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1962-04-06 第40回国会 衆議院 本会議 第33号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年四月六日(金曜日)
—————————————
議事日程
第三十号
昭和
三十七年四月六日 午前零時五分
開議
第一
日本国
に対する戦後の
経済
援助
の
処理
に関する
日本国
とア
メリカ合衆国
との間の
協定
の締 結について
承認
を求めるの件 (前会の続) 第二 特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のあ る
規定
に代わる
協定
の
締結
につ いて
承認
を求めるの件 (前会の続) 第三
質屋営業法
及び
古物営業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣
提出
、
参議院送付
) 第四
国有財産法
第十三条第二項 の
規定
に基づき、
国会
の議決を 求めるの件 第五
経済企画庁設置法
の一部を 改正する
法律案
(
内閣提出
) 第六
科学技術庁設置法
の一部を 改正する
法律案
(
内閣提出
) 第七
行政管理庁設置法等
の一部 を改正する
法律案
(
内閣提出
) 第八
児童扶養手当法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
) 第九
国民年金法
の一部を改正す る
法律案
(
内閣提出
) 第十
畜産物
の
価格安定等
に関す る
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの 件 (前会の続)
日程
第二 特別円問題の
解決
に関 する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件 (前会の続)
日程
第三
質屋営業法
及び
古物営
業法の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
日程
第四
国有財産法
第十三条第 二項の
規定
に基づき、
国会
の議 決を求めるの件
日程
第五
経済企画庁設置法
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提
出)
日程
第六
科学技術庁設置法
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提
出)
日程
第七
行政管理庁設置法等
の 一部を改正する
法律案
(
内閣提
出)
日程
第八
児童扶養手当法
の一部 を改正する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第九
国民年金法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第十
畜産物
の
価格安定等
に 関する
法律
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
) 午前零時十二分
開議
清瀬一郎
1
○
議長
(
清瀬一郎
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
日程
第一
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件 (前会の続)
日程
第二 特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件 (前会の続)
清瀬一郎
2
○
議長
(
清瀬一郎
君)
日程
第一、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、
日程
第二、特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、右両件を一括して議題とし、前会の
議事
を継続いたします。 これより
討論
に入ります。 まず、
日程
第一につき、
討論
を行ないます。
黒田壽男
君。 〔
黒田壽男
君登壇〕
黒田寿男
3
○
黒田寿男
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件についての
委員長
の報告に
反対
をいたします。これからその
反対
の
理由
を述べます。
政府
は、本
協定
によりまして、
ガリオア・エロア
を
わが国
の
アメリカ
に対する
債務
として支払おうとしております。しかしながら、いかなる
理由
によって
債務
と見るかということについて、
政府
はこれまでわれわれを納得させる
根拠
を何一つ示しておりません。(
拍手
)元来
ガリオア
については、過去長い間、
政府自身
が、それが
債務
であるか
贈与
であるかということについて、はっきりとした
見解
を持っていなかったというのが事実であります。
ガリオア・エロア
は
債務
であるか
贈与
であるかという問題につきましては、過去長い
間国会
におきまして、あるいは
予算委員会
において、あるいは
大蔵委員会
において、あるいは
決算委員会等
におきまして、
質疑
が行なわれました。私
自身
が
委員会議事録
で調べただけでも、十数回にわたってこの問題についての
質疑
が行なわれております。それにもかかわらず、
政府
によって明瞭な
見解
は示されておりません。
池田首相自身
、
大蔵大臣
でありましたころ、
昭和
二十四年四月の
国会
の
委員会
におきまして、次のように
答弁
をしておる。
ガリオア
が
債務
であるか
贈与
であるか、依然としてきまっておりません、それは
平和条約
のときにきまるべきものと
考え
ておる、
外国
では
贈与
された例もある。このように
答弁
をしておるのであります。また最近、この
国会
の
予算委員会
におきまして、こう
答弁
しておる。私は、その後ずっといろいろ研究したあと、
昭和
二十五、六年ごろから、
ガリオア
は
債務
と心得ます、こう言っております、このように
答弁
をしております。しからば、
昭和
二十五、六年以前、
ガリオア援助
が開始せられてから四、五年もの間は、
池田首相
は
ガリオア
を
債務
と心得ていなかったということになるのであります。だからこそ、
昭和
二十四年の
国会
で、さきに指摘いたしましたように、
ガリオア
は
贈与
か
債務
かは依然としてきまっておりませんと
答弁
したのであります。
池田首相
は先般の
外務委員会
におきまして、この点についての私の追及にあって、合理的に弁解することができなかった。そこで、従来の
答弁
の
内容
を変更して、
ガリオア援助
が始まったころから、その中に
債務
と心得るべきものと、
贈与
と解すべきものとがまじっておったと思っておった。こういうように
答弁
の
内容
を変更したのであります。しかしながら、今になって
答弁内容
を変更いたしましても、
昭和
二十五年以前は、
債務
と心得ておらず、
債務
か
贈与
か依然としてきまっていないと
考え
ていたという
答弁
をいたしましたその事実を変えることはできないのであります。(
拍手
)この一例をあげましただけでも、
ガリオア
の
債務性
について、
政府自身
がはっきりした
考え
を持っていなかったということが証明せられるのであります。 次に、
池田首相
は、
昭和
二十四年の
大蔵大臣
としての
答弁
で、
ガリオア
が
贈与
か
債務
かは
講和会議
できまるべきものと
考え
ておると
答弁
されておる。しからば、対
日平和条約
ではどうであったか。対
日平和条約
には、
ガリオア
を
債務
として支払うべきことを
義務
づけた
規定
は全然見当たらないのであります。(
拍手
)また、対
日平和条約締結
の
責任者
でありました
吉田
元
首相
は、
平和条約締結
後の
昭和
二十八年七月の
衆議院予算委員会
におきまして、
ガリオア
の問題に関する
答弁
を行ない、それは
法的債務
ではないが、
独立国
になれば、
独立国民
の名誉から、
援助
を返したい、こういうふうに
答弁
しておる。緒方副総理も、それから約二週間後に、
ガリオア
は法的に確立した
債務
ではない、道義的なものであると答えておるのであります。対
日平和条約
の
解釈
は、この
条約
を
締結
した
首席全権
である
吉田
元
首相
の
解釈
が最高の権威を持つものであると私
ども
は見なければならぬ。その
吉田
元
首相
が対
日平和条約
で
ガリオア援助
を
法的債務
として支払う
規定
はないと認めておることが、前述の
答弁
で明らかになったのであります(
拍手
)
池田首相
の
大蔵大臣時代
の
答弁
を待つまでもなく、戦時中及び
占領期間
中に生じました
わが国
の
対外関係
上の
支払い
や
請求権
の、
平和条約締結
後の
効力
は、これを
平和条約
において
規定
しておくというのが、
国際法
上の
原則
であります。(
拍手
)しかるに対
日平和条約
には、
わが国
が
アメリカ
に対し将来
ガリオア援助
を支払うべき
義務
がある旨の
規定
は、先ほど申しましたように、全然ないのであります。
池田首相自身
も、とのことを昨日の
外務委員会
におきましてはっきりと認められております。ただし、
池田首相
は、同時に、弁解してこう言われた。
ガリオア
については後日話し合うつもりであった、こうつけ加えられたのであります。しかしながら、われわれの
常識
をもってして、
ガリオア
についてだけ他の
債権債務
の
処理
に関する
平和条約
上の取り扱いの
原則
の例外とする
理由
はないのであります。また、
政府
の
高級官僚
の
人々
、そういう
人々
は、ややともすれば
秘密独善外交
を好むという欠点を持っていますが、こういう
政府部
内の
高級官僚
が
腹の中
で何を
考え
ておりましょうとも、それによって、
国民
は何らの拘束をも受くべき筋合いのものではございません。(
拍手
)
池田首相
がその
腹の中
で、将来
ガリオア
の
支払い
についてどう
考え
ていたかということによってではなくて、文字の上に現われた
平和条約
の字句とその厳格な
解釈
、世の中には何かためにするところがあって、ある
条文
の
反面解釈
を行なったり、
拡張解釈
をしたりするようなことがありますけれ
ども
、そういうことによってではなくて、
条約
の
条文
の厳正な
解釈
と
国際法
及び
国際慣習
の
原則
に従って物事を判断すべきであります。そして、対
日平和条約
には
ガリオア
の
支払い
に関する
規定
はない。このことは、
池田首相自身
も、先ほど申しました
通り
、昨日はっきりとそう
答弁
しておられる。
池田首相
が
腹の中
にどういうことを
考え
ておいでになったといたしましても、対
日平和条約
には
ガリオア支払い
の
規定
はないのでありますから、この一点をもっていたしましても、
ガリオア
の
債務性
を主張する
政府
の
考え
方が、いかに
根拠
のないものであるかということがわかるのであります。(
拍手
)
政府
は、
ガリオア
の
債務性
の
根拠
を
スキャッピン
に求めておる。
連合国
総
司令部
の
日本政府あて
の
覚書
に求めております。この
覚書
に、
援助物資
の
支払い
について、後日これを決定する旨のただし書きがついていた、こう言うのであります。しかしながら、これがはたして
ガリオア
の
債務性
の
根拠
になるかどうか、私はこれに関する
見解
をこれから申し述べてみたいと思います。
ガリオア援助
が
債務
か
贈与
かが、本
協定
における論争の
中心点
と、現在なっております。それを決定するための根本的な基礎的な判断の資料となるものは、
ガリオア援助
が行なわれました時期におきまして、
わが国
がいかなる
国際的地位
に置かれておったかということを明らかにすることである。(
拍手
)特に
アメリカ
と
わが国
との
国際的地位
を比較して、
わが国
がいかなる
立場
に置かれておったかということをはっきりとつかんでおく必要があります。現在、
わが国
が
アメリカ
に対し、軍事的にも
経済
的にも政治的にも、文字
通り
に対等平等の
関係
にあると
考え
ることには無理がありますけれ
ども
、しかし、今は一歩譲って、一応
常識
に従って、
独立国同士
の
関係
と見られておるといたしましょう。しかしながら、
ガリオア・エロア
対
日援助
が行なわれておりました時期は、対
日平和条約締結
前の時期でありまして、
日本
は
連合国軍
の、実質的には
アメリカ軍
の
占領下
に置かれておりまして、
わが国
の主権は
連合国
総
司令官マッカーサー
の超
憲法的権力
のもとに置かれ、国の
独立
は残念ながら奪われ、
外交権
は全面的に停止せられ、
貿易
は全面的に管理せられておったのであります。要するに、
アメリカ
に対する
わが国
の当時の
国際的地位
は、対等平等の
立場
で、自由な
意思
に基づいて取引ができるというような
関係
ではなかった。絶対
権力者
としての
支配者
と、その
意思
に従うほかない被
支配者
との間の
関係
であったのであります。 そのことから次のことが言える。
アメリカ
と
日本
とは
契約的基礎
の上に立つ
国際的取引
、これを
輸出入
と言ってもよろしいでしょう。そういう
国際的取引
によって
債権債務
を発生させるような
関係
にはなかったというととであります。(
拍手
)
ガリオア援助
は、
債権債務
などの観念を超越した環境のもとで行なわれたものであります。それではどういう
援助
であったか、それは
アメリカ
の
占領政策
として行なわれた
援助
であったのであります。ここに
ガリオア援助
の
本質
があるのである。従って、同じ
アメリカ
の
わが国
に対する
援助
と申しましても、
日本国
と
アメリカ合衆国
との間のいわゆる
MSA小麦
の
輸入協定
のような一定の国際的取りきめがあって、それに基づいて
援助
が行なわれるというようなものとは
本質
的に違っておったのであります。すなわち、
ガリオア援助
は、
物資
の
輸入
の形式で行なわれはいたしましたけれ
ども
、それが通常の
商業輸入
といかに異なったものであったかということは、われわれの記憶に今なお新たなところであります。(
拍手
)
わが国
には
輸入物資
の種類あるいは
品質等
についての
選択権
はありませんでした。価格に関する何らの
協定
もなくして
輸入
せられたのであります。
支払い方法
も何ら
協定
されておりません。
物資
を入手してもその自由な処分は許されなかったのである。
国民
に
物資
を売りつけた代金は、
見返り資金
として積み立てられましたけれ
ども
、その使用についても、一銭一厘に至るまで総
司令官
の
指令通り
にするはかなかった。こういう
状態
であった。
援助物資
のこのようないわゆる買付が、法的な契約に基づくものであり得るはずはなく、従って、法的な
代金支払い債務
の発生するというような余地はなかったのであります。すなわち、
ガリオア・エロア
は
法的債務
ではない、こういう結論に到達しなければならぬ。(
拍手
) しからば、
ガリオア援助
は一体何であったろうか、これを
考え
てみなければなりません。
アメリカ
の
ガリオア予算
は本来
アメリカ
が
外国地域
における
占領
に関し、
アメリカ
の
責任
と
義務
に応ずるために必要な経費として支出したものであります。これをいま少し砕いて申しますならば、
アメリカ
が
占領
しておる地域の住民が飢餓や病気で苦しむようなことになると、そこに社会不安の
状態
が発生する。そのことは直ちに
占領軍
の不安となるのであります。このような不安から米国の軍隊を守るために、必要な
最小限度
の供給として
物資
を供給したのであります。このことを最もよく表わしておりますものが、
極東委員会
の
食糧輸入
に関する
決議
であります。この
決議
は、
日本
に
食糧
の
輸入
を許可するについての根本的な
原則
を示しております。それは次のようにいっておる。
連合軍
の当座の安全にとって必要不可欠と認めるもの以外は、
日本
に対しそれ以上の待遇を与えてはならない、こういうように
決議
をしておるのであります。これによって
日本
への
食糧輸出
は、当時の
食糧
の事情からいたしまして、
日本人
への
食糧援助
にもなりましたけれ
ども
、しかし、根本的には、
日本人
の
食糧欠乏
によって社会不安が発生すれば、それが
アメリカ
の
占領軍
に不安を与えることになるので、その不安が発生することを防ぐことによって、
アメリカ占領軍
を守るということが、根本の目的とされておったのであります。すなわち、
アメリカ占領軍
の安全にとって必要不可欠として、
食糧
についても、その
輸入
を許可したものである、こういうことがわかるのである。
ガリオア予算
は、ある
外国
に対する借款として用いらるべき
性質
のものではなかったのであります。
ガリオア物資
の
輸入
は、それによって通常の
輸入
の場合のように、先ほど申しましたように
法的債務
を負担するということになるような
性質
のものではなかったのであります。それは
占領軍
が
占領政策
として、それ
自身
の
責任
とし、
義務
とし、
利益
として、
日本
に供給した
援助
であるということができるのであります。
ガリオア援助
は
占領政策
でありますから、
占領期
が経過し、
占領政策
が終了するとともに
スキャッピン
の
効力
も消滅するのであります。
占領
中に行なわれた
援助
について、将来その取り立てを留保しておこうと思えば、
平和条約締結
の際、これを明記すべきものであったのであります。(
拍手
)しかるに、このことは明らかになされておりません。
占領
中にのみ
効力
を有する総
司令部
の
覚書
を今ごろになって持ち出してきて、これを
ガリオア
の
債務性
の
根拠
とするというようなことは、われわれの絶対に承服しがたいところであります。(
拍手
)
ガリオア援助
の
本質
を全面的に、かつ正しくとらえるためには、その
法的解釈
の面から見るほかに、
経済
的な面からも、また政治的な面からも、これを見る必要があります。
ガリオア援助
に対し
支払い
をしようという
考え
の中には、これを
法的債務
として支払おうというものと、道義の問題、名誉の問題として支払おうというものとがございます。その
立場
に相違はありますけれ
ども
、しかし、
ガリオア援助
を、本来の
意味
の
援助
と
考え
ておるという点では、両者は一致しておるのであります。すなわち、
援助
によって
アメリカ
はそれだけ損をする、そして
アメリカ
は損をするだけである、
日本
はそれだけ得をしておる、そして得をするだけである、こういう
関係
になるのが本来の
意味
の
援助
であります。かような
意味
での救済を受けたのであると
考え
る者には、
債務
の弁済として、あるいは恩に報ゆるという
意味
において、これを返そうという
考え
が起こってくるのであります。 しかしながら、
アメリカ
の戦後の対
日援助
の実体は、決してそのような単純なものではありません。それは深刻な
内容
を持っておったのである。
アメリカ
は戦後の対
日援助政策
によって、決して、われわれの目から見れば、物質的に損をしておるものではありません。その
政策
を通じて
アメリカ
は、国家としても、また
アメリカ
の
資本
としても、十分な
利益
をあげておるのである。
ガリオア援助
に見合うだけの
利益
は、
日本
からすでに取り戻しておる。(
拍手
)もっと率直に言えば、それに見合う以上の
利益
を、すでに
日本
から取り戻しておるのである。これが私は
ガリオア
問題の実体であると
考え
る。 これについて、私は若干の説明をつけ加えてみましょう。 第一に指摘したいのは、
ガリオア物資
は、その大部分が
アメリカ
の
過剰物資
であったということであります。たとえば
食糧
について申しますならば、これを
日本
にでも送らなければ、腐って使いものにならなくなってしまう、そういう
状態
にあったのであります。
ガリオア食糧
については、動物の
飼料用
のものもあったのでありますけれ
ども
、これを
贈与
と思ったからこそ、
国会
は
感謝決議
をしたのである。これは率直な事実である。今ごろになって、感謝にいろんな理屈をつけておる者がありますけれ
ども
、事実は、あの当時そうであった。また
国民
もそう思っておったのであります。それを今さら
アメリカ
が有償であるというならば、
ガリオア援助
によって
アメリカ
は非常な有利な
輸出
を
日本
を相手としてなしたことになるのであります。 第二に、
ガリオア援助
による
輸入
は、
日本
が
アメリカ
の
占領下
にあるという
特殊事情
のもとで行なわれましたために、他国の
商品輸出
が
わが国
に入り込むすきを与えないように利用せられていたのであります。
管理貿易
を媒介にして、
わが国
の対
米偏重
の
貿易政策
という、
アメリカ
にとりまして非常に有利な
貿易
を将来作り出す、その
出発点
を作ったのが、
ガリオア援助
の対
日輸出
であったのであります。(
拍手
)こういう
利益
を
アメリカ
はあげておる。 第三に、
ガリオア援助
を通じて当時
アメリカ
の
資本
がいかに
利益
をあげたかということにつきましては、これは多くの人がすでに指摘しておるところであります。計数的なことは
外務委員会
において
井手委員
などが詳細に論じられておりますので、私はここでは概論的に申し上げるにとどめます。
昭和
二十四年四月、
見返り資金特別会計設置
までの
輸出入
は、
複数レート
で操作せられておりまして、これは多くの人が指摘しておりますように、
アメリカ
からの
輸入
は不当に高く計算され、
日本
の
輸出品
は不当に安く買い付けられ、それによって
アメリカ
の
資本
は大きな
利益
をあげておる。これは動かすことのできない過去の事実であります。また、
輸出入
の差額は、
見返り資金特別会計
を通じて、
援助物資
の
払い下げ代金
でまかなったのであります。このような事実は、
日本
への
援助政策
を通じて
アメリカ
の
資本
がいかに
利益
を獲得しておるかということを示すものであります。 次に、第四に、私は
終戦処理費
との関連から
ガリオア
を
考え
ることができると思う。
ガリオア援助
もいわば
間接軍事費
であります。
終戦処理費
も同じ
性質
のものであることは、だれも疑う者はございません。われわれは
ガリオア援助
の金額が
アメリカ
の計算する
通り
であるといたしましても、その倍額以上の税金を、
国民
は
終戦処理費
として取り立てられておるのであります。
ガリオア援助
のおつりは十分以上に出ておる。これは理屈では反駁のできぬ
国民感情
であります。今さらながら
ガリオア
を支払えとは何事であるか。これがこの
協定
に対して
国民
の抱いておる率直な感情である。このことを
政府
は知るべきである。(
拍手
)以上の事実によって見ても、
ガリオア物資
に対し、
アメリカ
はすでに十分な
利益
を取り戻しておる、今さらこれに対し支払う必要は私
ども
は断じてない、そう
考え
る。 次に
アメリカ
は、
占領
、被
占領
という
関係
の中で、
ガリオア援助
という
政策
を発端といたしまして、
わが国
を
経済
的に従属さしたのでありますが、当時の
経済的従属
を通じて
日本
を政治的にも従属さしたという
利益
を
アリメカ
は得ておる。対
日平和条約
を
全面的講和
としなかったことにそれが現われております。この
条約
と同時に
日米安全保障条約
を
締結
して、
アメリカ
に対する
日本
の
軍事的従属関係
が
アメリカ
によってかちとられたのであります。
ガリオア援助
が終わった
あとMSA軍事援助
がこれにかわって
従属的関係
をさらに一そう深めました。その上に新
安保条約
によって
アメリカ
への
軍事的従属
の
体制固め
をしたのである。
ガリオア援助
はこのような
アメリカ
の対
日政策
の体系の中でこれをとらえ、そのような
アメリカ
の対
日政策
の一環として、そしてその発端としてとらえるときに、その
政治的本質
をはっきりととらえることができるのであります。
アメリカ
は今深刻な
ドル危機
の中で
ガリオア返済
を求めてきており、
池田内閣
はこれに応じました。
池田内閣
は、私
ども
から見れば、支払わなくてもよい金を
アメリカ
に支払おうとしておるのであります。これが今回の
協定
であります。これを支払うならば、私は二重にも三重にも支払うことになると思う。このような
支払い協定
にわれわれは
承認
を与えることは断じてできないのであります。(
拍手
) 次に、本
協定
の
付属交換公文
について簡単に申し述べてみたいと思います。この二つの
交換公文
にも重要な問題が含まれておる。
交換公文
の一つは
返済金
の一部を
日米
の教育、
文化
の交流のために使用することに関するものであります。これは
アメリカ
が、
政府
対
政府
の
政策
によってだけでなく、さらにそれ以外の方法によって、
日本国民
の精神の奥底にまで
アメリカ文化
の腐敗した
資本主義的精神
を植え付けようとする意図に基づくものであると私は
考え
る。これはいわゆるディプロマシィ・イン・デプスの実行を企図するものであります。われわれは、
日本
の
勤労者
の健全な
文化
の維持、擁護、発展のために、このような
政策
に対し
反対
せざるを得ないのであります。 第二の
交換公文
は、
ガリオア返済金
をもって東アジアの低
開発国
を
アメリカ
の計画に基づいて
援助
するために使用することを予定しております。
アメリカ
のこの
政策
に応じて
池田内閣
は
アメリカ
に
資金
を支払おうとしておる。その上、
池田内閣
は、この
国会
におきまして御承知のように
タイ特別円協定
の改定について
承認
を求め、正当な
理由
なくして
タイ国
に九十六億円を
贈与
しようとしております。一方は
国民
に
贈与
と思わせていたものを
債務
として支払おうというものである。他方は債権としてやがては弁済してもらえる
関係
のものを
贈与
に変えてしまったのであります。この二つの
協定
は奇妙なコントラストをなすものでありますが、同時に
わが国
が払わなくてもよい金を
外国
に支払うという点では共通のものを持っておる。その上韓国からも現在
理由
不明な金を要求せられておるのであります。 私は、こういうことだけを見ても問題の
重要性
を知ることができると思いますけれ
ども
、さらに重要な他の問題がひそんでおります。
ガリオア援助
の
支払い
を通じて
アメリカ
に返済される金は、東アジアにおける
アメリカ
の戦略基地への
援助
として支払われるということは明らかであります。
タイ国
への
支払い
が、SEATOの中心に立つ国の
政策
を強化することに役立つことは明らかである。日韓会談が中止されぬ限り、
池田内閣
は、日韓会談を通じて、韓国の凶悪な軍事ファッショ政権の強化に協力することになることも明らかであります。
池田内閣
の
アメリカ
への
ガリオア支払い
と
タイ
への
贈与
と日韓会談は、それぞれ個々別々に、相互に無
関係
の
政策
として遂行されようとしておるものではありません。これらの
政策
は、その背後に
アメリカ
の東アジア
政策
があり、それに推進せられて行なわれておるものであります。(
拍手
)これらの
政策
には内面的なつながりがある。これらは、すべて
アメリカ
の東アジア戦略への追随として行なわれるものである。
池田内閣
は、これらの
政策
によって、
アメリカ
の東アジア
政策
に追随するとともに、
わが国
の独占
資本
の東アジアへの進出をもあわせて意図しておるのであります。
池田内閣
の
政策
は、アジアの平和に役立たぬだけでなくて、アジアの緊張を激化するものであります。
アメリカ
の東アジアにおける危険な戦争
政策
に追随することによって、
わが国
を戦争の危機にさらすものである。われわれは、
池田内閣
の外交
政策
それ
自身
に全面的に
反対
し、その池田外交の一つの現われである本
協定
の
承認
にも、断固として
反対
するものであります。 以上をもちまして、私の
反対
討論
を終わります。(
拍手
)
清瀬一郎
4
○
議長
(
清瀬一郎
君) 北澤直吉君。 〔北澤直吉君登壇〕
北澤直吉
5
○北澤直吉君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件に対し、賛成の意を表せんとするものであります。(
拍手
) 一般に
ガリオア・エロア
といわれておりますところの戦後米国の対日
経済援助
の
処理
は、
わが国
における戦後
処理
の重要な一環として、米国との間の多年の懸案でありましたが、今回この
協定
によりまして、約十八億ドルに上ります
援助
額に対し、
わが国
が四億九千万ドルを年二分五厘の利子を付して十五年間にわたり半年ごとに支払うこととし、ここに本問題の最終的
解決
を見ることと相なるわけであります。 次に、本件に賛成する
理由
のうち、重要なるもの若干について申し述べます。 まず第一は、
ガリオア
等の
援助
の
債務性
に関する点であります。米国
政府
は、一部の
贈与
分を除き、本件
援助
が
贈与
であることを言明したことはなく、むしろ、
極東委員会
決定等の諸文書、マッカーサー元帥初め米国
政府
関係
者の諸証言によっても、米国は、他日これが返還さるべきものであるとの態度を明らかにしております。また、わが
政府
に対しまして、
援助物資
提供に際し、これが
支払い
については後日これを決定するとの趣旨が、
日本
が
占領下
にあった時代においては、すべてに優先して最高の
効力
を持っておった
占領軍
総
司令部
の指令において明らかにされておるのであります。このようないきさつから、この
援助
は、当初から、将来何らかの
処理
を要するものであったことは、きわめて明瞭であり、また、これに基づいて、過去十年来、
日米
間に返還交渉が行なわれて参ったのであります。このように
債務性
が明らかであります以上、これに対して相当の
支払い
をなすことは当然と申さなければなりません。一方、
平和条約
発効後十年を経過し、賠償問題もほとんど
解決
しまして、また、
わが国
の
経済
力も西ヨーロッパ程度といわれるまでに向上しました今日、これが
解決
をはかることは時宜を得たものと
考え
る次第であります。(
拍手
) 第二は、今回
わが国
が対
日援助
の
処理
として支払うことに決定しました四億九千万ドルという金額の点であります。これは
援助
総額についての
日米
双方の計算
方法
、総額より差し引くべき各種の項目金額、西ドイツの
ガリオア
処理
協定
の前例等の要素が勘案され、また一韓国及び琉球との清算勘定残高が、
日本
の米国に対する
反対
請求権
として
処理
された結果でありますし、西ドイツが
ガリオア
等の
援助
約三十億ドルに対し十億ドルを支払うこととしましたことに比較してみましても、妥当なる金額であると信ずるものであります。 第三は、今回の
協定
による
支払い
は、
日本国民
にとり二重払いとなるのではないかという点についてであります。
日本
政府
は、
援助物資
を民間に放出し、その
代金
を受け取っておりますが、この
代金
は、
昭和
二十四年見返
資金
特別会計設置以前は、
日本国
内において
物資
を安く売るための
価格
補給金等に充てられ、見返
資金
特別会計設置以後はこの会計に積み立てられ、戦後の各般の
経済
復興の
資金
源として使用せられており、
日本
政府
としては、今回の
協定
の対象となっております
援助物資
について、一銭一厘も米国
政府
に支払ってはおらないのであります。従って、
日本
政府
と米国
政府
との
関係
においては、二重払い云々は全然問題にならないのであります。(
拍手
)世間でいわれておりますところの二重払い云々は、
国民
は、放出
物資
に対しては
代金
を支払っておるから、もし、今回の
協定
による
支払い
のために、新たに
国民
からの税金を充当するようなことになれば、
国民
にとり二重払いになるのではないかということであります。しかしながら、今回の
協定
によりますれば、四億九千万ドルの
支払い方法
は、最初の十二年間に毎回二千百五十九万ドル、その後の三年間に毎回八百七十万ドルずつとなっており、
わが国
の過重なる財政負担とならないばかりでなく、また、その財源も、
援助物資
の
代金
を積み立てた見返
資金
特別会計の資産で、現在産投特別会計に引き継がれて残っているものの運用によって生ずる
利益
によりまして
支払い
得るもので、
国民
よりの税金を充当する必要はなく、従って決して世間でいうような二重払いにならないことは明らかであります。(
拍手
) 第四は、この
支払い
金の使途についてでありますが、
協定
に付属する
交換公文
において、二千五百万ドルは円貨払いとして、
日米
間の教育
文化
交流計画に使用され、残余の大部分は、東アジアその他の
地域
におきます低開発諸国に対する
経済援助
の
資金
として使用される旨の米国側意図が明瞭でありまして、
わが国
としてもまた満足すべきものと
考え
る次第であります。 第五は、戦後の対
日援助
は、あの終戦直後の極度の
食糧
難、社会不安の時期におきまして、いかに
わが国
民を勇気づけ、かつ、今日の
経済
復興の原動力となったかということでございますが、この点は何人も否定し得ないところであろうと思います。御承知の
通り
、
わが国
と同様の
立場
にあります西ドイツは、すでに九年前の
昭和
二十八年に返済
協定
を結んで、その後、米国の要請によって繰り上げ
支払い
まで行ない、すでに大部分の
債務
を履行し、今日、世界におきまして押しも押されもせぬ
国際的地位
を築き上げるのに少なからず貢献したことは周知の
通り
であります。(
拍手
)これに対して昔から
外国
よりの借金はこれを踏み倒さないで、必ずこれを返済するという輝かしい実績を持ち、これによって世界のいずれの国にも劣らない伝統的な対外信用を築き上げ、
外国
資本
の導入を促進し、明治以後の脅威的発展をなし遂げて参りました
わが国
としましては、前に述べましたような、終戦後のきわめて困難な時期に供与されたこの米国の
援助
に対しまして、
日本
の
経済
力と見合いながら適当な返済を行なうことは、
独立
自尊の誇りと、決して恩を忘れないとの信念を有する
国民
として当然のことと思われ、また、これによって、米国はもちろん、世界に対し、先進国の一つとしての
日本
の
国際的地位
の向上発展に資するところ少なからざるものがあることを確信いたす次第であります。(
拍手
) 口を開けば民族の
独立
を唱え、
日本
は米国に従属しておると非難する
人々
が、事対
日援助
については、前述の経緯を無視して、一方的に、対
日援助
は無償の
贈与
なりと断定し、これに対する
支払い
を拒否し、ひたすらに米国の恩恵、米国の慈善にすがらんとする態度は、自家愛着もはなはだしいものといわなければならぬと思うのであります。(
拍手
) この際、私が特に指摘しておきたいことは、
日本国
憲法の前文に、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等
関係
に立たうとする各国の責務であると信ずる。」と声明せられておることであります。われわれ
国民
は常にこれを心に銘記すべきものと信ずるのであります。(
拍手
) 先ほど黒田議員の
討論
を伺っておりますと、過般の社会党と中共との共同声明に表われたように、米帝国主義に対する闘争という片寄った見地からすべてを割り切って議論しておることは明らかであります。われわれとしましては、これに反駁の必要を認めないのであります。 以上述べました
理由
によりまして、私は、今回の
協定
に対し、全面的に賛意を表するものであります。 以上をもって私の賛成
討論
を終わります。(
拍手
)
清瀬一郎
6
○
議長
(
清瀬一郎
君) 佐々木良作君。 〔佐々木良作君登壇〕
佐々木良作
7
○佐々木良作君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております、いわゆる
ガリオア・エロア
協定
の
承認
を求めるの件につきまして、すでにわが党提案の積極的な撤回再交渉動議は否決せられましたので、本件に対する
反対
の
討論
を行なわんとするものであります。 戦後における米国の
わが国
に対する
援助
をどう結末をつけるかという問題につきましては、本院は、
昭和
二十四年の
大蔵委員会
における
質疑
以来、足かけ十四年間にわたって、
政府
並びに
国会
の間におきまして常に論議の対象となって参りました。この間において自民党
政府
が一貫してとってきた態度は、本件をじわじわと
わが国
の
債務
であると確認する方向に引っぱってきたことでありまするし、野党である社会党が一貫してとってきた態度は、本件は
債務
ではない、米国に対して一切返す必要はないという趣旨でありまして、いずれにしましても、本件を
日米
間の
債権債務
として認めるかどうかということに問題の焦点が置かれて参りました。このことは、本件を過去の外交案件の
処理
という観点からとらえるならば当然の帰結でありましょうけれ
ども
、私は、別の角度から、
日本
及び
アメリカ
を含む自由陣営の将来向けの世界
政策
的見地に立って本件をとらえて
処理
することをもあわせ検討すべきである、こういう観点に立ちまして、わが党
提出
の動議の基本的な
考え
もここにあったわけでありまするが、これは
内容
を省略いたします。
反対
理由
に移りまするが、本件
反対
の第一の
理由
は、すでに同僚議員諸君も述べられましたごとくに、本件の背景となっている
わが国
に対する米国の戦後
援助
は、いかなる両国間の交換文書等によりましても、
わが国
側においては、これを
法律
上の
債務
として認め得る結論はどうしても出てこないということであります。
政府
が今回本件の参考資料として
提出
した
昭和
二十四年四月六日の衆議院における阿波丸事件
決議
、同年四月十日の同事件についての
日米
両国
政府
の
処理
協定
、また、
昭和
二十二年六月二十日のマッカーサー元帥の米国議会にあてたメッセージ、及びその前年の
昭和
二十一年七月二十九日の
スキャッピン
における
援助物資
の
支払い
については後日これを決定するというただし書き、これらのいずれの資料をとってみましても、また、本日のこの議場における質問に対する外務大臣等の
答弁
を伺いましても、本件が
法律
上の
債権債務
であり、わが憲法上、財政法上、
わが国
の
債務
として認めなければならないという結論はどうしても出て参りません。
政府
提出
の資料は、むしろ、本件の
債務性
が成立しがたいことを国際的に立証するための資料とみなしても差しつかえがないと思われるほどであると思います。さらに、先ほどの論者も言われましたごとくに、
政府
は、たびたび西ドイツの例を引かれるのでありまして、戦後の復興にあたって、
わが国
と同様に西ドイツも米国から
経済援助
を受けましたけれ
ども
、西独の場合、それについての米国の
請求権
は、
援助
当初から両国の間に確認されておりました。従いまして、二国間の
債権債務
として
処理
されたのは当然の帰結でありまして、これが
わが国
の場合に当てはまり得ないことは言うまでもありません。(
拍手
)かくして、
政府
の言うがごとき
債務性
を立証することはついにできなかったと私は思うのでありまして、これが本件
反対
の最大の
理由
であります。 第二は、右のごとく、本件の背景をなす
日米
間の
債権債務
関係
が明確に立証されないにもかかわらず、
政府
は、
債務性
が濃いものという表現をもちまして
国会
に臨み、自民党の多数の力をもって
債務
を確認しようとするこの
政府
・与党の態度にあります。政治——格別外交に関しましては、
国民
の十分なる納得を前提としてのみ効果を上げ得るものでありますることは言を待ちますまい。本件を多数の圧力をもって押し切ろうとする
政府
・与党の態度は、
国会
戦術としてはあり得ても、決して
国民
を納得せしめる説得力を持つものではありません。(
拍手
)これは、
わが国
外交上現在最も重要な地位を占めるべき対米外交を、依然として
国民
に対して不可解、不明朗なままに推移させ、いたずらに対米追従外交の汚名を高からしめるに至るものであると思います。(
拍手
)従って、昨日の
外務委員会
、本日のこの本
会議
におけるごとき
状態
において、
政府
・与党の多数無理押しをもって本件を成立せしめても、それは
日米
友好の効果を上げ得るものではありません。
国民
の血税を効果なき外交に使用することは浪費であり、政治ではないと存じます。これが
反対
の第二の
理由
であります。 最後に、わが党の態度について付言をいたしたいと存じます。 まず、私は、本件に関して、皆さんも御承知のごとく、かつて
国会
が各党各派を越え、この壇上より最大の
感謝
の言葉を贈ったことを想起するものであります。そして、この率直な態度こそが、本件についての
わが国
民の心情であり、この
決議
に即応した
処理
方針こそが、今後この問題を契機として、
日米
外交を大きくプラスするものであると
考え
るのであります。(
拍手
)この
意味
において、わが党は、本件を道徳的
債務
、出世払い的
債務
という表現をもってとらえて、
わが国
の道徳的責務を、
日本
及び
アメリカ
を含む自由陣営の世界
政策
的路線に結びつけた低
開発国
援助
に振り向ける方式を主張しておるのであります。米国の戦後
援助
に対しての
わが国
民の率直な
感情
は、借金の証拠があるから返す、いや、証文がないから返さないというがごとき
処理
のワク内に窮屈に閉じ込められるものではありません。先ほど戸叶さんの御意見を拝聴いたしましたが、戸叶さん
自身
が御承知のごとくに、外交はそう簡単に白か黒かの
理屈
ばかりで
処理
できるものではありますまい。
国民
の
意思
と
感情
を常に正しく反映し、それを世界平和に貢献する方向に組織化していくのが外交であるならば、本件を
債権債務
であると無理にこじつけるのも誤りでありまするし、
債権債務
でないから一銭も返す必要がないというのも誤りであります。それは
わが国
だけの利己主義、功利主義の
立場
に立つものでありまして、少なくとも、外交としての友好も親善しない態度といわなければなりません。 かかる観点に立って、わが党は、先ほど田中議員より説明のありました
通り
、三点の
内容
を持つ撤回再交渉動議を提案いたしたわけであります。動議は遺憾ながら否決されましたが、さらに一言いたします。もし、再交渉妥結の可能性について、
政府
・与党の方で疑問を投げかけられるようなことがあるならば、私は、それこそ一にかかって
日本
政府自身
の認識と熱意にあることを指摘いたしておきたいと思います。聞くところによりますと、かつて大平官房長官は、わが党の出世払い方式という言い方に対して、すでに
わが国
は出世の段階にある、こういう意見を漏らされたとか。最重要案件と称せられた本
協定
が、
国会
に
提出
されてから一カ月余も審議なく放置され、最後の段階に至るや、昨今の無理押し強行、まさに
国会
正常化という言葉も泣くに泣けないような体たらくであって、これが出世の名に値する
わが国
の姿であるとお
考え
になるような
政府
の認識ならば、再交渉もなかなか困難でございましょう。もしこれを出世の姿と見られるならば、それは西尾
委員長
がかつてこの壇上から指摘しましたように、まさに金力万能の成金出世の姿であります。世界の外交舞台で大きな口がきけるような出世の姿ではありますまい。
わが国
の政治は、
経済
に比して半世紀もおくれているという言葉を十分かみしめていただき、猛反省をせられるよう、
政府
・与党に強く強く要望いたし、同時に、背伸び外交、党略外交の中止を断固として要求いたしまして、
反対
討論
を終わります。(
拍手
)
清瀬一郎
8
○
議長
(
清瀬一郎
君) 川上貫一君。 〔川上貫一君登壇〕
川上貫一
9
○川上貫一君 私は、
日本
共産党を代表しまして、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
に
反対
の意見を述べます。
反対
のおもな
理由
は
二つ
あります。その一つは、この
協定
は、正常な形で
委員会
を通過したものではありません。他の一つは、
協定
そのものの性格と
内容
についてであります。 池田総理大臣は、この
ガリオア・エロア
は
債務
と心得てきたものであって、一ぺんも
債務
と言うたことはないと、一貫して
答弁
をしておられます。なぜこんないいかげんなことを言わなければならぬか。
吉田
元総理は、
昭和
二十四年の四月二十七日の参議院の本
会議
で、阿波丸
協定
及び付属了解事項についての報告の中で、
ガリオア・エロア
は
日本
にとって有効な
債務
でありますと、はっきり言うております。速記録をごらんなさい。それだけではありません。その
あと
で丁寧にも、「
日本
の中には、この
ガリオア・エロア
物資
を、あたかもただでもらっておるかのような誤解がありますから、この機会に、これが
債務
であることを了解事項としてつけ加えまして、私が外務大臣として署名したのであります。」とわざわざつけ加えておるのです。これは速記録です。これは明らかに
債務
であることを承諾したのです。池田さんは、承諾したことはないと言われるが、しておるのです。これだけではありません。
吉田
元総理は——
昭和
二十六年一月の平和
会議
の直前に、
アメリカ
から示された議題表というものがあります。この議題表の中に、
ガリオア・エロア
という項目があるのです。この項目にどういうことを
吉田
さんは書き込みましたか。
日本
は
支払い
ますと書き込んでおるのです。この公の文書は、明らかに国際的に残っております。ここでもまた明らかに
債務
であることを承諾したのです。
国民
に諮らず、勝手に
債務
を取りきめたのであって、明らかに憲法第八十五条違反です。財政法第十五条を踏みにじったものです。これは明瞭です。私はここではっきりと言いたい。たとえどんな
事情
がありましょうとも、もともと明らかに憲法に違反しておることを、
国会
の名において
承認
することは絶対にできません。これは
国会
たるものの権利であり、
義務
であります。 第二に、この
ガリオア・エロア
についての
処理
は、
極東委員会
の決定、対日基本
原則
に対する重大なる違反であります。すなわち、一九四七年六月十九日の
極東委員会
の基本
原則
には、こう書いてある。
占領
者がその必要上
輸入
した非軍事的
物資
の
代金
は——これは
ガリオア・エロア
です。
日本
の
輸出
によって得た金で
国民
の最低生活を保障して、その上残りがあったならば、その
支払い
に充ててもよろしい、これが
極東委員会
の決定です。まして、今回の
協定
のように、
援助物資
の売却
代金
で支払ってもよいというようなことをどこで決定しておりますか。絶対に決定しておりません。しかるに、
政府
は、また自民党は、これは救援の
物資
であり、
援助
の
物資
であるから支払うのがあたりまえだと、池田さんなどはいたけだかになってお答えになっておる。はたしてこれが
援助物資
でしょうか。われわれはそうではないと
考え
ます。この
物資
は、明らかに
アメリカ
の対日支配
政策
に基づく
占領
措置であります。当時どういうことがありましたか。
日本
の
国民
は、敗戦の結果、生活上の困難に襲われました。一方では膨大なる隠匿
物資
がありました。それゆえに国情騒然、人民の不平と不満は至るところで爆発しました。これに対して
政府
と保守勢力は何をしましたか。何もしなかった。ただ動揺するばかりだった。このような事態に直面したGHQは、彼らの
占領政策
の上から、この人民の闘争を押えることを第一に
考え
た。
アメリカ
の本国に剰余
物資
の放出を要請したのが事実であります。このことは、ここにおられる池田総理はよく知っているはずです。外務大臣もよく知っているはずです。すなわち、GHQ、
アメリカ占領軍
の目的は、
二つ
あった。一つは、
国民
の不平不満、これの爆発と闘争の発展を押えること、もう一つは、それは
日本
をアジアにおける反共の防壁として育成する、これである。それは、その後の事実をごらんなさい。今日までの事実を見てごらんなさい。明らかにこれは証明されている。証拠がある。
アメリカ
の本国における
ガリオア予算
についての説明を一ぺん見てごらんなさい。どう言うておりますか。一九五一年、下院の歳出
委員会
における聴聞会でヴォルヒーズ陸軍次官補がどう言うておりますか。われわれはこの予算を持つことによって非共産主義の
日本
を作り上げるのだと証言している。これが証言なんだ。笑いごとではないのです。また当時の……(発言する者あり)そう言われたら痛いでしょうが、当時の予算局長であったドッジ氏は、こう言うている。われわれの極東
政策
は、
援助
の拡大によって
日本
を利用することを必要とする、こう言った。これが証言です。まだございます。
アメリカ
の国務省の説明、アイケルバーガー中将の発言、そのほかたくさんの証言がある。その証言の中で、敗戦によって
日本
の
国民
が窮状に陥っておるから、これを特別に
援助
し、救助するのだという言葉がただの一つでもありますか、一つもないのです。ましてや、これは
契約
による借款ではありません。貸与でもありません。私ははっきり言いますが、
贈与
でもないのです。まさしく
アメリカ
の反共と冷戦のための
占領政策
の手段であります。
占領軍
の安全を守る以外の何ものでもなかったと私はここに断言してはばかりません。しかも、これによって時のGHQは何をしましたか。時のマッカーサーは、
日本
の全
貿易
を握って、
ガリオア・エロア
物資
の
代金
はもちろん、
日本
の
輸出品
の
代金
まで、まるで一緒くたのどんぶり勘定にして、これをあらゆる謀略
資金
に使うておる。今もってその詳細がわからぬのです。何やらわからぬ。これは
日本
の
政府
にわからぬだけではない、もちろん自民党にはわからぬ。
アメリカ
の
政府
にさえわからぬのだ。 〔発言する者多し〕
清瀬一郎
10
○
議長
(
清瀬一郎
君) 静粛に願います。
川上貫一
11
○川上貫一君(続) 特に
昭和
二十八年の七月七日、その当時の岡野通産大臣は、
昭和
二十四年以前のものは全然わかりませんと
答弁
をしております。
昭和
二十四年のことです。今度の
国会
で、水田
大蔵大臣
はどう言いましたか。二十四年以前のものはわからぬと言っておる。これが事実なんだ。 こうして
アメリカ
は、
ガリオア・エロア
によって
日本
の
国民
には一度
感謝
をさせました。しかし、そのお金で何をしたか。この金で独占を太らせて、軍国主義の復活を助けて、
日本
を
アメリカ
の下僕に育て上げて、百パーセントの
利益
と目的を果たしておる。それを今になって、
債務
と心得て支払うという、そんな道理がどこから出ますか。さらに、支払うばかりじゃありません。この支払った金をどこへ使うというのです。あの
二つ
の
覚書
をごらんなさい。その金は、
安保条約
のもとで、
アメリカ
が極東における干渉と新しい植民地
政策
、これに使うのじゃないか。また、
日本人
を
アメリカ
のために再教育する費用に使うのじゃないですか。これこそ、まさに明らかに人民を愚弄する売国
協定
であると断言して差しつかえない。 それゆえ、
日本
共産党は、第一に、憲法の名において
反対
であります。第二に、
日本人
民の誇りと名誉の名において
反対
であります。第三に、
国会
の権威の名において
反対
であります。第四に、アジアの平和と
日本
の
独立
のために絶対
反対
であるということをここに宣言して、
反対
討論
を終わります。(
拍手
)
清瀬一郎
12
○
議長
(
清瀬一郎
君) 次に、
日程
第二につき、
討論
を行ないます。稻村隆一君。 〔稻村隆一君登壇〕
稻村隆一
13
○稻村隆一君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま上程されました特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件に
反対
の
討論
を行なわんとするものであります。(
拍手
) 新
協定
は、
タイ
に対する九十六億円の供与を、旧
協定
の投資またはクレジットの形から無償供与に切りかえようとするものでありますが、
反対
のおもなる
理由
は、第一に、
タイ
の現在の対外
政策
、国際行動から見て間接的な軍事
援助
になり、
アメリカ
の誤れる反共一辺倒
政策
を強化し、おそるべき戦争に発展する危険性を助ける結果となること、第二に、新
協定
締結
に至るまでの経緯から見て、
国際法
上の通念に反するきわめて不合理なる取りきめであること、この二点であります。 第一の点につきましては、次の事実を指摘することができるのであります。
タイ
は従来より親日国であり、かつ伝統的な中立
政策
をとってきたことは歴史の示すところであります。さきには
日本
の国際連盟脱退に際し、棄権をして
わが国
を事実上支持する態度をとり、また、第二次大戦中に、一時
日本
と軍事的な同盟
条約
を結び、
日本
軍の駐留を許しましたが、これは
日本
の軍国主義の強要によった唯一の例外でありました。中立
政策
は、欧米各国の帝国主義、植民地主義の入り乱れたる東南アジアの中心に位置し、国力も伴わない後進国としては、まことに賢明なる道であったといわねばなりません。しかるに、現在の
タイ
は、中立の伝統
政策
をなげうち、向米一辺倒、反共一色の国となり、その首都には、反共軍事同盟、SEATOの本部さえ置いているのであります。また、現政権を握る独裁者サリット元帥は、無謀、近視眼的なる
アメリカ
の出先機関と結び、イギリス、フランスの
反対
を押し切って、隣国ラオスに対する干渉に乗り出し、中立主義のプーマ政権を倒して、元帥の女婿である右派のノサバン将軍を政権の座に据える軽挙をしたのであります。その結果、中立派を、パテト・ラオなど左派との協力に追いやり、ラオスの大半は右派の手から脱落して、
アメリカ
とサリット元帥は今や自縄自縛に陥り、苦悶の渦中にあるのであります。しかも、サリット元帥は、この失敗に学ぶところなく、ますますラオス国境付近に飛行場を整備するなど、兵力の増強を行なって挑発的な行動に出、さらに中立国カンボジアに対しては、しばしば越境事件等の紛争を巻き起こし、また、泥沼の様相を呈している南ベトナムの対ベトコン戦にも、
アメリカ
に次いで派兵のそぶりを示しているのであります。 このような
タイ
に対し、九十六億円の無償供与切りかえが行なわれるがごときことは、サリット政権の無思慮なる対外
政策
への協力、てこ入れとなることは、火を見るよりも明らかなところであります。(
拍手
)池田さんの行動は、一国の総理大臣としてまことに軽率千万であり、アジアの平和のために深憂にたえざるものであります。(
拍手
)しかも、
タイ
は、SEATO加盟国として
アメリカ
の反共軍事体制に組み込まれ、
アメリカ
の誤れるアジア
政策
に積極的に参加しているのでありますから、
日本
は
タイ
に対し間接的な軍事
援助
を行なうことによって、局地戦の冒険をますます深めるものであります。東南アジアの情勢は、ベルリン問題とともに、おそるべき第三次大戦を誘発する危険性を内包していることを
考え
るとき、友邦であればあるほど、大胆率直に忠告し、警告しなければならないのであります。(
拍手
) また、かかる
タイ
に対する
日本
の
政策
は、東南アジアのインドネシア、ビルマなどの諸国に対しても、決して好印象を与えるものではありません。不安定なインドシナ半島の情勢の中で、
タイ
がさらに火の手を広げようとしていることは、強い批判を招いておるところでありますから、九十六億円の無償供与切りかえが、他の諸国にいかなる
意味
を持つものとして受け取られるかは明らかであります。そしてこのことは、第二の国際慣例上の問題とからみ合って、池田総理大臣の、いわゆる大所高所論を根底からくつがえすおそれがあると
考え
られるのであります。
タイ
特別円の
債務性
の
根拠
は、すでに
昭和
二十年十一月の
タイ
の、同盟
条約
とそれに付随するすべての
協定
の
効力
終了の通告によって失われており、いわゆる三十年
協定
、旧
協定
においても、すでに
国際法
上の通念として大きな疑問を残しているのであります。また、これまでの
外務委員会
の審議を通じて明らかになりました
通り
、国家間の貸借
関係
を清算する
支払い協定
が、それぞれ憲法上の手続を経て発効した後において、その
内容
を根本的に変更するというようなことは、国際慣例上、全く前例を見ないところであります。おそらく
常識
破りの悪例として外交史上に長く残るであろうと、外務省の内部においてすら批判する声が現われておるのを、われわれは耳にしておるのであります。しかも、
政府
・自民党がそれを知りながら、あえて新
協定
承認
を強行しようとする動機は、
タイ
側が裏では三十年
協定
は無償供与のものであると誤解していたと泣き落とし戦術に出、表では池田総理の言う
経済
断交、すなわち
輸入
停止、関税障壁などの脅迫戦術を用いるというかけ引きにゆさぶられているからであります。しかし、
タイ
側の
日本
に対する不満は、多年にわたる
日本
からの大量の
輸入
超過にあるのであり、
日本
の通商
政策
に根本的転換がない限り、九十六億円を無償供与することによって
解決
するものではないのであります。また、現に日
タイ
両国間に友好通商
条約
が現存している以上、国交断絶一歩手前とも見られる
経済
断交のごときは、
タイ
側の
立場
からしましても、実現の可能性は全然ありません。それにもかかわらず、池田総理大臣が流言飛語におびえて腰くだけとなったことは、水鳥の羽ばたきに驚いて逃亡しだ平家の貴公子にも比すべきであり、世界じゅうの物笑いの的ともなりかねない無定見といわざるを得ません。(
拍手
) こうした失態は、東南アジア諸国に池田くみしやすしの印象を与えており、池田総理大臣の否定にもかかわらず、現にビルマから賠償再検討の要求が起こっており、今後他の諸国にも影響を及ぼし、韓国の
請求権
問題等、将来に長く禍根を残すことになるのは疑いのないことであろうと思うのであります。(
拍手
) われわれは、アジアの一員として
タイ
との友好を心から願い、また、これまでの親日的
関係
が正しい姿においてますます強固になることを望むのはもちろんであります。それゆえにこそ、われわれは、新
協定
の
承認
により
タイ
側の理不尽な要求が
通り
、
日本
の外交
政策
がこれまで以上に大きくゆがめられてしまうことに
反対
せざるを得ないのであります。(
拍手
)もし万一、新
協定
不
承認
の場合において
経済
的困難が生ずるとしたならば、それはあくまでも別途の交渉、対策によって
解決
すべきものであると
考え
られます。
経済
的報復をおそれて
日本
外交
政策
の基本をゆがめるがごときは、池田総理大臣の言われる大国
日本
としてとるべき道ではないのであります。
政府
はよろしく真の大所高所に立って、戦争の防止と真の平和と善隣友好の外交の王道を堂々として進むべきであることをわれわれは
考え
るのであります。まことに、
池田首相
今回の処置は、
日本
の総理大臣として、アジアと世界の平和の
立場
より見まして重大なる過誤を犯したものであり、断固として
反対
しなければなりません。(
拍手
) 以上、
日本社会党
を代表いたしまして、
内閣提
案の不当性を指摘し、
反対
討論
を終わるものであります。(
拍手
)
清瀬一郎
14
○
議長
(
清瀬一郎
君) 床次徳二君。 〔床次徳二君登壇〕
床次徳二
15
○床次徳二君 私は、ただいま議題となっております特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件に関し、自由民主党を代表して賛成の意を表するものであります。 戦争中
日本
の
債務
でありました特別円勘定残高処一理の問題につきましては、
昭和
三十年に
締結
された特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
によって
解決
を見たのでありますが、その
協定
第二条に
規定
された九十六億円の
経済
協力に関し、
協定
発効後
タイ
側がこれを無償供与であると主張し、その後六年にわたってこの問題について両国間に幾多の折衝が行なわれたのでありますが、どうしても履行することができず、本件が日
タイ
両国の友好
関係
の重大な阻害要因になっておったのであります。 今般、
政府
は、大所高所より、三十年の
協定
を改定して新たな
協定
を
締結
して本件を
解決
したのでありますが、このことは、日
タイ
両国友好
関係
のしこりを取り除いて、
タイ
との間の友好親善
関係
を一段と強化するのみならず、アジアにおける
わが国
の声望をさらに高める
意味
において、まことに意義深いものと
考え
る次第であります。(
拍手
) しかしながら、本案件の審議にあたり種々論議がありましたので、ここにわが党の
見解
を明らかにしておきたいと存じます。 第一に、今回の措置は、大局的見地に立って、日
タイ
両国の友好
関係
の将来及びアジアにおける
わが国
の地位を
考え
るとき、きわめて有効かつ適切な措置であったと
考え
る次第であります。日
タイ
両国は古くからともにアジアの
独立国
として伝統的な友好
関係
にあり、また、現在
タイ
は
わが国
にとって東南アジアにおける最大の
輸出
市場であり、一千人をこえる在留邦人が
タイ
で
経済
活動を行なっていることを
考え
るとき、同国との友好
関係
を促進するためにでき得る限りのことをなすべきは当然のことでありますが、戦時中の
日本
の
債務
であった特別円問題に関する
協定
が履行されないため、
タイ国
民の
日本
に対する
感情
が冷却化しつつあるとき、
日本
としては
協定
文をたてにとってこれを放置しておくということは、決して賢明なことではないと
考え
るのであります。 第二に、今回三十年の
協定
を改定して九十大億円を無償供与とすれば、他の諸国に波及するのではないかとの懸念が表明されましたが、特別円問題は、戦時中
日本
が負っていた
債務
の問題であって、他の賠償あるいは賠償に伴うところの
経済
協力とは全く性格を異にする問題でありますので、これが他に波及するというおそれはないと
考え
る次第であります。 第三に、九十六億円という金額は決して少ない金額ではありませんが、これを一時に支払うのではなく、当初の七年間に毎年十億円ずつ、最後の八年目に二十六億円を支払うという方式で支払われますので、
わが国
の財政に与える負担はそれほど大きなものではなく、本件の
解決
によって日
タイ
友好
関係
がさらに緊密化し、
わが国
の
タイ
に対する
輸出
が一段と増大されることを
考え
まするならば、
わが国
にとっても有利でこそあれ、決して不利ではないと
考え
る次第であります。(
拍手
) 第四に、今次の
タイ
特別円問題の
解決
は、
アメリカ
の対外
援助政策
の肩がわりではないかとの説もあるのでありますが、これは全く片寄った見方であると
考え
る次第であります。東南アジア諸国との友好
関係
の促進は、
わが国
の外交の基本
原則
の一つであって、東南アジアのあらゆる国との友好
関係
の促進を念願としておることは申すまでもありません。今次の特別円問題の
解決
は、特別円という戦時中の日
タイ
関係
より生じました問題が、両国の友好
関係
のしこりとなっておりましたのを
解決
いたしたのでありまして、
アメリカ
の外交
政策
とは全く
関係
のないものであることは、きわめて明らかなことであります。 なお、今次の
協定
によって、
タイ
側が
わが国
から年々
支払い
を受ける金円をもって、
タイ
側は
わが国
の生産物及び役務を買い付けることを約束しておりますが、一部巷間に伝えられたごとく、
タイ
側がこれを武器弾薬等の調達に使用することのないことは、合意
議事
録に明らかに約束せられておりまして、かかる心配のないことを付言いたしたいと思うのであります。 以上述べました
通り
、今回の
協定
締結
はきわめて適切であると認めますが、これが
国民
の負担によって実施せられる以上は、
政府
は単に
協定
の適切な実施並びに運営を期せられるのみならず、これを契機といたしまして、日
タイ
両国友好
関係
の強化促進と、ますます積極的なアジア外交の推進に努力せられることを心より望む次第であります。 以上簡単でありますが、これをもちまして私の賛成の
討論
といたします。(
拍手
)
清瀬一郎
16
○
議長
(
清瀬一郎
君) 本島百合子君。 〔本島百合子君登壇〕
本島百合子
17
○本島百合子君 私は民主社会党を代表して、ただいま議題となりました特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件に対し、
反対
の
討論
を行なうものであります。(
拍手
)
タイ
特別円に関しましては、
昭和
三十年八月、特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
が
締結
され、
わが国
は五年の分割払いによって五十四億円を
タイ
に支払うとともに、
経済
協力として九十六億円を限度とし、投資及びクレジットの形により、
わが国
の
資本
財及び役務を供給することを約束したことは御承知の
通り
であります。しかも、このことは当時の
国会
の議決を経て
国民
も納得している事柄であります。この問題に関しましては、三十年
協定
から七年の歳月を経過しており、当時から今日までその具体化しなかった懸案の
経済
協力供与九十六億円の円貨
支払い
の取りきめについて、
政府
は本年一月三十一日、にわかに新
協定
に調印したものであります。その当時から、
国会
承認
を得ることの困難を予想して、最悪の場合は自然成立もやむを得ないということを申し、その決意をもって
国会
提出
をすることになったそうでありますが、何がゆえにかかる決意をしなければならなかったのでしょうか。それは
国民
の納得のいかない
内容
であるからでありましょう。従って、今回
外務委員会
の審議にあたりまして、二回にわたる
質疑
打ち切りの暴挙をいたしましたことは、
国民
とともに許すべからざる行為といおなくてはなりません。(
拍手
)
タイ
特別円問題は終戦
処理
に関することでありますから、
国民
に納得と理解が得られることであれば、三十年
協定
のときと同じようにスムーズに審議されたはずでありますが、
政府
は初めから政治的配慮であると述べているところに問題があり、
国民
に暗い疑惑を持たせ、外交上にも不信の感を深くしたものであります。 昨年、
池田首相
はバンコック訪問に際し、サリット
首相
と会談して、今回の新
協定
を急遽調印されました段取りを見ますと、
タイ国
に対し
日本
は全面的な譲歩となっており、三十年
協定
の
解釈
にあたっても、両国間に大きな開きがあることが明確となったわけであります。いわゆる三十年
協定
にあたって、九十六億円の貸与条件また期間等が明確でなく、第二条と、そのための合同
委員会
の設置をきめた第四条を具体化すべきであったのに、当時
タイ国
との間にこの点の取りきめを行なわなかったことは、外交上重大な失態と申さなければなりません。 さらに、現行二条の中には、九十六億円を限度とする
経済
協力の措置は、あくまでも「投資及びクレジットの形式で、
日本国
の
資本
財及び
日本人
の役務を
タイ
に供給することに同意する。」とあって、この九十六億円はあくまでも無償供与でなく、有償貸与であることは文言上きわめて明瞭であります。にもかかわらず、無償供与に切りかえようとする新
協定
は、全く
国民
の利害を無視した奇怪しごくの態度と申さなければなりません。(
拍手
) 第三に、
日本
側が
タイ
に支払うべき
資金
の性格が、
協定
上きわめて明確でありながら、この
協定
の明文の
解釈
をめぐって、
日本
側と
タイ
側との間に重大なそごを来たすに至ったのはなぜでありましょうか。すなわち、
協定
締結
の背後には不明朗きわまる暗黙の
取引
が当時存在したのではないかという疑惑があります。こうした点につきまして、本来、戦争中の同盟国間の
債権債務
関係
は、敗戦の場合放棄するのが通例であります。たとえば第二次大戦後のイタリア、ブルガリア、ルーマニアに対する
平和条約
では、これらの国は同盟国であるドイツに対する
請求権
を一方的に放棄し、
日本
の
平和条約
では、相互放棄を条件としてドイツに対する
請求権
を放棄しているのであります。ところが、
タイ
は当時
わが国
と同盟
条約
を結んでいたことは御承知の
通り
であります。しかも、この同盟
条約
並びにこれに付随する
協定
を、
タイ国
が一方的に廃棄する通告を行なってきたのは、
昭和
二十年の九月十一日であったのであります。このような事実からして、当時
タイ
の特別円
債権
は無効になったという
見解
すらあったのであります。しかしながら、
わが国
は
タイ国
との親善
関係
の樹立という見地から、三十年現行
タイ特別円協定
を結んで、
タイ国
の要請にこたえて五十四億円の無償供与と九十六億円の
経済
協力のための有償供与を約束したというのがこれまでの偽らざるいきさつであります。従って、
国民
としてはこれ以上の犠牲を払う必要はごうも認められないのであります。 第四に、日
タイ特別円協定
に対する
国民
の疑惑の一つは、このような戦後
処理
協定
にあたって、当然
処理
すべきであった日緬鉄道等の
タイ
に対する
債権
を同時に相殺しなかったということであります。いかに敗戦国とはいえ、
タイ
は同盟国であったのでありますから、
債務
債権
を明確にして、
日本
の
立場
も相手国の
立場
も平等に取りきめられたはずであります。 以上述べましたような
理由
に基づいて、新
協定
より三十年
協定
の方がはるかに日
タイ
親善の基盤を持っていることは明らかであり、産業、
経済
の発展に寄与するもの大なるものがあります。しかるに、あえて新
協定
に調印せざるを得なかった
理由
を私
ども
は発見することができないのであります。敗戦のみじめさから立ち上がっていくことのむずかしさは、
日本人
みずからが体得しております。戦後十七年を迎える
わが国
におきましても、戦争のなまなましい傷
あと
はいまだいえておりません。御承知のように、戦争による賠償金はすでに四千億円にも上り、もしここに
政府
が提案しておりますところのヨ
タイ特別円協定
並びに
ガリオア・エロア
協定
が取りきめられるとすれば、この種の負担は六千億円にも達します。このことは、
国民
生活の圧迫となり、社会保障の充実、完全雇用の実施、低額所得層の生活水準の引き上げ等に支障を来たし、いまだ一千数百万人の生活困窮者をかかえておる原因ともなっておることを忘れてはなりません。 最後に、
政府
は国家間の
協定
として
国会
の議決を経たものを、一回の
首相
間の会談によって、五億円に近い有償貸与を無償供与に切りかえる暴挙をあえてなし得るとするならば、
国民
の血税を私物化し、国際間の信用を失墜したといわなくてはなりません。(
拍手
) 今や
日本
の
経済
は、国際収支の赤字とともに、
経済
成長の見通しの誤りによる不況、所得倍増ならざる物価倍増で、
勤労者
、農民、一般
国民
の政治に対する不信は日とともに高まりつつあります。 私
ども
民社党は、秘密外交を排し、
国民
とともに
国民
のための政治を行なうことを強く要望し、
国民
の納得のいかぬ
タイ特別円協定
の改定に
反対
の意を表明して、私の
反対
討論
を終わります。(
拍手
)
清瀬一郎
18
○
議長
(
清瀬一郎
君) 以上をもって
討論
は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず、
日程
第一につき採決いたします。 この採決は記名投票をもって行ないます。本件を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君は白票、
反対
の諸君は青票をおのおの持参せられんことを望みます。——閉鎖。 〔議場閉鎖〕
清瀬一郎
19
○
議長
(
清瀬一郎
君) 氏名点呼を命じます。 〔参事氏名を点呼〕 〔各員投票〕
清瀬一郎
20
○
議長
(
清瀬一郎
君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。 〔議場開鎖〕
清瀬一郎
21
○
議長
(
清瀬一郎
君) 投票を計算いたさせます。 〔参事投票を計算〕
清瀬一郎
22
○
議長
(
清瀬一郎
君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。 〔事務総長報告〕 投票総数 四百 可とする者(白票) 二百五十 〔
拍手
〕 否とする者(青票) 百五十 〔
拍手
〕
清瀬一郎
23
○
議長
(
清瀬一郎
君) 右の結果、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件は
委員長
報告の
通り
承認
するに決しました。(
拍手
)
—————————————
本件を
委員長
報告の
通り
決するを可とする議員の氏名 安倍晋太郎君 安藤 覺君 相川 勝六君 愛知 揆一君 青木 正君 赤城 宗徳君 赤澤 正道君 秋田 大助君 秋山 利恭君 足立 篤郎君 天野 公義君 綾部健太郎君 荒舩清十郎君 有田 喜一君 有馬 英治君 井原 岸高君 井村 重雄君 伊藤 五郎君 伊藤 郷一君 伊藤宗一郎君 伊藤 幟君 飯塚 定輔君 生田 宏一君 池田 清志君 池田 勇人君 池田正之輔君 石田 博英君 一萬田尚登君 稻葉 修君 今松 治郎君 宇都宮徳馬君 宇野 宗佑君 上村千一郎君 植木庚子郎君 臼井 莊一君 内田 常雄君 内海 安吉君 浦野 幸男君 江崎 真澄君 遠藤 三郎君 小笠 公韶君 小川 平二君 小沢 辰男君 小澤佐重喜君 小澤 太郎君 尾関 義一君 大石 武一君 大上 司君 大久保武雄君 大倉 三郎君 大沢 雄一君 大高 康君 大竹 作摩君 大野 市郎君 大野 伴睦君 大橋 武夫君 大平 正芳君 大村 清一君 大森 玉木君 岡崎 英城君 岡田 修一君 岡本 茂君 加藤 高藏君 加藤常太郎君 加藤鐐五郎君 金子 一平君 金子 岩三君 金丸 信君 上林山榮吉君 神田 博君 亀岡 高夫君 鴨田 宗一君 唐澤 俊樹君 仮谷 忠男君 川島正次郎君 川野 芳滿君 川村善八郎君 菅 太郎君 簡牛 凡夫君 木村 公平君 木村 守江君 岸 信介君 岸本 義廣君 北澤 直吉君 久野 忠治君 久保田円次君 久保田藤麿君 草野一郎平君 倉石 忠雄君 倉成 正君 藏内 修治君 黒金 泰美君 小枝 一雄君 小金 義照君 小坂善太郎君 小平 久雄君 小山 長規君 河野 一郎君 河本 敏夫君 纐纈 彌三君 佐々木秀世君 佐々木義武君 佐藤虎次郎君 佐藤洋之助君 佐伯 宗義君 齋藤 邦吉君 齋藤 憲三君 坂田 英一君 坂田 道太君 櫻内 義雄君 笹本 一雄君 薩摩 雄次君 志賀健次郎君 始関 伊平君 椎熊 三郎君 椎名悦三郎君 重政 誠之君 澁谷 直藏君 島村 一郎君 首藤 新八君 正示啓次郎君 白浜 仁吉君 周東 英雄君 壽原 正一君 鈴木 正吾君 鈴木 仙八君 鈴木 善幸君 瀬戸山三男君 關谷 勝利君 園田 直君 田川 誠一君 田口長治郎君 田澤 吉郎君 田中伊三次君 田中 榮一君 田中 角榮君 田中 龍夫君 田中 正巳君 田邉 國男君 田村 元君 高田 富與君 高橋清一郎君 高橋 等君 高見 三郎君 竹下 登君 竹山祐太郎君 舘林三喜男君 千葉 三郎君 中馬 辰猪君 津雲 國利君 津島 文治君 塚原 俊郎君 辻 寛一君 堤 康次郎君 寺島隆太郎君 渡海元三郎君 徳安 實藏君 床次 徳二君 富田 健治君 内藤 隆君 中垣 國男君 中島 茂喜君 中曽根康弘君 中野 四郎君 中村 幸八君 中村庸一郎君 中山 榮一君 永田 亮一君 灘尾 弘吉君 南條 徳男君 二階堂 進君 丹羽喬四郎君 丹羽 兵助君 西村 英一君 西村 直己君 野田 卯一君 野田 武夫君 野原 正勝君 羽田武嗣郎君 馬場 元治君 橋本登美三郎君 長谷川四郎君 長谷川 峻君 服部 安司君 濱田 幸雄君 濱田 正信君 濱野 清吾君 早川 崇君 林 博君 原 健三郎君 廣瀬 正雄君 福家 俊一君 福田 赳夫君 福田 篤泰君 福田 一君 福永 一臣君 福永 健司君 藤井 勝志君 藤枝 泉介君 藤田 義光君 藤原 節夫君 藤本 捨助君 藤山愛一郎君 船田 中君 古井 喜實君 古川 丈吉君 保科善四郎君 保利 茂君 坊 秀男君 細田 義安君 細田 吉藏君 堀内 一雄君 本名 武君 前尾繁三郎君 前田 正男君 前田 義雄君 牧野 寛索君 益谷 秀次君 松浦周太郎君 松浦 東介君 松澤 雄藏君 松田 鐵藏君 松永 東君 松野 頼三君 松山千惠子君 三池 信君 三浦 一雄君 三木 武夫君 南好 雄君 宮澤 胤勇君 村上 勇君 毛利 松平君 森下 國雄君 森田重次郎君 森山 欽司君 八木 徹雄君 保岡 武久君 柳谷清三郎君 山口 好一君 山崎 巖君 山田 彌一君 山中 貞則君 山村新治郎君 山本 猛夫君
吉田
重延君 米田 吉盛君 米山 恒治君 早稻田柳右エ門君 渡邊 良夫君 古賀 了君 否とする議員の氏名 安宅 常彦君 阿部 五郎君 赤松 勇君 淺沼 享子君 足鹿 覺君 飛鳥田一雄君 有馬 輝武君 淡谷 悠藏君 井伊 誠一君 井岡 大治君 井手 以誠君 猪俣 浩三君 石川 次夫君 石田 宥全君 石橋 政嗣君 石村 英雄君 石山 權作君 板川 正吾君 稻村 隆一君 小川 豊明君 緒方 孝男君 大柴 滋夫君 大原 亨君 太田 一夫君 岡 良一君 岡田 利春君 岡田 春夫君 加藤 勘十君 加藤 清二君 勝澤 芳雄君 勝間田清一君 角屋堅次郎君 川俣 清音君 川村 継義君 河上丈太郎君 河野 正君 木原津與志君 北山 愛郎君 久保 三郎君 久保田鶴松君 栗原 俊夫君 栗林 三郎君 黒田 寿男君 小林 信一君 小林 進君 小林 ちづ君 小松 幹君 兒玉 末男君 五島 虎雄君 河野 密君 佐々木更三君 佐藤觀次郎君 佐野 憲治君 坂本 泰良君 阪上安太郎君 實川 清之君 島上善五郎君 島本 虎三君 下平 正一君 東海林 稔君 杉山元治郎君 鈴木茂三郎君 田口 誠治君 田中織之進君 田中 武夫君 田邊 誠君 田原 春次君 多賀谷真稔君 高田 富之君 高津 正道君 滝井 義高君 楯 兼次郎君 辻原 弘市君 戸叶 里子君 堂森 芳夫君 中澤 茂一君 中島 巖君 中嶋 英夫君 中村 重光君 中村 高一君 中村 英男君 永井勝次郎君 楢崎弥之助君 成田 知巳君 二宮 武夫君 西宮 弘君 西村 力弥君 野口 忠夫君 野原 覺君 芳賀 貢君 長谷川 保君 畑 和君 原 茂君 原 彪君 日野 吉夫君 肥田 次郎君 平岡忠次郎君 広瀬 秀吉君 藤原豊次郎君 帆足 計君 細迫 兼光君 堀 昌雄君 前田榮之助君 松井 政吉君 松井 誠君 松平 忠久君 松原喜之次君 松本 七郎君 三木 喜夫君 三宅 正一君 武藤 山治君 村山 喜一君 森島 守人君 森本 靖君 八百板 正君 八木 一男君 矢尾喜三郎君 安井 吉典君 安平 鹿一君 山内 広君 山口シヅエ君 山口丈太郎君 山口 鶴男君 山崎 始男君 山田 長司君 山中 吾郎君 山中日露史君 山花 秀雄君 山本 幸一君 湯山 勇君 横路 節雄君 横山 利秋君 吉村 吉雄君 井堀 繁男君 伊藤卯四郎君 稲富 稜人君 受田 新吉君 内海 清君 春日 一幸君 片山 哲君 佐々木良作君 鈴木 義男君 田中幾三郎君 西尾 末廣君 西村 榮一君 門司 亮君 本島百合子君 川上 貫一君 志賀 義雄君 谷口善太郎君
—————————————
清瀬一郎
24
○
議長
(
清瀬一郎
君) 次に、
日程
第二につき採決いたします。 本件は
委員長
報告の
通り
承認
するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
清瀬一郎
25
○
議長
(
清瀬一郎
君) 起立多数。よって、特別円問題の
解決
に関する
日本国
と
タイ
との間の
協定
のある
規定
に代わる
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件は
委員長
報告の
通り
承認
するに決しました。(
拍手
) ————◇—————
日程
第三
質屋営業法
及び
古物営業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
清瀬一郎
26
○
議長
(
清瀬一郎
君)
日程
第三、
質屋営業法
及び
古物営業法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。
—————————————
清瀬一郎
27
○
議長
(
清瀬一郎
君)
委員長
の報告を求めます。地方行政
委員会
理事高田富與君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔高田富與君登壇〕
高田富與
28
○高田富與君 ただいま議題となりました
質屋営業法
及び
古物営業法
の一部を改正する
法律案
について、地方行政
委員会
における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。 まず、
質屋営業法
の改正の要旨は、第一に、質屋が質物として同種のものを取り扱う営業者から善意で質にとった物品が、盗品または遺失物であった場合における被害者等の無償回復
請求権
の対象から有価証券を除外したこと、第二に、質屋営業の許可証の更新制度を廃止したこと、第三に、質置主が物品を取り扱う営業者であり、かつ、その質に入れようとする物品がその取り扱っている物品である場合、質屋は、その物品の流質期限を一カ月まで短縮することができることとしたこと、第四に、質屋は命令で定める
方法
により、相手方が受取権者であることを確認した場合でなければ、質物を返還してはならないこととし、それを確認して質物を返還したときは、
原則
として正当な返還とみなすこととしたことなどであります。 次に、
古物営業法
の一部改正の要旨は、古物商及び市場主等の許可証の更新制度を質屋の場合と同様廃止したことであります。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 本案については、三月十五日安井国務大臣より提案
理由
の説明を聞き、自来審査を続けて参ったのでありますが、その詳細は
会議
録に譲ります。 三月二十九日、
質疑
を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案の
通り
可決すべきものと決定したのであります。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
—————————————
原健三郎
29
○副
議長
(原健三郎君) 採決いたします。 本案の
委員長
の報告は可決であります。本案を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
30
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は
委員長
報告の
通り
可決いたしました。 ————◇—————
日程
第四
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の議決を求めるの件
原健三郎
31
○副
議長
(原健三郎君)
日程
第四、
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の議決を求めるの件を議題といたします。
—————————————
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の議決を求めるの件
—————————————
原健三郎
32
○副
議長
(原健三郎君)
委員長
の報告を求めます。大蔵
委員長
小川平二君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔小川平二君登壇〕
小川平二
33
○小川平二君 ただいま議題となりました
国有財産法
第十三条第二項の
規定
に基づき、
国会
の議決を求めるの件につき、
大蔵委員会
における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本件の
内容
は、まず第一に、葉山御用邸の暖房設備新設、第二に、皇居内生物学御研究所の標本室建築、第三に、皇居付属庭園施設整備計画に基づき、廐務班事務所、馬車庫等の新築等であり、これに要する費用総額七千九百七十八万八千円が
昭和
三十七年度一般会計予算案に計上いたしてありますが、これを皇室用財産として取得しようとするものであります。 本件は、審議の結果、昨四日、
質疑
を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の
通り
可決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
—————————————
原健三郎
34
○副
議長
(原健三郎君) 採決いたします。 本件の
委員長
の報告は可決であります。本件を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
35
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、本件は
委員長
報告の
通り
可決いたしました。 ————◇—————
—————————————
原健三郎
36
○副
議長
(原健三郎君)
委員長
の報告を求めます。
内閣
委員長
中島茂喜君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔中島茂喜君登壇〕
中島茂喜
37
○中島茂喜君 ただいま議題となりました三法案につき、
内閣
委員会
における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、法案の要旨を申し上げますと、
経済企画庁設置法
の一部を改正する
法律案
は、第一に、水資源の総合的な開発及び利用の合理化を強力に推進するため、新たに水資源局を設置すること、第二は、審議官の定数を二人減ずること、及び職員の定員を三十二人増員することであります。
行政管理庁設置法等
の一部を改正する
法律案
は、第一に、行政管理庁が監察に関連して行なう調査の対象に、鉱害復旧事業団等四つの事業団を加えること、及び同庁の職員の定員を十人増員すること、第二は、北海道開発庁の職員の定員を千二百九十七人増員することであります。
科学技術庁設置法
の一部を改正する
法律案
は、第一に、科学技術庁の総合調整機能を強化するため、新たに研究調整局を設置すること、第二は、放射性降下物による障害の防止に関し、
関係
行政機関が講ずる対策の総合調整を行なうことを科学技術庁の権限に加え、これを原子力局の所掌とすること、第三は、科学審議官の定数を二人減ずること、及び職員の定員を二百五十七人増員することであります。 以上三法案は、それぞれ、一月二十五日、同じく二十五日、二月五日、本
委員会
に付託され、二月一日、同じく一日、二月六日、
政府
より提案
理由
の説明を聴取し、四月四日、
質疑
を終了いたしましたところ、右三法案に対し、自民、社会、民社三党共同提案にかかる、施行期日を公布の日に改め、定員に関する改正
規定
は四月一日適用とする旨の修正案がそれぞれ
提出
され、草野委員より趣旨説明がなされた後、
討論
もなく、採決の結果、右三法案はいずれも全会一致をもって修正案の
通り
修正議決いたしました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
原健三郎
38
○副
議長
(原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。 三案の
委員長
の報告はいずれも修正であります。三案を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
39
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも
委員長
報告の
通り
決しました。 ————◇—————
日程
第八 児亙扶養手当法の一部 を改正する
法律案
(
内閣提出
)
日程
第九
国民年金法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
)
原健三郎
40
○副
議長
(原健三郎君)
日程
第八、
児童扶養手当法
の一部を改正する
法律案
、
日程
第九、
国民年金法
の一部を改正する
法律案
、右両案を一括して議題といたします。
—————————————
—————————————
原健三郎
41
○副
議長
(原健三郎君)
委員長
の報告を求めます。社会労働
委員会
理事井村重雄君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔井村重雄君登壇〕
井村重雄
42
○井村重雄君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働
委員会
における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、
児童扶養手当法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 本法は、本年一月から施行されておりますが、今回、さらに手当の額を引き上げるとともに、受給資格者の所得制限を緩和して、児童扶養手当制度の充実をはかろうとするのが、本改正案の目的であります。 そのおもなる
内容
は、 第一に、現行法では手当の月額が児童一人の場合は八百円、二人の場合は千二百円、三人以上の場合は三人以上の一人につき二百円を加算することになっておりますのを、児童二人の場合は千四百円、三人以上の場合は三人以上の一人につき四百円を加算することに改めることであります。 第二に、受給資格者の前年度の所得による支給制限の額を十三万円から十五万円に引き上げて、支給要件を緩和しようとするものであります。 次に、
国民年金法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 本法は、
昭和
三十六年四月をもって全面的に実施されたのでありますが、低所得者階層の処遇をさらに厚からしめる等、なお改善充実の必要があるため、本改正案が
提出
されたものであります。 そのおもなる
内容
は、 まず、拠出年金に関しては、第一に、国庫は、保険料を免除された者に対しても、その保険料の二分の一を負担すること、第二に、老齢年金の支給要件を緩和すること、すなわち、保険料の納付済み期間、免除期間またはこれらの合算期間が三十五年以上であれば支給することとし、その額は、保険料の納付済み期間に応じて定める額と免除期間に応じて定める額との合算額とすること、第三は、障害、母子、準母子及び遺児の各年金の受給資格を緩和して、三年間被保険者であれば、たといその全期間が保険料を免除されていても、年金を支給すること等であります。次に、福祉年金に関しては、第一に、受給権者本人の所得による支給制限額十三万円を十五万円に引き上げること、第二に、公的年金と福祉年金の併給について、その額の限度を
原則
として二万四千円とし、公的年金が戦争、公務により死亡または廃疾に基づいて支給されている場合には、この限度を七万円とすること、第三に、老齢、障害の各福祉年金の受給者の配偶者が公的年金を受けている場合の制限を撤廃し、さらに母子、準母子の各福祉年金を支給される子の加算額二千四百円を四千八百円に引き上げることといたしたのであります。 以上二法案は、二月二十一日厚生大臣より提案
理由
の説明を聴取し、審議に入ったのでありますが、四月四日の
委員会
において
質疑
を終了いたしましたところ、
日本社会党
八木一男君外十一名より
国民年金法
の一部を改正する
法律案
に対する修正案が
提出
され、八木君より趣旨の説明が行なわれました。次いで、
討論
の後、採決の結果、修正案は賛成者少数をもって否決され、
政府
提出
の両法案は多数をもって原案の
通り
可決すべきものと議決いたした次第でございます。 なお、両法案に対して、自由民主党、
日本社会党
、民主社会党の三派共同提案による附帯
決議
を付することに決したのであります。これらの
内容
については
会議
録で御承知願いたいと思います。以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
—————————————
原健三郎
43
○副
議長
(原健三郎君) 両案中、
日程
第九につき、
討論
の通告があります。これを許します。島本虎三君。 〔島本虎三君登壇〕
島本虎三
44
○島本虎三君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま上程されました
国民年金法
の一部を改正する
法律案
及び
児童扶養手当法
の一部を改正する
法律案
に対し、
反対
の
討論
を行なわんとするものであります。(
拍手
) 申すまでもなく、近代国家の政治の核心は
国民
福祉の充実であります。社会保障はその根幹であり、年金と医療はその両翼ともいうべき重要な制度であることは、論を待ちません。従って、わが党は社会保障の拡充に鋭意努力してきたのでありますが、
政府
並びに自民党も、盛り上がる世論とわが党の熱意に押され、
国民年金法
を
提出
後、一再ならず手直しを加えてきたことは御承知の
通り
でございます。私はその努力には敬意を表するものでありますが、現行拠出年金制の有する重大な欠陥を根本的に是正する勇気のないことをまことに遺憾とするものでございます。(
拍手
) 現行拠出年金制の重大なる欠陥は、その組み立、が社会保険主義で貫かれ、保険財政の安全性のみにこだわり、社会保障の
精神
が全くぼけている点であります。 まず、その
理由
の第一は、定額保険料のため、社会保障の重要な側面である所得再配分の思想に欠けていることであります。その二は、支給金額が少なく、スライド制が明確でなく、物価上昇についていけないということであります。第三は、受給資格の取得期間が長く、かつ支給開始がおそ過ぎることであり、第四は、保険料免除
規定
が厳格過ぎることであります。また、第五には、積立金の管理運用の民主的
規定
の明確でないこと等であります。 今回の改正案によって、貧困で掛金の免除を受けた者に対する年金給付条件が若干緩和されて、保険料の実納した者と同様に二分の一の国庫負担が確保されて、全期間免除の者といえ
ども
、六十五才になれば、給付が全期間保険料実納の人の年金額の三分の一以上の年金が確保されるようになったことは、これは前進であり、その限りにおきましては、まことに同慶にたえません。しかし、
政府
もこの際、保険料を免除されるような階層の
人々
こそ、真に年金の必要な
人々
であることを思い、この保険料も国がかわって積み立てることに踏み切り、全期間の実納者と同額の年金が確保されるようにすべきであり、これこそ倍増計画に即応した血の通った政治と言えるのであります。(
拍手
) 次に指摘しなければならないことは、年金は、少なくとも安心して食える金額でなければならないということであります。現行
国民
年金は、御承知のように、四十年間の
経済
成長率を、年平均二%と見て、
資本
蓄積分〇・五%を引いて、一・五%の率で上昇するとの
考え
に立って、
昭和
三十二年度の生活保護者の全国平均月二千円を基礎にして、四十年後には三千五百円だとして、その金額が策定されたとのことでございます。さらにまた、実施は五年も延ばされまして、四十五年後に三千五百円という、いわば現在生活保護を受けている人と同じ程度の生活しか保障されないのでありまして、これがはたして憲法で保障された健康にして
文化
的な生活と言えるでございましょうか。金額算定の
根拠
になった
経済
成長率一・五%にしても、
政府
の豪語する最近のいわゆる三カ年平均の九・二%に比べても、戦前の
経済
成長率の四%に比べても、問題にならない低い数字であって、これでは動物的生活の維持にしかならないことは明瞭なる事実なのでございます。(
拍手
)すでに生活保護さえも一八%の増額を見、日雇い賃金も平均四百二十五円に増額されているのでございます。この際こそ、当然年金額を改定する必要があったのに対し、何らこれに触れていないのは全く遺憾とするところでございます。
政府
はいかに社会保障の拡充を口にしても、一般会計に対する社会保障費の割合を見るに、
昭和
三十二年度の英国の二〇%、西ドイツの一六%に比べて、三十七年度の
わが国
の予算でさえ、ただ一三%にしかなっていないことは、社会保障に対する熱意いずこにありや、疑わざるを得ないのでございます。 次に、老齢福祉年金については、まず何よりも先に、支給金額を増額することでございます。七十才の老人にして月一千円では、まさに老齢福祉の文字が泣きます。最近の物価高騰は、もうすでに目に余るものがあります。御飯のおかずにいたしましても、老人がちくわのかまぼこ一本買って参りましても、値段が高いほかに、中の穴まで一段と大きくなっている現状でございます。まさに値上げのダブルプレーです。高くならないものは豆腐の背たけと年金の金額ぐらいのものでございます。それにまた、七十才の支給ではおそ過ぎるうらみがあります。せめて六十才からの支給として、年一万二千円、六十五才以上は二万四千円、七十才以上は三万六千円としても、決して高過ぎることはないはずです。六十才台からの完全支給は為政者の当然の
義務
といわなければならないと思います。 障害年金にしてもその
通り
でございます。今回若干の手直しを加えたにいたしましても、いまだ障害者には冷酷無比でございます。障害者といえ
ども
家族を扶養しなければならない一個の人間であることを思うときに、一級障害者にして月千五百円では全く話にならないではございませんか。どうして生活の維持ができるでしょう。暗い谷間に生きる
人々
に光を与えるために、この際、一級障害の場合年四万八千円、二級の場合三万六千円、三級の場合には二万四千円として、同時に、内科障害も当然認めてやるべきでございます。あわせて、母子福祉年金の多子加算の
考え
方と同じように、障害者の家族加算も当然認めてやるのが妥当であろうと思うのでございます。(
拍手
)給付制限にいたしましても、少し過酷にすぎるうらみがあるわけです。現に老齢福祉年金にいたしましても、七十才に達した老夫婦に支給される一人月千円の、たといあめ玉年金といわれる額でも、老人にはありがたいはずです。しかるに、夫婦がそろっておれば、その一人分二百五十円、夫婦で計五百円を削るに至っては、無慈悲といおうか、無理解といおうか、まさに言語道一断といわなければなりません。(
拍手
)せめてこの二五%減分だけでも即時撤廃してしかるべきでしょう。さらに、いかなる観点からいたしましても不合理な配偶者所得制限も、当然撤廃すべきであろうと思うのでございます。 次に、児童扶養手当について申し上げます。これは、言うまでもなく、全児童に対する児童手当によって、次代をになう
国民
をりっぱに育成することは国の
責任
であり、同時に、ILO
条約
百二号、社会保障の最低基準に関する
条約
の
精神
に沿うゆえんでもあります。われわれはその実施に努力して参りました。そして現在の児童扶養手当が提案されまして以降も、常にその不備を指摘して改善に努力して参ったのであります。今回の改正によって、金額においては第二子以下は一人二百円ずつ増額になり、その限りにおきましては敬意を表するにやぶさかではございませんが、現体系のままでは、いまだわれわれの主張とはほど遠いものがあること、まことに遺憾です。われわれは、欧米先進国の例に学び、ILO
条約
百二号の
精神
に基づいて、すみやかに本格的児童手当制度の成立を望むものでございます。従って、現行児童扶養手当は
国民
年金の補完的立法であるため、
国民
年金が前進されない限り、単独で改善される
性質
のものではないので、もし改正だけに満足されては、真の児童手当制度の制度の障害になるおそれがあります。(
拍手
)従って、
国民年金法
と
児童扶養手当法
の一部改正案は、具体的には一歩前進であることを認め、その努力は了とするものですが、その改善点があまりにも微温的であり、改正の方向が根本的、抜本的方向をとっていないため、
日本社会党
としては、社会保障の方針に従った十分なる
国民
年金制度と、本格的児童手当の制度の制定促進の
立場
から、両案に対し
反対
するものでございます。 以上をもって私の
反対
討論
を終わります。(
拍手
)
原健三郎
45
○副
議長
(原健三郎君) これにて
討論
は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず、
日程
第八につき採決いたします。 本案の
委員長
の報告は可決であります。本案を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
46
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は
委員長
報告の
通り
可決いたしました。 次に、
日程
第九につき採決いたします。 本案の
委員長
の報告は可決であります。本案を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
47
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は
委員長
報告の
通り
可決いたしました。 ————◇—————
日程
第十
畜産物
の
価格安定等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
)
原健三郎
48
○副
議長
(原健三郎君)
日程
第十、
畜産物
の
価格安定等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。
—————————————
—————————————
原健三郎
49
○副
議長
(原健三郎君)
委員長
の報告を求めます。農林水産
委員長
野原正勝君。
—————————————
〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔野原正勝君登壇〕
野原正勝
50
○野原正勝君 ただいま議題となりました
内閣提出
、
畜産物
の
価格安定等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について、農林水産
委員会
における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。 本案は、畜産及びその関連産業の健全なる発達を促進するため、畜産振興事業団の業務を拡大強化しようとして
提出
されたものでありまして、そのおもな
内容
を申し上げますると、 まず第一に、畜産振興事業団の事業として国内産の牛乳を学校給食の用に供する事業に対し補助すること、及び、主要な
畜産物
の流通の合理化のための
処理
もしくは保管の事業、畜産の経営もしくは技術の指導の事業等に対し、補助または出資すること等の新規業務を加えたことであります。 第二に、
政府
は、事業団に追加される新規業務に対する
資金
措置として、予算の範囲内で事業団に対し交付金を交付することができることといたしております。 第三に、事業団は、
政府
の交付金及びその運用益金にかかる経理については、これを他の経理と区分して整理しなければならないことといたしております。 その他、事業団の理事を一人増員して四名とすること、及び、事業団が交付する補助金については、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する
法律
の
規定
を、その一部を除いて準用すること等といたしております。 以上、本案の骨子について申し上げましたが、本案は、二月十四日付託され、同月二十二日提案
理由
の説明を聞き、三月十五日から四月四日に至る間に六回にわたり慎重審議を行ない、一昨四日、
質疑
を終了しましたところ、自由民主党田口長治郎委員から、自由民主党及び民主社会党を代表して、本案の施行期日を公布の日から施行することに修正すべき旨の動議が出されたのであります。次いで、修正案及び原案に対し、
日本社会党
湯山勇委員から
反対
の
討論
がなされ、採決の結果、本案は多数をもってこれを修正議決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対しましては、民主社会党玉置一徳委員外一名の提案による、畜産振興のための予算を一そう充実するよう努めるとともに、事業団が行なう指定対象助成事業に対する助成は、これら予算措置と相待って効果的な運用をはかること等、六項目にわたる附帯
決議
がこれまた多数をもって付された次第であります。 以上をもって報告を終わります。(
拍手
)
原健三郎
51
○副
議長
(原健三郎君)
討論
の通告があります。これを許します。西宮弘君。 〔西宮弘君登壇〕
西宮弘
52
○西宮弘君 私は、ただいま上程されました
畜産物
の
価格安定等
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について、
日本社会党
を代表いたしまして、
反対
討論
を行なおうとするものであります。(
拍手
) まず、
反対
の
理由
の第一は、この
法律
の欺瞞性についてであります。名はいかにも
畜産物
価格
安定法ではありますが、
価格
の安定ないしは所得の保障には何ら全く役立たないのみならず、かえって、逆に
畜産物
価格
を最も低いところにくぎづけするために利用されておるのであります。その具体的な一例をあげれば、去る三月末日農林省が決定した、原料乳は工場渡しで一升五十二円と告示されました。今日、
日本
じゅうどこへ参りましても、こんな値段で牛乳が売られてはおりません。一番安い地方でさえ、農民は自分の庭先で五十三円で売っておるのでありますが、この
法律
に基づいて
政府
が決定いたしました安定
価格
は、工場渡しで五十二円、すなわち、農民から牛乳を買い取る乳業
資本
家は、自分の工場まで運搬させまして、その買い取り値段を五十二円までは引き下げてもよろしい、こういうことがきめられておるのでありまして、この
法律
は、全く
畜産物
価格
引き下げのために利用され、逆用されておるのがその実態であります。(
拍手
)こんなばかばかしい話はないのであります。これでは
畜産物
の
価格
の安定とはおよそ正
反対
の目的に奉仕をする欺瞞法と断ぜざるを得ないのであります。とかく
政府
が提案をいたしまする
法律
には羊頭狗肉のものがはなはだ多いのでありますが、この法案のごとき、まさにその典型といわなければなりません。(
拍手
)
反対
の
理由
の第二に、
政府
の畜産
政策
に対する無
責任
さでございます。そもそも畜産をして今日のブームにまでかり立てたのは、申すまでもなく、農業基本問題調査会の
見解
であり、
政府
の所得倍増のかけ声であったのであります。農業基本問題調査会は、畜産をして成長農産物の代表として、今後の
日本
農業の発展はこれ以外にないことを強調いたしました。
政府
はまた所得倍増計画において、農民の所得を増大させる道は一にも二にも畜産振興であるとなして、今後十年間に牛乳は五・七倍、食肉は三・二倍、鶏卵は二・四倍にまで増大すると、飛躍的発展の構想を示したのであります。従いまして、農民はこの
政府
の鳴り物入りの宣伝に踊らされて、いずれも多額の借財をあえてしながら、養豚に、養鶏に、あるいは酪農にと取り組んで参ったのであります。畜産振興もとよりけっこうであります。しかし、
価格
政策
を持たない単なる奨励や宣伝は、はなはだしく無
責任
のきわみといわなければなりません。もしも
価格
が適正に保障され、安定していさえしますならば、特別な宣伝等をいたしませんでも、だまっておっても農民はこれについて参ります。しかるに、今日まで
政府
が畜産振興、選択的拡大のためにとって参りました手は、その一つは所得増大のかけ声であり、
二つ
には、従来の米麦等のいわゆる耕種農業をできるだけ抑圧しようというやり方であったのであります。大麦、裸麦の作付制限のごときはその代表的例でありますが、米価の決定等にあたりましても、常に同じような
考え
方に支配され、つまり米価を引き上げるといつまでも米に未練が残るから、これをなるべく低く押えないと果樹や畜産には取りつかないであろうという
考え
方から、低米価を押しつけようとしてきたのであります。私
ども
はこのような
考え
方に徹頭徹尾
反対
をし、畜産の振興には、まず
価格
政策
の確立がその前提条件でなければならないことを再三再四主張し続けて参ったのであります。(
拍手
)しかるに、何ら
価格
対策の裏づけを行なわずに、いたずらに増産を奨励した結果、農民は多額の借金をかかえ、収支全く償わず、絶えず不安にさらされてきたのであります。特に豚の
価格
のごとき、暴落に次ぐ暴落をもってし、選択的拡大は、一転して選択的恐慌、選択的破局に突入したのであります。(
拍手
)
反対
の
理由
の第三は、
政府
の
法律
無視、
法律
じゅうりんの態度に対してであります。昨年秋の臨時
国会
で成立した
法律
には、特に原料乳または指定食肉の
価格
決定には、再生産を確保することを旨として定めるとの一項が加えられたのであります。しかるに、先般
政府
より告示をされました豚肉の安定基準
価格
キロ当たり二百四十五円のごとき、完全にこの
法律
の
規定
を踏みにじるものであります。何となれば、この
価格
をもってしては絶対に採算はとれず、再生産の確保などとうてい思いもよらないことは、火を見るよりも明らかであります。その点は当院において述べられました参考人の意見に徴しても明らかであり、さらに農林省発表の統計によりましても、たとえば百キロまでに太らした豚を枝肉二百四十五円で販売いたしますと、労力費をゼロとして計算いたしましても、なおかつ三千円近い赤字を生ずることをこの統計は計数的に示しておるのであります。このような
事情
は、酪農についてもまた全く同様であります。生産費は一升七十円以上はどうしてもかかるのでありますが、実際の
取引
は五十五、六円程度であり、これではとても間に合わないので、生産農民は
政府
の安定
価格
の決定に一縷の望みを託しておったのであります。ところが、先月末日発表されました
政府
決定の
価格
は、この実際の
取引
をさらに下回るものであることは、前に述べた
通り
でありまして、農民の失望と憤激はその極に達しているのであります。
政府
の所得倍増計画によりますと、牛乳は六倍にまで伸びることになっておるのでありますが、近来とみに伸び悩みを示しておりますことは、申すまでもなく採算割れの結果であります。このように
法律
の明文が完全に無視され、没却されておることをわれわれはどうしても見のがすことはできないのでありますが、もっとも、国法の根本であります憲法をさえ、御都合次第で自由自在に
解釈
をし運用をいたします
政府
のことでありますから、農民保護のための一
法律
のごとき、ほとんど眼中にないのかもしれません。
政府
はそれでいいといたしましても、助からないのは畜産農民であります。去る二月半ば、九州の一農民は、
畜産物
価格
の値下がりを苦にして、ついに自殺を遂げたのであります。全く痛ましい限りと申すほかはありません。 畜産事業のコストは、その大半は飼料費、えさ代でありますが、このえさ代は、いたずらに高騰するにまかせられ、従って、今や、飼料高と生産物安のはさみ打ちにあいまして、あえぎあえいで苦しんでおる農民の姿は、まことに惨たんたるものであります。
反対
の
理由
の第四は、
畜産物
価格
審議会の運営についてであります。まず第一に、その委員のメンバーの選び方が不公正であり、次には、その
会議
は非公開として、鉄のとびらをかたく閉ざし、一切を世人の耳目からおおい隠そうとしておるのであります。いやしくも、
政府
が、所得倍増のためのただ一つの成長農産物だと唱える
畜産物
の
価格
の審議を、何がゆえに秘密会にしなければならないのでしょうか。しかも、このことは、近く開かるべき米価審議会も同様だと伝えられておりますが、一体、
政府
は、何におそれおののき、何に血迷っているのでありましょうか。かくのごとき反民主的、反動的暗黒政治は、やがて最も高価なる代価を支払わせられるであろうことを、私はこの際特に警告いたしておきます。 最後にあげまする
反対
の
理由
は、畜産振興事業団の機能の拡大についてであります。畜産振興事業団は、何はさておきましても
畜産物
価格
安定のために全力を尽くし、これに専念すべきであるにもかかわらず、今回は
法律
を改正いたしまして、大幅にその機能を拡大しようとしておるのであります。そもそも、かかる事業団等の設置は、本来
政府
が直接負うべき
責任
を回避するための手段として利用される場合がはなはだ多いのでありますが、今回は、当然に
政府
が行なうべきあらゆる指導、助成の事業等までもこの団体に行なわせようとするのでありまして、私
ども
はこのような
考え
方にはとうてい承服することはできないのであります。(
拍手
)かかる特殊の機構を乱設いたしまして、不正事件を誘発せしめ、しかもその間、往々にして政界とのくされ縁を疑わしむるがごときは、断じてとるべき策ではないと
考え
ます。(
拍手
) 私は、以上数点の
理由
をあけて本法案に
反対
して参りました。これからの農民諸君はすべからくこの畜産の振興で所得をふやしなさいと、
政府
が声をからして宣伝する
畜産物
に対する施策にしてなおかつかくのごとしであります。これでは、今後の農民の所得を向上させて、他の産業の所得との開きを解消することをもって目的とすると
規定
いたしました農業基本法第一条のうたい文句が泣いています。大声を上げて泣いております。しかも、かくのごとき農業
政策
の貧困は、決してひとり農林当局だけの怠慢の結果ではないのであります。すなわち、換言すれば、現在の
池田内閣
そのものに農政確立の意図が全くないからであります。試みに、先般本
国会
の開会にあたり述べられた池田総理の施政方針を聞きますと、農業問題については、たった一言、農業生産の選択的拡大と農業経営の近代化は、急速に進展し、農業所得も堅実に増加しているということを報告しているだけであります。つまり、
わが国
の農業はすばらしく発展し、農民の所得も大いに増大していると、いわば万々歳だと言わんばかりに、うちょうてんになって手放しで喜んでいるだけでありまして、現在
日本
農業が当面をいたしております所得格差の問題等々、困難にして重大なる問題はひた隠しに隠して、これには全く触れようとはしないのであります。 かくのごとき農業軽視の、働く農民大衆を捨てて顧みない
池田内閣
それ
自身
の姿勢を正すことなしには、
日本
農業の振興、発展の道は絶対にないことを、私は特に声を大にしてつけ加え、その具体的現われとしてのこの法案にあくまでも
反対
するものであります。(
拍手
)
原健三郎
53
○副
議長
(原健三郎君) これにて
討論
は終局いたしました。 採決いたします。 本案の
委員長
の報告は修正であります。本案を
委員長
報告の
通り
決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
原健三郎
54
○副
議長
(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は
委員長
報告の
通り
決しました。 ————◇—————
原健三郎
55
○副
議長
(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午前三時一分散会 ————◇————— 出席国務大臣
内閣
総理大臣 池田 勇人君 外 務 大 臣 小坂善太郎君 厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君 農 林 大 臣 河野 一郎君 自 治 大 臣 安井 謙君 国 務 大 臣 川島正次郎君 国 務 大 臣 藤山愛一郎君 国 務 大 臣 三木 武夫君 出席
政府
委員 大蔵政務次官 天野 公義君 ————◇—————