運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-16 第40回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十六日(金曜日)    午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 櫻内 義雄君    理事 上村千一郎君 理事 臼井 莊一君    理事 竹下  登君 理事 米田 吉盛君    理事 村山 喜一君 理事 山中 吾郎君       伊藤 郷一君    小澤左重喜君       田川 誠一君    高橋 英吉君       松永  東君    松山千惠子君       井伊 誠一君    杉山元治郎君       鈴木 義男君    谷口善太郎君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 宮地  茂君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局財務課長)  岩間英太郎君         文部事務官         (大学学術局庶         務課長)    西田亀久夫君         文部事務官         (大学学術局大         学課長)    村山 松雄君         文部事務官         (管理局振興課         長)      平間  修君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 井内慶次郎君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 二月十五日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  井伊誠一君が議長の指名で委員に選任された。 同月十六日  理事坂田道太君同日理事辞任につき、その補欠  として上村千一郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任の件  学校教育に関する件  社会教育に関する件      ————◇—————
  2. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 これより会議を開きます。  学校教育に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山委員 先般質問をいたしました問題について、当局の御説明を願います。
  4. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先般お尋ねがございました沖繩関係予算執行の問題でございますが、沖繩につきましては御承知通りわが国施政権が及んでおりません。従いまして、補助金等に係る予算執行適正化に関する法律適用がないというふうに考えております。沖繩関係いたします予算はいろいろあるわけでございますが、その性質は多少ずつ実は異なっておりますので、その細目についてまず御説明を申し上げたいと思います。  まず第一は、国費の沖繩学生招致に要する経費でございますが、これは本土に参りました沖繩学生に対して給費をいたす予算でございます。これにつきましては、本土におきましてかつ日本人でありますところの沖繩学生に対して給与をされるものでありますから、これは会計法等規定はそのまま適用になるという関係でございます。なお、この費目給費でございまして、従いまして、補助金適正化に関する法律等予算性質適用がないということになっております。  次は、沖繩に対する教育指導委員派遣に要する経費でございますが、これは本土から沖繩にその教育指導委員派遣するわけでございます。これはいわば外国旅費として支給するわけでございます。従いまして、これにつきましても、個人性質ではございませんので、適正化法適用になるかならないかといったような問題は起こらないわけであります。  次に、沖繩現職教員の再教育講習会に対する講師派遣経費でございますが、これも同じように派遣費外国旅費に準ずるものとして支給をいたしております。  次は、琉球大学に対する教授の派遣でございますが、これも同じでございます。  それから、琉球大学教官本土に参りまして研究に従事いたしました際に支給される経費、それから沖繩の教職員が本土に参りまして研究をする場合の経費、この二つはいずれも個々の教官本土において支給される経費でございます。  以上が個人に対して給与あるいは旅費として支給される費目でございます。  それから、やや性質を異にするものといたしましては、本年度新規に計上しました沖繩の青年及び婦人内地教育研究活動費補助というのがございます。これは補助金でございますが、しかし沖繩婦人あるいは青少年が本土に参りまして、研修活動をいたします際に、その個人に対して補助をするという扱いのものでございます。これはもちろん補助金でございますから、補助金適正化に関する法律はそのまま適用になるわけでございます。なおこの経費沖繩学生招致等性質はきわめて似ておるわけでございますが、特に補助金といたしましたのは、これは旅費のほかに若干の研修費が含まれております関係上、そういう扱いにいたしたわけであります。予算の内容が単に旅費ないし給与のみでございますれば、これは補助金として扱う必要がなかったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、研修費といったような庁費関係経費が含まれておるために、補助金という扱いをいたしたわけであります。  それから、最後に問題になりますのは、沖繩に対する奨学資金援助でございますが、これは本土において使用される予算ではございませんで、文部省から琉球政府贈与いたしまして、沖繩の現地において高等学校奨学資金として使用される予算でございます。最初に、沖繩にはわが国施政権が及んでいないから、補助金等に係る予算執行適正化に関する法律適用されないということを申し上げましたのは、文部省関係では具体的にはこの育英資金援助資金がこれに該当するわけであります。この援助資金につきましては、すべて正規外交ルートを通じまして贈与に関する交渉をいたしまして、合意に達しました上でこれを琉球政府贈与しておるわけであります。従いまして、沖繩におきましては贈与趣旨、つまり高等学校生徒のための奨学資金として使用されるというこの合意趣旨に従って、その資金が適正に使用されておるわけでございます。  大体補助金の種類及び性質について概要御説明申し上げました。
  5. 村山喜一

    村山委員 沖繩生徒特別奨学資金援助金についてだけ質問をいたしますが、これの支出の手続、これを説明願いたいと思います。
  6. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、正規外交ルートを通じまして合意が行なわれたのでございますから、その合意に基づきまして大学学術局長支出負担行為担当官として支出負担行為を起こす、会計課長支出官として小切手振り出しをする、このあて先は琉球政府内務局長でございます。内務局長琉球政府出納事務を扱っておりますので、そういう扱いになっております。
  7. 村山喜一

    村山委員 その場合は会計法によってやりますか。
  8. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 その通りでございまして、会計法に従って支出いたしております。従いまして、支出官といたしましては、琉球政府内務局長小切手を確実に振り出したということによって会計法上の責任は免れ得るものと考えております。
  9. 村山喜一

    村山委員 会計法の十六条によりますと、これはおそらく日本銀行を通じて支払いをしておられるだろうと思うのですが、政府小切手振り出し債権者のためでなければなし得ないという規定がありますね。そういういたしますと、債権者は国に対して一定額金銭給付を請求する権利を有している者でなければならない、ただ、債権者が適法な代金受領に関する委任をした者はそれはできるというようなふうにもなっているようでありますが、この場合に、琉球政府内務局長はその支出についての委任をされた権限者として存在するのか、それとも外交交渉によってなされた単なる贈与金であるから、その配分等についてはもう一度政府政府の間の協定——これは協定はないと思うのですが、話し合いによってなされた行為であるので、この会計法適用は全然ない、こういうふうに考えられ得るのか、その会計法の十五条と十六条の関係はどういうふうになりますか。
  10. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 後段でお話がございました通り、これは協定といったものではございませんが、外交交渉を通じて確認されましたところの合意があるわけでございます。従いまして、その合意に基づいて二千万円の資金贈与するという扱いをいたしておるわけでございます。
  11. 村山喜一

    村山委員 そういたしますと、この合意はいつ成立をしたわけですか。その文書がありますか。
  12. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この育英資金は本年度初めて計上された予算でございまして、外務大臣から合意があった旨の公式の通告は三十六年の九月六日に文部大臣あて参っております。
  13. 村山喜一

    村山委員 私がこれを質問をしているのは、この援助金が好ましいものではないということではないのであって、積極的に反対をする意思ではないわけですが、問題はあなた方がこの問題を取り扱いされる場合において、いわゆる潜在主権日本国にあるのだ、けれども日講和条約の第三条によって現在三権アメリカにある、こういう状態の中にあって、この援助金を計上されていくその思想的な考え方というものは一体どういうような考え方に立っているのかということをお尋ねしているわけです。それで、この問題は大臣から御答弁を願うのが適切だと思うのですが、もし局長説明ができるならば御説明願いたい。
  14. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまのお尋ねにつきましての主管局長と申しますと、これは大学局長になるかと思いますが、本日は病気のため欠席をいたしております。
  15. 村山喜一

    村山委員 課長答弁ではこれは答弁になりませんので、他日大臣がお見えになりましてからこの問題についてはお答えを願うのが適切だろうと思いますので、それについては保留をいたしておきたいと思います。  そこで再度お尋ねをいたしますが、そういうような外交交渉の段階で合意に基づいて成立をした援助金であるとするならば、これは予算はどこにつけてもいいだろうというふうに解釈されますけれども、あなた方が実際取り扱われる場合には、これは会計法に従って処理されるだろうと思うのですが、政府支払人は一体どこになりますか、日本銀行支払人支出の場合なりますか。
  16. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この予算につきましては文部省会計課長支出官でございまして、その支出官支出をいたしておりますから、従いまして支払人という関係は生じないわけでございます。ただ文部省支出官の実際の小切手振り出しでございますが、これは日本銀行代理店である富士銀行の新橋支店を通じて小切手振り出しをいたしております。
  17. 村山喜一

    村山委員 そういたしますと、この会計法の十六条の政府小切手振り出し債権者のためでなければなし得ないという条項がありますね、この点から債権者とはこれは琉球政府内務局長になるわけですか。
  18. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 まあそういうことになると考えます。
  19. 村山喜一

    村山委員 先ほど申し上げましたように、この沖繩生徒特別奨学資金援助金につきましては、内容的には非常に価値のあるものだと思う。ただ、いわゆる沖繩日本国潜在主権があるのだという問題と、現在対日平和条約によりまして司法、立法、行政三権アメリカにあるという、こういう状態の中にあって、外交交渉による合意に基づいて援助金支出をするという行為は、これはできるでありましょうが、問題は、そういうような形において沖繩のいわゆる祖国復帰への事実を既成事実として積み上げていくような形の中で将来の文教の政策を考えているのだ、こういうような方向を示すものであるのかどうか、そういうようなことについて大臣答弁を承りたいわけですが、残念ながら本会議においでになっておりますので、後日それらの問題についての政策的な意図をお伺いしたいと思うわけです。  続いて質問をいたしますが、沖繩問題ではなくて、今度は高等学校急増対策の問題です。
  20. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ちょっと補足して申し上げます。  この援助金考え方でございますが、御承知通り本土におきましては大学生につきまして特別奨学制度をとっております。ところが沖繩から本土大学に進学する者が毎年度相当数に上っておるわけでございますが、それらの学生本土に参りました際に特別奨学生として採用するということは、これは望ましいことでもあり、また必要なことでもあろうかと思うのであります。その際に、本土の場合におきますと、高等学校における特別奨学生大学に進学いたしました場合には、これは優先的に特別奨学生として採用されることになっておるわけであります。同様の制度沖繩についても実施したいという趣旨から、沖繩における高等学校特別奨学制度を設けたい、そのための資金援助したいということでこの予算が計上されたわけでございます。従いましてこの援助金沖繩におきましては沖繩における高等学校特別奨学制度実施のために使用をされておるわけでありまして、その奨学生本土大学に進学いたしました場合には、これは日本育英会において本土特別奨学生として採用する、こういう関係になります。沖繩本土における特別奨学制度のそういう一体的な連携というものを考えてこの予算は計上されておるわけでございます。  ちょっと補足して申し上げておきます。
  21. 村山喜一

    村山委員 高等学校急増対策の問題で文部省の全体的な計画をいろいろ承って、中でも私立高等学校の受け持つ四十三万名分の養成計画数字については先般資料をいただいたわけですが、この資料についての説明はまだ正式になされていないと思うのですが、どうでしょうか。あれば一応の御説明を願いたいと思うのです。
  22. 杉江清

    杉江政府委員 私立高等学校急増対策について一応まとめて御説明申し上げます。  ただいまお話のように急増生徒数は三十八年度から四十年度までの間におきまして四十三万人を見込んでおります。事業量といたしましては一般校舎及び屋内運動場については新設校約五万三千坪、既設校約十五万八千坪、産業教育施設については約三万八千坪、合計二十四万九千坪を見込んでおります。その事業費一般校舎及び屋内運動場約百十七億円、産業教育施設約二十四億円、合計百四十一億円を見込んでおります。また産業教育設備は約二十億円を見込み、そのほか急増生徒に対する一般設備は約十四億円、校地は約八億円と推定されております。右の施設設備を合わせますと、総事業費は約百八十三億円、うち三十六年度設備費として約十億円と考えております。総額百八十億円でございます。  そこで三十八年度以降についてはなお具体的数字としては十分固まっておらないものもございますが、一応三十七年度においては六万八千人分に相当する整備を行なうこととして、その事業費を四十億円と見込んでおります。そうしてこれについては次のような助成措置考えております。  そのまず第一は、私立学校振興会融資が十六億円でございます。国庫補助産業教育振興分といたしまして約三億円、それから都道府県が各種の形で助成しておりますが、それを交付税の積算に組み入れるということで、これが約十億円と考えております。このほかに自己負担分があるわけでございます。この都道府県への助成の十億円については、すでに御承知通り地方交付税法を改正いたしまして、地方交付税法により財源措置を講じたわけでございます。  以上一応概括的に申し上げた次第でございます。
  23. 村山喜一

    村山委員 高等学校急増対策に要する経費として知事会所要財源を見込んでおりますのは一千九十億円、こういうことでございます。現在の急増対策については設置者のみの負担ではとうていやっていけないということから、やはり国が急増対策については考えていかなければいけないということで、文部省の方もそういうようなかまえで大蔵省と折衝をされた。ところが残念ながらそういうような国庫助成の道はほんの産業教育、小学校だけしかできないで、普通高校の場合等については全然見られていない、こういうことに現在結果的にはなっているわけです。  そこでこの文部省私立学校関係生徒急増対策資料をいただいて、中身を検討いたしてみますと、四十三万人の要請のうち、まず三十万人を収容していくためにはどうすればいいかということで、とりあえず十三万人分はすし詰めによって九万人を解消しよう。さらにまた現在あるところの特別教室活用によって三万名、それから定時制教室活用によって一万名、こういうふうなことによって十三万名というものを解消する。しかもその残りの三十万人については、これも一割のすし詰めによってやっていこうということで計画をされて、この二十四万九千坪の計画の中で見られる実際の正規生徒数というものは二十七万人というものが予定をされている。こういうようなふうに承るわけですが、そういたしますと、現在の文部省計画というものは最低基準で、しかもぎりぎり一ぱいの線でこの計画というものが作られている。ところが私立学校側に言わせると、公立の場合はそういうような応急的な措置をとられてもいいだろうが、私立の場合にはそうはいきません、やはりある程度の最低基準を少し上回るような線で教室も作り、あるいは特別教室も作り、そうして生徒に魅力を持たせなければ、私立学校経営の面からも危機がある、こういうようなとらえ方をしておるのではないかと思うわけです。  そこで、そこら辺の押え方が非常にむずかしいと思うわけですが、この二十四万九千坪という文部省計画、これは大蔵省が認めている計画だと承っておりますが、将来においてこれをどういうふうに拡大をしていこうとお考えになっているかということをお尋ねをいたしたいわけです。と申しますのは、承りますと、東京都のあたりにおきましては、坪当たり八万五千円ですか、その二分の一を私立学校についても補助をしていくのだ、こういうようなことで相当援助東京においてはやっている。ところが全国的には、そういうような財政的にゆとりのない県が多いわけですから、とてもそういうようなことはできないということになっておるようでありますが、この坪当たり五万五千四百三十円という建築単価で、現在の時点において希望をするような学校というものがはたして建っていくかどうかということを考えますと、これは構造比率の上からいっても非常に問題があるわけでございまして、現実に即応しない情勢が生まれているのではないか。そういうようなところにいわゆる私立学校協会の方で考えているものと、文部省がことしは四十億円で足りる、こういうようなふうに考えているものとの間に約倍額の開きがあるのではないかということを考えますので、そういうようなところから今後の問題点として、このような高校急増対策の上で占める私立学校の役割の重要性にかんがみまして、どういうような方向において改善をしようというふうにお考えになっているのか、その点について承っておきたい。
  24. 杉江清

    杉江政府委員 まず最初すし詰めの問題でございますが、これは確かに教育上多少の無理がいくことは事実でございますが、ただ四十年度以降においては生徒数が下がるのであります。ここでこの増加生徒数に対する十分な基準坪数単価によってもし施設をするといたしますと、減った場合にかなり、むだではございませんけれども、しかし相当の余裕ができる、こういう事情考えますと、ことに私学経営というふうなことも考えまして、ピーク時において十分な施設をするということは、計画としては持ちにくいのでございます。やはり平常化した場合においても、経営的に考えましてむだにならない程度の確実な計画をすることが計画として適当ではないか、かように考えるのであります。そういう意味におきまして、ある程度のすし詰め計画を持つということはやむを得ないことではないかと考えております。  それから次に、現在の文部省計画では、今のようなこともあるし、その上ことに単価が低い。東京都などでは八万円以上の単価になっておるのじゃないか、こういうお話でございますが、この点は私ども必ずしも十分とは考えませんけれども、しかし、東京においては諸般の事情から特に高くなっておるわけでございます。また、実際の実施の場合の単価文部省単価と実際にそごを来たします原因は、構造比率に大きな原因があろうかと思います。私ども考えております構造比率をもとにして全国的に考えますならば、五万五千円の数字は著しく不当であるとは考えておりません。しかし、この点は必ずしも十分でなく、今後この単価引き上げに努力すべきだと考えます。ただいまの計画としましては、その予算に計上されております単価をもって計算いたしておりますけれども、これは明年度以降その単価引き上げに努力すべきであります。そういたしますと、この全事業量の計算が違って参りますが、そのような措置等考えてこの計画を今後とも改善して参りたいと考えております。  私学につきましては、私どもは一応昭和三十七年度は四十億円、昭和三十八年度、三十九年度において五十億円、四十年度において三十億円、こういうふうな総事業量を予定しておりますけれども、後年度におきますこの事業計画については、今後なお改善を要する点もあろうと考え、そのような方向において努力いたすつもりでおります。
  25. 村山喜一

    村山委員 三十八年度以降においては再検討を願うということで了承をいたしたいわけでありますが、ただ私は、現実の事態というものは、私立学校関係において三十六年度の実績が大体五十億ぐらいになるのではないかということを聞くわけであります。そして、三十七年度文部省案に対してその二倍の八十億の財源が必要ではなかろうか、三十八年度においては八十五億、三十九年度において六十五億、四十年度においては四十五億の財源を必要とするという見方を協会側はいたしております。それに比べますと、文部省計画は大よそその半分に過ぎないということになって参ります。これはもちろん急増分の建物以外に、現在古くなった校舎を改築する分も入っておりましょうけれども、あるいは今話がありましたように単価の問題、特に構造比率において、最近はもう木造なんか作っておったのではとても吸収ができないということで、全部鉄筋にやっていくというようなことで、建築単価が引き上がっているという点もあるだろう。ただ、問題は、そういうふうにして、現在の建築費中身を調べてみますと、振興会貸付金はわずかに二二・八%に過ぎない、そして自己資金として借り入れているものが二五%だということを聞くわけです。しかも、今後においてこの借入金がふえてくるということは、当然私立学校経営の上から考えて不健全な要素が出て参る、その結果は学校収入金として入学したときの入学金が引き上がることになり、あるいは寄付金が増大する結果になります。さらには授業料引き上げるという結果になってくるのではないか、そういうことが予想されるわけでありますが、そうなって参りますと、いわゆる生徒急増を迎えてそのような施設をしなければならないというようなことで、国の助成金都道府県助成金が少ないということから、勢い、そのしわ寄せは父兄になされてくるのではないか、こういう結果が出て参りまして、将来においてはさらに物価の値上げの問題に拍車をかけるような要素がこの面からも出てくるのではないかという心配をするわけであります。従いまして、なすべき措置といたしましては、当然そこには単価の改訂の問題であるとか、あるいは低利の融資金をふやす問題であるとかいうことを考えなければならない。同時に、私立学校側に対しましても、やはりあなた方の方の行政指導によって指導をされる必要があるのではないかという点を考えるわけでありますが、それらに対しまして、今後どのような方向をお考えになっておるのか、この際承りたいと思います。
  26. 杉江清

    杉江政府委員 ただいまの御質問の要旨は、むしろ、私立学校に対する国の助成を今後どのように進めていくかという一般的な問題になって参ると思います。この点につきましては、現在のところ、国としては私学振興会の貸付を主体にして助成措置を講じているわけでございます。この点は今後とも私学に対する助成の基本となるものと考えております。この貸付金をなお一そう増額していくということが骨子になって参ると思いますが、そのほか、たとえば産業教育振興法関係補助金の増額、これは公私平等の立場で考えられておりますが、その方を増額して参ることによって、私立高等学校経営にも役立てるというようなこと、そのほか大学についても理科設備についての特別助成が行なわれております。こういうような、特に緊急な国の課題を背負って、私学においてもその協力を願うというようなものについては補助金を交付する。そしてその額を一そう増大していくということが今後とらるべき措置だと考えます。  そういった貸付と、それから、国の補助金の増額、そのほかもう一つ重要な点は、都道府県私学に対する各種の助成を一そう行なうようにしていくということ、この助成を一そう行なわれるようにするということに対する国の措置としては、都道府県私学助成のために費す金について交付税積算の基礎にこれを組み入れていくということが国としてやはりなすべきことだと考えます。そのほか、各種の免税措置を行なう。私立学校法人に対する寄付金等に対する法人ないし個人の免税を今後とも一そう広めていくということが今後の課題だと考えております。これらの措置によって私立学校経営を一そう改善していきたいと考えております。
  27. 村山喜一

    村山委員 ちょっと端的に伺いますが、東京の場合は、先ほどもお話に出ましたように、施設費については坪当たり八万五千円の二分の一を補助をする。設備については、一教室あたり十三万円の二分の一の割合で補助をする。こういうことで三十七年度において急増分として六億の助成を、これは補助として行なっているわけです。そういうふうに考えた場合に、国の方としては、そういうような補助金の道を開くのではなくて、いわゆる振興会等の貸付金の道によって考えていくのだが、都道府県の場合には補助できるような措置を講じるのだ、こういうような考え方ですか、その点をはっきりお示し願いたい。
  28. 杉江清

    杉江政府委員 東京都においては補助金相当額出しておりますし、また他の府県においてもかなりの府県が出しております。しかし全国的に見ますと、必ずしもすべての県がやっているわけではございません。国といたしましては、すべての施設設備その他運営について補助金を一般的に出すということについては、私立学校の性格等から考えまして、なお今後も私は検討を要するものがあると思います。しかし先ほど申し上げましたように、現に国として急速に措置しなければならない各種の施策、たとえば科学技術振興のためとか、そういった面におきまして従来とも補助金を出しておりますし、そういう面において今後その補助金を増額するという措置は当然とられるべきだと思います。だから一般的に補助金を出すということは、私はなお検討を要するものがあると思いますけれども、国の課題と直接結びつく面におきます補助金の増額は、当然私学に対しても今後なすべきものだと考えます。それから貸付と補助金と並行して私学助成を進めるべきものだと考えておるものであります。
  29. 村山喜一

    村山委員 一般的な答弁を承ったわけですが、公立学校については今後あなた方はいわゆる起債政策で——五十億の起債のうち四十億が高校急増対策の整備費として使う、こういうことでございまして、それに今度補助金を伴わないいわゆる地方交付税の中で見ました、地方財政計画の中で示されました百三十三億ですか、こういうようなことによってことしはやっていこうというお考えのようでありますが、来年度においては、公立高等学校急増期における対策というものはどういうような考え方で持っていかれるか。いわゆる普通高校の場合三分の一の助成の道を開くとか、あるいは産業高校、特に工業高校の場合には二分の一の助成をしていくとか、そういうような施設面に対するところの考え方と、いわゆる内容的な整備をはかる必要がありますので、設備に対するところの助成、こういうような問題についての文部省としての基本的な考え方というものはどういうようにお持ちになっていらっしゃるのか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
  30. 杉江清

    杉江政府委員 高等学校急増対策につきましては、先般三十七年度に対処する政府の方針が一応決定されたわけでございます。この方針に基づきまして、自治省の協力も得ながら、文部省として考えておりますところの高等学校急増対策の基本計画に大きな支障のないように、できるだけそれが円滑に実施されるように努力したいと考えております。もちろん今回の措置が、この高校急増対策財源措置として十全のものであるとは私ども必ずしも考えておりません。しかしそれがどの程度に実施されるものか、また実際どの程度の支障を生ずるものか等につきましては、今後の実施の状況を見る必要があると考えます。そういった実施の状況を見、また各方面の御意見をお伺いして、三十八年度以降におけるこの問題に対処する基本方針を文部省として固めたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 村山喜一

    村山委員 知事会議が出しましたその所要財源の中には、中に備え付ける設備分についても、新設校の場合には、大体一校当たり五百五十五万円くらい内容的な整備が必要だ、増設の場合には、一学級当たり二十八万六千円というような数字が出ているようでありますが、こういうようないわゆる内容的なものも同時に考えていかなければならない。それはもちろん、これを国の方の助成によって援助していただくというようなことではなくて、自己資金の中で調達をしていくという考え方を持って、それも急増対策の一環としてとらえているわけです。ところが文部省の今までの経過を聞き、そうして今日の事態の実績を見てみますと、建物だけはとにかく何とかかんとか間に合わせて、大きなすし詰めをやりながら、現在ある施設を、特別教室から講堂まで間仕切りをして、フルに使って、詰め込みさえすればそれで終わったような印象を与えておるところに問題があると思う。従ってその結果は、今度は、都道府県側はそれだけ自己財源がありませんので、勢い設置するところの市町村にしわ寄せがやって参りまして、新しく学校を作るところにおいては寄付金をしてもらいたい。そうして特に工業高校等に切りかえるところにおいては、寄付金が二千万円、三千万円。中には、新しく作るところなどは一億近いところの金を県が吸い上げながらやっていくというような格好において、市町村へしわ寄せがきている。その市町村は、今度はさらに住民大衆に負担がきているという格好においてやっていくというような現象を、現実において起こしておる。もちろん、そういうような形でありますから、学校も建ち、あるいは学級の増設も成り立ちます。成り立ちますけれども、内容的なものは、あなた方の方においては全然計画的になされていない。建物さえ、とにかく何とかかんとかして、その人間を入れるだけのがらくたな建物を作っていけばいいじゃないか、こういうふうに受け取れるのですが、その設備の内容等においてそういうような資金計画といいますか、全体の急増対策の上におけるところの考え方を、今後お持ちになるのかならないのか、その点を明確にしていただきたい。
  32. 杉江清

    杉江政府委員 現在私ども考えております計画の上におきましても、産業教育関係については、設備に対する助成計画を持っておりますし、またその他の一般設備につきましても、これは総事業量計画の中に算入してございます。それらを含めまして、今年度においてはただいま申されたような財源措置をしているのであります。ただ、それらの算定が少な過ぎるというような御意見もあろうかと思いますけれども、私どもは一応この程度の計画でしのぎ得ると考えておるわけでございます。
  33. 村山喜一

    村山委員 施設費と、まあ設備についても、一般的なそういうような内容のものを考えているということですが、今まで私が承ったのでは、建物についてと、それから校地の購入費は坪当たり五千円ということは聞いている。ところが、中の設備費については、産振関係を除いて、一般の分はどれだけ考えておいでになるのですか。
  34. 杉江清

    杉江政府委員 総事業量として、一般設備分を三十二億円考えております。
  35. 村山喜一

    村山委員 そうすると、公立学校の場合、学校の新設が二百六十校、それに校舎の増築が七千学級、そういうようなことでございますか。そうすると、新設の場合の一校当たりの単価と、校舎増築の場合の一教室当たりの単価はどういうふうになっておりますか。
  36. 杉江清

    杉江政府委員 ただいま御質問の点の詳細な資料を持ち合わせておりませんけれども、先ほど私が申し上げましたようなことで、積算の基礎に組み入れられておるわけでございます。
  37. 村山喜一

    村山委員 その内容のこまかいのは、後ほど個人的でもいいですからお知らせ願うことにいたしまして、この急増対策の問題を考えて参りますと、どうも現在の実情に即しない点が、私立学校の場合等においては特にあります。公立の場合においても、なるほど学校は建ち、そしてすし詰めながら教育はやっていけるだろうとは思うのです。そういう可能性はありますが、しかし、そういう形の中で、財源措置が十分になされないと、そのしわ寄せは結局父兄大衆になされてくる。こういうような状態が繰り返されて、今後において、来年もその次もというようなふうになったのではとてもたまったものじゃない。それでその急増期に当たるところの子供を持っております——進学率もことしよりも少し抑えてあるわけですが、そういうような形の中で子供たちを高等学校にあげなければならない一千五百万の父兄の上にさらに大きなしわ寄せがくるとするならば、これはそういうような面において根本的に再検討をしていかなければならないのではないかということを感じますので、私たちは私たちなりで、また適当な方法をもって今後における対策を考えて参りたいと思いますが、文部省においても、すし詰めについて今辛うじて建物の計画だけは何とかでき上がったが、内容的にこれを充実して、今後父兄のそういうような要求にこたえて、日本の高等学校教育の水準を上げていくためにはどうすればいいかという面をさらに御検討願って、今後の対策を十分立てた上で、大蔵省にも強い態度で当たっていただきたいということを要望申し上げまして、私の急増対策に対する質問を終わりたいと思います。
  38. 杉江清

    杉江政府委員 ただいまの御意見まことにごもっともでありまして、そのようなことを十分考慮しながら、今後の計画改善、その他計画の充実について万全を期して参りたいと考えております。
  39. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 管理局長に関連をして聞きますが、急増対策は、施設設備を幾ら多くしても、入学難が緩和になるかどうか、私は疑問を持っておる。高等学校に差別観というものがある限りは、名門高校を受ける倍率というものは減らない。そして何倍か作っても、一方に定員不足の学校があり、一方は数倍の入学志願者が殺到するというこの現象。こういうふうに国の費用をかけて、高等学校の希望者を多く吸収するというときに、私は教育行政として高等学校の格差をなくする対策を何か考えないと、国民に申しわけない金の使い方になると思うので、これはむずかしい問題だと思うのですが、局長何か考えていますか。
  40. 杉江清

    杉江政府委員 その問題は実は管理局の所管の問題ではないと思いますけれども、一応私として考えておりますことを申し上げたいと思います。  確かにおっしゃるような現実だと思います。学校を増設しても有名校へ志願者が殺到するという事態はなかなか改善できないと思います。私は、この問題はやはり期間をかけて徐々に改善する努力を重ねていく以外にはないのではないかと考えます。その努力と申しますものは、やはり進学指導の問題でありますし、それから設備等の格差をなくするということであります。施設設備における格差をなくするということはやりやすいのでありますけれども、しかし、教員の資質の格差をなくするということは、実際問題としてなかなかむずかしい問題であります。なお、生徒の志望についての進学指導、これは一そう強化しなければならぬのでありますけれども、これもやはり父兄の気持、生徒の気持を強制するわけにも参らないと考えておりますが、そういった点について努力を重ねていくべきであると思います。  なお申し上げれば、学区制の問題があると思います。しかし、この点そういう事実があるから小学区制がよいというようなこともにわかに言えないのではないかと考えるのであります。しかし、これらの問題については、主管局長から申し上げた方がよいと思いますので、私の回答は関連する局長の意見と御承知いただきたいのでございます。
  41. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 局長答弁では満足できないので、初中局長ですか、財務課長、何か対策があれば答えて下さい。考えていなければいないでよいのですが、これは問題にしなければいかぬと思っているので、総合的に、たとえば現行教育委員会に学区制があるのですが、有名無実になっているわけですね。制度上組織関係において学区制があって、小学区制にするか中学区制にするか、この学区制を強調するか有名無実に放任するか、検討すべき問題があると思います。高等学校への入学率が五〇%、六〇%、そこまでくると、やはり高等学校制度を総合的に考えなければならない段階だと思う。施設の増強ばかり考えているようなことでは、文教行政全体としては何のことにもならないと思う。今杉江局長は、結局努力するほかない、これは方法を持たないと回答をされたが、それは答弁になっていない。答弁になるようなことを関係局長が相談して大臣から答えてもらわなければいかぬと思うのです。格差をなくする場合の教員対策、これも方法がないと杉江局長は答えられたけれども、幾らでもありますよ。僻地の高等学校に住宅を建ててやりなさい、よい先生が幾らでも行きます。校舎だけを対象にしないで教員の住宅対策というものを強調して、知事にしても大蔵省にしても、これだけ国民運動が起こっているこういう機会に、教員の住宅の充実の方策を便乗して立てるべきだと思う。それから設備の均衡化は当然こういう機会に強調して、三十八年度予算に対してその着眼を持っているべきだと思うのです。そうして実質的に格差を直していく。名門高校に行きたいという心理上の問題もあり、長い間にでなければこれは解消しないけれども、政策的に幾らでも方法があると思う。その着眼がなくて、建築の補助だけを文部省の初中局長管理局長がお考えでしたら、私はどこかに抜けたものがあると思う。それでその機運を省内に起こして、文部大臣の思想を啓蒙してもらいたい。そういうことにもう少し文部大臣が頭を突っ込むように、ピントがほかの方にいっているから、こういう機会に善政をしくよう機運を盛り上げておいてもらいたいと思うのです。  それから僻地指定を、バスが通過するとすぐ一年猶予を置いて解除するのですね。ところが、僻地の補助対象によって性格が違っていると思うのですよ。教員住宅なんというものは、バスができたって緩和にならないのですよ。僻地の先生をそこへ配置するという場合に、バスができたからといってすぐ住宅補助対象からはずすというのは、僻地教育行政として不合理だ、指定を解除する場合に、私は項目ごとに考えなければならぬ問題があると思うのです。非常に不合理だと思うのですね。その点いかがですか。御意見だけ聞いておきたいと思います。
  42. 杉江清

    杉江政府委員 実情において、ただいま御指摘のような不合理もあると考えております。しかし、この点、個々については基準を変えるということの困難性もまたありますが、ただいまの点、今後十分検討して参りたいと思います。
  43. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 これも大臣にあとでまた意見を聞きたいと思うのですが、今までの先入主の中に、僻地指定というものはもう一本の線と考えておったら、それは間違いだ。発電関係、集会室関係、住宅関係という指定の項目条件を少し変えて、あの法案の一部改正でもして、項目ごとに指定条件というものをもう少し検討しなければ、僻地振興にならないという確信を私は持っている。それを検討してみて下さい。少なくとも僻地住宅指定条件は、今のあのような行き方ではとてもだめだ。それで、これも来週は大蔵省の主計官を呼んで、その点意見を聞きたいと思うのですが、文部省ではそういう考えを一つ練ってもらいたいと思うのです。それだけです。  それから社会教育局長に青少年問題協議会についてお聞きしたいのですが、現在内閣に青少年問題協議会が設置をされておる。有名無実、開店休業で、こんな無用の長物は、青少年問題に何の役にもたたないと、結論的に私は思っておるので、青少年の問題は、やはり文部大臣の直轄の社会教育局が全責任を持ってやるというのでなければ、私は行政的にだめだと思うので、その点についての局長の御意見をお聞きいたしたいと思います。
  44. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 中央青少年問題協議会は昭和二十八年に制定されました青少年問題協議会設置法に基づくものでございます。この仕事は、法律の第二条にございますように、青少年の指導、育成、保護、矯正に関する総合的な施策について調査審議をする、それからそれらの事項について総合的な施策を実施するための、関係行政機関の連絡調整をはかる、これが任務でございまして、なお、この設置法には、中央青少年問題協議会のほかに、都道府県、市町村、特別区等にも地方の協議会を設置する旨の規定がございます。なお、こういう総合対策を立てますために、委員といたしましては、立法、行政、司法、それから学識経験者というように、全分野にわたっての委員の構成をするように法律で定めておるわけでございます。で、法律にありますように、毎月一回以上は定例の会議を開き、また問題によりましては、中青協の事務局におきまして処理してある事柄でございまして、青少年問題は、法律にございますように、単に教育だけの問題ではございませんで、まあ一番教育から遠いところで申しますれば、その根底にはもちろん教育関係いたしますが、直接触法あるいは虞犯青少年の問題あるいは少年法に基づくところの、保護、矯正、観察等いろいろの問題があると思いますので、青少年問題が、青少年ということで、およそ文部省が全部担当し得る事柄ではないと私は思います。ただ、青少年の教育あるいは育成という点に関しましては、ひとり社会教育局の所管だけでなく、学校教育を扱っております初等中等教育局、あるいは青少年のスポーツを担当しておりますところの体育局、それから勤労青少年の教育を担当いたしまするところの社会教育局というふうに、教育の分野ではわれわれは責任を持って処理しなければならないのだ、かように私ども考えております。
  45. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 その目的はおそらく第一条に書いてあると思うのですが、どういうことですか、ちょっと読んで下さい。
  46. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青少年問題協議会設置法の第二条に、中央青少年問題協議会の事務を掲げておりますが、第一は、「青少年の指導、育成、保護及びきよう矯正に関する総合的施策の樹立につき必要な事項を調査審議すること。」第二は、「青少年の指導、育成、保護及びきよう矯正に関する総合的施策の適切な実施を期するために必要な関係行政機関相互の連絡調整を図ること。」「中央協議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる。」ということがございまして、先ほど申しましたように、委員の構成につきましては、衆議院議員のうち衆議院が指定する者三人、参議院議員のうち参議院が指定する者二人、総理府総務長官その他関係行政機関の職員十一人以内、最高裁判所の職員一人、それから学識経験がある者八人以内、そういう構成になっております。
  47. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そうすると、不良少年を前提とした対策を連絡調整するところですね。だから文部省はほとんど関係はないわけですか。
  48. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私ども承知しております限りでは、その発足の当初は主として不良少年の問題に端を発しまして、これは昭和二十四年でございますが、第五回国会におきまして、衆議院におきまして、青少年犯罪防止に関する決議がされました。それから参議院において青少年不良化防止に関する決議がありまして、これに応じまして、政府といたしましては、青少年の指導、保護及び矯正に関する総合的施策を樹立し、その適切な実施をはかりますために、青少年問題協議会設置に関する件ということを閣議決定いたしまして、内閣の官房にこの対策協議会を設けたのが前身でございます。その後、単に中央だけでなく、地方にもそういう関係機関の調整のためのものを置く必要があるというので、やはり昭和二十四年の九月でございましたか、都道府県、市町村にも協議会を設置する要綱案を決定いたしました。これが前身になりまして、昭和二十五年に法律的な根拠を与える必要があるということで、総理府の設置法の一部改正が行なわれ、ただいま申しました昭和二十八年に現行の青少年問題協議会設置法が制定されたのでございます。ただ青少年問題は、当時の情勢から経緯といたしましては、犯罪とか不良少年とかいうことに重点が置かれましたけれども、青少年問題全体を取り扱います場合には、やはり健全な育成、不良にならないようにできるだけ教育の機会を与えたりあるいは健全な団体活動を促進いたしますことが全部からみ合って参りますので、現行の設置法は、およそ不良少年に関することだけでなく、青少年の健全な育成ということも含みますので、文部省といたしましても次官が委員に入っておりますし、私ども局長がたしか幹事ということで入っておりまして、参画いたしておるわけであります。
  49. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 御意見を聞くと差しさわりがあるから聞かないのですけれども、県の方でも、青少年問題協議会は、民生部、教育委員会、警察部、あらゆる関係のものが寄って構成しているけれども、おそらく何もしてないのです。そこで、今のお話を聞くと、大体司法関係とかそういう方が多いので、文部省にお聞きしても、文部省関係が薄いように思うから、ここで論議すべき筋合いは少ないように思うので、このくらいにしておきたいと思いますけれども教育の対象外の少年のような気がするのですが、青少年問題を解決していくにはこういう機関を幾ら作ってもだめなので、むしろ民間の純粋な青年のBBS運動とか、ああいうものにこそ補助をしてやる、そうしてああいう人たちの力で、いわゆるよい人間関係を作りながら反社会的な少年を補導していくことが非常に大事だと思うのです。いずれにしても、文部省として、不良少年に対する反社会性を社会化するということについて、青少年問題協議会以外のことで、独自におやりになっておる、対策を持っておられると思うのですが、現在行なわれておる対策だけお聞きしておきたいと思います。
  50. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 第一点は、おもに中学校以下の少年の校外補導のことでございますが、これにつきましては、PTAのいろいろな活動、これの研究集会等を援助するというようなこと、あるいはPTAだけでなく、ほかのいろいろな組織と一緒に、子供会あるいは子供会の指導組織というものをいろいろ作っておるところがございますから、それに対する方法なり内容なりの指導をいたすことが第一点であります。  それから第二は、単に年少のものだけでなく、民間の健全な青少年団体の活動をできるだけ活発化するという意味で——これは各種の団体がございます。ボーイスカウト以下ございますし、また今お話の出ましたBBSのようなものも一種のそういうものだろうと思いますが、そういうように、おとなあるいは年長の指導者が、民間の運動として、いろいろ青少年の規律あるいは活動というものを助成する、そういうものに対して補助金を出し、あるいは幹部の研究集会を行なうというようなこと、それからもう一つは、勤労青少年ができるだけ学習の場を持つ、ということは、学習自体の意味もありまするし、また余暇を不健全な方に使わないという意味もございまするので、青年学級等の助成にあたりましてはそういう点を特に注意をいたして、この一、二年は、従来農村だけにややもすれば固まりがちの青年学級の活動というものを、都市あるいは産業を中心としたものにも各種の実験学級を設けて指導しておるようなわけであります。
  51. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 そういう補助をやっている民間の団体があれば、あとで一覧表をほしいと思います。  岩手の方でも、未成年を酒から守る運動というのが起こっている。どうも十代の少年がだんだん不良化していくのは、最初はたばこ、たばこをのむところには酒がある。酒を飲むところには女がある。たばこ、酒、女性ということからだんだん入っていく。大体コースはきまっているわけで、日本の法律で一番守られないのは未成年の禁酒法なんですが、これについては、聞くところによると、戦前にはそういう団体に対して補助を出しておったそうですね。それはとだえておる。ところが、今の青年の不良化を、いわゆる昔の国家統制的な思想伝導に悪用するということでなく、ほんとうに人間として守ってやるというのには、やはり未成年をそういう酒から守るということが一番大事なことだと思うのです。われわれの体験からいってもそうなんですが、そういう部面を再検討されて、ある意味において、そういう自由な団体を探して助成するとか、そういうことをしてもらいたいと思うのです。御意見を承りたいと思います。
  52. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 岩手の例を出されましたので、岩手の青年団活動の例を引きますが、昨年たしか岩手に補助をいたしましたものは、あそこの青年団が不良地区に重点を置いて団体の組織活動をやろうというようなことだったと思います。それに対して若干の補助をいたしました。  それからもう一つの、未成年者に対する飲酒、喫煙の禁止の問題につきましては、伝統的に、婦人団体としては矯風会のように、明治以来非常に地道な、活発な運動を展開しておるところがあるわけでありまして、私ども婦人教育のいろいろな団体活動を援助いたします際は、団体の幹部の研究集合等にも参加していただきますし、また先般婦人教育者の海外派遣をいたします場合には、ことしは矯風会の幹部の方も行って、外国のそういう問題あるいはもう少し広くいえば純潔教育というような問題につきましても、いろんな貴重な資料を持ち帰っていただく。これはどの団体がどうというようなことはなかなかむずかしい問題でございます。実際に長い間指導者が絶えず実践活動を通じてきたものでないと、事柄だけがよくても、これは指導者のいかんによっては、かけ声だけに終わるところがあるのであります。伝統のある、しっかりした団体の運動にはできるだけ協力して参りたい、かように考えておる次第であります。
  53. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 国民から毎年酒の税金は数千億円吸収しているのですから、一%くらい酒から守るために還元してもいい。一%還元しても十億くらいだろうと思う。だから、その点をもう少し思い切って予算をとるような方向で来年度あたり一歩前進するようにしてもらいたいと思う。  それから、少し違うのですが、公立図書館のこと、今学習の場と言われたので頭に浮かんできたのですが、これは全国的だと思うのですが、県庁の所在地の県立図書館とか、ちょっと図書館らしい図書館に行っておる青年少年は、本を借りに行っているのではない。自分の学習書を持って勉強に行っているわけです。ほとんど全部ですから、お調べ願ったらいい。私もそれに非常に矛盾を感じておる。なぜかというと、家ではうるさくて勉強できない。学校はそういう図書室なんて開放してくれない。日本の校舎の管理は非常に狭量で、火災を心配して、子供に、日曜日その他でも学習の場所として開放するなんという習慣がついていないわけです。それで町の図書館へ行って、本を借りないで勉強している。ほとんど三分の二以上がそうなんです。そして立錐の余地もない姿にあるので、これは図書館建設の補助にいわゆる読書室というのを入れて、どこの図書館でも本を借りて読む部屋でなくて——現在の日本の住宅難から、狭い部屋の中において、テレビはある、ラジオはある、勉強はできない、子供にとっては学習する場所がないということが重大問題だと思うのです。そして押すな押すなと図書館へ行って勉強しておる。ところがほんとうにそこの本を借りて勉強する人にも迷惑なわけです。私はそういう意味において、一つの少年対策の一環としながら、また図書館の整備を兼ねて、青年の読書室というものを補助を出して作ってやったらどうか、そう思うのです。これは大臣がいないとしようがないのですが、大臣の頭に入れてもらえばと思いますが、局長の方からもそういう一つの着眼を持っていただきたい。御意見だけ聞いておきたいと思います。
  54. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 図書館の実態が、非常に高度なレファレンス等をやるのではなくて、試験準備のための本を持っていって読む場所を得るために長蛇の列を作っているという実態は、私もかなり知っております。ですからその点はむしろ非常に大きな図書館の、いわゆる図書館らしい図書館の整備ということではなくて、一種の本を読む場所という意味でいろいろな施設があればいいということは、私たちも考えております。これははたして図書館という名で呼ばれるのかどうかは疑問だろうと思います。それで最近は公民館にいたしましても、あるいは東京都で各区に設けられます青年館のようなものでありましても、青少年のそういう自由な読書をし、若干休めるような施設というものをどんどん持っております。むしろ中央のというか、都道府県の大きな図書館の本来の機能を発揮させるためにも、一つの青少年が集まり得る場所が別にある方がいいという場合も考えられるわけであります。私どもは公民館の問題につきましては、単に成人教育でなく、婦人には婦人のために、あるいは青少年のためには青少年のための部屋があるという方向考えていきたいと思う次第であります。全般の問題といたしましては、今後なお検討させていただきたいと思います。
  55. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 今公民館を例に出されたのは考えがだんだんずれてくると思うのです。中学生から高等学校生徒は勉強する場所がほしいので、遊ぶ場所じゃないのですよ。図書館の雰囲気でないと、十人以上すわっておりますとうるさくて、静粛にするというムードは図書館でなければできないわけです。公民館に幾ら部屋を作ってもそれはだめです。これは理屈を離れて、切実な少年の問題です。図書館というものはこういうものだという定義を形式的に持ってお考えになると、どうも施設としておかしいという形式論が出るのですが、日本の図書館の実態は読書室です、受験勉強とか。その実態に即して図書館の施設を再検討して、公民館などを連想されてはこれはずれる。確実にずれるのです。それを一つ検討して下さい。  そこで関連して管理局長学校の鉄筋がだんだんふえているわけですから、あの鉄筋になると火災の心配はだんだんなくなってくるのですね。従って管理は、先生に日宿直をやらせなくても、だれかを一人雇っても日宿直に要する費用はおそらくまかなえるのじゃないかとさえ思うのですが、ああいう火災の心配のないときには、もっと学校施設を開放して、夜は自由にそういう今のような図書室のようなものを開放するというように、日本の習慣を私は改善すべきだと思うのですが、それが一方の図書館の中にある読書室の充実と、学校施設を休日に一般のそういう方面に社会的に開放するということが検討さるべきだと思うのですが、いかがですか。
  56. 杉江清

    杉江政府委員 学校施設の一般への開放につきましては、現在社会教育法にもその規定があるのでありますけれども、実際問題はなかなかむずかしい点があります。しかし今後その方向でいろいろ考えていくべき問題だと考えております。
  57. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 これで終わりますが、高校急増の問題と、それから今のような青少年問題、図書館の問題を含んで、日本の学校関係社会教育関係施設の使い方について、一つ総合的に再検討していただいて、何かもっと有効に使えるような一つの方途を聞かせていただくとありがたいと思うので、御希望を申し上げておきます。
  58. 村山喜一

    村山委員 関連して。  社会教育局長にお尋ねいたしますが、最近都道府県で県条例をもちまして青少年保護育成条例というものが制定をされている。これは先ほど説明がありました虞犯少年等の発生を防ぐということも考えられてはおりますが、法律、条例に基づいてそういうようないわゆる社会悪をできるだけ押えていこう、そういうような悪の道に踏み込まないようにしようというのがねらいであるようであります。しかしながら内容的にこれをしさいに検討いたして参りますと、教育が敗北をした姿においてこの問題が考えられている。というのは、そういうような犯罪が発生をする社会環境にある、だから罰則をもってそういうものを規制していかなければ、青少年を正しく育てることはできないのだ、こういうような考え方に基づいているわけです。そういたしますと、いわゆる社会教育の担当者であるあなたのところで、これらの青少年の問題を今後どういうふうに考えていくかということが、きわめて重大な問題である。すでにこの前も鹿児島でも制定されて、全国ではたしか二十三になったと思うのですが、そういうような各地の状態考えてみた場合において、青少年に対する文部省のいわゆる指導体制というものはどうなければならないか、この点を根本的に検討をして、そうしてそれぞれの対策を講じなければならない段階にきているのじゃないかと思うのですが、そういうようなものに対して、文部省のいわゆる社会教育局の方ではどういうようなところまで討議をされているのか、一つ御意見を承っておきたいと思います。
  59. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青少年の保護条例につきましては、お話しのように、私の承知しておりますのも二十三、あるいはもう少しふえたかもしれませんが、そのくらいの数字であります。これは割合に極端な場合をいろいろ規制するのでございます。指定された有害な図書を青少年に売り渡すこと、あるいは青少年の育成にふさわしくないような刺激的な立て看板だとか、あるいは映画だとかいうようなもの、そういうものをできるだけ青少年の身近なところへ出さない、あるいは青少年のために作られたものでないものを売り渡したり何かしないようにという関係の条例であります。お話しのように、教育というもので、すべて法的な措置というものが全く必要がないということは、これは理想としてはその通りでございますが、私ども考えといたしましても、教育として、青年自体の節度と規律でもって、そういうものが必要でないという状態はもとより望むことでございますが、現在出ておりますところのいろいろな図書、映画等にはきわめて極端なものがございますので、片方でそれぞれの府県で取り締まりの条例を必要に応じて設けられることも、また青少年を守る意味からは一つの方法としてあり得るのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 村山喜一

    村山委員 青少年保護育成条例で社会悪から青少年を隔離していくという考え方、こういうようなものも一つの方法ではありましょう。しかしそれは教育的な敗北を意味する方法であって、この内容を今度実施するのにあたって状態を調べてみますと、民生安定の上から、青少年の補導者というようなもの、そういう係官を作って、それがやっていくというシステムになっているようであります。ところがそれに対して、文部省のいわゆる社会教育主事なりそういうような面からの教育上の配慮の上から、どうあるべきかということになって参りますと、こういうような仕事は大体そういう更生関係の仕事に当たるべきものではなくて、やはり社会教育局を中心にした教育体制の立て直しの中でどうすべきかということを考えていくのが本筋じゃなかろうかと思うんです。そういうような意味において、私はこの問題については、今までの社会教育のあり方の上からも、あるいは社会悪に対決していくところの教育的な方法の上においても、いろいろ深刻な反省を必要とするのではないかと思うので、今出されております育成条例について、一つの方法ではありましょうけれども、これは次善の方法であって、最善の方法ではないと私は確信をしているわけです。そういうような上から、この問題について一つ再検討をお願いして、きょうは時間もありませんので、今後の対策をいずれ近いうちにお出し願うように要望を申し上げておきたいと思います。  それから委員長にお願いしたいのですが、昭和女子大学で、いわゆる政防法の署名をやったということで三名が退学処分を受けた。これは明らかに人権じゅうりんであるし、憲法違反であるということで、法務委員会で問題として取り上げられて、人権擁護局の局長等も来て説明をいたしているようでありますが、この問題はやはり私学の自主性がどの程度まで及ぶべきかという大学教育の問題として、当然文教委員会で取り上げるべき問題であると考えるわけであります。従いまして、大学学術局の方でこの問題は取り扱いをされていると思うのですが、昭和女子大のいわゆる学則が非常におかしなものになっているのじゃないかという点が一つございます。学生の手帳に、校内、校外を問わず、選挙運動のみならず、いろんな署名運動、投票等に関しても、それを行なう場合には学校の許可を受けなければならない、こういうことがあるようでありますが、これらについては非常に問題点がございますので、そういうような資料を他日委員会に提出を願いたいと思うわけです。そのほか必要な関係者の名前であるとか、その事件の概要であるとかいうようなことも御報告を願いたいと思うのですが、その資料の提出についてお願いいたしたい。
  61. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 ただいまの村山君のお申し出につきましては、委員長として善処いたします。      ————◇—————
  62. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 この際お諮りいたします。  理事坂田道太君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  次に、ただいまの辞任に伴い、理事一名が欠員となりましたので、その補欠選挙を行なわなければなりません。理事補欠選任については、その手続を省略し、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長 御異議ないと認め、上村千一郎君を理事に指名いたします。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時五分散会