○坪野
委員 ただいまの局長の答弁を聞いておりますと、まさにこの公共の福祉という言葉を用いて
異議権が
乱用されるおそれが十分あり得るということを私はここで
確認をしたわけであります。従来も
乱用されてきたし、このように
制度的に若干の抑制がなされたといたしましても、ただいまのようなお考えでその教員を首にする。首にしても教壇に立つということもありましょうし、また首がつながっておっても、必ずしも授業をさせなくても月給だけやって遊ばしておくということも
行政処分としてはできないことはないわけでありますが、要するに懲戒免職を受けた、そうしてそれが
執行停止によって一時的に首がつながっておるという場合に、直ちにと言いますか、そういう好ましくない教員が教壇についておる、あるいは他の
公務員の場合も、首になったけれ
どもそれが取り消しになった、
執行停止になった、しかし、
執行停止になってそういう
公務員がおるというだけで、これが公共の福祉に重大な影響を及ぼす場合があり得るというお考え、私は、そういう考えでこの
規定が設けられているとすれば、やはり
乱用のおそれがあると思うのであります。あらゆる
行政処分の中で裁判官が
執行停止を出してしまった、あるいは出そうとしておる、けれ
ども客観的に見てそのような執行をとめるということが、この事情
判決と同じでありまして、なるほど違法かもしれない、違法かもしれないけれ
ども、だからといってその処分の取り消しということはどうか、公共の福祉の観点からどうかということで、最終的にはあるいは事情
判決で、違法だけれ
ども取り消さないということもあり得る、そういう判断が
裁判所に十分つかない場合に、
総理大臣の
異議規定で、まさに公共の福祉に重大な影響があるのだということで
執行停止が出ない、あるいは取り消されるというような場合は私は許されると思うのでありますが、政治的な判断によって、政府、内閣が苦境に追い込まれる、あるいは威信が失墜する、あるいはそれに類似した一方の
立場から、そのような好ましくない教員がまだ首が一時的につながっておるということが即公共の福祉に重大な影響を及ぼす場合もあり得るのだというようなことでは、私は、この
異議規定が認めらるべきではないと思うわけでございまして、従来もそのような
乱用がずいぶんなされてきておりましたし、今後も私は、今のような公共の福祉というような解釈を抽象的に広く解するということであれば、そういった
乱用のおそれが残されておるということを申し上げて、この公共の福祉に影響を及ぼす云々ということについての議論はこの程度にとどめておきたいと思うわけであります。
それからこの二十七条の
異議規定で、もう少しこまかい点について、将来の解釈問題になりますから確かめておきたいと思うのですが、
現行法と少し字句の文字が変わってきておるわけでございます。文字は変わっておるけれ
ども内容的には、あるいは解釈としては何ら変わりはないというように理解していいのか、あるいは文字が変わっただけに要件その他の
意味が変わってきているのだ、このように理解すべきかという点について
一つお尋ねしておきたいと思うのです。
現行法の十条の第二項では「第二条の訴の提起があった場合において、処分の執行に因り生ずべき償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、
裁判所は、申立に因り又は職権で、
決定を以て、処分の執行を停止すべきことを命ずることができる。但し、執行の停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞のあるとき及び
内閣総理大臣が
異議を述べたときは、この限りでない。」第二項ではそういうことになっておりますが、私は今この二十七条を言っておりますけれ
ども、二十五条と二十七条を同時に
お尋ねするわけですが、
本法の二十五条の二項に書いてある要件と、それから
現行法の十条の二項に書いてある要件と、文字が少し変わっておりますけれ
ども、解釈は
現行法と何ら変わりがないというふうに理解していいかどうか、ちょっとそれを……。