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1962-02-02 第40回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 稻葉  修君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 林   博君    理事 牧野 寛索君 理事 井伊 誠一君    理事 松井  誠君       有田 喜一君    井村 重雄君       池田 清志君    上村千一郎君       小金 義照君    千葉 三郎君       馬場 元治君    阿部 五郎君       田中織之進君    志賀 義雄君  出席政府委員         法務政務次官  尾関 義一君         検     事         (大臣官房経理         部長)     新谷 正夫君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      桑原 正憲君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      栗本 一夫君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 一月十九日  委員安井誠一郎君が死去された。 同月三十日  委員山花秀雄君辞任につき、その補欠として松  井政吉君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 一月二十五日  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号) 同月十八日  政治的暴力行為防止法案反対に関する請願外二  十四件(川上貫一紹介)(第五三号)  同外二十三件(志賀義雄紹介)(第五四号)  同外二十五件(谷口善太郎紹介)(第五五  号)  同外十件(川上貫一紹介)(第一一五号)  同外十二件(志賀義雄紹介)(第一一六号)  同外二件(谷口善太郎紹介)(第一一七号)  同外二十六件(川上貫一紹介)(第一八三  号)  同外二十八件(志賀義雄紹介)(第一八四  号)  同外三十六件(杉山元治郎紹介)(第一八五  号)  同外十六件(谷口善太郎紹介)(第一八六  号)  同外三十五件(川上貫一紹介)(第二七五  号)  同外四十九件(志賀義雄紹介)(第二七六  号)  同(河野密紹介)(第二七七号)  同外四十七件(谷口善太郎紹介)(第二七八  号)  同外十六件(広瀬秀吉紹介)(第二七九号)  同外十四件(吉村吉雄紹介)(第二八〇号)  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する請願小笠公韶君紹介)(第二七四号) 同月三十一日  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する請願大倉三郎紹介)(第三九四号)  同外三件(濱地文平紹介)(第四六三号)  同外二百四十三件(三浦一雄紹介)(第四六  四号)  同外七件(羽田武嗣郎紹介)(第五〇七号)  同外十一件(細田義安紹介)(第六〇四号)  同外七件(藤原節夫紹介)(第六五〇号)  同(藤原節夫紹介)(第六七八号)  政治的暴力行為防止法案反対に関する請願外三  十九件(川上貫一紹介)(第四一六号)  同外二十四件(志賀義雄紹介)(第四一七  号)  同(谷口善太郎紹介)(第四一八号)  同外三十四件(川上貫一紹介)(第四四九  号)  同外二十件(志賀義雄紹介)(第四五〇号)  同外十一件(谷口善太郎紹介)(第四五一  号)  鹿児島刑務所霧島農場の移管に関する請願(池  田清志紹介)(第五〇〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 一月十九日  政治的暴力行為防止法案反対に関する陳情書外  一件  (第二三号)  同  (第二四号)  同(第二五号)  同  (第二六号)  同外十一件  (第二七号)  政治的暴力行為防止法案反対等に関する陳情書  (第  二八号)  皇室尊厳をおかす者を処罰する法律制定に  関する陳情書外二件  (第一一六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二三号)  昭和三十七年度法務省関係予算裁判所関係予  算に関する説明聴取      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提案理由説明を聴取いたします。尾関法務政務次官
  3. 尾関義一

    尾関政府委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨説明いたします。  この法律案の要旨は、第一審における訴訟の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所職員員数増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点とするところを申し上げます。  まず第一に、下級裁判所裁判官員数増加しようとする点であります。政府におきましては、第一審の充実強化をはかるための方策といたしまして、数年来逐次裁判官定員増加する等の措置をとって参りましたが、右の方策一環として、このたび、特に裁判官負担が重くなっている地方裁判所における事件審理及び裁判適正迅速化をはかるため、人員充足見通し等を考慮した上、さしあたり判事の員数を十五人増加しようとするものであります。  次に、裁判官以外の裁判所職員員数増加しようとする点であります。特許法による審決に対する訴訟その他東京高等裁判所が取り扱う工業所有権関係訴訟事件数増加に対処し、その処理適正迅速化をはかるため、裁判官の命を受けて事件審理及び裁判に関し必要な調査をつかさどる裁判所調査官員数増加し、また、すでに述べました裁判官定員増加に伴い地方裁判所における事件審理及び裁判適正迅速化をはかる等のため、裁判事務についての補助的機関として重要な職務を遂行する裁判所書記官員数増加するとともに、近時少年保護事件の数がますます増加する傾向にある事情にかんがみ、その専門の学識経験により事件処理に必要な調査等事務をつかさどる家庭裁判所調査官員数増加し、さらに、裁判所における庁舎の新営等に伴いまして、庁舎の監視、機器の運転操作その他の業務に従事する行政職俸給表(二)の準用を受ける職員員数増加しようとするものであります。これら新たに増加しようとする裁判官以外の職員員数の総数は百二十四人であります。以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  4. 河本敏夫

    河本委員長 以上で本案に対する提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 河本敏夫

    河本委員長 次に、法務省及び裁判所関係予算につきまして、当局より説明を聴取することにいたします。  まず法務省関係予算について新谷経理部長より説明を求めます。
  6. 新谷正夫

    新谷政府委員 法務省所管の昭和三十七年度予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  お手元に差し上げました資料についてまず申し上げますと、「法務省所管昭和三十七年度歳出予算予定経費要求額内容」という一枚刷りのもの、これで大体総ワクを明かにしたつもりでございます。それから、さらに「昭和三十七年度主要経費予算内訳」という表がございますが、これによりまして主要事項別におもなところを表にいたしまして差し上げたのでございます。そのほかに、「法務省所管昭和三十七年度予算について」という刷りものがございます。これに基づきまして御説明申し上げます。  昭和三十七年度の予定経費要求額は三百六十九億六千九百八万七千円でありまして、これを前年度の当初予算額三百三十一億八千六百七十八万一千円に比較いたしますと、三十七億八千二百三十万六千円の増額となっております。なお、補正後の予算額三百二十八億二千六百三十六万六千円に比較しますと、三十一億四千二百七十二万一千円の増額となっております。増額分の内訳を大別いたしますと、第一は、人件費関係の二十九億四千三百八十六万二千円でありまして、第二は、営繕施設費の九千七百六十七万三千円であります。第三は、その他一般事務費としての七億四千七十七万一千円でございます。  まず第一の、人件費二十九億四千三百万円の増加でありますが、これは昨年度実施されました公務員給与ベースの改定に伴う所要経費並びに昇給等原資として職員俸給等の増額がその大部分であります。なお、そのほか副検事、法務事務官等三百二十四名の増員及び定員外常勤的職員百五名の定員組み入れに伴う所要経費並びに法務局出張所入国管理事務所出張所宿日直手当増額等が含まれております。  人件費に関連いたしまして増員三百二十四名の内訳について簡単に申し上げますと、第一に、暴力犯罪対策等治安対策の一環として破壊活動調査機能を充実するため、公安調査官八十七名、守衛十六名の計百三名の増員となっております。  第二に、公判審理迅速化をはかるため、検察事務官十名の増員となっております。審理遅延は、裁判の威信、刑罰効果を減殺し、自救行為を助長し、暴力のはびこる素因ともなっておりますので、かかる事態に対処し、公判準備に万全を期して公判審理迅速化充実化をはかるための増員でございます。  第三に、交通事件処理機能の充実をはかるため、副検事二十名、検察事務官四十名、計六十名の増員となっております。これは最近における交通違反事件並びに業務上過失致死傷事件の驚異的な激増に伴いまして検察関係事務負担量が著しく増加しておりますので、この現況に対処し、事件処理充実合理化をはかり、検察体制を強化する必要上、前年度認められました検察事務官二十名の増員に引き続く増員でございます。  第四に、非行青少年対策を推進強化する目的から前年度認められました百四十名の増員に引き続きまして四十名の増員となっております。その内容は、少年院の補導力を強化するための教官三十名、少年鑑別所における鑑別業務の充実をはかるための技官十名でありまして、青少年犯罪の防止及び犯人の改善補導を強力に推進するためのものであります。  第五に、法務局におきまして事務官百名の増員となっております。これは法務局の主要事務である登記台帳事件が逐年増加し、職員の超過勤務による執務強化、事務の簡素化、機械等による能率化をもってしましても、事務負担量は限界を越える現状にあり、このまま推移しますときは、事件処理の渋滞のみならず、過誤、不正事件誘発等も憂慮されますので、登記事務の迅速・適正化を図りますため、前々年度認められました百四十二名、前年度認められました十名の増員に引き続く増員でございます。  第六に、羽田入国管理事務所事務量増加に伴う入国審査官九名の増員であります。羽田空港における出入国者数は、各航空会社のジェットの機使用により飛躍的に上昇しておりますので、これに対処し、的確、迅速な出入国管理業務を遂行するためのものであります。  第七に、東京検察合同庁舎管理要員二名の増員があります。これは昨年末竣工いたしました東京検察合同庁舎の管理上必要とされる技能職員でございます。  次に、一般事務費七億四千万円の増加の内容について御説明申し上げます。  まず全般的に申し述べますと、旅費につきましては、宿泊、日当等の単価増として一〇%の値上げがあります反面、五%の節約が課せられ、その他の庁費等につきましても三%の節約が課せられましたが、事務量の増加に伴う増額、積算単価の是正、矯正収容者処遇の改善、事務能率器具等備品整備等に伴い増額がなされております。  その内容をおもなる事項について順を追って申し上げてみますと、第一は、所管各組織を通じまして、旅費の日当等単価是正に伴いまして千八百九十七万九千円、増員及び定員化に伴う人当、初度設備費として千八百八十七万三千円、厚生経費の単価が六百円から九百円に是正されましたことに伴い千三百九十二万六千円、自動車維持費につきまして現有台数の単価が是正されましたことに伴い二千百七十三万七千円、光熱水料の実績に伴い九百二十一万四千円が増額となっております。  第二は、刑務所作業費の一億五千百五十八万五千円の増額であります。これは刑務所収容者に対し作業を行なわせるに必要な経費でありますが、現在なお手内職的低格作業に従事する者が多く、職業補導上及び所内の保安上支障を来たしている現状を考慮し、その有用作業への転換を図りますとともに、最近作業量が増加しておりますので、これに要する原材料費購入経費等が増額となっております。  第三は、職員の待遇是正ないし矯正関係収容者の処遇の是正に伴う増額でありまして、そのおもな経費について申し上げますと、第一点は、まず法務局職員関係としては、四人庁以下の出張所千五百七十六庁につきまして渡し切り費の単価が九千円から一万三千円に是正されたことに伴いまして四百八十一万円が増額となっております。  第二点は、入国管理局職員関係といたしては、入国審査官舟艇要員に対しまして、警備艇乗船日当として航海日当、食卓料が一回七十円の単価により五十九万一千円が新たに計上され、増額となっております。  第三点は、矯正関係収容者につきましては、刑務所作業賞与金支給計算基準の二〇%引き上げに伴いまして四千六百五十五万四千円の増額となっております。これは収容者勤労意欲を高めるとともに、釈放後の更生資金として役立たせることにより、矯正効果を上げるためのものであります。次に、収容者食糧費が三千二百五十五万二千円の増額となっております。これは現行菜代の単価が低額で、所要栄養量を確保しがたいため、刑務所菜代単価を一人一日当たり三円増の二十四円五十銭、少年院婦人補導院菜代単価を一人一日当たり三円五十銭増の二十八円、少年鑑別所菜代単価を一人一日当たり三円五十銭増の三十円とすることに要する経費であります。なおこれは、一日平均収容人員刑務所七万五千人、少年院一万人、少年鑑別所二千三百人、婦人補導院二百八十人と推定し、前年度に比較しまして三千六十人の減少となることに伴う食糧費の減少額を差し引いた上での増額でございます。また、都道府県警察実費弁償金の単価が八十五円から九十五円に是正されたことに伴いまして千二百二十六万五千円の増額となっております。  第四点といたしまして、保護関係としては、更生保護会の充実をはかり収容者の完全な更生を期するため、更生保護会補助金事務費につきまして、現行一人一日当たり単価十四円を十五円に改定するとともに、更生保護会委託費について、食事付宿泊費の現行一人一日当たり単価九十一円七十二銭を百二十三円七十八銭に、また宿泊費の現行一人一日当たり二十四円八十銭を三十七円七十八銭に、また事務費現行単価五十六円を六十円にそれぞれ単価の是正を行なっております。これに伴う増加分としまして更生保護会補助金百六十一万一千円、更生保護会委託費千九百五十九万円が増額されております。また保護司実費弁償金につきましては、補導費現行単価一件当たり二百三十円を二百六十円に是正することによりまして三千五百四万七千円が増額されており、これにより保護司の活動を充実強化し、保護観察の効果を期したいと考えております。  第四は、事務量の増加に伴って増額されたおもな経費について申し上げます。まず検察費でございますが、検察旅費において千四百六十八万九千円、参考人等旅費において三百十六万円、庁費において千六百五十一万七千円、計三千四百三十六万六千円の増額となっております。  次に登記諸費でありますが、登記登録旅費において五百五十八万三千円、庁費において二千八十九万八千円、計二千六百四十八万一千円の増額となっております。このほか、土地改良等特殊事件処理経費が、百九十一万一千円の増額となっております。なお、庁費では土地台帳付属地図補修整備経費が三百九十二万三千円の増額となっております。  次は訟務費でありますが、訟務旅費で百六十一万八千円、訴訟用印紙類購入費で二百九十一万六千円、保証金で四百万円、計八百五十三万四千円の増額となっております。  以上が事務量増加等に伴う増加額のおもなるものであります。  第五は、事務能率器具等の整備に伴う増額でありますが、そのおもなものは、矯正関係における護送車、蒸気釜等収容施設の備品の整備に要する経費及び収容施設専用滅菌装置経費、並びに収容事務能率化をはかるため複写機、テレフォン、金庫、ロッカー等整備経費として合計三千五百四十九万三千円が増額されており、また法務局におきまして、登記、台帳事務処理の機械化、能率化をはかるためスクーター、加算機、特殊印版等の整備に要する経費及び戸籍副本マイクロ化による保管等に要する経費が四百七十四万六千円の増額となっております。  以上が一般事務費の増額となったおもなものでありますが、このほか三十七年度予算におきまして新規に予算が計上された次のような事項につきましての経費の増加分があります。  その一は、三十七年度は外国人登録法に基づく在日外国人登録証明書の大量切りかえを行なう年度にあたりますのでそれに要する処理経費として計上された八千四百六万五千円であります。  その二は、本年七月に実施を予定されております参議院議員の選挙の公正を期するため、検察経費として計上された六千五百七十一万七千円であります。  その三は、本年五月、東京において開催を予定されております家族法における婦人の地位に関するアジア地域セミナー国際連合に協力して行なう運営経費としまして計上された二百四十万四千円であります。  その四は、建物の区分所有に関する法律の施行の暁は、現行登記簿より区分所有に関する登記を移記する必要がありますので、その処理経費として計上された百九十一万六千円であります。  最後に営繕施設費の九千七百六十七万三千円の増額であります。昨年実施を見ました国連犯罪防止極東アジア地域研修所の新営施設費六千二百二十万一千円は減額となりましたが、交通事件処理充実化の一環といたしまして横浜、名古屋に交通裁判所の新営施設費三千六百七十八万二千円が増額分の一部として含まれております。  なお営繕費につきましては、このほかに官庁営繕費として建設省所管予算に三億六千八百十三万九千円が計上されております。これも前年度に比較しまして二十五万九千円の増額となっております。  以上簡単ながら増加額の内容について概略申し上げました。  なお、参考までに法務省におきまして昭和三十七年度予算において主要事項の一つとして取り上げました暴力犯罪対策等治安対策及び非行青少年対策並びに交通事件処理充実合理化について簡単にその予算の内容を申し上げたいと思います。  第一の、暴力犯罪対策等治安対策でございますが、前述いたしました調査官八十七名等の増員による機能の充実をはかるほか、以下に述べますような経費のそれぞれの増額によりましてその充実を期しております。機構別に申し上げますと、まず、検察庁関係につきましては、暴力団及びその構成員の実態並びに暴力事犯の状況を常時把握するための実態調査旅費として七十三万四千円、調査活動費二百万円等の増額があります。これにより暴力事犯を適正に処理するとともに、法無視の傾向と社会不安の根絶を期したいと考えております。  次に公安調査庁関係につきましては、前述の調査官の増員のほか、機動力の強化、調査器材の整備及び消耗品の補充等としまして五千八百十九万五千円の増額があります。これにより破壊活動調査機能の充実を期したいと考えます。  次に入国管理局関係につきましては、不法入国者等を調査、審査し、退去強制を厳格に実施するため調査等経費としまして三百三万七千円の増額があります。これにより不法入国者取り締まりの態勢の確立をはかりたいと考えております。  第二に、交通事件処理充実合理化でございますが、前述いたしました副検事二十名を含めた六十名の増員によりまして、業務上過失致死傷事件等処理充実化をはかるほかに、道交事件による罰金、過料の徴収事務能率器具として徴収計算機等百五十二万四千円の増額を行なっております。なお、事件処理充実合理化をはかるため前述いたしました横浜、名古屋に交通裁判所を新設されることになっております。  第三は、非行青少年対策でございますが、これも前に申し上げました少年院教官鑑別技官等四十名の増員によりその機能の強化をはかりますほか、以下に述べますような経費のそれぞれの増額によりましてその充実を期しております。  まず、検察庁においては、青少年の非行歴を個別に把握することにより、事務の処理を適正化し、同時に関係機関との連絡を密接にして青少年犯罪者の処遇に一貫性を与え、刑事政策的実効を上げるため青少年少年調査票作成等の庁費としまして二百三十六万二千円を計上しており、前年度に比して、百十万千円の増額となっております。  次に、少年院関係につきましては、収容人員一日平均二百人の減員に伴い収容経費は減額されておりますが、少年院教官三十名の増員と相待って医療、指導謝金の増額、職業補導賞与金の増額、教育用備品整備等により、一その処遇ないし教化面の改善、充実化をはかりたいと考えております。  次に、少年鑑別所につきましては、鑑別技官十名の増員と相待って、収容人員の一日平均百名増加に伴う収容経費鑑別器具等施設備品整備経費として、前年度に引き続いて一億三千三百七十二万五千円が計上され、八百五十五万円の増額となっており、業務の充実をはかり、少年の矯正補導を一層適正化したいと考えております。  次に、保護関係につきましては、前述いたしました通り、更生保護委託費及び保護司実費弁償金等につきましてそれぞれ単価の是正等による経費の増額により保護観察の効果の増大を期しておるのであります。  最後に、法務総合研究所につきましては、非行少年における再犯予測方式の研究等に要する経費としまして、前年度に引き続き七百九十万九千円を計上し、一貫した方針と施策のもとに青少年犯罪の原因を科学的に究明し、青少年犯罪一般的予防を積極的に推進いたしたいと考えております。  以上で法務省所管歳出予算について御説明申し上げました。  終わりに、当省主管歳入予算について、一言御説明申し上げておきたいと思います。  昭和三十七年度法務省主管歳入予算額は、七十九億二千二百五十九万九十円でありまして、前年度予算額七十六億八千六十六万三千円に比較しまして、二億四千百九十三万六千円の増額となっております。これは過去の実績等を基礎といたしまして算出されたものでありまして、その増額のおもなものは刑務作業収入であります。  以上をもって法務省所管昭和三十七年度予算についての説明を終わります。  よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  7. 河本敏夫

    河本委員長 次に、裁判所関係予算につきまして、最高裁判所栗本経理局長より説明を求めます。
  8. 栗本一夫

    栗本最高裁判所長官代理者 昭和三十七年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。  昭和一二十七年度裁判所所管予定経費要求願総額は、百八十六億三千六百二十万五千円でございまして、これを前年度予算総額の百七十三億八千五百二十九万千円に比べますと、差引十二億五千八十一万四千円の増加ということになっております。この増加額内訳を大別して申し上げますと、第一に人件費におきまして十二億三百五万九千円の増、第二に裁判に直接必要な経費、つまり裁判費でございますが、これにおきまして一億三千百六十七万六千円の増、その他一般司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等におきまして一億千三百六十万八千円の増でありまして、合計十四億四千八百三十四万三千円が増加しましたが、反面営繕に必要な経費におきまして一億九千七百五十二万九千円が減額になりましたので、差引前述増加となるのであります。  次に、昭和三十七年度予定経費要求額のうちおもな事項について、御説明申し上げます。  最初にまず裁判の適正迅速な処理に必要な経費といたしまして、近時、事件増加と複雑化の著しい東京、大阪その他の大都市の裁判の適正と迅速化をはかるための判事等の増員と、裁判事務処理の能率向上のための機械化に要する経費といたしまして、判事十五人を増員するために必要な人件費二千五百五十一万三千円、裁判所書記官三十二人を増員するに必要な人件費千百八十四万四千円、検証用自動車十台の購入費七百九十六万九千円、事務能率器具の購入費五千六百五十六万二千円合計一億百八十八万八千円が計上されております。  次に補助機構の充実に必要な経費でございまして、裁判所書記官等の適格を有する裁判所書記官補等を裁判所書記官等に昇任させまして、裁判官の補助機構を充実し、事務能率化をはかるため、裁判所書記官補等の定員九百三十四人を裁判所書記官定員へ組みかえる。また、家庭裁判所調査官補の定員六十六人を家庭裁判所調査官定員へ組みかえる。これに必要な経費といたしまして、三千六百九万八千円が計上されております。  次に少年事件処理適正化に必要な経費でございますが、家庭裁判所における少年保護事件の激増に伴いまして、その処理の適正円滑化をはかるための家庭裁判所調査官三十人の増員に要する人件費といたしまして千二百三十五万二千円が計上されております。  次に裁判費でございますが、これは裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人の報酬、証人、鑑定人、調停委員等の旅費、日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等といたしまして、十五億五千百二十六万六千円が計上されております。  次に証人調停委員国選弁護人等の待遇改善でございますが、まず証人の日当三百円を最高千円まで、ただし平均五百円でございますが、こういうことにするために必要な経費といたしまして千五百五十一万九千円、それから調停委員、司法委員、参与員等の日当、現行六百円を七百円に増額するに必要な経費といたしまして七千百十九万五千円、それから国選弁護人の報酬現行基準が例を地裁にとりますと一件五千二百円ということになっておりますが、これを約一割増額するに必要な経費といたしまして千六百八十七万二千円が計上されております。  次に営繕に必要な経費でございますが、裁判所庁舎の継続工事二十二庁、新規工事二十庁の新営工事費といたしまして十五億二千五百四十五万七千円、その他法廷の増築、裁判所庁舎の補修等の施設整備費といたしまして二億三千十八万円、営繕事務費といたしまして四千六十四万三千円が計上されております。以上の合計は十七億九千六百二十八万円となりまして、前年度予算に比較いたしまして二億四千二百四十一万五千円の増加となっております。右のほか、営繕に必要な経費といたしましては、庁舎新営に伴う敷地買収のための不動産購入費二千四十一万六千円が計上されております。なお、新営工事費等は前述のように増加しておりますが、営繕費全体としましては、当初御説明申し上げました通り減少しております。これは、前年度計上されました庁舎等特別取得費四億五千万円の減額によるものであります。  以上が、昭和三十七年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。  なおお手元にお配りしてあります書類に三枚ほど表がついておりますが、これをごらんいただきますと、なお一そうおわかりいただけるかと思うわけでございます。  以上で御説明を終わることにいたします。
  9. 河本敏夫

    河本委員長 これにて予算についての説明は終わりました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十六分散会