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1962-04-04 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月四日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 石田 宥全君    理事 片島  港君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邊 國男君       綱島 正興君    内藤  隆君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       芳賀  貢君    安井 吉典君       山田 長司君    湯山  勇君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君  委員外出席者         農林事務官         (畜産局参事         官)      保坂 信男君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      所  秀雄君     ————————————— 四月四日  委員谷垣專一君及び栗林三郎君辞任につき、そ  の補欠として亀岡高夫君及び芳賀貢君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 三月三十一日  沿岸漁業等振興法案内閣提出第一四四号) 四月二日  米国油そう船座礁によるのりの被害補償に関す  る請願實川清之紹介)(第三一八一号)  同(實川清之紹介)(第三三二九号)  同(森清紹介)(第三三七九号)  果実果実加工品自由化反対に関する請願外  十二件(安宅常彦紹介)(第三二〇一号)  同(坪野米男紹介)(第三四七六号)  同(川俣清音紹介)(第三五九八号)  農林漁民生活向上のための農政推進に関する  請願伊藤卯四郎紹介)(第三二〇五号)  同(内海清紹介)(第三二〇六号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三二〇七号)  同(久保三郎紹介)(第三二〇八号)  同(栗原俊夫紹介)(第三二〇九号)  同(鈴木義男紹介)(第三二一〇号)  同(田中幾三郎紹介)(第三二一一号)  同(田邊誠紹介)(第三二一二号)  同外一件(田原春次紹介)(第三二一三号)  同外一件(楢崎弥之助紹介)(第三二一四  号)  同外四件(成田知巳紹介)(第三二一五号)  同(松井政吉紹介)(第三二一六号)  同(村山喜一紹介)(第三二一七号)  同外六件(森島守人紹介)(第三二一八号)  同外四件(矢尾喜三郎紹介)(第三二一九  号)  同外四件(八木一男紹介)(第三二二〇号)  同(小笠公韶君紹介)(第三二七二号)  同(大村清一紹介)(第三二七三号)  同外一件(河野正紹介)(第三二七四号)  同(栗林三郎紹介)(第三二七五号)  同(坂本泰良紹介)(第三二七六号)  同(澁谷直藏紹介)(第三二七七号)  同(島本虎三紹介)(第三二七八号)  同外六件(中嶋英夫紹介)(第三二七九号)  同(中山榮一紹介)(第三二八〇号)  同外四件(西村関一紹介)(第三二八一号)  同(芳賀貢紹介)(第三二八二号)  同外百三件(松原喜之次紹介)(第三二八三  号)  同(三木喜夫紹介)(第三二八四号)  同(山田長司紹介)(第三二八五号)  同外二十四件(猪俣浩三紹介)(第三三二七  号)  同外三件(稻村隆一君紹介)(第三三六一号)  同(久保田円次紹介)(第三三六二号)  同外三件(門司亮紹介)(第三三六三号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第三三六四号)  同外二十一件(井伊誠一紹介)(第三三六五  号)  同(岡田春夫紹介)(第三三六六号)  同外九件(畑和紹介)(第三三六七号)  同(山口鶴男紹介)(第三三六八号)  同(山内広紹介)(第三三六九号)  同外一件(赤松勇紹介)(第三四五一号)  同(淡谷悠藏紹介)(第三四五二号)  同(片島港君紹介)(第三四五三号)  同(黒金泰美紹介)(第三四五四号)  同(原茂紹介)(第三四五五号)  同(坂田道太紹介)(第三四七七号)  同外四件(岡本隆一紹介)(第三六〇一号)  同(松井政吉紹介)(第三六〇二号)  同(松平忠久紹介)(第三六〇三号)  食糧管理法改正及び農業基本法関連法案制定  等反対に関する請願外百四件(戸叶里子君紹  介)(第三二二一号)  同外二百七十五件(山田長司紹介)(第三二  七一号)  同(武藤山治紹介)(第三五〇二号)  同(東海林稔紹介)(第三五九九号)  食糧管理法改正等反対に関する請願外五百十  五件(成田知巳紹介)(第三二二二号)  同外一件(勝澤芳雄紹介)(第三二八六号)  同外八件(久保田鶴松紹介)(第三二八七  号)  同外七十六件(栗林三郎紹介)(第三二八八  号)  同外三百八十六件(小林信一紹介)(第三二  八九号)  同(阪上安太郎紹介)(第三二九〇号)  同外十九件(中澤茂一紹介)(第三二九一  号)  同(西村力弥紹介)(第三二九二号)  同外二件(八百板正紹介)(第三二九三号)  同外五百三十六件(山田長司紹介)(第三二  九四号)  同外二件(猪俣浩三紹介)(第三三二八号)  同外二十一件(稻村隆一君紹介)(第三三七〇  号)  同外一件(猪俣浩三紹介)(第三三七一号)  同外一件(井伊誠一紹介)(第三三七二号)  同外四百八十四件(島上善五郎紹介)(第三  三七三号)  同外八十二件(戸叶里子紹介)(第三三七四  号)  同(畑和紹介)(第三三七五号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第三三七六号)  同外千六十八件(片島港君紹介)(第三四五六  号)  同(畑和紹介)(第三四五七号)  同外九百四十件(武藤山治紹介)(第三五〇  一号)  同(稻村隆一君紹介)(第三五九五号)  同外十九件(東海林稔紹介)(第三五九六  号)  同(川俣清音紹介)(第三五九七号)  外資及び技術導入による豊年リーバ社のマーガ  リン等生産反対に関する請願外三件(永山忠則  君紹介)(第三二六四号)  同(櫻内義雄紹介)(第三三九九号)  同外四件(松本俊一紹介)(第三五〇〇号)  造林事業補助単価引上げに関する請願池田清  志君紹介)(第三二七〇号)  川内、串木野両市境界長尾国有林稜線縦貫林  道開設に関する請願池田清志紹介)(第三  三二〇号)  養豚の危機打開に関する請願宇田國榮君紹  介)(第三三一一号)  出雲崎漁港修築工事促進に関する請願大野市  郎君紹介)(第三三二二号)  臨時肥料需給安定法等廃止反対に関する請願  外四件(堤康次郎紹介)(第三三二三号)  同(牧野寛索紹介)(第三三二四号)  同外一件(草野一郎平紹介)(第三三二五  号)  同(宇野宗佑紹介)(第三三九八号)  同(草野一郎平紹介)(第三四四九号)  同(草野一郎平紹介)(第三五三九号)  現行食糧管理制度維持継続に関する請願(草  野一郎平紹介)(第三三二六号)  同(草野一郎平紹介)(第三四五〇号)  農業協同組合合併助成法による援助措置のそ及  適用に関する請願井村重雄紹介)(第三三  五九号)  国内糖業育成措置に関する請願池田清志君  紹介)(第三三六〇号)  酪農危機打開に関する請願福田赳夫君紹  介)(第三四九九号)  建物共済農協一元化に関する請願有田喜一君  紹介)(第三五三八号)  食糧管理法改正及び大裸麦の買入れ中止等反  対に関する請願外七件(東海林稔紹介)(第  三六〇〇号)  前籠漁港整備及び第四種港に変更等に関する  請願池田清志紹介)(第三六〇四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五三号)  農業近代化促進法案北山愛郎君外十四名提出、  衆法第七号)  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第九三号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について、明五日午前十時より、参考人として、前農地開発機械公団理事長成田努君、農地開発機械公団理事長松木烈君、同じく理事下川善之君、以上三君の出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 野原正勝

    野原委員長 内閣提出にかかる農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び農地開発機械公団法の一部を改正する法律案、並びに北山愛郎君外十四名提出にかかる農業近代化促進法案、以上三案を一括議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 機械化促進法の一部を改正する法律案について、以下御質問をいたしたいと思います。  まず、農業基本法の上における農業機械化位置づけをどのように考えておられるか、その点から御質問いたします。
  6. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御承知のように、農業基本法につきましては、今後の農業生産性向上ということを強く必要としているわけでございます。そのような生産性向上をはかる上におきまして、どうしても農業経営の今後の近代化が必要である、こういう趣旨基本法の今後の一つ施策の目標として掲げられておるわけでございます。そういうことを考えてみますと、一つ手段といたしましては、生産性を高める上におきまして、また農業経営近代化をはかる上におきまして、機械導入資本装備高度化というようなことが今後においてどうしても必要であろうというように強く考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、この改正法案の一部にもその趣旨を織り込んだわけでございます。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 農業近代化の上で占める機械化重要性について今御答弁があったわけですが、一体農業近代化というものの要素条件、そういうものをどのようにお考えですか。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 基本法によりますと、今後の農業生産性向上する一つ方向といたしまして、農業全体が高度化していかなければいけない。その方法として農業構造改善ということをうたっておるわけでございます。その農業構造改善ということを、基本法によりますと農地保有合理化農業経営近代化を総称して農業構造改善ということをいっておるわけでございます。農業経営近代化の中には、機械導入であるとか家畜導入であるとか、あるいは資本装備高度化というようなことを総称しまして農業経営近代化ということをいっておるわけでございます。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいまの御答弁によりますと、土地所有合理化あるいは機械導入資本装備高度化、そういうものを近代化内容として考えていくということ。そこでさらにお尋ねをしたいのは、先日の参考人への質疑のときにもお伺いしたわけですが、改正法の第三条に、この農業機械化促進農業構造改善との関係について、ここに一つの義務的な規定を設けてある。そこでこの第三条に掲げておられます農業構造改善というのは、これはただいままで御答弁のありました農業基本法の中の柱としての農業構造改善をさしておるのかどうか、それをお伺いいたします。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま申し上げたような意味におきまして、基本法農業構造改善を、農地保有合理化農業経営近代化を総称して農業構造改善という、ということを言っておるわけでございます。そういう意味におきまして、ここに書いてある農業構造改善という意味に御理解願ってけっこうかと考えるのでございます。ただ、若干敷衍して申し上げますると、従来から農業にいろいろの機械が入って参ったわけでございますけれども、それが単なる労働力不足の補充というような意味において機械化が入るということばかりではない、もっと積極的な意味におきまして、農業経営構造改善にも資するような意味において、今後農業機械化改善をはかる必要があろうという観点に立ちまして、ここで特に申し上げております点は、そういう意味から、農業者の自主的な努力がまず助長されねばならない、そういう自主的努力の上に沿って機械化が進められる必要があろう。その自主的努力の中には、農業経営改善合理化ということが当然今後の方向等から、そういう方向にこの機械化あるいは機械導入というものが役立つように導入面において配慮していくことが必要である、こういう二つのことをここではいっておるわけでございます。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、現在河野農林大臣から、さっそく三十七年度の予算に具体的に現われてきております農業改善事業と、基本法でいう農業構造改善との関係は一体どのようになっておるか。
  12. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 一応われわれの考え方といたしましては、基本法の第四章でございますが、農業構造改善という言葉が出ておるわけでございます。その農業構造改善ということは非常に意味が広いわけでございますが、それを受けまして、その第四章におきまして、農業構造改善に関するいろいろな今後の施策基本法においては掲げておるわけでございます。その中の一条といたしまして、第二十一条におきましては、このような農業構造改善を進めていくいろいろの諸条件整備するために、農地開発あるいは環境整備、あるいは先ほど申し上げました機械導入資本装備高度化といったような施設につきまして、構造改善ができるような諸条件整備するような事業地域的に総合的に実施するために国がこれに対して助成をするようにしなければならない、こういう規定があるわけでございます。そこで構造改善事業というのは、そのような諸条件整備するようなことを特定地域について総合的に行なう、これをわれわれは構造改善事業というふうに考えておるわけでございます。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると政府考えとしては、基本法の中に柱となっておる農業構造改善具体策として、三十七年度から農業構造改善事業というものを行なう、こういう考えでございますか。
  14. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 そういう考えでございまして、構造改善をやるためには、今、本委員会に提案されておりますような農地法農協法改正であるとか、あるいは基本法の第四章に掲げてありますような各般施策が必要であるわけでございますから、それのいわば一環といたしまして、特定地域についてそのような諸条件を実現していこうというのが構造改善事業である、かように考えておるわけでございます。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 しかし現実に、あなたの御答弁で言いますと——基本法の方の農業構造改善というのは、これはあなたが言われたのですが、まず土地所有合理化、つまり土地制度農地制度について何ほどかの具体的な対策を進めるということ、その他機械導入資本装備高度化と言われましたが、その土地の問題ですね。つまり、もう少し敷衍すれば、現在の農地零細所有のあり方、零細性、そういうものを合理化する、あるいは自主化する、あるいは共同化する、これが基本法上の農業構造改善事業中心でなければならない。あなたも一番にそれを言われた。しかし、現実河野構想による農業構造改善事業はそこに力点を置いておりますか。置いておらないでしょう。どうですか。
  16. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、基本法の第二条の三号で、農業構造改善ということについての一応の定義みたいなことをしているわけでございます。すなわち、「農業経営の規模の拡大、農地集団化家畜導入機械化その他農地保有合理化及び農業経営近代化を図ること。」として、これを(以下「農業構造改善」と総称する。)といっておるわけでございます。この農業構造改善というのを実現するための手段といたしましては、第四章以下にいろいろの施策をあげているわけでございます。先ほど申しましたように、今回継続審議になっておりまする農地法の一部改正であるとか農協法の一部改正であるとかいうようなことにつきましても、実は構造改善一つ施策であることは先生御承知通りであるわけでございます。そこで、このような諸条件を二十一条におきまして、「国は、農業生産基盤整備及び開発環境整備農業経営近代化のための施設導入等農業構造改善に関し必要な事業が総合的に行なわれるように指導助成を行なう等必要な施策を講ずるものとする。」これが先ほど申し上げました構造改善業事のいわばよりどころになっておるわけでございます。そこで当然、構造改善に必要な事業を行なうということになっておりまするから、われわれとしては、その中には、諸条件整備という意味におきまして、農業生産基盤整備開発環境整備農業経営近代化のための施設導入等を総合的に実施するという考え方を持っているわけでございます。御指摘になりました現在の構造改善事業には農地保有合理化という面が入っているかということでございますが、もちろん事業の中におきましては、そのような機械化導入するために必要な圃場整備であるとか、あるいは農地集団化であるとか、このような事業を取り入れることをわれわれは期待いたしておるわけでございます。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、この機械化促進法の三条にいわれておる構造改善というのは、これはやはり基本法にいう構造改善だと思うのですね。そこで問題は、それじゃ具体的にそれが現われてきているのは、あなたは農業構造改善事業だと言われる。しかし、農業改善事業内容はすでに御承知通りです。これは適地適産、主産地形成ということになって、土地問題に対する対策がぐっと後退しているわけです。基本法上の構造改善は、やはり零細性の解消というか、政府は、昨年の基本法審議で明確になっているように、二町五反以上の農家百万戸以上を作るという自立家族経営形態考えておるわけでしょう。だから構造改善中心はそこにある。従ってこの土地問題との関係を明確にしない限りは、機械化位置づけというものは、具体的には非常にぼやけてくるんではないですか。私どもの考えによると、現実に出されておる農業構造改善事業というのは、あなたは一緒だと言われるけれども、御説明を聞いておっても、これは一部をなすかもしれないけれども、名前は同じでも、この辺をはっきりしていただかないと非常に農民は迷うと思うんですが、この点を御説明を願いたい。
  18. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま申し上げたわけでございますが、基本法の第二条にいいます農業構造改善という考え方は、非常に幅の広い概念でございます。それから二十一条で申し上げています構造改善事業というのは、その第二条の農業構造改善の一部といたしまして、そのような諸条件特定地域について実現をはかっていこうという施策であるわけでございます。そこで二十一条におきましても、先ほど申し上げましたように、「農業生産基盤整備及び開発環境整備農業経営近代化のための施設導入等農業構造改善に関し必要な事業」を行なうということをいっておりますから、その意味においては第二条の農業構造改善の中に盛り込まれる諸条件については、必要な事業を取り上げていくということで事業を実施する、こういう考え方をとっておるわけでございます。そこで今予算として三十七年度から実施いたそうとしております構造改善事業の中におきましても、もちろん機械化導入であるとかいうようなことが重要な一つ事業になろうと考えておるわけでございます。そうなりますと、当然農地集団化とか圃場整備だとか、あるいは農道整備だとかいうようなことは事業内容になってくると考えておるわけでございます。ただわれわれがこれを実現いたします場合におきまして、村で具体的な事業を実施する場合におきましては、何をどうしてその事業を実施するかということが重要な要素になりますので、村としてはどのような作物を選び、どのような技術的な手段でこれを実行するかというようなこととあわせてこの事業を実現さすということが現実的である、こういう観点に立ちまして、適地適作を進めつつこの事業を推進して、一体としてやっていこう、これが町村の立場事業を実施するという考え方になりますと一番実行しやすいのではなかろうか、こういう観点に立っておるわけでございます。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 今の御答弁でやや明確になってきたのですが、農業構造改善事業では一地域一億程度でやられるわけですが、そうすると、今おっしゃったように具体的な指導方針としては二部門ですが、二部門を選んで構造改善事業をやる、そういうふうになっているのでしょう。そしてその地域では何がいいかということでその二つを選んで大体やっていく、それが指導方針でしょう。その点まず聞きましょう。
  20. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今おっしゃいました二部門というのは、たとえば果樹部門だとか酪農部門だとか、こういう意味であろうかと思いますが、必ずしもそういう二部門というふうには考えておりません。その地帯としてある場合には果樹中心考えた計画である場合もありましょうし、それから数部門をとってやらざるを得ない地域もあると思います。つまりこの辺はその農業地帯の性格あるいは立地条件等によって適地適作物がきまるわけでございますので、何も二部門であるというふうに必ずしも限定いたしておりません。つまり、その地方における最も適作物を選んで、最も現在の状況に適応するような生産体制を整えるための事業を行なわせよう、こういう考え方であるわけでございます。二部門ということが出ましたのは、あるいはわれわれの予算上全国的に見ると平均的に二部門くらいになるのではなかろうかという平均的な数字をそういうふうに御指摘になったのかと存じますが、具体的の場合におきましては、そのような考え方はとっておりません。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、結局そういう主産地形成というか、適地適産がやはり農業改善事業中心であって、およそ基本法でいう農業改善事業とはその中心が大へんかけ離れた形になると思うのですが、どうですか。
  22. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、土地をどのような形において利用するか、その利用方法いかんによって、農道なりあるいは圃場整備なり、あるいはその他の土地に関する事業内容もきまってくるわけでございます。そこで具体的に土地の分だけを切り離して村で具体的な事業考える場合にはとうてい考えられないことではないかと思われるのでございまして、実行する立場に立ちますと、やはりここでは果樹中心とした農業経営を打ち立てるということをまず前提に置きまして、それに伴う各般事業を実施するということにならざるを得ない。これは従来の農村に関するこのような施策を自主的に進める場合においては、常にそのような行き方をとってきたのが経緯でございます。そこでわれわれといたしましては、一つには不可分のものであるという意味において取り上げるということ、いま一つは今後の農業のあり方といたしまして、基本法にも明確に生産の選択的な拡大を進めていくのだということをうたってあるわけでございます。そこで切り離せないとするならば、それらを適地適産の方法で、うたってありますように、今後大いに向上の期待されるようなものにつきましていわゆる生産の選択的拡大に沿った事業であるということが望ましい、こういう考え方に立ちまして、今申し上げたような二つ関係を同時的に推進する、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、実際の予算の点から考え、あるいは今御答弁になりましたように過去のいろいろなやり方、そういうものからいきますと、結局農業構造改善事業というのは、かつての新農村建設対策事業ですか、そういう形にならざるを得ないではないですか。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その点は今後、今回の基本法趣旨からいいまして、結局生産性向上をはかるためには現状の農業機構のもとにおいて向上をはかるといっても一定の限界があるのではなかろうか、むしろ生産性向上のためには、現在の農業構造そのものを改善するということでなければ、今後において大きく生産性向上することはできないのではなかろうか。これが従来の新農村建設事業といわれ、あるいは一般的な農業指導というものとの考え方における一つの大きな差ではないかというふうに私は思ったわけでございます。そこで今事業としては一体的に進まざるを得ないではなかろうかということを申し上げましたけれども、事業を通じて実現する一つの目標といたしましては、基本法でうたっておりますように、農業の自立経営というものが育成されていくような構造に改めていく、いわば生産性の高い経営構造に変えていく、これが究極の目標であるというふうに御了解願いたいと思います。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると結局先ほど私が指摘をしておりますように、これはやはり選択的拡大、成長部門中心にして適地適産、主産地形成ということが中心でしょう。今までの御答弁を見ましてもそうならざるを得ぬじゃないですか。どうですか。中心はそうでしょう。構造改善事業中心は。
  26. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今も申し上げたと思いますが、かりに自立経営を育成するというような将来の方向におきまして、農地の面におきまする各般合理化をはかって参るといいましても、それをいかなる形において利用するか、またどういう作物を作り、どういう自立体系でそれを実現していくかということと切り離しては、構造改善というものの地についた行き方というものができないのではなかろうか。そこで土地の面積を一体どのくらいにするか、あるいはどういうような農道を作るかというような場合に、果樹園を作るのか水田を作るのかといったようなことは当然事業を立てる際においては検討し、考慮さるべきことであるわけでございます。そこでその際におきましては、事業を立てる場合に適地適作で進めていくことが必要であるということをうたっておるわけでございまして、それが中心であるとかあるいはどうであるかということにつきましては、今申し上げましたように目標としては自立経営の育成ということが目標である、その実現するやり方といたしましては、かりに主産地が形成されても自立経営ができないというようなことがこの構造改善のねらいではないのでありまして、むしろ構造改善を実現する過程におきましては、やはりある程度のそういう生産的な環境を作っていくということが今後の望ましい形態ではなかろうか。逆にいえば一町村でかりに一戸なり二戸なりがそういう事業をできましても、全体としての生産の態様というものが適地適作なり、あるいは今後の方向考えてみますると、やはり大量生産、大量販売というふうな影の生産態様、言いかえれば主産地的なものができ上がらないと、かりに一戸なり二戸なりが優秀な経営をやってみても、構造改善というわけにはいかないのではなかろうか。村全体がそういう構造改善的な事業をやるということにならなければならないのではなかろうかという考え方に立っておるわけでございます。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 昨年九月に河野大臣の構想が発表されましたね。それはやはり成長部門中心とした選択的拡大の方向に沿った主産地形成ということをはっきり出していらっしゃるじゃないですか、何と言ったって。従ってこの改正促進法の三条の農業構造改善事業上における機械化の占める役割というものをうたわれておりますけれども、現実に行なわれんとしておる農業構造改善と第三条の構造改善とは非常に考え方が——一部ではあっても中心でないということですね。私は今御答弁を聞きましたけれども、どうしてもこの点は私どもの考えからいくと、基本法上の農業構造改善というものと現実に三十七年度行なわれんとする農業改善事業とは、名前は似ておるけれども全然これは違うというわれわれの疑問について、納得のいく答弁ではないと思うわけです。この点はやはり膨大な資金を持って進められる事業が法的な裏づけがないという点も問題ですが、この構造改善事業ですね。そういう点も含めて、これは河野構想なんですから、この点は大臣がお見えになったときにさらに明確にしたい。そこでこれは保留をして先に進みたいと思うわけです。  そこで、せんだっての機械化促進法改正についての参考人質疑で二瓶参考人が非常にいいところを指摘されたと思うのですね。つまりこの改正法には機械化研究所が置かれるようになっている。機械化という名前がついて、機械研究所ではないという、あるいはこの法律機械化法ではなしに機械化促進法になっている。その法律の名前と内容が非常にかけ離れておるという指摘をされました。これは議事録を読まれたらわかります。あの二瓶参考人指摘についてどのように政府として弁明なさるか、お聞きをしたいと思います。   〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  28. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この法律の第二条第二項におきまして、農業機械化ということについての定義をいたしておるわけでございます。その機械化というのは、「動力又は畜力を利用する優良な農機具を効果的に導入して農業の生産技術を高度化することをいう。」というふうに規定いたしておるわけでございます。そこで私の理解でございまして今先生のお話しになりましたのと若干理解の食い違いがあるかと存じまするが、この前の二瓶参考人指摘された点も、やはり機械化研究所という形でこの法案が仕組まれ、またそういう方向で今後いくべきであるということを強く指摘されたわけではなかろうかと存ずるのでございまして、そういう意味におきましてはわれわれも全く同じ考えのもとにこの改正案を出したのである、こう確信をいたしておるわけでございまして、二瓶参考人指摘されたことと矛盾するような内容にはなってない、かように理解したわけでございます。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が御質問しておる、あるいは二瓶参考人指摘をされておる点は、機械化促進という名前をつけられておるから、これは単なる機械そのものの問題ではなくして、機械化を促進するにはどうしたらいいか、そういう対策の総合的なものでなくてはならないと、名前からくると思うわけです。内容はそうではないのですね、どうです。
  30. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その点につきましても申し上げたつもりであるわけでございますが、この法律の第一条を今回改正いたしましたゆえんのものも、従来の機械化促進のための目的からいって不十分な点を補充するという意味におきまして、さらに農機具の検査制度の改正を加え、また農機具についての試験研究体制の整備を加え、その他必要な資金の確保等についての措置も加えて、機械化促進をはかることを目的といたしたわけでございます。  また第三条以下におきまして、それを実現するための国の施策、あるいはまた施策を遂行する上における融資なり援助の措置も、規定いたしまして、機械化促進上の国の施策を明らかにいたしたわけでございます。  それから研究機関につきまして、農機具の検査機関では、研究所ではなくて、機械化の研究所であるという点につきましては、それが単純に機械そのものを対象としたような通産省の機械試験所と異なることは、この機械化研究所の業務あるいは機械化研究所の目的から申し上げましても、当然機械化促進に資するための試験研究を実施するということで明らかにいたしておるわけでございます。  現在の機械化におきまする一番の問題点は、いわば従来動力の補完あるいは畜力の補完あるいは動力不足に伴う機械による補充ということで入り込んでおりまする農機具をもう少し体系化し、今後の農業経営近代化とも結びつけまして、構造改善に資するような配慮のもとに機械化をはかって参る必要があろう。ところが現状におきましては、この部面における機械の改良開発についてずいぶんおくれておるわけでございます。そこでこの機械化を促進するためには、現在のおくれている分野における開発改良を急速に進めて参る必要があろう。そのために特に施設なり人員を拡充いたしまして、研究所を設けて参りたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。従いまして、これは抽象的な機械開発改良ということではないのでありまして、その分野においては通産省の機械試験所もあり、また民間の研究機関もあるわけでございます。この研究所を特に農業機械化研究所といたしたゆえんのものは、今申し上げたような趣旨で制定いたしたものでございます。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎委員 今御説明がありましたが、この第一条は、このままとりますと、機械に関するいろいろな施策をすれば、その結果として当然、「もって農業生産力の増進と農業経営改善に寄与する」これはこうならぬです、対策がなくて。機械を改良し、その試験研究体制を整備する、それも大切です。そしてその結果それに今度は付随する機械化促進上のいろいろな問題点があるから、そういうものの打開対策と一緒になって、初めてその機械化が促進されるのであって、機械がうまくなって、よくなっていけば、当然農業生産力の増進あるいは農業経営改善に即ならぬではないかというのが私の質問点です。おわかりでしょうか。
  32. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘意味は、いわば農業機械化を進めていくための、つまり諸条件あるいは入りやすくするような環境、これらをあわせて進めるということでなければ機械化の促進はできないのではないか、こういう御指摘かと存ずるわけでございます。もちろんこの法律におきましては、機械化を促進するための試験研究であるとか、あるいは機械化導入のための資金措置であるとか、あるいはこれを適用するための普及指導であるとか、あるいは研修であるとか、こういう直接的なことについて一応規定いたしておるわけでございます。しかし機械化といいましても、経営の構造なり農業構造改善というところまでいくということになりますれば、これはもっと広い範囲におきまして土地条件整備であるとか基盤整備であるとか、いろいろの分野がついてくることは、これはもう当然であるわけでございます。そういう意味におきましては、まさにこの構造改善事業ということで、それ以外の導入しやすい諸条件整備したり、あるいは環境改善していくというふうなことをあわせて行ないたいという考えを持っておるわけでございます。従ってこの法律自身によりまして、土地基盤整備をやるとか、あるいはそれに関連した環境の諸条件改善するようなことまでやるということまでは、この法律の建前上規定していないだけでございます。ただ進め方としては、御指摘のようなことは当然背後においては考えなければならないというふうに思うわけでございます。  第三条におきまして「国又は都道府県は、この法律で定めるものの外、農業機械化のための研修、指導、試験研究及び農機具の導入事業その他農業機械化の促進に有効な事項については、これを積極的に行わなければならない。」ということで、一般的には国の義務を書いておるわけでございます。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 条文には書いてありますが、実際の施策について欠けるところがある。冒頭から言っておるように、農業構造改善についての配意義務を第三条二項に規定してあるけれども、具体的な施策の上ではそれがないではないか。今御答弁の三条の一項にしても書いてあるけれども、具体的な施策はないではないか。現実に現われてきておるのは河野構想による農業構造改善事業だけではないかということを私は指摘しておるわけです。  そこで、もしこの法律の名前のように機械化促進法というような名前であれば、現在当委員会にもかかっておるわが党の農業近代化促進法案、こういうやはり総合的な対策の中で機械化を進めていくというわが党の案こそが、ほんとうに機械化促進の対策になり得る。たとえば都道府県ごとに農業のサービス・センターを置くとか——それは近代化地区ごとですけれども。それからまた国が各都道府県ごとに農業機械サービス・センターを置く。そして総合的な対策をやっていく。そういう形でなくてはほんとうの意味機械化促進、効率的な、経済性を持った機械化促進、局長も言われたように単なる省力的な対策としてではなしに、土地生産性も高めるという深い意味の効果がもたらされぬのではないかということをお伺いしておるわけです。その点について、われわれの党の方から近代化促進法も出しておるのですから、これとの対比においてどのようにお考えか、もう一度お伺いしたい。
  34. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 農業機械化農業近代化一つの有力な手段であることは御指摘通りでございます。われわれといたしましては、機械化というこの法律の建前上、機械化に即したいろいろの事項々掲げておるわけでございますが、もちろんこれの背景には、またはこれを実現するいろいろな諸条件としては、総合的な施策が必要であることは申すまでもございません。土地改良事業を今後進めていく場合におきましても、このような機械化農業近代化といったような事業を目途としながら進めて参る必要もあるわけでございます。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕  またこの体制を考える場合におきましても、農業機械化についての指導を十分やっていくような体制を考えて参る必要もあるわけでございます。そのほかいろいろの施策がこの機械化の関連から見れば当然考えられるわけでございますけれども、われわれといたしましては基本法で今後の重要な施策規定いたしておるわけでございます。その全体の対策の一環として、逆にこの機械化を関連的な事項としてさらに進めて参りたいという考え方が、この機械化促進法考え方になっておるわけでございます。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいまの点につきましても、先ほどの構造改善と同じようにこれはやはり大臣の考え方を承らないとその先に進めませんので、この点も保留をしておきたいと思います。  次に、農林省からいただきました農業機械化関係資料の二ページには、現在の各都道府県の台数が出ておりますけれども、これだけでは各県の普及の状態が明確につかめないので、各県の農耕地についてどれだけあるかということが出てこないと、ほんとうの比較はできぬと思うのです。狭い県には台数はそう要らないのですから、単なる台数だけでは普及化の状態はわからない。そこで耕地も一緒に出した単位面積当たりの機械化の状態、町歩当たりの馬力でもいいから出てきますわけですね。そういう資料を一つ出していただきたいと思うわけです。これは委員長にお願いしておきます。  それから現在、一番新しいところでいいのですが、造成可能の耕地、草地の——傾斜の問題もありましょうが、十五度以下でいいです。どのくらいになっておるか伺いたい。
  36. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今御指摘になりました的確な資料になるかどうか多少問題がございますが、実は三十六年の十二月に各県に照会いたしまして、今後農機具等の入り得る可能性のある草地、放牧地がどのくらいあるだろうかというのを集計いたしたのがございます。それによりますると、北海道では三十七万九千町歩、内地では九十九万四千町歩ということになっております。そのうち導入可能であるという面積でございますが、これは御質問はなかったわけでございますけれども、合計して三十七万五千町歩程度が導入可能であろうと考えております。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎委員 北海道と内地別にはないですか。
  38. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 計算をすれば出てきますが……。
  39. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃ各県ごとに出ておればその資料もお願いしたいと思うわけです。  そこで現在農林省として農地あるいは草地の造成計画がおありでしたら御説明願いたい。
  40. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今農地局の方、あるいは畜産局の方で計画した資料があるかどうか調べましてお答えいたしたいと思います。
  41. 楢崎弥之助

    楢崎委員 今の点は耕地、草地の年度別の造成計画ですね。  それから、その辺の資料が出てきてから後に質問した方が適切である分については保留をいたしまして、質問を進めたいと思いますけれども、現在機械化貧乏あるいは過剰投資ということがよく言われておりますね。そこでその機械化による過剰投資の評価は、大体どういう点をミニマムとして過剰であるか過剰でないかを判断するのでしょうか。   〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  42. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは過剰であるかどうかという点についての判断は、それぞれのものの見方によって評価が異なるわけでございまして、一がいになかなか言い切れないわけでございます。単純に、従来の重労働が軽減されたという意味における機械の効用というものがあるわけでございまして、そういう面から見ると重労働が軽減されたというだけで機械化の効能が評価されなければならないわけでございます。しかし一般的に現在過剰であると言われているゆえんのものには、私の解釈といたしましては二つ意味があるのではなかろうかと思われるわけでございます。つまり単純な人力なりあるいは畜力なりが機械で補充された形になっておりますものの、全体としては機械も入っておれば、まだ依然として畜力もあり人力もあるという意味におきまして、つまり完全に一つ機械化という形になっていない、部分的に人力なり畜力なりが機械化されておるにすぎない、こういう意味において必ずしも機械が十分な体系的な入り方をしていないという意味で過剰だという意見もあるわけでございます。それからいま一つは、つまり経済的な負担の面におきまして、機械が入りました場合に、利用効率から見て、十分採算的な利用形態になっておるかどうか、こういう意味の過剰であるかどうかというふうな見方もあろうかと思われるわけでございます。前者の場合におきましては、これは今後なお十分改善するあるいは改良するという面が相当残されておるわけでございまして、そういう意味もありまして、今後機械化を進めていく場合には、もっと体系的に入っていく必要がある。完全に人力なりあるいは畜力なりがかわり得るような機械化体系ということで進めていく必要があろう、こういうことで機械化の研究所なりあるいは機械化についての試験の拡充をはかっていこうという考え方をとっておるわけでございます。後者の場合における考え方といたしましては、つまり小型トラクターに例をとってみますれば、一台としての経済的な稼働時間を十分こなしておるかどうかということでございます。この面につきまして、一応現在の機械が利用される場合の経済採算的な見地からどのような稼働時間がミニマムとして要求されるであろうかという計算をわれわれの方でいたしたのがあるわけでございます。それによりますると、たとえば小型トラクターについて見ますると、大体牽引型で百十七時間、駆動型で百三十時間くらいが経済的な最小限度の稼働時間ではなかろうか、こういう計算をいたしておるわけでございます。この面から現在実際に使用している時間を見ますると、大体これに近い稼働時間を上げておりますので、時間数としてはそう大きく負担過重になっておる、つまり過剰投資になっておるというふうなことも断言はできないのではなかろうかというふうに思われるわけでございます。ただ、この利用の形態をさらにしさいに見ますると、非常にまだまだ運搬に使用している時間等も相当その中に入っておるというふうな関係もありますので、それらの点を見ますると、一般的に全部が経済採算に合った稼働時間を上げておるというふうにもまだ言い切れないものがあるわけでございますが、一時に比べますと、だんだん稼働聴聞がふえ、経済的な採算に合っておる方向にどんどん進みつつあるのではなかろうかというように考えるわけでございます。
  43. 楢崎弥之助

    楢崎委員 今のは時間を言われましたが、耕地面積との関係が伴わないと、それははっきりしないじゃないですか。
  44. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今時間の関係で申し上げましたのは、一応現在のトラクターにつきまして耐用年数も想定し、そうしてそれに伴って一時間当たりの大体の経済計算をいたした場合に、それが牛馬耕と大体同じ価格であるとすれば、一体どのくらい使用時間として使わなければならないかという計算をして、稼働時間を出したわけでございます。従って、一台当たりの稼働時間が出れば、逆算して、その総時間を稼働時間で割れば、面積は逆算して出てくるわけでございますが、大体それによれば、作業面積として三町歩くらいという計算は一応出て参るわけでございます。
  45. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この点についてもまだ議論はありますが、一応先に進みますけれども、参考人についても御質問いたしましたが、今後の機械導入するについて大体どの程度の馬力のものが主力になるか。
  46. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この点は今後に検討を残された分野でございまして、この前参考人から三人各様の御意見がありましたように、従来の、つまり五馬力ないし六馬力程度の小型のトラクターもまだまだおそらく伸びることになりましょう。しかし今後機械化の体系というものがだんだんできて参り、そうしてそれによって最も効率的な機械化導入をはかっていくという方向考えていく必要があろうと考えるのでございます。そうなりますると、今の形で参りますると、機械が単純に耕転だけに利用されているという形態から搬用のものにだんだん置きかわって、刈り取りから脱穀調製までに利用されるような機械化体系というものがやはり将来としては考えられていかざるを得ないと思うわけでございます。そうなりますると、従来のいわゆる歩く機械から乗る機械方向にいくだろうということも、動力関係から見て一つの必然の方向ではなかろうかというふうにも考えられるわけでございます。農林省といたしましては、現在、用途によりましてそれぞれ違った形の馬力数の機械導入について指導いたしておるわけでございます。用途いかんによりまして結局機械の差異、馬力数というものも規定されるわけでございますが、現在特に専用的な、土地改良、土層改良であるとかあるいは深耕であるとかいったような特に専用的な効果を持ったトラクターについては、これは三十馬力以上の大型なトラクターをこれに充当するように指導いたしておりまして、農林省としてはこれを県に助成するという措置をとっておるわけでございます。しかし今申し上げましたように、だんだん小型のものは高馬力化し、搬用化していくでありましょうし、また大型のものはだんだん営農用あるいは管理作業用に使用されることになることを想定いたしますと、それに最も適合した形のトラクターの馬力数なり大きさというものが必要になって参るわけでございます。そういう意味でこれを実験的に、農業機械の実験集落を全国に十一カ所設けまして、機械化一貫作業の実験を行なっておるわけでございますが、これは大体二十馬力を前後にいたした大きさ、馬力数のトラクターでございます。これは国が貸与して実験を行なわしておるわけでございますが、おそらくは、この前参考人の一部からもお話がありましたように、大型化する方向は必然であろう、その場合における馬力数なりそれから大きさにつきましては、今後の機械化体系がどのような形に組み立てられていくかということによって大きくきまってくることであろうと思われるわけでございますが、大方の意見としては、大体二十馬力前後が今後の中心になるのではなかろうかという意見が有力のようでございます。農林省としては、今申し上げました三つの、小型に対する措置、専用的な大型トラクターに対する措置、それから実験的な機械化実験集落を設けてやっておりまするトラクターに対する対策、この三本建で今進めておるわけでございます。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 昨年の二月二十五日の予算第三分科会で足鹿委員が質問されております。当時は周東大臣でございましたが、それからなお先日の参考人に対する質疑でも、やはり大型機械による深耕を行なって、土地生産性を高めるということは何としても必要なことであり、それで二十馬力前後ということは現実を無視できないのでそういうことであろうと思いますが、やはり大型化への努力をしなくてはならない。そうしてその大型化への促進の隘路となっておるものは一体何であるか。それらの対策もあわせ行なわないと、ほんとうの意味の省力的な機能だけでなく、土地生産性を臨めるというもう一つの重要な目的が達せられないのではないか。そういう点について重ねて御方針を承りたいと思います。
  48. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今後機械化方向がかりにだんだん大型化されていった場合におきまする一番の条件といたしましては、もちろん土地条件圃場条件圃場に入ろうとしても農道が小さくて入れないといったような場合における農道整備、つまり機械が入り得る環境整備というものがどうしても考えられなければならないことは、先ほど来から申し上げた通りでございます。しかしもっと基本的な問題といたしましては、現在の機械の使用の状況はいまだ耕転だけの段階でございまして、耕転だけの段階にしぼられる限りにおきましては、どうしても機械の効率というものが十分に上げられない。その点については、お手元に配ってございます機械化関係資料の八ページから十一ページに、現在の農機具の作業を中心にしてどのように機械化が行なわれたかということを図示したものがございます。そこでまず第一には、耕転だけでなしに、やはり中耕除草あるいは刈り取り、収穫、脱穀といったようなところまで一貫した機械化というものが入らない限りにおいては、十分な効率を上げることはできないわけでございます。ところが遺憾ながらこのような一貫した機械化に入るための農業機械自身もまだ十分に開発改良されていないということでございまして、勢い耕転の関係だけにこれが利用されているというわけでございます。そこでわれわれとしては何をおいてもまず欠けている部分についての急速なる補充をするための農業機械開発改良をするということがなければ、十分効率を上げた大型トラクターを入れても、これは結局経済負担になるにすぎない、こういうことになろうと考えておるわけでございまして、その意味におきまして農業機械化研究所の必要というものにつきましては、急速にこれらの要請にこたえてもらいたい、こういう考えでございます。それから第三には、このような機械がかりに開発改良されましても、依然としてこれを利用する上におきます試験研究と相待って進めることが必要であるわけでございまして、いわば機械は現在の作付、栽培方法を前提とした開発改良が進むでありましょうけれども、同時に耕種面におきましては、逆に開発改良された機械を前提としていろいろの技術的な改良を進めて参らなければならないと考えるわけでございます。そういう面の試験研究もまた今後においては十分拡充して参る必要があろう、そういうふうに考えております。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、二十馬力程度の中型なり、あるいは大型の今後の普及の見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
  50. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは今申し上げましたような意味におきまして、十一ページにもございますように、大型トラクターによりまする作業体系というものはほとんどまだ耕転の段階に限定されておるといってもいいわけでございます。さらにこれが今後伸びるためには、あるいは直播の問題であるとか、いろいろの技術上の問題もあるわけであります。またこれに必要な開発改良すべき農機具が出てくるということも条件になっておるわけでございます。そこでこういうようなものがどのように今後出てくるかということと相待って伸展をはかっていかなければならない、また指導すべきであると考えております。一番初めの環境整備につきましては、すでに土地改良の面において、あるいは構造改善事業等を通じまして逐次整備していくような努力を続けておるわけであります。そこでこれらの総合として、結局どのようなテンポになるだろうかというようなことが御質問の要旨であろうと思いますが、すでに一部実用化された機械もございますし、また毎年大型の機械導入割合も漸増いたしておりますので、われわれといたしましては、相当短い期間に増加していくのではなかろうかと考えておるわけでございます。またそういう方向指導して参りたいと考えておるわけでございます。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほど機械導入可能と思われる面積について、各都道府県からの報告によると、北海道、内地合わせて百三十七万町歩、しかし実際には耕地はそうであるけれども、機械導入面積は三十七万町歩程度である。そうしますと、その面積からだけでいくと、中、大型の機械導入の見通しはどうなりますか、それとの関連においては。
  52. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは全くの一つの試算でございますので、そのような意味で御理解願いたいと思うわけでございますが、そのときに調べました報告によりますと、水田と普通畑と開拓地と採草放牧地、そういったものの合計が約三百万町歩になるわけでございます。そこでこの三百万町歩が今後の機械導入可能な面積だといって一応県から報告されておるわけでございます。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎委員 質問の内容が行き違いがあったようですからはっきり聞きますが、現在造成可能の耕地、草地の面積はどのくらいであるか。はっきり訂正しておきます。
  54. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この点につきましては、造成すべき農地、草地でございますので、畜産局並びに農地局にそういう資料があるかどうか調べて、あれば後ほどお出ししますということを先ほど申し上げたのであります。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これは当然このくらいのことは頭に入れておかないと、今後大体機械はどういうふうに導入していくかという計画がてんで出てこないのではないかと思うのですが、お手元にないし、御存じないということですから、これは農地局と御相談になっていいが、では耕地、草地の造成可能な土地の面積と、さらに具体的に農林省はどのような面積に対してどのような計画を持って造成していくのか、その造成計画とあわせて、農地局と御相談されていいから御説明を別の機会にいただきたいと思います。  それから先ほどの質問に移りますが、そうしますと結局その面積が出てこないから私も質問しにくいのですが、それでは中、大型を導入し得ると見込まれる面積は一体どのくらいと見ておられるか。
  56. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私の方で一応想定いたしましたものにつきまして、御参考までにお答えいたしたいと思います。一つ方法は、先ほど申し上げました県から報告いたした数量についてそれから算定したものと、それからもう一つは、われわれの方で既存の統計の方から推定いたしたものを申し上げてみたいと思いますが、県からの報告によりますと、水田、畑、開拓地、採草放牧地を含めまして約三百万町歩くらいが導入可能面積ではないだろうかという報告が参っております。これを台数換算するのをどうするかということでございますが、従来入っておりますものを台数で計算いたしますと、大体一台当たり延べ面積で五十町歩くらいが稼働しているようでございますので、かりにそれを実面積にいたして半分である、つまり二十五町歩である、こういう計算をやりますと、大体十二万台くらいになるわけでございます。これが県の報告をもとにした一つの推定値でございます。  それからいま一つ、現在の耕地のうちで湿田であるとかあるいは傾斜地等を除いた、トラクター導入可能と思われる面積を推定いたしたわけでございます。それによりますと二百七十五万町歩ということになるわけでございます。
  57. 楢崎弥之助

    楢崎委員 二百七十五万町歩の方は何ですか。
  58. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは現在の耕地の中から湿田とそれから急傾斜地を差し引いた面積が約二百七十五万町歩になるわけでございます。そこで従来大体一ヘクタールが一馬力を所要するというふうに考えておりますので、これを馬力換算で三十馬力とすれば九万台必要である、四十馬力であれば七万台必要であるというような数値が出るわけでございます。府県の報告なり、それから今申し上げたようなことから、九万台ないし十万台くらいが一つの数値としては推定できると思われます。しかし、これは先ほど申し上げましたようにいろいろ条件がございますので、そういう条件を見ながら、今後の普及台数というものをもっと的確につかんでいく必要がある、かように考えます。
  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで今一応面積から見ればこのくらい導入可能であるけれども、今答弁でおっしゃったように、いろいろ条件があるので、それを考えてやり、そこで先ほども申し上げましたようにそういう造成の計画がわからないで、今後導入する導入すると言ったって、導入計画というものは一体出てくるんでしょうかね。どうでしょう。
  60. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先生のお話の造成というのは、要するにこれらの土地についての土地改良計画、あるいは圃場整備、そういったような意味であることがわかったわけでございます。そういう意味におきましては、やはりこの事業を進める場合に、先ほど申し上げたような技術的な条件あるいは他の一般的な関連を見てやらないと、ただ区画をどのくらいに直して、そうして圃場整備をやればいいのだというわけには、なかなか進展しないだろうと思うわけでございます。そういう意味で、今度の構造改善事業等につきましては、機械化圃場整備とそれからそこから出てくるいろいろな技術的な体系、あるいはさらにそれに必要な各種の施設といったものが一環として事業ができるというようにいたしまして、この事業を進めて参りたい、こう思っておるわけでございます。従って、今後この事業の普及をはかっていきます場合には、そのような実際的な事業を通じながら事業を進めて参りたい、こう思っておるわけでございます。
  61. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、農林省から出されておる資料によりますと、現在六百五万戸の農家総数のうちに小型トラクターだけで見ましても五千三百五十四台。そうすると八八・四%総農家のうちに小型トラクターを持っていることになりますね。そうすると一町歩当たりに投入されておる機械の馬力数というものは、約〇・八馬力くらい。これは、諸外国の例はよくわかりませんけれども、その点だけから見ると、非常に投入率が多いと思うんですね。しかし、これらの機械の稼働状態は一体どういうふうになっておるのでしょうか。全部が稼働しておるわけではないのですか。その辺どうでしょうか、農林省で把握されておるのは。
  62. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど稼働時間につきましては年々漸増しておる、二、三年前には平均的な稼働時間が八十時間くらいであったわけでございますが、現在では百三十時間くらいに上がってきておりまして、だんだん小型の稼働時間につきましてはふえつつあるということが言えるわけでございます。  それから先生のお話しになりました八八・四%というのは、多かれ少なかれ動力を使用しておる農家数が八八・四%ということでございます。ただし六百五十万七千戸に対して約百万台近い耕転機が入っておるわけでございますから、お話の通りヘクタール当たりの馬力数としては、日本は比較的高くなっておることも事実でございます。ただこの点は先ほど過剰投資であるかどうかということにつきまして申し上げた際に触れたわけでございますが、外国の馬力数というのはみんな大型のトラクターについての馬力をいっておりますし、ここでいっておる馬力は小型だけについて計算すると〇・六馬力くらいになっておる、こういうことでございます。しかしこの馬力だけで過剰であるかどうかということは簡単に言えないのでございまして、どのような稼働時間でどのような作業にたえられるかどうかということによってこの馬力数の見方も変わってくるわけでございます。単純にヘクタール当たりの馬力数が高いということだけで過剰投資かどうかということを判定するわけには参らない、かように思っております。
  63. 楢崎弥之助

    楢崎委員 非常に過剰投資の状態を客観的に評価をされておるようですが、やはりその過剰投資の現状というものはいなめない事実であろうと思うのです。そのために稼働状況も今局長がおっしゃったような状態では現実はないのではないか。稼働状態も実際には悪いのですよ。だから現実に農村を歩いてごらんなさい。機械化貧乏というのは非常に深刻な問題になっている。しかも現在行なわれておる機械化の実情というものは、省力的な関係から入れておるものが非常に多い。そこで一番機械導入が行なわれておるのは農家の今の経営状態からいってどの階層と思われますか。
  64. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 現在まで入りました小型トラクターの状況で言いますると、大体水田地帯が大半で、七割くらい水田地帯に入っておりまして、入っておる農家の階層から見ますと、やはり中農層、一町から二町くらいの層が一番多いようでございます。
  65. 楢崎弥之助

    楢崎委員 農業白書から見ますと、その農家が一番所得が悪いのです。その所得の一番低い階層が機械化せざるを得ない状態に一番なっておる。そこに機械化貧乏という現実の問題が起こっておる。こういう現実の農村の実情をよく把握されて対策を立てられませんと、実際に機械化促進、機械化促進といってみたって問題は解決しないのではなかろうか、このように私は思うわけです。農林省というのは、今の御答弁、前の御答弁で聞きますと、客観的にこう書いてあるから、こう出ているからというようなことだけで対策をやられるから、非常に現実の仕事としては中身の違った対策が行なわれていく。こういう点を私は指摘しなければならないと思うわけです。同じ機械化の促進といっても、そういうところに実際は問題があり、隘路があるのですから、そういう条件を克服する対策をともに行なわないことには、この機械化というものは実際には生きてこない。これが今までの質問の中心の課題であろう、私はこのように思うわけです。この点については私はまださらに討論すべき問題点が多くあると思いますが、内容が多岐にわたっておりますから先に進みたいと思います。  次に、農業機械化研究所の問題でございますが、新しくこれができるわけです。まずこの問題の一番の問題は、この前二瓶参考人指摘されておりましたように、これは機械化研究所にはなっているが、実際問題としてそういう機械のことだけが中心であって、その基礎的な諸問題を研究する体制にはなっていない、こういう指摘があったわけですね。この点についてはどのように思われますか。
  66. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 あるいはまた私の理解の相違でおしかりを受けるかもわかりませんが、二瓶参考人のお話しになった点は、今後機械化研究所において期待されるべき事項として、基礎研究なり応用研究なり、つまりメーカーにおいて実行できないような研究部門をこの研究所で大いに担当してやるべきである、こういう意味の御発言ではなかったかと私は了解するわけでございます。この研究機関における最も大きな仕事としては、まさにそういう部面を担当することが必要である。製造メーカーにおきましては、製造、生産のためのいろいろの試験研究を行なうわけでございますけれども、基礎的な研究、特に当面採算に合わないような試験研究に対しては、どうしてもメーカーとしては金を出し渋るということも当然でございます。また農器具は農家に利用される関係上、どうしても農業部面、特に栽培技術上あるいは土壌、肥料、そういった面等の理解なくしては十分な農器具の研究ということも行なわれないわけでございます。そういう意味におきましては、現在の民間の研究機関では不十分である。そこでそのような部分についてもこの研究機関で担当すべきである、こういう意味の御発言があったかと思いますが、まさにこの研究機関におきましては、そういう開発改良に関する基礎研究、応用研究、実験器具製造、この分野を担当することにいたしておるわけでございます。
  67. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、研究所の規模、資金計画、そういうものについてお知らせを願いたいと思います。
  68. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 研究所の一応の陣容といたしましては、将来所員として約八十名程度の人員を予定いたしております。(楢崎委員「それは将来ですか」と呼ぶ)これは一応三十九年度までに充員して、四十年度から体制を整備するという前提にいたしておりますが、八十名を予定いたしておりまして、三十七年度におきましては、そのうち四十六名を充員するという考え方をとっております。  それから研究所の施設でございますが、これは大体現在のところ約五億程度を予定いたしておりまして、そのうち先般御説明いたしましたように、実験圃場として約六町、それから農場として約二十五町歩程度のものを付設いたして参りたい。それから施設といたしましては、本館のほかに各種の実験施設あるいは試作工場その他検査関係の建物等を含めまして、大体三億余の施設費を予定いたしております。それからそれに伴う各種の備品等があるわけでございますが、そういうものを含めまして、建物、備品で約四億程度の設置費を予定いたしております。それから研究を行ないます上の運営費の考え方でございますが、大体十億を予定いたしておりまして、そのうち五億は民間からの出資または寄付に期待いたし、残り五億を政府で支出する、こういう考え方をしております。将来の形といたしましては、大体これらの基金の運用益、それから研究所ができました場合における事業に伴う収入、たとえば検査収入であるとかあるいは委託研究の収入であるとか、こういう収入を含めまして約一億程度の運営費を予定いたしているわけでございます。今申し上げた中で、国で出すべき五億の資金につきましては、本年度二千五百万円の補助金という形で出されておりまして、今後これを基金として出していくか、あるいは毎年度の追加運営費に不足する分の補助という形で出すかは今後の予算として予算上きめて参る、こういうつもりでいるわけでございます。それから施設費の五億につきましては、そのうち三十七年度に二億を政府から支出する、こういうことにいたしているわけでございます。なおこのほかに、現在鴻巣に現実に検査室を設け、あるいは農機具の試験研究をやっているわけでございます。これらに関連して現在利用しているものの施設で研究所に移しかえをいたす予定をしているものもございまして、約五千万程度がこれに該当するというふうに見積もっているわけでございます。
  69. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さしあたって三十七年度の問題として、今御説明によりますと、研究費十億のうち五億までは民間に仰ぐ、さしあたって三十七年度はその点はどういうことになるのですか。
  70. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十七年度におきましては、その三分の一を一応予定いたしておりまして、大体十億の基金につきましては、三カ年計画で積み立てる、こういう計画を立てておるわけでございます。
  71. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、私が聞いたのは、その研究費全部の十億の見通しでなくて、そのうち民間五億と今おっしゃいましたが、民間五億の見通しについては、三カ年でやるから三分の一、そうすると、約二億近くのお金になると思いますが、それの具体的な交渉の状態あるいはどこまで話ができておるか。
  72. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは先般も答弁いたしたと思いますが、農業団体、農機具メーカー、それから農村に関係ある企業から広く寄付または出資という形で寄金の供与について御協力を願いたい、こう考えておるわけでございますが、一応この機械化研究所についての趣旨を御説明申し上げた段階でございます。この法案が通りますればそれによってさっそく具体的に各団体に呼びかけて御協力を得たい、かように考えておるわけでございます。
  73. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、この資金計画というのは、国の方は大蔵省との話がついておって見通しがつくけれども、民間からの出資については説明をした程度、具体的に研究所で予定されておる金額が実際に集まるかどうかわからぬではないですか。
  74. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 もちろんこの趣旨説明する際におきましては、研究所の資金全体の計画につきましても十分説明をいたしておるわけでございますが、各団体あるいは各企業におきましても、やはり法案が通りませんと個別的に一体幾ら出していいのかということがはっきりいたしかねるわけでございますし、また手続等につきましても同様なことがございますので、全体といたしまして各団体から御協力を得るという趣旨の御了解を得ておるわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、今後この法案が通りました暁におきまして十分御協力を得ることができるだろう、こう期待しまた努力いたす所存でございます。
  75. 楢崎弥之助

    楢崎委員 できるであろうと期待するということを承りましたが、これは相手のあることですから、十分その努力はされても、はたして民間の場合は政府が予定されておる通りの資金計画ができると断言されるかどうか。
  76. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御承知のように、農機具の全体の販売高というものは約一千億でございまして、肥料の一千三百億に対して、おそらくやがては農機具の販売高が一番大きくなるのではなかろうかと思われるわけでございます。今後ますます農業機械化をやっていくということになりますれば、当然それによって受ける恩恵というものは広く及ぶわけでございますので、私としては十分可能であろうと考えております。
  77. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それはお手並みを拝見しなければわかりませんけれども、今おっしゃったことは、あのときああ言ったが、まことに申しわけないということにならないように一つお願いをしておきます。  そこで、この出資をし得る民間の関係というのはやはり大きな資本のところだと思うのです。現実にそういう民間の大きなところの発言力がやはりこれに伴ってくると思うのですが、検査もやるところですし、そういう民間の発言力の影響というものはどのようにお考えでしょうか。
  78. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これはこの前の参考人からの御意見もあったように、大きく出資し大きく供与するということになりましても、これは通常の会社の株主のような地位にあるわけでは全然ないわけでございます。むしろ基礎研究、心用研究というような、民間の企業によってでき得ない事業をこの研究所によって期待し、そしてその得た成果に基づて各メーカーがいろいろ事業化をはかって参りたい、こういう趣旨のものでございます。直接的にこれに大きな発言権があるということについての必要性もありませんし、また出資その他の関係におきましても何ら法律上特別の恩典というものはないわけでございます。従ってその出資いかんによってこの研究所がどうこうされるというようなことはないだろうと考えますが、同時にまたこの研究機関の運営につきましては、別に審議会等も設けまして、そこで十分審議してもらうというふうにいたしておるわけでございます。また国としては当然これに対して十分な監督権を持って適切な運営ができるようにいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
  79. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この機械化研究所の資金計画については先ほど御説明がありましたが、四十一年以降の、いよいよ確立されてから後のいろんな、資金計画も含めて一つ資料を出していただきたい。そういたしませんとこの点について質問が先に進みません。それから政府が現物出資をするということになっておりますが、その現物出資の内容、評価等もあわせて一つ資料を出していただきたいと思います。  時間がちょうど昼食時間になりましたから、いろいろ保留した点も含めてまだ質問が残っておりますので、一応中絶をさせていただきたいと思います。
  80. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 午後二時より再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後二時十分開議
  81. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石田宥全君より発言を求められておりますので、これを許します。
  82. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 議事運営について大臣の意見をただしたいと思います。  先般、三月二十七日、当委員会における農林大臣の言葉の中に、「私は農林行政の全般の責任を持っておりますから、長官からでなく、長官がどういう案を承っておりましても、決定は私がいたすのであります。私が不同意のものは外に出るわけがないのであります。お聞きになってもこれは価値がありません。」という答弁がある。こういう態度でありますと、私どもは大臣のおられないところで、長官や局長を相手にして法案の審議をいたしましても、あとで大臣に否定されるようなことがありますと、全くこれは議論がナンセンスだということになるのであります。従って、今後法案の審議に対しては、大臣は必ず出席をして責任のある答弁をされなければ、審議が続けられないということになる。そうでなければ、二十七日の当委員会における発言は取り消してもらわなければならない。きわめて私は重要な問題だと思うのであります。この点、簡単でありますから、大臣から率直にお答えを願いたい。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの石田さんの御発言は、おまえの言うことと長官の言うことと違うじゃないか、こういう前提があるわけであります。前提なしに、役人の言うことはみなだめだ、おれの言うことだけがほんとうで、ほかの者の言うことはうそだということを申したら、これは今お話しの通り、大臣がいなければ、おまえがおらなければだめじゃないかということになります。私はいまだかつてそういうことを言うた——たまたまおまえの言うことと食管長官の言うことと違うじゃないか、食管長官がこう言っておるじゃないかとおっしゃるから、二人の意見が出た場合は大臣の言うことを御信用いただかなければなりません、こう申し上げたのでございまして、しかも長官がどこでどういうことを言うたか知りませんが、私は長官その他の役人とは常に事務の打ち合わせばいたしております。従って区役所から二つの話が出るというふうに考えておりませんからそう申し上げたのでございまして、たまたま私の言うことと反する話を、こういうことを言っておるじゃないかということをおっしゃいましたから、そう申し上げたのでございまして、決してそういうような二つの意見が発表されるというようなことに考えておりません。
  84. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その点は、経過から見てそうではないのでありまして、特にこの点は、あまり前のことは申し上げませんけれども、とにかく別に二つの意見が出て、大臣の意見と長官の意見が食い違っておるということではなかったわけです。ですから今答弁されたようなことであれば——個々の問題についてはそれはそうでしょう。けれども、そのあとにもあるのです。「私は、いやしくも一国の大臣として責任を持って発表したことにつきましては、一切の責任を私は負います。」とこう言っている。それはそうでしょう。しかしどうも私は、昨年就任以来の大臣の言動を見ておりますと、いろいろの問題について、一例をあげれば食管制度、あるいは米作の作付転換の問題、あるいは中央卸売市場の問題、砂糖政策の問題、あるいは豚肉の学校給食の問題、旧地主補償の問題、あるいは肥料二法廃止の問題というように、ずいぶん景気のいいことをぽんぽん打ち出されるけれども、ほとんど始末がついていない。そうして、われわれは法案の審議にあたって、ここで長官や局長といろいろ議論をいたしましても、結局はわれわれは、これは——実は全部読んでみなければはっきりせぬのですけれども、とにかく、一言にいえば、長官や局長の言うことは問題にならぬ、そういうふうに受け取れる言動なんですよ。そうすると、われわれが大臣のいないところで法案の審議をしても、意味がない。ですから、いやしくも法案の審議にあたっては、やはり局長なり長官なりが全責任を持って答弁をし、その答弁に対しては大臣は責任を負わなければならない。その点が明らかでなければ、私どもは審議に応ずるわけにいかぬのです。従って局長や長官を中心にして審議をいたしましても、ここでどうしてもはっきりした答弁を得られない問題がたくさんあるわけです。それがために、審議を進めるにあたってはどうしても大臣の出席を求めなければならないという事態が起こってくる。ところが最近の大臣の態度は、これは仏の顔も三度といいますから、ときには虫のいどころの悪いこともございましょうけれども、やはり農林委員会には責任ある農林大臣が——そういう局長や長官でははっきりしない問題が幾つか出ておるのです。大臣の出席を待たなければけりのつかない問題がたくさんあるわけです。そういうものに対して、虫のいどころが悪いからといって出席されないのでは、法案の上げようがないということですね。さっき私が申し上げたように、局長や長官が発言したことに対してはやはり大臣が責任を負うということを確約をし、その上に立って法案の審議に臨まなければならないと私どもは考えております。その点を明らかにしておいていただきたい。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 お示しのように、委員会におきまして、政府の態度——局長その他政府委員もしくは説明員が御説明申し上げましたことにつきましては、私にかわって御説明申し上げておるのでございますから、その責任は一切私が負うことをここに明らかにいたします。と同時に、私が直接御答弁申し上げなければならない問題がありますれば、いつでも出席して御答弁申し上げる、これもお約束いたします。ただし、今お話がございましたが、先日は、たまたま出席いたしましたらば、別の問題を二回お尋ねでございますので、とうも話が違うじゃないか——これは私のわがままであったかもしれませんが、二回が二回とも、法案を上げるんだから、その法案に対して質問があるから出てこい、こういうことでございますから、出てきてみたら話が違ったので、少し私がわがまま申しましたことは、はなはだ遺憾でございます。この点はあらためておわびを申し上げます。どうか一つ御協力賜わらんことをお願い申し上げます。御了解願いたいと思います。      ————◇—————
  86. 野原正勝

    野原委員長 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。湯山勇君。
  87. 湯山勇

    ○湯山委員 最初から大へん失礼でございますけれども、今、石田委員の発言に関連した問題が私の先般の質問の中にありましたから、その問題からまずお伺いいたしたいと思います。  それは豚肉の買い上げ価格の決定についてでございます。経緯を申し上げますと、二日の当委員会におきまして、私が保坂説明員に、豚肉の買い上げ価格については若干の地域差を設けるという情報であるけれども、はたしてそうなのかどうかということを尋ねましたところが、保坂説明員からは、ただいまのところは若干の地域差を設ける予定であるという御答弁がございました。そこで私はこの法律趣旨から考えても——この法律趣旨というのは、そのときそのときに適切な価格で買い上げるということよりも、年度当初に価格を決定しておくということは、ある意味では価格を安定させるという政策的な意味を含んでおるわけですから、それを実態に合わせるということだけで、しかも時期的なズレを無視して年度当初に地域差のあるものを決定するということは、別な意味で問題が起こる。従って、このことについては再検討をお願いしたい。そういうことを保坂説明員にもお願い申し、大臣に対しても、ただいまのような答弁であるけれども、ぜひ一つ農林大臣においても再検討をお願い申し上げたいということを申し上げたところが、そのときの大臣の御答弁は、「御指摘通り、私といたしましては地域差を設ける意思はございません。大蔵側において地域差の点をなかなかやかましく言うようでございますけれども、これは何とか御指摘のように地域差を設けぬという立場で最終的に決定いたしたいと考えております。」こういう御答弁をいただきました。これはそのときいきなりそういうことをお尋ねしたのではなくて、大臣のそばで説明員からそういう理由をあげての説明がありましたのに対して、私もまた理由をあげてそういうことは再検討してほしいということを申し上げたわけで、大臣からそういう御答弁をいただいたので、実は安心をいたしておりました。ところが三十六年度の価格決定にあたっても地域差がついておりましたけれども、三十六年度のは、暫定価格であって、三十七年度については抜本的に検討するんだという当時の大臣の御答弁もございましたので、三十七年度の決定にあたってはそれらの点は当然是正されるものだという信頼をかけておったわけでございます。ところが先日発表になりました内容を見てみますと、福岡と広島の間の地域差はなくなっておりますけれども、やはり大阪、福岡間の、あるいは大阪、広島間の地域差が残っている。それから皮はぎの買上価格と湯はぎの買上価格との開きというものも必ずしも納得のできるものではない。当初申し上げましたようにただ実勢に合わせるというのじゃなくて、価格を安定させるというところに趣旨があるわけで、今おきめになった価格が必ずしも年間を通じて適切な価格であるとは、大臣もお考えになっておられないと思います。どこかにそういうギャップはあるわけで、それを地域だけのギャップは実勢に合わすあるいは合わせようとするような価格をおきめになる、そして時期的なものは無視していく、そういうことじゃなくて、私が申し上げたのは、この際そういう小さな問題をふっ切って、やはり畜産物の価格安定という原則に立ってぜひ一本におきめを願いたい。ただ皮はぎと湯はぎの差は当然あることですから、それまで一つにしてほしいというのじゃございませんでした。そのときの大臣の御答弁は、非常に行き届いた、しかも明確な御答弁でございましたのに、実際はそうなっていない。このことについては今の石田委員の質問とも、内容において性質において、若干つながっているところがあると思いますので、最初に大へん失礼かと思いますけれども、この点からお伺いいたしいと思います。
  88. 河野一郎

    河野国務大臣 地域差の点は非常にむずかしい問題でございます。だんだん研究もいたしておりますが、一長一短あると思います。一般農産物——いやしくも政府が支持価格を設けて行ないます農産物につきましては、地域差を撤去することは理想だろうと思いますが、長年の慣行等もございまして、一時に全部地域差をなくするがいいか悪いかというようなことが、いろいろ議論がございまして、なかなか最終的にこれでということに踏み切りかねておるのが現状でございます。なおよく今後勉強いたしまして、将来の方向方向といたしまして、三十七年度の価格の決定にあたりましても、今一応決定いたしましたが、これが年間を通じての価格であるかないか、むろん将来また考え直さなければならぬ点が起きてくるかもしれません。何分こういうむずかしい問題と取り組みまして、初年度のことでございますから、いろいろな問題が次々に起こって参ることはやむを得ぬことじゃなかろうかと私は思います。順次勉強し、積み上げていくうちに、将来この程度ならがまんができるというものができ上がるんじゃなかろうかと思うのでございます。御注意の点はせっかくよく調査、勉強いたして、御期待に沿うことの早からんように努力いたす所存でございます。
  89. 湯山勇

    ○湯山委員 私も大臣の御答弁のように、従来の行きがかり等があることはよく存じております。しかしそういうものにかかずらっておったのでは、いろいろ大臣の方がよくおわかりの通り、今の畜産物価格の安定ということは得られない。そこで河野大臣だからこそこういうはっきりした御答弁もいただけたし、また大臣だからこういうことも実行に移していただけるという非常に大きな期待を持っておったわけです。それが今のようにだいぶん後退した御答弁だと、むしろ、私は、また新しい議論をする必要があるんじゃなかろうかという感じさえ持つわけでございます。ただ大臣のただいまの御答弁を非常に善意に解釈して参りますと、今発足当初のことで、しかも非常にむずかしい問題をたくさん抱えている。従って年度当初にきめた価格というものが、安定法では大体原則としては一年を通して適用されるけれども、しかしそういうものじゃなくて、今度の場合はなお改定の必要があると思う、あるいはそういう可能性が出てくる見通しが大きい、その段階においてさらに今大臣の言われたように一本化の方向努力していく、こういう御答弁だというふうにとらなければ、ちょっと工合が悪いと思いますが、よろしゅうございますか。
  90. 河野一郎

    河野国務大臣 よろしゅうございます。その通り努力いたします。
  91. 湯山勇

    ○湯山委員 そういう時期でございますね、大体大臣としてはただばく然とそういう時期を待つということなんでしょうか。どこかに何かのめどをお持ちになっておられるのでございましょうか。
  92. 河野一郎

    河野国務大臣 現にきめました二百五十円という価格、その基準価格が一体これで年間を通じてよろしいか悪いか。御承知通り従来春価格といいますか、春の値と秋の値と違っておった。それを一体どういうふうに将来考えていくかというような問題も当然起こってくるわけであります。秋になりまして、今の二百五十円という価格で一体いいのか悪いのか、二百五十円で秋になってもそのままということになれば、おそらくそこに問題が起こってくると思う。それをどういうふうに調整して参るか、またはそういう必要なしに、年間を通じての底値だけ抑えればいいというように自然のうちにうまくいくかどうか。初年度でございますから当然いろいろなケースが出てくると思います。従って引き続き研究はこれらの問題について続けさせまして、そうしてしかるべき案ができましたら、そこで考慮するということにいたしたいと思います。
  93. 湯山勇

    ○湯山委員 その問題は大臣の御答弁を了承いたします。これは積極的に今お答えいただいたし、以前にお答えいただいた方向へ持っていっていただきたいと思います。  次に、やはりこれと関連を持っておる豚肉価格の問題でございますけれども、これはもうずいぶん社会問題にまで発展して参りまして、熊本県等では豚の多頭飼育をしておる農家の主人が自殺をしたというようなことまで起こっておりますが、大臣は御存じでしょうか。あるいは政府委員の方でどなたかそういうことをお聞きになっておられますか。
  94. 河野一郎

    河野国務大臣 地方の新聞に、豚のコロが千円で何頭というような見出しがあったということは聞きましたが、今のお話はまだ聞いておりせん。
  95. 湯山勇

    ○湯山委員 熊本県本渡市左伊津町の豚の多頭飼育農家の主人吉田又義という五十七才の人が、豚の値下がりを苦にして自殺、これが二月の十四日の午前九時十分に発見されております。前日の十三日に子豚のせり市がありまして、十一頭出荷いたしましたが、今大臣のおっしゃったように、一頭が大体千円ぐらいにしか売れないで、その借金等もあったので、それを苦にして悲観したもの、こういうことが熊本日報に出ております。  一体、今おきめになった価格二百五十円というのが、法律にあります通りに、農家の再生産費を補償するに足る価格であるというふうに、農林大臣はお考えでございましょうか。
  96. 河野一郎

    河野国務大臣 かねて申し上げます通り、いろいろ計算の仕方もあると思いますが、むろん私の狭い範囲でございますけれども、近県の農家もしくはこれらの指導立場にある畜産会の連中に聞きますと、まあまあという相場じゃないでしょうか、やはり消費の関係もありますから、さしあたってここらのところがいいところじゃないでしょうかということを言うておることを耳にいたしますので、二百四十五円から二百五十円というふうに一応きめて、今後の趨勢を待って勉強して参るということが適当じゃないかという考えでおるわけであります。
  97. 湯山勇

    ○湯山委員 他の法律の条文等から見ましても、再生産費を補償する考え方というものは、少なくとも生産費を大体において補える、そういうものでなければならないと思うのですけれども、大臣がどういうところでどういうふうにお聞きになられたのかは別として、審議会等も、これならばまず再生産を補償する、そういうことに合った価格である、そういう答申か意見の一致がございましたのでしょうか。
  98. 河野一郎

    河野国務大臣 審議会の中にもいろいろ意見がございまして、多数意見、少数意見ございます。多数意見としては、一応この辺のところを勘案しておられるように私考えるわけであります。
  99. 湯山勇

    ○湯山委員 農林大臣ですから、畜産農民の立場を十分御配慮願ってそういう御答弁があったのだろうとは思いますけれども、生産者の代表あるいはそういう農民につながりを持った人の代表の意見と、そういう人以外の、そういうつながりを持ってない人の意見、それとは、農林大臣としては聞き分けていただくべきではないかと思いますけれども、そういう点はいかがなものでございましょう。
  100. 河野一郎

    河野国務大臣 どういうことを言うておられるのかわかりませんが、私がおつき合いし、私が意見を聞く人は、大部分が生産代表もしくは生産組合の代表者の方の意見でございます。
  101. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで重ねてお尋ねしたい点は、審議会に大臣から諮問がなされております。その諮問が、先般芳賀委員からの御質問もありましたけれども、一体価格を諮問なさったのか、あるいは方式を諮問なさったのか、その点が不明瞭で、大臣のところへ局長も相談に行ったはずでございますけれども、大臣は一体どちらを御諮問になられたのでしょう。
  102. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、最初のことでもありますし、まず再生産を補償するに足る価格を算出する基盤はどういうところに置くべきかということに一番重点を償いて意見を聞いた、こういうふうに思っております。
  103. 湯山勇

    ○湯山委員 この諮問で見ますと、ずいぶん法律と違った諮問がなされているように私は読まざるを得ないわけですけれども、これからあとの質問は法律内容に入りますから、事務当局からお答えいただいて、その締めくくりを大臣にお尋ねいたしたいと思います。  まず安定価格に三つの種類がある、これは第三条によって、その三つの種類は一体どういう区別があるのか、そこから伺っておかないと出て参りませんので、安定基準価格、安定下位価格、安定上位価格、その三つの価格の間にはどういう区別があるか、お伺いいたしたいと思います。
  104. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 指定食肉につきましては安定基準価格と安定上位価格、乳製品につきましては安定下位価格と安定上位価格、お話の通り、安定上位価格と安定下位価格と安定基準価格の三つあるわけであります。第三条の第四の規定によりまして、原料乳または指定食肉につきましては、安定価格は「生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」ということで、指定乳製品につきましては、生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して定めるというようなことで、そこに法文の字句からいきまして、原料乳、指定食肉につきましては、特に「これらの再生産を確保することを旨とし、」ということで、安定価格の決定につきましては、そういう意味合いにおきまして、乳製品の安定価格に関する定め方につきましてその程度違っているわけであります。そういう点で違っているわけであります。
  105. 湯山勇

    ○湯山委員 今の三つの価格の違いですね、今の局長の御答弁でははっきりいたさないわけです。安定基準価格というものはどういうものが対象で、それをきめるのはどういう態度できめるのだ、安定下位価格というものはどういうものが対象で、それを決定するのにはどういうことを考慮してきめる、安定上位価格というものはどういうものが対象で、それをきめる場合にはいかなる配慮をもってきめる、そういうことを区別して三通りお答え願いたいと思うわけです。
  106. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 安定基準価格は原料乳または指定食肉について規定されておる価格の上位に対する下の値の問題であります。これにつきましてはその生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮することといたしておりますが、特に「これらの再生産を確保することを旨とし、」ということを明文化いたしております。その意味におきまして第二の指定乳製品の下値価格、すなわち法文上の下位価格という条項につきましては、「再生産を確保することを旨とし、」という字句がついておりませんので、その意味におきまして特に原料乳または指定食肉の守定価格決定につきましてはそれだけ重点といいますか、再生産という点につきまして明文がある以上、そういう点を十分考慮するということであります。
  107. 湯山勇

    ○湯山委員 今の局長の御答弁をもう一度申してみますと、安定基準価格というのは、第三条第四項にありますように「生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」決定される、これが安定基準価格である。安定下位価格の場合には、「再生産を確保することを旨とし、」という条項が抜けている、こういうことでよろしゅうございますか。
  108. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 乳製品についてはそういう条項がありませんので、特にその点を考えるということではないわけであります。
  109. 湯山勇

    ○湯山委員 もう一度今の点を明確にしておきたいと思います。安定基準価格というのは、条文にはそう書いてないけれども、第三条第四項を前後のつながりから読みかえて参ると、「生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、再生産を確保することを旨とし、」決定する。それに該当するものが原料乳及び指定食肉であって、それに対して安定基準価格が今のような配慮のもとにきめられる。それから乳製品については、そういう条件は除かれて、安定下位価格というのできめられる。ただいまの答弁はそういうことでございますか。
  110. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定法第三条第四項の解釈の問題でございます。今、湯山委員のおっしゃいました原料乳または指定食肉の安定基準価格については、法文には書いてないわけでございます。安定価格については、原料乳または指定食肉の関係につきまして「これらの再生産を確保する」と  いうことが書いてあるわけであります。従いましてこの全体の文句からいいますと、安定価格全部についてこれらの条項が適用されると私どもは考えております。ただし価格算定方式のいろいろの御研究を価格審議会で願っておりますが、それらの点についてどういう方法がこういう再生産を確保することを旨とする場合に一番ベターな方法であるかということで、御論議がずいぶんあったわけであります。ここでは、安定基準価格のみでなく、生産者は上位価格についても獲得する権利がある。最悪の場合は安定基準価格で確保され、さらに上位価格等についてもそこまでとれるという解釈も、全体的に安定価格だということで出てくるわけであります。そういう意味におきまして相当生産関係のふれの多い関係におきましては、米麦その他の農産物等について一本の価格で抑えてしまう、こういう一本価格の買い入れ価格でない関係から、第四項については安定価格全体について相当幅のある規定を書いてあるわけであります。その意味におきまして湯山委員指摘の安定基準価格だけでは、再生産を確保することと解釈していいかどうか、価格審議会では、どういう方法で安定価格全体についてこういう条項を最も忠実にかつ有効的に、法の目的に照らして解釈していくか、あるいは算定方式を作っていくか、いろいろ論議のあったところであります。
  111. 野原正勝

    野原委員長 ちょっと速記をとめ  て。    〔速記中止〕
  112. 野原正勝

    野原委員長 速記を始めて。
  113. 湯山勇

    ○湯山委員 保坂参事官、今まで局長の御答弁になったことはその通りでございますね。
  114. 保坂信男

    ○保坂説明員 その通りでございます。
  115. 湯山勇

    ○湯山委員 それじゃ安定下位価格には「再生産を確保することを旨とし、」というその条項は適用されない、そういうことでございますか。
  116. 保坂信男

    ○保坂説明員 御指摘の点は法文にございますように、第三条の四項で指定乳製品について書いてございます通りでございまして、安定下位価格がございますのは指定乳製品でございますから、その通りであると思います。
  117. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、今の局長の答弁では、安定基準価格、安定上位価格、両方について再生産を確保することを旨とするということは適用されるのであって、基準価格だけじゃなくて、安定上位価格についてもそのことは考慮されなければならない、こういうことでございましたけれども、これは理屈であって、安定上位価格が安定基準価格を下回るというようなことは常識的に考えられないことでしょう。下にある基準価格が再生産を確保する、そういうことの条件を満たした場合に、安定上位価格がそれを満たしているかどうかというようなことを検討する必要がどこにあるのでしょう。
  118. 保坂信男

    ○保坂説明員 局長が申し上げました趣旨は、第四項にございますように、安定価格は、原料乳、指定食肉につきまして生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮しまして再生産を確保することを旨とするように定めるという場合に、安定価格ということにつきましては、基準価格、上位価格を含めまして一定の幅を持っておりますので、そういう幅の中で全体として再生産を確保するということに努めるべきであるというふうに言われたと解釈をいたしているわけであります。そういう意味で、安定上位価格も含めましてという意味であったと思います。御指摘のように安定基準価格より下回って安定上位価格が定められるというようなことは当然ないわけでございます。前段に申しましたような趣旨と解釈しています。
  119. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると安定基準価格も当然再生産を確保することを旨としてきめられるものである。これは間違いありませんね。
  120. 保坂信男

    ○保坂説明員 安定上位価格から安定基準価格まで一定の幅がある制度に相なっているわけでございます。そういう意味におきまして、その幅の中に安定させることを旨として畜産の生産の伸展をはかっていこうということがねらいであると考えているわけであります。そういう意味で、安定基準価格をも含めまして再生産を確保するように配慮する必要があるというふうに考えているわけでございます。
  121. 湯山勇

    ○湯山委員 答弁が長過ぎるのです。そうならそう、私はそういうつもりで聞いておりますから、そういうふうにお答え願いたいと思います。  安定基準価格は再生産を確保することを旨として決定される価格である。違うかどうかです。
  122. 保坂信男

    ○保坂説明員 安定基準価格そのもの単独で再生産を確保するということは、できるだけそういうことを理想といたしますけれども、需給事情その他も勘案しまして、全体の幅の中でそういう趣旨を達成していくことが適当であるというふうに考えているわけです。
  123. 湯山勇

    ○湯山委員 そういうことはどこから出る解釈ですか。そういう解釈はこの法律から出てこないはずです。局長が答えたのも、指定食肉それから原料乳については安定基準価格と安定上位価格、この二つが安定価格である。そしてその二つの価格ともに再生産を確保することを旨として決定しなければならないのであるから、基準価格も上位価格も、幅はあるけれども、ともにその条件を満たさなければならないものと考える、こう言われたから、それに間違いありませんか、こういうことで、どうも御答弁がはっきりしないから、最後には基準価格はどうですかという質問をしたわけで、もしそうでなくて、基準価格というのはあるいはそうではないかもしれないけれども、そういうことをできるだけ努力する価格である、こういうことになれば法律の精神と違ってくるのじゃございませんか。
  124. 保坂信男

    ○保坂説明員 局長が申された趣旨のように再生産を確保することは安定基準価格をも含めましてお尋ねになった通りであると思います。
  125. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで大臣にお尋ねいたしたいのは、大臣の諮問は法律違反じゃないでしょうか。あるいは法律をことさらに曲げようとしておられるのではないか。というのは、御諮問の中にこういうことが書いてあるのです。御諮問になった中の別記の1に「原料乳または指定食肉の安定価格については、その安定基準価格と安定上位価格(原料乳にあっては、安定上位価格に準じて考ええられるべき価格)とによって構成される価格帯の中心となるべき価格について、」——安定帯の中心となる価格、これは下は基準価格、上が上位価格、そのどこかの中間になる中心となる価格について、「その生産条件および需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの荷生産を確保することを旨として算定してはどうか。」つまり中心になる価格を基準価格と同じ算定方式にしてはどうかという諮問を大臣はしておられるのです。というのは、法律によって今明らかになったように、基準価格がすでにこういう条件を満たすべきだということがきめられておるにもかかわらず、それを法律によってきめられたことを一応無視してたな上げして、そうして大臣は別個に、この諮問によればそれらと離れた中心となる価格を、法律でいわれておる基準価格に該当する今のような再生産を確保することを旨とした価格できめたらどうか、こういう諮問をしておられるのです。これは故意に法律を曲げてそういうふうにされるのか、あるいは間違ってそうされたのか、これは非常に重要な問題でございますから、一つ明確な御答弁を願いたいと思うわけです。
  126. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、これら畜産物につきましては、それぞれ生産条件が非常に違います。たとえば原料乳にしましても、乳価が全国各地各様非常に異なっております。従ってどの程度のところをとるかということにつきましては、いろいろな見方があるわけであります。湯山さんのおっしゃるように下位価格をどのようにとるかということも一つのとり方、法律に示してあります通りにとるべきじゃないか、確かにその考え方もあると思います。しかし、今申し上げますように、どの辺のところに線を引いていったならば全体の豚の値段がこれならよろしいということになるか、また将来の奨励上から申しましても、どのようにこれを置いていくことがいいかということがいろいろあるわけでございます。そういう意味において委員会のあらゆる御意見を拝聴いたしたいというわけでこういう書き方をいたしたのでございます。
  127. 湯山勇

    ○湯山委員 御答弁ではわからないのは、今大臣がこういう書き方をしたというその中心になる価格というのは、実は法律的には安定基準価格と同じ表現のしてある価格です。もし審議会なりあるいは農林省において中心となるべき価格の算定ができるのならば、見込みがつくのならば、法律によればそれと同じ条件にあるものが安定基準価格ですから、それも当然出てくるわけです。ただそれをどいううふうに裁量するかは、これは農林大臣のお計らいでしょう。しかし法律を無視したそういう答申を審議会に出して、新たにそのものに法律にない名前をつける、これは法律を曲げたやり方ではないでしょうか。
  128. 河野一郎

    河野国務大臣 今私がお答えしたことで、とにかくこの法律を忠実に実行するということにいたしましても、何さま生産条件が違いますし、現に違った価格が全国に高値から安値まであるわけでございます。そのどの辺のところでこの線に合わせるかということは、どの辺がはたしてよろしいかということに私は問題があると思うのであります。従ってまずその中心になるべきものを一応どういうふうに考えたらいいかということを伺って、そうしてこの法律でいくならばそれはどの辺のところにあるだろうということを考えていくということじゃないだろうかと思うのでございます。
  129. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣の御答弁と、聞いておることとは若干違っております。大臣のは、諮問があってそれについて大臣がどう判断するかというときの判断は大臣のおっしゃる通りでいいと思うのです。ここで諮問されておるのは、安定基準価格でもなければ上位価格でもない。中心になる価格、これも大臣の言われる通りならいいと思います。その中心になる価格というのは、いろいろなことを勘案して大体どのあたりにまん中の線を引いたらいいという諮問ではありません。その線は、この諮問によれば、安定基準価格と同じ条件の諮問をしておられるわけです。つまり諮問して出てきたものというものは、かりに中心になる価格が出たとすれば、それは安定基準価格と同じ条件のものが出てきておる。そうして二百五十円なら二百五十円というものが出てくれば、中心になる価格が二百五十円だという、かりに答申があったとすれば、その中心になる価格を決定する条件は安定基準価格と同じなんです。二百五十円が出たら、それが実は中心になる価格であるのと同じに、同時に基準価格が出ておるわけです。条件づけがそうなっておるわけです。そこで今のように、中心になる価格というようなものを、それらの中間帯のどこかに引くというようなことは法律を曲げたことになるのじゃないか。安定基準価格以外に同じ性格の中心価格というものを諮問しておるわけですから、それは法律違反ではないかということをお尋ねしておるわけです。
  130. 保坂信男

    ○保坂説明員 審議会におきましても、いろいろと御意見のあったところでありますけれども、法律の四項では「安定価格」はという表現になっておりまして、それが一定の幅を持っておることは前述の通りであります。先般の国会におきます御改正の際に、安定帯価格とありました豚肉並びに原料乳の字句につきまして、基準価格という御修正がなされたわけでありますが、その結果におきましても、安定価格には一応幅がございまして、一応その算定の考え方といたしまして、中心的なものを想定をいたしまして、算出の方法考えたらどうかという考え方についての御意見を伺ったわけでございます。その辺がどの辺の関係になることが全体の安定帯の中をどういう幅に持っていくかということについてもいろいろと御意見が審議会でもあろうかということで御諮問を申し上げたわけでありますが、一応幅がありますので、安定基準価格そのものだけで再生産を確保するということが将来の理想であるかもしれませんけれども、現実なる生産の近代化合理化が進展して参りますのも、これからの問題でございますので、そういう諸般の要素考えまして、幅の中の上下、基準価格と申しましても、幅を考えれば下の価格でございますから、その点を算定するやり方としてお考えを諮問いたしたわけでございます。
  131. 湯山勇

    ○湯山委員 今のような御答弁ではどうもはっきりしないのです。大臣、お聞きになっておわかりになりますか。今の答弁はわからないでしょう。安定基準価格も再生産を確保することを旨としてきめる額である。それと上位価格との間に中心価格をきめるということ、これは悪いとはだれも言っていないのです。けっこうです。その中心価格というものは、基準価格とは性格の違ったものでなければなりません。そうでしょう。ところが、この諮問では、性格の違うはずの中心になる価格に基準価格と同じ条件をつけている。それでは今の中心になる価格と基準価格というものとは区別がつかないじゃないか。しかも今の説明では、さらに中心価格は再生産を確保するけれども、基準価格は再生産を補償することが理想であるけれどもなかなかそうはいかない、こういうことになってくると、全くこれは法律趣旨を無視したことになるわけです。法律違反になるわけです。そうじゃございませんか。
  132. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど私がお答え申し上げました通り、これが長年積み上げられており、はっきりした統計もあり、目標が明確になっておりますれば、法の示す通りにすぱっと割り切っていくことができる。しかし何分にも基礎にすべき統計につきましても不備があり、また価格につきましても全国非常に各様である、また現実に再生産を補償すると申しましても、米麦等と違いまして、非常にまちまちである、条件が違うというようなことでございますから、行く行くは今法の示す通りで、行政が正しくやれるときがくることをすみやかにしなければならぬのでございますけれども、さしあたりそういうふうにしたらば一体どうなるかという現実と、この法律との間にまだ多小のギャップがある。これは先ほど湯山さんから、地域差をなくす——それはなくすのは理想でございますけれども、しからば現実はどうでございましょうか。そこに多少の経過が入り用じゃないでしょうかということを申し上げたようなわけでございまして、従ってこの諮問にいたしましても、法に書いてあるところを忠実に守る責任は、私は強く自覚いたしております。しかし、現実に法を運用いたしまする場合におきまして、たとえばこの程度までの生産費は確保しておることでございますということがおのずから出てくると思うのでございます。再生産を確保すると申しましても、一番高い再生産を確保する値段というようなことになりましたら大へんな相場になりますということで、程度ということになります。そういう意味からして、まず中間的なものを考えて、そして下値は再生産を確保するという場合に、どの辺までをとったらよろしいだろうかという行政上の一つ方法としてこの処置をとったということであると思います。
  133. 湯山勇

    ○湯山委員 行政判断としての大臣の御答弁は、私はさっきから言う通りそれで了解できるわけです。それはそれとしても、この法律をこういうふうにするところが問題なので、わかりやすいたとえで申しますと、たとえば足にたとえて、くつをはくところが安定基準価格、帽子をかぶるところが安定上位価格、こういうきまりがあるわけです。ところが今度はこれに中心価格というのを新たにこの諮問ではお作りになって、その中心価格というのは、くつをはくところだと、こう書いてあるのです。そのくつをはくところが中心価格でそれが出るのなら、同じくつをはく基準価格が出るはずじゃないか、こういうことを今お尋ねしておるわけで、たとえていえばこれにはその通り書いてあるのです。それで一体いいのでしょうか。
  134. 河野一郎

    河野国務大臣 私は行政を担当いたします場合におきまして、全国の事情は御承知通りの事情でございます。従って、これを今湯山さんのお示しになりましたようなことについて御諮問申し上げましたときに、一体どこをとるのかということになって参ります。どの程度の生産費を補償するかということになってくるかと私は思うのであります。従ってまず中庸を得た点で考えて、そうして判断をしてやっていくという方向でいくことが、当分の間は私は行政上間違いのない仕方ではなかろうかと思うのでありまして、おっしゃることはよくわかります。よくわかりますが、問題はどこに線を引くかという問題になって、線を引く場所がわかっておれば、この線を引く値段は幾らにしたらいいか、どうして計算したらいいかということが出ると思います。一言で下位の安定価格、こう言えばわかったようなものでございますけれども、さて実際に当たってどこまでを上位にとったらよろしいか、どこまでを下位としてとったらよろしいか、幅をどのくらい見たらよろしいかということになりますと、非常に問題がある。まず中心をどの辺にしておくかということをきめますれば、そこで上位、下位の値幅は幾らということが大体ありますから、そこで下値が大体いくところにぶつかるようなあんばいで行政をやっていくことが正しいのじゃないかという考え方であります。
  135. 湯山勇

    ○湯山委員 ちょっと違うのです。大へんくどいようですけれども、非常に大事なところですから、なおお尋ねしたいのですが、書いてあることは大臣の言われるようなことではないのです。ごらんいただいたらわかりますように。今のように、中心になる価格はバンドを締めるところだとか、あるいはズボンをはくところだとか、あるいはネクタイを締めるところとか、それならいいのです。そういうことなら、それは幅もあるし動くこともわかります。しかし、はっきりくつをはくところ、つまり安定基準価格と同じ条件のものが中心になる価格だ、こう書いてあるからそこに問題がある、大臣おわかりでしょうか。だから大臣の言われるように、バンドのところとかネクタイのところ、それならそれでけっこうです。それなら私は何もこういう質問をしないで済む。便宜上そういうものを設定したのですから、それなら法律違反でもございません。問題は、そのバンドになるかネクタイになるかわからないところへくつをはかすと書いてあるから問題だ、こう言っておるのです。ここではっきりくつをはかすというのがわかるなら——そこは実は法律でははっきり安定基準価格と書いてあるところなんだから、もうくつをはくところがきまれば安定基準価格がきまるのではないか。それをこときらにそうしておるのは法律違反でしょう、こう言っておるわけです。
  136. 河野一郎

    河野国務大臣 この問題は第四項の安定価格というものの読みじゃないのでしょうか。
  137. 湯山勇

    ○湯山委員 中心価格の定義づけです。
  138. 河野一郎

    河野国務大臣 ですから、この第四項に書いてある安定価格というものをどういうふうに読んでいくかということじゃないのでし上うか。
  139. 湯山勇

    ○湯山委員 それは意見の一致を見たわけです。局長と今話し合って、参事官も入れて、一致したからそこへ進展した。元へ返ったらまた同じことを繰り返すようになる。
  140. 河野一郎

    河野国務大臣 そこで政府の方としましては、この安定価格というものに幅があるのだという法の解釈をしておるのでございます。
  141. 湯山勇

    ○湯山委員 そんなことを法律のどこにも書いてありません。きめなければならない価格は、そんな帯じゃないのですよ。三つしかないのです。安定基準価格、安定上位価格、安定下位価格、これ以外のものはきめる必要はありません。そういうものをきめたら、これまた法律違反です。
  142. 保坂信男

    ○保坂説明員 大臣が申されましたように、安定価格の読み方についていろいろ御意見が分かれていると思いますが、先ほど局長が申されましたのも、基準価格も上位価格も含めて両方ともがという言葉が必ずしも十分尽くしていなかったのかもしれませんが、その幅の中で安定をさせて再生産を確保することを旨として考えるということが、やはり法律を読む場合に適当であろうというふうに考えておるわけであります。従いまして、その中に中心がどの辺であるかという問題はいろいろあると思いますが、想定をいたしまして、その上になる価格、下になる価格、そういう幅の中で安定をさせていくというふうに考えまして、中心となるべき価格を法定をいたしたわけでなく、御指摘のように諮問しお答えを得て決定をいたします価格は、上位価格なり下位価格なりあるいは原料として輸入した食肉につきましては基準価格でございます。
  143. 湯山勇

    ○湯山委員 それは私の聞いたことの答弁になっていない。先ほどの御答弁が間違っておったから、きめなければならないのは三つだけじゃないかということを申し上げたわけで、その問題はいろいろな解釈ができると思うのです。おそらく大臣は今のような政治的配慮からまん中ごろになるのをきめて、こうやられたらどうかと言われたのを、そのまん中へ今のようなくつをはかしてしまって動きがとれないようなことになったとも考えられるし、その辺の一貫性がないと思うのです。そういうことを私がなぜこういうときに取り上げるかというと、中心価格というものよりも基準価格は下回るというのが今のお話の中で出てくる大体の性格です。そうすると、同じくつをはくところのもっと下へ今度はもう一つくつをはく安定基準価格というものができてくる、こういうことになるわけでしょう、今の御答弁から言えば。そうじゃありませんか。
  144. 河野一郎

    河野国務大臣 安定価格というのは一値じゃない。上下の値幅の中に安定させる、これを総合した価格、十円から二十円までの間を安定価格というという考え方をしておるわけなんです。
  145. 湯山勇

    ○湯山委員 そう言われると違うのです。大臣が答申なり何なりを聞いておきめになるときに自分の頭の中へそういう幅をお作りになるのはけっこうです。そうじゃないのです。きめなければならないのは一番上と一番下だけです。安定価格には幅なんかないですよ。間は要らないのです。間をきめるなどということはないのです。
  146. 河野一郎

    河野国務大臣 上位価格と下位価格の間を安定価格といっているのです。
  147. 湯山勇

    ○湯山委員 間はないのです。
  148. 保坂信男

    ○保坂説明員 御指摘は多少ニュアンスが異なっておりますが、私どもは、安定価格が再生産を確保する、指定乳製品等については、それは安定価格ではございますけれども、書いてございません。先ほど来御指摘でございますけれども、安定基準価格と安定上位価格の両者を総合して検討する場合に、これが再生産を確保するという値段におのずから幅が出て参るわけであります。その中で自由流通を認めておるわけでございますから、その自由流通の結果として再生産が確保できるというふうに——従来は非常な値幅がありまして極端に不安定になった場合があるわけでありますが、だんだんそれを縮めて参りまして、価格を安定させることによって再生産が円滑に確保できるようにしていくことがまず第一段階のねらいであると思います。将来生産も非常に近代化し、生産の条件等も高度化して参りまして、先生の御指摘のような方向に持っていくことは理想であると思います。現在の段階としてはそういうふうに考えているわけであります。
  149. 野原正勝

    野原委員長 暫時休憩いたします。    午後三時十六分休憩      ————◇—————    午後三時三十二分開議
  150. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先般来、畜産物価格安定法に関する安定基準価格あるいは下位価格、上位価格等に対する解釈について、いろいろと明快を欠く点がございました。前の国会でこの法案の審議の際に、実は本委員会において字句を修正した点があったわけでありますが、その当時の修正案を提案された芳賀委員がおられますので、この際その解釈について一つ御意見を承りたいと思います。芳賀委員
  151. 芳賀貢

    芳賀委員 せっかくの御指名でありますから意見を申し上げたいと思います。  この畜産物価格安定法の問題点になるのは第三条各項に関する問題ですが、この点は政府原案を当委員会において各党一致の修正案によって修正した点であります。私ども修正した国会の側から見ると、政府におかれましては修正以前の政府案にいまだに固執しておられて、見解がそこから出発しておるので、現在成立して実施しておる法律の運用の上に大きな誤謬があるのじゃないかというふうに判断されるわけであります。  そもそも政府原案の場合には、原料乳及び指定食肉、指定乳製品のそれぞれの品目につきましては、価格をきめる場合に安定価格といたしまして上位価格並びに下位価格を設定するということであったわけでありますが、この点につきましては法律にも明記されております通り、原料乳については上位価格、下位価格のいわゆる安定帯価格的な思想を是正しまして、安定基準価格一本の価格に修正されておるわけでありますからして、原料乳につきましてはいわゆる価格帯というものは法律上ないわけであります。ただ問題は、原料乳の安定基準価格を定める場合の要素として、算定の基準というものをどのような形によって求めるかということは、策定の作業上の問題であって、法律上の解釈からいうと、原料乳につきましては、安定帯価格的な意味はなくて、単純に安定基準価格一本ということになっておるわけであります。  次に、指定食肉の場合には、政府原案は上位価格並びに下位価格でありましたが、この点についても、実は生産者の立場を保護するためにはやはり安定基準価格一本が当然であるというような主張もありましたが、これを調整しまして、下位価格については、これが発動された場合には生産者の立場から見ると不利益な価格になるのではないかということも憂慮されましたので、下位価格というものを取り下げまして、いわゆる安定価格帯から見れば中心をなす価格というものを基準価格に置きかえて、上位価格だけはこれを残すということで、指定食肉については安定基準価格並びに上位価格というふうに修正されたわけであります。従って下位価格というものが中心から以下なくなったという理解で妥当だと思うわけであります。  第三の指定乳製品につきましては、これは政府原案がそのまま残っておりますので、いわゆる上位価格、下位価格の間においては価格帯なるものは形成されておることは当然であります。ただ上位価格、下位価格をきめる場合には、当然の順序として、この価格帯の中心をなす価格は何かということを求めて、その中心価格に対してあるいは価格変動係数等を使いまして上位安定価格あるいは下位安定価格をきめるということにいたして、きまった暁には、その中心価格というものは、この法律あるいは大臣が告示する価格の面には現われてこないというふうになると思うわけです。  これが原料乳並びに指定食肉、指定乳製品の安定価格のそれぞれについて加えた修正の重点であったのであります。  もう一点、大事な点は、第三条第四項の安定価格をきめる場合の基本でございますが、実はこの第四項に現在ありますところの「これらの再生産を確保することを旨とし、」というこの字句は、当時政府原案には載っていなかったわけです。指定食肉についても、原料乳についても、乳製品についても、生産条件あるいは需給事情だけを勘案してきめればいいという考えでありましたが、生産者の立場から見て最も大事なことは、再生産を確保するということが重点にならなければ、真の意味の生産者あるいは所得を確保する価格というものはそこから生まれてこないのでありまして、この点については、乳製品と、一方指定食肉と原料乳の価格決定の方式というものを第四項の中で区分しまして、前段においては、原料乳及び指定食肉についてはこれらの再生産を確保することを旨としなければならぬということを基本にして、生産条件並びに需給事情等を勘案して価格をきめる。指定乳製品に対しては、これはいわゆる加工品でございますので、これらの再生産を確保された原料を用いることによって、それに標準的な製造経費というものを加算して、乳製品の上位価格あるいは下位価格というものをきめればいいのでありますから、ことさらに再生産確保なる字句を乳製品については用いなかったわけであります。従って再生産を確保するその最も必要な価格の決定というものは、原料乳の場合においては、当然安定基準価格において再生産が確保される、生産費並びに所得が確保されるということを旨として安定基準価格というものは当然決定さるべきであります。食肉についても、安定基準価格のきめ方はそれと同様でありますが、ただ上位価格を認めるということを言うことは、この法律の運用上、たとえば畜産振興事業団が輸入業務を行なうというような場合、あるいは国内の食肉を買い入れて保管しておる事業団が放出を行なうというような場合のそのめどというものを、上位安定価格に求めておるわけです。従って、国内価格というものが上位価格を越えておる、あるいは需要が供給よりも上回っておるというような場合には、必要最小限度の不足量は国外に依存しなければなりませんからして、その条件としては、上位価格をすでにもう越えておる、あるいは越えるおそれがあるという場合に、事業団を通じて輸入を行なう、あるいは手持ちの放出を行なうというところに上位価格設定の理由というものがあるわけである。大事な点は、やはり安定基準価格というものは生産者のための保護規定であって、当然これは再生産が確保される要件というものは、生産費及び投下された自家労賃というものが適正に回収されて、そうして生産が継続されなければならぬというところに重点を置いておるので、この点に対しては、私の今述べた諸点が修正の要旨でございますので、政府が修正されたこの法律を適正に運用される場合においては、大臣並びに事務当局におかれましても、修正した国会の意思を十分理解して、これを尊重して運用せられれば間違いはないというふうに私は考えておるわけであります。
  152. 野原正勝

    野原委員長 ただいま芳賀委員から、明快な、修正案の当時の状況等で、安定基準価格に対する説明があったわけでありますが、指定食肉については、当時上位価格及び下位価格ということでありましたのを、下位価格というのはいかにも低いところで押えようというような印象はおもしろくないということで、特にただいまもお話がありましたように、再生産を確保できるように、いわば政府の言っておる下位価格に相当するものについては、これは安定基準価格ということにして、そうして基準価格としていくということに当時の話し合いがあったので、ただいまのように下位価格をやめてしまって、中心のところに上げるというような統一した話はなかった。私ははっきり申しますが、政府の言っておる下位価格というものに相当するものが安定基準価格であり、しかも政府考え方の中には再生産を確保することを旨とするという点がはっきりしなかったのを、当委員会においては、再生産を確保することを旨としてという点を入れまして、ここに安定基準価格として、政府の原案の下位価格というのをそれに変えたという点でございまして、考え方としましては、先ほど来河野農林大臣がしばしば説明しておりますことと、大体において一致しておるのではないか、さように感ずるものであります。  先ほど来の質疑を続行いたします。湯山勇君。
  153. 湯山勇

    ○湯山委員 かりに今の委員長の御発言を了承したとしても、そうだとすれば、委員長の言われた下位価格にかわる基準価格に今の再生産を確保するということをつけたのだ、ところが、その再生産を確保するということをつけたものが、今度中心価格という名前でこの諮問に出てきておるわけです。そこにまた一つ問題があるので、そうだとすれば、法の運用が間違いなのか、この諮問が間違いないのか、どちらかをはっきりしてもらえば、私は質問をやめたいと思います。そこだけ一つはっきりしてもらいたいと思います。そうでないと、委員長は今のような御解釈をなさいましたけれども、三十六年の十月二十七日の本会議委員長報告、これは委員長に一任した報告ですから、委員長に質問しなければならぬことになるのですけれども、そのときは、いろいろ経過の報告があったあとで、修正の部分に触れて、「本日、各党協議の結果、本案に対し、農林大臣の定める安定価格について、養畜農民の再生産を確保することを旨として定めること、」特にこれが修正の趣旨だ、その趣旨は下位価格を基準価格に直したことだ、その趣旨は再生産確保だということを、はっきり本会議で、委員長の一任された委員長職権でもって野原委員長が報告しておられて、これが全会一致通ったのですよ。あと事業団の借入金について政府が保証すること、報告されたのはこの二つです。その他もあったけれども、その他は小さい修正だった。特に修正のところで強調されたその趣旨が、ここで生かされてない。そこに私は問題があると思うので、もし今のような解釈に立たれるのであれば、この諮問の説明、特に中心価格の説明は不適切であった。そういうことがなければ、やはりこの議論は続けていかなければならぬと思うわけです。
  154. 野原正勝

    野原委員長 委員長は先ほど申しましたような解釈でございます。従って、政府が諮問する際においては、上位価格と安定基準価格をはっきりと諮問した方がよかったのじゃないかと思いますが、政府がその中心になるべき価格がどの辺かというようなことについて諮問されたことは、政府立場としてみれば私はそれぞれの理由があると思います。従って当委員会の解釈としては別にそう大きな矛盾ということではなかろう。要するに政府が最後にきめる場合においての態度は、あくまでも再生産を確保することを旨として、他の経済事情その他を考慮してきめるという点で進めれば、政府立場としてはあえてそれ以上追及するに及ばぬじゃないか、さように委員長考えております。
  155. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだん御心配をいただきまして、恐縮に存ずるわけでございますが、実は諮問第三におきまして、まず中値をどうしたらよろしいかということを第一で諮問いたしまして、そして第三で下値と上値の値幅はどのくらいに考えたらよろしいかということを諮問いたしてあるわけであります。従って下値と上値が出てくる、こういう組み合わせの諮問になっておりますから、私といたしましては、その第一と第三と町方をお読みいただきまして、そこでその間の委員会のいろいろの御意言を拝聴すれば、今いろいろ御発言になっておりまする諸般の問題が認識できる、こういうつもりでおるわけでございます。
  156. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣の言われる範囲のことについては、それはそうだと思うのです。中値をきめて、それからある程度の係数をそれに見ていこう、それはいいのですけれども、その中値が何かということになると、大臣その第一項をお読み願いたいと思うのです。ひっかかっているのは第一項です。第一項に、「その生産条件および需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨として算定してはどうか。」と書いてある。この書いてある文句というのは、今の委員長の言葉をかりて言えば、下位価格に該当する基準価格の説明と同じなんです。中値じゃないのです。ネクタイを締めたりバンドを締めるところじゃない、くつをはくところを言っておるから、大へんだ、こう言っておるわけで、大臣のお考えや構想は私は批判の限りでもありませんし、行政の責任者がそういうお考えで中値をきめて、それについて考慮していこうという、それを否定は絶対していないわけです。ただその中値というものを一番下にきめて条件をつけよう、何べんも申して恐縮ですけれども、くつをはかすという条件がこれについておる。つまり基準価格の条件と同じ条件が中値についておるということです。
  157. 河野一郎

    河野国務大臣 よく理解いたしました。用語にまぎらわしい点がありますためにそういうふうな点が起こっているということでございます。しかし私は行政を運用いたします場合におきましては、ただいま申し上げました通りに標準の下位の価格とそれから上値というものの間には値幅がある。それを下値は幾らか、上値は幾らかという諮問をなぜしなかったか、そうしたら間違いなかったじゃないか、こういう御議論であると私は思います。ところが私が言うのは、上位価格も知らなければならぬ、下の値も必要である。その場合に要素が違いますから、その場合に非常に値幅が出てきたり事情のあるものが起こってきても工合が悪い。何分にもそれは初めてのことでございますから、そこで安定すべき価格は幅がある、そのまん中にはどの辺のところを考えてまん中だと考えたらよろしいか、そうして下と上のいわゆる幅はどのくらいのところを考えておけばよろしいかということを伺っておけば、その下が再生産を補償する価格であるということを考えるべきである。法律は皆さん委員の方が読んでいらっしゃるわけでございますから、そこでおのずから常識的に結論が出るだろうということで諮問をしたのでございまして、もしこの諮問が不適当である、誤解を招くということでございましたら、今後それらの点を十分に注意いたしまして諮問するようにいたしますから、御了承願いたいと思います。
  158. 湯山勇

    ○湯山委員 それでは大臣が諮問についてそういう御発言がありましたので、一応この点については終わることにいたしますけれども、この問題でこういうふうにひっかかりましたのは、繰り返して申し上げますけれども、大臣が言われるように上と下の間をまず考えて、それから幅を見ていこうというのなら、それはけっこうだ、肯定できると思うのです。今私が言っておるのは、法律で一番下になるところを中値にしようという表現が諮問に書いてあるから、それだと、こうふれたら、これから上へのふれはかまわぬ、下へふれたときに法律条件を満たせない、修正の趣旨に反する、そういうことを指摘しておるわけですから、その点を十分御配慮を願いたいと思います。  それではこの点を終わりまして、あと学校給食の問題が残っておりますから、これも大臣の御発言に関連して、大臣の先般片島委員に対する御答弁では、豚肉を学校給食にどういうふうにするのかということについては、やるつもりである、今手続をとっておる——大蔵省も了承しておるかという質問に対して、大蔵省とも話中だ、特に大蔵省のことを気にする必要はないということを大臣は言われて、公団にある金の中で操作するのでありますから、大蔵省からとやかくいわれる筋合いのものではない、御承知通りどの税度に値引きをしてPTAに渡すか、学校に渡すか、そういう点で多少の論議がある、ということで、これは相当前向きな前進したことであると思っておりました。ところがそれ以後のお答えでは、そんなことまで——農林大臣多少さっき当初にお述べになったように、どこかごきげんの悪かったときかもしれませんけれども、そんなことまで農林大臣はやる必要はないのじゃないかということで、せっかくここで私ども期待しておったのがどうもくずれてしまったような印象を受けました。そこで、これは冷静に客観的に一体どういうふうになさっていこうとされておるのか、現在はどういうふうに進めていらっしゃるのか、これはほんとうのところを明確にしていただきたいと思うわけです。
  159. 河野一郎

    河野国務大臣 大蔵省との交渉進行中でございまして、値引きの場合にどの程度値引きするかということについて十分相談するということになっておりますから、相談して最終的結論を出す。それからただいま御指摘になりましたことは、私はこれを文部大臣に渡して——渡してというのは事務をですが、あとは文部大臣からしかるべく学校給食に買えるように事務をやっていただく、私としては大蔵省の交渉を済まして、どの程度の価格で学校給食に引き取っていただけるかというところまで私がやる、こういう意味で申し上げたのでありまして、それから先は文部省の方で一つやってもらおう、こういうつもりでございまして、事務は一つできるだけ進めていく、こういうつもりでございます。
  160. 湯山勇

    ○湯山委員 今相当買い上げもしなければならぬ段階にきておると思いますので、そういつまでも長引かすわけに参るまいと思います。予算も成立したことでございますから、大体いつごろおきまりになる御予定でしょうか。
  161. 河野一郎

    河野国務大臣 今買上数量が千トンに達した程度でございますので、六大都市にこれをやるのにはまだ量が少ない、もっとふやしていって最終的に運営していきたいということに、事務の方を進めております。
  162. 湯山勇

    ○湯山委員 今の点はそれでやはり一つ早急にしていただいた方が計画も立てやすいと思いますので、お願いいたしたいと思います。  最後にお尋ねいたしたいのは、これは新聞で見たのですけれども、牛乳の簡易処理を厚生省から農林省に移すというような構想を農林大臣はお持ちだと承っております。これは肉豚につきましても、若干性格は違いますけれども、同じような要望が相当生産団体からは強いと思うわけです。この牛乳の簡易処理の問題、それから肉豚についての今の環境衛生法でございますか、それらとの関連について、御構想があれば承りたいと思います。
  163. 河野一郎

    河野国務大臣 この問題は長年の問題として懸案でございますので、実は私の構想と申しますよりも閣議に発案いたしまして、閣議といたしましては関係省の間に委員をあげて具体的な折衝に入るということになっております。農林省としてもこれに必要な係を設けて厚生省の方と交渉を進めて参りたい。もちろん今お話しの通り牛乳だけではなしに家畜衛生全体について具体的な案を作るように努力いたしたいと考えております。
  164. 野原正勝

  165. 芳賀貢

    芳賀委員 二、三点大臣にお尋ねをいたしますが、第一点は畜産物価格安定法の運用上の問題です。たとえば先般来畜産物価格安定審議会に出席いたしましても、この生乳——牛乳ですね、並びに肉豚等の生産費の正確な資料というものは、今日農林省においても用意されていないわけであります。それで今後適確な価格の決定等を行なう場合においては、やはりもう畜産物の生産費調査あるいは流通市場の調査等はどうしても不可欠な業務ということになると思いますが、どうもわれわれの印象から見ると、農林省は一番大事な生産費調査等を積極的に行なうということを回避したいというような気持があるように見受けられるわけであります。そういうことは必ずしも農林大臣の本旨ではないと思いますが、特に生産費調査の問題について大臣から考え方を承りたいと思います。
  166. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り、農林行政におきましてもだんだん行政の方向が変わってきております。従って従来重点的に調査を進めて参りましたが、その報告も伺って畜産製品等の調査を十分にしなければならぬ段階にありますことは御承知通りであります。従って私も今後この点に十分重点を置いて、すみやかに統計の整備をいたしたいと考えておる次第でございます。
  167. 芳賀貢

    芳賀委員 この点については、昨年畜産物安定法が修正で成立する場合も当委員会は附帯決議の第一項に、牛乳、肉豚等の生産費を調査するために特段の整備拡充をはかる必要があるということを重点事項として特に示しておるわけでありますから、ほんとうに委員会趣旨を尊重して行なうのであれば、三十七年度の農林省の予算の中においてかかる品目の調査等についてはどれだけの予算を確保して、どういうような態勢でやるかということは明らかになっておるはずでありますが、その点が非常に不明確でありますので、あるいは統計調査部の方でこれを担当するのか、畜産局で直接生産費調査をやるのか、三十七年度の予算との関連でこの点を明らかにしておいてもらいたい。
  168. 河野一郎

    河野国務大臣 統計調査部の方において努力するように事務の打ち合わせではなっております。
  169. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは少なくとも三十七年度において原料乳あるいは食肉の価格決定をする場合には、相当具体的な農林省の生産費調査資料というものが出されるということを期待しても差しつかえないわけですか。
  170. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通りことしから始めることにしておりますから、それが来年の今ごろにどの程度にまとまるかということについては、私、統計のことは詳しくありませんので、お答えしかねます。最善を尽くさせます。
  171. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、三十七年度の原料乳並びに指定食肉の価格については三十一日に農林大臣が決定されて告示されたわけですが、これは畜産物価格審議会の答申を参考にされたとは思うのですが、その場合に答申のどこを重点にされたかということについて一応の見解をお尋ねしておきたいと思います。  第一点の指定乳製品の上位価格、下位価格の決定についてでありますが、審議会の意向としては、乳製品の価格をきめる場合は原料乳の価格を基礎にしてそれに製造経費を加算するといういわゆる積み上げ方式でこれを決定すべきである、しかし三十七年度にはなかなかそういうことが具体的に計算できない点もあるので、三十七年についてはさしあたり乳製品は過去の市場価格の趨勢というものを把握してこれに基づいて適当にきめなさいというのが答申の趣旨ですね。しかし原則は、審議会としては原料乳の価格というものが先にきめられて、これに製造経費というものが加算されて、しかる後に基準になる中心価格というものがきまって、その中心価格を基礎にして上位価格、下位価格をきめるべきである、こういう方式が出されておるわけですが、この点はその通り理解されておるかどうか、いかがですか。
  172. 河野一郎

    河野国務大臣 その通り了解いたしております。
  173. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、指定食肉の場合は、これも価格の面においては前回と同様に二本に分かれましたが、しかし第一回の審議会の答申と違う点は、第一回の場合は全く意見が両様に分かれて、一つは枝肉が一キロ当たり二百四十円程度を妥当とする、もう一つは二百七十円以上でなければならないということでしたが、今度の場合は、この前提は指定食肉については生産費を補償することを旨としてきめなければならぬということが肉豚の答申の前段に掲げられておる。所得補償まではいかぬが、ともかく生産費を補償しなければならぬ、これを旨として食肉の価格はきめなければならぬということが委員会の意思として前段にうたわれて、生産費を補償する場合には少なくとも枝肉一キロ当たり二百七十円以上でなければならぬというのが価格として現われておるわけであります。ただそれに対して、それは原則として了承するが、今事業団が買い上げておるたとえば一キロ二百四十五円の価格というものが急速に二百七十円というふうに変わると、事業団の買い上げ業務上支障がくるような場合もあるのでこれは漸進的に是正すべきであるという意見が、これは価格を付さないで一つの意見として付随的に出されておるわけです。これに対して私が今言ったような理解の上に立って、農林大臣は従来と変わらない二百五十円という決定をなされたものかどうか、その点、いかがですか。
  174. 河野一郎

    河野国務大臣 委員会全体の御意思を私十分伺いまして、諸般の点を勘案いたしまして決定した次第でございます。
  175. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほど大臣は湯山委員の質問に答えて、委員会の多数の意見を尊重したというような発言をなされていますね。この食肉の場合の多数の意見なるものは、二百七十円以上にしなければならぬというのであって、今直ちに二百七十円にするということは買い上げ業務に支障を来たすおそれがあるという抽象的な意見を出しておるので、結局この点は、多数の意見を尊重しないで、少数の意見を尊重して安値にきめた、結果はそうなるわけですが、その点はいかがですか。
  176. 河野一郎

    河野国務大臣 私は農林大臣として、急激な変化を市場に来たすことは適当でないという点には特に重点を置いたわけであります。ただし多数の委員の諸君も、今私がきめたような方向については御異存がなかったのじゃなかろうかと考えておるわけであります。ただし先ほどからも湯山さんにも申し上げます通り、二戸四十五円から二百五十円に決定して、その傾向がどうなっていくかということも、何分初めてのことでございますから、一応法律は基準の価格をきめるということになっておりますけれども、暫定処置というものは必要であるか必要でないかというような諸般の点を勘案して行政をいたしておるわけであります。
  177. 芳賀貢

    芳賀委員 もとより審議会は議決する機関ではありませんので、大臣がこの委員会の意思をどのように尊重するかしないかは、これは別個の問題で、決定権は大臣にあるわけですが、ただ二百七十円の根拠がどこにあるかという点だけを今後の参考にもなるので一応言っておきますが、この農林省の資料による一つの根拠というものは、これは推定生産費による場合と、米価と同じように所得補償方式による場合の、二様の農林省の資料が出ておるわけです。たとえばこの推定生産費、いわゆる自家労賃を農村の雇用労賃であるところの一時間五十四円八十九銭、一日八時間にして四百三十九円ととる。雇用労賃方式でいく場合は、子豚の値段——大臣の専門語で言うとこれはコロというわけですが、子豚の値段を三千円として推定生産費で計算した場合の一キロの価格はこれは二百六十六円、整理すれば二百七十円ということになるわけです。それから自家労賃を都市近郊労賃の、いわゆる米価と同じように一時間九十八円二十三銭、一日八時間として七百八十六円、子豚の値段を三千円とした場合には、これは一キロ三百十四円ということになるわけでありますので、少なくとも子豚の価格は三千円と見て雇用労賃で計算した場合でも、農林省の推定生産費でいうと二百六十六円、いわゆる二百七十円と価格が出てくるので、これらの価格というものは自家労賃の点についてはこれは再生産が確保されておらぬことは事実でありますが、ここまで譲っても二百七十円の価格というものが計上されるという点だけは指摘しておきたいと思うわけであります。  第三点の原料乳の価格については、これは三月の上旬に市乳価格が値上げされて、普通牛乳一円、加工牛乳二円、これを五〇%ずつとして平均しても一升に直せば十五円の値上がりが行なわれておる。この半分を生産者に還元するとすれば一升七円五十銭の値上げというものは可能である、そういう前提的な条件の上に立って審議会は開会されたわけでありますが、そういう諸般の取引事情等を勘案しあるいは市乳値上げ等の事情を勘案して、今回農林大臣が決定された牛乳一升の価格は、しかも工場渡し価格で一升五十二円という非常に現実を無視したような価格が出されたわけでありますが、これに対してはなかなか了承をできない点であります。ただ問題は、牛乳価格についてはやはり再生産を確保することを旨としなければならぬということは、これは委員会の一致した考えでありますが、これについては意見が二様に分かれまして、一つは米価と同じように生産費主義でこれは計算する必要がある。その方式は生産費及び所得を補償する建前の計算方法でいくと、少なくても工場渡し一升七十一円という価格が出てくるという意見と、もう一つはそういう生産費所得補償方式なんというものを全然とらないで、政府が試案として示した過去数ヵ年間の牛乳の庭先平均価格に生産費指数なるものを乗じ、さらにそれに供給促進指数なるものを乗じた価格のいわゆる四十九円何がしで、整理すれば五十円という価格を支持する意見というものが委員会の中に一部あったわけです。ですから、この答申というものは生産費所得補償方式を建前とする場合には一升七十一円以上、それから政府試案を建前にする場合には一升について五十円から五十五円の間、こういうふうに答申が出たわけでありますが、生産費を補償するという建前からいうと、あるいは所得を補償するという建前からいうと、今回の農林大臣の決定価格というものは非常に不当に低過ぎるというそしりをのがれることはできないと思いますが、この点については答申のいずれの点を重視しておきめになったか、これは参考までに聞かしておいてもらいたいわけであります。
  178. 河野一郎

    河野国務大臣 答申についても十分これを参考にいたしましたが、御承知通り需給関係もしくは経済事情等を勘案いたしまして、たとえて申し上げますれば、原料乳として非常に大量を占めておりまする北海道内の乳価は御承知のように五十円でございます。そういうものがあるわけでございますから、急激にあまり変化することも望ましくないということ等も考慮して決定した次第であります。
  179. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の政府の決定は、主として原料乳が八〇%程度に達しておるというような北海道並びに岩手県、長野県の三県を主体にして計算の根拠を作られたようでありますが、この三県についても、三月以降は、長野県は集乳所渡し価格が一升六十円であります。岩手県も集乳所渡し価格が五十三円であります。北海道については、ある会社についてはすでに五十四円が決定し、ある会社についてはいまだに三月からの値上げ価格が決定されないでおるというような状態であります。政府の決定は工場渡し価格ということになるし、政府の庭先価格という判断は、これは集乳所ないし集荷所渡しが政府のいうところの庭先価格であるということになれば、すでに庭先価格である集乳所あるいは集荷所渡し価格が五十三円ないし工十四円あるいは長野県の六十円というその実勢が示されておって、今後夏場になればさらに値上がりするというような現実を前にして、しかも工場渡し価格が庭先のこれら三県の取引価格よりもはるかに下回るというような決定方法については、何のために畜産物価格安定法があるかということを、これは生産者もひとしく指摘する点だと思うわけです。この点は何か大臣が勘違いをされてこのような安い価格をきめたのか、あるいは事務当局が大臣に安い価格をきめなければならぬような報告や材料を提供してこういうことになったのか、この点についても大事な点ですから、参考までに聞かしておいてもらいたいと思うわけです。
  180. 河野一郎

    河野国務大臣 高いのは大へんけっこうでございまして、ますます高からんことを期待いたします。しかし政府としてこれより安くてはいかぬ、最低価格はここだという場合には、まずまずこの辺が妥当だと考えております。
  181. 芳賀貢

    芳賀委員 問題は法律がない場合であっても、大臣の決定価格よりも今の時代は上回っておるわけです。しかも法律がある時代、現在において、法律のない場合よりも安い値段に政府が押えようとする考えというものは、これはわれわれとしても理解できないわけです。それじゃ無法時代の方がいいのではないかということになるわけであって、そういうことになれば、現在の農林大臣や農林省は乳業者の利益擁護だけの立場に立って、一番地域的にも価格条件においても恵まれない地帯の生産者に対しは、ほったらかしておいても値段が上がるのだから、これ以上上がればなおいいではないかというような冷酷な態度で今後価格の算定とか決定に臨むようなことであれば、これはむしろ法律というものがじゃまになるというようになるわけでありますが、この点はどう考えております。
  182. 河野一郎

    河野国務大臣 最低価格をきめて発表する場合には、従来も大体こんなものではないでしょうか。何の農産物につきましても、大体実勢は各地において高く取引されておる、しかし最低はこれより安くてはいけませんよという場合にきめる価格については、この程度が大体従来もそうだったのではないでしょうか。私は、今おっしゃるように、こんなものはない方がいいじゃないかとおっしゃるけれども、これは非常にひどいところもある。そういうところについてはそれじゃよくないからというので、最低価格はこの辺ということにしておるのであります、現に私ども六円五十銭くらいで牛乳は売っておるわけでございます。みな各地各様にそれぞれの価格で需要者との間に取引をしておる。しかし下値はこれだというのが行政のやり方じゃないですか。従って私はこの程度でいいのじゃないかというように考えておるわけであります。
  183. 芳賀貢

    芳賀委員 最後の質問ですが、農林大臣は乳業者については、普通牛乳については一升十円の値上げを認めておる、加工牛乳については一升二十円の値上げをあなたは認めているのですよ。しかも、その割合は普通牛乳は市乳全体の中で大体三五%程度、二十円上がった加工牛乳は市乳全体の中の六五%を占めておる実情であります。乳業者には十五円も二十円も値上げを認めておいて、生産者に対しては一升五円の価格還元さえも行なわれておらぬというようなこの現状、価格が還元されないそれ以前の値段の線で、しかも下位価格ではなくて基準価格をきめるというようなばかげたことは筋が通らない。そうであるならば、正直に今の農林省は、あるいは農林大臣としては、これは日本の畜産振興のためには乳業者だけが安定すればそれでいいのであって、生産者というものはその踏み台になったり犠牲になるのが当然である。そういう思想の上でこれをきめたというのであれば、これは農林大臣の考えがどこにあるということがはっきりするから、その是非善悪はここで議論しなくてもいいわけですが、その態度を明確にしてもらいたい。乳業者の利益のためにおれは今までもやっておるし、これからもやるのであればやるということを、自信を持って言明してもらえば一応大臣の意向がどこにあるかということはわかるわけです。
  184. 河野一郎

    河野国務大臣 私は自信を持って言明いたします。いまだかつてそういう思想は私の頭の中にございません。白いものとか、もしくは加工とか——加工なんというのを大体飲むのがよろしくない、そういうものはやらぬようにしてもらいたいということを常に言っておるのであります。しかし遺憾ながら、そういう加工は相当に売れるということは、われわれ牛乳の生産を奨励する者の立場からいけば、必ずしも歓迎すべきものではない。しかし遺憾ながらそういうものが市販されておる。してみれば、今のいわゆる一般の市乳についてわれわれ標準としてやっております場合に、一方においておそらく加工したものは加工賃が加わるというものでございますから、多少の差が出てきておるというのであります。私があえて加工について大いに奨励し、加工のものをみな飲むのがよろしいという、加工を大いに奨励する立場をとったならば、今おっしゃったような御非難があってもやむを得ぬかもしれませんが、私は決してそういう立場をとっておりません。従って、なるべくみんな原料乳もしくは市乳でいってほしい、これを期待いたしておるのであります。それについての価格につきましても、御承知通り、生産者に半分の五十銭、それから配給の小売の労賃その他が上がっておりますから、これが半分ということにして一応処理をいたしておるというのが御承知通りのことでございます。
  185. 芳賀貢

    芳賀委員 結果的にはあなたは加工を奨励しているじゃないですか。普通牛乳については一升十円しか値上げを認めない。加工については一升二十円認めるということは、加工を奨励しているじゃないですか。ですから、ますます市乳のうちで占める加工乳の割合が六〇%から七〇%、あるいは八〇%というふうにふえるわけです。奨励しないならば、普通牛乳も加工牛乳も一円しか認めぬというのであれば、これは話がわかります。奨励しないと言いながら、二十円を認めて奨励していることになる。しかもその半分を生産者に返しなさいという点についても、普通の方の十円の半分の五円だけしかあなたは指導しておらぬわけです。加工の二十円の半分ということになれば、その分は十円還元する必要がある。五割、五割にしても七円五十銭生産者に戻してしかるべきものである。わずか五円でいいということで指導しておるわけでしょう。どうも河野さんのやり方は、客観的に見ると業者本位、生産者無視というような結果が生まれてくることはまことに遺憾のきわみです。この辺でやはり結果が今までと違うような事態になるように方向転換をされたらどうかと思うのです。
  186. 河野一郎

    河野国務大臣 どうも私には芳賀さんのおっしゃることはわからないのです。第一に、無理に加工の方を奨励しておる、私は奨励も何もしたことはない。高いものは飲む人が飲まなければいいのだから、その方を飲まれる方が悪いのであって、なるべく安い方をたくさん飲んでいただく方がけっこうです、こう私は思っておる。それが、たとえば一方が十六円、一方は十七円ですかになっておるという点は、加工賃だけが加わっておる、それは認めよう、そのかわりに、それについては小売業者と生産者に半分ずつ戻しなさいよというふうにいたしておるのであります。いわゆる加工業者には何も値上げした分は恩典はないということに三者協定して、意見が一致した、こういうことでございますので、私は適当だ、よかろう、こう承認を与えた、こういうことでございます。十五円の牛乳を十六円に上げることを認めた、その十六円に上げた一円の半分は生産者、五十銭は小売業者ということで、加工している卸の連中は何も口銭の増加はなしということで、東京都が中に入って話をきめた、こういうことでございますから、今お話しのようにはなっていない、こう思うのでございます。  また、その他加工の方については、加工を奨励しているじゃないかとおっしゃる。加工をどうして奨励の格好になるのか、私はわかりません。私は奨励したような、また奨励するような意図は全然持っておりません。考えてもおりません。
  187. 芳賀貢

    芳賀委員 それは結果論的にあなたは二十円、加工は認める、普通牛乳は十円しか認めないということになれば、利益の高い加工乳の方にメーカーは重点を響くことになる。結果論的にいえば大臣のやり方は加工牛乳を大いに奨励をしておるということになる。これはそう議論を戦わす考えはないが、とにかく今度の大臣の決定価格は、生産者が工場まで持ち込む値段が一升五十二円。たとえば普通牛乳にしても、これは一合十六円だから、一升にすれば百六十円ということになるのですよ。生産者は乳をしぼってそれをわざわざ遠い工場まで持ち込んで一升五十二円、結局原料乳ですね、原料乳は加工品に使う、そういうことをあなたは言うでしょうが、とにかく生乳が北海道や、岩手とかいう東北、長野県においては普通牛乳の三分の一以下でしか取引されない。それも庭先ではなくて工場まで持っていって五十二円、普通牛乳は百六十円、これではあまりひど過ぎると思うのですが、そういうことに矛盾が何もない。これがあたりまえなんだということになれば、結局あなたは格差解消でなくて格差拡大の方に農業政策を進めるという、これも結果論的にいえばそういうことになるのです。河野さんのためにもあまり好ましいやり方でないと思うのです。
  188. 河野一郎

    河野国務大臣 私もよくわからなかったが、今事務当局から聞きましたから明確に御説明いたします。いわゆる加工してあるものは二円、白いのは一円値上げをした。そうして白いものについての一円は半分ずつ分けるようにしております。先ほども御説明いたしましたが、さらに二円値上げになっておる毛のも、その二円を吐き出して、そして二円も一円も全部一緒にプールして、半々ずつ小売と生産者と分けて還元するということで意見の一致を見て、方書を取りかわしたということにしてあるそうでございます。これは東京都が中に入ってやって、そういうことになっておるそうでございますから、今芳賀さんのおっしゃるようにはなっていないということを御了承いただきたいと思います。  それから後段のお尋ねでございますが、格差がますます開くじゃないか——私は格差は非常に接近しつつあると思います。たとえて申しますれば——まあ芳賀さんの北海道の場合には、距離が違うございますから、なかなかそれが市乳になることはむずかしいと思います。しかし六大都市の周辺等におきましては、道路の整備等によりまして、たとえば東北で申しますならば福島辺までが、市乳の価格として六円以上、六円五十銭で取引されておるというのが現実だと私は思います。従って順次これらの道路の改良、主産地の形成等によってそういう事態をなくすることに、われわれは鋭意努力して参るというつもりでございます。
  189. 野原正勝

    野原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  190. 野原正勝

    野原委員長 この際田口長治郎君外一名から本案に対する修正案が提出されております。     —————————————     —————————————
  191. 野原正勝

    野原委員長 趣旨説明を求めます。田口長治郎君。
  192. 田口長治郎

    ○田口(長)委員 私はただいま議題になっております畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正せんとの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案   畜産物価格安定等に関する法律案の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和三十七年四月一日」を「公布の日」に改める。  理由は、この法律は二月十四日に提案されたのでございまして、四月一日までには法案が成立する、こういうことを予想していた次第でございますが、審議の都合で、本日もうすでに四月の四日になっておるのでございますから、実情に合わせる意味におきまして、かように修正いたしたいと思うのでございます。そういう理由でございますから、御了承の上、御賛成あらんことを望みます。     —————————————
  193. 野原正勝

    野原委員長 これより修正案並びに政府原案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。
  194. 湯山勇

    ○湯山委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案並びにただいま提案されました田口君の修正案に対しても、反対の討論をいたしたいと思います。  討論の前提といたしまして申し上げたいことは、すでに成立しておる畜産物価格安定法の適正な運用が政府によって行なわれていない。そのために選択的拡大、そういうことに対する非常に大きな希望を持っておった生産農民は、現状では非常に大きな失望を持っております。そのことが、すでに法の運用が発足した当初において、実質的には畜産振興を阻害しておる。そういうことはすでにいろいろな資料によって明らかでございます。この法改正を行なう前提の条件として、この際政府に、本法の適正な運営、そのことを要望いたしたいと思います。  以下、反対の理由を簡単に申し上げます。  今回の改正におきましては、事業団に交付金を交付して、それによって出資あるいは補助の事業を行なわせようということでございます。事業団はようやく発足して緒についたばかりでございまして、はたしてこの事業団がうまく運営できるかどうか、当初の目的を達成できるかどうかは、非常に大きな疑問でございますが、今この事業団にこのような大きな事業をさらに加えて行なわせるということについては、非常に不安がございます。特にこの委員会審議を通して明確になりましたところでは、学校給食等について、本法ではこれが補助対象になってはおりますけれども、もはや三十七年度の上半期は、学校給食における牛乳に対する補助は行なわないということになっておるそうでございます。文部省の担当者の意見も、事業団に移管してもらうことは決してありがたくはない、ただこの際農林省を信用してこれに賛成した、こういうことを申しておる。そういう事実から見ましても、事業団にこういう事業をやらせるのではなくて、むしろ政府の責任おいて当然やるべきことではないか、こういう点から、この点については賛成をいたしかねるところでございます。  さらに経営、技術の指導あるいは出資、そういうことに対する事業団の業務についてでございますけれども、補助事業等は、当然国あるいは地方自治体が責任を持ってやるべきことであって、事業団がこれを行なうということは、関係者の信頼の度合いから申しましても、現在の事業団の体制から申しましても、安心してこれをまかしていくということにはならないと思います。だからこそこのことについては、かりに事業団がこの事業を拡大していったとしても、第二の畜産局ができるんじゃないかというような心配もありますし、さらにまた事業自体に対する心配もたくさんございます。ことに交付金等は相当事業団の裁量によって動く面もございますから、たとえば学校給食の補助等は、学校給食を縮小して、やらないでおけば、それだけ事業団に剰余金がふえて、これが適当なところ——ある種の規制はありますけれども、適当なところに回されるということになったのでは、一体事業団が何のために作られたか、その本質をも失うおそれがあると思います。私は、むしろこの際、本法の審議を通して明らかになりましたように、畜産物価格安定の政策、行政措置は、決して十分行なわれていない、そういう中にあっては、事業団はこの価格安定の業務に専念すべきである、この際他の方面に事業を拡大するということは害あって益なきことである、こう断ぜざるを得ません。  これらの諸点から、との法案に対しては、遺憾ながら反対の意を表する次第でございます。(拍手)
  195. 野原正勝

    野原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず田口長治郎君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  196. 野原正勝

    野原委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、政府原案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  197. 野原正勝

    野原委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  198. 野原正勝

    野原委員長 この際、玉置一徳君外一名より本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨弁明を許します。玉置一徳君。
  199. 玉置一徳

    ○玉置委員 ただいま可決になりました畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付するの動議を自由民主党並びに民主社会党を代表いたしまして提出したいと思います。  案文を朗読いたします。    畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の運用にあたり、左記各項の実現に努めるべきである。     記  一、政府は、畜産振興のための予算を一層充実するよう努めるとともに事業団が行なう指定対象助成事業に対する助成は、これら予算措置と相俟つて効果的な運用をはかること。  二、政府事業団に対する出資金及び交付金については、三十八年度以降においても必要に応じ増額すること。  三、今後の原料乳及び指定食肉の安定価格の決定に当っては、生産農民が拡大的に再生産できるよう十分配慮すること。    なお、指定食肉の安定基準価格の決定については、極力市場間の買入価格の均衡を図るよう努めて配慮すること。  四、芝浦と(、)場については、国内食肉の価格形成に至大な影響を及ぼしている現状にかんがみ、早急に中央卸売市場法の規制を適用せしめるよう措置すること。    また、中央卸売市場の施設整備拡充については、格段の措置を講ずること。  五、国内歴牛乳の学校給食については、需給事情に左右される不安定な性格から脱皮させ、恒常的な制度として確立するよう努めるとともに、国内産の乳製品及び豚肉についても、これを学校給食の用に供するよう、その措置を検討すること、  六、畜産物の輸入については、必要最少限度に止めるとともに、特に輸入羊肉については、国内産食肉価格を圧迫せざるよう措置を講ずること。    右決議する。  内容につきましては質疑応答の中で十分明瞭だと思いますので、省略させていただきます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  200. 野原正勝

    野原委員長 採決いたします。  玉置君の動議に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  201. 野原正勝

    野原委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。  この際、木附帯決議について政府の所見を求めます。河野農林大臣
  202. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府におきましても十分意のあるところを体しまして、慎重にこれの運営に当たりたいと思う次第でございます。     —————————————
  203. 野原正勝

    野原委員長 なお、本案議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次会は明五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ————◇—————