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村山委員 そこで具体的な問題について、
憲法が規定をいたしております
基本的人権の根本的な
原則の上に立ちまして、いろいろと具体的な事例を問いただして参りたいと思うわけであります。
まず第一に、これは
学校教育の
あり方の上から
考えて問題があるわけでありますが、
村山大学学術局大学課長は、この
昭和女子大の講義、授業科目において、選択制は全然皆無であるという事実を御
承知になって
おいでになるかどうかという点でございます。この
大学の授業形態は講義一本やりでありまして、ゼミナールもなければディスカッションも行なわれていない。あるいはサークル活動というものも
学校が認めた以外においては行なわれいてない、こういうような授業形態をとっておるわけでありますが、これは御
承知のように
大学設置
基準に照らし合わせまして
違反をいたしておるのではないか。
学生の希望に応じて講じられるような講座が開かれていない。講座が限定をされて、選択的な講座を履修できないという形態をとっておるということは、
大学設置
基準に
違反をしておる事実があるのではないかと疑われるわけでありますが、その点について御
承知であるかどうかをお聞かせ願いたいと思うのであります。特にこの際において、文科系の学科なりあるいは社会系の学科の学習形態を
考えてみました場合においては、そういうようなゼミナールであるとかあるいはディスカッションであるとかいう、そのような活動形態が伴わなければ、いわゆる
大学の学習というものは成り立たないと私たちは基本的に心得ておりますが、そういうようないわゆる講義一本やりの学習活動しかなされていない。こういうような事実は、これは
学校教育法施行規則に
違反をするし、また
大学設置
基準に
違反をしておる事実があるのではないかという点について、
お尋ねをいたしたいのであります。
その次に、
教育指導の行き過ぎという点から
学生の人格が無視されておるという事実であります。これは
学生手帳の中にもいろいろとこまかい、
学生が守らなければならない
基準が定めてございますが、服装
違反事件というのが出ておるわけであります。これは三十六年の六月の八日から九日にかけて伊豆大島の研修旅行で、英米文科の一年生のAという
学生のスカートをつまみ上げて、人見
学監がこれはお前服装規定
違反ではないか、これは何だということで、人の前でしかりつけた、こういうようなことも聞いているのであります。また三十六年六月十日には、同校の校庭において二年生のBという女の子に対しまして、やはりスカートをつまみ上げて、お前は
昭和の
学生かどうか、こういうようなことではずかしめたという事実もあるようでありますが、これは
憲法十三条に「すべて
国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する
国民の
権利については、」「最大の尊重を必要とする。」と規定づけられております。いわゆる
学生に対する
ところの
教育的な配慮のもとにおいて行なわれる詳細な服装の規定等については、私たちも十分わかるわけでありますが、行き過ぎている点は、これは基本的な
人権の侵害になると思うのであります。いわゆるその制服であるものがちょうど洗たくをしなければならなかった、そのために着がえるものがなかったので、そのスカートを着ておった
ところが、そういうふうに怒られた。こういうようなことを取り上げて言っているのでありますが、こういうような事実に対する
調査をあなたの方でされたことがあるのかどうか。それから衣服の記名検査の名のもとに、寮生がこの
学生の寮の中で寝起きをいたしているわけでありますが、就寝をいたしましてから、いわゆる記名検査が行なわれて、下着まで名前を書かして、それを一枚々々調べていくというような寮
生活の規制が行なわれている。こういうようなことになって参りますと、これは一年間は
大学の寮に入らなければならないというきまりになっているそうでありますが、そのような行ないがはたして
基本的人権を侵害していないと言えるかどうか、こういうような問題について御
調査になったかどうか。さらにこの
事件が発生をいたしましてから十二月の中旬から一月の半ばごろにかけまして
学生が尾行をされたという事実があるわけであります。尾行をしたのは同じ
学校の四年生の
学生でありますが、尾行時は、一月十日、四年生の卒業論文の
提出の日に、人見楠郎、保坂郁という両
教授が協力を要請をした。それに基づいてやったという事実があるわけでございます。またある場合には、秘密探偵をある
学生に
学校側がつけているということを二月の上旬に同
大学の事務職員が話をしたというようなことも出ているようでございます。そういういわゆる
学生の尾行問題があるということについて、どういうふうに調べて
おいでになるのか。
それからこれは
法務委員会でもいろいろと問いただして参って、それに対する
村山課長の答弁も聞いているのでございますが、
学生手帳の十四ページに、「学内外をとわず署各運動、投票、新聞雑誌その他印刷物の発行及び配布、物品の販売、資金カンパなどしようとする時は事前に
学生課に届出その指示をうけなくてはならない。」こういう規定があります。この場合に、最も重要なことは、公職選挙法に規定されております選挙権——
大学の
学生は大半は選挙権を有しているわけでございますが、その選挙権の行使についてさえも、
学校側に届け出、その指示を受けなければならないということになっておるわけでございます。これに対しまして二月十四日に玉井学長は、これは
憲法違反ではないかという
質問に対しまして、違憲ではありませんと回答をいたしております。そうして坂本
教授もいろいろと釈明をいたしておるようでありますが、この
学生の選挙権は居住地にあることは言うまでもありません。従いまして、
学生は一年生のうちはほとんど寮に入っております一が、有権者になったときには、大がい寮あるいはその知るべの下宿に唐をかまえておるわけでございまして、そういうようなことから、この届け出は、公職選挙法に定める投票を行なう場合においても、
学校の指示が必要であるという
解釈は、当然排除されなければならないと
考えるわけでございますが、
〔
委員長退席、竹下
委員長代理着席〕
このことも選挙権も含めておるというふうに、二月十四日に全
学生を集めて公言をいたしておる事実があるのでございます。
そのほかにも、
学生手帳の
内容を見て参りますと、たとえば通
学生の心得というのがございます。この中で「通
学生が住所を変更した時は直ちに所定の
手続をする。但し通
学生の住所不適当と認めた場合はこれを変更させることがある。」こういうふうに書いてあるわけであります。これは
憲法に定める
ところの居住の自由に
違反をしておる
内容であります。御
承知のように、民法によりまして、親権を行なう
ところの親は未成年者に対しましてはその居住を指定することができます。しかしこの
内容から見て参りますれば、
学校当局者がその
学生の住所を不適当と認めた場合は、その居所を指定をする
ところの
権限がうたわれているということは、これは
憲法に定めた居住の自由に対する
ところの侵害であり、そしてまた親権を行なう
ところの親の
立場に立った
学校側の
権限を逸脱した行為がここに規定してある。
学校が親がわりにその居所を指定するというようなことが、はたして現在の
憲法下において
学生のきまりと言えるでありましょうか。こういうような点についてどのように御
調査になっておるか、承りたいわけであります。
次に「寮生は交際(通信、訪問)したい人々の住所氏名と
関係を明記し、父兄の承認印を得て届出る。」。女子
学生でございますので。いろいろと心配した上で
学校がこういうような規定をするということは、ある点わからないでもないわけでありますが、その次に「外出する時は外出簿に外出先、要件、出寮時間を記入して寮監の承認を受ける。帰寮と同時に帰寮時間を記入」しなければならない、あるいは「通信は父兄承認の
範囲内と定めるが、指導上必要と認めた時は本人に開封をうながす事がある。」。これは前にある男性から写真を送ってきた開封
事件というのがありまして、数年前にある女子
学生の
ところに手紙を送ってきたら、その手紙を
学生に無断で開封して、いわゆる親書の秘密を侵したという
事件があるのであります。その
学生にみずから開封さして
教育指導をすると言いながら、そのような親書の秘密を侵しているのではないかと疑われる点がここにあるわけであります。そういうようなことが社会通念上妥当であると思われるいわゆる既成概念であるかどうかということについて、いろいろと
調査をされたと思うのでありますが、事実はどういうふうになっておるのでありましょうか。
それから学的補導の第二項にこういうようなのもあります。「
学生は本学で行う各種の行事、集会、課外講演、ガイダンスとしての昼食会等には必ず参加する。」これは本人の意思の有無にかかわらず、各種の行事に参加する。これは課外講演等に自主的に参加するというのは望ましいでしょう。しかし
自分はこれは受けたくないと思われるような、その間に
自分自身はほかのものを学習したい、こういうものに対して強制的にこれを参加させる
ところの
権限が、はたして
大学側にあるのか。またそのガイダンスとして行なわれる昼食会等には必ず参加せしめていかなければならないというような規制力を、どういうような
法律に基づいて
大学側は持っているのか、こういう点を
考えますと、非常に問題点があろうかと思うのでありますが、それらの事実について大
学課長が
調査になり、現実においてどのように行なわれているかを
承知されている点を御報告願いたい。
その次に、こういうような
人権の問題に関しましては、
人権擁護局長は、今申し上げましたような事例について、はたしてこれは
憲法が定めました
ところの
人権宣言に
違反をしないかどうか、こういうようなことを
鈴木局長の方からお答えを願いたいわけでございます。御
承知のように
基本的人権といたしまして精神の自由権、この中には思想及び良心の自由、学問の自由権、さらに信教の自由権というものが保障をされております。行動の自由権は表現の自由権として
憲法で認められた
ところであります。また居住の自由権等も保障されておるわけでありまするし、人身等の自由権にいたしましても
憲法で規定づけられていることは言うまでもありません。そういうような点からいわゆる奴隷的、拘束的な従属
関係に
学生が置かれているということは、これは
教育の形態として好ましいものであるとは私は言えないと思うのであります。
大学の
学生は自由と
自治という
立場に立って
大学の
教育が行なわれなければならないのであって、一方的に何々をすべからず、一方的にこういうようなことをしたときは処罰する、こういうような
学校教育は、これは
高等学校、中
学校以下の
教育でありまして、このような
大学という名前のもとに
学生が
教育を受ける以上は、
学生みずからがそういうような
学校当局の規制を批判していく行為に対して自主的に参加をし、取りきめていく中において
自分たちの道徳規範としてそれを守り育てていくという
ところに、
大学の
自治の姿があり、
大学の
教育の姿がなければならぬと思うのであります。そういうような点からこれらの
学生手帳というものは
教育的に作られているものであると大
学課長はお認めになるかどうか、それらの点についてもお答えを願いたいのであります。