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平賀政府委員 現行法の二百八十八条ノ二の第三号の資産の再評価益に関する
規定を削除いたしましたのは、これは今度の
計算規定の建前におきましては、財産の評価益というものが出ないということになりまして、この必要がなくなったから削除したことは、先回御
説明申し上げた通りでございます。この
改正規定におきましては、すべての資産を通じまして
原則として原価主義をとりまして、これは申すまでもなく原価を越えた時価を付するということは、まだ実現しない利益というものを計上することになる。実際その資産が処分されます場合に、はたして原価以上の現在の時価で、あるいはそれ以上の価額で処分できるかどうかということが、これははなはだしく不安定、不確実なのでございまして、そういう原価を越えた時価を付するということは、
資本維持の
原則から見て好ましくないということでこの原価主義を採用いたしまして、評価益の計上を認めないことにしたわけでございます。そこで、ただいま
お尋ねの固定資産につきまして、それはインフレなどの関係で、以前に取得した固定資産の取得がそのまま残るということは非常に不合理であるわけであります。
現行法のもとにおきましては、
先ほどお話しの資産再評価法がございまして、そういう場合にはそういう特別な
法律を用いまして措置がされるわけであります。資産再評価法は、あの
法律はあの
法律として残しまして、再評価益というものは、これは御承知の通り再評価積立金として、実質的には
資本準備金と同じ性質のものでございます。そういうことで
会社に留保されるということになるわけでございます。そういう特別の場合はそういう特別の措置によって処理するわけでございまして、今度の
改正規定のもとにおきましては、そういう特殊の事情のない一般の場合の
規定といたしまして置かれておるわけでございます。従いまして、やはり
原則は原価による。固定資産でありますと、取得価額あるいは製作価額をもととしまして、一定の
方法による減価償却を行なっていくという
原則を貫くべきものだろうと考えた次第でございます。