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1962-03-02 第40回国会 衆議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十六号   昭和三十七年三月二日    午後二時開議  第一 在外公館名称及び位置を定める法律の   一部を改正する法律案内閣提出)  第二 在外公館に勤務する外務公務員給与に   関する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  第三 昭和三十六年度分として交付すべき地方   交付税総額特例に関する法律案内閣提   出)  第四 公営企業金融公庫法等の一部を改正する   法律案内閣提出)  第五 日本原子力研究所法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第六 所得税法の一部を改正する法律案内閣   提出)  第七 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 在外公館名称及び位置を定める法   律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 在外公館に勤務する外務公務員の給   与に関する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第三 昭和三十六年度分として交付すべき   地方交付税総額特例に関する法律案(内   閣提出)  日程第四 公営企業金融公庫法等の一部を改正   する法律案内閣提出)  日程第五 日本原子力研究所法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第六 所得税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)  日程第七 国民貯蓄組合法の一部を改正する法   律案内閣提出)    午後二時十二分開議
  2. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第一、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案日程第二、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  4. 原健三郎

  5. 草野一郎平

    草野一郎平君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告を申し上げます。  まず、両法案の要旨を申し上げますと、在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案は、諸外国との外交関係をより密接ならしめるため、クウェイト、サイプラス、シェラ・レオーネ、タンガニイカの各国に大使館を新設するとともに、ニカラグァ、ハイティ等公使館十館及びダマスカス総領事館を、それぞれ大使館に昇格するほか、ダッカ領事館総領事館に昇格すること等であります。  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、外交活動強化の一環として、在外公館に勤務する外務公務員給与を改善するため、制定以来十年間据え置きのままとなっている在勤俸支給額を改定しようとするものであります。  両法案は、去る一月二十四日、三十一日、それぞれ内閣委員会に付託され、二月一日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、二十七日質疑を終了、三月一日採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案内閣提出)  日程第四 公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案内閣提出
  8. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第三、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案日程第四、公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  9. 原健三郎

  10. 金子岩三

    金子岩三君 ただいま議題となりました二法案につきまして、地方行政委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案につきまして申し上げます。  御承知のように、昭和三十六年度第二次補正に伴って、本年度分として交付すべき地方交付税総額が増額されることとなったのでありますが、政府は、との増額された財源の一部を来年度に繰り越して使用することを適当と認め、本特例法案提出したのであります。  その内容を申し上げますと、昭和三十六年度分として交付する地方交付税額は、すでに決定した普通交付税の額及びこれに対応する特別交付税の額とし、これを総額から控除した残余の額を、昭和三十七年度に繰り越すことができることとするものであります。  本案は、二月十日本委員会に付託され、同十三日政府より提案理由説明を聴取し、慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知いただきたいと存じます。  三月一日、質疑を終了いたしましたところ、別に討論通告もなく、直ちに採決の結果、賛成多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、公営企業金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  本案は、第一に公営企業金融公庫法の一部を改正して、公営企業金融公庫資本金二十一億円を三億円増額し、二十四億円としようとするものであります。  御承知のごとく、本公庫は、昭和三十二年六月に設立され、地方公共団体の水道、交通、電気等各種事業公営企業にかかる地方債につき、特に低利かつ安定した資金を融通することを業務とするものでありまして、その貸付累計額は、昭和三十六年度末において約六百億円となる見込みでありますが、政府は、地方公営企業の現況にかんがみ、本公庫業務運営基礎を一そう充実する必要を認め、今回さらにその資金を増額することとした次第であります。  第二に、奄美群島復興特別措置法の一部を改正して、奄美群島復興信用基金融資業務に要する資金二億六千万円を六千万円増額し、三億二千万円としようとするものであります。  奄美群島復興事業は逐次推進を見つつありますが、同群島経済ははなはだ脆弱でありますので、産業資金の融通が円滑を欠き、このことが同群島復興の大きな隘路となっておりますので、その対策として、群島内の中小規模事業者に対し、小口の事業資金貸付を行なおせるため、奄美群島復興信用基金に、これまで二億六千万円の政府出資をいたしておるのであります。しかし、この程度資金をもちましては、とうてい熾烈な資金需要に応ずることができない状況でありますので、今回、政府は、その資金を増額することとした次第であります。  本案は、一月二十四日本委員会に付託され、同三十日政府より提案理由説明を聴取し、慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知いただきたいと存じます。  三月一日、質疑を終了いたしましたところ、別に討論通告もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通う可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第五 日本原子力研究所法の   一部を改正する法律案内閣提   出)
  14. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第五、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案議題といたします。
  15. 原健三郎

  16. 前田正男

    前田正男君 ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、日本原子力研究所の行なう放射線化学研究業務にかかる管理機能を強化するため、同研究所理事の定数を一人増加して、現行六人以内を七人以内に改め、増員される理事の一名は、新設の放射線化学中央研究所の所長を兼ねることとするものであります。  本案は、去る二月五日本委員会に付託され、同月八日三木国務大臣より提案理由説明を聴取し、以来参考人より意見を聴取するなど慎重に審査が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  三月一日、質疑を終了し、直ちに採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案として、研究開発計画重点的策定計画推進上の組織運営の刷新、従業員健康保持、処遇の適正化等を骨子とする附帯決議案提出され、とれまた全会一致をもって可決した次第であります。  以上をもって御報告といたします。(拍手)     —————————————
  17. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  18. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————  日程第六 所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣提出
  19. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第六、所得税法の一部を改正する法律案日程第七、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  所得税法の一部を改正する法律案  国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  20. 原健三郎

  21. 小川平二

    小川平二君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外一法律案について、大蔵委員会における審議経過並びにその結果について御報告申し上げます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  今回の改正は、中小所得者を中心とした税負担の軽減、合理化等をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は次の通りであります。  まず第一に、基礎控除及び配偶者控除を、現行九万円から十万円に引き上げることとし、青色申告者事業専従者について十二万円の控除限度が認められる年令区分を、現行の二十五才から二十才に引き下げております。  また、税率につきましても、百八十万円以下の所得階層に適用される税率の緩和をはかるとともに、道府県民税との関係上、最低税率現行十万円以下の金額について一〇%であるのを八%に、また、最高税率を六千万円をこえる金額について七五%としております。  次に、生命保険料控除対象となる保険料限度額引き上げるほか、退職年金については、企業従業員のために拠出した掛金に対しては、年金受給時に給与所得として課税する等、所要の整備を行なうこととしております。  次に、教育または科学振興等のための寄付金について、一定の金額税額から控除する寄付金控除制度を新たに設けることとし、また、昭和二十八年一月一日前から引き続き所有していた資産譲渡所得等については、資産評価法による再評価制度及び再評価税課税は廃止することとし、その他、文化功労者年金非課税とする等、税制合理化をはかることとしております。  次に、非居住者わが国事業を行なう場合における事業所得課税の要件を明確にするとともに、わが国事業を有しない非居住者資産譲渡による所得については、不動産等重要な資産譲渡について課税するよう、その対象を列挙する等の措置を講ずることとしております。  以上、一般的な所得税改正のほか、国と地方団体との間の税源配分適正化をはかるため、所得税収入の一部を道府県民税収入として移譲することとし、本案の附則で地方税法改正を行なうこととしております。  すなわち、道府県民税所得割につきましては、現行〇・八%から五・六%までの十三段階区分超過累進税率を、二%と四%の二段階標準税率に改めることであります。なお、昭和三十六年度分所得税昭和三十七年度分の個人の道府県民税との間における所得控除等の額の相違分については、特別の税額控除を行なうほか、所要調整をはかることとしております。  以上、本案につきましては、審議の結果、去る一日質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して、武藤委員より反対の旨の意見が述べられました。次いで採決いたしましたところ、起立多数をもって原案通り可決いたしました。  次に、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、貯蓄の増強がますます重要となって参った最近の経済情勢にかんがみ、税制面における貯蓄優遇措置を講ずるとともに、国民貯蓄組合のより適正な運営を期するため、所要措置を講じよもとするものであります。  すなわち、まず、国民貯蓄組合のあっせんによる貯蓄利子等にかかる所得税非課税限度額が、現在一種類貯蓄につき三十万円となっておりますのを五十万円に引き上げることとし、次に、従来非課税扱いとし得る貯蓄種類が多様でありましたのを三種類に分類し、同一の組合員は、そのうち二種類を選択し得ることとするとともに、非課税扱いを受けようとする貯蓄については、貯蓄を受け入れる機関に対し、非課税貯蓄申込書提出を要することといたしております。  さらに、いわゆる窓口組合については、その組合長に対し、組合に加入しようとする者の資格の調査を行なうため、必要な証明を求める権限を与えることといたしております。  以上がこの法案内容の概要でありますが、本案は、審議の後、去る一日質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、藤原委員日本社会党を代表して反対意見を述べられました。次いで採決いたしましたところ、起立多数をもって本案原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第六、第七の各案につき、それぞれ討論通告があります。順次これを許します。武藤山治君。   〔武藤山治登壇
  23. 武藤山治

    武藤山治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました所得税法の一部を改正する法律案に対し、討論を試み、政府並びに自民党反省を求めたいと存じます。(拍手)  今回のおもな改正点は、減税措置として基礎控除配偶者控除の各一万円の引き上げ青色申告者専従者控除年令差別の除去、道府県民税所得税率改正がおもな点であります。これらの減税措置としての改正歩、いかに不妥当、不合理小幅で不公平なものであるかは、私が申すまでもなく、賢明なる諸公のよく認識しているところであろうと存じます。(「うそつけ」と呼ぶ者あり)うそつけというヤジがございますから、以下、その事実について述べてみたいと思います。(拍手)  第一の点は、もっと大幅な減税ができるはずであります。すなわち、政府昭和三十七年度収入見込み計算では、前年当初予算に比し四千八百七億円、決算見込みに対し一千五百十億円の自然増となっております。しかし、従来の実績を調べてみますると、政府が当初見積もった数字は、毎年大きくその事実と違っておりまして、われわれに示した数字より、かなり自然増伸び率は大きいのであります。具体的に示すならば、伸び率の当初見込みより増加した年度別数値は、所得税において昭和三十年が三・二%、三十一年が一六・二%、三十二年が九・四%、三十三年が五・九%、三十四年が二・三%、三十五年度のごときは見込み違いが一八・一%も出ているのであります。この歴年の伸び率見込み違いが、すなわち隠し財源に該当するものであります。さすれば、経済成長率五・四%と押えた見通しで積算をいたしました本年の見込みも、相当の伸びがあることはやや確定的であります。この数値による的確な見積もりをわれわれに示さず、小幅自然増に見せかけて、減税幅を小さくしたことは、われわれの断じて承服できないところであります。(拍手中山税制調査会会長は、大蔵委員会において、すなわち、「調査会員各位意見は、三千億減税と一千億減税の両論に分かれた、そこで、中間の一千五百億円程度をめどとする規模減税を答申しだ」と述べておるのであります。このように、二つの意見をプラスして中間をとるという、政治的配慮減税規模がきめられているといわなければなりません。全く科学性のない、どんぶり勘定的小幅減税であって、われわれの反対する一つの大きな理由であります。(拍手)  第二の、不妥当、不公平な点をあげるならば、非課税最低限度が低過ぎるということであります。農民、零細自営業者低額給料生活者に対し思いやりが少なく、先進諸国に比しても重過ぎる税負担を是正していない点であります。さらに国民階層間、業種間の公平が期せられていないという点を指摘しなければならないのであります。  政府改正案によれば、課税最低限の額は、平年度において、給与所得独身者の場合年間十四万二千五百三十六円、標準世帯で四十一万四千六百九十三円、事業者独身者が十万一千九百十円、事業者標準世帯は三十一万九千九百六十七円となっております。今回わずか年間所得二万円程度控除額引き上げましたが、この引き上げがいかに現状に照らして不妥当であるか、すなわち、生計費には課税しないというわが党の主張に対し非常に遠いものでございます。今日の生活実態を調べれば、それははっきり判明するのであります。すなわち、経済企画庁発行日本経済指標の十月状況を調べてみましても、勤労者世帯実質支出は月三万七千円、消費支出は三万四千二百九十円となっており、これを年間に通算するならば、実質支出四十四万六千円、消費支出は四十一万一千円と相なるのであります。今回の改正でも、なお、この消費支出に必要な金額にまで税金を課しておるのであって、大衆負担が重いことは、はっきり断定できるのであります。(拍手)  先進国家といわれる諸国はどうでありましょう。アメリカイギリス西ドイツを比較してみますると、給与所得独身者の場合、アメリカは二十三万九千円、イギリスは十八万一千円、西ドイツは二十五万九千円まで非課税となっており、標準世帯に至りましては、アメリカ年間百二十万円まで税金がかかっていないのであります。イギリスは七十三万余円、西ドイツでも八十万余円までは非課税であります。  日本は、いずれの国よりも課税限度が低いのであります。すなわち、低所得者負担が実に多過ぎる、重い税金がかけられておると断ぜざるを得ないのであります。すなわち、わが日本社会党は、前々から、生計費には課税するなと主張し、標準世帯年所得五十万円までの給与所得、四十五万円までの事業所得者非課税とせよと主張して参りました。ただいま申し上げましたように、先進国家はことごとく七十五万円程度までは非課税でございますから、現下の消費生活実態から見ても、わが日本社会党主張は、最も妥当なものであると確信を持つものであります。(拍手政府案が、これらの点を全く考慮をしていないということに対し、鋭い批判を加え、反省を求め、今後国民大衆とともに、これが実現のためにわが党は戦うでありましょう。  なお、今回青色申告専従者控除について年令差別をはずし、二十才以上十二万円にいたしましたが、白色申告納税者との公平、バランスという点が十分考慮されておらないのであります。わが党は、農業商工業等自営者自家労賃を経費として認めよ、さもなければ、あるいは専従控除白色にも十二万円を認めよと主張して参りました。御承知のように、農業零細商工業は、記帳したり税理士を依頼したりすることが、種々なる条件で困難でありますから、その特殊性を認めて、自家労賃分として十二万円を当然認めることが、公平な処置と思うのであります。政府案では、同種業者間でも青色白色申告者課税最低限度は、五万四百四十八円も差があるのであります。青色申告記帳義務があるからと反論するでありましょうが、青色にはほかに特別措置による免税恩典が、数種与えられていることは御承知通りであります。従って、白色申告納税者にも当然十二万円の控除を認めることが、公平の原則に最もよく適応するゆえんと心得え、政府自民党にすみやかに改正するよう、政策転換を求めてやまないのであります。  第三には、大企業独占資本には恩恵が多く、勤労大衆に対しては非情な、不公平が所々に残されたままになっているという点であります。租税特別措置法がすなわちそれであります。三十七年度租税特別措置による免税額は、貯蓄の奨励と称し六百五十五億円、企業内部留保と称し五百十億円、技術振興設備近代化と称して百三十五億円、産業の助成三百八十二億円、その他二十二億円、合計千七百四億円の免税をいたしておるのであります。政府は、われわれにかような数字を発表いたしておりまするが、実際はもっと伸びがあるから、おそらく二千億円近くになる膨大な金がこれらの免税措置として認められておるのであります。さらに、利子所得に対しては、これを総合所得に合算せず、分離一〇%という低い税率有価証券所有者を特別に保護し、百二十五億円の免税、さらに、貯蓄組合加入者に対し、一口五十万円までの預金に対する利子免税にして、百五十億円の免税をしようというのであります。預金者階層別を調べてみますると、所得五百万円以上のものが預金金額圧倒的部分を占め、七十万円以上の所得者が大部分を占めているのであります。すなわち、政府自民党は、高額所得者を保護し、独占金融資本、大企業を手厚く擁護している税制を行なっておるといわれても仕方ないと私は思うのであります。(拍手)  その他、租税特別措置内容を詳細に検討するならば、かかる不合理きわまる点は枚挙にいとまがないほど多いといわざるを得ません。これらの措置は全く手を触れず存置し、今日の設備投資抑制国際収支改善が急務の経済状態にあるにもかかわらず、景気調整をなおざりにするがごときこれらの措置の存置は、国家経済の立場からも許しがたい暴挙といわざるを得ないのであります。  さらに、私は、最後に、わが党が長く主張して参りました標準世帯年間五十万円以下の所得者には所得税を課さない。第二に、寡婦、身体障害者、勤労学生、老齢者には大幅なる減税を認める。第三に、所得百万円以下の借家生活者には家賃控除、建築資金控除を認める。第四に、農民、商工業者に十二万円の自家労賃控除を認める。そのために租税特別措置の整理縮小を断行し、税の公平の原則の実現を期さなければならぬと主張するのであります。わが党のこの主張は直ちに実施できる最小限度の政策でありまするから、政府並びに自民党はすみやかに検討し、反省をして、国民の期待にこたえるよう強く要求をいたしまして、反対討論を終わりたいと存じます。(拍手
  24. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 藤原豊次郎君。   〔藤原豊次郎君登壇
  25. 藤原豊次郎

    ○藤原豊次郎君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました国民貯蓄組合法の一部改正に関する法律案に対しまして、反対意見を表明し、あわせて租税特別措置としての国民貯蓄組合法の廃止を強く要求するものであります。(拍手)  国家の財政をささえるための税制は、その必要とする租税負担を国民の間に公平に分配しつつ、しかも、国民経済の発展に即するように組み立てられていなければならないのであります。しかるに、租税特別措置は、この租税負担公平の原則を犠牲にして、特別な経済部門ないしは国民層に対して、租税を特に軽減したり、あるいは免除したりすることによって、特別な経済政策の目的を達成しようとするものであります。かかる租税特別措置は、政策上から見ましても、また基本税制の上から見ましても、全く承認できるものではございません。  わが国税制体系は総合累進課税を原則としております。しかるに、かかる原則を無視して、貯蓄奨励のためという理由のもとに、租税特別措置として、利子所得に対する分離一〇%課税特例と、国民貯蓄組合制度特例等があります。国民の貯蓄が、わが国の増大する経済をささえる重要な柱であることは否定いたしません。また、一国の国民経済の成長は、総資本形成の大きさによって促進されるものであり、その総資本形成は、国民の貯蓄によって裏づけされるものであるということも否定しません。従って、国民貯蓄の奨励には賛意を表するものであります。しかしながら、貯蓄奨励のために、国民貯蓄組合法のように高額所得者の脱税に乱用せられつつある租税特別措置は認められないのであります。貯蓄に対するかかる特別措置は、これと競争関係にある他の形態の貯蓄に対する特別措置をも誘発する危険さえもあります。かくては、国の財政の大きな柱である租税の基本税制に影響を及ぼすことが甚大であると思うのであります。  もし、政府及び自民党が、ほんとうに国の財政経済発展を願い、そのために国民に貯蓄奨励をしようとするならば、かかる高額所得者の脱税を助けるような国民貯蓄組合法によらないで、むしろ大幅な減税と社会保障制度の拡充と強化とによるべきものであります。そうするならば貯蓄は次第に増加していくことは、火を見るより明らかであります。  戦前戦後を通じて、個人の消費と貯蓄の趨勢を、国民所得計算及び家計調査から見てみますと、わが国貯蓄性向は逐次高まっております。これを各国と比較してみますと、わが国は最も高い水準にあります。貯蓄性向が高くなったのは、消費支出の増加を上回る可処分所得の増加があったわけでありますが、その原因としましては、所得水準の増加と国民の消費生活の節約とが主たるものであると同時に、所得税減税もまたこれに大きな影響を及ぼしていることは否定するものではありません。すなわち、貯蓄の増加は、貯蓄を優遇する税制上の特別措置以上に、所得税の一般的減税が大きな役割をしているものだということであります。ことに、貯蓄を奨励する税制上の優遇策が貯蓄形態のすべてに公平に認められないとするならば、貯蓄はその優遇策の度合いによって自己の流れを変えるにとどまりまして、総体としての貯蓄の増加には効果がないのであります。  次に、貯蓄から生ずる所得の担税力について考えてみますと、すべての所得はその源泉から見まして、資産の保有から得られる所得、いわゆる資産所得と、勤労によって得られる勤労所得とに分けることができます。資産所得の方が勤労所得よりも担税力が強いということが一般の考えであります。このような考えによりますと、貯蓄から生ずる資産所得、言葉をかえますと不労所得ですが、この不労所得は、当然勤労所得よりも担税力が強いことになります。従って、少なくとも貯蓄から生ずる不労所得を、他の所得よりも軽く課税することには、納得がいかないのであります。  さらに、注意しなければならないことは、税制審議会の答申にも出ておりますが、国民貯蓄組合制度の乱用であります。昭和三十六年三月現在の国民貯蓄組合への加入状況を見てみますと、組合員数は六千七百七十七万人に達し、そのあっせん金額は四兆六千億となっております。国民貯蓄組合への加入は、一人一組合が原則でありますが、この六千七百七十七万人という組合員数は、実に総人口の七〇・六%に当たり、家族従業員を含む有業人口の一五三・八%となっております。一世帯当たり三・一人が加入しておることになっている。これは、高額の個人の預金が、国民貯蓄組合法の適用を受ける範囲内の小口の預金に分割されて、巧みに預金利子課税からのがれておることを示しているものであります。(拍手)これを裏づけるものとしまして、昭和三十四年四月に、長期性貯蓄利子非課税措置が廃止されましたときに、総体としての預金残高は、課税制度の変遷にはちっとも関係がなくて、順調に伸びているにかかわらず、三十万円以上の長期性預金だけが減っているというこの事実をもってしてもわかりますし、また、国税庁の調べによりますと、ある銀行では、一千万円の預金預金者から獲得するために、それを三十七口の小口に分けて、そしてこれを預金させる、そうして脱税させたという事実もあります。  このように、国民貯蓄組合法というものは、貯蓄振興という目的から全くはずれて、高額預金所有者の脱税のための一手段となり果てているのであります。(拍手)しかも、こういう脱税という違法行為をやりましても、国民貯蓄組合法によりますと、これに対する罰則は、驚くなかれ、ただの三百円であります。三百円の金を払えばいい。これが過料であります。しかも、これは昭和十六年から三百円——十六年から、国民貯蓄組合預金限度額は、二十万から三十万、あるいは五十万にふえてきておりますけれども、この罰則だけは、昭和十六年の三百円そのままで据え置きなんです。  このたびの国民貯蓄組合法改正におきましても、二重加入とか、分割預金とか、そういうことによる脱税の乱用防止に対しては、何らの有効な方法が講じられていない。ただ、なされていることは、預金者、あるいは銀行、それから今度入ります証券会社、これらの善意と、税に対する良識ということに待つだけで、精神的の問題だけが出ております。しかし、何とか脱税したいんだ、こういう考えを持っておる高額所得者、銀行の預金を集めるためには、こういうようにやれば脱税ができるんだということをわざわざ教える銀行家、それから、一枚でも多くの公社債を売りたいために、わざわざ脱税の方法を教えるところの証券会社、この三者が集まりまして、そうして違反をしましても、わずか三百円の過料で済むという、こういう実態のもとで、一体、今度の法律が守られるだろうかということであります。おそらく、これは守られないと思う。これが守られると言う政府当局なり、あるいはこれに賛成する人たちの良識を、私自身は疑う。(拍手)  この一人一組合三十万円の非課税限度を、今度は五十万円に引き上げた。しかも、今度のでは二口まで認めた。実質的には、免税点を三・三倍も引き上げたということになる。総理府統計局の勤労世帯貯蓄動向調査によって、勤労者の貯蓄保有高を調べてみますと、年間所得八十万円から九十万円の階層で、貯蓄額はわずかに二十七万円、年間所得九十万円から百万円の階層で、貯蓄額は三十七万円にとどまっておる。年収七十万円をこえる所得者は、全所得税納税者の一二%であり、年収百万円をこえる所得者は、わずか四・一%を占めるにすぎないのであります。一方、非課税扱いになっています郵便貯金の限度額が、五十万円に引き上げられ、また、特別措置として、生命保険料控除も認められている現在、さらに、このたび、国民貯蓄組合の非課税限度を、一口五十万円とし、二口で計百万円まで引き上げられるとしましても、この引き上げの恩恵に浴するものは、全納税者のきわめてわずかの部分を占めている高額預金所有者だけであります。一般の勤労大衆は、全く見捨てられているのであります。一般勤労大衆は、とのような貯蓄利子非課税というようなものよりも、むしろ、大幅減税を望んでいるのであります。  租税負担の公平を害し、乱用により高額所得者階層の脱税の手段となりつつあるこの国民貯蓄組合法を、すみやかに撤回することを、政府に強く要望しまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  26. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第六につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  27. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。  次に、日程第七につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  28. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  29. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         労 働 大 臣 福永 健司君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 三木 武夫君