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永井委員 私は、肥料の
生産については非常に問題があると思う。私は肥料審議会の
委員をしばらくやりましたけれ
ども、その原価計算の内容についても非常ないいかげんなものがある、こう思っておるのであります。たとえば、この原価計算の中に広告費というものがあります。硫安に広告費は要らないのでありますが、広告費が相当ついている。それは何かというと、肥料
会社は肥料だけを
生産するのではなくて、いろいろな
多角経営をやっております。たとえば旭化成が
生産する肥料というものは、これは肥料だけではありません。旭味の広告と肥料の広告と同時に広告費として配分されているわけです。その広告費の配分はどうしているかというと、量で配分しているのです。びんのこんなものに入れる旭味の広告費と、俵で売買しているこの肥料と、数量で広告費の配分をしていますから、硫安の占める広告費というものはばかに高いのです。こんなばかなやり方で広告費、一つの例ですが、そういうやり方をしている。それから利子、利潤というのがある。利子、利潤というものがある以上は、投下
資本というものがここになければ利子、利潤が出てこないから、投下
資本は幾らあるかといえば、これは資料が出ないのです。そうでしょう、硫安も作れば尿素も作れば、塩安も作る。アンモニアガスというものは一つの鉄管の中からたくさん出てくる。その中でどの部分を硫安だ、どれだけが硫安だ、こういうふうな区分というのは、なかなか
資本の系統から、事務の系統から区分ができない。そこでいいかげんにやった計算でやっておる。こういう
関係で、この原価計算の積み上げには問題があるし、それから問題は
合理化の
関係は量産だけを追求してきたところに問題がある。農林大臣は軍が多いから心配ないと言うけれ
ども、量が多いから、国内消費以上の
生産をしているから、どうしてもこれは外国に売らなければいかぬ。外国に売る場合、国際
競争で安くたたかれるから出血輸出をしなければならぬ。その出血輸出した分を国内に転嫁するか、
企業の中で吸収するか、国の助成に待つか、何らかの方法でなければ、これは赤字が埋まらないのはあたりまえです。でありますからこの肥料二法ができました理由は、外国には投げ売りする、それを国内に転嫁する、これを遮断しなければいけないという農民の要請によって
昭和二十九年にこの
法律ができた。その
法律の有効期間がまだあるにもかかわらず、その目的が完全に達成しておらないにもかかわらず、この農民の要求によってできた
法律を、農民の反対を押し切って業者の利益のためにあえて廃止して、そうして量産をして、輸出赤字の
関係を処理するために農民に押しつけようとする今回のこの改正のやり方には、私はその性根において、その
考え方において根本的にこれは否定しなければならぬと思うのです。
さらに私は肥料の追及は、
合理化した
合理化したと言いますけれ
ども、この
法律で押えているのは硫安だけです。硫安は
昭和二十九年から比べて一八%より増産していません。要らないのですから……。あとの大部分の量産は何に行ったかというと尿素に行っている。
合理化資金によって統制外の増産しているのです。でありますから
合理化の内容も私は問題があると思う。あるいはもっとこれからはドイツやヨーロッパの方――私も視察いたしたわけでありますけれ
ども、これは廃ガス利用という形においてこれをやっているので、なまで肥料を作るという形では採算が
競争できません。でありますから製鉄
関係、石油化学
関係、こういうところがガスがどんどん出るのですから、その廃ガスを利用して肥料の
生産にいくという
方向にもっと質的な
合理化を追求しませんければ、私は農民に対する答えにはならぬと思う。国際
競争に打ちかつ
方向は打ち出されないと思うのです。それをただ量産して、そうして価格
関係だって硫安一トン一万八千円で
生産するところもあれば、四万二、三千円で
生産するところもある。そういうものが一緒に歩けるような仕組みの価格形成の中で、それを成立させるためにこの二法を廃止して、そうして農民にその犠牲をしょわせ込もうというようなこういうやり方は、私はいわゆる
所得倍増計画における
産業の
秩序確立の原則に反すると思う。弱い著いじめだけだと思う。そういう
意味において、私は時間があればもっとこの問題を追及したいと思いますけれ
ども、これはあとの分科会等に譲ります。
以上砂糖の問題一つ取り上げても、肥料の問題を取り上げても、
中小企業の
関係も、
所得倍増計画というものは、農民の犠牲、
中小企業の犠牲、勤労者の犠牲において巨大
資本の採算性を確立する、こういうねらい以外に私はないと思う。その
意味において、所得の
格差は
拡大する。縮小はしない。この
意味において、国民大衆はやがてこの
所得倍増計画を押しつぶしてしまうだろう、国民的反撃が起こるであろうということを予告いたしまして、私は質問を終わる次第であります。(拍手)