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1962-03-20 第40回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 石田 宥全君 理事 片島  港君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邉 國男君       綱島 正興君    寺島隆太郎君       中山 榮一君    福永 一臣君       藤田 義光君    松浦 東介君       角屋堅次郎君    栗林 三郎君       東海林 稔君    西宮  弘君       芳賀  貢君    安井 吉典君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君  委員外出席者         文部事務官         (体育局学校給         食課長)    臼井 亨一君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      所  秀雄君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      森  整治君     ————————————— 三月二十日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として中澤  茂一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十六日  漁業法の一部を改正する法律案内閣提出第一  三二号)(予)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第九三号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 畜産物価格安定法につきまして若干御質問申し上げたいと思いますが、その前提として、現行の畜産物価格安定法に対する解釈が私どもの期待しておったものと、先般来豚肉等について決定されたもの、それを比較してみますと、どうも違っているじゃないかというような感じがいたしますので、その点からまず明らかにしてみたいと思います。  当初政府の方の案では、安定帯下位価格というのはありましたけれども安定基準価格というものはございませんでした。これは、臨時国会では政府案として出されましたけれども、その経緯から考えてみますと、委員会の方の意思をそんたくして、政府の方でそういう原案を出してこられたというのが経緯であるように記憶しております。そこで、最初にお尋ねいたしたい点は、この安定基準価格というものと安定下位価格というものとを一体どういうふうに区別しておられるか、これをまず伺いたいと思います。
  4. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定等に関する法律の御審議の際に、すべて本質的に安定価格は、原案といたしましては、お話のように、上位価格下位価格ということで表現されておったわけでございます。お話通り、第三条第四項の規定で、「安定価格は、生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、」という点以外に、「これらの再生産を確保することを旨とし、」ということで、原料乳指定食肉安定価格についてはそういう規定末尾についております。指定乳製品につきましては、上位価格下位価格というものをきめる場合に、末尾には、「これらの再生産を確保することを旨とし、」という言葉は、第三条第四項の規定ではついておりませんで、そういう意味におきまして、安定価格原料乳または指定食肉についてきめる場合は、おのずから考え方がその点において違うということでございます。こういう意味におきまして、先般暫定的に価格をきめた場合におきましても、そういう点がやはり論議されたわけでございますが、「これらの再生産を確保することを旨とし、」ということを算定する場合に、どういうふうに価格算定の場合に考慮するかということにつきましては、何らかの方法で因子として考えるべきだという皆さん方委員会における御意見がございましたが、結論として、算定方式にどういうふうに具体的に入れていくかという結論を得られないまま現在に至っておるわけであります。
  5. 湯山勇

    湯山委員 今局長の御答弁のように、指定乳製品については、これは安定下位価格しかないわけですけれども原料乳及び指定食肉については、その安定基準価格というのは「これらの再生産を確保することを旨とし、」という条件がついている。そうすれば当然、この畜産物価格安定法によって基準価格がきめられる場合には、法律にそう明記されておるわけですから、今の局長の御答弁のように、結論が得られないままに決定するということは、非常に極端な言葉ですけれども、そういうことをすれば、これは法律違反ということになるのじゃないでしょうか。
  6. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 先ほど、結論が得られないままにということを申し上げましたのは、別途この法律で設けられておりまする畜産物価格審議会委員の方々の問に諮問に対する答申の場合に再検討する、さらに検討を続けていくという意味で申し上げたのでございまして、われわれ政府事務当局といたしましては、本来、この法律趣旨に基づきまして、畜産物価格変動著しい、そうして、ある周期を追いましてえらく下落したり、あるいはえらく高騰いたしまして、畜産物価格生産の安定という意味におきまして不適当だということで本法律制定されておるわけであります。そういうことでありますので、安定価格のどこの線につきまして、まず基準としての線をねらって再生産を確保することを旨とするという条項を算定するかということで、委員会審議では検討を続けようということになったわけであります。私どもといたしましては、本法成立事務的作業といたしまして、過去の二周期市場価格を一といたしまして、そうして変動係数のふれを三分の二以上に縮めていくという事務的作業をやりまして、豚につきましては、変動係数は一六%ということになったものでございますので、一に対して上下一六%、上の方の点につきましてはまだ価格決定に至っておりませんが、一六%というもののふれに縮めていく、こういうことで作業いたしまして、さらに再生産を確保するという点におきまして、一六%の下の線あるいは中心価格について検討を加えまして、再生産を確保するという因子を参酌したわけであります。その意味におきまして、ただ過去の二周期なら二周期変動状況の一に対して、そのもとに対して、一六以外に、安定価格基準価格決定する場合に、プラスアルファを加えまして二百四十五円という告示をいたしたわけであります。
  7. 湯山勇

    湯山委員 今局長の方から御答弁のありまました変動指数その他につきましては、これは当然審議会議論になることと思いますから、時間の関係もございますので、そういう点についてはきょうは触れないことにいたしまして、法律条文をごくすなおに読んで、たとえば今の二百四十五円というものがこの条文に一体すなおに合致しているかどうか、こういう点についてお尋ねして参りたいと思います。そこで、当然だと思いますけれども基準価格とそれから安定下位価格、これでは相当価格に開きがあるというのがまず常識ではないかと思いますが、これはどうなんでしょうか。
  8. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 第三条の第四項によりますと、安定価格をきめる場合に、原料乳指定食肉については、「これらの再生産を確保することを旨とし、」という言葉が、経済事情生産条件需給事情を考慮しという言葉のほかについております。従いまして、先ほど申し上げました通り、普通の生産条件需給事情その他の経済事情を考慮してだけ定める指定乳製品安定価格とはおのずからその点で性質が違うと思っております。
  9. 湯山勇

    湯山委員 それで、政府としては、枝肉について二百四十五円というのを今議論対象にいたしますが、この二百四十五円で法律精神は生かされておる、こういうふうにお考えなんでしょうか。これは暫定的なものであって、法律にきめられた、今局長の御答弁にありました原料乳及び指定食肉安定基準価格、その趣旨に合致した価格であるというふうに考えておられるのでしょうか。
  10. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては、価格審議会算定方式結論が出ませんでも、本法制定の意義にかんがみまして、かつ条文を忠実に執行するのが行政官庁の役目でございますので、今回きめました二百四十五円につきましては、「これらの再生産を確保することを旨とし、」という関係につきましては、先ほど申し上げた通り重大な因子として考慮いたしたわけでございます。
  11. 湯山勇

    湯山委員 そこで、政府の方からいただいた畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案参考資料を見ていただきますと、その中の一二ページに肉豚生産費というのが出ております。それによって今の質問をさらに具体的にして参りたいと思いますが、それで見て参りますと、第一次生産費と第二次生産費、こういう二つの集計の場所がございます。政府のお考えでは、一体どちらを安定基準価格とお考えになっておられるのでしょうか。あるいは端的にそれそのものがずばりそうではないにしても、大体こういう考えだというものがおありになると思いますので、それをお伺いいたしたいと思います。
  12. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 また価格審議会審議の際のことを申し上げまして、本問題につきましての御意見なり御質問参考にいたしたいと思いますが、安定価格をきめる場合にどういう算定方式をとるかということでございます。私どもといたしましては、生産費生産条件として一つ意味のあることでございますが、調査対象農家が六十六戸ということでございますし、本法立法趣旨等にもかんがみまして、六カ年の周期におきまして二周期で豚の価格変動しておる、こういう観点からその変動の範囲を縮めていくということが基本的な本法律案のときの基礎になったわけであります。そのほかに「再生産を確保することを旨とし、」ということがモディファイされて、先ほど申し上げている通り法律条文になったわけであります。その各構成メンバーのうちから、生産費所得方式をとるべしとか、あるいは生産価格変動を考慮して、あるいは消費伸び等生産消費拡大需要増大等も考慮してということで、私ども算定方式等についての賛同をされたこともあるわけでございます。従いまして、政府が今回二百四十五円と決定いたしましたのは、過去の変動平均指数を一といたしますと、その上下の幅の変動係数一六%の下値安定基準価格というものの基礎になりまして、それに再生産を確保するということを考えまして、それよりもプラスアルファの上というふうに、私ども算定方式検討をさらに続けるということでありますので、そういう算定をいたしたわけであります。従いましてただ一カ年におきます、かつ消費価格としては最高の三十五年のこの生産費につきましては、十分各因子内容につきましては検討いたしましたが、これ自身そのままということで、価格決定等につきましては考慮したわけではなかったのであります。
  13. 湯山勇

    湯山委員 「再生産を確保することを旨とし、」というのは、今の局長の御答弁では、それに対してモディファイされたというような御答弁でございますし、一応検査されたものにプラスアルファの形で再生産を確保することを旨としという、そういう精神を加えていった。つまりこの条文のこの部分は、プラスアルファであるというようなことでございましたけれども、実は「再生産を確保することを旨とし、」というのは、そういう程度のものではなくて、プラスされる要素ではなくして、むしろこの基準価格決定していくための基本的な条件である。常にそういうことがその前提条件として満たされていかなければならない、こういう意味でこれは「確保することを旨とし、」という表現になっておる、こう解釈するが私は常識であると思います。そうして、そういう前提に立てば、この農林省の方でお示しいただいた肉豚生産費、これはやはり再生産を確保するということから言えば、生産費を無視してこれと全然別個の立場で、再生産を確保する、そういう前提に立った価格決定はできないというのが私は常識だと思います。ただ技術的ないろいろな問題はあるにしても、そういう技術的な問題で根本精神を振りかえるということは許されないことだと思いますけれども、そういう点についてはいかがでしょうか。
  14. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 第三条の第四項に関する問題でございますが、やはり価格審議会等論議等考えます、かつ政府側修正前の考え方にさらに「これらの再生産を確保することを旨とし、」という修正後の因子考えます、そういう場合におきまして、安定価格全体について、言いかえますれば、ある幅を縮めていくという場合に、安定基準価格上位価格中心価格についてまず「再生産を確保することを旨とし、」といっているのかどうか、またそうすべきであるかどうか。下の方の安定基準価格についてそうすることが適当であるかどうかということについて、特に審議会等経緯につきましては、まん中中心価格等について、かつ幅をできるだけ縮めていくということについて、大方の御意見がそこへ集中されたように思うわけであります。従いまして、「安定価格は、」云々と書いてありますこと、かつ価格安定の事業団下値を支えるかつ消費関係において上値を押えるという根本的な意味合いあるいはこれを縮めていくという根本的な考え方、そこへ「再生産を確保することを旨とし、」ということになりますると、大体の今までの論議の、別途特別の審議会におきまする論議の再生産を確保することを旨とするという点につきましては、まん中中心価格論議が集中されたような感じがいたすわけであります。私どもといたしましては、さらに価格審議会も開かれることでございますので、十分御意見を拝聴して、法の趣旨に沿って安定価格決定して参りたいと存ずるわけであります。
  15. 湯山勇

    湯山委員 今の局長の御答弁は、非常に重大であると思います。と申しますのは、修正によって「再生産を確保することを旨とし、」ということが付加された、そういう国会審議の過程というものはできた法案の軽重を示すものではないと思います。今の御答弁ではそういういきさつもあって結局修正後の因子考えていく、こういうことでございますけれども、そうではなくて修正して成立した法律は、修正後の因子、前の因子、そういう区別はあってはならないと思うのです。そういうふうに考えていけば、今言われたような考え方はむしろ審議会自体がもしそういう考え方をしておるとすればそれは間違っておるのであって、そういう前提に立っての御答弁は、ここでの答弁にはならないと思うのです。ここでの御答弁はそうではなくて、その法律に直接出ておる法律、それによって忠実に御答弁をいただかなければ、審議会が間違っておる場合だってあると思いますから、そういう審議会のことは一応離れた立場で、私の先ほどお尋ねしたことについてもう一度御答弁を願いたいと思うわけです。
  16. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 第三条の第四項の解釈の点でございますが、「安定価格は、原料乳又は指定食肉については、これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」ということで規定されております。従いまして安定価格決定するにあたりまして、安定基準価格及び安定上位価格等につきましては、これらの因子を十分参酌して、私どもとしては法に忠実にこれを執行して参ろうということでございまして、生産費を無視したりあるいは経済条件を無視したり、生産費というのは生産条件一つでございますので、それらを無視したりということは絶対にいたさない考えでございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 今の局長の御答弁通りだとすれば、今きまっておるのは肉豚だけですから、それについてお尋ねいたしますと、肉豚生産費、こういう計数ですね、これが当然考慮されてないというはずはないはずだと思います。そこでかりに今の二百四十五円というものは考慮されてないとしても、当然原料乳及び指定食肉の中に安定基準価格についてはどういう要素が入らなければならない、これはお考えにならなければならないし、農林省としては、こういう法案ができた以上、あるいは提案された以上はそれがきまっていなければならないと思います。ことに「再生産を確保する」というような言葉は今度初めて使った言葉じゃなくて、従来そういう表現によっていろいろな価格決定されておるものがあるわけです。そうすればそれらのいずれの場合にも、生産費というものはそれぞれの要素に分けて非常に重要な要素を占めておるわけですから、そうすると、このお示しをいただいた生産費資料、それと今どういうふうにきめていこうという方針、その相互の間につながりがなければならないと思うわけです。その点は一体どうお考えなんでしょうか。
  18. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 先ほど申し上げました二周期変動しておりますが、過去における各月別、年別枝肉価格平均したものを一といたしまして、この生産費調査等に現われました労働費あるいは材料費飼料費建物費素畜費等因子を各費目ウエートで分解いたしまして、そうして生産費指数という数字を出しまして、そうして一をさらに修正して、約一〇%その一を上げまして、そうしてまずあるべき一というものを求めて上下、下に十六開いたのが二百四十五円、こういう意味生産条件を十分考える、そういう点におきまして生産費の各費目の中へ過去六、七カ年における平均の各因子物価指数の変わっておる点をさらに加えて、あるべき一という関係を考慮した、こういう意味におきまして私どもといたしましては再生産を確保して参りたい、それでこういう因子を入れておるわけでございます。  特にお断わりしておきますのは、安定価格生産費基礎としてきめろという規定ではございませんで、生産状況需給状況その他経済事情を考慮して再生産を確保するということで、その幅の中に埋めていくということで強制収買してやっていくという制度とはいささか趣を異にするわけであります。現在米穀の最高販売価格決定の場合も、再生産を確保することを旨としということで、意味合いは同じでございますけれども、この制度は上と下の幅を縮めていくということで、価格を安定していくということで、強制収買なりの制度といささかその点は趣を異にしておりますけれども、先ほどからも申しております通り生産条件あるいは再生産を確保するということにつきましては、規定がある以上、当然考慮することとなるわけでございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 これは非常に基礎的な重要な問題だと思いますから、なおお尋ねいたしたいと思います。一つは今の算定の形式についてはこれは議論の外ですけれども、問題がありますのは、年別枝肉価格を一定とする、そのものというのは、自然に形成された価格であって、それを一とするという、そういう考え方にも一つ問題があると思います、過去の実績の上に立ってそれを修正していくのではなくて、こういう価格安定法が作られて、しかも再生産を確保するという条件がつけられた以上は、やはり何といっても、理論的に形式的にどういうふうに整っておっても、再生産を確保させなければこれはどうにもならないわけです。そうすると、こういう指数で計算したのだから、かりにそれが再生産をするものにならなくてもいたし方がないのだというように、今の局長の御答弁では裏返せばとれる場合もあると思います。幾つかの、何百かの例を重ねていった中には、そういうものも出てくるかもしれません。しかしそうじゃなくて、この法律趣旨というものは、どういうふうになるにしても、とにかく再生産を確保することを旨とするのだ、もちろんおっしゃったように、価格の安定をはかるということが趣旨であって、強制買い上げということが趣旨ではない、これはその通りかもしれません。しかし基準価格に満たないものについては、そして買い上げる分については、少なくともその限度においては同じな状態になるわけですから、その買い上げ価格がどういう理論があるにしても、どういう算定方式があるにしても、とにかく再生産を確保することのできない価格ということは許されないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  20. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 生産費の面から見ますると、分析した場合に、やはり一番問題になるのは、子豚購入価格でございます。生産費関係から、この三十五年の生産費あるいは現在の生産状況から考えますと、農業本法制定後におきまして、またこの法律制定経過等から見まして、意味合いといたしましては、だんだんと生産経営なりが安定した、また一つ経営資料が示された場合におきまして、今後の行くべき法の精神に従って、かつわれわれ農業基本法の実質的な意味達成等から考えますれば、素畜費ということについて重大なる関心があるわけであります。素畜費は今度また繁殖豚生産農民収益のもとになるわけでありますので、肥育豚あるいは繁殖豚の両経営におきましても、これは両立といいますか、両方とも十分な収益を上げていかなければならぬ、こういう意味におきましても、素畜費がいかにあるべきかということは、繁殖豚経営の場合におきまして完全に収益が出てきますれば、農業基本法精神にのっとりまして、その一労働報酬都市労賃並みに持っていく、こういう考え方をいたすわけであります。そういう意味におきまして、素畜費というものを繁殖豚あるいはこれから生産される子豚を購入して肥育する肥育豚農民両側についても安定していって、そして再生産が継続して行なわれて、肉の需要にこたえていく、かつ農民も手取りが十分である、こういうふうに持っていくのが農業基本法と合わせての考え方でございます。こういう意味におきまして、各生産因子、特に子豚生産費等については重大な関心を持って、われわれは今後養豚経営あるいは乳牛の場合におきましてもそういう点を考慮して参りたいと存ずるわけであります。
  21. 湯山勇

    湯山委員 子豚についての御意見は確かにその通りだと思います。私が今問題にしておるのは、その問題が中心の問題ではなくて、現実に事業団が買い上げるその枝肉についてだけ問題にして議論をして参りたいと思うわけです。そうしないと、今のように焦点がぼやけて参りますと法律趣旨がぼやけてくると思いますから……。今申しましたように、どういう算定方式をとられようが、あるいはどういう要素をその中に盛り込んでこようが、ともかくも安定基準価格で買い上げられるその価格というものは、再生産を確保するという条件を欠いてはならない、こういう原則はくずしてはならないと思いますけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
  22. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 そういう再生産を確保するという原則は、あくまでも堅持していくという考え方でございます。
  23. 湯山勇

    湯山委員 今局長がおっしゃったように、過去の枝肉年別価格平均したものを、一つはそれにいろいろな補正をしてきめていく、そういう行き方でいって、再生産を確保することができないような基準価格がそこに出た場合は、そういう価格は採用しないで、再生産を確保するものに訂正する、そういうことをなさるわけですか。
  24. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 再生産を確保するということについては、もちろんわれわれとして先ほど申し上げておる通りでございますが、この法律制定当時あるいは現在におきまする養豚あるいいは乳製品等の生産に関しましては、長くかつ安定した事業として発展させていくという観点からであります。たまたま三十五年に具現した生産費は一時的現象でございまして、はなはだししく子豚が暴騰して生産が行なわれた年度でございます。そういう意味におきまして私どもは、長期に安定していく、そうして需要関係も見計らって、経済現象を円満にといいますか、相関関係が安定して発展していく、こういう意味におきまして一時々々の暴騰係数等をそのままとるということは、全体のバランスの上から適当でない、こういうふうに考えております。従いまして長期にわたってどうかといいますと、先ほどそこの方へ脱線しては相ならぬとおっしゃいましたが、繁殖豚生産費子豚生産費子豚の販売価格がそれで安定していき、あるいはその子豚の目標価格というか、指導価格というものが形成され、算定されるならば、それを基礎にして、肥育豚農民がなるべくふれがなしに一定の収益を得ていかれる、こういうことを考ええておるのでございまして、再生産を確保するという点につきましては、私どもは先生と同じように十分安定した生産需要等も見計らって、ふれのない、暴落のない安定というものを考えているわけであります。
  25. 湯山勇

    湯山委員 やはりよくわからぬ。あなたたちが長期にわたって安定させていくというそのお考えはわからないことはありまんが、これは単にこの法律の運用あるいはもっと限定して言えば事業団の買い上げ、そういうところだけで長く安定させていくのではないと思うのです。むしろ事業団が買い上げるという緊急措置をとるのは、当面の価格をどうするかということが焦点であって、局長が言われるように、長い見通しのもとに立って、あるいは経済事情とかあるいは需給事情とか、それから変動を少なくしていく、そういうことをこの買い上げだけでやっていこうとするのだとすれば、それは誤りだと思います。そこで、私が今申し上げているのは、特にその中の緊急措置としての買い上げの問題だけを議論して参りたい、そういう意味でございますから、その点はやはりもう一度念を押すようですけれども議論をそこにしぼって御答弁いただきたいと思うわけです。  そこでどうしても今の御答弁のように、それはどの時点でどうとっても、どの地域でどうとっても、とにかく再生産を確保する、それを保障するのだ、この基準価格というものは再生産は確保する、このことについては絶対にそれに欠けることのないようにするのだという確約、これが得られるかどうか、これをもう一度伺いたいと思います。
  26. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 安定価格をきめる場合におきまして、基準価格はもちろんでございますが、安定価格全体として、われわれといたしましては、再生産を確保すると法定されております通り、そういう点をねらって、あるどこのラインが再生産を確保することを一番先に考えるのか、それから経済あるいは需給事情変動を、それを起点として求めるか。普通の生産費基礎にして価格をきめるという場合といささか趣を異にして、法定の書き方が先ほどから申し上げております通りでございますので、その趣旨に沿って忠実に価格をきめて参りたいと存じます。
  27. 湯山勇

    湯山委員 安定基準価格の場合、今おっしゃったように生産条件需給事情というようなこともあります。あるいはその他の経済事情というばく然たる要素も入っているわけです。しかし、それらを考慮していく中で欠くことのできないものは、「再生産を確保することを旨とし、」ということがそのベースがなければならない、こういうことを考えますので、少なくとも安定下位価格上位価格についての局長の御答弁、それはあるいは納得できるかもしれません。しかし基準価格の場合はいついかなる場合といえども生産を確保するという法の原則は割ってはならない、これが法律趣旨だと思うし、国会で修正されたいきさつもそうだし、それから農林省の方であとからそれを政府提案として出されたのも、そこに趣旨がなければならないと思いますが、その点はどうでしょうか。違えば違う、そうならそうと簡明にお答え願いたいと思うのです。
  28. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 だんだんと生産費調査も具体的となり、かつ持っていくべきといいますか、あるいは平均といいますか、どこの点を、まず生産費を参酌する場合についても、見るべきかという点もいろいろ論議される問題だと思います。かつそれぞれ年度によりまして、現在までの自由経済におきます関係等からすこぶる不安定な因子が特に子豚価格であったわけであります。そういう意味におきまして、各因子の取り方として子豚生産費というものを重視するということを先ほど申し上げましたが、これはやはり再生産を確保することを旨とするという意味から、かりに生産費主義をとった場合におきましても、積み上げ作業として素畜費というものが重大な因子である、特にふれの多い因子であるということを申し上げたわけであります。さて安定基準価格については、「安定価格は、……再生産を確保することを旨とし、」と書いてあります通り、それはもちろんそういう点で考えられるわけでありますが、先ほど具体的に申し上げました通り中心価格について——中心といいますと基準価格上位価格まん中でございますが、中心価格についてまずその点を考えて、そうしてだんだん上下幅を小さくして、現在までのわれわれの関係といたしましては、従来の幅を三分の二の幅に縮めて、一六%という数字が出たわけであります。毎年々々そういう決定された因子を考慮していきますと、しまいには一本価格になってしまう、基準価格といいますか、上位価格というものが一本にくっついてしまう、だんだんにふれの因子の小さいものが入っていくから。そういう意味におきまして、中心価格を全体的にいって「再生産を確保することを旨とし、」という考え方もあるということを申し上げたわけでございまして、われわれも十分こういう点は検討いたしまして、算定方式を確立して、かつ農家の養豚手法を安定さすということを十分考えていきたいと存じます。
  29. 湯山勇

    湯山委員 まだわからないんですが、今の御答弁中心価格というような言葉が、一つ法律にない言葉が出てきておるわけです。安定下位価格上位価格、それと安定基準価格法律ではこの三つの価格が示されております。安定基準価格というのは、特に事業団が直接買い入れをする、そういう場合に「再生産を確保することを旨とし、」というのがついた意味は、これは安定下位価格ではないんだ、上位価格でももちろんない。農家の生産を守っていく、そういう趣旨を取り入れてこういうものがきめられたので、従来なかった。安定下位価格じゃ不満足だ、不十分だというのできめられたわけですから、安定基準価格は今私が聞いておりますと、局長のいう中心価格こういうものに近いものではないかという感じがするわけです。しかしこれは抽象的な議論ではどうにもならないと思いますから、二百四十五円なら二百四十五円、あるいは大阪の二百二十円なら二百二十円、こういうものをきめる場合に、生産費は幾らである、今の資料でいただいておるこういう形の積み上げ方式による生産費は幾らであるということがわかっていなければ、これが再生産を確保する価格なのかどうなのかという判定は、式が幾らよくできていても判定がつかないと思うのです。そこで、今度の豚肉の基準価格決定生産費というのは、一体どういうことになっておるのでしょうか。
  30. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 今回の豚肉の価格決定に際しましては、生産費指数というものを因子に入れまして、先ほど申し上げました通り中心価格というものを上値に修正いたしまして決定いたしたわけでございます。生産費がどうなっておるか、こういう点につきましては、十分生産費の各項目の条件につきまして、物価等この生産費の各項目の経費が上がっておるという因子は十分参酌したわけでございます。
  31. 湯山勇

    湯山委員 私は具体的にお尋ねしたいと思うんです。今度の二百四十五円決定生産費は一体幾らか、金額で一つ。たとえば資料にありますように生体百キロ当り幾ら、第一次生産費が幾らになって、第二次生産費が幾ら、あるいは普通九十キロぐらいですから、九十キロの肉豚ではこれくらいになっているわけですと、そういう具体的なものをお持ちでしたらお示し願いたいと思うんです。それがなければ二百四十五円が生産費を保障しておるかどうかという判断ができないと思いますから。
  32. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お尋ねの点は、今度の価格決定は、生産費それ自体を基礎にして、生産費を幾らに見たか、こういう点でございますが、そういう趣旨では、三十五年の素畜がえらく暴騰した一時的な、六十六戸程度の生産費調査がございますが、そのものずばりを算定したわけではございません。従いまして二百四十五円の生産費について、生産費の点から見ればどうなるかということは申し上げられますけれども、二百四十五円について素豚が幾らで、飼料代が幾らで、そして積み上げ作業をしたかという点でございますが、そういうことになりますと、法の規定ではそういうことになっておりませんし、価格審議会等におきましてもまだ結論を得ておられませんので、そういう意味でお答えを申し上げかねるわけであります。
  33. 湯山勇

    湯山委員 非常に重大な御答弁が重なりますので、私も実は戸惑っているくらいです。再生産を確保するという場合に、この価格生産費が補償できるものかどうかという見当がなければ、再生産が確保できるかどうかということの判断がつかないと思うのです。それを、そういう作業をしないで、局長が言われたように再生産は確保するのだ、そういう精神でやるのだとおっしゃっても、これは全く実体のないものになるのではないでしょうか。しかも生産費というのはこういうふうに計算してこういうふうに出るのだという、これを農林省が知らないし、われわれが別な方式を採用しておるなら別ですけれども農林省でもちゃんと生産費というのはこういうふうにして出すのだ、第一次生産費はこうであって、第二次生産費はこうだというちゃんと農林省としての考え方は明らかになっております。そうすれば今度の二百四十五円というものが、こういう計算である場合にどうなっているのだというものがなくて、一体再生産を確保することができる、できない、こういう判断はどこでされるのでしょうか。それはたとえば今おっしゃったような抽象的な統計学的な正確さはあるかもしれませんけれども、それでは農民は一向わかりません。私どもがこの法律審議する過程でも、やはり再生産を確保するというのは、従来米麦等についてもとられておったような、ともかくも、これで幾ら要る、これに幾ら要る、そういうものを積み重ねられたもの、それは保障される。子豚の値段にしても、えさにしてもあるいは労賃にしても、それらのものが保障されなければもういやになって豚を飼うのはやめるわけですから、そういうことにならないようにはするのだという、そういう条件がここで法律で保障されている。そこでみな一応安心しておったわけです。ところが出てきたものはどうかというと、プラスアルファをしたのだということですけれども、なぜプラスアルファをしたかも一向明確でない。それではプラスアルファをすれば再生産が確保できる、生産費は少なくともこういうふうに補償できる、そういう資料も持たないで、ただそうするつもりだ、それはしなければならない、これだけでは私は全く法の精神を無視したやり方じゃないか、こう思いますので、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  34. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 「再生産を確保することを旨とし、」ということを安定下位価格算定の場合にどういう方法で取り入れていくかということが問題であるわけでございます。湯山委員のおっしゃいますのは、三十五年で六十六戸の豚の生産費があるから、これを各因子にいろいろ検討して、そうしてそのものずばりを見るということは別ですけれども、それがどういうふうに二百四十五円に関連しておるかという御質問でございますが、私どもの「再生産を確保することを旨とし、」ということで、二百四十五円を決定した因子といたしましては、過去の三十年一月から三十六年の十二月まで平均価格を出しまして、それを一とした場合に、その一について生産費各項目の最近の——最近といいますと、決定当時は三十六年の十、十一、十二月ですか、過去においてその因子の物価が上がっておりますので、そういう生産費の各項目について検討した結果、一が約一一〇という指数になりましたので、一を約一一〇に修正いたしまして、算出の方式といたしましては、いいかげんにきめたのではなくて、そういう方式で価格算出の方式についてはさらに検討しょうという中途の過程でございましたので、われわれといたしましてはそういう生産費指数をとって一を約一一〇、だから約一〇%ですね。約一〇%上値に取り上げまして、そうして変動を、過去の三分の二にしていくということで変動係数一六をとって安定価格決定したわけであります。そういう意味におきまして、上がった生産費因子というものを取り入れて再生産を確保することをやっていこう、こういうわけであります。ちなみに、お話通り素畜等では子豚一頭当たり平均五千六百円ですか、そういうことになりますが、子豚生産費等考える場合には、やはり繁殖豚業者も肥育豚業者も安定したことで考えていくべきではないか。そういう意味におきまして、生産費調査も各規模別に普遍的に完成していくならば、だんだんと整理された算定が出てくるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  35. 湯山勇

    湯山委員 それじゃ角度を変えてお尋ねいたしますけれども、かりに二百四十五円で買い上げられて、それを売った農家はどうなんですか。今の状態ではもうけているのですか、損しているのですか。
  36. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 子豚を著しく高く買った状況、たとえば六十六戸の平均等を見ますれば五千六百円になるわけであります。そういう経営関係では二百四十五円では利得というものは得られない、これは考えられるわけであります。
  37. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、実際は二百四十五円では損をしているところもある、こういうことは言えるわけですか。
  38. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私ども各実態について検討しまして、子豚の値段を相当に高く買っておるという場合においては二百四十五円では引き合わないと思います。
  39. 湯山勇

    湯山委員 そこで、この問題についてはこの程度で終わろうと思いますけれども、今までの局長の御答弁を総合して参りますと、今の安定基準価格では損をしている人もある、つまり完全に生産費を補償されていない者もあるということが一つ明確になったと思います。それからもう一つは、算定の中で生産費というものが幾らであるかということが明確にされていない、こういう点も第二番目に明らかになったと思います。そういう前提がどこにあるかというと、あとで修正になりました、再生産を確保するというその条文解釈、それの適用、そういうところに非常に問題があるようです。しかし、この問題はきわめて重大な問題でございますから、私はこれで了解したというのではなくて、今ここで局長といろいろ質疑を重ねて参りましても、これ以上進展しないと思いますから、この点については、大臣がお見えになったときか、あるいはその他の機会になお明確にする機会を得たいと思います。  その次に、やはりこのことに関連してお尋ねいたしたいことは、先般私は、基準価格決定に対しまして地域差は設けないという約束を当委員会で農林大臣からいだだいております。ところが、今きまっておる具体的なものを拝見しますと、明らかに地域差がついている。大臣の約束と具体的にきまったものとは食い違っておると思います。それは一体どういうわけでしょうか。
  40. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 中央卸売市場の所在地におきまして、事業団がいざという場合に買い入れるという規定になっておりますので、中央卸売市場の、そこの規定における価格をまず告示するということに相なるわけでございます。その場合に、価格形成をどういうふうに考えるかということにつきましては、それは制度が完備して、集荷統制が完全に行なわれた場合におきましては、事業団でプールして、市場価格が崩落した場合に押える価格として採用するという考え方もあるかと思います。現状におきましてはある幅を縮めていく、幅については再生産を確保していく、こういう法律趣旨でございますので、かつ今度政府が畜産界始まって以来の政府価格決定する段取りとなったわけでございます。従来の価格形成の因子は、生産地とあるいは生産量と需要量——その地における消費関係等から反映された価格が中央卸売市場で形成されて参ったわけでございます。私ども、現在の経済条件、需給・消費状況からいいまして、過去の変動指数等の比率をとるのが畜産経済界の、特に豚の肉の需給・消費関係からいって、経済関係をスムーズにしていく、こういう意味からいって、過去の現出した価格そのもの基礎にいたしまして、そうして市場価格基礎にいたしまして決定いたした次第であります。だんだんと機構が充実していきまして、生産者団体の共販体制が確立していって、そうして事業団としても内容が充実していきますならば、考え方として消費地を一本にする、買い入れ価格を一本にするということが考えられるわけであります。さらに進んで、もっと機構が充実し、民間の自主販売体制が確立した場合におきましては、最低価格というものは、てこ入れ価格というものは庭先といいますか、産地でむしろ一本にするという考え方が、さらに発展して出てくるものだと存じます。一番確実に安定するということになりますれば、庭先というかそういうことになりますが、少なくとも産地が一本になるという形で、幅が狭くなればなるほど経営を安定させる意味において、事業団あるいは協力団体が充実してきますれば、そういう考え方が当然指向される方向だと考えるわけであります。
  41. 湯山勇

    湯山委員 今の御説明は御説明として承っておきますけれども、私がお尋ねしているのは、いよいよ政府の買上価格が発表になるという前日か前々日だったかと思います。ここで参事官の方から、大体今の局長の御答弁と同じ内容のようなものがごく簡単に説明されました。そこで私は、それは一応現状に立った考え方としてはそうかもしれないけれども、しかし事業団が一本でそういう作業をしていく、そういうときに、今のように地域別に格差を設けるということをすれば別な問題が起こってくるということを申して、重ねて、では大臣の見解はどうなのかとお尋ねしたところが、大臣は、いや一本で、地域差は設けない、とはっきりここで答弁されておるわけです。今、また局長の御答弁はそれの前の段階に返っておりますが、これは一体大臣がいいかげんな答弁をここでやったのか、局長が今おっしゃっておることは局長だけの考えで、大臣はそれについては関与してないのか、あるいは今きまっておる価格算定価格だから仕方がない、従来の状況に即応してこういうきめ方をしたけれども、三十七年度の正式な買上価格基準価格というものは一本にする、こういうことなのか、そういう答弁でなければ、今の御答弁ではまた逆戻りしただけのことであって、一体その間で、あれだけ明確に大臣がここで答弁したことがどこへいったかわからなくなるわけです。だからその点はどうなのか、この点だけ御答弁願えばいいわけです。
  42. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 中央卸売市場におきます価格を一本にするということになりますと、具体的に価格自身の数字が同じ数字になるということになりますと、各市場の市場圏といいますか、経済圏といいますか、それら等も勘案して、そうして一本の筋を引くということになるわけであります。そういう意味におきまして、われわれが算定した数字を経済圏なり消費状況なりによってウエートをかけまして、そうしてただいま中央卸売市場の価格では大宮、横浜が二四五で最高になっておりますが、その最高の数字がある程度ダウンされて、そして何といいますか、全体の市場価格としてのプール作業というものがなかなか行なわれにくい現在の経済の実態から、また豚肉需要の状況から、これを、かりに今出ました数字をわかりやすく申し上げますれば、二二〇をどのくらいのウエートをとるか、福岡の二一〇をどのくらいのウエートをとるかということと、名古屋と横浜と大宮の二四五をどのくらいのウエートにとって、そうして結果としては二四五より下で、福岡の一番下値の二一〇よりも上値、こういうことになります。それらの点につきましては、農民関係、地域差関係に響く重大な関係もございますので、期間が非常に短かかったものでございますから、私ども中央卸売市場価格算定する場合にできるだけ現在の取引関係、経済の流れ、消費関係というものに混乱を起こさないということをまず考えなければならぬわけであります。相当多数の農民生産費が割れておるという際に、またそこのところの指数をそういうただウエートで、生産団体の共販体制も確立しない場合に、プールして係数をとるという作業ができにくかったわけであります。私どもといたしましては、今後その中央卸売市場の価格差をどういうふうに考えたらよいか、価格審議会もございますので、十分識者の意見等も聞いて経済の流れを乱さずに、かつ農民の出荷関係等も、たとえば九州等は相当芝浦に着いておる生産体系でございます。そういう意味におきまして、芝浦等の中心付近が下値になるということを特におそれているわけでございます。   〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕  そういう意味におきまして、あらゆる因子検討した上で大臣もおっしゃった理想的な何といいますか、どこへ行っても事業団が買う価格は一本だということは、十分検討いたしたいと存じます。
  43. 湯山勇

    湯山委員 検討じゃなくて大臣ははっきり差別はつけない、地域差はつけないということを言い切っておるのです。これは将来の問題ではなくて、今度きめるときにそうだという答弁をしておるのです。これは局長はその答弁を聞いておられないのでしょうか。
  44. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 もちろん湯山委員の発言の点については、私ども直接出ておりません、別の会議に出ておりましたが、十分検討いたしましたし、大臣とのお話資料等の点も十分検討した結果、やはり現状の作業としては一本価格を出す、これはやはりオフィシャルの価格でございますし、単なる市場価格でもございませんので、各産地との取引関係をできるだけ乱さないということを十分考慮いたしまして、特に需要の多い関東地方の相場——相場といいますか、安定基準価格を下げないという趣旨で、そういう御意見を大臣は申し上げたということも伺っておりますが、むしろ、やはり農民生産あるいは市場の経済状況等を乱さないという二とで、気持はできるだけ価格差のないように考えたわけでございます。
  45. 湯山勇

    湯山委員 局長の御答弁は抽象的にはわからぬことはないのですけれども、そういうふうなことを考えながら実は芝浦からは買い上げしない。芝浦では二百二十円に下がりそうだ、こういう状態でしょう。こういうことをほうっておいて地域差をつけたことに幾らりっぱな理屈をおつけになっても、それは何にもならないと思うのです。むしろ問題は流通機構そのものにあるわけで、それをこの際克服していくためには、やはり英断をもって一本でいく、もちろん湯はぎ、皮はぎの区別はあってもいい、私はそれを言うのではない。それは地域差ではなくて質的な差ですからその差はあってもいいと思います。しかし、とにかく大阪、福岡、広島、こう区別つけてやる必要がどこにあるか。そういうことを一方ではしながら、一番中心になる芝浦は買わないのだ、ここでどんどんたたかれておるのを大宮に持っていったりなにかしておるようですが、それでも思うようにいってない。それで一体いいんでしょうか。何かやっておられることが、理屈は理屈、現実はそれと全く別のことをやっている。それではいかぬと思うのです。約束は約束として、私ども心配したのはそういう点なんですから、それをやはり指導的立場に立って克服していく、そのためには価格一本でなければならぬじゃないか、こう言っているわけで、それは生産費なんかにしても、豚なんかの場合は、米なんかよりはよほど生産費の差等というのは少ないでしょう。山田の小さなたんぼをやってずいぶん労力をかけている場合と、広いものとの生産費に比べれば、豚の生産費というものはそれほど差はないと思う。それを一本にしてやるという、それが私は行政面からいえば正しいのであって、過去の実績あるいは状況をこわさないように、そう言いながら中心の芝浦から買わない、いろいろ問題があるのはわかりますけれども、そういう行政でいってほんとうに安定できますか、どうでしょうか。
  46. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 何しろ豚の値段もオフィシャルに決めるということが今回初めての措置でございます。私どもといたしましてはいろいろ取引の流れ、消費の流れ等もございますので、一本価格考える場合におきましても、各生産地の取引といいますか、御意向といいますか、十分伺って、経済をスムーズに動かしながら下値をささえていくということで考えておるわけであります。湯山委員のおっしゃる点は私どもとして、行政措置としていろいろ別の観点から考えますれば、十分尊重すべき御意見だと思います。そういう意味におきまして、私どもは現在の消費の流れ、取引の流れ、かつ生産者団体の御意向等も十分伺って、初めてのオフィシャル価格の設定でございましたので、まず市場の反映の力ということそれ自身をこの算出の基礎にいたしたわけであります。十分御意見のほどを参考にいたしまして、やはり経済の関係を乱さないということを頭に置きましたから、そういう点は常にいろいろの御意見も伺いまして、価格決定のやり方等について異論のないようにいたして、納得のいく行政をやっていきたいと思います。
  47. 湯山勇

    湯山委員 今のお話しは今度の審議会等を通して、やはり基準価格についての地域差というものは撤廃の方向に努力する、こういうふうに受け取ってよろしいのでございましょうか。
  48. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私ども考え方としましては、基準価格決定する場合に、できるだけ産地が、要するに産地の手取り価格がどっちに出してもできるだけ合う、どっちに出しても——こっちに出せば不利だとか、あっちに出せば不利だということじゃないようなことを希望するわけであります。こっちへ出せば損だとか、あっちへ出せば得だとか、そういうことでないことがやはり一番生産者の安定になるのだと思います。そういう意味におきまして、市場価格は需給経済状況を反映していく、そういうことで形成されておるわけでございますので、それと二つの見合いということになろうと思います。そういう意味におきまして、結論的にいいまして、中央卸売市場の価格が必ずしも一本であるべきかどうかというところがもっとやはり——農家の側、生産地の側からいって、そういう点はよく考えて、基準価格以外の価格が形成された場合、いいますれば、安定事業団の活動が十分にいきまして、相当枝肉について上値が出た場合におきましても、その取引関係が同じである、安定していっている、きょうはあっちへ出し、次はこっちへ出すということじゃなくて、鹿児島地方、宮崎地方でも、一定の特別の貨車等も準備して、常に鉄道と確約を出しておる状況でございます。そういう意味におきまして、基準価格よりも上値にいった場合においてもやはりそういう流れに継続されていくということが好ましいと思います。非常時だけはこっちへ出してということじゃなしに、そういう点を考えますれば、生産者団体の御意向も十分伺わないと、はたして係数としてその数字を合わしていくということがどうかと思います。われわれといたしましては、できるだけ基準価格を上値で、そうして、いわゆる中心価格以上に豚の枝肉価格が張って形成されていくということが望ましいのでございますので、正常形態といいますか、現在の暴落時じゃなくて、正常形態に帰った場合におきましても、豚肉の枝肉がコンスタントだ、その取引関係が同じである、こういうふうにいきませんと、生産者の方も安定して参りませんので、湯山委員のおっしゃる点も十分よくわかります。そういう意味におきまして、十分検討さしていただきたいと思います。
  49. 湯山勇

    湯山委員 ただ、ここで委員長にも御了解願いたいのは、今の局長の御答弁はかりに納得できたとしても、大臣の答弁とは食い違っている、つまり内部が不統一だということだけはいえると思うのです。そこで、この問題についても留保したいと思いますから、一つ委員長においてそのようにお計らい願いたいと思います。  それから、その次にお尋ねしたいのは学校給食の問題、これは三十六年度も九億の予算に対して五億程度しか実際はなま乳が給食に使用されておらないということです。   〔秋山委員長代現退席、委員長着席〕 三十七年度は大体六億くらいを見込んでおるけれども、実際は四億くらいになるのじゃないか。下半期は給食するかもしれないが、上半期はやらないということですが、この学校給食に対すする考え方です。従来、学校給食に対する考え方は、当初の発足は食生活の改善ということであったと思います。食生活の改善という立場で食管の中から小麦の補助等も出ておったのが、学校給食は教育の一環である、こういうふうに考え方政府が変えて参りまして、そこで従来食管にあったものを文部予算の方へ移したわけです、小麦粉に対する補助は。そして、それからまた食管の方へ払い込まれるというような形をとったと思うのです。今度なま乳の場合は、今度は余ったのを学校給食で処理してもらうというようなことで、余りものを飲ませるというような形をとっておるのですけれども、一体学校給食というものをそういうふうに考えていいかどうかという問題が一つあると思います。それともう一つこれについての大きい問題は、計画が立たないことです。三十七年度に大体事業団の方から十億の中でどれだけ見られるのかよくわかりませんけれども、倉成委員に対する御答弁では、何だか六億ぐらい、四億ぐらいとかいうことでしたが、ただこれがいつどうなるかということは全くわからない。農林省の方の割当てが県の方へいって、県の方から乳業者の方へ通知がくる。それが非常におそいために、従来非常に困った例がたくさんあります。政府が直接手をとってやっておって、なおかつそういう事態が非常に多かったのですが、事業団でそういうことの円滑な運用がはたしてできるかどうか、これは一そう心配だと思います。そういうことになると、結局生乳の学校給食への利用ということは行なわれなくなってしまうのではないかという心配がありますので、その二点についてどういうふうにお考えか、お伺いいたしたいと思います。
  50. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 学校給食の生乳の供給の問題でございますが、結論から申し上げますと、やはり安定して、そうして全学期を通じて一定量が配給されるということが望ましいと思います。本制度の起こった過去及び実行の経緯にかんがみますと、これが悪い言葉でいいますと、不安定配給になっている状況でございます。これはやはり文部当局とも十分相談いたしまして——現在、生乳の生産、市乳の需要が旺盛でございまして、そうして遺憾ながらわざわざ外国から粉乳を入れる状況でございますので、一方において消費者にできるだけ安定した価格で配給していこう。こういう態勢ではちょっと安定した措置がとりにくいとは思いますけれども、それはそれで生産の確保、増加等に努めることといたしまして、できるものなら、私たち学校給食それ自体の責任庁ではございませんが、方向としてはそういうことであるべきだ。そうなりますと、特に予算確保においては、児童をあずかっておりまする文部省の方でも特別な努力をしてもらって、畜産振興というよりも、もう一つ違う強い因子があるべきだと思います。私ども寡少な予算で、先生方の御激励を受けて予算獲得に努力している際でございますが、需給状況等の関係から、やはりこれらの実施について常に大蔵省と連絡する事項の一つになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、需給関係、従来の経緯からいいましても、予算の趣旨として需給関係ということが強くうたってございますので、こういう過去におきまして、たとえば三十六年度では九億の予算を確保された関係がありまするけれども需要に対して供給が即応しない関係から、一学期の一部、それから二学期の一部、三学期の一部というようなことで、約十一万石でしたか、総額にして四億程度で、五億は予算が返還になったわけでございます。この畜産振興費の足らない際に五億返還することは非常に遺憾でございましたが、今後の行き方としては、別途の観点から強く文部当局等で立ち上がっていただいて、私の方の需給調節もさることながら、別途の意味の重大な消費促進、それから将来の中堅たる国民の栄養という観点等から言いまして、別途の観点で強く別の制度として確立さるべきものだと思います。ただ、現状といたしましては、そういう関係でありまするけれども、一定の予算を確保して、そうしてそれが使われずに返還になるということは、われわれといたしましては、畜産振興費が腹一ぱいで十分だという状況ではないのでございまして、そういう意味から言いまして、過渡的な状況としましては、そういう制度が文部当局の制度として確立しない間は、われわれといたしましては所定の量は交付金としていただいて、そして需給関係がそうではない、学校給食等の事態ではないという場合につきましては、ほかの畜産振興費にその金を活用して参りたい、こういう考えでございます。
  51. 湯山勇

    湯山委員 今のような御答弁だから心配なのは、交付金はできるだけ残した方が事業団としてはほかのことに使えていいわけです。学校給食の補助で出せば出しっきりでちっともはね返りはないわけです。そこで事業団の事業として学校給食の補助をするということになると、できるだけ少なくして、十億なら十億の中の二億か三億を出す、そうしてあとは何とかほかの方に使っていこう、こういうことになるおそれがありますし、それから従来も円滑にいかなかったのが一そう不円滑になってくる、そういうことになると、これは児童生徒に対する精神的な影響も大きいと思うのです。今牛乳の値がよくてなかなかお前たちには回らぬのだぞというようなことを言うのもどうかと思うし、給食するときに、もうだぶついて余っておるので困っておるのだ、それで給食に回ったのだという言い方も、これは教育の上では困ると思うのです。ある一定のベースを学校給食に確保するというようなことも、今局長のおっしゃったようにやらなければならないけれども事業団にこれをやらすということになると、従来よりももっと消化率が減少するのと、円滑性を欠くおそれがある、それについてはよほど指導を厳重にやっていただかなければならないのではないか、現に下半期にならないとやらないということも、何か私はそういう心配な要素を含んでおると思うのです。そこで、やはり下半期といわないで、なるべく早くやって、昨年の実績くらいは学校給食に出すという努力が払われてしかるべきだと思いますが、どうなんでしょうか。
  52. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましても、理由がどうあろうとも、結果的に中途半端なやり方というのは、やはり学校給食だけの部面からいくと、非常に適当でないというふうに考えております。そういう意味におきまして、いろいろわれわれとして需給関係とかその他の点がございますけれども、需給の見通しというものもだんだんと整備されて参っておりますので、また配給する場合でも主として中小メーカーの乳業者が学校給食の事業に当たっておるというような、やはりわれわれ農林省自身の、産業自身の安定ということもございますので、なるべく見通しは早くつけて、そうして、おっしゃる通り悪い言葉で言えば余りものということになってしまいますが、安定した、あわてないような計画を、具体的な実施の場合には立てて参りたいと思います。だんだんと指導する各都道府県の側もなれてきておりますし、一方において湯山委員のおっしゃる通り、中小企業ばかりでなく、制度的な意味においても県庁等では重大な関心があるものですから、私どもといたしましては両方兼ね備えて、つらい立場にあるわけでございますけれども、御意見のことはよくわかりますので、行き違いのないように十分努めて参りたいと思います。
  53. 湯山勇

    湯山委員 委員長にまたお願いしておきたいのは、今の局長の御答弁は大へん私ども満足できるような御答弁ですが、問題は基本的な態度としては一つは文部省側にあると思うのです。ことに今度法改正の中で、学校給食ということが出ておりますので、どなたかの御質問のときにでもけっこうですけれども、ぜひ文部大臣の出席をこの審議中に委員長の方から要請していただいて、学校給食についてのことを質問したいと思いますから、一つお願いいたします。  最後に、これは法律案と直接関係はありませんけれども価格とは関係がありますので、簡単にお尋ねいたしたいと思います。  先般、香川県で、農林省の高知の種畜場から初光号という種牛を香川県に貸与いたしまして、それから精液をとって千頭余りの雌牛に人工授精を行なったわけです。それから生まれた子供、褐色の系統ですが、その生まれた子牛に白い斑点のあるものが大体四十頭近く、今県内に残っておるのが二十七、八頭ですけれども、ほかへ行ったのもありますから四十頭ぐらい白斑のある種類が生まれました。ところが、農民の方も知識がなかったのと、御存じのような家畜の取引状況のために、相対取引のために、それぞれそういう子牛の場合も、斑点のあるものは買いたたかれまして、数万円から四、五千円程度の損害を受けたのが相当件数ございます。そこでそれについて農民の側から、県の方から世話を受けたので、県の方で賠償あるいは損害の補償をしてもらいたい、こういう申し出がありましたが、県の方としては、賠償とか補償ということはできない、ことに法的には何の間違いもないことだからというので、多少問題になっておりました。ただこの件については、農林省の方もすぐにかわりの牛を送っていただくし、初光号は廃牛というか、それを廃止した。高知の場長さんの方は、すぐ香川県の方へおわびに行っていただいておるし、その間に別に手落ちがあったとは思いません。農林省の方も善意でよかれと思ってやられたことだし、香川県庁の方も善意でおやりになったことだし、農民の方もまたそういうことを予期しておったとは思いません。だれが悪いということはないわけですけれども、ただ残念なことには、そのしわ寄せが、みんなの善意の中から生まれた、そういう災難のしわ寄せが、結局子牛を安くたたかれたという農民だけにかかっている、こういう事態は何とかならないだろうかということで、私どもも話をしますし、農林省の方からも話をしていただいて、県の方では、確かにどこにどうという手落ちはないけれども、ただ農家の人にそういう損害を与えるということは忍びないというので、損害賠償とか補償という形ではなくて、別途にそういう損害をかけないような措置をとっていただいた。この計らいは私は大へんけっこうだったと思うのです。そこで、ここでお尋ねして御善処願いたいことは、今後人工授精が大幅に実施されるということになると、よほど種牛というものの精選が必要ではないか。ことに聞いてみますと、初光号はシンメンタールという本来白い斑点の出る系統の牛であった。そういう種牛を使えば、当然隔世遺伝なりあるいは劣性因子であっても、それを誘導する因子があるものに、つまり雌牛のいかんによっては出るおそれが皆無だとは言えないと思います。そうすると出た場合の指導、肉牛としてはあるいは役牛としては、これはちっとも影響はないのだというような事前の指導も必要だと思いますし、あるいは市場方面への指導も必要だと思いますし、さらに人工授精で多量にやっていけば、こういうケースは今後も出る可能性はないとは言えないと思います。そういう場合に、いつも農家の方が、今度のように農林省なり香川県なりが、非常に行き届いた配慮をしていただければいいのですけれども、必ずしもそういうことを全部に期待することができないといたしますと、これは種牛の選定なり、場合によってはそういうものが出た場合の措置、そういうものについて何らかの対策がこの際必要ではないか。昨年この前の法律審議の過程では予期していなかった事態がもうすでに出てきておるわけでして、このことも価格にも影響がありますので、どのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  54. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話通り農林省も県もまた農民も善意で繁殖をはかったわけでございます。いろいろ血統として御注意もありましたので十分調査をいたしましたし、さらにわれわれとして、ほかのものについてそういう現象がないか、いろいろむずかしい問題ではございますが、トレースをしておるわけであります。特にお尋ねの県では、民間におりまする牛とその精液とがたまたま結びついて出ておる。そうするとやはり民間の牛等についても調査を進めていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。結論として現在の措置といたしましては、今後の精液の採取のもとの牛等についてもっとトレースを先に進めていくということはもちろんでございますが、現在の奨励の制度としてみんなが善意に努力しても、今の状況の範囲で最大限度にしても、そういうことが起きた場合という問題の処理であります。白斑は特別に肉牛として悪いとは価値として考えられないわけですが、いずれにしても市場価格が安い、こういう現象でございますので、みんな善意で努力してやっても出た場合どうかということになりますと、やはりそれはそれなりで普通の牛が出た場合との価値の差は何とかしてやらなければならぬ。何とかしてやらなければならぬということになりますと、国か県、こういうことになりますので、現在の制度としてはございませんが、われわれとして繁殖上における善意の場合の処理というものを、お話のようにやりくり算段してということでなく、財政当局とも相談いたしまして、これはまれな例、最後の押えということでございますので、ちょいちょい発生するようだったら現在の精液の制度の、行政官庁が悪いか制度が悪いか、どっちかが悪いということになります。まれな例は気持よく扱っていく、そうしてそういうことでごたごたが起きないというようにしなければなりませんので、お話通り制度としてまれな例でございますので、直に御納得のいく方法で、やりくり算段ということでなしに検討させていただきたいと思います。今ここでこの制度で財政当局と話がついたという過程ではございませんけれどもお話趣旨よくわかりますので、まれな例でございますので、そういう場合の救済関係は御趣旨に沿って早く具体的な制度として置いておくようにしたい、こう考えております。
  55. 湯山勇

    湯山委員 では、ぜひそういうようにお願いいたします。これで終わります。
  56. 野原正勝

    野原委員長 午後一時より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。   午後零時四分休憩      ————◇—————   午後一時二十六分開議
  57. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。倉成正君。
  58. 倉成正

    ○倉成委員 先回の質問に引き続いて御質問を申し上げたいと思います。先回、畜産物価格安定法の一部改正と関連しまして追加された業務の中に畜産の振興に関する事業というのがありますが、その畜産振興の事業、事業団の事業と政府公共団体の行なう事業との関係、あるいはその相違点というのが必ずしも局長の御答弁では明確でございませんでしたので、この際、いま一度その関連性、あるいはその相違点、なぜ政府その他が行なうべき畜産振興の事業を事業団で補助しあるいは助成するかということをお答えいただきた  いと思います。   〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕
  59. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 国の行ないまする畜産振興費といたしましては、現在政府において家畜の改良増殖あるいは家畜衛生対策、自給飼料の増産等、各方面にわたって予算を確保することを努力しておるわけであります。今後におきましてもこれらの施策、予算並びに行政施策を一そう拡充するために必要あれば立法措置、あるいは予算措置でできることにつきましては特別の努力を払っていくことはもちろんでございます。そういう意味におきまして、現在の畜産界の状況では国の予算あるいは必要な制度の樹立という意味で、まだまだ必要によっては立法措置を必要とする問題もあるわけでございます。今回一つ制度といたしまして、事業団に十億の交付金を交付しまして、そして事業団の事業につきましても畜産振興に資する聖業をやっていく、こういうことでありますが、その三つの問題の関連といたしましては、やはり国の予算を中心として畜産振興をはかるということであります。この交付金は、特に中央競馬会法第三十六条の規定等もございますので、特に一定額を必ず確保していく、こういう意味で、予算措置に加えて交付金制度を設けまして、そして国あるいは都道府県の行政、あるいは予算措置をそれに上積みに補完していくということにおいては、そういう意味で国の予算は、直接あるいは地方公共団体を通じて強制することが適当な事業は、事業団の助成対象事業として取り上げない。むしろ民間におきまして、そして自主的に活動を促進されるという意味におきまして、民間におきまする畜産振興に資するための事業を助成、育成いたしていくということであるわけでございます。
  60. 倉成正

    ○倉成委員 畜産を助成していくというわけですけれども、国の事業と明確に区別がつきましょうか。
  61. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 国の事業と明確に区別がつくかどうかということでございますが、私どもといたしましてはできるだけ国の予算措置を中心として、かりに補助、助成する場合におきましても、予算措置を講じていくという考え方でございます。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕 具体的な予算措置といたしましては、この交付金というものは一つワクをとって交付しておく、こういう意味におきまして、上積み的な考え方ではございますけれども、事態いかんによっては、これは国あるいは都道府県の予算が生きていくという意味において、それを、並行して補充的な意味合いでありますけれども、使っていく。こういう意味におきまして、従来とっておりました予算を交付金に移していくという考え方はございませんけれども、情勢によっては予算措置で行なわれておらなかったものにつきまして、年度間に、機動的に——これは筋としては臨時国会を召集して特別に予算が補正されるという以外は、場合によっては機動的、弾力的にこの交付金を使っていく、そういう意味におきまして、この費目は国の予算でなければならぬとか、これは交付金でなければならぬとかいうことで一律に考えていくのはどうかということになるわけであります。そういう意味におきまして新しい制度でありますので、大方の御意見を伺って執行いたしたいと思いますが、交付金によっていささかでも国の機関たる、従来やって参りました予算施設をこっちへ移していくという考え方は毛頭ございません。そういう意味におきまして、できるだけ予算措置を講じていって、予算的にはあるいは公益の度合が少なくなっても交付金を機動的に運用する。年度間でも運用していく点、そして補充的に運用していくという点、そういう趣旨では考えておりますけれども、この性格の事業を交付金でやってはならぬ、予算でやらなければならぬ、それじゃ予算がとれなかったらどうなるか、こういうことになるのでございますので、抽象的にぴったりと定木を当てて、これは交付金にいくべきものだということで線を引きにくい問題があるわけであります。
  62. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの御答弁は、要するに成長部門である畜産についてはやるべき施策が非常に多い。国もとかく今まで配慮をしてきておるけれどもまだ足らない点が非常に多いから、この交付金をもって機動的に、弾力的に補充して、この施策の万全を期していきたい、こういう趣旨に解してよろしゅうございますか。
  63. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもの提案しておる気持はそういうことでございます。なお審議の過程においていろいろ御意見も承ると思いますが、そういう点をも加えて十分畜産振興に資するように、この明文で書かれておりますように運用して参りたいと存ずるわけであります。
  64. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまのことでけっこうだと思うのですが、ただ問題は、農林大臣が先般御答弁になりましたように、畜産会の技術員を補助をするとか、いろいろ交付金の中でやるべきことがたくさんあるのではないかと思うのです。機動的、弾力的にやることは非常にけっこうでありますけれども、交付金の額の大小によりまして非常に事業が不安定になるということが一つ心配されるわけです。ですから、少なくとも交付金の額は毎年一定額は確保していくという一つの保障というか前提がないと、なかなかむずかしいと思いますので、これらの点について、畜産局長として交付金は毎年一定額を確保するという決意を持っておられるかどうか伺いたいと思います。
  65. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産局長といたしましては、毎年、この交付金が設定された経緯にもかんがみまして、本法案が御了承を願えた後におきましても、交付金の確保については万全の努力を払って遺憾なきを期したいと思います。
  66. 倉成正

    ○倉成委員 ことしの十億の交付金の中で、先般の御答弁にもありましたように、六億を目安として学校給食、四億をその他の事業という大体の目安になっておるようでありますけれども湯山委員質問にもありましたように、学校給食を牛乳の需給関係に基づいて行なうということになっておりますと、六億を一応最高の限度とするということになりますと、実際学校給食が牛乳の需給関係から行なわれなかった、量が少なかったということになりますれば、その他の事業に振り向ける予算が非常に多くなってくるということになるようですけれども、その点はどういうことになるのですか。
  67. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 学校給食の実施いかんによっては、お話のようにその他の方へ保留される金額が大きくなるわけであります。そういう意味におきまして、いずれにいたしましても従来は学校給食をするために予算措置を講じたものが、一定額が使われないと国庫に返還されてしまう、こういう意味におきまして、交付金制度の方が現在のやり方としては長所があるというふうに考えております。
  68. 倉成正

    ○倉成委員 確かに形式的に見ますと、今局長の御答弁通りだと思うのですけれども、しかし学校給食事業の実施というのが、いつから実施されるかということも一つの問題でありますし、その実績が出てくるのは非常にあとになってくる。そうするとその余った金をほかの事業に振り向けるといいましても、やはり年間を通じた事業ということが一応いろいろ考えられてくるわけですから、実際問題としてはなかなかむずかしい。従ってこのうまみは、この事業団の交付金が今年使われなかった場合には来年度に繰り越すことができる。従来のようにしておくと、学校給食の事業として国の予算に組んでおっても、使わなかった場合には国庫に納入しなければならない、しかしこの場合には返納しないで事業団一つの基金として持つことができるというところに非常にうまみがあるように思うのですけれども、その点はどうです。
  69. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 大体においてお話通りであります。学校給食にいたしましても早くから時期を見通しまして、いざ給食をやるということになれば、やはり計画的にやって参りたいと思います。これは一に現在の制度といたしましては、需給関係から算定いたしますが、将来の問題としては、これは午前中湯山委員にもお話しした通りでございます。
  70. 倉成正

    ○倉成委員 そこで学校給食の問題については、需給関係をもととしてやることが適当であるかどうかという議論湯山委員局長との質疑応答の中で出ておったようでありますけれども、一応六億の目安をつけて学校給食の仕事をやろうという場合には、やはり牛乳が余ったらこれを学校給食に回す、もし余らなかったら、目安はそうしておるけれども、学校給食には回さないというふうに、比重の置き方が少ない形で行なうということは、学校給食の本来の建前からいって邪道ではないかと思うわけです。そこで、学校給食は、もちろんなま乳だけではなくして、脱脂粉乳その他のものがあるわけですけれども、脱脂粉乳その他の給食となま乳との組み合わせ、こういう計画は三十七年度としてはどういうふうに組み合わせておられるか、伺いたいと思います。
  71. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 その点は、遺憾ながら、現在の市乳の生産状況からいって、少なくともこの年度の上半期には需要の増が一割五分、供給の増が一割二分程度のなま乳の生産状況では非常に立ちにくいのであります。私どもといたしましては、本来からいいますと、わざわざ粉乳等を輸入してまでも夏季の対策に備えるということは思わしくなく、むしろ市乳等は全面的に家庭、大衆の方へ国内産で供給していきたいぐらいな気持でおります。基本的にはそういう気持であります。そういう意味におきまして、現在の状況としては計画が立ちにくい関係にございますので、やはり現在文部省がアメリカからいただきます粉乳が基幹となっておるのであります。今のところ上半期の状況を見通した場合におきましては、まだ編成はいたしておりません。ただ下期になりますと、部分的あるいは地域的に余ってくるという地域が出てくるので、文部省等とも打ち合わせまして、文部省の粉乳による学校給食を計画に編み込んでいくことになると思いますが、現在のところ上期については夏季対策が一ぱいでございまして、そうかといって相当量外から輸入することも芳しくない。将来の酪農民生産安定を考えれば、ごく小部分だけ輸入するということで、現在では三千トン手配しておる程度でございますので、一般配給等の充実を考えまして、上半期としては編成は困難な状況にあるわけであります。
  72. 倉成正

    ○倉成委員 私は、元来、学校給食は、牛乳が余ったから学童になま乳を飲ませるという考え方であるべきでないという考え方を持っておるわけですが、その議論は一応おくといたしましても、少なくとも六億の目安として学校給食になま乳を配給するという以上は、全体の需給計画の中にやはり学校給食を織り込んでおくべきではないか。なま乳の生産量が足らなければ足らないなりに、その中に学校給食のことを織り込んで計画を立てるのが本筋ではないか。かりに需給関係を考慮するにしても、それが本筋じゃないか。それができないとすれば、それは予算上の問題、たとえば補助金の問題あるいはPTAの負担の問題等との関連が出てくるわけで、問題は金が十分でないからそういうふうな形になってくるのじゃないかと思うのですけれども、この点をどういうふうに考えられておるか伺いたい。
  73. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 従来学校給食の計画に対して、一合当たり三円七十銭の補助をして、安価な牛乳を学童に給食するという制度が運用されてきたのは、学童の栄養問題等にもからみますし、かつ消費促進という意味にもかんがみますれば、これはむしろ逆といいますか、この制度を発展させまして、むしろ文部省の学校給食制度として確立していくべきであるという考え方といたしまして、制度確立の意味におきましては、先生と私は同じ考えでおるわけであります。ただ、現在までの予算編成の経緯あるいは実行の関係から見ますと、それが、そういう制度ではなくて、市乳との需給関係で運用されてきておるわけであります。現状といたしましては、もちろん学校給食にも発動できるというあいまいなことではなくして、計画を立てたらどうかということでありますが、一応の見通しとして計画をしておりますのは、十月以降年度末まで計画としては毎月一億円程度の率で、約十三、四万石になりますか、三円七十銭の積算で計画されるわけであります。心づもりとしては、全然計画がないわけではなくて、そういう算出をしておりますが、秋季になりましても、非常に需給関係が逼迫しておるということ、これは夏季の天候にかかる問題でございますので、一応そういう計画は持っておりますが、それは一般配給等にも支障を来たしても困る問題でございますので、これとかね合いでその計画を実施するかどうかということをきめて参りたいと存じます。
  74. 倉成正

    ○倉成委員 実は、法律の三十八条の第六号に、「国内産の牛乳を学校給食の用に供する事業についてその経費を補助し、」ということが明瞭に書いてあるわけであります。そこで、今量的にいろいろ毎月の計画を立てられて、三円七十銭の補助を考えていく。ところが、需給関係が非常にうまくいかなければ、これはやめてもやむを得ないのだというお考えのようですけれども、先ほど局長お話の中にありましたように、事業団の仕事は国の予算を使って機動的に、弾力的にやる、またやり得るという一つの大きな特色を持っておるわけです。従って、多少需給関係が逼迫してきたならば、三円七十銭のこういう助成ではいけなければ、もう少し単価を上げまして、学童に一定量を確保する、全体の配給量は減っても、六億の範囲内である程度のなま乳を学童に飲ませるということはできるわけです。ですから、その学校給食は、現在の制度また現在の考え方のもとにおいても、もし本気でやろうとすれば相当やり得ると私は思うのです。その辺のところをどう考えるかという問題は、かりに将来、文部省に学校給食の事業を移すにしても非常に大事なことじゃないか。足りなければ足りないままに、そのうち一部分を学童に回すということも一つ考え方じゃないか。足りなければ、ほかの方に全部回して、学校給食はやめてしまう、それをほかの事業に回す、あるいは翌年にこれを基金としてとっておくというのでは、この法律趣旨と反してくるんじゃないかという感じを持つのですけれども、その点はいかがでしょう。
  75. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 過去の実績から申し上げまして、学校給食が一年間通じて、全面的に行なわれない状況で推移して参ったわけであります。学校給食という問題を取り上げるということになりますれば、お話のように相当一般とも見計らって、相当の規模でこれは推進していくべきものだと思います。ただこの予算編成の経緯あるいは今までの予算措置等の条件からいいますと、一定額の予算、たとえば三十六年度におきましても九億の予算を四億だけ実施したという関係になったわけであります。今後この畜産物価格安定等に関する法律を改正されて、この六号でやっていく場合の考え方といたしましては、昨年度までやってきた趣旨と、考え方としては学校給食の事業は私どもとしては変えておらない関係になるわけであります。そこで、それじゃ将来どういうことになるか、むしろこういう法律を改正した場合にどう考えるかという点でございますが、これは文部省の粉乳の供給事業は、相当の米国からの特別の安価な粉乳の価格で入っておりまする関係上、どの程度これを——われわれの生産努力が円滑にいった場合においてできるだけ学校給食に回すという場合に、経費負担等の点はお話のように十分検討しなければ学童の方の負担がふえるということになるわけでございます。そういう意味におきまして、根本的に学校給食自身の制度としていまだ結論を得ておらないわけでございます。もちろん将来といたしましては、われわれの生産手配が十分進みまして、一般との調整が十分はかられるという事態になりますれば、お話通りこれはむしろ一学期からでも年間を通じて安定した実施計画でくずさないで、できるだけほかの面で一般関係を調整していくという逆な操作になるかと存じておるわけであります。
  76. 倉成正

    ○倉成委員 今局長が触れられたように、昨年三十六年度九億の予算を組んでおきながら、実際は四億しか実施しなかったというのは、予算の単価の問題その他が一番大きく響いているわけです。もしやろうと思えば、九億の中で操作ができるならこれだけの事業あるいはそれ以上のことが実施できるわけですから、従ってこの事業団法律改正の明文に、「国内産の牛乳を学校給食の用に供する事業についてその経費を補助し、」ということをまず第一に書いておる趣旨からしますと、今までのお話、御説明では私は不適当である、やはりどうしても学校給食事業というのを全体の需給計画の中に織り込んで今の制度でも考えるべきではないか、またそういう方向に持っていかなければならないというふうに考えておるわけです。ことしの場合についてはいろいろ予算折衝の経緯、あるいは交付金を算定するときの経緯等がございましょうからこれ以上申し上げませんけれども、根本的な考え方について私はそう考えておるのですが、局長も今後そういうふうに持っていくお気持があるかどうか。もしないとすれば、この法律条文というのは、私は少し書き直す必要があるのじゃないかと思いますから、非常にくどいようでありますけれども重ねてお伺いをしておきます。
  77. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 三十八条第一項中の六号の規定による国内産の牛乳を学校の給食の用に供する事業の実施の仕方の問題でございます。先生の言われる意味もよく私どもも了解いたしますが、十分御意見のほどを尊重いたしまして、これをどういうふうにして運用していくか、私どもとしてもさらに需給関係等も検討いたしまして、文部省等とも連絡をして、そうしてやって参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。法文のまつ正面の筋からいえば、できることではございますが、過去の経緯等、あるいは財政当局等の事務的の相談の経緯等もございますので、それら全部をあわせまして、先生の御意見をどういうふうに実施にあたってこれに織り込んでいくか、十分実行上注意して参りたいと存じます。
  78. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの局長の御答弁を現実の面で十分生かしていただきたいと思うのです。学校給食の事業というのは、将来、これから先、牛乳の需給関係、これは短期的に見ますと、確かに牛乳の需要に対して生産はなかなかこれに及んでいかないという事情でありますけれども、長期の観点に立って見ますと、やはりどうしても食生活の面、あるいは価格安定、また今日の学童がだんだん成人して参りました場合の嗜好の問題、あらゆる面を考えまして学校給食の問題を、ただ牛乳が余ったからそれをやる、余らなければその予算はほかに流用する、翌年へ持ち越すというようなことでは、私はこの法律に書いた趣旨が非常に曲げられると思いますので、強くその点は要望いたしたいと思います。  それから学校給食の現実にやっている姿について局長はこまかく御存じでしょうか。たとえば、これはもちろん文部省の所管になりますけれども、なま乳との関係が出てきますから伺いたいのですが、脱脂粉乳はどういうふうな形で末端の学校でやっておるか御存じでしょうか。そしてそれに対して児童がどういうふうな形で飲んでおるかということも実際御存じなら少し伺いたいのですが、あまり十分御研究なさっておらなければ、また次の機会でけっこうです。
  79. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 文部省の粉乳の使い方については私詳しく今存じておりませんので、また勉強した上で先生にいろいろ御指導なりなんなりあずかりたいと思います。
  80. 倉成正

    ○倉成委員 その点、一つ将来十分御検討なさって——この事業団の大きな事業の一つに、経緯はいかんともあれ、法律条文では学校給食事業ということが大きな一つの項目になっているわけですから、現実にどういうふうに脱脂粉乳等でも学童にやられているかということを、やはり御検討なさっておくことが必要ではないかと思います。  私は一つ私見を申し上げておきますと、たとえば今脱脂粉乳を還元した場合、これに多少バターを入れるとか、若干糖分を加味するということになれば非常に学童が飲みやすいということも伺っておりますし、また衛生の見地から言いましても、タンクに入れて非常に非衛生とは申しませんけれども、不適当な形で学校給食が行なわれるという部門も末端ではあるようであります。これらの点については一つ牛乳のなま乳の問題とあわせて御研究をいただきたいと思います。  次に価格安定法関係で豚肉の問題が先ほどから湯山委員との質疑応答で出ておったようでありますけれども、その重複を避けまして御質問したいと思います。  現在、中央卸売市場として芝浦市場が指定されないで、東京近郊では横浜、大宮がそういう指定市場になっておるようでありますけれども、これらの横浜、大宮地区の入荷の状況、それから芝浦の入荷の状況、これは最近どういうふうになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  81. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 公定価格といいますか、政府畜産物——豚肉の価格をきめた以後におきまする対策といたしましては、各市場における状況は比較的に依然として旺盛をきわめておりまして、屠殺と入荷とを合わせまして芝浦では二千五、六百頭平均、残頭数も相当あるようであります。大宮、横浜等では現在の屠殺能力の最大限を発揮して下値支持に努めておるわけでございます。そういう意味におきまして大宮等でも大体平均六百頭を下らない。大宮の六百頭といいますと、最高限度でございます。横浜も同様三百ないし四百、これは横浜の屠殺能力としても最大でございますので、相当つぶされずに翌日に回される残頭数が大宮等では二、三百、横浜等では五、六百に及んでおる状況であります。依然として芝浦にも相当入荷が続けられております。さらに将来のことを申し上げますれば、四、五月ごろまではこういう状況が続くのじゃないかという見通しを持っております。ただそれ以後になりますと、現在の生産状況からいって相当減少の動きもありますので、今のところ、われわれといたしましては、下値価格をささえるために昨日は産地買い入れの指令を事業団に出しまして、それぞれ手配中でございます。
  82. 倉成正

    ○倉成委員 入荷の状況についてただいま一日当たりの入荷が芝浦で二千五百、大宮で六百、横浜で三百なしい四百ということに御説明がありましたけれども、中央卸売市場として指定されております大宮や横浜が非常に入荷量が少ない。せっかくそこに持っていっても、翌日に回されるという理由はどこにあるわけでしょう。依然として芝浦が、大宮、横浜を合わせても、こういうふうな非常に多くの入荷量があるという理由ですね。
  83. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在の状況といたしましてはまだ買い入れ開始後十日前後の状況でありますので、産地の意向は詳しくは存じませんけれども、やはり従来の取引関係が現状を反映しているということが御質問に対するお答えだと考えています。
  84. 倉成正

    ○倉成委員 もちろんこれは経済行為でありますから、従来の取引関係あるいは因縁、いろいろそういうことが大きな原因であるということはよくわかります。しかしそれだけの理由でしょうか。いろいろな能力的な面その他、局長も国会でくぎづけになって非常にお忙しいと思いますが、芝浦、大宮、横浜の実態というものを御存じでしょうか。御存じでなければ、後刻御勉強をいただくということにしますが、私はただ従来の取引関係だけではないと思います。御答弁によっては、私が一、二点あげてみたいと思いますけれども、まずお答えをいただきたいと思います。
  85. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 政府といたしましては、中央卸売市場の、東京近辺といたしましては、大宮、横浜で告示価格で買付させておるということで、屠殺能力の最大限を発揮し、そのうちの豚などを買い付けておるわけでございますが、それに比べて芝浦の実際発表されまする価格が低位にもかかわらず、依然として芝浦にも入荷旺盛である、こういう点については、われわれといたしましても、先ほど申し上げました通り、相当の取引関係考えておりますが、新しい制度をしいた関係との関連で、どうしてこういう関係が依然として続くかということについては、まだ私どもとしまして初めての豚の買い出動あるいは価格支持でございますので、産地取引関係あるいはその他の面についてまだ検討すべき点があると考えますので、十分御意見の点を承って、今後の買い入れ措置等について効果あるやり方を十分やっていかなければならぬということを痛感するわけでございます。
  86. 倉成正

    ○倉成委員 少しこまかいことをお伺いいたしますが、芝浦は中央卸売市場になっていないにかかわらず、非常に多くの入荷量がある。そうすると、大宮、横浜にできるだけ豚を集めたいのですけれども、なかなか思うようにいかない。というのは、取引関係ということを非常に強調されましたが、それは経済行為ですから、確かに大きな要因です。それじゃ屠殺能力とか、いろいろそういうほかの要因については何か御検討になったことがありますか。
  87. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 各市場の標準屠殺能力といたしましては、告示いたしました各市場の屠殺能力を合わせて、ちょうど芝浦ぐらいに相当する二千三、四百トンになるわけでございますそういう意味におきまして、芝浦対策といいますか、芝浦に関する措置というものは私ども頭が痛いくらい重要に考えております。
  88. 倉成正

    ○倉成委員 これは屠殺能力だけの問題でもない。もう少しそれでは具体的に伺って問題の焦点を明らかにしたいと思います。芝浦あるいは大宮、横浜の豚関係の労務者はどういう数になっているか御存じでしょうか。
  89. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 政府が告示価格で、しかも買い発動をやっていくという最大の能力の発揮を現在大宮も横浜もやっておるという現況でございまして、具体的な作業員の数は今ここに手持ちの調査資料がございませんので申し上げかねますが、芝浦等で作業しておる方も一部関係団体の方で手を回して応援を進めておるくらいでありまして、そういう意味におきましてコンスタントに現況以上に作業員等の補充をしなければならぬ。こういう概況になっておることで、大宮横浜の方の市場が最大限度発揮するには手不足であるということは十分に認識しております。
  90. 倉成正

    ○倉成委員 大宮、横浜等は非常な労力不足なんです。ですから現在の能力でありましても十分な労力がありますと現在の入荷量よりもはるかに多くの入荷をすることができるわけです。その寄ってきたるところは、いろいろな原因がありましょうけれども、せっかく中央市場に指定して、そして豚の値段の暴落を防ぐという気がまえを政府が持たれるならば、やはりこれらの点についてもう少し詳しく実態を把握して、どこが一番大きなネックか、従来の取引関係でこれはもう芝浦のルートに流れているのだからやむを得ないのだということではなくして、現在の条件の中でももっと本腰を入れていろいろなことをやれば、もう少し形が変ってくるのではないかということを私は考えるわけです。従ってこれらの点については今後十分な御研究をお願いいたしたいと思います。  次に湯山委員お話にもありました豚の買い入れの問題でありますけれども指定食肉の豚肉について安定基準価格が大宮と横浜では皮はぎで二百四十五円、それから九州の福岡をとりますと湯はぎで二百十円ということになって、ここに三十五円の差がついておるわけです。もちろん皮はぎと湯はぎの関係がございますけれども、この三十五円というのは内容は具体的にどういうものか、伺ってみたいと思います。
  91. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 これはやはり内容的には運賃とか、皮はぎと湯はぎの製造方法の差による皮の代金だとか、労力費とか、そういう意味においての実質的な差があるとは思いますけれども、私ども今度告示しました関係といたしましては、そういう因子の積み上げ計算とか差引計算とかいうよりも、むしろ三十六年における平均価格価格水準等を資料にいたしまして算出したわけであります。そういう意味におきまして、一言にして言えば経済、消費、入荷関係等が基礎になっておるわけでございまして、これを大きな消費地を中心とした逆算というだけの関係になりますと、かりに皮はぎ、湯はぎの製造方法に差がありましても、場所によりましてはそれ以上の差が出ておる、これは過去の市場価格の形成の平均値と基礎にしたためでございます。
  92. 倉成正

    ○倉成委員 この中に皮はぎと湯はぎとの格差、あるいは運賃等が入っていることはよくわかるのです。しかし農家の生産者の立場から言いますと、福岡の市場に対しても、あるいは大宮、横浜に対しても、運賃は別としますと大体同じ収入が得られるということでなければいかぬと思うのですが、そういう格差を入れましても福岡に出した方が不利だ、具体的にいうと十円程度不利だという結果が出ておるようでありますが、この理由はどういうところにあるわけでございましょうか。
  93. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 従来、福岡の中央卸売市場は、九州における大消費都市の中心地としての面も一つありますが、またやはり産地市場という面も反面あるわけであります。そういう意味におきまして消費と需給、あるいは市場の歴史が浅い、こういう意味因子がからまりまして、中央卸売市場の三十六年における平均価格がかりに芝浦を一〇〇としますと、手数料等を含めないで計算しましても大宮が一〇二、横浜が一〇二に対しまして福岡は八六という指数が過去においてずっと継続されてきたものと考えます。
  94. 倉成正

    ○倉成委員 これは非常に不合理な点でありまして、やはり鹿児島、宮崎あるいは長崎等、そういった豚の生産地が九州にあるわけです。これらの、特に鹿児島等の豚というのが東京に、特に芝浦にどんどん送られてきておるわけですけれども、福岡で売ると安くなるということは、従来の経緯あるいはそういった肉商の価格操作の面あるいはその他いろいろな要因があることも承知いたしておりますけれども、少なくとも安定基準価格を設けて豚肉の値のくずれを防ぐということになりますと、やはりきめ方については再検討する必要があるのではないか、運賃やこういう格差以外の差が出てくるのはおかしいことになるのじゃないかと私は思うのです。伝えられるところによりますと、二百四十五円という価格をきめます際に、福岡については二百四十円できめるのではないかということで作業が進められて、そういう形勢で非常に価格下値に押えられたというふうにも聞いておるわけですけれども、この問題は私はもう一度考え直していただきたいと思うのです。今これをどうせよということは言いませんけれども、新しい基準価格その他の設定の際に十分現地の事情を考慮に入れて是正をしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。もし御所見があれば伺いたい。
  95. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 私どもといたしましては初めての各地における安定基準価格の設定の事態であったわけであります。特にわれわれが一番留意いたしましたのは、基準価格の設定、また今後におきまする基準価格以上に出て願わしい価格というものを想定いたしますると、まん中以上の価格で安定して枝肉の値段が立っていくということでありまして、それには各地におきまする基準価格を突破してそうして市場が回復していく場合におきまして、現在の買い入れ価格の特別措置と、生産出荷の状況と需給の関係価格回復とが即応して動いていくということが望ましいと考えたわけであります。考え方によりましては、どこの産地から見ましても、中央卸売市場が、係数的にいって、生産者側から見て同じ産地価格の手取りが同じになるということは、これは一つ考え方として柱になると考えます。こういう制度がしかれて、そして政府で法的にも支持していくということになりますと、また一方におきまする生産価格の方の、地元の庭先価格の変遷ということになりますものですから、基準価格が上回った場合においても、それぞれ各地において基準価格を上回った価格現象の出ることが相当であると考えるわけであります。価格のきめ方いかんによりましては、ある場所において相当部分基準価格が復活しても片方の方では復活しないということにおいては、また経済現象に合わない、こういうことになるわけであります。いずれにいたしましても、各般に関する産地側の庭先に関する手取りの問題、それから各地における消化能力等もありまするけれども、各地における経済取引関係等をも改善しないという考え方で参ったわけでございますけれども、特例な価格支持という点を考えますれば、そういう点を放擲して逆に産地手取り価格を合わしていくという考え方で一本に考える方法ということも、また一つ考えられるわけであります。しょっちゅう安定基準価格におるものではございませんし、そういう意味におきまして、われわれといたしましては、庭先の産地手取りがどこの市場をながめても同等になっていく、こういうことも一つ考え方と思っております。そういう意味におきまして、安定基準価格の今後における設定の方式といたしましては、今申し上げました各般を考えまして、いずれにいたしましても生産者に御納得のいく価格決定方式でなければならぬと存じますので、そういう点、私どもはこういう価格支持が完全無欠のものだというにはまだまだ研究すべき点が多々あると思いますので、そういう意味におきまして、御意見趣旨は十分頭に入れまして、各庭先側、各市場との間でどうなるかということ、それから経済関係として、そういうふうにきめた場合に、各市場間のつり合いというふうなものがどうなるかということを十分検討いたしたいと思います。
  96. 倉成正

    ○倉成委員 今九州の生産者の立場としては、福岡のこの市場の価格というのは納得がいっておりません。従って、これは将来において十分御検討いただいて、是正をしていただきたいと思います。  なお、その点につけ加えて申し上げますが、市場の手数料、これは大体どうなっておりますか。大宮から福岡に至る市場の手数料はどうなっているか、お伺いいたします。
  97. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 各中央卸売市場におきまする食肉価格の卸売の手数料は、市場ごとにきまっておりますが、大体各市場三分五厘であります。ただ相当出荷量が多い場合に、出荷奨励金として、その三分五厘の手数料のうち、ある程度出荷量が市場に対して多いというものについては一分五厘還元いたしておりますので、実質的に相当出荷する団体につきましては二%の手数料になる、こういうことでございます。
  98. 倉成正

    ○倉成委員 じゃ福岡の市場でそういう出荷奨励金がございますかどうか、御存じならお伺いいたしたいと思います。
  99. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 福岡の手数料はやはり三・五で、市場の規則できまっておりますが、出荷奨励金を還元する場合、先ほど一定量がまとまった場合という事例をあげましたが、福岡では三・五%の手数料のうち、相当出荷したものについては〇・五還元しておりますので、他の市場の一・五と少し比率が違っております。
  100. 倉成正

    ○倉成委員 もう少しこまかく伺いたいのですけれども、実際生産者の手取りという点から見ますると、こういう基準価格のきめ方やその他いろいろな点、そのほか手数料もやはりすぐ生産者の手取りに響いてくるわけです。ですから、実質的な手取りが不利にならないということをいろいろ行政当局としては指導していただく必要があるんじゃないか。そこでいろいろ経済事情の問題ですから、ここでこまかくその内部にわたって私はあれこれ取り立てて申し上げたくございませんけれども、実態からいいますと、いろいろな問題がまだ含まれておるということを強く指摘しておきたいのであります。  そこで、時間もないようでございますから、豚のコロの値段が先ほどから湯山委員質問で問題になりましたけれども、大体コロが取引される場合、生まれてから何日間くらいのどの程度のコロが今取引されているか、お伺いしてみたいと思います。
  101. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 われわれ行政当局で押えておりますコロが繁殖豚業者から肥育豚の農家に売却される時期は、生まれてから四十五日ないし六十日のコロが一般的には取引されている、こういうことに観測いたしております。
  102. 倉成正

    ○倉成委員 四十五日というコロは私はあまり聞いておりませんけれども、それはそれとして、大体豚の生産費のこまかいことを局長御存じないと思いますが、一応常識として、今後の豚の生産価格等を御検討なさる場合に、農家の立場に立っていろいろ知っておいていただきたいという意味で一、二質問してやめたいと思いますけれども、豚は何回出産してそれから何頭くらい平均して生みますか、御存じですか。
  103. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 大体私どもがいろいろ検討しております資料といたしましては、十・一頭くらいが普通じゃないかということで、年としては一・五回説あるいは一・七回説もあるわけでございます。
  104. 倉成正

    ○倉成委員 畜産物価格審議会でこの基準価格等をきめますときに、いろいろこまかい原価計算が出てくると思いますけれども、六カ月ないし七カ月の間、これから成豚にするまでの間のえさの問題でも、たとえばイモ地帯その他そうでない地帯等でいろいろ計算の仕方が違ってくると思います。そのほかコロが成豚になるまでの間の経費の考え方等、実際最終的に出てくる標準的な価格ということになりますと、いろいろなものを込めた平均値でありますから、実際上の価格と非常に食い違う面があるかもしれませんけれども、私は局長に特に御要望申し上げたいのは、ほんとうに豚を飼っている農家の実態というものを、全国共通なものはもちろんございませんけれども一つ十分把握していただいて、そしてそういう農家が一体どういうことを要望しておるかということを頭に置いて今後の行政を進めていただきたい。やはり実感がなければいろいろ価格をきめても、いろいろ指導しましても、ぴんとこないわけです。そういう意味で今後の御検討、御研究を一つお願いを申し上げたいと思います。  そのほか、この価格安定法に関する問題、牛乳の問題、その他いろいろございますけれども、同僚のベテランであります芳賀委員がお待ちかねのようでありますから、この程度で終わりましてまたいずれ機会をあらためてお伺いいたします。
  105. 野原正勝

    野原委員長 芳賀貢君。  なお、農林大臣は参議院の方にちょっと出ておられますが、やがて見えると思います。
  106. 芳賀貢

    芳賀委員 畜産局長にお尋ねしますが、今月の二十六日から畜産物価格安定法に基づく畜産物価格審議会が開会されますので、本法案の改正点と関連して主要な点をお尋ねしたいと思うわけです。  まず、今回の法律改正の問題でございますが、特に事業団の行なう業務の目的を拡大するということになっておるわけですけれども、まだ事業団が発足したばかりですし、はたして現行法に基づく業務だけを完全に処理運営できるかどうかということも非常に案ぜられる点が多いわけですね。それにもかかわらず間口だけ広げるというような政府の構想のようですが、これはいささか軽卒じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  107. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話のように事業団発足早々でございますので、なるべく一事に専念して事に当たってもらう、こういう趣旨では全くお話通りであります。しかしながら現状を根本的に考えますと、事業団の目的とするところは、やはり債務保証機関から大きく発展して畜産物の安定機関、こういうことを考えますれば、今度の交付金ということも一つのしっかりした機関、そこで万般のことも考えながらという意味合いからいいまして、ばらばらに別の機関を作ってということでなしに、せっかく各委員の御激励で事業団ができたものですから、やはり価格だけ立てておればいいというのでなしに、畜産振興全般に資していこう。これは幸か不幸か価格基準価格以上に上がって安定して参りますれば、また団体の協力等、あるいは政府も努力して参りますれば、価格支持の仕事が——幸いにして価格が安定しておりまして基準価格以上に張っておるということになりますと、これは事業団の活躍の部面も、買い入れ等ないということになりますと保証事業だけ、こういうことになってしまうわけであります。私どもといたしましては、政府でせっかく職員等の経費を払ってやっておる以上に一つ畜産振興に全面的に当たっていこう、買い上げの業務がない場合におきましても畜産振興事業に資するような場合には十分発動してもらう、こういうことでありまして、非常時ばかり、あとは閑古鳥が鳴くという事業団でなしに、全面的に政府とともに畜産振興の事業に当たってやってもらう、こういう考え方であります。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは第一点の学校給食に対する助成の問題ですが、現行法にもこれは政府が買い上げた乳製品あるいは食肉については学校給食用に特別売り渡しをすることができるという規定があるわけですね。この業務は今後どうやっていくのですか。
  109. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 今後におきましては、学校給食の牛乳の給食醜業の廉価配給といいますか、現在一合三円七十銭の補給を出して実施しておりますが、そういう事業はこの事業団の保有する交付金をもとにして価格差補給といいますか、補給金をやっていこうという考え方でございます。
  110. 芳賀貢

    芳賀委員 聞いているのはそうではないのですよ。事業団の業務の中に事業団が買い入れした指定食肉、あるいは指定乳製品、それを学校給食のために特別売り渡しすることができるという規定があるわけです。これは補助金を交付することと違うのですよ。現在もうすでに豚肉の買い入れはやっておるわけですね。乳製品の買い入れはまだ国内の分はやっていないわけです。ですから改正以前の現行法に基づいて買い入れた指定食肉や乳製品の特別売り渡し業務というものを一体事業団がやる考えで事業計画を立てて、それを実施に移そうとしておるのかどうか、そういう内容はどうなっているかということを聞いたのですよ。
  111. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在買い入れておりますたとえば食肉豚肉を事業団が加工して保有していくことになりますが、われわれといたしましては、やはりその分が市場に圧迫にならないようにということを考えますれば、やはりこれは順調に消費してもらうのが筋であります。そういう意味におきまして、金利保管料等のかかる仕事でもございますので、それとも見計らいまして、できるならばこれは保有しました豚肉は学校給食用に配給していこう、こういう考え方を持っております。
  112. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは局長一人で答弁に当たっているようですが、これは大事な質問ですから、なるたけ大ぜい連れてさておいて、そうして責任のある答弁を明確にしてもらいたいと思います。  私の聞いているのは、あなたの答弁している問題とはずれておるのですよ。事業団の業務のうち買い入れた食肉や乳製品については、これを法律に基づいて学校給食等に特別安売りすることができるということになっておるが、豚肉についてはすでに買い入れ発動をやっておる、そういう場合は、河野農林大臣は、もう最初から豚肉については学校給食にこれを回して、そうして調整をはかるということを言っておるのであるから、乳製品はまだ買い上げしてないから、豚肉の学校給食については事業団としてどういう準備をしておるか、その点です。
  113. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 豚肉の学校給食を事業団をしてやらしめるということにつきましては、先ほど申し上げましたように、金利保管料をかかえてそういうことは適当でないので、むしろ消費増進あるいは学童の栄養等を考えまして事業団をして豚肉を学校の給食用にいたさせようということで現在いろいろ検討しておる最中でございます。
  114. 芳賀貢

    芳賀委員 検討じゃなくて、事業団がやる事業ですから、事業団自身がそういう業務の実施計画というものをすでに立てておるのかどうか、こういう点もあなたは監督者ですから——わからぬならばわからぬでいいですよ、あとで大臣が来るからそのとき明らかにしてもらえばいいのだが、一体、どんどん豚肉の買い上げ発動が行なわれたが、市場価格というものはあまり好転していないでしょう。そうなると、これは相当長期的に買い上げを継続することになると、買い上げた豚肉の保管等についても、相当の経費もこれはかかるんですね。いつまでも保管しておくということはできないと思うのですね。そうすると、やはり適当な時期にこれを売り渡しをしなければならぬということにもなるわけです。ですからそういう場合、市場価格が低落しておる、市場価格が低落しておるときに、また買い上げたものを放出するということになればこれは悪作用を起こすのであるからして、そういう場合にはやはり方法としては学校給食等に大臣は回すということを言明しておるのであれば、法律にも根拠があるのだから、それはやるということになると思う。そういうものはやはり事前に準備をしておかないとできないわけですね。その準備というものは整っておるかどうかという点を明らかにしてもらえばいい。
  115. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 事業団が学校給食をやる場合には学校給食会の意見、それから各県の教育関係意見ども十分伺って、そしてスムーズに豚肉が学童の食膳に上がるようにいたさなければならぬので、文部省とも現在連絡中であります。ただ計画を示せというお話でございますが、現在一応買いつけました数量は昨日程度では約八千五、六百頭の程度でございます。お話通り中央卸売市場の価格がまだ基準価格を低迷しておる現在でございますので、数日前から産地買いの態勢も整いまして、早いところでは本日産地で買付が始まっておるわけであります。そういう意味におきまして、ある数量まとまって参りますれば、これは計画が立てられるということになりますが、今のところ、予定をして推察をいたしておりますのは、四月、五月程度までは基準価格は相当買い入れが進むだろう、そういうことになりますると、約五月末で五万四千頭ということになるわけであります。そういう予定数字をも見計らいまして、がっちりした計画を樹立して、実施に努力いたしたいと思います。
  116. 芳賀貢

    芳賀委員 次に乳製品の学童給食ですか、現在学校給食は主として輸入した脱脂粉乳並びにバターを対象に使っておりますが、事業団が学校給食用の食肉や乳製品を扱うということになれば、今後の学童給食用の輸入乳製品をどうするかということはこれは重大な問題だと思うのですね。輸入乳製品を一般国民が消費する分については、これは事業団が買い入れするということにきまっておるが、学校給食の乳製品をどうするかということについてはまだ事業団でやるということもきまっていないわけですね。これについてはどう考えているのですか。事業団がそれを行なうべきか、行なうべきでないかという判断はあるでしょう。
  117. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話の点のものは文部省で学校給食会等の機関を使って米国産の粉乳を原料にして、それを学校給食に充てておる問題だと思います。これにつきましては、事業団が特にこれを扱って、そして学校給食の仕事をそういう直接米国産の粉乳を扱って配給して参ろうということはこの制度では考えておりません。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 肝心の業務はやらないのでしょう。やらないでただ補助金だけを給食用に回すというのでは何も事業団がやらぬでもいいじゃないですか。そういう行政的な助成等については農林省という役所もあるし、その中に畜産局というあなたのところの役所もあるわけですから、何も交付金の交付だけを事業団を経由してやる必要はないじゃないですか。ものの取り扱いとか、ものの流通については、これは事業団が業務の一環としてやるということも考えられるが、そういうものはやらない、交付金の形式的な交付業務だけをやるということになれば、これは必要性が薄らいでくるのではないですか。乳製品の買付は、事業団が今後輸入乳製品は買い入れることになれば、同じ乳製品ですからね、だから学校給食用のものについてもこれは事業団が一括買い入れを行なって、そうしてそれを、たとえば現在の扱い機関である学校給食会に売り渡すなら売り渡すという措置は当然できるじゃありませんか。交付金の問題だけを扱うという、こういうものを考えた方がいいじゃないですか、頭のいい者は……。
  119. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 国内産の牛乳を事業団が買うという制度をもし考えるとすれば、これはやはり畜産物の乳製品、乳業者の安定という意味からこれは全面的になま乳を買うという措置になるのであって、これは学校給食だけに日本で買ってやらなくとも、今までやってきた経緯といたしまして、学校給食用のものについては国が予算措置をして参ったのを、一本のこの法律制度の内輪において交付金制度を樹立いたしまして、そして毎年々々一定の予算を確保して参りましたが、その実施の面で、実施だけで三十六年度におきましては九億の予算を立て、そうして実行では四億ということで、五億は国庫に返還することになるわけであります。そういう意味におきまして、交付金制度を設けたゆえんのものは畜産振興に充てるとはいえ、返す金ならばわれわれとしては意味がないことになりますので、十分畜産振興に充てる財源を確保するためにこういう交付金制度をとったわけであります。これも一つの理由であります。国内産の牛乳を新しい制度で学校給食に直接事業団がやらなくとも、現行の制度で簡素にできる、価格差の補給はできるわけでございます。全般的に言って牛乳を事業団で一括取り扱うということになりますれば仰せの通りであります。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、事業団が学校給食に充てる輸入税粉や輸入バターを扱うべきではないかということを聞いているわけです。
  121. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 アメリカから輸入する粉乳等について事業団が買ったらどうか、これは現在の法律制度でも実際上の問題としてやれないことはないわけであります。そういう意味におきまして一つの御意見として十分承っておくわけでございますが、現在のアメリカから粉乳として入って参りますものについて、特に制度を変えて事業団で扱うということは現在のところ考えておりません。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 御意見聞いておくというようなことは大臣の答弁の場合はそういうようなこともありますが、これははっきりしなければあとで農林大臣に尋ねます。  これに関係して現在の学校給食用のバターや脱粉はどういう形式でアメリカから輸入しておるか、それはわかるでしょう。
  123. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 学校給食会が買って、各県に配給しているものであります。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃない。どういう買い入れの手続や形式で行なわれておるか。具体的に言えば、以前はこれは余剰農産物の第二次協定の別途協定として、年限を五カ年間として、その別途協定の中では日本の学校給食に用うる脱脂粉乳及びバターについては、余剰農産物協定の別途協定に基づいて五カ年間一定の数量を下回らない数量を買い入れするという協定が行なわれておるわけです。それはわかっておると思うのです。以前はそういう形でやってきたのだが、現在はどういう形式で学童給食用の乳製品の輸入をやっておるか、それを聞いておるわけです。
  125. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現在では実需者として学校給食会に外貨割当をして輸入している状況であります。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは協定の期限は経過しているのですか、それとも方法を改めて、今答弁のあったような方法で輸入しているのか、それはどうなんですか。
  127. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 こまかい点はさっそく調べまして、後刻お知らせいたします。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 それから、先ほど九億円の学童給食用の補助金の予算があって、実際に用いたのは四億円で、五億円未使用になっておる、こういう現実があるから、事業団がこれを扱えばどうせ予算が残るから、残った分については事業団の運営上の弾力的な財源としてこれを用いることができるので、それで学校給食の助成関係事業団が行なうことにした、そういうことなんですか。
  129. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 学校給食事業は数ヵ年間続けて参りましたが、年々の牛乳の需給関係によって数最がいろいろ変動して参っておるわけであります。最近、三十六年度ではお話通りの実行状況であります。そういう意味におきまして、われわれといたしましてはこれを畜産振興費として確保したとはいえ、実行上そういうことで予算返還等にもなりますので、やはり畜産振興費として編成された金は十分生かして、われわれも予算編成について努力をいたしてはおりますけれども、現状では十分余り過ぎるほど予算を組んでおるというわけでないのでございますので、畜産振興の事業に資したい、こういう趣旨で、かりに学校給食の計画が需給関係で少量になりましても、交付金としてこれを確保しておくという趣旨でございます。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 従来の国産牛乳の学校給食はむしろ残乳ですね。需給関係から見て牛乳は余剰傾向を示しておるというような場合に、残乳処理というような形で学校給食に回した場合が非常に多いわけです。だから持続性がないわけですね。給食制度としての安定性もまた欠けておるわけです。そういうことが理由になって牛乳の学校給食についてはやはり問題があって、そういう勝手なやり方では協力できないという不満や批判も相当出ておる。だからこの点は根本的に改善しなければいけないと思うのです。これは文部省が所管であるかもしれないが、原料提供は農林省関係ですから、今後国産牛乳の学校給食等の運営については残乳処理の立場でなくて、やはり本来性のものにこれを戻してやる考えで進むのかどうか、この点はいかがですか。
  131. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 文部省におきまする給食関係その他教科書関係、いろいろな学童の施設関係については、文部大臣に、審議会といいますか、その関係委員会から答申があるわけであります。その答申の筋では、どんどん学校給食をもっと拡充していくというようであります。そういう意味におきましてはむしろ需給関係いかんにかかわらず、学校給食という見地、目的に沿って、できれば制度として充実していくべきものだと考えるのであります。そういう意味におきまして、学校給食の所管庁が予算を獲得して体制を整えていただきますれば、私ども、そういう需給ということを離れて、学校給食自身の目的ということで手配、準備等をいたすことになるわけであります。国の学校給食に関する牛乳の関係につきましては、従来の予算編成等、財政当局との打ち合わせでは、需給関係消費増大、こういう二つの点を結びつけられて目的がはっきり限定されております。そういう意味におきまして、各学校給食の事業を執行するにあたりましては、常に需給問題を前提にしてやっております。お話のように制度としてこれを打ち立てるということになりますれば、むしろこれは性質上、文部省で予算としてもし安い牛乳を配給するということになりますれば、価格差の価格補給金といいますか、年間のための財政措置というものは文部省で制度として考えらるべきものだと考えております。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう制度が確立されることを期待しておるわけですね。
  133. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 横から見て、文部省行政を何とか言ってはなんですが、全般的に言って、政府の一員として申し上げれば、そういうものが確立さるべきだと考えております。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、事業団経営にも関係がある点ですが、昭和三十四年、三十五年の両年にわたって、輸入した乳製品の差益金の積み立てが行なわれておるわけですが、この約五億近い差益金の処理の内容というものは、委員会等においてはまだ明らかにされていないわけなんですが、この際この五億円に及ぶ差益金の処理状況というものを明らかにしておいてもらいたい。
  135. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話通り、昭和三十五年度におきましては、乳製品の需給と価格の安定をはかるために、脱脂粉乳におきまして二千五百五十トン、バターでは九百トンの輸入を行なったわけでございます。そのうち飲用牛乳として配給した八百八十トンの脱脂粉乳を除きまして、輸入価格と供給価格との間に差益が生じたわけであります。三十五年度中に発生した差益積み立て総額は、脱脂粉乳におきましては一億九千二百九十二万五千円、バターでは七百五十八万二千円、合計二億五十万七千円でありました。このうち税等を控除した後の額は九千三十八万二千円でありますので、それについては五千万円を団体側で畜産振興事業団の債務保証勘定に対する出資といたしまして、あとの二千百二十五万一千円につきましては振興事業団に拠出いたしたわけでございます。そして千九百十三万円につきましては、保管三団体が積み立てるということで全酪連、日本製酪、乳品製販等において積み立てて処理いたしたのでございます。なお出資については、他の譲渡、払い戻しその他の処分については畜産局長の承認を受けるということで、その積み立てた金の使い方については、承認を受けてもらって酪農振興のために使用するということにいたしたわけであります。三十六年度の実質的の積立額は、実益の税を引きますと、一億六百五十五万円になりますが、三十六年度の使い方につきましてはこれはむしろ畜産振興、事業団に拠出してもらって、そうして畜産振興酪農振興のために役立てていただこう、こういう考え方でございます。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょっと違っているのじゃないですか。この積み立てば税引きとか税込みといったものじゃないですよ。輸入した場合の一つ条件として、畜産局が指示を與えて一定額を積み立てをさしたのですからね。砂糖の超過利潤のように、決算が終わってしまってからこれだけ超過利潤があるからそれを出せというのと違うわけですから、税を引いてとかなんとかということはおかしいんじゃないですか。最初から積み立てることになって積み立てておるのだから、それは保留された利益だから、決算の中で利益金の処分というものとか課税というものが行なわれていないはずです。
  137. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 輸入割当を受けまして、輸入いたしまして、配給価格につきましては、輸入等の差額を見て一定額を暴利にならないようにちゃんと利益を積み立てるということにいたしたわけでございます。ただ団体の輸入したものの買い入れ、そうして売り渡しということになりますと、やはり積立額、取扱額全部について販売で利益を上げたということで、一般の税法の規定で、二億円積み立てても税を控除されまして九千万円になった、こういうことでございます。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 これは三十四、三十五年度で大体五億円でしょう。局長は先ほど三十五年分の二億五十万しか説明しなかったが、大体五億になっている、事前に決算の中でこれを処理するということであれば、これは利益金でそれは処理されて、一部は税金ということになるのですが、これは最初から積み立てるということになっておるのであって、たとえばジェトロで雑豆とか外車の納付金を扱っているのと大体似たようなものです。法律の根拠はなくてやっておるのですからね。ジェトロも何も法律の根拠でやっているのではないですからね。これは取り扱い業者の利益として処理される性格のものではないのです。これは安田さんの時代はそういうことで明らかになっておったのだが、森さんになってからやり方が変わったのですか。
  139. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 三十五年におきましては差益積み立て総額は二億五十万円、それから三十六年度におきましては二億三千五百万円と推定いたしております。これの処置につきましては、やはり団体が輸入のものを買って、そうして販売するということで、事業関係からいって、これが政府機関とかあるいは公的団体であれば税金がとられないわけでございますが、私的団体の取り扱いということでそれ相当の額につきましては税金がかかる制度になっております。今後事業団が輸入をはかりますので、これからは税金がとられないということになります。かつ団体関係では一定の積み立て金等の制度もございますが、現状といたしましてはこれは差益だけでなくて全部の取扱高について税が適用されるということで、これは政府機関でないので、あるいは公の機関ではないので、遺憾ながらそういう取り扱いになっておるわけであります。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 それはちょっとおかしいじゃないですか。取り扱い団体に課税されたということになるのですか。現品を実際販売したというそういう業者が年度の決算で利益金の中から課税されたというならまだ話がわかるが、外貨の割当を受けて輸入を行なった団体に課税されたというのですね、今の説明からいうと。その課税された扱い団体というのは、どれですか。
  141. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 全国酪農協同組合連合会、それから日本製酪組合、それから乳製品の製販組合、これらはいずれも農業協同組合連合会または中小企業法による酪農協同組合であります。これらのものが輸入商社から政府の指導によって一定額の粉乳とバターを買って、そうして政府の指導に従って売ったわけでございます。そこへ自分の買った値段と売った値段との差益が出たわけであります。そういう意味におきまして税法上の取り扱いといたしましては、その販売につきましては益金に関して税金がかかるわけであります。税金を差し引いた額については畜産局長の指示で酪農振興に充てるということで、三十五年度においては五千万をその関係団体の出資金として畜産振興事業団に拠出させる。三十六年度の方針といたしましては、これは畜産事業団に入れてもらって、そうしてこれは酪農振興費に使っていこう、こういうことでございます。税法上の関係から、これはいかんともしがたい問題だと思います。  さらにちょっと補足いたしますが、先ほど学校給食用の脱脂粉乳の輸入については、第一に文部省とCCCの間に、価格と数量について話し合いによって、特別価格で買う交渉を行ないまして、そうして学校給食会が輸入業者を通じてCCCから買い取っております。本年度は一ポンド五セントということであります。この手続は一般の輸入手続と同一でございまして、学校給食会の実需者割当の方法によっておるものであります。先ほど申し上げにくかった問題につきまして、確認して申し上げた次第であります。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 文部省の係の方が来ておられるのでお尋ねしますが、現在当委員会において畜産物価格安定法の一部改正法律案審議をしておるのであります。これは皆さんも政府の一員ですから内容を知っておられると思いますが、今度は事業団が学校給食用の分に対して、学校給食が行なわれた、その用に供されたバターであるとか脱脂粉乳とかあるいは国産の牛乳の給食費について、事業団から交付金を交付するということになるのですが、こういう点については文部省としては、今回の改正が妥当と考えておるかどうか、その点はいかがですか。
  143. 臼井亨一

    ○臼井説明員 御承知の通りなま牛乳を学校給食向けにお願いすることになりましたのは、昭和二十二年くらいからのここ数ヵ年のことであります。ところで学校給食は元来教育的な見地と国民栄養改善の見地と、三つの見地があったのでありますけれども、この補助は農林省の所管になっております関係上、農林省としては教育的見地ということにそう重きを置かれませんで、むしろ畜産奨励、なま牛乳の販路拡張というような、そういう点に着眼して、なま牛乳を学校給食向けに使えというような申し入れがあったわけであります。従いまして来年度から畜産振興事業団を通して学校給食の方へいただくことになるわけでありますが、教育的見地ということよりも、畜産奨励という見地から申せば、農林省の直接の補助であろうと、事業団を通じての補助であろうと、本質的にはそう変わりはございませんので、私どもといたしましてはそれほど改悪されたというふうには考えておりません。ただ願わくばなま牛乳が学校給食向け、すなわち児童生徒に飲まれるという状態が、今後だんだん末細りにならないで、むしろ継続的に計画的に、確実にやっていただくということが、私どもとしての希望でございまして、そのことが確約されますならば、農林省補助であろうと、畜産振興事業団の補助であろうと、いずれの方法であろうとその方法は問わない、こう考えております。
  144. 芳賀貢

    芳賀委員 今お話のあった通り、これは昭和三十二年に国内の牛乳価格が暴落したときに、その対策の一環として国産牛乳を学童給食に回すということから出発したわけですね。当時当委員会においても、文部当局を呼んでいろいろ論議した過去があるわけですが、その後制度的にこれが全然前進されていないわけですね。今言われた通り、文部省としては教育的な見地から牛乳の学校給食なるものを制度化して恒久化させたいという考えがあるにもかかわらず、補助金を交付する農林省の側では、畜産振興とか牛乳奨励の立場から対処しておるので、なかなかこれは総合的に成果を上げていないわけなんですね。そういうことで三十六年には農林省からの学校給食の補助の予算が九億円用意されておっても、実際に給食が計画通り行なわれていないので、補助金の支出は大体四億円程度にとどまるわけですね。あと五億円というものは、これは使用されないで残るということになるわけなんです。ここにやはり大きな問題があると思うのです。この原因は、結局牛乳の給食は、牛乳が過剰傾向になったようなときだけ余った乳を学校給食に回すというような、そういう運営が行なわれておるから、これはあと回しあと回しということになって、不足傾向になれば、もう学校給食はやる必要はないということになって、ほんとうに子供はかわいそうだと思います。だから、こういう欠陥を是正するのは農林省だから文部省だから、という問題ではないと思うのです。やはり政府として明らかな方針を立てて、三十二年からもう五年も経過しているのでありますから、学校給食を文部省が主体となってやるということであれば、この国内の牛乳給食等に対しても、直接文部省が予算を確保して、そうして一合についてたとえば三円五十銭なら三円五十銭の助成というものを、文部省が予算を確保して行なうべきが至当であって、今度は農林省から事業団に交付金を交付して、そうして事業団から文部省関係の学校給食に補助金を回すというような、そういう迂遠な措置が改正の中で講ぜられようとしておるわけです。ですからこういう点については、所管が違うといって放置しておくわけにいかぬと思うのでありますが、こういうやり方はうまくないとかけしからぬということであれば、これは卒直に言ってもらいたいと思います。文部大臣でなければはっきりしたことが言えぬということでありますれば、これは荒木文部大臣を当委員会に呼んで見解をただしたいと思うわけでありますが、その点はいかがですか。
  145. 臼井亨一

    ○臼井説明員 私からお答え申し上げるのはほんとうに僭越でございまして、文部大臣からお答え申し上げるべきかと思いますが、ただ私の気持といたしましては、事業団であろうと、農林省それ自体の補助であろうと、末細りにならないように確実に伸びていければありがたいと考えております。そこでそれでは文部省へ予算をとってはどうかというお言葉がただいまございましたけれども、私ども学校給食課といたしましては、実はいろいろな獲得したいと思う項目が山とあるわけであります。そこへまた新しい一項目をかかえ込むわけでありまして、これはいわば、卒直に申せば自信がないということでございまして、やはり農林省でやっていただいた方がより効果的であると思えば、お願いした方が予算が獲得できるのではないか。大へん弱気でございますけれども、卒直に申し上げますれば、そういうことでございます。
  146. 芳賀貢

    芳賀委員 荒木さんは相当反動的に、がんばるときはがんばっておるようですが、予算獲得なんかという場合には弱いのですか。教員組合なんかには非常に傲岸な態度で一歩も譲らぬということでがんばっておられますが、そういうような一つの、正しい気魄じゃないと思うのですが、がんばりがどこかにあるのですから、予算獲得ぐらいは、もう少しがんばらせたらどうですか。
  147. 臼井亨一

    ○臼井説明員 それでは補足してお答え申し上げます。  実は学校給食におきましては、主体といたしまして、ただいま安い、一合たった一円五十銭ぐらいの脱脂粉乳ミルクを学童に飲ませております。そこで国内のなま牛乳は今お示しのように、七円とか八円とか一合当たりの単価が高いわけでございます。そうしてまた現在の需給状況は、春夏秋冬年間を通して出すことは、なかなか困難であるというような状況におきまして、毎日飲んでおります完全給食になま牛乳を私の方の仕事として織り込んでいくというには、現在の状況はあまりに需給関係のバランスがとれておりません。そこで私ども学校給食課といたしましては、とにかくアメリカ産の脱脂粉乳をできるだけ安く、完全給食用として、全国九百万人の児童に、円滑に早く回し得るということ、それを第一条件としております。そこでなま牛乳を飲むということはプラスアルファといいますか、そういう副の関係になりますから、これは私の方の当面の課題として取り上げるよりも農林省にお願いしてやっていただいた方が、将来需給が非常に円滑になりましてなま牛乳が相当多量に出るという暁には私どもの方でやらしていただきまして、たとえば脱脂粉乳は年間約三万五千トンくらい現在使っておりますけれども、五年、十年後にはなま乳に三分の一なり五分の一切りかえ得るというような見込みが立ちました暁には、文部省で引き取って予算化すべきことであると思います。現段階ではちょっと時期が早いと思います。
  148. 湯山勇

    湯山委員 湯山委員 ちょっと関連。私、給食課長さんにお尋ねいたしたいと思います。もしお答えできなければ局長なり大臣なりに来ていただくことにして……。今までなま乳の給食は順調に行なわれておりましたかどうですか、端的にお答え願いたいと思います。
  149. 臼井亨一

    ○臼井説明員 昭和三十二年から一昨年までは大体円滑にやらしていただきました。ところが一昨年あたりから非常に一般需給が伸びました関係上、どうしても予定数量を削減せざるを得ないというようなことで、ここ一、二年の間は少しずつ円滑を欠くという状況でございます。
  150. 湯山勇

    湯山委員 一昨年までは大へんうまくいっておったということですけれども、これもうまくはいってないでしょう。卒直に一つお答え願いたいと思うのです。そうしないと、これは大事なところですから、特に最近はその円滑が一そう欠くる状態になってきたというのが実情じゃないかと思うのです。そこで、どうしてうまくいかないか。単なる需給事情だけですか。なま乳の給食が円滑にいかない、いろいろ給食で困る問題が出てくる、迷惑をこうむる、そういう理由は単に需給事情だけですか。もっと手続的な問題やそういったものはありませんか。あれば一つこの際端的にお話し願いたいと思います。
  151. 臼井亨一

    ○臼井説明員 私も二カ年前に給食課長になりましたのでありますので、古いことは詳しくは存じませんが、大体以前は円滑にいっていたように聞いております。ここ一、二年間円滑を欠いておりまするが、その主たる原因は私といたしましてはやはり需給関係にあるようでありまして、手続的——たとえば文部省が主管しておればどうかというようなそういうことじゃなくて、やはり客観的情勢において一般市乳の需要が伸び過ぎている、生産よりも需要の方が増大しているということに最も大きな原因があると思います。まあその他付帯的な、局部的にはそれに伴う理由があるかとも存じますけれども、全国的、総括的にはやはりそういうことが一番大きな原因である、かように考えております。
  152. 湯山勇

    湯山委員 と申しますのは、実際にには割当がきまって、需給事情を勘案して今期はこれだけなま乳を給食に回すということがきまって、きまっておりながらその通りいかない、そういう事例がありませんか。
  153. 臼井亨一

    ○臼井説明員 この点につきましては、私がお答え申し上げるよりも、やっぱり農林省畜産局の方からお答えいただいた方が確実かと存じますので、どうぞよろしく。
  154. 湯山勇

    湯山委員 そうじゃなくて、学校給食の現場の問題なんです。現場でそういう事態はないかどうか。これは学校給食の場は文部省の御所管です。だからそういうことは少しも御遠慮要らないのですから、おっしゃっていただいていいと思うんです。そうかといってこれは農林省の責任だというわけでもありません。問題はもっとほかにあるかと思いますけれども、やはり給食がうまくいくということが大事なんですから、少し勇気をふるって、今の予算の問題にしても農林省の方でとってもらう方がとりやすいというようなことでは学校給食だめですよ。一つそういう御遠慮なくてお答えいただきたいと思う。
  155. 臼井亨一

    ○臼井説明員 予定の数量の学校給食の割当のなま乳が予想通り現場の学校へ参りませんという最も大きな理由は、需給の不円滑にあるということを理由として申し上げましたが、農林省初めその他関係省、たとえば大蔵省あるいは業者、そういうような人たちがすべて学校給食に協力的なお気持を十分に持っていただければこれはもちろん円滑に参ります。それがそれぞれ、たとえば大蔵省から言えば、そう予算を出さなくてもいいじゃないかというお気持がある場合もあります。また業者から言えば、七円のものは八円くらいにしてくれなければなかなか出せないというようなことを言う業者も中にはあるでありましょう。そういうわけで、それぞれ隘路といいますか、理由があって、総合されまして円滑化を欠いておるというような状況かと思います。
  156. 湯山勇

    湯山委員 これ以上お聞きしても課長さんも御答弁しにくいだろうと思います。その問題については従来割当の決定が非常におくれるという事実もあると思います。そのために予定通りできないということもあるし、今の中小企業でやっておるのが多いのですから、そこでそれができないというようなことも確かにあると思うのです。そういうことになると、ここで一つ相当思い切ったことをお聞きしたいのですけれども、今のように余剰牛乳の処分ということで学校給食に回してもらう。これは実際はありがたくない、学校給食の立場から言えばありがたくないのだというような結論が出て参りませんか。ことに私が申し上げたいのは、先ほど芳賀委員から御質問のありましたMSAの援助を受けたときに、小麦にしても脱脂粉乳にしても、MSAの援助でもらったものをそのまま給食に、これはこうこうでもらったものだというようなことで給食には回さないで、一円なら一円という補助にして回せば、そういうことを言わないで済むというようなことから、給食の教育的な性格を考えて配慮してこれはやったはずなんです。そういうこともあわせて、従来のように食生活の改善という立場からの学校給食が、今度教育の一環ということになって、学校給食というものは教育的な性格を非常に大きく持ってきた。これはもう給食課長さんだからよくおわかりの通りです。そういう中へ、余ったら一つお前たちに飲んでもらうのだ、足らなければ、計画しておったけれども、どうも値がよくなって、どこか大きいところが買い占めて、そのためにあなたたちの給食ができなくなったのだ、そこで予定はしておったけれども、今月は脱脂粉乳でがまんしてくれ、こういうことを言わなければならないようなそういう給食は、そういうことによって給食の本来の性格をこわしていく、こういうことになるんじゃないか、そう考えていくと、今のような形ならば、むしろなま乳の給食はそういう見地から辞退すべきじゃないかということまで、極端に言えば考えられるのですけれども、これはいかがでしょう。
  157. 臼井亨一

    ○臼井説明員 私たちも将来あるべき姿といたしましては、アメリカ産の脱脂粉乳にたよらないで、飲みやすい、おいしいというなま牛乳に逐次切りかえていくというのが学校給食のあるべき姿であろうと考えておりまして、そういう考え方につきましては農林御当局も全く同感されておる。ただ、いかんせん客観的な需給関係の情勢がそれを許さないということでございますので、やむを得ず現在のような状況でとにかく命脈を維持していきたいという気持でいるわけでございますけれども、できるならば脱脂粉乳に将来は切りかえていく。従いましてお説のように、学校給食で全国を通じてなま牛乳をいただき得るという状況が将来も願わしいわけであります。現在のように、御案内のように断続的であって、そういう場合においては教育的ではないから辞退すべきではないかというふうにお教えをいただきましたが、そういう面もなきにしもあらずではございますが、ただやはり過去の実績をもとといたしまして、将来拡大強化をはかっていくというのが定石であろうと思います。従いまして少しぐらいの苦難を忍びましても、過去の実績を尊重して、それをもとにいたしまして、やはり逐次われわれの希望している方向へ拡大強化をはかっていきたい。従いまして現在好ましくないから打ち切りたいというように一刀両断には考えておりません。
  158. 湯山勇

    湯山委員 学校給食の精神からいって、ただうまいものが食べたい、飲みたいというようなことじゃなくて、教育的な見地から判断してどうかということなので、今の御答弁でお考えは大体よくわかります。  それから農林省の方も私が今お尋ねしたような趣旨で先ほど局長からいろいろ御意見を伺いました。当然今のような見地から学校給食はやらなければならないという局長の御答弁です。ただ残念なことには、文部省がこの問題については、今のように非常に態度が不明確である。徹底的に学校給食はこういう性格のものだ、だからこうでなければならないという、そういう打ち出しが足りなくて、もらっておる実績をなるべく続けていこうというような態度では、なかなかこれは直らないと思うのです。そこで担当課長さんとしては、もっと積極的に局長も動かし、大臣も動かして、そうして農林省もそういう理解を持っておられるから、その方向で何なら辞退してもいいというくらいの決意でもって当たらなければ、今おっしゃったような事態はこないと思います。  そこで、今のようにほんとうに農林省も理解があり、文部省もそうしていきたい、そういう中でやっとこさ削りかかったのが今度は予算が残ったわけです。事業団にいったらどうなるかというと、事業団にいけばもう学校給食の補助は少ないほどいいのです。事業団としては、九億なら九億の中で二億給食の補助に出せば七億手元に残ります。そうすると今の農林省は、学校給食はこうこうだからなま乳はこうしなければならないという積極的なかまえを持っていてくれますけれども、そういうかまえで交付金をとって事業団にいっても、事業団自身はなるべくそれを使わない方がいいわけです。その理屈はおわかりですね。そうなると事業団にいったら困るじゃないかという心配はございませんか。
  159. 臼井亨一

    ○臼井説明員 私は、農林省からそういう専業団に移すようなお話がありましたときは、やはり農林省の善意を信頼いたしまして、そうしてまた農林省の畜産局においでになる方々がそれぞれ課長なり係官として事業団に赴任されます、そういう人的つながり、また農林省としては畜産振興事業団を監督されますから、やはりもとは農林省御当局にある。従いまして畜産局長初め関係の方々と文部省とよく意思了解を遂げれば、その指導のもとに畜産事業団が運営される気がまえになるのではないかというので、もっぱら農林省御当局を信頼したわけでございます。
  160. 湯山勇

    湯山委員 そういう御答弁はちょっと通じないのじゃないかと思うのです。機構の上で今の局長さんがいつまでも畜産局長でおる、今の御相談になった課長さんがいつまでもそのままでおるというわけでもないでしょう。課長さんもそうでしょう。そうするとそういう話し合いでなくて、機構として、制度として見た場合に、今の畜産事業団の方はとにかく十億なら十億の交付金をもらって、全然使わなければ、その十億がそっくり事業団の思う方に使えるわけです。給食の補助に使うだけのことですから、事業団の事業そのものには何ら使えないことになるわけですね。そういう機構上、制度上の心配は当然あると思います。あるからこそだめを詰めて、この方々がこう言うのだから安心だ、こういうことになったのじゃないですか。だからこういう制度、機構の上にはそういう心配があるけれども、現状としてはそういうお話だったから承諾したのだ、こういうことじゃないですか。
  161. 臼井亨一

    ○臼井説明員 湯山先生の御想像におまかせいたしますが、ただ私たちとしては、とにかく畜産事業団の補助金十億円の中で六億円くらいは学校給食のなま牛乳に使わせるというようなイニシアチブはやはり今後とも農林省御当局がおとりになるので、その監督権ということは、将来局長や課長がおかわりになりましても継続すると思います。従いまして、やはり農林省御当局の御意思を尊重し、信頼するということで、とにかく承諾しようじゃないか、そういうふうに考えております。
  162. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで話がもとへ戻りますが、三十六年九億円予算があって四億しか使えない、五億余るということは、先ほど給食課長は需給上の事情でやむを得なかったという話がありましたが、牛乳の学校給食を廃止すべきであるとか中止すべきであるという判断は文部省が行なうのか、農林省の方で一方的に、もう乳が足りなくなるから学校の給食は中止するとか、乳が余ってきたから始めるとか、そういう信号を出すのですか。
  163. 臼井亨一

    ○臼井説明員 その需給状況を勘案してこういう数字にしたいということは、やはり農林省が発議されます。そうして御相談をいただくことになります。
  164. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、予算を余す気になればそういうことでどうにもなるわけですね。たとえば十億円のうち二億円だけ使って八億円余す気になれば、二億円くらいのときにもうこれで需給上足りないから中止するということになれば、それで文部省はやむを得ぬということになるわけですか。
  165. 臼井亨一

    ○臼井説明員 私どもといたしましては、予算額はぜひとも——いわば約束でございますから、文部省といたしましてはあくまでそれは約束として御履行していただきたいというお願いを絶えずしておるわけであります。しかしながら事実上こういう数字でだめだから困る、そうは出せないという実際上の御措置に対しましては、御相談がございますから、その場合には極力その原因を突き詰めて、私たちが納得した上で了承するわけでございまして、やはりあくまで当初の予定数字をがんばるということで今までやっております。
  166. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、この畜産物価格安定法によると、事業団が買い上げた食肉、まあ豚肉が中心ですが、事業団が買い上げた豚肉を必要があるときは学校給食用に特別売り渡しができることになっておる。これは農林大臣も当初から、買い上げた豚肉は学校給食に回すということを言っていますし、現在農林省の方針としても一部そういうことになっておるが、もし豚肉が余って、事業団が買い上げたが、処理に困るという場合に、学校給食に向けるというときは、受け入れ態勢はできておるのですか。
  167. 臼井亨一

    ○臼井説明員 豚肉を学校給食向けにある程度の数量回したいというようなお話が内々一時ありました。今はございません。そういう事態になりました場合におきましては、やはりこれも断続的なのか永続的なのか、要するに毎年あるのか今回だけかというようなことも問題でございますし、また各府県一斎にできるのか、あるいは特殊な都合のいい地帯だけに限定されるのか、そういうことも確かに問題であるのでございます。そこで、しからば、それがとにかく今回非常に余るから、使ってくれないかというようなお申し出の場合においてどう対処するか。これは、私といたしましては、一応この御趣旨は了承いたしまして、現実的に、しからば学校がどういうふうに希望するか、買うか買わないか、また県の教育委員会の方でどういうふうにそれを判断するか、正式にお申し出がありましたならば、関係者を文部省に集めまして、それらの意見を総合いたしまして御回答したい、そういうふうに私内々考えております。
  168. 芳賀貢

    芳賀委員 最後にもう一点伺いたいのは、最近の学校給食会の業務の内容とか経理の内容というものは、文部省の監督のもとで確実に行なわれておるかどうか、その点はどうですか。
  169. 臼井亨一

    ○臼井説明員 日本学校給食会は、年額約三千万の国家予算をもちまして、事務費、人件費をまかなっております。これは非常に厳重に監督しておりまして、各種団体がございますけれども、会計経理は、もばら非常に模範的であるというふうに会計官も申しております。それ以外のいわゆる物資経理——ミルクをアメリカから買いまして、それを府県学校給食会を通じて学校に売るわけであります。その物資経理も、独立採算制になっておりますが、これもまたガラス張りになっておりまして、人件費、物件費とも彼此流用を許しておりません。児童からいただいたものは児童に返すということで、これまたガラス張りで非常に厳重に監督しておりますから、日本学校給食会の経理につきましては、私自信を持って適正に行なわれていると申し上げていいと思います。
  170. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは資料として、三十五年、三十六年でいいですけれども、学校給食会の事業の内容と経理の内容等について出してもらいたい。委員長から一つお諮り願いたいと思います。
  171. 野原正勝

    野原委員長 委員長から申し上げます。ただいま芳賀委員資料要求につきましては、文部省としてこの二十二日の昼ごろまでに御用意いただきたい。
  172. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで局長にお尋ねしたい点は、今度の改正によって、流通合理化という名目で食肉あるいは乳製品の処理保管施設等に対して事業団が助成するということになっておるが、これは、事業団の業務と関係のある保管施設とか、あるいは処理施設に対して助成金を出すという考えですか。
  173. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 事業団の事業に関係がある二施設に出すのかということでありますが、ここに明文として書かれてあります通り、主要な畜産物の流通合理化のための処理保管事業でございますので、私どもといたしましては、ただいま考えておりますのは、特に冷蔵施設等の充実であります。そういう意味におきまして、農業団体等が相当額出資した事業体に対しまして、冷蔵施設を拡充するといいましても、長期に資金が寝るというような関係で、団体だけではなかなか支出ができにくいということもございます。一方、畜産物の流通組織からいいますると、処理保管の事業がもっと充実してしかるべきであるというように考えておりますので、そういう意味で助成の道を開こうという趣旨でございます。
  174. 芳賀貢

    芳賀委員 局長、なるべく答弁は簡単に願います。私も簡単にします。  結局、この処理保管の助成は、事業団あるいはこの法律関係のある、たとえば生産者団体、調整保管行為を行なう指定団体、生産者団体、それらの団体が調整保管行為をやるための貯蔵施設、あるいは処理施設、そういうものを速急に充実させる必要があるので、ここでいう処理保管施設に対する助成というのは、重点的に事業団中心とした、この法律中心とした直接関連のある団体等に対して助成を行なう、こういうことなんですか。
  175. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 一般的に言いまして、もっと広く解釈できますが、われわれが立策して、本法の運用によって充実したいという焦点は仰せの通りでございます。
  176. 芳賀貢

    芳賀委員 そうでなければ、普遍的に、たとえば主産地に対して、処理施設とか保管施設を構造改善事業等でやることになるのでしょう。そういうものにも事業団が助成するということになりますと、この趣旨が全く違うことになるわけですね。だから事業団がどうしてもやらなければならぬという理由は、やはり運営上に関係のある、そういう面に対して出す必要があるので、こういうことをやるんだということであれば、一応了解できる点もありますが、普遍的に出すんだといえば、これは農林省から直接出せばいいのであって、何も事業団を経由しなければならぬということはないわけですね。無理にやる気になれば、また何か別の意図があるのではないか、あるいは河野さんの勢力拡大のために、また事業団を第二の畜産局的なものにでも仕上げるのではないか、そういう批判も出てくる。だからその対象を明らかにして、こういうために必要だからこれはやらなければならぬということであれば、賛成というわけじゃないけれども、一応の理解はできると思うのです。
  177. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 もちろんお話通り趣旨としては事業団にととのえられる交付金制度であります。私、申し上げましたのは、ちょっと言葉が足りない点もあったかと思いますが、ただいまのところ、今の状況で予定しておりますのは、生産者団体が主として中心になった場合におきまして、冷蔵施設等が早急に急がれる、あるいは加工処理施設等が早急に急がれるので、まずそういう点から充実して参ろうということであります。
  178. 芳賀貢

    芳賀委員 第三の補助の目的である畜産の経営とか、技術指導事業に対して助成するということは、だれが考えても必要ないのじゃないですか。
  179. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産団体におきまする関係においても、あるいは畜産の経営部面におきましても、技術の指導等について十分でないということでありますので、ぜひこれは交付金制度のうちでやって参りたいと考えておるわけであります。一方におきます府県に設けられております普及員制度と相待って、こういう点についてはもっと充実して参る必要があるかと存じております。
  180. 芳賀貢

    芳賀委員 経営、技術指導事業に助成してならぬというのではない。国は当然これはやるべきだが、畜産事業団がやることはないじゃないかと僕は言う。こういうものは今まででも畜産局でやっているのでしょう。何も今度は事業団にまかせるという必要はないと思うのです。全部まかせなくても、一部事業団を通じてそういう振興あるいは指導的な事業の補助をやるなんという必要は事業団はないのです。そういうために事業団というものは作ったのじゃないのですから、なるたけ業務に専念させることにして、こういう国の機関が当然行なうべき助成とか補助の行政的な措置というものは、政府自身、農林省自身がやるべきであって、事業団にやらすなんというのはばかばかしいですよ。これは河野さんの意思だと思うが、あなたはやっぱり賛成しているわけですか。
  181. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産の、政府の行政指導あるいは技術指導の面におきましては、もちろん交付金制度に関連しての問題でございますが、国の指導態勢あるいは経営の指導、技術の指導面にわたりましては国が中心となって、むしろ予算編成で、都道府県等を通じて予算措置で直接費目を明らかにして充実して参る考えでございます。この交付金制度の運用につきましては、国のやっていきます事業でまだ結果的に手が伸ばせないというような面につきまして補足的、補完的なことで考えておりまして、あくまでも私どもといたしましては、本筋といたしましては、まず根幹といたしましては予算編成で直接予算措置でやって参るという考えでありますので、この交付金はそういう方針としてはむしろ国の予算を拡充していく、それに合わせて補足的に、できるだけ足らないところを機動的にあるいは弾力的に行なっていこうということで特に資するということであります。根幹といたしましては予算編成で都道府県等を通じまして充実して参ろうというのが本筋でございます。
  182. 芳賀貢

    芳賀委員 それから出資することもできることになっておりますが、今予定しておる事業の出資先というのはどういうものを予定しておるのですか。
  183. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 関係団体との話がまとまりますれば、出資といたしましては、生産者団体等が中心となって設立されます一定割合以上を生産者団体が出資しております法人等に出資金を付加したり、あるいは食肉の規格格付検査の仕事をやっております団体にできれば出資いたして参りたいということを考えております。
  184. 芳賀貢

    芳賀委員 もう少し詳しく、どういう団体に出資するか、まだあらかじめ予定がないならないでいいのですよ。
  185. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 乳製品、食肉、鶏卵等の処理保管関係あるいは食肉の規格の格付関係でそれぞれ民間で団体活動しておりますが、それらの食肉の関係団体あるいは乳製品の関係団体等と十分打ち合わせいたしまして、そうしてその機関の充実をはかって、あわせてこの畜産物の買い入れあるいは保管あるいは畜産事業団の活動します場合の円滑な運営に資しようということを考えておるわけであります。
  186. 芳賀貢

    芳賀委員 だからどういうものに出すつもりかあるいは今後そういう会社でも作る考えであるか。具体的に、あればある、なければないでいいですが。
  187. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 相手方の団体、生産者団体等とまだ具体的に問題を詰めておりませんので、具体的な内容等については今申し上げかねるわけでございます。
  188. 芳賀貢

    芳賀委員 では当面必要性がなくて、出資できるというふうに一応法律に掲げただけですね。
  189. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 交付金の制度といたしまして、助成につきましては補助する方法もございますし、そういう意味におきまして交付金を機動的、弾力的に使うという意味におきまして、畜産振興になる部面については運用上支障があるといけませんものですから、こういうことであらゆる面で交付金の運用ができるように規定したわけでございます。
  190. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、現在の法律によっても事業団は毎年その収支予算、計画あるいは資金計画を出して大臣の承認が必要だということになっていますが、これはもうできて承認されておるわけですね。
  191. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 事業団の事業計画は現行法に従って事業計画を立てて参りますので、まだこの法改正が済んでおりません現在ではこれは組まれておりません。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員 法改正ができていなくても、法律が公布されて事業団が発足すれば当然これは法律規定に基づいて、事業団の収支予算とか事業計画あるいは資金計画を作成して農林大臣の承認を受けるということが書いてあるじゃないですか。これはもう手続が済んでいなかったらおかしいでしょう。開店したのでしょう。これはどうなっているか、あたりまえなことなんだけれども、一応念のために聞いておきます。
  193. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 現行法の事業団の活動、三十七年度における事業計画は、内案が決定いたしております。
  194. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは委員長にお願いしますが、法律で定められた事業団の収支予算、事業計画、資金計画を、政府から二十二日の午前中この委員会に提出するようにお諮り願いたいと思います。
  195. 野原正勝

    野原委員長 芳賀委員資料要求に対し、政府の用意を一つお願いします。
  196. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 目下政府部内で三十七年度の事業計画——先ほど申し上げましたのは三十六年度のものでございますが、三十七年度の事業計画は決定の大詰めに折衝中であります。従いまして三十七年度分はいまだ決定していません。
  197. 芳賀貢

    芳賀委員 これはおかしいじゃないですか。国の三十七年度予算は衆議院を通過しておるようなときに、事業団の収支予算というものは国の予算とも一部関係があるのですよ。それがいまだに三十七年度のこの予算並びに——計画です、これは決算を出せと言っているのじゃないのだから。これはおかしいじゃないですか。職務怠慢じゃないですか。
  198. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 事業団の業務といたしましては四月一日までに決定をしてやるべきものでございまして、私どもとしては今大馬力で、編成につきまして農林省に限らず、いろいろ関係の当局と研究中でございますので、といいますか、今決定しておりませんものですから、決定案を出せと言われてもちょっと差しつかえがあるのでございます。決定いたしましたらさっそく提出いたします。
  199. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは三十六年度分は、これは計画があって、それに基づいてやっているのでしょう。それも何もなくてやっているのですか。
  200. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 計画があってやっておりますし、それぞれ実行に従って内容も変わってきておりますが、三十六年度の卒業計画はあります。これは決定して、それぞれ実行中でございます。
  201. 芳賀貢

    芳賀委員 それがなかったら大へんですよ、買い入れまでやっているのだから。それでは三十六年度の分を委員長の方ですぐ出してもらうようにしていただきたい。  七年度も三月中にはできるのでしょう。
  202. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 三十七年度は三月中に作ることはもちろんでございます。
  203. 芳賀貢

    芳賀委員 もちろんできたら、すぐ出すようにして下さい。  次に、畜産物価格審議会の問題に関連してお尋ねしますが、従来開かれた審議会の運営の状況を見ると、第一に問題になるのは政府から資料が十分提出されないわけです。資料の提出が非常におくれておるという点と、要求されれば作って出すが、二十六日からの分については、やはりあらかじめ必要と認める資料については内容の確実なものを作成して出してもらうべきだと思いますが、その点は用意は進んでおるのですか。
  204. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 わが当局といたしましては、十分できるだけの範囲内で、審議の円滑を期するために、またいろいろ現況を御説明申し上げるために、資料は極力充実するべく努力しておるわけであります。価格審議会で一枚の紙で出しておりましても、その一枚の紙の裏には大へんな作業を伴ってやっておるわけでございまして、われわれといたしましてはほんとうに正直な数字をできるだけ御審議の便宜のように努力しておる次第でございまして、どうぞその点はあしからず御了承願いたいと思います。
  205. 芳賀貢

    芳賀委員 皆さんの努力は認めておるのですよ。それから実情についても、たとえば食管制度における食糧庁の作業等は、これはもう戦後十五年も十六年もやっておるのですから、経験も積んでおるし、いろいろな資料等についても大体適確なものができることは当然だが、畜産局の場合には開店早々であり、そういう陣容というものが整備されておらぬことはわれわれも承知して、これは機会あるごとに農林大臣に対しては、当委員会等においても大事な畜産行政を担当できるようなそういう陣容にもう少し強化すべきであるということは、去年から勧告しておるところですから、無理なことを言う考えはないが、せっかく苦労するのであれば、委員会に持ち出しても内容がまことにずさんであるとか、あるいはことさら法律精神を曲げたような資料まで作る努力をする必要はないのじゃないか、そう考えるのですが、その点はどうですか。
  206. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 法律趣旨を曲げたような参考資料等は出さない気持でおりますが、これは価格算定方式算定されるにつきましていろいろ検討した部面がございますので、そういう作業をしたものにつきましては、できるだけ十分御意見を承ろう、こういうことで前回の価格審議会には、参考資料の一から四まで価格算定方式等について参考資料として御配付申し上げたわけであります。もちろん私どもといたしましては価格審議会の自主的なお話等によりまして十分委員間で御議論願いまして、私どもの行政措置に誤りを来たさないようにお答えをいただきたいと思っております。二十六日にもまたそういうことで委員の方々に御多忙のところを御参集願いたいと思っておる次第であります。
  207. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも審議会が開かれてから審議会であまり発言するのもわれわれも考えなければならぬ点があるのですが、そういうことで、きょうはある程度問題を消化しておきたいと思うのです。たとえばこれは農林大臣にただすべき点ですが、法律によれば、審議会委員を二十四名任命するということになっておるのですね。ところが現在まで二十二名しか委員は任命されていないわけです。法律に二十四名とあるのを一体どうして最初から二名欠員を作って、委員の選任をしておるか。何か事情があると思うのですが、その点はどうなんですか。
  208. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格審議会の取り扱います重要事項というものは、製品別に多岐にわたるものですから、たとえば現在では鶏関係の御専門の方はたった一人の状況であります。事の重要性によりまして、現在定員は限られておりまして、この運用をどういうふうにやっていくかも頭を痛めておるわけでございます。そういう意味におきまして、ゆとりを残して現在編成しておるわけでございます。事態の状況によりましては、早くこれを充実して参りたいと存じますが、鶏卵等についても、重要な関心を持っておりますので、ただいまは食肉あるいは乳製品等で問題がありますけれども、そういう意味におきまして、なるべく各般の専門家の御意見を伺いたいと存じておるわけでございます。開店早々でございますので、そういう点について、さらに十分検討して、欠員が公平に埋まるように考えたいと思います。
  209. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは鶏卵に二人残したのですか。
  210. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 鶏卵を例に引きましたが、鶏卵に二人残したわけではございませんで、十分ウエートを置いた意味で乳製品等については充実した関係がございますが、その他事態が進みますれば、また現在牛肉は指定しておりませんけれども、各般のことを考えますれば、この畜産物価格審議会というものは、品種の多い価格審議会でございますので、そういう点を考えまして、今保留しておるものであります。
  211. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうのは理由にならぬです。これは大臣に聞かなければはっきりしないが、とにかく法律審議する過程においても、二十四名の委員のうち五名は国会から出すということになっておるのですよ。附帯決議もついておるのです。ところが国会から出ておる委員は、現在衆参両院を通じて三名なんです。だから二名足りないというのは、国会から出す委員が二名まだ不足しておるというだけであって、何も鶏の卵の代表が二人足りないとか、牛肉屋の代表が一人足りぬとか、そういうものじゃないのです。そういうつまらぬことを言うから、最初から審議会の権威というものはなくなってしまうのですよ。業界代表というのは、余るくらい出ておるのじゃないですか。たとえばハム会社の社長であるとか、肉の処理施設の代表者であるとか、あるいは河野さんの直系の中央畜産会の代表であるとか、われわれが見ればそれほどまでにしなくてもいいだろうというような委員をたくさん並べてあるけれども、足りないものはあるのですよ。国会から出す二名とか、あるいは生産者をほんとうに代表している委員の数も少ないわけですね。これはあなたに言っても始まらぬが、農林大臣の好みでああいう人選をやられては適正な審議会の運営というのはできないですよ。そういう点は事務担当者のあなたがもう少し大臣に直言して、適正な審議ができるような審議会委員の人選をやるべきだと思うわけですが、その点は私の言う通りでしょう。
  212. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産局長といたしましては、なるべく充実してへんぱのないようにということで十分各界をながめて編成をいたしたわけでございます。二名の点等につきましては、物品が多いものですから、そういう点も考慮して保留してあるということでございまして、特に今結論を求めてこれで埋めていくという予定はございません。
  213. 芳賀貢

    芳賀委員 次に価格算定の問題ですが、この点については同僚の湯山委員から、現在まで行なわれた、たとえば豚肉の安定基準価格等につきましては法律趣旨に反するという指摘があったのですが、局長は何かあの二百四十五円が再生産確保のできる最低の価格であるという答弁をしておったように私は聞いておったけれども、先ほどのはそういう答弁だったのですか。
  214. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 再生産を確保することを旨としてきめるのでありまして、私どもといたしましては現在までの三十六年度におきます子豚を相当の価格で買ったというものについては再生産確保はできないというふうに考えておりますが、今後どういう方式で価格をきめますか価格審議会でも結論が出ないで目下検討中でございます。二十六日にさらに本年度の残あるいは三十七年度の価格について御意見を伺うことになっておりますが、十分完成された形で早く方式を樹立さるべきものだということで、私ども先行せずに——まだ中途でございますので、価格審議会意見を十分固めて、本法の精神にのっとって算定方式をきめて参りたいと思います。法律に基づく政府価格でございますので、はっきりした算出方法というものが必要であります。そうでなければ生産者あるいは消費者等において十分納得がいかなくなるわけでございますので、そういう点初めての価格算定方式でありますから時間もかかると思いますけれども、かりに暫定的に方式をきめますにつきましても十分農業基本法並びに本畜産物価格安定の各条項に従って方式を樹立し、行政措置をやって参りたいと考えておるわけであります。
  215. 芳賀貢

    芳賀委員 別に追及する考えはないが、ただ豚肉の二百四十五円が再生産を可能にする価格であるというようなことを委員会政府委員が発言するとなるとこれは重大問題だと思うのです。当時の答申内容も二様に分かれて一つは二百四十円、もう一つは二百七十円以上という二つの異例の答申が行なわれた中で、われわれの判断では最悪の場合でも二百七十円以上でなければ最生産確保はできない、この考えはみんな一致しておるところなんですよ。ただ現状において、事業団発足早々であるし、また一方豚肉の価格が暴落した異常な状態であるので、三十六年度分については三月末までの分についてあくまでも暫定的ということで二百四十円という答申の線を出したのであるからして、これは今後全然念頭に置かないで、これからの審議会に農林大臣が諮る場合に政府が用意する試案というものは、——今までの政府案というものは正式には出ておらぬが、しかしそれと同種のものが資料として出されておったのですね。だからそういうものを作る場合にも、法律精神を逸脱しない試案の作業をすべきであるというふうに私が指摘したのですが、その点はいかがですか。
  216. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 やはり審議会審議の方法といたしまして、私ども事務局的な立場で十分書記的な審議を尽くしていただくということで、審議会を開く前にいろいろな資料を整えて提出いたしたいと存ずるわけであります。そうでないと、やはり抽象論にわたりまして具体的な結論なり御意見を求めにくいという状況でありますので、作業をいたしてできるだけ審議の便宜をはかりたいというわけであります。そういう意味におきまして今御指摘になった再生産を確保することを旨としてということの結論それ自体を提出するという考え方はないのでございますけれども、いろいろ御審議の都合上参考資料というものは出させていただきまして、審議の能率を上げて参りたい、あるいは内容の点等に十分支障のないように御便宜を計らいまして御答申に資したい、こういうわけでございまして、別に特に無視してという考え方は全然ございませんで、むしろこれに即応し、無理をしても極力再生産を確保したいという気持が一ぱいで資料を編成しておる次第であります。
  217. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことでぜひやってもらいたいと思うわけですが、ただ今まで気のついた点を一、二申し上げておきますと、たとえば政府価格算定上のいろいろな試案を作る場合に、審議会委員の中の特定の人物を中心にしたり、その人に依頼してやるということは間違いが起きやすいと思うのです。たとえば審議会の会長なら会長として委員から互選された人にそういう試案的なものを依頼して、その人が中心になって数名の学者グループで作るということになると、やはり自分が中心になって作った試案にどうしても拘束されると思うのです。他のどのような権威者に依頼して政府の試案的なものを作ることは差しつかえないが、直接審議会委員であるとか、その会長であるとかいうような人物に依頼して作るということはあくまでも避けてもらいたい。しかも、そうして作った試案なるものが、先ほど言った通り法律精神からは非常にかけ離れておるということになりますと、なおさら問題だと思うのです。その人たちの協力とか労苦とかいうものは十分認めるが、これは今後のことですけれども、そういうことはあくまでも避くべきであると思いますが、いかがですか。
  218. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 お話通り、広く知識を求めまして審議参考にいたしたいということで努力しておるわけであります。政府から出します参考試案は、そのもとが全くある個人の意見であるということであるならば、それは個人の意見ということで資料としての根拠をはっきりいたしたいと思います。今後価格審議会に出します資料で、特別に断わりのないものはすべて政府側で調査し、また考え、編成したものでございますので、特別にどこどこの経済所長とかどこの学者とかいう人の案でありますれば、それを参考にすべき場合には明確に責任の所在をはっきりして提出いたすべきものだと考えまして、お話の点はよく了承いたしております。
  219. 芳賀貢

    芳賀委員 あの程度のものは、何も学者に頼まぬでも、畜産局の有能な皆さん方であれ以上のものが作れると思う。ただ意図的に何とかして安定価格とか買上価格を安くしたいということで、技術的にそういう安いものを作ってくれというふうに専門家に頼むから、頼まれた学者も、場合によっては自分の良心を曲げて、ああいうわれわれが見ても問題になるようなものを作ることになるのであって、この法律に基づいたあるべき姿、あるべき価格というものは、これはやはり良心的なものを、局長とか経済課長も優秀だから、部内であれくらいのものはやれると思うのです。あなた方みんな東大卒業生なんだから、それは師匠が何々経済学の大家とかなんとかいっても、あなた方過去は学校で弟子であったとしても、一国の行政を担当する場合、あれくらいのものは作れると思うのですが、今局長が言った通り、今後も価格算定上の資料等を作る場合には、あくまでも農林省の責任とか畜産局の責任において作るということでやってもらいたい。ぜひそういう慣例を確立してもらいたいというふうに考えるのですが、私の言う点は間違っていますか。
  220. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 今後とも私どもといたしましては、政府側から参考資料を出す場合に、もちろんいろいろな方面で勉強はいたしますけれども政府の責任において出す参考資料につきましては、何にも断わってない場合につきましては、もちろん政府資料でございまして、むしろ政府以外の資料をとった場合につきましては、どこどこの統計資料とかいうことで、明確に出所を明らかにしてやって参るわけであります。お話趣旨はよくわかりますので、十分その点は注意してやって参りたいと思います。いささかでもわれわれの資料提出について疑義のないようにいたして参りたいと思います。
  221. 芳賀貢

    芳賀委員 農林省のいろいろな農産物等の価格決定法律もたくさんありますが、それぞれ法律に基づいて価格算定決定を行なっておるのですけれども、その中でも内容がやや充実しておるというのは、米価並びに麦価の決定算定方式だと思うわけです。それ以上まだ進んだものも当然これはあるわけですが、現在の農林省の扱っておる農産物の中ではそうだと思うのです。そうすると、やはり畜産物価格安定の場合も、その法律で定めた精神というものは、米や麦の価格をきめる場合の精神と違うということではないわけです。やはり共通なものなわけです。だから、昼間は外へ出て水田で水稲栽培の作業をやる、朝早くとか夜おそくは畜舎に入って牛の乳をしぼるとか豚の飼育をやる、同一の生産者の労働の評価というものは、水田に出た場合と家畜を扱った場合に違うということも、これは一貫性がないわけです。だからそういう点についてはやはり問題になる。自家労賃の評価方式等についても、やはり米の場合に都市労賃を採用してやる方式であるとすれば、畜産物の場合にもそれと同種の算式を用いるということになれば、これは出た答えはどうであろうとも納得できるところだろうと思うわけです。そういうことをやらないで、たとえば過去三カ年の市場における平均価格をとるとしても、肝心の物価修正もやらないで、なまのままのものを出してきたり、あるいは生産合理化係数というような新しい言葉を使って、むしろ生産価格が安くなるようなそういうものを要素に使おうとしてみたり、ああいう点はやはり今後は、局長が言われた点ですが、あくまでも排除して、前向きの形で、今後の審議会に諮問されるそれぞれの試案の作成等はぜひやってもらいたいと思いますが、そういう点についてはいかがですか。
  222. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格算定方式を確立する場合、審議会の御意見を伺いたいということで先般御諮問申し上げて、いろいろ参考資料を出したわけでございます。私どもといたしましては、何とかしてこの法律精神に基づいた算定方式を早く樹立したいということで考えておりますので、御趣旨の点は十分配慮いたしまして審議会に臨もうというふうに考えております。
  223. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、今度の審議会には、乳製品の加工経費あるいは製造費といってもいいですが、この経費が審議会審議対象になるわけです。これはいろいろ困難な問題もあったと思いますが、加工経費のコストの要素等については、これは一定の基準というものを作ってそれにそれぞれ当てはめて、そしてそれを総計すれば加工経費ができる、そういう作業をとったわけですか。
  224. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格算定因子についてすべてにわたってそうですが、いろいろ物価修正とかそういうほかの物価でやっている場合の因子と違いまして、加工経費は乳製品工場自身の初めての因子の問題であります。そういう意味におきまして、加工経費につきまして集約したものを提出いたすわけでありますが、これらの点につきまして、これを特に各点をいじってという作業は、また御意見等も承りましてざっくばらんに審議会に臨もうということでおりますので、われわれといたしましては、各いろいろな会社等によりましては相当加工経費が違った実態になっておりますが、個別的な会社等の問題になりますれば、これは営業上のこともございますので、大体大手乳業者の平均、中小乳業者の平均、それから総平均について加工経費の内容を、御審議参考にするために提出いたしたいと考えております。
  225. 芳賀貢

    芳賀委員 加工経費については、たとえば硫安の価格等については、これは法律に基づいて毎年肥料審議会審議するわけですが、こういう実例はあるわけです。ただ問題は、大中小というようなメーカーから任意に出された資料というものをどういうふうに整理してどういう基準を作るかということが大事な問題ですが、方法論として、たとえば総平均的なそういう考え方基準を作るのか、あるいはまたバルク・ライン方式で、そういうバルク・ライン方式なら方式で基準を作るか、あるいはそういうものを参考にして標準的な基準というものを作るのか、その方針によってそれぞれ違ったものが出てくると思うのですが、今の局長答弁では、平均的なものということになると、非常に高いコストになると思うのです。私が聞いたのは、どういう方針で基準の作成作業をしたかという点です。
  226. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 畜産物価格安定法決定する前は、市乳等の問題、生産費等の問題では、それぞれの需給関係で問題が起きて、われわれ行政措置をやる場合に、加工経費がわからないで困った場合がずいぶんあったわけでございます。そういう際は、いろいろ資料の提出を願っておりましたけれども法律がないために提出をされなかったわけでございます。畜産物価格安定法通りましてから、今回の価格作業になりましては、こういう法律がございますので、中小メーカーからも大メーカーからも加工経費については快く御提出を願ったわけでございますが、これは提出のまず初めてのことでございます。そういう意味におきまして、各価格因子の内容等につきまして、初めてのことでございますので、各生産費調査の例を、ただいま芳賀委員は硫安の生産費等の例をおあげになりましたが、そういう各生産費調査をやる場合の因子等を参考にいたしまして、もちろん照会はいたした次第であります。そういう意味におきまして、いろいろな製品を作っている場合にいろいろな投資が行なわれる場合あるいは本社管理費等をどこの部面でどう見るかということで、製品の販売高等でウエートを置いていくという操作はいたしますが、大体現在の改正としましては、中小メーカーから出ました加工経費は安くて、大メーカーから出た経費は非常に高い水準になっております。しかし現在は監査をしたりするひまはございませんので、標準経費的なものを出すことは非常に困難な状況でございます。従いまして、そのままメーカーのウエートをとって総平均的なものを御提出いたしたい、こういうふうに考えております。
  227. 芳賀貢

    芳賀委員 乳製品については、出たものの総平均でやる、生産者の価格関係は非常に不当に安い算式を使うということになると、これは問題がありますからね。そういう点は十分資料を整えて、納得のいくような形でやってもらいたいと思う。  最後にお伺いしておきたい点は、先般特に市乳の値上がりを政府は承認されたわけですね、乳製品の値上がり等についても認められたわけです。たとえば市乳が普通牛乳は一合一円の値上げ、加工牛乳は二円の値上げということになったわけですが、これが生産者の方にどの程度乳価として還元されておるか、その後の事情等はどうなっておりますか。
  228. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 東京都を中心とする市乳価格の処理につきまして、芳賀委員のおっしゃる通り、二月末に措置したわけでございますが、普通牛乳について一円、加工牛乳について二円となっておりましても、普通牛乳のベースの場合に半額は生産者に還元する、生産者から買うメーカーの値段をその分だけ引き上げる、こういうことの確約を得ましたので、それを実施しておるわけであります。加工乳の一円と普通牛乳の二円値上げということで、小売り等の手数料が加工乳に重点的になる、よくなるということではいけませんものですから、メーカーに対しては全体をプールして、そうしてそれぞれ普通牛乳が確保されるような措置あるいは経常的に、配達店等にいった場合に安くするとか、その他今度は生産者側の団体に対しては特別な小売価格の措置等につきまして、各都道府県が、メーカーと酪農民の指導の参考になるように、市乳の需給関係をむしろよくするために、少なくとも生産価格では一升について五円ないし七円五十銭上がるような結果になるということで指導はいたしておりますが、現実の問題として相当話がまとまったところもございますし、まだまとまっていないところもあるわけであります。そういう意味におきまして、われわれといたしましては、東京都を中心とする措置等につきまして、全国的にその措置の内容等について指示いたしまして、少なくとも酪農民から買う生乳価格の引き上げを伴わない小売価格は絶対に認めない、こういうことで指導いたしておる次第であります。
  229. 芳賀貢

    芳賀委員 その点ですが、大都市の市乳の消費状況は、大体普通牛乳が三三%、加工牛乳が六七%ということになると、三三%については一合一円ですから一升十円、あとの六七%については一合二円だから一升二十円の値上げということになっている。ですから、これを普通と加工の比率によって計算すれば、値上げの金額というものは平均的に出てくるわけですね。そうなると、畜産局長が指導した一升五円ぐらいの生産者に対する乳価の引き上げというのは、非常に微温的な指示だと思うのです。結果的に、加工と普通を平均すると何円の値上げになるのですか。
  230. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 一般的にいいまして、普通牛乳はおっしゃる通り今三三%というお話ですが、総じていいますと、普通牛乳が四〇で、加工乳が四〇、それから乳飲料と申しますか、コーヒーとかフルーツとか、ただ味をつけた牛乳が主体でないものは二〇%、大づかみに言ってそういう状況になるわけであります。値上げの関係からいいますと、普通牛乳が一合当たり一円、加工乳が二円ということになりますので、この両方の数量が大体同じと見ますと、先ほど申し上げました通り一升当たり合わせれば、半分を生産者に還元する、メーカーは一つもとらないということになりますと七円五十銭、普通牛乳を主力とするということになりますと五円、こういう意味で五円ないし七円五十銭、総じていえば二つ合わせて大体同じ数量の四〇、四〇というパーセントで見ますれば七円五十銭以上、こういうことになるわけであります。
  231. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、そういうものは生産地帯に直ちに反映しなければだめなんですね。反映させなければ行政指導を怠っていることになるのです。こういう点については資料でいいですから、値上げ前の二月末現在における、加工と普通に分けた市乳の価格、それから生産者の乳価、それが全国的に都道府県別でも必要ですがその状態と、それから三月以降市乳の値上げされた、乳製品も値上げになったという次元における乳価の動向がどうなっておるのかという、この二様の資料委員長から請求してもらって、二十二日の午前中までに用意してもらいたい。
  232. 森茂雄

    ○森(茂)政府委員 各県全部ということでは、今のところ整備しかねると思いますが、できるだけ誠意を持ってわかっているところで、御要求のお気持もわかりますので、できるだけ——どの程度できるだけになりますか、お恥ずかしい次第になってはいかぬと思いますので、全部という確約はできませんけれども、努力してみたいと思います。
  233. 芳賀貢

    芳賀委員 それではきょうはこの程度にとどめて、次の機会に農林大臣に対する質問を保留して終わります。
  234. 野原正勝

    野原委員長 明後二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会