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1962-02-23 第40回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十三日(金曜日)     午前十時二十四分開議  出席分科員    主査 西村 直己君       井村 重雄君    船田  中君       保科善四郎君    山口 好一君       足鹿  覺君    井手 以誠君       東海林 稔君    楯 兼次郎君       堂森 芳夫君    横路 節雄君    兼務 岡田 利春君 兼務 加藤 清二君    兼務 辻原 弘市君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         防衛政務次官  笹本 一雄君         防衛参事官   麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   大濱 用正君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君  分科員外出席者         農林事務官         (農地局参事官)富谷 彰介君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      石川 忠夫君     ――――――――――――― 二月二十三日  分科員楯次郎委員辞任につき、その補欠と  して足鹿覺君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員足鹿覺委員辞任につき、その補欠とし  て東海林稔君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員東海林稔委員辞任につき、その補欠と  して楯兼次郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第二分科員辻原弘市君、第三分科員岡田利春君  及び加藤清二君が本分科兼務となった。    ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算総理府経済企  画庁を除く)所管      ――――◇―――――
  2. 西村直己

    西村主査 第一分科会を開会いたします。  本日は、昭和三十七年度一般会計予算総理府所管中一防衛庁関係予算を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿分科員 防衛庁長官に、若干防衛庁予算中心に、基地問題について伺いたいのであります。  まず第一に伺いたいのは、基地周辺開発投資計画があるといわれておりますが、その構想はどういうものであるか。あるならば、この際明らかにしていただきたいということであります。  このことにつきましては、昨年の七月ごろであったと思いますが、自民党の党内に基地対策特別委員会が設けられて検討が進められておるということを伝え聞いておるのであります。これは防衛庁要請に基づいてできたものであるのか。もし要請によってこのようなものが設けられたとするならば、その目的はどこにあるのか。われわれの仄聞しておるところによりますと、間接補償的な開発投資をもって基地新設または拡張を推進する目的をもって作られたと聞いておるのであります。御承知のように、基地新設または拡張については、地元住民の激しい抵抗にあって行き悩んでおる。基地の問題につきましては、多くは申し上げませんが、われわれは憲法上の立場からも、日米安全保障条約解消を主張する立場からも、防衛庁当局とは所見を異にしておるものであります。そういう点とは別に、最近各地国土総合開発一環として地域開発構想が進められ、国会においても特別立法等が、北海道に次いで東北、九州、四国、中国、北陸というふうに、地域開発計画が法に基づいてスタートしつつあるときにおきまして、これとの関係におきましてもきわめてむずかしい問題が各地に起きておる。その実勢はあとでつぶさに申し上げたいと考えておりますが、要するに地元住民抵抗条件付賛成派に切りかえるおみやげ物を十分用意していきたい、こういう意図に基づいておるようにわれわれは受け取らざるを得ないのであります。風聞でありますが、ある基地拡張の問題が大きくなったときに、数千万円の金で誘惑をしかけたとか、あるいは反対派条件付賛成派に切りかえる場合には数十万円の金で誘惑をするとか、そういった風聞すらもわれわれに伝わってくる情勢でございます。いやしくも防衛庁国防上の必要からしてその基地新設または拡張せんとする場合に、そのような不公明な態度でもってこれを推進していくというようなことは、そのこと自体も邪道であり納得のいかぬことであります。少なくとも、地元住民の理解と協力のないごり押しによってできたものが、将来国防上有意義な任務あるいは目的を果たし得るものではないのでありまして、それをいろいろな利害等でもってこれをつっていく、こういう考え方に通ずる基地周辺開発投資計画とするならば、われわれはそのような誤った行き方に対しては戦わざるを得ない気持を強くしておるものであります。  そういう点につきまして、基地周辺開発投資計画、あるいはこれの法的整備といったようなことについて、防衛庁は特に三十七年度から大幅の予算増額して、いわゆる防衛庁をして言わしめるならば、国防充実計画を提案をしておるわけでありますが、その裏づけとしても、このようなことをはたして考えておるのかどうか。そういう点について、もしありとするならば、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最初にお断わり申し上げておきますが、自民党内にできております基地問題の特別委員会につきましては、現下の基地問題の重要性にかんがみて党でお作りになりましたので、私ども要請申し上げてできたわけではございません。基地問題につきましては、もちろん直接の、たとえば騒音でございますとか、あるいはその他損害につきましての補償等を考える必要があることは当然でございます。そのほかに、ただいま御指摘になりましたように、地域開発等が進んでおりまして、基地があるがゆえに地域住民方々が十分な開発の恩典に浴せないというような場合も、ある程度忍んでいただかなければならぬ問題があるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、直接の補償とか騒音防止のほかに、基地周辺環境整備するということによりまして、できるだけ地元住民方々の積極的にあるいは消極的に受ける損害について、これを緩和する必要があろうかと存じております。従って、そういう意味におきまして、基地周辺について地元皆様方のいろいろな御要望にこたえて、でき得る限りのことはやって、そうした積極的なあるいは消極的な損害緩和に努めることは、やはり国防上の必要から基地保有し、そうして地元皆様方に忍んでいただかなければならぬ意味において、必要かと存じておるわけでございます。そういう意味で、昨年、基地問題等閣僚懇談会あるいは基地周辺問題の対策協議会等を設けまして、これらと取り組んでおるわけでございます。  しかしながら、申し上げるまでもなく、基地につきましてのその周辺問題等は千差万別でございまして、やはりその具体的なケース・バイ・ケースによってその問題を解決していかなければなりませんので、これらの閣僚懇談会あるいは培地周辺問題対策協議会等を通じまして、最も適切な方途をとるように、そうしてそれが決定いたしました以上は、各省行政としてこれをやっていただくというふうな考え方を持っておるわけであります。従いまして、ただいまお示しのように、何か基地拡張し、あるいは基地新設するために一つのえさを与えてそれをやろうということではございませんで、あくまでも先ほど申しましたように、基地あるがゆえに地元住民方々が受ける積極的なあるいは消極的な損失と申しますか、不利益と申しますか、そういうものの緩和に努めて、準地の存在を納得していただくという考え方でいっておるわけでございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿分科員 考え方立場の相違のあることは先刻も申し上げましたが、かりにそういう立場を一応別にしましても、基地周辺住民基地から受けるいろいろな被害なり障害緩和する――緩和し切るものではもちろんないと私どもは思っております。要するにそれを防衛庁予算の上に、法律あるいはその他の基準等によらずしてどのような形で三十七年度予算の上に表わしておられるのでありますか、もしありますならば。私不勉強で、そういう点がよくわかりません。騒音防止の問題とか、あるいは教育施設騒音防止の問題とか、あるいは補償対価基準とかいうものとは別に、そういう予算を計上しておられるとするならば、その金額は何ほどか。そうして、その基準はどうか。こういう点について明らかにしていただきたいと思います。
  6. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま御指摘のような騒音防止とかあるいは補償とかいうものは、これは防衛庁予算で組んでおりますが、積極的に基地周辺の民生安定と申しますか、周辺環境整備というような問題につきましての積極的な予算は、防衛庁といたしましては組んでおりません。先ほど申しましたように、基地閣僚懇談会あるいは基地周辺対策協議会等の議を経まして、そうして各省行政一環としてそういうものをやっていただく。それをこういう基地閣僚懇談会等の議を経て政府方針として決定しました上は、各省において各省行政一環として、そういうものを特に基地周辺について重点的にやっていただく。こういう方向で考えておるわけでございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿分科員 防衛庁予算としては特にそういう対策費は計上しておらない、各省と連絡の上やるんだとしますと、防衛庁が音頭をとり、あるいは閣僚懇談会において、従来どの基地とどの基地に対してそういう特別の関係庁をして措置を講じておるかということに対しての、具体的な例示は伺えますか。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 たとえば東富士演習場につきましては、地元静岡県知事――もちろんこれは地元のいろいろな御要望をいれての上のことでございますが、そういうものにつきまして、たとえば開田計画につき、あるいは畜産振興施設について、一部そうした閣僚懇談会の議を経、閣議の御了解をいただきまして実施をいたした例がございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿分科員 ほかにはないのでありますか。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 他には、今のところはまだ具体的になったものはございません。
  11. 足鹿覺

    足鹿分科員 先ほどの御答弁の中に漏れておると思いますが、基地周辺開発投資を根拠づける立法措置等が、地方紙等自民党の一部国会議員帰来談等で大きく報道され、基地を有する地方住民の大きな関心を昨年夏以来呼んでおりますが、現在のところそういう計画があるのかないのか。あるとするならば、その要領はどういうものであるか。この点について、もう一点御答弁願います。
  12. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自民党基地問題特別委員会において、そうした何か法制的なものを作ってはどうかということで御研究になっておりますることは承知いたしておりますが、政府といたしましては現在まだ用意をいたしておりません。
  13. 足鹿覺

    足鹿分科員 第二にお尋ねいたしたい点は、これは昨年も当委員会内閣委員会等でお尋ねした点でありますが、防衛庁経理局昭和二十八年四月一日交付の、三十年七月改正されました陸上、海上、航空自衛隊等における土地の購入または使用に関する対価及び補償基準要綱というものがあり、これによって基地拡張あるいは新設に伴ういろいろな物件の補償等基準が設けられてあることは、申し上げるまでもなく御存知じのことと思います。と同時に、基地騒音緩和する、そういう目的のために教育施設の移転あるいは建物構造変更充実というようなことを目的とする教育施設騒音防止対策工事費補助金交付に関する訓令というものが、三十三年十一月二十一日、長官訓令として発せられておる。現在われわれの理解するところによりますと、この二つのものが補償等に関する対価基準になり、教育施設騒音防止に対する工事費補助基準になっておると理解しておりますが、ほかにまだありますか。また何か新しい基準をこれらに関連して考えておられ、かつ準備をしておられる事実がありますかどうか。
  14. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまお示しになりました二つだけでございます。なお、基準等変更について現在は計画はいたしておりません。
  15. 足鹿覺

    足鹿分科員 そうしますと、三十七年度予算ではあとで触れますが、相当大幅な二千億台を突破した防衛庁関係予算が組まれており、その中でも比較的金額は小さいが、増額率では相当なものがあります。騒音対策にいたしましても、前年度六億程度のものが、来年度においては十六億を上回っておる。また施設整備にいたしましても、継続費等あるいは国庫負担行為等を合わせますと、これまた相当ふえておる。もちろん艦船の建造、航空機購入、機材、弾薬等につきましては、もう軒並みふえております。新しくF104Jが先日一機組み立てられ、試験的には失敗をしたようでありますが、近く戦闘機部隊が発足をする。こういう段階になって、軒並みに基地滑走路延長、これに伴う施設の拡充という事態に直面をしておると思うのであります。従来の対価補償基準を変えない、教育施設騒音防止訓令もそれによってやる、現状通りでいくんだ、新しい基準は考えておらないといたしますならば、先ほど長官が申されました基地周辺開発投資環境改善等によって、間接的に地方住民抵抗緩和する方向に持っていき、直接の補償騒音対策教育上の障害に対する工事費補助等基準を変えないとするならば、一体この騒音対策費の大幅な増額や、施設整備の大幅な増額というものは、どういう形において支出されていくのでありますか。それを伺いたいのであります。
  16. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この騒音対策等につきましては従来もやっておりましたが、まだまだ不十分なことは御承知通りでございます。従いまして、来年度予算以降におきましては、この騒音対策、特に104の展開等に備えまして、できるだけ多くの騒音防止工事をやって参りたいというような考え方に基づきまして、相当大幅な増額をいたしたわけでございます。要するに対象となりまする教育施設あるいは病院施設等について、できるだけ早く多数のものにそういう工事を施したいという考え方のもとにこれを増額いたした次第でございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿分科員 直接F104を中心とする戦闘機部隊の出発に備えての基地拡張あるいは整備、もちろん滑走路延長等中心になるでありましょうが、そういったものの飛行場別拡張計画内容、そういったことについて、これは長官でなくてもけっこうでありますが、この際具体的にお示しを願いたい。
  18. 海原治

    海原政府委員 ただいまのF104部隊展開のための基地でございますが、先般の予算委員会で私から御説明いたしましたように、二次計画におきましては、北部地区に一基地中部地区に二基地西部地区に一基地、合計四基地で七飛行隊を収容する計画でございます。本年度北海道千歳、これに本年度後半に編成を予定しております第二〇一航空隊、これはF104の部隊でございますが、これを持って参るつもりであります。千歳は、現在御存じのように二千七百メートルの滑走路を持っておりますので、このためには特に拡張を考えておりません。自後の六飛行隊展開のための基地でございますが、これは、いろいろ86F、86Dその他の部隊展開ともあわせまして最終的にどのような形にするのがいいかということを、具体的に事務当局の手で検討いたしておる段階でございまして、ただいま来年度以降の104部隊につきましては、先ほど申しましたように、方針としては北に一つ西部一つ、中央に二つ、こういうことはわかっておりますが、具体的な飛行場決定には至っておりません。
  19. 足鹿覺

    足鹿分科員 そうしますと、三十七年度並びにそれ以降における航空機保有に即応した就航航空機機種別配置計画というようなものは、現在ないというわけでありますか。新しく何を配置するのか十分検討もしないで、明らかにしないで、ただ――あとで触れますが、膨大な国庫債務負担行為を三十八年度までには一千七百数十億を計上するというような計画になっておるようでありますが、防衛庁予算というものは、そのように内容を全くこの委員会にも発表ができない、まだ検討中だ。にもかかわらず、予算のみは先にぐんぐん、しかも年度をこえた負担行為あるいは継続費等で進んでいっていいのでありますか。私ども農林関係の深いものでありますが、大蔵当局はわずか十万、百万の金についても、とかくやかましくこれをせんさくし、まるで重箱のすみをようじでつつくような辛らつな態度でもって臨んでおりますが、あなた方の防衛庁の場合におきましては、そのような具体的な内容国民の前に明らかにできない、その配備計画もまだ決定しない、そういう段階で、経費だけはつかみ取りで取っていく。こういうことが許されていいのでありますか。これは長官からもあわせて御答弁願いたいと思います。
  20. 海原治

    海原政府委員 先ほど私の御説明が不十分で申しわけございません。少し事務的になりますが、補足的に申し上げてみますと、先生も御存じのように、たとえば百里原であるとか美保であるとかという基地につきましては、だいぶ前から航空自衛隊基地として使用いたしたい、そのための建設に着手をいたしたものもございますし、着手しようとしているものもございます。こういうものは、長期的にはそこに航空自衛隊のそれぞれの飛行隊配置するということになっておるわけでございます。必ずしも計画を立案しました当時のような事情には進んで参っておりません。そういうことを勘案いたしまして、二次計画も三十七年度から発足いたしますので、一応もう一度基地展開というものについて検討し直そうということで、実は私どもの手元で今やっておるわけであります。先ほど御質問のありましたように、全然計画なしに将来のことを考えておるわけでは決してございません。かつ、滑走路延長ということにつきましては、三十七年度の104のためには千歳だけで足りますから、そのための金しか実は入ってないと私どもは存じております。中部地区西部地区ということだけでばく然と、飛行場を予定しておりませんのは、実は104部隊編成につきましても、二次計画を作りまして、これは昨年の七月十八日に国防会議で御決定をいただいたわけでございますが、その当時におきましては、三十七年度に二飛行隊編成しようということで考えておったわけであります。しかし、その後いろいろと各種の条件検討いたしました場合、三十七年度は一飛行隊が適当であるというふうに、飛行隊編成の数も変わってきております。さらにこれを展開いたします基地につきましては、先ほど申し上げましたように、当然現在時点におきましては使用し得るであろうと思われますものもいろいろと困難な事情もございますので、そういう事情をさらに考慮の中に入れまして、どのような形に展開するかということを現在三十八年度以降の計画といたしまして検討しておる、こういうのが実情でございます。従いまして、防空上先ほど申し上げましたように、一応地区を分けまして、北部地区には一基地中部地区には二基地西部地区には一基地ということで、104の展開を考えます。現在104につきましては、一応滑走路は二千四百メートルで間に合うということで御答弁申し上げております。二千四百メートルの滑走路を持ちますものは、先般も御説明いたしましたが、千歳小牧松島浜松小松新田原等基地がございますので、これらに86F、86Dの部隊展開とも関連いたしまして適正な配置をしたい、このように検討いたしておりますので、決して無計画予算を要求申し上げておるということではございませんということを一つ御了解願いたいと思います。
  21. 足鹿覺

    足鹿分科員 先ほど申し上げましたように、三十七年度保有並びに就航航空機機数機種別配備計画、それを中心として先ほど防衛局長が御答弁になりました三十八年度以降の配備計画というものもまだできておらぬ、それはまだ発表できないということでありますが、それはいつごろ御発表になりますか。大体先ほど申し上げましたように、くどいようでありますが、少なくとも三十八年度までに千七百五十億五千九百五十万七千円というものが国庫負担債務行為として、財政法二十八条に基づく参考書類によって提示をされており、その中で防衛庁関係は千三百七十二億八千四百十八万二千円、これに新しく含まれておるものは四百六十八億八千七百六十七万九千円という、他の国政の全般を通じて千七百億に対し、実に防衛庁関係は千三百億を占めておる。としますならば、他の国政方面においては最も急がれる所得の開差に対する解消対策等池田内閣がモットーとして国民に誓約した問題等をどう処理するかということについては、かかる点こそ相当重点が国庫債務負担行為の面においても現われてこなければならぬとわれわれは理解いたします。千七百五十億の総額に対して、そのほとんど八割を占める防衛庁国庫債務負担行為というものは、しかもその内容は、今私がお尋ねしましたように、中身も十分国民の中に明らかにされない。これから検討するのだ。東に一つ、西に一つ中部二つ、そういうロッキードの戦闘機部隊の大まかな配置計画しかわれわれは聞くことができない。こういうことはまことに遺憾にたえません。予算の単年度原則に反しておるのではありませんか。予算原則はあくまでも単年度主義に基づくものでなければならぬということは、これは予算編成の鉄則でなければならぬ。従来の帝国議会の当時において、国費の四割を占めるような軍事費の計上が続いた。その当時、国会においては一指も触れることができなかった。この事実は、ついに日本をして無謀な戦争へ突入せしめる大きな素因となり、そして敗戦という事態にぶつかってきたのであります。今ちょうどわれわれが本年度予算を通覧してみますならば、一般本庁費においても二千億をこえ、債務負担行為においても千三百七十億をこえる。こういう状態を見ておりますと、しかも、本年度負担行為をきめておきながら、本年度使用分はきわめて少ない。そして三十八年度においてこれを使用する。でなかったならば、三十八年度でけっこうだとも常識的にも言えるのであります。こういう傾向がだんだんふくらんでいき、拡張していきますならば、旧軍事費的な性格を漸次強めていく心配も、われわれはなしとは言えないと思います。少なくともこのような膨大なものに対しては、国民がこの国会を通じてその実態を明らかに知ることがまず前提でなければならぬ。防衛庁予算のみがこのようなふくらみ方をし、その内容も明らかでないということについては、私どもは納得することができないのでありますが、この点について長官の御所見はいかがでありますか。
  22. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最初に申し上げますが、この104の展開等につきましては、先ほど防衛局長がお話し申し上げましたように、現在使用をいたしておりまする、ことに104が離着陸が可能な、間に合う、二千四百メーター以上の滑走路を持っておりまするところは千歳小牧松島浜松小松新田原、こういうところでございます。これを中心にいたしまして展開をするわけでございます。従いまして、一応の計画をもちまして、そうして予算の御審議等もいただいたわけでございます。その後いろいろな事情がございますので、なおいずこに何を展開するかということにつきまして、さらに現段階の情勢を入れまして再検討をいたしておるということでございます。  それは別といたしまして、後年度のこの継続費あるいは国庫債務負担行為が非常に大きくなって、いかにも予算を固定化させるのではないかという御意見でございます。できるだけこうした国庫債務負担行為あるいは継続費というものは、予算の単年度性からいいまして少なくするのが建前であることは御説の通りでございますが、何分にも航空機あるいは艦艇等の建造には年月を要するものがございます。従いまして、やむを得ずこういう形にならざるを得ないわけでございます。もう一つは、三十七年度予算で御審議をお願いいたしておりまするように、たとえば陸上自衛隊の装備品甲類のようなものの長期一括購入ということが、むしろ単価の上におきましても、あるいは防衛産業の計画性を持たせる上におきましても、好ましい姿でございます。そうしたことを含めまして、三十八年度以降の後年度の負担は約千四億と相なると存じますが、こういう形になっております。できるだけこうした点は十分今後も考えまして、予算が固定化されないような方向に進みたいと思いますが、何分にも先ほど申しましたような航空機、艦艇、その他の特殊性もございますので、その辺は御了承をいただきたいと存ずる次第でございます。
  23. 足鹿覺

    足鹿分科員 この問題にあまり時間を私使いたくないのでありますが、いま一応申し上げておきたいと思います。  航空機あるいは艦艇というものについては、そのこと自体の論議の上からいって、継続るいは国庫負担行為等のやむを得ざる場合も出てくるかもしれません。しかし、財政法二十八条に基づいて国会に提出されました国庫負担行為防衛庁関係の内訳を見ましても、器材整備費といったものに大きな負担行為が計上されておる。四百七十二億というものであります。また弾薬の購入等につきまして三百九億というものが計上されております。これらは今の長官の御答弁と私は全く相反する性格のものではないかと思う。艦艇とかあるいは航空機とかは、一朝一夕にできるものでもありますまいし、またこれは一つのあなた方の立場とするならば、体系立てて継続的にこれを進めていく立場に立っておられるでしょう。機具器材や弾薬購入等は、しかも弾薬購入をとってみますならば、二十一億円ばかり組んでございますが、その中で三十七年度の支出はゼロであります。しかるに、三十八年度においてはこれが全額使用される、こういう形のものになっておる。その年度に使う見込みのないもの、全くその余地のないものを固定化して、ここで負担行為に計上する趣旨等は、艦艇、航空機等のものとの性格の相違からいっても、私ども一つの例としても納得のいかないやり方だと思う。長官の御意思とは別に、だんだん戦前の軍事費的な性格を帯びてきつつあるということを指摘しておきたいと思うのです。  この問題はこの程度にいたしまして、次に航空機使用及び搭乗に関する長官訓令について伺いたい。  これは昭和三十年第二十七号をもって発せられたものであるように承知しておりますが、最近の防衛庁所管航空機を利用した民間人の搭乗実績をお示し願いたい。本日ただちに御提示ができなければ至急に資料として提示をしていただきたいと思うのですが、概要をこの際お聞きしておきたい。
  24. 海原治

    海原政府委員 ただいま御要求のありました搭乗者の実績につきましては、現在手元に数字がございません。至急調製いたしまして、資料として御提出申し上げます。  概数につきましても、実はまことに申しわけございませんが、入っておりません。と申しますことは、現在部外者の搭乗というのは、実は三種類に分かれております。第一は、たとえばアメリカの顧問団の軍人が、防衛庁に供与いたしました航空機等の訓練とか寸あるいは実績の検討等に必要なために同乗する場合がございます。こういうのは、現地の部隊長限りでこれは許可できることになっております。さらには関係団体、たとえば警察の関係者が災害派遣等の場合に必要あるときには、現地の部隊長限りでこれまた許可できる。さらに、一般にそれ以外に自衛隊の任務遂行のため、あるいは国または公共団体等の任務遂行ということのほかに、具体的に申しますならば、たとえば自衛隊の広報、自衛隊のあり方というものについて一般の方に認識をしていただくというようなときには、特に長官の許可を得まして飛行機に乗せております。この三種類の使用実績につきましては、従来そういう統計をとっておりません。不完全な数字で本委員会でお答え申し上げましては、また私どもまことに申しわけないと存じます。現在至急各方面に手配いたしまして実績をとっておりますので、これが集まり次第提出さしていただく、このように御了解願いたいと思います。
  25. 足鹿覺

    足鹿分科員 資料がないという話でありますが、この訓令によりますと、今防衛局長から御答弁のありましたように、三つ程度に分かれておるようであります。民間人の搭乗は、その第八条において、一、自衛隊の業務を遂行するにあた  り、特に部外者の協力を得るため  に必要がある場合二、自衛隊の広報業務を遂行するに  あたり、特に有効である場合三、国会議員または関係官公庁職員  が、職務上、自衛隊に関し調査ま  たは視察を行なう場合において特  に必要である場合等を規定しておるのであります。  私が主として聞かんとしておりますのは、最近特に自衛隊の輸送機等に無料で、きわめて簡単に乗れるようでありますので、薩摩守忠度の人々がずいぶんふえたようであります。それはこの二、にありますような自衛隊の広報業務に属するものか、あるいは関係官公庁の職員に類するものか。私は乗って悪いと、規定のある以上、そのこと自体をとやかく言おうとしておるものではありません。とにかく私どもの見たところでは、たとえば美保なら美保の飛行場の拡充が住民抵抗にあって難航しておる。そこで、地方自治体の人々やあるいはその他の民間の人々を、長官の許可を待つまでもなく、出先が勝手に搭乗せしめておるのではないかと疑わざるを得ないような事実が頻発しております。たとえば、その飛行場拡充に猛烈に反対している地区などには、もうてんで知らぬ顔をしておいて、立場のあいまいなところには飛行隊の職員が勧誘して、十分とか十五分程度の遊覧飛行にも乗せてやる。もし御旅行になるならば御利用下さい。いわゆる自治連合会長とか、そういう諸君を条件賛成派に切りかえていく一つの手段として、この航空機使用、搭乗に関する訓令を逸脱して、出先が、国家の大事な防衛施設を全く自分たちの立場から乱用しておると解せざるを得ないような事実がある。私はそれらの現状を見て、まことに目的のためには手段を選ばぬとでも申しますか、基地拡張のためにはこのような訓令などはまったくうわの空で、これを無視して、出先の自由自在にこのようなことをされていいのでありますか。長官の許可を必要とするということが八条に規定されておりますが、許可の指示があって初めて搭乗が許されるべきものではありませんか。  昭和三十二年の寒いときに、美保飛行場に来る輸送航空機か、十数名の民間人等を積んで中海に墜落し、その死体の引き揚げの実情を私どもも聞いたのでありますが、いかがわしい婦人すらも乗っておったと伝えられております。このような事実は、一体だれがどういう手続によって乗せたか、当時非常に問題になりました。いやしくも国防々々とおっしゃるあなた方が、その運営にあたって乱脈、とはいささか言い過ぎかもしれませんが、われわれ国民が納得のいかない、二等車にも乗れないような人々に飛行機に乗せてやるという誘いの手をかけて、基地拡張新設に誘い込んでいくというやり方は、不公明なやり方ではないのでありますか。そういう点について、いかようになさいますか。統計がないというお話でありますが、長官が許可を発したとすれば、たちどころにできるじゃありませんか。昨日あなた方から私に、きょうどういうことを質問するかという話がありまして、この訓令についてただしたいということは、あらかじめ申し上げたはずだ。それを長官許可があるにもかかわらず、ここで御提示になれないということは、出先が勝手気ままに処理をしておる証拠ではありませんか。
  26. 海原治

    海原政府委員 ただいま、部外広報に名を借りて、自衛隊の飛行機がいわば遊覧飛行的な面で乱用されておるのではないかという御指摘でございます。実は私どもも、そういうことがあってはならないということで、先生の御承知訓令のほかに、本年の一月二十九日に事務次官通達を出しております。これによりまして、航空機使用及び搭乗に関する訓令の解釈、運用等につきまして、詳細に現地の部隊には指示いたしております。従いまして、今おそれがあるということで御指摘になりましたような事態は、まず万々ないとは存じておりますが、今御指摘の具体的な事情につきましては、至急に現地を調査いたしまして、御報告させていただきたいと思います。  なお、現在許可いたしました数は、実は海と陸についてはきております。空につきましてはまだ手元に到達しておりませんので、御報告いたさないということでございますので、一つこの点は何とぞよろしく御了承願いたい、このようにお願いいたします。
  27. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま防衛局長からお答えした通りでございますが、民間人の搭乗が乱に流れるようなことがあってはならないことは申し上げるまでもございません。従いまして、本年に入りましても、さらに具体的な例をあげまして、この訓令の解釈等について事務次官の通達を出しておる次第でございます。また、ただいまもお話がございましたが、これはまたやはり民間の方々の安全の問題でもございます。十分そういう点についても注意をするように、さらにおっつけて通達を出しておるような次第でございます。ただいまいろいろ御指摘がございましたが、そういうことは私ども万々ないとは存じますが、さらに今後も十分戒心をいたしまして、この訓令を十分厳格に解釈をいたして実行するように努めて参りたいと存じます。
  28. 足鹿覺

    足鹿分科員 そういう今までの事情から、私の知っておる限りでも、大きな事故があって全員死亡しております。パイロットも乗客も全員死亡しておる。そういう場合に、貴重な人命を失ったわけでありますから、その事故の原因、事故による被害者のその後の処置等は明らかになっておるはずでありますが、それらも一応この際明らかにしていただきたいと思います。特にそうした場合は、保険はもちろんついておりますまい。民間航空ではありませんから、ついておりますまいけれども、どうなんですか。大事な国民が、それによって生命を失うという重大事態が、もうすでに起きてきておる。これからも、今のようなことでは起きる可能性があるのでありますが、そういう場合はどう処理をされるのか。また、この訓令によって厳格にやる、また別に次官通達を出したことはけっこうでありますが、その場合も、厳格にやる場合もおそらくそう今の場合と変わってこないと思いますが、いわゆる許可申請は大体何日くらいまでに出すのですか。民間航空に乗る場合でも、出発一時間前までには飛行場に到着をして、諸般の手続を終えて、ちゃんと乗客名簿と照合の上乗せております。おそらく今の地元の人々を、いわゆる遊覧的なやり方で搭乗を許しておるような事態から見ますと、搭乗者の名簿も、あるいはその目的も、おそらくはっきりしておりますまい。そういう場合に、もし事故が起きた場合には、だれがどのような責任を持つのでありますか。大体許可はどういう形式か、その手続をここで一応明らかにしていただきたい。
  29. 海原治

    海原政府委員 部外者の方が自衛隊の飛行機に搭乗されます場合には、搭乗の予定日の十日前までに許可をとることになっております。それで、長官の承認につきましては、現地の部隊長からそれぞれの指揮系統を経まして、すなわち陸海空の幕僚長から長官あての承認が参ります。この申請書には、目的と、搭乗される方、その人の職業、年令等が詳細に記載されております。これは、私自身もその書類を見ることになっております。手続といたしましては、長官まで、どういう人がどういう目的のために乗るか、長官のところで不許可になった事例も相当ございます。従いまして、現地で乗せたいから直ちに全部が乗るということにはなっておらないと私は確信いたしております。ただ、たまたま、たとえば自衛隊の創立記念日というようなときに、体験飛行ということで各地でお乗せすることは、これはございます。その場合には、各基地におきまして一定数を規定いたしまして、その以内において搭乗させてよろしい。その場合にも、しかし目的を十分に達成できるような人を選んでやれ。こういうことで処置しているように、私どもは指示しておりますし、そのようになっておることも確信いたしておりますが、御指摘の点はさらに調査いたしまして御返事申し上げたい、このように考えております。
  30. 足鹿覺

    足鹿分科員 先ほど私が例示をいたしました、美保輸送航空隊所属の航空機が中海に突入して大惨事を起こした、その当時の実情等は、現長官なり局長も御存じありますまいが、少なくともあの当時の問題はそのまま不問に付せられ、世間も忘れております。私も、あえてその昔のことを引きずり出してここで論議をしようとは思いませんが、最近のあなた方の出先がやる露骨な、いわゆる反対派条件付賛成派に切りかえる、あるいは一般の人々を体験飛行のワクを越えてねらい撃ち的に、この人をつかんでおけば大体その部落はいざというときには賛成、あるいは反対にも立たずに、防衛庁の権力に追随するであろう、明らかにそういうような意図のもとに人員を勧誘されておる疑いが多分にあるのであります。これらは体験飛行の度をこえたものであることは申し上げるまでもないでありましょう。その行き過ぎをお認めになるのかならぬのか。そしてまた、今後もし事故のあった場合は、昭和三十二年であったと思いますが、あの大惨事との関連において、だれがどういう責任を持つのでありますか。その点を明らかにしていただきたい。
  31. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 事故の場合の損失の補償について、私から補足して御説明申し上げます。  防衛庁機が原因でその搭乗しておる民間の方に事故が起きました場合には、その損失を補償いたしております。先ほど御指摘になりました美保の事故につきましては、たしかその当時二名分、百万円程度の損失を補償いたしたと記憶しております。
  32. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 非常に行き過ぎがあるのではないかということでございますが、私どもは万々さようなことはないということを確信をいたしておることでございます。しかしなお、そういう足鹿さんの御指摘もございます。さらに十分な注意をいたして参りたいと考えております。
  33. 足鹿覺

    足鹿分科員 先ほども私が申し上げましたように、長官訓令が守られておらない。非常に遺憾な事態にあなた方も気がついたからこそ、次官通牒をその後において発せられた。私はそう解釈する。とするならば、今私が指摘しておりますように、次官通牒をお出しになった後においても、われわれの知る限りにおいてはそういう傾向は是正されておらない。いわゆる搭乗、試乗の許可の手続等においても、きわめて簡便に処理されておる。だからこそ、あなた方には、長官の許可条項であっても統計すらも、前もって申し上げても御準備ができないでしょう。だから、その事実は明らかにお認めになるのが当然ではないですか。何もそのようなこと自体に対して、立場を固執される必要はないではありませんか。
  34. 海原治

    海原政府委員 現実に航空機搭乗の行き過ぎがある事態を認めろ、こういう御趣旨のようでございますが、昨日御連絡を受けましてから一応手配をいたしましたのですが、ただいままでのところ、一部の数字しか参っておりませんことはまことに事務上申しわけないと存じます。ただ、数字と申しますのは、いろいろと確認をいたしませんと、またあとでこれを訂正いたしまして、まことに申しわけないことに相なりますので、いましばらく御猶予を願いまして、はっきりした数字が出てきてからお答えさしていただきたいと思います。実はただいま、陸と海につきましても数字があると申しまして、お答え申し上げようと思いまして点検いたしたところ、一部のものが落ちておりました。従いまして、まことに恐縮でございますが、いましばらく時間をかしていただきまして、実績についての御報告をさしていただきたい、このようにお願いいたします。
  35. 足鹿覺

    足鹿分科員 この問題でいつまでもやっておりますと、あとの最後の問題がやれませんので、この程度で、あとその搭乗、試乗の統計資料等をお示しを願った上で、また他の同僚議員の人々の手を通じましてもこの点は明らかにしていただきたいと思っております。  最後に、美保基地拡張問題につきまして二、三お尋ねを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。  防衛庁長官にまず伺いたいのであります。この美保基地問題については、光国会においても、また主査西村防衛庁長官当時にも、しばしば申し上げておりますので、その経緯等につきましては省略いたします。昨年の五月から六月にかけ、自来断続して、あなた方の方から地元の有力者あるいは地方住民に対して、このような膨大な資料を中心にして執拗な説得工作が行なわれております。にもかかわらず、地元住民の反対の署名は、関係市町村においてはもちろんのこと、だんだんふえまして、過半数ははるかに突破しております。これはいたずらに街頭で判を押すというようなものではなくして、成規の手続によった地方住民の署名であります。そのことは先国会にも述べましたから、これを省略いたします。そういう情勢の中にあって、昨年の秋の末、自民党鳥取県連は防衛庁に対して申し入れを行なっておる。すなわち、来年には選挙があるから、基地拡張をやるならことしじゅうにやれ――去年の言葉であります。つまり選挙とは、本年の末には鳥取県の知事の選挙がある。また六月には、もう申し上げるまでもなく参議院の改選が行なわれる。そういう事情でありますから、県民の世論をはばかってか、ことしじゅうにやるならば協力も惜しまぬが、来年になれば協力できないという趣旨の強硬申し入れをしたと、新聞紙は一斉に大きく報道しておる事実があるのであります。防衛庁長官あるいは防衛庁関係当局は、そのような申し入れを聞かれ、現在どのように考えておられるのでありますか。これがまず第一点であります。  それから、最近いわゆる動中静ありとでも申しますか、音なしのかまえであります。最初ははでに、こういう、われわれがとうてい企画し得ないようなりっぱなものを惜しげもなく地元住民に一斉に配り、そうして長い日子を費やして説得をしたが、効果がないというので、今度は手の込んだいろいろな秘密工作が続けられておるようであります。その事態はここで申し上げることを省略しますが、とにかく行なわれておる。表面は一応世論に耳を傾けた形のようでございますが、これは私は前から申し上げておりますが、適地でないという素朴な地方住民の声に耳を傾けて反省をされた結果であるのでありますか。あるいは先ほど話しましたように、選挙に関して世論の反撃、あるいは選挙の不利というような立場から、現在のごとく動中静のような形で静観をしておられるのでありますか。そのいずれでありましょうか。この点を伺っておきたい。
  36. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 美保飛行場拡張につきましては、私ども防衛の立場から、ぜひ二千四百メートルの拡張をいたしたいという考え方を捨てておるわけではございません。鳥取からの申し入れ等ももちろんございましたが、できるだけ早く、ことに三十六年度中くらいに両県の御了解をいただいて、そうしてまず測量に着手するようにというようなお話もございました。私どもといたしましては、これはお立場は違いますが、先ほど申しましたように、防衛庁はぜひあの美保の飛行場滑走路を二千四百メートル拡張いたしたいという考えをもちまして、ただそれにつきましては、あくまでも両県の各方面の御了解をいただくことが先決でございます。従いまして、いろいろ地元皆様方にその必要性あるいはその他のことを繰り返し申し上げたこともございますわけで、いずれにいたしましても、両県知事を中心にいたしまして、その測量が円滑にできまするように、私どもはさらにお願いをいたしておるような次第でございます。別段選挙とか、そういう問題にからんで、ちゅうちょ逡巡をいたしておるわけではございません。どこまでも両県知事を中心にいたしまして、御納得をいただくように今後も努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  37. 西村直己

    西村主査 足鹿さん、防衛局長から、さっきの件で何か御説明したいそうです。海原防衛局長
  38. 海原治

    海原政府委員 先ほどの御質問にありました昭和三十二年3月四日美保に起きました事故の内容がわかりましたので、御報告いたします。  当時乗っておりました者は全部で十七名でございます。これは自衛隊員が十三名、アメリカ軍人が二名、民間人が二名、この民間人の二名は「航空情報」関係の雑誌の話者でございまして、取材のために同地を見に行くということで参ったのであります。これが中海に墜落いたしまして、全員死亡いたしたものでございます。当時民間の方には、先ほど経理局長からお答えいたしましたような程度のお見舞をいたしております。先ほど、女性の方が入っておったのじゃないかということでございますが、この民間人は二人、これは雑誌記者の方でございます。以上御報告いたします。
  39. 足鹿覺

    足鹿分科員 そのせんさくをあえて申し上げませんが、その民間人が問題になったわけであります。当時の新聞記事等を総合判断をしてみますと、私が申し上げた点はそう間違っておらないと思います。あなた方が傍受しておられる正規なものと、その引き揚げに従事をした地方住民の話を私どもは聞いておるのでありまして、その点はあえてこれ以上申し上げません。  そこで、現在美保飛行場滑走路延長をめぐって施設の拡充が計画されておる。行く行くは86Dあるいは104戦闘機の配備等に進むであろうと地方住民はおそれておる次第であります。とにかく、ことしの予算あるいは国庫負担外義務負担、それから繰越明許、継続、これらを総括して美保飛行場に計上されておる金額は、その費目別に何ほどでありますか。それだけはここで明らかにしておいていただきたい。  それから、二千四百メートルの滑走路延長する場合、両側及び前方に着陸帯を、二千四百の場合は現行航空法の規定によって百二十メートルずつ両側に着陸帯を作る。前方にもそのものを作る。後方にも作る。後方は陸地に続いておりますから、三方にそういうものができる。こういうことになるわけでありますが、これを計算してみますと、二千四百メートルに百二十メールを三方へやりますと、大体二千五百メートル前後になろうと思います。これを町歩に直しますと、六十町歩から六十五町歩という膨大な島を一つ形成するわけであります。それはここにありますように、長官は現地をごらんになったかどうか知りませんが、ちょうど山陰の住民が多年の念願として、昭和三十八年にはいよいよ中海の干拓が実施の段階になる。国費九十六億と伝えられておるのでありますが、すでに実施設計は本年の春の末ごろには完了の段階に至っておるとわれわれは仄聞しております。その一番大事なところに、これが出てくるのであります。といたしますと、いわゆる潮流を阻害するのみならず、そのような六十町歩前後の大きないわば島を作るわけでありますから、その結果は、この周辺からくみ上げる土砂あるいは埋め立てに要する砂れきあるいは岩石その他の収集、そういう関係も出てきまして、大きな問題になろうかと思います。のみならず、現在の土木技術の上から考えてみましても、われわれしろうとでありますが、遊水面の計算に大きな変化が起きてき、従って、いざ一朝高潮あるいは洪水等の場合においては、その遊水量に変化がきますならば、それでなくても非常に地下水の高い、そして海水面との差の少ない低地帯でありますから、これは重大な事態が予測されるわけであります。従って、もしそれをやるとするならば、中海干拓の一部をその面から削除して、遊水量に異動を来たさないような事態が考えられる。そのことは中海干拓に大きな支障を与える。鳥取県側は干拓によって受ける面積は百町歩前後にすぎません。ほとんど島根が中心となり、米子湾の一部に独自の干拓が関連して行なわれる。といたしますと、先ほど冒頭に述べました基地周辺開発投資環境整備等に長官は努力する方針でいろいろと関係者と連絡をしてやるとおっしゃいますが、事実において、飛行場によって致命的な打撃を受けるのは鳥取県側ではありません。同時に島根の千桁計画に関連する問題としましても、重大な支障が起きることは、火を見るよりも明らかと言わねばなりません。こういう情勢をわれわれが考えましたときに、美保の飛行場は、われわれは憲法上の立場からもあらゆる立場からも、断じて認めるものではございません。その立場は一歩別な問題としても、地方住民の夢を破り、そしてこの山陰におけるただ一つの多年の念願が今や成就のせとぎわのときに、あなた方が恣意的なこのような計画をいまだに放棄しないでいるということは、非常に認識の足らざる点である。そうして口には高度成長、低開発地域との調整を言いながら、一つ一つ事実に反するやり方を依然としてやられておる。そこに私は大きな問題を指摘して、適地でないのみならず、このような甚大な被害を与え、そして中海干拓には致命的な大きな障害をもたらすであろうこの美保基地拡張計画の撤回を私どもは主張してやまないものであります。思想的、あるいは主義、主張の立場を越えて、地方住民が今のように反対しておるのは、私が申し上げるまでもないのであります。決して私どもの一部の意見や、あるいは一部の人々の宣伝によって地方住民が立ち上がっておるのではない。そのことを十分あなた方は認識される必要があると思うのでありますが、その点についてさらに長官が十分反省をされ、現実を認識されて、この計画を中止されんことを私は特にこの機会に申し上げたい。毎国会このことはいつも申し上げておりますが、おやめになるまでは私はこの問題を徹底的にやるつもりであります。決して一つの思想的な立場に立った意見で申し上げておるのではない。地方住民のほんとうの心の中から出てくる声を私はあなたによく聞いてもらって、今のような公式にも非公式にも、私どもから言うならば陋劣とさえ思われるようなあらゆる懐柔政策等を打ち切られて、地方住民の意思を尊重されんことを特にこの機会に申し上げまして、私の時間もだいぶ過ぎたようでありますので、質問をこの程度で打ち切りたいと思います。
  40. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては防衛上あの美保基地拡張というものは絶対にいたしたいと考えておる次第でございます。なお、ただいま御指摘のように、中海の干拓あるいはあの周辺地域開発について、地元皆様方のいろいろな御計画があることも十分存じております。この飛行場計画によりまして、その一部を変更していただかなければならないようになることも承知はいたしておりますが、その点につきましては、冒頭の御質問にお答えいたしましたように、そうした防衛上の問題と地域の住民方々の福祉の問題との調和を、いかにしてはかるかということを中心にして考えたいと存じます。その意味におきまして、両県の知事さんを中心にいたしまして、その調和を何とかならないかということでお願いをいたしておるような次第でございます。今後もそうした考え方で、私は遺憾ながら――足鹿さんの御反対が決していろいろな根本的な考え方の問題でなくて、そういう開発計画との関連においてであることは十分存じておるのでございますが、その辺の調和を何とかはかりたいと考えておる次第でございます。  なお、計数等につきましては、政府委員からお答えいたします。
  41. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 美保につきまする来年度予算についてお答えを申し上げます。  三十七年度予算といたしましては、これは美保あるいは百里ということでございますが、次期航空団といたしまして国庫債務負担行為五億円を計上いたしております。なおそのほかに、三十六年度からの繰越額が五億八千四百万円あります。
  42. 西村直己

    西村主査 辻原君、関連ですから一つ簡単にお願いします。きょうは時間も詰まっておりますし、本会議も間に入っておりますので。辻原弘市君。
  43. 辻原弘市

    辻原分科員 ただいまの基地設定についての防衛庁方針について、多少関連をいたします問題を伺っておきたいと思います。  先ほどからの美保基地に関する答弁をずっと聞いておりますと、基地設定にあたっては必ず他の省あるいは関係地方公共団体等との連絡を密にして、地元住民との福祉の調和をはかることに全力を上げる、こういうふうに言われておるのでありますが、私は今具体的な一つの自衛隊の基地設定にあたって、はたしてそういうことが顧慮されてきたかどうかをただしておきたいと思います。  今私が具体的にと言いました問題は、和歌山県の美浜町に誘致をせられようとしている自衛隊の基地についてであります。この問題は、すでに私は御連絡を申し上げておきましたので、長官事情をよく御承知だと思いますが、私が言わんとする問題の一つは、この基地を誘致しようとして予定をいたしましたその場所というのが、農林所管になるいわゆる海岸防潮林、保安林のまっただ中であります。しかもたまたま誘致をしようといたしましたその時期に第二室戸台風がこの地方を襲いまして、低い地域でありますから、海岸からの暴風雨によって非常にに大きな痛手を実は受けたのであります。幸いなことに、この保安林のために、他の地域とは違いまして幾分潮害を食いとめ得た。そういう事例が農民の頭にも非常に強くしみまして、なぜこの農民のいわばとりでとなっている保安林のまっただ中に作らなければならないのか、なぜわれわれのこの保安林に対する歴史的な認識というものを顧慮せずに強引にここに設置するのか、という鋭い農民からの反対運動が起こったのであります。私はこういう経過から考えまして、申し上げなくともよくおわかりのように、保安林などというものは一朝一夕にできるものではございません。しかも、これは現地をごらんなされば一目瞭然でありまするが、ちょっと他の地方、地域には見られないような、実にりっぱな保安林であります。それを数千本にわたって切り倒して、その中に基地を設定するのは、一体これはどういうことですか。しかも、この地区は、保安林のみならず、海岸砂地地帯振興法による特別地域の指定まで受けて、国庫の補助を受け、今日までこの松を育ててきたのであります。一方において、いわゆる農民保護、あるいは護岸ということで国がそれに対して国費を投じておる。一方において、自衛隊を誘致するということで、防衛庁はその松を切る。先刻も中海における干拓事業との関連、美保基地の問題に関して足鹿委員がただされましたが、問題は違いますが、いわゆる国がやる仕事について相反したことがここに行なわれておるという事例がある。しかも、その影響するところは、もちろん数からいいまするとあるいは小さいかもしれません。しかし、それら関係地区の農民にとっては、何といってもこの保安林によって農業が保持されておる。それを無視して、何がゆえにここに基地を設けなければならなかったかという点に私は重大な疑問があるわけであります。  第二に、各省との連絡を緊密にするといいつつも、なぜ保安林を解除して松を切ることを防衛庁が強要したのか、まずこの二点をお伺いしたい。
  44. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細は、さらに関係局長からお答えいたさせますが、地区施設隊を和歌山県に置くという方針を立てまして、辻原さんも御承知だと思いますが、数カ所の候補地があったように承っております。その調整を和歌山県庁にお願いをいたしまして、この美浜町というところに一応決定をいたしたわけでございますが、ただいま御指摘の点もございますので、さらに再検討をいたしたいと存ずるのでございます。こういうこともございますので、さらに今後の問題といたしましても、こうした基地設定につきまして、地域開発あるいは災害防除等の他の各省の施策との調和というものは、今後も十分努めて参りたいと存ずる次第でございます。
  45. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 今の長官の御説明に補足説明をさせていただきます。  御承知のように、この防潮林は町有林でございまして、防衛庁が特にこの地区を指定いたしまして、そうしてそこに建設をしたいという希望を申し述べたものではございません。県の方で公聴会をお開きになりまして、この町有の防潮林の伐木について、まあよかろうということで御決定になりまして、それで伐木をされたわけでございます。われわれの方から特にこの地区を指定してお願いをしたという経緯にはなっておりません。
  46. 辻原弘市

    辻原分科員 そこで、私は、先ほど長官が言われたいわゆる各省庁との連絡の緊密、それから地域住民の福祉との調和ということをほんとうにやられておるのかということをお尋ねしたわけです。今のあなたの答弁からいたしますると、施設大隊を誘致するについて、町なり県当局の方にすべてをおまかせして、そこがいいからやったのだという。一応聞けば、問題の回避の答弁としては非常にうまくできておると私は思うのだけれども、しかしながら、それは各地域にそれぞれの部隊配置するという防衛庁本来の目的からいたしまして、それで十分かという逆問が出る。少なくとも防衛庁は、そこに置くについて、各指揮系統を通じて、それが適正であるやいなやということの判断はやはりなされていると思う。そんなものではないでしょう。あなたの言うように、地方の公共団体が、ここがいいからここに置きます、ああそうですが、そういう形でやるのですか。いわゆる地方のものの考え方に従属をして防衛庁基地を設定するのなら、それでよろしい。われわれは防衛庁にものを申す前に、町当局なり県当局にそういう地域住民との調和を十分はかれということを申し出ます。しかし、やはりこれは防衛庁所管をする自衛隊の基地ならば、おのずからそこにあなた方の主観、あなた方の指導方針というものがあると思う。この問題について十分なる事前調査をやりましたか。
  47. 海原治

    海原政府委員 ただいまの御質問は、地区施設隊設置の問題に関連いたしますので、私からさらに補足説明を申し上げます。地区施設隊の設置につきましては、一般的には、御存じのような作業能力を持っておりますので、県を単位に考えて参ります。すなわち、現在自衛隊の部隊配置されていない場所であり、かつ年々いろいろな災害等の起こる可能性のあるところ、何か起こった場合に直ちに施設隊の作業能力が有効に活用される場所、というような一応の方針を持っております。それに従いまして、各県の方から地区施設隊を設置してもらいたいというお話がございますと、一応そのような基準に従いまして、具体的には県を予定いたします。その県内におきまして、数カ所自分のところへ持ってきてくれという御要求がございました場合には、先ほど大臣からお答えいたしましたように、県当局にお願いいたしまして、地元の市町村との間の調整をとっていただき、そこへ自衛隊としては部隊配置する。こういうことでいっておりますので、いろいろ設置の条件といたしまして防衛庁としても十分調査をいたすべきでございますが、一応地元の公共体団の御意見というものを尊重いたしまして、和歌山県に置く場合にどこに設置するかということにつきましては、先ほど申しましたように、地元方々の御要望をいれまして解決する。すなわち具体的な町につきましては、必ずしも私の方は積極的にどこに置かねばならないという考え方は持っておりません。こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  48. 辻原弘市

    辻原分科員 第二の、事前調査をやったかということについてまだお答えがないようですが、事前調査をおやりになりましたか。  それからもう一つ、今の防衛局長答弁で、県の要望に従って、あるいは地方公共団体のここに作ってくれという要望に従ってやったのだという。言ってしまえばそれまでなんだが、その地方住民の意思が確定する状況というものが大事です。どういうような形でこれをやったのか。たとえば、相当量の関係地区住民の反対があっても、都道府県知事あるいは町村長の側では強引に町の意思を決定する手段はある。しかしながら、そういう形式的な決定が、直ちに住民がすべて納得した意思決定であるとは実際問題としてなかなか受け取れない場合がある。このケースも私はそうだと思う。それだから約二百日にわたってもめ返ったのです。これはそういう問題をはらんでおる。あるいは今後もまたこれは出るかもしれません。そこで、よく調査をされましたかというのです。
  49. 海原治

    海原政府委員 具体的に部隊配置させます場合には、あらかじめその地区を管轄いたします、和歌山県でございますとあそこの方面隊、管区隊等におきましてこれは調査をいたすことになっております。現実にいたしております。ただ、その場合の調査の主たる対象といたしましては、部隊配置するに際しましての具体的な場所についての、たとえば面積がどのくらいあるとか、建物の状況はどうであるとか、あるいは道路の状況はどうであるとかというようなことが実は主になるわけでございまして、それ以外に地元の方方の御意向ということにつきましても、もちろん一応調在はいたします。しかし、今先生の御指摘になりましたような、地元方々の間に自衛隊の設置につきまして賛否両論あるというような場合におきましては、そういうことにつきましての御判断は、先ほど申し上げましたように、地元関係当局の御判断に待つというのが、私どもの実は事務的な従来のやり方でございます。自衛隊の存在につきましてはいろいろと違ったお考えもございますが、そういうことにつきまして、自衛隊独自の判断で部隊を貫くとか置かないということは、従来いたしておりません。先ほど申し上げましたように、県内におきまして数カ所の候補地が競合いたします場合に、そのどれにするかということは、部隊の方から考えまして条件の満たされる場合、その個々のどちらを選ぶかということにつきましては、先ほど来申しておりますように、関係知事あるいは市町村長等、理事者の御判断が実は優先してきておるのが従来の実績でございます。   〔主査退席、山口(好)主査代理着   席〕
  50. 辻原弘市

    辻原分科員 たとえば保安林を解除する、町議会の議決が要ります。またこの場所に自衛隊の設置を認めるやいなや、町議会の議決が要ります。これは一つの例ですが、その議決がきわめて僅少であって、反対する住民も多数である。あるいは無関心な住民がある。あるいは積極的に、施設大隊だからいいじゃないかという議論もある。しかしながら、賛否が非常に接近をしておる。言いかえてみたならば、形式的な面ではあなたの論理からするならば、また取り扱いの方針からするならば、地元できめたら自衛隊はそれに従う。調査はやるが自衛隊の判断ではやれません、もっと煮詰めてみれば、結局はそれぞれの公共団体の意思決定、それによって当該地区に自衛隊が誘致をされる、こういう見解。ところが、今私があげたような例、住民の意思というものの形式的ななにには現われてこない。しかしながら、実際問題として、それについては非常に反対の意見が強かった。そういう場所に自衛隊が行ったときに、これは防衛庁としてその責任のある立場に立ったならば、そういう形の設置が望ましい方向であるかどうか、おのずからの判断があると思います。そういうふうに非常に反対が強い場合でも、要するに形式的な賛成がとれればいいんだという形で、今後ともこれは押し切られるおつもりですか。その点は私はこれは一つの判断の問題になると思いますから、長官から一つ承っておきたい。
  51. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私どもとしましては、とにかく自衛隊の施設等があります場合に、地元の皆様の御協力をいただかなければならぬことは申すまでもございません。従いまして、そういう点についていろいろ地元の御納得をいただくような方法も考えますし、しかし、やはり地元の御判断というものは、私どもだけでやるよりも、その地元事情を十分御承知の地方公共団体の長なり、議会なりの御意見等を尊重することが最も適切ではないかというふうに考えております。従いまして、その内容がどうであるかということにつきまして、あまり私どもの判断を交えることもいかがかと思います。ただ、先ほど私の申し上げましたのは、そうした保安林の解除というような問題もございますので、これは十分関係省との打ち合わせもいたしまして、判断をいたしたいと考えておる次第でございます。
  52. 辻原弘市

    辻原分科員 防衛長官は、ここまでの問題についてあまり具体的にはお知りにならぬようであります。そのことを私は責めるわけではありませんが、もうすでに保安林も解除して、松のかなりの部分を切っておる。あわや警察も出動いたすほどに、非常な、場合によれば私はこれは流血の惨事を見るんじゃないかと思ったほどの問題であったわけです。しかし、われわれも配慮をいたしました。われわれもそういうことを引き起こしては大へんだという配慮をいたしました。町当局あるいは県当局等にも率直な私どもの見解を述べて、事態はそこまでに至らなかったわけであります。と申しますのは、その後町当局と現地農民との間の話し合いが続いて、ある程度現地住民も、現在の段階においては、反対だけれどもやむを得ないという状況にきているわけです。しかしながら、そのために、この松を切って、将来農民が農業に差しつかえを来たさないようにするといういわゆる補償条件一つ入っておる。それらをやるために、たとえば水揚げの施設、湛水の施設であるとか、あるいは農業振興のためのセンターの設置であるとか、かなり大がかりな費用の計上を、町当局なり県当局が、具体的に、数字は確定しておりませんけれども、項目としては農民に確約をしておるわけです。おそらくその総額は私の推算によりますると四億程度になるのじゃないか、こう考えておるのであります。そういうあとの始末の問題についても、だんだんの話によれば、きめたのは町当局なり県当局だから、防衛庁当局はあずかり知らぬところだということになりませんか、これは。その辺のところを私は伺っておきたい。というのは、町当局にしても、県当局にしても、まことに財政貧困であります。おそらくこれを実行するにはかなりの決意を要する。しかし、実際そこへ施設部隊配置するというのは、これは防衛庁でありますから、肝心の防衛庁はそれについて何らあずかり知らぬということになりますと、事態はまた変わってくると私は思う。その辺のところは、これは一体どうなりますか。
  53. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この場所は県並びに町の方で、ここにしてくれというようなお話がございまして、わが方としてもその適地性等は調査しておりますけれども、もともと県なり地元の方でそういう御要望があったわけでございまして、特にそのための補償等については、現在のところは予定をいたしておりません。
  54. 辻原弘市

    辻原分科員 形式的に言えば、そういう話があったから、施設部隊ならいいじゃないかということで県がそれに乗っかっていったと私は思うのです。と思うのだが、しかしながら、相当紛糾をして、そうして県なり町が責任を持った形で問題の処理をやる。しかも、あとのそれの補償についてもかなり突っ込んだ話し合いをしているということに全然防衛庁が関知しないと言うのもおかしな話だと思う。その後何か連絡がありましたか。
  55. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 防衛庁として御連絡をいただいておりますのは、保安林の解除が行なわれて、そして施設部隊を誘致するということに決定をしたという御通知をいただいております。なお、これはもちろん施設部隊としましては、そこに長く置いていただくわけでございますからして、何か部隊の方で御協力できるようなことが将来ございましたならば、もちろんこれは御要望に沿ってできるだけのことはいたさなければならぬと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、ここに設置されること、そのことについて補償等措置を考えておるということは、現在のところはございません。
  56. 辻原弘市

    辻原分科員 近い将来、町なり県当局が、これはなかなか防衛庁の協力を求めなければ、約束をしたことの実行が十分でないという事態に至ったときに、防衛庁は町当局、県当局のその申し出について誠意を持って協力をする意思がありますか。防衛庁長官からお伺いいたします。
  57. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま経理局長からお答えいたしましたように、設置そのものについて、いろいろ補償とか、そういうことは考えてはおりませんが、将来町当局あるいは県当局からお話がございまして、私どもの協力できまする範囲でございますならば、十分誠意をもって御相談はいたしたいと考えておる次第でございます。
  58. 辻原弘市

    辻原分科員 もう、一、二点。いつ設置をいたしますか、それが一つ。それから、当初の計画からかなり変更してきていると思うのであります。当初計画に比して、これは町と住民との話し合いの結果、また県当局の最終的な判断によって、計画はかなり変わってきておると思う。要するに、当初計画通り松を切るならば、農民は絶対にこれを許さない。悪い表現であるけれども、実力をもってでもこれを守らなければならぬという雰囲気にあったわけです。そこで、町当局、県当局が、何とか農民の意思も尊重しなければいかぬというので、当初計画変更したと私は聞いておる。どの程度に変更せられたのか、これを聞きたい。それから最終的に、ここに来る施設大隊の規模はどうであるのか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  59. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 この土地は建設省所管の国有地でございますので、ただいま財務局を通じまして所管がえの申請をいたしております。従って、この所管がえが終了いたしました際に設置をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから規模でございますが、最初七千坪程度を予定しておりましたけれども、その後約五千坪に変更いたしております。  それからまた、部隊をどの程度置くかという御質問でございますが、大体有名程度というふうに現在のところ考えております。
  60. 辻原弘市

    辻原分科員 最後に、長官に重ねて私は要望しておきたいのでありますが、今申しましたような、これは約二百日にわたって農民と町当局、さらに加えて県当局との間に非常な紛糾があったわけであります。もちろん自衛隊としての規模は、今お話のごとく、きわめて小さい施設大隊でありますけれども住民にとっては長い歴史を持った防潮林を切り払うというところに事態紛糾の大きな因があったわけで、これは農民が将来の農業経営、あるいは生活基盤を奪われるという意味において、その土地を取り上げられるという非常に深刻な問題であったわけです。ところが今の話のごとく、一応たくさんの松を切られるより、少ない本数にすれば何とか納得を得られるのではないか、そういう意味で、できるだけいわゆる潮の害を直接与えないようにという配慮のもとに、当初計画が縮小をせられた。そこで、農民も一つの安堵感があったわけです。しかしながら、依然として不安が去っておりません。そのかわりにというので、先刻私がお話を申し上げましたような、農業振興に関する諸種のそれにかわる補償と名づけられるでありましょうが、そういうものを約束をして、これはまだ実行の段階ではないのであります。具体的には町当局と農民との間にそれぞれの実行委員会が作られまして、これからその問題の処理に当たるという段階に今日なっております。一方においては、所管がえをするという時間的のあれもあります。そこで、この約束をしたそれぞれの項目の実行いかんによっては、また新たな問題が農民との間に惹起しないとも予想しがたい。そういう意味から、今後のことを考えてみれば、県なり町当局はおそらく相当この実行については努力をいたすでありましょう。それだけの努力ではたして完全に行なわれるかというところにも、われわれはいささかの不安を持つのであります。従って、形式的に、先刻からのお答えのように、ただ防衛庁は設置については何もしないのだというようなことだけでは、私は事済まない問題も出ると思います。だから、これの経過とまた現状をよく把握の上で、現地部隊に対する適切な指導なり、または県当局に対する、町当局に対する物心両面にわたる協力というものを、この際ぜひ長官としても考えていただきたいということを私は最後に要望しておきたいと思います。
  61. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 地区施設部隊を設置いたします以上、これが長く存続するために地元の皆様の御協力をいただかなければなりませんので、部隊といたしまして、あるいは防衛庁といたしまして、民政協力にお手伝いのできることは誠意をもって地元と御相談を申し上げたいと存じます。
  62. 辻原弘市

    辻原分科員 終わります。
  63. 山口好一

    ○山口(好)主査代理 岡田利春君。
  64. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、防衛庁の演習場新設の問題についてお伺いいたしたいと思います。  北海道の根室の第三矢日別周辺の演習場の設置を、防衛庁としては希望しておるわけであります。昨年長官北海道に来道されて、開発長官、あるいはまた農林大臣と本件について協議を行なっております。また、今年一月に長官は来道されて、この問題について新聞記者会見で発言をされておるわけであります。そこで第一点として、この矢臼別地区を演習地に使用するという問題については、地元から強い反対の陳情が行なわれた事実もあるわけなんですが、この地区を演習場としてあくまでも設置するという防衛庁方針は、今日も変わっていないのかどうか、この点をまず冒頭に明らかに願いたい。
  65. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 矢臼別演習場につきましては、師団対抗演習あるいは長距離火砲の演習等で、北海道におきましても最も適当な地域と考えておりますので、ぜひ防衛庁といたしましてはこれを演習場にいたしたいと考えておる次第でございます。
  66. 岡田利春

    岡田(利)分科員 この演習場の設置について、今目的の一端について長官から触れられているわけでありますが、この際この演習場を設置しなければならぬという防衛庁としての使用目的というものを、具体的にまず私はお知らせを願いたいと思うわけであります。それと同時に、この演習地の使用地域計画というものは、一体どういう程度にわたっているのか。もちろん私ども地元でいろいろ聞くわけでありますけれども長官が今言われたような演習を実施するとするならば、相当広範囲な地域を必要とするわけです。従って、この演習場を設置する場合に、その使用する地域はどの程度にわたるのか、その計画について御説明願いたいと思います。
  67. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細はさらに政府委員からお答えさせますが、矢臼別とそれから隣接いたします別寒辺と申しますか、この両方を一帯といたしました地域を演習場として使用いたしたい。それは先ほど申しましたような師団対抗演習、あるいは長距離の火砲の射撃演習等につきましてその程度のものが必要である、ぜひそれを獲得いたしたいと考えておる次第であります。
  68. 小幡久男

    ○小幡政府委員 演習場の使用目的につきまして、さらに具体的に申し上げたいと思います。  御承知のように、北海道の特科団は現在島松の演習場を使用しておりますが、特科団の用いております銃砲について申し上げますと、現在百五十ミリ加農砲が射程約二万五千五百メートル、八インチりゅう弾砲が射程約一万八千五百メートルでございます。これに対しまして島松の演習場は射程が約一万メートル以上は困難でありますので、現在は射程を縮小してやっておるわけであります。幸い矢臼別演習場が使用できれば、東西約三十キロ、それから南北につきましては広いところで八キロ、狭いところで四ないし五キロありますので、師団対抗演習のほかに特科団の演習も行なえるのではないかと考えておる次第であります。
  69. 岡田利春

    岡田(利)分科員 ただいま演習地として使用する地域について御説明があったわけですが、今答弁にありましたように、北海道における師団対抗の演習場という考え方に立ちますと、現在北海道には四個師団おるわけでありますし、一昨年はこの地域で総合演習も行なわれておるわけであります。そういたしますと、今言われた第三矢日別地区あるいは別寒辺台地区だけでは、この師団対抗の演習が十分できるという工合に今日の規模からいって判断ができないわけであります。あるいはまた、百五十ミリの加農砲、二万五千五百メートルの射程距離を持つ火砲の実弾射撃の演習を行なおうとすれば、非常に狭いところでは四ないし五キロ程度しかない、こういう点でちょっと変則的な地域になるわけです。そういたしますと、この二つ地区だけに演習場の設置がとどまるものなのか、あるいはまた、これをさらに若干拡大をしていくか、それも一応今日想定として含んで考えておられるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  70. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私も現地をよく見ておりませんが、地図の上で見まして、別寒辺台と矢臼別との間は相当くびれておるところがございます。従いまして、将来、ただいま教育局長からお答え申し上げましたような長距離の火砲の演習をいたしますとすれば、現在でも支障はないと存じますけれども、よりベターなことを考えますれば、あのくびれたところも将来の問題としては、もちろん地元皆様方の御要望等もいれなければなりませんけれども、それは考えていかなければならないのではないかと思っております。
  71. 岡田利春

    岡田(利)分科員 もちろん演習の方法によると思いますけれども地元では、この演習場がもし既定方針通り設置をされるとするならば、ここで百五十ミリの実弾射撃演習が行なわれる場合、厚岸町のトライベツの開拓地区の一部がこの弾道の下になる、こういうことが言われておるわけです。あるいは浜中村の開拓地の一部も同様そういうような関係になるのではないか、あるいは、これに隣接している別海村の西春別の第一地区あるいはまた第二地区についてもこれは影響を及ぼすのではないか、こういうことがもっぱら、言われております。あるいはまた地元選出の道会議員の話等も、この点については含まれる可能性が非常に濃厚である、含まれるのではないか、こういうことが地元住民に対して実は伝えられておるわけです。ですから、このような規模の演習場にする、しかもその内容は今説明のあった内容であるという点で考えるならば、防衛庁としても北海道全道にわたってくまなく調査をし、その結果として最終的にこの矢臼別の地区以外にないという前提に立たれておると思うのでありますが、そういたしますと、将来にわたって相当詰めてこの演習地の問題は考えられておると私は思うのです。これは長官でなくてもけっこうなのですが、そういう点について具体的な計画なり、検討された事項があるならば、事務当局でもけっこうですから、具体的に御説明を願いたいと思うのです。
  72. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 北海道の演習地につきましては、ただいまの矢臼別以外に計画はございません。もちろん矢臼別、別寒辺台につきましても、これは農林省等との事務的な打ち合わせをまだ経ておりませんので、今後そういう方面の御意向もよく聞きまして、なお地元北海道庁の御意向も聞きまして、それで話をもう少し検討してみなければならぬ、こういうふうに考えております。なおくびれた、トライベツ地区でございますか、ここは防衛庁としては特に希契をいたしておりませんけれども、ただいま仰せになりましたように、地元の方でここだけ残されたのではどうしても困るというお話がもし将来ございますならば、防衛庁としてはそういう面は考えていかなければならぬと思っております。
  73. 岡田利春

    岡田(利)分科員 この地域は、防衛庁としても御存じ通り、普通の畑作農家と違って、釧根の場合には、酪農農家に転換をして生活の基盤を安定させる、こういう方向で乳牛の導入を計画的に行なっておるわけです。ですからここで大々的な総合演習が行なわれ、実弾射撃演習が行なわれるとするならば、その与える影響というものは予想するのにかたくはないわけです。問題は、今説明があったように、その目的がはっきりいたしておるわけですから、その周辺の実情についても当然調査をされたと思うわけです。その調査をされた場合に、そういう影響というものを一体予想されなかったかどうか、あるいはまた、そういう点について検討が加えられたかどうか、こういう点についてはっきり一つお答えを願いたいと思うわけです。
  74. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま経理局長も申し上げましたように、これは申し上げるまでもなく、開拓計画に入った土地、矢臼別はそうでございます。ただ地元の村の方からのそういう御希望もありまして、また、防衛庁といたしましてはぜひ矢臼別の演習場を獲得いたしたいということで、北海道開発庁あるいは農林省等関係の方面にその趣を申し上げまして、今事務的に相談をいたしておる段階でございます。従いまして、当然主管省であられる農林省等におきましては、この付近のすでに開拓された農家における酪農その他にいかなる影響があるかという問題も含めて、いろいろ御意見が出ることかと存じます。十分各省間の調整をはかった上に実施をいたしたいと考えておる次第でございます。
  75. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今説明のあった防衛庁の演習地として使用する場合、当然目的が明らかであります。演習地でありますから、これは駐屯部隊が恒久的に住むわけではないのです。そのつど行って演習をするわけですね。そこで現時点において、当面この演習場を使用する計画を立てられた防衛庁として、この演習場を使う期間といいますか、演習をする期間ですね、一年じゅう使っているのではないわけですから、そういう点については、現時点の規模において、現時点の目的において、どういうことが一応想定されておるか。以上、私が前段で申し上げた質問とも関連する事項でありますから、お知らせ願いたいと思うわけです。
  76. 小幡久男

    ○小幡政府委員 今手元に詳細な資料がございませんので、さっそく取り寄せましてお答えしたいと思っております。
  77. 岡田利春

    岡田(利)分科員 演習地として防衛庁で予定されておる地域は、矢臼別地域が一万一千七百二十七町歩、別寒辺台が八千五百六十七町歩、合わせて三万二百九十四町歩という非常に膨大な地域であるわけです。しかもここには北海道の総合開発の見地、特に北海道総合開発の大きな柱である根釧開発という立場に立って、昭和三十年から二千三百四十二万三千円の国費が調査費としてすでに投入されておる地域であります。しかもまたこの近くには、世界銀行から融資を受けて、床丹第一、第二のパイロット・ファームが建設をされておる。こういう道東の最も低生産地帯の中で、酪農地域として、集中酪農開拓という前提に立って今日まで国費が相当導入をされてきたわけです。従って私ども防衛庁が演習場として使用したいという点について、今後の根釧開発の面も考えて非常に重大な関心を払っておりますし、しかもこの周辺に及ぼす影響を考える場合に、特にその感を強くいたすわけであります。  そこでまず明らかにしておきたいと思うのですが、北海道開発庁の木村監理官が来ておりますが、この北海道総合開発の最も中核である根釧開発計画の根本が、これが認められれば変更になるのではないか、私はこういう感じがするわけであります。特に矢臼別の地区はすでに調査が完了して開発の具体的な計画が立案されておるという工合に私は資料を受けておるわけです。しかもこの地区は床一、床二のパイロット・ファームの実績に基づいて、そういう開発の反省の上に立って、より一そう有効な開発を促進する、こういう立場に立って開発設計がなされておるように私は資料等も見ておるわけでありますが、まず第一点として、根釧開発の重大な変更にその場合にはなるのではないか、こういう点についての見解と、特に矢臼別の開拓計画についてその内容を御説明願いたいと思います。
  78. 木村三男

    木村(三)政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁からこの地区を演習場として使用したいという強い要望がありまして、私どもはこれを受けまして態度決定するにあたりまして、問題になるべき点は、ただいま先生の御指摘通り、将来の北海道総合開発から見てこの地区がどういうふうな重要性を持つか――。先生も御承知通り、三十八年度から始まる第二次の北海道総合開発計画をただいま立案中であります。三月末までに大体その作業が終わって、その後閣議に持ち出したい。内容といたしまして、畜産方面を大いに北海道開発しなければならない、乳牛をただいまの三倍程度、五十五万から六十万ぐらいに持っていきたいというようなことで、関係方面と打ち合わせ中でありまして、その辺と見比べましてどうなるかということをチェックしてみたい。それが三月一ぱいかかるのでございます。防衛庁側からすればここは非常に大事なところであるから演習場にしたい、われわれが考えますときには、矢臼別がない場合にほかにこれにかわるべきものがあるだろうかどうか、それによってただいま申しましたような将来の北海道総合開発計画というものがいくかどうかということを検討する必要がありますので、その結論はもうすぐ出ますから、それまで、防衛庁経理局長が言いました通り農林省も入れまして事務的な検討をもう少し詰めようじゃないか、そういう結論になったわけであります。  それから根釧開発の問題から申しますと、ただいま御指摘のありました通り、既存の開拓地が周辺にたくさんございます。これを開拓者の営農振興をはかるためにはどうしても道路をよくしなければならぬ、そういう関係から昭和三十三年から釧路から中標津に至りますところの根釧開発道路を計画いたしまして、それに清平してかなり進んでおるのであります。これが演習場がこの間にはさまりまして、使用期間がどうなるか、使用しないときはどういうふうになるか、そういうところの事務的な検討を進めまして、その場合バイパスをどうつけるか、そういう技術的な検討もございますので、そういった面はやはりもう少し検討の期間を置きたいということで、これもやはり先ほど防衛庁経理局長の申しました通り、少なくとも関係三省間の局長クラスのレベルで、そういう角度からも十分に進めたいということになっております。
  79. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今木村さんから説明を受けたわけですが、矢臼別については第三、第四、第五、第六、第七と、各地区ごとにすでに調査が終わって、その計画が大体もう立案されて実施に移す段階まできておるという工合に私は資料等も受けておるわけです。そこで私がこの際お聞きしておきたいことは、現在すでに世銀から融資を受けて実施をしている床一、床二のパイロット・ファームに比べて、この調査をした、一応実施に移すという段階まできた矢臼別地区開発計画内容は相当前進したものであるという工合に私は理解をいたしておる。これは床一、床二の計画よりもより一歩前進をした、規模の大きい、一戸当たりの経営規模も大きい計画内容になっておるように私は資料等も散見をいたしておるわけですが、それに対処して御説明を願っておきたいと思います。
  80. 木村三男

    木村(三)政府委員 お答え申し上げます。矢臼別の開拓計画につきましては、本年度初めて全体設計費二百万計上されております。これは本年度だけでは終わりませんので、継続して一両年まだ続けなければできしがらないわけなんでありますが、ただいま事務的に現地で計画しておりますところを申し上げますと、面積が一万坪でございまして、これは床一、床二に比べまして一回り大きい。つまり両者とも六千町歩台でございますから、一万町歩で、まあ倍とは言えませんが、やや大きい。それから土地の条件から見ますと大同小異、あるいは平坦部や何かの関係から見ますと、今の床一、床二よりも若干いいのじゃないか。それから計画といたしましては床一、床二の方は平均一戸当たりの経常面積が二十町歩でございます。ここを考えますときには、二十八町歩くらいに考えております。それによって乳牛を一戸当たり二十二頭、これは床一、床二の場合は十四頭くらいと思います。少し大きくなっております。経費の点につきましては、大体床一、床二の場合は財政資金、国家資金、それから融資も含めまして一戸当たり五百万見当でございました。これをやります場合には七百万円見当かかるのではないだろうか。ここに入植されます戸数を大体二百七十、この戸数につきましては床一の二百三十、床二の二百とあまり違いありません。そういうようなことで青写真は描いておりますが、いずれにしましても一戸当たり七百万円、それを二百七十戸でございますから相当な国家資金になり、いろいろな金がかかるということでありまして、予算的に実行に移す場合に、ただいま先生おっしゃいましたが、すぐに来年からでもというようなわけにも参るまい。大体の規模はそういうふうになっております。
  81. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今説明のあった内容は、私の資料と変わりがないわけです。これは防衛庁長官に十分聞いておいていただきたいと思って、実は質問をいたしたわけです。今説明があったように、この地区は根釧原野の開発の中核をなすものであって、これが変更されるということでは、根釧開発計画が根底からくつがえってくる、こう申しても私は過言ではないと思うわけであります。しかもこの地区は非常に低生産地帯でございまして、古くは二百二年前に和人がこの地区の海岸の周辺に入って、明治の二年からいわゆる開拓に入っておるわけです。しかも和田村あるいは太田村では屯田兵によって開発が行なわれたのでありますが、歴史的に見ると、一度もこの開拓者の生活が安定したことがないわけです。離合集散、栄枯盛衰をきわめて、今日まで粒々辛苦の中で来ておるというのが実態なわけです。その中で最近ようやく酪農地帯として農業基盤の安定をはかる、農家経営の安定をはかるという方向に、画期的なパイロット・ファーム方式が採用されて、これを起点にして周辺の農業経営の実態も漸次近代化しつつある。こういうところでも実はあるわけです。ですから、私はこういう歴史的な経過から考えて、今この根釧開発がようやく北海道総合開発の中核になり、脚光を浴び、今まで北海道開発はともすれば札樽中心開発であったのが、道北、道東の僻地に及ぶ、こういう形で大きく前進をしようとするときに、この膨大な地域が演習場として使用されるとすれば、これの周辺にある地域の開発もほとんど絶望視されるのではないか。本年度予算では床一南部の七千四百万の予算も第一次査定ではっきましたけれども、第二次査定では削られた。もちろん演習場の問題と直接関連はないでしょうけれども、そのために北海道においては、釧根に入植者が今回はゼロ、実はこういう数字が出て、道東に関係する多くの人々は非常に大きな不安を持っておるし、そういう意味ではこの開拓計画を強く進めてほしいという希望を持っておるわけです。先ほど長官が言われましたように、本件については、一応防衛庁としてはそういう計画を持っておりますけれども、まだ確定している問題では実はないわけです。しかも防衛庁から昨年の七月四日に、この地域を演習地として使用したいのでぜひあっせんを願いたいという申し入れを、実は北海道開発庁の事務次官に行なっておるケースもあります。あと段階では、大体防衛庁長官中心にするトップの方で話し合いがされておるだけで、事務的にはこの問題について具体的に話を進められておるという工合に私は聞いていないわけです。ところが現地においては、釧路財務部に対してこの地域を使用したいという正式の申し入れがあり、財務部から市町村に対して、口頭で、この地域の使用をしたいという申し入れが昨年暮れすでに行なわれておるという動きもある。この一連の動きの中で、地元住民は非常に奉安な状態に置かれておるというのが実情です。しかも酪農に転換したとはいえ、乳牛四、五頭、少なくとも三頭程度の乳牛を持って、これから搾乳頭数を増大して、そうして生活の安定を期そう、こういう状態にあったのが、最近とみにこの周辺地域では営農意欲というものも衰えておる。極端な言い方をすれば、牛馬を売りに出しておるという実例すらも今日出ておるわけです。こういう意味で、この問題は私は非常に重大だと思うのです。特に防衛庁として、長官がしばしば北海道へ来て言明をされておるのでありますが、この使用計画を定めて、そういう希望を述べられて、その後の具体的な折衝というものはどのように行なわれておるのか、長官の見解を承りたいと思います。
  82. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さきに防衛庁の事務次官より北海道開発庁の事務次官に希望を申し述べまして、その後地元の別海村の議会等におきまして、いろいろ条件はございますが、演習場にすることについての御意見もございました。それをいれまして、さらに具体的にこういうことがありますのでということで、北海道開発庁あるいは関連する農林特等にお願いをいたしておりまして、現段階におきましては、先ほど来お答え申し上げましたように、この三省において具体的に事務的に話を進めてみるという段階でございます。その話し合いの進展いかんによってさらに考えて参りたいと考えておる次第でございます。
  83. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今長官は別海村村会決議といいますか、村会の意向というものについて触れられておるわけですが、この内容検討してみますと、防衛庁がここを使うという目的考え方と相当違った条件が出されておるわけですから、原則的にいいますと、その希望はかなえられないということに私はなると思うのです。しかもこの地域は、単に別海村だけの問題では実はないわけです。厚岸町、浜中村、この三町村にわたる問題なわけでありますから、単にそれだけをもって、これを地元の意向として考えることは実は早計ではないかと私は思うのです。  ただ私がここで問題にしたいことは、昨年わが党の横路委員からも本件については質問をいたしておるわけですが、どうも長官北海道に来て、いや川島さんと話をした、河野さんも大体協力しようということになっているから、この地区は間違いない、私どもとしては断固演習地にするであろう、こういう強い、高い調子の発言が行なわれたり、今年一月に参りましたときも、この点について再考を求められたけれども、これまたきわめてすっきりした形で、強い調子をもってお答えになった、実はこういう例もあるわけです。しかしながら、今私が質問したように、この地区北海道総合開発にとっても非常に大事ですし、まして最も低生産の、恵まれない地域開発の面にとって、釧根全体にわたる問題として非常に大事な地域でも実はあるわけですし、しかもおそらく釧根の原野ではここほど総合的に恵まれて、近代的な農業経営の開拓方式を大々的にとれる地域は実際は私はないと思うのです。私はそのくらい非常に重要な地域であるという工合に理解をいたしておるわけであります。その後、昨年の夏ごろから、長官が高い調子で放送いたしておりますけれども、私はこれらの問題は非常に重要な問題ですから、もう少し慎重に、下から積み重ねていくという努力がなされなければならぬではないかと思うのです。  そこで、まず第一点に、北海道開発長官に依頼をした、あっせんの労をとってほしいということについての公文書を出しておるが、それに対して返答の公文書があったかどうか、あわせて、農林省から農地局の参事官が来ておりますから、財産を所管している農地局が、これらの問題について正式に今日まで具体的な相談にあずかっておるかどうか、あずかっておるとすればごく最近のことではないかと思うし、そういう折衝、申し入れの経過等について説明を願っておきたいと思うわけです。
  84. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 高い調子かどうかは存じませんけれども、私どもとしましては、ぜひ矢臼別の演習場は確保いたしたいという強い希望を申し述べたことは事実であります。しかしながら、これは何分にも北海道開発庁の北海道総合開発一環に関連をするものでございます。   〔山口(好)主査代理退席、主査着   席〕 従いまして、開発長官としましても十分事務的な打ち合わせをいたすようにということでございまして、最近に至りまして、この事務的レベルにおいていろいろ検討をして、適当な結論を出していただきたいと考えておる次第でございます。
  85. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 矢臼別の問題でございますが、先ほど北海道開発庁の方からお答えになりましたように農林省の開拓財産でありまして、その上に新しい酪農形態における開拓を進めていく、こういうような方針で本年度から実績がついているのは、仰せの通りでございます。これにつきまして、防衛庁の方で演習場として使用いたしたい、こういうようなお話につきましては、昨年北海道開発庁の方に依頼状が出たということを私は承知いたしております。直接農林省の方にはそういう依頼状は参っておりません。それから昨年の夏、現地の方で、防衛庁長官なりあるいは開発長官なり、それからうちの河野農林大臣なりと札幌でお話しになったときに、私、大臣から伺っておりますことは、地元の意向もよくくんで、事務的によく話をするようにということで聞いております。事務的にはまだ昨年度は何ら動きは出ておりませんでしたが、本年に入りまして、事務的によく連絡をやろうということで、防衛庁なり開発庁なり農林省なり、あるいは道庁も入れるというような話もあって、一回事務的な打ち合わせがございましたが、先ほど監理官からお話がありましたように、北海道の第二次総合開発計画も立案中であるので、それとの関連もあり、これが計画の具体化と見合わせていかなければならぬということで、一回やった限りになっております。  なお地元の別海村から演習場設置についてのいろいろな条件等も参っており、ただいま矢臼別開発計画といたしましてわれわれが調査いたしております部分についても、全面的に賛成という話にはなっていないで、地元としては相当部分をやはり地元の農業用の開発に使いたい、こういう意向もございますし、また関係の浜中なり、あるいは厚岸の方の意向も明確でございませんので、地元の意向もよくわれわれとしましては調査いたしたい、こういうふうに考えております。なお、開拓財産につきましては、よく北海道開発庁あるいは北海道庁の意見も徴して農林省としては対処したい、こういうふうに考えておりますが、ただいまのところでは、先ほど申されましたように、開拓財産における開発は、なお従来の計画を進めたい、こういうふうに考えております。
  86. 岡田利春

    岡田(利)分科員 非常に親切な御説明をいただいたわけですが、この地区、矢臼別は、今も答弁がありましたように、開拓財産で、農林省の所管になっておりますし、一方また別寒辺台が同じく農林省の林野庁の所管になっておるわけであります。そういたしますと、これは農林省の所管財産であるわけですが、もうすでに地元においては、先ほど申し上げたように、釧路の財務局に申し出があったり、口頭でそれぞれの関係町村に申し入れをしたり、具体的な動きがすでに出ております。それが農林省内部では、河野農林大臣から、地元の意向等を十分考慮しながら話を聞いたという程度であるということについて、私はどうも納得できないわけです。農林所管の財産であるわけですから、これは同じ政府部内で、そういう点がはっきりと申し入れをされていない、あるいはまた事務手続が行なわれていないということは、どうも不明朗ではないか。何か政治的にこの問題を解決して、無理やりに押しつけるという印象を国民大衆に与えると思うのです。そういう点について、そういう、正式の手続はないのですか。あるいは、将来この問題が正式に取り上げられるということはないということですか。
  87. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 先般事務当局が、今年に入りましてからでございますが、開発庁、防衛庁農林省と集まりましての話が、事務的に連絡なり話を正式に受けた初めでございまして、防衛庁といたしまして矢臼別を演習場にしたいということは、先ほど答弁いたしましたように、前から承知いたしておりますけれども、今後そういうような御意向や地元の意向等も十分聞き、全体的な総合開発に資するように、また付近の入植地等の影響も、われわれといたしましては十分考慮しながら考えていきたい、こう思っておりますが、今までは、事務的な打ち合わせがあるまではまだ十分調査はいたしておりません。ただ、地元の動向等われわれといたしましても当然把握しながら考えておる次第でございます。
  88. 岡田利春

    岡田(利)分科員 長官は先ほど私が質問したことについて答弁漏れがあるわけなんですが、開発庁に対してあなたの方の事務次官から、この問題についてあっせんしてもらいたい、こういう正式の公文書を出しておるでしょう。これについて開発庁として防衛庁に対して何らか返答があったのですか、なかったのですか。
  89. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 昨年七月でございましたか、防衛事務次官からの開発庁の事務次官に対する申し入れについては、特に返答はございません。
  90. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先ほどの木村監理官の説明では、特に開拓計画については今検討しておるのだという説明もあったわけなのですが、大体こういう重大な農林省の財産の所管に関する問題、あるいはまた開発計画に関する問題、あるいはまた直接それぞれ住民の生活に関係する問題で、防衛庁から正式に事務次官の名前で公文書で出したものが、もう半年以上たっても何ら返事もこない。ですからこれは、防衛庁としては公文書を出したけれども、極端なものの言い方をすれば、なしのつぶてであった、こういうことに手続上なるわけなんですが、防衛庁としてはこの開発庁の態度をどのように理解しているのですか。
  91. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 昨年七月の事務次官の要請について特に返答はございませんでしたが、その後の進展に基づき、ことに別海村の村会の議決等がありまして、それについてさらに開発庁に申し上げ、事務的にこれを相談をしていこうという御返答がありましたので、それで先ほど来お話がありましたように、第一回の会合を持ちましたわけでございます。北海道開発庁としましても、第二次計画等のこともあります。それらともにらみ合わせて、今後将来にわたって事務的に進めて参りたいと考えておるわけでございます。先ほど御指摘のように、これを単なる閣僚レベルで政治的に無理押しをするような考え方は持っておらないことをつけ加えて申し上げておきます。
  92. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先ほど開発庁の方からの答弁をいただいたわけでありますけれども、今長官答弁された内容とあわせて考えてみますと、それは開発庁の方は具体的に検討していくということについては了解しているのだ、従ってそういう点をさらにきめこまやかに事務的にやっていくのだ、こういうことになるのではないかと思うのですが、現地においては実際問題として、そういう使用申し入れが釧路の財務部になされる、あるいは財務部から口頭で各町村に使用申し入れがなされておる、こういう報告を私は受けておるわけです。そういたしますと、現地における進行過程と今の答弁内容とは、相当食い違ってくるのではないか。何かやはり目に見えないところで、一方においてはどんどん問題が進行していく。国会答弁の中では、それをやはり十分事務的にも打ち合わせて検討を加えて、北海道開発計画も今検討中であるから、そういう結論も待って、より一そうやっていく。あるいは財産所管農林省としても、一応聞いておるけれども、十分地元の意向等も今の場合注意をして、その意向等を聞きながら、この問題がまだ結論を出していない現時点では、依然として財産として開発計画を進めていくという考えである、こういう説明ですね。どうもこの点食い違いがあると思うのですが、事務担当の方でもいいのですが、具体的には一体どうなっているのですか。
  93. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、事務的に目下関係省庁間で話を詰めておるという段階でございます。それで、現地の財務局というお話がございましたが、おそらく現地の部隊におきましては、この地域を将来演習場として確保したいが、それについて地元の御意向はどうだろうというような点をサウンドしたのがそういうふうに伝わっておるのじゃないかと私は想像いたします。
  94. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は地元ですから、私の方があなたより、公文書に載らぬことについては詳しいのじゃないかと思うわけです。そういう点からいきますと、どうもあなたの答弁と、現地で実際に進行している動きというものとは、食い違いがあるというふうに私は理解をするわけです。これは正式に厚岸町の町長とか、こういう人々がその見解等も明らかにしておりますし、あるいはまた、この周辺の開拓連合会等についても、それぞれ動きはもうすでにあるわけです。しかもまた現地には、もう昨年の十一月ごろには派遣されて調査にも行っておる、こういう実情もあるわけです。ですから、そういう意味では相当食い違いが出てきておって、そのことがより多くの人々を刺激をして、不安感を与えておる、こういう工合に私は理解をせざるを得ないと思うのです。そこで、先ほど木村さんからこの地区についての開発計画なり、特に北海道の開拓、開発計画の柱である釧根開発について重大な影響のあるという、こういう内容が実は説明をされておるわけなんですが、地元としてはやはりそういう立場に立って、釧根のこれまで努力を積み重ねてきた実績、これからの希望、こういう地元の意向というもの――これはやはり既定方針通り、国費はすでに二千四百万も投入されておる、しかも実施一歩手前まできておる、こういう地区でありますから、当然開発計画を従来通り進めてほしいという意向が示された場合においては、防衛庁としては、この演習場の問題についてはあきらめて再考慮をする考えがありますかどうか。
  95. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 何分にも開拓計画一環でございます。また、農林省とも非常な関係を持っておられるところでございますから、この事務的な打ち合わせの進行を私どもとしては見守って参りたい。ただし、私どもとしては、どこまでもぜひあれは演習場として確保したいという希望は強く表明をいたしておるわけでございますが、これはあくまでも事務的にその辺の調整をしていただくということに相なるかと存じます。
  96. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先ほど私が質問したら、長官は、私はあまり調子を高くして言ってはいないというようなことを言っておられるのだが、藤枝さんは声が非常におとなしくて、低音で、言い回しも上手なんですが、最後にいくと、この方針は何が何でも変えない、どんぴしゃりである、端的に言えばこういうことで、非常に調子の高い答弁になっておるわけなんです。防衛庁はあくまでもこれはやっていきたい――先ほど説明しておるように、非常に重大な開拓予定地であり、国費もすでに投入をされておる。そうなると、今の情勢から、どうも何か防衛庁の方に押されて、結局この問題が、防衛庁の言う通りになってしまう、こういう感じを強くするし、従来の演習地設定の場合の経過等も歴史的に考えてみると、これはやはり一つのそういう割り出し方というものが常識的に考えられるのではないか、こういう感じを私は実は強くするわけです。しかしながら、開拓計画の大きな柱でありますから、開発庁としても、こういう問題については、もし変更するという場合については、私は当然この地域だけの問題ではなくして、北海道総合開発の重大な柱の変更になるのではないか。世銀から金の融資を受けて大々的に始めた計画一環でありますし、そういう意味では開発計画の重大な変更になるのじゃないか、私はこういう気がするのですが、そういう場合には特に開発庁としては、北海道開発審議会にこれらの問題について事前にかける意思があるかどうか、この点についての見解を承っておきたいと思う。
  97. 木村三男

    木村(三)政府委員 お答え申し上げます。次期の八カ年計画は当然今の構想をおかけしまして、大体こういう構想でもって計画を策定して参りたい――審議会の中に分科会がございます、それに地区別の問題その他が三月に入りましてからかかりますので、そういう場でもって検討していただくことになるだろうと私どもは期待しておるのであります。
  98. 岡田利春

    岡田(利)分科員 財産の処理については農林大臣がもちろん責任があるわけでありますけれども、こういう開拓財産の変更については、地元北海道知事の意向というものを十二分に聞くということが前提になるわけでしょうし、北海道の知事としては地元における市町村関係の人々の意見を聞くということになるでしょうし、あるいはまた、開拓財産でありますから当然農業委員等のそれぞれの意見を聞くということに私はなると思うわけです。その場合に、北海道の知事を初め北海道のそういう意見を徴した結果、これはやはりどう考えてみても、ここを従来計画通り開発しない限り釧根の開発はあり得ない、従って開発をしてもらいたい、演習地にすることによって釧根開発がある程度頭打ちされてしまう、こういう意見が出た場合については、これは非常に重要な問題でありますし、長期的な総合開発一環としてやっておる問題でありますし、釧根開発の将来の盛衰をきめる非常に重大な問題でありますから、これは単なる一地区だけの問題ではない。そういう事態になった場合には、長官としては十分考えて、あえて固執しないで、十分意向を尊重して、防衛庁防衛庁としてこの意を受け入れるような努力をする意思があるかどうか、重ねて承っておきたいと思います。
  99. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 再々お答えするようでありますが、いろいろ開拓計画変更その他については、それぞれの省庁なりあるいは審議会その他の機関に諮らなければならぬことは、十分存じておる次第でございます。それらの結論に従うことは当然でございますけれども、私どもとしては、それを何とか演習場に確保したいということでお願いをいたしておる次第でございます。もちろんそうした諸機関あるいは諸審議会等の御意向は十分尊重するつもりであります。
  100. 岡田利春

    岡田(利)分科員 重ねて承っておきたいのですが、こういう問題は話し合いが続いていつまでものんべんだらりとやっていくべき問題ではないと思う。ですからやはり本件について、現時点でこの希望を捨てない限り、何とかやってもらいたいという強い意思がある限りにおいては、先ほど防衛庁長官が言われておるように、総合演習場あるいは百五十ミリ火砲の演習に使うという自衛隊の訓練計画から考えて、やはりもしどうしてもだめなら別のところを選定しなければならぬという事態にもなりかねない要素を含んでおるわけですから、そういう点については、この解決のめどをいつに置かれておりますか。
  101. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど来、北海道開発庁並びに農林省等からもお答え申し上げましたように、いろいろな御計画等もございますから、私から、いつをめどということをお答えするのはいかがかと存じます。おそらく岡田さんの言われんとすることは、こういうことで長くペンディングにして地元の皆様に不安を与えてはならぬということが御趣旨かと存じます。そういう意味では、開発庁なり農林省の御都合のつき次第、できるだけ早い間に問題を解決いたしたいと考えておる次第でございます。
  102. 岡田利春

    岡田(利)分科員 これはほかの関係もある問題ですから、なかなか目途というのは出ないと思うのですが、防衛庁としての希望はいつごろですか。
  103. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私どもとしましては、できるだけ、三十七年度になりましたならば、演習場取得についての手続ができるようにいたしたいと希望は持っております。
  104. 岡田利春

    岡田(利)分科員 この地域は、長官御存じ通り北海道の最果ての地域でございますから、領土問題という本質的な問題は日ソ間でまだ未解決であるという問題はありますけれども、実際問題として、やはり歯舞、色丹、国後、択捉等は現在ソビエトによって占領されておるわけです。従って、この地域においては、長官御存じ通り、安全操業の問題が日常茶飯事のように問題になっておるわけです。しかも昨年末までの実績を見ますと、九百七十六隻の船舶が捕獲をされて、八千二百五十八人の人々が抑留をされたという実績を持っておるわけです。一昨年はだいぶ拿捕の問題も低下したかのように見えたのですが、昨年はさらにまた増加をいたしまして、九十四隻の船が拿捕されて、七百三十人の人々が抑留をされておる。韓国、中国関係は、抑留者は全員帰ったけれども、依然として五十人の人々が抑留をされておる。あすはこのうち二十三人の人が帰る、こういう実情にあるわけです、従って、国際間の常識からいっても、軍隊か軍隊でないかは別にして、こういう演習場の設置なり、演習するという場合には、少なくとも国境地帯において演習場を設置したり、あるいは大規模な演習をするということは避けるのが常識になっておるわけです。もちろん、長官は、歯舞、色丹、国後、択捉はわが領土であるという見解を持っておったとしても、現実に占領されて、しかもあの海域をまん中にして一応危険推定区域にしておるわけですから、そういう現実を認める場合――わずか二十キロないし二十五キロでもう海岸に至るわけです。そこでは帆立貝をとって、自分の領海ではないから、勢い向こうに入っていく、こういう形で操業が行なわれている。しかも国後におけるハッパの音がどんどん聞こえてくるわけなんですから、ここで演習をやったり、十五ミリの火砲の実弾演習をやるということになれば、どんどんこの音は響き渡っていくわけなのです。日ソ間の今後懸案になっている問題の解決から見ても、ここに演習地を設けることは決して妥当ではないし、今日国際緊張を緩和していくという面に立っても、国際間の常識の面から見ても、こういう国境の町といわれる国境地域については、総合的な大々的な演習をするとか、そういう演習場を設置するのを避けるのが常識ではないか、また避けるべく努力をすることがむしろ妥当ではないかという工合に私は考えるのですが、長官はどういう見解を持っておりますか。
  105. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊が国の防衛上不断に演習をしなければならぬことは、自衛隊の存在の問題は別といたしまして、これは当然だと存ずるのでございます。従いまして、防衛上必要な演習をするのに適当な地域を求め、そこで演習をするということが、私はそれほど国際間の刺激になるというふうには考えておらないわけでございます。もちろん、領土の問題は別といたしまして、安全操業の問題等、外交的に解決しなければならぬことはあろうと思いますけれども、あそこに演習揚を設け、そうして防衛上必要な演習をするということそのことが、直ちに国際間の緊張を激化するというふうには私自身は考えていないわけでございます。
  106. 岡田利春

    岡田(利)分科員 長官はそう考えられておらなくとも、国際的な常識として、先ほど言ったように、国境付近で大々的な演習をするとか、あるいはまた、演習場を国境の付近にどんどん作るとか――軍事基地ならばなお悪いわけですが、そういうようなことは、今日の趨勢としてはできるだけ避けるというのが、そういう配慮がそれぞれの国々によって行なわれておるのが常識だと思うのです。歴史的に見れば、あの昔の満州の国境地帯に兵力を集結して演習して示威行進をするわが国も、憲法は改正されなくとも、軍隊ではないが、すでにこれだけの自衛隊があり、これだけの装備を持っておるというデモンストレーションにもなりかねないという一面もあるのではないかと思うわけです。そういう意味で、そういう見地に立っても、非常に慎重を要すべき問題だと思うのです。長官一人の判断で、これは刺激になるとかならぬとか、そういう見解は持っていないと言われますけれども、いずれにしても、現実の問題として、平和的な話し合いによって歯舞、色丹、国後、択捉のこれらの北方地域の問題は解決しなければならぬのでしょう。そうであればあるほど、刺激的にならぬと思っても、なるような条件はできるだけ避けるのが当然の考え方であり、そういう措置をすることが当然妥当なことではないか、こういう感じを非常に強くするわけです。  さらにまた、そういう問題と相関連して、世界銀行から融資を受けて、しかもそのひもつきで従来ホルスタインの乳牛を導入しておりましたけれども、今度はジャージーがどんどん入ってきて、四百頭に近いジャージー種が床一、床二あるいはその周辺に導入されている。この習性は、御存じ通り、大きい音がすると乳がぴたっととまってしまう、あるいはまた、流産を起こすというような現象が、これはほかの例でも出ておるほど敏感な乳牛でもあるわけです。そういたしますと、これは単にこの地区だけの問題ではなくて、全体に及ぼす影響ははかり知れないものがあると私は思うのです。普通の寒地畑作農業経営の方向で農業経営の基盤ができ、しかも農民の生活が安定するならいいのですが、どうしても酪農を中心にして家畜農業をやらぬ限り、この地帯は絶対に生き延びることはできないのです。そういう面を配慮しても、それから北海道開発計画の基本的な柱であるという先ほどの問題点からいっても、演習地として設定することは三拍子も四拍子も不適であるという条件は、枚挙にいとまがないと思います。こういう点の実態を正しく認識されて、この演習場の設置については、そういう大乗的な、政府の好んでよく使う高所大所の見地に立ってこれは対処すべきでないか、むしろ撤回されるのが最も妥当ではないか。単に防衛庁の考えだけで、ここが一番いいんだから、とにかくここでやるのだという調子の高い方針を貫くということは、私は、どうも今日当を得ていないという工合に判断するわけです。こういう点で、特にそういう総合的な面について、いろいろ答弁の中で出てきておるわけですから、長官として、私が申し上げた幾つかの論点からしても、やはりこの点はむしろ積極的に再検討して、ほかに移すというような気持になられることが妥当じゃないかと思うのですが、その点についてどういう御心境ですか。
  107. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 国際の問題につきましては、特に北海道にさらに自衛隊を増設するとか、そういうことをいたしたわけではございませんで、現在の四個師団がそのまま整備されるわけでございます。それらの部隊の演習場に適当なところとして矢臼別をあげておるわけでございまして、その点は、私、多少岡田さんとは見解を異にするわけでございます。ただ、北海道内部の総合的な開拓計画、あるいはただいまおあげになりました酪農に対する影響等につきましては、関係省庁の意見あるいは諸機関の御意見等も十分いれましてやって参りたいとは思いますが、どうもそう申しますと、また調子が高いとおしかりをいただくのでありますが、私どもとしましては、ぜひ何とかあそこを演習場として使わしていただきたいという希望を今撤回をする気持はございません。
  108. 西村直己

    西村主査 岡田君に申し上げますが、もう時間もだいぶ過ぎて、まだもう一人食事前にやりますから……
  109. 岡田利春

    岡田(利)分科員 もう一、二点で終わります。  先ほど私が質問した点で、調査をしてあとから答弁するという問題がありましたね。この点を一つ答えてもらうということ。それから重要な問題は、先ほど木村監理官から説明があったように、この釧根開発の縦断道路が釧路から中標津までできるわけです。すでにこれは差工して、釧路村の自衛隊の駐屯地近くを通って、すでに実施に移されているわけですね。これが今の演習地の希望予定地を縦断するわけです。これをまたきゅっと曲げてやるというわけにはなかなか参らぬ仕事ではないかと思うんですが、この点、具体的に、これが演習地になった場合には一体どういう影響を及ぼすか、これは木村さんの方から、大事な問題ですから、明らかにしておいていただきたいと思います。
  110. 木村三男

    木村(三)政府委員 根釧開発道路の問題でございますが、もしここが演習場となりまして、そこの区間でちょっと中断されるというような場合にはどういう影響があるか、それに対する対策はどうだろうかということは、事実上いろいろ問題がございまして、そういう面もあわせて検討する必要があるんじゃなかろうか。それについて、防衛庁農林省も専門じゃありませんので、私ども現地機関を使いましてその影響などを調査いたしまして、先ほど申し上げました三者会談に出したいと思っております。
  111. 小幡久男

    ○小幡(久)政府委員 先ほどの矢臼別演習場を使用する期間等につきましての御質問にお答えいたしますが、大体降雪時期を避けまして、六月以降十一月にかかりますから、約五カ月、百五十日間を各師団が入れかわり立ちかわり利用いたしまして、その間、銃砲等の射撃は、一週間ほどやっては休み、適当な間をおきましてやりますので、その奇数になる数でございます。
  112. 岡田利春

    岡田(利)委員 最後に、私は特にあの北海道の朔北の地に生まれて、あすこに生活の根拠を持っておるわけですが、あの地域は、御存じ通り、春先は道路も道路の役目を果たさぬというような、非常に開発のおくれておる地域で、生活条件が非常に困難なところです。しかも、六月に入ると今度は濃霧で、ガスがかかって、普通の飛行場には飛行機もおりることができない、こういうところなわけです。ですから、その演習地の問題は、単にそこだけの人々がある程度了解すればいいという問題ではないと思うんです。特にあのノサップから根室、羅臼にかけての沿岸の人々は、この問題がもし実現されれば、われわれの船舶の拿捕というものは急激にふえるだろう、こういう実感を、今までの長い間のいろいろな経過から考えて、はだで受けとめておるのが実情なんです。ですから、願わくはこれが演習場にならぬように、祈るような気持で漁民の人々は見ておるというのが実情であると私は思うのです。それと他面、ここで長い間苦労してきてようやくあの条件に合った、将来経営基盤あるいはまた農家経営が安定する、そういうモデル的な開拓関係が促進をされ、しかもより一そう充実をするという段階において、最もいい条件の地域が指定をされるということになりますと、これはやはりいつの日一体あの釧根の開発というものが成り立つのであろうか、こういう危惧と不安で一ぱいな気持を持っておるのが実情なわけです。ですから、私が先ほどあげましたように、国際的な面から考えても、実際あそこに住んでいて、船に乗って漁を営んでおる人々の実感では、今長官が言われたようなそういう考え方というものは、だれ一人として受け付ける者はないということを私は確信いたしておるわけです。そういう面からいっても、私はぜひこれは再検討を願いたいと思いますし、むしろ、規定方針通り北海道開発一環として、ますます地域格差の増大をしていくような結果になる大きな面積、釧路、根室一帯に大きな影響を及ぼす演習地の設置の問題については、ぜひ再考慮していただきたい。この点について、そういう地元の意向を十二分に尊重して、それらの人々の意向に沿うように考え方を改めてほしいということをつけ加えて要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 西村直己

  114. 東海林稔

    東海林分科員 私は、群馬県下の大泉、太田飛行場の返還問題について、時間がありませんが、二、三点だけお尋ねいたしたいと思います。  この問題につきましては、地元県や関係市町村からこれまでもう数十回も政府当局に陳情があり、また、国会におきましても、衆議院並びに参議院の内閣委員会等で十数回にわたって質疑が重ねられたところでありますが、そのつど政府側から、極力善処するという趣旨の答弁はありながら、今日まで解決しないということはまことに遺憾に考えるわけであります。ことに、以前の赤城長官あるいは江崎長官のときには、二、三カ月あるいは数カ月内には大体返還の見通しを持っておるという趣旨の国会答弁がありながら、実現しなかったというような点については、特に残念に思うわけであります。御承知のように、あの地区は、一昨年首都圏の市街地開発地域の指定を受けまして、新しい、工業都市としての計画をみんな一生懸命に進めておるわけですが、その計画中心である約五十万坪のあの飛行場が未返還のために、計画の進行が著しく阻害せられておる。また、飛行場周辺は住宅地帯あるいは工場があるのでございますが、そこで物資の投下訓練をやるために、ときどき誤投事件が起きるわけでありまして、現に前には学校校舎の数メートル離れたところにえらい重量の物が落っこちて、一部の破片は校舎の屋根を貫いた、こういうようなこともございまして、地元民が非常に危険を感じておる。そういうような点からして、急速なる返還をお願いしておるわけであります。藤枝長官並びに政務次官も、地元御出身の関係で、非常に誠意を持って御努力されておるというふうにはわれわれも了解しておるわけでありますが、そこでまずお伺いいたしたいことは、現在どの程度まで御努力によって進んでおるかどうか、この点でございます。先般の参議院における御答弁を伺いますと、大体米軍側の代替地についての了解が取り付けられたので、目下関係地元民の了解を得るための努力をする段階だという趣旨の御答弁があったやに伺っておるわけでありますが、まずその点を一つ明らかにしてい・ただきたいと思います。
  115. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 太田、大泉の飛行場の返還問題については、御承知のように、代替施設があればということでございまして、代替施設につきまして数カ所の予定地を選びまして、日米両方で共同調査等をいたしたわけでございますが、その結果、ある一カ所につきまして、これはまだいろいろ問題がございますので、場所の明示はお許しをいただきたいと思いますが、一カ所につきまして、米側もその適格性を認めておりますので、それを設置するについての地元の理解をいただかなければならぬわけで、これを政府として今後急速に進めて参りたいと思います。ただ、東海林さんも御承知のように、こういう問題でございますので、地元の御了解を得るためにはなかなか骨が折れることと思いますが、私ども精力をあげまして何とか地元の御了解がいただけるように努力をして参りたいと考えております。
  116. 東海林稔

    東海林分科員 長官初め関係者の御努力によって従来より相当前進したということについては、敬意を表したいわけですが、ただいまもお話がありましたように、私はこの地元の了解という点が非常に心配になるわけであります。国民感情として、終戦後十何年も経た今日でありますから、安保条約があるにいたしましても、新たに米軍基地を設けるということについては、なかなか容易なものでない、このように思うわけでございます。さらに、経済的な条件あるいは危険というような問題を考える場合に、なかなか簡単には解決しないのではないかという心配もあるわけですが、この点に対する見通しといいますか、政府の自信といいますか、そういう点について一つお話いただきたいと思います。
  117. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自信と申されましても、なかなかむずかしいのでございますが、単にその場所についての補償とか、そういった問題ばかりでなく、さらに周辺におけるいろいろな問題等も、十分地元の、特に知事さんや市町村長さん等の御協力をいただくように努めまして、何とかこれが円満に解決するように努力をいたしたいと考えております。
  118. 東海林稔

    東海林分科員 従来は、代替地について米軍側との意見が一致しなかったということで非常に延ばしてきたわけです。その段階は済んで、今度はさて地元の了解が得られないということでいつまでも延びたのでは、やはり実費的には前進があまりないのではないか、こう思って心配するわけです。そこで、そういう点について十分一つ御努力をお願いしなければならぬわけですが、しかし、それにしても、最悪の場合も考えなければならぬと思いますし、もう一つこの問題について観点を変えて検討していただく必要があるのではないか、こう思うので、ちょっと申し上げたいと思うのですが、実際に私も御存じのようにあの飛行場のすぐ近くにおるわけですが、その利用状況を見ますと、ほとんど利用していないわけです。よく地元が反対陳情に行くと、あわてて何かちょことやるような程度でございますから、ほんとうに日米親善ということを考える場合に、あの程度の利用を中止した場合に、米軍側でどの程度の不便不利があるだろうかということと、現にそれが返還されないために地元で日本側として受けておる不便といいますか、これを比較した場合には、格段の相違があるのではないか。従って、ほんとうに日米親善という立場に立つならば、代替地というような考え方をやめて、そういう大きい見地からして、アメリカさんにも若干の不便はあるだろうが、しかし、日本側にこれだけの不便があるのだから、この際一つ大同的な見地から返還してもらえないだろうか、こういう折衝をすべきじゃないかと思うのですが、そういう趣旨の今まで交渉をされたことがあるかないか、その点をお伺いしたい。
  119. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今まで、返還の問題につきましては調達庁が実際の仕事をやっておりますので、私からお答え申し上げます。  ただいま大開から御説明がありましたように、返還につきましては、代替地を提供せよという要望がありまして、その代替地の選定につきましては、米側と十数回にわたり折衝をやっており、その折衝の過程におきましては、ただいま先生が申されたような点につきましては十分米側にも説明をしまして、地元の強い要望、ことに首都圏整備法によって工業地域として指定されている、将来の工業地域として大事なところである、だから早く返還してもらいたいというような地元事情は具体的によく説明しまして、早く返還するということについてはこまかく説明し、強く要望して参っているところであります。
  120. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま調達庁長官からお答えした通りでございますが、ああいう演習を全然やめるということはなかなか困難かと存じます。しかし、それを、必ず新しいところというばかりでもないかと思います。そういう面も含めて、さらに、もちろん、今は先ほど申しましたような地元の納得をいただくための努力を傾注いたしますが、さらにそういう面もあわせ考えることは、私どもとしても十分考慮しなければならないかと存じております。
  121. 東海林稔

    東海林分科員 もうこの問題はお互いによく知っていることですから、くどくど申しません。従って、地元の了解を得て円満にこれが返還できるような措置を第一に考えていただくことが必要であります。しかし、それが必ずしも容易でないという場合は、ただいま御答弁がありましたように、大局的な見地、あるいはまた、新たに設置しなくても、もう少し方法もあるのではないかというような意味のお話もございましたが、そういうような点も十分一つ検討いただきまして、結論は一日も早くこの返還が実現して、さすがにどうも地元出身の大臣、次官がそろっているから解決した、こういうふうに喜ぶことができるようにお願いいたします。
  122. 西村直己

    西村主査 この際暫時休憩して、本会議終了後、引き続き再開いたしたいと思います。    午後一時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後四時五分開議
  123. 西村直己

    西村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。
  124. 加藤清二

    加藤(清)分科員 まず最初に、長官がいらっしゃいますので、長官にお尋ねいたしますが、全国で、航空機基地が各所にあると思いますが、その数、それから航空機の機種及びその機数、これをまずお尋ねいたします。
  125. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いろいろたくさんございますので、正確を期するため、政府委員からお答えいたさせます。
  126. 海原治

    海原政府委員 お答え申し上げます。  現在自衛隊の使用しております飛行場でございますが、陸上自衛隊につきましては十カ所、海上自衛隊につきましては六カ所、航空自衛隊につきましては十四カ所の飛行場がございます。なおこのほかに、米軍の用に供しております、たとえば入間川のジョンソン基地とか岩国というところは、自衛隊におきましても共用いたしております。  陸上自衛隊の基地におります飛行場は、主として陸上自衛隊の連絡、偵察等の任務に使います、いわゆるL機と申しておりますが、そういう小型の飛行機がそれぞれの管区隊の支援のために、主としては方面隊に配属されました形において所在いたしております。  海上自衛隊は、八一尺鹿屋にはP2V、S2Fという対潜哨戒機を主体とした飛行機がおります。このほかには、徳島にはS2Fを主体とした飛行機が配属されております。ほかに大村には飛行艇、館山、大湊にはヘリコプター、こんなようなものが配属されております。  航空自衛隊につきましては、浜松に第一航空団がございまして、ここには主として訓練のために、F86Fを主体とした部隊が配属されております。それから千歳には現在86D、86Fの両機種がございます。それから松島小松小牧新田原には、それぞれ各航空団所属の航空隊を配属してございますが、一々申し上げますか――各航空団所属の航空隊が、合計七航空団、十三飛行隊という形でもって配属されております。
  127. 加藤清二

    加藤(清)分科員 この基地に配属されております航空機が演習をいたしますところの回数、時間、これは一体どの程度行なわれるものか。演習以外に指導ということが行なわれておるはずでございますが、これは整備、テストの過程だろうと思いますけれども、それは一体どの程度行なわれるか、時間にして答えていただきたい。
  128. 海原治

    海原政府委員 今、先生のお尋ねにありました各飛行機別の使用予定時間と申しますと、手元に全部を総括した資料がございませんので、至急整理してお答え申し上げますが、陸上自衛隊につきましては、それぞれ各部隊におきます年間の訓練計画がございます。それに基づきまして、具体的な演習のために使用します場合と、それから各パイロットが技量位のために年間たとえば五十時間とか六十時間は飛ばねばならないということになっておりますが、そういう技量位のために飛んでおるというのが実情でございます。陸上自衛隊のP2V、S2F等の機種につきましては、やはり年間の演習計画ができておりまして、これに基づきまして、私の記憶が正しければ、大体月平均一機当たり、三十七時間前後は飛んでおると考えております。航空自衛隊におきましては、F86F、F86D等の飛行機は、それぞれ月間の使用標準時間がきまっております。たとえば三十六年度につきましてはF86F、F86Dともに一応月間それぞれの飛行機が二十時間は飛ぶということになっております。この二十時間飛びます中に、演習のために飛びますものと、それから技量位のために飛びますものと、パイロットの養成のために飛びますもの、それぞれの航空団の任務に従って分かれております。実績は、これも私の記憶が正しければ、三十六年度におきましてはF86F、F86Dともに、大体十八時間ないし十九時間というのが各飛行隊の平均の時間になっております。
  129. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その航空機の内訳の銘柄だけは聞いたのでございまするが、それが目下日本には何機あって、これに搭乗ないしは練習する軍人が何人いるかということをまず伺いたい。
  130. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  陸上自衛隊から申し上げますと、三十六年度末にL機の方は百八十二機になっております。それに対しましてパイロットは二百五名。それから海上自衛隊の方は、実用機について申し上げますと、P2Vは三十六年度末に四十二機の予定でございます。それに対してパイロットは百三十九名でございます。それからS2Fは同じく三十六年度末現在に六十機、パイロットは百九十六名予定しております。最後に航空自衛隊について申し上げますと、F86Fは、機数におきましては三百五十一機の予定をしておりますが、パイロットは四百五十四名、それからF86Dの方は、機数は百九機、パイロットはそれに対しまして百二十二名を予定しております。
  131. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そこで合計をやって下さい。機数の合計と員数の合計と、それからパイロットが月二十時間ずつ搭乗したと計算して、一体月に何時間滞空しているか、こういうことです。
  132. 小幡久男

    ○小幡政府委員 しばらく時間の御猶予を願います。
  133. 加藤清二

    加藤(清)分科員 次には、特に編隊で演習をなさることがございますが、これは一体どのくらいの時間行なわれるものでございますか。時間を聞きたい。
  134. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答えいたします。  編隊演習は戦闘機について行なわれております。従いまして、航空自衛隊のF86Fの段階で行なうのが原則でございます。これはT33を入れまして、F86Fは約五カ月訓練いたしますが、その五カ月が終わりまして、さらに、二、三カ月の間にその訓練をやりたいというふうに考えております。
  135. 加藤清二

    加藤(清)分科員 長官にお尋ねいたします。いずれ滞空時間のトータルが出ると思いますが、その飛行機が爆発音を周辺に流すおかげで、飛行基地周辺方々が大へん人的あるいは家畜の被害を受けておるわけでございます。これの実態についてどの程度把握をしておられますか、その様子を承りたい。
  136. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 特にジェット機が相当な騒音を発するわけでございます。従いまして、基地周辺住民方々にいろいろと御迷惑をかけているわけでございます。そのうちでも、特に教育施設でありますとかあるいは病院施設等につきましては、防音工事等を施行する必要がございまして、それらの教育施設あるいは病院等について調査をいたし、そうして、ある一定基準以上のものについてはその防音の工事をいたす、そういうような意味の調査はいたしております。しかしながら、ジェット基地のすべてについて、その騒音が人体あるいは家畜等にいかなる影響があるかということについては、まだ十分な調査が行なわれておりません。従いまして、これは自衛隊の基地ではございませんけれども、米軍基地の一地区につきまして、三十六年度末から将来にかけまして、こうした人体等に対する影響あるいは家畜等に対する影響を調査いたす段階に入っておるわけであります。
  137. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それは抜き取り検査的な調査でございますか、ないしは、ただいま御説明にございましたように、約三十基地ありますね。これの全般にわたって、その被害を除去するための調査研究でございますか、いずれでございますか。
  138. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 特に非常な騒音住民の皆様に御迷惑をかけるのは、ジェット機の配置されている基地でございます。先ほど申しましたように、防音工事等をするためのそうした調査はジェット基地についてやっておるわけでございます。そのほかに、先ほど申しました米軍基地一つをつかまえまして、今後人体その他についての被害の程度等を調査する計画を立てているわけでございます。これは一つ基地でございます。
  139. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一つ基地を抜き取り検査することによって、その他を全部類推して、これの対策が実際に行き届いて行なわれるという見通しはいつの日でございますか。
  140. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これはできるだけ早くやりたいと思いますけれども、医学的あるいはその他心理学的に相当調査をいたさなければならぬわけでございます。ことに何フォン以上の騒音が一時間に何回あるかというようなことは、割合に早く調査もできますけれども、人体にどんな影響があるか、あるいは家畜等にどんな影響があるかということは、相当の時日を要さなければならぬと思います。しかしながら、一方そうした被害を受ける住民方々のことも考えますので、なるべく早く終わらせたいとは思いまするけれども、ある程度の時間はおかしいただかなければならぬじゃないかと思っております。
  141. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ある程度などというておられる時期ではございません。先ほど御発表いただきました飛行機、それに対するパイロット、それが最近において、特にジェット機が昼夜の別なく非常な訓練をしていらっしゃるわけなんです。これは防衛庁といたしましては当然の任務であるかもしれません。しかし、そのおかげで、周辺の人々の受ける被害はますます累積されてきておるわけでございます。音に対する住民の恐怖と申しましょうか、不安感、焦燥感と申しましょうか、これはいろいろな社会問題を惹起しておるのが今日の実態でございます。  そこで、実は私どもの近くにおきましても、すでに県会あるいは市議会等がこれに対する特別対策委員会を設けまして、そこが主体となって、その実態を調査いたしましたびそれについて、私が抜き取りをいたしまして御参考に申し上げてみますると、まず第一番に、電話、ラジオ、テレビ、これが聞き取れない、見取れない、テレビのごときはちらちらしちゃって、その用をなさない、こういうものがたくさんにございます。調べました対象の中で、全く聞こえませんというのが六二・九%ございます。これじゃ商売は成り立ちません。どうにか聞こえるというのが一八・七%あるわけでございます。この間はテレビは全然見えないわけであります。次に会話はどうか。会話ができないというのが五二・九%ございます。この私のような大声ならどうやらできるというのが三〇%でございます。こういう調子でございまして、これが及ぼす影響は非常に健大なるものがございます。  そこで一歩突き進みまして、騒音の中で一体何が一番困るのかということをアンケートしてみました。これは私がやったんじゃない、社会党がやったんじゃないのですよ。県会、市会がやっておる。そうしますると、始動によるものが二七・二%、一番多いものは低空旋回によるものである、こういうことになっており、これが五一・二%でございます。しかしこれは基地基地によって異なることと存じます。次に、騒音で一番困る時間は一体何時ごろであるかと調べてみますると、これが夜間ということになっており、四四・七%、これじゃテレビを一番見たい、テレビの側もまた見せたいというゴールデン・アワーは全部ここで消滅されてしまうわけです。一家団らんはそのゆえに破壊されてしまうわけです。次には、これは夕方の一六・九%午後の一五・四%と相なっておりますが、夕方から夜分にかけて騒音が非常に激しいということは、子供の勉強の大へんなマイナスに相なっているわけでございます。この点、入学試験を目前に控えました親の身になっていただきたいのでございます。日教組の悪口をさんざん言いながら、その教員を家庭教師に雇って、わが子、わが孫だけは何とか入学試験をうまく通さそうとしている大臣さんのあることを私は知っております。ましていわんや、なけなしの財布をはたいて入学させようという親は、家庭教師を雇うような力はございません。本人まかせでございます。これが騒音によって阻害されるというこの現実は、もはや社会問題なんです。これを長官としては一体どのように考えられるのか。一番困る人は一体だれか。人を調べてみますると、学生というのが四七・三%、次が乳幼児で二二・七%、次が病気療養者一一・九%、次が妊産婦となって二・六%でございまするが、これは員数の関係でこうなっておるのであって、妊産婦は全部、病人は全部という意味でございます。ここに妙な例でございまするが、飛行基地のはたに産婦人科がございまして、よくはやっておりました。しかしながらジェット機が飛ぶようになってから、ここに入院いたしますると、流産がはやる。お医者さんのところに行っておきながら流産になってしまう、これじゃかなわぬというので、そこはほとんど入院患者の姿を見なくなってしまった。こういう生きた実例もあるわけでございます。これを要するに、総括的にトータルをとってみますと、困っているというのがその地区では八三・六%になるわけでございます。次に、困っているがあきらめているというのがあるのです。これは妙なのでございますが、困っているけれども、あきらめている、そのあきらめている内訳を調べてみますると、どうにもならないものだ、こう考えているのが五・五%、次に、陳情を何度いたしても対策がしてもらえないのだ、政府はわれわれを相手にしてくれないのだ、こういうのが五・四%ございます。つまり、もはやこの問題は、対策の時期いかんが、政府に対する、政治に対する不満、不信という声に相なってきているわけでございます。この結果、思わざる主義、主張へ若い人たちが流れていくという実態がここから生まれてきておるわけでございます。あなた方の責任は重大でございます。これに対して、一体大臣はどのようにお考えでございますか。それでもなお、今抜き取り検査程度でよろしいのでございましょうか。あるいは、今これに対する対策が、時期がわからないなどという答弁で事が済まされる問題でございましょうか。
  142. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 誤解があるといけませんので申し上げておきますが、先ほど米軍基地の一について調査をいたし、それにはある程度の時間をおかしいただきたいと申し上げたのは、騒音等が直接人体にどういう影響があるか、あるいは家畜等にどういう影響があるかということについては、ある程度時間をかしていただかなければならぬということでございまして、ただいまおあげになりましたような、テレビが見えない、ラジオが聞こえない、あるいは勉強の差しさわりになるというような点については、私どもも相当実情を把握いたしておるわけでございます。それで、とりあえずまず最も必要と思われまする教育施設について、できるだけ早い機会に防音工事等をいたしまして、できるだけ騒音緩和をはかりたいという考え方で今までもやって参りましたが、今回御審議を願っておりまする三十七年度予算におきましては、自衛隊関係におきましても、従来の五億程度のものを十四億程度に、これは防音工事だけでございます。そのほかに、消音装置その他のものを合わせますと、十六億程度になりますが、そういう金額をお願いいたしておる次第でございます。また米軍施設につきましても約十四億の金によりまして、防音工事を促進をいたしたいと考えておるわけでございます。さらに、単に教育施設ばかりでなく、医療施設等につきましても、これを進めて参りたいと思っておるわけでございます。この金額が十全な金額とは申せませんけれども、相当な増額をお願いいたしまして、そうして、まず一番お困りになっておる学校あるいは医療施設等について防音工事をいたす、また、すでに御承知だと思いますが、進入路等の真下に当たりまして、とうていそこには住めないというような方々につきまして、もし移転を御希望になれば、その移転の補償をするというような措置をとっておるわけでございますが、今後さらにいろいろ工夫を重ねまして、これらの地元住民皆様方の全部の方の御満足をいただくようなことにまではなかなかならぬかとは思いますけれども、少しでも騒音からの被害を軽減するような努力をして参りたいと考えておる次第でございます。
  143. 加藤清二

    加藤(清)分科員 防衛予算の中の特に防音補償費を五億から十六億にしたという御答弁でございまするが、そのふえた予算によって、本年度一体学校はどのように防音装置が進捗されるか。せめて学校数、病院が行なわれるとすれば病院の数、ないしは坪数、農協、役場等は一体どうなるか。これについて詳細承りたい。特に、この問題は社会問題でございまして、この対策一いかんによっては、思想問題に及ぶということをおそれるわけです。それはすでに、私どもというよりも、県会、市会が特別委員会を設けて行ないました、そのアンケートによりますると、極端なのは自衛隊の撤退を望む、こういう人がございます。自衛隊制度の廃止、これを望んでいる者もございますが、普通のところでは、ジェット機は飛ばさないようにしてもらいたい、よそへ移転してもらいたい。こっちが移転するのじゃなくて、あなた方が移転して下さい、こういうのでございます。あなたはむしろ、自衛隊はそのままここを使うのだから、あなたたち国民よ、移転しなさい、こういう言葉のようでございますが、これは逆になっておる。それからジェット機の訓練の時間を制限してもらいたい、勘案してもらいたい。それから民家の上を飛ばないで、海の方へ行って飛んでもらいたい、山へ行って飛んでもらいたい、こういう位置の変更を願っておる者もあります。その他希望あるいは対策に対するところのあれが非常にたくさんございまするが、私はこれが行なわれることが、すなわち愛される向衛隊になるもとであって、口でどんなにうまいことをおっしゃり、総理がどんなに大所高所から訓示をなさったって、訓示をするかたわらからこんな被害を与えておるようでは、とうていこれは愛される自衛隊にはなり切れない。だから、いっそのこと飛行機はやめて、あらしがきたときの被害対策の自衛隊になってもらいたい、こういう声になってくるわけでございます。長官の御所見と、それからさっきの数字を……。
  144. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 数字につきましては、政府委員からお答えいたさせますが、ただいまおあげになりました中でも、たとえば訓練の時間を調整せよ、あるいは飛行する場所を考えろというような点につきましては、訓練に支障のない限り、できるだけ地元の皆様の御要望もいれて訓練計画を立てるように、現地の部隊には言ってあります。今後もそういう点について、できることは十分にやりまして、そして御理解いただきたいと存じております。いずれにいたしましても、先ほど来お答え申し上げましたようなことでございまして、地元の皆様に騒音について非常な御迷惑をかけておるのであります。これを皆無にするというわけにはなかなかいかないのでございますが、できるだけその被害を軽減する、不利益を軽減するということについては工夫をこらして参りたいと考えておる次第でございます。
  145. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 三十七年度騒音防止対策工事の補助の内容を御説明申し上げます。ただいま長官から御答弁申し上げましたように、金額にいたしまして十四億三千百万……。
  146. 加藤清二

    加藤(清)分科員 十六億でなしに十四億ですか。
  147. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これはあと二億七百万というのが、防音のための施設あるいは器具を含んでおります。補助金といたしましては、十四億三千百六十四万七千円。それで予定いたしております教育施設は、学校は二十二校、医療施設は四件、合計二十六件でございます。ただしこの数字は、予算を要求いたしました際の積算の基礎になった数字でございまして、その後、一部地元の負担等もございまして、地元の市町村と御相談をして実行計画を立てなければなりません。従いまして、この二十六という数字は今後動く可能性がございますので、お含みおきいただきたいと思います。なお全国の関係といたしましては、大体約四百件程度、こういう防音関係工事をしていかなければならぬかと、こう思っております。
  148. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四百分の二十六件、これで多いということが言えましょうか。とにかく学校はすでにその防音装置が行なわれたところもございます。しかし、それは窓ガラスを二重にしただけであって、夏の暑いときに、冷房装置とか通風装置とかいうことが完備していない、従って暑過ぎるからあけなければならぬ、あけっぱなしにしたら二重窓が効果がない。こういうことに相なっておるわけであります。その結果、どういうことがトータルの上に現われてくるかと申しまするならば、まず教育施設で申し上げますと、同じ地区におきまして、基地に近い中学校と、基地から遠い中学校がございます。この遠い中学校は、高等学校の入学率が三〇%の余ございます。しかもそれは県立の高等学校でございます。ところが基地に近い方は一〇%になったためしがございません。同じ生徒が同じ時間勉学をし、むしろ基地に近いところの方へ優秀な教員を集めて一生懸命に教育を行ないながら、その結果、効果は三分の一以下である、この実態が続いているのでございます。勉学をしなければならない、よい学校へ入らなければならないという人生の門出において、国家の施策が至らないがゆえに、人生の門出を間違えさしてよろしいものでございましょうか。  次に、病院でございまするが、先ほど一医院の例を申し上げましたけれども、病気をなおすはずのお医者さんへ入院しておきながら、流産をしてしまわなければならぬ。病気が重くなってしまう。健康体の人もなお焦燥感にかられて病気になる。せっかく入社試験、入学試験に受かるべきはずであった者が受からなかったおかげで、母親までが病気になってしまったという例が毎年のように続いているのでございます。一体これは、二十六件はないよりましでございましょうが、四百件も要望があるのに、何がゆえにこんなに削減されなければならないのか、これは問題でございます。あなたの方の予算は、繰り越しの明許費なんかずいぶんたくさんあるはずなんです。予算がないとは言わせぬ。ほかの予算を取る腕はたくさんありながら、なお人に迷惑をかけているところの、社会問題を起こしているところの、一生を棒に振らなければならぬような大きな原因を作っている、そのことの原因の除去のために予算を使われないのですか。これは二十六件ばかりでよろしいのですか。覚悟を承りたい。
  149. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど経理局長が申し上げました四百件というのは、全国で必要なところで、すでにやりましたものもおそらく百校くらいあるのじゃないかと思います。お示しのように、十分な防音装置になっていない部分もあろうかと思います。また従来、なるほどこの点において不十分でございましたが、このジェット航空基地周辺騒音の重大性にかんがみまして、実は三十七年度においては、先ほど申し上げましたような予算をお願いをいたしておる次第でございます。もちろんこれで十分だと私は思いませんけれども、今後年を追うごとにこうした問題についてさらに力を入れまして、早急にそうした被害の軽減に努力をいたして参りたいと考えておる次第でございます。
  150. 加藤清二

    加藤(清)分科員 百件行なったとおっしゃいますが、それは申しわけに行なわれただけで、詳細を申し上げる時間がございませんけれども、それはものの用をなさない。冬だけは間に合いますけれども、その他は間に合わない、こういうことなんです。従って、せっかく行なわれた二重窓式の防音装置も、これは変えなければならぬ時期に来ておるおわけなんです。それを積算していきますると、また四百件以上に逆戻りをするわけなんです。鉄筋コンクリートの校舎が何校できましたか、承りたい。  次に、この四百件余のその防音装置は、一体何年計画で、いつごろまでに行なわれるか。せめてその被害者に対して希望を与えるためにも、これを承っておきたいのでございます。入学試験地獄に向かう子供が、その試験地獄の前に、生き地獄の煉獄の苦しみを経ておるということを頭に置きながら計画を立ててもらいたい。
  151. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまのこの四百件と申し上げましたのは、日本全体のジェット航空基地周辺の学校、病院の数を大体申し上げたのでございますが、昭和三十二年度から昭和三十六年度までに教育施設として九十八、医療施設として二、合計百、これは本年度の分は若干見込みを含んでおりますけれども、百件を終了いたす予定でございます。その初期におきましては、木造校舎に防音装置を施した時代もございますけれども、最近は木造を鉄筋に改築をして、そうして防音を完全にするという方向で進んでおります。従って来年度以降におきましては、このほとんど全部が鉄筋改築とお考えいただいてよろしいかと思います。
  152. 加藤清二

    加藤(清)分科員 次に、個人補償についてお尋ねをいたしまするが、一体ラジオが聞けない、テレビがちらついちゃって全然見えない、電話ががあがあいっちゃって、ものの用に立たない。こういうものに対する補償は一体どうなっておりますか。
  153. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ラジオ、テレビ等、これはむしろ郵政省からお答えする方が適当かと思いますが、放送法の建前によりますと、放送協会の方から免除または減額の申請がありまして、これを郵政省が許可する建前と承っております。
  154. 加藤清二

    加藤(清)分科員 電波監理局の次長が来ていらっしゃるそうですから御答弁願いたい。
  155. 石川忠夫

    ○石川説明員 お答えいたします。  最近ジェット・エンジンを使用いたします飛行機が非常に多くなりましたために、飛行場周辺における爆音等のために、ラジオあるいはテレビの受信障害が非常に多くなって参りました。現在そうした障害が多いと思われるところにつきまして、その実情を調査することになっておりますが、非常にその障害がひどくてどうにもラジオ、テレビが聞けない、あるいは全然見えないというようなものにつきましては、NHKの放送を受信できる放送施設とは認められないというふうにも言えますので、こういうものについては受信契約を結ばないでもいいことになるのではないか、かように考えます。ただ受信料の減免の対象になるような障害というのは、どういう障害であるかということが非常にむずかしい問題でございますし、これは影響するところが非常にまた広く大きな問題でございますので、今後十分調査をいたしまして、慎重に検討をいたして参りたいと存じております。
  156. 加藤清二

    加藤(清)分科員 慎重は、一体何年ですか、慎重研究は何年やると答えが出るのです。つまり私の言わんと欲するところは、昭和三十一年に基地拡張が行なわれました。こんなことはその当時約束済みのことなのです。それをしかも公式に、さっき長官の言われたように、市長から、市議会から要請書が出ているはずです。ところがいまだに返事がない。慎重研究は一体何年かかるのだ、はっきりしてもらいたい。
  157. 石川忠夫

    ○石川説明員 ただいまのところ、いつになったら結果が出るかということをはっきり申し上げられる段階でないことを遺憾に存じます。
  158. 加藤清二

    加藤(清)分科員 昭和三十一年から、もはやことしまでに足かけ八年かかっている。大ていの政府計画は五カ年計画なんです。電話の増設計画も、五年計画をもう三回もやっておる。にもかかわらず、この問題だけは足かけ八年たっても返事もできない。何ら対策が行なわれていない。やっていないじゃないか。怠慢だと言われてもしようがないじゃないですか。もしこれを調査しているというならば承りたい。電話が不能である、テレビが見られない、ラジオが聞けない、この件数が全国に何件あるか。
  159. 石川忠夫

    ○石川説明員 現在のところテレビ、ラジオが全国で何件くらい見えないか、あるいは聞けないかということは、資料もございませんし、全国津々浦々にわたって調べてはございません。
  160. 加藤清二

    加藤(清)分科員 やっていないというのだ。資料がないというのだ。昭和三十一年に申請が出た基地拡張のときの約束事項なんです。これをどうしますか。こんなことでわれわれは政府を信頼することができますか。このおかげで――問題はこれだけにとどまらないのです。すでにNHKの阿部真之助さんの手元にも申請書が再三にわたって出ております。名古屋の監理部長その他も非常に困っておられる。テレビの滞納、ラジオ受信料の滞納、これが二年にわたって問題が起きている。あなたは契約をしなくてもよろしいじゃないかとおっしゃった。契約をしなくてもよろしいという一声を聞きさえすれば文句はないわけですが、しからば、その契約をしなくてもよろしいという範囲を聞きたい。つまり受信料を納めなくてもよろしいという程度と範囲……。
  161. 石川忠夫

    ○石川説明員 先ほど申し上げましたことは、テレビあるいはラジオの音声がほとんど聞こえない、あるいは絵が全然見えない、こういう場合を仮定して申し上げたわけでありますが、現実にラジオがどの程度聞こえなければ受信障害としてラジオの受信料を減額するか、あるいは免除するか、あるいはテレビの受信料を免除するかというような基準をきめることは、非常にむずかしい問題でありますし、また影響するところも非常に大きいものでありますので、その点について十分慎重に検討しなければ結論が出ないわけでございます。
  162. 加藤清二

    加藤(清)分科員 十分慎重は何年かかるかと聞いておる。その程度の問題でございますが、先ほど私がトータルを読み上げましたように、全く聞こえぬというのが六二・九%もある。どうにかこうにか無理すれば聞こえるというのが一八・七%ある。あなたは実際現地に行ったことがありますか。行ってみたら一番よくわかるのです。たとえば、やがて参議院の選挙の立ち会い演説が行なわれるでありましょうが、全然聞こえないのです。演説する方も何を言うておるかわからぬようになってしまう。これは当然免除されてしかるべきなんだ。慎重にとか――一体時間はいつまでかかるのですか、いつまでかかったら答えを出すのですか、まずその時間を聞きましょう。
  163. 石川忠夫

    ○石川説明員 小牧につきましてNHKで調査したところによりますと、ラジオにつきましては、一日の放送時間十九時間のうち、これは三十六年の十月八日から十月十七日までのうちの九日間を選んで調査したものでございますが、その九日間の一日平均でございますが、一日六十四分が聴取困難な時間、こういうことになっております。これは全時間に比較いたしますと五・六%というふうに出ております。さらにその中で一番悪い一日をとってみますと百分、八・八%、こういう数字が出ております。さらに最悪の一時間をとってみますと、それは一時間のうち九・三分、一五%、こういうふうに出ております。また映像の受信障害につきまして申し上げますと、一日平均一四・六分、それから最悪の一日をとりますと二二・七分、それから最悪の一時間のうちどの程度の障害があるかと申し上げますと、四・三分という調査結果が出ております。ただ、NHKといたしましては、この結果、この程度の障害では、受信料を減免するまでの障害とは考えられないというふうに結論しているように聞いておりますが、郵政省といたしましても、さらにこの時間の選び方、あるいは期日の選び方、あるいはどの程度の障害があったならば減ずるか、あるいは免除するかというような基準について、これはあちらこちらに影響の大きい問題でございますので、十分に調査をいたし、また結論も出したい、かように申し上げておく次第であります。
  164. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、この対策が行なわれるのはいつかと尋ねておるのです。この対策が行なわれるのは一体いつの日であるかと聞いておるのです。あなたの方のデータを私はうそだとは申しません。それはそれでけっこうでしょう。しかし、だからこそ、あなたが来ておらなかったけれども、この質問の最初にあたって私は飛行機の滞空時間、飛行機の数、パイロットの人数、それが義務づけられて滞空しなければならないところの時間、これを聞いたわけなんです。これをトータルとってみたら、そんなに短い時間ではないのです。しかも、いつの時間をあなたはおとりになったか知りませんけれども、夜が多いのです。調査官は夜来ておりません。ゴールデン・アワーの時間が聞き取れない、この被害は時間だけで判定されては困るわけなんです。全貌を見なければ、全体を見なければわからないというものがよけいあるわけなんです。芝居なら一幕だけ抜けたって、二幕抜けたって、これは何とかなるでございましょう。しかし、せっかく六時、七時、八時の一家団らんの大切な時間に、途中でちらちらしてテレビがものの用をなさなくなってしまった。せっかくお客と話をしている最中に電話が切れてしまった、音のおかげで切れてしまった。これは商売にならぬじゃないですか。その前後にわたる被害、それの及ぼす影響を考えていただかなければ、一時間分の九分であっても、この一時間分の九分が命を制することが幾らでもあるわけです。しかも一日のうちのゴールデン・アワーが一番ひどい、こうきているのですから、こういう点をよく勘案されれば、慎重々々と言っておられますけれども、このトータルはすでに三年前にあなたの手元に出ておるはずだ。いまだに答えがない。三十一年、足かけ八年前にもこの問題は申請が出ておるはずなんです。それが今日に至るも何ら答弁がない。そこで、地元ではNHKとのトラブルになってしまっている。NHKこそ被害者である。それよりももっと被害者は聴取者です。聴取者は金を払わぬと言うのじゃない。聞きたいのです。テレビが見たいのです。見れるように、聞こえるようにしてもらいたい。そうすれば不払いなんということは起こらないはずです。それが行なわれずに放置されているから、もう軍人さん、よそへ行って下さい、小牧基地、どこかへ行って下さいということになる。長官所見を承りたい。
  165. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 テレビ、ラジオの聴視困難というような問題につきましては、専門の郵政省の方からお答えがございましたが、ただいま加藤さんもおあげになりましたように、単に時間数とか、そういう問題ではないと思います。それだけにまた、その基準をどう持っていくかという基準をきめるのに、郵政省とされましても苦慮されておるのじゃないかと存じますが、現実の地元住民方々の生活の現状等も考えまして、私ども専門外でございますので、専門の郵政省と十分連絡を申し上げまして、早く結論の出るように努力いたしたいと考える次第でございます。
  166. 加藤清二

    加藤(清)分科員 調査のデータがはっきりしたら、立法措置をする用意があるかないか。諸般の情勢にかんがみて、これは特に公衆衛生学の方からも調査を願って、調べていただいたところによると、四十五フォン以上は不快感を起こすということになっておる。従って、これ以下にとどめるような措置をするか、それができないというならば、立法措置をして、この被害者を救うということでなければならぬ。自衛隊が国家のために設けられた、しかしその設けられたおかげで、一部の人がしわを寄せられて、被害を一身に受けておるということであっては、これは日本の為政者として、特に長官として望まざるところじゃないかと思うわけです。一体立法措置をする覚悟があるかないか、これについて。
  167. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 基地があるゆえに、いろいろその地元住民方々が積極的あるいは消極的に受ける不利益とでも申しますか、そういう問題をできるだけ緩和しなければならないことは当然でございます。従いまして、一方において公共的なものについてそういうものを考えておるわけでございます。今御指摘の、個人的な被害についてどうするかということでございますが、これは十分今後考究をいたしたい。また、これについては各般の専門的な知識もお借りしなければなりませんので、一つ十分に考慮していきたいと考えておる次第でございます。
  168. 加藤清二

    加藤(清)分科員 石川さんにお尋ねいたしまするが、郵政省の責任においてNHKと協議をし、すみやかにこの問題を解決してもらいたいのでありますが、それをやる気があるかないか。
  169. 石川忠夫

    ○石川説明員 早急に調査をいたしまして、いろいろなむずかしい問題がありますが、結論を出すようにいたしたいと思っております。
  170. 加藤清二

    加藤(清)分科員 次に、もうこれで最後でございますが、今度買い取られまするロッキードとやらグラマンとやらということでございますが、その買い取られますロッキードの始動爆発音は、一体何フォンくらいございましょうか。と同時に、それを何機購入して、どこへ何機ずつ配れらるのか、その結果防音装置の装置がえをしなければならぬ事態が出来すると思いまするし、また今郵政省のお話によれば、NHKと相談して受信料の契約破棄ないしは契約をしないでもよいということをきめていただけるそうでございますが、それの範囲が今後変わってくるわけです。そのつど変えられてはかなわぬ。従って、これは予見できることでございますから、一つ承りたい。  第二番目に、日本航空機製造株式会社の飛行機が今にできる、こう言う。さてそれを自衛隊は使用する用意があるかないか、もし使用するとするならば、何に使用するか。
  171. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 104の展開の詳細につきましては、政府委員からお答え申し上げさせます。  それから国産の輸送機YS11のことをお示しかと思いますが、第二次防衛計画、すなわち、四十一年度までに六機購入の予定でございます。さらに四十二年度におきまして四機取得の予定でございます。
  172. 加藤清二

    加藤(清)分科員 何に使うか。
  173. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在C46という輸送機を使っておりますが、これのいわば代替と申しますか、さらにその他の用も含めますが、そうした考え方でございます。
  174. 加藤清二

    加藤(清)分科員 つまりYS11型を、日本の軍人の輸送あるいは軍の装備その他兵站の輸送、これに使うということでございますか。
  175. 海原治

    海原政府委員 お答え申し上げます。  104の具体的な配置機数でございますが、三十七年度配置計画といたしましては、千歳に、Jが年度末までには二十三機、DJが十二機、配置される予定であります。これは今後変わってくるかもしれません。F104関係につきましては、全国で四基地、北に一基地中部に二基地西部に一基地、この四基地で合計七飛行隊であります。基準編成といたしましては一応のものもございますが、当分の間は草創の間でございますので、先ほども申し上げましたような、一応の編成と異なったもので逐次充足して参ります。  YS11の目的でございますが、内部を若干改造いたしますことによりまして、レーダー・サイト等の機器が正しく作動しておるかどうかということを飛行機の上から点検をする、これを飛行点検隊と申しております。この飛行点検隊の用に用います。また一部人員及び機材の輸送にも充当する。緊急輸送というのをやっておりますが、そういうことでございまして、その目的のためには、現在製作が進められておりますYS11というものが予定通りの性能でございますと十分その役に立ち得るのではないかということで、一応二次計画といたしましては六機の購入を予定しております。
  176. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これだけの飛行機がまた追加されるということでございます。しかくさようとすれば、爆発音は一そう増加する傾向にあると見なければなりません。そうでしょう。従って郵政省の石川さんのところも、このふえるということを予見して被害調査を行ない、その対策を行なわれまするよう要望いたしておきます。  次に、YS11型でございますが、これは、昭和三十三年、航空機工業振興法を制定いたしまするおりに、私の質問に対して、絶対に軍用には使いません、民間ローカルと輸出のみでございまして、再軍備には関係ございませんから御賛成のほどを願いますと、こういうことを述べておる。食言のようでございます。これはいずれ他日に譲るといたしまして、本日はこの程度でやめます。
  177. 西村直己

    西村主査 加藤さん、さっきの数字の説明で、教育局長がちょっと補足をしたいということですから……。
  178. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先ほど飛行機の機数、パイロット及び飛行時間について御質問がありました。先ほど実用機についてのみ申しましたが、御質問の趣旨が全飛行機にあるようでございますので、全体について申し上げます。  三十六年度末の推定によりますと、陸の保有機数が二百六十三機、それに対しましてパイロットが三百四十四名。海の保有機数が二百十九機、それに対しましてパイロットが四百四十四名。空は一千百三機、それに対しましてパイロットは千三百名予定されております。これに対しまして飛行時間は、全体の一カ年の数字でございますが、陸が六万四千時間であります。それから海が七万四千時間、空が二十二万八千時間でございます。総合計いたしますと、飛行機の機数は千五百八十五機パイロットは二千八十八名、飛行時間は三十六万六千時間、一カ月大体三万時間に対しまして千六百機でありますから、先ほど防衛局長が申しましたように、大体一機当たり二十時間弱というところが平均でございます。
  179. 加藤清二

    加藤(清)分科員 この軍用の飛行機の減価償却は年間何%と見ておりますか。――答えがないようですが、そんなこと、わからぬじゃ困りますね。民間だったら、ダグラスはDC3から6に至るまでが年間三%、一ぺんオーバーホールしたら二千時間、軍用は、世界じゅうの平均では、ロッキード、グラマンはどうか知りませんが、コンベアその他は大体七%ということになっておる。こんなことはそらんじておってもらわぬと困る。
  180. 海原治

    海原政府委員 今、先生の御質問が減価償却ということでございましたので、いわゆる経済的価値の減価償却かと考えたわけでございますが、今のお話で一応損耗率というふうに考えて参りますと、一応の数字はございます。たとえてみれば、それぞれ飛行機につきまして一万時間について何機消耗することが計画上の数値となるかという数字はございます。
  181. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それじゃずさんですよ。全体のものが一万時間飛んだらどれだけ償却するかということでなしに、そのものずばりのロッキードならロッキード一機がどれだけ年間償却していくかということを、きょうでなくてよろしいから、いずれ後に――あなたを立ち往生させるために私はやっておるのじゃないから――わかっておったら今……。
  182. 海原治

    海原政府委員 今の先生の御質問でございますが、たとえて申しますと、ジェットの戦闘機でありますと、これは米海軍の例でありますが、一応その飛行機が完全にメインテナンスができていくとしますと、工場から生産されたものが三千時間飛べば一応おしまいという数字がございます。そういう数字は、何分にもわが自衛隊はまだ経験がありませんので、持ち合わせがございません。ただ、従来の実績と今後の計画上、どの飛行機は毎年どの程度事故等によって損耗するかという数字の持ち合わせはございます。
  183. 加藤清二

    加藤(清)分科員 長官要望しておきますが、親方日の丸でやるのですから、それは減価償却などという経済的価値は考慮されなくてもよろしいかもしれませんけれども、およそ貴重な、何億というものを投資して、貴重な血税なんです。これについて償却率がわからないというようなことでは、やがてパイロットの人命にも影響することになりまするので、これはきょうでなくてよろしゅうございますから、後ほど詳細に機種別の減価償却率、データを出していただきたい。  以上であります。
  184. 西村直己

    西村主査 横路節雄君。
  185. 横路節雄

    ○横路分科員 最初に、第二次防衛計画全般の所要経費は幾らになっておるのか。それから当然第二次防衛計画を立てた以上は、そういう計画があると思いますので、恐縮ですが、あわせて三十七年度から四十一年度までの年次別の所要経費についてお答えいただきたい。
  186. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細については政府委員からお答えいたしますが、これはすでに横路さん御承知と思いますが、三十六年度を基調といたしまして、平均年間百九十五億ないし二百十五億の増勢をもって五カ年で終わるということでございます。従いまして、その五カ年間の全体といたしましては、低いところで一兆一千五百億、高いところで一兆一千八百億に相なるわけでございます。  なお、詳細については政府委員からお答えいたします。
  187. 海原治

    海原政府委員 年次別の経費の推定についての御質問がございましたが、これは先生御存じのように、昨年の七月十八日に、国防会議決定されました二次計画につきましては、最終目標というものと、およそその間に要するであろうという経費の推定が、ただいま大臣からお答えしたような形できまっております。従いまして、その目標を達成するために必要な一応の所要経費の見積もりは、あくまで防衛庁事務当局段階の数字でございますから、その辺を一つ御了承願いたいと思います。と同時に、三十七年度予算編成によりまして、当然に二次計画で考えておりました各年度の数字は動いて参ります。この数字の修正等は、まだ現在作業中でございまして、当分時間がかかりますので、あくまで七月十八日に決定いたしましたときの見積もりである、これも御了解願いたいと思います。これによりますと、大体三十七年度は、当時におきまして約手九百五十七億、三十八年度は二千百六十五億、三十九年度は二千三百八十七億、四十年度は二千四百六十九億、四十一年度は二千六百八十二億でございます。これを積算しますと、一兆一千六百六十億になる。これは先ほど大臣からお答えしました幅のある、中間をとった場合に一応この程度の見込みになるであろうという、事務当局の、あくまで防衛庁限りの試案でございます。その点どうぞ御了承願いたいと思います。
  188. 横路節雄

    ○横路分科員 この五年間にアメリカから供与を期待している額は、どれだけですか。当然これにそれだけふえることになるだろうと思いますから……。
  189. 海原治

    海原政府委員 この五カ年間に米国から供与を予定しております額は、一応九百億程度と推定いたしております。平均毎年百八十億程度、八十億ちょっとになりますが、合計いたしまして九百億、このように考えております。
  190. 横路節雄

    ○横路分科員 次にお尋ねをしたいのは、第二次防衛計画の中の特徴は、ナイキ、ホークの問題だと思うのであります。この点について、去年も本予算委員会分科会でお尋ねをしたのですが、今まで承知しているところでは、三十七年度にナイキ、三十九年度にホーク、四十年度にナイキ、四十一年度にホークと、こういうように聞いているのですが、この点一つ防衛局長の方から年次別計画といいますか、ナイキとホークについてはどういう計画があるか、その点一つ明らかにしていただきたいと思います。
  191. 海原治

    海原政府委員 ナイキ、ホークのそれぞれの部隊編成予定は、今先生のおっしゃった通りでございます。
  192. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで、三十七年度につきましては、去年の分科会で明らかになったのでございますが、首都防衛部隊というのですか、中隊は、本部中隊は習志野、発射中隊は同じく習志野、霞ケ浦、入間、武山、こういうようになっているようですが、そこで、同じ四十年に予定されているナイキの一個大隊は大体どこに予定をしておられるか。第二次防衛計画の中でそういうことが全然予定されていないということはないと思うわけですが、その点をお尋ねしたいと思います。
  193. 海原治

    海原政府委員 四十年度編成を予定しておりますナイキ大隊の配置の場所につきましては、現在統合幕僚会議事務局が中心になりまして検討いたしております。と申しますのは、第二大隊目の配置場所は、第一大隊と合わせまして関東周辺配置するか、または関西あるいは北九州に配置するかということは、ホーク大隊の編成とも関連いたしますので、日本の防空全般を考えました場合に、どこに置くのが最も効果的かという点について、現在幕僚の段階十分検討を加えておる次第でございます。従いまして、案としましては、関東地方にさらに一個大隊、あるいは関西あるいは北九州にさらに一個大隊ということのいずれかになろうかと思われますが、現在まだ決定いたしておりません。
  194. 横路節雄

    ○横路分科員 そうしますと、今のお話で、四十年のナイキについては東京周辺に合わせて一個大隊をふやすのか、それとも阪神の工業地帯といいますか、関西に一個大隊を置くのか、あるいは北九州の工業地帯を中心に一個大隊を置くのかは今検討中だというわけですね。  そこで、次にお尋ねをしたい点は、このナイキ・アジャックスについての費用ですね、これはどれだけが国の負担になるのか、それから、アメリカから供与を期待しているのはどういうものなのか、およそその金額は一個大隊についてどの程度なのか、そういう点お答えいただきたいと思います。
  195. 海原治

    海原政府委員 お答えいたします前に、まずお断わりいたさなければなりませんのは、これもあくまで二次計画当時の見積もりでございます。従いまして、今後具体的にその内容決定するに従いまして、多少の増減はあるということでございますので、その点は御了解願いたいと思います。  ナイキの一個大隊に要する経費というものは、一応八十五億程度と考えます。この中には特殊装備品といたしまして、ナイキの弾体あるいは関連の射撃管制指揮装置、初度部品等のほかに、一般装備といたしまして、これを輸送します車両であるとか、あるいは施設整備する費用であるとか、ないしは輸送費であるとか、ないしはこのナイキ大隊を支援いたします部隊の費用であるとかいうものを一切総合いたしますと、一応八十五億程度の金が要るのではないか。次にホークにつきましては、同じように計算いたしまして、約百二億程度の金が要るのではないかというふうに考えております。アメリカからもらいますものは、まずそのほとんど米国の装備品でございまして、自衛隊で現在持っております車両を一部振りかえるとか、あるいは一部の装備品を国内で調達いたしますことに相なるかとも思いますが、大部分は米国からの供与品で編成いたして参る、このように考えております。
  196. 横路節雄

    ○横路分科員 アメリカから供与されているのは、これは本部中隊が一つ、発射中隊四ということになりますと、発射中隊四に持ってくるところのランチャーはどれだけになっているのか、それから弾体ではどれだけになっているのか、それからその価格は、アメリカの供与ではありましょうけれども、それを円に換算すればどの程度になるのか、この点一つまず明らかにしていただきたいと思います。
  197. 海原治

    海原政府委員 ナイキの一個中隊、発射中隊にはランチャーは九基でございます。これに要します弾体の見積もり価格でございますが、一応七億五千六百万円程度という数字がございます。これは今後確定いたさなければなりませんが、私どもはそういうふうに見積もっております。これは国産と申しましても、ちょっと換算できませんので、一応アメリカ側においての経費負担の見積もりでございます。さらに弾体でございますが、これは定数といたしましては七十二発、そのほかに若干の、何と申しますか模擬弾というようなものを装備いたしまして、かれこれ甘発程度のものになるのではないかというふうに承知いたしております。
  198. 横路節雄

    ○横路分科員 この百発というのは一個中隊ですか、一個大隊ですか。
  199. 海原治

    海原政府委員 一個大隊でございます。
  200. 横路節雄

    ○横路分科員 施設、たとえば発射機を設備するために、私はよくわかりませんが、おそらくコンクリートの地盤とかそういうものが要るのだろうと思いますが、一体そういう、そのための施設費は一個について幾らになるのか、一個大隊でもいいですが、そういう施設は幾らになるのか。
  201. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 土地買収を含む場合と含まない場合とで変わってくると思いますが、まず三十七年度に予定しております分につきましては、土地買収を考えておりません。それで、予算といたしましては三億五千百万を要求いたしております。
  202. 横路節雄

    ○横路分科員 経理局長大へん恐縮ですが、もしも用地買収をするとすれば、これは発射機一つについてというか、一個中隊でもいいですが、大体どれだけの面積が要るんでしたっけね。
  203. 海原治

    海原政府委員 私ども承知しております標準面積は、平均七万坪でございます。これは一個中隊についてであります。しかし先生も御存じのように、それぞれの地形によりましてレーダー関係の装備の置く場所と、そういうランチャーを置く場所は、距離の関係及び付属施設関係がございますので、実際はこれよりも少なくて済むのじゃないか、従いまして五万坪ないし七万坪程度で一応のものができるのではないかということでございますが、詳細は現在関係幕僚の方で調査中でございます。
  204. 横路節雄

    ○横路分科員 これは、弾体については国産ではないわけですね。将来ともアメリカから供与を期待しているわけですね。防衛局長、そうでしょう。
  205. 海原治

    海原政府委員 遠い将来のことはちょっと申し上げられないと思いますが、少なくとも私の判断では、日本で国産をするということには相ならないのではないかと考えております。
  206. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは、次にホークのことについてお尋ねをしておきたいのだが、三十九年にホークを一個大隊、四十一年にホークを一個大隊置くわけですが、ナイキ・アジャックスについては非常に高度について撃つ、それから低空を飛んでくるのについてはホーク、こういうことになっているわけですが、この三十九年のホークと四十一年のホークは、これは統幕ではどういうように検討しているのですか。
  207. 海原治

    海原政府委員 ホーク二個大隊の配置の場所につきましては、北海道に二個大隊を配置する考え方と、先ほどちょっと申しましたが、関東地区にナイキ一個大隊とあわせてホーク一個大隊を置くという二つの案がございまして、これは先ほど申しましたように、全般的な日本の防空体制の整備のためにどの案が最も効果的であるかということの検討を現在いたしております。
  208. 横路節雄

    ○横路分科員 そこで所属のことについてお尋ねをしたいのですが、ホークについては陸ときまっているわけですか。その点はどうなんですか。
  209. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さようでございます。
  210. 横路節雄

    ○横路分科員 ナイキについてはどうなっておるのでしょうか。皆さんの方からいただいた昭和三十七年度自衛隊の業務計画の大要には、あまりはっきり出てないのだけれども防衛庁の方であちらこちらに提出している広報の中にはっきりしているわけですね。ナイキ大隊の所属決定までの措置として、同大隊建設のため必要な各般の準備業務を実施するというので、陸上自衛隊につけてあるわけですね。これは何か防衛庁の中で非常にごたごたをしているという話なんですが、これは長官どういうことになっておりますか。
  211. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ナイキの所属につきましては、本年の秋に予定されております幹部訓練部隊が帰りまして、その所属を決定するということを決定いたしておるのでございます。もちろんそれまでに先ほど来お尋ねのございましたような施設をいたさなければならぬわけでございますから、それについてはただいまお示しの業務計画の中におきまして、予算の上におきましては、陸上自衛隊においてそれの建設の予算等の御審議をお願いいたしておる次第でございます。これの建設にあたりましても、米側のいろいろな指導も受けなければならぬわけでございます。こういう態勢におきまして、ただいま御審議をお願いしているような形におきまして建設を進めて参り、そうして訓練部隊が帰りました、十一月ごろと予定されておりますが、その際に所属を決定したいと考えておる次第でございます。
  212. 横路節雄

    ○横路分科員 十一月ごろに帰ってくるのは、向こうへ行って訓練を受けている幹部がどれだけ帰ってくるわけですか。
  213. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。昭和三十六年度に七十九名参ります。三十七年度に二百四名参ります。合わせて三百三十九名が第一回の要員として参ります。
  214. 横路節雄

    ○横路分科員 そうすると長官、七十九名の人が帰ってきて相談をしてきめるのですか。それとも三十七年度に、話によると、六月ごろに二百四名行って、三百三十九名帰ってからきめる、それはどっちなんですか。
  215. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま教育局長からお答え申し上げました三百三十九名が十一月には訓練を受けて帰ってくるわけでございます。それの帰りました後において決定をする、こういうことでございます。
  216. 横路節雄

    ○横路分科員 この人たちが帰ってこなければ決定ができないというのも、ちょっとおかしいものですね。この人たちは訓練を受けてくるのでしょう。訓練を受けてくるのと、陸上自衛隊に所属した方がいいか、航空自衛隊に所属した方がいいかということとは、別でないですか。訓練を受けた者が、陸上自衛隊がいいのだ、航空自衛隊がいいのだ、そんなものじゃないでしょう。皆さんの考えからすれば、第二次防衛計画の中で一体航空自衛隊F104Jと、あるいはあとでお尋ねをいたしますが、バッジその他と、そういう関係でどうしたらいいかということを皆さんの方がおきめになるのじゃないですか。いろいろ操作について訓練を受けてきた者が、あっちがいい、こっちがいいなんといってきめるものなんでしょうか。これは長官の言葉としては少しおかしいのじゃないですか。
  217. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 時期が、この訓練を受けております者が帰りました後において決定するということでございまして、その訓練を受けた者の意見を聞いてきめるということではございませんで、これは統合幕僚会議その他純軍事的な判断をいたしまして決定をするわけでございます。
  218. 横路節雄

    ○横路分科員 このことについてはあとで、あるいは航空自衛隊になれば、これは予算の組みかえですか、移流用ですか、そこら辺のことはあと予算措置上問題も起きると思うのですが、きょうのところはそれぐらいにしておきます。  長官に私は今までの質問の中でぜひお尋ねをしておかなければならぬのは、今防衛局長答弁で、御承知のようにナイキ・アジャックスについては――ナイキ・アジャックスでも、ナイキ・ハーキュリーズでも全部発射できるわけです。前の国会で明らかになっているように、ナイキ・アジャックスについては、これは核弾頭つきではない。ナイキ・ハーキュリーズについては、これは核弾頭つきだ。ところがアメリカではナイキ・アジャックスは生産を中止した。私はだから先ほど、国産の方向に行くのですか、こう聞いた。防衛局長は、将来のことはわからぬが、国産の方向には行かない、こう言った。藤枝さん、そこで問題なんです。防衛庁はいよいよ先ほどのお話で、弾体について、これは定数として七十二発ですか、そうして日本では国産しない、アメリカで持っている。いざ戦争の危機状態が来た。そのときに、向こうで持っているのですよ。発射機はナイキ・アジャックスでも、ナイキ・ハーキュリーズでも、ジュースでもみんなやれるのですよ。そうしたら向こうで、いや、ナイキ・アジャックスはもうないですよ、これはナイキ・ハーキュリーズだ、こう言って核弾頭つきのものを送ってきたときに、膨大な金をかけて、今お話のように、ナイキについては二個大隊を第二次計画でやるのですよ。あげてアメリカがその弾体について持っているのです。ナイキ・ハーキュリーズをよこそうと、ナイキ・アジャックスをよこそうと、何をよこそうと、アメリカの権限にあるのです。この点から考えれば、いよいよ防衛庁は核弾頭、核武装に踏み切ったと言わざるを得ない。私はそういうように考えざるを得ないと思うのです。アメリカが持っているのですよ。だからアメリカが、これ以上はナイキ・アジャックスはやらぬぞ、ナイキ・ハーキュリーズだ。拝みます、頼みます、下さい。だめだ、こう言って向こうが一方的にナイキ・ハーキュリーズをよこしたときに、その発射機はナイキ・ハーキュリーズなんだ。そこで今度皆さんがナイキをいよいよ建設するといっても、主導権は向こうにある。ナイキ・アジャックスでもハーキュリーズでも、どちらでもやれるランチャーなんだ。私どもは、先ほど来いろいろお尋ねをしているところで、いよいよ防衛庁は自衛庁の核武装に踏み切ったと言わざるを得ない。どうですか、藤枝さん。これは一防衛局長答弁ではないですよ。これは非常に重大なことです。
  219. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細の点についてはそれぞれ政府委員からお答えせしめますが、何かもう非常にアメリカに主導権を握られて、よこすのは向こうの言いなりだということでございますが、私どもは、受け入れるのは私どもの、日本国の自主的な判断によって受け入れるのでございまして、あくまでアジャックスを受け入れるという立場でございまして、しばしば歴代の政府が申し上げておりまするように、核武装をしないということについては一貫した方針を持っておる次第でございます。
  220. 横路節雄

    ○横路分科員 しかし藤枝さん、あなたそう言っても、今度のランチャーは、去年から問題になっているように、ナイキ・アジャックスでもナイキ・ハーキュリーズでもやれるのですよ。もしもあなたたちが今度持ってくるランチャーが、ナイキ・アジャックスだけのランチャーだというなら、私はそうは言わないのです。藤枝長官答弁を、その通りでございましょうと、そう私も了解しますが、初めから持ってくるのはナイキ・アジャックス、ハーキュリーズ、どちらでもやれるものなんだ。しかも去年の答弁で明らかになっているように、ナイキ・アジャックスについてはアメリカは生産を中止したのです。去年ここで答弁していますよ。今防衛局長がそこで首を振ったってだめですよ。これはナイキ・ハーキュリーズ。そうすると、これは全額向こうの供与なんだ。ランチャーにしても、弾体にしても、向こうの供与なんだから、向こうが握っているのです。それなら、日本の防衛庁はアメリカの供与を期待しなければいい。どんなに時期的におくれようと、国産でやっていけばいい。それをあげて第二次防衛計画でアメリカに供与を期待しているのだから……。それは今ここであなたの言うように、たびたび歴代の防衛庁長官が言うように、自衛隊の核武装はしません――ここには西村さんもおるが、去年そう言ったから藤枝さんもそう言うのでしょうが、いよいよ実態が明らかになったではありませんか。向こうが権限を持っているのでずよ。しかもランチャーはナイキ・ハーキュリーズもやれるのですよ。ここが問題なんです。それならばなぜアメリカに対して、大へん恐縮だけれども、ナイキ・アジャックスだけやれるものをぜひ探して持ってきてくれ、おれの方は国民によけいな誤解を与えては困るから、ナイキ・ハーキュリーズを発射するようなものではだめなんだ、それならわかります。そういう交渉をなすったのですか。
  221. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の聞いておりまするところでは、ランチャーについて、そうしたアジャックス専用のランチャーの製造は中止されていると聞いておりますが、アメリカ自身もアジャックスを保有いたしておるのでございます。なるほど今回導入いたしますナイキにつきましては、そのランチャーについては、アジャックスもハーキュリーズも使用できるランチャーであることは存じておりますが、ただいま申し上げましたようなことでございます。これを受け入れるのはわが国でございます。わが国の自主的な立場においてアジャックスを受け入れるという考え方でございますが、なお詳細については政府委員からお答えいたさせます。
  222. 海原治

    海原政府委員 ただいまの点につきまして、最高方針とか意見にわたりますことを避けまして、事実だけ申し上げます。  昨年来中止になったと申し上げましたのは、今大臣がお答えになりましたように、その発射機であります。これはユニヴァーサル型と申しまして、先生の申されましたように、アジャックスもハーキュリーズも両方撃てるわけでございます。それからアジャックスが生産中止になったのではないかという点につきましては、第二大隊目にもらいますのはアジャックスでございます。アメリカではこれから、第二大隊目の分も含めて生産に入るわけであります。その事実から申しましても、これは弾体が生産中止になったということは考えておりません。なお、大臣が申されましたように、現在アメリカ国内には両方のナイキがございます。従いまして、アメリカ政府といたしましても、現在持っておりますアジャックス型のための弾体というものは、生産、保有計画もあろうかと考えます。  次に、この発射機がユニヴァーサル型であれば、直ちにハーキュリーズを持ってきてそれで撃てるのではないか、こういう意味のお尋ねでございますが、この点は専門家にいろいろ調べさせましたが、御存じのように、アジャックスとハーキュリーズとはその使用燃料が違っております。アジャックスは液体と固体とを併用いたします。ハーキュリーズの方は固体でやる。こういうように取り扱い方が全然違いますので、たとえばアジャックスの取り扱いにつきまして教育を受けた者が、直ちにハーキュリーズの発射ができるかということにつきましては、全部意見は否定的でございます。相当期間の訓練を受けた者でないと、かりにハーキュリーズ型の弾体がそこにありましても発射できないというふうに、これは一般的に認められている事実でございます。
  223. 横路節雄

    ○横路分科員 防衛局長がそこまで言うならば、ランチャーについてはナイキ・アジャックスだけを発射するものをもらってきたらいいのです。無用な議論を国会でしないで済むわけです。また皆さんの立場からするならば、もしそれが誤解であるならば、そういう誤解を国民に与えないように、初めからナイキ・アジャックスだけを発射する発射機をもらってくればいいのです。これからアメリカに交渉なすったらどうですか。そんなものは無用だ、でも議論になっている、国民にいろいろな疑問を与える。それならば、訓練さえ受ければナイキ・ハーキュリーズをやれるのですね、今の話で……。向こうへ行った幹部が全然そういう訓練を受けないで帰ったと言えるかどうかということだって、それは私らわからないところだ。それならば防衛庁としては、ユニヴァーサル型については疑問があるから、将来国民に重大な疑義を与えるから、この点については一つ従来あるナイキ・アジャックスだけを発射する発射機にとどめてもらいたい、こういう交渉を防衛庁長官がなさるのが当然でないですか。一体何で、国会でこういう疑義が出るようなことを、そういうものをやるのです。
  224. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申し上げましたように、アメリカにおいてアジャックス専用のランチャーの生産を中止いたしておるわけでございます。従いまして、両用のランチャーを導入する。これは新たに専用のものを要求しても、はたしてできるかどうかもわかりませんし、できるといたしましてもおそらく相当高額になるのではないかということも考えられるのでありますが、いずれにしましても、むしろ受け入れる弾体をいかなるものを受け入れるかということが問題であろうかと思います。そこで、先ほど横路さんは、アメリカが、もうアジャックスはないのだ、ハーキュリーズでなければやらぬぞと言われたらそれきりじゃないかというお話でございますが、このアジャックスについては、生産もされておりまするし、アメリカも保有をいたしております。受け入れるのは、しばしば繰り返して恐縮でございますが、日本政府なんでございます。日本政府の意思をもって、アジャックスを受け入れるということを確固たる方針にいたしておりますならば、国民皆様方の疑惑を招くようなことはないのじゃないかと考える次第でございます。
  225. 横路節雄

    ○横路分科員 この問題でなぜ私が言うかというと、これは一つ長官にこれからあなたの意見をただしたいと思います。自衛隊が核武装することは憲法違反ですか、違反でありませんか。その点のあなたの見解はどうなんですか。
  226. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 単刀直入にそういう想定をなされると非常にあれでございますが、おそらく前内閣時代であったかと存じます、純然たる防衛用の核というものがあり得るとすれば、それは法律的には持ち得るのだというお答えを前内閣時代にしておるかと存じます。しかしそれは純然たる法律的な、また非常に仮定の多い、すなわち純然たる防御的なものの核兵器というものがあり得るならばという前提があるわけでございまして、それはもちろん法律的な問題でございますが、しかしながらわれわれは一貫いたしまして、自衛隊は核武装をしない、これは法律に許されておるとか許されてないということを越えまして、政策の方針として、そういうわが国の国民感情その他国の事情からいたしまして、核武装をいたさないという一貫した方針をとっておる次第でございます。
  227. 横路節雄

    ○横路分科員 もう少しこの問題についてはあなたと議論したいと思うのです。その点が解明されれば、なるほどランチャーについては、ナイキ・アジャックスとナイキ・ハーキュリーズの両方を発射する発射機を持ってきても、防衛庁としては核武装する意思がないということが明らかになりますが、今の議論ではまだはっきりしない。私があなたにお聞きをしたいのは、自衛隊が核武装することは憲法違反か違反でないか、こう聞いたんです。自衛隊が核武装すること、これをあなたはこう答弁したのですよ。純然たる防御のためのものがあれば法律的には持つことができる、こう言ったんです。私が聞いたのは憲法のことを聞いたんです。たとえばナイキ・ハーキュリーズでも決して攻撃ではないでしょう。まさか中国やソ連に東京においてぶっ飛ばすことはできるわけではないし、おそらく防衛庁が考えているのは、上空を高度で飛んでくる爆撃機に対してこれを防御しようという意図でございましょう。そこで私が聞いているのは、一体自衛隊の核武装、それが防御のものであるならば、憲法上許されるのか許されないのかということなんです、まずそこの藤枝長官の見解をはっきりしないと前に進めないです。非常に大事な点ですから……。
  228. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 元来私ども、自衛隊が憲法違反でないという解釈は、憲法第九条においてもわが国固有の権利である自衛権は許されている、その自衛権を実行するための必要最小限度の実力部隊というものは持ち得るのだという観点に立っておるわけでございます。すなわち自衛権を行使するに必要量小限度の実力ということが基準でございます。従いまして、この核の問題につきましては、前内閣でもお答えいたしたかと思いますが、純然たる自衛権の行使に必要量小限度のものがありと仮定いたしましたならば、それは法理的には許されるものというふうな解釈が成り立ち得るということは言えると思うのでありますが、それとそういう法理論を越えまして、政策としてこれを持つか持たないかということにつきましては、あくまで日本の実情からしで核武装すべきでない、またしないという確固たる信念を持っておるわけでございます。
  229. 横路節雄

    ○横路分科員 それでは一つ具体的にお尋ねします。ナイキ・アジャックスとナイキ・ハーキュリーズを両方発射する発射機を持ってきて一個大隊作る、それはアメリカからの供与です。ナイキ・ハーキュリーズを自衛隊が持つことは憲法違反か憲法違反でないか、それでは具体的に聞きます。
  230. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ナイキ・ハーキュリーズの特に核弾頭をつけましたものが、はたして自衛権を行使するに必要量小限度の範囲に入るかどうかということは非常に問題であろうと思いますが、いずれにいたしましても、私どもは核武装をしないという観点に立っておるわけでございますのでハーキュリーズならいいんだ、それならいけないんだということを申し上げることはいかがなものかと存ずる次第でございます。
  231. 横路節雄

    ○横路分科員 藤枝さん、それではどうも答弁になりませんね。私は具体的に聞いているのですよ。いいですか、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは――ナイキ、ハーキュリーズも発射できるんだから、しかもナイキ・アジャックスについてもナイキ・ハーキュリーズについても、アメリカが持って日本に供与するんだから、その場合にあなたの方で、アメリカに対して、ナイキ・ハーキュリーズは絶対だめです、こう言って断わることができる、一番の基本的な断わることのできる大本は、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反です、こう言ってびんと断わることのできる一番基本的な態度です。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは――憲法第九条にいう、いわゆる自衛権は固有のものとして認められているんだ、だからいわゆる最小限度の自衛力としてそれが入るか入らないか疑問なんだというような態度では、何でお断わりできますか。私は具体的に聞いているのですよ。純然たる防御用のものがあるかどうかというのではないのです。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反か違反でないか、このことを聞いている。このこと以外に、ほかのことを聞いてないのですから、私も具体的に聞いているのですから、一つ腹をきめてちゃんと答弁していただきたい。
  232. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私は今横路さんのおっしゃったような、核弾頭をつけるハーキュリーズを入れることについての断わる理由が、憲法違反とか違反でないとかいうことを越えまして、とにかく日本では、日本の自衛隊は核武装をしない、この確固たる方針、これが最も有効なものであるというふうに考える次第でございます。
  233. 横路節雄

    ○横路分科員 藤枝さん、それはだめなんです。今までの歴代の内閣は何と言っておるか、岸内閣のある限り持たないと、こう言うのですよ。池田内閣のある限り持たない、私が防衛庁長官である限り持たない、それではだめですよ。それが何で答弁になりますか。そういう一個人の問題ではないです。だから、具体的にナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反か憲法違反でないのか、これを聞いている。だめだったら、主査西村さんにお願いして、きょうはこの程度でやめて、意見を統一してもらいたい。私どもは何時まででもやりますよ。ただ西村さんが六時二十分ごろにはお帰りになりたい――あとは楯君と二人でやるのですからね、楯さんにそこへ行ってもらって、二人でやる、結果的にそういうことになるのですよ。だから藤枝さんもう少しそこら辺を――なぜあなたたちは、ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反だと、そうはっきり言えないのか。国民がこのことを知ってごらんなさい。何とごまかすだろうと言う。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反だから、持たないのだと、これなら私は、そうですが、よくわかりました、それじゃ今日の池田内閣、とりわけ藤枝長官を信頼して次に移りましょうと、こうなるのだけれども、今の答弁では絶対だめですね。これから何時間でも同じことを聞きますよ。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反か、憲法違反でないのか、この点をはっきりして下さい。
  234. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 同じようなことをお答えしまして、何時間もかかるということでございますが、わが国が核武装をしないということは、単に、岸内閣ある限り、あるいは池田内閣の存続する限りというような問題ではございませんで、一貫した自由民主党といたしましての内閣として、核武装はしないということをはっきり申し上げておるわけでございます。その線に沿って私どもは今後も処して参りたいと考えておる次第でございます。
  235. 横路節雄

    ○横路分科員 藤枝さん、それでは答弁になりませんよ。私が聞いていることは、ほかのことでないのですよ。わかりやすいことを私は聞いている。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反ですか、憲法違反でないのですか、こう聞いているのだから、どちらかお答えになればいい。それをよその方を答えているのですから、それはだめですね。私は、あなたがそう言うのなら、一時間でも二時間でも同じことを聞きますよ。今晩夜中まででもやりますよ。憲法違反か憲法違反でないのか聞いているのに、なぜお答えしないのか。なぜよその方のことを言っているのか。具体的ですよ。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反ですか、憲法違反でないですか、そのことを聞いているのです。そのことをお答えになって下さい。そのことをお答えにならない限り、何べんでも聞きますよ。
  236. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊の力というものがどの程度であるかということは、先ほど来申し上げましたように、自衛権の行使に必要な最小限度の実力ということでございます。この必要最小限度ということは、いろいろな情勢において動くことは、これは御理解いただけると思う。従いまして、そういう尺度よりも、むしろ、一貫した私どもの信念であり、確信であり、確固たる政策である、核武装はしないということによって、国民皆様方は御理解いただけると私は考える次第であります。
  237. 横路節雄

    ○横路分科員 それはだめですよ、私の質問に答えてないのですから。よそのことを答えている。何だったら、きょうこれで終わっていいですよ。藤枝さん、それでは答弁にならない。あなた自身そう思いませんか。もう一ぺん言いますよ。ナイキ・ハーキュリーズを持つことは憲法違反になるか、ならないかを聞いているのです。なりませんとか、なりますとか、二つしかないじゃないですか。結局、あなたのきょうの答弁からいえば、事重大でございますので、きょうは答弁できませんから、瞬時時間の余裕を与えてくれとかなんとかいうことになるのじゃないですか。あさっての答弁をしているのです。だめなんです。だめなら、西村さんから――私は何べんでも同じことを言いますよ。これは私の質問に答えてないのですからね。あなたはあなたでいろいろお考えもあるでしょう、立場をかえてそこにすわればね。しかし、きょうは違うのですから――きょうは、藤枝さん、だめですね。最も簡単なことを聞いておる。私の質問わかりませんか。わかるでしょう。こんな簡単なことですから――どうですか、西村さん、これではだめです、ちょっと休憩して下さい。
  238. 西村直己

    西村主査 きょうはだいぶ時間もたちましたので、明二十四日は午前十時より開会し、引き続き防衛庁関係予算について審資することとし、これにて散会いたします。    午後六時七分散会