以上差し引きできないだろうと思われるほどの厚顔無恥な計算の仕方をやってこういうふうに残ったわけです。これ以上引けないというやり方でこれは残してあるわけです。そういう厚顔無恥なやり方でやって、その金が三十六億、その半分が税金ですから、十八億だ。その十八億の金を寄付させるのだ、半強制的に出すのだというのだが、一体どこから出すのだということが明確にされないで取るのだと言ったって、私は、行政としても、それから指導としても、ずいぶんずさんなやり方ではないかと思う。これは溶糖の数量によって各社別に割り当てるのですから、それはどういうふうに出せと、一定の率、一定の方式でこれを求めるのでなければ、会社々々の会計経理の内容まで入って、お前のところはここから出せ、お前のところはこういうふうにして出せ、こういうふうに、各社個別審議でそういうことをおやりになるのですか、どうですか、一定の原則でおやりになるのですか、方式を伺いたいと思います。
  76. 中西一郎

    ○中西説明員 七十数社ございますが、その中で、中小企業の方では負担の問題があって若干の減免の要請がございます。その点は、本来の拠出の性格にかんがみまして、もしそういうことならば減免もあり得るのではないかというふうに、われわれも、あるいは業界も考えて参っております。そういう意味で一律には申し上げにくいのでございますけれども原則としましては、いわば一定のトン当たりの賦課金といった形での処理をするのが簡便であろうと思っております。
  77. 永井勝次郎

    ○永井分科員 国税庁の関係にお尋ねしますが、今三十四年、三士五年度で相当の利益がある、そうして約半分は税金ですから、そうすると、この税金を納めておる関係から逆算して、これを倍にしていけば、大体その年度の純益だ、こういうふうに出ると思うのです。私のところに若干の会社の決算の何があるわけですが、名古屋精糖は、昭和三十五年五月期の決算では、税金が三千二百万です。それから三十六年五月期の税金は、四千二百万です。それから台糖は、納税引当金が、三十五年は二億、三十六年が二億一千万、ここは引当金として相当見込んでおりますけれども、その、ほかは、明治製糖は、税金が三十五年は一億五千万、三十六年は一億四千万、この溶糖割当の数量を見ますとずいぶんふえているのですけれども、かえって税金は減っておる。収益が必ずしも税金に反映していない、こういうふうにわれわれはいろいろな決算から見て想像されるのですが、これは税金の把握の仕方をどういうふうに輸入糖関係は計算されておるか、一つお示しを願いたいと思います。
  78. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 お答え申し上げます。各社別の数字は、ちょっとここで申し上げるわけに参りませんので、資本金が一億円以上の十三社につきましてまとめた数字でお答え申し上げたいと思いますが、三十三年八月から三十四年七月までに決算期のきましたその時期の所得で五十六億ございます。これが、三十四年八月から三十五年七月までが八十一億、三十五年八月から三十六年七月までの間に決算期の参りました会社の申告所得が百五億ということになっておりまして、かなり申告所得では伸びている実情でございます。なお、国税庁といたしましては、これらの申告所得が正当に申告されているかどうかということにつきましては、各勘定科目につきましてこまかい調査をいたしまして、適正な所得をはじき出して、誤っている場合には更正決定をして正す、こういう措置をとっております。
  79. 永井勝次郎

    ○永井分科員 そこで、計算のやり方ですが、会社の申告はいろいろあるでしょう。それは納める側ですから、これだけありましたといって、まる裸で出すわけはない。それをいろいろされるのが国税庁のお仕事だと、こう思う。そこで、農林省が、ほおかぶりしようと思ったけれども、あたりがやかましくなってほおかぶりできなくなって、そうして価格差益金というようなものを三十四年、三十五年度から取ろう、それもまだ閣議にかかっていないというほど、事務的にもおくれておるわけです。世間体をはばかって価格差益金を取ろうということにしたように、いやいややっておるというふうに思われるわけですが、それにしましても、この計算によれば、われわれは、百二十二円という標準糖価に比べて、その標準糖価の中に含む国際価格九十ドルというものから——毎月どのくらい動いているかということが私のところに全部ありますが、毎月の差益が出る。とにかく一キロに一円違えば、百万トンでありますと十億違うのですから、こういうふうに大きな違いがある。ところが、国内価格は、百二十二円で売れば十分適正利潤があるにかかわらず、多いときは百三十二円とか、百三十五円とか、こういう価格で国内で売れております。ですから、一キロについて十円も高く売っているというような月もずっと続いているわけですね。それから百十八円というのも最初の月に若干あります。ですけれども、全体をならせば、標準糖価よりずっと平均して四円、五円くらい高い価格で売っているのじゃないか。ですから、その面からはじき出せば、それだけの超過利潤というものは、すぐ、百万トンで幾ら、そうすると、五円なら百万トンで五十億違う、こういうようなことは、めくら算用でも出る。それから原価の方においては、九十ドル建値に対して八十ドルなら、一トンについて十ドル違うのですから、砂糖の場合ドル換算は百六十一円ですか、百六十一円を換算していけば、どれだけの差益がある、こういうものが的確に出る。そうして若干のいろいろな経費その他を見積もりましても、この年度においてはどれだけのなにがあるか、総計して百五億やなんかの違いではございません。ここだって前回の計算で三十六億、七十八億というものが出ているわけです。しかし、これはやはり適正な百二十二円という基準で計算したからそういうものが出たのでしょう。今度は会社の利子、利潤というものを倍以上にふやしておりますから、そうすると、ここには価格差益金としては出てこないけれども価格差益金は十八億というように低くなりましたけれども、会社の利益というものは、普通の状態の計算よりはそれだけ倍以上にふえておるということは、この計算からわかると思います。そういう関係をどのように国税庁が正しくそれは把握して計算しているかという一つの基準になりますから、三十四年度は一体国際価格を幾らに抑えているのか、それから三十五年度は幾らに押えて計算されたのか、国内価格はどういうふうに見たのか、こういうことを、計算の基礎を、これは各社別でないから、秘匿すべき事項じゃないと思う、はっきり示してもらいたい。
  80. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 国税局で調査いたします場合には、標準糖価が幾らであるとか、あるいは超過利潤が幾らであるかといったような調べ方はいたしませんで、現実に各社が砂糖を幾らで何トン仕入れて、それを幾らに売ったか、そういった調べ方をいたしますので、標準糖価から幾ら出てくるといったような見地からの検討はいたしておりませんので、ちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
  81. 永井勝次郎

    ○永井分科員 しろうと考えだって、どのくらいの利益があるかという把握をする場合、中小企業や小さな店やなにかですと、国税庁はなかなか手きびしくおやりになるのです。こういう大企業になると、てんで歯が立たないようなぼかし方をされるのですが、私は変だと思う。歩どまりはこんなにはっきりしているものはないのです。粗糖を輸入して、それを溶かした場合は、九六%の歩どまりだとかなんとか、割当の数量もわかっているし、国際価格も各月に動きがはっきり出ているし、国内価格はどのくらいだとはっきりわかっている。そうして農林省が良心的に出した最初の計算では三十六億、それだってこれだけの価格差益金がここに生まれるのだ。これは価格差益金だけですよ。これだけあるのだということを出している。正常な利益は隠して——これは最初のやつは良心的だが、あとのやつは不良心的だ。良心的でない計算によって出したやつだって三十何億というものが出ている。そうして答弁では、税金でたくさん納めたのだ、こう、言っている。税金でたくさん納めたというならば、税金でどれだけ納まっているかと見ますと、ずっと前の年から比べて——平年度の税金ですよ。これだけ利益がふくれているから、これだけ税金が多くなったというふくれ方ではございません。平年度のコンスタントな水準の税金を、われわれの手元にあるこの決算によると、納めています。それだけたくさん利益があった、半分が大体税金だというのですから——四九・何%ですか、ですから約半分と計算すればいいのですが、明治製糖は一億五千万円ですから、そうすると、三十四年度は三億の利益があったということが言えるでしょうが、そんなものじゃないのですよ。そうしてこれで見ますと、日甜の税金が一番高くなっている。日甜の税金がなぜ高くなるかということは不思議だ。日甜が国内粗糖でそんなにボロもうけするわけはないのだが、税金が高いのはどういうわけだというと、税金の法律があって、そうしてぴんと計算して出すようにするものだから、これは隠せないものだから表に出る。表に出るから、砂糖の関係では日甜が一番多く税金を納めている。名古屋精糖その他、何十億というボロもうけしているところは、八千万円だとか七千万円だとか、一億足らずの税金より納めていない、こういうひどい状態になっています。私はこれは決して正しい方法ではないと思う。それから、大蔵大臣は税金で取るのだと言うけれども、利益がそのまま表面に出て、それを税金で適法に全部取り上げるにしましても、税金では半分より取れない、半分は会社の利益になる。これは世界一高い砂糖をなめさせて消費者をたぶらかして、ごまかしてそしてこうたくさん取り上げて、それでこれは国内の砂糖の開発のために使う金だ、こう言ったって、制度的にも、それから行政的にも、何も輸入砂糖と結びついていないのですよ。ただ、三十四年、三十五年度のあとの計算では、ブドウ糖にこれを援助するというものを差し引いております。それまでは制度的にも財政的にも何も結びついていない。これから社団法人を作ってやろう、今度初めてやっと始まった。今までは、だれかがもうければ、よそへいく金じゃないから、砂糖会社は国内の資源開発に金を出すだろう、これはどの意味なんです。これほどのひどい大ざっぱな考え方が結びついている。国内砂糖の開発のために、これが、利益を与えても、値段を下げるわけにはいかないといっている理由なんです。ですから、理由も何にもないのです。それからもし社内留保が相当してあるというなら、社内留保状況がどうなっているのか、一つ聞かしてもらいたい。
  82. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 現在、法人税の申告所得額は、一定期間公表することになっておりますが、その勘定科目の内訳につきましては公表することをいたしておりませんので、それをここで申し上げるというわけに参りませんので、御容赦願いたいと思います。
  83. 永井勝次郎

    ○永井分科員 私らしろうとから考えてみたって三十四年度、これは消えてなくなるのではないのですから、私はそろばんを持ってきてここでどうなんだと計算すれば出ることです。どのくらい輸入して、どのくらいなにして、どのくらいの相場だ、ちゃんと固定した条件があるのですから、それで計算すれば、どれだけの利益があるということがわかります。何で損したというなら、どのくらい損したということをやったって、砂糖の利益というものは出てきます。それがこれだけの税金より納めていない。そして社内留保をちゃんとしてあるなら、社内留保から十八億の金を出すといっても、これは出せますよ。とりくずしたら出せます。しかし、そういうものがなしに、政治献金したとかなんとか、北海道のビートの運動をやったとか、そんなことに金が消えてしまってないならば、これを出すといっても、出しようがないですよ。河野農林大臣が、三十六年度以降からは取らないのだ、こういうことを言明したって、ほんとうに大臣の首をかけてそれをちゃんと実行するかどうかということは、私は今後に期待したいと思っております。出しようがなかったら出せない、そうすると、今後の利益の中でそれを出して、それを損金に落とす。十八億の金を出させるためにそれだけもうけさせなければならぬ、こういう、ばかばかしい砂糖のやり方というものはあるものじゃないですよ。消費者をばかにするのも大がいにしろという怒りが国民の中から出てくると思うのです。どうですか、大五。
  84. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょうど税制の問題が出てきたようなことを機会に、私どもの方としてもこの問題は十分研究したいと思います。
  85. 西村直己

    西村主査 永井君、きょうはあとまだ四人あるのです。それから本会議もありますし……
  86. 永井勝次郎

    ○永井分科員 私は、この問題は、国会の論議が時間切れのために中途半端で切られて、そして国民から見たって、時間がありませんから、これでやめますでは、院外における国民の疑問に答えることではないし、それから正しい審議の仕方でもありません。私は個人攻撃をするわけじゃないし、何もするのではない。ほんとうの政治家としての姿勢は、過去のことは忘れてなんという、そういう虫のいい話は私は許されぬと思う。過去の事実は事実としてこれを確認する、しかし、もし過去に悪いことがあるなら、それを二度と繰り返さないようにするということが私は政治家としての良心だと思う。国会もそういう過去のことに触れるのは何かおとなげないように思ってはいかぬと思うのです。過去のことは事実として、消してはいけません。それはどこまでもその人の政治家としてついて回りますから、だから悪いことはするものじゃない、こういう戒めにしなければいけないという、その意味においてわれわれは言っているのであって、決して私は個人攻撃や何かの材料にこういう問題を提起しているのではありません。従って、この砂糖の問題も、三十六年度以降はとらないというのですから、とらないならば、この国会で、十八億をどこから出すのだ、こういう財源を明示しなければいけない。税金で納めている、税金で納めているというが、それだけの利益が何にも入っていないのです。そのもうけというものはどこへどう消えてなくなっているのか、わけがわからない。行政措置だ、国内のビートを開発するためだ。何にもそういうところへつぎ込まれていないのです。結びついていないのですよ。そうして、二面は消費者の犠牲、二面は生産者農民犠牲で、中間にいる業者だけがぼろもうけをして、自由化に踏み切っていた自民党の政策を、政治献金の金額によるのですか何ですか知らぬが、天から降ったように、自由化しないという方向に変わった。こういうふうなぬくぬくとした価格管理の中において、こういう砂糖の分野において、あまりにもひどい無法地帯が大手を振って闊歩しておる。これを見のがすことは断じて許せない。政治家としても、政府としても、もう少し——今に私は院外において消費者から声が起こってくると思うのです。それが起こる前に、与党であれ野党であれ、院内で解決できるものは院内で解決しなければいかぬと思うのです。そうでなければ、院外の国民が院内の政治に対する信頼をつなぐゆえんでないと思うのです。過去のものはそれだけの利益があるという計算をして出したのです。ところが、そこから出さないで、三十六年度以降の利益から出して損金に落としていく、そういうばかなことは恥の上塗りみたいなもので、私は断じて許せない。主査がやめろというのですから、私も主査の民主的な方式によって穏やかに引き下がりますが、この問題は消えてなくなる問題じゃないですから、私は十分明らかにして国民の前に示さなければならぬと思う。私は大蔵大臣政治家としての良心を高く評価します。どうか、そういう意味において、くさい政治家としての足跡を残さないで、後々あの足跡はくさいぞという足跡を残さないように、ぴりっとした立場で善処していただきたい。国税庁に対する問題なんか、もっともっと追及すればいいのですが、部長は困ったような顔をしていますから、これで私は承知いたします。部長を困らすために私は言っておるのじゃないですから、どうかそういう意味において善処を期待します。  最後に、大臣、これは私が言ったように、自由化しなければこういうことはできないんだというのではないのです。管理価格の中ではちゃんと方式があると思うのです。定まった一つの方式があると思う。その方式に従って超過利潤は法的にとるようにしたらよい、そうしてとったものをつぎ込めばいい。関税において五口億くらいとっておるのじゃないですか。関税が、三十五年度は五百億、三十六年度は五百十四億、こんなに関税をとっておる。消費税はやはり、二百八十五億、二百九十六億、砂糖の関係で三百億に近い金をとっておる。これはみんな消費者の負担です。この金が一体どこへいっておるのですか。こういう形でとったものは、国内の甘味資源の開発なら開発の方に、きちっと予算をとって公に議会を通してつぎ込めばいい。何が何だかわけがわからぬところで取引して、問題をあいまいに処理しておるというところに、汚職、疑獄のにおいがぶんぶんする。これでは国民は、何ぼ信頼せよといったって、信用できません。大蔵大臣の最後の決意を伺いたい。
  87. 水田三喜男

    水田国務大臣 確かにいろいろこれは考えなければならぬ問題が多いと思いますので、私どもは十分研究いたします。
  88. 西村直己

    西村主査 井手以誠君。
  89. 井手以誠

    ○井手分科員 大蔵省に対しては、財政問題でいろいろお伺いしたいのでありますが、時間の関係もございますので、四点くらいにしぼってきょうはお伺いをしたいと思います。  最初に、三十六年度の支出の繰り延べの問題であります。この点は、先般、補正予算の総括質問に際して、楯委員から質問がありました。参議院でも質問がありました。ただ、私がここで取り上げたのは、大蔵大臣答弁が、衆議院の予算委員会における答弁と参議院における答弁とが違っておるのでありますから、やはり予算委員会の権威のために明確にしておきたいという意味であります。大臣にお伺いいたしますが、七百十億に上る三十六年度予算の繰り延べ、これは先般ここでは何か事故繰り越しのような答弁でございました。東北地方に雪が降るような場合に予算の執行ができかねる場合もある、それと同じだとあなたは答弁なさっておりますが、それは間違いであろうと私は思います。それは明許繰り越しであろうと私は思うのでありますが、この点をはっきりしておいてもらいたい。
  90. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう性質上から、明許繰越費としてあらかじめ国会の議決をお願いするという、明許繰越費の問題でございます。
  91. 井手以誠

    ○井手分科員 事故繰り越しではなくして、十四条の三ですか、あの明許繰り越しに該当するわけですね。
  92. 水田三喜男

    水田国務大臣 いや、そういう事故があったり何かして繰り越しの必要が予想される性質の経費を、あらかじめ明許繰越費として御承認を願っておる。今度の三十六年度の繰り延べ措置は、私どもとしまして、国の予算支出の調整をこの際ある程度やりたいという関係から、各省と相談して、一定率の支出繰り延べという措置をとったのですが、その措置をかけた対象は、もっぱら明許繰越費となっておるものを対象とした、こういうことでございます。
  93. 井手以誠

    ○井手分科員 私はこの問題でいろいろ追及しようとは考えておりません。ただ、明確になればいいのです。あなたが事故繰り越しのようなことをおっしゃるから、それは明許繰り越しではないか、こう私は尋ねておるわけです。この前、財政法を改正するときに、事故繰り越しのことでいろいろ疑問がありましたから、それを明確にするために、予算成立後に生じた事由によっても繰り越すことができるというように改正になっておるはずです。何なら局長からでもけっこうです。
  94. 石野信一

    ○石野政府委員 お尋ねの通り、繰越明許費というものがございまして、そして政府が、予算の執行上、景気調整ということをも考慮いたしまして時期的な調整をはかって参りまして、その結果繰り越しの必要が生ずる、これは御説の通り繰越明許費に基づきまして繰り越しをやる、こういうことでございます。
  95. 井手以誠

    ○井手分科員 今説明の通りだと思いますので、この前の楯委員に対する答弁とは違うわけでございますから、大臣は今のように訂正されたと理解してよろしゅうございますか。大臣なり局長から答弁されたように訂正なさったと理解してよろしゅうございますか。
  96. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうでございます。
  97. 井手以誠

    ○井手分科員 それでは重ねてお伺いいたしますが、その明許繰り越しは、予算成立後に生じた事由によって繰り越されるものであると理解してよろしゅうございますか。
  98. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうでございます。
  99. 井手以誠

    ○井手分科員 会計検査院の事務総長にお伺いいたしますが、ここに、あなたと前の次長の小峰さんの著書を持って参っておりますけれども、そのあなたの方の会計検査院の解釈によりますと、「予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」このことについては、「この場合の「国会の議決は」補正予算によるのである。」あらかじめ当初予算に明許繰り越しということはなっておる。しかし、予算成立後に生じた事由によって繰り越されるもの、これは補正予算によらねばならぬと考えますが、会計検査院事務総長の見解を承っておきたい。
  100. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 お答えいたします。  私の書いた著書を今引用されたのでありますが、これは申すまでもなく、私の私見を述べた著書でありますが、その中でも、ただいま御指摘のようなことは私は申し上げてはないと思います。つまり、繰越明許費は、その性質上または予算成立後の事由に基づき年度内に予算執行のできないものを繰越明許費としてやるのであって、これを補正予算でなければならないという趣旨のことは申し上げてないと思います。
  101. 井手以誠

    ○井手分科員 予算成立後に生じた事由に基づいて繰り越すものであるならば、当初予算にはわからなかったはずですね。それはそうでしょう。予算成立後に生じた事由によって繰り越すものであるならば、二月ごろのいわゆる当初予算にはそれはわからなかったはずでしょう。そうでありますならば、それによって繰り越す場合には、建前としては、国会の議決が必要になってくるでしょう。原則としてはそうでしょう。補正予算とは私は申しません、国会の議決が必要でしょう。
  102. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 ただいまの「予算成立後の事由に基き」これはそのあとまでお読みいただくとわかりますが、そうした成立後の事由に基づき年度内に予算執行のできない見込みの、そういう見通しのある経費は、あらかじめ繰越明許費として予算に計上して国会の議決を経なければならぬ、こういう趣旨でありますので、予算に、そうしたおそれのある経費は繰越明許費として国会の議決を得ておる、かように考えております。
  103. 井手以誠

    ○井手分科員 そうすると事務総長、あなたは、九月に行なわれた景気調整のための七百十何億に上る支出の繰り延べ、これはあらかじめ国会の議決の見通せしる事態であったのか、当初予算にそういうことは見通して明許繰り越しが議決されたのか、その点をお伺いしたい。
  104. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 その点は私がお答えすることはいかがかと思いますが、解釈といたしましては、この予算成立後の事由に基づき年度内執行のできない見込みのある経費というのは、一つには、天災とか、あるいは天候の関係、そうしたことで延びる可能性のあるもの、あるいは初めの準備、交渉とか、設計とか計画というもので延びる見込みのあるもの、または社会経済の変遷によって延びる見込みのあるもの、こうした経費をいっているのではないかと私は考えております。
  105. 井手以誠

    ○井手分科員 私は本日は、なぜ補正予算として組まなかったかとか、あるいは国会の議決を経ないのはけしからぬではないかという文句を言うために質問しておるのではございません。筋だけはっきりしておきたいと思うから申し上げておるのであります。「予算成立後の事由に基き」というのであるならば、当初はそれはわからなかったはずです。そうでしょう。「成立後の事由に基き」ということであれば、明許繰り越しの場合には国会の議決を経るのが私は当然ではないかと思う。これは筋ですよ。ただ、それが補正予算によるのかどうかということについては問題があるでしょう。しかし、国会の議決を経るということは大事でしょう。  そこで私は申し上げたいのは、おそらく大蔵省はこう考えておるだろう、そういうことを含めても、明許繰り越しというのは、災害復旧費から道路改良費から、全部一括して、全予算を明許繰り越しの上にしてあるからさしつかえないというお考えであろうと私は考える。予算総則によりますと、建設省関係では、事業費はほとんど全部明許繰り越しになっておる。予算書を見ればわかるのです。だから、さしつかえないだろうという解釈だろうと私は思うのです。そうでしょう。
  106. 石野信一

    ○石野政府委員 繰越明許費は、御説の通り予算総則及び繰越明許費の丙号にずっと掲げてあるわけでございます。そこで、先ほど来お尋ねの十四条の三でございますが、これはその性質上、繰り越しを必要とすると申しますか、年度内に支出が終わらない、これを繰り越す必要があるというような性質のもの、それから予算成立後に繰り越しの必要が起こったために、こういうものについて国会の議決を経て繰り越すことができる、こういうふうに規定しておるわけでございます。そこで、そういう意味で工期が非常に長いとか、設計の関係とか、あるいは工事の進捗状況等で繰り越す可能性があるというものについては、繰越明許費ということであらかじめ国会の議決を得ておるわけでございます。そこで、予算の執行上、景気調整というような観点から時期的な調整をして参りまして、そしてそれが繰り越しの必要があるということになりますと、その繰越明許費であるものにつきましては、繰り越しを、大蔵省として、やむを得ない場合は認めるということは許されるわけでございます。予算成立後の事由に基づいて云々と申しますのは、繰越明許費でないものが繰り越しの必要が起こってくるという場合に、それをさらに国会で追加して繰越明許費にするということの規定であると考えております。
  107. 井手以誠

    ○井手分科員 この前、財政法を改正しますときに、西川政府委員の説明にその点は詳しく書いてあるのです。全部私は写してきました。それはそういう意味ではございません。繰り越す場合には、いろいろ会計検査院の検査しやかましいし、その点を明確にしなくてはならぬというので改正を行ないたいと思いますということが詳しく書いてある。だから、結論的に申しますと、明許繰り越しというのは、たとえば建設省で申しますならば、海岸事業費、治水事業費、道路整備事業費などと、全部の予算が繰り越せるように包括して全部明許繰り越しになっているのです。このこと自身が私はおかしいと思う。そのうち幾らぐらいは明許繰り越しにたるであろうということを書くのがほんとうだろうと私は思うのです。従って、予算成立後に生じた事由に基づいて明許繰り越しを行なう場合には、補正予算によらない場合でも、国会に対してこういう理由で明許繰り越しがふえますということを少なくとも報告し、了承を求められることがほんとうだと私は思うのです。一たん議決したものを、景気調整のために支出を繰り延べるというものであれば、国会の意思できまったもの、議決したものを変更しようという場合には、その年度間に、景気調整のために——事故じゃございませんよ、景気調整のために、議決された予算をその年度に支出しないということであるならば、本来ならば国会で議決すべきである。しかし、少なくともその事情については進んで国会に説明し、了解を求められることがほんとうではないか、こういうふうに私は質問を申し上げておるわけであります。もし明許繰り越しの中に金額が載っておったならば、明許繰り越しの費用を追加しなければならぬでしょう。あなたの方は万全を期して、建設省でもどこでも、公共事業費なんか全部明許繰り越しのできるような、そういう当初予算の組み方であるから、実際は支障ないと思いますけれども、そういうことであってはならぬと思いますので、その点を確かめておきたいと思います。大臣として、政治家としての答弁を求めておるわけです。
  108. 水田三喜男

    水田国務大臣 井出さんのお考えと私の方の考えは、ちょっと食い違いがあるように思います。私は、九月のあのときに、景気調整的な意味をもって繰り越しをやるという方針を立てて、各省で話し合いをして、その内容については各省にまかせてあるわけでございますが、そのときに、これは三十七年度まで全部繰り越すということを実際はきめたわけでございませんでした。情勢によっては、年度内にまた工事を進めてもかまわないということでございまして、一割は全部三十七年度にずらしてしまうということを、あのとき閣議できめたわけではございません。時期的な調整の意味できめたわけでございますが、それを一時繰り越すという措置をとったために、あるいは設計がおくれたり、いろいろなもので事実上三十七年度にどれだけ繰り越されるかというような問題は、まだ現在はっきりしておりませんが、これは年度末になれば、各省から大蔵大臣の許可を求めるという形で出て参りますから、実態が把握できると思いますが、あのときに、本年度きめた予算政府が勝手に使わないで延ばしてしまうということをきめたわけではございません。
  109. 井手以誠

    ○井手分科員 それでは、きめれば、私が、言ったように、国会の議決なり、少なくとも繰り越し明許で包括的な承認を得ておるならば、事情を説明して了解を求めることがほんとうであると、かようにお考えですか。
  110. 水田三喜男

    水田国務大臣 繰り越しというような問題は、支払い権の政府の権限の範囲内でやれる問題だと思いますが、それによって、繰越明許費になっているものが一部繰り越されるという事態が起こっても、これはすでに議決を経ておる費目でございますので、再度の議決をお願いする必要はないだろうと思います。しかし、あのとき私どものとった措置は、これをはっきり、これだけの金額をもう年度内には一切使わないんだ、翌年度へ繰り越せというふうにきめたわけではございません。もし国会できめた予算政府が勝手に、いろいろな費目にわたって、これだけは使わないことにするということをきめることは、これは問題でございまして、あなたのおっしゃられるようないろいろな問題が当然あると思います。しかし、そうじゃなくて、私どもは、予算の執行上の問題として、あの時期に一定率の繰り越しを各省と相談してきめた。それがその後どういうふうに進んでおって、最後にどうなるか、まだはっきりわかっておりませんが、問題を避けるために、ほかの費目にわたるのじゃなくて、繰越明許費を対象としてそういう措置をとったので、そのために町年度に繰り越されるものも年末になってくればはっきりわかってくると思いますが、きめた予算を年度内にはもう一切使わないんだという立場に立っての措置ではございませんでした。
  111. 井手以誠

    ○井手分科員 一時支出を繰り延べる、年度内に使うかもしれないということであれば、それはお話の通りです。しかし、当時、財政支出の繰り延べということを閣議で決定されたと報道されておる。また、先般、楯委員の質問に対して、今年度は繰り延べます、繰り延べは明年度使用することができますということで、今はそうおっしゃいますけれども、この間までは、本年度は使わないということははっきりしておったと思うのです。しかし、私はそれを責めようとは思いませんよ。ただ、こういう財政支出の繰り延べなんというものの取り扱いは明確にしておかねばならぬということで申し上げておるのです。その点は、ああ言った、こう言ったということは、私はこれ以上追及はいたしません。  そこで、私のほんとうの目的の質問に入ります。その問題は、ことしおそらく使用なさらぬでしょう。来年使うことができるとおっしゃいますけれども、景気調整ということ、また一、二月若干上向いたといわれた経済状態も、前途楽観を許さない事態に最近なって参りましたので、金融はさらに引き締めねばならぬと各方面でいわれておるし、政府も、大蔵省も、そういうお考えであろうと思います。  そこで、お伺いしたいのは、この七百億は、おそらく来年度に入ってもお使いにならぬであろうと思います。また、この経済情勢では、法律上はともかくとして、使うべきものではないと考えます。それが本筋だと思うのですが、大臣はどういう心組みですか。それが私はほんとうだと思います。
  112. 水田三喜男

    水田国務大臣 この七十億でございますが、そのうち一般会計と特別会計分が二百十億でございます。新年度の予算がきまりましても、この新年度の予算が動くのは、御承知通り、相当おくれてくるわけでございますので、従来からの例によりまして、繰り越されたものは、その翌年度において順々にこれは効率的に使用されてきておりますし、また、それによってちょうど新予算の執行との間のつなぎがうまく調整されているというのが従来の例でございますし、また、そういう運営の仕方をしておるわけでございますので、今年度の一般会計、特別会計分の二百七十億円程度の繰り越しは、これは順次来年度において使われていくだろうと私は考えております。特に、この程度のものでございましたら、これを使わないというふうには考えておりません。やはり従来の例によって、新予算がきまっても、これが繰り延べられて使われていくことによって、新年度の予算の動きとの調整がとれていくのではないか、間に断層がなくて続くことが好ましいことでございますので、その点においては、この程度の繰り延べは来年度使われていいのではないかと思っております。
  113. 井手以誠

    ○井手分科員 年度初めのことは、これは毎年のことでございます。何も三十七年度当初に事業の執行に支障を来たすというものではないと思うのです。あれは主として営繕建築関係の費用でございませんでしたか。そうしますと、ことしの三兆四千六百億に、その分だけは加わるわけですから、加わるということは、これはこの景気調整という政府の方針に対して、二百億、三百億加わるということの心理的影響と、また実際の影響というものを考えると、私はこれは使うという建前をとるべきではないと思うのです。使わないと言い切ることは困難であろうけれども、使わない建前の方がほんとうではございませんか。
  114. 水田三喜男

    水田国務大臣 特に大きい繰り越しでございましたら、これは考える必要があろうかと思いますが、今申しましたように、一般会計と特別会計で二百七十億前後、一般会計ははるかに少ないものでございますが、従来からの例を見ますと、各年度とも、後年度へ繰り越されそして引き続き使用される金額は数百億もございますし、非常に大きい金額でございますので、この繰延額は従来に比べて特に大きいものではございませんので、その点から見ましたら、むしろ従来の繰越額よりあるいは少ないかもしれない程度の金額でございますから、私は実質的な弊害はないのではないかと思っております。
  115. 井手以誠

    ○井手分科員 調整のために繰り延べられたものを使うような態度をとることは、私はよくないと思います。  主査、時間ですから、また……
  116. 西村直己

    西村主査 午前の会議はこの程度とし、本会議散会まで休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議
  117. 西村直己

    西村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井手以誠君。
  118. 井手以誠

    ○井手分科員 財政投融資関係で若干お尋ねをいたしたいと思うのです。  事務当局にお伺いいたしますが、昨年暮れ、十二月末の資金運用部の貸し方と申しますか、原資はどういう状態になっておるのか、郵便貯金だとか簡易保険だとか厚生保険だとか、そういったものをお願いいたします。
  119. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 一月末現在でございますが、預託金全体で、残高で申し上げますと二兆三千四百十五億でございます。そのうち目ぼしいものを申し上げますと、郵便貯金の残高が一兆二千八百四十二億、厚生保険五千三百四十四億、国民年金百七十四億、簡易保険千四百六十億、この辺がめぼしいものでございます。なお特殊なものとしましては、一月末現在で国庫余裕金の方の預託が三百億ございます。
  120. 井手以誠

    ○井手分科員 三十七年度の新たな原資は幾らになりますか、おもなるものを分類して願います。
  121. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 三十七年度の原資を申し上げます。  総額は八千五百九十六億でございますが、そのうち産業投資会計が五百三十二億円、資金運用部資金が五千八十二億円。そのうちおもなものを申し上げますと、郵便貯金が千五百五十億円、厚生年金が千三百二十億円、国民年金が四百億円、簡保資金が千五百億円ございまして、合計いたしまして財政資金といたしまして七千百十四億円、これに公募債借入金千四百八十二億円を加えまして八千五百九十六億円となっておるわけでございます。   〔西村主査退席、保科主査代理着席〕
  122. 井手以誠

    ○井手分科員 大胆にお伺いいたしますが、最近財政投融資に対する需要が非常にふえてきたと思います。社会資本の充実その他から需要が非常にふえてきた。しかし、その反面において原資がさほどに伸びていないと思うのであります。だからこそ公募債借入金ということも起こっておると思いますが、今後この原資は順調に伸びる見通しですか。今お伺いしたところでは、ほとんど零細な預貯金あるいは保険を原資とされておりますが、このものが将来簡易保険を初めとして順調に伸びる見通しですか、あるいは簡易保険は、十五年満期で払い出さなければならぬという時期が来て、さほど伸びないという事情もあると思いますが、見通しをお伺いいたしたいと思います。
  123. 水田三喜男

    水田国務大臣 原資のうちで、簡易保険はあまり伸びないと思います。郵便貯金は今の様子ではある程度伸びるのではないか、国民年金、厚生年金の資金は、これはある程度伸びる性質を持ったものだろうと思いますが、全体としては、この資金の原資の伸び方というものは、一般の伸びに比べて少ないのではないかというふうに思います。
  124. 井手以誠

    ○井手分科員 こういった零細預貯金なり保険が大企業に向けられておることの問題に本日は触れませんが、社会資本の充実その他から需要が多いのに、御答弁のようによけいに伸びそうもないということでありまするから、大蔵省では産業投資特別会計、いわゆる産投の国債を発行なさることについて御研究があっておるそうでありますが、それはどうでございますか。
  125. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだその問題は別に研究いたしておりません。
  126. 井手以誠

    ○井手分科員 研究は進められておるけれども、まだ中間報告とか結論には至っておらないという意味ですか。
  127. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ全然研究は始めておりません。
  128. 井手以誠

    ○井手分科員 ガリオア・エロアの納付金がほとんど対米債務に回されるという事態であっても、そういうことはお考えにならない、現在のところは考えられていたい、かようでございますか。
  129. 水田三喜男

    水田国務大臣 対米債務の支払いによって、出資金その他が非常に制約を受けることは事実でございますが、しかしこれはそう無制限に出資そのほかに応じられるわけのものではございません。その不足分を別に公債その他に求めるという必要はなくて、最少限度のものであるなら、今度三十七年度の予算編成のときとったような措置一般会計から必要な分を入れるという道もございますので、別にこれは公債によらなくても原資はできるのじゃないかと思っております。
  130. 井手以誠

    ○井手分科員 開銀で、外債をことしも百億程度求められておるようですが、将来どういうふうなお考えですか。
  131. 水田三喜男

    水田国務大臣 開銀債は今後も引き続き発行したいと思っております。
  132. 井手以誠

    ○井手分科員 それでは産業投資の国債などは考えないけれども、そういったものでまかなっていく、開銀の外債発行などでまかなっていきたいというお考えですか。
  133. 水田三喜男

    水田国務大臣 将来開銀債というものも考える必要があるかもしれませんが、まあ今までやったような外債の余地もまだございますので、引き続きその努力をするというのが今のところの方針でございます。
  134. 井手以誠

    ○井手分科員 ちょっと開銀のことをお伺いしますが、今開銀は事業別に、どういう方面に幾ら貸していますか、十二月の残高でけっこうです。
  135. 大月高

    大月政府委員 開発銀行の昭和三十十六年十二月末における業種別残高について大略申し上げますと、その最大の融資対象は電力でございまして二千八百七十三億四百万、全体の融資量を一〇〇といたしまして四九・一%、おおむね半分を電力に貸しております。次いで大きいのが海運でございまして一千七百七十億七千七万、パーセントにいたしまして三〇・三%、大かた三割でございます。その他あと一〇%以下でございますが、石炭が三百六十六億、鉄鋼が六十七億、あと百億前後のものが特定機械百十五億、石油化学九十九億、あとははるかに小さいものでございます。合計いたしまして五千八百四十二億一千二百万ということでございます。
  136. 井手以誠

    ○井手分科員 今御説明になったものに漏れておったかと思いますが、何かホテルあたりにもかなり貸してあるように承っておりますが、事実ですか。またそれは開銀としてどういう価値があるものであるか、あわせてお答え願いたいと思います。
  137. 大月高

    大月政府委員 今お話しのございましたホテル等につきましては、これは国際観光という項において整理いたしておりまして、七十一億五千二百万出ております。これは全体の一・三%ばかりでございますが、この趣旨は外貨収入を確保する、こういう意味でございます。
  138. 井手以誠

    ○井手分科員 輸銀についてお伺いいたしますが、今輸銀は十二月か一月末までの一番新しい資料で、幾ら貸していますか。それからおもなものをあげていただきたいと思います。一々会社別の詳しい、何十の会社についてはいろいろな事情もありましょうから、それはよろしゅうございますが、おもなるものだけ……。
  139. 大月高

    大月政府委員 日本輸出入銀行の三十六年十二月末の貸出残高は、プラント輸出が大宗でございまして、これが千五百八億円、それから輸入金融二十三億円、投資金融二百四十二億円、合計千七百七十三億円でございます。なお、プラント輸出金融のうち最も大きいものは船舶でございまして、これが七百五億、ブラント輸出のうちの四七%、その他一般プラント八百三億、五三%というのがおもな状況でございます。
  140. 井手以誠

    ○井手分科員 ブラジルのウジミナスという製鉄所ですが、これに二百何十億出してあるように承っておりますが、その金額とその理由、その内容をお伺いいたします。
  141. 大月高

    大月政府委員 日本輸出入銀行の三十六年十二月末までの日本ウジミナスに対する金融でございますが、輸出金融といたしまして二百三十九億円、これは貸し出しの約束になっております。そのうち現実の貸し出し済みは二百二十三億円であります。それから投資金融といたしまして十五億円、これは全額貸し出しいたしております。それで、まだ現在は回収期間に入っておりませんので、輸出金融は三年、それから投資金融は五年ということでございますので、まだ回収になっておりません。それで、このうちの輸出金融は、主として現地のウジミナスに対する製鉄所建設のための資材の輸出金融でございます。それから投資金融は、このウジミナスに対しまして、日本ウジミナスが現地の製鉄所に対して、現地法人に対して出資いたします、その金を融資いたしておるわけでございます。
  142. 井手以誠

    ○井手分科員 ブラジルは、日本からの輸出代金が焦げついたその代償として、代償というか、そのやりくりとしてそういったものができたと承っておりますが、その事情はどういうことですか。
  143. 大月高

    大月政府委員 ウジミナス製鉄所に対する日本側の援助は、ウジミナスの現地における鉄の鉱石が非常にりっぱなものでございまして、良質である、そこに製鉄所を建設すれば、非常に安いりっぱな鉄ができる、こういうことで、ブラジルと日本の製鉄業界との話し合いによりまして、これを運営しようじゃないか、こういう話がもとでございまして、ブラジルの国際収支の改善に役立てる、そういうものではないわけでございます。
  144. 井手以誠

    ○井手分科員 日本では、外国にそういう製鉄所まで作らなければならぬほど、製鉄関係は不足をいたしておるわけでありますか。
  145. 大月高

    大月政府委員 それは大きな意味日本とブラジルとの経済協力ということにあると思います。現地に日本関係の製鉄所ができますれば、その鉄を使いまして、広い意味の、たとえば自動車工業とか造船工業とか、そういうようなものが次第にできる、日本の技術も入れる、日本の技術者もそこへ出ていくということになりまして、日本とブラジルとの経済交流に大いに寄与するということだと思います。特にそこから出ます鉄を日本に持って参りまして、これを役立たせるということが主たる目的じゃないというように思います。
  146. 井手以誠

    ○井手分科員 大臣国民の税金の中から出資いたしました輸出入銀行から三百億近い金を、今説明があったウジミナスの製鉄所に出資してある、それはきわめて高い意味の経済協力だとおっしゃるが、これは輸出入銀行から金を出すべき性質のものでしょうか。それほど価値があるものでしょうか。輸出振興であるとか、そういった意味の、輸出入銀行本来の趣旨から若干はずれてはおりませんか。そういったことは、また別の経済協力なら経済協力としてやるべきではございませんか。輸出入銀行として金をそれほど出すべきものでしょうか。大臣のお考えを承っておきたい。
  147. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、必ずしもこれは輸出入銀行が分担すべきものではないと思っております。これは国策として作った会社のいきさつは御承知通りでございますので、これはやはり完成させなければならぬ、そのためにはこの金融措置をとってやらなければ、今の状態では非常にむずかしいという事情がございましたので、輸出入銀行からの金融によって切り抜けるということはやむを得ないと考えて、そういう方針を予定しておりますが、やはり本来なら、この種の金融は、今経済協力基金もできておることでございますから、むしろこういう経済協力基金などを有効に使うのが本筋ではないかという議論もございまして、内部で検討いたしましたが、この基金は、今まで日本の経済協力で相当中南米に多く基金が出ておりますが、あの基金はもともと、もっぱら東南アジア中心の協力基金ということで出発したいきさつもございますので、基金当局といろいろ相談いたしましたが、この際これは、従来のいきさつから見ましても、輸銀の金融によってもらいたいというようなことでございまして、いろいろ相談の結果、輸銀にしたわけでございますが、性質そのものから言いますと、ただいま言われるように、むしろ基金などを活用するのがいい性質のものではないかと、私自身は考えております。
  148. 井手以誠

    ○井手分科員 大蔵大臣は率直で非常にいいと思います。しかし、お考えはいいけれども、おやりになった結論は同じですよ。これは何といっても、局長が今答弁なさいましたけれども、これは明らかに、日本とブラジルとの貿易によって生じたブラジルの焦げついた債権をどうして解決するかということで、こういう交渉が結ばれたのですよ。しかもこれは輸出入銀行から融資すべきものじゃないんです。当然これは経済協力なら経済協力でけっこうですよ。私どもも、ブラジルとの友好関係は増進しなくちゃならぬと思っておりますから、むしろ経済協力ということで議案をお出しになるならば、いいものであるならば賛成いたしますよ。国会の議決を経なくちゃならぬものを、本来の仕事ではない輸出入銀行——国民の零細な税金から出資した輸出入銀行から、三百億近い莫大な金を融資するということは、もってのほかだと思う。これはなお機会を見て私は追及……。(「答弁答弁」と呼ぶ者あり)それじゃ一点お伺いしておきますが、別に議案として出すべきではなかったか、重ねてあなたの御所見をお伺いしておきます。
  149. 水田三喜男

    水田国務大臣 特にミナスの融資の問題として扱っておる問題でございますので、議案として出す必要はなかったと思います。
  150. 井手以誠

    ○井手分科員 いや、そうじゃないのです。あなたが先刻御答弁なさったように、輸出入銀行から融資すべき性質のものではない、しかしやむを得なかったとおっしゃっておる。   〔保科主査代理退席、主査着席〕 経済協力として日本から資金を供与するということで、議案をお出しになるのがほんとうじゃございませんか。出すべき金じゃないものを出して輸出入銀行から融資をする、そういう筋合いのものじゃないのですよ。最近輸出入銀行の融資の状態が乱れておるのです。国会の議決を経なくちゃならぬものを、こういうもので、融資の手続で経済協力をやっておる。これはけしからぬと思う。それでいいですか。
  151. 大月高

    大月政府委員 このブラジル関係の短期債権の繰り延べの関係は、パリ会議におきまして、ブラジルに対する債権者たる欧米諸国が短期債権の繰り延べをしようということをきめました。それでわが国といたしましては、やはり日伯経済協力という観点から、それに準じた意味の援助をしようということになったわけでございますが、その方法といたしましては、一つは、短期債権の繰り延べそのものをやるという方法もございます。しかし、現在ブラジルにおきましてこのミナスの製鉄所が建設中でございまして、実際問題として、そのためにブラジルにおいて金が要るということも事実でございます。そういたしますと、ブラジル国としてどういう格好で援助を受けるか、あるいは、わが国といたしましてどういう格好で援助をするのがいいか、双方ともに、どういう格好がいいだろうかというのが双方の検討事項であったわけでございますが、結局短期債権の繰り延べという方式によらないで、せっかくミナスの製鉄所の建設が進んでおりますので、これに対する援助をするということで話し合いをつけたということがこの間の経緯でございます。そういう意味におきまして、このブラジルに対する援助を輸出入銀行から実行いたしますという問題は、ブラジルのミナス製鉄所に金が要るということは実際でございまして、これも当初昭和三十一年から実行いたしております継続でございますので、それをもって繰り延べのかわりに実行いたしました。ミナス製鉄所に対する援助としては当然必要なものでございますので、繰り延べ自体をやらずに済ました、逆に言えばそういうことになるわけでございます。
  152. 井手以誠

    ○井手分科員 明らかに経済援助です。今経済援助というお話もあった。経済援助を輸出入銀行の融資によって済まそうというやり方は許せません。次に進みます。  それでは、アラスカパルブに幾ら貸してございますか。そしてアラスカパルプは自分の会社で融資を受けたものを使っておるのではなくして、ほかの会社に金を貸しておるということを私は承っておるわけであります。いわゆる輸出振興の目的とはだいぶん離れておるはずです。一体アラスカパルプは幾らの会社で、どのくらいの信用があって、幾ら貸しておるのか、そして自分の方では使わぬで、ほかの会社に金を貸しておるという、その金額も教えていただきたい。
  153. 大月高

    大月政府委員 アラスカパルプに対する輸出入銀行の融資は、第一次口と第二次口とございまして、第一次口八十七億円、第二次百二十二億円、合計百十九億円というのが実情でございます。先ほどお話のございました、よその会社に金を貸しておるという問題は、このアラスカ。パルプが子会社を持っておりまして、その子会社が製材をやるわけでございます。従って、その製材部門を分担いたします会社に対する貸金という格好になっておるわけでございますので、そこからできました材木を使ってパルプを作って、それを輸入してくるということでございますので、ほかの事業に対して金を使っておるというわけのものではございません。
  154. 井手以誠

    ○井手分科員 重ねてお伺いいたしますが、輸出入銀行から融資を受けた会社が、たとい子会社であっても、ほかの会社に金を貸すことができますか。また幾ら貸してありますか。その子会社が作った製品を日本に輸入して、はたして貿易振興という輸出入銀行の本旨に沿っておるかどうか、その子会社の活動状態いかん、はたしてアラスカパルプからさらに転貸しされた会社の金、転貸しされたその子会社の大事な資金が、本来の目的に有効に使用されておるかどうか、その点をお伺いいたします。
  155. 大月高

    大月政府委員 あるいは今の他の会社に対する貸付というお話は、こういうことであろうかと思います。それは、日本にアラスカパルプ株式会社がございまして、それから現地にまた現地法人があるわけでございますので、輸出入銀行が金を貸しますときには、日本のアラスカパルプに金を貸すわけでございます。これは持株会社でございまして、アラスカにございます現地法人の株を持ち、あるいはそれに対して親会社になりますので金を貸すということでございますので、ある意味ではそれを全体として考えますれば、特に金を貸すという感覚じゃなしに、つまり一つの現地法人に面接金を貸すか、あるいは日本側の法人に貸しましてそれでクッションをとるか、こういう問題であろうかと考えます。
  156. 井手以誠

    ○井手分科員 日本にあるアラスカパルプ——当然それは現地に法人があるでしょうが、現地のアラスカパルプという法人が、自分の子会社に金を貸したということがいいか悪いかなんです。日本のアラスカパルプは、現地の法人がたくさんあるのに少しずつ分けて貸したということじゃなくて、現地の法人が子会社に金を貸しているのです。それがいいかどうか、また、借りた子会社の活動が輸出入銀行の本来の目的に沿っておるかどうかをお伺いいたしております。
  157. 大月高

    大月政府委員 今の日本のアラスカパルプ株式会社が現地法人に金を貸しておるわけでございますが、その現地法人で、直接パルプを作っております会社と製材をしておる会社とがございます。日本側から二本立に出ておるわけでございますので、趣旨は同じであると思います。
  158. 井手以誠

    ○井手分科員 この問題、いろいろ私はうわさを聞いておりますが、時間がありませんので後日に譲りますが、あまりいい融資の状態であると私は思いません。  それでは次にお伺いをいたしますが、フィリピンのマリキーナ・ダム、これは賠償によって有名になったダムだが、最近の情報によりますと建設を中止したと言われておりますが、それに対して輸出入銀行が相当金を供与してあるようでありますが、その事実の有無並びにその事情、返済ができるかどうか、それらの点をお伺いいたします。
  159. 大月高

    大月政府委員 日本輸出入銀行から全然融資は出ておりません。
  160. 井手以誠

    ○井手分科員 三千五百五十万ドルの金が出ておりませんか。間違いないですか。
  161. 大月高

    大月政府委員 これは日本とフィリピンとの交換公文におきまして、三千二百五十万ドルの融資をしようということになっておるわけでございますが、現実にはまだそこまで話が進んでおりませんので、出ておらないわけであります。
  162. 井手以誠

    ○井手分科員 契約はできておりますか。
  163. 大月高

    大月政府委員 このマリキナ・ダムの問題につきましては、日比の関係者でいろいろ相談をいたしまして、年末に工事入札、工事の段階まで進行いたしたわけでございますが、フィリピン側の国内事情によりまして、入札期日が再三延期されておるわけでございます。三十六年の十月にようやく入札が行なわれたのでございますが、価格の面で先方のマリキナ委員会で許可をしないということになりまして、再入札するということになっておりますけれども、その後進展を見ておらない、そういうことで、当然輸銀の融資の問題にまで入っておらないということでございます。
  164. 井手以誠

    ○井手分科員 大臣、今までのウジミナス製鉄所の融資の問題、アラスカパルプについては詳しくは申し上げませんでしたけれども、その内情についてはとかくのうわさが流れておるのであります。しかも輸出入銀行からインドとパラグァイとウルグァイに——インドはたぶん戸五十億円です。パラグァイ、ウルグァイには十何億ぐらい輸出入銀行から出ておると思います。これは事実ですか。
  165. 水田三喜男

    水田国務大臣 事実と思います。
  166. 井手以誠

    ○井手分科員 そこで、大臣にお伺いいたしますが、先刻のウジミナスのブラジルに対する経済協力、インドに対する経済協力、ウルグァイ、パラグァイに対する経済協力というものが、本来ならば、経済協力であるならば国会の議決を経て堂々とやるべきものでありましょう。それが今質疑応答されたように、輸出入銀行の融資として莫大な金が出ておる。しかも融資対象をずっと調べて参りますと、一々私は申し上げませんけれども、はたして輸出入銀行のやり方が、最近要望されておる輸出振興にどれだけ役立っておるかということです。いやしくも一般会計から出された無利子の出資金、これをもととした輸出入銀行のあり方が、私これでいいとは断じて思いません。あなたもブラジルの問題はそうお認めになったはずです。輸出入銀行は、やはこういう場合には、輸出振興という本来の使命に向かって活動すべきであると思う。それが経済協力に向かっておる。これは、融資やり方に対しては私は十分再検討しなければならぬと思いますが、大蔵大臣のお考えを承っておきたい。
  167. 水田三喜男

    水田国務大臣 経済協力でも、日本から物を持っていく、これに、いわば輸出でございますので、それに乗る金融というのは輸出金融と見ていいわけでございまして、今やっている輸出入銀行の金融も、その線に乗った輸出金融としてこれは当然であると思われるものも多いと思いますし、それが大部分だと思いますが、さっき申しましたように、経済協力的な資金というものを、この輸出金融機関に便乗して出させるという方向は感心いたしません。結局、私が関知しておる限りにおきましては、もともと日本の企業家が、自分たちの責任でやるんだ、自分たちはこれだけ出資してやるんだ、政府も輸出とみなされる部分の金融はその一部を引き受けてもらいたいというような話し合いで大てい発足しておるのですが、発足してしまうと、最初自分が持つ、これだけの負担をすると言ったものが、結局経済情勢の変化もありましょうし、実力の問題もありましょうが、先へ行ってしまってくると、これは一時国の世話になりたいという形でいろいろのものを持ち込まれるということは、非常に困ることでございまして、そういう傾向が最近見られますので、私どもはそういう点について業界に対して、最初自分たちが出資して、分担してこの事業をやるのだという立場で発足した以上は、これはできるだけ自分たちで分担して、不必要なものを輸銀にしわ寄せすることはできないということで、ずいぶん私らはそこらはけじめをつけて、最少限にいろいろしぼったことをやっているつもりでございますが、ウジミナスの問題は、ここへ来てわずかのところで完成しないというわけにもいきませんので、一部、そういう性質として見ましたら、これはやはり輸出入銀行あたりに仰ぐのがいいと思うこともやむを得ないと思って、今度は承知したわけでございますが、そういう傾向がございますので、私どもは厳重にけじめをつけた運営をやりたいと考えております。
  168. 井手以誠

    ○井手分科員 注意なさっていることは私は買いたいと思います。しかし現実にやむを得ぬということであなたが承知をなさる態度は、これは承知できませんよ。何といってもこれは国民の税金ですからね。しかも経済協力なら常々と国会の議決を経てやるべきですよ。金融やり方ですべきものではないのです。たとい輸出振興という若干の意味は加味されたといたしましても、大体性質が違うのです。それじゃこの機会にお伺いしておきますが、この前はあなたにお聞きする時間がありませんでしたが、例の韓国の問題ですね。今盛んに調査団が行っておる。湯川康平氏が盛んに今活躍なさっておる。これもあなたがおっしゃるように、今韓国のあの経済状態あるいは韓国民生活状態、資源のないあの地区、たとい五台山なら五台山がどうあろうと、その内容についてはまだ疑問が非常に多いのです。そこに日本の民間の業者が経済提携をやろう、事業をやろうとして、うまくいくはずのものではないのです。これは簡単にうまくいきませんよ。最後は政府に泣きついてくるのですよ。政府補償を求めてくるのですよ。もうそれは目に見えているのです。あなたはずいぶんその点については心配なさっておるようですけれども、もう現に日韓の経済提携はどんどん進められておるのですよ。あとのお世話は政府にお願いします、補償をしてくれと必ずくる。目に見えている。そこをあなたがさせないところに、大蔵大臣水田三喜男さんのよさがあると思う。この点はしっかりしてもらいたい。必ず今行っておる湯川康平氏や多くの財界の有力者が韓国に行って、いやダムはどうなる、五台山の資源はどうだと、盛んにやって、やりかけるけれども、結局政府補償になってしまうのは見えておる。おそらく日韓のこの請求権の問題にしたって、これはあなたがこの前私にお約束なさったように、証拠のあるものだけにしぼるでしょうけれども、そのほかに無償の援助を一億ドルくらい用意されておると私は思う。そのほかに経済協力三億くらい用意されておると思う。政府の多くの人は、腹の底はそうなっておると思う。その経済協力三億ドルというものは、今進められておる経済調査、現地調査、それが乗りかわるのですよ。そういうものは絶対にやらないという良心あるあなたの信念を、一つこの際聞かせていただきたい。
  169. 水田三喜男

    水田国務大臣 日韓問題の処理については、ただいまのところ今おっしゃられたような政府案というようなものは絶対ございません。万事はこれからの交渉の問題でございまして、今私どもは無償をどうするこうするという政府案というものは持っていないところでございます。それからあとの問題は、これはまだ日韓会談が終わらないときでございますし、その前に、事前にかりに民間向上の経済協力であって、これは差しつかえないと思われることでございましても、そういう協力の契約とかいうようなものができたために、それを実績とされて、いわばそれだけの援助をさせられるというようなことで将来の経済援助のやり方を事前に縛られるようなことがあったら、これはあなたのおっしゃられる通りなかなか問題でございますので、私どもはそこらは慎重にけじめをつけてやっているつもりでございます。
  170. 井手以誠

    ○井手分科員 将来のこととおっしゃいますので、多くは責めませんが、正式に話し合いが済む以前の、こういう現在行なわれておる民間経済協力のものに対して、将来政府補償をしなくてはならぬような事態になる。それだけは絶対にやらせないという確約を一つ水田さん願いたいのです。
  171. 水田三喜男

    水田国務大臣 実は調査団が向こうに行く前にも、たとえば無為替輸出というものを政府は認めるかどうか、こういう原則でも認められれば、向こうに行って調査してくる意味もあるけれども、全然方針がきまらないで行って、保税倉庫の問題などの調査をしてもあまり実益はないだろうというような意見もございましたが、私どもは反対でございまして、これがどういう形で将来支払いを保証されるのかというような問題もまだ全くはっきりしておりませんので、そういう問題も含めて民間人が行って調査してくることはいいと思うが、調査前に政府の方針は示されないということと、調査の結果によってわれわれは適当にいいか悪いかということを考えるということは申しました。その場合にまたもう一つ、これは私自身の考えでございましたが、かりにそういう協力が可能であるとしましても、それは日韓会談に先だった前の、もしいろいろな問題であったとするなら、これは純然たる民間の責任でやるべきものであって、政府は簡単に責任を負えない。将来政府で話し合いがきまったその中にそのものが全部流れ込んできて、そうしてそれが政府責任の中へ入ってくるということは、私は好ましいことではないと思うので、将来日韓会談が、かりに経済協力が成立しましても、事前にいろいろ行なわれた民間のそういうものは一切それから除外する、今後きまる政府のあれから除外する、その覚悟でやってくれなければ、われわれの方はそう簡単に、たとい民間同士の話し合いであるとしても、簡単に私ども補償できないということも、私は個人の意見でございましたが、はっきり関係者に申してございますので、これはその方針でいきたいと思います。
  172. 西村直己

    西村主査 井出さん時間が迫っておりますから、どうぞ適当に……。
  173. 井手以誠

    ○井手分科員 そういう方針でしっかりやって下さい。  いよいよあと一点になりましたが、ちょっとめんどうな問題ですが、実はガリオア・エロアの問題です。この間私はここで復金債のことについて若干お伺いをいたしました。そのあと第三分科会で、それは通産省関係でございましたが、そこで見返り資金の話を聞きました。見返り資金三千六十五億円の中に価格補給金が五百八十六億円含まれておるということを詳細具体的に承りました。そうしてまた佐藤通産大臣もこれを確認されました。しかし当時の管理は通産省でございましたが、今日では大蔵省に移っておりますから、重ねてお伺いをいたしたいと思います。  これはもう常々とあなたの方へ資料を見せてやりますから、ごらんになって下さい。ここに私は図解と内容を参考のために資料として作りました。米国対日援助物件等処理特別会計、これから見返り資金特別会計の方に三千六十五億円入っているわけであります。その三千六十五億円の中に物資払い下げ代金が二千四百七十八億円、価格補給金が五百八十六億円加わっておる。そして三千六十五億円になった。これをちょっと大臣見ていただきたい。今大臣のお手元に参考までにお見せいたしましたのは、通産省から出された政府資料であります。その通り年度別に詳しく書いてあるはずです。三千三百八億円が入っておりますが、運賃その他の諸雑費を差し引いた残りが三千六十五億円になっております。これがガリオア・エロアの返済財源の基本になっておるはずでありますが、これは間違いないと思いますが、どうでございますか、お伺いいたします。
  174. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは間違いございません。
  175. 井手以誠

    ○井手分科員 三千六十五億円の見返り資金特別会計の中に価格補給金が五百八十六億円入っておることは間違いないという御返事でございました。それでは三千六十五億円に運用利益の二百七十八億円を加えたものから、使用済みでない二千二百九十四億円、これが見返り資金のその後の資産である、これも間違いございませんね。
  176. 水田三喜男

    水田国務大臣 間違いありません。
  177. 井手以誠

    ○井手分科員 続いてお伺いいたしますが、昭和二十四年の「国の予算」、昭和二十八年の「国の予算」、二十五年、二十六年はあまり重うございましたから持って参りませんでした。その内容は詳しくこれに記載されております。また、もうずいぶん古くなっておりますけれども、ここには通産省臨時通商業務局の資料が、これは昭和二十八年の「エコノミスト」に掲載されておるのであります。これは詳細に資料から転載をされております。そこで、今大臣からその通りでありますと言われた引き継ぎ資産の二千二百九十四億円、そういたしますと、支払い済みになっておる千四十九億円、支払い済みの中に債務償還六百二十五億円が含まっておると思いますが、これはいかがでございますか、その通りですか。
  178. 水田三喜男

    水田国務大臣 その通りでございます。
  179. 井手以誠

    ○井手分科員 この六百二十五億円の債務償還昭和三十二年に大蔵省課長から出されております「財政投融資」という本の中の四百五十六ページにはこう書いてあります。いわゆる「復興金融金庫債券の買入れ償還等に使用された一、〇四九億円は、いわゆる「使用」と呼ばれるもので支出し放しのものであるので、その分は資産から落し、差引二、〇一六億円が当初から資産として見返資金に存した額となる。」かように書いてあります。さらに、昭和二十四年の「国の予算」の中には、これもはっきりと資産として落としておる、こういうふうに書いてありますが、これも間違いございませんか。
  180. 水田三喜男

    水田国務大臣 見返り関係の資産には計上してございません。
  181. 井手以誠

    ○井手分科員 それでは、資産にはない、いわば家分かれした弟の資産のようなもので、別になってしまっておるわけですね。家分かれした弟の資産まで、あれはおれの分だとして、その運用利益を見込むわけにはいかないでしょう。これはやはり資産から完全に落とされた債務償還六百二十五億円を中心とする一千四十九億円はこれは資産ではございませんから、利子は生まないのです。従って見返り資金の資産ではございませんから、運用利益を見返り資金の返済財源に充てるものではないはずだと思いますが、いかがですか。簡単にはっきり言って下さいよ。
  182. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御指摘のように、見返り資金特別会計におきましては、支出いたしましたのを運用と使用に分けております。形式上見返り資金会計の資産として計上いたし、経理いたしますものを運用と称し、しからざるものを使用と称したわけであります。その使用のうちに、御指摘の六百二十五億円も債務の償還費として使用したわけでございますが、その六百二十五億円の実態を申しますと、復金の出資金が足らないために、復金債を出しまして資金を調達いたしました。その復金債を償還いたしますために、一般会計から復金に交付公債として出資いたしました。その交付公債を見返り資金特別会計から現金をもってこれを償却いたしましたわけで、実質上一般会計出資にかわりまして見返り資金特別会計が出資したものと同様に見てよろしいのではないか。そしてその出資した金が、前に復金債の償還によって調達をされました資金が運用されておりますので、運用の利息金を生む、こういう意味におきまして、開銀出資金のうち見返り資金関係出資金を計算いたします場合に、先刻御説明いたしましたように、千四百十億に十八億と六百二十五億を加えたわけでございます。
  183. 井手以誠

    ○井手分科員 政府の機関が、大蔵省が、通産省が、使用済みですよ、使用済みとして資産から落としたものをあとになって、あれは私の財産でございます、その財産から生まれたものは私の方の分でございますというのはおかしいじゃございませんか。しかしその点はあとで聞きます。  それでは引き継ぎ資産の二千二百九十四億円のうちに開銀出資金千四百十億円、この千四百十億円と債務償還の六百二十五億円を加えた金額がいわゆる、ガリオア・エロアの返済の財源になっておると思います。そのように説明を受けたと思いますが、間違いございませんか。
  184. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいまお述べになりました千四百十億、六百二十五億に加えまして、私企業に対しまして見返り資金を貸しておりまして、それを開銀が引き継ぎまして開銀の出資金になりました十八億を加えまして二千五十三億という表を作ってございます。この二千五十三億と開銀の出資金二千三百四十億の比率を出しまして、その比率をもちまして開銀の納付金に対してかけまして、それを返済財源に見ておるわけであります。
  185. 井手以誠

    ○井手分科員 その比率は八割七分でしたかね。
  186. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 さようでございます。
  187. 井手以誠

    ○井手分科員 そういたしますと、かりに債務償還という一たん資産から落としたものを、あれはおれのものだからと加えても二千五十三億円ですね。これは間違いないと思う。その二千五十三億円の中に五百八十六億円という価格差補給金が入っておることも、これは事実ですね。
  188. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 三千六十五億円入りました金の出所を求めますと、両特別会計におきまする売り払い代金と、一般会計から入れました価格差補給金が入っておるわけでございますけれども、これは先生御承知のように、当時見返り資金特別会計に積み立てるべき金として法律で定められましたのは、援助物資のドル価格に相当する円価格を積めというようになっておりましたので、見返り関係の資産として援助物資相当の円価格、すなわち三千六十五億を見ておるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  189. 井手以誠

    ○井手分科員 三千六十五億円の中に価格差補給金が入っておることは事実でしょうと聞いているだけですよ。いろいろな言い回しは要りません。
  190. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 資金的にはそういうようになっております。
  191. 井手以誠

    ○井手分科員 そういたしますと、二千五十三億円のこの返済財源の中に五百八十六億円の価格差補給金が入っておるけれども、それは全部入っておるとは言えません。それはほかの方にも金を使っておるから、比率でいかねばならぬでしょう。比率で参りますと、三千六十五億円の中に二千五十三億円の比率を見て参りますと、三百六十五億円が一般会計から入れられた価格差補給金の金額に相当するものだと思う。返済財源の二千五十三億円の中には、二百五十六億円という私どもの税金から出した価格差補給金というものが入っておるでしょう。それは間違いないですね。
  192. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 見返り資金特別会計に積み立てられました金は、援助物資のドル価格に相当する金でございまして、その金を出しますために、両特別会計におきまして国民に輸入物資を安く払い下げましたために、一般会計から価格差補給金を受けた金と合わせて出しておる、こういうようになっております。
  193. 井手以誠

    ○井手分科員 売り払い代金に、井手以誠に売ったものはAのしるしをつけておった、木原委員が買った食糧の代金には、百円札のBのしるしをつけておった、その金でないことははっきりしていますよ。しかし同じではございませんか。三千六十五億円の中に五百八十六億円の価格差補給金というものが入っておることをあなたは認められた。そうであるならば、三千六十五億円の中の二千五十三億円が返済財源になっておれば、その三千六十五億円と二千五十三億円のその比率に対して——比率をもってしますれば、価格差補給金の三百六十五億円に相当するものはそれに含まっておるでしょう。それは同じ金ではございませんよ。その分は入っておると思う。私がきょう申し上げておるのは、政府立場に立って、非常に謙虚な気持で数字をはじいたのですよ、比率を求めたのですから。私のやったことをよう読んでごらんなさい。
  194. 水田三喜男

    水田国務大臣 井出さんの言われるような論法でいけば入っておるということになると思いますが、しかし問題は、この見返り資金特別会計への繰り入れば、援助物資のドル建ての値段に対応する等価の円を積み立ててあるということでございまして、援助物資の価格に見合った金の積み立てということになっております。ですから、もし国民に対して特に安い品物を売らないということでございましたら、これは勘定がぴったり両方合うことになりますし、そうでなくて、かりに、この勘定に一般会計を入れるのではなくて、国民個々に一定の金を交付して、これで買えといって援助物資、ドル建ての物資をそのまま等価の円で買わしたとすれば、またこの勘定は一本になって完全に合うと思います。ですから、この援助の諸物資に見合った円の積み立てでございますので、その間二つの特別会計に価格差補給金を入れたとか入れないとかいうものは、これは国内の別の政策から出たことでございまして、見返り資金勘定は、私どもは、そのまま向こうの援助価格に見合った円の積立金というふうに見ております。もしこれが援助物資が足らなかったために、それに一般会計から金を加えて経理した、それをそっくり見返り資金勘定に繰り入れたというのでしたら問題だと思いますが、向こうの援助物資に見合った円資金の繰り入れでございますので、ここに一般会計の金が入ったから、この見返り資金のこの勘定は間違いで、その援助物資の分量がそれだけここで水増しされておるという性質のものではございませんから、六十五億円というこの引き継ぎのものは、向こうの援助物資に見合った円の積み立てでございますので、その点には別に問題はなかろうと私は思います。見返り資金積み立てば、援助物資のほんとうの見返り資金だという建前で少しも差しつかえないのではないかと思います。
  195. 井手以誠

    ○井手分科員 二千五十三億のうちに、四百億円に近い補給金に相当する額が入っておることをお認めになりました。しかし大蔵大臣は、価格差補給金という性質からいって見合ったものだという御答弁でございました。ずいぶん御苦心なさった答弁だと思います。しかしいずれにしても、価格差補給金が入っておることは事実です。また、国民が腐ったようなトウモロコシを買って、それをかなり高い値段で買ったことも、一部には事実なんです。だから国民が安いものを買ったとか、あるいはどんなものを買ったということは、この議論は水かけ論になるでしょう。私が今質問申し上げておるのは、そういう水かけ論の問題ではなくて、ガリオア・エロアの返済は、新たに国民に負担をかけない、二重払いにはならないということを政府は強くおっしゃるから、いや、そうじゃございません、その二千五十三億円のうちには三百六十五億円という価格差補給金が入っておるから、その部分については国民の負担になるではないかという意味でお尋ねをしておるわけであります。そこで、外務省からお見えになっていますか。
  196. 西村直己

    西村主査 竹内参事官が来ております。
  197. 井手以誠

    ○井手分科員 先般外務大臣は、本会議において対米債務の条約締結について演説なり説明をなさった中でこう言われた。「ガリオア債務の支払いにつきましては、開発銀行出資金に対する毎年度の納付金と開銀貸付金の約定に基づく回収金及びその利子収入によっても十五年間に十分完済し得るものであります、」完全に返済し得るものであります、とはっきり答弁をなさっておる。これはあなたの関係じゃございませんが、池田総理大臣は、国民に税金で負担してもらうことなく、アメリカの援助物資をためておいた利子で払っていこう、こう言明をされております。しかしあなたにお伺いしようというのは、外務大臣の分だけです。そうすると、今お聞きの通り、二千五十三億円の中には三百六十何億円の価格差補給金が入っておる。これは国民の税金ですよ。その返済財源は二千二百二億円、返すものは二千八十五億円ですから、すれすれのところでやっと完済し得る計算になっておりますが、しかし、ただいまの大蔵省との質疑応答によりますと、一部は国民の税金で払われることになります。しかし、外務大臣の説明ではそうではないのであります。利子だけで完済し得るということになっておりますが、外務大臣の説明は間違いになりますね。
  198. 竹内春海

    ○竹内説明員 詳細は先ほど大蔵省側から御答弁がありましたように、新たなる税金の負担になるものではないと承知しております。
  199. 井手以誠

    ○井手分科員 新たに負担になるものではないけれども、昔の国民の税金が一部負担することになるということになりますね。
  200. 竹内春海

    ○竹内説明員 先ほど大蔵大臣からお答えがありましたように、本来ならば見返り資金は援助物資の換算をそのまま積み立てたものでありますから、その中から支払うというように了解しております。
  201. 井手以誠

    ○井手分科員 主査、アメリカ局長でも呼んでもらえませんか。参事官には少し気の毒だと思いますから。  それでは、ほかの問題にちょっと途中でそれますが、開銀出資金の中で開銀から貸された海運会社に対する融資、そのうちに見返り資金の資産から海運会社に貸されてなお残っておる貸付金の残額は幾らになっておりますか。
  202. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 対日援助見返り資金特別会計から私企業に貸し付けました総額は、御承知のように千三百四十五億でありまして、そのうち海運関係は五百八十億七千百万ございましたが、その後減りまして三十六年十二月末で三百七十一億七千六百万円でございます。
  203. 井手以誠

    ○井手分科員 答弁はその最後だけでいいのです。三百七十一億円、見返り資金の海運会社貸付金の残額があるというわけです。これも返済財源の中に入っているわけでしょう。二千五十三億円の中の一部でしょう。
  204. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 返済財源といたしましては開銀に対する貸付金と開銀に対する出資金から入って参りまする納付金、それから利子収入と見ておるわけでございます。先生御指摘の通り、見返り資金会計当時貸し付けた金が開銀に引き継がれておりますけれども、開銀の個々の事業に対する貸付と返済財源の元にいたしております出資とは別問題ではないかと考えております。
  205. 井手以誠

    ○井手分科員 何をおっしゃるのですか、あなた。開銀に対する出資金と海運会社に対する貸付金とは別だとおっしゃる。しかし見返り資金から受け継いだ今の資金、その引き継ぎの資産、それがあなたの方は出資金だとおっしゃるのでしょう。しかし、その金を会社に貸して利子を生んでおればこそ運用利益があるのじゃございませんか。納付金があるのじゃございませんか。
  206. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 その通りでございます。
  207. 井手以誠

    ○井手分科員 回りくどいことをおっしゃらぬで下さい、私も頭はよくありませんけれども。三百七十一億円は大体どのくらいの利子がつきますか。利子から聞きましょう。あのときは七分五厘だった。
  208. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 大体三十億くらいになるのじゃないかと思います。
  209. 井手以誠

    ○井手分科員 続いてお伺いしますが、その三百七十一億は返済財源になる財源の一部である。そういたしますと、その運用によって返済財源になっておる千七百五十七億円の中に——これは仮定ですよ。仮定だけれども、数字の問題ですから、仮定の場合はお答えできませんというわけにはいかないですよ。お聞きしますが、千七百五十七億円の中に、三百七十一億円が利子を全然生まないということになりますと、どのくらいの金額になるでしょう。千七百五十七億円の中に三十億円の利子です。
  210. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 計算いたしてございません。
  211. 井手以誠

    ○井手分科員 私は千四百十億円と六百二十五億円を加えたくないのですけれども、まずあなたの方の立場に立ってお聞きしますが、この加えた金額の中の、二千億という金の中の三百七十一億です。その三百七十一億の利子は年間三十億円だとおっしゃいました。そうでしょう。そういたしますと、二千億の中に三百七十一億円、比率で申しますと——海運の利子たな上げ、そういう政治問題は別にいたしまして、もしその利子の収入がなくなる、入らないということになりますと、三百億円ばかり返済財源の穴があくということになると思いますが、その数字だけはお認めになりますか。海運のたな上げの政治関係は別にいたしまして、もし利子が入らないということになりますと、大きな穴があくということはお認めになりますか。
  212. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 貸付残高も減って参りますので、必ずしも先生御指摘のように、率をかけた数字のものが減ることになるかどうか、少し検討してみないとわからないと思うのです。
  213. 井手以誠

    ○井手分科員 だから、三百七十一億円に対しての利子は年間三十億円だとおっしゃいました。それを十五年かけると四百五十億円ですか、そのままにいくとは私も考えておりませんが、二千億円が千七百五十七億円の納付金になるならば、三百七十一億円は幾らになるかという計算です。計算すればその分は大体三百二、三十億円になるでしょう。ただ数字上の問題だけです。
  214. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 計算いたしてございませんから、はっきりわかりません。
  215. 井手以誠

    ○井手分科員 いや、これは海運の問題は別にいたしまして聞きますが、二千億に対して千七百五十七億円の納付金になっておりますね、そうする場合に、三百七十一億円の納付金は幾らになるかというわけです。これは学校みたいな話ですけれども……。
  216. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 先ほどお答えいたしましたように、千七百五十七億円の算出根拠といたしまして、開銀に対する出資金中、見返り関係の持っておるものはいわゆる八七%、これをかけてやっておるのでございまして、貸付先から幾らの利子が包まれるかということは計算いたしておりませんので、直ちに先生の御指摘になるように差し引くのはどうかと思います。
  217. 井手以誠

    ○井手分科員 一生懸命がんばりたいところでしょうけれども、なるのですよ。二千五十三億円の、開銀出資金と債務償還を合わせた返済財源、その中には開銀の回収、これは出資金だから別です、二千億円に対して十五年間に千七百五十七億円の納付金を予定されておる。そうすると三百七十一億円のものに対しては、これは答えはすぐ出てくるはずです。三百二、三十億円でしょう。ずいぶんあなたの方も研究なさっておるだろうと思います。
  218. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 ちょっと御説明申し上げますが、納付金の計算の基礎を御説明しますと、今の点が若干違った点がおわかりになると思います。開銀の今の貸付の残高は、約七千億でございます。七千億のうちそれに見合う資金としまして、借入金なり出資金があるわけでございますが、出資金二千三百四十億に対して納付金が入ってくるわけでございます。そのうち先ほど来御説明しております二千五十三億が、われわれの方では見返り資金関係だと申しておるわけでございます。その納付金のもとは当然に開銀の収支の差額でございますが、これは七千億の貸付に対する収支の差額として出てくるわけでございます。それの利息収入が来年度約五百億ございます。それに対しましてまず、借り入れの支払い利息を引くわけでございます。それから事務費等を引いた分が一応利益になるわけでございます。そこから貸し倒れ準備金なり法定準備金を引いたものが国庫納付金、この国庫納付金が来年度約百三十億、これは年度間の計算でございます。それが二千三百四十億の出資の利益として納付されるわけでございます。そういう計算でございますので、直接出資と個々の借入金との関係はございませんが、かりに今先生のおっしゃるような海運関係の利子収入が将来減るとすれば、それは全体の五百億の借り入れ利息に影響するわけでございます。
  219. 井手以誠

    ○井手分科員 そうすると、二千四百億円の出資に対して百二十億円の納付金があるという説明、だから八七%に当たる二千五十三億円は百十四億円だ、納付金は一カ年間に。そうでしょう。それを十五年間かけてくると千七百五十七億円になるという説明、そうでしょう。
  220. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 今、先生のお話の筋道は大体その通りでございますが、これは毎年貸付の純増を大体横ばいにいたしますと、若干ずつ利益がふえて参りますので、それを見込んでございますから、百二十億円の八七%がそのまま十五年間の計算ではございません。
  221. 井手以誠

    ○井手分科員 しかし少なくともあなたの方の資料に出ております。大蔵省が出されたものですよ。その八七%をかけた一カ年の納付金は平均して大体百十四億円だ。十五カ年合計すると千七百五十七億円になりますよという説明は間違いないでしょう。その分は、それはそうでしょう、あなた方の資料に出ているのですよ。納付金が千七百五十七億、貸付金の回収金三百五十四億円、これは私の方の印刷物、あなたの方のはここにある。
  222. 西村直己

    西村主査 よく調べて、むだな時間が出ないようにして下さい。
  223. 鈴木喜治

    ○鈴木説明員 先ほどもお答えしましたように、若干ずつふえているということがこの資料にも書いてございますが「開銀納付金は、三十七年度分百二十億円、以後毎年度微増し」と書いてございます。「十五年間の累計で二千三億円となるが」、これに十五をかけるわけでございます。筋道は先生のおっしゃる通りであります。結果は「二千三億円となるが」、そのうち「見返り資金関係分が二千五十三億円あるので、それに相当する十五年間の納付金は千七百五十七億円となる。」
  224. 井手以誠

    ○井手分科員 同じことじゃないか。だから私は聞いておるのですよ。二千五十三億円を原資として納付金が千七百五十七億円生まれて参りますから、もし海運の利子のたな上げなんかすると、三百二、三十億円の穴があきますよと私は申し上げておるのです。海運のことはまだきまっておりませんから、それはわからぬとおっしゃるでしょう。そこで大臣にお伺いいたしますが、今払わねばならぬ返済額は二千八十五億円。これはあなたの方の出された資料によります。それから返済財源は二千二百二億円ですから、もし三百七十一億円の海運利子をたな上げするようなことになりますと、政府が先般本会議で、利子で返済することができると言われたことは違ってくることになりますね。その点だけはお認めになるでしょう、まだきまっておらぬにしても……。二千二百二億円と二千八十五億円、ちょっとのところですよ。そこにもし三百七十一億円の海運の貸付金の利子をたな上げするようなことになりますと、大きな穴があく。それはお認めになるでしょうね。
  225. 水田三喜男

    水田国務大臣 たな上げ問題ですが、これが永久にとらぬというものでしたらこれは狂ってくるでしょうし、一定期間の問題でしたら、結局はとる問題でございますので、まずそういう点が一つと、それからさっき説明しましたように、開銀が七千億円も貸しておるうちの、今の海運への貸し出しが三訂何十億ということで、これは元金が返ってくれば毎年減っていくものですが、そうしますと、こちらの出資金についての利益が、これはいわば配当金でございますので、その計算は結局開銀の七千億の貸し出し総額からの運用利益でございますので、それと三百何十億の開銀の貸し出し金の比率から考えて、若干の納付金の低下ということはあり得ると思いますが、出資金の二千何億に対する三百何億という比率の影響というようなものはないと思います。
  226. 井手以誠

    ○井手分科員 ありますよ。それは大へんありますよ。一時たな上げして、十年間たな上げすれば、あとで戻ってくるということはありますね。あるけれども、その間はやはり国民が立てかえておかなくちゃならぬ問題ですね。これは事実でしょう。
  227. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは、たな上げ措置というようなものの取り方によっては影響がございます。
  228. 井手以誠

    ○井手分科員 しかも見返り資金から貸されておる海運会社への三百七十一億円、これはあなたが言う七千億の中ではなくして、二千五十三億円の中ですから、それで計算しなくちゃならぬ。  時間も来ましたから大体これで終わりますが、今までの質疑応答で大体おわかりだと思いますが、外務大臣は「開発銀行出資金に対する毎年度の納付金と開銀貸付金の約定に基づく回収金及びその利子収入によっても十五年間に十分完済し得るものでありまして、」すなわち納付金と回収金と利子収入で十五カ年間で完全に支払うことができますと説明し、言明されておりますが、三千六十五億円の中に価格補給金が現実に入っているのですから、その間のいきさつはいずれにいたしましても、現実には国民の金が入っているのですから、それを差し引きますと、納付金と回収金と利子だけでは十分に完済することにはなりませんね。だから、外務大臣の説明はうそになるわけですね。
  229. 竹内春海

    ○竹内説明員 先ほど大蔵大臣から御説明がありました通り、外務大臣の趣旨説明は間違っておらないと存じております。
  230. 井手以誠

    ○井手分科員 どこで間違っていませんか。三千六十五億円を原資とした見返り資金ですよ。三千六十五億円で出発した見返り資金、その中の引き継ぎ資産二千二百九十四億円、その中の開銀出資金千四百十億円、それと支払い済みの千四十九億円の中の六百二十五億円という債務償還を加えた二千五十三億円の中には、価格補給金が入っておると、大蔵省言ったじゃないですか。ただ価格補給金が見返り資金に入る時分に、一般に売られた価格がどうのこうのという説明はあったけれども、現実には税金が入っているじゃありませんか。金が入っているのですよ。私どもの税金の一般会計から見返り資金の中にはっきり入っているのです。これは大蔵省ははっきり認められておる。これは通産省も認めているのです。その資金を運用して利子で済まそうという、ガリオア・エロア、その中にはある部分過去に納めた私どもの税金が入っているじゃありませんか。新たな負担じゃありませんよ。それはお認めになるでしょう。
  231. 西村直己

    西村主査 どうでしょう。その問題は外務大臣にお聞きいただいたらいいと思いますが……。
  232. 井手以誠

    ○井手分科員 わかりました。主査は非常にいいところをおっしゃいました。  それでは、大体ガリオア・エロアの返済については二重払いになることが明らかになりましたから、あとはほかの機会に譲りたいと思います。私の質問を終わります。
  233. 西村直己

    西村主査 木原津興忠君。
  234. 木原津與志

    ○木原分科員 大蔵大臣に財政投融資の原資の問題で若干お伺いしたいと思うのですが、その前に、この前の十一月の臨時国会の際に、私が日韓問題の質問をいたしました際、大蔵大臣答弁を求めて、そのまま大蔵大臣は、今詳細にその点について調査しておるということでございまして、答弁が保留されたような形になっております。いわばあなたに私は貸しがあるわけでありますから、この際質問の冒頭に、この貸しを返していただきたいと思う。というのは、私があの際大蔵大臣質問した趣旨をここで繰り返しますと、終戦のときに日本人並びに日本法人が朝鮮から引き揚げてきた。その際に法人並びに個人の財産を全部置いてきたわけです。ところが昭和二十年の十二月の九日、当時の朝鮮軍司令官の軍令第三十三号によって日本人の個人財産並びに法人の財産は全部米軍から没収をされて、その後昭和二十三年の米韓協定によってその財産の一部——全部か一部かその点が聞きたかったのですが、とにかく一部は米軍がなおこの没収した財産を所有しておる。さらに大部分を韓国に譲渡したということでございます。そこで今日日韓会談における韓国の財産請求権の問題について、私がこの問題を取り上げた。というのは、われわれが聞いておるところでは——韓国に置いてきた日本人の個人財産並びに法人の財産の品目並びに一体どれくらいの価額のものが米軍に没収されて、そしてそれを韓国に譲渡したものか。その点がこの財産請求権についての問題で私は一番重要な点だろうと思う。と申しますのは、私どもは、米軍のあの当時の措置は国際法違反であるという見解を持っておるのでございますが、当時外務大臣の説明によれば、これは米軍にすでに没収されて、そして韓国にこれを譲渡したという点については、当時の講和条約においてもう日本は認めたのだ、認めたけれども、しかし他日、韓国が財産請求権を日本に行使する場合において、日本の没収された財産を韓国が受け取ったということについては考慮されなければならぬということが米軍の解釈によってあるのだ、その点を日本当局としては重要視しておる、こういう趣旨の答弁があったわけなんです。そこで、その当時日本が没収された財産及びその韓国に譲渡された財産の品目及び価値等について、これがどれくらいかということを大蔵大臣にお尋ねしたのですが、昨年の私の査問に対してまだ大蔵大臣から的確な資料による説明がなかったわけなんです。調査しておる。資料を韓国側に要求しておる、こういうような答弁で終わったと思うので、従ってその後調査した結果大体それがもう判明しておると思いますから、一応ここで詳細に、没収された日本人の財産の総額並びに米軍がなお使用しておるものがあるとすればその価額なり品目を明らかにしていただきたいと思います。
  235. 水田三喜男

    水田国務大臣 その後日本側から、米軍から引き渡されたものについての品目、価額についての詳細な報告を韓国に再三要求しておるそうでありますが、まだ向こうからそれらの資料は一切出してこない現状でございます。従って、この内容は今のところ詳細にわかりません。
  236. 木原津與志

    ○木原分科員 要求はしておるが韓国の方でこれを出さないという点でございますが、もう日韓問題は相当煮詰まって、先般韓国の金情報部長が池田総理と東京でお会いして、そしてあとはもう来月末あたりにでも政治的に解決をするという段階にきた、こういうことがいわれておるし、また新聞に発表になっておる。そうすれば、日本が没収されそれを韓国に引き渡された財産の総額が一体幾らであるかということがわからないでは、韓国の財産請求権についてもこれを認めるか認めぬか、あるいはどれだけの分について相殺するかしないかということについては全くわからぬままに、まるでどんぶり勘定みたいな形で韓国の財産請求権ということが議題になる。そういう形では、今の日韓会談の最重要な財産請求権の問題について、国民はとうてい納得できないと思うのです。この点について大蔵大臣は、その処置をどうされるつもりか、いま一応明らかにしていただきたい。
  237. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、やはりこの請求権問題について日本側で放棄したものの全貌くらいは、当然日本側で交渉のためには知らなければならぬ材料だと思っております。従って、この請求権問題を解決する場合でも、日本が放棄しておるという事実はいろいろな形で考慮に入れらるべきといわれておりますが、今のところ韓国側は、これはもう日本側が放棄したものであって、これについてからんだ請求権というものは認められないという態度を今までとっておりますために、この請求権問題の交渉はなかなかむずかしい問題になっている一つの問題でございます。こういうものが日本に示されない現状でございますので、従って、どういう形で全体的に考慮さるべきかというような問題について、外務省もこの交渉に非常に今苦慮して壁にぶつかっておるというのが現状だと思います。やはり日本としては、できるだけ韓国にこの資料を示してもらいたいというようなことをぜひ私どもはやりたいと思って、交渉中もこれを外務省が請求しているのですが、まだ向こうからは示されておりません。
  238. 木原津與志

    ○木原分科員 私は、この日本個人財産、法人財産が没収されてそして韓国に譲渡されたものの品目を明らかにしろという要求は、昨年の臨時国会でもいたしましたし、また昨年の通常国会においてもあなたにその点を要求したはずなんです。一年以上たって、この交渉もすでに終盤というような段階にきてなお韓国から示されないということになれば、これは私も何回あなたに、要求してもむだなことですから、これで要求は打ち切りたいと思います。打ち切りたいと思いますが、日本人が韓国に置いてきた財産、これは価額は幾らくらいのものを韓国に譲渡された、無償でただ取りされたということについての財産目録というようなものは、もう絶対に永久に明らかにされぬままで終わるかどうか、その点についてのあなたの確信をお尋ねして、この点についての質問をもう終わりたいと思います。
  239. 水田三喜男

    水田国務大臣 先方から資料が示されないにしましても、私どもとしましては大体のところを押える必要がございますので、在外財産の調べというものは別の形で国内でもやっております。これは個人の申告その他を土台にしておりまして、この数字が正確かどうかわかりませんので、大体この辺という見当もまだつけにくい状況になっております。しかし、いずれにいたしましても、一番的確なものは韓国側が持っておるのでございますから、この資料はどうしても提出してもらうように、まだ今後もこの交渉を私どもは続けたいと思っております。
  240. 木原津與志

    ○木原分科員 韓国の資料とは別に、大蔵省当局でもこの財産の価額等につきまして調べておられるということでございますから、きょう現在まで調べられた中で、法人個人の韓国に譲渡された財産の総額は、今あなたの方で調べられている範囲でいいですから、大体どれくらいの金額になるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  241. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだいろいろの形で調査をしている段階でございますし、今申しましたように、私どもとして確信のない数字で、自由申告についてどのくらいの信憑性があるかということも相当吟味しなければならぬ問題で、まだ大体というこの問題に関する額を私どもから言う段階ではないようでございますので、これは差し控えたいと思います。
  242. 木原津與志

    ○木原分科員 ここであなたの方で明言できないということになれば一応了としますが、日韓会談において一本側から韓国側にはどれくらいの財産をやっておる、その金額はどれくらいだというようなことははっきり向こうに言うておられるのですか、その点どうです。
  243. 水田三喜男

    水田国務大臣 向こうの資料を求めておるだけでございまして、こちらのそういう問題は向こうに示しておりません。
  244. 木原津與志

    ○木原分科員 それでは困ると思うのです。少なくとも日韓会談の一番の重要点は、法的地位の問題だとかあるいは国境の画定の問題だとか、これも重要かもしれませんが、相互の財産請求権の問題が私は一番重要な問題だろうと思うのです。その財産請求権が韓国側にあるかないか、あれば幾らの請求権があるかということを確定する上において、しからば日本人が向こうに置いてきた財産、しかもそれは相殺されるのだというアメリカの覚書によってみても、この点が私は非常に重大な外交交渉のポイントだと思うのです。それをこちら側から韓国側には全然示さないで、しかも韓国は財産目録を出せと言っても出さない、そういう中でこの交渉をやって、そうして何とか妥結という形に持っていかれるということは、ますますもって私はけしからぬ態度じゃないかと思うのですが、そう思われませんか。
  245. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう問題がございますからこそ、何回会談してもなかなかこの請求権問題の妥結ということが今のところございませんし、また今までの交渉過程から見ましても、向こうの請求権の内容が今ようやく全部一応の説明がされたという段階で、事務的折衝においてもこちらからこういう問題を示して、請求権問題について本格的な事務討議をする段階にもまだいっていないというのが、今までの交渉の実情でございます。
  246. 木原津與志

    ○木原分科員 繰り返してくどいようですが、日本人が置いてきた財産というのは一兆円や二兆円というようなそんなちっぽけな財産じゃないと思うのです。おそらくお調べになれば何百兆円という大きな金額になろうかと思う。これを当面の政治責任者でありますあなた方が、一体どれだけのものを日本人が置いてきたのかということを全然調べもつけないで、そうしてこれを向こうから資料も取り得ないで、財産請求権の問題を中心とする日韓会談をここで妥結させるということになれば、私は大きな政治責任の問題じゃなかろうかと思うのです。少なくともそういうような態度によって日韓交渉を妥結すべきではないと思うのでありますが、これは総理でないあなたに私が文句を言っても始まりません。  そこで最後にお聞きいたしますが、在外町産の補償問題について特に今さしあたり問題になる朝鮮からの引揚者に対する補償、置いてきた財産の請求権を政府は講和条約において放棄しておるというこの実態の中で、補償ということをどう考えておられるか。今まであなた方は引揚者に対して一時見舞金というものを、一人当たり幾らというわずかな額で出しておられることは私も承知しておりますが、日韓会談がかりにここで成立をするということになった場合に、この引揚者人たちに対する失った財産の補償ということはどう考えておられるか。一時見舞金で一人当たり二万円足らずをやったからもうそれで事足りる、あとは知らない、あらためて日韓会談が成立しても、朝鮮から引き揚げてきた人たちにはもうこれ以上の補償はしない、考えておらない、こういうおつもりであるか、あるいは会談が成立したらその暁において何とかの考慮でも、補償措置でも講じるという考え方を持っておられるか、その点をお聞きしておきたい。
  247. 水田三喜男

    水田国務大臣 この問題は今に始まった問題ではございません。こういう問題の処理をどうするかということは、終戦後の一つの懸案でございましたが、結局これはひとり朝鮮だけではなくて、台湾あり中共あり、各地のこういう同じ問題をここで合理的に解決するという方法は、実際問題としてむずかしいという結論から、前の政府において一応引揚者に対する見舞金は出すというような形で解決したのが実情でございまして、この問題の再度のぶり返しというようなものについては、これは事実上困難な問題であろうと私ども考えております。
  248. 木原津與志

    ○木原分科員 それなら大臣に申しておきますが、海外からの引揚者、この引揚者の人々が何年か前に見舞金という形で二万円足らずの金をもらったという、その引揚者の気持は、まだ朝鮮においてもあるいは満州においても台湾においても、終戦の処理ができておらない。いずれ処理ができた上は正式に財産補償の問題を取り上げてもらえる。その間、まだ長くかかるかもしれぬから、その間の一時つなぎというような形で見舞金をもらうんだ、こういう気持でみんな金を見舞金という形で受けとっておるというふうに私は聞いておる。もしあの一時見舞金で全部終わりだ、あとはもう満州においてもあるいは北支においても朝鮮においても台湾においても問題が片づいた、協定ができて後においても、全然もう財産の補償について考慮をされないというようなことにでもなれば、これは何百万の引揚者が非常に私は失望落胆するだろうと思うのです。早く何とか、たとえば日韓の問題でも日韓会談を早くしてもらって、そうして自分たちの財産補償も正規のルートにおいて政府考慮してもらう、こういうような考えで楽しみにしておるわけです。あなたの今の答弁によれば、もう一時見舞金で終わりだ、あとは何らかの交渉ができても、財産補償の問題はもうノー・タッチということになれば、これは非常に全国の引揚者人たちには大きな失望を与えると思うのです。その点について特に私からあなたにこの機会に要望しておきたいと思うのですが、それではあまり酷なんです。何兆億円に上る財産を政府戦争に負けたために置いてきた。それを今まで待っても何らの補償をしてくれない。今後も補償をしないというのでは、これらの人たちはあまりにみじめであるし、気の毒だと思うのです。特にいろいろな地主補償の問題等が目の前にちらついてくれば——地主補償の点も金をもらうわけじゃない、融資の点でございますけれども、しかし、こうして戦争犠牲者が次から次にいろいろな救済措置を受けておる。引揚者だけがもう知らぬ、しかも現実に大きな財産を失っておるという体たらくでございますから、この点についてもう一回よく総理とも御相談なさって、国家の財政の許す範囲内において、何らかの措置をしていただくように、これは私が希望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
  249. 西村直己

    西村主査 木原さん質問あとそう長くはないですね、きょうは主査報告までありますから……。
  250. 木原津與志

    ○木原分科員 財政投融資の原資の問題ですが、この投融資の原資の中に公募債借入金、今年度は千四百八十二億円の借入金をやっている。昨年度は千二百二十七億円の公募債借り入れになっておりますね。この公募債借り入れをして、そうして投融資の原資をまかなうということは、これは需要に対して原資がそれだけ年々不足しておる、不足するんだということになるのでございますが、それに対して、先ほど井手委員の質問に対して、原資である郵便貯金、厚生年金、国民年金あるいは資金運用部資金の中のこういったようなものは今後ふえる見込みだ、こういうような答弁があったと思いますが、一体原資が需要に応じてふえていくという根拠はどこにあるか、それをお聞かせ願いたい。
  251. 水田三喜男

    水田国務大臣 国民年金資金、厚生年金資金、これは年々ふえていく傾向のものでございますから、その程度のふえ方はするだろうと思います。それから郵便貯金でございますが、これは今までの傾向を見ましても、国民所得の伸び方その他によって、年々一定限度のふえ方はしていくものでございますから、これも減るというのじゃなくて、伸び方が非常に少ないということは予想されますが、いずれにしてもふえていく。簡保も同様とは思いますが、ふえ方は、各原資のうちでは一番少ないのではないかという予想をしておるわけであります。今後、いずれにいたしましても原資は減るということはございません。ふえますが、そのふえ方はそう多い額を期待できないという見通しでございます。
  252. 木原津與志

    ○木原分科員 財政投融資は、戦後の産物だと私ども承知しておるわけですが、そこで原資がなければ投融資というものは成り立っていかないものですね。原資がふえるといっても、それは若干はふえていきましょう。しかし、このふえるという見通しにおいては、今日の国民経済の実態を見てみますと、むしろ原資の増加率よりも投融資全体の増加率がはるかに上回ってくるのじゃないか、去年の当初計画からして、ことしの分では千三百四億円という投資計画が膨大な増額になっておる。そうすると二〇何%かの上昇ですね。こういうように投融資額が年々ものすごい勢いでふえていく。ところが一方原資のふえ方はそれに追いついていかない。そのために借入金というのが必要になってきているのだ。この借入金にしましても、年々ふえておる。初め私ども承知したのは、たしか三十二年ではなかったかと思うが、このときは公募債借入金は四百億をちょっと出た。それが毎年々々どんどん公募債借入金がふえて、ことしは千四百八十二億というような膨大な借入金によってまかなわなければならぬということになっているわけです。そこで、こういうものの原資の増加率よりも投融資の総額の増加率をこんなにべらぼうにふやしても一体大丈夫なものか、私どもはそこに非常に大きな不安を持つのですが、大蔵大臣のこの点についての所見はどうですか。
  253. 水田三喜男

    水田国務大臣 借入金をすることがいいか悪いかという問題ですが、私は、やはりこういう財政投融資計画の中に一定の民間資金活用の計画を織り込むことはいいと思っております。ここに使うために民間の必要資金をそれだけ圧迫するかという問題が起こりますが、この投融資計画においては使途が明瞭でございますし、そういう国民生活に必要な部門に民間の資金を有効に活用するということは、方向としては正しい。この金が無計画に使われるよりも、国が計画的に民間資金の活用をある程度やるということは、方向としてはいいと思います。しかし、今のような経済情勢のもとにおきましては、これがあまり多くふえるということは、民間への支障というようなものも考えられますし、従って、今回は金額こそ多くなっておりますが、この内容を見ますというと、借りかえの部面が三戸億もあるということでございますので、千四百八十二億にはなっておりますが、実質的なふえ方はあまりない、去年と同じ程度に今回はとどめてありますことと、また、これを民間から借り入れるについて、これが民間において消化できないような額であったら、これも問題だと思いますので、関係者を集めた会においても私どもからこの額を示して、皆さんの意見を聞いて、大体この程度ならということで審議会にもきめていただいた次第でございます。この民間資金を一定限度活用するという方向は正しいと思いますが、その額をどのくらいにするかは、やはりそのときどきの経済情勢によってきめるべきものだろうと思います。本年度は、額はふえておりますが、実質的には借りかえに多い金を使うというのですから、その点については、去年より規模を多くふやしたということにはならないと思います。
  254. 木原津與志

    ○木原分科員 先日の公聴会で富士銀行の副頭取であったと思いますが、こういうように民間資金を吸い上げられたのでは、今年なんか特に困る、はたして民間で千四百八十二億を消化できるかどうか自分たちとしてはあぶなく思っている、しかも、金融資金を民間銀行が有効に使って締めなければならぬときに、千四百八十数億も吸い上げられるということになれば、民間銀行の金融操作の面においても影響がある、ということを言っておられる。そこで、三十六年度における千二百三十七億という公募債借入金はどういうふうに消化されたか、内訳を一つお聞きしておきたい。
  255. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 三十六年度の政府保証債、借入金、地方債等合わせました合計は、御指摘のように千二百三十七億で、そのうち政府保証債が八百四十二億円、借入金が二百五億、地方債等が百九十億になっております。大体の消化見込みにつきましては、保証債が七百六十億、借入金が百八十億、地方債が百九十億になるのではないか、かように思っております。
  256. 木原津與志

    ○木原分科員 民間資金の借り入れが、財界方面の一部の危惧のようにできないということになれば、一体政府はどういう措置をとられることになるのですか。
  257. 水田三喜男

    水田国務大臣 今申しましたように、借りかえその他三百億以上ありますので、そのほかの消化能力ということについて私どももいろいろ吟味いたしましたが、今のところこの程度なら消化できると思っております。もともとこういう借入金を財政投融資計画の中へ入れたいきさつを見ますと、一時銀行が預金が非常に多くて、貸し出し競争をやっていろいろな問題を起こして、資金規制の問題まで政界で問題になったときに、私どもは、そういうことよりも、やはり国家目的に沿うた方向資金を動員することが、妥当であり安全だというようなことから出発したわけでございますが、その当時においてすら、やはり金融機関そのほかはこれをあまり歓迎しないことでございましたので、ことに最近のような金融情勢になりましたら、この借入金を消化できるかどうかというようなことをみたがいろいろ言われるかもしれません。しかし、審議会におきましても、関係者も出ておりましたが、大体この程度はよかろうということで承認を願ったわけでございますので、私は、この程度なら消化できると思っております。
  258. 木原津與志

    ○木原分科員 もしこれがかりに民間で消化ができない場合は、政府でどういう措置をとるのか。投融資計画をやり直すのか、あるいは日銀から借り入れをしてまかなうのか、どっちの方法をとるのかを聞くのです。
  259. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 一部は財政投融資でもって肩がわりいたします。足らざる分は翌年度に事業を繰り延ばす、そういうふうに措置いたしたいと思っております。
  260. 木原津與志

    ○木原分科員 そこで、今の原資の問題ですが、原資のふえる率について、財界の一部の人たちの見方としては、現在郵便貯金その他の貯金の伸び率というのは限度にきておるのじゃないか、もうこれ以上の伸びはないのじゃないか、預金の伸びは相当限度にきておる、こういうようなことを言って心配しておる向きがあるわけなんです。ところがあなたの方では、まだ資金源としての預金がそこまではより以上伸びる余裕がある、こういうような見方をしておられるので、そこでわれわれの危惧とあなたの方の考え方とに相違が若干出てくると思う。すると私どものように、あるいは財界の一部の人の言うように、日本の貯金の伸び率というのは非常に限度にきておるということになれば、そして、今後の財政投融資予算は、今までのようにどんどん二〇%も三〇%もふやしていくということになれば、勢いその原資の大部分を、公募債借入金というような形で補っていく、それさえまた民間で消化ができないということになれば、日銀からの借り入れということになる。日銀からの借り入れということは、これは過去においてわれわれが経験したような復金債を日銀に引き受けさせて、そうして産業復興をはかって、あげくの果てがものすごいインフレ、何百倍という物価の騰貴を引き起こした。こういうようなインフレに突入するということになった苦い経験を私どもは持っておるわけなんです。従って、財政投融資の膨張、また原資の伸び率は今後多くを望まれない。それならば、民間資金の借り入れというような問題にも相当の——今日千四百億余りでさえ、財界の一部ではこの消化について危惧しておるというような形になって参りますと、これは勢い今後財政投融資というものは相当締めなければならぬ。締めなければ、このままの状態でいったら、また戦後のようなインフレを引き起こすおそれがあるのではないかということをわれわれ野党として心配するのですが、その点についての大蔵大臣の見通しはいかがですか。
  261. 水田三喜男

    水田国務大臣 原案の伸びについては今おっしゃられたような問題がございます。郵便貯金の伸びも限度ではないかという見方もございますが、去年の四月以後の様子を見ますと、そういう傾向も見られましたが、最近におきまして、相当伸びてきておりますことと、また、今回貯蓄優遇の措置の一環として郵貯の限度引き上げというようなこともいたしましたので、それによって、伸びがとまっているというような状態にはまだならぬだろうと思っております。しかし、いずれにしましても、財政投融資への需要は、今度の場合一兆五千億もあるという状態でございまして、これをあそこまで圧縮した次第でございますが、今後もこの傾向はますます大きくなってくるだろうと思います。しかし、その場合そういう需要にこたえるために、計画の中に借入金をふやすかどうかという問題になると、私どもはそうふやさないでいくつもりでおります。と申しますのは、それだけの要望がありましても、はたして財政投融資の今の原資をもってまかなわなければならぬ性質のものかどうかということを見ますと、相当民間資金に引き受けてもらってもいい事業もございますし、たとえば開発銀行にいたしましても、今対象を相当しぼって、できるだけもうこの辺で民間企業も民間資金によってまかなっていいじゃないかと思われる点は制限しまして、この資金を縮めておるというのが現状でございますが、全体としてやはりそういう行き方をとって、財政投融資はそう無制限にふやすべきものじゃない。それが少ないために民間の借入金を多くするくらいなら、その部分だけできるだけ民間資金にもめんどうを見させるというふうな方向の指導をやるのが本則だと思っておりますので、今後需要が非常に強くなってきましても、私どもは、この借入金を無制限にふやそうというような考えは今のところ持っておりません。
  262. 西村直己

    西村主査 木原君、もう時間がだいぶ超えておりますから適当に……。
  263. 木原津與志

    ○木原分科員 時間の催促ですが、調達庁、長官を呼んでいますから、調達庁長官に二、三だけお許し下さい。  ことしの占領軍の行為による損害賠償の補償額、特別損失補償費というのですか、この補償費が去年は一億三千四百八十万、ことしはこれが約半分に減って七千万、一億を切っておりますね。特別損失補償費が減額した理由は何ですか。
  264. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま木原先生の御質問は漁業補償金額と存じます。漁業補償金額は、昨年度の予算額に比べまして本年度の予算額は増加しております。これを具体的に申しますと、特損法に基づく漁業補償が三十六年度は七百二十五万円、三十七年度は千三百万円にこれが増加しております。   〔主査退席、保科主査代理着席〕 またその漁業補償の大部分を占めておりますところの漁船の操業制限による補償額、これは三十六年度の二億九千五百万円に比べまして三十七年度は三億六千四百万円、こういうふうに漁業補償全体として相当増額をいたしております。
  265. 木原津與志

    ○木原分科員 漁業補償は若干ふえたとおっしゃっておりますが、私は漁業補償実情について一つあなたにとくとお考えいただきたいし、また質疑をいたしたいと思うのです。実は漁業補償金額が非常に少ないというので、アメリカ軍によって基地で漁業を制限されておる人たちが、それによる損害額の認定が非常に不当だというので、一部に大きな波紋を投じておるわけなんです。一例を長崎県にとりますと、昭和三十五年度の長崎県の七億九千万円の補償請求に対して、認定して交付された金額は、実に二千六百数十万という少額なんです。損害賠償請求の七億九千万に対して、実際の支払額が二千六百数十万ということになれば、請求額の三%しか認められないということになるわけなんです。これでは、基地を置かれたためにほとんど食うていけなくなってしまう。何とかこの補償を、もう少し実地に適したような方法でやってもらわなければ、自分たちはも、基地の撤廃を求める運動を起こさなければならぬというところまで詰まってしまっておる。特に長崎県の場合は、漁業制限をされておる面積が、四千五百キロという広大な面積です。これは全国で一番だろうと思うのです。五カ所にも基地を設定されて漁業制限を受けておるわけなんですから、そういうような関係から、この点についての漁民の要望というものは非常に強いわけなんです。  そこで、一体漁業補償をされておる実態は、どういうふうな調査をしておられるか。補償請求額のわずかに百分の三しか補償をしないという実態では、漁民は全く浮かばれないと思うのです。ここのところ、あなた方はどういうような損害の査定をしておられるのか、その実態を明らかにして下さい。
  266. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この漁業補償額を決定する場合におきましては、県を通じまして、地元の漁業組合の方々と十分協議して決定するということにいたしております。
  267. 木原津與志

    ○木原分科員 地元の漁業組合と協議して決定をするということを言っておられるが、協議というのは、終結は納得でしょう。納得のない協議というのは意味ないと思うのです。お互いに納得の上でやっておるのですか。あなたの言うように、協議してお互いに納得の上でやっておるとすれば、七億九千万の請求に対して百分の三、三%の補償額でお互いに納得したのかどうか。その点いかがですか。
  268. 林一夫

    ○林(一)政府委員 おっしゃる通り、要求額は非常に多いのでございます。補償額はこれに比べて少ないわけでございまするが、このような金額を決定するにつきましては、県を通じて地元の漁業組合の方々と相談してこのような金額を決定しておるのであります。もちろんその損害額についての実態調査というものも、やはり各方面の意見を聞いて決定しておるわけであります。またこの決定をする場合においては、各地方に調達不動産審議会というのがございまして、その審議会の議を経てというような手続をやっておるわけでござています。
  269. 木原津與志

    ○木原分科員 今の調達庁の長官の答弁では、私は納得できない。七億九千万の損害賠償の請求をしておるのに二千六百万、わずかに三%しか認定しないで、お互いに納得した額だというのでは、これはまるで話にならない。おそらくこれは長崎の場合だけじゃないと思う。全国の漁業補償についても全部こういうような調子であなた方は泣き寝入りさせておるのが実情だろうと思う。基地をアメリカに提供させるときには、話を聞いてみると、あなた方は損害補償の八割は十分見てあげますと言うて、地元の漁民を納得させておるのですよ。漁民としては、八割を補償してくれるというのであればこの際国家のために米軍の基地を認めなければならぬだろうというような気持で、基地設定に応じておる。一ぺん基地を設定してしまえば、八割どころか、一割も補償しない。わずかに三%くらいしか補償しない。まるでスズメの涙、ペてんにかけて基地を設定させておるということが一般的にいわれておる。こういうようなことをしょったら、今後あなた方が基地をどこで求めて米軍に提供しようとしても、絶対不可能だといっても過言じゃないと私は思う。こういうような補償措置は今後とられないようにしてほしい。相手は生活の問題です。生活の問題ならば、十分な補償をしてやる、そのためには大蔵省に十分な予算を要求して——予算がなければ補償もできない。おそらくあなた方は、大蔵省から査定された金額が少ないから、自然その金額の範囲内において補償するということで、こういうような残酷な、わずかに請求額の三%でごまかして補償のめんどうを見る、こういうことをやっておられると思うのですよ。あなた方に文句を言うおけじゃないが、ここに大蔵大臣もおられるが、こういった基地によってこうむっている損害の賠償については、これから十分大蔵省予算折衝をされて、地元民の納得のいくような補償をしてやるという親心を持っていただきたい。さらにまた大蔵大臣も、今聞かれたような事情で、あなたの方であまりきびしい査定をして予算を削ってしまうものだから、こういうような、保障額が請求額の三%というようなことをされるのですから、今後は一つそういうようなことのないように十分な補償をしてやっていただく。そのためには特損補償費に対する十分な予算を調達庁あるいは防衛庁において要求して、そして今後われわれがこういう問題で分科会でいやみを言わぬでもいいような措置をとっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  270. 保科善四郎

    ○保科主査代理 淡谷君。
  271. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 藤枝長官にきょうはじっくりお尋ねいたしたいと思うのです。実はこの間の、長官の御答弁では、何かアメリカ側の同意が得られないので二百七十億円、七千五百万ドルのアメリカ援助分の内容明示はできないことになるかもしれないといったような話があった。しかし、これは容易ならない話なんです。一体どの程度までその後努力されましたか。その後の経過をお聞きしたい。
  272. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先般もお答え申し上げましたように、104関係の製造をいたしておりまするのは日本のほか西ドイツ、カナダ、ベルギー、オランダ、イタリア等がございます。従いまして、これらの国々についてのいろいろな問題がございますので、先般御要求のありましたような詳細な具体的なデータにつきまして発表をすることは、国際関係もありまして同意しがたいということでございます。これはそういう関係もあるとすればやむを得ないことと存じますが、しかし国会側の御要望もございますので、その御要求通りのようなものはむずかしいといたしましても、ある程度のものはできまするように目下努力しておる次第でございます。
  273. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大へん御努力を感謝いたしますが、分科会はきようでなくなります。私の一般質問は終わっております。審議に間に合うようにお出し願いたいと言ったのが間に合わぬじゃないですか。予算審議が終わってから、のこのこある程度それを出されてもどうなりますか。二百七十億円は依然としてこれはやみの中に葬られます。一体それをいつ出されますか。
  274. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今いろいろ数字を整理いたしておりますが、おそらく明日はある種のものはお出しできるのではないかと存じております。
  275. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは、その点につきましてはあしたの理事会等でいろいろ御相談申し上げまして、ぜひそのお出しになる資料を生かして何らか予算審議中に審議の機会を得たいと思いますから、十分誠意のある資料をお出し願いたいと思います。  そこで、この資料をお出しになるにつきまして、出してからまた文句を言っても時間もございませんから、今から少しあなた方に御注意申し上げたいことがあるのです。これはまず一番先に大蔵大臣にお聞き願いたいのです。実はこの間、新保生計官においで願いまして、この六百九十八億ですか、昭和三十九年度の国庫債務負担行為をきめました場合に、その内容はわれわれには航空機購入費として示されている。六百九十八億という膨大な高をたった一筆航空機購入だけではあまりに不親切じゃないかということを申しましたら、大蔵省の方にはもっと詳しいデータがある。それを聞いたら、実は一機々々の生産費はないけれども、全体の製作費を全部寄せてそれを二行で割ったものが単価として現われてくるのだという御答弁があった。これでは今までの説明、われわれの審議の過程に明らかにされたものとは全然違う。この国庫債務負担行為をとります場合に、あなた方の考慮された資料というのは、全体をひっくるめてアメリカの二百七十億を加えて、それを二百機で割ったという形が正しいのでございますか。そういうふうにされておりますか。大臣から一つお答え願いたい。
  276. 水田三喜男

    水田国務大臣 申しわけございませんが、その債務負担行為を、どういう積算で負担行為をとったか、その間の経過をよく存じません。
  277. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 実はあなたの方の新保主計官がそういうお答えをしている。まだ速記録が出て参りませんから読み上げるわけに参りませんけれども、水田大蔵大臣という人は非常に慎重な方で、もう一万、二万の予算でもちゃんと目をお通しになる方だと思いましたら、どうして防衛費だけは六百九十八億なんという大きなものをのみ込めるのですか、これがほんとうの、うのみというものじゃないですか。もう少し予算内容を、大きい高だけにおわかりになってもいいと思います。しかし、あなたのもとで働いております主計官の言うことですから、これはわれわれは信じるしか仕方がないと思いますが、いかがでございましょう。これが信じられなければ、どうも大蔵大臣を信用しかねるのでございますが、どうです。
  278. 水田三喜男

    水田国務大臣 防衛庁の予算の査定をしますときに、航空機関係の費用は一機々々計算したのではございませんで、全体で飛行時間がどうとか、それに要する燃料はどうとか、部品の使用というようなものを全部積み重ねて、そして全体の飛行機数で割って計算するという方法はとっておりますが、債務負担行為のときにやはりそれに準じた方法でやったかどうかという点だけ私存じませんが、もし主計官がそう答えたとすればその通りだと思います。
  279. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、防衛庁のお答えが全然逆になる。これは全体を二百で割ったものではございません。一機々々積算した合計がこうでございますという御答弁を幾たびかもらっております。この食い違いはどうなさる。藤枝防衛庁長官お答え願いたい。
  280. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 従来、三十五年でございますか、この六百九十八億の国庫債務負担行為を御審議を願うとき以来お答え申し上げているのは、たとえばDJ一機当たりはどれくらいになる、あるいはJ一機当たりはどれくらいになる、平均して幾らになるというようなお答えをいたしているわけでございます。そのもとはDJ二十機とJ百八十機を生産するに必要な各種の材料の基礎をもちまして、それとあるいは管理費であるとか利潤であるとか、そういうものを積算をいたしまして出しましたものが六百九十八億であります。これにアメリカ側の負担の二百七十億があるわけでございます。従って、そういう積算をいたしたと私は存じますけれども、それが一機当たりどういうことになるのだということで一機当たりにいたしますと、DJは幾ら、Jは幾ら、あるいは平均いたしまして二百機の平均は幾らというお答えをいたしておったと存ずるのでございます。
  281. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その積算の基礎に誤りがあると全部の額も単価も狂ってきますね。これはどうです。積算の基礎が誤っていると単価も違ってくるし、全体も変わってきますね。
  282. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 積算の基礎に誤りがあるということはどういう御意思か、少し私、御質問の要旨を十分把握していないかと思いますが、この材料費その他に非常な見積もりの違いというようなものがもしあれば違ってくることになってこようかと思いますが、予算を編成される場合にはもちろん見積もりでございます。従いまして、現実に生産をいたしましたときには、しばしばこの席でもお答えいたしましたように、契約のあれは最高限をきめました概算契約でございますから精算をするということになろうかと思います。その御質問の要旨を十分把握しておりませんので、お答えにならぬかと思いますけれども、これがあまり動くことはないと存じております。
  283. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは、最近出されました防衛庁の資料について一つお伺いしたい。落ちついて御答弁願いたい。ただ、この間のアメリカの援助分の答弁についてのいきさつもございますので、きょうは装備局長なりその他の方からお答えになるときは大臣の責任としてお答え下さい。あとで、装備局長はこう言ったがおれはそう言わぬということになれば安心して質問ができません。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  284. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政府委員のお答えをいたしましたことにつきましては、私責任を持つ次第でございます。
  285. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 最初に組立機というものの数をお聞きしたい。どうもこの間の装備局長答弁では、私の胸に落ちません。お出しを願いました「F104について」という資料をとっくりあなたの方でもごらん願いたいのです。種もしかけもございません、あなた方の出された資料に基づいて質問するのですから。これを見ますと、二ページ「F104Jの初めの三機はロッキード社で完成し、アメリカにおいて飛行試験および航空自衛隊のパイロットの訓練に使用され、」、これは誤りございましたという御答弁があった。その点はつきませんが、この三機というのはこのままやはり日本に入ってくる。これを「分解梱包のうえ輸送され新三菱重工で再組立てされる。」というのですから、この三機は組立機と見るのが至当だと思いますが、いかがでございますか。
  286. 久保忠雄

    ○久保政府委員 お答えいたします。その通りでございます。
  287. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 装備局長の帳簿に、はっきり三機と書いてある。あなたはよくあとで数が混乱しますから、いたずらにきょうは時間をとりたくございませんから、そのつもりでじっくりやっていただきたい。  その次に、三ページにあります「次の十機分は、個々の部品の状態でロッキード社から購入して組立て、」ということになっているの、ですが、十機分はやはり組立機と私たちは理解しますが、その点いかがですか。
  288. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまおっしゃいましたのは、三機の次に七機という区分はございませんでしょうか。十機でございますか。
  289. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはあなたの方にないのですか。私の方にはちゃんと次の十機としてありますよ。——その前にあるでしょう。その前に「第四号機から第十号機までは」というのがありますね。これは七機でしょう。その次にまた十機とある。ついででございますから、第四号機から第十号機までという二ページのあとの方は七機、そのあとの十機、これはいずれも組立機とわれわれは理解いたしますが、どうですか。
  290. 久保忠雄

    ○久保政府委員 この七機と十機は、契約面におきましては製造機と呼んでおります。
  291. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうして製造機なんですか。解体して組み立てて、これはノックダウンじゃないですか。あるものは組み立てるまでは製造機、あるものは組立機、この混乱はどこからきますか。間違いのないようにしっかれ打ち合わして下さい。
  292. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先般も申し上げましたように、組立機と申しますのは、アメリカにおいて完成機まで持って参りまして、それを解体して輸送をしてこちらに持ってきて組み立てるもの、すなわちDJ二十機とJの三機であります。この二十三機を組立機という名前で呼んでおります。従いまして、先ほど御質問のございました七機と十機は、これはこちらの作業に注目いたしますと製造と同じになりますので、観念からはノックダウンと呼んでおります。この十七機と国産機の百六十機を合わせました百七十七機を契約面では製造機と呼んでおるわけであります。
  293. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 まだ二十三機までいくには早いのです。それでは、この四号機から第十号機までは製造機ですか。
  294. 久保忠雄

    ○久保政府委員 製造機に入っております。
  295. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これを製造機にすることはまたあとで問題が生ずると思うのです。次の十機はどうです。
  296. 久保忠雄

    ○久保政府委員 次の十機は製造機に入れております。
  297. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、DJ二十機はどうです。
  298. 久保忠雄

    ○久保政府委員 DJ二十機は組立機でございます。
  299. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 組立機、製造機の区別が実にあいまいなんです。それじゃあとの残りの百七十七機ですか、これはどういう作業をするのです。向こうで作るものはないのですか。
  300. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約面で組立機と呼んでおりますのは、向こうで一たん完成機にいたしましてこちらに輸送して持ってくるもの、これを組立機と呼んでおるわけであります。従って、ノックダウンですと、いわゆるノックダウン機と呼んでおりますこの七機と十機の分につきましてはアメリカでは完成機になっていないわけであります。その一部分まで作りましてそれをそのまま日本へ持って参りまして製造する、こういうことになります。
  301. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうすると、この二十三機というものは日本独得の組立機という言葉であって、ノックダウンとは全然関係ないのだ、こう理解してよろしいですか。
  302. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その点は、前から申し上げておりますノックダウンというものをどういうふうに定義するかという問題に関連すると思います。向こうで一たん完成いたしましたものもノックダウンの一種だと呼べばノックダウンと呼べるわけでありますが、この契約面におきましては、こちらの作業に重点を置きまして組立機というふうにこの二十三機を呼んだわけであります。
  303. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 組み立てという作業ならば、こっちで作るのも組み立てるじゃないですか。材料だけではないでしょう。どうせ組み立てるのでしょう。私たちが前から受けておる説明によりますと、組立機とはアメリカで完成しようがしまいが、こしらえた飛行機を日本へ持ってきて、あるいは解体しあるいは部分品をそのまま組み立てるのがノックダウン方式組立機だと聞いてきた。そうしますと、四十機になる。なるでしょう、四十機。どうもその区別が全然また変わってしまった。その当時とは変わってしまったのですね。
  304. 久保忠雄

    ○久保政府委員 従来予算の要求その他契約前におきましては、ただいまおっしゃいましたようにこの四十機をノックダウン機というふうに呼んでおったのでありますが、契約を締結いたします際にその点を始終議論いたしまして、新三菱における作業の実態に着目いたしまして、向こうで完成をいたしましたものをこっちへ持ってきて組み立てるものを組立機、そうでないものを製造機というふうに分けたわけであります。これは契約の際にいろいろ議論をいたしましてそういう形にいたしたわけでございます。
  305. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、前の三機とその次の七機と次の十機と、それからそのあとの百八十機ですか、これは四種の単価が出ますね。そうじゃないですか。
  306. 久保忠雄

    ○久保政府委員 四種の単価が出ます。
  307. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それとDJ二十機と、五種ですね。この五種について単価を一々知りたいのです。
  308. 久保忠雄

    ○久保政府委員 申し上げます。DJ二十機の単価は前から申し上げました通りであります。Jの三機の単価でございますが、これがドルで申しまして百五十万四千二百六ドルでございます。それから十七機の単価が百三十五万八千六百四十八ドルでございます。それからあとのJの百六十機でございますが、これの単価が百十万四千五百六十一ドルでございます。
  309. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もう一種あるのじゃないですか。初めの三機と七機と十機がやり方が違いますね。いわゆるノックダウン方式とそうじゃないものと、同じ価格ですか。DJ、J三機、J七機、J十機、それから百六十機、こうなっているのでしょう。
  310. 久保忠雄

    ○久保政府委員 七機と十機は若干ノックダウンの性質が違いますけれども、単価といたしましては同じでございますから、十七機で一本にいたしております。
  311. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもこれを言うと、またあなた、アメリカがと言いますかな。このノックダウンつまり組み立て機の分は、あの単価はこの間あなた引っかかったのですが、きょうはできますか。三機と十機はもう答弁できますか。できるなら言ってもらいたい。この間はあなたはできないと言って断わった。きょうはできますか。   〔保科主査代理退席、主査着席〕
  312. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまのは今計算をいたしておりますので、先ほど長官から申されましたように資料でお出しをしたいと思います。
  313. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ資料が出てから、何らかの機会を理事会の方にとっていただきましょう。  そこで、もう少し私、これについて疑問があるのです。これが同じだということも、ちょっと私は受け取れないのです。こういうふうにいろいろな単価の構成が不明朗なものが今までなされていたとわれわれは見ている。これはこの前に藤枝長官の答弁と元長官の赤城さんの答弁とが完全に食い違った例なんです。藤枝さんの答弁を伺いますというと二百機平均が百十二万六百八十一ドル。赤城さんの答弁では百八十機の平均で百十二万八千五百九十五ドル、こうなっていますね。これはお認めになりますか。そんなことを言った覚えがないと言ったらそれきりですから。
  314. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 三十五年当時お答え申し上げましたのと私の申し上げました違いでございますが、ただいまお話しの、私が百十二万六百八十一ドルと申し上げましたのは二百機の平均単価でございます。それからただいまもお話がありましたように、三十五年当時にJだけの百八十機の一機当たりの単価が百十二万八千五百九十五ドルとお答えしておると思います。これに対しましてJ百八十機の一機当たりの単価を私がお答え申し上げましたのは、百十三万五千二百十九ドルと申し上げたつもりでございます。
  315. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは長官、少し落ちついてお考えになればわかると思うのです。赤城さんがおっしゃった百八十機にはDJが入っていなかった。あなたの方の二百機にはDJも入っていますね。そうでしょう。これはこの間私申し上げましたけれども、長官、御理解がなかったのです。つまり赤城さんの答弁の中にDJが入ってしまうと、二有機では単価算定の基礎には変わりありませんね。赤城さんも二百機平均を出されたならば変わりないでしょう。どうですか。あなたも二百機平均です。二百機しか買わないのですから、赤城さんも二百機平均ですから、こうなったら変わりがないでしょう。この点どうですか。
  316. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 整理して申し上げたいと思います。  DJの三十五年当時の答弁は、一機当たりに直しますと百四万七千二十七ドルとお答えしてあるはずでございます。それが今回契約したときによりますと九十八万九千八百三十九ドルに下がっております。それからJの百八十機分の一機当たりにいたしまして、三十五年当時は百十二万八千五百九十五ドルとお答えしているはずでございますが、それが百十三万五千二百十九ドルと、これは当時お答えしたよりも単価が上がっております。そうしてその二百機の平均が三十五年当時は百十二万四百三十八ドルとお答えしておるはずでございますが、ただいま申し上げましたようなことでございまして、平均いたしますと百十二万百八十一ドルと約二百五十ドルほど一機当たりが上がっている。こういうふうにお答えしたはずでございます。
  317. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 実は私はきょうはあなた方から資料をいただきまして、詳細にあなた方の平均単価というものを割り出したかった。それが出ませんから端的に申し上げるのですが、何も長官、むずかしく考える必要はないのです。赤城さんの平均単価が二百機平均と出ておれば、何もそういうむずかしい考え方は要らないのでしょう。つまり赤城さんの方の百八十機平均の中にDJが入っていないから勘定がむずかしくなるので、DJが加わっている平均単価ならば何もめんどうはないでしょう。あなたの方も二百機平均、赤城さんの方も二百機平均でしょう。どうです。
  318. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 当時もこの衆議院の予算委員会、あるいは予算分科会でお答えしたかどうかなお調査をいたしませんとわかりませんが、三十五年当時は二百機の平均は百十二万四四百三十八ドルとお答えしているはずでございます。先ほどお話がありましたように、Jだけの百八十機分の一機当たりの単価はお示しのように百十二万八千五百九十五ドルとお答えしていると思います。それが現在におきましてはしばしばお答えいたしますように百十三万五千二百十九ドルとなっていると申し上げているつもりでございます。
  319. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ここに材料がありますからごらん下さい。私の言った通りになっております。どうぞ一つ、だれかこれを見てお答え願います。私、勘定しましたら、政府答弁が十八回価格が変わっております。だから最終的に確かめて、横路分科員予算委員会分科会で確かめた速記録がここにございますから、これを一応ごらん下さい。これは最後の案としてわれわれ受け取っているのです。ここにありますから。   〔淡谷分科員、藤枝国務大臣に会議録を示す〕  私、これは赤城さんの方を積算してみたのです。あなたのおっしゃるJの価格もDJもちゃんと数を合わせましてここにございますが、これで見ますと数がやはり合うのですね。平均価格が百十二万八千五百九十五ドルで、ちゃんと合います。あなたの方は合わせる資料がないのです。ですからこまかいものを全部お出し下されば平均をとってみますが、ただ私考えますと、赤城さんの出しました平均単価というものは、ここに書いてある通りDJは入っていないのですね。DJが入っていれば二百機、二百機であなたの方もちっとも変わりがない単価ができたと思う。ただ二十機が加わった場合、今の価格よりも高い価格で加わるのですから、平均単価は高くなっても安くならないですね。赤城さんの場合、もっと上がります。だから、そうなると今の単価よりもその当時は高かったと私は申し上げておる。あなたは安かったとこう言う。
  320. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 多少計算に食い違いがあるように私感ずるのでございますが、もう一度最初から赤城さんのおっしゃったのと、それからただいまこちらの方で説明をいたしておりますのと対比して御説明いたしたいと思います。  前に赤城さんが御説明になっておりますのは、F104DJ二十機分として、これは一機当たり百四万七千二十七ドルでございます。そうしますと二十機でもって二千九十四万五百四十ドルでございます。それに対しまして今度契約をいたしました金額は、この二十機のことでございますが、一機当たりが九十八万九千八百三十九ドルでございます。これの二十機でございますから千九百七十九万六千七百八十一ドルでございます。差引しますと百十四万三千七百五十九ドル、これだけ契約の方が安くなっておる、こういうことになります。  それから次に104Jのノックダウン——当時ノックダウンとして説明しております二十機分でございます。これがその当時の予定では百二十八万九千九十三ドルでございます。これが二十機でございますから二千五百七十八万一千八百六十ドルでございます。それに対しまして今度の契約いたしました二十機分は、単価にいたしますと、これはあとでまた御説明申し上げますが、一機当たり百三十八万四百八十一ドルでございます。四十五セント、セントは省略いたします。これの二十機でございますから二千七百六十万九千六百二十九ドルでございます。従いまして今度の契約分の方が超過いたしました金額は百八十二万七千七百六十九ドルでございます。  次にF104Jの百六十機の分でございますが、これは赤城さんの御説明になっておりますのは、一機当たり百十万八千五五百三十二ドル、これの百六十機でございますから一億七千七百三十六万五千百二十ドルでございます。これに対しまして今度契約いたしました百六十機分の単価が百十万四千五百六十一ドルでございます。これの百六十機分でございますから一億七千六百七十二万九九千七百八十二ドルでございます。差引いたしまして六十三万五千三百三十八ドル、これは赤城さんの方のよりも安くなった。従いまして、この三者を合計いたしますと四万八千六百七十二ドル、これだけ不足が生ずる、こういうことに相なっております。これを全部二百機として単価を出しますと、赤城さんの御説明になりましたものは百十二万四百三十八ドルでございます。この三つのものを全部込みにしまして二百機で割ったものでありますが、これが百十二万四百二十八ドルでございます。それに対しまして今度の契約いたしました分が百十二万六百八十一ドルでございます。従って単価といたしまして、二百機の一機当たり二百四十三ドルの不足ということに相なるわけでございます。  なお、二番目に申し上げましたノックダウン二十機というのを若干補足説明さしていただきますと、これは先ほど装備局長の方からお説明を申し上げたと思いますが、組立機と製造機でもって単価が違っております。(淡谷分科員「今度また違うんですか」と呼ぶ)はあ。それでそのことを申し上げますと、104J三機は、先ほど申し上げましたように組立機でございまして、向こうで完全なものをばらしまして、こちらへ持ってきて再組み立てをする。要するに二重手間でございます。従って工賃等の面で値上がりする、費用のかかる部面がございますので、この三機については単価が違っております。この104J三機につきましては、一機当たりの単価が百五十万四千二百六ドルでございます。それからあとの十七機でございますが、これは向こうで完全なものに組み立てて、向こうでばらして、またこちらで組み立てるという二重の手間がかかりませんので、こららで新三菱との契約面では製造機として扱っており、若干単価が落ちます。これは一機当たりが百三十五万八千六百四十八ドルでございます。従いまして、この組立機の三機と製造機の十七機と、合計二十機を加重平均いたしますと、一機当たりが百三十八万四百八十一ドルということに相なりまして、先ほど申し上げましたこの二番目の数字が出てくるわけでございます。
  321. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうも組立機と製造機と加重平均したりする単価ですからね。私、やはり組立機は組立機のように、製造機は製造機のように、同じ組立機でも、完成度の相違は完成度の相違としてお出しになった方がよほど親切だろうと思うのです。非常に重大な御発言がございましたが、あなたの計算によりますと、私まだこまかいことは当たっておりませんけれども、赤城さんの平均単価は誤りであるというのですね。ここにはっきり書いてあります。
  322. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 当時契約前でございまして、予算の積算をいたしましたその単価が百十二万四百三十八ドルと申し上げました。百八十機だけを申し上げますと、一機当たり百十二万八千五百九十五ドルと申し上げておると思いますが、その後契約を実施いたしまして現実に契約をいたしましたのは、先ほど来申し上げましたようなことでございまして、Jの百八十機一機当たりの単価にいたしますと百十三万五千二百十九ドルということに相なるわけでございます。
  323. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもこれは、少しあなた方の都合のいいような計算だと私は思うのです。試みに私の計算を申し上げますと、二百機平均にしてみますと百十二万六百八十一ドル、これはまああなたの方のまだこまかい単価積算の基礎が出てこないのですから、やる方法もありませんが、赤城さんのは百八十機で百十二万八千五百九十五ドル、これにDJを加えた平均を出しますと、もっと高くなるのです。これを加えると高くなります。出してあるその総計は、ほとんど大体が今の総額と同じになるのです。あなた方の出したこの平均単価に二百をかけた数字と同じになります。狂いがない。この、今あなたのお示しになった赤城さんのこの積算でいくと、もっと平均単価は安くなるとあなたはおっしゃるでしょう。だいぶ安くなっているでしょう。さまざまこまかしい計算を出しましたが、百十二万四百三十八ドルと、こうなりませんよ。赤城さんのこの平均単価からくると、はっきりここに書いているのですから。ここに大きな食い違いがあるのです。予算積算とは言わせません。明らかに違っているのです。これはやはりどう勘定しましても、世間の常識からいいますと組立機が四十機、製造機が百六十機と、こうなるのですね、あなた方の資料に基づくと。まあそれは勝手に組立機だの製造機だのといってしまえばそうですが、その点はどうもはっきりしません。これはいずれあなた方のお出しになった資料でよく当たってみますけれども、もしあなた方のいうこの単価が正しいものとすれば、赤城さんの出してこられた前の答弁は完全にこれは誤りである、こうなるわけです。これはどうですか。
  324. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 当時の資料におきましてお答えをいたしたときには、一機当たりの単価にいたしますとそういうことに相なったと思います。百十二万四百三十八ドルと当時二百機については申し上げておるはずでございますが、そうならぬというお話でございますが、私どもはそうなると存じます。ただその当時は、とにかく予算の積算をいたしましてそういうお答えをいたしたわけでございますが、その後現実に契約をいたしました単価をただいまは申し上げておるわけでございまして、その間に多少の出入りがございますが、これは当時が誤りであったとか、今が正しいということではなくて、契約前の見積もりと、現実に契約をいたした際との相違であると御理解いただければ幸いだと思います。
  325. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもあなた方は、あなた方の単価を正しいという観点に立つからそうなってしまうので、この速記録に残った答弁を見ますと、百八十機のこの単価の百十二万八千五百九十五ドルというのは、DJを省いた高なんです。これをDJを加えていさえすればもっと明瞭なんです。これはDJを加えましても、もう下がらない。下がるわけがないでしょう、高くなる要因があるんだから。いやいや、高くなるというのは比較的にですよ、今のは、あなた方の方で加えているのは、これは安い単価ですからね。従って私は、この今お出しになった百十二万というものは、これは非常にその当時違ったのか、あなた方が違っているのか、十分考えてみる必要があると思う。その点はさらにあとに残しましょう。やはりこの百八十機の百十二万八千五百九十五ドルというものは、もう一ぺんあなた方の方でも調べ直してみて下さい。出てこない。  そこで、さらに話を進展させましてお聞きしたいのですが、アメリカの分担金七千五百万ドルは、それではあとでできるだけ詳しく聞かしてもらいますが、あなた方の平均単価で二百機を積算しますと、総額幾らになります。
  326. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これはドルで申し上げますか、円で申し上げますか。
  327. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どっちでもかまいません。
  328. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ドルで申しますと、二百機全体で二億二千四百十三万六千百九十二ドルでございます。
  329. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ついでに円に換算して下さい。
  330. 久保忠雄

    ○久保政府委員 円に換算いたしますと八百六億八千九百二万九千円でございます。
  331. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大体が八百六億八千九百万ですね。それは予算的に言うと、国庫債務負担行為にアメリカ援助分の二百七十億を加えたものというふうに理解してよろしいですか。
  332. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そうでございます。六百九十八億の一部と七千五百万ドルの一部を合計したわけでございます。所属品が、いわゆる補給部品とおっしゃいます所属品が六百九十八億とか七千五百万ドルに入っておりますので、それを除いた額になるわけでございます。
  333. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもあなたの答弁、また変わりましたね。この間あなたの方で出されたこの書類に基づきまして所属品というのがあるでしょう。所属品は何かと言ったら、これは飛行機は飛行機としてナサールも積み込み、サイド・ワインダーも積み込み、飛べるようにしてちゃんと武装して、それで飛行機は来るんですと、その後若干の所属品がまた補給するためにつけられるのだという御答弁でしょう。これはわれわれの聞いた補給部品というものと同じかと言ったら、そういうふうにとってかまわないと答弁していますよ。そうしますとこのお出しになった資料の中には、全部で六百九十八億円全部あるのじゃないですか。全く違っちゃいましたよ、また答弁が。
  334. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは変わっておりませんですが、初度部品二〇%というものを今除いた金額を申し上げたわけであります。
  335. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 除いてないでしょう。これは出てくる飛行機は全部部品を備えているでしょう。しかもこれはあなたの方の資料をもう一ぺん見てごらんなさい。三ページにあります。契約相手方は新三菱のほかに石川島があるでしょう。これはエンジン及び初度部品ですね。それから三菱電機、初度部品、これらのものをそっくり加えまして総計六百九十八億六百万になっていますよ。初度部品は入っているのじゃないですか。日本の方はフルに出しておいて、アメリカの二百七十億円の方がそれでは減っているのですか。
  336. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そこにあげております数字は各会社と契約をいたしました金額でございますから、それぞれのところに初度部品がみな入っております。
  337. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この初度部品というのは、補給部品ではないのですか。
  338. 久保忠雄

    ○久保政府委員 われわれ初度部品と呼んでおりますのは、前に申し上げました本体の二〇%ということで、淡谷先生この間おっしゃいました補給部品のことでございます。前に差し上げました資料の中の各会社との契約金額は、この初度部品も全部含めた、たとえば三菱との契約でございますと、初度部品も含めた金額が書いてございます。二百機の単価を出しました場合には、初度部品は入ってないわけでございます。
  339. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 二百機の単価の中には初度部品は入ってない。この初度部品は、航空機に使っているものは入ってないのですね。これは完全に補給部品だけですね。
  340. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そうでございます。飛行機に積んでないものでございます。今までおっしゃいましたいわゆる補給部品というのが、われわれが今初度部品と呼んでいるものでございます。
  341. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃおかしいじゃないですか。そうしますと、これがちゃんと契約の中に入っているならば、六百九十八億と二百七十億、こいつを合算したものは、あなたは補給部面が入っていないというのでしょう。これは入っているのですか。それから飛行機の単価が入ってない。それじゃ初度部品の中には、飛行機に使うものは一切入ってない、こう了解してよろしいですか。
  342. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ですから、今できております飛行機に入ってないものが、初度部品に入るわけでございます。それは将来の故障その他に備えまして、本体に対して二〇%準備をしておくものをわれわれは初度部品と呼んでおります。
  343. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはこの間は長官から、二〇%にならぬと言いましたが、一九%幾らになりますか。
  344. 久保忠雄

    ○久保政府委員 一九・九七でございます。
  345. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このうち日本は幾らで、アメリカは幾らですか。
  346. 久保忠雄

    ○久保政府委員 初度部品の金額は、日本側が百十五億九千七百六十万八千円でございます。それから米国側が四十五億一千九百十八万五千円、合計いたしまして百六十一億一千六百七十九万三千円でございます。
  347. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このアメリカの部品の中にナサールは入っていますか。ナサールは一基どれくらいですか。
  348. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ナサールは入っておりません。これは国産をする考え方でおりまして、六百九十八億の方にナサルの初度部品を入れております。
  349. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どこで作るのですか。
  350. 久保忠雄

    ○久保政府委員 お手元にお渡ししてあると思いますが、その資料の中でIGE、島津、三菱電機、日本電気、その辺のところの契約の中に入っておるわけでございます。
  351. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その単価はわかりますか。
  352. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは初度部品は、御承知のように、一つの完成したものでございませんで、一番悪くなるところ、コンポーネントで注文しておりますので、完成したものの単価は出てこない。初度部品というのは、完成したナサールを作るものでございませんで、ナサールの部分で悪くなるおそれのある部分を初度部品として作っておりますので、はっきりナサール一基分の単価というようなものは出てこないわけでございます。
  353. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私は、初度部品の質問をしておるのじゃないのですよ。ナサール一基アメリカでは幾らかと言ったら、アメリカで作るのじゃない、日本で作るのだと言うから、どこで作りますか、その単価はと聞いたのです。初度部品じゃないのです。私の聞いておるのは、ナサール一つの単価は幾らだと聞いておるのです。
  354. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは三菱との契約の材料費の中に入っておりますので、今調べますから、お待ちをいただきたいと思います。
  355. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 調べて下さい。
  356. 久保忠雄

    ○久保政府委員 材料費の中に部品として入っておりますので、ここではっきりわかりませんが。
  357. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ナサールは初めから問題になっていましたね。今の航空機の構造上、積み込めないのじゃないかという疑点がだいぶ入っておった。上部に脱出口を作ることが相当困難な作業だということを言われておった。しかもあなた方の資料においても、特にナサールのことを一ページ設けておるのです。そして材料費の中にぶち込んでおくというような勘定は、私はどんぶり勘定といわざるを得ないのですが、それではあと資料をお出しになるときに、これをお出し願いたい。  それでは伺いますが、今度小牧に入ってきた飛行機ですね、あなたの方の一号機、これにナサールが積んであります。
  358. 久保忠雄

    ○久保政府委員 積んでおります。
  359. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはどこで作ったナサールですか。
  360. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ノース・アメリカンのオートネティックスというものの製作でございます。
  361. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この価格はわかりますか。
  362. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ナサールだけの単価というのは、ちょっとわかりかねるのですが……。
  363. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは一つあと資料をお出しになるときに、それくらいのお答えがあったんだったら別段差しつかえがないでしょうから、できるだけ詳しくわかるように出していただきたい。これはやはり国民が疑点としておる点は明らかにする必要があると思う。あの航空機には、ナサールはついていないのだといううわさがずいぶん立っていますから、この点を明確にするためにも、その点をはっきりした資料としてお示しを願いたい。  それからこの間お答え願いましたけれども、この積算の基礎としていろいろあげられた中に、金利を見た点がありますが、これは金利は、あれだけの率でどのくらいの資金に掛けてみたわけですか。利率だけじゃしようがありませんから……。元金はどのくらい見たのです。
  364. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先般、金利の率を五・三六%と申しましたが、その契約の原計の中で入っております額が約二十億でございます。
  365. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それから、この国庫債務負担行為が三十六年度からくずれていくわけなんですが、これが契約に奉づきますと前渡し金になり、そうしてまた飛行機ができたときは現金を払ういずれにしましても最終年度である昭和三十九年度の末までに全部この代金が支払われるわけなんですが、一つこれを支払った額と飛行機ができる額とについて、お調べはございますか。
  366. 久保忠雄

    ○久保政府委員 三十六年度の前金といたしまして五十七億七千万円程度払っております。
  367. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三十六年度にできる飛行機との差額は幾らになります。
  368. 久保忠雄

    ○久保政府委員 この中には三十六年度に一機受領する予定になっておりますので、その一機分の金額が入っておるわけでございますが、それは前に契約需で申し上げましたように、三十六年度に受領いたします分といたしましては、一機の単価は千二百四十七万三千円になるわけでございます。
  369. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これは全部新三菱へ払いますか。それとも他の契約者にも払いますか。
  370. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは本体の新三菱五工の契約と、それからエンジンにつきまして石川−島重工と契約しておりますが、この両者に対して払った分でございます。
  371. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その前渡し金には金利がついていますか。
  372. 久保忠雄

    ○久保政府委員 前渡し金の分の金利は引いて計算をいたしております。
  373. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 引いてというのは、前渡し金の金利はつかないという意味ですか。ついたという意味ですか、つかないという意味ですか。
  374. 久保忠雄

    ○久保政府委員 前金の金額に相当する金利を、最後の金利の計算をいたしますときに差し引いているわけでございます。要するに全体の金利から、その前払い金に当たる分の金利は引いているということでございます。
  375. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 結局前渡し金には金利がつくというのですね。払うのはいつでもかまいませんけれども……。
  376. 久保忠雄

    ○久保政府委員 結果から見まして、前渡し金には金利はつかないということでございます。
  377. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 前渡し金に金利がつかないと、資金は前渡し金だけじゃできないという意味ですね。よそから借りてくる……。
  378. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そういうことでございます。
  379. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その金利をつける資金の二十億という積算の基礎はどこにあったのですか。
  380. 久保忠雄

    ○久保政府委員 資金の需給状況を全部調べまして、原価計算の中で見ているわけでございます。
  381. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ともかくもこの価格計算の基礎には大体金利はそれくらい見て、めんどうを見てやるだろうし、どうせあなた方が払うでしょう。会社が払うのじゃない。純利益として計上されております五・二一%ですか、あれを大体やってみると全部で三十五億くらいになりますね。幾らになります。
  382. 久保忠雄

    ○久保政府委員 新三菱の分が十九億程度になります。
  383. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あとの方も全部入れましたら三十五億くらいになるでしょう。
  384. 久保忠雄

    ○久保政府委員 利益は十九億五千万で、先ほどの金利が二十億、あと一般管理費が五億。
  385. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あのパーセンテージでこの国庫債務負担行為にかけるのだとおっしゃいましたけれども、それじゃ十九億なんかじゃないでしょう。そうなりませんか。六百九十八億ですよ。
  386. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今申し上げましたのは新三菱との契約で申し上げております。総体の単価は四百十九億八千六百万です。
  387. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 他の方も入れたらそうなるのじゃないかと言ったのです。あとの会社も入れたら、そうなるでしょう。三十五億くらいに相当するでしょう。
  388. 久保忠雄

    ○久保政府委員 他の会社の利益につきましての資料を今ここに持っておりませんので、はっきりは申し上げられません。
  389. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ずいぶん気が大きいですからね、防衛庁は。やはり資料にはそういう点をはっきりお出しを願わないと実際予算の審議はできないです。その点は今後出される場合は相当気をつけてもらいたい。  それから、この契約をした相手方に、航空機製造事業法で許可を得ていない会社がありますね。
  390. 久保忠雄

    ○久保政府委員 航空機製造事業法の適用を受けておりますものでは、許可を受けていないものはないはずでございます。
  391. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 航空機製造事業法は、大体航空機及びその部品を製造する会社が全部受けなければ作れないことになっていますね。それじゃ聞きますが、たくさんある会社の中で、新三菱はもちろん受けているでしょう。石川島は受けているでしょう。三菱電機が受けているでしょう。日本電気はどうですか。
  392. 久保忠雄

    ○久保政府委員 日本電気は、部品の通信機として許可を受けております。
  393. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 実はここに通産省からもらった資料があるので参照してみましたが、見えませんね。うそじゃないですか。何年に許可を受けておりますか。そっちがほんとうとすれば、こっちがうそになるのですがね。
  394. 久保忠雄

    ○久保政府委員 受けておるはずでございますが、今資料がここにございませんので……
  395. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ここにありますから、お持ち下さい。これは通産省の資料ですから、間違いないでしょう。探してみて下さい。——ついでに、東洋通信機はどうです。
  396. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの資料を拝見いたしましたが、航空機と航空機部品の関係の許可工場だけが載っておるようでございまして、通信機関係のものは載っておりません。通信機としては、今そこにあげておりますのは全部許可をとっておるはずです。
  397. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ島津製作所はどうですか。
  398. 久保忠雄

    ○久保政府委員 島津製作所がとっておることは承知しておりますが、あの資料に載っておりませんので、よく調べてみまして提出するようにいたします。
  399. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私はこんなことをうるさく言う必要はないのですが、最近非常に自衛隊の飛行機が落ちるのですね。ロッキードなんという優秀な、しかも二マッハという早い飛行機ができてから、あんなに墜落事故があっては困ると思います。この間の八戸における墜落原因さえもわかっていないのですから。これは航空機製造事業法などでかなり恩恵を与えておるような会社に作らせるのですから、相当厳密であっていいと思うのです。ですから、やはり許可を与えるなら与えるように、与えないなら与えないで、注文もしないように、そのけじめをはっきりしておきませんと、また防衛庁の経理が云々されますよ。契約価格についてはしょっちゅう問題になっておる防衛庁ですから、その点はよくお打ち合わせになって、あまり簡単なことはおやりにならない方がいいと思うのです。これもあと資料とあわせてお出し願いたいと思うのです。  それから、さっき私質問いたしましたけれども、あなたの方でははっきりお答えがなかったようですが、私の方で調べたのを申し上げましょう。数が違っておったら御訂正願いたい。  一機入るものとして、三十六年度は前渡金的なものになるのが五十四億千五百八十三万三千円、こうなるようであります。それから三十七年度は、その方をくずしまして、マイナス二十五億六千三百八十二万二千円になるようであります。三十八年度は九十四億九千五百五十八万一千円になるようであります。それから三十九年度は三十二億五千六十万七千円になる計算のようでございますが、これはお調べございませんか。あとの方は全部マイナスです。
  400. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまおっしゃいました数字はどういう数字か、私の方でよくわからないのですが……
  401. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはこの債務負担行為をくずしていくその金額と、航空機が仕上がる値段で参照してみたのです。さっきの御説明で、初度部分がまた別にあるというのですから、これに一九%九何がしをかけるとこのワクが出てくるわけなんです。どうですか、お調べになったことありますか。
  402. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 104関係の国庫債務負担行為の歳出価格でございますから、私から申し上げます。昭和三十六年度が五十七億七千二百万、これでできてくる機数は一機でございます。
  403. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 価格は幾らになります。
  404. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは契約しました場合に四〇%前渡金をいたしまして、あと、できたときにその残額を支払うということになっておりますので、必ずしも受け取る機数と歳出とが一致いたしません。そういう点でずれております。ただ、私が御説明申し上げますのは、何年度に幾ら歳出を予定しておるかということと、当該年度に幾ら受け取るかということでございます。   〔主査退席、保科主査代理着席〕  昭和三十六年度が五十七億七千二百万、これが一機でございます。それから三十七年度が百七十億……
  405. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 御答弁中ですが、それはわかっておるのです。これは国会報告にあります。ただし、これを前渡し関係として見た場合を私は聞いておる。四〇%というのは、何の四〇%ですか。
  406. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今御質問の点は、先ほど経理局長から申し上げました、毎年度の歳出の出し方の根拠をお聞きになっているのでしょうか。
  407. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 いや、前渡金は四〇%出しているのですから、何の四〇%かと聞いているのですよ。こっちが聞きたいところです。
  408. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これも非常に計算がややこしくなっておりますので、資料で……
  409. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ややこしいのはわかっておりますが、それくらいは答えてもいいじゃないですか。基準はあるでしょう。ただ漫然と無利子で五十四億の金を貸したわけじゃないのでしょう。
  410. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま私が四〇%と申し上げましたのは、契約額の四〇%を三カ年に分けまして、初年度は一二%、次年度が一八%、三年度が一〇%、合計して四〇%、こういう計算になっております。しかし、この計算が非常にややこしいものでございますから、これ以上に、一体金額でどれくらいになるかとかいうような問題は、でき得れば、資料で後刻提出させていただきたいと思います。
  411. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 いや、資料はもらってあるのですよ。資料はもらってありますが、ややこしくてわからないから聞いているのです。あなた方にもややこしくてわからないものが、一体われわれにわかりますか。それを説明して下さいと言っているのですよ。代金の支払いということで、ここにあるでしょう。契約書の中にはあるじゃないですか。「(概算払)第四十条甲は、乙に対し、「概算払に関する特約条項」に定めるところに従い、第三条に定める概算見込額の七・五割以内の額を概算払をすることができる。」こういうのですが、どうもこのパーセンテージが合わないから聞いているのです。七・五割というから七五%ですね。ややこしくても、こういう機会に説明して下さいよ。国会でもなければ聞けないから。
  412. 久保忠雄

    ○久保政府委員 契約書では、先ほどの七五%を前金として払うことになっておりますが、その内訳は、第一回が昭和三十六年度に八・九五%、それから第二回が……
  413. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 一つわかればいい。三十六年度は八・九五%、それとこの飛行機よりもはるかに多く払っているこの関係はどうなります。八・九五%ではきかぬでしょう。
  414. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは全体の七五%を四回に分けて率を出しているわけでございます。七五%という率を第一回に八・九五%、第二回に二一・五一%、第三回に二八・五二%、第四回目に一六・〇二%、合計いたしまして七五%。
  415. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはあなたの方では経理されているのでしょうから、おわかりでしょうな。新三菱に払うのは、契約相手に対する経理はちゃんとしているのでしょうね。それでは、一つ新三菱とその他の会社への前払いの額を具体的に教えて下さい。概算払いの額を教えていただきたい。ここに数字がありますから、全部の数字は要りませんから、あなたの方の数字だけわかれば、わかります。
  416. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど五十七億七千二百万と申しましたが、このうらで新三菱に払っておりますのが四十三億七百四十五万円でございます。石川島に払っておりますのが十四億六千四百九十三万でございます。
  417. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あとは払っておりませんか。
  418. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これ以外には払っておりません。
  419. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 五十七億ですね。それじゃあとの会社はほとんどこの前渡金というものは受けていないのですね。新三菱と石川島ばかりが、片一方は四十三億、石川島の方は十四億何がしを前渡金として受けておる、こう理解してよろしいですね。
  420. 久保忠雄

    ○久保政府委員 そうでございまして、前金は新三菱と石川島以外には払っておりません。
  421. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 なぜ払わないのですか。要求ないのですか。金利はあなたの方で払うからいいようなものの、前渡しをする契約があるならば、金利なんかの負担をこっちもかけてもらいたくないじゃないですか。それが新三菱と石川島だけやれば、あとの会社はどうなるのですか。
  422. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その点いろいろ問題がございましたが、契約金額から参りまして、ほかの方は、この新三菱、石川島に比べまして金額が少ないものですから、一応、金額の非常に大きい新三菱と石川島に前金を払ったわけです。
  423. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 川崎は直接契約を結んでいませんが、この関係は、グラマン、ロッキードに関して非常にやっかいだったのです。これは完全に新三菱の下請ですか。
  424. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、契約書では下請負者という言葉を使っておりますけれども、ほかの下請業者と変えまして、「本製造の一部を乙と協同して行なう下請負者」、こういう表現をとっておりまして、一般の下請業者とは別扱いをいたしております。従って、契約書の中でも「丙」という表現をいたしまして、防衛庁が直接現場監査その他ができるような規定になっております。
  425. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 主契約と従契約というのと、契約者と下請というものとの違いはどうなんです。
  426. 久保忠雄

    ○久保政府委員 この点は、やはり契約書の表現のときに非常に検討したわけでございますが、実質的には主契約、従契約でございますが、法律的に見まして従契約者というような表現が熟しておりませんので、やはり法律的に見れば下請負ということになると思いまして、こういう表現をしたわけでございます。しかし、特に、先ほど申し上げましたように、契約書の五ページのところにありますが、「本製造の一部を乙と協同して行なう下請負者」、こういうまくら言葉をつけているわけでございます。その契約書の五ページをごらんをいただきますと、第八条の第三項のところに、「乙は、第一項に定めるもののほか、本製造の一部を乙と協同して行なう下請負者である川崎航空機工業株式会社(以下「丙」という。)」、こういうふうに表現をいたしまして、一般の下請業者とは別扱いにしているわけでございます。
  427. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 なぜこれを従契約者としなかったのですか。これはわれわれ前に問題にしたときに、下請負じゃございません、従契約者とするのでありますと、再々答弁を受けておるのですよ。なぜその通り国会答弁と同じように従契約者にしなかったのですか。
  428. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これはあくまでも契約の条文の表現の技術でございまして、実質的にはわれわれは従契約というふうに考えたわけでございますが、この契約書の中に、従契約というような言葉が適当でないと思いまして、入れなかったわけでございます。それと、やはりこれは、主契約、従契約と申しますと、主契約者のところで最後に取りまとめをするというような問題がございますので、直接川崎とは契約をしないで、新三菱と契約をいたしました。それで形だけ見ますと、どうしても下請というような表現が法律用語としては最も適当じゃないかということで、こういう表現を使いました。ただ、先ほど申しましたように、ただ下請と書きますと、ほかの下請業者と非常にまぎらわしいものでございますから、特にここに「本製造の一部を乙と協同して行なう」という言葉を上につけたわけでございます。
  429. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ずいぶん詳しい御説明でございますがね、一言にして言えば、従契約という名前で契約を結ぶ法律的な根拠はないのでしょう、航空機製造事業法にも。どうですか、それができないから、仕方なしに下請負者とつけたのでしょう。そうじゃないですか。あまりもっともらしい答弁をしないで、的確に答えて下さい。どうですか、ありますか。
  430. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまおっしゃいましたのは、従契約として別途の契約を結ぶということでございますか。
  431. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これははっきり申し上げますと、グラマン機は新三菱で作る、川崎はロッキードとの間で作るというのが常識だったのです。最後にはグラマンかロッキードかという問題が出た場合に、非常に重要な選択の要因の一つに、どっちの方の会社が手があいているかというような問題が出てきた。川崎もおさまらなくなった。ロッキードにしても、新三菱に作らせるということが非常な不満を持たれた。それで、いつでも元の長官が国会に来て言ったのは、川崎も決して契約からはずしません、従契約者にしますと、ちゃんと残っているのです。それが今度明らかに下請負となっているところに、われわれは疑点を持つ。初めからできないならば、国会答弁はやらない方がいい。もうこれもわかる通り、防衛庁長官のあれでも違っておるし、また今の契約の問題でも違っておるし、何もかも食い違って平気でいる。こういう点は一体どうなんですか。実際はできなかったのを、いいかげんに前には答弁したのじゃないですか。どうです、その点は。
  432. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 当時の答弁が、できないものをやったというようなことではないのでございますが、先ほど来、装備局長が御説明申し上げましたような、契約書の法律的な文言としてそういうものが熟しておりませんので、こういう表現を使いましたが、その精神はあくまでも従契約者ということを生かしまして、あのような文言を使ったというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。
  433. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 実際が従契約ならば、できたら従契約者にすればいいじゃないですか。主契約と従契約——できないから、しなかったんでしょう。率直におっしゃい、できませんでしたと。
  434. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そういう形が、法律的にしっかりした契約をいたしますときに、必ずしも熟しておらないということでございまして、やむを得ずとりました処置だと御理解をいただきたいと思います。
  435. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうも藤枝長官の答弁は非常に丁寧懇切でございますけれども、肝心かなめなことがはずれている。熟していないというのは、つまりできなかったのでしょう。法律的に熟していないというのは、どういう意味なんです。法律的には従契約者としてやることができなかったから、こうしましたと言えば済むのです。ただ、そのできないものを、なぜ国会答弁ではできるように言ったのかというのが問題なんです。これは法律上できますか。
  436. 久保忠雄

    ○久保政府委員 従契約者という言葉が熟していないから使わなかったわけでございます。実質的にはほとんど同じように考えておったわけでございます。
  437. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 だいぶ苦しい答弁ですがね。熟していないというのは、法律的にはできなかったのでしょう。従契約者としては契約ができないのでしょう。国会答弁は、従契約者ですよ。契約書を見ると、明らかに川崎は下請けになっている。この場合に、法律的に熟しないというのは、法律的にはやる方法がなかった、こう断定せざるを得ない。これはどうですか。
  438. 久保忠雄

    ○久保政府委員 法律的に適当な表現がなかったからこういう表現をしたということでございまして、それができなかったからとおっしゃるならば、できなかったということになると思いますが、ただ気持は、ほかの下請業者とは全然別にしております。それに関連をいたしました丙に関する規定というものは、ほかにたくさんあるわけでございます。
  439. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 長官、これはやはり防衛庁の予算の使い方の残念な一点なんです。気持はこうであったとか、できなかったからこうしたということは、あとの祭りですよ。もっときびしいものでしょう。気持がそうだったら、気持とぴったりするような表現をする方が正しいのです。できれば、従契約と言ったならば、やはり従契約でやるのが正しい。できなかったから、しませんでした、これだけの話なんです。気持はそうでしたと言っても、しょうがない。  それでは、この新三菱と川崎とは、前渡金を分けて使っていますか。どっちの責任で使っているのです。
  440. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その点は新三菱と川崎航空とのまた契約がございまして、そこでいろいろやっておりますが、私の聞いておりますのでは、一部は川崎航空にいっているはずでございます。
  441. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それははっきりわかっていないでしょう。従契約者ならば、わかってもいいはずだ。新三菱は幾ら使った、川崎は幾ら使ったというここに仕事の分担があるのですが、仕事の分担がはっきりしておって、資金のそこだけがはっきりしていないというのは、どうもおかしい。わかっているはずです。言ってごらんなさい。新三菱は幾ら使ったか、川崎は幾ら使ったか。
  442. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど申し上げました率がございましたが、ああいう率で川崎の方にいっているはずでございます。
  443. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 もっとはっきり言われませんか。新三菱は四十三億七百四十五万、石川島は十四億六千万、それなら、川崎にはこのうち幾らということがはっきり出てくるのじゃないですか。実は防衛庁ではわからないのでしょう。
  444. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今手元に資料がございませんので、帰ればすぐわかると思います。
  445. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもあとあとでというと、また出されなくなったりしますからね。あと分科はないのですよ。   〔発言する者あり〕
  446. 久保忠雄

    ○久保政府委員 おそくなりましたが、わかりましたので申し上げます。  一応、この問題は新三菱と川崎航空の間の話し合いで実施をいたしておりますが、その契約によりますと、   〔保科主査代理退席、主査着席〕 契約金額の比率でもって前金を分けることにしております。その数字は、契約金額四百十九億八千六百万でございますが、そのうち川崎が七十億四千五百万ございます。この比率でこの前金を分けるということでございます。三十六年度は、いろいろ話し合いまして、三億五千万川崎航空にいっているわけでございますが、これによりますと、比率が非常に川崎航空に少ないわけでございまして、その点は三十七年度の際に調整をする、全部の年間を通じまして、先ほど申し上げました契約金額の比率で分ける、こういう約束になっているわけでございます。
  447. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 さっきの御答弁とはまるで違いますね。これは名前は下請だけれども、実際は、従契約のつもりで気持はやりましたと言うんだけれども、全体が七十四億ですか、そのうちで川崎は三億五千万、あとは、大体三十幾らですか、まあ四十億ですね、四十億というのは、新三菱がまるで無利子で使う金ですね。事業量はどれぐらいなんですか。契約金額は七十億ですか。今おっしゃった契約金額は。
  448. 久保忠雄

    ○久保政府委員 川崎分が七十億でございます。契約金額が七十億になっております。
  449. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 契約金額も少ないし、下請の仕事も少ないですな。こうなってくると、これは完全にやはり下請ですね。あとのいろいろな部品を作っております工場からは、前渡金の要求は全然ないですか。
  450. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その他の下請につきましては、これは新三菱と下請業者との話し合いになっておりまして、直接われわれの方には何も言って参りません。
  451. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この部品を作るのは全部下請ですか。あなたの方で直接契約するんじゃないんですか。たとえば三菱電機、日本電気、東洋通信機、大沢商会、島津製作所、IGE、日本航空電子、これはみんなあなたの方で契約されたんでしょう。
  452. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまおっしゃいましたのは、われわれが直接契約をいたしております。それ以外に、新三菱、石川島その他の下請業者がたくさんございますので、そのことに理解したわけでございます。
  453. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 面接契約した方は、あなたの方に前渡金の要求はなかったですか。
  454. 久保忠雄

    ○久保政府委員 要求のあったところもございましたが、先ほど申し上げましたように、全体の前金の額もきまっておりますし、金額が相対的に新三菱と石川島が非常に大きいものですから、そちらだけにきめたわけでございます。
  455. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 おかしいじゃないですか。同じ条件で契約したものが、片方は大きいから前渡金をやった、片方は小さいからやらぬ。これじゃ、防衛庁自体も大資本擁護ですか。下請ほど困っている。小さな会社ほど困っている。新三菱やその他の会社は大きいから前渡金を無利子で貸してやったのだが、片方は小さいから貸さぬ、一体こんな話がありますか。いつ防衛庁は大資本擁護に変わった。
  456. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは金額がほかのところは比較的小さいということでございます。新三菱と石川島は金額が非常に大きいのでございますから、これに前渡金をいたしません場合には、金利が非常にかさむということで、非常に金額の大きいところに前渡金は出したということでございます。
  457. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 金額が小さいといいますが、三菱電機なんか、相当な金額じゃないですか。これはどうですか。三つ合わしたら相当なものでしょう。
  458. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは新三菱と石川島との比較の問題でございます。比較いたしまして、非常に大きいものは金利が非常にかさみますので、原計を安くする意味におきまして、金額のかさむところに前金をやったということでございます。
  459. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 金利はあなたの方でみな値段の中に補給している。何もそんなこと心配してやる必要はないじゃないですか。無利子の金は貸してやるわ、金利がかかったものはちゃんと採算の中に金利は見てある。何を心配することがある。要求がなければ仕方がありませんけれども、要求があるならば、やはり大きいところも小さいところも同じような恩恵に浴さしてやるのが、これは国費を使う上で当然の話じゃないですか。大蔵大臣どうです。片方は大きいから、要求があったから貸してやった、片方は要求があったが、金額が比較的小さいから貸してやらぬ、これがはたして国費を公平に使うゆえんでしょうか。大蔵大臣のお考えを聞いておきたい。
  460. 水田三喜男

    水田国務大臣 一般論として申せば、当然そういうことだろうと思います。ただ、今私も聞いておりましたか、大きいからというのじゃなくて、普通の場合、長期契約をする場合には、まず設備からかかっていくというような問題もございますので、そういう点で、前渡金の出し方も実情によって違っていいと思いますし、また現在の設備そのまま使えるというところの注文は、またそれによって前渡金も違っていいというような問題がございますので、これは防衛庁の具体的なそういう事情に当たっての措置だろうと思いますが、一般的には、前渡金を出すという場合には、金額の多寡というものによらなくて、出すべきものは出していいんじゃないかと思います。
  461. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 大臣、私は防衛庁だからなおさらそういう点は気をつけてもらいたいと思うのです。この航空機製造事業法自体にも問題がありますけれども、見ていますと、この武器製造事業というものは、だんだん昔の兵器工廠みたいな性格になってきております。全部許可を与えて、金は使わしてやって、そして見積もりも取らずに、入札もしないで作らせる。大体がこれは完全なリバイバル・ブームなんですね。そうなるとこれが非常にルーズになることは、前に例がある。なればこそ、やはり防衛庁の規格というものはもっとしっかりして、経理がちゃんとして、もっと公平に国費を均沾して使わせるという方向をとるのが、なおさら私は必要だと思うのですが、その点はどうでしょうか。どうです、大臣、このままでいいんですか。
  462. 水田三喜男

    水田国務大臣 この契約は、私は契約当事者でないから相手会社の実情を十分知りませんが、これを区別したのにはやはり防衛庁として区別した理由があるんじゃないかと思っています。
  463. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この航空機製造にはずいぶんめんどうを見てやっているようですが、契約書の七ページに官給品というのがありますね。この「官給品の支給及び貸与品の貸与」というところを見ますと、「甲は、仕様書に定めるところにより、本製造に必要な部品及び材料等(以下「官給品」という)並びに治工具及び測定具等(以下「貸与品」という)を所要の時期に所要の数量を乙に無償で支給又は貸与する」としてある。一体この内容はどうなっています。今度のロッキードに関してはどのくらいの官給品を支給し、どのくらいの貸与品を貸与していますか。
  464. 久保忠雄

    ○久保政府委員 本製造に必要な部品、材料等と申しますのは、いろいろ、エンジンもございますし、それから七号口の材料もございますし、それから治工具、測定具等につきましては、無償で参りますのは七千五百万ドルの中でもらうものを無償で、日本でやるものは有償で貸与する格好になります。
  465. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 どうもわかりませんね。いろいろあるから聞いているのです。いろいろなければ聞きませんわ。内容をもっとはっきり、言って下さい。七千五百万ドルで作ったものは何、どれだけ、日本でやるものはどれだけ、貸与は幾ら、支給は幾ら、これじゃほとんど規格がないでしょう。幾らでももらえるんじゃないですか、はっきりさして下さい。
  466. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今の治工具、測定具等は基本的なもの、基礎的な治工具類を七千五百万ドルでもらいまして、これを無償で貸与しているわけであります。そのほかの治工具は防衛庁が持っておりますものその他を貸す形になるわけであります。それから部品、材料は、部品につきましては、たとえばエンジンでございますとか、先ほど出ておりました電気通信機関係、ガン・カメラ、こういったものを官給品に入れております。
  467. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 無償でやるのでしょう。無償でやるならば品目、数量、代価みんな出しなさいよ。
  468. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど申し上げましたように、大きなものはエンジンとか電気通信機等がございますが、その他は今後生産をしていきます過程におきまして、航空自衛隊の補給廠等にあります材料を支給するということがあるわけでございます。
  469. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 現在どのくらい支給し、現在どのくらい貸与していますか。
  470. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは材料その他相当たくさんございますので、ここですぐお出しできないと思います。
  471. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 出していただきたい。もうきょうは分科会がおしまいで、主査報告をするそうですからわかりませんというままじゃちょっとこれの審査ができない。出して下さい。
  472. 久保忠雄

    ○久保政府委員 現在支給することになっております官給品はエンジンでございます。それから電気通信機の中で、ARC五五二という無線機でございます。それからタカン操法の機械器具でございますが……。
  473. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ついでに価格も、言って下さい。エンジンは何基で幾らですか。
  474. 久保忠雄

    ○久保政府委員 エンジンは一基当たり八千九百三十二万五千円でございます。
  475. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そのエンジンは日本製ですか、アメリカ製ですか。
  476. 久保忠雄

    ○久保政府委員 今の単価は、石川島で国産する分でございます。
  477. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 支給するのは、エンジンは何基ですか。
  478. 久保忠雄

    ○久保政府委員 百六十基の国産分でございます。
  479. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それ一つ聞いてもおかしいですな。これは官給品ですか。エンジンは飛行機の購入代価の中に入っているのじゃないのですか。購入代価を払ったほかに、このエンジンはくれるのですか、どっちです。
  480. 久保忠雄

    ○久保政府委員 エンジンは官給でございます。従って、先ほどの新三菱との契約の中の単価にはエンジンの方は入ってないわけです。その単価を出します場合は、このエンジンなり電気通信機なりの価格を加えたものになっております。
  481. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 いいかげんな答弁はおよしなさいよ。この間は予算を聞いたときに、この飛行機はちゃんと飛べる飛行機だと答えてますよ。長官、そうでしょう。一体、エンジンのない飛行機で飛べますか。
  482. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 一機当たりの平均の単価と申し上げたときには、それはエンジンは入っておりますが、そのうちで新三菱と契約をいたしておりまする金額にはエンジンの価格は入っておりませんで、石川島で作りましたエンジンを新三菱に官給をいたしまして、そうして完成をする、こういう形だと御了解いただきたいと思います。
  483. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 おかしいじゃないですか。一機当たりの単価の場合は、飛べる飛行機と、長官、答えたでしょう。今度はエンジンは別だと言っているでしょう。一機当たりにせよ全部にせよ、エンジンのない飛行機は飛べませんよ。百六十基で幾らになりますか。出してごらんなさい。
  484. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、一機当たり百十二万ドルというようなことを申し上げましたが、その飛行機は、もちろんエンジンもついた完成機を一機当たりにしますとこうなりますと申し上げておるわけでございます。契約の形態でございまして、新三菱と完成機の契約はいたしておりますが、その中でエンジンにつきましては、石川島と防衛庁が契約をしまして、それを買い上げて新三菱に官給をするわけであります。従いまして、もちろん新三菱と防衛庁との契約の中には、エンジンの代価は入ってないわけでございます。その官給を受けましたエンジンを、新三菱におきまして機体につけまして、そうして完成して引き渡す。その完成されました飛行機は、もちろんエンジンもその他通信機器もすべて含まれた完成された飛行機、それらすべてを含めて一機当たりにすれば幾らとなる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  485. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 長官の答弁通りならば、この防衛庁の資料の石川島以下はほとんど、要らぬでしょう。これは全部官給品ですか。それじゃ石川島、三菱軍機、日本電気、東洋通信機、これらは全部防衛庁がお買い上げになって、そうして官給品としてやる、こうなんですか。
  486. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その通りでございます。
  487. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 このほかには何があります。
  488. 久保忠雄

    ○久保政府委員 エンジンのほかには、先ほど申しかけました電気通信機  関係といたしまして、ARC五五二というのがございます。これは無線機でございます。それからARN五二というのが、これはタカン操法の装置でございますが、これと、APX三五、これは敵味方識別機でございます。それ以外にガン・カメラがございます。これらはいずれも全部防衛庁が直接契約いたしまして、新三菱に官給をするということになっております。
  489. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そのほかには何があります。まだあるはずです。
  490. 久保忠雄

    ○久保政府委員 現在のところ、部品といたしましてはそういうことでございまして、あと治工具類、それから測定器具等がございます。
  491. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは三菱電機のF15J初度部品、それから同じくステープル・プラットホーム初度部品、島津製作所のエア・チータ・コンピュータ初度部品、IGE(輸入)ディレクター・ガンサイト初度部品、同じくインレンジ・コンピュータ初度部品、日本航空電子、オートパイロット初度部品、これは一体どういう形になります。
  492. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは、先ほどから申し上げております初度部品に入るわけでございます。今そこで作りますものは、先ほど申し上げましたように、今後はこわれやすいところのものだけをそこで国産化する、それでこれに該当いたしますナサールの分は、材料費の中に入りまして、新三菱との契約の中に入っておるわけであります。
  493. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それでは、この中に新三菱に官給するものと契約に入っているものと、両方あるんですね。それは総額でどれだけになりますか。官給するのは幾ら、官給にならないものは幾らというふうに区分けしたらどうなります。
  494. 久保忠雄

    ○久保政府委員 三菱に官給いたしますものは、先ほどのエンジンと、それから電気通信機関係の三つとガン・カメラでございます。そのあとの初度部品につきましては、これは今後故障が起こったような場合に、これで作りましたものを支給するというようになりまして、初めの単価には入っていないわけであります。
  495. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それからさっきあなたが七千五百万ドルで買うものをやると言いましたが、何々を買うんですか。
  496. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは先般七千五百万ドルで何を買うかという御質問がございましたときにお答えしていますように、基本的な治工具、マスター・ツールと呼んでおりますが、基本的な治工具は七千五百万ドルで参りまして、無償で貸与をするという形になります。
  497. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 基本的な治工具だけじゃないでしょう。その要領でいきますと、今度入ってくる飛行機も一応あなたの方で買って三菱へやるんじゃないですか。部品などもずいぶんありますが、その要領でいったらそうなるんじゃないですか。エンジンさえあなたの方で買って官給するというんですから。これはどうです。
  498. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは契約書の面では特定社有品というように呼んでおりますが、三菱との契約の中に入っておりますのは組立費だけが入っております。
  499. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 新三菱とロッキードが契約していますが、これはどういう契約内容なんです。
  500. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは七千五百万ドルの中のものをロッキードから三菱が買う契約でございます。
  501. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 七千五百万ドルの内容に、それじゃ三菱が買うものと防衛庁が買うものと、二色あるのですか。
  502. 久保忠雄

    ○久保政府委員 日本政府が買うものはございません。米政府が買うものと新三菱がロッキードから買うものと、二種類でございます。
  503. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この場合の官給品とは何ですか。あなたはさっき官給品の中には七千五百万ドル買うものがある、これは何々です。
  504. 久保忠雄

    ○久保政府委員 その治工具はロッキードから三菱が買いまして持ってくるわけです。それを七千五百万ドルから支給されますので、こちらの契約面では無償になるわけです。
  505. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 官給品は治工具だけですか。七千五百万ドルのうち官給品はどれだけです。三菱が直接買うものはどれだけですか。
  506. 久保忠雄

    ○久保政府委員 エンジンは米政府が買いますので、従来のマップと同じような形で日本政府がもらって、三菱に官給されます。それ以外は、三菱とロッキードとの関係で新三菱が買う形になるわけです。
  507. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 長官、ちょっとあなたに伺いたいのですが、日米取りきめの大綱は外務省がやったけれども、こまごましい取りきめは防衛庁が直接アメリカとやったという外務大臣答弁がありました。このロッキードとの間のいろいろな部品その他のものの買い入れ契約は、直接長官が当たられましたか。
  508. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 その当時私、在任をいたしておりませんので、私自身がそういうものにタッチをいたしておりません。ただ、私の存じておりまするところでは、三菱とロッキードとの契約については防衛庁もある程度の関与をいたしておると伺っております。
  509. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今のような御答弁では非常にたよりないんです。あなたは個人藤枝氏じゃなくて、日本の防衛庁の長官です。防衛庁の長官がかわるたびごとに、前長官の責任を踏襲しないのであれば、これはまことに無責任な官制だと私は思う。やはり防衛庁長官としては前長官のやったことに責任を持たなければならない。今聞きますと、三菱が直接買うものとアメリカの政府から払ったものをマーグの手によって支給するものと、二つあると答えているじゃないですか。そうすると、その七千五百万ドルのルートは何ぼあるのです。一体ほんとうのルートはどこなんです。七千五百万ドルをくずしていくほんとうのルートはどこです。新三菱ですか、あるいは防衛庁ですか。それとも軍事顧問団ですか。どこがほんとうのルートなんです。——これは政治問題ですから、長官に答えていただきたい。
  510. 西村直己

    西村主査 一応装備局長から聞かれて……。
  511. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 あとで長官は知らぬと言いますから、長官答えて下さい。
  512. 西村直己

    西村主査 装備局長から答えて下さい。指名しましたから……。
  513. 久保忠雄

    ○久保政府委員 先ほど申し上げましたように、エンジンは従来のマップと同じようなルートでくるわけでございます。それ以外のものは新三菱とロッキードとの間の契約を通じましてこちらへくるわけでございます。新三菱の所有物として、所有権は新三菱にあるわけでございます。新三菱がこちらへ持ってくるわけであります。
  514. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 非常に不明朗です。あなたの方の書類を見ますと、新三菱とロッキードとの間に契約があるそうですが、契約総額は幾らですか。七千五百万ドル全額ですか、それとも一部ですか。
  515. 久保忠雄

    ○久保政府委員 それは七千五百万ドルに関するものと、それ以外の一般の商業ルートで買える契約とがありまして、いろいろ契約も種類があります。七千五百万ドル以外の材料購入も新三菱とロッキードとの契約でやっているわけであります。
  516. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それは予算の範囲内で買うのは別としまして、七千五百万ドルをくずしてくるその額は幾らですか。これは何をお買いになってもかまわない。しかし、この書類を見ますと、直接ロッキードと新三菱がやる。予算面に現われてこないというのでしょう。赤城さんの答弁ならば予算面に現われてくる。藤枝長官の答弁であると予算面に現われてこない。しかし、この書類には、はっきり新三菱がロッキードとの間に契約を結び、単価算定が七千五百万ドルを加えたものであれば、防衛庁は当事者としてはっきり契約内容は押えておかなければならないはずです。そうじゃないですか。
  517. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん契約の内容等は防衛庁で抑え、しかも納入されたものにつきましては、先般来申し上げましたようにチェックをいたしております。ただ、その金額を詳細に発表申し上げることが、現段階においてはアメリカ政府の同意を得られないという形でございます。
  518. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 私は詳細にと言っておりませんよ。契約の総額は幾らかと言うんです。七千五百万ドルの全部か、その一部かというんです。
  519. 久保忠雄

    ○久保政府委員 七千五百万ドルの一部でございます。
  520. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 幾らですか、はっきり答えて下さい。
  521. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほど装備局長からお答え申しましたように、七千五百万ドルのうち一部は、米政府がエンジンを買ってこちらへ提供される分があります。その他は新三菱とロッキード社との契約によるわけでございます。その内訳につきましてはしばしばお答え申し上げた通りでございます。
  522. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 エンジンは何基買うのですか。百六十基はもう石川島で作ってありますよ。七千五百万ドルで買うエンジンは何基ですか。
  523. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは四十八台でございまして、DJの二十機とJの二十機分、四十台、あと予備が一部入っております。
  524. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 単価は幾らですか。各種別ごとに教えていただきたい。
  525. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは先般来申し上げておりますように、七千五百万ドルの内訳のことになりますので、申し上げられないわけでございます。
  526. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 幾らだかわからないものを勝手に買ってくるのですか。あるいはもらってきたと見たところで、援助という以上は、七千五百万ドルに相当するものか相当しないものか、のし紙だけで贈りものをもらうということはどうです。もらいものでも、やはり中身はちゃんと調べてもらっておきませんと、ガリオア・エロアみたいになりますよ。詳しいことはあしたお出しになるそうですからこれはそれからにしますけれども、一体金額にして総額幾らなんです。
  527. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん、どういうものをどれだけ受け取るかということは私どもの方では存じておりますが、しばしばお答え申し上げましたように、その内容につきましてはアメリカ政府予算の執行でございまして、しかも数カ国の関係がございますので、発表を申し上げることができないことを遺憾とするわけでございます。
  528. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ、あした出す資料というものは全然そんなものには触れていないのですか。それでは私は、とても納得できませんからね。あしたできるなら、だいぶ夜もふけたし、今出して下さい。あしたお出しになるという資料を今出して下さい。内容を聞きましょう。
  529. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、御要求のような詳細につきまして発表をすることはお許しをいただきたいと思います。ただ、一機当たりについてどういろ米側の負担に相なるかというようなことにつきまして目下作成中でございまして、そういうものについて、できるものはお出しをいたすようにいたしたいと考えております。
  530. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 作成中なら、未完成でもかまいませんから、できたものだけでも出して下さい。
  531. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 目下作成中でございますので、明日までにはお出しできると考えております。
  532. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 内容に触れられないと言いますが、一部の単価はこの間言っていますよ。104DJの額をこの間言ったじゃないですか。きょうは四十八基というエンジンの基数を言ったでしょう。少なくともその程度の材料は出せますか。
  533. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先般も途中であれになりましたけれども、DJの日本側の負担、あるいはアメリカ側の負担はお答え申し上げたわけでございます。そういうものは明日までにはお出しできると思いますが、エンジンの一基当たりが幾らになって、一台当たりが幾らになるということまでお出しできるかどうか、なお検討をしなければならぬと思っております。
  534. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 総体でエンジン代は幾らですか。一機当たりでなくてもよろしい、総体で幾らになっております。
  535. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 総体を申し上げれば、台数がわかっているのですから、一台当たりの単価は出るわけでありまして、それはなかなかむずかしいと申し上げておるのであります。
  536. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 それじゃ、きょう出せないというならば、あしたの資料を待ちます。ただし、これについてはもう少しお聞きしたいことがある。二百七十億といったような膨大なものが依然としてやみの中にあるということは、これは非常に困るし、ロッキードの将来のためにもよくない。  一体、現在アメリカでパイロットの訓練をやっておりますか。
  537. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。アメリカにパイロットの訓練に派遣しましたのは合計九名であります。うち二名は三十五年にテスト・パイロットとしすでに渡米しておりまして、現在訓練を終わって技術審査団に加わっております。それから一名は昨年の六月渡米いたしまして、大体運用幕僚として一年間訓練する予定であります。残りの六名は昨年の九月十三日に渡米いたしまして、教官要員としての基礎訓練を受けておりまして、一応日本側のDJによる訓練を終わりまして、あと若干向こうの部隊訓練を経まして、今年の三月ごろ帰ってくる予定であります。
  538. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 訓練はそれで終わりですか。
  539. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。米留派遣の所期の目的は、まずテスト・パイロットと教官要員を作るのが目的でございますので、一応これが一段落いたします。
  540. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 最終はいつ終わります。
  541. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。本年の三月末を予定しております。
  542. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 三月の末に終わるならば、この訓練に使った航空機三機はすぐ日本に帰りますか。
  543. 久保忠雄

    ○久保政府委員 訓練が終わり次第にこちらへ持ってくるわけであります。
  544. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 その三機は何号です。
  545. 久保忠雄

    ○久保政府委員 J三〇〇三号と、DJの五四〇二号と五四〇三号でございます。
  546. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 これはこの間あなたが、J三機で練習するというのは間違いだったとここで言われましたから追及はしませんけれども、このDJ五四〇二、荒四〇三にはナサールは入っていないでしょうね。
  547. 久保忠雄

    ○久保政府委員 DJにはついておりません。
  548. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 今後、これはあってはならぬことですが、このFOJの消耗率をどれくらいに見ております。
  549. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。一応消耗率は、御承知のように計画年次の初頭においては大きく、だんだん装備あるいは操縦が熟練してきますと減ってくるのが通例であります。その線に従って、現在第二次防衛計画のプランニングの基礎として考えておりますのは、初年度におきましては一万時間に六件、終末の昭和四十一年度におきましては一万時間に四・三件を考えております。
  550. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 そうしますと、二百機が、第二次防衛整備計画が完成した年における消耗は何機です。
  551. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま教育局長がお答えいたしましたのを補足いたします。これは二次計画で私どもが一応計画上の数値として考えたものでございます。この計画上の数値といたしましては、四十一年末までにJとDJを合わせまして五十一機程度はあるいは消耗するかもしれないというのが一応ございます。ただしかし、これは先生も御存じのように、従来の経験値ではございませんので、計画の上では非常に安全と申しますか、そうした率を見てございます。従来の米空軍が公式に発表しましたFOに関する事故率を調べてみますと、たとえば一九五八年におきましては二万時間当たり五・六、一九五九年におきましては六・一という率でございますが、六〇年には三・九というような実績になっております。これはいろいろとその飛行機の使われます、環境、器材の整備等の関係もございますので、私どもは長期計画を作ります場合に、一応この多い方の率を基礎といたしまして、部隊が実力としてどの程度のものを持ち得るかという点に重点を置きましたので、一応このような損耗の計画上の数値を考えたわけであります。
  552. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 前の墜落の数は大体伺っておきましたが、その後における最近の墜落事故を一つ統計的にお話し願いたい。
  553. 小幡久男

    ○小幡政府委員 今年度に入りまして、特に二月に入りましてからは、まことに恐縮でございますが、五件事故が相次いでおります。その事故の内容を申しますと、SNJ、それからF86F、F86D、P2V、それからメンターでございます。そのうちP2V、86Fにつきましては、とっさに事故が起こりまして、その原因は今確かめておりますが、なかなかつかみにくいようであります。あとの三機につきましては、いずれも教育訓練中の事故でありまして、いろいろ調査しておりますが、教官が訓練中の学生の繊度を的確に把握して適宜な配慮をしたかどうかという点にも若干問題がありまして、その点現在調査委員会を督励いたしまして、厳密な究明に乗り出しておるところであります。最近の事故は五件でございます。
  554. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 この三十七年度の自衛隊業務計画の大要を見ますと、民間パイロットの不足を補うためにヘリコプター・パイロットを二十人、レシプロ・パイロット三十人の教育を開始する。防衛庁に一体このような余裕があるのですか。民間パイロットの訓練まで引き受けてやるような余裕があるのですか。
  555. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。先ほどのように合計五十名のパイロットを養成することになっておりますが、その余裕につきましては、まず初年度はメンターとか比較的初歩の段階の教育でございまして、初歩につきましては若干の余裕を持っております。ただ後期になりますと、計器航法なんかになりますと自衛隊も余裕がございませんので、再来年度は正式に飛行機等の追加等の予算も要求して、定員等も要求してやる必要があるかと思っておりますが、三十七年度は若干の経費を見てもらえば実行で何とかやれるのではないかというふうに考えております。
  556. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 最近自衛隊が民間の力にどんどん進出しまして、この間などは上野駅で労務者を募集したような事件まで起こってきましたけれども、一体航空培地で、民間とあなたの方と共用しておる基地は何カ所あります。
  557. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま民間との共用というお尋ねでございますが、現在陸上自衛隊と民間とが共用いたしておりますのは、私の手元の資料によりますと、これは八尾、熊本の二カ所でございます。それから海上自衛隊の主として使用します飛行場で民間と共用しておるものが、大村でございます。航空自衛隊の共用いたしますのが小牧、さらにアメリカと共用いたしております。——失礼いたしました。先先は民間と共用だけでございますね。
  558. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 ついでにアメリカの方も……。
  559. 海原治

    ○海原政府委員 もう一度申しますと、陸上自衛隊が、八尾、熊本の二カ所、海上自衛隊は大村、航空自衛隊が小牧、そのほかに、自衛隊は、木更津、入間、岩国等を共用の形で使用いたしております。ただ、この陸上自衛隊及び海上、航空自衛隊の用に供します飛行場の中でも、特に一般の民間の航空機の使用の頻度の商いものにつきましては、これは公共用飛行場の指定をしております。従いまして、ある意味では共用という形になるかと思います。
  560. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 緊急避難の場合に使うのはまだまだあるでしょう。たとえば小松とか、あるはずですね。
  561. 海原治

    ○海原政府委員 緊急避難の場合と申しますのは、これは当然それぞれの飛行場の使用が相互にできるわけでありますが、ただ管制官の配置のない場所におきましては、いろいろ着陸時の状況によりまして、いわゆるGCAランディングであるとか、あるいは有視界飛行であるとかいうような制限がございますので、とっさの場合の通信連絡等によりまして具体的な飛行場が指定されまして、そこにおりる。こういうような形において緊急避難の場合にはすべての飛行場が、日本側では民間機及び自衛隊がそれぞれ使用されることになっております。
  562. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 民間航空の空港ですが、それを自衛隊と一緒に使おうというので考えております基地はだいぶあるのじゃないですか、もっとほかに。これは別に演習というんじゃないのですよ。自衛隊の航空機の発着のために民間と一緒に使おうという航空基地は方々にあるのじゃないですか。
  563. 海原治

    ○海原政府委員 将来の民間との共用につきましては、いろいろと航空局との間におきまして現在協議をいたしております飛行場もございます。たとえば北海道の丘珠のごときは防衛庁の財産になっております。これは運輸省の方から所管がえの話し合いもございますけれども、私どもといたしましては、これは一つ私の方で持っておりまして、民間の方の用に供する、こういう形でやっていきたいと思います。管制業務につきましても、今後自衛隊の飛行場につきましては約二十四カ所自衛隊の方で管制業務をいたします。ここにはそれぞれ民間の飛行機が一やがて発声するようなことになる、このように考えております。
  564. 淡谷悠藏

    淡谷分科員 たくさん私はあると思いますが、どうせロッキード社の方の明細を長官の判断によって出される資料もござましょうし、そのときに一緒に計画中のものを出していただきたい。委員長、その資料が出ましてから私の質問は続行したいと思いますから、今晩は保留しておきたいと思います。
  565. 西村直己

    西村主査 以上をもちまして、本分科会における質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  566. 西村直己

    西村主査 この際お諮りいたします。  本分科会所管の予算各案に対する討論、採決は、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  567. 西村直己

    西村主査 御異議ないと認めます。よって、さように決しました。  分科員各位の御協力によりまして、円満に議事を進めることができましたことを深く感謝いたします。  これをもちまして第一分科会を散会いたします。    午後八時二十一分散会