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穗積委員 時間がありませんから前へ進みますが、今まで繰り返し繰り返し
伺いましても、日本
政府の中国前向き政策というものは全くない。むしろ敵視政策を進めつつある。そしてこのことが明確になりました。
そこで私は、次に
お尋ねしたいのは、それでは、中国との貿易
関係について、
政府がそういう
態度をとっておりながら、中国と日本との
経済的、地理的または文化的な深い
関係からして、特にこの問題は進めなければならぬという正しい認識に立って、日中貿易なり友好取引というものを発展させようとしておることに対して、
政府は
一体どういう
態度をとるか。これに対しても弾圧をするのか。あるいはこれに対しては、せめてこれだけは――外交政策は、すべて何もないどころか、敵視政策を進めつつあるけれ
ども、この友好取引については前向きに
態度をとるかとらぬか、そのことについて外務大臣並びに
経済大臣、お二人おられますから、大臣大臣並びに大蔵大臣に
伺いたいと思うのです。
実は今までの中国との
関係というものは申し上げるまでもない。私は正確な事情をちょっと明らかにしておきたいと思いましたが、時間がありませんから、こまかい説明を省略して結論だけ申しましょう。今までの日本と中国との友好取引というものは、たとえば大豆であるとか、塩であるとか、あるいはまた甘クリであるとか、ウルシであるとか、こういういわば一部は
生産財もありますけれ
ども、多くのものは
消費資材であったわけです。今まで私
どもが幾たびか、外交政策においてアメリカ一辺倒政策をとるならば、日本はアジアの孤児となり、世界の孤児となるであろうということを指摘して参りました。ところがそのことが的中いたしまして、
経済の側面から見ましても、このことが明確になってきたわけです。そして今日日本の実情からいきますと、たとえば日本の重化学工業の中心である鉄鋼のただいまの二千四百万トン、四十年の三千六百万トン、四十五年の四千八百万トン計画というものをとってみましても、今日それどころか、二千四百万トン計画から見ましても、その原料というものを見ますと、大体五千キロ以上の距離からこれを確保している。南アメリカ、インド、さらに向こうから、従って五千キロ以上の遠くから確保しておるのが全原料の六六・六%を占めておるわけです。これはこの十月から自由化を迎えて、そしてコスト・ダウンをしなければならぬ、そして
経済の成長、
国民所得の成長もはかっていかなければならぬというときに、基幹産業中の基幹産業がもうこういう状態です。これでこの三千六百万トンないしは四千八百万トンの原料の確保、鉄鉱石並びに粘結炭両方とも入れまして、この確保は物理的に困難である。物理的に困難であるばかりでなくて、コスト・ダウンができないのです。世界の鉄鋼
生産国では、アメリカにしても、欧州においても、ソビエト地区にしても、このような遠距離で高いコストのかかる原料を確保しておる国というものは日本だけでございます。従って同時に、今度は
製品についてもどうですか。
製品は今のところはまだ国内需要を主にいたしておりますけれ
ども、やがて、
先ほど申しましたような成長計画をとっていくとすれば、
製品においても海外市場を見つけなければならない。そうなりますと、これはわれわれが指摘するだけではなくて、たとえば本年度初頭において、イギリス鉄鋼連盟の諸君が、この点については明確に指摘しておるわけです。原料の面から見ても、
製品の販路の面から見ましても、一々ここで
数字はもう省略いたしますけれ
ども、これはもう日本
経済の弱点というものが明確になってきておる。そしてイギリスの諸君、EECの諸君すら適確に指摘しておることは、日本の基幹産業の中心である鉄鋼
生産というものは、原料の鉄鉱石、粘結炭の両方の原料とも、それから
製品においても、中国
経済との交流なくしては今の計画はとうてい成り立たない、こういうことをもう的確に指摘しておるわけですね。続いて重要産業中の一つであります化学肥料をとってみますと、本年度は、御
承知の
通り、中国との間でたった尿素十万トンの成約ができました。ところがその他の硫安を中心とする化学肥料をとってみますと、今まで韓国を筆頭にいたしましてインドあるいはパキスタン等は、大体AIDの資金による買付が全輸出の約三五%を占めておる。それが昨年からAIDの買付というものが全部シャット・アウトされたわけですね。そうなりますと、日本の化学肥料
生産計画というものは、これまた大陸の農業と結びつく以外にない、こういう段階に入ってきている。繊維も御
承知の
通り同様です。そうして見ますと、今申しました鉄鋼、化学肥料、それから化学繊維並びに船舶、この重要産業は、あげてもう中国市場またはシベリアを含む大陸市場との交流なくしては成り立たないということが、昨年の暮れから明確になってきておるわけです。そういう立場に立って私たちは――実は外交問題についてはあなた方が賛成されない。何もないわけです。何もしないということだから。ところがわれわれはそういう立場に立って、日中間における現在の段階においてすらなおかつ交流を発展すべきである。貿易はすべて両国人民の利益のものであり、その原則は、支配と搾取じゃなくて、平等互恵の原則によって行なうべきものである。こういう立場に立って、外交においては積極中立主義、それから
経済においては互恵平等主義というものを、われわれの今後の、敗戦後の日本の正しい路線として、このことを十分説明した上で、そうして
池田内閣の政策は、われわれ日本人が見ても遺徳ながら中国に対しては敵視政策を強めておる。しかしながら両国の
経済の交流問題については、これは両国人民の努力によっても押し進めなければならぬ。こういう立場で実は話し合ってきたわけです。そうしてそう日本
経済自身の側に立つ大陸
経済との交流の必要性をわれわれとしてはふんまえた上で話し合った結果、次の七つの点が合憲に達しておる。そのことを私は簡潔に説明いたしますから、まず
通産大臣から、それから続いて――外務大臣はアメリカの外務省の役人のような
考えだから、それを妨害されようとするかもしれませんが、それから大蔵大臣についても
お尋ねしたい点が二、三ございます。そういう私の趣旨ですから、順を追うて私は時間の節約上申し上げますから、その立場に立って一々御回答をいただきたいと思います。
まず第一は今行なわれておりまする両国の友好取引というものは中断すべきではない、また停滞すべきものでもない、これは発展すべきものであるという立場をお互いに
理解した上、
先ほど申しましたような互恵平等を原則とする立場を
理解した上で、このことを合意に達しております。これに対して日本
政府はどういう
考えをお持ちになりますか。
第二点は、今申し上げましたように、エビやウルシや甘クリと違いまして、日本の基幹産業の重要物資の取引の段階に入らざるを得なくなって参りました。
先ほど申しましたように、鉄鋼を初めとする四大産業におけるこの交流が、目ざましくなってきておる。特に貿易構造について、少し品目別と地域別について、きょうは私は大蔵大臣並びに各大臣に
お尋ねをして、
池田内閣の外交政策のあり方を
お尋ねしたいと思ったのですけれ
ども、それは一々できませんが、ヨーロッパか一九五七年すなわち第四次協定中断後急速に伸びてきております。その伸びておる経過をずっと見ますと、五七年から八年、たとえば西ドイツを一例にとってみましても、これは三倍――三・五倍に急増しております。と同時に重要な点は、
内容が変わってきておるわけです。日本として軽視できないのは、鉄鋼を初めとします
機械類それから重化学工業に輸出が移っておる、こういうことになってきている。ところが日本の場合は、従来は
先ほど申しましたような
消費物資でしたが、これから重要産業の重要物資に移りますと、どうしてもやはり長期取引というものが必要な段階に入ってくると思うのです。かの国はむろん計画
経済、計画貿易ですから当然ですけれ
ども、日本の場合においても今申し上げましたような鉄鋼を初めとする重要産業においては、これは資本主義
経済であっても長期計画をやらざるを得ない、そうなりますと、長期安定性が必要です。この長期取引に六二年度から入る段階ではないかということを、われわれは日本の立場から指摘いたしました。これに対して向こうは正しくこれを
理解をして、歓迎するということであったわけです。これに対して
一体どういうお
考えをお持ちになっておられるか。そこで長期取引段階に入ることについて、私はここで大蔵大臣にもお答えをいただかなければならぬ問題が付随して出てくると思うのです。それは何かというと、言う左でもなく延べ払いとバーター決済の問題がこれに付随して当然
考えられるわけでしょう。特に競争国であるEEC諸国と日本との
関係を見ますと、EEC諸国、ヨーロッパ諸国というのは、中国に対して売るものがあっても買うものがない。従って今の税状から伸ばすためにクレジット設定、延べ払い制度をやっております。ところがバーター決済はできてない。非常に少ないですね。ところが日本の場合は、鉄鋼を見ましても化学肥料を見ましても、それから化学繊維を見ましても、
製品を向こうへ買ってもらうというだけでなくて、それぞれ見合うその産業に必要な原料、鉄鉱石、石炭並びに化学肥料による農作物、それから化学繊維の原料である塩、こういうものがすべてあるわけですから、延べ払いとバーター決済はこの際確立すべきではないか、これは日本の今日の貿易発展のために必要ではないかということを
提案いたしました。中国側はこれについても歓迎の
態度を示したのです。これに対して
通産大臣並びに大蔵大臣はどういうお
考えを持っておられるか。これが長期取引に伴う問題でございます。これが第一です。
第三点は、技術協力についての問題でございます。これは単なる技術の知識または
資料の交換だけでなくて、今日両国で行なっている
経済建設の過程の中で、これに技術者または建設のための資材、そういうものを出して、お互いに建設、開発作業に協力するという技術協力、この問題についてもわれわれはその必要性を、
先ほどの重要産業の関連から
考えまして思いましたので、これに対して
提案をいたしました。これについても中国側は、日本の正しい互恵平等の原則による
経済交流が確認されるならば、歓迎する用意があります。こういうことでございます。これが第三点です。
第四点は、中国側の公司の訪日の問題でございます。これは外務大臣にお答えをいただきたいことですから、外務大臣から
最初お答えをいただきますから、ちょっと覚えておいていただきたい。すなわち今日は御
承知の
通り百五社ばかりの日本の友好商社が、広州または北京に参りまして取引の交渉をいたしております。ところがこれはこれとして、中国側から、公司の取引の代表が日本を訪問して、その後発展しておる日本の
経済の実情を認識しながら、これに対して正しい認識の上に、日本の友好商社との間で日本で取引の交渉をやる、こういうことは非常に望ましいという点を
提案をいたしました。これに対しても日本が友好的な
態度をとり、そうして必要が生じたときには
検討に値することであるという合意に達しております。これが第四点です。
第五点は、日本側からの
経済ミッションの中国訪問の問題でございます。これは鉄鋼を初めとする各産業だけではなくて、
金融界の一部におきましても、日本全体の総合的な立場から日本
経済の孤立化をおそれて、大陸市場との
経済交流、そういう必要のために実は各産業代表の訪中の問題が出てきておるわけです。これがもし出てきた場合には、外務省並びに通産省はどういう
態度をおとりになるか。個々によって違いますけれ
ども、原則を
お尋ねしたいのです。
それから第六番目は、見本市交換の問題です。これは御
承知の
通り中絶前に日本の見本市を中国で四カ所開き、向こう側の見本市を東京、大阪で開き、続いて名古屋、福岡で開こうとしたときに中断になったわけですね。これをこの友好取引発展の過程において、そろそろ
検討してみたらどうかという
提案もいたしました。これに対しても先方は、この
提案を尊重して
検討する用意がありますということでしたが、これまた日本
政府の
態度と関連があるわけですから、これも伺っておきたい。
最後の点は、これは三人の大臣に
関係していることだと思うのですけれ
ども、実はアジア広域
経済の問題です。これはヨーロッパの諸君、あるいはアメリカの諸君も、日本の最近の
経済成長の分析と貿易構造の分析をいたしまして、アジア広域
経済の問題が取り上げられるようになっておる。日本国内はそういう問題が出ておることも御
承知の
通りである。アジア諸国の間においても、この問題が
検討されるようになっていることも、御
承知の
通りであります。そこで、今申しました、戦前の支配と搾取による
経済進出ではなくして、互恵平等による
経済交流を、日中間において事実上作り上げる。それを基準にして、全アジアまたはアフリカ地区まで
経済交流の発展のいしずえにする、そういう展望なり位置づけを話し合ったわけでございます。これについても同様、われわれの
考えと
提案に対しては、中国は全くその原則と方針に対して、賛成の
態度をとっておったわけです。真に日本
政府は平和共存政策をとり、そしてその中において孤立化しつつあります日本の
経済のよって立つ基礎、そのことの成否が、
経済の成長政策なりあるいは
国民生活の所得の問題に、直接
関係しているわけですね。
そういうことでありますから、以上七つの問題を、時間の節約上私は一括してお話をいたしました。ですからこれに対して、まず貿易の
責任者である
通産大臣から、順次お答えをいただきたいと思うのです。