○八木(徹)
委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、
ただいま議題となっております三
法案のうち、
政府原案に賛成、社会党の二
法案について反対の討論をなさんとするものでございます。
今回の
義務教育諸
学校の
教科用図書の
無償に関する
法律案は、その第一条において、
教科用図書はこれを
無償とするという大
原則を打ち立てておるのであります。このことは
憲法二十六条の
無償の
理想に向かって具体的に大きく前進しようとするものでございまして、まさに画期的な
制度といわなければならぬと思うのであります。またこれによって
父兄負担の軽減をはかることはもちろん、
生徒をして国土と民族と文化に対する愛情をつちかう要因にもなるわけでございまして、まことに賛意を表したいと思うのであります。
しかし、これに対して反対をされようとする社会党の諸君の
考え方は、今までの質疑を通じて明らかになりましたように、いうならば疑心暗鬼をしておるというに尽きるのではないかということであります。すなわち、この
教科書を
無償にするという
原則がはたして実行できるかできないか心配だといったようなこと、あるいはまた、これによって国定
教科書に向かって前進するのではないかといったようなことを主として心配されておるのではないかと思うのでございます。しかしそのことは、すでに質疑を通じて明らかになったように、そういう意図をもちろんわれわれは持っていない、
政府もそういう意図を全然持っていないということが明らかになっておるわけでございますので、この点は無用の心配でないか、かように感ずるのであります。
しかし画期的な
無償法律案でありますがゆえに、これを円滑に明るく推進して参りますためには、先ほど来社会党の諸君が指摘いたしましたように、あるいは
発行制度の問題、あるいは供給の問題、あるいは採択の問題等、なお十分しなければならぬ点がたくさんあるわけであります。そのことは彼らみずからが指摘をし、そういうことに対して万全を期すべきだという質疑をなさっていることでも明らかなように、これはとうとい血税を使う
無償法案であるだけに、特に慎重に配慮しなければならぬことでありまして、そのためにそれらの問題をはっきりさすために、この際この
調査会を設けるということは、これは時宜に適した
措置ではないか、こういうふうに
考えるのでございます。
さて、社会党の
法律案につきましては、今
文部大臣が指摘いたしましたように、
教科書法案につきましては
教科書委員会の問題、採択
制度の問題等、明らかにわれわれが不満とする、満足のできない、また誤った方法がとられようとしておるわけでございますので、これについては
文部大臣の見解とわれわれは軌を一にするものでございます。
なお社会党の
教科書給与に関する
法律案につきましては、これは社会党案によりますならば、とりあえず公立には全面
無償、私立は補助をするということを前提といたしまして、三十七年四月一日からこれを実施する、こういうふうに
規定をいたしておるのであります。しかし御存じの
通り三十七年度の
教科用図書というものは、すでに供給が終了しようとしておる段階であります。もちろん後期の問題がございますけれ
ども、大多数の書籍はすでに供給が完了しようとしておる段階であります。またこれに要する
予算措置は、すでに
予算が
国会を通過いたしましたが、それについては御存じの
通り七億円しかこれに組まれていない、これを全面的に実施するということになるならば、
予算というものが著しく不足するということが明らかであります。またこれを実施するについて、具体的にどのようにやっていくか、それらについて社会党の
教科書の
給与に関する
法律案につきましては、それらの段取りについて全く不明瞭である、そういうような見地からいたしまして、三十七年度全面実施をするということは事実上不可能である、これはやはり宣伝のための単なる手段にしかすぎないのではないか、こういうふうに
考えるのでございます。
以上、簡単にわれわれの見解を申し述べて、
政府原案に賛成、社会党二
法案に反対の討論といたすものであります。(拍手)