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河野正君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、現在
東京都を中心として国内各地で猛威をふるっているインフルエンザA2型を初めとする疫病、ことにその
対策につきまして、
池田総理その他関係各大臣に対しまして若干の
質疑を行なわんとするものであります。
御承知のごとく、当初
東京に発生をした流感は、異常乾燥も手伝い、去る
昭和三十三年以来の猛威をふるっているのであります。特に
東京都内の学校における
被害累計はすでに八百五十数校に及び、実に全校の四六%に達したといわれておるのであります。この議場を見渡しましてもかなりの欠席が目立ちますが、その
被害は学校のみにとどまらず、各職場、各家庭にも大きな悩みとして現われつつあることは、
諸君御案内の通りであります。たとえ死亡率が低いとはいえ、たかが流感だといって軽視するわけには参らぬのであります。
さきに
池田内閣は、
経済成長、所得倍増十カ年計画をうたい文句に、
社会保障拡充を公約いたして参りました。また、厚生省は
社会保障十カ年計画を発表し、十年たてばまことにけっこうな
社会保障が約束されているかのように宣伝を行なっているのであります。しかし、実際には、産業合理化による大量失業や
生活条件の低下、独占強化による
物価高騰、
生活内容の切り下げなど、貧困層が固定化し、
国民の
生活と健康は常に不安の状態に置かれているのであります。このように、
池田内閣の
社会保障計画は、
国民の
生活水準を向上させ、健康で明るい
国民生活を保障せしめるものでなく、単に独占資本と
政府の支配を強めるためのごまかしの公約であったのであります。このような
政策、
施策の失敗によって生ずる
国民のとうとい、しかも悲しむべき
犠牲に対しましては、施政者の
責任というものもきわめて重大であります。総理としてその罪を天下に謝することが、この際とらるべき最良の方法と考えるわけでありますが、残念ながら総理御退席でございますので、いずれ機会を得て御所信を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
さきに申し述べたように、今回のインフルエンザによる休校や学級の閉鎖は、全国的に脅威的数字となって現われて参りました。さきに、日教組に強く
予算に弱かった文部大臣、今度は、日教組に強く流感に弱い荒木文部大臣であったのであります。今日の
国民は、ひとしく、弾圧
政策でなく、愛の
政策、荒らき文相でなく、やさしき文相を期待しているのであります。一体、流感を予防する注意や方策が満点であったか、この点、荒木文相のお答えを伺いたいのであります。同時に、今回の流行が広範にわたるとともに、受験あるいは進学の重大な時期に際会した点につきましては、学生や学童の不幸というものを一そう大にしたのであります。従って、今後の根本的予防
対策とあわせて、その後遺
対策、さらには今後の
見通し、さらには予防接種の公費負担等につきましても、明快な御
答弁をお願い申し上げたいのであります。
台風の予測、天気予報の確実性の産業に及ぼす影響力が甚大であると同時に、流行予測というものがきわめて緊要な問題であります。今回の爆発的流行にあたって、もしその予測の機能と機構に欠くるものがあれば、厚生大臣の
責任はまたきわめて重大といわなければなりません。しからば、今回そのような防疫に遺憾な点がなかったかどうか、この点につきましては厚生大臣の明快な御
答弁をお願い申し上げたいと思います。
さらに、流感、ポリオ、あるいはパラコレラを初めとする伝染病の予防法として最も有効な方法が、ワクチンの広範な接種による感受性者
対策であったことは、諸外国の事例によっても明らかでございます。しかるに、今日までワクチン量の
不足から、集団免疫処置が行ない得ず、いたずらに多くの
犠牲者を輩出したことは、
政府の発行いたしました厚生白書がみずから告白するところであります。まことに言語道断といわなければなりません。このワクチン
不足という政治的、行政的
責任を厚生大臣は一体どのようにお感じになっておられますか、この際お答えを願いたいのであります。
同時に、ワクチン行政そのもののあり方につきましても、非常に大きな問題がございます。一方では、法で規定をし、
国民の義務だときめつけながら、あまりにもその行政は不親切であります。税金通知は、督促、滞納整理をとことんまで追及の手をゆるめないのでありますが、接種通知は、通知のしっぱなしというのが、今日の実情であります。このような現在の不親切な腰だめワクチン行政を改めない限り、接種率の向上をはかることは絶対に期待できないのであります、この点も厚生大臣からあわせてお答えをお願い申し上げたいと思います。
このように、伝染病
対策というものは、すでに申し述べましたごとく、一歩誤れば、かつて全世界を恐怖の
どん底に突き落とした一九一八年のスペインかぜ猛威の再現も容易でございます。われわれは、今日の数多くの
犠牲を決して無にしてはならないのでございます。この現実を忘れることなく、私は徹底的な自覚と
対策を望んでやまず、以上若干の質問を試みた次第でございます。(
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