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1962-03-28 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十一時五十四分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 片島  港君       飯塚 定輔君    大野 市郎君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       草野一郎平君    倉成  正君       小坂 一雄君    坂田 英一君       田邊 國男君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    米山 恒治君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       芳賀  貢君    安井 吉典君       山田 長司君    湯山  勇君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中島 辰猪君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君  委員外出席者         農林事務官         (農地局参事         官)      富谷 彰介君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      所  秀雄君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      森  整治君     ————————————— 三月二十八日  委員谷垣專一君栗林三郎君、中澤茂一君及び  玉置一徳辞任につき、その補欠として亀岡高  夫君川俣清音君、芳賀貢君及び伊藤卯四郎君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員亀岡庸夫君、川俣清音君、芳賀貢君及び伊  藤卯四郎辞任につき、その補欠として谷垣専  一君、栗林三郎君、中澤茂一君及び玉置一徳君  が議長指名委員に選任された。     —————————————  本日の会議に付した案件  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)  農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五三号)  農業近代化促進法案北山愛郎君外十四名提出、  衆法第七号)  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出、第九三号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  都合により午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。   午前十一時五十五分休憩      ————◇—————   午後一時二十六分開議
  3. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び農地開発機械公団法の一部を改正する法律案並び北山愛郎君外十四名提出にかかる農業近代化促進法案、以上三案を一括議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。亀岡高夫君
  4. 亀岡高夫

    亀岡委員 私は農業機械化促進法の一部改正案について若干政府考え方をただしたいと思います。  農業基本法が制定されまして、経営合理化生産性の向上という点に非常に大事な点があるわけでありますけれども、従来この農業機械化という問題につきましては、農林省も非常に数をふやすことには一生懸命やってきたようでありますが、その結果、機械は非常に普及をし、数は多くなっておるようですけれども、その機械がはたして非常に合理的に、効率的に使用されておるかどうかという問題になりますと、その点は農村を回ってみましてもこれでいいのかと思う点がたくさんあるわけであります。そこで農林省も今回機械化研究所を設置して、そこで思い切った研究調査といったようなものを進めて、ほんとうに今後の農業経営にぴったりマッチした機械化行政をやっていこうということで、今回この法の改正案が提案されたと思うのでありますが、その提案の趣旨には、非常に共感を覚えるわけでありますけれども、内容について二、三疑義がありますので、それをただしていきたいと思う次第でございます。  この研究所特殊法人ということになっておるようでありますが、こういう総合的な、今まで北海道国立農業試験場あるいは四国農業試験場、あるいは鴻巣試験場というところにあったものを一応一緒にまとめて、そしてそこに機械化研究所を作るということに至りましたまでの、農林省考え方一つお聞かせいただきたい。
  5. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘通り、最近におきます農村機械化というものはきわめて急速に進展いたしまして、現在におきましては、小型トラクターに例をとりますと、百万台にも及ぶというような状況になっておるのでありますが、この利用状況については今先生からお話がありましたように、なお今後利用面におきまして十分効率を発揮するような研究なり検討が必要であろうと思うのであります。動力耕転機というような言葉においてもおわかりのように、従来の利用面といいますと、ほとんど耕転、整地に限定されておるというようなことでありまして、従って機械が一部労働ピーク時に労力対第として置きかわるというような形態になっておったと思うのでございます。だんだんその後におきましては、利用時間もふえて参りまして、今ではそれなりにやはり農家としては必須の手段になり、また方向としてもそういう意欲が非常に高まって参ったわけでございます。しかしながら、今後ほんとうに地についた機械化ということを考えて参ります場合には、単に部分的に労働機械に置きかわったというだけではなしに、作業全体が機械化という形をとって参らなければ、つまり体系的に機械化が入っていくというのでなければ、十分な効果を発揮することができないのではなかろうかというように考えられるわけでございます。そこで、それらの点を振り返ってみますると、お手元に農業機械利用状況についての簡単な資料でございますけれども、「農業機械化関係資料」の八ページまたは十ページに機械化作業がどのように利用されておるかという状況を示したものがございますが、今申し上げましたように、ほとんどその利用面耕転部分に限定されておる。これには今申しました労働ピークに対応する機械の導入ということもありますけれども、しかし機械自身がなお他の分野についてまで利用できるような、つまり作業機なりというものが十分できていない。また今後果樹なり畜産なりを伸ばしていきます場合につきましても、それらに対応する機械化作業機、あるいは農業機械に十分まだ達していない。つまり一言にしていえば、機械の入り方が農業経営という受け入れの条件のほかに機械自身についても、農業経営に入り込むような作業機といいますかあるいは農業機械といいますか、そういうものがまだ十分開発改良されていない、いわば開発改良の面におきましても非常な跛行性があるというようなことが現状におきまする農機具事情実態ではなかろうかと思うわけでございます。ところが農機具開発改良面につきましては、今お話がありましたように、従来から農業試験場農事試験場、でやっておったわけでございますけれども、今後これらを一段と飛躍して進めて参りますためには、幾多の隘路があるわけでございます。つまりこれらの開発改良を進めていきますにはよほどの施設なりあるいは人材を確保するというようなことが必要になって参るわけでございます。またそれに応じまして、研究分野も他の試験場と若干異なる部面もございまして、たとえば普通の農事研究でありますならば圃場なり、実験室を通じて研究ができる。しかし、農機具につきましてはどうしても一たんは民間企業を通じてそこで量産され、そして農家に入っていくというような形態考えられますので、そういうことを考えますと、どうしても民間機関との連携をより保ちやすいような組織というものが必要ではないだろうかこういうような見地に立ちましてこの際農業機械化につきましての一分野として農業機械開発改良部面は一番おくれておる。その部面につきまして一段と研究機関を拡充する必要があろう、こういうことで農業機械化研究所というものを別に作る、こういうことにいたしたわけでございます。
  6. 亀岡高夫

    亀岡委員 機械化研究所をどうしても作らなければならぬというような説明をお聞きしたわけですけれども、その内容に入る前に、本改正案提出されるまでに農機具製造関係行政をやっております通産省利用面農林省ということになっているわけなんですが、実は日本の農機具を見てみますと体裁は非常によろしい、見ただけではすぐ飛びつきたい、メッキとかなんとか大した手をかけなくともいいような部分まで、見てくれは非常によろしい、しかしこれを使う農家の側になりますと、非常に故障が多いまた型式がしょっちゅう変わる。そして部品の交換もできないというようなことを農家からよく聞くわけなんですが、それについて、メーカーにおいても設計をする部門、そういう連中農村に入り込んできておりまして、そして農家気持というものを十二分に取り入れていろいろな設計をやるわけなんです。ところがメーカー経営者の、上の方にいくに従って品質を落とせとか、あるいはプラウの長さを少し短くしろとか、農家気持から離れたような機械ができる傾向にあるわけなんです。そこで、どうしても農機具製造の面にも農林省として強く発言の場を持たなければいかぬのじゃないか。終戦後ドイツあたりから入ってきましたメリーティラーとか、あるいは耕転機にいたしましても見てくれは非常に粗雑なような格好ですけれども、使ってみると長持ちして多少乱暴に取り扱ってもびくともしないというような非常に堅牢にできているわけなんですが、そういう面について、この改正案を出されるにあたって通産省当局とどの程度話し合いをされたか、あるいは全然話し合いをされなかったか、その点についてお伺いしたいと思います。
  7. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御質問の点は二点あると存ずるわけでございますが、第一点は、農業機械について非常に型式が雑多である、農家利用者という面から見ると非常に不便ではないか、それが製造メーカーの側におけるいろいろの利害関係からそういうふうになっているということについてはどのような指導をしておるのか、こういう御質問であろうと思います。まさにその通りでございまして、耕転機に例をとってみますと二百八十種類型式があるというようなことで、非常に型式が多いわけでございます。これにはやむを得ない部面もございまして、まさに機械化が進展しましてまだ歴史も浅く、いわば日進月歩という形で機械開発改良がなされておるということからくる型式多様性というようなやむを得ない部面もあるわけでございます。しかし、ある程度これを農家利用者の側に立ちまして、できるだけスタンダードのものを作って、そして普及していくということが必要なことは御指摘通りだろうと思うわけでございます。今回の改正にあたりまして、特に検査制度の従来の建前を変えまして、この農業機械化研究所で一元的に扱わせるということにいたしましたのも、実はそういう意図を持っておるわけでございまして、今後検査を通じまして優良農機具普及に資したいという考え方でございます。検査内容につきましてはまた御質問もあろうかと思いますけれども、どうしても性能を高めるような意味において検査の精度を高めるということと、いま一つは、お話しになりましたような農家の使用の側に立ちまして、できるだけ標準的なものを作ることが必要であろう、こういうふうなことに十分配慮しまして研究所に扱わせるということにいたした次第でございます。  この面につきまして通産省とどのような連絡をしたかということとでございますが、通常の検査におきましても、常時通産省農林省との関係におきましては密接な協力をいたしておるわけでございまして、たとえば検査にあたりましても、部品等の規格は通産省JISできめられたものがございます。そういうものにつきましてはできるだけJISを取り入れるように検査の中に配慮するということもいたしておりまして、その面につきましては従来も通産省連絡をとっておりましたが、もちろんこの部分農林省が主となってやっておるわけでございますので、今後ともそういうことでやりたいと考えております。
  8. 亀岡高夫

    亀岡委員 先ほど局長説明で、この機械化研究所を作るという経緯について話があったわけでありますが、その中で、農機具開発改良分野が非常におくれておる、これを農機具業者にまかしておいたのではだめだ、非常におくれておる部分、たとえば種をまく機械とか、あるいは刈り入れをする機械とか、あるいは今後非常に大きく開発をされなければならない草地改良の傾斜地の耕転をする機械といったような部面は、確かにもう全然と言ってもいいほど改良開発が行なわれておらない、そういう観点に立ってこの研究所を作ったのだというお話であり、また、その部門には非常に隘路が多い、施設とか、あるいは人材というものを確保するためには、どうしても大きな研究所にしなければいかぬというお話があったわけでありますが、私は、そのほかに、それらの試作品なり何なりを思い切って研究試験あるいは調査をするためには、どうしても大きな土地が必要だと思うのです。それで、この機械化研究所を設立する土地は一体どこにするのか、先ほどもちょっと触れたわけですが、従来あったそういう部門をどういう程度に統合されるのか、それを御説明願いたい。
  9. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 研究所を設けます土地、特に圃場についてでございますが、現在農機具開発改良について担当しております鴻巣農業試験場が一番主要な役割を果たしておるわけでございます。いま一つは、この機械化促進法に基づいて、従来振興局農産課農機具検査室というのを設けまして、これが事実上は鴻巣に施政を設けまして検査に当たっておるわけでございます。そこで、鴻巣農業試験場において従来利用しておりました土地施設と、検査室利用しておりました土地施設、これを今回はこの研究所に引き継がせることにしておりますが、これは従来の施設でありますと、わずかなものでございまして、人工圃場が千三百坪、それから検査室あるいは農業試験場にありますのが約千四百坪というような程度であります。しかし、今後この研究所を運営します場合におきましては、やはり別に圃場を持ちまして、そこでテストをやる必要もありましょう。また、テスト・ロードというようなものも作りまして、耕転機の運搬時におけるいろいろな抵抗試験もやるというような必要も起こって参ると思います。さらにまた一般の民間研究機関としては、どうても持ち得ないのが農場でありまして、そこに作物を植え、具体的にできた機械をそこでテストしてみるというような研究分野は、民間ではなかなか持ち得ないわけであります。その場合におきましては、作物の病虫害なり土壌なりのいろいろな技術者を要するということになるから、持ち得なかったわけでございまして、今回の研究所ができます以上は、それらの施設も設けたいという考えを持っておりまして、一応われわれの考え方といたしましては、鴻巣の従来利用しておりました土地施設研究所に移管するほか、新たに実験圃場として五、六町歩、さらに農場として二十五、六町歩くらいのものを持ちたいというように考えておるわけであります。
  10. 亀岡高夫

    亀岡委員 圃場として五、六町、農揚として二十五、六町というようなものは、すでに候補地はきまっておるのですか。
  11. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 機械化研究所は、今申しましたように、鴻巣農業試験場との従来のつながりもありますし、また主として利用面を担当しております農業試験場との関係も、今後とも密接な連携のもとにおいて、その研究所が運用される必要があろう、こういう考え方鴻巣近辺土地を求めまして実験農場は持ちたい、研究所もそこに置きたいというように考えております。しかし、農場の分については、相当の面積が要りますので、われわれの考えといたしましては、実は鯉渕に機械化訓練所、これは農業研修室といっておりますが、まだ独立していないものでございます。この研修室が、実態農業機械化訓練所機能を持っておるわけでございますので、どうせ圃場も拡充する必要もあるということも兼ねまして、その近辺に求めてはどうかということで、目下計画しておるわけでございます。
  12. 亀岡高夫

    亀岡委員 鴻巣試験場を中心にしてお作りになる。その場合に、聞くところによりますと、四国土地改良関係部門がございますね。それから北海道国立農業試験場農業物理部というのですが、そういうものもこちらに持ってこられるわけですか。
  13. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 機能といたしましては、今御指摘のありましたように、四国と、北海道農試改良分を現在旭当しておるわけでありますが、研究所ができました暁には、鴻巣はことしの十月一日からこちらに移す、北河道四国につきましては、来年の四月一日からその研究所で一元的に運用するというつもりでおります。
  14. 亀岡高夫

    亀岡委員 そこのところをはっきりさせていただきたいのですけれども、そうすると、北海道、それから四国という、そういう関係部門現状のまま置いておいて、そしてその運営面だけ機械化研究所の傘下に参加させるというお考えですか。
  15. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 機械化試験研究といたしまして、大ざっぱに分けますと、四つの種類に相なるわけでございます。一つ開発改良に関する研究、それから第二は機械化栽培法に関する研究、第三番目は機械化作業体系に関する研究、それから機械に伴う経営的・経済的評価に関する研究ということに相なろうと思うのでございます。  そこで、その第一の機能だけにつきましては、この研究所において一元的に実施するということにいたしまして、あとの第二、第三、第四の試験研究につきまして、これは北海道四国といわず、それも含めまして他の地域農試におきまして実行するというように分町を分かとうという考え方をとっておるわけでございます。しかし実際問題といたしましては、これらの試験場におきまして、利用面研究を受けて開発改良する部分もございますし、また研究所において、いろいろの開発改良するアイデアを入れて、また地域農試において試験研究する分野もあるわけでございますので、運用の面におきましては河港において最も協調ができるような運営方法をとっていただくことは、どうであろうかというように考えておるわけでございます。
  16. 亀岡高夫

    亀岡委員 そうしますと、機械化研究所は主として改良開発、あとそこで作り出されたやつの性能とかなんとか、あるいは経営面に取り入れていく経済的な効果、そういうもののあれについては国立試験場で担当させるというお話でございまするが、そういうことになってきますと、これはやはり国立機械化研究所というふうにやっちゃった方が、その点非常に人事なりあるいは研究なり調査なり、そういう部分が非常にスムーズにいくのではないですか。なぜここにあえて特殊法人として、しかもメーカーあるいは農業団体等から出資をさせて、半官半民という格好になるのだろうと思うのですが、特殊法人にしたか。その点私ども、国立機械化研究所というふうにやった方が非常に能率が上がりやせぬかという感じを持つのですが、あえて特殊法人にしなければならなかったということにはいろいろ理由もあろうかと思いますので、この際一つお聞かせいただきたい。
  17. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほどちょっと申し上げたと存ずるのでありますが、最も卑近な理由といたしましては、やはり今度の機械開発改良ということになりますと、相当施設を充実していくということが必要であるわけでございます。また機械開発改良に従事する技術者についても、確保する必要があるわけでございます。しかし遺憾ながら、農林省におきましてもいろいろの研究機関もございますけれども、特に農業機械化関係だけの試験を取り上げて施設を拡充するということもなかなか実際問題としては容易でない。また人の確保の上におきましても、御承知のように機械関係工学関係の人というものが実際にはなかなか現状においては役所には入り得ないというふうなことが実情であるわけでございます。のみならず、各研究機関につきましては、民間でももちろん研究を進めておるわけでございますけれども、将来このような開発改良する場合におきましては、民間におきましても相当施設を要するということになるわけでございます。しかしその面におきましては、製造業者の立場からのいろいろの製造研究あるいは設計研究等試験研究が行なわれるわけでございますけれども、勢い農業面に対する利用面における試験研究ということになりますと、なかなかやりにくいという面があるわけでございます。そこで民間におきましてもそういう研究施設を設けるという場合におきまして、その間の調整を最も合理的にはかっていくという協調体制をとる必要もあろうかと存ずるのでございまして、その意味からはできるだけ研究分野につきましての調整もはかるとともに、二重投資の弊も避けて、そうして一そう強力なものをそこに作り上げていくということがより望ましいのではなかろうかということも考えるわけでございます。  第三には、やはり先ほど申し上げたかと思いますけれども、農業機械化に関する試験研究でございますが、開発改良に関する分野につきましては、若干他の農機具利用部面あるいは他の農業試験部面と、方法論なりあるいは性格等におきまして異なるものがございまして、工学的な見地試験研究をやるべきもの、あるいは企業で量産をはかることを通じて試験研究をやるべきものというような関係が出て参るわけでございまして、そういう意味試験研究方法民間とのある程度連携をはかるというようなことを考えて参りますると、国立機械化研究所というのも一つの構想ではあろうと存じますけれども、現状におきましては最も現実に即した行き方ではないだろうかというように感じまして、今回特殊法人研究機関ということにいたしたわけでございます。
  18. 亀岡高夫

    亀岡委員 局長説明、もっともと思われることでありますけれども、私どもから考えますと、とにかく農業機械化というものは非常に差し迫て、農村振興のためには欠くことのできない大きな問題なんですね。しかも、おそらくこの話の発端は、たしか農業用ガソリン税一つの糸口になっておりはせぬかという感じも持つわけなのです。そこでそれを見合いとしてと言っては語弊があるかもしれませんけれども、何とかして農業分野に持ってきたいということで、たしかこれは始まったと思うのです。そこで大蔵省に三十七年度四億五千万ですか予算要求をしたわけなのですが、半分にもならない三億円の出資でぶった切られてしまう。従ってしょうがないから農業団体からも金を出してもらおう、あるいは農機具メーカーからも金を出してもらおう、そうして一緒にやっていこうといったような、非常に言いにくいところではありますけれども、農林省の弱腰というものがこういう格好になってきたのではないか、こう思うわけなのですが、その点はどうですか。そういうことはありませんか。
  19. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま御指摘になりましたような事情は全然ございません。
  20. 亀岡高夫

    亀岡委員 私ども見ておりますと、どうも農林省は最近積極性がないという感じを受けるわけなのです。大蔵省に行って見ておりますと、全く、大蔵省官僚と言っては怒られるかもしれませんけれども、とにかく大蔵省農林行政をやっているという感じを実は農村あたりでは受け取っている連中がおるわけなのです。こういう点、こういう総合的な研究所を作って大いにやっていこうという場合には常に、農林行政は大臣のためにやるのではなし、われわれ国会議員のためにやるのではない、結局百姓をやっている農家のための農林行政だということをよく頭に入れて、大蔵省折衝にしても、あるいは党との間の議論をする場合においても、思い切って、一つ自信を持ってやってもらいたい、こういうことをお願いしておくわけでございます。  それから、この国営検査をこの機械化研究所に委託するわけなんですが、法案を読んでみましてちょっと疑義を抱いた点は、民間から出資をする——特に農機具業界というのは中小企業者がだいぶ多いわけですね。そうしますと、五億のうち、業界からどのくらい出してもらうようになるか、私まだ存じておりませんけれども、結局、大手筋のメーカーからよけい出資をしてもらうというような格好になる。しかも、研究所にもおそらくそういう民間の業界からの研究者が入ってくる。そういうところへ国営検査を委託をして、ほんとうに農民の立場に立った検査が公正に行なわれるかどうかということを、私、疑問に思ったわけなんです。その点は農林省としては、どういうふうにしてやっていくから大丈夫なんだといことをおそらくお持ちだろうと思うのですが、それを一つお示しいただきたい。
  21. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の検査の制度の改正にあたりましては、この検査自身はこの法律に基づいて国が検査を行なうということにいたしておるわけでございます。具体的に申し上げますと、検査の対象になるべき機種であるとか、あるいは検査の方法であるとか、あるいは検査の基準であるとか、これはわれわれも行政的な立場から、現在どのような農機具普及し、また今後どのようなものが重要な農機具として普及するであろうかというような見地に立ちまして、これは検査の対象にすべきかどうかというように、対象機種の決定につきましては国が行ないます。また検査の基準、それに伴う検査の方法につきましても、これは国が決定いたしまして、その間において、この機械化促進法で設けられております機械化審議会の意見を聞いてきめることにいたしております。そういう建前をとっておるわけでございます。そして実施に当たる分をこの研究所においてやらせる、こういう考え方をとっておるわけでございます。なぜ研究所において行なわせるかということにつきましては、これは従来とも、たとえばゴムロール等の検査につきましては国において施設を持っていないというような関係もありまして、一部民間に委託して検査の実施に当たらぜるというふうな方法もとっておったわけでございますが、今回研究所において施設が拡充するならば、そこで十分一元的に行なえることになるばかりでなく、今後の検査のあり方というものを考えてみますと、やはりだんだんに利用者側の利便というものを中心に置いて考えて参る必要があろう、そうなりますとやはり単なる不良品の排除という意味の合格、不合格という検査から一段と改善いたしまして、むしろ機械自身性能を明らかにして、そうして優良な農機具普及させる、またその性能を明らかにすることによって、使う農民の選択の便に供しよう、こういう考え方をとっておるわけでございます。そこで、そのような性能あるいは成績というようなものを中心に置きます検査に移行しまして、研究機関と一貫してやった方がより能率が高まる。外国のこの種の研究機関を見ましても、いずれもテストあるいは試験研究というものを一元的に行なっている機関が多いのでございますが、そういう意味におきまして、この研究所に実施させるということにいたしたわけでございます。従いまして、研究所自身におきます出資なりあるいは寄付なりが民間から一部くるということになりましても、検査自身についてそれによって影響をこうむるというようなことは全然ないとわれわれは考えておるわけでございます。
  22. 亀岡高夫

    亀岡委員 今の局長説明ははっきりしないのでありますけれども、その機械とかいろいろな検査を国が行なうという御説明ですね。国が行なうというのは、従来の鴻巣農機具検査室というものがありまして、あそこでやっていたわけですね。それが今度この農業機械化研究所に吸収をされるということになりますと、国が検査をするということになりましても、そういう部門は全部研究所に吸収されてしまうのですから、国のどういうところで検査するのか、それを一つはっきりさせてもらいたい。
  23. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の改正法案の第六条によりますと、国は、農業機械化の促進に資するため、この法律の規定により、農機具検査を行なう。ということになっておりまして、検査自身はこの法律によって国が行なうわけでございます。研究所との関係におきましては、法律研究機関にいわば委任されて、実施部面だけを担当するということになっておるわけでございます。従来の検査は、実施部面まで、農機具検査室を設けまして、国の公務員が実行に当たっておったわけでございます。それを今申し上げましたように、機種決定あるいは検査の基準、検査の方法、これだけは国が行なう、農林大臣がきめることにいたしまして、その対象になっている機種について、そのようなきまった基準にどのように合っておるか合ってないか、また方法についても規定された方法に従ってどのような成績が出てくるかどうか、こういう実施面をこの研究所において行なわせるということにいたしておるわけでございます。  なおまた、今回の改正におきましてはこの検査を二つの名称で呼んでおります。一つ型式検査、いま一つは事後検査といっておりますが、前の方の検査はまさに農林大臣のきめた対象、基準、方法に従って実施画を型式検査として行なうわけでございます。あとの事後検査につき映しては、これはこの検査基準に十分該当しておるかどうかという点についての、いわば取り締まり的な意味を含めた検査でございますが、これは従来通り農林大臣の権限に保留して残っておるわけでございます。
  24. 亀岡高夫

    亀岡委員 結局、国の検査といっても、実際にその農機具がいいか悪いかということを検査するのは機械化研究所でやる。ただ、その国の権限を委任するということであるわけですね。そうしますと、私の心配するところは、これは特殊法人ですから、結局農機具メーカーあたりから不合格というような機械があったとした場合、少し手心を加えてこれを合格にしてくれというようなことが行なわれはしないか。そういうことが行なわれますと、結局この機械化研究所を作る趣旨も農民の利益保護というのが究極の目的になるわけですから、もしもそういうことが行なわれるとすると、これは大へんな問題になるわけであります。そういう点はないと言い切っておられるわけですけれども、これらを監督指導する機関として、本省にはどういう機関を考えておられるか。
  25. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その点は最も公正であるべき事項でございますので、重要な点だろうと思いますから若干説明さしていただきたいと思います。  従来農林省で行なっております検査につきましても、年々改正を加えまして、だんだん粘度を高めてきたわけでございますが、何しろわずか十三万足らずの、年六、七百万円の予算でやっている状況でございます。従って今後機械が高級化し、複雑化するに応じましては、やはりそれを検査するための十分な施設が必要になってくるわけでございます。今後研究所におきます施設の拡充につきましては特にその点に十分の意を払いまして、御指摘になりましたような事態は、いわば情実ということが入るような検査方法をとるというところに問題が出てくるのではなかろうかと思うわけでございますが、そういう点につきましては、研究所に移しました一つ理由といたしまして、十分な施設を備えることによりまして、できるだけ客観的に、計数価で表われるような検査方法をとることにいたして参りたい。たとえば、従来でありますと耕転時だけの効率検査ということでありましたのを、運搬時における測定もあわせて行なわせるとか、あるいは取り扱いの難易というようなものを考えます場合におきまして、ある程度の経験度というものが入り込んでおったわけでございますけれども、これらにつきましても、たとえば安定度をはかるための震動計を使うとかいったようなことで、できるだけ検査が客観的に数字で表われる方法をとることにいたして参りたい。そうすることによって、何人もそこに情実が入ることがないようなことに精度を高めて参りたいというのが、一つ検査改正の目的、ねらいになっておるわけでございます。従ってこのような施設がだんだん拡充するに応じまして、検査制度も精度化し、それによりまして検査自身が客観視されることになることを期待しているわけでございます。しかしそれでも、農林省といたしましては、研究機関に対する監督権を持っておるのでございますから、今御指摘になりましたようなことは重々ないと思いますけれども、十分な監督をしていくことには変わりないわけでございます。なおまたこれに対しましては、そのようなおそれのあるような事態に対しまして、農林大臣が再検査を命ずるようた規定もあるわけでございますから、以上申し上げたようなことで御了解願えるのではなかろうかと思います。
  26. 亀岡高夫

    亀岡委員 本省では今農産裸ですか、機械化行政を担当しているのは。——そうすると、そのままあそこでやるようになるのですか。それとも新しく課でも作るのですか。
  27. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今後農機具行政を一元的に運用して参るという考え方のもとに、農機具検査行政区分につきましても拡充して参りたい、かように考えておるわけでございまして、現在におきましては農産課が担当しておりますが、近く振興局農機具担当の課を設けたい、こういう考え方でおるわけてございます。
  28. 亀岡高夫

    亀岡委員 この法案を見ますと、検査をやって合格したものには、合格の表示をする。同時にその性能を詳しく書いたものを添付するというふうに書いてあるのですが、合格のしるしをつけるのは非常にいいと思うのです。これは、不合格のものはつけないのですか。合格の表示をしたもの以外は不合格品と、こうはっきりわかるわけですか。これには合格のものにはつけるけれども、不合格はつけない——つけるとは書いてないです。これはつけろという指導をするのですか。
  29. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今、農村におきましては、国の法的検査に応じて合格したというものが信頼され、一般的にも販売されておるわけでございます。現在の検査自身につきましては、これは依頼検査でございますが、今回の改正によりましても、依頼検査でいいのではないだろうかという考え方で、依頼検査の建前は従来通り踏襲いたしておるわけでございます。不合格の場合に不合格とつけないかということでございますが、依頼検査でございますから、必ずしも全部検査を受けなくても、販売はできるわけでございます。しかし、さきに申し上げましたように、実際問題としては、ほとんど合格証がないと販売されてないというのが実情でございます。その際におきましては、その性能検査の成績を明らかにするという意味で、単なる最低のミニマムの条件をパスしたということでなしに、それ以上の成績はどういう内容を持っておるかということを明らかにしておくという趣旨でございます。
  30. 亀岡高夫

    亀岡委員 繰り返して申し上げるわけですけれども、とにかく検査というものは、農家を保護する一番大事なポイントになるわけですね。せっかく借金をして買った耕転機なりあるいは脱穀機なり、いろいろな農機具が、あまり使わないうちに使えなくなる、故障ができるというようなことであっては、これは今後の、さらに合理性を追求される農業経営において、非常な問題になると思いますから、この農機具検査という問題については、特に念を入れて指導をやっていただくようにしてもらいたい、こう思うわけです。  それからこれは、最初大きくスタートしようと——十六億五千万円ですか、でき上がる機械化研究所の予算は。これが三年計画でなされておるようでありますが、私どもしろうとなものですから、金高で機械化研究所内容というものをちょっと想像できないのですけれども、大体でき上がったときの内容機能等についてお聞かせ願いたい。
  31. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 現在、農林省におきまして計画しております全体の計画概要につきまして申し上げますと、大体施政関係の経費といたしまして、おおむね五億程度のものを予定しておるわけでございます。それから研究費あるいは検査費、その他の管理運営に当たる費用と人件費を含めまして、大体一億ぐらいになるものを予定いたしておるわけでございます。そこで今お話がありましたように、民間から約五億、それから政府もそれと同額の基金を積み上げて、その運用益と事業収益により今申し上げました事業費、人件費等をまかなって参るようにいたして参りたいというのが、今考えております構想でございます。そのうち政府の五億につきましては、基金として積み上げるか、あるいは毎年の経費として助成をするかという点につきましては、まだ最終的には財政当局と話が詰まっておりません。本年度に例をとりますると、その施設五億円のうち予算として三億計上されておるわけでございます。それから人件費あるいは管理費、研究費等につきまして国の予算が二千五百万円が計上されておるわけでございます。それに民間出資に伴う運用益が加わりまして、本年度の運用費がきまるわけでございます。大体五億の予算ということになりますると、おおむね施政費、それからし地購入費、それから備品ということになるわけでございますが、機械化研究所でありますので、本館のほかに各種の実験室あるいは工務室、それからそれに必要な備品というものが和音かかるわけでございます。それから従来一部は人工圃場として千三百坪あったわけでございますが、先ほど申しましたように、今後研究所としての施設を充実していくためには、どこの研究所にもありますけれども、トラクターを中心とした研究をするということになれば、トラクターのテスト・ロードというものも必要になって参ります。それから先ほど申し上げました実験農場を大体五、六町歩考えております。それから農場といたしまして二十五、六町歩考えておるわけであります。
  32. 亀岡高夫

    亀岡委員 大体の構想は今の御説明でわかりましたが、今度この研究所ができまして、ここに勤務するようになる職員は大体どこから、どのくらい、どういうふうに持ってくるという構想があると思うのです。それから、たとえば農林省から研究所の方に転出したといった場合の職員の身分の保障といいますか、年金とかいろいろな問題があると思うのですが、そういう点についてはどういうことになっておりますか。
  33. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この研究所におきまする将来の研究人員といたしましては、できるだけ精鋭主義をとって参りたいと考えておりますが、おおむね三カ年後におきましては八十名程度になろうかと考えておるわけでございます。そのうち従来鴻巣農業試験場におきまして農機具開発改良に当たっておる定員が約五十名あるわけでございます。そのうち三十八名はこの研究所開発改良を担当する職員として移す、こういうことが第一点でございます。  それから農機具検査を担当しておった職員の定員が十六名ございます。そのうち十三名がこの研究所に移る、こういうことにいたしております。  それから御指摘の、研究所に移った場合の職員の身分についてはどうなるかということでございますが、これは一般の公団なりあるいは特殊法人の例にありまするように、長期給付につきましての年金については、これは引き続いて農林省に帰りました場合は通算して年金給付をする、退職金についても同様な措置をとるということで、これは政令の改正を要することになりますが、そういう措置をとりたいと考えております。
  34. 亀岡高夫

    亀岡委員 割り当てられた時間が参りましたので一応この程度でとどめておきたいと思いますが、政府機関が農林省関係にもたくさんありますし、今後もいろいろな機関が出てくるわけなんですが、どうも最終の目標である百姓のためということがいつもぼやかされてしまうという格好になって、特に農業基本法ができて、これから大いに農家の所得をふやして生活水準を上げていこうという一環として、機械化の面を合理的に農業経営に取り入れていこう、そのためにはこういう研究所も作って大いにやらなければいかぬというので、当初は非常に気合いがかかるのですが、これが三年四年過ぎてくるとみなマンネリズムになって、だれのためにやっているんだというような格好になりやすいわけですけれども、最初が大事ですから、齋藤局長一つ大いにふんどしを締めてりっぱな基礎を作ってもらって、農家のためにほんとうにプラスになりますような施設たらしめていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  35. 野原正勝

    野原委員長 次に、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。川俣清音君。
  36. 川俣清音

    川俣委員 私はこの際、せっかく畜産物価格安定法に基づいた審議会において真剣に審議に取り組んでおられる姿を拝見いたしまして、非常に同情しておるわけです。同情というのはどういうことかといいますると、一体あの審議会から何を求められようとしておるのかよくつかみ得なかったわけです。そういうわけで非常に同情しておるわけです。  そこで第一にお聞きしたいのは、価格の安定をはかるということでございますが、農林省法律を全部見ますると、標準価格、適正価格、基準価格、平均価格、正常な水準価格、安定価格、最低生産者価格、標準価格を基準とした価格、こういう用語が安定価格の意味で使われております。農林省の用語が非常に不統一だとは言いませんけれども、おのおの意味があると思います。そこで事好んでこの安定価格という表現をしておられるわけですが、安定価格という意味はどういう意味ですか。従来農林省で使っておりまする標準価格または適正価格、基準価格、標準価格を基準とした価格あるいは正常な水準価格、こういう用語を使っておりますが、これと別な意味で安定価格というのが出ておりますが、これらの用語が使われない意味での安定価格ですか、どうですか。この点をお尋ねしたい。
  37. 森整治

    ○森(茂)政府委員 農林省の価格決定に関する法令は、米麦あるいは農産物価格安定法あるいは大豆なたね交付金暫定措置法等あるわけであります。畜産物の価格安定につきましてはこれらの法令とちょっと趣を異にいたしまして、ほかの方では上位価格あるいは基準価格、下位価格という言葉はないわけであります。そういう意味においてそれを全部総称して安定価格ということで、一応法律でひっくるめてそういう言葉といたしたわけであります。一本の政府買い入れ価格あるいは大豆なたね交付金の場合のような価格ということで、普通米の強制収買価格、みんな一本になっておるわけであります。そういう意味におきまして趣を異にしたわけでございますが、法律的用語といたしましてはあの法律で総称してそう呼んでおるわけであります。
  38. 川俣清音

    川俣委員 どうも私の耳が悪いのか頭が悪いのかわからぬけれども、説明がよく了解しかねるわけです。いずれも安定価格という用語であろうと思います。いずれも意味はそういう意味。標準価格、適正価格、基準価格、正常な水準価格、最低生産者価格、いずれも農産物の安定を期待した表現なんです。それを下回ってはいけないとか、上回ったらどうするとかという、やはり一つの安定価格と、こうあなたが総称されることは、どうしてそういう言葉を使わないで、わざわざ安定価格という言葉を使った——これはあなたの時代じゃない、前の時代に安定価格を使った、その安定価格をいかように理解して審議会に臨んでおられますか、お聞きしたい。
  39. 森整治

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定等に関する法律では、安定価格といり定義につきまして、結論的には五位価格、あるいは乳製品については下位価格、指定食肉原料については基準価格ということを総称して定義されているわけであります。私ども委員会に臨むにあたっては、第三条四項の規定に従いまして、この総称されている安定価格についてどういう方法でまず第一に算定していくかということが基本的なことであります。第四項では非常に抽象的といいますか、書かれておるわけであります。こまかく、米とか麦とかあるいは繭とか、いろいろ施行令を出して計算方法を明らかにしております。私どもといたしましては委員会の意見を十分伺いまして、また答申等がありますればそれを伺いまして、むしろこれは省令あるいは政令等で確立して参りたい。ただ審議会が暫定的に、まだこれは確立すべきでない、こういうことになりますと、その意をくんで行政措置でやる。そしてだんだんと再生産を確保することを旨とするというような条項は、ほかの法律にもあるわけであります。それで早く政令を確立していって、そうして農家が、どういうふうにして安定価格が定められるものであるか、またそれぞれの算定方式が明確になりますれば、それぞれ、それに応じて生産体制あるいは流通体制も整えていっていただける、こういうわけであります。そういう意味におきまして安定価格の概念というものは具体化される途中にあります。そういう意味でまさに明確でないという点はあります。
  40. 川俣清音

    川俣委員 非常によくわかりました。そうすると審議会の意見を聞いてその後に政令をきめて、あるいは省令を出して、そしてその基準になるべき要素を表現していく、こういうことのようです。それでよくわかりました。  ただ、問題はよくわかったのですけれども、問題が出てきたと思うのです。それは政令やあるいは省令を定めるといたしまするならば、審議会でなくて国会の審議に移すべきだろうと思うのです。常に法案を出される場合、その施行となるべき政令やあるいは省令をつけて審議に供するというのが、行政機関として立法機関に対する誠実な審議の仕方だと私は理解する。それはまた慣例だと思う。それを立法機関でない審議会へ、行政機関の補助機関たるべき審議会に政令のことやあるいは省令のことをお諮りになるということは、国会を無視したということになるのじゃないかと思うのです。あなたの意図するところはよくわかりましたよ。結果的にはそうなると思うのですが、この点どうでしょう。
  41. 森整治

    ○森(茂)政府委員 そういってはなんですけれども、ほかの農産物あるいは特に米、それから麦、あるいはもっと違った性質のものとしては繭、いろいろ過去に生産費調査等もやりまして、あるいはいろいろな法律等で変遷を経て内容が割に、どっちかといいますといろいろ生産費を基準とすとか、そういう点で充実しておるわけであります。初めて政府畜産物に関して価格をきめるということ、かつ生産流通体制が躍動的に浮動しておる、むしろ政策的には、国会並びに政府当局もこれを伸ばしていこう、こういうことであります。そういう意味におきまして、前の臨時国会で御協賛を願いました際にも、大方の御意見に対しまして、価格審議会でぜひ算定方式を確立して参りたい、こういうことで特別に御宥恕を願いまして、そういう御了解のもとに進めておるわけであります。政令あるいは省令等できめるというのは、ある程度確立しますれば、これは行政的宣言よりも省令、あるいはもっと確立しますれば政令等でやっていくのが筋で、お話通りであります。そういう事情もありまして、ほかの法制と違いまして、新しく出発する畜産界における初めての政府の、おっしゃるような告示でもありますので、そういう点をぜひ明確にしていくについては、十分価格審議会の意見を徴してということもお含みの上で御了承願ったような気がするわけでございます。そういうことで格段の御協力を順いたいと思います。
  42. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、この畜産物価格安定法は、表通りはできたが裏通りができていない、あるいは裏敷がないのだ。そうするとこれは空文にひとしいものでありまするから、それらの政令ができて初めて運用の道が開かれるわけであります。実体の運用がなければこの法律は無意味だということになりまするから、政令ができてからあらためて法律案改正を出されてもいいんじゃないか。今あわてて裏敷のないものを一部改正されても意味がないんじゃないか、こう思います。これは私の意見ですから、あなたから無理に答弁を求めないでもよろしいのですが、これは大臣でも来たときにお尋ねしようと思います。  次に、少し整理をして参りたいのですが、やはり畜産関係の中で生乳、牛乳、生乳等、原乳というふうにずいぶん言葉を使い分けされておりますが、おのおの意味があるのですか。原乳という意味。生乳という意味、あるいは牛乳という意味、あるいは生乳等という、等も入れて使われておりますが、これはみな言葉はおのおのの表現が違っております。本体が違って違えておるのか、ただ言葉だけを近代語に直した、こういう意味なのか、この点どうなんでしょうか。
  43. 森整治

    ○森(茂)政府委員 初めてこういう物資につきまして法定したわけでございます。そういう意味におきまして、今まで行政上あるいは取引上、慣習上で総称されて、一番現実そのものに近い言葉を使ったわけでございます。そういう意味におきまして、いわゆる牛乳といえば全部の牛乳の総称、それから原料乳と称しておるのは乳製品の原料の牛乳、生乳というのはこれは製品に限らず全部いわゆる農家がしぼって、そして出てきたもの、こういうことで、普通、牛乳といえばこれは全部でございますが、それぞれ生産過程あるいは流通過程で慣用的にいわれておるものにつきまして、極力概念を明確に、初めての畜産物の価格安定法で努力したわけでございます。そういう意味におきまして、大体意味を了承して読めるのじゃないかと考えております。
  44. 川俣清音

    川俣委員 法律用語でありまするから、相手を規制いたしましたりするものですから、やはり用語としては正確でなければならないと思うのです。そしてまた伝統もなければならない。それで畜産物価格安定法からいいますと、生乳という表現を使っておる。ここじゃ原乳という表現を使っている。原乳と生乳とはどこが違うのですか。牛乳及び乳製品となっておりまするから、乳製品を牛乳は含んでいない。酪農振興法によりますと、牛乳及び乳製品となっている。
  45. 森整治

    ○森(茂)政府委員 牛乳はおっしゃる通り液体のものでありまし又乳製品はそれから作られる、練乳を除いては大体固体的なものですが、牛乳という言葉で普通わかるのではないか。乳製品とは違うという意味がわかると思います。
  46. 川俣清音

    川俣委員 そうするとコンデンス・ミルクのようなものは、あれは液体ですね。液体には間違いない。乳製品とも言う。牛乳とは言わないようですね。そうすると液体が牛乳であって、加工された、固形化したものが乳製品というと、クリームとか練乳とかいうものはどっちへ入るのですか。もちろんあなたをいじめる意味ではないんですよ。これから規制をして表現をきめていくとすれば、こういう土台がはっきりしていないと目的を達成することは困難ではないかという意味で整理をしておるわけですから、その意味でお答え願いたいと思うのです。
  47. 森整治

    ○森(茂)政府委員 特に先生がおっしゃっておる問題は、第二条で定義の際に断わってありまする通り、原料乳は指定乳製品の原料であってなま乳だということであります。牛乳はそれらのものをすベて総称しまして、飲用向けにいこうが原料向け乳にいこうが、それら全部のものを総称して皆さん方が普通この言葉を使っておるわけでございます。いわゆるコンデンス・ミルクはミルクではありません。大体牛乳というのはミルクという考え方であります。
  48. 川俣清音

    川俣委員 法律にはミルクとないですね。そうすると乳製品ですか。
  49. 森整治

    ○森(茂)政府委員 先生がコンデンス・ミルクとおっしゃったものですから、牛乳はミルクでコンデンスのミルクではないというふうに申し上げたのであります。牛乳それ自体の問題について法律上もう一歩進めまして、非常に問題がありますれば、またそれを立法上明確にしていく必要があれば、さらに明確にする必要があるかと思いますけれども、何か問題がありますればいろいろ御意見を承りたいと存じます。
  50. 川俣清音

    川俣委員 畜産物価格安定法のもっと土台になっておるのは、やはり酪農振興法があると思う。その酪農振興法では、「この法律において「生乳」とは、しぼったままの牛乳をいう。」こうなっている。ですからこれは酪農振興法では、生乳というのは牛の乳である。ヤギの乳は入らない。こういう意味だと思うのです。今度は安定法でいう場合の原料乳というのはヤギや羊の乳も入るだろうと思う。別に区別がない。酪農振興法は乳牛を主体にした法律でありますから特に——でありましょうけれども、「「生乳」とは、しぼったままの牛乳をいう。」こういう。従って同じ畜産局で取り扱っている酪農振興法の生乳というのと原料乳というのと同じだという表現になりますと、これはしぼったままの牛乳を牛乳というのですが、原乳というものはまた別なら別だという定義がなければならないと思うのです。この点とうなのですか。
  51. 森整治

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定等に関する法律の第二条の定義の場合に、第一には原料乳とは乳製品の原料であるなま乳だということになっておりまして、第二項では、この法律で指定乳製品というものは、バターとか脱脂粉乳、練乳、その他政令で定めるものであるということになっておりますので、バター、脱脂粉乳、練乳といいますと、牛乳から生産されたものであります。それの原料であるなま乳だということでありまして、ヤギは入っておりません。
  52. 川俣清音

    川俣委員 そうじゃないようですよ。酪農振興法では確かになまのままの牛乳を生乳というということになっておる。この安定法では必ずしも牛乳をさしていないのじゃないですか。あなたの中の観念としては、牛乳をさしでおるように説明はされておりまするけれども、法律用語からすると、必ずしも牛乳をさしておるように見えない。乳製品といい、原乳といい、そこで、わざわざ酪農振興法と別な意味を使われた。同じものを使われるというと、ほかの法律で生乳の定義があるんだから、この生乳の定義は要らないのだ、こううことになると思うのですが、わざわざ原乳という言葉を使っておりますから問題が出てくるのではないか、そういうように指摘しているんですよ。新し言葉を使うときには、立法府としてはやはり定義をつけてもらわなければならないのじゃないかということまで進むわけですが、今そこまで論じていないのです。同じ畜産局で、片方は生乳といい、片方は原乳というときには、やはり区別がなければならないと思うのです。その意味でお聞きしているのです。
  53. 森整治

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定法の第一章総則の目的の次の第二条の定義で「この法律において「原料乳」とは、次項の指定乳製品の原料である生乳であって、農林省令で定める規格に適合するものをいう。」ということで指定乳製品につきましては、バター、脱脱粉乳、練乳となっておりますので、酪農振興法のなま乳の概念と考え方を違えて解釈する必要もなければ、同一に解釈して、この定義の条文でヤギの乳が原料乳かどうかということは、先生の言うように原料乳という三字の言葉自身では、それはそういう疑問も出られると思いますけれども、定義の第二条全体、一項、二項等でお読み下されば、ヤギの乳は原料乳という概念ではないのだということが表われておるのではないかと思います。私どももそういうことで立案いたしましたし、皆さん方の御協賛も臨時国会で得た条文でございます。
  54. 川俣清音

    川俣委員 この前の国会で、これは疎漏であったのです。あなたの方で通してくれ通してくれといったから、与党がやたらに勉強せずに通しちゃった。そこでいろいろな問題が出てくると思うのです。これは一つの問題なんです。これはいろいろな罰則規定が出てきますから、明確でないと、知らざるために、言葉があいまいなために罰則を免れるということも出てくることにもなる。そこで一応問題にしておいたのです。森君を別に問い詰めて糾弾するということではないのです。今後こういう疎漏な、国会というものは何でも無条件に通るものだというような考え方はこの際慎むべきだ。こういうことを一つ言っておこうと思うのです。  次に、それじゃまたお尋ねしたいのですけれども、これはどう読むのでしょうか。この用語について、国語学者に聞くのと法律家に聞くのとでは、解釈が違うのです。しかし、これはやはり日本の文章でしょうから、国語的な読み方をしなければならないんじゃないかと思うのです。そこでお尋ねをいたしたいのですが、第三条の第三項ですが、「安定基準価格及び安定下位価格は、」これは主語ですね。そうすると「その額を下って」云々といくのですから、「価格が低落することを防止することを目的として定めるものとし、」ということは、これは全部上の方にかかるものだと思うのですね、日本語でいけば。ところが今までの説明は、指定乳製品だけが下位価格に入って、原料乳と指定食肉は下位価格に入らないのだ。こういう解釈のようですね。ところがそういう解釈は国語的にはできない。国語的には、「安定基準価格及び安定下位価格は、」とこうあるのですから、二つ「は」なんです。これは主語なんですね。「は、その額を下って原料乳、指定乳製品及び指定食肉の価格が低落することを防止することを目的として定めるものとし、」というのは、安定基準価格と同時に安定下位価格、この二つの価格が低落することを防止することを目的として定める、こういうふうに読むのだといり。分離してあるんですね。あなたの方は一本にしていながら、実際は分離しているのですが、そういう表現は、どういうふうにしてあなたはこれを二つに分けられるのですか。この文章から二つに分けられないと思うのですが、分けられるという説明一つしていただきたいのです。文章からですよ。
  55. 森整治

    ○森(茂)政府委員 第二条の第三項に関する御質疑でございますが、第三条の第一項第一号では原料乳、指定食肉につきましては安定基準価格、それからその二号では指定乳製品の安定下位価格ということを述べられておりますので、第三条の書き方でもすべてを含めて、「その額を下って」「低落することを防止することを目的とし」という言葉で読み切れるんじゃないか。しかも同じ条で一項に掲げてあります、片一方は三項に掲げてありますので、全部第三条を含めてお読み下すって読めるのではないかというふうに考えます。
  56. 川俣清音

    川俣委員 それは三条の一項から推理してこう読むべきだ、こう見るべきだということであって、国語的には分離できない。もしこれを三条をそう分離して読むならば、入学試験はみんな落第するということなんです、国語的には、国語で及第するのは畜産局だけだということになる。従って、三条の一項があるからそう読むべきではなくて、そう運用するということにはなると思うけれども、法律用語としては、それならば安定基準価格は原料乳及び指定食肉、こう読まなければならぬ。下位価格という場合には指定乳製品を下ってはならない、こうやはり二段に分けて表現しないと、一項の方が誤りなのか、三項の方が誤りなのか、どちらが誤りなのか。同じ法律用語でしょう。三項の方が正しいとすれば一項の方が表現が誤りだ、一項が正しいとすれば、三項が誤りだ、こうなるのじゃないかと思うのです。前の時代にできたのですけれども、畜産局長、あなたになってから、これを読んでみて不思議に思わなければならないはずだと思う。不思議に思われませんか
  57. 森整治

    ○森(茂)政府委員 第三条の規定で、おっしゃることはよくわかります。いろいろ討議の結果、新しく安定基準価格という言葉を入れた際に——あなたの言うことはよくわかります。そういう意味で、安定基準価格を入れた際に、区別して項を書いたり、あるいはそういうことが必要だったかもしれません。御修正をいただいたときに、そういうことで政府原案では上位価格、下位価格だけであったものですから、そのときのわれわれのアドバイスが足らないと申し上げてはなんですが、そういう御修正の経過でそうなったので、修正の意味相当出ているということで普通の文章ではないという意味で、やはり歴史的な関係がよくわかっていただけると思います。
  58. 川俣清音

    川俣委員 どうも修正を出した方の、国会側の責任だ、 こういうことで、きついことでございますが、しかしこれは法律を運用される面からいいましても、やはりそれでは困るというアドバイスが必要だと思うのですよ、実行者ですからね。実行者が実行できないという法律用語は、これはいただけないという表現はすべきだと思うのです。意味をくんで、実行のできる表現にしていかなければならないと思うのです。それだけ気がついておられたならば、今度の改正のときにこれを思い切って改正されたらどうですか。アドバイスが足りなかった——この際一つ修正されたらどうですか。
  59. 森整治

    ○森(茂)政府委員 御趣旨よくわかりますが、このために新しく立案して参るということになりますれば——全部これを撤回しまして、この法律を別に出していく際にはぜひそういうことで——まだ政府原案でございますから、今度修正される際には非常に注意いたしまして、なるべく読みやすいようにやってもらいたいと思います。ここでは第三条から一項、二項、三項で読み切れるということでありますので、特にこれはここだけの——これが相当問題であるということであれば別でございますが、この文句でも読み切れるということで御解釈願いたいと思います。
  60. 川俣清音

    川俣委員 私、いろいろな国語学者に、わざわざ尋ねて意見を聞いたのです。日本語としてはそう読み切れない、こう言う。日本語として読み切れないものを法律用語にしておくことは正しくないと思うのです。一、二の人でも、別な解釈をする人があるかと思ったら、聞いた限りにおきましては、ほとんどみんなそうは読めないと言う。ただ法制局で尋ねたところ、こういうふうに無理に解釈するよりほかないでしょう——これは読み方じゃない、そう解釈するよりやむを得ないでしょう。こういうできたものですから、そう解釈するほかやむを得ないでしょうという表現です。いい表現だとは何人も言わない。ですから、今度改正されようという意図のときには、やはりこういう点をも含めておやりになった方がよろしいのではなかろうか。政府原案ですけれども、今からでも、わかりやすいように表現することはちっとも差しつかえないのじゃないか、むしろその方が堂々たる態度ではないかと思います。  次に、具体的にまた問題を進めます。  そこで、安定基準価格というのが、一体標準価格なのか、平均価格なのか、生産費価格なのか、これがやはり問題になってくると思うのです。そうでなければ、その額を下って——価格が低落することを防ぐという前提になるその額、何から下って低落するのかといえば、乳製品を除いた原料乳及び指定食肉は、安定基準価格から下らないようにしよう、乳製品は下位価格から下らないようにしよう、こういう説明なわけですね、あなたの説明は。そこで、その安定基準価格というのは、四項に触れて、これらの再生産を確保することを旨としてきめるという、これが原則ですね。「これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、」——これは考慮しなければならない。基準は、これらの再生産を確保することを旨とするというんですから。これが主です。ウエートが一番大きいことです。そうすると、安定基準価格というのは、再生産を確保するに足る価格でなければならない、それを下ってはならないと、こう読ましたいのだと思います。しかし、従来行政が発動する場合には、やはりある基準価格の幅を持って、それから上になればどう、下ればどうというのが、従来の行政措置としてとられてきた方法だと思うわけです。それを、十分その意を尽くさなかったために、国会で修正して、こういうかなり無理なというか、行政上なかなかやりにくい——もっと安定度を高めようというやり方をしたのだと思うのです、当時の考え方は。ところがこれによって、安定度を高めるということにはならないで、むしろ不安定な要素を非常に置いておるんではないか。この言葉は、乳製品の場合と食肉の場合と非常に違うのです、同列にしておりますけれども。原乳の場合と食肉の場合とは非常に異なるのです。原乳の場合は、生産費というものは比較的算出しやすい。また中間経費というものも算出しやすい。そこで販売価格といいますか、これもまた算出しやすいという傾向をとっておる。食肉の場合には、生産費は非常にとりにくい。しかも中間経費に至っては、統計的に見ても、このくらい動く中間経費というものはないです。また地域的に見ても、牛乳も地域差がありますけれども、食肉に至っては、地域井というか、県の中においてすら非常に差があるのですね。これはどうしてできてくるのですか。非常に価格がまちまちなんです。たとえば豚肉の場合、東北の青森、岩手、宮城、秋田、山形の月別価格を生体十キロ当たりで見まして、三十五年の四月は、青森が二千六円、岩手が千八百八十五円、宮城が千七百五十二円、秋田が千七百一円、山形が二千四百十三円。これほどの開きがある 生体十キロですよ。同じ東北なら東北という地域は、大体似ているのではないか。従ってこれだけの違いは、県内においても違うということです。山形県境、宮城県境、そういう境によっても違うということになる。これほどの差のあるものを、基準価格と申しますか、あなたの方でいえば基準価格という表現でしょうが、一体そういう表現で安定価格を算出できるかどうか私は非常に疑問だと思うのです安定基準価格が異なっておるじゃないか、従ってこれは集荷地でとれないから中央卸売市場の価格できめる、こういうのですけれども、この価格がまた二百四十円ときめられまして、現在表向きはそうですけれども、取引は二百二十六円か八円になっておる。もとをたどっていくと、輸送費はまた別ですよ。こういう事態のものについて安定帯なんというりっぱな文句を打つだけの基準価格ができるかできないか、これはこういうことでない別な価格の安定制度を考えなければならないところへ、現実にあなた方の考えは否定されておるじゃないか、どんなに豚の価格を下げようといたしましても小売価格は下がらない、小売価格が下がれば需要が拡大して参りますから、値が上がってくるはずなんです。小売価格が下がらなければ、需要の状態が牛と豚と同じ率だとしますれば、豚の需要の拡大にはならない、消費拡大にはならない、従って需要が拡大しない限り価格が低落してくる、こういう結果になるのじゃないか。とても役所あたりの細腕では、豚の基準価格をきめれば、あるいは安定基準価格をきめれば、それができるのだというような考え方だけで審議会に臨んでも名案は得られないというふうに思うのですが、この点についての御意見はいかがですか。
  61. 森整治

    ○森(茂)政府委員 お話通り、統計の一部を、そういう生体調査でも、庭先で販売された額が同じ県内でも非常に違っておるわけです。またサンプルで一応やつでみようじゃないかというので統計調査部が結果として六十六戸を選ばれて、そうしてやったのもお話のようにサンプルでございますので、肉豚については十四市町村に五戸程度をとりまして、七十例について調べたわけでございます。北見、三戸、それから秋田市とか埼玉県の児玉郡とか、それぞれ十四カ所を選んで、十四カ所で五戸ですから七十事例、その結果六十六戸だけ出てきた、こういうことで、生産費の調査といたしましても、全部集計しても五頭以上飼っているのはたった二例をとったということで、一、二頭、三頭、各階層別にいっても非常にわずかな数字であります。しかも畜産物価格安定法では米の制度やあるいは麦の制度等と違いまして、産地で買わずに中央卸売市場で買う。そういうゆえんのものは、過去において上下の幅が非常に多かった。特に指定食肉についてはえらく幅が多かった。標準偏差で縮めましても下一六・三、上一六・三、こういう振れになるわけであります。そこで、極力触れを少なくしておさめていこうということと、「再生産を確保することを旨とし、」というほかの法令にあります文章には、最低生産費とかいう言葉がその前のところにも入っておるわけでございますが、そういう意味におきまして、現在の中央卸売市場で幅を縮めていくということと、再生産を確保することか旨とする、また各地におけるいろいろ躍動しつつある経営状況等から見まして、これをいかにして確立された法文として、あるいは行政措置でもこういうふうに計算するんだ、政令にならなくても暫定的にはこういうふうに計算するんだという結論が——全般を見計らいまして各生産者団体の方、あるいは製造に関する専門の方々等の知恵をしぼって、一応暫定的にこういうふうに計算したらどうか、これが市場価格をきめていくのについて一番いい方法じゃないかという結論で、一応現地からの資料なり生産形態なり流通形態では、暫定的にこれより仕方がないということで、皆さんエキスパートの委員の方でございますので、御答申いただいてきめていこうと思うのであります。
  62. 川俣清音

    川俣委員 エキスパートだといいますけれども、あれがエキスパートかどうか。私、聞いておって、確かにある部分についてはエキスパートでしょうね。しかし価格の安定をはかるという意味においては非常なエキスパートだというふうに思わない。いろいろの部分的な事業をやっておられて優秀だということは認めますよ。だけれども日本の畜産物の安定価格をきめるという意味におけるエキスパートだとは、私どもの傍聴した限りにおいてはそう理解できない。これは決して人格的にけちをつけるとか、学問的にけちをつけるということじゃないのです。何といいましても全体の畜産物価格安定という総体的なものを決定するエキスパートだというふうには言えないんじゃないでしょうか。これは私の私見ですから……。  そこでお尋ねしたいのですが、中央卸売市場における食肉の価格というものが、これは再生産を確保するような価格を出すということは計算上できないんじゃないか。というのは中間経費は幾らかかるかわからないのに、そこで生産物の安定とかあるいは生産費を確保するということができる筋合いのものではないのですね。ほかのものと違って……。生産費はどのくらいか、逆算していく生産費のものさしが不安定なんです。それでは生産地では基準価格があればこれはまだいいでしょう。中央卸売市場というところに持ってくるこの中間経費というものが非常に変わりやすい形のものを持っておるのですから、それから逆算できないのです。そういう意味でここから安定価格を見出すということ自体無理じゃないかと私は思います。じゃ逆に一つ聞いていきましょう。地方によって食肉がどうしてこんなに差があるんでしょう。これを検討されましたか。
  63. 森整治

    ○森(茂)政府委員 豚の消費は全体的に平均せずに、関東地方に片寄っておるのであります。関東地方の方が口に合っておるといいますか、全体的にいいましてそういう食習慣が強くついておるという状況であります。お話のように再生産を確保することを旨とするといっても、全国的につかんでまあその線だということできめていくので、現状では消費も関東地方に相当強く片寄っておる関係がございますので、必然的にいって庭先の生産費を比べましてもそう労賃が——僻遠の地では少しは違いますけれども、中間経費というのは遠くなれば遠くなるほど高くなるのですから、そこのところは、中央卸売市場で価格をきめるのは非常にむずかしいということであります。
  64. 川俣清音

    川俣委員 そうじゃないのですね。これは私もまだ十分な調査ではございませんけれども、遠くで、山形が高いのはどういうわけかと思って——山形でどこが一番荷いかというと酒田付近なんですね。これはあそこにハム工場があって割高になっておる。従って同じ山形でも海岸地帯の方と米沢の方ではだいぶ違うのです。そういう意味があるのですよ。従って中央卸売市場というのが中火の市場だというところにも問題があるのです。今まで豚肉などの市場というものは非常に合理化されていないと申しますか、まだ十分な組織化がされておらないという中にあるために中央卸売市場がすべての肉の価格形成の主体であると見るところにも、私は誤りがあるんじゃないかと思うのです。今後加工というものがかなり進んで参りまして、あるいは集荷市場が完備するための需給等がみずから価格牽制をするというような加工をしてくると、また変わってくるんじゃないか。そのときこういうへまなと申しますか、むしろ将来性をチェックするような標準価格をきめることは、時代に逆行することじゃないかとも思うのです。一方において加工業というものはどの程度進めていくのか、地方へ分散していくのか、そういう計画と見合った基準価格というものが肉の場合出てこなければならぬだろうと思われる。  それからもう一つは、大体統計調査資料を見ますと、これは依然として将来性のある成長農業としての調査ではないようです。これは実態調査ですから、副業でやっておれば副業なりの生産費調査ということになります。従来は確かに一頭、二頭飼って、副業でやっておるというように余剰労力でやっておる。しかし今日においては農村労働力不足がきておりまして、余剰労力で養豚をやるということでなしに、専業化させようというのがあなた方の基本法の考え方でしょう。一つ企業として養豚をやらせようとしている。企業として養豚をやらせる場合と、従来のような養豚でやった場合との生濫費が異なることは当然なことなんです。一体どっちをとるのかというと、あなた方の方は、従来の価格はこれこれだったから、七年間の平均価格がこれくらいだったから、この基測でいこう、こういうことでしょう。そうすると、農村が発展するのに七年過去にブレーキをかけて戻そうという結果になるのじゃないですか。過去の生産構造の中で生まれた価格、過去の農業構造の中で生まれた価格、こういうことになる。これから発展させようとするときに、発展すべき構造の中で価格を考えないで、過去五年なり十年、二十年、とればとるほど過去の生産構造の中の価格ということになるのではないか、それにただ物価指数をかけただけにすぎないのではないかと思う。生産構造が変わった、変わるであろうということが入っていない。価格というのは金額ばかり言うのではないですよ。そういう構造の中に入っていない価格というものは、これは今後の企業養豚にブレーキをかけるものだというふうに分解せぜるを得ないわけですが、この点いかがですか。
  65. 森整治

    ○森(茂)政府委員 お話通り、産地の加工処理につきましても、相当まとまって産地で出ているところに進出の傾向が見られております。これが非常に支配的になりますると、先生の言われる通り、価格安定措置をやる場合につきましても、また中央卸売市場で押えるか、あるいはそういう主産地の産地を基礎にしまして、その産地がある目標から下がらないのだということが、むしろこれが重点になってくると思います。私どもといたしましては、一言にしていえば、全くの自由経済の中では、全販連等あるいは地区連等がそれぞれ同志的に固まっていっておりまして、全体のウエートからいったら非常に小さい、こういう事態におきまして、何とか目標といいますか、定めていくには、現状の取引関係相当変えていくんだという意欲はありましても、現状を押えていく、現状をまず収拾するということからいいますると、現状の取引関係の数字を基礎にせざるを得ないということであります。そういうことでありましても、やはり産地側はいわゆる市場といいますか、全体的な相場を見て生産されてきたわけであります。その相場がある幅の中に安定をしてくるということになりますれば、幾ら下がってもここで保障されるという目安と、大体まん中はどのくらいだということで、今まで保障されなかった場合の価格と非常に違うわけであります。お話通り、現在相当加工が進んで参っております。精肉が大体推定するところでは六五%から七五%の程度、加工は三〇から三五%の程度でありまして、これは食生活の改善とともにもっと進んでいくのではないか、こういうことを考えます。そういうことになりますると、はたして今後の価格安定の手段、現状畜産物の価格安定の方法でいいかどうか、これは問題だと思います。  私どもといたしましては、もう一つ経営形態をどういうふうに持っていくか、これは相当大きな問題だと思います。家族労働といいますか、悪い言葉で言うと、余剰労力といいますか、そういうことで副業的に——ある程度生産もこれは専業になるべきだ、企業的になるべきだという考え方を今とっていいかどうかということも問題だと思います。そういう点等いろいろ、特に養豚等につきましては非常に問題であります。また牛に至っては、これはなかなか長い期間かかることでありますし、牛肉等は暴騰の一途を続けておりますけれども、生産がなかなか伴わないという関係もあります。今後農業政策として養豚なり牛なりどういう方法で持っていくか、これは牛などでも企業的にやれば相当コストが下がるということにはなりますけれども、今の農村の農産物を主とする関係において畜産について全般的に副業を簡単に否定はできないのではないか、そういう意味において総体的にいって、全部の農家経営の現金収入を都市並みに持っていこうという場合に、われわれは非常にむずかしい問題に逢着しているわけであります。将来の家畜増殖関係につきましても、十分試験場等でもこういう場合はこうでありますという一、二例はいろいろ研究されておりますけれども、非常に問題が多いということで確信のあるお答えができないのはまことに遺憾だと思います。
  66. 川俣清音

    川俣委員 それは確信が持てないだろうということを私は指摘している。というのは、一方で頭の中では、農業基本法でこれは企業化していかせる方向へ助成していくのだという方向を打ち出している。しかし今の価格形成はやはりそうではなくして、副業で成り立つような価格形成を考えておる。そっちの方が本体なのか、あるいは企業経営が成り立つような養豚を進めていくのか、企業経営で成り立つような養豚なら、それなりの価格形成が考えられなければならない。副業でやるならば副業でやるような価格形成が考えられるということだと思うのです。どのぐらいの差があるかよくわかりませんけれども、差は出てくるだろうと思います。そこで、今あなたの方で計算している安定価格というのは、副業的な養豚を主体にした価格形成ができているわけです。それならば、一方において農林省が宣伝をしておるような企業経営へ持っていくのだということとはそぐわないのではないか、むしろブレーキをかけることになるのではないか。それならそれでもいいですよ。大体農業基本法というのは、りっぱなことを言うけれども、あれは宣伝法で大した効果はないのだ、そう割り切れば別ですよ。割り切れないとすれば、今の副業である養豚価格、こういう価格を形成する、企業経営へ持っていくものについては価格形成では考えないのだということでは価格形成は成り立たない、企業経営は成り立たないということなんだから、やらないということでしょう。一体価格形成をどうするのか。過去のような副業でやってきたものでやるのか、今後新しくやらせようという意図で、少なくともそういう意図を含んで、全部含むことができるかできないかは別にして、そういう方向で価格形成をするのかということがきまらなければ、どんなに審議会の委員が言ったところで、一体どっちに頭を向けて価格形成をするのか、どっちですかということになると思うのです。分かれ逆なんです。そこで今の審議会の委員では無理じゃないかということを言うわけなんです。一体どっちの頭で価格形成を考えているのか。こっちだという人と、いや、こっちだという人と、だいぶん違うわけです。わずかな時間の傍聴ですけれども、とてもこれではむずかしいのじゃないか、こういう感じがしたわけですが、もう一度御答弁願いたい。
  67. 森整治

    ○森(茂)政府委員 現在の畜産物の価格をきめるには、やはり現状の生産関係を安定さすということでございますので、非常に例の少ない専業経営ということを——これは今後の指導法をどうやるかは別といたしましても、現状の多数の農民が生産しておる総体を見ますれば、平均二・九頭飼いという非常に規模の小さいものでございますので、またそういう点が一応安定するということが、現行法上、措置として、価格審議会でも現状を一応安定して、将来の問題といたしましては、やはり一番大きな問題は、需要と供給とを、生産団体等の御援助も得まして、できるだけ見通しを正確にしてバランスを合わしていくということだと思います。そういう点については非常にむずかしい問題があるわけでございます。われわれといたしましては、やはりずっと将来の専業経営のバランスがこうだということではなくして、現在の事態の農民の安定をはかっていくということでございます。そういう意味でまだ相当開きがあります。審議会でも、われわれとしては参考慮見を求められれば、やはり現状、少なくとも三十七年度の生産安定を収拾していくといいますか、安定していくということでありまして、三十七年度は、専業経営の非常にまれな例いろいろ特有な例を対象とするということではないわけであります。
  68. 川俣清音

    川俣委員 豚の価格が非常にむずかしいということは十分御承知でしょうけれども、養豚数も年々非常に差があり過ぎる、非常に変動があり過ぎる。もしも価格のきめ方が悪くて、養豚熱が下がって、豚の需要に応じられないという結果が出てきたならば、これは豚肉が非常な高騰をするであろうということになる。それでまた下げるとすれば、今度は養豚家が成り立たないということになってまた養豚家が減ってくる、上げればまた養豚家がふえてくるというような、非常に変動の激しいものであります。それだけにこの審議会であろうと国会であろうと、それは単に畜産局にまかせることでなしに、ほんとうに取り組んでいかなければ、むしろ農家を混乱させることになると思います。国民経済を混乱させることになるんじゃないか、責任まことに重いと私は思うのです。来年になってから豚が非常に高くなったらどうします。急にふやすというわけにはいかないことになる。そういうために価格形成について非常に問題があるということで逃げるのではなしに、これを解決していかなければならぬわけですけれども、法案自体も十分でない中で、期待するものが得られないのじゃないか。おそらく今の畜産界におきましては、養豚については政府の施策に満幅の信頼をおく者は一人もいないのじゃないかという感じがいたすわけであります。信頼がないところに計画生産は不可能である、こういうふうに思います。局長の責任まことに重大だということだけを申し上げて質問を終わりたいと思います。せっかく出された畜産振興のためあるいは畜産物安定のための法律を役立たせることに国会の責任はあると思います。ただ無条件で行政府に賛成したりして、農民から信頼を得られなくなったら意味をなさない、こういうように思いますから、慎重審議するからというので、別にあなたの方でそう悲観することはないと思う。むしろそのくらい熱があることが好ましいというような態度で一つ臨んでいただきたい、こう思いまして私の質問を終わります。
  69. 湯山勇

    ○湯山委員 資料の、要求ですが、審議会の方へ諮問された案ですね。ちょうど今この法律審議のまっ最中ですから、よければ当委員会へも配付願いたいと思いますが、どんなものでしょう。
  70. 森整治

    ○森(茂)政府委員 審議会の方へは値段なり案は諮問しておりません。審議会につきましては、いろいろ審議会が御意見を出されるのに参考になることで、いろいろな畜産関係資料とか、こういうように計算すればこうなるということで、政府側といたしましては何円々々、これをきめるのに意見いかんということで諮問しておりません。
  71. 湯山勇

    ○湯山委員 格間は金額でなくても、どういうことを尋ねておるかということはあるわけでしょう。諮問事項というのですか、現在こういうことについて意見を聞きたいという、その内容をこの委員会へ配付していただきたいということです。
  72. 森整治

    ○森(茂)政府委員 承知いたしました。
  73. 野原正勝

  74. 芳賀貢

    芳賀委員 問題を畜産物価格審議会の運営だけに限定してお尋ねしておきたいと思います。  実は、一昨日、畜産物の審議会か開かれまして農林大臣から諮問がなされたわけですが、昨日と本日は休んで明日の二十九日と三十日にかけて審議会をさらに続行することになっておるわけです。これに非常に関連のある点ですが、第一にお伺いしたい点は、先般農林大臣から審議会に出されました諮問の趣旨が審議会の中でもこれは不明であるということで、これについては明確な内容整理を行なって、何を諮問したかということを次の——明日になるわけですが、審議会にははっきりしてもらいたい、こういう要望が出ておるのですが、この点についてはその後局長が大臣と相談して諮問案の趣旨の内容については整理してはっきりするようにしたかどうか、その点はどうですか。
  75. 森整治

    ○森(茂)政府委員 諮問の書き方で非常に解釈しにくい問題が価格審議会で出たわけであります。私どもといたしましては、今後三十七年度の価格をきめるにあたりましてどういうふうにした算定方式がいいか、かつその算定方式をとる場合にどういう因子を一番留意したらいいかということにつきまして、一点から四点まで御諮問を申し上げておるわけであります。これには間違いございません。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 局長、この農林委員会は法律を作った委員会ですから、価格審議会等においては、私たち三名の国会の承認を得て出た委員は、法律の作成とか成立に当たっているが、あとの十九名の諸君は、法律がどういうような経緯で修正されて成立したか、あるいは法律内容が何であるかということを知らぬ委員もあるわけです。ただ農林大臣に任命されたから感激して出席しておるのもある。だからああいう勘所で法律内容とか運営を論議するのは当を得ないわけです。だから法律を作った本家親元で疑点があればただすべきことは当然だと思う。それで、今言われたことは、諮問案に問題があるといった点が全然是正されないで、あるままのことを局長言っておられるのですね。そうすると、結局今回の諮問は、三十六年度におけるたとえば原料乳の基準価格、あるいは三十六年度における指定食肉の上位価格、さらに指定乳製品の下位価格に対する諮問、それから三十七年度の原料乳並びに指定食肉、指定乳製品すべてのそれぞれの安定価格に対する価格の諮問というものは、行なってないということなんですか。
  77. 森整治

    ○森(茂)政府委員 諮問の一から四項まで諮問してありますので、それ全体につきまして、かつまた留意すべき年頃が出ますれば、これは結果的に価格ということになるわけであります。私どもとしましては、また算定方式が確立されておらないので、時にその点について意見を求めまして、かつそれが確立した場合に、各点についてどういう点を脅えればいいかということで御意見をいただければ、これを全部総合して結果的に価格が出てくる。こういう意味におきまして、価格それ自体というよりも、何円何銭ということ自身よりも、私どもといたしましては、算定方式とかいうものが確立しておりませんと、やはり今後農民の指標として生産関係を安定さしていくという意味におきまして非常に問題でございますので、特に御諮問をして価格を決定して参りたい、こういうわけでございまして、そういう意味におきまして、市に価格はどうであるかという求め方もありますが、特にそういう点を重要視いたしまして、ああいう諮問を申し上げたわけであります。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 諮問案が各委員の手元に配付になっておるので皆さんごらんになっていると思いますが、答弁によると、この諮問案の前文に書かれたごとく、算定方式について、しかも算定方式を作成する場合の留意すべき点だけについて、今回の審議会に大臣は諮問したということになるわけですか。算定方式そのものでなくて、算定方式を作成する場合のその部分的な留意すべき事項だけについて諮問したというようにこれは解釈ができる。川俣委員流に言えは、これは文法上からいっても非常に問題がある点だが、要は何を絡問するかという点だけが明らかになれば、あとは文体は整理すればいいと思う。
  79. 森整治

    ○森(茂)政府委員 諮問案の別記に盛られております通り、こういうことで算定してはどうか、また算定にあたりて留意すべきことはどうかということを1に盛られてあるわけであります。さらに3に飛び失して価格差の算定はどうするかということについて御意見を求めておるわけであります。従いまして、1と3がきまりますれば価格自体になるわけであります。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 はっきり言って下さいよ。価格に対しては意見を求めていない。算定方式たけについて意見を求めているということなんですね。答弁が簡単なのでどっちかわからないのですが、価格か算定方式か、そのいずれかです。
  81. 森整治

    ○森(茂)政府委員 別紙に書かれております1から4までそれ自身でございます。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 そうするとこの諮問の前文の下にある記については、これは全然諮問してないわけですね。記の(1)(2)については。
  83. 森整治

    ○森(茂)政府委員 別記の1から4までで総合いたしますれば、三十六、七年度におきます下記のすべての価格が決定されるわけでございます。そういう意味におきまして御諮問申し上げております具体的な内容といたしましては別記の1から4までございます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 こういう形の諮問のやり方があるのですか。国会関係にはずいぶん審議会がありますが、このような類似の諮問を発したものがあれば、この際すぐ参考に取り寄せてもらいたい。
  85. 森整治

    ○森(茂)政府委員 今までの食糧管理法あるいは大豆、なたねの臨時措置、それから繭、それぞれすべて算定方式について法律そのものあるいは施行令で、政令あるいは省令でほとんど算式がきまっております。畜産物につきましては初めてのことでございますし、今までそういう歴史的制度といいますか経過がないわけであります。臨時国会で御承認願うときも、算定方式をぜひ価格審議会で確立したいということで大方の御賛同を得たわけでございます。そこでまず第一に算定方式をきめていただく、特にまた価格決定にあたってあるいは算定方式をはじき出すあるいは計算して結論を求める場合の留意すべき事項につい、伺っておるわけであります。これはほかの委員会にはみなほとんど方式がきまっておりまして、そういうことはございません。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 これは委員長に申し上げますが、今局長の行なわれたような答弁で、私たちは、また同僚本名委員も、あすからまた審議会に出席しなければならぬ。ただ先日の審議会においても、一体農林大臣がこの畜産物価格安定法に基づいて何を諮問しているかということがだれもわからないのですよ。今度の審議会までにははっきりしてもらいたいということを言ったのですが、今の局長の答弁によると、畜産物価格安定法の第三条の第五項に基づく、「農林大臣は、安定価格を定めようとするときは、あらかじめ畜産物価格審議会の意見を聞かなければならない。」この第三条第五項の規定は、たとえば三十六年度あるいは三十七年度に法律に定められたそれぞれの品目のそれぞれの安定価格をきめる場合には畜産物価格審議会の意見を聞かなければならぬということになっているので、値段をきめようとすれば必ず価格についての意見を聞かなければならぬわけですが、今の局長の答弁は、価格については意見を求めていない。算定方式だけについて諮問案の別記の1、2、3、4だけについて意見を求めておることですからして、これは非常に今後重大な問題ですからして、この点だけについては、特に委員長から政府委員に対して、何を諮問したかということをこの際ただしておいてもらいたい。
  87. 野原正勝

    野原委員長 ただいま芳賀委員からの御意見でありますが、今般畜産物価格審議会に対する農林大臣の諮問は、ただいまきましたが、この諮問かはっきりとした価格を求めておるようにも受け取れますけれども、別記の面を見ますと、必ずしもそうではない。これは価格算定にあたっての留意すべき事項いかんというようなことになっておりますので、何を聞かんとするのか明確でない面があるようでございますから、これに対して政府ははっきりとこの諮問の意図するところが何であるかということを明確にしていただきたい。委員長から特にこれは政府の所見を求めることにしたいと思います。これはただいま答弁ができなければ、あとで大臣とよく相談されてからでもけっこうです。
  88. 森整治

    ○森(茂)政府委員 担当の主管局長としては、先ほど申し上げた通りでございます。諮問に書かれてありまする通り、安定価格を決定するにあたり留意すべき別記の事項について意見を聞いておるわけであります。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 それではその点が政府を代表して述べられたので、明日からの審議会は価格についての諮問は受けてない、算定方式だけに限って、しかも別記の1、2、3、4だけについて審議をして答えができれば答申をすればいい、そうなると、その次には法律に基づいてこの三十六年度の未決定の価格あるいは三十七年度に当然きめなければならぬそれぞれの法律上の品目に対する価格の諮問というものはいつごろやる予定であるか、予定がきまっておればその点を明確にしてもらいたいと思う。
  90. 森整治

    ○森(茂)政府委員 法律第三条の第五項におきまして、「農林大臣は、安定価格を定めようとするときは、あらかじめ畜産物価格審議会の意見を聞かなければならない。」ということでありますので、安定価格を決定するにあたって別記事項につきまして御意見を承りたい、こういうことであります。かつ畜産物価格審議会のやるべき職務が別条で規定されております。その条章に従って私どもとしては審議会の運営が行なわれるということであります。審議会の劈頭におきましても、価格審議会はどういうことで運営すべきかということでいろいろ御意見が出たのであります。そういう線に沿って処理して参るわけでございますが、価格院議会は価格審議会としての法律の条項に従って職務が書いてあります。そういう意味におきまして、価格審議会はその範囲内で仕事をやってもらう、こういうことになるわけであります。第七条以下価格安定に関する重要事項を調査審議し、かつ農林大臣に意見を述べるということになっておるわけであります。私どもといたしましては、第三条第五項の規定により安定価格を定めようとするのでありますから、今回の諮問をいたしたわけであります。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。委員長からの質問もあった通り、今回は価格ではない、算定方式だけについて別記1、2、3、4について諮問を行なうということをあなたは今言ったじゃないですか。それであればそれでいいですよ。そういう諮問であれば、それに対して審議会は答えればいいわけであって、私の聞いているのは、たとえば三十七年度の原料肉とか指定食肉とか指定乳製品の価格をきめないというならばいいですよ。きめないならば何も開く必要はないとも言える。必ずこれはきめなければならぬということになっている。きめる場合にはそれに先だって価格審議会の意見を聞きなさいということが法律の第三条第五項で明定した点なんです。だから今度の場合は算定方式だけの諮問であればそれでもいいんですよ。それは価格をきめる必要がある、きめる場合には審議会の意見を聞かなければならぬということになるのだから、一体いつごろ価格をきめようとしているか、その予定がつけばその前に審議会を開いて意見を聞かなければならぬからして、価格に対する意見を聞く審議会を一体いつごろ開く考えであるかという点ですね、それをここで予定を明らかにしてもらいたい。
  92. 森整治

    ○森(茂)政府委員 今回の諮問は第三条第五項そのものでございます。第三条第五項の「農林大臣は、安定価格を定めようとするときは、あらかじめ畜産物価格審議会の意見を聞かなければならない。」ということになっておりまして、決定するにあたって御意見を聞いておるわけであります。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 だから価格をきめるんですか、きめないのですか、三十七年度の畜産物については。
  94. 森整治

    ○森(茂)政府委員 ぜひきめたいと思っております。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 きめる場合にはその前に審議会を開いて意見を聞く必要があるでしょう。これは第五項に書いてあるのだから。必要があるとかないとかいうことは、これはあなたが答弁する必要はない、この法律に書いてあるのだから。だから価格をきめたければいつごろきめる前の審議会を開いて、そこで価格に対する意見を聞くか、予定がわかっておればはっきりしてもらいたい。
  96. 森整治

    ○森(茂)政府委員 先日二十六日に御諮問申し上げましたのは、第三条第五項の規定に従ってあらかじめ御意見を聞いたわけであります。審議会の安定価格は審議会の議を経なければならないという書き方ではございませんで、農林大臣は安定価格を定めようとするときはあらかじめ審議会の意見を聞かなければならない、そういうことで今度諮問の中にも安定価格を決定するにあたり留意すべき事項につきまして別記について聞いておるわけであります。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 だから算定方式できめたいならば意見を聞くならいいですよ。肝心の値段を聞く場合、議を経なければならぬとは書いてない。意見を聞けと書いてある。また意見を聞くのですが、価格をきめる場合に、これこれの価格にきめたいと思いますからどうでございますかという聞き方もあるし、価格をきめるについて審議会としての価格に対する具体的な意見を出してもらいたいという、そういう聞き方もあるわけです。それをやらぬというわけにはいかぬでしょう。やらぬできめるわけにいかないのだから、その審議会はいつ開くかということを聞いておるのです。
  98. 森整治

    ○森(茂)政府委員 現在 御諮問申し上げておることで、その委員会でお願いしておるわけであります。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは別記じゃなくて、記の方も聞くわけですか。諮問案の記の(1)は、「三十六年度における原料乳の安定基準価格。指定乳製品の安定下位価格ならびに指定乳製品たるれん乳および指定食肉の安定上位価格」(2)「昭和三十七年度における原料乳および指定食肉の安定基準価格。指定乳製品の安定下位価格ならびに指定乳製品および指定食肉の安定上位価格 昭和三十七年三月二十六日 農林大臣河野一郎」という、これを諮問するのですか。
  100. 森整治

    ○森(茂)政府委員 第三条第五項によりまして意見を聞かなければならないということになっておりますので、今度御諮問申し上げておるわけであります。その意味におきまして、いつ開くということじゃなくて、目下、日にちは延びておりますけれども、二十六日、それからあした、あさってということで意見をお聞きしておるわけであります。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 今開いている審議会は、別記の1、2、3、4の価格算定方式に対する意見を聞くために開いたということをあなたは繰り返して言っているからそれはいいですよ。ただその次に農林大臣河野一郎君が諮問案に述べておるその(1)と(2)の、価格に対する諮問はいつの審議会でこれはなさるわけですか。
  102. 森整治

    ○森(茂)政府委員 法律第三条第五項で安定価格それ自身ということを書いてあるわけじゃございません。農林大臣は安定価格を定めようとするときはあらかじめ意見を聞くということで、少なくとも三十七年度で、法律の条章に従っては四月一日にきめるのが普通であります。そういう意味におきまして、四月一日にきめようということで現在御諮問申し上げておるわけでございます。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、四月一日にきめる前に審議会の意見を聞きなさいということが法律の三条五項に示されておるから、その審議会はいつ開くのかということです。今開いているのは、あなたが言っておるところは別記の1、2、3、4しか諮問してないということです。それは算定方式だけに限定して今は諮問しておる。もう一度この第三条第五項に基づく、農林大臣河野一郎君がわれわれに配付したこの諮問の記の(1)と(2)を、一体いつこれは諮問するわけですか。
  104. 森整治

    ○森(茂)政府委員 諮問の(1)と(2)を定めようとするということで、今諮問しておるわけであります。特に下記について特別に御意見を求めておるわけであります。全部審議会の意見を求めておるわけであります。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは記の(1)と(2)を諮問したのですか。
  106. 森整治

    ○森(茂)政府委員 記の(1)と(2)を、具体的な価格を政府側で出しまして、そうして具体的に言いますと、具体的に何円なりということで諮問しておるわけではございませんで、安定価格を定めなければならぬので、今回下記の(1)(2)項を決定するにあたって御意見を求めておるわけであります。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 今言った通りですか。
  108. 森整治

    ○森(茂)政府委員 特別にほかにまた三十日と四月一日の間で……。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 今あなたの発言されたことに間違いがないかとただしているんですから、間違いがあるかないか言ってくれればいいんじゃないですか。
  110. 森整治

    ○森(茂)政府委員 ただいま御諮問申し上げておりまする諮問の内容は、安定価格を下記について、(1)と(2)を決定するにあたって留意すべき別記事項について御意見を求めているわけであります。従いまして総称的に言って、給論的には第三条第五項によって価格の御諮問を申し上げておることになっておるのではないか、そういうことをお答え申し上げておるのであります。もちろんこういう別記の点で、計算方式は抽象ばかりでなく、生産指数とかいろいろ参考資料を出しておりますが、それらの点も御審議の上御答申もいただけるということで、特に審議会の職務規定の第七条以下にもすべて条項があるわけであります。そういう意味におきまして特に下記について意見を求めておりますので、内容的には下記を決定するのに別記について意見を求めておりますので、結果的には第三条第五項の規定そのものということになる。いろいろ四角ばって御議論がありますけれども、第三条第五項の規定で今回御諮問申し上げておるわけであります。あらためて第三条第五項のことは三十日と四月一日の間の日にやるということではございません。そのものずばりであります。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたはふだんはものわかりもいいし、率直な人でありますけれども、どうしてもたもたした答弁をしなければならぬか。はっきりしてくれればいいんですよ。先ほど言った通り、今度の審議会は価格算定方式だけについて諮問をしたのだとすれば、この記の(1)と(2)というものは全部削ってしまって、そのかわりに別記なるものをここに当てはめればそれではっきりするわけです。そうであれば今度の審議会は算定方式だけに対する諮問であるから、価格をきめる場合には必ずその前に審議会の意見を聞けということになっておるから、その審議会は別に招集して諮問するかどうか、そこがわかればいいんですよ。
  112. 森整治

    ○森(茂)政府委員 前回の審議会も価格を具体的に諮問をいたさなかったわけであります。参考資料としては、こういう計算方法をとればこういうことだ——価格審議会の御答申をいただくのに、その事務局として私ども書記局になっておりますので、あらゆる、できるだけの資料を提供したわけであります。前回は、価格の決定について抽象的に価格の決定について審議会の意見を求む、こういう言葉でやったわけであります。今回は、算定方式も前回きまりませんので、これを具体的に書いて諮問をいたしたわけであります。もっと簡単にすれば、前回の諮問方法で、価格について意見を求むということで済むわけでございます。どういう方法でどういうふうにきめるかということを、初めての政府価格でございますし、全部固まっておらない点もありますので、特記して別記の点について御諮問申し上げておるわけでありまして、総称が第三条第五項の諮問でございます。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないんですよ。こういうつまらぬ議論をしたくないのですが、あなたがわからぬからやむを得ずこちらがおつき合いをしているんですよ。前回の最初に行なった審議会の諮問というものは、もちろん具体的に、豚肉についてはたとえば二百三十円という諮問は出してないですよ。いいですか。しかし価格について審議会の意見を求めるということが諮問の趣旨だった。昭和三十六年度の指定食肉の安定基準価格について意見を求む。だから審議会の答申は両様に分かれて、キロ当たり二百四十円の線と二百七十円以上でなければならぬという、こういう価格に対する答申が行なわれたことはあなたも御存じの通りです。だから答申の形としては、はっきり政府案というものを示さないで、食肉の価格は幾らにしたがいいか意見を求めるとか、そういう方法も前回と同様な形が一つあるわけです。もう一つは、政府としては一キロ二百三十円にしたいと思うが、委員会の意見を求める、これに対しては、それを中心に委員会が適当であるとか、適当でないとか、さらにこれを二百五十円にすべきであるというような答申が、政府案を中心としてなされる形と、二様あるわけですね。そのいずれかであれば、これは話はわかるが、今度の場合は価格についての意見を求めるということにはなっていないわけです。別記だけの算定方式を作る場合の留意すべき事項だけについて意見を求めるということになって、それだけが今度の諮問であるとするならば、別の機会に価格をきめることについての諮問をしなければなぬということは、当然法律上の義務として生まれてくるわけです。だから、今回は算定方式だけの審議会であれば、もう一度四月一日に価格を告示する前に、別の審議会をあらためて開いて、そこに三十七年度の価格に対する諮問を発するこういうことになるわけであります。それに間違いないでしょう。
  114. 森整治

    ○森(茂)政府委員 前回御諮問を申し上げますときには、「指定食肉の安定基準価格、指定食肉の安定上位価格及び指定乳製品の安定上位価格を決定することについて、畜産物価格審議会の意見を求める。」ということで諮問されたわけでございます。今回も、決定するにあたって別記の事項について特に御諮問申し上げておるわけでございまして、第三条第五項の規定によって御意見を求めておるわけであります。私どもといたしましては、いろいろ御意見の結果、具体的な価格の意見もこれに付して練るということもあるわけであります。そういうことで、今回の諮問が全然的はずれだったということでなく、第三条第五項の規定でお伺いしておるわけであります。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは自分でも納得できないでしょう、そういう答弁は、納得して答弁しているんですか。納得して答弁しているとすれば、ちょっと変質的ですよ。あなたは納得できないけれども、農林大臣の命令があるので、やむを得ず納得できがたい答弁をしているというのであれば、これは御同情申し上げるが、自分でこういうものを発案して、大臣の決裁を求めて、それで納得して答弁をしているとすれば、ちょっと変質殉じゃないかと思うんだが、健康診断の必要はないですか。
  116. 森整治

    ○森(茂)政府委員 こういう事項を御諮問申し上げますれば、第三条第五項の意見をあらためて聞いているのだということになるわけであります。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 そうはならぬですよ。建前はこの本文の(1)と(2)を諮問するということにして、前回のは腰だめ的な暫定価格であったのが、委員会の方針に基づいて、あわせて算定方式についても審議をして、付帯的に算定方式に対する意見も出してもらいたい、こういうことであれば、これは議論の余地はないし、はっきりするんだが、本文を否定して——これの問わんとしているのは記ですよ。別記なら、別記の下に農林大臣河野一郎と書けばいいが、それは誓いてない。河野一郎君は記の(1)と(2)に署名して諮問している。畜産局長は、それを無視して、別記の方に重点を置いておられるわけですね。そうであれば、大臣と局長と両方がら諮問が出たんですか。それであれば別記の下に昭和何年何月何日畜産局長森茂雄と書いておいてくれれば、それでも好意的にあわせてやってもいいということになります。
  118. 森整治

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、この前の諮問は「決定することについて、」云々の安定価格を決定することについて畜産物価格審議会の意見を求めるということでやったわけであります。今回は特に別記事項を掲げまして、これについてあらかじめ安定価格を定めなければならぬものですから、各項目にわたって御諮問申し上げたわけであります。1と3をかけますれば、価格それ自身になるわけです。1と3のきめ方で。そこであなたの言われるのは、イコール答え自分を諮問せずに、算定方式を諮問しておるということでございますけれども、第三条第五項をきめるにあたりまして、現在われわれとして一番困っておりますのは、算定方式自身であります。そこで1から4に分解して御諮問申し上げておるわけであります。かりに食肉の基準価格につきましても、1と3とを合わせまして、かっこの場合の留意事項につきましてお答えをいただければ、一プラス一は三という数字は官庁は出しません。一プラス一は二という答えを出します。従いまして、諮問について価格の構成を分析してまで諮問することは行き過ざる観はございますけれども、価格それ自身の諮問を申し上げるということじゃないでしょうか。私はそれでいいのじゃないか。現在の段階では、価格算定方式がきまりますれば、価格因子について不足な点等についてまた強調して御諮問申し上げる。価格算定方式がきまりますれば、その結果に従って生産指数はどうなるか、あるいは充実されなくとも、生産費の第一次、第二次、をどうするかという算定方式が出ますれば、それらの数字を抽象するのに、具体的な例を抽象するのに、どういう方策をとるかということ等も、審議会が進んで参りますれば、そういうことになるわけでございます。一プラス一は三だとかいうことはいたさない。算定方式がきまりますれば、それ自身価格になります。ただ価格をきめる問題を1とか3とか、それから指定乳製品は2とかいうことで、具体的にある程度諮問する場合に、こうしてはどうかということまで、よけいだといえばよけいということになりまするけれども、どうかということまで言ったのが蛇足ということならば別ですが、全体的に価格をきめるにあたってこれを具体的に言えば、指定食肉については1と3を合わせますれば、価格それ自身であります。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことは聞いていないですよ。いいですか、大臣から見ればこれは諮問ですが、審議会から見れば答申で、答えを出すわけです。答えというものは、たとえば価格ですよ、豚肉が三百円とか原料乳価が一升七十円とか、それが答えなんです。ただばく然と答えだけ出したのでは責任がないんですから、この答えはこういう算定方式を定めて、その算式に、たとえば基準年次に対しては過去何カ年を採用したとか、物価修正についてはこういうような方式を採用したとか、それらを当てはめた場合に、たとえば三百円とか七十円になりましたと、この経過を別表とか別記で、算定方式等やその内容説明として付する必要があるが、答えはそのままずばり豚肉の安定基準価格は一キロ三百円とか、原料乳の安定基準価格は一升について七十円とか、それだけ出せばいいですよ、答申の内容というものは。どうしてこういう答えができたかということは、審議会が答申を行なうものの責任においてこの答えが出た、算定方式はかくかくであります、この算定方式に当てはめた因子はかくかくのものでありますということが別紙とかあるいは別紙として付せられるという形が、いわゆる答申の形です。あなたの場合は、答えは算定方式だけでいいのだ、数字は要らぬ、そういうばかな価格に対する答申のやり方というものはないですよ。算定方式だけに限ってということであればそういう答えは出せるが、価格について答えを出せという場合に、算定方式だけをきめればいい、そういうことではいかぬでしょう。方程式だけあれば何でもわかるのだというふうにはならぬでしょう。その算式に何を当てはめるかということが大事じゃないですか。こんな別記の1、2、3をやってみたって、これで答えが出るのですか。
  120. 森整治

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、第三条の五によって諮問をいたしまして、そうして第三条の一項で価格をきめようというわけであります。特に現在問題になっておりますのは、具体的な価格は結論として当然でございまするけれども、初めての畜産界に関する政府価格でございます。そういう意味におきまして1から4まで非常に重要視しておりますので、価格決定をするにあたって特に意見を求めておるわけでございます。当然第三条第五項の諮問でございます。  お断わりしておきますが、われわれの行政庁といたしましては、特にそういう点を確立して参りませんと——これは初めてのことでございまして、異例でございまするけれども、確立していきませんと、ただ具体的な数字で答えるということでは、今後の審議会の運営上その場その場で何を因子にしてやるかということが非常に問題になるわけであります。私どもとしては、ぜひ算式といいますか、生産関係の安定等を考えますれば、それらの因子を明らかにして、そうして何がゆえに出たか。米価の決定の場合には法律あるいは施行規則でちゃんと因子が明確になっております。やはり価格決定にあたっても、行政庁としてはぜひ価格審議会の御意見を、算式の内容まで御諮問申し上げまして、具体的な価格の決定前の算式まで御答申をいただいて、そうして明るい価格決定をやりたい、こういうわけでございます。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 それはわかるのです。だから算定方式に対する諮問に応じないとはだれも言っていないのでしょう。それにももちろん応ずる。しかし価格に対する諮問というものは法律上当然あるべきだからして、その諮問をいつ発するかということを聞いておるのです。それは諮問しないならしないとあなた言ってみたらいい。
  122. 森整治

    ○森(茂)政府委員 1につきましても2につきましても、それから3等につきましても、すべて全部留意すべき事項いかん……。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 留意すべき記の(1)(2)を諮問するのかしないのかと言っている。
  124. 森整治

    ○森(茂)政府委員 記の(1)と(2)を決定するにあたりまして全部算式まで求めて諮問しておるわけであります。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 記の(1)と(2)も諮問しているのですか、これは。もちろん農林大臣は諮問しているのですよ。あなたは否定して、いや、別記の方だけだと強調しているからひまがかかるのです。あなたと農林大臣の意見が違うのであれば、これは委員長にお呼び願って、農林大臣の出席を求めて、農林大臣河野一郎君が諮問した記の(1)と(2)というものを私の方ではっきりしてもいいのです。そうしますか。
  126. 森整治

    ○森(茂)政府委員 くどく申し上げまするけれども、1から4までで留意すべき要項がきまりますれば——私どもも参考資料として十分資料を差し上げて、出しておるわけであります。従いまして第三条第五項のあらかじめ意見を聞かなければならないという規定の条章に従って諮問をしておるわけでありまして、一足す一は三だという答えまは……。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 記の(1)と(2)は諮問しているのかいないのか、あるいはするのかしないのかということをはっきりしなさいよ。
  128. 森整治

    ○森(茂)政府委員 今回の諮問は第三条第五項の規定に従って諮問はいたしましたが価格自身ずばりと諮問を申し上げておるのではなくて、別記1から4までに分けて諮問申し上げておるわけであります。従ってあらかじめ価格をきめようとするときの第五項による諮問であります。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 だからそれは準備段階でしょう。価格をきめようとする前の作業として、算定方式についても審議会の意見を聞きたい、その意見を尊重して、政府も、算定方式が固まればそれに基づいて価格に対する政府の案をまとめて審議会を開いて、そこで意見を聞くか、価格をすぐきめるということは弊害があるとすれば、さらに価格について審議会の意見を聞くという形でもう一回審議会を開く必要があるのでしょう。
  130. 森整治

    ○森(茂)政府委員 芳賀委員のおっしゃることは、何か算式として非常に抽象的な答えが出まして——そうして各因子を使う場合に、どんな因子でもとれるということではなくして、特に断わってございます留意すべき事項ということは、具体的にわれわれとしていろいろ期間のとり方あるいは生産指数をとるという抽象的なことでなくて、いかなるとり方をするかということをきめていただきますれば、価格総体に対するきめ方になるわけでありまして、せっかく御諮問申し上げまして、その計算方式が万般にわたるような御諮問を申し上げておるわけではないのであります。従いましてこの御諮問は、第三条第五項の諮問ずばりということになると私たちは考えております。だから価格審議会を別に開くということではなく、現在、第一日終わりましたが、第二日、場合によっては第三日もやろうというのは、第三条第五項に対する意見を求めておるわけでございます。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、畜産局長だけでは何時間やってもきりがないのですね。それで方法として、同じ農林省の中でも、たとえば食糧庁の方が、戦後十数年の間、米審を中心にして毎年米価、麦価等に対しての諮問をやって、経済的に見れば畜産局長より、従来扱っていて先輩ということにもなるわけです。ですから、初めてだから局長もわからぬ点もあると思いますが、他の省から呼んでくるとなると農林省の権威に関すると思いますが、身内であれば大したこともないと思いますから、この際食糧庁長官の出席を求め、こういう形の諮問なるものが天下に通用するかどうかということに対する意見をまず聞いてみたいと思うのです。そうして最終的には、これは諮問を行なわれた農林大臣にぜひ、夜分でもやむを得ませんが来ていただいて、一体何を諮問されたかということを、この法律を作った当農林委員会の中で明らかにしていただかぬと、今後私たちは、どなたがかわっても、国会の承認を得てかかる審議会に出席した場合、諮問の趣旨も審議会の目的もわからぬような場所に出ていって、国会の承認をいただいて出てきた委員でございますなんていって責任ある行動はとれませんから、ぜひこの際食糧庁長官の出席を求めたいと思います。
  132. 野原正勝

    野原委員長 ただいまの芳賀委員の食糧庁長官の出席を求めて意見を聞きたいということでございますが、本件については先ほども委員長から申し上げましたように、価格審議会に諮った諮問が何をさしておるのかというような点について、必ずしも明確でないという点を委員長といたしましても認めておるのでございまして、従って畜産局長は農林大臣や関係の諸君と十分に協議をされまして、そうして農林省としての統一した見解を一つ委員会にお示しをいただくようにお願いいたしたい。この問題は食糧庁長官等の意見を聞くこともけっこうですけれども、むしろ農林省の立場において、大臣と十分打ち合わせして見解を明らかにしていただきたい、その点を特に申し上げておきます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 野原正勝

    野原委員長 速記を始めて。  この際暫時休憩いたします。    午後四時三十九分休憩      ————◇—————    午後五時二分開議
  134. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  次会は明二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会。