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荒木国務大臣 先ほども申し上げましたように、
法律そのものが、
昭和二十六年度に
入学する
児童に対する
教科用図書の
給与に関する
法律ということで、その年度限りの
建前であったわけでございます。だからこれは理由なしに廃止せざるを得ない。
法律そのものに内在する
事柄から廃止されたわけであります。廃止されっぱなしでは残念だから、さらに二十七年には、新たに
入学する
児童に対する
教科用図書の
給与に関する
法律として、新
入学生だけに限って
無償給与をしようということに改まったわけでありまして、これまた
法律そのものが一年生だけで、二年生には絶対に及ばないという
建前になっておりますので、そういうことでは実際の効果が上がらない、本来の期待が十分に達成せられないということで、廃止の運命になった。それに付随して事務上、技術上いろいろなトラブルがあって、むしろ廃止してあらためて出直した方がよかろうという形で、廃止の運命にたどりついた、こういうことだと理解いたすのであります。そこで、別にごまかすわけでも何でもございません。当時の
政府側の国会における説明なり御
質問に対する答弁では、速記録を全部私は読んでいるわけでございませんで、おそれ入りますけれども、所を変えて当時の
政府側に立ったと仮定してお互いが
考えましてもわかりますことは、
憲法二十六条の
趣旨を敷衍する
一つの
試みとしてやるという以上は、当然それに続いて、
試みの結果に基づいて前進していくのだということであったことは言わずして明らかでございまして、そういう
希望は、また
政府側の意図は、明確にお話もあったことは必然的なことだと存じます。そのことにいささかも私は疑義を持たず、それにけちをつける意思は毛頭ございません。ただ現実に
昭和二十六年、七年のいわば
試みが廃止されたことは事実でございますから、その事実を顧みながら、そんなことにならないように第三番目の発足をするならば、根本の方針を確立して再スタートすべきだ、そういう
建前に立って今の
法案を提案したような次第でございます。ただそれの実行方法につきましては、
文部省だけの事務的な
検討でやれないことはございませんけれども、さらにそれを慎重にし、再び、三たび、また廃止せねばならないような
考え漏れがあってはいけないので、調査会に客観的な
立場から審議していただいて万全を期したい、こういうわけでございます。
教科書会社にいたしましても、何もこの機会にやらねばならないことじゃないじゃないかという仰せですが、そういう意味も多分にあると思います。ですから現行の
教科書発行に関する臨時措置法は廃止するつもりはございません。これはこれで生きている。足らないところがありはしないかということを調査会で
検討していただこう。たとえば認可
制度にした方がいいか悪いかということもございましょうし、また
教科書無償のやり方が、初めの
試みの場合のように、国があるいは公共団体と一緒になって、本そのものを物として買い上げて、それを配給するという
考え方もありましょうし、
教科書発行会社の
実態を聞いてみますと、相当まとまった金が要るものですから、資金繰りになかなか苦労がある趣であります。それならば、たとえば三十七年度予算に計上しております。億円余りの金を年度内に一部を支給して、完了したときに決算して渡すというふうなやり方、いわば一種の物としての本の買い上げということでなしに、本を作って山間
僻地の末端まで配給するという一連の一種の混合契約的なやり方で
無償を実施するとしますればなかなか単純ではない、
法律的にもあらかじめ金を概算払い的に渡すについては立法措置も要りましょうし、
教科書会社それ
自体が会計検査院ないしは大蔵省等の監督のもとに立つという関係も当然出てくることが連想されます。それら一連のことをいろいろと
考え合わせてもらって、どういうやり方が一番妥当であり、安定していけるであろうという意味の調査を調査会にお願いをしたいということもむろんございまして、何も今度の
法案に際会して、このときとばかりどうしようということでもなし、あるいはこの
法案に関係なしにやれることを、怠慢をごまかそうとする意思でもなし、きわめて誠実に、事務的に、技術的に
考えても、必然的にそういう課題が出てくる、その万全を期したい、繰り返し申し上げている意味はそういう意味でございます。