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1962-03-09 第40回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月九日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十九号   昭和三十七年三月九日    午後二時開議  第一 日本固有北方領土回復に   関する決議案福田一君外十名   提出)      (委員会審査省略要求案件)  第二 沖繩及び小笠原諸島におけ   る施政権回復に関する決議案   (福田一君外十名提出)      (委員会審査省略要求案件)  第三 自治省設置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  第四 文部省設置法の一部を改正   する法律案内閣提出)  第五 民法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第六 建物区分所有等に関する   法律案内閣提出)  第七 訴訟費用等臨時措置法等の   一部を改正する法律案内閣提   出)  第八 森林法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第九 簡易保険郵便年金福祉事業   団法案内閣提出)  第十 医療金融公庫法の一部を改   正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 日本固有北方領土回   復に関する決議案福田一君外   十名提出)  日程第二 沖繩及び小笠原諸島に   おける施政権回復に関する決議   案(福田一君外十名提出)  日程第三 自治省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第四 文部省設置法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第五 民法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第六 建物区分所有等に関   する法律案内閣提出)  日程第七 訴訟費用等臨時措置法   等の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第八 森林法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第九 簡易保険郵便年金福祉   事業団法案内閣提出)  日程第十 医療金融公庫法の一部   を改正する法律案内閣提出)    午後二時十九分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 日本固有北方領土回復に関する決議案福田一君外十名提出)      (委員会審査省略要求案件
  3. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日の日程第一については、提出者より委員会審査省略申し出がございます。この申し出通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  日程第一、日本固有北方領土回復に関する決議案議題といたします。     —————————————   日本固有北方領土回復に関する決議案  右の議案提出する。   昭和三十七年三月八日    提出者     福田  一  佐々木秀世     鈴木 正吾  塚原 俊郎     久野 忠治  床次 徳二     周東 英雄  柳田 秀一     下平 正一  前田榮之助     佐々木良作    賛成者     江崎 真澄外二十六名     —————————————    日本固有北方領土回復に関する決議   政府は、日ソ共同宣言及び松本日本国全権グロムイコソ連邦外務次官との間の往復書簡に基づき、なるべくすみやかに領土問題を含む平和条約締結に関する交渉ソ連邦政府との間に開始し、懸案になつているわが国固有領土である北方領土問題を解決し、これをわが国復帰せしめるよう最善努力を払い、わが国民の総意にこたえるべきである。   右決議する。     —————————————
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 提出者趣旨弁明を許します。前田榮之助君。   〔前田榮之助君登壇
  6. 前田榮之助

    前田榮之助君 私は、ただいま上程されました自由民主党日本社会党民主社会党の三党共同提案日本固有北方領土回復に関する決議案趣旨説明を行ないます。(拍手)  まず、案文を朗読いたします。    日本固有北方領土回復に関する決議案   政府は、日ソ共同宣言及び松本日本国全権グロムイコソ連邦外務次官との間の往復書簡に基づき、なるべくすみやかに領土問題を含む平和条約締結に関する交渉ソ連邦政府との間に開始し、懸案になっているわが国固有領土である北方領土問題を解決し、これをわが国復帰せしめるよう最善努力を払い、わが国民の総意にこたえるべきである。   右決議する。   〔拍手〕  さき鳩山内閣のもとにおいて日ソ共同宣言が成立し、これによってわが国ソ連との国交を正常化いたしました。その後、両国の間の経済、文化の交流は次第に拡大し、その関係が密接の度を加えつつあることは喜ぶべきことであります心しかしながら、なお日ソ両国の間には平和条約がいまだ締結されず、そのため、両国の全面的な経済発展北洋漁業の安定と近海安定操業などの懸案には大きな暗影が投ぜられており、関係者の受ける影響はきわめて深刻なものがあります。ことに、近海操業については、ソ連側においても日ソ共同宣言趣旨を尊重して、北海操業の安定をはかるべく誠意ある処置をとるべきであると信じます。  しかるに、わが国を取り巻く国際環境は依然として緊張を続けており、わが国国際的地位はなお安定しないままでありまして、本員のまことに遺憾とするところであります。このような情勢が生じた原因は、北方領土帰属に関し、日ソ両国間に意見一致が見られないところにあります。  もともと北方領土わが国本来の固有領土であり、(拍手)侵略によってこれを取得したものではありません。これらの北方領土ソ連に引き渡すことを認めたと称するヤルタ協定は、戦時中の秘密協定であって、わが国の関知しないところであります。(拍手)従って、わが国といたしましては、ヤルタ協定には何ら拘束を受けるものではないのであります。(拍手)ゆえに北方領土は当然わが国帰属すべきものであります。しかし、現在北方領土は事実上ソ連支配下にあって、これをわが国復帰させることは容易ならざることであります。わが国ソ連とは社会制度を異にいたしております。しかし、それは両国の間に安定した平和関係を維持することを何ら妨げるものではありません。(拍手)従って、日本といたしましては、ソ連との間にすみやかに平和条約締結し、両国関係を安定させることを強く希望しているわけであります。(拍手)  この基本的態度を堅持する限り、ソ連との話し合いによって、わが国固有領土である北方領土復帰実現することは可能であります。そしてまた、これのみが北方領土復帰実現させるただ一つの実際的方法であります。日米安保条約と中ソ同盟条約とが真正面から対立している現状のもとにおいては、どんな問題でも、もしそれを力の行使によって解決しようとすれば、それは直ちに破局的な戦争をもたらすだけで、問題の解決にはならないことは万人の目に明らかであります。(拍手)従って、北方領土問題についても、これを解決する道は、平和的な話し合いよりほかはありません。  昨年秋、わが国において北方領土問題がやかましく論ぜられた際、ソ連側は、北方領土経済的には大して価値がないが、軍事的に重要であることを指摘いたしております。これは現在北方領土問題の持つ性格をいみじくも表現しているものであると申せましょう。これは日米安保条約と中ソ同盟条約との存在が、北方領土問題に対して大きな影を投げかけていることを雄弁に物語っております。(拍手)われわれは、この現実を直視することによって、この問題への解決へ一歩前進することができます。この現実を無視し、いたずらに反ソ感情をあおることによって、北方領土が返ってくるがごとくに説く者がありとすれば、それは国民の間に無責任な幻想を振りまくものといわざるを得ないのであります。(拍手)  各政党の間には、日本のとるべき外交方針について意見を異にしている向きもありますが、しかし、自民党政府が、わが国の平和と安定とのために具体的な方策をとるときは、社会党においてもこれを支持することにやぶさかでないのであります。(拍手日ソ共同宣言の成立に際し、各党がこれを積極的に支持し、ついに、全会一致によってこれを承認したという事実は、その最もよい例であります。(拍手)  われわれは、自民党政府が、平和共存原則に基づく日ソ関係の安定と発展とのために積極的な方策を進めるならば、喜んでこれを支持いたします。われわれは、北方領土問題についても、政府がこのような合理的、現実的な立場から、ソ連政府と直ちに交渉を開始し、平和条約締結することを強く要望いたします。こうすることによって、両国の間の諸懸案も円満に解決され、両国関係も安定し、ますます緊密の度を加えることとなるのであります。  これは互いに隣国であり、今後も永久に隣国として交際していかなければならないわが国ソ連とのために、ともに好ましいことであります。切に政府努力を望んでやみません。  何とぞ、諸君の熱意を込めての御賛成をお願いいたしまして、私の本決議案趣旨説明を終わりといたします。(拍手)     —————————————
  7. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 討論の通告が出ておりまするから、これを許します。佐々木秀世君。   〔佐々木秀世登壇
  8. 佐々木秀世

    佐々木秀世君 ただいま上程せられました自民、社会、民社三党共同提案にかかる、日本固有北方領土回復に関する決議案につき、私は、三党を代表して賛成討論をなさんとするものであります。(拍手)  北方領土問題につきましては、諸君承知のごとく、本院におきましても、すでに昭和二十六年三月三十一日、第十回国会決議を初めとして、過去数度にわたり同趣旨院議がなされてきているのであります。しこうして、それら院議に基づく政府努力にもかかわらず、今日なおこれが実現を見るに至っていないことは、全国民のひとしく失望と遺憾にたえないところでございます。(拍手)  先ほどの提案理由中にもありましたごとく、歯舞島、色丹島は、古くから地理的にも行政的にも北海道の一部であり、しこうして、国後択捉両島もまた、日本固有領土であることは、疑うことのなき明瞭な事実でございます。すなわち、歯舞色丹諸島は、サンフランシスコ平和条約によってわが国放棄するに至った千島列島にすら含まれているものでないことは、同条約会議における各国全権発言、さらには同条約に署名を拒否したソ連みずからが、その後、日ソ共同宣言の中で、それらの諸島わが国に引き渡すことを約束している事実からしても、一点疑う余地もない明瞭な事実でございます。また国後択捉両島は、有史以来、かつて一度もいかなる外国主権のもとにあった事実はなく、また、日本人以外のいかなる外国人も定住したことのなかった日本固有領土であります。このことは、従来の各種の条約内容、たとえば、一八五五年の日魯通好条約や、一八七五年の樺太千島交換条約のいずれを見ましても、いわゆる千島列島とは、得撫島以北の十八島のみをさし、択捉国後両島については、ことさらにこれを除外している点からいたしましても、まことに明瞭な事実と申さなければなりません。(拍手主権の及ぶ範囲を四大島及びその付属小島嶼に制限されながら、この狭い領土に九千余万という膨大な人口をかかえるわが国にとりましては、それがわが国固有領土として、国民の生存及び経済の自立にとって貴重な一部であります以上、寸土たりといえどもこれを失うことは、何ごとにもかえがたい損失であると同時に、これを不当に占拠するものを黙過し、返還主張を怠るようなことは、道義的にもまた国民感情の上からも、断じて許すべからざることでございます。(拍手)  ことに、これら諸島は、その地理的環境からするならば、暖流、寒流の交流するところとして、古来からサケ、タラ、マスなどの魚類のほか、カニ、帆立貝、その他海藻類など、豊富な水産資源獲得の有数の根拠地であり、ことに、コンブにおいては北海道全道の収獲高の過半を占めていたのでありまして、これを失うことによってこうむるわが国経済的損失は、はかり知れないものがあるのでございます。(拍手)  さらに、私は、これら諸島を地理的、行政的にその一部とする北海道五百万道民の、ひたすらこいねがう諸島返還の心情は、終戦後数年を経ずして、これら北方領土返還要求期成同盟が結成せられ、これを通じて、五百万道民一丸となって、これが実現への努力を休むことなく、中央に訴え続けてきているのであります。  さらに加えて、この中には、これらの島々に生を受け、これらの地を祖先伝来の墳墓の地として、自己の全生活の場と定めて幾星霜を経てきた人々が、終戦と同時にソ連軍に占領されるところとなったがために、北海道本土に引き揚げるのやむなきに至ったのでございます。しかして、これら諸島の数多い住民たちが、今日もなお肉親の骨の埋もれるかの地に帰って生業につけることを、ただ一つ希望として、生活と戦いながら、その日のくるのを一日千秋の思いで待ちわびつつ発する悲痛な叫びを、私どもは無為に聞き捨てることはできないのであります。(拍手)  にもかかわらず、ソ連は現在に至って、あるいは昭和二十年二月、米英ソ三国間で秘密に結ばれましたいわゆるヤルタ協定を引き合いに出し、この協定によって千島列島ソ連に引き渡されたこと、しかして、歯舞色丹がこれに含まれることを主張し、あるいはまた、一昨年一月のグロムイコ覚書以来、日本より外国軍隊が撤退しなければ、平和条約を結んでも歯舞色丹を引き渡さないなどというがごときは、大国ソ連態度とも思われず、まことに言語道断といわなければなりません。(拍手ソ連のいうこのヤルタ協定なるものは、あくまで米英ソ三国間のみの秘密協定であり、わが国がこれに拘束される何らの法的根拠もないことは明らかであります。加えて、協定中にいう千島列島そのものにも歯舞色丹が含まれていないことは、先ほど述べた通りであって、いずれの点からするも、われわれは断じてかくのごときソ連主張を認めるわけには参りません。と同時に、明らかに日ソ共同宣言の明文に違反するばかりか、内政干渉のそしりさえ免かれない、不当なる詭弁といわざるを得ないと存じます。(拍手)  なお、サンフランシスコ平和条約によって、わが国が一応領土権放棄した千島列島なるものは、さきにも申し述べました通り、いわゆる、北千島及び中千島の十八島のみをさすことは明らかでありますが、これについても、領土権放棄条約当事国に対してのみ約束したものであって、これまたソ連に対して領土放棄をしたものでないことは万人の知るところでございまして、これら地域の領土権最終的帰属は未決定のままに残されているのであります。従って、その帰属いかんは、将来関係国間において国際的に定められて初めて法的妥当性を与えられるものであることからすれば、同条約に調印していないソ連が一方的に権利主張し得ないことは、けだし当然のことであります。従って、その場合、わが国は、千島列島についてもなお領土返還の請願をなすべき余地があるものと考えられるのであります。(拍手)  以上、いずれの諸点からするも、そしてまた、大西洋憲章及びカイロ宣言で宣明されている領土不拡大原則から見ても、これら日本固有北方領土を、ソ連が一方的に実力をもって領有、占拠する理由は、何一つ見出せないのでございます。従って、ソ連歯舞色丹国後択捉を、戦後十有余年を経た今日、なお事実上その支配下に置くのは、不当な占拠以外の何ものでもなく、すみやかにこれら島々をわれわれ日本返還すべきは当然であります。  現在、すでに日ソ両国間は、日ソ共同宣言によって戦争状態の終了を見、正常な国交も回復されているのでありますが、領土問題のみ未解決のため、日ソ平和条約締結されるに至っていないのはまことに遺憾といわねばなりません。われわれは、ソ連がこれらのわが国固有北方領土返還に応ずるならば、直ちに日ソ間の平和条約締結することを心から望むものであります。  わが国北方領土に関する主張は、自明の理に基づく当然の権利主張として、さきにも述べましたごとく、数次にわたる国会決議を通じ、あるいはまた、最近たび重なる池田フルシチョフ往復書簡等により、公正妥当な意思表示を宣明してきているのであります。この際、政府は、日ソ共同宣言を忠実に守り、相互の主権尊重内政不干渉原則のもとに、両国の平和と友好及び協力関係増進に努めつつ、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉をすみやかに開始するために、あらゆる可能な手段を尽くすべきであると考えます。また、事態を直視し、なつかしい故郷の成り行きを思い、これら諸島への復帰を待ち望む多数の引揚者及び固有領土回復悲願とする日本国民要望にこたえ、これに対する深い理解と同情の上に、過去の行きがかりを捨てて、これら諸島返還の一日も早い実現のために、誠意のある解決を示されるよう、特にソ連政府に対して強く訴えるものであります。(拍手)  わが政府も、またかつてのこれら諸島住民の悲痛な悲願の声を声とし、全国民一丸となっての強力なる国民世論を背景として、わが国固有領土である歯舞色丹国後択捉などの北方領土に対する正当な権利をあくまで主張し、これが返還のすみやかなる実現によって、日本領土本来の姿に回復され、もって、日本国民総意にこたえられるよう、最善努力を払われんことを強く要望しつつ、日本固有北方領土回復に関する決議案に対しまして、私の賛成討論を終わります。(拍手
  9. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。  よって、採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。(拍手)  この際、内閣総理大臣及び外務大臣から発言を求められております。よって、順次これを許します。内閣総理大臣池田勇人君。   〔国務大臣池田勇人登壇
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ただいまの御決議は、わが国固有領土返還実現し、すみやかに日ソ間の平和条約締結することによって、両国間の関係をより正常な、また明るいものにしたいという国民各位の強い要望の表現であり、これが実現のためには、政府の一そうの努力要望された御鞭撻の言葉であると解するのであります。  本件の実現にはなお幾多の困難は予想されますが、政府といたしましては、国民各位の御期待に沿うべく、今後とも最善努力を尽くす所存であります。(拍手
  12. 清瀬一郎

  13. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいまの御決議に対しまして、政府の所信を申し述べます。  ソ連との平和条約締結につきましては、わが国北方領土の問題をめぐって、領土問題は解決済みであるとするソ連と、国後択捉両島固有領土としてその復帰主張するわが方の主張が対立しておりまするため、いまだ実現の運びに至っていないことは、御承知通りであります。  政府としましては、領土問題に関するソ連主張は、法的見地からも、また歴史的事実に徴しましても、とうてい容認し得ないものでありまするので、従来とも累次にわたりまして池田総理大臣よりフルシチョフ首相あて書簡を通じ、あるいは対ソ覚書等により、ソ連の誤りを是正することに努力して参りました。領土問題は、われわれの祖先並びに子々孫々にまつわる重大な問題でありまするので、ソ連との交渉に際しましては、いたずらにあせって悔いを千載に残すごときことがあってはならないと存じます。そのためにも、政府としては領土問題に関する国論を統一し、挙国一致して、忍耐強くわが方の立場正当性主張し、ソ連政府の説得に成功するまで努力を続けたいと考えております。(拍手)      ————◇—————  日程第二 沖縄及び小笠原諸島に   おける施政権回復に関する決議   案(福田一君外十名提出)      (委員会審査省略要求案件
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第二につきまして、提出者より委員会審査省略申し出があります。この申し出通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  日程第二、沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案議題といたします。     —————————————   沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案  右の議案提出する。   昭和三十七年三月八日    提出者     福田  一  佐々木秀世     鈴木 正吾  塚原 俊郎     久野 忠治  床次 徳二     周東 英雄  柳田 秀一     下平 正一  前田榮之助     佐々木良作    賛成者     江崎 真澄外二十六名     —————————————    沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議   本院は、すでに過去三回にわたり沖縄及び小笠原諸島施政権返還決議を行なってきたが、いまなおその実現をみていないことは、はなはだ遺憾である。   われわれは、沖縄立法院決議並びにその他の決議にしばしば表明された住民日本復帰に関する強い願望にこたえ、沖縄並び小笠原諸島施政権復帰についてこの際政府最善努力を払うべきことを強く要望する。   右決議する。     —————————————
  16. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 提出者趣旨弁明を許します。床次徳二君。   〔床次徳二登壇
  17. 床次徳二

    床次徳二君 ただいま議題となりました自由民主党日本社会党並びに民主社会党共同提案にかかる沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案につき、提案者を代表いたしまして、提案趣旨を御説明いたします。(拍手)  まず、決議案案文を朗読いたします。    沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案   本院は、すでに過去三回にわたり沖縄及び小笠原諸島施政権返還決議を行なってきたが、いまなおその実現をみていないことは、はなはだ遺憾である。   われわれは、沖縄立法院決議並びにその他の決議にしばしば表明された住民日本復帰に関する強い願望にこたえ、沖縄並び小笠原諸島施政権復帰についてこの際政府最善努力を払うべきことを強く要望する。   右決議する。   〔拍手〕 以上であります。  沖縄及び小笠原諸島施政権の可及的すみやかなる復帰は、八十八万沖縄同胞及びわが国民の総意であります。すでに本院においても、過去三回にわたり、その趣旨決議をいたしたのでありますが、いまだにその実現を見ぬことはまことに遺憾とするところであります。  もとより沖縄小笠原諸島に関しては、昭和三十二年六月、岸・アイク共同声明において、施政権返還に対する日本国民の深甚な希望を強調するとともに、潜在主権を有する日本国立場を再確認し、米合衆国大統領は、これらの諸島住民福祉増進する政策を継続することを述べ、その後施政は著しく改善の道をたどり、わが国からの協力も逐次強く行なわれるようになったのであります。  さらに、昨昭和三十六年には、池田ケネディ共同声明において、日本潜在主権を有することを再確認するとともに、日米協力による住民福祉増進に努むることを表明し、米国は、沖縄住民の安寧と福祉増進のため一そう努力を払う旨を確言し、さらに、その努力に対する日本協力を歓迎する旨を述べ、日本は、その目的のため、米国と引き続き協力することを確言しております。ここにいわゆる日米協力による沖縄の新時代を招来したのであります。その結果として、日本国旗の掲揚、教育内容充実化のための本土よりの協力沖縄労働立法改正による労働者立場改善等を行なうほか、新三十七年度においては、わが国政府は、母国としての立場から、三十六年度に倍加し、総額十億円余に達する沖縄援助費を計上し、さらに日米協力して民生、産業、教育等発展に資し、沖縄本土県並みに向上発展せしめることを期しておるのであります。  池田ケネディ共同声明に基づき、米大統領の命を受けたケイセン調査団は昨年現地調査を完了し、近くその報告書が提出される段階になっております。われわれは、これに基づく米国沖縄に対する新政策に多大の期待をいたしておる次第であります。わが国としてもこれを契機に、今後さらに一そうの援助拡大に努め、もって、復帰に備えんとするものであります。  しかしながら、今次の大戦によって、多大の戦禍をこうむった沖縄の民生や産業がいかに向上いたしましょうとも、戦後十数年間を経た今日、なお米国施政権のもとに置かれている現地同胞の苦悩は、察するに余りあるものがあります。あらゆる機会において現地において表明せられている自治権の拡大の要求、母国国政に参加の要請等、熱烈なる祖国復帰願望は、われわれの心から同情を禁じ得ざるものがあります。  今回、琉球立法院において決議せられた施政権返還に関する要請決議等の論拠については、われわれのにわかに同意しがたいものでありますが、母国より分離せられ、他国の支配下にある沖縄同胞復帰に対する熱烈なる願望については、われわれ国民のひとしく理解し、同感するところであり、われわれの復帰実現に対する決意を一そう強固ならしめるものであります。  そもそも沖縄及び小笠原諸島は、国際緊張が緩和せねば復帰実現が困難であるといわれておりますので、われわれは、将来において国際緊張の緩和に一そう努力するとともに、その間において、沖縄がその重大なる使命の達成に遺憾なからしめる対策を講じつつ、かつ沖縄経済の開発、住民福祉生活の向上を促進し、もって、可及的すみやかに住民願望である祖国日本への復帰実現するの方途をとることが肝要であると存じます。それはまたわれわれ国民の重大なる責務であると存じます。  元来、沖縄本土復帰は、日米両国の間の特殊な問題として、両国の友好親善の基礎の上に解決せらるべきものであります。現在まで日米両国のとりつつある手段、方策は、必ずしも十分であったとは考えられませんが、決して、誤っておったものとは考えられません。今後沖縄に対しては、産業、民生、文化を一そう発展促進せしめつつ、もって、可及的すみやかなる復帰実現努力しなければなりません。かくてこそ真に日米両国民の友好と親善を確保し、沖縄同胞の熱望と国民悲願にこたえることができるのでありまして、ことに政府に対し一そうの努力要望する次第であります。  なお、この際、小笠原諸島の同胞の帰島に対しても、一日も早くその実現を見らるるよう、最善努力を払われんことをあわせて要望するものであります。  以上の趣旨によりまして、ここに本決議案提案いたしました次第であります。何とぞ満場の諸君の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 討論の通告が出ております。順次これを許します。松本俊一君。   〔松本俊一君登壇
  19. 松本俊一

    松本俊一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました決議案に対して、賛成の意を表するものであります。(拍手)  沖縄及び小笠原諸島施政権の可及的すみやかなる復帰は、九十万沖縄同胞悲願であり、また小笠原島民の悲願でもあるのでございまして、わが国民はあげてこれを熱望しておるところでございます。(拍手)しかしながら、戦後十数年になりましても、いまだその実現を見ないことは、われわれといたしましてもまことに遺憾といたすところでございます。(拍手沖縄及び小笠原諸島領土権につきましては、御承知通りサンフランシスコ平和条約第三条におきまして、アメリカはこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する旨を規定しているのにとどまりまして、同条約第二条において日本放棄した領域には入っていないのでございます。従って、わが国は同条約において、沖縄及び小笠原諸島に対する領土権放棄した次第ではないのでございます。  サンフランシスコにおける講和会議において、アメリカ代表でありました故ダレス氏は、同条約第三条を説明して、わが国沖縄に対して残存主権または潜在主権を保有する旨の発言を行なっております。またイギリス代表のヤンガー氏も、沖縄及び小笠原諸島に関しては、この条約においてこれらの諸島日本主権の外に置いておらない旨を明確に述べておるのでございます。これに対して日本の吉田全権は、これらの諸島領土権日本に残されておるというアメリカ及びイギリス両全権の発言は、日本国民のすべてが満足するところでありまして、日本国民の名において多大の喜びをもって了承すると申されたのであります。そうして、アジアの平和と安定とがすみやかに確立されまして、これらの諸島が一日もすみやかに日本国の行政のもとに復帰することを期待する、と述べられたのでございました。  沖縄及び小笠原諸島わが国領土であることは、かくのごとく平和条約上明確でありまして、わが国潜在主権を有しておるということはもとより当然のことでございます。従って、アメリカは、日本の同意を得ずしてこれら諸島の法的性格を変更するような処分を行なうことはできないのでございます。アメリカを唯一の施政権者とする国連の信託統治に付することにつきましては、同平和条約第三条で日本は同意いたしておりますが、アメリカがこれらの諸島施政権放棄する場合には、その施政権は当然に日本帰属することになり、そのとき初めて沖縄及び小笠原諸島が完全に日本復帰することとなるのであります。この場合は、平和条約を改定することなく、奄美大島の復帰の場合と同じく、日米間の合意によって行なわれるものであると考えられます。しかし、アメリカは、沖縄及び小笠原諸島を国連の信託統治に付する意図はないこと、及び極東における緊張か緩和された暁には、これらの諸島日本返還する旨をしばしば言明いたしております。現在の世界及び極東の情勢をながめますときに、いまだその緊張が緩和されていないことはわれわれのまことに遺憾とするところでざいまして、そのためやむを得ず、沖縄及び小笠原諸島は、いまだアメリカの施政権下に置かれておるのであります。今後、われわれは、世界及び極東の緊張緩和に全力を注ぎ、もって、その施政権の可及的すみやかなる復帰に一そうの努力を払うことは、われわれ国民の重大なる責務と考え、従来よりこれが復帰実現の方途を講ずることを政府要望して参ったのであります。  去る昭和三十二年六月、岸・アイク共同声明において、日本がこれら諸島に対する潜在主権を有することを再確認し、これら諸島の同胞の福祉増進し、その経済的及び文化的向上を促進する旨を述べております。さらに、昨昭和三十六年六月、池田ケネディ共同声明において、これら諸島がアメリカの施政権下にあると同時に、日本潜在主権を保有する沖縄及び小笠原諸島の同胞の安寧と福祉増進するために、一そうの努力を払うこと、及びこの目的のため、日米両国が引き続き協力する旨を確言しております。ここにいわゆる日米協力による沖縄の新時代を招来し、わが国沖縄との関係はますます緊密となり、その将来に大きな希望が持てるようになって参りました。  わが国沖縄との関係につきましては、従来から沖縄同胞に対して、わが国の国籍法、戸籍法及び恩給法等の属人的法律がすでに実施されております。また、池田ケネディ共同声明を契機に、沖縄日本国旗が掲揚されることになりましたことは、まことに慶賀にたえないところでございます。(拍手)また、教育内容の充実化のため、本土よりの大学教授及び教育指導員の派遣並びに沖縄教員の研修及び学生の留学等、本土よりの協力が行なわれております。わが国政府沖縄に対する援助は、昭和三十六年度より飛躍的に改善され、昭和三十七年度予算においては前年度に倍増し、総額十億円に上る援助費を計上いたしておるのであります。  かくのごとく、沖縄本土への実質的復帰の準備は着々進められておるのであります。  ケネディ大統領の命を受けたケイセン調査団は、昨年現地調査を完了いたしまして、その報告書が提出されたことと考えられます。われわれは、これに基づくアメリカの沖縄に対する新政策に多大の期待をいたしておりましたが、ケネディ大統領は、一昨七日のワシントンにおける記者会見におきまして、数日中に日本政府に対し、沖縄問題に関する若干の提案をするつもりであることを明らかにいたしました。しかも、その内容といたしまして、援助の拡大や自治権の拡大を含むと報道されておりますことは、われわれにとりましてまことに明るい希望をもたらすものと申さざるを得ません。  今次の大戦によって多大の戦禍をこうむりました沖縄の民生や産業がいかに向上いたしましても、戦後十数年間を経た今日、なおアメリカの施政権のもとに置かれている現地同胞の苦悩は、まことに察するに余りあるものがございます。あらゆる機会において、現地において表明せられておる自治権の拡大の要求、母国国政に参加の要請等、熱烈なる祖国復帰願望は、われわれの心から同情を禁じ得ないところであります。母国から分離せられ、他国の支配下にある沖縄同胞復帰に対する熱烈なる願望については、われわれ国民のひとしく理解し、同感するところであります。その意味におきまして、ただいま議題となりました決議案に衷心賛成の意を表するものでございます。  なお、郷土を追われて十数年、いまだ帰島を許されておりません小笠原島民の苦境に対しては、衷心同情を禁じ得ないものがあります。一日も早くとりあえず帰島が許され、最後的には沖縄とともに施政権を回復されることは九千島民の悲願でございます。よって、政府は、小笠原島民の帰島についても最善努力を払われんことを要望するものであります。(拍手
  20. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) ただいまの松本君の発言中、もし不穏当の言辞がありまするならば、速記録を取り調べの上、適当に処理いたします。  帆足計君。   〔帆足計君登壇
  21. 帆足計

    ○帆足計君 私は、ここに日本社会党を代表いたしまして、沖縄及び小笠原諸島における施政権回復共同決議案に心からなる賛意を表するものであります。  終戦すでに十七年になりますのに、わが沖縄八十八万の同胞は、終戦直後の占領下さながらの境涯に苦しんでおるのであります。(拍手)三権ことごとく米軍の手に握られ、琉球立法院といい、行政府というも、ただ名のみでありまして、その実権はことごとくアメリカ政府の任命する高等弁務官の権限に握られ、言論、集会、出版、思想の自由はもとより、本国との往来の自由すら極度に制約されておる実情であります。たとえば社会保障審議会会長大内兵衛博士、自由主義的評論家中野好夫教授さえ、単に進歩的たることを理由に、沖縄視察旅行の旅券さえ交付されない実情にあるのでございます。(拍手)今日沖縄の少女が無知なる米軍兵士の暴行を受け、これは由美子ちゃん事件というて、まことに悲惨の限りの事件でありますが、あるいはまた路傍に遊ぶ子供たちが米軍ジープにひき逃げされましても、沖縄市民には、治外法権のもと、裁判の権利すら与えられていないのでございます。(拍手沖縄の同胞は、みずからの本土のことを祖国となつかしみ、一瞬一刻も早く祖国への復帰を渇望しているのでございます。  そもそも、沖縄日本本土から引き離されるに至りましたいきさつは、言うまでもなく、サンフランシスコ平和条約第三条によるものであります。当時インド政府は、アメリカに対し、沖縄日本固有領土であるのに、アメリカ軍が占領政策を半永久化しようとするのは不当ではないかと警告し、また沖縄占領は、今後日本とアメリカとの間に重大なる不和の種をまくであろうと警告して、ついに、サンフランシスコ条約に調印しなかった事情は周知のことでございます。(拍手)おそらくインドは、過去において植民地支配の塗炭の苦しみを知るがゆえに、日本に対してかくも理解ある良心的態度に出たものであることを思うとき、感謝の念をもって当時を思い起こすのでございます。このインドの発言に対し、ダレス・アメリカ代表は、沖縄はやがて国連の信託統治に移す見通しのもとにしばらく占領を続けるのであって、このことをインド代表は理解しないのかと反論し、諸国代表の疑惑をなだめることに努めたのでございます。すなわち、当時ダレス代表は、沖縄はやがて信託統治に移すが、それまでの暫定期間だけやむなく占領を継続するという名目で、諸国民を納得せしめたものの、国連信託統治のもとでは、特定国の軍事基地を置くことは許されないことは明瞭でありますから、初めから占領を継続するつもりであって、国連信託統治に持っていく気持などはごうまつもなかったことは明らかであると、外交専門家たちはこぞってこのことを指摘しておるのでございます。(拍手)  これらの経過をひもとけばひもとくほど、まことに不法にして不当、陋劣なる手段によって沖縄がわれらの手から奪われたことを、諸君とともに痛感いたすものでございます。(拍手)戦い敗れたとはいえ、沖縄八十八万の同胞は、他国の支配を必要とするほど無知もうまいの民でもなく、また無自覚なる市民でもありません。沖縄同胞は、目前は貧しくとも、正しく清く子供たちの未来に希望ある自立の生活を求めて、心冷たき他国支配から解放され、平和憲法下の祖国のふところに復帰を求めるの訴えは、身売りされた不幸なる妹を思う兄の思いのごとくにも、切切として私どもの胸を打つものがあるのでございます。(拍手)  しかるに、最近に至りまして、世界の世論は、ゴア、西イリアンの解放を初め、植民地解放のあらしは怒濤のごとく、民族の自決を求めるの声いよいよ強く、さらにこれに呼応して沖縄同胞施政権返還、祖国復帰を求めるの叫びは、あるいは国民大会となり、あるいは立法院決議となり、沖縄島々を熱風のごとく席巻いたしておるのでございます。この国民の声、世界の世論に押されて、アメリカ国務省当局の一部に若干の反省の色があるやに見受けられますことは、諸兄とともに御同慶の至りでありますが、それが単に見せかけの譲歩にとどまり、事の本質たる施政権返還にはごうも触れるところなく、ただ国旗の形式的掲揚、教育振興費並びに特需、民需、経済援助の増額等にとどまるものであるとするならば、日本国民としては不満この上もないことでございます。(拍手)本日伝えられるアメリカ国務省の譲歩案というものについて見ますと、単に見せかけの譲歩によって目前を糊塗し、逆に占領政策を永久化しようとする危険性なきや、良識ある与党の各位とともに、私たちは、十分なる警戒と検討を要するものであることを痛感いたす次第でございます。(拍手)  一体、アメリカ政府は、沖縄住民のことを何と心得ておるのでありましょうか。沖縄八十八万の市民はわれらの同胞であります。沖縄同胞に対する外からの侮べつは、われら自身に対する侮べつであり、沖縄同胞の心の痛みは、そのままわれらの心の痛みでございます。戦勝の余勢に乗じて他国の領土への軍事占領政策を継続し、その住民の自由と人権をじゅうりんして、何の自由国、何の同盟国、何の友好国ぞやと言いたいほどの思いがいたすのでございます。(拍手)それでは、万が一にも、国際連合総会の席において、アジア・アフリカ諸国のうちの一国から、アメリカがこのまま沖縄住民の意思に反し、たって占領政策を続けるならば、実質的には侵略国の疑いがあるなどと提訴されましても、アメリカは何と弁解できるでありましょうか。いずれの国の軍人もそうでありますように、とかく職業軍人というものは、視野狭小にしてものわかりが悪いものであることは定評でありますけれども、偏狭なる軍部と異なり、みずから自由主義的教養を誇るアメリカ国務省に対し、切に反省を要望する次第でございます。(拍手)  サンフランシスコ平和会議の速記録をひもといてみますると、当時、ダレス代表は次のように述べております。「そもそも、他国の恵みによって生きる国民に真の自尊心は期待できない。外国の支配は、いかにそれが恵み深い場合であろうとも、それは支配を受ける人々の自尊心をはぐくむものではない。」私は、なきダレス代表に、この言葉をわれわれに対して説く上りも、夫子みずからの政府に対して説いていただきたかったと思うのでございます。(拍手)  明治の夜明けにあたりまして、福沢諭吉翁は、「天は人の上に人を作らず」の一句をもって「学問のすすめ」を説き起こしておりますが、さらに翁は、「真に独立の気象なくんば、国を思うこと深くかつ切ならず」と説いております。まさに今日のわが国の内外の情勢に照らして警世の名言であると思うのであります。(拍手)  先日、コンロン報告を執筆したカリフォルニア大学のスカルピノ教授が沖縄を訪れ、東京に立ち寄りましたとき、私も同教授に会う機会を持ちました。私はスカルピノ教授に、このように話しました。「もし、日本にかりに軍隊があり、日米軍事同盟の必要があるからといって、日本の兵隊がカリフォルニアに駐在し、高等弁務官と称して施政の全権を握り、ロスアンゼルスの貧しい娘たちの幾人かはパンパンに陥り、子供たちはジープにひき逃げされても訴えるすべもない。カリフォルニア大学の教授たるあなたは、多少進歩的であるという理由のために、ワシントン行きの旅券さえもらえないということでは、自尊心あるアメリカ市民として、少々の軍需、特需のおこぼれぐらいは犠牲にしても、カリフォルニアの他国支配からの解放を要求するでありましょう。民主主義をわれら東洋人に説きたいと思うならば、まず、おのれの欲せざるところ人に施すことなかれ、この格言を理解することが第一です。」と語ったことでした。(拍手)  最後に、われわれは、ここに、日本国民の最高の意思を代表するわが国会の名において、政府に対し、あくまで日本国平和憲法の示す方向に忠実なることを要求するとともに、しかして、日本民族の大義に基づいて、沖縄施政権返還と祖国復帰につき、強力にアメリカ政府当局と交渉することを要請する次第であります。  今や、沖縄は、アメリカの国防の第一線として、危険なる前線基地、補給基地、あるいは中継基地となり、さらには、戦略的にはアメリカの原爆ミサイル・ギャップを補うための、米軍の前線、犠牲基地となっております。それゆえ、アメリカの軍事評論家たちは、こぞって、沖縄をもって南太平洋の第二のアッツ島と呼んでいることは、まことに痛心のきわみであります。アッツ島は無人島でありますけれども、沖縄には、われら八十八万の同胞が住んでいることを忘れることはできません。かくて、沖縄をして再びひめゆりの塔たらしめることなきように、日本国民の憂国の熱意と党派を越えた切なる平和の願いをもちまして、沖縄の米軍支配からの全面的解放、施政権返還、祖国復帰を皆様とともに世界の公正なる世論に強く訴えまして、賛成のあいさつにする次第でございます。(拍手
  22. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) ただいまの帆足君の発言中、もしその表現において不穏当の個所がございましたら、速記録を議長が取り調べの上、適宜処置いたします。  内海清君。   〔内海清君登壇
  23. 内海清

    ○内海清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました沖縄及び小笠原諸島における施政権回復に関する決議案に対し、賛成討論を行なわんとするものであります。(拍手)  言うまでもなく、沖縄及び小笠原諸島施政権返還は、当該住民にとってはもとよりのこと、日本国民全体を通ずる長い間の切実な要求であり、悲願であります。それゆえにこそ、わが国国会は、過去三回にわたってこれの返還要求決議を採択して参ったのであります。俗に仏の顔も三度という言葉があります。しかし、われわれが過去三回にわたってこの種決議を行ないながら、いまだにわれわれの悲願が実らず、今ここに四回目の決議を行なわなければならない事態を、深く遺憾とするものであります。(拍手)私は、この決議案を採択するに際して、まず、冒頭に、過去においてとり来たった政府の無気力な対米交渉に対する強い反省と、今後の政府の責任の重大さについて、異常な熱意と誠意を喚起したいと思うのであります。  わが党は、これまでわが国の完全な独立の完成と、沖縄住民等に希望と安住の生活を保障する唯一の道は、沖縄及び小笠原を一刻も早くアメリカの施政から解放し、日本施政に切りかえることが必要であるとの見地に立って、その祖国復帰の運動をだれよりも熱心に推進して参りました。このわれわれの運動は、一部に考えられているように、この問題を反米運動の一環として利用せんとするものとは全く性質を異にするものであることを、この際明らかにしておきたいと思うのであります。われわれの運動は、まぎれもなく、日本人である沖縄住民をありのままに日本人として取り扱い、日本人であるならば、だれしもが享受し得る憲法上の権利福祉を、政府の責任において保障する体制を確立するという、きわめて純粋な意図に基づいて行なわれているのであります。(拍手)  御承知のように、沖縄日本領土であります。そして、そこに住む沖縄住民日本語を語り、日本国籍を有する人々であります。そのような地位を持つ沖縄が、そして、そこに住む日本人である人々が、何ゆえ他国の施政下に、しかも、軍政という異常な生活環境の中で暮らさなければならないのでありましょう。これは、ひとえに敗戦という異常な状態のもとで、これまたきわめて変則的なサンフランシスコ条約締結された結果によることは論を待たないところであります。しかも、その後における国際情勢の変化によって、世界は米ソ二大勢力の対立を迎え、米国沖縄を極東戦略の重要軍事拠点として使用するに至り、沖縄の変則的立場は、不幸にも半ば固定的状態になってしまったのであります。  われわれは、これらの事実を頭から否定しようとするものではありません。しかし、われわれは、また別の事実として、沖縄が明確に日本領土であり、かつ、そこに住む住民が、日本への復帰を熱望しておるという事実をより深く認識する必要があります。その意味で、われわれは、単に前段の事実を強調することによって、沖縄の現状をいたし方なしとするがごとき政府態度には、絶対にくみすることはできません。なぜなら、国際情勢やアメリカの方針等について、われわれがこまごました配慮を行なう前に、日本国民の正当な利益を堂々と内外に主張することが、いかに大切なことであるかを痛感するからであります。(拍手)われわれの領土を、われわれの国民を、われわれの手に返せと主張することは、われわれの当然の要求であり、これこそ政府に課せられた最も重大な使命だからであります。しかし、この点に関するこれまでの政府態度は、あまりにも無気力かつ無責任であります。政府は、国会答弁等において、沖縄施政権返還を要求していると強弁されているが、そのそばからキャラウェー発言等が飛び出して、沖縄に対するアメリカの施政は絶対的なものだとか、あるいは沖縄住民の自治は現状で十分だとか、くぎをさされるがごときは、まことに醜態といわなければなりません。しかも、伝えられるところによれば、キャラウェー高等弁務官は、その後もなお記者会見において、沖縄施政権返還日本政府から正式に要請されたことはないと言っており、政府のこれまでの答弁と全く逆の発言を行なっているのであります。その真偽はともかくとして、このような発言沖縄施政の最高責任者である高等弁務官から言われるがごときは、わが国の対米追随外交、自主性なき軟弱外交を示すものでなくて一体何でありましょうか。(拍手)  われわれは、沖縄問題が今日ほど真剣に議論されたことはないと考えております。しかし、この真剣な議論は、決して政府の熱意と政府の誠意から生まれたものでなく、沖縄住民やわれわれの手によって引き起こされたものであることを、この際明確に知る必要があると思うのであります。このわれわれの熱意は、さきのケネディ司法長官の来日、ケイセン調査団の沖縄訪問等を契機として、今や太平洋を越えて米国にまで大きな反響を与えつつあります。そして、それは、きのうきょうの新聞でも明らかなように、米国の対沖縄政策に、近く大きな変化が起こることを約束しております。このことは、われわれの主張の正しさと熱意が、米国にも徐々に受け入れられつつあることを意味するものであります。  今、沖縄は、われわれの意図に反して、その軍事基地化が着々進行し、すでにミサイル・メースの基地まで作られつつあります。戦争をしないことを憲法に誓った日本が、その領域において戦争に応戦する体制を整えているというのが偽らざる現実の姿であります。沖縄施政権返還の要求は、沖縄を、そしてわれわれの同胞を、再び戦火にさらしてはならないという、日本国民の強い決意を含んでいることを、決して忘れてはならないのであります。(拍手)われわれは、沖縄に第二のひめゆりの塔を絶対に作らせてはならないのであります。われわれが作るべきものは、沖縄における平和と福祉であって、その他のものでは決してありません。  われわれは、そのような見地に立って、これまで政府に対し、施政権返還問題を、単に形式的立場であげつらうのではなく、そこに至る現実的方向として、沖縄住民の自治の拡大、沖縄に対する日本政府の財政援助の強化、さらには、沖縄代表の国会議席の確保並びに沖縄の行政所轄の移管等々、日本政府による実質的な施政権の行使について、幾たびか具体的提案を行なって参ったのであります。今回の施政権回復決議は、このようなわれわれの提案を、前向きに前進させる大きなてこになると確信をいたすものであります。また、われわれは、そうしなければならないのであります。そこにこそ、本決議案の重大な意義を認めるのであります。しかし、われわれが銘記しなければならないことは、この決議の採択によって、すべてが終わるのではなく、いな、それは沖縄等の施政権返還実現するすべての出発点だということであります。  私は、この際、政府がこの点について深い認識と大きな責任を自覚し、沖縄並び小笠原諸島施政権返還という大目標に向かって、明日と言わず、きょうから精力的かつ着実に、具体的活動を展開するよう特に切望し、本決議案に対する私の賛成討論にかえる次第であります。(拍手
  24. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案全会一致可決いたしました。(拍手)  この際、内閣総理大臣及び外務大臣から発言を求められております。よって、順次これを許します。内閣総理大臣池田勇人君。   〔国務大臣池田勇人登壇
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 沖縄小笠原諸島につき、わが国潜在主権のみを持っておるという状態は、はなはだ遺憾とするところであります。政府は、これまでもあらゆる機会をとらえて、米国側に対し完全なる施政権の回復を要請して参った次第でありまするが、まことに残念ながら、いまだその実現を見ておりません。  政府は、本決議趣旨に沿い、今後ともその早期実現のため、積極的に努力いたしていく所存でございます。(拍手
  27. 清瀬一郎

  28. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府におきましては、過去三回にわたり、沖縄小笠原諸島施政権返還決議について、そのつどこれを米国政府に伝達し、その早期実現方につき米国側の配慮を要望するとともに、かねて昭和三十二年六月、岸総理とアイゼンハワー大統領との会談、三十六年六月の池田総理とケネディ大統領との会談、その他あらゆる機会をとらえて、同諸島施政権返還の早期実現のため、鋭意折衝して参った次第であります。これに対して、特に最近におきまして、米側は沖縄に対するわが国の援助を歓迎し、かつ、米国政府沖縄政策につき真剣に検討を加えている趣が伝えられております。  政府といたしましては、御決議趣旨を体し、施政権回復が一日も早く実現しまするよう、引き続き努力を重ねていく所存であります。(拍手
  29. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長中島茂喜君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔中島茂喜君登壇
  30. 中島茂喜

    ○中島茂喜君 ただいま議題となりました両法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、両法案の要旨を申し上げますと、自治省設置法の一部を改正する法律案は、自治省に置かれている参与の定数を二人増員するとともに、自治省職員の定員を三十三人増員して、四百九十六人に改めることであります。  次に、文部省設置法の一部を改正する法律案は、第一に、国立科学博物館の自然史関係の研究部門を拡充整備するとともに、国立自然教育園を同館の付属機関とすること、第二に、国立近代美術館に分館を置き得るものとすること、第三に、著作権審議会を廃止して、新たに著作権制度審議会を設けること、第四に、文部省職員の定員を八千四百十一人増員して、八万三千百五十九人に改めることであります。  両法案は、一月二十五日、二月七日、それぞれ本委員会に付託され、二月一日、二月八日、それぞれ政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、三月八日、質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、右両法案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  32. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 民法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 建物区分所有等に関する法律案内閣提出)  日程第七 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案内閣提出
  33. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第五、民法の一部を改正する法律案日程第六、建物区分所有等に関する法律案日程第七、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
  34. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長河本敏夫君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔河本敏夫君登壇
  35. 河本敏夫

    ○河本敏夫君 ただいま議題となりました三案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、民法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、昭和二十二年新民法施行後、今日までの同法の運用の実際にかんがみ、さしあたり根本問題にわたらない事項で、現行の規定の解釈に疑義があると思われるもの等について改正しようとするものであります。  改正案のおもなる内容は、第一、死亡した数人の死亡の先後が明らかでないときは、これらのものは同時に死亡したものと推定すること、第二、被相続人の孫以下の直系卑属は、すべていわゆる代襲相続によって相続するものとすること、第三、相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなすこと、第四、相続人が存在しない場合には、家庭裁判所の裁量によって、被相続人と特別の縁故があった者に相続財産を与えることができるようにすること等であります。  法務委員会におきましては、二月十四日本案が付託せられて以来、慎重審議を重ね、特に被相続人と特別の縁故があった者の範囲等について質疑がありましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月八日、質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決に付しましたところ、本案全会一致をもって政府原案通り可決いたしました。  次に、建物区分所有等に関する法律案について申し上げます。  最近、共同建築やアパートの分譲等により、建物を区分して所有する事例が次第に増加する傾向にありますが、区分所有に関する民法の規定がはなはだ不備でありますので、建物の区分所有関係及びこれと関連のある事項について単行法を制定し、あわせて関係法律に所要の整理を加えようとするものであります。  本案のおもなる内容は、第一、一棟の建物のうち、構造上区分された部分であって、独立して住居その他建物としての用途に供することのできるものに限り、区分所有権を認めること、第二、区分所有者の全員またはその一部が、共同で使用する廊下、階段室等、区分所有権の目的とならない建物の部分、及び機械室、集会室等、区分所有者の全員またはその一部が、その合意によって共同で利用すべきものと定めた建物の部分、とれらは原則として区分所有者の全員またはその一部の共有に属することとすること、第三、共用部分及び建物の敷地の維持管理に関し、管理者、規約及び集会に関する規定を設けること等であります。  当委員会におきましては、二月十五日本案が付託せられて以来、慎重審議を重ねましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月八日、質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって本案政府原案通り可決いたしました。  最後に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、民事、刑事訴訟の証人等の日当の最高額を千円に改正し、当事者、証人、鑑定人及び執行吏の宿泊料並びに執行吏の恩給を一般公務員の例に準じて増額しようとするものであります。  委員会におきましては、去る三月二日本案が付託せられてより慎重審議を重ねて参りましたが、その詳細については会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月八日、質疑を終了し、討論なく、採決いたしましたところ、本案全会一致をもって政府原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 三案を一括して採決いたします。  三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第八 森林法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  38. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第八、森林法の一部を改正する法律案議題といたします。
  39. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事田口長治郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔田口長治郎君登壇
  40. 田口長治郎

    ○田口長治郎君 ただいま議題となりました内閣提出森林法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告いたします。  現行の森林法は、森林計画、保安林その他森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織に関する制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進をはかることにより、国土の保全と国民経済発展に資することを目的として昭和二十六年に制定されたものであります。その後十年を経た近時においては、国民経済発展とともに木材に対する需要構造はもちろん、森林資源の状況も大きく変化しつつあることは御存じの通りでありまして、これに即応するための林業基本制度を確立し、もって、森林資源の保続培養と国土保全上の諸施策を弾力的かつ効率的に運用しようとして、本案提出されたのであります。  その主たる内容について申し上げますと、第一に、現行の森林計画制度を廃止して、農林大臣は林産物に関する長期見通しを立て、これに即して全国森林計画を定め、都道府県知事は、全国森林計画に即して地域森林計画を定めるという制度を採用したこと、第二に、伐採許可制度を廃止し、これにかえて立木を伐採するときは、都道府県知事に伐採の届出をすることとしたほか、都道府県知事は、必要に応じ施業の勧告ができるようにしたこと、第三に、農林大臣は、指定保安林につき必要最小限度の指定施業要件を定めて森林所有者等に通知し、都道府県知事は、この指定施業要件に従って伐採を許可し、または植栽を命ずることとしたこと、第四に、民有保安林の所有者等に対し、農林大臣及び都道府県知事は、有効な指導援助をするほか、都道府県知事は、保安林台帳、保安施設地区台帳を調製保管することとしたこと、第五に、中央森林審議会に特別な事項を調査審議するための臨時委員十名を置くことができるようにしたこと等であります。  本案は、二月十二日に付託され、二月十四日に提案理由の説明を聞き、三月二日及び六日から八日までの四日間にわたり質疑を行ない、八日、質疑を終了し、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって政府原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案には林業の基本政策の確立につき、生産対策等八項目にわたる附帯決議が付されていることを申し添えておきます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  41. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第九 簡易保険郵便年金福祉   事業団法案内閣提出
  43. 清瀬一郎

  44. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長佐藤虎次郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔佐藤虎次郎君登壇
  45. 佐藤虎次郎

    ○佐藤虎次郎君 ただいま議題となりました簡易保険郵便年金福祉事業団法案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。  この法律案は、去る一月二十五日内閣から提出されたものでありますが、その目的とするところは、簡易生命保険及び郵便年金の加入者福祉施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行なうために、簡易保険郵便年金福祉事業団を設立しようとするものでありまして、その内容といたしましては、第一に、事業団の業務は、簡易保険及び郵便年金の加入者に対する福祉施設のうち、老人福祉施設、診療施設及び保養施設等で政令で定めるものの設置及び運営を行なうものとすること、第二に、事業団は法人とし、政府の現金出資額四億三千八百万円と、既存の簡易保険診療所、加入者ホーム等の現物出資額との合計額をもって当初資本金とすること、第三に、事業団の役員として、理事長一人、理事三人以内、監事一人を置き、その任期はそれぞれ三年とすること、第四に、政府は予算の範囲内で、事業団に対し、業務に要する費用の一部を交付するとともに、事業団の予算その他特定の事項については、郵政大臣の認可または承認を要すること、第五に、郵政大臣は、事業団を監督し、また、事業団の予算の認可等一定の場合には、大蔵大臣と協議すること、第六に、事業団の設立に関連して、必要な簡易生命保険法等の関係法律改正を行なったこと等がそのおもなものであります。  なお、施行期日は、附則の一部を除き、公布の日となっております。  委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、慎重審議を重ねたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくして、委員会は、三月八日、本案に対する質疑を終了し、引き続き討論を行なったのでありますが、その際、日本社会党を代表して栗原俊夫君は本案に反対の意見を、また、自由民主党を代表して佐藤洋之助君、民主社会党を代表して受田新吉君は、いずれも本案賛成意見を述べられ、次いで、採決の結果、多数をもって本案を可決いたした次第であります。  以上をもって、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  46. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  47. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 医療金融公庫法の一部   を改正する法律案内閣提出
  48. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 日程第十、医療金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。
  49. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事柳谷清三郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔柳谷清三郎君登壇
  50. 柳谷清三郎

    ○柳谷清三郎君 ただいま議題となりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本法は、第三十四回国会で制定され、私立の病院、診療所等に対する専門の金融機関として、昭和三十五年七月から業務を開始しているのであります。その貸付金額は、昭和三十五年度は二十九億五千万円、昭和三十六年度は七十億円でありましたが、公庫に対する借り入れ希望の申し込みは、なお非常に多いのであります。  今回の改正点は、第一に、医療金融公庫の資本金を、現在三十億円でありますのを、二十五億円増加して五十五億円に改めることであります。そして、この二十五億円のほかに、資金運用部からの借入金五十九億円と貸付回収金の六億円、以上合計九十億円をもって、昭和三十七年度における医療金融公庫の貸付額としておるのであります。また、理事長を総裁と改めるのが、改正の第二点であります。  本案は、一月二十六日本委員会に付託となり、三月八日、質疑を終了し、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  51. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  53. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時五十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         郵 政 大 臣 迫水 久常君         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         厚生省医務局長 川上 六馬君         農林政務次官  中馬 辰猪君         郵政省簡易         保険局長    板野  學君      ————◇—————