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1962-02-03 第40回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月三日(土曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 山村新治郎君    理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君    理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君    理事 淡谷 悠藏君 理事 川俣 清音君    理事 小松  幹君       相川 勝六君    赤澤 正道君       池田正之輔君    井出一太郎君       伊藤宗一郎君    井村 重雄君       臼井 莊一君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    岸本 義廣君       北澤 直吉君    倉成  正君       田中伊三次君    床次 徳二君       中村三之丞君    西村 直己君       羽田武嗣郎君    八田 貞義君       藤本 捨助君    船田  中君       松浦周太郎君    松野 賴三君       三浦 一雄君    山本 猛夫君       井手 以誠君    勝間田清一君       加藤 清二君    木原津與志君       高田 富之君    楯 兼次郎君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       永井勝次郎君    野原  覺君       長谷川 保君    山花 秀雄君       横路 節雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君         労 働 大 臣 福永 健司君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月三日  委員稻葉修君、今松治郎君、正示啓次郎君、山  口好一君、高田富之君及び山口丈太郎辞任に  つき、その補欠として倉成正君、岸本義廣君、  井村重雄君、伊藤宗一郎君、中村高一君及び勝  間田清一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員伊藤宗一郎君、井村重雄君及び岸本義廣君  辞任につき、その補欠として山口好一君、倉石  忠雄君及び今松治郎君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十七年度一般会計予算  昭和三十七年度特別会計予算  昭和三十七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    山村委員長 それではこれより会議を開きます。  昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算及び昭和三十七年度政府関係機関予算を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 最初に総理大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、これは責任が池田内閣にあるとか、あるいは所得倍増計画にあるとか、こういう立場ではなくて、事実問題として物価値上がり設備投資が過熱し、国際収支が赤字になっておるというこの事実関係は、これは総理はお認めになるだろうと思いますが、いかがでございますか。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 今の現状での事実はその通りでございます。これがずっと続くものとも私は考えておりません。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 この経済実勢に対しましては、計画の当初、また施策を進める当初においては、池田総理は予測しなかったところであろうと存じますが、この点はいかがですか。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 ここまで行こうとは予測いたしませんでした。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 予測せざる事態となり、その事実の上に立って現在手直し調整が行なわれておるわけでありますが、この成果は、私は、そう期待できないのではないか。   〔委員長退席青木委員長代理着席国際収支の問題につきましても、あるいは設備投資の抑制につきましても、物価値上がりを抑制する問題につきましても、これは池田総理がのんきに言っておるようなわけにはいかないのではないか、こう思うのであります。またこういう手直し過程において、そのしわ寄せが相当弱いところに集まって、その傷あとというものが相当残るのではないか、こう思うのでありますが、傷あとを残さないで、そうして所期の高度成長の前向きで一切の問題を手直し過程において調整して進むことができるとお考えになっておられるかどうか伺いたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 私は楽観したりなんかしておるわけではございません。だれよりも負けないように心配し、そして努力しておるつもりでございます。この手直しがあとに傷が残らぬように行けるかということでございますが、その方向に向かって努力いたしております。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、この政策を推進し、あるいは推進する過程においては行き過ぎも起こるでありましょうし、行き足りない事態も起こるでありましょう。そういうことを今のような形で手直ししながら進むことが、そういう政策の積算は、業種間の格差をなくし、地域格差をなくし、あるいは所得格差を解消していく方向に進むもの、そういう成果が期待できると、こういうふうにお考えになっておられますかどうか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 その通り考えて努力いたしております。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、池田総理所得倍増計画、こういう刺激剤によって相当設備投資が過熱してきたわけでありますが、その設備投資が過熱するだけなら、これはいいんでありますが、私は、そういう所得倍増計画刺激によって、日本の産業秩序というものが、今日ほど乱脈な形になっておるときはないと思うのであります。たとえば大企業多角経営と称して、八幡製鉄木下商店と共同で九州石油を設立、あるいは目下アルミ計画を進めておる。また東芝東芝製薬動物用の医薬品、東芝化学ワクチンの製造。ステレオまではまだいいとしても、レコードまで作る。日通液化ガスあるいは日通石油天塩川製紙観光事業北炭に至りましては、北海道の不動産であるとか、観光事業でホテルを経営するとか、北星海運であるとか、こういうようないろいろな全く親企業とは関連のない、筋のない、もうかることなら何でもやる、こういうような多角化方向にどんどん発展しておる。こういう形で、どこまでが大企業仕事分野で、どこを中小企業として伸ばすかというような、領域区分というようなものは全く乱れてしまって、弱肉強食という乱脈状態が来ておる。この事実は総理もお認めになるでありましょうし、こういう形の中で、一体中小企業が、これらの企業領域の中で対抗して成長する条件というものがあるであろうかどうか、これを伺いたい。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 最近の事態として、今お言葉にありましたような状況がだんだん現われて来つつあります。と同時に、これに対しての反省の声もかなり出ておるのであります。私は設備過熱というものがだんだんそういうふうに向かっていくということを察知いたしまして、この問題は業界でも問題になりつつありますし、また関係当局としても、この方面に注意しなければならぬと思います。しこうして片一方の大企業が、本来の仕事でないところに出ていくということも、これは技術、科学の進歩で考えられましょうが、それによって中小企業が非常な迷惑をこうむるという場合におきましては、私は独禁法とかあるいはいろいろな法制上、または行政考えていかなければならぬと思います。従いまして、大企業がむちゃな進出をしないというようにすると同時に、中小企業がこれに耐え得るようないわゆる近代化合理化、いわゆる経済基盤を強化していくような方法をとっていかなければならぬと考えております。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 大企業中小企業領域にどんどん進出してくる。それは系列化の形でくる場合もありましょうし、下請の形でくる場合もありましょうし、あるいは別途の会社を作ってやってくる場合もありましょう。そういうような、大資本背景にして進出してくもものに対して、中小企業自力で対抗して、そうして大企業を圧倒して伸びる、そういう体質改善をしよう、こういうことは具体的には一体どういうふうにおやりになったら、この自由主義経済の中における競争成果というものを、経済の原則によらないで、行政の力によってそれを圧倒して行けるのだという、それだけの国の方の財政なり、あるいは金融措置なり、そういうものは一体具体的にはどういうものでしょう、お示しを願いたい。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業振興に対しましていろいろな手を打っております。私はこれを強力に進めていくことによって目的が達成されると思います。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 そのいろいろな手と金融措置も知っております。近代化予算関係も知っております。あるいは団地形成も知っております。しかしそういうことで今言ったように大企業が進出することを阻止し、それを圧倒して中小企業自体として伸び条件というものは、そういう中にあるのかどうか。そういう措置で十分だとお考えになっておるのかどうか。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう措置を強力にやっていけば、私は対抗できると考えております。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 それならば、現在池田内閣所得計画の結果として現われた今日の経済の困難、それを調整しますために金融引き締めを行なっておる、その金融引き締めのしわが、ではどこに寄っているのですか、中小企業に寄っておるでしょう、中小企業に寄っているから、政府金融措置によって中小企業には迷惑をかけないというのですが、迷惑をかけないというのは消極的な限界であって、中小企業に対する金融ワクから見ましても、政府は思い切ってやっておるかもしれませんが、中小企業金融公庫の全資金ワクをばらまいても、これは一八幡製鉄金融ワクに及びません、一富士製鉄金融ワクに及ばない、金融の壁からいえばこれはもう問題になりません。しかも中小企業対象とする領域は全企業の、事業所でいえば九九%まででしょう。そういうようなものにこれだけの見せ金的な金を、看板を下げただけで、これでお前の自力でお前はやっていけるのだ、大企業と対抗せえ、そういうような条件は、こういうふうな中から生まれてこない、この中から所得格差の解消というものは生まれてこない、経済的な成果というものは生まれてこない、私はこう思うのです。生まれてくるというなら、その金融比較において、技術競争において、あるいは今申しました格差を、その中から競争して解消していけるのだという筋道を、もっとこの国会を通して、全国の中小企業にわかるように解明すべきだと私は思う。もっと具体的に示していただきたい。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業金融を、中小企業金融公庫主体にしてお考えになりますことは、少し的がはずれておる、とは申しませんが、的に十分当たっていないと思います。御承知の通り、この十年前から比べてみますと、いわゆる中小企業、商工中金あるいは国民金融公庫政府機関融資は、十年間に非常なふえ方をいたしております。この三公庫は、中小企業に直接関係するあれでございますが、大体年々三千億程度融資ができるようになっております。そうして中小企業のおもなる資金源というものは、実際は相互銀行あるいは信用金庫でございます。信用金庫相互銀行、ことに相互銀行なんかは、十年前に千億円であったのが今は一兆二千億円になっている、十倍以上になっておるのでございます。信用金庫の方も十倍ぐらいになっておる、非常な伸び方でございます。そうしてこれらが中小企業中心にやっております。十年前の十倍になっております。そしてまた一般市中銀行、普通の銀行も、融資につきまして相当部分を中小企業に出しております。昭和三十二、三年ごろのいわゆる都市銀行中小企業に出しておる金額が、都市銀行全体でどのくらい出しておるか、そのパーセンテージを三十二年のときと今とを比べますと、都市銀行でも中小企業に出しておるパーセンテージが四、工年前よりも多くなっておるのであります。政府はもとよりでございます。私は中小企業金融につきましては、もうここ三、四年前、十年前とは隔世の感があると考えております。そうして最近の状況を見ましても、中小企業対象としております信用金庫あるいは相互銀行預金伸びよう貸し出し伸びようは、都市銀行のそれとは比較にならぬほど貯金伸びておる。こういう点を見ましても中小企業金融というものは――これで満足はいたしておりませんが、よほど年とともに中小企業金融は拡充強化されつつあるということは、はっきりしておることであると思います。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 中小企業関係は、専門佐藤通産大臣の方にやがて伺いますが、中小企業専門政府機関金融資金量がふえたということは、これは事実であります。もとが、原資が少ないのですから、倍率からいえばうんと上がるのはあたりまえです。また相互銀行であるとか信金その他そういった関係資金融資量が非常にふえたと言っていますが、これも都市銀行普通銀行あるいは信託、保険会社、そういった財閥系列金融機関からつぎ込んでいく資金から申しましたら、私は問題にならぬと思う。ただいま総理は、預金が非常にふえて大へんいい傾向だと言いますけれども預金がふえたという背景には、歩積み両建の強制的な吸い上げがあって、それを土台にして融資をするという、これはひどい状態の中で泣きの涙で、これらの預金がふえておるという事実を無視しては、私は中小企業現状総理把握していないと思うのです。ただ中小企業関係の諸問題については、いずれ通産大臣に伺いますが、この点についてだけ、貯金がふえたからけっこうだと、ただストレートにそのようにお考えになっておるのかどうか、その点を伺いたい。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 歩積みその他の問題は、相互銀行信用金庫ばかりではございません。都市銀行普通銀行もみなあるのであります。遺憾なことでございますが、各金融機関にはございます。しかし、それはどれにもあるのですが、相互銀行信用金庫預金伸びよう貸し出しふえようは、都市銀行のそれとは比較にならぬほどいっておるのであります。今、どちらかと申しますと、都市銀行の方が金が詰まって、州立銀行あるいは信用金庫の金を、都市銀行が高利のコールをとらなければならぬというほどの状況になっておる。相互銀行信用金庫伸び方は非常な伸び方でございます。しかも大企業を主として相手としております都市銀行伸び方よりも、普通の地方銀行伸び方が多い、それよりもまた相互銀行信用金庫の方が多いのであります。これは歩積みがどこにもある。遺憾なことでございますが、どこにある。そういうものはずっとどこにもあるのですが、中小企業金融ふえ方というものは、すばらしいものであるということは、万人が認めております。統計も出ておるのであります。私は十分とは申しませんが、今こういうふうに相互銀行信用金庫伸び方都市銀行伸び方より多いということは、口では中小企業は非常に困っておる――もちろん困っておられましょうが、困り方は今大企業の方がきついと私は考え、ておるのであります。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 これは池田総理経済実勢把握の仕方というものは、そういう把握の上に立って経済政策を起案し、あるいは実行しようとしているところに、私はずれがあると思う。金が詰まっておるのは大企業だ、その通りであります。設備投資実態をごらんなさい。三十六年度の計画から見たって、四兆という膨大な設備投資でありましょう。その四兆という膨大な設備投資のうち、中小企業関係投資は幾らであるかというと、六千億内外でしょう。こういう膨大な資金を少数の大企業の中で定着させようとするから、金融に困ってくるのはあたりまえであります。また大企業関係はシェアの競争から、あらゆる方面に手を伸ばしておる。そして金利の安い自己資金系列あるいは第二、第三の企業関係に流して、自分の親企業の中には国の方からの資金を流し込む、こういう形によって商権拡大をはかっておる、これが大企業実態じゃありませんか。また設備投資にいたしましても、企業自体に対する投資ならばまだいいのでありますが、港湾を建設する、土地を造成する、そういうところから大企業が始まっておるのでありますから、資金需要が非常に多く、そういう関係から金融逼迫を告げるという関係はあたりまえのことです。こういう事実の比較の上に立って、総理はこれが正しい姿である、ほんとうに金融が砧まっておるのは大企業なんだ、中小企業は潤沢なんだ、困りはせぬ、こういうふうにお考えなのかどうか、あらためて伺いたい。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 私は現状認識を言ておる。それがいいか悪いかという問題になりますると、設備投資行き過ぎはよくないから押えておるのであります。現状の分析をいたしますると、中小企業の方は、十分ではございませんが、過去二、三年相当伸びてきた。十分ではない、しかし伸びてきた中小企業現状を、金融関係で言っておるのであります。そして行き過ぎた大企業状況を、金融関係からいって行き詰まっておる、これは押えなければいかぬ、こう言って、いいか悪いかという問題でなしに、私は現状を分析してお答え申し上げておるのであります。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 だから、そういうところからは、金融が大企業関係に詰まってくるのはあたりまえであるし、それから資金需要が少ないから、その比率からいえば不足分というものが、大企業に比べてそう多くないということはあたりまえのことであって、その実勢から、私は金融実情把握しなければならぬと思います。  それはそれといたしまして、通産大臣にお伺いいたしますが、とにかく武田薬品が養鶏を始める、近江絹糸が任天堂と提携して、インスタントのお茶づけだとか、オムライスだとか、ドライ・カレー、こういうものをやる、阪神電鉄が阪神シルバー・ランドリーといって洗たく屋を始める。こういうふうに、産業秩序といいますか、こういうものは池田総理所得倍増計画刺激剤となりまして、もう百鬼夜行の状態であります。この実情を、通産大臣中小企業生活権擁護立場からも、産業秩序交通整理の上からも、こういう問題をどういうふうにお考えになり、どういうふうに対処されようといたしておりますか。これを伺いたいと思うのです。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 産業拡大いたします場合に、ただいま言われるような摩擦が各方面に起こる。ただいままでそういう問題について独禁法あるいは百貨店法とか、こういうような法律調整をいたして参りました。しかし最近の事態では、そういうものばかりでも不十分だ、特に中小企業育成強化という意味で、中小企業基本法の必要を、特に主張されておりますが、この中小企業基本法、その構想といいますか、特に重点を置いて規律すべきものだというのが、産業分野調整の問題にあるかのように伺います。また事実そうだろうと思います。ところが、これは自由経済のもとにおいては非常に困難な問題でございます。ことに国際競争力強化という立場に立てば、外国の資本構造変化等が示しておりますように、あるいは新技術の導入であるとか、あるいは開発であるとか、あるいは市場の開拓であるとか、あるいはまた生産コストの低減であるとか、こういう形から、どうしても大企業化する傾向をたどっておるわけであります。この成り行きにまかすわけにいかない。そこで今言われるような分野調整という問題と取り組むわけでございます。今日までの法律そのものが、新しい事態に対しまして私は十分だとは思いません。ことに最近のあり方等から見ますると、業界の自主的な規制を、まず私ども行政指導をいたします。しかし、それだけではなかなか不十分である。さらに進んで法的あるいは制度の充実、こういうことも必要ではないか。そういう意味でいろいろ検討しておる最中でございます。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 佐藤通産大臣が、本年度の中小企業向け予算については、金融ワク及び対策費については飛躍的な伸びを見せておる。これは歴代の通産大臣が、最近実力者が出て、そうしてその地ごしらえをし、だんだん認識を深めてきた、その分野における政治力が、池田内閣の中で伸びているという、その事実は認めましょう。認めますが、これだけの金融ワクでは、中小企業に対応する現在の金詰まりの飲み薬にもならない、こういうふうに思うわけであります。それにいたしましても、この少ない金の流し方によっては、これは中小企業自体のものとならないで、そこに定着しないで、間接的な大企業への援助の形で、これが効用を持ってくるという形が出てくると思うのです。なぜかならば、大企業中小企業に対する系列化下請、再下請、こういう関係は、ずっと大きな力で伸びております。そしてこの関係が、多くは金融ベースに乗る企業として、貸し出し対象になってくるわけであります。自力中小企業をやっておる、こういう関係のものは金融ベース対象としては信用程度が低い。そっちに流す金が少ないという形で、大企業系列下請関係へこの金がぐっと流れてくる。間接的な大企業援助の形になってくるおそれがあると思うのでありますが、こういう点に対する御配慮はいかがでありますか、伺いたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 中小企業実態は、ただいま御指摘になりますように大企業系列下にあるものもございます。また中小企業中小企業の独自の分野において生産に従事しておるものもございます。このものはときに大企業にも成長し得る素質を持つ産業もあるわけであります。また、ものによりましては生産事業そのもの中小企業であることが、産業実態からやむを得ない状況だ、かように考えられるようなものもあるのであります。あるいはまた、商業部門等について考えてみますと、単純なサービスを主体とする中小企業もあるわけでございます。そこで、中小企業に対する金融は、一律な処置はなかなかできることではないのであります。ただいまは特に、先ほど来総理がお答えいたしましたものは、これは主として、いわゆる三公庫中心にしての中小企業そのものに対する設備近代化、その他の運転資金等の確保についての政府処置中心にして説明されたと思います。いわゆる経済調整の時期に入って、金融引き締めではあるが、金額が十分だと申すわけではございませんけれども中小企業に対してはあるいは年末、また最近もそのワク拡大するとか、あるいは市中金融中小企業向け金融ワク拡大をはかるとか、あるいは行政指導等をしておる。その実態政府が特に関心を払っておることを御了承いただきたいと思いますが、いわゆる大企業系列下中小企業に対し、これは一体どうなっておるか。これは、ただいま言われるように、大企業自身が相当金融引き締めを受ける、その結果、下請代金支払い等が遅延するとか、あるいは現金支払いが変わって手形支払いになる、こういう事態が起こりやすいのでありますので、こういう点について私どもはすでに行政措置をとり、指導して、そういう事態をできるだけ起こさないように、大企業について特に注意を喚起しておる次第であります。永井さんのお話は、中小企業向け金融をすれば、それは大企業に吸収されるのじゃないのか、そういうことが非常に多いのじゃないか、こういうお尋ねであったように思いますが、私どもはそういう事態が起こることよりも、むしろ逆に大企業金融を締められる。そうすると、系列下産業に対しても支払いが非常に悪くなり、下請代金の支払い遅延なり、あるいはただいま指摘した手形支払いになる、そういうことのないようにすることがまず第一じゃないか。吸い上げという事態については、中小企業自体がみずから守られる形じゃないか、かように実は考えるのでございまして、中小企業実態そのものについて十分実情把握しない一律の対策では、中小企業対策は片がつかない、かように私ども考えております。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 中小企業と一括して申しましても、内容はいろいろ違うのでありまして、商業の分野もありましょうし、工業の分野もある。あるいはそれぞれの規模別に見ますと、大企業に接触しておる、大企業競争する領域にあるもの、あるいは下れば大企業と協力する関係、すなわち系列なり下請関係において結びつく関係、さらには下りますと、企業としては独立しておるけれども、これは企業採算の分野から判断すべきものではなくて、暮らしを立てるために、生業として、これは家族や何かが中心で働いている階層で、ここは経済ベースでは判断できないで、社会政策的な立場で施策をしなければならぬという分野もありましょう。そういういろいろな関係がありますが、現在、通産大臣がお触れになりました通り下請関係における遅払いというもの、現金が手形になる、手形が台風手形になる、あるいはお産手形になるというふうに非常な長期の手形になって、金詰まりになっておる。そういう関係金詰まり中小企業金融ということで穴埋めする形になってはいけないから、十分その点を考えていかなければいけないということを私は申しておるわけでありまして、中小企業関係については経済分野で解決すべきもの、大企業との対立関係において配慮しなければならないもの、社会政策的な分野考えていかなければならぬもの、いろいろきめこまかにやらなければならないものと思うのであります。そういう点について一そうの努力をしていただかなければならぬと思うわけであります。  それはそれといたしまして、私は、最近この過度の競争の現われとして、広告の分野が乱雑きわまるものがある、こう思うのであります。たとえばキャバレー・ミカドがパリのリドーからショーの一部を頼んできて、開店広告に一億からの金を使った、あるいは週刊女性がスピード・クイズといって、千円のなにを出しておるとか、高島屋がなべを百円で買い取るとか、西武がたんすを持ってくれば一割で買い取るとか、あるいは一千万円の金銭信託証書を出すとか、あるいはこれは大阪の方の電気モーターメーカーでございますかが、八百万円のモダン・ハウスを賞品として出すとか、あるいはロッテ・チューインガムが一千万円の広告を出すとか、これは広告の分野が、広告という分野よりも賭博的な要素のものが非常に多くなってきておるのじゃないか。ことに花王石鹸のワンダフルとかザブ、これらは非常な宣伝をやる。非常な宣伝をやりますから、消費者の方から花王石鹸のこれをくれといって買いに来る。だからもうとういう関係は、問屋もそれから中間の段階はそう要らない。末端の小売店を花王石鹸の倉庫がわりにずっと分散しておいて、そして消費者が積極的に買いに来るような宣伝をして、ほかの商品を駆逐してしまう、こういうような思い切った広告宣伝というものが、現在どんどん行なわれておると思うのであります。貿易が自由化になって外国の商品とかいろいろなものが入ってきますと、これはもっと私は大げさになってくると思うのでありまして、あちらの方の広告状況を見ると、農林大臣なんかぴんといくのでありましょうが、サラブレット一頭を賞品に出すとか、あるいは十二人乗りの飛行機を操縦士付で景品として出すとか、あるいは石油の井戸を一本賞品として出すとか、こういう非常な大げさな何が出てくると思うのであります。また、もっと申しますと、何かシンガー・ミシンなどがやったように、古い商品を買い取って、そうして新しい自分の商品をそこへ入れて、購買市場から相手方の商品を買いつぶしていくというような、こういう大資本背景にしてやって参りますと、この広告の交通整理をやっておきませんと、私は大へんなことに発展してくるのではないか、こう思うのであります。それらの点について、この広告についてどういうふうに中小企業立場でお考えになられるか、伺いたいと思います。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 広告の問題、これは、最近の商業の発展の実情から見まして、大へん技術が進んできて、非常に広範になりました。これは、生産者相互間の競争の問題もございますが、同時に、消費者保護の立場からも、広告のあり方については十分の自粛を願わなければならないと思います。そういう意味におきまして、いわゆる誇大な広告であるとか、あるいは実情に沿わない広告というものは、業者自身が自粛してやめていただかなければならないことだと思います。同時にまた、そういう意味では、商品あるいは製品についての規格、あるいはその実情を消費者をして十分知らしめることが必要だ、かように考えます。そういう意味で、通商産業省におきましても、あるいは製品の規格を考えるとか、あるいはその性能を検定するとか、こういうことで消費者の利益をはかっていく考え方でございます。  もう一つは、いわゆる通産省の所管の事項ではないと思いますが、観光宣伝等におきましても、観光等をそこなうような俗悪なものは自粛してもらうとか、いろいろの問題があるのではないかと思います。しかし、何といたしましても、産業の発展の途上におきまして、この種の技術が進み非常に広範になる、これはやむを得ないことだろうと思います。その場合の広告主自身の自粛が必要だし、同時に、生産者相互間の不当競争をいかにして防ぐか、また、消費者をいかにして守るか、こういうことを十分注意して参りたい、かように考えております。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 もう一つ、最近、技術革新あるいは貿易自由化ということを前提としまして、外資の導入、技術の導入ということが顕著な事例として現われてきております。最近では、昭和電工の昭和ネオプレンがデュポンと資本フィフティ・フィフティで提携してやり始まっておるわけであります。従来は外資法によって七〇%の線がくずれておらないところを私たちは考えておるのでありますが、こういうふうに七〇%という線がくずれて、資本の割合はどうでも、経営権がこちらにあればいいんではないかというようなくずれ方をしておるということでありますが、この外資導入の関係はどうでありますか。相当に資本が入ってきておると思うのであります。そこで、この外資が導入されておる実情をどういうふうに把握されており、これに対して今後どう対処されようとしておるのか、この点について大蔵大臣初め関係大臣から御説明を願いたいと思います。
  30. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 海外の技術が特に高度であって、日本経済を伸ばすためにこの高度技術の導入がどうしても必要だという場合には、この技術を導入して生産するために合併会社を許す、そうして相当の持ち株を許すという建前で高度技術の導入をはかっておりますが、その場合、高度技術であるだけに、資本比率ということは、先方の意向もございまして、私どもの方では七〇%以上持って経営権を持つということが必要だという方針ではおりましたが、この方針は実情において貫けません。従って、五〇%ずつフィフティ・フィフティといろ線でやるよりほかに方法のない技術もたくさんございますので、通常は、今までやったところは、二、三〇%までの持ち株、外国の持ち株は三〇%という比率でございましたが、最近五〇%・五〇%という許可方針をとりまして、すでにこれが二十何件という程度に及んでおりますが、私の考えでは、その場合に経営権はこちらで取るようないろいろな指導をしておりますが、持ち株に拘泥するのは、概して低開発国に見られる意識でございまして、もう先進工業国の間において、この株の比率にこだわるというような時期ではないと思います。ですから、私どもは、フィフティ・フィフティで高度技術が導入されるということでしたら、今後も、必要ならば、この程度の比率でいくなら許可する。それ以上の要望が非常に強いのですが、これはきょうまで抑えて、フィフティ・フィフティになっておりますが、方針としては、持ち株のこの比率にこだわるというような方向は私は間違いではないか、そう考えております。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま大蔵大臣から持ち株比率についてのお話がございました。私は、いわゆる貿易・為替の自由化というものを進めていくという国の基本的方針を進めて参りますと、今後、外資のあり方というものはもちろん注意はいたさなければならないと思いますが、自由化の方向から、あまり制限などはつけにくいような形に進むのじゃないかと、かように思います。むしろ、外資の導入の実情は、実際を把握して、しかる後にそれについての対策を今後立てていけばいいと思います。  私の方の所管の問題で特に注意したいと思いますのは、お尋ねにありましたいわゆる技術導入の問題であります。化学工業部門等において技術導入をする、高度の技術を導入していく、こういう場合におきまして、どうも、過去の実情等を見ますと、民間業界競争がなかなか熾烈でありますので、同種あるいは類似のものを遠慮会釈なしにそれぞれ導入してくる。その結果が二軍あるいは三重投資等の弊にも陥りやすいように思います。そこで、できるだけ重点的に、いわゆる事業の調整をはかって、そうして必要な技術の導入をはかっていく、いわゆるむだがないように指導していきたい、こういうことで、もうすでに通産省としてはそういう意味業界の協力を願っておる次第でございます。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 外資導入については、今後は世銀などはあまり期待できないのじゃないか。そういたしますと、向こうの市中銀行であるとか、あるいは取引先の借り入れであるとか、外債であるとか、あるいはニューヨーク市場における増資新株の公募であるとか、同じ外資の質が従来と変わってくる。そういうふうに変わってきますと、そういうものがふくれてきて、しかも技術を持ち、資本が大きくなって、企業が巨大化していく、そういう形になって参りますと、その経済活動に対しては、アメリカの資本家側の要求というものがいろいろ企業の中にウエートを占めてくる、日本の国の経済政策だけで左右できないような事態になって参りますと、私は、経済における植民地化の傾向をとっていくのではないかといろことをおそれるわけであります。そういう心配も非常にある。とにかく、早く向こうから物を入れて早くもうけなければというあせりから、国内市場の状況ども考えないでどんどん過剰投資をやる実情もございます。そういうような点は十分一つ考えていただかなければならぬと思うわけでありますが、それにいたしましても、技術の提携についてはだんだん多くなってきております。三十三年が九十件、三十四年が百五十三件、三十五年が三百二十七件、本年が四月から九月までですでに百五十六件、こういうように技術提携がふえて参って、しかも、条件としては、この技術を出資にかえるという形が出ておるようであります。この技術の導入については、もちろんロイアリティを非常に多額に払わなければならないし、そういうものをどんどん算入することによって国内の技術がチェックされてくる、スポイルされていくという心配が非常にある。  池田総理大臣は、日本の経済力というものを非常に大したものだというふうに吹聴しますけれども、少し企業伸びると、工員が足りない、技術者が足りない。そこで、工業高等学校から始めようとすると、技術を指導する先生がないということで、先生を作ろうというので、今度はインスタントの早作りの先生を作ろうとする。そういう先生を作るところから始めなければ技術教育もできない。こういうような貧弱な内容において、私は、日本の産業は大したものだなどという吹聴は、少し口はばったいのではないか、こう思うわけであります。そうして、それじゃ日本の国内における技術振興についてどのような施策をし、技術者に対してどのような力を入れているかといえば、予算面においても明らかなように、私は、問題にはならないと思う。こういう関係において、私は、どんどん技術を導入すればいいじゃないか、もうければいいじゃないか、こういう形で技術が導入されていくならば、日本の将来の工業の技術水準あるいは民族的な一つの力というものの上からいきまして、非常に心配になる、こう思うのであります。この点について、三木科学技術庁長官から、現状及び現状に対する遠慮ない批判と、今後急速にこのおくれを取り戻すための施策としてどのような所見があるか、項目的でよろしいでありますからお示しを願いたいと思うわけであります。
  33. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今の永井さんのお話のように、できる限り国産の技術を開発することが望ましいわけでありますけれども、しかし、こういう技術革新の時代になりますと、ある程度は外国の技術を導入せざるを得ない。そういう点で、もしその技術の導入が日本の中小企業とかあるいは産業秩序を著しく乱すような場合には、これを外資審議会で押えるような方向をとっておるわけであります。しかし、今後はどうしても国産技術を開発しなければなりませんので、新技術開発事業団等も作りまして、そして、これらに対する出資金もふやして、できる限り国産の技術を開発しようと努力をいたしておりますし、税制上の措置においても、できる限り企業が自分でやはり研究しようという意欲を起こさすような税制的な処置も講じてやってはおりますけれども、御指摘のように、十分とは申せませんので、今後よほどこの問題については力を入れなければならぬと考えております。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 私は今まで羅列的にいろいろなものを雑然と並べた形でお尋ねをして参りましたが、何と申しましても、現在の段階におきましては、が巨大化してくる。巨大化していけば、そこに資本技術の必要ができてくる。そういう関係は外国資本に依存する、そうして、国内においては、貿易の自由化を控えまして、企業の安定をはかるという形において経営企業の内容が多角化してくる、そうして、大企業が、自己企業と全く関係のないような形において、もうあらゆるところに手を伸ばして、がめつく網を張る、こういうような形で現在どんどんやってきているわけです。一面においては、大きな広告も出ましょうし、市場独占のいろいろな施策が進められるでありましょう。こういうような形の中において、産業秩序を確立するための国の政策あるいはその筋が通っておるならば、われわれは中小企業立場においてもそれぞれ生くる領域を確保できるわけでありますが、こういう状態の中で政府はどういう態度をとっておるかといえば、国際競争に勝たなければならないのだから企業の巨大化はやむを得ないのだ、こういうような形において、独占禁止法はあってなきがごと公正な取引というものは、何が公正なのか、もうかればそれで押し切るというような形において大企業がまかり通っておるというのが日本の現状ではないかと私は思うのであります。でありますから、世間ではこう言っています。三井、三菱、住友が何かやろうということになったら、政府であろうが何であろうが、これは手に負えない、やるだけのことはこれらの財閥はやるのだ、そこで、世間では、三井省、三菱省、住友省、こう言っています。そうして、中小企業庁は系列庁だと言っておる。これほど日本の経済界が大企業によって支配されておる、独占形態が強化されておるという一つの形の中で、一体、中小企業の存立というものが正しい形において守られるかどうか。こういう形の競争の中で、所得の格差が解消し、あるいは業種間の格差が解消されるというようなことは、どこを押せばそういうような科学的な一つの結論が、ずっと筋道が出てくるか。私は、池田総理がこの実態をほんとうにお考えになるならば、所得格差をなくすのだというならば、こういうふうにしてなくなるのだということを示さない限り、こういう一つの経済活動、産業活動の中で中小企業の生くる道はないと思う。所得を拡大してくる根拠は生まれてこないと私は思う。この意味において、池田総理の言う所得倍増計画というものは失敗である。間違いである。農民の犠牲において、中小企業の犠牲において、労働者の犠牲においてのみ巨大企業が成り立つのであって、そうして、その過程において、たとえば物価値上がりあるいは設備投資の過熱、あるいは国際貿易の赤字というようなものは、これは、先ほど総理が事実関係としてお認めになりましたように、事実でありますから、これを否定するわけにいきません。この事実をどう価値評価するかという立場から、言いますならば、われわれは、そういう立場において、もう失敗の現われが、この露頭として、こういう現象として現われてきたのだ、こう断定せざるを得ないと思うのであります。その意味において、現在、世の中を、日本の国内をまかり通っておる三菱省、三井省、住友省、これに続くのは富士、第一、三和銀行、こういうところが続いてくるだろう、中小企業庁は系列庁と、こう言われるほど独占資本に今左右されようとしておる日本の経済秩序を、今にして擁立しなければ、独占資本はいいかもしれないけれども、われわれ国民大衆は、国民経済的な立場で、池田総理所得倍増計画というものに国民的反撃をしなければならないと私は思うわけでありますが、その点について池田総理の所見を伺いたいと思うわけであります。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 経済高度成長のときに、しかもまた貿易自由化の問題をかかえておりますわが国といたしましては、いろいろな点で考えなければならぬ点がございます。独占資本、三井、三菱、住友と、こうおっしゃいますが、私は、そういう言葉も聞かぬことはございません。また、そういう事象も目に映ったこともございますが、ただいまの年末から今年にかけましてからの財界の動きは、独占資本というふうなことでなしに、今の日本の経済実情が世界の市場において勝つためにはどうなろうかということにつきまして、今までお互いに伸びてきた企業がここで一つ合併その他基盤を強化しなければならない、それが三井であろうが三菱であろうが、そういう問題を離れて、そういう気持がだんだんわいてきつつあると考えておるのであります。  それから、大企業伸びたときに中小企業はその反対につぶれるのだという考え方は、ドイツの例をごらんになってもおわかりと思います。また、最近のイギリスの繊維化学会社の合併、これは、合併をもしいたしますと、まだきまっておりませんが、全体の生産の九〇%を占めるような会社ができようといたしております。まだできてはおりません。こういう世界的の傾向は、日本でも取り入れられなければならぬ問題ではないか。だんだんそういう傾向になっていくのではないか。これが合併し基盤を強化するということは、国のために必要である。そういうことが行なわれるからといって、片一方の中小企業がそれではすぐだめになる、こうじゃないのです。そういう場合におきましても、中小企業自体の持つ有利な点等を生かしていきまして、お互いに両立していくような格好に向けていかなければならぬ。これが時代の進運であり、日本の置かれた立場考え、そういう方向で、産業のあり方につきまして十分今後も考えていきたいと思っております。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 総理は、産業のあり方について大いに考えていかなければならないというお答えでございまして、その点は一つ十分にお考えを願いたいと思うわけです。自由主義経済は、自由主義経済としてのルールがあるはずであるし、自由主義経済がわれわれの社会主義計画経済よりもまさっておるのだというからには、そのまさっておるという事実を事実において示さなければならないと思うのであります。ドイツの例を引かれましたけれども、私は、日本における中小企業の問題、農業の問題は、諸外国には例がないと思います。先進国とは比較にならぬと思うのです。中小企業関係においては、先ほども申し上げました通り、大企業と接触する分野では、大企業競争してどうなっていくかといえば、大企業との競争に負けて、その系列下に転落していっているのです。系列化関係は、系列化下請関係において競争しながら生き残るために同業者同士が血の出るような競争をやっておるわけであります。決して所得倍増で景気がいいんだというようなのんきな話ではなくて、みずからの企業存立の足元を固めるために血のにじむような努力をし、あるものはその中から転落し、あるものはその中から生き残って、さらに自分よりも強いところの企業競争しなければならない。どこまでもこれはイバラの道であるという現状の中で今あえいでいる。決して、好景気でけっこうですなんというような、そういう時代ではないと思うのです。  農民の関係をとりましても、今日五百五十万戸の農家がある。そのうちで、所得倍増計画で目標としております自立経営の農家というのは、現在百万戸よりありませんでしょう。残りの四百五十万戸というのは非自立農家。この四百五十万戸の非自立農家の中から、池田総理計画をもってすれば、百万戸の自立農家をここから成長させよう、四百五十万戸の仲間の中で食い合いをさして、その中か心自立農家に浮かび上がらせるのです、あとの三百五十万戸は、非自立農家としてこれから転落していくか転換するか、こうしていかなければならないのでありましょう。さらに、国際的な分野での競争から言えば、日本の現在の時点における自立農家というものは、国際競争の舞台に持っていけば、その中からさらに経営の内容を拡大しなければいけない、さらにその中から削らなければいけない、こういう過程を通して日本の企業資本主義形態というものを作り上げていく、こういう激しい競争の中にあるわけであります。この事実を無視して、景気はいいのだ、貯金がふえたじゃないかという末梢的な現象で、本質的な日本経済の現在当面しているこの苦悩、この困難というものをほんとに理解しなかったら、私は、池田総理所得倍増計画なんか雲のしのものであると断ぜざるを得ないのであります。  重ねて、これらの実態について、今下々の国民大衆が、末端にある国民大衆がどんな苦悩の中にあえいでいるかということ、これを腹に置いて一つ明確にお答えを願いたいと思います。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 経済高度成長のときには、いろいろな苦悩があることは当然でございます。農村の問題にいたしましても、私が三年前に言ったときには、雲をつかむようなことだ、こう言っておられましたが、だんだん農民の方々にもおわかりいただいたと思います。そういうふうな道を歩いていくのが世界の歴史の示すところでございます。われわれは、いち早く、そういう場面を国民にお考え願って、ともに努力していこう、苦難の道を歩いてこそ初めてそこに明るい場が見つかることは、私は国民にも訴えておるのであります。いろいろ苦難がございますが、われわれ日本人はこれを乗り越えていくだけの素質を持っております。そうして、協力していけば、私は実現できると確信を持っておるのであります。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 なおいろいろお尋ねしたいのでありますが、時間がございませんから、話題を変えます。  農林大臣に伺いたいと思いますが、今砂糖の国際価格はトン五十一ドル何がしに暴落しております。標準糖価の建値は九十ドルであったと思いますが、それからいたしますと非常な暴落であります。これだけ原糖の国際価格が暴落を続けておるにもかかわらず、国内の卸売価格及び消費者価格、小売価格というものは下がっておらない。標準糖価よりも上がっておる。こういう実情は、自由主義経済実勢に合わないものではないか、こう思うのでありますが、この下がらないわけはどこにあるのか、これを伺いたいと思います。
  39. 河野一郎

    ○河野国務大臣 砂糖の問題につきましては、すでに御承知の通り、わが国内におきまする他の糖分を保持するものの価格を維持すると申しますか、端的に申しますれば、サツマイモもしくはジャガイモ、さらにまたてん菜糖の価格と見合いまして一定の糖価を維持せしめる必要がございます関係からいたしまして、税の上において勘案し、さらに原糖の輸入最の上において勘案いたしまして、一定の価格を維持するようにいたしておりますことは、すでに御承知のことと考えます。
  40. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、国際価格は暴落しているのに、国内の価格は下がらない。下がらないのは、日本の糖業政策がバレイショ・カンショ澱粉のベースにおいて砂糖の政策をやっているんだから下がらないんだ、また、下がらないようにこれを高い価格で維持されるように施策しているんだ、こういうふうに了解してよろしいですか。
  41. 河野一郎

    ○河野国務大臣 さようでございます。
  42. 永井勝次郎

    永井委員 河野農林大臣が就任して早々でありましたか、みそ、しょうゆが値上がりをするというので、待ったをかけて、問題を起こした。やはり大衆の台所に敏感な大臣だなと、こう大衆は受け取っていたと思うのでありますが、それは、みそ、しょうゆの関係だけであって、砂糖の関係になると、今度は、こんなに世界一高い砂糖をなめさせておきながら、国際価格がこんなに暴落しているのに、それを高く維持して、消費者の犠牲において澱粉のブドウ糖の経営をやらそうとする。こういう考え方については私は相当問題があると思う。砂糖の問題は、これは、中身を分ければ、輸入糖の問題、国産ビートの問題、国産ビートの中には寒地ビートと暖地ビートがある。さらにカンシャの砂糖がある。さらには澱粉のブドウ糖の関係がある。こういうふうにいろいろな雑多な関係を持っておるのでありますから、これは、やはり、輸入糖は輸入糖、国産砂糖は国産砂糖、ブドウ糖はブドウ糖、それぞれの性格に従ってそれぞれの分野における経済的な措置をやって、そして交通整理をいたしませんければ、最低のわずか一握りくらいのブドウ糖の生産のために、輸入糖から国産のビートまでが消費者の大きな犠牲においてこれをやろうというような、こういう国策というものは私はないと思う。そうして、しかも、輸入糖の関係においては、非常な暴利を与えておる。前には、三日といって、硫安、砂糖、セメントというのが非常な天下の脚光を浴びたものでありました。その後においては、SOSといって、砂糖とオイルとセメント。やはりこれもいつの場合だって砂糖は日本の国内でもうかる筆頭にあるわけです。輸入糖について、やはり、農林大臣は、国際価格がどんなに下がろうと、値段を下げないように維持するんだ、こういう政策を堅持されることに変わりございませんか。
  43. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、北海道、九州方面に今申し上げましたカンショ澱粉、もしくはバレイショ澱粉等が相当に農家経済の上に寄与し、大きく力を持っておることは御承知の通りであります。これらの価格の維持をいたしますには、どうしてもある程度の糖価維持をいたしておくことが農村経済を維持する上において必要と私は考えます。今御指摘のように、わずかばかりの薬にするようなものの値段を云々というようなことを考えてやっておるのではございません。これは、しょうゆ、みそと同じように、砂糖も、御承知の通り、長きにわたって、わが国の砂糖価格はどの程度が適切かということは、議会においてもしばしば論議せられました。そうして、私は、その政策を引き続いて継承してやっておるのであります。従って、国際的にそういうものがあるかとおっしゃれば、麦にいたしましても、外麦は安うございますが、米との関係において、ある程度の麦の値段を維持してきております。農村政策の上から参りましてやむを得ぬ処置である。従って、一面におきましては、関税政策におきまして、ある程度のものは関税によって国際価格との差益をとり、さらにまた、超過利潤につきましては、実は、私、農林大臣になりましてから、砂糖業者から超過利潤十八億をとりまして、わが国の甘味資源の将来の研究・調整等に使うべくこれを保持するという処置もとっておるわけでございます。
  44. 永井勝次郎

    永井委員 外国から輸入した麦の国内における食糧の中に占めるウエートと輸入糖の日本の甘味需要におけるウエートと比較にも、農林大臣、何にもならぬじゃないですか。それとこれとみそくそ一緒にするのはおかしいと思う。それならば、超過利潤を適正に吸い上げておるかどうかという問題です。超過利潤は、政府から出した試算によりますと、前回の試算において、三十四年度は三十六億超過利潤があります。三十五年度は七一八億あります。こういうふうにして提示したのです。ところが、今回の試算として、今度は、三十四年度の三十六億の超過利潤が十一億に減った。三十五年度の七十八億の超過利潤が三十三億に減った。一体、こういう減り方はどういうわけですか。これは、三十五年度の十二月、水田大蔵大臣も、本予算委員会において、砂糖の超過利潤は三十四年度三十六億あります、三十五年度七十八億あります、こういうふうに答弁しております。当時の周東農林大臣も、この予算委員会において、超過利潤はこれだけあります、こういうことをこの委員会で説明しているのです。一朝にして、百何億ある超過利潤を十八億の超過利潤の吸い上げでとどめた。しかもこれはどういう措置によってきめるのですか。全く農林省と業者との間の話し合いでこれはおきめになるのですか。もっとガラス張りの中で、どこにどれだけの利益があって、どれだけを吸い上げるのだということをしないと、国民大衆、消費者の犠牲においてこれらの超過利潤が出ておるのでありますから、これは消費者と無関係でこの問題を処理されるということは迷惑だと思いますが、この点はいかがですか。
  45. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御指摘の京は、すでに御承知と思いますが、昨年の三月ないし六月、私の前任者の時代に適正に計算されました数字を私は継承して処置をいたしたのでございまして、事務当局から当時の事情を今聞きましたが、政府と当時業界と適正に計算をしたのだということでございます。
  46. 永井勝次郎

    永井委員 農林大臣は、実力者として、今回農林大臣に就任されるとともに、抜く手も見せず人事をきめた。また、ビート糖の工場新設の許可も抜く手も見せずこれをきめた。これほど、前の人の単なる機械的継承でなくて、河野農政という独自の味を出してやるのだという、これだけの実力を示す人が、糖業政策は前からの機械的な継承だ、超過利潤は前からあったものをただ機械的に出したのだ、そういうようにこの面は機械的に継承して、そうでない面は、今までの経過がどうあろうと、おれはおれの何でやるのだ、こういう形でおやりになる。これは内容がおかしいと思うのです。もっと大衆のためにやらなければならない分野においては、非常に引っ込み思案のように機械的に処理されて、そうでない分野においては、相当実力を発揮される。三十六億が十億に減った、七十八億が三十三億に減ったというこの数字を見ましても、農林大臣の勘をもってするならば、これはどういうわけで減ったのか、この計算の基礎について、これを責任ある立場において処理されるということが、私は、農林大臣の立場ではないか、こう思うのです。ことに、計算の基礎の中においては、これは計算の大きな数字の違いがあるわけです。たとえば三十五年度の計算に見ますと、利潤及び金利というのが、前回の試算では、一トンに二千二百六十七円よりかからなかったものが、試算をやり画したところが、五千三百五十五円かかったというふうに、ここは非常にふくれておるわけです。また、価格差益金でありますが、前回の試算では、一キロ八円三銭の価格差益金があったと計算したものが、新しい計算では三円七銭よりないというふうに、約半分くらいずつに変わっておるわけです。この超過利潤の算出の基礎になるこの二つの問題を、私は、もっとはっきりさせなければならないはずではないかと思う。十八億円が妥当であるということを、責任を持ってこれを処理されるお考えでありますか、お伺いいたします。
  47. 河野一郎

    ○河野国務大臣 詳しい数字が必要なら事務当局から説明をいたさせますが、前任者の時代におきまして、政府と民間と立ち合いの上で正確に計算いたして決定いたしましたものを、あとから私が参りまして、前にやったものはみな間違っておる、それはみなやり直しだというようなことをすることは、一体行政上できることか、できぬことか、私は、そういうことはすべきものじゃないと思うのでございます。一ぺん責任ある政府当局が、民間と協定して決定したものを、あとから出かけていって、またそれがいいの悪いのと言ってほじくり返したら、何年たったって安定し、安心ができなくなるんじゃないかと私は思うのであります。今いろいろお話でございますけれども、私は、イタリアの砂糖の政策を多少勉強いたしまして、そして、砂糖というものは、イタリアであの程度にできるならば、日本でも、将来は外糖にたよらずに全部ビートによってやることができるのじゃなかろうかという根本策に立って、検討を実は始めておるのでございます。これについて、昨年十月から十二月にかけて、技術者を二回にわたってイタリアに派遣をいたしまして、暖地ビートを根本的に検討中でございます。むしろ、今御指摘のような、わが国のサツマイモもしくはバレイショと関係のあるものについて、あちらを下げればこちらが立たなくなる、砂糖については、合理的にすれば、サツマイモの値が下がって、農村の経済に非常に悪影響を及ぼすというようなことをやっておったのでは仕方がありませんから、サツマイモをビートに置きかえる、北海道のバレイショを寒地のビートに置きかえるというような、根本的な施策は可能であろうかどうかということについて検討すべきであろうというふうに考えまして、せっかく暖地、寒地の差別なく、イタリア等先進地のこれらのすべての施策について、目下根本的に検討中でございます。しかも、これらの施策につきましては、明年度予算につきましても、これが研究費を一部計上いたしまして、少なくとも今年中には結論を出して、そして、わが国の糖業政策、甘味政策を抜本的にやり変えよう、できるなら置きかえていきたいということをせっかく検討いたしておるわけでございまして、しばらくの間御猶予をちょうだいいたしたいと思うのでございます。なお、必要があれば、今の数字につきましては、事務当局から説明をいたさせます。
  48. 永井勝次郎

    永井委員 数字の問題は、これはあとでもいいと思います。また時間があれば、その点には触れていきたいと思いますが、とにかく、日本の糖業は、輸入糖の関係は百十万トンです。この百十万トンの輸入については、標準糖価を作って、そして価格維持をやっております。最近はずっと国際価格が下がっております。標準糖価の基礎は一トン九十ドル建値です。ところが、最近は、ずっと国際価格は八十ドル内外から七十二ドル内外、ことしはことに五十一ドル内外というほど、砂糖原価においてこんなに値段が下がっておるのに、国内の消費者、国民大衆は、政府の理不尽な価格維持によって、値下がりどころか、標準糖価よりも高い価格でこれをなめさせられている。この高い価格の維持は、国内におけるブドウ糖の生産を助長していかなければならないためだということで、輸入糖の面において糖業者の暴利をむさぼらせ、国産ビートにおいてその利潤をもうけさせ、一貫した一つの糖業政策として、輸入糖は輸入糖、国産糖は国産糖、ブドウ糖はブドウ糖、これは別々にそれぞれの増産計画をきちっと立てなければならないのに、一様なベースで問題を処理しては、大へんなことになると思うのであります。しかも、そういうベースでやるなら、そういうベースにおいて、国産糖は国産糖でもっと科学的な価格の体系を整えればいい。輸入糖の関係においても、そういう価格体系を整えて、そして、これはブドウ糖のベースで糖業政策をやるんだ、これなら話はわかります。その価格体系というものは乱雑にして、投げっぱなしにしておいて、外から見れないような、放任、まかせきりにしておいて、最低な澱粉のブドウ糖のベースで問題を処理している。そして、その超過利潤については、話し合いでこれをきめていこうという、こういうあいまいなやり方が、砂糖におけるいろいろな問題を生じさせていると思う。糖業政策を立てるならば、関税はどのくらいありますか。砂糖消費税はどのくらいありますか。大衆がなめている砂糖の大部分は関税、消費税でしょう。半分以上は税金じゃないですか。その上に高い価格で維持されている。こういうひどい理不尽な価格体系というものは、私はないと思う。こういう産業秩序の確立というものはないと思う。はっきり伺いたいと思います。糖業政策を立てるなら、輸入は輸入、国産は国産、澱粉は澱粉、それぞれの関係において国の収入をつぎ込んでいけばよろしい。
  49. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お話でございますが、私はあえて申し上げますならば、全面的にあなたの所説に反対でございます。なぜかと申しますれば、そういう議論がもし肯定されるならば、日本の農村はどうして維新ができましょう。この段階において、外国のものが安いから、それを入れてやるべきだというようなことになりましたら、私はたまらぬと思います。砂糖においても、今お話の通り、年々全部の農村から、澱粉の価格を維持しろ、サツマイモの値段を高くしろと、これだけ国内のやかましい要請に、どうしてこたえますか。断じてこたえることができないと思います。砂糖とあめとの違いは、どこに一体ありますか。砂糖が下がれば、サツマイモの値段はどこまでも下がります。それでどうして農村を保護できますか。私はそういうことはできぬと思います。たとえば、申し上げます。北海道でビート工場を作れ作れと非常におっしゃる。すぐ私は許可いたしました。許可しても、もし砂糖の値段が無制限に下がったら、ビートはどうなりますか。このてん菜糖の工場は、どうして安定してできますか。北海道のてん菜糖政策はどうして遂行できますか。砂糖の価格の安定性があるから、北海道にビート農業というものが発展していくのじゃないかと思います。安定をしないところにどうして農業が発展しますか。その差益を関税でとり、消費税でとり、さらにその差益を超過利潤としてとる、そうして、安定したものの中に国内の農業の成長安定をはかっていくということは、当然農林大臣としてとるべき処置だと思うのであります。これを他の三品のように、価格の不安定の中に対象となる農業の安定性を期することはできないと私は思います。
  50. 永井勝次郎

    永井委員 私は、河野農林大臣の意見に全然反対です。これは農林大臣少しお考えになったらいいと思う。交通整理をしたらどうかということを言っている。価格体系をもっと整備したらどうかということを言っている。ブドウ糖、澱粉がどうなってもいい、国産ビートがどうなってもいいなんということは、私は一言半句言っていません。これは澱粉をブドウ糖にするためには、相当の助成をしなければできません。国産ビートも、輸入糖と自由に、フルに裸で競争させろと言ったって、競争になるものじゃない。これは保護していかなければならない。保護するのに、てん菜糖だって、それを今のような形で保護するのがいいのか、もっと価格体系を整えて、ブドウ糖はブドウ糖、国産ビートは国産ビート、輸入糖は輸入糖というふうに、それぞれの犠牲を少なくして、ロスを少なくしてやることが、経済的な効率が上がるのではないかということを私は言っている。輸入糖の関係はどうですか。消費者の犠牲でしょう。国産ビートの生産はどうですか。農民の犠牲でしょう。だれがもうけている。これをもうけさせている。全体の私の質問に対して、あなたは、こういう問題を公開の場所で言うことはどうかと、こう言う。こういう話は待合で言えばいいかもしれませんが、私は、国民大衆のものですから、国民大衆の中でこの問題を論議しなければいけない。いかがですか。
  51. 河野一郎

    ○河野国務大臣 別にそれほどやかましくおっしゃる話じゃないと私は思います。お話の通り、たまたま国際価格が暴落したからといって、暴落の機会にこうだこうだとおっしゃる。そういうことが一体議論になりますか。今まですでに皆さんも御承知の通り、国際水準価格というものもあります。そういうものを基礎にとって、日本の砂糖の値段はこのくらいをとるのがよかろうということで、皆さんで御相談して標準価格をきめたのじゃありませんか。その安定の中に日本の農産物を育てていく、あたりまえのことじゃありませんか。そうしていくことが、そこにビートの成長も可能であり、国内のサツマイモの安定も可能である。すべてを総合して、総合の中に安定を求めておる。当然のことと私は思うのであります。それを、たまたま国際原糖の価格が暴落した、その数字を持ってきて、もうけている、もうけている――今までの安定的な数字があるわけであります。だから、国際的に暴落したら、暴落の差益をまた差益として吸収する、そのときにしたらいいじゃありませんか。そのときにしなかったら、初めてけしからぬならけしからぬとおっしゃったらいいじゃありませんか、
  52. 永井勝次郎

    永井委員 大臣、たまたま暴落したから問題にするのではないのです。一体、砂糖企業者が損したことがありますか。損したことがあるというなら、私はそれを示してもらいたい。連年、消費者の犠牲で少数の砂糖業者だけがぼろもうけしておるでしょう。国産のビートは、農民の犠牲でぼろもうけしておるでしょう。だれがもうけておるのですか、だれが損しておるか。私は、この問題は計算の問題で、これは数字の問題ですから、はっきりとしなければいかぬと思います。現在の標準糖価というものは九十ドルでしょう。現在の市価は五十一ドルでしょう。去年だって八十ドル内外でしょう。値段が下がらないのです。一キロ百三十何円になっておる。標準糖価よりも十円も高い値段で、消費者にこれを押しつけておる。農林大臣、この輸入糖を百十万トンですが、百万トンとかりにいたしましても、一キロで一円違いますと十億の利ざやがそこに出るのですよ。価格差は非常に膨大なものです。九十ドルの単価と五十一ドルの単価と、この価格差だけで何百億になるじゃないですか。これだけの利潤がここにはっきり出ておるにもかかわらず、市場価格を高く維持して、これを澱粉のためだなんて、澱粉が泣きますよ。そんなことでは、農民が泣きますよ。
  53. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は、お話しになるときに、ただあまり刺激するような数字だけとってお話しになることはどうかと思います。たとえば、今御指摘になっておる数字は現地の糖価でありまして、日本の沖に来ればそんな値段ではございません。無理にそういうふうに数字の差を広くしてお話しになるということはどうかと思うのであります。だから、数字が必要なら事務当局から数字を詳細にいたしますと申し上げておるのであります。それで、私が言っても、事務当局が言っても、数字は変わりません。だれが言っても同じですから、従って、今おっしゃるように、澱粉の価格を維持するにはこの程度の糖価が必要であるということは、どなたも日本じゅう御異存はございません。たまたまそうなったときに、それを例にあげて議論なさることは、私はとりません。
  54. 永井勝次郎

    永井委員 私は、まだ、この輸入糖は輸入糖の問題で、超過利潤の問題で論議があります。これは後ほど数字の問題を伺いましょう。それから国産ビートの問題はビートの問題で、工場設置の問題から、農業経営の問題から、価格の問題から、地域割の問題から、これは、現地では、こういうばかげたことがよくやれるものだといって方々大騒ぎですよ。常識のある者のやることではないと言っておる。これは利権的なものがからんでいるだろう、こういうことで、現地ではビートの問題は問題にしております。この問題も、私は後ほど的確に伺いますが、これらの問題を不明のままに、あいまいのままに経過させることはできぬと思います。あなたは前の農林大臣のときに、バナナの問題ではどうしましたか。これは速記録があるのですよ。いいですか。昭和三十一年三月、第二十四国会、商工委員会において、バナナの問題が問題になって、あなたは御存じでしょう。その当時の経済局長は安田さんだ。安田さんに命じて、あなたは東京都の市場法の改正を命令したでしょう。福田善三郎という者は、秋葉原生果物菜市場の仲買人です。仲買人は市場以外の場所で取引していけないという従来の規定がある。それを大臣命令で、東京都へ、市場業務規程を、仲買人でもその取引をしてよろしいという改定をさせて、輸入バナナの八割、九割までを福田善三郎が一手にこれをなにした。その入札価格は時価より三倍も高い価格です。そうしてぼろもうけをし、国内におけるバナナの値段をつり上げたでしょう。これが当時の速記録にちゃんと載っています。あなたも出て、いや、詳しいことはおれは知らぬと言っておりますが、あなたと福田善三郎との親交関係はずっと出ております。  さらに、これらのバナナの問題ばかりではなく、あなたの競馬馬を輸入した藤井商店、この藤井商店はサンキスト・レモンを無為替で輸入してぼろもうけしている。これがやはり商工委員会で問題になった。問題になったところは、その商店がサンキスト・レモンを輸入した。輸入したら、腐ってきた。そこで、現金で補償する、あるいは現物で補償するという問題があるが、現物で補償せよ、弁償せよということで、無為替でその弁償分を輸入させるという許可をとった。その許可が何と一年間という長期のものです。そのサンキストの腐ったやつを現物で弁償するという無為替輸入の一年間の期限で、ずっと回転させて、サンキスト・レモンを輸入してぼろもうけしておる。これが例のバナナとなにとの問題で出ているのです。これはあなたが農林大臣としてやったときです。あなたも出て答弁しているから、よくわかるでしょう。  もっと詳しく言いますよ。東京都の市場に対して、どのような通牒をあなたが出したか。大臣に報告せよ、至急にやれということを指図した。そういうような問題が私は頭にありますから、この砂糖の問題だって何だって、みそ、しょうゆには手きびしくいくが、砂糖の方には非常に甘かったのだ、こういう関係を、この問題はやはり池田総理大臣にお考え願っておかなければいけませんが、総理大臣として、あなたは全国政に対してなかなか目が届かないでありましょうが、少なくも産業秩序確立の立場から、こういうことは、砂糖の関係については、砂糖の消費者もこれを納得する、生産者も納得する、こういう形においてこれらの事柄が公正に運営されるものでなければ、私は、産業秩序の確立にも何にもならぬと思う。その意味において私はこの問題を問題にしている。御答弁を願います。
  55. 河野一郎

    ○河野国務大臣 非常に迷惑なことを御発言いただきました。第一に、今のバナナの問題について、私は記憶を呼び起こして明瞭にいたします。  バナナは、当時私は農林大臣をいたしておりまして、通産省の所管でありましたが、あまりにバナナの輸入価格と国内の価格との差益が多過ぎる、これを従来の実績割当にしておくということは妥当でないのだ、従って、これを競争入札にすべきものだという意味合いにおいて、競争入札にすべきことを提案いたしました。そうして、競争入札によってこれが行なわれたのでございます。行なわれた結果、たまたま福田という者が、たくさんのものを高く入札してやったということでございます。入札して高くとるということは、私は少しも差しつかえないと思うのであります。そうして、それをとって処分をした。それが一体農林大臣として何か悪いのでしょうか。  さらにまた、今レモンのぼろもうけ云々というお話がございましたが、為替の関係は通産省の関係でございまして、農林省は何らそれには発言はいたしません。同時にまた、今御指摘になりましたその輸入商社につきましては、私のあまり旧知の人物ではございません。私は何もその会社とは関係ございません。そういう人は通産省との長年の関係においてやられたことで、さもさも私が何か頼んでやったか、要請してやったか、要請を受けたかというようなことにお話しいただくことは、非常に迷惑でございます。全然私の関知せざるところでございます。この点は一つ明瞭にいたしておきます。
  56. 永井勝次郎

    永井委員 これは砂糖とは関係ありませんが、はっきり言っておきます。これは福田善三郎が競争入札したことは事実であります。福田善三郎が競争入札に参加する資格は、秋葉原青果物市場の仲買人としては資格がないのです。それを、競争入札に参加させる資格をとるために、あなたは安田局長を通じて、中央卸売市場法第十七条の規定に基づいて、都の中央卸売市場業務規程第三十六条第二号の改正を指図したのです。そうして、仲買人でも市場以外のところでこの入札に参加してよろしいと条例を改正して、資格を与えて、そうして競争入札に参加さしているのです。この改正を指図したのは農林大臣の命令ですよ。速記録をずっと読みましょうか。
  57. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。  よく私記憶が明瞭でございませんが、申し上げます。その当時バナナの実績を持っております者だけでありますと、とかくそこに公正な取引ができませんから、新たに入札者を加える必要があるというので、全国の市場の中で新たにバナナを扱っておる者をそれに加える、そうして入札の範囲を広げるということはやったと思います。それは全国のなるべく大ぜいの人が入札に加わる資格を持つということは悪いでしょうか。特定の者に縮めさせたというのなら悪いですが、入札する範囲を大きくして、なるべくたくさんの人が高く入札するようにするのが、何が一体悪いでしょうか。
  58. 永井勝次郎

    永井委員 競争入札に参加させるということは悪くありませんよ。大へんけっこうです。しかし、参加する資格がない者を参加させるために、業務規程の改正をやって、特定の人にやらしておる。それは業務規程の改悪なんです。
  59. 河野一郎

    ○河野国務大臣 今の人では特定の者になるから、範囲を広めて入札者を多勢にしなければ入札が公正にできないから、範囲を広げた。数を広げることが何が悪いでしょう。条例を変えて入札の資格を縮めるというならおかしいが、範囲を広げるというのが何が悪いのですか。
  60. 永井勝次郎

    永井委員 この問題を言うなら、私はもっと言いましょうか。仲買人の場外買付というものは従来禁止している。市場の仲買人が場外で取引すれば、その市場の中の価格を操作することができるから、これは禁止してある。この禁止してあるのを、業務規程を変えさせたのです。その変えさせた内容は、輸入についてはこの限りでないということを規定させた。輸入についてはこの限りでないということであるならば、仲買人は場外で何でもやれるではないかと言ったら、当時安田局長は、バナナについてだけです、こう言う。バナナについてだけの特定の規定がどこにあるか、こういうことで、当時の商工委員会の官民党の人たちも、これは改悪だから、安田君、お前間違っているから頭下げろ、こういうことで、論議があったのです。もっと言いましょうか。これは不明確にする問題ではないですからね。仲買人はその属する市場外で買付を行なってはならないというのが従来の禁止規定なんです。その禁止規定をはずしてやらせるというのですから、これは特定の人ですよ。この福田善三郎というのは、八割から九割を一手に出した。ところが、あしたがその保証金を積んだ最後の日だというときに、福田善三郎を商工委員会は参考人として呼んで、当時の石橋通産大臣に、もし保証金をあと積まなかったら、最初に積んだやつは没収するのかと言ったら、没収せざるを得ませんでしょうということを言った。福田善三郎は金融に一生懸命走り回ったけれども、普通の市価の三倍も商い価格で入れているのですから、これは七億幾らという金融ですから、銀行がなかなか貸さない。ところが、あとの為替は許さないで、市場にたくさん輸入しないから、この価格は国内において維持できるから、安心して金融をするようにという裏づけもなされたということが、当時の速記録に出ているわけです。私は、今、こういう浩澣なものですから、どこにそういうことがあったかということはなにしませんが、そういうことが私の印象にありますから、これはやはりもうかるところにはいろいろな理屈がついて、そうして、砂糖の問題も、ブドウ糖という問題にからんで、この輸入糖やビートの問題の交通整理を行なわないんだ、こういう印象の上に立って私は言うおけです。でありますから、私は、この商工委員会の速記録で、あなたが東京都に命令を出したのを今探したのですが、ちょっと私には見つけられないのですが、それはそれとしてよろしいでありましょう、はっきりできますから。あなたはそういう無理なことをやっているのですよ。だから、この問題だって交通整理したらどうなんですか。輸入糖は輸入糖、ビートはビート、そうして、その価格体系を整えて、私は増産なら増産をやってもらいたい、そうして、澱粉の価格の維持をやってもらいたい、こう思うのです。ことに国産ビートについては、農林大臣、一つ伺いますが、三十七年度のビートの原料価格は、これをしなければならぬことになっているのですが、これはいつどのような方法でおやりになりますか、これを伺いたいと思います。
  61. 河野一郎

    ○河野国務大臣 本年度のビートの価格は、目下作業中でございまして、昨年は四月いたしましたが、今年はなるべく早目にきめたい、今作業中でございます。
  62. 永井勝次郎

    永井委員 どのような手続、どのような条件できめるのか。価格の数字は出ないにしても、その手続なり条件を一つ伺いたい。
  63. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。  てん菜糖の原料てん菜の価格の決定でございますが、てん菜生産振興臨時措置法でございますが、第五条第二項で最低出席特価格ということを定めることになっております。それはパリティ指数を参酌し、さらにその他の作物との関係、あるいは重要な問題としましては、てん菜糖製造業者のコスト関係等もからみ合わせて検討いたしております。なお、先ほど来お話のございました国内糖価水準というものは、てん菜糖の原価計算と密接にからみ合います。ほぼ同順で卸売価格が形成されておるという現状にありますので、その価格水準の中での安定的なコストというものと原料てん菜の価格というものの相互関係を見定めまして、さらに他作物との関係考えて検討をいたしております。
  64. 永井勝次郎

    永井委員 このビート価格の値段を算定する場合には、やはり工場のキャパシティに応じて、これがフル操業するか、あるいは何割の操業になるか、原料の数量の問題ともからんで、計算が違ってくるだろうと思うし、そういうふうに考えますと、各工場に対する原料集荷の地域割の問題がこれと並行して行なわれなければならないと思うのですが、その関係はどうなっているか、伺います。
  65. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り、従来はどの工場もフルの速報をしておりましたから、工場別によって考える必要はございませんでした。今後は標準の価格が決定いたしまして、他は工場によって多少のしんしゃくをする場合ができてくるかもしれないと思いますが、そのときによって考えればいいのじゃないか、こう思います。
  66. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、現状においては、工場の能力と原料とがアンバランスになっておる、こういうことですね。そういうアンバランスになっているという現状の上に立って、さらに、昭和三十九年以降の工場、三工場か何かも予約しているというのはどういうわけです。
  67. 河野一郎

    ○河野国務大臣 現状はなっていないと思っております。現状は能力と原料の入手は適正にいっておる。従って、現状におきましてはそういう配慮はいたしておりません。将来については、その現実に即して配慮する場合があるかもしれない、こうお答え申し上げておきます。
  68. 永井勝次郎

    永井委員 私の聞いているのは、三十六年度のことを聞いているのでなくて、三十七年度はと聞いておるのです。ことしの問題を聞いているのです。
  69. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知の通り、三十七年度におきましては、大体それぞれの工場は入手できるという見込みでおります。また、工場の方におきましても、生産奨励をいたしまして、フル操業のできるように努力をされるものと期待いたしております。
  70. 永井勝次郎

    永井委員 地域割はいつ発表するのです。
  71. 河野一郎

    ○河野国務大臣 今北海道庁の方でせっかく計算をしておられますし、農林省の方とも相談して、近日発表の予定でございます。
  72. 永井勝次郎

    永井委員 私は、輸入糖が価格の面において乱脈をきわめておると同様に、国産ビートの関係も、行政としては乱脈きわまるものだ、自由主義経済のつめのあかほどもこの運営の中にはない、こう思うのです。  総理大臣、伺いますが、北海道におけるビートは、これは工場をきめるのは農林省がきめるのです。どこからどこまでの地域だということも、農林省がばちんと天下りにきめるのです。どのくらいの値段かということも、農林省がきめるのです。そうして、生産者である農民は、一言半句これは参加する場所がないのです。発言する機会がないのです。そうして、農民の現在与えられている自由は、不満なら作らなければいいという、作らない自由があるだけです。こういうひどい形においてこれが運営されておる。そうして、それがどういう形で現在の作付地域が割り当てられるかといえば、北海道においてビートが、四十何年間の歴史を持つ日甜が一工場を経営いたしますためには、大体作付面積は六千町歩が必要だというときに、日甜の四工場のうちの磯分内の工場は三千五百町歩です。美幌の工場は二千七百町歩、これは日甜の美幌工場は新設でありますけれども、四十年の歴史を持つ日甜の工場が、こういうふうに原料地域というものが、必要両の三分の一あるいは二分の一程度に縮減しております。そうして、新設された工場の芝糖は六千四十五町歩、ホクレンの中斜里は六千六百五十八町歩、台糖の伊達工場は五千六百三十五町歩。従来の工場には原料が三分の一ぐらいしか与えられないように縮減されて、新設工場にのみ十分な原料を配分する、現状においてこういうひどい形になっておる。これがさらに二工場ができる、さらに三工場ができるということになりますと、新設工場だけがその採算性を確保される可能性を十分にして、古い工場は、日甜の磯分内あるいは士別工場は三分の一しか原料が確保されたいで、三分の二はこれから拡張していく分野を与えられる。その拡張する分野はどこかといえぱ、士別工場は天北原野と稚内、最北のひどいところです。普通の農業が経営できないようなところを与えられようという現実になっておる。あるいは磯分内の工場は一番開発がおくれておる根釧原野、そういう形です。新設工場は、これは食い込むのでありますから、金も使いましょう、何も使うでありましょう、こういうふうな形で優遇される。古い工場は、自分のところから削られるから金を出さないでありましょう、こういう形になっておる。こういう地域割り、全く生産者農民にかかわりないところで、農林省でこういうことが行なわれて、こういうふうな形で事柄が運んでおる。私は、産業秩序確立の上からいって、これはどうかと思うのでありますが、総理は、自由主義経済こそが進歩の原動力だ、要因だ、こう常に言っておるのですが、こういう形でいくことが一体妥当であるかどうか。いわゆる所得倍増計画の中における産業秩序の確立という原則にかなうことであるかどうか、伺いたい。
  73. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ちょっと今のお話に間違いがありますので……。御承知の通り、作付計画、面積算は、北海道庁の方で原案を作りまして、農林省はこれを了承する、承認するということをいたしております。従って、一番現地に精通しておられる北海道長官もしくは北海道庁においてやっておりますから、私の方では大体適切にいっておるものと心得ておるのであります。
  74. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の通り、日本のてん菜糖は、四十数年前清水に工場ができまして、政府といたしましても、この清水の工場につきましていろいろ助成を考えておったのであります。私も三十年ばかり前にその工場を見たことがございます。しかし、その当時のてん菜糖というのは今とは全然違っておりました。品種その他から申しまして、廃物とか葉の方は何にもならない。品種改良によりまして、ここ七、八年来北海道で非常に重要視されている。これは冷害その他のこともございませんし、酪農とのつながりも非常にいいので、農民といたしましては、大豆やアズキ等を作るよりもよほど採算がいいというので、非常に力を入れ始めたのでございます、いわば日本のてん菜糖というのは創業早々でございます。寒地ビートにいたしましても、いろいろ品種の研究がございましょう。過去十年間において画期的な品種の改良があったのであります。先ほど農林大臣が言われたように、暖地ビートの方も研究いたしております。日本のてん菜糖の将来を考えれば、これはちょうど明治時代の製鉄事業のようなものだ、こうお心得願いたいと思います。ほんとうにこれからどんどん伸びていくのには、いろいろ政府の方で施策を講じなければならぬことは当然であります。だから、でき上がった、十年、十五年たったあの一般の、あるいは三十年、五十年たった産業とは違うのであります。創業のときには、いろいろ政府が指導し、監督をしなければならぬこれは当然だと思います。だから、早く自由な立場に持っていく、今産みのときでございますから、政府がある程度の力を入れることは当然であります。
  75. 永井勝次郎

    永井委員 北海道でこそ暖地ビートの分野では新しい。新しい経験のないところへ暖地ビート工場を二つ作って、今行き詰まっておる。これはむちゃです。科学的な農業というものを無視したむちゃなやり方がこういう形になった。北海道の寒地ビートは違います。四十何年の歴史がある。そうして北海道のビートの手本はヨーロッパです。ヨーロッパでは百何十年の歴史があります中何もいろいろな発見を自分で最初からやるのでなくて、文献をあさって、それを学んでやればいい。北海道の寒地ビートはそういう正しい形において従来やっておるにかかわらず、そこへ耕作面積なり生産量にかかわりなく、利権的に工場だけが新設されて、そして農業経営の根本を破壊しようとする、こういう糖業政策が行なわれておるのが国産ビートに対する農林省のやり方なんです。そしてそういう形で行き詰まってしまうと、さあ今度は地域割りの問題は道庁にまかしてあるからよろしくやるだろう、無責任のような答弁を農林省がしておる。そうしてもちろん農業経営を基盤として、農村加工業としてビート工業というものは成り立っていかなければならぬ性質のものであると思う。ところが、日本のやり方はどうかといえば、ビートの所管が、振興局にあったのが食糧庁にいっておる。消費の分野からだけこれを扱おうとする。そこに根本の間違いがあるし、やり方も、工場を作ればビートがふえるだろうというやり方がこういう形になって現われてきておる。そうして工場を新設するには、工場の収益率を高めなければいけないという形において、農民の犠牲において工場の採算を引き合わせようとするから、生産がとまってしまう。これが現地における真実の問題です。でありますから、私は、輸入糖は輸入糖でぼろもうけがあるから、これはこれで関税なり消費税なり価格体系の中で操作すればよろしいと思う。国産ビートは国産ビートで、寒地のビートの関係はビートの関係でやればいい。暖地ビートは暖地ビートで別途なやり方でやらなければいけない。ブドウ糖はブドウ糖で、これはそれぞれの体系を整えてやる。そこに価格政策としてどういうようにやるか、こういうことをやらなければいけない。そういう形にすれば、長年にわたって砂糖のこういう問題が論議になり、不明確のまま、あいまいのまま経過されておる問題が解決すると思う。さらに一歩進めるならば、こういう問題は、私は専売にしたらどうかと思う。国が専売にして、国の責任においてどんどんやるという形において進めたら、私は問題は明確になってくると思う。ところが、砂糖業者にもうけさせて、そのもうけさせた金をビートの方につぎ込ませよう、こういうようなビート会社の財布の中で自己回転をさせようという、そういう計らいの中に、私は、不明確なものがあるし、あいまいなものがあるし、汚職的なにおいがぶんぶんしてくる。問題はここであると思う。専売にするお考えはありませんか。
  76. 池田勇人

    池田国務大臣 各国に専売の例のないことはございません。しかし、今申し上げましたように、北海道のビートはもう四十年の歴史を持っておって大丈夫だとおっしゃっても、私はそうはいかない。先ほど申し上げましたように、三十年、四十年前のビートのあの不振というものは、品種その他の関係から酪農に直接結びついておったわけじゃない、最近の十年の状況でございます。また北海道におきましても、ある地域におきましては、糖分が足らぬからというので、採算が予定通りいかぬということも聞いております。だから北海道のてん菜糖ということにつきましては、今後十分検討して極力助長していかなければならぬのでございます。従って、農林省は現地の北海道庁と連絡し、また農民の声も聞きながら、適正なビート工場の設置と農民の栽培意欲を盛り上がらしていくのが至当であると考えております。
  77. 永井勝次郎

    永井委員 総理から大へんいいお話があったのですが、農民の声を聞き、農民の意欲を伸ばす、それは制度的に機構的にメカニズムとして一つきちっと作って下さい。ただ茶話のように聞くのでは聞いたことにならない。ちゃんとそういう体系を整備していただくように希望しておきます。そしてもし総理の言うように、国産ビートを増産するための合理性を追求していく、こういうならば、私は新設工場の能力というものは大きくなくちゃいかぬと思う。それを実際は工場の数を利権的にふやすために、工場のキャパシティというものを小さく小さくしていく。これは世界の合理化方向と逆行しています。ヨーロッパにおける砂糖は短かい期間にがあっと生産してしまうのです。ビートの増産は、早く種をいかにしてまくかという研究です。それから工場における能率は、いかに早く操業にかかって、十二月一ぱいにこれを処理してしまうか、こういう形において工場のキャパシティが三千トンから四千トンというものにだんだん大きくなっていく。十二月を過ぎて一月になれば、これは自己糖化をやって糖分の歩どまりがどんどん悪くなる。溶けてしまうのですから。流れてしまうのですから。それにもかかわらず、その合理性を追求しないで、操業日数をふやして、そうして一月も、二月に入っても操業するような形にしてキャパシティを小さくして工場の数だけをふやす。これは合理性を追求しておりません。そこに、北海道のビート工場を一農林大臣なんかにまかせないで、もっと国の国策として総理大臣の手元においてこの問題を処理するという体制を整えませんと、私はこの問題の解決にはならぬと思う。  もう一つ、私は、それはそれとして、農林大臣にお伺いしますが、今漁業法の改正において、北洋漁業のサケ・マス漁獲の漁業権が、従来は母船と独航船とにそれぞれ、付属船として独航船にも与えられた。ところが今度の漁業法の改正で、農林大臣は母船にだけ漁業権を与えて独航船の方は削る、独航船は母船に従属させる、こういう体系を整えようとされておると、こう伝えられているのですが、この点はいかがでありますか。
  78. 河野一郎

    ○河野国務大臣 その点はまだ原局で検討中でございまして、私のところまではまだ上がってきておりません。
  79. 永井勝次郎

    永井委員 水産行政については、下の事務的積み上げによって最後に農林大臣が配慮される、こういうことになっておるのですか。私ら一般に聞くところでは、農林大臣は事務当局に箝口令をしいて、そうして天下りで、よけいなことを言うなとにらみつけてやっているというような、答弁と逆なようですが、これはどうなんですか。
  80. 河野一郎

    ○河野国務大臣 日ソ漁業交渉につきましては、事外交に関する問題であるから、事務当局から新聞記者諸君に発表することは差し控えるようにということは申しました。その他の点につきましては、そういうことは言いません。  ただいまの漁業法の問題につきましては、調査会がございまして、調査会から答申を得たものについて事務当局でせっかく検討中。次に私どものところに回って参る、こういうことであります。
  81. 永井勝次郎

    永井委員 北洋漁業は母船の漁業だけではなくて、やはり独航船は命をかけてやっているのです。そうして独航船は、独航船として出漁する許可を縛るためには、沿岸漁業の流し網なり、底びきの権利なり、そういうものを放棄してそうしてあそこへ出ているわけです。今までの過程において、漁獲量が減れば、これは独航船の中だけで休船の分を補償するあるいは減船したものの分を見るということで、母船とは関係なしに経営形態の違った形でこれはやっているわけです。残った独航船が今何億の負債を背負っておるということも、専門家でありますから、私は農林大臣がよくおわかりだろうと思う。一般の心配するところは、農林大臣が純粋に農林大臣としての公的な判断で処理されればよろしいが、従来の履歴から見まして、母船の利益を守ることに重点が置かれるのではないかということを独航船側は心配しておるわけです。でありますから、この点について、こまかいことはわからないにいたしましても、その考え方、その歴史的な経過、そういうものから見て既得権益は侵さないという立場において御考慮されるかどうか伺っておきたいと思います。
  82. 河野一郎

    ○河野国務大臣 従来御承知の通り、日ソ漁業交渉の結果、何トンとるかということから、何ぞうの母船が出漁するか、何ぞうの母船が出漁するから何ぞうの独航船が行くかという順序できまって参りましたことは御承知の通りであります。従って、従来この種の漁業の発達の経過から見まして、母船は許可になっておりますが、独航船につきましては、その母船に付随して参るという既成の事実があります。従って、これを今度の漁業法で明確にしようとしておるので、その点は私は研究しておりませんが、今お話しの通り、いずれも従来漁業をしておった者がこちらの方にかわって参った。それはその通りでございます。また漁船を整備する等において相当の負債を持っておることも、その通りであると考えます。従って、簡単に権利を母船だけに与えて独航船に与えないというようなことは適当でない。さればといって、独航船だけに権利を与えて――母船と独航船とは、両方一体になりまして一つの漁業形態をなすものでございますから、そこらの点にしかるべき妥当性を求める必要があるだろうと考えております。
  83. 永井勝次郎

    永井委員 弱小であるからといって踏んづけていくという形にならないように希望しておきたいと思います。最後にお尋ねいたしたいのは、肥料二法を廃止するという、これは農林大臣が首相しておるということでありますが、その理由を承りたいと思うのです。消費者である農民は、これは反対しているから希望しておらないことは事実です。でありますから、肥料二法の廃止は肥料生産業者の希望によってこれを廃止する、こういう立場をとられるのかどうか、明確にしていただきたい。
  84. 河野一郎

    ○河野国務大臣 これは肥料関係の四省の会議において二法廃止を決定いたしました。私がこれに賛成いたしました理由は、今日わが国の国内消費いたしておりまするア系肥料の価格は、国際的に見て適当な価格になっておると私は心得ております。決して高くない。また将来の見通しといたしましても、順次低減の方向をとっておりますことも周知の事実でございます。そこで、他の農産資材の点から考えてみますると、えさその他に比べまして肥料は適当な価格であって、むしろ他に留意しなければならぬ問題がたくさんある。従いまして、肥料について私として考えなければならぬ点は、必要なる数量、適当なる価格、この二つさえ適当に把握することができますれば、それで十分であるという考えでございまして、その第一の必要なる数冠の点におきましては、御承知の通り、すでに四割前後のものは輸出するほど肥料は豊富でございます。従って、国内にこの種の肥料の農家の必要な量を入手するのに困難を来たすということは、まず一応考えなくてもよろしい。ただし、あまり輸出が旺盛になり過ぎる場合を考慮いたしまして、輸出については農林大臣の同意を要するということにしておけば十分である。値段の点につきましては、今申し上げましたように、現在、つまり今肥料年度の肥料価格は、国際的に見ても、わが農民諸君がこれを使われまする価格といたしましても、まずまずこの程度で適当ではなかろうかという考えでございます。将来の見通しとしては、通産省がせっかく肥料工業振興法をお作りになって、これを合理化し、国際競争に勝てるように施策をなさることでございますから、今後値下がりはあっても値の上がることはまずまずなかろう。同時にまた、これに必要な五カ年計画等についてもお聞かせを願っておりますので、せっかく通産省の御努力によって今後の肥料価格が順次下落の方向をたどることを期待いたして、私はおまかせしていいのではなかろうか、こう考えておるのであります。万一、石炭の値上げとか、電力料金の非常な高騰とか、その他の社会条件の、経済事情の変化によりまして上がるという場合には、欧米並みに、これに対する奨励金等の処置も将来考える場合があるかもしれませんが、まず、一応といたしましては、今日の価格もしくはこれより合理化されて下がっていく価格であるということが見通しがつけば、これで農林大臣として、農政としては十分ではなかろうか、こういう見解に立って、この二法の廃止に同意いたしておる次第でございます。
  85. 永井勝次郎

    永井委員 私は、肥料の生産については非常に問題があると思う。私は肥料審議会の委員をしばらくやりましたけれども、その原価計算の内容についても非常ないいかげんなものがある、こう思っておるのであります。たとえば、この原価計算の中に広告費というものがあります。硫安に広告費は要らないのでありますが、広告費が相当ついている。それは何かというと、肥料会社は肥料だけを生産するのではなくて、いろいろな多角経営をやっております。たとえば旭化成が生産する肥料というものは、これは肥料だけではありません。旭味の広告と肥料の広告と同時に広告費として配分されているわけです。その広告費の配分はどうしているかというと、量で配分しているのです。びんのこんなものに入れる旭味の広告費と、俵で売買しているこの肥料と、数量で広告費の配分をしていますから、硫安の占める広告費というものはばかに高いのです。こんなばかなやり方で広告費、一つの例ですが、そういうやり方をしている。それから利子、利潤というのがある。利子、利潤というものがある以上は、投下資本というものがここになければ利子、利潤が出てこないから、投下資本は幾らあるかといえば、これは資料が出ないのです。そうでしょう、硫安も作れば尿素も作れば、塩安も作る。アンモニアガスというものは一つの鉄管の中からたくさん出てくる。その中でどの部分を硫安だ、どれだけが硫安だ、こういうふうな区分というのは、なかなか資本の系統から、事務の系統から区分ができない。そこでいいかげんにやった計算でやっておる。こういう関係で、この原価計算の積み上げには問題があるし、それから問題は合理化関係は量産だけを追求してきたところに問題がある。農林大臣は軍が多いから心配ないと言うけれども、量が多いから、国内消費以上の生産をしているから、どうしてもこれは外国に売らなければいかぬ。外国に売る場合、国際競争で安くたたかれるから出血輸出をしなければならぬ。その出血輸出した分を国内に転嫁するか、企業の中で吸収するか、国の助成に待つか、何らかの方法でなければ、これは赤字が埋まらないのはあたりまえです。でありますからこの肥料二法ができました理由は、外国には投げ売りする、それを国内に転嫁する、これを遮断しなければいけないという農民の要請によって昭和二十九年にこの法律ができた。その法律の有効期間がまだあるにもかかわらず、その目的が完全に達成しておらないにもかかわらず、この農民の要求によってできた法律を、農民の反対を押し切って業者の利益のためにあえて廃止して、そうして量産をして、輸出赤字の関係を処理するために農民に押しつけようとする今回のこの改正のやり方には、私はその性根において、その考え方において根本的にこれは否定しなければならぬと思うのです。  さらに私は肥料の追及は、合理化した合理化したと言いますけれども、この法律で押えているのは硫安だけです。硫安は昭和二十九年から比べて一八%より増産していません。要らないのですから……。あとの大部分の量産は何に行ったかというと尿素に行っている。合理化資金によって統制外の増産しているのです。でありますから合理化の内容も私は問題があると思う。あるいはもっとこれからはドイツやヨーロッパの方――私も視察いたしたわけでありますけれども、これは廃ガス利用という形においてこれをやっているので、なまで肥料を作るという形では採算が競争できません。でありますから製鉄関係、石油化学関係、こういうところがガスがどんどん出るのですから、その廃ガスを利用して肥料の生産にいくという方向にもっと質的な合理化を追求しませんければ、私は農民に対する答えにはならぬと思う。国際競争に打ちかつ方向は打ち出されないと思うのです。それをただ量産して、そうして価格関係だって硫安一トン一万八千円で生産するところもあれば、四万二、三千円で生産するところもある。そういうものが一緒に歩けるような仕組みの価格形成の中で、それを成立させるためにこの二法を廃止して、そうして農民にその犠牲をしょわせ込もうというようなこういうやり方は、私はいわゆる所得倍増計画における産業秩序確立の原則に反すると思う。弱い著いじめだけだと思う。そういう意味において、私は時間があればもっとこの問題を追及したいと思いますけれども、これはあとの分科会等に譲ります。  以上砂糖の問題一つ取り上げても、肥料の問題を取り上げても、中小企業関係も、所得倍増計画というものは、農民の犠牲、中小企業の犠牲、勤労者の犠牲において巨大資本の採算性を確立する、こういうねらい以外に私はないと思う。その意味において、所得の格差拡大する。縮小はしない。この意味において、国民大衆はやがてこの所得倍増計画を押しつぶしてしまうだろう、国民的反撃が起こるであろうということを予告いたしまして、私は質問を終わる次第であります。(拍手)
  86. 青木正

    青木委員長代理 次回は来たる五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会