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1962-04-27 第40回国会 衆議院 本会議 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第三十九号   昭和三十七年四月二十七日    午後二時開議  第一 臨時医療報酬調査会設置法   案(内閣提出)  第二 新産業都市建設促進法案   (内閣提出)  第三 家庭用品品質表示法案(内   閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国土を美しくする決議案簡牛凡   夫君外九名提出)  日程第一 臨時医療報酬調査会設   置法案内閣提出)  日程第二 新産業都市建設促進法   案(内閣提出)  日程第三 家庭用品品質表示法案   (内閣提出参議院送付)  道路運送車両法等の一部を改正す   る法律案内閣提出、参議院送   付)  首都圏既成市街地における工業   等の制限に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出、参   議院送付)  首都圏市街地開発区域整備法の一   部を改正する法律案内閣提出、   参議院送付)    午後二時十九分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。  国土を美しくする決議案簡牛凡夫君外九名提出)     (委員会審査省略要求案件
  3. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、簡牛凡夫君外九名提出国土を美しくする決議案は、提出者要求通り委員会審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国土を美しくする決議案議題といたします。    —————————————   国土を美しくする決議案  右の議案を提出する。   昭和三十七年四月二十六日    提出者     簡牛 凡夫  塚原 俊郎     細田 吉藏   關谷 勝利     勝澤 芳雄  久保 三郎     下平 正一  前田榮之助     内海  清  井堀 繁男    賛成者     秋山 利恭外二十一名    —————————————    国土を美しくする決議   自然の美しさを保持し、美しい環境を造形して行くことは、文化国家国民としての理想であり、また当然の義務である。   世界にその秀でたる風光を等しく認められ、古き歴史と良き伝統につちかわれたわが国の数多くの文化的資源は、われわれ国民一人一人の手によつて永久保護し存続させ、享受せねばならない。   しかるに、近時その美しさになれ、随所に所見せられる風物は、まさに理想に遠く冒とくに近いと言われざるを得ない。   よつて政府は、自然美維持文化財保護及び環境美化のため、次の諸施策を強力かつ迅速に実施し、もつて、わが国文化的水準をこう揚すべきである。  一 政府は、閣内関係閣僚による総合的機関設置して基本的対策を講ずること。  一 国土開発都市形成に当たつては、自然美存置に細心の意を払い、いやしくも美観及び観光的効果を阻害することのないよう特別の配慮を講ずること。  一 国立公園を始めとして、各種公園施設、及び代表的観光地周辺における造築物、交通機関の路線設定等重要なる影響を及ぼす事項については、自然美保持を考慮し、また、屋外広告物禁止、整理、並びに騒音防止励行徹底するよう指導すること。  一 道路公園河川交通機関等公共施設における衛生清掃設備を改善充実し、その管理を完全にするために必要な予算的措置を講ずること。  一 都市におけるじんあい処理機構充実を図り、迅速かつ衛生的処理を行なうよう行政指導すること。  一 自然美保護公共物愛護旅行道徳思想及び環境美化思想のこう揚を図るため、学校教育民間団体各種機関を通じて、国土美化思想普及徹底を行ない、政府機関は率先遂行するよう努めること。  右決議する。    —————————————
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 提出者趣旨弁明を許します。簡牛凡夫君。   〔簡牛凡夫君登壇
  7. 簡牛凡夫

    簡牛凡夫君 ただいま議題となりました国土を美しくする決議案について、提案理由を申し上げます。  まず、決議案文を朗読いたします。    国土を美しくする決議案   自然の美しさを保持し、美しい環境を造形して行くことは、文化国家国民としての理想であり、また当然の義務である。   世界にその秀でたる風光を等しく認められ、古き歴史と良き伝統につちかわれたわが国の数多くの文化的資源は、われわれ国民一人一人の手によつて永久保護し存続させ、享受せねばならない。   しかるに、近時その美しさになれ、随所に所見せられる風物は、まさに理想に遠く冒とくに近いと言わざるを得ない。   よつて政府は、自然美維持文化財保護及び環境美化のため、次の諸施策を強力かつ迅速に実施し、もつて、わが国文化的水準をこう揚すべきである。  一 政府は、閣内関係閣僚による総合的機関設置して基本的対策を講ずること。  一 国土開発都市形成に当たつては、自然美存置に細心の意を払い、いやしくも美観及び観光的効果を阻害することなのないよう特別の配慮を講ずること。  一 国立公園を始めとして、各種公園施設、及び代表的観光地周辺における造築物、交通機関の路線設定等重要なる影響を及ぼす事項については、自然美保持を考慮し、また、屋外広告物禁止、設理、並びに騒音防止励行徹底するよう指導すること。  一 道路公園河川交通機関等公共施設における衛生清掃設備を改善充実し、その管理を完全にするために必要な予算的措置を講ずること。  一 都市におけるじんあい処理機構充実を図り、迅速かつ衛生的処理を行うよう行政指導すること。  一 自然美保護公共物愛護旅行道徳思想及び環境美化思想のこう揚を図るため、学校教育民間団体各種機関を通じて、国土美化思想普及徹底を行い、政府機関は率先遂行するよう努めること。  今さら申し上げるまでもなく、わが国はまことにひいでたる風光に恵まれ、かつ、古い歴史伝統とにより築かれた豊富な文化財を有する国家として、世界にひとしく認められているところであります。この自然と文化は、ともに私ども国民の大いに誇りとするものでありますが、単にこれの恩恵を享受するだけでなく、さらに維持、存続させることは、国民各自に課せられた当然の義務と存じます。  しかるに、最近、種々開発事業の名において、これら自然保護に対する積極的配慮を欠く多くの破壊行為が無神経に行なわれ、また、商業主義の行き過ぎは、観光的効果を阻害し、環境俗化をはなはだしくしておりますことは、まことに悲しむべきことと申さねばなりません。もちろん過去におきましても、公衆道徳思想普及に関しては、種々機関団体により、啓蒙し、推進せられて参ったのでありますが、遺憾ながらその成果は十分とは申せず、最近はとみにその実害が目をおおわしめるものがあるのであります。身近に、行楽地一つを見ましても、その無秩序、非衛生等はまさに目に余り、何のための行楽、何のためのレクリエーションであるか疑わざるを得ないのであります。これは、その根源において、国民全般公徳心欠如もさることながら、施設の不備、不足、管理の不徹底によりもたらされたるものと指摘せざるを得ないのでありまして、まず、施設の完備をはかり、よごすことのできぬ環境にいたすことが先決で、設備国民公徳心との両者によって、美しい環境はささえられ、作られて参るものであり、その一方のみにては、十分なる成果期待することは不可能であります。  今日、今さらに国土美化について、声を大にせざるを得ぬ事態は、まことに遺憾事と申さねばなりませんが、このまま放置いたしましては、国民福利厚生に大いなる影響を与えますると同時に、また、国際観光の見地からも、東京オリンピック大会を二年後に迎えますわが国といたしましては、せっかく遠来の外客に対しまして、美しき日本期待を裏切ることをおそれるものであります。美しい国土は、国民すべての理解協力なくしては、実現し得ません。必要施策の実施にあたっては、行政各部門は、連絡を緊密にし、常に統一した方針に基づき、国民もまた、従来欠くるところはすなおに反省し、厳に今後を戒め、名実とも文化国家国民たらんことを期すべきであります。また、顧みますれば、われわれ政治に参与する者は、今日までこれを放置して参りましたことを深く反省し、これを機会に、本運動推進の先頭に立つべきを強く覚えるものであります。  ここにおいて、本院に新たに特別委員会設置して、根本的対策を立て、また、内閣関係閣僚による総合的機関を設け、立法手段または強力なる行政指導により、早急に諸施策を実施するの要を強く認めるものであります。政府は、この際、少なくとも、わが国代表的特定地域に対しては、すみやかに、自然美に反した施設築造物等の除去、変更、禁止等措置をとり、また、公園広場等公有地公共施設における十分なる設備管理に必要な人員、予算を施し、一方、学校家庭を初めとして、国民公徳心の発揚をはかるため、諸団体各種機関をあげての国民運動として推進するよう努力すべきものと存ずるのであります。  以上が本決議案上程趣旨説明であります。何とぞ議員各位の御賛成をお願いいたします。(拍手)     —————————————
  8. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 討論通告があります。よって、これを許します。勝澤芳雄君。   〔勝澤芳雄登壇
  9. 勝澤芳雄

    勝澤芳雄君 私は、日本社会党並びに自由民主党、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました国土を美しくする決議案賛成討論をいたすものであります。(拍手)  そもそもわが国は、自然の風景に恵まれるとともに、古い歴史伝統にはぐくまれた文化的資源が豊かな美しい国であります。古来、私たち日本人は、風を雅愛し、純粋と清潔をたっとんできました。これは、美しい自然環境がもたらした国民の特性であり、美徳であります。従って私たちは、この美しい国土を愛し、美しい環境でよい生活をすることを願っております。  ところが、最近、町や行楽地紙くずでよごされ、公園や緑地は荒らされております。しかも、川や堀やみぞ悪臭を放ち、日本名物汚職車、蚊とハエとネズミ、電柱のきたない広告、すすけた街路樹、毒々しいネオンでこぼこの道、鉄道沿線立て看板など、至るところで町や国土をきたなくしております。しかも政府は、口に文化国家近代国家を唱えながらも、今日まで何ら積極的な対策を講ぜず、国土荒廃にまかせ、一部悪質な商業資本金もうけ本位自然美破壊を放任し、助長し、その責任をあたかも国民公徳心欠如のみに押しつけて、金のかからない精神運動に依存をしてきたことは、政府の怠慢であり、はなはだ遺憾であるといわざるを得ません。(拍手)  昔から、環境は人を作る、人は環境に支配されるとか申しますが、政府は、この際、まずよい環境を、国土を美しくする環境国民に与えることが先決だと存じます。そのためには、第一に、上下水道やごみ処理ハエ蚊駆除など、環境衛生施設整備を行ない、伝染病から国民の健康を守るべきであります。いつとりに来るかわからない一ぱいになっているごみ箱や、悪臭を放っているみぞ、水のたまっているでこぼこ道などを直ちに解決すべきであります。第二に、国土美化のポスターを作るより、まず紙くずかご公衆便所整備することであります。道路公園、汽車、電車等々のごみ、ほこりをきれいに掃除するためには、十分な人や施設を配備し、人の集まる場所はいつもきれいにしておくことが必要であります。第三に、美しい資源維持し、文化財保護しなければなりません。政府は、電源開発高速道路国鉄新幹線等国土開発都市計画にあたっては、国土美化立場から十分な配慮をすべきであります。失われた自然の美や、古い歴史伝統ある文化財は、二度と取り返すことはできません。特に最近極端な金もうけ主義の一部の商業資本によって、国土の美、自然の美が破壊され、不当な暴利をむさぼっています。全国至るところの景勝地破壊され、さくがめぐらされ、景色を見るために料金を取られるようになってきました。千古の密林は切り開かれ、ケーブルカーが走り、自然美開発との調和はそろばんの前にさえぎられております。小鳥の声は車のきしみにかわり、清流はうたげのさかずきを洗うに使われ、清浄な月は赤いネオンに隠される日も近い。これこそ政府自由放任主義と無方針なばらばらのセクショナリズムの行政運営と、風雅を解せざる責任であります。法隆寺は保存されている。しかし、その周囲に鉄筋の建物が乱立したらどうだろうか。比叡山の根本中堂のまわりにはみやげ品店が軒を並べ、千年の杉が一本もなくなったとしたらどうでもしょうか。お城は昔のままのりっぱなものが保存されています。しかし、それを取り巻くお堀や川が隅田川のごとく悪臭ふんぷんとしていたらどうでしょうか。清浄な湖水に汚水を流すのを手をこまねいて見ていたり、風景上最も重要なところに広告塔を許したり、ぶさまな建物を許可することはやめるべきであります。  政府はこの際、自然の利用と保護調和を、一部の商業資本立場からでなく、国民的視野から総合した基本的な計画を立てるべきであります。私は、国土を美しくすることの成果は、政府の決意をもった積極的な施策にかかっていると存じます。敗戦によって、文化国家平和国家を宣言した私たち日本こそ、文化破壊し、国土荒廃し、人類に破滅をもたらす戦争戦争準備をやめて、明るい豊かな平和な国土建設を進めるべきであります。よく落ちる戦闘機よりも、山野や道路を荒らす重戦車よりも、まず国民生活環境改善のために、大幅な予算増額を実行すべきであります。  人はだれしもが美しいものを愛します。日本国民は昔からきれい好きだといわれております。施設が完備され、いつもきれいに、よごすことのできない美しい環境が作られることによって、自然と国民公徳心も高まり、真の国民理解協力ある運動ともなります。  ここに、私は、本決議案に盛られた諸点については、政府はおざなりな対策でなく、東京オリンピックを二年後に控え、世界の人に見られて恥ずかしくない美しい国土、美しい豊かな国民を作るために、積極果敢なる施策を断行することを強く要望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手
  10. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。  この際、建設大臣及び厚生大臣から発言を求められております。よって、順次これを許します。建設大臣中村梅吉君。   〔国務大臣中村梅吉登壇
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 国土美化重要性にかんがみまして、ただいまの御決議まことにごもっともに存じます。政府といたしましても、御決議趣旨を体しまして、最善を尽くすように努力して参りたいと思います。(拍手
  13. 清瀬一郎

  14. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 御決議の御趣旨に沿いまして、一そうの努力をいたしたいと存じます。(拍手)      ————◇—————  日程第一 臨時医療報酬調査会設   置法案内閣提出
  15. 清瀬一郎

  16. 清瀬一郎

  17. 柳谷清三郎

    柳谷清三郎君 ただいま議題となりました臨時医療報酬調査会設置法案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  社会保険等診療報酬は、厚生大臣中央社会保険医療協議会に諮問して決定しておりますが、従来の経緯にかんがみ、今回社会保険等の適正な診療報酬の決定に資するため、適正妥当な医療報酬算定基準に関する事項調査審議する機関として、総理府臨時医療報酬調査会設置しようとするのが、本案提出理由であります。  その要旨は、  まず、調査会委員五名をもって組織し、委員学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命することとし、また専門的事項調査審議するために、専門委員を置くことができることとなっているのであります。  次に、調査会は、関係行政機関に対して資料の提出のほか、必要な協力を求めることができ、また、関係団体に対してその意見を申し出る機会を与えなければならないことになっておるのであります。一なお、調査会存続期間は二年であります。  本法案は、二月二十二日本委員会に付託、同月二十八日小平総理府総務長官提案理由説明を聴取した後、審議に入りましたが、本法案重要性にかんがみ、去る四月二十五日の委員会において、参考人として日本医師会長武見太郎君、健康保険組合連合会会長安田彦四郎君、早稲田大学教授末高信君を招致して意見を聴取した後、特に池田内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行なったのであります。  昨二十六日の委員会において、質疑を打ち切りましたところ、日本社会党田邊誠君外四名より修正案提出され、田邉委員より趣旨説明があり、次いで、修正案に対する質疑があって、討論の後、採決に入りましたところ、修正案は少数で否決され、本案は多数をもって原案の通り可決すべきものと議決された次第であります。これらの詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 討論通告があります。これを許します。河野正君。   〔河野正登壇
  19. 河野正

    河野正君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案となりました臨時医療報酬調査会設置法案に対し、反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)  本論に入るに先だち、一言論及したいことは、今日、国会正常化が叫ばれ、かつ、正常化のための真摯な努力が行なわれている中で、本法案委員会審議に際しましても、何ら反省の色もなく、なお数人の質問者を残しているにかかわらず、一方的に多数で質疑を打ち切り、国会正常化のルールをじゅうりんし、言論を抑圧したその非民主的な態度であります。まず、その責任を私どもは追及せざるを得ないのであります。  さて、本法案反対討論を行なうに際し、まず第一に指摘せねばならぬ重要な点は、本法の目的が、法にいう適正な医療報酬算定にあるにあらずして、片や医師会の強い反対にあい、一方支払い団体よりの強い突き上げに困惑した自民党が、公的医療機関設立規制内容とした医療法の一部改正提案し、これと引きかえに本法を成立せしめんとした全く党利党略法案であるという点であります。(拍手)これが本法案反対する第一の理由であります。  さらに、御承知のごとく、池田総理は、今日まで口を開けば社会保障の最優先を強調して参られました。この言葉は、かつての貧乏人麦飯を食えと言ったいわゆる麦飯論と対照的であった言葉だけに、国民は今日まで大きな期待を持って見守って参ったのであります。にもかかわりませず、所得倍増計画あるいは高度成長政策の発展につれて、一枚看板でございました社会保障が大きく後退し、ついには福知山の記者会見では、物価高騰責任国民にあると、全く国民を欺瞞し、冒涜する態度に出たのであります。この豹変した態度は、今日までの低姿勢の衣からよろいをかいま見た思いで国民はりつ然といたしたのであります。  しかるに、あらためて指摘するまでもなく、医療報酬調査会設置は、適正な医療報酬算定基準に関する調査審議機関でありますが、今日、社会保障制度の中で、医療及び疾病保険の分野はきわめて大きいものがございます。特に、昭和三十六年四月、医療国民保険体制が実現して、社会保険による医療が全国民をカバーするに至ったことと、生活保護等公費負担医療費が、法律社会保険の例によって支払われる点等を考慮すれば、わが国医療費の大部分は社会保険診療報酬によって算定され、かつ支払われることになるのであります。このような意味において、社会保険診療報酬の問題は、すなわち、わが国医療費の問題であると同時に、社会保険診療報酬のいかんは、国民負担観点からも、また、医業の再生産の観点からも、きわめて重要な問題だといわなければなりません。ところが、わが国社会保険医療は、すでに三十有余年歴史を有しながら、今日までコスト主義を根拠として、その易しのぎ腰だめ方式に終始し、今や診療費算定方式政府無為無策によって全く行き詰まりの段階を迎えるに至ったのであります。しかもそのことが、・職業としての医師生活はもとより、医療そのものまで荒廃の危機に陥れたことは、われわれの断じて許しがたい点であります。これが反対の第二の理由であります。  また、憲法第二十五条も、健康で文化的な生活を保障し、真の社会保障制度推進義務国民に与えているのであります。しかるに、今日の医療が常に物と金に支配され、金持ちに都合のよいように、資本家保険者団体都合のよいように、しかも貧乏人には一番都合の悪い仕組みが押しつけられ、それがあたかも社会保障であるかのごとく国民を欺瞞して参りましたことは、これまた断じて許しがたいのであります。物と金に支配され、人間尊重をじゅうりんした国民医療は、社会保障の前途を暗たんたらしめるもので、われわれの断じて容認し得ざる点であります。すなわち、今日の皆保険体制の中で、国保、日雇保険等は、経済成長の過程で次第に零細化し、抜本的対策が樹立せられない限り、現在の国庫負担増額のみではまかないきれなくなることは明らかであります。しかるに、一方、かつては赤字に悩んだ政府管掌健保は逐次黒字を重ね、ここに成長産業転落零細事業との明暗をきわめて露骨に現わすに至ったのであります。このように、皆保険による医療保障が逆に国家を二分して、かえって貧富の差を拡大したことは、全く許しがたいと思うのであります。しかも健保連合会は五千億の含み資産を持ち、共済組合は一兆円の含み資産を持つといわれておるのでありますが、これら・の資金はすべて零細な国民大衆の拠出であります。にもかかわりませず、これらの資金国民医療に還元されず、別なものに化けたとあっては、国民は全く浮かばれないと思うのであります。この現状認識を誤った態度、以上が反対の第三の重要な点であります。  さらに、厚生省は、さきには医療金融公庫法改正で総裁を生み出し、さらには、保険庁の長官誕生をねらっております。こういったように、権力行政の傾向を一そう露骨に現わして参った事実を、私どもは無視してはなりません。特に、今回の調査会法により、医療報酬統制基準が算出せられ、医療内容まで統制が波及せんとすることは一科学の進歩を逆行せしめるのみならず、医療荒廃を招来するものと私ども強く指摘せざるを得ないのであります。これが第四の理由であり、同時に、医療保障医療費保険としての性格に変遷する危惧が存在し、英国式医療保障政策支払い方式に移行する素地を開くこともまた、われわれが医療保障の後退なりと断ぜざるを得ない点でもあります。  これを要するに、今日の経済成長の中で、合理的医療費算定基準を発見するための努力は必要でありますが、さりとはいえ、今回の調査会設置法案は、適正なる医療費という美名に隠れて、政府責任転嫁をはかる党利党略以外の何ものでもないのであります。われわれは適正なる医療費こそは医療経済全般の上に立って適正化を行なうべきことを主張し、少なくとも今回のごとき非民主的な政略的な、しかも近く行なわれまする参議院選挙対策的な政府の方策には強く反対せざるを得ないのでありまして、従って、ここに反対討論を展開いたした次第でございます。(拍手
  20. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 新産業都市建設促進法   案(内閣提出)  日程第三 家庭用品品質表示法案   (内閣提出参議院送付
  22. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第二、新産業都市建設促進法案日程第三、家庭用品品質表示法案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  23. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長報告を求めます。商工委員長早稻田柳右エ門君。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————   〔早稻田柳右エ門君登壇
  24. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田柳右エ門君 ただいま議題となりました新産業都市建設促進法案外一件につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  まず、新産業都市建設促進法案につきまして申し上げます。  本案は、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、地域格差の是正をはかり、もって国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資するため、産業の立地条件及び都市施設整備することにより、新産業都市の建設を促進しようとする目的で提出されたのでありまして、そのおもな内容は次の通りであります。  第一点は、内閣総理大臣は、都道府県知事の申請及び関係大臣の要請に基づいて新産業都市の区域を指定し、その建設に関する基本方針を指示するものとしたことであります。  第二点は、区域の指定を受けた関係都道府県知事は、新産業都市建設基本計画を作成して、内閣総理大臣の承認を受けるものとしたことであります。  第三点は、総理府に新産業都市建設審議会を設置し、区域の指定があった都道府県に新産業都市建設協議会を設置するものとしたことであります。  第四点は、基本計画の実施面において、国及び地方公共団体は、施設整備促進、地方起債、資金の確保、地方税の減免及び地方交付税の算定、関係市町村の規模の適正化等について特別の措置を講ずるものとしたことであります。  本案は、二月六日当委員会に付託され、九日提案理由説明を聴取し、自来参考人意見を徴し、また数次にわたり、農林水産、運輸、地方行政、社会労働の各委員会と連合審査会を開く等、慎重な審議を行なったのであります。  かくして、四月二十六日に至り、一切の質疑を終了し、続いて自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案の、法律の目的に雇用の安定を加えること等を内容とする修正案提出され、直ちに採決に付しましたところ、全会一致をもって修正案の通り修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しましては、これも三党共同提案の附帯決議が付されましたが、その内容については会議録を御参照願うことといたします。  次に、家庭用品品質表示法案について申し上げます。  本案は、最近新しい商品が次々と市場に現われまして、一般消費者が商品選択に際して的確な判断を下すことがきわめて困難となりつつある現状であります。そこで商品にその品質を適正に表示せしめて、一般消費者の利益を保護することを目的として提出せられたものであります。  その内容の第一点は、通商産業大臣は、政令で定める家庭用品ごとに品質等の表示の標準を定めてこれを告示し、この標準に従わない製造業者、販売業者等に対しましては、これに従うべきことを指示することができることにしております。  第二点は、生活必需品たる家庭用品について、特に必要ある場合は製造業者または販売業者に対し、表示すべき事項を表示したものでなければ販売できない旨の命令をすることができることといたしております。  第三点は、家庭用品品質審議会を設けて、表示に関する重要事項調査審議せしめることであります。  なお、繊維製品品質表示法は、本法の制定に伴っておのずから廃止することといたしております。  本案は、三月三十日当委員会に付託され、四月二十四日提案理由説明を聴取し、二十六日に、質疑を終了して直ちに採決に付しましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。  日程第二の委員長報告は修正、第三の委員長報告は可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  26. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、両案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————  道路運送車両法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  27. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出参議院送付道路運送車両法等の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  28. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 田邉國男君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  道路運送車両法等の一部を改正する法律案議題といたします。
  30. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長報告を求めます。運輸委員会理事高橋清一郎君。     —————————————   〔報告書会議録追録に掲載〕     —————————————   〔高橋清一郎君登壇
  31. 高橋清一郎

    ○高橋清一郎君 ただいま議題となりました道路運送車両法等の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案趣旨を簡単に申し上げますと、御承知のごとく、最近における自動車数の増大及びこれに伴う自動車事故の激増にかんがみ、自動車の安全性を確保し、自動車事故による被害者の保護を一そう強化するため、自動車検査制度、自動車損害賠償保障制度充実、合理化の諸方策につき、所要の改正をいたそうとするものであります。  この法律案は、道路運送車両法の一部改正及び自動車損害賠償保障法の一部改正からなっておりまして、おもなる改正の要点は、第一に、検査標章表示制度を新たに設け、自動車検査証の有効期間の終期を表示する検査標章を表示させること、第二に、指定自動車整備事業制度を新たに設け、自動車検査制度の合理化をはかるとともに、自動車使用者の利便を増進するため、保安基準適合証の交付を受けた場合には、自動車を呈示しなくてもよいこと、第三に、自動車検査証等の有効期間をカバーする保険期間のある保険証明書の呈示がないときは、自動車の検査、登録等の処分を行なわないこと、第四に、保険標章の表示制度を新たに設け、軽自動車につきましては、保険期間の終期を表示する保険標章等を表示させること等であります。  本法案は、三月十二日本委員会に予備付託され、三月十四日政府より提案理由説明を聴取し、四月十三日委員会に本付託になり、四月二十七日、質疑を行ない、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって可決した次第であります。  なお、本案に対し各党共同提案により、車両検査業務の能率化、指定自動車整備事業の厳格なる能力認定、及び保険標章交付事務を、運輸大臣の指定する使用者団体にも行なわせる等を内容とする附帯決議が付されたのであります。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  33. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  首都圏既成市街地における工業   等の制限に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出、参   議院送付)  首都圏市街地開発区域整備法の一   部を改正する法律案内閣提出、   参議院送付
  34. 田邉國男

    田邉國男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出参議院送付首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  35. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 田邉國男君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  37. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長報告を求めます。建設委員長二階堂進君。     —————————————   〔報告書会議録追録に掲載〕     —————————————   〔二階堂進君登壇
  38. 二階堂進

    ○二階堂進君 ただいま議題となりました首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案、及び首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案の両法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  両法案は、最近の首都に対する産業及び人口の過度集中が、首都の機能を著しく低下せしめている実情にかんがみまして、既成市街地内における工場、学校等の新増設に対する制限を強化し、他方、工業衛生都市における工業団地造成事業を強力に促進させることによって、既成市街地への産業及び人口の集中傾向を緩和し、この適正配置をはかる目的で提出されたのでありますが、その内容について簡単に御説明申し上げます。  首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案は、  第一に、工場、学校等の制限施設基準を、工場の作業場については千六百平方メートル以上であったものを千平方メートル以上に、大学及び高等専門学校の教室については、二千平方メートル以上であったものを千五百平方メートル以上に、各種学校の教室については、千平方メートル以上であったものを八百平方メートル以上に、それぞれ引き下げようとするものであります。  第二、施設の用途変更を行なって制限施設にする場合、及び施設の拡張をしようとする場合には、いずれも許可を受けなければならないこととしております。  第三に、一つの地域が工業等制限区域になった際に、工業等制限区域に存していた施設の拡張についても、今後は基準面積をこえる場合には、許可を受けなければならないものといたしております。  ただし、学校については、改正法の施行の日から三年間、また理工科系の大学及び高等専門学校については、当分の間、改正法の施行の日における団地の区域内で施設を拡張する場合には、許可を必要としないことといたしました。  次に、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案であります。  本案は、市街地開発区域内で工業団地造成事業を施行するための所要の改正でありますが、  第一に、工業団地造成事業は、市街地開発区域に関する整備計画に基づき、一定の条件に該当する土地の区域について、都市計画事業として施行することとし、その施行者は、都県、都県の加入する一部事務組合及び日本住宅公団といたしております。  第二に、本事業の円滑な施行を確保するため、施行者に測量及び調査のための土地の立ち入り、障害物の伐除等の権限を与え、建築行為等の制限の措置を講じております。  第三に、木事業施行上必要のある場合には、施行区域内の土地等について、これを収用することができることとしております。  第四に、造成された敷地の処分は、処分管理計画に基づいて行ない、譲受人は公募することとし、譲受人の決定にあたっては、工業等制限区域から工場分散するものを優先して選考することとしております。  その他、譲受人に対する転売制限等の義務、譲渡所得に対する税の軽減措置等について、所要の規定を設けております。  両法案は、参議院先議でありますが、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案は四月二日、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案は四月四日、それぞれ予備付託となり、四月二十五日本委員会に付託となったのであります。その間、参考人意見を聴取する等、慎重に審査をいたしたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、四月二十七日、質疑を終了、両法案について、それぞれ採決に入ったのでありますが、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案に対し、社会党より修正案提出され、採決の結果、修正案は少数をもって否決せられ、続いて原案は全会一致をもって可決されました。次いで、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案について採決の結果、多数をもって可決されました。  なお、両案には、それぞれ附帯決議が付されたのであります。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  39. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) とれより採決に入ります。  まず、首都圏既成市街地における一工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告の通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。  次に、首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。
  42. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) この際、御紹介申し上げます。  ただいま、英国下院議員商務大臣フレデリック・J・エロル氏が傍聴席にお見えになりました。ここに、諸君とともに心から歓迎の意を表したいと思います。   〔拍手〕      ————◇—————
  43. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時十一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君      ————◇—————