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赤松委員 僕は、
一つ例をあげましょう。たとえば
釜ケ崎の
あすこに私鉄あるいは国鉄が通っておりますね。あの
鉄道用地のところに、その辺の板ぎれを拾ってきてぽんぽんと小屋を建ててしまう。もう動きません。これを人に貸すのです。あるいはその中に十人なら十人というものを収容して、宿のかわり、まあバラック・ホテルになるわけです。それでずいぶんもうけているわけです。ところが
大阪市の連中が行ったって立ちのきませんよ。下手にやれば、これをやられるのですから。だから吏員もこわいから無理には言わない。ただ、
一つ届け出てくれ、こういうことを言うのです。届け出たら、もうこれは合法的に、
地上権というのか、
居住権というのか、そういうものができてしまう。そこで手をやいているのです。これは
大阪市だけの力では何ともできないのです。こういう
スラム街対策というものは
大阪市だけの力では何ともできないのです。そこまできているからああいう
事件が
発生したのです。ですから思い切って、たとえば
不良環境地区、
スラム街の
環境を改善するための
法律案をお出しになったらいいじゃないですか。そうして
住宅対策は
建設省だなんて言っておらずに、別個にそういう
スラム街対策というものを立てて、あの
地区に八階建でも十階建でも
アパートを、ずっとあの
不良地区を
一掃して、建てていくというようなこともおやりになったらどうです。僕らが見たらまだあき地がありましたよ。
暴力団の
一掃にしたって、
大阪府の
警察本部にまかしたってだめです。だから
政府の中で総合的にこれを行なうところの
姿勢というものが出てこなければだめなんです。それを私は言っているのですよ。あなたは、
補助金制度になっておる、その
システムは変えられないということならば、来年でも、若干
予算がふえたって同じような
姿勢しか出てこない、こういうことになるわけです。あなた
禅坊主みたいなことを言う人ですから、何ぼここでやっても禅問答みたいになって、ぴんとこないのだけれ
ども、この間
大蔵大臣は、三十八年度
予算では
一つ考えますということを言っておりますから、
一つ三十八年度
予算ではよく
大蔵大臣と相談し、さらに
総理大臣とも相談していただいて、この夏再びあの
事件が
発生したら今度は承知しませんよ。ちゃんと
大蔵大臣から言質を取っているのです。あなたに対しても、今私
どもは言うべきことを言ったのですから、今度は相当覚悟してもらわなければならぬと思うのです。
ついでに、
法務大臣に
お尋ねしますから、あなたもよく聞いておいてもらいたい。というのは、まだたくさんありますけれ
ども、時間がありませんから多くを申し上げませんが、われわれは堺の
大阪刑務所を視察した。そうすると、あそこの受刑者
——今は僕はちょっと表を持ってこなかったのですが、二千人くらいいましたか、あの受刑者の中の四百人が
暴力団で、暴力
関係で入っている連中なんです。ですから、看守もその辺の初犯の受刑者を扱うのと違って、こいつらは百戦練磨ですから、十分鍛えられたやつですから、従って
一つ間違えばやはり暴力
事件が所内で
発生をするということから、その看守の肉体的、精神的の疲労度というものは非常に強いわけです。こういう
暴力団が多く入っていますから、四百人入っていますから、それぞれの組に属しておるわけでありますけれ
ども、こういう連中を扱うのに大へん困っておる。しかも人員不足のために完全な週休制がとれない、労働時間がオーバーになるということから
——まあ飯にもいろいろ問題がありましたが、食事のことはしばらくおくとしても、この刑務所、つまり
法務大臣の管轄する方面の労働
関係は、私は一番おくれていると思うのです。そして
政府の方も、何か法務
関係ということになりますと、まあじゃま者扱いはしないけれ
ども、あまり
重要視しないことだけは事実なんです。これは大蔵省のお役人もその頭があるんじゃないだろうかと私は思うのです。たとえば通産省方面の
予算になってくると、いろいろな強力な陳情な
どもあって、そしてやる。あるいは
労働省方面になりますと、これまた労働組合の突き上げその他があって、割合にその声が
政治の上によく
反映する。ところが法務
関係になって参りますと、たとえば刑務所の職員は労働組合を作る権利を持っておりません。
——権利を持っておるのでしょうけれ
ども、それが奪われているという
状態なんです。警察官の場合と同じなんです。だから、そこから出てくるところのいろいろな不平不満というものが、集中的に
政治に
反映するということが割合に希薄なんです。非常に薄い。それだけにああいう恵まれないところ働いておる
諸君に対しましては、特別な配慮が必要ではないだろうか。私
どもが
大阪刑務所あるいは交野女子学院ですか、その他をずっと調べて参りましたけれ
ども、ほとんど人員不足のためにオーバー労働をやって、そして極度の労働強化のためにみな非常に疲れておるし、労働条件が悪い。こういう点については
政府の方でお考えを願いたい、こういうように思うわけであります。
この点につきましては、
法務大臣、今の
釜ケ崎の問題でも、
検察当局がそう言っているのですから、遠慮は要らぬから、閣議においてばんばんやってもらう。たとえば河野一郎君が農村問題で発言しても、農村よりもむしろこっちの方が大事なんだというくらいな気概を持って
——どっちが大事かよくわかりませんが、それくらいの気概を持ってやってもらわないと、何か法務省の方がいつも片すみの方に追いやられて、そして実力者
——実力があるのかないのかよくわかりませんが、と称する連中が閣内において大手を振って、そしてそういう連中のところには
予算がたくさん行くというようなことになって参りますと、正直者がばかを見る。私のようなひよわい者が絶えず損をするということになるのでありまして、その点は
法務大臣も大いに閣内でがんばっていただきたい。また
官房長官もぜひそれをバック・アップしてもらいたいと思いますけれ
ども、この点について
官房長官、
法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。